番外編:魔女の宅急便2
魔女のキキは16歳、宅急便屋を始めて3年。
すっかり町にも溶け込んだ彼女のもとに、ある日悪魔がやってくる。
キキの祖先が悪魔と結んだ契約期間は666年、あと一ヶ月でそれは満了とな
るという。
キキが空しか飛べず、それとて精神状態で簡単に左右されてしまうのは、別に
不器用だからではなく、単に魔力が薄れているだけだからだともいう。
契約の更新を迫る悪魔。もちろん威圧的な態度などとらず、新しい契約によっ
て手に入るメリットばかりを協調する。
すっかり騙されたキキは、アパートの契約更新と同じくらいの軽い気持ちで契
約書にサインしてしまう。
そして一ヶ月後、旧契約の満了日に悪魔は再び訪れる。儀式の準備が一切なさ
れていない事に腹を立てる悪魔。契約更新の際には改めて悪魔と契りを結び直
さねばならないというのだ。
悪魔との契りの結び方など知らないキキは無邪気にそのやり方を悪魔に聞き返す。
呆れ果てた悪魔ではあるが、そこはやはり悪魔なので、無表情かつ冷静に、これ
から彼女と取り交わす手順を露骨かつ粘着な表現で説明する。
あまりに屈辱的なその内容に翻意するキキ。しかし、一度食らい付いた悪魔が手
を引くはずがない。
契約を結ぶのはキキであるが、契約の効果が及ぶのはキキ個人ではなくキキの一
族郎党近親縁者全てである。もちろん、違約した際の呪いを受ける者達も同じ事。
両親やトンボ、オソノさんとその子に不幸が訪れても良いのかねと本性をむき出
して脅す悪魔の前に、キキはもはやなす術もなく体を預けるしかなかったのであ
った……