942 :
名無シネマ@上映中 :03/12/12 04:27 ID:IDh3dg/J
意味生 →意味性
943 :
名無シネマ@上映中 :03/12/12 04:38 ID:IDh3dg/J
「そして船はいく」 を理解する かなめは、 「死」というものをこの映画から感じ取れるかどうかが ポイントだと思う。「生」というものが基本だったこの監督にとって この作品が異色で、別世界に感じるのはそのせいだろうと思う。 人間を「死」というフィルターを通して、みるとこの作品は まさしく妖気をはなった作品だというのが理解できる。 フェリーニ映画からエネルギッシュさが消えたのは 肉体的衰えもさることながら、「死」への想いが 人一倍強かったことも作品に影響しているのかもしれない。 それがそのまま彼の寿命を縮めてしまったような気もしないではないのだが。 なにせ人一倍神経過敏な人だったから。
944 :
名無シネマ@上映中 :03/12/12 10:11 ID:LElljXXx
「そして船はいく」は、はじめてのフェリーニだったので 一番好きな作品。 そうなると、それ以前の作品が、逆にエネルギィイイシュ!過ぎて ついて行けなかったりしてます。 この作品で一番「無情」を感じるのは、 なーんで、あの娘が、あんなタレ目男に!!! 人生って辛いよな…。
私もフェリーニ
>>944 フェリーニ映画って、最初に観たのが一番好きって人、多いよね。
947 :
名無シネマ@上映中 :03/12/12 19:15 ID:IDh3dg/J
んー 「道」テレビでみたのが最初。 ああびんぼーくせえ話で暗いなーとおもってたけど 最期は泣けた。翌日、高校で、ザンパノの話で持ちきりだった。 次にみたのが「フェリーニのローマ」だっけ。 えらい食欲とエネルギーに疲れた。 凄いとは思ったが、なるほどカルトだと思った。 フェリーニの評論集を読んだ。とにかく映像写真に惹かれた。とにかく構図が 素晴らしく第一級の絵画に思えた。やたら、「81/2」が凄く思えた。 「81/2」みたのはずっとあと、正直それほど衝撃を受けなかった。 でもやはり凄いと思った。 個人的には「サテリコン」「81/2」「アマルコルド」がベスト3だ。 特に「 サテリコン」がマイ映画ベスト1だ。
俺は女の都を深夜放送でみたよ 中学生で、写真ばかりの通路、突然穴からの 滑り台。眠いのと倒錯で訳がわからなかった 友人に映画好きがいて、その話をしたら それは、フェリーニが監督で夢みたいな 映画が多数あり難解だと聞いた それから十年以上経過し、突然ビデオ屋で女の都を見つけた 家に帰りじっくり見たら、奥の深い映画だった 当時は、これはサスペンス物と勘違いしていた 質の低い話ですまんな
950 :
名無シネマ@上映中 :03/12/13 11:02 ID:xvGbS14b
> 当時は、これはサスペンス物と勘違いしていた いやー、ワロタよ。
951 :
名無シネマ@上映中 :03/12/13 11:14 ID:Wz4qium8
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952 :
名無シネマ@上映中 :03/12/13 12:31 ID:rm8dUXOZ
アメリカではやたら魂のジュリエッタの評価たかいんだよね。 「DVD & VIDEO 2004」 MICK MARTIN みてると5つ星なんだ。 アメリカ人には直接的なもんがいいんだろうな。 「 Leonard Maltin's Movie & Video Guide 2004 」 も今日頼んだ。 こっちはどうかな?誰か持ってる?
フェリーニのドキュメンタリ I'm a born liar R1のDVDが 届いたんで見たよ。カサノバのカットされた男色シーンは貴重だったね。 スタンプの証言もオモロかった。フェリーニ本人の語りはほかのインタビューで 言ってることと内容が同じなんで目新しさはなかったけど、魂のジュリエッタや サテリコンの撮影風景とかいろいろあって、まあまあ面白かったかな。 サテリコン日誌やフェリーニの都もDVD化してほしいね。
955 :
名無シネマ@上映中 :03/12/13 14:06 ID:Q/fFTDjJ
おまえも映画だ!
956 :
名無シネマ@上映中 :03/12/13 14:24 ID:rm8dUXOZ
そして船はいく 見終わりました。 しかしこれだけ完成度高い映画とは思わなかったなー。 もう最期の死力ふりしぼってつくったような。 なにからなにまでかっちり計算ずくでつくってある。 完璧な映画。 セルビア人がでてくるとなにかいきなりネオリアリズム思わすような カメラワークになるのが面白い。セルビア人と少女が船にのりこむシーンで カメラを振らすやりかたはまさしくネオリアリズム。 オペラが素晴らしい。本当に心に響く。 途中、映写のスタジオセットを一瞬写したが流石にびっくりした。 どういう意味か後で考えよう。 この映画は確かに理解が難しい。前みたときわからなかったのはしょうがないな。 それにしてもフェリーニ映画でも相当完成度が高いこの映画について余り語られてないのは 非常に惜しい。いわゆるフェリーニスタイルでないからだろうと思うけど。 難解な映画だと思う。でもこれはまさしく傑作だと思う。 ラストシーン。記者がサイとともに救助船でこぎ出していく光景は 「サテリコン」で「アフリカへ航海していく船にだぶって見えた。
多分この映画の進行速度を20%ほどアップしたら 凄く分かりやすかったろうと思う。恐らくフェリーニがもっと若かったら そうしていたろう。そしてもっとエネルギッシュにつくっていたろう。 しかし死の影をみている(ニーノロータを失っている)フェリーニにとって もはやただひたすらもりあげていく手法をとりえなかったのだろう。 死を前にしても毅然と対峙するヴィスコンティ、ベルイマンのような 生き方もあるが、フェリーニのように静かに対峙せざるしかない人間もいるのだろう。 多くの人間は後者なのだろう。そしてそれだからこそフェリーニは愛すべき人間なのだろう。
何か最近、『船』に入れ込んでる人が多いな。 最近見たけど、オープニングが良すぎて、船が出てから先はダルかった。 キッチリとはしてるけど、出航してから先には映画のデーモンが住んでない、という印象。 テンポが緩いとか、死の気配が漂って活力に乏しいとか、 そんな問題じゃなくて、「薄い」……整ってはいるが、底光りが感じられない。 正直、オープニング見るだけにした方が、ワシには満足感高いっす。
959 :
名無シネマ@上映中 :03/12/13 23:31 ID:rm8dUXOZ
この映画は「ひきこもり」の映画なんですよ。 それを最初気付かなかった。 双葉十三郎先生が晩年の作品の高い点をあげているのはそのせいなんだなあ とやっと気付いた。 人生の最後まで突っ走るとい生き方もあるけれど 人生の死というものに対峙し、けだるく生きるという生き方もありというものだと思う。 人生の晩年に想い出に耽り隠遁したような生活。 ひきこもってオペラを聞くような生活。 それをフェリーニは、映画美術にしてみせたということだと思う。 この美意識を受け入れられるかどうかだと思う。
960 :
名無シネマ@上映中 :03/12/13 23:35 ID:rm8dUXOZ
フェリーニの作品、とくに船はいく 以降の作品は おそらく死期を意識したフェリーニの人生観と想いでを映像にしたものだと いうこよだと思う。だからエネルギッシュなものではなかった。 ひたすらノスタルジックな映像となった。 同じく黒澤明も「まあだだよ」を創ったけど、やはり同じ晩年の作品としては 遙かにフェリーニのが上だったと思う。
961 :
名無シネマ@上映中 :03/12/13 23:58 ID:FbWyB087
第一次大戦前夜、オペラの終焉、難民の侵入(グローバル化)。 時代背景とドラマが程よく調和してしまったところに「そして船はいく」の弱さがある。
962 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 00:00 ID:WhehqLrm
ほう
963 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 00:23 ID:0oi/qu6r
>>961 ていうか
フェリーニ にとっては
「世界の終わり」より「人生の終わり」のがはるかに大事だったんでは?
なんかフェリーニって「ああ死ぬのが怖い」ってまじでいいそうな人じゃん。
964 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 00:25 ID:L9Cm1RAe
フェリーニヲタってちょっとキモイぞ、褒めてばっかしでおもろない
965 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 00:30 ID:+KNlGXF2
フェリーニのDVD高いぞ。1500円くらいにならんのか。 まったくフェリーニ関連、そのあたり嫌いだし罵倒するぜ
966 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 00:32 ID:ai8zRBN5
961の言ってることは非常に解る気がする。それが故に、飛びぬけない。 完成度は「端正」といったような意味では、高いのだけれども……。 何でこうなったのか……と思うに、 恐らく、この映画の持っている生者同士の交わりを拒むような、 独特の「トーン」を作り出すことが この時のフェリーニの第一の作家的目的だったんだろうと思うんだけど、 その「トーン」を作り出すために、映画の舞台を観念的に選んだんじゃなかろうか……? >第一次大戦前夜、オペラの終焉 といった頃を舞台にすれば、こういうトーンで一本の映画を成立させられるのではないか? って風に、恣意的に主題を選択したんじゃないのか、と。 で、その恣意からシナリオを組み立てて、それに従って、 「トーン」の構築に専念して撮っていった――が、 恣意的に主題を選び、また物語を組み上げたことから、 結果的に映画全体がシナリオに従属した形になった(ヘンな言い方かも知れんが)。 そういうことが、この『船』全体に漂う「薄さ」なのではないかと。 どうも何かそれまでの作品ほど「純化し切ってない」ような歯がゆさがある。 もう一つ壊して、もう一段昇華して欲しかったような……。 ただ、オープニングだけは、やっぱ『映画』としか呼べないものになっていると思うが。 死の気配みたいなものも、この出港までが一番濃密に満ち満ちてるし。
968 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 02:11 ID:0oi/qu6r
僕は単純にこの映画は死者の映画そのものだと考えたらすんなりはいれた。 死者に対する鎮魂歌なのだと。それがオペラなのだと。 この映画にそもそも映画的躍動感を求めること自体が意味ないのだと。
で、なぜ最後、サイなんだ? 深い意味があるように見せるトリックなのか
968>この映画にそもそも映画的躍動感を求めること自体が意味ないのだと。 うん、それだけはどうしたって間違いないわな。 ただ、こう……この映画の醸し出してる雰囲気って、 「昔は生きてたんだけど、今はもう死んじゃってこの世にはいない人達」 って風なことだと思うんだよね。普通の歴史モノが、 「今は死んじゃったけど、昔には生きてた人達」 って視点で描くところを、真逆にやる、 ってのが狙いだったんだろうと――そう思うんだけど、 しかし、第一次世界大戦とか、そういうリアルな設定を設けて、 その設定で所謂ドラマをそこそこでも組むと、 どっかしら映画を見る者にとっては、 それがいつしか「今現在」になって来ちゃうとこがある。 その辺の突き放し方にツメの甘さはなかったろうか、という。 これ、第一次世界大戦前夜っていう現実的な設定は必要だったんだろうかね? 或いは、その設定で行くなら、「もう一作法」必要だったんじゃなかろうか? ――そんな気がするのです。そこで食い足りなさを憶えてしまう。 その「もう一作法」を備えていた、あのオープニングの後では特に。
971 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 10:18 ID:0oi/qu6r
>>965 黒澤明 のDVD「夢」1500円!でしたので速攻でアマゾンで注文しました。
サイレント映画ですら4000円以上でうってるんですから
無理ですよ、普通は。
でも3000円ぐらいだと助かる。
アメリカだといくらなの?
みてみるか。
972 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 10:25 ID:0oi/qu6r
974 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 10:54 ID:+KNlGXF2
amazon.jp「そして船は行く」監督名フレディー・ジョーンズになってたんで フェリーニに直しといたよ、先週くらいに
975 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 14:19 ID:FLGaMZdF
きみも映画だ!
976 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 14:58 ID:wGt0Q0A3
>>967 最後の最後で「全部嘘ですよん」って言ってくれてるじゃない。
漏れはあのシーンでとてつもない衝撃を受けたが…。
>『船』全体に漂う「薄さ」
>「純化し切ってない」
全て作り物なのだから当たり前なわけで。
977 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 15:02 ID:7clEOsK8
じつは みんなも映画だ!
978 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 15:49 ID:YliYp+Sv
ヴィスコンティと違ってフェリーニは ほとんどオペラと縁がなかったでしょ? 処女作「寄席の脚光」から晩年に至るまで 常に「自分」にこだわってきたフェリーニにとって オペラの世界というのは967のいうように 「観念的」なものにしかにならざるを得なかったんじゃないかな。 「そして船は行く」の少し前に撮った「カサノヴァ」に関しても、 フェリー二は「電話帳を読んでるみたいに退屈な題材」と 違和感を語っていたけれど、 こちらの場合はカサノヴァに対する憎悪(近親憎悪かも)のようなものが 映画に異様な迫力のような物を与えていたように思う。 しかし「そして船は行く」にはそのような「思い入れが」ない分 軽さ、薄さ、言いかえれば透明感のような物が漂っているような気がします。
979 :
名無シネマ@上映中 :03/12/14 16:40 ID:0oi/qu6r
それいっちゃうと 思い入れないのになんで映画とるの? と思っちゃうね。 「アマルコルド」でもう創作意欲なくなったのかもね。 ミュージッシャンでも3枚アルバム創ると枯渇しちゃう人多いしね。 まあボブ・ディランやニーr・ヤングみたいにひたすら じいさんになっても疾走しつづけてるのもいるけどね。 まあたしかにゴダールは作品の評価はともかくいまだに疾走してるのは 凄いよね。 フェリーニは50ぐらいで「あがり」の気持ちになっちゃったんだろうな。 もう俺は十分創った。巨匠だ。天才監督だった。 あとは気楽にいこうと。
980 :
967 :03/12/14 23:00 ID:Y1R7LZ/X
976>最後の最後で「全部嘘ですよん」って言ってくれてるじゃない。 うん。自分はそこで「ほほう。うん、まあそれは解っとる」って思っちゃったんよね。 で、そこからいよいよ何かが来るか、しかし、いよいよ何かするにしては、 ここまでに随分時間かけたな、まあええわ、さあどう来る、とか思いもしたんだけど……。 978>「カサノヴァ」に関しても、フェリー二は「電話帳を読んでるみたいに退屈な題材」と 違和感を語っていたけれど、 「カサノバ」は、その主題から様式が芽吹いて来たんだろうと思うの。 主題からイメージを喚起させて、それを熟成させて、あの造形が出来上がった。 だから、シナリオの論理を超えた「純粋映画力」のようなものが瞬間瞬間に漲ってる。 対して、「船」は逆に様式のイメージが先にあって、それに合わせて主題を選んだんじゃないかと。 言い換えれば、「船」はそうして恣意的に選択された主題から、再び具体的なイメージを喚起させて、 さらにそれを熟成させて……ってプロセスにあまり力が入れられなかったんじゃないかな? って気が……前もって用意しといた様式で大方済ませた、というか。 ビニールの海だの、映画全体を貫く様式は大胆なんだけど、 個別のシーンにはそれほどの吸引力がない(それ以前の作品と比してだけど)。 映画全体を貫く様式を見慣れちゃうと、「シナリオ」が立ち上がってくるようになる。 映画がシナリオの論理の統御下に入って、瞬間瞬間に「純粋映画力」を発揮し切らなくなる。 まあ、そういう映画撮ったっていいじゃないかって言やそれまでなんだけど、 そういう物足りなさがね……まあいいけど。
舞台が船上に限られてるっていうのも物足りなさを感じる理由かな? グランドオペラの豪華さはあるだろうけど、イマジネーションの 奔放さがどうしたって限られちゃっただろうし。 ところで誰かそろそろ次スレ立ててくんない?
982 :
名無シネマ@上映中 :03/12/15 19:01 ID:aAg3NjSw
「甘い生活」こそイマジネーションの宝庫だとおれは思うのだが。 ていうか、フェリーニの作品を「見た目の豊かさ」からスンナリ入っていく 観客が多いから、他の映画作家に比べて貧弱と云われるのかいな。 自己投影する事で作家の刻印を軽薄にさせてる? んな事ぁねえよ。 あくまでイメージの豊饒さが作品を食ってしまっているだけではなか? まあ口だけの批評なぞこの監督には無効だな。自分は少なからずとも 「甘い生活」がドラマ的空間、審美性、時代性、虚構性、全ての演出面に 置いてベスト。(だと個人的には思うが) 「そして舟は逝く」・・は 見てないんだが、後期フェリーニは何故かしら虚構が画面全体を崩壊させて しまっている感もある。つまり自己欲求が激しくなる性癖みたいなモンがね。 ドラマの稀薄さと共に作家が自ずの血肉を捨ててしまった様な・・・。 そこがおれとしては惜しいが、いや多分(?)まだ映画だったのか、それとも・・。
983 :
名無シネマ@上映中 :03/12/15 19:37 ID:f7SQwmiu
>>982 発表当時は衝撃的だったろうけど
いまや内容的におもしろいという感じだからね。
それに繰り返しその後フェリーニ映像みてると
強烈さからいうと甘い生活はなんかネオリアリズム映画なんだよね。
これがカラーだったら絶大な支持あつめていたとは思う。
フェリーニのことだろうから色彩設計までばっちりきめて。
やぱフェリーニが凄すぎたから期待水準も高すぎるんだよ。
やぱポイントはカラーか白黒かでしょう。
984 :
名無シネマ@上映中 :03/12/15 21:25 ID:d0s+GuJZ
983>強烈さからいうと甘い生活なんかはネオレアリズム映画なんだよね。 賛成! 以前書いたけど、「甘い生活」のオテロ・マルテッリはロッセリーニのキャメラマン。 その後「8 1/2」や「魂のジュリエッタ」のジャンニ・ディ・ヴェナンツォは アントニオーニのキャメラマン。 誰が見てもわかると思うけど、同じモノクロでも 「甘い生活」と「8 1/2」の画面は全然違う。 トレビの泉のシーンや、子供の奇跡のシーンなど幻想的な映像は多々あれど 「甘い生活」の映像トーンはあくまでもリアリズム。 それに対して「8 1/2」のハレーションを起こしたような画面、 強烈な白と黒のコントラスト、遠近法を喪失したようなゆがんだ構図etcは シュールというか、マ二エリスティックというか、 それまでの映像とあきらかに一線を画してる。 ストーリーや内容ももちろんだけど、画面作りからも きっぱりとネオレアリスムと訣別するところがいかにもフェリーにらしいね。 ちなみに、ネオレアリスムとの訣別に大きな影響を及ぼしたのが 黒澤の「羅生門」だったとも、フェリーには語ってた。
985 :
名無シネマ@上映中 :03/12/15 21:33 ID:d0s+GuJZ
↑フェリーに→フェリーニ(恥)
981>舞台が船上に限られてるっていうのも物足りなさを感じる理由かな? チャプターを適当にいじくって、中盤の例えば10分なりを見て、 それ以前の作品に比する充実した感じが漲っていれば、そのせいなんだろうね。 勿論、充実ったってハイテンションとか華やかさとか、そういうことじゃなくて、 タルコフスキーみたいに力を持った静けさってのもあるんだし、 とにかく「充実」としか言い難い何か――そうしたものがあるか否か。 もし、そこに不足感が漂ってれば、原因は舞台設定の限定によるものではないはず。 一度、そういう風にして見てみれば?
987 :
名無シネマ@上映中 :03/12/16 00:08 ID:t1mlpLR2
多分違うと思うんだよね。 映画に緊張感とかダイナミズムとか 持ち込むこと自体を否定しているというか。 フェリーニは「諦念」を覚えたのではと。 ニノロータもなくなった。肉体的衰えもある。 名声は得た。金もある程度ある。 イタリア映画も閑散としてチネチッタもさびしくなった。 つまるところフェリーニははっきりとした生き甲斐を失ったのでは?と思う。 そういった心情をあらわしたのが、「そして船はおぃ」以降の作品ではと思う。 枯れた寂しさ。寂寥感。この映画以降、やたら彼は過去を振り返りノスタルジックになる。 ヴィスコンティは死ぬまで意気盛んだった。 ゴダールもよく分からないがやたらエネルギッシュだ。 (ここんとこr彼の創作本数 異常じゃないか?) ローリングストーンズのように、じいさんになってもシャウトしてる連中もいるが、 フェリーニはロッカーじゃなかった。どちらかというと気まぐれな自由人で 漫画も書くエッセイストだった。
988 :
名無シネマ@上映中 :03/12/16 00:10 ID:t1mlpLR2
晩年は巨泉じゃないけど、半分は引退の気持ちだったのではと。 かっては、アメリカ人は成功すると、早めに引退してマイアミで好き勝手に暮らした。 (今のアメリカ人は死ぬまで稼ぎ続けてるが) フェリーニはもう晩年、全盛期のようなエネルギッシュで緻密な映画作りを していく気持ちがなくなっていたのではと思う。衰えたというより、人生観自体が 変化したのではと思うのだ。 彼は自ら天才であり続けることを放棄したのかもしれない。
このすれはなんか建設的?でいいなぁ・・
987>映画に緊張感とかダイナミズムとか >持ち込むこと自体を否定しているというか。 ああ、いやいや、それは同意なんす。 >枯れた寂しさ。寂寥感。 こういったところの「クオリティ」がどうだったか、ってことなんで。 無常とか、儚さとか、過ぎ去った時間の夢幻性とか、そういう云々が、 「し……染み過ぎる……!」 という風な、問答無用の力を持ち得ているかどうか、っていう。 例えば、あの美少女が甲板に立ってる画で、思わず息を呑んでしまうどうか。 どうしてそのカットで、あんなに感情が揺さぶられたのか自分でも不明確、 みたいな風になってるかどうか、 また、そういった瞬間が映画中にどのくらいの頻度で現れて来るかが……! って、好きな映画を擁護するわけでもなく、嫌いな映画をくさすわけでもないのに、 ワシは一体何でこんなリキ入れとるのか。
991 :
名無シネマ@上映中 :
03/12/16 03:29 ID:8BX/KCHh >>967 なるほど。漏れとは全く逆の見方だね。
全て嘘だなんて皆言われなくてもわかってる。
それをあれだけ引っぱって物語の最後の最後に見せつけられてしまう。
上手い例ではないが、
八百長だろうなと思いながら、白熱する戦いに徐々に心を奪われつつあった
プロレス中継の最後の最後で、選手達が「真剣に」八百長プランの
打ち合わせをしている映像を見せられたような。
「嘘」と「真実」が一体化したとき、明らかに衰えが見えていたフェリーニの
目一杯の映画への思いが感じられ、圧倒されたな。