【ｻﾝﾄﾞﾗ】トゥー・ウィークス・ノーティス【ﾋｭｰ】

駄作をほめる者が後を絶たない。なぜなんだろうか？
彼ら、彼女らには、映画の読解力がないのだろうか。そんなことはないだろう。
たかだか一度見たラブコメにここまで粘着して、細部の記憶自慢をするのだから。
したがって、この者達が映画を鑑賞する能力に劣っているのではないはずだ。
何が欠けているのか。詳述する。

想像するにこの者達は、自分の見た映画を批判することを恐れているのだ。
潜在的にか顕在的にかは別にしても。恐れている。
わかりやすくいうなら、金を払ったのだからほめなきゃ損、という心理構造。
あさましく、知識人には信じられないことだ。
何を恐れることがある。金を払おうがただだろうが、客観的に見てくだらん映画は
存在するのだよ。事実をあるがままに見よ。

また、いくぶんかまともな者はこうも言うかもしれない。
「ラブコメなんだから、そんな目くじら立てなくてもいいじゃんかあ。硬いことは
言わずにさ。一緒に楽しもうよお」
いやです。
ラブコメだろうが、ﾀｲﾀﾆｯｸだろうが、戦場のピアニストだろうが、みんな\1,800
払って見てるのだよ。前も書いたが、ホラー映画もアート映画も、区別などない。
映画はすべて等価なのだ。
ジャンルを超えて、すばらしい映画とくだらん映画がある。そういうものだ。

ラブコメではないが、一種おしゃれな映画として宣伝された「愛してる、愛して
ない…」という、今年封切られた映画がある。
「アメリ」のオドレイ・トトゥの最新作としても、話題になった。東京に住んで
ない人は見てないかもしれないが。
この映画などは、実によく練られた脚本、すばらしい演出、オドレィの驚くべき
演技…何もかもが一級品である。そして驚愕の後半部（ネタバレになるので書か
ない）。
「愛してる、愛してない…」のような名画を見ても、「ノーティス」の細部自慢
をし続けるのなら、もう勝手にしてくださいだね。映画を見る資格がないと思う。