お待たせしました。「アウトロー」の原作者フォレスト・カーターについて。
「アウトロー」の原作「無法者ジョージー・ウェルズ」の原作者、フォレスト・カーターは
チェロキー・インディアンの血が半分入った46歳の詩人だった。
もともと文法もろくに知らない無学者だったが、独学の末、物語の語り手として有名になり、
周囲の勧めに応じて物語を小説化したのが「無法者〜」だった。出版部数はわずかに75部。
それを郵送で売り込まれたイーストウッドとロバート・デイリー(マルパソのプロデューサー)は
カーターと接触して、映画化権を取得した。
映画化決定後、「無法者〜」は「ゴーン・トゥ・テキサス」(映画にクレジットされている原作名)
と改題され、廉価版が出版された。
ところが、映画の完成直後、フォレスト・カーターは実在しないというスクープが報じられる。
カーターの正体はエイス・カーターという男だった。
この男はKKKのメンバーで、人種隔離政策をとったアラバマ州知事ジョージ・ウォーレスの
ブレーンだったこともあり、ウォーレス知事の隔離政策が手ぬるくなったと非難して仲違いした
ほどの人物だった。
イーストウッドはカーターの正体を知らなかったが、結果的にイーストウッドへのファシズム批判に
拍車がかかるスキャンダルに発展した。
要するにカーターはゴリゴリの人種差別主義者だったんだけど、「アウトロー」を観た人なら分かる
通り、この作品はどう見てもマイノリティ(被差別集団)を好意的に描いていて、泣かせる場面さえある。
しかも、カーターの第2作が「リトル・トリー」といい、これまたインディアンを題材にした感動的な
作品で、日本でもかなりヒットした。(下記リンク参照)本屋で見かけた人もいると思う。
当然、「インディアンを純粋に商売のネタにしているだけ」という非難もあったわけだが、今となっては
カーターの真意は誰にも分からない。
まあ、それで「アウトロー」の値打ちが下がるわけじゃないんだが。
http://www.netlaputa.ne.jp/~merkmal/indian1.html