タバコ農家の村から

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52田舎の人
紙ですか…紙ねえ、喫煙者皆ががこれから意識してパイプ喫煙にしていけば良いかもしれませんね。

兵隊とたばこ

祖父と曽祖父が言うには、家族から戦地に送られてくる慰問荷物の中で1番役立った
のは米でもフンドシでもなくタバコだったそうである。兵隊は戦地で何の楽しみもないし、
いつ死ぬかも知れぬ緊迫した中なので、唯一の楽しみのものがタバコだったそうだ。
一方、国内でもタバコは配給制の中に入っていたので手に入りにくいものであった。
他の兵隊も慰問荷物に家族に入れてもらっていたが、なんせほんのちょっとの量だから
三日もすればなくなってしまう。ところがうちはタバコ農家だ。ヤミを、なみでは消費できん量を送ったそうだ。
あと、コンサイス英和辞典も。配給されるタバコは基本的に刻みタバコ(のぞみ、すでに廃止)
なので巻く紙がいる。それがコンサイスの受難を生む結果となった。
コンサイスのインディアペーパーはシガレットペーパーと似た材質質感なので丁度善いのだ。
祖父と曽祖父はタバコをみんなに配り、大変喜ばれたそうだ。鬼軍曹と呼ばれるような怖い人も
その時ばかりは子供のようにうれしそうにニカッとして、その顔が見れると当分は怒鳴り声も聞こえず、
兵隊たちは胸を撫で下ろしたそうな。
コンサイスが中尉に見つかり「敵性国の辞典などもってなにしとるか」といわれると
「タバコを巻くのに使ってるのであります!けむに巻いてるのであります!」と弁明した。
その場は殴られもせず、何とか切り抜けたらしい。
すると、後から祖父が中尉に呼ばれ、何だろう、なぐられるのかな、と身構えていた。
中尉は「ワシにもたばこ、もらえんだろうかな」と、ばつが悪そうに、今まで聞いたことない声で言ったそうだ。