タバコ農家の村から

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44田舎の人
減反、葉も農家もランク付け

岡山の試験場から技術員がやってきて、私たち耕作者に講義をしました。
なんで大型のたばこがいかんのか、黒板にきっちりかいて説明するわけです。
そして葉の鑑定のときにメーターでもってはかり、「60センチ以上ありますね、
これはだめです。1等になりません。2等です」
まあ、あんな鑑定は、タバコ葉の鑑定始まって以来、初でしょう。
ある、耕作者の一人は「あんなに立派にきれいに仕上げたんにのぅ」とがっくりきてました。
組合長がある畑を訪れ、「まあ、ふといタバコはいかん、ゆうような事もあったのにまあ、
ここのタバコはふっといのう」60センチこえて一メートルはある葉を目にして言ったそうで。
すると副組合長が「○○、そんなことゆうたって、量を取れ言われたら、量をとらないかん」と、
反論するわけです。
 安定面積構想が打ち出される前はJTも在庫を抱えていたようで、積極的に減反策を取っていました。
この村でも、減反の話がポンとでて。まあ、転作する余裕のない人は耐えて作りつづけます。
でも、年齢も進み、重労働はつらい、って人があきらめる。希望がもてん、将来がない、て。
それで、その時分のデータとって、後継者のいない耕作者とか、年寄りとか、
ランク付けをしだしたんです。AからDまで。それで、またそいつを公表するもんですから
頭にくるもので。農家にとっては不安ですね、「ああ?、わしんちはCじゃと?なんなん?」
こっちも、生き残り策として、今まで収穫してたのは全部出荷してたのに、
悪い葉を捨てるわけです。安い、クズ葉混合タバコがいつも売り切れなのはこう云うことです。
(クズ葉といっても、それはそれで粗粗しさがあって結構いけるんですが。値段上昇を押さえるため味付けしてないからナチュラルですし)
例えば、選別がABCとあるとき、AとBの上だけもって納入するわけです。
普通だと4千キロあるのを2千5百キロまで落としたり。きついものです。
そんな所に減反ですから。
 ところが、年が明け蓋をあけてみてびっくりです。
「やっぱり、やめんといてください」って。なんやね、それは?って耕作者一同あきれ返りました。
やめる人が全国的にJTの予想を上回るほど多かったようです。減反で農家を減らして、
将来くるであろう不足を補うだけの在庫がなかったんでしょう。
 農家のやめ過ぎで今では
前出の「どれぐらい取れろうのゥ、一反何キロあるかのぅ」です。葉ッパ1枚でももってこい、
新規の耕作者を探し出してくれ、親戚でやりたいゆうがはおらんか?って。
*)
葉たばこの過剰在庫の解消の為に82年から87年にかけて4回にわたる大規模減反をやり、その結果耕作農家は70年代の4分の1に激減。耕作面積は半分に。