たばこ規制:「禁煙先進国」タイに学ぶ
http://mainichi.jp/life/health/news/20090907ddm013100040000c.html ◇陳列販売禁止/飲食店も対象/活発な教育、啓発
世界で毎年540万人がたばこが原因で死亡しており、今世紀中には
10億人がたばこで死亡する恐れがある−−。世界保健機関(WHO)
は08年の報告書で警告した。日本を含め対策の遅れが指摘される中、
アジアの「禁煙先進国」とも呼ばれるのが、タイだ。90年代から
受動喫煙防止などを法制化し、多様な施策を通じてWHOたばこ規制
枠組み条約(FCTC)を着実に履行している。実情を知ろうと、
バンコクを訪ねた。 タイ国内に約700店舗を展開するコンビニ
「108ショップ」。商品棚にたばこは見当たらないが、レジの後ろ
には「たばこ販売中」の張り紙。店員がレジ下の扉を開けると、たばこ
がずらりと現れた。陳列販売が法律で禁じられているためで、客が
求めるまで商品を隠している。自動販売機での販売も禁止だ。
たばこのパッケージには、歯がガタガタになったり、のどを切開した
人のショッキングな写真が印刷され、リスクを警告している。同店本部
の男性社員(31)は「以前は、たばこを吸うのが格好いいと思われて
いたが、今は吸わない方が格好いい。僕の周りでは、たばこよりスポーツ
がはやり」と話した。
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飲食店も禁煙で、食事しながら喫煙はできない。違反者には最大で罰金
2000バーツ(約5400円)、店側には同2万バーツ(約5万
4000円)が科せられる。 市内の多国籍料理店「プローン」では、
飲食エリアと離れた屋外に、喫煙スペースを設けていた。男性客たちが
食事中に席を外し、一服しにやって来る。1日30本吸うという男性
(51)は「どこの店も店内が禁煙なのは同じで、不自由には思わない」。
店内にいた別の男性客(55)は、4カ月前に禁煙したという。
「吸う時に外の喫煙場所に行かねばならず、面倒になった。肺がきれいに
なった気がするよ」と笑った。