■ガキの妄想【全席禁煙居酒屋】全店閉店 6

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11日経MJ7/3テンプレ(1)
宴会予約が低迷

六月二十四日、東京墨田の両国国技館で開かれたワタミの株主総会。株主の一人が「禁煙居酒屋を止めるのはなぜですか」と質問を飛ばす。
渡辺美樹社長が「深夜帯に全く顧客が入りませんでした。深夜に動く人は体に気を使わない人が多いようです」と答えると、
会場は笑いに包まれた。
東京都北区などに四店舗あった全面禁煙の居酒屋「手作り厨房」は五月末までに消滅。「座・和民」など通常の居酒屋に転換した。
一号店を開いた昨年七月には家族連れが詰めかけるなど満席の日も多く好調だった。
ところが、通常の居酒屋なら売上高の二割を支える宴会がほとんど入らない。このため売上高は同規模の店舗に比べて二割程度少なかったもよう。
上司や先輩がたばこを吸う人だと、禁煙の店に行こうと言い出しにくかったと見ている。また、夕方から九時ぐらいまで客は入るが、深夜帯に近づくにつれて少なくなる。
飲酒が目的の来店客が増えてくると禁煙居酒屋は苦戦する。

禁煙で3割減収

首都圏のJR駅構内などに喫茶店「ベックスコーヒーショップ」とハンバーガーショップ「ベッカーズ」を展開する
ジェイアール東日本フードビジネスは、全面禁煙だった小型の十五店の分煙工事を進めている。
今年六月までに七店を分煙に転換。来年度は一気に八店を分煙店舗に切り替える。
04年四月、小型店を全面禁煙にした結果、売上高が前年比で三割減る店が出るなど客離れを招いた。
ベックスの客は男性会社員が多く、喫煙率は半分くらい。すぐにでも分煙に転換したかったが、
喫煙可能なスペースの設置を嫌うJR東日本との交渉に時間がかかっていた。
12日経MJ7/3テンプレ(2):2006/07/12(水) 04:02:06
「健康の階でも」

ホテルオークラ東京の九、十階にある「グランドコンフォートフロア」は「全席禁煙」の看板をこっそり下ろしていた。
「癒やしと健康」をテーマにスパと客室を組み合わせたフロアだったが、昨秋、開業からわずか半年で一部客室の禁煙を解除するという苦渋の決断を迫られた。
このフロアの客室はマッサージ機能付きシャワーや、「癒やし」の効果のあるマイナスイオン発生装置を設置。
スパは血液をさらさらにする酸素シャワーやミストサウナなどの最新の設備を整えた。
健康への関心が高い利用者を想定していただけに、「全室禁煙は議論の余地がなかった。」(ホテルオークラ)

ところが、開業直後から開かれた顧客の要望は「泊まってみたいが、室内でたばこを吸えないか」という、想定外のもの。
同ホテルの顧客全体の禁煙ルームを希望するのは四割。
社内の議論では「健康を売り物にしたフロアで喫煙を認めてよいのか」と禁煙解除に否定的な声も根強かったが、最終的には「顧客の声を優先した」。
三つに分かれたウイングのうちの一つ、約二十室を、要望があったときに限り喫煙が出来るようにした。
喫煙者の需要をすくいあげたせいもあって、同フロアの稼働率は開業当初に比べ10%ポイント以上、上昇し70%台に達する事もあるという。
13日経MJ7/3テンプレ(3):2006/07/12(水) 04:02:47
居酒屋では寛容 レストランは二分

飲食店を利用する際、業態によって禁煙・喫煙を求める消費者の意識の度合いが異なる。
日経MJが六月下旬に実施したインターネット調査で、非喫煙者が「居酒屋」での喫煙に寛容な一方で、
「レストラン」では喫煙者・、非喫煙者とも吸えるか禁煙かに約半数が感心を示し、せめぎ合っていることがわかった。
調査では、飲食店を利用する際に、喫煙者は「禁煙可能」を、非喫煙者は「全面禁煙」を条件にするかを業態ごとに尋ねた。
居酒屋では喫煙者の60.9%が喫煙可能を条件にすると答えた。
対して非喫煙者は「全面禁煙」を条件にする人は16.6%にとどまる。
飲酒の場である居酒屋では嫌煙派でも、「たばこは付きもの」とあきらめる人が少なくないようだ。
ところがレストランでは禁煙・喫煙をそれぞれ利用の条件にする人が喫煙・非喫煙者とも五割近くに達し、こだわりの強さをみせた。
飲食時間が短い「牛丼・ラーメン・定食店」は喫煙・非喫煙とも、こだわる人は二割前後。
他の業態に比べて意識は低かった。
14日経MJ7/3テンプレ(4):2006/07/12(水) 04:03:26
JR東日本は来春、新幹線・特急を全席禁煙にする。「全席禁煙の要望は多い」という。
JR東海、JR西日本も東海道・山陽新幹線で全面禁煙の新型車両を投入するなど、禁煙車両を増やす。
飛行機を含め長距離移動の主要手段の大半は禁煙となる。

もっとも日経MJの調査では、「公共交通機関で長距離を移動する際は喫煙席を選ぶ」と答えた喫煙者が49.8%に達しており、実は喫煙席への需要は根強い。
全面禁煙とする背景には嫌煙派からの強い要望がある。
しかしいったん全面禁煙を実施しながら、喫煙者の顧客を逃すことを我慢できず
分煙に戻したきたのが、外食企業が歩んできた歴史だ。

リンガーハットは04年三月に全面禁煙をやめて分煙の店を増やした。
当時、米浜和英社長は「お酒を飲んで帰宅する途中に立ち寄る客が来なくなった」と説明した。
午後二時以降を分煙にしたところ、深夜帯の売上高は5%増えた。

サンドイッチ店「サブウェイ」を展開する日本サブウェイは、92年の営業開始時、全面禁煙が売り物だった。
野菜が豊富なサンドイッチと合わせて健康志向を強く打ち出していた。
しかし、オフィス街に立地する店舗などで男性会社員の需要が伸び悩み、
97年に首都圏の一部店舗で分煙に移行せざるを得なかった。

喫煙者の減少に目を奪われがちだが、喫煙消費者の力はまだまだ侮れない。
外食が行き着いたのは全面禁煙ではなく、「嫌煙派が許容できるような分煙環境を作る」という解だった。