1 :
名無しは20歳になってから:
俺、新幹線の車両清掃のバイトやり始めたんだけど、最近気付いた事がある。
喫煙車って、禁煙車よりも放置されてるゴミの量が多いんだよね。
喫煙車の1.2〜1.3倍ってくらいかな、感覚的には。もちろん、吸殻を抜かして。
座席の下とかにわざわざゴミを隠す悪質な奴も、喫煙車の方が多い。
まぁ、たかが1.3倍なら大した事はないのかもしれんけどさ、喫煙者の方が
平均してマナーが悪いって事はよくわかったよ……
誤:喫煙車の1.2〜1.3倍
正:禁煙車の1.2〜1.3倍
3 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 13:04
しっかり掃除しろ。
>座席の下とかにわざわざゴミを隠す悪質な奴も
結構おばさんに多いぞ、それ
つーか清掃員に捨てさせるつもりで、
降りるまで邪魔だからそこに置いてるみたいだぞ
つまり悪質なんじゃなくて、キミの業務範囲だと解釈している客が多いという事(藁
そして2・・・か?
5 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 13:06
嫌煙の立てるスレってこんなもんか
6 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 13:10
子供連れが多い禁煙車では、
普段はしない車内でのゴミ捨てを
子供の前でだけやってるという事だろ そんなもんだ(w
8 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 13:12
>>7 ちいさな子供を抱きかかえて喫煙所でたむろってる連中よりはマシ
10 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 13:14
11 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 13:14
タバコを買う金もないビムボー人が
ゴミが出るようなものを持ってないだけ
そんなもんだ
>>11 ゴミの総量自体は、喫煙車と禁煙車には差はないよ。
ダスト(車両についてるゴミ箱)を空けるからわかる。
車内に放置されたゴミの比率が多いのよ、喫煙車は。
13 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 13:19
>>12 だからおまえの仕事だろ。
しっかり片付けろよ。
14 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 13:21
喫煙車の料金ってさ、禁煙車よりも高く設定するべきだよな。
灰皿を設置するのに費用かかってるし、清掃だって禁煙車より手間がかかる。
なのに喫煙車と禁煙車が同じ料金なのは、どう考えたっておかしい。
15 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 14:54
喫煙者:3割増
デブ:倍
美人:半額
16 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 15:34
だいたい、「他人の迷惑」に気が回るような人間は
「公共の場所で煙草を吸おう」などとは考えないだろ。
どういうことかというと、喫煙者であるということは
「私は自分が気持ちよければ他人がどれだけ苦しもうが気にならない人間です」
ということを体全体でアピールしてるようなものだということ。
珍走といっしょ。
17 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 16:54
人間なんてそんなもんだ。
>>16 人格云々という主張は、この板じゃなくても幼稚な発言として扱われる
ので注意されたし。
20 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 20:51
>>15 漏れ的には。。
喫煙者:5割増
ガキ:5割増
デブ:2倍
飲酒者:3倍
美人:半額
うるせーし、くせーし、高い金払ってんだから
マ ジ で 禁煙+禁ガキ+禁デブ+禁酒席にしてくれ。
喫煙車って本当にゴミが多いよな。
座席の上に。
>>21 乗ったこと無いからワカランのだが、そうなの?
23 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 23:51
1の文章を要約すると「喫煙者はゴミ」って事でよろしいですか?
24 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 23:56
>>1 あの手この手でネガティブキャンペーン必死ですね。
その先に何が待ってるのですか?
25 :
名無しは20歳になってから:03/04/26 23:57
喫煙者が新幹線なんて贅沢だ。
トロッコにでものっとけ。
26 :
名無しは20歳になってから:03/04/27 00:25
蒲生稔は、逮捕の際まったく抵抗しなかった。
樋口の通報で駆けつけた警官隊は、静かに微笑んでいる稔にひどく戸惑いを覚えた様子だった。
彼の傍らに転がった無惨な死体を見てさえ、稔と、これまで考えられてきた殺人鬼像を結びつけるのは、
その場の誰にとっても困難なことだった。
手錠をかけられ、数人の警官に挟まれて部屋を出て行くとき、稔は少しだけ立ち止まり、振り返った。
それまでずっと泣き叫び、茫然自失していた雅子は、自分に何か言葉をかけてもらえると思ったのか、
虚ろな瞳に微かな光を宿らせ、彼を見つめた。
しかし、彼が見ていたのは雅子ではなく、死体の方だった。自分がついさっきその手で命を奪ったばかりの死体。
彼の肘を掴んでいた警官もつられて後ろを見やる。
「……本当に、お前が殺したのか?」
そんな質問が許されるはずもなかったし、聞いたところで実のある答えなど期待できないにもかかわらず、
警官はつい、そう囁きかけてしまった。周りで慌ただしく動き回っていた警官達も一瞬動きを止め、
咎めることも忘れ、稔の反応を待ち構えた。
稔は少しびっくりしたように質問者を見つめ、すぐに頷いた。
「え? ……ああ、そう、そうです」
後悔している様子もなく、かといって自慢げでもなく、稔はごく自然に答えた。
樋口は、これだけの証人がいるところでそんな発言をすることについて注意をするべきだと思ったが、
さきほどの光景が脳裡にこびりついている今は、とてもそんな気にはなれなかった。
警官達とは違って、彼は犯行場面を、あの忌まわしい場面を見せられたのだ。樋口は瞼を閉じた。
稔は、警察でもまったくおとなしく、質問されたことについてはすべて答えた。
六件の殺人と一件の未遂について詳細に自白し、弁護士は国選で構わないと付け加えた。
精神鑑定がポイントと思われたが、検察側と弁護側が選びだした計五人の医師のうち四人は
"責任能力あり”との判断を下した。雅子が頼んだ医師だけはただひとり、「性的コンプレックス
による社会病質者で、治療の必要あり」と診断したが、稔にいわせれば噴飯ものだった。
彼は雅子に対して、「頼むからあの馬鹿な医者を黙らせてくれ」と手紙を書き送った。
死刑判決に対して彼は控訴しなかったが、法務大臣の執行命令は、未だおりてはいない──。
1.二月・雅子
蒲生雅子が、自分の息子が犯罪者なのではないかと疑い始めたのは、春の声もまだ遠い二月初めのことだった。
この冬はとりわけ厳しい、と雅子は毎日思い、心の中で呟き、そして実際に誰かの前でも何度となく口にしていたが、
数字の上では、最低気温にしろ降雪量にしろ、どれも例年並みかあるいはむしろ暖かいくらいだった。
冬が苦手な彼女にとっては、いつの冬も"例年にない厳冬”に思えるのだった。
彼女は二十の時に結婚し、次の年には男の子を、そしてまたその次の年には女の子を出産した。
夫の給料は、贅沢を言わないかぎり、彼女が働きに出る必要のないほどはあったし、
彼がもともと両親と住んでいた一軒家も、五年前に義父が他界してからは夫の名義となっている。
彼女は、特に自分が他の人間と比べて幸福だと感じたことはなかったが、不幸だと思うこともなかった。
決して無神経だったわけではない。人生の時々において、幸福感を覚えることもあれば惨めな気持ちになることも
もちろんあった。離婚などという考えが頭に浮かんだことは一度もないが、「この人と結婚してよかった」と
思ったこともない。息子と娘を授けてくれたことには感謝していたが、彼らのことを「夫の」子供だとか、
「わたし達の」子供だと考えたことはない。どちらも「わたしの」子供でしかなかった。「わたしが」お腹を痛めて、
「わたしが」育てた子供達だった。
自分が地味で平穏な暮らしを送っていることは認識していたが、それを惨めに思うどころか、そう考えるたび、
彼女の心は安らいだ。
地味で、平穏な暮らし。
彼女はいつまでもそんな暮らしが続けばいいと望んでいた。
2.前年・稔
蒲生稔が初めて人を殺したのは、雅子が不審を抱き始める三ヵ月も前、前年の十月だった。
もっとも稔の場合、自分が他の人間とは違っていることにもう何年も前から気付いていた。
具体的にどう違うのかはまだ分かっていなかったが、
それを誰にも──そしてとりわけ母親には──決して知られてはならないことは分かっていた。
もしそれを知ったら、彼らはきっと、稔を、畏れるがゆえに忌み嫌うことだろう。
善良な羊飼いを磔刑にした連中のように。
街を歩いていて、家でテレビを見ていて、あるいは大学での授業中、息苦しさに我慢できなくなり、
叫びだしたくなることがあった。そんな時、彼は決まって途方に暮れた。自分が何をするべきなのか、
まるで見当がつかなかった。
それが何か分かったのは、最初の殺人を犯してからだった。
もしこのことを知ったら、母さんはきっと気が狂ってしまうだろう──稔はそう確信していた。
そしてそれはあながち的外れではなかったにしろ、実際彼女が彼の犯罪に気付いたときには、
事態は彼にとっても思いもよらない方向へと向かっていたのだった。
31 :
名無しは20歳になってから:03/04/27 02:46
ののたんこと辻希美の部屋はごみひとつなく綺麗
3.一月・樋口
受付前のロビーには黒いビニール張りの長椅子が二十脚近く置かれていたが、
連休明けの一月十六日とあって、そのほとんどが年老いた患者達で埋まっていた。
樋口武雄は、「78」と書かれたプラスティックの番号札を握り締め、ロビーを見渡す。
少し端があいた長椅子を見つけてたどり着くと、尻を半分だけ乗せるような格好で
腰をおろした。膝を曲げるときにぎくりと痛みが走り、顔をしかめる。隣に座っていた
針のように痩せ細った男が彼のために少し腰をずらしてくれたので、樋口は軽く頭を
さげて座り直した。その男も樋口を同じプラスティックの番号札を、さも大事そうに、
染みの浮いた手に握り締めている。
「毎日……寒いですな」
低い話し声を咳やスリッパの足音などが通奏低音のように響く中、樋口はしばらく
それが自分にかけられた言葉だとは気づかなかった。顔を上げ、改めて隣の男の顔を見る。
七十過ぎ、というところだと樋口は思った。髪は灰色だし、皮膚は顔も手も萎びている。
自分の歯も余り残っていそうにないし、両手に握り込んだ杖なしでは、歩くのも
不自由そうに見えた。
間違いなく老人の部類に入る。彼はそう結論した。
「ええ……そうですね」と彼は頷きつつ、その老人から目をそむけた。
実際、樋口にとって今度の冬は厳しいものがあった。節々の関節が痛み、一度ひいた風邪は
なかなか治らず、外へ出る気力も、体力もなくなっていた。もちろん年齢のせいもある。
六十四といえば若くはないことは、彼だって分かっていた。普通なら持病の一つや二つ
あったところでおかしくはない。子供でさえ成人病にかかる世の中なのだ。しかし、
仲間の若い刑事達と比べてさえ体力には自信のあった自分が、たかだかこの程度の寒さで
寝込んだりするという事実は、樋口にはどうにも認めがたいのだった。
そして自分がふけ込んでしまった最大の原因を彼は心の底で気づいていたのに、決して
それを認めるつもりもなかった。
たった一人で迎える初めての冬──退職寸前まで不眠不休のハードな捜査をこなしていた
頑固な刑事を打ちのめしたのは、これまで彼が相手にしたことのなかった敵、孤独という
名の恐ろしく手強い敵だった。
去年の夏、妻の美絵を乳癌で亡くして以来、樋口はずっとその翌日を何度も何度も
繰り返し生きているような気がしていた。毎朝目を覚ましては、起こそうとして隣に妻の
姿がないことに気づく。それからゆっくりと彼女との最期の日のことを克明に思い出して
初めて、妻がとうに──二週間前に、一ヵ月前に、あるいは半年前に──死んでいるという
現実を認識するのだった。
──眩しすぎる太陽。美絵のやつれた笑顔。亡霊のように見える医師と看護婦達。
美絵の顔を覆う白い布。蝉の声。白いシーツの下の起伏。同情と安堵の混ざりあった
表情をあらわに浮かべた病人達。酸っぱい匂いを漂わせ始めている、花瓶の中の萎れた蘭。
彼の手に包み込まれた美絵の青白い小さな手。眩しすぎる──とりわけあの日の彼には
眩しすぎた太陽。すべてが白く包まれた夏だった。
美絵はもういない。美絵はもういない。いまこの家の中にいるのは俺だけだ。
この先もずっと。
彼らが結婚したのは、樋口が三十で美絵が二十一の時だった。彼女はごく普通の
サラリーマン家庭の一人娘で、両親は若すぎる結婚にも、警官との結婚にもずっと反対
していた。式にも彼女の親戚は列席せず、ようやく彼女の両親の態度が緩和し始めたのは
十年以上も経ってからのことだった。
子供はできなかった。結婚して八年が過ぎた頃、美絵と一緒に病院へ行き、原因が樋口に
あることが分かった。精子の数が非常に少なく、子供が出来る可能性は限りなくゼロに
近いということだった。
美絵は決してそのことで落胆したそぶりは見せなかったが、樋口はそれまで以上に妻の
幸せだけを考えるようになった。ずっと、この年になるまで、彼は美絵を幸せにすることを
考えて生きてきた。自分がいなくなってしまえば彼女は一人だ、そう考えるたび、子供を
授けてやれなかった自分を呪った。まさか九つも年下の彼女が、彼よりも早く逝ってしまう
などとは予想だにしていなかった。
彼よりも早く──。
それにもさほどの違いはないのかもしれない、と最近彼はよく考えるのだった。たかだか
数ヵ月先か数年、後先になっただけのことではないかと。現にこの心臓はもう、
休みたがっているようじゃないか。我慢できなくて、続けて二つ三つ、湿った咳をした。
「……お悪いんですか」
老人がまた話しかけてきているのに彼は気づいた。
「は? 何です?」
「どこが、お悪いんですか?」
男は苛立った様子もなく、辛抱強く繰り返した。
「ああ……大したことはないんです。ただの風邪です」樋口がそう答えると、
男は嬉しそうな顔をした。
「そうですか。風邪。でも甘く見ちゃいけませんよ。……わたしはね、関節炎なんです。
冬になるともう、痛くて痛くて歩けません」
この膝の痛みも、関節炎なのか? それとももっとひどい何か──
「お、失礼しますよ」男は言って、膝に載せていた小さな鞄を持って杖をつき、
危なっかしげに立ち上がった。窓口の上に取り付けられた電光表示盤に自分の番号が
灯ったらしい。
両足を長椅子の横に出すようにして男を通してやると、男は「お大事に」と呟いて薬を
受け取りに窓口へ向かった。話しかけられるのはあまり嬉しくないが、ほんの少しだけ、
取り残されたような気分になった。
樋口の視線はしばらくさまよった挙げ句に、多くの老人達が声もなく見つめている
ロビー隅の大型テレビに落ち着いた。ボリュームは抑えられていて、彼のいるところまで
音声はほとんど届かない。それでも彼はそれを見つめ続けた。
朝のくだらないワイドショー番組だった。さっきまではNHKがついていたのに、
子供番組になったので、どこかの女がチャンネルを勝手に変えたのだ。NHK以外は
この時間はどこもワイドショーだ。民放はどうしてどこも同じ時間に同じようなものを
放送するのだろう。昼にはまたワイドショーの時間があって、再放送の時間、
ニュースの時間。お子様番組の後は、ドラマ、そして最後はスポーツニュース……。
樋口は妻が死んで以来、くだらないくだらないと思いつつ毎日そんなテレビを
眺め続けていた。自らに課した苦行でさえあったのかもしれない。しかし、他にしたいこと
など何もないのだ。何をしたって意味なんかない。あるわけがない。
「くだらない」ワイドショーがこのところ足並みを揃えて扱っているのは、正月まだ松の内に
起きた猟奇殺人だった。被害者は十七歳の家出少女で、歌舞伎町のラブホテル内で発見された。
絞殺、あるいは扼殺されていて──テレビの情報はいいかげんで樋口は苛々させられた──、
死後、乳房を両方とも鋭利な刃物で切り取られていたということだった。
乳房──。樋口は美絵の痛々しい傷跡を思い出した。切除したのは左の乳房だった。
子供を産まなかったので、目に見えるような急激な衰えがなく、入院する直前ですら、
形のよい乳房をしていた。それがいざ片方だけ残されてみると傷跡の方よりも痛々しく
見えたものだった。
そこまでしても結局、転移した癌は彼女の体をすべて食いつくさなければ気が
済まなかったのだ。美しい体のまま死なせてやった方がよかったのかと考えたこともあった。
無理矢理に意識をテレビ画面に戻した時、皮肉な考えが浮かんだ。犯人は、永年連れ添った
愛妻を乳癌で亡くした夫かもしれない。同じことを考えた奴が警視庁にいて、俺も容疑者に
リストアップされてたりするのかも。
ポン、ポン、ポン、と柔らかな電子音とともに、いくつかの数字が点灯した。
「78」もある。樋口は膝が痛まないようそっと腰をあげ、風邪薬をもらうために
窓口へと向かった。
4.前年・稔
なぜ彼女に心を惹かれたのか?
その疑問はそもそもの初めから稔の心の奥に存在していて、時々ふと表面に浮上してきては
彼を混乱させた。
彼女を大学近くの喫茶店で見かけるまで、そんな衝動に襲われたことはなかった。性欲?
これが性欲なのか? それとも……愛? ──まさか、そんな馬鹿な。
彼はずっと、自分には性欲がないのだと思っていた。人並みに性に対する好奇心はあった。
女性の裸に何も感じないわけではないし、インポテンツでもなかった。実際、これまでに
何度も女性を抱いたことはある。
高校一年の時、なぜか"不良"とレッテルを貼られたグループと仲良くなった。
稔がある嫌われ者の社会科教師に恥をかかせたのが、彼らのお気に召したようだった。
「よう、蒲生。お前、難しいことよく知ってんだな」
彼らが稔に話しかけてきたのは、入学して以来その時が初めてだった。
「あいつが馬鹿なだけさ」
稔が慎重に言葉を選ぶと、彼らは揃って爆笑した。
「違いねえ。──しかしよ、あんな難しい本、読んだのかよ。ショーペンなんとかって
奴の本をさ。……字しか書いてない本を最後に読んだのは、いつだっけかなあ?」
稔は、他の人間と同様彼らも軽蔑していたが、不思議と彼らといる方が気が楽だった。
知り合ってしばらくした頃、"パーティ"に誘われた。"クスリ"をやるパーティだと聞いて
一度は断ったが、いい女を抱かせてやると言われて、パーティ会場である、知らない女の
アパートに行くことに決めた。
退屈そのものだった。彼らの言う、"いい女"というのは揃いも揃って髪を赤く染め、
肥り過ぎていなければ痩せ過ぎで、たばこのやにを歯に浮かせ、不健康な肌をしている
連中だった。既にラリって相手も判らず腰を使っている連中のくすくす笑いの中、稔は
一人しらふで、アンジーと名乗った女の股座を覗き込んでいた。
アンジー! 女は本当にそう名乗ったのだった。稔はそれを思い出すたびに、今でも笑いが
込み上げてくる。
頭とは違って黒々とした茂みの下にどうやらそれらしい部分を発見すると、稔はブリーフを
脱ぎ、一応勃起していた自分の性器を押し込んだ。
"クスリ"──実態はただのシンナーだった──のせいもあってか、女は恍惚とした表情を
浮かべ、稔が動き始める前から獣のような声をあげていた。女が興奮すればするほど、
逆に稔の気持ちは冷えていった。しばらく動いているうちに射精したが、何かだまされた
ような感じはぬぐえなかった。
女が悪かったのかと思って、その後もいろんな女を相手にしてはみた。しかし、ただ性器を
こすって射精するためだけなら、女を相手にするより自分の手の方がずっといい。
他の男達がなぜこんなものにこだわるのか、稔には全然分からなかった。
所詮奴等は猿同様の馬鹿なのだ。いや、年中発情しているぶん、猿より始末が悪い。俺は
くだらない性欲などからは解放された人間だ。リビドーなんて俺には無縁なんだ。
──その俺が、なぜ?
稔は、大学の食堂で彼女を二度目に見かけたとき、ためらわず彼女の向かいの席を取った。
昼休みの食堂は例によって混んでいたから、不自然な行為でもなんでもない。
目も口も大きく派手で、人によっては美人とみるかもしれないような顔立ちだった。
しかし、彼はその顔に惹かれたわけではないと信じていた。好みの顔ではないはずだった。
スタイルはなかなかいい。出るところは出ているが、肥っているわけでは決してない。
味も判らぬ定食を食べながら、彼の心臓は周囲に聞こえそうなほど大きな音で鼓動を
打っていた。
彼女がソースを取ろうと手を伸ばしたとき、彼は素早く手を出してわざと彼女の手に触れた。
「あ、ごめん。どうぞ」
慌てて手を引っ込めた彼女に笑いかけながらそう言うと、こわばっていた彼女の顔が
ほころんだ。自分の笑みに、人を安心させる力があることを彼は充分承知していた。
「いえ、どうぞお先に」
彼女の言葉に従って彼はソースを細切りキャベツにかけると、またにっこりと笑って
瓶を彼女の方へ差し出した。彼女は仕方なく、といった様子で彼の手からそれを受け取る。
その手の指には、この大学の学生にしては珍しく、真っ赤なマニキュアをしている。
突然、彼の中に何かが湧き起こって、すぐに消えた。今のは何だったのだろうと考える間も
なく、いつの間にか自分の性器が痛いほど勃起していることに気づき、彼は心底驚いた。
性欲? この女に性欲を感じているのか? まさか、そんなわけはない。
「どうかしました?」
女はもはや馴れ馴れしげな表情を浮かべて彼の顔を見つめている。女はみんなそうだ。
彼に笑いかけられると、初めは驚き、そしてすぐに馴れ馴れしげになる。女は下等な
生き物だから、本能的に彼が普通の男達とは違うことを見抜いてしまうのだ。
そしてその彼に選ばれたことを知ると、自分が他の女達とは違うから選ばれたのだと
錯覚してしまう。まったくどうしようもない生き物だ。しかし彼はそう思っていたからこそ、
かつて"不良"と呼ばれた連中とのつきあいを好んだように、女達との見せかけの会話を
楽しんだ。
「……いや。綺麗なマニキュアだと思って」
嘘か本当か、自分でも判らないことを言った。──あんな色のマニキュアを、俺は
どこかで見なかっただろうか?
「え? ほんとですかあ。昨日買ったばかりのやつなんですよね。何となくレトロすぎて
あたしには合わないような気がしてたんだけど……似合います?」そう聞きながら女は、
上目使いに彼を見る。
「似合うと思うけど。まあ、ぼくはこの通り、服装のセンスなんてないも同然だから、
当てにはならないかもね」と、彼は両手を広げてみせた。
「そんなことないですよー。そのブルゾン、渋いじゃないですか」
明らかに彼に好意を持っている。手順を間違えさえしなければ、この女はどんな誘いにも
乗るだろう。誘い? 何の誘いだ? 俺はこの女と何をしようというんだ? セックスか?
この女は他の女とは違うとでもいうのか?
「そう?」彼はまた笑みを浮かべながら、裸に剥いた彼女を抱いているところを連想しよう
とした。他の女で同じような夢想をしたときと、特に違いは感じられない。しかしそれは
今までの経験がどうしても重なってくるからかもしれない。彼女には、とにかくよく
分からないが、他の女とは違う何かがあるのだから。
彼は身を乗り出して、囁くように言った。
「午後から、授業あるの? 暇だったら喫茶店で話でもしない?」
「えー、今からですかー? ……そうですねー……憲法があるんですけど……」
「憲法? 新田先生の? だったら出なくてもいいじゃない」出席を取らず、試験も楽勝だ
ということで伝説的なまでに有名な授業だった。
女が少し恥ずかしそうな素振りで頷いたときも、稔はこれから自分が彼女を殺すことに
なろうとは思ってもいなかった。
>>22 座席の上にいる人型のもののことじゃない?
5.二月・雅子
その二月初めのある日に起きたことは雅子に、ここ数ヵ月の記憶を遡らせた。
息子が最近ひどくよそよそしくなったこと。決して彼女の目を見ないこと。
夜中に出歩き、行き先を聞いても「ちょっとね」などと曖昧な返答しかしないこと。
しかし彼女は彼のそういった変化に気づいてはいたものの、ガールフレンドができた
とかそういったことなのだろうと軽く考えていたのだった。二十といえばもう、
女親に何でも打ち明ける年頃ではなくなったのだと、ちょっぴり誇らしく、
そして切ない気持ちにさえなったものだった。「思春期」というには遅すぎる
ということは、あまり深く考えなかった。
中学の頃から部屋に彼女が入るのを嫌がりだした。いない間に掃除をしたことに
気づくと、烈火のように怒った。それは、PTAのセミナーで教えられた思春期男子
の特徴の一つだった。なんとか大学の教育心理学教授、だという年配の女性の言葉を
彼女はメモに取って大切に保存していた。『ほとんどの青年男子はこの時期に精通を
経験し、マスターベーションを覚えます。でもそのことに気づいても、咎める必要は
ありません。ごく普通のことなのですから、変に罪悪感を抱かせたりするのは決して
いいことではありません。ヌードグラビアがたくさんあるような雑誌(ここのところ
で講師が誘いかけるように笑い、雅子も含めた会場の母親達がつられてくすくすと
笑ったことを彼女ははっきりと覚えていた)を隠していたとしても、すぐにそれが
性犯罪の芽であるなどと断じないで、よく話し合いましょう。お母さんが話しにくい
時は、もちろんお父さんでもかまいません。性を過剰にタブー視しないことが大切
なのです』
セミナーのタイトルは、「おおらかな性」だった。
自分で片付けていれば掃除はしない、と彼女が言うと、彼は自分で掃除をするように
なった。それ以来、彼女はほぼ毎日、息子のいない間に彼の部屋をくまなく調べて
変化を捜してきた。講師の先生が言うところの、『ヌードグラビアがたくさんある
ような雑誌』は、ベッドの下に押し込んである、古い本(小学校の時お気に入り
だった植物図鑑、世界名作全集、古い教科書、エトセトラ、エトセトラ)の入った
ダンボールの底がお決まりの隠し場所だった。彼が日記をつけていないらしいのが
残念だったが、友達からの手紙にはなるべく全部目を通すようにした。そして
気づかれないよう、すべてを元に戻しておく。
性犯罪はもちろん、非行の芽、というようなものは少しも見当たらなかった。大学の
先生の言うことを信じるなら、彼女の息子はしごく正常だということになる。
あるとき、ごみ箱の中のティッシュを調べていて、続けて毎日マスターベーション
しているらしいことが分かったときには、ちょっと異常なのではないかと心配したが、
平均すれば週に二、三回で、多分正常の範囲内だろうと彼女は思った。どのくらいの
回数が普通なのか夫に聞いてみようかとも思ったが、恥ずかしくてどうしても
聞けなかった。
しかしこの数ヵ月の彼の様子は、思い返してみれば普通ではなかったように彼女には
思えた。
何かに脅えているようにも見えた。苦しんでいるようにも見えた。雅子の視線を
避けているくせに、彼女をじっと見つめているらしい時もある。仲がよかったはずの
妹にも、ほとんど口を利こうとしない。
しかし雅子は、そういったことの原因について見当もついていなかったにも
かかわらず、「お兄ちゃん、最近ちょっと変じゃない?」と娘が言った時、「ガール
フレンドでもできたんでしょ」と反射的に答えていたのだ。
ガールフレンド。それは至極普通のことであり、好ましいことでもあり、一旦
口に出してしまうとそれ以外の解釈はないように思われた。ガールフレンドができた
のなら自分が気づいていたはずだ、という内心の声は、奥深く押し込められた。
恥ずかしいから家に電話はかけないように、と言い含めているのに違いない。
時々夜中に外へ出ているのは、聞かれたくないから公衆電話を使っているのだ。
そういえばテレビで、高校生が夜中に何時間も公衆電話を占領している様子を
見たことがあった。きっとあの子は奥手なんだわ。
そういった考えがまったくの自己欺瞞にすぎなかったことを、雅子は知った。
二月三日の夜──午前二時頃だったので実際には四日になっていた──こっそりと
戻ってきた息子の部屋のごみ箱から、赤黒い液体が残ったビニール袋を見つけたときに。
二月の三日。その日は、連続猟奇殺人の二件目と思われている殺人が起きた日でもあった。
44 :
名無しは20歳になってから:03/05/03 03:37
45 :
名無しは20歳になってから:03/05/05 20:57
喫煙は生きている値打ちが、ない。
46 :
名無しは20歳になってから:03/05/05 21:36
喫煙=ゴミなんだから喫煙車にゴミが多いのは致し方ない
47 :
名無しは20歳になってから:03/05/05 22:28
ごみは客車じゃなく貨物列車にでも乗せたら?
49 :
名無しは20歳になってから:03/05/10 22:03
??
51 :
名無しは20歳になってから:03/05/10 22:14
52 :
名無しは20歳になってから:03/05/11 21:44
53 :
名無しは20歳になってから:03/05/12 22:40
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
55 :
名無しは20歳になってから:03/05/26 21:11
喫煙がゴミなんだから当然
56 :
名無しは20歳になってから:03/05/26 21:31
喫煙=生ゴミ
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
58 :
CABIN ◆ozOtJW9BFA :03/05/29 02:11
>>1はきっと禁煙車両より喫煙車両の
ほうがゴミが多いことを知り嬉しくなり
毎日の日課であるオナニーを忘れてまで
検索をせず急いでスレッドを作成してしまったのだろう。
59 :
名無しは20歳になってから:03/06/01 20:02
そもそも喫煙車に乗るモノがゴミだからねぇ
真・スレッドストッパー。。。( ̄ー ̄)ニヤリッ