タバコを吸い始めた歳と、きっかけ

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386名無しは20歳になってから
俺は22のときだった。きっかけは親友の死。飲酒運転の車に轢かれて死んだんだ。
線香でもあげようと思って事故現場に向かってる途中に自販機が目に入った。
あいつにはこれのほうがいいな、と思ってハイライトを買った。
すげぇいいやつだったんだか嫌煙の俺にやたらとたばこを勧めたがったのが玉にキズだった。
花や酒が供えられた電柱の前に立ちたばこを一本取り出す。よく一緒にいた俺には見慣れた仕草だったので
戸惑うことはなかった。口に咥える。火をつける。瞬間にあの香りが辺りに広がる。あいつのにおいだ。
その香りをかいだ瞬間あいつとの思い出が一気に頭の中によみがえってきた。涙が止まらなかった。
もうこの世にいないはずのあいつが、確かにその場所には居た。
俺はそのたばこを電柱に立てかけるともう一本取り出して火をつけた。あんなに嫌いだった煙がすんなりと肺に染み渡る。

「俺が勧めても吸わなかったくせに」
「まったく、誰のせいだよ・・・」
「ははは、わりぃな」
「いや、こっちこそ悪かったな。こんなことなら毛嫌いせずに吸っとけばよかったよ」
「まあお互い様ってとこだな」
「・・・・じゃあ俺、もう行くから」

アスファルトに押し付けて火を消す。
吸殻と残りのハイライトをそこに残し立ち上がった。
帰り道また同じ自販機の前で立ち止まる。
さっきと同じ金額を入れてボタンを押す。それをポケットにしまうと俺はまた歩き出した。