224 :
名無しは20歳になってから:
ショートホープ
「今日もこの時間になったか」
誰に言うとでもなく、独り言を言って席を離れた
そして、慣れ親しんだこの煙草に火をつける
仕事に疲れた体一杯に煙を押し込め、
口腔に広がる刺激を味わい、眩みそうな感覚に
陥りながら薄暗くなった外に目を向けた
濃い青に包まれていく空を眺め、ふとパッケージに
目をやると濃い青の「HOPE」の文字が目に入る
あの時の希望は、あの濃い青の先にあったと
振り返れるだろうか・・・
空へ、引き絞った金の弓矢を向かわせながら
そうでありたいと願い、再び席へと戻って行った。