妄想ショートショート「道路喫煙法」
オレは今、何故か警察の取調べを受けている。
喫煙に関する法規制が制定されたのは知っていた。取り締まりの中に歩きタバコが含まれることもニュースで聞いて知っていた。が、まさかオレが捕まってしまうとは思っても見なかった。ちくしょうツイてない。
ん、だが待てよ。確か歩きタバコは現行犯逮捕だったと思ったが、違うのだろうか?
いや間違いない。スリや痴漢と同じで現行犯逮捕だったはずだ。だとしたらまだ助かる見込みはある。
オレは反撃に転じた。
「さっきから聞いてるとまるでオレが歩きタバコしてたみたいに言ってるが、証拠はあんのか? 証拠は?」
ある訳がない。なにせオレが奴らに捕まったのは、ポイ捨てした後のことである。既にタバコはオレの手の中に無くなった直後に、警官に呼び止められたのだ。
「なんだと貴様。シラを切る気か?」
警官が凄んできたが、凄むということは証拠がない焦りからだろう。
「シラを切るって、吸ってないものを吸っただろうと言われて『はい吸いました』と答える馬鹿はいないだろ。警察に脅されて罪を認めたっていういわゆる冤罪ならあるかも知れないけどね」
「な、何を言うか、こ、このっ、このっ」
警官が青筋をピクピク言わせて声を張り上げる。楽勝、勝ったも当然だ。
そこへもう一人の警官が息せき切ってやって来た。だが何人来ようが同じだ。
「巡査長殿、現像が完了しました。ピクチャーとサーモグラフ揃ってます!」
「うむ。ご苦労」
な、何だ、現像って、どういうことだ?
「ほほう。結構どうして、よく映ってるものだな」
巡査長と呼ばれた警官は、巡査とおぼしき警官が持ってきた写真とオレとを交互に見比べ、ニヤニヤ笑いを浮かべていた。
「な、なにヘラヘラ笑ってやがる!」
イラついたオレは警官に怒鳴った。
「お前には偽証罪も追加せんといかんな〜」
警官はそう言うとオレに写真を向けた。
そこには確かにオレが写っていた。小さいが間違いなく、口から紫煙を撒き散らしているのがバッチリ写っていた。
「これはお前だろう? それにこれ、この煙は何だ?」
勝ち誇ったように警官は言った。だがオレも後には引けない。引いちゃならない。
「さ、寒かったんでハーってやったんだよ。あるだろほら。寒いときに白い息出すの。それだよ。それ!」
かなり苦しい言い訳だった。もう少しマシな言い訳が無いものかと考慮していると、意外な台詞を警官が言った。
「成る程なあ。そうなのか?」
「そうです。そうです」
馬鹿だこの警官。あんな嘘を信じてやがる。オレはまだ逃れられると思った。
だが、そんな夢のような話がある訳がなかった。
「あとな、もう一枚あるんだが見るか?」
今度はなにやら赤いのやら青いのやら良くわからない写真を見せられた。
「な、何だよこれは」
「サーモグラフだよ。お前の指先。これな、800度近くあるんだわ。なんでだろうな?」
もちろんタバコを持っているからに違いない。
それにしても、たかが歩きタバコでここまでやるか?
これじゃまるで車のオービスそのものじゃないか。いや、それよりもタチが悪い。
「ぐぐぐ…」
オレは歯噛みした。
「認めるか? 今なら偽証罪は取り消してやってもいいぞ」
確かに警官の言う通り、歩きタバコごときで偽証罪に問われるのもなんか嫌だ。ここは涙を呑んで認めるしかあるまい。
「み、認めます」
「よし、じゃあ免許書出して」
「め、免許!」
そうだった、免許が要るんだった。もちろん俺は持ってない。不携帯ではなく、取得してないのだ。免許そのものは簡単な講習で取得できるのだが、オレは面倒臭くて行かないままでいたのだ。
「なんだぁ、まさか無免か貴様ぁ!」
「ちちち、違います、不携帯です。持ってます。免許ですよね。持ってますよ」
しどろもどろになりながらオレは言った。
「じゃあ住所と氏名、生年月日を言って見ろ」
オレは渋々住所氏名等を告げた。
それを聞いた警察は、無線でなにやら言い合っている。
「あのなぁ。いま警察無線で照合したところ、あんたには免許証交付されとらんらしいのよ。どういうことかね?」
「す、すいません。無免です…」
オレは泣く泣く無免であることを認めた。
「無免で『喫煙違反』するとどうなるか知ってる?」
「し、知りません」
「一年間の喫煙停止、免許証の再交付は一年後となる。ま、この際だから禁煙したほうがええな。あんたのような嘘つき迷惑喫煙者は。それから罰金7万円。これはちゃんと払って貰うよ」
警官はそう言うと高らかに笑い、オレに赤切符を手渡した。
その日を境にオレは禁煙した……。
おしまい
33 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/16 22:44
朝の駅、俺はいつも通り急いでいた。
電車が来てしまうから、いや、そうではない。喫煙所を目指して
急いでいたのだ。駅の階段を降りた俺は、妙な違和感を感じた。
いつもと何かが違う。では一体何が違うのか・・・。
そう、人が多い。いつもの倍、いや3倍はいる。不思議がっていた
俺だが、すぐにその答えを教えてくれた者がいた。アナウンス。
「○○駅××駅区間第3踏切で人身事故があったため
現在運行を休止しております。お急ぎの所大変ご迷惑を
おかけ致しますが今しばらくお待ち下さい。」
喫煙所についた俺はまたも違和感を感じた。そう、喫煙者が
いない。ただのひとりもいない。みんな人が多いから
マナーをわきまえているのだろう。利口なこった。
こんな事を考えながら、俺はお構いなしでたばこを
吸い始めた。
すると誰かがおぞましいほど咳き込み出したのである。
この世のものとは思えない咳き込み方。反対側のホームにも
優に届くであろう。今にでも戻しそうな勢いで咳をする。
明らかにわざとだ。これはまさしくキチガイ嫌煙者、キチ嫌だった。
実物をはじめて見たが馬鹿な奴だなと思いながら見ていると、
もはや咳ではなくなった。何かを吐いているように「オエー」
とまで言いだしたのだから手が付けられない。
もちろん、そいつの近くにいる連中も偉い迷惑していることだろう。
だがその原因を作っているのは紛れもない、俺だ。
その矛先は当然のように俺に向けられる。
周囲の刺すような視線それも1人や2人ではなく5人、10人。
その上おぞましい雄叫びが延々と続くのだから、とてもじゃないが
耐えられるものではない。
俺はやっと今日喫煙者がいない理由がわかった。
俺は最後の悪あがきといわんばかりにたばこをその場に落とし、
火も消さぬままその場を去った。
34 :
蛇威守猛火亜:02/02/16 22:57
∧Шл
蛇 ゚ー゚ )y-~~ ネタレスとはいえこの落ちはどこにあるんだ?
816 :ナースマニア :02/02/16 21:21
>>814 >>815 スマソ。ついな。
オレはネタ職人として地下で遊んでるよ。
■警官が偽証罪を知らないのか、作者が偽証罪を理解してないのか
偽証罪が被疑者の発言にすら適用される時代になったというのか?
作者に説明してもらいたい ぎゃははははははははははははははは
36 :
蛇威守猛火亜:02/02/16 23:36
∧Шл
蛇 ゚ー゚ )y-~~ 偽証罪って知ってるの?
>>35 子供の作文みたいなのを書いて「ネタ職人として地下で遊んでる」
最高だね、久々に大物の電波がこの板に来たのかな?
職人みたいだからリクエストするよ 藁)
駅のホームで喫煙していた人に注意するために非常ベルを
鳴らした嫌煙の話を是非書いてくれ 大藁)
下手に法律用語なんて混ぜなくていいからさ!
>>35 うん。さっき調べた。
オマエ法曹関係者? 結構詳しそうだな。
あとクレクレ君には書いてあげない。
自分で書け。
38 :
蛇威守猛火亜:02/02/16 23:53
∧Шл
蛇 ゚ー゚ )y-~~ ナースは高卒なのか?高卒程度の学力なら
偽証罪が証人に適用されることを知らなかったというのも
ある意味納得できる。しかも普段小説等は読まないから
知識として偽証罪というものを正しく理解してなかったんだね。