淵上毛錢:詩よみがえる 混声合唱組曲「七つの生きるうた」、水俣で来月披露 /熊本
毎日新聞 2010年2月22日 地方版
◇水俣の合唱団、来月13日披露
水俣市出身の詩人で、35歳の若さで亡くなった淵上毛錢(もうせん)
(本名・喬(たかし)、1915〜50年)の詩を基にした混声合唱組曲「七つの生きるうた」が完成し、
合唱団みなまたが3月13日、市文化会館で披露する。生と死を見つめた毛錢の詩はファンが多く、
いくつもの作品が合唱曲になっている。
団員は「郷土の詩人をより多くの人に知ってもらいたい」と練習に励んでいる。【西貴晴】
毛錢は水俣で生まれ、青山学院中学部(東京)に進学した。一時はチェロ奏者を目指したが、
20歳で結核性の脊椎(せきつい)カリエスを患い、水俣に戻って寝たきりの生活を送った。
病床で詩作を始め、ユーモラスでエネルギーに満ちた作品を残した。
合唱団みなまたは83年に旗揚げしたアマチュア合唱団。教員や看護師、ピアノ講師ら
10〜60代の男女30人が参加している。99年、毛錢の50回忌に合わせて市内で開かれた式典で、
東京の作曲家、新実徳英さん作曲の毛錢の作品「雨」を歌ったのをきっかけに、
2年ほど前から新実さんが新たにメロディーをつけた6曲を加えて組曲の発表を目指してきた。
今回披露される「花骸(はなむくろ)」で毛錢は「もう誰が死んだって/決して泣いたりなんかするもんか」と
病のつらさを書いた。一方「約束」では「今日も夕(ゆうべ)までなにごともなく生きた/この分では
明日(あした)という日はたしかに約束されてゐる」と希望を描いた。
組曲はコミカルなものから荘厳なメロディーまで多彩な曲調に仕上がった。
団員の道上(みちがみ)ゆみさん(50)は「毛錢の詩は
『つらいことがあっても生きることには意味がある』と訴えている。
水俣は水俣病で傷ついたが、まちの再生を願う気持ちを込めて歌いたい」と話している。
午後7時開演。入場料は前売り1000円、当日1500円。
問い合わせは道上さん(0966・63・6944)。
http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20100222ddlk43040272000c.html