合唱曲の伴奏って簡単すぎてつまんないペダル 2

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31名無し讃頌
「平岡センパイ、ピアノ下手糞ですね」
 新入部員である1年生の樽部京子は、薄ら笑いすら浮かべていた。ピアノを
弾いていた同級生の平岡真由美は、思わず手を止めた。
「だって、センパイって楽譜じゃなくて、鍵盤をじっと見つめて弾いてるじゃ
ないですか。それに、指使いもどこかたどたどしいし、何よりペダルですよ!
全然楽譜通りじゃないじゃないですか」
 真由美は黙っていたが、私は怒って二人の間に割って入った。
「樽部! あんた何て口の利き方するの! 失礼だよ!」
「そうですか。じゃあ北野センパイは、正しいことを正しいと言わずに、黙れ
とおっしゃるんですね」
 北野とは私、北野美里のことで、この合唱部の副部長だ。
「遠慮なく何でも話してね、っておっしゃってたのに、都合の悪いことは聞いて
くれないんですね」