これは日本経済の前提として大いに問題がある。
というのも、(世界経済の)前提として、90年代以後の世界経済の構造的転換とは、いままで旧帝国主義国に集中していた金融と工業を分離し、工業はBRICsのような潜在的競争力の高い地域に移転するというものだった。
IT革命は、自由貿易協定や、所有と経営の分離に代表される各国での法制度改革と一緒になって、この潮流を確定的にしたエンジンの一つにすぎない。
これでは、金融・情報機能が中央官庁のある東京に一極集中しているわが国では、東京以外の地方はBRICsと同じくくりで、東京だけが先進国というわけのわからない構図になってしまう。
関西や中京などの紀伊半島地区は、武家が政治を行うまでは日本の主要機能を担ってきた巨大都市群地域であり、近代もその巨大な人口のために日本の工業生産の大部分を担ってきた。
確かに、僻地、ど田舎が労働力のグローバル化によってBRICs化してしまうのはある程度避けられないのかもしれないが、このような日本の4分の1に当たる巨大な人口が集中する地域に関しては、
独自の金融、情報機能を持ってある程度自立して、21世紀以後も先進地域として経済活動を行えられるようにするのが、日本の持つ頭脳をフルに有効活用できる環境を整えるのにも有効である。