★★ 紀伊州は阪神・中京をグローバル社会の地獄に落とさないためのセーフティネットである ★★
我が国は旧帝国主義国でありながら、敗戦によって国体を根本から変えられた特異な経緯をたどった国家であるため、
他の旧帝国主義国と同等の所得水準を実現するために、中央官庁が強力な許認可権によって民間法人を統制してきた。
このことは、国土全体の産業水準を急激に向上させることが国益追求における至上命題であった80年代までは日本の工業の中心である紀伊人にとって何の問題も無かった。
ところが、90年代以後、先進国の経済発展がひと段落し、先進国の資本家にとって利回りの低くなった自国に過剰蓄積した富を、
BRICsのような成長力のある地域へ移し替えることが世界経済の主要なテーマとなったとき、紀伊人は世界でも有数の不利益な状況に置かれるようになった。
前述したとおり、日本は中央官僚の強力な許認可権によって復活を果たした国であるので、資本家はもとより、IT革命後は金融関係のほとんどの機能が東京に集中している。
一人一人の労働効率の改善による、自国の工業発展が経済的テーマであったころは紀伊半島圏住民も首都圏住民も同じような経済的環境に置かれていたが、
高度にITと金融が絡んで世界経済の動向を支配する今日、一部の資本家による、利回りの低い旧帝国主義国からBRICsなどの工業競争力の高い国への資本の移転が経済的テーマになってしまったので、
日本においては東京に極端に経済的利益が集中するようになってしまった。
当然、紀伊などの旧来の工業地帯にいた資本家、金融業者も一斉に活動場所を東京に移したため、ここ10数年の非メーカー系関西企業の本社機能首都圏大移動という事態に発展してしまった。
このような状態のまま推移すれば、東京が日本の金融やITの全機能を担うようになり、地方は工業という「超・分業体制」が定着することになる。