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名古屋事情12:
大門のヤクザも、時代とともに様変わりした。
最初、シルクハット率いる稲葉地一家の天下だったが、やがて全国組織、山口組の
侵入が起きた。元々、山口組は三代目、田岡の時代まで、神戸港湾組合を中核に、全
国の港湾荷役を支配する博徒だった。
そうして荷役系ヤクザ、山口組がじわじわと縄張りを拡大し、弘田組、弘道会など、
本部直系の大組織が大門に関わり始めると地元ヤクザとの間に抗争が頻発し、毎日の
ように大門や駅裏で血生臭い事件が続いた。
やがて地回りのヤクザ・テキヤは姿を消し、古くからある稲葉地一家系列の組も、
すべて山口組傘下に加わることで延命をはかるようになった。
今では稲葉地に本部のある弘道会が名古屋周辺のヤクザの主導権をとった。
それどころか、弘道会、司(篠田)会長は、2005年、山口組六代目会長に就
任さえした。しかし、影響力甚大と見た警察に狙い撃ちされ、ボディガード拳銃所
持で起訴され、6年服役となったのは、まだ最近のことだ。