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名古屋事情4:
今の40歳以下の若い人たちには部落問題に関する知識が非常に乏しい。
それが何を意味するのか知らない者さえいる。それは行政が情報を隠し
続けているからだ。
名古屋における部落差別も、私の子供の頃から深刻なものがあった。名
古屋の場合、戦時中に朝鮮から強制連行で無理矢理、連れて来られ、三菱
重工や美濃地方亜炭鉱、繊維産業などで強制労働させられていた人々が庄
内川堤防や名古屋駅付近にスラム街を作って住み着いていたことから、い
わゆる穢多・非人部落と在日朝鮮人部落が同じカテゴリーで非差別者とし
て認識される構造にあった。さらに、それに「ポン・オゲ」などと呼ばれ
たサンカも加わって複雑な様相を示していた。
私の住居も、未解放部落に深い関係のある地域で、近くあった病院の西
側の用水路に沿って、それがあった。主に廃品回収で生計を立てていた部
落を通りがかると、いつでもホルモンを焼く、実にうまそうな匂いが漂っ
ていたのを記憶しているが、今は、ほとんど目立たなくなっている。