百貨店事業、中合に一本化 ダイエー
12月めど、子会社5社再編 仕入れ集約、効率化図る
産業再生機構の支援で経営再建中の大手スーパー・ダイエーと、中合(福島市)
など子会社五社は十一日、それぞれ取締役会を開き、中合とデパートニ店舗を
経営するアドバンスド・デパートメントストアーズオブジャパン(ADS、東京)
が十二月一日をめどに合併し、存続会社となる中合に、子会社十字屋(東京)の
「十字屋山形店」を営業譲度することを決めた。経営再建をスピードアップさせる
グループ再編の一環で、百貨店事業は中合に一本化することで商品仕入れや間接
部門を集約し、経営効率化を図る。ダイエーや中合は、「スケールメリットを
生かして収益性や事業性を高め、統合効果を生み出す」としている。
ダイエーは現在、百貨店事業を傘下の中合、ADS、十字屋の子会社三者で展開。
中合は「中合福島店」「中合会津店」「中合清水屋店」(山形県酒田市)の三店舗
を経営し、ADSは「棒二森屋店」(北海道函館市)と「三春屋店」(青森県八戸市)
の二店舗を経営している。十字屋の店舗のうち、「仙台店」など赤字経営の三店舗は
十一月末で閉店が決まっているが、残る「山形店」は中合が経営する。十字屋は
手芸専門店などを残して百貨店事業から撤退する。
中合は黒字経営の計六店舗を経営し、さらに経営効率のアップを目指すことになる。
中合とADSの合併では存続会社が中合となり、ADSは解散する。ADSの債務
超過を解消するため、ダイエーはADSに対して債権の放棄を行う。
友の会事業では、十字屋友の会の山形店事業所も中合友の会に営業譲度する。
ダイエーと産業再生機構が昨年末にまとめた事業再生計画では、本業のスーパーに
経営資源を絞り、百貨店事業から撤退する方針が示されていた。しかし、新たな
スポンサーとして百貨店事業を担う企業の選定には至らず、スポンサーへの譲渡や
経営統合などを選択肢に検討が進められていた。
中合の宮本直光社長は「地元に皆さんに心配をかけたが、地方百貨店の一つの良い
モデルとして新しいスタート切れそうで、感謝している」とコメントした。↓
老舗ブランド残り、朗報
一時は親会社のダイエーが百貨店事業から撤退する方針を示し、将来の方向性が
懸念されていた中合。一部ではファンドに一括譲渡する話も取りざたされていた
だけに、グループ内の企業統合という枠組みで存続が決まり、しかも「中合」という
老舗のブランド名が残せたことは、地元経済界にとっても朗報といえる。
特に「福島店」は県内に残る最後の”デパートの灯”。合併によってスケール
メリットが拡大する半面、不安定な要素も増える点で今後の経営見直しに不透明な
部分は残るが、例えばファンドに身売りして名前も残らない状況の比べれば、歓迎
すべき選択だ。
今回の合併は、各店舗で好不調はあるものの、六店舗を総合すれば最終的に
収益が上がると判断しての合併とも考えられる。一部に「百貨店事業が厳しいこと
に変わりはない」という冷ややかな視線があるのも事実だが、中合の灯が残った
ことを歓迎し、各店の営業努力で収益がさらに向上することに期待したい。
「中合」の名残った ダイエーの百貨店再編
「福島に本社」歓迎 県内経済界 経営継続の道筋明確に
経営再建中の大手スーパー・ダイエーと、中合など傘下の百貨店各社が十一日の
取締役会で決めた、中合を存続会社とするダイエー傘下の百貨店事業の一本化。
県内の経済、行政関係者からは一部に「現在の中合だけでなく、他店のことも
考えなければならなくなる」という不安の声も聞こえたが、おおむね中合という
名前が残ったことを歓迎、今後の運営に期待する声が多数を占めた。新たに北海道、
青森、山形両県の三店舗を加えて計六店舗を運営することになる中合は「経営の安定
には今回の方法が一番有効」とした上で、事業一本化のメリットを強調した。
中合によると、北海道と青森県に店舗を有するアドバンスド・デパートメント
ストアーズオブジャパン(ADS)との合併と、十字屋山形店の経営譲渡による
事業再編は、産業再生機構、ダイエー、中合など傘下の百貨店六店がよりよい経営の
在り方を探る話し合いの中で「経営安定には(合併が)一番有効」との方向性で
決まったという。