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アホのキタグニ新聞論説員:
発行/2004年3月4日/北國新聞
上海便「共闘」 小松空港の名称変更は不要
小松―上海便の誘致をめざす石川県と福井県合同の期成同盟会が発足した。これに併せて福井側から
「福井県民もなじめるよう小松空港の名称を北陸空港に変更するべきだ」といった要求が出されているが、こ
れは上海便誘致とは直接関係がなく、要らざることである。
そもそも空港名は、その地の地名を冠するのが一般的である。どこへ行く航空便かがすぐに分かって便利
だからである。地元の「石川空港」や「金沢空港」への変更ならいざしらず、「北陸空港」や「石川福井空港」と
いった漠然とした名称では、北陸のどこにある空港か分からず、利用者には不便このうえない。
今月一日に結成された小松―上海定期便開設期成同盟会は、谷本正憲石川県知事、西川一誠福井県知
事がそれぞれ名誉会長に就任したが、西川知事は設立総会に出なかった。富山県に配慮したためとの見方
がもっぱらである。同じく上海便誘致をめざす富山県は石川、福井の「共闘」をこころよく思っていない。一
方、福井県は北陸新幹線建設で南越までの一括認可を求め「三県共闘」を強めたい。このため、上海便誘致運動でいたずらに富山県を刺激するのを避けたとみられるのである。
上海便誘致をめぐる石川、福井の共闘には政治的な思惑も働いているのであり、福井側からは「北陸新幹
線の金沢止まりはけしからん」などと、富山―金沢間優先着工の現実論を封じ込める声も聞かれる。福井側
の思いが率直に出たものであろうが、これも上海便誘致運動とは本来、関係のないことである。誘致運動を
取り引きや駆け引きの材料に使うべきではない。
上海便誘致に向けたチャーター便の実績を上げるための「協力」は理解できるとしても、誘致合戦の行き過ぎ
に輪を掛ける事態は回避するべきである。福井県にとって嶺南地域は関西国際空港や伊丹空港が近く、
小松空港利用者は嶺北地域が中心になるとみられる。共闘もいい加減にしないと、虻蜂(あぶはち)取らずに
終わる恐れがなきにしもあらずだろう。
空港の通称や愛称は自由に変更でき、観光目的で紋別空港を「オホーツク空港」、高知空港を「高知龍馬
空港」と呼ぶようにした例は最近あるが、これらは例外である。