>>96 貴殿もか。
それでは拙者の夢日記をお返しするとしよう。
何所とも知れぬ空間で一日の時の流れ、四季の移ろいを走馬灯の如くに
体感した。
若葉の芽吹きが青葉へと変化し、色付き舞う葉が電飾に変わる。
木漏れ日に老女が微笑み、陽光に母子が遊ぶ。少女はある小売店の袋を抱え、
若人はベンチに憩い、スーツ姿の男性は飲食店で歓談している。
茜の空の下老夫婦は並んで漫ろ歩き、星々の煌きと夜景を背に若い男女が語る。
貴殿の夢に共通する大理石調の荘厳な建築物、ガスライトが柔らかく
周囲を照らす。噴水の飛沫に架かる虹。
背後には超高層建築、窓に点る灯りの夫々は人々の営みか。
何処からか聞こえ来る音楽と笑い声、仄かに漂う心地良い薫り。
何所とも知れぬその場所は、しかし確かに岡山であった。
個人的な願望もさることながら、予知夢を見たと確信している。
因みに、信じ難い程の超高層建築を従えた大規模な百貨店の壁面には、
企業ロゴが光っていた。