さ い た ま          最 強

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211名無しの歩き方@お腹いっぱい。
埼玉県といえば、「ださいたま」などと言われて人にばかにされて
いたこともあるそうだが、自分は上京してきたということもあって、
東京での、埼玉に対する偏見をそうはっきりと認識していたわけでは
なかった。

だから、今のところに部屋を決めるときも、べつに抵抗はなかったし、
どこに住むのなんて聞かれても、それは天真爛漫にこたえていたものさ
「埼玉です!」。

いつから、雲行きが怪しくなってきたのか、まあ、住所を告げたときの、
他者のリアクションに、そこはかとなく失笑が含まれていたことは、
この鈍いわたくしにも分かっていたし、住宅広告などの仕事をしていれば、
不動産業界における「埼玉」のイメージをいやでも知らざるをえない。
212名無しの歩き方@お腹いっぱい。:03/04/14 01:55
たとえばマンションの広告なんかを作っていて、同じ東京の隣でも神奈川
なら、「ヨコハマの風を感じて暮らす」なんていうコピーが成立するわけだ。

ところが、同じところに埼玉を当てはめると、「さいたまの風を感じて暮らす」
と、いっせいに腰がくだけそうになるし、まあひらがなにしたのは悪意が
あってやったことですけど、それを差し引いたとしても、どこからか牛の
においが漂ってくるようだ。
213名無しの歩き方@お腹いっぱい。:03/04/14 01:56
しかし、自業自得の感も否めないのは、埼玉はいかんせん、「がんばり
すぎ」なのである。たとえば、京浜東北線の『さいたま新都心』駅。自分で
自分のことを、新都心と言っている。この勇み足。おれは市長に「早とちり」
だと言いたい。また大宮駅前にある「そごう」にしても、もスゴく「ご立派」
でございまして、なにか最初から「ご立派」と言わしたくてデザインしたの
ではないのかというほどの造形をしている。

そして、そんなシティから発せられる、埼玉の無言のアピール。それは
「埼玉負けてへん。埼玉自分ら が思てるよりごっつ都会。埼玉まだまだ
イケる。キテるよー今埼玉が一番キテる」ということだ。それが、ああ哀しい
かな、逆に埼玉のコンプレックスを露呈す るという、皮肉な結果に陥って
いるのである。

やがて自嘲的に、自虐的に、埼玉県人が埼玉を語るときに発する「負の波動」。
一年も住めばいやでも当てられてしまう。今じゃ虚空を眺めやり、おれは
ニヒルな笑みを浮かべてつぶやく。「家は……埼玉っス」。