【日本よ】石原慎太郎 オリンピックのための責任
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080505/plc0805050405001-n1.htm 2008.5.5 04:03
先日町で偶然に出会った長い見知りの外国人記者から立ち話の中で詰問された。「なんで
日本はオリンピックに参加する世界の国々のために今すべき責任を果たさないのか」と。
何のことかと質(ただ)したら、多くの被害者を出した中国産冷凍ギョウザに混入した毒物
による中毒事件の解明は、唯一の被害国である日本の政府の責務であるのに、その後の日
本政府のこの問題に対する姿勢は理解に苦しむ、という。
(略)
もしそうした手合いが開催中にオリンピックの選手村の食堂のための調理場で、つい先日
同じ中国産の冷凍食品から発見されたというパラチオンのようなほとんど無味無臭の毒物
を料理に散布したら大変な事態になるだろう。それを阻止するためにも今限り世界で唯一
の被害国である日本の政府が、ことの糾明をもっと本気で行う必要が絶対にあると。
いわれて私はあることを思いだした。最近になっての調査の結果、たしか千葉県で起こっ
たギョウザの中毒事件関連の製品からさらにパラチオンが検出されたのだ。
実はこの毒物について私にはある特別な認識がある。
以前『化石の森』という長編小説を書いた折に物語の展開の小道具としての毒物について
調べ、架空のメディアチオンという毒物を創(つく)り出した。そのヒントは当時すでに存
在したパラチオンという猛毒にあった。 (1/2)
パラチオン、マラチオンといった毒物はドイツの毒ガス研究の副産物として発見された有
機燐(りん)酸エステル系の薬物で、人体に付着した際の浸透性蓄積性は高く、その毒性は
かつてある科学者がパラチオンの急激な中毒の最低量を確かめようと、ごく少量0・004オ
ンスという微細量を飲み込んだとたん、手元においた解毒剤を飲む暇もなく麻痺(まひ)に
襲われ死亡したという有名な挿話があるほどのものだ。
当の記者もそれを知っていて、日本ではもう誰も使う者もなくなった激毒物が、中国から
輸入された製品に混入していたということにショックを受けたという。
いわれて私としてもまたあらためてのショックがあった。9・11やロンドンでの地下鉄テ
ロという体験を持つ欧米諸国にすれば、日本で起こった食品によるテロか事故か分からぬ
が、食品に関して現実に起こった大不祥事の原因について唯一の被害国である日本の政府
が、はたから見ればそれをほとんど等閑視している実情は理解できぬし、余計な不安を育
てかねまい。
考えてみればアメリカ産の牛肉のBSEに関しては極めて神経質なこの国が、現実に被害者
の出た中国産の冷凍食品に関して、はたから見ればいかにも鈍感に過ごしているというの
は許されず、今日の問題多い世界情勢の中で物議をかもしながら行われようとしている北
京オリンピックのためにも、ことの原因の糾明は世界に対して果たすべき責任の履行とい
えるに違いない。(2/2)
メタミドホス急性中毒は体重1kgあたり0.003mg
http://www.asahi.com/health/news/TKY200805010200.html 2008年05月01日
中国製冷凍ギョーザに混入していた有機リン系農薬のメタミドホスの摂取基準について、
食品安全委員会(見上彪委員長)は1日、人が一度に摂取すると健康被害が及ぶレベル(急性
毒性)を体重1キロあたり0.003ミリグラムとする結論を出した。体重50キロの人の場合、
0.15ミリグラムとなる。
また、人が一生毎日食べても健康に影響が無いとされる「一日摂取許容量(ADI)」は、体
重1キロにつき0.0006ミリグラムとした。
中国産鶏肉:加工品に微量の禁止抗菌剤 厚労省が検査命令
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080510k0000m040187000c.html 中国から輸入された鶏肉加工品から、食品衛生法で残留が禁止されている微量の抗菌剤
「フラルタドン」が検出されたとして、厚生労働省は9日、輸入業者に同法に基づく検査命
令を出した。今後は安全性が確認されるまで、輸入のたびサンプル検査が義務付けられる。
加工品は3月12日輸入の冷凍チキンカツと、4月25日輸入の加熱済み鶏ショウガ焼きで、フ
ラルタドン0.002〜0.005ppmが検出された。すべて保管されているか積み戻しされ流通は
していない。中国産鶏肉と加工品は07年に約9万7000トン輸入されたが違反はゼロだった。
また、エチオピア産生鮮コーヒーからも「r−BHC」など5種類の基準値を超える残留農薬
が見つかり、検査命令が出された。
毎日新聞 2008年5月10日 1時16分