【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ2

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1廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
*「ここは 邪気眼 のスレです」
*「sage や 酉 は入力しなければ意味がないぞ」
*「荒らしを構った後には 荒らし扱いになるよ」
*「おお名無しよ 版権キャラを使ってしまうとはなさけない」

*前スレ
【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ
ttp://etc7.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1203406193/
*避難所
二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所
P C:ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1206954054/
携帯:ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/computer/20066/1206954054/n
       テ ン フ ゚レ
>>2以降に『天麩羅』

*前スレのあらすじ
―――すべては一通のメールから始まった・・・・。

『闘って奪い獲れ。生き残るためには勝ち残れ。』
舞台はどこにでもある地方都市、貳名市(仮)。
この街には「二つ名」を持ち、それに由来する異能力を有する『異能者』たちが存在した。
一通のメールは、異能者たちを否応なく闘いに駆り立てる。
闘いを望む者。
闘いを拒む者。
闘いを強いる者。
闘いを傍観する者…。
異能者たちは闘いの中で運命を交錯させ、各々の宿命を識る――…

異能者たちを生み出している巨大組織『機関』とは何なのか?
『ヤハウェ』の正体とは?
さまざまな謎が新たな謎を呼ぶ第2部で、異能者たちの戦いは激化する!
2廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/02(金) 00:28:13 0
【天麩羅】其の壱
名前:
二つ名:ttp://pha22.net/name2/ ←で↑のキャラ名を入力
年齢:
身長:
体重:
種族:
職業:
性別:
能力:(一応二つ名にこじつけた能力設定を)
容姿:
趣味:
好きなもの:
嫌いなもの:
キャラ解説:

S→別格 A→人外 B→逸脱 C→得意 D→普通 E→不得意 F→皆無
U→変動 N→機能未保有 ……の九段階まで。
・本体
筋  力:
耐久力:
俊敏性:
技  術:
知  力:
精神力:
成長性:

・能力
範  囲:
破壊力:
操作性:
応用性:
持続性:
成長性:
リスク :
3委員長 ◆Rule2B.pIY :2008/05/02(金) 00:28:19 O
あぱぱぱぱぱ
4廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/02(金) 00:29:16 0
【天麩羅】其の弐
・現在までの参加キャラ一覧
池上 燐介 :二つ名「氷雪昇華(スリーピングエクソダス)」
戦場ヶ原 天:二つ名「歪んだ重力(インセインオーバードライブ)」
若宮 こよみ:二つ名「硝煙禁忌(ガトリングチルドレン)」
七重 凌司 :二つ名「戦闘中枢(アトミックバーサーカー)」
桐北 修貴 :二つ名「轟雷工作室(ライトニングファクトリー)」
廻間 統時 :二つ名「月下十字(ギルティサーベル)」
国崎シロウ :二つ名「贄(ウロボロス)」
神重 智  :二つ名「重力連鎖(デスペレイトオーバーフロー)」
永瀬 翠   :二つ名「増殖立体(フラクタルキューブ)」
梓川 博之 :二つ名「陰翳幻覚(エレクトリックシャドウ)」
煌神 リン :二つ名「火炎歌劇(モノクロームパレード)」
小村禅夜  :二つ名「絶滅魔神(ナパームカーニバル)」

各キャラの詳細は避難所>>140-152>>161>>163-164参照
5廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/02(金) 00:29:59 0
【機関の説明】
・機関(組織)は総合商社や慈善団体、暗殺集団などいろいろな側面を持つ
・機関には異能力者以外もいる
・機関の異能力者は番号(NO.)で序列があらわされる
・一桁番号(ファーストナンバー)は特別な幹部
・世襲幹部が五人いる
・本スレで名前のでた幹部は城栄金剛(No.1)と北村幽玄(番号不明)
・長束誠一郎は機関の幹部だった
・現在の機関のトップと長束誠一郎は揉めている
・機関は人工異能力者を増産している
6委員長 ◆Rule2B.pIY :2008/05/02(金) 00:30:48 O
>>2
うっさいわい
7委員長 ◆Rule2B.pIY :2008/05/02(金) 00:33:10 O
>>1-1000
自演乙
8三村心之臓 ◆wcldfCeySo :2008/05/02(金) 00:35:54 0
手篭めにしただと!?
9国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/02(金) 12:22:23 O
前スレ>>404
子供二人を見送った後、客足はパッタリと途絶えた。
異能者が異常に多くて、一般客が子供だけの店って……などと、
店の経営方針に言い知れない不安を覚えたが、
特に出来る事も無いので、俺は室内に戻り、様々な道具や、
腕と足の動作確認などをしていた。

「――よし、大体全快だな」
自分の身体ながら、恐るべき回復力だ。
砕けた手と壊れた足の再生が一晩で終わるとは、
神話上の怪物でも稀な例だろう。人間業じゃあない。
思わず自嘲的な笑みが浮かぶ。

ふと時計を見ると、七重と廻間が出かけてから
結構な時間が経過していた。散歩にしては随分長い時間だ。
(まあ、二人いるんだし、大事はないと思うが。 ……とりあえず、飯でも作るか)
若干嫌な予感を覚えつつも、飯を作ると言っといて二食分も作らないのもアレなので、
俺は昨日の買い物袋から材料を取り出し料理を作る事にした。

加工した材料を大鍋に入れ、市販のカレールー(レア物)に
シナモンとガラムマサラをブレンドした物を投入し、煮込み始めた所で、
玄関から人のやってくる気配がした。俺は火を弱火にしてからそちらへ向かう。
「なんだ、ボウズか――――って、なんだそりゃ!?」
玄関にいたのは、廻間だった。ただの廻間じゃあない。
悪餓鬼共にリンチでもされたのかと思うほど服をボロボロにした廻間だ。
その身体には、いくらかの出血も見える。
そして、普通にリンチを受けただけでは着かない傷も……。

「おいおい……なんだ。七重のやつもそうだが、治療して出かけて怪我して帰りやがるとか、
 最近の若い奴等の間では本気でストリートファイトブームでも到来してるのか?」
とりあえず、廻間の腕を掴み有無を言わさず居間に連行してから、強制的に治療を開始する。

ある程度治療をした所で、俺は後ろから額の部分に包帯を巻きながら、
怪訝な表情と仕草を作って言ってみる。
あくまで、一般人としての姿勢を崩さずに。

「……で、なんでお前一人で帰ってきた? まさか、七重の奴を見捨てたか?
 それとも――――お前があいつを襲いでもしたか?」
殺気は込めず、語調こそ柔らかい響きを残したが、言葉の最期からは感情を消している。
左手は先に包帯を巻いた直後に廻間の首筋……動脈に当てている為、
虚偽があれば心音の変動ですぐに解るだろう。
10梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/02(金) 14:11:57 0
>>408-409>>414-415>>417
俺は黒コートをはためかせ、戦い―――現在は交渉に摩り替わってるのか?―――を眺める。
しかも只眺めているわけではない。片耳を切り離して交渉の内容をも聞いているのだ。

「……神重は勧誘され、桐北は閉じ込められて美少女と会話か…いいよなぁ桐北!」
くぅ〜っ、あんな可愛い子何処で知り合ったんだ!
今度俺にも紹介しやがれ!この野郎!
…いやいや、何を考えているんだ俺。今は集中だ。

さっき来た子も異能者か。
戦いは激化しそうだが…その前に。
「……機関…か。」
耳慣れない言葉を思い出す。
機関と言うならばある程度の大きさを持つ集団だろうが…何の機関だ?
異能者である神重を勧誘する辺り間違い無く異能者が関わっているのだろう。

だが、どういった目的があるのか?
また、異能者が如何関わっているのか?
情報が少ない故――全く分からない。
11梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/02(金) 14:12:19 0
>>418-420
俺が思考の海に潜っていたその時だ。

「他人の戦闘がそんなに気になるか? 傍観者を気取るのは、あまりいい趣味とは言えんな」

なんとなく氷を思わせるような冷たい男の声。
戦いに驚いていない辺り―――異能者か!
「…っ!」
すぐに耳を戻し、振り向く。

灰色の長髪の青年だった。
やはり何処か冷たそうなイメージがある。
先程の機関に関係しているのかは不明。

「さて……お前に一つ聞いておこう。『組織』の連中の居場所、それを知っているか?
変に隠し立てすると碌なことにはならんぞ。正直に話した方が賢明だ」

なんだコイツ。
「……アンタよ、行き成りなんなんだ?人の後ろに立って。それなりの礼儀ってモノがあるだろ?
俺が戦いを覗き見してたといっても不躾に話しかけていい理由にはならないんだぜ」

青年は情報が欲しい模様。
それよりも『組織』についてが欲しい。
瞬時に脳内で憶測を立て始める。

青年は異能者、なら十中八九『組織』は異能者関係だろうな。
じゃあ、『組織』=機関?
もしかしたら機関と敵対している集団か―――いや、その線は薄いだろう。
異能者は恐らく数が少ない。
組織は機関で間違い無い筈。
青年は個人で動いている…のだろうか。
いや、そういう前提で行こう。

それならば―――
「『組織』の情報か〜…まずはアンタが知ってる情報を話して頂けると嬉しいんだけど。
俺も情報欲しいんでね。話してくれるんなら俺も知っていることを全部話すぜソウルブラザー!」
ビシッと親指を立て、笑顔で話す。
嘘は言っていない。下の少女が『機関』の一員としか情報が無いだけ。
勿論青年が話すならば言うつもりだ。

―――さあ、如何出る?

【梓川:池上に交渉を持ちかける】
12 ◆rEy7LULhaw :2008/05/02(金) 14:14:29 0
↑前スレ>>408-409>>414-415>>417
 前スレ>>418-420
13小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/02(金) 20:13:37 0
くくく、まさかこんなところでカノッサ時代の鬼神様に出会えるとはな
いまだに興奮状態が収まらない小村は廃ビルの周りを歩いていた

が、若きときから機関の兵として戦わされていた小村は瞬時に脳をクールダウンさせた

さて、どうしますか
初撃で決めてやりたいところですがこの気は明らか体が弱っている感触だ
それは、まずい なんとか生け捕りにしたいところだ

なら――――――

小村の手首から先が黒く変色しだした
手の部分だけに<ゴッドバルト>を装着したのだ
能力を自在に操るのは相当な訓練が必要だ
大抵の人間は自分が今出せる全開をだす――
つまり蛇口を適当にいっぱい捻るようなものだ
これを体得したときの記憶は彼には一番の糧となり、そして一番の戒めとなっている・・・

装着している間にビルの周りを歩き、権六に一番近い壁の前に立ち
「さて、じゃあ行きますか」
バッ!!彼は掌を前にかざし、掌からエネルギーで作り出した鎖をいきよいよく伸ばした

ジャラララララララ!

鎖は中の権六を捕まえようと螺旋を描き伸びていく――――

【生け捕りにしようと鎖を飛ばす(手からは離れていない)】
【煌神 リンの存在には気づいていない】
14桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/02(金) 20:41:06 O
前回のあらすじ

国崎薬局を目指していたが神重に会い逃亡
捕まって尋問を受けてた時に突如鳴り響く轟音と
それと共に現れた謎の女の子の能力によって修貴は閉じ込められる
脱出を試みる時、更にそこに現れたのは…


「このっ! ぶっ壊れろ!」

怒号と共に放たれた電撃は、
しかし目的通り目の前の壁を破壊することなくその姿を消した
先程から何度試しても表面が少し熱くなるだけ
異能力と言えど所詮は雷
物体を燃やすことはできても、物体を破壊するには不向きなのかもしれない

周りを囲っている黒い箱は、半透明にも関わらず金属特有の光沢を持つ不思議な物体だった
太陽の光も通し箱の外の光景もやや黒ずんで見ることができる
だが、どうやら外の音は完全にシャットダウンしてるらしく

「逃げる!?え、ダメダメ!それはダメだよ!!」
という、あまり緊張感のない相手の声を最後に、
虚しく響く自分の声と雷鳴のみが鼓膜を叩いてた

「くそっ!」
悪態を付きながら悪あがきに箱を蹴り上げその場に座り込む
当然、その程度でどうこうなるわけなく むしろ蹴った脚が痛いほどだった

目の前の彼女は
箱を背に対峙している神重のみを見つめ、攻撃の手を休め何か話しかけている
前述の様に何を言ってるかはわからないが、問答無用に襲いかかってこないってことは
今までの奴らとは違う目的があるのか?

とにかく、捕らわれたのは確かだ
何とかして脱出しないと、誘拐されるか殺されるかの二択に決まってる
15桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/02(金) 20:43:22 O
このまま破壊するまで攻撃する
不可、何度撃とうが壊れる気がしない。 疲れるだけ

トルマリンを使う
不可、仮に破壊出来ても疲弊でろくに太刀打ち出来ないし
あまり手の内を見せたくない

誰かの助けを待つ
論外、神重はお取り込み中だし誰か来る訳がない

しばらく頭を捻っていたが一向に名案が浮かばない
時間と共に膨らむ焦りと不安で段々投げやりな気分になってくるのを懸命に抑える
こういう時こそ冷静になれねばいけないのを今までの経験で少し学んでいた

「………」


「……………」



「あ"〜もう! どうすりゃいいんだよ!?
ヤハウェをぶちのめすまで死ぬ気は…」

しかし『知ってる』と『できる』は人間にとっては別物であり
数分も経たないうちにやけになって叫びだした
が、逆にこれが幸を成して2人とは違う面に立っている女の子にやっと気づいた

彼女はこの不思議な箱に驚くことなく、中にいる自分を見て頭を下げた
挨拶か何かをしてるのだろうか?

それより何故自分に挨拶を?
小学生に知り合いなんか…

思い出した瞬間、自分はその女の子に向けて指を指していた
神重は人に指を指すのを嫌う人なので迂闊と言えば迂闊だった

「あー! あの時のぬいぐるみ使い!!」



桐北修貴:若宮こよみに気づき驚く
内側からは外側の音が全く聞こえない
16池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/02(金) 22:02:35 0
>>11
>「……アンタよ、行き成りなんなんだ?人の後ろに立って。それなりの礼儀ってモノがあるだろ?
>俺が戦いを覗き見してたといっても不躾に話しかけていい理由にはならないんだぜ」
男はそう返してくる。

では無言のまま後ろに立っていれば良かったのか。
その方が逆に行動として不自然であり不審であるような気がするがな。

そう反論してやってもよかったが、
男が続けて何かを口にする素振りを見せるので俺は黙って聞き続けた。

>「『組織』の情報か〜…まずはアンタが知ってる情報を話して頂けると嬉しいんだけど。
>俺も情報欲しいんでね。話してくれるんなら俺も知っていることを全部話すぜソウルブラザー!」
なるほど。言っていることが事実であれば、こいつも『組織』を知ろうとする異能者の一人か。
だとすれば確かにこれまでに何かしらの情報を掴んでいることは十分にあり得る。
しかし見返りとして情報を要求する点から考えれば、恐らく多くのことは知らないのだろう。
少なくとも、『組織の本拠地』という、異能者にとって最重要な情報を掴んでいる可能性は
低いと判断した方が妥当か。
となると、こいつには……あまり期待しない方がいいだろう。……が。

と、心の中ではほぼ結論付けながらも、俺は再度男に問いかけるのだった。

「フッ……何か勘違いしているようだな?
俺はお前から一方的に情報を得に来たのであって、交渉をしに来たわけではない。
だからお前に求めることは一つ、それは俺の質問に素直に答えるということだ。
では、もう一度問おうか。お前は『組織の場所』……それを知っているか?」

俺の予想に反して万が一にでも知っており、場所を話してくれれば好運。
そうでなくとも想定内。「俺を倒してからにしろ」と戦闘になるのは承知の上。
まぁ……どれになろうと物の試しだな。

「良い回答を期待する……」
17廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/02(金) 23:32:58 0
前スレ>>404
俺と七重は国崎薬局へと戻る。
途中2、3人の一般人とすれ違ったが厄介事に関わる事を恐れたのか、俺達に声をかける人間はいなかった。
まあこちらとしてもそっちのほうがありがたいのだが。
振り返ることも無く、薬局までまっすぐ向かったためにけっこう早く到着した。
薬局の看板が見えてきたか、と言うところまで来たところ七重がこんな発言をした。

>「散歩の続きをしてくる」
「……はい?」

思わず目を見開き、俺は七重に聞き返す。
見た限り、七重はかなりの重症だ。もし一般人ならば、即座に入院するレベルの負傷。
服には血がついており、骨もなんか……不自然な方向に曲がっている…様な気がする。
せめて血を止めるとか、骨を固定するとかしたほうがいいんじゃあないか?
散歩どころじゃないだろ、これ。

「おい、待てよ!散歩どころじゃないだろ!手当てぐらい……」

俺の制止も聞かず、七重はスタスタと歩いていってしまう。
その歩行スピードは速く、今の俺では食い止められなかった。

「……ったく、職質されても知らねぇからな」

俺は七重を止める事を諦め、肩を竦めながら薬局のドアを開けた。

>>9
入店した俺を向かえたのは、カレーの匂いだった。
カレーは好きだ。それ故、俺は必然的にこの匂いも好きになった。
俺が戻ってきたのに気付いたのか、店の奥から国崎が出てきた。

>「なんだ、ボウズか――――って、なんだそりゃ!?」

先ほどの戦場ヶ原戦で負傷した俺を見て、国崎は驚きを見せる。
まぁ、当たり前といえば当たり前だろう。
数時間前に散歩に行った人間がボロボロになって帰ってきたら、俺だって驚く。
もし驚かなかったら、そいつはよっぽどの無表情か冷血漢だ。

>「おいおい……なんだ。七重のやつもそうだが、治療して出かけて怪我して帰りやがるとか、
 最近の若い奴等の間では本気でストリートファイトブームでも到来してるのか?」
「そんなわけないだろ……」

肩を落としながら俺が力なく反論する。
少し小さい声だったので、国崎に聞こえたかどうかは定かではない。
そして、俺が適当な位置に座ろうとした途端、国崎が俺の腕を引っ掴み連行されてしまった。
行き先は……居間。怪我の手当てでもしてくれるのか……?

「いった!自分で歩けるから引っ張るなよ!!そこは掴むな、痛いから!!」

反論むなしく、俺は居間で強引に手当てを受けた。
18廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/02(金) 23:58:18 0
「いたた……」
多少強引に手当てを受けた俺は、傷の痛みに声を上げる。
強引といっても、国崎の治療は丁寧なものだったので傷の悪化などの心配はなさそうだ。
俺の頭に包帯を巻きながら、国崎は一つ俺に疑問をぶつけた。

>「……で、なんでお前一人で帰ってきた? まさか、七重の奴を見捨てたか?
 それとも――――お前があいつを襲いでもしたか?」

「そんなわけ無いだろ……七重が襲われてたんだよ。
 戦場ヶ原って言う重力使いにな」

戦場ヶ原の能力を思い出しながら、俺は答える。

「七重は散歩の続きだってよ……もちろん止めたさ。だけど、出来なかった」

何一つ、包み隠さず真実を言う。
嘘を言ったところで、俺にメリットは無いし今じゃこの国崎も仮とは言え味方だ。
味方を裏切るようなマネはしたくない。

「そういや、俺よりもひどい怪我だったな……今からなら追いつけるかもしれない。
 俺、追いかけて連れ戻してくるぜ」

俺は、多少慌てながら立ち上がろうとしたが……

「くっ!?」

膝がふらつき、立てなくなってしまっている。
なんだか目の前もふらつき、汗も出ている……戦いで体力を使いすぎたか……?

「こ、こんな所で立ち止まるわけには……?」

再び、俺は立ち上がろうとする。だが、やはり膝に力は入らない。
やはり、体に無理が来ているみたいだ。気付けば、連戦だったからな……
ここらで休めってことなのか?

「……わり、無理みたいだ」

国崎に向かって、俺は力なく呟いた。

【廻間 統時:国崎薬局に留まっている。休息しなければ戦闘不可】

【】
19戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/03(土) 00:22:17 O
どこまでも碧く広がる草原と、そこにぽつんと佇む白い影。

影はふわりとこちらへ振り向き、やさしい笑顔をこちらへ向ける。
艶やかな黒い髪をはためかせ、純白のワンピースに身を包む彼女の笑顔は、碧い草原と合わさって、まるで一枚の絵のような美麗さを放っていた。
その光景が、今でも戦場ヶ原の脳裏に焼き付いて離れない。

(天音 滴(しずく)――――…)

彼は赤髪の少女の膝の上で、なぜかかつて愛した女のことを思い返していた。
「フン……」
少女にひざ枕をされている自分を滑稽に思い、ふと苦笑する。
(そうだ…。俺のことを心配するような奇特な奴は、あいつ以外にいなかった……)
戦場ヶ原は、すぐそばでこちらを見ている赤毛の少女の笑顔に、その女性の面影を見ていたのだ。
「…ロリコンかよ、俺は。」
自嘲気味に呟きながらも、その顔はかつてないほどの穏やかさに包まれていた。

「!!!」

刹那。
その静寂を打ち破る爆音が轟いた。
上体をわずかに起こしてその音のした方向に目をやり、戦場ヶ原の顔は険しく歪んだ。
壁が破られていた。
そしてその中からこちらへ向かってくるひとつの殺気に、彼は初めて気がついた。

土埃の中からこちらへはい出てきたものは―――…蛇?
否、それは鎖だった。

黒い鎖はまるで意思を持つかのように戦場ヶ原と少女目掛けて這い寄ってくる。
これが何者かの異能者によって操作されていることは間違いなかった。

「ッ!!どけッ!!クソガキッ!!!」

反射的に彼は少女を突き飛ばしていた。
しかしそれは少女が邪魔だったからではなく、彼女を守ろうとして出た行動だったことに、彼自身が1番驚いていた。

そうしているうちに、鎖は戦場ヶ原の残された左腕に絡みつく。
「くッ!!」
恐ろしく強い力だ。
まるで大蛇に締め付けられるがごとき力で、戦場ヶ原の体は拘束されていく。

(――貴様が弱いからだ)

金剛の言葉が今一度脳裏に響く。
(今度こそ……俺が護るッ!!)

しかし彼のそんな意気込みも虚しく、彼の体は謎の黒い鎖に寄って拘束されてしまった。

【戦場ヶ原:煌神をかばって小村の能力に捕まってしまう。】
【現在能力はほとんど使えない。傷も回復していない。】
20煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/03(土) 18:02:00 0
>>19
鎖が飛び出したと気づくまでに約2秒かかってしまった。
突き飛ばされようやく自体を把握すると、もう戦場ヶ原は、拘束された後だった。

「っく!天さん!」

せなかから、すぐに武器を出すと鎖を叩ききる。
しかし、能力なので、普通の武器では切れない、そのためリンは能力を使った。
ようやく取れたが、鎖はいまだ絡みついたままだ、リンはゆっくり相手の様子をうかがう。

「誰です!出て来て下さい!」
そう大声で叫ぶと、一人男が出てきた。

【煌神:戦場ヶ原の鎖をとるもまだ鎖は絡まったまま。】
21永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/03(土) 20:26:24 O
>>415
(まぁ、そうだよねぇー普通…)

この手の交渉には慣れている。
機関に入れと言われて、はい分かりましたと答える人間なんていない事も知っている。
こういった場合、真面目に情報を与えるのも、突っ撥ねるのも、嘘を教えるのもまずい事も分かっている。

だから、こういう時、翠は『第四の策』を採る事にしていた。

「情報?あー募集要項の事?ちょっと待ってねー」
翠は携帯を取り出した。
メモ帳に保存してある文章を読み上げる゛設定である″。

「えーっと、『年齢問わず、仕事内容は暗殺・虐殺・異能者の探索・監視及び捕獲など多種多様。貴方の能力にあった仕事が選べます。優しい先輩が教えてくれる楽しい職場です!
時給、非能力者は600円から。異能者は7000円から。成果によって昇給有り。経験者優遇!』ふう…っと、こんな感じ?」

第四の策、即ち『真面目に答えるふりをする』。
この募集要項を聞けば、大抵の異能者は呆れ返るか、金に目が眩むかのどちらかだ。


この男は恐らく前者に転ぶだろう。
だがこの場合はどちらでも良い。
翠が欲しいのは、その際に生じる『油断』だからだ。


(…さぁ、キミはどっちかな?どっちでも良いけど、一応ね…)
後ろに構えた手には、既に次の攻撃の準備は整っていた……が。

22永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/03(土) 20:28:23 O
>>417

「きのうのおにーちゃん、こんにちはなのです」

始めは、聞いた事のある声だとしか思わなかった。
だがその緩やかな話し声と、可愛らしげな姿を見ると、翠の記憶の扉が開いた。

『刺客さん、ごくろうさまなのです』

「あっ…若宮こよみ…!」

一度だけ、任務の途中に会った事がある。
その頃はまだ何も知らず、「自分より子供も機関にはいるのか」と、少しの驚きを覚えるにとどまったが、その後、その子供の評判を良く聴く様になってからは、翠も恐れる様になっていた。

機関の世襲幹部、『亜空の支配者』長束誠一郎。
その彼が保護者として扶養している少女。
彼女に傷を付けたものは、3日以内に姿を消してしまうという噂。
「自殺がしたけりゃこよみに手を出せ」などというジョークとも戒めともつかない言葉が機関内で広まった。

その若宮が、目の前にいて、しかも桐北の知り合いらしい素振りを見せている。

(これは…ヤバいかも…?)
もし若宮が桐北に親しいとすれば、この状況、若宮は敵に回ってしまうだろう。という事は、長束をも敵に回す事にもなり兼ねない。
というより、若宮に近付くのは正直言って避けたい。
ここは…悔しいが撤退が最善か。

「じゃ、じゃあ返事はまた今度聞かせてね!あーキミの名前聞いてないや。まぁ桐北君は覚えたから、経由で何とかなるよねぇー。それじゃあまたねっ……!?」

駆け出そうとして、足がもつれた。
慌てて起き上がろうとするが上手く行かない。

「…あぁ、そっかー。キミ重力系異能者だっけね、忘れてたよ…」
翠が背後に手を翳すと、分厚い壁が現れた。

そのまま少し歩くと、すっと体が軽くなる。


暫く歩いてから翠は深く溜め息を吐いた。
「…あーあー、勿体ないなぁー。また会えるかなあの人達…。
てゆーか、次何処行こ?またあの薬局探そっかな…」

独り言を言いながら町中を再び歩き始めた…


【神重との交渉を続けようとするも、若宮の出現に動揺。戦闘を離脱。町中を移動開始】


(すいません。急用で向こう3日間レスできなくなるので、今回は離脱させて下さい。
勝手に絡んどいて本当申し訳ないです。。。

あ、桐北君はあえてそのままでw)


23小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/03(土) 20:28:26 0
鎖は確実に権六を捕まえた
やはり弱っていたようですね これならすぐ捕まえられそうだ・・・が
これほど、これほどにまで弱くなったか 山田権六!!
変な安堵と少しの失望を交えながら鎖を引こうとしたそのとき

>せなかから、すぐに武器を出すと鎖を叩ききる。
>しかし、能力なので、普通の武器では切れない、そのためリンは能力を使った。
>ようやく取れたが、鎖はいまだ絡みついたままだ、リンはゆっくり相手の様子をうかがう。

切られた

エネルギーで作りだした鎖が
この鎖が切られた!?・・・権六の異能は切断系ではない
と、いう事は他に異能者がいる?
なんて失態だ もう一人の異能者に気づかないなんて
やはりまだ少し興奮状態のようだ

仕方ないので接近戦にするかとビル内に入ろうかと思い始めたとき――――

>「誰です!出て来て下さい!」

それはまだ年端もいかない少女の声だ
おそらくまだ小学生・・・がその年には似合わないほどのしっかりした声だ
その声に誘われ、小村は土煙から姿を現した
24国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/03(土) 21:44:49 0
>>18
>「そんなわけ無いだろ……七重が襲われてたんだよ。
>戦場ヶ原って言う重力使いにな」

「重力使いって……お前さん、頭どっかにぶつけたのか?
 本気なら専門の病院に連絡してやるが、嘘ならもう少し捻りやがれ」

呆れたようにそう言いながらも、俺は廻間が話した内容に対し、内心で驚愕していた。
異能者という存在は、基本的にレア。
本来ならば、遭遇確立はUMA並みのモノだ。
それが、この短期間に七重だけで二人……いや、三人。
俺が出会った人数も含めれば、最低五人もの能力者と接触したこととなる。

……どうやら、俺は今回の『機関』の奴等の行動に対する姿勢を見誤っていた様だ。
恐らく奴等は、この糞みたいな行動に相当に力を入れている。
どれだけの期間をかけたかは知らないが、でなければ、
これ程大量に『戦闘を行える』レベルの異能者が一つ所に集まる筈が無い。

(不味いな……つーか、七重の奴は廻間のボウズよりも重症だぁ!?
 んな状態で散歩とかなんの冗談だ!ターミネーターかお前は!!)
思考中に入ってきた廻間の会話情報で、七重に対し驚きと呆れと焦りの感情が同時に浮かぶ。
こんな異能者だらけの状況では、怪我を負った一人の異能者など、
ピラニアの池に落ちた獣に等しい。

>「……わり、無理みたいだ」
俺は急いで七重を探しに出ようと、腰を浮かせかけたのだが、
目の前で七重を連れ戻すといって無理をしようとした少年を見て、その動きを止める。
その少年の行動が、いつかの誰かとどこか似ていたせいだろうか。焦りもあったのだと思う。

「あのな……凍傷打撲失血擦過傷打ち身!最低限それだけの傷をこんだけ
 短時間で負った人間が、ひょいひょい動ける筈ねぇのは当たり前だ!!
 ……ああ、確かに七重の奴の様子を見てきて欲しいって言ったのは俺だ。
 実際に見に行ってくれたのは、嬉しく思う。
 けどな、それはこんだけボロボロに鳴るまで戦り合えってことじゃあない!
 喧嘩だがリンチかは知らねぇけどな、やばそうだと思ったなら警察に連絡するなり
 俺に知らせるなり逃げるなり、幾らでもやり方はあっただろうが!! 

 いいか!困った時は誰かに頼れ! 命を大事にしろ! 自分を大事にしろ!
 何より、自分を心配してくれてる周りの奴等を大事にしろ!!」

気が付いたら俺は、自分でも珍しいと思うほど久しぶりに、感情で怒鳴っていた。
だからだろうか、怒鳴った後しばらくしてからなんとなく気恥ずかしくなり、
廻間の顔を見ずに、市販品の戸棚から数種の滋養強壮剤を出して机に置くと

「あー……怒鳴って悪かったな。その薬は奢りだ。飲んでから安静に寝とけ。
 寝てる間にやばそうな症状が出たら、救急車を呼ぶように」

そう言って、台所のカレーの火を止め、

「俺は、ちょっくら七重の馬鹿野郎をしょっ引いてくる」

黒い鞄を掴んで、街に駆け出した。

【国崎:薬局→街中 七重捜索中 場所は知らない 
    街中にいるなら誰でもエンゲージ可能です】
25神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/03(土) 22:07:49 0
前スレ>>417
>>14
>>21

私は時間稼ぎと…少しの興味を持って【機関】と呼ばれている組織の情報を聞きだすことにした。
翠と呼ばれる少女の回答に私は呆れる事になるのだが…

「情報?あー募集要項の事?ちょっと待ってねー」
今まで話していた相手とは思えないくらい呑気な声で携帯を弄り出し、情報らしき物を読み上げた。

「えーっと、『年齢問わず、仕事内容は暗殺・虐殺・異能者の探索・監視及び捕獲など多種多様。貴方の能力にあった仕事が選べます。優しい先輩が教えてくれる楽しい職場です!
時給、非能力者は600円から。異能者は7000円から。成果によって昇給有り。経験者優遇!』ふう…っと、こんな感じ?」


舐められているのか?私は舐められているのか?
100%嘘だろう。いや、本当なのか?
どこぞの求人雑誌にでも載ってそうな誘い方だが、読み上げた事は犯罪レベルの物ばかりである。
嘘を見抜くといっても…さすがに限度があるぞ…。
私は呆れ返っていた。

まあ、時間稼ぎなのだからそれほど詳しい情報も逆に必要ないかもしれないが。
そう考えて、桐北のほうへ目をやると…。

壁を壊そうと頑張っているではないか。私の予想通りだな。
まあ…つかまって大人しくまっている人間がいるとは思えないが…。
だが、桐北の能力と翠という少女の能力は相性が悪いようで、未だに抜け出せていないようだ。

「昨日のおにーちゃんこんにちはなのです」
不意に女の子の声がした。
その女の子は箱の中にいる桐北に向かって挨拶をしているではないか。
桐北の知り合いか? そう思い桐北を見ると驚いた顔をして女の子を指差していた。

…指差し…だと…?
「アイツめ…私の嫌いな指差しを目の前で行うとは…減点だな。」
私は脳内チェック表に桐北へのチェックを入れる。
桐北の留年への道がまた一歩近づいた瞬間である。

その時、背後からまた声が聞こえてくる。
「あっ…若宮こよみ…!」
翠という少女が発した声である。驚いた顔をしているが…。
こいつもこの子と知り合いか。随分顔が広い子供だな…。
いや待て、二人と知り合いということは…異能者か。
こんな小さな子供が?…恐ろしい世の中だな。つくづく

「じゃ、じゃあ返事はまた今度聞かせてね!あーキミの名前聞いてないや。まぁ桐北君は覚えたから、経由で何とかなるよねぇー。それじゃあまたねっ……!?」

先ほどまでの明るく、そして冷たい笑顔からは考えられないほどの焦り顔。
急用ができたのか、それともこの若宮という少女に関係するとまずいことがあるのか。
どちらは分からなかったが、とにかく翠という少女は足早にこの場を去ろうとした―――が

うむ、見事に倒れたな。私にタメ口という愚かな行為にでるからそうなる。
結果、私の伏兵は見事に成功したと言える
「…あぁ、そっかー。キミ重力系異能者だっけね、忘れてたよ…」

…まだ私にタメ口をするか。生徒なら確実にチェックを入れていたのに…と私は変な所を悔しがった。
遅速重力空間は完成するまでにかなりの時間を要する。今は体が多少重い程度だろう。
翠という少女が手を翳すと分厚い壁が現れ、彼女はそれを支えにして逃げて行った。
しかし私は桐北のことが気になったので、私はあえて追撃しようとは思わなかった。
26神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/03(土) 22:16:01 0

「ふむ…とりあえずは戦闘にならずにすんだな。」
パチンッ
私は指を鳴らして多重に掛けていた重力を全て解除した。
辺りの空気が一気に軽くなる。

「さて、これで桐北も…………?」
桐北のほうを振り返るとまだ箱の中に閉じ込められているようだった。

「この馬鹿を助けるとするか…」
桐北が閉じ込められているのは箱という物体。無重力にすれば恐らくこの箱は浮き始めるだろう。
翠という少女の能力を知るためにも、試す価値はありそうだ。

「『無重力空間』(オーバースペース)」
箱周辺の空間を無重力にすると、少しずつだが箱が浮いてきてるのが分かる。
これで浮くということは、多少特殊な材質で出来ているようだが…普通の箱を作り出す能力とみてよさそうだ。

桐北は必死に箱を出ようとしているが、無重力を移動するのは中々難しいようだ…。
見事に箱にぶつかっている。

…。
桐北が出てくるまで私は見知らぬ少女と気まずい沈黙を味わうこととなった。

【神重:翠を見逃す。桐北を脱出させるために能力を使用。能力の変化は無し。】
27若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/05/03(土) 23:14:49 O
>>15
機関の世襲幹部はNo.2のライマース家、No.3の長束家、No.5の外道院家、No.7のゴールドウェル家、No.11のポポフスキー家の五家である。
世襲幹部はその番号を一族で代々継いでいき独自の組織と機関の要職の運営を行うのが役割となっている。
しかし、独立性が強いことから世襲幹部の意向が度々トラブルの種になっていた。
今回の誠一郎の離脱騒動もそのひとつだとこの時は機関の誰もが思っていた。

「…・‥‥…・…」
修貴の声はこよみの耳には届いてなかった。何かを伝えようとしてるのはわかるが何を伝えたいのかがわからない。
どうやら箱の中もこちらの声は聞こえていないことは推測がついた。
手詰まりの状態になった時突然と箱が浮かびはじめた。
(!?&??…?)
こよみにはこれが浮かぶ箱という単独能力なのか箱と浮かぶという二つの能力なのかの区別がつかなかった。
「はにゃん、よくわからないのです」
冷静に状況を観察し論理的に推考すれば把握できるのだが途中でこよみはそれをなげだし確認をとることにした。
「ファンシースター発動。渡辺さん、あの箱に体当たりなのです」


【若宮:渡辺さん(熊)を浮かんだ箱に体当たりさせて電柱めがけ吹き飛ばそうとする(それで箱を壊すつもり)】
桐北:ものすごい嫌な予感がしてくる
神重:若宮の言動で意図がわかっている
28七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/05/04(日) 00:58:26 0
半ば駆け足気味で統時青年の元を離れた七重は、
地面の所々に、紅い印を点々と残しつつ、
いつかの閑静な公園を再び訪れて、
ベンチの上ではなく、草原に寝転がり、だらだらと暇を潰していた
戦闘で負傷した身体は、あちこちしくしくと痛むが、
特に運動をしない分には、耐えられないほどではない
度重なるストリートファイトで鍛えられた七重の心体は、
生半可な怪我では堪えないようにできている
もっとも、今現在のこの生傷は、とても生半可どころではないのも確かである
事実、七重は、既に身体を動かす気力も失っていた

七重が気に入ったこの公園には、名前が無い
無いわけではないのだろうが、名前を記された看板などの類は、
どこにも見受けられない為、知りようもない
さらに、周辺住人は、この公園を存在しないものとして扱っている所為か、
便宜上の一般的呼称すらついていない
その為、ここは最早公園ですらもなく、
ただ一種の土地であるとしか表現しようがない

ところが、その公園の持つ、
人を寄せ付けぬ結界のような雰囲気が、何よりも、
同じく孤独を好む性格である七重の心を惹いた
性質が似ている者同士、互いに共鳴するものがあるのか、
かの土地に発生している、排他的な空気も、
七重に対しては妙に和らぐようでもある
そして彼もそれに甘んじて、現実にこうして、公園の真ん中に寝転がっているのだ
こんな行動ができるのも、およそ七重だけであるかもしれない
別人では、この公園に足を踏み入れようとした途端、
得体の知れない重圧を感じて、そそくさと立ち去るものだろう
ともかくそんな訳で、この公園は異様なまでに人間から避けられ、
その代わり、七重専用の聖域となっているのである

人間と土地の恋愛があるとすれば、このようなものだろうか
全く、想像も許されない魔領であるが、
七重自身には、そんな風な感情は無いようで、
ただ、心地良い草の感触に身を任せ、ゆらゆらと夢の世界に引き込まれていった
もっとも、たとい思いを寄せる女と床を共にしたとて、このような表情は決して見せそうもない

【移動:薬局より北の空き地。血痕により、足取りが示されている】
【能力:戦場ヶ原に勝利、4/3→5/3】
29梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/04(日) 15:43:00 0
>>16
俺が持ちかけた交渉に対し――青年は、不敵な笑みを見せた。
いけるか?

「フッ……何か勘違いしているようだな?
俺はお前から一方的に情報を得に来たのであって、交渉をしに来たわけではない。
だからお前に求めることは一つ、それは俺の質問に素直に答えるということだ。
では、もう一度問おうか。お前は『組織の場所』……それを知っているか?」

…はぁ?
俺は何も与える気は無いが、情報はさっさと寄越せってことか?

「良い回答を期待する……」

……殺意が湧く。
とりあえずそれを抑えるが…駄目だ、言ってやらないと気がすまない。
「等価交換ってわかるか?
働いた分だけ給料を貰う、紙幣を支払って品物を買う、物々交換をすること。
だけど金を払わずに品物を持っていくなんてのは言語道断だろ!
お前はそれをする気かよ!
それで良い回答が返ってくるとでも思うのか?
ふざけんなよ常識ってものが無いのかこのタコ!」

あーすっきりした。
「……もしかしたら俺の持ってる情報がその『組織』の場所に繋がったかもしれないのになー?
じゃ、俺は他のところ行くんで。せいぜい頑張れよ!」

そう言って俺は屋上から飛び降りて――黒い霧になって消えた。
30梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/04(日) 15:45:02 0



「――――――しっかし、如何したモンだろう。情報も殆ど得られなかったし」
今、俺は青年や神重達から少し離れた路地に居る。
『霧ノ存在』を使って離脱したのは良いけれど、どうするか全く考えていなかった。
少なくともさっきの青年と再会するのだけは嫌だ。
またストレスで胃に負担を掛けようとするようなことは避けたいからな。

白衣を着た男性とすれ違う。
「向こうは行きたくないし、かと言って立ち止まってたら…つーか、この場所がわからないーってのが痛いな」
前にも話したとおり俺はこの近辺は全く分からない。
携帯にGPSは無いのかって?無いよこの野郎。
「ホント如何したモンだろぉーなぁー……お?」
ぶらぶら歩いていた俺の目に『ある店』が映る。
その看板の文字になんとなく惹かれ、ふらぁりと立ち寄る。

「すいませーん、誰かいませんかー!」
そこは国崎薬局。
先程地図で見た薬局だ。
目的はこの近辺の地図か何かを頂くことである。
薬局に立ち寄るような目的ではないが。
「店員さんか誰かいないんですかーっ!俺品物も買わずに出て行きますよー!」


【現在地:建物屋上→路地→国崎薬局】
【梓川 博之:国崎薬局に訪問、誰か居ないか呼びかける】
【返事が無ければ包帯か何かを堂々と盗んで路地に戻るつもり】
31廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/04(日) 18:29:26 0
>>24
>「いいか!困った時は誰かに頼れ! 命を大事にしろ! 自分を大事にしろ!
  何より、自分を心配してくれてる周りの奴等を大事にしろ!!」

(周りを心配してくれてる周りの奴等……か)

俺には、俺を心配してくれる奴等なんて誰もいなかった。
物心ついたときは、親は亡くなった。
メールする程度の友人はいるが、本当の意味での仲間じゃない…
心配するような肉親も生きているのは兄貴だけ……しかも、今じゃどこにいるかは分からない。
分かっているのは、兄貴は生きているという事だけ。
通信手段は数ヶ月に一度送ってくる「俺は生きている、心配するな」と立った一言だけ書かれている手紙だけ。
故に、俺の周りには誰もいないに等しかった

「誰もいねえよ……心配してくれるようなヤツなんてな……」

ボソっと呟いたこの一言。
とても小さな声だったので、国崎に聞こえたかは分からない。

>「その薬は奢りだ。飲んでから安静に寝とけ」

そう言って、国崎は目の前に数個強壮剤を置く。
どうやら奢りとの事だ。俺はもらえる物はもらう主義、遠慮なくもらうことにしよう。

>「俺は、ちょっくら七重の馬鹿野郎をしょっ引いてくる」

鞄を手に取り、国崎は急いで町へ駆け出す。
俺はその様子を見送り、出された強壮剤……
まぁ、分かりやすく言えばドリンク剤を空け、全て飲み干してから言われたように横になった。

>>30
さて、俺は国崎の奢りだというドリンク剤を飲みほし、睡眠をとろうと横になっていた……のだが。

「寝れない…」

当然と言うべきか、俺は寝付けなかった。
当たり前といえば当たり前の話である。
眠気覚ましにドリンク剤を飲む人間を飲むほどだ、寝られるわけが無い。
しかし、人間は横になってるだけで疲れが取れると話に聞いたことがある。
俺はとりあえずその話を信じることにし、ゴロ寝の体勢を続けていた、その時だった。

>「すいませーん、誰かいませんかー!
  店員さんか誰かいないんですかーっ!俺品物も買わずに出て行きますよー!」

店の入り口から響く声に休息が中断される。
普通なら何の負の感情も抱かず「はいよー」と気軽に返事をするのだが……

(んだよ、うっせえなあ……人の休息の邪魔しやがって……)

休息の邪魔をされた今の俺は、かなり不機嫌だ。恐らく、不機嫌だという事も顔に出ているだろう。
しかし、事実上今の俺は店番を任されているようなものだ。
客に悪いイメージを抱かせるわけには行かない。とりあえず、顔の表情を普段どおりに戻し、レジに向かう。

「はーい、ちょっとお待ちになってくださいませー」

自分で言っててかなり変な日本語になってるが、そんなのどうでも良かった。
32廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/04(日) 18:31:29 0
書き忘れた…

【廻間 統時:梓川 博之に対応】
【能力:戦場ヶ原に勝利した事で能力4/3】
33小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/04(日) 19:43:19 0
>>23
ッ!!!!!

土煙から姿を現した時、二つ驚いた

1つ私の鎖を切った異能者――――
幼い少女とは声で分かっていたがまさかここまでとは・・・・
まだ小学生の低学年程度ではないか・・・
こんな少女まで異能を使えるとは世も変わったな

そしてもう1つ――――

その少女が権六と灼熱の色の髪をしていた

まさかあいつの子か!?
だとしたら生かしておけんな・・・・

そんな思想を巡らしていた小村は

とりあえず揺さぶりも兼ねて疑問を投げかけましょうか
もしいきなり襲ってきても保険がありますし・・・・

嫌味や憎悪、歓喜などが混じった笑顔で

「久しぶりですね、山田権六
3年ぶり・・・でしょうか あなたがあの離反事件を引き起こしてから・・」

離反事件・・・・唐突に山田権六が機関から離反するという作戦を決行し
それに便乗して多くの機関メンバーが去ったあの事件―――

「いや、あのときの大捕り物は激しかったですね
うちの情報部にもスパイも居たらしくて
もう飛び交う情報がしっちゃかめっちゃか・・・・そして」



「総指揮をしていた私の地位は大暴落ですよッ」
一瞬憎普段では絶対しない鬼の形相で語気を少し強くし言い放つ
「まぁ、それは後にでもしましょうか
いまは1つ私の問いかけに答えてくれませんか?」

さっきまでの怒りの感情を捨て
言葉を続ける

「その赤髪の少女、あなたの子ですか だとしたらこの街で知り合った女との子ですか?
それとも゛あの゛女との隠し子ですか?」
小村はまたもや笑顔になり返答をまった・・・

【天に問いかける】
【天音のことも知ってる模様】
34戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/05(月) 01:13:53 0
>>33
突如鎖が自然に切断された。
自然に?・・・いや、そう言うにはあまりにも不自然な途切れ方だった。
(敵が勝手に能力を解除したのだろう)
そう戦場ヶ原の中で結論づけた時には、すでにその鎖の主が煙幕の中から姿を現している時だった。

鴉のような漆黒のスーツをかっちりと着こなした凛々しい色男の姿は、それだけで彼が『機関』の人間であることの証拠になりえた。
>「久しぶりですね、山田権六
3年ぶり・・・でしょうか あなたがあの離反事件を引き起こしてから・・・」
黒づくめの男はまるで戦場ヶ原のことを知っているかのように挨拶を交わしてきた。
しかも、その後の話を聞くに、機関員時代の戦場ヶ原――即ち山田権六のことを知っている。

しかし、知ってのとおりこの男は他人の顔と名前を覚えるのが大の苦手な(というか放棄している)のだ。
戦場ヶ原の頭上にははっきりくっきりと「?」の文字が浮かんでいるのが見えたぐらいだ。

そんな戦場ヶ原の態度を無視して、黒づくめは話を続ける。
その言葉の中にあった、『あの女』の言葉に呼応するかのように、戦場ヶ原の表情はみるみるうちに歪んでゆく。
問いかけられた質問に、彼はふらふらと震える足で立ち上がることで応えるのが精一杯だった。

「このガキが俺のガキだァ?・・・貴様は毛の色が同じって理由だけで虎と子猫を親子だと決めつけるのかよ。
その小奇麗な耳かっぽじってよく聞きやがれカラス男。・・・・俺の名は戦場ヶ原。
この街で最強の異能者・・・戦場ヶ原 天 様だ。」

どうやらこの男は自身がピンチであればあるほど傲岸不遜な態度に出たがる性分のようだ。
右腕は失われ、頭部出血過多に全身大火傷。
誰がどう見ても病院直行全治1年コースはかたい重傷だ。
しかし、途方もなく高い(そして根拠のない)プライドだけが、今の彼を支えていた。
今の話を聞く限り、この黒づくめの男は少なくとも『機関』の幹部クラスかもしくはそれ以上の階級を持つ実力者―――。
(この男から近づける・・・・。あの城栄金剛のクソッタレに・・・・ッ!!)
そんな思惑を胸に秘めながら、戦場ヶ原の口からはいつもの「戦場節」が紡がれていた。

「・・・それに、さっきからまるで知り合いみてぇにほざいてやがるが、残念ながら
俺は貴様みてぇな陰気臭ェ知り合いがいるほど人脈も広くないんでね。
・・・名を名乗ったらどうだ、カラス男。」

戦場ヶ原はその特徴的な甲高い声で喚きながらも、小村から見えない左掌に、残されたすべての力を注いで黒球を作り出そうと試みていた。

【戦場ヶ原:リンと小村の間に立ち、あくまでも抗戦の構えをとるが、現在の彼はまったく戦力にならない(のでリンちゃん頑張ってくださいw)。】
35名無しになりきれ:2008/05/05(月) 14:43:06 O
このタイミングで一人でいるキャラに差し向けられる、機関に催眠で操られてるだけの一般人。
脳が無意識にかけてるリミッターが外れてるから軽自動車くらいなら
筋繊維切りながら普通にぶん投げてくるし、痛みも恐怖も無い。
36桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/05(月) 17:35:03 O

突然浮かび上がった箱の中
同じく浮かび上下逆の状態で床に頭をぶつける
これが所謂無重力空間だとしたら、想像より宇宙は気持ちいいものではないのかもしれない

いや、宇宙なら… 少なくとも今感じている危機は訪れずに済むが…

箱使いの逃走
(多分)神重の能力による無重力化

そして…熊
そう、クマのぬいぐるみ
あの子が何かをつぶやいた途端ポケットから現れた人よりデカいクマ
そのクマを、あの子はこの箱を指刺しけしかけてるのだ
声は聞こえないが『壊せ』『ぶつかれ』とかそんな命令だろう

「…冗談じゃねぇぞ!?
中にいる自分はどうなる!? 仮に出られても無傷じゃ済まないよ!?
ちょ、やめっ、こっち見てストップ!!」
必死に身振り手振りで停止を促すが
彼女は気づきもせず、クマと話していた
…初めて子供の純粋な笑顔が憎かった

「って、先生見てないで止めろよ! 浮いてんのあんたの力だろ!
あー! てか鞄返せ! なに我が物顔で持ってんすか!?」

彼女は諦め、神重に頼るが結果は散々だった
向こうからは手足をバタつかせて何か騒いでる程度にしかわからなかったのだろう…


そして視界が一瞬にして暗くなった
とてつもない跳躍力でやって来たクマが
斜め下からショルダータックルの形で箱にぶつかってきたのだ
あの時のクマの邪悪な笑みを…
自分は生涯忘れられないだろう

37桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/05(月) 17:38:35 O

無重力により、箱は一切の抵抗をせずクマと逆向きの方に吹っ飛んだ
中はたまったものではない。ミキサーよろしくあちこちにぶつかり振り回される

狙っていたのだろう電柱に箱が激突すると、一つ、また一つとヒビが増え
分厚いガラスが砕けたような音を立てながら決壊した

自分は、放り出されていた
壊れる寸前に中で飛んだ方向が悪く電柱の横を過ぎる形で飛ばされていた

「うああああああああああああぁぁぁぁ!!!!」


そのコースにあるビルの屋上に人影が見えた
まずい、このままでは激突する


「すぃませぇぇぇん!! よ、よけてくださあぁーーい!!!」




桐北修貴:箱から脱出するも反動で池上のいるビル吹っ飛ぶ
人影(池上)をちらっと見たので無我夢中に叫ぶ
鞄は神重が持ったまま
38名無しになりきれ:2008/05/05(月) 18:34:57 O
桐北達の場所はなんかほのぼのしてていいなw
39池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/05(月) 19:41:02 0
>>29
>「……もしかしたら俺の持ってる情報がその『組織』の場所に繋がったかもしれないのになー?
>じゃ、俺は他のところ行くんで。せいぜい頑張れよ!」
男はそれだけ言うと、屋上から飛び降りた。
すぐに屋上に張られたフェンスに駆け寄り、下にいるはずの男の姿を確認しようとしても、
男は既に、文字通りその姿を消していた。

……こいつは予想外。闘わずして逃げる奴がいるとは。
しかも逃げ場の無い屋上から、完全にその姿を消して。
……まぁいい。この殺し合いに参加している以上、いずれまた遇うことになる。
奴が俺の能力を知っているわけでもないし、消すのはその時でも遅くはない。

「さて……」

俺は下界を見下ろす。
視線の先には、先程まで戦闘を繰り広げていた二人の男女の姿……
それと明らかに人の形をしていない物体が一つ、存在していた。

先程と数が合わないな……。
俺が黒コートと話している内に誰かが殺られたのか、逃げたのか……。
それより気になるのはあの奇妙な物体だが……あれは何だ?
上からでは良く分からんな……。
……まぁいい、何にせよこれから俺が下の奴らに話を聞きに行く予定に変わりはない。
奴らも黒コートのように何も話さずに逃げると考えるもしれんが、今度は逃がさん。
逃がすくらいなら即座に消してやる……。

俺は振り返り、先程上ってきた階段に向かって歩き始めた。
そんな時、突如背後で割れ物製品が勢い良く破裂したようなけたたましい音が
鳴り響いた。そして後ろを振り返って音の出所を確かめる間もなく、
今度は人の悲鳴、絶叫ともいうべき声が俺の耳に飛び込んでくるのだった。
40 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/05(月) 19:43:11 O
>>38
あ〜、ちょっと展開が軽すぎましたかね?
すいません。反省します
41池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/05(月) 19:46:19 0
>>37
>「うああああああああああああぁぁぁぁ!!!!」
徐々に近付いてくる声に、俺は咄嗟にその場から離れた。

>「すぃませぇぇぇん!! よ、よけてくださあぁーーい!!!」
次に回避を促す人の声が俺の耳に届いたが、
しかしそれより早く、既に俺は安全と思われる位置まで避難していた。
瞬間、何かがフェンスを突き破り、コンクリートで塗り固められた屋上の床に
叩きつけられる音が鳴り響いた。
目で確認してみると、どうやらその何かは人間らしい。
フェンスに激突し、叩きつけられた時の衝撃が大きかったのか、
目の前の人間は倒れながら悶絶している。

屋上に向けて人間が飛ばされるという異常な事態と、
目の前の人間を視認してから断続的に走る右手の痛みが、
俺に一つの事を確信させていた。こいつは異能者であると。

何か意図があってここに飛んできたのか、それとも単に攻撃を受けて
偶然にここに飛ばされてきたのか……まぁ、いずれにしろ話を聞きにいく
手間が省けたというものだ。まずはこいつから聞いてやる。

「派手な登場だな。それがお前の能力か?」

男は頭の上に「?」をつけているような顔をする。
流石に違うようだな……まぁ、そのくらいのことはこちらも分かっていたが。
しかし俺の問いかけによってか、男も俺が異能者であると気付いたようだな。

「お前に一つ聞く。『組織』の場所を知っているか?
知らないなら知らないでいい、だが知っているなら素直に喋ることだ。
隠し立てしても碌なことにはならんからな……」

「二度は聞かない。さぁ、答えてもらおう」

【池上 燐介:桐北に組織の場所を問う】
42名無しになりきれ:2008/05/05(月) 19:47:21 O
>>40
いや、俺的には殺伐としてる中でこういう文章もいいなぁ…と思ったんだが

気分害したらすまん
43 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/05(月) 19:50:31 O
>>42
いえ、そう言ってもらえると助かります

中にいるヤハウェ覚醒っていう邪気眼展開も考えてますし
しばらく要所要所軽めにいきますよw
44神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/05(月) 21:21:00 0
桐北もそう時間は掛けずに出てこれるだろう。そう考えていた時

「はにゃん、よくわからないのです」
隣から少女の声、何が分からないというのだ?

「ファンシースター発動。渡辺さん、あの箱に体当たりなのです」
…ああ…なんとなく分かった。この子は今何故この箱が浮かんでいるのかを理解できていない。
そして考えるのが面倒になったのだろう。渡辺さんと呼ばれた熊に指示を出し、箱を潰すつもりだ。

桐北が必死な顔をしてこちらに静止を呼びかけている…ように見えるが
私は知らん。この熊に手を出すなと本能が呼びかけていたからだ。

「桐北…グッドラック。」
その言葉を呟いた瞬間、あの熊が箱を目掛けてショルダータックルをかましていた。
「…手を出さなくて…正解だな。」
手出ししていたら恐らく自分も…ああなっていたのだろう。箱は見事に電柱目掛けて吹き飛んでいた。

「うああああああああああああぁぁぁぁ!!!!」
箱が壊れる瞬間、桐北はビルの屋上へと飛ばされていった
素晴らしい叫び声を残して。そのあと続けて声が聞こえた気がするが。叫んだ内容は私には聞こえなかった。

「さて、帰るか。」
このままこの場にいてもすることがない。
何よりもあの熊の人形が不気味だった
チラッと熊の人形を見てみると…こちらを向いて笑っている…不気味だ…。
長居すると、この熊に何かされそうな気がした。
そのため、どうにかして私はこの場を早く立ち去りたかった…が

「しまったな。桐北の鞄を取り上げたままだった。」
桐北の持ち物チェックをした時に取り上げた鞄を
そのまま持っていることを思い出した。
鞄の中身は大金…もし、桐北が能力を使って奪った金なら、それこそ死刑モノである。
その事を思い出し、私は屋上へ向かうことに決めた

「仕方が無い…屋上に行くか…」
だが、その前に言うことがある。私の近くにいる少女にだ。
この少女も桐北の知り合いのようだし…。一応聞くことは聞いておかないと。

「私は今から桐北のところへ向かうのだが、君もくるかな?」


…熊がこちらを睨んでいる気がするが、気のせいだよな…?

【神重:鞄の中身を聞くために屋上へ向かおうとする
    若宮に同行するかどうかを訪ねる。】
45若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/05/05(月) 23:39:34 O
「まさかりかついだ レナたろう〜♪」
微妙に間違った歌詞を熊の背中の上で歌うこよみを神重は五分前の行動を後悔しながらその後方を歩いた。


>「私は今から桐北のところに向かうのだが、君もくるかな?」

「渡辺さんはどうなのです?」
こよみの問いにガウガウ―とぬいぐるみがうなずきながら声をあげる姿はシュールである。
「俺はツッコミキャラじゃない」
神重は少女の巻き起こす状況をスルーすることに決定した。

階段で屋上まであがると悶絶中の桐北に青年?が話をしていた。
「よかったのです。大丈夫でしたのです」
「大丈夫じゃないしぜんぜんよくない」
悶絶しつつツッコミをいれる桐北を神重の冷たい視線がつらぬいた。
その視線の方向にグレーの影が動いた。数秒まえまで背中に乗っていた少女は天井を向いて倒れている。
暴走という言葉が辺りの空気をつつんだ時、熊は桐北の顔をなめはじめた。
「渡辺さんはおにーさんのことお気にいりみたいなのです」
起きあがったこよみの一言で場の空気は安堵に変わったがそれは一瞬にすぎなかった。
「渡辺さんは恋する乙女になったのです。おにーさんはモテモテなのです」
「メスかぁぁぁぁぁぁ!」
屋上にツッコミの声がこだました。
46若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/05/06(火) 00:47:44 O
こよみが熊に抱かれて放心状態の桐北の頬をつついて遊んでいると西からローター音が近づいてきた。
ローター音がビルの上空を通りすぎ銀髪の青年が会話を再開しようとしたときヘリコプターはUターンをしてビルの上空でホバリングをはじめた。
AH-1Z“バイパー”―米軍の最新鋭の攻撃ヘリである。現在配備中のAH-1W“スーパーコブラ”の後継機で対電磁波能力や光学センサーシステムの最新技術を導入し21世紀の攻撃ヘリとも言われる機体である。
敵の襲来を予想し全員が物陰に身を潜めた。ヘリはそのままゆっくりと高度をさげ屋上まで1mのところでヘリが煙のようにかき消えると変わりに妙齢の女性が現れた。
女性の服装はメイド服というものだった。それもクラシックタイプとか王道タイプと表現されるものだ。
「美弥子さんなのです」
メイド服の女性は三名の男には目もくれずにこよみのもとに歩いていった。
「こよみ様、今日は誠一郎様に早く帰るよう言われていたはずですよ」
「ごめんなさいなのです」
「しょうがありませんわね。トラブルもあったようですし」
美弥子と言われた女性は周囲を見渡すと三名の男達に深々と礼をすると自己紹介をした。
「わたくしは長束誠一郎に仕える葛野美弥子と申すものです。本日、あなた方を夕食会にお誘いしたいと御主人様がもうしております。どうか御屋敷までいらしてもらえないでしょうか?」





【桐北・神重・池上:長束誠一郎の屋敷(といってもマンション)に招待をうける】
47梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/06(火) 17:07:08 0
>>31
はっきり言って誰も居なさそうだったが、やはりというか返事は返ってきた。

「はーい、ちょっとお待ちになってくださいませー」

奥から出てきたのは、自分と同じくらいかそれ以下の年齢の青少年だった。
…頭に包帯を巻いているのは何故だ?
そしてちょっとだけ不機嫌そうだった?

「従業員さん、怪我人だったかぁ。なんか悪い気がするなー。
だけど悪いと思うんだったら帰れみたいな発想はやめてくれ!
俺にとっちゃ大事なんだ……本題を話そう」

いつに無く真面目な―――まるで、裁判中の判事や弁護人のような―――顔をして、話を続ける。

「―――この近くの地図みたいの有る?道に迷ったんだよ」


………あ、今絶対怪訝そうな顔をしたな。

「いやいやふざけてるわけじゃない。
そう!道に迷うという事は命の危険にもなり得るからだ!
山で遭難したときなんかそうだ!飢え死にの危険がある!動物に襲われる危険もある!
街でも同じ!何処に何があるか分からなければ行き倒れになりかねない!
何?街は安全じゃないかって?甘い、甘すぎる!
まるで何処かのファミレスで出てくるスウィートなんとか以上に甘いぜええ!!
そりゃあ山よりも危険度は低い。だ、が!」

「不良に襲われたら如何する?格闘技をやってる奴なら大丈夫だと?まだ甘い!
相手が何人も居たら如何する?逃げるしかないよな!
そんなときに道に迷って袋小路になんて逃げたら不良に追い詰められるだろうがあああああああ!!
……そういうことだ。道を知らないということの危険性に気付いてくれたかな、同士よ!」
フッ、決まったな。


あ、ドン引きだ。


【梓川 博之:近辺の地図を求めるついでに迷子の危険性を熱く熱く語ってみる】
48神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/06(火) 18:56:41 0
>>45

「まさかりかついだ レナたろう〜♪」
若宮と呼ばれる少女は、何か間違えた歌詞を熊の背中で歌っている。
「同行は…失敗だったか?」


「渡辺さんはどうなのです?」
ガウガウーと熊のぬいぐるみが答えている。この状況は非常にシュールだ。カメラを持ってきてなかったことが悔やまれる。
だが、この少女の起こすこと全てに突っ込んでいてはキリがない。そう考えた私は――
「俺はツッコミキャラじゃない」
こう答えることにしておいた。
言ってから自分が普段の口調に戻っていることに気がつき、慌てて口調を作り直す。

-屋上-

ビルの屋上へつくと、桐北が悶絶していた
「あの馬鹿め…」
そしてその近くに、見知らぬ青年が一人、桐北に話しかけていた。
だが、その雰囲気は決して友達同士や他人同士の会話の雰囲気ではなかった。
例えるなら、そう敵同士が会話している時の雰囲気だった。

「よかったのです。大丈夫でしたのです」
その緊迫した空気の中で、桐北が無事だったことを安心したのか、若宮は安堵の声を出すが
「大丈夫じゃないしぜんぜんよくない」
…まあ当然だろう、体は無事に見えるが、どこかに体をぶつけて悶絶している人間に向かって
大丈夫、よかったなどと言われたものなら、私だってこう答えるだろう。

だが、それよりも今お前は敵と会話しているんじゃないのか。
無視されたほうはたまらんぞ。そう思って桐北に冷たい視線を向けていると
突如私の視界にグレーの影が入り込んできた。驚いて若宮のほうを見ると天井を向いて倒れている。
どうやら攻撃指令を出したわけではない…とすると…暴走…?

その考えが頭をよぎったが次の若宮が発した言葉でそうではないことがわかった
「渡辺さんはおにーさんのことお気にいりみたいなのです」

どうやら、熊が桐北のことを気に入ってるらしい。結構なことだ。
「渡辺さんは恋する乙女になったのです。おにーさんはモテモテなのです」


…乙女……この熊が…?
49神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/06(火) 19:00:19 0

桐北は放心状態になっている…あの熊に抱きしめられているのだ、当然といえば当然だろう。
そして放置されていた青年が会話を再開しようとした時、さきほど通り過ぎたヘリがこちらへ戻り
ビルの上空でホバリングをはじめた。
「あれは―――バイパー…?」

バイパーといえば最新鋭の攻撃ヘリとも言われている機体だ。
誰だよ、あんな大層な代物でわざわざくる奴は………まさか、組織とかいうやつらか。
私の心配をよそに、ヘリから降りてきたのは…メイド服をきた女性だった。

「美弥子さんなのです」
若宮が声を上げる…もう突っ込む気にもなれない…。
小さな異能者、不気味な熊、最新鋭の攻撃ヘリ、おまけにメイド服の女性ときた。私の疲労はかなりたまっている。

メイド服の女性は若宮の下へ向かい、会話をはじめた。
「こよみ様、今日は誠一郎様に早く帰るよう言われていたはずですよ」
誠一郎と呼ばれるのがこの子の父親か、どこかで聞いたような気がしなくも無い。
「ごめんなさいなのです」
「しょうがありませんわね。トラブルもあったようですし」
メイド服の女性はこちらを見渡し、自己紹介をはじめた。

「わたくしは長束誠一郎に仕える葛野美弥子と申すものです。本日、あなた方を夕食会にお誘いしたいと御主人様がもうしております。どうか御屋敷までいらしてもらえないでしょうか?」

言われて私はコンビニで食べ物を買う予定だったことを思い出す。
夕食会か…丁度腹も減っていたところだ。その提案には賛成したいところだが

一人では少し不安だな…残る二人のどちらかがくるなら行こうとは思うが…。
いざとなったら桐北は成績のこと云々で連れて行けるだろう。
教師にしては最低の事を考えながら、残る二人の反応を私はうかがった。

【神重:夕食会へは出席したい意志を見せてはいる。
    残る二人の反応をうかがう。】
50国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/06(火) 19:34:18 0
>>28
「ったく、どこ行きやがったんだあいつは!」
街中を走り回ったが、未だ七重は見つからない。
一般の施設や、『堅気でない』人間が隠れたがる裏路地や病院なども
見て回ったのだが、そのどれもが空振りに終わっていた。
そして、それらの場所の多くの場所に異能者同士の戦いで破壊されたと
思われる痕跡が残っていた事は、俺が焦りを覚えるのはに十分だった。
爆撃でも受けたかの様に破壊されていた公園や、
テロ屋の襲撃でも受けたのかと思われる様相だった博物館。
あの中に、自分の知っている青年がいたのかと思うと、気が気でない。

「あと探してないのは、北の方か」
頭の中に街の地図を思い浮かべながら呟く。
薬局から北の方は、住宅街と呼べる造りの地域だ。
(……しかし、あっちには隠れられる建造物は無かったと思うんだがな)
俺は、一旦薬局の近くの道路に戻り、情報を吟味しながら走る。 と。

アスファルトで舗装された道路の路面。そこから放たれる
嗅ぎなれた薄い鉄の臭いに、俺は足を止めた。
(この臭いは……血か?)
良く見れば、路面には、ぽつぽつと色つきの液体が染み込んだ後があった。
そしてそれは、まるで誰かの行く先を示すように、アスファルトの上を続いている。

「怪我……それも、けっこう酷いやつだな」
そう言った所で、俺の脳裏に先程廻間の話した情報が蘇る。
>「そういや、俺よりもひどい怪我だったな……今からなら追いつけるかもしれない。
>俺、追いかけて連れ戻してくるぜ」
そう。こんな怪我をして、なおかつそのまま歩いている奴。それは即ち……

再び走り出した。血痕は延々と続いている。
それを追いかけて、角を曲がり、道を横断し、人を追い抜き、疾駆する。
何度かその行為を繰り返し――――辿り着いたのは、空き地だった。

(こんな場所があったのか……)
思わず立ち止まって、その中を見回す。
そこは、特に変わったところの無い空き地だった。
いや、概観上は公園といった方が適切なのかもしれないが、
余りに静謐とした、他を排除するような、子供の姿一つないその姿を呼称するには、
公園よりも空き地と呼ぶほうが相応しいと、俺には思えた。

そして、視線が止まった先。その空き地の草叢に、七重はいた。

「……廻間のボウズの言ったとおりだな。
 七重。お前さんは、治療も受けずにここで一体何をやっていやがんだ?」
最初にその姿を見た時は、その余りに安らかな様子に、出血多量で
既に死んでしまっているのではないかと背筋が凍ったが、
規則的に上下する胸板を見て安堵し、俺は多少の、
しかし明らかに険を込めた声でそう呼んだ。
そうして俺は、多少なり驚いた様に見える七重の方に歩い行こうとして
51国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/06(火) 19:37:04 0
>>35
殺気は無かった。闘志も感じなかった。攻撃の意思すら無かった。
俺がその急襲に反応できたのは、単に積み重ねられた経験によるものだった。

トスッ。と音を立てて地面に落ちたのは、磨き上げられた銀色の刺身包丁。

「おいおい、危ねえな。そんなモン突き刺したら死んじまうだろうが。お嬢ちゃん」
振り向き様にコメカミに掌底を入れ、意識を落とした襲撃者の姿は
『ただの女子高生』だった。……いや、ただのというのはおかしいか。
視線は虚ろだったし、先の攻撃も、殺気を消したのではなくそもそも意思が存在していなかった。
それは、言うなれば人形。昔何度も見た『操られている人間』と同じ姿だった。

(機関の連中か……胸糞悪い真似しやがる)
こうなった人間は、専門の治療をしなければ中々元には戻らない。
俺は、倒れた少女の腕をポケットから取り出した紐で後ろ手に縛り、
「ああ、ビビった……さて、説教なりなんなり言いたいことは色々あるんだが、
 なんかヤバイ状況みたいだし、お前も無事みたいだから、
 店に戻るまでは黙っておいてやる。 帰るぞ、七重」
そう言って、七重に手を差し出した。
【国崎:公園にいる七重を発見し、店に戻るように言う。
 襲撃してきた女子高生は、どこかで電話を借りて119番しようと考えている】
52廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/06(火) 20:13:59 0
>>47
>「従業員さん、怪我人だったかぁ。なんか悪い気がするなー」

ハッキリ言って怪我はもう平気なのだが…正直あまり相手にしたくない。
見たところ年上だろうが、そんなのは関係なかった。
そして、男の発した次の一言に俺は驚愕せざるをえなかった。

「―――この近くの地図みたいの有る?道に迷ったんだよ」

…地図?いわゆるマップ?タウンマップ?
薬局に地図なんてあるのか…?大体、地図は図書館か書店で探す物じゃあないのか?
俺が顎に手を当てて思考している間にも、男はどんどん語りだす。
…まぁ、それは置いといてだ。
私的に使ってるものならあるかもしれないが、それは売り物じゃあないだろう。
売り物じゃあないならこの男には出さないほうがいい。
だいたい、店内を見回したところ地図なんて無い。
と、なれば答えは一つ。売らないのではなく…売れないというのが、俺の答えだ。

「道を知りたいなら…交番が一番いいんじゃないですかね。
 それに、自分はちょっと店番を任されてるだけの身分なんで…勝手は分からないし…」

自分はたまたま店番を頼まれているという感じで、問を返す。
某ロボット青狸のガキ大将と同じという感じだ。
とりあえず、地図の事は国崎が帰ってきてから聞こう。

【廻間 統時:梓川の要求を丁重に断る】
53桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/06(火) 20:21:22 O
フェンスを突き抜け床を凄い勢いで転がりやっと止まった時は全身擦り傷だらけだったが生きてるだけで拾い物、といったやつだろう
しばらくのたうち回っていたが改めて手足を動かし生を実感する
無重力が解除されているが
自分ではなく箱が対象だったからか、単純に射程距離から離れたのかわからないが
とにかく生きてる

「い、生きてる? 一瞬走馬灯見たけど生きてるんだな?」

ひとまず安堵し、周りを見渡すと一人のやや年上?といった長髪の男性がこちらを見ていた>>41
さっき見た人影の正体だろう

「あ、あの〜 大丈…」
「派手な登場だな。それがお前の能力か?」
「…はい?」

あなたもですか? てか開口一番がそれですか?
初対面なのに偉そうだし、ちょっと心配してもいいんじゃないですか?

「お前に一つ聞く。『組織』の場所を知っているか?
知らないなら知らないでいい。だが知っているなら素直に話すことだ。
隠し立てしても碌な事にはならんからな……」
「二度は聞かない。さぁ、答えてもらおう」

いよいよ開いた口が塞がらなかった
何この人…、拒否権無しですか?
なんか目が『どのみち殺す』て語ってるよ
目は口ほどに物を言う、と言うがここまではっきりわかるのは初めてだった
それほどこの男の目は本気なのだ

(…場所なんて知るかよ!? こっちが知りたいくらいだよ!)
「さ、さぁ〜… 知らないですね〜…」
54桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/06(火) 20:24:32 O
回答が不満だったのか、目がどんどん険しくなる
無意識に後退りして冷や汗をかいた時だ

>>45
「よかったのです。大丈夫でしたのです。」

クマに乗った女の子と神重が乱入してきた
ひとまず助かったが…、あの子はこの傷が大丈夫に見えるのだろうか…

「大丈夫じゃないし、ぜんぜんよくない。
第一その、ク…、マ……、が…」

文句を言おうとしたそのクマが目の前にいた。デジャヴーを感じた
(殺される! 今度こそクマに遊び半分で殺される!!)
体中が震え早めの家族再会を覚悟したが
やってきたのは爪でも牙でもなく生暖かく少し気持ち悪い舌だった

「渡辺さんはおにーさんのことお気に入りみたいです」
そんな光景を楽しそうに見ていた彼女の言葉に本日二度目の生を実感した

「渡辺さんは恋する乙女になったのです。
おにーさんはモテモテなのです。」

が、すぐに悪寒に変わる
ぬいぐるみに恋愛対象に見られても嬉しくない
ダッチワイフか?ロー○ンか?

「メスかぁぁぁぁぁぁ!」
55桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/06(火) 20:28:58 O
>>46
しばらくの間、自分はやっぱり遊び道具にされていた

神重も長髪男も余りのトンデモ展開についていけないらしく、ただ呆然と見ている

数分後、このままじゃいけないとやっと思い出したのは長髪のほうだった

改めて何かを聞こうとすると、上空にヘリコプターが通ろうとしたため一旦止める
通り過ぎたので話を再開しようとしたら今度は今のヘリがこちらに向かってきたので慌てて物陰に隠れた
つくづくこの人もタイミングが悪い人だ…

神重も隠れ、自分は…、体が動く前にクマに隅の方に投げ出され、またフェンスに頭をぶつけ悶えていた

今出来たコブをさすりながら中央を見ると、あるはずのヘリが消えそのかわり…
「め、メイド…さん?」
メイドがいた。頭から爪先までお話に出てきそうな完全なメイドだ
普段なら「すげー凝ってるコスプレだなーw」で携帯カメラぐらいは使うんだろうが
生憎(よく見るとヤバい物を付けてる)ヘリを一瞬で消し
異能者のあの子と話してるのを見るとあまりいい予感はしない…

「わたくしは長束誠一郎に仕える葛野美弥子と申すものです。本日、あなた方を夕食会にお誘いしたいと御主人様が申しております。
どうかお屋敷までいらしてもらえないでしょうか?」

ほら来た。やな予感的中
ぬいぐるみのあの子には恩はあるけど、だからってヘリを出したり消したりするメイドさんのお誘いを
簡単に受け入れるもんですか。絶対何か裏があるに決まってます

「夕食〜? あぁ、悪いんですけどうち家に猫飼ってまして…
帰んないといけないので、今回はお断りしますわ」



桐北修貴:全身擦り傷、頭にコブ
夕食会を怪しみ断る
56煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/06(火) 21:42:17 0
>>34
(・・・名を名乗ったらどうだ、カラス男)>>

「そうです!早くなまえを言いなさい!」

(そうそう、早く名前を言ってください、それにしても山田権六といえば…)

「って、え?知り合いじゃないんですか?」
てっきり知り合いとばかりおもっていたので首をかしげる。

首をかしげた、拍子に戦場ヶ原の手が見えてしまった。
戦場ヶ原の手の黒球をみて叫ぶ

「天さん!やめてください!」
そう言って天の手を握る。

「この人の相手は私がします」
凛とした表情で言い張り、戦場ヶ原の前に出てかばう。


【山田権六の名に違和感を覚えつつも戦場ヶ原の力を打ち消し、戦場ヶ原をかばう】
57神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/06(火) 21:54:56 0
>>55

「夕食〜? あぁ、悪いんですけどうち家に猫飼ってまして…
帰んないといけないので、今回はお断りしますわ」

桐北はこう答えた。
当然だろう。まったく正体が分からない人物から夕食会を誘われたら…誰でも断るとは思う。
しかし、この夕食会は何故か参加するべきだと私の勘が告げていた。
ただ単に腹が減っていただけかもしれないが

私は桐北に近づき、こう囁く
「教師命令だ。この夕食会は絶対参加しろ。でないと留年に王手をかけることになるぞ。」
教師としては最低かもしれないが、とにかく桐北を参加させたかった。

「それにだ、全身擦り傷を負って家に帰るつもりか?間違いなく職務質問を受けると思うが――
 それともう一つ。あの熊が帰らせてくれるとは思えんがな…。」
熊を見るとこちらを向いて笑っている。いや、桐北を向いているのだと思おう。
桐北の顔が青ざめているのがわかる。

「更にもう一つ」
まだあるのかと言いたげな桐北に私はとどめの一言を加える。

「この鞄…今だれが持っていると思う?大金が入った、この鞄を」
私は桐北の前に鞄をちらつかせる。やっぱり私は人間として最低かもしれない。

しかし、この鞄の中身について聞くまでは、私は桐北と離れるわけにはいかないのだ。
これでも行かないという時は…能力を使って無理矢理つれていくしかないな。

【神重:桐北に無理矢理同行させようとする
     鞄は未だに神重が所持】
   
58七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/05/06(火) 23:58:40 0
>51
夕日から発せられる橙の光は、
青みた草木に反射させられ、得も言われぬ色彩を形作っている
風が吹くたび、そよぐ若葉が眩しい
無愛想な公園は、時ならずして、拙くも化粧を施した少女のように輝いていた

>「……廻間のボウズの言ったとおりだな。
  七重。お前さんは、治療も受けずにここで一体何をやっていやがんだ?」

突如、鋭利な声
ぎくりと反応して、上半身を起こした七重の視線の先には、
どこか疲れた様子の国崎がいた
廻間のボウズがどうの、というのを聞いて、
また奴は何か余計な事をしたか、と、七重は不貞腐れたような表情をする
今しがたの国崎の問いのことは、黙殺するつもりのようで、
ちらちらと視線を泳がせるのみであり、取り合う様子はない

ふと、その二人の間を、ギラリと光る何かが滑空し、
軟らかに湿った地面へ勢い良く突き刺さる
横目にて、それを刃物だと確認した七重は、
何らかと声をかけようとして国崎を見るが、
思いがけず、彼の背後にて、何かを放った後のような女性を発見した
どうやら高校の制服を着ているようだが、
先程の刃物の主はこの女なのだろうか

七重が行動を起こすまでもなく、国崎は素早く身を翻すと、
彼女の即頭部を強かに打撃して、気絶に至らせたようだった
その一連の動きは、非常に鮮やかであり、七重は感嘆して溜息をつく
どうやら、格闘技が趣味というのは嘘ではないらしいが、
それにしては慣れすぎではないかと、少しばかり訝しんだ

地に伏せた少女の腕を、ポケットから出した紐で縛ると、
国崎は七重に対し、帰宅を促す言葉をかけ、手を差し伸べる
ところが、その意図が上手く伝わらなかったのか、
七重は自力でさっさと立ち上がると、
地面に刺さったあの刃物を引っこ抜き、
取っ手を向けて、国崎の手に握らせた
この程度のコミュニケーションのずれは、お愛想であろう

女子高生の方は、倒れこんだまま、時折びくびくと痙攣しており、
その傍らに男二人が立っているとなると、
下手をすれば誤解を招きかねない様相である
今日の厄介ごとは、これぎりで勘弁だということで、
七重は大人しく、国崎についてゆくことにした

【国崎に従う。女子高生はどうでも良い】
59池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/06(火) 23:59:54 0
>>53
>「さ、さぁ〜… 知らないですね〜…」
男は弱々しくそう答えた。

「そうか……」

知らないのであればもう用は無い。この場で消してやる。

心の中でそう決め、能力を発動──……させようとして、俺は止めていた。
近くに新たな気配が来ていることを察知したからだ。
右手の警告によって、その気配の持ち主らが異能者であることは明らかであった。
俺は目線だけを気配のする方向に向ける。

数は一人……いや、二人。
しかもどうやら下界にいた男女の内の、あの少女と眼鏡男か。
倒れている目の前の男に何やら話しかけているという点からして、
この三人は互いに何かしらの関係を持っているのだろう。
フン……最悪、これで三対一になったわけだが、逆に考えれば一人ひとりを
相手にする時間と手間が省けたことになる。

そう考えながら、さり気なく体の状態を確認する。

昨日受けた傷はほぼ100%回復している。
異能者を探して街を彷徨った数時間もまんざら無駄ではなかったようだ。
これならば仮に能力を100%使用することになっても、
その時の能力行使には何の支障もあるまい。

俺は目の前の男に喋ったのと同じ内容の台詞を二人に言おうとした。
しかし、普段は聞きなれない耳障りな音が近付いてくるのを感じると、
その寸前で口を開くのを止めるのだった。
そして代わって音のする方向、すなわち上空を見上げた。

──ヘリか。しかし……ただのヘリではなさそうだ。
形状から見ても、少なくとも民間用の物とは思えん。
60池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/07(水) 00:08:16 0
一体このヘリは何なのだ……などと考えている内に、
いつの間にかそのヘリからは何者かが降りてきていた。
降りてきた者は、見た目からしてまだ若いと分かる女性だったが、
口振りから考えればどうやらあの少女と知り合い……
いや、それよりもっと深い関係であるようだった。
例えればお嬢様とそれに付き従う世話係、などと言ったところだろう。

>「わたくしは長束誠一郎に仕える葛野美弥子と申すものです。本日、あなた方を夕食会にお誘いしたいと御主>人様がもうしております。どうか御屋敷までいらしてもらえないでしょうか?」
女は深々と礼をしながら自己紹介を済ませ、屋敷に招待したいと言ってきた。
それを聞いた俺は即座にこう切り返す。

「貧乏な学生にとって夕食をご馳走してくれるという申し出は確かに有り難い。
しかし、得体の知れない人間のもとに行く話になど、こちらが二つ返事で応じると思うか?」

少女との会話からして、長束とかいう男は恐らく少女との血縁者に近い者と思われる。
一体どんな意図があってこの人選にしたのか……年齢などに接点は見出せない。
ただ一つ、現時点で俺を含めた四人に共通して言えることは、全員が異能者であること。
異能者の血縁者がこうして異能者を呼んでいる……
この点に何か気になることがあるのは確かではあるが……。

俺は表情を変えず言葉を続けた。

「だが、長束誠一郎とは何者か? 何故、どこの馬の骨かも分からぬ男を呼んだのか?
最低限それらに答えていただけるのであればその申し出を受けよう」

とりわけ無理な条件ではないはずだ。
これらに守秘義務があると言うのであれば行く必要は無い。
何かが気になるのは確かだが、正体すら分からない人間の誘いを受けるなど、
自身への危険を増やすだけになるだろう。

隣では男二人が何やらと会話しているようであったが、
俺にはそんなことに興味は無かった。
俺は、女の返答を待った────。
61小村 禅夜@代理:2008/05/07(水) 06:43:46 0
>34 >56
>「このガキが俺のガキだァ?・・・貴様は毛の色が同じって理由だけで虎と子猫を親子だと>決めつけるのかよ。

「ふふふ、確かにそうですね」
今の言葉がすこし可笑しかったらしく笑った

>その小奇麗な耳かっぽじってよく聞きやがれカラス男。・・・・俺の名は戦場ヶ原。
>この街で最強の異能者・・・戦場ヶ原 天 様だ。」

「戦場ヶ原 天?」
権六とは別人・・・というわけではなさそうだ おそらく偽名であろう

それにしても権六の返答に小村はいささか驚いた

彼は見たところ右腕の損失、頭部からの出血、さらには体中に火の粉のシャワーでも
浴びせられたような大火傷まで負っているのだ

なのに彼は余裕の顔をして、
まだ相手を挑発するような態度をとっている

おそらく、昔からの性分なのでしょうね
あの男の―――――

「なるほど、最強のと、いいますか
流石カノッサ時代の鬼神様だ いう事がでかい」

小村はいまだへらっとした笑顔で手を叩く

>「・・・それに、さっきからまるで知り合いみてぇにほざいてやがるが、残念ながら
>俺は貴様みてぇな陰気臭ェ知り合いがいるほど人脈も広くないんでね。
>・・・名を名乗ったらどうだ、カラス男。」

>「そうです!早くなまえを言いなさい!」

ん?、そうか彼とは離反事件のとき直接あっていないから向こうはこちらを知らないか
あの少女も知りたがってるそうですし・・・

「いいでしょう 教えてあげましょう
私の名は小村 禅夜 機関のいつもどこかに派遣されてるしがない幹部をしてます」

一瞬、偽の名前と役職を言おうとしたが・・・やめた
普段ならそうしていただろうがしつこく今は少し興奮状態だ
そんな嘘をつく気分ではなかった
62小村 禅夜@代理:2008/05/07(水) 06:45:04 0
そんなことを考えていると

>「天さん!やめてください!」
>そう言って天の手を握る。

少女が突然叫んだ
何事かと見てみると権六の手に黒球が作られていた

あの状態でまだ異能を使えるとは・・・
異能は体の精神力と強い結びつきがある
あまりにも異能を酷使していると精神力が尽きて<暴発>する
そうするとこの街で負けた異能者のように消えて ジ・エンドだ

「あまり無理はしないほうが良いですよ
安静にしていれば、異能者特有の異常なまでの回復力で数週間で治るでしょうし、
なにしろ、安静にしてもらっているほうが機関に運ぶのも楽ですからね」

そう自分で言っていると当初の目的を思い出した
そう、私の目的は権六を捕縛し、機関に送ることだった

思い出した小村はもう一方の手でも黒い鎖を出そうと手のひらを突き出そうとしたら

>「この人の相手は私がします」
>凛とした表情で言い張り、戦場ヶ原の前に出てかばう。

少女が前に飛び出てきた

「なんのつもりです 私はただこの山田権六を連れて行くだけ・・
あなたには関係ないことのはず あまり邪魔はしないでくれませんか」

少女が出てきたことでいつもの不機嫌そうな・・・もとい十分に不機嫌な顔で言う

「機関のことにあまり首を突っ込まない方がいい
でないと早死にしますよ」
威嚇も兼ね言い放つ
不機嫌な顔をして――――

【煌神 リンとは極力戦いたくない様子】
63若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/05/07(水) 14:32:15 O
>>60
>「だが、長束誠一郎とは何者か?何故どこの馬の骨とも分からぬ男を呼んだのか?
最低限それらに答えていただけるのであればその申し出を受けよう」

「確かに見知らぬものからの誘いは不逞の徒のおこつりと疑念をもたれて当然でございました。御気分を害してしまいもうしわけありません」
葛野美弥子と名乗ったメイドは再び頭をさげると池上の質問に答えた。
「まずは招待の理由についてですが池上様が堂々と機関のことをお調べになられておられましたので我が主の長束誠一郎が貴方様に興味を持たれておりましたからです」
彼女の言葉は慇懃ではあったが威圧をかけるものでもあった。
「次に我が主は何者か?でございますが機関をよく知るものという答えではご不満でしょうか?」
美弥子が《機関》という単語を発すると三人の男の表情が変わった。それぞれの感情とそれぞれの思惑を秘めた表情に…

「主は貴方様の意志に反してまでお誘いしたいとは思っておりません。おことわりになられましてもそれは我々の不徳。選択はご自由でございます」

そう言うと美弥子は池上たちと距離をとりふわりと飛び上がった。
すると彼女の周りに金属のようなものが現れはじめ徐々にそのすがたを明らかにした。
それは彼女が登場してきたときよりも大型の軍用ヘリUH-60“ブラックホーク”と呼ばれる機体であった。
「主のもとへおいでになられるのでしたらお乗りになられてください」


【屋上に10人乗りのヘリあらわれる(乗員余裕アリ)】
64永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/07(水) 21:28:40 O

すっかり橙色に染まった街の中を、翠は一人、不機嫌さを全面に押し出して歩いていた。

やっと強い異能者に出遭えた矢先に邪魔物が、しかも子供で、背後には抗いようのない権力がついた邪魔者が現れた。何も出来ず、逃げるしかなかった…

只でさえ遊びを奪われ、苛立ちを押さえ切れない上に、早く機関に異能者を送らないといけないプレッシャーが、翠の不機嫌に輪を掛ける。

「もうホント腹立つ、だから子供って嫌なんだよぉー…」

愚痴を叩けば叩くほど、苛立ちは募る。


不意に上空からプロペラの音がした。

見上げれば、一機のヘリコプターが飛んでいる。
ヘリの種類等は良く分からないが、上等なものだという雰囲気は伝わって来た。

自分はちまちまと歩いているのに、ただの人間が上空を優雅に飛行している…

勿論翠は、そのヘリが先程まで対峙していた若宮の乗る物だとは知る由もないのである。
苛立ちは、遂にピークに達した。

「あぁーもう、マジ超ーーーイライラするんですけどっ!!」

怒りに任せて横の塀を叩くと――塀が砕けた。
「へっ!?」

怒りの力が、新たな異能を呼び起こした…かに思えたが、当然違う。

65永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/07(水) 21:37:02 O
塀を砕いたのは、一人の壮年の男だった。崩壊した壁の向こうから、じっと翠を睨んでいる。
手には金属バット。大きくひしゃげている。異能の気配は無い。

「あぁ、なんだぁー。キミ、操り人形さん?びっくりしたぁー」
今回の戦闘には傀儡系の異能者が派遣されており、一般人も操られて参戦していると、任務の前に聞かされていた。

「だったら、今度その人に言っておかなきゃじゃん…」

男がバットを振りかざした瞬間、

男の眉間に、ほんの小さな穴が開いた。
ごく細い角柱が一本、男の背後に突き刺さっている。

「機関の人間は狙わない様にって。
人の無駄使いはダメじゃないですかぁー」
男は崩れ落ちる。


そのまま事後処理に掛かろうとした翠を、急な強い痺れが引き止めた。

「…!異能者!?」

振り返った先には空き地が在り、二人の男が立っていた。
人が良さそうな白衣の男と、対照的に柄の悪そうな傷だらけの男。
そして、翠と同じくらいの女子高生が、白衣の男に支えられている。

女子高生は違うが、男二人は間違いなく異能者だ。
しかも白衣の方…気配が違う。
今までの雑魚や、先程の三人とは比べ物にならないくらいの感覚が翠を襲っている。

「…もしあの人連れてったら、皆喜んでくれるよねぇ?
でも、さっきみたいにはいかなさそうだなぁー…ホントに強そうだし、殺られちゃったら元も子も無いし…」

そういえばあの女子高生、彼女もまた操られたのだろうか。

とすると、大の男が二人で彼女を倒したのだろう。
普通の女では無いと言え、卑劣な事を…
66永瀬 翠さんの代理です:2008/05/07(水) 22:13:53 0

そこまで考えると、突如、翠の目がぱっと輝いた。
「…ヤバい、超いーこと思い付いちゃったんですけどー!」

翠は空き地に少しだけ近付く。側に倒れていた男を引き摺って。

その男を出現させた箱で支え、立たせると、自分の体にもたれ掛からせた。

そして、叫んだ。

「ちょっと、オジサン何するんですかぁ!!」

男の手には金属バット。傍からみれば翠は只の学生。

『変態に襲われている女子高生』に見えるだろう。
これだけ密着していれば、異能者の気配も男が発する物に感じられるに違いない。

「止めて下さいよぉ、だれか、誰か助けてっ!」
あの人の良さそうな男なら、この罠に引っ掛かってくれるかもしれない。

(やっぱり、今日は翠ついてるし、冴えてるかも…!)

【現在地:空き地前路上】
【国崎、七重を発見。おびき寄せる為の罠を仕掛ける】
【あくまで狙いは確実に強い国崎。七重は正直眼中にない】
67池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/07(水) 22:42:15 0
>>63
若い女はこちらが投げかけた質問に淡々と答えていく。
「機関を良く知る」という女の言葉に、一瞬俺の目つきが変わるが、
すぐにいつもの平静さを保った表情に戻るのだった。

……『機関』、すなわち俺が言う『組織』のことだろう。
それを良く知る者、か……。俺が気になっていた点はここか……?

仮に長束という音が『組織』の人間であれば、
異能者を呼び集めるという行動にはやはり何らかの意図があると考えていい。
それは、これまでの情報から思いつく限りでは、研究、洗脳などで、
危険の多いイメージしか湧かないが、だとしてもこれは『組織』に近付く好機。
『組織』の人間でなかったとしても、相手は『組織』を良く知るという人間だ。
行って実際に会ってみる価値はあるだろう……。

頭の中で次なる行動を決めていた時、再び女が口を開いた。

>「主は貴方様の意志に反してまでお誘いしたいとは思っておりません。
>おことわりになられましてもそれは我々の不徳。選択はご自由でございます」
それを聞いた俺は「フッ」と鼻で笑みを零し、何の躊躇もないと言うように跳び上がり、
待機しているヘリに颯爽と乗り込んだ。

「あんたは俺が『組織』の情報を求めているということを知っている。
そしてあんたは俺の質問に答えた。長束という男は『組織』を良く知る者だと。
もはや俺に断る理由がないということくらい、分かっているのではないか?」

今度は、女が鼻で笑みを零す番だった。
屋上ではまだ二人の男が何やらと会話している様子だったが、
俺は気に留める素振りも見せずに、ヘリの隅の座席に腰を下ろした。
他にも空いている座席はあったが、敢えて隅の席を選んだのは
単に隅の方が落ち着けるといった個人的な性分からだ。
腰を下ろした俺はそこで腕を組み、ヘリの発進を待った。

【池上 燐介:ヘリに乗り込む】
68煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/08(木) 22:46:26 0
>>62

>「なんのつもりです 私はただこの山田権六を連れて行くだけ・・
あなたには関係ないことのはず あまり邪魔はしないでくれませんか」

「関係あります!第一人が目の前で連れ去られそうになっているのにほっとけません!」
言って剣を構える。しかし、一瞬脱力したかと思うと瞳が赤く変わっていた。
【裏】に代わったリンが静かに殺気を込めて、小村に問う。

>「機関のことにあまり首を突っ込まない方がいい でないと早死にしますよ」
威嚇も兼ね言い放つ
不機嫌な顔をして――――

「それにな…おまえはヤハウェの人間だろ?しかも幹部ときた、おまえにヤハウェの事を
聞きたいしな…」
小村は驚いた顔をする、何事かいっている気もするがそれはあえてスルーして【表】が口を出す。
「何勝手に出てきてるんですか!」

そのあとギャ―ギャ―、戦場ヶ原や小村をスルーしつつ言い合いを続ける、しかし小村が
我慢できなくなったか声をかける。

呆れたような口調だったが明らかに殺気がこもっていた。
無理やり【裏】を意識下に押し戻し、剣を構えなおすと小村をにらむ。

【機関の事、またヤハゥエの事を知っている様子、て言うかなぜかむちゃくちゃヤハゥエを敵視してる様子。】
【意識下に埋めたので裏は当分出てこない予定。】
【戦意は、有り余っている(戦うきっかけって言うか最初はそっちで書いてもらえると嬉しいですww)】
69若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/05/08(木) 23:47:24 O
機関には会堂(シナゴーグ)と呼ばれる施設がある。
元々は構成員の集まる場の通称であったが組織が拡大した現在では教育、政治、社交、事業などの場のことをして使われいる。
「皆様こちらでお待ちください」
木崎という老執事に三人は部屋に案内された。
室内はイギリス風の調度品で統一しており調度品のひとつひとつが一見地味だがすべてに手が込んでいて見るものが見ればかなりの値打ちがある物ばかりだった。
これをセンスのよさととらえるか金持ちのイヤミととるかは意見がわかれることだろう。
「お待たせいたしました神重様、池上様、桐北様。お食事の準備が整いました」
老執事の言葉の違和感を神重と池上のふたりは感じとった。
(いつの間に調べたんだ…)
一度も神重は自分の名前を名乗っていなかった。桐北とは教師と生徒の関係だと会話から察しがつくだろうが移動とこの部屋にいた時間を足しても一時間にも満たない。どうやらタチの悪い金持ちであるのは確かだった。
マホガニー調の扉を開けると20人は座れる大きなテーブルがあった。そのテーブルの上には6客の食器しかなかった。
「当屋敷にようこそ」
ゆっくりとひとりの紳士があらわれた。年の頃は30前後の真っ白なスーツ姿の男―これが長束誠一郎との初めての出会いだった。




【食事会開始:参加者は神重・桐北・池上・長束・若宮・塚原の六名】
70桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/09(金) 01:23:20 O
神重の脅迫に屈する形で
鞄を返すことを条件にヘリに乗り込んだ
いや、クマがムリヤリ連れて行ったの方が適当か
移動中のヘリ内はプロペラ音だけが支配する中
女の子は操縦席の方へ乗ったので目の前にいるのは2人
神重は何か考え事で相手にしてもらえず
長髪の男に至ってはずっと窓の外を見て自分達は眼中にすらなさそうだった
重苦しい沈黙の中、自分は鞄を両手に抱きただ時が早く過ぎるのを待った…


「うっへ〜……」
ヘリから降りた場所は紛れもない豪邸だった
そもそも庭にヘリポートがある時点で発想のスケールが負けていた
館に入るなり待ち構えていたメイドさん数十名の「お帰りなさいませ」
もちろんこれはあの子に言ってる事なのだが、彼女は彼女でこれに普通に対応していたのには
これが育ちの違いか。と少なからずのカルチャーショックを受けた
木崎という執事さんに案内され待たされた部屋も、廊下や階段、今いる無駄に長いテーブルがある部屋も、全てが装飾で輝いていた

そんな中、場違い…とまではいかないが黒を基調にした地味目な服を着た女の子が
白いスーツを着た男性の隣で静かに座ってるのに気づいた
とりあえず男性(多分長束って人だろう)に軽い会釈をした後
テーブル沿いにその『見覚え』がある女の子の隣まで歩き話しかけた

…ヘリの中から続く嫌な沈黙から逃れるため
誰でもいいから話したかった、…のかも知れない

「ぬいぐるみのあの子がいるって事はもしかしてとは思ってたけど、こうも早くまた会うとはね。
…え〜っと、名前教えてもらったっけ?」






桐北修貴:食堂にいた塚原ひかるにとりあえず話しかける
     まだ2人の名前は知らない
71 ◆qL68zQWOuc :2008/05/09(金) 02:10:25 0
新規参加します
プロフィールと能力は避難所の方に書いたのでよろしく
それは突然の事だった、話は三日前に遡る。

宗方零(むなかた れい)はいつものように、事務所の古ぼけたデスクの、同じく古ぼけたイスに腰掛けて
いつ来るとも知らぬ依頼を待っていた
デスクの上には一世代前の中古PCと電話機とファクシミリが置いてあり
灰皿には煙草の吸い殻が山盛りになっている。
突然PCのモニタにメールの着信を知らせるメッセージが表示された。
「殺し合え・・・だと?どこの誰か知らないが・・・・くだらんイタズラだ」
そう呟き、メールを削除しようとしたその刹那。
「居るのかァ!コラァ!」「出てこんかい!」「かまわねえ!やっちまえ!」
玄関から怒鳴り声が響いた。そして数秒後・・・
DOKOKOKOKOGAGAGAGAGAGABABABABABA!!!!!!!!!!!!!!
大量の銃弾が放たれ、轟音とともにドアが粉砕された。
鉄の烈風はその勢いを殺さず、オフィスに続くドアを、デスクを、PCをファクシミリを天井の蛍光灯を撃砕した。
吸い殻を満載した灰皿は天井まで飛び、灰を盛大にまき散らしながら床に落ち転がっていった。
間髪を入れず、硝煙を突き抜け灰皿をを踏みつけて三人の男が土足で踏み込んできた。
72 ◆qL68zQWOuc :2008/05/09(金) 02:12:05 0

室内にはかろうじて生き残った一本の蛍光灯が、明滅しながら室内を照らしていた。
「きたねえ事務所だな」「野郎はどこだ?やったか」「ひゃはは、とっくにミンチですぜ」
いかにもチンピラといった風体の三人組。そういえば、最近首都から流れてきた連中だ。
強姦殺人を起こしたという噂だが、まさか異能者とは。
三人はそれぞれ両手から機関銃を生やしている、さっきの銃撃はアレか。
「それにしても、まさかこいつを存分にブッ放せるチャンスがきたとはヨォ」
「最高の気分だ、ひゃは、この力さえありゃ女も食い放題だぜ」
「そうだなぁ!俺の股間のマグナムをヒィヒィ言うまでぶち込んでやる」
「おい!喜ぶのははええぞ、野郎の死体を探せ!女はそのあとたっぷり食わせてやる」
リーダー格らしき男がそう叫ぶ。もういい、もうこいつらに付き合うのは十分だ。宗方はそう思うと男の耳元で呟く。
「私はさっきから・・・ここにいるぞ」 男がふっと後ろを振り向いたのと同時に、振り向いた首が切断される。
首は切断面から煙を上げて転がりつつ消滅し、胴体は倒れたのちに消滅。
一本残った蛍光灯が消え、闇となった室内に光が走る。
光が走るたびもう一人の胴体が両断され、最後の一人が心臓を貫かれ息絶えた。
その死体も瞬時に消滅し、周囲の風景が歪み、明滅しながら宗方が姿を現した。
片手には光の刃が生えた懐中電灯を持ち、何事もなかったかのように構えている。
周囲の風景を映出す光学迷彩「カメレオンコート」で身を隠し、壁に張り付いて射撃をかわす。
そして懐中電灯から光の刃「ブリンクブレイド」を生み出して、三人を瞬く間に屠ったのだった。
宗方は光の能力者だ。だが光のない夜は「光源」から力を得なければならない。
懐中電灯の電池は空になっていた、一本残った蛍光灯の光源から力を得なければならなかった。
「危ない危ない・・・だが・・・」宗方は事務所の惨状を見回す。
「しばらく事務所は休業だな・・・」そうつぶやくと、宗方は事務所を後にした。
73宗方零 ◆qL68zQWOuc :2008/05/09(金) 02:13:48 0
それが三日前の事だ。
あの後、宗方は可能な限り戦闘を避けつつ街に潜伏していた。
どの能力者も戦闘に夢中で、宗方には気づかなかったのだ。
そして、あのヘリに気づいた。
明らかに不自然なあの戦闘ヘリ、あれこそこのゲームを解く鍵だと思ったのだ。
そして宗方は今、轟音とともに空を行くヘリに人知れず便乗し、「シナゴーグ」に潜入していた。
カメレオンコートで身を隠しつつ、人知れず食堂に入ることができた。
今は、高い天井の梁に身を隠して高見の見物を決め込んでいる。
あの三人は突然ここに招かれたようだが・・・一体彼らはどういった意図でここに?
>> 「当屋敷にようこそ」
ゆっくりとひとりの紳士があらわれた。年の頃は30前後の真っ白なスーツ姿の男。
(どこの誰かは知らないが・・・おそらくはこのゲームの主催者か。聞かせて貰うぞ)
【宗方シナゴーグ内食堂に潜入 高みの見物をきめこむ】
74国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/09(金) 21:17:35 0
予想ほどではないがやはり重症だった七重に対し、
俺は移動する前に一応の、道具を使った応急処置を行った。
しかし、今回は傷が傷だけに安心は出来ないので、七重には
女子高生を病院に預けたら、一応病院に行くよう薦めた方がいいだろう。

そんな事を考えつつ、気絶した女子高生へ『面倒な事にならずに』
救急車が呼べる場所を探す為、七重と共に移動を始めようとした途端、

>「ちょっと、オジサン何するんですかぁ!!」
若い女の声が聞こえてきた。
反射的に振り返ると、そこには、この国の一般常識では
あってはいけない光景があった。
一人の男が、学生服を来た少女に襲い掛かっている。

「なっ!?」
一瞬そのまま飛び出そうかと思ったが、
突如覚えた背中の火傷の疼きが、俺を圧し留める。
それは、恐らくあの二人のうちのどちらかが能力者だという
事を示していた。
状況から考えれば、少女を襲っている男の方が能力者の可能性が高い。
だがしかし、絶対に拭いきれない違和感がある。
襲われている少女。いつも表情を作ってきた上、あの表情は
何度も何度も飽きるほど見てきたソレ。
真に怯えている者のソレじゃあないのだ。
餌を使っているように見せかけて、その餌が実は本体であるという事は、
異能者の戦いではざらだ。

……けれど、もし。
もし、あの少女が能力者じゃあない、あるいは、非戦闘系の能力者だったとしたら……

>「止めて下さいよぉ、だれか、誰か助けてっ!」

「七重、その倒れてる女子高生担いでから、俺に背を向けて走れ!」
踏鞴を踏んでいた俺は、その言葉で男に向けて駆け出していた。
そうだ、計算なんてしている場合じゃ無かった。
考えているでけでは何も救えない。失敗しても自分が傷つくだけなら。問題無い。

俺は、薬局から持ってきた黒い鞄の中から、池上に使ったあのライター
――スタングレネードを取り出し、

「いい大人が!乳臭いガキに欲情してんじゃねえっ!!」

二人へ向けて投げつけた。
広がる閃光は昼間でも容赦なく周囲の視界を塗り潰す。
俺は光に紛れて二人に近づくと、少女の手を掴んで男から引き剥がし、
「――ようお譲ちゃん。早速だが、ここは危ないから、
 薬屋さんに任せて早く逃げた方がいい。視力は時期に回復するから、
 とりあえず今は右に行ってくれ」

少女を5m程離れた所に下ろして、俺の背を盾にするように男の前に立ちはだかった。

【国崎:能力を使わずに道具と身体能力のみで男から永瀬を引き剥がす。
    永瀬に対し警戒はしているが、どちらが異能者なのかは判断が付いていない
    七重は多分見ていないと思っている】
75神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/09(金) 22:12:47 0
私は鞄を返すという条件をつけて、桐北を同行させた。
そしてヘリで揺られることしばらく…

「皆様こちらでお待ちください」
老執事にある部屋に案内され、我々はしばらくそこで待機することとなった。
室内は西洋を思わせる調度品で統一されており、館の主の財力を示すのには十分だった。

「立派なもんだな…。」
私は思わず呟いていることに気がづいた。
しばらく時間があるのだろう。私はイスに座り最近買った本を読み始め…

「お待たせいたしました神重様、池上様、桐北様。お食事の準備が整いました。」
半分ほど読んだ頃だろうか、さきほどの老執事が我々を呼びにくる…が
その呼びかけに私は少しの違和感を覚える。

「…私はいつ名乗ったかな…。会話という会話は桐北としかしてないはずだが…。」
そうだ、桐北も私のことを先生と呼んでいたから、本名は誰も聞いていないはず。
根回しは完璧というわけか…恐ろしいね。

老執事に案内されてる最中にそんな考えを巡らせていると、食事室だろうか。
その部屋に到着した。扉が開くと…10人以上は楽に座ることができる大きなテーブル
そして、そのテーブルには食器が…豪勢な料理だ。

「当屋敷にようこそ」
料理に気を取られていると、…30歳前後だろうか、一人の紳士が現れた。

これが…館の主か?。
館の主の、落ち着き払った態度と、想像していたイメージ像の違いに
私はいささかの戸惑いを覚えた。

「もっと…こう…成金みたいなのを想像してたんだがな…」
失礼ながらも、私はこう呟いていた。

さて、あとは館の主のお話を聞くとしようか…。
私が質問しなくても、池上と呼ばれる少年が質問してくれるだろう。
そう思い私は料理を食べることを決めた。

それに食事会にわざわざ招待するくらいだ。何か重要な話でもあるのだろう。

【神重:誠一郎のイメージの違いに少し戸惑う。質問は池上がすると思っている。
    料理を食べてても話は聞いている(しっかり記憶する)】
76小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/09(金) 23:12:48 0
>【裏】に代わったリンが静かに殺気を込めて、小村に問う。
>「それにな…おまえはヤハウェの人間だろ?しかも幹部ときた、おまえにヤハウェの事を
>聞きたいしな…」

!?・・・・なんだ今のは・・
いま、確実に奴の【何か】が変わった
それはまるで普段は爪を隠している鷹が狩りのときだけ見せる一瞬の本性―――

今のが奴の能力か?それとも二重人格か?いや、あれはもっと違う・・・何か・・・

「今のはなんです」

>小村は驚いた顔をする、何事かいっている気もするがそれはあえてスルーして【表】が口を>出す。「何勝手に出てきてるんですか!」
>そのあとギャ―ギャ―、戦場ヶ原や小村をスルーしつつ言い合いを続ける

なっ!?・・・スルーだと!?
こいつふざけているのか?・・・・




・・・・これだから 餓 鬼 は!!!!




我慢しきれず声をかける

「いい加減になさい、退かないというならその場から力ずくでも『おし潰し』ますよ」
半分呆れつつも、しかしその苛立ちにより、明らかに殺気がこもっていた

>無理やり【裏】を意識下に押し戻し、剣を構えなおすと小村をにらむ。

「ヤル気はあるみたいですね なら・・・」

ビュッ!!!小村の左手が一閃した
小村の漆黒の手から黒色の鎖が一陣の風のように飛ぶ

それは少女に向かってはいかず後ろの天に当たる
ガシッ!!天が近くにあった柱に縛られていく、まるで大蛇に締め付けられるように

「とりあえず、加勢や逃亡を図られては困りますから、縛っておきますよ
じゃ、いきますよ・・・・」
77小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/09(金) 23:16:00 0
小村の体から黒い影が現れどんどん形を整えていく
完成したそれは2mはあるという大男で黒い体に赤いライン、
目が人間のものではなくそれがバケモノであることを物語っている

少女は呆気にとられているようだった
「これが私の異能から作り出せる魔神<ゴッドバルト>」

ゴッドバルトが少女に近づき、豪腕を少女に振り下ろす
それを少女は間髪入れず剣で受け止めた
「約束どおりおし潰してあげましょう それであなたの名は?」

こんな状態で聞くのもどうかと思ったが今は戦いの最中・・・・礼儀もなにもない―――
【ゴッドバルトの腕をリンが受け止めてる】
【リンに名前を聞く】
【天は柱にくくりつけている(逃亡も加勢することも難しい状況)】
78戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/09(金) 23:52:25 O
なぜもっと早くに気がつかなかったのか。

目の前に凛と立つ少女のからだが、膨大なまでの殺気………否、闘気に包まれているのを、戦場ヶ原はやっと感じ取った。
そして少女は、なんと戦場ヶ原の作り出したマイクロブラックホールを一瞬で掻き消したのだ。
これらの事実は彼にとって、少女リンが異能者であることを証明するのに十分な情報だった。
(フン………)
何の因果だろうか。
滴の面影を感じさせる少女が、自分と同じ異能者だとは。
それを悟った戦場ヶ原の顔は、不思議な安堵と少女への信頼とで穏やかな微笑みの形に歪んでいた。

直後、小村の体から再び放たれた鎖が戦場ヶ原の身体を今一度拘束する。
柱にくくりつけられた形で全身の自由を完全に封印された。

――――しかし、戦場ヶ原の口からかつてのような傍若無人な罵声が放たれることはなかった。

戦場ヶ原は縛られながらも胸の前で腕を組み、余裕すら感じられる不敵な笑みで小村を見下ろしていた。
少女はたかだか小学生。その能力は未知。
しかし心強い『味方』―――…
その存在が、彼が久しく忘れていた『心の強さ』を思い出させていたのかもしれない。

「…リンとか言ったかクソガキ。
貴様この俺を護るとかほざくぐらいなら、それ相応の力を見せてみやがれよッ!!!」

少女に向かって放たれる戦場ヶ原の高らかな叫び声には、どこかヒーロー番組を楽しむ子供のような無邪気さに溢れていた。

【戦場ヶ原:時間の経過とともに徐々に傷は回復しつつある。】
【しかし闘いに参加する意思は一切なく、リンを信頼して自分は傍観に徹する模様。】
79池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/10(土) 00:39:01 0
残った二人の男が乗り込むと、ヘリは上空へと舞い上がった。
既に暗闇がこの町を覆い始めているせいだろう、
窓から見える下界からは多くの明かりが煌々と灯っていた。
そんな夜景をどのくらいの時間眺めていた時だろうか。
これまで空を漂っていたヘリが、どこかの地に着陸を始めたのだ。

……どうやら目的地に着いたようだな。

そう思いヘリを降りると、まず目に飛び込んできたのは大きな建物。
如何にもこの建物の所有者が富豪であると言いたげな、立派な豪邸であった。

あのヘリを所有、あるいはチャーターしているほどだ。
屋敷のスケールもさぞかしのものと予想はしていたが、まさかここまでとはな……。

表情には少しも驚いた様子も見せない俺であったが、
内心では予想の範囲を大きく超えた現物を見て、少し驚いていた。
そして屋敷に入り、木崎という執事に案内された部屋で待つこと十数分。

>「お待たせいたしました神重様、池上様、桐北様。お食事の準備が整いました」
先程の執事からお呼びが掛かった。
その時俺は、何かを感じることもなく、その言葉に従って部屋を出た。
しかし、次の部屋へ向かう途中で眼鏡男がぽつりと漏らした独り言に、
俺は違和感を感じ取り、ある事に気付くのだった。

……てっきり俺は、この二人は少女と顔見知りで、既に名前など少女の口から
明らかにされているものだと考えていたが、違うのか……?
……そういえば、俺を知る『組織』の存在に囚われ過ぎていたせいか気にして
いなかったが、この執事もあの葛野とかいう女も俺の名を知っていたな。
いや名前だけじゃない、俺が『組織』について嗅ぎ回っていたことも知っていた。
よくよく考えてみれば、単に『組織』を良く知るというだけの人間が
この町に住む幾万の人間の中から異能者を特定し、その行動まで徹底的に調べ上げる、
等ということが可能とは思えない。ならば、やはり「長束」という男は……。
80池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/10(土) 00:43:53 0
そう考えていたところで視線を前に向けると、
いつの間にか前を歩いていた執事が立ち止まり、目の前の部屋の扉を開けていた。
扉の向こうには長いテーブルと素人目にも豪勢と思えるほどの料理があり、
そしてそれを前に、白いスーツを着た中年と思える男が椅子に座っていた。

……あいつが「長束」とかいう男か。

そう確信しながら、俺は他二人の男と共に用意された椅子に腰を掛けた。
再び視線を白スーツの男に向けたところで、そこでもう一人の人間の存在に気付くのだった。

……女? ……あいつも夕食会とやらに招待された身か?
……であれば異能者か。

本人に確認するまでもなく、俺の右手の警告がいつの間にか激しさを増していた
事実から照らし合わせて、既に俺の中でそう決定づけられていた。
だが「長束」と思われる男を前にした俺は、
料理にもその女にも関心を示すことなく、早速といわんばかりに口を開いた。

「あんたが『長束誠一郎』サンか。
あんたには聞きたいことがあるが、まずその前にあんたからの用件を聞いておこう。
我々異能者をここに呼んだのは、何かしらの目的があってのことだろう?
まさか本当に料理をご馳走するだけの為に呼んだとは思えないからな」

ここに呼ばれた連中の誰もが聞きたいと思っていた事なのだろう。
料理を食べ始めていた奴らも手の動きがピタリと止み、
白スーツ男の返答に耳を傾けているようだった──。

【池上 燐介:『長束誠一郎』と思われる男に夕食会に招待した真の目的を訊ねる。
        『宗方零』の存在にはまだ気付いていない】
81七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/05/10(土) 07:43:03 0
>64-66 >74
国崎の処置により、七重はますます怪我人然とした装いになる
医療用具の白色には、人を物憂くさせる効果があるようで、
七重も漏れなくその魔力に晒され、眠たげな表情になっていった

>「ちょっと、オジサン何するんですかぁ!!」

思いがけず鼓膜を刺激された七重が、声の方向を向くと、
金属バットを手にした男が、学生らしい少女に飛び掛る風に見えた
何するつもりなんだろうね、と、七重は鈍くなった頭で考える
ともかく穏やかでない光景であるのは確かであろう、
国崎の方は冷静にその状況を察してか、にじりと体勢を整えた

>「七重、その倒れてる女子高生担いでから、俺に背を向けて走れ!」

国崎の声にはっとさせられた七重は、
女子高生の小柄な身体を担ぎ上げ、翻って、

「なん・・・ どこ?」

と、「なんで」と「どこへ」が混ぜこぜになった質問を提出したが、
返答の代わりに、目も眩むような閃光が迸り、
網膜を激しく焼き付けられてしまう
思わずよろめいたが、女子高生を放り出さずには済んだ
日に二度も目をやられるあたり、相当に運が無い

現状がさっぱり把握できていないが、言いつけに従って駆け出す七重
肩にかかる肉体の弾みで、明瞭としない視界がぶれる
それでも、なんとか見知った道を選ぶうちに、
七重の足は、自然と国崎の薬局へ向かっていった

【洗脳済みの女子高生を伴って薬局を移動】
【視力は再び奪われました】
82煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/10(土) 09:41:13 0
>>77‐78
>小村の体から黒い影が現れどんどん形を整えていく
完成したそれは2mはあるという大男で黒い体に赤いライン、
目が人間のものではなくそれがバケモノであることを物語っている

「へ?・・」
思わずあっけに取られる、リンは一瞬判断を鈍らせ、ゴッドバルドの接近を許してしまう。
間一髪のところで条件反射が作動し受け止める。
こんな状況にもかかわらず、小村は自分の名前を聞いてくる。
しかし、リンは一瞬で思考を回復させそれに答える。

「煌神(こうがみ) リンですっよ!」
名前を名乗ると剣の刃を水平に倒しゴットバルドの拳を受け流すと、後ろに回りライターをつけるとゴットバルドに投げる

しかしゴットバルドは、簡単にライターを跳ね除けまたもや向かってくる。
リンは剣でゴットバルドの足にフェイントを打ち、当たる直前で持ち上げる。
するとゴットバルドは、剣をつかんだ、それと同時に戦場ヶ原から声がかかり、一瞬気を取られる、とすぐに笑顔で返した。

「はい♪」
なんとも嬉しそうに満面の笑みで、
ゴッドバルドがその隙を逃すはずもなく、剣を持ち上げ先ほどライターを投げた方にリンを突き飛ばす。

リンは受身を取りつつ先ほどのライターをひろうと懐からビン(エタノール)を出しそれに火をつけ投げる。
しかし、ゴットバルトとはまったく違う方向に、…

この廃墟はもともとバブルの時ある成金が、遊び半分で作ったもので、いろいろのものが置いてある。
しかし、バブルが終わるとこの社長の家族は夜逃げし、ビルの備品だけが残った。
つまり灯油なんかも残っているわけで・・

そう、リンがビン(エタノール)を投げたところは、ちょうど灯油のいっぱい(何年前かは不明)入ったタンクの集まった場所だった。
ビン(エタノール)がタンクにあたりタンクが横倒しになると中から灯油がたくさんでてきてビンの炎が燃え移る。
すると、30秒後にはそこに巨大な火柱ができていた。

【煌神:灯油にビンの炎を燃え移らせる、燃え移った炎は巨大な火柱になる(灯油はよく燃えますよね?ww)】
【いまだリンはゴットバルドに向けて構えたまま。(勝手にゴットバルト操作してすみませんww)】
83 ◆P1wJYx92Ts :2008/05/10(土) 12:58:47 0
>>70>>75>>79-80>>73
「それは私にやらせてもらえないかね」
誠一郎はそ一言だけで修貴の無作法には目をつむった。
「この子は若宮こよみ【硝煙禁忌(ガトリングチルドレン)】の名を持つ異能者だ。
そして彼女が塚原ひかる。死を視るちからの所有者だ」
両脇にいた少女たちは誠一郎の紹介が終わると恭しく頭をさげた。
「そして私の名は長束誠一郎【冥界解体(アンノウンブレイカー)】の名を授かっている」

>「あんたが『長束誠一郎』サンか。
>あんたには聞きたいことがあるが、まずその前にあんたからの用件を聞いておこう。
>我々異能者をここに呼んだのは、何かしらの目的があってのことだろう?
>まさか本当に料理をご馳走するだけの為に呼んだとは思えないからな」

「落ち着いてくれたまえ池上燐介くん。その前に私が何者かをわかっておいてもらいたい」
誠一郎が池上の舌鋒を悠然と受け流すとその場にいるものたちは《亜空の支配者》の儀容を思い知らされた。
「私は君たちの言う【機関】の幹部だった。過去形なのは些細な事由でそれを返上していると思ってくれ。
念のために言っておくが現在は私と【機関】は関係が切れている」
室内は沈黙の空気に満ちていたが招かれた客と招かれざる客はそれぞれの胸中で
それぞれに手の内を探り始めた。

84梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/10(土) 15:07:13 0
>>52
「道を知りたいなら…交番が一番いいんじゃないですかね。
 それに、自分はちょっと店番を任されてるだけの身分なんで…勝手は分からないし…」

普通の反応を返された。でもなんか冷たい…都会の人って皆冷たいのか?
それはいいとして、これから如何するか。
また路地に出るか?駄目だ、異能者と遭遇しかねない。
更にまた迷いかねない。
じゃあ、どうするか?

「―――君だと勝手が分からない、ってことは…店長さんなら分かるんだな?
じゃ、暫く商品でも眺めて待つことにしよーっと」
店長さんを待つことにした。
なんだか嫌そうな視線を感じるが気のせいだろ。うん。

>>81
商品を眺め始めて数分。
…はっきり言って、飽きた。

「くぁーっ!店長はまだかぁー……ん?」
入り口から誰かが入ってきた。

―――血塗れで女子高生を抱えて。
如何考えても異常だ。
これを見て普通と言える奴が居るのなら見てみたいな。
もしかして…この人が店長?

「…マジで?………これって、また平穏な暮らしから遠ざかったんじゃないか?」


【梓川:女子高生を抱えた七重を見て、軽い絶望を感じる】
【長々と遅れてすみません…】
85 ◆P1wJYx92Ts :2008/05/10(土) 15:14:11 0
>>83続き
「それでは質問に答えよう池上燐介くん」
誠一郎は状況の解説からはじめた。桐北と燐介が重要監視人物であったことを。
燐介の派手な調査で機関が彼の排除に動いていることを。そして双方が若宮こよみと接触があった時点で
招待する予定であったことを。最後に神重が招待された理由がたまたまその場にいただけだということを。
神重は気分を害しはじめたが次の誠一郎の発した一言にすべてを忘れた。

「君たちが能力に覚醒したのは偶然とでも思っていたのかい」
(なんだと…)
批判の目が誠一郎に集中した。当然だろういままでの人生が作為的につくられたものだったとしたら。
その張本人が目の前にいるとしたら。その怒りはまっすぐ向かうだろう。
「誤解しないでくれたまえ。私も最近になって知ったことだ」

そこで三人(とひとり)が聞いたのは衝撃の事実だった。
機関が故意に事件・事故を起こし異能力の覚醒を促していたばかりか時には胎児の段階での
介入で異能者を作っていることを知らされた。計画立案者で責任者の城栄金剛の名とともに…

「神重様は実験が失敗したものとみなされ監視対象外だったようです」
美弥子に手渡された資料には被検体と番号しか書かれてなかったが内容を
読み進めるうちにそれが自分のことであるということがわかった。
自分の運命はただの実験だったのか…自分の存在はモルモットでしかないのか…
自分の人生はまがい物にすぎないのか…
怒りが爆発してもおかしくないと思っていたがひかるの目には三人に怒りの感情は感じ取れなかった。

「本気で殺意をおぼえた時は意外と静かな気持ちになるって本当だな」
誰が言ったのかはわからないほど小さなつぶやきがそれが冷たい炎の不気味さをあらわしていた。



【質問タイムは続く?】
86池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/10(土) 19:02:19 0
>>83>>85
>「私は君たちの言う【機関】の幹部だった。過去形なのは些細な事由でそれを返上していると思ってくれ。
>念のために言っておくが現在は私と【機関】は関係が切れている」

ほう……思った通り、やはり『組織』の人間……。
いや……この男の言う事が正しければ人間だった男になるわけか。
しかも異能者だったとはな……。
急に俺の右手の警告が激しさを増したのはあの女以外にも原因があったわけだ。

俺は異能者を感知できる能力があるが、正確な数までは把握できない。
ただ警告の強弱によって、その場所にどの程度の数の異能者が居るかを
予測することができるだけなのだ。

>「それでは質問に答えよう池上燐介くん」
男の視線がこちらに向けられる。俺と目が合うと、男は淡々とした様子で答えていった。
俺と桐北という男が『組織』から重要監視人物とされていたこと。
俺の行動が目に余ったのか、『組織』が俺の排除に動いていたこと。
そして、人間の異能力の覚醒には、『組織』が必ず関わっているということを。
男がそれらを話し終えたところで、今度はヘリで会った葛野という女が何かしらの
資料を手に、眼鏡……いや、神重という名の男に説明を始めていた。

異能力の覚醒……か。『組織』は異能者に拘る、と聞いていたが、
まさか異能力の覚醒にまで『組織』が関わっていたとはな……。
ある時はこの世に産み落とされてから何らかの事件、事故を切欠にして……
またある時は胎児の時点で何らかの手を加えられて……
人によって異能力覚醒の時期にズレがあるのは、なるほどこの為か。
恐らく俺は後者のパターン。胎児の時点で……ということになる。
この世に産まれ落ちる以前より既に『組織』に人生のレールを作られていた……
とは、認めたくないものだな。
87池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/10(土) 19:06:12 0
>「本気で殺意をおぼえた時は意外と静かな気持ちになるって本当だな」
俺があれこれと思考の海を漂う中、誰が言ったとも分からないこの言葉が、
俺を現実世界へと引き戻した。そして再び俺に口を開かせた。

「元『機関』の人間のあんたがわざわざこんな話をするのは、単なる俺達への親切心からか?」

一旦呼吸を置いた後、俺は言葉を続ける。

「これは俺の勝手な推測だが、あんたが『機関』と袂を分かった理由の中に、
此度の夕食会の目的がありそうな気がするんだが……。

……まぁ、違っていてもいい。どちらにしろ、ここまで聞かされたら教えてもらえるんだろう?
『機関』の場所……もしくは、『城栄金剛』とやらの居場所をな」

言い終えると、俺は目の前に置かれた手付かずの料理に目を向け、
普段使い慣れない食器を手に取り、料理を口の中に運んでいった。

「あぁ、美味しいね……充分」

他の人間に遅れること十数分。
池上燐介に、今日の夕食の時間がやっと訪れた──。

【池上 燐介:質問を続けた後、食事を始める】
88廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/10(土) 22:00:22 0
>>84
>「―――君だと勝手が分からない、ってことは…店長さんなら分かるんだな?
 じゃ、暫く商品でも眺めて待つことにしよーっと」

…確かに、国崎なら勝手が分かるだろう。
何しろ、この店の店長なのだ。しかもチェーン店では無く個人経営の店。
何を売ろうが、国崎の勝手だろうな。
地図なんか売ったら、薬局ではなく雑貨店になってしまうような気がするが。

「まぁ…うん。いいんじゃないですかね、それぐらいなら」
(…出来れば早く休みたいんだけどな…しょうがないか)

数分後。

>「くぁーっ!店長はまだかぁー……ん?」

男が、商品を見るのも飽きたといった感じで呟く。
その呟きとほぼ同時で、店の入り口が開かれた。
人影からして…これは七重か。
そして、おかしな所が一つ。なぜ俺と同じ高校の制服を着た女…
言いやすく言えば、女子高生を抱えている?

「七重…やっぱ戻ってきたのか…
 って、誰だその女子は?」

七重に抱えられた女子高生…どうやら、意識は無いようだ。
抱えられた女子高生を、七重がその場に下ろす。
やはり、怪我人の身で人を抱えるというのは辛いのだろう。
俺は女子高生に近づき、その まぶたを開け瞳を確認した。

「これは…!」

その目に残るは、洗脳の痕。
一度かけられた人間を…洗脳をかけられた友人をみたから分かる。
確か…解くには、一度気を失わせればいいはずだ。
この女子高生は現在気を失っているから、洗脳は解除されたと見ていいだろうな…
…くそっ、また無関係な人間が巻き込まれたのかよ。ふざけやがってッ!
俺はやり場の無い怒りが込められた拳を、床にたたきつけた。

【廻間 統時:組織のやり方に怒りを覚える】
89神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/10(土) 22:49:30 0
長束と呼ばれる男は両脇の少女の紹介をはじめ…

「そして私の名は長束誠一郎【冥界解体(アンノウンブレイカー)】の名を授かっている」
驚いた。この男も異能者だったとはな。
なんとなく異能者の雰囲気を感じるものはあるが。

その時、やはり池上という青年が動き出した。
「あんたが『長束誠一郎』サンか。
あんたには聞きたいことがあるが、まずその前にあんたからの用件を聞いておこう。
我々異能者をここに呼んだのは、何かしらの目的があってのことだろう?
まさか本当に料理をご馳走するだけの為に呼んだとは思えないからな」

「落ち着いてくれたまえ池上燐介くん。その前に私が何者かをわかっておいてもらいたい」
堂々とした態度で、長束は言う。
「私は君たちの言う【機関】の幹部だった。過去形なのは些細な事由でそれを返上していると思ってくれ。
念のために言っておくが現在は私と【機関】は関係が切れている」

「それでは質問に答えよう池上燐介くん」

それを言い終えると長束は池上の質問に答え始めた…
どうやら桐北と池上は重要監視人物だったらしい。
確かに、この池上と呼ばれる青年は危険な雰囲気を出しているが…まさか桐北も何かしでかしたのか?
そして、私が呼ばれた理由は…たまたまその場にいただけだということ。イレギュラーだったわけだ。
当然といえば当然かもしれないが、私は少し疎外感を覚え、気分を害し始めていたが…。

「君たちが能力に覚醒したのは偶然とでも思っていたのかい」
思わず私は驚いて長束のほうを見てしまう。
偶然ではないのか?私のあの事故は…
困惑した頭に落ち着きを与えるように、長束は続ける

「誤解しないでくれたまえ。私も最近になって知ったことだ」
嘘を言ってる顔ではない…私は続きを聞くことにした。

あの忌まわしい事故
まだ幼かった私は、母と一緒に買い物にでかけていた。
その時突然トラックが私達に突っ込んで、母は即死、私も瀕死の重傷を負った。
奇跡的に私は助かることができたのだが…その時からだろう。私の能力が覚醒したのは。
父はその時のショックで病院通い、私は大人になるにつれて自分の能力を極力封印していた。

母を死なせ、父をも破壊したあの忌まわしき事故が…作られたものだったとしたら…
私はこの男の言ってることが信じることができなかった。いや、信じたくなかった。



90神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/10(土) 22:51:01 0

「神重様は実験が失敗したものとみなされ監視対象外だったようです」
そう言い、美弥子と呼ばれるあのメイドが私に資料を渡してきた。
それに目を通すと…実験された内容、そして管理番号だろうか。
この資料を読んでいくうちに…あの忌まわしき事故と資料が繋がった。
そして最後に残されていた文字…【失敗作】と書かれた資料。

これは傑作だ。随分と作られた物語じゃあないか…。
怒りという感情を超えてしまうと、随分落ち着いて物事を見ることができる。

「本気で殺意をおぼえた時は意外と静かな気持ちになるって本当だな」
誰が言ったかはわからない。だが私はその言葉に同意するだろう。
私の頭の中では冷静に、今の現状を受け止めていることができた。

突如沸いたこの感情は…復讐心だろうか……そんなことを考えながら、私は池上の言葉を聞く。

「『機関』の場所……もしくは、『城栄金剛』とやらの居場所をな」

そう、機関の場所…それを知ることができれば…。
突如現れた復讐心を抑えながら、私は長束の言葉を待つことにした。

「…失敗作…か…。」
その言葉が、私の中に深く残った。

【神重:長束の話を聞き、突如復讐心に駆られる。
     組織関係者に対して、敵意 状況自体は冷静に受け止めている。】
91七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/05/11(日) 01:14:19 0
>84 >88
期せずして、国崎薬局には、三人の若者が揃った
一人は、だらしなく伸びた黒髪の七重
また一人は、さっぱりと短くカットされた、同じく黒髪の廻間
そして更には、黒と白の混じった緩やかな頭髪を持つ、黒コートの青年
唯一、いまいち白黒はっきりしない彼は、
少々居心地の悪い体を見せているが、その頭に点在する白色は、
やたらと黒々としたこの場に、ささやかなアクセントを添えている

七重は、見知らぬ黒コートの青年を確認して、
「こんちは」と、割かし真面目な表情で言い放ち、
そのまま居間に入り込むと、半ば自ら倒れこむようにして、
担いでいた少女の身体を床に横たわらせた
廻間はそれを見て、そいつは誰だという疑問を挙げるが、
対する七重は、戦場ヶ原との件に関して、未だ機嫌を直していないらしく、
じっとりとした視線を向けるだけで、何も答えない

廻間は、しばし丹念に少女の身を鑑定していたが、
何事かに気付いたか、衝動に突き動かされるようにして、床に拳を打ち付ける
その激しい音を聞いた七重は顔をしかめて、「起きるぞ」とだけ言うと、
薄らと開かれた少女のまぶたを撫ぜて閉じさせ、
光の失われた瞳を隠してやる

「国崎も、そのうち戻る・・・」

七重はそう付け加えて、殺気立った様子の廻間に背を向けた

白黒頭のコートの青年が、不安げな視線を向けていることに気付き、
七重は気だるそうに彼の元へ歩み寄ると、
横たわる少女を指差して、「生きてる」と無愛想に伝えた
生きているから心配するなというのと、
死んでいないから騒ぐなというのと、二重の意図が含まれているようであるが、
七重自身、そこまで考えての発言というわけではない

流石にこれでは言葉足らずかと思ってか、
七重は再び、重い口を開いた

「ここは今、店長不在だ
 しかも、俺もあいつも、この店のことはよく分からない
 だから、薬局としての営業はできない
 ・・・アレのことで、これから取り込むかもしれないし
 あなたが普通の客なら、他を当たった方が良い」

言い終えた七重は、廻間の傍らの少女を一瞥し、視線だけで『アレ』を示す
ふと、『アレ』の縛られた腕がぴくりと動いたようであるが、
既に七重の眼は白黒頭の方を向いており、それに気付いた様子は無い

【少女復活中 NOW LOADING...】
92桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/11(日) 09:31:49 O
>>83
「本気で殺意を覚えるときは意外と静かな気持ちになるって本当だな」

力無くそう呟き席を立つと同時に紙の束を机に叩きつける
夕食が少しこぼれ、6人の目が自分に殺到するがその程度を気にできる余裕は無かった
これでも自分自身驚くほど落ち着いているのだ
怒りで我を失い、いきなり長束に襲いかかってもおかしくない戦慄が流れたのだから…


遡ること数分前
「それは私にやらせてもらえないかね。」
少し呆れたような顔をした男に慌てて謝りながらそのまま彼女の隣に座った
一緒に来た3人も座り始めテーブルの上にはこれで一食分か?と疑うご馳走が並べられた

「この子は若宮こよみ【硝煙禁忌】の名を持つ異能者だ
そして彼女は塚原ひかる。死を視るちからの所有者だ」
「そして私の名は長束誠一郎【冥界解体】の名を授かっている」

紹介を終わると2人は静かに頭をさげた
塚原…、さんはともかく
若宮…、ちゃん?は今までの年相応の少女らしい振る舞いとの違いに内心驚き、そして少し悲しくなった
彼女は異能者が故に親から愛されなかった、と博物館で聞いた
だが今彼女は何も迷いもなく異能者と紹介され、それに何も抵抗を感じてないのだ
保護者や世話係である長束さんや葛野さん自身も異能者だから当然と言えば当然なのだが
こんな化け物じみた力にこんな女の子を振り回すことに、他人事ながら心が痛んだ異能力…、 なんなんだよ畜生…

暗くなった心を取り繕うように目の前のスープを行儀悪くかき込んだ
こんなに旨いのに、なぜか心は弾まなかった


「あんたには聞きたいことがあるが、まずあんたからの用件を聞いておこう。」
池上と呼ばれた人物は自分のと同様に有無を言わせない偉そうな態度で6人の食事会を遮った
「私は君達の言う【機関】の幹部だった。」
長束さんは特に不快に思わなかったのか軽く答える
本人は軽く答えたつもりかもしれないが、自分はその言葉に目を見開き耳を疑った

「マジか…」
彼女らの保護者が機関の幹部ということは以前助けてもらった彼女らも機関に何らかの一員であった可能性が高い
自分は現情報で『機関』を絶対的悪と結論付けしてたので
それが過去とはいえショックだった
93桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/11(日) 09:38:43 O
>>85
「重要人物〜?」

全く予想してなかった長束さんの答えに自分は露骨に顔を歪めた
池上、さんは『機関』に喧嘩を売ったらしいのでわかる
だが自分は? 『機関』だってつい前まで存在すら知らなくて、つい1年前無理矢理力を手にしたのに…

「君たちが能力が覚醒したのは偶然とでも思っていたのかい?」
「…え?」
何言ってんだ…、自分は友達と行った廃工場で『偶然』…
「誤解しないでくれたまえ。私も最近になって知ったことだ」
と、長束さんが言い終わると同時に葛野さんから紙の束を渡された

「……ざけんな」
紙は番号を振られた人名と覚醒方法などが記された表だった
その内何人かは、覚醒の時点で死んでる人も何人かいる
探してみると神重や池上さん、今まで会った異能者達の名前(戦場ヶ原さんの名前がないけど…)
そして、自分の名前も当然あり
『Iー21 桐北修貴
洗脳済み人物の誘導によりRank.S[ヤハウェ]の実験に成功し体内に取り込んだ模様 要注意』
とかかれていた
そして時は始まりに戻る…



池上さんが長束に何か話しかけているがそんな事は関係ない

席を立ち、長束の隣まで行くと力一杯胸ぐらを掴んだ

「知らなかった?そんな言い訳通用すると思ってんのか?
全部…、全部お前らに遊ばれてたって事だよな?」
目の前の男は感情が読めない無表情をただ繰り返している…

「ふざけるな…、関係無い人達を大勢巻き込んでその上殺しあえだぁ!?
何が目的か知らないが機関はそんなに偉いのか! 答えろよ!」







【桐北修貴:長束誠一郎にマジギレ、胸ぐらを掴んで問い詰める
      宗方零には勿論気付いてない
94小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/11(日) 11:40:17 0
>>82
相手の少女は煌神 リンと名乗った
そういえばこの地区の異能者のリストを貰っていたことに今更ながら気づいた

えーと、奴の能力は「火炎歌劇(クリムゾンラビリンス)」、
二つ名からして炎を操るようだな
だが詳細は書かれていない・・

このリストは結構いい加減なものだった
大体の能力の詳細は書かれていない、異能者の名や顔写真もところどころ無い者もある

・・・・権六はこの中に入っていなかったようですね
まぁ、彼が此処に来たのは3年前のつい最近ですからね

小村は目の前の戦いをまるで見ず、リストを黙々と見ている
まるでゴッドバルトが自分で動いているようだった・・・・

そのとき、目の前に大きな火柱がたった
火柱・・・奴の能力への布石か?
それとも違う目的が・・?

火柱はもうすっかり暗くなったビル内を照らした

「まぁ、いい。ゴッドバルト!!」

小村の声に反応してゴッドバルトが武器を取り出した
手から槍が出てきた 棒の先に両刃が付いてるシンプルな槍だ

ビュン!!それを高速で横薙ぎする
煌神は剣を盾に防ぐが槍の勢いは止まらずズルズルと引きずられていく

その先には煌神自身が作り出した火柱が――――

「今日は子どもの焼死体を二度も見ることになりそうですね」

【槍のよこなぎで煌神 リンを火の中に押し込もうとする】
【火柱はゴッドバルトが居た場所とは違う場所でよかったですか?w】
95宗方零 ◇qL68zQWOuc:2008/05/11(日) 13:26:26 0
宗方は梁の上から、晩餐の風景を眺めていた。
幸い室内には柔らかな照明で照らされている、光学迷彩で身を隠すには十分だった。
(しかし、高校生に教師、女の子が二人か・・・まるで学童クラブだな)
そう思いつつ会話に耳を傾ける。席では、池上と呼ばれた少年質問を始めた。
この年頃の子供には似つかわしくない、つめたい無愛想な口調だった。
だが年長者相手に少しも遠慮せず、淡々と情報を聞き出そうとする態度には少し好感が持てた。
(なかなか生意気な小僧だな)宗方は内心苦笑する。
それを長束が自己紹介を始める。女の子の紹介を先に済ませたのは、レディファーストという事だろう。

「機関」?聞いたことはあったがまさか実在したとは。
だが彼は機関の人間では・・・ない。つまり神重、池上、堀北の敵ではないと言いたいのか。
(ほう・・・あの二人は重要人物か、だがプロスポーツにスカウトしにきたわけでもあるまい)
神重は少し気分を害したようだ。(そう怒るな先生、本当の招かれざる客がここにいるのだから)
だが宗方もまた、長束誠一郎の言葉に驚愕を覚えた。
> 「君たちが能力に覚醒したのは偶然とでも思っていたのかい」
(・・・なんだと?だが・・・そんな証拠がどこに・・・いや、まさか?)
> 「神重様は実験が失敗したものとみなされ監視対象外だったようです」
メイド服の女が神重に資料を手渡した。その反応は、私と同じだった。
96宗方零 ◇qL68zQWOuc:2008/05/11(日) 13:28:58 0
信じられる話ではない、否、信じてたまるものか!叫びだしたかった。だが・・・
故意の事件・事故・・・宗方はテレビのフラッシュ現象で眼に強烈な光を受けて覚醒した。
子供の頃、刑事や探偵が出てくるドラマが好きだった。だがある日、テレビが強烈な光を・・・
同級生も同じ番組を見て、中には眼に障害を受ける者も居た。
だがこの事件は報道されず、その番組は突然終了したのではなかったか?。
宗方はその事件の真相を調べるため警察に入り、そして能力者であるがゆえに警察から追い出された。
(あれが・・・あれのせいで私は、私は!!!!)
席上を見下ろすと、池上は「城栄金剛」を殺すと言いだし、神重は思案しつつ黙々と食事をし、堀北は長束に掴みかかっている。
池上と比べ、どう見ても今時の高校生の堀北。その反応は当然だろう。
思えば彼があの戦闘と殺戮に巻き込まれるのは間違いだと思えた、全然関係ない誰かの都合でだ。
宗方も今すぐ飛び出し、堀北の代わりに長束を殴り倒してやりたかった。

だが・・・
(否!止まれ!怒る前に疑え!考えろ!)
探偵である宗方の職業意識と、好きだった刑事ドラマの名台詞が怒りを止めた。
機関の実験や能力者の製造(そう呼んでよかろう)、そしてあの資料・・・それ自体が本当だとしても・・・
長束誠一郎は本当の親切で神重たちににこの話をしたのか?
あの二人の反応を見てわかる、長束誠一郎は、けしかけるためにその話をしたのではないか?
池上と堀北を、城栄金剛と機関との戦いに巻き込むために。
彼らの感情を利用して・・・だ。
(もしそうなら、私は許せない。長束誠一郎と機関の両方をだ。)
それに・・・あの資料だが、本当に本物か?本当に城栄金剛は・・・実験に関わっていたのか?
もしかして私たちは・・・長束誠一郎に踊らされようとしているのではないか?
(もう少し様子を見るとしよう。そして・・・長束誠一郎、あんたの真意を必ず見抜いてやる。もしあんたの意図が欺瞞と裏切りならばその時は・・・)

【宗方零 冷静さを取り戻して監視を続ける】
97煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/11(日) 14:51:36 0
>>94

>>ビュン!!それを高速で横薙ぎする
煌神は剣を盾に防ぐが槍の勢いは止まらずズルズルと引きずられていく

その先には煌神自身が作り出した火柱が――――

「今日は子どもの焼死体を二度も見ることになりそうですね」

ゴットバルドに飛ばされ、火柱の方へ向かうリン。
しかし別にそれはもんだいではない、ニヤリと笑うと自分から炎の中に突っ込む。

一瞬、小村は驚きの表情になったが、次の瞬間冷静になる。
小村はきっと自分の勝ちを確信しただろう、しかし小村の貰った資料には載ってなかったが、リンの能力は
二種類ある、まず一つ目はこれが主となるものだがある一定内で能力を発揮する、言うならば固有結界のようなもの。
そしてもうひとつ、炎の自分の意識による操作である。

リンが火柱の中に入った刹那、火柱が形を変える最初は一定にゆらゆらと次は不規則に轟々と、3秒後にはリンの姿が視覚に捉えるまでにいたった。

リンは剣を背負っていた、いや、剣と形容するべきか、剣の周りに炎が渦巻いている。
その剣をリンはゴットバルドにむけ、振り下ろす。
到底届く範囲にない、しかし剣から衝撃波のような炎が出てゴットバルドを襲う。

【煌神:火柱に自分から入り、能力発動ゴットバルドに攻撃を仕掛ける。】
【良いですよww】

98永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/11(日) 16:40:42 O
>>74
「七重、その倒れてる女子高生担いでから、俺に背を向けて走れ!」

白衣の男はそう叫んで、翠達に向けて何かを投げ付けた。
「いい大人が!乳臭いガキに欲情してんじゃねえっ!!」


閃光が炸裂する直前、翠は男の体を支えていた箱に触れた。

箱は、瞬時に幾つかに別れ、白衣の男へ向かっていく。

(ふふ、引っ掛かった…)
翠は男に見えない角度で、にやりと笑んだ。

瞬間、強い光が閃いた。


「…ふう、助かったぁー。ありがとうオジサン、『両方とも』ね」

光が去った後にそこにいたのは、
不意の目潰しに空ろな目を泳がせながらも笑っている翠、

支えを失い、血が固まった額を露わに倒れている男、

そして、両腕、両足、頭をそれぞれ黒い箱に挟まれ、拘束された白衣の男だった。


「ただー、『乳臭い』って何なんですかぁー?翠そこまで子供じゃないんですけどー。
それにこれ…マジ超目痛い、最悪ぅー」

定まらない視線で翠は言う。

「まぁいーや。とにかく、これ治ったら一緒に来てもらうからね?
もう面倒臭い事したくないから、言う事聞かなかったり妙な真似したら…」

翠は指を少しだけ曲げる。
それに合わせて、男を捕えている箱の圧力が、五体を砕こうとするかの様に強まった。
みしり、と骨が悲鳴を上げる。

「…ね?お願いだから大人しくして。キミ強そうだから、絶対に機関に連れて行きたいんですよぉー」

ぼやけて見える男の影に、翠は優しげに、しかし怪しく、にこりと微笑んだ。


【現在地:変わらず空き地前】
【国崎を拘束、視力の回復を待って機関のアジトに連れて行くつもり】
99恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/11(日) 19:20:13 0
【今回から参加させていただきます。丁重に宜しくお願いします】
【プロフィール、及び能力表は避難所の>>272>>274を参照してください】

地図と睨めっこをしながら、俺はこのだだっ広い町を詮索している
――貳名市。どんな町かと聞かれたら返答に困るようなありふれた地方都市だ
歩けど歩けど代わり映えのしない景色。公園、交番、マンション、学校…あぁーくそったれ!
俺は喉の渇きを癒す為自動販売機で飲料物を買った。何故だか生ぬるく感じる
俺の疲れのせいだろうか。喉の渇きを癒しながら、俺は数日前を思い出していた

「恋島!どうせ暇だろ?なら受けてくれるよ…な?」
デスクで淡々と事務処理をしていた俺に、編集長である九鬼が何時もの張り付いた笑顔で話しかけてきた
あぁ、暇さ。売れもしないオカルト誌を出版してる出版社に勤めてりゃあな
…と心で毒づくが、大学を何浪もした俺を拾ってくれたのはこの出版社にしてコイツだ。逆らえる訳が無い
…にしても仕事の依頼が毎回酷すぎる
海に潜ってサメと戦って来いだの、UFOをおびき寄せる為に崖で踊れだの…
思い出しただけで身震いする。悪い意味で。っと俺が感慨に更けるのを中断する様に、九鬼が一枚の写真をデスクに置いた

「何です?」
「超能力者」
九鬼がそう言いながらにやける
…この野郎と思いながらも、俺は九鬼が提示した写真をじっと見てみる
読者投稿の写真だからぼやけて全体像が良く掴めない。だが何となく変な状況なのは分かる
少女と男が戦っており、男の周りに正方体?の物体が舞っているのである。CG加工という線もあるが…
「…で、何が言いたいんですか? 編集長」
俺が恐る恐るそう聞くと、九鬼は口元を吊り上げニヤリとしたまま、こう言い放った
「その写真が投稿された場所に取材してこい。取材費は自費な」
…俺の頭で預金がパタパタと飛んでいく光景が浮かんだ

ふぅ…思い出しても腹が立つ。だがこれも仕事は仕事だ
空き缶をゴミ箱に捨て、俺は地図を確認する。この先に目立つ建物は…国崎薬局か
もしかしたら世話になるかもしれない。まぁ只の取材旅行(自費)だからそ――

『駄目。このまままっすぐは、駄目』

…またうぜえ耳鳴りか。俺は両耳を軽く叩いて、真っ直ぐ向かう
一応国崎薬局がどんな建物か確かめておくか。そういや空き地を通るんだったな
俺はこれからの出費に軽く鬱になりながら、歩き始める
【国崎薬局に向かう為、近道で空き地前に行く】
100 ◆P1wJYx92Ts :2008/05/11(日) 20:47:21 0
>「ふざけるな…、関係無い人達を大勢巻き込んでその上殺しあえだぁ!?
>何が目的か知らないが機関はそんなに偉いのか! 答えろよ!」

「君が真実を受け入れたくないのは理解できるしこの件に対して怒りを覚えるのは当然だ
だが拳を私にぶつけても問題は解決しない。鬱憤をはらすだけなら別の方法があるのじゃないけね」

酷寒の恫喝―誠一郎の威に修貴はおされていた。それはふたりの決定的な差を意味していた。
誠一郎が理論や理屈だけの若君ではなく幾多の修羅場を乗り越えてきた歴戦の士であることを。

「私は善意でこのことを告げたのではないし正義の味方を気取ってのことでもない
この世界は私のもの勝手なことは許せないだけだ」
誠一郎の眼には狂気が宿っていた。だか嘘で固めたリアルはそこにはない
邪悪で凶悪と高潔さが入り混じった長束誠一郎の本音がそこにはあった。

「細かい話は漸を追ってわかるだろう。それよりもこの街の《シナゴーク》
を知りたいのだろ」
三人に通産省関連の特殊法人のビルと製薬会社の研究所の位置と住所がしるされている
紙が渡された。
「どちらにしろ君たちは運命から逃れるには私を利用しなくてはいけない
だから私は君たちを利用する。それだけでいいと思わないか?」
眼から狂気が消え爽やかな貴公子に戻った誠一郎は誰もいないはずの場所を
向いた。

「そこの小鼠くんも文句はないね」
誰もいない空間に美弥子がすばやく動いた。
彼女はいつの間にか手にした大鎌を掲げると当人にしか聞こえない声で囁いた
「お客様、そのまま動かずにいてもらえないでしょうか」



【宗方:美弥子が首に大鎌の刃を突きつけている】
【桐北・神重・池上:美弥子の行動をいぶかしげに思っている】
101小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/11(日) 21:16:43 0
>>97
煌神 リンは確実に炎に入った
いや飛び込んでいったというのが正解だろう
備品の灯油は相当な数があったらしく、正に地獄の業火というのに相応しいだろう

もし奴が炎を操れるとしてもこの業火を操るのは到底不可能
並みの炎使いなら操りきれず灰になるのがオチだ

「ゴッドバルト、権六を持ってきなさい。近くの機関の基地に運びましょう・・・・
このへんなら2,3`のところにあるはずでs・・・・」

そういってゴッドバルトが炎を背にしたその瞬間
ゴッドバルトが両断された
最初は何が起きたか分からなかったが、
徐々に理解する
あの炎から現れた、炎の剣を構えた少女
煌神 リンから放たれたことを

・・・まさかあの量、勢いの炎をすべて自分のものにするとは信じられませんね
全くあれぐらい上位ランクは詳しく調べるよう、情報部にいっておかなくてはいけませんね

リンは勝ち誇っていた そして観念しろ言わんばかりの目をこちらに向けている
当たり前だ、相手の能力の中枢とも言える部位を真っ二つにしたのだから

故に気づかなかった
両断されたゴッドバルトが自分の足元まで゛流れて゛いたことを―――

「やりますね まさかその年で此処までの戦闘が可能とは思いませんでしたよ
全く、うちの機関にも欲しい人材ですよ どうです?入ってみますか?」

冗談の誘い しかしこれが相手にふざけているのか、という怒りの油断を作る

「っ・・・」

何か言おうとリンが口を開こうとしたそのとき

ガシ!!!リンの背後にゴッドバルトが現れ、リンの首を絞め始めた

「驚きました?実は種明かしをすると元々ゴッドバルト自体も
エネルギーの集合体だったのですよ  
だから貴方に斬られた後、こっそり足元にゴッドバルトを忍ばせた それだけのことです」

手品の講師が種明かしをする様に小村が今起こっている現状を説明する

「まぁ、といってももうあなたの頭に入っているかも疑問ですね
リンは酸欠で気を失いかけていた

「山田 権六、どうやら貴方の勝利の女神もここで地に落ちるようですよ」

【ゴッドバルトでリンの首を絞める】
【この先、期待してますよw】
102小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/11(日) 21:26:51 0
>>97
煌神 リンは確実に炎に入った
いや飛び込んでいったというのが正解だろう
備品の灯油は相当な数があったらしく、正に地獄の業火というのに相応しいだろう

もし奴が炎を操れるとしてもこの業火を操るのは到底不可能
並みの炎使いなら操りきれず灰になるのがオチだ

「ゴッドバルト、権六を持ってきなさい。近くの機関の基地に運びましょう・・・・
このへんなら2,3`のところにあるはずでs・・・・」

そういってゴッドバルトが炎を背にしたその瞬間
ゴッドバルトが両断された
最初は何が起きたか分からなかったが、
徐々に理解する
あの炎から現れた、炎の剣を構えた少女
煌神 リンから放たれたことを

・・・まさかあの量、勢いの炎をすべて自分のものにするとは信じられませんね
全くあれぐらい上位ランクは詳しく調べるよう、情報部にいっておかなくてはいけませんね

リンは勝ち誇っていた そして観念しろ言わんばかりの目をこちらに向けている
当たり前だ、相手の能力の中枢とも言える部位を真っ二つにしたのだから

故に気づかなかった
両断されたゴッドバルトが自分の足元まで゛流れて゛いたことを―――

「やりますね まさかその年で此処までの戦闘が可能とは思いませんでしたよ
全く、うちの機関にも欲しい人材ですよ どうです?入ってみますか?」

冗談の誘い しかしこれが相手にふざけているのか、という怒りの油断を作る

「っ・・・」

何か言おうとリンが口を開こうとしたそのとき

ガシ!!!リンの背後にゴッドバルトが現れ、リンの首を絞め始めた

「驚きました?実は種明かしをすると元々ゴッドバルト自体も
エネルギーの集合体だったのですよ  
だから貴方に斬られた後、こっそり足元にゴッドバルトを忍ばせた それだけのことです」

手品の講師が種明かしをする様に小村が今起こっている現状を説明する

「まぁ、といってももうあなたの頭に入っているかも疑問ですね
リンは酸欠で気を失いかけていた

「山田 権六、どうやら貴方の勝利の女神もここで地に落ちるようですよ」

【ゴッドバルトでリンの首を絞める】
【この先、期待してますよw】
103宗方零 ◇qL68zQWOuc:2008/05/11(日) 22:23:12 0
宗方は以前より冷静であれと努めつつ、眼と耳を澄まして監視を続ける。
長束誠一郎、紳士然としたあの男の真意を見抜くために。
真意は、早くも明らかになった。この男は・・・本音を隠すつもりは毛頭ないらいしい。
「 この世界は私のもの、勝手なことは許せないだけだ」 」だと?
(驚いたな・・・ この世界は私のもの?勝手は許さない?なんとも勝手な男だ)
だが自分の真意を隠さないあたり、誠実な男のようだ。
それは宗方の知る限り、最悪の形で表現される誠実さだったが。
> 「どちらにしろ君たちは運命から逃れるには私を利用しなくてはいけない
> だから私は君たちを利用する。それだけでいいと思わないか?」
(何がいいものか、恨みを晴らしたいなら自分やればいいものを・・・)
この時点で宗方の意志は決定していた。長束誠一郎の計画を、潰す。
彼らは今後城栄金剛を倒すために動き、利用され切り捨てられるに違いない。
だがそうはさせない。
あの危なっかしい小僧どもは暴走するだろうから、体を張ってでも止めてやるつもりだ。
可能なら神重を味方に引き入れる、これはおそらく可能だろう。
彼も教師だ、あの二人の行動には憂慮しているに違いない。
そして城栄金剛に事実を問いただした後、どうにかしてゲームを強制終了させてやる。
この食事会が終わり次第、行動開始だ。三人がこの食堂を去るまで待機しようと決心した、その時。

> 「そこの小鼠くんも文句はないね」
宗方は不意を突かれる。くそ、気づいていたか!やはり相手は相当格上らしい。
>「お客様、そのまま動かずにいてもらえないでしょうか」
一瞬の出来事だった。気づくと接近を許していた。、あのメイド服に似合わない大鎌を頭上に構えている。
天井の梁の上は動こうにもなかなか動けるものではないのに、彼女はそこに立っている。決して軽くはない大鎌をもって。
ちょうど真横のすぐそこにいる。着地点も的確、オリンピック以上の運動神経だ。
この女もかなりの使い手らしい。彼女を計算に入れていなかったのは致命的なミスだった。

仕方ない、未成年と公務員の前だ、見苦しい真似はすまい。
宗方は光学迷彩「カメレオンコート」を解除し、明滅しながら姿を現す。
だが、宗像はニヤリと笑いつつ両手を上げる。
美弥子と呼ばれた女にこう言ってやった。
「おや、この特等席は予約済みだったかな?それなら別の席に案内を頼むよウェイトレスさん」
そして長束誠一郎にを見据えて言い放つ。
「主催者の心遣いと受け取っておこう、私もせっかくの食事会で仲間外れは寂しいからな」
「だが客を小鼠呼ばわりとは無礼だな?私は宗方零という、来客リストにでも書き加えておいてくれ」
【宗像零 カメレオンコートを解除し両手を上げる 無抵抗の意志表示】
【とりあえず今のところ抵抗はしません】
104宗方零 ◆BSFghFxWJY :2008/05/11(日) 22:59:47 0
トリップキー忘れました・・・トリップ取り直します。
スレ汚し失礼。
105神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/11(日) 23:44:19 0
私が長束の次の言葉を待っていると…

「ふざけるな…、関係無い人達を大勢巻き込んでその上殺しあえだぁ!?
何が目的か知らないが機関はそんなに偉いのか! 答えろよ!」

桐北が長束へ怒鳴り散らし、彼の胸倉を掴んでいるのが目に入った。

桐北…怒りに身を任せれば、いつか自分を滅ぼすことになるぞ。
私にはその体験が、一度あったといえなくも…ない。

「君が真実を受け入れたくないのは理解できるしこの件に対して怒りを覚えるのは当然だ
だが拳を私にぶつけても問題は解決しない。鬱憤をはらすだけなら別の方法があるのじゃないけね」
そしてこの状況においても、あくまで冷静にこの男は話し続ける。
伊達に【機関】の幹部をやっていたわけではないか。

「私は善意でこのことを告げたのではないし正義の味方を気取ってのことでもない
この世界は私のもの勝手なことは許せないだけだ」
随分と正直に話してくれる。この世界は私のもの…か。
狂っているとしか思えない。眼には狂気が宿っているのが明らかだった…しかし、それも一瞬だった。

「細かい話は漸を追ってわかるだろう。それよりもこの街の《シナゴーク》
を知りたいのだろ」
そういって、【組織】の研究所とやらの位置が記されている紙が私と他の二人に手渡された。
「どちらにしろ君たちは運命から逃れるには私を利用しなくてはいけない
だから私は君たちを利用する。それだけでいいと思わないか?」

いいだろう。こいつがこういう考えを持っているのならば、私も徹底的に利用させてもらおう。
そして…最後に笑うのはお前ではなく、この私だ。

「そこの小鼠くんも文句はないね」
子鼠…とは私のことか。心外だな、いくらイレギュラーだったとはいえ…。
そう思い、長束を見ると彼の目線は上にあった。
そしてそこには…あのメイドか。
大鎌を宙に掲げ、なにやら一人で呟いている…。

主人の命令とはいえ、あんな場所で一体何を…。
その時、鎌の向けられている方向に人が現れた。

「あんな所に潜んでいる奴が…」
確かに、ここにいる異能者だけの反応はおかしいと思っていたが…あんな場所に隠れていたとは。
流石にこのことについては、驚かざるをえなかった。
謎の男は口元に笑みを浮かべながら、無抵抗の証拠として両手を挙げる。そして、こう言った。

「おや、この特等席は予約済みだったかな?それなら別の席に案内を頼むよウェイトレスさん」
この状況であんな言葉を吐けるとは…随分したたかな奴が潜んでいたものだ。

「主催者の心遣いと受け取っておこう、私もせっかくの食事会で仲間外れは寂しいからな」
「だが客を小鼠呼ばわりとは無礼だな?私は宗方零という、来客リストにでも書き加えておいてくれ」
こいつも…私と同じイレギュラーな存在か。
さて、この存在に対して長束はどう動くつもりなのか?

【神重:長束を徹底利用する考えに到る、宗方の存在に驚くものの
    そこまで重要視はしていない。あくまで長束の出方を待つ。】
106戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/12(月) 00:03:40 0
>>101

「山田 権六、どうやら貴方の勝利の女神もここで地に落ちるようですよ」

小村は戦場ヶ原に対し、己の勝利を宣告した。
しかし当の戦場ヶ原は、眼の前の味方の窮地にもまるで動じた風はなく、ただただ静かな表情で少女の顔を見つめていた。
そしてふっと鼻で笑い、身の程知らずにもこの自分に勝利宣言をかましてきた『機関』の幹部に言い返した。

「・・・勝利の女神なんてものは存在しねェよ。そこにいるのは異能力を持っただけの一人のガキだ。
闘いの中の掟はたったひとつ。強ェ奴が勝って、弱ェ奴が負ける。・・・それだけだ。」

戦場ヶ原は、一見非情ともとれる言葉を口にした。
それは戦場ヶ原が少女を無力さゆえに突き放し、見限ったのだと小村は思っただろう。
しかし、彼は静かに言葉を続ける。

「だがな・・・。例外として、強ェ者が弱ェ者に負けることがある。」

彼の脳裏を二人の男がふっとよぎる。
寡黙で顔色の悪い筋肉質の男と、威勢のいい小柄な少年―――。
彼は自嘲気味に再び苦笑すると、迷いのない瞳で小村に向けて不敵に言い放った。

「それは強ェ奴が弱ェ奴を『見くびった』場合だ。
カラス男。貴様の『敗因』はそのガキの力を見くびったことだぜ。」

この状況で小村の勝利を疑う者はまずいないだろう。
しかしそんな状況でこのひねくれ男は、小村が『敗北』していると言い切る。

そう。
戦場ヶ原には見えていたからだ。
少女を包む闘気が、まるで質の違う強大な『殺気』へと姿を変えていく様が。

【戦場ヶ原:回復率80%。だがあくまでも戦いに手を出そうとはしない。】
【リンの中のポテンシャルを見出し、彼女の勝利を確信している。】
107池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/12(月) 00:43:15 0
>>93>>100
長束がこちらの質問に答えるより先に、怒号が部屋中をこだました。
視線を向け確認するまでも無く、この声は桐北という高校生風の男の声だと直に分かった。
彼らの会話に耳だけを傾けながら、俺は黙々と食事を続けていく。

桐北という男の気持ちも、まぁ分からんでもないが……止せばいいものを。
感情を制御できない点に置いて既に、お前と長束とでは……役者が違う。
それにしても、「世界は私の物」ときたか。
元とはいえ、流石は『組織』の人間だった男。脳の精密検査を勧めておきたいね。

心の中で辛辣なコメントを述べていた時、長束は俺の問いに答えるかのように
核心に迫る言葉を吐いた。

>「細かい話は漸を追ってわかるだろう。それよりもこの街の《シナゴーク》を知りたいのだろ」
この言葉を待っていたというように、あの葛野という女が俺を含めた異能者三人に
何かが書かれた紙を配布し始めた。
俺は一旦食器を置き、代わりに配布された紙を手にとって眺めていく。
紙には何かの会社の住所をリスト化し示したものがズラリと並んでいた。
改めて訊ねる必要も無く、これが『組織』を知る糸口を示したものであることは
長束の前後の台詞から明らかであった。

>「どちらにしろ君たちは運命から逃れるには私を利用しなくてはいけない
>だから私は君たちを利用する。それだけでいいと思わないか?」
まだ桐北は治まらない様子であったが、長束はそんな桐北には目もくれず、
誰もいないはずの空間に目を向けている。
だがそこには既に葛野という女が鎌を持って構えており、誰かに話しかけていた。
すると、徐々にその空間から彼女が話しかけていた者の姿が露となっていき、
数秒後、一人の人間が、20代と思われる男がハッキリとした姿で現れた。

……今まで姿を消し、密かに潜入していたのか。
何者かは知らんが、間違いなくあれは奴の能力。……異能者だな。

桐北や神重も同じ事を思い、驚いたに違いない。
だが俺は持っていた紙を置き、特に驚いた表情も見せずに再び食器を取り、
一人食事を進めていくのだった。
108池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/12(月) 00:46:54 0
次に俺が声を発したのは、残っていたスープを全てすすり終えてからだった。

「……俺自身、初めからあんたを利用するつもりでここに来た。
それにあんたが『機関』について堂々と喋り始めた時から、俺も利用されることを覚悟していた。
だから先程の利用云々に関しては俺に異存はない」

……最終的には俺を異能者だと知る全ての人間が俺の手で消されるのだ。
だから、今は精々利用されてやるさ……。

心の中で不適な笑みを浮かべつつ、俺は続けた。

「だが、俺はあんたの指図は受けない。結果的にあんたの手助けになったとしても、
俺は俺のやりたいようにやるだけだ。こんなこと、既にあんたも承知しているだろうがな」

グラスを手に取り、中に注がれたノンアルコールの飲み物を喉に通していく。
そして直に空となったグラスをテーブルに置いたところで、
俺は思い出したかのように再び長束に向かって言い放った。

「そうだ……あんたは、『運命から逃れるため』と言っていたな?
せめて『運命に立ち向かう』と言って欲しかった。少なくとも、俺は『逃げる』ために
闘うのではなく、運命を自身の力で『変える』ために闘うつもりなんだからな」

言い終えると、俺は視線を料理の乗っていない目の前の食器に向け、
両手で手を合わせて夕食の終焉を告げた。

「ご馳走さん」

【池上 燐介:紙を受け取り、互いの利害を理解し、それを受け入れる。
        出された物を平らげ食事を終える】
109国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/12(月) 02:01:12 0
>>98
>「…ふう、助かったぁー。ありがとうオジサン、『両方とも』ね」
(あー……しまった。 やっぱ俺、ついてねぇな)
煙草を咥えたまま眉を顰める。
俺が気が着いた時には、既にその『箱』の様な物は俺の四肢に頭を拘束していた。
そして、先程少女に襲い掛かっていた男は力なく血に伏している。
そのことで俺は、やはりこの少女こそが異能者だったのだと知った。

>「…ね?お願いだから大人しくして。キミ強そうだから、絶対に機関に連れて行きたいんですよぉー」
少女の話から、彼女が人を殺し慣れている事も、異能者だという事も、『機関』の人間であり、
俺を『機関』に誘おうとしている事も解った。
だが、俺の心は害意を感じた瞬間から最善のみを思考し出し冷えていき、
それに対し、怒りも憎しみも、なんの感情も沸かなかった。
ただ、先程の女子高生より人形じみた少女の表情が、ほんの少し悲しかった。

「ぐっ……おいおい、譲ちゃん。俺はただのイケてる薬局店主だぞ?
 みんな殴られたら痛いんだから、無闇に暴力を振るってはいけません
 って、学校で習わなかったか?
 あと、乳臭いって呼ばれたくないならもう少し胸と色気身に付けやがれ。」

箱に締め付けられながらも、困った顔を貼り付け、適当な事をいい、思考を巡らせ続ける。
(間接は完璧に固められてるな……能力を使わないと、動かすのはしんどいか。
 ……まあ、それはいい。どうとでもなる。必要なのはその先だ。
 この譲ちゃんは機関の構成員の異能者で、今までの奴と違って、この町でやってる事を
 知れる立場にある。つまり、この譲ちゃんに着いて行けば
 『この糞みたいな計画を根元から叩き潰せる可能性がある』ってえ事だ。
 どのみち、このままだと七重や廻間のボウズは計画とやらに呑まれて、
 命に関わる戦いを繰り返し、利用されて、死ぬ)

脳裏に、僅か数日で怪我だらけになっていった彼等の姿が浮かぶ。
(それに、この街が消えれば、俺も一般人として生活は不可能になる。
 だったら……だったら俺は――――モウ一度、バケモノ二)

首を挙げ少女の方を向いた俺は、軽い調子で言う。
「……ああ。けど、そうだな。もしお前さんが、
 これから5分間生き残れたら条件を飲んでやってもいいぞ?」

そして少女の視力が戻って来た辺りで、正面から視線を合わせ、

「『贋作変死体(マッドマッドコミュニケーション)』。一生のうち、10回まで
 自分の死を他人に移し変えられる俺の異能。 その発動条件は――――自殺行為」

そう言って、俺は少女の目の前で良く見えるように『自分の舌を噛み切った』
110国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/12(月) 02:02:03 0
口の中一杯に広がる、焼けた鉄ゴテを押し付けるような痛みと、
生温い鉄の味。俺はソレをゴクリゴクリと飲み込んでいく。
異常で異形な光景を少女にはっきりと見せ付ける。

勿論、俺にそんな特殊能力は無い。
これは、少女の心を揺らすため。それから、少女の能力を測るため。
ある程度以下の能力なら、到底計画者に繋がっているとは考えられない。
だから、俺は嘘や詭弁、戯言に真実、あらゆる方法をつかって俺は見極める。

頭の先から足の先、神経細胞の全てにまで、沸騰した血液が巡る感覚。
理性が冷め、感情が熱せられ、意思は溶ける最低の感覚。
(舌は、もう治ったか)
四肢に力を込めると、纏わり着いていた箱はクシャリと歪み、砕けた。
精神が揺れている時の異能力とは、こうも楽に征服できる。

「……それじゃあ、テスト開始だ」

――――鮮血の様に真っ赤な双の蛇眼。纏うのは先程までと比べるのもおこがましい異形の気配。
自らの血を贄とし現れるのは、最悪の怪物『贄(ウロボロス)』。

それは、人間ではありえない速度で瞬時に少女に肉薄すると、
まずはその腕を喰らうべく、右の鎖骨に手刀を放った。

【国崎:永瀬が計画の中枢に接点があるか見極めるため、
 舌を噛み切って流れた大量の血を飲み、能力発動。
永瀬 翠の能力を振り切った後、右鎖骨に手刀を放つ。恋島には気付いていない】
111恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/12(月) 16:04:58 0
>>98>>109-110
それにしても…路地をとぼとぼと歩きながら俺は周辺をきょろきょろと見回す
奇抜な建物があるわけでもなく、妙な人物や動物が歩いている事も無い。全く…
しかし九鬼から良く聞かされていたが、こうゆう一見何の変哲も無い環境から都市伝説などが生まれるらしい
…ホント、蛇でも鬼でも出てこいよ。スクープになるんだから

『駄目!止まって!』
……いった〜。耳元で甲高く子供の声が響いた。慣れてるは慣れてるけど警告くらい出せ
だが昔からこの耳鳴りには色々と助けられたからな…俺は一応その場で止まってみる
…確かに止まった方が良いな。数メートルの先には、明らかに異常な光景が広がっていた
額から血をダラダラ流して倒れている男と、奇妙な正方形の…オブジェだろうか。いや、違う
拘束具か?それにしてはどう考えても形がおかしい。とにかく正方形の物体に両手両足を拘束された白衣の男が横たわっている

そしてその真ん中に肩を震わせている制服を着た少女が立っている。背中を向けているから表情は分からないが、多分ヤバイ
俺は近くの電柱に身を隠した。このまま行けば確実に厄介な事になる
はぁ〜…もし俺が死んだら化けて出るぞ、九鬼
112恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/12(月) 16:27:52 0
【すみません、両手は両腕の間違いです】
>>111の続き

電柱に身を隠しながら、ジャンパーに忍ばせていた叔父のカメラを取り出した
結構年代が古いが未だに現役だ。コイツのお陰で仕事が続けられてると言っても大げさじゃない
だが…ちくしょう、腕が震えて電柱から出られねえ! 頑張れよ、俺!
出てバチィーって今の状況をカメラで取ればいいんだよ!後で超能力だの謎の心霊現象だのでっち上げれば…

…駄目だ。耳鳴りが起こらなくてもわかる。今電柱から出ること=死亡って事を
つくづく情けねえな…ガキの頃からどうも俺は…と自己嫌悪に陥ろうとしたその時
>「ぐっ……おいおい、譲ちゃん。俺はただのイケてる薬局店主だぞ?
 みんな殴られたら痛いんだから、無闇に暴力を振るってはいけません
 って、学校で習わなかったか?
 あと、乳臭いって呼ばれたくないならもう少し胸と色気身に付けやがれ。」

横たわっている白衣の男が、凛とした声で少女にそう言った。おいおい…
明らかに挑発してるじゃねーか!俺よりずっと危ない状況下に置かれてるってのに
空気がさっきよりずっと禍々しくなった。俺はというと背を向け丸まってじっとしているだけ。怖くて動けないんだよ!
そうしていると、白衣の男が二言目を放った

>「……ああ。けど、そうだな。もしお前さんが、
 これから5分間生き残れたら条件を飲んでやってもいいぞ?」
条件?少女と白衣の男は何か取引をしていたのだろうか。…いやいや、どうみてもそんな事する雰囲気じゃねーって
くそ!今物凄いネタが飛び交ってるってのに…俺は両手でカメラを見つめた
…叔父さん、俺ココが死に場所になるかもしれない。だが今動かないと一生後悔しそうなんだ
だから・・・南無三!
俺はカメラを手に取り、勢い良く電柱から飛び出した

…そこには怪物の如き雰囲気で少女と対峙する白衣の男が居た
【誤字・脱字すみません】
【国崎の反撃に立ち会う】
【現在地・空き地前】
113煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/12(月) 22:35:31 0
>>102
>>106

少しの油断だ…
無論どんな達人でも油断はある、だからこそその次の展開を予想する。
しかしリンはその次を予想していなかった、リンはそこのところが未熟というか。

しかしリンは笑っていた。
「い・・ま・・さら…息は・・・関係・・・ありませんよ…」

言うが否やリンは剣を握り締めると、ゴットバルドの腕を切る、いや薙ぐという表現が正しい。
腕を切ったはずが、その腕はいまだ、リンの首についたまま、リンは腕を自分の首から引き剥がすと、

剣を構える、刹那、ゴッドバルドの近くまで接近し切るいや、切り刻むゴットバルド…いや小村が気づいたときにはもはやばらばらだった。
「さて…このままではまた戻ってしまいます、これをどうしましょう…答えは簡単、原子レベルまで分解します。」

言って手をかざし小村の周りに結界を張る、
「これだけは使いたくなかったんですけど…」

それから、ゴットバルドの破片にも結界を張るひとつひとつ丹念に、

「第一楽章殲滅のレクイエム!」
言った瞬間ゴットバルドを包んでいた結界が赤く染まる。

小村の反応の余地もなくゴットバルドは燃やされる。

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、
果てしなく、燃やされ、燃やされ燃やされ、ついには塵になって…消え去った。

小村は驚いている、いや唖然としている、それに追い討ちをかけるかのようにリンは告げる。

「あぁ…あなたも燃やしておきましょう、大丈夫…死んだりしません。かるい焼けどです1日は動けない体になってもらいますよ」
小村を包んでいた結界も赤に染まる、数秒後、結界をとくと…小村は全身やけどで倒れていた。


【煌神:能力を使った影響で体がたがた全治一日、】
【小村:体に重度のやけど(期待に添えた気が全然しませんorz)】
(日常パートの方がすきなんだぜorz)
114梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/13(火) 15:57:02 0
>>88 >>91
「こんちは」
鉞ならぬ女子高生を担いだ男は挨拶すると、奥に入っていった。
いやこんちはじゃなくて。そのおにゃのこについて疑問が多すぎるんですが。
強姦、いや強盗かアンタ?
「七重…やっぱ戻ってきたのか…
 って、誰だその女子は?」
店番少年は軽く驚いた様子で男に話しかける。友人だったのか。
男は七重というらしい。此の店舗名じゃないな…店長じゃないのか。また地図が買えない。
店長さんカムヒアー!

七重という男が女子高生を横に寝かすと、店番少年は身体を調べ始めた。
そして―――怒りを拳に溜め、床にぶつける。
傍から見てる此方としては何に激昂しているのか分かりはしないぞ。
ホント何なんだ?
というか勘弁して欲しい。また面倒事かよ…。

ふと、俺の視線に気が付いたのか、七重とやらが此方に歩み寄ってみた。
何?ナンですか?女子高生を指差して何?
「生きてる」
と、無愛想に話しかけてくる。
「いや、そりゃ見れば呼吸しているし分かるって…。
何より死んでたらアンタは有罪無罪の問題じゃなく警察行きだしな」
女子高生の胸は小さく上下している。あ、この子軽く貧乳じゃん?俺の好みかも。
…いやいやそれよりも店長呼べという話なんだが。

「ここは今、店長不在だ
 しかも、俺もあいつも、この店のことはよく分からない
 だから、薬局としての営業はできない
 ・・・アレのことで、これから取り込むかもしれないし
 あなたが普通の客なら、他を当たった方が良い」

…普通の客なら?
という事はこいつら、『普通ではない』客にも対応しているということだろう。
普通ではない客といえば何だ?
お得意様、違う。金持ち、違う。というか普通の客といえば大体は一般人のことを指している。
とくれば――――――異能者。
115梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/13(火) 15:57:23 0
だとすると、こいつらは異能者なのか?
いや、早とちりは危険だ。
情報を知っているだけの『一般人』の可能性もある。
―――試してみる、か?

「…まあ、ある意味俺は『普通の』客「じゃない」しな。とりあえず店長さんが来るまで待たせてもらうぜ。
もし今此処から出てったら、血塗れの男性と知り合いじゃないのか、っていう噂すら立ちかねないからな…。
そんなことになればストレスで俺の胃には穴が増えるし、白髪だって増える…。
うげぇ、考えるだけで胃がぁぁああぁ…!」
胃を押さえるそぶりをした後、コートのポケットに両手を突っ込む。
それから近くに置いてある丈夫そうな箱に腰かけると、俺は黒い霧を周りに漂わせ始めた。


その時だ。
全員から離れた棚からパリーン!と、薬が一つ落ちて割れた。
「うおわ!ビビった……!?」
ふと棚を見た瞬間、異常なものを見つけた。
俺は、立ち上がって左手で棚を指し示す

「お、おいおいおい何だあれ!?」
指先は薬があった場所の隣にある、濁った赤色をした大きなビンに向いている。

その後ろから、『人間の右手が伸びていた』。
その右手は見つかると同時にビンの後ろに隠れた。
「い、今の…何なんだ?」
左手をポケットの中に突っ込みながら呟く。
俺はあの棚に近づく気は無い。

既に右手はあの棚には無いのだから。


【梓川:ビンが落ちた位置には近寄らず、棒立ちになる】
【七重&廻間:棚にあった右手は見えている筈】
【女子高生:復活中?】
【やっぱり遅れましたサーセンorz】
116葦川妃映 ◆oov3HbsEaA :2008/05/13(火) 21:54:22 0
最初は、ついていないと思った。
少し経って、ついていると思った。
もう少し経って、やっぱりついてないなって思った。



異能者には有効だった私の能力。だが、どうやら今夜の暴徒たちには効果が薄いようだ。
彼らはどれだけの痛みも不快感も感じていないかのように無視して襲い掛かってくる。それでバッドとか鉄パイプとかを容赦なく振り下ろされれば──
「っ………」
防ぎきれるわけも無かった。右腕には青あざができ、頭部は軽く切れてまだ血を流している。
大の男を三人相手にしてこれだけなら良いほうとも取れるが、次は無事とは限らない。
いや、すでに無事ではない。頭に包帯巻いて市役所に出勤したくない。なんて言い訳しようとも、奇妙な目で見られることは間違いない。
どうしてこんなことになったのか。私はメールを無視したのに。今日もクイズ番組とドラマを見ながらゆっくりと一杯やろうとしていただけなのに。
どうしてアパートのドアをぶち破られて、こんな危険なお遊びに借り出されることになってしまうのか。
だけど仕方ない。とりあえず病院、は面倒なので薬局、いやこの時間は開いていないか。
妙に冷たい風邪にずきずきと痛む頭と右腕。ぼんやりと今後のことを考えながらアパートへと戻っていく。
窓破られたのはいろいろと痛い。目立つし、大家に文句言われるだろうし、お金かかるだろうし。きちんと責任を取ってもらいたいが、おそらく彼らに責任は無い。
「異能、か…」
私自身は深く考えようとしてこなかったこの力。突然に色々と起こられても正直困る。こんな力があったって私たちは所詮、普通の人間だ。
少なくとも、私は普通の人間だ。男三人に囲まれれば大怪我の一つや二つする。
だが、ここ数日で解ったことはある。どうやら自分を怪物だと思い込んでしまったらしい人間が居るって事だ。
路地に倒れる凄惨な死体、破片を散らして大破した建造物。まともな神経あんなことができるはずは無い。
普通の人間は拳銃をもらっても撃たないのと同じように、普通の人間は異能があっても思いっきりつかってみよう、とか思わない。
…・・・はずなんだけどなあ。それとも私の認識が違ったのか。私以外は皆、もっと凄い能力なのか。
そうだとしたら、やっぱり同盟を組まなければならない。
現に、私は怪我を負った。自室という安全地帯も保証されないことがわかった。異能者の相手はできても「暴徒」の相手はできないことがわかった。
理想は『物理的な攻撃方法を持った異能者』もしくは『高い身体能力を持った異能者』に設定



したのが十分前。
>>98>>109-110>>111-112
目の前五メートル先に男。さらに先の空き地に男と少女を発見。隠れているわけではないのでこっちを向かれたらばれるかも知らないが、
ばれても十分に逃げられる距離だと思う。自分の常識が通じれば、だけど。
空き地の二人はどうやら異能者、目の前の青年は不明。
>「…ね?お願いだから大人しくして。キミ強そうだから、絶対に機関に連れて行きたいんですよぉー」
>「ぐっ……おいおい、譲ちゃん。俺はただのイケてる薬局店主だぞ?」
思わず噴出しそうになった。いや、良いキャラしてるよ二人とも。
良くは分からないが何かしらの攻防を展開している様子。少女の方は物理的能力、男の方は──呪い?
私の能力がある以上、そのような呪いの様な異能もありそうだけど、どうやら嘘らしい。男は距離を詰めて格闘に持ち込むつもりらしい。
さあどうなるか。見物を決め込んだところで、手前の男が電柱から飛び出した。
……彼が見つかったら私も見つかる可能性が高い。
が、それは大きな問題ではない。もう逃げてばかりも居られない。
小さな覚悟を決めて、二人の戦いを見守った。
【場所:空き地前、達哉の後ろ】
【状態:頭部と腕に軽症】
【方針:二人の戦闘後に交渉】
117葦川妃映 ◆oov3HbsEaA :2008/05/13(火) 21:59:49 0
【プロフは避難所311です】
【誤字や改行で見難くてすいません。次回からはもっと善処します】
【それではよろしくお願いします】
118廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/13(火) 22:51:44 0

>「国崎も、そのうち戻る・・・」
…そういえば、国崎はどうした?
世話好きのアイツが怪我人をたった一人で歩かせるなんて明らかに変だ。
いや、女子高生を抱えてきた時点で一人ではないんだが。
とにかく、なにかがおかしい。
個人的には早く休み、体力の回復を図りたいんだが…
そして、七重は男のそばに近寄り何かを呟く。そして、男は七重の呟きにこう返した。

>「いや、そりゃ見れば呼吸しているし分かるって…。
何より死んでたらアンタは有罪無罪の問題じゃなく警察行きだしな」

「確かにそーでしょーね…」

俺は自然にこう返した。
多少武術を身につけたところで、一般人の領域を脱していない警察官に止められるとも思えないが。
まぁ、この女子高生は生きているようなのでこの話題はほうっておく事にした。

「しかし、ここに置いておくのもなぁ…」

こんな所に置かれてたら…もし、他の客が着たら変な誤解を受けるかもしれない。
とりあえず、店の奥…さっきまで俺が休んでいたところにでも連れて行こう。
俺が女子高生の体を持ち上げ、奥に運ぼうとしたその時…

「…ん」

体がピクっと動いたような気もするが…気のせいか?
まぁ、いい。とにかく運ぼう。
俺は体を女子高生を抱え、さっきまで俺が休んでいたところに運んだ。
119廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/13(火) 22:53:30 0
俺は抱えた女子高生を、慎重に畳に下ろす。
流石に勝手に人の家を漁るわけにはいかないので、毛布などはかけていないがさっきよりは幾分楽なはずだ。

>「うげぇ、考えるだけで胃がぁぁああぁ…!」

店の奥から出ると、男がなんらか大げさなそぶりで呻いている。
しかし、さっきから思うが…ホントに大げさな男だな。
男は箱に腰をかけた、その時。

「!」

俺は何かが落ちたのに気付き、その場を振り向く。
どうやら落ちたのは棚に置いてあった薬品だ。どうやら、高価な薬品ではないらしいが…問題は、それじゃない。
何故、「人間の右手だけ」がその場に存在している?
何らかの幽霊、化け物の類か?
…いや、そうではない。理屈は無いが、なんとなくそうではないと分かる。
そんなこんなを考えていると、その右手はビンの後ろに隠れてしまった。
大抵今の科学力では解明できないであろうその存在に、疑問を持ちながら俺は棚に近づく。
その存在が俺に攻撃を加えられてもすぐ反撃できるように、右手に【鬼神炎球】で生み出された火球をを他人には分からないようほんの少しタメながら。

【廻間 統時:戦闘態勢をとりながら、問題の棚に近づく】
【右手の正体が何なのかは気付いていない様子】
120永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/14(水) 00:41:24 O
>>109-110
翠は絶句した。
当然だ。今まで散々のたまっていた男が突然、自ら舌を噛んだのだから。

そしてその口から溢れ出る血液を、喉を鳴らして嚥下し始めている。


この手の光景には慣れているものの、見ていて気持ちの良いものでは無い。

「うわぁ…それがキミの異能力?
只のこけおどしだとしたら超悪趣味だよぉ。痛そうだしー、止めといたら…」


翠の言葉が止まる。

変わったのだ。男を取り巻く異能の空気が。
だが大きくなった訳でも、強くなった訳でも無い。

強いて言うなら……『血生臭くなった』。

意外な反応に、呆気に取られた一瞬。
それがいけなかった。

気が付くと、男は集中が途切れ脆くなった箱を捻り潰し、翠の前に立っている。

「……それじゃあ、テスト開始だ」

獣の様に細長い、真紅の双眸に睨まれ動けないでいる内に、男の手が鎌首をもたげる。


121永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/14(水) 00:50:20 O

咄嗟に壁を作りだし跳ね避けようとしたが、この様な精神状態でまともな強度が出せる訳は無い。

男の手は壁を用意に砕き、跳躍した翠の肩にすぐに追いついた。

「ぐうっ!!」

後ろに吹っ飛んだ翠は、激痛に顔を歪める事しか出来なかった。
だがその痛みのお陰で、ぼやけた頭も覚めてくる。


「…ったいなぁー。只の薬屋さんにしては戦い慣れし過ぎでしょー?説得力無いよー。
それにさっきの話、やっぱ嘘だったんだぁ。最悪ー。あんなの見せられて、マジトラウマに成りそうなんですけどぉー」

損傷の様子を喋りながら確かめる。
右腕は暫く使えなさそうだ。動かす度に鈍痛が走る。

どうやら、男の本当の異能力は自身強化系。

それも、期待に違わずかなり強力な異能者だ。

「まぁ、良いよ。ちょうど今ウチの機関即戦力欲しいみたいだしねぇー。」

男の後方、砕けた箱達がゆっくりと浮かび始め、男の頭上に集まり形を変えて行く。

「…ますます、来てもらいたくなっちゃった」

翠が左手を振り下ろした。


瞬間、男の頭が箱に変わった。
否、頭上の箱が被さったのだ。
男の視界が一気に暗くなる。

「肉弾戦が得意な相手は目を潰す、ここ重要!っと…
よし、五分だよね?男に二言は無いよねぇ?じゃあ…」
翠は瞬時に多量の立方体を作りだした。

その内の黒い立体は凄い速さで男に向かって行き、白い立体は翠を守る様にその周りを旋回している。


「…よろしくねぇ、蛇のオジサン?」

【現在地変わらず】
【国崎の手刀を受け右腕を損傷。
立て直し、国崎の視界を奪い、『彗星立体』を放つ】
【他二人にはまるで気付かない】
122小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/14(水) 01:06:08 0
>>113
燃やし尽くされた
リンもそう思ったこれで終わりだと
だけど、

ムクッ

小村は立ち上がった
燃えて消し炭みたいになったスーツと
パサパサになった黒髪をなびかせて

「今のは効きましたよ やはり貴女はお強い
是非機関にも来てもらいたいものです」

リンは確かに一日は動けないほどの火傷を負わせた
だが、小村は平然と起き上がった

サラサラサラ・・・・

小村の裾や袖から黒い砂が大量に零れ落ちた

「神の鱗(サウザーアラウンド)・・・・エネルギー体を体内に蓄積しておくことで
攻撃を受ける刹那に超合金なみの膜を体に張る・・・これってタイミングが難しいのですよ」

そういって体を払いながら砂を取っていく小村
これが>>33で小村がかけておいた保険だった

「さて、これから反撃返しと行きたいところですが時間がきてしまいました」

そういうと零れ落ちた砂が渦を巻きに辺りの視界を悪くしていく

小村の異能は長期戦に向いていなかった
が、彼はそれを言い訳にせず素直に負けを認めた
これも彼なりのルールの1つだった

バッ!!

風が弾けたかと思うと小村の姿はそこにはなかった

「また、会いましょう 山田 権六
         それと真っ赤なお嬢さんも・・・・」

残ったのはそこら中に散らばった黒い砂といまだ天を縛ったままの鎖だけだった――――

【小村逃走 また街をぶらつくことにする】
【『神の鱗』で防いだもののダメージを受けている】
123恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/14(水) 15:47:52 0
>>116>>120-121
ピリピリする空気に怯えながら、俺は電柱から飛び出し、カメラを構えた
…俺の目が捉えられなかったのか。何故か女子高生っぽい少女が凄い勢いで吹っ飛んだ
おいおい…幾らなんでもえぐいんじゃねえか…っと思っていると、白衣の男が体勢を立て直した

っておい!なんでカメラ構えたまんまぼーとしてんだ俺! シャッターを押そうとするがどうも指が震えて押せねぇ
にしてもあんなのからどうやって脱出したのか…白衣の男はマジシャンかなんかか?
だがそれ以上にあの女子高生だ。あんな物を何処から持ってきたやら。まさか自分で作り出した?
いや、発想が飛びすぎてる。…頭を打ったのか、俺の頭を色々と馬鹿馬鹿しい妄想が廻る

ふと気づく。白衣の男が壊した拘束具的な何かが、地上に散らばっているのを。こうまじまじと見てると立体パズルみたいだ
するとその物体は意思を持つかのようにふわりと浮かぶと、白衣の男の頭上に集まり…
「おい!あんた、頭上!」
はっとした。思わず声を出してしまった。一応大声ではないから女子高生は気づかなかったが
すると女子高生が左手を振り下ろす動作をした。その瞬間、さっきと同じ様に白衣の男の頭が四角い拘束具に挟まれた
形勢逆転…ってまたピンチに逆戻りかよ!
124恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/14(水) 16:04:26 0
>>123
そう言いながら俺は忘れない内にその瞬間をカメラに収めた。一回一回丁寧に
どんなカラクリかなんて今は考えない。今この瞬間、常識じゃ考えられない事が起きているという事実だけで十分だ
のだが…ん?俺は目の前の光景が信じられず無意識にカメラを下ろした

何も無い空間から、立方体が女子高生の周りに浮かび上がるように成形されていく
しかも形もばらばらで、なおかつ女子高生に従うように動いているのだ。今まで散々非現実な光景を見てきたが…これ以上の光景は見た事が無い
白衣の男が頭を封じられ、動きが鈍っている。するとだ、女子高生の目の前でやけにデカくて黒い立方体が生み出され…
白衣の男にとんでもない速さで向かっていた。どう考えても当たったら只じゃすまない

この白衣の男がもし倒されてみろ。おそらく俺もこの女子高生に殺されちまう
だが俺にはあの女子高生を負ませる程の力は無い。…どうするりゃ良いんだ!
【現在地・空き地前】
【後ろの葦川には気づいていない】
125国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/15(木) 00:37:00 0
>>121-124
少女はとっさに防御を展開した様だが、とっさの発動程度で止められる程、
俺の攻撃は鈍くは無い。手の先から、肉を抉る感覚が伝わってくる。
>「…ったいなぁー。只の薬屋さんにしては戦い慣れし過ぎでしょー?説得力無いよー。
>それにさっきの話、やっぱ嘘だったんだぁ。最悪ー。あんなの見せられて、マジトラウマに成りそうなんですけどぉー」
「そいつぁ悪かった。蛇のいう事を信じる女は馬鹿を見るらしいから、
 今後があれば気をつけろよ譲ちゃん」
ニヤリと笑ってからそう告げ、距離を取ろうとしたのだが、

>「おい!あんた、頭上!」
誰かの言葉が聞こえた気がした途端、俺の視界が暗転した。
突然の出来事に周囲を凝視するも、視界はただただ黒く、音も無い。
驚きの声を出そうとするも、口は動くが、声が届いているかは判らない。
俺は、警戒の構えを取りつつも、脳内で現在の情報を冷静に処理する。
(……こいつぁ、さっきの箱みたいな能力か?
 五感の四つも消すなんてのは、並みの一流じゃあ話にならない反則能力だな。
 ――――まあ、あくまで『並みの』一流相手なら、だがな。
 それより、さっき聞こえた声……いや、いたとしても
 とっととこの譲ちゃんをのせば、言い訳は出来る。優先順位を忘れるな)

俺は、一通り考えを巡らせてから、その場から動くことなく右手を横に伸ばし
『パチン』と指を鳴らした。
そしてその直後に、まるで少女が見えているかのように少女の方へ向き直る。
(正面に譲ちゃんと、小さい箱みたいなモンが多数。
 ……!? おいおい、後ろの方に二人も覗いてる奴がいるのかよ!
 誰かは知らんが、こんな状況なんだから見てないで早く逃げやがれ!)

俺が行ったのは、反響定位――――発した音が何かにぶつかって返ってきたものを受信し、
それによってぶつかってきたものの距離を知る行為だ。
本来なら、コウモリやイルカといった動物にしか出来ない芸当なのだが、異能によって
人外の域にまで第一感から第六感を強化している今の俺には、反射して来た音を皮膚、
つまり触覚で感知し、周囲の状況を把握するなど容易な事だった。

俺が新たな二つの存在に焦りを感じていると、不意に空気の振動を感じた。
その空気振動の音源に集中すると、複数の物体が高速で接近してきている事が判る。
(氷の弾丸程小さくないから、回避だけなら可能なんだろうが……)
問題は後ろの二人だった。仮に俺が回避すれば、能力の形態によっては、
その二人に流れ弾が命中する事は十分予測出来る。

(ったく、仕方ねぇな!)
俺は、接近してくる箱の様な物体の中から直線軌道上に問題の無いものだけを回避し、
『問題のあるもの』は。全て拳や腕、足といった自分の身体で受け止めた。
物体の当たった箇所からは、鈍器で強く殴られた様な熱く、鈍い痛みが伝わってくる。
幾つかの脆い骨に、ヒビが入った感触もあった。

だが、直後に当たった箇所から蒸気が上り、数秒でその痛みは全て消え去った。

異能の特性、通常の異能者の非ではない高速の再生力。
完全にして無限の象徴である贄(ウロボロス)の二つ名の所以ともなったソレだった。

「 ソ レ ダ ケ カ ? 」
聞こえているかは判らないが、俺は、なるべく獰猛に聞こえる様に
そう言ってから落ちていた自分の鞄を拾い上げる。
そして、その中から素早く拳銃を取り出すと、攻撃の射線が観客に向かないように
少女に対し移動しながら何発も発砲した。

【国崎:視覚、味覚、嗅覚、聴覚を奪われるも対応。
    二人の人間の存在に気付き攻撃を受け、移動しながら永瀬に発砲する
    精神は前回能力発動時よりも安定している  あと3分】
126七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/05/15(木) 04:05:04 0
>114-115 >118-119
白黒頭に差し向けられていた七重の眼光は、
突然のガラスめいた破裂音に断絶させられた
薬品の入った瓶が割れ、広がった刺激臭が、三人の鼻腔を引っ掻いた

>「お、おいおいおい何だあれ!?」

言われるまでもなく、七重は破裂音と刺激臭の発生源を振り返っていたが、
彼の視界の端には、人間の右手が見えた
七重が目の焦点をずらすと、その手は、
今さっきに落ちた瓶が元々乗っていたらしい棚の内部から伸びていることが分かる
ところが、よくよく確認も出来ぬまま、手首は薄らと影を残して消失した
七重は目を細めると、スタンスを開いて棚に正対する

ギシリ、と床を踏む音
身構えた廻間が、棚との距離を詰め始める
先程まで何かと騒いでいたコートの青年は、急に大人しくなる
ふと七重が見れば、その青年の視線は廻間の方に向けられ、
棚そのものには、それほど意識を傾けていないようであった
厳しい静寂が広がる
そんな中、三人のうち最も大きな行動を起こしたのは、誰あろう七重であった
無造作に立ち上がると、店内の隅にある用具箱から箒と塵取りを引っ掴んで取り出す

七重にしてみれば、棚から右手が生えたことより、
店の備品が破損せられて、国崎の怒りを買うことの方が重大であった
何より、たかが手首の一本程度、いつでも親指を取ってやる自信がある
さっさと廻間を追い越して棚に近づき、屈みこむと、
箒でもってガラス片を塵取りにかき集め始めた
チャリチャリと言う、くすんだ透明音が重なり合って、
空間を蓋う不穏を少しく削ぎ落とす
床に散らばる光が殆んど姿を消したのを認めると、
七重は廻間に向けて意味ありげな視線を投げて、その場から引き下がる
肌で感じたのだ。棚の奥には、既に気配は感ぜられない

七重は、ガラス片を捨てたゴミ箱の縁から、雑巾を取り上げると、
ずい、とそれをコートの青年に押し付ける
その際、「お前」と何やら言いかけたが、後に言葉を続けることはしなかった

『普通の客じゃない』。タイミング。沈黙。視線
そして、新たに認識の枠に追加せられた、『異能者』のカテゴリ
空腹によって感性が研ぎ澄まされたのか、七重の勘は冴え渡っていた

【予想はついている】
127戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/15(木) 14:17:28 O
>>122
敵は去った。
全身を爆炎に灼かれながらも先見の防御により被害を軽減したのだ。
頭の切れる相手だ。

「…チッ、食えねぇ野郎だ。」

依然黒い鎖に縛られながら、戦場ヶ原は毒づいた。
結局敵から情報を聞き出すことは出来なかった。
しかし、闘いの中で奴が呟いた一言。
――――『機関の基地』―――それはこのあたりから2〜3キロの位置にあるという。
それだけでも収穫と、彼は納得することにした。

「…マイクロワームホール。」

岩同士が擦り合うような音とともに、戦場ヶ原がくくられていた柱が鉄筋ごと崩れ爆ぜる。
柱自体を壊すことで鎖の呪縛から自らを解放したのだ。
彼は残された左手を握り、自分の能力の感覚を確かめた。
(よし…力は戻った。…これで闘える。)
能力は回復したといっても、もちろん身体の傷は癒えていないのだ。見た目だけなら、とても闘える状態ではない。
しかし彼にとっては己の武器――能力――さえ無事ならばそれはたとえ四肢がもげていたとしても闘える状態と言えるのだ。

小村の残した言葉を頼りに、このあたりにあるという基地を捜しに歩き出そうとした所で、彼の足はぴたりと止まった。
戦場ヶ原は側に満身創痍の状態で屈む少女を一瞥した。
能力を使い果たしたのだろう、とても歩けるような身体ではない。放っておいたら他の異能者に狙われる可能性もあるだろう。
かといって、これから目指すのは敵のアジト。戦闘能力を失った子供を連れ歩くわけにもいかない。
戦場ヶ原は溜め息をついて頭を掻いてから、少女を睨んで言った。

「…ガキ、俺は今から敵のアジトに殴り込む。
死にてェんだったらついて来い。」

少女の意向を問うつもりのはずが、命令口調になってしまうのは悪い癖だ。

【戦場ヶ原:目的地は長束たちのいる機関のシナゴーグ】
128桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/15(木) 16:25:48 O
「君が真実を受け入れたくないのは理解できるし怒りを覚えるのは当然だが
だが、拳を私にぶつけても問題は解決しない。鬱憤をはらすだけなら別の方法があるのじゃないかね?」

その言葉に一気に頭に血が上り拳を振り上げ殴る一歩直前までいった

…だが殴らなかった、殴れなかった
結局長束誠一郎の言うとおりなのだ。
今の自分はただ感情に身を任せ無闇に突っ込んでるだけだ
振り上げた腕を震わせながら静かに下ろし自分の席に戻ると授業で居眠りするときの体制で机に突っ伏した
周りから愚か者を見る視線を感じるのが何故か正確にわかった

(なんだよ、怒って悪いかよ!? 大体お前ら何でそんな冷静にいられるんだよ!?
自分は…、自分達は…良いように踊らされただけなんだぞ…! 悔しくないのかよ!?)
隠した顔の中歯軋りと滲み出てくる涙を必死に押さえ、長束誠一郎に向き合った
泣いてなんかいたら、自分が本当に道化になることぐらいはわかっていた

「私は善意でこのことを告げたのではないし正義の味方を気取ってのことではない
この世界は私のもの、勝手なことは許せないだけだ」

自分の事などもう興味ないのか相変わらず感情が読めない顔で長束はとんでもない方向に話を続けていた

私の"もの"って…

「バッカじゃねぇ?」

悪態をついてほんの少しの虚しい反撃をしても全く動じない
いや、左右の2人も含めて動じなさ過ぎるのだ。さっきから事務的に夕食を食べてるだけ…

「まさか今更世界征服が目的とか言わないよなぁ…」

機関、いやこいつ個人はこんな妄想みたいな子供騙しで他人を利用して、殺してんのかよ…
クソ、クソッ…、なにが世界だ、なにが"もの"だ…



「『世界を所有物たるは神々のみ。』」


…あれ 今自分なんて言った?
周りに聞こえるか微妙な声でなにか呟いていたけど、内容が思い出せない
おかしい…、今言ったことだぞ…?

動揺を隠すため今度はパンを貪りついた
妙に熱い体と違和感だけが残った…
129桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/15(木) 16:32:09 O
>>128
(↑>>100>>103>>105>>108)


「そこの小鼠くんも文句はないね?」

長束の言葉にハッとして自分の目の前に紙が置いてあることに気づいた
何かの地図らしいが…、ヤバい聞いてなかった。いいや後で誰かに聞こ…
小鼠? あ〜はいはい自分の事ね。ごめんなさいね礼儀もテーブルマナーもなってなくて…

「お客様、そのまま動かないでいただけますでしょうか」
「おや、この特等席は予約済みだったかな? なら別の席に案内を頼むよウェイトレスさん」

パンを租借しながら首を縦に振ろうとした瞬間に聞こえた2人の声、しかもあの高い天井の方から
ビックリしてむせるには十分すぎる素材だった

「! ムゴッ! ゴホッ、ガハッ……」

口の中のパンが出ないように必死に抑えながら水で一気に飲み込んだ
恥ずかしくて死にたくなった

やっと落ち着いたときには池上さんが食事を終え、意思表明を完了していた
どうやら今夜の取引には応じるつもりらしい
割り切るのが早いというか…、ともかく自分は迷った
これ以上向こうの思惑通りに事が進むのは許せない、だが戦闘放棄して暴発を待つほど絶望もしていない。
わからない…、わからない…、わからない。
自分にとって何が最善で何が愚考か全くわからなくなっていった


自分が要注意人物指定されてるのは自分のナカにヤハウェがいるから…

どうせ今も自分のナカで笑ってるんだろうなぁ…






【桐北修貴:宗方零に滅茶苦茶驚く
これからの行動を悩む】
【ヤハウェ:覚醒大一段階目?
あの呟きが聞こえたかどうかはお任せします】
130葦川妃映 ◆oov3HbsEaA :2008/05/15(木) 21:02:29 0
>>120-121>>123-125
「……」
男が繰り出すのはすばやいステップからの鋭い一撃。男は身体能力に特化しているようだ。
能力の後押しもあるのかもしれないが、あの動きはスポーツが得意な一般人の動きじゃない。
アーツとかフグが、自分が倒されることを警戒しながらも全力で相手を倒しに行くような動き。
プロ?それとも警察官?特殊部隊や軍隊の経験者?白衣を着てるのに?
けど、どちらにしても女子高生が勝てる相手ではない。距離が詰まった時点で詰みだ。

>「おい!あんた、頭上!」

だが、異能者同士の戦いはそう単純ではなかったらしい。
カメラを持つ青年の声が響くのと同時に、男の顔を黒い箱が覆う。視覚と、ひょっとしたら聴覚や呼吸も妨げているのかもしれない。
>「まぁ、良いよ。ちょうど今ウチの機関即戦力欲しいみたいだしねぇー」
機関。戦力。つまるところ彼女も機関の一員で、戦闘のプロだということ。
そしてダメ押しのように放たれる黒い立体。
「……っ!」
さっきのカメラの青年の声でこちらの位置がばれたのか、それとも偶然か。
黒い立体の斜線上には白衣の男とカメラを持った青年と、私。
よけようと反射的に地を蹴り出した瞬間、信じられない物を見てしまった。
「………」
白衣の男もこちらの位置に気付いていたらしい。私たち二人への斜線をふさぐように、立体を受け続ける。
痛烈な打撃音が響き、蒸気がでて、そして男はまだ立っていた。
『自己再生能力』。否、『身体能力の異常な向上』と考えたほうが近そう。
>「 ソ レ ダ ケ カ ? 」
思わず私の口元に笑みがこぼれる。
そうか。
アナタは自分をバケモノだと思っているんだ。
それが本当なのか、ヒロイックな幻想なのか。
そうやって獰猛なアナタが本物なのか、わざわざ体を張って見ず知らずの人間を助ける優しいアナタが本物なのか。

私がしっかり見届けてあげるわ。

【場所:空き地前、達哉の後ろ】
【状態:頭部と腕に軽症】
【方針:国崎に興味。ただし今は逃げる気も手助けする気も無い】
131梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/15(木) 21:07:35 0
>>118-119>>126
店番の少年はそろりそろりと、だが確りと身構えながら歩いていった。
無論棚のところにだ。
動きに恐怖や迷いと取れるようなものは無い。
それどころか、相当自信があるように見える。
まるで絶対に勝てるという戦いに臨む兵士のように…。

そして、今感じたことが一つある。
彼の右手に何か妙な感じがした。
先程の戦いでも感じていたであろう、異能者が能力を使う感じが。
根拠は無いが、なんとなくそんな感じがする。
その感じが店番少年からあったという事は…。

―――確信は出来ないが、異能者の類だ。
だとすると、どんな能力だろうか。
すぐに反撃でも出来そうな能力か…いや、今これを考えても無駄だろう。

耳が痛くなるくらい…といえば過剰だが、緊張感と無音に包まれた店内。

そのとき、七重が不意に立ち上がり――箒と塵取りを取りだして、何の躊躇いも無く棚に近づく。
「え!?おいちょっとアンタ!」
俺が静止の声を掛けたが、華麗にスルーしやがった。

そして―――屈んで、ガラス片をかき集め始めた。
「……へ?」
喉から呆れた声が出てしまう。
いやまあ箒塵取り持った時点でわかるだろうけどさぁ…。
如何考えても右手の方が気になるだろ!
それを無視しただとぉぉぉ!!?
何この人怖いもの知らずかよ!?
血塗れなのに反撃の用意とか全然してないじゃん!
いいのか?いいのかこの人!?

ポカーンと見ているしかなかった。
やがて、ガラス片を完全に片付け終わると、俺に雑巾を押し付けてきた。
これで薬品拭けってか?
「お前…」
と、七重が何か言いかけるが、その後には何も言わなかった。

しばしの沈黙。
「………え?大丈夫なのか?アレ」
破ったのは俺だ。
「……大丈夫なのか?つか、俺客なんだけど…いや、やります。分かったから睨まないで」
俺ってヘタレ。
七重から雑巾を受け取ると、仕方が無く棚の近くに歩み寄り、薬品をふき取り始めた。
……面倒だ。
それにしても、あいつには危険って感覚が無いのだろうか?


【梓川:棚に近寄って雑巾で薬品をふき取り始める】
【廻間は異能者だと考えているが、まだ確信は出来ていない。七重についてはまだ何も分かっていない】
132 ◆GWd4uIuzU6 :2008/05/15(木) 23:02:33 0
―――二日前、私は滞在していたホテルの自室で、送られてきたメールに目を通していた。
"機関"に提出する報告書の作成も終わり、息抜きにコーヒーを楽しんでいた所であった。
目の前には美しいエーゲ海が広がっていて、
典型的なリアス式海岸に白亜の町並みがこれ以上ない程似合っている。
その時は丁度西日が差し込んでおり、太陽の輝きが海面を滑り、
その波模様は絶景と呼ぶに相応しく美しかった。

ノートPCのモニターに目を落とすと『日本・貳名市へと向われたし。』と短く綴られている。
……古い友人からの物だ。最後に『盛大な祭りで持て成してやる。』などと付け加えられていた。
何か悪巧みでもしているのか、恐らく『ヤハウェ』に関わる事なのだろう。
……奴はこういった類が好きだから。

「今度は日本に転勤か……。つくづく一ヶ所に落ち着く事が出来ない人生のようだ」

―――私の統轄するアフリカ大陸における『ヤハウェ』の試験は予想通り大成功に終わった。
あの大陸は紛争が絶えない地域だ。人種や宗教は言うに及ばず、
部族や縄張り等でもお互いを殺し合う……。
『ヤハウェ』のテストには持って来いの場所であった。
そこへ更なる火種として"我々"が『ヤハウェ』を投入したのだ。
力を得た者が戦乱を助長し、拡大させ、次の紛争を作る。
……そこでは国際法など意味を持たなかった。
上からの評価は常々好評で、『ヤハウェ』による兵隊の制御・統制も視野に入れ
今後改良を加えるらしい。開発部門の連中も不眠不休でご苦労な事だ。
そのお陰で我々も作戦の選択肢が増えるのだから、
感謝の一つでもするのが礼儀であろう。今や『ヤハウェ』は次のステップへと上ろうとしている。
そんな矢先に突然のメールだ。個人的には完成まで
このエーゲ海の煌びやかな海面を眺めていたいが、友人からの頼みであれば致し方ないだろう。

早々に荷物をまとめるとチェックアウトをしにフロントへと向った。
その後、空港でビザをホテルに忘れた事に気付き、慌てて引き返したのは良い笑い話だ……。
133 ◆GWd4uIuzU6 :2008/05/15(木) 23:03:15 0
―――友人の催した"祭り"の当日、私は貳名市に足を踏み入れていた。
日本は緑が多く、空気が旨いと聞いていたがそれは何かの間違いだったようだ。
駅から一歩外に出ると街全体を重く、何とも言えない空気が支配している。
否、それは多分友人の言う"祭り"の所為であろう。
昼間だというのに人通りは少なく、閑散としている。
私はそこ彼処から感じ取れる能力者の気配を無視して、目的地へと足を進めた。

―――私の今回の"擬態先"は外資系総合商社だ。……勿論機関の息の掛かった会社だ。
前回宿泊したホテルも機関の下部組織が運営していた。
機関は世界規模の秘密結社だ。それは実体を持たない闇の組織……。
世界中のあらゆる現象に関与していると言っても差し支えない。
その組織の幹部の一人が私だ。幹部はNo.で呼ばれる。
私のNo.は6、またの名を『歪んだ迷宮<プラスチック・パラドックス>』
因みに数字による上下関係は無い。

……配属になった部署の社員達に挨拶をし終わってから、彼らの顔を窺ってみる。
彼らの中に機関の人間は居るのだろうか? 何せ世界規模の組織だ。
中には自分が組織の片棒を担いでいるとは知らない者も居ると聞く。
ザッと見渡す限りでは、私に対して身を萎縮させる者は居なかった。
この部署には構成員は居ないようだ……。
まぁ良い。居なければ作ればいいのだ、新しく。
異能者を新規に増やし、選別し、機関へとフィードバックさせる。
友人曰く、私がアフリカで行った作戦からヒントを得たらしい。
大きく異なる点は『ヤハウェ』の改良試作品を実戦投入している点だ。
この改良型は能力者に使用すれば彼らの能力を著しく増大させる事が出来る…らしい。
無論 一般人に使用すれば、従来通り異能者へと覚醒させる事も出来る。
最も、失敗すれば死ぬのだが……。今の所、成功率は4割弱といった所か。
開発部の連中も新型を製作せずに、成功率を引き上げる物でも開発して欲しいものだ。
134 ◆GWd4uIuzU6 :2008/05/15(木) 23:03:50 0
私は自分のデスクへ荷物を置き終わると、早速仕事に取り掛かった。
目の前にはプレゼン用の資料が小高い山を作っている。……これは酷い。
前任者の残した仕事のほぼ全てが回って来ているようだ。
……自分の仕事くらい片付けてから辞めて欲しいものだ。
親切な女性社員に入れて貰ったコーヒーを飲みながら、私は山の伐採を開始した……。

【定時で社宅へ帰宅。その後街の観光へ】
申し訳ありません。名前を入れ忘れていました。
キャラの詳細は避難所の330をご覧下さい。
136恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/16(金) 00:00:47 0
>>125>>130
今更になってだが、今の状況は殆ど死と背中合わせなんだと呆けた頭で実感する
しかし何故だろう。恐怖よりも寧ろワクワクするのだ。目の前で必死な白衣の男には悪いが
ここまでの経緯で非日常に対する常識的な感覚が麻痺してしまったのだろうか。多分そうだろうな
するとだ、白衣の男がかなり危ない状況だってのに悠々と立ち上がった

そして右腕を伸ばして指を鳴らすと、女子高生の方に向き合った
よ、余裕かよ…女子高生も大概だが、あんたも普通じゃないんだな。つーか…
『逃げて! このままじゃ死んじゃうよ!』
『早く逃げるんだ! 達哉!』

あーあ…むしろお前の声のせいで動きにくいんだって。気にしない様にしていたが、さっきから何時もの耳鳴りが鳴り捲る
しかも危険を知らせるサイレンのつもりだろうか? すっごくハウリングするよ!
逃げる訳無いだろ…これでも仕事なんだ。俺は耳栓をしたい衝動に駆られながら、もう一度カメラを構える
っとその時だ、女子高生の周りを浮いていた小粒の立方体が、突然流動的に白衣の男に突撃した

俺はその立方体のあまりにも攻撃的な動きにビビる。凄ましく精度が高いらしく、的確に白衣の男の体をぶちのめす
白衣の男の体から切り傷からの軽い血飛沫や、明らかに骨が1本2本逝ってる鈍い音がする
…ってちょっと待て。もしこの白衣の男が少しでも防御にミスれば、アレが俺のほうに飛んでくるって事だよな…
…物凄く逃げたい。というか足が軽く引いている。耳鳴りよ、邪険にしてすまない
だがよ、なんか逃げるのは負ける気がするんだ。誰に言われた訳でもないが、俺はこの戦いを見届けなきゃいけない気がする
137恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/16(金) 00:02:30 0
>>136の続きです】
加勢するか? …馬鹿か、俺に一体何ができるんだ。だが少なくともジャーナリストとして名が知られるまで死ぬ訳には行かない
俺の思考が無駄に回転している間も、立方体の攻撃は一向に勢いを止めずに白衣の男に対して攻撃をし続ける

ふと、白衣の男がこちらを伺うような動作をした…気がする。俺の事は気にしないでくれ!なんて言えない
もしかしたら俺のせいで戦いずらいのか? そうかもしれない。いや、多分そうだ
なら俺はあんたの心意気を理解したって事で退避するぜ。写真も取れたしな

…ぶっちゃけ完全に腰が引けた事に対する言い訳だが、俺は正直死にたくない
死なないでくれよ、白衣の男。そう思いながら振りむく。――誰?つーか何でこんな所に人が!?いや俺が言えた義理じゃないが
しかも女性だ。腕と頭に軽く怪我をしてる。おいおいおい、何故だか物凄く泣きたくなって来たぜ
その時
>「 ソ レ ダ ケ カ ? 」
白衣の男から人間の声じゃない、はっきりとした…怪物のような声がした。なんというか地面を揺らすような重低音だ
続くように、拳銃の発砲音…って日本だよなココ!? 何かもう色んな意味で無茶苦茶で何が正常か分からなくなってきた
なんか目の前の女性はほくそえんでるし、俺は一体どんな世界に紛れ込んじまったのか。と、突然
『達哉! 避けて!』
今までハウリングしていただけの耳鳴りが、突然大音量で耳に響いた。俺は驚いて振り返る
…白い立方形の一個が、俺の眼中目前まで迫ってきている
「…マジ?」

【現在地・空き地前】
【戦闘域から離脱直前、葦川に気づく。目前に一個の立方体が迫る】
138若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/05/16(金) 00:24:06 O
「ずいぶん彼らには嫌われたようだな」
「誠一郎さんが悪者になることなかったのです」
「理由を…全てを…語れば…理解された…」
こよみとひかるは悲痛な目で訴えた。新たに加わったゲストと気まずいデザートを片付けると四人は形だけの謝意を表すと美弥子の申し出を断り自分の足で帰路についた。
「あの方々にはわたくしの連絡先と移動手段の提供を約束いたしました」
「ありがとう葛野、これで城栄との千日手から抜け出せそうだ」
「しかし御主人様、偽悪が過ぎます」
「正義の追求だけで事態が解決するなら私もそうするさ」
誠一郎は遠い目をした。己の未熟さゆえの過ちを己の若さゆえの失錯を振り返るように。
「彼らは真っ直ぐで純粋な眼をしている。素晴らしい若者だよ、だがそれだけにもろい」
「御主人様、シスター・アンジェラのことをまだお悔やみになられておられるのですか」
「私は運命は変えられると思い上がっていた。今の池上くんのようにね…だが、運命を変えられるのは“アブラハム”のみ…彼の選択で我々の世界の結末が決まるのだよ」
アブラハムの名前を聞き美弥子は恐縮した。彼が誠一郎の胸に手をかけた瞬間彼の手首を切り落とそうとしてしまったことを恥じたために。
「“炎魔”の復活は阻止しなければならない。たとえこの街を滅ぼしてもね…」
「綺麗な…月…」
ひかるは静穏な空に輝く美しい月を見つめた…嵐の前の静けさの夜の…


【池上・桐北・神重・宗像:移動手段“美弥子”を入手(どんな乗り物でも連絡すれば迎えにきて送り届けます】
139永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/16(金) 03:23:27 O
>>125>>130>>136-137
別に翠は、この攻撃で相手に致命傷を与える事を期待していた訳では無い。

五感を失ったはずにも関わらず、まるで見えているかの様にこちらを向いた時点で、翠はこの男とまともに戦っても無駄だと悟ったからである。

当然回避されるか男の手で粉砕されるだろうし、それにより彼の異能力の全貌が分かれば上出来と考えていた。

だが男の取った行動は、ある意味期待通り、翠の予想を裏切った。


男は受けた。彼ならば簡単に回避出来るはずの立方体を、全身で。

しかし、その傷は見る間に蒸気を上げて消えて行く。

(身体能力・神経系の強化、その上自己再生まで!凄いなー、最早反則級じゃないですかぁー。
…でも、だからって中途半端に避けてちょっとだけ受けるのは変だなー…なんでだろ?)

「 ソ レ ダ ケ カ ?」
男は唸る様な声を出すと、足下の鞄から何かを取り出した。

(え、ピストル?なんで…)
移動しながら発砲される銃弾を、周りの白い立方体で弾きながら、翠は思考する。
さっきの事と良い、何やら行動が妙だ。

まるで……後ろにある何かを庇っている様な。

140永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/16(金) 03:28:33 O
「ねぇキミ、もしかして…後ろに誰かいたりする?」

言い終えた時にはもう、翠の目は二人の異能者の姿を捕らえていた。

カメラを構えた男。
ほくそ笑んでいる女。

ここまで近付いていて気付かなかった事は恥ずべきだが、それは返って幸運かもしれない。

状況を打破出来る新しいカードが、手に入ったのだから。


「そんな怖ーい顔して、本当にお人好しなんだねぇー。またキミの仲間?それとも只の通りすがり?
まぁどっちにしても…『軽く邪魔かも』」

翠が頭上に手を翳す。と、白い立方体が二つ現れた。
「『隕石立体(メテオリックキューブ)』」
立体が、二人の傍観者を押し潰さんと言う様に、落ちて行った。


この男のことだ、立体を砕くか受けるかして、二人を助けようとするだろう。
その時が、彼の運の尽きだ。

(お願いだから気付かないでねぇー…その箱が『何で出来てるのか』に…)

翠は男の動向を見つめた。これ以上、予想外なことが起こらない様にと祈りながら…

【銃弾を防ぎ、恋島と葦川の両者に気付く。二人に攻撃すると見せかけて、国崎にトラップを】
141名無しになりきれ:2008/05/16(金) 17:09:30 0
空気を読まずにNPC投下をばー

>>池上
異能者と遭遇

>>桐北
組織の刺客が襲撃してくる

>>神重
一般人に喧嘩を吹っかけられる

>>宗像
組織の異能者(刺客ではない)と遭遇

>>レオーネ
異能者と遭遇。

これに沿うも沿わないも自由。名前は各自で決めてくれ
基本戦闘中ではない人を選択してみた。抜けが有れば保管してくれ
ところで影から見ている奴は戦闘中に含むのかな?
142名無しになりきれ:2008/05/16(金) 20:53:47 0
恋島と葦川?一応永瀬に気づかれたから、戦闘中に入るんじゃね
国崎薬局の面々は面々で話進めてるしな
スレ汚しスマソ
143煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/16(金) 20:55:19 0
>>127

リンは襲いくる激痛に耐え顔を上げる。

「えぇ、行きますでもその前にちょっとこっちにきてください。」

戦場ヶ原は、怪訝そうな顔をしたが素直にこちらに近寄る

「もっとこっちです。」

一体どうした?というようなことを言ったが無視して、立ち上がる戦場ヶ原に寄りかかるかたといになる。

すると、リンは戦場ヶ原の顔を強引につかむとその唇に自分唇を重ねる。

瞬間、戦場ヶ原の周りを包む。

「安心してください、それは回復用の結界です」

言ったようにすぐ戦場ヶ原の傷がふさがっていく。

「本当に力を使い果たしてしまいました、すみませんがつれてってください。」

リンは脱力して倒れた。

キスした事を思い出しているのか顔が真っ赤だ。

(キスしなければ能力発動できないとはいえ、私はなんて事を・・・)

【戦場ヶ原の傷、全快】
【リンは脱力して動けない。(担ぐかなにかしてつれてってください、
個人的にはお姫様抱っこ希望ww何をしても今抵抗できませんww)】
144国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/16(金) 22:26:49 0
>>130,137,140
銃で少女を撃つが、弾丸は箱の様な物に阻まれ、少女には一向に届く気配は無い。
だが、コレでいい。少女の攻撃を後ろで覗いている二人に当たらない様にする事。
そして、心に罠を貼るにはこれが今の最良の筈だった。
「!?」
しかし、そこには一つの大きな誤算があった。
それは、俺が思っている程戦闘中の少女は一般人では無かったという事――

「そこで覗いてる奴等! 逃げろっ!!!」

突如、大きな箱状の物体が二つ、覗いている二人の上空に出現した事を
感じた俺は、二人がいるはずの方を向き、怒鳴っていた。
少女の行ったそれは、二人の関係ない人間を餌と盾にするという、常套な外道だった。
箱は急速に降下は加速し、二人を押しつぶさんとしている。

(っ……どうする。この状況で出すって事は、あの箱は5割型何かの罠だ。
 止めに行った隙を狙うつもりか、それとも箱自体に何か効果があるのか……いや待て。
 罠だとしたら、それは好機でもある。あえて行かずに、本体を攻撃すれば、
 二人はまあ犠牲になるかもしれんが、確実に隙を叩ける――――)

そこまで考えて、俺は走った。
少女ではなく、箱の様な物を上空に持つ二人の方へ。

能力で強化された足の細胞が急速な運動により熱を持つ。
大地を踏締める度に加速し、数歩で人間では不可能な域の速度に達する。

まず、一人目……体の大きさからして男だろうか。俺は、その横を通り過ぎる時に
胸倉の部分を掴み、箱の落下地点の外へ投げた。
そしてそのまま加速し、二人目を突き飛ばす。だがその時、箱の様な物は既に
俺のすぐ近くに迫っていた。幾ら俺でも、この距離では、流石に回避は不可能。
仕方なく、俺はその箱に向かって拳を放つ。
だが、箱を破壊する事は出来なかった。
手の先から伝わってくるのは硬質ではない奇妙な感覚。
それが俺の腕を飲み込んでいく。
やはり、罠だった。

「あー……あんたら二人、死にたくないなら死ぬ気でここから逃げてくれ。」
俺は苦虫を噛み潰した顔で、だが威圧感を込めそう言うと、
そのままの体制からノーモーションで手に持っていた『銃本体を』少女に投げつけた。
先程使うはずだった心理の罠。
アレだけ銃撃を行えば、大抵の人間は銃本来の性能が脳内に想起される。
そしてただの投擲が銃弾よりも威力があり、銃弾並に疾いものであるという、
ありえない、だが異能者の戦いならありえるその可能性への判断が鈍くなる。
そして、それは高い速度の攻撃の前ではかなりの障害になる、筈だった。

(それでもって……これは使いたく無いんだけどな)
上空の箱に触れると、俺の頭に着いていた黒い箱が解除された。
俺は、少女の罠が完全に発動する直前、最期の瞬間にポケットから
紅い丸薬を再び口に含んだ。

【国崎:罠にかかった。その直前までは視覚聴覚嗅覚は封じられていたので、
    何を話されても聞こえていない。最期に永瀬に銃を投げ、丸薬を口に含む】
145戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/16(金) 23:01:09 0
>>143
少女からもたらされた突然の口づけ。
戦場ヶ原はこの行動の意図がわからずコンマ数秒ポカンとした。
しかしその刹那、体を包む温かで大らかな抱擁感に、それが少女の回復能力であることにすぐ気がついた。
もともとロマンスやその類とは一切縁の無いこの男にとって、その口付けは能力発動の引き金である以上の意味を持たなかったようである。
少女はいじらしくも頬を染めつつ、戦闘は無理ながらも自分に同行したいという意思表示をした。
「フン」戦場ヶ原は無愛想に立ち上がると、回復の礼すらも言うことなく乱暴に少女を抱え上げた。

「…世話の焼けるクソガキだ。いいか、俺の足を一度でも引っ張りやがったらその場で押し潰してやるぞ。」

とても小学校低学年の少女に向けてはいけないような凶悪な面構えで、戦場ヶ原は吐き捨てた。
しかし、口ではそんなことを吐きながらもその行動の裏には、非戦闘員の少女をこんなところに打ち捨てていくわけにいかないという
慈愛の情が彼の中に芽生えつつあったからだ。
以前の――『鬼神』と呼ばれた山田権六には考えられない行動だ。・・・そう、天音滴と出会う前の、獣のようだった彼には・・・。

午後0時。街は昼休みのOLや若者で賑わいを見せていた。
そんな中、大怪我を負う少女を抱えて街を闊歩する大柄な赤髪の男。
これだけで警察官に5回は止められそうな光景だ。しかし戦場ヶ原はあくまで憮然と――少女に至っては嬉しそうにすら見える―― 一点に向かって歩いていた。
目的地は『機関』の基地。
しかし小村は具体的な位置までも口にしていたわけではないため、いつものように異能者の『気』で探ることにする・・・が。
(・・・おかしいぜ。)
機関の基地。やはりそれなりの規模に大勢の異能者が集中している場所と考えるのが自然だろう。しかし、いくら気を探ってもそんな場所はどこにも無い。
さすがに連中も馬鹿ではない。異能力を外部へ漏らさない特殊な防壁でシールドされているのだろう。
これではいくらなんでも探しようが無い。
だが。

「ッ!!!」

ある一点から散るように動き出す4つの異能者の『気』を、彼は見逃さなかった。
それも4つが4つとも一流の戦闘員クラスの強大な闘気を放っている。
それほどの異能者たちが一点から動き出す。この状況は決して普通ではない。
「機関の…犬どもか。」
それを機関の刺客たちがまさに今から狩りに出かけるところだと、彼は推測したのだ。
ちょうどいい。そのうちの誰かをシメ上げて、基地の位置を吐かせる。
なんと簡単なことか。
戦場ヶ原は、少女を抱えていることすら忘れ、確実に目的地に迫る歓びに顔を歪ませ、すさまじい勢いで駆け出した。

【戦場ヶ原:リンを抱えて行動開始。】
【池上・桐北・神重・宗方のいずれかに向けて接近中。】
146恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/16(金) 23:13:07 0
>>139-140>>144
死ぬ瞬間ってのは、以外に耽美だ。なんつーかこ〜…時間がゆっくり見えるって言うのかな…
ってそんな時世の句を残してる場合じゃねえ! だが実際恐怖で足が動けないのはマジだ
頭上からギロチンのようにゆっくりと四角い立方体が落ちてくる。いや、凄い速さかもしれないが、恐怖のせいでゆっくりに見えるのかもしれない
だがそれ以上に最悪なのは、俺の目の前の女性の頭上にも、立方体が落ちてきていることだ

幾らなんでも目の前の人が死なれたら俺はもっと嫌だ。自分が死ぬ以上にな
俺はどうすればいいか目を閉じ考える。…待て、これは諦めじゃないか? いや、違う!
何かこの状況を打破する方法を考えるんだ。こういう修羅場なら、幾度とでも…

・・・畜生、マジで思いつかねえ!だんだん立方体の重圧感がびしびし伝わってきた
嫌だぜ…こんな訳も分からないまま巻き込まれて…と言っても俺が首を突っ込んだだけだが
目の前の女性だけでも助けたい。俺は金縛りにあった様に棒立ちの足を動かそうとする
クソ、動け!今だけでも良い!動いてくれ!
147恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/16(金) 23:32:37 0
>>146の続きです。連レスすみません】
その時だ、
>「そこで覗いてる奴等! 逃げろっ!!!」
体がビクッっと反応した。白衣の男が俺と女性に向かって怒号を上げたのだ
覗いたのは本当にすまなかった。だが逃げたくても体が動かないんだよ!
さっきから目尻に涙が浮かびそうになるのを必死に堪える。だが涙が出そうでたまらない

すると後方で、地面を抉るような音と共にぶわっと瞬間風速が凄そうな風が舞い上がった
上手く言葉で言えないが、後ろ髪がぐっと引っ張られるような感覚がした、っと
俺の横で、人間…じゃない、多分化け物か…いや、この場合は特撮のヒーローと呼ぶべきなのかもしれない
白衣の男が俺の横にピタリと並んでいた。同時に目尻で溜まって出そうな涙が止まった

…んがっ!?いつの間にか俺は頭上の箱から逃れ、路面をごろごろと転がっていた
白衣の男が助けてくれた? 恐らくそうだろう。にしても…痛え!つうかマジで背中打った!
…だが、白衣の男に比べたらこんなのは軽傷中の軽症だろう。同時に女性の俺の方に突き飛ばされる

一応命の危機は去ったようだ。すると白衣の男が信じられないほど高飛びすると、頭上の立方体を殴りつけた
が、白衣の男の右腕はずぶずぶと立方体に嵌って、ってこれさっきの状況と同じじゃないか
という事は女子高生は俺たちをダシに白衣の男を罠に嵌めたってことか…そう思うと俺の中で何とも言いがたい感情が沸いてきた
148恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/16(金) 23:44:45 0
【これで最後です】
いかんいかん、冷静さを失っては…まぁさっきから失いっぱなしだが
すると腕を飲み込まれながら、白衣の男が俺たちに言った

>「あー……あんたら二人、死にたくないなら死ぬ気でここから逃げてくれ。」
そう言いながら、白衣の男は片手に持っていた拳銃を女子高生に投げつけた
自棄になった訳じゃないだろう。何か白衣の男なりの秘策なのだろう。…何様なんだ、俺
ふと両足を見る。怯えが無くなったかのように自由に動く。俺は白衣の男を見上げた

白衣の男がポケットから何かを取り出し、口に入れた。何かは全く予想が付かないが
気づけば俺は今の状況をそれなりに把握できるほどには冷静になっていた。そして俺なりに結論を出す
正直女性は苦手だが…俺は俺自身の意地を見せる。それが今戦っている白衣の男に対する最大の敬意だ

俺は無我夢中で目の前の女性を握って、言った
「ここから回り道で薬局に向かう! 絶対に振り向くなよ!」
【国崎の機転で窮地から脱出。葦川に共に逃げるよう呼びかける】
【レスを無駄に消費してしまい、申し訳ありませんorz】
149恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/16(金) 23:46:33 0
誤字訂正оrz
×女性の俺の方に ×目の前の女性を握って
○女性が俺の方に ○目の前の女性の手を握って
150池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/16(金) 23:48:31 0
>>138
食事を終えた俺は、あの葛野という女が用意した車に乗り込んでいた。
話では、連絡すればこの紙に書かれた場所へ、いつでも案内してくれるという。
しかし俺は、リストに載った場所へ案内させることなく、自宅へと向かわせていた。
それは慣れぬ場所へ連れて行かれ、普段見慣れぬ食べ物を口にしたために
精神的な疲れが出たせいであったのかもしれなかったが、
明確な理由は自分でも定かではなかった。
とにかく俺は一旦自宅へと戻り、そこで仕切り直す気となっていたのだ。
そうして車に揺られること十数分……

「ご自宅に到着いたしました」

不意に運転手がそう告げた。車内のウィンドウから外を見渡すと、
その風景は確かに俺の自宅の前まで来ていることを示していた。
俺はドアを開け、一言「どうも」と運転手に礼を告げると、車内から降りた。
運転手は俺が開けたドアが閉められたことを確認すると、
黒塗りの高級車のエンジンをふかし、この場より去っていった。
俺は車を見送ることなく自宅の玄関に向かって歩き始めたが、
直に足を止め、街灯の当たらない暗闇に向かって喋りかけるのだった。

>>141
「真夜中の訪問は遠慮願いたいが、そうもいかないようだな」

俺の声に反応したように、その暗闇の中から人間が一人、
足音を立てながら俺の前に姿を現した。

「気配は完全に消していたはずだが……良く気が付いたな」

その人間は男。見た目からして20代と言ったところだろう。
俺は「フッ」と鼻で息を漏らしながら男に返した。

「お前の『異能力』だよ。存在を気取られたくなければ、
今度からは『異能力』までもゼロにコントロールしておくんだな」

「なるほど……生まれながらにしての異能者。後天的異能者より感覚が鋭いというのは、
どうやら本当だったようだな。『あの方』の言った通りだ」

『あの方』という男の言葉に、一瞬、体がピクリと反応する。

「『あの方』……?」
151戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/16(金) 23:52:18 0
>>145訂正。
>午後0時。街は昼休みのOLや若者で賑わいを見せていた。
>そんな中、大怪我を負う少女を抱えて街を闊歩する大柄な赤髪の男。
のところを、

>いつしか日も落ち、代わって天に輝く月が街を青白く染めていた。
>街灯もまばらな薄暗い路地で、大怪我を負う少女を抱えて歩く大柄な赤髪の男。

に訂正します。
152池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/16(金) 23:57:22 0
>>150続き
俺のその言葉を待っていたかのように、男は不適な笑みを浮かべながら返答する。

「そう……『8』。『機関』で俺の直属の上司に当たる方だ。
聞いたことがあるだろう? 『機関』の幹部は、ナンバーの肩書きを持つと」

……確かにその話なら国崎から聞いていた。
確か国崎は以前に『10』を倒したと言っていたな……。

「で、その『8』とやらの部下が、一体何をしに来たんだ?」

そうは聞いてみたものの、実のところ俺は大方想像がついていた。
これまでの情報と自身の経験から、
現役の『機関』の人間が異能者に直接接触を図ってくるということは、
すなわち『拉致』か『抹殺』の二つのいずれかが目的であるということ。
そして仮にそのいずれかでなくとも、少なくとも戦闘は避けられないであろうということを。

「『8』はお前に興味を持っているらしくてな。今のお前の力がどの程度のものか、
俺に確認を命じたのさ。要は力試しに来たと思ってもらっていい」

「『8』か……。どこのどいつか知らんが、帰って伝えておけ。
確認するまでもなく俺の力はお前より上だ。いずれ消しに行く、とな」

俺の言葉を聞いてか、男の目つきが変わる。
口元は相変わらず笑みを浮かべていたが、既に目は笑みを失っていた。
今にでも飛び掛って来そうな、男にはそんな雰囲気が漂っていた。

「自信過剰……これもあの方の情報通りだ。
ククク……面白い。それが大言壮語でないかどうか、この俺が確かめてやろう!」

この場の空気が、明らかに変わっていくのが肌で感じ取れる。
『異能力』が解放されているのか……ならば……。

「素直に帰っておけばよかったものを……。いいだろう、力試しで終わらせてやる。
お前の命をな……」
   フリーフリーズ
──『自在氷』、発動。

【池上 燐介:『8』が差し向けた異能者と戦闘に突入】
153廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/17(土) 00:02:17 0
>>126>>131
俺の右手には、目には見えないものの既に獄炎をも越える熱量がたまっている。
熱くないのかと言われれば、そりゃもちろん熱い。
しかし、俺がこの能力を発動しない限り熱はどこへも行くことはないし、俺自身もこの熱によるダメージを食らうことは無い。
自分で思うが、なんて便利な能力なんだ……
問題の棚に、あとほんの数センチという、その時だった。

(はあ?)

……七重が俺を抜き去り、手にしたホウキと塵取りで割れたビンの掃除を始める。
そして、掃除を終えると客であるはずの男に雑巾を押し付けた。
そんな光景に面食らった俺は、すっかりやる気を失った。
今では、あの右手がなんだったのかなどどうでもいい。
右手を握り能力を解除し、解放していない熱量を消し去り俺は店の奥に引っ込んだ。

俺は畳の上で横になる。
奥側には女子高生、入り口側には俺が寝ている。
横になりながらいろいろ考えてみたが、今更ながら己の未熟さに気付かされる。
俺自身の能力は、夜にしか扱えない……つまり、昼に襲われたらほとんど戦えないのだ。
いや、夜以外でも使おうと思えば使えるのだが……如何せん、体への負担が大きすぎる。
修行は終えたものの、まだまだ学ぶ事は大量にあるな。
……こんな調子で俺はホントにこれから敵を倒せるのか…?
あのメールの差出人。おそらくアレは個人単位で企画できるものではあるまい…
異能者が2、3人だけならともかく…100人単位で集まってるんだ。
それこそ、国家に相当するレベルの組織でなければ不可能だろう。
俺の最終目的……このバトルロワイアルで優勝する事じゃあなく、この企画そのものをブッ壊す事だ。
そして、終いにはこれを企画した組織そのものを派手に叩き潰す。たとえ、誰を敵に回そうとも。
しかし、今の俺には到底不可能な話……人間という種族を、あらゆる面で超える力を手に入れないと……
……ルナ……今の俺じゃ、お前の器とは到底呼べないな。
早く、成長して相応しい器へと生まれ変わらなければ。
そんな想いを胸に秘め、俺は目を閉じた。

【廻間 統時:店の奥で休養】
【憑依覚醒フラグその1 出現】
154葦川妃映 ◆oov3HbsEaA :2008/05/17(土) 00:34:55 0
>>139-140>>144 >>146-147
突き飛ばされると逆らわずに、地面を軽く転がる。口に土が入り、スーツも汚れることとなったが仕方ない。
少女は蹂躙する無邪気な魔獣。白衣の男はそれに抗う果敢な勇者。
勝敗は決まり、数分のうちには哀れな勇者は命を落とす。もしくは誇りを奪われる。
ただ、それが私のせいでもあるならば。
私のくだらない自己満足や欺瞞のせいでこんなに素敵な勇者を奪われるのも癪だ。
それも寄りによってこんな子供に。
「──少し借りるわね」
しなやかな動きでカメラを持った青年の手から抜けると、彼のカメラのストロボを強引に外す。
そのままストロボを掲げて少女の方へと走り出す。
並の女より足は速いとは思うけど、彼女の箱を振り切って彼女を殴れるほど私は強くない。
「殺してあげるわ小娘、喰らいなさい!必殺──」
できるだけ距離を詰めながらも、彼女の注意を引く。
そう、「必殺技」だ。「必殺技」を撃たれると解ったら、普通は避けたり防御したりするためにその方向を向く。
それこそが私の狙い。
注意するのはストロボに箱をぶつけられること。
だけどたぶん大丈夫。避けることだけに集中しろ。十分避けられる。
そして、少女がこちらを向いた瞬間──
「──ネガティブヴィジョン!」
ストロボを発光させる。
この場に居る者たちの視界を、一瞬だけ閃光が奪う。
だが、少女だけは違う。
私がストロボをたいた瞬間の最も眩しい瞬間を一時間味わい続けることになる。
目を閉じても、下を向いても、視神経は強烈な閃光を感じ続ける。
例え閃光を直視しなかったとしても、それなりの光が彼女の目に入る──はずなんだけど。

【国崎に加勢】
【翠に接近。自身の能力が通用したかどうか確認できるまで中距離を保つ】
>>141
―――『落とし穴』嫌な響きだ。
―――どんなに気をつけて歩いていても、『落とし穴』は存在する。

PM17:27、私は帰宅後シャワーを浴び、着替えを済ませると街へと繰り出した。
理由は勿論観光だ。街のあちこちで怒号と悲鳴が飛び交う様は、まさに戦場その物だ。

途中、自動販売機で紙パックのアップルティーを買い、歩道橋から景色を眺める。
……この祭りの後、何人機関の役に立つ異能者が残っている事か。
溜め息を漏らすと、アップルティーを飲み干し紙パックを地面に置くと、再び歩き始めた。
目的地は決めていないが、この地区の機関本部でも良いかも知れない。

反対側へと下りる階段の近くに差掛かった時、少女が上ってきた。
……駆け出しのルーキーでも解るほどの殺気を放ちながら。

「そこの男。ロンバルディーニ……、レオーネ・ロンバルディーニだな」

極力平静に、殺気を消し、無知な一般人を装う。
今の私は平凡な会社員なのだ。

「何か……用かな? お嬢さん」

目を凝らして敵の顔を、体格を確かめる。
身長はそれほど高くは無いが、かと言って低くも無い。
年の頃は十代半ばから二十代前半といった所か。ひと目で日本人ではないのが解る。
人種はロシア人だ、間違いない。所々スラブ圏訛りが在る。
そして、怒りの感情に燃えている。これは声の震えと、姿を現した時からぶつけられる殺気で解った。

「貴様の命を……貰うっ!」

少女は懐からナイフを持ち出し、戦闘態勢を取った。
友人の祭りでこんな奴が増産されたとなると、うかうか外にも出られやしない。
ごっこ遊びなら他所でやって欲しいものだ。私は彼女の脇をすり抜けた。

「―――ナンバー6ッ!!」

体を鈍器で殴られたような衝撃が走り、私は歩を止めた。
―――この少女は"知っている"……!!
『落とし穴』……聞けば聞くほど嫌な響きで、うんざりして来る。
これまでの人生、私はこの『落とし穴』を回避しながら生きて来た。
巧く立ち回れば、落ちる前に『落とし穴』を見つける事が出来る。
それなのに……、こんな思わぬ所で……。
いや、違うな。『落とし穴』はいつ何時も無数に在るのだ。
私が振り向くと、少女もまた振り返った。

見逃してやろうと思った……。相手は堅気だ、いくら異能者とは言え……。
だが、私の事を……。
私が組織の中枢にいる人間だという事を知っているのならば……。

「―――始末しなければならなくなった」

【レオーネ:歩道橋で異能者(NPC)と交戦中】
156恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/17(土) 07:06:12 0
>>154
手を握ったは――え?
俺なりにカッコよく決めたはずが、女性は俺の手を握る事は無く、返事にも答えなかった、
しかもだ、いつの間にか手元の叔父のカメラが女性に奪われていた。俺が状況を把握できず呆けていると…
>「──少し借りるわね」

女性はおもむろにストロボを解除した。ちょ、無理やりやるなよ!壊れちまうだろ!!
すると驚く事に女性はストロボを解除したカメラを掲げ、女子高生の方へと駆け出した
――何してんだ!さっき逃げろって言われたじゃねーかよ!

…ここで一番考えたくなかった事が頭の中をよぎり、ぐるぐると回る
そして色々と考え込むうちに、あぁやっぱりと諦めの境地になった
やっぱりあんたも白衣の男や女子高生と同じ――超能力者かなんかか

俺は何故だろう、激しい自己嫌悪に陥っていた。なーにが付いてこいだよ
どう考えても普通の人間の俺の方が命知らずじゃないか。そう思うと女性が俄然強そうに見える
『達哉、今だよ。早く逃げよう』
耳鳴りが俺にこの場から離れるよう促す。そっすね。一般人が居ちゃいけないっすね

女性は女子高生の近くまで走りこ――うおっまぶし!
突然フラッシュ炊くなや! 目が大変な事になりそうだったぞ!
ストロボから目を守る為、俺は目を塞いで顔を下げる

顔を下げながら、少し泣いた
【葦川にカメラを渡す。取りあえずその場に立ち尽くす】
157七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/05/17(土) 10:13:23 0
>131 >153
廻間は、七重の行動に面食らって、店の奥に引っ込む
コートの青年は大人しく床を拭く
先程の状況とは逆に、七重だけは壁に寄りかかって、何らの行動を起こそうともしない

「普通じゃない、なんてわざわざ挑発したところがまず怪かった」

床に這いつくばる青年を見下ろすでもなく、七重は語りだす

「お前がぎゃあぎゃあ騒ぐのを止めた途端、
 タイミングよく現れたのが怪しい
 それに、手が現れた後、お前がほとんど騒がないのも妙だった
 お前は、とにかく何にでも騒ぐタチのはずだろう? 口調で分かる・・・
 余り恐ろしかったんで、黙っていたのかもしれないが、
 お前の表情はそんなに恐怖してなかった」

青年に対しての『あなた』は『お前』に変わっており、さりげない憤りが示されている
それにしても、七重にしては非常に饒舌であった

「まだある。とっさに左手で指差すのが怪しい
 左利きかもしれないが、可能性は少ない
 それと・・・ お前は余り棚の方を見ていなかったろ
 そこに近づく廻間の方を観察しているようだったのが怪しい
 普通なら、少なくとも棚の方に意識を向ける。多分」

怪しい怪しい怪しい怪しい。四つポンして単騎待ちである
七重は、当の自分もそれほど棚に集中していなかったことについては、
棚に上げっぱなしの方針で行くつもりのようだ

「雑巾を渡したのは確認だ。シロなら退く。クロなら拭く・・・
 結局、お前は床を拭きに行った
 怖がって黙りこくっていた人間が、そうできるとは思えない
 たとえ俺の行動を見て、無事を確認した後でも、
 自ら棚に近づけるほどには、安心は回復しないはずだ・・・」

ロン、とでも言いたげに、七重はそこで言葉を切る
彼の推測が道理に適っているかはともかく、全く非常な洞察力を発揮していた
コートの青年を立たせると、薬品の吸収された雑巾を取り上げて、再び話し始める

「あの右手はお前の仕業だろう
 近頃、妙な奴らに大勢会う・・・ お前もきっと『妙な奴』だ
 どういうネタがあってか知らねえが、お前がやったに違いない
 一体何のつもりで店の瓶を壊した?
 それとも、誰かの指示でこんな茶番をやらされたのか?
 どっちにしろ、話してくれない限りには・・・」

いよいよ七重は、さあ点棒を払えとばかりに圧力をかける
両手で雑巾を掴み、左右に引っ張ると、
真ん中からピリピリと音を立てて裂け始めた
その一方で、店の奥を眺めつつ、
後でこの状況を廻間に伝えるため、また忙しく口を動かさねばならないのかと、
七重は勝手に憂鬱な気分に侵されていた
158小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/17(土) 10:58:21 0
そろそろ深夜0時になりかけていた
小村はとりあえず一旦自分が泊まっているホテルに帰ることにした

フタツナスカイホテル。ここ貳名市で一番大きいホテルであった
このホテルは機関の息がかかってなく、小村が機関から渡されるお金で泊まっている
何故そんな面倒なことをしているか
それははっきり言って機関で小村があまり好かれていないからだった

3年前の離反事件の後、処分は確実とされていたがとある条件を呑むことによって死を免れただがその後また前のような立場で居られることは出来ず今のような立場に落ち着いたのだった
そして彼の今のNOは

昔の話を思い出し小村の顔が不機嫌さを増していった
「とりあえず服を着替えて、食事でも済ませましょうか」

そう思い、ホテルに入ろうと自動ドアの前まで来ると
「お客様」
突然ホテルマンに呼び止められた
「なんです?」
「その服装での入場はご遠慮願いますか?」
確かに小村の服は消し炭のようになりとても健全な一般人には見えなかった
「これはちょっとした諸事情によるものです
なに、部屋に行けば着替えがあります、では」
小村は先ほどの戦闘により少しイラつきが積もっていた
そのためホテルマンを適当にあしらって中に入ろうとすると
「お客様!!それは困ります!!怪しい人を入れては私の給料が減り、我が家庭は火の車です」
「そんな事、知ったことではありません!!とにかく私はここに泊まっているのです!!」
「なら宿帳を持ってくるので少々お待ちを・・」
そういうとホテルマンが中に入っていき、姿を消す
「全く、泊まった人の顔も覚えていないとは、非常識な人だ」
今このあたりで一番不審である燃えカスになったスーツを着た小村は毒づいていた

ええい、あんな奴を待つ事などない

そう思い、勝手に中へ入り服を着替え、下に降りてくると
さっきのホテルマンが近づいて来て
「お客様!!!勝手に入られてはいけません!!!」
悲鳴に似た声でホテルマンは叫んでいる
「別にいいでしょう で、私がここに泊まってることは分かったのでしょうね」
「エエそれは分かりましたが・・」
「が?」
「お客様の利用日数が今日までなのです」
「わかりました 追加分払いましょう」
厄介な事はイヤなのでさっさと金を出そうとしたが
159小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/17(土) 10:58:58 0
・・・・・

小村は唖然とした取り出した財布の中に入っていたお札類が全て燃え尽きて、
何が書いてあったか 全く分からないことになっていた

「お客様?」

・・・まずい、払えなかったら追い出され、更に無一文だ
仕方ない、機関の下っ端か、誰かに金を持ってこさせるか

あまり気が進む案ではなかったがそれしかなかった
機関連絡用特殊電波送信機、通称「機連送」とも呼ばれている機械で連絡しようと思ったが・・
・ ・・・全く反応がない

「・・・!?こんなときに・・」
どうやらさっきの戦闘で壊れてしまったようだ

「・・・お客さま、もしお金が払えないようでしたら働いて返してもらうしかないですね」
「な!?」

いや、まて・・・何か方法があるはず
電話を借りるか?いやだめだ、機関の電話番号は絶対機密、こんなホテルでかけて言い訳がない

パチ

ホテルマンが指を鳴らすとごつい体をした警備員が現れ小村を奥に連れて行ってしまった・・・

【フタツナスカイホテルで足止め】
【ギャグパートにしてみたのだが・・】
160梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/17(土) 13:22:45 0
>>153>>157
後ろで店番少年が能力を消した感じがする。
何の危険も無いと分かったらそうだろうな。

とりあえず拭く、拭く、拭く。
って七重さんアンタ何してんだ。
壁に寄りかかって。
そんな風に思っていると、七重が口を開いた。

「普通じゃない、なんてわざわざ挑発したところがまず怪かった」
――はぁ?
思わず手を止めてしまう。
それに構わず七重はどんどん喋っていく。

タイミングが良すぎる。
黙っていたのに恐怖していなかった。
左手で指差した。
棚よりも店番少年…つまり、廻間を見ていた。
薬を拭いた。
これらが示すことは――
俺が立ち上がると、七重は雑巾を奪い取り、

「あの右手はお前の仕業だろう
 近頃、妙な奴らに大勢会う・・・ お前もきっと『妙な奴』だ
 どういうネタがあってか知らねえが、お前がやったに違いない
 一体何のつもりで店の瓶を壊した?
 それとも、誰かの指示でこんな茶番をやらされたのか?
 どっちにしろ、話してくれない限りには・・・」

そのまま、左右に引っ張って裂いた。
やめてくれ、俺(の胃)のライフはゼロだ。
161梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/17(土) 13:31:02 0
いや、それよりもこいつは間違い無く異能者だ。
けれども…どうするべきか。
正体をバラすか、バラさないか。
バラした時のメリットは、堂々と情報を得れる、相手を味方にすることは可能。
デメリットは…問答無用で攻撃される可能性や敵に回る可能性、次に会った時に攻撃される可能性があることだ。
バラさなかったときは…それは言わずともだ。
リスクを省みずに賭けてみるか、慎重にいくべきか…。
――如何する?

「………恐れ入った、そこまで洞察力があるとは…いやはや、驚いたぜ。
まあ、こんな事を言うって事は―――アンタも、いや、アンタ達も『異能者』だからだな?」
俺はニヤリと笑みを浮かべて言う。
「そうだ、ビンを落としたのは俺さ。理由は…そうだな、アンタが『普通の客なら帰れ』って言ったろ。
それで異能者か?って怪しんだからだ。右手だけを見れば普通の人間なら大いに取り乱す筈だしな。
だけど、アンタ達は取り乱しもしない、その上アンタに至っては普通の人間なら思いつかない筈の答えも出した。
それで確信できた。異能者だとな…。
で、そんなアンタに聞きたいことがある。――――この妙な戦いについての情報、または『機関』についての情報。
―――知っているなら教えてくれ」
正直ここまで頑張ったの初めてだな、俺。
だけど、胃が、マジでヤバイ…。

【梓川:七重の質問に対し色々付け加え返答、さらに質問】
【胃は酷く痛む】
>>155
―――この少女の能力がレオーネに知れたのは、彼の手のひらを釘が貫通した後だった。
背後の、完璧に視覚の外から、音も立てずに手のひらを抉ったのだ。

「うっ!? こ、これは……」

釘を抜くのは後回しにし、後ろへ下がり一先ず距離を取る。
敵の能力が判明しない内から戦いを挑むのは愚の骨頂だ。
しかし、距離を取った事も徒労に終わった。何故なら……。

「な…にぃ……!?」

斜め後ろからからナイフが二本、正確に彼目掛けて飛来してきたのだ。
―――今度もまた死角からであった。
ナイフはそれぞれ、背中と左脹脛を深く突き刺し、レオーネは地面に膝をつけた。

(磁力……なのか!? いや、間違いなく磁力だ!)

少女は体から強力な磁気を出していて、その力で金属類を動かしたのだ。
先程の釘にしてもそうだ。磁力の力で いずこからか釘を引っ張ってきた。
いや……正確には"釘を自分の方へと引き寄せた"のだ。
少女とレオーネは直線上で結ばれている。つまり、少女の前にはレオーネという壁が在るのだ。
彼女が自分を傷つける事は無いという訳だ。本当に迂闊であった……。
背中と脹脛にナイフが、手のひらには釘が刺さっている。
ダメージはどれも大きいが、最も危険なのは背中を抉ったナイフだろう。
傷は深く、刃は肝臓にまで達していた。彼の体を激痛が苛む……。

(能力の応用が出来ている……! この少女は間違いなく実戦を経験している!)

訓練ではない、訓練ではこのような応用は形成できない。

「人間磁石という訳か……」

レオーネの頬を冷や汗が落ちていく。

「気付いたようだな、ロンバルディーニ。
 そうとも、わたしの能力は"磁力を操る事"
 その能力は自分にも、そして勿論敵にも向ける事が出来るのだ」

【レオーネ:歩道橋で異能者(NPC)と交戦中】
【背中に重傷を負った。……苦戦している?】
163神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/17(土) 17:47:50 0
食事会が終わり、各自解散となった。
私は、徒歩で帰ることを選択した。
「失敗作…か」
書類に書かれていた【失敗作】という言葉が未だに私の中に残っている。
組織の思惑通り、完成品になりたかったわけではないのだが…。

(失敗じゃなくて、未完成なだけだぜ…。)

脳裏に声が響く、驚いて回りを見渡すが誰もいない…。

「柄にも無く、相当疲れたみたいだな。早く帰って休むとするか。
 幻聴もするようだしな。」


そんなくだらない事を呟きながら歩いていると…。



「はいはーい、止まってくださーい」
気がつくと、20代前半の男達に囲まれていた。
「すいませーん…僕達、遊びたいんですけどお金ないんすよー。だからぁ、貸してくれません?」

…なるほど、カツアゲというやつか。
本当に今日は厄日だ。人が考える時間すらこんな奴らに…。

「あれー?聞こえてますかー?貸してくれないってんなら…。」
「痛い目にあってもらうしかないよなー。」
周りを見ると、男達がそれぞれ武器を持っているのが分かる。
だが所詮一般人だ。


「…そうだな。痛い目にあってもらおうか。お前達みたいなのにはお仕置きが必要みたいだしな。」
そう言い、私は能力を発動させた。

【神重:一般人にお仕置きタイム。第二人格が出てきている?】
164宗方零 ◆BSFghFxWJY :2008/05/17(土) 19:00:42 0
「食事の邪魔をして済まなかったな、私はこういう者だ」
宗方は帰りがけに3人に名刺を渡す。池上は明らかに興味なしという風だったがそれは無視した。
──宗方総合調査事務所・浮気調査・融資先の信用調査・人探し・示談交渉・等々請負──
名刺には事務所の名義・住所・携帯番号が簡素なフォントで印字されている。
神重には、裏側にメッセージを書き添えたものを渡しておいた。
『教師たる者青少年の非行を見過ごすべからず、当方に協力の意志あり、すみやかに連絡されたし』
その後宗方は簡単に事情を説明する。
ヘリを追っていたらここにたどり着いた事。
3人の敵に回る気は無い事。
そして長束の考えに異存はなく、城栄のいるシナゴーグへ向かう意志がある事を話した
「何かあったら連絡してくれ、それでは」
そう言うと、宗方はきびすを返してシナゴーグを後にした。

気がつくと、宗方は雑多な繁華街の片隅を歩いていた。
廃墟となった事務所に戻るのかと思うと気が滅入る。
事務所の大家には『貸し』があるから問題はないとして・・・あのガラクタの山を片づけるのか・・・
こんなことなら私もメイドを雇っておくべきだったか・・・などと冗談半分に思った。
しかし、首に突きつけられた大鎌の冷たい感触を思い出したので即座に、「どうでもいい」という事にした。
金持ちの趣味は理解できない。
「宗方零だな」
声がしたので振り返ると、そこには40がらみの男が立っていた。
黒い靴、手には黒い手袋をはめ、黒いサングラスをかけた「いかにも」という風体の男だった。
宗方の名前を知っているという事は、彼が機関の者であることは明白だった、
「私はエージェントNo.169 。屋敷で何を聞いた?答えて貰おう」
「直接聞いてくるんだな・・・答えてくれるかどうかはしらんが」

宗方はあくまで冷静に受け流しつつ相手の出方を待つ。
「貴様に警告する、情報を渡せ。さもなくば・・・」男の顔に笑みが浮かぶ
「さもなくば?」宗方は男の威圧などそ知らぬ顔で答えた。
【宗方 組織の能力者とにらみ合う】
165永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/17(土) 19:33:43 O
>>144>>146-147>>154

やはり、お人好しはお人好しだった。

白衣の男は傍観者二人を庇い、放たれた『ゲル状の箱』に攻撃したのである。

行動に多少のためらいが感じられた分、完全に翠の思惑通りではなかった様だが、結果は同じだ。
男は悪足掻きか、物凄い速さで拳銃を投げて来るが、それも箱で防ぐ。

男が完全に箱に飲み込まれるのを確認し、携帯の時計を確認した――残り、1分30秒。

(これは決まったでしょー!そんな短時間で出られる程、『軟質匣(ジェリーブロックス)』は甘くないよー)

勝利、そして強力な異能者。
二つを同時に得られた喜びと、長時間能力を使っていた疲弊が、翠の注意力を散漫にしていた。

傍観者だった女が、その異能の気配を強くしている事にも、気付かない程に。


凛とした声が突如、辺りに響いた。
「殺してあげるわ小娘、喰らいなさい!必殺──」

「…小娘ぇー?」
必殺云々よりもそれが引っ掛かり、翠は声の方向に振り向く。

女はカメラのストロボを手にしていた。

「──ネガティブヴィジョン!」
再び声がするや否や、空き地前を本日二度目の閃光が走る。
最初は、又目眩ましかと思った。

が、数秒が経過しても、強い光は消えない。目を閉じても、眼前は白いままだ。

(目潰し…また…?)
翠は愕然とした。

視界を奪われた事にではない。
又もや、第三者による邪魔が入り、それによって計画が破綻しそうだという事実にだ。

(何なのぉ…?今日はずっとこんな感じじゃん…。)

なかなか居ない強い異能者。
やっと見つけた途端に現れた若宮こよみ。
ポテンシャルに優れているだけの一般人だと思った白衣の男の、意外な戦闘慣れ。
そして、土壇場で介入して来た女と、この目潰し――
我慢も、疲労も、焦燥も、もう限界だ。

166永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/17(土) 19:40:18 O
白衣の男を包んだ立体が、一瞬浮き、また地面に叩き付けられた。
その音を頼りに、翠は三人へ向き直る。


その顔から、笑顔が消えていた。

口元は少しも歪まず、ただ真一文字に結ばれている。
その眼は細められる事なく、見える筈のない三人を真っ直ぐに睨み付ける。

そこに居る女には最早、笑みを絶やさぬ底抜けに明るい女子高生の面影はない。

彼女は今完全に、影に生きるものに相応しい、残忍で狂暴な表情を湛えた『刺客』へと変貌していた。

「始めは、ついてると思ったんだけどなぁー…。全然ダメじゃんかぁ」

彼女を取り巻いていた立方体が、蠢き出し、形を変えていく。
薄く、平らに。箱というよりは、至極薄い板の様に。

「やっと掴まえたと思ったらさぁ、いっつも邪魔が入るんだもん。
しかもそれが大した事無い、機関にいても一生下っ端で終わりそうな奴ばっかりで。イラつくよ、マジで」

言葉を吐き出すにつれ、語気が荒くなるにつれ、彼女の周りの空間を薄い板が埋め尽くしていく。
「私、そういう奴がいっちばん嫌いなんですよぉ。
弱いくせに。
こんなに近くにいても、肌も震えない程雑魚なくせに。
只後ろ盾がヤバいってだけのくせに。
逃げるしか脳が無いくせに。
目潰し程度しか出来ないくせに。
弱小異能者が、やたらしゃしゃって来やがってさぁ、ホント超目障りだから」

いつの間にか、薄い板は辺り一面を埋め尽くす程に増殖していた。

黒、白、灰色、銀、ダークブルー…板は色も大きさも様々で、彼女の精神力が限界に近い事を端的に表している。


不意に、白衣の男の箱だけが、5m程の高さに上がっていく。

「オジサンは暫くそこにいてね。そろそろ5分だから、ここで傷つけたくないし。」

残った二人をもう一度見据える。

「でもキミ達はマジでウザいから……大人しく10秒で死んでよ」

大量の板が、一斉に動き出した。
が、そこに翠の制御は無い。動かすだけで精一杯なのだ。
それらはまるで目茶苦茶に、縦横無尽に、使い手の意思とは無関係に、暴れ回り始めた―――。


【国崎をゲル状の箱に閉じ込めるも、葦川の異能力をまともに受け、視力を失う】
【疲弊や焦燥等が相俟って暴走。極薄い板の大群を恋島・葦川に打つ】
【が、コントロールを完全に失っている為命中率は低い。上空の国崎や自分にも当たる可能性が】
167煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/17(土) 19:53:47 0
>>145

「きゃぁぁぁ!」
いきなりすごいスピードで駆け出した戦場ヶ原にしがみつく。

「何処行くんですか!」
すごいスピードで聞こえてないのか、はたまたただの無視か、
戦場ヶ原には聞こえていないようだった。

(それにしても大胆なやつだな、お前は)
もう一人の自分が話し掛けてくる。
このもう一人はどうやらヤハウェと関係があるようだが、詳細は知らない。

自分に意識がもたらされた時からいる、元は偉そうな二つ名を持っていたようだが…
――――――おい!きいてるのか?)
「え?何ですか?」
(はぁまったく聞いていなかったんだな…わかってるんだろうな?さっきの…不滅のプレリュードは、お前の…)
「わかってます…あれは…」
なぜか口篭もるリン、しかし,もう戦場ヶ原は目的地についたようだ…

【戦場ヶ原:接近完了】
【リン:回復率10%(一シーンに10%づつ回復)】
168桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/17(土) 20:14:41 O
「運命から逃れるため、立ち向かうため…、か」

夜もどっぷり深くなった時間帯故
ボロボロの服と鞄を気にする人に会うことなく葛野さん達と別れ家を目指している途中独り言を呟いてた

何かにこう書いてあった
『命』を『運ぶ』と書いて『運命』だと
ならば自分はヤハウェや機関に異能者としての舞台に運ばれた、といったところか
少なくともあの長束誠一郎はそうなのだろう

だとすれば自分の命も、今の苦悩も全て奴らの台本の中に過ぎないのだろうか。
知る知らず関係なく自分の運命は運ばれるだけ
なら自分は意志を持たない人形ですらない。機関という名の運命に転がってる石ころ程度ではないか
重要といっても後々利用できる可能性が機関の利で言ってるだけ

ここまで言われながらも池上さんのように堂々と立ち向かおうと思わない、思えない
何とも言えないどす黒い霧が心を支配していた


道中少し傷が付いてしまった携帯である人物に電話をかけてみた
相手は、1年前自分を廃工場に連れて行った友人
ちなみに彼らが負った怪我はどれも数週間で治るもので全員去年高校を卒業している
もし1人でも死んでいたら…、それこそ自分は立ち直れなかっただろう
答えはやはり口裏を合わせたように「あの日の事は覚えてない」だった

前からの言い訳で関わりを避けるために言ってるだけだと思っていた
だが違う。あの資料に『洗脳済み人物』と表記されていたではないか
おそらく適当に素質がある奴を集めてああやって誘ったんだろう

自分は普通じゃない能力を得た。浮かれていた時期もあった。自分は特別なんだと
何が特別か…、たまたま機関のお眼鏡にかかって動かされてるだけじゃないか

「はぁ〜、自分ってなんだろ…」
自分や周りの全ての存在が虚構に思えた
それこそ誰かのゲームの中なんじゃないか、など考えれば考えるほど思考は深く暗くなった



アパートについたのはちょうど日付が変わった時間だった
予定では家につくなり顔だけ洗って今日はさっさと寝るつもりだった
根拠はない。ただ漠然とイヤな予感がした。このままここに入るのは危険だと
もしこれで異能者が潜んでいている少しは自分にも第六感がついたと喜…。いや喜べるか!?
アパートの敷地内って事は能力は待ち構えるタイプ。考え無しに突っ込むのは危険
けど、自分は家に帰りたい


気がつくと、冷や汗を掻いていた
169桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/17(土) 20:53:44 O
「そうだ! わかんないならこっちから探ればいいんだ!」

そう結論付けるなり左腕を高く掲げ雷をだした
ただしいつもの雷光バリバリなものではなく目に見えない、いわゆる電磁波をだした

「探査[ソナー]」

そう名付けた電磁波は自分をまわりにゆっくり広がりその振動を返し自分に動くものを教えてくれる
流石に建物の中まではわからないが少なくとも物陰に隠れていることはないようだ。
いや…! 後ろの壁の上、何かいる!?小さいのが…

「うなぁ〜ん…」
「……て昼かよ!? 脅かすなよ…」
後ろにいた我が飼い猫の昼だった
若干怖い目をしてるけど…、帰りが遅いといつもあぁだしな…
「全く…、また窓から抜け出したな〜、ほれこっちこ…」




首を噛みつかれた。それに気付いたのは呼吸しづらくなってからだ
「ッ…! な、にする… ゃめ…」

引っかき、タックル、連係攻撃 今まで攻撃こそされこんなにヤバい攻撃は初めてだ
いや、この力…いくらなんでも強すぎる
「…っ!!」




【桐北修貴:新技開発
アパートにて操作されてる猫に襲われる】
用事あるんで一旦区切りますw
>>155 >>162
この少女の能力『波動断片(マシンガンハウス)』は近距離〜中距離向きの能力であった。
彼女が能力に発現したのは今から3年前。そして彼女の復讐の旅も今から3年前……。
ここで、この少女の過去の出来事を振り返ろうと思う。

彼女はレオーネの読み通り、ロシア西部の小さな村で生まれた。
幼い頃から活発で、村の男の子に混じって木登りや猟師の真似事をして遊んでいた。
彼女が15歳になった頃、村の近くに研究所が設立された。
何を研究しているのか解らないが、ロシア政府の認可は受けていると言った。
付け加えて、村の男手を貸して欲しいと申し出てきた。
村人達は快くその申し出を請けた。元々何も無い寒村である。
猟が出来ない時期は皆働き口を探して都会へ出て行くのだ。
村を出て行かずとも働けるのであれば、それに越した事は無い……。
そう考えたのだ。……それが悲劇の始まりであった。

後日、村から何人かの男が選ばれ、研究所へと向って行った。
選ばれたのが"健康で体格の良い男"ばかりであった事を不審に思う者は、この時は居なかった。
一週間後、村に残った者達は男達が帰ってこない事に不安を抱いた。
研究所の方に尋ねても、仕事が忙しくて宿舎に缶詰状態だ、と言われるばかりである。
元気でやっているのか心配だから、せめて顔だけでも見たいと言っても、
今は忙しいから出来ないと一点張り。村人達の不安は不審へと変わっていった。
何かがおかしい、と……。しかし、もう遅かったのだ。取り返しの付かない状況に彼らは陥っていた。

―――翌日の夜、状況は最悪の事態へと代わっていく。
彼女の父親が研究所から逃げ出してきたのだ。
そう、あの研究所は"機関"の立てた『ヤハウェ』の研究施設だった。
男達は皆研究の実験材料にされ、『ヤハウェ』を投与された。
生き残った、つまり適合した者はどこかへ連れて行かれた。
彼らが何処へ連れて行かれ、何をされたのか……。未だに行方は解らない。
父親は気分転換に外に連れて行って欲しいと懇願し、隙を見て逃げ出したのだった。
彼は家に着くなりドアに鍵を閉めると、妻と娘に隠れるように命令した。
だが、機関の人間だって馬鹿じゃない。直ぐに気付かれた。
"おかしい、『サンプル』の一つが何処にも無い" "モルモットの一人も居ない"
"そいつが持ち出したんだ!"
黒ずくめの男達がドアを蹴破って入って来た光景を最後に、少女の記憶が一旦途切れる。

―――次に目が覚めると焼け焦げた村の片隅で寝そべっていた。
"機関"は隠蔽の為に少女の村を焼き払ったのだ。
彼らがこの村へやって来て、八日間しか経っていなかった……。
少女は復讐を誓った。自分から家族を、友人を奪った"機関"へ……。
この体験が彼女から眠れる才能を引き出した事は考えに難しくない。
ともかく、こうして彼女は異能者となり復讐の為の力を手に入れたのだ。
以後、ロシアのマフィアに身を窶(やつ)し、仕事をする傍ら機関の情報を集め、
復讐の機会を待っていたのだ。

「お前たちはわたしから全てを奪った……! 今度はわたしがお前たちから全てを奪う番……!」

少女の憎しみを湛えた瞳がレオーネを捉えた。
>>155 >>162 >>170
辺りの空間が殺気で満たされるのをレオーネは感じ取った。
恐らく次の攻撃は最大の攻撃で来るだろう。
脹脛に怪我を負っているレオーネの状態では上手く逃げる事が難しい。
それにここは歩道橋、隠れられる場所は無い。

(―――飛び降りるか……? いや、流石に無理だな……)

いくら閑散としている街とは言え、帰宅ラッシュ時には車の往来が激しい。
体を鍛えてはいるが自動車と正面衝突をして生きていられるかは難しい。
レオーネは小さく舌打ちをし、ダメージを最小限に抑える努力をする事に決めた。

「とどめだ! このまま全身を串刺しにする! そして……!!」

ナイフ、フォーク、あるいはカッターやドライバー……。
近くに在ったあらゆる刃物がレオーネを目掛けて集まってくる。

「あの世で父さんと母さんに詫びて来いっ!!」

―――レオーネの周囲は銀色に包まれた……。


「やった…、勝ったんだ……。わたしは勝ったんだぁ―――っ!!」
>>155 >>162 >>170-171
「やった…、勝ったんだ……。わたしは勝ったんだぁ―――っ!!」

そう言って両手を天に振り上げる少女の後姿は、何と滑稽で哀れな事か……。
そろそろ種明かしをするべきだろう。

「満足したか? お嬢さん」

私が背後から声を掛けてやると、少女はハッとなって振り返ってくる。

「え……? え……?」

状況が飲み込めず呆けた顔の少女に、私は舞台の種を明かしてやった。

「初めから私はお前と戦っては居ないのだ。お前は幻覚の中で、
 私をしこたま痛めつけ、有利に立っていたと思うが……」

今まで彼女が見てきた光景・現象は、全て私の作り出した幻覚だったのだ。
ご覧の通り、手のひらの傷はおろか、刃物類によって全身を貫かれた筈の傷は何処にも無い。
"―――始末しなければならなくなった"
この時、私は既に彼女を術中に陥れていたのだ。後は彼女の脳が勝手に妄想を膨らませていってくれる。
案の定復讐を望む彼女の精神は、水を得た魚のように深みへと落ちて行った。
こんな少女ごとき、殺ろうと思えば何時でも殺せたが、知っておきたい事があった。
彼女が何の為に私に戦いを挑んできたのか、そして……。
どうやって私の、機関の情報を得たのか……。それを知っておかなければならなかった。
それを知るには心の中、記憶を読まなければならない。
その為には記憶を探れるだけの時間が必要だった。
だから、この少女に幻覚を見せたのだ。

だが、それも判明した今、情けを掛ける必要は無い。
こんな下っ端のカスでも『落とし穴』となり、人を、私を躓かせようとする。
取り除かなくてはならない。私の人生における、『落とし穴』を……。

「お前はもう"寝ろ"。
 復讐は果たせず、無様にも敵の術中に嵌り、醜態を晒してしまった……。
 このまま生きていても辛いだろう。せめてもの情けだ」

私は少女の思考に自分の思考を馴染ませて、徐々にだが、確実に死という結末へと持って行こうとする。
この私の能力の前には、どんな抵抗も儚いものに過ぎない。
最終的に少女は自分の武器であるナイフを、躊躇い無く喉元に突き刺した。
前のめりに倒れた彼女の傷口からは、鮮血が堰を切ったかのように流れ落ちていく。
私は駄目押しと云わんばかりに彼女の頭を力一杯踏みつけ、ナイフを更に奥へと潜り込ませた。
ゴリッ――― ミシッ―――
ナイフが骨に食い込んだ音を靴越しに感じ取れた。
その直後、微かに動いていた彼女の肩はもう動かなくなった……。

―――哀れなものだ。恐らく機関への復讐の念だけが、彼女の生きる意志であったのだろう。
だが、人を呪わば穴二つという言葉が在るように、今日のような結末を迎えるのは必然だったのだ。
勿論、私自身も例外ではない。いずれ その時がやって来るだろう
私は上着からハンカチを取り出すと、少女の頬を濡らしていた涙を拭ってやった。
これは復讐を果たせなかった事への悔し涙なのか、それとも……。

……今日はもう出歩く気分じゃない。少女の亡骸に一瞥をし社宅へと戻った。

―――『落とし穴』人はそれを『業』と呼ぶ……。

【異能者(NPC)に勝利、殺害後 社宅へ】
【一日目終了】
173神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/17(土) 22:35:52 0
>>163
「やれやれ…手間をかけさせるなよな…」
悪漢達を気絶させて、私は言う。軽く圧縮しただけだ。死んではいない。
脈もある。うむ、上出来だ。
しかし油断してたとは言え、ナイフで腕を切りつけられるとはな…

「そういえば、さっきの探偵に渡された名刺があったな…。」
思い出すように、私は名刺を取り出す。

シンプルに、仕事内容と電話番号などが書かれている。
名刺は、その人物の姿を現すとも言うが…本当にシンプルだ。
仕事だけを黙々とする人物なのだろうか?

名刺を見ていると、その中に、私だけに書かれた文字があることに気がつく。
『教師たる者青少年の非行を見過ごすべからず、当方に協力の意志あり、すみやかに連絡されたし』

…さて、これは罠か。それとも本当の協力者か。
協力者ならありがたい、だが罠だった場合は…私は向こうの能力を知らない。
敵に回る気は無いと言っていたが…それも上辺だけかもしれない。
だが私は…あえてその 協力 という物にかけてみることにした。

『協力感謝する。こちらも味方を探していたところだ。詳しく連絡を求む。』

「送信…っと。」
メールを送ってから私は腕の傷が治っていることに気がつく。
「おかしい…。」
異能者には、特別な回復能力が備わる。それは神重は既に経験している。
だが、余りにも早すぎるのだ。今までの回復速度と比べると…
「どうなっているんだ…?」


(驚いたか?)
「!?」
また声が響いてくる。が、周りに気絶した男達以外誰もいない…。
(そう驚くなよ。俺)
「俺…だと?」
(そうさ、神重さ。お前が過去に捨てたもう一人のお前だよ。)
「…過去に…?」

事故にあうまで、神重の名前は… 敬 だった。
だが、事故のことを思い出したくないがために、自分の能力を封印し
新たな名前 智 を名乗ったのであった。

(お前が、あの長束ってやつから話を聞いたときから、久々に話しかけることができたぜ?
 感情の高ぶりで俺を思い出したか…それとも別の何かか…それにしても…何年ぶりかなぁ…兄弟?)

「そうか…この妙な感覚…回復が早いのも…お前が現れたせいなのか。」
全身の血が流れているのが把握できるこの感じ。昔味わったことがあるこの感じ。

(ご名答。それにしても、えらく冷静だなぁ…もっと驚くものかと思ったが…。
 まあいい…お前じゃ役不足だと思ってな、久々に出てきてやったわけだ。)

役不足、ともう一人の私は言い放つ。
「なんだと…?」
役不足、という言葉に私は腹を立てながら、話を聞く。
174神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/17(土) 22:37:49 0

(お前を弱いとは言わない。だが、強いとも言えない…。
 そうだな…例えば、さっきいた池上とかいうやつには…お前じゃあ絶対に勝てない。)

「…ならば、お前なら勝てるというのか?」
当然の疑問を投げかける。
(そうだな…勝てるかどうかは分からんが…死にはしないな。)

随分な自身だな…。
もう一人の私が言っている意味は分かりにくいが、少なくとも私よりは強いということなのだろう。
…私を乗っ取ろうとしているのか…?
私には対応する術はない。
なんとかしようと考えていると、その事に気がついたのか

(なぁに、お前を乗っ取ろうとか考えてるわけじゃあねえよ。ただ…)
「ただ…?」
(俺はお前と再び一つになりたい。そうすれば、お前は強力な力を手に入れることができるぞ?)
「ふざけるな!私の体は私の物だ!貴様に使われるのはごめんだ!」
自分でも驚くほどの大声を発して、私はもう一人の私に言い放つ
(おいおい…俺がまったくの別人みたいな言い方をされては困るな。
 俺とお前はもともと一つの人格だ…それをお前が切り離したんだろう?)

「…私が…切り離した…。」

(それと、大声出すなよ…周りに響く。今は夜中だぜ?
 …いつか俺の力が必要になる。その時は少し体を借りるぜ。)

言うだけ言うと、もう一人の私の声は聞こえなくなっていた。

「…………」
私は憤りを覚えながら、家へ戻ることにした…。

【神重:宗方にメール送信。返信を待つ。第二人格と接触。
     しかし第二人格はそのまま潜伏。強力な異能者との対戦で目覚める可能性アリ。】
175戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/17(土) 22:40:10 O
少女の悲鳴を引きずりながら宵闇を疾駆するひとつの赤き影は、ふと何かに気付くなりその足を止めた。
4つの反応の中の一人が、いち早く殺気を放ったからだ。
「ほう。」
戦場ヶ原は思わず感嘆を漏らした。
恐らくその殺気は彼に向けられたものではなく、何者かに出会い、戦闘を始めた証。
(狩りを始めたか…。)
戦場ヶ原はそれを機関の人間が異能者狩りを始めたものだと咄嗟に考えた。
ぶれのない無機質な殺気。それは殺し慣れた冷徹なキリングマシーンのそれとまったく『質』の同じものだった。

「こいつに道を尋ねるとするか…。」

『狩る者』を狩る際の鉄則は即ち、獲物を仕留める間際を狙うことにある。
戦場ヶ原は4つのうちでいち早く「狩り」を始めたそれを、『標的』に定めた。

ふと視線を感じ目を落とすと、少女が不服そうな瞳でこちらを見上げながら、ぽつりと尋ねた。
「どこに行くんですか?」
戦場ヶ原はにやりと笑うと、もう歩けるだろうと言わんばかりに少女をゆっくりとその場に下ろす。
そして一人ゆっくりと確実に歩きだしながら、少女に背中を向けながら嬉しそうに吐き出した。

「……地獄の一丁目さ。」

彼の顔は少女からは見えなかったが、その顔が闘いを欲する地獄の鬼神のように歪んでいるのが手にとるように分かった。
今の彼にはもはや、新たな標的しか見えてはいない。

【戦場ヶ原:>>157池上をロックオン。戦闘に乱入するつもりのようだ。】
176恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/17(土) 22:55:23 0
>>165-166
俺は閉じていた目をゆっくりと開いて、もう一度状況を確認した
事態は一転、功を…成したか?女性が凄い事を言った気がするが聞かない振りをした
あのフラッシュ攻撃(勝手に命名)は女子高生にかなりのダメージを与えたようだ

女子高生は顔を伏せ、目を塞いでいる
そりゃあれだけの閃光を真正面でモロに受けたんだ。普通じゃすまない
…のだが、何故だろう、女子高生から殺気が薄れる事は無く、逆にもっと禍々しくなってきた
その途端、箱に両腕を突っ込んでいる白衣の男が数メートル浮かぶと、痛々しい音を立てて地面に叩きつけられた

俺は無意識に顔が歪む。それと同時にぞわぞわと鳥肌が立つ。俺は思わず女子高生の方を向いた
完全に切れてる。遠めでもはっきりと、俺たちに対して憎悪を浮かべているのが分かる
ぎゃ…逆効果だったか? あぁ…あぁ…お、終わった…

…だがよく観察してみると、女子高生の様子が少しおかしい。そりゃアレほど暴れたんだ。少しは疲れる
すると女子高生はまるで呪詛を唱えるように、しかしはっきりと俺たちに辛辣な言葉を吐いた
>「始めは、ついてると思ったんだけどなぁー…。全然ダメじゃんかぁ」

俺たちの前にも、誰かに手を掛けたのか? …つくづく恐ろしいな、女子高生

>「やっと掴まえたと思ったらさぁ、いっつも邪魔が入るんだもん。
しかもそれが大した事無い、機関にいても一生下っ端で終わりそうな奴ばっかりで。イラつくよ、マジで」

そ、そうだな、俺なんて平均男性に色んな意味で劣るほどだ。でもな…上手い事を言おうとするが思いつかない
ふと俺のカメラを盗った女性に目を向ける。どう行動していいか、悩んでいるようだ
177恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/17(土) 22:56:25 0
>>176の続きです】
「私、そういう奴がいっちばん嫌いなんですよぉ。
弱いくせに。
こんなに近くにいても、肌も震えない程雑魚なくせに。
只後ろ盾がヤバいってだけのくせに。
逃げるしか脳が無いくせに。
目潰し程度しか出来ないくせに。
弱小異能者が、やたらしゃしゃって来やがってさぁ、ホント超目障りだから」

…なんつうか聞いててどこか痛々しく感じてきた。確かに恐ろしいが、まるで自分の願望どおりにいかないのをごねる子供みたいだ
っと、女子高生の呪詛と同時に、女子高生の周りを浮いていた立方体が形態を変える。すぅーと立方体が次第に引き伸ばされていく
どうやら板の様らしい。だがその板は形も色も千差万別で先ほどの戦闘で見せた安定性は一切見られない

その時だ、浮いていた板が弾けるように一斉に女子高生の周りから散った。そして俺達の周りを暴れる様に飛びまわる
コンクリートの壁や地面があっさりと切り刻まれていく。一瞬でも触れれば人体など簡単に斬れてしまうだろう
女性や白衣の男の様子を伺う。白衣の男は両腕を拘束されたまま、空中に浮かんで動かない。女性は身構えて耐えている

目の前の女子高生は耳を塞いで俯いてその場を動かない。やっぱ限界だったのか
『達哉!右!』
耳鳴りが叫んだ。俺は耳鳴りに従って出来るだけ俊敏なステップで前に避けた。スパッといたが俺の顔を横切った
俺の頬からじわっと血が出る。耳鳴り、ありが…待て、俺は足りない頭を必死に回転させる

この状況下で、何のハンデも無いのは俺だけだ。両手を塞いでいたカメラは無いし、今はそれなりに足が動く
そして…今の状況で自由に動けるのも俺だけだ。白衣の男は動けないし、女性も蹲っている。それに目の前の女子高生
あいつさえ抑えれば、この状況は打破できる。確実に

耳鳴り…俺を導け。あの女子高生の下に。俺はお前に全てを委ねる
肝は据わった。心は怯えを見せない。――後は、動くのみ! 俺は女子高生に向かって走り出した
『達哉、後ろだ!』『右上から突っ込んでくるよ!』『下から来る!飛んで!』
しっかりと耳鳴りの声に合わせて体を動かす。普段の運動不足が祟って骨が鈍い音を立てている

それに何度も板は俺の体を切り刻む。だが俺は迷わず女子高生に向かう。足を止めれば死ぬことになる
死にそうな思いをしながら、俺は女子高生のすぐそこまで追いつく。――だが
『――駄目だ!逃げろ、達哉!』

…もう遅いよ。耳鳴りの声を聞いた所でもう遅かった。俺の背中に、かなり厚い板が突き刺さった
――だせぇ。ココが――死に場所かよ
【永瀬の攻撃を掻い潜り、懐まで忍び込む】
【しかし背中に板が突き刺さる。かなりの重軽傷】
178池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/17(土) 23:35:53 0
俺は能力を発動させた。
瞬間、右手が青白く光だし、瞬時にバスケットボール程の球体が作り出された。
その球体の中心部からはキラキラと宝石のような輝きが放たれている。

これは俺の凍気の塊──。
凍気を球状と化した、いわばエネルギーのボール。
こいつを俺はこう呼んでいる──。
       ダイヤモンド・インパルス
「くらえ……『 小 晶 波 』 ッ! 」

その掛け声と共に、光を帯びたまま、俺の手の平から凍気の球体が放たれた。
『機関氷弾』ほどのスピードはないが、まるで野球選手が投げる変化球のように
左右に細かく振動するという不気味な動きを見せながら、
その軌跡は確実に目の前の男に向かって飛び描いている。
しかし男は、小晶波の着弾をただ待っているかのように、その場に立ち尽くしている。

──余裕のつもりか?

そう思いつつ、男の出方に注意を払っていると、
既に俺が放った小晶波は男の眼前にまで迫ろうとしていた。

──当たる、確実に。

心の中でそう確信していた時だった──
男に着弾する瞬間、突如小晶波が白い煙を巻き上げながらその姿を消したのだ。
予想だにしていなかった突然の出来事にも、俺は驚きの声を挙げはしなかったが、
俺の目だけは驚きの色を隠せずにいた。
男は俺の目を見たのか、鼻で笑いを見せながら言った。

「フフ……お前が自身の『凍気』を凝縮して放った『ダイヤモンド・インパルス』とやらが、
いきなり消失したことに驚いたようだな。何故、俺に『当たりもせずに』消えたのか、分かるか?」

俺は男の言葉を受けて瞬時に普段の目つきに戻し、
目の前で起こった現象から男の能力の分析を始めた。

……そうだ、確かに男に着弾して掻き消えたというより、
男に着弾する前に『何かの力』によって遮られた……そんな感じだった。
俺の凍気を消すには、同等の威力の『気』をもって相殺するしかない。
つまり……こいつも何かしらの『気』を操る異能者だと思っていいだろう。
179池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/17(土) 23:38:07 0
「フン……」

男の問いに答えることもせず、俺は再び右手に凍気を集中し始める。

『小晶波』には『氷雪波』ほどの威力はない。
しかし、威力が無い分、連射が可能となる──……。
   ダイヤモンド・インパルス
「──『 小 晶 波 』 ッ! 」

右手の平から、今度は複数の小晶波が放たれた。
男は口元に笑みを浮かべながら、腕を一閃する──。
瞬間、『赤色の幕』が男を覆うと、放たれた小晶波が先程と同じように
白い煙を巻き上げながら次々と消えていく。
だがその時俺は、『赤色の幕』の正体をはっきりと見るのだった。

「『炎』の幕……いや、壁か! まさか、『炎気』を操る異能者……」

俺の言葉に男は「ニィ」と笑う。
            ティーンエイジフレイム
「俺の名は衣田……『炎熱暴動』の異名を持つ。お前の言う通り、炎を操る異能者さ。
フフフ……分かったか? この程度の凍気は俺には通用しないということが」

『炎』使い……。やれやれ、ちと面倒な事になってきやがったな。

「今度は俺の番だな。受けろ、我が炎気を!! 『ヘル・フレア』ッ!!」

男の掛け声と共に、男の両手から真っ赤な火炎が渦を巻いて放たれた。
俺は回避すべく、咄嗟に真横に跳んだ。しかし──。

「────ッ!?」

炎は瞬時に向きを変え、圧倒的な勢いで回避した方向に迫ってきたのだ。
再び避ける間もなく、俺はその身を炎に包まれてしまった──……。

「我が炎気から逃れる術はない。……しかし、口ほどにも無い奴だ。
力試しでこのザマとはな。やはり、『8』は過大評価しておられたか……」
180池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/17(土) 23:40:54 0
「……いや、『8』とやらの方が俺を正しく評価しているだろうな」

黒煙を噴きながら燃え盛る炎の中からの突然の声。
男はビクリとしたように、炎の中を凝視し始めるが、
その瞬間に炎は、白い煙を巻き上げながら瞬時にその姿を消すのだった。
いや、消えたというより、『鎮火』されたと言った方が正しい表現だろう。
そして炎を『鎮火』したのは、紛れも無く、その身を焼かれていたはずの池上 燐介であった。

「お前は俺を過小評価し過ぎだ。この程度の炎で俺が死ぬとでも思ったか?」

俺の言葉に、男は再び笑みを浮かべる。

「……なるほどな。あれだけの炎気を鎮火するだけの凍気を持っていたとは。
確かに少々侮っていたか……。フッ、面白い……」

『炎』の使い手……。
あれだけの炎気を一瞬で練れるだけの技量は、並大抵のものではない。
ここ数年の内に目覚めた能力ではないことは確かだろう。
あの時のブレザー男よりも、恐らくレベルは数段上……。
奴の炎の前では『小晶波』はもとより、『氷柱弾』や『機関氷弾』も通じまい。
となれば……あの技を使う羽目になるだろうが……
しかし恐らく、奴も今の俺と同じ事を考えているだろう。

「……賭けになる、か……」

男には聞こえない程の音量で、俺は呟いた。

                スリーピングエクソダス
「フン……覚悟はいいな? 『氷雪昇華』よ。──行くぞッ!!」

【池上 燐介:次回、炎使いの『衣田』と決着を迎える予定】
181小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/18(日) 00:49:44 0
「まったく、何の因果でこんなことに・・・」

ジャガイモの皮むきをしているエプロン姿のゴッドバルトの横で
足組をして小村は機連送を修理していた

「まったく、開発部の人たちももっと頑丈なものを作ればいいものを、最新モデルばかりだして・・・そのくせ私には旧式のこれ一台のみ・・ホントに私って幹部なのでしょうか?・・」

小村が幹部か、それは実はとても微妙な事だった
彼のNoは・・・N.T.D.E(ナタデ)
Number that doesn't exist(存在しない数)の略である
No,N.T.D.E、『絶滅魔神』の小村禅夜
それが小村の機関内での肩書きであった

「一応、幹部扱いなのでしょうがN.T.D.Eが機密事項らしいのでほぼ知っている人が居ないとは・・・・
もしや、知っている人はほんの十数人じゃ・・・・どう思います?ゴッドバルト」
「スクナクテモワタシハオマエヲシッテイル」
「まぁ、あなたとは長い付き合いですからねっと」
ようやく機連送が直ったところだった
「さて、これでようやく機関と連絡がとれる」
そういって電源を入れると
ピピピピピピ
ちょうど着信が入った
「こちら小村」
「よかった、ようやく通信がつながった」
安堵の息が電話越しに聞こえた
「どうして定時連絡をしなかったのですか?」
「文句は開発部に言ってください」
「ところで急ぎの命令があります
現在の任務を放棄し、異能者を一名、イエシヴァに連行せよ、とのことです」
イエシヴァとは異能専門の機関の施設だ、主に異能者の研究、保管、処理、訓練などに使われている

「またですか、ホントに開発部は・・・どうせ人間のモルモットが居なくなったのでしょう・・」
ハァ、とため息をもらす
「では、頼みます」
通信が切れる

「じゃ、行きますよ ゴッドバルト」
そういうとゴッドバルトを足に装着し、塀の向こうに大ジャンプする 剥いている途中のジャガイモを残して
182小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/18(日) 00:50:16 0
シュッシュッ
家の屋根を次から次へと跳躍する ゴッドバルトのおかげで普段より5,6倍は強く飛んでいる
途中下のほうで破壊音やフラッシュ、板が飛んできたりした

戦闘中の奴は論外だ 連れて行くのが面倒くさすぎる
狙うは一人で薄暗い路地に居る、メガネだ

メガネ=貧弱が彼の中では定着しているようだ

「おっ」

ちょうど下に異能者がいた
一人で薄暗い路地に居る、メガネだった

「さーて、恨まないでくださいよ」

小村が電信柱の上で手を挙げるとエネルギーで作り出したナイフや鎖が20、30出てきた
標準は足に、とりあえず脳と心臓があって唐だの70%が残ってれば開発部の連中は喜ぶ

手を下げるとナイフや鎖が目にも止まらぬ速さで目の前の異能者に迫る―――――

【神重に攻撃】
【後ろの斜め上からナイフや鎖を飛ばす】
183国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/18(日) 01:13:02 0
ダメージが再生するといっても、痛みが無くなる訳じゃない。
高度から地面に叩きつけられた衝撃で肺の中の空気が漏れ、気泡となってゲルの中に残った。
打ち所が悪かったのか、思考に靄がかかる。

……何故俺はこんな状況に陥っているのだろうか。
光が屈曲し、歪んだ視界には、機関の少女に向かっていく男女が二人。
逃げずに向かっていったという事は、彼等は異能者なのかもしれない。
だが、その行為は無謀だろう。
あの少女は強い。
それに、現状を見るに、あの二人が戦闘型の異能者には感じられない。
あのままでは、殺されてもおかしくは無い。
だが、助けようにも、俺はこの箱の中で動けないでいる。

ああ……いつから俺は、こんなに弱くなったのか。
技能は昔より上達した。身体能力もそこまで落ちていない筈。
だが、現状はこのザマだ。

答えを求めて、首を動かして機関の少女の方を見ると、
無数の板を出現させ、破壊を始めていた。
その目と行動には、一切の迷いが感じられない。

……そうか。あの少女の強さは、歪んでこそいるが、純粋な強さなのだ。
強大な感情の力によって目的の為のあらゆる犠牲を是とし、
どんな相手でも捻じ伏せ、屈服させ、薙ぎ払う。
純粋故に強大。直進故に無双。
それは、かつての俺、贄(ウロボロス)が持っていたのと同質の強さ。

対する今の俺、国崎シロウはどうだ。
この戦いに特別の意思を持たず、降りかかる火の粉や、燃え出しそうな火種を払うだけ。
一般人でいたいという願望と、身近な人間を失いたくないという恐怖で動き。
確固たる信念は、不殺ただ一つ。
……だからか。そんなどれもかれも半端な意思だから、この少女に追い詰められているのだろう。
本来なら、この少女に一撃喰らわせてそのまま退避しても良かった筈だ。
だが、七重や廻間の為と正当化して、機関に潜り込むなんていう発想をし、
傍観者であるという意思を曲げ、戦闘交渉などを行ってしまった。
状況状況で信念を曲げる、いつの間にか持ってしまった『弱さ』。

……ならば。ならば、もう一度あの頃の俺に戻れば、俺は強くなれるのだろうか?

『――――馬鹿を言うな』

答えは頭の中で即座に帰ってきた。
フラッシュバックするのは、一人の少女との出会いから死までの物語。
思い出せ。何故俺は一般人になりたいと思ったのか。
ブレてもいい。迷ってもいい。間違ってもいい。どんなに泥にまみれてもいい。
目的では無く、守りたい何かの為に動ける。そんな人間の在り型。

――――それこそが、俺がずっと欲しがっていた『強さ』の筈だ。


目の前で男が吹き飛ばされたのと同時に、俺は口の中の丸薬を噛み砕く。

異能が増大する感覚と、自分のどこかが削れる感触がした。
184名無しになりきれ:2008/05/18(日) 01:24:11 O
邪気癌
185国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/18(日) 01:33:50 0

両手両足に力を込めて勢い良く開くと、ゲル状の箱が勢い良く霧散した。

「……ったく、こんな時期に水泳なんてさせてくれるんじゃねぇよ」

唐突に起こした出来事は当然。俺はそのまま地面に着地すると、
真っ直ぐに倒れている男と、立っている少女の方へ向かい始めた。
途中、少女の攻撃が何度も俺に向かってきたが、意に返さず、何も無いように歩き続ける。
板は、俺の骨や胴体を何度も切り刻むも、その傷は
板が俺の身体を通り抜ける頃には既には塞がっていた。
視力が無いせいで志向性を失っている攻撃など、今の俺にとっては攻撃ですらない。
切り刻まれながら無傷で進む姿は、端から見れば相当にバケモノ然としている事だろう。

「……よう。巻き込んですまなかったな。
 ちっとばかし痛いだろうがが、そいつは覗きの値段ってことで我慢してくれ」

少女の前、倒れている男の横にしゃがみ込んだ俺は、
男の背中から板を引き抜くと、自分の腕の静脈を引きちぎって、
そこから流れる血液……回復能力を持つソレを、男の傷口に流し込んだ。

そうして、数秒の後、今まで無視していた少女の方へ向き直ると、
一瞬で全ての板をかいくぐり肉薄し、その首を片腕で締め、持ち上げながら告げる。
なるべく恐怖を植えつけかれる様、本物の殺気を込めて。

「ラスト10秒か……さて、頑張ったご褒美だ。嬢ちゃんにはにいい事を教えてやる。
 まず一つ。二十年ほど前に機関のNO.10とやらを殺した能力者の能力名は『贄(ウロボロス)』。
 再生力と身体強化に優れたバケモノだったらしい。
 そして、もう一つ。 ――――人間は、殴られれば死ぬ事もある」

俺は、そのまま少女の鳩尾に掌底を叩き込んだ。


【国崎:能力で更にパワーアップ。箱から抜け出て、治療とギリギリ死なない程度の攻撃
    で気絶を狙う。 目に見える後遺症が残る事が確定】
186宗方零 ◆BSFghFxWJY :2008/05/18(日) 01:42:57 0
「まぁ待て、私は君を消そうとしているのではない」
男──エージェントNo.169は両手を上げて鷹揚に答える。
「消そうとしているのは──君の゛意志゛だ」
エージェントが両手の指をパチン!と鳴らすと、路地裏からぞろぞろと人が20人ほど集まってくる。
「私はエージェントNo169 通称マジェスティック。記憶を操り、記憶を植え付ける能力者・・・」
誰もが手に鈍器や刃物を持っており、あっという間に宗方を取り囲む。
男の周囲には生気を失った目をした、20代ほどの女性が数人包丁を片手に立っている。
「彼女らは今記憶の全てを失っている、私が彼女を気に入ったからこうした」
「君が片づいたら彼女恋人と別れてに夫と離婚して貰い、記憶を書き換えて私の母国に行ってもらう」

「一ヶ月後には立派なポルノスターだ」
男が醜悪な笑みを浮かべた。
「さあ喋るんだ。ああなりたくなければ」

その刹那、宗方は懐のホルスターから黒い銃を素早く抜く。
それは実銃ではなく、自動拳銃型の、玩具の光線銃だった。
「は?」マジェスティックは信じられない物を見た。
普通なら、そんなものを構えたところでどうにもならない。
そして相手が機関員だとすれば尚更だ。
「何だそれは?どう見ても・・・オモチャの銃だが?」
「オモチャの銃だ」宗方は場違いな真面目さで答える。
「貴様・・・何を考えてる?」
マジェスティックは呆れる。こんな奴なら洗脳した奴を使うまでもない。
しかし宗方は拳銃を片手で構え体の中心、心臓を狙う。
「私は大真面目だ、彼らを解放してさっさと帰れ。」
「お前は馬鹿か?そんなもので何をどうする?」マジェスティックは呆れた。そして怒りすら覚えた。
こいつは間違いなく馬鹿だ。俺をこけにしてやがる。
コイツは殺す。
いや、半殺しにして洗脳して情報を奴の腐れ脳から引きずり出して廃人にしてやる。
「これは警告だ、両手を上げて・・・」
「いいぞ!撃てよ馬鹿が。そのアホな武器がピカピカ光るのを見てやる!その後で貴様を・・・」

ZAP!

銃口のLEDが赤く点滅すると玩具の銃から本物の『ビーム』が発射された。
赤い力線は男の体の中心を貫通し、空中で消失する。
男は体の中心に大穴を開けると、後方に吹っ飛びコンクリの壁に激突する。
「さもなくば、何だ?」鷹揚に宗方は呟いた。
「な・・・た・・・たす・・・あ・・・」
マジェスティックの胸から地が溢れ出ては蒸発し、煙と焦げくさい臭いが充満する。
腹這いになり逃げようとするが、地面を掻く手は溢れる血で滑る。
宗方は血の海で溺れる男を感情のこもらない目で見据え・・・

ZAP ZAP ZAP ZAP ZAP ZAP ZAP ZAP ZAP ZAP ZAP ZAP

ビームの連射で跡形もなく消滅させた。
187宗方零 ◆BSFghFxWJY :2008/05/18(日) 01:47:02 0
ビームの連射で跡形もなく消滅させた。
それと同時に洗脳された群衆はバタバタと倒れる。事務所の片づけの前に119番が必要なようだ。
携帯を取り出すと、メールの着信に気付く。
『協力感謝する。こちらも味方を探していたところだ。詳しく連絡を求む。』
神重からのメールだった。宗方は携帯を素早く操作し簡潔にメールを送る。
『返信感謝する。率直に言う、長束は危険だ。』
『その理由は明白だ。長束と組織はこの殺戮ゲームにおいての目的が一致していると推察されるからだ』
『その目的とは、桐北と池上のどちらかだ。機関も長束も、最初からあの二人を目当てにこのゲームを開始したのだ』
『彼らが重要人物とはそういう意味だろう』
『感情を煽って彼らを強者と戦わせ、最後に生き残るのはあの二人だけになるというのが組織が描いた絵図に違いない』
『そして・・・どちらか一人が生き残ったときに、何かが起こる』
『ぞの何かが長束と機関の目的だと私は推察している、おそらく間違いはないはずだ』
『だがそれは許されない事だ。その企みはこのゲームごと叩き潰すべきだ。頼む、協力してくれ。』
『後の詳細については直に話したい。事務所にて待つ』
宗方はメールを送信すると、携帯を操作し119をダイヤルし、内容を伝えると素早く切る。
「片づけがめんどうそうだな・・・コッチもアッチも。」
ため息をつき、宗方は事務所に戻ることにした。
【宗方 事務所に帰り 神重を待つ】
188神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/18(日) 01:54:41 0
>>182
もう一人の私との会話が終わり、私は再び歩き始めた。
歩き始めて数分たった時
「!!!」
強力な能力者を察知した。そう、自分の背後だ。
咄嗟に後ろへ重力空間を張り、前へ走り出す。

「…」
あと数秒反応が遅れていたら、私の下半身はあの地面と同じように串刺しになっていたのだろう。
だが―――
「つっ…!」
少し反応が遅れたせいで、ナイフが私の足を切り裂いていた。だがこの程度…問題は無い。
こういう時が一番危ないと、第二の不意打ちに備えたが…
異能者は丁寧にも、私の前に姿を現した。

「悪漢の次はスーツ男か…差がありすぎるな。」
随分決まっているスーツ姿、それに少し不機嫌そうな顔、燃えた形跡のある髪の毛
髪の毛は置いといて…、この男の力が強大だということはよく分かる。
対峙しているだけで、体に痺れが走る。

足に何かを装着してるところを見ると…身体能力強化系か…?
(よう兄弟。意外と早く俺の出番がまわってくるんじゃねえのか?)
脳裏に敬の言葉が響く。
「うるさい。私の…私の力を見せてやるさ。
 …『指定重力』(ポイントグラヴィティ)」
身体能力強化系と判断して私は相手そのものに重力をかける
案の定相手は動けないようだ。

私は地面に突き刺さっているナイフを抜き…
「私が失敗作でないことを…役不足でないことを
 眼に刻んでおくんだな!」
そう叫び、私は謎の異能者に突撃した。

普段の彼では考えられない行動である。
いつも通りなら、互角とまではいかないも…多少は戦えたはずである。
慎重さを失った今の彼では、多少どころか…

(やれやれ…今のお前では無理だというに…。)

【神重:精神不安定。勝手に小村を身体能力強化系と判断。
    地面に刺さったナイフで突撃】
189七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/05/18(日) 02:09:10 0
>160-161
>「………恐れ入った、そこまで洞察力があるとは…いやはや、驚いたぜ。
 まあ、こんな事を言うって事は―――アンタも、いや、アンタ達も『異能者』だからだな?」

首肯。七重の反応は、それだけに留った
夕光が閃いて、その顔にさりげなく影を落とす
先程までの、速射砲の如き喋りはどこかへ消え失せて、
彼はいつもの沈黙を取り戻していた

自らの正体を明かした青年は、再び語り始めるが、
その話に含まれていた『機関』という言葉に、七重は心動かされた
異能者間で催されているこの戦いに、明確な『裏』があるということか
無論、正体不明の何者かの手が加えられているのは、疑いようもないのだが、
それが『機関』などと大層な呼ばれ方をされ、
更にはその趣向により戦わされている異能者に対し、
ある程度認知されているなどとは、七重には思いもよらなかった
この戦いの渦に巻き込まれてから二日目、
ようやく事の重大さを察しかける

「俺は、何も知らない・・・  ただ、向かってくる奴と闘るだけだ」

そう呟くと、七重は鬱陶しい前髪をかき上げた
隠れがちの双眸が露になり、眼光が空を切る
言葉数こそ少ないが、事実、七重にはこうとしか答えようがなかった

時ならずして、七重の携帯電話が、
例の場違いじみた「ジリリリリ」という音を立てる
元雑巾のボロ切れを片付け、送られてきたメールを確認した七重は、
コートの青年に向け、その文面を見せ付けた
異能者バトルロワイヤル、三日間から一週間に期間延長、と示されている
何を言うでもなく、七重は鼻を鳴らした
190七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/05/18(日) 02:14:02 0
画面を見つめる青年の顔が青ざめていることに気付いてか、

「疲れているなら、奥で休め。それが嫌なら、家に帰って寝た方が良い」

と声をかけると、七重は店の台所に引っ込む
ふと冷めたカレーの入った鍋を見つけると、
とりあえずどうにかしてから食べる気なのか、コンロの火を点けたり消したり、
余計な調味料を入れるか入れないかして、ごちゃごちゃと弄り始めた
じわじわと、確固たる『カレー』の地位が揺らぐ

カレーに攻撃を加えながら、七重は自分の考えを纏め始める
たかが一通のメールに扇動され、あちこちで争いが起きている
そして自分は部外者ではなく、れっきとした当事者なのだ
望まぬ戦いを強いられ、命を落とす者もいるだろう
一方で、この状況に乗っ取り、誰彼構わず喧嘩を吹っ掛ける者もいるだろう
『機関』とやらの連中は、シナリオ通りの展開を見てほくそ笑む
更に、戦いの期間は一週間に増やされた。順当に考えれば、犠牲者は増えるばかり
死の連鎖。その果てに何が残る
そのような奔流の中で、自分は一体どうすれば良いのか
圧倒的なこの状況の中で、自分は流されるまま生きるのか
親元を離れてからというものの、専らボウフラのような生活を続けてきた七重は、
自分の立場というものを、初めてまともに考えた

凌ぐというのは、防御に徹してやり過ごせということではない
目の前の邪魔者を打ち砕いて、乗り越えろという意味だ
前進しろ、凌司

父親が幾度と無く、幼少の七重にかけた言葉だった
前進せよ、前進せよ、凌げ。しかし、


どこへ向かって進めと言うのだ
七重が心に思い描いた父の幻影は、跡形も無く消えた
カレーの焦げ付いた臭いを感じて、七重はコンロを消火する
燻った空気が部屋を支配して、彼を含む万物に浸透した

【カレーとの戦いに勝利。能力5/3→5/3】
【バトルロワイヤル期間延長を把握】
【『機関』に敵対意識?】
191廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/18(日) 12:10:11 0
俺が居住スペースで横になっていると…なんらかの食物の匂いが漂ってきた。
……この独特の匂いは……カレーだな。何を隠そう、俺はカレーは好きだ。
カレーが好きな俺の脳裏に、すこし味見をしてやろう、という気持ちが過ぎる。
俺は体を起こし、ためらいも無くその気持ちに従うのだった。

台所の前には、七重が立っていた。
七重の前に置いてあるのは、匂いの元であろう大きな鍋。
なにやら神妙な顔をしているが、いったいなんなんだろうか?
とりあえず、ここからでは鍋の中身が見えないので鍋に近づきその中身を調べてみた。

「……なんだ、これ」

……鍋に入っていたのはカレー。そう、間違いなくカレーなのだ。
しかし、俺の中の何かが「これはカレーではない、何かの危険物だ」とけたたましく警鐘を鳴らしている。
カレーの何処に警鐘を鳴らす必要がある?そりゃあ、毒物でも入ってれば別だろうが……
とにかく、俺は先ほどから若干空腹を覚えていたため、多少胸騒ぎを覚えながらもカレーを手にした。

(どれ……?)

恐る恐る、カレーを口に運ぶ。
そして、カレーを口の中に入れた、その瞬間だった。

「んぐぅ!?げほっ、げほっ…!!」

……とてもカレーとは思えない刺さるような刺激が、俺の口内を蹂躙する!!
俺はそのとんでもない衝撃に、むせてしまった……この味は……辛いのではなく、痛い!
痺れるような痛みが、俺の口内を駆け巡る!しかも、ただの痺れではなく刺すような痛みも加わっている!
もとは美味いカレーであったのだろうが……
余計な調味料やその他もろもろが、恐ろしいまでの不協和音を奏でており風味という名の暴力へと仕上がっている……!
料理が下手なヤツでも大抵は美味くできるカレーをここまで不味く出来るとは……恐ろしいッ。

「ハァー……ハァー……」

俺は慌ててコップを手にし、水道を捻り水を出しコップに水を注ぎ込みそれを飲み干す。
水が口内に流れ込むと同時に、口内を犯していた様々な刺激も収まった。
……少しは落ち着いたか……ひどい目にあった。

「おい……なんなんだよ、これは……こんなもん、カレーじゃねえよ。
 ただのドロドロした茶色い何かだよ。お前、俺を殺す気かよ」

俺はこのカレー(らしき物体)に手を加えたであろう、七重にこう言わずに入られなかった。

【廻間 統時:七重が手を加えたカレーにダメージを受ける】
【メールには今だ気付いていない】
192桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/18(日) 17:06:15 O
>>141
霞む目でなんとか尻尾を掴み力をセーブした雷を昼に与えた
噛む力が一瞬強くなったが計画通り昼は怯み、喉から離れ距離をとった

「ゲホッ、ゴホッ…! お、おいどうしたんだよ昼!」
夜の闇に猫の目は爛々と輝きが見たことない光、『敵』を見る光を帯びていた
「ハアアァァァ!!」
「畜生…!」

当然自分は戦えるわけがなくアパートの中に逃げ出した
後ろから昼が迫ってきているが先程の電撃を警戒してか付かず離れずを徹している
猫がこんな判断できるか? 出来るわけがない。 ならこれは…
「異能者による操作…! あぁもう卑怯だぞぉ!!」
叫ぶと同時に階段から何かが落ちてきた
幸い[探査]を継続させてたのでそれを肌に感じ避けることに成功した

「うおっ! な、なんだ植木鉢!?」
後ろを見ると砕けた植木鉢が床にばらまいてた
単純だが当たれば痛いで済みそうにない…

「誰だ!? ………大家さん?」
階段の上にはアパートの大家さん、いや暗くてよく見えないがお隣さんやそのまたお隣さん…、多分ここの住人全員がそこにいた。刃物やら重たい物やら危ない物を持って

「みなさ〜ん、起きてますか〜?」
とぼけたように声をかけ[探査]を解除し、普通の雷をだした
ついでに後ろの昼の牽制になるし

「やっぱり無反応か…」
人の腕から雷がでる異常性に驚きもしない住人達
やっぱりあの人達も操作されてるか…

「…すみませんっ!」
[蓄電]を発動して雷光を体に纏い、目の前の人達に突撃した
肉体自体は一般人の彼らは予想通り痙攣を起こし倒れだした
今度の刺客はやり方が汚いが詰めが甘い。一体何を考えているのか…?
193桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/18(日) 17:12:24 O
>>192
操作しているのがここの人達なら本体もここにいる
そう思いアパート中を駆け回ったが一向に見つからない
その間も恐怖を感じない住人達からの一方的な攻撃は続き、体や服の傷はますます増えていた
今も2階の廊下突き当たりで住人達の攻撃に備え後が残らない程度に反撃の構えをとった
物を投げるなり距離をとった攻撃をすればいいのに
手に持った武器を振り回すだけだから雷を使えば簡単に撃退できる
その単純さがさながら某ゾンビゲームを思い出し気分が悪くなった
「ハァ…、ハァ…、自転車置場は見た!
全員の部屋も(非常時なので仕方なく…、 そう、仕方なく!)見た! どこにもいない!!」

体中が疲弊し痛みで悲鳴を上げる
これが自分の運命だというのか
もし、マジに世界は誰かが作ったゲームなら今日という日はどれだけ意地悪に作ったのだろう
修行はまではよかったのに
重力教師に会うわ、なんか怖い女の子に襲われるわ、あの子…若宮こよみに会ってビルの屋上まで吹き飛ばされてそこで…



屋上……?


「わかったぁ!!」
閃くと同時に柵を踏み台に屋根をよじ登った。
そう、このアパートでまだ調べてないところがあったではないか



「やっと見つけたぞこのや……ろ、う」

異能者はいた。
「居場所を突き止めたのは誉めてやるよ」
とかなんとか歪んだ笑顔で言うに決まってると予想があった
だがいるだけだった

「…子供?」
中央にいたのは間違い無く小学生程度の子供
そしてその様子は予想と明らかに違っていた

酷く脅えた様子で座り込み、自らの膝を抱え、震え
目は充血し、涙が溢れ出ているではないか
「お兄さんが…、きりきたしゅーき?」
「ぇ、ぁ、ぅん……、これ君の仕業?」

彼は自分を見て名前を聞いたきたのでもはやただのボロ布になり果てた上着を広げて見せた
それを見て彼は罪悪感に捕らわれたのか顔をクシャクシャにして泣き出した

「ごめんなさい…、ごめんなさい…」
「君の名前は? なんで自分の名前と場所を知ってるの?」

「真島孝明…、ここは教えられて…、それで」

「ねぇ、お兄さんって悪い人なんだよね?」
「…は?」

突然の質問に少し思考が固まった

「だから…、やっつけないといけないんだよね?
でもイヤだよ…。人が"死ぬ"の見たくないよ…、恐いよ…」
194桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/18(日) 17:17:25 O
>>193

こいつ、本当に怖がってる
この子が下の人達に指示を与えたのならあのお粗末な攻撃も理解できる

「何がどう悪者なのか知らないけどお兄さんだって死にたくないんだ。大人しく家に帰らない?」

なるべく穏やかな声色で話しかけながら距離を詰めていく。
が、それが真島少年を刺激したらしく酷く興奮して叫びだし
それが火蓋となってお互いの極限状態で剥き出しの感情がぶつかりあった

「やめてこないで! 大人しく死んで!!」

「やかましい! 自分だって足りてないんだ! 悪いが力奪わせて貰うぞ! 先に仕掛けたのはそっちだからな!!」

「やっつけないと…、 殺さないとママが殺されるんだ!」

「ハァ!? どういうことだそれ!?」

「知らないよ! 変なおじさん達が家に来てママをさらっていったんだ。
『返してほしくば桐北修貴を倒せ』って…」

「おいちょっと待てよ! 異能者の力が目的じゃないのかよ!?」

「何言ってるかわかんないよ!
電波気管[トランスワルツ]だってそのおじさんから教えてもらっただけだもん!」


この状態で嘘をつけるほど冷静なわけはないのは明白だ
なら少年は言ってるのは事実
また…、機関の都合で運命が動かされた被害者がここにも…
…違う、奴らだけじゃない

自分だ

その【おじさん達】が何が目的でけしかけたかは知らんが
自分さえいなければ
そもそもこの子は巻き込まれることはなかったではないか

「なんだよ、自分の…、せいだっていうのか…?」

自分自身では抵抗できないらしく真島孝明はもう目の前まで来た自分になにもしてこない
首を絞めて落とすなり雷で撃退するなり、ここまでくれば自分の勝ちは決まりだった。

だが、攻撃できない

何を躊躇うか、事情はどうあれこいつは敵だ
だが、こんな小さい子が母を人質にとわられば仕方ないじゃないか
馬鹿か 仮にそうだとしても自分も能力が規定より足りないのだろ。ならこんなおいしい機会二度とないぞ?
自分のせいでこの子は苦しんでんだぞ? それを自分は… トドメをさせというのか

目前の泣きじゃくる子供を目の当たりにして、自問自答が頭によぎった


その一瞬で、真島は勝機を見いだした
「猫さん…! お願いします!」
195桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/18(日) 17:32:52 O
>>194
忘れてた… 昼が操作されてんだ… あいつらがいたっておかしくない
孝明のかけ声と同時に懐から飛び出したもう一匹の飼い猫、朝は頸動脈ごと自分の首を噛み切っていた
迸る鮮血、薄れゆく意識、力がどんどん抜けるのを感じて倒れ込んだ
「やった…、勝った…!勝った! これでママを助けられるんだー!」
ぼやける視界の中、最後に聞いたのは少年の歓喜の声だった

このまま死ぬのもいいかもしれない
機関にいいように遊ばれて、この子みたいに自分のせいで不幸になる人もいなくなるなら…
それで…、 いいのかも、しれ…、ない…





『本当にそれでいいのか?』

夢で見る門の前にいつしか立っていた
声がした。聞いたことないはずなのにどこか親しみ深い…

『本当にそれで自分は救済されるのか?』
いいわけ、ない
怖い、死が怖い。カッコつけても普通に怖い
死にたくない。畜生、何が人質だ。こっちはとっくに両方死んでるんだよ
自分一人だけ悲劇の主人公だと思ってんのかよ この野郎…

『知恵の実を受け入れし人の子よ。人であるが故に背負いし大罪は【嫉妬】』
嫉妬…、ハハそうかもな
こんなチビっ子に嫉妬しながら死ぬなんて…、酷い話だ
少なくともあんたのいう『救済』なんてされないな…


光が迸った
その中心には動かなくなった自分の体がある
いや、動く。五体全て動く
脚を踏ん張り、手で体を起きあがらせた
致命傷の首の傷に雷が走り、肉を焼き傷を塞いだ
不思議と痛みはなくむしろ今まで以上の早さでその火傷が治っていた
真島孝明少年は戸惑っていた
勇気を振り絞り殺したと思った人物が一瞬に回復して起き上がったのだ。 無理もない

「な、なんだよぉ! やられたんじゃないのかよぉ!?」

光が次第に収まり…、雷が体に取り込まれた
そして、その体がほのかに発光し始めた
「強靭[アッブグレード]…」

『ならばその【嫉妬】の業、救済しよう』声はそれきり聞こえなくなった


【桐北修貴:新技開発
     アパート天井上にて真島孝明と戦闘中】
196アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/05/18(日) 19:05:08 O
私、アルト・ハーケンは異能者だ。いわゆる超能力バトル漫画をイメージしてくれればいい。
異能者というのは、まあ結構数がいる。基本的には隠れて暮らしているから発見しにくいだけだ。
私はそんな奴らがある程度密集している地域を発見し、そこで食事を行うことにした
けれど、今回は―――――――まったく、出遅れてしまった。
異能者を生み出し、選別し、刈り取る、カノッサとかいう組織。何人かの餌は既に食われているみたいだ。
まあ、スカウトが目的ではあるのだろうし、まだ残っている異能者もそこそこの数ではあるが。

「困ったものですね。せっかく餌場を見つけたっていうのに、まったく。 一般人を食べるつもりはないんですけど、空腹は我慢できませんし」

そう、それも問題だ。私の食事は殺人と同意だが、基本的に一般人を食べる気はない。
普通の人間では食い足りないし、隠蔽も面倒だ。
今回は、まあ、異能者を食らっても、機関が後始末をするだろう。
そういう意味では機関にも感謝しているのだが、

「やはり気に入りません。私のご飯を取らないでほしいものです。
 これは、一度思い切った行動も必要なのでしょうか?
 彼らの仲間になる、という手もあるかもしれませんが、しかし―――それでは駄目でしょうね」

異能者を集めている彼らの仲間になる、ということは。つまり、食事を我慢せねばならない、ということだ
そんなのは嫌だ。私はあまり我慢強い方ではないし、食事は生きる為に必要な行為だ。

「まあ、いつもどおりでいいのでしょうけれど」

機関のことは考えまい。今回もまた、気の向くままに食らえばいいだけのことだ。
まずは異能者を探すことだが、さて―――どうすればいいのか。
異能者は異能者を呼ぶ。そういう、なんというか法則のようなものはある。
だからまあ、適当に歩いていれば出会えるだろう。
197名無しになりきれ:2008/05/18(日) 19:06:48 O
そういう目的で街の廃墟を歩く。異能を持つ者はアウトローだ。
なにより、既に機関による選別が始まっている。故に、こういった人目につかない場所ならば、

「おい、姉ちゃん。あんたも異能者だよな? いやいや、返事は必要ないぜ。
 だってこれからあんたは俺にやられちまうんだからよ」

こういう小物ぐらいなら、こんなにも簡単に見つかるわけだ。
しかしまあ、相変わらずこの手の思い上がりの激しいタイプは面白い。
見た感じ、機関によって目覚めさせられたタイプのようだ。
ならまあ、その能力を見させてもらいましょうか。

「あん? 返事もねぇのかよ、つまんねぇ!
 いいさ、ならさっさと殺すだけだ。いいよな? 俺に殺されてもさ。
 どうせあんたみたいなのは簡単に死んじまうんだからよぉ!」

なんという小物さだ。食べる気がなくなるからそういうのはやめて欲しいのだけれど。
まあ、我侭は言えないか。まずは何か、お腹に入れとかないと。

「まったく蒙昧な。貴方がどれほどの力を持っているかは知りません。
 ですが、相手も異能者だということを少しは自覚すべきだと思いますね。
 さあ、先手は譲りますよ。さっさとやってみなさいな」

つまらない挑発だが、あの程度の相手
198名無しになりきれ:2008/05/18(日) 19:07:54 O
つまらない挑発だが、あの程度の相手には有効だろう。

「テメェ、そりゃつまり、死にたいってことかよ?
 いいぜ、俺の全力で消してやるよ! なんたって俺は選ばれたんだからなァ!!」

思惑通り、相手はその力を使った。全身全霊の踏み込みだ。
接近する速度はそこそこ、肉食獣よりは速いって程度か。
技もなく、身体能力だけでそのレベルにあるというのは賞賛に値する。
小物かと思ったが、能力だけならかなりのレベルじゃないか。選ばれたと自称するのも頷ける。
能力の方は―――火、かな? 拳に集まってるあれは。

「食らいやがれぇっ! 滅殺紅蓮焔ぁぁぁっ!!」

並みの人間なら消し炭すら残らないレベルの火炎能力者。
単純だが強力だ。あの様子なら遠距離からでも十分な威力があったろうに。
―――私を前にして、油断しているというわけでもなさそうだ。
だが―――ぬるい。かなりのレベルではあるが、私には無意味だ。

「炎は氷を溶かす、というのは常套句。
 ですがまあ、その逆もまた然り、ということです」

正面から素手で受け止める。同時に能力を発動させ、私の手と彼の拳の間の温度を低下させる。
199名無しになりきれ:2008/05/18(日) 19:09:49 O
相手もそのことに気付いたようで、距離を開ける。
―――判断力も悪くない。確かに、なかなかだ。いい餌になりそうではある。

「…テメェ、氷か、水か―――あるいは冷気の能力か。
 名は? テメェの名前はなんだよ?」

冷静だ。私の力量を把握している―――ある程度は、把握しようとしているということか。
ならば、まあ教えてもいいだろう。期待した以上の良質な餌のようだし。

「アルト・ハーケン。臨界融解などとも呼ばれますね」

「臨界融解、だと? どうしてそんな名で呼ばれるんだ?
 どう考えても変だぜ。テメェの力は氷か冷気の類だろうが」

「お教えしてもいいですよ? 無論、貴方の命はなくなりますが」

言葉と同時に踏み込む。反応はない。当然だ、私の速度は彼の反応速度では認識できないレベルにある。
身体能力だけでいうならば、私はそこいらの肉食獣の数十倍のレベルにあるだろう。
頭部を掴む。握り潰して殺してしまわない程度の力加減で―――と、このぐらいか。

「私の能力、臨界融解は熱量操作。無限の熱量を誇る切り札、というわけです。
 単純な高熱を作り出すだけで、私なら、まあ貴方程度を完全に消滅させるぐらいは簡単です。
 ですがまあ、炎に対して無限熱量ではあまりにもつまらない。
 そこで、熱量を下げた、というわけです。理解できましたか?
 私の無限熱量は、まさに臨界融解の名に相応しいモノだということが。
 ――――ああ、もう聞こえませんね。耳がドロドロになってますし、頭も働きませんよね」

そう、熱量の操作というのは上下どちらにでもできること。
炎を操るのならば、そこに相通ずるまた別の力も発見しえただろうに。
だがまあ、問題はない。貴方も私の一部になるのだから。そうすれば、貴方は、

「最強。その一部になることでしょう。おめでとう、貴方は確かに選ばれし者でした」
200名無しになりきれ:2008/05/18(日) 19:12:26 O
私の二つ名。臨界融解。それはフュージョンと読む。その理由は簡単だ。
融解させたモノは私の食事でもあり、私の一部となる。
対象を融解せねば食らうことができない、というのが不満ではあるが。

「ですがまあ、貴方レベルの火炎操作では私にはあまり意味がない。
 元から無限熱量を持つ私です。たかが火炎程度では足しにもならない。
 けれど、感謝はしますよ。ええ、食べ物には感謝の気持ちを。これは当然のことです」

聞こえてはいないだろうが、まあ、いいだろう。
これは相手に言い聞かせるのではなく、私の気分の問題なのだから。

「ふぅ―――それでは、いただきます」

私は、この街で初めての餌を食べた。なかなかの美味だった。
雑な料理かと思えばそこらのファミレスレベルだった、というのは嬉しい誤算だ。
さて、これで―――次の餌は、余裕を持って探せそうだ。

「では歩きましょうか。適当にぶらつけば出会えるはずです。
 異能者とは、そういうものなのですから」
201名無しになりきれ:2008/05/18(日) 19:14:25 0
水を差して悪いが名前欄にコテとキャラハンを付けてもらえると良いかも
202アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/05/18(日) 19:15:08 O
【アルト・ハーケン 食事1回】
コテ忘れてました。すいません
203小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/18(日) 19:41:47 0
目の前の異能者は咄嗟に前へ駆け出し、刃の雨を回避した
少しは足を切り裂けたようだが致命傷には至らない

・・・私のナイフが奴に当たる直前、わずかだが軌道がずれた
見たところ道具を使った様子は無い
とすれば、目に見えない何かで防いだということだ

相手に飛び道具は効かないと分かると小村は下に降り、相手と対峙する形になった
このまま飛び道具で攻めても良かったのだがあまり現場に痕跡を残したくなかった
相手はこちらを探るような目でまじまじと見ている、そして独り言を何回か呟いていた

・・・目に見えない何かとなると、普通に考えられるのは
圧力、重力、磁力・・・

考えていると体がいきなり重さを増した

・・・これは・・今そこまで多くの金属は持っていない、そしてこれは
上から押されるような重みではなく、自分自体が重くなっている・・・

となれば答えは重力と考えてまず違いないだろう

こちらが相手の能力の分析を済ませ、次の行動を考えていると
>「私が失敗作でないことを…役不足でないことを
> 眼に刻んでおくんだな!」
相手はナイフを持って突進してきた

馬鹿だな―――
「・・・相手の武器は普通、罠が潜んでいる可能性があるため使うものではない」
そう言い、小村がパチッと指を鳴らす
突如相手が持っていたナイフがゴッドバルトの豪腕に形を変えた
すかさずその腕は相手の首を締め上げる

小村の体にかかっていた重力が弱まり、小村は相手のわき腹に蹴りを叩き込む
ドッ!!
ゴッドバルトの力も加わっており、肋骨にヒビがいったかもしれない

「あなたよくこの二日間生き延びれましたね 多少なにか仕掛けてくると思っていましたが・・・
まさか、相手の重力を重くしただけで勝てると思いましたか?」

相手の異能者は血を少量吐きながら地面に倒れこむ
小村はエネルギーで作った超合金の手枷を相手の両足、両手に装着させる

「さて、後は眠ってもらいましょうか」
そういうとゴッドバルトが相手のみぞに死なない程度の拳を叩き込んだ―――

【神重に超合金の手枷、足枷をつける】
【死なない程度の当身をする】
204神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/18(日) 20:52:05 0
>>203
私は相手に走り出していた。
相手には重力がかかっている。動けはしない。
そして私の手にはナイフが…私は勝利を確信した。
このまま動けない相手を一突きすることで、私は失敗作という言葉を消し去ろうとしていた。

やはり、焦りが生じていたのだろう。相手の武器を使うなどという愚かな行為にでたのだから。
持っていたナイフが、急に何者かの腕に姿を変える。
「し、しまっ――! 」
言いかけたときにはもう遅い。私は何者かの腕によって首を締め上げられる。
同時に、相手にかかっている重力が弱まっていることに気がつき、掛けなおそうとするが…。
ドッ!!
その前に、強力な蹴りを脇腹に喰らう。
「ガハッ…!」
体の内部にダメージを喰らった所為で…私は血を吐き倒れこむ。

「あなたよくこの二日間生き延びれましたね 多少なにか仕掛けてくると思っていましたが・・・
まさか、相手の重力を重くしただけで勝てると思いましたか?」

また同じような言葉を…私では…だめなのか…。
悔しさで涙が出そうになるが、そこはなんとか堪える。


「さて、後は眠ってもらいましょうか」

意識が消える前に聞いた言葉は、これだった。
205神重 敬 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/18(日) 20:52:55 0
(さて、そろそろ俺の出番だな…)
智の意識が沈んだことにより、体を動かす権利は敬に移った。

眼を開けると、体には手枷と足枷が装着されていた。
「くだらないことを…」
気絶した相手に油断をせず、こういうものを装着するのは賢い

だが俺の前では無意味だ。
  『人体分離(ボディセパレート)』
俺がそう呟くと、手枷と足枷が装着されているところを残して体を分離した。
相手の驚く顔が面白い。そりゃあいきなり捕獲した奴の腕と足が千切れるたからな。
周りに鮮血が飛び散る。当然だ能力を使ったとはいえ、体を引きちぎったのだから。

だが次の瞬間奴の顔はそれ以上に驚いた顔…嫌悪かもしれない。それに変わる
何故なら、俺の体は分離されたものを残して再び腕と足を再構築したからだ。

五体満足に戻った俺は、服についた砂や埃を払って、相手に話しかける。
「どうも。人体分離手品は如何だったかな?」
どう見てもタネなどない。なぜならそこに置いてけぼりにされた腕と足があるのだから。

かけていた眼鏡を外し、胸ポケットにしまいこむ。
整った髪を逆立てて…智との差別化を図っているのだろうか。


「はじめまして…さて、お前の血は私の口に合うかな?」
分離された腕と足から流れている血が空中に浮かび上がり一つの形を形成する。
それは、血で作られた赤い刀身の剣。
その剣を敬は構えて、謎の男と対峙する。

【神重:敬が体を操作 能力変化 拘束具から抜け出す
    周囲には血が飛び散っているため、敬の武器になる
    小村に血が付着してるかは、お任せします】
206戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/18(日) 20:57:20 0
>>180
戦場ヶ原が殺気の反応のもとに辿り着くと、そこには二人の男が対峙していた。かたや黒いスーツに身を包んだ男、かたやくすんだ色の髪をした優男。
そのどちらもが異能者であることは、彼らを包む空気が証明していた。
スーツ男は熱気を孕んだ空気を纏い、もう一人の男の周りには冷ややかで澄んだ空気が漂い、彼が冷気使いの異能者であることを物語っている。
「見つけたァ・・・ッ!!」
戦場ヶ原は低い声で呟くと、二人の姿を確認するやいなや、その戦いに自ら飛び込んでいった。彼が狙いを定めたのは―――黒いスーツに身を包む、熱気の男。

「弾け飛べ・・・。『マイクロワームホール』ッ!!」

間髪入れず男の背後目がけて黒球が放たれ、着弾と同時に炸裂する。
「!!」
男は突然の闖入者に驚いたが、次の瞬間には冷静さを取り戻し、右手から発した炎を推進力にして戦場ヶ原の奇襲をなんなくかわした。
ひと間合い空け、ふわりと着地した彼は、闘いに乱入されたことに若干腹を立てたように不機嫌そうに尋ねてきた。

「・・・誰だ、お前は。」

一方の戦場ヶ原は、自分の攻撃をなんなく回避されたことを何ら気にかけた様子もなく、歪んだ笑みを浮かべてそれに答えた。

「貴様の『敵』だよ、機関の犬ッコロ。」

熱気使いの男は今まで闘っていた冷気使いの男を一瞬気にかけたように一瞥すると、再びその視線を戦場ヶ原に戻した。
おそらくこの男には、戦場ヶ原が冷気使いの仲間であり、彼の増援として仕掛けてきたように映ったのだろう。

「今じつにいいところでな・・・。邪魔をしないでくれるか?ボロきれ男。」

言うなり熱気使いはその両手から燃え盛る火炎の渦を作り出す。

「・・・地獄の業火にその身を灼かれるがいい…。『ヘル・フレア』ッ!!」

戦場ヶ原目がけて放たれる火炎の津波。
防御は出来ない。なぜなら戦場ヶ原は空気を吸い込ませることで盾をつくる。
炎に対してそれをすれば、火と空気をまとめて吸い込み圧縮することで爆発的な燃焼が起こり、逆に大ダメージを受けてしまうからだ。
「フンッ。」
しかし戦場ヶ原は戸惑うことなく黒球を左手に作り出し、その炎を吸収し始めた。
これでは以前の廻間との戦いの二の舞だ。

だが、ここからが違った。
戦場ヶ原は火をしこたま吸い込んで膨張した火球を後ろへ回し、自分の背後で爆発させたのだ。
「!!?」
何が起こったか分からず、熱気使いが面食らった一瞬の隙。
戦場ヶ原は爆発を背中に受けながらも、その爆風を推進力にして男に接近し、その一瞬の隙を突いていた。

「『鬼神』に同じ手は二度通じねェ…。砕けやがれッ!『グラヴィトン』・・・」

男が戦場ヶ原の接近を認識した時には、すでに彼の振り上げた右拳は黒球に包まれていた。

「『ハマァァアアアアーーーーーッ』!!!!!!」

拳とともに数百キロの重圧が男の下顎を襲う。
技の決まったその一瞬。戦場ヶ原の切れ長の眼が、もう一人の冷気使いの異能者の眼と合った気がした――――。

【戦場ヶ原:池上VS衣田の戦いに乱入。シナゴーグから出てきたのを衣田だと勘違いして攻撃。】
【衣田はダメージを受けこそすれ戦闘不能にまで至ってはいない。戦場ヶ原を池上の仲間だと思っている。】
207戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/18(日) 21:02:02 0
>>206
訂正。右拳ではなく左拳でした。
右腕は肩のあたりからありません。
208梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/18(日) 21:19:16 0
>>189-190>>191
七重の多少の沈黙。
答えは――
「俺は、何も知らない・・・  ただ、向かってくる奴と闘るだけだ」
I don't know…知らないだった。
律儀に答えてくれるだけありがたいが、期待してただけ少し残念だがな。

その時、七重の方からジリリリと音がし、俺のポケットから振動を感じた。

――メールだ。しかも同時に?
すぐさま携帯を開く。
【Eメール 1件】
内容は…一週間に延長。
何がって?
勿論、この茶番劇…つまり、戦いの期間だ。
マジかよ…まだ一回たりとも戦っていない俺にとっては少しはラッキーだろうが…。

ふと、七重から声を掛けられる。
「疲れているなら、奥で休め。それが嫌なら、家に帰って寝た方が良い」
疲れているというよりは胃が痛いんだが。

「有難うよ。じゃ、そうさせてもらうぜ」
七重が台所の方に引っ込むと、俺は店の奥に向かう。

廻間とすれ違い、靴を脱ぎ畳の上に寝転がった。
何故か廻間が苦しむ声が聞こえたが無視無視。

【梓川:居住スペースで寝転がる】

―――貮名市に到着して二日目。私がこの街へ来たのは必然であったのかも知れない。
―――この日起こった事を、私は決して忘れる事は無いだろう。

私の朝は普通の会社員よりも早いと思う。

二日目の朝、私は鏡の前で眉毛の手入れをしていた。
この顔が嫌いな訳ではないが、何かと不便だ。
こんな歳に成ってまで女性のような事をしなければならない。
…まぁ、若く見えるというのは嬉しい事だが。
時計を見ると既に7時を過ぎていた。実に1時間近くも鏡に向かい合っていた事になる。
会社は8時からなので、そろそろ支度をするべきだろう。
猫の顔がプリントされたパジャマを脱ぐと、それを洗濯機の中に放り込んだ。
後は機械が自動で脱水までしてくれる。世の中便利になったものだ。
ついでに洗顔と歯磨きを済ませて、髪を梳かした。
スーツ一式をクローゼットから取り出すと、着替えを始める。
今日のスーツは『エルメネジルド・ゼニア』だ。やはりイタリア物は良い……。

着替え終え鞄を抱えると、私は会社へと向った……。

―――昼、私はオフィスに在る自分のデスクで、部下の報告書にチェックを入れていた。
最近の若者は英語のスペルを良く間違えるという事を、日本に来て始めて知った。

一通りチェックを入れると時計を見る。後十分で正午だ、切り上げ時かも知れない。
周りの人間の中には、区切りの良い所で切り上げて昼食を取りに行く者も少なくない。
自分もそうするべきだろう。私は眉間を数回揉むと、
PCモニターの電源を切り、昼食を摂る為会社を後にした。
>>209
―――街を歩くと、流石に昼間は人通りも多く、会社勤めの者の姿を良く見かける。
レタスとベーコンの入った惣菜パンを買うと、近くのカフェでランチタイムを始めた。
部下に聞いた話だが、何でも先程惣菜パンを買った店(名前は知らない)は、
フタツナスカイホテルというこの街で一番規模の大きいホテルの元料理人が作った店らしい。
要は"ホテル仕込みのパン"を提供する店なのだそうだ。
客層は女性が多く、主にOLや主婦が昼食にと買っていくと言う。
……そう言われて見ると、女性が多かったような気がする。

パンをかじりながら腕の『フランクミューラー』に目線を落とす。針は十二時十八分を指している。
休憩は1時までなので、後四十分はこうして寛げる訳か……。
パンが3分の1に減った所でウェイターを呼び、食後のコーヒーを注文した。
注文後、メニューのプレートを置く時に斜め向かいの女性客と目が会った。
……奴め、目を逸らしたぞ。
どうせ自分より美しい人間を見かけて気不味いのだろうが、生憎と私は男だ。
女性の考えは解らん。一生理解できないだろう……。

食事を摂り終えた所で、注文していたコーヒーが運ばれてきた。
やはりコーヒーは良い。中でもインドネシア産の『マンデリン』は最高だ。
この店のコーヒーは『ブルーマウンテン』を使用しているようだが、
真のコーヒー通は『マンデリン』を選ぶ。
確かに『ブルーマウンテン』は苦味、香り、甘み―――
全てのバランスが取れた優れた品種だが、『マンデリン』のほろ苦さとまったりとしたコクは、
『ブルーマウンテン』には無い"コーヒーらしさ"が在ると思う。
通ぶった一部の人間は『ブルーマウンテン』を選ぶようだが、連中は何も解ってない。
そもそも人間がコーヒーに求める物とは何なのか? ―――それは"安息"だ。
皆、安らぎを欲してコーヒーを飲むのだ。私はそう考える。
>>209-210
芳醇な『マンデリン』の香りを想像し、口元を緩めた時 懐の"携帯電話"が震えた。
見てみると機関からのメールで、差出人は諜報部の物になっている。

―――機関連絡用特殊電波送信機、通称『機連送』。それがこの"携帯電話"の名前だ。
下級構成員から我々幹部まで、機関に携わる物ならば誰しもが持っているツールだ。
私の『機連送』は開発部に命じて携帯電話型に偽装させて在る。
私はコーヒーを唇から引き離し、本来在るべき場所へと戻した。

『 〜緊急連絡〜

  貮名市に『ヤハウェ』のケースNo.1を所有する人物が存在する事が判明した。
  貴君には該当する人物を確保する事を命ずる。
  極力生きたままの状態で確保する事。(止むを得ない場合は殺害する事を許可する)
  協力者として小村 禅夜にも同様のメールを送信しておく。
  該当人物の過去は不明・追って調査中。
  未確認ながら対象者にも協力者が居る模様。(協力者は確実に抹殺する事)
  必要な装備・機材は貮名市地区本部より調達されたし。
  ―――尚、本作戦の権限はNo.6が所有する物とする。』

携帯を折り畳むと、再びコーヒーを口へ運んだ。
この街に『ヤハウェ』のケースNo.1―――。即ち、"自然発芽した異能者"が存在するとは……。
我が組織が『ヤハウェ』の"代用品"を開発してから、自然覚醒した異能者は今や希少種だ。
機関が確保を命令するのも肯けた。しかし、協力者というのが気になる……。
小村禅夜……。優れた能力を持ちながら、
三年前の"事件"を切欠にナンバーである事を剥奪された、"存在しないナンバー"……。
あの<No. N.T.D.E.>をかり出すというのか……。

まぁ良い。私は私の仕事をこなすだけだ。
メールに添付された該当者の顔写真と記載された名前は既に記憶した。
―――あの女が生きていた。正直言うと運命を感じた。
最後に見た記憶と随分違うが、面影は変わっていない。
"使い過ぎ"でこのような姿に成ったのか……。
すっかり記憶から抜け落ちていたが、彼女が笑顔の綺麗な女だった事を思い出した。
"今度は"絶対に逃さない……。どのような能力を持とうと、私の能力の前には無力なのだ。

人の身でありながら大罪を持つ者、"林檎"を食べ楽園(エデン)から追放された呪われた存在。
汝の名は……煌神 リン。

【レオーネ:現在二日目昼 煌神リンに狙いを定める。彼女の事を知っている模様】
【小村禅夜と連携を取る事を命令される】
212煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/18(日) 23:11:26 0
>>206

「つよいですね〜」

リンは一人戦場ヶ原の戦闘を眺めながら、お茶をすする。
と、近くを猫が歩く、リンは反応し、猫じゃらしを振り振りする

「ほら〜ねこちゃ〜んこっちですよ〜」
リンは猫を抱いて、戦場ヶ原を見守る。

「戦場ヶ原さん強いですね〜タマ、それ猫パンチ!」

リンは戦場ヶ原が戦闘中にもかかわらず、猫の手を持ちパンチの格好をさせる。
猫は心底迷惑そうな顔をした。

「にゃう・・・」
「あん、もう猫ちゃんかわいいですね〜」

リンは猫に強く抱きつく。
猫はせめてもの抵抗とばかりにリンのほっぺをなめる。
「きゃっちょ、あん、だから、そこは、あはは、」

なんか猫と戯れていた。

【煌神:猫と戯れ中、戦場ヶ原の戦闘を近くで見ている。】
【回復率:40%(戦場ヶ原のシーンも混ぜますww)】
213恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/18(日) 23:22:29 0
>>183>>185
人は余りにもヤバイ傷を負うと、痛みよりも先に感覚が麻痺してくるみたいだ
背中にジンジンと熱い物を感じる。それがダメージを負った事で流れている血だという事は、朦朧とする頭でも理解できる
呼吸が…次第に荒くなってきた。まずい、息が…俺は必死に自分を落ち着けようとする

だが体は正直だ。いつの間にか俺は両膝を地面に付いていた。
意識がプッツリいきそうだ。だが意地と根性でどうにか耐えている
にしても…悔しいなぁ。何でこう、俺って何時も空回りするんだろう

目の前の女子高生がどんな表情をしてるか、目がぼんやりとしていて分からない
だがもし驚いていたり、怖がっているならざまあみろって感じだ
これで懲りて…あれ、懲りて…言葉が…浮かばない…

しまった。完全に視界がブラックアウトだ。今の俺は恐らくその場に突っ伏している
体を動かそうとするが、腕や足はおろか指さえ動かない。体が完全に死んじまってる
意識だけはっきりとしているのが余計に嫌だ。まるで生殺しじゃねーか

…何処からか足音が聞こえる。だが後ろから来ているのか前から来ているのか分からない
もし白衣の男だったら、俺は一生白衣の男を尊敬するな。味方の大ピンチに颯爽と復活なんて、ホントにヒーローじゃないか
…だが恐らく女子高生だな。やっぱ俺の死に場所はココかよ。あぁー情けねえ

…あれ?俺、マジで死んだ?ちょ…

【精魂尽き果てる※死んでません】
【その場でぶった倒れた後、気絶。後は煮るなり焼くなり放置するなり好きにしてくださいwww】
214池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/18(日) 23:35:34 0
>>206
「受けろ!! 『アトミック……』ッ!!」

これまでにない火炎を纏った衣田が両手を突き出し、そう言い掛けた時だった。

>「弾け飛べ・・・。『マイクロワームホール』ッ!!」
突如聞こえる別の男の声。
同時にその声を発した人間の殺気を俺や衣田は感じ取っていた。
殺気の方向──それは。

奴の後ろか……!

「!!」

舌打ちをしながら、衣田はこちらに向けた手の平を自らの足下に向け、
俺に放たれるべきであった炎を地面に向けて放った。
当然、炎を地面に叩きつけられ、それは衣田の身体を空中に舞い上がらせる
推進力となり、殺気を伴った声の主が放ったと思われる『黒い球体』を難なくかわした。
あの『黒い球体』を受けていたら無事では済まなかっただろうということは、
『黒い球体』が命中した、これまで衣田が踏みしめていた地の惨状を見れば
容易に想像ができていた。
衣田は浮遊の時間を終えると、突如現れた謎の男を警戒するようにして着地した。

「・・・誰だ、お前は。」

>「貴様の『敵』だよ、機関の犬ッコロ。」
衣田の問いに『機関の敵』と答える謎の男。
衣田は一瞬こちらに視線を向けたようであったが、俺はそんな衣田には
目もくれず、今もなお衣田と何やら言い合っている謎の男に目を向けた。

現代人には珍しい着物姿、赤い髪、そして隻腕……。
見た目からして、あらゆる意味で危険な臭いがする人物だな。
『機関』の敵と言っていたが……一体、何者だこの男は?
215池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/18(日) 23:37:20 0
などと考えている内に、いつの間にか男は衣田との戦闘に突入していた。
見ると先程と同じような黒色の球体に、衣田の炎が吸い寄せられ、
球体に飲み込まれるようにその姿を消している。
そして突然の爆発──。
一瞬、俺は手で目を蔽ってしまい、直後の一部始終を観察することはできなかったが、
手をどけ、目を向けた時には既に衣田は男の拳によって空中に吹き飛ばされていた。
その瞬間に、男と目が合ったような気がしたが、事実であるかどうかは定かではない。
とにかく俺が確認できた事は、衣田が攻撃を受けたという事だけであった。

衣田は空中に飛ばされながらも、すぐに体勢を整え、両脚で地に着地することに成功していた。
そして衣田は「ペッ」と血混じりの唾を吐き出すと、男に向かって喋り始めた。

「『鬼神』……か。思い出したぞ……確か数年前までに我が機関に所属していた。
名前は確か……山田だったかな? ……フッ、裏切るとは馬鹿な男だ」

……衣田の話が正しければ、奴も長束同様に元・機関の人間か。
見たところかなりの使い手のようだが……接近に気が付かなかったのは不覚だったな。
衣田の異能力に気を取られていたとはいえ……な。

衣田は、再び俺に視線を向け、今度は俺に向かって言った。

「……折角、楽しめそうな戦闘に入ろうとしていたのに、
お前が馬鹿な男を援軍に寄こしてしまったことで一気に興醒めだ」

援軍に寄こす……? こんな危ない男が俺の仲間だとでも考えているのか?

そうは思いながらも特に誤解を解くような説明もせずにいると、
衣田は自身の右手に炎気を集中させ始めた。

「それに、お前の力はある程度把握した。命令は果たしたと言っていいだろう。
まぁ、決着はいずれつけてやるさ……。
もっとも、その日までにお前が生き残っていればの話だがな。クックックック……」
216池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/18(日) 23:38:59 0
「先程も言ったがもう一度覚えておくがいい、俺の名は『衣田』。
機関では『18』と呼ばれている……」

言い終えると、男は腕を一閃した。
振るわれた腕に呼応して、手に集中されていた炎気は奴の姿を隠すように舞い上がり、
やがてその炎気は闇夜と同化していった。
炎が消える頃には、既に衣田の姿はそこには無かった。
異能力も感じない……文字通り、この場より退いたことを示していた。

俺は「ふぅ」と軽く溜息を吐くと、赤毛の乱入者に向かって口を開いた。

「礼は言わんぞ。お前が来なければ、奴を始末することができていたんだからな。
……奴に用があったならもうここに留まる必要はあるまい。回れ右して、とっとと失せな。
さもないと、殺す」

【池上 燐介:戦場ヶ原に立ち去るか殺されるかの二択を迫る。
        戦場ヶ原に気をとられている為、煌神 リンの存在にはまだ気付いていない」
217葦川妃映 ◆oov3HbsEaA :2008/05/18(日) 23:47:55 0
>>165-166>>176-175>>185>>187
>「私、そういう奴がいっちばん嫌いなんですよぉ。
>弱いくせに。
>こんなに近くにいても、肌も震えない程雑魚なくせに。
>只後ろ盾がヤバいってだけのくせに。
>逃げるしか脳が無いくせに。
>目潰し程度しか出来ないくせに。
>弱小異能者が、やたらしゃしゃって来やがってさぁ、ホント超目障りだから」
口汚く罵る少女の言葉は私を冷静にさせる。
冷ややかに、それでいて目を凝らし、彼女の状態を知れ。
まともにやれば勝てない。だが、駆け引きと嫌がらせなら私に分がある。
そうやって愚かに体力と精神力を磨り減らして居るところを綺麗に突く。
作戦は決まった。止めを刺そうと一歩踏み出そうとした瞬間、板へと形状を変えた彼女の立体が猛スピードで飛び回り始めた。
「……っ」
カメラを抱えながら側転、しゃがんだ体制のまま前進、後退、また側転。
直撃は無いが、耳と左腕を深めに斬られた。流血が酷くなって来た。
速めに決めないと──そう思った矢先に、自体は急転して行った。
カメラを持った青年の躍進、そして直撃。
白衣の青年の復活、圧倒的な身体能力で押し切るがごとく、距離を詰めて
──少女を脅かしながらお仕置きの一撃をお見舞いしていた。
思考に重きを置きすぎていた私はただそれを見ていることしかできなかった。

意識と能力だけが少女を超え、実質はまだまだお子様だった『小娘』
臆病な常識人のふりをしながらも、十分にご立派な『勇者見習い』
自身をバケモノだと思い込んでいる『勇者』

一時間にも満たない時間でこれだけの人物たちに会えるなんて。

中腰の状態で少女の反応を待ちながら、またも口を歪めてしまった。
218戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/19(月) 17:04:30 0
>>216
衣田と名乗る男は自らを炎に包み、文字通りその場から消えた。
逃げられたか…。そう思ったが、戦場ヶ原はすぐにその認識に誤りがあったことに気づいた。
「―――!」
さきほどから感じていた無機質で冷徹な殺気。それは衣田が去った後も尚その場を支配していたのだ。
とすれば―――。自分が追っていた殺気の主が衣田ではなく、
その場に佇む冷気使いの異能者であるということに辿り着くのに時間はかからなかった。
(・・・こいつは、何者だ・・・?)
男は小さくため息を吐いたのち、特に抑揚もない低い声で呟いた。

「礼は言わんぞ。お前が来なければ、奴を始末することができていたんだからな。
……奴に用があったならもうここに留まる必要はあるまい。回れ右して、とっとと失せな。
さもないと、殺す」

殺すという言葉をあまりにも自然に使う彼の口調は、戦場ヶ原が機関時代に会った暗殺者たちのそれと驚くほど似ていた。
脅しではない。この男は戦場ヶ原の闘いを目の前で見た上で、本当に殺せるという自信を持って言っているのだ。
かといって、殺すといわれて引き下がるような戦場ヶ原でもなかった。
(機関のナンバーに直接狙われるような男だ・・・。機関に何らかの形で関わってる奴と見ていいだろう。)
そうした前提が、彼の中で生まれた。だとしたらこの男も自分の敵であり、シメ上げて基地の場所を吐かせることに変わりはない。

「別に貴様を助けてやったわけじゃねぇ。奴が邪魔だったから潰しただけだ。
・・・それより俺は貴様に聞きたいことがある。
城栄金剛・・・。やつの居場所を教えろ。この辺りに奴らの『基地』があるはずだ。」

闘いの予感に血が昂りそうになるのを抑えながら、戦場ヶ原はうすら笑いをうかべて無表情の男に言葉を返した。
城栄金剛の名に男の眉がぴくりと動いた気がしたが、その表情に変化はない。
しばらく反応がないことから、この男が何かを知っていることに気づいた戦場ヶ原は、男が返答する前に言葉を続け、煽った。

「・・・どうした?立ち去らねぇと殺すんじゃなかったのか?大人ぶっちゃいるがまだまだアマちゃんだな色男。
いいか、殺そうと思ったらすぐ殺せ。さもねぇと、貴様自身が喰われることになるぜ。」

【戦場ヶ原:池上に質問しながら挑発。城栄金剛の名を出す。戦闘意欲は満々。】
>>185
―――すっかり周りも薄暗くなってきて、後半刻ほどで完全に夜の帳が下りる頃だ。
私は今、機関のアジトへ向っている。
理由は勿論、必要な装備を入手する為だ。
正直、社宅に帰ってシャワーを浴びたい所だが、機関の命令と在れば致し方無いだろう。
出来るだけ近道をする為に、地元の人間しか知らなさそうな路地裏を進んで行く。
土地勘の無い私にとって、今は『機連送』から送られてくるGPSの情報だけが頼りだ。

民家の路地裏を通り過ぎて行くと、ひらけた更地前に抜け出た。
どうやら空き地のようだ。……人影が見える。
一人、二人……、道路にノビている男を含めると合計で4人。
この感覚が研ぎ澄まされる感じ……、四人とも全員能力者のようだ。

その中に一人だけ知った顔が在った。
―――永瀬 翠。
私が育てた異能者たちの中でも優秀な部類に入る方だ。
機関は創造(あるいは拉致)した異能者たちを訓練する為に、会堂(シナゴーグ)と呼ばれる施設で教育を施している。
彼女、永瀬 翠は嘗てそこの生徒の一人だった少女だ。
こんな辺鄙な土地に居るという事は、彼女も機関から何らかの指令を受けているのだろう。
……見た限り、相当頭に血が上っているようだ。
彼女の性格からして、あれでは真っ当な判断を下せる筈が無い。
加えて、精神の消耗が目に見えて判る。

>俺は、そのまま少女の鳩尾に掌底を叩き込んだ。

案の定、白衣の男に一撃を食らってしまった。

……白衣の男は身体強化を得意とする様子だ。
コンディションが悪過ぎたというのもそうだが、何より永瀬の経験が浅かったのだ。
これは昔からそうなのだが、彼女は激昂すると周囲の事が見えなくなる癖があった。
意識が在るかは判らん。しかし、もう一撃食らえば死ぬ事は明白だった。
せっかく育てた人材だ。ここで無くすには余りにも惜しい……。

「―――手伝ってやろうか? 永瀬」

白衣の男を前に、倒れた永瀬に問い掛けた。
―――煌神 リン捕獲前の良い準備運動に成りそうだ。

【レオーネ:現在地 空き地前】
【永瀬の意識が在るかは不明。国崎と葦川にはモロバレの位置から登場】
220アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/05/19(月) 21:03:09 O
まともな餌がいない廃墟を歩き回るのにも飽きてきた。そりゃあ、少しは出会いもあった。
けれど、最初の異能者がそこそこのレベルだったのもあって、満足のいく質を持った餌は見つからなかった。
今回の機関の実験のルールについて把握できるだけの情報は手に入ったけれど、少し物足りない気がしてきた。
そういうわけで、少しばかり方針の変更を行うことにした。やはりこちらから出向かねば意味がない。
適当に歩くのではなく、なんらかの力を感じる方向に向かう。戦いの匂いを感じ取って、というヤツだ。
感覚的な察知はあまりやりたくないのだけれど―――まあ、この街ならいいだろう。
思ったより量も多かったし、質のいい餌も期待できそうだ。

>>204
ともあれ、その成果はあった。異能者を捕縛している男と、捕縛されている男。その二人が私の眼下にいる。
この街で敵対する異能者を捕縛するとなれば、機関の者である可能性が高い。先程からの言動から考えると確実だろう。
となれば話は早い。捕縛されているのは、機関が目を付けた異能者なのだろう。
もったいない。また餌が減ってしまうじゃないか。横槍を入れるか―――いや、よそう。
こういった局面で更なる力に目覚めるタイプも存在する。
となれば、あの男もそれに期待しているのかもしれない。あるいは―――共倒れになる可能性もある。

「盗み聞き、とまいりましょうか。悪趣味ではありますけれどね」

盗み見る、とも言う。ビルの屋上から、二人の男を眺める。あの男が新たな能力に目覚めるのならば、なかなかの見世物になるだろう。
あるいは、

「敗者の逃走に手を貸す、というのもいいかもしれません。
 この場で決着されては、私の餌がなくなりますし」

>>205
などと考えていると、捕縛されていた方の男が立ち上がった。どうやら、自らの体を分解して脱出したようだ。
これはいい。一段階の覚醒か、あるいは元から隠し持っていた能力を使ったのか―――どちらにせよ、両者の消耗は免れまい。
なら、先程考えたとおりでいい。どちらが負けても、私の目的には変わりない。
負けた方がその場で始末されるのを防ぐこと―――餌はちゃんと守らなきゃいけませんからね。

【アルト:小村と神重の戦闘をビルの屋上から観察】
221池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/19(月) 21:04:03 0
>>218
>「別に貴様を助けてやったわけじゃねぇ。奴が邪魔だったから潰しただけだ。
>・・・それより俺は貴様に聞きたいことがある。
>城栄金剛・・・。やつの居場所を教えろ。この辺りに奴らの『基地』があるはずだ。」
『城栄金剛』。聞き覚えのある名前に、俺の体は一瞬ピクリと反応する。
城栄金剛……それは長束の屋敷で耳にした、異能者を人為的に造りだす計画の
責任者の名前だと言う事を思い出すには、そう時間は掛からなかった。
そして機関の人間であった衣田との会話からも感じていたことだが、
やはりこの『山田』という名の元・機関の男も、現在は俺と同じく機関に刃向かう
者の一人であるらしかった。
長束の屋敷で出会った連中といい、俺が思っていた以上に機関に抵抗する人間は
多いのかもしれない。これは機関の目を俺から逸らさせるいい材料にはなってくれ
そうだが、この事態が果たして俺にとっての絶対的なプラスになってくれるどうかは、
何となく疑問であるように思えた。

──と、徐々に本筋路線から離れていきながらも回転させていく頭とは裏腹に、
口ではただ沈黙を守っていた俺の態度にしびれを切らしたのか、再び山田が口を開いた。

>「・・・どうした?立ち去らねぇと殺すんじゃなかったのか?大人ぶっちゃいるがまだまだアマちゃんだな色男。
>いいか、殺そうと思ったらすぐ殺せ。さもねぇと、貴様自身が喰われることになるぜ。」
山田の催促に答えるように、俺は投げかけられた質問への回答を出した。

「返事は、『知らない』だ」

俺が言ったことは必ずしも嘘ではない。
機関に所属する連中の所在を記したと思われるリストは手に入れてはいるが、
そのリストには肝心の名前が記されていなかった。
手当たり次第にリストに表記されている場所に行けば、
その内、城栄金剛とやらに会うこともできるだろう……が、
現時点で俺は城栄金剛の居場所を掴んでいるわけではないのは確かだからだ。

もっとも、厳密に言えばそれも含めて「知っている」の範疇であるのかもしれない。
こいつにリストを渡して「勝手に捜せ」とでも言えば大喜びしたかもしれないが、
俺はそこまでお人好しにはなれなかった。
(まぁ、忠告を無視した人間の質問にわざわざ律儀に答える俺は、
この男が言うように意外と甘い人間なのかもしれんがな……。)
222池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/19(月) 21:05:52 0
「フッ……」

俺は無意識の内に鼻で笑みを零していた。
これは自嘲の笑みなのか、それとも山田に対しての嘲笑なのか、
受け取り方は山田の自由であるが、
実際はその両方を含んでいた笑みであっただろう。

「ご忠告どうも。だが、お前に言われるまでも無く、既に俺の攻撃は始まっているんだよ。
……食われているのはお前だ」

俺の言葉を聞いて、山田は自身の片腕と両足を襲う違和感に気付いたのか、
不意に驚きの表情を見せた──。
いつの間にか腕の関節が血の通わない白色に変色しており、
氷を伴いながら上腕、前腕に向けて侵食を開始しているのだ。
更に両脚部にもそれぞれ足から足首にかけてに氷が付着しており、
地面にも広がった氷と一体となって足の自由を奪っていた。

「……口はもう閉じない方がいいぞ。『くっ付く』とはがせなくなるからな」

この言葉に山田も気付いたようだが、既に左右の頬にも氷が付着しており、
それらは徐々に口、鼻、顎──そしてその先にある首を目掛けて山田の
呼吸器系を侵し始めようとしていた。
俺は既に手袋が外されていた右手を山田に向ける。
手の平からはバスケットボール程の凍気の塊が作り出され、
それは初めて見る人間なら、一瞬でも目を奪われそうな綺麗な輝きを放っている。

「身動きが取れまい。しかし、このままお前が氷に侵食されるがままでいるとは思わない。
だから……こいつを見舞ってやる。少し多目にしてな」
    ダイヤモンド・インパルス
(──『 小 晶 波 』)

心の中で技を唱えた瞬間、今まで手の平の上で滞空していた凍気の塊が発射された。
しかし口に出した言葉の通り、それは一つではなかった。
数にしておよそ八つ程の小晶波が、連続して撃ち出された。

【池上 燐介:戦場ヶ原の行動の自由を奪い、小晶波を放つ】
223永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/19(月) 22:37:40 O
何も見えない。何も分からない。
ビュンビュンと耳を劈く風切り音だけが、翠の感じられる全てだった。

(死んじゃえ…死んじゃえ…機関に要らないものはみんな…)
任務の遂行、機関の事だけが、翠の精神を辛うじて支えていた。

だが、やがてそれにも限界が来る。

急に強い耳鳴りに襲われ、翠は耳を覆った。
吐き気がする。それにひどい頭痛も加わる。

脳が悲鳴を上げている。危険信号である。

(冗談じゃないよ…ここで止まるわけには…いかないじゃん…)
この状態で異能力を使い続けると、脳に障害が残る危険性があると教わってはいた。

だが、ここまで来て今更引くわけには行かない。

どうせ制御が出来ないなら、いっそ最後まで……


そう思った矢先、翠の首に何かが巻き付いた。

いや、誰かの――あの白衣の男の手だ。それが翠の喉を拘束し、締め上げている。

「ラスト10秒か……さて、頑張ったご褒美だ。嬢ちゃんにはにいい事を教えてやる。
 まず一つ。二十年ほど前に機関のNO.10とやらを殺した能力者の能力名は『贄(ウロボロス)』。
 再生力と身体強化に優れたバケモノだったらしい。
 そして、もう一つ。 ――――人間は、殴られれば死ぬ事もある」
わざとらしい程の殺気に満ち溢れた声。
死を覚悟した瞬間、翠は少しだけ冷静になれた。

目を閉じて、男の最後の牙撃を待つ。
避ける気は無い。

一撃は鳩尾に美しく決まり、翠は大量に血を吐き出して地面に崩れた。
224永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/05/19(月) 22:38:45 O


尚も白熱し続ける視界と、内臓の煮えたぎる様な痛みに、思わず涙が零れて来る。

別に死ぬのは怖くない。
いつ何時機関の為に命を捨てる事になるか、分からなかった身だ。

(…でも、残り10秒、耐えられてたら、もっと役に立てたのになぁ…。ちょっと、悔しいなぁー…。
もう少し、この面白い街で、遊びたかったかも……)

「―――手伝ってやろうか? 永瀬」

頭上から声が降って来る。
低く、甘く、それでいて厳しさを湛えた声。
子供の頃に良く聞いていた、見た目にそぐわない流暢な日本語の響き。

「レオ…おじさま…?」


意識を失うほんの直前、翠は見た。

力の供給が途絶え、バラバラと落ちて行く板達の中にすっと立っている、
かつての師、レオーネ・ロンバルディーニ。その姿を。

【国崎の攻撃をまともに受け、レオーネに気付いた後、気を失う】
【翠の意識が途切れた為、板は落下後、完全に消滅】
225宗方零 ◆BSFghFxWJY :2008/05/19(月) 22:58:32 0
留守にしたこの数日間で、この事務所は「幽霊事務所」と近隣の住民から噂されていた。
それもそうだ、宗方が留守にしていた間「死んだ」と思われていたのだから。
宗方が帰ってきた時事務所の大家はたいそうびっくりしていた。
片手に数珠を握って「あれ・・・?レイさん!あんた生きとったの?」と。

「さて、こんなものか・・・」
宗方はすっかり片付いた事務所を見回した。
破壊された家具や飛び散ったガラスは、丁寧に分別され袋ににまとめておいた。
事務所の床と壁には弾痕が生々しく残っているがそれはポスターやカーペットで覆った。
窓はベニヤ板で塞ぎ、ブラインドを下して窓がある風に繕う。
一番の問題は、破壊された玄関のドアだった。仕方ないので、能力で解決することにした。
ドアの立体映像を作ってドアがあるように見せかけておいた。
だが、時すでに遅し。幽霊事務所の噂はとっくの昔にほうぼうに出回ってしまったらしい。
多分留守中に大家が吹聴したのだろう。死んだと思って勝手な事を言うなと言ってやった。
『でもねぇレイさん、そのほうがお客も来るんじゃない?幽霊探偵だなんてねぇ!わはははは!』
この男、全くく懲りていなかった。

「異能者なんぞよりあの大家の能力の方が恐ろしい・・・」
宗方は気を取り直してデスクの上に美弥子から渡された資料を広げると、脅威的なスピードで読み始める。
コンマ数マイクロセコンドで一枚読む、即座にペンナイフで細切れにし、灰皿に捨てライターで燃やす。
その動作、わずか数秒。そしてまた文書を読んでは裂き、燃やす。
そしてその動作を繰り返すうちに、文書は全て灰になった。
宗方は異常なまでに物覚えが良い。
一度見た物は文字であれ数式であれ映像であれ忘れない。
視覚に捉えた物はVTRのように脳裏に再生できるのだ。
これは宗方が能力に目覚めたとき、副次的に発現したイディオ・サヴァン能力だった。
だから、一度見ればもう文書を持っている必要はなく、それは
文書を全て燃やしてしまうと、宗方は尻のポケットにもう一枚だけ文書が入っていたのを思い出した。
いや、実際は忘れたふりをしていた。例の宗方の『実験記録』の文書だ。
宗方はその文書を裂かずに燃やそうとした・・・が、できずに文書を読み始めた。
『実験154236 プロジェクトコード明滅<Xぺクター創造についての報告書』
『不確定要素も含まれたものの実験自体は成功 しかし被験者は能力者としての利用価値ゼロ』
『失敗作とみなし 本プロジェクトは破棄 被験者は組織の脅威にはならず抹殺の必要性なし』
明滅<Xぺクター・・・幽霊、亡霊を表す言葉。それが宗方の二つ名のようだ。
唐突に大家の言葉が思い出された幽霊探偵≠る意味お似合いの二つ名かもしれなかった。
宗方は無言で文書にライターで火をつけ、灰皿の上で燃やした。
宗形は炎を無言で見つめた、燃え尽きるまで見つめ続けた。
宗方はその灰をトイレに捨てると、最大限の水量で流し去った。
【街に幽霊事務所の噂が流れる キャラ全員この噂は伝わる】
226七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/05/19(月) 23:51:49 0
>191 >208
柄にもなくセンチメンタリズムに溺れる七重の横から、
休息を中終えたのか、廻間がちょっと顔を出す
そのまましばらくは様子を伺っていたが、
何を決心してか、鍋の中に展開する暗黒に指を浸し、口に運ぶ
刹那、彼の顔色は戦慄を象徴する白へ変わり、
次いで絶望を湛える青を示し、最後には憤怒を表すであろう紅蓮に落ち着く
そして激しく咳き込むが早いか、手にしたコップに水を投入すると、
それを一気に飲み干し、口内を襲撃した敵を洗浄し終えた
傍らの七重は、その余りに酷い様相に、二三歩下がって身の安全を図る

>「おい……なんなんだよ、これは……こんなもん、カレーじゃねえよ。
  ただのドロドロした茶色い何かだよ。お前、俺を殺す気かよ」

勝手に食べたのはお前だ、と言わんばかりの冷ややかな視線を投げつつ、
七重は御玉を手に取ると、カレー的暗黒を掬ってぐいと飲み下す

「カレーだ」

ただこれだけの一言で、廻間の意見は無に返されてしまった

七重にも自炊の経験はある
しかし彼の場合においては、調理の上達よりも、
味覚の適応が先に進行してしまった
その結果、己の破滅的調理法の過ちに気付くことなく、
勝手気ままな超絶自炊を繰り広げてきたのだ
その過程と何らの関係も無い廻間青年が被害を受けるのは、
全く理不尽な話であり、残念であるとしか評しようがない

さても、七重は料理の完成に確信を持ってか、
あちこちから食器類を調達して、盛り付けに取り掛かる
先に国崎が用意したのか、幸いにして炊飯は完了してあった
もっとも、この状況が本当に幸いと言えるのかは、甚だ疑問の残るところである
227七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/05/19(月) 23:54:05 0
廻間に文句を言わせる隙も与えない
妙に熟練された手つきで、カレーもどきライスの盛り付けが遂行された
七重、廻間、白黒頭の青年。そして残酷にも、気絶中の少女の分まで用意されている

「メシの用意が出来た。腹減ってるなら食っとけ。いらないなら、俺が食う・・・」

そう青年に声をかけつつ、七重は食事を今のテーブルまで運ぶ
そして最後に、水の入ったコップを人数分を持って行く際、
廻間には「醤油さえかければ間違いない」などと無慈悲な言葉をかけた

廻間と青年を尻目に、七重は未だ気のつかない少女に近づく
力なく投げ出された彼女の肢体は、あたかも宙に揺蕩うようであった
まだ起きないかと、七重は溜息を吐いて顎を撫でる
しかし、辺りに漂う得体の知れぬ臭いに、嗅覚を刺激されたのか、
少女は遠慮の無いクシャミを二つほど放つ
その弾みに意識を覚醒せられてか、少女はゆっくりと身をもたげた
しかし、見開かれたその眼は、どこか焦点が合っておらず、
表情も弛みがちで、生気は感じられなかった
つまるところ、国崎に気絶せられる前と、ほとんど何らの変化も無いのだ
洗脳は解かれていない

それに果たして気付かぬかどうか、七重はスプーンにカレーを掬うと、
屈み込みつつ、「食うか?」などと言って、それを少女の顔に近づける
しかし、髄の中枢まで侵された人間が、
食事を行うわけも無い。否、空腹すら感じないだろう
少女は、その細腕からは想像もつかないほどの剛力で以って、
突如に七重の胸倉を捕らえると、大口を空け、その首筋を噛み千切らんとする
とっさの判断。対する七重は上体に軽い捻りを加える
繰り出されるのは、合気。力のベクトルを逸らされて、少女は身体の均衡を崩す
その時、何の悪戯か、七重の手からスプーンが取り落とされ、少女の口へ侵入を果たしてしまった
何もかもが寸刻の内。瞬きもできぬ間のことである
228七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/05/19(月) 23:58:39 0
倒れ込み様、叫声を上げる少女。もんどりうって嗚咽を漏らす姿が痛々しい
その口からスプーンが滑り落ちるが、カレーは殆んど付着していない
どうやら、飲み込むかどうかしてしまったようだ
脳を侵され、感覚が死んでいるとしても、
味覚へのダメージは確実に能へ伝わり、強烈な刺激を炸裂させたらしい
もっとも七重の方は、まさかカレーが功を奏したとは思っておらず、
合気により頭を畳に叩きつけられたのが原因だと考えている

「あ、あれ・・・? ここどこ? 私、さらわれて・・・」

しばらく畳を転げまわった後、少女はようやく口を利いた
その目付きは明瞭とはしていないが、先程と比較すれば、遥かに尋常に見える
一種のショック療法によるものか

「・・・あ! キミ、廻間くん? もしかして、助けてくれた!? 私の事・・・
 良かった。もう、ダメになるかと思った・・・ もう・・・・・・!」

廻間に駆け寄り、その肩にもたれかかる少女
まぶたの間に充ちる光は、ようやく温もりを宿している
その傍らには、期せずして少女に向こう脛を蹴飛ばされ、激痛に蹲る七重の姿があった

廻間がいなければ、少女はこれほどの安心を得られなかったろう
コートの青年が絡んでいなければ、もしかすれば、
廻間は薬局の外にいて、この場に居合わせなかったかもしれない
七重がまともな料理の腕を身につけていれば、かかる劇薬を製造し得なかったはずだ
3人の集合が、思いもよらず、この哀れな少女の救済へ収束したとなれば、
これほどに『幸いな状況』はないだろう

【元・洗脳少女(NPC):復活】
229戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/20(火) 00:08:35 0
>>222
「返事は『知らない』だ」
散々考えたのちに男が出した返答はこうだった。表情には一切変化がないのでそれが嘘か本当か知る術はない。
もっとも知っていたとして、突然現れた怪しい男に親切に情報を提供する方がマイノリティと言えるのだが。
そこまでは戦場ヶ原にも予測は出来た。金剛の居場所は知らないまでもおそらく他の情報は持っているだろう。
それを聞き出すには少々痛い目に遭わせるしか方法はなさそうだ。

そうか。じゃぁ貴様に用はねぇ。――そう言おうとしたその時、焼き鏝を一斉に押しつけられたような痛みが、彼の手足を襲っていた。
激痛と同時に、目の前の男の表情が初めて変化した。――見る者を凍りつかせるような、冷たい笑みだ。
「ご忠告どうも。だが、お前に言われるまでも無く、既に俺の攻撃は始まっているんだよ。
……食われているのはお前だ」
「ッ!!」
気づいた時には既に遅い。戦場ヶ原の四肢(正確には三肢だが)には既に氷つき、その自由を完全に遮断していた。
おまけに顔にまで氷の侵食が進み、今まさに戦場ヶ原の身体は一個の氷像と化さんとしていたのだ。
(・・・氷漬けにする気か!?)
確かに異様に気温が低下しているのは感じていたが、まさかこれほど急激に氷結させられるとは。
しかし敵の狙いは氷漬けにすることではなく、ご丁寧にも冷気の球のようなものを無数作り出し始めたではないか。

恐ろしいほどの周到さ。先見の明。確実に命を狙うその精確性。どれをとっても、戦場ヶ原が今まで出会った暗殺者の数段上を行くものだった。
―――恐ろしく殺し馴れたキリングマシーン。まさに戦場ヶ原が最初に感じたイメージに合致する。

「・・・おい、貴様。」

強い者との邂逅。それは戦場ヶ原の本能を呼び覚ます最高のスパイスといえた。
絶体絶命の窮地でありながら、戦場ヶ原は思わず歪んだ「怒り笑い」ともいえる表情をして、男に声をかけていた。

「―――名前は?」

見開いた眼で舐めるように男を睨んだ次の瞬間、戦場ヶ原の身体の中心に向けて強力な重力が狭範囲に発生した。
すると、なんと彼の体を覆う氷があっという間に『融け』始めたのだ。
『ザ・コア』・・・戦場ヶ原の緊急回避術だ。通常は手からしか作り出せない重力球を、自分の心臓に発生させる。
氷は、それにより発生した強力な力で急激に圧縮され、体積の小さな『水』へと変化したというわけだ。
この男にそんな科学的な知識があったかどうかは甚だ疑問だが、彼の長年の戦闘経験と本能が、その行動を可能にしたといえる。
無論この技により肉体が受ける軋みは決して軽くはないが、それでも氷漬けになって死ぬよりはマシだ。

しかしそれで安心しているヒマはない。足の氷が融けきる前に、敵はさらなる追撃を行ってきている。
1,2,3・・・計八つもの冷気の塊が戦場ヶ原を襲う。足は動かない。回避は不可能。
戦場ヶ原の反応は迅速だった。

「握り潰せ・・・『バキューム・コンプレッション』ッ!!!」

左手に作り出した黒球に冷気玉を次々と吸い込ませていく。しかし不規則に飛んでくる冷気玉をすべてを左手で受けるのはさすがに不可能だ。
「くッ!!」2つの冷気玉をしくじり、右肩と左膝がその餌食となる。
残り6つの冷気玉を吸い込んだバキュームボールは大きく膨れ上がった冷気の袋のようになる。
これを戦場ヶ原が『握りつぶす』と、一瞬で圧縮され、冷気袋は水風船に姿を変えた。

「俺の名は戦場ヶ原・・・。この街で最強の異能者、戦場ヶ原 天だァッ!!!」

戦場ヶ原は吼えた。この男の名は覚えておくだけの『価値』がある。
そう彼自身がが感じた時にのみ、彼は他人の名前を自分から尋ねるのだ。(もっとも、『最強』は自称なわけだが。)
咆哮と同時に、彼は手に持った『水風船』を斥力で一気に破裂させた。
散弾のようなスピードで放たれた水の粒は、敵を覆う冷気に触れた瞬間鋭利な「つらら」へと姿を変える。
敵を襲う無数の氷の散弾。
無論、氷使いの敵を氷の攻撃で倒せるとは戦場ヶ原も思っていない。その攻撃を隠れ蓑に、次なる一手を打つのだ。
『アンチグラヴィティノヴァ』―――「空間爆弾」ともいえる強力な黒球を左手に作り出し、散弾を凌いだ後の男に向けて放つ用意をする。

【戦場ヶ原:池上のマシンガンアイスに似た攻撃で反撃。さらに空間爆弾で追撃もする模様。】
【小晶波を2発受け、右肩と左ひざは凍結。動きが鈍くなる。】
230マリオ ◆YGEh7U23FQ :2008/05/20(火) 00:42:38 0
捕まえた・・・手と足には超合金の枷が付いている
逃げ出せるはずがなかった・・・が、

>「くだらないことを…」

男が何か口にした瞬間、相手の足と手が切断された
もちろん小村は何もしていない、それにあいつの能力は重力操作、切断など・・
驚きに戸惑っている顔を男は面白いものを見るような目で見る
その間に男はなんと?げた手と足を再生させた

・・・どうなっている?切断に再生・・さっきまでの奴とは能力が違いすぎる
いや・・それより・・・・

>「どうも。人体分離手品は如何だったかな?」
相手が砂埃を落としながら尋ねる
さっきまでとは一転した、挑発的な口調になって

「最悪ですよ、とりあえず血のかかったこのスーツを弁償してもらいたいものです」

相手はそれを聞いているのかいないのか
こちらがしゃべっている間にメガネをしまい、髪を逆立てる

「まったく、最近は人格が急変するのが流行っているのですか?」
夕方に出会った、煌神 リンを思い出す
彼女は一瞬だったが、人格が急変した

>「はじめまして…さて、お前の血は私の口に合うかな?」
男は血で作った紅の剣を向け、こちらに対峙した

「剣で戦う気ですか・・・私、結構強いですよ」
そういうと、エネルギーで作った相手と全く同じ形状の剣を生成する

両者が睨み合う―――――――
闘いの始まりは唐突だった

ビュッ
両者が踏み込み剣が交わる
カカカカカカカカン!!
お互いの剣が精密機械のような動きで一進一退を繰り返す
月明かりの下
紅の刃と―――
カン!!
漆黒の刃が――
カン!!!
お互いの魂の火花を散らし、高速の乱舞を織り成す
231小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/20(火) 00:43:31 0
・・・・まずい

はたから見たら、互角以上の戦いをしているなか
小村は焦りを感じ始めた

バッ!
お互い3歩ほど、バックステップをする

「やりますね・・・それにしても貴方の剣、血の気が多そうな貴方にぴったりな色ですね」

アイツの剣の素材はおそらく、血
何故かは知らないが、いまはその能力のみのようだ

戦闘中、重力操作をしなかったからだ

その血はどこまで、出来るかは分からないが今の問題はそっちではない

シュ〜・・
聞こえるか聞こえない程度の音が漏れる
発しているのは小村の剣
見れば、剣の刀身が溶けかかっている

私のゴッドバルトが扱えるエネルギー・・・
伸縮自在、縦横無尽、更に硬さも変更可能で、爆破することもできる
そこまで万能のエネルギーのたった一つの弱点・・・それは水に弱いことだった

血液の約94%は水だ
このまま、行けば刀身は折れるであろう・・ならば!!

小村も伊達に機関の幹部級になっているわけではない
自分が苦手なタイプにもとうの昔から対策がついてある

小村は足にゴッドバルトを装着し、いきなりビルの壁を登り始める
相手は驚いているだろう
しかし、これは逃走ではない、攻撃である
小村は剣をハンマーにチェンジさせビルの壁を砕く
壁はコンクリの塊となり、相手に降り注ぐ
しかし手は止めない、次から次へと壁を壊し奴の四方八方をコンクリ崩れに包まれ

ドガガガガガガガガガガ!!!!

爆音とともに辺りは土煙が覆う―――――

【コンクリで相手を潰そうとする】
【水が苦手なのは多分悟られていない】
232アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/05/20(火) 01:15:27 0
>>231
足場にしていたビルが崩れだした。機関の男が破壊したみたいだ。……まったく、危ないなぁ。
崩れていくコンクリートを足場にし、すぐに隣のビルに乗り移る。が、それだけでは不安なので、もう少し遠いビルに飛び移る。
機関の人間だと思われる男の力。見た感じ、変幻自在の武器―――創造系の能力のようね。
もう片方の男の使う血の刀と触れているうちに、脆くなっていたみたいだったけど。
あの血液に溶解効果があったのか、それとも血が弱点なのか……いや、今はいいか。
現状じゃ、気配を消すだけじゃ不十分みたいね。自分の周囲の熱量を操作して―――よし、これで私の温度は感じ取れない。
ビルの崩壊に巻き込まれて、どうなっているか―――さて、見せてもらいましょうか。

「けれど、ビルを壊してもいいのかしらね。
 隠蔽工作が面倒そうなのだけれど―――流石の組織力ってことでしょうか」

そう、組織力。私にはそれがない。個人として最強だとしても意味がない。
個人で組織を圧倒するだけの力。それを身に付けることが私の目的ではある。
しかし実際問題、個人での隠蔽には限界がある。組織のそれと比べれば一目瞭然だ。

「だからこそ、人は集まるのですけれどね。
 ……さて、勝敗が決する前に飛び込まねばなりません。
 目を離す、という愚考は慎まねばならないでしょうね」

再び目を凝らす。注目すべきはあの男と―――瓦礫だ。

「這い上がってこないようでしたら、助けないといけませんしね」

【アルト:神重と小村の戦闘を観察中】
233神重敬 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/20(火) 01:26:54 0
「剣で戦う気ですか・・・私、結構強いですよ」
そう男が言うと、同じ形状の剣を作り出す。
「物体を形成する能力か…いや、智が喰らった一撃は常人の物じゃあ…」
そう言ってる間に向こうも準備が整ったようだ…

今だ!――
ガンッ!
決まったと思ったのだが…やはり相手はそう甘くないようだ。
向こうの攻撃を受け流し、さらに一撃を加えるが…これも防がれる。
剣を振るい、舞う姿は影だけを見れば非常に美しい物なのかもしれない。
向こうも剣の扱いは中々の物だ。さきほどの言葉は嘘ではない。
その攻防を繰り返しているとき、突然相手が俺から距離をとる

「やりますね・・・それにしても貴方の剣、血の気が多そうな貴方にぴったりな色ですね」
俺の気に入っている色を褒められて、敵とはいえ少し嬉しい気分になる。
それが皮肉かどうかはさておき…。

「褒め言葉と受け取っておきましょう。貴方の剣も中々の物ですよ。」
智はこんな感じだったかな、と慣れない言葉遣いで話す。
さて…次の一手はどうするか…と考えていたとき
謎の男は足に何かを装着し、ビルの壁を登り始めたではないか。

「逃げたのか…いやそれにしても豪快な上り方だ…。」
逃げるにも全力とは…と思っていた矢先、上からコンクリートの破片が降ってくる。
「やばいっ!!」
言ったときにはもう遅い。俺の体はコンクリートに押し潰されていた。
だが…運よく潰されたのは左腕だけで。残りはコンクリートに囲まれていただけだった。

奴の服には血が付着している…。あれを物体化して突き刺すことも可能だが…如何せん威力が低すぎる。
あの血は別の目的に使わせてもらおう。

「さて、このいらない腕を爆破して…ここから出るか」
流石にこのコンクリートの瓦礫を持ち上げてでるほどの怪力は敬にない。
ならば使えない腕を爆破させて、出ればいいではないか。
これは簡単に体が再生する彼ならではの考えである。  

  『四肢爆弾(ブラッディボム)』

ドカァアアアアアアン!
瓦礫を吹き飛ばして俺は外に出る。

「さて、これで俺…いや私にトドメをさせると思っていましたか?」
だが向こうは俺を見てすぐ気づいただろう。左腕が再生していないことに…。
勿論再生は可能だ。まだ血液にも随分と余裕がある。
だが俺はあえて再生せず、相手の出方を待った…。
不用意に近づいてくるなら今腕から流れている血をそのまま相手に突き刺せばそれで終わり。
警戒するようなら…再生してもう一度仕切りなおしといくか。



【神重:左腕損傷 小村に対して罠を張る。 神重の周りには血が流れている
    引っかかるかどうかはお任せします】
234桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/20(火) 02:51:31 O
>>195
あまりにもあっけない結末だが[強靭]を使えば敵ではなかった

向こうはちょっと強くなった猫一匹、たいしてこちらはかなり強くなった異能者一人
パワー、スピード、共にこちらが圧倒し適当に屋根から放り投げた。 まぁ猫だから死ぬことはないだろう

そして当の真島孝明は、今自分の両腕に首を捕まれもがいていた

「……っ! …ぁ"」
「形勢逆転、だな」

さて、これからどうするか
このまま首の骨を折ってもいいし
このまま突き落としてもいい
手段はなんでもいい。どれが一番彼を苦しませずに済むかだ

そこまで考えて自分の思考に驚いた
一体何を考えてる!? なんで殺すこと前提なんだよ!

そもそも今この子は苦しんでるじゃないか。離してちゃんと説得して…
それで、この子とそのお母さんを助けにいこう
そうだ、下らないこと考えてる暇はない。
協力するって言えばきって喜んで…

なぜか考えてた凶暴な思考を振り払うかのようにもう一つの可能性を信じ手を離した
自由になった真島少年はそのまま尻餅をついて酷くむせ込んだ

「ご、ごめんな…、実はこれついさっき考えた技だから加減がわかんなくて…
な、今考えたんだけど自分を倒すんじゃなくて
自分と一緒に君のお母さん助けに…」


真島少年は本当にこれが最後の手段だったのだろう
差し伸べた手を払いのけ、今までで一番震えている体で包丁を握りしめ、自分の脇腹を刺していた
「そ、そそそんな事…、しし信用できるか!?」

刺された箇所は確かに痛かったが不思議に思えるほど自分は冷静だった
吐血がないって事は内蔵にまで傷がいってないって事、 今重要視すべきは…

包丁を握ったままだった両手を左手で優しく握り、右手はポケットからトルマリンを取り出し淡々と最後通告した


「そうか、どこまでいってもお前は『敵』なんだな…」




満月輝く星空の元、近隣住民を叩き起こすほどの雷鳴が轟いた

これは数時間後の話であるが騒ぎを聞きつけた警察がアパートに入ると
桐北修貴以外の住人が廊下等で倒れており外傷こそ無いが搬送先の病院で全員体の痺れを訴えた
なお、付近に猫が二匹倒れていたが命に別状はなくこちらも病院に運ばれた


そして、数日後
原因不明、身元不明の黒コゲで炭化しかけてた死体がアパート天井上で見つかった…
235桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/20(火) 02:52:36 O
>>234
騒ぎに巻き込まれるのを恐れた自分は、脇腹の傷口を抑えながら町をノロノロと歩いていた

「ったく…、夕の奴どこ行ったんだぁ?
どうせ大方いつも通りどっかで遊んでるか…」

結局最後まで姿を現さなかった三匹目の猫に表面上の心配をしながら
(夕は普段から遊び癖がありこの時間にいなくても不思議ではなかった)
頭は別のことを考えていた

今回の戦闘、わからないことが多すぎるのだ
関係ない家族まで巻き込む『おじさんたち』
突如聞こえた謎の声と【嫉妬】の大罪というキーワード
間違いなく『機関』と『ヤハウェ』が絡んでるのは間違いない。
では大罪とはなんだろうか? ヤハウェとどう関係あるか
そして最終的に真島孝明を殺すことに躊躇しなかった自分自身
事が終わった後に錯乱じみた絶叫をあげるほど脅えたが戦闘中で気分が高ぶってるとはいえ、あそこまで冷血になれるとは未だに信じられなかった
(本格的に中のヤハウェがお目覚めってわけかなぁ…)


他人事のように漠然と結論づけた瞬間、緊張の糸が解けたのかそのまま目の前にあったゴミ捨て場のゴミ袋の上に力無く倒れ込んだ

腹部の刺し傷からの出血による痛みと貧血
(本人はまだ気づいてないが)
[強靭]の副作用からなる全身を荒縄で縛られそのまま引きちぎられるような痛みが走る筋肉痛

この二つを抱えたまま、騒ぎになっているアパートから離れただけでも勲章物であった

(あ〜、ダメだ。力が入らない… しゃあない… このまま寝よう…)
己の体の限界を感じ潔く連続二日の野宿をする事に決め、腹を据えて意識を手放した


だが、忘れないでほしい
彼は朝から夕方にかけて修行と称し山中の廃校を駆けずり回り、
謎の少女からの攻撃から抜け出すためビルの屋上まで吹っ飛び服毎全身擦り傷まみれになったのだ
程度の低い傷は既に治ったが服はそうはいかない

つまり、彼が今身に着けてるシャツも上着もズボンも靴も鞄も
どれも全てボロ切れと化していたのだ
家で別の服に着替えるほど時間的余裕が無かったのが彼の不運か
倒れてる場所も相まってもし今誰かがここを通りかかったら
余りにも若すぎる浮浪者に同情しこれからの日本経済に不安を感じた後、さっさと逃げること間違いないだろう…



【桐北修貴:真島孝明との戦闘に勝利 4/6→5/6
市街地ゴミ捨て場で就寝 体力、見た目共にボロボロ】
236若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/05/20(火) 03:56:26 O
「こよみ様が見掛けたのはこの方でよろいですね」
「はいなのですぅっ…」
美弥子の問いに答えるとこよみは夢の世界との境界を行き来しはじめた。
「御主人様、間違いありません永瀬翠がこの街に潜入してきています」
「報告書によると彼女は私と面識があるのか?」
「誠一郎様は御記憶にないでしょうがひかる様を引き受けたときにお逢いしております」
木崎の言葉で誠一郎は記憶の糸を手繰りよせた。あの時にひかるを最後まで見送っていた子供のことを。

少女にも満たない年齢の子供が誠一郎をただ真っ直ぐににらみつけていた。そこには妬みや嫉みましてや恨みもなくただ真っ直ぐな視線だった。その眼の持ち主に誠一郎は一言だけ告げた。
(機関では力無き者は無価値。実現しない正義が無意味であると同じように…)
誠一郎は彼女が意味を理解できたかを考えたがすぐに記憶の奥へしまいこんだ。


「余計なことを言ってしまったかな」
「御主人様、何か申されましたか?」
「いや、何でもない。今日はもう遅い休むとしよう」
それぞれがそれぞれの床につき誰もいなくなった室内にはファイルだけが残された。

<永瀬翠>
〔行動力判断力忠誠心ともに高水準。しかし、協調性低し。作戦任務は単独行動をさせるべきである。教育担当者J〕
237国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/20(火) 15:33:19 0
>>219,224
>「―――手伝ってやろうか? 永瀬」

倒れた機関の少女をどう扱うか、目撃者二人へどんな説明をすれば良いのか。
少女へ拳を放った体勢そのままで、俺が事後処理へと思考を展開させ始めた時、
重く、清涼で、それでいて狂気を孕んだその声は聞こえてきた。

>「レオ…おじさま…?」
その声に反応したように目の前の機関の少女は呟き、意識の電源を落とす。
永瀬……援護をしてくれた方の女の名前ではないだろう。ならば機関の少女の名前か。 
だとすれば、この少女に話しかけたこの声の主は『機関』の人間。
しかも、会話の種類から上司か何かだという事になる。

「ハァ……一匹いれば何とやらってか」
表情は動かさないが、頭を掻き声の方へ振り返った。
そうして、少し驚いた。流暢な言葉遣いから、この国の人間だとばかり思ったのだが、
空き地の入り口にいたのは美形といって憚り無い金髪の男だったからだ。

「よう色男。バケモノの狩場に何か用か?
 いい年して英雄希望なら、宝は無いから諦めて帰りやがれ」
俺は火を着けていない煙草を咥えてから、白衣のポケットに左手を突っ込む。
そうして、男に対し嘲る様にそう言い、

異能者の女と、倒れている男を背中で隠す様な位置に移動した。

一目見て解った。池上とかいう氷使いとは別のベクトルだが、
あの男からは血の臭い……ヒトデナシの臭いが、鬱陶しい程にする。
普通に生きたいのならば、あういう類の人間とは関わってはいけない。

だが、普通に生かしたい俺は関わらなくてはいけない。
国崎シロウとして、今後も行き続ける為に。

金髪の男に対し正面から不遜に構えたまま、
俺は、後ろの女にギリギリ聞こえる程の小さな声で告げた。

「……そこのアンタ。死にたくないなら、物陰に隠れて隙を見て逃げろ。
 出来ればこの街から遠く離れた所に。無理なら近くの国崎薬局って所まで。
 それが出来たら、ここで起きた事は全部忘れろ。
 俺の事も、そこで倒れてる二人も、あの男の事も、全部だ」

【国崎:レオーネの前に立ち塞がる。危険人物だと判断し、葦川に逃げるよう勧告する】
238池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/20(火) 17:54:32 0
>>229
小晶波は放たれた──しかし、それらが山田に着弾する前に、
奴の体で起こった現象を俺は見逃さなかった。
確かに奴の体を侵食していた氷が、一瞬にして『溶けた』のだ。
だが、それでもこの一瞬で足までをも自由に至らせることはできなかったのか、
山田は二つほどの小晶波をその身に受けていた。
もっとも、奴に命中しなかった小晶波はどうしたかというと、
奴の出した『黒い球』に吸い寄せられるかのように吸収され、
更に『氷』から『水』へとその姿を変えていたわけだが。
(恐らく、俺の氷を溶かしたのと同じ原理だろうが……
こいつの能力は熱操作か……? いや、違うな……)

俺の頭を、先程の山田と衣田の戦闘シーンがよみがえる。
(あの黒球を受けたアスファルトは砕かれ、破片は弾け飛んでいた。
溶解したのとも違う、氷結したのとも違う……一体どんなカラクリだ?)

>「俺の名は戦場ヶ原・・・。この街で最強の異能者、戦場ヶ原 天だァッ!!!」
『戦場ヶ原』という聞き覚えの無い名に、俺は一瞬頭の上に「?」を出現させる。
それは直に、俺が目の前の山田と呼んでいた男の真の名であることを理解したが、
既に「山田」という名でインプットされてしまった俺の頭は、
自身にリインプットする気がない事もあってか、「戦場ヶ原」というキーワードを
新たに加える事はせず、変わらずに「山田」と呼び続けるのだった。
第一名が違うとはいえ、それが戦闘を解決する理由にはならないのだから。

山田は俺の凍気を吸収し、風船のように膨れ上がった黒球を破裂させた。
既に中身が凍気から水に変わっていた為、破裂し押し出された事で勢いを持った
水粒らは、なんと「氷柱」へと姿を変えてこちらへと向かってくる。
恐らく俺の凍気に触れたことで氷柱と化したのだろうが、
本来であればこの手の技はこちらが仕掛けるもの。
まさか、敵から氷の技を仕掛けられるとは流石に思いもしていなかった……
と、驚く俺の心とは裏腹に、俺の体と能力は目の前の事態に冷静に対応していた。

「自己紹介どうも。今度はこちらが紹介する番だろうが、その前に一つ教えてやろう」

右手の指を軽く動かす──すると、刃をこちらへ向けていた小さな氷柱達は、
瞬時に山田へと向きを変え、逆に山田へ刃を向けて攻撃を開始した。
             フリーフリーズ
「俺は自身の能力を『自在氷』と呼ぶ。元々俺の能力は、氷を操作することに真骨頂があったからだ。
俺の凍気で作られた氷はもとより、自然界に存在する天然の氷でさえ俺の意のまま……」

俺の右手から、再び八つの凍気の塊が出現する。
更になんと、山田の後方にも同じく八つの巨大な氷柱がその姿を現した。

「俺はこれ以上、力を使いたくはないんでな。先程のように『吸収』されては困る。
だが、今のお前に果たしてこれだけの氷を避ける力が、吸収するだけの力があるかな?」

──小さな氷柱達に続くように俺の手から小晶波が放たれ、
氷柱弾が後ろから山田に向かって接近を始めた。

「冥土の土産に教えてやろう。俺の名は池上 燐介」

【池上 燐介:機関氷弾と似た攻撃を逆に利用して攻撃。
        更に間、髪入れずに氷柱弾と小晶波で止めに入る】
>>224 >>237
>「レオ…おじさま…?」
永瀬は虫の声のように消え入りそうな声で呟くと、そのまま動かなくなった。
そう云えば、彼女が私の事を"おじさま"と呼んでいた事を思い出した。

「『落とし穴』……嫌な言葉だとは思わないか?
 ―――どんなに努力をしても、たった一個の『落とし穴』で全てが終わる」

ネクタイを緩めながら、ゆっくりと永瀬との間合いを縮める。
隙在らば いつでも彼女を連れてこの場から離れられるように。だがしかし、敵の間合いに入らないように……。
―――乾いた足音が秒針のように思えた。
同時に白衣の男とスーツの女、それぞれの精神に"一つの選択肢"を増やしてやる。
どんなに弱い能力でも、応用を使えば状況を打破する事が出来る。
逆を言えば、いくら能力が強かろうとも、応用が出来なければ切迫した状況に追い込まれる事になる。

「出来る事なら『落とし穴』には掛かりたくない。それは君たちだってそうな筈だ。
 これまでの人生が水泡に帰すぞ?」

微笑みながら徐々に能力を強めていく……。
今頃二人の心の中には"ある選択肢"が強く自己主張し始めている事だろう。
―――即ち、逃げるという選択肢が。それこそが私の狙いなのだが……。
最接近すると状態を確認する為に一瞥する。……彼女の胸は微かだが動いていた。

>いい年して英雄希望なら、宝は無いから諦めて帰りやがれ

「少し違うな。"私がお前たちを見逃してやろう"というのだ。
 お互い悪い話ではないだろう? 年上の言う事は聞くものだ。
 これでも私は、君たちより"経験"豊富なつもりだ」

不安を煽り、掻き立て、その不安を埋めてやる―――。
洗脳の常套手段だ。疑心暗鬼になった人間ほど操りやすい物は無い。
私が戦闘には向いていない事は自分でも解る。だからこそ、こうやって知恵を絞る必要が在るのだ。
これは恥ずべき事ではない。勝つ為には……『落とし穴』に落ちない為には大事な事だ。
自分の能力を知る事。これが『落とし穴』に落ちない秘訣だと思う。

「正味な話、私はこのまま君たちを皆殺しにしても良い。
 君たちの戦力は傷だらけの男。ボロボロなのは主戦力として戦っていたからだ。違うか?
 後ろの女性に至っては、傷らしい傷が無い所から察するに、この場へ着たばかりか隠れていたかのどちらかだろう。
 倒れている男が仮に回復した所で高だか三人―――。
 私の能力を使えば、十秒も有れば片が付く」

傲慢や慢心などではない。事実を述べたまでだ。彼らは今、満身創痍の状態だ、賭けても良い。
そんな連中を潰すなど、赤子の手を捻るよりも容易い。
しかし、これは私が一人で戦った場合である。今は永瀬を機関傘下の病院まで連れて行く事が先決だ。
先程の白衣の男の一撃で彼女は"吐血"した。……という事は、内臓にダメージが在ったという事だ。
迅速な対応をしなければ、永瀬 翠は間違いなく死ぬ。
それを回避する為には、二つの方法がある。
彼らがこちらの意図通りに動いてくれる事が現在の回避方法だが、強攻策も用意してある。
幻覚を見せて同士討ちを誘い、それに乗じて離脱する方法だ。
だが、これは極力したくない。この先の『落とし穴』に繋がる。

「―――どうだ、試してみるか?」

どちらにせよ、こちらの作戦は既に完了した。後は彼らが選択肢に飛びつくか否かだ。
一陣の風が吹き、視界にブロンドの線が走る。

―――私は殺気を全開にした……。

【レオーネ:能力発動。しかし、あくまでも永瀬の救出が最優先】
【過去を読んでいる余裕が無い為、3人の事は知らない】
240葦川妃映 ◆oov3HbsEaA :2008/05/20(火) 21:27:22 0
>>224 >>237>>239
倒れた少女の小さな呟きが耳に届いたのと同時に、その男の姿が目に映った。
体格、顔、ついでに声まで文句無しにかっこいい。

「映画俳優でもしてた方が儲かるんじゃないかしら」
つい口から出てしまった言葉。自戒するように国崎の後ろに下がり、情報を得るために目を凝らす。
口調、態度、身のこなし。そしてあれだけの能力を持っていた少女の上司もしくは師匠。
彼は間違いなく一流の異能者。
殺される。
流れ込んでくる寒気がするような殺気。自然と思考は、「いかに『三人で』逃げるか」に傾いていた。
故に──
>「少し違うな。"私がお前たちを見逃してやろう"というのだ。 」
この言葉は私を混乱させた。
彼の目的『永瀬』の救出、及び『永瀬』が達成できなかった任務の遂行、つまり白衣の男の拘束ではないのか。
故に彼はこの場に降り立ち、その圧倒的な力で私たちを排除しようと──
待て。言葉を聴け。

『落とし穴』

『経験豊富』

そして『皆殺し』

何だこれは。自信過剰?
違う。
『経験豊富』で『落とし穴』の恐さを知っている中年の、それなりの地位に居る男がこんなにペラペラとしゃべる?
こいつは私と思考が同じだ。
未知を恐れ、経験と喋りによる駆け引きをベースにペースを作る。
相手にとって未知である自身を時には虎に、時には猫に、そして時には鳥に見せかけてまんまと喰らう。
ただ私と違うのは殺気と外見いう武器を持っていること。
となればこいつの目的はただ一つ。永瀬の救出。
ならば恐れることは無い。私の能力を知ってしまった可能性のある『永瀬』を引き渡すのは嫌だ。
ここで迎え撃つ──

といきたい。いきたいが、ここまで全て推測だ。
実は武道派だったら、または私たちでは対処しきれないほど厄介な搦め手だったら。
それにこれだけのリスクを背負ってまで、『永瀬』を殺すことに意義はない。
ならばやっぱり逃げたほうがいい。
だが、問題は──

>「……そこのアンタ。死にたくないなら、物陰に隠れて隙を見て逃げろ。」

彼が逃げないであろう事だ。
私が逃げても「時間を稼ぐ」とか言って残りそうな気がする。
それにプライドが高そうだ。これだけ挑発されて、黙っていそうなタイプには見えない……

「帰りましょう、国崎」
意を決して口を開く。もちろん外面は涼しい顔だけど、内心は結構ビビッている。
『国崎薬局』の名前と彼の白衣を結び付けて、彼を店主と仮定。違ってたらその時はその時!
「あんまりここに居ると彼らが心配して迎えに来るわ。まだ私たちが『機関』と衝突するのは早い」
「今回はそこの小娘と模擬戦をしたってことで、良いじゃない。私は怪我しちゃったのよ、ほら!」
少女の攻撃で斬れて流血している腕を見せる。
「わざわざつよ〜い幹部の方が見逃してくれるって言っているんだから、ありがたく帰らせてもらいましょう。ほらあんたも起きなさい!」
倒れている青年を引きずり起こすと、『国崎』の肩を掴み撤退を促す。
但しストロボだけはしっかりと『レオおじ様』の方へと向け続けていた。

【状態:頭部と腕から流血。レオーネの術中。『三人』での撤退を決意。】
【場所:空き地前】
241籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6 :2008/05/20(火) 22:15:43 0
「師匠、師匠、携帯電話の使い方が分かりません・・・・・・」
「結局、買っていたのか・・・・・・ところでお前はその携帯で誰と連絡を取るんだ?」
私の隣に置いてある師匠が呆れたように言う。
「初めて給料で何でも良いから買ってみたかったですよ、本当は師匠に何かプレゼントしたかったですが、錆落としでも欲しかったですか?」
「錆落としは要らんが、お前はこんな物より栄養のある食事を取った方が良い、食べられる雑草とかスズメの肉食ってないで」
私は日本に来て1年が経っているが、学歴も何も無いせいで就職が出来なかった。
しかも愛敬を振りまくのが苦手な私は、ろくなアルバイトもできずに師匠のお金での暮らしを余儀なくされた。
なので、昔師匠が傭兵稼業で儲けたという大金もそろそろ半分が無くなろうとしている、最近はようやく新聞配達をするようになったが家賃を払うのに精一杯で、食費に回せるお金など一文も無かった。

「しかし携帯があれば、援交というもので一日数万儲けられると聞いたのです、これが本当なら食事にも錆落としにも困らない生活が出来ます」
そして、私はまた手元の携帯電話を弄くる。
「でもいまいち使い方が分からなくて、この前なんていきなりメールが来て『闘って奪い獲れ。生き残るためには勝ち残れ。』とかいう訳分からないメールでした、何なのですかね?」
師匠は何か考え込む様にしばらく黙ってしまった、援交というものについてかメールの内容についてかは分からないが。
「・・・・・・チェーンメールだな、気にしなくても良い。それより援交の仕方を教えてやる、まず携帯を思い切り握れ、話はそれからだ」
それから少し経った後、師匠にそう言われ、私は携帯電話を握る手に思い切り力をこめる。
すると、携帯電話は粉々に砕け散り、液晶画面は光を失った。

「これで?何も起きませんよ?」
「まて、そんなことより、何か臭わないか?」
なにかごまかされたような気がするが、確かに何か臭ってくる、この臭いは・・・・・・灯油だ、不思議なことに師匠はあんななりをしているが視覚、嗅覚、聴覚は何故かいまだに持っているのだ。
「師匠、この大量の灯油の臭い、焼き討ちですかね?」
「知るか、んなことより爆死させられる前に速く出るぞ」
師匠はもう敵と認識しているらしい、ここでは私を狙う敵などいるはずがないのに、多分ただの放火魔だろう。
放火魔は、大量の灯油を使ってこの建物を一気に爆破する気だろう、私は素早く窓から飛び出した、次の瞬間アパートは爆音と共に炎に包まれた。
「あ・・・・・・」
あと少し遅かったら自分もあの中に居た、そう思うと私は戦慄を覚えた。
しかし、久々に嗅ぐ人の焼ける臭い、断末魔の叫びが私の中の殺戮者を呼び覚ましていく。
242籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6 :2008/05/20(火) 22:19:21 0
「流石に簡単にはやられてくれないか」
炎に照らされた闇の中から声と共に大柄の男が近づいてくる。
私は素早く天之尾羽張を抜き、かまえる。
その男は放火魔なんかでは無かった、私を狙った襲撃者だった。
「もともと俺は炎系の能力者じゃないから、威力増加のために灯油を使ったんだが裏目に出たみたいだな」
そう言い、男も2mもある大きな剣をかまえた。
「はじめからこうした方が早かったかもな、そんな細身で俺には勝てない」
「分かったから、早くかかってこいって、めんどくせぇな、お前みたいな図体だけはでかいような奴はそれだけで死亡フラグなんだよ」
師匠はわざと相手を挑発するように言う。
「誰だ!」
男は辺りを見回し、闇に向かって叫んだ。
突然、新たな敵の声が聞こえたら普通は取り乱す、この男も例外ではない。
この戦法は意外に有効で敵の集中力を分散する事が出来る、流石に刀が喋るとは思わないだろうからな。
しばらく、辺りに気を配っていたが、一向に姿を見せない敵に痺れを切らしたのか、男は剣を振り上げ飛びかかってきた。
図体がでかいくせに隙が多い飛び切りをしてくるなんて、殺してくださいと言っているようなものだ、戦場ではこんな無駄な動きをした瞬間殺される、それは集団戦でも単体戦でも同じ事だ。
ここで殺してもいいが久々の戦いを楽しみたいと思っている自分が居た。
「はぁ!」
男の剣が地面に着くと大きな轟音と共に砂埃が舞った。
と同時に男はまるで剣の重さなどないように軽々と剣を私に向かって振り上げる。
砂埃で相手の眼をくらましてからの連続攻撃、動き自体は悪くないが、砂埃が男の視界も奪っているようで狙いが甘い、私は体を少し反らしてそれを避ける。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!」
男がそう叫ぶと、眼が赤く輝き始めた、能力を出す前に掛け声をしてくれたおかげで何かを仕掛けてくることが容易に分かった。
私は右足に力を込めて左に跳んだ、相手の能力が分からない以上、不可解な事が起きたらその場に居ない方が良い。
案の定、私が居た場所で炎が燃えさかる、初めから避ける事が分かっていたかのように男がすかさず飛び込んでくる。

「お前もそこまで無能というわけでも無いのだな」
嘲笑うようにそう言い放ち、私は天之尾羽張で男の剣を受け止めようとかまえる。
天之尾羽張と男の剣がぶつかり、鉄と鉄のぶつかる音と火花が散る、男は勝利を確信したかのようににやりと笑った。
「お前みたいなスピードしか能のないような貧弱なやつが俺と鍔迫り合いをするなんて、見誤ったな、剣ごと死ねぇぇぇぇ!」
男は剣に思い切り力をこめ、私の天之尾羽張を弾こうとする、私には師匠がにやにやしているのが手に取るように分かった。
「悪いが私の売りは速さではない、力だ」
天之尾羽張に少し力を入れて押し返すと、男は大きく仰け反った、あんな重い剣を使っていたのだ、一旦崩れたらバランスを取り戻すのに少し時間がかかるだろう。
「な・・・なんだと、こんな馬鹿な」
予想外の事態に気が動転し、急いで体勢を立て直そうとする男、だが遅い、私は天之尾羽張を鞘に戻し腰を低く構え、また素早く振り抜く。
「神技・天道断」
私の放った一撃は男の剣と体をいともたやすく切断した、体が二つになった男は驚愕を顔に貼り付かせたまま剣と共に崩れ落ちた。
「私の抜刀術の前では斬れないものはない」
そう言い、天之尾羽張を鞘に戻した。

「師匠、お疲れ様でした」
「どうだ、久々の殺し合いは楽しかっただろ?」
師匠も意地の悪い質問をする、私は戦いを好む自分が嫌いだった。
幼い頃家族を皆殺しにした兵隊と同じ事をしているのが嫌だったのだ。
「・・・・・・・・・早く逃げましょう、面倒な事になる前に、このままでは警察に捕まっても言い訳できません」
燃やした方が良いかと思ったが、あれは燃費が悪いので止めておこう、私は足早にその場を走り去った。
243籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6 :2008/05/20(火) 22:23:50 0
>>243
「しかし、このまま逃げても師匠をどこかに隠さないとどうにもなりません」
「とにかく、人の目につかない・・・・・・廃校に行くぞ」
その言葉に頷き、足を廃校へと向けて走ろうとしたが、私の視界にゴミ捨て場に倒れている(捨てられているといった方が正しいか?)一人の男性の姿が映った。
服がボロボロで不浪者にも見えなくもないが多分違う、腹の傷からして私と同じ立場だろう、私は直感的にそう思った。
強襲されて逃げてきたか、辛うじて勝ったか、ただ単に通り魔に襲われただけか。
しかし、そんなこと私には関係の無いはず、はずだったが私はその男性を担ぎ上げていた。
「おいおい、瑞穂?戦場では情けをかけたら死ぬがお前の持論じゃなかったのか?」
私は構わず、男性を担いだまま、廃校に向かって走り出していた。
自分でも何が何だか分からなかった、自分と同じ貧乏人みたいだったからだろうか?
いや違う、私はただの殺戮者になりたくなかったから、さっき殺した男の代わりに誰でもいいから一人助けたかったのだろう。
廃校に着くと、男性を保健室らしき場所のベッドに寝かせ、まだ残っていた消毒液で傷口を消毒して包帯を巻くという簡単な応急手当をした。
すると、男性が目を覚ましたみたいだ、まだ傷が痛むのか、起きる時に少し顔をしかめていた、少しの沈黙が場を支配する、男性もいきなり変わった景色にとまどっているようだ。
何を話して良いが分からない、師匠以外の人と話したことは滅多に無いのだ、馴れ馴れしすぎると見下される。
かといって強気に行き過ぎると味方だった場合恐縮させてしまうかもしれない、ぱっと見相手は年下みたいなので、ここはクールでいこう。
「お目覚めかな、少年?怪我をしていたので勝手ながら手当させて貰ったよ、私の名は籐堂院 瑞穂、君は?」
これでいいはずだ、クールなお姉さんっぽくなったはずだ。
横で師匠が静かに笑っていた。

【籐堂院瑞穂: 桐北修貴に接触 場所は廃校の保健室】
244戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/20(火) 23:30:11 O
>>229
敵は氷使いの異能者だ。
敵に放った氷の散弾が跳ね返されることは戦場ヶ原も想定済みだった。
だがそれに加えて、池上と名乗った敵は更に氷弾の追加注文をしてきたのだ。
今や戦場ヶ原の周りは、彼自身が放った氷弾を加えて数え切れないほどの氷の刃と冷気の塊によって埋め尽くされていた。
(まだ出せるというのか…!?)
池上はついさっきまで衣田という機関員と戦闘をしていたばかりのはずだ。
だというのに、彼の放つ攻撃には際限がない。
異能者の能力は有限だ。大きなエネルギーを使い続ければ、使用者はそれ相応のコストを支払うことになる。
(これほどのエネルギーを涼しい顔で連続で放つなど……奴の能力は底無しかッ!?)
だが、驚いている暇はない。そうしている間にも池上の氷弾は戦場ヶ原の身体を貫かんと降り注いでいるのだ。
幸い戦場ヶ原の左手にはアンチグラビティノヴァの充填が完了している。
これを頭上で炸裂させれば、その衝撃ですべての氷弾を薙ぎ払うことは出来るだろう。

「フン、冥土の土産、だと……?」

しかし、防戦一方という闘い方をこの男が好むはずもなかった。
三度の飯より闘いを好み、クソをしながらでも人を殺す虐殺部隊の『鬼神』は、刹那も迷わずその左手を水平に伸ばし、池上に向かって黒球を撃ち放ったのだ。

「…この俺を、誰だと思っていやがるぁあああああ!!!!」

黒球は氷弾の雨の中をかい潜り、入れ違いとなって池上の脳天に襲い掛かる。
『アンチグラビティノヴァ』―――着弾点から半径1mを完全に『消し去る』マイクロブラックホールであり、戦場ヶ原の一撃必殺技だ。
命中率は低い。
だが、池上が自ら作り出した弾幕から飛び出せば、完全回避は不可能――…
よもや敵も、この状況で防御も回避もせずに攻撃してくるとは思いもしないだろう。
戦場ヶ原が、刺し違える覚悟で放った最後の攻撃だった。

氷の弾幕の隙間から一瞬覗いた戦場ヶ原の顔は、勝ち誇っているようにさえ見えた―――。

刹那、甲高いガラス音とともに巨大な雪煙が戦場ヶ原を覆ったかと思うと、
彼の身体は無数の氷柱に貫かれ、1個の品の無い氷像と化していた。

【戦場ヶ原:池上の攻撃にカウンターでアンチグラビティノヴァを放つ。】
【完全に凍り付き、戦闘不能。だが意識はまだ虚ろにある。】

―――そのころ、戦場ヶ原と池上が闘っている場所から1キロほど離れた地点を、黒塗りのリムジンが静かにその車体を揺らしていた――。
245廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/21(水) 00:11:22 0
>>226>>227
カレー。それは、日本人なら子供から老人までに愛される料理。
カレー専門店も出来ているのだから、日本人とカレーの関係は切っても切れないものだといえるだろう。
しかし、目の前のこれはどうだ?
確かに見た目こそカレーだが、これはカレーではない。これは……【ガレー】だ!
そんなことを思っている間にも、俺の目の前にはカレーが盛り付けられ、テーブルの上に置かれている。

(こ、殺される!)

……あぁ、16年生きてるけど、血の気が引いたのって初めてだ。
サァーっと自分の血が、引いていくのが分かる。恐らく、七重の目に映っている俺の顔は青ざめている事だろう。

>「メシの用意が出来た。腹減ってるなら食っとけ。いらないなら、俺が食う・・・」

……あぁ、やっぱりな……料理を人の前に出したって事は、『食え』ってことだもんな……
しかも他のヤツにも食わせろというのか?犠牲者を俺の他にも出せ……と?
しかし、だ。どうすればいいんだ。どうやってこのカレーを食べさせるのを止めればいい?

『これは不味いから食うな』と言えばいいのか?『毒が入ってるから食べるな?』

……七重が平気そうな顔で食ってる限り、この止め方は無理か。

『病み上がりの体にカレーはやめときな』

これじゃあ女子限定で男には効果が無いな。ううむ、次!

『これを食べられるのは選ばれたものだけだ!』



どこの勇者だ!
ああもう、落ち着け俺!混乱するな!
よし、深呼吸!スーハースーハー……よし、落ち着いた!
……考えろ、考えろ、考えろ……何か、妙案があるはずだ……!
俺が考えていると、七重が声をかけてきた。

>「醤油さえかければ間違いない」

嘘だッ!!
246廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/21(水) 00:14:53 0
>>227>>228
とにかく、俺がこのカレーを男と女子に食わせるべきではないと方法を模索していた時…
後ろがとにかく騒がしい!落ち着いて方法を考えられない!
俺が振り返り、一喝して黙らせようとしたが……

「ああもう!お前らちょっと黙れ…!?」

何だ!?なぜ女子が苦しんでいる!?
女子の側には七重がスプーンを持って屈みこんでいる…
……まさか?

「七重…お前、あのカレーを食わせたのか?」

だとしたら、水を持ってこなければ…!
事実を確認する事も無く、俺はコップを手に取り水を入れる。
そして、女子に駆け寄り水を差し出そうとするが…
如何せん、転げまわって苦しんでいるので差し出すタイミングがつかめない。
どうしたものか、と考えていたらいきなり動きが止まった。
そして、周りを見回す。そして、女子は俺を見据え語りだした。

>「・・・あ! キミ、廻間くん? もしかして、助けてくれた!? 私の事・・・
 良かった。もう、ダメになるかと思った・・・ もう・・・・・・!」

「…水持ってきたけど…飲んだほうがいいぞ」

突然見つめられたので俺はどう反応していいかわからなった。
とりえあず水を持っていたので、水を差し出しながらこういってみた、その瞬間。

「んな!?」

女子がいきなり俺に駆け寄り、もたれかかったのだ。
そして、この行為で分かった事が2つある。
それは、俺はこの女子のことを知っていることと……こういう事にはまったく慣れていないこと。
この女子は、高野桜。隣のクラスの子だ。何故思い出せなかったのか……
時折、選択授業などで一緒に授業を受ける。席はお互い隣の席。
つまり、お互いに顔を知っていてもおかしくないのだ。

第二に分かったこういう事になれてないということ。
何故分かったのかは簡単。俺の顔が赤くなり、体温がみるみる上昇し、心臓の鼓動が早くなっていたからだ。
恐らく、桜もこの変化はわかっているだろう。はっきり言って、情けないぞ俺。
そしてこんなことになった原因は……俺の過去にあるだろう…
過去に俺は、色恋沙汰を経験した事が無い。そんなことをする暇があるなら、とにかく修行の日々だったから。
まぁ、簡単に言えば女の肌に触れるという事に全くといっていいほど免疫が無い。ああ情けない。

「…えぇと、桜?とり、あえずだ。俺、から、離れてくれ。」

肩を掴み、優しく(周りからみたらどうか分からないが)桜を話す。
そして、落ち着かせてからゆっくりと話を聞きだした。
…言葉途切れ途切れで上手く喋れてないのは、気にしない事にした。

【廻間 統時:同級生の生徒、桜(NPC)から情報を聞き出す】
247小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/21(水) 00:27:21 0
しまった・・・・
このコンクリ雪崩をしてから小村は少し後悔した

隠蔽が面倒くさくなった・・・
ゴッドバルトのエネルギーで修復は可能だが・・

チラ
少し辺りを見回してみる
落としたコンクリの総重量は150kといったところだ
全く・・・面倒くさい・・・・

>ドカァアアアアアアン!
!?・・・勝利を確信し、後始末を考えていた
小村は不意の爆音に驚く
>「さて、これで俺…いや私にトドメをさせると思っていましたか?」
・・・その割にはあまり大丈夫のようには見えなかった
左手が完全になく、血が溢れるほど出ていた

?なぜ再生しない・・・・血があんなに・・・なるほど、罠か
小村は瞬時に罠を見破った、罠の対処法は二つ
一つ、引っかからないように注意する
もう一つ、わざと引っかかり逆に相手を罠にはめる
小村は後者を選らんだ

「今ので大ダメージを受けたようですね、では今度こそ大人しくなってもらいましょうか」
あまり演技は得意ではなかったが、まぁバレてはいないだろう

手にあるハンマーを剣に戻し、一気に壁を垂直に駆け下りる
途中で壁を蹴る コンクリが砕ける程の強い蹴りで土ぼこりが沸き立ち視界が一瞬悪くなる
その土ぼこりから小村が飛び出し少し前のめりの体制で剣を縦に一閃する・・・


ザシュ!!

剣が当たる直前に血から飛び出した槍により小村の体に風穴が開く
相手の男はしてやったりという表情見せる
それは常人なら当たり前の反応 目の前で相手の体に大きく穴が開いたのだ

ズッ

ほっとした男の目の前に影が現れる―――――――小村だ
男の対応は追いつかず、体を切り裂かれる
男は斜め傷を体につけ、仰向けに倒れる

「さて、そろそろ諦めてもらいましょうか」
男は何が起きたか理解できないようだった
すぐさっきまで倒れていた小村のほうを向く、そこには゛小村゛がいた

「ああ、あれはエネルギー体ですよ」

そういった瞬間、さっきまで居た小村が水のように溶けてなくなった

「さ、大人しくしてくださいね」

しかし小村は気づいてなかった
自分の足にべっとり付いた男の血液に――――――

【小村の足には血液が付着】
【体を切られたことによってそこらへんに血が飛び散っている】
248 ◆u5ul7E0APg :2008/05/21(水) 01:07:41 0
「このあとのスケジュールについて申し上げます。」

夜景を切り裂く黒塗りのリムジンの中に、メガネをかけた小男の演説が響いた。

「このあと10時から国立会堂にてナガツカオートメーションのプレカンファレンス、
11時からはフタツナエンジニアリングのプレゼンがあります。ご出席ください。
そこから合間を見て明け方3時ごろナガツカプロダクションの戦略会議を入れてあります。資料に目を通しておかれますよう。
翌日7時からは知事との会談、8時からはスカイタワー建設現場の視察・・・・・」

「黙ってろ。全部頭に入ってんだよ。」

その演説を遮ったのは、広々としたリムジン車内の最上座を一人で占領する、この車の主――ナガツカインテリジェンスグループの総帥だった。
高級感溢れるミンクのコートにその強靭な肩を覆わせ、無骨で大きな指にはダイヤ、サファイア、エメラルド…調度品のような巨大な宝石の数々によって飾り付けがなされている。
黒髪を几帳面にオールバックにし、その顔は雄々しい揉み上げと、左目を大きく抉る傷によってワイルドさが強調されていた。
男がゆっくりとした動作で葉巻を咥えると、その傍に侍る小男が慌ててライターに火を灯す。
一口吸って味わってから、大きくその煙を吐き出すと、男の口調は『裏』のそれへと変わっていた。

「・・・桜庭、『計画』の方はどうなってやがる。」
「は、ハッ!現在、この貳名市にて確認されている異能者は528人、うち38名が死亡・・・。『選定』開始から全勝なのは、12名・・・。」
「・…・・・ぬりィ。」
「は?」
「ぬるいと言ってるんだよッ!!開始から3日近く経って志望者がたったの38人だと!?闘っていねぇ腰抜けだらけか、この街は!!」
「・・・・は、で、ですがさすがに一般人同士の戦いですと情が先行しがちな面もあるでしょうし・・・」
「言い訳をするんじゃねぇ!!!」

男の一喝に、小男は身を戦慄させた。
「・・・鬼頭が期限を1週間に延ばしたらしいな。あのロートルはいつでも長束の息がかかっていやがる。」
男が勢いよく肘置きを叩きつけると、その上に鎮座していたブランデーが勢いよく落下した。
「甘すぎるんだよッ!!!そんなことで洗練された素材が集まるものかよ!!」
息を荒げる男を、小男はただおびえながら見ている他なかった。この男の逆鱗の前には、何者も無力となるのだ。
男は葉巻をもう一口吸うと、息を落として言葉を続けた。
「・・・24時間だ。」
「は…は?」
「24時間以内にこの街の異能者の人数を『半分』にまで絞り込め。幹部のセカンドナンバー、それから虐殺部隊も投入して構わん。事後処理はすべて俺が踏み消してやる。」
「はっ、半分・・・!?で、ですがそんなことをしたらこの街は・・・」
「俺の前で『出来ない』と言うな。心配するんじゃねぇ。この程度の『世界改竄』なんざ児戯に等しい。派手に闘れ。」
「は・・・・ハッ!!り、了解しましたッ!」
言い終わると小男は慌てて携帯を開き、各方面に男の意図と命令を告げてゆく。
すると今度は運転手が、後部座席にふんぞり返る男に対し声をかけた。
「総帥。当車のルート上で戦闘中の異能者を発見いたしましたが、いかがなさいますか?」
「・・・異能者のデータは。」
「ハッ、データベースによると一人は民間人異能者、池上燐介。二つ名は『氷雪昇華』。先ほどまで長束の許にいた模様。
もう一人は山田権六。二つ名は『地核招来』。・・・この男はもと機関の戦闘員ですね。」
「山田ァ・・・?」
「ご存知ですか?」
もと機関の戦闘員という言葉に反応した男を見て、運転手は問いかける。しかし、男は考える間もなく興味なさげに即答した。

「・・・知らねぇな。消せ。」

男はまるで道端に転がる石を蹴飛ばすかのように安易にその二人への殺意を表した。
「『王道』ってのは、道を遮るものが何一つあっちゃいけねぇんだよ。俺はその道を征く。邪魔者はすべて、消せ。」
「御意のままに・・・総帥。いえ――――」
運転手は冷徹にその命令に従いながら、男の名を告げた。

「―――城栄金剛『総統』閣下・・・。」

【城栄金剛 登場】
249池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/21(水) 01:38:55 0
>>244
(……抵抗無し、か。案外諦めの良い男だ)

こう思っている間にも、俺の放った小晶弾も氷柱弾も山田との距離を詰めている。
──しかし、襲い掛かる氷弾の嵐を掻い潜るように、一つの黒い物体が俺に
向かって来るではないか。
その黒い物体が、山田が放ったものであるという事は一目で分かった。
その時俺の頭には、またしても山田と衣田の戦闘シーンがよみがえるのだった。
(黒球……地面を破壊したあの技か……。
避けるか? いや、避けたところを狙ってまた何かを仕掛けてくるかもしれない。
ならばここは、奴の技を完璧に防ぐのみ────)

俺の右手が鈍く光りだす──。
すると、俺の体を取り囲むようにして透明な『壁』が出現した──。
これは俺が『氷壁(アイスウォール)』と呼んでいるもの。
字の通り壁は氷で作られ、俺を中心として前後左右、上に張られた分厚い氷のドーム。
物理的に空間を隔絶した半球形の防御壁と言い換えてもいい。
例えいかなるものであろうと、この氷の壁を破壊することは不可能。
実際にこの壁を打ち破った者は、これまでに一人もいないのだから。

黒球がどんどんと近づいていくる。
そして黒球が調度俺の頭上に位置した時、天井と言うべきドームの屋根が、
けたたましい音をあげた──。
恐らくあの黒球が屋根の部位と接触し、そこに衝撃を与えたのだろう。
しかしその音は、俺が期待していたものとは違っていた。
これは明らかに氷壁に『亀裂』が入っている音──それも連続的に。
亀裂の音が連続して聞こえるということは、すなわち『氷壁』が外部の圧力に
耐えられずに、崩壊を起こそうとしているということ。
(まさか──アスファルトをあの程度しか破壊できない技が、俺の『氷壁』を!?)

──バァァァァァン!!

驚いている間もなく、ドームの天井で破裂音が鳴り響いた。
俺は咄嗟に両手を頭の上にまで持ち上げ、更に腕を氷で覆い、予想される衝撃を待った。
──直後に両腕にのしかかる重み。
これは落ちてきた天井部分の氷ではなく、それ以外の別の何かであることは明白だった。
俺の下半身は予想を遥かに上回る衝撃に耐え切れず、
そのまま上半身もろとも地面に倒れこんだ。
(────ッ!)

倒れる瞬間にも、背中を氷で覆っていたのでダメージは軽減されたが、
腕と背中を覆っていた氷は粉々になっており、更に体は浅くアスファルトに減り込んでいた。
倒れたまま天を仰ぐと、ドームの屋根というべき部分の氷が破壊されていた。
本来であれば見えるはずのないドームの天井から直接差し込む星々の光が、
あの技の破壊力がどれ程のものかを物語っているようだった。
250池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/21(水) 01:42:12 0
俺は両手を付き、ゆっくりと立ち上がった。
大きく口を開けた穴から山田の様子を窺うと、既に山田は戦闘不能に陥っているようだった。
敵の状態を確認したところで、俺は自分の額を生暖かい物が滴っていることに気づいた。
指先で拭うと、それは真っ赤色をした水……間違いなく俺の『血』であった。
良く見ると、自分の両腕の前腕部を覆っていた服の袖が引き裂かれ、
そこでもところどころで出血をしている。
(やれやれ……また傷を負ってしまったな……)

血を拭うこともせず、俺は半壊状態の『氷壁』を解除し、消した。
そして体の至る所を凍結され、氷柱弾によってところどころを刺されている
山田に向かって歩き始めた。

「褒めてやるよ。まさかあの状況から俺に攻撃を仕掛けてくるとはな……。
流石に面食らったよ」

……反応を見せない山田に対し、俺は続けた。
        アイス・ウォール
「そして、俺の『氷壁』……。こいつをあそこまで破壊したのはお前が始めてだ。
フッフ……俺を驚かせただけでもお前は凄い。こいつを自慢話にして、心置きなくあの世へ行くがいい」

まだ息はあるようだが、放っておいても恐らくこいつは死ぬだろう。
そう一目で思わせるほど、山田の体は重傷であった。
俺はくるりと向きを変え、目の前まで迫りながら、衣田と山田という立て続けに
現れた異能者のせいで、辿り着けなかった自宅へと向かった。

──クラッ。

一瞬、視界が歪み、俺は足を止めた。
(……たったこれだけの戦闘でか。やはり、連日の戦闘のせいかな……)

目を幾度かパチクリさせ、再び視界に捉えた自宅の門に向かって歩き出そうとした、
そんな時だった。

──>>248ズキン。

……異能者の反応。
しかもそれが、急速にこちらに向かって近付いてくる反応を俺の右手が捉えた。
(近いな……しかも速い。こちらへ一直線へと向かってくるじゃないか……。
こいつはこの場所に異能者がいると分かっていないと、無理なスピードだ)

相手がこちらの存在に気付いた上で近付いてくる……
普段の俺であれば悠然と構えて迎え撃っていただろう。
しかし、山田との戦闘で予想外に力を消耗した今の俺には、
これからの戦闘は気乗りがしなかった。
ましてや、既に『反動』の兆候が表れ始めてしまっていたのだから……。
(チッ……それでもやるしかないだろうな。さて……ここに来るのは誰だ……?)

【池上 燐介:『城栄金剛』を待ち構える】
【額と両腕に傷を負い、更に体力を消耗している】
251宗方零 ◆BSFghFxWJY :2008/05/21(水) 03:20:27 0
暗闇の中で男が闘っている。
上半身には無駄のない筋肉を纏った男は、頬から血を流しつつ笑っている。
男と向かい合っているのは手に鉄の爪を装着した金髪碧眼の男。
上半身裸の男は頬から流した血を手の甲につけ、右頬と左頬に血ペイントのようにを塗りたくりニヤリと笑う。
そして──男は鉄爪男に全身の体重を乗せたカンフーキックを炸裂させた───
「やはり昔ののカンフーアクションはいい」宗方はそう呟くと、映写機を停止させた。
あの文書を見て胸糞が悪くなった宗方は、憂さ晴らしに秘蔵の8mm映写機で映画を見ることにしのだった。
音はない、映像のみだ。ローランドのスピーカーは襲撃時に破壊されてしまった。

宗方はおもむろに上半身裸になり立ち上がると、映画のシーンを脳裏に鮮明に再現する。
すると、宗方は往年のカンフースターの動きを忠実にトレースしていた。
蹴り、突き、体重移動、ジャンプ、構え、全てが映画のカンフーマスターのそれと同じだった。
宗方は脳裏に鉄爪男を登場させる、すると宗方の一歩手前に鉄爪男の立体映像が現れた。
これからどう動き、どうかわし、どう反撃するか、ここからは宗方のオリジナルだった。
宗方は鉄爪を辛くもかわすと、鉄爪男に全身の体重を乗せたカンフーキックをお見舞いする。
「ほぁったあ!」叫び声を上げつつ蹴りを虚空に放つと、鉄爪男の立体映像は吹っ飛び消滅した。
「・・・出来た」宗方は一瞬にして「ジークンドー」をマスターした。
宗方は仕事の合間に映画をよく見る。阿呆ほど見る。
宗方はその記憶力を生かして、映画の中の達人の技をいくつも会得していた。
見た映画の本数は300本を下らない。
これも宗方のイディオサヴァン能力のなせる業であり、翻って探偵業は基本的に暇である事の証左だった。決して自慢になることではない。

突然爆発音が響く。
さらに遅れてビルが崩れるような音と、遅れてもう一つ破壊音が響く。
距離を考えると廃ビルのある辺りだ。しかも宗方のいる事務所からは比較的近い場所だ。
どうやらまた戦闘が始まったらしい、だが可能性としてはあの「食事会」に参加したうちの誰かが襲撃を受けている可能性が──
Zaaaaaa..........宗方の体が切れかけた電灯のように明滅し始め、ノイズの入ったブラウン管のように歪む。
能力者が近くにいる、しかもとびきり強大なモノがいる。考え得る限りの最悪の事態だッた。
宗方は急いでワイシャツを着てジャケットを羽織り帽子を被ると、ブラインドを上げて窓を覆うベニヤ板を蹴り破る。
そして、窓から飛び降りる。ビルのネオンから力を吸収すると、能力「ルクスドライブ」を発動。
宗方は光に包まれ、光そのものとなって廃ビルへと飛翔。
瞬時に廃ビルから少し離れたビルの屋上へと到達した。廃ビルはひどい破壊をうけていた。
宗方は闇の中を見据え、わずかな光を増幅させる『゛闇視<iイトウォッチ』を発動。状況を確認。
闘っているのはスーツ男と・・・神重!やはり彼も襲撃を受けていたようだ。しかも全身に傷を負っている。
宗方はすぐに動こうとしたが、廃ビルの向こうのビルの屋上に人影を見つける。
女だった。ふと、その顔が微笑った・・・ような気がした。
宗方はその影に苦笑い混じりの笑みを向け、いつでも飛び出せるよう身構えた。
(ブルースならこの場合・・・どうするのだろうな・・・)
【宗方 零 ジークンドーをマスター】
【神重・小村の戦場に到達 様子を伺いつつ 乱入のタイミングをはかる】
【アルトの存在に気付く】
252アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/05/21(水) 08:13:52 0
>>251
……気付かれたか。まあ、それほど問題ではないだろうとは思うけど。
接触するならあの二人が先だろうし、こちらに来ても餌にするだけ。
まともな判断力を持っていれば、こちらには来ないだろうしね。
あの二人のどちらかの仲間であった場合は、乱入するタイミングを計る。そうでなくても様子見する。
あるいは―――正義感から助けに入る、というのもありえる。
だが、それよりも先に、あの二人も決着するだろう。


>>247
…あの男、下敷きにはならなかったか。独力で這い上がるとは、期待できる。
―――けど、あの怪我でどう戦うか。見ものではあるわね。
もっとも、自らの体を分解できる奴が、再生能力もないとは思えないけど。
とすると罠か。自らに大きなダメージがあると思わせて、相手の油断を誘う。
機関のエージェントがそれに引っかかるかどうか―――さて、どちらかな。

「あれ、飛び込んだ。―――油断か、慢心というわけでもないみたいですし。
 ……あぁ、分身かな? 変幻自在の武器は身代わりにもなるということですか」

ここから俯瞰していれば一目瞭然だ。正面から戦った場合に判別できるかは分からないが。
機関の男が飛び込み、それに対してあの男が欠損した左手の血で槍を作る。
それが直撃し、隙ができて、機関の男に切り裂かれた。
変幻自在の武器かと思っていたが―――エネルギー体らしい。
自らが生み出すエネルギーを操るということは、

「応用性も高そうですね。―――しかし、少しばかり油断もあります。
 血液操作能力者を相手取るのには、注意力が散漫ですね。
 ―――――――返り血に気を配るのはセオリーでしょうに」

足元の血液に気付いているのかいないのか、勝利を確信した様子だ。
……エネルギー体を使えるのなら、遠距離から攻撃した方がよかったろうに。

「しかし、どちらにせよ終わりでしょうね。
 そろそろ手を出さなければなりません」

あの足元の血で逆転されるか、それともそれに対応してみせるか。
いずれにせよ、次の一手でどちらか一方が致命的な一撃を受ける可能性もある。
観察も潮時。―――そろそろ、手を出すか。私は隠蔽をやめ、ビルから飛び降りた。
ビルの窓枠を足場代わりにして、地上に向かう。目的は当然、決着の妨害だ。
次、どちらかが仕掛けたタイミングで割り込もう。そうすれば、少なくとも死にはしまい。
どちらの生存能力も、かなり優秀なようだし。問題は、私に気付いたあの男か。
邪魔をされなければいいのだけれど。

【どちらかが仕掛けるタイミングで割り込みを行う】
【仕掛けた攻撃の妨害を試みる。成功か失敗かはお任せします】
253煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/21(水) 15:42:29 0
>>250
「あ〜負けちゃいましたね、戦場ヶ原さん」

リンはさもなんでもないように呟く。
実際リンにとってはあまり関係ない、とりあえず、相手がさった後に助けるぐらいしか考えていなかった。

>>248 ビクッ!一瞬、背中を悪寒が走る。

誰か強大な人が近づいていますねと呟いて思考を開始する。

とりあえず、戦場ヶ原を避難させようと考えるが、まだ相手はさってはいない、
でもこの感覚は、そうとうやばい、たぶんあそこにいる敵よりも…

「あ〜もう!迷っている暇はありませんね!」

苛立って呟き、戦場ヶ原に駆け寄ろうと相手の男の前に飛び出す。

男は少しだけ驚いた顔をするが、なぜか安心したような顔をした。

きっと自分と近づいてくる気を間違えたのだろう、と見当をつけたリンは、相手に向かって言う。

「とりあえずそこをどいてください、その人は一応つれなんです。」
しかし敵は、いややはりというべきか敵はそんな事許容しない。

「あと、今あなたが感じて異能者の気は私じゃありません」

ここで敵は少しばかり動揺したような気がする、リンはそのたぶんに賭けて、戦場ヶ原のそばに移動する。

まだ完全に回復していないため、いくらか不安が残ったが移動しきった。

リンはそのまま戦場ヶ原のそばに移動し、キスしようとして途中で止めた。

リンは結界を張りその中に戦場ヶ原の体を入れる。

結界がほのかに光、結界を説くと戦場ヶ原の周りの氷は溶けていた。

リンは立ち上がり、相手を見やる。

【煌神:戦場ヶ原の氷を溶かす、一応池上に敵意はない】
【回復率70%(能力は何とか使えるレベル)】
254神重敬 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/21(水) 16:12:33 0
>>247
「今ので大ダメージを受けたようですね、では今度こそ大人しくなってもらいましょうか」
そう言い男はこちらへ向かって突っ込んでくる。
相手を仕留め切れると思った時こそ大きな隙ができることを、この男は理解していない。
剣をこちらへ振る瞬間――

ザシュ!!

俺の左腕から形成した槍が男の体に大きな穴を開ける。
「終わったな…。」
普通の人間なら致命傷、いや即死レベルの大きな穴だ。助かりはしまい。
男は地面に倒れた。

「!?」
後ろに強力な殺気を感じ、俺は振り向く
距離をとろうとしたが、俺の体は既に奴に切り裂かれていた。
体を支えきれず、俺は地面に突っ伏すこととなった。

「さて、そろそろ諦めてもらいましょうか」
おかしい、奴はさっきの俺の一撃で致命傷を負ったはず、それなのに奴の体にはその傷がない。
さっき男が倒れていた場所を再び見る。

そこには…もう一人の奴がいた。
「ああ、あれはエネルギー体ですよ」
その視線に気づいたかのように、男は俺に説明する。その時にはもう一人の男は消滅していた。

「さ、大人しくしてくださいね」
男が勝ち誇った声を俺にかけてくる。

笑わせてくれる。この一瞬には誤算が二つある。
俺が奴の分身体を見分けることができなかったこと。これは悪い誤算だ。
そしてもう一つ…奴の本体には、俺の血が嫌というほど付いているということ。これは嬉しい誤算だ。
今…奴を倒すための条件は揃った。本当の止めを刺すとしよう。
255神重敬 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/21(水) 16:13:23 0
「大人しくなるのは…お前だ。」

男は俺の声に反応する。

『罪人牢獄(ブラッドプリズン)』
呟いた瞬間―――男は真っ赤な牢獄に閉じ込められる。
「それは私特製の牢獄なんですよ…。もっとも、私の血がついていなければその牢獄には入れないのですが…。」
言われて男はやっと気がついたようだ。自分の体中に付いている俺の血に。
勿論男は出ようと試みるが――
開かない。どうやっても牢獄が壊れないのだ。

「無駄ですよ。その中は私の血の付着量が多ければ多いほど頑丈になりますからね。」
左腕を再生させながら俺は続ける。

「そして…お前を今から処刑する。」
いつも通りの口調に戻して話す。今からこいつは死ぬのだ。もう口調を変える必要はない。

「串刺し公というのを知っているか?かつてとある国を救った救世主だが…その男が最も好んだ処刑法
 それは…罪人を串刺しにして、晒すこと。」

「随分と楽しませてもらった。だから…最後はお前を芸術で飾ろうと思う。
 『串刺しの刑(ツェペシュ・オーダー)』」
パチンッ
指を鳴らすと、さっきまで飛び散った血や、流れていた血それらが全て巨大な串を形成していく。
男の周りは巨大な串で囲まれた…逃げ道は…無い…。
「お前の血は俺が有効活用させてもらうよ。さあ、処刑だ。」
全ての串が男へ向かっていく。俺は芸術が出来上がるのをたのしみにした…しかし

ジュッ!!
謎の乱入者によって串は全て溶けてしまった。
「何だお前は…?そいつの味方か。」
再び剣を形成し、謎の男と女に対峙する。
だが、口では強がるものの、この状況で2対1は非常にまずい。
それに、血で作った串が溶けた…ということは、女の能力は炎系統。相性が悪い。
恐らくあの牢獄もすぐ溶かされるだろう
「逃げることも視野に入れないとな…」
誰にも聞こえない声で、俺は呟いた。

【神重:串刺しの刑を発動するも、アルトに防がれる。
    小村は未だに牢獄にいる状態。熱で牢は蒸発してしまう。】
256アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/05/21(水) 18:42:43 0
>>255
飛び降りながら視認した、機関の男が血の牢獄に閉じ込められた様を。
見ると、もう一人の男は巨大な血の串を作り出し、放とうとしていた。
アレはいけない。アレでは即死もありえる。…ならば、手は抜けない。
ビルの壁を蹴り、瞬時に飛び込む。放たれた血の凶器に対して熱量操作を行い、蒸発させる。
そして、着地。同時に男を見つめる。

「何だお前は…?そいつの味方か。」

当然の質問だ。最後の一撃を予想外の乱入者に防がれたのだ。まず間違いなく仲間か。
あるいは、何も事情を知らない人間が、突発的に邪魔をしたかだ。
せっかくの芸術が台無しだ、みたいな表情をして―――気に入らない。

「串刺し公の逸話を知っているようですが、それをもって芸術と称するのはどうでしょう。
 彼は自らの領地と民を守る為、外敵や内部の罪人への見せしめとして串刺しを行ったのですよ?
 その処刑法は確かに芸術的ですが、それは確固たる目的があってこそです。
 敵対する相手の最後を飾る芸術としては的外れ。…私は、そう思いますね」

私の言葉をどう取ったのか、動揺が見える。
血が蒸発させられたことによって、自らの相性的な不利を悟ったのだろう。
その上、私が機関の男を助ければ2対1。敗北は決定付けられたも当然だ。
だからこそ―――

「失せなさい。今は貴方に手を出すつもりはありません。
 彼の手当てもしなければなりませんし、いつでも倒せる相手を追う必要はない」

これはほとんど事実だ。今、彼に手を出すつもりはないというのは事実。
彼の手当てが必要だというのも、また事実だ。体内に血液が侵入している。
死にはしないだろうが、あの男との戦闘となるの不安が残る。
血を吐き出させ、ある程度は身体機能を調整することも必要になるだろう。
最後の一言は、嘘だ。できればこの場で食べてしまいたいという思いはある。無論、我慢するが。
しかし相手はどう思ったのだろう。怒りか、屈辱か。
冷静になれば、この場は撤退すべきだと理解してくれるは思う。
いい感じの餌を見つけたのだ、一気に食べるのは惜しい。
先程、私に気付いた男が来る前に退いてもらいたいところだが―――いや、待て。
それよりも先に、確認すべきことがあるじゃないか。

「…それと、お名前を教えていただけませんか?
 後ほどお相手する為にも必要です。それに、互いを認識するにはそれが一番ですからね。
 ―――ああ、先に名乗るのが礼儀でしたね。私はアルト・ハーケン。二つ名は臨界融解です」

背後にある血の塊を蒸発させながら、問いかける。
さて、どう反応するか。無言のままか、素直に名前を返すか。
挑発してくる可能性もあるし、あるいは何も言わずに逃げ出すことも考慮に入れておくべきか。
どのような反応が返ってくるにせよ、彼の方向性の手がかりにはなるだろう。
その反応を楽しみにしながら、私は彼の答えを待った。

【アルト:ご馳走は一度に食べるのではなく、何度かに分けて食べる】
【牢獄蒸発中。すぐにでも小村の体内の血液を処理したい】
257国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/21(水) 22:27:02 0
>>239,240
>「―――どうだ、試してみるか?」

質量すら感じる鋭い殺気を受け止めながらも、俺は黙って男の話を話を聞いていた。

機関の上層部らしきクソ野郎だ。確かにこの男は強いだろう。
だが、その構えを見れば解る。能力を使えば『戦えすらしない』相手では無い。
ましてや今の状態の俺なら尚更……いや、本当にそうなのだろうか?
相手の能力は未知数。あるいは、本当に超破壊力を持つ能力であったり、
逆に、絡め手で来る様な能力であれば、危険は俺だけではなく周りの奴等にも
及ぶんじゃないだろうか。ならば、ここは一旦退くのが最善なのでは……?

気味の悪い感覚だった。
感情が理性を主張し、理性が感情を主張している。
能力発動中の俺の精神は、感情と理性が反発しがちな事は理解している。
けれど、今までこんな事は無かった。
感情が抑止し、理性が促進するとは、一体どういう事だろうか。
まさか、そこまでこの相手は異質なのか?
相手の殺気に気圧されてるのか?

ギリリ、無意識に煙草を加えている歯に力が篭る。

考えれば考えるほど、思考の泥沼に沈んでいく気がした。
時間の経過と共に、体の軋みが増していく。
どうすればい。判らない、こういう時はどうすればいい。
逃げる? ……いや、ダメだ。判らない。
判らない。判らないなら……コレに従えばいいのか?

迷走する思考の中で、俺は直感の様な何かに従って、機関の男に向けて
凶器を狂気に溶かした様な濁った殺気を飛ばし――――
>「帰りましょう、国崎」
>「あんまりここに居ると彼らが心配して迎えに来るわ。
  まだ私たちが『機関』と衝突するのは早い」
だが、唐突に自分の名前を呼ばれたことで、ハッと我に帰った。後ろを向けば涼しい顔の女。
思い出すのは、薬局に向かった七重と怪我を負っていた廻間の姿。
そうだ、七重の奴見たのは暴漢に襲われた直後の状態……あまり長く帰らないのは不味い。
というか、このねーちゃん何で俺の名前を知ってるんだ?

まあそれはさておき、女性の言葉は、迷走していた俺の思想を引き戻すのに十分な効果があった。
自分の名前、その言霊が自我を引き戻す力は相当に強い。
>「今回はそこの小娘と模擬戦をしたってことで、良いじゃない。
  私は怪我しちゃったのよ、ほら!」
俺は、そう言う女の方を見て、原因不明の緊張が多少取れた苦笑で言う。
「……まあ、そうだな。俺としても、イイ女に傷跡残したとあっちゃあ、世間に顔向けできねぇし」
そうして、男の方を警戒したまま、意識が戻りかけているのかは知らないが、
倒れている男の襟首を掴み、カメラのストロボらしきものを構えた女を右脇に抱え、

「色男、テメェは穴掘りが好きみたいだが、暗い穴は蛇の領分だってのを覚えとけ」

捨て台詞を残し、公園の端、塀の向こうへ跳んだ。

走る。できるだけ距離を稼ぐように……だが、暫く走った先で
俺の身体から急に力が抜けた。能力が切れたのだ。
そうして二人を道に下ろした時、俺は自分の左目が元に戻っていない事に気付いた。

【国崎:二人を抱えて公園からそれなりに離れた所に移動後、能力が切れる
    能力の副作用で、能力が切れても左目の外観が元に戻らなくなった】
258 ◆u5ul7E0APg :2008/05/21(水) 22:58:04 0
>>250>>253
夜道を走るリムジンの車内で、葉巻を蒸かしていた城栄金剛は、不意に片眉を上げる。
その直後。運転席のレーダーが聞きなれない反応音を響かせた。
 「これはッ・・・。総統閣下!」
 「イチイチ騒ぎ出すなじゃねぇよ、みっともねぇ。」
運転席の男が驚いた声を出したことを、金剛はたしなめた。
 「俺も気づいた・・・。『ヤハウェ』だろ?」
 「は・・・。先ほどのルート上の戦闘地点から、突如『ヤハウェ』の能力発現を確認。
 データベースによれば、ヤハウェのケース1、『煌神リン』の存在によるものです。」
レーダーの画面上には、二つの異能者を示すポインタの間に、大きく点滅する光が煌々と輝いていた。
 「捕縛いたしますか?」
金剛は一度葉巻を大きく吸うと、その煙を味わったあとゆっくりと吐き出し、その問いに答えた。
 「ホシの捕縛はレオーネと禅夜に任せてある。禅夜はともかくとして、あの色男が任務をしくじるわけがねぇし、
 この俺に尻拭いさせるような無能な部下を持った覚えはねぇ。捨て置け。」
 「御意のままに・・・。」
路傍の石はすべて排除し、舗装する。彼が歩く道はすべてが平坦な一本道でなくてはならない。・・・それがこの男のやり方だ。
金剛はしばらく黙って葉巻をふかしていたが、何か思いついたようにその葉巻を口から離し、口を開いた。
 「橘。・・・気が変わった。その場所で車を停めろ。」
 「は・・・?」
 「『現場視察』もトップの大事な仕事だろう?・・・参加者諸君の顔を拝んでおきたいのさ。」
言う金剛の顔はどす黒い笑みに染まっていた。

「・・・じっくりとな。」
259 ◆P1wJYx92Ts :2008/05/21(水) 23:34:17 O
21世紀に忍者がいた。貮名市に忍者がいた。紛うかたない忍者がいた。全身黒ずくめの忍者がいた。
「忍とは心に刃を置いて耐えるものでござる」
「本当に大丈夫何だろうね?」「御安心めされい、立花殿。拙者におまかせあれ」
立花と呼ばれた細身の男は暗闇に話していた。彼は思った。夜に黒ずくめはかえって目立つのだと。暗闇に黒い服は影になって動きがわかる当たり前の理屈だ。
「料金は前払いでお願いするでござる。びじねすらいくにいくでござる」
こういうとこだけちゃっかりしてる。ますますあてにならない。
だが、金ですむなら機関のメンバーに被害が出るよりマシだ。何もしないで城栄総統の不興を買うよりダメ元でフリーの異能者をぶつけるのもいいだろう。
「確かに頂戴いたした。では、長束誠一郎の首を楽しみにしていてくだされ」
忍者が現金を数える姿はかなりシュールだった。立花は気配の消えた暗闇で思った。多分失敗するだろうと。
彼が車に戻ろうとした時また気配が現れた。
「長束誠一郎の邸宅はどこでござったかな?知らないのでござる」
立花は確信した。絶対失敗すると。




【フリーの殺し屋〈御剣隼人〉が長束誠一郎の邸宅へ向かう】
260恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/21(水) 23:39:38 0
>>239>>257
…あれ? 俺…死んで…ない…のか? にしてはまだ板がぶッ刺さった時の痛みでジンジンしてるが
それに加えて節々が痛い。筋肉痛と打撲とその他諸々の痛みが。体全体が悲鳴を上げてやがる
だが…俺は今の状況を把握し、あくまで気絶するフリをする

空気が先ほどのブチ切れ女子高生の時とはまた違うおどろおどろしさに満ちている
それもさっきがドロドロだとしたらこっちはピリピリ。例えるなら夫婦の口喧嘩…は何か違うか
俺は薄目を開け、何がどうなってるのかを一応確認してみる

目の前には暴走した女子高生が横たわっていた。…え、もしかして勝ったのか?って事は白衣の男が復活したって事か
やっぱすげーじゃん、あんた。ホントにヒー――と白衣の男を賞賛しようとしたが、どうも事態はそう芳しくないらしい
女子高生の前に、誰かが仁王立ちしている。地面に突っ伏したままだから姿は見えないが、相当高そうな革靴だ
今の状況下から考えて、今ぶっ倒れている女子高生のお仲間だろう。それもかなりの手馴れっぽい。…いやいや、冷静に大ピンチだろコリャ

そういや俺のカメラをかっぱらった女性はどうなったんだろう。ちゃんと逃げたのだろうか
白衣の男が復活したと言う事は、おそらく逃げれたのだろう。あくまで希望的観測に過ぎないが
…そういや耳が痛い。というか意識が戻りきれてないせいか周囲の音が聞こえない
でも俺の感から言ってかなり物騒な会話をしているのが予想できる
にしてもその会話を聞き取れないのは幸か不幸か。まぁビビリの俺が聞いた所で、介入など出来ないが
その時、俺の襟首を誰かが力強く握り――その力に流されるように俺は引きずり起こされた
そして――誰かは俺の襟首を持ったまま強引に向かいの塀へとジャンプした。っていてぇ!いてえって!首が絞まる!
261 ◆u5ul7E0APg :2008/05/21(水) 23:42:42 0
>>258続き
虚ろに広がる世界。暗いのか、明るいのかさえわからない。どちらが上でどちらが下かもわからない。
その視界のはるか先に、黒髪をはためかせる女性が立っていた。
(滴・・・・?)
戦場ヶ原は虚ろな頭で呟いていた。しかし目の前の女性は優しく笑い、右手の人差し指を立てて、横に振った。
『まだここに来るのは早いよ。ゴンちゃん。』
なつかしく、どこか可笑しいあだ名で呼ばれた男はふっと苦笑した。
(滴・・・俺は・・・・。)

次の瞬間、世界が光に包まれたかと思うと、眼の前の女性の顔は、あどけない少女のそれへと変わっていた。
「・・・滴・・・?」
戦場ヶ原は呟いてから、その名が誤りであることにすぐ気付いた。目の前にたっていたリンは、戦場ヶ原の呟いた言葉に首をかしげて、無邪気な顔をこちらへ向けていた。
「が、ガキ・・・ッ!?」
気づけば彼の身体を覆っていたはずの氷はすべて融かされていた。この少女の仕業だろう。
これで彼女に助けられたのは何回目だろうか。戦場ヶ原は素直な疑問を口にしていた。

「なぜだ・・・?なぜ貴様は俺を助ける・・・・。」

その問いにもリンは「?」という顔をしたままだった。こういう少女なのだ。相手が誰であろうと、困った者は放っておけない・・・深い慈悲の心の持主。
リンのあどけない表情に、戦場ヶ原は少し脱力する。
(まったく・・・何を考えてんだか掴めねぇガキだよ・・・。)
しかしそんな安息も、次の刹那に外部からの闖入者によって切り裂かれた。

「やぁやぁ、励んでいるかね?異能者諸君ン!!」

!!!
戦場ヶ原の肉体が強張り、表情が凍りつく。
この声は―――・・・

その声の先には、巨大な黒塗りのリムジンが停まっていた。ドアが豪快に開け放たれ、その声の主は後部座席から悠然と出てきた。
派手なミンクのロングコートを肩に羽織り、豪奢な飾り付けのなされたオーダーメイドのスーツを着こなした、2mを超す巨体。
その悪趣味な格好とは裏腹に、その鍛え抜かれた肉体からは、見る者を気圧す圧倒的なオーラが放たれていた。
機関の最高責任者、城栄金剛―――。
戦場ヶ原の憎み倒した相手が、今、眼の前に文字通りそびえ立っていたのだ。
金剛はまるで品定めをするかのような視線で3人を比べるように見渡すと、彼に出来る限りの優しい声で言った。

 「池上燐介くん。煌神リンくん。それからー・・・山田、権六だっけか。戦闘に励んでいるところ悪いのだが、私は急ぎの用事でね。
 その道を空けてくれると非常ォ〜に助かるんだが。」

言うと金剛はすっと懐から葉巻を取り出し咥え、小男が素早い動きでそれに火を点ける。
もちろんこれは嘆願などではない。長い移動時間退屈を持て余していた金剛は、彼らを試すことでその退屈を少しでも紛らわそうと考えたのだ。
戦闘負けなしの池上、自然発現異能者の煌神。彼らを試すことは参加異能者の水準を測るのにいい。
もし金剛のオーラに気圧され、素直に道を空けるようであれば、そんな腰抜けに用はない。この場で消す。
立ち向かってくるのであればその能力如何では命までは取らず、戦闘不能にするだけ。そんな意図が彼の中にあった。

場を支配するしばしの静寂。それを破ったのはほかでもない、戦場ヶ原だった。

「・・・・・・城栄・・・・金剛ォォオオ――――ッ!!!!!」

戦場ヶ原は力を振り絞り、黒球を左手に発現しながら金剛に向かって突っ込んでいた。
もう彼には何も見えていなかった。池上との死闘で負った重傷も、切れかけの能力も、なにもかもがどうでもよくなっていた。
対する金剛は、ただ悠然と腕を組みながら葉巻をふかして仁王立ちしていた。

【城栄金剛:池上、リン、戦場ヶ原に接触。】
【戦場ヶ原:金剛の姿を見てブチ切れる。】
262恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/21(水) 23:50:23 0
>>260の続きです】
その一瞬、俺は真下の景色を捉えた。こちらを見上げて微妙に口元を歪ませる――男の姿を
にしても…誰か――いや、白衣の男さんよ、少しは配慮してくれませんか? もうケツが破れそうなくらい引きずられてるんだが
しかし痛みのお陰かは知らんが、俺の意識はほぼ回復していた。それだけに嫌なんだが。色々と

と、突然俺の体はポッとその場に投げ出せれた。うぅ、ケツが痺れるぜ
だが窮地から助けてもらった事を考えると文句など言える訳が無い
意識が回復した所で、周りの状況を確認してみる。どうやら路地裏から閑散とした公園に抜けたみたいだ

寂れたジャングルジムやら、滑り台が物悲しい。ふと横に目をやると…何故だか俺のカメラを持っている女性がしゃがんで視線を宙に向けている。
・・・あ! そういやあんた、俺のカメラ…と言いかけて、俺は女性の視線を眼で追ってみる

白衣の男が、左目を片手で隠して往生していた。ボロボロの白衣を見るにかなり傷を負っているように見える
俺はどうすれば良いか迷ったが…ここはベターな選択肢などは無いだろう。ならどうする?
取りあえず体を起こす。ホントに体の節々がヒーヒー声を上げて痛がっている。でもそれでも…

「だ、だだだ大丈夫か?あんた」
…うわー、何でどもる、俺

【現在地・寂れた公園】
【意識は戻るが体力は完全に回復していない。国崎を気遣う】
263恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/21(水) 23:58:03 0
【ごめんなさい、路地裏ではなく空き地前です】
264神重敬 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/22(木) 00:09:27 0
>>256
止めの一撃を決めることができなかったのは非常に痛い。
それに俺の芸術も完成しなかったことは喜ばしいことではない。

「串刺し公の逸話を知っているようですが、それをもって芸術と称するのはどうでしょう。
 彼は自らの領地と民を守る為、外敵や内部の罪人への見せしめとして串刺しを行ったのですよ?
 その処刑法は確かに芸術的ですが、それは確固たる目的があってこそです。
 敵対する相手の最後を飾る芸術としては的外れ。…私は、そう思いますね」

俺の芸術を否定するこの女は…。まあいい、価値観の違いだろう。
だが確固たる目的、それが俺にはないというのか?
その言葉だけは気にくわなかった。

「お前の言うことも一理ある。…だが俺に確固たる目的が無いわけではない。
 その男にそれが当てはまるかどうかは分からんが――」

「失せなさい。今は貴方に手を出すつもりはありません。
 彼の手当てもしなければなりませんし、いつでも倒せる相手を追う必要はない」
俺の言葉を遮って女は言う。
大人しく見逃すから、さっさと失せろ。そういうことか
確かに、状況は芳しくない。2対1…それに、恐らく炎系統の能力者。勝機は低い。
…俺の能力は血を操ること、そして無限の再生能力。
だが…無限の再生能力をもってしても、ダメージを消すことは出来ない。
事実、再生した左腕が軽く痙攣を起こし始めている。撤退するというのも一つの戦略だ。

「…それと、お名前を教えていただけませんか?
 後ほどお相手する為にも必要です。それに、互いを認識するにはそれが一番ですからね。
 ―――ああ、先に名乗るのが礼儀でしたね。私はアルト・ハーケン。二つ名は臨界融解です」
この女は礼儀を知っている。名乗りながらも背後の牢獄を蒸発させている抜かりの無さも好感をもてる。
そしてこの女の能力…炎ではないが、熱を操る能力者。相性は――最悪。

「では名乗らせてもらおうか。俺の名前は、神重 敬
 二つ名は…鮮血瘴気。現代に甦った吸血鬼とでも思ってもらえればいい。」
勿論俺が吸血鬼の子孫であるはずがない。普通の人間だ。いや、普通ではないか?
ツェペシュに元々憧れていたのと、俺自身の能力が血を操ることから…親近感を覚えてそう名乗っただけだ。

このまま状況が変わらなければ、さっさと撤退することにしよう。
だがその前に…

「一つ聞かせてもらおうか…。お前は一体そいつの何だ?
 仲間か?それとも正義感に駆られて飛び出してきた無関係の人間か?
 どうも俺はお前がそいつの仲間に見えないんでな…。」
俺は相手の返答を待った…。

【神重:アルトに名乗る。加えて質問を返す。
    状況に変化が無ければ撤退の意思】
265宗方零 ◆BSFghFxWJY :2008/05/22(木) 01:48:35 0
既に勝敗は決していた。
スーツ男は槍の牢獄に囚われ串刺し刑に処されるところだった。
・・・が、串は消失した。阻止したのはあの女か。
だが宗方は彼女が善意で阻止したのではないことを本能的に悟った。

何故なら彼女は串刺しにされた男を、調理前のバーベキューの肉のように見ていたからだ。
「焼けるのはまだかしら」そんな風に呟いてもおかしくはない。
彼女の目に浮かんでいるのは、殺意でも歓喜でもない。獰猛なまでの・・・食欲。
そしてその視線は神重にも向けられていた──だが彼女は芸術の話に今は夢中のようだ。

ZAZAZAZAP!

宗方は光と共に出現。神重と女と串刺し男の間に割り込むと
彼女の注意を引きつけるべく、口を開く。
「あなたが惹かれるのは、芸術じゃなく食べる事だろう?すまないが食べるのは──檻の中の奴だけにしてくれ」
宗方は神重をかばうように女と対峙する。
「女性に熱い視線を送られるのはうれしい、君と夕食を共にできるなら尚更だが君の夕食になるのはごめんだ」
>> 「何だお前は…?そいつの味方か。」神重は何故か宗方の事がわからないようだった。

「私は味方だ。あんたのな」宗方は簡潔に答える。

神重はシナゴークで見た神重とは明らかに違った。
だが今はそれを気にする余裕など無い。
「この素敵なお嬢さんの晩飯になりたいか?私はゴメンこうむる!」
宗方は神重に逃走を促す。
だが、神重はまだその気ではないようだった。
>> 「失せなさい。今は貴方に手を出すつもりはありません。
>>彼の手当てもしなければなりませんし、いつでも倒せる相手を追う必要はない」
少し安心する、彼女もやり合うつもりはないようだ。

>> 「…それと、お名前を教えていただけませんか?
>>後ほどお相手する為にも必要です。それに、互いを認識するにはそれが一番ですからね。
>>―――ああ、先に名乗るのが礼儀でしたね。私はアルト・ハーケン。二つ名は臨界融解です」
神重は自分を『現代に蘇った吸血鬼だ』などとと言っている。
最悪だ。吸血鬼に人食い美女。そして宗方はその二人の間にいる。
ある意味お似合いの二人だが、この二人の仲は裂いておくべきだ。
二人が突然恋に落ちて、宗方の肉を食い血を啜ろうと思いつく前に。

宗方は神重を連れて撤退することにした。
「私は宗方零 二つ名は″明滅≠セ。二人を引き裂くようで悪いがこいつは連れて行くぞ」 
宗方は自分に言われていないのを承知で名乗り、神重の耳元に囁く。

「逃げるぞ」

宗方は神重の肩を掴むと、『ルクスドライブ』のチャージを始めた。
【宗方零 小村 神重 アルトの間に割り込む】
【神重の救助・逃走のためルクスドライブ発動】
【神重が逃走の意志表示をした時点で事務所へワープする】
266アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/05/22(木) 05:30:26 0
>>264-265
結局、彼は名乗った。

「では名乗らせてもらおうか。俺の名前は、神重 敬
 二つ名は…鮮血瘴気。現代に甦った吸血鬼とでも思ってもらえればいい。」

神重、敬。……はは、なるほど。その名で吸血鬼か。
現代に甦った吸血鬼とは―――いや、面白い。だが、今はいい。
彼の名前も分かったし、冷静に答えたのだから、撤退を選ぶだろう。
だが、彼が返答した直後、先程の男がやって来た。
予想していたよりも到着が早い…やはり、知り合いということか?
となればこれで2対2か―――さて、どう出るか。

「あなたが惹かれるのは、芸術じゃなく食べる事だろう?すまないが食べるのは──檻の中の奴だけにしてくれ」

その主張。私の本質を見抜いたか、あるいはそれほどに今の私が飢えているのか。
傍目からも分かるほどにお腹が減った様子だというのなら、その、ちょっと恥ずかしい。

「女性に熱い視線を送られるのはうれしい、君と夕食を共にできるなら尚更だが君の夕食になるのはごめんだ」

……失礼な。私だって殿方との食事の作法ぐらい心得ている。
食事中に相手を襲うなんて真似は、流石にしない。

「……いきなりやって来て、出会って早々にそんな失礼な言動。
 そのような相手と食事を共にするつもりはありませんよ?
 神重君、貴方の知り合いなのでしょう。なら……あら?」

どうも、様子がおかしい。神重敬は、突然現れた男に戸惑っているようだ。

「何だお前は…?そいつの味方か。」

「私は味方だ。あんたのな」

彼が、分からない? それに対する返答が、あんたの味方だ、か。
一方的に知っていて、味方だと判断して助ける、ということか?
それとも―――神重敬の記憶が不完全である、ということか。
どちらもありえる話だ。一方的に知っていて助けるのは私も同じなのだし。
それに、強い能力を持つ者は、ときたま記憶障害となることもある。
今回がそのケースだったとしても、不思議はない。

「この素敵なお嬢さんの晩飯になりたいか?私はゴメンこうむる!」

そう言いながら、神重敬に逃走を促す男。
それに対して、神重敬は、
267アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/05/22(木) 05:30:57 0
「一つ聞かせてもらおうか…。お前は一体そいつの何だ?
 仲間か?それとも正義感に駆られて飛び出してきた無関係の人間か?
 どうも俺はお前がそいつの仲間に見えないんでな…。」

無視していた。いや、ちょっとその反応はどうだろう。
私達の間に割り込んだ相手に対して、そういう反応をするのは―――いや、いいか。
この反応なら、逃げを選ぶだろう。それに、いい質問だ。仲間に見えない、というのも分かる。
答えてあげればすぐにでも撤退してくれるだろうし、答えてあげよう。

「確かに、私は彼の仲間というわけでもありません。
 ですが、目の前で殺されそうになっている人を見たら、助けたくなるものでしょう?
 私は無駄に人を殺してしまうような真似が嫌いなだけなんですよ、神重君。
 私の為にならない殺人は、許容しがたいというだけのことです。
 貴方の芸術性が、私の趣味趣向と同じ方向性なら、話は別でしたけどね。
 襲われたのは貴方なのでしょうけど、それは私には関係ありませんし」

これは嘘ではない。だって無駄に人を殺すなんてもったいない。
異能者以外の生き物だって食べたことはある。その経験から言えば。
食べるわけでもないのに殺すのは、とてつもない無駄なのだ。
答えてあげたのだから、もういいだろう。無論、警戒は解かないが。
そして、無視された男が名乗りを上げる。

「私は宗方零 二つ名は″明滅≠セ。二人を引き裂くようで悪いがこいつは連れて行くぞ」

引き裂く…? 元から別れるつもりだったのだけれど、どう見えたのか。
食人鬼と吸血鬼の恋人にでも見えたのだろうか。……本当に失礼な男。
宗方零、と言ったか。その名前は記憶しておこう。
見ると、宗方は神重の肩を掴んでいる。私の気が変わる前に逃げようということか。


「……逃げるのなら早くしなさい。貴方達がいなくならなければ、警戒を続けねばならない。
 それでは彼への処置もままならないのですから。まったく、決めたのなら即時に実行しろというものです」

無駄口を叩く。まずい、ちょっと感情制御にボロが出ている。
落ち着け、私。この展開は理想的だ、あちらも撤退を選ぶということだし、なにより。
――――あの男、宗方零はいい素材だ。これで、最低でも三度は上質な食事にありつける。

「宗方君、貴方も逃げるつもりなのでしょう?
ならばすぐにでも逃げなさい。撤退の決断実行は即座に、というのはセオリーですよ」

【アルト:警戒しつつ撤退を促す】
【撤退しなければ小村への処置が行えない】
268神重敬 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/22(木) 06:56:39 0
「確かに、私は彼の仲間というわけでもありません。
 ですが、目の前で殺されそうになっている人を見たら、助けたくなるものでしょう?
 私は無駄に人を殺してしまうような真似が嫌いなだけなんですよ、神重君。
 私の為にならない殺人は、許容しがたいというだけのことです。
 貴方の芸術性が、私の趣味趣向と同じ方向性なら、話は別でしたけどね。
 襲われたのは貴方なのでしょうけど、それは私には関係ありませんし」

俺の問いにアルトはそう答えた。

「まぁいい…だが…この男のことが言ってることが本当ならば、退くことはできない」
そう、檻に捕らえた男…敵ながらも、能力の使い方や発想は学ぶべきところがある。
出来る限り殺したくは無いが…殺すなら是非自分の手で…芸術的に飾るつもりだ。
だから――この男を捕食するというのは絶対にさせてはいけない。

「だから約束しろ。もし傷の手当が終わったとしてもその男には手を出さないと。
 手を出したその時は…覚悟しておくんだな」
静かに、そしてできるだけ殺気をこめて言う。
果たしてこの言葉が通じたかどうかは定かではないが。
「だが、お前が気に入らないわけではない。アルト…だったか。
 お前達二人は気に入った。また戦いたいとは思ってるのでな」


「逃げるぞ」
さて、さきほどから俺に撤退を促しているこの男…。
宗方…思い出せない。まあ俺の味方なのは間違いないだろう。
とりあえずはこの男の指示に従うのが得策である。

「分かった。宗方…ここは撤退しましょう」
口調を戻して俺は言う。もう無駄かもしれんがな。
神重智を知る男ならば、この口調が慣れているだろう。
…多少違和感があるかもしれないが。


その言葉を聞いて安心したのか次の瞬間には見慣れない場所についていた。
移動能力か…。

「ここは…?」
何処かの事務所だろうか…?少し散らかってはいるが…
何かの実験室というわけではなさそうだ。

「さて、宗方…私をここにつれてきた目的はなんでしたかな?
 少し頭を強く打ったので思い出せないのですが…」
滑稽な演技だったかもしれないが、とりあえずは目的を聞かなければ始まらない…。
269桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/22(木) 08:00:17 O

体が揺れてる…

夢すら見ずに安眠を貪っていたが突如の体の異変を
目は覚めずとも感覚が感じ取っていた

多分… 地震かなぁ〜
結構揺れるけどこの程度なら大丈夫だろ…

少々不用心な決断を下しそのまま快眠をしばらく続けた

すると揺れはピタリと止み、さっきまでのビニールと古雑誌独特の匂いの代わりに
埃臭さであたりは満たされていた

更にコンクリートでは絶対味わえない柔らかさに包まれたのを体に感じ
体力、精神力共に枯渇しかかってた自分はそれを深く考えることなく
また眠りの世界の奥深くに旅立とうとした



最初はチクリとした大したことない痛みだった
だがそれは先程真島少年に刺され今一番慎重に扱うべき脇腹を中心に
鋭く、そして確実にしみるような激痛を走らせた

「イテテテッ!! 〜〜ッッ!!!」
流石にこれで寝れるほどタフではなく、眠りから引きずり出され上半身を起こそうとした瞬間
全身の筋肉から発する内側から針で刺すような激痛に半痙攣しながら力無くまたベッドに倒れた


…ベッド?

異変に気がつき辺りを見回せば
汚れた天井、打ち捨てられた机や棚
古い人体骨格と筋肉が描かれたポスター(悲鳴こそ出さなかったがこれには相当ビビった)
270桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/05/22(木) 08:05:55 O
>>269
など、自分が寝た場所ではまず有り得ない光景が目に入った

窓の外は夜。あまり時間が経ってない事に気付き、寝ていた時に激痛を覚えた腹を触ってみた
血とグロテスクな肉の触感を覚悟してたが腹部には緩くもきつくもないジャストフィットな包帯が巻かれていることに驚いた

「お目覚めかな、少年?怪我をしていたので勝手ながら手当させてもらったよ、私の名は藤堂院 瑞穂、君は?」

突然投げかけられた言葉にまた驚きつつも
痛い首に鞭打って外の光が届かない壁側を振り向いた
そこには見覚えのない人物がいた
暗くて顔はよく見えないが声からして女性だろう
とすると、あのゴミ捨て場からここまでこの人が運んでくれたわけだ

「桐北…修貴、ですが」

が、この人の真意がわかるまで油断はできない
勝手も何も怪我の治療は有り難い話だが運んだ先がこんな人の家にはとても見えない場所だし
(今気付いたが)こんな服を着ている人をあんな綺麗な服と剣を持っている人が普通助ける訳……


…剣?

「また敵か!? 〜ッテテテ...」

嫌気が刺しながらも相手を異能者と判断して臨戦態勢に入った

いや、入りたかった

何度も言うが今体中が極度の筋肉痛でまともに動けるはずもなく
いきなり敵意むき出しで跳ね起きいきなり腹を押さえてうずくまったのは相手にどう見えたか

ただ確実に言えることは
もしこの人が敵なら自分はまともな抵抗もできずに負けるだろう




【桐北修貴:藤堂院瑞穂に名を教える
剣を見て敵と判断したが現在まともに動けない】
271アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/05/22(木) 08:21:23 0
>>268
彼らは撤退した。そのことについては、まあいい。
問題は、彼らに私がどう思われているかだ。血の牢獄から解放された男を見る。
傷の手当てが終っても、手を出すことは許さない。手を出したら、覚悟しろ、か。
まったく困ったものだ。ああいうタイプは面倒くさい。
そもそも手を出すつもりなら、手当てなどしない。そんな無駄な真似を誰がするのか。
――ああ、いや、私はたまにするかもしれないが。今はそこまで飢えてはいない。
そのうえ、

「だが、お前が気に入らないわけではない。アルト…だったか。
 お前達二人は気に入った。また戦いたいとは思ってるのでな」

だと。まったく忌々しい。私は戦い自体に価値を見出しているわけじゃない。
どちらが上か、それを知ることが出来さえすれば十分なのだ。
だから、もう彼と戦う理由は食事の対象としてでしかない。それでも、

「……気に入らない。あの二人、本当に失礼な人達ですね。
 まるで私を見境のない暴食者のように言うなんて」

……しかし、これはある意味で好都合だ。
彼らが私のことをそう考えるなら、彼らの前ではそのように振舞おう。
後々のことを考えると……ああ、いや、先に手当てだ。

「まずは体内の血液を吐き出させなければいけませんね。
 …力加減が難しいんですよね、これ。ここら辺…かな?」

軽く胸を叩き、その後に腹部に衝撃を与える。
男は口から血を吐き出す。ちょっと強く叩き過ぎたかもしれない。
でもまあせっかくだし、このまま連れて行こう。彼を背負って、近場のホテルに駆け込む。

「彼が先程のビルの崩壊に巻き込まれたんです。
 手当てをする為に、部屋を貸してもらえませんか?」

無論、お金は出す。あっさりと快諾してもらえた。
なんでも、彼はこのホテルの宿泊費を支払えずに働いていたらしい。
……機関の人間が、なんでそんな目にあっているのかは分からない。
あるいは、もしかしたら機関の人間ではないのかもしれない。
ともかく、お金を支払い、彼の借りていたという部屋に向かう。
男をベッドに寝かせ、服を脱がす。熱量操作を誤って、彼を傷つけては意味がない。
服のあちらこちらに付着した血液を高熱により乾燥させ、蒸発させる。
ちょっと服が焦げ付くかもしれないが、まあいいだろう。私のじゃないし。
そして、男に対する熱量操作。加熱処理によって傷口を滅菌し、減熱処理も行う。
全身の体温を操作。適切な温度に調整して、コンディションを回復させる。
無抵抗な相手なら、直接熱量を操作することは容易い。

「……しかし、自動反撃能力がないようなのは助かりました。
 能力行使と同時に攻撃されては応急手当もできませんからね」

【アルト:小村の服を乾燥中。小村の体温調整中】
272廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/05/22(木) 14:25:26 0
…結果から言えば、桜から得た情報は多くはなかった。
何故なら、桜は下校途中に無理矢理誘拐され
誰が誘拐したのかを確認する間も無く、強力な洗脳をかけられたからだ。
一つ目は、桜が洗脳をかけられる前に誘拐したヤツラの会話を聞き取り、重要そうだったから覚えていたという単語…『機関』。
二つ目は、桜が誘拐されたという事から、すでに機関のメンバーはこの街に忍びこんでいる。
あまり目立った行動はしないほうが身のためか…?

それと、これは俺の推測だが、この機関とやらが桜を洗脳し七重、もしくは国崎に襲い掛かってきたのだろう。
そして、戦闘能力の無い能力者を始末し結果として強力な能力者だけを残す。
洗脳をかけられた一般人は、下手に訓練された軍人なんかよりよほど強い。
何故なら、洗脳をかけられた人物は大抵の場合は恐怖心がない上に肉体のリミッターを解除され、通常の人間とは比べ物にもならない力を誇るからだ。
手段の善悪を除けば、いい手口だ…
そして、あのメールを送ってきたのは機関だな…これはほとんど間違いないと見ていいだろう。
今の俺が機関を敵に回したら、間違いなく身が滅びる。少なくとも、自分から戦いを仕掛けない方がよさそうだ。
機関のメンバーが誰なのか、トップが誰なのかなどは流石に分からなかった。
まぁ、一般企業じゃないんだからトップや機関の名前は秘密なのは当たり前か…

「ごめんね、役に立てなくて…」
「…いや、気にすることはないさ。お前は被害者なんだからな」

桜が申し訳なさそうに俺を見つめながら謝る。
その目にはすでに、洗脳が残っている様子は無い…安堵のため息を俺はこぼした。

「そうだ、水を持ってきたから飲んどきな」

さっきから握りっぱなしだったコップのことを思い出し、俺はそれを差し出す。
桜がもたれかかった事で中身が少しこぼれたが、それはどうでもいいことだ。

「ありがとう」

桜は俺が差し出したコップを受け取り、中身を飲み干す。
しかし、元気そうだな。洗脳された人間の大抵は筋肉痛か、テンションガタ落ちのどっちかになるんだけど…
まぁ、元気なのに越した事は無い。あまり追求しないでおこう。

それよりも…ホントに国崎の帰りが遅いな…どうするか…様子を見に行ったほうがいいか?
俺は壁にかけられた時計をぼんやりと見ながら、こんなことを思っていた。

【廻間 統時:国崎たちの帰りの遅さに異状を覚える。桜からあまり有益な情報は聞き出せなかった】
273池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/22(木) 18:49:01 0
>>253>>261
異能者の反応は着実に近付いている。
そしてその度に、反応が徐々に大きくなっていくのを俺は感じ取っていた。
これまでに感じたことの無いというほどに……。
(……思った以上に強大な敵のようだ。こいつは、鬼か蛇のどっちかだな……)

>「とりあえずそこをどいてください、その人は一応つれなんです。」
──不意に聞こえる声。
しかし俺は動じずに、声の方向を探るようにゆっくりと視線を落とした。
そこで俺の目に飛び込んできたもの、それは年端も行かぬような少女の姿であった。
しかも少女を視認してからの俺の右手は、先程まで捉えていた反応とはまた別の
反応を新たに掴んでおり、それは少女が異能者である事を明確にするものであった。
しかし、俺に驚きは無かった。自分自身も、少女と同じような年頃の頃には、
既に異能者として目覚めていた経験があるからである。
自分の他に、幼年期に異能力を使えた人間が居たとしても、何の不思議は無い。

>「あと、今あなたが感じて異能者の気は私じゃありません」
少女はそう言うと、俺を尻目に山田へと向かった。
連れと言うくらいだ、山田の容態が気になるのだろう。
だがそんなことより、既に俺の気は、山田と少女には向いていなかった。
俺は、先程から捉えていた反応の方面よりする、車のエンジン音に気付いたのだ。
接近のスピード……それと共に高まる異能者の反応……
それは俺が捉えた異能者が乗る車であるという事は、疑いようがなかった。

>「やぁやぁ、励んでいるかね?異能者諸君ン!!」
──エンジン音が間近まで迫った時、闇夜から発せられた男の声。
それと同時に闇夜から現れた黒塗りの高級車の後部座席から、
その声の主と思われるやたらガタイのいい長身の男が姿を現した。
体からはもとより、その男は全身から迫力が漂っているようだった。
全てを圧すような風格とでも言えばいいのだろうか、これまで俺が会ってきた
全ての異能者より堂々たる雰囲気を醸し出していた気がした。

>「池上燐介くん。煌神リンくん。それからー・・・山田、権六だっけか。戦闘に励んでいるところ悪いのだが、
>私は急ぎの用事でね。 その道を空けてくれると非常ォ〜に助かるんだが。」
自分の正体を知っている……というのが根拠ではなかっただろう。
理屈ではない、そんじゃそこらの異能者とは違う『何か』を持っている……
そう感じさせるこの男は、きっと『機関』の重要な人物であるに違いない……
普段は冷静に、論理的に物事を考察するタイプの人間である俺が、
今回に限っては対する敵を初めて直感的に捉えていた。

だが、そうした何か不気味な力を秘めているような異能者を前にしても、
俺に恐怖は無かった。俺の頭にあったのは「俺を異能者と知る者を始末する」、
といういつもの掟であった。
互いに出方を窺いながら場を支配する静寂──着実に流れていく時間──。

──どのくらいの時が経ったか、俺は意を決したように右手の平に小晶波を出現させた。
ところが、それは戦闘開始する合図にはならなかった。
それより早く、あの山田が叫び声をあげながら男に突進を始めたからだ。
(──ッ!? あいつ……あの怪我で……。いや、体が治っているのか……?
……違う、単に体を覆っていた氷が無くなっただけだ。傷そのものは回復していない。
それでもあそこまで動けるのは、誰かに治療を受けたから……か?)
274籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6 :2008/05/22(木) 18:49:48 0
>>243
「お目覚めかな、少年?怪我をしていたので勝手ながら手当させてもらったよ、私の名は藤堂院 瑞穂、君は?」
そう問いかけると男性は驚いたようにこちらを向き、私を観察している、大方状況整理でもしているのだろう。

「桐北…修貴、ですが」

ここでいきなり跳びかかりでもされたらどうしようかと思ったが、素直に名乗ってくれたので多分敵ではないな。
そして、桐北はまた観察するように私を見る、少々警戒されているのか?
警戒を解こうと話しかけようとした時、桐北の視線が私の隣の剣に移った。
しまった、と思った時にはもう遅かった、桐北はいきなり跳ね起き私に跳びかかり・・・・・・はせずに傷が痛むのか、腹を押さえうずくまってしまった。

「また敵か!? 〜ッテテテ...」

桐北の臨戦態勢を取ろうとしたが出来なかった姿は見ていて滑稽だった。

「フフフフ、勇ましいな桐北君、だが安心してくれ、私は君を敵だとは思っていない、
君が私を敵だと思っているのなら話は別だがな」

「そうそう、俺たちは敵じゃない、それより桐北修貴、お前さっき”また”と言ったな?それは以前、俺たちのような異能力者に襲われたということだな?」

師匠の声を聞いた桐北は身を強ばらせた、ただでさえ警戒しているのにここで新たに見知らぬ男の声が聞こえたら、さらに警戒するだろうに余計なことを・・・・・・
本当の事を話すか、それともごまかすか、ごまかすと後々面倒なことになりそうだし、私は早めに桐北の警戒を解きたかったので前者を選んだ。

「驚かせてすまないな、今喋ったのはこの剣だ、君のような異能力者が居るのだ、喋る剣が居てもおかしくはないだろう?」

桐北は少し驚いたように私を見て、そして師匠を見た。
私は桐北を勝手に異能力者と決めつけたが、多分あっているはずだ、並大抵の人間が戦闘でここまでボロボロの体になるとは思えない。

「俺は天之尾羽張、よろしくな、まぁこんな自己紹介はどうでもいいんだ、それより今お前が知りうる限りの情報を教えろ、お前に拒否権が無いことはこの状況を見れば分かるよな?」

師匠が脅すように言う、と言うか脅している、やれやれこれじゃあ警戒されっぱなしじゃないか。
確かにこの方法でも情報は聞き出せるだろう、しかし出来れば穏便に事を進めたい、恐喝は最終手段だ。
私はそんな桐北の警戒心を解くように出来るだけ優しく問いかける。

「そんなに警戒しないでくれ、師匠も私が使わなければ君にはただの棒だ、もし君が何かを知っているなら教えて欲しい、私もついさっき襲われ、家を失ったばかりなのだ」

そして、立ち上がり天之尾羽張を抜き、何も無いところで一度振ってみる、風を切るいい音がした。

「桐北君、君は怪我をしている、もし今度襲われたら間違いなく殺されるだろう、だから君の傷が癒えるまで私が敵から守ってあげよう、これでも剣術や徒手武術の腕には覚えがある、使えないことは無いと思うぞ?」

そう言い、床に天之尾羽張を突き刺し丸椅子に座る、後は桐北の答えを待つだけだ。

【藤堂院瑞穂:桐北修貴に交渉を持ちかける】
275池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/22(木) 18:52:41 0
俺は「煌神 リン」と呼ばれた少女に目だけを向けた。
(だとすれば、連れと言っていたあの少女の仕業……だろうな。
放置しておけばそのまま眠るように死ねただろうに……馬鹿なことを)

などと思いながら、俺は山田と葉巻を加えている男に視線を戻した。
(あの葉巻をくわえた男を山田は『城栄金剛』と呼んだ……事実であれば、
俺の勘は外れていなかった。奴こそこの一件の黒幕……やはりここで、片付ける!)

別に山田に助太刀する気はなかった。
俺は俺の目的の為、この場で闘う道を選んだに過ぎなかったのだ。
──城栄は、黒球を放った山田の攻撃を空中へ跳ぶことでかわしていた。
黒球を受けた地面は爆発を起こし、空中へ高く土埃を舞い上がらせる。
俺はそれより高く跳んだ城栄の姿を、見逃しはしなかった。
(速い……が! 空中では避けきれまい……!)

足で強く地面を蹴り上げる。
脚部から微量に凍気を放出し、それを推進力としながら俺もまた高く舞い上がった。
そして右腕を振りぬき、手の平で滞空していた小晶波を勢い良く放った。

「くらえ……!」

しかし、城栄はそれを読んでいたかのように、左手の平を小晶波に向けた。
恐らく受け止めるつもりなのだろう。だが、その瞬間に奴の左手は凍りつく──
これまでの経験から、そうなるはずだった──。

「この程度の技が……俺に通用するかァッ!!」

閉じられた左手の指の隙間から、青白い光が漏れている。
そう城栄は、なんと片手で小晶波を『握り潰した』のだ。
城栄は、目の前の光景に驚く俺の一瞬の隙を見逃さなかった。
空中で俺との距離の差を一瞬で縮めると、素早く俺の腹部に足蹴りをくらわす──。

──メキッ!

重い衝撃に、俺の肋骨がたまらず悲鳴をあげる。
蹴りの威力に空中へ舞い上がっていた体は、重力のままに落下した。

──ドォォン!

再び地上で舞う土埃。
俺の体はアスファルトを削り取り、地中深くに埋まることとなった。
受身をとることもできず、腹部に受けた衝撃と地面に接触した衝撃で、
俺の口からは微量ながら血が吐き出されていた。

「──ゴホッ! ……チッ」

舌打ちをしながら、体を起こし、未だ空中で滞空している城栄に目を向けた。
(……城栄 金剛。鬼か蛇かどちらかと思っていたが……もしかすると、その両方を含んだ
化け物かもしれんな……)

【池上 燐介:城栄 金剛と戦闘に突入】
【小晶波を無効化され、カウンターを受けダメージを負う】
276煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/22(木) 19:42:50 0
>>275
戦場ヶ原が、襲い掛かったのをみる。

すぐに隣の池上と呼ばれた男もすぐに襲い掛かる。

一瞬こっちを見ていた気がするがきっと気のせいだろう。

すぐに金剛と戦闘を開始する。

池上が、攻撃を仕掛けなんと驚くべき事に、金剛は握りつぶした。
「なっ!・・・」

驚いたときには池上が蹴り飛ばされていた、しかしリンは池上を最後まで見ることなく
剣を抜き、金剛に襲いかかる、金剛は冷静に剣を受ける、能力を使っているのに金剛はまったく気にした風もない。

「ぬりぃんだよ!」
金剛が叫び、リンは剣ごと地面に叩き落される。

ドンっ!

地面に強く叩きつけられ、骨が数本折れる。

「きゃっ!」

(強い…明らかに格が違う、一回の攻防でもはや動けない。)
明らかに戦意を喪失したリンの意識は朦朧としていた。
【煌神:戦意喪失、意識は朦朧としているダメージは骨、数本】
277戦場ヶ原 ◆u5ul7E0APg :2008/05/22(木) 20:13:37 0
>>275
池上が、リンが、瞬く間に金剛の攻撃に沈んでいく。
あの男にはいち異能者の攻撃など通じない。それは戦場ヶ原にもよく分かっていた。
よく分かっていたはずなのに、彼は自分の身体が動き出すのを止められなかった。
 「邪魔だ退けェェエエ!!!」
戦場ヶ原は己の体の悲鳴を引きずりながら、金剛の攻撃を受けた池上に言い放つと、強引にその能力を行使する。
 「この俺を3年前の俺と・・・・・!!!」
彼の左手にどんどんエネルギーが圧縮されていく。

 「思うなよォォオオオオ!!!!」

力の限りに頭上に滞空する金剛に向けて空間爆弾『アンチグラヴィティノヴァ』を放った。
しかし金剛は、今度は防御すらせずに自分に襲いかかる黒球を見つめている。
刹那、炸裂。直撃だ。
戦場ヶ原の顔がニヤリと歪む。『アンチグラヴィティノヴァ』は着弾点を確実に破壊する。
これを防御すらせずに直撃させれば、さしもの金剛とて無事では済むまい。
だが―――・・・

「ナメてんのか?」

突如戦場ヶ原の背後から響く重低音。
そこには、頭上で彼の技を直に食らったはずの男が無傷で立っていた。
(馬鹿なッ・・・確かに直撃―――・・・)
戦場ヶ原が混乱しながら振り向くよりも早く、彼の脇腹には金剛の貫手がめり込んでいた。

「ナメてんのかって聞いてんだよォオッ!!!」

「ごはァアッ!!?」

戦場ヶ原の口から派手に鮮血が迸り、彼の体はまるで襤褸雑巾のように道路の反対側のコンクリートの壁まで飛ばされた。
――この男にはあらゆる常識が通用しない。それは分かっていたのに――・・・

「やれやれ・・・もう終いかよ。」

金剛は退屈そうな表情でひん死の3人を見渡した。
リムジンから一緒に出てきた小男が腕時計を一瞥し、平坦な声で彼の主へ声をかける。
「総統閣下。あと5分42秒でプレカンファレンスが始まります。1分26秒以内にここを発つ必要があります。」
「おう。10秒だけ使うぞ。」
金剛は軽く言うと、組んでいた腕を解き、3人に向けた。
「能力の使い方は及第点だ。だァが、まだまだ必死さがたらねぇな。」
彼の二つ名【致死結界】の所以が、その姿を顕す。

「――――『バルカナの逆理』」

彼の手を中心に、宙に見たこともない数式が次々と現れて行く。
数式が3人をも巻き込むほどまで広がると、その身体に数式がどんどん『刻まれて』いく。
「クッ!」「きゃぁっ!」「ガハァッ!!」
焼けるような痛みに3人は悲鳴を上げる。

「・・・お前たちの能力をしばらくの間『封印』させてもらったぜ。
 さァ、これからの数時間、身の回りに注意しておびえながら過ごすことだなァ。きっと面白いぜ!ハッハッハッハッハ!!」

タカ笑いを済ますと、金剛は襟元を正し、リムジンに乗り込む。
金剛を乗せたリムジンは疾風のようにその場を去った。

あとに残ったものは、静かな地獄絵図だけだった―――。

【池上・リン・戦場ヶ原:『12時間』の間、能力を封印される。当人たちは何時間封印されるか知らない。】
278池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/22(木) 22:01:19 0
>>276>>277
俺に続いて煌神 リンと呼ばれた少女も一蹴されていた──。
地面に叩きつけられた衝撃が強すぎたのか、少女は立ち上がる気配すら見せない。
かくいう俺も──……。

「──ガッ! ゲホッ……ゲホッ!」

立ち上がってはいるものの、咳き込む度に口から血を吐き出していた。
奴からもらった一発の足蹴りが、今でもズキズキと俺の腹部を痛め続けていた。
骨の一本は勿論、恐らく内臓のどこかにもダメージを受けたのだろう。
(たった一撃で……これ程までの衝撃とは……。────ッ!?)

再び俺の視界がグニャリと歪む──。
俺は目頭を押さえ、肩膝を地に付くことを余儀なくされた。
そんな俺を怒鳴るようにして、山田の声が俺の耳に轟いた。

>「邪魔だ退けェェエエ!!!」
>「この俺を3年前の俺と・・・・・!!!」
>「思うなよォォオオオオ!!!!」
まだ視点の定まらない目で、山田に目を向けると、再び黒球が片腕に作り出され、
それが城栄に向かって放たれていた。そして直後の爆発──。
(あれは……俺の『氷壁』を破壊したあの技か……)

あれ程の破壊力を秘めた技だ、まともに食らえば人体など粉々に吹き飛ぶだろう。
それを放った張本人である山田自身も俺と同じ事を考えているはずだ。
つまり、これは奴と闘っている俺達三人の、共通した『常識』であったと言える。
──しかし、奴は生きていた。それだけではない、なんと無傷だったのだ。
直後に山田を襲う奴のカウンター。山田も成す術もなく吹き飛ばされる。
時間にして僅か数秒の攻防で、勝負の趨勢は決しようとしていた──。

城栄は虫けらでも見ているかのような目で、俺達を見据えている。
(……こうなれば、『あれ』を使うしかない……。が……今の俺が使えば……)

「ハァ……ハァ……」

『機関』からの刺客と闘った時も、廃校で会った剣使いと闘った時も、
国崎シロウと闘った時も、山田と闘った時も、息切れ一つ見せなかった俺が、
初めて苦しそうに肩で息をしていた。
体力の消耗は著しく、受けたダメージも大きい。尚且つ……『反動』で今にも
倒れてしまいそうなコンディションでは、精々、小晶波を後数発撃てるかどうかだ。
『あれ』を使うにはリスクが大きすぎると判断した俺は、結局断念せざるを得なかった。

>「能力の使い方は及第点だ。だァが、まだまだ必死さがたらねぇな。」
>「――――『バルカナの逆理』」
気付けば、城栄が何かを言っている。
とその時、何かの文字、見たところ数式のようなものが宙に出現し、
それらが俺の、いや、俺達三人の身体に刻印のように刻み付け始めるのだった。

「クッ!」

たまらず声をあげてしまう。
城栄はそんな三人を尻目に、高笑いを決め込みながら車に乗り込み、去っていくのだった。
──勝負は付いた。これは誰が見ても、奴の一人勝ちだった。
279池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/22(木) 22:04:42 0
奴が去った後にこの場を支配したのはしばらくの静寂。
三人とも立ち上がる気力すらないのか、その場に座り込んでいる。

奴が最後に言った、「お前たちの能力をしばらくの間『封印』させてもらったぜ」
という言葉の通り、恐らく一時的なものだろうが、俺は能力を失っていた。
先程から何度か能力の発動を試してみたが、何も表れない。
右腕の警告も止んでいた。恐らく、異能者を感知することもできなくなったのだろう。

だが、奴の言葉が正しければ、厳密に言えば異能力は『失った』のではなく、
『封印』されている。すなわち、異能力自体は身体に残っているのだ。
異能力があるのだから、もし他の異能者と闘いになりそこで負ければ、
間違いなく能力を1/3奪われる。それを六回繰り返せば、俺は死ぬ。
しかし、それはまだ良い方だ。もし過激な奴が相手となれば、六回と闘わずして
殺されてしまうだろう。奴が言った「怯えろ」とは、これらの事なのだろう……。

──静寂を破ったのは、今度は俺だった。

「……『最強の異能者』様とあろう者が、何とも無様だな」

説明するまでも無く、この言葉は山田に向けて吐かれたものだ。
俺は立ち上がり、城栄が車と共に去った方向に顔を向け、独り言のように続けた。

「奴がメールの一件を仕組んだ『城栄 金剛』か……。手強いじゃないか……」

既に息は通常に整えられ、口元を流れていた血は全て拭われ、
普段通りの表情を戻していた俺は、山田に顔を向け、再び言葉を吐いた。

「……奴は人間か? あれは並の使い手じゃ……いや、身体能力、異能力全てが、
この街で出会ったどの異能者よりも桁外れだ。同じ人間であるのか、疑いたくなる」

【池上 燐介:異能力を『封印』される】
【戦闘中より体力は回復されているが、肋骨が二本折れ、内臓を痛めている】
>>257

男は女を抱えると、倒れていた男を引き摺りながら塀の彼方へ消えて行った。
ひとまず、作戦は成功。強行策を使わずとも良かったのは幸いだ。
偽りだけじゃあ駄目だ。全くもって駄目だ。
そのスープの中に真実という隠し味を混ぜなければ……。
何が本当で何が嘘なのか、真実と偽りを織り交ぜる。
虚構と現実の無限回廊―――。
それが『歪んだ迷宮(プラスチックパラドックス)』の成せる技。

>「色男、テメェは穴掘りが好きみたいだが、暗い穴は蛇の領分だってのを覚えとけ」

「憶えておこう、君たちの顔と共に……」

男の言葉を思い出し、既に見えなくなった彼に言葉を返した。

彼らの気配が完全に消えたのを確認すると、『機連送』を取り出し機関へ連絡を入れる。
同時に永瀬の触診を始めた。流石に服の上からだが……。

鎖骨、瞳孔、頭部……。体の異常をチェックしていく。
一番の問題点である鳩尾に触れた時、永瀬が激しく呻き声を上げた。
この反応は間違いなく内臓に肋骨が刺さっている。

電話が通じると、間髪入れずに喋り始めた。……私は慌てているのか?

「私だ、No.6だ。負傷者が出た。機関のメンバー永瀬翠だ。
 病院の手配を頼む。……状態は芳しくない。
 …触診? したとも。折れた肋骨が内臓に刺さっているようだ。
 ……そんなに待てるか! 四分だ、四分で車を出せ!
 ―――黙れっ!!
 いいか! 四分以内に来れなかったら貴様は明日の太陽を拝めないぞ!」

―――このクズがっ!!
近くの病院を手配したのは良いが、車の到着に十分も掛かるとは……!
興奮しながら電話を切る。自分でも驚くほど感情的になっているのが解る。
ふと永瀬を見る。……随分苦しそうだ、額は脂汗で一杯だ。
口元の血をハンカチで拭いてやると、永瀬の手に掴ませた。

「………」

私は彼女の手を包み込むようにしっかり握った。

「―――生きろ、永瀬」

私にはこんな事くらいしかしてやれない。全くの無力だった。

―――暫くして機関の物である黒塗りの車が、ドリフトをしながら疾風の如くやって来た。
三分四十二秒……。必死こいてやって来たようだ。
私は永瀬を機関の人間に引き渡し、その後姿を見送ると機関の支部へと再び歩き始めた……。

【レオーネ:現在地 空き地前】
【機関支部へと移動。永瀬 翠を病院へと移送させる】
281煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/05/22(木) 22:39:28 0
>>277>>278>>279
金剛に封印されて、力が使えないリンは考えていた。

(あの人は封印といった、ということは…)


【くそ…あいつ小ざかしい真似を…】

裏もご立腹のようだ、「っく・・・」
この状態で一番動けるのはたぶん自分だ、とりあえずここにいては不味い。

「っく…戦場ヶ原さん…」

這うようにして、戦場ヶ原に近づく。

戦場ヶ原の傷は深い、このままでは確実に死ぬだろう。

だからといって、能力は使えない、袋小路というやつだ、剣を杖代わりに
立ち上がろうとするしかしリンは転ぶ、ようやく戦場ヶ原の傍らまでに至った。

しかしもはや能力の使えない少女、ただ戦場ヶ原の事をやさしく抱きしめる事しかできなかった。
少女は、自分の無力にただ泣いた、ないても無駄だとわかっていてないた。

【煌神:戦場ヶ原の傍らに行く】
282小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/22(木) 22:43:47 0
>>255
血の牢か・・・
血生臭いことこの上ないな

>「それは私特製の牢獄なんですよ…。もっとも、私の血がついていなければその牢獄には入れないのですが…。」

なるほど、この周りに飛び散っている血で生成したか
とりあえず、出れないものかとゴッドバルトで辺りを叩いてみた

ガンッ!!ガンッ!!

まるで鋼鉄のような音が響き渡る
が壊れるようなことはなさそうだった

>「無駄ですよ。その中は私の血の付着量が多ければ多いほど頑丈になりますからね。」

ほう、ゴッドバルトの拳を受けられるとは・・・・なかなか
そして男は私を処刑するといった、串刺しとは悪趣味な
まぁ、昨日子どもを丸焦げにした私が言えることでは無いか・・・
仕方ない・・・

小村はエネルギーを操った
男の後ろにある最初に投げたナイフの残りを―――

>「お前の血は俺が有効活用させてもらうよ。さあ、処刑だ。」

処刑をされるのは貴方ですよ
また異能者を探すのは面倒くさいが・・・
槍が当たるより早くナイフが男の心臓に向かう―――

>>256
が、そのとき牢がいきなり溶け出した
見れば自分の後ろに黒いスーツを来た、マッドアイの女性が立っていた

奴の仲間か?・・・・いや、攻撃を阻止したのだ
おそらく違うだろう
この地区の構成員にあのような奴も居ない
多分、一般人だ

二人は会話を進めていく、自分はとりあえず黙っておくことにした
とりあえず情報収集だ
・・・・聞いたところ、二人とも一般人・・・!!!
待てよ、アルト・ハーケン・・聞いたことがある最近うちの構成員を喰っている
恐ろしい奴だと
283小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/05/22(木) 22:44:12 0
彼女がアルト・ハーケン・・・
ぐ・・

小村は片膝をついた

まずいですね、私の異能は長期戦では無い
それに彼の血が体内に入ってきている・・・・ぐ・・
くそ、同じことを絶対してやる

小村は心の中で固く誓った

がそのときまた、乱入者が現れた

乱入者の名は宗方、彼は神重と呼ばれた男と一緒に光の中に消えていった
移動能力か・・・

その後、不機嫌そうに後ろに居るアルトが

>「……気に入らない。あの二人、本当に失礼な人達ですね。
 まるで私を見境のない暴食者のように言うなんて」

こう呟いた
小村は心底当たっていると思った
アルトが近づき
>「・・・ここら辺かな?」

グフ・・・・・必要以上の強さの拳を放った
全く、乱暴な女だ
だが小村はそれが治療行為だと分かった
今ので神重の血がほぼ出た

そのまま小村は背負われた
小村は女に助けられるのは気が進まなかったが・・・いかんせん、先ほど放たれた拳で
体力のほとんどをとられ、身動きできなかった
そのうち見覚えがあるホテルに近づいてきた

・・・!!!目が全開に開く
あれはフタツナスカイホテル・・・まずい出るときジャガイモをほったらかしだ・・
小村の脳裏に恐るべし、ムキムキマッチョマンの料理長の顔が浮かぶ・・・
まずい・・まずい!!
小村はひっしに逃げようとするが・・・今の小村にそんな体力はなかった
く・・・ぐ・・・・――――

小村は気を失う・・・

目覚めた時・・・小村は上半身裸であった

「な・・・・これは・・」

起きると横にアルトが居た
恐らく先ほどから感じる心地よい暖かさはアルトから発せられているものだろう
小村は急いで服を着て

「なんのつもりですか?」

とりあえず今一番でかい疑問をぶつける
すぐ逃げられるが、まだ機関の構成員だとバレてはいないだろう―――
284アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/05/22(木) 23:20:02 0
>>283
体温の調整は完了し、そろそろ服も乾燥した頃合に、

「な・・・・これは・・」

あの男が、起きた。この様子からすると、狸寝入りをしていたということはないらしい。
しかしまあ、どうやら自分の姿を見て戸惑っているようだ。その驚いた顔は実に面白い。

「なんのつもりですか?」

投げかけられたその疑問。一体どういう意味での質問なのだろうか。
まあいい、それはこっちで考えてあげようじゃないか。気分もいいことだしね。

「先に自己紹介をしておくと、私はアルト・ハーケン。異能者です。
 貴方を助けたのは、目の前で無意味に人が死ぬのが嫌だったから。
 ここまで運んだのは、まあ、目立つのが嫌だったからね。治療の為に部屋を借りることにした。
 ―――でも、まさか機関の人間がホテル代を払えずに体で返していたなんて思わなかったけど」

本当、実にいい表情をしてくれる。
その表情は――何故、機関の人間だとバレたのか、という顔かな?
それとも、ホテル代の一件についての苦い思いをかみ締めているのかな?
ああ、多分両方なのだろうけど。でも、本当に面白い顔をする。

「そうそう。寝ている間に何をしたかというと、治療です。
 服を脱がせたのは付着していた血液をぬぐう為。はい、乾きましたよ」

そう言って、乾かし終えた服を手渡す。

「それと、神重敬という男―――貴方が戦っていた相手なのですが。
 彼が私にちょっとしたお願いをしたんですよ。聞きたいですか?
 聞きたくなくても話しますよ。なんでも、貴方に手を出すな、ですって。
 決着は自分自身の手で、ということなのでしょうけど。愚かしいと思いません?
 戦うことを目的とするなんて間違っています。目的の為に戦ってこそ、です。
 その点、貴方は仕事の為に異能者と戦っているんですものね。仕事は大事ですよ、ええ」

彼を見ると、どうやら何かを考えているようだ。
そのうえ、さっきから私を見る目は懐疑的だ。何故だろう?
この街ではまだ機関の構成員は食べてなかったはずだけど。
それとも、気付かないうちに食べてしまっていた、とか?
あるいは、これまでに食べ過ぎたことで警戒されているのかもしれない。
……まあいい、ともかく彼の反応次第だ。出方を見る、というよりも、むしろ。

「それで、貴方のお名前は? こちらが先に名乗ったんですもの、返答してほしいものだけど」

まずは、名前を知りたい。それが理解の始まりなのだから。

【アルト:小村の様子を見る。名前に興味津々】
285若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/05/22(木) 23:45:57 O
>>259
「ミツルギ忍法隠形の術」
御剣隼人が胸元で印契を結ぶと身体を黒い影が包んだ。
彼は何事もないかのように堂々と正面から敷地内に侵入をしたが警報は作動しなかった。
防犯装置をつけていないわけでもスイッチの入れ忘れという初歩的なミスでもなくただなぜか作動しなかった。
「誰だ!」
中庭まできたところで御剣に声をかけたものがいた。邸内の警備員である。
彼は何かを見たわけではなく何かがいるような気がして声を出した。
「勘がいいのもことによりけりでござるな」
暗闇に黒塗りの刃が動いた。そしてそれは運の悪い警備員の人生最後の感触だった。

「さあ、亜空の支配者の御首をもらいうけるでござる」



【御剣隼人:長束邸内に侵入成功(まだ誰にも気付かれず)】
286葦川妃映 ◆oov3HbsEaA :2008/05/23(金) 00:02:01 0
>>257>>260
「助かったみたいね」
白衣の男に降ろされるとすっと立ち上がって辺りを見回す。
追手は無し。目に見えた超常現象も無し。とりあえずは安全だろう。
「じゃあ、国崎薬局に行きましょうか。私の異能で一人で戦うにはちょっと心細いのよ。ほとぼりが冷めるまで一緒に行動してくれると助かるんだけど──」
そう言って白衣の彼の方を見た時、思わず言葉が止まる。
あれだけの攻撃を受けても片っ端から再生をし、他人の大怪我も直して見せたはずの彼の身体の一部が再生していない。
一時的なものかどうかは解らないけど、この能力に頼りきりというわけにはいかないという事は解った。
「貴方のそれも無限じゃない、ってことか。残念ね。私の傷も治してもらおうかと思ったのに」
口からこぼれた軽口を諌める事も忘れ、思考をめぐらせる。
『永瀬』レベルなら私と彼が協力すれば十分封殺できるだろう。
だが、それ以上の攻撃力、それ以上の制圧力を持つ異能者と対峙した時、この同盟は機能するのだろうか?
ひょっとすると、今回のようにどちらかを庇う事でどちらかが痛手を負う可能性も──
「……ま、今考えてもしょうがないわね。私は葦川。貴方は『国崎』さんでいいの?」
そう、まだ組むと決まったわけではない。彼の方針を聞かない事には、作戦も立てようが無い。
それに
「それと、カメラありがとう。貴方の名前も聞かせてもらえる?」
彼もいる。
おそらく機関の人間ではないだろうが、カメラを携帯し、突然『永瀬』の攻撃をかわしたりと、あまりにも不可解な点が多すぎる。
だが、あまりここで立ち往生しているわけにも行かない。
先ほどの幹部のような強敵がまだまだうろついている可能性がある。
二人が歩くのを促すように、ゆっくりと歩き始めた。

身体は疲労や出血で重いのに、意識や思考は不思議と冴え渡っている。
今の状況を、ちょっと楽しんでるかも知れない私がいた。

【場所:国崎が移動した道】
【先ほど聞いた『国崎薬局』の場所へ向かって歩き出す】
【頭と腕から流血中。ちょっと血が足りてない】
287宗方零 ◆BSFghFxWJY :2008/05/23(金) 00:08:04 0
宗方は神重を連れて事務所へと舞い戻った。
「ここは…?」
突然事務所にワープしたのだ、驚くのもまぁ当然だろう。
「私の事務所だ。昼頃に来て貰おうと思ったのだが、状況が状況だったのでな」

宗方はブラインドを下ろした。
神重を見る。やはりあの時の神重とは印象が・・・違う。
あのアルトという女、恐ろしい相手だ。だがそれ以上に『この神重』は恐ろしい。
だが逃げない、そういう訳にはいかない。だからあえて脱出口を自ら塞いだ。

>> 「さて、宗方…私をここにつれてきた目的はなんでしたかな?
>>少し頭を強く打ったので思い出せないのですが…」
「あんたに死んで貰っては困るから助けた。言ったろ?味方だと」
「まぁ焦るな、良い夜だ。再会を祝して夜の茶会とでも洒落込もう」

宗方は神重の前にソーサーとティーカップを置く。
すかさずティーカップに優美な手つきで紅茶を注ぐ。
ぬかりなく、冷静に。
こういう日常的な動作がパニックを押さえてくれるのだと宗方は信じていた。

「アールグレイだ、茶菓子はないが飲んでくれ」
宗方は慎重に口を開く。
「昔関わってたある事件で・・・あんたと同じ特性を持った人間を見たことが…ある」
宗方は元刑事だ。
だから神重が今、どうなっているのか?だいたいの検討はついていた。
パーソナリティ自体が全くの別物で、同一人物とは思えないのなら答えは一つだ。

「あんたとは初対面だな、神重敬さん。二重人格者で能力者というのは初めてだが」
宗方は自分のカップに紅茶を注ぐと、香りを味わってから口に含む。
「″先生≠フほうの神重は元気か?元気なら二人揃って聞いてくれ」

宗方はメールで送った内容を簡潔に話す。
長束誠一郎は桐北と池上を争わせ、どちらかが生き残ることを期待している事。
そしてそれがゲームの目的ではないか?という事。
だが、宗方はその試みを潰してゲームを強制終了させるつもりがあり、
それに長束が許せない事──

「だから協力を申し出た、先生のほうの神重に」
宗方は思う。あの神重は完全にいなくなったのだろうか?
それは宗方には分からない。
だが今目の前にいる神重敬──彼が宗方の知る神重でない以上
桐北を止めると言っても「知ったことではない」の一言で終わりだ。
だが──誰かが彼らを、桐北と池上を止めなければならない。

そのためには、二人の神重を味方にするしかない。

「ここまでが″先生≠烽、一人の神重に伝えたことだ」
「だが私は改めて″あんた=@神重敬に、いや″あんたたち≠ノ協力を申し入れたい──」
288宗方零 ◆BSFghFxWJY :2008/05/23(金) 00:12:58 0
背筋が氷るような戦慄が走る。
次に口を開けば確実に地獄への前庭に足を踏み入れる事になるだろう。
──協力を得る『条件』は、ただ一つ。

宗方は意を決して答える。

「この戦いを起こした機関の高位能力者、城栄金剛を倒したい」

──それは、ゲーム中最強の手札に挑むこと。

言ってしまった。
冷静な神重はともかく
現代に蘇った串刺し公を自称する神重をも味方にできる『条件』。

だがそれが桐北と池上の両者を止め、長束や城栄の思惑を越える手段となる。
何故なら長束も城栄も知らない、神重敬というもう一つの人格を。
ならば、奴らを撃てる。宗方はそう判断した。

思うに神重は闘争を愛している。
だからこそ倒したスーツ男の身を案じ、あまつさえ再戦の約束さえする。
残忍で紳士的な男。それが神重敬と言う男だと宗方は思う。

「闘争への招待状だ、あんた──神重敬を味方にするにはそれしかないだろう?」

「改めて言う。頼む、協力してくれ。」

このテーブルは賭場。テーブルに差し出すは己の命。危険な賭だが、他に道はない。
(チップは払った・・・さあどう出る?)
【宗方零 『神重敬』『神重智』両者に協力を申し入れる】
289宗方零 ◆BSFghFxWJY :2008/05/23(金) 00:25:08 0
ミス スレ汚し失礼
×「城栄金剛を倒したい」
○「長束誠一郎と城栄金剛を倒す」
290恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/23(金) 06:16:05 0
>>286
声を掛けたものの、白衣の男は俺の台詞は聞こえてないようだ。まぁ…それはそれで助かる
白衣の男は先ほどの様子から一転、落ち着き払った態度に変わっていた。悠々とタバコに火を点けている
…そういや俺、この街に来てから一服してないな。思い出したようにズボンのポケットを――

>「じゃあ、国崎薬局に行きましょうか。私の異能で一人で戦うにはちょっと心細いのよ
 ほとぼりが冷めるまで一緒に行動してくれると助かるんだけど──」
俺と一緒に白衣の男に助けられた女性が、俺と白衣の男に向かって優しげな口調で話しかけてきた
確かに今の状態からバラバラになるのはなにぶんリスクが高いな。 反対する理由はこれといってない

>「貴方のそれも無限じゃない、ってことか。残念ね。私の傷も治してもらおうかと思ったのに」
女性が白衣の男を見て微笑を浮かべながら言った。白衣の男は特に気に留めていない。…そういや一々白衣の男って言うのも失礼だな
と言っても名前を知りたいと言うわけでもない。正直知った所で今後関わりあうとは思えないからだ
と言うか命がいくつあっても足りないという意味で関わりたくない。いかん…また思考がバグってきてる。落ち着いてタバコに火を

>「……ま、今考えてもしょうがないわね。私は葦川。貴方は『国崎』さんでいいの?」
…無意識にタバコが口から落ちる。…嘘だろ? あんたが国崎薬局の?
いや、待て。同姓同名かもしれんぞ。あの…と行っても行った事が無いが、これから向かおうとしていた店の主人があんただったとは…
やべえ、物凄くこの場から逃げ出した衝動に駆られる。だが逃げたら逃げたら窮地に陥る気がする。俺が
すると女性が俺の方に顔を向け、言った

>「それと、カメラありがとう。貴方の名前も聞かせてもらえる?」
…大事な物なのにすっかり忘れてたよ。そうだ,カメラを返してもらおう
けど、そのまま返してもらうのもなんか悪いな。俺は少し長考した挙句、言葉を返した

「恋島…恋島達哉だ。悪いけど、手元のカメラを返してくれ」
言葉が足りない…もう少し穏やかと言うか、物の言い方ってのがあるだろ、俺
とりあえず国崎薬局にこの三人で着くまで下手な事は出来ないな。…そういや今日はホテルに泊まる予定だったのに…
俺は他の二人に聞かれぬよう、ため息をした

【葦川の考えに同調。国崎薬局に向かう】
291国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/05/23(金) 20:24:05 0
>>262,286,290
異能――理を歪め常識を飲み込む強大な力。
だが、核兵器や細菌兵器といった物がそうであるように、
強すぎる力というものは、それを使う人間すら滅ぼす可能性を持つ。
そして、それは異能力も然り。
反動……いや、副作用と言った方が良いだろうか。
人体実験でこの力を得てしまった俺の場合は、特にそれが酷かった。
異能を使えば使うほど俺の能力は強化されるが、それに比例して俺は壊れる。
そして、一度壊れてしまった部分は、破損の具合が軽くても
治すのに、最低でも数年という年月が必要だ。

バケモノのままの左目を押さえている俺を、いつの間に目覚めたのだろうか。
男の方は心配そうに声をかけ、女の方は割合冷静に見ていた。

(……いい年して、誰かに心配をかけるわけにもいかねぇか)

俺は、先のドサクサでも忘れなかった黒い鞄の中から眼帯を取り出すと、
左目を隠すように装着して、大したこと無いという態度を造り立ち上がる。

「恋島に葦川か。俺はこの町で薬局を経営してる、イケメン薬剤師の国崎シロウだ……
 ……ってちょっと待て! お前ら、何で俺の店まで来る気満々なんだ?」

驚いて当然だろう。よく考えればこの二人とは先程出会ったばかりなのだ。
七重の様に怪我をして倒れていた訳でも、廻間の様に怪我の治療に来たわけでもない。
援護をしてくれたとはいえ、戦闘を覗き見していただけだ。
前提条件無しに二人がいる薬局まで連れて行くのは、聊か危険が過ぎるだろう。
俺は立ち止まり、頭を困った様に掻いた後、真剣な表情を作って二人に言う。

「……まあ、お前らがうちの店に来るのは、薬も売れそうだから別にいいけどな。
 言っておくと、俺は基本的に一般人だ。店にいる奴等にもそう接してる。
 だから、お前らの目的は判らねぇが、もしお前らが俺の正体をばらそうとしたり、
 俺が一般人に戻れなくなる様な話をしようとしたり、あいつ等をヤバ過ぎる事に
 巻き込もうとしたら――俺はお前らを追い出す。いいな?」

そうして、薬局の場所まで先導するようにつかつかと歩き出した。
帰れと言えなかったのは、彼等の、少なくとも葦川の方の能力が戦闘向きでは無いことと、
恋島が能力者として七重に近い程度に初心者であろう事を知ってしまっていたからだ。
どうもダメだ。こういう状況で見捨ててはいけないと、俺は知ってしまっている。

……なんかこの短い間にどんどん人増えてるな、俺の店。

【国崎:左目に眼帯を装着。薬局に向かう】
292戦場ヶ原 ◆u5ul7E0APg :2008/05/23(金) 21:56:21 0
>>281>>279
まったく歯が立たなかった。
3年前のあの日と何も変わらず、城栄金剛は戦場ヶ原のすべてを一瞬で蹂躙しつくしたのだ。
この3年間は何だった―――…
星の数ほどの異能者を斃して来た。名を変え、能力までも捩じり変えて、この3年間、奴を倒すことだけを考えてきた。
その結果がこれだ。戦場ヶ原は、ただ自分の無力さに呆然となるしかなかった。
「っく…戦場ヶ原さん…」
傍らで少女が涙で頬を濡らしている。自分を回復してやれないことを悔やんでいるのだろう。自身の怪我さえ省みずに。
「リン・・・」
戦場ヶ原が初めて少女の名前を口にした。そしてその手は、少女の髪を優しく撫でていた。
「お前は――優しいな。」
驚くほどに心が凪いでいた。なぜだろう。そう彼が考えていたその横から池上の声がする。
「……『最強の異能者』様とあろう者が、何とも無様だな」
「ケッ…うるせぇよ。」
池上の嫌味に戦場ヶ原は毒づく。あれほど完膚なきまでに完敗したのだ。怒る気にもなれない。
「……奴は人間か? あれは並の使い手じゃ……いや、身体能力、異能力全てが、
この街で出会ったどの異能者よりも桁外れだ。同じ人間であるのか、疑いたくなる」
池上は素直な疑問を口にしていた。
彼にしてみればこれが初めての経験だろう。格の違う相手に蹂躙されるのは。

「・・・奴は…奴は人間じゃねぇ…!!」

戦場ヶ原は過去を思い出し、その表情を怒りに歪めた。
人間ではない―――この言葉は勿論池上が問うたような意味ではなく、その非人道的な所業を意味していることは言うまでもなかった。

「教えてやるよ・・・・奴が何者なのか、何をしやがったのかをな―――…!」

戦場ヶ原は、その重い口を開き、誰にも打ち明けたことのない暗い暗い過去を、静かに紐解いていった―――…
293恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/05/23(金) 22:42:09 0
>>291
俺は今の状況を俯瞰しながら、こんな経緯になった原因を思い浮かべていた
…原因も何も、あんな状況下で平然と道を通れる神経なんざ持ち合わせてねえよ
つうか明らかに普通じゃない現場を素通りしちゃ俺のプライドが許さねえ。まぁ黙って回り道すりゃよかったのだが
今後はアレだな〜…急がば回れというし、一応危険を冒さず、確実に安全な方法で仕事をしていこう。…いいのか、それで

っと、白衣の――いや、国崎と言う名前の男は息つくと。何時から持ってきたのか、傍らに置いてあったバックを探り妙な物を取り出した
が…眼帯? そんな物をいつも持ち歩いてるのか……まぁそれなりに事情があるんだろう。俺は取りあえず考えるのをやめる
国崎はその眼帯を左目に装着すると、俺とえ〜…葦川さんの方に向き直り、ハキハキとした声で言った

>「恋島に葦川か。俺はこの町で薬局を経営してる、イケメン薬剤師の国崎シロウだ……
 ……ってちょっと待て! お前ら、何で俺の店まで来る気満々なんだ?」
ん、いや、俺は別に満々じゃないぞ。一応女性が夜道を歩くのは危ないし、俺もそれなりに傷を負ってるしな
そういえば…俺は一番ヤバイ傷を負った背中を探ってみた。…? 妙にゴツゴツした感触を感じる
指でなぞると、デカイミミズが這ったような跡が浮き出てるみたいだ。…うわ、ぶっちゃけ露天風呂とか入りにくくなるな、これ

まぁ良いか…薬局で包帯とかシップとか買い溜めれば…にしても気が重いわ。現金的にも精神的にも
しかもだ。気づくには遅すぎるかもしれんが、この件は俺が今まで携わってきた仕事の中で一番厄介で危険で――闇が深い
だがそれ故にこの件は見逃せない。俺の中の第六感…というのか?それに近い物がウズウズしてしょうがない
…ふと、さっきの光景が頭をよぎる。今負っている傷からして、アレは夢だったなんて言い訳する気はさらさら無い。ぶっちゃけビビッてるがな

三人でのそのそ歩いていると、国崎が立ち止り、俺たちの目をじっと見、重い声で話し始めた
>「……まあ、お前らがうちの店に来るのは、薬も売れそうだから別にいいけどな。
 言っておくと、俺は基本的に一般人だ。店にいる奴等にもそう接してる。
 だから、お前らの目的は判らねぇが、もしお前らが俺の正体をばらそうとしたり、
 俺が一般人に戻れなくなる様な話をしようとしたり、あいつ等をヤバ過ぎる事に
 巻き込もうとしたら――俺はお前らを追い出す。いいな?」

了解だ。俺はあんたの薬局で必要な物を買ったらすぐに失礼する。
ぶっちゃけるとあんた達と関わるのは今回で最後だ。命がいくつあっても足りそうに無いしな。割とマジで
…そういやこの町に来てから携帯を確認してなかったな。バックを穿り返して、おもむろに携帯を取りメールを確かめる
案の定九鬼からのメールと…妙なメールが添付されていた。俺は九鬼のメールより先にその妙なメールを開けた

あのバカ野郎の嫌味よりかは心が落ち着くだろう。例えスパムでも――のだが、まだ九鬼の方がマシだった
異能者?戦い?バトルロイヤルゥ?…俺はこのメールを送った何処かのバカ野郎に活を入れてやりたい
チェーンメールにしては面白い。良いセンスだ、けど間が悪すぎる。俺はモヤモヤと嫌悪感で一杯の頭を落ち着かせながら消去――いや
待て。そういや同時並行で都市伝説についても調査しろと九鬼に言われたな。コイツは一応ネタになる。まぁ不快っちゃあ不快だが

【薬局へ進行中。今回初めてメールについて認知】
294戦場ヶ原の回想 ◆u5ul7E0APg :2008/05/23(金) 22:52:25 0
遡ること3年―――
「ひっ!た…助けてくれ!!」
ひと気のない寂れたビルに、男の悲鳴がこだまする。
「たっ、頼む!!ほ・・・ホラ!ここにあるカネは全部お前たちのものだ!!」
「ほォ…こりゃぁ10年は遊んでくらせるぜ。」
逃げ惑う男を追い詰める4人の男。先頭に立つ男の髪は、焔のように赤くはためいていた。
「だっだろ!!?それはやる!!全部やるよ!!」
「悪いな。それじゃお言葉に甘えるとしようか・・・」
赤髪は札束の詰まったジュラルミンケースを受け取ると、その左手を男に向けた。
「・・・へっ?お、おいちょっと!か、カネはやっただろう!!」
「…カネを差し出せば助かるとでも思ったのか?」
刹那、肉塊と化して弾け飛ぶ男の身体。

「――俺は、ひねくれてんだよ。」

南那市旧帝王ビル。その中に機関の本部は存在した。
「ごォ苦労だったなァ!!山田権六!有能な部下は大好きだぜ!!」
ドスの利いた声が大きく響くその部屋のドアには『社長室』と書かれたフレームが掛けられていた。
この男こそが先代社長を追放し、先日この椅子につくことになった城栄金剛その人であった。
「戸田興業にゃァ手をこまねいていた。反乱分子を潰したいところだったがいかんせん―――」
「御託はいい。報酬だ、金剛サン。それから約束は忘れてはいないだろうな・・・。」
山田権六は金剛の言葉を遮って話を先に進めた。金剛はフンと笑うと「ホラよ」と言いながら札束を放り投げた。
「俺も最近物覚えが悪くなっちまってねェ・・・約束ってのはなんだったかなァ?」
「とぼけてんじゃねぇ!!俺の…『家族』を異能者から護ることだッ!!」
大げさにおどけたふりをする金剛の態度は、山田の逆鱗により深く触れることになる。

「・・・そうアツくなんじゃねぇよ。冗談だろう?分かってるさ。お前が機関のために働く限り、お前の家族とやらの身の安全は保障しよう。」
「フン…。」

山田権六がこの男につくことになったのは2年前だ。当時機関No2に甘んじていた金剛が、スラムで暴れていた彼の能力を見込んで登用したのだ。
金剛お付きのヨゴレ役、『虐殺部隊(ジェノサイドフォース)』として金剛の邪魔になるものをすべて排除していく、その引き換えに、
山田は『家族』―――スラムの孤児たちの身の安全と生活を保障させる。
それがこの契約の条件だった。
金剛は乱暴だが合理的な男だ。こちらが約束を破らない限り向こうもこちらを裏切らない。利害が一致する限り信頼は出来た。



295戦場ヶ原の回想 ◆u5ul7E0APg :2008/05/23(金) 22:52:46 0
南那市の都心部に位置する区画の片隅―――そこに山田の『家』はあった。
家とも呼べないような粗末な作りのテントの集合体に過ぎないが、そこには20名ほどの孤児たちが住んでいた。

「おかえり、ゴンちゃん」

「・・・そう呼ぶなと言ってんだろ。」
子供たちとともに彼の帰りを出迎えたのは、長い黒髪をたなびかせた笑顔の似合う20代前半の女性だった。
彼女の名は天音 滴(あまね・しずく)。落ち着きおっとりしながらも、芯のある大人の女の風格を漂わせるこの女性は、自らも孤児の身でありながら、健気に子供たちの世話をしている。

「今日もお仕事、大変だったの?」
「お前には関係ない。」
「うん、そうだったね。ごめんね、ゴンちゃん。」
「・・・・。ホラよ、来週のぶんのカネだ。」

山田の冷たい言葉にも、彼女は暖かい笑顔で返す。その言葉が、自分たちを心配させないがためにしている彼なりの優しさであることを、彼女にはよくわかっているからだ。
山田にとっても、そうした彼女の健気な気遣いがよくわかっているからこそ、彼女たちのために体を張れる。
たったこれだけの短い会話の中に、これだけのたくさんの想いが込められていた。それだけ固い絆で、二人は繋がれていたのだから。

「よぉーし、みんなぁ!今日はカレーをつくるぞぉ〜っ!」
「おーーっ!」

まるで少女のように無邪気な表情で子供たちと戯れる滴の姿。それを見て、傍らで山田はふっ、と幸せそうに微笑む。
こんな暮らしがずっと続けばいい――――…そう願っていた。
だが。

夜更けの旧帝王ビル。その一室で、城栄金剛は上機嫌な顔で画面を睨んでいた。
「・・・今度こそアタリなんだろうなァ?」
「ひぇっひぇっひぇッ…それはもう・・・・。遺伝子レベルでの解析によって証明されましたからな。」
無気味な笑い声を上げたのは、金剛の傍らに佇む研究員の格好をした小柄な老人だった。
老人がパネルを操作すると、大画面の表示が切り替わる。
「こちらをご覧ください…」
「ほォ・・・・。これが…二人目の『自然発芽した異能者』・・・」
その画面に映っていたのは、笑顔の似合う一人の女性だった。

「『ヤハウェ』ケースNo.2・・・!」

【つづく】
296梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/23(金) 23:42:06 0
>>226-228>>245-246
ゴロゴロゴロ、ゴロゴロゴロ。
俺は畳の上で寛いでいる。
…実に暇だ。
なんというか、その…やることが無い。
今の俺を暇人って言うんだよなぁ…。

そんなところへ、七重が台所から何かをテーブルに持ってきた。
この匂い…カレーだな。
「メシの用意が出来た。腹減ってるなら食っとけ。いらないなら、俺が食う・・・」
「お、マジで?丁度腹減ってたんだよなー」
起き上がりながら返事をする。
カレーといえば各家庭によって、いや、調理する人によって味が左右されるといっても過言ではない料理。
そして普通に旨い料理でもある。

そう、旨い筈なんだが…廻間の顔色が凄いことになってる。
白い、つか青い。蒼白になってるんだぜ?
この場面で青くなるってどういうことだ。
――いや、既に答えは出ている。でも認めたくない。
その答えじゃなくて廻間はカレーが嫌いなだけだと思いたい。
うわあもう深呼吸までし始めたよこいつ。

その時聞こえた声。
「醤油さえかければ間違いない」
七重だ。
…ちょっと待て今『醤油』って聞こえたんだが。
醤油?
しょうゆ?
せうゆ?
SYOYU?
それって大豆から出来る液体ですよね?
――駄目だ、このカレーに期待しちゃいけない。

俺はカレー(だと思われる物体)から目を背け、女子高生の方に目を向ける。
いつの間にか起きてるな…って七重さんなにやってんだぁぁ!!
そのスプーン!
でも俺には止める勇気は無い…女子高生よアーメン。
何処ともあらぬ方向へ、焦点の合わない視線を外す。
なんかバッタンバッタン五月蝿いけどどうでもいいや。
297梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/05/23(金) 23:42:46 0
その内げほ、げほと咳き込む声が聞こえた。
あの子、カレー食っちゃったのか…。
振り向いて、女子高生を見る。
「あ、あれ・・・? ここどこ? 私、さらわれて・・・」
…………はぇ?
またとんでもワードが出てきましたよ、『さらわれた』?
またか。またとんっでもない事に巻き込まれたのか、俺。

「・・・あ! キミ、廻間くん? もしかして、助けてくれた!? 私の事・・・
 良かった。もう、ダメになるかと思った・・・ もう・・・・・・!」
廻間に駆け寄る女子高生。あ、七重が向こう脛蹴られた。
そして―――お約束かな、廻間に抱きつくようにもたれかかった。
それにしどろもどろに返す廻間。やっぱりお約束だ。

「……はぁ…イチャイチャストロベるんだったら俺から大分離れてやってくれ」
誰にも聞こえないくらいの音量で呟く。
もうやけ食いでもしてやんよ…。

俺はテーブルのカレーを一皿取り、一気に掻きこむ。
…さっき廻間がすごい蒼白な顔をしていたのを忘れて。
「…ぶっ!」
こっ、この味は…!
文字で表すならば混沌、凶器、殺人兵器、地獄料理、カオス、クレイジー…。
辛い?苦い?人間を超越するようにそんなものをブッチギリで超越したような味。
惨劇を繰り返すうちに諦めを感じすぎて冷蔵庫の食材調味料全部突っ込んだような味。
つまり、とてつもなく 不 味 い !
ニガヨモギ?なな菜?はしばみ草?そんな苦いだけの食材なんてなんのその!
というか死ぬ!このままだったら死ぬ!
水に手を伸ばす―――が、届かない。

仕方が無い…『神経ノ切断(ライン・カット)』。
右手首に霧が纏わりつき――手首ごと離れる。
右手はコップの方に浮遊、そしてキャッチ。
すぐに戻り、無事に腕と繋がって霧が離れる。
あとは水を一気に飲み干す!
「………!ぷはぁッ!げほっ、げほっ!…はぁーっ、はぁーッ……!」

危なかった、実に危なかった。
二度と味わいたくない記憶に間違い無くインプットされたな。
毒みたいな危険物が入っていないにも関わらず、こんな料理が出来るとかある意味才能だ。
七重:能力名ポイズンクッキング。
違うんだろうが、俺の中では決定だ。
「な、七重…だったよな……アンタ、味覚の殺人兵器でも作ってるのか…?
寧ろ異能力、いや胃能力だ…これは…」

【梓川:食事と言う名の戦いに敗北、七重に『アンタは殺人兵器を作ってるのか』と質問】
【能力:3/3→3/3】
298小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U
私をここまで運んできた女性――――アルト・ハーケン
彼女は私のいい加減な質問に丁寧に答えた


>「先に自己紹介をしておくと、私はアルト・ハーケン。異能者です。
> 貴方を助けたのは、目の前で無意味に人が死ぬのが嫌だったから。
> ここまで運んだのは、まあ、目立つのが嫌だったからね。治療の為に部屋を借りることにした。
> ―――でも、まさか機関の人間がホテル代を払えずに体で返していたなんて思わなかったけど」

な・・私が機関の構成員だとはバレてはいないはずだと思っていたが・・・
どこでバレた?、ホテルは一般の借りた時の名義は偽名・・・調理室に連れて行かれたときも
ホテルのものにはバレて・・・・

小村は調理室に連れて行かれた時の事を思い出す
小村の脳内にムキムキマッチョマンのコックに捻り潰される映像が流れる

>「そうそう。寝ている間に何をしたかというと、治療です。
> 服を脱がせたのは付着していた血液をぬぐう為。はい、乾きましたよ」

そういって上着を渡される
予備があるのはあるのだが・・・ここは素直に厚意を受け取るとする

>「それと、神重敬という男―――貴方が戦っていた相手なのですが。
> 彼が私にちょっとしたお願いをしたんですよ。聞きたいですか?
> 聞きたくなくても話しますよ。なんでも、貴方に手を出すな、ですって。
> 決着は自分自身の手で、ということなのでしょうけど。愚かしいと思いません?
> 戦うことを目的とするなんて間違っています。目的の為に戦ってこそ、です。
> その点、貴方は仕事の為に異能者と戦っているんですものね。仕事は大事ですよ、ええ」

これは・・愚痴なのだろうか?
とにかく彼女は先ほどまで戦っていた神重に不満があるようだ
・・それに私の仕事は異能者と戦うこと・・そこまで見抜いている
いや・・それはあの場で判断した結果か・・・全く彼女はどこまで知っているのやら・・

「まあ、戦いへの概念は人それぞれ
純粋に戦いを望む者、誰かを守るために戦う者、自分のなかに在る何かの為に戦う者・・・」
これらは全てアイツと重なった、山田 権六・・・
「ま、貴女の目的は食事・・・みたいですけどね」
今の言葉に彼女は少し機嫌を損ねたようだった
何故だろう・・・まあ、いい

>「それで、貴方のお名前は? こちらが先に名乗ったんですもの、返答してほしいものだけど」
彼女は言葉を続ける
先に名乗ったって・・・・勝手に名乗ったくせに・・・
まあ、治療してもらった礼はありますけどね

「いいでしょう、私の名は上野 恭平(うえの きょうへい) お察しの通り機関の人間です
役職は前線基地の隊長ですよ」

当然、偽名に嘘の役職だ 機関の情報はそう簡単に漏らせない

「で、次はこっちから質問です まず、貴女は機関に敵意をもっていますか?」
これは重要なことだ 相手は機関の人間を知らず知らずに食べていたかも知れない

「そして、もし無いのなら゛取引゛・・・しませんか?」
小村は上着から紙を取り出した・・

【アルトに取引を持ちかける】