【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ

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1名無しになりきれ
*「ここは 邪気眼 のスレです」
*「sage や 酉 は入力しなければ意味がないぞ」
*「荒らしを構った後には 荒らし扱いになるよ」
*「おお名無しよ 版権キャラを使ってしまうとはなさけない」

【天麩羅】
名前:
二つ名:ttp://pha22.net/name2/ ←で↑のキャラ名を入力
年齢:
身長:
体重:
種族:
職業:
性別:
能力:(一応二つ名にこじつけた能力設定を)
容姿:
趣味:
好きなもの:
嫌いなもの:
キャラ解説:
2名無しになりきれ:2008/02/19(火) 16:34:15 O
デビルチンポアターーーック!!!
3名無しになりきれ:2008/03/02(日) 13:41:37 0
age
4運金:2008/03/02(日) 13:45:29 0

名前: 運金
二つ名:デスカトロイヤー
年齢: 18
身長: 169
体重: 57
種族: 運子
職業: デスカトロイヤー
性別: 雄
能力: デスカトロイヤー
容姿: 肛門唇
趣味: オナニー
好きなもの: 運子
嫌いなもの: 亀田
キャラ解説: 学校で運子もらした猛者
5高山 宗太郎 ◆qoMMxchlEo :2008/03/02(日) 14:13:29 0
名前:高山 宗太郎
二つ名:火装数奇(インフェルノアンダーグラウンド)
年齢:17
身長:178cm
体重:71kg
種族:人類
職業:学生
性別:男
能力:火炎を身に纏うことで炎を操る
容姿:黒い短髪・ブレザーの学生服(灰色)
趣味:スポーツ・家事
好きなもの:幸福・正義・カレーライス
嫌いなもの:不幸・悪行・カップラーメン
キャラ解説:
典型的な熱血漢であり、難しいことをあまり考えない猪突猛進タイプ。
いわゆるバカだが、それ故に対立する思想を理解する余裕をも持ち合わせる。
つい最近まで普通の学生だったが能力に覚醒し、身体で覚えることで自力での制御に成功。
多より個を重視する傾向にあり、大衆の決定に反した単独行動をしがちなのが欠点。
宗太郎の能力は物理的な制限を無視して行使でき、人類の叡智を否定するまさに完全な”異能力”である。
ちなみに能力名は『ブレイブハート』(宗太郎命名)。



一番手いただき! 不肖、この高山 宗太郎が務めさせていただきます!
さあこれからどんなヤツらと出会えるのか楽しみだぜ!! っていうことで、これからよろしくッ!!
6名無しになりきれ:2008/03/07(金) 22:59:11 0
 
7はぐれメタル:2008/03/07(金) 23:10:31 0
(コソコソ、コソ〜リ)
・・・・・ッ!!!
8名無しになりきれ:2008/03/08(土) 00:24:25 0
ここはTRP系か?
9名無しになりきれ:2008/03/08(土) 00:49:14 O
どちらかといえばそうじゃね
10池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/08(土) 19:10:32 0
名前:池上 燐介
二つ名:氷雪昇華(スリーピングエクソダス)
年齢:21
身長:173cm
体重:65kg
種族:人間
職業:学生
性別:男
能力:大気中の水分を昇華凝結させ瞬間的にありとあらゆる形の氷を作り出すことができる。
容姿:灰色の髪の毛に長髪、首元で髪の毛を束ねている。右手は常に黒の手袋で覆われている。
趣味:ビデオ鑑賞・音楽鑑賞・喫煙
好きなもの:冬の季節・白い飯に味噌汁
嫌いなもの:勉強・空気の読めない人間
キャラ解説:
生まれつき『第三の目』を持つ。物心ついた頃より既に能力を自在に扱えるようになっており、
現在では自らの意思で能力を限界にまで引き出すことが可能となっている。能力名『自在氷』。
冷静に物事を判断し把握する力を持っているため、冷徹な判断を下す時がある。
そういったことが理由でよく人間性を誤解されるが、実は性格は冷静さと熱血さを足して
二で割った感じと言った性格であり、時に熱い一面を見せ周囲を驚かせることがある。


よろしく。
11池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/08(土) 19:14:58 0
趣味の覧に「喫煙」があるが、それは削除させてもらおう。
タバコは吸ったこともないというのに何かの手違いで記入されてしまったようだ。
12池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/08(土) 19:16:37 0
名前:池上 燐介
二つ名:氷雪昇華(スリーピングエクソダス)
年齢:21
身長:173cm
体重:65kg
種族:人間
職業:学生
性別:男
能力:大気中の水分を昇華凝結させ瞬間的にありとあらゆる形の氷を作り出すことができる。
容姿:灰色の髪の毛に長髪、首元で髪の毛を束ねている。右手は常に黒の手袋で覆われている。
趣味:ビデオ鑑賞・音楽鑑賞
好きなもの:冬の季節・白い飯に味噌汁
嫌いなもの:勉強・空気の読めない人間
キャラ解説:
生まれつき『第三の目』を持つ。物心ついた頃より既に能力を自在に扱えるようになっており、
現在では自らの意思で能力を限界にまで引き出すことが可能となっている。能力名『自在氷』。
冷静に物事を判断し把握する力を持っているため、冷徹な判断を下す時がある。
そういったことが理由でよく人間性を誤解されるが、実は性格は冷静さと熱血さを足して
二で割った感じと言った性格であり、時に熱い一面を見せ周囲を驚かせることがある。

こちらが本当のプロフィールだ。
よろしくたのむ。
13名無しになりきれ:2008/03/08(土) 19:21:51 O
落ち着けww
14池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/08(土) 19:27:00 0
>>13
心配をかけてしまったようだが、もう大丈夫だ。
安心してもらいたい。
15名無しになりきれ:2008/03/08(土) 22:56:14 O
キャラ募集あげ
16名無しになりきれ:2008/03/08(土) 23:00:56 0
まだこんなスレあったのかよ
17名無しになりきれ:2008/03/09(日) 03:31:34 O
邪気眼…悪魔の眼を持つ異能者
罰せられるべき者…覚悟!
18名無しになりきれ:2008/03/09(日) 03:32:20 O
厨房
19名無しになりきれ:2008/03/09(日) 08:58:08 0
19ロム酸カリウム
20名無しになりきれ:2008/03/09(日) 16:25:51 O
あげ
21池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/09(日) 22:08:02 0
>>16
そういうことだ。

>>17
……うっ!
右手の眼がうずく……。これは、警告?
まさか、この街に俺以外にも異能者がいるというのか?

どこだ……どこにいる!
22戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/10(月) 02:11:05 O
         ス レ
よもやこのような多元宇宙が存在しようとは、夢にも思わなかった、な…。
ククク…ッ、貴様らも物言わぬ我が眷属となりたいようだな…。よかろう。
三分の力で相手をしてやる…。貴様らにはちょうどいいハンディ、だろう?(暗黒微笑)

(しかし…>>2の時点で350時間もの時を止めた『奴』の力は…、まさか例の『碑文』の……ッ?
――――フッ、いいだろう…面白くなってきやがったぜ…!)

――おっと、自己紹介が遅れた、な。俺の名は戦場ヶ原 天(いくさばがはら あまつ)―……。
二刀流を操る神速の賞金稼ぎ――…と呼んでもらっても、過言ではない。
23戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/10(月) 02:28:29 O
まずはてこ調べ代わりに相手してやろう…。
フン、感謝するがいい。貴様らのような蛮賊が、俺のような神と人との狭間の存在に相手してもらえるのだからな…。
…おっと、神と言っても、貴様らの言う『死神』というヤツだが、な…。

>>17
フン、『組織』に刃向かいし者達の残党、か…。
貴様のような虫けらに、わざわざ本気で戦うほど俺も若くはない…。
が、今日は俺も機嫌がいい…。特別出血大サービスという奴だ。
よかろう、全力でお相手いたすッ!
奥義、六十二の太刀!『超穿鵞壟冥剣』ッ!!

>>18
フン…ぎゃあぎゃあと小うるさい奴だ…。
残念ながら今の俺はご機嫌ナナメって奴だ…。俺が振り向く前に失せな。
さもなくば俺の怒りの業火に灼かれ、火傷するぜ?
24戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/10(月) 11:05:07 O
>>4
運…金…?ッ!まさか貴様ぁッ!!
聞いたことがある…。裏ルートの裏スジに詳しい裏情報屋から買った裏情報で……!
魔界百八世界が一つ、『裏界ルーデ=コンウ』の支配者……うぉっとォ!
―――さすがの俺もこれ以上のことは言えないな…。
俺とて所詮は人の子よ…。こう見えて、命は惜しいのでね。

>>5
やぁ『インフェルノアンダーグラウンド』。君に会えて光栄だよ。
『機関』も君の功績には最大の経緯を払っている…。
―――フッ、おいおい、そんな眼で睨むのはよしてくれないか?
俺に君への害意はない………―――君が俺に危害を加えない限りは、ね。
間違ってもそんな気は起こさないことだ。今の俺の潜在能力値は5300程度………。
だが俺を怒らせたらリミッターが解除され、覚醒変移と能力暴走を起こして臨界点突破し、そこに仲間の絆の力を与えられたら、
俺のポテンシャルは5400を超える……!

25名無しになりきれ:2008/03/10(月) 11:20:29 O
ちゃんと>>1使って自己紹介しろよ
26若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/03/10(月) 21:12:53 O
名前:若宮 こよみ
二つ名:硝煙禁忌(ガトリングチルドレン)
年齢: 12
身長: 142cm
体重: 36kg
種族: 人間
職業: 小学生
性別: おんなのこ
能力: ぬいぐるみの形状にそった能力をもつ形代をあやつることができる。
容姿: 腰まで届く長い黒髪。表情はいつもニコニコしている。
趣味: お菓子作り
好きなもの:あいすくりーむ
嫌いなもの:ピーマンな人間の食べ物じゃないです。
キャラ解説:天真爛漫純粋無垢な少女であるがそれゆえに残酷でもある。
その能力ゆえに実の両親からも疎まれ、さる筋に引き取られ育てられる。それ故にひとから見放されることを異常に恐れている。
能力名「ファンシースター」は視覚範囲でしか操作出来ない、能力を発動したまま意識を失うと形代が暴走(近くにいる攻撃体勢をとってるものを攻撃)するなど欠点も多い。
携帯ストラップにつけている三種類のぬいぐるみを形代として使用する
くま(灰色熊)のぬいぐるみは渡辺さん、イルカ(実はシャチ)のぬいぐるみは井上さん、ライオンのぬいぐるみを斉藤さんとよんでいる。


はじめましてなのです
27若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/03/10(月) 23:44:37 O
3月10日(月)
きょう道をあるいていたら知らないおじさんが「アイスをあげるからだっこさせて」と言ってきました。
わたしは「誠一郎さんから知らないひとについていったらいけないと言われてるのでだめです」と断りました。
けどおじさんがショートケーキもくれるからいいかなと思いました。
わたしはだっこしてもらったお礼に渡辺さんでおじさんをだっこしてあげました。
渡辺さんがだっこするとおじさんは顔を赤くしたり青くしたりむらさき色にしたりとてもおもしろかったです。
そのあとおじさんは寝てしまったので電柱に倒れないようにしておきました。とてもよいことをしたと思います。
28池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/11(火) 00:25:51 0
-とある大手コンビニチェーン店-

「1980円になります」

そう言いつつ、時計を確認する。そろそろ今日のバイトの時間が終わる頃だ。
(ズキン……ズキン……)
……結局、今日一日中俺の右手は『警告』を発し続けていた。
俺の周りで特に変わったことはないものの、
やはり、この街のどこかに、俺の近くに『異能者』はいるのだろう。

これまでに幾度か己以外の異能者と偶然出くわしたことがあるが、
そのほとんどは俺が同じ異能者と気付くことはなかった。
俺が異能者と知った者達も、既にこの世にはいない。
俺が異能者であるということを知るのは俺自身だけでいいのだから。

この街のどこかにいる異能者の目的が何かは知らんが、
少なくとも俺には関わりのないことなのは確かだ。
──触らぬ神に祟りなし。厄介事に首を突っ込むのは俺の本意ではない。
だが、もし俺に危害を加えるつもりであれば……その時は……。

「すいませーん。お釣り……もらってないんですけど」

「申し訳ありません。お釣り20円になります」

そうだ……その時は…………。
29運金 ◆EZeOl/58v2 :2008/03/11(火) 00:27:12 0
24
そうしたほうがいい・・・・邪魔なやつはデスカトロする・・・・
30高山 宗太郎 ◆qoMMxchlEo :2008/03/11(火) 16:55:46 0
>>6

>>7
……見逃してやるさ、俺にもそれぐらいの慈悲心はあるぜ。

>>17
悪魔の眼? についてはよく知らねえが、勝負ならいつでも受け付けるぜ!

>>24
い、言いたいことがよく分からねえぜ。何だ、そのインフェルなんとかって。
キカンやらセンザイノウリョクチやら、素人相手に専門用語は勘弁してくれ。
でもとにかく敵じゃねえのは分かった。それなら仲良くやれそうだ、良かったぜ。

>>12,26 認識)

XXXXX



 ――世界が変わる。


 実際には大抵そこまで大げさなことではなく、ただ単に自分の世界の見方が変化するだけだ。
 それは自らの立ち位置を以前とは異にするということであり、つまり自分という存在に変質が起きたということ。
 異能力を手に入れてからの俺、高山宗太郎は、まさしくそのようにして日常から非日常へと身を投じた。


 特に、その日は非日常の色合いが強かったように思える。




 帰宅途中、ある路地で電柱に寄りかかっているおっさんを見かけた。
 すぐさま救急車を呼び、搬送してもらったが……救急隊員の人の話が妙に気にかかる。
 『強い力で身体を締め付けられている』とか何とか。ともかく、何もない路地でこのような状態になるのは異常なことらしい。

 しばし思案……ああ、心当たりがあるぜ。
 そういうことが出来る能力者の仕業に違いねえ。ってことは、あのおっさんは能力者? それとも……。
 ……考えたくねえな。一般人を危険な目に遭わそうとするヤツがいるなんて。だが、否定もできねえ。
 
 俺の知らないところで、何かが起きていやがる。


 ――そういう訳で、俺はその能力者を捜しに、今街中をかけずり回ってる。
 生憎、俺は他の能力者を捜し当てられる第六感みてえなもんは持ち合わせてねえらしい。
 だから能力を使っているところを直接目撃して確認しなくちゃいけねえんだが……ぶっちゃけキツい。

 疲労に疲労を重ねる意味ねえ仕事かもしれねえが、そうも言ってられねえ。
 また誰かがあんな目に遭ったらと思うと、思わず足が動いちまう。そんなもんだよな、男なんて。
 それに、こういうのが能力を手に入れてから一番やりたかったことなんだ。不毛上等、とことんやってやるぜ、俺は!

 ……だけどまあ、無限の体力なんて俺にはねえ。休憩を摂らなくちゃ死んじまうよ……人間。
 流石に一時間ぶっ続けで走ったら体力もなくなっちまうってもんだぜ……。しかも成果ゼロか、くそ。
 今日はこれで終わりにするか? ……いや、まだまだ。どうせ1人暮らしだ、限界までやってやるさ。
 確かそこら辺にコンビニが……おお、あった。言わずと知れた超有名コンビニ。むしろない方がおかしいぜ。

 ちょっと飲み物とおにぎりでも買って、捜索を再開するとしよう。
 釣り銭を渡し忘れるオバカな店員を横目に、俺はコンビニのドアを開け中に入った。
 ――気付くか気付かないかの、微量な違和感と共に。
31若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/03/11(火) 19:24:28 O
3月11日(火)
今日はあたたかかったので川のほうを通ってかえりました。
土手をあるいていると井上さんがうんどうしたいというので川でうんどうさせてあげました。わたしはいつのまにか寝てしまい目が覚めるとテレビ局のひとやおまわりさんがみんなびしょぬれなって川からあがってました。おまわりさんは大変だなと思いました。
けど近くのコンビニのお兄さんはどきどきぼっーとしてていつも手袋をはめています。接客業としてどうかと思います。
うちに帰ると誠一郎さんが「井上さんは十分に運動できたかい」と聞いてきたので「はいっ」と元気よく答えました。
32池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/12(水) 02:27:05 0
「ああ、もうあがっていいよ! お疲れさん!」

それは勤務交代の合図だ。俺は指示された通りレジを交代のバイト店員に任せ、
裏方へ通じるわずか数メートルの通路へと足を進めた。
その通路には弁当やおにぎりなどの食料品が陳列されている食品棚があり、
先程店内に入ってきたブレザー姿の学生がそこの品物を物色していた。
珍しくも無い光景に特に気にすることもなく、俺は裏方のドアへと向かおうとその男の
横を通り抜けた──その時だった。
(ズキン! ズキン!)
一瞬だが、確かにその時、右手の甲に激痛が走った。

「───ッ!」

声にならない声をあげてしまい、とっさに開いた唇を閉じる。
俺は何事も無かったかのように足を進め、平静を装いながら裏方へと姿を隠した。

弱い痛みだけが永続的に続くこれまでとは違った、短いながらも激しい痛み。
俺はこの感覚の痛みに覚えがあった。そう、かつて俺と同じ異能者と対峙した時に……。

「……そうか、近くにいると思ってはいたが」

俺はこの街にいると感じたその異能者が今どこにいて、誰であるか確信した。
これは偶然か、それとも作為的か…… ──どちらにせよ、
俺が今まで感じていた異能者が向こうから近付いてきたことは確かな事実だった。

私服に着替えた俺は、ドアを開け再び店内へと戻った。向かう先は出口だ。
さて、それを見た彼はどう動くか。もし彼が俺を異能者と知って近付いてきたなら俺に対し
何らかのリアクションを取るだろう。だが、何もリアクションがなければ彼がここに
来たのもただの偶然という可能性が高い。後者であれば、それに越したことはない。
俺とて人の殺生は望むところではないからな。

俺は出口のドアを開け、外に出た。
向こうの川沿いではパトカーの赤ランプがピカピカと点滅を繰り返している。
どうやら事件でもあったらしい。多くの野次馬が集まっているようだったが、
俺は騒々しいのは嫌いだから見にいく気にはなれない。

「でも……」

あの赤ランプを見ると、何か、その内俺の周囲でも騒々しいことが起こりそうな、
そんな気をさせる……。
果たして同じ異能者との出会いは偶然か、それとも……。
33戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/13(木) 02:11:00 O
フン…面白くなってきやがったぜ…!
俺のことが識りたいのならば教えてやる。後になって後悔しないことだな…!
名前:戦場ヶ原 天(いくさばがはら・あまつ)
二つ名:歪んだ重力(インセインオーバードライブ)
年齢: 25歳前後
身長: 180cm
体重: 75kg
種族: 人と神の狭間…とでも言っておこうか。
職業: 賞金稼ぎのようなもの…さ。
性別: 生物学上では男、だがな…
能力:おっと、こんな所で能力を暴露するつもりはないんでね…。
容姿: 赤髪に黒い着物姿。切れ長の眼はいつも殺気を放っている。めちゃめちゃ目立つな…。
趣味: フ…、瞑想、だな…。
好きなもの: 寿司
嫌いなもの: しいたけ
キャラ解説:
典型的現役ジャキガニスト。もともと思い込みが激しく、自分は人間以上の特別な存在だと疑わずに育ってきた結果、いつの間にか能力らしきものがマジで発眼。
職業はニート。親からの仕送りで生活している。
振る舞いがいちいち変人じみているため街中ではとても目立つ。
34戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/13(木) 02:38:56 O
黄昏色に染まる河川敷。
辺りには草野球の練習の声や下校中の小学生達の無邪気な笑い声がこだまする―――…
俺はそんな中を、優雅にゲタを鳴らしながら散歩をしていた。

(…平和に見えるこの世界にも、魔の手は着実に伸びつつある…。やれやれ…、困ったものだぜ。)
こうして散歩を装い街中をパトロールすることが、俺に課せられた使命なのだ。
…おっと、パトロールといっても街中の平和を守るためだとかそんな理由なんかじゃあない。
――なにか事件が起きて欲しい。
俺が『生』の息吹を感じられる場所は、平和の中なんかではない―――そう、『闘争』…だ。
俺はいつも願っていたのだ―――『乱世』を。

「何こいつ。コスプレして一人でブツブツ言ってんぜ?」
「キッモ、病気なんじゃね?」

その声とともに俺に浴びせられる複数の視線を感じた。
視線の主は地元の高校生、3人。所謂不良と呼ばれる類の人種だろう。
…やれやれ、この手の生き物は扱いが苦手だ。愚かすぎて会話が通じない。
「…フン、こうるさい奴らだ……。失せな。」
俺は吐き捨てた。しかし、殺気は極力こめずに、だ。若い奴らはすぐに殺気に反応する。俺は戦う気などなかった。
蟻を殺さずに踏むのは難しい、と誰かも言った。
―――しかし奴らは襲い掛かってきた。……愚かな奴らだ。俺は吐き捨てた。

「…悪いのはそちらだから。」

俺が右手を翳すと、黄昏色の河川敷は一瞬にして闇に包まれた――――…
35名無しになりきれ:2008/03/13(木) 23:42:13 O
コテたちに何者かが襲ってくる
36名無しになりきれ:2008/03/14(金) 00:48:48 0
37若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/03/14(金) 02:52:45 O
「きゃははははははっ」
暗闇に笑い声がこだまする―
だが、彼女以外笑っているものはいない。
しかし、誰も緊迫感はもちあわせていなかった数分間にたくさんの人間が命を失っているというのに…
原因は目の前にある二匹の猛獣だ…猛獣…
「な、なんなんだよ。これは」川島恵三はいまだに状況を理解できずにいた。いや状況はわかっている。コカインの取引中何者かに襲撃された。そこまでは把握できている。
麻薬取引非合法であるし自分をこころよく思っていない敵も少なくない、こういう事態は想定してあった。
「ぐわっ」
「ぎゃぁ」
また、組員がやられた。それでもまだ戸惑いがおさまらない。ぬいぐるみに撲殺されたり噛み殺される状況に…
取引相手はとっくに姿を消していた。襲撃されたら理由を問わず離脱するルールなのだろう。大陸系はそういうことはしっかりしている。彼は妙に感心していた。
38若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/03/14(金) 03:25:17 O
>>37続き
2m以上あるくまにまたひとりやられた。今度はまともに一撃をくらったのだろう首と胴体が別の方向へ飛んでいった
もうひとつのライオン…そうだライオンだろう…お笑い芸人のTシャツのようなデザインなのだから…
「ガキッ!」
「きゃっ」
残った部下のひとりが少女の確保に成功した。信じられないがこの少女が事態を引き起こしたことは間違いない。確保してからぬいぐるみの動きが止まったことからも推測できる。
そして彼は少女に質問することにした。なぜ我々の邪魔をしたのかを。
「悪徳と退廃にみちた街は滅びます。これはあらかじめ決められた計画なのです」
「ふざけるな!」
部下が少女を殴ると少女は気を失った。
その瞬間また事態が動いた―
再び一瞬で命が失われていく…
残ったのは自分ひとりだ…
川島恵三は弾丸をありったけ発射した…
相手は人間ではない…
生物ですらない…
ぬいぐるみに小さなあなをあけるだけで終わった…
そして37年の彼の人生も終わった…
39池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/15(土) 02:16:01 0
店を出て、家に向かって歩き始めて十数分──。
今のところ、あの男が何らかのリアクションを取ってきたというフシはない。
やはり単なる偶然か。だが周囲を警戒しておいて損はないだろう。
俺の正体を誰にも知られるわけにはいかないのだから。

>>35──(ザシャ)

──足音? 音の先を見てみると、俺の行く手に人の影が二つ。
俺の右手には警告の反応がない。つまり、二人はただの人間に違いない。
二人はその場から動こうともせずに、ただこちらをじっと見つめている。
……どうやら目的は俺にあるということはすぐに分かった。

「池上君、だね?」

──俺の名を知っている?
見たところ、服装から警官でもなく何かの勧誘員でもなさそうだが、一体。

「そうだが、あんたらは?」

「話は後だ。君は我々についてくればいい。
素直に従わなければ少々強引な手を使わなければならないが」

二人の男は指の関節をコキコキと鳴らしている。脅しのつもりらしい。

「己の素性を明かさぬ連中について行く奴がどこにいる。失礼」

俺は奴らの横を通り過ぎようとした。すかさず奴らは己の拳を振り上げる。
──瞬間 (ピシ! ピキピキピキ!)
奴らの足は地につけたまま、その動きを止めた。
40池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/15(土) 02:27:30 0
「なっ、なんだこりゃ! あ、足が地面に引っ付いて離れねぇ!」
「足が靴の中に氷を入れたように冷たい! しかも……動かねぇ!」

そうだろう。瞬間的に奴らの両足を地面と共に凍りつかせたのだから。
これで奴らはしばらくの間は動けずに、俺をどこぞに連れていくことどころか
先を行く俺を追うことすらできないだろう。今なら何事も無く先を行ける。
──だが……

「俺に『能力』を使わせたのが間違いだったな。
俺をデートに誘いたければ、今度からは俺の怒りを買わない方法を選ぶんだな」

もっとも、お前らが次にデートに誘う相手は俺ではなく、地獄の鬼が魔女になるだろうがな。
──誰であろうと俺の能力を見た者は生かしておかない。それが俺の定めた決まりだ。

「死ね」

(ドンッ!)
一瞬にして空中に現れた巨大な、そうまるで電信柱くらいあるであろう太く大きな
氷柱が身動きの取れない二人の男の胸を貫いた──。
その時、二人の男は辺りに鳴り響いた鈍い音と共にその生涯を閉じた。

それを見届けると、俺はパチンと指を鳴らす。
それを合図に二つの大きな氷柱は一瞬にして溶解し蒸発していく。
氷という名の凶器を証拠として残し、他の異能者に氷を使う異能者の存在を
気取られるわけにはいかないから、これは必要な処置だ。
氷柱が消えたことで串刺しとなっていた二つの死体は力なくだらりと地面に倒れこみ、
胸に空いた大きな穴から多量の血を流し続け、アスファルトを赤く染めていく。

──「しまった」

死体を背にして再び歩き出した俺は、そうつぶやき同時に後悔を覚えた。
殺る前に、結局あの二人が何者だったのか聞きだしておけばよかった、と。
41 ◆P1wJYx92Ts :2008/03/15(土) 22:16:17 O
閑話休題:街のイメージとして二子玉川近辺の東急田園都市線沿線を想定したんだか他のひとはどうなんだろ?
42高山 宗太郎 ◆qoMMxchlEo :2008/03/16(日) 00:23:25 0
>>41
特に考えてないなー
完全に想像上の街で繰り広げられてるww


――――。


背後で、息を呑む音が聞こえた。
丁度、飲み物とおにぎりのどれを買おうか眺めていた最中だ。
俺の直感が即座に色めく。”もしかしたら事件に関係がある人物かも”と!

――俺の後ろを通り過ぎた奴の姿を、横目で盗み見る。
ありゃあ……嘘だろ、コンビニの店員!? おいおいすげえ偶然だぜ。
奴が奥に消えたのを確認すると、振り返って周りの様子を見やる。

……コンビニの窓に赤い光。
それとなく近づき、外を覗き込むと――赤色灯、河川敷にパトカー!!
なるほど、これを見て息を呑んだんだとしたら……関係者かもしれねえな。

その時、再び奥から奴の姿が現れる。私服……なかなか良いセンスだな。
出口から出ていくのを脇目で確認……いいのか、勝手に。バイトが終わったのか?
それとも無断で、だとしたら――何故と考える必要はない。パトカーがいるからに決まってるぜ。

さあ――追うとしよう。奴の姿が見えなくならない内に、俺はコンビニを後にした。
――――。ん? 今、何か黒い……。……やめよう、アイツを見失っちまう!
43高山 宗太郎 ◆qoMMxchlEo :2008/03/16(日) 00:27:36 0
……見失った。それはもう見事に見失っちまった。
だってやっぱ気になるんだもんよ……なんか、変な黒いのがあったんだ、河川敷に。
いや、暗くなったというか、そんな感じの……ああもう、面倒くせえ! とにかくあったんだ!

それに気を取られてたらいつの間にかいなくなってたっつーか……まあ素人だし仕方ねえよな。
あまり遠くには住んでねえはずだ、ここらへん一帯を探し回ればきっとかち当たるはずだぜ。
ついでにあの河川敷が暗くなった理由についても少し探ってみるとするか……ん?

「高山君、だね?」

2人の男が俺の目の前に立ちふさがる。……どうする、襲われる雰囲気まんまんだぞ、俺。
そうだ、俺の能力を使って……。発動! 俺の身体を、瞬時に紅蓮の炎が纏い出す。
俺と男達との間にある空気を、熱によってぐにゃりと曲げた……その直後、俺は強く駈け出した。


……はあ、はあ、今日は走ってばっかだな……後ろは? ……良かった、追っ手はこねえみてえだ。
しかし何だっていきなり? 今回はマジで唐突だった。普通なら何かしら前兆があってもいいはずだぜ。
つまりまともに戦う気がなかったってことか? もしかしたら、無力化する術を持ってたのかもわかんねえな。

空気を熱で曲げると視界も歪む。一瞬の動転を狙って逃げ出したのがさっきだ。
まさか俺の能力をあんな風に使うとは思ってもみなったろうぜ! いや、思いつきだけどな。
本当に出来るとは思わなかった……何にせよ、逃げ延びられて何よりだな。危なかった。

しかし、もう捜索を続行する体力はねえな……水とおにぎりも買いそびれちまったし。
……そうだな、今日は諦めるとするか。また明日……学校はー、いいや。サボっちまおう。
なによりこれ以上の死傷者を出さないことが最優先だからな。能力者のことは能力者に――――。


ふと視線をずらしたその時だ。


確かに見た。直後には跡形もなかったが、痕跡はあった。
2人の男を串刺しにした巨大な氷柱――溶けてしまったが。俺の目には焼き付いている。
痕跡とは死体と血溜まりのこと……。分かってる。やったのは、死体の向こうを歩く男だろう。

そう、冷静に考えた後――一瞬にして血が頭にのぼった。


「てめえええぇぇえええぇぇええ!!!!」


ブレイブハート発動から一秒と待たすことなく。
炎を纏った俺の右手から、巨大な火炎が奴に放たれた。


[交戦 池上 燐介]
44戦ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/16(日) 01:54:26 O
>>41
っふ…そこまで具体的な地名を出されても困るというものだ。
我々がいるのは名も無き―――しかし極限まで現実と隣り合わせとなった、多元宇宙のひとつにすぎん。


―――――音もなく闇は消え、河川敷はそれまでの美しい黄昏色を取り戻した。
それと同時に崩れ落ちる3人の若者たち。
「ッフ…、安心しろ。殺しはしない…。もっとも、貴様らには今何が起こったかなど、理解することも出来はしないだろうがな…」
間もなく日も暮れる。今日の収穫は虫けら3匹だけ…か。退屈なものだ…。
溜息をつきつつ、ゲタを鳴らして家路につこうとした、その時だった。

「――――ッ!?」

俺の中の何かがうごめく。
全身が粟立ち、皮膚の下を羽虫がはい回るような、この感覚を――――俺は以前に感じたことがある。

「……ククク、3年振り…だな、この感覚…ッ!!」

間違いない。どこかで『能力者』同士が闘っているのだ。
俺の足は自然と街中へと向けられていた。
この背を押すのは戦士の宿命か、野獣の本能か――――…

「クハハハハッ!いいぞ……いいぞッ!!闘争が俺を呼んでいるッ!!」

反応は線路の高架下からだ。俺はそこ目掛けて駆け出そうとした―――…その時。
背後から忍び寄る二つの影が、あった。
45戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/16(日) 02:10:52 O
(つづき)

「待て」

野太い声とともに後ろから殺気を感じる。
俺は逸る気持ちを抑え、振り向かずに立ち止まった。

「…山田 権六。」
「………フン、捨てた名だ。今の俺は、戦場ヶ原 天……。」
「いくさばg……?まぁいい。山田権六、我々とともに来てもらうぞ。」
「……俺をその名で………呼ぶなァアアアッ!!!」

『歪んだ重力(インセインオーバードライブ)』――――!!!
俺は躊躇うことなくその『力』を行使した。
空間が再び闇に包まれたかと思うと、二人の男の身体は突然勢いよく後方に10mほど弾き飛ばされた。

「カッ……!!」
「なッ…なんだこれはッ…!?」

わけも分からずうろたえる男たちを見て、俺は不覚にも笑いが込み上げた。
そうさ―…この『力』を見て面食らわない奴などいない。

「…運が悪かったな、『カノッサ機関』のお二人さんよ。俺は今闘いに飢えている…。貴様らがこの渇き、止めてくれるというのかァア!?」

『力』を持つ者に闘いは必然―――…
『力』同士がぶつかれば、残るのはどちらかひとつのみ。
俺はそのスリルに、全身を恍惚とさせていた―――――…。
46池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/16(日) 02:42:35 0
>>41
仮想世界……ここは所詮、それ以下でもそれ以上でもないと、
そう考えていた方が気楽ではないかと。

>>43
謎の二人の男を始末し、俺は自宅に向かって歩き出していた。
そして同時に頭の中で今日一日の出来事を振り返っていた。
警告によって俺以外の異能者の存在を知ったこと、
その異能者が突然俺の前に現れたこと、そして異能者ではない謎の
二人の男が俺をどこかに連れて行こうとしたこと……。
これから何かが起きる……今日の出来事はその前触れではないのか?
それは俺の杞憂かもしれない、しかしそう思わずにはいられないのは何故だろうか?

(ズキン!!)
──俺があれこれと物思いに耽っている時、突如俺の右手が強い警告を発した。
そしてその後すぐ、何者かの叫び声と共に俺の視界が真っ赤な炎で遮られた。
体中の皮膚が焼け付くような高熱──しかし、高熱が俺を覆うより先に、
俺は自分の体の回りを氷でガードすることに成功していた。

炎は氷によって遮られるとすぐに空中で辺りの闇と同化していったが、
俺の体の回りを覆っていた薄い氷も炎の高熱によって跡形も無く消滅すると、
蒸気となって空中に舞い、次第にそれらは炎と同じく闇と同化していった。

俺は攻撃をされた方向、つまり真後ろを振り返ると、
そこには、あのコンビニに現れたブレザー姿の男が立っていた。
男の目からは明らかに俺に対する強い殺気が放たれている。
47池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/16(日) 02:44:57 0
こいつ……俺をつけてきた。それは俺を異能者だと知っていたから?
ということは俺の前に現れたのも偶然ではなく、今のように俺を殺すため?
──俺は視線を落とし、先程始末した二人の男の亡骸を見た。
仮にそうでなかったとしても、こいつは俺が二人を殺した事を知っている、
そして能力を使って攻撃を防いだことも知っている。
どこをどう見てもこいつを生かしておく理由は見つからない。
──ならば──。

「お前には、死んでもらう」

この辺りは町外れの郊外に位置しており、周りには人家がない。
時間的に道を行く人もなく、誰かに発見される可能性は極めて低いはずだ。
──つまり、この場で容赦する必要はない。

三月。春も近いこの季節の夜は、普段ならば少々肌寒いといった感じだろう。
だが、今俺があのブレザー男と対しているこの場は、真冬に逆戻りした感じの
空気が漂っている。
何故か? 俺には答えがすぐ分かる。俺の手から発散される凍気のせいだと。
──俺は右手に力を入れる。瞬間、ブレザー男の周りに、道路や工事現場などで
よく見かけるカラーコーン程の大きさの、先が鋭利に尖った氷柱が多数作り出される。
そして作り出すも消すも操るも全て俺次第のこの技を、俺はこう読んでいるのだ。

    アイシクルショット
「──『氷 柱 弾』!」


俺の右腕の手首だけが振り下ろされると、多数の氷柱が一斉にブレザー男に向かう。
48池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/16(日) 02:49:37 0
(訂正)
>俺はこう読んでいるのだ。×
>俺はこう呼んでいるのだ。○
49若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/03/16(日) 19:23:20 O
>>45
「きょう〜はあなたとらんでぶ〜 つめたいあなたとらんでぶ〜 ばにら まっちゃ すとろべり〜」

こよみは日課となった駅前のショップのアイスクリームをほおばりながら幸せにひたっていた。
「専門店は違うのです。舌触りが違うのです。」
しかしそれは常人には感じられない違和感のために絶望に変えられた…
「あ、あいすが…わたしのあいすが…」
アイスクリームはいきなり飛んできたふたりの男に仲良くひとつづつ落ちて彼等のスーツのしみになっていた。
少女は倒れた男を迷わず無視すると彼等の飛んできた方向にいる青年に向かって感情をぶつけだした
「らんでぶ〜のじゃまはだめなのです。お兄さんが変なことしたからわたしのあいすがだめになったのです」

何故わかる…
その場にいた人間はみなそう思った…
力の存在を何の疑問もなく受け入れた少女は何者か…
青年が力を使ったのを何故わかったのか…
疑問が解決しないまま少女は新たな感情を爆発させた
「ひぃぐっ、うえぇぇぇぇん、そこのお兄ちゃんが変なことしたぁぁぁぁ。そこのお兄ちゃんに変なことされたぁぁぁぁぁ」
50七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/16(日) 21:23:17 0
名前:七重 凌司
二つ名:戦闘中枢(アトミックバーサーカー)
年齢: 20代前半(自分では数えていない)
身長: 174cm
体重: 81kg
種族: 人間
職業: ストリートファイター(ニート)
性別: 男
能力:身体能力強化(名称無し)
容姿: 油っぽい髪/顔色が悪い/服は大抵黒
趣味: 睡眠による体力の充実
好きなもの: うまいめし
嫌いなもの: 闘争心のない奴
キャラ解説:
高名な武道家である父の下に生まれ、幼い頃から格闘技を教えられながら育つ
高校生の時分、からんできた不良を殴り殺してしまったことで、殺傷本能が覚醒
その後右折左曲あり、家出して上京。ストリートファイトの賞金で食い扶持を繋ぐ
格闘家崩れや凶悪な不良グループとの修羅場を経て、「脳のリミッター」を解除できるようになった
リミッターを解除した七重の肉体は、常人のそれを陵駕し、獣となる
51七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/16(日) 22:24:40 0
七重は冷めていた。少しの火照りもない自分の身体に、苛つきさえ感じていた
現在対峙している、今日のストリートファイトの相手―― 加藤と名乗ったようだが――
その男の繰り出す、突き、蹴り。とかく、自分に向けられたあらゆる攻撃手段
それらの全てが、七重にとってはひどく幼稚に見えた
言ってしまえば、そう、「止まって見える」。書いて字の如くにである
生活の全てを闘争に向けてきた七重にとって、
恐らく趣味で格闘技を続けているであろう加藤氏の攻撃をかわすのは、朝飯前のぶぶ漬けであった

加藤の攻撃は空を切り続ける。当たらない
踏み込みが足りないのか、腰が据わっていないのか
昨日、調子に乗ってラーメンを食いすぎた所為なのか
それとも、いつかスクーターで轢いた猫の祟りなのか
加藤はひたすら、自身の鈍りの原因を探す
焦燥感。それが更に、己が拳の精度を落とさせる
もはや加藤は、何がなにやら、訳も分からず四肢を振り乱していた

ギャラリーの視線までもが冷たくなってきた頃、七重は見切りをつけた
加藤が自棄気味に放った右の正拳を、左手で柔らかく受け止める
間髪入れず、神速の足払い。ひゅう、と風が鳴る
七重の右脚は鞭のようにしなり、加藤の足元を巻き込んで唸った
加藤、斧で根元を抉られた大木の如く身を崩す
七重、加藤の右手を解放する

一瞬の出来事。ギャラリーの目が、熱気を帯びて輝いた
その視線に感づいた七重は、少しだけほくそ笑む
――この分なら、今日の稼ぎは思いのほか良いかもしれない
しばらくは、まともな食事にありつけるのかも
そんな輝かしい未来を想像し、七重の心は高揚した
そうだ。一刻も早く加藤氏をノックアウトし、この慢性的な空腹を満たすのだ

七重の右腕は加速した
地を擦るような超低空のアッパーカットが、片膝をついている加藤の顎を打ち抜いた
ゴン、という、骨と骨がぶつかり合う音が響く
加藤は、自尊心と顎骨を無残に砕かれ、成すがまま宙に舞った

振り抜いた右手をそのまま天に向け、七重は仁王立ちとなる
――勝利者のポーズ
52七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/16(日) 23:06:02 0
七重が突き出すダンボール箱には、しゃなりしゃなりと金が入れられた
今日のギャラリーは数こそ少ないものの、中々気前の良いやつが混じっているらしい
コインのカチ合う音が控えめ。それ即ち、紙幣が多い証拠である

しばらくして、ギャラリーは表通りに帰る
七重はダンボール箱の中身を丹念に確認する
敗者である加藤は、仰向けのまま失神し、運命に身を委ねる
肝心の闘争が終わってしまえば、「戦場」に集っていた似たもの同士たちは
もはや互いに興味を持ち得ないのであった

賞金に満足した七重は、ダンボール箱をかかえ
加藤氏にお別れの蹴りを見舞い、「戦場」たる裏通りを後にする
ケンカのあとはメシ。七重の中ではそう決まっている
すぐにでも最寄のファミレスに転がり込もうとした矢先――

>「ひぃぐっ、うえぇぇぇぇん、そこのお兄ちゃんが変なことしたぁぁぁぁ。そこのお兄ちゃんに変なことされたぁぁぁぁぁ」

街道に響く少女の叫号が、七重の鼓膜を激しく刺激する
しかし今の七重にとって、少女の悲劇も、変なお兄ちゃんも、全くの問題外であった
何せ自分は空腹なのだ。他人の事など知る由もない
しかし、よほど面白いことになりそうなら、ちょっと頭を突っ込んでみるか――
などと考えつつ、七重は哀れな少女に背を向け、希望の一歩を踏み出した
53ここでネタ振り:2008/03/18(火) 00:34:12 O
能力者たちの携帯に1通のメールが舞い込む。

差出人:nameless
題:『異能者』諸君へ
本文:諸君がこのメールを開いた時、身体の一部に異様な疼きを感じたはずだ。
  それはカウントダウン。宣告しよう。これより72時間後、諸君らの能力は『暴発』する。
  これを阻止する手段は一つ。同じ異能者と『闘い』、そして力を『奪う』ことだ。
  この町にはおよそ100人の異能者が住んでいる。
  勝てばその者の能力は3分の1増し、力を奪われたものは死にはしないが、能力の効果が3分の1減る。
  3回負ければ能力は消滅し、その肉体もろとも滅び去ることになる…。
  一度負けてもそのあと一度勝てば能力は回復するが、それだけでは『暴発』は食い止められない。
  助かる方法はひとつ。
  72時間後の時点で、自分の能力を『2倍』にせよ。
  
戦わなければ生き残れない。――これは異能者の運命だ。

それではバトルロイヤル――――――スタートだ。
54高山 宗太郎 ◆qoMMxchlEo :2008/03/18(火) 13:55:45 0
 膨大な火焔が白煙へ姿を変えた時、俺は即座に身構えた。
 単純なことだ。火が煙と共に姿を消すのは、「鎮火」されたということだからだ。
 恐らく能力は氷……白の向こうで冷酷な視線をよこすアイツにはとても似合っていると感じた。

 奴は目を数度動かした後、
「お前には、死んでもらう」
 ――死刑宣告。分かっていた。こんな場面を見られては、生かしておく訳にはいかないだろう。

 恐ろしいのは、報復としての殺人ではないということだ。
 奴にとっては、殺人はあくまで必要論に基づくものらしい。要るか、要らぬか。それだけだ。
 ふざけるなよ……殺人罪は立派な犯罪だぜ。あのおっちゃん、こんな奴に襲われてよく助かったな。

 息が白い。
 気温が急激に下がっている……? ……ブレザーを着ていて良かった。
 多少の寒さは凌げている。これで夏服だったらと思うと、文字通り背筋がぞっとする。

 ……いやな間が続く。
 緊張状態だ。身体が凍り付いたような感触。能力は、まだ完全には発動していない。
 だがスタンバイはOK。いつでも行ける――さあ、来るか――いつだ――どこで――

 奴の手首が動いた。
55高山 宗太郎 ◆qoMMxchlEo :2008/03/18(火) 13:58:04 0
    アイシクルショット
「──『氷 柱 弾』!」

 その瞬間、俺は全身に火焔を纏わす。
 俺の能力『ブレイブハート』は、この状態になって初めて満足に行使できると言っていい。
 体温が上昇する。この場を占める冷気と負けず劣らずの熱気を放つ。さあ……行くぞ!!

 先の尖った氷塊が次々に俺へと迫る。真正面から砕くか? 駄目だ、抉られる。
 なら直接じゃなくて、間接的にならどうだ……!! 俺は拳を、氷柱に向かって振り抜く。
 ……しかし、到底届く間合いじゃない。だが、拳から炎の塊が放たれ、氷を粉砕する。

 『ヒートフィスト』。俺が最初に編み出した技だ。
 連続して炎の塊を放ち、氷柱をことごとく砕く、砕く、砕く。……だが、キリがない。
 奴に行動を起こさせる前に、こっちが動かねえと……万が一逃げられたらどうしようもない!

 ――一か八か。何、どうとでもなる。一応、俺は火焔に包まれてんだしな。
 殺傷力はある程度緩和されるだろう……無傷じゃすまねえだろうが。だが、これ以外に思いつかねえ。
 男は度胸……何でもやってみるもんだ……やれ、今だ!!

「うおおおぉおおぉおお!!! 『バーニングレンジ』ィイイイッッ!!!」

 身体の火力を倍増させ、氷柱の群に突入する。
 ある程度拳で氷を薙ぎ払うものの、やはり全部という訳にはいかず、幾つかは俺の身体を切り裂く。
 だが致命傷は今のところねえ……だが、続くとは限らねえ。なら全速力、捕まえる!!

 足を速める。もう少しだ、もう少しで間合いだ……よし、ここだ。
 拳が青く光る。知っての通り、炎は火力が増すと赤から青へと変色する。もう一段階あるんだけどな。
 これならそう易々と防がれる訳はねえってことだ。さあ覚悟しろ、おっちゃんに土下座してもらうぜ!!

「らぁぁぁあぁあああッ!!! 『ペイルイフリー――」

 ――――。
 …………。
 動きが止まる。

ピリリリ、ピリリリ。

 メールの着信音。
 ……くそ……何か、おかしい。身体に、違和感だ。これはなんだ。
 明らかに介入が入った……俺は拳を打ち出した状態のまま、固まらざるを得なかった。




 ――全ては、ここから始まった。
56名無しになりきれ:2008/03/18(火) 19:22:10 0
熱血系主人公:高山
クールなライバル:池上
でうまくはまってるな。能力も対照的だし。
57名無しになりきれ:2008/03/18(火) 20:41:08 O
うまいな
58池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/19(水) 02:19:02 0
>>55
──火炎で防いだ。やはりこの男の能力、炎を操るのか。
俺の能力は氷を操る能力。炎は氷を消し、氷は炎を消す。
つまり、この二つは互いの技を無力化するもっとも対極に位置する能力といえるだろう。
本来この能力を持つ者同士が戦えば、互いに決着を見ることはほぼあるまい。
──だが。

……見ろ、どうだ。
一見、俺の放った氷柱弾を見事正確な力で砕いているように見えるが、
俺には一つ一つに放たれる炎の威力にはバラつきがあるのが分かる。
そして直ぐに確信した。どうやら能力を完璧に使いこなしているわけではない。
恐らく俺とは違い後天的、しかもつい最近になって能力に目覚めたばかりの
荒削りな"初心者"なのだろうと。

それはすなわち、俺と奴とでは異能者として絶対的な"経験の差"がある事を意味している。
そしてその差が──

>「うおおおぉおおぉおお!!! 『バーニングレンジ』ィイイイッッ!!!」

「決着がつかぬはずの我々に勝利と敗北を与えることになる」

──炎の熱を上げ、こちらに突っ込んできたか。
これまでにない灼熱の炎だということは、離れていても肌で感じられる。
俺は再び右腕の手首だけを動かす。合図を受けた空中に浮遊する氷柱弾が
ブレザー男に向かうが、奴の灼熱の炎の前に多くは消えてしまう。
もっとも、氷柱弾だけで倒せるとはこちらも最初から思ってはいないので
動じることはない。
59池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/19(水) 02:29:26 0
奴はイノシシのように真っ直ぐこちらに向かってくる。
──奴の拳に纏う炎の色が変わる? なるほど、どうやら奴の近距離型の必殺技か。
遠隔攻撃ではこちらが不利、だが近距離では負けない、大方そう思ったのだろう、が
──甘いな。

>「らぁぁぁあぁあああッ!!! 『ペイルイフリー――」

──ふん。
(ブルルル ブルルル)
────ッ!

>ピリリリ、ピリリリ。

……携帯の着信音? あのブレザー男から?
いや、それだけじゃない、俺の携帯も鳴っている。
俺の携帯は常にバイブに設定してある。奴の携帯に着信音が鳴ると同時に
俺のズボンの右ポケットに入っている携帯もブルブル震えだしたのだ。

ブレザー男はこちらに拳を向けたまま硬直している。
携帯など無視して、隙だらけの奴に致命傷の一撃を与えてもよかった。
いや、与えるべきだったのだ。しかし……そう、何故だろうか……
俺は何を思ったか、真後ろに高くジャンプし、再び間合いを取った。

「……ゴングに救われたな」

俺の能力を知った者は必ず消す──。俺はこれまで、自らの決まりを忠実に守ってきた。
定めたターゲットを次の日まで生かしておいたことは一度もない。
しかし──。

「……次に会う時、それがお前の命日だ」

俺は自分でも驚くことを言い、くるりと後ろを振り返り自宅を目指して歩き出した。
走らなかったのは、自然と奴は追いかけてこないような、そんな気がしたからだ。

ポケットに入れた右手の指先が携帯に当たる。
先程の着信が気になっても、今は確かめる気にはならなかった。
何故、どうして。俺の頭の中は、しばらくこの言葉で埋め尽くされていたから。
60名無しになりきれ:2008/03/20(木) 22:47:59 O
期待age
61名無しになりきれ:2008/03/21(金) 01:33:37 O
入りたいがもう追いつけないだろうage
62名無しになりきれ:2008/03/21(金) 01:35:41 0
グループで戦うのか、個人個人で戦うのか決めたほうがいいと思うんだ。
63名無しになりきれ:2008/03/21(金) 02:10:57 O
話の展開次第で各自が臨機応変に対処すればいいのでは?

>>61
追いつけないかな?
やっと話が始まったばかりだと思うが。
64名無しになりきれ:2008/03/21(金) 07:58:57 O
参加

名前:桐北 修貴 キリキタ シュウキ
二つ名:轟雷工作室[ライトニングファクトリー]
年齢:19
身長:179cm
体重:71kg
種族:人間(自称化け物)
職業:一浪して高校生
性別:男
能力:電撃を出すことができ、体を動かしたり摩擦を起したりすると電力が強くなる
容姿:中肉中背で白い短髪
趣味:飼い猫とじゃれること、マンガやゲーム、釣り
好きなもの:バラエティ番組 特売品
嫌いなもの:トマト 乱暴な奴
キャラ解説:肝試しで入った廃工場で『何か』に出会い能力を発現する(髪はこの時白くなった)
この時一緒にいた友人数名が『何か』に襲われ学校はこれを修貴のせいにして1年近い停学を受け家も勘当される
現在は母親から密かに貰う仕送りとアルバイトで一人暮らし
そのため金銭にはやたらうるさく物事を損得で考えるが本当に困ってる人がいると
結局ほっておけない甘い人物
家には朝、昼、夕と名付けた3匹の猫がいる

何かに被ってても勘弁w
65神野 屡霞 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/21(金) 20:59:45 0
参加

名前:神野 屡霞(かんの るか)
二つ名:幻想鋼刃(ブレイドミラージュ)
年齢: 19
身長: 172
体重: 53kg
種族: 人間(今の所は)
職業: 大学生
性別: 女
能力: 妖刀“禍ノ紅(まがのくれない)”の力を増幅し、あらゆる攻撃を見切る第三の目を得、実体のないものさえ断ち切る、研ぎ澄まされた刃を放つ。
容姿:スラリとしたモデル体形の美女で、腰まで伸びる黒髪。タートルネックセーターで隠しているが、首には双頭の蛇の刺青が巻きつくように刻まれている。
趣味: 筋トレ及び剣道を始めとした武術全般
好きなもの: ステーキと豚カツ。
嫌いなもの: 見掛け倒しの男
キャラ解説: 武家口調で話す。その言動は相手を突き放し、決して自分の心に触れさせようとしない。
生まれつき霊力が強く、そのせいで下級の妖怪や下種な人間達に狙われ、身の回りで怪現象が頻発したために、
幼い頃から友達がおらず、それ故に感情を表に出すことが苦手で、常に仏頂面を浮かべている。
禍ノ紅に体を貸し与えることで、能力を完全に引き出すことが出来るが、強者を切り殺すことのみを喜びとするバーサーカーとなり、禍ノ紅が満足するまで体を乗っ取られてしまう。
また、禍ノ紅の影響で魂が変調を来しており、定期的に殺人衝動に襲われる。
禍ノ紅:
鮮血の色をした刀身を持つ、意思を持った刀。屡霞の実家で封印されていた。自分の体が敵を切り裂き、血に濡れてゆくのを何よりも快感とする。
楓を護る力になる代わりに、全ての敵を彼を用いて切り殺すと言う契約を交わしている。楓の首にある刺青は契約の証。
両親にすら心を閉ざす楓にとって、唯一の話し相手だが、いつか楓の体を完全に乗っ取り、自由を手に入れようと考えている。
血を吸う事で切れ味を増すが、長く血を吸わないでいると刀身が錆びてしまう。

少々男に偏った比率だな。私も参加させてもらうとしよう。
66神野 屡霞 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/21(金) 21:15:23 0
 戦闘が終わって少しぐらいの時間は経っている筈だというのに、これほどの闘気を残すとは、並みの使い手ではない。
 異能力者というのは確実だ。この街には自分のほかに、少なくとも二人の『目を持ちし者』がいるという訳だ。
 敵か味方なのか……、これほどの使い手だ。さぞかし楽しい戦いを繰り広げることが出来るだろうな――。
 そう思いかけ、屡霞は慌てて首を振る。禍ノ紅に毒されてきたらしい。いつの間にか戦闘を楽しみだしている。
 この闘気を残していった相手たちと剣を交える想像をすると、胸が躍ってしまうのだ。
「帰るぞ。これ以上ここにいたら、衝動を抑えられなくなる」
 胸の内から湧き上がってくる人を切りたいという衝動を抑えながら、屡霞はその場所に背を向け、立ち去ろうとした。
 だがそこへ――
67神野 屡霞 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/21(金) 21:16:56 0
>>66
順番を間違えた。これから続く
―――――――――

「何だ……。この奇妙な感覚は…。私と……同じような力なのか?」
 大学からの帰り道、胸をざわつかせる“何か”を感じた。禍ノ紅からの呼びかけや、第三の目によって感じるビジョンとも違う。
 肌を通して感じる振動に、腕には鳥肌が立ち、目指すべき方向を感じる。屡霞はその方向へと向かって、暗い路地裏に足を踏み入れ、走っていく。
 この先で、何か巨大な力と力がぶつかり合っている様な、そんなイメージが頭に浮かび、その証拠とばかりに、近づいていくほど力のぶつかり合いの衝撃をビリビリと感じた。
 異能力を持つ者にしか分からない、第六感が働いていた。
(ヒャハハハッ、この先にでけぇ力を感じるぜー。俺たちの敵であってくれよぉ……早く切り殺したいぜ)
「五月蝿い黙っていろ。確かめに行くだけだ。私と同じ異能力者が、この街にどれだけいるのかをな……」
 竹刀の袋に入れて背負い、カモフラージュさせている禍ノ紅が、頭の中に語りかけてくる。
 刀を持ち歩いている限り、耳をふさいでも聞こえてくる声は、非常に鬱陶しい。
 その声が目標への意識の集中を鈍らせたのか、不意にぶつかり合いが止まったのを感じるのが、一瞬遅れてしまう。
 そして、戦いの構えを解いたらしき力たちは、徐々に小さくなっていく。
(おい! このままじゃ見失っちまうぞ! 急ぎやがれ!!)
「そんな事は分かっている!」
 大地を踏みしめる脚に意識を集中させ、力を溜めると一気に飛び上がる。
 三角飛びの要領でビルとビルの間を上がって行き、屋上へとたどり着く。
 ビルの上を飛び移りながら進めば、迂回せずに目的地へ直進できた。
 アニメや特撮に登場する忍者のように、ビルからビルへと飛び移り、人間業とは思えない身の軽さで、今まで戦いの起こっていた場所へ向かった。
 しかし――
「もう戦いの終わった後か。私達の感じていたのは、戦闘の残り香という訳か……」
(チッ。てめぇがチンタラしてるからだぜぇ!)
68神野 屡霞 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/21(金) 21:20:22 0
続き
>>35
 こちらへ向かってくる足音を感じた。足音から2人〜3人だということが分かる。
 一般人にしては足音が用心深すぎる。――奴らだ。
「神野 屡霞だな。一緒に来て貰おう」
 屡霞の背後に立っていたのは、二人組みの黒服の男だ。以前にも似たような刺客が送られてきたことがあった。
 彼女は「フンッ」と鼻で笑うと、禍ノ紅を袋から取り出し、居合いのような姿勢で腰元に構える。
「それが答えという訳か? ならばこちらも相応の手段に出よう」
 片方の男がそういうと、懐から拳銃をとりだす。なるほど。所詮は一般人だ。拳銃程度の武器で買った気になっている。
 屡霞はまた鼻で笑った。無表情を貫いていた男達の顔に、明らかな怒りの色が混じる。
 そして彼女の方へ拳銃を向けた。「生かして連れ帰れとは言われていない!!」
――パァンッ! パァンッ!!
 銃声が響く直前、屡霞は目をつぶった。第三の目で物を見るとき、肉眼の映像など返って邪魔になる。
 目蓋を閉じていようが、向かってくる銃弾の姿が手に取るように分かる。全てがスローモーションだった。
 そして向かってくる銃弾の間をすり抜け、男達へ向かって走る。
「は、速いッ!?」
「お前達が遅いんだ……」
 勝負は一瞬だった。発砲した次の瞬間には、男達の背後に無傷の屡霞が経っている。
「部下を死地に送り込むとは、お前達の上司は酷い奴だな……」
「何をっ!……おぉ?」
 屡霞の方へ振り向いた男達の体に異変が起こる。彼女から見て右側の男は、振り向いた勢いで首がポロリと取れ、真っ赤な血飛沫が上がった。
 もう一人の男は、頭の中ほどからがずり落ち始め、地面にぽとりと落ちる。
 絶命した二人の男は、折り重なるように地面に倒れ込んだ。屡霞はそこへ近寄ると、男達の体に禍ノ紅を突き刺す。
「しばらく人の血は吸えんぞ。今のうちに味わっておけ」
(そうさせてもらうぜ。若い姉ちゃんの血が一番だが、文句は言えねぇ)
 赤い刀身が血を啜ると、男達の死体はみるみる内に痩せ細っていき、ついにはカラカラのミイラなってしまう。
 吸わせる血も無くなったところで、屡霞は禍ノ紅を鞘に収め、袋にしまうと、歩いてその場を立ち去っていった。
 人切りの衝動を癒すことのできた、満足感の笑みを浮かべながら。


今日の分は終わり
69桐北 修貴:2008/03/21(金) 21:47:48 O
確かに自分には変な能力がある
嫌がらせレベルから傷害レベルまで自由自在に電気を出せる人外な力
会得したのは大体1年前 あの事はあんまり思い出したくない
とにかく、自分は普通じゃないし多分化物の部類なんだろう
だが別に日常で使うことはないし今も普通に生活出来てる このまま平和なら一番良い事だ

「だから… こんな事言われる、筋合い無いんだよなぁ…」
空が暁に静かに染まってきた頃の公立高校
桐北修貴は教室窓際の席でうなだれていた
原因は朝確認した意味不明なメール>>53
不幸のメール辺りと処理したかったが[異能者]というフレーズと朝から収まらない偏頭痛が妙に気になった
当然勉強など身に入らなく彼のノートは真っ白だ

「大体戦う運命ってナニ? 喧嘩なんかしたことないつぅの…」
「君は本当に携帯が好きなんだね〜」
「……………………うげ」

頭痛くて気付かなかったが振り返ると6時限目の化学教師が笑顔で席の前に立っていた

教師「いいんだよ〜 卒業したくなかったらどんどんいじっていいし、学校に来なくてもいいんだからね〜」

チッ、 こいつは…
停学喰らった途端ネチこくなりやがって
前言撤回、日常で能力は使う

「…すみませんでした」
教師「…フンッ」
頭を下げるついでに軽く手に触る
特に気にすることなく先行は教卓に戻っていった
計画通り



「うおおぉぉぉ!!?」
数分後教室は爆笑の嵐に包まれた
いきなり教師の髪の毛が浮き上がったのである
まるで静電気で浮く鈴蘭テープのように

生徒1「お前ヅラだったのかよー!」
生徒2「キャハハ! 写メ写メ!」
教師「止めろ騒ぐな! きょ、今日の授業はここまでだ!」
茹で蛸のみたいに真っ赤な顔で必死にヅラをつかみを先行は教室を飛び出した
ククク… ざまーみろつうの…


友人1「あー面白かったな! 海月みてーにフワフワと」
友人2「でもなんであぁなったんだろうね? 普通じゃないよね…」
友人1「いんじゃねぇ、細けぇことは〜
おっそうだ桐北! このままのテンションでカラオケ行かね?」
『わりぃ、今日バイトなんだわ』
友人2「そっか〜、じゃね修貴君!」

友達の誘いを断り自分は足早に学校を出た
このままならファミレスのバイト早めにいけるかもな、設けるチャンス!

けど、最近あそこら辺の道端で喧嘩ふっかけるヤバイ奴がいるらしいからなぁ
そろそろ辞め時かなぁ…
70桐北 修貴:2008/03/21(金) 22:30:32 O
>>35
何故自分はこんなあからさまにヤバイ人に話しかけられてるんだろう……
近道のためにこんな所入ったのがヤバかったのだろうか…
そこで失神してる男をほっといたのがいけないのか? だってメリットないし…
「あの〜、あな「余計な詮索はしない方がいい」………」
黒いトレンチコートに目深帽に路地裏の行き止まりで追い込まれ、多分絶対絶命
しばらく沈黙してると相手はおもむろに手帳を出し
「桐北修貴 ××高校3年 1年2ヶ月7日前廃工場で『奴』を視て能力者となる」
「んなっ! なんでんな事!」
自分の事を言い当てた つかなんで能力の事知ってんだ!?
聞きたいことは富士山並だが詮索は禁じられている
「………何が目的?」
「話が早くていい 安心したまえ今日は助言をしに来ただけだ」
「…?」

「君は異能者でありながら余りに『普通』過ぎる」
「!! 別に良いんじゃないですか? 俺は普通に生きたいですよ」
男の助言は虫ずが走るものだった 好きで得た力じゃないのに
だが今まで静かに対応していたこいつは俺の返事を聞くや豹変した
「普通に生きたい? クックック…
アッハハハハハハハハハハハハ!! 何言ってやがる化け物の癖に!
いいか、テメーに拒否権はない! 朝届いたメールあれはマジだ 消えたくないならテメーの『普通』は諦めるんだなぁ」
普段ならキレていただろう だが自分は動かなかった
怖かった 魂の底から目の前の怪物に恐怖していた
「まぁ、急がなくても直ぐに会えるさ… 君のお友達、能力者にね…」
狂ったように大笑いした後男はそう言い残し消えた
自分は畏怖から解放され動けるようになったのはバイトの時間ギリギリだった…
71廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/22(土) 01:30:53 0
上手く状況説明とか出来ないかもしれないけど、参加してみる。

名前:廻間 統時(はざま とうじ)
二つ名:月下十字(ギルティサーベル)
年齢:16
身長:172センチ
体重:70キロ
種族:人間
職業:高校生
性別:男
能力:夜間時のみ凄まじい切れ味を誇る双剣を形成することが出来て、戦闘能力を倍化させる。
剣の質と戦闘能力は月の満ち欠けに比例し満月時は空間さえ斬り裂くが、新月時はただの丈夫なナイフになる。
ただ、新月時でも剣は決して壊れる事は無い。
容姿:平均以上で黒い短髪。目つきが悪い。
趣味:ゲーセン巡り 友人とのメール
好きなもの:ざるそば
嫌いなもの:昆虫全般
キャラ解説:10年前に、いきなり能力に目覚める。
目覚めてからは親戚の高名な武術家の下で修行を行い、常識を逸脱する身体能力を身につけた。
その際に親戚から
「似たような能力者が何人もいて、いずれそのもの達戦う事になるだろう」と
聞かされたので戦う事に躊躇いは無い。
関係の無い人間は戦いに巻き込みたくないという考えを持っている。
72廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/22(土) 01:32:47 0
「じゃあな、統時」
「おぉ、また来週な」

俺の名前は狭間統時。
時を統べる、なんてご大層な名前をしているがただの何処にでもいそうな高校生だ。
…ただ一つだけ持っている、魔法のような特殊能力を除いては。

 ギルティ サーベル
『月下 十字』

これは俺の能力の一つで、双剣…というよりは双刃を作り出す能力。
戦いとは無縁な、普段の学園生活じゃなんの役にも立たねぇ。
せいぜい包丁代わりに使うぐらいだが
過去に一回まな板ごと材料を叩き斬ってからは、まったくと言っていいほど使わなくなっちまった。
使わなくなったと言っても体がなまっちゃあ困っから、毎日の鍛錬は欠かさずにしてたんだけどよ。
そして昨日の夜に来た>>53のメールと、胸の疼き…
このメールが誰から来たのかなんて、多分誰も知らないんだろうな。
…俺と同じような能力者が、この町に100人いる…
これが意味することは、もう日常には戻れないって事だ。
師匠、アンタはこの事を何度も言ってましたよね。どーやら今がその時みたいです。
見ててください、絶対に無様な戦いはしませんから。
73廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/22(土) 01:35:18 0
>>35
物思いに耽りながら、俺は夜の路地を歩いていた。
そんな時、後ろで「ジャリ…」という音が聞こえた。

「ん、誰かいるのか?」

俺は後ろを振り返る。そこには先ほど別れたはずの友人がいた。

「なんだぁ?お前、こんなところで…」

…いや、待て。何かおかしい。
友人の目がひどく虚ろに見える。まさに心ここにあらずといった感じだ…
それに動きも変だ。何であんなにふらふらしている?
アイツはもっとビシッとしたやつだ。あんな動きをするなんて絶対におかしい…
…何があった?

「…おい、一体なにがあ…」

その時、いきなり友人が俺に向かって「跳んだ」。

「なっ!?」

俺はとっさに鞄で我が身を守る。
だが、常人を逸脱したその力に俺の鞄は弾き飛ばされちまった。
鞄を失い身を守る手段を失った俺は、とにかく身を屈めたり後ろに飛び退いたりと回避に専念する。
そして、次の瞬間俺は信じられない物を目撃したのだった。

バゴォッ!

「ゲッ」

友人の一撃が直撃したコンクリートの壁が、粉々になりやがった。

    ギルティ サーベル
『………月下 十字!』

俺はこのまま逃げ切れるものではないと判断し、能力を解放する。
月は上弦、雲は無し。
この条件で作られる刃は…長さ60センチ程度の太刀!

「峰打ちで…済ませるッ!」

一閃…簡単に言えばただの速さと正確さが乗った一撃。
だがそれ故に、強力。素人に見切れるモンじゃあない…
その一撃に、友人はドサリと膝から崩れ去った。

「…ったく、冗談じゃねえゼ」

友人はこんなことをする人間じゃあない…となれば、友人は操られたと判断するのが妥当か…
何もおかしいところは無い、何故なら操っていたのは恐らく能力者なのだから。
俺はこれからの戦いを想像し、ため息を付いてから帰路についたのだった。
…あ、やべ。アイツのこと忘れてた。
74国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/03/22(土) 02:02:45 0
名前:国崎シロウ(くにさき しろう)
二つ名:贄(ウロボロス)
年齢: 32
身長: 179
体重: 63kg
種族: 人間
職業: 薬剤師
性別: 男
能力: 自身の体の一部(血液など)を摂取する事で、身体能力・再生力が増大する特異体質。
   また、他人に自身の任意で体液を与える事により、与えた人物をある程度回復させる事が出来る
容姿:普段着の上からよれよれの白衣を着込み、タバコ(吸ってはいない)を咥えた男性。
黒の短髪で、それなりにがっしりした体付きをしており、しっかりキめれば割りといい男に見える。
背中に大きな火傷跡がある。
趣味: 草野球、料理、 世話焼き
好きなもの: 健康、和食、子供
嫌いなもの: 女子供の涙、無謀
キャラ解説: 幼い頃クーデターで今は無くなった某国に拉致され、そこで行われた
人体実験によって能力を得た。国が有った頃は人間兵器として、国が無くなってからは
傭兵として生きてきており、生死の境で磨き上げられた戦闘技巧は、達人のそれに匹敵している。
 ある時、仕事を探して祖国であるこの国を訪れ、そこで出会った幾つかの出会いが彼を人間にした。
それからは裏の社会からは手を引き、人体実験時代に詰め込まれた知識で薬剤師免許を取り、
気さくな薬屋の店長として平々凡々な毎日を楽しんでいる。
尚、贄(ウロボロス)の二つ名は今尚裏社会で恐怖の代名詞となっている。
75国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/03/22(土) 02:05:17 0
「あー……暇だ」
椅子に座り、カウンターの上にだらしなく突っ伏しながら声を漏らす。
顔を少し上げ時計を見ると、もうとうに午後を回っていた。

今日は朝から客足が遠い。いや、遠いというか、まだ一人も来てない。
別に普段から客が多いというわけではないが、それでも今日の客足の遠さは以上だ。
「おっかしいな……朝テレビで見た占い、2位だったのによ……はぁ」
一瞬、近所のガキ共の草野球に混ざってくるかなどとも思ったが、その間に客が来たら
目も当てられない。薬局は医者と違って商品が売れなかったら潰れるのだ。
だから、再度ため息を着きつつ姿勢を戻し、新聞を広げる。ちなみに、新聞はこれで4週目だ。

>>35
と、店のドアが開き何人か人が入ってきた。
「……ん? おう、いらっしゃい。4人連れか?」
俺は、新聞を読みながら接客する。入ってきた3人の人間が息を飲むのが聞こえた。
どうも、俺が店の前で待機しているもう一人の存在を言い当てた事に驚いたらしい。
男達は、スペイン語で少し言葉を交わした後、一人が俺に話しかけてきた。
「流石はあの贄(ウロボロス)だな」
「……うろぼろすぅ?何の事だよ。俺はただのカッコイイ薬屋の店長だぜ?」
新聞をめくりながら答える。男は、少し眉を顰めつつも構わず続ける。
「話がある。我々に付いて来てもらおう」
「馬鹿か。表のドア見やがれ、まだ開店時間だろうが。つか、俺と話すより商品買えよ。
 売り上げ悪かったらおかずが一品減るだろうが」
「黙れ。貴様の意見は聞いていない」
そう言って、男は懐から拳銃を抜いて俺に突きつけた。
他の男達も銃を抜き、構えているようだ。
ため息を付く。罪という物はいつまでも付いてくる物なのだと再認する。。
俺は、4週目の新聞を読み終え、男達に目を向ける。
「……あのな、いきなり銃を押し付けるとかどこのスラムだよ。国を考えやがれ」
「黙れ、死にたいのか……な!?」
少し苛立った様子でそう言った男達の手の中に、既に銃は存在しなかった。
何故なら、それらは俺の目の前のカウンターに並べて有るのだから。
「探し物はこれか?」
「き、貴様!何をした!?」
「何って、物騒だし、普通にあんたらから取り上げたんだよ」
「馬鹿な!我々は貴様から注意を逸らしていない!」
男達は、混乱した様子だ。けど別に俺は嘘はいっていない。普通に取っただけだ。
少し、こいつらの死角を掻い潜って。
「っ!」
男が机の上の拳銃を取り返そうと手を延ばす。それと同時に外に待機していた男が
入ってきて拳銃を向けてきた。――が、その銃が撃たれる事は無かった。
男達が、どさどさと倒れる。
倒れた彼らの体には何本かの針が刺さっている。
そして、その針の射線上、薬棚の中には巧妙に隠した遠隔式の麻酔銃の銃身。
「お前らな、敵陣に踏み込むときは注意するってのは常識だろうが」
俺は銃の発射ボタンを放して、眠り込んだ彼等に呆れながら呟いた。

「……ったく、今日はやたらと銃声とか妙な気配がしやがるし、コレじゃあ商売あがったりだ」
76名無しになりきれ:2008/03/22(土) 13:56:49 0
豊作になってきたな。じゃあネタ振り


>>35よりも強めの上級戦闘員がコテ達襲い掛かる
(前回と同じ程度の強さと思って手加減して出した一撃を止められるくらいの)
77廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/22(土) 15:42:05 0
>>76
その時の俺はひどく不機嫌だった。
布団の中でのんびりと寝ていたのにも関わらず、謎の人物から襲撃を受け起されちまったからだ。
幸いにも操られた友人から襲撃を受けた事によって気が張り詰めていたので、俺は攻撃を避けることが出来た。
襲撃を仕掛けたそいつは全身黒尽くし、そしてへんな仮面と見るからに怪しい。
手にはナイフを持って殺気をムンムン出してやがる…どーやら俺を殺す気みてえだな。
…今の俺はひどく機嫌が悪ィ…人の睡眠を邪魔した事を地獄で後悔させてやらァ…!

ギルティ サーベル
(月下 十字)

心の中で能力名を呟き、太刀を出現させ片手に一本ずつ持つ。
月はそんなすぐに満ちたり欠けたりするもんじゃない。
そのため、太刀の大きさは先ほどと変わらなかった。

「峰打ちで気絶させてから…情報聞き出してやるッ」

どーせこいつは、操られて友人に少し毛の生えた程度の強さだろう。そう思っていた。
…しかし。

「んな!?」

俺の一撃は受け止められた。
凡人にとっては目にも止まらぬ速さの、俺の一撃が。

「チッ!」

不味い、本能的にそう悟って後ろに跳び間合いを空ける。
こいつ、中々やる…一閃はまだ未完成状態で一直線に相手に向かっていく技。
速ささえあるものの、コースさえ分かれば簡単に防ぐ事が出来る。

「だったら…こいつでどぉだぁ!!」

俺は左手の太刀を、ブーメランのように投げた。
投げられた太刀は回転しながら、敵の体目掛けて一直線に飛んでいく。

「!」

敵にとっては予想外の攻撃だったのだろう。
避けられたものの、目と注意が投げられた剣に釘付けだ。
…この隙を逃がすほど、俺はドシロートじゃねえ。
一呼吸で踏み込み間合いを詰める。敵がホントの目的に俺に気づくのは少し遅すぎた。
敵の背中目掛けて、渾身の力で刀を振り落とす。
振り落とされた刀は何の抵抗も無く吸い込まれ、敵は崩れ去った。

「ヘッヘ、フェイントブーメラン…ってね。峰だから安心しなよ」

俺は能力を解除し、刀を消す。
そして敵に近づきコイツがどこの誰かなのか、そして誰の命令で襲ってきたのか。
それを聞き出そうとした…その時。

パァン!

マスクが怪しく輝き敵の頭が吹き飛ぶ。部屋一面に脳漿と血飛沫が広がる。
マスクに何か細工でもされてたんだろうか?それとも、頭にバクダンでも仕込まれたのか?

「…すっかり目ェ覚めちまったよ…」

とにかくこんな状態じゃ、寝るどころか落ち着くことも出来ない。
俺はブツブツとボヤキながら、部屋と死体の片づけを開始したのだった。
78高山 宗太郎 ◆qoMMxchlEo :2008/03/22(土) 15:50:10 0
 ――顔を上げた時、奴の姿はなくなっていた。


 取り逃がした、と言うべきか。
 見逃された、と言うべきか。
 俺の初めての戦闘は、こうして訳の分からないまま幕を閉じた。

 斜陽は既に地平線の下へ退き、ただただ深い漆黒が空気を冷やす。
 肺の奥に凝り固まった息を吐き出すと、薄ら寒いものが背筋を走る。
 それが夜の冷気の所為だけではないことは、俺が一番よく知っていた。

『次に会う時、それがお前の命日だ』

 その一文字一文字が、俺から体温を奪っていく。
 炎はとうに消えていた。


 帰宅。就寝。
 メールのことも気がかりだが、それ以上に今日はもう休みたかった。

――――。
―――。
――。
79名無しになりきれ:2008/03/22(土) 16:00:16 0

80高山 宗太郎 ◆qoMMxchlEo :2008/03/22(土) 16:04:36 0
 ピリリリリリ

 …………。

 ピリリリリリ

 …………。

 ピリリリリリ

 ……分かった……起きる、起きるから……。


 枕元の携帯電話を手に取り、操作。
 空メールの着信音を止めると、小鳥の囀りが爽やかに耳へ飛び込んできた。
 1日の始まりとしては、比較的良い朝となったんじゃないか。そんなことを考えながら、俺は着替えに取りかかった。

 私立の制服ってのは、何でこう着るのが面倒くさいんだろうか。
 毎朝のように思ってることだ。だってそうだろ、公立のはワイシャツと学ランにズボンで終わりだぜ?
 こっちはワイシャツとネクタイ、ブレザー、ズボン、締めにベルト。靴下だって指定のものを履かなくちゃいけねえ。面倒ったらないぜ。

 とか言ってる間に着替え終わり。後は今日の時間割を確認して……。



 ――いや。
 カバンに伸ばしかけていた手をとどめる。
81高山 宗太郎 ◆qoMMxchlEo :2008/03/22(土) 16:11:36 0
 ……分かってるさ。このまま逃げてたら、また新たな犠牲者が出ちまうんだ。
 俺にはそれを止める使命がある。何故か、それは俺が止められる能力を持ってるからだ。
 そして何より、人が苦しんでる姿を見るのはゴメンだぜ……連続出席記録は、ちょっと惜しいけどな。



 そういえば、昨日。奴との戦闘の途中。
 確か、メールを着信したはずだ。枕元にほっぽってあった携帯電話を手に取り、内容を確認する。
 あの時、着信した瞬間、身体に感じた違和感からして……嫌な予感しかしねえけどな。



(>>53)


 ――――。
 流石に、絶句する。携帯電話が手から離れ、ベッドの上を面白い動きで跳ねた。
 意味が分からない。何だこれは。バトルロワイヤル? 一体、誰が、どうして。何故?


 ……いや、落ち着け。ただのイタズラかもしれねえんだ。
 これが本当なのかどうか確認しねえと始まらねえ。まずはそれからだろ。

 携帯電話を拾い上げ、パチッと閉じるとポケットにしまい込む。さあ、そろそろ行くか――。


>>76



 ――――――――嫌な音がした。ジュッ、と、ボコボコ、という音。
 気が付けば俺はフローリングの床に身を伏せていた。何かをかわしたようだった。
 鼻を捻り曲げるような刺激臭。視線を前に移すと、数cm先の壁の塗装がボロボロに剥がれ落ちていた。

 飛び起きるとすぐさま窓を開ける。思考を介さず身体が反射的に動いていた。
 さっきの刺激臭は人体に有害なガスだと踏んだからか? すぐに火球を作り、部屋の隅に浮遊させる。
 その直後、俺の部屋のドアが開く。男が入ってくる。成る程、ごついガスマスクをつけていた。
82高山 宗太郎 ◆qoMMxchlEo :2008/03/22(土) 16:27:00 0
「高山君、だね」


 くぐもった声。それ昨日も聴いたっつーの。もうちょっと捻り加えろよ、捻り。
 見たところ、ガスを溜め込めるようなものは見たところ持っていない。
 どうやらそういう能力を持っている、と考えた方がよさそうだ。

 動悸と呼吸音が、俺の脳を高ぶらせる。
 ドーパミン、だかなんだかが出ているみたいだ。奮っているのが自分でも分かる。
 あんなガスを身体に受けちまったら、ただじゃすまないどころか致命傷だろう。恐怖が麻痺しているようだった。

 マスク越しでもよく分かる男の眼光。昨日の奴とは違う。殺気がない。
 日常の何気ない1コマと言わんばかりに穏やかだ。それが異常だった。俺を殺そうとしているのに。

 背中に感触。窓際まで足が下がったみたいだ。俺は男の挙動に細心の注意を払う。
 異能者は能力を発動する時、何らかの動作をすることが多いと踏んでいる。スイッチみたいなもんだ。
 それを見極めさえすれば、どのタイミングで攻撃が来るかは――。



 男が指を鳴らした。


「うおぉおおぉおおおッ!!!!」

 次の瞬間、俺は窓から飛び出す。ここは2階だ、気を付ければそう大けがを負うこともないだろう。
 数秒の間を置いて着地。右の足裏に少し鋭い痛み。石でも踏んだか、いや、大したことなさそうだ。

 直後、爆発音――見上げると、俺の部屋の窓から出た黒煙が青空を汚していた。


「……やった、のか?」

 尻に冷たい感触。膝から力が抜けて尻餅をついたらしい。
 火球が功を奏した、と考えていいみたいだ。ガスが引火性だったのは僥倖だった。
 溜息。命は助かったらしい。1分にも満たなかったろう時間が、ここまで重いとは思わなかった。
 
 ふと俺は携帯電話を開き、先程のメールを見る。


 このメールを信じるなら、これで3分の1ってことか。後2人――。
 ……ふざけんな。ふつふつと血液が熱を上げる。許しちゃならねえ、こんなこと。
 俺は運が良かったから助かった。じゃ運が悪い奴らは? いきなり理不尽にやられろってのか、冗談じゃない!!

 必ず首謀者を引きずり出す。
 俺はこんなの、認めねえぞ。



 どうやら野次馬が集まってきたらしい、周りはもう喧噪で溢れかえっていた。
 人混みをかき分け辿り着いた近くの自動販売機で、俺は少し泣くことにした。



[強化戦闘員(能力あり)と交戦]
[勝利。3分の1能力キャパシティ増加]
83七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/22(土) 18:38:41 0
路上の喧騒を突き破って、黒電話の呼び出し音みたようなものが鳴り響いた
出処は、七重のポケットに鎮座する携帯電話である
電話着信――ではない。メールの受信音だ
持ち主である七重にそう設定されたとは言え、
メール受信の度に、電話の為の着信音を鳴らされるのは、
当の携帯電話も不本意に感じている筈であろう

七重の手が無造作に動き、携帯電話を取り出して開いた
ジリリリリ、というけたたましい音が止んで、
七重に対する通行人の視線は、いくらか穏やかになる

>53
路端に寄って、メールを確認する。差出人は、名無し
スパムとかいう類のものかと、七重はその不精な眉をひそめたが、
何やら妙に気にかかったので、好奇心の赴くままにメールを開いて見た
が。――意味が分からない
とかく、これからの三日間を平穏の内に過ごせば、自分の身体は消えてなくなるらしい
笑えなかった。七重は冗談が好きな性質ではないし、
このメールの内容そのものも、余りに突飛であった

七重がメールを削除すると同時に、大きなくしゃみがでたが、
それが彼の文面にあった「異様な疼き」に関係するかどうかは、
予想にも推測にもかからぬものであった
84若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/03/22(土) 19:32:50 O
「それで…あなたは何も感じなっかったの…」
抑揚のない声にこよみは笑顔でうなずいていた。
「わたし、ケータイはまだ早いって誠一郎さんがもたせてくれないのです。」
その答えを聞き無表情な少女は思考をはじめた。
誰がこのようなことを仕組んだのか…なぜ異能者同士を闘わせるようなことをするのか…
理由は想像がつく“ヤハウェ”をとめることだと…
そして“ヤハウェ”のことを知っている者の存在のことを…
「こよみちゃん…もう一度聞くわ…あなたのことを彼らは知らなかったのね…」
「はい、わたしが能力のことわかるのに気付いて驚いてたのです」
無論、末端の構成員が全容を把握していないことを考えてみた…
しかし、彼らの組織力と現在の展開から考えるとこよみの登場はイレギュラーであったとしか結論できなかった…
謎の存在に末端組織のひとつが潰された…
その存在を狩りたてるため…
このわたしを狩りたてるため…
ヤハウェの三天使を狩りたてるため…
彼らの目的はそこに集約されていく…
「迂濶…だったわね…」
「ごめんなさいなのです…」
「すんでしまったことは仕方のないこと…次の手段を考えるべきだわ…」
―少女の携帯電話に一通のメールが届いた―
闘いへの強制参加…
そして直接戦闘能力をもたない彼女への個人的メッセージが…
85桐北 修貴:2008/03/22(土) 19:38:34 O
>>76
バイトが終え、自分はあの廃工場に向かった
もうすぐ日付が変わる時間だが、まぁ一食位抜いても大丈夫だろ 昼は太り気味だし
「確か1年2ヶ月7日ぶりなんだっけ…」
あの日以来近付いたことがなかったが流石廃墟 何も変わっていなかった
何に使うかわからない機械を眺めながらロッカールームを目指す 『奴』に出会った部屋を目指す

誰もいないここならこれからの事を考えることも
いざって時の必殺技を考える必要があるからだ

軽く脆いドアを開け入ったそこには暗闇と窓からの月明かりと
「おや、客人とは珍しい」
全身にローブを羽織った謎の人物とすぐ下で首から血が大量に出ている初老の男性だった
声からして女らしい が、この状況何?自分は殺人現場を目撃したのか?
「どうしたんだい君? こんな時間、場所に一人で来て 怪しい人に会ったらどうするの?」
薄ら笑いを浮かべながら女は血の付いたナイフをこちらに向けた
あぁ、やっぱり口封じかよ くそっ抜き打ちだがやるしかない
「それはあんただろ殺人鬼! く、来るなら炭になる覚悟しろ!」
相手を威嚇し(もちろん殺す気はないが)
左腕から電撃から生じる火花を散らした
これでビビって逃げるはずと思惑もあった
86桐北 修貴:2008/03/22(土) 19:42:04 O
>>85

だが相手は怯えるどころか先程とは比べ物にならない邪悪な笑みを見せ
「…そうか、お前もそうだったのかぁ
クハハハ! 一日に二人の能力者に出会うとは私はついている!!」
一瞬にして姿を消した だが殺気は残ったまま… いやむしろ膨れ上がった

震える膝を叱りすぐさま男の下に駆け寄った
大丈夫ですかと声を掛けようとしたが先程まで噴水のように吹き出ていた血はもう収まり男も既に死んでいた

次は… 自分?
逃げ… いや無理だな 出来るわけがない
かといって自分が勝てるか?
……いや、勝たないと殺されるな

押し潰されそうなほどの静寂に包まれながら全身の神経を集中させる 顔から顎へ流れる汗が嫌に鬱陶しい



物音がした
「! そこぉっ!!」
音がした方へ腕を振り下ろす 瞬間一瞬部屋が閃光に満たされ左手から一筋の電撃が一直線に空間を貫き
「おまけにド素人 力を使うまでもないわ」次の瞬間には後頭部を捕まれ床に叩きつけられてた

「がぁっ! ぁ"…」
激痛に意識を手放しそうになった時
魂の底から何かが抜け出るような気持ち悪い感触を感じた

「これこれ! この感じよ! 後一人で私はもっと強くなれる!
後一人、 あとひとりぃ…」
狂喜乱舞してる女の声が段々離れていくの感じ 自分は意識を失った

桐北 修貴 : 謎の女との勝負に敗北 力残り3分の2
87戦場ヶ原 天 ◆KGvYXwjPe6 :2008/03/22(土) 21:16:21 O

カラン、コロン――――

すっかり日も落ち、黄昏色に染まっていた街はいつしか夕闇一色になっていた。
ネオンと街頭が照らす夜の喧騒の中、俺は舞い上がる感情を抑え、下駄を鳴らしていた。
「フン……さきほどのメール、本当ならばこれ以上ない余興だ。3人と言わず10人…いや30人だろうと倒してやるさ…。クククッ。」
溢れ出る笑みを抑え切れず、俺は一人ごちた。
――――――カノッサ機関もアジな真似をしてくれる…。
さっきから腕の疼きが止まらない。おそらく『同類』はすぐ近くにいる。
人込みを抜けながら、俺は殺気を飛ばして周囲を探る。
いつでも戦闘に入れるよう、右腕の準備だけは万端だ。

―――――捕まえた!

しばらく歩くうちに疼きの原因――――則ち『同類』の反応を探り当てた。
場所は…………裏通りの廃工場―――――
88戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/22(土) 21:28:45 O
(上はトリ間違い)

人影の無い工場跡には下駄の音がよく響く。
ところどころ破壊された機械を見るに、すでに戦闘は済んだあとのようだった。

「チッ……一足遅かったようだな。」

しかし、微弱ながら反応は残っている。
俺はわずかな期待とともにその反応を探り当てる。その先にいたのは―――……

俯せに倒れた、一人の少年(>>86桐北修貴)だった。

どうやら気を失っているだけのようだったが…。
「…クソが。俺の仕事はゴミ片付けかよ。」
俺はケッ、と吐き捨て、少年に近寄った。
ボロボロの状態だった。能力の制御もまだままならないのだろう。
「ふん…、素人が何をやってるんだかね。このまま放っておいてもいいが……、どうせなら…。」
『異能者』とともにいれば、他の『異能者』に出会う可能性も広がる――――…
思い付いた俺は、フンと笑い、この少年を介抱してやることにした。
獲物をおびき寄せる、贄として―――…

―――ひとけの無い公園のベンチに、少年を寝かせた。
…にしてもいつまで寝てやがる。だんだん腹が立ってきやがったぜ…。
「おい、起きろ虫ケラ。」
俺は蹴りつけながら相手の反応を見た。
89戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/22(土) 21:31:30 O
状況補足
【戦場ヶ原天:現在位置・公園:桐北修貴を助ける】
90名無しになりきれ:2008/03/22(土) 21:39:39 0
現在の行動から考えると…

主人公タイプ 高山・桐北・廻間
ライバルタイプ 池上・戦場ヶ原
ボスタイプ 神野
裏方タイプ 若原
不明 七重・国崎

って所か?
91名無しになりきれ:2008/03/22(土) 23:25:16 0
主人公・ライバルには大体同意
神野がボスタイプって言うのはこれから次第だが、
確かに今のところは他に比べて邪悪・好戦的描写が強いよな
92名無しになりきれ:2008/03/22(土) 23:28:31 O
なかなか面白くなってきた。
もっとやれ
93名無しになりきれ:2008/03/22(土) 23:54:33 O
>>84続き
「間一髪…だったようね…」
少女たちはマンションに仕掛けた盗聴機から10分の差で襲撃を避けていたこと確認した。
この街の繁華街を夜中にふたりの少女が歩く…
そのことを誰も気にとめない…
大人たちは自分の欲望を満たすことしか興味を抱かない…
「ひかるさん、どうしたのです?」
何時にもまして無表情な彼女に小さいほうの少女が声をかけた
「なんでもない…それより今日はどこに身を隠すかよね…夜を過ごせそうなとこはどこも監視されてる…」
「それならエッグランドがいいのです」
エッグランド―10年前に閉鎖された遊園地で土地の権利問題のトラブルから施設の解体もされないため今では有名な心霊スポットになっていたところであった。
「一晩だけなら大丈夫そうね…」
こよみが秘密の出入口を案内するとひかるはそれに続いた。
そして荒れ果てたレストランのテーブルにつくとこよみはひかるにもたれかけ寝息をたてはじめた。
「ひかるちゃん…」
「ひかる…」
両親の思い出をひかるは回想しはじめた…
楽しかった遊園地…優しかった両親…そして突然起こった悪夢…
ギュィィィィン―
ひかるの回想とこよみの眠りはけたたましいギターの音で中断された。
94若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/03/23(日) 00:18:08 O
>>93は酉付け忘れ続き
「ひゃっほっい!ついてるついてるついてる!か弱い異能者が飛び込んできたぜ」
ギターを担いだ青年は物陰からこよみとひかるの前に現れるともう一度ギターをかき鳴らした。
ギュィィィィン―
その音と共にテーブルが砕け散った。
「俺の名前は北条開。狂音崩壊(エイトビーター)の北条だ」
北条は自分の優位を確信したことで少女に弑虐の眼をむけた。
しかし、小さな少女はそれに気づかず歳上の少女は彼が有利だとは思っていなかった。
「あなたはなぜここにいるの…狩る相手は街にあふれているのに…なぜ隠れていたの…」
北条の自信は一瞬で崩れた。こな女は自分がすでに二回負けていることに気付いている。自分が闘いをさけるためこの廃墟に潜んだことを知っている。
「ひかるさん、ダメなのです。渡辺さんも斎藤さんも大きな音は苦手なのです」
「それは…想定外…撤退するわ…」
ひかるとこよみは北条が躊躇した隙に割れた窓からとびたした。
95桐北 修貴:2008/03/23(日) 00:18:09 O
>>90
自分って物語の主人公になれないタイプだと思ってたから、嫌じゃないなぁ〜

>>88
夢を見た
天井も床もわからない空間に沢山の扉があった
上に下に右に左に色形どれもそれぞれ違う扉の一つ、一番下にボロボロの半開きの扉が闇を覗かせていた
そこで『奴』が笑っていた 顔が見える訳じゃない 笑い声が聞こえる訳でもない
歓喜とも嘲りともその意味は掴めない
ただ、全ての元凶の『奴』が自分を笑っているのがわかった


「おい、起きろ虫ケラ。」
「おぐあぁ!?」

随分手痛い目覚ましに自分はムリヤリ起きた
……起きた? 生きてるのか自分は?
意識があの女と会った時まで遡りすぐに立ち上がる
「あ、あいつは!? 今度はどこ…ッ!」
突然の行動と大声に怪我をした頭に血が上り立ち眩みと頭痛がおきたがお陰に冷静になれた

…近所の公園? ベンチに寝てたのか自分… 夕方って1日寝てたのか?
てか何で包帯巻いてあるの… ヘタだけど


学生服についた汚れ(うわぁ相当破れてる)を払いながら疑問符を浮かべながら辺りを見回すと

「……………」
「………………」

すぐ近くで不機嫌そうに自分を見てる、えっと…
うん、変な服装をしたお兄さん(?)がいた
…コスプレ? 元ネタがわからんなぁ
………!
いやこいつ能力者だな 多分!

「あいつの仲間だな!? おかしな格好で油断させようたってそうはいかない!」
バックステップで少し距離を取り左腕に力を込め雷を出した

「あ… あれ?」
出せたがほんの僅かしか出せなかった そしてこの脱力感…
「な、なんだこれ…」
96若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/03/23(日) 00:51:07 O
>>94さらに続く
走り出したふたりは観覧車の前で止まった。いや、ひかるが観覧車の前で動けなくなったのだ…
そう、この遊園地が閉鎖になる原因となった大事故の現場で…
「ひかるちゃん。高いわね遠くまで見えるわよ」
「ひかる、次はジェットコースターか?それともお化け屋敷か?」
「お化け嫌い。怖いの嫌い」
「ははは、お父さんがいるから大丈夫だぞひかる」
「パパが一緒ならいく」
父親は子供を膝の上に抱き上げた…楽しい休日の思い出がよみがえってきた…
ガタン―
急に観覧車が止まると悲劇が起きた。ゴンドラの金具が外れゴンドラごと地上に落下した…
生き残ったのは彼女ひとり…
両親がクッションになって彼女の命だけは助けようと努力した結果だった…
彼女は一命をとりとめ異能力をえた。そしてそれと引き換えに感情を失った…
「ひかるさん、大丈夫なのですか」
「大丈夫…わたしは大丈夫よ…」
突然うずくまったひかるをこよみは心配そうに声をかけた
「どうやら俺の能力とあんたらの能力は相性悪いようだな」
北条の音による攻撃をかわすためふたりはミラーハウスに逃げ込んだ。
「そんなとこに逃げても無駄だぜ」
北条はふたりを追い続け袋小路に追い詰めた
97廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/23(日) 01:13:03 0
メールが来て既に一日たったのに、俺は未だに能力者を倒せていない。
もしかしたら、これって不味いんじゃないか…
学校からの帰り道、俺は唐突にそう思った。
それに俺の能力は夜限定の能力だ。昼に襲撃を受けたら、たまったもんじゃねえ。
…それにしても、なんか喉が渇いたな。自販機でジュースでも買おう。
俺は近くの公園にある自販機へと向かい、そこでオレンジジュースを買った。
そして、ベンチに座って一息ついていると…

「ん?」

デッカい火の玉が飛んできた。

「なぁああぁあ!?」

俺はジュースを投げ捨てて、慌ててその場から逃げる。
幸いにも火の玉からは逃げられたが、俺の座っていたベンチは跡形も無く消し飛んだ。
これに当たっていたと思うと…あぁ、考えただけでも恐ろしい。

「チィイッ、上手く避けたな!」

火の玉を…投げたのか、飛ばしたのかはよく分かんねぇけど
とにかく火の玉で攻撃を仕掛けたであろう人間が、俺の目の前に現れる。

「一体誰だ!
 いきなり火の玉なんか投げやがって!火事になったらどうすんだ!!」
「フハハ、知らないのなら教えてやろう!
 俺は斉藤 竜!鬼神炎球(グレネイドフレア)の使い手だ!」

グレネイドフレア…さっきの火の玉がそうか!?
それにしてもこの笑い方…俺は一つ質問してみる。

「テメェ、それはどんな能力だ!?」
「フハハ!強力な火球を撃ち出せるが、それしか出来なくてしかも曲げられないなどと、口が裂けても言える物か!!」
「曲げられない火の玉だな!?よしわかった!!」
「何!?何故分かった!!」

…コイツ、やっぱりバカだ。案の定白状しやがった。
でも、相手だけ言わせて俺は言わないなんてフェアじゃないよな。
俺の能力もバラすか!

「お前が自分でバラしたんだよ!」

心の中で能力を念じ、双刀を作り出す。
昨日より月は満ちていたので、刃は少し大きくなっていた。
        ギルティ サーベル
「俺の能力は月下 十字!夜間時にのみ、刀を作り出せる!
 …行くぜェッ!!」
「説明有難う…そして、来い!」
98国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/03/23(日) 01:18:38 0
閉店時間まで待ったが、結局今日は客は一人も来なかった。
襲撃してきた奴らは、法的には違反な薬をお注射して
ここ一年程の記憶を記憶を忘れて貰い、押し込み強盗として警察に引き渡した。
最低あと半月は目を覚まさないだろうし、覚ましても任務の記憶など無いだろう。
まあ、そんなことはどうでもいい。いや、良くないけど、考えても仕方ないことだしな。
そんなことより、売上金0。廃棄商品8590円で赤字の経営状態の方が余程深刻だ。
俺は、溜息をつきながら店のシャッターを閉めた。

それにしても今夜は冷える。
近所にあるコンビニに夕食の食材を買いに行く途中、
タバコ(非点火)を咥え、夜道を寒風に身を縮こませながら歩いていると、
黒い服を着た男が、携帯電話を眺めながらでかいくしゃみをしていた。
あの肉の付き方は、格闘家か何かだろうか。
……いくら体を鍛えても、風邪をひくときはひく。
さっさと食材買って帰ろう。今夜はカレーだ。

それから十分ほど歩いた所にあるコンビニで、野菜とカレールーを買った帰り道、
俺は、鼻歌を歌いながら歩いていた。
「いやー、幻の超中辛カレールーがあるとはラッキーだな。……あんたもそう思うだろ?」
袋の中のカレールーを確認しながら、コンビニを出てからずっと俺の後を
付けてきていた奴に話しかける。
しばらくの静寂の後、電柱の影から黒いコートとサングラスを装着した
長身の青年がぬっと現れた。
99国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/03/23(日) 01:19:05 0
「ふふふ……この俺『闇の解析者』に気付くとは、中々やるようですねぇ」
「いや、そんだけ鉄臭けりゃ犬だって気付くだろ。 で、薬屋さんに何か用か?」
「ふふっ、俺は『異能者』。こう言えば解るでしょう?」
「何のことだかさっぱりなんだが」
「ふふふ、白を切ろうとしても無駄ですよ?」
青年は懐からナイフを取り出し、俺に向けて構える。
俺はそんな青年に答えることなく、「何言ってんのこの人」的な視線を送る
「……」
「ふふ……ふ? あの、貴方、メール読んだのでしょう?」
メール?
「俺の店には、パソコンだとか携帯だとかいう電気製品は無い」
普段使う事が無いので、そういった電子機器は買っていない。高いしな。
俺がそういうと、青年はあっけに取られた様な顔をしていたが、
しばらくすると決心したように顔を上げ、
「ふふふ! 不運でしたね。『闇の解析者』の俺には解る。
 貴方は異能者だ。故に、黙って餌食となるのです!」

――――そして3分後
「ふふ――っ!?いたたたたた!!?」
俺は、『闇の解析者』をケツに敷いて、腕を捻り上げていた
「ふ、ふふ……なぜだ。俺は『闇の解析』で貴方の死角を完璧に解析し、
『影より出づる毒牙』を放ったというのに、何故一撃も当たらないのです……!?」
「あのなあ、死角からしか攻撃がこないなら、そこだけ注意していればいい話だろうが。
 自分の死角の位置くらい把握してるんだよ。あ、速さと気配の消し方は中々だったぞ」
「くっ……!」
「さて、とりあえず知ってる事話してもらうぞ」
「ふふふ……だれが貴方なのにいーーッ!!!解りました!話しますから捻りあげないでっ!!」


夕食を終え、寝転んだ布団の上で俺は何となく呟く。
「100人の異能者と戦い、ねぇ……目的は知らねぇけど、ロクな目的じゃねえのは分かるな」
あの後、一通り知ってる事を喋らせた『闇の解析者』は、秘密なお薬を打って
警察署の裏に放置しておいた。奴の話によると、この街で何か妙なイベントが起きているらしい。
異能者同士の潰しあい。
(……調べてみるか)
そう思いながら、電気を消した。薬屋は、明日も朝9時から開店だからだ。
100若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/03/23(日) 01:23:55 O
>>96続き最後
「みぃつけた。このあとしっかり可愛がってやるぜ。俺は女を差別しないからな」
ゲスな北条の笑いをひかるは冷静に見つめた
「あなたろくな人間じゃないわね…」
ひかるはそう呟くと言葉を続けた

思い残せし異界の住人よ
この世界に未練あれば
我、手助けとなりて
汝の願い受けとめん

暗闇に声が響いた…
しかし、何も起こらない…
そう思ったが北条は足元に違和感を感じた。
鏡の中から無数の腕が飛び出し彼を鏡の中に引きずり込み始めた
彼は後ろを振り返るとさらに心臓が凍りついた
今までゴミのように殺してきた人間、使い捨てにしてきた女が鬼のような形相で睨み付けていた
「ゆ、許してくれ。た、助けてくれ」
「残念ね…あなたの命はもう10秒もないわ…」
北条の懇願を無視するとひかるは外へ歩きだした
「こよみちゃん…遅いけどホテルにしましょ…長束さんのカードなら飛び込みでも大丈夫…」
施設の外へ出るとひかるはタクシーをよびシティホテルの名を告げた

結果
北条開→永久離脱

次から塚原ひかる・若宮こよみチーム行動
101七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/23(日) 01:40:07 0
>76
メールの件を、己の記憶からをも削除した頃、
七重は何者かに尾行されていることに感付いた
獲物を狙う狩人のような鋭い視線が、背筋を貫いている
何だか知らないが、乗ってやろうではないか
――大方、俺の噂を聞きつけた、血気盛んなファイターなのだろう
七重はニヤニヤと笑いながら足を速め、
虚ろな闇に沈む裏通りへ入った

地面に放置されたゴミ袋を跨ぎ、
頭上を通るパイプを避け、歩いて、歩いて、振り向いた
七重の視線の先には、仁王立ちになる大男が一人
こいつがストーカーの正体なのか
思ったよりパッとしないな、と七重はあからさまに失望した顔を見せた
失望はしたが、油断は無い。ストーカー殿を観察する
だらしない着こなしのスウェットの下には、それなりに鍛えた肉体があるようだ
サングラスの奥で微かに光る双眸にも、素人特有の興奮は見受けられぬ
放たれる雰囲気は、決して緊張しておらず、かといって弛緩しすぎているわけでもない
慣れているな、と七重が察した時、思いがけず大男が口を開いた

「アトミックバーサーカー・・・ 七重凌司、か?」

戦闘中枢(アトミックバーサーカー)。いつの間にやら、七重につけられたもう一つの名前
何時だか見知ったギャラリーに由来を聞いたところ、
七重のファイトを観ていたどこぞの格闘オタクが勝手に命名したらしい

「闘(や)るのか。非公式だから、ギャラリーはいないぞ」
「そりゃかえって好都合だろう。さあ、構えろよ。・・・殺(や)るぜ」

言い終わるが早いか、砂っぽい空気を切って巨体が跳ぶ
ふと醸された異様な殺気を汲み、この男は「ファイター」ではないと、七重は悟った
102七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/23(日) 01:51:16 0
凄まじい跳躍により、大男は月を背負うようにして宙に浮かぶ
七重は応戦の構えを取る。が、瞬間的に思考は停止した
月光の映し出した、彼の大男のシルエットは、明らかに人間とは違うモノ
その巨大な人形(ひとがた)から左右に展開するのは――――翼
鷹のような偉大な翼を生やしたその大男は、もはやヒトに非ず、
正しく「鳥人」なのであると、七重の認識を改めさせた

羽音と共に、異形の影がブレる。飛んだ
未だに事態を理解しきれない七重に、二対の物体が直撃する
地に転がったそれらを視線だけで追うと、おぼろげに見えたのは、靴
アイツが空中から靴を抛った。何故? 何処から? 何処へ――

翼の閃く音を頼って、大男の急襲を察知し、七重は素早く身を翻す
しかし刹那に遅れ、右肩から出血した
刃物ではなさそうであるが、何らかの鋭利な物体で切り裂かれた感覚
事前に靴を捨てたところから考えるに、これはまさか、鍵爪による一撃なのか
鷹と人の合いの子のような、彼の男のおぞましい姿を想像し、七重は怖気に包まれた

目を瞑り、感覚を研ぎ澄ます。恐怖に支配されまいとして、必死に冷静さを取り戻そうとする七重
その背後で、バサリ、という羽音。来た。それに合わせて、カッと目を見開き、迎撃にカウンターのソバットを放つ
今までに何人の突貫をも寄せ付けなかった、七重必殺の蹴りである
しかし、それが今回捕らえたものは、彼の男が上半身に着ていたはずのスウェットのみであった
かわされた
103七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/23(日) 01:57:57 0
ざわり、と全身の毛が逆立つ。食いしばった歯の間から悲鳴が漏れかけたその時、
七重は勢い良く自分の身体が舞い上がるのを感じた
持ち上げられている。彼の怪人が、自分の首根っこを引っ掴んだまま上昇しているのだ
頚動脈に、ぎりりと鍵爪が食いこんでいるのが分かる。余りの恐怖に、七重は身動きできない
首を握り潰されるか――

「飛び降り自殺、ってことにさせてもらうぜ」

高揚したかのような大男の声が聞こえた。ここから放り落とす気なのだろう
もはや高度は充分。先程まで自分が立っていた筈の地面は、遥か下方へと離れている
そう考える内にも上昇は加速し、周囲には様々な建造物の屋上までもが見えてきた
落下すれば、骨折だの捻挫だのという、暢気な話にはならない。確実な、死

「ここらあたりから落ちれば、死体は粉々
 首と肩の傷だって、落下の衝撃でついたものと見分けはつかないだろうよ。ははは・・・」

大男の声色は、狂気じみたものすら含んでいた
その一方で、七重は大人しく縮こまっていた。まさに、捕食者と餌の図
しかしここへ来て、一種極限の状況が、七重の戦闘本能を呼び起こす
頭の奥で、プツリという音がした。リミッター解除。七重の目に炎が栄える

「おい」「なんだ・・・」

足元からの呼びかけに、反射的に下を向く大男の凶相
その目に映ったのは、夜景でもなく、怯えた七重の顔でもなく、節くれだった拳であった
七重が思い切り繰り出した右パンチが、大男の顔面を打ち抜いた
ひるむ大男。足先から飛び出している鍵爪が緩む
しかし、七重は落ちない。咄嗟に左手で、大男のふくらはぎを鷲掴みにしていたのだ
そのまま、ぐい、と力に任せて左腕を引きつけた。二人共々、バランスを崩す
104廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/23(日) 01:58:37 0
俺は刀を構え斉藤に向かって駆け出した。斉藤はを俺に火球を複数個撃つ。
飛ばされた火球の合間を潜り、斉藤の目の前で右手の刀を振りかざした。
もちろん、殺さないように峰打ちだ。
しかし、敵もそう簡単には取らせてくれない…俺の目の前に火球を作り出し、それを撃った。
その火球を俺は左手の刀で上に弾き飛ばす。火球は俺の頭上で爆ぜた。
また撃たれては敵わないので、一旦間合いを空ける事にした。

(…あっちの攻撃は当たらないが、俺も近づけねぇ。このままじゃ長期戦だな)

長期戦はどうにも不味い。
俺の動きに目が慣れてしまったら、その分敵が有利になるからな。
仕方ない、ちょっと本気出すか…!

「悪ィが、長期戦にするつもりはねぇ!とっとと終わらせるぜ!!」

俺は双刀の柄と柄を組み合わせ、一つの刀を作り上げた。

「オアアァァアアァァアァッ!!」

刀を構え、敵に雄たけびを上げながら突進する。
斉藤も火球を何度も何度も撃つが、工夫も何も無い一撃なんざぁ今の俺には通用しない!

「ニ刀一刃…ツインブレェェェエーッド!!」

残像が出るほどの速さで、俺は斉藤の目の前に飛び込み敵の体を斬り裂いた。
斉藤の体からは、血飛沫が噴出した。
そして、斉藤は何故か笑顔で崩れ去る。

「…み…見事だ…俺を倒したお前に…一つ忠告をしてやろう…
 …この戦いには、裏がある…!どんな者が、戦いを行わせているのかは知らん…
 だが、とんでもない戦いなのは確かだ…!」

裏…?いったい、何があるってンだ…

「…勝てよ、統時とやら…!」
「あぁ、負けるつもりはねぇさ…今も、これからもな!」

倒れている斉藤の怪我はそう軽くは無い。だが、急いで手当てすれば助かるだろう。
俺は携帯電話で救急車を呼び、その場から去る。
ほんの少しの疑惑を、頭の片隅に刻みこみながら。



結果
統時 勝利 能力が3分の1上昇、帰路につく。
斉藤 敗北 能力が3分の1低下、救急車で病院に運ばれる。無理すれば再起可能。
105廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/23(日) 02:04:15 0
…こっちの表現のほうがいいかな。
とんでもない戦い
   ↓
ろくでもない考え
106七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/23(日) 02:09:39 0
もはや恐怖は無い。闘うのみ。錐揉みながら落下する中、
七重は鳥人たる大男の翼をフルネルソンに捕らえた。文字通りの羽交い絞めである
そしてそのまま身体を大きく後に逸らし、すぐ近くの建造物の壁に、大男の頭を叩きつける
プロレスリングに見られる、ドラゴン・スープレックスと呼ばれる技
鈍い音がして、頭髪と鮮血が舞う。七重の腕には、両翼がひしゃげたのが感じられた
反撃は止まらない。七重は翼を手放し、今度は彼の巨躯をリバース・フルネルソンに極める
するとやはり背を逸らして、翼を砕かれた大男を、まだ見えぬ地面に向けて投げつけた
同じくプロレス技である、投げっぱなしのダブルアームスープレックス
一人の咆哮と、もう一人の絶叫とが、暗い空に交錯した

上空にて、二度に渡り美しい孤を描かされた大男は、
地面に叩きつけられてしばらくもがいていたが、
後から落下してきた七重の足刀蹴りをまともに首に受けると、
スイッチが切れたかのように、活動を止めた
生えていた筈の翼も鍵爪も、知らぬ間に勝手に消えていた

果たしてどこへ落ちて来てしまったのか、全く見当もつかない
しかし、この状況を他人に見られるのは不味い気がする
血液やら涙やらで汚れた元鳥人の顔面を一瞥し、軋む身体を引き摺って、七重はどこへともなく消えた

【どこかの裏路地―― vs翼の男:勝利 能力値:4/3】
107池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/23(日) 02:18:31 0
十数年ほど前に起きた火災が原因で建物が半壊、
所有していたオーナーを含めて多くの死傷者を出してしまったホテルがある。
そこはそれ以来、嘘か真か、死亡者の幽霊が出るという噂が立ち、
物件の買い手も見つからないまま建物は当時のまま放置されている。

恐らく、余程の物好きか肝だめし好きでない限り、
こんな場所には誰も好き好んで自ら近寄ろうとはしないだろう。

しかし俺は、今その場に立っている。時間は午前三時。
こんな真夜中に、しかもいわくつきの場所に来ることになるとは……
他人が聞いたら、これでは俺が物好きと思われてしまうな。
もっとも、俺とて好きでここに来たわけではないのだが。

「……ぐっ! ち、ちきしょう……ここまでか……」

俺の目の前の男は、全身血まみれになりながら膝を付き、
血走った眼をこちらに向けながらそう言った。

「……『霊的な力を利用して自らの攻撃力とする』か。確かにここは恰好の場所だな」

男の年齢は恐らく三十代後半と言ったところだろうか。
俺が『二人目』を倒し、郊外で警告の反応を待っていたところに現れ、
ここで俺との戦闘になったのだ。時間にして一時間ほど前のことだ。
男は俺をこの場におびき寄せると、散々威勢のいい事を言っていたのだが……。

「だが、俺の負けだ……。もうあんたには関わらないよ……」

最初の威勢はどこへやら、男は弱々しく降参宣言をした。
まぁ、体中に氷柱弾が突き刺さり、
出血多量でいつ死んでもおかしくない状態に陥れば、そうもなろうか。
──だが、俺にはその降参宣言を素直に聞き入れることはできない。
何故なら──。
108池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/23(日) 02:21:39 0
「そうか。だが、生かしておくわけにはいかない」

右手に力を入れると、再び周囲には冷たい空気が漂い始める。
それを見た男は、慌てて俺を静止しようとする。

「ま、待てよ! 俺の力はもうお前さんに渡ったはずだ! ど、どうして……!?」

どうして? そう訪ねられるのは今日で三度目……
いや、午前零時を回っているのだから昨日と今日で三度目か。
俺は右の手首だけを動かしながら、三度目となるこの台詞を口にして
男の質問に答えてやる。

「俺の能力を見た者は誰であろうと生かしてはおかない。それが──」

(バンッ!)
──衝撃音と共に、氷柱が男の頭部を貫く。
男の頭部はまるでスイカ割りのスイカのように弾け、血と肉を辺りに散乱させる。
それを見ながら俺はこう言葉を続ける。

「俺の決まりだ」


──十数年後、ここには頭の割れた男の幽霊が出現するという
新たな怪談話ができているかもしれんな。
そんな事を思いながら、俺は男の死体に背を向け、
未だ灯りのともると街中へ向けて歩き始めた。

その道中で、俺は今夜までの己の行動について振り返り、
未解消のまま頭から離れない数々の疑問について検証していた。
俺はあのブレザー男との一戦の後、自宅へ戻った俺は着信のあった携帯を確認した。
>>53のメール……バイトを終えた後も、こうして真夜中まで市内を駈けずり回り
異能者と闘ってきたのは、全てあのメールが原因なのだ。
109池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/23(日) 02:23:56 0
『異能者を三人倒せ。さもないとお前は死ぬ』
あのメールの内容を要約すればこんなところだ。
不幸の手紙に似た内容のメール。今時珍しくは無い。
普段の俺であれば無視していただろう。
──そこに、『異能者』というキーワードがなければ。

携帯を確認する十数分前に、一度同じ異能者と闘ったからかもしれないが、
メールの内容は真実であるように感じた。
俺はすぐに自宅を出て、街中、郊外で俺と同じく相手を探していた異能者に出会い、
そこで奴らと闘った。そして俺は『指令』を果たし、奴ら三人の異能者を片付けた。
別に生にどこまでも執着したかったわけではない。
ただ、このまま何も知らずに死ぬことを考えると、我慢ならなかったのだ。

──しかし、一体誰が?
メールの内容からして送り主が俺を異能者であると知っているのは間違いない。
だが、他人で俺を異能者であると知っているのは、現時点ではあのブレザー男のみのはず。
では、あのブレザー男の小細工か? ──いや、恐らくそれは違う。
明確な証拠は何も無いが、あの時、俺の携帯が鳴ると同時に奴の携帯にも着信があった。
そしてそれから奴はまるで金縛りにあったかのようにピタリと動きを止めた。
恐らく……奴も何故動きを止めたのか自分では分からなかったに違いない。
そう、携帯に着信があってから俺が奴に攻撃をできなかったと同じように……。

メールの送り主は奴ではない。とすれば、何者かは知らないが、
俺を異能者と知る者が少なくともこの世にはもう一人いるということになる。
信じたくはないが、そう思う他ないのだ。

──では、その謎の人物の目的は何か?
何故、異能者同士を闘わせようとするのか。
……そうだ、この謎の人物は俺達異能者を闘わせた後、どうするつもりなのか?
異能者がこの指令を達成したらそれっきり……とは考えられん。
もしかしたら、指令を達成した異能者達にはまた新たな指令が与えられていき、
そのつど俺は命をかけるはめになるのでは……?
110池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/23(日) 02:26:56 0
「……チッ」

まるで強大な力を持った支配者が、異能者という駒を使ってゲームを楽しんで
いるような、そんな光景が頭に浮かぶと、俺は思わず舌打ちをしてしまう。

……だとしたら、どうする? いや……愚問だな。
そいつは俺が異能者であると知っていて、更に俺を駒のように弄ぶ奴だ。
……考えるまでもない。

──俺がこの手で、この一件を仕組んだ首謀者をこの世から消す。


>>76(ザシャ!)
俺がそう決意した時、俺の背後で足音が聞こえた。
──微弱だが、俺の右手の確かな『警告』。

「……異能者か」

そう確信し、俺は振り返る。
そこには黒服に身を包んだ三人の男が立っていた。

「池上君、先程は私の部下に手荒な真似をしてくれたね?
死んだ部下に代わって、私が君に他人に対する礼儀というものを教えてあげよう」

死んだ部下? 俺はハッと思い出す。

「そうか……あの時の二人の男はお前の部下だったのか。
礼儀を教えてくれるというが、俺以上に礼儀知らずだった奴らの上司になど期待はできんな」

「そう言わずに私の好意を受け取ってくれたまえ。
ただし、無料というわけにはいかない。だから君の命を私達に払ってもらおうか……ククク」
111池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/23(日) 02:30:58 0
三人の男が構える。

「何者かと思っていたら、どうやら戦闘の押し売り業者のようだな……。
まぁいい、買ってやる。こちらとしてもお前達には聞きたいことがあるんでな。
お前達の部下のように楽にあの世に行けると思うなよ?」

「ほざけぇーーーっ!!!」

──三人の男が猛スピードでこちらに向かってくる。
瞬間、俺はある事を思い出した。
そうだ……こちらはバイトの疲れと四人の異能者との闘いの疲れが残っていたという事を。

    フリーフリーズ
「──『自在氷』発動」

……我ながら、よくやっているな──。

[三人の刺客と交戦中]
[能力3/3獲得、2倍に]
[異能者・三谷、屋島、甲田……死亡]
112廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/23(日) 02:57:03 0
今気がついたけど、斉藤には能力名だけで本名まで名乗ってないな…
まぁ、能力名を名乗ったときに一緒に名乗ったと思ってください。
113戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/23(日) 10:13:04 O
近くで多くの『闘気』を感じる。
各地ですでに戦闘が始まったようだ。
「…俺もこんなところでグズグズしているヒマはねぇッ…!」
>>95
「あ、あいつはッ!?今度はどこっ…!」
少年は勢いよく跳ね起き、辺りを慌ただしく見渡す。…落ち着きのねぇガキだな。
俺は呆れながら少年の行動を見据えていた。
「あいつの仲間だな!?おかしな格好で油断させようったってそうはいかない!」
「おい、貴様。落ち着きやがれ…」
「あ…あれ?」
少年は唐突に臨戦体制に入ったかと思うと、能力を出そうとして失敗したようだ。
「……ったく、馬鹿が。ド素人が調子に乗るからこうなるんだ。『力』の制御も出来んとはな…」
俺は慌てる少年に正面から歩み寄りながら呟いた。
「貴様には聞きたいことが山ほどある……が、貴様のような足手まといと一緒にいるだけで俺の命が危険になる……な」

「…おい虫ケラ。」
『虫ケラ』とは少年のことを指していた。

「貴様は能力の制御が出来ていねぇ。…いいか。まずは精神を集中しろ。
極限まで集中した中で自分の能力を具体的にイメージするんだ。
そして、その能力をもっとも端的に表現する言葉―――すなわち『技名』を力の限り叫んでみろ。
……慣れればこれをコンマ数秒で行える。いや、貴様には行えるようになってもらう。」
114神野 屡霞 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/23(日) 11:25:48 0
>>53
 机の上に放置された携帯から、バイブ音が鳴り響く。
 友人と呼べる知り合いを作らない屡霞にとって、携帯とは日常生活でそう必要なものではない。
 それ故、家に置いて外へ出たりはざらなことだった。
 そのメールが着信してから数時間は過ぎた後、ようやく屡霞は帰宅する。
 大学の帰りに斬殺した男達の返り血が、髪の毛に付着しており、それを洗い落とすため、風呂場へ直行する。
 結局携帯を確認したのは、風呂上りバスローブ一枚で自分の部屋へ着替えを取りに向かったときだ。
「私にメールか。珍しいな」
 また迷惑メールだろうかと思いながらも、本文を開く。そこに書かれていたのは、胸の躍る内容だった。
 読み進めていくうち、自然と笑みが浮かんできてしまう。最初は戦闘など好きではなかったのにと、後悔に似た感情がふと過ぎった。
 しかし、その感情を感じ取ったかのように、禍ノ紅の思念が頭に語りかけてくる。
 始めのうちは触ってなければ声は聞こえなかったが、今では5メートル圏内にいれば声が届く。
(どうした? 随分と楽しそうじゃねえか。そんなに嬉しい伝言だったのか?)
「どうという事は無い。いつも通りに過ごすだけだ。だが……おまえは嬉しいだろうな。強い相手を切り殺すことが出来る」
 壁のフックに引っ掛けられた禍ノ紅の方へ向かい、屡霞は歩き出す。その途中でバスタオルがはらりと落ち、丸裸の格好になった。
 彼女はそれも気にせず禍ノ紅を掴むと、鞘から刀身を抜き放ち、鮮血のように赤い刃をうっとりと眺めた。
「来るなら来い。私はいつでも待っているぞ……!」
 静かだがはっきりとした声で、屡霞は言う。そのとき彼女と妖刀の心は、確かに同化していた。


>>76
 あのメールが届いてから、すでに数時間が経っている。異能力者は中々目の前に現れない。
 いつでも戦えるように、第三の目の感度を上げて待ち構えているというのに、どうしたものだろうか。
 そろそろ禍ノ紅からも、積極的に動き始めようと五月蝿くせがまれている。
 だが、屡霞はそういう行動は慎もうと思っていた。彼女は今の状況が気に入っているのだ。
 いつ敵が襲ってくるとも分からない緊迫した状況が、感覚を研ぎ澄まし、能力を底上げしてくれる気がした。
 だからそんなときに、あの足音が聞こえてきたのだから、彼女の落胆は相当のものだ。
115神野 屡霞 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/23(日) 11:26:54 0
続き

「やれやれ……。またお前たちか。多少死んでも人材が底無しなのか? それともボスが馬鹿なのか?」
 振り返れば、あの黒い服装をした男だ。しかも今回は一人。どうも目的は嫌がらせらしい。
 確かに羽虫が寄ってくるのは相当に鬱陶しい。効果的に相手をイラつかせる方法だ。
 無言で歩み寄ってくる黒服の男を、屡霞はキッとにらみつけた。
「悪いが気が立っている。一撃で死ねると思うな……」
 そう言った直後、屡霞の姿が夜の闇に溶け込むようにして消えた。否、そう見えた。
 並外れた身のこなしから繰り出される歩法、“縮地”は、常人の目では捉えることさえも不可能だ。
 彼女はそのまま黒服の男へ突進し、すり抜けざまに斬撃を放とうとする。
 右肩への一閃。この前襲ってきた奴らと同レベルの敵なら、これで片腕が体とおさらばする筈だ。
 だが、いつも感じるスパッとした手応えを感じない。奇妙に感じたのも束の間、斬撃から一瞬遅れて音が鳴る。
――ガキィィンッ!!!
 ハッとして男を見ると、男の右腕を包む袖が破れ、中からは異常に肥大化した右腕の成れの果てがあった。
 鉄のように硬化した筋肉が、禍ノ紅の刃を受け止めていたのだ。
(おい屡霞。こいつ人間だけど、人間じゃねぇぞ)
 禍ノ紅の言葉が、頭の中に響く。どうにも要領を得ない言葉だが、思念による会話なのだから、言葉以上のものも伝わった。
 つまり、元は人間だったのだろうが、どんどん別の“物”に変質していると言いたいのだ。
 屡霞は後ろへ跳び、一旦距離を置いて、男の姿をもう一度確認する。
 右腕に始まり、今も体中が巨大化しかけていて、黒いスーツがはちきれそうだ。額にも青筋がくっきりと浮かび、もはや表情から理性を感じることは出来ない。
「普通の人間よりは楽しめるというわけか。だが、所詮はそれまでの話しだ」
 そう呟くと、屡霞は今まで見せていない構えをする。久々に能力を開放する前触れを感じ、禍ノ紅の喜びの声が頭に響く。
(久々だなぁ、オイ! 早くあいつを八つ裂きにさせてくれェ!!)
「五月蝿いんだよ。黙って力を貸せ…」
 彼女の周りに異様な空気が漂い始め、禍ノ紅の紅い刀身が微かに光を放った。
 妖刀とは、普通の刀には無い特殊な力を持った武器だ。その力は屡霞の霊力によって増幅され、あらゆる物を切り裂く刃となる。
 あの程度の筋肉を硬化させたところで、所詮は鋼鉄程度の防御力にしかならない。
 そして禍ノ紅の能力を引き出した屡霞にとって、鋼鉄など紙切れ同然だった。
「禍ノ紅、弐の舞――紅疾風(べにはやて)ッ!!」
 屡霞の周囲を渦巻く妖気が一瞬にして禍ノ紅に収束する。
 そして言霊とともに繰り出された斬撃に乗り、紅く光る真空の刃となって異形と化した男へ飛んで行く。
 後はもう、確認するまでもなかった。屡霞はきびすを返すと、その場から歩き去る。
 血を吸わせてやってもいいが、いくら禍ノ紅とは言え、あんなゲテモノは好みでないはずだ。
116神野 屡霞 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/23(日) 11:28:29 0
続き

「ド…シタ…逃ゲ…ルノカ…」
 すでに知能の大半を失っているらしく、男が片言の言葉を屡霞の背中に投げつけ、追いかけようとする。
 だが、一歩踏み出そうと体勢を変えたとき、男の上半身がポトリと地面に落ちた。
 真空の刃は異形の男を、胴体から真っ二つに一刀両断していたのだ。
 おびただしい量の血液を垂れ流しながら、男はなおも屡霞の元へ這って行こうとする。だが、屡霞の歩く速度にすら追いつけない。
「大した生命力だ。しかし醜い。人であることを捨てた男には、お似合いの末路だな」
 屡霞はそう言い残すと、後は男を無視して歩き続けた。久々に禍ノ紅の力を解放したので、少々気持ちが高ぶっている。
(屡霞よぉ。こんな程度の敵じゃぁ満足できねェぜ。もっとだ。もっと強い奴がいるはずだ。会いに行こうぜ。切り殺しに行こうぜ)
 禍ノ紅の言葉が、やけに頭の中に響く。それもいいかも知れない――心の内で燃え上がる闘争心が、そう語りかける。
「私の本心は戦いを望んではいない筈だ。私を戦いに導くのは、流れ込んでくるお前の意思でしかない。
前にも言ったとおり、こちらから打って出る必要は無い。じきに巡り会うさ」
 この先、刃を交えるだろう異能力者たち、その修羅場によって自分の心はどう変わってゆくのか。不安感とともに、ほの暗い期待感が胸にあった。
 そう。この戦いが誰によって仕組まれたか、なぜこうも作為的に大勢の能力者たちがこの街に集まるのか、そんな事はどうだっていい。
 期待も不安も悲しみも喜びも、彼女の意識は全て、この先出会うだろう戦いに集中しているのだった。



【黒服の男:組織により改造された戦闘員。人為的な能力付加は不完全であり、この場合は知能を著しく低下させた。屡霞に能力を取られ、肉体のダメージも限界

に達したため死亡】
【神野 屡霞:ダメージ無し。今回の戦闘で闘争心が高ぶっており、街の中で能力者達(コテ)と巡り会えば、抑える事が出来なくなる可能性有り】
【禍ノ紅:半端な開放により、返って欲求不満が溜まっている。能力者を見つければ、全力で屡霞に干渉し、戦いを挑ませようとするだろう】


《能力者と長時間向き合えば、確実に殺人衝動が抑えきれなくなるだろうため、チーム行動は出来ず。
街中で偶然巡り会う描写をしてくれれば、戦闘開始のサインとして受け取ります。》
117名無しになりきれ:2008/03/23(日) 11:34:39 0
戦闘能力をランクで表示したら、少し進めやすくなるかも。
118名無しになりきれ:2008/03/23(日) 11:56:15 O
今のところだと池上神野国崎あたりが戦闘力上位っぽいな。設定的にも場慣れしてそうだし
他のは主人公属性持ってる分、発展途上そうだ
119戦場ヵ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/23(日) 13:03:00 0
>>113続き
―――!
闇に包まれた廃工場の中を切り裂く一つの殺気に、俺は振り返った。
振り返った立っていたのは、小柄な一人の――男?(>>76
月光を逆光に浴びて顔は見えないが、一つだけ分かることがあった。

「『異能者』ァ…ッ!!」

俺は思わずうめきに似た声を出していた。それは歓喜と高揚の表現。
闘争本能を爆発させそうになるが、ふと少年(桐北)へのレクチャーの途中であったことを思い出した。。
「・・・フン。ちょうどいいぜ。」
度重なる戦闘に疲弊しきっていた少年に背を向け、俺は未知の敵と対峙した。

「百聞は一見にしかず…ってな。『プロ』の戦い方ってやつ…そこでしかと見ていやがれ。」

少年に背を向けたまま吐き捨て、右腕に意識を集中させる。
インセインオーバードライブ
  『歪んだ重力』ッ!!!
薄暗い工場内がさらに深い『闇』に飲み込まれ、少年や「敵」、周囲の空気までをも圧迫する。
しかし、「敵」は依然として憮然として虚ろな目でこちらを睨んでいる。…余裕のつもりか?
この能力を見て驚かない奴を見て、俺は腹が立った。
「弾け飛びやがれッ!!!」
咆哮とともに周囲を覆った闇は一点に収束され、バレーボール大に圧縮された『力場』と化した。
俺はそいつを、力の限り無表情ヤローにブン投げた。

「“アンチ・グラビティ・ノヴァ”ぁぁぁああああああああああ!!!!」

高濃度圧縮された「力場」は一直線に敵に向かい、着弾の瞬間、圧縮された空間を一気に解き放ち――――…

爆発した。

爆音とともに吹き飛ぶ機械やガレキ。
「着弾した空間半径5mをあとかたもなく破壊する…。フン…あっけなさすぎて勉強にならねーか?」
あまりのあっけなさに興醒めしつつ歩み出そうとした・・・その瞬間。
                ノイジーカーニバル
「加賀美恭一・・・二つ名は『微塵幻覚』。」

背後からの声に気づいた時にはもう遅かった。
奴のナイフが俺の脇腹を深く、抉っていたからだ。
「ガハァッ!クッ…血の流しすぎか・・・!?奴がぼやけて見えやがる・・・。」
「違う。」
否定の言葉と同時に、奴の姿は8つに増えた。増えた…というよりも『分身』したというほうが正しい。
「くそったれが…、さっきやったのは貴様の幻影だったというわけか・・・!」
まずい・・・。俺の能力は破壊力は高いが、その引き換えに攻撃範囲が極端に狭い。一撃で分身をすべてかき消すのは難しい…。
この敵とは相性が…悪すぎる!!

「死ね」

短い言葉で発せられる死の宣告。くそったれが…こんなところでやられてたまるかよッ。
俺は咄嗟に、遠くで見守っている少年(桐北)に声をなげかけた。

「おい虫ケラァッ!!さっき言ったとおりにやってみろッ!!こいつらを…薙ぎ払えェッ!!!」
120名無しになりきれ:2008/03/23(日) 13:08:36 O
sageろよ
121仮ゲーマス:2008/03/23(日) 13:15:17 O
>>117
んじゃ参加者のみなさんに自分の能力値を設定してもらいますか。
とりあえず、一番手で主人公格と呼ばれてる高山宗太郎を基準として、勝手ながら彼の能力値を【50】とさせてもらいます。
他の参加者の方々は高山くんを基準として強いか弱いかを考えて、1から100の中でちょうどいい数字をあてはめてください。
あくまでも「現在の肉体的及び特殊能力の総合的強さ」ですので、「成長性」とか「潜在能力」とかあるなら別で書いてくれた方がわかりやすいかも。
今のバトルロイヤルはその能力値が実際に変動した方がいいかな?
122廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/23(日) 15:26:03 0
>>121
とりあえず、高山を基準として考えるなら総合なら60〜70が妥当かな。
速度は今のところトップレベルの80だけど、バランス取るために耐久力を20以下に設定しますか。
潜在能力は修行でほとんど引き出しているから、あっても10。
成長性は…20ぐらい?

とりあえず暫定、そして変わること前提で極端な値にしておきました。
どう変わるかは、他の参加者の能力値を見て決めますね。
123名無しになりきれ:2008/03/23(日) 15:27:13 O
数値化はお勧めしたくないな……
124名無しになりきれ:2008/03/23(日) 15:37:58 0
まあ都合が悪くなったら有名無実化すればよくね?
125名無しになりきれ:2008/03/23(日) 15:44:31 O
いや、数値で強さを示そうとする厨とか、無駄なインフレとか起きそうだから。
126名無しになりきれ:2008/03/23(日) 15:46:40 0
>>125
ドラゴンボール的な展開になりそうってこと?
127名無しになりきれ:2008/03/23(日) 15:49:16 O
いやー見た感じ
この中に俺TUEEEE!厨はいないと思うし、インフレは起きないんじゃないかなー。
とりあえず数値化よりもA〜F評価とかのがいいか?
128名無しになりきれ:2008/03/23(日) 15:54:51 0
俺はA〜Fの方がいいと思うな。数値だと力の差がはっきりしすぎる
能力者同士の戦いにおいて、数値ほど当てにならないものはないと、モラウさんが言ってた気がするし
129黒衣の男:2008/03/23(日) 17:49:15 O
「邪気眼のもたらす能力に強い弱いの概念は存在しない」

どんな能力でも、使用者の使い方によって評価は全く変わってくるのだよ。
そういう意味では、応用のきく能力のほうが「強い」のかもしれないがね。
ここに集められた能力者の何人がそれに気がついているだろうね、ククク…
130名無しになりきれ:2008/03/23(日) 20:08:05 O
今後のことを考えると避難所が必要かもしれんね。
131桐北 修貴:2008/03/23(日) 20:12:32 O
>>119
自分の理解力は既に容量オーバー フリーズ寸前だった
死んだと思ったら変な人に助けられて、いきなり技の出し方を教えたと思ったら今度はその人が加賀美と名乗る男にやられてしまったのだ
もう何がなんだかわからなかったが

「おい虫ケラァッ! さっき言ったとおりだ! こいつらを… 薙ぎ払えぇっ!」
「…黙って見ていろ、逃げられては叶わんからな 先にあっちから始末する」

前回みたいに助けはもう来ない 戦って目の前の男を倒すしか生き残る道はないのは理解していた

「ー…っ!!」
後ずさりしながら腕に力を込める しかし微量しか火花は散らない そうしてる間にも加賀は距離を詰めていく

「お前… そうか、力を奪われてるのか
フフフ、なら好都合
楽して能力を奪えるというものだ」

くそっ落ち着け…
言ってたじゃないか
イメージ、そして言葉だ 自分の能力に形を与え、名付け一つの『モノ』にするんだ
未だに膝は震え歯が噛み合わずカチカチと音がしながらも自分は滑り台のそばで瞑想した

「目を瞑り無抵抗か? 何のつもりかは知らんが…」

加賀美が近付いてくるのがわかる
落ち着け… あんな奴が何だってんだ…
『奴』と会った時と比べればこんな力……
あの時の… 恐怖に比べたら…!


「『蓄電』チャージ!」「死ね」
自分が叫び体が発光したのと加賀美がナイフを肩に刺したのは同時だった

崩れたのは加賀美の方だった
ナイフから伝って腕に電撃が流れてきたので思わず手を離したのだ
「うわぁ! …き、貴様! 何をした!?」
「蓄電[チャージ]… 体に電流を流して攻防一体の鎧を作りました……
あなた… 能力は分身を作るだけで攻撃手段はそのナイフだけですよね?」

肩の怪我は結構深いが気にしてる場合じゃない 今度はこっちの番だ

「ならもう勝ち目はありません… 近付いた瞬間感電させます。 だから負けを認めてください」
「が、ガキがぁっ舐めやがって!!」

一気に形成逆転したことに動揺したのか今まで静かだった雰囲気が一変した

「負けろだと!? ふざけるな、俺が勝つことに変わりはない!
俺だって… 俺だってもう後はないんだー!」
そういうと加賀美は分身を出し、一斉に襲いかかってきた。 分身もナイフを持って しかも8体だったのが10体に増えてる
おそらく分身に電気を分散させ弱まった所をトドメを刺すつもりだろう
132桐北 修貴:2008/03/23(日) 20:25:02 O
ならこっちも… 次のイメージ!

すかさずすぐ後ろの滑り台の柱に手を当て電撃を流す
「『発電』バッテリー !」
「死ねぇ!」
すぐそこまで迫っていた加賀美達がナイフを首を目指して突き刺す
しかし見えない力が加賀美達を妨げそのナイフは滑り台を刺していた
「くそっ! ……!」
加賀美達は急いでナイフを引こうとしたが動かない
驚くことにナイフ滑り台にくっつきビクともしないのだ
「な、なんだこれは!?」
「磁石です」

隙をついて後ろに回り込むのに成功 相手の攻撃手段は完全に封じた

「電磁石ってありますよね?
これに自分の電気を流して磁石にしたんです… それも強力なやつに」
「……!?!?」

平常心を失いパニックになった加賀美が出来ることは
ナイフを離し丸腰で突撃する事のみだった
「くそっ… ちくしょぉおおおおお!!」
「すみませんが少し大人しくなってもらいます 聞きたい事は山程あるんです」

今回はイメージするまでもない 前から使えた単純な力 それに名を与え形を創り強力にする
「『放電』スパーク !!」
振り下ろした左腕から今までとは比較にならない太く凶暴な雷を放たれた
一瞬のうちに加賀美を分身もろとも飲み込み過ぎ去った後には焦げた地面に本体のみが倒れていた


「勝ったのか? 勝った…よな おおおお!! 勝ったぁーー!!!」
初めて力を使いこなした! 初めて敵を倒した! 初めて…
「し、しまった!」
力任せに放ってしまった! まさか殺してしまったか!?

「よ、よかった… まだ生きてる」
力が弱まっていたせいか全身火傷で済んでる まぁこれ位は同然だろう

傷は… まぁ大丈夫だろう
いやまて、あの変な格好の人の事忘れてた!

急いで向かおうとしたその時後ろから絶叫が聞こえた
振り返ると加賀美が既に起きておりその体が足から次第に無くなっていたのだ

「あああ"あ"! 俺が、俺が消えるっ!」
「なっ どうしたんだお前 …っ!まさか」
「ご名答… 貴様に負け能力を全て失ったのだ! だから体も消えちまうんだぁ!!
い、いやだっ! 死にたくないっ! 死にたくないいいぃぃ…!!」


最後に悲痛な絶叫を残して加賀美の体は完全に消滅した

き… 消えた 殺すつもりなんかなかったのに……
「なんなんだよ… なんなんだよこれー!?」

桐北 修貴:戦闘に勝利 力2/3→1
同行者:戦場ヶ原 天
加賀美恭一:力を完全に失い消滅
133池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/23(日) 20:53:06 0
>>123-130
数値にしろアルファベットのランクにしろ、
決めるにはまだ話し合いの余地があると思われます。
ですから今後の取り決めや話し合いをする専用の場として
避難所を設置するという意見には賛同です。


──>>111続き。

    アイシクルショット
「──『氷 柱 弾』!」

俺の周りにカラーコーン程の大きさの氷柱が瞬時に誕生する。
その氷柱は、俺が右手に力を込めると次々と三人の男に向かう。

しかし──氷柱弾は奴らの眼前で次々と破壊されていく。
こいつら……俺の氷柱弾を何かの力によって相殺しているのか。
やはり異能者に間違いない──。

「それで終わりかっ! ならば、次はこちらの番だっ!」

真ん中のリーダー格と思われる男がそう言うと、
突然、俺と男の間を隔てる空間が一瞬グニャリと歪んだ気がした。
──なんだ?

(ドゴッ!)
──ッ!
胸に重く響く衝撃──。攻撃──された──?
瞬間、俺は仰向けの格好で、後方約数メートル付近まで吹き飛ばされていた。
俺はそのまま仰向けの状態で大地に倒れこむ。

──胸が苦しい。胸に重石がのしかかるような圧迫感。
右手で攻撃を受けたと思われる箇所を触ると、ワイシャツの第一ボタンから
第二ボタンにかけての部分が裂け、胸元防御のために瞬間的に作り出した
厚い氷が真ん中の部分にクレーターのようなものを作り、ひび割れている。
134池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/23(日) 20:59:05 0
俺はそれを確かめると、大地に手をつきゆっくりと立ち上がる。
俺の氷をここまで破壊してなお、この威力……まともに受けたら只では済まんな。

「あれを受けても生きていたか。だが、相当なダメージを負ったと見える。
ハハハ、口ほどにもないな。その調子で我々三人を相手に勝てるのかなぁ?」

リーダー格の男がそう言うと、
それを合図にしたように男達は俺を取り囲むように展開する。

「……安心しろよ、最初から逃げるつもりはない」

「それは安心。では、こちらの予定通り君は私達の手にかかって死んでくれたまえ」

確かに威力は凄い、あれを連続してまともに受けたら死ぬかもしれん。
だが、まともに受けたら……そう、まともに受けたらの話に過ぎない。

──男達は両手の手のひらをこちらに向ける。
その瞬間、またも周りの空間がグニャリと歪み──轟音が俺の耳を突き抜けた──。
(ドォォン!)

──辺りにはもうもうと土埃が舞い、俺達は互いに視界を遮られる。

「殺ったか……。ククク、以外とあっけなかったな」

土埃の向こうでリーダー格の男の声がする。
──相手の死に様も確認せずに勝利宣言か。──笑止な。
辺りに舞っていた土埃が消え、徐々に視界が開けていく。
すると──。

「なっ、なにっ!?」

奴らが驚愕の声をあげた。
俺が死んだと思い込んだ連中からすればそれも当然の反応と言えるだろう。
135桐北 修貴:2008/03/23(日) 21:01:00 O
避難所か…
確かに必要かも、ですね
決まった設定の確認やらにも使うかもしれないし
136池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/23(日) 21:01:36 0
 アイスウォール
『 氷 壁 』──。
奴らの攻撃を防いだのは俺を中心として全方位に張られた分厚い氷の壁。
例え如何なるものを持ってしてもこの壁を破壊することは不可能。
この壁を消すことができるのはただ一人、それは作り出した本人だけなのだ。

俺はパチンと指を鳴らすと、それを合図として氷壁は消えていく。

「まともに受けたらの話なんだよ……所詮はな。さて……次はこちらの番かな……?」

「な、なんだと!」

男達は動揺しながらもこちらに手のひらを向け、先程と同じ構えを取る。

「『空気弾』……とでも呼んでおこうか」

俺がそう言うと、明らかに男達の顔色が変わる。

「お前らの能力は、凝縮した空気の弾を武器とするものだろう。
一瞬、空間が歪んだように見えたのは、周囲の大気との密度の差が生んだものかな。
タネさえ分かれば何のことはない。もはやお前達では俺に傷一つつけることさえ不可能よ」

「ふ……ふふふ……そうかもしれんな。だが!
貴様の氷柱弾とやらもの前では私達の前では無力! 今更貴様の攻撃などくらうか!」

俺は右手を覆っている手袋を外し、久々に右手を外気に触れさせる。
──この技を使うのも、久しぶりだな。
右手に力を込めると、周囲がこれまでにない勢いで冷え込んでいくのが分かる。

「そうか。ならば、こいつを見事防いで見せろ」

俺はそう言い放ち、凍気を集中させた右手の手のひらを奴らに向けた。
「私達の能力は力が増してもほとんど変化がないの…このルールは私達に不利なルール…新しい形代が必要…」
「野中さんとか神谷さんを仲間にするのです?」
笑顔の少女はワニとへびのぬいぐるみを両腕に抱え無表情な少女の質問に答えた。
「あまりかわらないわね…」
「うみゅう、なにかないのです」
こよみはバックにしまわれていたぬいぐるみを次から次へととりだしはじめた。
「こよみちゃん…これ…」
「あ、かぶとをにゃんこちゃんなのです」
「モチーフは実在の人物だったわね…」
「はい、昔のえらくてつおいひとなのです。けどにゃんこは斎藤さんがいるのでる」
ひかるはしばらく考えるとコンシェルジュに確認の電話をしはじめた。
「こよみちゃん…博物館にいくわよ…」
「なにをするなのです?」
「この子の核(コア)があるの…」
ひかるは赤い兜を被った猫のぬいぐるみをひろいあげた。
「これで…なんとかなるかもね…」
138池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/23(日) 21:05:05 0
     アイスストーム
「──『氷 雪 波』!!」

──凄まじい極寒の凍気が瞬間的に作り出された氷と雪を帯びて奴らに放たれた。

────────。


ふと辺りを見回すと、周囲に生えていた草木に雪が積もっている。
水溜りは夜空の星々がくっきりと映りこむように、綺麗に凍結している。
俺はそれらに目を奪われることなくすぐに前方に目を向けた。
調度成人男性と同じくらいの大きさの氷像が二つ、こちらを向いて立ち竦んでいる。
そう、奴ら三人の内、二人が呻き声一つあげずに凍結し氷像と化したのだ。

「さて、お前が知っていることを全て、俺に話しもらおうか」

俺は視線を落とし、二つの氷像の間の地に尻をつけて、ガタガタと震えている
あのリーダー格の男に言った。

「震えているな、寒いのか? だが、黙っていれば更なる極寒地獄を味わうことになる」

俺は右手の手のひらを奴に向ける。
奴の顔は恐怖に引きつり、目に涙まで浮かべている。

「まま、待ってくれ! 私達は雇われただけなんだ! 雇い主の顔だっては知らないんだ!」

……雇われの身か。大方、こいつらは裏の世界で生きる異能者。
普段は裏世界の組織に雇われ、日々の糧を得る者達なのだろう。

「では、いつどこで雇われた? 何故俺を狙った? その理由はなんだ?」

「り、理由は聞かされてない! 一昨日、突然電話で『あの山』の洞窟まで来いと言われて、
行ったらそこで君を倒すように書かれた置手紙と約束の前金が置いてあって、それで!」

あの山……奴が指差した場所は、郊外に位置する山林地帯だった。
139池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/23(日) 21:06:30 0
「で、どこの山なんだ?」

「た……確か、今は廃校になった木造建築の小学校がある山だ!
その近くの洞窟に俺は呼ばれたんだ! 間違いない!
私はそれに従って……た、頼む、私は手を引くから……助けてくれ!」

木造建築の小学校……か。恐らくあそこか。
電話で呼び出し、その場所に置手紙で指令を出すやり口からして、
この一件を仕組んだ奴はもっと別の場所にいるに違いない。
──だが、何かの手かがりがあるかもしれん。行って調べる価値はありそうだ。

「そうか……情報提供に感謝するよ。これは礼の代わりだ、受け取ってくれ」

「えっ……? ──ヒィィィッ!!」

(ドンッ!)
──向けられた手のひらから、再び極寒の凍気が放たれる。
男は顔面から真っ白に凍りつき、顔を空に向けてドサリと倒れこむ。
その衝撃で凍りついた男の頭部は、星に照らされてキラキラと光る
氷の破片を飛ばしながら粉々となっていった。
俺は続いてその傍で佇む二つの氷像を蹴飛ばす。
バランスを失った氷像は重力のままに倒れこみ、それもまた、
氷の破片を飛ばしながら崩れ去っていった。

それを見届けた俺は山に向かって歩き出す。
しかし、俺はすぐにくるりと向きを変え、自宅の方向へ向かって歩き出した。

「バイトと、合わせて七人の異能者との闘い……その疲れと眠気には流石に勝てんか……」

一度寝て、起きたら早速山に行ってみるとしよう。
疲れと眠気が押し寄せ上手く働かない頭で、俺はそう決めるのだった。
時間は午前三時三十分──起きるのは、昼頃になるだろうな。

[三人の刺客・死亡]
[能力値変わらず]
[池上・その日の昼頃まで休戦]
140戦場ヵ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/23(日) 22:07:34 0
>>132
「・・・力を持つ者同士がぶつかれば、残るのはどちらか一人―――・・・」

俺は、消滅した敵を見て動揺している少年に声をかけながら、近づいた。
・・・先ほどの戦いぶりを見るに、潜在能力はすさまじいものがあるが、やはりこいつ・・・素人か。

「何ビビっていやがる。それが闘いの掟・・・。『力』を持つ者すべての宿命だ。」

押さえた脇腹からは依然としておびただしい量の血が流れている。ちっ…油断したか。
「・・・まぁ3時間も休めば塞がるだろ。」
『異能者』はみな、異常に発達した身体能力の恩恵で、異常なまでの回復能力を有する。
死にかけていた少年が短時間で復活したのもそのせいだ。

廃工場の小さな窓からは、綺麗な星空が顔をのぞかせている。
殺気がぶつかり合う外を、こんな状態で出歩くのは危険・・・か。
「・・・しかたねぇ。おい虫ケラ。死にたくなかったら今日はここで野宿だ。・・・聞きたいことがあるなら今のうちにでも聞きやがれ。」
俺はその場にどっかと腰を下ろし、あぐらをかいた。

「おっと、自己紹介が遅れたな。俺の名は戦場ヵ原 天(いくさばがはら・あまつ)。二つ名は『歪んだ重力』だ。・・・好きに呼びやがれ。」

言って俺は、ハっと気がついて付け加えた。

「・・・だからってテンさんとか呼んだら、貴様を押し潰してアスファルトの染みにするぞ。」


傍から聞いたらギャグかなんかに聞こえるが、眼はマジだった。


戦場ヵ原 天:便乗して勝利。能力1→4/3
同行者:桐北 修貴
現在位置:廃工場
141名無しになりきれ:2008/03/23(日) 22:22:28 O
ここで最強っぽい池上と神野の二人がぶつかったら面白そうなんだけどなぁ
142七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/23(日) 23:18:13 0
避難所スレのテンプレとか、どうしようね

>106から
またも彼のような怪物と出くわせば、次こそは取り殺されるかもしれない
薄闇に紛れて滑翔する、半人の凶鳥
悪夢を象徴するかのような、その凄まじい姿を思い出し、七重の心は凍りついた
奴は何者なのか。何故自分がかかる厄介事に遭わなくてはならないのか

七重の脳裏に渦巻く混乱は、黄昏時に削除したあのメールに収束した
バトルロイヤルだとか、肉体の消滅だとか、まるで冗談めかした、アレ
彼の鳥人も、あの類のメールを受け取り、その内容に触発されたというのだろうか
もしそうなのだとしたら、ひどく迷惑な話
異能者だか何だか知らないが、それに自分の勝手気ままな人生を邪魔されるのは、愉快ではない
そう、「異能者」。先程襲ってきたあの男は、メールに記されていた「異能者」という存在なのだろう
そして「異能者」に襲われる側の立場にあった自分もまた、「異能者」。多分、恐らく、そうなのかもしれない
あの化物と自分が同じカテゴリーに入っているのかと思うと、嫌悪感で口元が引き攣った

苛つきに任せて足を動かす内に、七重は或る重大な事に気付く
寝床はどうするのか。このまま当てもなく彷徨ったところで、自宅に辿り着けるとは考え難い
とりあえずは適当な宿泊施設を見つけなくてはならない。どこでも良い、金なら足りるはず
と、ここに思考が及んだ時点で、七重は更なる大事に直面していることを理解した
金が無い。ファイトマネーの入ったダンボール箱は、
彼の大男と立ち合った時に、置きっ放しにして来てしまったのだ
頼みの綱のポケットマネーは雀の涙。何たる失態。何たる愚行――野宿、確定

もはやどうにでもなれ。いっそここで寝てしまおう、と地べたに寝転がると、頭上に看板が見えた
どうにもドラッグ店のものらしいが、困憊した今の七重に関心を興させるには至らない
瞼が下りて間もなく、戦闘による疲弊と、脳の覚醒による精神的負担が、七重の意識を暗がりへと引きずり込んだ

程なくして、夜空には雲が敷き詰められ、星も月も姿を消した
今夜はそれほど冷えずに済みそうである
【移動→国崎氏経営の薬屋近辺 / 爆睡】
143戦場ヵ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/23(日) 23:24:17 0
>>140
ずっと間違えてたwwww
俺ら公園にいるんだったwww

フン・・・というわけで、訂正だ。【現在位置:公園】
144名無しになりきれ:2008/03/23(日) 23:27:19 0
ところで「神野」が誰の事だか分からないんだが
145なんとなく位置確認:2008/03/23(日) 23:50:03 0
高山 家の近くの自動販売機
桐北・戦場ヵ原 公園
廻間 自宅
池上 自宅
神野 自分の部屋から街中?
若宮組 シティホテル
七重 国崎の薬屋
国崎 自分の店

違ってたら訂正よろ
146名無しになりきれ:2008/03/24(月) 00:25:49 O
>>144
>>65
コテの名前と軽い補足のリストとかもあった方がいいかもな
現在地は読んだ限り>>145でいいと思う
147名無しになりきれ:2008/03/24(月) 00:39:39 0
サンクス。何故だか神野タンのレスが専ブラのNG設定に引っかかってたぽい
148桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/03/24(月) 00:42:42 O
>>140
自分には能力者の気配を感じる事は出来ない ここは素直に聞き入れよう
日が落ちるとまだまだ肌寒い時期に公園で一夜を過ごし
しかも夕食は奇跡的にポケットに入っていたガムを2人で分けあうだけとはなんとも情けないものだ
あぁ、そういや家で猫達待ってるだろうなぁ

一緒にいる人物は脇腹を刺されたはずだが気になったが彼曰く心配ないらしい
そういえば自分の傷も塞がりつつある… 今まで治りは普通だったのに…
これも彼曰く本格的に能力に目覚めたからだそうだ

戦場ヶ原 天と名乗る彼は見た目と口調とは裏腹に悪い人じゃ無さそうだ
この状況では選択肢はないかもしれないがひとまずは彼を信じることが一番利がありそうだ
「天さん、ごめん…」
ってある台詞が一瞬頭をよぎったがマジで引きつった目を見て
全力で無かった事にしに戦場ヶ原さんと呼ぶことにしよう

「えと、次は自分の番ですね
自分、 桐北修貴っていいます
聞きたい事は大量にあるので遠慮なく聞きますね」

そこからはしばらく質問責めだったかもしれない
あの時は同じ状況下でまともに会話できる人物の出会いに興奮気味だったのだ

この戦い意味とあのメールの送り主の正体はなんなのか
消滅した能力者はどうなってしまうのか
あの時のトレンチコートは何者だったのか
自分の全ての始まり『奴』の事を知っているか
これから一体どうするか

そして最後に
「あの…、二つ名って何ですか?」
さっきから気になってる一番恥ずかしい質問をした
149国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/03/24(月) 01:29:07 0
ふぁぁ……」
朝食のサンマを焼いていると、欠伸が漏れた。
結局、昨日は明け方まで眠る事が出来なかった。
どうも、ずっと後ろ暗い戦いから離れていた所に、
昨日の襲撃者達の相手をした為、体が血にまみれていた頃の
記憶を思い出して、興奮してしまった様だ。
(必要な自主トレはしているから、技術と体力は落ちてない筈なんだがな……)
この自分がこんなにも平和に適合出来ていたという事に、
滑稽さと幸福感を感じて、知らぬ間に苦笑してしまっていた。

湯に大根と味噌を入れながら、今日は店は午前中だけ店を開けて、
午後は昔の知り合いから情報収集でもするか。などと、脳内で予定を決める。
そして、味噌汁が煮立つまでに玄関の掃除をしておこうと、いつもの白衣を着込み、
店のシャッターを上げようとする。が、カウンターに設置してある、外の様子を映す小型カメラの
モニターによって、俺は、外に男がいる事に気付いた。
人数は、一人。敵意等は感じられない……つまり、ホームレスか。
勘弁してくれ。ホームレスなんかがいたら客が寄って来なくなるじゃねえかよ。
と、頭を掻きながら、俺はシャッターを開けた。

そこにいたのは、青年だった。年は20才前半だろうか。
油っぽい髪と、黒っぽい服装をしている。だが、そんな事は、
その青年の異常な状態がどうでもよくしていた。
「おいおい……よく通報されなかったな、これ」
服と袖口ににべっとりと着き、変色している返り血……多分これは
人を殴って、それも、殺す勢い『以上』の力で殴って、ようやく着く量だろう。
まだ朝も早く、店の脇とはいえ人通りが全く無い訳でもない
この様子で通報されなかったのは、余程幸運だったと言える。
俺は、通報しようかとも考えたが、考えを改める。
この男の背後関係によっては、通報することで俺が
面倒事に巻き込まれるかもしれないし、この男にも何かしらの事情があるかもしれない。
……まあ、とりあえず起きてから話を聞いいてやるか。
そう考え、男をとりあえず店の中に入れる事にした。
襟首を掴み、熟睡している男を居間までずるずると引っ張りながら
「何で俺が見知らぬ男の世話せにゃならんのだ……はぁ」
頭を掻き、そう呟いた。

【七重 凌司を居間まで入れ、目立った負傷部分を薬と包帯で治療し、
 客用布団に寝かせておく。そして、開店準備中】
150戦場ヵ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/24(月) 01:37:27 0
>>148
「フン、困った時はお互い様、ってやつだ。」
少年が差し出したガムの半分以上をぶん捕ってむさぼりながら、戦場ヵ原は傲岸に言う。
「桐北・・・修貴、ね。めんどくせぇ。虫ケラでいいな?・・・いや、さっきは助けてもらいやがった恩もあるしな。敬意を評して蚊トンボと呼んでやる。」
自分から言っておいて、最初からまともに名前を覚える気などない。
せっかく名前を覚えたとしても、次の瞬間にはもう用のない単語となっていることが多いからだ。
これも『力』を持つ者の宿命―――…。常に「死」と隣り合わせになっている男の悲しい性とも言えた。

桐北と名乗った少年は、あまりにも身勝手な大人の対応にぶすったれながらも、質問を雨あられと注いできた。
最初はその勢いに気押され気味だった戦場ヵ原も、やがてゆっくりと語り始めた―――…



――俺もすべてを知っているわけじゃねぇが、説明してやろう。
もともと俺達異能者の力は、『奴ら』―俺はカノッサ機関と呼んでいる―の手によって作り出されていると聞く。
ある者は特殊波動で覚醒させられ、ある者は受胎時に刷り込まれて、またある者は改造手術によって・・・・・
そして奴らは・・・・数十年に一度、今のようにして『選定』を行うという。
街中を舞台としたバトルロイヤル。生き残った者を洗脳して機関に引き入れ―――・・・
・・・この先は俺にもわからねぇ。だが。
能力が暴走したものは、自分の精神エネルギーに肉体が食われ、消滅するという。
そして残った精神エネルギーはいわゆる幽霊ってやつに化けて出る、ってのは2chで聞いたことがあるな。
いずれにせよ、この余興の中ではお前のような「戦わない者」が必ず出てくる。
そんな連中を無理やり闘争の螺旋に巻き込むために、奴らは刺客を放っている。
そのトレンチコートもその一人だろうよ。
・・・『奴』ってのはどうにもわからねぇが、人間を覚醒させられるほどの能力だ。・・・おそらく機関の中でも『幹部』クラスの人間だろう。
幹部の中でも特に血の気の多い野郎が『ハザマ』とか呼ばれてた気がするが…。
まぁ、あとは自分で調べやがれ。



一気にしゃべり倒して疲れたのか、戦場ヵ原は横を向いて寝てしまった。
そして最後に、こう呟いた。


――能力の強さは心の強さ・・・。心の強さとは言葉の強さ・・・。
『二つ名』ってのはな、そうした自分の強さのカタチのひとつなんだよ。
あとは自分の胸にでも聞いてみるんだな。
答えは自分が知っているハズだぜ。


そう言い捨てた刹那、男は大いびきをかき出した。
どうやら本気で寝てしまったようだ。


【戦場ヵ原天:公園にて爆睡。】
【彼はリアルタイムで2日ほど寝まくるようので、桐北氏は離脱しても構いませんよ】
151名無しになりきれ:2008/03/24(月) 05:14:12 0
(PM)
 ├5:00
 │若宮がおっさんに重傷を負わせる
 ├6:00
 │若宮が川で騒動を起こす
 │七重vs加藤
 │池上vs2人の男
 │高村vs2人の男
 │高村vs池上
 │戦場ヶ原vs3人の高校生
 │神野vs2人の男
 │若宮が闇組織を壊滅させる
 │(異能者にメールが届く)
 │国崎vs3人の男
 │国崎vs闇の解析者
 │桐北vs謎の女
 │七重vs翼の男
 │廻間vs友人
 │廻間vs仮面
 │神野vs黒服戦闘員
 │若宮&塚原vs北条
(AM)
 ├0:00
 │若宮&塚原が博物館へ
 │池上vs三谷
 │池上vs屋島
 ├3:00
 │池上vs甲田
 ├3:30
 │池上vs3人の刺客
 ├7:00
 │高山vsガスマスク
 │国崎が七重を保護する
(PM)
 ├0:00
 │池上起床
 ├6:00
 │(メール受信から一日経過)
 │桐北が目覚め戦場ヶ原と対面
 │廻間vs斉藤
 │桐北&戦場ヶ原vs加賀美

無理矢理っぽいがとりあえず時系列を整理してみた
どっか抜けてるところあったら補完よろ
152名無しになりきれ:2008/03/24(月) 05:54:38 0
それと現在までの成績(?)

高山→(能力)4/6 (戦績)1勝0敗1分 (殺害)1人 
池上→(能力)6/6 (戦績)6勝0敗1分 (殺害)8人
戦場→(能力)4/6 (戦績)1勝0敗0分 (殺害)3人
若宮→(能力)4/6 (戦績)1勝0敗0分 (殺害)多分膨大な数
七重→(能力)4/6 (戦績)1勝0敗0分 (殺害)1人
桐北→(能力)3/6 (戦績)1勝1敗0分 (殺害)1人
廻間→(能力)4/6 (戦績)1勝0敗0分 (殺害)0人
国崎→(能力)4/6 (戦績)1勝0敗0分 (殺害)0人
神野→(能力)4/6 (戦績)1勝0敗0分 (殺害)3人

戦績は対異能者の場合のみカウント
殺害数は一般人含めてこれまでの数をカウント
153名無しになりきれ:2008/03/24(月) 11:19:56 O
すでに機関の一員になってるプレイヤーとか出てこないかな。今の所襲い来る刺客が全員NPCなので、
やられ役にしかなってないのがちょっと残念かも。
俺が携帯でなければマーダー役として参加するんだけどな。
154名無しになりきれ:2008/03/24(月) 14:58:22 0
まぁ、他人のキャラを勝手に倒したり殺したりするわけにはいかないからね。
NPCになるのも無理はないよ。
155名無しになりきれ:2008/03/24(月) 15:34:44 O
やっぱ避難所作って八百長する必要があるな
156名無しになりきれ:2008/03/24(月) 16:53:45 O
死なないように「2回までなら負けても死なない」ってルールにしたのになぁ。
もっと戦って欲しい。
戦わなくとももうちょいキャラ同士絡んで欲しいね。
157桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/03/24(月) 18:25:16 O
戦場ヶ原さんが寝てしまって なんだが空気が重いのでひとまず公園を散歩する事にした

結局加賀美も自分と同じだったのだ
ただ消えたくない もっと生きたいから戦っただけで
きっと本当は戦いなんかしたくなかったんだ
けど… それを自分は… 彼を倒し、結果彼を消滅させてしまった 加賀美恭一の未来を永遠に奪ってしまった……

「畜生… 畜生ぉ…」
気がついたら泣いていた これからこんな事がまだ続くのかと思うとたまらなく怖かった

泣き止み、落ち着き 自分はひとまず携帯でネットニュースを見ることにした
他の異能者の戦いが報道されてるかも なんて軽い気持ちで見たのだが現実は予想を遙かに上回っていた

『〇〇市で怪事件多発!
河川敷で鮫騒動と男性2名の変死体
某所で暴力団組員複数の死体
商店街裏路地で2体のミイラ死体と異形の怪物の死体
住宅街で爆発事件
国崎薬局店店主 国崎氏、謎の男達を一挙補導
他にも多数の事件が目撃されており…』

「な… これが…昨日だけで起こったのか!?」
どう考えても異能者の戦いが関係してあるものばかりだ
いや、あの廃工場の男のように見つかっていないのを含めればこれの倍以上…
158桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/03/24(月) 18:33:28 O
>>157
「まさか… 戦場ヶ原さんがやったのもあるのか…?」
可能性は低くない あの人は戦いに躊躇はない 既に人を殺してもおかしくはない
そう気づくと向こうで寝ている男が怪物のように思えてきた

「……離れよう」
判断するのに時間はかからなかった
もしかしたら自分を狙ってるかもしれない人物と一緒にいるなどデメリット以外にない

「すみません、貴方の事信じたいですが状況が状況ですので…」
微かの疑問を持ちつつも戦場ヶ原さんの枕元にメモを破った書き置きを残し
他の戦いに巻き込まれないことを祈りひとまず自宅に向かった

『戦場ヶ原さんへ
街の様子が気になるので少し探索してきます
桐北 修貴


あと… 『奴』についてですが一つだけ確かなのは、人間ではないって事です
友達が次々とやられて、自分もやられると思った瞬間に『奴』を姿をみましたが
信じられないかもしれませんが… 天使の姿をしていました それだけです
もしわかった事があったらまた会った時に教えてください』

当然前半は離れるための口実である
自分には街を守るなんて正義感も勇気もない
しかし後半は初めて他人に語る真実である
彼を疑いつつも心の底では微かに彼を信頼しており無意識のうちに付け足していた…

「この化け物の戦い… 抜け出す手段を考えないと……」



桐北修貴: 戦場ヶ原 天 と別れる
場所:公園→自宅
状態:戦闘意欲低下
159名無しになりきれ:2008/03/24(月) 21:08:10 O
>>151-152
亀だが乙
160七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/24(月) 21:34:54 0
>156
能力値に余裕があっても、
首とか斬られたら普通に死ぬだろうなとか邪推して、戦闘避けてた。ゴメン

>149
日も大分に南へ傾いたころ、ようやく七重の頭は覚醒した
何やら柔らかいものに包まれている感覚がしたので、目を開けて確認したところ、
あろうことか自分の身体は布団に突っ込まれていた
それだけでなく、覚悟を決めて野宿していた筈が、気付かぬ内に屋内に運び込まれている
内装からして、収容施設の類ではなく、一般の民家らしい
これは拉致だろうか。保護だろうか
一人で考えたところでは分かりもせぬことだろうが、
己の身体には拘束具らしきものは見当たらぬ上、
それどころか、あちこちに付いた傷は妙に手際良く処置されており、
周りには見張りもいないようであることなどを総合して推理するに、
まあ悪くとも保護寄りの拉致であろうと、勝手に判決を下した

身体の調子はそれほど悪くない。意識もはっきりしている
ならば何時までも寝ているわけにはいかぬと、
七重は布団をたたんで部屋の隅に寄せ、壁に背をつけてあぐらをかいた
これからどうするべきか、考えなくてはならない

初めこそ、昨夜の襲撃者と「バトルロイヤルメール」のことが気にかかったが、
今はこの状況を何とかすべきであると、鳥男氏たちを記憶の彼方へと追いやった
さてどうしようか
恐らくすぐ近くに、自分を引っ張ってきてくれた人物がいるはずである
とりあえずは、是非その方に心ばかりの礼を申し上げるべきだろう
探してみようかとも考えたが、他人の家の中を歩き回るのも失礼な気がしたので、

「誰かいねえのか!」

と大声で呼びかけてみる
間もなく、このセリフではまるで極道の討ち入りだなと感じ、
七重は自分の言葉遣いの悪さに赤面した
【起床/体力回復】
161廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/24(月) 22:01:48 0
俺は斉藤に勝利して自宅に帰ると、どう能力が変わったのか確かめてみた。
日本の住宅にしてはそれなりに広い庭で、いろいろと試行錯誤を繰り返していると
腕に奇妙な火照りを感じ、掌の中で赤いオーラが渦を巻き小さな火の子が生じている。
…確か斉藤の能力は火球を撃ち出す能力だったな…あの威力の火球が撃ち出せるってのか?
それを確かめるため、俺は空に手を向ける。
庭は木々が多い。火事になったらシャレにならねぇ。
そして、斉藤の能力名を思い出す。確か…ええと…

グレネイドフレア
「鬼神 炎球…?」

その途端、手から火球が飛び出す。
握りこぶし程度の大きさで本家ほどの能力は無いものの、速さがある。
威力は期待できないかもしれないが、牽制や目晦ましには使えるかもしれない。
その後も指から打ち出してみたり、溜めてから打ち出してみたりと色々と試してみた。
結果から言うと、俺の「鬼神炎球」は連射性能に優れていて
連射しようと思えば精神力が尽きるまでいつまでも撃ち出せる。。
しかし威力は本家の足元にも及ばず、先ほどの火球…つまり握りこぶし程度の大きさが限界。
しかも連射をしようとするならBB弾程度の大きさになってしまう。
そして、この威力と最大発射数はその日のバイオリズムに左右される。
「鬼神炎球」は牽制用と考えるのが妥当か…

「ふー、とりあえず練習あるのみ…だな」

そういや俺はこれまでに3回も襲われてるなあ。
しかも、俺から仕掛けたのではなくて相手から仕掛けてくるものばかり。
俺は狙われてるのか…?弱いから狙われてるのか、それとも強いから率先して潰そうとしてるのか…それは分からない。
まぁ、そんなことはどうでもいい。来るならブチのめすだけだ。
とりあえず移動しよう。ここじゃあ戦いにくいからな。
…それにしてもアニキはどこに行ったんだろう。
ちょうどメールが来た頃にいなくなったな…何か、怪しい雰囲気だったけど。
いや、まさか…な。

移動 自宅→路地裏
ホテルのレストラン―
一流とは言わないまでもそこそこの味は楽しめるただし値段もそこそこするだろう
海外に修行にいったシェフが作る料理目当てにわざわざくる客もいる。
もの好きにもほどがある…
そう考えながらひかるは本場のパスタを口に運んだ。
「つ、塚原先生。お久しぶりです」
こいつもいたのか…
ひかるは食欲を失い始めた。彼はこの街の名士で全国に店舗をもつ中古車販売店の社長でもある。
二年前、死ぬ死ぬ騒いでうるさいので死期はまだ先と告げ経営の神様と言われた自動車メーカーのカリスマの死亡日時を教えるとそれ以来私を先生と呼びはじめた。
ウザいとはこのことを言うのだろうたまたま同じクラスにいるモノが言う言葉の意味を理解した気がする。
とりあえず彼の前では占い師ということにしている。
それが彼にとって理解しやすいから…
それにしても経営者という人間は不思議だ言ってもらいたいことを告げるだけで何十万という金額を置いていく…
彼の紹介という懇願で何人もの一部上場企業の経営者という人間に会うこととなったがみな同じだった…
そのおかげで夜中にスイートルームに飛び込みで宿泊できたのだが…
「塚原先生には幾度もわが社の…」
ひかるは彼の話を打ち切るために言葉を発した
「総理大臣…一ヶ月後に辞めるわ…」
その言葉を聞くと彼は店の外にとびたした。
ひかるはそれをみると冷めたパスタを前に立ち上がった。
「こよみちゃん…少し早いけど向かいましょ…」
「ああん、待ってくださいなのです」
そしてエレベーターの中でこよみは疑問をなげかけた
「ひかるさんのちからってそんなこともわかるのです?」
「わからないわよ…これは頼まれたの…長束さんの知り合いから…おそらく今の総理大臣はその日に辞めさせられるわ…」
「それはインチキなのです」
「手品のタネってそんなもの…」
一階のエレベーターの前で社長から封筒を受け取るとふたりは博物館へ向かった



塚原ひかる・若宮こよみ【所持金】30万円up
163神野 屡霞 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/24(月) 23:52:03 0
>>116 続

 あの男との戦いから、さらに時間は過ぎた。時刻は真夜中をまわっている。しかし、眠気どころか目は冴えるばかり。
 禍ノ紅と同じように、屡霞自身も戦いを望んでいる事は、もはや認めざるを得なかった。
 体が、魂が、さらなる戦いを望み、この街に潜む異能者たちから発せられる、ある種の緊張感――戦いの空気が、その欲求をより激しくする。
 しかし、禍ノ紅ほどに渇望しているわけでも、人としての良識を失ったわけでもない。
 獲物を求めて彷徨(さまよ)うと言う獣じみた行動は、彼女にとっては野蛮で、軽蔑すべき行動だった。
 しかし戦いはしたい。その感覚はまるで、幼少期に誰もが体験する誘惑のスケールを、少しだけ大きくしたような感じだった。
 コンビニやスーパーに欲しいお菓子がある。だが手持ちは足りない。クラスメイトがさも自慢そうに、自分が万引きしたときの体験を話していたな

――と、そんな感じの誘惑を。
 子供にとっての欲しいお菓子や玩具のように、血沸き肉躍る戦いが欲しくて堪らない。
 鎮めようの無い欲望を抱えながら、屡霞は家に帰るでもなく、当て所も無く歩いた。
 気がつけば、解体中のビルに登り、飛び出た鉄骨の上に立って街の中を見渡している。
 この視界の中に、一体何人の異能者が混じっているのだろうか、それを思うと、体に武者震いが走る。
 彼女にとってこの状況は望んだ物ではない、しかし彼女がこうなるよう導いた、禍ノ紅からすれば、後一歩のところだ。
 屡霞に感づかれぬよう気をつけながらも、彼は内心ほくそ笑んでいた。物事が不思議なほど彼の思い通りに運ぶ。
 携帯へと届いたメール、作為的なほどに一つの街に集まる異能者たち、この不自然な状況が、屡霞への干渉をよりスムーズに行わせてくれる。
 もう少しだ。あと数回、いや、ある程度の実力を持った敵が相手なら、もっと少ない回数で、一時的にしろ肉体を支配できるチャンスが来る筈だ。
 そしてこの街の異能者たちを、皆殺しにする。屡霞がではなく、彼が、禍ノ紅が、自分の意思で、自分の振るう刀で、自分の殺意で、誰の力も借り

ることなく、皆殺しにする。
 今の彼の興味は、全てその方向に向いていた。それが原因だろう。普段なら気付くはずの、遠巻きに屡霞を監視している存在を、気付くことが出来

なかった。
 そう、組織の機関員。屡霞がメールを受け取った時から、刺客たちとの戦闘を記録してきた存在を。
 今も、鉄骨の上にたたずみ、深夜の街に流れる喧騒へ耳を傾ける屡霞の姿を、監視する黒服の男がいた。
 男は今まで彼女が見た奴らと同じ、黒いスーツにサングラス、いかにもエージェントという風貌だ。
 そして男は、双眼鏡を使って屡霞の姿を監視しながら、含み笑いを浮かべると、通信機に向かって話し始める。
「思ったとおりだ。禍ノ紅はここぞとばかりに神野 屡霞への干渉を深めている。
女性と言うのは心情に縛られ、どうにも扱いにくい。だが肉体の支配権が禍ノ紅に移れば、条件次第ではこちらに引き入れる事も容易な筈だ。
この調子で彼女の心に隙を作る。次は一気に3ランク上の異能者を差し向けろ。追い詰めるほど禍ノ紅からの干渉が容易になる筈だ」
『了解。レベルΩの異能者、抜刀狂気(サドゥンプリズン)、一之瀬 馨(いちのせ かおる)の冷凍睡眠(コールドスリープ)を解除します』
 その返答を受けると、男は満足そうに鼻を鳴らし、通信機の電源を切った。
 あの異能者が神野 屡霞と接触すれば、彼女の心には必ず隙が生まれる。禍ノ紅がその隙を突いて、表に出てきてくれれば万々歳だ。
 異能者としての実力だけ跳ね上がり、不要な頭の良さはなくなり、愚直なまでに自分の感情に素直な殺人鬼が出来上がる。支配者にとって理想の部

下ではないか。
 ――さて、あの女は何処まで耐えるか。
164神野 屡霞 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/24(月) 23:53:03 0
続き

(屡霞よぉ。いつまでも突っ立ってねーで、さっさと相手を探しに行こうぜ?)
 随分と長い時間、夜の街を見下ろし続け、禍ノ紅が心から退屈そうにそう語りかける。同時に早く戦いたいという禍ノ紅の思念が、滝のように流れ込んできた。
「そのつもりは無い。私が死よりも恐れていることが何か分かるか? 私が私でなくなることだ」
 禍ノ紅からの語りかけと同様に、屡霞からの呼びかけも、言葉以上のものが心を通じて流れ込む。
 自分の心が変質していく不安、変質した心が戦いに望む期待、禍ノ紅にすれば、どちらもちゃちな感情だ。
 しかし、まだどうすることも出来ない。屡霞の心の壁は厚く、そう簡単に支配権を渡してはくれなかった。
 彼は人間にとっての舌打ちのような感覚で、刀身をカタカタと振るわせた。
 その音と、流れ込む禍ノ紅の思念に耐えるのに意識を集中させていたせいで、屡霞は上方からの物音に、瞬気付くのが一瞬遅れる。
 ヒュゥッ、という風切り音が耳に入り、反射的に回避行動を取ったのは、組織からの刺客がすぐ背後に迫ったときだった。
「ヒャッハーッ!!」
 女の声だ。屡霞はバック転でその女の放つ初撃を避け、鉄骨のより端っこへと移動する結果となった。だが、女が狙ったのはどうやら屡霞自身ではないらしい。
 直後、ズズズ…っと鉄骨が斜めに落ち始める。屡霞と同じく斬撃主体の相手だ。鉄骨を切るほどの相手だから、能力者と見て間違いは無いだろう。
 屡霞は素早く鉄骨からガラスの取り外されたビルの窓へと跳ぶ。急激に感覚を研ぎ澄ましたことによるスローモーションの中、屡霞は相手の姿を見た。
 両手に一本ずつの刀を持ち、顔の半分は包帯に覆われている。服装も、入院中に着せられるような、無機質な格好。まるで今の今まで、精神病棟に隔離されていたような印象を受ける。
 事実、彼女の認識はそう間違っていなかった。
 組織から送られてきた刺客――一之瀬 馨は、以前の男と同じく人工的に付加された異能力に耐えられず精神が破綻し、組織のマインドコントロールでなんとかコミュニケーション能力を保っている狂人だ。
 自分の末路の可能性のうち、もっとも悲惨な物を見せつけ、精神的なダメージを与えるという、組織の作戦。そのために冷凍睡眠から覚まされた、捨て駒。
「名乗りも無しに切り掛かるとは、随分と無礼な奴だ。礼節を持って和を成すのが日本人の心意気だぞ」
「んな事は関係ねーのよ。あたしゃ組織から命令されたんで、あんたを殺しに来ただけ。
あたしと同じ刀を使う殺人鬼だって聞いたから、嬉しくって飛んで来たのよ?
聞いてた通り、あたしに似ていい感じに死臭を振りまく美人じゃない」
「私からではない。禍ノ紅からだ!」
 屡霞が珍しく声を荒げた。目の前の女に、どうしようもない嫌悪感が沸く。欲望のままに人を殺すなど、畜生以下の行為だ。
 目の前の相手を深く軽蔑すると同時に、“あたしと似て”という言葉が、心に酷く違和感を残した。
 ――禍ノ紅との契約だから仕方ないとして、眼前の敵全てを、人であろうと葬ってきたのは、快楽殺人と同列の行為ではないかと。
 迷いは動きにそのまま反映される。二刀流を巧みに使って切り掛かってくる馨の動きだが、本調子の屡霞ならば、上手く捌いて反撃すら出来たはずである。
 だが、屡霞は今のところ、防戦一方に回っていた。
(どうしたどうした!? こんな奴ぐらい、俺の力を解放すれば刀ごとぶった切ってやれんぞ)
「五月蝿い! 話しかけるな!」
165神野 屡霞 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/24(月) 23:53:52 0
 見たところ相手の能力は、身体能力と刀の切れ味の強化。屡霞の能力を劣化させたようなものだ。
 剣の型にしても、自己流で動きが荒く、隙を突けば一撃で仕留められるかも知れないチャンスはあった。
 だが、馨の存在は、それを不可能にさせるほど屡霞を動揺させた。
 禍ノ紅の力を使い続ければ、いつか自分もこうなるのではないだろうか。そう思うと雑念によって動きは鈍り、妖力の開放も躊躇われる。
 開放する妖力の量が少なくて済む感覚の鋭化のみで、なんとか相手の攻撃を防いでいた。精神的なダメージを狙う組織の作戦は、まさに大成功だ。
 しかし、いくら技術面で勝っているとは言え、手数も膂力も相手が上。屡霞は徐々に部屋の隅へと追い込まれていく。
「ちっとは反撃してくれないとつまらねーでしょ? 組織が気にかける異能者のくせにこんな程度の力しかないの?」
「力を使って自分でなくなるより、人の心のまま死ぬ方がマシだ……ッ!」
「つまらないこと考えるのね。こっちまで興醒めしちゃう。もうあなた死んでいい。そして私はさっさと別の異能者を探す」
 相手の反応に落胆した様子で、馨は屡霞の首筋を狙い、右手に持った刀の正確無比な突きを放つ。こればかりは完全に避けきる事は出来なかった。
「チッ…」
 身をかがめ避けようとすると、刃が頬にかすり、その後ろでは数本の髪の毛がパラパラと地に落ちた。
「あら? 今の避けるんだ。じゃあ次は同じところへもっと早く」
 そう言いながら、馨は左手の刀を構える。一撃目を避けたために体勢を崩した今では、避ける事は無理だろう。
 禍ノ紅を腹を使って、二撃目を受け止める。ガキィンッ! と鋭い金属音が鳴った。
(このままじゃホントに死ぬぜ? どうしたよ? さっさとコイツを殺せよ。簡単だろ?)
「五月蝿いと言っている!!」
 屡霞は完全に平静を欠いていた。頭の中で鳴り響く禍ノ紅の言葉に、怒鳴り声で返す。
 確かに妖力を纏わせた禍ノ紅を振るえば、刀ごと目の前の相手を両断できるかもしれない。だが、目の前の狂人に一歩近づいてしまうかもしれない。
 そう思うと、怖くて堪らなくなった。幼少の頃から危険に晒され続けていた彼女にすれば、久しく忘れ去っていた感情だ。
 刀を振るう腕が震えないようにするだけで、相当の精神力を消耗する。しかしそれも、やがては限界が来た。
「あッ…くっ!!」
 ついに相手の攻撃を受け止めきれず、脚をもつれさせて尻餅をついてしまう。この体勢では二本の刀を防ぐことなど不可能。
 相手は殺人狂。見逃してくれるはずも無い。屡霞は死を覚悟――出来なかった。死を恐れない人間などいない。目前に迫れば、誰であろうと藁にもすがる気持ちになる。
 それは心に大きな隙を作ることであり、組織が禍ノ紅に与えたチャンスであった。
(最近流行ってるツンデレってやつか? 死にたくねェならそう言えよ! 俺様が助けてやるからよぉお!!)
 頭に響くその言葉とともに、屡霞の意識は深く深く引きずり込まれていく。その感覚は、過去に三度体験したことがあった。
 体の支配権が、禍ノ紅にへと移る。
「さあさ、そろそろ死んでちょーだい!!」
「誰が死ぬかよ、腐れ五流が」
 禍ノ紅は、刀を振り下ろす馨の手首へ一閃するとともに、腹部に蹴りを入れる。
 切り払われた馨の手首が刀ごと宙を舞い、香る自身は建物の壁へと叩きつけられる。
「く…、ふふ…、はははははは……、流石は屡霞の体だ。まるで本物の俺の体みてーに反応しやがるぜ!!……最高だ。
おい、腐れ五流。てめェを俺の準備運動の相手にしてやる。こちとら人間の体はしばらくぶりだからな」
 自身の刀身を馨に向けながら、禍ノ紅はさも楽しそうに言った。
 馨にすれば、理解不能な状況だ。さっきまで防戦一方だった相手が、あの体勢から反撃をしたうえ、自分の腕まで切り落とした。
 考えられない。仮にも抜刀狂気(サドゥンプリズン)の二つ名で呼ばれる自分が、あの有利な状況から巻き返されるなど
「あぁ? 人の手ぇ吹ッ飛ばしやがって。さっきまで泣きそうだったクセに態度でけーのよ」
「俺は泣いてなんかねーよ! こいつが臆病風を吹かせただけだ!! 雑魚のクセにでけェ口叩きやがって。
気が変わった。準備運動なんて後で幾らでも出来る。てめェは今殺すぜ」
166神野 屡霞 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/24(月) 23:55:06 0
 挑発的な言葉を口にしていた馨も、禍ノ紅の周りに噴出した妖気には、腰を抜かしそうになった。
 以前、改造された男と戦った時とは、比べ物にならないほど禍々しい妖気だ。
「禍ノ紅、裏の舞を見せてやるよ。てめェみたいな五流が俺の手にかかって死ねるなんて、恐れ多いにも程があるぜ?」
 話しながら、屡霞の体が動き、斬撃の構えを取る。互いの距離は数メートルは離れている。刃が届くはずが無い。
 紅疾風を放つにしても、以前の男ほど鈍い相手でもない。
 しかし、禍ノ紅は絶対の自信を持って馨へ狙いを定めた。彼女の麻痺した頭が、警告を鳴らす。ここから逃げろと。
 馨は壊れていたが、その分行動に迷いが無かった。全力で床を蹴りつけ、持ちうる限りの力を使って逃走を図る。
「裏の舞――空虚(うつろ)…」
 言霊を唱えながら、神速の一振りを放つ。妖力を纏った刀身は、目の前の空間に虚ろな穴を切り開き、馨の首を切り落としてから鞘へと収まった。
 統制を失った体がバランスを崩し、地面へと落ちる。勢いのついた体は、部屋の端まで血を撒き散らしながら転がっていった。
 禍ノ紅は狂気じみた笑みを浮かべながら馨の亡骸へと歩み寄り、その腹部へ刀身を突き刺す。馨の体が干からびていくほど、体に力が漲って行くのを感じた。
「なんだ。中々好みの味をしてるぜ。雑魚でも一つぐらいは良いとこあるじゃねェか」
 ミイラとなった躯を蹴り飛ばすと、ぶかぶかになった服の間から、一枚の紙切れが舞い落ちた。
 何がしかの文字が書いてあったのをチラリと目撃し、彼はその紙を拾い上げた。
 それこそが、組織から彼へ当てたメッセージ。馨という生きた封筒に入れた手紙である。
「何々…特に優れた可能性を持つ9人の、最後に確認した場所及び、向かうと予想される場所…?」
 高山、池上、戦場ヶ原、若宮、七重、桐北、廻間、国崎、神野。神野は彼の体のことだから、それを除けば8人だ。
 屡霞の端正な顔が、不気味な笑みを浮かべる。

「しゃっあああああああああ!!! おまえ最高だぜ!! こんなイイモノを持ってきてくれるなんて!!!」

 感謝の念を籠めて馨の頭を踏み砕くと、嬉々とした表情でビルから飛び降り、走り出す。全ては組織の思い通りに運んでいた。


[神野 屡霞:禍ノ紅に体の支配権を奪われ、現在は心の底で眠っている。一応勝利はしたため、能力は上昇]
[禍ノ紅:支配権を奪い、表へ出ることに成功したが、いつまで続くかは分からない。異能者たちの動向を知ったため、これから向かうところ]
[一之瀬 馨:禍ノ紅の手にかかり死亡]


《皆さんの意見を取り入れたいですし、どの異能者の襲い掛かるか指示を貰えれば有り難いです》
167名無しになりきれ:2008/03/25(火) 00:16:21 O
池上戦キボンヌ
乗っとられ神野は戦闘力最高おつむ最低のぬ〜べ〜で言う覇鬼ポジションぽいな
168名無しになりきれ:2008/03/25(火) 00:22:40 0
神野に太刀打ちできそうなキャラが少ないんだよな・・・
やっぱ池上か。前からプッシュされてるしね
169名無しになりきれ:2008/03/25(火) 00:29:11 O
池上の他だと、誰が対抗出来ると思う?
170名無しになりきれ:2008/03/25(火) 00:39:34 0
邪気眼スレというのを忘れるな

こいつはまだまだ強くなる
    ↓
もっと実力をつけてから殺してやるぜ

の黄金パターンが残っている。この方式を適用すればどのキャラでも大丈夫だ
それか現在のスペックと弱点の設定を作って中の人に投下してもらえれば対応しやすいんじゃね?
171 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/25(火) 01:20:55 0
>>170
話を振るのに対抗策示さないのは優しくないですよね。
スペックは>>167で。本当にバカで油断も多いですから、コミカルな方向で対応して貰っても大丈夫です
弱点としてはベタな方向寄せ集めで
・戦い以外の娯楽を知らない→おもちゃの実演販売で動きが止まる。
・妖刀と言っても刀なので、人間の体で食事したことがない→相手の持ち合わせていた食べ物にハマる
・本体は刀の方なので、あんまり距離が離れると肉体の支配が切れる
・眠っている屡霞本人に呼びかければ、体を取り戻すために禍ノ紅の邪魔をする
・支配権を奪ったときと同様、心に大きな隙を作れば体を取り返される
・バカなので対話による解決を目指し、言い包めたりすれば戦意喪失も
・戦いの際、自分が楽しむことを重視して、すぐには止めを刺さない
・頭悪いので戦略性皆無

その他思いつけば、戦闘回避も負かしてやっても一向に構いません
172名無しになりきれ:2008/03/25(火) 01:46:11 0
やっぱ避難所必要かもね。
そこで色々キャラの設定とか展開について話し合えばいいんじゃないかな。
173国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/03/25(火) 02:02:54 O
(……ったく、面倒くせえ連中が動いてんな)
店に帰ってから得た情報を反芻し、内心で毒づく。
俺は、昼に店を閉め、昔なじみの情報屋から今回の件についての情報を買いに行ったのだが、
そこで得られた情報は、ある巨大な『組織』が関与しているという事だけだった。
この『組織』については、俺も昔何度か噂を聞いた事があるが、慈善事業団体だったり、暗殺請負組織だったり、
国際警察的組織だったり、マフィアの集団だったりと、聞く度にその内容は違っていた。
巨大過ぎて何処を叩けばいいかすら解らない組織。一個人にとってこれほど厄介な相手はいない。だが――――
「放っとく訳にもいかねぇか……ハァ」
情報屋から聞いた話によれば、今回このくだらない戦いに巻き込まれているのは、
能力に目覚めたばかりの者や、十代のガキも多くいるらしい。
俺は、正直面倒事には関わりたくない。だが、このまま能力を持っただけのガキが、
人を殺すのに慣れていくのを見ていくのは、寝覚めが悪過ぎる。
つくづく損な性分だな、と自嘲しながら、冷蔵庫から非常用に用意してあった品々を取り出していると、
>「誰かいねえのか!」
今から恫喝するような馬鹿でかい声が聞こえて来た。一瞬何事かと思ったが、すぐに朝男を広ってきていた事を思い出す。
どうやら、寝ていた男が起きたらしい。
俺が居間に行くと、案の定男は起きていた。
「よう、目え覚めたのか。……あー待て待て動くな。包帯がずれるだろうが。
 ほら、とりあえずこれ食っとけ。傷の回復には栄養補給が第一だ」
俺は、台所に寄って持って来た作り置きの卵粥と焼き魚を、男の前に置いた。
そうして改めて男の方を見て話す。
「……で、まずは自己紹介といこうか。俺は国崎シロウ。この薬局の店長で、
 店の前で血まみれで倒れてた妙な野郎を広ってきた、イキでイナセなお兄さんだ」
そういってから、男へ問う。
「……さて、次はお前さんの番な。まあ、なんで血まみれでいたのかとかは、
 話したくないなら話さなくてもいい」
174名無しになりきれ:2008/03/25(火) 13:13:50 O
王道なら国崎か七重のどっちかがおにゃのこなのに、両方男なのなアッー!
175七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/25(火) 14:39:36 0
七重が手持ち無沙汰に構えていたところ、
よれた白衣を身に引っ掛けた男が部屋へ入ってきた
気の利いた挨拶の文句も浮かばぬので、七重はただ無愛想に頭を下げる
白衣の男は、七重の身を案じる言葉をかけてくれた上、食事を用意してくれた
七重はしばし、膳から上る湯気を観察する

白衣先生は、国崎シロウと名乗り、
七重を保護したのは自分であると明かした
その際、自身を「イキでイナセなお兄さん」と形容したが、
七重にはそれが納得いかぬようで、適当に頭を掻いて相槌とした

一拍子置いて、国崎は七重に自己紹介を促す
それに対し、七重はぼんやりと黙考していたが、
突如右手を伸ばして焼き魚を奪取すると、それを一気に己の口へと放り込み、
息をつく間も入れず、続けて卵粥をも投入し、
ろくな咀嚼もせずに呑み下してしまった
国崎氏がわざわざ用意してくれた馳走は、
七重の疾風迅雷の猛攻をして、成すすべもなく殲滅された

「俺は、七重凌司。昨夜、通り魔みたいなモンに、やられた」

壮絶な食事を終えた七重の言葉は、不自然に片言であった
その原因が、初対面である国崎への緊張の為なのか、
あるいは不信感によるものであるのかは、七重自身にしか知り得ぬことだ

口下手の七重には、この先どう会話を展開すれば良いのか見当もつかぬ
そうして辟易していると、沈黙を割って、七重の携帯電話が鳴った
例によって、あの黒電話の音。メールの受信音だ
自分を救ってくれた人物との会話中にも関わらず、
七重は反射的に携帯電話を引っ張り出して開く
そのメールの文面を目にし、七重はギクリとして携帯電話を取り落とした
主人に放り出された哀れなケータイ君は床を転がり、国崎の膝元へと避難する

携帯電話の画面に表示されている文章は、
かつて削除したはずの「バトルロイヤルメール」と同じ内容であった
単に同じものが二度に渡って送信されてきただけなのか、
若しくは、削除されてなお電子の海から蘇ってきたのかは、
七重如きには知り得ぬことだ
176桐北 修貴 PM8:00 ◆b1QjyOQzMk :2008/03/25(火) 18:32:08 O
「すいません…、 風邪…こじらしちゃったみたいで… しばらく学校休みます…」
「そうか、お大事にな」
不自然な電話への淡白な顧問の返事は
深く追求されなかった事を喜ぶべきか、それとも自分の関心がないと嘆くべきなのか……
ともかく これで数日は自由に動ける 後はこれからどうするかだ

消えたくない…… けど、戦いたくもない
加賀美の絶叫が今も耳に焼き付いてるのを覚え身震いした
くそっ、どうすればいいんだよ自分は…

いい案が思い浮かばないまま時間だけが過ぎていく
しばらく答えのない矛盾を繰り返し考えながら猫達と戯れていた

突然玄関で物音がした
アパートはワンルームなのですぐ気づく
(猫達は隠れて飼っている)
敵襲と思い身構えたがその後の動きはない
どうやらただ手紙受けに何か入っただけらしい
「だ、誰だよ こんな時間に…」
警戒しながらも玄関に近づき顔を覗かせてる封筒を手にした
封筒はごく一般的なものに自分への宛先しか書いておらず
『一度帰ってこい 桐北 直哉(ナオヤ)』
とだけ記された 質素な手紙が入ってた

桐北直哉…… 勘当されたから 元、糞親父殿と言うべきか
博物館の館長をしており 仕事に誇りを持っていると言えば聞こえはいいが
要は自分の仕事しか考えてない人物
そのため自分の立場が危うくなることを極端に恐れ
停学が決まった瞬間手の平返したように自分を追い出した最低野郎だ

「あいつ…… 今更何のようだよ」
悪態をつきながらも自分は出掛ける準備を始めた このままここにいても状況は変わらない
それに、久しぶりに母さんに会えるかも知れない 親父と違い尊敬すべき人だ
手紙には何時とは書いてなかったので今から行くことにした どうせ開館時間中はろくに取り繕ってくれないだろう

「そうだ、念の為こいつらの飯 先に盛っておくか…」
出掛ける直前 帰ってきたときにまた3匹からのリンチを避けるため 餌を多めに皿に出した
親父からの手紙、なんとなく悪い予感がする
この家にいつ帰ってくるかはわからないから…



桐北修貴:自宅→博物館
所持品:財布、携帯、メモ、筆記具、軽食料
「ソノ質、温厚篤実ニシテ勇猛果敢。」
こよみが古文書を読み上げひかるがそれをかきとめる。
その行為を博物館の館長は素直に感心していた。
「お嬢ちゃん、よく筆の文字が読めるね」
「はい、意味はわからないけど教えてもらってるのです」
「こよみちゃん…」
ひかるがたしなめるとこよみは気まずそうな顔をした。しかし、館長のほうはそれを照れだと思いほほをゆるませた。
「いやぁうちの息子も君たちみたく優秀だったらよかったのになぁ。そうだ、喉が渇いたかかい?おじさんが飲み物かってきてあげようか?」
「いえ…お気になさらず…もうすぐ終わります…」
「そうかい、じゃあ終わったら連絡くれないかい。資料はこっちで片付けるから」
館長が部屋を出るとひかるはこよみに話はじめた
「こよみちゃん…さっきのは余計な一言…」
「ごめんなさいなのです」
「いいってことよ!本人が教えるんだ、これ以上間違いのないことがあるかよ」
こよみの肩にのせていたぬいぐるみが喋りはじめた。
この街の歴史上の人物をモチーフにしたぬいぐるみ“ひーにゃん”である。
178塚原ひかる若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/03/25(火) 20:34:08 O
>>177続き
ひーにゃんのモチーフになってるのは鎌倉時代の武将“石田彦三郎直政”である
直政は圧政をひき炎魔と呼ばれていた前領主“湯瀬政康”を打ち倒しこの街の基礎を作った名君と言われている。
「けど…大事なこと…忘れてる…」
「しょうがねぇよ。昔のこったし、まぁじきに思い出すさ」
「ひーにゃんはすごいひとなのです」
「かーっ、聞いたかよ。この娘のほうがおいらのすごさよくわかってるぜ」
ふたり?の会話を聞きながらひかるは古文書の記述に不思議な箇所を発見した。
『右馬(直政の官名)手塚原ニテ炎魔ト争ヒテ此ヲ封シメン」
「封…」
この一字が気になったが本人が覚えてないというのでそれ以上は追及しなかった。
知らないフリをしているだけという可能性をのこしつつ…
179戦場ヵ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/25(火) 23:15:27 0
>>158
夜が明けた。
いつも通りの公園の朝。鳩に餌をやる老人、ジョギングしている若者。
公園のベンチで寝ているド派手な着物姿の男を除けば、すべてがいつも通りの朝だった。
眼を覚ました戦場ヵ原は桐北がいなくなっていることに気づき、近くにあった書き置きを手に取った。

「あいつ・・・怖気づきやがったな。」

彼も力に目覚めたとはいえ、昨日今日で町中のパトロールに行けるほどの勇気があるとは思えなかった。
「生き残るには戦うしかない。・・・奴もそれに気づけば、それなりの異能者にはなり得るというのに・・・。」
「おやおや、あんたが他人の心配をするなんて珍しいこともあるもんだ。」
「!!!」

戦場ヵ原は突如聞こえた背後の声に、反射的に臨戦態勢をとった。
・・・しかし、その姿を確認するなり構えを解き、呆れた表情になった。
「・・・貴様か。驚かせやがるんじゃねぇ。猿。」
戦場ヵ原の背後に立っていたのは、スーツにサングラス。黒ずくめの『機関』員だった。
しかし他の刺客と異なっていたのは、腰に不釣り合いな日本刀を帯びていたことだ。

「戦闘狂山田権六もずいぶんとまるくなっちまったもんだね。」
「その名で呼ぶなと言ってるだろう。それより猿。何か掴めたか?」

「猿」と呼ばれた機関員の名は、猿飛栄吉(さるとびえいきち)。かつての戦場ヵ原の同僚であり、相棒だった男だ。
戦場ヵ原はもと『機関』の末端構成員だった。
しかし『ある事件』をきっかけに彼は『機関』を裏切り、こうしてニートの日々を過ごしていたのだ。
その裏切りを手助けした猿飛は、依然『機関』に残り、こうして戦場ヵ原に情報を提供している。
猿飛は飄々と両手を広げ、緊張感のない半笑いで言い放った。

「なんも。だってあいつらガードか〜たいんだって」

「チッ、まぁ期待なんざ始めからしてねぇがな。」
口ではこんなことを言いつつも、戦場ヵ原は猿飛のことを信頼している。
戦場ヵ原が機関を裏切ってから、一身に降りかかる疑惑をすべて払いのけて来た猿飛は、相当の切れ者だ。
「猿。また頼みたいことがあるんだが・・・」
「はいはい、山田の旦那のいうことならなんだって聞いちゃうぜ?」

「今回の『選定』で『幹部』クラスが動いているのかどうか…それを突き止めてほしい。」

桐北が巻き込まれることになった要因である『化け物』の正体が気になったし、何より今は敵の情報が何でもほしい。
「うっひょー、幹部クラスに取り入れっての?まったまた無茶なご注文だよ、まったく。」
「無理ならいいんだぜ?」
「またまた〜。俺様を誰だと思ってんの?そのくらい朝飯前のブブ漬けだっつーの!」
「フン・・・わかった。頼むぜ。それと・・・死ぬんじゃねぇぞ。」
会話を終えると猿飛は霧のように景色に溶け込み、消えた。

「さて・・・俺は。」
戦場ヵ原の眼は、すでに虚空を飛びまわる一つの強力な殺意の源(>>166)に向いていた。
「あれだけやかましい殺意を振り撒かれてたら、こっちの寝起きも最悪ってもんだぜ。」
彼の寝ていたベンチが音を立てて軋み、押しつぶされて大地と同化した。
歩み出した彼の足もとには、次々と小さなクレーターが出来上がっていく。
「なまった腕を取り戻すにゃぁちょうどいい相手かもしれねぇな。」

彼の顔は、疼きと歓喜と恍惚とで、今一度歪んだ。

【戦場ヵ原天:覚醒中の神野に対して殺気をぶつける。】
【現在位置:公園から港の埋立地方面へ移動。】
【猿飛栄吉(NPC):機関内で暗躍中】
180国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/03/25(火) 23:37:35 0
男は、俺の質問に答える前に目の前に置いた料理を全て、
飲み込むように食べきった。その食いっぷりに、若干料理をする者
としての何かが微妙に満足感を覚えたような気がしたが、
それはまあどうでもいい。
そうして料理を平らげた男は、ようやく自分のことについて口を開いた。
緊張か懐疑かは判らないが、片言に語られた数少ない内容によれば
男は名前を七重凌司といい、あの怪我は通り魔に襲われて出来た物らしい。
無論、その言葉をそのまま信じることは出来ない。
通り魔に襲われたにしては、あの傷口はあまりに妙な形だったし、
例えそうだったとしても、それではあの大量の返り血の説明がつかない。
ただ、七重という男が嘘を付いている様にも見えなかったので、俺は特に
何も言わないで、懐から出したタバコを火を着けずに咥え、沈黙した。
しばしの沈黙。話しあぐねているのか、それとも話すつもりが無いのか、
七重はそれ以上言葉を続けなかった。
(……これ以上黙ってても、意味ねえか)
そう判断した俺が口を開こうとした瞬間、
何処からか古めかしい黒電話のベル音がした。

この薬局の電話も古いがは、一応電子的な着信音だ。
一体何処で鳴っているのか……俺が不信に思い眉を顰めると、七重が
携帯電話を取り出していた。どうも、メールか何かが届いたらしい。
……いや、でもメールの着信音に黒電話ってどうなのよ、実際?
七重のセンスに疑問を感じながらその様子を見ていると、携帯電話の画面を
見ていた七重が、驚いたような表情をし、突如として携帯電話を取り落とした。
そしてその携帯電話は、安い畳の上を滑り俺の膝元に辿り着く。
「おいおい、ストーカーの彼女からメールでも届いたか?」
俺は、からかうような口調でそう言い、取り落とした携帯電話を七重に返すべく、
その携帯電話を広い上げたのだが、
(……!)
その時、偶然にも携帯電話に映し出されていた文字群が俺の視界に飛び込んできた。
件名は[『異能者』諸君へ]  その内容は、昨日撃退した異能者が語ってた
物と、全くといっていいほど同じだった。
そのメールをこの七重という男が持っている。それが示している事は――――
(……やっぱこいつ、異能者だったのか?)
可能性としては考えていたが、実際そうである可能性が強くなり、内心で驚く。
しかしそれならあれだけ大量の返り血も、妙な傷口も納得がいく。
俺は、驚きの感情を表情に表さないよう注意しながら、
七重に携帯を返し、先ほどと変わらない様子を作り話しかける。
あくまで一般人として……一般人として……
「なんだ……その、最近若い奴らの間ではさっきメールに書いてあったみたいな
 ゴッコ遊びが流行ってんのか? 異能とか闘うとか奪うとか消滅とか……
 あ?つか、ひょっとして最近この辺りで妙な事件が増えてるのはお前らの
 せいか!? 昨日も家に妙な格好した強盗が入ってきて大変だったんだぞ!
 店の売り上げも減るし、責任取りやがれコノヤロウ!」
立ち上がり、距離を取ってビシッと指をさしながら怒ってみた。
こいつがプロの異能者なら、俺がメールの内容を見たというだけで消しに
掛かろうとするだろう。あるいは三流ならば、能力を使って脅しに掛かったり
するかもしれない。
つまり、俺はこの七重という男がどういう類の奴なのか、リアクションから
見て取ろうとカマをかけたのだ。……だから、決して最期の一文にやたらと心が
篭ったとかそういうことは無い。決して無い。
181廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/26(水) 00:14:51 0
俺は、気付いたら近年廃校となった学校の校舎にいた。
何故ココに来たのかは、俺にも分からない。
本当に「気がついたら」ここにいた…さっきまで家の近くの路地裏を歩いていたはずなのに。
いや、しかし。ここに来るのは運命だったのかもしれない。
ここでなにか、とんでもない事が分かりそうな…そんな気が。
とりあえず俺は入ってみることにした。その予感が本当だったとも知らずに。

「暗い…な…」

校舎の中はひどく暗かった。明かりといえるのはせいぜい月明かりだけ。
足元もゴミや窓ガラスが散乱しており、だいぶ歩きにくい。
俺は近くの教室に入った。
そして、何か無いかと身を屈めながら探索していると、隣の教室から声が聞こえてきた。
その声には、怒りと殺意が込められている。誰なんだよ、こんな声を出しているのは。
そして俺は、次の一言にひどく驚愕するのだった。

「切断(カオスゲート)の……廻間幻十だな!?」

なんだって!?幻十(げんと)って…アニキの名前じゃないか!!
…チッ、隣に行きたいがこんな状況じゃ俺も騒動に巻き込まれちまうかも…!
何か方法はないかと辺りを見回すと、壁にちょうどいい具合の穴が開いていた。
これ幸いとばかりに、穴に駆け寄り俺は隣の様子を覗き見た。

「…」
「…フン!俺のことなど知らないという訳か!?しかし、俺はお前のことを知っているんだよ!!」

二人の男が、お互いを見ている。
片方の男は凄まじい殺気を込めながら、もう片方の男は…
まるで屠殺城の豚でも見るような冷たい目で見ていた。
そして、片方の男が紅蓮の炎に包まれた…そう、例えるならば悪魔を呼び出した。
恐らくあれも能力の一つ…!俺が戦うなら、苦戦は免れないだろうな。
しかし、それに対峙している男は未だに冷たい目をしていた。

「殺された仲間の恨みだ…!覚悟しろォォ!!」

殺気を込めた男が紅蓮の悪魔をけしかける。
その悪魔はとんでもないスピードで襲い掛かり、拳を振るい上げた。
しかし、けしかけられた男は慌てる様子など微塵も見せずに紅蓮の悪魔を優しく撫で…
182廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/26(水) 00:18:47 0
「煩い」

まさに瞬く間も無いほどの速さで何度も何度も撫で回し、悪魔を大量の肉片に『切断』した。
どうやら悪魔とその主はシンクロしていたらしく、主も同じように『切断』されていた。
切断した男は、何の感情も見せる事も無く男を一瞥しこっちに振り向き、

「…統時…早くココまで…俺の領域まで、来い。先ずは三回勝ち抜いて見せろ。
 期待しているぞ…」

と、呟いた。そして、その姿は紛れも無い俺のアニキそのものだった。
何もかも見透かされているような目に負け、腰の骨が砕けたようにへたり込む。
へたり込んでいる間にアニキはどこかに消えてしまったが、俺はそんなことはどうでもよかった。

最初から俺がいたのが分かってたのか?
なんでアニキがあんな力を?
なんで俺の力の事を知っている?
一体何をしようと?
あの切断された男は誰なんだ?

疑問は絶え間なく浮かんできて、それどころではなかったからだ。
マトモに動けるようになったのは、それから10分後の事だった。

何が起きたか   組織の一人である廻間幻十と遭遇、見逃してもらう
この後どうするか しばらくそこから動かない

以後、廻間幻十は他の方にコテとして使用して結構です。
能力と名前以外の設定はすべてお好きにどうぞ。義理の兄でも何でもいいです。
ただし、先着一名でお願いします…
183池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/26(水) 01:26:50 0
──起床、現在の時間は12時08分。
窓の外から射す光は間違いなく太陽光だと確認できる。
今は夜中の12時ではなく、昼間の12時に違いない。

布団からむくりと起き上がり、早々に台所でうがいを済ますと、
俺は電気釜で炊かれた白粒の米を茶碗に盛り始める。

──睡眠を取ったことでどうやら体力は回復した。
胸に受けたダメージも、既に残ってはいないようだ。
これも八時間という時間の経過のお陰か。
首をコキコキと鳴らしながら今日の体調を確認すると、
手を伸ばして戸棚に閉まってあるふりかけを手に取る。

茶碗に盛られた米に、早速手にしたふりかけの封を開け、かけていく。
その合間に、左手でテレビのリモコンを操作し、テレビに電源をつける。

液晶に映し出された番組は、調度昼のニュースを伝えていた。
俺は視線を茶碗に向け、箸と口を動かし黙々と食欲を満たしながらも、
耳だけをテレビのニュースに傾ける。

『昨晩より高校生三人が行方不明となっており…………
○○通りで男性2名の変死体が…………
昨晩だけで多くの男女が重傷を負わされたということから、
警察では大規模な組織による無差別の犯行とみて調査を……』

確認されているだけで、昨晩の内に十数件の殺傷事件が起きている。
その中の数件は俺が起こしたものだが、後は全て他の異能者によるものだと
確信するには、例のメールの内容を思い返せば十分だった。

「警察も苦労するな……もっとも、俺の言えた立場じゃないが」

一人そうつぶやく頃には、俺の茶碗の中には何も残ってはいなかった。
俺は台所で洗い物を済ませ、胸元が裂けたワイシャツを脱ぎ、
タンスの中から洗濯済のワイシャツを取り出すとそれに着替えた。

「さて……手掛りがあればいいがな……」

俺は自宅の玄関のドアを開け、真上から日光が射す昼間の街へ飛び出した。
──向かうは、昨晩あの男から聞きだした廃校が佇むあの山。
184池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/26(水) 01:31:12 0
──戦時中、この山のふもとには多くの防空壕が作られたという。
戦後になって多くは埋められたそうだが、それでも尚、あちこちには
今も黒い口が開けられたまま残されているのが確認できる。
奴は洞窟と言っていたが……この残った防空壕のどれかに違いないだろう。
──手当たり次第、当たってみる以外なさそうだ。

──────────。

腕時計を確認する。現在、午後七時……。
これだけの時間を費やしても手掛り一つ掴めないとはな。

「チッ」

ある程度予想していたこととはいえ、現実としてこうも収穫がないと
やはり苛立ちは隠せないものか、思わず舌打ちをしてしまう。

確認できるだけの穴を全て探ってみたが……手掛りは見つからなかった。
また、向こうから刺客が送られてくれば……いや、それには期待できんな。
あの男のように、恐らく己に関しての情報などその刺客には漏らすまい。

「……打つ手なし……か」

人工的に作られた狭い空間の中では、溜息にも似たつぶやきさえ
壁に反響して妙に大きな音となって、俺の耳に入ってくる。
このような現象も、今の俺には黒板に爪を立てた時に発せられる音と同じ、
凄まじく不愉快なものに聞こえる。

とりあえず……外に出るか。
今の俺には、この不愉快な閉鎖空間に留まるだけの忍耐を持ち合わせていなかった。
185池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/26(水) 01:36:46 0
闇が支配する空間から抜け出ると、そこはまた闇が支配する世界だった。
ただ先程までと違うのは、そこは遙か上空よりかすかな光が俺を照らしていたこと。
そして山林の木々の葉を鳴らしながら、吹き抜ける風──。
三月の夜とはここまで心地の良いものだったか……知らなかったな。

──(ズキン!)
「──ッ!」

これまでの爽やかまでの心地良さとは明らかに違った感覚が右手を走る──。
これは、警告。俺の右手が警告を発している。近くに異能者がいるのか──。
辺りを見渡しても人の気配はない。しかし、これは気のせいではない。
俺の右手は、一度たりとも異能者の存在を感知できなかったことはないのだから。
確かに俺の近くに異能者がいるのだ。

ふと丘を見上げると、月明かりに照らされてぼんやりとした色を放ちながら
佇む建物が目に入る。……あの廃校か。

──(ズキン!)

再び警告を発する俺の右手。……どうやら、異能者はあそこらしい。
しかし何故このような場所に? 俺の近くにいたのは偶然か?
それとも…………。

──俺は確かめるべく廃校に向かって歩き出す。
そこに、一抹の期待を抱きながら。

「手掛りを持った刺客……そうであればいいんだがな」


[現在位置・防空壕→廃校]
186名無しになりきれ:2008/03/26(水) 02:08:42 O
異能者たちのイメージ図を描いてみた
とりあえず最初の4人まで

高山http://imepita.jp/20080326/073730
池上http://imepita.jp/20080326/074040
若宮たんhttp://imepita.jp/20080326/074340
戦場ヶ原http://imepita.jp/20080326/074700
187名無しになりきれ:2008/03/26(水) 02:12:44 O
これは……GJです
他キャラも期待
188名無しになりきれ:2008/03/26(水) 10:09:28 0
若宮たんの可愛さに心を打たれた。ぬいぐるみ目つき悪杉wwww
189名無しになりきれ:2008/03/26(水) 13:09:07 O
戦ヶ原とか、手の縮尺がおかしい。
手前にあるものは後ろのより大き目に書くのが漫画絵の書き方なんだぜ。
でも顔のふいんき(←何故かry)はそれぞれの個性が出ていていい感じ。
190 ◆P1wJYx92Ts :2008/03/26(水) 15:07:31 O
こよみはもうちょいアホの子でもよかったけど他のキャラとのバランス考えるとこれくらいでもいいかな
191186:2008/03/26(水) 15:42:30 0
手抜きで申し訳ない

他のキャラも大体イメージが固まってきたけど廻間だけ特徴がつかめない。
192 ◆7VdkilIYF. :2008/03/26(水) 16:37:18 0
>>191
特徴少なすぎですいません。
短髪とは書いてあるけど、個人的には高山よりは長い髪をイメージしてますな。
あとはお好きにどうぞ。どう書かれるのか見てみたいし。
193 ◆Jd2pQO.KKI :2008/03/26(水) 17:07:19 O
あー……よく見たら明らかに体重軽過ぎるな、俺。
悪いけど74に変更しといてくれ。
194禍ノ紅 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/26(水) 19:47:07 0
>>179

 屡霞の体を乗っ取った禍ノ紅は、一之瀬 馨から奪い取った紙を片手に、深夜の街を疾走していた。
 目的はただ一つ。リストに載った能力者と殺し合いをするため。
 何百年かぶりに、良い具合の体が手に入り、しかも今居る街に多数の能力者が集まっているのだから、戦わない手は無いだろう。
 何故戦うのかと聞かれれば、答えは用意していない。あえて挙げれば、そのために生まれてきたからと言うのが正しいのだろう。
 生物が子孫を残し繁栄するために生まれるのと同じように、妖刀たる彼は戦うために生まれ、血で染まる事で生の実感を感じる。
 リストに書かれていた能力者の現在地の中で、最も近かった場所へ向かいながら、屡霞の顔は常に笑みを浮かべていた。
 深夜とは言え賑やかな街の中、すれ違う様々な人間達も、普段なら準備体操にと切り殺している所だが、今はその時間も惜しい。
 早く、早く、急がなければ、人間業とは思えないスピードを維持したまま、彼は交差点へと差し掛かる。
――ッ!?
 そのときだった。自分へと向けられた。鋭い殺意。身を貫かれるような鋭利な意思、なんて素敵だろうか。
 久しく感じることの無かった、強者から自分へと向けられる殺気。自分の居場所を知らせているのだと、考えるまでもなく分かる。
 何だ、ノリの良い奴も居るじゃないかと思いながら、彼は交差点の中央で立ち止まり、殺意の方向を見て笑みを浮かべると、その源へと意識を集中させる。
 だが、交差点の中央で立ち止まっているのだ。交差点を直進しようとしていたトラックが、けたたましくクラクションを鳴らしながら、彼へと突っ込んでいく。
 ブレーキを踏んだところで、この距離では止まることも曲がって避けることも出来なかった。
 あとほんの一瞬で衝突すると言う間際、禍ノ紅は不快感を露骨に表した表情を浮かべ、無粋なトラックの運転手へと視線を向けた。
「禍ノ紅、肆の舞(よんのまい)――蒼月閃(そうげつせん)……」
 呟きながら抜き放った紅く光る刀身を、縦へと一振り。斬撃の衝撃波が、目測で4,5メートルはあるトラックを真っ二つにする。
 彼の左右を通り過ぎていくトラックの片割れたちは、それぞれがビルへと突っ込み、数秒後には爆発を起こす。
 交差点に居合わせた人間達がどよめき、その爆音に住人が叩き起こされたのか、電気の消えていたビルの窓にも、明かりが点り始める。
 トラックの後続の車たちも、彼の体を避けて玉突き事故を起こし、炎が燃え上がる場所もあった。
 しかし、そんな周囲の惨状は気にも留めない様子で、彼は再度殺意の源へ意識を集中する。
「よう、同類。殺されても文句は言うなよ。おまえの望んだ事なんだから」
 そう言いながら、周囲に発散されていた殺気を、全てそちらへと向けた。今から向かうと言うサインだ。
 精々準備をしていて貰おう。彼はまた走り出す。受けた誘いを断る道理はない。
 周囲に広がる阿鼻叫喚に、心の底へ押し込めた筈の屡霞が少し暴れたが、問題はない。
 自分が戦いを望む以上に強い意志など、ある筈がないのだ。その程度の抵抗で、支配権が移ることなど有り得ない。
 屡霞へと強い圧力を掛けながら、走るスピードをさらに増して殺意の方向を目指した。


[戦場ヶ原の居る方向へ全力疾走中。しばらくすれば到着する]
[街の一角にある交差点で、大規模な交通事故発生。火事に発展]
「ひとつ日暮れの清雲寺、ふたつふたりでいてみれば、みっつ三つ眼のえんまさま、よっつ夜更けにひとくらう」
ひかるが館長に無理を言い未整理の資料室に入ったため作業に飽きたこよみは中庭で遊びはじめた
「たいくつなのです〜」
「ひょっっほっほっほ。これはこれは懐かしい童歌じゃわい」
こよみの背後に突然黒ずくめの老人がたっていた。
この中庭への入口はひとつしかない。
この老人がこの場所にいるのは最初から中庭にいたか忽然とこの場所に現れたかのどちらかである
「ひょっっほっほっほ、そんなにこわがるでない。わしがこわいように見えるかね?」
老人の人懐っこい笑い顔にこよみはわずかに警戒心をといた
「けど知らないひとに…」
「わかっとるわい、堅物の誠一郎に言われとるんじゃろ」
誠一郎の知り合いだと聞きこよみはさらに警戒心をといた
「知っとるとも融通のきかん石頭はむかしからじゃわい」
「おじいさん、誠一郎さんのこどものころを教えてなのです?」
「ふむ、何も聞いておらぬか。ならば言うわけにもいかぬな。ではこういうのはどうじゃね」
老人は言葉とともに枝を折ると池に木の葉を落としはじめた。すると水の中に落ちた葉っぱのひとつひとつが小さな魚に変化した。
「おじいさん、すごいひとなのです」
「ひょっっほっほっほ、400年ぶりじゃがまだ腕はなまっとらんじゃったの」
「400年?」
こよみの戸惑いを打ちきったのはひかるの声だった。
「誰…あなたは…こよみちゃん…そのひとは…」
「このひとは誠一郎さんのこどものころからのお知り合いなのです」
しかし老人は姿が見えなくなっていた。眼を離した一瞬のうちに姿が消えていた。
ひかるがこよみのもとに歩を進めると老人の声が聞こえた
「検死官に見られるとまずいのでな。ここいらで失礼するわい。あと、誠一郎に伝えい“炎魔”は組織がおさえたと」
それとともに老人の気配が消えた。
残していった名刺にはいくつかの団体と肩書きとともに北村幽玄の名前と黒猫協会の二つ名が記されていた

NPC【北村幽玄・黒猫協会】組織の幹部級登場
196 ◆P1wJYx92Ts :2008/03/26(水) 22:44:16 O
北村幽玄(きたむらゆうげん)・黒猫協会(スプーキープロトコル)だった
読みを忘れたスマソ
197七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/26(水) 22:52:52 0
>180
脱走した携帯電話が国崎に保護されるのを見て、
七重は苦い顔をしたが、奪還しようという動きは見せなかった
純粋な闘争に身を投じる際には積極的だが、
その他の物事についてはどうにも不活発気味。七重凌司は、そういう男であった
彼女からのメールか、という、国崎からのおちゃらけた問いに対しても、
うつむいて、力なくむにゃむにゃと抗議するのみに終わる

携帯電話の画面を見やって、国崎の眉が一瞬ひくりと痙攣したようだが、
今の七重の注意は、彼の口に咥えられた活気の無いタバコに向けられており、
その微妙な表情の変化を読み取ることはできなかった

国崎は携帯電話を差し出し、七重はそれをもぎとる
二人の間の空気は、僅かに張り詰めた

国崎が口を開ける
件のメールに対する疑問、
近所での怪事件増加の懸念、
自分の家が強盗に入られたことへの憤慨、
そういった旨を一通り喋りたてると、いきなり立ち上がって、
「責任取りやがれコノヤロウ!」
と七重を指差して一喝した

七重の反応は素早かった
国崎の怒声を聞かぬ間に、跳ねるようにして起立すると、
己に向けられた指を絡め取らんとして、右手を振るう
しかし、国崎の一連の行動が攻撃の予備動作でないことに気付くと、
七重は逸る右手を止め、何事も無かったかのように自然体へ戻った

「メールのことは、よく分からない・・・
 勝手に俺のところへ送られてきただけなんだ
 けど、あんたの言う妙な事件ってのには、あのメールが関わってるのかもしれない・・・」

七重の言葉は、相変わらずぎこちないが、
口調はほんの少し柔らかくなっていた

「メールの騒ぎであんたが迷惑するなら、俺が何とかする
 世話になったから・・・」

七重はそう呟くと、ゆるりと礼をした
しなだれるようにして腰を折るその姿は、
格闘家らしくもなく艶やかで、女性的な雰囲気さえ漂う
頭を上げた七重は「じゃあ」とだけ零して、
よたよたと部屋の敷居を跨いだ
198戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/27(木) 00:06:53 0
>>194
静かな街の風景が瞬く間に破壊されていく。
あちこちに響き渡る悲鳴、爆音、救急車のサイレン・・・
原因はひとつだ。戦場ヶ原の放った殺気に『向こう』が反応したのだろう。
『それ』はあり得ない速度でこちらめがけて向かってきている。
 「ケモノか・・・もしくは魔物の類かね。」
ひと気のない港の埋立地。そこに男は立っていた。
ここもおそらく開発の途中で工事が中止されたのだろう。あちこちに鉄骨やセメント袋、重機までもが
まるで時を止めたかのように沈黙し、置かれたままにされていた。
工事現場独特の異臭漂うこの地で、戦場ヶ原は再び愉しそうに顔を歪めた。
ここのところロクな闘いがなかった。一般人の高校生に三下機関員、素人の少年を連れての戦闘・・・
粗野で乱暴なくせに、どこか情に篤い一面のある彼は、今までどうも周りを気にして全力を出すことを躊躇っていた。
 「丸くなった・・・か。フン、まったくだ。」
自嘲気味に笑いながら、着実にせまりくる殺気に意識を向ける。
 「だが・・・ケモノだろうがバケモノだろうが、俺にこの感覚を思い出させてくれたことには感謝するぜ。」
昂ぶる戦闘本能を抑えきれず右腕を天に翳すと、そこに黒い『力場』を作り出した。
 「・・・どうせなら奇麗にして出迎えてやらねばな。『ユニバーサル・グラビテーション』ッ!!」
戦場ヶ原が吼えた直後、彼を中心とした半径30mほどの範囲に置かれている、鉄骨、重機、鉄くずやセメント袋が、
瞬く間にその『力場』目がけて飛んで来た。・・・いや、この場合『落ちて』来たという方が正しいだろう。
まるで高いビルから落とされたものが地面にぶつかり潰れるように、力場目がけて『水平に落ちて』行き、潰され、消えていった。
あっという間に埋め立て地は、小規模の竜巻が起きた跡のようなまっさらな状態にされた。
戦場ヶ原は、多くのガラクタを一瞬で吸収したマイクロブラックホールとも言える『力場』を、今度は地面に向けて撃ちだした。
地面にめり込んだ黒球はそのまま埋まっていき、やがて消えた。
 「フッ・・・・さぁ、俺に闘争を寄越しやがれ…ケダモノ野郎ッ!!」
闘技場をあつらえた男は、その中心で仁王立ちし、来たるべき『敵』を待ち構えた。

【重力使い戦場ヶ原天:準備完了】
199池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/27(木) 00:54:28 0
──ゴミの散乱した昇降口、割れた窓ガラスの破片が月明かりに
照らされて異様な光を放っている廊下。誰かがイタズラでもしたのか、
一部分がグニャリと変形し、所々で塗装が落ちている階段の手すり。
普段ならば、このような場所には近寄ろうとも思わないだろう。

しかし、ここには確実に異能者がいるという確信から、
俺は右手の警告を頼りに足を進め、その場所を探っていた。

そいつは俺がすぐ近くのふもとの防空壕で手掛りを見つけているところを
監視でもしていたのか……それとも全くの偶然か……。
いずれにしろ、そいつが何かしらの情報を持っている可能性はある。
とりあえず会い、話を聞き出しておいて損はないだろう。

さて……どうやらここか。
俺の警告が一層強くなっている、間違いない。
階は一階、壁に貼り付けてあるプレートを見ると、『2年4組』と書いてあるのが分かる。
俺はドアを盛大に開け、教室に入り込んだ。

>>182
──見ると、教室の壁際で立ち竦んでいる一人の男がいた。
年齢はそうだ、見た目から高校生程度という事が分かる。
俺は教室に入り込んだ瞬間に飛び掛ってこられることを覚悟していたが、
どういうわけか男は俺と目が合ってもピクリとも動かない。
まさか……こちらが異能者だと気付いていないわけではあるまい。

予想していない状況に一瞬躊躇するも、
俺はゆっくりと近付いていき、男に話しかけた。

「どう見ても小学二年生ではないな。お前は……異能者だろう?」

男の目が、一瞬大きく見開かれるのを確認すると、
俺は間、髪入れずに言葉を続ける。

「とりあえず、お前の知っていることを全て話してもらおうか?
素直に従えばお前の命は見逃してやる……さ、どうする?」

──俺もつくづく人が悪い。
素直に従っても、いずれは殺すつもりでいるのだから。
200名無しになりきれ:2008/03/27(木) 00:59:40 O
次の4人をイメージ化

七重http://imepita.jp/20080327/027960
桐北http://imepita.jp/20080327/030140
神野http://imepita.jp/20080327/030560
国崎http://imepita.jp/20080327/030960

七重は顔色悪いストリートファイターってよくわかんないからケモノっぽくしてみたが合ってるかな?
あと廻間だけはもうちょい待ってくれ……orz
201廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/27(木) 01:20:57 0
アニキが消えた後、俺は色々と考えた。
しかし、いくら考えても俺には何も分からない。
何しろヒントすら無いのだ。何故アニキがあんな力を持っていたのか…そして、いつ手に入れたのか。
俺にはまったく分からなかった。
…何時までも、ここにいるわけにもいかない。とりあえず俺は立ち上がった。
そして頭を振り考えをリセットさせ、今後はどうするかを考える事にした。

>>199
気がついたら、教室に誰かが入ってきていた。
一人の男だ。どことなく、さっきのアニキみたいな目をしている。
なんか、胸がピリピリしてきた。
この違和感は…確か、斉藤と戦ったときにも起きていたな…
…そうか、コイツも俺と同じ能力者か…
思考をリセットしたのは正解だったな、さっきのまんまじゃあロクに戦えなかっただろうから。

「どう見ても小学二年生ではないな。お前は……異能者だろう?」

やっぱそうか…!
この能力者が敵か味方か。それすらも分からない。
今まで会ったヤツはみんな敵だったが…コイツは?

「とりあえず、お前の知っていることを全て話してもらおうか?
素直に従えばお前の命は見逃してやる……さ、どうする?」

命だけは…ねぇ。このセリフ、ほとんど悪役じゃないか…
命だけ助けてくれるとはいってるが、それはつまり命以外は助けないって事だよな…
しかし、俺は3回戦っただけだしな…どうしたもんか。

「ほとんど何も知らない、と言ったら?」

とりあえず俺は相手の出方を見ることにした。
202国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/03/27(木) 02:13:30 0
>>197
(おいおい。判りやすい反応だな!)
大声を出した瞬間、七重が跳ね起き、攻撃の為の動作に移ったのを見て、
俺の体は自然に、かつ最短に相手を『殺す』為の動作に移ろうとした。が、
その先は無かった。その前に七重が動作を止めた事で、動く事無く済んだからだ。

自然体に戻った七重からは害意のような物は消えていた。
そして、不器用だが真摯に言葉を述べていく。
その内容は、事情を知らない者への気遣いと、誠実な感謝の意。
それを聞いていく内に、俺はなんとなく理解した。
この男は組織の人間でもなければ、まだ裏社会に染まり切った人間でもない、と。
(まあ、つまるところ、ここで放り出したら殺られちまうって事か……)
俺が思索しているうちに一通りの事を話し終えると、
七重はそのまま部屋から出て行こうした。

俺はため息を一つついてから、気配を隠して七重の背後に近づき、

「だーれが帰っていいって言ったんだ?あン?」
包帯を巻いた傷口の上から、無表情で人差し指をぐりぐり押し付けてやった。
そして、指を離すと反論を挟ませること無く語る。

「いいか、よく聞け。お前のお陰で俺の店は不景気なんだ。
 それに、まだ食わせてやった昼飯の代金も払ってもらってねえ。
 1230円だ。1230円、解るか?お前の食事の材料費だよ。
 それに、損失利益はもっとスゲェ事になってる。
 見たところ、金は持って無いみてえだが、どうやって払ってくれるんだ?
 まさか踏み倒して行こうって訳じゃないよな?」

そのまま腕を組み、意地悪そうな表情で告げる。

「……という訳でだ。お前には暫くの間この店でバイトしてもらう。
 なーに、簡単だ。三日に一回くらいこの店に来て、クソ重い倉庫の荷物整理でも
 手伝ってくれればいい。
 それから、その時に俺の稽古の相手してくれりゃあ万々歳だな。
 実は俺、格闘技が趣味でな、強すぎて相手がいなくて
 困ってたんだよ。お前さん、結構ガタイがいいから相手にゃあぴったりだろ?」

そこまで一気に言って、後ろを向き、やれやれと両手を上げたポーズで続ける。

「……さっきのメール、喧嘩でもして、最近ここらで暴れてる
 ヤバそうな奴らに追われてるか、そいつらの抗争にでも巻き込まれたんだろ?
 ああいう奴らはホテルとかにも網張ってるからな。暫くここをホテル代わりに
 使いやがれ。 宿代はタダ。飯くらいは食わせてやるからよ。」

「困った時は誰かに頼れ」そう言い残し、俺は家の庭へと歩いていく。
監視と情報収集の為の嘘とはいえ、さっきの言葉の半分は本心だ。
下手に闇討ちの危険のある外より、この店の中は数段安全だし、
手合わせは、何かしら教える事も、教えられる事もあるだろうと思う。
そういった事で生きる可能性を少しでも高める事が、生き残る事に繋がる。
俺は経験からそれを知っていた。

【国崎、格闘技が趣味と言った傍からゴロゴロするわけにもいかず、
 仕方なく庭で筋トレを始める】
203名無しになりきれ:2008/03/27(木) 09:38:20 O
>>200

おっぱい!おっぱ(ry
204桐北 修貴:2008/03/27(木) 18:47:00 O
直哉に続いて入っていく修貴の姿をビルの屋上から見ていた老人は指を軽く左右に振った
すると何もなかった空間から突如紫の光が円状に生まれ中から人影が浮かび上がった


「北村幽玄 桐北修貴の誘導に成功…
やれやれ、こんな事下っ端に任せればよいものの」
「彼は『天使』の恩恵に認められた数少ない人物だ 事は慎重にいきたい」
「そこまで言うなら準備は万全だな? これ以上の協力はせんよ」
「見くびるな 博物館は静樹 彩名が『絶望兵器』[ショットガンアームズ]で完全に包囲している
桐北直哉も既に能力者の術中だ 逃がしはしない」
「そうかい、そうかい
…それは検死官がいても言えるかの?」
「なっ…! 検死官だと!? それはどういう…」


通信を途中で切って幽玄は満足そうにキセルを吹かした
「さぁ〜て、炎魔は向こうに任せてわしは高みの見物と洒落込むかの」
幽玄はキセルの灰を落とすと眼下の博物館を邪悪な笑みで眺めた



桐北 修貴:博物館到着 館長室へ
途中北村幽玄に接触
205桐北 修貴:2008/03/27(木) 19:06:32 O
>>204
すみません間違えました こっちから


ビルに突っ込んだトラックは激しく炎上して黒煙を上げ、
玉突き事故を起こした車からの怒声、悲鳴
救急車や消防車のサイレンもけたたましく鳴り響き
寝静まるはずの街の交差点は正しく惨状だった

そこから少し離れた所の野次馬から一歩引いた場所で修貴は悩んでいた
「事故か? くそっ、これじゃ通れない…」
博物館への道はこの道を通るのが最短で他のルートだととても遠回りだ

面倒だなぁ、行くのやめようかなぁ…
そこまで直哉に会いたくない修貴としては遠回りしてまでは行きたくなかった

また今度でいいかと思い始めた頃だった
「これ、そこの童よ 何を難しい顔をしている」
何時からそこにいたのか
後ろから黒尽くめの老人に声をかけられた
不思議なことに自分はこの老人に驚くことも怯えることもなく
ただ自然に受け入れ老人からの質問に答えていた
「実はこの先の博物館に行きたかったんですけど
この事故じゃ通れないしどうしようか迷ってたんです」
応えを聞くと老人は納得したのかゆっくりと頷き
「あぁ、あそこね こんな時間に博物館なんて感心だねぇ
よし わしがとっておきの近道を教えよう」
と、言うやいなやさっさと裏路地を歩き始めた
慌てて追いかけたが見た目は老人なのに歩くスピードが異常に速く
道は狭く入り組んでいたので走って見失わないようにするのがやっとで
「お、お爺さん! 健康なのはいいからもう少しゆっくり案内して!」
と頼んでも
「ほっほ ほれ若いんだからしっかりしっかり!」
なんてはやし立てる ちょっとムカついた

博物館についた頃にはとっくに息が上がっていた
辺りを見回してもあの老人の姿はなく、そればかりか
後ろを振り返っても人が通れる道など存在しなかった
しかし、これもあの老人同様、特に動じず受け入れていた

「来たか」
少し階段を上がった正門前で桐北直哉は待ち構えていた
「予想はしていたがこんな時間に来るとは…」
「時間の指定はなかったけど?」
「フン…」
話してる間も目の前の男は無表情 目に至っては闇そのものだ
「何のよう? さっさとすませたいんだけど?」
「館長室まで来い まずはそれからだ馬鹿者」
「チッ…」

「この建物は明治時代にユダヤ人の建築家が設計したんですよ。設計者はですねこの場所をすごく気に入ったらしくそうとうゴネたんですよ」
うるさい男だ…聞いていないことまでペラペラ喋る…何が楽しいのか…
手近な研究員に博物館の案内を頼むとこの男は仕事をそっちのけで私の要望に答えた。
私がひとつ質問する間に彼は三つの質問をかけその質問は私の所属するエレミア女学院のことに終始していた。

私立聖エレミア女学院―
県内有数の進学率を誇る女子校でミッション系お嬢様学校ということで近県にも有名である
また、一部のマニアには「エレミアに外れなし」と呼ばれるほど美少女揃いだと言われている。
そのマニアのひとり大野恭平はこの博物館の研究員になって最大の喜びを感じていた。
憧れのエレミア女学院の生徒とふたりっきりでの散策、女の子のルックスはギリギリ美少女の部類に入れてもいい。
表情が豊かでないのは欠点だが物憂いの少し影のあるところは彼の好みである。いや、ストライクゾーンど真ん中である。彼にとってはホームランボールである。
(こういう女の子が徐々に心を開いて僕にベタ惚れして…)
恭平の妄想は果てしなく続きそうだった。
「世の中…そんなにうまくいくわけない…」
「ひかるさん、何か言いました?」
「別に…」
いつの間にか彼が名前で呼び出したことを無視してひかるは思考をはじめた。
(この一帯…霊的に安定してる…いえ…安定しすぎてる…無理矢理に…)
207禍ノ紅 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/27(木) 21:11:22 0
>>194
「近い…ッ!」
 近づけば近づくほど、殺気がより鮮明に、強烈に肌を突き刺す。こんな気分の良い空気は、随分と久しぶりだ。
 ビルとビルの間を大きく跳躍し、飛び移るとき、港の方に随分と広い平地があるのが見えた。
 ガラクタや建物ばかりの港で、まるで10円ハゲのように目立っていた。そしてその中心には、先ほどから殺気を放っていた人間が立っている。
「見えたッ! 今行くぜぇ、待ってろよ!」
 彼の目が、獲物を見つけた猛禽類のように鋭く光る。ビルから飛び降り、走行中の車に着地すると、その車も踏み台にして加速をつける。
 車の屋根がボコンと凹み、バランスを崩した車は、蛇行運転の末電信柱に衝突して動きを止めた。
 その代わり、禍ノ紅の走るスピードに、さらなる勢いがついた。
 0.1秒でも、一万分の一秒でも早くあの場所に辿り付き、殺し合いを始めたい。あんな殺気を飛ばす奴だ。きっと楽しい時間を過ごせるだろう。
 あのリストに書かれていた奴は、どいつもこんな感じなのだろうか。だとすれば、こんなにも嬉しいことはない。
 やがて目的地が近づいてくると、禍ノ紅は自身の刀身を抜き放ち、狂喜の笑みを浮かべた。
 後は、建物の間を縫うように走り、戦ヶ原の元まで走ってゆく。
 そしてついに決戦の場まで辿りつくと
「しっかり俺様を楽しませろよぉおおッ!」
 加速を存分に活かして跳躍し、獲物に襲い掛かる隼のよう、迅く、鋭い空中からの攻撃を繰り出す。
 こんな妖力も開放していない攻撃で倒せるとは思っていない。ただ、この馬鹿正直な攻撃に、どんな対応をしてくれるかが楽しみだった。
 その最初の挙動に、それまで培ってきた経験、戦闘技術は如実に現れる筈だ。
 またも笑みを浮かべながら、戦ヶ原の顔を見る。なるほど、いい面構えじゃねぇかと、戦う前から幸福感が溢れ始めた。


【妖刀禍ノ紅:到着と同時に問答無用で戦ヶ原へと初撃を繰り出す】
>>206続き
「それで…この建物はなんて名前なの…」
「特にないですね。あ、設計者は“テトラグラマトン”ってつけたらしいですけど覚えにくいから誰も呼ばなかったですね」
さらに恭平は何かを続けていたがひかるの耳には届いていなかった。
建物を一通り回りこよみの待つ研究員室の前までくるとひかるは立ち止まった。
「ありがとう…参考になったわ…」
つっけんどんな言葉も恭平は脳内変換で十分な感情の高まりを得ていた。
「ひかるさん。これメアドです。よかったら連絡ください」
「おい、大野抜け駆けすんな」「俺。吉田です」
「おれおれ、藤原」
ひかるの手には何枚もの紙が渡されていった。
「今日は…名刺もらう日ね…」研究員たちのざわめきは館長室からの声でかきけされた
「黙れ!」
中年の男性、すなわちこの博物館の館長の怒声で研究員は文字通りくものこをちらすようにいなくなった。
「ったく、息子さんもあんな親父で災難だよな」
「今日来てるんだっけ?」

ひかるは研究員たちの会話を聞きつつ館長室へむかった。
>>208続き
「親なら親らしくしろ。糞親父」
「お前なんぞ息子でも何でもない」
少年と館長が怒鳴りあってる会話からすると二人は親子のようだ。突然の来訪者に館長はバツの悪そうに出ていった。
「見回りの時間だ!修貴、あとの話はかあさんから聞きなさい」
大きな音をたて扉が閉まると足早の靴音が響いた。
「落ち着いた方がいい…この子も怯えている…」
こよみは影に隠れるようにひかるの腕をつかんでいた。
多少の落ち着きを取り戻した修貴にひかるは言葉を続けた
「事情はわからない…けど…両親はいるだけで…大切…」
「お前なんかに俺の気持ちがわかるか!」
苦労知らずのお嬢様の理想だと片付け修貴は再び感情を爆発させた。
「他人の気持ちは悪魔でもわからないわ…」
良家の子女とは思えぬ一言に修貴は怒りを高ぶらせひかるのシャツの胸元をつかんだ。
「俺のことをバカにしてるのか」
「やめてくださいなのです」
修貴は非力にも止めにかかるこよみを振りほどいた。

ガンッ!
テーブルまで飛ばされたこよみは身体を打ち付け動かなくなった。
右手がシャツを離れるとひかるはこよみのもとに駆け寄った。
「こよみちゃん…こよみちゃん…大丈夫…こよみちゃん…」
「う、うんいたいのです」
「よかった…よかった…」
ひかるはこよみを抱きしめた。
修貴は困惑していた。少女の指摘に激怒したことに。年端も行かない女の子をケガさせてしまったことに。そして女の子の身体に傷を見つけてしまったことに。
210戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/27(木) 22:42:07 0
>>207  VS神野
 「しっかりと俺様を楽しませろよぉおおッ!」
戦場ヶ原が殺気を確認した刹那、『それ』はすでに目の前にまで迫っていた。
殺気の質からてっきり殺人狂の男か、もしくはそれこそ魑魅魍魎の類かと思っていたが、
目の前に迫り真紅の長物を振り下ろしてくる『それ』の正体は―――黒髪の美女だった。
しかし、『敵』が男だろうが女だろうが、それも戦場ヶ原には瑣末な問題に過ぎなかったらしい。
 「ハァッハハハハハハハハハハハハハハハハハハァア!!!!」
猪突猛進に向かってくる『敵』に向かい、男は声高らかに笑いだす。
全身の血が沸騰する。全神経が研ぎ澄まされていくのがわかる。
退屈な日常では決して味わうことの出来ない、興奮、恍惚。命のやりとりでしか生きる価値を見いだせない不器用な男の性だった。
(こんなにも『生きている』瞬間は、他にはない・・・!)
なんの変哲もない、上段からの一つの太刀。
戦場ヶ原を試そうとしているのか、馬鹿の一つ覚えなのか。
少なくともこの男は後者だった。

ズドンッ

勢いよく飛び散る血飛沫。
男はその攻撃を防御も回避もせずに、ただ一歩前へ歩を進めたのだ。
敵の太刀は戦場ヶ原の右肩から鎖骨にかけて深く雁金の形にめりこんでいる。
常人ならば目を背けたくなるような痛々しい絵面だ。
しかし戦場ヶ原はそんな感覚などもともとないかのように、眼を見開き至近距離の女の眼を凝視していた。
息がかかりそうなほどの距離で見つめあう男女―――。
状況が状況でなければそれなりにロマンチックなシーンになるはずである。しかし、
この二人の間にはそんなものとは正反対の感情がぶつかり合っていた。

 「・・・なるほど、釣れたのは魔物の方か。」

女の眼から何かを知ったように、ニタリと笑って左手を女の腹に押しつけた。
気づいた時にはもう既に遅い。この距離は、戦場ヶ原の間合い。
その左手から黒い光がほとばしったかと思った、その瞬間―――・・・

「吹き飛びやがれッ!ゼロ距離『マイクロワームホール』ッ!!!」

左手から生じた黒球から膨大な『斥力』が発生し、数百kgもの衝撃が直に女の体を襲った。

【戦場ヶ原天:捨て身の攻撃(威力:中)を繰り出す。】
【現在位置:港埋立地】
>>209続き
「あなた…言うことはないの…」
「そんなつもりじゃ。いや、ごめん。悪かった」
ひかるの視線に修貴はうなだれた。
「この子は…両親に殺されかけたの…『能力』のせいで…」
能力のあるせいで両親からも疎まれ嫌われ傷付けられる。
修貴はそれがどんなに苦痛か十分想像できた。
「あなたは…『能力』のせいで…不幸になったと思っている…けど不幸なのはあなただけじゃない…」
「余計なおせっかいだ」
修貴はちからなく反論した
「そう…おせっかい…けど…言わずにはいられなかったの…あなたが…“アブラハム”だから…」
「アブラハムってどういう意味だよ」
「“アブラハム”は“ヤハウェ”の鍵を握るもの…“ヤハウェ”はあなたの行動次第…“アブラハム”は祝福されしもの…」
―あなたはあなたの生まれ故郷、あなたの父の家をででわたしが示す地へ行きなさい。
そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。
あなたの名は祝福なする。
あなたを祝福するものをわたしは祝福しあなたをのろうものをわたしはのろう。地上の全ての民族はあなたによって祝福される―『創世記』12:1-3,


ひかる・こよみ【桐北修貴】と接触
212池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/28(金) 00:10:06 0
>>201
>「ほとんど何も知らない、と言ったら?」

……なるほど、こいつはどうやら俺を狙ってきた刺客ではなさそうだ。
刺客であればこのような問答はせず、即座に攻撃を仕掛けてきただろうからな。
首謀者からの刺客でないとすると、この言葉はほぼ真実である可能性が高い。
……まぁいい、消すのは全てを聞いてみてからでも遅くは無い。

「……いいだろう、言い方を変えよう。昨日、お前にもメールが来たはずだ。
あれから一日が経っている。既にお前も幾人かの異能者と闘っているはずだ。
その異能者達が何か少しでも気になるようなことを言っていたか……」

俺は途中で言葉を区切りながら、男の目を見る。
…………。
大方、武術にでも心得があるのか……正直なほど強い眼光を感じる。
厄介、だな……。この手のタイプは、大抵『体に聞け』ないものだ。
仮に何かを知っていても、実力行使によるものでは頑として口を割るまい。

そんな事を思いながら、俺は言葉の続きを喋り始める。

「例えば、異能者同士を闘わせる切欠を作ったあのメール……
その送信者に関しての事とかな。……どうだ、心当たりはないか?」

……初めから期待はしていない。
何も知らないと言えばこちらはそれで終いにするまで。
仮にそれが何かを隠し立てをした発言であってもだ。
もはや俺にはこれ以上の問答を交わす気はなかった。
213次回予告風にまとめ:2008/03/28(金) 00:35:27 O
 薬屋で出会う二人の戦士。

 港でぶつかり合う二つの狂気。

 廃校で対峙する二つの思惑。

 博物館で邂逅する二つの運命。

そして、暗躍する謎の機関………

巨大な意思に翻弄される者たちの逡巡は、
偶然か、
必然か、
それとも運命(さだめ)か―――…

次回、「邪気眼なりきりスレ」
『真実を識る者たち』―――――…

みんな、見てくれよなッ!
214廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/28(金) 01:06:38 0
>>212
「例えば、異能者同士を闘わせる切欠を作ったあのメール……
その送信者に関しての事とかな。……どうだ、心当たりはないか?」

心当たり…その言葉を聞いて、アニキの姿と言葉が頭に浮かぶ。
もし冷たい目をしたアニキが、その送信者に関係しているとしたら…?
俺はもう一度言葉をよく思い出し、考えてみた。

(…統時…早くココまで…俺の領域まで、来い。先ずは三回勝ち抜いて見せろ。期待しているぞ…)

まずは「ココまで来い」というセリフ。
ココまでというのは、アニキの強さだろうな。つまり強くなれって事か?
そして、「先ずは三回勝ち抜いて見せろ…」
アニキも能力者だから、あのメールが来たのか?いや…それとも、メールを作った?
信じたくはないけど…先ほどアニキにバラバラにされた人間は、アニキにひどい恨みをもっていた…
一日であんなひどい恨みをもたせるなんざぁ、ほとんど不可能…
つまり、昔からの因縁…?何故因縁を持っていたか…
アニキとバラされた人間はこのメールを作った人間で、バラされた人間は裏切り者、もしくはそれの仲間として処分された…
こう考えれば…少しは辻褄があうか?
しかしこれを正直に言ったものか。言ったところで信じてもらえないかもしれない。
…しかも、相手の目をよく目を見たら俺の発言なんて関係なし、といった感じの目をしている。
そんなわけなので、俺は色々と面倒な説明をするよりは嘘をつくことにした。

「いや…心当たりはない。すまねぇ」

…さて、どうでる…?
もし敵意がなければ…大人しく帰ってくれるはずだが…あまり期待しないほうがよさそうだな…!
215桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/03/28(金) 02:06:38 O
館長室の中は1年前に呼び出された時と変わってなかった
価値が理解できない骨董品や読む気にならない本がたくさん鎮座し
自分の部分が切り抜かれてる家族写真が直哉の机に飾られてた

修貴は困惑した
いきなり部屋に入ってきた少女達に話の腰を折られた
すべてを見透かされたような言い方に苛立ち一緒にいた女の子を傷つけてしまった

「この子は…、両親に殺されかけたの…、『能力』のせいで…
あなたは…、『能力』のせいで…不幸になったと思ってる …けど不幸なのはあなただけじゃない…」

顔を間近に近付けながら強い意志がこもった瞳で悲痛な告白を受け
この二人も能力者であることに驚く余裕すら許されなかった

『能力』があるから親に疎まれ、 否定される
自分と同じではあるがこんな小さな子が受けた境遇の方が遥かに辛く、にもかかわらず
取り乱した自分をこの子は止めに入った
なんだか自分自身がとても惨めに思え、
「余計なお節介だ」
としか、応えられなかった

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ヤハウェ…? アブラハム……?」

[そうせいき]とかいう内容は全く理解できなかったが
……戦慄が走るワードを彼女は口走った
「"アブラハム"は… "ヤハウェ"の鍵を握るもの…」

「ヤハウェって…! もしかして『奴』の事なのか!?
知ってるのか、そのヤハウェって奴のこと!?」

再び平静さを失った自分は気がついたら彼女の肩を鷲掴みにしていた

あの戦場ヶ原さんも知らなかった事をこいつは知っている…!
知りたい、『奴』の事がただ知りたい!

「頼む! 教えてくれ!
ヤハウェって何者なんだよ! 鍵って一体なん……」


最初に感じたのは衝撃だった
自分が倒れているのだと理解するのに数秒かかり、右膝を貫く痛みを意識するのは更に数秒が必要だった
床に倒れたと同時に膝を見る
ちょうど側面に一本の矢が刺さっていた
正確には矢ではない… 光の固まり、言わばエネルギーの塊が修貴の膝を貫いていた
「ぐあぁっ…! まさかっ、能力…者か!?」



修貴が攻撃を受けた同刻
博物館前の噴水に一つの人影が佇んでいた
胸元に[No.58 静樹 彩名]と表記されてるプレートをつけた服を来た人物は
微かに聞こえた修貴の声を聞き静かに微笑んだ
「始まった始まった… この[絶望兵器]のトラップ地獄から抜け出せるかしらね…」
216池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/28(金) 02:30:39 0
>>214
>「いや…心当たりはない。すまねぇ」

「そうか……」

予想通りの返事、と言ったところか。
俺は感情を込めずに、そう一言言い放つ。

何も知らない、俺に有益な情報は何も持たない、そうであれば言うに及ばず。
そう、この場で俺がすべき事はただ一つ……。

「お前に……言い忘れた事がある」

──教室の空気が明らかに変わる。
割れた窓ガラスから吹き込む風が、真冬のように冷え込んだものへ変貌していることに、
目の前の男も気付いたようだ。

「俺は、これからこの場で自らに科したある掟を遵守しようとしている。
……それは──俺を異能者だと知った者の排除、すなわち──」

俺は手袋で覆われた右手に力を入れる。
──瞬間、俺を中心として広がるように、瞬時に教室の床が氷で覆われていく。
いや、これは床が凍り付いているのだ。
床を踏みしめている全ての物体。机、椅子、そして目の前の男の足を巻き込んで──。

己の眼球に映った目の前の出来事に、男は驚愕の色を隠せないでいる。
俺はすかさずパチンと指を鳴らし、男の周りを取り囲むように展開した
無数の氷柱を誕生させた。

「──お前の命をもらうということだ」

右手首を軽く動かすと、男を包囲した無数の氷柱弾が一斉に男に向かう。

──そして俺は、同時に左手で右手の手袋に手を掛けた。
男が自らの足の自由を奪っている氷を振り払い、迫り来る氷柱弾から
万が一に生き延びた場合の事を考えて……。

[池上 燐介:廻間 統時と交戦]
217廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/28(金) 11:42:03 0
>>216
俺が「すまねぇ」と言った途端、教室に変化が生まれた。
風が、冷たいのだ。
それこそ真冬の夜や冷蔵庫から出てくるような冷風のように。
そして、俺がそれに気付くのは少し遅かった。
教室全体が、凍り付いている。教室の床に接する物全てが。
それは俺の足も同じだ。足が凍り付いて、動けやしねぇ。
俺がこの氷を何とかしようともがいていると、俺の周りに…取り囲むように
嫌らしいまでに尖がって、人を殺すには十分な威力を持った氷柱が現れた。

「チッ!」

俺は「鬼神 炎球」を発動させ、自らの足に撃ちこむ。
撃ち出された火球は氷を溶かすまでには至らなかったが、強度を幾分か下げた。
それだけで、十分。そして、強度を下がったのと同じタイミングで氷柱が俺目掛けて襲いかかって来る。
時間はない。俺は急いで「月下十字」の双刀を出し、刀の峰で足の氷を打ち壊す。
そして左手の刀を床に刺し、それを足場にして背後の氷柱目掛けて走り出す。氷柱を切り裂き、叩き落し、そこに隙間を生み出した。
ただ逃げるだけなら、それだけで十分だ。
今度は右手の刀を床に刺し、刀を足場にしてから身を屈めながら隙間を潜って氷柱の雨から逃げ出した。
逃げ出したことによって距離を空け、能力を一旦解除し刀を消滅させる。そして再び能力を発動し、双刀を握り締めた。
俺は嫌な冷や汗をかいていた。

(こりゃ不味いな…)

この相手とは相性が悪すぎるのだ。
純粋な身体能力なら俺のほうが上かもしれない。しかし、能力自体の破壊力と射程距離が半端ではないのだ。
恐らく、俺が近づこうとするなら俺の動きを予測して、来ると思ったところにあのでっかい氷を打ち出してくるだろう。
俺は遠距離戦での攻撃方法はあの「鬼神 炎球」しかない。
例えるならば、俺が速さだけはあるエアガンであっちは強大な火力と連射力を持ったバルカンといった感じだろう。
もし…今が満月だったなら、空間さえ斬り裂く「月下十字」で氷ごとアイツを斬れたかもしれない…
しかし、今は上弦になったばかりなのだ。長さ60センチ程度の太刀しか作れない。
今の状況じゃ近づく前にやられちまう…チ、逃げるのも仕方ないか!?
とにかく不用意に動くわけには行かない。俺は神経を張り詰め、相手の出方にあわせる防戦スタイルにするしかなかった。

【廻間 統時:氷柱弾から逃げ出す。 相手の出方に合わせて戦う】
218七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/28(金) 18:26:32 0
>202
突然として傷口を刺激された七重は、
クェッ、とかいう、鶏が絞め殺されるような声を漏らして、痛みに耐え切れずに膝をつく
その目には、じわりと怒りの炎が滾ったようであったが、
国崎の放つ冷ややかな威圧感に、間も無く鎮火されてしまった

畳の上に蹲る七重を見下して、国崎はつらつらと話し始める
その意はつまるところ、
「しばらくここで寝泊りして、店の仕事を手伝った上、俺のケンカの相手をしろ」
ということらしい
思いもよらぬ勝手な提案を聞いた七重の顔色は、たちまち悪化し、
もともと青ざめていたのが、気の毒そうな薄紫色へと変化した

庭に出かけた国崎は「困った時は誰かに頼れ」と残したが、
言われた方の七重は、釈然としない表情をしていた

七重とて、何の反発もなく、国崎の言いつけに従う気はない
しかし、彼のあらゆる言葉の根底には、明らかな慈愛が篭っていたので、
面と向かって文句は言えなかったのだ
やり切れぬわだかまりを拭う為、七重はしばしの瞑想を済ますと、
やにわに立ち上がり、無心の上段回し蹴りを打った

繰り出されし脚を廻る大気は震え、
火花を吹かんばかりに熱を帯びる
寸陰、蹴り穿たれた空間には、決して視認はできぬが、
赤子にもはっきり感じ取られるであろう「穴」が明いた

右足が再び畳を踏む頃、七重の身体は清浄さを取り戻していた
姿勢は津として生気を湛え、
視線は凛として鋭気に光る

無性に運動をしたくなった七重は、
「飯時には戻る!」
と胴間声を出して、靴も履かずに店を飛び出して駆け行った

【移動→どこかへ。他キャラに遭遇したらケンカ売るかも】
219名無しになりきれ:2008/03/28(金) 18:48:57 O
高村こないな…
220禍ノ紅 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/28(金) 20:36:28 0
>>210
 鈍い音とともに、飛び散った血飛沫が屡霞の顔に掛かる。
 口元に垂れてきたそれを、舌を使ってぺロりと舐めると、彼女の端正な顔に、歪んだ笑みが浮かぶ。
「ほう」
 避けずに受けた。中々戦いなれしているなと、禍ノ紅は感心したように笑った。
 刀身は相手の肩で止まり、それ以上は進まない。妖気を纏っていない、ただ鋭いだけの刃では止めは刺せないようだ。
 となると、次に来るのは相手からの反撃。今更避けることなど不可能だろう。
 ある程度実力の均衡した者同士の戦いで、最も有効な攻撃の手段は、肉を切らせて骨を絶つことだ。
 刃を受け止められたこの状況、まさに自分は無防備な絶好の的だ。
 しかし、相手の体に刃を押し付けた状態は、こちらにとっても好機だ。
 相手の左手に黒い光がほとばしると同時に、禍ノ紅の刀身から、紅色の妖気が吹き上がる。
「ぐは……ッ!」
 相手の攻撃の方が早かった。体全体に強烈な力を感じ、強烈な力で後方へ吹き飛ばされる。
 だが、ただ吹き飛ばされるだけでは趣向が足りない。吹き飛ばされる間際、戦ヶ原の肩を、妖気を纏った刀身がより深く切り裂いた。
 屡霞の体は後方にある倉庫へと、一直線に突き進み、あと少しで激突する。耐えられない事は無いが、体にダメージが残るだろう。
「チッ…。裏の舞――深淵(ならく)」
 妖気を収束させた刀身で、黒い力の塊を切り捨てる。相手の放った黒球は、奈落に吸い込まれるかのように消えうせる。
 こんなに早く裏の舞を使わなければならない機会が来るとは、思ってもみなかった。
 だが、裏を返せば、遊ぶために気を遣わなくても、充分に楽しめると言うことだ。
 禍ノ紅は空中で体勢を立て直すと、脚をばねのように使って、倉庫の壁にぶつかる衝撃を和らげ、着地する。
 喉の奥から溢れてきた血反吐を地面を吐き捨てると、もう堪らないと言った表情で、戦ヶ原を見つめながら話す。
「今の攻撃、屡霞なら間違いなく死んでるぜ。堪んねェよ。ゾクゾクするほど最高の気分だ。
だが今の手はもう通じねー。分かるだろ? 次に俺の刀身を受け止めたりすりゃ、てめェは真っ二つだ」
 そう言いながら、妖気を纏い、怪しく紅い光を放つ刀身を見せ付ける。
 切れないものを切り捨てるのが、彼の能力の真骨頂。さっきと同様の力の塊を撃たれたとしても、距離が開いていれば余裕で切り捨てられる。
「禍ノ紅、弐の舞――紅疾風(べにはやて)」
 だが、それでも禍ノ紅は真空の刃を放つと同時に大地を蹴り、素早い動きで距離を詰めていく。
 安全な遠距離からチマチマ攻めるなんてつまらない。互いに少しでも気を抜けば死が訪れる、そんな戦いがしたいのだ。
 奴とて、さっきの一撃が全力では無いだろう。さっきよりも強烈な一撃を至近距離から喰らえば、今度こそ命が無いかもしれない。
 だが、それはあちらも同じ。妖気を纏った彼の刀身を受けて、切れないものなど無い。
「紙一重の戦いをしようぜ。生を実感しようぜ。なあ同類!!」


【攻撃を逸らすも、肋骨数本を骨折するダメージ。しかし動きには目に見えた影響は出ていない様子】
221池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/28(金) 21:08:26 0
>>217
このまま氷柱弾の串刺しになるか、それとも脱出するか──
俺は男の動きに男の動きに目を凝らす。

氷柱弾が男の体を捉える──そう思った時だ。
男の手から赤く輝いた球が飛び出し、
それが男の足の自由を奪っている氷を若干ながら溶かしたのだ。
赤い球……まさか『火の玉』!?

俺が目の前の現象に目を取られている隙に、いつの間にか男は、
どこから取り出したのか二つの刀を手に取り、器用に体をくねらせながら
迫り来る氷柱弾を破壊し、または回避していた。
気が付けば後方の氷柱弾を集中的に破壊することによって得た退路から、
男は残りの氷柱弾が展開する領域から脱出していた。

『火の玉』と『二つの刀』……妙なコンビネーションだと思ったが、
俺はこの数秒の戦闘である四つの事を確信していた。

一つ、少なくとも奴は『火の玉』と『二つの刀』を出現させる二つの能力を有しているということ。
二つ、足を凍りつかせていた氷を完璧に溶かすことができなかった点から考えて、
    恐らく奴の操る『火の玉』にはそれほど大きな威力はないということ。
三つ、身のこなしや剣さばきから見て、奴のメインの能力は恐らく『二つの刀』にあり、
    そうであれば自ずと攻撃の主体は剣による接近戦になるであろうということ。
四つ、つまり遠距離戦に持ち込めばこちらが有利であるということ。

──もっとも、接近戦においてもそうかもしれんがな。

「よくかわした、やはりお前は並の手練れではなさそうだ。だが……相手が悪かったな」

『火の玉』を操る能力……それがメインの能力であればあのブレザー男同様、
俺の能力に対してかなりの脅威になりえていたのだろうが……な。
222池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/28(金) 21:11:12 0
>>221
(俺は男の動きに男の動きに目を凝らす。×)
(俺は男の動きに目を凝らす。○) 訂正……。


俺は左手で右手の手袋を外し、教室の窓ガラスに向けて凍気を放った。
強力な凍気を浴びた窓ガラスは、次第に表面に氷が付着し、
みるみるうちに分厚い氷によって覆われていく。
    アイスウォール
これは『氷 壁』の変形版──。
もはやこの部屋からの脱出口は、今俺が背にしているドアのみとなった。
つまり、ここから生きて脱出するには俺を倒さなければならない──
男もそれには気付いたようだ。

続いて俺は教室の床に散乱した破壊された氷柱に視線を向ける。
例え砕かれた状態でも自由自在に動かすことは出来る。
しかし、勿論この状態では相手に致命傷のダメージを負わせることはできない。
──よって、俺はこれらの氷柱を『再生』させることにした。

俺が右手を軽く上下に動かすと、氷柱は瞬く間に『昇華』し周囲の大気と
混ざり合っていく。そして俺がまた右手を軽く上下させると、
再び奴の周囲を取り囲むように新たな無数の氷柱が誕生するのだった。

「さて……次は逃れられるかな……?」

俺の右手の動きを合図として再び一斉に氷柱弾があの男に襲い掛かる。
──逃れられるかな。それは氷柱弾から、という意味合いであの男は
受け取ったに違いない。
しかし、もはや俺には氷柱弾だけで男を仕留めるつもりはなかった。
223池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/28(金) 21:14:26 0
右手の手袋を外して、能力を『解放』することによって初めて使える技がいくつかある。
その中の一つがこれだ──。

右手に力を込めると、俺の周囲に氷柱弾とは比べ物にならないほど小さな、
しかし氷柱弾と同じく鋭利に尖った直径およそ2cmほどの小さな氷の塊の群が出現する。
それらを右手から発散する強力な凍気によって一挙に押し出し、
相手にかわす時間を与えずに超高速で撃ち込むことを可能とした技。
──受けてみるがいい──。

    マシンガンアイス
「──『機関氷弾』!」

小さな氷の塊の群が、まるで機関銃の弾のように目にも止まらぬ速さで
次々と男に放たれた──。
224池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/28(金) 21:40:45 0
(直径2cmじゃなかった、全長2cmだった。直径は1cm程度と思ってください)
(ミスばっかで申し訳ない)
225廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/28(金) 22:26:49 0
>>222
…今の俺は敵の動きに合わせた防戦スタイルを取っている。
そのため、自分から攻撃を仕掛けるわけにはいかない。速攻でケリをつけるタイプの俺は、それがひどくもどかしかった。
とりあえず、俺は刀の柄と柄を合わせてを二つで一つの両刃刀、「ツインブレード」へと変形させる。
敵は刀が変形したのを見て、どこか興味を抱いたような表情を見せた。
しかし、その表情もすぐに切り替わり元の冷たい表情になる。
そして、右手の手袋を外したかと思うと…窓が氷で覆われただってぇ!?
チッ、冗談じゃねェ…!隙を見て、窓から逃げ出そうとしたのによ…!
ここから出るにはアイツを倒さなきゃならないって事か…
その上、周りにはあの氷柱が出てきてやがる…不味いなんてレベルじゃねえぞ!!

>>223
幸いにも、氷の動きはあまり変わらない。なので、さっきと同じ要領で氷を避けた。
避けたのはいいものの、今のままじゃ俺はアイツには近づけない…
敵の攻撃が一発一発が、俺にとっては致命傷だ。そのため、俺は避けきるしかない。
俺の速さは、既に人間の壁を凌駕している。敵は今のところ近距離戦では格闘戦しか出来ないようだ。
つまり敵が俺に勝っているのは近距離戦闘と、速さしかない…!
だったら…速さで全てを避けきり、近づき、斬り倒すしかないだろうが…!
残像だ…残像で、敵を騙す!
そう決め、俺はとにかく速さに重点を置いた構えをとる。
構えを取った途端、敵は右手を俺に向け…

その手から、氷の嵐が吹き荒んだ。
しかし、氷の嵐は俺の残像に突き刺さる。もちろん俺自信には一本も刺さっていない。
その勢いのまま、俺は敵の背後を取り…攻撃を仕掛けた。

【廻間 統時:池上の背後を取り、攻撃を仕掛ける】

攻撃の威力は、そちらで調整してください。
>>215
崩れ落ちる修貴。
近くに駆け寄ろうとしたがひかるはその動作をやめた
「こよみちゃん…試してみて…」
ひかるはその場にあった紙で作ったと折り鶴を手渡した
「発動…させないで…彼のところまで…飛ばして…」
「やってみるのです」
こよみが目を瞑り意識を集中させると折り鶴はふわふわと浮かびはじめ修貴のそばまでよたよたしながらも飛んでいった。
が、修貴の一歩手前で折り鶴は光の矢に撃ち抜かれた。
「初歩的な罠…」
ベトナム戦争などで使用された対人トラップ―
トラップの犠牲者を救援にいくと次のトラップでさらに仲間が犠牲になるという連鎖式の罠であった。
「あなた…大丈夫…」
「平気だ、なんともな…痛っ!」
「全力で…走れる…」
「50%ならなんとか」
修貴が全力疾走できないことを知りひかるは思考しはじめた。
「撤退…最良の手段…こよみちゃん…二体お願い…」
「わかりましたのです。発動“ファンシースター”渡辺さん斎藤さん出番なのです」
言葉とともにこよみの手にしていたぬいぐるみが膨れ上がり2mほどになった。
「こよみちゃん…撤退開始…」
こよみは灰色熊に飛び乗りひかるはライオンの背にまたがった。
「俺を置いていくのか」
修貴が話しかけるとひかるは修貴の手をつかみ背に引き上げた。
「腕は…大丈夫…」
「ああ、怪我をしたのは脚だけだ」
「そうじゃない…あなたの戦闘能力の問題…」
「あまり自信がない」
「このまま…棄てていい…」
修貴はひかるの発言にからだをこわばらせたがこよみの一言で安心をした
「ははは、ひかるさんが冗談言ってるのです」
「こいつは珍しいこともあるもんだな」
こよみの肩にのっていたぬいぐるみが話し始めたのを問いただしたくなったが膝の痛みとこの状態での会話は舌を噛むのでひとまず置いて置くことにした。

【三人・現在館内。敷地外に向け脱出中】
227戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/28(金) 23:35:07 0
>>220 VS神野
「ッ!!?」
マイクロワームホールが炸裂するのとほぼ同時に、敵の太刀に妖しい気が纏うのを感じた。
その瞬間戦場ヶ原の肩口が、焼けつくような激痛によって抉られた。
 「ぐゥッ!」思わず低い呻き声が漏れる。
見れば彼の体には、魔獣の爪跡のようなまがまがしい傷跡がはっきりと刻まれていた。
(なるほど・・・それが貴様の本当の力、ってわけか・・・・)
ただでやられるようなタマでは無い。その事実が、より一層彼の闘争本能を刺激した。

「今の攻撃、屡霞なら間違いなく死んでるぜ。堪んねェよ。ゾクゾクするほど最高の気分だ。
だが今の手はもう通じねー。分かるだろ? 次に俺の刀身を受け止めたりすりゃ、てめェは真っ二つだ。
・・・禍ノ紅、弐の舞――紅疾風(べにはやて)」
ワームホールを耐えきった美女は、その端麗な容姿からは想像もつかないような凶悪なダミ声でわめき散らしながら、
真空の太刀筋を飛ばし、その刃を盾に突っ込んできた。
一方の戦場ヶ原は、自らの体に刻まれた傷痕を見て、その凶悪な容姿ぴったりの甲高い声で喚き返す。

「あァ!?今なにかしやがったか?虫に刺されたのかと思ってムヒでも塗ろうと思ってたところだぜ。
随分切れ味の悪いナマクラだな。錆びて刃がギットギトになってるぜ。
そんな ナ マ ク ラ 刀 の攻撃なんざ何万発打ち込まれたって痣ひとつ出来やしねェーんだよ!!」

とても肩口から胸にかけてスッパリと切り裂かれた男の言うセリフではない。
しかし、ハッタリは戦場ヶ原の十八番だ。こうして強がって敵の戦意を煽ると共に、自らの闘争本能をも煽っている。
それに彼も何も考えずにそんな罵声を浴びせたわけではない。挑発は相手の核心を揺さぶることで効果を発揮する。
刀を大事そうにする仕種がかすかに見られたので、その刀を特に馬鹿にするように罵ってみたのだ。
・・・といっても、この程度の挑発、少しの知恵者ならば笑って受け流すものであるのだが・・・。

 「呑み込みやがれッ!『バキューム・ディスチャージ』ッ!!!」
男の目の前に直径2mほどの球体が姿を現した。球体は引力によって周囲の大気を吸い込み、高密度の空気の塊と化したのだ。
そして男もまたその球体を盾にして突っ込んだ。
迫りくる巨大な真空波に対し、またも男は真っ向から勝負を挑んだのだ。「攻撃は最大の防御」―――そんな言葉が、これほど似合う男もいない。
真空波と球体がぶつかった、その刹那。互いの気圧差によって凄まじい突風が発生し、そこから生まれたカマイタチが、戦場ヶ原、女両方の体を傷つける。

「その程度か?ナマクラ野郎。」
全身傷だらけの満身創痍になっても、彼の大口は収まらない。

二人は、突風吹きすさぶ中、2mほどの間合いをとって対峙していた。

【戦場ヶ原天:肩口から胸に掛けての重大な裂傷+全身にかまいたちによる切り傷。
大ダメージだが、やせ我慢して強がっているのでさほどのダメージには見えない。】
228池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/29(土) 00:34:47 0
>>225
『機関氷弾』が敵をすり抜けた──?
──残像か! 氷柱弾を回避しながら更に機関氷弾を無傷でかわすとは……
────背後から殺気!

(ドバッ!)
背中から血と氷の破片が飛び散る──。
どうやら──攻撃されたらしいな。
恐らく持っていた刀で斬りつけられたか……。だが、殺気を感じ取った瞬間に
氷で背中を防御したのが幸いして、致命傷にはならなかったようだ。

あの状態で俺の背後を取るとは……
この男、正に目にも止まらぬ速さを持っているということか。
しかし──。

「──近距離では俺が不利とでも思ったか?」

──凍気をまとった右手のひらを勢い良く背後に向ける。
その瞬間、右手のひらからこれまでにない極寒の凍気が放たれた。

     アイスストーム
「──『氷 雪 波』!!』

──その後、聞こえたのは敵の悲鳴ではなく、凄まじい轟音だった。
氷と雪が入り混じった極寒の暴風──異能者でもまともに食らえば確実に死ぬだろう。
例えその場は生き延びたとしても、重度の凍傷を負えばいずれは……。

俺は後ろをくるりと振り返る。
唯一の脱出口であったドアは、その付近の壁や物もろとも吹き飛び、
辺りを真っ白に凍らせながら大きな穴を開けていた。
その穴からは外の風景まで伺うことができる。
どうやら俺の氷雪波は教室のドアどころか、廊下をつきぬけて木造の外壁にまで
穴を開けてしまっていたらしい。
まぁ、誰も使う人間がいないのだから別にいいか……。

【池上 燐介:背中に深い刀傷を負うも、命には別状無し】
229廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/29(土) 01:20:10 0
>>228
俺は背後を取り、その背中に刀を振り落とす。
振り下ろされた背中からは、幾分かの鮮血が飛び出た。
しかし…飛び出た血の勢いはそんなに大したものではない。
それは俺の一撃が完全には入っていないことを示していた。

(しまった…!完璧に入ってねぇ!!)

見れば、背中を氷でガードしている。この氷で、刀の勢いを殺したのか…!
敵さん、中々のキレ者じゃあないか…そんな感想を、心の中で呟いていると。

>「──近距離では俺が不利とでも思ったか?」

!! 不味い!なんだか良く分からないが、とにかく不味い!!
敵の右手に冷気が集まり、それが今までにないほどの勢いで渦巻いている。
俺はとにかくこの場から逃げようと、刀でガードしながら後ろに飛ぶが…

     アイスストーム
>「──『氷 雪 波』!!』

敵の右手から…形容するならば、まさしく『局地的な大吹雪』が現れた。

「うっ!?うあぁぁぁぁぁっ!!」

それは、俺に向かって飛んできて周りの壁ごと俺を吹き飛ばす。
俺は後ろに飛んでいた時の勢いが付いていたため、とんでもない距離を吹き飛ばされた。
とりあえず、100m以上はあるだろうか…実はそれ以上あるのだが、そこから先は分からない。
とにかく、吹雪に吹き飛ばされた折れは地面に叩き付けられ、転げまわり、意識を失った。

【廻間 統時:氷雪波の勢いに負け、凄まじい距離を吹き飛ばされる。
 全身に重度の凍傷を負い、落下したときの勢いで気絶】
230廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/29(土) 01:46:28 0
>>229
折れ→俺
誤字が多くて申し訳ない…
231国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/03/29(土) 02:11:53 0
>>218
「おう。よく分からんが、気ぃつけて行ってこい」
俺は無理に引き止める事も無く、飛び出していった七重を見送った。
そして、七重が遠くに行っただろう頃に筋トレを止め、白衣を羽織りなおし居間に戻る。
七重を引き止めなかったのは、先ほど聞こえた風切り音……恐らく蹴りだろう。
それを聞いたからだった。
まあ、正直驚いた。アレだけの音を出せる「人間」は、
俺が今まで生きてきた中でも数えるほどしか知らない。
空気を穿つ音。あれ程の打撃が放てるのならば、
能力者でも三下では相手にはならないだろう。そう判断した為、引き止めなかったのだ。
それに、飯時に戻ってくるという約束をした、その約束を違える男だとは思わない。
つまる所、飯時になっても戻らなければ探しに出てやれば……
「って、俺はアイツの母親か!?」
自分のお人好し加減にセルフ突っ込みをしてみるが、当然返事はない。

「……つか、単純な筋力なら、俺でも勝てねぇよな。
 補修代どうすんだよ、コレ……」
俺は、畳に残っている七重の踏み込みの痕を見て、
懐から出したタバコを火をつけずに咥え、呻いた。

しばらく後、俺は買い物鞄をもってコンビニまでの道を歩いていた。
人数分の食材と、畳の補修道具を買う為だ。
【薬局→そこらの路上。遭遇フラグが立てば誰とでも遭遇可
 立たなければ、そのまま帰宅】
232池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/03/29(土) 02:29:22 0
>>229
俺は自分で開けた穴を抜けて、辺りを捜しまわっていた。
何を? 決まっている、俺の『氷雪波』をくらいながら生き延びたあの男をだ。

異能者が死ねば、俺の右手に響く警告はとっくに止んでいるはず。
しかし、今もこうして俺の右手は、微弱ながら警告を発していた。
この近くに他の異能者がいなければ、これはあの男の生命を察知
したものであるに違いないのだ。

俺はその警告を頼りに歩き続ける。
──何十分歩いただろうか、闘う前に俺が探っていたふもとの
防空壕近くで、倒れている一人の男を発見した。
──気絶しているらしく、俺を前にしても何も反応を見せないが、
姿、形からして、あの男に違いはなかった。

「まともにくらってもまだ生きていたとはな……」

俺は止めをさそうと、手のひらを男に向ける──。
しかし、すぐに向けた手を下ろした。
やはりまともに氷雪波を受け、服越しでもこの男が体中に
致命的な凍傷を負っているということがすぐに分かったからだ。
俺はそれを見て、男に話しかけるように言った。
    マシンガンアイス         アイスストーム
「俺の『機関氷弾』を無傷で避け、『氷雪波』をまともに受けても即死しなかったのは
お前が初めてだよ。俺がこの場で敢えて止めを刺さないのは、お前に対する敬意の
表れだと思ってもらおう」

……無論、男がそれを聞き何か反応してくれるわけではないので、
俺は話し終えると、体の向きを変えて街中へと歩き出した──
が、すぐに足を止め、首だけを横に向けてまた男に話しかけるのだった。

「……一つ教えておいてやる。俺はお前と闘う前に、既に三人の異能者を倒している。
だから恐らく、お前の『力』が俺に奪われるということはないだろう。
死に行くお前に教えても仕方ないかもしれんが、まぁ……一先ず安心しておくんだな」

俺はそれだけ言うと、今度こそ街中へ向けて歩き出した。
この一件を仕組んだ、首謀者の情報を持つ者を求めて──。

【現在地:廃校→防空壕→街中へ】
233桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/03/29(土) 02:59:57 O
膝から矢を抜くと意外と簡単に抜け、すぐに矢は消滅した
焼けるような激痛と多量の出血が神経を刺激するが今は泣き言は言ってられない

目の前の2人はぬいぐるみに乗りながらも辺りを警戒していた
自分と同年代そうな子からの冷や汗が状況の深刻さを物語っていた

移動してる間にも四方八方から飛んでくる矢、時には槍ぷすまの罠
なのに、襲撃してる敵の姿がどこにもないのだ
完全に敵のペース… 精神的疲労がじわじわと追い詰めてくる

気になることがあった
まず、このトラップはこの博物館全体に張り巡らせてるらしい
ならどこかにいるはずの直哉や研究員達は無事なのか
次、俺に戦う勇気があるかどうか
「あなたの戦闘能力の問題…」
あの子(ぬいぐるみも喋らなかったか?)は冗談だと言っていたが自分にはとてもそうは思えなかった
彼女は自分が戦いを恐れているのを気づいているのではないか

……甘えるな、戦場ヶ原さんの言葉を思い出せ
残るのは一人だけ、自分はまだ消えたくない……

荒い呼吸を無理矢理整え、左腕から電撃を繰り出す
後は… 敵に出会ったときにちゃんと戦えるかどうかだな…

地を滴り落としながらぬいぐるみ達の大きな足音と矢を弾く音で
普段は物静かな博
234名無しになりきれ:2008/03/29(土) 12:40:44 0
応答せよ桐北〜
235桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/03/29(土) 14:31:54 O
>>233
床に血を滴り落としながらぬいぐるみ達の矢を弾く音と外見にそぐわない足音で

普段は物静かな博物館は一部騒然としていた

「そういやあなたら名前はっ!
自分桐北修貴って名前!」


最後に少し舌を噛んだのは内緒だ……



桐北修貴:右膝から出血多量 戦いへの決意を固める
塚原ひかる&若宮こよみ:修貴を連れ博物館一階を罠をかい潜りつつ進行中
静樹彩名はいらだっていた。
彼女の楽しみは安全な位置で標的をいたぶることである。
もがけばもがくほど彼女の罠に引きずられ戸惑い混乱する。
そんな絶望的な状況を眺めるのが彼女の至上の喜びであった。
だが、この三人は全く迷いなく逃走の手段を選んだ。
私が居所を隠している以上戦略的にそれは正しい判断である。それを彼女自身が十二分に理解してること苛立ちがました。
さらにこちらの意図を読みとるかのようなルートをとるのが腹がたつ。
「だが、読み合いでは私が一日の長がある」
静樹は自分の戦術に自信を持っていた。
一方
「なんで真っ直ぐ逃げないんだ」
修貴は迂回を続けるひかるに質問を投げかけた。
「これが…一番安全…」
ひかるの解答は明確であった。
ひかるは罠を設置したものが特定の方向に誘導しているのを看破しそれを裏切るかたちで一番安全な選択肢を選んでいった。
だが建物の外に出ると戦略をばったり変えた。
「こよみちゃん…真っ直ぐ突っ切って…」
植え込みや立木をものともぜず二匹と三人は獣道を作っていった。
このまま突き抜ければ敷地外に抜ける。リスクは相手の予測をこえる行動で回避する。
水路…川を模した水の芸術。建物の周りを流れる作品…三人は水路を飛び越え方向を変え裏口の最短コースをとった。
「やった」
庭園に勝利を確信した声がこだました。
かすみ網…細い糸で編んだ網を小鳥の通り道に設置する。現在日本では禁止されている罠であるが静樹には関係なかった。
勝利を確定させるため静樹はとどめをさすことにした。
「死にな」
それは矢というより槍と言ったほうがよかった。三本の矢?は網に絡まり動けない三人の背中の真ん中を貫いた!
>>236続き
矢が三人を貫いた瞬間、三人のからだはかき消えた。駆け寄った静樹は中心に穴の空いた3つの人型の折り紙を見つけた。
「ダミー!」
反応が遅れた
「井上さーん」
幼い声が背後から迫ってきた。振り返ると寸前までシャチに乗った少女が来ていた。
静樹は10mほど飛ばされ意識を失った。
「このひとが敵なのか」
「そう…彼女の…能力で…」
修貴はあることをおもいだした。
「親父は!親父が無事だか確かめてくる」
ひかるは何も言葉をかけることはしなかった。これから彼が更なる絶望を味わうことが見えてしまったから…。
「親父っ!」
修貴はすぐに父が太ももをから血を流し動けなくなっているのを見つけた。
修貴は父を助け起こそうと手をさしだした。
「ひいっ」
修貴の父桐北直哉は修貴の手を払いのけた。小刻みに震えながら。
「父さん!」
修貴は勘当される前の呼び方をしたが父はガクガクと震え目を合わせようともしなかった。
脅えている。俺に脅えている。親父が、父さんが、父親が…。
父は事件で自分のことを嫌ったのではない…恐れたのだ…人をこえた力に…。
息子である自分を…。
修貴の目から涙がこぼれた。ひとたびこぼれるととめどもなくあふれた。
いつかは昔のように認めてくれるわかってくれる。
厳しくも優しい父の姿を見せてくれる…
しかし、自分を捕食者のように脅える父の姿をみるとそれは永遠にこないことがわかった。
「父さん…」
ひかるは何も語りかける言葉が見つからなかった。彼がこのことを受け入れられるまで何も言うべきでないことを確信しながら。
「化け物なんだよ。あんたは」
いつの間にか静樹は意識を取り戻すと語りはじめた。
「異能者なんて普通の人間にとっちゃ恐怖の対象でしかないんだよ。親も兄弟も友人も全部なくなるんだよ。お前もわかってるんだろ異能者は異能者同士つるむしかないんだよ」
修貴は静樹を睨み付けた。
「本気でムカついた」





【桐北修貴と静樹彩名バトル開始】
238名無しになりきれ:2008/03/30(日) 00:11:29 0
なな板避難所
PC ttp://jbbs.livedoor.jp/computer/20066/
携帯ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/computer/20066/

避難所の件だが立てるとしたらここなんかどうだろ
239七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/03/30(日) 02:56:43 0
>238のとこで問題ないなら、自分が立ててくる


>218
国崎氏経営の薬局から、北へ200mほど離れた辺りに、ちょっとした空き地がある
一応は「公園」と名乗っているものの、そこには遊具の類は一切存在せず、
草木に紛れて、くすんだ色のベンチが並び佇んでいるだけであり、やけに余白が目立つ
敷地の隅に孤立する時計は、律儀に時を刻み続けているが、
白色の塗装はあちこち剥げ落ちて、浅黒い生地を痛ましく露出させており、
どことなく滅亡の兆を示しているようであった
そんなにも物寂しい場所だから、平日の昼間だというのに、親子連れの姿も見えない

ところが七重凌司は、その退廃した雰囲気が気に入ったのか、
彼の公園に闖入してから、休む間もなく運動を続けていた
虚空に向けて拳や蹴りを放ち、その手応えを確認する
七重のとる型は、空手にも、テコンドーにも、下手をすれば中国拳法の一種にも見える
ではその実態は何なのかと問われれば、七重自身にも明確な答えは出せない
彼がストリートファイトを続けるうちに、自然と確立されたスタイルなのだ
我流マーシャルアーツだとか称すれば格好もつくが、要は単なるケンカ殺法である

大分に日の位置が動いた頃、七重は小休止を入れる
軋むベンチに腰を下ろして目を瞑り、これからの事を考えてみた

異能者によるバトルロイヤルとかに巻き込まれるには、自分は非力すぎる
様々な人外の能力を持つのであろう異能者に対し、
自分はせいぜい「強いニンゲン」程度の格だ
今のままの力量では、間違いなく餌にされる
鍛えなくてはならない
しかし、鍛えるだけでは足りぬ
いつ襲われても応戦できるよう、覚悟を決めねばならない
敵である異能者たちが、いつも正々堂々の立ち合いを望んでくる保証はない
そういえば、あの国崎とかいう男。あいつも異能者なのだろうか
もしそうなのだとしたら、頭から角でも生したりするのか

下らぬ夢想が始まったところで、七重は溜息をついて立ち上がり、大きく伸びをした
そして再び構えを取り、ゆるりと四肢を動かし始める
まだまだ鍛錬は終わりそうもない

【移動→公園のフリした空き地】
240禍ノ紅 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/30(日) 21:44:53 0
>>227
 戦ヶ原へ向かって切り掛かろうとしたとき、相手から発せられる稚拙な罵倒。
 だが、禍ノ紅はそんな挑発を受け流せる頭脳は持ち合わせていなかった。
「てめェ!!」
 瞬間的に激昂し、相手への怒りから体を包む妖気が激しさを増す。
 だが、その精神の揺らぎのせいで、相手がまた力の塊を発しているのに気付くのが一瞬遅れてしまう。
 さらには、落ち着いて見切れば全て切り捨てることの出来た筈のカマイタチも、冷静さを欠いた状態では、避けきれず、体中に傷を作った。
 咄嗟に急所をガードするが、体にはある程度のダメージは蓄積されている様子。
「その程度か?ナマクラ野郎。」
 先ほどと同じ挑発を繰り返す戦ヶ原を、キッと睨みつけ、体に纏う妖気を全て刀身に集中させる。
 屡霞の心を抑え付けるために使っていた妖気も、身を護るために使っていた妖気も、何もかも攻撃に回した姿は、近くにいるだけで肌を突き刺されるような感覚に襲われる。
「てめェはただじゃ殺さねェ。俺の切れ味を、体中で体感させてやるよ」
 相手を切り付けることのみを考え、刀身の妖気を極限まで鋭くイメージしていく。
 だが、怒りの所為でイメージは揺らぎ、刀身からは大量の妖気が迸りつつも、ムラがあり安定している様子は無かった。
 それでも構わず、禍ノ紅は裏の舞の構えをする。
「裏の舞――黒贄(べつり)ィィッ!!!」
 そう言霊を宣言した瞬間、刀身を包む妖気が変形し、巨大な刀の形になる。
 その刀身は彼の怒りを表すかのように揺らいでは、強大な妖気を噴出させた。
「お前の両腕両脚を両断して、前言撤回させてやるぜ!!!」
 叫びながら戦ヶ原に向かって切り掛かる。リーチが長く、一目で分かる程強大な力を持った刀を、普通の刀を振るような軽やかさで操るこの技は、禍ノ紅が平静であったならば破る手立ては無かったはず。
 だが、無意識のうちに相手の急所を狙う剣筋を、相手の四肢へと強引に捻じ曲げている所為で、さっきまでの滑るような太刀筋は、ぎこちないものに変わってしまっている。
 しかも怒りの所為で攻撃は単調になり、相手の動きをよく見ていれば、簡単に避けることが出来てしまう。
 そんな禍ノ紅の姿を、屡霞は体の内部から冷ややかに見つめながら、体の支配権を取り返す機会をうかがう。
 もう一度、何か強烈な精神的ダメージが禍ノ紅を襲えば、体を取り返せるかもしれない。


【禍ノ紅:必要以上の攻撃力を持つが、ぎこちなく単調な攻撃を繰り返す】
【神野 屡霞:意識を覚醒させ、肉体の支配権を取り返す機会をうかがう】
241廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/03/30(日) 22:22:30 0
俺が凍傷による痛みで目が覚めたときには…男は消えてきた。
どうやらけっこう早く目が覚めたらしい。まだ月は沈んでいなかった。
とりあえず、体の様子を確かめてみた。体のほとんどの箇所が凍りついている。
どうやら瞬間的な冷却なので、水泡などは出来ていないようだ。
俺は【鬼神 炎球】の火力と速度を最大限にまで下げ
それを凍り付いている箇所に撃ち込み、体を解凍を試みる

「ぐぅぅ……ッ!」

俺の体を解凍による痛みが蝕む。しかし、それは今後行動するには耐えるべき痛みだ。
俺は何度も何度も解凍を行った。
およそ1時間後に解凍すべき箇所は無くなり、作業は終了した。
もちろん無くなったのは凍傷のみで、地面に叩きつけられた時の打撲、氷がぶつかった時の切り傷や刺し傷などは消えてはいなかった。

「ハァッ、ハァッ…くそっ!」

ここまで実力差のある相手と戦い、無様に負けたのは初めてだ…!
俺は、絶対にアイツを倒してみせる…!
今は無理だろう…だけど…いつか…
いつか、俺が今までとは比べ物にならないぐらい強くなったときに…倒してみせるさ…!

「今度…今度会ったときが、俺のリベンジ戦だ!!」

俺は胸の中に打倒…打倒…そういや、名前も知らないな…
まぁ、いい!とにかく、打倒氷使いの男の闘志を燃やし、町に向かった。
何故か消えていなかった【月下 十字】を杖代わりにしながら。

【廻間 統時:町に移動。
        凍傷は応急処置したものの、相変わらず重症なので他の能力者と会っても戦闘は行わない。
        戦闘をふっかけられても逃げる。】
242戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/30(日) 23:50:41 0
>>240 VS神野
敵の太刀を妖しい光が包んだかと思うと、たちまちその光はまがまがしく輝く巨大な刃と化した。
敵は戦場ヶ原の挑発に、愚直なほどあっさり乗っかってきたのだ。ここまで単純だと見ていて気持ちがいいくらいだ。
激昂と同時にその身から放たれた膨大な殺気。触れただけでもその息の根を止めてしまいそうなほどに張りつめた凶悪なオーラは、戦場ヶ原のそれを遥かに凌駕している。
さすがの戦場ヶ原も一瞬その身をたじろがせた。
(今まではどこかに意識をとられてやがったってのか・・・・・・。バケモノめ・・・。)
しかし、あくまでもその感情を外に出そうとはしない。どこまでも平静を装い、不敵な笑みを浮かべる。
しかし――――

ガクンッ

「!?」戦場ヶ原の視界が大きく揺れた。眼は霞み、四肢に力が入らない。
「チッ・・今度こそ血を流しすぎたな・・・!」
ぶれた視界には巨大な妖気の刃を振りかぶっている敵の姿がある。おそらく今までで最強の必殺技だろう。かわせなければ間違いなくあの世行きだ。
並みの使い手ならばもはやこれまでと天に祈りを捧げている状況だが、この男の脳裏に描かれた情景は、まったく別のものだった。
『―――俺の切れ味を、体中で体感させてやるよ』
敵が言い放った一言が、彼の頭の中のパズルに、最後のピースとなって当てはまった。
「『俺の切れ味』・・・か。フン、やはりその身体、貴様自身のものではないな。刀が本体の妖刀野郎。」
さきほど女の眼の奥に見た深い深い闇。その懸念は外れてはいなかった。
おそらくあの美女はなんらかの理由で妖刀にとりつかれ、肉体を支配されてしまったのだ。
(チッ・・・俺もまだまだ甘ちゃんだぜ。)
その事実にたどりつくと、彼の脳裏には、あの女を助けてやろうという思いが自然と湧いてきたのだ。
(・・・まぁいい。これもいい余興だ。)
戦場ヶ原は面白いことを思いついたように口の端を上げてニヤリと笑うやいなや、回避も防御もすることなく、その左手を地面に押し当てた。
自分の身体が真っ二つに吹き飛ぶのが先か、敵の刀の支配が解けるのが先か。
まさに命懸けの大博打。・・・こうでなくては闘いは面白くない!!

「・・・クイズです。」

敵の刃が迫る中、戦場ヶ原は静かに、しかし敵にも聞こえる声で呟いた。

「保水量が多く土壌粒子の間隙が大きい地盤に急激に振動を加えると、何が起こるでしょう?」

ついに敵の刃が男の急所をとらえた。男は神に祈るでもなく、ただ静かに眼を閉じた。
しかし、神はこの男に味方した。急所に当たるところだった敵の刃は、なぜか大きく反れて男の右腕に食いついた!
戦場ヶ原の右腕が勢いよく宙を舞う。この瞬間、男は大きく眼を見開いた。

「正解は・・・『液状化現象』だッ!!!くらえ俺の最強の必殺技、『グラウンド・ゼロ』ッ!!!!!」

男が左手に力を込めると、一番最初に地面へ埋めたマイクロブラックホールが動き出す。
ブラックホールは地盤の中で急速に伸縮を繰り返し、埋立地一帯に局地的な地震を引き起こしたのだ。
緩い地盤は見る見るうちに崩れ、海水が噴き出す。足場はたちまち失われ、淀んだ海水に次々と沈んでいく鉄骨、鉄くず、重機。
そのうちの一つとなって落ちて行きながら、戦場ヶ原は最後の力を振り絞って叫んだ。

「今だ女ァッ!!目ェ醒ましやがれッ!!!」

【戦場ヶ原天:全身の裂傷に加えて右腕損失の超重症の状態で海へ転落。もうほとんど力はのこってはいない。】
【港の埋立地:戦場ヶ原の攻撃により完全崩壊。】
243戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/03/30(日) 23:57:39 0
>239
俺はまったく意義なしなので、立ててもらえると助かるんだぜ。
244 ◆P1wJYx92Ts :2008/03/31(月) 00:09:10 O
>>239
お願いします
245 ◆qpiHJ5b.32 :2008/03/31(月) 16:59:46 i
すみません。急用で数日間レス出来ないです
246名無しになりきれ:2008/03/31(月) 18:03:37 0
とりあえずってことで。立てました
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1206954054/
247国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/02(水) 01:08:02 0
買い物籠に一杯の食材を詰め、俺は薄暗い蛍光灯に照らされた夜道を歩いて行く。
籠の中に入っているのは、ニンジン玉葱ジャガイモ豚肉といった食材だ。
これらを前回購入した幻のカレールーと合わせれば、立派なカレーが出来上がるだろう。
ずっしりとした重量感が、右腕に伝わってくる。

(気分に任せて買ったのはいいんだが、買いすぎたか……?
 ……いや。量買っとかないと、あの七重とかいう奴に食われて
 俺の食う分が無くなりそうな気がする)

昼過ぎに凄い勢いで粥を食べていた七重の様子を思い出すと、連動して
晩飯を食われ尽くし呆然とする自分の姿が思い浮かんだ。
俺は、妙にリアルに出来た想像に対し、火の付いていないタバコを咥えたまま
苦い表情をする。

そして、手に持った買い物袋を持ち直して、
曲がり角を曲がろうとし――――「ソレ」に気付いた。

「……おいおい、誰だよ。こんな街中で嫌な臭い漂わせてくれてる野郎は」

呟く。血の臭い……いや、死臭というべきか。
あまりに多くの人間を殺した人間がしだいに纏い始めるその気配。
戦場や裏の社会で嗅ぎ慣れた、『人でなし』の臭い。
そのとびきり濃いのが近付いてきて来ている。
臭いが近づいてくるにつれ、背中の火傷がチリチリと疼くのは、
警戒心か……あるいは同属に出会った興奮か。

だが、そんな感情は刹那だ。理性が急速に俺の心を冷やしていく。
『国崎シロウ』は、感情で死を撒き散らす事を良しとしない。
『贄(ウロボロス)』は、戦場で感情に身を委ねるのが自殺に等しい事を知っている。
故に、俺は冷静に現状を乗り切る方法を考える。

(さて、どうしたもんかね……できれば戦闘は避けたいんだが、
 こんな『臭い』のする奴を知らないフリって訳にもいかねえよなぁ)
一瞬、七重の事を思い出す。彼の能力は知らないが、今この気配の主に狙われたら
それ程時間をかけずに殺されるだろう。
(まあ、逃げるにしてもそろそろ気付かれてる頃合だろうしな……)

ブロック塀の影に身を潜め、困ったように頭を掻く。
何者かの気配は先程よりも近い。俺は、軽く溜息を吐くと
ポケットから直径3cm程の球状、
中に真っ赤な液体の入ったカプセルを一つ取り出し右手で握った。

(それじゃあ……そうだな。とりあえず、様子でも見るか)

そして、俺はその場から立ち上がり、その気配の主の通っている道に出ると、
その気配の主に『背を向け、おもむろにその前を歩き出した』。

(問答無用で襲い掛かってくるなら殺人鬼。無視なら殺し屋。
 会話を求めるなら殺人者ってとこかね。さて、鬼が出るか蛇が出るか……)

【国崎Encounter池上 燐介 曲がり角から出てきて、池上の目の前を歩いていく】
248 ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/02(水) 01:09:28 0
>>200,,246
乙、そしてGJ。
249 ◆u5ul7E0APg :2008/04/02(水) 01:33:09 0
>>245
待ってますので、戻り次第続きをお願いします
250池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/02(水) 20:06:43 0
ネオンサインや街灯が光を照らす夜の街──。
繁華街が人の賑わいを見せるこの時間帯に、俺は薬局を探して街を歩いていた。
何か情報を掴んでいる異能者を探す──当初の目的はそれであったが、
背中に負った傷の痛みがその目的を変えさせたのだ。
軽い冷却で出血を止めることはできるが、痛みまで止めることはできない。
できることなら病院に行き、そこで適切な治療を受けた方がいいのであろうが、
時間的に既に外来の受付は終わっている頃と思ったので、
こうして薬を売る商店を探すことに決めたのだ。

しかし、歩き回っても、目に付くのは飲食店ばかりで
一向に薬局の看板は見えてこない。
こうして似たような景色を見ながら二十分ほど歩いた頃だったろうか……
(──ズキン!)

俺の右手が急に警告を発したのだ。
──辺りを見回しても誰もいない。しかし気のせいではないのは確かだ。
俺は辺りに気を配りながら、平静を装いながら前を歩き続ける。
>>247
その時、前方の曲がり角から、ひょいと現れた男の後姿が目に飛び込んできた。
(──ズキン!)

俺の右手の警告が一層強さを増す。
俺は一瞬身構えたが、目の前の男は俺の事など気付きもしない様子で
ただ前を歩いていくだけだった。
……右手の反応からして目の前の男が異能者であるという事は間違いない。
俺を狙う刺客か、それとも先程の『剣使い』同様、偶然に出くわしただけか……
……いずれにしろ、『何か』を知っている可能性はある。

俺はその場で立ち止まり、右手に力を込めた。
そして能力を発動────
──……しようとして止め、代わって男に対し声をかけるのだった。
251池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/02(水) 20:07:52 0
「あの、すいません」

男はゆっくりとこちらを振り返る。
顔からして三十代程度の年齢だということが分かる。
割と人の良さそうな顔をしていて、特に『悪い人間』といった印象は受けない。
心の中でそう分析しながら、俺は言葉を続けた。

「この近くで『薬局屋』はありませんか?
先程から探しているんですが、どうにも見つからなくて」

さて、相手はどう出るか。
この男が刺客で、俺を殺そうとしてくるなら即返り討ちにするまでのこと。
偶然に出くわしただけの異能者であれば、ここでの戦闘は極力避けておきたい。
今は自分の体の傷を治すことが先決だ。話を聞くのは後でもできるのだから……。

【池上 燐介:国崎シロウに話しかける】

>>246
乙です。
252国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/03(木) 01:40:07 0
>>251
背後を歩いていた人物が取った行動は、声をかけてくるというものだった。
(となると、殺人者か。……厄介だな)
殺しを理念や仕事として用いる殺人鬼や殺し屋ならば、
交渉の余地が無い分単純で良かったのだが、
手段として殺しを用いる殺人者は、こういうケースにおいて、
なまじ交渉が出来てしまうだけ厄介だ。

「……ん? ひょっとして俺か?」
俺は、あくまで何も気付いていないフリを崩さずに振り返り、
怪訝な表情で相手の姿を確認する。
首元で束ねた長い灰色の髪と、右手に黒の手袋を嵌めた青年。
年齢は恐らく20代前半――――
(……若いな)

そのまま俺が男の様子を見ていると、
>「この近くで『薬局屋』はありませんか?
>先程から探しているんですが、どうにも見つからなくて」
男は続けて、そう話した。

ソレが、俺の警戒心を確信に近いものに高める結果となった。

(……! ああ成程。こいつ、俺の事を知ってやがんのか。
 だとしたら、多分昨日の連中と同じ組織の人間って事で……迷う必要はねぇな。
 無力化して、知ってる事を洗いざらい吐かせる)

今まで、痕跡を消し裏社会から消えた俺の居場所を
知る事の出来た組織は、昨日接触してきた奴ら以外には無かった。
この男がその事実を知っているというのならば、単なる個人であると考えるのは難しい。
俺は、右ポケットに突っ込んだままの手でカプセルを確認してから、
困った様な表情で返事をする。

「こんな時間に薬局ねぇ……まあ、案内してやりたいのは山々なんだが
 生憎、俺の知ってる街一番の薬局は、今、客が一人いるんだよ」

そして、懐からライターを取り出し、咥えていたタバコへ近づけ、
火打石を擦る様な動作をしてから……そのライターを、男の方へ放り投げた。
253国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/03(木) 01:42:41 0
「だから、麻酔しかくれてやれねぇってよ。悪いな」

瞬間、滞空中のライターが凶悪な光を放つ。

仕込み閃光弾。生物の視覚を一時的に奪うその光が、俺と相手との間で爆発したのだ。
それと同時に、俺は目を閉じ、顔を伏せたまま相手の方へと駆け出した。
前傾姿勢でアスファルトを蹴り、滑る様にして数歩の距離を一瞬で縮める。

俺に戦型と呼べる物は無い。
格闘技やそれに類する物を極めた者に付随する、
洗練された動きや型といった物は、一切持ち合わせていない。
唯一つあるのは、『上手に壊す』為の動き。
生きる為の数え切れない程の殺戮の中で学習し、必死に情報を探し理解し、
実際に使用してみることで習得した、外道の殺人術。
結果、武道家や格闘家らが破壊力や倫理観の為禁じ手とし、
表舞台からは消えていったあらゆる反則技は俺の武器となっていた。

発光点を過ぎた辺りで薄く目を開け相手の位置を確認する。、
不意の攻撃に対して人間が取りたがる行動は、正面の防御と前後左右の警戒
定石ならば、狙うべき場所は後方か左右。しかし、何らかの能力者や達人の場合、
それを行えば逆に自殺行為になる場合が多い。
故に、狙うべきは
(――――正面、間接)
そう考えた俺は、そのまま相手に接近し、

「おいおい、『後ろ』ががら空きだぞ?」

そう言って、『正面から』掌底を放った。
言葉は判断を鈍らせる為の単なるフェイク。
だが、異能という存在を知っている者ならば、有り得ない筈のその言葉に
警戒を抱かざるをえないと踏んでの行為だった。
目標点は右肩間接部。空気を切り裂く音を纏い俺の掌はソレを壊すべく接近していく。

【国崎シロウ会話内容の誤読により、謎の組織の人間と判断して攻撃開始。
 閃光弾で視界を奪ってからの急襲。能力は未使用】
254七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/03(木) 02:08:34 0
>241
空が黄昏じみてきたのにつれ、町に蔓延る雑踏も段々と形を潜め始めた
家路を辿る子供たちは、鋭い西日に追い立てられるようにして、その足を速める
ところが烏の鳴き声だけは、やるせない夕暮れの空気に逆らって、
無闇にガアガアと喧しくなるのであった

そんな中、七重凌司という男は、
時の風情も我関せずとした顔で、彼の公園のベンチに寝転がっていた
寝転がると言うよりは、乗っていると言う表現が正しいか
七重は、ちゃちなベンチの上にどうにか身を収めるため、
無理矢理に姿勢を縮こまらせて、身体がはみ出ないよう工夫している
窮屈そうなその肉体は、木々から伸びた影に守られて、
容赦のない日差しを辛うじて回避していた

日に当てられるまでもなく、七重の身体は熱を持っていた
それというのも、先程まで激しい鍛錬に励んでいたからである
では、その所為で疲れたから休憩しているのかというと、そうでもない
黄昏時の醸す気だるい雰囲気に影響されて、
何だか身体を動かす気力が無くなった。ただそれだけのこと
ひたすら無骨で無愛想に見える七重にも、
何事かに対する感受性というものが、僅かながらに備わっていた

そぞろに時が過ぎてゆく中、前触れも無く空気が色めき立つ
不審に思った七重が園外に目を向けると、
ふらふらと動く人影が見えた
その姿は、生気すら失っていないものの、どこか悲しく萎縮している
負けたのか、と七重は思った
生まれてこの方、勝負事に携わり続けてきた七重には、何となくそれが分かった

日が傾くうち、夕映えに照らされて、彼の人影は影を脱ぐ
すると、傷だらけの青年の姿が露になった
それを見て、ただ事ではないなと悟った七重は、飛び起きて両足を地につける
背後にて、解放されたベンチがぎしりと唸った

青年に歩み寄りながら、七重は携帯電話を取り出して開く
「救急車を」
と言いかけ、「1」のキーを二回押したが、
青年の持っている刀を見て、親指が「0」と「9」の間で戸惑う
「・・・銃刀法違反だ」

【接触:廻間 統時】
255池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/04(金) 00:20:44 0
>>253
>「こんな時間に薬局ねぇ……まあ、案内してやりたいのは山々なんだが
> 生憎、俺の知ってる街一番の薬局は、今、客が一人いるんだよ」

男はそう言うと、懐から取り出したライターを俺に向かって放り投げた。
恐らく咥えたタバコに点火しようとしたライターがガス欠だったのだろう。
俺は瞬時にそう直感しつつ、男の言葉に耳を傾けながら、
特に理由も無く空中に舞ったライターを目で追い続けた。

>「だから、麻酔しかくれてやれねぇってよ。悪いな」

つまり……その店には既に『怪我人』という先客が来ており、
その先客の手当てに大半の薬を使い込んでしまった、ということか……。

男の言葉の意味を、心の中でそう解釈した瞬間だった。
急に目の前が眩いばかりの光で覆われた。
──ライターに目くらましが!?
俺がすぐに発光したのがあのライターだと分かったのは、
先程からあのライターを目で追い、発光した瞬間を確認していたからだ。

咄嗟に瞼を閉じるも、既に俺の目は凶悪な光の餌食にされていた。
どうやら十数秒程は目が使えないことを覚悟せねばならないようだ。
だが、そんな事態に直面しても、俺の頭の中は混乱する事無く冷静を保っていた。

──何故、目くらましを?
逃げるためか、この隙に乗じて俺を攻撃するためのどちらかだ。
こちらに向かってくる気配を感じることからして、恐らくは後者……。

──男が俺を狙う『刺客』であるのか、そうでないのかはまだ不明だが……
いずれにせよこの瞬間、俺に『敵意』を持つ『異能者』であるに違いはない。
仕方あるまい……この場で情報を聞き出すことにするか。

そう心の中で決めた時だった。
256池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/04(金) 00:29:42 0
>「おいおい、『後ろ』ががら空きだぞ?」

不意に聞こえる男の声。
──速い。いつの間にかこちらの至近距離にまで迫っていたのか。
男の声と気配に反応したかのように、俺は咄嗟に能力を発動させていた。
フリーフリーズ
『自在氷』──。

能力の発動から一秒と待たずして俺の体全体に薄い氷がまとわり付く。
『後ろ』だけを防御しなかったのは、生まれついての慎重な性格故か。
まとわり付いた氷は身を護る氷の鎧と化したが、瞬間的に作ったものでは
その防御能力にあまり期待はできないことは明白だった。

(ゴキッ!)

──瞬間、俺は右肩に走る衝撃を感じ取っていた。
俺の右頬に冷たい氷の欠片が当たることから、
右肩の部分を防御していた氷が攻撃の衝撃で砕かれたのだろう。
右肩も多少なりともダメージを負ったことだろうが……
……これで目が使えぬ俺にも敵の位置を正確に掴めるというものだ。

左手で俺の右肩に接触している敵の一部を文字通り掴むと、
『能力』を解放していく──。

掴んだのは恐らく敵の手首か……当初は人肌ほどの温かさを持ったものが、
俺の左手が纏う凍気によって急速に体温を奪われているのが分かる。
俺は更に左手に纏う凍気を強めていきながら、右腕を動かして右肩の状態を確認する。

……痛みはあるが、関節が外れたり、骨が折れたりはしていないようだ。
状態からして、精々、打撲程度のダメージと言ったところか。
俺は右肩が健在であることを確認すると、敵に向かって言った。

「そうか、その薬局には麻酔だけしか残っていないのか……。
ならば、他の店に案内にしてもらわなければな……」

俺はゆっくりと瞼を開ける。
そして敵の位置を視認すると、気を纏った右手のひらを敵に向けた。

【池上 燐介:十数秒ほど視覚を封じられ、右肩に打撲を負う。
        左手で右肩を攻撃した国崎シロウの手首を冷凍中】
257廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/04(金) 00:30:14 0
>>254
俺は、町に向かってひたすら歩いた。
途中、何度か休憩を挟んだので予想時間より一時間は遅れてしまったかもしれない。
まぁ、急いでいるわけでもないので遅れたからどうってことはないんだけどさ。
杖代わりに使用した刀は、、けっこう手荒に使用したにもかかわらず刃こぼれの一つも無い。
この刀は丈夫でよく斬れるのだけがとりえだから、この程度で壊れてもらっても困るんだけど…
…話が横にそれた。とにかく、町に向かって歩き続けた結果俺はなんとか町にたどり着いた。
町といっても、人の姿は見えない小さな広場なのだが…

(やっと…たどり着いたぜ…)

広場の前に木々を掻き分け、俺は広場の中にはいった。
そして、一つ勘違いしていたことに気付いた。
さっき人の姿は見えないと言ったが、一人だけいた。
なんと言えばいいのか…髪はボサボサでワイルドな男だ。
その男は俺の姿を見るなり、近づきながら携帯電話を取り出した。
番号は…押した回数から警察か救急車あたりか…?
そう思っていたが、いきなり男の指は止まった。
どこか迷ったような表情を見せながら、男はこういった。

>「・・・銃刀法違反だ」

あぁ、そういえばそんな法律もあったな…
今まで警察に見つからなかった事が幸運だったな。
とにかく、戦う意思は無いと表したほうがいいな。今はこんな状態だし。

「ホラ…よ…これでいいか?」

俺は能力を解除し、刀を消し去った。

【廻間 統時:七重の目の前で能力を解除する】
258国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/04(金) 02:14:20 0
>>255
(まずは腕一本――――!)
もはや回避不能の距離まで接近させた拳に、
俺は急襲の成功を感じたが

ゴキッ!

妙な手ごたえ。
掌から伝わってきた感触は、人体を砕くソレではなく
もっと硬い、石の様なものを殴りつけた様なものだった。
未だ閃光弾の残光が残る中、条件反射で拳が当たった先を注視する。
(水晶……いや、この冷感は氷か? ちっ、カマをかけたのが裏目に出たな)
視線の先で飛び散る透明な欠片と、当てた掌から伝わってくる温度で、
相手が氷を用いてダメージを緩和したという仮説を組み立てる。
防御力自体はそれほどでも無かったようだが、あの感触では
多少のダメージこそあれ、到底間接を壊す事など出来ていないだろう。

つまり、初撃は失敗したのだ。
不意打ちの閃光弾と、フェイクに対しての冷静な対処。
そして、異能の行使速度と
「――――!」
今、俺の左手首を捉えたタクティクス。
もしこの手を掴まれなければ、俺は視力を奪っている内に闇に紛れ、
追撃で仕留められる確立は、それなりにあっただろう。

間違いない。こいつはデキる。

掴まれた腕から急速に体温が奪われていくのが解る。敵は恐らく、氷か冷気使い。
「敵」に成り得るレベルの相手を前に、
冷却による痛覚信号と、強くなる背中の火傷の疼きを無視しながら、
俺は最も効果的と考える対応を考える。
259国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/04(金) 02:14:43 0
>「そうか、その薬局には麻酔だけしか残っていないのか……。
>ならば、他の店に案内にしてもらわなければな……」

「そいつは残念だ。お前らみたいにデカイ組織なら、全員の
 延髄に一発入れる天然麻酔で、その薬局もガッポガッポ儲かると思ったんだがな」

とにかく、このまま冷却されるのは面倒だ。
血液まで凍結すれば、人体を巡るそれは下手に切断されるよりも
著しい悪影響を与える場合も有る。

俺は、右掌が完全に俺に向けられきる直前に、
自分の右手首ごと、掴んでいる相手の左手を躊躇い無く殴りつけた。

既に冷凍されていたと思わしき自分の肉の一部が衝撃で砕け、
ボロボロと剥離するのを感じる。直後に伝わってく骨にヒビが入ったと
思わしき、熱を持った痛み。
だが、そんなものは痛い事さえ解ればどうでもいい。
肉と骨を引き換えに得た自由で、後方に跳ぶ。
そして、構えられた相手の右手を見ながら、

「……やれやれ、本当は二度と使いたく無かったんだがな」
小さな声で呟き、凍結が解け、血があふれ出し始めた右手で
ポケットから取り出した取り出した紅い球状のカプセルを――――口に含んだ。

【国崎シロウ:凍らされた右手首周辺の肉を砕き、骨にヒビを入れる事で拘束を抜け、
 後ろに跳び、取り出した球状カプセルを口に含む。このままならしばらく
 右手は戦闘に使えないだろう】
260名無しになりきれ:2008/04/04(金) 18:40:36 O
初見だが今んとこ主人公が誰で悪役が誰になるんだ?
261名無しになりきれ:2008/04/04(金) 21:51:09 O
>>260
俺は群像劇みたいに楽しんでるが
強いて言うなら廻間統時あたりが主人公っぽいな。
で池上は敵でも味方でもない悪役
262桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/05(土) 00:38:11 O
「やぁね、なにキレてんの?
私は親切に現実を教えただけじゃない」
蔑んだ目で見下ろす静樹彩名の言葉を無視してとにかく突っ込んだ

「喰らえぇ!」
左腕に雷を発し彩名に殴りかかった
だが、それが届く前に突如彩名の周りを囲むように出てきた光の壁によって塞がれた

「惜しかったわね」
「畜生、出てこい!」
「嫌、私の能力は接近戦向けじゃないから今回は帰らせて貰うわ」
「! 逃げるのか!?」
「仕留められなかったのが残念だけど…ま、後は彼女に任せるわ
それじゃ ふふふ…」
含んだ笑みを浮かべながら静樹彩名がそう宣言した瞬間壁の光が急激に強くなり
修貴達が目を反らした隙に彩名もろとも壁は消えていた

「消えたっ!? あいつ、どこ行きやがった!?」
「もう… 追いかけるのは無理…」
「だけどっ!」
「今はあの人が言ってた『彼女』を探した方がいいよ」
「! ぁ…、そうか」

追いついたひかる達が修貴をなだめ、あたりを警戒する
「博物館に戻ろう、もう罠は消えてるはず」

もし次の相手が遠くから狙撃するタイプなら
今いる博物館入り口前は絶好の的
そう判断した修貴達は入り口への階段を途中でふらつきながら駆け上がった
「(まずい…、頭がボーっとしてきた
血、流しすぎたかな…)」
263桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/05(土) 00:39:38 O
>>262

その頃館長室には彩名との戦闘のうちに逃げ出した桐北直哉と
[No.39 前神 要]のプレートが胸についているもう一人の刺客がいた

「母さん…! 母さん、助けてくれ、化け物がっ! あいつはやっぱり化け物たったんだ
母さん…!」
「作戦開始、これより対象の催眠を解き能力を発動」
「か、母さん?」
「……極限惨劇[ルナティックエクリプス]」
「かあさ、 あ… が? ぎ、
あ、ああああ"あ"ぁぁ"ぁ!!」
前神要の呪言を受けた直哉は苦悶の表情を浮かべ絶叫
すると彼の体が変化していった
身長は3mを超え骨格や顔つきが人間のそれではなくなり
右腕だけが異常に膨れ上がり先から鋭い爪を生やす怪物となった

「効果良好、次の作戦に進行
一、博物館研究員で動作確認
二、目標である塚原ひかる、若宮こよみ、桐北修貴を殺害
後に組織に輸送、 作戦実行」
「グウゥゥ、グゴガァァ!!」



桐北:博物館1階へ、出血により貧血が発生気味
塚原・若宮:博物館1階へ
静樹彩名:逃走
桐北直哉:前神要により怪物化 研究員を狙う
前神要:館長室に待機
264池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/05(土) 00:52:11 0
>>259
>「そいつは残念だ。お前らみたいにデカイ組織なら、全員の
> 延髄に一発入れる天然麻酔で、その薬局もガッポガッポ儲かると思ったんだがな」

──『組織』?
それは、俺にとって興味深いキーワードだった。

『デカイ組織』……それが指すものは……
異能者達を闘わせるよう仕向けた『首謀者』のこと……?
とするならば、この男は……。

「───ッ!」

──左手の甲に感じる鋭い痛み。
俺は、思わず掴んでいた手を放してしまう。
すると男は後方に跳び、再び先程までの間合いを取るのだった。
……どうやらこちらが考え込んでいる間に、隙を突かれたらしい。
俺は凍結させた男の右手首を確認する。

奴の右手首はもはや使えまい……では、俺の左手は……どうかな。
俺は自分の左手を、力を込めて何度か握ってみせる。

……動かすたびに甲の部分に走る痛みがある。
骨が痛んでいるのかもしれん。この戦闘では左手は極力使わない方がいいだろう。
どうせ能力を行使するメインの腕は右なのだから、左手に無理をさせる必要はない。

それより……どうやらこの男、俺を狙う『刺客』ではなかったようだ。
恐らくこいつもこの『ゲーム』に巻き込まれた被害者の一人。
俺を見て『首謀者』側の人間と間違えた点からして、
俺と同じく、過去に『首謀者』から『刺客』を送り込まれたことがあったのだろう。

……『デカイ組織』か。
なるほど、どうやらこの一件には、大規模な陰謀が隠されているようだ。
ふん……人をその陰謀の道具にしてくれるとはな……舐めてくれる。
何としてでも奴らの尻尾を掴んでみせる……。
265池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/05(土) 00:57:49 0
そんな事を考えていると、男はいつの間にか球状の物体を手に取っていた。
そしてそれを……口に入れたのだ。
異様な光景を前にして、俺は次なる闘いを予感して右手の手袋を外すのだった。

一連の戦闘であの男が何かしらの能力を行使したかと言えば、そうではない。
少なくとも表面上に表れた結果から考えればな。
仮にこの行動が能力発動時に行う儀式のようなものだとすれば……
どんな能力かは知らんが、次からが奴の本領ということになるだろう。

──真に『解放』された能力が、右手から凍気となって溢れ出る。
それらが周囲の大気に混ざり合い、緩やかに広がっていく。
──頃合を見計らって指を鳴らす。すると、俺の周囲に小さな氷の群が現れた。

攻撃の準備は完了させたが、その前に『組織』について、聞いておこうか……。
……いや、今は聞いても無駄だろうな。
異能者相手では、一度実力で負かさぬ限り、話す気にはなるまい。
もっとも負かしたところで、そう易々と口を割るようなタイプの人間とも思えんが……。

まぁ、ひとまずは虫の息状態となってもらおう。
それでも話す気が起きないなら、他を当たるだけのことだ。

「先程はお前が先手だったな。では、次は俺から仕掛けさせてもらおうか」

──受けてみろ。
    マシンガンアイス
「──『機関氷弾』!」

無数の氷の弾丸が高速で放たれた。

【池上 燐介:左手にダメージを負ったことで、この闘いでは左手の使用を避ける。
        国崎シロウに向かって機関氷弾を放つ】
266七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/05(土) 01:23:18 0
>257
七重がまごまごしている間に、青年の持つ刀は、突然として音もなく消滅する
どういう理屈があっての事かは分からないが、
とかく青年の銃刀法違反は免罪となり、二人が警察の厄介になる気遣いも消散した
だが、刀という一物体が忽如と消え去るのは、明らかに不自然な話
台詞から察するに、この青年が、何らかの力を刀に作用させたのだろう
異能者か。警戒する七重は、青年との間合いを意識する

得体の知れぬ異能者とは、余り関わらぬが賢明なのだろうが、
怪我を負った人間をほったらかす訳にもいかない
そこで七重は、

「早く病院へ行け。さもなくば救急車を呼ぶ」

とだけ、ぴしゃりと言いやった
一瞬の間、言葉が途切れかけたところで、

「呼ばれたくないんなら、呼ばない。好きにしろ」

と、またも投げやりに言い捨てる

ついさっきまで刀をぶら下げていたような男だ
そんな人間が病院に連れて行かれれば、
医師らに対して、己の素性を説明する際、何かと都合の悪いこともあろう
そう思って繋げた二の句であった

七重の言葉は、いつでも極端に短く、
そして極度に集約されているので、一般人には理解し辛い感がある
しかし、その調子で人並みの会話が成り立っていると思い込んでいるから性質が悪い
勿論今も、これで意識の伝達が上手くいったと信じて、平気な顔をして済ましている
果たしてこの七重と、まともな対話ができるかどうかは、
彼の青年のコミニュケーションスキルにかかっている
267次回予告風まとめ:2008/04/05(土) 02:17:44 O
池上VS国崎の頭脳戦。

禍ノ紅VS戦場ヶ原の力と力のぶつかり合い。

謎の組織の追撃に追われる桐北と若宮と塚原。

そして、七重と廻間の邂逅。


運命と運命は互いに引き寄せ合い、新たな力となって闘いの渦を拡大させる――――…

次回、『邪気眼なりきり』
『永遠(とわ)に続く闘い』

みんな、見てくれよなッ!(by高山)
268国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/05(土) 21:31:17 0
男がその手に嵌めていた手袋を外すと、
空間は先ほどまでとは段違いの冷気に覆われた。
見れば、男から感じる気配は先程よりも遥かに大きく、重い物となっている。
(何かの封印か……? 何にせよ、あちらさんも本気は出してなかったって訳かよ)
相手の周囲に展開される無数の氷塊を見て、冷や汗を流しながら内心で呟く。
本当なら、気絶させてから拘束でもして、
組織の情報を吐かせようと思っていたのだが、どうも事はそう簡単では無いようだ。
(ちっ、仕方ねえな。動けない程度に壊すか)
そう思った俺は、口にしていたカプセルを……噛み潰した。

口の中でにじみ、広がっていくのは、濃厚な鉄の味。
カプセルの中に入れてあった『俺の血液』が喉を通り、
染み渡って、俺の全身に熱を広げていく。

>「先程はお前が先手だったな。では、次は俺から仕掛けさせてもらおうか」
男がそう言った次の瞬間、男の周囲に展開させられていた氷弾が消えた。
……いや、消えたのでは無い。発射されたのだ。その事を俺に伝えてきたのは、
無数の氷に撃ち抜かれたのであろう、俺の身体の痛みだった。
熱でうなされている時のようにボーッとした思考の中で、俺は自分の身体が
ゆっくりとと地面に倒れるのを感――――――
269国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/05(土) 21:36:18 0
ドサリ、と音を鳴らし倒れた、国崎シロウという男の身体。
暫しの静寂が空間に流れる
氷弾によって出来た穴から流れ出る紅い液体が、湯気を出しながら、
アスファルトの路面を伝っていく。
国崎からは、呼吸音はおろかピクリと動く様子すら無い。
無理も無いだろう。普通の人間が、全身を無数に貫かれこれだけの失血をすれば、
ショック死するのは当然だ。
むしろ、原型を留めているだけで奇跡的だと言える。

……そう、奇跡的だ。
故に、此処から先の出来事は奇跡ではなく必然。
世界の規則から外れた異常。決して表には出ない、裏の住人の当然。

死んでいた筈の国崎シロウが、立ち上がった。

時間にすれば数秒だっただろう。
国崎の身体から垂れ流されていた血液が、まるでビデオの巻き戻しでも見るように
彼の傷口へ戻っていき、直後、国崎がゆるゆると立ち上がったのだ。
それも、致命傷だった筈の傷が一切無い状態で。

「……あー、懐かしいなこの感触。ったく、相変わらず最悪だ」
立ち上がった国崎は、顔を伏せながらブツブツと何事かを呟いていたが、
やがてゆっくりと顔を上げ、池上の方を向く。

その目。池上を見るその両目は、もはや先程までの人間の物ではない。
眼球の色は鮮血。瞳は、まるで猛毒を持つ大蛇の如く縦に細く長く変形していた。

ウロボロス
『贄』 かつて裏の社会で恐怖そのものとして存在したバケモノが、そこに居た。

「さて、アンタに一つ頼みがあるんだが」

次の瞬間、国崎の姿が消えるように移動し、池上の前に現れた。
その速度は先のソレと比較にならない程に早い。

「……まあ、なんだ。なるべく死ぬなよ?」

文字通り、音を置き去りにして放たれる連続の手刀。
空間を切り裂き急所を狙う毒蛇の牙は、蛇行する線を描き池上に対して襲い掛かる。

【国崎シロウ、贄モードの再生力で死を回避。
 増大した身体能力を使い池上に襲撃をかける】
270池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/06(日) 02:15:25 0
>>269
次々と高速で発射された氷弾が男の体を貫いていく──。
男は全身を穴だらけにしながら、力なくドサリとその場に倒れこんだ。
倒れた男の体からジワリと血が流れ出し、辺りを赤く染めていく。

……動かないな。死んだ……のか?
……いや、生きている。俺の右手は警告を止めていない。

俺はその場で立ち尽くしながら、奴の動きに神経を集中させ、警戒する。
奴が倒れてから何秒経った時のことだろうか。
先程、奴が球状の物体を口に含んだ光景を目にした時などより、
比べ物にならない程の異様な光景を俺は目にするのだった。

血だ。確かに奴の体から流れ出ていた血が、奴の傷口に吸い取られる
かのように次々と体の中に戻っていく。
そして流された血を全て吸い取ると、その傷口は役目を終えたかのように
消えていったのだ。

消えた……? いや、違うな。皮膚として『再生』したのか……。

俺は立ち上がった男を見た。
その瞬間を待っていたかのように男はゆっくりと顔をあげると、俺と目を合わせた。
その目を見て流石に一瞬、体が強張る。

……『狼男』という空想上の化物がいたが、どうやらこいつはその類の生物らしい。
先程まで男から感じられた雰囲気とは全く異質。
獲物を狙うかのような眼光は、いつかテレビで見た肉食獣に近い気がする……。
人間から化物へか……正に変身だな。
271池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/06(日) 02:18:52 0
それより、先程俺が見た現象……あれは確かに破壊された組織の再生だった。
自然界には、ヒトデやミミズのように、体の一部分を切断されてもまた元に
再生させる能力を持つ動物がいる。
奴も獣に変身することで、人間にはない文字通りの『異能力』を発揮することが
できるとすれば……奴の『自己再生能力』などその一端に過ぎない可能性が高い。
やれやれ……こちらも腕の一本や二本は覚悟しなければならないかもな。

俺があれやこれやと考えをめぐらしていた時だった──。

>「さて、アンタに一つ頼みがあるんだが」
不意に聞こえる男の声──。

>「……まあ、なんだ。なるべく死ぬなよ?」
声は俺の目の前でする。
改めて視認するまでもなく、俺の目には男の姿が飛び込んできていた。

──速い。いや……速すぎる。
こちらも油断していたとはいえ、刹那的な間に俺との距離をなくすとは。
いや、あれこれ考えている暇はない。氷よ、俺を護れ──。

俺に向けて無数に手刀が放たれるが、それより早く再び俺の体は薄い氷の鎧に
よって覆われる。──しかし。
敵の手刀が俺に直撃する瞬間、俺は自分の体に直接突き刺さる痛みを感じた。

──これは、敵の手刀が楽々と、まるで素手で薄い紙を切り裂くように
俺の氷を破壊し、生身の体にまで大きなダメージを与えている!
大腿部、右脇腹、左腹筋、右上腕、左前腕──それから先は覚えていない。
とにかく俺は敵の猛攻によって、肉をえぐられ、血を噴き出し、
本能的に頭部を護るよう、ボクシングのガードのように腕を壁にして
防戦一方の構えを余儀なくされていた。

だが、そんな敵の猛攻を受ける中で、あろうことか俺はこれまで護っていた
唯一無傷の頭部に隙を作ってしまったのだ。
ここに敵の攻撃を受ければ間違いなく俺は大ダメージを受けるだろう。
それを見逃さないかのように、敵は俺の頭部目掛けて拳を放った──。
272池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/06(日) 02:23:37 0
──敵の拳が、ピタリと動きを止める。
俺を狙って拳を繰り出したにも関わらずだ。それは敵の気が変わったからか?
否。俺が敵の拳を止めたのだ。

動きを止めたのは、放たれた左拳を手首から掴んでいる俺の右手。
今まで防戦一方だった俺の思わぬ行動に、敵の動きが一瞬だが止まる。
次に隙を見逃さなかったのは俺の方だった。
俺は左手で一瞬だけ停止した敵の右手首を掴む。

左手は使わないつもりだったんだがな……背に腹は変えられないか。

などと思いつつ、俺は掴んでいる両手から、能力を発動させる。
俺の凍気は敵の体温を奪い、血色の良かった手首は血の通わない白色と化した。
更に俺の凍気は地面にまで伝わり、付着した氷と共にその地面を伝って、
敵の足の自由を奪っていく。

奴の圧倒的ともいえる攻撃速度には付いていけなかった俺だが、
奴がどこに向けて攻撃をするかが分かれば反撃も容易い……。
隙を見せればそこを狙うのが心理というもの。
ましてや戦闘に慣れている異能者であれば尚更だろう。
そう、危険を冒してまで隙を作ったのは、奴を確実に捉えるためだ。

「俺がここまで傷を付けられたのは久しぶりだな……。
いつから『能力』に目覚めたのかは知らないが、一応、褒めておくよ……」

そう言いつつ、視線を自分の体に向けて被害状況を確認する。
裂傷箇所多数、打撲箇所多数、先程から胸部が悲鳴をあげていることからして、
肋骨の方も何本かやられているかもしれんな……。

既に俺の血は凍気によって止まっていたが、
猛攻を受けた時に噴き出された血でシャツは所々真っ赤に染まっていた。
273池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/06(日) 02:26:14 0
俺は再び敵に視線を向け、そして右手に力を込める。
──瞬間、俺と敵との僅かな空間の間に、再び無数の小さな氷の群が出現する。

「お前には聞きたいことがあるんでな……まあ、なんだ。なるべく死ぬなよ?」

先程の男の台詞をそのまま返すと、
再び男に向かって『機関氷弾』が放たれるのだった。


【池上 燐介:体の所々に多くの傷を負い、肋骨に何本かヒビが入っている。
        再び『機関氷弾』を国崎シロウに向けて放つ】
274塚原ひかる若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/04/06(日) 02:34:36 O
>>263
ひかるは修貴が怒りと哀しみをぶつける相手を失ったことにより次第に冷静さを取り戻すにしたがいソファーに倒れこむ姿を見ると彼の肉体が限界にきていることを認識した。
「彼は…戦闘不能…」
修貴の衰弱は明らかではったが命までは別状がない怪我であることを感知した。
刹那―ひかるは禍々しい空気を感じた。人間のもつどす黒い感情、邪気、狂気、凶音を。
巨大な“モノ”がこちらに向かってきていることにこよみが先に気づいた。
その“モノ”は右腕だけで成人男性と同じ大きさがあった。いや、右腕だけが異様な大きさをもっていた。アンバランスなフォルムは一種の可愛らしさを生むものであるが“モノ”が殺意を隠さずまっすぐこちらに向かっているためそういうものとは一切感じられなかった。
「こよみちゃん…」
「はいなのです」
こよみは二体の猛獣を発動させ“モノ”に突進させた。
「バケモノハコロセ」
“モノ”の声にふたりは驚愕していた…この“モノ”が人間であることに…そして“モノ”の声に反応した修貴の一言に…
「親父、その声は親父か…?」
275塚原ひかる若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/04/06(日) 03:47:32 O
>>274
―“能力”とは意思のちから…こころのちから…人間の自我に起因するもの…他人が踏み込めない領域…
ひかるは無意識のうちに詞(ことば)が出ていた。“モノ”を『視る』ための詞は修貴の耳にも届いていた。
「俺に言っているのか…」
彼が『異能力』をもったことで生まれた苦しみ、哀しみ、疑念忘れようとした思いがよみがえってきた。それらが解決しそうな気がしたから…

「バケモノハコロセ」
館長であった“モノ”が右腕を振り回すと猛獣は壁まで弾き飛ばされた。
「ひかるさん渡辺さんじゃ勝てないのです」
修貴のところまで後退したこよみは胸のぬいぐるみに話かけた。
「石田さん頑張ってくださいなのです」
「りゃりゃりゃりゃやっと出番が来たぜ」
ぬいぐるみは真っ赤な甲冑を身につけた青年に変わった。頬当と呼ばれる仮面をつけているので容姿はわからないが彼?が発する凛々とした空気が容姿のよさを想像させた。
「遠からんものは音に聞け近からんものは目にもみよ。我が名は石田直政、槍の彦三郎なり」
名乗りとともに石田直政の姿を取り戻した“ひーにゃん”は二本の朱槍を手に突撃した。
「さぁさぁさぁさぁ、楽しませてもらうぜ」





桐北:意識ははっきりしてるがあまり動けない
こよみ:ファンシースター発動【二槍の戦士】を召喚
ひかる:静観
276国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/06(日) 20:11:53 0
>>273
一発、二発、三発……拳が相手に傷を付ける度に、火傷の疼きが強くなる。
俺の感情のどこかが、まるでそこに煮え立つマグマでもあるように
ドロドロと熱くなり、熱はじわじわと周囲に広がっていく。
それに比例し、五感の全てに加え、第六感と呼ばれる物や再生能力を始めとした
身体能力の全てが、人間では決して届かないであろう域にまで高まり、
自分が生物としてのヒトを越えてしまっているのを感じる。

……ああ、やはり最悪だ。理性は冷めていき、感情は熱くなる。
まるで、体の中に二つの自分が居るような感覚……いや、実際居るのかもしれない。
                ウロボロス
『一般人』国崎シロウ。『バケモノ』贄 。
一人と一匹が自分の中に居て、能力はその二つを無理に交じり合わせる事で
発動しているのだとしたら……。

久しぶりの能力発動だからか、戦闘中のもかからわず、
理性はそんな妄想めいた思考を浮かべる。
だからだろう。その時の俺の感情は、相手が見せた隙、
ガードの開いた頭部に対し、迷わず手刀を叩き込もうと、手を伸ばしていた。

「!?」
だ手刀は相手に届く事は無かった。
有るのは掴まれた手の感覚。
気付いた時にはそこから急激に体温が奪われていた。
一瞬で右手の感覚は無くなり、次いで足の感覚も消え始めている

(あー……参った。自分が作った隙以外は警戒するのが当然だろうが。
 それに、二度同じ手に引っかかるとは……俺も鈍ったか?)
危機的な状況。まさか足と右手を奪われるとは、予想外だ。
いかに能力が有るとはいえ、凍結した細胞の再生速度は
通常のソレに比べ段違いに遅い。このまま冷却が内臓部の広範囲に及べば、
あるいは死んでしまうかもしれない
おまけに防御には腕が足りず、足は進めても僅か数歩、回避など無理だ。

>「俺がここまで傷を付けられたのは久しぶりだな……。
>いつから『能力』に目覚めたのかは知らないが、一応、褒めておくよ……」

「ハァ……まあ、これでも昔は贄(ウロボロス)とか呼ばれてたバケモノだからな。
 経験ならお前よりも長いさ」

軽口を叩きながらも、実際に近づいている
生命の危機に際し、感情は激しく警鐘を鳴らし続けている。
対し、理性は飽くまで冷静に打開策を求めるべく思索し続ける。

そして、男と俺との間に再び無数の氷弾が形成された。
至近……腕一本では落とせて十数個が限度か。

>「お前には聞きたいことがあるんでな……まあ、なんだ。なるべく死ぬなよ?」
男の台詞が先ほど自分が言ったものであると思い出し、思わず苦笑する。

いや、本当に強い敵だ。今まで出会った敵の中では、文句なしに上位だろう。
だからこそ俺は、僅かの敬意と皮肉を持ち、氷弾が放たれる寸前に言う。

「餓鬼。お前さんは強いが、プロに同じ手を使うのは論外だ」

そして俺は氷の弾幕に対し、退くのでも避けるのでも無く――『一歩、前に進んだ』
277国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/06(日) 20:15:41 0
数え切れない氷弾が体に命中した感覚。骨がミシミシと音を立て、折れる。
殴打された内臓から出た血液が消化器と呼吸器を逆流し、俺の口から吐き出される。
「ぐっ!?ゴホッ!ガホッ! ……ぐあ……痛ぇな、クソ……」
だが、良く見れば体の外側を除けば、俺の体を貫いた弾は一発たりとも無かった。
簡単な話。俺は氷弾が最大速度に達する前に、自ら当たりに行ったのだ。
普通の人間なら不可能だろう、だが、俺なら出来る。
例え足が凍り付いていようと、僅か数歩の距離ならば、
贄はソレを可能とする速度で動く事が出来るのを、俺は知っている。
足元からは、無理に動かした為に氷結部にヒビが入った音。
右腕は……無かった。つかまれていたからだろう。移動の際に、肘の先から折れた。
傷口からは血が滝のように流れ出ている。

「ゴホッ! っ、たく。 世の中、怪我して疲れた状態で勝てる雑魚
 ばかりなんて思ってやがるから、ここで、死ぬんだぞ?」
失血のし過ぎで霞む視界の中、口の端を愉悦で僅かに上げ、言う。
能力を発動してから、動きで何となくは気付いていた。
相手が背中に何かしらのダメージを負っている事。
それに関連してだろう。疲労によって動きがやや鈍っているのであろう事。
そして、相手の状態と今の状況で、確実に殺す事が可能な事。
(さて、喰い殺そう。血ぃ流しすぎたから……あと、一発が限度っぽいが……まあ、イける。早く殺そう)
距離は至近。身体は満身創痍。
だが、この時点に至って贄に恐怖という物は無かった。
生命の危機に際し、感情が理性を食いつぶしつつあるのか、強力な敵を殺せることの愉悦に対し、表情が邪悪に歪む。

「はは。まあ、片手だし……お前さん位強いなら、即死はないだろ。……だから、苦しんで死ね」
左腕から煙が登る。活性化した細胞が出す熱が、冷やされた空間との温度差で蒸気を作ったのだ。
そして贄は、自分が使う壊し方の中で、数少ない、技名というものを付けたその攻撃を放つ。

「 喰らっとけ――――『  バ シ リ ス ク  』」

正真正銘本気の一撃。もはや強化した自分の動体視力を持ってしても
その姿を完全には捉えられない左腕の一撃が、凶悪な殺気を纏い向かうのは、敵の右眼。
バシリスク、見たものを石にする瞳を持つ古代の怪物蛇の名を模したその攻撃は、
人知を超えた速度で両の目を潰し、衝撃で脳に深刻なダメージを与えて、
相手を確実に殺すという非情の破壊だ。
視力を失い、動かない身体で何が起きたか解らないまま死ぬ。その光景故にバシリスクと名づけられた技。
そして、放たれた最悪の毒蛇は敵の男の眼に届き――――


だが、直前で止まっていた。


「……馬鹿か俺は。二度と殺さないって言ったじゃねぇか」
男の眼球の前にあった手を下ろし、国崎は呟く。
その身体からは先程までの禍々しい殺意は消えていた。
思い返すのは過去。贄ではなく、国崎シロウとしての原初の記憶。
その中で交わされた誓いが、今、命の危機にあり、殺しの愉悦に浸っていてさえも尚、国崎シロウを止めたのだ。

攻撃の反動で右足の膝から下が砕け、地面に仰向けに倒れる
そのまま、見上げるようにして敵の方を向き、暫く何か考えていたようだったが、やがて一言。

「……悪かったな」

そして国崎の意識は闇に落ちる。
【国崎:ダメージによって気絶】
278廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/06(日) 22:09:31 0
>>266
今更だが、俺は一つだけミスを犯していることに気がついた。
それはこの男の前で、何の説明も無しに刀を消し去った事だ。
いきなり目の前で物が消えたのだ、普通の人間なら何故消えたのか理解できないだろう。
人間は理解できないものを受け入れようとはしない…話しがややこしくなっちまったな…
もし、この男が俺の事を手品師かなにかと勘違いしていれば話は別だが、
常識的に考えてそんなことは期待できない。
それか、この男が能力者なら…あのメールが届いた能力者なら。
いきなり消えた俺の刀の事も、何故消えたのかなんとなく分かるはずだが…

>「早く病院へ行け。さもなくば救急車を呼ぶ」

! そうだ、何のために町に来たのかすっかり忘れてた…
とりあえず、傷の手当てをして休んだ後…能力者を倒しに行くんじゃないか。
しかし、病院や救急車は不味い。
別に素性は不味くはないし傷の理由も適当に誤魔化すが、そこに拘束されている時間が不味いのだ。
外傷と言うのは傷事態はいくら軽くて生活自体に支障は無くても、「完治」させるとなったらこれがまた時間がかかるのだ。
今の俺には時間がない。早く、敵を倒して次の段階に進まなければ…
もし、あのメールが正しかったとして俺が能力を奪わなかったら…「暴発」する。
俺の刀を作り出す能力がどう暴発するかは分からない。しかし、悪い方向なのは確実だ…
もしかしたらいい方向に進むのかもしれない。しかし、確立は…1割にも満たないだろうな。
俺はそんな分の悪い賭けをするつもりはない。ここは暴発させないよう、敵を倒して能力を奪わなければ…!

「あー…悪い。病院はやめてくれないか、俺には時間がないからさ。
 傷さえ塞げらればそれでいい。もしガーゼとか包帯とか絆創膏とか持ってれば、分けて欲しい。
 もし持ってなかったら、最寄の薬局まで案内して欲しいんだけど、いいかな?」

そう、今の俺は傷さえ塞げらればそれでいいんだ。
塞げられさえすれば、俺は刀を持てるから…俺は戦えるから。
とにかく、病院だけは時間がないからダメだ。
この男が傷を塞ぐものをもっているか否か…今の俺はそれだけが気になっていた。

【廻間 統時:七重に「包帯類を持っていたら譲って欲しい」と交渉を開始する】
279塚原ひかる若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/04/06(日) 23:11:50 O
>>275
赤い鎧武者は二本の短槍を使い闘っていた。突き薙ぎ払う力任せの攻撃を全てかわし一方的にダメージを与えていく
「ちょろいちょろいちょろい!」
鎧武者は二本の槍の石突を合わせ一本の槍としとどめを浴びせかけた
「やめてくれっ」
修貴の声に一瞬動きが止まりほんのわずかな隙がうまれそこに“モノ”の右腕が振りおろされた。
生きている人間がくらえば即死の一撃を半身で受けることでダメージを最小限におさえた。
「石田さん!」
今の主の声に鎧武者は生存?を知らせた。そしておもむろに立ち上がると“モノ”の存在を無視しソファーに横になる修貴のところまでくるとそのまま修貴の顔を踏みつけた。
「何をするんだ」
「それはこっちのセリフだ!何の権限で他人の戦い邪魔するだよ」
「あれは、あの“モノ”は親父なんだ」
武者はひかるがうなずくのを見ると修貴を無理矢理引き起こしどなりだした
「だったら自分でケリつけな」
それだけ言うとこよみの傍に腰をおろした。
「コイツがカタ付けてぇらしいから俺は見物させてもらうぜ」
予測つかない行動に戸惑うこよみと修貴に武者は続けた。
「自分の身と居場所は自分で護るんだな!護れなかったら死ぬだけだ」
280塚原ひかる若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/04/06(日) 23:42:38 O
>>279
武者の問答無用の態度に修貴は覚悟を決めた。
「これしか道はないのか…」
悲壮感に打ちのめされた修貴にひかるが言葉を告げた
「あの姿は…力によって変えられた姿…深層の意識を引きずり出された姿…アンバランスな自我…それが彼の本当の姿…」
言い終わるとひかるは石を手渡した
「これは?」
「トルマリン…あなたの力と…相性はいいと思う…」
修貴は彼女の詞を思い出していた『能力』は思いの力、意識によりコントロールできる…修貴は己の『能力』をはじめて受け入れた。






桐北:新しい技習得?
塚原:静観
若宮:武者と会話中
281七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/07(月) 00:22:18 0
>278
七重の考慮通り、と言うべきか、青年は己の病院行きを拒否した
それに続いて、自分で傷を処置するつもりなのか、応急用具を要求する
ないわけではない。七重の身体には、未だ痛ましい生傷が残っており、
そこにはガーゼをあてがった上で包帯が巻かれている
ガーゼも包帯も、あるにはあるのだ
しかし、使用済みどころか、現在使用中のものを渡すわけには行かぬ
七重の血がついた物を彼の青年が使って、何か妙な病気に感染されたら困る
それ以前に、まだ治ってもいない傷口から包帯を引っぺがすのは気が引ける
申し訳ないが、青年には薬局行きを選択してもらう外ない

「近くに知り合いの薬局がある。行こう」

七重はぼそぼそと呟いて、埃っぽい小道を歩き始めた
怪我人である青年が付いてこられるよう、適度な速度を保ちつつだ
知り合いというのは、無論に国崎氏のことである
死にはぐれの七重を介抱してくれた、彼の国崎氏のことである

うっとうしい夕暉が、ゆるゆると歩く二人の影を照らす
その間にも、烏たちはやはりガアガアやっている

七重としては、いっそ青年を背負ってやるくらいのことはしてやりたい
しかし、異能者の疑いを持つ人間に対し、隙を見せるわけにもいかぬ
と、ここに考えが及んだ時点で、ハッと気がつく七重
異能者かどうかなど、正面から尋ねれば良い

「お前、異能者か?」

烏の枯ら声を割って、野分がザァと吹き抜けた

「俺は、そうだ」

口を利く間も、七重の両足は絶え間なく動く

【移動:国崎氏の薬局 同行:廻間】
282池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/07(月) 00:27:56 0
>>277
『機関氷弾』は放たれた。そう、確かに放たれたのだ。
これをくらった者は、体中に穴を開けて吹き飛ばされる。
それはこれまでの経験から、俺の中で決定事項となっていたはずだった。
しかし今、俺の目の前にいる『獣人』は、
体に『機関氷弾』を受けながらも、その場に立っている。

『餓鬼。お前さんは強いが、プロに同じ手を使うのは論外だ』
……放つ瞬間、奴の言った台詞を思い返す。

あの時奴はそう言った後、避けるどころか俺に向かって足を踏み出した。
『再生』能力があるからと、安心してそんな事をしたのだろうか?
……いや、違うな。『機関氷弾』から受けるダメージを、
最小限に留めようと判断しての行動だったのだろう。
そして、結果としてそれが報われた。
至近距離から放ち、皮膚組織を完全に裂開させれば『再生』能力を有する奴とて
しばらくは足腰が立たぬ状態に陥ると考えていたが、それが裏目に出るとはな。
とはいえ……。

俺は自分の右手が握っている千切れた敵の手首を見つながら、思った。

やはり敵も只では済まなかったようだ……。

>「ゴホッ! っ、たく。 世の中、怪我して疲れた状態で勝てる雑魚
> ばかりなんて思ってやがるから、ここで、死ぬんだぞ?」
>「はは。まあ、片手だし……お前さん位強いなら、即死はないだろ。……だから、苦しんで死ね」
吐血しながら奴はそう吐き捨てると、辺りに白い煙が現れた。
俺はすぐに分かったが、蒸気が立ち込めてきたのだ。
見ると、それは男の左腕から発生しているということが分かる。
……どうやら、奴の『必殺技』が来るらしい。
俺は奴が力を集中させていく姿を見ながら、先程の自分自身を振り返っていた。
283池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/07(月) 00:31:22 0
──何故、俺が『機関氷弾』を敢えて二度続けて使ったのか。
それは俺が先程考えたような結果になると考えたからと、もう一つの理由があった。
実はやろうと思えば、あの至近距離で『氷雪波』を放つこともできたのだ。
実際それを放っていれば、確実に俺に勝利が舞い込んでいたことだろう。
しかし……異能者との二連戦で体に蓄積された疲労とダメージを考えれば、
例え『氷雪波』で確実に相手を打ち負かせることができたとしても、
その直後に訪れる肉体への強い『反動』の恐れが、俺に『機関氷弾』を使わせた。

強力な技というものは、危険を孕んだ諸刃の剣であるということを、
俺は異能者としてのこれまでの自分自身の経験から知っていた。
それ故に、俺は次のことを確信していた──。

>「 喰らっとけ――――『  バ シ リ ス ク  』」
>「……馬鹿か俺は。二度と殺さないって言ったじゃねぇか」
──奴の攻撃は避ける必要はないと。

>「……悪かったな」
俺に向けられた拳が止まり、俺にそれだけ言うと、奴はその場に倒れこんだ。
それがこの戦闘の終わりを意味するものであることは、考えるまでもなかった。

「怪我をして疲れた限界の状態で……強力な技を放とうとするからそうなる」

俺は独り、もはや意識が無いと分かっている男に向かって呟いた。
そして俺は倒れた男の体を見ながら、男が最後に呟いた台詞と、
その時俺に向けた男の表情を思い返しながら、続けてこう呟くのだった。

「もっとも……お前の場合はわざと……攻撃を止めたのかもしれんがな……」
284池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/07(月) 00:34:49 0
────。

『獣人』との闘いを終えてから十数分くらい経っただろうか。
俺は、再び薬局を探していた。いや、正確には向かっていたのだ。
肩にはあの『獣人』……いや、『国崎シロウ』という名の男を抱え、
別の肩には男が持っていたやたら重いビニール袋を下げて。

あの後俺は、倒れた男の服の中から身分証明書を見つけ出した。
そこで俺はこの男が薬局屋を経営していること、
そしてその店の住所、男の名前を知ったのだ。

俺は一瞬、男が気絶している内に止めを刺そうかと思った。
俺の能力を見た者、それを容易く始末できる絶好の機会だったからだ。
が、俺はこうして男を担いで歩いている。何故だか自分でも分からない。
ただ、確かなことは、男が最後に俺に言った言葉……
それが妙に俺の心に響いているような、そんな感じがしていたことだ。
結果としてそれが俺に思わぬ行動を取らせたのかもしれないが……
いずれにせよ今の俺には正確な答えを導き出せそうになかった。

考えをめぐらしていると、俺は身分証明書に書かれていた住所の近辺にまで来ていた。

「住所によると……ここら辺のはずだが……」

独り言をいいながら、辺りを見回す。
すると、『国崎』という文字の書かれた看板が目に飛び込んできた。
視線をずらして看板を見ていくと、『国崎薬局』と書いてあるのが分かる。
俺の肩にもたれかかって眠っている男を起こして確かめさせるまでもなく、
ここがこの男の経営する薬局だと言う事は、
住所と苗字を照らし合わせるだけで確信に至るには十分だった。

俺は一人も客のいない店内に入ると、レジが置かれているテーブルの所まで
歩いていき、抱えた男とビニール袋をその場で降ろした。
285池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/07(月) 00:41:09 0
降ろした後、俺は店内を物色し始める。
男が「麻酔しかない」と言っていたように俺の傷を治しそうな薬は見当たらなかったが、
ふと目に留まったの物があった。それは包帯だった。
俺は束になって置かれている包帯をいくつか掴むと、再びレジの場所まで戻り、
自分の財布から取り出した一枚の一万円札に文を書くと、
倒れている男の体に向けて札を放り投げた。

俺はヒラヒラと舞い降りる札を見ながら、
その札に書いた文を読み上げるかのように、男に向かって言った。

「今回は見逃しておくが、いずれお前を殺しに行く。俺の名は、池上 燐介。
……覚えておいてもらおう」

俺は包帯を掴んだまま、店内を出る。
男との戦闘で左手首に巻いていた腕時計が壊れていて、正確な時間は把握
できなかったが、道行く人達の数を見て、まだ真夜中には達していないのだろう
ということだけは予想できていた。

「さて……どうする?」

そう口に出して改めて問うてみても、実は既に俺の心は決まっていた。

男との戦闘で予想以上に体力を消耗しているな。
とりあえず自宅に戻り、傷口に包帯を巻いて休むか……。

俺は心の中で今夜の行動を決め、くたびれた体を引き摺るように
ゆっくりと歩いて帰路に着いた。
が、俺はすぐに歩くのをやめ、自宅に向けてまっしぐらに駆け出すのだった。

「忘れていた……俺の服が血まみれだってことにな」

道行く人達の視線が、あの男の手刀より強く、俺の体に突き刺さっていた──。

【池上 燐介:国崎シロウを店まで送り届け、自分の自宅に戻る。
        もはやこの日、戦闘を行う意思はなし。】
286池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/07(月) 02:04:32 0
(読み返したら細かいところ間違ってる……訂正)
>俺は自分の右手が× >俺は自分の左手が○
>ビニール袋× >買い物鞄○
287廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/07(月) 20:55:21 0
>>281
>「近くに知り合いの薬局がある。行こう」
どうやら、この男は応急道具を持っていないらしい。
いや、持っていたというのが正しいだろうか。
見たところ、包帯やガーゼは男が使っている。
こんな物を渡されても、俺が困る。
この男がどうというわけではないけれど、なんか病気が移ったら嫌だからな。
俺は男の申し出を受け入れた。

>「お前、異能者か?」「俺は、そうだ」

薬局に向かっている途中に受けたいきなりの能力者宣言に、俺は驚いた。
もし俺が能力者で、男を狙うつもりだったらどうするんだ?
まぁ、俺にはそんなつもりは無いが…とりあえず、この質問には答えておこう。

「…俺も、そうだ」

能力者だ、と名乗るだけなら何の支障もないだろう。
それに、この男だって名乗ったのだ。俺だけ名乗らないなんて、なんだか卑怯だ。
…そう言えば、まだ名前も知らなかったな…なんて名前なんだろうか。

「俺は統時ってんだけど…アンタはなんて名前なんだい?」

【廻間 統時:七重についていく】
288桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/07(月) 22:03:22 O
>>280
漫画で見たのを真似て上着を雷で焼ききり膝に縛ってみたが
それでも出血の勢いは衰えなかった
確か加賀美の時はすぐ治ったはずだ
もしかしたらあの矢には出血を止まらなくする能力もあるかも知れない
もうここまでくると全て『能力』の一言で片付く自分の頭に嫌悪して修貴は眼前の怪物と見る
怪物は鎧武者の攻撃でだいぶ弱っていたが今のやりとりの間に休憩は済ませたようだ

あれが桐北直哉の真の姿
滑稽な程のアンバランスさ
多分、彼も父親の心と化け物への恐怖との葛藤があったのだろう
そうでなければわざわざ自分を呼び寄せ街を出ていかせる相談などしなかったろう
いや、あの時から既に敵の術中だったかもしれない、もしかしたらずっと前から…

そんな事今更考えても意味はない
今、この場で目の前の桐北直哉『だった』怪物を自分
(武者は完全に戦う気をなくしたようだ)
で倒すしかないのだ
いつの間にか出ていた涙を拭い塚原ひかるから貰った石を強く握る
「トルマリンだっけ、友達がこういうの好きでさ…
確か石言葉が『希望』だろ? どんな皮肉だよ…」

289桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/07(月) 22:10:21 O
>>288

怪物がこちらに迫ってきた
あちらには既に理性の欠片も無い、自分を攻撃するのに何の躊躇いもないだろう

「わかった… こんな力に振り回されるのはおしまいにしよう
受け入れて…、利用して…
『ヤハウェ』までたどり着いてやる!」

迫り来る元父親を真っ直ぐ向き合い石を握る力を更に強くして体中に雷を迸る

人間を引きちぎるくらいなら楽に出来そうな腕が降り降ろされる中、修貴に恐怖は無く、体は怪物の懐に潜り込んだ

ー能力に形と生命を与えるイメージ
そして、能力とは意志のちから、こころのちからー
戦場ヶ原さん、塚原さん、ありがとうございます

体中を巡っていた雷を左手にある石に全て集める
雷は石を核に一つの槌の形となって修貴の腕に治まってあった
それをすかさず、そして迷わず怪物の凶撃よりほんの僅かに早く腹部に叩き込んだ
「『神撃』[トール・ハンマー]ーーーッッ!!!」

修貴の攻撃を怪物が受けた瞬間博物館は閃光と、怪物の悲鳴と槌からの轟音に包まれた
時間にして僅か数秒、その時間が永遠に感じられた

光が無くなる頃には怪物の姿は無かった
敵の能力の代償で桐北直哉の体ごと消滅したのだろう…
二人が対峙した場所には槌を杖代わりに立っている修貴一人だった

「そうだ二つ名……
あぁ〜、電気だし、廃工場で手に入れたから…
轟雷工作室[ライトニングファクトリー]なんていいか、も…、ね……」

そう言い終わる前に修貴は完全に気を失いその場に倒れた
後からやや遅れて槌になっている雷が消え、トルマリンが修貴の近くを転がった




桐北修貴:戦闘に勝利
桐北直哉:消滅
290 ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/08(火) 00:34:22 0
――――雨が降っていた。
灰色の景色の中、降り積もった埃を洗い流そうとするかのように。
大地を叩く雨粒。その終着点、家だった物の残骸の中に、少年と少女が居た。

少女の着る白いワンピースは、今尚滲み出る血で真っ赤に染まっている。
少年は倒れ付している少女を抱えながら、その傷を塞ぐべく作業を続ける。
持ち得る知識と、治癒の力を持つ異能の血液。少年の全て動員し、少女を救おうと足掻く。

『大丈夫、このサイズの傷は何度も治癒した。大丈夫、大丈夫だ……』
願うように、祈る様に治療を続ける少年。
しかし、出血は止まる事は無い。
少女の傷は呪い。
異能者と呼ばれる者が、その命と引き換えに残した怨嗟。
流れ出る血は止まる事無く、灰色の雨粒を赤く染め、流れ続ける。

しばらくすると、眠るように気絶していた少女がゆっくりと眼を開けた。
『……なんて、顔してるのよ。無表情男の、癖に』
『!? 気付いたのか! い、いや待て。喋ってはいけない。体力が減る。
 何、安心しろ救急車は呼んだ。すぐに助けが来る。だから……』

少年は少女を安心させる為に笑顔を作ろうとするが、
表情という物に馴染みの無い少年のそれは、酷く不恰好だった。
第一、涙を流しながらでは格好などつく筈が無い
少女はそんな少年を見て、目と口の端で微笑を浮かべる。
そして、口を開き―――――
291国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/08(火) 00:43:23 0
目が覚めると、見慣れた天井があった。
「俺は……痛っ!」
右腕と足の痛みで、中途半端だった意識が完全に覚醒する。

(……そうだ。俺は、氷使いの異能者と戦って、倒れたんだ)
しかし、何故自分の家に戻っているのか。
無理に身体を起こして壁にかけた時計を見ると、時刻は戦闘を終えたと
推測した時間から余り経っていない
周囲を見ると、自分の荷物と、身分証明書。それから、何故か一万円札が無造作に畳の上に置いてある。

(イケガミが、運んでくれたのか? ……って、誰だよイケガミって。)
何となく受かんできた聞き覚えの無い名前に首を振る。
自分が殺されずに薬局にいるという事は、戦っていた異能者が運んできてくれた。
そう考えたほうが自然だろう。
俺は、先の異能者の顔を思い出しながら、立ち上がろうとするが、
『ドサッ!』
右腕が存在しない状態と足のダメージが残った状態ではソレが出来ず、激痛とともに、倒れてしまった。
無理も無い。いくら贄時の再生能力が異常とはいえ、あれだけ失血し、
かつ、損失した腕や砕けた足を何の媒介もなしに治すとなれば、それなりに時間がかかる。
むしろ、意識が戻るまで回復している事を喜ぶべきだろう。

……だが、いつまでもこうしている訳には行かない。
時間から考えて、暫くすれば七重が帰ってくるだろう。
こんな状態で対面すれば、まともな言い訳が出来る筈は無い。
そして異能者とバレてしまう可能性は極めて高い。
俺は、自分が異能者だという事はなるべく知られたくない。
それが真っ当な人間ならば、出来る限り、一般人『国崎シロウ』として接したいのだ。

痛みを堪え、這うようにして冷蔵庫に辿り着く。
そして、左手だけで野菜室を開け、改造した二重底を外した。
(コレは使いたく無かったんだが……背に腹は変えられねぇか)
そこに有るのは大量の輸血パック。中身の血液は全て俺自身の物だ。
俺は、その中から3つ程取り出し、ゴクリと唾を飲んだ後、
その中身を自分の傷口に――――降り掛けた。

「ぐおおおっ!!?」
全身を這い回る様な激痛と悪寒に、思わず呻く。
降り掛けた血液は、傷口に付着すると、みるみる内にそれらを再生してゆく。
抉られた後は埋まり、砕けた足は綺麗に治り、存在しないしなかった右手すら、血液がその形を形成し再生する。

能力を得た時から、俺の血液や体液には治癒能力がある。
俺の意思の元で塗ると、外傷を治し、注射すれば大抵の病気は何とか出来るという
優れ物であり、更に、俺自身がソレを使えばその効果はその何十倍にも跳ね上がる。

……だがしかし、良薬口に苦しという様に、この方法には当然副作用もある。
他人に使った場合は、それなりに沁み、多少気分が悪くなるという程度だ。
だが、問題は俺自身が用いた場合だ。
俺自身が使うと、その副作用の効果も数十倍に。つまり、
『とんでもなく沁みて、果てしなく気持ち悪く成ってしまう』のだ。
俺は意識を集中して、何とか真っ赤な白衣や輸血パックの始末を終えると、
ゴミ袋を構え、重度の二日酔いの人の様に……盛大にゲロった。

(国崎シロウ:気が付く。保存してある自分の血で傷を治すが、
 重度の二日酔いの様な状態に突入。
 料理不可。ダメージは、外観は大丈夫だが戦闘行為を行えるレベルにまでは回復していない)
292塚原ひかる若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/04/08(火) 22:48:48 O
>>289
「ほう、実の父親でも容赦しなかったか」
前神要は直哉の気配の消滅により自分の策が失敗したことを理解した。
「要件はすんだ、これより撤退する」
前神はそう言い放すと扉を開け電気の消えた通路を歩きはじめた。通路に響く靴音をBGMに上司への報告を頭の中で考えた。(おかしい…)
前神は数分歩いても出口が見つからないことに気付いた。迷ったか?違う!そこまでこの建物は大きくない。数分間歩いても曲がり角ひとつなかった。そんな巨大な建物である筈はない。前神は疑念を持ちつつ辺りを見回した。
「階段…」
突如現れた階段を前神は嫌な予感を振り払うようにおりた。階段を自分の靴音が響く、同じリズムを永遠に…永遠!
ここまでくると前神は確信した自分が攻撃の対象になっていることを。
「ちっ、油断したか!」
己の迂濶さを咎め前神は意識を集中した。敵の気配を探るため敵の意図を読むため敵の行動を防ぐため。
カツッ―
自分以外の靴音を聞いた。誰かいる!相手の居場所がわかれば対処のしようがある。前神はほくそ笑み後方からの靴音に備えた。
「俺は能力だけの男じゃないんでな」
前神はナイフを取りだし気配を消した。幸いこちらに相手は気付いていないようだ。靴音が近づいてくる一歩また一歩一撃で仕留める距離まできたとき音もたてず飛びかかった。
「なっ」
飛びかかったもの飛びかかられたものの両者とも同じ言葉を発した。
293塚原ひかる若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/04/08(火) 23:40:24 O
>>292
咄嗟に壁を蹴り向きを変え床に転がる。なぜこいつがいる!
「静樹、脱出したんじゃなかったのか!」
「前神、あんたこそなんでこんなとこいるのよ!」
前神と静樹彩名のふたりはお互いの状況を説明しあった。彼らが導きだした結論―それは第三者がここにいるということである。それもその者は空間を操る異能者であることも。
「北村の爺さんとは連絡とれんのか?」
「あのクソジジイに借りつくるとろくなことならないわよ」
静樹は上司を貶すとまた歩きだした。前神も同じ感想をもったのかそれ以上何も言わず静樹に続いた。
終わる階段そこには大きな木製の扉があった。向こうには敵がいるのは間違いないならば倒すのみ。前神と静樹は迷わず扉を押した。
「ごきげんよう。前神くん、静樹くん」
黒衣の男がふたりに話しかけた。
「あ、あんたは!」
「長束誠一郎!」
「久しぶりだね。以前会ったときは君たちはまだ100番台(ハンドレッツ)だったかな」
【冥界解体(アンノウンブレイカー)】長束誠一郎。組織幹部の一桁番号(ファーストナンバー)を棄てた裏切者。今はヤハウェの三天使のひとり。
彼が組織を棄てた理由はわからない彼らにはその必要もない。ひとつだけわかっているのは長束誠一郎を片付ければ幹部になれるということだ。
「君たちは会わないうちに碌でもない役割ばかりしてきたようだね。君たちの目付きは邪悪そのものだよ」
「黙れ、あんたに邪悪と言われたくない」
「生まれついてのファーストナンバーはお気楽でしょうね」
前神と静樹は言葉を遮るように長束に飛びかかった。
294七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/09(水) 00:27:52 0
>287
七重の問いかけに応じ、青年は、自分が異能者であることを告白した
それを聞いて、まあそんなもんだろうと、七重は涼しい顔で聞き流す
続けて、青年はトウジと名乗った。時を統べると書くらしい
いやに壮大な名前だが、統時君本人は極普通の青年のようである

「俺は、リョウジ。凌ぎを司る、と書く」

そう応える七重の語気は、少しばかり力みを帯びる
凌の字の表すところは、激しい力を身に宿し、
苦境を耐え忍んで乗り越えるということ
その意を司るとする「凌司」の名は、七重自身、いたく気に入っていたのだ
自己紹介もそこそこに、統時青年への疑念も薄れてきたところで、七重が口を開く

「お前、あのメールを信じてるか?
 信じて、人を殺すか? 殺したか?」

血液によって錆びたナイフのような、おぞましくも鋭い口調であった
七重は携帯電話を取り出して開き、お前にも届いたのだろうという顔で、
異能者同士の戦いを促すあのメールを、統時に見せ付ける
再び異能者と立ち会う際、会話の糸口か何かになるだろうと考え、
削除せずに保存しておいたのであった
同じメールが二度送信されてくるという不気味な現象が、図らずも幸いした

「俺は先日、襲ってきた奴を返り討ちにした
 そいつの生死の確認はしなかったが、下手をすれば・・・」

下手をすればどうなのか。その先は、軽々しく口にすべきことではない
語尾は曖昧な、暗澹としたものとなる
七重には、彼の大男の肉の温もりが、諸手に蘇ってくるような気がした

七重は殺人者である
事の顛末はともかくとして、高校生の時分、七重は殺人を経験した
その際、他人の命を奪うという行為がどれほど甘美なものか、凌司少年は知った
無論、先に立ったのは、恐怖とか混乱とか絶望とか、そういったネガティヴな感覚であったが、
その一方で、一種異様な万能感が身体の底から沸き上がり、いわゆる躁状態に陥っていた
法律や倫理とかを越えた、ヒトとしての禁忌。同族殺し
それを侵した己を苛みながらも、心のどこかで、
七重は、いつかまた人を殺せることを望むようになった

それでは、彼の大男を死の淵に追いやった際、
七重はいかなる感動を覚えたのか。そればかりは、七重も口を割らぬだろう
295七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/09(水) 00:30:29 0
天に広がる朱色は、そろそろと薄まる
遥か西の空には、安らかな漆黒が降りている
夕闇の中、家路を急ぐ人々の姿にも、言うに言われぬ風情があった

しっとりと歩く七重の目には、淡い暗がりに佇む、国崎の薬局の軒が映った
ところが不思議なことに、その薬局の付近だけは、周囲よりも闇が濃いように見える
不吉な空気が充満している
ただならぬものを感じて、七重は足を速める

「すまん、俺は先に行く
 薬局はすぐ近くだから、後から来ても分かるはずだ」

そう言い放つと、七重は脇目も振らずに駆け出す
統時のことも心配だが、それ以上に、国崎の安否が気にかかった

息も切れぬ前に、薬局の前に辿り着く七重
辺りには、常人では気付かれぬ程の薄さではあるが、血の匂いが漂っている
一体、何があったのか

「国崎!!」

薬局の扉を開けて、七重は叫ぶ
その額にはじわりと汗が浮かび、背筋には悪寒がしがみ付いていた
一歩下がり、統時の姿を確認するが、
辺りはとうに薄暗くなっており、はたして見えるかどうか

【薬局に到着。統時との距離が離れる】
296塚原ひかる若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/04/09(水) 00:45:09 O
>>293
誠一郎が指を鳴らすと能力が解除され空間が消えた。
前神たちは一瞬宙に浮かんだ。「串刺しの刑及び石中拘束100年の刑」
人生最後の言葉を前神は目の前に鉄筋が迫まるのを見ながらに聞いた。静樹は即死を免れたがそれは不幸だった。コンクリートに自分の肉体が埋まっていくさまが最後の光景になったのだから…
誠一郎はふたりの死を確認するまでもなくひかるとこよみの待つリムジンに乗り込んだ。
「“アブラハム”との接触。これも計画通り」
「はい…」
「だが、技まで教える必要もなかった」
「申し訳ありません…」
「咎めているわけではないよ、告げるのは君の能力。告知天使たる君の役割」
誠一郎はすでに眠りについてるこよみの頭をなでながら運転手に問いかけた。
「ダレット、“アブラハム”の現在の状況は?」
「意識を失ってましたのでギーメルがアパートまで搬送中。なお明日の昼前には意識を取り戻す模様」
誠一郎はうなずくと視線を変えネオン街の灯を一瞥した。



塚原若宮:ホテルへと帰還
桐北:アパートに寝かされる【ポケットの中に30万入った封筒(ひかるからの報酬)】
297戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/04/09(水) 01:52:26 0
(◆qpiHJ5b.32さんが来ないので先進みます)


耳元に届く波の音。頬を覆う冷たい感触。
戦場ヶ原は気がつくと、埋立地からほど近い浜辺に打ち上げられていた。
「ッげほッ!!」
しこたま飲んだ海水を吐き出す。・・・あれからどれだけの時間が過ぎたのか?なぜ自分は助かったのか?
その問いには、隣に座り煙草を吹かす優男が答えた。
「よぉ旦那。生きてたのかい。」
黒いスーツをルーズに着こなした戦場ヶ原の旧友、猿飛栄吉だった。
「・・・貴様が・・・、俺を助けやがったのか・・・」
「いやー、ドザエモンは海水汚染に繋がるとおもってさぁ。」
酷いことをへらへらという男だ。しかし戦場ヶ原には、それが彼なりの照れ隠しであるということが分かっていた。
周囲を見回して、戦場ヶ原が問いかけた。
「おい・・・女はどうした。」
「女ァ?」
戦場ヶ原の口から予想外の言葉が出て、猿は声を裏返した。
「カタナ持った女だよ・・・。細身で髪が長くて・・・デタラメに強ェ女だ。」
「さぁね。俺はあんたしか見つけなかったけど。だいいちそんないい女見つけたら旦那なんかほっといてそっちを助けるっつーの」
「フ・・・・だろうな。」
苦笑いしながら戦場ヶ原は自身に刻まれた深い深い傷跡に目を落とした。

・・・強く、そして美しい敵だった。

初めて出会い、そして殺し合いをした相手に対し、戦場ヶ原の中になにか得体のしれない感情がうごめいていた。
そんな彼の様子を見て、猿がからかう表情になる。
「なんだァ旦那?もしかして恋ってやつかい?そのトシで。」
「・・・てめぇ。埋めるぞ。」
本気で殺す眼をする戦場ヶ原。この男に冗談は通じない。その様子にさすがに身の危険を感じた猿は、慌てて話題の転換に入る。
「じょーーだんだって旦那。それより機関の情報、知りたくね?」
「もったいぶるんじゃねぇ。早く教えやがれ。」

「はいはい、どうやらすでに、2人の幹部が動きだしてることがわかったよ。
一人は最強のおいぼれ、【黒猫協会(スプーキープロトコル)】北村幽玄。
そしてもう一人は、超大物のバケモノさ・・・・、亜空の支配者こと【冥界解体(アンノウンブレイカー)】長束誠一郎」
「・・・俺も現役時代に名前だけは聞いたことがあるな。だがどっちも見たことは・・・ねぇ。」
「ま、さすがの俺様もその姿を見るには至ってないけどさ。・・・でもどうやら、今回のバトルロイヤルは今までと違う『作為』を感じてならないんだけど。」
「・・・作為?」
「それを明かすのが俺様の仕事ってね!んじゃまた、続報に期待!!」

猿は軽くそう言い残すと、また景色に溶け込むようにして消えた。
「猿・・・死ぬんじゃねぇぞ。」

戦場ヶ原は虚空に話しかけると、そのまま水平線に目をやった。
遠くで人々の騒ぐ声がする。
・・・さすがに埋立地破壊はやりすぎたか。
東京ドーム1個ぶんもの敷地が一夜で粉々の岩礁に姿を変えたのだ。今頃ニュースやテレビが大騒ぎしていることだろう。
その元凶たる男は、素知らぬ顔で浜辺に寝転がり、戦闘のダメージを静かに癒し始めていた。

【戦場ヶ原:浜辺で睡眠→プレイヤーキャラが猿飛栄吉に移行します。】
【猿飛栄吉:危険を覚悟で組織の深くに潜入する。】
298国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/11(金) 01:40:58 0
俺はゴミ袋(黒)に胃の中の物をあらから出し終えて、
畳の上で左腕を額に乗せ倒れこんでいた。
気持ち悪いのである。
いっそ、二日酔いが可愛らしく感じるほどに気持ち悪い。
この状態が二日も続けば何かもう精神的にダメになりそうなくらい気持ち悪い。
おまけに、回復しきっていない右手と両足から伝わってくる、
他人の身体の様な感覚が、気持ち悪さを増長している。

と、自分の体調の言い訳に用意した酒瓶の中身が揺れた。
それと同時に、店先の方から誰かが駆けて来る音が聞こえてくる。
(ぬおおお……!?)
足音と些細な振動が頭に響いてガンガンと痛む。
見えないが、自分の顔は血の気が引いて蒼白になっている事だろう。
何も無い筈の胃から何か出そうな気持ち悪さだ。
近づいてくるにつれ、大きくなる足音。

俺が寝転んだまま首だけ動かし、振動の主の方を向くと
同時に入ってきたのは――――

>「国崎!!」
七重だった。七重は酷く焦った様子で俺の名前を叫んだ。
そして、その叫び声がトドメとなった。
「……よう、七重か。 へっ……悪いな、どうもお前の飯作れそうにねえ……」
死人のような表情で、弱弱しい声で呟いた後、右を向き。
「……もう、げんかい……気持ちわ……うぷっ」
そのまま胃の奥から競りあがってきたモノを吐き出した。
赤黒い血色をしたそれを見ながら俺は、

(あー、そういや内臓にも大分貰ってたんだよな……
 言い訳、急性アルコール中毒で通じるか……?)

やや安らかな表情になりながらボーっと思考を巡らせた。
299名無しになりきれ:2008/04/11(金) 21:35:37 O
あげ
300池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/12(土) 01:12:04 0
救急箱の中から使いかけの傷薬を手に取り、中の薬を患部に塗っていく。
それを繰り返すこと十数分、今度は包帯を手に取り、
不慣れな手つきで体中に白い布をくるくると巻きつけてゆく。
巻きが緩いと治りが遅くなるような気がするので、強く、慎重に……。

戦闘の後、俺はすぐに自宅へ戻り、こうして傷の手当に励んでいた。
こんなことになるなら、もう少し包帯の使い方を学んでおくんだったと
軽く後悔しながら。

「……こんなものか」

独り呟くと、体に力を入れて角度を変えなから何度か体を動かす。

気のせいか緩く巻きつけられた部分もあるような気がするが、所詮素人。
細かいところを気にしていたらキリがない。これでいいだろう。

そう自分を納得させながら、フローリングに転がっている
手当て前に脱いだシャツに目をやる。

「この間買ったばかりだったんだが……あれはゴミ箱行きだな」

所々引き裂け、生地が血の色に染まっていたら、もう使えないだろう。

俺は手を伸ばしてシャツを掴むと、立ち上がってゴミ箱の前まで歩いていき、
掴んだ手を離す。
シャツはティッシュや紙くずの上に覆いかぶさるようにして落ちていく。
それを見届けた俺は、自分のベッドに寝転がった。
目だけを動かして壁時計に目をやる。いつの間にかいい時間になっていた。

「明日で二日目か……」

呟きながら、俺は頭の中で明日の予定を立てていた。

明日も情報収集の日になるだろうな。
『組織』について知っている者を探して情報を得る……
そうだ『国崎シロウ』……あの男は何かを知っていそうな口振りだった。
……死んではいないはずだから、まだ話は聞けるはず。
そうだな……明日、もう一度あの店に行ってみるとしよう。

明日の予定を決めたところで、俺は深い眠りに落ちていった。
301桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/13(日) 02:59:41 O
またあの夢だ
たくさんの扉のみがある空間
最下層に潜むアイツ…
あの時と違ったのは自分の意識がはっきりしてたのと会話ができた事だ
「お前…、『ヤハウェ』って名前なんだな」
「……ッ…」
「今、喋ったのか?」
「…"…〜」
「まぁいいか、おいよく聞いとけ
自分絶対あんたを許さないからな、何で自分に力を与えたのか知らないけど…
この力を利用して、あんたを… 殺してやる」
「…ハ、……ダ」
「? 何言ってん…」





「「「フミャー!」」」
「ギャー!!!」
本日の目覚ましは猫パンチの雨霰、最悪の部類の目覚めだ…
…猫パンチ?
「ここはっ!? 朝、昼、夕も…、って事は自分の家?」
辺りを見回すと確かに見慣れた自身のボロいアパートだ
窓を見ると空に太陽が登り始めてきている つまり夜中ずっと寝てたのか…

二日目、か
あのメールからもうそんなにたつのか
改めて自分の置かれてる崖っぷちの状況を実感する
もし… もし間に合わなかったら、力が『暴発』する…?
『暴発』するとどうなるか全く想像できない
いや…想像出来ないからこそ恐ろしいと言うべきか

現状を整理しよう
加賀美を倒した時のあの不思議な感覚が親父を倒したときにも感じられた…
多分本体にダメージがなかったがやつの力に打ち勝ったからカウントされたんだろう

ーー…父さん
数時間前の光景がフラッシュバックで蘇る
自分に言い訳をするつもりなど無い
あるのはただ一つの事実
桐北修貴が桐北直哉を殺した ただこれだけである

「…馬鹿野郎、あの時に覚悟しただろ!
全部…、 全部受け入れるって…!」
自然に滲み出た涙を荒く拭い筋肉痛を覚える体を無理矢理立ち上がらせた

するとズボンの右ポケットの違和感を感じた
まさぐってみると何も書かれていないごく一般的な封筒が入ってあった
多少の厚みを覚える見覚えのない封筒、少なからずの不安はあるがとりあえず中を見てみる

「ぬわぁぁんだっってえぇぇぇーーー!!!」
恐る恐る取り出した中身は現金、しかも万札30枚
常に生活費ギリギリで今ではすっかり奥様スキルMAXの修貴には正に夢のような大金だった
「えと、つまり… やっぱり…
あそこからここに運ばれたし…? 誰かが自分にくれて… あれ、あれ…?」
夢過ぎて少し修貴の頭が正常に働くのに10分はかかった
302桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/13(日) 03:07:18 O
>>301
10分後、机の前に陣取り今日の行動を考える
机には現在の状況がかかれているメモ、現金30万、そして封筒にあった(現金に目が行き発見したのは先程)トルマリンの三つ
3匹の飼い猫が「どうしたの、コイツ?」って目をしてるが気にしてる暇はない

今の自分に必要なもの…
情報と特訓の二つだ
とにかく時間がない… 行動は早い方がいい
と、言ったものの今自分が実感した二つには問題がある
『特訓』はもちろんながら能力の特訓である
人目に付くような場所ではできない
一瞬ふとあの廃工場が頭をよぎったが昨日そこで痛い目にあったので候補から全力で削除した
そこで近所の山にある廃校を思い出した
あそこならもう人はいないし、結構広いから少し暴れても問題はない

第一の問題は解決した、次は『情報』
要は能力者の戦いについて知ってる知人がいない
博物館の二人(結局名前教えてくれなかったな…)は当然いないし行く当ての見当もつかない
戦場ヶ原 天も同意である

悩んでも答えは出ない
仕方ない、まずは特訓だ そう開き直り出掛ける準備を始めたとき… ちゃっかり充電スタンドに置かれてる携帯が鳴りだした
内容は他愛のないダイレクトメール
だがこれによりある事を思い出した修貴は急いでネットに繋ぎニュースを確認する

「国崎薬局店…」
あの公園で確認したニュース
異能者同士の戦いが始まった日に謎の男達の補導
偶然にしては出来すぎている
普通の薬局店に銃を持ったのが何人も来てそれをただの店主がひっ捕らえるなんて有り得ない
考えられるのは能力者の国崎さんが能力者か組織のヤツらに襲われた
そしてそれをたった一人で撃退した

つまりこの人はかなりの実力者ってことだ
ならある程度の情報を握っていてもおかしくない…
「……いきなり襲われるかも知れないし、
付け焼き刃かも知れないけど先に特訓するか…」

今日の予定
特訓、成果があり次第国崎薬局店へ
能内予定にしっかり叩き込み準備を取りかかった



「うし! じゃいってきま…」
「「「ウニャーー!!!」」」
「ギャー! 悪かった! 飯あげるからー!」

準備を整え玄関に立つ修貴を猫達は得意の猫パンチ16連コンボで送り出した





桐北修貴
力:4/6
行動:自宅→廃校へ
303若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/04/13(日) 12:18:48 O
「つか若宮の分はまだしも小町や那須野の分は約束した覚えねえぞ」
四人分の荷物を担いだ少年はこよみたちにやっと追い付いた。
「あんたが言い出したんでしょ。それくらい当然じゃない」
「なぎちゃん、わたしの分はいいから…」
「かえで、もともとはあんたがトロいってからかわれたのが原因じゃない」
「わぁったよ。女子はトロくねぇって認めりゃいいんだろ!」
「反省が足りない!」
「なぎっちとしょーたは仲良しなのです」
「違う!」
なぎさと翔太の声が揃った。

昨日の事件から一夜明けこよみが登校し教室の扉をあけると目の前にはクラス委員の那須野かえでが床に座りこんで泣いていた。
「翔太、かえでに謝りなさいよ」
「なんだよ、小町。トロいのをトロいって言って何が悪いんだよ」
その言葉を聞きかえではさらに泣きだした。
「ほぇ?」
状況から察するに毎度のごとく女子の中心人物の小町なぎさと男子の中心人物の児玉翔太のトラブルのようだった。そして今回もおっとり型の那須野かえでが原因らしい。
本来、那須野かえではクラス委員というタイプではない。おとなしく真面目であるのは確かだがワンテンポずれている。
実際HRの投票でも小町なぎさと児玉翔太が同数でトップだったが最終的な結論が男子と女子の言い合いで収拾がつかなくなり責任感を持たせたら少しは性格変わるだろうという担任の一言でかえでに役割が与えられた。
304若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/04/13(日) 14:35:29 O
>>303
「女子がトロいって言って何が悪いんだよ」
「男子と違うんだから仕方ないでしょ」
こよみは「ごめんなさい」を言い続けるかえでをなだめると自分の机にあるきだした。
「ちみっこはどう思うんだよ」
「ちみっこ?」
「チビのこよみだからちみっこだよ。バーカ」
こよみは気分を害したが先になぎさが言い返したため機会を失った。
「悔しかったら女子がトロくないこと証明してみろよ」
「いいのですよ」
「こよみ、何言い出すのよ」
クラス全員が沈黙した。こよみはどちらかといえばかえでと同じタイプに見られていたからである。
「言ったなちみっこ。今日の運動能力テストの合計点で勝負だかんな」
「いいのですよ」
こよみは笑顔で同じ言葉を言った。
「よし、負けたほうは勝ったほうの言うこと何でも聞くんだからな」
「いいのですよ」
三回目のこよみの言葉に小町なぎさは不安を覚えたがそれは30後には消えた。
結論から言えばこよみの大勝であった。翔太はすべて平均より高い運動能力をしめしたがこよみは50mで6秒台の記録を出すなど瞬発力の凄さを見せつけた。
305廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/13(日) 14:48:20 0
俺の名乗りに返事をするように、男は名前を言った。
男の名前は凌司と言うらしい。
名前の意味はよく分からないが、結構似合っているかもしれない。そう思った。
まぁ、少なくとも名前負けはしてないと思うんだけど…
俺は名前についていろいろ考えていたが、凌司の一言によって思考は中断された。

>「お前、あのメールを信じてるか?
 信じて、人を殺すか? 殺したか?」

まるで研ぎたての刃物のように鋭い口調だ。
その言葉に併せるかのように携帯を取り出しあのメールを俺に見せた。
俺はあのメールを信じている。
何故なら、過去に師匠から「どのような形であれ、異能者たちとは戦う事になる」と言われているからだ。
その戦いが、バトルロイヤルとなって現れただけ…ただ、それだけ。俺はそう思っている。
そして、人を殺したかという問い…間接的になら、殺したのかもしれない。
家で寝ているときに襲ってきたあの仮面の男…あの男の頭部が爆発したのは恐らく証拠を残さないため。
頭部は証拠の山…網膜、歯型、声紋…他にも色々あるだろう。
それを纏めて吹き飛ばす…チッ、合理的だが許されることじゃねぇ…
…もう、この事を考えるのは止めよう。
思考に…間接的にとは言え、人を殺したという思念に呑み込まれそうだ…
306廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/13(日) 14:50:24 0
「…俺は…」

俺が、「間接的に人を殺した」と言おうとした瞬間、凌司が走り出した。
何かを見つけ、それに向かって急いでいるという感じだ。

>「すまん、俺は先に行く
 薬局はすぐ近くだから、後から来ても分かるはずだ」

「あっ!?ちょっと待てよ…」

制止も聞かず、凌司は駆ける。
俺は怪我人だ、走って追いつくのは辛い。
なので、俺は凌司の姿をしっかりと捉えどこに行ったのかを把握する事にした。
行った方向はわかる…音からして、曲がってもいないみたいだ。
という事は、このまままっすぐ行けばたどり着けるという事だ。
道に迷う心配がなくなったことで安堵した俺は、自分なりのペースで薬局を目指した。

「ここが薬局みたいだな…」

俺は店の入り口を開け、中に入った。
店の中には、誰もいない…しかし、気配はある。つまり、奥の居住スペースにいるという事。
何のためらいもなく、店の奥へ向かう。
そしてそこにいたのは、盛大に吐き出す男と、その男を心配している凌司だった。

【廻間 統時:薬局に到着。七重と国崎と合流】
307若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/04/13(日) 18:15:16 O
>>304
翔太は負けた悔しさより憧憬の感情が強く出ていた。こよみの走法は素人そのものであったが躍動感にあふれ負けても爽快感すら感じるほどだった。放課後噂を聞きつけた陸上部の体育教師が熱心に勧誘に来ていたからやはりすごいのだろう。
「若宮、陸上部には本当に入らないのか?」
なぎさともかえでとも別れふたりきりになったことで翔太は自然に切りだした。
「誠一郎さんに部活は許してくれないと思うです」
「もったいねぇな」
翔太は心のそこからもう一度こよみの走る姿をみたいと思っていた。
「若宮、中学からエレミアなのか?」
「しょーたはさっきから質問ばかりです」
翔太は自分の感情に戸惑いを見せたいままでゲームやマンガには興味はあったが女の子については興味はなかった。ただうるさいだけの存在で深く知りたくもなかった。こよみの走りをみるまでは。
「そんなことどうでもいいだろ。やっぱり公立はいかないのか?」
「たぶん、そうだと思うです」
翔太はこよみも悲しげな表情するのだと知った。当たり前の話だ、悲しみを感じない人間はいない。誰も親しい人間と別れるのはつらい。
「けど若宮の頭でエレミア入れるのか?」
「何でそういうこというのです」
翔太は思いと反対の言葉を口にしたことを後悔していた。
「若宮、ごめ…」
「はぅ!大変なのです!」
翔太が謝るよりも早くこよみが異常を発見した。突き飛ばした拍子に翔太は草むらのガラスで掌を切っていた。
「しょーたごめんなさいなのです。びょーいんいかないといけないのです」
「いいよ、こんなのつばつけときゃなおるよ」
謝るつもりが謝られてしまい翔太は苦笑したがこよみは本気で右手の傷を心配していた。
「わかったよ、じゃああそこの薬屋でなんとかしてもらおうぜ」
ふたりの視線の先には国崎薬局という看板が見えていた






こよみ【国崎薬局に血止めを頼みにいく】
ひかる【学校で授業中(しばらく登場せず)】
308七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/13(日) 22:19:46 0
統時青年の姿は、闇に紛れて判然としない
しかし、迷う様子も無く、
此方に向かい真直ぐに歩いているらしいところを見ると、
薬局の位置は、大体に把握しているようだ
ならば放って置いても大丈夫だろうと見切りをつけ、七重は薬局に飛び込む

七重の足は、人の気配のする居間へ向かう
大当たりであった
居間に張られた畳の上に、国崎シロウが力なく横たわっている
その傍らで、何本かの酒瓶が、冷酷な光を放って佇む
国崎氏は、七重が来るのを予感していたようで、
首を居間の敷居の方へ向けていた
しかし、その様相の無残なことといったら、酷いものである
顔面は蒼白にして、体中の筋肉は成す術なく弛緩しているようであった

国崎は、寝転がった姿勢のまま何やら呟いたようだが、
その声は余りにか細く、七重の脳に認識される前に、
彼の心臓の鼓動にかき消された
立ち尽くす七重を前にして、国崎は、訴うるような表情を残して吐瀉した
ゆっくりと、畳を赤黒く侵食し始めるそれは、
刺激的な特異臭を放ち、七重の鼻腔を刺激する
国崎の口は、それぎり、呼吸を繰り返すのみとなった

七重は、全身から血の気が引いていくのを感じた
どうすれば良いのか分からない
国崎を助けるにしても、彼の身体に無茶な力を加えれば、
一体どうにかなってしまうかもしれない
下手なことはできない。かといって、何もしないままであれば、
国崎の容態は悪化するばかりであろう
自分を助けてくれた人間の危機に、どうすることもできない
人を傷つけることは出来ても、人を救うことはできない
何たることだ
309七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/13(日) 22:22:27 0
いや、まずはともかく行動するべきだ
思い立った七重は、国崎の傍に駆け寄って屈み込む
医術のことはさっぱり分からないが、
吐くものは全て吐いてしまった方が良い筈だ
七重はそう考えて、できるだけやんわりとした所作で、
国崎の右半身を下にさせ、その背をさする
姿勢の良し悪しの判断はできないが、
心臓のある左半身を下にするよりはマシな筈である

七重が、自分なりの懸命な処置を施しているところに、
居間の入り口近くで、辺りの暗黒を払って立つ影が一つ
統時君であった
心無き置いてけぼりにもめげず、無事に薬局へ辿り着いたようだ

その気配に気付き振り向いた七重と、統時の目が合う

「悪い。お前の他にも、何とかしなくてはならない奴ができた」

バツが悪そうにボソボソと呟く

「できるなら、病院か何かに連絡を入れてくれ」

続けてそう言うと、七重は再び、
国崎の背をさすることに集中した

ほったらかされた酒瓶たちは、
居間の窓から差し込む仄かな光を受けて、
ただ、己の内部の液体を冷たく煌かせていた
そのさりげない美しさといったら、
夜空に瞬く星々が宿ったかのようである
彼の三人が遭遇した、この悲況において、
それら瓶の中の輝きだけは、別の世界を映しているようであった

【国崎・廻間と再会】
310池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/14(月) 02:57:21 0
──俺は窓から差し込む光で目が覚めた。
目が開くと同時に壁時計に目を向ける。
壁時計の時間は……午前七時。どうやら朝が訪れたようだ。

ベッドからむくりと起き上がると、まず包帯を取って傷の確認をする。

思ったとおり、浅手の部分は既に塞がっている。
が、深手の部分はまだ完全に傷が塞がっていないようだ。
左手や肋骨の部分も傷みはないが、
しばらくこの部分へダメージを負うのは、避けた方がいいだろう。

確認を終えるとタンスから出した新しい服を着て、朝食の仕度に取り掛かった。
とはいっても、メニューは昨日の朝と同じ。
茶碗に白い飯を盛り、昨日と同じくふりかけをかけるだけのものだ。

無言で橋を動かし、ただひたすら茶碗の中の飯を減らすだけの食事が始まる。
そしてそれは数分で終わりを告げた。
食器を台所で洗い終えると、俺は玄関で靴を履き、
東に傾いた方向から日光が照らしている世界へと跳びだした。
向かうは、あの薬局。

昨日は聞きそびれたが、今日こそは『組織』について話してもらう。
俺は傷のことがあるから極力戦闘は避けておきたい気持ちがある。
『再生能力』を有す奴とて、恐らく同じ気持ちでいるだろう。
こちらが殺意を見せなければ、戦闘にならずに情報を得られる可能性はある。

「ま……闘う羽目になったら、その時はその時だ」

塞がっていない傷にできるだけ負担をかけないかのように、
俺は特に急ぎもせず、ゆっくりとした歩調で歩き続けるのだった。

【池上 燐介:再び国崎シロウの薬局へ向かう】
311戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/04/14(月) 20:50:09 O
浜に波が打ち寄せる静かな音が男の目を覚まさせた。
戦場ヶ原はゆっくりと身体を起こし、辺りを見回す。
日は既に上り、寝覚めの男の目にまばゆい光を差し込ませた。
3時間ほどたったのだろうか。街には朝の喧騒が漂っているのがわかる。
午前七時。遠くのビルのプラズマビジョンがそう告げている。
「よし…行くか。」
呟いた男の目は再び、かつての獲物を探す獣のごとくギラついた光を放っていた。
彼が求めるのは常に強者との闘争。『機関』について猿に探らせているのも、桐北少年を助けたのも、すべては自分がより強いものと戦わせるためだ。
昨晩、謎の女との死闘を繰り広げたばかりだというのに、彼は早くも新たなる血のたぎりを求めて行動を開始した。
貪欲なまでに己の本能のままに生きる。それが彼のポリシーであり、存在意義だったのだ。
「……長束誠一郎だろうが幹部クラスだろうが関係ねぇ。より強ェ奴と闘えればそれでいい。」
男は再び、自分に言い聞かせるように一人ごちた。

感覚を研ぎ澄まし、異能者の気配を探る。
ふと、彼はひとつの場所に多くの『力』が集うのを感じ取った。
場所はそう遠くはない。
かなりの力を持つ者たちが一点に集結しつつある。
これはなんだ……?

異能者達が互いに協力しようとしているのか…?はたまた殺し合いでも始めるつもりか。
しかし、そんなことさえ戦場ヶ原には瑣末な問題に過ぎなかったようだ。

「…強ければなんだっていい。みんな潰す!最強はこの……俺だ!」

その姿は狂った悪鬼修羅のようでもありながら、同時に甘い自分を押さえ付けるための口実のようにも見えた。

【戦場ヶ原:国崎薬局に向けて移動を開始】
312国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/15(火) 22:38:36 0
「……悪いな、もう大丈夫だ。多分」
七重が薬局に戻ってから何時間経っただろうか、俺はそう言って
背中を擦る七重を制し、座りなおした。
まだ多少揺れたりするが、それでも意識は大分はっきりとし、
全身を巡る嫌悪感も耐えられるレベルにまで落ちている。
自分の血液が巡ったお陰か、内臓のダメージも十分回復した様だ。
腕と足も、激しい戦闘でもしない限り大丈夫だろう。

とりあえず、正確な時間を確認する為に外を見ると、
東の空はほんのりと白い光が刺し始めている。
(七重が帰ってきてから割と経ってるな……)
そう思い、先程までずっと処置をしてくれていた七重の方を向く。そして
「本当に迷惑かけた。そんでもって、ありがとな」
意識が朦朧とした中だったのでよく解らないが、
それでも心配させてしまった事は理解出来る。謝罪と礼を伝える為、
俺は、座ったまま七重に対し頭を下げた。

「いやな、実は気付けにキツイ酒を飲んでたら持病の潰瘍が……」
そうして、とりあえず倒れていた理由をこじつける嘘を付こうとしたのだが、
言いかけて、何となく口を噤んだ。
これ以上、嘘を突き通していいものだろうか。
自分を心配し、手当てをしてくれた人に嘘を付くのは気が引ける。
そもそも、その嘘自体通る可能性など薄氷の上を無事通過する位に低いのだ。
だったら正直に話した方がいいのだが……
しかし、これほど心配をしてくれる人間だからこそ、やはり異能者としては接したくない。

「……ところで、お前さんは誰だ? コイツの友達か何かか?」
様々な考えで葛藤する中、俺は答えを保留する為に、ごまかすために、
先程から気配を感じていた人物に声をかけた。
この位置からだと見えないが、そこらに店頭に置いてあった薬……凍傷の塗り薬や包帯が
あることから、何らかの怪我をしているのだと推測できる。
【国崎:体調それなりに回復。無理にごまかしつつ廻間に声をかける】
313桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/15(火) 23:48:06 O
「ゼェ… ハァ… …ッ」

所々焼き焦げた校庭の真ん中で修貴は汗だくに倒れていた

彼がここについたのは今朝のこと
それから昼食以外の休憩をいれず全て能力『轟雷工作室』の力を引き出すために用いていたのだ

結果はなかなかに上々であった
まず、この力は自分が運動 または摩擦などで電力が溜まり強力になっていくこと
これはもしこれから能力者と戦うようなことになったら
体を常に動かして時間を稼ぎ長期戦に持ち込む程有利ということだ
勿論この結論にはスタミナ面での問題が残っているがひとまず特性を見つけたので良しとしよう
次にあの時の少女が渡した石
これは身に着けてるだけでも能力が底上げされること
偶々石を持ちながら雷を放ったところ、隅に生えていた大樹を一瞬で消し炭にしたのは修貴自身ビビった
最後に雷で具現化した槌は強力な威力のかわりにとても体力を奪う『最後の切り札』であること
流石北欧神話最強の戦神の武器をモチーフにイメージしただけはある、と言ったところか

「こ、これだけやれば… 充分、かな」

太陽は西に傾き空を暁に染め上げ
小学生程度ならもう帰宅時間を過ぎている時間であった
服についた砂と煤を払いながら立ち上がる

さぁ特訓の次は情報だ
行くか、国崎薬局店
薬などは近くの大手チェーン店で買っているため馴染みは全くないが位置なら既に確認してある

改めて緊張する
能力者とは巻き込まれることが多かったが今回は自ら前に進まなくてはならない
鞄の奥底から大事に取り出した30万入り封筒をじっと見る

相手がもし何か知っていたら…
この金を…、相手に渡す…
情報料提供による平和的解決ができない場合は迷わず逃げる、向こうは場慣れしていて自分では勝てる可能性は少ない…

頭でシミュレーションを完了し、廃校を後にし、薬局店へ向かう

この大金を他人に渡す
この上ない葛藤による自分の欲望との壮絶な戦いがあった後に…




桐北修貴:国崎薬局店へ やや疲労
(時系列的には若宮こよみ到着後あたりに着くつもりです)
314廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/15(火) 23:55:01 0
>>309
俺が店の奥に入った際に見たものは、盛大に吐く男とそれを看病する凌司の姿。
どう声をかけたもんかと考えていると、先に凌司から発言してきた。

>「できるなら、病院か何かに連絡を入れてくれ」

さて…困った事になったな。俺は出来れば病院は避けたいからな。
理由は前にも言ったが、病院は時間がかかるのだ。
今の俺には時間はない。自分の体をどう治療すればいいかは、なんとなくわかる。
凍傷は氷を砕いて熱し、なんとかした…と思いたい。
あとは、地面を転げた際についた切り傷や擦り傷を消毒し、包帯やガーゼなどで塞げればそれでいい。

「いや…俺は包帯かガーゼさえあればそれでいいんだけど…」

そういって、俺は販売スペースに戻り売り物が置いてある棚を見渡す。
風邪薬…これは違う。酔い止め…俺は乗り物酔いはしない。
二日酔いの薬…俺は未成年だ。花粉症の薬…俺は花粉症じゃない。
いろいろと俺には必要のない薬が見つかる…目当ての物は無い。
この店には無いのか、それとも単に売り切れなのか?
そう思って振り返ったら、そこに少量の包帯とガーゼ、消毒薬が置いてあった。

(お…あったあった)

金の心配はないが、念のために財布の中を見てみた。
財布の中には、約一ヶ月前にバイトで稼いだ一万円札が数枚入っている。
これなら大丈夫そうだ。

「わり、勝手に使わせてもらうぜ」

俺はレジに金を置き、薬を取って応急処置を開始した。
315廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/15(火) 23:57:02 0
>>312
素人で不器用ながらも、応急処置は終わった。
身辺には、治療に使った薬品類の余りが転がっている。
医者から見れば適当極まりないものだが、贅沢は言えない。
今の俺にはこれが精一杯なのだから。

「ふーっ」

今まで歩き続け疲れがたまっていた俺は
応急処置が終わった事による安堵感のせいか、ため息をつきその場にへたり込んだ。
そうでなくても、あの氷使いとの戦いもある。疲れが溜まらないほうがおかしいってもんだ。
そして再びため息をつきながらボケーっとしていると、先ほど吐いていた男…この場合、店主だろうか。
「国崎薬局」と言う名前の店主ならば、国崎という名前なのだろう。
…きっとそうだ。俺が今そう決めた、違ってても気にしない。
ともかく、国崎が俺に声をかけてきた。

>「……ところで、お前さんは誰だ? コイツの友達か何かか?」

「あー、いや。薬局屋を探しててこの人に聞いたんだけど、ここが一番近いって言うからここに来ただけだ」

俺は必要以上のことは言わなかった。
何故こんな怪我をしたのかなどは、恐らくこの人にとって不必要な情報だから。
それに、言ったからといって何かが変わるわけでもないだろう。
変わったとしても、なんだかややこしくなりそうだ。
だから俺は何故こんな怪我をしたのかは黙っていた。

「ああ、そうそう。この薬は買ったものだから。レジの上に置いてある量で足りるよな?」

俺には薬の値段など分からない。だけど、ここの薬には値札が貼ってあるから計算は出来る。
全部の値段、及び消費税を入れても足りるはずだ。
もし足りなかったら…どうしようもないが。

【廻間 統時:国崎薬局で販売していた薬品で応急処置を行う。国崎の問いに適当に答える】
316七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/18(金) 20:20:51 0
壁に掛けられた時計の針が、幾度も回旋した後、
国崎の容態はようやく回復したようで、もう大丈夫だ、と声を出した
七重はそれを受けて、壁際に後ずさり、どさりとあぐらを組む

国崎は、礼の台詞を口にして、頭を下げる
それに対して七重は、特にどうということもなく、
うーん、とか何とか唸って、後頭部を掻いた
とりあえず、七重としては好意的な返答のつもりである
続けて国崎は、酒を飲んだら潰瘍がどうかしたと言いかけたが、
途中で口の動きは曖昧なものとなり、最後まで言葉を紡ぐことはしなかった

「潰瘍持ちは酒を控えろ」

七重はそう言い放つと、ぷいと横を向き、
左手であごを支えて、その指で耳たぶをいじり始めた
何事かに安心した時、彼はいつも、この癖に耽るのである

他愛ないやり取りが済むと、
次に国崎は、自身の傷の処置を終えたらしい廻間に声をかける
自分をはさんで飛び交う言葉に、七重はしばらく耳を傾けていたが、
俺には関係の無い会話だなと判断して、再び耳たぶいじりに集中する

しばらくして、七重は不意と立ち上がると、

「外の空気を吸ってくる」

とだけ残して、二人に背を向けた

【移動:薬局前でぶらぶら】
317名無しになりきれ:2008/04/19(土) 00:55:53 O
乗り遅れた…
悔しいからアゲてやる
318名無しになりきれ:2008/04/19(土) 01:02:03 0
まだスレの半分にも到達してないんだから、今からでも問題無いよ
319戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/04/19(土) 08:44:01 O
戦場ヶ原は焦っていた。

ゆうべのカタナ女との闘いはドローと判定されたらしく、自身の能力に変化はない。
彼の能力値は加賀美との闘いで便乗して得た1/3だけだ。
明日の24時までにあと二人倒さなければ自分の能力は暴発する。
その光景は機関に所属していた頃にイヤというほど目の当たりにしているのだ。

だが、彼の焦りはまた別の所にあった。
女との闘いの中で自分の中に芽生えた『情』――――…
つねに闘いの中に身を置く彼には無縁かつ無用の代物である。しかし彼は現に先の闘いの中でその存在と対峙したのだ。
今、その感情への反発が、彼の足を急かしていた。

―――闘いへの本能だけが俺のすべて。『力』こそこの世のすべてだ。

盲目なまでの闘いへの執着と理性の否定とが、彼を闘いの餓獣へと変貌させ、五感神経を刃のように研ぎ澄まさせる。

―――そして彼は、1体の『獲物』を捕捉する。

前方を歩くガタイのいい男。
殺気こそ感じられないし、異能者の『力』も微々たるものしか感じないが、その後ろ姿からは静かなる闘争者のオーラが醸し出されていた。

「見つけたァ……!」

戦場ヶ原は静かに唸ると、その男の後を静かに追い始めた。
距離は一定に保ち、隙を見計らう。
その姿はさながら獲物を狙う肉食獣そのものだった――――。

【戦場ヶ原:散歩中の七重に背後から狙いを定める】
【闘いを渇望する今の戦場ヶ原は危険度大】
【現在位置:薬局周辺】
320塚原ひかる ◆P1wJYx92Ts :2008/04/19(土) 13:26:18 O
ヤハウェは組織の名…ヤハウェは計画の名…そしてヤハウェは在る者の名…

ナガツカインテリジェンス社長がヤハウェ総帥長束誠一郎の表の顔である。表向きは民間シンクタンクだが真の目的は突然変異に現れた異能者の捜索、監視、機関への取り込みである。いや、現在ではそうであったと言うべきだ。
機関の最高幹部が城栄金剛に変わり異能者を人工的に造り出す方向に方針が変更された。城栄金剛としては異能者の情報を長束家がコントロールできることに危機感があり影のNO.1とも言われる長束家を抑えこみ機関のみに忠誠心をもつ異能者が必要であると考えた。
元々城栄金剛は世襲幹部の五家に反感を持っており最高幹部になる前から対立の気配はあったが“炎魔”の復活を口にしたことでNO.3であった長束誠一郎は機関からの離脱宣言をよんだ。
ここまでは城栄金剛の計算通りであったが誤算だったのは機関内部の長束誠一郎の影響力だった。もしくは“亜空の支配者”の異名への畏怖であるかもしれない。世襲幹部の他の四家は静観を崩さず末端の異能者ほど長束誠一郎に消極的であるにしろ好意をもっていた。
しかし最大の誤算は誠一郎を離脱させた後に長束家を統率させた誠一郎以外の長束一族の無能さか
321塚原ひかる ◆P1wJYx92Ts :2008/04/19(土) 17:16:38 O
「で、今回の一件は叔父上の企図だったでよろしいのですね」
「私は機関幹部としての役割を果たしただけで…」
要を得ない発言にひかるは呆れていた。これでも彼は財界では優秀で通る人物であるはずなのだが誠一郎の前では見劣りする。
「叔父上にこれ以上申し上げても仕方ありません。私は直接コンタクトをとります」
「直接…」
「今回のメール騒動の張本人。誓約(プレッジ)の異能者【掟(トリプルバインド)】鬼頭燕雀のことですよ」
ひかるは誠一郎の叔父たちの顔が青ざめていくのを目にした。私は場合によっていくらでも強引な手段に出るそんな警告でもあるように聞こえる
「鬼頭は父の代から長束に仕えてくれてます。私も乱暴なことはしたくない」
「長束の主は私だ!」
「私は当主を降りた覚えありませんよ」
誠一郎の冷徹な声に体感温度が数度下がった。
「私の要望ば二つ、今後ひかる君には手を出さないこと。もうひとつは期限を三日間から一週間に延ばすこと」
10分後―
「どういたしますか?」
「飲むしかあるまい…」
鬼頭の問いに一気に歳をとったような男は答えた。

「誠一郎兄さん、お久しぶりです」
「淳くんか、大学卒業おめでとう」
「いやだなあ、もう二年前ですよ」
誠一郎は従兄弟の淳に笑顔で返した。
「それにしても誠一郎兄さんは馬鹿に対する態度が露骨ですよ」
「自分の親を馬鹿と言うかね」
「事実ですから」
歯に衣着せぬ従兄弟を誠一郎は好ましく思った。あの親からこういう子供が産まれるのかと。
「父もあれで必死なんですよ」
「官僚主義の思考しかできぬ者には諜報は扱えんよ」
「NO.1に踊らされるだけでなければいいんですがね」
「もう手遅れだよ」
一切の情を含まない会話は続いていた。


【期限が一週間に延長されます告知は18:00頃メールで】
322国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/20(日) 01:05:50 0
>>315--316
どうも七重の奴は、俺の苦しい言い訳的な嘘を信じてくれた様だ。
座りなおし、俺の健康を案じた注意をくれた。
俺はその事に安心したが反面、騙した事に対し自己に対する僅かな嫌悪感が残る。

>「ああ、そうそう。この薬は買ったものだから。レジの上に置いてある量で足りるよな?」

「ん? ああ、そんだけありゃあ多分十分だ。……つか、最近俺の店は妙な客が多いな。
 まさか、近所になんか妙な新興宗教団体でも住み着いたか?」

近くだから来たという少年が、手当てを終えて札を置いたのを確認してから、
俺は嫌な気分を振り切る様に頭を掻き、ややおどけた顔を作って返事をした。

……それにしても、改めて見てみるとこの少年の怪我は結構ひどい。
火傷……いや、凍傷か? ダメージの後が全身にある。

一般人がこんな怪我をして、しかも病院ではなく薬局に来る。
……まあ、普通にありえない。恐らく、この少年も異能者。
或いは、それに準ずる何かなのだろう。
氷使いの男の様に血の臭いを纏っていない事から、恐らく機関の人間では無いと思うが。
しかし、この平和ボケな国で、しかもこんなガキが巻き込まれるとは、
今回の出来事を仕組んだ奴は間違いなく、クソ野郎だ。

そんな事を思いつつ、俺は火をつけていない煙草を咥えてからゆっくりと立ち上がって
戸棚へと近づき、その奥から銀色の缶とカプセルを一つ取り出して――少年に投げた。

「――――ほれ。そいつぁはカプセルの方が痛み止めで、缶の中は凍傷用の軟膏だ。
 病院とかで使われる奴で、市販で売ってるのよりかなり効くから使っとけ」

病院で使われてるというのは嘘である。
投げた二つの薬は裏の世界の物で、両方表のルートではまだ使われていないものだ。
まあ、効果はてき面だし、説明もする気は無いのでそう言う事にしたのだ。

少年に薬を渡したのに大きな理由は無い。単に、二十歳にもなってなさそうな少年が、
割と危険な怪我をしたまま行動するのが嫌だったのと、後はこんな事件を企画した奴に
結構ムカついていたから、くらいだ。だから投げてから
(そういやあの薬、滅茶苦茶高いんだよな……うわ、やっぱり返してもらうか?)
などと思ったりした。格好つけた手前、表情には出さないが。

そんな会話をしていると、
>「外の空気を吸ってくる」
そう言って七重が玄関の辺りに向かっていった。
俺は、軽く手を振ってそれを見送ってから、この辺りがまだそれ程安全では無い事を思い出す。
一瞬付いて行ってやろうかとも考えたのだが……止めて置いた。
理由は三つ。そもそも正体を隠しているのと、あと少し安静にしていないと
腕と足の調子が戻らない事、最期に、母親の如く野郎にべたべたするとか気持ち悪いから。
故に俺は、第四の選択をすることにした。
少年の方をダルそうに見て言う。

「えーと……お前さん名前なんて言ったっけ? まあいいや。
 悪いんだが、ちょっと今出てった男に着いて行ってくれねぇか?
 最近この辺も物騒だし、バイトに怪我されたら労働基準法的に面倒だ」
323名無しになりきれ:2008/04/21(月) 21:28:14 0
初めてだが
まだ参加しても大丈夫なのかね・・・
324名無しになりきれ:2008/04/21(月) 21:35:56 O
>>323
まだまだ大丈夫
>>246の避難所もよろしく
325神重 智  ◆6eLTPQTFGA :2008/04/21(月) 22:29:55 0
名前:神重 智
二つ名:重力連鎖(デスペレイトオーバーフロー)
年齢:26
身長:174cm
体重:69kg
種族:人間
職業:教師
性別:男
能力:自身が選択した箇所に重力をかけることができる 勿論重力をなくすこともできる
容姿:眼鏡をかけている(伊達) 茶髪で、肩にかかる程度の髪の毛がある 顔はそこそこ
趣味:読書 料理
好きなもの:歴史小説  
嫌いなもの:虫全般
キャラ解説:
とある学校に勤める教師。自身の能力は幼いころの交通事故で目覚めた。
が、周りに特殊な能力があると気づかれることはあまり無く、普通の教師をしている
学生が逆らうとオシオキに学生相手に重力(気づかれない程度だが)をかけるため、
あの先生に逆らうと空気が重くなる(いろんな意味で)と陰で言われている

重力連鎖の二つ名の通り、相手に連続して重力をかけることができるため、相手を嬲りながら戦うタイプである
ただ、重力をかけることができる範囲はそこまで広くない。



よろしくお願いします。
どこから入ればいいんだろう?
326桐北 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/21(月) 22:48:09 O
>>325
これからよろしくお願いします
>>317の方も気が向いたらどうぞ〜

入りは自由ですよ
早速誰かと絡んでいいし絡まれるのを待ってもいいですしw
327神重 智  ◆6eLTPQTFGA :2008/04/21(月) 23:09:50 0
>>326
じゃあ最初は絡まれるのをまとうかなー
誰かあったら絡んでくださいなー
328名無しになりきれ:2008/04/21(月) 23:16:52 O
とりあえず現在どこにいて時系列的にどの時間なのか
メールが届いてから何人の異能者と闘ったのか
そこら辺の説明から始めたらどうだい
329戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/04/21(月) 23:56:52 0
>>325
重力使い…!?まさか…この俺と同じ『能力』だとでも言うのかッ・・・!?
よろしくお願いします。かぶらないよう気をつけましょう。
大変だろうが一通りログを読むこと推奨。
330神重 智  ◆6eLTPQTFGA :2008/04/22(火) 00:03:52 0
現在位置;学校
異能者との戦闘 0
殺人数 5 (>>35>>75の何者かを始末)
時系列は>>322辺りで


「最近はやたらと騒がしくなったな・・・」

殺人がそこらで起きたりするわけだ、教師としては生徒の安全が心配である

「といっても、私も何人か殺してしまったわけだが・・・」

ある日突然何者かに襲われ、返り討ちにしたものの疑問はつきない

謎の人物からのメール、その後にまた何者かに襲われたこともある・・・

異能者とはいまだに戦っていない彼は授業をしながら
「そろそろ、私も動くときかな」

と呟いた


こんな感じでしょうか
331神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/04/22(火) 00:40:09 O
失敬 >>76でした
332名無しになりきれ:2008/04/22(火) 08:40:35 O
まだ参加が間に合うのなら

名前:七海 佳祐(ナナミ ケイスケ)
二つ名:機甲再起(エンドレスサイクル)
年齢:23
身長:189cm
体重:230kg(機甲の重量も含む)
種族:3割人間7割機械
職業:研究者
性別:男
能力:機甲部分(部分と言ってもほぼ全身機甲)の欠損を再生する
欠損が大きいと再生に時間がかかる
容姿:白い髪に蒼白い肌 全身ツギハギだらけ 外見だけ見ればただの不健康な人間にしか見えない
趣味:夜釣り(趣味なだけで釣りが上手いというわけではない)
好きなもの:海 山 生き物 自分の改造
嫌いなもの:錆 マッドな上司
キャラ解説:俗に言うサイボーグ。
ほぼ全身が機械化されており、体の各所に様々な武器が仕込んである。
333神重 智:2008/04/22(火) 10:31:44 O
>>329
よろしくお願いします

できるだけ技が被らないように頑張りますね

334池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/22(火) 23:47:11 0
俺の横を登校中の高校生や出勤に急ぐサラリーマン達が追い抜いていく。
既にその数は二桁に達しているだろうが、
俺は釣られて足を速めるようなことはせず、
ただ一歩一歩、大地を踏みしめていくかのようにゆっくりと歩き続ける。

体の大事ということもあるが、別に急ぐ必要はないからだ。
俺に住処を知られたからといって、昨日の今日でいきなり姿を消すということはすまい。
たかだが異能者一人に居場所を知られたくらいで逃げるようなら、
あの男はとっくの昔にこの町から姿を消しているはずだろう。

そう思い、スローテンポながら着実に国崎薬局への距離を着実に縮めていた、
そんな時だった──。俺の右手が警告を発したのは。

「これは……」

近くに……しかも複数……だが、警告の発する方向は……。

俺はその方向に視線を向ける。

……異能者の気配は、あの男の店の方向からだ。
この警告の感覚からしてその方向には複数の異能者がいることに間違いはない。
一人はあの男としても……その他の気配は……?
たまたまあの男の店の近くで他の異能者達が戦闘をしているだけか、
それとも……徒党を組んで、手傷を負ったあの男に……。

──俺は自然と足を速める。
そしてすぐにある事態を想定すると、店に向かって走るようになっていた。

そうだ、三日経てば弱者は淘汰され、強者だけが生き残る。
何とかして生き延びようと、弱い異能者達が手傷を負った者を相手に、
能力の暴発を止める最低限の条件を満たそうと考えても不思議ではない。
傷を負った獅子はハイエナの餌となる。
あの男が死ぬのは勝手だが、情報を得られぬままではな……。

これまで会った異能者の中で、『組織』について何かを知っていそうな唯一の存在。
それに傷を負わせたのはこの俺。
そして今、その男を狙おうと群がるハイエナ共がいる。

「そこで、そのハイエナを退治しに向かう助っ人がこの俺になるわけか……。
……これを皮肉と言うのだろうな。フ……まったく、笑えんな」

『組織』を知るための手掛り。
男の死はその手掛りを失うこと、すなわち再び一から手掛りを探すことを意味する。
それだけは出来る限り避けておきたい。

先程、俺を追い抜いていった学生や社会人達を後ろから抜き返し、
俺は国崎薬局へ向けて一直線に走るのだった。

【池上 燐介:戦場ヶ原、七重、廻間の目的を誤解し、国崎薬局へ急行】
335七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/22(火) 23:48:01 0
>>319
天を揺るがすほどの大あくびを放ってから、
瞑った両目を滅茶苦茶にこする
全くだらしのない動作であるが、
生来の無精者である七重が行うと、不思議と様になる
もちろん彼としても、路上でそのような醜態を晒したくはないのであるが、
何しろ睡眠不足である上、夕食も摂っていないので、
身体がだるくて仕様がないのだ
そんな七重に対しても、朝日はなかなかに手厳しく、
容赦の無い閃光を放射して、彼の瞼をチラチラと刺激していた

昨夜、辺りに沈殿していた重苦しい空気は、
どこへとも無く消え去って、白日に浄化されたかのようであった
通りに沿って整列する家宅の屋根は、平常の如きくすんだ鈍色でなく、
鮮やかな日光を反射して、清浄な銀色に輝いている
重苦しい七重の足取りも、それにつられて、
微妙に軽やかなものとなる

ふと、七重がふらふらと小道に入り込んだ時、
彼の背に、骨を焼くかのような視線が感ぜられた
その鋭さたるや、野犬だとか羆だとかよりも、
遥かに野生的かつ脅嚇的なものである
単なる通り魔の眼力にしては、あまりに凄まじすぎる

知らぬ振りをしてやり過ごそうかと思い、
しばらくは黙って歩いていたが、
視線の追跡は止みそうにないので、七重は対決を覚悟した

ひたり、と両脚を揃え、歩みを止める
風の音に合わせて振り返る七重の目には、
一瞬、燃えるような赤髪がちらりと映った
それを脳で認識する前に、右脚を後方へ大きく振りかぶり、
地を擦るような前蹴りを繰り出す
決して赤髪まで届く距離ではない
しかし、足裏との摩擦で粉砕されたアスファルトの微塵が、
蹴りの衝撃を受けて、弾丸の如き速度で、赤髪へ殺到した
銃を用いぬ散弾
恐るべきは、それを可能にする七重の技量
蹴り足を戻し、構えをとり直す彼の身体は、何時になく昂っていた

【戦闘開始 対戦場ヶ原】
336戦場ヶ原 天 ◆KGvYXwjPe6 :2008/04/23(水) 16:08:43 O
>>335
幻肢痛――――…
ゆうべの女との闘いで切り裂かれてなくなったはずの右腕がうずく。
闘いを常に求め続ける病的な本能がそうさせるのだ。
隻腕となって、戦場ヶ原の本能は、より強みを増したようにさえ見えた。

前方を歩く男は、不意に歩みを止めると、ゆらりとした動きで、まるでもとからこちらを向いていたかのような自然な動きでこちらに振り向いた。
目つきが悪く感情が感じられない顔と、鍛え抜かれた肉体には無数の傷痕が勲章のごとく刻まれていた。
(なるほど、修羅場をくぐり抜けてやがる)
戦場ヶ原がそれを認識した刹那、じゃり、という音とともに直下方向から無数の『弾丸』が放たれた。
「ッ!?」
突然の死角からの攻撃に、戦場ヶ原は思わず上体を反らした。
『弾丸』は戦場ヶ原の上半身を通過し背後のブロック塀に派手な音を立ててめりこんだ。
(砂利を蹴り飛ばしたのか…?)
その事実はすでに、その男が『獲物』ではなく『敵』たり得ることを証明していた。
そして結論にたどり着いた時には、戦場ヶ原の顔は歓喜に歪んでいた。

「悪くねぇ反応だ。…及第点をやろう。」

砂利が刻んだ頬の傷を指でなぞり、いつもの傍若無人な態度が出る。
敵からは微弱ながら異能者の気が感じられる。何の能力かは知らないが、
その鍛え上げられた肉体が、彼がパワーで闘う近接戦闘型であることを語っていた。
経験でそれを悟った戦場ヶ原は地面を蹴って間合いを空けながら、左手に黒い光を宿した。

「さぁ見せやがれ貴様の力を!!俺がさらにその高みから押し潰してやろう!!
挨拶がわりだ――…『アンチグラビティノヴァ』ッ!!」

左手に空間を圧縮し、バレーボール大となった「空間爆弾」を敵目掛けてぶん投げた。

【戦場ヶ原:七重と戦闘開始】
【場所:薬局付近の裏路地】
337永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/04/23(水) 22:23:41 O
名前:永瀬 翠 (ナガセミドリ)
二つ名:増殖立体(フラクタルキューブ)
年齢: 10代後半
身長: 158cm
体重: 45kg
種族: 人間
職業: 刺客
性別: 女
能力: 大きさや重さ、動き等自由自在に操れる「箱」を作り出す
容姿: 黒髪ショートの色白な少女。黒ずくめの制服の様な服装。
一見普通の女子高生の様に見える。
趣味: 街中の人間観察
好きなもの: 可愛い物・機関の皆・恋空(笑)
嫌いなもの: 汚い物・勉強・弱いのにしゃしゃってる奴
キャラ紹介:幼くして能力に目覚めてからは、長年機関から刺客としての英才教育を受けて来た。
その為思考回路が完全な「機関の犬」と化しており、機関の為ならどんな卑劣な事も厭わない。

だが人間性を欠いている訳では決して無く、むしろ性格は底抜けに明るい。
学校は行っていないが、常に制服に似た様な服を好んで着ている。
自分には絶対に訪れない、普通の女の子の生活に対する憧れの表れか。

今回の戦闘には、弱い異能者を潰し、より強い異能者同士を戦わせる為の刺客として参戦


そーゆーわけで、遅れて入っちゃうけどよろしくね〜
338永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/04/23(水) 23:20:15 O

――謎のメールの一斉送信から始まった異能者の戦いは、今漸く二日目の朝を迎えようとしていた。

始め100人いた異能者達は段々とその数を減らしつつあり、しかし未だにその多くが目標の能力値に達していない。

期間が延長される話も出てはいるが、このままでは有望な能力者までもが「暴発」によって失われてしまう可能性が高い…



「…そこで、私が何とかするって訳ですかぁー」

町の路地を少し入った一角に座り込み、永瀬 翠は携帯電話で話をしていた。

「そうだ。これからお前はその町で異能者を狩れ。
強い異能者がいれば、言いくるめるなり捕獲するなりして機関に連れて帰って来い。
弱い奴なら…」
「『遠慮無く殺れ』ですよねー?」
「…ああ。」
翠はにっこりと笑った。
恐ろしい会話の内容に似つかわしくない、あまりに普通の、明るい笑顔である。

「分っかりましたー。じゃ、さっそく任務にかかりますー。
でも…」
「…何だ。」
「もしかしたら私、一人も連れ帰って来ないかもしれないんですよー。
だってほら、私



強いとか気付かないで皆殺ししちゃう人じゃないですかー?」



電話口から聞こえた怒声を無視し、一言お疲れ様ですと言って、翠は電話を切った。

「さて、どこから行こっかなー?」
座っていた箱から立上がる。
振り返って手を叩くと、その箱が一瞬で跡形も無くなった。

それを確認すると、翠はどこへともなく歩き出して行った。

その眼は未だ純粋な光を宿している。

だがその心に思い描いている物は、無垢な少女には余りに似つかわしくない、残虐な『狩猟』の光景だった…


【現在位置:どこぞの路地裏】
【戦闘数:0】
【戦闘する意欲に満ちている状態】

(自分も絡まれるのを待とうかと思います。
ただ皆さん一か所に固まってるから、そっちに行った方が良いのかな…?)
339永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/04/23(水) 23:23:19 O
すみません書き忘れました。
時系列は二日目の朝です。
340名無しになりきれ:2008/04/24(木) 00:40:30 O
んじゃ新キャラたちにネタ振りをば

>>神重
校内に潜んだ組織の刺客3人(NPC)が襲撃してくる

>>永瀬
異能者(NPC)と遭遇する

NPCの名前とか能力は勝手に考えてくれ
341名無しになりきれ:2008/04/24(木) 11:51:10 O
誰か時間軸をまとめてくれないか

読んでて楽しいけど時間がごっちゃになってしまう
342名無しになりきれ:2008/04/25(金) 02:06:46 0
避難所に書かれてた時系列をこっちに載せとく
新規も増えたんでついでに手を加えといた

PM6:00(受信)
  │
  │↓一日目
  │
PM6:00(24時)
  │
  │↓二日目
  │
PM6:00(48時)
  │
  │↓三日目
  │
PM6:00(72時)

二日目の朝(37時〜39時頃)に戦場,池上,七重,廻間,国崎.神重.永瀬
二日目の夕(46時〜47時頃)に若宮,桐北
不明・・・七海
FOっぽいんで除外・・・高山.神野
343名無しになりきれ:2008/04/25(金) 18:06:24 O
あげ
344巻き込まれた一般人 ◆Bqlg7BwZKs :2008/04/25(金) 21:47:33 O
私はただのサラリーマン…
会社帰りに急にウンコがしたくなって野ぐそ中に、
まさかあんな目にあうなんて…
345廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/26(土) 11:18:17 0
>>322
結果から言うと、国崎から渡された薬の効果は凄かった。
塗ったそばから、どんどん痛みが引いていく。
まぁ、ゲームみたいにすぐに完治って訳にはいかなかったが今はこれでも十分だ。

(凄いな…流石は市場に回ってない薬だ…)

俺が薬の効果に驚いていると、国崎が俺に声をかけてきた。
顔の表情から察するに、どうやら俺に頼みごとがあるらしい。

>「えーと……お前さん名前なんて言ったっけ? まあいいや。
 悪いんだが、ちょっと今出てった男に着いて行ってくれねぇか?
 最近この辺も物騒だし、バイトに怪我されたら労働基準法的に面倒だ」

どうやら七重の様子を見守って来い、という頼み事のようだ。
確かにこの辺りは物騒だ。あの氷男に襲われたら、かなり不味いだろう。
何故不味いのかと言うと、相性的な問題だ。
外見から判断すると、七重は接近戦のパワーファイター。
ちなみに能力者は異能力の向上を目指し、己の身体機能は余り上げない傾向にある。
俺の場合は刀を創り出せるというだけの能力だったので、身体機能を上げざるをえなかったが…
恐らく、七重も同じだろう。能力「だけ」では攻撃が出来ない。だから体を鍛えた。
まぁ、七重が拳を用いるパワーファイターだと思ったのはこれが理由だ。

「ん、わかったよ。それじゃあ見守りに行くとするかな」

薬を塗ったことによって幾分か楽になった体を起こし、俺は店から出ようとする。
しかし、一つだけ言い忘れた事があったのを思い出し、国崎の方を見返りながらこう呟いた。

「そうそう、俺の名前だけど…廻間。廻間統時だ。」

【廻間 統時:国崎から渡された薬によって、凍傷回復。七重の後を追う】
346桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/26(土) 22:16:52 O
博物館、だった場所と言うべきか
薬局に向かう途中
警察や学者で不自然に人が多いそこから少し離れた場所に修貴はその様子を見ていた

普段物静かなはずのそこは一晩で騒然としていた
建物は展示品もろともほぼ全壊、館長桐北直哉の失踪
奥の部屋にここで働いていた研究員達と女性の死体を発見
しかも女性の死体は死後1ヶ月以上は経っているらしい
等々聞き耳をたて警察の話を聞くと大量に不可解な事件が起こっているらしく
手がかりの無さに警察は憤り展示品が壊れたのに学者は嘆いていた
女性の死体…、とは間違いなく母親だとなんとなく理解した
1ヶ月前に仕送りが送られなかったのはあの時既に殺されていたのだろう
今思うとそれを深く考えず母親に悪態をついていた自分を殴りたくなった


父を殺し、母を殺され…
たった一つの家族の思い出の家が廃墟と瓦礫に変わった
いつか必ず帰ってくると思っていたあの幸せな日々はもう二度と訪れない
自分の望んでいた幸せな日常は
目の前の建物の様にボロボロに壊れてしまった

「…ッ、クク ハハハハ…」
確信せざるを得ない悲しい現実に何故か修貴は笑っていた
自分にも理由はわからない。泣くことはあれ笑うなど有り得ない事だ


だが、修貴は笑っていた
人の狂喜とは、もしかしたらこうして生まれるのかもしれない…
347桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/26(土) 22:31:57 O
「一週間って…、要するにプラス四日?」

落ち着きを取り戻した修貴は再び薬局を目指し歩を進めている時にやってきた謎のメールに驚いた>>321

随分と猶予がうまれたものだ、『組織』に何かあったのだろうか…
「もしかしてあれか? 組織っていうんだからボス位いるだろ
ボスが急に忙しくなったとか? 或いは娘に脅されたとか? …そんな訳ないか」

冗談混じりに適当な予測を立てながら大通りから住宅街に向かう
地図で見た記憶が正しければあと数分もあれば…


「何でここにいるんだよ!?」

着くはずだがそれに構わず元来た道を全力で戻りだした
「何で…、何でこんな時に神重なんかに!」

修貴が通う学校 そこに生徒ほぼ全員がいろんな意味で注目している教師がいる

神重 智 通称重力教師[グラビティーティーチャー]

あの先生に逆らうと空気が重くなる(色んな意味で)と生徒達に噂され、修貴も支持者の一人だ
体験したのは一回だけだが、あの何ともいえない空気と沈黙は出来れば二度と体験したくない

そんな教師が帰宅途中なのだろうか
こちらに向かって来ている
つい先程まで忘れていたが、こちらは学校を仮病で休んでいる身である
そして土埃で薄汚れた服装と鞄の中の30万円
こんな不思議な状況の生徒を見たら教師はどう行動するか頭によぎる

もし… もし見つかったら…
学校呼び出し二人きりでお話コース
なんとしても避けたい、ていうか絶対避けたい
向こうがこちらに気付いているのかはわからないが……

「(もういいや、薬局明日でいいや…)」




桐北修貴:国崎薬局店に向かう途中神重智に遭遇 見かけるなり逃走
     国崎薬局店行きを諦める
348神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/04/26(土) 23:04:59 0
>>340
いつも通りに私は担当授業を終え、自分の場所へ向かった。
-屋上-
ここにくるのは私だけだ、何故なら鍵の管理を私がしているから。
考え事をする時 私はいつもこの屋上を使う。この場所が一番落ち着く場所だと思っているから。

「異能者と戦え…か。」
もう一度携帯のメールを見直す。

3回勝利すれば自分の命は助かり、3度負ければ自分はこの世から消滅する。
要約するとその様なことがメールには書いてあった。
その日に出会った謎の男たちや、行方不明になっているこの学校の生徒たち…。

間違いなくこのメールと関連しているのだろう。

メールがきてから私は異能者とは戦っていない。
しかし、動かなければ3日後の期限で恐らく死んでしまうのだろう
動かなければ死、動いても負ければ死 根性の悪そうな奴らが考えそうなことではある。
その考え方は嫌いではないが。
これから異能者としてバトルロイヤルに参加するかを考えていた矢先-

「神重智だな。」
突然後ろから呼びかけられた
何処に潜んでいたかは分からないが、振り向くと三人の男が目に入った

「その格好…またあんた達か。懲りないね。」
男の二人は以前私を何処かへ連れて行こうとした謎の黒服である
三人目の男は見たことが無いが…記憶に残っているこの感じ、異能者だろうと私は判断する。

「それで?今度もまた何処かへ連れて行こうとするつもりか?」

「いや…貴様にはここで死んでもらう。」
今回は私の命が目的らしい…。随分と変わった趣味を持っているやつらだ。

「メールを受け取ってから、様々な場所で戦闘が起きている。かなりの異能者が戦闘済みといってもいい。」
「だが…その中にも貴様のような輩はいる…。はっきり言って、戦闘をしない異能者は必要ないんだ。」

「なるほど…それで私の命がほしいわけか。」
理由はよく分かった。戦闘をしないものがいるとすれば
バトルロイヤルの主催者としては面白くないわけだ。

「それに、戦うこともできない程度の能力なんだろう?上からの命令だ、死んでもらうぞ。」
そう言って黒服の男たちは銃を構えた。
349神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/04/26(土) 23:24:11 0
「残念だったな…私は戦えないんじゃない、戦わなかっただけだ」
次の瞬間、黒服の二人は地面に叩きつけられた。
異能者と思われる男は驚いてこちらを見ているが、今は関係ない。

「か……体が…押し潰される…い、一体…何をッ…!」
『重力空間』(グラヴィティスペース) 空間に重力を与え
範囲内の物質すべてを重力で押し潰すという私の技。
欠点は…そこまで範囲が広くないことか。

「空間や物質に重力を付与すること。それが私の能力だ。」
言って間もなく男たちが絶命していることに気がついた。
「能力を持たなければ所詮この程度か…。」

私は奥で戦闘を見ていた異能者に言い放つ
「さて、次は貴様の番だな…」

異能者の男が言う
「イイゼェ…このナイフでてめぇをズタズタに切り裂いてやるよ!」
そう言って男はこちらへ向かってくる。
ナイフを使うということは おそらく、武器を強化する能力者なのだろう。
あの武器を潰せばあとはなんとかなりそうだな…

「『重力指定』(グラヴィティポイント)」
私が片手を上げると男のナイフは地面に落ちた。
グラヴィティポイント- 目視できる対象を選択してそれだけに重力を付与する能力
これさえあれば、武器を使う敵など相手ではない。例外はあるだろうが・・・

「テメエ!何をしやがった!」
男はこちらを向いてわめき散らす

「ナイフに重力を付与させてもらった。お前の能力は恐らくナイフの切れ味を増したりする能力なんだろう?
武器がなければ何も出来まい。」
この瞬間、私の勝利は確定した…が

「ハッ!テメエ如き、武器を使わなくても余裕なんだよ!!」
そう男は言い放ちこちらへ再び向かってくる
大人しく逃げるのならば見逃したものを…愚かだな。

「終わったな…『重力空間』…!」
異能者の男は黒服達と同じように、私の前に叩きつけられた。

「ガハッ…てめえ…絶対…殺す…。」
まだこんな言葉を吐く余裕があるくらいだ
彼に、更に上位の重力を与えてやろう。
「---------!」
圧死、という表現が正しいだろう
異能者の男は私の重力に押し潰され、絶命した。

「さて、仕事に戻るか…。」
これからのことを考えながら、私は仕事に戻ることにした。

【神重 智:組織の男二人+異能者と戦闘 勝利 能力上昇4/3】
>>347 絡みありがとうございますー
350 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/26(土) 23:55:03 O
>>349
あ、そういえばまだ神重は学校でしたね
すみませんちょっと進みすぎました…

当然ですが気付いて追いかけるのも気付かずほっとくのもいいですよ
351池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/27(日) 00:07:15 0
看板には『国崎薬局』と書かれている。
何度見ても、ここが俺の目的地に違いはなかった。
しかし──。

店を前にして一人俺はつぶやいた。

「肝心のハイエナ共の気配が感じられない。既に闘いの場所を移したのか……」

ハイエナが去ったということは、既にターゲットにしていた獲物を捕らえたからか。
それは『組織』を知る手掛りを失ったことを意味する。
……一瞬、そんな最悪の事態が頭をよぎる。
が、それも右手に走る痛みによって、すぐに杞憂であったと分かるのだった。

……この反応からして店にいる異能者は現在一人。
フッ……覚えのあるこの気配……どうやら間違いないようだな。
この店にいるのは『国崎シロウ』、あの男だ。

複数の異能者の気配を感じたが、あれはたまたまこの付近で他の異能者達が
戦闘を行っていたものか。
それとも、ハイエナはいたが、それらは俺が到着する前に『国崎シロウ』が自力で
追い払ったのか……いずれにせよ、現在この付近にいるのは俺とあの男だけのようだ。
時間をかけて考える間に邪魔が入ると面倒だ。この機を逃す手はないだろう。

俺は勢い良く店のドアを開けると、店の中へ入り込んだ。
視線の先の奥の部屋で、こちらに背中を見せている白衣の男を見つけると、
俺は無言で足を奥へ進めた。
そして、男の真後ろに到達すると立ち止まり、こう声をかけるのだった。
>>322
「『再生能力』……やはり侮れんな。既に右手までが完璧に再生しているとは驚きだ」
352池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/27(日) 00:10:07 0
男は俺の声に反応するように、ゆっくりとこちらを振り返った。

「目覚めはどうだ? 『国崎シロウ』。
……おっと、誤解するなよ。俺はお前を殺しに来たわけじゃないんだ」

「何?」と言いたげな男に口を差し挟ませる間も与えずに、俺は言葉を続ける。

「一つお前の誤解を解いておくが、俺は『組織』の人間ではない。
お前と同様、メールを受けて闘いに参加する羽目になった、ただの一般市民さ。
……そんな俺が再びお前の前に姿を現したのは、その『組織』について、
お前の口から俺に知っていることを聞かせてもらおうと思ったからだ」

こちらに戦闘の意思がないことは教えてやった。
後は、向こうの出方次第。

「どうだ……? 何か知っていることはないか……?」

俺は表情を変えずに視線を国崎シロウに向け続けた。

【池上 燐介:国崎薬局に到着。国崎シロウに話しかける】
353七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/27(日) 00:31:23 0
>336
嵐のような弾丸の突貫を、赤髪は上半身を翻しただけで避ける
必殺の間合いではなかったとは言え、
飛来する破片をことごとくかわす辺り、明らかに尋常の人間ではない
七重の眼は、きりきりと細まる

>「悪くねぇ反応だ。…及第点をやろう。」

体制を立て直した赤髪は、にやりと笑って呟く
対する七重は、その男の右袖が風にはためいているのに気を取られる
隻腕。明らかなハンディ
手負いの獣か、などと、七重はどうしようもないことを考える
その時、思考がそれた事を察知したかのように、赤毛が揺らめいた
無拍子の跳躍。赤髪は、空中へ逃れつつ距離を空ける

間合いと距離は別物だ
現在の二人の位置関係は、七重にとって、完全に間合いの外
距離を空けられた、という感覚
しかし、もし彼の赤髪に、遠方へ攻撃できる異能力が備わっているとしたら
あくまで、「間合いを空ける」という意図での動作だとすれば
不味い。なびく赤髪を追って駆け出す七重

七重にとっての距離が間合いに変わる前に、
赤髪の左手から、ヒトの頭ほどもある、黒い球体が放たれる
危惧した通りの、遠方からの攻撃
それなりの速度ではあるが、持ち前の動体視力と機敏さで、
上体を捻って球体を避け、速度を落とさないように走り続ける

避けた。はずだった
接触は辛うじて免れたにもかかわらず、すれ違い様、
黒球から猛烈な圧力が発せられ、七重は傍らの塀に激しく叩きつけられる
衝突した背中の全面に、バットで殴打されたかのような激痛が走った
そのまま地面に叩きつけられ、片膝をつく。が、まだ体力は失われていない
ただ、攻撃の正体が掴めずに若干混乱する
一つだけ分かったことは、赤髪の放つ黒いモノには、
触れることはおろか、近づくことさえも危険であること

どうするかと辺りを見回す七重の目に、カーブミラーが入る
鏡を付けられた白い金属ポールの長さは、2m半ほどはある
七重は、体勢を可能な限り低くすると、渾身の手刀を横薙ぎに放ち、その根元を切断した
近隣住民の迷惑を顧みない、赦しがたい行為である
しかし七重は、そんなことは気にもかけず、切断されたカーブミラーのポール部を両手で支え、
ミラー部を前方に突き出し、槍を構えるかのような姿勢をとる
暫時、両腕にかかる重量を確かめると、ミラーを抱えて駆け行った

狙いは、目潰し。七重の手先の動きにより、ミラーの角度は微妙に変化して、
それに反射された朝日が、赤髪の眼を射らんとして照準を合わせる
その間にも、七重は確実に距離を詰めるべくして足を動かす
間合いに入った上で、閃光の目潰しにより、赤髪が少しでも隙を見せれば、
カーブミラーの一撃でもって、その頭を打ちのめす算段だ

七重は、決して勝利を焦る性質ではない
その性格が果たして、赤髪との圧倒的なリーチ差を埋める要因になり得るかどうか
354名無しになりきれ:2008/04/27(日) 01:31:31 0
まだ間に合うのかな?
355戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/04/27(日) 01:53:56 0
>>353
戦場ヶ原は不機嫌であった。

アンチグラビティノヴァを、直撃とまではいかないものの、間接的にでもあの爆圧を浴びたというのに、
彼の『敵』は表情ひとつ変えず次の行動に移ったのだ。
普通ならば「がはッ」だの「ぐあッ」だのうめき声を上げて、戦場ヶ原の得体のしれない攻撃に多少なり恐怖を示すはずである。
戦場ヶ原にとってこんなにも面白みのない相手はいない。
自分の思い通りにならずに苛立つ戦場ヶ原の思考は、そういったところが幼稚そのものであった。

そして敵の次の行動が、より一層彼を苛立たせた。
敵は怪力にものを言わせ、近くのカーブミラーを切断し、それを構えて突進してきたのだ。

(馬鹿が…、武器のつもりか?この俺を…コケにしやがってェ!!!)

戦場ヶ原は異能者同士の能力と能力のド派手なぶつかり合いを渇望していた。
しかし敵は一向に自分の能力を見せようとはせず、あくまでも肉弾戦に持ち込もうとする。
能力のない者はすべてゴミ虫以下の弱者―――・・・そんな思い上がりが、彼の中にはあった。
そしてその思い上がりと昂ぶった苛立ちとが、そこに『最大の敵』を生み出していた。

「・・・!!この俺をナメやがるんじゃ―――…!!ッ!!?」

『最大の敵』・・・それは『油断』である。
敵の持つカーブミラーに、すでに空高くのぼった日の光が反射し、強烈な閃光となって戦場ヶ原の眼球を襲ったのだ。
閃光は目に焼きつき、戦場ヶ原の視界を完全に食い荒らした。
――――目くらまし。敵は何の考えもなしにカーブミラーを手に取ったわけではない。日の角度とタイミングを瞬時に算出し、有効な「戦術」として利用したのだ。
「小癪ッ!!!」
しかし完全に油断していた戦場ヶ原がそのことに気づいた時には、すでに敵の攻撃が繰り出された後だった。

ガシャァンッ

派手な破壊音とともに戦場ヶ原の顔面はカーブミラーの面によって勢いよく打ちのめされた。
クリーンヒットだ。戦場ヶ原の体はその勢いのまま後方に大きく吹き飛ばされ、あたりには無残に散った鏡面と戦場ヶ原の鮮血が飛び散った。
フルスイングで吹き飛んだ男はそこに倒れ、しばらくそのままぴくりとも動かなかった。
鈍器で顔面を打ち抜かれたのだ。常人ならば絶命してもおかしくはない。
しかしそこに倒れた男にとっては、自分の命よりも、それ以上に打ち砕かれたプライドの方が重要であった。

このオレ様が、何の能力もなしに、ただ鈍器でぶん殴られた――――・・・

この事実が、戦場ヶ原の天より高いプライドに火をつけた。
のそりと起き上がり、血まみれの顔を押さえ、血をぬぐう。視界は回復している。その両眼にはしっかと倒すべき『敵』の姿があった。
そしていつの間にかその口にはいつもの「怒り笑い」とも言えるような無気味な笑みが浮かべられていた。
「ク・・・ハッハハハハハハハハハハハハ・・・」
口では笑っているのに、その眼は怒りの炎に満ちている。
「・・・決めたぜ・・・。貴様を潰す。貴様の得意であろう接近戦で、そのプライドごと擂り潰してやるよ!!!」
左手には再びマイクロブラックホールが灯り、戦場ヶ原の拳を覆ってゆく。

「吸い寄せろッ!!『ユニバーサルグラビテーション』ッ!!!」

左手を後ろに引くと、『敵』の体を横殴りの「G」が襲った。戦場ヶ原の左手から発生する局地的な引力が、彼の体を凄まじい力で引き寄せているのだ。
戦場ヶ原は左拳を固く握りしめる。それを覆うブラックホールが圧縮され、数百キロの重圧となってその拳に付加される。
・・・『グラヴィトン・ハマー』
それで敵の顔面を殴り返してやろうというのだ。

【ユニバーサルグラビテーションで七重の体を引き寄せ、そこにカウンターパンチの要領でグラヴィトンハマー(威力:大)を繰り出す】
356 ◆u5ul7E0APg :2008/04/27(日) 02:20:29 O
>>354
望むところなんだぜ。
357永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/04/27(日) 02:31:21 O
最初の異能者は、町に着いてすぐに翠の前に現れた。
いや、正確には『後ろに』というべきか。


朝だというのに仄暗い裏路地を歩くうち、翠は不意に背中に気配を感じた。
眉間に指を近付けたような、痺れる様な感覚。
それは翠にとっては獲物の足音だ。思わずひとりごちる。
「…後ろから誰か来てるねぇー。
しかも、超速いし。凄いな」


やがて、その気配の主が見えて来た。
20代も後半だろうか、ナイフが両手に一本づつ。

驚くのはその速さである。豆粒程に見えていた男は、ものの2秒もすると翠の50m先にいた。
これは最早感じずとも分かる。異能者だ。


男も翠の異能を見抜いた様だ。彼女を見る目が鋭い。
口元が歪む。
「…昨日といい今日といい、俺ぁついてるな。
会う奴会う奴弱そうでよぉ。
これは残り二日なんざ楽勝じゃねーか?そう思わねーか、嬢ちゃん」

翠も歪めた。…表情を。
「うわー、この人私的に一番ダメなタイプなんですけどー」
その顔は気持ち悪がっている様が全面に押し出されていた。
挑発か、あるいは本音か。

「前置き長い奴に限ってすぐ死ぬんだよねー。
こういう、俺強いですよアピールする奴も。うわ、キモいよぉマジでー」

「てめぇ…!言わせておけば!!」
男が駆け出す。その速度はスタートダッシュの時点で既に音速。
身軽とは言え、身体能力は並の翠が躱せる筈は無かった。
……もしそれが、予測しない一撃であれば。

358永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/04/27(日) 02:39:35 O


突如、男の体が後ろに弾きとんだ。少し遅れて、激しい衝突音が辺りに響く。
あまりの速さに、音速の壁にぶつかってしまったのだろうか。


否、男は本当の壁にぶつかったのである。翠がその異能力で作り出した、透明な箱でできた壁に。
「そうだ、こういう口車に簡単に乗っちゃう奴も、すぐに死んじゃうんですよねー」
先程の問いは、どうやら前者だったようだ。


「ちっ…!」
音速で壁にぶつかり、全身の骨が折れたのか、男は動けないでいる。

「でも生きてるのは凄いよー。体強いんだぁ。あれだけ走れるんだから当然かな?」
「…俺の負けだ。お前みたいな嬢ちゃんに負けるとはな、参ったぜ…
さぁ、俺はもう覚悟を」「一々長いなー。どーでもいいしキミの話なんて。キミは弱いって分かったからもう用無し。
ねぇ、何処かに強い異能者、居ないかなぁ?」

翠は男の近くに屈み込んで聞いた。
「強い…あぁ、そういえばあそこにいるかもな…」
「え、どこどこ?」
「ここに来る少し前に通った薬局だ…気配が…違かった…。」


「…キミさ、さっき『会う奴会う奴弱い』って言ってたよね?」
「…え?まぁそれは…あれだ、あの…会うと感じるの違いで」
「逃げたんだ」
「いや、逃げてないっ…と思う…うん。
それより、お前、お前が聞いて来たのにそれはお前おかしいと…」

翠の片腕がすっと上がる。
男はつられて、空を見上げた。

「やっぱりキミ、私の一番嫌いなタイプだったんですけど。
『弱いのに、しゃしゃる奴』」


男がその人生の最後に見たのは恐らく、自分を押し潰そうと迫り来る黒い立方体だっただろう。
いや、もし運がよければ、その立体が自らの血で赤く染まる光景も、あるいは見られたかもしれない…


翠が手を叩くと同時に、立方体は消え、男の無残な死に様が広がった。
箱と地面の隙間から散った肉片が、翠の膝を汚している。
「うへぇー、えんがちょー」

膝を拭って立ち上がる。
とりあえず、次の目標は出来た。その薬局とは一体、どこにあるのか。

「まぁ、歩いてるうちに見つかるかな?
…あ、『これ』が来た方向に行けば良いんじゃない?あったまいー!」

人を一人殺した後とは思えないテンションで、翠は再び歩き始めた。

【異能者一人殺害】
【移動:路地裏→国崎薬局を探し町中へ】
359名無しになりきれ:2008/04/27(日) 02:46:45 0
永瀬さんの【機関】のネタは使わしてもらってもいいですか
キャラがまとまらないので機関の隊員にしようかなと思ってるんですけど・・・
360国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/27(日) 04:02:23 0
>>352
少年――――廻間統時が出て行った後、
俺は再び横になって目を瞑ったのだが、寝付く事は出来なかった。
睡眠を取りすぎたからというのも有るのだろうが、
しかし、その最たる原因は、先程から身体が訴えているこの感覚。
経験によって形成される、危険に対する嗅覚だった。

>「『再生能力』……やはり侮れんな。既に右手までが完璧に再生しているとは驚きだ」
勢い良くドアの開く音と、聞き覚えのある声。
寝転がっていた状態からゆっくりと起き上がり、振り向くと

――――そこにいたのは、先程の氷使いだった。

その姿を目視した直後、俺は警戒態勢から厳戒態勢へと心構えを変える。
この薬局内――即ち、仕掛けと武器と防具と科学を準備したホームグラウンド。
贄の腹の中に置いては、誰が相手だろうと負けるとは
思わない。だが、それでも警戒は最大限に必要だ。
いくらダメージが回復しているといっても、万全ではないのだ。
小さな油断は死と同義なのはとうの昔に学習している。

(それにしても、なんでこう俺の店は次から次へと妙な奴ばかり来るかね……
 こいつが機関の構成員なら、止めを刺しに来たとか、そんな感じか?)
そう思い、氷使いに対し言葉を投げかけようとしたが、それは氷使いの言葉によって中断した。

『氷使いは俺を殺しに来た――即ち、戦闘をしに来た訳じゃない。
 そして、巻き込まれた側の異能者であり、機関の一員でもない』

正直な話、字面だけ見れば今氷使いが話した事ははとても信用は出来ない話だ。
現役時代の俺程ではないとはいえ、纏っている死の臭いは裏の社会でも
めったにお目にかかれない程濃厚で、暗い。それで「一般市民だ」は無理があるだろう……

……だが、俺はその話に乗る事にした。
もし機関の構成員の嘘なら、攻撃を仕掛けてこないという事は、何らかの意図があるという事。
本当に違うなら、これだけの相手と敵対し続ける事は損だ。あと、攻撃をした事を謝っておきたい。

真実にせよ真実でないにせよ、この話をすることで得るものがある。
そう思っての判断だった。俺は、普段どおりの態度を造り、返事を返す。

「あー……なんだ。つまり、俺の勘違いだったって事か?
 ……えーと、まあ、その……なんか攻撃とかして悪かったな。

 ――――けど、アンタに情報をくれてやる気は無い」

そして、氷使いが反応を示す前に、そのままの態度で矢継ぎ早に続ける。

「まあまあ、慌てなさんな。別に、情報をやらないとは言ってない。
 ただ、情報を『ただで』やるのが嫌なんだ。一応、これは割と危ないネタだからな。
 それを別に友達でも無いアンタに無償でやるなんてゴメンだ。だから、条件を付けたい」

「一つ。情報を聞き終えてから直に、俺に殺意を持った攻撃を仕掛けない。
 二つ。基本的に、第三者の前では俺を一般人として扱う事。
 三つ。何があろうと俺の知り合いを攻撃しない。
 それが守れるなら、俺の知ってる『組織』の情報を全て話してもいい」

交渉の基本はまず交渉を交渉として成り立たせる事。次に、相手を自分のペースに巻き込むこと。
俺は、昔知り合いの交渉人から聞いた話を思い出しながら話す。
これだけで交渉を破談させるなら、問題外。
三っ目を受け入れるならば、敵。
俺は、氷使いがどう出るか、反応を見る。
361池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/27(日) 18:35:36 0
>>360
>「あー……なんだ。つまり、俺の勘違いだったって事か?
> ……えーと、まあ、その……なんか攻撃とかして悪かったな。
> ――――けど、アンタに情報をくれてやる気は無い」
外傷は治っていてもやはり万全の状態ではないのか、
予想通り敵も無闇に戦闘を行う意思はないようだ。
が、やはり一筋縄ではいかないか。

男は拒絶の意思を露にする。
しかし、男は即座に条件付で情報を提供すると続けるのだった。

「条件か……」

なるほど、確かに当然といえば当然の出方か。
考えてみれば、つい先日まで殺し合いを演じた仲の人間相手に、
無条件で情報を与えるようなお人好しの人間がこの世にいるとは思えん。
聞き出せないなら聞き出せないでこのまま場を去るつもりだったが、
これは思いがけずして情報を得られる好機か。いいだろう、聞いてやる。

男はその条件とやらを三つほど提示してきた。
俺は特に考え込む様子も見せず、間を取らずに返答する。

「その知り合いの人間とやらが異能者であると仮定して一つ確認させてもらおう。
三つ目の条件は『何があろうと』ということだが、その知り合いの人間が俺に挑戦を
仕掛けてきた場合も、俺は決して攻撃してはならない、という条件なのか?」

元々奴を『直に』消すつもりはなかったし、既に能力の暴発を食い止める
最低限のノルマを達成している俺には、もはや『組織』以外の人間との戦闘など
リスクしかない。何も言わず全ての条件を呑んでやってもよかったのだ。
だが、即答の上にいきなり全面合意では納得してはもらえまい。だから……。

「降りかかる火の粉は完全に振り払う……異能者として当然だろう?
……Noであればめでたく合意となるが、Yesであれば残念な結果になるな」

生死が関わる世界に身を置く者としての当然の真理と、
それを理由にして相手に多少の妥協を望む取引者としての姿勢を見せながら、
俺は男の目に視線を合わせ続け、返答を待った。
362名無しになりきれ:2008/04/27(日) 19:06:50 O
ストーリーが進んできているね
イイヨイイヨー


新キャラ二人も結構いい味だしてるね
363名無しになりきれ:2008/04/27(日) 20:09:21 0
すごい乗り遅れたんだが・・入っていいでスカイ?
364名無しになりきれ:2008/04/27(日) 20:13:28 O
参加する意思があるなら自由に参加しなよ
ただし一度スレを読んでおくことを推奨
365名無しになりきれ:2008/04/27(日) 20:17:07 0
おk、読んでくる
366梓川 博之:2008/04/27(日) 21:05:09 0
>>365じゃないけど参加

名前:梓川 博之
二つ名:陰翳幻覚(エレクトリックシャドウ)
年齢:18
身長:175
体重:68
種族:多分人間
職業:高校生
性別:男
能力:黒い霧を発生させて操る。何かを形作って実体化もさせれる。
身体の先から霧と同化させたり、自らの身体に霧をつけてそこから一部を取り外して操作することも可能。
容姿:白髪交じりの黒短髪で軽く後ろに流している。いつも疲れた顔をしている。薄い黒コートを羽織っている。
趣味:読書、ジョギング
好きなもの:ミントガム、将棋、お茶
嫌いなもの:ストレスになるもの、乗り物
キャラ解説:ヤバイ事には首を突っ込まない筈がいつの間にか巻き込まれている、傍観者で在りたい人。
生まれつき幸が薄い、というよりはっきり言うと不幸である。運が無いのではない。
能力は5歳頃には既に発現しており、占い師によると「この能力は博之の心を映し出している」らしい。
実体化した霧は軽く、それでいてかなり硬い。
あだ名はハカセ(博之→ひろし→博士→ハカセ)。ロリコン気味、乗り物酔いしやすい、不器用。
367梓川 博之:2008/04/27(日) 21:05:31 0
あのメール―――異能者たちに送られた不可解なメールだ―――が送られてから、二日目の朝。

「…力を奪え、出来なければ俺は死ぬ、か。…ふざけんな……!」
一人の青少年―――つまり俺はある小さなビルの屋上で呟いた。
俺の名は梓川 博之。普通の高校に通っている、所謂異能者だ。
屋上で寝転がりながらあのメールの内容に怒る。

「……なんで俺をこんな事に参加させるんだ!?殺し合いでも何でもやればいいさ!
でも俺を巻き込むなよ!あー畜生、この大空も太陽も憎くなってくる」
そう。俺は戦いや死という部分に怒っているのではない。
自分をこんな厄介事に巻き込んだということに怒っているのだ。
ふざけやがって!
…青い空でも眺めてどうするか考えるか…。


……こんなことをしても始まらないし、兎に角動くか。
3分間考えた結果がこれだ。…仕方ないよな?
俺は立ち上がり、コートに付いた埃を掃ってビルの中に入る。
周りには黒い霧が集まってきていた。

「……何しろ情報が無いもんな…」
コツリ、コツリ…。
そして、俺の身体が完全に霧に包まれた次の瞬間――足音は消え、俺が居た場所には黒い霧だけが漂っていた。

黒い霧は分散せず、下の階へどんどん降りてゆき、一階の誰も居ない部屋にするりと入り込む。
その3秒後――俺はその部屋の扉を開けて出てきた。

「さて、と……何処行こう?」
368365:2008/04/27(日) 21:17:45 0
一応作ってみたんだがこれでいいのかわからん何かあったらいってくれ。


名前: 煌神 リン 
二つ名:火炎歌劇 
年齢: 9歳
身長: 秘密
体重: 秘密
種族: 不明
職業: 小学生
性別: 女
能力: 一定空間内に結界を張りその中で能力を使う結界がはれないときは火炎を操る
容姿: かわいらしい少女で紅蓮の髪で、金色の目をしている髪は長くポニーテール他の人格になると目が変わる基本は金
趣味: 昼寝、武術、
好きなもの: ウナギ、武術
嫌いなもの: トウモロコシ、泳ぐ事、虫、うるさいところ
キャラ解説: 多重人格で、一方はきつい正確だがもう一方は気弱、他にもいる可能性がある、変化のきっかけはそれぞれ
       今回の戦いに関してはまったく無知だが戦いに関しては幼いころから訓練されていた。
       性格は一人は気まぐれもう一人は気弱ほかは不明 
       文武両道、容姿端麗、一日一回はロリコンに声をかけられる名前がカタカナなのは、親のせい


こんなもんでいいかな・・・悪かったら言ってくれ、後どうやってはいればいいかもよろしく
369名無しになりきれ:2008/04/27(日) 21:25:50 0
なんか怪しいなあ・・・ とりあえずsageてね
370神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/04/27(日) 22:01:57 0
>>347
「お疲れ様です」
私は年配の先生方にいつも通りの挨拶を済ませ、帰宅することにした。
いつもより少し早い帰宅。

「たまにはコンビニに寄るか。」
確か国崎薬局という店の近くにコンビニがあったはずだ、そう思い向かっている時…

「おや?あれは…」
うちの学校の…桐北 修貴とかいう生徒だったな。
面識は多いとは言えないが、私の授業を受けている生徒の一人のはずだ。

「…待て、桐北は確か体調不良で学校を休んでいるはずじゃあ…」
その考えをしている最中、こちらに気づいたのだろう。驚いた目をして元来た道を全力で戻り始めた。
「怪しい…怪しすぎる」
自分で言うのもなんだが、私は生徒に恐れられていると思っている。
その私を見て逃げ出したのだ、何か後ろめたいことがあるに違いない。

「追いかけるか…」
私は逃げ出した桐北を追いかけ始めた、向こうもそれに気づいたのだろう
全速力で逃げ出した…が
「逃がさんぞ…!『重力指定(グラヴィティポイント)!』」
どこぞの悪役が言いそうな台詞を口にしながら私は桐北だけに重力をかけた
結果、突然体が重くなった事に対応できず桐北は見事に転んだ。
その隙を見逃さず私は桐北の前に立ちはだかった。

「桐北 修貴だな。体調不良と聞いたが…こんな時間に、そんな汚れた服で一体何をしているのかな?」
桐北の顔が青ざめているのが分かる、余程私に見つかりたくなかったのだろう。
その時、桐北が持っていたと思われる鞄が何故か気になった。

「私といえば…持ち物検査でも有名なのを知っているな?」
その言葉を聞いて桐北が鞄を取ろうとしたが、彼の体には重力がかかっているため
手を伸ばした時、鞄は私の手の中にあった。

「さて、一体どんな物が隠し…!?」
鞄の中を見て私は顎が外れそうになった…いや、外れていたのかもしれない。
一般生徒が鞄の中にこれだけの大金を隠し持っていたのだ、驚いて当然である。
これは詳しく話を聞く必要がありそうだ…。

「さて、この鞄の中身のことについて詳しく話してもらおうか…」
…桐北を見たときから…異能者に会ったときの反応もあるな…これについても聞いてみるか…?

【神重智:桐北修貴を捕獲(?) 桐北には重力がかかっている 異能者とは思ってないので戦闘意欲は0
 会話内容や行動によっては、桐北を異能者と判断する可能性あり。】
371若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/04/27(日) 22:10:13 O
「ごめんくださいなのです」
国崎薬局の店内には重苦しい空気に満ちていた。ふたりの大人が深刻そうな表情で決して友好的とは言えない視線を交わしている状況はこどもには耐えられるものではなかった。
「おとりこみ中失礼しました。大事な用じゃないんで帰ります」
「しょーた、帰ったらだめなのです。おじさん、しょーたのケガなおしてなのです」
立ち去ろうとする翔太の袖をつかむとこよみは店主らしき人物に話しかけた。
「ここは病院じゃないし、俺はおじさんと言われる歳でもないんだけどな」
店主はそう言いながらも少年の傷の様子を確かめていた。
「ガラスの破片かなんかで切れただけだな。消毒して包帯巻いておけば大丈夫だ」
新品の消毒薬で傷口を洗いガーゼと包帯で手際よく傷口に巻き付けていく
「痛ってぇなぁ、もう少し丁寧にしてくれよ」
「男なんだからそれくらい我慢しろ」
店主は少年につれなく返答すると現実的な話題に切り替えた
「治療費はおまけから包帯と消毒薬の代金で980円だ」
「はいなのです」
こよみが財布の中からクレジットカードを取り出すと店主の顔が変わった
「ブ、ブラックカード?」
ブラックカードはクレジットカードの中でも最上級のプレミアムカードで年会費だけでも10万円以上必要でクレジット会社からの招待でしか持てない最強のカードと言われる代物である。
「お嬢ちゃん、ごめんよ。この店じゃこのカードつかえないんだ」
「そうなのですか?」
困った顔をするこよみに店主は別の手段を提供した。
「じゃあ、お父さんの名前と連絡先を教えてもらえるかな?」
「おとーさんはいないけど代わりに誠一郎さんがいるのです。誠一郎さんは長束誠一郎というのです」
「長束誠一郎!?」
店主はその名を聞くと記憶の糸をたどる仕草をはじめた。


【若宮:店内で国崎の様子を見ている】
【国崎:聞き覚えのある名前を脳内検索中】
372廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/27(日) 22:34:15 0
俺は国崎から「七重の後を追え」と言う頼みを受け、店の外へでる。
時間にして約2、3分ぐらい遅れて出たせいか、七重の姿は見えない。
周りを見渡せば、路地がそこら辺にある。恐らく、この中のどれかを曲がったのだろう。
近くに人はいない。つまり、七重がどこに行ったのかという情報を聴くことは出来ない。
しかし、諦めるわけにも行かないのでとりあえず近くの路地に入ってみようとした、その瞬間。

「!?」

近くで何か派手な物音。
この音…日常生活で出てくるような音じゃあない。
もし車か何らかの音だったら、ブレーキ音が出るはずだ。しかし、そのブレーキ音は起こっていない。
つまり、何らかの人為的な行為による音。

(…まさか、戦闘?)

額に嫌な汗が流れる。
こんな所で、戦闘なんて正気かよ!?一般人が巻き込まれたらどうする!!
怒りが、体内にこみ上げてくる。一般人を異能者たちの戦闘に巻き込まないと決めたからだ…!

「ふざけんなよ…喧嘩するときは、場所を選びやがれ…!」

俺は、物音が方面に向かって走り出した。
人間どころか、自動車ですら出せないような速度で。

>>355
俺の速度は全てを凌駕する。理由は、異能力者だから。ただそれだけだ。
到着するのに必要な時間は10秒もいらない。5秒…そう、5秒あれば余裕だ。

俺が現場で視認した内容は、切断されたカーブミラーを構えた七重と、拳を振りかざしている見知らぬ男。
七重は異能力者だ。異能力者が一般人に負けるはずは無い。つまり、対峙している男も異能力者という事になる。
そして、俺が受けた頼み事の要約は「七重を護衛する」こと。
まぁ、正直言って護衛されるのは俺のほうなんだけど、そんなことはどうでもいい。
とにかく、今は七重に味方する!それだけだ!!
しかし、刀は作り出せない…ならば、徒手空拳しかない!!

「槍蹴ゥ!!」

俺は走ってきた勢いと速度を乗せ、一本の槍と化した飛び蹴りを男に放った。

【廻間 統時:戦場ヶ原に槍蹴を放つ】
373七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/28(月) 00:11:44 0
>355 >372
振り抜かれた凸面鏡は、過たず赤毛の核を打撃して、びりびりと振動した
飛び散る血液とガラス片が、陽に映えて輝く
吹き飛ぶ赤髪の男を横目に、若干ひしゃげた金属棒を杖にして立つ七重
その背には、先程の塀への衝突の痛みが残っており、
カーブミラーを振る際に上体を捻ったことで、悪化の体を見せていた

立てば打つ。立たねば去る
そう考える七重はしばし、倒れ込んだ男の着物の生地を観察する
その布地の綻びを数え始めたころ、赤髪が立ち上がった
高笑いを撒き散らして、仁王立ちになる赤髪
その立ち姿からは、あからさまな狂気が発散されており、
よもや悪鬼でも乗り移ったかと思わせるほどであった
それを目にした七重は、少々威圧されつつも、カーブミラーを肩へ担ぎなおす

>「吸い寄せろッ!!『ユニバーサルグラビテーション』ッ!!!」

叫ぶ赤髪の左手には、再び彼の黒球
それに向かって、七重の身体は文字通りに吸い寄せられて行った
その場に留まるべく踏ん張ろうにも、足は地から離れかけている
全身から汗がふき出した
成すすべも無く、何物かに吸い込まれるという体験は、
子供の見る悪夢にありがちな話だ

七重の身体が浮く。そのまま赤髪の元へ引き寄せられる
こうなれば、ええいままよという勢いで、
赤髪に近づき次第、再びカーブミラーを見舞ってやろうと決めた
接近する。間合いに入る。腕に力を込める
そのまま振り被ろうとしたが、いかんせん体勢が悪すぎた
空中に浮かんでいるので、踏ん張りも利かなければ、腰も据わらない
ポールは空を切って、その代わりに、
振りかざした赤髪の拳が、美しい線に沿って、七重の顔を打ち抜いた
手放された金属棒は、くるくると回転して空に舞うと、
けたたましい落下音を立てて、いずこかへ着陸した

ボロ布か何かのように吹き飛ぶ七重
またもや塀に打ち付けられ、だらりと地に突っ伏したが、
僅かな隙も見せまいとして、素早く立ち上がる
しかし、その顔面はしっかと左手で押さえられており、表情を晒すことはしなかった
指の間からは、濃厚な血液が滴っている
ダメージは、出血や骨折だけではない。一番恐ろしいのは、視界のブラックアウト
眼球と脳への甚だしい衝撃によって、七重の視力は、ほぼ完全に失われていた
それが一時的なものであろうとなかろうと、現在の状況において致命的な障害であることには違いない
そんな中でも幸いなのは、意識はなんとか途切れずに済んだことと、
下半身へのダメージは比較的軽微であること
それでどうにか、七重は起立姿勢を保っていられた
気合いだとか、根性だとか、そういった不確かなものが、今の彼を支えている

傍から見れば、これから七重が嬲り殺しに遭うことは想像に難くない
だが彼は、まだまだ闘える気でいる
眼が潰れれば、耳で物の響きを聴けば良い
耳を削がれれば、肌で風を感じれば良い
腕をもがれ、脚が砕けようと、牙を以って噛み付くくらいはできよう
いよいよ覚悟を決めた時、突然として凛々しい声が轟く

>「槍蹴ゥ!!」

何事かと驚く七重の胸には、一陣の疾風が吹き抜けたかのような感覚があった
374国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/28(月) 02:30:26 0
俺は火の付いていない煙草を咥えたまま、
腕を組み、氷使いの返答を黙って聞く。

今の条件付けは、相手の真意を計る物だった。
例えば、このような不利極まりない条件をそのまま飲んだ場合、
相手はこの交換条件を守る気が無い。即ち敵だという事が判る。
また、いきなり話を破談にするならば、それは三下過ぎる。
そんな奴との約束など無いに等しい。故に論外。
そして男はそのどちらも選択しなかった。それは即ち、
目の前の男が、交渉の席に立つことの出来る人物だという事を示していた。
(それはそれで性質が悪いんだがな……)
男の返答が終わって数秒後、俺はゆっくりと口を開いた。

「『機関』っつーのは、簡単に言えば『この世界を征服してる超巨大組織』の名前だ」
 
「胡散臭いのは解るが、まあ聞け。 ……この世界に存在する国家、組織、会社、犯罪集団。
 表裏も、善悪すらも問わず、ありとあらゆる組織に機関の構成員は潜伏している。
 その存在意義、目的、規模、いつから存在しているのかも一切不明。
 ある筋の情報だとだと、自分が機関の構成員だって知らないまま、
 機関の為に動かされてる奴まで含めれば、その構成人数は数百万、或いは数千万に
 なるって話だが……まあ、これは本筋には関係ないから別にいい。
 とにかく、世界規模の秘密結社。それが『機関』の正体だ」

そこまで言った後、更にに続ける。

「……と、ここまでは裏の世界にそれなりに関わった奴が、運があれば知れる情報だな。
 ――そしてここからは、十数年前、裏の世界の底の底まで沈みきった
 最低最悪のバケモノが、機関の「No10」とやらを倒して、拷問した時に得た情報だ。

 『機関』……奴らの基本的な目的は『異能者』だ。
 奴らが行う戦争や慈善活動、それは一見何の関係も無い用に見えるが、そのほぼ全てが、
 異能者と接触、研究、拿捕、勧誘する為に行われている。ある時は、戦争を引き起こして、
 人工的に異能者を開発する研究を行わせたり、またある時は、探し出した異能者を拉致して、
 解体してサンプルを作ったりと、目的は解らんが、とにかく異能者に対して貪欲だ。
 ……まあ、今回この街で起きている事なんかが解りやすい例だな。
 奴らの幹部はナンバーで呼び合っている様だが、拷問相手はそいつらの名前までは
 知らなかった様で、それは入手してない。
 つまるところは、異能者を狙う世界組織。それが『機関』だって考えればいい。

 ……一応忠告しとくが、『機関』に抵抗するのは構わんが、『敵』になろうとは
 考えないほうがいいぞ。大切な存在があって、それを無くしたくないのならな」

……そう。大切な存在を奪われたく無いのなら。
情報を収集して最近解った事だが、ずっと昔、ある少年が任務で守ろうと
していた少女を殺した組織も、機関の関連組織だったという、そんな話。
375国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/04/28(月) 02:31:43 0
>「ごめんくださいなのです」
しばしの沈黙が続いたあと、玄関先から子供の声が聞こえてきた。
「とりあえず、俺の知ってる情報はここまでだ」
俺はそういってから、店の玄関に立っている客。二人の子供達の方へ向かった。

――――――

「長束、誠一郎……また、随分と懐かしい名前だな」
俺は、その名前を出した少女の方を凝視する。
長束誠一郎――――それは、『贄』だった頃に出会った、敵であり友人の名前だった。

亜空の支配者、【冥界解体(アンノウンブレイカー)】長束誠一郎。
贄(ウロボロス)が、中東の戦場で傭兵として殺戮と殲滅と虐滅を行っていた頃に出会った
その存在を、俺は今でも鮮明に思い出せる。
能力を駆使し、あらゆる最強を蹂躙し、あらゆる無敵を打破していた俺の目の前に、
まるで怪物を討伐する英雄の如く現れた男。
長束誠一郎は、現れて数時間もしない内に、その二つ名の通り空間を支配する様な能力で
圧倒的に優勢だった筈の、俺の雇用先の兵士達を制圧した。
俺は、能力によって超強化された六感までの機能、持ちうる技術の全てを駆使して
まともに戦闘していたのだが……それでも、当てられたのは僅か一撃のみ。
その代価は、今も背中に痕の残る、俺以外なら即死だったであろう大火傷。
まさに燦々たる戦果だった。

だが、運命とは数奇なもので、その戦いが終わってから、
俺は暫くの間……俺がこの国に来るまで、何故だか長束誠一郎と一緒に行動する事になった。
そうなった理由はもう覚えていないのだが……とにかく、その日々は今、俺が
人間『国崎シロウ』として生きる上で少なからず必要だったと断言できる。

(……まあ、大方同名の別人ってとこだろうけどな)
俺がこの国に来て以来、長束とは会っていないのだ。世間は狭くとも世界は広い。
そうそう簡単に会うとは思えなかった。
俺は少女に「嬢ちゃん、その誠一郎さんに『小学生にはカードより現金を持たせる用にって
親切でカッコイイ薬局の店長さんが言ってた、国崎薬局をよろしく!』って伝えといてくれ」
と言った後、怪我をしている少年に耳元で、
「ボウズ、こういう時は男が金を出すと女の子の好感度アップだぞ?」
と囁いて、レジの前の椅子に座り込んだ。
376戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/04/28(月) 11:41:12 0
>>372-373
派手に吹っ飛んだ男に向かい、戦場ヶ原は静かにその距離を詰める。
これだけ痛めつけてやったというのに、当の男は悲鳴一つあげずにまだ立ち上がり、闘いを続けようとする。
大した精神力だ。常人のそれではない。
しかしそんな男の態度も、戦場ヶ原の怒りに油を注いだだけだった。
「その闘争本能には敬意を評してやる…。
だが残念ながら、これから始まるのは闘いではなくて一方的な虐殺だ…。」
満身創痍の男に対し、戦場ヶ原はとどめの一撃を食らわそうと左手をかざし、黒い光をともし始めた。

「・・・貴様の悲鳴を聞かせてくれよ!!!」

刹那。
すさまじいスピードで迫る鋭い殺気が戦場ヶ原の背中を襲った。。

>「槍蹴ゥ!!」

咄嗟に振り返ると、そこにはすでに目の前に槍の穂先が如き飛び蹴りが迫ってきていたのだ。
戦場ヶ原はその瞬間、体を数センチ横に反らした。鋭利な突き攻撃は、突点を僅かにずらすだけで回避が可能だ。
戦場ヶ原はそれを経験で体得していた。
(なんだ、コイツはっ・・・!?)
考えるまでもなく、それを邪魔者と認識した戦場ヶ原は、迷わず左手に宿したマイクロブラックホールに引力を発生させた。

「邪魔をォォ・・・・・ッ」
戦場ヶ原のすぐ横を猛スピードで通過した『物体』はその引力につかまり、人工衛星の要領でそのスピードのまま戦場ヶ原の周りを振り回された。

「・・・するなァァアアアアアアッ!!!」

遠心力のついた『それ』を、そのまま壁に叩きつける。
粉みじんに粉砕されたコンクリートブロックが、その『物体』のスピードを物語っている。
そしてその身体からは、また微量ながら異能者の気が醸し出されていた。

「・・・パワー馬鹿の次はスピード馬鹿か・・・。」

敵が二人に増えた。自分は片腕が無く、しかもパックリ割られた額からは依然と血が噴き出している。
・・・しかしそれらの要素はどれも、彼の「負ける理由」にはなり得なかったようだ。

「・・・誰であろうとかかって来い・・・。すべて俺が潰してやる!
俺は戦場ヶ原 天(あまつ)ッ!!!この俺が・・・最強だッ!!!」

天を穿つ勢いで男は吼えた。
その姿はかつて『機関』の虐殺部隊で『鬼神』と呼ばれた男…山田権六そのものだった。
377煌神 リン:2008/04/28(月) 18:31:23 0
空がまだ青い頃
―――私は一人小学校から出てくる

そして、私は、独り言を呟く、
「ねぇ・・・そろそろ動いてもいいと思うんだけど・・・」

それに呼応するように私の左眼が紅く変わる

私の年は9歳しかしその私は服装は学校から出てきたのもかかわらず
神社などに見かける巫女さんの姿である。

【何を言っている、もう二人やっただろう?】
「だから、二人じゃだめなんだって・・・それにあれは一般人、能力者じゃないと・・・」

私は一人で会話をしているように見えるだろう、そうもう一人の声は他のものには聞こえていない。
一人むなしく喋っているようにしか見えない。

【そうだな…でもおまえはいいのか?】
もう一人はわかりきった事を諭すような口調で言った。
しかし、私の口から出たのはもう一人の予想とは違う答えだった

「いいよ…お兄ちゃんを探すためならなんでもする。」
そう言って瞳を前に向けて前に立ちはだかる不良を私は見やる

「嬢ちゃんちょっと着いてきてくれるか〜?」
男は、人攫いの決り文句を言うが私は男の声を無視して
(そう…何でも…)と、こころの中で呟くと男の首を取った


こんな感じでどうでしょうか?
なにか不備があったらいってくだされ
378廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/28(月) 19:15:54 0
>>376
(避けられただとぉ!?)

俺の「槍蹴」は、言ってしまえばただのとび蹴りだ。
しかし、ただのとび蹴りとは言え尋常でない速度と鋭さがある一撃は、槍の名に相応しい威力を持っている。
一般人ならば何をされたかさえ気付くことはない。能力者といえども、ほぼ確実に当たる。
その一撃が避けられたとは…コイツ、能力者でも相当の使い手…!
「槍蹴」を避けられたため、空中で体を捻り姿勢を整える。

「うわっ!?」

だが、男がかざして来た左手に吸い込まれるように引き寄せられた。
俺は男の左手に吸い込まれ、振り回され、壁に叩きつけられる。
周りから見れば相当の衝撃だろうが…そこは大丈夫。
また上手く体勢を整え、受身を取り、できる限り衝撃を減らしたからだ。
体には叩きつけられたことによるダメージがあるが、この程度なら普段の修行のほうがもっとキツい!

(…しかし、今のは…まさか重力系操作か?)

叩きつけられた事によって粉々になったコンクリートの上で横になりながら、そんなことを考える。

(手をかざした…ってことは…手から重力を発するって事だな…
 不味いな、今が夜ならあの片手を斬りおとす事も出来ただろうが…刀は作れないし…)

俺は飛び上がり、服についたほこりや汚れを落とし、身構えた。

「あーあ、やってくれんじゃないの。まったく。
 重力系操作か?中々厄介な能力を持ってるじゃないか」

>「・・・誰であろうとかかって来い・・・。すべて俺が潰してやる!
俺は戦場ヶ原 天(あまつ)ッ!!!この俺が・・・最強だッ!!!」

男…戦場ヶ原が、雄叫びを上げた。
常人ならば、身がすくみ動けなくなるか瞬く間に逃げさるような闘気も発している。
だが…そんなのに怯む俺じゃあない!

「名乗りどうもありがとう…!俺は、廻間!廻間統時!
 お前が最強なら俺は最速だ!」

手加減して勝てる相手じゃあない。そろそろ本気で戦うときが来たんだな…!

「多重分身!!」

俺の速度と、特殊なステップによる分身が見渡す限り現れる。
この分身は、全てが真実であり、全てが偽り。
本物に当たるか分身を解くまでは俺自身にもどれが本物か分からない。

「行くぞ、被害者が出る前にとっととカタつけてやるぜェェ!!」

俺と俺の分身による疾風の攻撃が、一斉に襲い掛かった。

【廻間 統時:軽傷、多重分身による一斉攻撃を戦場ヶ原に仕掛ける】
379池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/28(月) 23:32:57 0
>>374>>375
しばらくの沈黙の後、男は俺の欲していた情報、『機関』について話し始めていた。
それが取引の成立を意味していたことは、言うまでもないだろう。
男が黙々と喋る間、俺は一言も言葉を発することなくその話に耳を傾け続けた。

────。

十分程経った頃だろうか、男は全てを話し終えたかのように口を閉じていた。
再び訪れる沈黙の時間──。
その間に俺は、男から聞いた話の全てを、頭の中で整理するのだった。

秘密結社ときて世界征服か……
まるでどこぞのライダーと闘う悪の軍団のようだな……。

いきなり目の前の男の言った突拍子も無い事を聞いて、
初め俺は、内心で時間を無駄にしたかと思わないでもなかった。
だが、それでも俺の中では、最終的にこの話を信ずるに至っていた。

……なぜ、『首謀者』は『異能者』同士を闘わせたのか。
男の話を聞いて、これまで不透明であったこの一件の根幹の部分が、
俺の中で徐々にハッキリとしていったからだ。

この男曰く、『機関』というのはとにかく異能者に拘り、
それは様々な方法となって表れる。話しが正しいとすれば、
この男の言うように確かに今回の一件はそれを裏付けるもののはずだ。
そう考えれば、少なくとも今回の一件での首謀者達の目的は想像がつく上、
更にその想像通りであれば調度話の辻褄が合うのだ。

異能者同士を闘わせれば、自ずと異能者の中で弱者と強者が生まれる。
能力が暴発=死 であるなら、弱者に待つのは決定的な死。
狙いがこの街の異能者を弱者と強者に『選別』することにあるのだとすれば、
つまり、この一件での目的は強者を出現させること……。

──『異能者と接触、研究、拿捕、勧誘する為に行われている』
俺の頭の中で、先ほどの男の言葉がこだまする。

……そうして生き残った強者を組織に連れ帰り、そこで解体して研究するか、
構成員の一員として雇うか、断れば洗脳して否が応でも従わせるか……
なんにせよ情報通りであれば、碌でもないことを企んでいるに違いない。
380池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/04/28(月) 23:40:54 0
頭の中で一つの結論を出した時、俺はこれまで貝のように閉じた口を開き、
沈黙を破るようにして言葉を発した。

「『敵になるな』……か。ご忠告は感謝しよう。
が、話を聞いて、ますますそいつらを片付けたくなった……」

そう言い終えた瞬間だった。突然、店の玄関先から声がしたのは。
それと同時に俺の右手が警告を発したのを俺は感じ取っていた。

──異能者! 異能者がこの店に……。

俺は警戒するように静かに後ろを、店の玄関を振り返る。
そこで俺の目に飛び込んできたもの、それは小学生と思われる二人の男女だった。

反応からみて異能者は恐らく一人、どちらかだが……なるほど、女の方か。
この様子では俺と『国崎シロウ』のどちらかの命を狙いに来たわけじゃなさそうだ。

女に敵意が無いことを悟ると、俺は二人の客をそっちのけで男に話しかけた。

「ところで、『そいつら』の居場所は知らないのか?
……いや、知っていることはあれで全てだったな」

「ああ……改めて言う必要は無いかも知れないが、『約束』は守ってやるよ。
灰色の髪の毛をした『池上』という名の大学生には関わるなと、
その仲間とやらに言っておくんだな。……じゃあな、店長さん」

言い終えると、俺は店の玄関に向かって歩き出した。
これ以上得るものがなければ、ここに留まっていても仕方がない。
『機関』のことはある程度は分かった。後は、そいつらが何処にいるか……だ。

……さて、どうするかな。
381小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/04/29(火) 02:05:46 0
名前: 小村禅夜(こむら ぜんや)
二つ名:絶滅魔神(ナパームカーニバル)
年齢: 28
身長: 174cm
体重: 59kg
種族: 人間
職業: 機関【ヤハウェ】の幹部(数字は謎)
性別: 男
能力:魔神「ゴッドバルト」を召喚させ戦わせることが出来る
ゴッドバルトは高エネルギー体「ゴッドブェルト」を操れる
ゴッドブェルトは自由に瞬時に形を変えられる、だが水をかけられると消えてしまう
またゴッドバルトを身につけて戦うことも出来る
容姿: 黒く長い髪をただ整えて後ろに流してるだけで特に縛ってはいない
青のスーツを着て、ネクタイも締めていつでも3☆レストランに行けるような正装
顔は凛としているが、何処か不機嫌そう
趣味: 読書
好きなもの:ワイン、チーズ
嫌いなもの: 辛いもの
キャラ解説: 機関の幹部なのだがいつも何処かに潜伏させられてる偉いのか偉くないのか微妙な人
しかも過去の経歴も謎だが幹部なだけあって実力は確か、でもあまり戦闘は好まない
今回はこの街の騒動の監視、調停をしに来ている

だいぶ厨設定ですけど がんばります
位置的に悪役なので皆さんの引き立て役になろうと思います
382小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/04/29(火) 02:33:33 0
コツコツコツコツ・・・・
路地の薄暗い細い道を固めの靴と地面がぶつかる良い音を奏でながら進む影があった
「また、このような任務ですか・・・」
少し落胆、少し諦めの混じった声で彼、小村禅夜は愚痴を誰にも言うわけでもなく呟いた

私の任務はこの地区の作戦の監視、調停が目的・・普段なら監視だけなはず
しかし今回は調停・・・弱者を減らし強者を集め、また特に目立った強者を機関に送還する作業を
する羽目になるとは・・ 

通常「調停」は戦闘現場派遣部隊の仕事だ
それ故、私のような幹部が出向くことはまずない(私はよく現場に派遣されますが
ということは、<通常>では無いことが起きたという事か・・面倒な・・・

確かにこの地区は他と比べ異能者の減りが少ない
上が設定期間を延ばすほどだ
しかし作戦変更は少なくはない・・・それに何回苦しめられたことか

プルル・・・・
唐突に彼のズボンの右ポケットから初期設定のままの簡素な電子音が鳴り響いた
「ピッ・・こちら小村」
「こちら情報統括部です、上からの命令を承ってます」
「よし、伝えろ」
「゛今から北東にある国崎薬局へ向かいそれから・・・」
「ふむ・・・よしわかった 今から国崎薬局へ出向く」
ピッ
国崎薬局・・ここからそう遠くは・・・ないか
彼はもとより早かった足先を国崎薬局に向け
歩を進めた
コツコツコツコツ・・・・・
383桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/29(火) 02:55:45 O
>>370
小石か何かに転んだだけかと思った
一般的なら速い方に分類される脚がパニックでもつれただけかと思った
だがこの違和感、この感覚はそんな生易しいものではない

「…ッ! 重、い!?」
体が重くなり締め付けられる感覚に襲われてるのだ
幸い呼吸や会話に支障が出るほどではないが、このままでは歩くことすら困難だろう
こんな有り得ない事が起こるということは、既に攻撃されたと考えた方がいいだろう
「(また、 異能者か!)」
自分には周りの気配を感知するなんてできない
博物館といい、今回といい、不意打ちで絶体絶命になるパターンが多いような気がするのは気のせいだろうか?

「さて、この鞄の中身のことについて詳しく話してもらおうか…」
そう…、今も正しく絶体絶命なのだ
転んでる間に追いつき30万を見つかる
想像していた最も考えたくない展開
いや、自分が異能者に攻撃を受けているからそれ以上…

(とにかく! なんとかごまかしてこの場を離れないとっ!)
384桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/29(火) 02:59:57 O
「き…、奇遇ですね神重先生〜
それですか? 実は今月生活費がヤバくて学校休んでバイトしてたんですよ〜
いや、悪い事とはわかってますし自分だっていい加減卒業したいですよ?
でも、背に腹は…、変えられない…と、いいます、か…」

自分の即興の言い訳もこの人はまるで信じてない目だ…、それでも教師かよ

ッ!
心なしか体の重みが増した気がする…
マズい、多分敵は自分が通りすがりに助けを求めていると勘違いしてる
一刻も早くここを立ち去らねば…

「ばっ、バイトって土木関係の仕事で、それで服がこんなに汚れちゃって…
今日は特に張り切ったから疲れちゃって…、
だから! 転んだんですよね! ハ、アハハ…
説教ですよね、 だったら学校行きましょうか?」

神重の反論を聞かず壁を支えに普段の数倍に感じる体重を起き上がらせ、学校の方に引きずるように歩き出す
無理矢理でもいい、ここを離れないと無関係のこの人を巻き込んでしまう
とはいえ、自分にとって損以外の何物でもない苦渋の選択
退学だけはなんとしても避けないと…
と、心の中で涙を流していたときだった

場所はわからないがそう遠くない所
そこから続け様に尋常ではない轟音が聞こえ
魂の底から震え上がらせるような(何と言っているかは聞き取れない)雄叫びが聞こえた

もたれていた壁ごとビリビリ振動を感じる嘶き 気を抜くと重さに負けてまた転びそうだ
神重を見ても彼も驚いた顔をしている。聞き間違いなんかでは絶対ない

「(今のは…自分を攻撃してるやつか?
いや、ならあの音に説明が付かない…
あれはそう…、まるで異能者どうしが戦ってるような…
…!!?)」

自分を狙ってる奴以外にも複数の異能者が近くで戦ってる
予想を遥かに上回る最悪の展開…!

「先生!
なんだがよくわかんないでしょうけど逃げて下さい!
ここは危険です! 最悪殺されます!」


声を荒げ神重に叫ぶ
頼む、何も聞かずに逃げてくれ…!
体がこんな状態では直接戦えば負け確実
クソッ、どうすればいいんだッ!?






桐北修貴:七重&廻間vs戦場ヶ原の騒音に動揺
     神重が異能者だとは全く気づいてない
385煌神 リン:2008/04/29(火) 13:54:21 0
私は一人(?)で道を歩く。
しかし他の人からみればただ歩いているように見えるが、実際は近くの異能者を探しているのだ。

近くに反応が多数…、しかもそのうちのひとつが近づいてくる。
好都合…そんな考えを頭に携えなおも歩く。
もとより今歩いているのは国崎薬局という薬局に向かってだ、そこに異能者の反応を多く感じ取ったのだ…。

敵はやはり異能者だった、男で髪はぼさぼさ、いかにも暗いイメージが付きまとう。
                    アシッドカルタシス
「俺の名前は岡 隆一。二つ名は 『禁断猟奇』 だ…ふひひ俺の餌食になるんだな。」
うわ!外見が暗そうだし、その上能力も暗そう!+喋り方も暗い。
実際こいつは私のことを能力者じゃないと思っている、そう、油断しているのだ。
岡…なまえ忘れたさんが能力を発動する。周りにいろいろなナイフがあらわれ、こちらに向き襲い掛かってくる。
私は微動だにせず見つめる。

それを死の前の恐怖だと勘違いしたなんとかさんは口をゆがめる。
しかし次の瞬間…。


(誰か絡みたかったらおねがいします。いなければ続けるのでww)
386戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/04/29(火) 16:07:08 0
>>378
「名乗りどうもありがとう…!俺は、廻間!廻間統時!
 お前が最強なら俺は最速だ!」
瓦礫の中から元気よく飛び出してきた急襲者の正体は、まだ年端もいかない少年だった。
壁に叩きつけられたというのに、大したダメージを負っていない。猫のようなしなやかな身のこなしがそうさせたのだろうか。
なんにせよ廻間と名乗った少年からもほとんど異能者の気が感じられない。
(すばしっこいだけのただのガキか…。)
戦場ヶ原の興味が湧くことはなかった。

「多重分身!!」

次の瞬間、少年は目にもとまらぬスピードでステップを踏んだかと思えば、たちまちその姿を何十と増やしたのだ。
「ほう。」
能力もなしにここまで出来るとは大した奴だ…。
しかし、戦場ヶ原の抱いたものは「関心」の域を出なかった。それもそのはずである。
ついゆうべのこと、分身能力を使う異能者と戦ったばかりなのだ。しかも実体を増やしていたそれに比べれば、
戦場ヶ原にとっては子供の児戯に等しいものであった。

「・・・貴様もついてねぇガキだな。」

数十人の廻間少年が同時に襲いかかる。だが戦場ヶ原は空の一点を見つめていた。
姿が増えても所詮は一人。連続攻撃はできても、多角攻撃を同時に仕掛けることは不可能なのだ。
戦場ヶ原は意識を集中し、目まぐるしく移動する一点の『気』を追った。

>「行くぞ、被害者が出る前にとっととカタつけてやるぜェェ!!」

刹那、数十人の廻間少年が一斉に姿を消した。
それもそのはずだ。「実体」の廻間少年の繰り出した蹴りを、戦場ヶ原が左手でしっかと掴んでしまっていたからだ。

「・・・軽いねェ。軽い軽い。・・・いいかゴミ虫。打撃ってのはなァ・・・」

血に濡れた戦場ヶ原の額に黒い光が宿る。

「こういうものを言うんだよォォオオオオオ!!!!」

咆哮と同時に繰り出される『頭突き』。
それもグラヴィトンハマーの数十キロ重圧のオマケつきだ。
少年の体はいともたやすく吹き飛ばされ、遠くに立つもう一人の『敵』にぶつかった。
戦場ヶ原の額の傷は再び開き、どばっと勢いよく鮮血が飛び出した。

「・・・この程度か・・・。この程度の痛みなど痛みじゃねぇ…。
俺が欲するのは巨大な力のぶつかり合い・・・。あの『女』だけだ・・・。その痛みをくれたのはッ!!」

戦場ヶ原は左手に特大の黒球を形成し、天に翳すと―――・・・

「もう能力ももたぬ貴様らに用はない・・。この街ごと地中の肥となりやがれ!!!」

それを勢いよく自らの足元へと叩き込んだ。
―――『グラウンド・ゼロ』
カタナ女との戦いで埋立地をまるごと破壊した、戦場ヶ原究極の能力だ。
この技が発動するまで1分半。
発動したらこの区画一体が地盤沈下によって破壊されてしまうだろう。

【戦場ヶ原:究極技グラウンド・ゼロを準備。準備中の一分半はその場を動けない。】
387200:2008/04/29(火) 17:10:12 O
廻間含め新キャラ描いてみた。

廻間統時http://imepita.jp/20080429/614150
永瀬翠http://imepita.jp/20080429/614720
神重先生http://imepita.jp/20080429/615010

こんな感じ?
388名無しになりきれ:2008/04/29(火) 17:59:28 0
GJ!!
他のキャラもおねがいする!
389名無しになりきれ:2008/04/29(火) 18:04:27 0
GJ!! 
永瀬カワユス
390名無しになりきれ:2008/04/29(火) 18:14:38 O
UMEEEE

大体イメージしてたのと似てるなー
ってか神重先生と永瀬この笑顔で相手殺すのかよ…こぇぇ
391七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/29(火) 19:58:10 0
>378 >386
会話を聴くに、只今の乱入者は廻間統時青年であり、
彼の赤髪の着物男の名は、戦場ヶ原天というらしい
いかな理由と経緯があってのことは知らないが、
一対一の立ち合いに水を差すとは何事か
七重の心には、統時青年への不満が沸騰していたが、
彼の姿を視認することもできぬので、睨みつけてやる事も出来ない

唐突に、偉大な空気の揺らぎが起き、
七重に向けて何物かが飛来する
感覚のみでそれを察した彼は、咄嗟に己の顔面から左手を離し、
両腕を用いて、その物体をしっかと受け止めた
掌を撫ぜる衣擦れの感触は、恐らく着物のそれではない
廻間の方か。血に塗れた両目を開きかける七重には、
非常に薄ぼんやりとではあるが、負傷に脱力する統時青年の影が見えた

七重は、統時青年を地に立ち直らせると、彼に向けて何やら呟いたようだが、
その口から零れるのは紅い泡ばかりで、聞き取れるような言葉を発することはなかった

>「もう能力ももたぬ貴様らに用はない・・。この街ごと地中の肥となりやがれ!!!」

戦場ヶ原の大音声によって、七重は彼のおおまかな位置を察知した
そして、その声の発せられた方角へ向けて、全身全霊を脚に込め、駆けだす
現在の眼の状態では、敵影をまともに認識することはできぬだろう
ならば鼻を以って、奴の血の臭いを辿るのだ
自分のでも、すぐ傍らにいる青年のものでもない、
あの赤髪の肉体から漂う、煮えたぎるような血臭を捉える

戦場ヶ原との距離がかなりに近まったところで、
七重には、その姿が充分なほど感ぜられていた
体温、闘気、あるいは存在感そのものが、ひしひしと七重の肌を打ちのめす
それに臆することも無く、七重は猛牛よろしく、人の皮を被った赤毛の鬼に飛びついた

狙うのは、フロント・チョーク
その気になれば、相手を容易く絞め殺すことのできる、超実戦的極め技だ
視力がアテにならぬこの状態では、打撃には頼れない
ならば、相手を捕らえさえすれば、どうにでもなる絞首技に限る
そう考えての選択であった

勢いに任せて、正面から戦場ヶ原に掴みかかり、勘を頼って頭部を探り出す
右腕でもって彼の頸部を自分の脇へ抱え込み、
左腕も同じく、彼の右上腕部付近を掴む
そのまま腰を入れ、戦場ヶ原の身体を持ち上げるようにして、首を絞め付ける
この間、わずか五秒も無い。光を失った状態で、実に素早い動作であった

しかし何の因果か、戦場ヶ原が地面につくった血溜まりにより、
七重は足を滑らせ、大きくバランスを崩す
その弾みで、腕のフックが外れてしまい、戦場ヶ原を宙へ投げ飛ばす形となった

終わった。もはや追撃は不可能
戦場ヶ原は、これから一分の隙も見せぬであろう
地に倒れこむ七重には、これからの戦法を考える余裕は残されていなかった
392永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/04/29(火) 21:05:47 O

「ぎゃぁぁぁぁっ…!」
長い髪をたたえた美女が、到底似つかわしくない醜い断末魔の声を上げた。

その傍らには先程まで彼女の右腕となって戦っていた水の精霊が、最早只の液体となって広がり、
彼女の胸から流れる血と混ざり合い紅く染まっている。

そしてその胸には、純白の立方体の、鋭利に尖った一角がぐさりと突き刺さっていた。


「『水霊十字』、かぁー…。
ネーミングが格好良かったから何気に期待してたのにな、あぁーあ…」

翠は溜め息を吐き、上に手を翳し、すぐに降ろした。
巨大な箱が瞬時に美女を押し潰す。

さらにその箱は、翠の手の動きに合わせ、美女の死体を地面に擦り込んでいった。


この事後処理も、今日は5回目である。

今朝一番に殺した異能者から聞いた薬局を翠は探し続けていた。
だが、何の手掛かりも無くたった一日で探し出すにはこの街は広すぎ、代わりに見付かるのは異能者、それも組織に送る価値の無い雑魚ばかり…


「つまんない…ふあぁ」
欠伸を一つし、翠はすっかり黄昏た街を再び歩き出す。
このままでは、一人も異能者を捕まえられずに終わってしまいそうだ。
いくら正式に期間の延長が決まったからと言って、油断は出来ない。


それに何より、翠自身が退屈しているのだ。雑魚をたった5匹では、暇潰しのルービックキューブ代わりにもならない。

「どっかに居ないかなぁ…潰したくなるような超強い異能者さん…ふわぁ」
また一つ。
393永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/04/29(火) 21:10:52 O
>>383
突然、凄まじい轟音が辺りに響き渡る。

「ひっ…!!」

一瞬翠は身を竦めたが、すぐに立ち直ると、道を駆け出した。

今の音の中に、空気の震えとは違う、微妙な痺れを感じたからだ。
即ち、異能者がもたらす「力の痺れ」である。

「只の音だけでこの感じ…!
すっごいよ、絶対超強いじゃないですかー!!」はしゃぎながら走る。


幾らも走らないうちに、翠は二人の人間に出会った。

一人は大人。眼鏡を掛けネクタイを締め、いかにも社会人である。
一人は少年。なぜか白髪になぜか服が汚れ、まるで疲れているかの様に壁に寄り掛かって立って居る。

そして、どちらからも共通して、異能者の反応。
翠はその二人を見ると、ニッコリと満面の笑みを向けた。

組織の中で『永瀬式営業スマイル』と呼ばれるその笑顔は、翠が直感で「この人は良い、超ヤバい」と思った者にのみ向けられる。

つまり、この笑顔が意味する物は、
『翠の本気の大当たり予告』なのである。


「すいませーん、さっきの凄い音、キミ達ですかー?」
笑顔を絶やさぬままに質問する。


「まぁどっちでもいっかー。
こんな凄い人達に会えちゃったんだもんね、翠超ラッキーじゃーん」

言いながら両手を突き出した。

何もなかった白い掌に、一つ、また一つと黒い立方体が現れる。

合計で6つほど現れたそれらは、その角を軸に独楽の様にくるくると、翠の手の中を遊んでいる。


「じゃーまずは、私に見せて下さいねー…キミ達の能力を」

翠の手が少し下がった。

刹那、立方体が方々に飛び散る。
いや、散ってはいない。二人の異能者に向かって、放物線を描いて飛んで行くのだ。
高速回転しながら向かって来るそれは角が鋭く、まともに当たれば確実に肉を抉って通り抜けるだろう。
高速で降りかかる立方体は、さながら流星群の様だ。

「立体彗星(シューティングダイス)でぇーす」
翠は未だ笑顔のままだ。

【現在地:街中】
【薬局付近の戦闘の音を聞き付け向かう途中、桐北&神重に出会い、攻撃を仕掛ける】

(話が思い付かないので、勝手に割って入っちゃいました
すいません…)
394神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/04/29(火) 21:36:44 0
>>384

「き…、奇遇ですね神重先生〜
それですか? 実は今月生活費がヤバくて学校休んでバイトしてたんですよ〜
いや、悪い事とはわかってますし自分だっていい加減卒業したいですよ?
でも、背に腹は…、変えられない…と、いいます、か…」

桐北の言い訳が始まった。素直に言えばいいのに…
卒業したいというのは本心だろうが、バイトというのは明らかな嘘だろう。
教師をしているとなんとなくだが、どれが本当でどれが嘘かはすぐ分かってしまう。悲しいものだ。

とりあえず、嘘の代償として桐北の重力をさらに増加させたのだが…

「ばっ、バイトって土木関係の仕事で、それで服がこんなに汚れちゃって…
今日は特に張り切ったから疲れちゃって…、
だから! 転んだんですよね! ハ、アハハ…
説教ですよね、 だったら学校行きましょうか?」

桐北の言い訳は止まらないどころか、学校で向かい始めるという謎の行動をし始めた。

攻撃してこないところを見ると、桐北は異能者の察知能力が0なのだろうか?
それならば、攻撃してこないで下手な嘘をついてるのにも納得できる。
私は桐北に話しかけようとしたが、既に学校のほうに歩き始めていた

「軽くとはいえ…あの重力を体に受けて動けるとは…やはり桐北も異能者だったか。」
ここで私の桐北が異能者だという事に確信を持った。

だが話を聞かなければ始まらない、声をかけようとしたその時―――
そう遠くは無い場所から、轟音と男の叫び声が聞こえてきた
…これだけの力を持つ異能者が近くにいながら察知できてないとは…私もまだまだか。

桐北を見るとこちらを向いて驚いた顔をしている。恐らく私も同じような顔をしていたのだろう。
そして桐北が次に言った台詞とは…

「先生!
なんだがよくわかんないでしょうけど逃げて下さい!
ここは危険です! 最悪殺されます!」

…お人よしにも程がある。私を異能者だという考えは思いつかなかったのか、彼は必死に私に呼びかけてくる。
仕方が無い、正体を明かすとしようか…。
395神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/04/29(火) 21:40:06 0
>>393
その時だった。
「すいませーん、さっきの凄い音、キミ達ですかー?」
笑顔で一人の少女がこちらへ尋ねてくる…ということは…こいつも異能者か…!
「まぁどっちでもいっかー。
こんな凄い人達に会えちゃったんだもんね、翠超ラッキーじゃーん」
翠という少女の前に黒い立方体が現れる。1…2……合計で6個。
6個の立方体が翠の回りを飛んでいる。

「じゃーまずは、私に見せて下さいねー…キミ達の能力を」
明るく、そして冷たい声。恐らくかなりの人間を殺してきただろうと直感で判断する。
笑顔で翠は言う
「立体彗星(シューティングダイス)でぇーす」
翠が手を下ろすと謎の立方体は高速回転をしながら、こちらへ向かってくる。

「こんなときに…!」
ひとまず桐北の重力を解く。だが突然重力から開放されたからだろうか、動きが鈍い。
アレをまともに喰らったら…即死とまではいかないかもしれないが、恐らく致命的な一撃を受けるだろう。


だが幸いにも立方体はある程度固まっていてくれたので、まとめて重力空間で捉えることができる。
「『重力空間』(グラヴィティスペース)」
空間に重力をかけると全ての立方体が地面に叩きつけられ、消滅した。

「桐北…とりあえず、共闘といこうか。」
状況がまったく飲み込めていないであろう桐北に、言葉をかけた。
さて…桐北がどう動いてくれるかな…。

…地面がさきほどから小さく振動している気がするが、気のせいか?
逃げる準備もしておかないとな。桐北を置いて逃げることはできないが。

【神重智:永瀬と戦闘開始 桐北と共闘を試みる
     逃走経路を考え始める】

>>387
絵師様ありがとうございます!
髪の毛はもーちょい長いかもですが、それ以外はほぼイメージどおりです!
396廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/29(火) 22:31:27 0
>>386>>391
「…おいおい、マジかよ」
戦場ヶ原が俺の脚を左手で掴んでやがる。
…やはり本来刀を使用して行うこの技を刀無しで行うのは無理があったか?

>「・・・軽いねェ。軽い軽い。・・・いいかゴミ虫。打撃ってのはなァ・・・こういうものを言うんだよォォオオオオオ!!!!」


俺は脚をつかまれ宙吊りになったところを、がら空きになったボディに頭突きを食らい吹っ飛ばされた。
やたらと重い頭突きだ…重力でも付け加えたか…?
『く』の字になって吹き飛ばされたところを、偶然にも直線上にいた七重に受け止められる。
七重に受け止められた俺は、地面に立ち直らされる。
かなりのダメージを受けたせいか…足が、辛い。
横を見れば七重が何か言っている。だが、何を言っているか分からない。

(なんでこう…相性の悪い相手ばっか当たるかなー)

火球を操る斉藤、部屋一面を凍りつかせる氷男、そしてこの戦場ヶ原…
どれもこれも、俺とは相性が悪い上に強いヤツばかりだった。
俺は自らの運の悪さを呪った。
…まぁ、斉藤は馬鹿だったが…

(…なにか…何か…手は…
 …ん…斉藤…?…鬼神炎球!)

何か反撃の手段はないかと模索していると、頭の中に浮かんだのは斉藤から奪取した能力名。
俺はこの技のことをすっかり忘れていた。
何故、この技を忘れていたか。
その理由は、俺は剣闘戦を得意としており鬼神炎球は火力は望めなかったからだ。
しかも、能力を奪ってから初めて戦った男はあの氷男。
ただ速くて熱いだけの火球など、通じはしなかった。
そのため、俺は頭のどこかに能力を封じ込たというわけだ。
まあ「炎」としての温度と弾の弾速は、目を引くものがあるのだが。
そして、弾速が速い、それはつまり貫通力があるという事。
まぁ弾自体は火球なので、貫通はしないが当たれば相当痛いはずだ。しかも、火傷か引火のオマケつき。
…今名付けるならば、鬼神炎球ではなく火球機関銃といったところか。
同じところに打ち続ければ、アイツとは言えタダでは済まないだろ…!

(…格闘は見切られちまう…剣は作れねえ…だったらこいつに賭けるしかないか…)

見れば戦場ヶ原は七重に空中に投げ出され、体勢を崩している。
しかも相手は宙を舞う能力を持っていない。
アイツをさらに宙に蹴り上げ…狙いやすくなったところに鬼神炎球を打ち込めば…!
俺は、力を振り絞り戦場ヶ原に近づき蹴り上げる。
案の定体勢を整えられていなかった戦場ヶ原は俺の蹴りを受け止められなかった。
宙に浮く戦場ヶ原は…至極狙いやすい。
俺は両手の指先を戦場ヶ原に向ける。そして、狙いを定めこう言い放った。

「鬼神炎球…いや、火球機関銃(ファイアーマシンガン)…発射!」

指先放たれたのは、文字通り炎の機関銃。
俺の両手全ての指先から絶え間なく放たれる無数の炎が、戦場ヶ原に飛んでいった。
397戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/04/29(火) 23:19:43 0
>>391>>396
油断していた、などという言い訳は通用しない。
戦場ヶ原の敗因はたったひとつのシンプルな答えだ。
ただ彼らを『見くびっていた』こと―――。

――グラウンドゼロの起動が完了するまでマイクロブラックホールを出すことは出来ない。
それを本能で悟ったのか、敵のうちのガタイのいい方が間髪入れずに突進してくると、
獣のような動きで戦場ヶ原の首をガッチリと捕らえた。
「このッ・・・!!悪足掻きをォッ・・・!!」
しかし男の頑強な腕は戦場ヶ原の力ではぴくりとも動かない。その腕は完全に戦場ヶ原の極めている。
まずい・・・。このままでは意識が飛ぶ―――
幸運にも男が血だまりに足を取られて派手に転び、それと同時に腕の拘束は外された。
しかしその勢いで戦場ヶ原の体は大きく宙へと投げ出されてしまった。
(チッ・・・あぶねぇ・・・。あやうく持ってかれるところだったぜ・・・。
だがもう奴に追撃する余力はねぇ・・・。俺の勝ちだ!!)

しかし――――

バキィッ

鈍い音とともに戦場ヶ原の顔が歪む。
着地点に待ち構えていた廻間少年の脚が、戦場ヶ原の右顔面を鋭く打ち抜いたのだ。
「がはァッ!?」
今一度宙に舞いあげられた戦場ヶ原が次の瞬間目にしたものは、幾千もの紅く瞬く閃光だった。

「鬼神炎球…いや、火球機関銃(ファイアーマシンガン)…発射!」

おびただしい数の火球のすべてが戦場ヶ原めがけて放たれる。
馬鹿なッ・・・奴の気からはこんな能力があるとは気づか――――・・・
考える暇などない。戦場ヶ原は反射的に防御を取ろうと、『バキュームディスチャージ』を形成しようとする。
(出ろッ・・・出ろッ・・・。出やがれェェエーーーッ!!!)
その瞬間左手に黒球が生じ、そこに火炎弾がつぎつぎと吸い込まれていく。
(・・・やったぞ!!)
黒球が出せたということは、グラウンドゼロの準備が完了したということ。
戦場ヶ原の表情は勝利の愉悦に陶酔したそれへと変わり、同時にバキュームディスチャージを解いた。

しかし、戦場ヶ原は、よほど勝利の女神に嫌われているらしい。

火炎弾をしこたま吸い込んだバキュームディスチャージは膨張し、球形の空間に押し込められた炎は高密度に圧縮されていた。、
それを解いたのだ。当然、炎は新鮮な空気を求めて爆発的な燃焼を起こす。
そう、『バックドラフト現象』―――・・・

「が・・・あぁ・・・・がッ、ああああぁあぁぁぁあああああああ!!!!!!!!」

戦場ヶ原の体はたちまち爆炎に包まれた。なぜこの男は気付かなかったのか。
空気を吸い込むことで防御壁を作る自分にとって、『炎』こそが最大の弱点であったことに―――・・・
それもすべて、彼の慢心が生んだ結果にすぎないのだ。

声高らかに暴虐の限りを尽くした孤高の暴君は、今、自らの歯牙にかかり、沈んだ。


【戦場ヶ原:敗北(全身火傷の重体で意識を失う)】
【グラウンド・ゼロ発動阻止に成功】
398小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/04/30(水) 00:26:46 0
歩くに連れてすこしずつ明るくなっていく路地を小村は歩いていた
ちなみに彼が路地ばかりを歩くのは人通りを歩てると正装のせいで目立つためである
服を変えればいいだけなのだが彼はそれを断固として嫌がる
戦う相手には最大限の敬意を払う それが彼のルールだ

しかし今はそれは関係ないこと、目的地に向かい歩き続けていると
「へへ、兄ちゃんもしかして異能者・・・だったりする?」
後ろから声をかけたのは見たところまだ小学生の低学年ぐらいの少年だった
「ほう・・坊や、私に気づきましたか 極力ばれぬよう力を抑えていたのですが・・」

少年はまるでほめられたかのようにニンマリと笑い
「うん!!僕の異能<呪われし少年(ティーンエイジタナトス)>の能力
僕の運動能力や五感を通常の3倍にするの!!」
3倍・・・とは言ったものの所詮小学生だ
そこまで苦戦するほどのものでは無いか
「でもねえこの能力を使うとねえ・・・なっちゃうんだよ・・」
?小村の頭にクエスチョンマークが出た
「もと゛格闘技元チャンピオン゛で67歳のじじいの体から子どもの体にねえ!!」

刹那、彼がそこから消えた
   否
懐にすべりこんできた
ドンッ!!!
強力なストレート 小村はハンマー投げのハンマーの如く軽がるく飛んでいき
積んであった木箱にあたり砂煙を巻き上げた

「んんん〜〜〜〜〜、やっぱりいいねえ若いって!!
で、どう!?元格闘技チャンピオンのこの古河谷修治様の打撃力と
小柄な体で放つ『音速パンチ』の威力は−−−−!?」
砂煙が晴れてきた しかしそこにあったのは木箱から漏れ出てるウィスキーのみだった
「!?」
信じられないという顔をした少年を後ろから
首根っこを捕まえた

「あなた、馬鹿ですか?打撃というのは己の体重にも関係します
いくら元々の打撃が強くそれを3倍にしても少年の体では威力は半減しますよ」
少年・・古河谷はその事実よりほかの事に驚いていた

手を振りほどけない!!
確かに打撃なら体重やその他諸々がいるだろうけど
ただ手も引き離そうとするのは純粋な力だ
それが・・・引き離せない!!
399七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/30(水) 00:50:07 0
>396 >397
爆音。続けて、戦場ヶ原のものかと思わしき叫声
それら二つがないまぜとなって、しばし七重の鼓膜を揺るがす
何が起きたのか分からないまま、とりあえず立ち上がる
そんな彼の視力は、呪縛が解けたかのように、静かに回復を始めていた
あのブラックアウトは、強い衝撃による一時的なものであったようだが、
骨折、出血などは、そう都合良く治癒してくれそうもない

漠然とした視界に映ったのは、
まず、消し炭になりかけている戦場ヶ原
その特徴である赤髪や着物は、恐らくは先の爆発に焼かれたようで、
あちこち黒く焦げ付いており、はたと見た七重には、すぐには彼だと識別がつかなかった
視線を動かし、次に眼に入ったのは統時青年である
はっきりとは見えないが、なにやらやり遂げたような爽やかな顔つきであった
他に見えたのは、小道に点々とできあがった紅い水溜りだとか、
何物かの衝突により破損せられたらしい石塀など、
惨憺たる状況の演出に長けた物ばかりであった

それにしても、なぜ戦場ヶ原が勝手に燃え尽きてしまっているのか
考を弄す七重の頭に、「ファイアーマシンガン」という、統時青年のものらしき声が蘇る
学の無いなりに、七重にも、それが炎の機関銃を示す英語だという事は分かる
これらから察するに、恐らくは、統時青年が戦場ヶ原を焼き払ってしまったのだろう
そう決め付けた七重は、一応は状況の整理がついたので、
ようやく左手で己の耳たぶを弄り始めた

うつ伏せる戦場ヶ原をしげしげと眺めながら、
統時青年に近づき様、声をかける七重

「・・・聞こえてなかったのか」

地獄の底から昇って来るような、
いやにドスの利いた、それでいて良く通る声であった
しかし、いまだにその口からは血の泡が吹き出しており、それほど格好はつかない

「あれは、手を出すな、と言ったんだ」

あれというのは、統時青年を受け止めた際に発した言葉の事だ
七重としては、立ち合いを邪魔した統時には、
拳骨の一つや二つ食らわせたいところであるが、
結果として、彼の行動により命を救われたようなものなので、
どうにも手を出せずにいる

「・・・こいつをどうする。捨て置くのか」

その眼光の先には、身体のあちこちから煙を漂わせている戦場ヶ原の姿がある

「俺はどうでも良い。戦いが終われば、他人だ」

冷たい言葉。悪意は無いが、慈悲も無い
横目にて、統時青年の横顔を観察する七重
その視線は、何を訴うるでもなく、必要以上に無機質を保っている

【視力、まずまずの回復】
400小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/04/30(水) 00:55:29 0
>>398
「ん?手が引き離せないことに気がつきましたか
不思議そうに思ってますね
じゃあ、分かるように種明かしを・・・・」
ズズズ・・
小村の体が黒く変色していく・・
さらに鎧や角までついたその姿はまるでどこぞの神話に出てきそうな
魔神だ・・・

「ふふ、これは<魔神ゴッドバルト>私の忠実なる僕(しもべ)です
通常は召喚して操るのですがこのように体に装着することも可能です」
冷静かつ、余裕のある声が自身の能力を説明した
しかしまだ古河谷は納得できないという顔をしていた
「それで・・・」

ポイ
小村は古河谷を先ほどの木箱に向かって投げた
「いったあ!!な、何しやがる!!」
しかしそこで彼は気がついた自分に大量についた
ウイスキーを
「これが高エネルギー体<ゴッドブェルト>」
そういうと小村の指先に紅く輝く光球があらわれた
「これは変幻自在に硬さ、姿を変え、相手を攻撃する・・・そして」
ヒョイ
小村はそれをウイスキーの海に投げ入れた
「とても熱い」

その瞬間小規模な爆発が路地に起きた
ボン!!
「かは!!・・・・・ぐ・・・・こ・・の・・・や・・・ろ」
「へえ、それでも動けますか、まああの程度のウイスキーなら
ありえますか 己の固さも能力であがっていそうですし」
「う・・・・うおおおおおお!!」
やけを起こした古河谷が今にも砕けそうな足を動かし突進してくる

「ふう、これで詰み・・・チェックメイトです」
<ゴッドブェルト>で剣を作り出すと
シュッ!!
体を横に真っ二つにしてやった
「ごふぉ!!てめ・・・ガキを殺して・・・心がいたま・・・くっ・・ね・・え・・・のか・」
死ぬ間際、人生最後であろう疑問を問いかけると小村はあっさりと
「弱者は排除が任務ですし・・・それに」
すでに死んでいる古河谷に言い捨てる
「弱くて、生意気なガキは嫌いです」
軽蔑するかのようで目で死体を見ると<ゴッドブェルト>で
死体を火葬し、その場を去っていった
目的地の国崎薬局に向けて・・

【小村禅夜:古河谷を倒し、国崎薬局に向かう】
401桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/30(水) 02:17:26 O
体の重さ…
いや、重力が元に戻ったかのは一概にホッとする清々しいものというわけではなかった
必要以上に力んでいた脚部が急に解放されたことにより、その力の矛先を見失い
結果、また転んだ

だが、転倒による擦り傷や更に汚くなった服の事を気にしてる余裕はない

「立体彗星(シュティングダイス)でぇーす」
謎の少女のまわりに突如現れた黒い四角
それらが不気味に回転しながらこちらに迫ってきたのだ
うつ伏せから上半身を起き上がらせた今の姿勢では避けることも逃げることもできない

「うわああぁぁぁ!!?」
「『重力空間』(グラヴィティスペース)」

自分の叫びに混じり静かに聞こえる神重の声
それに反応するように途端に失速した四角形は
一部分の歩道のコンクリートと共に押しつぶされ、消滅した

物を押し潰すあの力、そして『重力』って単語…
「さっきまでの…、先生だったんですね
噂の正体…、 今まで授業で悪用してましたね?」
悪態を付きながらひとまず立ち上がり目の前の少女に向き合う

なんて…、怖い笑顔だ
あっちの攻撃は不発に終わったはずなのに
むしろ、それが期待通りのお宝を見つけたような嬉しそうな、歪んだ笑顔

出来ることなら、今すぐ帰って寝たい気分
が、案の定逃げられる雰囲気でないな…
402桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/04/30(水) 02:22:46 O

「桐北…とりあえず、共闘といこうか」

隣に並ぶ神重が冷静に、そして通る声でこちらに交渉を持ちかける
得体の知れない人物の攻撃、1人より2人の方が確実なのは確かではある

だが、忘れてはいけない
神重は自分に対して、能力を発動させたこと
つまり、目の前の人物の目的が何であれ敵でない保証がどこにもないのだ
そう判断し、2、3回のバックステップで2人に距離をとる

「先生、悪いけどまだあなたを信用してない
いきなり攻撃したんだから文句言わないで、くださいねっ!」

会話の相手は神重だが、左腕からだされた雷は目の前の少女を正確に狙った
不意打ちするため、技名を唱えることはできなかったが
常人なら耐えられる代物じゃないはずっ!

ま、相手常人な訳ないから無事なはずだよな
相手の出方を伺う為にひとまずこの技は発動させるかっ!

「『蓄電』[チャージ]!」
掛け声と共に体中に雷光が轟きだした

「だから先生ヤバくなったら迷わず逃げますからね!」





桐北修貴:永瀬 翠に対し雷撃を放つ
神重の共闘の申し入れには非積極的
403梓川 博之 ◆rEy7LULhaw :2008/04/30(水) 16:27:22 0
あれから少しばかり、俺は当ても無く街を歩き回った。
特に情報も無いしな。
その結果。


「此処何処だぁぁぁ!!」
人通りの少ない路地、俺は独り空しく空に向かって吼えた。
おう、そうさ!迷 っ た ん だ よ こ の 野 郎 !!
いつもは行かない方に足を伸ばしたせいか、既に見知らぬところに来てしまった。
近くの地図を確認しても見当違いの方向にしか行けない…。
いや、俺は別に地理が苦手というわけではないが。

「はぁ…兎に角、どうするか……」
能力を使って上から眺めるのが良いだろうが、誰かに使用場面を見られたらまずい。
かと言ってこのままふらふらと歩けば街の外にすら行きかねない。
とりあえずもう一度、近くの地図を見てみよう…現在地の把握すら出来ていないもんなっと。
「えー、現在地此処で……あっちが薬局」

俺がそう呟いた瞬間。
とてつもない轟音――爆音だろうか――が耳に響く!
「!!?うおぁぁぁ!!」
驚いて一瞬思考がフリーズする。

――だが、次の瞬間には冷静に分析し始める。
轟音の正体は…工事なんかじゃないだろうな。
銃声でもない。
そもそも日常によく聞く音じゃない。
だとすると…異能者の戦い!?
「まずい!離脱だ!」
そして路地を駆け出し―――

すぐに戻った。何故か?
こちらでも戦いが始まっていたからだ。
「ま、マジかよ…!なんで近くで二つも争いが…?」
異能者同士の戦いは稀にしか見たことが無いというのに。
あのメールが原因か?

「…挫けそうになってきた……戦いかぁ…」
そういえば俺も戦わなきゃいけないんだよな…ん?
「……もしもの為に、戦い方でも勉強するのも手か…よし。
そうと決まれば…周りには誰も居ないな」
シュゥゥ…。
黒い霧が俺の周りに立ち込める。
「…『霧ノ存在(フォグ・ズィステンス)』 」
完全に俺の身体が見えなくなると…霧は上がり始めた。
そして、下にある筈の俺の姿は無かった。
何故なら、俺は霧と『同化』していたからだ!

…俺は先程の戦いの近くの建物の上に到着すると、すぐに同化を解除して元の身体に戻り、様子を見下ろした。
「……2vs1かぁ…あ?もしかして、あの二人は…!?」
見覚えがある。
重力教師こと神重に、いつかの時ノートを借りた覚えがある桐北だ!
「ちょ…おいおいおい見つかったらサボりだってばれるってかあの二人異能者だったのかよ!
…ま、いっか。これをネタにして脅せるかも、だしな♪」


【現在地:神重、桐北、永瀬の近くの建物の屋上】
【梓川 博之:3人の戦いを眺める】
404廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/30(水) 17:29:23 0
>>397>>399
俺は、ただひたすらに炎を撃ち続けた。
戦場ヶ原が黒球で炎を吸収しようと、関係ない。
今の俺にはこれしか方法が無いからだ。
それが幸をなしたのか…凄まじい爆炎が戦場ヶ原から生じる。

(なんだ、爆発…!?)

一瞬何が起きたのか俺には分からなかった。
そして、爆炎から生じた閃光のせいで俺の視界は一時的に白く焼きつく。
俺はその閃光に怯むが、しばらくしたら焼きつきも治まり視界が開けてきた。

「倒した…のか?」

あの爆風に巻き込まれたら、ただではすまないだろう。
どうやら、能力者である戦場ヶ原も同様のようだ。
相当ひどい火傷を負い、倒れている。

「倒した…な…」

敵を倒したという感覚が頭の中を支配する。
感情が頭の中を支配した途端、俺は安堵感のせいかその場にへたりこんでしまった。

「ハァー…ハァー…」

俺が地面に座り込み、肩で息をしていると七重が声をかけてきた。

>「・・・聞こえてなかったのか。あれは、手を出すな、と言ったんだ」

恐ろしくドスの効いた声だ…普通の人間なら、すくみ上がって瞬く間にその場から逃げ出してしまうだろう。
確かに、七重の気持ちも分かる。一対一の、戦いに水を差されたら俺だって怒るだろう。
しかし…俺は仮の立場とは言え味方が不利な状況に陥っているところを見捨てる事なんて出来ない。
それに、放っておいたら…良くて相討ち、悪ければ敗北して死んでいたかもしれない…
だから、俺は助けた。ただそれだけだ。

>「・・・こいつをどうする。捨て置くのか」
(この男を…どうするか…)
>「俺はどうでも良い。戦いが終われば、他人だ」

…この男を助けたら…また見境無く襲い掛かってくるのだろうか?
もしそうなら、俺はこの男を助けるわけにはいかない…
しかも、今の俺は体を疲労と怪我が支配している…担いではいけない。
だからと言って、見捨てるわけには…

「…救急車…だな」

俺は斉藤に買ったときと同じように、携帯電話を取り出し救急車を呼んだ。

「もうこの場から離れよう。俺達がいたら面倒な事になりそうだしな」

七重に行動を促し、俺はこの場を離れた。
戻るべきは国崎薬局。七重が能力者である戦場ヶ原に襲われた事を報告しなければ。
…これからは、国崎薬局が重要地点になりそうな気がする。

【廻間 統時 国崎薬局に戻る】
405廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/04/30(水) 18:13:16 0
買った→勝った
誤字修正…
406煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/04/30(水) 21:19:13 0
すべてのナイフがなくなって、否、すべて溶けてなくなった。
そしてその、刹那、男の首を切り裂いた。

―――――男の首を切ったあと、刀をていねいにふき取る。
「さて…行くか…」
そう言った私の目は紅蓮に変わっていた。

しばらく歩くと一人の男が道に倒れていた。
近づくとその男は全身傷だらけで服も所々裂けていた。
駆け寄って声をかける、「おい、大丈夫か?」

声をかけてからこの男は能力者だという事に気づく、背中から剣を出し、切りつけようとすると
頭の中から声が響いた。

『だめだよ、攻撃しちゃ!』
「何故だ?おまえは早く終わらせたいのだろう?」
『でも、傷ついているんだから…』
「ふん、まぁいい、おまえの好きにしろ」

そう言って意識を表に返す。
「大丈夫ですか?」そうゆらしていると救急車の音が近づいてきた。
「まずい!」
焦って男を抱え近くの廃ビルに入った

【戦場ヶ原を発見声をかけ、保護】
(勝手にからんですみません)
407戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/04/30(水) 22:46:24 O
>>406
セピア色に染まる景色。
古びた絨毯やその役目を終えた暖炉が、その場所が人の入ることの久しくなった洋館であることを示している。
その部屋には一人の女を抱き抱えた赤髪の男と、初老の男が対峙していた。
(なぜだ……。)
赤髪の男から震えた声が漏れる。
その手に抱かれる女の顔からは、生気が消えていた。
(なぜなんだ………金剛さんッ!!!)
金剛と呼ばれた初老の男は、まるで路傍の石を見るような感情のない顔で、赤髪の男の問いに短く答える。

(すべてはお前が弱いからだよ。…山田権六。)

金剛は言い切ると、無造作に右手を赤髪の男に向け、手を開いた。その瞬間。
赤髪の顔は、絶望と悔しさと怒りと痛みとで、醜く歪んだ――――――。
(あぁぁ……あああああああああああああああ!!!!!)


「あぁああァ!!!」

戦場ヶ原は叫び声とともに勢いよく跳び起きた。
「ハァ……ハァ…ッ……、夢……か…。」
汗だくになって目を覚ました戦場ヶ原は、大きく胸を撫で下ろす。
嫌な夢を見た……。なぜ今頃になってあんな昔のことを………。
不意に頭に痛みが走る。手を当ててみると、几帳面に包帯が巻かれていた。
頭だけではない。体中の怪我した部分に適切な応急処置が施されているのだ。
一体誰が――――…
顔をあげてみると、その人物は驚くほどすぐに見つかった。

戦場ヶ原と同じく、真っ赤な髪を持つ不思議な少女。

金色の無垢な瞳でこちらを見つめながら、戦場ヶ原のすぐ傍らにちょこんと座っていた。
(このガキがやったのか……?)
彼の体に施された処置は救急隊員も顔負けの本格的なものだった。
しかし目の前の少女はどう見てもそこらでランドセルを背負っていてもおかしくないような幼げなもの。
戦場ヶ原は訝しげな表情で少女の顔を見つめ返す。

「お前が……俺を助けたのか?なぜだ?」

戦場ヶ原は素直な疑問を口にした。

【戦場ヶ原:煌神と接触。敵意はないが疑問を抱いている。】
【現在位置:廃ビル内】
408永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/04/30(水) 23:04:56 O
>>395
「…うっそ、すごーい。やっぱり期待した通り、超強そうなんですけどー!」

翠が放った『彗星立体』は、眼鏡の男に簡単に押し潰されてしまった。

確かに今の攻撃はほんの小手調べ。まだまだ翠の本気は出ていない。
が、それでもいきなりの急襲へ、冷静に確実に対応出来たこの男は、恐らく相当の実力者だ。
しかも都合の良い事に、重力系の異能者は、今機関の方で欠員が出ている状態。

(まずこの人は来て貰おうかなー?
もう一人は…どうしよう?)
眼鏡の男は、白髪の少年―桐北と呼んでいる―に共闘を依頼している。

(この二人、仲間?うわ、だとしたらヤバいなー。機関に持って帰るの面倒臭くなっちゃうじゃないですかー)

一人をこちらに引き寄せても、仲間がいると再び戻って行ってしまう可能性が上がる。
二人一遍にというのもなかなか難しい。二兎を追えば一兎も得られないという事を、翠は経験から知っていた。
どうするか…

>>402
考えていた時だった。

桐北少年が急に離れた。翠からも、男からも。

「先生、悪いけどまだあなたを信用してない
いきなり攻撃して来たんだから文句言わないで、くださいねっ!」
そう言い放った桐北は、翠に向かって腕を突き出した。

電流が迸り、真っ直ぐに翠を狙う。

「うわっと、今度は電撃?」
軌道上に箱を作りだし、攻撃を受けた。
箱は無残にも砕け散り粉塵が舞う。

「こっちもなかなか強いじゃないですかぁー。
でも、もしかしてキミ達、仲間じゃない感じだよね?
どーしよ、やっぱ翠今日ついてるかもー!」

仲間でないなら話が早い。
一方さえ仲間に引き入れられればいいのだ、もう一方はその後考える。

両方手に入れられれば万々歳、そうでなくても、一人の命と引き換えに、強力な異能者を機関に送れたら、それで任務は成功だ。

今まで翠はそうして来た。機関の為に、より多くの兎を狩る為に、たどり着いた思考だった。


409永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s :2008/04/30(水) 23:09:10 O
「だから先生ヤバくなったら、迷わず逃げますからねっ!」
そう言った桐北の体が輝き始める。
何か来る。いや、それ以前に、
「逃げる!?え、ダメダメ!それはダメだよ!!」
翠は慌てて桐北に手を翳す。


突如、桐北の周りに黒い箱が現れ、桐北を覆った。
閉じ込めたのだ。大きな箱の中に、桐北を。

「焦ったぁ…ダメだよ逃げちゃ。じゃ取りあえず、キミはそこでじっとしててねぇー。
あ、攻撃しても無駄だよー。特別に、金属っぽい感じにしてあるから」

確かに、桐北を『梱包している』立体は只の黒では無く、夕暮れの斜陽を受けてギラリと輝いている。
これではいくら雷撃を放っても、地面に流れてしまうだろう。
「いつもはこのままサイコロみたいに転がして遊ぶんだけどねぇー。今はお預け。後でね、桐北君」
翠はもう一人の、眼鏡の男の方に向き直り、…再び、笑んだ。

「ねぇキミ、うちの機関に入らない?」

後ろで組んだその両手には、ごく小さな立方体がわらわらと集まり、新たな形を形成しようとしている。


【現在地:変わらず街中】
【桐北を一旦閉じ込め、神重を機関に引き入れようと勧誘を試みる】
【相手の出方によって、戦闘を続行するか否か決めるつもり】


410煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/04/30(水) 23:33:42 0
「きゃっ!」
いきなり声があがったのでびっくりした。
とりあえず、目の前の男を見つめる。
男は何か思案するような顔になり、こちらを疑問がおで見つめ返すと男は口を開いた。

>(「お前が……俺を助けたのか?なぜだ?」)
「前者の問いにはYESです。後者は…」
少し考える。

もともと私は何故この男を助けたのだろう?
そう、理由は単純明快、助けたかったからだ…。
「助けたかったからですかね…」
そう、呟くように吐き出した。

「そんな事より自己紹介からですね。」
話題を変えるように切り出した。
「私の名前は煌神 リンといいます。よろしくお願いしますね?」

【煌神:廃ビルにて、戦場ヶ原の問いに答える、また自己紹介もする。こちらも敵意なし】
411煌神 リン ◆7Q1qJNYWx. :2008/04/30(水) 23:36:06 0
>>407
412七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/04/30(水) 23:36:45 0
>404
>「…救急車…だな」

その統時青年の言葉を聞いても、七重は否とも応とも言わない
ただ、己の顔面を彩っている血液を拭うのみである
近辺に充満していた闘争の熱気は、とうに拡散してしまい、
それに代わって、妙に冷ややかな空気が漂い始めた

>「もうこの場から離れよう。俺達がいたら面倒な事になりそうだしな」

携帯電話で救急を呼びつけてから、統時青年が言う
対する七重は、うーんとか何とか、曖昧に唸って、適当な賛同の意を示した

いつの間にか太陽は、軌道の頂点を通過して、
昼下がりの麗らかな日差しを投げかけていた
その柔らかな光は、戦いに疲弊した二人を、
ささやかに癒そうとしているようでもある
ところが七重は、そのような趣はさっぱりと無視し、
地面を蹴散らすようにして、統時青年の後に続いて歩く

薬局の看板が見えたかというところで、ふと七重が口を開いた

「散歩の続きをしてくる」

そう。七重の当初の目的は、単なる散歩だった
それが、戦場ヶ原とかいう男に後をつけられ、
その挙句に戦闘に至ってしまったのだ。予定は狂ってしまった
しかし、だからといって、
彼は妨害せられた散歩の義務を遂行しようとしているわけではない
むしろ、散歩などしたくもないのだ
ではなぜ、かの様な台詞を吐いたのかといえば、
今、この傷だらけの格好で薬局へ入れば、
また昼間から国崎の心配を誘ってしまうと踏んだからだ
そうなれば、もしかすると薬局の営業にも支障をきたすかもしれない
と、珍しくも人を気遣う七重である

統時青年に背を向けて、後は頼むとだけ残すと、
七重はまた途方も無く、ふらふらとどこかへ歩いていった

【また散歩。薬局へは、夕刻ほどまで帰るつもりはない】
413小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/04/30(水) 23:58:01 0
さてこれからどうしましょうか
小村はこれからの自分の行動を思案していた

任務も大事ですが先ほどの轟音と唸り声も気になりますね
でもあの声・・どこかで・・・
と、そのとき彼は1つの異能を捉えた

!!小村は電気に撃たれたかのように
頭に衝撃が来た

この荒々しくも全てを飲み込むかのような多きく濃い感じは

彼は早足にそのビルへ近づいていった
「思い出した!思い出した!!思い出しましたよ!!
かつて残虐部隊の『鬼神』と呼ばれた【歪んだ重力】の山田権六!!」

そうかあいつはここに居ましたか
任務の優先順位変更、当初の調停の任務を実行です
彼を上への手土産にいたしましょう

その考えとともに昔を思い出す小村は
既に廃ビルの前まで近づいていた

【小村禅夜:戦場ヶ原 天の異能を感知し、廃ビルに接近】
【小村は天を知っている】
【戦う意思は十分にある】
414神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/01(木) 00:01:53 0
私は桐北に交渉を持ちかけたが…
「先生、悪いけどまだあなたを信用してない
いきなり攻撃したんだから文句言わないで、くださいねっ!」

そう言って私からも距離を置いてしまった。交渉決裂…やっぱり攻撃したのはまずかったかな?
そのまま翠という少女に向けて電撃を放つ。
続けて桐北の周りを電撃が覆っていく。電撃系能力者か…厄介だな。
だが私に攻撃をしてこないところをみると、完全に私を敵と判断した訳ではないようだ。

桐北の言葉は続く

「だから先生ヤバくなったら迷わず逃げますからね!」
それは私も同じことだ。桐北が逃げれば私もすぐ離脱する。
既に自分用の脱出条件は揃っているのだ。
ベルトに忍ばせてある閃光弾もどきを私は手でいじる。

「逃げる!?え、ダメダメ!それはダメだよ!!」
翠という少女がやや慌て気味に桐北に手を翳した途端―――

桐北の周りに黒い箱が現れ、桐北を覆った。
閉じ込めたのだ。大きな箱の中に、桐北を。

「焦ったぁ…ダメだよ逃げちゃ。じゃ取りあえず、キミはそこでじっとしててねぇー。
あ、攻撃しても無駄だよー。特別に、金属っぽい感じにしてあるから」
翠という少女の能力は…自在に物体を作り出し、その素材をも決めることが出来る
今見ただけの判断ではそんなところか。桐北の現状がいい例だ。

「いつもはこのままサイコロみたいに転がして遊ぶんだけどねぇー。今はお預け。後でね、桐北君」
閉じ込めた人間を転がして遊ぶ…か。あまりいい趣味とはいえないな。
こんな時でも考えてしまうのが神重の悪い癖だった。

そうしている間に翠という少女はこちらへ向き直り、私に笑顔を向けてきた。
「…タイマンというわけか…」
少し能力を見たとはいえ、こんな厄介そうな能力者とは戦いたくなかった…が
そんな状況ではないようだ。
私は翠という少女に重力をかける準備をしていた時―――
415神重 智 ◆6eLTPQTFGA :2008/05/01(木) 00:04:53 0
>>402


>>408
「ねぇキミ、うちの機関に入らない?」

機関への勧誘だった。勿論答えはNOであるのだが…私のほうが一応年上だろう…キミはないだろう…キミは。
それとも…見た目は若いが、実際は物凄い歳を食ってるとかか…?
馬鹿な考えを一瞬したが、すぐかき消して本題を思い出す。

桐北があの箱を壊すための時間稼ぎにはなるかもしれない。そう考えて神重は詳しく話を聞くことにした。

「…具体的な話を聞こうか。今私に教えることが出来る情報を全て…それによって返答は変わるのでね。」

念のため、少しずつ重力を加えていくか…気づかれないように、少しずつ…。

  遅速重力空間(スロウグラヴィティスペース)

【神重智:桐北が閉じ込められている間、機関の情報聞き出し+時間稼ぎ開始
     既に自分の逃走経路は確保済み、翠の周りの重力が少しずつ増加
     梓川の存在には気づいていない】


さて、この戦いどうしましょうかねw
416戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/05/01(木) 00:37:24 0
>>410
少女のあまりにも無垢な返答に、戦場ヶ原は頭痛を覚えた。
(俺は・・・こんな子供相手に何をしている。)
異様に自分が馬鹿らしくなってきて、戦場ヶ原は少女の自己紹介にも応えず、助けてもらったことの礼も云わずに、憮然と立ち上がった。
だが身体の方は正直だ。全身に火傷の激痛が走り、たちまち彼の体はその場に崩れ落ちた。
「がはッ・・・!クソが・・・ッほとんど回復してねぇ・・・ッ!!」
二人の男との戦闘で能力を使いすぎたのだ。今、彼の体には治癒に回すエネルギーすらもほとんど残っていないのかもしれない。
(――貴様が弱すぎるからだ。)
そうだ俺は負けた・・・。能力もろくに持たないような二人の男に・・・。
夢の中の男――城栄金剛が言い放った言葉と、敗北の事実とが、一層彼の中の無力感を際立たせる。
ふと、その傍らには心配そうにこちらの様子を見守る少女の姿があった。
――誰かに身を案じてもらうなど、何年ぶりのことだろうか。

「・・・戦場ヶ原・・・。戦場ヶ原天(いくさばがはら・あまつ)だ。」

彼はうつぶせに倒れた体勢のまま、少女の顔も見ずに自分の名を告げた。
素直に応えてくれた態度が嬉しかったのか、はたまた大の大人が照れている姿が滑稽だったのか、
リンと名乗る少女は穏やかに笑った。
「おいガキ!笑ってねぇでとっとと俺のからだを仰向けに直しやがれ!」
その笑いが癪に障ったのか、戦場ヶ原はその状態のまま大声で偉そうに喚き散らす。
その姿がより滑稽さを増し、少女を笑わせるのだった。

この時、力のほとんどを使い果たして勘の鈍っていた戦場ヶ原は気付いていなかった。
この少女から、幾重にも『重なった』異能者の気が発せられていることに。
そして彼の命を狙う『刺客』の存在に――――・・・

【戦場ヶ原:ろくに動くことも出来ない戦闘不能状態。小村の接近には気付いていない。】
417若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts :2008/05/01(木) 01:31:09 O
こよみは落ち込んでいた。自分が翔太に怪我をさせてしまった。その上治療の代金まで払わせてしまった。こよみはとてつもなくブルーだった。
「わたしはだめな子なのです」
誠一郎との待ち合わせの19時までには気持ちを切り変えようそう思った瞬間あることに気がついた。
「いけないのです。あぶないのです」
それはこよみの勘違いだった。異能力者が自分を待ち伏せしている。どの道を通っても異能力者に接触しなければならない。それも一定水準以上の能力者が数名ずつ。
接触を避けようとすればさっきの薬局に戻る。ここにも異能力者がいる。偶然ではあるが結界をはられたのと同じ状況になっていた。
だが戦闘の経験が多ればそれぞれ動きがバラバラであることに気が付くのだがこよみにはそれはなかった。
「いくのです」
こよみの選択肢は最短距離を真っ直ぐ突っ切るだった。このことを誠一郎が知れば60点はつけるだろう。
こよみが大人並みのスピードで最短距離を走ると視界に三人の異能力者が見えた。
ひとりはひかると同年代の女の子。もうひとりは若い男の人。最後のひとりはなぜか箱のようなものにはいっていた。
彼には見覚えがある。昨日博物館であった少年だった。
こよみは箱の手前までくると中の少年に話かけた。
「昨日のおにーちゃんこんにちはなのです」

若宮:桐北に話しかける
【神重とは面識なし】
【永瀬とは会ったことあるけど覚えていない】
418池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/01(木) 03:35:18 0
薬局を出た俺は、"『組織』の場所を知る異能者"を捜して街を歩いていた。
もっとも、俺の右手が持つ異能者を感知する能力だけでは、
流石に場所を知る異能者とそうでない異能者を区別することはできないので、
この場合は単に"異能者を捜す"とした表現の方が当たっているのかもしれない。

当初、この殺し合いに参加した異能者の数は100人という話だった。
仮にこの二日でその数が半数の50人となっていても、
最悪、50人の異能者と闘ってから『組織』の場所を掴むことになるかもしれない……
いや、もしかしたらその50人全てが何の情報も持っていない可能性もある。

だがこの一件での奴らの目的が俺の予想通りなら、最後に生き残った異能者に対し、
『組織』側から何らかのコンタクトを取ってくることは高い確率であり得る。
つまり、残りの50人の中に『組織』の場所を知る異能者がいようがいまいが、
どちらに転んでも奴らを叩き潰す機会は訪れることになるのだ。

要は始末する数が多いか少ないかの違い。
勿論、その数が少なければ無駄な力を使わずに済むのでそれに越したことは無いが、
いずれにせよこれからも異能者と闘わなければならぬ現実に変わりはない。
無駄な闘いは望むところではないが、所詮は血塗られた未来しかないのだ。
こうなれば予め50人だろうが100人だろうが殺ってやる覚悟で望むしかあるまい……。

そう考えながら、ただひたすら反応に従って歩き続ける。
にも関わらず一向にその方向が定まらないのは、先程からいたるところで
戦闘の反応を感知しても、俺がそこにたどり着く前に反応が消えてしまうからだ。
向かっては別の場所に……そんなことを繰り返している内に、
既に俺の腕時計の時間はとっくに午後を回っていた。

「チッ……もうこんな時間か。そろそろ捕まえなくてはな」

今、俺に必要なのは情報……情報を持つ者を探さなければならないとなれば、
やはり多くの異能者が集まるところの方がいいかもしれん。
とすれば……やはり、向こうになるわけだ。

俺は四、五人の異能者が集まっていると思える場所に足早に向かった。
ここから少し離れている場所なのでこれまで避けていたが、もはや複数の異能者が
集まる場所と、今の俺の位置から最も近い場所といえばそこしかなかったのだ。
419池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/01(木) 03:43:56 0
「反応からすればこの辺りだが……」

肌にピリピリと来るこの空気。
それは確かにこの近くに異能者同士が闘っていることを表していた。
そして感覚を頼りに辺りを注意深く見回しながらとある建物の陰から顔を出した時、
そこには三人……いや、四人の男女が互いの能力で闘り合っている光景が
俺の目に飛び込んで来るのだった。
俺は咄嗟にその身を建物の陰に潜めた。

「やはり複数か……しかもその内の一人があの薬局に来た女の子だったとはな……。
まぁ、それはいい。さてお取り込みのところ申し訳ないが、俺に話を聞かせてもらおうか……」

左手で右手の手袋を外しながら、俺は乱入する機会を伺った。
一分……二分……時間が刻々と過ぎていく……
そして頃合を見計らって俺が建物の陰から身を出そうとした、その瞬間──
俺は一つの反応を感じ取り、その場所から足を踏み出すことなく止めていた。

──あの連中とは別の方向から異能者の反応。しかも、近い。一体何処だ……?

俺は感覚を研ぎ澄ませ、右手を宙に差し出し、より強い反応のする方向を探った。
しばらく宙を泳いでいた右手は、とある一つの方向でその動きを止めるのだった。
見ると、なんと右手は俺が身を潜めていた建物を指し示していた。

「まさか……この建物の中に……?」

すぐ近くには異能者達が闘っているというのに……まさかあの連中に気付いていない?
いや、この張り詰めた空気を感じ取れないはずがない。では、ここで一体何を……?
……決まっているな、あの連中の戦闘を建物の中から窺っているのだ。
ここで俺が乱入していったら、そいつとは闘わずして自らの能力を知らせてしまうだけだ。
後で始末しに向かっても既に逃げているかもしれん。
……仕方ない、奴らより先に、この傍観者から話を聞いてやるか。

────。
420池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/05/01(木) 03:45:23 0
長い階段を上りきると、そこは建物の屋上だった。
心地よい午後の風が俺の体全体を包んでは流れていく。
しかし、俺は心地よさを求めてここに来たのではない。
目的は俺に背を向けて下界を見下ろしている、白髪交じりで短髪の男にある。
よほど下で行われている事に興味があるのか、男は俺の存在には気付いていないようだ。
俺は自らの存在に気付かせるように、男に向かって話しかけた。

>>403
「他人の戦闘がそんなに気になるか? 傍観者を気取るのは、あまりいい趣味とは言えんな」

男は俺の声に反応するようにこちらを振り返る。

顔や背丈からして、年は俺と同じくらいか……高校生程度と言ったところだろう。
心の中でそう分析しながら、俺は言葉を続ける。

「さて……お前に一つ聞いておこう。『組織』の連中の居場所、それを知っているか?
変に隠し立てすると碌なことにはならんぞ。正直に話した方が賢明だ」

俺は男の返事を待つ──。

【池上 燐介:建物の屋上にて梓川 博之に話しかける】
421煌神 リン ◆7Q1qJNYWx.
>>416

(「がはッ・・・!クソが・・・ッほとんど回復してねぇ・・・ッ!!」)>
「大丈夫ですか!?」
いきなりたちあがってすぐに倒れたので駆け寄る。

(「・・・戦場ヶ原・・・。戦場ヶ原天(いくさばがはら・あまつ)だ。」 )>
思わず笑ってしまった、答えてくれた事がうれしかったのだ。
一人で噴出してしまった。

(「おいガキ!笑ってねぇでとっとと俺のからだを仰向けに直しやがれ!」)>
「くすっ」
今度はそのえらそうな態度に笑ってしまった。
「はい、今戻しますよ。」
笑いながら言って、戦場ヶ原の体を持ち上げ自分の膝の上に置く。
いわゆる、膝枕である。
【煌神 リン:戦場ヶ原に膝枕をする、敵には気づいていない模様】