邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ6 

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1名無しになりきれ
*「ここは 邪気眼 のスレです」
*「sage や 酉 は入力しなければ意味がないぞ」
*「荒らしを構った後には 荒らし扱いになるよ」
*「おお名無しよ 版権キャラを使ってしまうとはなさけない」

*過去スレ
【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ
ttp://etc7.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1203406193/
【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ2
ttp://etc7.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1209655636/
【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ3
ttp://etc7.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1211555048/
【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ4
ttp://etc7.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1213536727/
【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ5
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1218369923/

*避難所
二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所3
P C:ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1221605457/
携帯:ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/computer/20066/1221605457/

*まとめサイト
二つ名を持つ異能者になって戦うスレ@wiki
ttp://www9.atwiki.jp/hutatuna/

*これまでのあらすじ
『闘って奪い獲れ。生き残るためには勝ち残れ』。
舞台はどこにでもある地方都市、貳名市。
この街には「二つ名」を持ち、それに由来する異能力を有する『異能者』たちが存在した。
一通のメールは、異能者たちを否応なく闘いに駆り立てる。

貳名市に交錯する裏切りと哀しみ、そして怒り
新たな異能者の出現に呼応するように、あの男が復活を遂げる!
そして遂に明らかになる「機関」の新生虐殺部隊の実力……!
異能者たちの戦いは、次なるステージへ!
2テンプレ:2008/11/03(月) 20:30:35 0
※参加者は原則として、絡んでる相手の書き込みから
【三日以内】に書き込んでください。(一人の場合は前回の自分の書き込みから三日)
もし、それが無理な場合は>>1にある【避難所に報告】してください。期限を最大七日まで延ばせます。
もし報告もなく、【四日以上書き込みが無い場合】は居なくなったとみなして、話を勝手に進めさせてもらいます。
どうかご協力お願いします。

*【テンプレ】
(キャラクターのプロフィールを記入し、避難所に投下した後、
 まとめサイトにて、自分のキャラクターの紹介ページを作成してください)
名前:
二つ名:ttp://pha22.net/name2/ ←で↑のキャラ名を入力
年齢:
身長:
体重:
種族:
職業:
性別:
能力:(一応二つ名にこじつけた能力設定を)
容姿:
趣味:
好きなもの:
嫌いなもの:
キャラ解説:

S→別格 A→人外 B→逸脱 C→得意 D→普通 E→不得意 F→皆無
U→変動 N→機能未保有 ……の九段階まで。
・本体
筋  力:
耐久力:
俊敏性:
技  術:
知  力:
精神力:
成長性:

・能力
範  囲:
破壊力:
操作性:
応用性:
持続性:
成長性:
リスク :


*【機関の説明】
・機関(組織)は総合商社や慈善団体、暗殺集団などいろいろな側面を持つ
・機関には異能力者以外もいる
・機関の異能力者は番号(NO.)で序列があらわされる
・一桁番号(ファーストナンバー)は特別な幹部
・世襲幹部が五人いる
・機関は人工異能力者を増産している
3七草 柴寄 ◆O93o4cIbWE :2008/11/03(月) 20:50:11 0
あらすじ
神重・小村との戦闘の後消耗した七草、そして沙夜の人格は気を失う、
そして虐殺部隊に襲われた七草を助けた影渓、
影渓はその後、七草をシナゴーグへと連れ去っていった――

「う…ん?」
(ここは?)
目が覚めると個室にいた。

(え…と、男の人にトランクに押し込まれて、何故か中は水だらけで溺れそうになって…それから…)

記憶を呼び起していると、突然視界に中学生くらいの少女が飛び込んできた。

「おはよう、ここは『機関』のシナゴーグ、今は暗殺部隊の歓迎会の最中だよ。
で、君は入らない?暗殺部隊、今ならティッシュペーパー付けちゃうよ」

初対面にも拘らずいきなり立て続けに話される、突然で解らないが言われたことをまとめてみる――

(何?シナゴーグ?暗殺部隊?…『機関』――ッ!)

―――『機関』――その言葉を聞いた途端頭が痛くなる、

「まぁ、どちらにせよ、選択肢は二つだ。
暗殺部隊に入るか、死ぬか」

続いて来たのは男の声、そして至極解り易い選択、
単刀直入にして単純明快、従がうか死ぬか、といった所か、
従がうなら身の安全は保障されるのかな?、そしてもれなくティッシュまで付いてくると言うけど、
断れば、死、文字通りの意味だろうな、ヤバイところに連れて来られたな〜。

(暗殺部隊、名前からして真っ当な組織ではないよね…)

再び男が口を開く。
「あぁ、あともう一つあったな、俺らと戦って勝つ。 俺は新入りだし、こいつは中学生、何とかなるかもしれねぇぞ?」

挑発する様に言い放つ、唯の高校生に何が出来るというのか?
改めて二人の姿を見る、一人は活発そうな女の子、
男の方は長髪で良い体格をしている、そしてどこか優しそうな顔をしている。
逃げると言っても此処が何処なのかも解らない、戦うと言っても勝てそうに無い、
詰まる所、従がうしか道は無いと判断した。

「解ったよ、入るよ、でも教えてくれないかな、機関、暗殺部隊って何なのか」

傍に居る女の子に話す、何しろいきなり連れてこられて訳が解らないのだ、『機関』『暗殺部隊』何の事だか解らない。

【七草:概ね神達に従がう意向を見せる・響に現状を教えて欲しい】
4アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/11/03(月) 20:51:39 0

>>253
「……ったく、弱ったね。敵対する覚悟なんてねぇんだが」

彼は、敵対するつもりはないと言う。……最も、だからといって素直に話をする相手でもなさそうだが。
目から思考を読むことはできない。サングラス越しでは精度が鈍る。

「まあ、いいぜ。『会話』をしてやるよ。女が無駄話したがる生き物だってのは知ってるからな。
 ――――ここから3階下のフロアに、社長室がある。付いて来い」

……無論、この中には事前に準備した罠があるのだろう。
戦うのではなく、単に相手を殺すだけならば、それは作業である。
なにより、先程の敵対する覚悟がないという言葉が真実であるとは限らない。

「――――ああ、一応先に聞いておきますけど。
 貴方は何故、あんなにも唐突に私を殺そうとしたのかしら?
 私、貴方に恨まれる覚えがないから、理由を話してもらわないと納得できないの」

これは確認だ。彼が私に攻撃した理由が、どのようなモノであるか。
機関と敵対する者、機関の内部抗争。あるいは、そもそも無関係な第三者。
機関と敵対する者という可能性以外は、無視してもいいレベルでしかない。
が、どんなに小さい可能性だろうと、それは有り得るのだ。
―――――――何事にも、例外はあるワケだし。

【アルト:国崎のあとを追いつつ、話しかける】
5廻間 統時@代理:2008/11/03(月) 22:30:55 0
前スレ>>211
耳への攻撃を食らうこと約数分。
ようやく痛みも引いてきて、マトモな会話が可能になった。
それを察したのか沙羅が俺に質問を投げかけてくる。

>「統時。その口調…」

口調?あぁ、なるほど。
沙羅と初めて会った時は漆黒の心を発動していたからな……
口調に違和感を感じても無理ないか。
いいたくない理由もないので、包み隠さず質問に答えようとした……が。

>「いらっしゃいませ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

「ほぁーっ!ほぁぁーっ!!」

油断していたところに追撃を食らう俺。
思わず奇声も上がってしまう。
しかも、さっきより位置が近いので威力も上がっている。
しかし、誰か客が来たみたいだな……
俺は客の正体を知るため、耳を押さえながらも振り返った。

>>231
そこにいたのは……先輩だ。
先輩は俺と同じようにしばらく耳を押さえて呻いていたが、俺に気付くと声をかけてきた。

>「そういや、君は廻間君じゃあないか。
 女の子をとっかえひっかえしちゃって、妬ましいのなんの!」
「あ゛?」

思わず声を荒げて問いただしてしまう。
先輩の言い方からしたら、まるで俺が女遊びが激しい駄目人間みたいじゃないか。
とりあえずここは言い返しておこう。

「……先輩、この人は俺の知り合いの人でね。
 相棒といっても変わりないほどの付き合いなんだよ」

沙羅に言った説明を再び言い放つ。
そう言えばルナとはまだ話を合わせていないが……
まあルナの事だ、雰囲気を察して話を合わせるぐらいの事はしてくれるだろう。

「…おっと冗談だ。冗談冗談…うん、冗談だ。だから睨みつけるな」

どうやら気付かない間に睨みつけていたらしい。
感情が知らない間に表に出ていたという事か……俺もまだまだだな。

>「本題だ本題。すまんけど、此処に国s―――」
6廻間 統時@代理:2008/11/03(月) 22:31:46 0
扉が開く音が店内に響く。
それに答えるように、俺達は一斉に開かれた扉を見た。
そこに立っていたのは……

「氷使いの男……!」

廃校で戦ったあの氷使いの男だ。
最近、俺が敗北した相手だ……その顔はしっかり覚えている。
氷使いの男は国崎を探しているらしい、俺達に国崎が要るかどうかを聞いてきた。
その問に答えたのは先輩だ、売り言葉に買い言葉とでもいうのか?
先輩の答えは、明らかにケンカを吹っかけているとしか思えない荒っぽいものだった。

>>238
先輩の文句を粗方聞き終えた氷使いの男は何かを考えた後
薬や包帯を手にとってそれを使い、店内の畳に座り込んだ。

>「奴はまだ生きているんだろう? なら、奴が戻るまで俺はここで待機させてもらおう」
「俺はお前が俺やここにいる人間に手を出さない限り、何をしようと知ったことじゃあない……
 好きに待ってればいいさ」

そう言って俺も店内の奥に引っ込み、横になる。

「沙羅、俺は少し休む。店番よろしくな」

合体の影響が著しい今の状況ではマトモに戦闘も行えないからな。
少しでも多く休んで、体力の回復を図りたい。

「ルナ、お前は何かあったら知らせてくれ」
「分かったわ」

ルナに見張りを任せて俺は瞳を閉じる。
俺が眠りに着くのはすぐだった。

【廻間:国崎薬局奥で睡眠。
    何か騒ぎが起きれば起きる】
7神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/11/03(月) 23:34:55 0
>>210,238

どうやら客だと思っていた人はどうやら統時の先輩らしい。とりあえず拡散での挨拶を謝った。その後に統時に話しかけていた。
>「そういや、君は廻間君じゃあないか。
女の子をとっかえひっかえしちゃって、妬ましいのなんの!
…おっと冗談だ。冗談冗談…うん、冗談だ。だから睨みつけるな」
…そうなんだ。統時にはもう彼女がいるんだ…。何でだかすごく悲しい。なぜだか分からないけど。

その後すぐにお客さんがまた来た。

灰色の長髪。どことなく冷たい雰囲気。

すると統時の先輩の顔つきが変わった。何かやな雰囲気。
そして灰色の長髪の人は
>「……まぁ、お前らのことなどこの際どうでもいい。ここの店長は、国崎はどうした?
俺は奴に用があって来た。さ、出してもらおう」
言ってきた。それに対して先輩がかなりキレている。ものすごい剣幕で何を言っているか分からなかった。
それに対して灰色の長髪の人は先輩の言葉に軽くあしらい店の棚に置かれた傷薬と包帯を勝手に持って行って少し統時と話した後に奥の部屋に消えてしまった。
その後に
>「沙羅、俺は少し休む。店番よろしくな」
と言って店の奥に引っ込んで横になってしまった。
ここで一つの問題が起きる

「退屈だ…」
暇すぎる。先輩はさっきからなんか怖いし。
ルナちゃんは…
「ルナちゃんあーそーぼ!」
「・・・・・・・・・・」
私嫌われてんのかな?かなりショック。
ちょっと外の空気でも吸ってくるかな…
「先輩、ルナちゃんちょっと出かけてくる」
一応奥の灰色の長髪の人にも
8神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/11/03(月) 23:35:42 0
「ちょっと出かけてきます」といった。
統時は…寝てるか。
とりあえず頬に「モテ男」とマジックで書いて。毛布をかけてやった。

外に出てあたりを歩く。ちょっと風が寒い。
「飲物買って早く帰るかな…えーっと自動販売機は…」

チャリーン
小銭が落ちた。小銭と言っても小銭の中でも最高額の500円玉だ。
転がってどこかに行ってしまった。
ダッシュで追いかける。女子高生にとっての500円の出費は痛い。

その後500円玉は何かに当たって止まった。
止まった500円玉から目を移すとそこはレトロな喫茶店だった。
500円玉があたったものは看板。
そこには「Swallow Tail」と書いてあった。

「面白そう」

そう思っていたときにはもう店の中に入っていた。
中に入ると喫茶店独特のいい匂いがした。
「いらっしゃいませ」
ボーっとしていると中にいるマスターらしき人から声をかけられた。
マスターらしき人は若い男の人だった。笑顔のステキな人だと素直に思った。
「…また男の人か苦手だな」
と思いながらも、カウンターに着き
「あまり苦くないコーヒーありますか?」
とコーヒーを注文した。

周りを見渡すとお客は私だけのようだ。
心地よい音楽。落ち着いた雰囲気。コーヒーの匂い。
「…いい店ですね」
ボソリとつぶやいた。何故かこの人の前だと緊張しない。
【場所 Swallow Tail】
【コーヒーを注文。】
前スレ>>261

>「あの・・・・・・レオーネさん」

>「もし差支えなければ……この怪我を治したいんですけど。後、俺の気持ちは全く変わりません。絶対」

「準備を急げ、と言う事かな。午後九時まで予定が入っていたんだがね。
 ……仕方が無い。略式ながら手続きをしよう。

 まさか、自分の機関入りを不可にされるとでも思ったか?
 私は一度決めた事は変えない主義だ」

昨日までこの世に存在した私の機連送には、これから連絡を取る人物の連絡先が記録されていたが、
新品の"これ"には未だメモリーされておらず、つまる所自分で打たなくてはならなかった。

右手に携帯、左手にハンドル。二つの物事を同時に行うという事が、
これほど面倒だとは思わなかった。
つくづく右手を治してもらって良かったと思う。

「ティーンエイジャーの頃は直線と見れば百キロは当たり前だったが、
 歳を取るとそんな事は無謀に思えてくる物さ。

 ……若いと言うのは素晴らしいものだ」

番号を打ち終わり、通話ボタンを押す。
今の所は道が直線で大した障害は無いが、大通りになると流石に厳しいな。
安全の為に機連送の通話画面からドライブモードを選択し、
丁度エアコンの手前に備え付けられたドリンクホルダーに置く。
これで手に取らなくても会話できる。
引き換えに恋島にも聞かれるが、別段困るほどの物でもないし、
彼はもう機関の人間なのだから情報は必要だろう
ワンコール、ツーコール……。結局フォーコール目でようやく電話は繋がった。

「レオーネだ。永瀬か、今どこだ?」

電波の入りが悪いな。ノイズが少々耳障りだ。

「どこって? おじさまの家ですけど?」

ほう、良く場所が分かったな。まあ、彼女と私の関係を伝えれば、
情報部も情報を開示せざるを得まい。

「もう最悪ですよ! 聞いてくださいよぉ、
 街に変なコスプレをした連中がウジャウジャいるんですよ。
 全身黒づくめでヘルメットを被った趣味の悪い奴ら!

 そいつら、私が異能者と戦っていたら急に割り込んできて、
 美味しい所だけ持ってっちゃったんですよぉ〜!」

そう捲くし立てると、最後に再び"もう最悪"と付け加え、永瀬は溜め息を吐いた。

「ふむ。それは虐殺部隊だな。昨日No.1が投入を決定した。
 ……災難だったな」

この調子だと永瀬の奴は相当頭にキているな。
無理も無い。獲物を横取りされる事が嫌いな性格をしているからな。
だが、彼らは仲間だ。傷つけられたら困る。
ここは一つ諌めなくてはな。
>>9

「永瀬、君の気持ちは分かる。だが、彼らは我々の仲間だ。
 許してやってくれ」

「むぅ〜……。わかりましたよぉ〜」

話せば分かってくれるのが彼女の良い所だ。
素直じゃないのが玉に瑕だが……。

「それはそうと、私の家に何の様だ? 年頃の少女が男の家に行くものじゃない」

父親が子供に言い聞かせるように諭す。
もし仮に違う人生を歩んでいたら、私は良い父親になっていただろうか?
ふ、未練だな……。

「やだなぁ〜、ハンカチを返しに来たんですよお〜。
 ほら、昨日――」

あぁ、そういえば昨日彼女に預けたままだったな。
別に返す必要は無いのだが……。

「それに、おじさまはダイジョ〜ブですよー。
 女の子には不自由してないでしょー? ぃよ! 憎いね、このこの!」

隣の恋島を見る。取り敢えず謝っておこう。この娘は常にこうなんだ……、許してくれ。
冗談は置いておいて、本題に入らなければ。

「永瀬、香坂織重の番号を知らないか?」

             エンドレスディバイド
香坂織重(こうさかおりえ)、『切断再帰』の二つ名を持つ永瀬の親友。
彼女の能力ならば、今の恋島を治す事など造作も無い筈だ。

「織重ちゃん? どうしてぇー?」

永瀬は私が織重の名前を出した事に流石に疑いの目を向けた。
無理も無いか、理由も無く友人の電話番号を教えろと言われて、
素直に はい、そうですかと教える方がどうかしている。
>>9-10

「仲間が怪我をしてね。見た所命に別状はなさそうだが、危険な事には変わりはないし、
 このままでは任務に支障が出る。それにだ、彼は戦闘訓練を受けていない。
 今のまま行けば、遅かれ早かれ いずれ死ぬ事は容易に想像できる。
             チカラ
 ……彼女の"治す"能力が必要なんだ」

治さなくてはならない。恋島達哉は城栄と私の理想の世界を創造する為に必要な存在だ。
ここで犬死して貰っては困る。

「オッケー、わかりましたよぉー。えっとね、番号は……。
 ――っていうか、通話中だからアドレス見れないですよぉ〜!

 そうだ、私が連れて行きましょうかぁー?
 場所はねェ……」

やれやれ。それでは遠回りになってしまう。

「私はこれからスーツを見立てに行かなければならない。
 時間は有意義に効率よく使う物だ」

「えぇー? せっかくコーヒーの美味しいお店を見つけたのにぃ〜」

一瞬では在るが、体がピクリと反応をした。
なんと、コーヒーの美味い店がこの街に存在したとは……!
これは一大事だ、是が非でも行かなければな。

しかし、任務を忘れる訳にはいかない。
最悪、香坂の力を借りずに機関の医療班の力を借りるという手も在る。
どちらにしても、恋島の怪我を治す事には変わりは無い。
が、確実に会えるというならば香坂だろう。
医療班は街中に散らばってしまっていて、何処に居るか分からない。
私が本部を出る前に戻ってきたが、
多忙な彼らの事だ、もう既に街へと繰り出したのだろう。

ここは一つ、当の本人の恋島に判断を委ねるとするか。

「恋島君、君に選んで貰いたい。

 この少女の言う通りにして、治せる人物が来るのを待つか。
 それとも、何処で会えるか分からない機関の医療チームを探すか。

 何れにせよ、普通の病院には余り期待できない。
 その毒が敵の異能ならば異能者にしか治せないだろう。

 ……さぁ、どちらにする?」

【レオーネ:現在地 車中】
【恋島に選択を任せる】
12喫茶店マスター ◆ytBxX/02GA :2008/11/04(火) 00:27:06 0
>>8
「いらっしゃいませ」
カリカリと豆を挽いていたら、若い「女の子」といった雰囲気のお客様が入店された。

クラシックめいたジャズ、挽きたてのコーヒー豆の匂い。マスターたる私はこの雰囲気に合っているのかどうかは別として。
新規のお客様がいらっしゃるにはこれ以上ない状況だろう。
>「あまり苦くないコーヒーありますか?」
「では、カフェオレ、若しくはココアなど如何でしょうか?お客様は如何やら苦い味はお好みで無いようですので……。」
小さくコクリ、と頷く。

小鍋にココアの粉末、湯、砂糖を溶かし、火にかける。ダマにならぬよう、焦げぬ様、細心の注意を払う。ゆっくりと牛乳を混ぜていくのも忘れずに。
コトコト、としている間に、何時の間にか一曲終わっていた。先程とあまり変わらぬ音量で、しかしさっきとは雰囲気の違うジャズを流す。

十分に温まったであろうココアをカップに。そのカップをソーサーに。
個人的には既に甘く感じるのだが、この方は初来店のお客様。細心の注意を払わねばならない。

カップに入ったココアにホイップクリームをのせ、ココアパウダーを振り掛ける。


何より真剣な一瞬。戦いが始まる。
「お待たせ致しました、ココアで御座います。」
緊張と恐怖、期待が全身を駆け抜ける。
【場所 Swallow Tail カウンター】
【ココアをお出しする】
13国崎シロウ@代理:2008/11/04(火) 01:30:44 0

>>4
「恨みが無いと人が殺せないなんてのは――っと。『機関』の人間には釈迦に説法って奴だったか。
 まあ、俺だって人間だ。人を殺したくなんかねぇし、ましてや相手が女子供なら尚更だ。
 だから、強いて解答になり得る回答をするなら……守る為、ってとこだな」

歩きながら女が尋ねたそれに、俺は前を歩き、背中を見せたままで答える。

「お前ら機関は、一般人の俺の領域に踏み込んで、あまつさえその領域を壊し始めた。
 だから俺は、それを守る為に仕方なく、機関の人間と、俺の異能力を知った人間を
 皆殺しにしなくちゃならなくなった。覚悟も何も無い。必要に迫られての作業なんだよ。これは」

曖昧だが、嘘ではないし、それなりに答えとしての体裁は保ったつもりだ。
まあ、相手がどう思おうと関係は無い。相手の人生は、ここで終わらせるのだから。

――――話している内に、窓の無い、薄暗い社長室に辿り着いた。
俺は、埃を被った社長の机だったと思われるそれに手を置き、尋ねる。

「さて、別に聞きたい事は無いんだが、体裁上俺からも質問しておく。
 お前は、この状況で俺がお前を殺すのに、どういう手段を使うと思う?」

【国崎:社長室に到着。現状、アルトを殺す気】
14戦場ヶ原&屡霞 ◆u5ul7E0APg :2008/11/04(火) 08:24:42 O
あらすじ
機関に囚われの身となったリンを救い出すため、貳名市をさ迷っていた戦場ヶ原。
しかし、強敵神野屡霞との共闘、親友猿飛栄吉との死別を経て、彼は再び闘いの螺旋の中に身を投じて行く。
そんな中、かつての師、東雲をも打ち破った彼のもとに、忍び寄る3つの影があった―――

>>262
隊長である東雲が死んだというのに、その部下たちは依然無表情のまま戦場ヶ原と屡霞、二人に向けて機械のように正確な攻撃を繰り返してくる。
東雲の上にまだ『繰り手』がいる―――そう屡霞は感じ取った。
一方の戦場ヶ原の方はといえば、まるでさっきの死闘などなかったかのように、以前と同じ様に―――いや、むしろ以前よりもキレが増してさえ見える動きで、群がる敵を一掃してゆく。
勿論あれだけの死闘だ。軽傷で済むはずがない。だが、今の戦場ヶ原はもはやそれどころではなかった。

『スティクス・ガノスビッチ』

東雲が死に際に遺したこの名前が、彼の脳内を駆け巡っていた。
まるで殺人マシーンのようなこの部隊を率い、東雲をも殺人兵器に仕立てあげた元凶―――…
スティクスという男に対する静かな怒りが、ふつふつと彼の身体を煮えたぎらせてゆく。
彼の身体は今、度重なる戦闘、極限状態を経て、闘えば闘うほど疲れ知らずとなる旧虐殺部隊特有のコンバット・ハイ状態になりつつあった。

(こんな雑魚どもに…………構っていられる暇はねぇ!!!)

戦場ヶ原が目の前の敵を黒球で一掃しようとした、その時だった。
「!!?」
戦場ヶ原と屡霞が、同時に驚きに身体を一瞬留めた。

それもそうだろう。虐殺部隊達が、突如同時にその攻撃の手を止めたからだ。
彼等は得物を即座にホルダーに仕舞うと、次々と闇に溶けるように消えていった―――…

場を支配する沈黙。
ただ二人そこに残された戦場ヶ原と屡霞は、あまりの出来事に呆然としていた。
「どういうことだ……?」
『オイ!まだ斬り足りねェぞ!!勝手に消えてんじゃねェ!!』
戸惑う屡霞と禍ノ紅に対し、戦場ヶ原は至極冷静な様子だった。
「喚くんじゃねぇ。こいつは恐らく…大波の前触れだ。波が一気に引いたあとには、必ずデケェ波が来るもんだろう。」
戦場ヶ原がそう言う根拠は、彼が、こちらに向かってやって来る3つの強大な殺気を捉えたからだった。
(この巨大な殺気……東雲のそれを超えるぞ…!)
屡霞もそれに続いて3つの殺気に気付く。
戦場ヶ原もその強大さには気付いていたものの、物おじする様子もなく、
ただただ殺気の来る方向にその鋭い眼光と鋭い殺気とを突き刺していた―――。

【戦場ヶ原:スティクスを待ち構える。現在位置:路地裏の空き地】
15恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/11/04(火) 11:28:17 0
>>9-11
俺の少し悲観的な願いを、レオーネさんはこう返した。レオーネさんの様子は、薬局前で会った時と雰囲気も口調も戻っている。
>「準備を急げ、と言う事かな。午後九時まで予定が入っていたんだがね。
 ……仕方が無い。略式ながら手続きをしよう。
 まさか、自分の機関入りを不可にされるとでも思ったか?
 私は一度決めた事は変えない主義だ」

いえ、いえいえ、別に急いでなんていないんです。ただちょっとこのままだと凄く不便と言うか……。
っと、つまり体よく言えば承諾してくれたのだろうか。怪我の件も入団の件も。
それはとても嬉しいと言えば嬉しいのだが、どちらも件が件なゆえ、喜んで良いか複雑な心境になる。
俺は無言のまま、視線を正面に向けた。どうやら先ほど来た道を帰っているみたいだ。薬局の方面に向かっているのだろう。

いや、「機関」のアジトかな。だとしたら気を引き締めなければ。するとレオーネさんはどこからか携帯を取り出した。
交通法違反……とは思うが、悪の組織にそんな事を思うのは限りなく不憫な事だと思うのですぐに打ち消す。
片手で器用に携帯番号を押しながら、何気なくレオーネさんが一言。
>「ティーンエイジャーの頃は直線と見れば百キロは当たり前だったが、
  歳を取るとそんな事は無謀に思えてくる物さ。
  ……若いと言うのは素晴らしいものだ」

若さと言うか無謀と言うか……まぁ俺も人の事はいえないんだが。つーか危ないっすよ、それ。
番号を撃ち終わると、レオーネさんは持っていた携帯をドリンクホルダーの前に置いた。
一回……二回……四回目にして電話が繋がった。こっちの、あるいはあっちの電波が悪いのかザーザーいってる。
電話が繋がり、レオーネさんは電話の向こうの人に声を掛けた。
>「レオーネだ。永瀬か、今どこだ?」
16恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/11/04(火) 11:28:48 0
永瀬? 何だろう? 初めて聞いた名なのに、妙に聞いた覚えのある感覚。
思い出そうとするが上手く出てこない。数秒間の沈黙の後、永瀬という名の電話の向こうの人が返事をした。
……あ! この声……妙にイラっとする口調……間違いない、立方体だ。思わず声が出そうになったが、慌てて口を紡ぐ。
まさかこんな状況で奴と遭遇するなんて……。参ったな。色々。

ふと、レオーネさんが俺の方に申し訳無さそうに小さく頭を下げた。何故だかは分からないが、俺も話を聞いてなくてごめんなさい。
にしても立方体、いや永瀬か。永瀬とレオーネさんが関係あるとはおもわなんだ。どういう関係かは邪知しないけど。
とりあえず俺が口を挟む所ではないので黙っている。レオーネさんは誰かの電話番号を、永瀬に聞いているようだ。
レオーネさんが求めている香坂と言う人は多分医者かそれに準ずる人だろう。
永瀬は疑問を口にしたが、俺の怪我を治す為と説明すると二つ返事で承諾した。
どうやらその香坂なる人物がいる場所まで案内してくれるらしい。が、レオーネさんは表情を曇らせた。
>「私はこれからスーツを見立てに行かなければならない。
  時間は有意義に効率よく使う物だ」

流石幹部だけあって相当スケジュールが切羽詰ってるんだなぁ。色々とすみません。
すると永瀬は妙にピントのずれた返答をした。
>「えぇー? せっかくコーヒーの美味しいお店を見つけたのにぃ〜」

……怪我人がいるんだぞ、コラ。そんなの日日を改めて……。
……レオーネさんの目に一瞬光が宿った気がする。まさか……。
>「恋島君、君に選んで貰いたい。
  この少女の言う通りにして、治せる人物が来るのを待つか。
  それとも、何処で会えるか分からない機関の医療チームを探すか。
  何れにせよ、普通の病院には余り期待できない。
  その毒が敵の異能ならば異能者にしか治せないだろう。
   ……さぁ、どちらにする?」

もう、レオーネさん。俺は胸の内で苦笑した。意外にお茶目なのかもしれない、この人は。
どっちにしろ俺はもう「機関」の一員だ。幹部に逆らえる訳が無い。それなら車を降りて待つしかないだろう。
「そうですね、じゃあ……」
言いかけた瞬間、俺の頭の中に突如として、妙な映像がスライドショーの様に流れ出した。俺は反射的に頭を抑えて、うずくまる。
……なんだ? 何だ、これは……うぅ、どうして、どうして……何で、今になって……。
駄目だ、言葉にするのも、クソッ、止めろ、俺の、俺の記憶を……掘り返すな! 

……はぁ、はぁ……俺はゆっくりと右腕を胸に当てて、心臓の鼓動を抑えた。落ち着け、頼むから……。
ゆっくりと、おそらく引いているであろう、レオーネさんの方に顔を向ける。
「……良いですよ。自分は車から降りて、香坂さんが来るのを待ちます。レオーネさんはレオーネさんの事情を優先してください」
明らかにわざとらしい笑顔で、俺はレオーネさんに返答した。疑われると思うが、致し方ない。ほんとに突然だったし。

にしても、これは俺の行動に対する罰なのか……? もう振り返る事はしないし、出来ないと分かっているのに。
でもないと、どうして俺に親父とおふくろが死んだ時と、先輩が……。止めだ、思い出す必要なんか無い。
無意識に俺は歯軋りをしていた。……もうあの時みたいに、俺は足を止めない。絶対に。
【現在地:車中】
【車から降りて香坂を待つ様返答する】
17スティクス ◆6eLTPQTFGA :2008/11/04(火) 21:02:29 0
>>14

ブオオオオオオオオオ

3匹の鬼は確実に戦場ヶ原の元へ近づいていた
東雲の情報伝達員によればそろそろのはずだが――
とスティクスが思ったその時、二つの人影が見えた――あれか――

キキッ
少し離れたところへバイクを置き、スティクスと隊員の二人は人影の元へ歩いていった

ザッ――
そこには二人の人物…一人は元虐殺部隊長 山田権六
そしてもう一人は…名前は分からないが、アイツの研究対象の一つだった筈

「ほう…報告は一応受けたが…来蓬斎を…お前ら二人で片付けたというわけか
 フンッ…少しは出来るようだが…山田権六…そしてそこの女…
 いずれも来蓬斎の能力にはほとんど無力な筈…どうやって倒したのか聞きたいところだ」
女のほうが何かを言いたそうな顔をしたが…かまわず続ける
「それとも…投与していた薬が切れたせいか…?
 クククッ…奴の生命を支えていたのは薬だったからなぁ…」
少し上を向いて考えるような仕草をする…それと同時に山田の殺気が増大する

「まぁ…今となってはどうでもいい…奴も己の弟子に負かされて本望だろう
 さて、改めて自己紹介をしておこうか、新生虐殺部隊隊長…スティクス・ガノスビッチだ
 そして今の問題は…その来蓬斎を始末したお前ら二人を…どうやって消してしまうか…だ…」

冷たく…そして殺気を込めた口調でスティクスは言う
それと同時に虐殺隊員の一人が言う
「それにしても…随分やられちゃってますねぇ…仲間が…ククッ」
呼応するかのようにもう一人の隊員が言う
「まぁ、東雲分隊長を倒してしまったくらいだし…当然かもしれないな…フフッ」

続けざまにもう一言加える
「スティクス隊長と…山田元隊長の決闘とでもいくのかな…?
 それとも…ここで乱戦となるか…」
その言葉を聞いたスティクスが言う

「クククッ…"山田隊長"も俺との決闘を望んでいるのではないのかな…?
 かつての師を愚弄され、自分が元率いていた部隊が人間とはかけ離れた物になっているんだから
 そうだな…そこの女…俺と戦う権利がほしければ…この二人を倒してからにするんだな…
 それまでは…俺は"山田隊長"に一つ…戦い方というのをご教授してもらいたくてねぇ…
 そしてこれは…教授していただく"山田隊長"に対する…前金のひとつだ!!!!」

「『放電』スパーク !!」


【スティクス:戦場ヶ原と戦闘開始、同時に桐北の雷を放つ
       本人は決闘を試みている 状況によっては混戦も辞さない】
18アーリー・テイスト ◆3LPMHhiq9U :2008/11/04(火) 22:06:21 0
あらすじ
神重、七草との戦いでゴッドバルトが本人の意思とは別に動き強制撤退させられた小村。
無断で動いたゴッドバルトは気を失った小村を国崎薬局前に放置し、力尽きる。
ゴッドバルトからの連絡を受けたアーリーは小村を迎えに国崎薬局へ―――

「よ・・・ようやく着いた・・・」
息を切らし、電柱に手を着き、ここまでの数百メートル走の感想をもらした。
自分でもここまで体力が落ちてるとは思わなかった。
確かにもともと体力に関しては得意の部類ではなかったけれど・・・
それでも一応機関で戦闘訓練を受けた身でもあるのにこれは酷い。
「って・・・そんなこと・・・今は・・・どうでもいい」

ふらふらの体を動かし、のたのたと国崎薬局に近寄る。
その薬局前の片隅に壁に座り込んでる影を見つけた。
居た!!―――
近寄って、顔を確かめる。
体中傷だらけだが、間違いない。小村禅夜その人だ。
「・・・・・・それにしても、よく見つからなかったですよね」
小村の姿は看板の陰で、夕日の角度のせいか影と一体化してる。
ここに来る方向や、いそいでる人なら見逃しそう。
それでもそれぐらいだった。よく見れば分かる程度。

「まぁ、小村さんの運がよかった・・・のかな?
 それとも存在感が・・・ってそんな場合じゃないや」
とりあえず止血しなければ。このままじゃ多量出血死しかけない。
すぐに、コートの中の医療キットで・・・
「って、あれ?」
出てきたのは大型のMOディスク。
どうやら大きさが似ているので間違えたようだ。
・・・・・・まったく!!
自分に腹が立った。こんな単純なミスをするなんて。
どうするか、その場で迷っていると・・・・・・閃いた。
目の前にあるのは薬局。止血剤や包帯なら一般家庭以上にはあるだろう。

しかし―――
「この中に異能者が・・・2?・・・いや少なくても3人」
異能者が居ることに少し戸惑った。こんなときに襲われたらしゃれにならない。
だけどすぐに判断する。
いきなり襲ってくるような人が複数で一箇所に集まるなんてあまり無いことだ。
しかも集まるといったらもっと良い場所もあるだろうし。

そう決断し、意を決してに戸を開けた。
「あ・・・あの〜・・・止血剤と包帯って・・・ありますか?」
店内に寂しく響く声。
あぁ、緊張してる。このうえなく。
そういえばコンビニに行く以外で、小村さん以外の人と話すのって何ヶ月ぶりだろう。
【アーリー:国崎薬局で止血剤と包帯がないか尋ねる】
19神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/11/04(火) 23:15:22 0
>>12
>「お待たせ致しました、ココアで御座います。」
ココアにはホイップクリームが乗っておりその上にココアパウダーがのっていた。
いわゆる女の子がよく飲むようなものだ。
「…いただきます」
ココアを飲む。
「おいしい!」
思わず大きい声を出してしまった。素直においしい。今までインスタントや缶のココアを飲んでいた自分が馬鹿らしくなったほどだ。
大きな声を出したのでマスターがびっくりしたようだった。
「…すみません。でもこのココアとてもおいしいです」
その言葉を聞くとマスターは何故か知らないが安堵の表情を浮かべていた
…まあそれはいいや。
この店にはこれからも何度も来そうだしマスターと仲良くならなきゃ!
「マスター!友達になってくれませんか?私、神野 沙羅っていいます!
よかったらマスターの名前とか教えてくれませんか?」

そのとき店のドアを2人の男が入ってきた。どう見ても殺意丸出しの敵。
おそらく過去に戦ったキメラの手下のようだ。
しかし一人はバイオリンケース。もう一人は手ぶらだった。
隣に座ると「…神野 沙羅だな?」と聞いてくる。
ココアを飲みながら
「だとしたら?どうするの?」

「「こうする」」
同時に二人が攻撃してきた。とりあえず外に出る。
ついて来たのはバイオリンケースの男だ。ケースから何かを出して構える。
あまり見えない。
その瞬間―

パパパパパパパッッ!!!!―
マシンガンだ。
「バイオリンケースにマシンガン入れてるんなんてずいぶんオシャレね!!」
こちらに飛んでくる弾丸を拡散し弾き飛ばした。
そして一気にダッシュして近づいてその男のお腹に手を当て拡散した。
手加減したつもりだが壁に当たって気絶していた。
もう一人は…店の中か!!
中にはマスターと男が一人。男はナイフを持ってマスターに切りかかろうとしている。
男が「残念だな。俺はコーヒーを飲みに来たんじゃない…。」といいながらマスターを睨んでいる。マスターも顔をそらしてはいなかった。
「マスター!危ない!逃げて!」
今からダッシュしても間に合わない!どうすれば…

【場所Swallow Tail 店先】
【キメラの部下と対戦中】【鍔目 秀弥にナイフを持った敵が襲いかかっている】
20喫茶店マスター ◆ytBxX/02GA :2008/11/04(火) 23:54:53 0
>>19
>「おいしい!」
正直驚いた。叫ばれる程の味だっただろうか?と少し自問してみる。
多分、インスタントコーヒー、パック詰めされているココアしか飲んだ事が無かったのだろう。
これでこそ、喫茶店のマスターをしている価値があるというものだろう。

>「…すみません。でもこのココアとてもおいしいです」
正直、安堵の溜息が口から零れ出る。口に合わない、という方も居ない訳では無いのだから。

>「マスター!友達になってくれませんか?私、神野 沙羅っていいます!
よかったらマスターの名前とか教えてくれませんか?」
「ええ、勿論喜んで。私は鍔目 秀弥、と申します。御覧の通り、『Swallow Tail』のマスターをしています」
友人、か。懐かしい響き。この「眼」の所為で、親からも友人だった人間からも疎外される日々を送っていた自分にとっては、友人というのは少し照れ臭い。

「いらっしゃいませ」
大柄な男二人。バイオリンケース……では無い。バイオリンを入れているにしては扱いが粗末。何より、「銃弾」を吐き出すバイオリン等、私は認めない。
神野さんが、一人を壁に叩きつけKO。もう一人は自分に向ってナイフを構える。

>「残念だな。俺はコーヒーを飲みに来たんじゃない…。」
「生憎、硝煙の臭いの濃い方には、デリケートなコーヒーなど似合いませんよ……。コーヒーは愛を以てして飲む物だと思いますがね?」
睨み合うこの『間』。この『間』が何よりも自分の「眼」には必要不可欠。

「……私の眼を見ていますね?」
「当然。貴様の様な小さな一般人に俺が倒される筈が……」

途端に男の動きがフリーズする。これこそが「真幻眼」の能力。
眼を見た生命体に、眼の所有者たる自分が望む幻影を果てし無く「見せ続ける」能力。

この男には「三日間、体を無限に切り刻まれる」夢を見て頂くとしよう。その間に退去して頂く。
「全く……修繕費はどこから捻出しましょうかね……?」
>「マスター!危ない!逃げて!」
「もう大丈夫ですよ。この方は『眠って』いますから……」
手をヒラヒラ、無傷をアピールする。

私に傷は無くとも、コーヒーカップや机、店内には傷が目立つ。
この事が今何より頭を痛める事になりそうだ。

【場所 Swallow Tail 店内】
【キメラの部下と対戦中】【神野 沙羅に平気をアピール】
21梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/11/05(水) 15:52:24 0
>>238
>「奴はまだ生きているんだろう? なら、奴が戻るまで俺はここで待機させてもらおう」

そう言いながら、青年は傷の手当てをし始めた。
戦闘にならなかったのはいいがな…。
くそう、俺の言葉軽く流しやがって。
少しはノれよ!

だが、国崎がいないというのは同意見でもある。
居るなら出てくる筈だしな…。
じゃあ、どうして居ないか。

……医薬品でも買いに行ってるんだろう、きっと。
人の外出理由なんて完璧にわかる筈ないからな。

>>6>>7-8
そういや3人はっと…。
>「沙羅、俺は少し休む。店番よろしくな」
廻間は少女――沙羅ちゃんという名前らしいな――に声をかけ、店の奥に引っ込んでいった。
沙羅ちゃんは暇そうにし始めた。
廻間の相棒さんは、外の見張りをするそうで。

此処で俺は何もやる事が無くなった。
さて、座ってゆっくりと思考タイムだ。

前にも座った箱に腰掛けて思考を始める。
情報を纏めると…
・ここには国崎がいない→国崎から情報が得られない
・灰色髪の青年と廻間がいるが、片方からは得られそうに無く、片方は寝ている→情報が得られない
・女子二人→一般人なので不可能
つまり、此処から情報は得られそうに無いなぁ。
…ここに居ても時間が過ぎるだけか。

じゃあ何処に行こう、と考え始めたところで。
>「先輩、ルナちゃんちょっと出かけてくる」
外出らしいですな。
「ん?ああ、行ってらっしゃい沙羅ちゃん。車には気をつけろよー」
と、俺は受け答えておいた。
まぁ、気をつけて欲しいのは車によりも『組織』にだけどな…。

>18
沙羅ちゃんが行った後。
さ、俺も何処か行きますかとばかりに立ち上がり…

ガラッ。戸を開く音がした。
入ってきたのは15,6歳の女の子。し か も 金 髪 !
いいじゃないかいいじゃないか。最高のショーだとは思わんかね!かね!かね!!
とまぁ、心の中でのボケはいいとして。
>「あ・・・あの〜・・・止血剤と包帯って・・・ありますか?」
「止血剤と包帯?あっちにあるよ…あ、結構少ないなー。
詳しいことはあの灰色の髪のお兄さんに聞いてくれ」
そう答えながら、外に出る。
22梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/11/05(水) 15:53:44 0
北風が横を掠め、人の体温を少しながら奪う。
春先とはいえまだまだ寒い。
丁字路を曲がり、人のいない次の十字路に通り過ぎる。
「うー…やっぱ寒いな…」

「てめぇのその寒さよぉ、俺様が和らげてやろぉか?」
その声は前から聞こえた。
前に居たのは、丈の短い革ジャン、ツンツン頭…というより、髪の毛を剣山みたく針状にした頭。
趣味のわりぃ奴。
知り合いにこんな奴居たら俺速攻逃げるぞ。
「…誰?」
「俺様か?俺様の名はなぁ…折川!折川雅司サマってぇんだ!」
変なテンションだなおい。

「てめぇは名乗らなくていいぜ、『梓川博之』だろぉ?」
…なんで俺の名前を…?
「なんで知ってんだーっつー顔してんなぁ。なんでもかんでもねぇーだろぉがよぉ。てめぇは異能者なんだからさぁ。
ウチの機関のリストにも載ってるんだぜぇー?」
こいつよく喋るなぁ。
自分が機関の一員だってことバラしていいのかよ?アホっぽい。

「なんだなんだその呆れたよぉーな顔はぁー?」
おっと不味い不味い。
良い情報得られたのに勿体無いな。
「そんな顔してたか。別にお前に害は無いだろ?」
「ハッ!よく言うぜぇ!ところでてめぇ、今の今まで全ッッ然派手な行動してねぇんだよなぁ。
だからなのかは知らねーが、ウエも最初はてめぇが『異能』に目覚めてたっつーことを知らなかったみてぇだぜぇ?
なぁ、失敗作の『被検体E-089:梓川博之』よぉー!」

………何ぃ?
こいつ、今、なんて言った?
「…失敗作?被検体だと…?」
「そぉーさ、てめぇの異能は俺ら『機関』サマサマが与えたモンなんだよぉー!
まさか神様からの贈り物だとか思ってたんじゃねぇだろうなぁ!ヒャーッハハハハ!!」
…異能ってのは人為的なものだったのか。
自分が人体実験の材料となっていたのはショックだが、今まで別になんとも無かったんだからそれはおいておこう。

被検体ということは人体実験につながるな…。
人体実験っていうのは基本的に秘密であって、それはかなりの奴しか知らない筈だ。
ということは、こいつはかなりの奴ってことだな。
そうでなくとも機関の一般情報くらいは知ってるだろうし、こいつから情報を聞き出すとするか!

そう意気込んだところで、奴が威勢良く宣言してきた。
「そーいや異能者は弱い奴ぁぷちっ!っとブッ殺して来いっつー命令だったんでよぉー。
てめぇをブッ殺して手柄ゲット!と行くぜぇ!」
…やべ、そうだよなぁ。
情報聞き出すって言ったら相手倒さなきゃ
戦闘開始になるよな、この流れ!
どうする!?どうするよ俺ぇぇ!!


【現在地:薬局→十字路(人通りは少ない)】
【梓川:折川と戦闘開始?】
23池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/11/05(水) 22:59:34 0
傷の手当を終えた俺は、国崎が戻るまでの時間潰しに店内を物色し始めていた。

「貧乏を治す薬、『成金ゼット』……。……なんだこりゃ」

見ればこの薬、価格が10万円もするという。
このように効果に疑問を感じるような珍品をはじめ、棚から錠剤やドリンクを手にとっては
商品の説明書を読んで元の位置に戻していく。その動作を幾度か繰り返している間に、
店からは店番をしていたと思われる少女が「出かける」の一言を残して消えていた。
剣使いの男も先程から店の奥に引っ込んだっきり出てこない。
(店主が留守にして、店番の人間も外出してしまうとは、この店の将来は暗いな)

などと、心の中でお節介にも店の経営方法に関する問題点を挙げていた時だった。
俺が新たな異能者の存在を察知したのは。

>>18
>「あ・・・あの〜・・・止血剤と包帯って・・・ありますか?」
見てみれば、店の出入り口に一人の金髪の女が立っていた。
瞳も青く、外国人なのは間違いないだろう。なのでその詳しい年齢は俺には判断しかねるが、
恐らく日本の中、高校生くらいの年齢であろうと推察される。
もっとも、年齢についてはこの際問題ではない。問題なのは、俺にとって無害であるかどうかなのだから。
霧男は彼女が異能者であることに気付いてか気付かないでか、
彼女への対応を俺に押し付けてそそくさと店から出て行ってしまった。
俺は止血剤の入った箱と包帯を二つほど掴むと、それを彼女に向けて放り投げた。

「包帯はもうそれしか置いてない。少なくとも売り場の棚にはな」

投げたれた箱と包帯を彼女が上手くキャッチするのを見届けると、俺はこうも付け加えた。

「……見た感じどこも怪我をしていない君が使うのではないだろうと思うが、ま……お大事に。
それと俺はこの店の関係者じゃないんでな。代金は後で店長に直々に渡すか何かして払ってくれ」

そう言って、俺は視線を再び売り場の棚へと向けた。
今のところ彼女に俺に対する害意は感じられないが、想定されうる万が一の状況に備えて、
いつでも迎え撃てるよう少々右手に力を込めながら──。

【池上 燐介:アーリー・テイストに品を渡す】
24籐堂院神 ◆FleR8jlnN6 :2008/11/06(木) 18:02:26 0
「解ったよ、入るよ、でも教えてくれないかな、機関、暗殺部隊って何なのか」

この反応からすると、『機関』の事は本当に知らなそうだ。
少し焦りすぎたか、『機関』の一員である小村と戦っていたと聞いたから『機関』の事は知っていると思った。

「ハハハハハハ、信じてんじゃねーぞ、オイ。
機関とか暗殺部隊とか、んなモノが現代の日本に有るわけ無いだろ、中学生の妄想じゃあるまいし。
俺達は俺達のツレが偶然道端に倒れていたお前を見つけたから、介抱しただけだ」

響が唖然した顔で俺を見てくる、俺のとった行動が理解できないらしい。
どうせ、こんな高校生を入れても大して使えそうにもない、戦う意志の無い物がやっていけるほど暗殺部隊は甘くはないからだ。
このまま少し泳がしておいた方が良さそうだ。
俺は青年の背中を軽く叩くと、微笑みを浮かべる。

「まぁ、お前が無事に目覚めて良かった。
飯でも食ってくか?それとも、もう行くか?
歓迎会ってのは嘘だが、今日はこいつの誕生日なんだ」

そう言って、響の頭に手を置く。
後で木陰に詳しく聞いておこう、本当にこいつが小村と戦っていたのか。
ぱっと見る限りでは、あまり戦い慣れしていなさそうだ。

「あはははは、お兄さん面白いね。
ボク達の下らないギャグに付き合ってくれるなんて。
料理は沢山あるから、もう良かったら食べていってよ、人数は多い方が楽しいしね」

響は俺の意図を察したのか年相応、いや外見相応の満面の笑みで青年に話しかける。
響も流石だな、もう長くここに居るせいか感情の制御が非常に上手い、これならどこからどう見ても中学生くらいに見える。
まぁ少し強引だったかもしれないが、一般人からしたら俺達が暗殺部隊とかいう方が胡散臭いだろう。

「で、どうする?
もう暗い、親が心配してるかもしれないから俺達に気を遣わないで帰っても良いぞ?」

【籐堂院神:七草に食事を共にするか尋ねる】
>>15-16

>「そうですね、じゃあ……」

言葉を紡ごうとした直後の恋島の苦しみ方は異常であった。
頭を抱えて蹲ると、彼は顔を苦悶の表情に歪ませる。
先程の毒の影響かと疑わざるを得ない。

……大丈夫か?

無言のまま恋島を見据える。
まさか、毒が心臓にまで達したのだろうか?
相も変わらず無表情の私に対して、恋島は笑みを見せた。
しかし、それは心の底からの笑みではない。作り笑いだ。
私も良く使うから解る。もっとも、私の方が数段巧いがね。

>「……良いですよ。自分は車から降りて、香坂さんが来るのを待ちます。レオーネさんはレオーネさんの事情を優先してください」

先程の苦しみようを見て大丈夫そうに見える奴がいるのならば、眼科に連れて行きたい所だ。
恋島はギリギリと歯を軋ませる。何かを食いしばっている様子だ。

「……一体誰のスーツを見繕いに行くと思ったんだい?
 君のスーツだ、実際に仕立てる時に君が居なければ困るだろう?」

恋島を一人で行かせる訳には行かなくなったな。
香坂を待つ間、恋島があの世に逝ってしまっては元も子もない。

「――それに、とてもじゃないが大丈夫そうには見えないな。
 恋島君の意見を否定する様で悪いが、私も同席させて貰おう。
 今は君が心配だ」

受話器の向こうで退屈そうにしているであろう永瀬に、話し合った結果を伝える。
その店の名前と場所を聞いてみた。

「えっとねぇ、お店の名前はねぇー。『Swallow Tail』って言いましてですねー、
 すっごいレトロな感じで超イイ感じなんですよ〜!
 場所は電話を切ってからGPSをメールで送りますねぇー」

永瀬は"待ってまぁーす"と茶目っ気丸出しのまま電話を切った。
何が待ってまぁーす、だ。私の教育が間違っていたのだろうか?
仮に恋島は人の父親であったなら、この事に関して教えを乞いたい。

電話を閉じると胸ポケットに機連送を仕舞い込んだ。
……スワローテイルか。良い名前だな。
後は永瀬が香坂を連れて来るだけだ。


「……私が君を一人で行かせなかったのには、もう一つ訳が在る。
 紅原との一件で分かったかも知れないが、機関も一枚岩ではない。
 幾つもの派閥が在る。組織というものは皆そうだ、機関だって例外じゃない。
 
 "紅原の仲間"が襲い掛かって来ないとも限らない」

そろそろ日も暮れる。夜は物の怪の領分だ。
粛清部隊が何時闇に紛れて襲ってくるか解らない。
早めに恋島を治さなくては……。

【レオーネ:3日目 もう直ぐ夕方 現在地 車中】
【喫茶店『Swallow Tail』へ向う】
26アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/11/06(木) 20:36:38 0
>>13

「恨みが無いと人が殺せないなんてのは――っと。『機関』の人間には釈迦に説法って奴だったか。
 まあ、俺だって人間だ。人を殺したくなんかねぇし、ましてや相手が女子供なら尚更だ。
 だから、強いて解答になり得る回答をするなら……守る為、ってとこだな」

背中を向けたまま放たれる言葉。そこに込められているのは、覚悟だとか、信念だとかではない。

「お前ら機関は、一般人の俺の領域に踏み込んで、あまつさえその領域を壊し始めた。
 だから俺は、それを守る為に仕方なく、機関の人間と、俺の異能力を知った人間を
 皆殺しにしなくちゃならなくなった。覚悟も何も無い。必要に迫られての作業なんだよ。これは」

作業――――ハ、そういうことか。なら、もう用はない。
保身を求める心根を否定することはしないが――――彼は、既に終っている存在だ。
そもそも、相手を異能者と確認して殺しにかかったのではなく。
疑わしいから殺す、という行為を選んだ時点で、彼は一般人ではない。
話が終って、薄暗く、窓のない部屋に辿り着く。
彼はそこにある机に手を置き、

「さて、別に聞きたい事は無いんだが、体裁上俺からも質問しておく。
 お前は、この状況で俺がお前を殺すのに、どういう手段を使うと思う?」

殺さない、という選択肢などないのだ。
彼にとって、既に私は殺すべき対象でしかない。
―――――――なんて無様。自ら異能者であると教え、異能者であると知られたから殺すのか。

「……さて、どういう手段と言われれば、あらゆる手段としか答えられませんが。
 しかし、運が良かったですね、貴方は。私が異能者でなければ、貴方は単なる殺人者でしたし。
 ――――なにより、無関係の人間を殺さなくて済んだんですから、幸運でしょう」

屋上でやったモノと同じく、この部屋にも結界を作り出す。
不可視の結界と、感知不可能な結界。そして――――

「ですが、だからこそ殺し合うことになる。
 貴方のような人間は、生きているだけで迷惑なのだから」

殺意。――――この街で出会った中で、最も不愉快な異能者。
……否、彼が異能者であろうと、そうでなかろうと、もう関係ない。
獲物ではなく、食事でもない。これは、単なる癇癪だ。
なんという無様さと、なんという未熟さだろう。
私にとっての戦いは狩猟でしかなく、殺意から戦う真似をするなんて、私には許容できない。
許容できないけれど――――やはり、私もまだ若いのだろう。

「―――――――貴方は一般人ではない。
 単なる理不尽な殺人鬼でしかないということを知りなさい――――!」

跳躍する。純粋な暴力、速度、まるで暴風のように突撃する。
――判断を誤った。この相手に対し、先手を打つのは悪手だと分かっていたのに、こんな真似を。

【アルト:国崎に殴りかかる】
27神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/11/06(木) 21:18:28 0
>>20
マスターに切りかかろうとしていた敵の動きが急に止まった。
止まったっていうか硬直してる。マスターも無傷。
>「全く……修繕費はどこから捻出しましょうかね……?」
と余裕の言葉だ。
「マスター!危ない!逃げて!」といったときには、
>「もう大丈夫ですよ。この方は『眠って』いますから……」
と手をヒラヒラして無傷を証明している。それはよかったが『眠って』いる?
「マスター眠っているって?マスターなんかの能力者?」
体がビクッってなっている。どうやら図星のようだ。
「心配しないで!私も能力者だから…。一応「拡散」ってよんでる!」

そんなカミングアウトをしながら敵の懐を漁る。正直あまり男の体を探りたくないが
…ここらへんのポケットに

「あった!」

一応、彼らも人間らしいことに「財布」を持っていた。
気絶している二人の財布を没収しマスターに笑いながら
「命狙われたから慰謝料くらいもらっていいよね?これは店の修理費にもらっておいて!」
マスターも賛成してるみたいだ。もちろん主観だが…
「…この人たちどうする?」
と処理方法を一応マスターに聞いてみた
【場所Swallow Tail 店内 】
【キメラの部下の処理を聞く】【異能力者であることを告白】
28七草 柴寄 ◆O93o4cIbWE :2008/11/06(木) 22:23:09 0
――暗殺部隊に入るか、死ぬか――
正直、従がった所で身の安全が保障されるかなんて解らない、それでも今は承諾するしか――さあ、どう来る?

しかし帰ってきたのは意外な返答だった。

「ハハハハハハ、信じてんじゃねーぞ、オイ。
機関とか暗殺部隊とか、んなモノが現代の日本に有るわけ無いだろ、中学生の妄想じゃあるまいし。
俺達は俺達のツレが偶然道端に倒れていたお前を見つけたから、介抱しただけだ」

(……ぇ?)
思わず呆気に取られる、死ぬとか言ってたからてっきり本気かと。

そして男の人は微笑を浮かべ、

「まぁ、お前が無事に目覚めて良かった。
飯でも食ってくか?それとも、もう行くか?
歓迎会ってのは嘘だが、今日はこいつの誕生日なんだ」

「あはははは、お兄さん面白いね。
ボク達の下らないギャグに付き合ってくれるなんて。
料理は沢山あるから、もう良かったら食べていってよ、人数は多い方が楽しいしね」

(冗談…なのか?まあ俺もブラックジョークは大好きだけど……あぁ、それにしてもお腹空いてるな)

女の子は満面の笑みでこちらに話しかける
どうやら誕生日会と言うのは本当みたいだ、そして今更になって空腹に気付く。

「で、どうする? もう暗い、親が心配してるかもしれないから俺達に気を遣わないで帰っても良いぞ?」

(お腹すいたな、帰る…か、帰ってもあそこには……)

少し思案した後、

「アハハ…せっかくだからご馳走になりますか、家の事は、うん、大丈夫だよ…」

俺は女の子の方を向く、

―――人数は多い方が楽しいしね――

(何年ぶりかな、他人と一緒に食事をするのは)

【七草:響達と食事を共にするつもり】
29織宮京 ◆9uPeCvxtSM :2008/11/07(金) 01:09:58 0
京は目の前で繰り広げられている光景をただ呆然と眺めていた。
ついさっき殺されそうになっていた女性は黒服の男と互角にやり合っていたのだ。
(おいおい、この人強いじゃねーか、待っていて下さいとか言ったが待つべきなのは俺の方だな)

「神父さん、どうにかして武装解除出来ないでしょうか?」

女性が黒服の男と距離を保ちながら声をかけてくる。
(んな事言っても俺が入る余地なんて無いだろ)
と、あれこれ思案している内に、女性は痺れを切らしたのか自分から攻めていった。
女性が放った蹴りは虚しく空を切り、勢い余って体勢を崩してしまう。
その隙に黒服の男の刃が女性の脇腹に深々と刺さった。
女性の呻き声と共に膝をつく、黒服の男は止めをささんと短刀を振りかざす。
京の手の聖書が槍へと形を変える。

「出でよ聖遺物の一、百卒長の槍!
喰らえ『断罪の惨槍』」

叫び声と共に黒服の男へと突撃する。
攻撃する前に無駄に叫んだせいか、その攻撃は読まれ軽く躱されてしまう。
そして、京の心臓目掛けて短刀を突き出す。
刃が心臓に到達する事は無かった、甲高い金属音と共に弾かれ、地に落ちる。
驚きで男の動きが一瞬止まる、それがこの男の敗因だった。
女性は既に立ち上がり、その隙をついて男を蹴り飛ばす。
骨の折れる嫌な音と共に男は塀に叩きつけられ気絶した。

「危なかった〜、大丈夫?って、大丈夫じゃないか。
主よ、この者に神の恵みを」

手を座り込んでいる女性の脇腹に当てそう唱えると、傷はみるみるうちに小さくなり、すっかり消えてしまった。
京は立ち上がると、女性に手を差し伸べる。

「俺は神の子、織宮京。
貴方の名前と電話番号とメールアドレスと住所は?」

【織宮京:籐堂院瑞穂に名を名乗る】
30喫茶店マスター ◆ytBxX/02GA :2008/11/07(金) 06:32:22 0
>>27
>「マスター眠っているって?マスターなんかの能力者?」
え?ちょっと待て……。ばれたのか?
確かにこの「眼」を使ったは使ったが、何故解ってしまうのか?
いけない、また独りに戻るのだろうか……。

>「心配しないで!私も能力者だから…。一応「拡散」ってよんでる!」
何ですと? 神野さんも?「拡散」?
今日は何か在るのか?   能力者だと?

男の体、と言うよりも衣服をまさぐり始める神野さん。あからさまに嫌そうに見えるのは幻覚ではあるまい。
>「あった!」
財布を男たちから抜き出し、>「命狙われたから慰謝料くらいもらっていいよね?これは店の修理費にもらっておいて!」

迷案だ。打開策でも無ければ、万全の策でも無い。だが、この神野さんを見ていると、それがどうしてか口を出ない。
この娘は、きっと底抜けに明るい人物なのだろう。笑顔が眩しい。薄っぺらい笑顔が常に顔に貼り付いているいる自分には眩し過ぎる。

>「…この人たちどうする?」
「そうですね……。  先ずは私の能力からお話しましょうか。

私の能力、眼は『真幻眼』と呼んでいます。能力は『私の眼を見た』生命体に『私の望む幻覚』を『私が望む間』見せ続ける事が出来る、という物です。
幻覚は私の想像した世界で、時間も私が操作可能です。私が望めば、痛覚等の感覚を現実世界と同様に刺激できます。

言うなれば……そうですね……。相手の精神に勝手に入り込む能力だと思って頂いて結構です」

言っている自分が悲しい。下衆の様な醜い能力を持ち、それを行使する。それは何よりも赦されざる事。
相手の精神を崩壊させる為に、相手の機密を知る為に、相手を自分の手駒にする為に特化した能力。

「まあ、彼らにはご退場願いましょうか。きっともう再起不能でしょうし、何よりも……」
「何よりも?」
「二度と財布を盗られたくは無いでしょうし、ね」

柄にも無いのだが、冗談を交えてみた。
神野さんは何か悪い夢でも見たように、呆気にとられていた。
【場所 Swallow Tail 店内】
【キメラの手下を開放したい事を伝える】【自分の能力を告白】
31ルナ ◆7VdkilIYF. :2008/11/07(金) 20:41:07 0
暇ね……こうしていると、すごい暇。
今までずっと独りだったから孤独には慣れてるはずなんだけど。

そういえば買い物の件はどうなったのかしら。
けっこう楽しみにしてたんだけど……
まぁ、今の状況で買い物も何もあったものじゃないわね。
うーん、どうしますかね。
私はとりあえず辺りを見回し、何か暇潰しに使えるものはないか探してみる。
……テレビは……別にいいわね。
千里眼を使えばニュースに現場をそのまま生で見られるし。
それにドラマやバラエティ、アニメにだって興味はないわね。
大抵が続き物だから途中から見たって面白くないもの。
パソコンは……セキュリティロックがかかってるから無理か。
その気になれば破れるけど、あまり気が進まないし。
本や漫画も面白いのがなさそう……どうしたもんかしらね。

考える事、およそ数分。

>「先輩、ルナちゃんちょっと出かけてくる」

沙羅の声が私を思考という名の海から引きずり上げる。

「へっ?え、うん。いってらっしゃい」

どうやらどこかに出かけてくるらしい、店番を放っておいていいのかしらね。
まっ、私には関係なさそうね。黙っておきましょう。
そんなことを思っていると、なんだかニヤニヤした顔の沙羅が統時に近づき……

「……ぷっ」

統時の頬にデカデカと「モテ男」と書いた。
一応水性だが、早く落とさないと跡が残るかもしれないわね。
まあ別に残ってもいいんだけどね。死ぬわけじゃないし。
沙羅はどこか満足げな顔を浮かべると、統時に毛布をかけ店内から去っていった。
……私も何か落書きしてやろうかしら。
あ、駄目ね。それじゃあモテ男まで私が書いたみたいじゃない。
うーん。何か良い暇潰しは無いのかしらねえ。ホンットに暇だわー。

【ルナ(NPC):暇潰しの方法を思案中。
       見張りをしているため、簡単に移動は出来ない】
32国崎シロウ@代理:2008/11/07(金) 22:13:12 0
>>26
「……さて、どういう手段と言われれば、あらゆる手段としか答えられませんが。
 しかし、運が良かったですね、貴方は。私が異能者でなければ、貴方は単なる殺人者でしたし。
 ――――なにより、無関係の人間を殺さなくて済んだんですから、幸運でしょう」

笑わせる。機関の本部から出てきた死の臭いを纏った人間が、
機関と関係がない筈がないのは自明の理だ。

「ですが、だからこそ殺し合うことになる。
 貴方のような人間は、生きているだけで迷惑なのだから」

他人の迷惑など関係ない。
俺は、一般人でいるという彼女との約束を守る為ならば、何でもする。

「―――――――貴方は一般人ではない。
 単なる理不尽な殺人鬼でしかないということを知りなさい――――!」

……ふざけるな。その怪物を呼び起こしたのは、お前達だろう?
二度と怪物になりたくなかった俺を、ただ一般人として暮らしていきたかった俺を、
『贄(ウロボロス)』という怪物に戻したのは、お前ら『機関』の連中だ。
お前らを皆殺しにする事でしか、もう俺は一般人には戻れないんだよ。

女が告げる弾劾の言葉に対し、心が鮮血の様な赤い感情を噴き出す。
しかしそれは、欠片すらも表に出ることは無かった。
この身体はおぞましい怪物(モンスター)。
目的を達成するまでは、腕を切られようと心臓を?がれようと、止まる事は無い。
33国崎シロウ@代理:2008/11/07(金) 22:13:44 0
直後に女が放った拳を、俺は冷静に、下から蹴り上げることで弾いた。
その拳は、速くて強かった、暴風の様な攻撃だ。
恐らく熱使いである筈の女が、何故これほどの身体能力を有しているかは解らない。
だがしかし、それは所詮、能力に頼った一撃に過ぎない。
技術が、経験が足りない。その暴力も殺気も、戦場という死地で
俺が得たそれらに比べて――――余りに温い。

能力で肉体が強化されているのは俺も同じだということを、
この女は知らない。その為生まれた僅かな驚愕の隙を突いて、俺は女の身体を、
まるで抱き締めるようにして、その動きを拘束した。
高熱で自らの肉が焼けていく感覚。女が接近した事で、熱によって砕けたサングラスの奥。
そこに在る赤々とした、しかし無機質な毒蛇の瞳で女を見ながら、俺は告げる

「なあ。お前さん、ビルを解体するのに何を使うか知ってるか?」

――――直後、廃ビルの外壁から複数の爆発音が鳴った。

女が昇ってきたときに爆発させなかった四つの爆弾。
そして、先程屋上で爆発させ、ビル全体を揺さぶった爆弾。
それらが齎すのは――――ビルの直下崩壊。

巨大な鉄とコンクリの塊をを支えていた柱が壊れ、250,000tもの重量を持つ
ビルが、重力で加速し、自然災害レベルの衝撃として、俺と女を同時に襲う。
窓の無い部屋で、更に俺に身体を拘束された女は、この部屋から逃げる事は出来ない。
例え拘束を熱で解こうとしても、ビルが崩壊するまでの僅かな時間ならば、
俺の持つ再生能力によって、俺の腕は焼ききれはしない。

この災害に巻き込まれても、俺は贄(ウロボロス)としての再生能力で
生き残れる。そして、この女は――――死ぬだろう。

「すまねぇな。俺を恨んで死んでくれ」

そして、空間は破壊に飲み込まれた。

【国崎:自分を拘束具としてアルトを廃ビルの崩壊に飲み込ませる】
34戦場ヶ原@代理:2008/11/08(土) 00:52:30 0
>>17
「『放電』スパーク !!」
聞き覚えのある掛声とともに、スティクスの掌からまばゆい光が穿たれる。
2日前に廃工場で出会った、怯えた眼をした少年――桐北修貴の使った能力だ。
しかし戦場ヶ原はその攻撃を避けようともせず、鋭い視線をスティクスに突き刺したまま離さない。
戦場ヶ原のすぐ足もとの地面が炸裂し、焦げ付いた臭いが鼻をつく。
牽制だ。
戦場ヶ原はスティクスが最初からその攻撃を当てるつもりのないことを分かっていた。
月光に反射する銀髪をたなびかせたスティクスの、余裕漫然とした表情。その眼を見れば分かる。

「…貴様に、言いたいことがふたつある。」

地獄の底から這い出たような低い声が、怒りに痺れた戦場ヶ原の口から洩れる。
しかし腸に迸る怒りを極限まで抑えながら、戦場ヶ原はゆっくりと足を進めた。
一歩一歩着実に、スティクスとの距離を縮めていく。相変わらずにやけた顔を崩さないスティクスに向けて、歩きながら戦場ヶ原は言葉を続けた。

「スティクスとか言ったな…。貴様は、自分の隊がまるで兵器の一部になり果てていると自覚していながら、
なぜそれを正そうとしない………?自らの闘争本能に従って闘い、吼え、散っていった、『鬼ども』と呼ばれ畏れられたかつての虐殺部隊の面影すらも見えねぇ…。
今の貴様らは鬼でもなんでもねぇ。―――…ただの金剛のイヌだ。」

戦場ヶ原はスティクスの眼前まで歩いたところで止まった。
怒りに顔を歪めた戦場ヶ原のまがまがしい表情と、スティクスの勝利を確信した余裕の表情とが至近距離でぶつかる。
静かに戦場ヶ原が言葉を続けた。

「…そしてもうひとつ。俺をその名で呼ぶんじゃねぇ。」

全身に漲った怒りを迸らせるかのように、戦場ヶ原は咆哮で天を裂いた。

「俺の名は………戦場ヶ原。闘いの鬼神、戦場ヶ原 天だァァァアアアアアアッ!!!!!!」

咆哮と同時に彼の全身から強力な『斥力』が放たれる。それが戦場ヶ原の人外じみた大声と相まって、衝撃波となって3人の敵を襲う。
スティクスは至近距離からそれを受けたにも関わらず、ものともしない様子でポケットに手を突っ込んで立っている―――が、
その両側に立っていた二人の部下は思わずその衝撃波に身を仰け反らせた。
その刹那。二人の部下の前に、禍ノ紅を抜き放った屡霞が躍り出た。

「…宿命の対決に水を差すのは野暮というものだ。我々は我々で別の場所で楽しもうじゃないか。」

屡霞は静かに笑って眼前の二人の戦闘員に言葉を投げかけた。
それと同時に、禍ノ紅の刀身が妖しく光り、二人の身体を空高く舞いあげた―――。
「戦場ヶ原。2匹の『雑魚』はこちらに任せて、キミは気兼ねなくその男と闘れ。」
屡霞は短く戦場ヶ原にそう告げて、隣のビルの屋上までまいあげられた2人の戦闘員を追って、飛翔した。
「もっとも…」飛びあがりながら屡霞は、一人苦笑した。「…私の声も、今のキミには届いてはいないだろうがね。」

邪魔者は消えた。今そこに対峙する二人の男。戦場ヶ原とスティクスは、未だ至近距離で睨みあいを続けている。
沈黙を破ったのは戦場ヶ原。
「『闘い方を教えてくれ』――とか言ったな。いいだろう…教えてやる。『鬼神』の闘いを……!!」
戦場ヶ原の左手に黒い光が宿る。

「授業料は……貴様の命だァアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!」

至近距離からスティクスの下顎――急所に向けて、100kgグラヴィトンハマーが放たれた―――…

【戦場ヶ原:路地裏の空き地でスティクスと戦闘開始。】
35戦場ヶ原@代理:2008/11/08(土) 00:54:10 0
>>14 >>17
屡霞は打ち上げた二人の戦闘員を追って廃ビルの屋上へと降り立った。
そこには、屡霞の一撃を受けたにもかかわらず平然と彼女の到着を待っていた二人の姿があった。
(なるほど、今まで薙ぎ払ってきた雑魚どもとは違う―――)
強敵との邂逅。その事実に屡霞はその端正な表情を嬉しそうに歪め、またそれを自分で戒めた。
(…おっと、違う。私は殺戮を愉しんでいるわけじゃない。禍ノ紅の血への渇望が、私をそうさせているだけ――…)

『いい加減に認めろよォ……。屡霞ァア……』

脳内に響く濁声。今まで長い期間をともに過ごしてきた、彼女の中の招かれざる居候。
―――妖刀『禍ノ紅』

『てめェも結局のところは俺や、あの赤髪と同じなんだよォ…。
戦いが好きで好きでたまらねェ…。命ある者の営みをその手で絶つカタルシス…。
その素養がある奴が一度ソレを味わっちまうと…もう抜けられねェ……そうさ、まるで麻薬みてェにな…!』
(やめろッ…、私は―――…!)

屡霞は自分で気づいていなかった。
何十、何百と虐殺部隊を切り捨ててきた中で屡霞自身の精神力は削がれ、禍ノ紅につけ入れさせるほどの隙を作ってしまっていたことに――――…

『俺がソレを満たしてやる…。俺なら出来る。あの眼の前のモヤシどもを鱠(なます)にしてやるよォ…。
そうすればテメェの心はまた許に戻るさ……。何、一時的に俺に身体を貸してくれるだけでいいんだよォ…。
だから屡霞よォ……』

オレニ ヒトヲ キラセロ―――…

その瞬間、禍ノ紅の刀身は妖しく光り、その光は瞬く間に屡霞の身体を包みこんだ。
光の中から現れた彼女は、もはや容姿端麗で冷静沈着な神野屡霞ではなかった。
美しい顔に下卑た表情を浮かべ、瞳を血に染めた殺人狂。

禍ノ紅が今、眼を醒ましたのだ―――

「ヒャハハハハハハハハァあ!!!二日ぶりの眼覚めだぜェ!!!テメェら二人はもう『敵』じゃねェ。
――俺に喰われる運命の……哀れな『エサ』だァア!!!!」

【神野屡霞:空き地の隣、廃ビルの屋上にて戦闘員2人と戦闘開始。禍ノ紅が憑依。】
36スティクス ◆6eLTPQTFGA :2008/11/08(土) 11:32:14 0
>>34
バチィッッ

俺が放った雷撃を避ける素振りも見せず、殺気を含んだ眼をこちらから離そうとはしなかった。
山田の足元に電撃が着弾する、さきほどの一発はあくまで牽制である…。

「…貴様に、言いたいことがふたつある。」

ゆっくりと、少しずつこちらへと歩みを進めながら山田は言葉を続ける…

「スティクスとか言ったな…。貴様は、自分の隊がまるで兵器の一部になり果てていると自覚していながら、
なぜそれを正そうとしない………?自らの闘争本能に従って闘い、吼え、散っていった、『鬼ども』と呼ばれ畏れられたかつての虐殺部隊の面影すらも見えねぇ…。
今の貴様らは鬼でもなんでもねぇ。―――…ただの金剛のイヌだ。」

同時に隊員の二人が飛び出そうとする気配を感じ、片手で制する。

ザッ――
怒りに顔を歪ませ、目の前まで歩いてきた山田が静かに…言葉を続けた。

「…そしてもうひとつ。俺をその名で呼ぶんじゃねぇ。」
その言葉が終わったと同時に耳を劈くほどの大声で山田は叫んだ
「俺の名は………戦場ヶ原。闘いの鬼神、戦場ヶ原 天だァァァアアアアアアッ!!!!!!」
その叫び声と同時に山田から斥力――衝撃波――が放たれる。
やはり隊長というべきか…スティクスはそよ風が流れるかの如く、ポケットに手を突っこみ立っていた。
「グッ…ウウッ!」
だが、後ろの二人はそうはいかない…突然の衝撃波に身を仰け反らせてしまった。
それと同時に二人の目の前に刀を持った女が現れる、その刀の能力か――二人はビルの屋上まで吹き飛ばされてしまった。

二人を邪魔する者はいなくなった…ここからは純粋な殺し合いが始まる。
その殺し合いのゴングを鳴らしたのは山田――いや、戦場ヶ原のほうだった。

「『闘い方を教えてくれ』――とか言ったな。いいだろう…教えてやる。『鬼神』の闘いを……!!」
戦場ヶ原の左手に黒い光が宿る。

「授業料は……貴様の命だァアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!」
黒い光を宿した拳がスティクスの急所に襲い掛かる――だが

バシィィッ!

「なるほど…大した技だ…だが…まだまだぬりぃな…」
スティクスの足元に小さなクレーターができるように、並みの威力の技ではない。
だがその拳はスティクスの右手によって遮られていた。
反撃を許す前に掴んだ戦場ヶ原をそのまま投げ飛ばす、勿論向こうも受け身をとって着地する。

「山田――いや、敬意を表して戦場ヶ原と呼ぶとしようか…。
 お前はこう言ったな…俺達が金剛様のイヌだと…クックック…だがそれは違う
 あんたがいなくなってからの部隊は金剛様の"影"ではなくなった…。
 任務時は常に最強を意識し、たとえ如何なる相手でも恐怖しない部隊へと…。
 "最強"の組織になるためには…末端の戦闘員には感情が邪魔だ。
 俺や他の幹部共には感情があってもなんら差し支えは無かったが…下っ端は別だ。
 相手の技に驚愕し、相手の技に恐怖する…それは敗北へと繋がる邪魔な荷物だ。
 そして…任務の為には、他人も、戦友も、親友も、家族でさえも消さなければならない
 そう…俺達には一切の感情を消す最後の手段が存在する…全ての者を消す為に
 感情に左右されず、任務を忠実に遂行できる我々が本当の『鬼』であるに相応しい」
37スティクス ◆6eLTPQTFGA :2008/11/08(土) 11:32:47 0

ガシャッ

「もう少しこの機械で遊んでやろうかと思ったが…この機械では少し荷が重いな。」
右手につけていた機械をスティクスは外し…踏みつけ、破壊した。
「それにあんたが今更言えたものでもないだろう?
 たった一人の人間のためだけに自らが率いていた部隊を捨て…
 今のような部隊になってしまったのは…貴様の責任でもある。」

少しずつスティクスの口調が変化していく

「そんなテメェが…今更部隊のことを語るようなことを言いやがって…
 そういういい子ちゃんが俺は一番嫌いなんだよ!!」

ドゴオッ!

その言葉とほぼ同時に戦場ヶ原の眼前からスティクスの姿は消え――
同時に戦場ヶ原の腹部に拳がねじこまれていた。
「だがそれとこれとは話が別だ…来蓬斎を破ったといわれる本当の力を見せてみろ!」
めり込ませた拳をねじりながらスティクスは言う。

ブウンッ!
そのまま戦場ヶ原を思い切り真横に投げとばした。
「この技で見極めてやろう…俺が貴様と本気で戦うに相応しいかを!!」
右腕に力を込め、投げ飛ばした戦場ヶ原へ強力な一撃を放つ

『蒼 波 震 拳』

喰らえば貴様の骨は粉々だ!!
さあ、どう動く!? 戦場ヶ原 天さんよ!!

【スティクス:戦場ヶ原と戦闘開始】
38虐殺部隊員 ◆6eLTPQTFGA :2008/11/08(土) 11:34:43 0
>>35
「…チィッ!」
戦場ヶ原の衝撃波を受け、その隙を突かれて屋上へと打ち上げられた二人だが
他の戦闘要員とは少し違った、打ち上げられたあとすぐに体勢を整え、刀女を待っていたのだ。
体勢を整えた直後、その刀女も屋上へと到着した。

フルフェイスを外しながら二人は言う

「舐めたマネをしてくれるじゃあないか…衝撃波を受けた隙を突いて攻撃とは…」
「まったくだ、俺らも随分と甘く見られたもんだな」

二人と向き合ったまま、屡霞は少し嬉しそうな表情を見せたかと思えば、
その表情はすぐに失ってしまった。
そして直後、屡霞は何かに誘い込まれるかのように苦しみだした

「おいおい、戦う前からこれじゃあ勝負にならねぇんじゃねえか?
 せっかくフルフェイスの解除許可まで出していただいたっていうのに…」
「フッフッフ…あんまりからかうもんじゃねえな…
 だが本当に恐怖して動けないんじゃないか?」

オレニ ヒトヲ キラセロ―――…
!?
女の刀身が妖しく光ったかと思うと、その光は女を包み込み――
現れたのは、さきほどとは全く違う気配を出す"同じ形をした何か"

「ヒャハハハハハハハハァあ!!!二日ぶりの眼覚めだぜェ!!!テメェら二人はもう『敵』じゃねェ。
――俺に喰われる運命の……哀れな『エサ』だァア!!!!」

「…狂戦士(バーサーカー)かっ!」
「意外と厄介な野郎だぜ…それに…この力…計り知れない物があるっ…!」
ある一定状況下において身体能力や異能力が変化する人間のことを、虐殺部隊では狂戦士と呼んでいた
実際彼らも何度かその狂戦士を何度か見ていたものの…今目の前にいる"狂戦士"の変化の仕方は異常である。

「拳…感情を捨てるぞ…!」
「少し早えが仕方ねぇ! こんなところで俺らは死ぬわけにはいかねぇからよぉ!」

―――鬼の紋章―――発動
二人の虐殺隊員の手の甲が紅く発光したかと思うと二人の眼から光が消えた。
そして喋り方も、無機質な感情の篭っていないものへと変化した

「……標的確認……虐殺部隊…拳…参る……」
「同じく虐殺部隊…地来…標的への攻撃を開始する……」

屋上がドス黒い"何か"で覆われていく。
それは鬼の紋章の副産物で、相手の逃げ場を完全に封鎖する能力である。

「…拳…異能力…臨界を発動……」
ゴゴゴゴゴ……!
虐殺部隊の一人である拳の体が白いオーラに包まれる…

ジャキンッ
「地来、能力を発動する」
腰に装着していた二振りの剣を抜き、その銀の刀身を紫色に変化させる

「「…戦闘開始…!」」
ダンダンッ!
屡霞の目の前まで移動し、強化された肉体と強化された剣が
同時に屡霞へと襲い掛かる――!

【虐殺部隊:神野屡霞と戦闘開始 鬼の紋章使用 感情は無くなる】
39恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/11/08(土) 21:43:51 0
>>25
あー、やばいやばい。俺は右腕で汗を拭いながら、レオーネさんの反応を伺った。このままじゃ、紅原の針の毒が回った様に見られる。
一応継続麻痺中の左腕と右足以外はきわめて健康なのだが。頭痛も治まっているし、動きっぱなしな為か腹が少し空いている位で。
頭痛がやば過ぎて思わず歯軋りしてしまった。多分レオーネさんは俺の体調が悪くなったと思ってるだろう。……多分。
車がどこに向かっているかは見当が付かない。適当な所で止めてもらわなければ……。

横目で俺の様子を見ていたレオーネさんが、誰ともなしに言った。
>「……一体誰のスーツを見繕いに行くと思ったんだい?
  君のスーツだ、実際に仕立てる時に君が居なければ困るだろう?」

あ……そうなんですか? てっきりレオーネさんが個人的に仕立てたスーツを取りにいくのかと……。
つーかいいっすよ、スーツなんて。そこら辺で売ってるリクルート用の安いスーツで充分です。俺なんか。
……と言おうと思ったが止めておいた。それなりに身なりを良くしないと、他の「機関」の連中から変な目でみられそうだ。

>「――それに、とてもじゃないが大丈夫そうには見えないな。
  恋島君の意見を否定する様で悪いが、私も同席させて貰おう。
  今は君が心配だ」

ですよね……いや、一人で大丈夫ですよ。一応。まぁ、大事を取ってここはレオーネさんに従おう。
紅原の仲間が敵討ちにでも来たら、もう俺になす術が無いし。ただ・・・…一つ心配事があるんだよな。それは……。

>「えっとねぇ、お店の名前はねぇー。『Swallow Tail』って言いましてですねー、
  すっごいレトロな感じで超イイ感じなんですよ〜!
  場所は電話を切ってからGPSをメールで送りますねぇー」

レオーネさんから事情を聞いた永瀬のキンキン声が、ホルダーに挿した携帯電話から聞こえてきた。
そうだ、こいつだ。俺をこのどうしようもないゲームに巻き込……いや、俺が自分から巻き込まれに行ったのだが…・・・。
まぁそれは置いといて。永瀬は俺の事を覚えているのだろうか。俺の顔を認識してはいなくても雰囲気で察知してしまうのではないかと。
レオーネさんと違って、永瀬ははっきりいえば精神的にガキだ。もしも俺があの日、攻撃を阻止しようとした人物だと知ったらどう思うか……。

ま、杞憂だ。今はただ、永瀬が香坂って人を連れてきてくれる事だけを考えよう。余計な事は考えない。
にしても、何時まで麻痺してんだろう、この左腕と右足は・・・…。
気づけば血が止まっていて部位が腐っていた! なんてグロイのはやめてくれよ。
車が何時の間に来た事の無い狭い路地に入っていく。この先に、永瀬が待ち合わせしているという喫茶店があるらしい。
名はSwallow Tail。にしても喫茶店か……。軽い物でもいいから、何か飯が食えればいいな。腹ペコペコだよ、もう。
40恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/11/08(土) 21:44:30 0
ふと、レオーネさんが俺に話しかけてきた。その口調には、何処となく深い思慮が含まれていた。
>「……私が君を一人で行かせなかったのには、もう一つ訳が在る。
  紅原との一件で分かったかも知れないが、機関も一枚岩ではない。
  幾つもの派閥が在る。組織というものは皆そうだ、機関だって例外じゃない。
  "紅原の仲間"が襲い掛かって来ないとも限らない」

……俺が疑問に思っていた事を、レオーネさんが口にした。あの紅原が言っていたように、「機関」の内部事情はかなり複雑なようだ。
それこそ、仲間となる筈の俺を、訳の分からない理由で殺そうとするほどに。
一瞬、俺はアレをレオーネさんが仕掛けた入団テストだと思っていた。

だが、レオーネさんの様子から見ると奴は、紅原は本気で俺とレオーネさんに敵意を向けていたようだ。
今思うとアレほどの奴を良く倒せたなと思う。
しかし・・・…俺の中にもう一つ、疑問が浮かんだ。「アブラハム」だ。奴は戦っている最終に何回か、その単語を口にしていた。
「アブラハム」……高級なハム……?ってのは冗談で、少なくとも俺自身に関わる事なのは間違いない。何れ分かる事だろう。

路地裏を進むと、ぼんやりと立て掛けられた洒落た看板が見えた。目を細めてじーっと見ると
『Swallow Tail』
と書いてある。あそこか……。外見は至って普通の、寧ろ最近流行りのオサレなカフェって感じだ。永瀬が気に入るのも分かる気がする。

そうだ、レオーネさんに余計な心配をさせてしまった事を詫びねば。それともう一つ、質問をぶつけてみよう。
目的地がすぐそこな為、レオーネさんが車のスピードをかなり落とす。その瞬間を見計らい、俺は言葉を発した。今度は作り笑顔無しで、だ。
「あの、心配させてしまいすみませんでした。ちょっと偏頭痛が…・・・。でもピンピンですよ。針刺さったところ以外」

「それと、レオーネさん。さっき派閥の話をしてくれたじゃないですか。それで……レオーネさんは今、どの派閥に属してるんですか?」
【現在地:車中】
【Swallow Tailが目と鼻の先。体に特に異常がない事を伝える】
41梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/11/08(土) 21:56:44 0
>>22
現状確認といこう。
数m先には『機関』の一員。
幅およそ3mほどの道。
後ろには十字路。
相手はやる気…もとい、殺る気満々だ。

それでも俺は戦いたくはない。
もしかしたら最初の戦闘を機に、どんどん戦わなきゃいけなくなるかもしれない。
連戦とは、回を重ねるたびに負ける確率があがるものだ。
運が悪ければ死ぬ。
それだけは避けたいんだよ、俺は。
(じゃあどうするって言っても、何も思いつかないしな…)

「おいおいおいビビってんのかぁ?」
「そうじゃないぜ。悪いがな、俺は話し合いで解けt「却下に決まってんだろぉがよぉ!」

だよなぁ。これじゃ情報を引き出せやしなさそうだ。
「そうですか、ならさようならだ!」
振り向いて足を動かし――

ゴツッ!
と、いい音をさせて壁にぶち当たった。
鼻っ柱を強く打ち付けて。
「―――っってぇぇ!!」
は、鼻がっ!じゃなくてなんだこの壁!
さっきまで無かった壁は、道を塞いでいる。
高さは20mというところか。

と、突然ゴゴゴゴ…と音を立てて、残りの三方にも壁がせり出す。
これでこの空間には、俺と奴しか居なくなった。
一対一、どっちかが倒れる…もしくは、死ぬまで出られなくなった!

「ヒャッハハハーッ!やっぱ逃げたなぁ!なぁおい、『梓川博之』!
その壁は俺の能力さぁ!てめぇが逃げると思って出したんだよォォ!フハッハハハハハアハハハッハハ!!
そして、二桁番号(セカンドナンバー)のNo.77である俺様にはもう一つ名がある!なんだかわかるかぁ!?おい!
『壁(ハッピーエンドオブザワールド)』!それが俺様の二つ名だぁ!
壁について納得したかよォ?なぁ、納得したなぁ!?
っつーわけで、死ぬ前に俺様の名前と二つ名を聞けたことを直々に聞けたことを光栄に思いながら死ねぇッ!」

「長々と良いお話をありがとよ!だが、攻撃すんのは止めて欲しいぜ!」
憎まれ口を叩きながら、咄嗟に前に飛び込む。

次の瞬間には俺が居た場所から壁がとんでもない速度で飛び出した。
うっお、あぶねぇ…。
「中々やるじゃねぇかよぉ!だが、まだ安心できねぇぜぇ!?」

折川のその言葉通り、俺を狙って壁がせり出してくる!
足元から出てきた壁を背に走る。少し走ったところで急転回して奴の予想位置から外れる。
想像通り出現する壁。
この分なら避けるのは楽みたいだ。
42梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/11/08(土) 21:57:47 0
だが…このままじゃ埒が明かない。
この壁が出てくるのだから、近づいても無駄だろう。
逃げようにも、四方は壁に囲まれて逃げれない!
なら。

俺の手に霧が集まり―――霧が晴れたときには、3本ずつ、ナイフくらいの剥き身の黒い刃が握られる。
それをどうするかって?
勿論投げるんだよ!
「食らえッ!『飛来スル刃(カムフライング・カッター)!』」

回転しながら奴に迫る刃!
「ハッ!そんな子供騙しの攻撃ィ!俺の『壁』の前には無駄なんだよォ!」
奴の目の前に石壁が立ちはばかる。
俺の攻撃は意味の無いものへと変わった。

だが、それが隙となってくれた。

「このガキがよぉ、俺をナメてんのかぁ!?てめ…」
出した壁を引っ込め、そう言って、奴がこっちを見た。

「予想通りの動きをありがとよ」
1mも離れていない場所で、真っ黒な大剣を上段に構えた俺を!
渾身の力を込めて、折川に振り下ろす!
「残念だったな、俺の勝ちだ!『闇カラノ十字剣(ダーク・クレイモア)』ァァァアアアア!!」


ドゴッ!
鈍い音と共に、腹部に衝撃。
俺の体は後ろの壁に叩きつけられ、背部にも痛みが走る。
…何だ?何が起きたんだ?
「ぐ…ぅっ…」
「甘ぇんだよ、やっぱり俺様をナメてたなぁ。あぁ?梓川博之ぃ」

痛みを堪えて、折川を見れば―――斜めに突き出た、『壁』。
「俺様の壁が上下にしかでねぇとでも思ってたのかぁ?砂糖水みたいな考えだなぁ、おい。
そんなてめぇの愚かさに相応しく、俺が引導を渡してやるよぉ…こいつでなぁ」

その手に握られるのは…数秒前まで俺が握っていた、大剣。
剣先を、俺の喉元に当てる。
「俺様が今まで見てきた中で、てめぇが一番ちっぽけだったぜぇ!地獄で楽しく暮らしなぁ!」

黒い大剣が、俺の首目掛けて――――――振られた。


【梓川:折川の手によって、大剣が振られる】
43アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/11/09(日) 16:05:01 0
>>33

一撃で殺すつもりだった――それを、防がれた。
それはいい。そもそもこちらの失敗だ、それを防がれても当然だ。
しかし――――一瞬の後、私は彼に抱きつかれていた。
否、拘束されていた。――――無論、それを振り切ることは不可能ではない。
だが、それよりも早く、男は行動を起こしていた。

「なあ。お前さん、ビルを解体するのに何を使うか知ってるか?」

爆発音。一つではなく、また私を攻撃する為でもない。
このビルを崩壊――否、解体する為の爆発。
――――死なない自身があるのか、捨て身なのか。
どちらにせよ、この崩壊に巻き込まれる前に、この男の拘束から逃れる余裕があるだろうか。
力尽くで振り切るにしろ、高熱で溶かしきるにしろ、先程からやってはいるが――

「……頑丈さ、ではない。これは――――再生能力…!?」

ならば捨て身ではないのか。このビルの崩壊に巻き込まれても再生することができるのならば、この行動は正解だろう。

「すまねぇな。俺を恨んで死んでくれ」

…恨む? 分からない。何故そんな言葉を口にするのか。
私は彼のあり方を認めないが、彼の行動による死に恨みは持たない。
だってこれは、私の失態で、私の愚かさの結果だ。
それに、本当に強いのなら、この程度の策など正面から打破できる。
だから――――そうしよう。死地に直面したのなら、それを正面から突破する。
この程度の窮地、突破できずして何が最強か――――!!

「……貴方が一般人でありたいと思うように、私にも望む姿がある。
 だから、この場は負けられません。敗北を認めることなど出来ない。
 そう――――簡単な話です。崩壊までに貴方の拘束を振り切れないというのならば、この場は――――!」

――――そう、簡単な話だ。単純に、降りかかるすべての鉄塊を、力尽くで突破する。

「そして、貴方も動かせはしない。これ以上行動を起こされては厄介だ。
 動かずに、そこで見ていればいい。――――熱量操作、低温」

熱量操作――――それは、高熱を操るというだけではない。
熱量を操作できるということは、熱量を低下させ、極低温も作り出せるということだ。
単なる高熱ならば、この男は止まるまい。どのような痛みがあろうとも、体が動く限りは、私を拘束し続けるだろう。
しかし――そもそも動くことができなければどうなるか。
どれほどの再生能力があろうとも、動く為に必要な条件が欠ければ行動には移せない。
そう、私がこの崩壊を突破するだけの時間は稼げるだろう。

「熱量の結界よ――――!」

その間に、先程張り巡らせた高熱の結界に注ぎ込む力を増加する。
周囲に作り出した高熱の糸は、私を守る結界でもある。
これらの熱量を増加させ、収束させれば――私を押しつぶす部位だけならば溶かしきれるだろう。

【アルト:国崎の周囲の熱量を低下させつつ、崩壊するビルを溶解させる】
44神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/11/09(日) 23:57:31 0
>>27
マスターは自分の能力を説明した後に
>「まあ、彼らにはご退場願いましょうか。きっともう再起不能でしょうし、何よりも……」
退場には賛成だが話しに続きがあるみたいだ。
「何よりも?」と聞き返す。
>「二度と財布を盗られたくは無いでしょうし、ね」
と冗談を言ってきたが、あまりに突然で呆気に取られてしまった。

とりあえず二人を店先あたりにおいてきた。…まあ目が覚めるのはまだまだ時間かかるから。

とりあえず席に着きココアを飲む。冷めてるな…。でもおいしい。
マスターも店の片付けている。派手にやらかしちゃったか。

ふとルナちゃんを思い出す。「あまり話したこと無いな〜。私のこと嫌いなのかな?」
とか考えながらココアを飲み干す。
そして「交流を深めるために二人でココアを飲もう!」という結論に至った。

そうと決まれば善は急げ!マスターに「友達連れてくる!待ってて!」と言って店を飛び出した

薬局について暇そうなルナちゃんに開口一番に
「ルナちゃん。ココア飲みに行こうよ!」といった。我ながら突然すぎる。

あまり私と話をしないからびっくりしてるようだ。
何か考えてるみたいだし返事が来るまで待っているか…

【場所 薬局】
【ルナをSwallow Tail に誘う】
45アーリー・テイスト ◆3LPMHhiq9U :2008/11/10(月) 01:29:10 0
>>22-23
「あ…あの〜…止血剤と包帯って…ありますか?」
自分の問いにまず答えてくれたのは白髪交じりの青年だった。年は自分より一つ、二つぐらいは上だろう
「止血剤と包帯?あっちにあるよ…あ、結構少ないなー。
詳しいことはあの灰色の髪のお兄さんに聞いてくれ」
青年はそれだけ答えると外に出て行った。そっけない受け答えだったが、無愛想という印象は受けなかった。

それを横目で見送った後に、先ほど青年が言っていた灰色の髪のお兄さんであろう人物がカウンターに立っていたのに気づいた。年は二十前半だろうか。精悍な顔つきというより、あまり相手を寄せ付けないような雰囲気を感じた。
あの人は確か、今回の『選定』でも上位クラスに入っている……。
名は確か、池上 燐介。
彼は売り場の棚から消毒剤と包帯の箱を取り出すと
「包帯はもうそれしか置いてない。少なくとも売り場の棚にはな」
こちらに放り投げた。
(え!!そ、そんな急に投げられても……)
何度か、落としかけるが何とかキャッチした。自分の運動神経の無さをまた痛感した。
「……見た感じどこも怪我をしていない君が使うのではないだろうと思うが、ま……お大事に。
それと俺はこの店の関係者じゃないんでな。代金は後で店長に直々に渡すか何かして払ってくれ」
彼はそう言葉を付け加えると、目線を売り場の棚に移した。
46アーリー・テイスト ◆3LPMHhiq9U :2008/11/10(月) 01:31:07 0
このまま店を立ち去ってもよかったのだが、彼には前々から興味があった。自分は人を殺すのに少しばかりか抵抗がある。
先の虐殺部隊との戦いも片方はトラックをぶつけたと言っても相手も防具服を着ているだろうし死んではいないはず、
もう片方も内臓を悪くしただけだ。機関に居たころも、この性格によっていろいろあったが………
しかし、彼池上 燐介は機連送の無線を傍受しただけでも、相当の機関の人間を殺している。ただの一般人の彼がどうしてそこまで冷徹になれるのか。
そこに興味がわいた。自分は今でも迷っている。自分がやらねばならない事に、人を殺すという行為が必要なことに。

私がやらねばならない事―――金剛を、殺す

ただ…今はそれを聞く時じゃない気がする。
それに初対面でそんなことが聞けるはずも無い。
「…池上 燐介さん。これからさきで、またあなたと会うかも知れません。」
目的は同じなのだから。
「そのとき、聞きたいことがあります。」
そのときまでには、自分なりの答えは出ているだろうか。
「それじゃ、包帯と消毒剤ありがとうございました」
それだけ言って、店を出た。

店を出ると小村が立って、暗くなった空を見上げていた。
「珍しいですね。あなたが自分から知らない人に話しかけるなんて」
「…そう…ですね。確かに珍しいことです。…でも、なんだか言いたくなっちゃって」
そう言って、アーリーは少し笑った。
「…全く。ま、いいでしょう。それよりさっさと手当てが出来そうな場所まで移動しますか。」
「ええ、いきましょう」
さっき受け取った箱をコートにしまって、小村の後をついていくように歩いていった。
【小村:復活。体には特に大怪我はなし。ただし戦闘するには厳しい】
【アーリー:小村と共に移動】
47池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/11/10(月) 06:26:09 0
>>46
>「…池上 燐介さん。これからさきで、またあなたと会うかも知れません。」
>「そのとき、聞きたいことがあります。」
>「それじゃ、包帯と消毒剤ありがとうございました」
彼女はそれだけ言うと、店から去っていった。
そして彼女の気配が完全に消えた時、俺は右手の力を抜き、臨戦態勢を解くのだった。
結局、彼女とは何事もなかったが、それでも俺の中で彼女に対する警戒心が払拭されたわけではなかった。
彼女とは初対面で、互いに面識はないはず。にも関わらず彼女は俺の名前を知っていた。
しかも彼女は間違いなく異能者である。このゲームに参加している"ただ"の異能者であれば、
俺の名を知っているはずもない。考えられる可能性としては、そう──『機関』の人間であるということ。

「また会うかもしれない……か。呑気なものだ。再会した時、お前は俺に殺されるかもしれんのに……」

俺は誰もいない店先で、そう呟いた。
『機関』の人間であるにしろそうでないにしろ、彼女が名前だけでなく、俺が異能者であるということに
気が付いている可能性は高いのだから──。

彼女が去った後、店では誰かが来て何が起こるわけでもなく、時間だけが刻々と過ぎていくだけだった。
俺は店の中を物色することもとうに終え、ただ国崎の帰りを待つばかりであったが、
ふと腕時計の針が午後7時に近づいていることに気付くと、座っていた畳から腰を上げ、
店の外へと出て行くのだった。これは何もせず、待つことに飽きたからではなかった。
ただ、空腹だったのだ。昼食もろくに摂らず、一日中市内を行ったり来たりしながら闘い続けたのだから、
夕食時の時間に空腹を覚えるのは不自然ではないだろう。
つまり、俺が薬局から離れたのは、食べ物を求めて外出したからだと言っていい。
薬局の台所で何か食べ物をあさってもよかったが、流石にそこまで厚顔にはなれなかったのだ。

屋台でもファーストフードでもコンビニでもなんでもよかったが、
道をどう間違ってしまったのか、気付けば俺は生憎そんな物が視界に入る道を歩いてはいなかった。
屋台など普段は見つけても気にも留めないが、自分が必要とする時には中々見つからないもの。
良くあることではあるが、空腹のせいもあってか、俺は大きく舌打ちせずにはいられなかった。
と、そんな時だった──。複数の男と女の声が俺の耳に飛び込んできたのは。
周囲を見回してみれば、この通りは人通りが少ない。夜道を歩く女が暴漢にでも出くわしたのかと思い、
俺は反射的に声の方向へと向かっていた。
48池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/11/10(月) 06:31:01 0
>>29
そこに居たのは一人の男と女──そして死んでいるのか気を失っているのか、地に伏す黒服の男。
その内、女の方は見覚えのある人物だった。
(……やれやれ、あいつと外で出くわすのはこれで三度目か)

二人は何やらと会話をしている様子であった。
俺が二人に近づいていくと、当然のことながらその会話の内容は徐々にはっきりと聞こえてくる。
どうやら男の方が自己紹介をかねて女の情報を聞き出そうとしているらしい。
俺は男の背後で足を止めると同時に、二人の会話に乱入した。

「──そこまで聞くなら、ついでにスリーサイズと下着の色も聞いておくんだな」

俺の声を聞いて、二人がこちらに視線を向けた。
女の方はともかく、男の方は初めて見る顔だった。年齢は20代後半か、30代と言ったところだろう。
顎鬚を生やし、ヨーロッパの宗教の神父のような格好をしている。
俺は男から視線を外し、地に座り込んている女に視線を合わして言葉を続けた。

「名前は籐堂院瑞穂。電話番号、メールアドレス、住所は不明。もっとも、単に俺が知らないだけだが」

そこまで言って、俺は再び男に視線を合わせた。
先程から俺の右手は籐堂院以外の力を感じ取っている──。
道端で倒れている黒服の男か、この神父か、それともどちらも異能力を有しているのか。
いずれにせよ、この神父が異能者である可能性は高いと言える。

「あの黒服はあんたの仲間か? それとも、あんたか籐堂院のどちらかが倒したのかな?」

【池上 燐介:国崎薬局を出て、籐堂院瑞穂と織宮京に遭遇する】
49戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/11/10(月) 14:00:19 O
>>37
「ぐウッ!!」
戦場ヶ原の口から悲痛の吐息が漏れる。
突如スティクスの姿が視界から消えたかと思えば、その拳はいつの間にか戦場ヶ原の脇腹へと叩き込まれていたのだ。
とてつもないスピードだ。しかも戦場ヶ原は気付いていた。敵はまだ『能力』を発現してはいないことを――…

敵はそのまま拳を振り抜いて戦場ヶ原の身体をいともたやすく吹き飛ばした。
10mほど飛ばされて、戦場ヶ原は受け身をとる……が、すぐにその膝は折れ、地に手をついた。
先の闘いのダメージを持ち越した上での闘いだ。彼の身体にも限界が来ている。
(だが――――…)

「 蒼 破 震 拳 」

スティクスの掛け声とともに、辺りが青白い光に包まれる。
さして彼の右手から放たれた波動が、戦場ヶ原を飲み込まんとうねりをあげて襲い掛かった。

(…―――ここで倒れるわけにはいかねぇ…!!!)

青白い光の中に、走馬灯のようにさまざまな光景が浮かんでゆく。
天音 滴の笑顔。
猿飛 栄吉の茶化し声。
東雲 来蓬斎の厳しい叱咤。
離反事件を支持した虐殺部隊の部下たち―――…
今まで彼の目の前で散っていった命ひとつひとつが、彼に力を与えてくれる。

「おおぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」

戦場ヶ原は立ち上がった。
雄叫びを上げ、左手に黒球を作り出す。
そしてそれを迫り来る蒼き波動に、正面からぶつけた――――…

「消え失せろォォッ!!『シンギュラリティ・ゼオレム』ッ!!!」

刹那、爆音とともに蒼き光と漆黒の闇がぶつかった。
闇はみるみるうちに広がり、ブラックホールとなって光を飲み込んで行く。
すべてが闇に包まれた時、ブラックホールは収縮し、その場に消えた。

――――…
辺りを支配する静寂。その中で戦場ヶ原の低い声が静かに響く。

「…確かに俺は貴様の言う通り、滴一人のために部隊を捨てた――…。無用な犠牲を出してまで、俺は逃げ出したんだ。」

彼は、粉塵舞う中、仁王立ちで立っていた。

「…だから、俺はここにいる。
己の罪を償うために…。俺のために散っていった多くの命にスジを通すために…!
生き残った者は、死に逝った者の意志を継ぐ『義務』がある…!!」

戦場ヶ原の手に浮かんだ黒球が、『引力』を作り出す。
『ユニバーサルグラビテーション』―――。いくらスピードが速かろうが、万有引力からは逃れられない。
引力につかまったスティクスの身体が、無防備に戦場ヶ原に吸い寄せられる。

「貴様とは……背負ってるモンが違うんだよォオッ!!!!」

スティクスの顔面に、グラビトンハマーが叩き込まれた――――。

【戦場ヶ原:スティクスと戦闘中。ダメージ中回復。】
50籐堂院神 ◆FleR8jlnN6 :2008/11/10(月) 17:18:16 0
>>28
少年は俺達の誘いを快諾し、ここで食事することにしたようだ。
どうやらこの少年は俺達の言う事を信じてくれたみたいで、多少ぎこちないが響と話していた。
それにしても、料理はどうしたんだ、この家を見る限りどこにも料理なんてなさそうだが、と腹をさすっていると、間の抜けた機械音が居間に響き渡る。

「客か?珍しいな」

随分とタイミングが悪い、ここに来ると言う事は十中八九『機関』の関係者だろうから、この少年に会わせるのはまずい。
もしかしたら、この少年の仲間が居たという可能性も否定できない。

「ちょっと、出てくるから少し待っててくれ」

そう言い残して、俺は玄関に出る、念のため愛用の刀『天之叢雲剣』を持って扉の隙間に目を覗かせ外を見る。
そこに居たのは、大量の寿司を持っている出前の男だった。

「えっと、貳名寿司ですが、ここは籐堂院さんのお宅で間違いないでしょうか?」
「あ、ああ、そうです、ありがとうございます」

響の奴、俺の名前勝手に使って寿司なんか頼みやがって。
出前の男に金を渡して寿司を受け取る、これ軽く十人前はありそうだ。
出前の男は最後に礼をすると、バイクに乗り走り去っていった。

「飯が来たぞ」

居間に寿司を運び込み、あたかも来ることが分かっていたかのように振る舞う。
誕生日に寿司ってどんな家庭だよ、と思わないでもないが今更取り消すわけにもいかない。

「そういえば、まだ名前言ってなかったな。
俺の名前は藤村 晋、でこいつが藤村 瑞穂だ、お前は?」

随分御粗末な偽名だが本名を使うといつばれるか分からない。
とっさに思いついた名前が瑞穂なんて、なんだかんだで俺も未練があるのかもな。

【籐堂院神:七草に名前を聞く】
51籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6 :2008/11/10(月) 17:47:58 0
>>48
つい勝負を焦りすぎて、脇腹に短刀を刺されてしまった。
痛みで動きが鈍る、男は攻撃の手を休めずさらに襲いかかってくる。

「出でよ聖遺物の一、百卒長の槍!
喰らえ『断罪の惨槍』」

唐突に神父が叫ぶ声が聞える、驚いて振り返るといつの間にか持っていた槍を持って男に突撃していく。
しかし、その動きはあまりに単調で遅い、男はそれを見切り素早く避けると神父の胸に短刀を突き出す。
その短刀は神父の服に弾かれる、神父の服は鉄になっていた。
驚きで男の一瞬動きが止まる、私は痛む脇腹を無視し渾身の力で男を蹴り飛ばした。
危ないところだった、神父の能力が無かったらやられていたかもしれない。

「危なかった〜、大丈夫?って、大丈夫じゃないか。
主よ、この者に神の恵みを」

唐突に神父がしゃがみ込み私の脇腹を触れ、そう呟く。
すると、傷は途端に癒え、跡形もなくなった。
まさか、ここに治癒系の能力者が居たとは、聞いたことはあったが会うのは初めてなので少々驚いた。
神父は立ち上がり、私に手を差し伸べる、私はその手をとり立ち上がる。

「俺は神の子、織宮京。
貴方の名前と電話番号とメールアドレスと住所は?」

何だ、これはもしかして暗に私と協力したいという事か?
この織宮京と名乗った男は『機関』に対抗している人物の一人なのかもしれない。
私がどう答えようか迷っていると背後から聞き慣れた声がした。

「──そこまで聞くなら、ついでにスリーサイズと下着の色も聞いておくんだな」
「名前は籐堂院瑞穂。電話番号、メールアドレス、住所は不明。もっとも、単に俺が知らないだけだが」
「あの黒服はあんたの仲間か? それとも、あんたか籐堂院のどちらかが倒したのかな?」
「い、池上?また会うとは奇遇だな。
勝手に私の名前を教えるな、それと電話番号もメールアドレスも住所もスリーサイズも調べないと分からない、当然下着の色は教えない。
神父……いや織宮さん、私は籐堂院瑞穂。
さっきは助かりました、ありがとうございます。
そして、この人は池上、敵では無いので安心して下さい」

【籐堂院瑞穂:織宮京に名乗る】
52ルナ ◆7VdkilIYF. :2008/11/10(月) 20:46:24 0
>>44
ゴロゴロ……ゴロゴロ……
私は意味もなく畳の上を転がる。
人間だろうと神族だろうと、暇な時に行う行動は変わらないと思う。
たまに胸がグニュっと潰れて少し痛いけど、別に気にはならない程度。
とにかく暇……だから私は転がる。
ゴロゴロ……ゴロゴロ……目が回るー。

転がって数分。
薬局の入り口がバタンと開き、先ほど出かけたはずの沙羅が戻ってきた。

「あれー、もう戻ってきt」
>「ルナちゃん。ココア飲みに行こうよ!」
「え?」

ココアを飲みに?
んー、私としてはOKなんだけど。統時は大丈夫かしらねえ。
統時のことだから寝込みを襲われても大丈夫だと思うけど。
殺気を当てたら、どんな熟睡状態でも起きるように修行されたみたいだし。
……行きますか、どうせここにいても暇なだけだもの。
そうと決まったら書置きでも書いときましょうか。

「ちょっと待って、書置きするから」

紙とペンは……あったあった。
私はさらさらと紙に『沙羅と出かけてくる』と書き込み、テーブルの上に置く。
もちろん風か何かで飛ばされないように、書置きの上には適当な物を重石代わりにおいてある。

「これでいいわ、いきましょ……って、財布持ってない」

これは由々しき自体よ。
人間社会では必須である財布が無いなんて。私としたことが迂闊だったわ。
……そうだ、統時のを借りよう。寝てるし別に良いでしょ。
防犯代わりに預けたって事にもなるでしょうし。
私は書置きに「財布、借りたから」の文字を付け足した。

「うん、もう大丈夫。それじゃあ行きましょ」

【ルナ:神野の申し出を了承。Swallow Tailに移動】
53禍ノ紅 ◆u5ul7E0APg :2008/11/10(月) 22:50:26 O
>>38
「…拳…異能力…臨界を発動…」
「地来…能力を発動する…」
二人の敵の様子が変わった。
それと同時にビルの屋上が結界に覆われる。
禍ノ紅がそれに一瞬気を取られた刹那、二人の敵は彼の目の前にまで距離を詰めていた。

「ヒャハハハハハハハァ!!」

機械のように精密なコンビネーションで迫る拳と剣の二重のラッシュ。それを太刀ひとつで巧みに受けながら、禍ノ紅は笑った。
「いいぜェ、その調子だ!もっともっと強くなって俺を愉しませろォ!!」
二対一。圧倒的不利な状況下にも関わらず、禍ノ紅は余裕の態度を崩さない。屡霞の超人的動態視力が、二人の同時攻撃を完全に見切っていたからだ。
機械のように精密に急所だけを狙ってくる。それは逆に見切ることの容易さも意味していた。
別角度から同時に迫る拳と1対の刃。それを太刀と脚を使って受け止めた。
「てめェらのその無機質な仮面を剥いで、恐怖に歪めさせてェなァ…!!」
端正な顔を不気味な笑みに歪めた。
しかし対する二人の表情は変わらない。まるで恐怖や畏れといった感情を無くしてしまったように、冷静に武器を引っ込め、後退した。
そこに禍ノ紅はすかさず追撃を行う。
「まずは素手野郎……てめェからいただくとするかァ…!」
刀身を舐め、それを高々と天に掲げる。

「禍ノ紅、裏ノ舞……『紅疾風』ッ!!!」

禍ノ紅が刀を打ち下ろすと同時に、
敵のうちの一人、拳の右腕に向けて真紅の衝撃波が放たれた。

>>39-40

メールに添付されたGPS情報を元に割りと細めの路地裏を突き進んでいく。
まるで気分は未開の地を切り開く開拓者の気分だ。
今は便利な時代になったものである。
これが一昔前ならば近隣住民に店の場所を聞かなくてはならない。
尤も、この街で機関が解らない事など無いとは思うが……。
ある程度車を走らせると、店の看板が見えて来た。
『Swallow Tail』 ――。間違い無い、ここのようだな。
徐にシフトを変えると車を減速させる。……止め場が無いぞ。
仕方ない、どこかで――

>「あの、心配させてしまいすみませんでした。ちょっと偏頭痛が…・・・。でもピンピンですよ。針刺さったところ以外」

恋島がタイミングを狙い済ましたかのように話を切り出してきた。
その顔には表情筋の緩やかな伸縮が見られる。これが普段の彼の笑みなのだろう。
しかし、偏頭痛とはな……。嘘か真実か怪しいものだ。
それにしても針の刺さった所以外は健康とは、ユーモアが在って良いじゃないか。
そんな私の思いを余所に、恋島はその表情のまま話を続ける。

>「それと、レオーネさん。さっき派閥の話をしてくれたじゃないですか。それで……レオーネさんは今、どの派閥に属してるんですか?」

『炎魔』の復元率が四十%を切った今、ここが復活できるか否かの正念場だ。
だからこそ、このタイミングで外道院達は動き出したのだろう。
勿論、No.9 北村幽玄も……。奴は漁夫の利を得ようと画策しているに相違無い。
こうなってしまった以上、何としてでも『アブラハム』を手元に置いておく必要が在る。

「ふむ、どう言ったら良いかな。……世界を変えようとする派閥だよ。
 詳しい話は中で話そう。コーヒーが待っているからね」

結局、車は近隣住民の月極駐車場に車を止める羽目になった。
悪いが短い時間だ、許してもらおう。路地裏で路上駐車をする訳には行かないからな。
車から降りると、足のおぼつかない恋島を連れて店へと向う。

店へ向う途中、虚ろな表情の男達とすれ違った。
察するに件の喫茶店から出てきたようだが……。気になるのはその表情だ。
まるで催眠術にでも掛けられたかのような生気の無い顔だ。
……いや、如何でも良い事か。
――しかし、随分と小洒落た店だな。最近はこういうモダンな造りが流行っているそうだ。

若い男がこちらを見ている。恐らく店主だろう。
片付けの最中らしいが、閉店の時間だろうか?
それにしては随分と散らかっているな。

「失礼、時間が不味かったかな。コーヒーをブラックで貰いたいのだが……。
 砂糖は入れないで欲しい。――恋島君は何か頼むかい?」

恋島に聞きながらカウンターへと着く。個人的にはテーブルが良かったが。

店内を見渡す。永瀬達はまだ来ていないようだ。
やれやれ……。

【レオーネ:現在地 『Swallow Tail』】
【永瀬と香坂到着まで少し時間が在る】
55国崎シロウ@代理:2008/11/11(火) 21:16:43 0
>>43
「おいおい、こりゃあ……!?」

驚くべき事に、落下の直前、俺の動きは封じ込められ拘束は解除された。
力ずくで拘束を解かれた俺は、数メートル離れた位置に吹き飛ぶ。

「……っち。温度操作が能力なら、低温も操れるって訳か。まいったね、どうも」

俺は能力は、それが未知の毒や細菌といった類で与えられた物でさえ、
再生を可能とするが、そもそもダメージを受けていなければ発動出来ない。
冷凍状態が齎すのは、細胞の極度の活動能力低下のみ。
凍傷こそ回復するものの、『凍った部位はまだ生きている』為回復は出来ない。
対池上戦で不覚を取ったのも、この相性悪さのせいだった

そう、実の所贄(ウロボロス)は、氷系の能力者に対しては相性が最悪なのである。

或いは血液を飲んでもう一段階強化すれば、
動けるようになるのだろうが……副作用が大きすぎる。
機関の人間を皆殺しにするのに毎回何段もの強化をしていれば、
俺は確実に途中で力尽きる。それでは意味が無いのだ。

雨の様に振る瓦礫を全身で受けながら、俺は熱によって瓦礫を融解していく
女を殺す算段を立てる。

――――この瓦礫の雨を抜けた直後では、死ぬことこそ無いだろうが、
俺の再生能力をもってしても、長時間の戦闘を可能とする程の体力が残るとは思えない。
だが、それは相手も同じだろう。自分に降りかかる分だけとは言え、
アレだけ大量の瓦礫を溶かしきるには、相当に異能の力を行使する必要がある筈だ。

即ち、決着はこの瓦礫を抜けた後、一撃で決まる。

全身を瓦礫で損壊、再生しながら俺は一撃を入れる計算を続ける。
自分の命よりも、他人の命よりも重い、誰かの願いを守る為に――――

――――――――

廃ビルが完全に瓦礫と化し、崩れ去った無音の廃墟。
停止したかの様に見えるその世界において、一つの瓦礫の山が崩れ去った。
そして出てきたのは赤い瞳を燃やす、ヒトガタ。
纏う服は血にまみれた赤色となっているが、その瞳に宿る暗い光はまだ力強く残っている。

「……全く、年を取ると無茶は身体に来やがるな。
 よう嬢ちゃん。生きてるんだろ? 人が集まってくる前に決めようぜ」

再生しきれていない傷を残したまま告げる国崎の腕から、
細胞が活性化したことによって薄く蒸気が上がる。
それは、渾身の一撃。バケモノ『贄(ウロボロス)』の牙が放たれる前兆。

今回の戦闘に置いて、国崎がアルトに初めて見せる、異能者としての『攻撃』。

「今の俺の、小細工無しの全力だ。苦しむ間もなく逝けるから安心しな」

そうして、アルトがいると思われるほうへ駆け出す。
先のアルトの移動が暴風だとすれば、国崎のそれは迫る夜闇。
経験によって磨かれた、人を殺す為の移動術。
そして、そこから放たれるのは、双手の交差が骨肉を抉る、名も無き一噛み――――
56喫茶店マスター ◆ytBxX/02GA :2008/11/11(火) 22:22:03 0
>>44
友人、ですか……。羨ましい。純粋にその若さと、天真爛漫な性格。
仲間よりも敵を多く作ってしまう自分としたら、全く羨ましい限りだ。それに、純粋に友人を友達と呼べるその温かさ。
「行ってらっしゃいませ」
少しお辞儀をし、笑顔で送り出す。正直、立地条件かそれとも私か、コーヒーの味には自信があるのだが。
黒字とは言えない状況だ。そこで神野さんの友人が来て頂けるのなら、有り難い。
コーヒーの美味しさに気付いてくれたら何よりだ。其処までの腕前だとは決して思ってはいない。

結果として、喫茶店や自分でコーヒーを沸かす楽しさに目覚めて頂けたら、それは最高の幸せだ。
さて、こんなに散らかってしまっては営業が成り立たなくなってしまう。
「片付け、致しましょうか……」
箒と塵取を両手にちまちまと片付けをしていく。些か酷いものだ。
だが、破片木片を捨てるだけなら、其処まで重労働という訳でもない。……退屈ではあるし、何故被害者たる私がこんな悲しい作業をしなければならないのだろうか。
壊されたコーヒーカップ、これはあのカップルが恥ずかしげに飲んでいたな……。
削られたテーブル、ここでお爺さんお婆さんが楽しげに昔を懐かしんでいたな……。
踏み砕かれたソーサー、酔ったサラリーマンの涙を受け止めた事もあったな……。
折れ曲がったティースプーン、独りで寂しげに待ち惚けを食らったお嬢さんが、冷めきったコーヒーを延々かき回していたな……。

思い出が多すぎる。忘れられない。小さな傷も、少し欠けていても、それは全て思い出を喚起する。


>>54
「いらっしゃいませ」
悲しみに。寂しさに。孤独感に苛まれていた時。
唐突にお客様がいらっしゃった。
>「失礼、時間が不味かったかな。コーヒーをブラックで貰いたいのだが……。
 砂糖は入れないで欲しい。――恋島君は何か頼むかい?」
カウンターに着かれたお客様。スーツが決まっているのだが、何か異質な雰囲気を感じる。真っ当な道を歩んでいる方ではあるまい。

それに疲れた訳ではあるまい。だが、死に躰の若い男が一緒に居ると言う事は、余程の事情だろう。――――だが、私は一介のマスターだ。私はただコーヒーと安らぎの空間を作るだけ。
「畏まりました。そちらのお客様は何にされますか?」

【場所:Swallow Tail】
【注文を受ける】
57七草 柴寄 ◆O93o4cIbWE :2008/11/11(火) 23:32:33 0
>>50
突然機械音が鳴り響き男の人は応対に居間へと向かっていった、
その間俺達は、部屋の中で他愛の無い会話を少しだけした。

「飯が来たぞ」

男の人は居間に食事を運び込む、出前を取ったらしい。
そしてテーブルに置かれる大量の寿司、おお、
何を隠そう寿司は大好物なのだ、だからこれはとても嬉しい。
傍から見たらきっと俺の目は輝いて見えるだろう。

「そういえば、まだ名前言ってなかったな。
俺の名前は藤村 晋、でこいつが藤村 瑞穂だ、お前は?」

名前、そういえばまだ名乗ってなかったな、ご馳走になるのだからきちんと名乗らなければなるまい、

「七草、七草 柴寄です」

藤村 晋、藤村 瑞穂、ということはこの二人は兄弟なのか、それにしては結構歳が離れてる様に見えるけど、
ま、そんな事より今は食事食事。
と、そこにドアが開く音がして男がもう一人現れた。

「あっ、助けてくれた人」

「………」
蒼い髪の男はこちらと晋さんを一瞥した後、椅子に座り込みそのまま押し黙った。
そこを女の子、瑞穂ちゃんが自己紹介を促して、男の人は口を開いた。

「……影渓、影渓 木陰だ」

「さあさあ、揃ったし食事にしようよ」
瑞穂ちゃんの一言で、全員席に着き、誕生日会が始まった。
58影渓 木陰 ◆O93o4cIbWE :2008/11/12(水) 01:02:14 0
>>57
月明かりに照らされた海岸、聞えるのは、波の音、
水面に映る月は、波に揺らぎ、そして千切れ、そして再び孤を描く。

月の光は、彼の髪を蒼色に照らす、
海面に浮かぶ彼――影渓は、親友とも言うべきシャチ、『オルカ』の頭を撫でる。

「……いい月だよな…」

ふと呟く
ああ、このままこの海の向こうへ行ってしまおうか、あらゆるしがらみを捨てて。いや、解っているさ、そんな事は出来ない、衝動的な物でそんな事はしないさ。

「俺は、お前が羨ましいよ…こっちは生きてる限りしがらみだらけだ…」
幼いころから機関で育った彼にとって、この広大な海は自由の象徴
「フ……」
こんな話は誰にもしない、唯一するのは、親友であるオルカだけだ。
「そろそろ戻るか…」
そろそろ良いだろう、海岸を上がりシナゴークへと戻っていった。

ドアを開け、居間に出ると3人が揃っている、
(…籐堂院…神…)
籐堂院 神、話は聞いているが、食事の後で良いだろう、今は面倒だ、
そして俺が連れてきた少年、本当に一緒に食事をするつもりらしいな。
俺は椅子に腰掛け、食事を始まるのを待った、響が紹介しろと言うので名を名乗った、どうもこの態度が無愛想だと思われる様だ、別に普通だと思うのだが。
「…影渓、影渓 木陰だ」
俺が名を名乗るや否や少年の後ろの籐堂院が焦り始めた、如何したと言うのだ?唯名乗っただけではないか、あぁそうか、本名を言ったからか。
「さあさあ、揃ったし食事にしようよ」
全く持って同意見だ、早く席に着け。

【影渓:神達と合流、歓迎会を開始】
59神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/11/13(木) 00:14:02 0
>>52
ルナちゃんはちょっと考えて
>「ちょっと待って、書置きするから」といった。
よかった!とりあえずOKみたいだ。

紙とペンを用意して紙に『沙羅と出かけてくる』とすらすらと書いている。
さり気に「沙羅」とか漢字で書いてる。書き終わった紙に丁寧にも風で飛ばないように物をのせてある。

>「これでいいわ、いきましょ……って、財布持ってない」
といってしばらく考えると統時の財布を持ってきて書置きに「財布、借りたから」
とつけたしていた。
別に私のおごりでよかったんだけどな…

>「うん、もう大丈夫。それじゃあ行きましょ」
「じゃあ行こう!」

暗くなってきた道路を二人で歩く…。



会話が無い。
こんなに気まずいのは久しぶりだ…

ふと先輩の言葉を思い出す
>「そういや、君は廻間君じゃあないか。
 女の子をとっかえひっかえしちゃって、妬ましいのなんの!」

…ちょっと聞いてみますか。
「ルナちゃん、統時に彼女いるの?」
結構真剣な声を出したがたぶん顔は真っ赤だと思う。

【現在 Swallow Tailに向かう途中】
【ルナに統時は彼女がいるか聞く】
60恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/11/13(木) 00:58:44 0
>>54>>56
麻痺中の左腕を軽く揉みながら、俺はレオーネさんの返答を待った。どう返してくるか、何故だかワクワクする。
それは純粋な興味であり、俺がこの先どう動くかの指針となるからだ。レオーネさんの事だから、武闘派では無さそうだが。
すると俺の方を向かないまま、レオーネさんがほおづえ交じりで答えた。

>「ふむ、どう言ったら良いかな。……世界を変えようとする派閥だよ。
  詳しい話は中で話そう。コーヒーが待っているからね」
デカイなぁ……。世界を変えようとする派閥と言われても、俺の貧困な想像力では上手く形に出来ない。
とにかく天変地異レベルの事をしでかそうとしてるって事は分かる。そんな企みに、俺なんかが立ち向かえるのか……。
……面白いじゃん。やっぱ悪の組織は悪の組織らしく野望がでかくないとな。それに困難が大きいほど、達成する喜びも大きい。
っと、取らぬ狸の何とやらはここで止めておこう。ひとまず腕と足を治すのが先決だ。

流石に路地に車を止める訳にはいかず、レオーネさんは近くの駐車場まで車を走らせ、そこに駐車した。
永瀬達がどれくらいで来るかは分からないが、それほど長居するわけでもないだろう。
右腕で億劫そうにドアを開け、おぼつかない右足を引きずり、車から降りる。あー、マジで不便。
治ったらスキップとは言わずとも、両腕を万歳させながら全力疾走したいね、たく。

途中、妙に死んだ魚の目をしていた二人組とすれ違ったが、あえて気にしない。
ギャンブルですったのかもしれない。にしては目が沈みすぎな気がするが、まぁ気にしない。
駐車場から歩いて数分、目当ての店である『Swallow Tail』に着いた。レオーネさんがドアを開けると、なんとも良い珈琲の匂いがした。

>「いらっしゃいませ」
どこか憂いを込めた男の人の声が、俺達を出迎えた。
心地良い珈琲の匂いとは裏腹に、店の中は台風が通ったかのようにそこらに物が錯乱していた。
凄く・・・・・・凄くタイミングが悪い気がする。大きな揉め事でもあったのだろうか? このメチャクチャは……。
長い髪の毛で、ふちの無いメガネを掛けた利発そうなお兄さんが散らかった皿を片付けている。この人以外この店にいないって事は……。

多分店長さんかな? 足と腕が治っているならすぐにでも手伝ってやりたいが……。すまない。
と、レオーネさんがそんな店長さんに目もくれず、真っ直ぐカウンターまで向かうと、洒落たイスに腰掛けた。
い、いいんすか? ……従うしかないか。妙に店長さんに申し訳ない気がするけど、致し方ない。
右足を引きずりながら、レオーネさんの隣に腰掛ける。店長さんが片づけを中断して、カウンターに入ってきた。

>「失礼、時間が不味かったかな。コーヒーをブラックで貰いたいのだが……。
  砂糖は入れないで欲しい。――恋島君は何か頼むかい?」
え、えっと……すみません、店の中に引いてたせいで考えて無かったです。
今の状態だと、軽食とか作ってもらうのは気が引けるな……。かといってただの水を注文するのも失礼な気がするし・・・・・・。

>「畏まりました。そちらのお客様は何にされますか?」
あ、すみませんすみません。迷っていると店長さんから声を掛けられた。
ここは俺もレオーネさんと同じく珈琲を頼んでおくか……そう思い注文しようとしたその時。

懐に入れた携帯電話から、けたたましいブザー音が鳴った。携帯を取ろうとして、イスから転げ落ちる。
そうだった……。もしもの時の為にセットしといたんだっけ。せめて一瞬でも敵をかく乱できるようにって。
紅原の時に使おうと思ってたけど、使う事無く終わっちゃったからな。まぁ良かった良かった。変な時に鳴らなくて。
お……おっと? あれ、おかしいな、立てない? まさか、前の病院の時みたいに腰が……。

……注文だけしとくか。
「あー……。店長さん、自分はアメリカンで。砂糖もらえます?」
【現在地:『Swallow Tail』】
【イスから転げ落ちて腰を強打。自力で立てない】
61スティクス ◆6eLTPQTFGA :2008/11/13(木) 04:07:33 0
>>49

「 蒼 破 震 拳 」

戦場ヶ原に蒼き強力な一撃が襲い掛かる。

(……終わったな……)
ここでスティクスは勝利を確信した。
この状況から逃げることができる者はいない――が

「おおぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!
 消え失せろォォッ!!『シンギュラリティ・ゼオレム』ッ!!!」

戦場ヶ原の左手に強力な力が現れたかと思うと同時に俺の技は爆音と共にかき消された。
それと同時にスティクスは戦場ヶ原と距離をとり、次の攻撃に備えた。

「…確かに俺は貴様の言う通り、滴一人のために部隊を捨てた――…。無用な犠牲を出してまで、俺は逃げ出したんだ。」

少し冷たい風がスティクスの間を通り抜けた。

「…だから、俺はここにいる。
己の罪を償うために…。俺のために散っていった多くの命にスジを通すために…!
生き残った者は、死に逝った者の意志を継ぐ『義務』がある…!!」

「『義務』だと…?」

いつの間にか戦場ヶ原の手に浮かんだ黒球が、『何か』を作り出す。
この全てを吸い寄せる感覚はっ――引力かっ!?
馬鹿な…!山田権六の力のデータとは…!

『貴様とは……背負ってるモンが違うんだよォオッ!!!!」

一瞬の動揺――それは戦士としては致命的だった。

ドッゴオオオオオオオオオオッ!!

スティクスの顔面に、グラビトンハマーが叩き込まれた――――。
「うっ…ぐうう…!」
62スティクス ◆6eLTPQTFGA :2008/11/13(木) 04:08:08 0
重圧を纏った強烈な一撃を顔面に それは並みの異能者ならば死を意味するだろう。
だが彼は違った――力を受けて吹き飛んだものの、一瞬で体制を建て直し再び戦場ヶ原と向かい合った
しかし

ポタッ ポタッ
彼からは鼻血が出ていた。

「クククククッ…ハーッハハハハハハ!」

今まで彼にここまで傷をつけた者はそうはいない…だがそれが同時に彼の闘争心を煽った

(そうか…!
 俺は戦場ヶ原と話していたが…俺が実際に闘っていたのは"山田権六"
既にここに存在しない人物と闘っていた時点で俺に勝ち目はなかったわけか…!)
鼻血を袖で拭き、スティクスは言った。

「…山田権六は…今…ここで死んだ
 そして改めて闘うのが…戦場ヶ原…貴様だ…!
 さきほどは随分舐めたマネをしてくれたが…あんなチャチな芸は二度と通用しないと思え」

ザッ――
戦場ヶ原と向かい合い、スティクスは言い放った。

「いいだろう…貴様の実力を認めてやろう
 だが貴様は後悔するぞ…さっきの技で死んでいたほうが遥かに楽だったということをな!」
小さく、スティクスは笑っていた

スッ――
今までの棒立ちと違い、スティクスは戦闘のための構えを取った

「風林火山…貴様に破ることができるかな…?」

風林火山とは…スピード、カウンター、アタック、ブロックの4つの技をあわせた物である。
つまり
風は極限のスピードを重視した技を    『風瞬連撃』 
林は相手の全ての技を打ち壊すことを  『林静迎掌』
火は一撃で相手を葬る圧倒的な力を   『火侵涛拳』
山は如何なる攻撃も受け切る肉体    『山無動体』

この4つの技を組み合わせた物が、異能力を使わない状態での彼の奥義だった。
そしてこの技を破った者は…今まで一人もいない。

(さあ来い…本当の"格の違い"というものを教えてやる…!)

【スティクス:顔面にダメージを受けたがさほど気にしていない
       奥義、風林火山を使用、戦場ヶ原の動きによって4つの動きに変化する】
63織宮京 ◆9uPeCvxtSM :2008/11/13(木) 18:12:57 0
>>51
「──そこまで聞くなら、ついでにスリーサイズと下着の色も聞いておくんだな」
「名前は籐堂院瑞穂。電話番号、メールアドレス、住所は不明。もっとも、単に俺が知らないだけだが」
「あの黒服はあんたの仲間か? それとも、あんたか籐堂院のどちらかが倒したのかな?」

暗い夜道から現れた灰色の髪の男は京と籐堂院に話しかける。
街灯に照らされた彼の髪は灰色と言うよりは白に近かった。
京は自分の内心を見透かされたことと、見知らぬ男の登場に少なからず動揺していた。

(こいつ……気付いている?
俺が本当に聞きたい事がスリーサイズと言う事に!
それにこの二人は知り合いなのか、素っ気ないからそこまで深い仲では無いと思うが……。)

「い、池上?また会うとは奇遇だな。
勝手に私の名前を教えるな、それと電話番号もメールアドレスも住所もスリーサイズも調べないと分からない、当然下着の色は教えない。
神父……いや織宮さん、私は籐堂院瑞穂。
さっきは助かりました、ありがとうございます。
そして、この人は池上、敵では無いので安心して下さい」

結局、名前以外何も教えて貰えなかった京は少し意気消沈したが、気を取り直して池上と呼ばれた青年の方に向き直る。

「失礼な事を言うね、池上君。
私は瑞穂さんのスリーサイズなんて興味ありまく……らないですよ、貴方と違ってね。
せっかくこれから……まぁいい、この黒服は見ての通り瑞穂さんが倒しました。
それにしてもお腹が減りましたね、持ち金も無いし、今夜は抜くしかない、残念ですが」

京は誰も聞いていないことを勝手に喋り出し、あきらかに一人分では無い量の食材が入っているスーパーの袋に視線を注ぐ。
籐堂院が誰かと暮らしている可能性は京の頭の中には一切無く、今は只目の前の美女と共にディナーを楽しむことしか考えていなかった。

【織宮京:あわよくば飯をたかろうと考えている】
64ルナ ◆7VdkilIYF. :2008/11/14(金) 01:05:38 0
>>59
ココアを飲みに店に向かう途中、私達はこれといった会話を交わさなかった。
私が一方的に話さないというのもあるでしょうけど、
あっちが気まずさを感じて話しかけられないのが大きいせいでしょうね。
話は振られればするんだけど……特に話す事がないのよねえ。
あると言えばあるんだけど、大抵が神話みたいな中身だから
興味のない人間には辛いだけでしょうね。
何か話のネタを仕入れないと駄目ねえ。

>「ルナちゃん、統時に彼女いるの?」
「彼女?統時に?」

気まずさを打破するためか、沙羅は顔を紅くしながら私に質問を投げかける。
顔を紅くしちゃって、まったく可愛いわね。
それにしても統時の彼女か……んー、そういえば考えた事もなかったわね。
とりあえず私が知ってる彼女候補の女の子を思い出してみますか。

一人目は桜。二人目は瑞穂。三人目は沙羅。四人目は……私?
さて、それじゃあ考えて見ますかね。
まず一番統時を愛してるのは桜ね。コレはほぼ間違いない。
私は相棒的な存在みたいだし、愛情と言うよりは信頼。
瑞穂と沙羅は……どうなのかしら。悪くは思ってないみたいだけど。
でも、さっき沙羅の反応を見る限り……うーん?
反応を踏まえたうえで「統時をどう思ってるか」をランク付けするなら
1位が桜で2位が沙羅。3位は私と瑞穂で同着ってところね。
私は別に彼女になろうと思っちゃいないし。

次は統時がどう思ってるかだけど。
1年前まで修行生活送ってたせいで……恋愛の「れ」の字も知らないからなあ……
話しかけるだけならまだしも、女の子の手を握るのも出来ない。
漆黒の心を発動させたらそういう行為だって出来るんだけど。
……多分「統時をどう思ってるか」ランクと一緒じゃないかしらね。
桜は同級生だし付き合いが長いってのは大きいわね。
沙羅は行動を共にして、仲良くなってるけどやっぱり時間がねえ……
私や瑞穂はどこまでいっても相棒でしょうね。
なんだか複雑な気分。

「いないわよ。狙うんだったら今がチャンス。
 恋愛の『れ』の字も知らない様なヤツだから、当然といったら当然なんだけど。
 落とすんだったら本腰入れないと駄目よ?」

私はニヤニヤしながら言い放つ。少しからかってみたくなったからだ。
……さて、時間的にそろそろ到着かしら。
その店のココアって美味しいのかしら?誘うほどだから期待してもよさそうだけど。

【ルナ:神野の問に返答。時間的にそろそろSwallow Tailに到着する】
65小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/11/14(金) 02:27:36 0
時間が時間なためか、移動中誰にも会わなかった。
車には数回すれ違ったが、その数は普段より大分少ない。
「最近、この辺りも物騒になりましたし誰も歩きたくないんじゃないですか」
アーリーがそう言って、歩きながらこちらを向いた。
「…で、あなたはどこに向かってるのですか。
そろそろ出血がやばい量になってきてるのですが。」
「もうすぐですよ。」
久々の買出し以外の外出でテンションが上がってるのだろう。
アーリーは笑顔で小村を先導してた。
「着きましたよ。」
目の前に現われたのは―――学校。
この辺りで一番大きい唯能高校だ。
「ここなら身を隠せるし、人も事務員しかいないですし完璧じゃないですか」
「…完璧…ですね」

二人は周りを警戒して柵を乗り越えた後、猫のような忍び歩きで非常口にたどり着いた。
「……あれ?小村さん、どうしたんですか?」
立ち止まった小村にアーリーは疑問を投げかけた。
アーリーはゴッドバルトで扉を開けるのを待ってたようだ。
「…すみませんが、アーリーが開けてくれませんか。今は疲れていて…」
「あ、ああそうですよね!! 今開けますね」
アーリーは時代劇の登場人物のようにそでを探って針金をとりだした。
「カチャカチャ…っと」
擬音を口ずさんでものの数秒で扉を開けた。
「……それにしてもハイテンションですねぇ…」
ボソッと呟いた。
「え? 小村さん何か言いました?」
「いいえ」
小村は傷口を押さえて、アーリーに着いていった。
66小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/11/14(金) 02:28:31 0
適当に近くの教室に入り、椅子に座り込んだ。
扉の上には小さく『図書室』と書いてあった。
「さ、手当て手当て」
小村はボロボロになって、赤く染まったワイシャツを脱いだ。
「…切り傷に、火傷まである。一体どんな相手と戦ったんですか」
アーリーが背中に消毒薬を塗りながら話しかけてきた。
「中性的な顔した短髪男に、以前戦った二重人格者です。
二人とも血を使って、斬撃、爆撃を仕掛けてきましたよ。」
「え・・・血で爆発まで起こしたんですか? …なんだか小村さんのゴッドバルトに似てますね。」
「ですね。まぁ再生ができる分向こうが有利なんですが…」
「……で、その二人…殺したんですか」
急にアーリーの声のトーンが落ちた。
「大丈夫ですよ。流石に二対一はふりですので、逃げ帰っちゃいましたよ」
「…そう…ですか。」
ほっとした顔でホッ、と息を漏らした。

手当てが終わって、小村がまた赤いワイシャツを着た。
「私達…もうこれ以上無駄な死人を出さないためにがんばってるです。
 だから死人はあまり出したくないんです」
「…そんなこと分かっ―――
「ほう。その話もっと詳しく聞きたいものだ。」
(なに……)
二人が振り向くと図書室の扉に一人の女性が立っていた。
「あなたは……久しぶり…でいいのですかね」
「二十と、数年振りだな。小村。」
二人を交互に見つめ、目をぱちくりさせるアーリー。
「…えぇと、だれなんですか。小村さん」
「私の機関異能者養成所での先輩ですよ。」

彼女の名は―――カテリーナ・ポポフスキー

【小村、アーリー:唯能校 図書室】
【カテリーナ・ポポフスキーと遭遇】
67アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/11/14(金) 04:39:29 0
>>55

「ハ――――スマートじゃないなぁ、ホント。
 …あっちも随分無様だけど、こっちもか」

流石に量が多い。降り注ぐ瓦礫を溶かし続けるのは不可能ではないが、これではその後が不利だ。
あちらの再生速度にもよるが、落下後の戦闘は――――

「――私は、あいつに負けるのは嫌だ。
 アレは――あの時の奴らみたいじゃないか。本当に嫌になる」

――――――――

瓦礫の上に立つ私と、どこぞに埋もれた奴。
…位置的には、確かあの辺のはずだったけれど。
目を向けた方向で、瓦礫が崩れ去る。出てきたのは、赤い瞳を燃やした男。

「―――――――!」

あちらの再生限界も近いように見える。だが、そんなことよりも問題は奴の目だ。
まだ――――私を殺すことを優先している。…ならば、まだ余力はあるのだろう。
当然だ。私は無茶をやり過ぎた。もう少し楽な方法もあったはずなのに、あんな力技を。

「……全く、年を取ると無茶は身体に来やがるな。
 よう嬢ちゃん。生きてるんだろ? 人が集まってくる前に決めようぜ」

まだ再生しきっていない腕から、薄く蒸気が上がる。
――――本当になんて無様さだ。ここに来てあちらの異能か。

「今の俺の、小細工無しの全力だ。苦しむ間もなく逝けるから安心しな」

迫る夜闇。交差するように繰り出される双手の一噛み。

「普通の人間を名乗るくせに、そういうモノを捨てないから――――!」

それが嫌だ。この嫌悪感を捨てられない限り、私も最強になることはできないだろう。
それでも――――こいつは、許容できない。だから

「吹き飛びなさい…!」

地面を抉る。吹き飛ぶ瓦礫。一撃を繰り出したまま、全身に瓦礫を受ける相手。
無論、これだけでは止まらない。卓越したスキルを持つ相手だ、それは予想していた。
しかし、だからこそ――この誤差は致命的だ。彼ならばいかようにでも持ち直すだろうが――――

「そんな暇など与えるかッ!」

突き出す一撃。目標は繰り出された双手。
振り払うように腕を振るう。――こちらからぶつかることで、被害を軽減させる。
否、もう片方の腕がある。相手の骨肉を抉るつもりで、

「穿つ――――!」

左腕をもって一直線に脚を穿つ―――――――!
全力を込めた一撃は、最速の一刺しだ。私が確認する前に、奴に喰らい付くだろう。
68池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/11/14(金) 18:41:31 0
>>51>>63
籐堂院は俺の存在を視認すると、冗談半分で言った俺のリクエストを糞真面目に却下しつつ
神父姿の男に俺を紹介するのだった。
(軽く流せばいいだろうに……。全く……からかい甲斐があるよ)

俺は思わず鼻で笑みを零したが、これが二人に何を考えているように映ったかは俺の知るところではない。
そして籐堂院の後、次いで口を開いたのは籐堂院に『織宮』と言われたあの神父だった。

>「失礼な事を言うね、池上君。
>私は瑞穂さんのスリーサイズなんて興味ありまく……らないですよ、貴方と違ってね。
>せっかくこれから……まぁいい、この黒服は見ての通り瑞穂さんが倒しました。
>それにしてもお腹が減りましたね、持ち金も無いし、今夜は抜くしかない、残念ですが」
普通の男であれば、目の前にいる女のスリーサイズに興味がある人間と決め付けられたら、
即座に大声で否定するところなのかもしれない。
だが、俺はその事について特に否定することはせず、逆に軽く冷笑しながら静かに返した。

「……織宮サン、でしたか? なるほど、『巨乳』以外は受け付けないといった方面の方ですか。
それだと確かに籐堂院には興味が湧かないでしょうねぇ……」

このやり取りを傍目で見ていた籐堂院の心中は、怒っているか、それとも呆れているかの
いずれかであるだろう。まぁ、本人を目の前にして大人の男が興味があるやらないやらの、
本人にしてみればセクハラとも受け取れる言葉を交わしているのだから、それも当然といえる。
俺はそろそろ場の空気を戻すかのように、最後に織宮が振った夕食の話題に大きく触れるのだった。

「ところで、実を言うと俺も腹が減っているんだ。
見たところお前はこれから夕食を作るようだが、それだけの食材を女一人で全て消化するのは酷だろう。
そこで、だ……。俺……いや、俺達に助っ人を依頼してみる気はないか?」

俺はそこまで言うと、視線を一旦籐堂院から外して織宮へと向けた。

「この神父さんもそれは望むところだろうからな」

【池上 燐介:籐堂院に夕食をご馳走してくれるよう頼む】
69籐堂院神 ◆FleR8jlnN6 :2008/11/15(土) 21:30:21 0
>>57
「七草、七草 柴寄です」

少年がそう名乗ると、木陰が居間に戻ってきたが、椅子に座って黙り込んでしまった。
相変わらず無愛想な男だ、客人が居るのに挨拶一つしないとは。
隣に居た響が促すと、やっと口を開いた。

「……影渓、影渓 木陰だ」

こっちがせっかく偽名を使ったってのに、空気の読めない男だ。
俺の場合は本名使うと、何らかの拍子に瑞穂にばれる危険性があるから偽名にしただけだがな。
こいつの場合、知り合いなんて居なさそうだし、本名を使ってもなんの問題も無いだろう。
その後の響の一言で食事が始まる。
七草も遠慮しているのか、あまり食べていない。
明太子とか烏賊とか微妙な値段の寿司ばかり食べ、トロやいくら、ウニを食べていない。
人様の家で暴飲暴食をしたら、それこそ驚きだけどな。
しかも、木陰の放つ暗いオーラのせいで話ももりあがりに欠けてしまう。
響にはこういうときに頑張って欲しいのだが、食べることに夢中で場の盛り上がりなどは興味がないようだ。

「こんだけあるんだし、もっと食べて良いぞ、ほら」

うにやトロなどの高めの寿司を勝手に七草の皿にのせる。
俺はうにとかよりも白身のヒラメとかが好きなのでこんなにあっても困る。
七草は困ったような素振りを見せていたが、内心とても嬉しそうだ。

「で、お前はなんであんな所に倒れていたんだ?
あそこの近辺で事件があったらしいから、何か知っていること無いか?
犯人がまだ捕まっていないらしいから、警察の捜査に役立つかもしれない」

ついに本題に入る。
木陰が確かにこいつと小村が戦っていたのを見たと言っていた。
なのにこいつは、まるでついさっきまでの記憶が無くなってしまったかのように振る舞っている。
本当に記憶が無いのか、それとも俺達を騙しているのか。
もし、後者だとしたらこいつは相当危険な男かもしれない。

【籐堂院神:七草に倒れていた理由を聞く】
70籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6 :2008/11/15(土) 22:02:27 0
>>68
「失礼な事を言うね、池上君。
私は瑞穂さんのスリーサイズなんて興味ありまく……らないですよ、貴方と違ってね。
せっかくこれから……まぁいい、この黒服は見ての通り瑞穂さんが倒しました。
それにしてもお腹が減りましたね、持ち金も無いし、今夜は抜くしかない、残念ですが」
「……織宮サン、でしたか? なるほど、『巨乳』以外は受け付けないといった方面の方ですか。
それだと確かに籐堂院には興味が湧かないでしょうねぇ……」

池上と織宮さんは何処でそうなったのか分からないがいきなり私のスタイルの話をしている。
私の胸はお世辞にも大きいとは言えないが、そこまで露骨に言わなくても良いのに。
師匠一人に育てられたせいであまり女らしくない私だが、興味ないとまで言われると流石に傷ついてしまう。

「ところで、実を言うと俺も腹が減っているんだ。
見たところお前はこれから夕食を作るようだが、それだけの食材を女一人で全て消化するのは酷だろう。
そこで、だ……。俺……いや、俺達に助っ人を依頼してみる気はないか?」
「この神父さんもそれは望むところだろうからな」

ついさっきから、織宮さんの視線は気付いていた、だからこちらから誘ってあげようと思っていたのに、池上から言われるとは。
彼にもなんだかんだで世話になっているし、そのぐらいしても罰は当たらないだろう。
それに、さっきは助けて貰ったとはいえ織宮さんと二人きりだと少し危ない気がする。
敵では無いと思いたいが、信用しすぎるのも考え物だ。

「少し買いすぎたようだし、私は構わないが……。
それにしても君達は少しデリカシーがなさ過ぎるぞ、流石の私でもそこまで言われると悲しくなる。
これでも一応私は女なのだからもう少し……スレンダーとか言い方というものがあるだろう。
まぁ、重い物が胸につくなんてこちらから願い下げだけどな」

私は道の端に置いてあったビニール袋を手に取り、自宅に向かって歩き出す。
その足取りはどこか重々しかった。
【籐堂院瑞穂:池上と織宮を自宅に招く】
71梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/11/16(日) 00:39:42 0
>>42
ガキッ!

アスファルトと硬いものがぶつかった音がした。
振り下ろされた大剣は地面にぶつかった―――梓川の首を通過して。
梓川の首は宙を舞い、地面に落ちた。
一筋の細い血の線を描きながら。
落ちると同時に、大剣は溶けるように消える。
「やっぱ、奴の能力だよなぁ…じゃなきゃぁ、あんな軽くねぇしなぁ」
柄も入れれば180cmくらいの大きさの物体がせいぜい木刀ぐらいの重さだった。
異能力じゃなければ在り得ない。
そして、その剣が消えたという事は―――梓川の能力の、解除を示していた。

「……あっけねぇなぁ。あーあ、つまんねぇ奴だ!」
梓川の体に背を向け、梓川の頭の方を向きながら折川は機連送を取り出す。
石のような模様をした通話機で、親友に報告をするために。

Pi!
コール音が続き、相手が出る。
『…折川か』
「そぉだ俺様だ!予定通り『梓川博之』の始末は終わったぜぇ。
報酬もUPかもな!ひゃははは!」
『そうか…で、どんな奴だった?』
無愛想な返事をする親友に、折川はいつものことのように説明をし始める。



「…――まぁ、結局はそいつで首を斬ってやったんだがなぁ!ヒャハハハハ!」
楽しそうに語る折川。
その足元では梓川の頭がボールのように蹴られている。
感情の少ない受け返しをする親友が感想を述べる。
『…そうか。そりゃ血なまぐさそうだな』
「あー?血生臭くなんぞ……」
折川ははっとした。
首を切り落としたなら、周りに相当量の血が落ちている筈だ。
なのに…この血の量は如何考えようとも少なすぎる。

折川の顔がみるみる青ざめる。
「―――こいつ、もしかして!」
その時、足元の頭だけの梓川の目がカッと見開かれ、口が開いた。
「お前の言う通りだ、ばーかっ!」

ゴッ!!

――折川の後頭部に衝撃――そして、意識がホワイトアウトした。
梓川の体が後ろから殴ったのだ。
さっきと同じような大剣の、平らな部分で。
折川の手を離れた機連送が地面に叩きつけられ、壊れて通話が途切れた。

72梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/11/16(日) 00:40:17 0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ってぇ…。
さっきぶつけられたとこは痛むわ、首から血が流れてるわ。
元に戻した首から、良い具合に気絶した折川を眺める。
『闇カラノ十字剣』や『飛来スル刃』の応用で作った手錠を嵌めさせている。
まぁ、暫く動けないとは思うけどな…。
「壁、引っ込んでないな…出れないかもしれないじゃないか」
壊れた携帯っぽいものを蹴飛ばす。
動いた衝撃で首に痛みが走る。
片手で首を押さえるが、生暖かい感触が手に広がる。
「……血、止まんないな…」
痛みを感じているという事は、生きている証と考えたらいいものなんだがな。

さっき振られたときに咄嗟に『神経ノ切断』を発動してなかったらと思うと、ぞっとするぜ。
あのとき、あと1秒遅かったら…。
本気で首を刎ねられていたかもしれない。
あいつが、血の量にもっと早く気付いていたら。
良いタイミングで解除しなかったら。
そのまま俺の体に触れたり、またはさっきの壁で攻撃されていたら。
完璧に死んでたと思う。

そう思ったとき、無意識に俺の体が震えた。
俺の脇を通り過ぎる春風の冷たさにじゃない。
絶対的な死への恐怖。
生きとし生けるものへ必ず訪れる、死の身近さ。
それに対するどうしようもない恐ろしさに。

こんなことやってらんねぇよ……。
ホラーゲームの比じゃないくらい恐い。
こんなことやって何が楽しいんだ?
人殺しに何に快感を得るんだ?
生と死のやりとりの中に何を見てるんだ?
俺には理解できない。
異能者同士の戦いに参加し、便乗している奴に。
それを考え、動かした『機関』に。

「もう……何もしたくない…。これに首を突っ込むこともしたくないぜ」
地面に座り、蹲る。
こんなの、夢であって欲しい。


【梓川:道路にて蹲る。石壁はまだ残っている】
【NPC折川:気絶】
73喫茶店マスター ◆ytBxX/02GA :2008/11/16(日) 21:48:52 0
どうやら、この若いお客様は空腹の様だ。少し戸惑っている。
喫茶店は初めてなのだろうか。それとも、この躊躇いのないお客様の部下、といった役職なのだろうか。
そんな事は全く関係ない。
ここでは私はマスター。コーヒーを自分の持ち得る能力全てを使い満足して頂くだけ。……無論眼は使わない。其処だけは当然だろう。

>「あー……。店長さん、自分はアメリカンで。砂糖もらえます?」
「畏まりました。少しお待ち頂けますか?」
コーヒー豆は挽きたて。本当は水出しが好ましい。無用な苦さ、深い甘さ、後味は爽やか、しかし後を引く味。
しかしいかんせん時間が掛かり過ぎる。コーヒー一杯に何時間もかける人はそうそう居ない。

さて、コーヒーが出来るまでに、少しサービスをしなければならない。
大抵、場末の喫茶店で出来る事は少ないが。それはご理解頂こう。
パスタを茹でて、手早くトマトソースにケチャップを混ぜた物に絡める。
少しクリームをかけ、フォークを差し出そうとする。


が、その時。
若いお客様が倒れられた。

世界が、モノクロの帳に包まれた。
【場所 Swallow Tail】
【鍔目 秀弥:状態:混乱】
74七草 柴寄 ◆O93o4cIbWE :2008/11/16(日) 22:37:25 0
瑞穂ちゃんの一言で食事会が始まった。
影渓さんは黙々と食べている、時々此方を見てくる、ちょっと怖い、
瑞穂ちゃんは食べるのに夢中のようだ、かわいいなぁ、
俺は遠慮がちに安めの寿司に手を出している、そうしていると、

「こんだけあるんだし、もっと食べて良いぞ、ほら」

「ぁ…ありがとうございます」

遠慮してるのが伝わっちゃったのか気を利かせて高級なネタを俺の皿に乗せてくれた。
なんだか悪い様な気がするけど、素直に嬉しい、と、そこで晋さんが寿司を乗せながら聞いてきた。

「で、お前はなんであんな所に倒れていたんだ?
あそこの近辺で事件があったらしいから、何か知っていること無いか?
犯人がまだ捕まっていないらしいから、警察の捜査に役立つかもしれない」

銃を持って武装した男達に殺されかけた事を思い出す、その前は、そう、公園で寝ていたはず。
75七草 柴寄 ◆O93o4cIbWE :2008/11/16(日) 22:38:35 0
>>69

七草は時々自分の記憶がないのに別の場所に居る事があるのを前々から気付いていた、
そしてそれがここ最近非常に多い、七草は、そんな自分の異常性を彼らに伝えるべきか思案したが、結局話す事に決めた、

"路地裏で寝てたら武装した集団に襲われました"では、かえって怪しまれる、
それに目が覚めた時、服が血塗れだったことも誤魔化しようが無い、
意識の無い間に何か襲われる事でもしたのか、
そもそも武装した人間が街中をうろついてる事自体が有り得ない話だ、そんな事があれば警察沙汰ではすまないだろうに、
いつもは能天気な七草でも、流石にこんな自体に巻き込まれたとなると恐怖心を覚えた、
今までは記憶が飛んでいる事にそこまで気に留めていなかったのだがまさかこんな事態になるとは。

七草は話した、意識が飛んで動き回る事がある異常性、
今回路地裏で目が覚め、武装集団に、殺されそうになった事を、
そしてそれ以外は、何も知らない。

話せば話したで今度は意識が無い間何をしていたのかを怪しまれるだろう、そもそも信じてもらえないかも知れない。

意識が無い間何をしているのか、本当は、おぼろげだが、覚えている、だけどアレは――考えたくも無い、
だけど、もしかすると本当に自分は―――ッ!!
不意に頭痛が襲い掛かり頭を抱える、
皿の割れる音と共に日常が、音を立てて崩れていくような、そんな気がした。

【七草:無意識で動き回る事がある事を伝える・頭痛に襲われる】
>>60 >>73

店主と思しき男は、年齢二十代半ばで髪の毛は黒。長髪と縁無し眼鏡が特徴だ。
服装は偉く時代がかっているが、店の雰囲気に合っている為さほど気に為らない。
むしろ気に為るのは、この部屋に二つの異能者の気配が在るという事だろう。
自分の気配は探知できない、これは当然だ。と為ると残るは……。
――いや、コーヒーを前にして無粋な真似は止そう。

それにしても、酷い有り様だな……。まるで台風が通り過ぎたようだ。
関係在る事といえば、店に来る前に鉢合わせたあの二人組みの男。
彼らが何らかの形でこの店に介入した、その所為で店がこのような有り様になった。
こう考えるのが普通だろう。まぁ、私の知った事ではないがね。
わざわざ蜂の巣を突く事はあるまい。

>「畏まりました。そちらのお客様は何にされますか?」

店長の問いに恋島は"はっとなった"。この様子だと私の言葉を聴いていなかったようだな。
恋島が注文をしようとした途端、独特の電子音が鳴り響いた。
携帯電話の着信かと思ったがどうもそうではないらしい。
恋島は携帯電話を取ろうとしたが、バランスを崩して倒れてしまった。
普通の人間ならば、すぐにでも起き上がる所だが、今の恋島は怪我人だ。

>「あー……。店長さん、自分はアメリカンで。砂糖もらえます?」

そのままの体勢で注文をする恋島を見て、私は多少では在るが顔を綻ばせた。
これは致し方在るまい――。恋島の脇に手を回すとそっと持ち上げる。

「どうした、大丈夫か?」

椅子へと座らせると、丁度店長が恋島にとパスタを出してくれた所だった。
気を利かせてくれた店長に礼を言うべきか。

「ああ、済まないね。ありがとう。
 食べながらで良いんだが、私の質問に答えてくれないか?」

再び椅子に腰掛ける。店内にはコーヒーの芳醇な香りが立ち込めている。
私の質問、それは……。

「恋島君、君はジャーナリストなんだってね?
 この街には…… 一体何の為に来たんだ?」

――私はジャーナリストが大嫌いだ。

【レオーネ:現在地『Swallow Tail』】
77神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/11/16(日) 23:39:25 0
>>64
「ルナちゃん、統時に彼女いるの?」
>「彼女?統時に?」
緊張の瞬間。
>「いないわよ。狙うんだったら今がチャンス。
 恋愛の『れ』の字も知らない様なヤツだから、当然といったら当然なんだけど。
 落とすんだったら本腰入れないと駄目よ?」ニヤニヤしながら言っている…

「そうなの…。私がんばる!…統時に内緒にしておいてくれる?」

どうやら了承してくれたようだ。
これで悩みが一つ取れたな…。大きくため息をついて

また歩き出す。ルナちゃんはニヤニヤしている。恥ずかしい…
その数分後。喫茶店Swallow Tailについた。

「ここよ!このお店!スッごくおいしいから!」

とりあえず店の中に入ろうとする。あたしの席まだあるかな?
【場所 Swallow Tailの入り口】
【ルナに統時のことを秘密にしてほしい】
78???+国崎◇tAr9W7Gca2@代理:2008/11/17(月) 01:24:02 0
>>67
アルトが国崎に向け放った拳は、最速をもって国崎に向かっていった
今の国崎にその疾風を回避する手段は無く、直撃すれば、再生能力の落ちている
国崎の身体を文字通り「貫く」結果となるだろう。
しかしながら、それに対する国崎の一撃もまた渾身の暴撃。
飛礫で撃たれ腕で払われても尚、弾かれた凶器である両腕のうち、片腕は生きていた。
驚きながらも、その超常に強化されて視力で、国崎はアルトの疾風の拳を何とか確認する。
そして考えるより早く、腕に掛かる負荷を無視し、ミシミシと骨を鳴らしながら無理矢理に
加速した、自身の骨すら切らせる覚悟の片牙を、アルトの胴体目掛けて放った。
骨をも削ぎとるの執念の牙は、或いはアルトの攻撃が届いた直後、回避の余裕すらなく
アルトの身体へ届いていたかもしれない。

――――だがしかし、直撃したのはアルトの攻撃だけだった。

国崎の攻撃は、突如、まるで糸で引かれたかのようにその軌道を変えた。
いや、『変えさせられた』。

「いやー、私君いいタイミングでしたカ? 全ク、17年ぶりデスネ贄クン!
 おっト、今は国崎サンでしタカ?とにかく、私君は国崎サンとまた再会できて
 とても嬉しく思ってマスヨ?」

響く声。そこにいたのは、白いスーツに白い仮面の怪人。
機関No13極東地区総轄兼特殊実験部所長『オマエ』だった。

「……な、ガ……なん、で……お前が生き、て……ゴハッ!」

国崎の表情に浮かんでいたのは、アルトとの戦闘の最中でさえ見せなかった驚愕の色。
絶対に有り得ない物を見たような表情のまま、アルトの腕に貫かれたダメージによって、
国崎は口から血を吐き、ドサリとその場に倒れた。

「ハイ、私はオマエですよ国崎サン。
 いやー、国崎サンの能力が弱ってなけれバ、私君、軌道を逸らせなかったと思いマス。
 流石、私君が作った能力デス!本当に立派に成長しましたネ!
 ……オヤオヤどうしましたカ国崎サン?ああ、失血して死にそうなのデスカ?」

どこか調子が外れた様な、狂ったように人間的でない声で、オマエはケタケタと話す。
「さーテ、それでは早速国崎サンを持ち帰っテ、分解して、色々調べちゃいマショウ!……うン?」
 と、そこで初めてオマエはアルトの方へ視線を向ける

「おやオヤ?アナタは誰ですカ? 機関の方の臭いがシマスが、
 でも私君ハ、アナタとは初対面ですよね?
 それじゃア、自己紹介デス!私君は、機関のNo13、オマエと言いマス!よろしくお願いシマスネ?」

【機関No13オマエ。アルトと国崎の戦いに介入。国崎:重傷】
79戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/11/17(月) 01:34:56 O
>>62
グラビトンハマーを真正面から受けたというのに、スティクスはそれを難無く耐えきった。
異能力―――?否、それは奴自身の人並み外れた身体能力に起因するのだろう。まだ彼は異能力を発現してはいない。
しかし物理的ダメージは無かったものの、精神ダメージは彼の中の何かを変えたようだった。
スティクスはそこで奇妙な構えをとる。
空手、ボクシング、カンフー、テコンドー、コマンドサンボ……そのどれにも属さない特殊な構えだ。
恐らく彼自身が我流で編み出した体術なのだろう。構えた体制のまま、スティクスは静かに口を開いた。

「風林火山……貴様に破ることが出来るかな…?」

異能力を発してもいないのに、スティクスから発せられる殺気は先程までとは比べものにならない。
しかしそれに遅れをとる戦場ヶ原でもなかった。

「その減らず口…、すぐに聞けなくしてやろうッ!!」

開口一番、戦場ヶ原は左手から無数の小型黒球をスティクスに向けて飛ばした。
黒球はバラバラに飛び出して、スティクスの周りを瞬時に囲むように停止した。

「『マイクロワームホール・インフィニティ』――――ッ!!!」

戦場ヶ原の掛け声とともに黒球が一斉にスティクスに襲い掛かる。
一つ一つがグレネードに匹敵する破壊力を持つ斥力のカタマリだ。死角はない。
東雲並みの防御能力がなければ耐え切ることは出来ないだろう。
しかし――――

「『林』――……」

どこからか木々のざわめきが聞こえた。かと思えば、スティクスの身体はぼやけ、数々の黒球をかわしてゆくではないか。
いや、というよりはまるで黒球が彼をかわしているようにさえ見える。

(ッ!なんだ!?あれは――――)

戦場ヶ原が面食らった時には、すでにスティクスは彼の視界から消えていた。

「『風』――――…」

どこからか一陣の風が吹いたかと思えば、スティクスはすでに戦場ヶ原の背後に立っていた。
「クッ!!」
それに瞬時に気付いた戦場ヶ原は、すぐさま背後に向けてグラビトンハマーを打ち込む。
だが、その手応えは、まるで一個の巨大な山肌に拳を衝きこんだかのように、小さい。

「『山』―――…」

「なにィッ!?」
スティクスはその刹那の攻撃を完全にブロッキングして無力化していた。
すさまじい反応速度、戦闘技術。虐殺部隊隊長の名が伊達ではないことを、彼は全身で証明している。
その刹那、戦場ヶ原の目の前が烈火に包まれた。

「『火』―――…」

戦場ヶ原の脇腹にめり込むスティクスの拳。中国拳法の崩拳のように、内側から爆発するような凄まじいダメージが、彼の内蔵を破壊する。

「ぅごはァッッ!!!」

戦場ヶ原は血を吐きながら数十メートル吹き飛ばされ、奥の廃工場に突っ込んだ。
80戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/11/17(月) 02:03:11 O
>>79続き

廃工場の壁をぶちやぶり、戦場ヶ原は力無くその場に倒れた。
その間にもスティクスは例の妙な構えを崩さずにその距離を縮めてくる。
その姿には微塵の隙もない。
能力を使わずに、異能者以上の戦闘能力を発揮する―――…

「ククク……たいしたもんだな。スティクス・ガノスビッチ……!」

戦場ヶ原の口からは笑いが漏れる。
東雲の復讐という名目で戦っていたはずが、いつしか彼の中に『強い者と闘う快感』が再び芽生え始めてきていた。
それは本能だ。彼が『鬼』と呼ばれた要因。
まるで動物の反射行動のように、彼は自分より強い敵と対峙するほど、強くなる。
城栄金剛、神野屡霞、池上燐介―――…
そんな強敵達の中に、今、スティクス・ガノスビッチが並べられた。
まるで糸の切れた操り人形が自分から立ち上がるように、戦場ヶ原は不気味な笑みを浮かべたまま立ち上がる。
その表情はさながら『鬼――』そのものであった。

「悪くねェ動きだ……、及第点をやろう。」

戦場ヶ原は依然見下したようにスティクスに言い放つ。
言いながらもその左手には新たな黒球を2、3、4……5つ作り出していた。
(今ただ仕掛けても破られる……、ならば多段で仕掛けてその守りを崩す!)
闘いの中の命を懸けた駆け引き―――…それが彼の中のアドレナリンを吐き出させ、恍惚を齎す。

黒球を発射する。
2つは引力球ユニバーサルグラビテーション。それをスティクスの両側に飛ばす。対面から発せられる引力が、彼の自由を奪う。
と同時に彼に向けて飛んだ2つの球は破壊球アンチグラビティノヴァだ。
池上の氷のバリアさえ破壊したこの重威力の破壊球が、スティクスの前後から襲う。
残る一つを拳に宿し、戦場ヶ原は飛翔する。
上空からのグラビトンハマーだ。

前後左右、そして上空からも同時に繰り出される攻撃だ。
今度こそ完全に死角はない。

「さぁ見せてみろ――――…貴様の…本当の『力』をォオ―――――ッ!!」

【戦場ヶ原:スティクスに同時多角攻撃を仕掛ける】
81小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/11/17(月) 03:31:45 0
目の前に現われたのは機関の世襲幹部、11カテリーナ・ポポフスキー。

「……どうやら、昔話に花を咲かせに来た…訳じゃないようですね」

平静さを装っていたが、自分の頭の中では危機感という名の警鐘が激しく鳴り響いている。
(アーリーと一緒に居るところを見られた…。どうする?逃げるか?…)
考えたが、その問いの答えは……Noだ。
いくらアーリーの発煙弾を使って、窓から脱出しようとも彼女の『速さ』に敵うはずが無い。
機関の異能者中で攻撃速度は彼女が一番なのだ。
発煙弾を投げた瞬間に私達の首が飛ぶだろう。

「そうだ、さっきの話も気になるが今はそれより大事な用がある。」
「……ほう、ではなんでですか」
カテリーナが少し微笑む。
「『決着』だ。」
「決着? いったいなんのです」
「二十年前の養成所での格決め戦。忘れたわけではあるまい!!」
格決め戦?…
小村は脳の奥底をつつき、記憶を呼び起こした。
82小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/11/17(月) 03:32:50 0
二十年前、当時八才の小村はアフリカの機関第四十三番異能者養成所で『暮らして』いた。
いや、何とか『生き延びて』いたといった方が適切かもしれない。
なにせ、いつ死んでもおかしくない状況だったからだ。
毎日毎日。来る日も来る日も。相手をいかに上手く殺すかの訓練。
自分は機関で生まれ、機関で育った人間なのだ。
生まれながらにしての感情なき戦闘機械人形。
成績はトップクラスだった。だがそんなもので優劣感に浸ってる余裕など無かった。
危険な任務をこなしていたからだ。この町で起きてる小さいものではない。
強襲、爆破、中には、クーデターの起きた国で、紛争地帯に居るセカンドナンバーの救助をした事もある。
そんな死と隣り合わせの生活に、あいつは来た。

カテリーナ・ポポフスキー
当時11才の彼女はいままで中東地方に部下との数名で修行していたらしい。
彼女は必要以上に自分につっかかってきた。
この養成所でトップの自分が気に食わないと。
修行でつけた力に『自信』と『プライド』があったからだろう。
だから年下などに負けたくは無かったのだろう。

(私に負けはしない。私にあるのは常に勝利だけだ)

そういって幾度も挑んできたが……いつも結果はカテリーナの不戦勝。
そう、私がいつもその挑戦を受けないからだ。

(…仲間内で戦う無駄なことだ。基本、単独任務がおおいここではな)

そういえば、当時自分はこんなしゃべり方だったか。
しかし、その仲間内で戦う機会が来たのだ。
83小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/11/17(月) 03:33:52 0
――――第四十三異能力者養成所『格決め戦』が
それはどの養成所でも行なわれる異能者達のランク決めトーナメント。
これによって異能者各々の力を分析する。
この頃自分は11才、カテリーナは14だった。
カテリーナは本来これのためにここに立ち寄ったのだった。
トーナメントは順調に進んでいく。
小村、カテリーナの快進撃という結果ばかりを残して。

そして、決勝。
舞台である誰も居ない闘技場に二人が入る。
審査員は硬質性マジックミラーの裏から二人を見つめている。
試合が始まる。
カテリーナの高速の攻撃を、上手く捌き、流す小村。
が、決着は一瞬で済んだ。
勝負に出て突撃した小村をカテリーナが何とか防いだのだ。
これによってカテリーナは無事機関の11を継ぐことができ、小村はもう数年間
ここに残ることになった。だが…

(なぜ異能を使わなかった!? 私を愚弄するきか!? もう一度、もう一度だ!!)
(…いや、さっきのは本気だ。俺の異能は危なくてサシで使うのに向いていないからな)
(そんなの理由にならん!)
(……それより、1に報告に行く予定があったんじゃないか?)
(く……ええい、今度あったら絶対に決着をつけるぞ。絶対に!!)

走り去るカテリーナ。
実際自分がどうして異能を使わなかったのかは自分でも分からない。
ただあの時は初めて『感情』と呼べるものが自分の中に生まれた気がする。
84小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/11/17(月) 03:35:00 0
「……ああ、そんなことがありましたね」

数秒の回想を終え、感想を述べた。

「あの〜、それって結局昔話に来たって事じゃ…」
「とにかく、いま決着をつけるぞ」
アーリーの突っ込みなんか耳に入ってないかのようにスルーをし、カテリーナは身構えた。

「なぜ今なのですか?…昔も言ったように仲間内で戦うなど、無駄なことだと…」
「私は…」
小村の声を遮り、語りだすカテリーナ。

「私はあの後、1に報告を済ませて、すぐお前のところに行こうとしたんだ。
 だがすぐに巡洋艦『カロリエヴァ』の館長に着任され、激務に追われる事になった。
 そして、数年。ようやく仕事に慣れ、落ち着いたと思い、お前を訪ねようとした。
 がお前はすでにファーストナンバーにまで上がっていた。そこで私は思い知らされた。
 数年間、ずっと私とお前の差が開き続けていたことを。
 だからそれから仕事傍らに訓練をつんで来た。機関最速の斬撃を手に入れるまで。
 だが、またもトラブルが起こった。」

ここでカテリーナはいつの間にか荒くなっていた息を整えた。

「籐堂院 神に負けたことだ。しかも、その娘にも今日……負けた。」
85小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/11/17(月) 03:36:06 0
ここで一旦間を置いた。
彼女は顔を伏せ、表情を見えなくした。

「ふん……お前どころでは無くなったな。親子揃って私のプライドに傷を付けた奴が出たんだ。
 だが、だからこそ、今お前と戦いたい。最初の山も越えられず、次の山は越えられんだろう?」
言葉に力が篭っていく。
ここで小村は気づいた。彼女も戦いを好む、自分の嫌いなタイプだと。
ようやくだ。

「………いいでしょう。私も最近焦りや気の迷いが多いのです。」
今日の昼に昔の夢を見たせいではない。前々からだった。

「あなたの身勝手な戦い。受けてあげましょう。」
「そ、そんな小村さん!!今戦ったら確実に―――」
小村が手で彼女の口を覆った

「アーリー、ここに誰も近寄らないよう見張っておいてくれますか」

…………
アーリーは小村の目を見て感じた。
この戦いに自分は入れないのだと、入ってはいけないのだと。
アーリーは素直に図書室から出て行った。

「では、はじめようか」
「……ええ」

【小村:カテリーナと交戦開始】
【アーリー:近くに誰も来ないよう監視】
86恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/11/17(月) 22:50:02 0
>>73>>76
いってぇ……。紅原との殺し合い(って認識した方がいいだろ)の疲労が意外な部位に溜まってたみたいだな。
腰がジンジンする。流石に骨にまで影響は無いだろうが、ちょっと今のままじゃ普通に立つのもきついかもな。
早く腕と足、それに腰を治さないと……てか、眠い。横になりたい。

>「畏まりました。少しお待ち頂けますか?」
>「どうした、大丈夫か?」
店長さんの声と、レオーネさんの声が同時に聞こえた。
レオーネさんが立ち上がり、俺の腰に手を伸ばしてくれた。俺はどうにか体を起こして、イスを引き出して座る。
レオーネさんも同時に座りなおす。つつっ……。腰が……。まぁ、永瀬達が来るまでの辛抱だ。とは思うけど……。

ふとテーブルに目を落とすと、香ばしい香りのスパゲティが置かれていた。これはもしや……。
俺がスパゲティから店長さんに目を移すと、俺に対して心配そうな目を向けていた。アレだけ派手に転倒すればな……。
表情を作ろうにもどうにも硬くなっちまう。一応異常は無いという意味で、右手で添えられたフォークを振ってみた。
気づいてくれるかはどうでも良い。店長さんの顔がえらく不安そうだったのがどうも気になっただけだ。

さっそく店長さんの気心溢れたスパゲティを食べてみよう。一口、口に運んでみる。ふむ……。
……美味い。なんだろう、これほど食事らしい食事を食べたのは何日ぶりだろう。思えばここまで飯食ってなかったな。
けど何食べても美味いって訳ではなく、これは純粋に美味い。店のメニューに入っているかは分からないが、これは金取れるな、普通に。
自然にフォークが進む。麻痺も腰の痛みも取れないが、美味い飯が食えるだけでも、気分が明るくなった。

>「ああ、済まないね。ありがとう。
  食べながらで良いんだが、私の質問に答えてくれないか?」
レオーネさんが食べるのに夢中な俺の代わりに、店長さんに礼を言っていた。申し訳ないです。
と、俺に何か質問があるらしい。質問か……。また俺の過去についてだろうか。それなら本当に悪いけど答える気にはなれない。
もし話す機会があるなら、多分俺が死ぬ間際か、この騒動に終止符を打ってありふれた日常に戻る時だろう。
もうすぐスパゲティが……5分も経たないうちに食い終わってしまった。

>「恋島君、君はジャーナリストなんだってね?
  この街には…… 一体何の為に来たんだ?」
はい? 全く予想していなかった質問に、俺は思わずレオーネさんの方に顔を向けていた。フォークを皿の上に置く。
あぁ……。なんかすっかり忘れてたや。そうだそうだ、俺はこの町に取材に来ていたんだ。超能力らしき物を扱う人物の謎を探るためにな。
その時にはこんな事態になるとは思いもしなかったし、今でもぶっちゃけリアリティがない。多分今や懐かしき九鬼に、現状を伝えても鼻で笑われるんだろうな。

「そうですね……。ちょっとした人探しですよ。大した事じゃないです。ぶっちゃけ仕事の事忘れてましたからね。自分」
自分でも説明になっていない答えに、レオーネさんは数秒ぽかんとすると苦笑と思える表情を浮かべた。
にしても俺が今まで体験した事を写真にしたらすげースクープになるんだろうな。それと物的証拠が見つかれば完璧だ。
……駄目だ。その程度のスクープじゃ、世間を振り向かせる事なんざ出来ない。俺が求めるのはこう……世間をアッと言わせるとんでもないスクープだ。
その為にも俺は死ぬわけにはいかない。この闇の中にある真実を、俺自身の手で明らかにするまで。

……何黄昏てるんだ、俺は。妙に小恥ずかしくなり、俺はレオーネさんから顔を伏せた。やましい気持ちではない事は断言する。
つか会話が切り出せないな……。ぶっちゃけレオーネさんとは会ったばかりだし、上司と部下……は関係ないか。
「そういや永瀬さん遅いですね。何かトラブルに会ってなきゃいいんですが」
俺はそう言いながら、何気なく店の出口の方を振り向いた。ん? 誰かの人影が見えるが……。背が小さいし……まさか?

【現在地:Swallow Tail】
【入り口前の神野とルナに気づく。顔までは分からない】
87籐堂院神 ◆FleR8jlnN6 :2008/11/17(月) 23:29:54 0
俺の問いかけると七草は考え込むように黙り込んでしまった。
そして数分後、意を決したように、静かに口を開いた。
七草が話した内容は時々意識が無くなり、自分の意志に反して動き出すというものだった。
多分それは俗に言う二重人格だと思うが、夢遊病の可能性もある事から一概にそうとは言い切れない。
ただ、意識を失っている最中に小村と戦った事を考えると夢遊病とは考えにくい。
すると、こいつのもう一つの人格が『機関』を敵対していると考えているのが妥当か。

「もしかしてそれは二重人格じゃないか?
俺も会うのは初めてだからよく知らないが別人格が表に出ているのに主人格のお前がそれを朧気ながらも覚えているってのは結構珍しい例だな」
「へぇ、二重人格なんて本当にあるものなんだ。
面白そうだね、今から交代できたりしないの?」

響が考えなしの発言をする、本人が嫌がっている人格を出せと言われたら流石にいい気はしないだろう。
しかし、七草は俺の言葉にも響の言葉にも反応しない、急に頭を抱えて椅子から転げ落ちる、その拍子にテーブルの皿が床に落ち、けたたましく音をたて割れる。

「大丈夫か、七草?
おい、しっかりしろ」

肩を揺すって呼びかけてみるが、こちらの声は全然届いていないようだ。
まさか、これが人格交代の合図なのかもしれない、次出てくるのは『機関』と敵対しているという謎の人格。
それ相応の準備が必要かもしれない。

「響、木陰、戦闘態勢に入れ。
街中での戦闘でビルを破壊したことからこいつの別人格は凶暴な性格の持ち主だと考えられる。
それと、もし勘違いだと困るから、人格交代していてもばれない程度にな」
「神さん、まだ新入りなんだからさ、そういう役目はボクに任せてよ。
せっかくの隊長なのにかっこがつかないじゃないか」

互いだけに聞えるよう小声で文句を言っている響だが、腰にある一対の忍刀に手を添えている、木陰は木陰でトランクを持ち直ぐにでも戦闘できる態勢にはいっている。
俺も天之叢雲剣を近くに引き寄せ、戦いに備える。

【籐堂院神:戦闘態勢にはいる】
88織宮京 ◆9uPeCvxtSM :2008/11/18(火) 23:05:32 0
>>70
「……織宮サン、でしたか? なるほど、『巨乳』以外は受け付けないといった方面の方ですか。
それだと確かに籐堂院には興味が湧かないでしょうねぇ……」

池上はこちらの挑発に動じることなく、軽く流す。
そして、彼も籐堂院の持っているスーパーの袋に目を向ける。

「ところで、実を言うと俺も腹が減っているんだ。
見たところお前はこれから夕食を作るようだが、それだけの食材を女一人で全て消化するのは酷だろう。
そこで、だ……。俺……いや、俺達に助っ人を依頼してみる気はないか?」
「この神父さんもそれは望むところだろうからな」
(こいつぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!
こっちが敢えて言葉にしなかったことをいけしゃあしゃあと言いやがってぇぇぇぇぇ!)

池上がそう言うと、籐堂院は少し考え込み、京と池上とを交互に見る。
小さく頷くと、顔を上げる、しかしその顔は何処か翳っていた。

「少し買いすぎたようだし、私は構わないが……。
それにしても君達は少しデリカシーがなさ過ぎるぞ、流石の私でもそこまで言われると悲しくなる。
これでも一応私は女なのだからもう少し……スレンダーとか言い方というものがあるだろう。
まぁ、重い物が胸につくなんてこちらから願い下げだけどな」
(しまったぁぁぁぁぁぁぁ、瑞穂さんを傷つけてしまった!
くそ、この白髪頭め、やってくれるぜ、この俺をまんまと嵌めるなんて)
「いやいや、そんな事ありませんよ、瑞穂さん。
確かに胸はあまり大きくないかもしれませんが、貴方はそんなにも美しいではありませんか。
その光を反射し煌めく銀髪、まるで穢れを知らないような純白の肌、そしてすらりと引き締まった足、まるでこの世に女神が舞い降りたと疑ってしまうほどの御顔。
これほどまでに美しい人間が他に存在するだろうか?いや、いない。
これは、もう神!神の奇跡!万歳!」

はっと、我に返る京、静まりかえった住宅街、つい先程までの賑やかさは何処に行ったのであろうか。
案の定、籐堂院と池上は既に京の前には居ずに、数メートル先を歩いていた。
ネオンに照らされ一人取り残された京は流石にとびすぎていた事を悟り、静かに籐堂院達の後を追った。

【織宮京:籐堂院の家に向かう】
89池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/11/19(水) 03:20:27 0
>>70>>88
>「少し買いすぎたようだし、私は構わないが……。
>それにしても君達は少しデリカシーがなさ過ぎるぞ、流石の私でもそこまで言われると悲しくなる。
>これでも一応私は女なのだからもう少し……スレンダーとか言い方というものがあるだろう。
>まぁ、重い物が胸につくなんてこちらから願い下げだけどな」
籐堂院はそう言うと、買い物袋を手に取り歩き出した。
俺もそれと同時に動き、籐堂院の隣へと肩を並べて歩き始めた。
後ろでは尚も織宮が何やかんやと騒いでいたが、もはやその内容が俺の耳に届くことはなかった。

「フッ……出会ったばかりの男に堂々と自分の下着姿を晒したお前が、
女であることを意識しているようなことを言うとは意外だよ。
まぁ、普通女という生き物は大きな胸を欲しがるものだと思うが、
それでも重いという理由で拒絶するのだから、やはりあまり意識しているわけでもないんだろうがな」

鼻で笑みを零しながら、俺は独り言のように呟いた。
俺が何を思ってそう呟いたのか、横で聞いていた籐堂院には恐らく知る由もないだろう。
昨晩突如として俺の目の前に現れた女、籐堂院瑞穂という人物は、過去に機関と敵対していた組織に
自らが師と仰ぐ籐堂院神と共に所属していたという。だが師を失った時、同時に組織も失うこととなった。
そんな彼女がこれまでに歩んできた人生の過酷さは、想像に難くない。
恐らく自分が女であることすら忘れてしまう程の苦難の連続であったのだろう。
(……哀しいな。
もっとも、俺とて人様のことをあれこれ言える程、大した人生を送ってきたわけじゃないか。
第一、他人の人生のことなど、何をガラにもないことを考えているのやら……全く……)

そう思いながら、俺は無言で自嘲気味に笑みを浮かべた。
だが、直ぐに今まで考えていたことを頭の中から払いのけるように、二、三度頭を横に振って、
俺はいつもの表情の無い顔に戻すのだった。
と、そんな時、ふと横を歩いていた籐堂院の足がピタリと止まった。俺も足を止めて、
視界に入った建物を見上げた。──どうやら、籐堂院の自宅に着いたらしい。

【池上 燐介:籐堂院の自宅前に着く】
90喫茶店マスター ◆ytBxX/02GA :2008/11/19(水) 21:20:20 0
>>86
仕事の話、かそれとも……。
何れにせよ、私は口を出すべきでは無い。口を出して良い状況、出してはならぬ状況。職業柄、それを察する能力は絶対に必要。
この場合は口を出してはいけない状況。――――――しかも此れは口を出したら嫌が応にも巻き込まれる。そんな匂いがする。

私は唯の喫茶店のマスター。そうでなければならない。あの惨劇を繰り返させる訳にはいかない。
―――――これは贖罪。あの二人に対する。―――――これは懺悔。あの二人の関係者に対する。―――――これは罰なのだ。
下らない感傷だ。フッ……、と自嘲の溜息、笑いが口をつく。直ぐにでも後を追わなかった自分の情けなさ、今尚生にしがみ付く愚かしさ。
今日は久し振りに能力を使ったからか、厭に感傷的になっている。――――――昔止めたタバコが恋しい。

扉の外を見ると、神野さんが見える。ご友人と一緒の様だ。
こんな気分を神野さんだったら。どう打ち払うのだろうか。……下らない。これは飽くまでも自分の問題。人に聞く物でも、押し付ける物でも無い。
さて、『何時ものマスター』に戻らなければ。

「少し失礼致します」
薄い笑顔を貼り付けて、カウンターを出る。
扉を開け、笑顔で迎える。
「いらっしゃいませ、神野さん。そしていらっしゃいませ、お客様」

【場所 Swallow Tail】
【神野さんとルナさんを迎える為に扉を開いた】
91梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/11/19(水) 22:49:25 0
>>72
俺は蹲ったその状態でしばらく居た。
…だがやはりそんなことをしても何も思いつかない。
「……くっそ…」

いやに感傷的になった頭から靄を振り払い、今の状況を見つめなおす。
それが一番だ。
今俺は、十字路を越えて少しのところ。
四方はたっかい壁に阻まれて出れそうにも無い。
「出なきゃいけないが…どうしたもんだろうな」
『霧ノ存在』でなんとか行けるかってところだと思うけど…。
しかし高い。
かなり高い。
相当目立つんじゃないか?

などと考えつつ、俺は霧を体に纏わせる。
そして完全に体が霧と同化したのを待つと―――浮遊感と共に、上空に昇っていった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

石壁を越え、数本の路地を通り過ぎて地上に降り立つ。
無論誰かに気付かれないように、そっとだ。
町は夕闇に覆われ始め、帰宅する足早なリーマンやらがたまに通り過ぎる。
その横を通り過ぎて、俺は国崎薬局に戻った。
その人達が襲ってきやしないか、怯えながら。


「―――はぁ」
店内に入って溜息一つ。
3月の寒さからの開放と、コンビニでお茶を買ってきたというささやかな幸せからだ。
いや、無事にたどり着けた安心感からかもしれない。
それはいいとして、店内には誰も居ない。
引っ込んでるのかね。
「おーい…誰か居ないかー」
返事は返ってこない。

ざっと見ると、店の奥に居る廻間一人だった。
しかもまだ寝てやがるしな…。
それから発生した微妙な苛立ちから誰かがやった落書きを追加させてみた。

「『女たらし』っと…」


【梓川:十字路→国崎薬局】
【廻間に落書き追加】
92七草 ◆O93o4cIbWE :2008/11/20(木) 00:58:59 0
>>87

「大丈夫か、七草?
おい、しっかりしろ」

誰かが何か言ってる、けど全然聞えない。

暫らく経ち、顔を押さえ、ゆらりと立ち上がり、途切れ途切れの言葉を紡ぐ、

「あ……ごめん…なさい…………すいません…これ以上…迷惑…かけられないので…帰り――」

言い終えるより早く、引き止める間もなく、玄関へ駆け出しこの建物から走り去った―――

「――ハァ、ハァ!」

海岸を走る人影、此処が何処かなんて全然わからない、ただ、走るのを止めると、
自分が自分じゃ無くなる、そんな気が―――!!

突如砂に足を取られ地面に体を埋める、そのまま、七草の体は暫らく動く事はなかった。

―――何をしてる?そんな事、解ってる――
夢に見る、おぼろげな記憶、
そして湧き上がる衝動、先刻湧いたモノと同じ、即ち
――あの場に居た者を、切り刻みたいと――
七草は、必死に自分を抑えようとする、しかし、
――ニクヲ裂き、手を真ッ赤ニ染めル――
塗り潰される感情、再生される映像、
――アカイ―アカイ、自分ガ、居タ―――

「―――――――!!」

声にならない声が、月明かりに照らされた海岸に木霊した。
93七草 ◆O93o4cIbWE :2008/11/20(木) 01:01:39 0
「ワッ!」

女の声が聞え正気に戻る、背後に誰かいるみたいだ、

「びっくりしたなぁもう…大丈夫?ウチで休んでいっても良いんだよ?」

背中越しに視線を向ける、その姿は、瑞穂ちゃんの様だ、後を追いかけて来たらしい、『一人』で。

馬鹿な、いや、可哀想な娘だ、一人で来るなんて、

経口が不気味に歪み、その眼は人を見る眼では無くなる

――そう、そのまま、そのか細い首に手を掛けて、――!!

はっ、と我に返る、このままでは自分が何をするのか解らない、だからこそ、先程は逃げてきたというのに。

「…ホントに大丈夫?、何か持病でもあったりする?バファリンあるよ?」
瑞穂ちゃんが近づいてくる、
「――ちゃ…駄目だ…」
自分の体を抱きかかえ、必死に自分を抑えようとする七草に、少女は
「え?よく聞えないよ」
傍により顔を覗き込んだ
「――!」

  エモノ
―女が―
  クビ
―顔を―
差し出して
―寄せて―

来タ

意識が、暗転した
94七草 ◆O93o4cIbWE :2008/11/20(木) 01:03:44 0
「ねー七草く――キャッ!」

七草は覗き込んできた少女の首を掴み、締め上げ、少女の体が地面から離れる。
響も油断していた訳では無かった、だがその腕の動きは、何の前触れも無く、
ただ次の瞬間、響の首を捕らえていた、信じられない握力で、少女の首を、殺す為だけに、締め上げる。

「――ッ―」

少女もすかさず忍刀を取り出すが、それを見るなり七草は響を地面に叩き付ける、
衝撃で砂が舞い塵り忍刀が砂浜に刺さった。
「フフ、アーハハハハハ」
高笑いを上げ、七草は丸腰で咳き込む少女の体に何度も何度も何度も何度も蹴撃を食らわせた、
普通の人間なら全身の骨が砕けているだろう、そんな勢いで何度も蹴り付けた。
そして能力を発動し、止めを刺すべく腕を振り下ろす、その顔は、恍惚感に満ち溢れていた。

――ゴウ!――

突如、見えない何かを全身に受け、七草の体は大きく吹き飛ばされた、

受け身を取り少女を睨み付ける、あれだけの蹴打を加えたがその体は、驚くほどに綺麗だった、
綺麗といっても、傷が無いという意味でだが。

響は風の壁を作り、蹴りを防いでいた、七草も七草で妙に手応えが無いと思ってはいた、
そして圧縮した空気をぶつけ、七草を吹き飛ばした、

「ケホッ、ケホッ……あーあ、本当にびっくりしたなぁ、君って結局はそういう人だったんだ」

「コンバンハ、そしてサヨウナラ…柴寄の奴が抵抗したおかげで仕留め損なったじゃないの、
邪魔しなければ今頃この女は存在しなかったのに…分かってるの柴寄、私は、貴方の為にやってるのよ……」

最初の一言以外は、唯の独り言、少女が続けて何か喋っているが、私には興味がない。

「さぁ、今夜はこんなに月も綺麗だし、本気で殺すわよ」

七草の眼が、猛禽類の様な獲物を見る眼に変わる。

【七草:場所・海岸】
【響と戦闘開始・人格が変わっている】
95アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/11/20(木) 06:17:09 0
>>78

――――直撃はない。相打ち覚悟で打ち出された拳は、しかし、

「いやー、私君いいタイミングでしたカ? 全ク、17年ぶりデスネ贄クン!
 おっト、今は国崎サンでしタカ?とにかく、私君は国崎サンとまた再会できて
 とても嬉しく思ってマスヨ?」

乱入者の妨害によって、軌道を変えた

「いやー、私君いいタイミングでしたカ? 全ク、17年ぶりデスネ贄クン!
 おっト、今は国崎サンでしタカ?とにかく、私君は国崎サンとまた再会できて
 とても嬉しく思ってマスヨ?」

白スーツ、白い仮面。…道化のごとき姿だが、これは。

「……な、ガ……なん、で……お前が生き、て……ゴハッ!」

血を吐きながらも驚愕する男は、どうやら相手を知っているようだ。何故、生きている。そう言った。

「ハイ、私はオマエですよ国崎サン。
 いやー、国崎サンの能力が弱ってなけれバ、私君、軌道を逸らせなかったと思いマス。
 流石、私君が作った能力デス!本当に立派に成長しましたネ!
 ……オヤオヤどうしましたカ国崎サン?ああ、失血して死にそうなのデスカ?」

「さーテ、それでは早速国崎サンを持ち帰っテ、分解して、色々調べちゃいマショウ!……うン?」

ようやくこちらに気付いたのか、あるいはポーズか。
私に向き直り、オマエは言った。
96アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/11/20(木) 06:17:42 0
「おやオヤ?アナタは誰ですカ? 機関の方の臭いがシマスが、
 でも私君ハ、アナタとは初対面ですよね?
 それじゃア、自己紹介デス!私君は、機関のNo13、オマエと言いマス!よろしくお願いシマスネ?」

「私はアルトといいます、オマエさん。
 …まあ、単なる雇われ異能者ですよ」

bP3。――――セカンドナンバー、ということか。
それにあの男――国崎は、このオマエと因縁があるようだし、それは一方通行というわけではないようだ。

「アア、そういうコトデスカ! 」

「ええ、そういうことです。……それで、質問なのですが。
 どうやら何らかの因縁があるように見えましたが、殺してもいいのでしょうか、彼は」

「ダメダメデス! さっき言ったでショウ? 色々調べるっテネ」

「まあ、そうですね。そういうことなら、仕方ありません。
 単なる雇われ者の私怨で、セカンドナンバーの方針に逆らうのは無理でしょう」

……ならば、仕方ない。そう、今の立場ではそれしかないのだろう。
だが、しかし、それでも、

「オマエ、と言いましたね。その半端者について、少し話を聞かせてもらいたいのですが。
 ああ、いえ、これは単なる好奇心です。駄目なら駄目でいいですよ。そこまで知りたいとも思いませんから」

「一通りの経歴ぐらいなら、まあ、いいんですガネ?
 好奇心は猫を殺すといいマスシ、注意した方がいいデスヨ?」

「……ええ、知っています」

だからこそ知りたいのだが、まあ、それは言う必要のないことか。

「まあ、大雑把な経歴ぐらいならいいデスヨ。
 彼は――――」

【アルト:国崎の経歴を聞く】
>>86 >>90

私の問い掛けに、すっかりパスタを平らげた恋島はこちらを振り向く。
思わず彼と眼が合った。彼は暫く己の中の考えを纏めた後、
私の"どうしてこの街に来たのか?"という質問への回答を行った。

>「そうですね……。ちょっとした人探しですよ。大した事じゃないです。ぶっちゃけ仕事の事忘れてましたからね。自分」

この男は人探しの為にこんな辺鄙な地方都市までやって来たのか?
そして尚且つ、生死のやり取りの続くこの街に、未だ留まろうとしているのか?
しかも、今の今まで仕事の事を忘ていたとは……。
……正直、呆気に取られた。
だから私は、そんな彼の言葉に苦笑いをする他なかった。

恋島は私から顔を背ける。私自身も正面へ向き直る。
それにしても、遅いな……。もっと早く出来ないのか?
いや、この待っている時間もコーヒーを楽しむ為には必要な事だ。
コーヒーを待つ私に、恋島がふと思い出したかのように口走った。

>「そういや永瀬さん遅いですね。何かトラブルに会ってなきゃいいんですが」

あぁ、思えばこちらも随分時間が掛かっているな。

「そうだな……。電話をしてみるか。
 少しの間待っていてくれ」

恋島に断りを入れ電話を掛ける為に外へと出ようとする。
店先ではマスターが客を出迎えている最中であった。

相手は――神野沙羅か。これは思いがけない幸運だ。
こんな所で二人目の『アブラハム』に遭遇するとはな。
一緒にいるの金髪の女も異能者のようだが。――妙だな、この金髪の女……。
この金髪の女から感じる気配は異能者の気配というより、"異能の塊"ではないか。

問題の金髪の女から視線を外す、私は軽く会釈して店の前に出ると、懐から携帯電話型連絡装置――
通称『機連送』を取り出すと電話を始めた。

――永瀬め、一体何をやっているんだ?

【レオーネ:現在地『Swallow Tail』前】
【ルナを怪しむ】
98スティクス ◆6eLTPQTFGA :2008/11/21(金) 21:33:56 0
>>80

風林火山

それは相手の全てを封じ絶望へと導く四文字。
だがそれを受けて尚、立ち上がる者がいた。

不敵な笑みを浮かべ、操り人形のように男は立ち上がる
「悪くねェ動きだ……、及第点をやろう。」

男にとって不利な状況のはず。
だがそれでも男はこちらを見下した態度で言葉を放つ

戦場ヶ原 天

その手には黒球が数個
うち二つが同時にスティクスの左右に設置される

「こんなチャチな手品は…!?」
言葉を言い切る前に気がつく。
体の自由が利かないのだ。
そして別の黒球がこちらへと近づいてくる。

こちらにそのまま向かってくるということは攻撃用の技
その殺気が背後にも…つまり前後を塞がれている。

そして本体…戦場ヶ原は飛翔し手に能力を集中させている
絶体絶命…という言葉が似合いそうなこの状況で、スティクスは笑っていた。

「…面白い…さすがにこの状況では能力を使わざるを得ないが――」
その瞬間男の体は蒼く発光し、動けるはずがない状況で動いていた。

『蒼 波 神 拳』
男が両拳を体の自由を奪っていた黒球に向けると

ドゴアアアアアッ!!
破裂し、消え去った
そして前後を襲う黒球をまずは前方から――ただの足蹴りで彼方へ蹴り飛ばし
後方からの黒球を信じられない速さで戦場ヶ原へと蹴り返した

「…自分の技で…あの世へいけえっ!」
黒球が戦場ヶ原を襲う―――!!!

【スティクス:能力を使用 アンチグラビティノヴァを一つ戦場ヶ原へ蹴り返す】
99虐殺隊員 ◆6eLTPQTFGA :2008/11/21(金) 21:48:24 0
>>53

いくら攻撃を続けてもこの女には当たらない。
しかし男達には別段焦る必要はない。
なぜならば感情が消えうせてしまっているから。

ズババババババババ!!
休まずに攻撃を続ける
圧倒的に不利な状況にも関わらず女は全ての攻撃を受け流す

「てめェらのその無機質な仮面を剥いで、恐怖に歪めさせてェなァ…!!」

脅しのつもりか…それとも本気のつもりか
だが彼らに恐れは存在しない…感情が消えているから。

「禍ノ紅、裏ノ舞……『紅疾風』ッ!!!」

拳に向かって真紅の衝撃波が放たれる。
その瞬間、拳の片腕に地来が乗り、女の方へと投げ飛ばす
地来は衝撃波の間をすり抜け急所を狙う――!!

拳は全力で能力を集中させ、衝撃波を受ける体勢に入った
が――

ズバッ!
右腕が――吹き飛んだ
いや、感情無く異能力だけを発動させていたから右腕だけで済んだのだろうか。
そんな事を考えることもなく機械のように残った手足だけで地来が急所を狙った女へと走りだす。

二人の虐殺隊員の手の甲に刻まれた鬼の紋章は更に妖しい輝きを増していた。


ドクンッ ドクンッ
そして着々と、紋章のタイムリミットは近づいていた。
そう…彼ら一般の隊員に仕込まれた紋章の導火線に火がついたのだ。


【拳:右腕が吹き飛ぶ 地来:神野の急所を高速で狙う】
100黒野暦 ◆yODyocELuA :2008/11/22(土) 00:01:43 0
この街を舞台に開始されたバトルロイヤル。
定められた掟は異能者と『闘い』力を『奪う』
最初に与えられる力は3つ。ゲーム終了時点で2倍にしていれば勝ち、全て失えばその時点で負け。
勝者には力が残り、負者には死、どちらでも無ければ能力の『暴発』が待っている。

このメールを開いた時に感じた疼きは力の証明。おそらくこのメールも私の持つノートと同様の書き込む事により効果を持つ異能力。
私はメールを読み終えた後に携帯を破棄する。解約手続きなど行かずノートの力により送受信履歴はもとより購入履歴に至るまで全て消し去る。
今更メールや携帯を破棄してもこの掟から逃れる事はできないだろう。しかしこのメールを受け取った携帯を持っている事で主催者に居場所を知られる可能性は無くない。
疑わしいものは残しておかない。この行為が後に彼女に焦りを与え、失敗に導いた。

件のメールから3日。
私の観た他の異能者の『闘い』は力で屈服させた命の奪い合い。3回もチャンスを与えられずに死を迎える者が多かった。
その状況下に私の望む『闘い』を持ち込む事ができず、今でも力は不変。このままでは明日私に待つのは能力の『暴発』
手が望まない事をノートに書き込んでいくか、既に書き込まれている記憶のページが解放されてしまうか、
ノートを書き込んだこの手が砕けるか、書き込んだ事を見ていたこの目が破裂するか
抽象的な『暴発』に対した考えられる可能性はいくつか浮かぶ。いずれにしろ今後の生き方に障害となりかねない。



あきらめない。
『闘い』である以上、相手の気づかない内に闇討ちなどで倒しても掟は成立しないだろう。
しかし100人もいたのだから、私と同様に直接『闘い』に生かせない異能力を持った弱い人もいるだろう。


―私は走っていた。


【黒野暦:肘から先を鎌にしたカマキリ状態の梶原琢磨から逃走中、国崎薬局前を通りかかる】
101籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6 :2008/11/23(日) 01:41:01 0
>>89
しばらく、夜道を歩いて自宅に辿り着いた。
まだ、住み始めてから一日も経っていないので道を間違えないか心配だったが、無事につくことが出来た。
道中、先程まで騒がしかった織宮さんが静かだったせいで、私ももちろん池上も一言も言葉を発しなかった。
マンションの自動ロックを解除し、私の部屋の前まで行く。
師匠が気を遣ってくれたのかどうかは分からないが、私の部屋は一階にあった。

「ここが私の部屋だ、まだ越してきたばかりだから綺麗だと思うぞ」

そして、扉を開ける、綺麗と言うより殺風景といった方が正しかっただろう。
そこには、ベッドとテーブルしか家具がない。
キッチンはダイニングと繋がっている、俗に言う対面式のキッチンだった。
私は苦笑すると、ビニール袋をキッチンに運び食材を取り出す。
流石に正面に座られると気恥ずかしいので、二人はテーブルの方に案内した。

「適当に座って待っていてくれ、鍋だから直ぐに準備できる」

鍋に水を入れ沸騰させる、その間に野菜を食べやすいように切っておく。
ダイニングに二人を残してきたから、喧嘩していないか少し不安だ、織宮さんと池上は馬が合いそうにない。
これで完成、鍋は殆どそのまま使うから手間がかからない割にはおいしく出来る。
キッチンの上の棚にしまってあったカセットコンロを取り出し、ダイニングのテーブルに運ぶ。
キッチンに何処に何が入っているかが書いてある紙があったおかげで随分スムーズにできた。
そして、その上に鍋を乗せ、準備完了。
二人の様子を見るからに特に何もなかったようで何よりだ。

「さぁ、好きなだけ食べてくれ、いただきます。
キッチンで少し煮てきたから、もう肉と野菜は食べられるぞ」

そう言いつつ、私は葛切りを大量に取る、そしてお情け程度に肉と野菜を取り皿に盛る。
昔から私はしゃぶしゃぶの中では葛切りが好きで、肉なんかより葛切りばかり食べている。

「そういえば、織宮さん。
ついさっき、貴方は私の傷を治してくれましたよね?
池上も怪我しているようなので、治してやってくれませんか?」

お節介かもしれないが今朝のダイビングのせいで池上の腕には私が負担をかけてしまったので、やはり心苦しい。
それに骨折だとしたら、治るには少しかかるだろうし、これからの戦いに支障が出るとまずいだろうからな。

【籐堂院瑞穂:織宮に池上の怪我を治すように頼む】
102伊賀響 ◆FleR8jlnN6 :2008/11/23(日) 02:07:35 0
>>94
七草は案の定、敵だった。
少し仲良く出来そうかなって思っていた矢先だったから凄く残念。
でも、その分楽しめそうだから、これはこれで良かったのかも。

「さぁ、今夜はこんなに月も綺麗だし、本気で殺すわよ」
「うん、わくわくしてきたよボク、今夜はいっぱい楽しもうね」

正直あの物静かそうな少年がここまで獰猛になるなんて想像もつかなかった。
この程度の玩具となら、今まで何度も遊んできた、ボク一人でも何とかなる。
いざとなったら他の隊員に連絡入れればいい。
まぁ、今は目の前の玩具で遊ぶことを考えなきゃね。

「じゃあ、ボクから行くよ『弐刃風舞』」

ボクは地面を蹴り、宙に浮かぶ、だいたい5〜6メートルくらいのところで止まると風を操り二本の忍刀を砂浜から抜く。
そして、そのまま風で忍刀を操り、七草に向かって斬りつける。
風で操るのは結構難しく、速度もそこまで出ないので軽く避けられ、地面にたたきつけられる。

「まだまだ、ダンスは始まったばかりだよ『陸刃風舞』」

更に懐から四本の短刀を取り出し、七草に向かって投げつける。
風の力で速くなった短刀を七草は横に跳び辛うじて避けるが、短刀は意志を持っているかのように七草を狙い続ける。
地面に叩きつけられた二本もまた、浮かび上がり動き始める。
六本の短刀が四方八方から七草を狙い、斬りつけてくる。
まずは様子見、これで彼がどんな能力を使うか見ておかないと。
さて今回の玩具はどこまで頑張ってくれるのか、楽しみだな。

【伊賀響:六本の短刀で七草を攻撃】
103七草 ◆O93o4cIbWE :2008/11/23(日) 19:24:34 0
>>102
女は地面を蹴り空高く跳躍、いや、飛翔した。
そしてそのまま女は空中に留まり浮遊している

次に風が吹き始めたかと思うと砂浜に刺さった忍刀が浮き上がり此方に飛来して来た。
先程の突風に、空を飛ぶ能力、間違いなく女は風を操る能力だ、
にしても、器用な事をする、だが。

まだるっこしい事をする、様子見か、遊ばれてるのだろう。
速度の乗っていない忍刀をかわし、すれ違いざまに蹴り落とした。
蹴り落とした忍刀は砂浜に再び突き刺さった。

女が何か喋っている、遠くて聞えない、

さらに四本の短刀が空から飛来する、先程とは違い、速度の乗った短刀を私は紙一重でかわした、
紙一重とは言っても足場も悪いので無駄な動きを避けたかっただけだ。

四本の短刀は軌道を変え、地に刺さった二本の忍刀は再び浮遊し六本の刃となり、

再び私に襲い掛かった。
104七草 ◆O93o4cIbWE :2008/11/23(日) 19:25:04 0
(あーあ、様子見で能力を見せちゃうのも癪だしねぇ、)

――バッ!――

女に見えない角度で手首を切り、血液を地面にぶちまけ、能力で地面を吹き飛ばした、粉塵が宙を舞う、
空から見ている女には、いきなり地面が吹き飛んだ様にしか見えないだろう、相手に悟らせない、私はそういう技術には優れている
吹き飛ばした衝撃で勢いを失った短刀をすかさず回収し腰のベルトに挟む、舞い上がった粉塵は暗がりと合さり簡易な煙幕となる、
空から見ている女にとってはあまり意味が無い行為かもしれないが、此方がする事を気取られなければそれでいいのだ。
 チェックメイト
―『切断』―

能力を発動し爪に血液を滴らせる、                        ブラッドネーゲル
爪を揮い、空気抵抗を切断し、それに血液を乗せ飛ばす血のカマイタチ、『真紅の爪跡』
全てを切り裂くソレには、風による妨害、或いは同種のカマイタチをぶつけたとしても相殺は不可能―――

――全てを切り裂く真紅の爪が、幾重にも重なり飛んでいく、その様はさながら小鳥を捕える檻の様―――

もっとも、その檻に捕らわれれば捕える所では無く、バラバラになって死ぬだけだが。

さらに、と、彼女は手を休めない、次に放たれるソレは、真紅の爪ではない、闇夜と合さり不可視と化した『カマイタチ』、
インビジブルエッジ   ブラッドネーゲル
不可視の刃と、全てを切り裂く紅い爪をそれぞれ織り交ぜて放つ。

真紅の爪は囮、この距離から幾ら放とうがどのようにも避けられるだろう、
本命は不可視と化したカマイタチ、嵐の様に放たれた刃と爪、織り成す弾幕。

幾重にも放たれた弾幕を、女は嬉々とかわしているが、油断は死に繋がる、
紅い爪に気を取られ、不可視の刃に身を裂かれる、バランスを崩した彼女に全てを絶命さしえる紅い爪が襲い掛かる。

「――ッ!」
105七草 ◆O93o4cIbWE :2008/11/23(日) 19:26:58 0
「――ッ!」

女は風で自分の体制を無理矢理変え、紙一重で紅い爪をかわした、しかし、爪は女の左腕と右足の肉を掠め、持っていった、

後は種の割れた手品など脆いもの、不可視の刃に気付いた女は、刃を風でかき消して行き、その全てをかわし切った。

女が弾幕との格闘に気を取られている隙に、私は海際の林に駆け込んだ、ちらりと女を見た様子では、
全身にカマイタチによる多少の切り傷、浅い、左腕と右足からの流血、これは良い、能力の使用と流血によりかなり消耗する筈だ、
これで何時までも飛んでいられなくなるだろう、

林に駆け込み、一帯を私に有利な地形、いや、『領域』に塗り換える。

闇夜と溶け込み、完全に気配を消す、女の様子を見ていると、なにやら思案しているようだ。

何時までも飛んで居ても流血により体力を消耗するだけだ、持久戦なら、此方に利が在る、
このまま入ってくるならよし、仲間を呼ぶ節があれば折を見て撤退させてもらう、
範囲攻撃で林を潰すのなら同上、あらゆる状況を予測する、あらゆる状況に対応出来無ければ、戦術とは呼べまい。

自らが作り出した、魔の森で、闇に溶けて獲物を待つ。

――サア、入ってらっしゃい、私の『駒鳥ちゃん』―――
106梶原琢磨 ◆yODyocELuA :2008/11/23(日) 21:34:32 0
「これであと1回勝てばノルマ達成だな…恨むなよ色男」

俺はお使いの任務を終えた後、学生の異能者に一方的な闘いを挑まれてやられ、うつ伏せに倒れていた。
奴の能力の火炎は両腕に巻いていた包帯を焼け落とし、指の先から夕べ切られたところの繋ぎ目まで侵食している。
医者は神経をちゃんと繋げていたようで地獄のような熱さを感じる。しかしもう悲鳴を上げる気力も残っていない。

「これでもう悪さできねえだろ?」


学生がこの場から立ち去った直後、繋ぎ目から両腕が焼け落ちた。神経が切れて再発する痛みと燃えてた腕の熱さからの開放、
そしてこのバトルロイヤルで0勝2敗、ゲームオーバーにリーチがかかった。機関の人間であろうとこの街にいる異能者であれば例外はない。

「く…そっ…死…にたく…ね…」

立ち上がろうとするが、腕を失った事によりバランスが崩れ再び倒れる。
その様子を誰かが見ていた。別の異能者の気配。機関の異能者でありますように…

「安心してください。私は貴方の味方です」

虐殺部隊が俺を始末に来たわけでもない…か?助かっ

「私の能力で貴方は立派に機関に貢献できます。再び高地位に帰り咲く事も夢ではないでしょう」
「……」

俺は曾壁の『幻惑傀儡』にかかった。

「残虐中枢アトミック・スクランブル…貴方の欲望は能力へ強く影響を与える。手が無くなったって貴方は異能力を充分使えます」

そう言い残して曾壁もこの場を立ち去った。

ここまでは覚えている。そして気づいたら場面変わって、腕を鎌にして女を追いかけていた。>>100
な…何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何をしてたのかわからなかった。
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

―別にどうでもいいや。とりあえず女をひん剥く。話はそれからだ。

【梶原琢磨:『幻惑傀儡』により欲望増幅、能力強化、黒野暦を追って国崎薬局前通りかかる】
【高山宗太郎:ガス2勝0敗】
107 ◆yODyocELuA :2008/11/23(日) 21:38:06 0
>>106
訂正【高山宗太郎:ガス2勝0敗】 →【高山宗太郎:2勝0敗】
108小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/11/24(月) 17:24:00 0
>>81-85
「逃げるのか、小村!!」
砕ける本棚。飛び散る本、舞うページ。
カテリーナの荒らしのような攻撃を、小村は後退しつつ、何とか避け続けた。
(全く……なんでこんな不利な戦い、受けてしまったんでしょうね…)

突然攻撃が止まった。
「…さっさとお前の異能を出してみろ。」
イラついた声で、そう急かした。
(……出来ることなら出したくないんですがね……)
小村は先の戦い――神重&七草戦――からゴッドバルトを出しても、話しかけてもいなかった。
それは、恐怖に似た『戸惑い』からだ。
先の戦いでゴッドバルトは無断で行動を起こし、そのせいで自分は相手の攻撃を受けた。
これを例えるなら、銃が暴発したようなものだ。
もしそんなことが起きたら、そんな銃など怖くて誰も使いたがらないだろう。
今、小村はそれと全く同じ気持ちだった。
(しかし、このままじゃ埒もあきませんし…)

「……出さないなら、引きずり出すまでだ。」
シビレを切らしたのか、カテリーナがまたもや斬撃を―――
「はっ!!」
いや、違ったそれは高速の足払いだった。
「しまっ…」
小村は受身もとれずみっともなく、仰向けに倒れた。
カテリーナがこちらに歩み寄ってきた。
彼女が足を脇腹のすぐ横まで進めた時、月夜で出来た彼女の影が小村を覆いつくした。
「あの時のように、異能なしで勝てると……思っているのか!!」
刀を瞬時に逆手持ちにし、小村の心臓目掛け一気に突き降ろした。
(くっ!!…仕方ない…)
ガッ!!!
刀が胸の数センチ先まで近づいたときだ。
突如、地面から現われた黒き大男が切っ先を掌で受け止めた。
「ふん……ようやく出したか。」
カテリーナはすぐさま、後ろに距離をとった。
それと同時に小村も立ち上がる。
109小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/11/24(月) 17:24:45 0
(ゴッドバルト……)
(ナンデショウカ。My master)
(…先程の戦いのことは後で聞きますから。今はちゃんと戦ってくださいよ)
(?…何ノコトカハ存ジマセンガ、了解デス)
「……さて、すみせんが次でラストにさせてもらいます。」
体力の限界を感じ始め、小村が一か八かの大勝負を仕掛ける。
「ハァッ!!」
ゴッドバルトを盾にし、彼女に向かって一気に突っ込む。
「ふん……あの時のように、返り討ちになるがいい!!」
カテリーナが居合いの構えを取る。
「「いくぞ!!」」



ビュン!!――――刀が一閃し、ゴッドバルトを斜めに両断する。
だが、その後ろからは小村の姿は現われなかった。
「ッ!!……」
小村はゴッドバルトを踏み台にして、高く跳んでいた。
手に握っているのは、ゴッドバルトの力で出した刀。
刀は真っ直ぐカテリーナの頭部を目掛け、振り下ろそうとする。
「そんな、子ども騙し!!」
すぐさまカテリーナは刀で小村の体を串刺しにしようとするが―――
ガッ!!―――小村の装神し、黒く染まった手により阻まれた。
「なに!!…」
相手が驚いているのをまったく気にせず、小村は力強い一撃を額に叩き込んだ――――
「が……――――」
その衝撃に耐えかね、カテリーナが背中から倒れこんだ
全く動くことなく、カテリーナはそのまま気を失ってしまった。
「ハァ…どうやら勝てたよう…ですね。ああ…それと…安心してください…峰打ちですから。」
小村はよろめき、近くの壁を背に座り込んだ。
その顔はいつもはあまり見せないような疲れきった表情が浮かんでいた。

【小村:カテリーナに勝利】
【アーリー:小村と共に異能高校図書室周辺に居る】
110戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg :2008/11/24(月) 19:02:07 O
>>98
スティクスは、蒼い光に包まれたかと思えば瞬く間に重力の拘束を解き、なんとアンチグラビティノヴァを戦場ヶ原に向けて蹴り返したのだ。

「自分の技で……あの世へ行けェッ!!」

さすがの戦場ヶ原も、アンチグラビティノヴァが跳ね返されるとは思ってもいなかった。
しかしそれを可能にしたのが敵の尋常ならざる筋力―――それこそがスティクスの異能力。
しかし、そこで防御に転じる戦場ヶ原でもない。
まるで動じず、愚直なまでに、ただ偏に―――…
スティクスの脳天目掛けて戦場ヶ原は拳を伸ばす。

刹那、爆音が起きる。
跳ね返された黒球が戦場ヶ原に直撃し、炸裂したのだ。

「ぐふゥウッ!!!」

アンチグラビティノヴァはただの重力爆弾ではない。何重にも重ねられた斥力の球が、次々と重ねて炸裂することでどんな物体をも破壊する。
連続して襲い掛かる衝撃が、戦場ヶ原の上半身をえぐり、掻きむしる。
常人ならば、とっくに全身を砕かれて吹き飛ばされていただろう。
だが彼は違う。
衝撃を押さえ込み、必死に抗っていた。
今、彼の肉体を支えているものは、その人外じみた圧倒的精神力――――…

「貴様だけは――――…」

戦場ヶ原の鋭い眼光がスティクスに向けられる。

「…―――俺がこの手で裁きを下すッ!!!」

戦場ヶ原の拳に込められた黒球が、鈍く輝いた。
(俺は『闇』だ……)
すると彼の体に穿っていた黒球……アンチグラビティノヴァが、なんと彼の体に吸い込まれて行くではないか。
(すべてを呑み込む………漆黒の闇だッ!!!)
自らの黒球を吸い込んだ戦場ヶ原は、その黒球が滲むように体全体を黒く染めていく。

「消え失せろ――――…」

その滲んだ黒が、今度はみるみるうちに左腕に集まっていく。
左腕に集まった黒は、形となって掌に表出する。
これまで見たこともないほどに濃い黒―――いや、『闇』と表現したほうが正しい。
光すらも飲み込む完全な『ブラックホール』が、そこに出来上がったのだ。
未完成だった技は、ついに完成した。戦場ヶ原は、その名を力を振り絞って叫んだ―――

「『シンギュラリティ・ゼオレム・ゼロ』ォォオオオ―――――ッ!!」

放たれた黒球は、うねりながら形を変え、大蛇のあぎととなってスティクスに襲い掛かる。
彼の超人的反応速度をもってすれば回避は容易だろう。
だが、まさか彼も、戦場ヶ原が防御も回避もせずに撃ってくるとは思いもしないはずだ。
戦場ヶ原は、その刹那の隙に、賭けた―――…

どこでもいい!奴の身体のどこかに…!この一撃だけは………ッ!!

「当ァたァれェェエエ――――――ッ!!!」

【戦場ヶ原:攻撃が直撃。致命傷を受けながら、必殺技を放つ。】
111禍ノ紅 ◆u5ul7E0APg :2008/11/24(月) 19:39:18 O
>>99
真紅一閂。
素手の男の片腕が飛んだ。
「カハハハァ!!まずは右腕いただいたァあ!!」
禍ノ紅のげびた笑いが響く。
だがその時、彼の中にいる屡霞は『異変』に気付いた。

―――1人少ない…。

そう、双剣を携えた男が眼前から消え、気がつけば彼は背後に立っていた。

『禍ノ紅!後ろに―――…』

屡霞がそう言おうとしたその時。

禍ノ紅の首筋から勢いよく鮮血が吹き出した。

「がぼォッ!?」
いきなりの出来事に禍ノ紅は動転した。
頸動脈がスッパリと斬られている。
今の紅疾風の時にすれ違い様に切り掛かられたのか。

「ん………な………、このオレ様が……こんな雑魚……に…」

禍ノ紅の意識が跳ぶその刹那。
屡霞は肉体の支配権を禍ノ紅から奪い取った。

「ハァ…ハァ……」

屡霞が表層に出た時には、傷は浅く塞がっていた。魂変換の特性だ。若干の回復能力がある。
しかし、失った血液まではもとには戻らない。
大量出血によって屡霞の視界は大きく歪んでいた。

「馬鹿がッ……雑魚と油断してかかるからだろう……!」

屡霞は禍ノ紅を叱咤するが、禍ノ紅は今のことで気絶してしまったようで返事はない。
刀身からオーラが消える。
禍ノ紅が使えなくなった今、彼女は己の剣術のみでこの異能者二人を相手にしなければならない。
「クッ!」
絶望的状況を悲観する間もなく、敵は屡霞に襲い掛かる。
覚束ない手つきで猛攻を受ける。
だが、その中で彼女の超人視覚はある『異変』に気がついた。

敵の腕に刻まれた紋章が先ほどよりも強烈に光り、敵の様子もまた―――表情には出ないものの―――何かに急かされているように感じた。

(なんだ………、これは……?)

【屡霞:攻撃を受けながら、敵の様子を窺う。】
今日は珍しく夕焼けが出ている。
道行く車の中では、仕事帰りの運転手が家族との団欒で、
どのような話をしようか考えているのだろう。

夕焼けよりも真っ赤なバイクが、周りとは逆方向に向けてひた走って行く。

バイクの後ろに跨った少女 永瀬翠は、
頭だけを保護する所謂半ヘルの紐を結ばなかった事を後悔していた。
予想していたよりも風による抵抗が強い。これでは手でヘルメットを押さえ込んでいなければ、
直ぐにでもヘルメットは風に飛ばされてしまうだろう。

「それにしても、織重ちゃんの方から私に連絡を入れてくれるなんてぇー。
 なにかあったの〜?」

翠は風の音に負けないように、やや大声を張り上げる。
自分を戦士として教育してくれた機関最高幹部の頼みを請け、
今まさにこのバイクを運転している友人、香坂織重に連絡を取ろうとしたのはつい先程。
最高幹部ロンバルディーニからの電話を切った直後であった。

しかし、彼女の方から電話を入れる事は無かった。
何故なら探していた香坂の方から連絡を入れて来たからだった。

――No.6に話がある。連絡先を教えて欲しい。

香坂が開口一番に翠に言い放った言葉である。

ロンバルディーニが香坂の機連送の番号を知らなかったのと同様に、
香坂もロンバルディーニの番号を知らなかったのだ。
それ故に確実にお互いの番号を知っているであろう翠は、二人にとって接点であったのだ。

翠にはチンプンカンプンで何が何だか解らなかったが、
とにかく二人を引き合わせなければと言うことは理解できた。

「――だから、さっきも簡潔に説明したでしょ。
 今この街にヤバい連中が入ってきたって、情報部の奴から聞いたんだ。
 資料も持ってきた。この事をアンタのおじさまに伝えなきゃならない」

香坂の声はフルフェイスの所為でくぐもってはいるが、張りの在る声であった。
バイクとは如何にも勝気な彼女らしいチョイスだ、翠はそう思っていた。

「それと、危ないからメットはちゃんと被っときな」

翠はおもむろにヘルメットの紐を締め上げた。
――と同時にバイクは唸りを上げ、以前にも増して速度が上昇していく。

夕日を背に、繁華街から市街地へと、バイクは向っていく……。

【永瀬&香坂:時刻は>>97よりも少し前】
【アクシデントが無ければ、もう間も無く到着すると思われる】
113恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/11/24(月) 23:50:22 0
>>90>>97>>112
俺の思惑をよそに、店長さんがカウンターから出ると、入り口のドアへと歩んで、ゆっくりとドアノブを回した。
何故だか鼓動が早くなる。別に何の接点も無いのだが、妙に。店長さんがドアを開けると入ってきたのは……。
あれ? 俺の予想と裏腹に、全く違う人物が店に入ってきた。服屋以来別れたままだった神野さんともう一人、名前も知らない女性だ。
金髪が鮮やかで肌が白い美女といった感じだが、特にそれ以上気になる点はなかった。

と、レオーネさんが席を立つと、俺に一言。
>「そうだな……。電話をしてみるか。
  少しの間待っていてくれ」
と言って入ってきた二人とすれ違うように店の外へと出て行ってしまった。
永瀬達に電話を入れてくると言っていたな。流石にこれだけ遅いと何かあったんじゃないかと思いたくはなる。

店を出るレオーネさんを目で見送りながら、神野さん達の方にも目を移す。
が、神野さん達は特に俺に対して気にもとめてないようだ。てことは俺も別に気を使う事も無いな。
体を店長さんの方に向き直る。レオーネさんが戻ってくるまで、また暇になる。
……あ、そういやバックを薬局に置きっぱなしだったな……。

今更戻るのもなんか億劫だなぁ。かといってこれから先、携帯だけじゃとてもじゃないがやっていけない。
多分薬局にはもう誰もいないとは思うが、まさか俺のバッグを盗もうとするこそ泥なんか、いないだろう。
結局の所、腕と足が治らないと始まらないのだが。何回俺は同じ台詞を反芻しているのだろう。

レオーネさん、早く戻ってこないかなぁ。聞きたい事なら……聞きたい事なら……。
考えてみると特に浮かんでこない事に気づく。これから「機関」の一員として働く事で分かりそうな事ばかりだしな。
それよか、「機関」の幹部って奴らの(除レオーネさん)面を一度拝見してみたい。
どれほどの強面ぞろいなのか、興味半分、恐れ半分だが。そして、そいつらの頂点に君臨してる者ってのがどれだけぶっ飛んでんのか。
知る頃にはもう俺にはこの世にいないかもしれないけどな。それならそれで良いさ……寧ろそれが。

つっ、またイタい妄想が頭の中に浮かんじまった。俺はあわててその軟弱な妄想を打ち消す。
打ち消すと言えば……あぁ、そうだ、全くタバコ吸ってないな。なんか一ヶ月くらい吸ってないような感じがする。
どっかにタバ……そうだった……。タバコの箱もライターもバックの中だったんだ……。
何だろう、場の雰囲気が許すなら、今すぐ四つん這いになりたい気分だ。ガックリ来たよ、俺は。

僅かな希望を持ちながら、ジャンパーのポケットをガサクサと探る。頼む、頼むぜ……!
……テレテレッテレー。しけっていないタバコが一本、ポケットの奥底から見つかった。
てか……駄目じゃん、それだけじゃ。タバコがあってもそれを点火する為のマッチがな……あった。
カウンターに積まれた、Swallow Tailと表面にプリントされた、薄くて小さなマッチ箱が俺の視界に映った。なんと言う行幸。

……バカヤロー。なんで左腕が麻痺してる事をど忘れしてるんだ、俺は。
今までの幸運が一機に不幸に様変わりした。俺はマッチ箱を静かに元に戻す。あぁ、もう心底嫌になる。
暇だ、精神的にも肉体的にも、耐え難いほどの暇だ。そうだ、どうせ暇だから店長さんにでも話しかけてみるか。
少しは気が晴れるだろう。店長さんが寡黙な人でなければだが。

「さっきのスパゲティー、凄く美味しかったよ。ありがとう。ところでこのお店って何時から始めたんだい?」
【現在地:Swallow Tail】
【鍔目に話しかける】
114アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/11/25(火) 22:33:41 0

>>96

元傭兵。被害者。……はん。なるほど、ね。
自分から日常を抜け出たクセに、今更日常を求めるなんて、馬鹿らしい。

「……ええ、話を聞けてよかった。
 これで、今後の方針は決まりました。……他の異能者を潰す」

「ハイ、お好きにどうゾ? 許可は得ているんでしょうカネ?」

「元から単なる雇われだけど、その国崎っていう男の背後関係を洗ってみるわ」

情報はある。この男が経営しているという薬局店。そこに向かう

「なら、連絡は私がしておきマス。どうぞ暴れてきてくだサイ」

言うまでもない。この男の日常など、醜く薄っぺらいものでしかない。
ならば、壊してしまえ。もう戻れないと分かれば、本当の日常というものを理解するだろう。

【アルト:国崎薬局に向かう】
115ルナ ◆7VdkilIYF. :2008/11/25(火) 23:17:50 0
>>77>>90>>97
>「そうなの…。私がんばる!…統時に内緒にしておいてくれる?」
「ん、分かったわ。それじゃあ二人だけの秘密って事で」

いやはや、他人の気持ちって分からないものね。
どうやら沙羅は統時の事が好きみたい。
これで「統時をどう思ってるか」ランキングは桜と沙羅が同率一位になったわね。
どっちに軍配が上がるのか……それはこれからの行動しだいって所ね。

「そうそう。統時は精神的な繋がりを重要視するわよ。
 これ、アドバイスね」

こんな話をしているうちに、件の喫茶店に到着した。
期待してるほどの味……もしくはそれ以上だったら良いんだけど。
店の前に立っていると、マスターらしき人物が笑顔で出迎えてくれた。
私達はマスターが開けてくれた扉を潜り、店内に入る。
落ち着いた雰囲気の典型的な喫茶店だ。こういう感じ、私は嫌いじゃない。
……いや、むしろ好みかしらね?まあそれはどうでもいいか。
その店内を見渡すとお客であろう男が二人いた。
日本人であろう黒髪と、外人……欧米あたりだと思う金髪が二人だ。
黒髪は……何だか頼りなさそうだけど。っていうか、会ったことあったかしらね?
金髪のは……うーん、中々美形ね。まあ、それもどうでもいいか。
とにかくその金髪の男が、いぶかしげな目で私を見てきたのは失礼だと思った。
黙って突っ立ってるのも変なので、私達は大人しく席に座った。
簡単な会話を交わしながら、メニューを決めた。

「沙羅がココアがおいしいって言ってたから、私もココアにしようかしら。
 マスター、ココアちょうだい」

【ルナ:Swallow Tailに到着。ココアを注文。
    レオーネに軽度の不快感】
116黒野暦 ◆yODyocELuA :2008/11/26(水) 17:25:26 0
私は炎を操る学生と刃物を出す男の異能者同士の闘いに遭遇した。>>106
結果は刃物の男が両腕を奪われる事となった。
その時闘いを観ていた私は、能力は刃物を出す力、しかし両腕を失ってボロボロのこの男になら勝てると思った。
闘わないでいれば、それまでは勝ち星は得られないものの、こういう負傷者を相手にするチャンスも巡ってくる。
その男に闘いを挑もうとした時、近くにリムジンが通りかかり、中からセールスマン風の男が出てきて彼に歩み寄った。
横取りされたかと思ったが、彼は二三言話しかけるだけで去っていった。
冷静であればこの時何かしていた事を考えられただろう。しかし私は期限が明日に迫り、横取りされる可能性も出てくると思い焦っていた。

「貴様異能者だな?悪いが私の糧となってもらおうか」

と、私は今考えればいずれにしろ記憶から消しただろう台詞を吐いて現れた。
自分の一挙一動をノートに書きながら相手を混乱させて迫り倒す。
両腕を失い能力を生かせない状態の相手ならそんな戦法も通じると踏んでいだ。
しかし

「死にたくねぇ…」

ただの泣き言なら聞く気はなかった。

「死にたくねぇ…俺を殺すのか…嫌だ…生きたい…生きていたい…生まれてきたのに死にたくない…生ませたい…孕ましたい…ヤリたい…服邪魔だ…切り裂く」

無理のある連想をしていった末、彼の両腕の断面から刃が生えてきて、鎌の形を成し、その姿はカマキリ男と言ったところ。
即座に私は勝てないと踏んだ。そしてこれで奪われるのは力だけでは済まないものである事もすぐに理解した。

それからしばらく逃げた後、それまでの事をノートに書き込み彼の記憶からも消えたはずである。
しかし結果として彼はそれを疑問に思う様子もなく私を追い続けて>>100の状況に至る。
そして逃げてる途中の景色に『国崎薬局』の文字が映った時、昨日の新聞の記事が記憶に過ぎった。

私は薬局を過ぎようとしたところをとっさに引き返して中に入り、その事をノートに書き込みカマキリに私が薬局を過ぎたところで消えたと認識させる。
無論それだけでは薬局の中を覗かれれば見つかるので、カウンターの後ろに隠れる。…あれ?店員不在?
…だがそれでも隠れていればカマキリもやがていなくなるであろ

「あのガキの気配!殺してやる!!」

な…中に入ってくるよぉ

【黒野暦:国崎薬局店内、カウンターの後ろに隠れる】
【梶原琢磨:廻間の気配を感じて店内に侵入】
117織宮京 ◆9uPeCvxtSM :2008/11/26(水) 20:48:47 0
>>101
瑞穂さんに案内された部屋は乙女の部屋とはほど遠い、失礼だとは思うがひどく寂しい部屋だった。
越してきたばかりなら仕方ないだろうが、それにしても寂しい、テレビすらなく最低限の物しか揃っていない。
部屋に招待されたのは素直に嬉しいが、瑞穂さんには警戒心というものは無いのだろうか?

「彼女はこういう性格なのですか?
この時間帯に男二人家に入れるのは少し問題ですよね、自分から言っといてあれですが」

池上と二人で座っていて、沈黙に耐えられなくなった京が呟くように言う。
瑞穂さんも池上も全然喋らないので、喋るのを生き甲斐としている京にはとても辛い。
池上の返事が来るより早く、瑞穂さんがカセットコンロと鍋を持ってくる。

「さぁ、好きなだけ食べてくれ、いただきます。
キッチンで少し煮てきたから、もう肉と野菜は食べられるぞ」

そう言うとともに、鍋の葛切りを一掃していく瑞穂さん。
京は全く遠慮せずに肉を片っ端から取っていく、京は男には遠慮しない性格なのである。

「そういえば、織宮さん。
ついさっき、貴方は私の傷を治してくれましたよね?
池上も怪我しているようなので、治してやってくれませんか?」

唐突に瑞穂さんが頼み込んできた、反射的に京は露骨に嫌そうな顔をする。
それを直ぐに笑顔に戻した京は、快く頷いた。

「分かりました。
骨折ですか、それなら治せそうです」

京は池上の腕を結構力を入れて掴む、そして静かに聖句を唱えると腕の骨は途端に繋がる。
池上は本当に治ったか疑わしいのか、自分の腕を何度も動かしていた。

「これで平気でしょう。
それよりも瑞穂さん、次の肉入れましょうよ」

さっきまで鍋の中をおいしそうに漂っていた肉はもう何処にも無かった。

【織宮京:池上の骨折を治す】
118梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/11/26(水) 20:56:53 0
>116
廻間にちょちょいと悪戯をし終え、やる事が無いのでそのまま寝ようかなーと思い始めた頃。
俺の耳に戸が開く音がした。

「ん…どなたか来たのか帰ってきたのか?」
のろのろと店側を覗いた―――瞬間。

バァン!

と、戸が乱暴に開け放たれる。
見れば、入ってきたのは20代前半だろうという青年だ。
元は結構身なりが良かったんだろうが、その目は血走ってるのがよくわかるぜ。
>「あのガキの気配!殺してやる!!」
物騒なこと言ってやがるし。
誰だそのガキは。俺は関係ないと思いたいが…
こりゃ兎に角止めないと、店の中のものが壊されるかもな。
そうなったら国崎にどう説明すりゃいいのか。

奴を見据えながら咄嗟に考えた皮肉を織り交ぜ、台詞を口から飛び出させる。
「どちらさんですかね?行き成り殺す殺すといわれちゃ困ります。
誰を殺したいかは知らんけど。
そんなおたくのような頭の可笑しな人につける薬は無いぜ?」
そう言い終えると、店内へ踏み出し―――。

角度によって見えなかった、青年の腕が見えた。
その両腕は鎌だった。
比喩でもなんでもなく、紛れも無い鎌だ。
天井からさす光が、金属光沢を放つ腕で反射する。
勿論手術やら何やらでこんな腕に作り変える素っ頓狂な馬鹿は居るまい。
とくれば…こいつは。

「………異能者か、お前…!」

おいおいおいおい不味いな…。
足が震える。
どうする?逃げるか。
いや、廻間が起きてない。
俺が逃げればあいつが真っ先に殺されるだろう。
一応とはいえ後輩にそんな目にあわせるつもりは毛頭無い。
じゃあ、あいつを担いで逃げるか!

思いついたらすぐ行動、後ろを向こうとしたその時。
カウンターの中…誰かが居るのを見つけた。
セミショートの髪、春先にはちょっと暑いだろうという厚着、手には黒いノートを持つ女の子。

…誰?
つかこの子危険に晒されてるぞ!
この子逃がさないと、逃げようにも逃げられないじゃないか!
うう、やっぱり戦わなきゃいけないのか?

カマキリ男が襲ってきそうだし、右手に霧を集めて…っと。

左手で奴を指差しながら挑発する。
「カマキリ野郎!とっとと出て行かないと痛い目見るぜ!
見たところ弱そうだし、俺が相手するほどでもないだろうしなぁ!」
プッツンしてるようだからこれで俺に気を逸らせればいいが……そして、その間にこの子が逃げてくれればいいが。


【梓川:梶原と対峙。黒野が居た為逃げるのをやめる。】
【梶原が襲ってきたら右手に集めた黒い霧で剣を創って応戦するつもり。】
119黒野暦 ◆yODyocELuA :2008/11/26(水) 23:17:52 0
>>118
これは逃げるチャンス…と思うけど、ドアの方角にはカマキリがいる。
あの少年は店の奥から出てきた。裏口があるのかな?無いと困る。もうその方向へ進んでいるのだから。
四足でそこに辿り着くまでに当然カマキリに見つかるはずだが、あの少年が足止めしてくれてるようだ。

ここまで来れれば一先ず平気。カウンターからここまでの移動をノートに書き込めば、カマキリも少年にもこの店で私を見た記憶は残らない。今度こそ完全に撒ける。
―いや待て。少年のあの自信…もしかするとあのカマキリを少年が倒す展開にならないとも限らない。そうなれば…
…多少余裕のある状況ができたのだ。ノートに書き込んで逃げるのは少年がカマキリにやられてからでも遅くはないか。

モテ男
女たらし
沙羅と出かけてくる
サイフ借りたから

……

「邪魔だ」

あ、動き出した。

【黒野暦:店の奥まで移動、隠れて店内の梓川と梶原の様子を見ている】
【梶原琢磨:梓川の胴を斜めに横切る形に鎌を振り下ろす】
120喫茶店マスター ◆ytBxX/02GA :2008/11/27(木) 21:43:57 0
>>115>>113
>「沙羅がココアがおいしいって言ってたから、私もココアにしようかしら。
 マスター、ココアちょうだい」
「えぇ、畏まりました。実は神野様がご友人を連れて来られる、という事で先にココアのご用意はしておきました。
 こちらで宜しければ、どうぞ。勿論神野様の分も御座いますよ」
最大限の笑顔で、ココアをお出しする。
何か不思議な感覚。美し過ぎる。―――――まるで人では無い存在の様に。
『まるで女神の様だ……。そう、アルテミスがぴったり、だな……』

自分らしくない詩めいた表現。口に出さない事は正解だったようだ。
実はココアには細工を弄してある。
神野さんには先ほどよりも少し甘めなココアを。このご友人には少しカルヴァドス、と呼ばれる果実酒を入れてある。
気づかれずとも良い。これは唯の自己満足。この仕事は誰にも気付かれない部分に拘る仕事、だと思っている。
この中の誰にも、知っている人間はほぼ居ないのだが、Swallow Tailはバーも兼ねている。
その場合はコーヒー豆の棚をギミックを稼働させ、裏表を入れ替えれば、其処はバーになる。

この方々がもう少し大人になったら、その時はカクテルでも御馳走しよう。

>「さっきのスパゲティー、凄く美味しかったよ。ありがとう。ところでこのお店って何時から始めたんだい?」
半身がどうにも不自由なお客様が話し掛けてきた。正直心配ではあるのだが、会話を望むのならば応えよう。
それが仕事であり、楽しみでもあるのだから。
 「そうですね……。実は昔はバーとして経営されていた、と聞いています。その時の名前は『BAR 燕の巣』だったそうです。
 実はコーヒーショップになったのは今のオーナーになられてからです。それは三年前ですね……。三年前に私も大学を卒業しまして、その時に出会ったのが今のオーナーだった、という訳です。
 
 バー時代から数えるのならば、多分50年ほど前になるでしょうし、喫茶店になったのは三年前ですね。…………詰らないお話、申し訳御座いませんでした」

心から頭を下げて、お客様にお詫び申し上げる。
【場所:Swallow Tail】
【ルナさん、神野さんにココアを出す】【恋島さんと会話する】
>>113>>120
永瀬の機連送に電話を掛けてから数秒後、私は小さく舌打ちをした。
電話が繋がらないのだ。それも何回も何回もである。
仕様が無い、永瀬への連絡はまた後にして、紅原の一件を本部に報告するか。
機連送は電話と全く同じパルス音を出しながら、
機関本部の連絡受付へと電波を発信していく。

……十秒ほど待ってみたが、一向に繋がる気配が無い。
永瀬の時と全く同じである。私はすぐさま故障ではないかと疑ったが、
自分の持っている機連送の型番は画面に有機ELを使い、
その他様々な諜報活動補助機能が付いた最新型であり、
それがこんなにも早く故障するなどとは思い難い。
こんな事は機連送が発明されてから初めての事である。

電話を一旦切り画面を見てみると、そこには圏外の文字が。

――場所を変えても一向に電波が入る様子は無い。
これは流石に妙である。何か胸騒ぎがする。

よもやとは思うが、何かアクシデントでも発生したのではないだろうな?
もし仮にそうであるとしたら、恋島の治療は現時点では絶望的になる。

溜め息を吐くと息が白かった。いくら春だといっても、夜はまだまだ冬の領分である。
日本の春は、以前私が暮らしていた地中海と比べると、酷く肌寒い。
こういう夜はブランデーでも飲みたい所だが、生憎とそうも言っていられない。

連絡は諦めて喫茶店店内へと戻ると、恋島は店主と店の事について談笑をしている最中だった。
……それで、コーヒーは何処だ?
いや、今はコーヒーの事は置いておくとしよう。
多少――いや、かなり心残りだが、先ずは恋島に状況の説明をするのが先決だろう。
カウンターに備え付けられた椅子へと腰掛ける。

「……恋島君、永瀬と連絡が着かない。
 これはひょっとすると、ひょっとするかも知れないな。
 その時の"覚悟"をしておく事だ」

もし仮に敵が来た場合の優先保護対象は恋島達哉と神野沙羅だが、
なるべくならば店主達にも怪我をさせたくは無い。

私一人では手に余るな……。
                   ワーカーホリック
「――こんな所までご苦労だな。仕事熱心な連中だ」

――私は窓から外を眺め、一人ごちた。

【レオーネ:現在地『Swallow Tail』】
【電波が入らない原因が人為的な物かは不明】
122恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/11/28(金) 00:03:51 0
>>115>>120
俺の何気ない質問に、店長さんはふと考え込む様な仕草を取った。
む、言いにくいのかな……。悪い事したなぁと思い、別に良いですよと言いそうになったその時。
店長さんがゆっくりと、落ち着いた口調で語り始めた。なんかサーセン。

>「そうですね……。実は昔はバーとして経営されていた、と聞いています。その時の名前は『BAR 燕の巣』だったそうです。
ほうほう。元から喫茶店な訳ではなかったんだな。確かに内装のムーディーっぷりはバーを思わせる。
燕の巣か……名前のイメージからするにかなりの高級店かな? 正に店に歴史あり、だね 

>実はコーヒーショップになったのは今のオーナーになられてからです。それは三年前ですね……。
 三年前に私も大学を卒業しまして、その時に出会ったのが今のオーナーだった、という訳です。
結構最近やね。三年前って。……ん、店長さんって三年前に大学を卒業したのか。
身なりからするに、俺と同い年かちょい上だとは思うけど、流石に年齢を聞くのは気が引ける。
それにまだそれほど親しくも無いしな。暇なら立ち寄って常連にでもなりたいとは思うが。スパゲティの縁もあるし。

>バー時代から数えるのならば、多分50年ほど前になるでしょうし、喫茶店になったのは三年前ですね。
 …………詰らないお話、申し訳御座いませんでした」
五十年! いやはや、そいつは驚いた。店舗だけなら立派な老舗じゃまいか。
にしても三年も続けば充分歴史があると思うなぁ、店長さん。てか何ゆえ頭を下げてるんですか。
何か悪い事したみたいだ……俺は駄目な腰を小さく上げて、右腕で頭をさすりながら答えた。

「いえいえ、興味深い話でした。このお店も末長く続く様祈ってますよ」
店長さんにそう伝えて、俺はイスに座りなおした。店長さんは柔和な表情を浮かべた。
店長さんとの会話が終わり、また暇になった。手元のマッチ箱を弄びながら、俺はレオーネさんを待った。
まさか永瀬達にトラブルがあったなんて事……無いよな、無いよね?

店長さんがカウンターから出て、後部のテーブル席に座る神野さん達に飲物を運ぶと同時に、レオーネさんが戻ってきた。
その表情はどこか険しい。こうゆう時ほど、予感は的中するよな、まったく。
つかつかとレオーネさんはこちらまで歩むと、俺の隣に座った。俺は一応腹を据えておく。
123恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/11/28(金) 00:05:21 0
>「……恋島君、永瀬と連絡が着かない。
  これはひょっとすると、ひょっとするかも知れないな。
  その時の"覚悟"をしておく事だ」
あー……。やっぱりそうゆう件ですか……。まぁ永瀬達には永瀬達なりの用事があるし、責める訳にもいかない。
けど、そのひょっとする事態が起きたら、レオーネさん……俺多分無理っす! 今度こそ。
しっかしマジで奴ら――紅原の仲間が襲ってくるとしたら――今の俺に何ができるのだろう。
せめて、いや、最悪……、駄目だ、駄目だ駄目だ! 誰かが犠牲になるくらいなら、俺が犠牲になろう。それで、この店にいる人たちが守れるなら。

そうだ、一応レオーネさんにも伝えておこう。そう思った――。
突如として稲妻の様に飛び込んでくる、見覚えの無い記憶。そして、狂いそうなほどの頭痛。体勢が取れず、俺は膝から落ちた。
呼吸が、呼吸が整わない。俺は歯軋りしながら、その記憶に耐えた。今にも気絶しそうだが、何故だか耐えれている。
何だ、誰だ? 誰だお前は? どうして俺を罵っているんだ? それも聞いた事も無い言語で。
分からない、どうして俺が突撃銃を持っているのかが。これで人を殺しに行けっていうのか?

周囲に敵が、敵、敵敵敵敵敵敵!! そうだ、殺さなきゃ、こんな物を担いでる意味が無い!
俺は俺は無我夢中でトリガーを引く。周囲の敵が風船が割れるみたいに皆死んでいく。
やった、やったやった! 俺が、俺が皆倒したんだ! 俺が……俺が……俺、が?
あれ、俺、、間違ってないよな? 敵だから、敵だからころしたんだ、まちがってるわけが――。

                                   

意識が停止する――。


「触るな」
俺、が? レオーネ……さんの手を払った? 自分でも驚くくらい冷静な声だった。なんだか頭の中が急にクリアになる。
また例の頭痛とやらが襲ってきたらしい。それで呼吸が出来なくなった挙句、その場に四つん這いになって――。
俺は自分のやった事を思い出し、猛烈に謝りたい気分になった。思うが同時に、体を起こし、レオーネさんに頭を下げる。
「す、すみません! ちょっと頭痛が酷くて……」

ヤバイ、苦笑いしか出てこない。俺は引きつった笑顔のまま、店長さんに顔をむけて、言った。
「あ、あの店長さん、トイレ貸してもらえますか?」
【現在地:Swallow Tail】
【鍔目にトイレの場所を聞く】
【レス打ち忘れてました、すみません>>121
124池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/11/28(金) 20:19:05 0
>>101>>117
籐堂院の自宅、そこはマンションの一室だった。
マンションには防犯の為の所謂オートロックが備えられており、少なくとも底流階層の人間が住む場所では
ないのだろうが、案内された部屋はそんなマンションの機能を必要としないような"何も無い"部屋だった。
何故なら金目の物どころか、一般の家庭にあるような電化製品の大半が見当たらないからだ。
一瞬、こんな部屋で籐堂院がどう生活しているのか気になったが、
よくよく考えてみれば、昨晩籐堂院は「寝所を燃やされた」という理由で俺に一晩の宿を求めてきたのだ。
それから引っ越しやら何やらを済ませても、現在までに全てを整える時間的余裕があったとは思えない。
つまり、こう不自然と思える程殺風景な部屋なのは、むしろ当然と言わざるを得ないのだろう。

俺は無言の内にそう納得し、案内されたテーブルの椅子に腰をかけた。
既に籐堂院は食事の支度をすると言って視界から姿を消していたので、
テーブルには俺と織宮の二人だけが取り残される形となっていた。
勿論、今さっき初めて会った人間二人が会話で盛り上がるということはなく、沈黙だけが周囲を支配していた。
そんな空気を掃おうとしたのか、突如織宮が籐堂院の性格について俺に話題を振ってきたが、
タイミングが良いのか悪いのか、俺がそれに返事をする間もなく、
テーブルには籐堂院の手によって肉や野菜が満載された鍋が運び込まれてくるのだった。
俺は早速取り皿に鍋の中身を装うとするが、それは籐堂院の意外な言葉によって遮られることとなった。

>「そういえば、織宮さん。
>ついさっき、貴方は私の傷を治してくれましたよね?
>池上も怪我しているようなので、治してやってくれませんか?」
織宮は嫌そうな顔をしながらも、籐堂院の頼みとあっては断れないのか、
骨折していた俺の左腕を掴むと何かを唱え始めた。
──するとどうだ。左腕からは完全に痛みが消え、腕は怪我をする以前の状態と同じように
自在に動くようになっているではないか。
(……やはりこいつも異能者。しかもこれまでに会った事のない『回復系異能力』の持ち主とは……
なるほど、ただの巨乳好きではなかったようだな)

しかし、彼に対しそう見直したのも束の間、彼はいつの間にか鍋の中で煮えていた肉を全て己一人で
平らげており、しかもそれだけに留まらず、抜け抜けと鍋への新たな肉の投下を籐堂院に要求していた。
俺は呆れたようにわざと大きく溜息をつきながら鍋にたんまりと残された野菜を装うのだった。
125池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/11/28(金) 20:32:36 0
俺は取り皿に盛られた野菜を無言で何度か口にした後、
二人の会話に入り込むタイミングを見計らって、言葉を発した。

「……籐堂院。俺が空腹の時にタイミングよくこうして夕食にありつけたことは幸いだったが、
お前と早々に再会できたということも俺にとっては幸いだった。
これは……お前にも話して置かなくてはならないことだろうからな」

俺は静かにそう切り出してから一度箸を置いた。
先程の織宮とのやり取りとは違い、笑い一つ見せない俺の表情を見てか、籐堂院も箸を止めていた。
それでも織宮だけは相変わらず一人黙々と箸を動かし続けていたが。

「──つい先程のことだが、俺は機関のファーストナンバーの一人と会った。
その時は本格的に一戦交えたわけではなかったのでそいつの力全てを把握できたわけではないが、
それでもそいつの奥底に秘められた力が並大抵のものではないことだけは分かった。
他のファーストナンバーもそいつと似たような実力があるとすれば、俺にとってもお前にとっても
厄介なんてものではないだろう」

一つ間を置いて、俺は言葉を続けた。

「……結論を言おう。俺が思うに、機関を潰すには、俺とお前の二人だけでは戦力が不足している。
俺とお前の二人では、ファーストナンバーの三、四人は殺せても、全滅させることはできないだろう。
──少なくとも後二人……いや、三人は俺達に近い実力を持った人間が必要だ。
そこで聞いておくが、お前にそんな人間の心当たりがあるか?」

俺は籐堂院にそう訊ねたところで一旦話を切ると、今度は今まで一人無言で食事を続けていた
織宮に視線を向けて、話し始めた。

「あんたの戦闘力がどの程度か定かではないが、あんたが持つ治癒能力はこれからも必要になるだろう。
俺としてはサポート要因としてでもあんたに協力してもらいたいところだ。
とはいっても、拒否権を与えたつもりはないから協力は既に決定されているがな」

【池上 燐介:『仲間を集める』という計画を話し、織宮に協力を要請(?)する】
126スティクス ◆6eLTPQTFGA :2008/11/28(金) 21:45:46 0
>>110

自らの技が弾き返されてるのにも関わらず戦場ヶ原は己の腕を伸ばしスティクスへの攻撃をやめようとしない。
だが驚異的な速度で蹴り返した黒球は見事に戦場ヶ原に直撃し、スティクスの勝利に終わるはずだった――

その黒球の威力は喰らわずとも分かる 前後からの無防備な直撃は体がもたないと判断したから能力を発動させたのだ。
異能者とはいえ、肉体強化を出来ない生身の人間が直撃を喰らって無事なはずは無かった。
そう、普通ならば…

「貴様だけは――――…」

「絶望を感じない…それこそが貴様の強さかっ…!」

未だ輝きを失わない鋭い目がスティクスに向けられる。
「…―――俺がこの手で裁きを下すッ!!!」

黒球を吸収し漆黒の住人と化していた戦場ヶ原の色が左腕に集まる。
「『シンギュラリティ・ゼオレム・ゼロ』ォォオオオ―――――ッ!!」

蛇を彷彿させる動きをしながらスティクスに黒球――いや、闇そのもの――が放たれる。
スティクスにはそれを避けきるだけの実力があった。その能力もあった。
それゆえの慢心が彼に襲い掛かった。小さな隙を突かれ、避けることができないのだ。

戦場ヶ原を睨みつけながら叫ぶ
「クッ…俺を…このスティクス・ガノスビッチをなめるなぁぁぁぁぁ!!!」
彼の体が更に蒼白いオーラに包まれたかと思うと闇そのものを受けたのだ。

「こんなものっ…こんなものっ!!」
だがその蒼白いオーラよりも闇そのものの侵食は大きく少しずつ光を飲み込んでいった。

闇そのものに腕を突き刺し、光でこじ開けようとするもその黒に白はかき消されていく。
少しずつ彼の周囲は黒で染められていった。

「こんな…俺が…この俺が…負けるはずはっ……!」
完全に周囲を闇に囲まれ、彼の体は光を失っていた
そして体が闇に飲み込まれたかと思うと……

「ガアァァァァァァァァァッ!」

鬼の様な声が響いたあと、彼の姿は無くなっていた

【スティクス:闇に飲まれ行方不明に】
127虐殺部隊 ◆6eLTPQTFGA :2008/11/28(金) 22:39:21 0
>>111

彼らは焦っていた、いや正確には彼らの体が焦っていた。
紋章に刻まれた時間は少しずつ減っていく。体もそれを感じ一刻も早く敵を潰さなければならない。

さきほどの地来の一撃で敵を深手を負った、はずだった。
あの圧倒的なオーラ自体は消えたものの、敵の傷は少し癒えていたのであった。

同時に攻撃を仕掛けるも、焦りと拳が片腕を?がれるという事態があり攻撃は当たらない。
地来の双剣が空を切り、拳の豪腕もまた空を切る。
地来の双剣が火花を散らせば、拳の豪腕は敵の刃に受け流される。
だがこちらは疲れは知らない、痛みも知らない、このまま行けば勝てるはずだったが…

「アアアオアッ…ウウクウウッ…アァァァァ」
拳の状態が急変した。恐らく?がれた腕の痛みを消すために集中して紋章を使っていたため地来より早く限界がきたのだろう。

「ニンムスイコウ…ニンムイスイコウニンムスイコウ」
壊れた人形のように同じ言葉を呟きながら神野に拳が向かっていく。
しかしその動きはさきほどのソレとは違い遅く、能力だけに頼った動きであった
その隙を見逃してくれる敵では無かった。

ズッ
拳の心臓を刃が貫く。
命を削りとられた彼は数回痙攣したあと、動かなくなった。

キィィィッ
地来の紋章が光り、周りを覆っていた結界のような物が解かれる
彼は深い傷を負わなかったため、自分で紋章の使用を解いたのであった。

「拳…バカなヤツめっ……!」
とはいえ能力をフルパワーで使い、紋章を使ったときの疲労が一気に地来の体にも来る。
無防備に膝をついても敵が襲いかかってこないのは向こうも疲れている証拠か。

「今回は…ここで引き上げ…させてもらうとしよう…」

カッ!

腰に身に着けていた閃光弾を地面に叩きつけ光が収まっていた時には地来の姿は無かった。

【虐殺部隊:地来=逃亡 拳=死亡】
128梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/11/28(金) 23:06:25 0
>>119
>「邪魔だ」
と言ながら、カマキリ野郎は無造作に鎌を振り下ろしてくる。
右手に集めた霧を瞬時に実体化させ、剣にして…

ガキッ!

防ぐ。…思ったより速い!
だが、優位を保つような言葉は吐かないと!
「のろいぜッ!実にのろ…うおっ!」
言葉を紡ぐ前にもう一つの鎌が襲い掛かってきた。
無粋だな!台詞ぐらい最後まで言わせやがれ!
だけど、勿論奴の攻撃が終わるとは思ってなかったさ!

一瞬で敵への攻撃を考え、一瞬にして行動を開始する。
相手の懐に入り、体当たりをかます。
よろける相手。
「このやっ…ろぉ!!」
すかさず渾身の前蹴りを入れる!

後ろに吹っ飛ぶ相手。
やった!が、違和感が残る。
…思い切り蹴った筈なのに思ったより手ごたえが軽い?
見れば相手は全くダメージが無さそうで、立ち上がろうとしている。
受身を取られたのか…。

何か使えそうなものは無いかとすぐに店内を見回す。
…って!
店の奥から、さっきの女の子が隠れてこっちの戦いを観戦してるぞ!?
怒鳴ってても逃がさないと…!
「馬鹿か君は!?俺に構わず奥の奴叩き起こしてとっとと逃げろっ!
良い場合は知らんが最悪殺されるぞっ!!わかったら逃げるんだ!」
こっちが真っ先に狙われたら本末転倒だぞ!

…俺は、カマキリ野郎がすぐ後ろで腕を振り上げてるのに気付かなかった。

【場所:店内】
【梓川:黒野に怒鳴り、兎に角逃がそうとする。】
【梶原:鎌を振り上げる】
>>122-123
私が事態を伝えると、恋島は俄かに顔を強張らせた。
静かに眼を閉じて自身の身の振り方を考えている様子だ。
どうやら考えは決まったようだ、恋島は一呼吸置いた後にこちらに振り向いた。
途端、恋島はよろめくと膝から一気に崩れ落ちた。
呼吸が乱れ、視点も定まらない。
……これは昼間、私の車で起こった事と同じだ。
しきりにブツブツ呟いているが、小さすぎて良く聞こえない。

「恋島君、大丈夫――」

四つん這いになった彼の肩を擦ろうとしたその時、
私の手は恋島の言葉と共に振り払われた。

>「触るな」

酷く冷たい、まるで氷のような声……。
それは、これまでの恋島のイメージとは全く違う声であった。

私は表情を変えずに、自分の椅子へと座りなおした。

それから数秒後、恋島はようやく"正気"を取り戻してくれたようで、
かなり引き攣った笑みで何度も先程の出来事について謝罪を繰り返してきた。

>「す、すみません! ちょっと頭痛が酷くて……」

「なに、気にする事は無いさ。私も悪かったんだ。
 謝らなくても良い」

また頭痛か……。
だが、見た限りでは只の頭痛の様だが、頭痛のそれとは何かが違う。
フラッシュバックか……? 自身が忘れようとしている衝撃的な体験が
何かしらの言動によって掘り起こされ、彼の脳に再び蘇って来ているのか。
昼間の時といい今といい、謎が多すぎる。
一体何者なのだ、この恋島達哉という男は……。

恋島は店主に向きを変えると、
やはり引き攣った笑顔のまま化粧室の場所を問い出した。

恋島達哉……。これまで以上にその行動について留意をする必要が在るな。

【レオーネ:現在地『Swallow Tail』】
130黒野暦 ◆yODyocELuA :2008/11/28(金) 23:56:35 0
>>128
ふむ、どうやらあの少年も武器を出す能力といったところかな?
能力的な相性はあまり無さそうだ。そうすると体格もそう違わない二人の差があるとすれば

―殺意だ。
カマキリの攻撃は全て容赦なく少年を切ろうとしてるのに対して、少年の方はカマキリに隙ができても剣を攻撃に使わない。
少年に勝ち目は薄いと見た。少年もああ言ってるし、そろそろ逃げるか―

…!!

「後ろー!!」

と叫び、咄嗟に持っていた書置きに乗せられていた重石をカマキリに向けて投げつけた。
それと同時に寝ている『女たらし』を叩き起こす。

「起きろ!沙羅がさらわれた!!」

【黒野暦:重石を梶原(梓川)に向けて投げる。廻間を叩き起こす】
131アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/11/29(土) 05:34:14 0
機関から借り受けた望遠鏡――それを使い、国崎薬局とやらの様子を伺う。

「本当に性能のいいことです。――――まあ、そういう組織だと言うことは分かっていましたが」

……異能者同士が戦っている、という状況だ。
腕を鎌に変化させる男と、剣を持つ少年と―――ああ、ぐちゃぐちゃだな、あれ。

「――――あらあら、随分と迷惑なことですね
 誰かさんの日常も、もうオシマイ、ということでしょうか」

まあ、そんなモノは元からなかったのだろうが。

「壊しに行く理由が消えたかな、これは。
 ……まあ、もうしばらく見物させてもらうけど」

【アルト:国崎薬局での戦いを観戦する】
132七草vs伊賀 響 ◆O93o4cIbWE :2008/11/30(日) 00:15:18 0
>>103-105
ボクの操った六本の短刀が四方八方から七草に襲い掛かる

さて、彼はどうやってこの攻撃を避けて、どんな能力を見せてくれるんだろう、楽しみだ。

ワクワクしてボクが見ていると七草が妙な動きをすると共に急に砂浜が吹き飛んだ、
今何かやったんだろう、それにしても、ボクに動きを悟らせない様動くなんて中々やるなぁ、
夜の暗さと砂埃で七草の姿が見えない、風で吹き飛ばしちゃおうかな、でもそれより彼が次にどんな手品を見せてくれるか楽しみだ

次に煙を裂いて飛び出したモノは、紅い、爪跡の形をした何か、その何かが幾重にも放たれる、
                        アカイロ
その紅い爪は月の光に照らされその紅彩を鮮明に映しだす。

わぁ凄い、ここまで届くなんて、でもその程度じゃあ当たらないよ、

響は、その紅い何かをかわしていく内、その紅が何であるか悟った、
恐らくは彼女の人生で最も、見て、触って、その臭気に当てられたであろう、すなわち

(これは…血?)

響はようやく、ソレが何かに気付いた、ソレは自身が今まで流し、最も見慣れてきた物体、血液、
その血が今、自分自身に襲い掛かってくる。

始めは嬉々とかわしていた響だったが、血の臭いに気を取られ次第に動きが鈍くなる、そして
――ヒュウ!――
(風を切る音、っ!!)
風を切る音が響の耳に入るのと同時に響の体に一筋の亀裂が走る、
亀裂の正体は、そう、カマイタチだ、闇夜に紛れた刃を受けた響は体制を崩し、一瞬だが、無防備になった、
刹那、その隙を狙っていたかのように紅い刃が襲い掛かる

「――ッ!」
133七草vs伊賀 響 ◆O93o4cIbWE :2008/11/30(日) 00:16:12 0
「――ッ!」

響は咄嗟に風で自身の体制を変え、同時に風の壁で防御もした、
だが紅い刃はまるで風の壁など無かったかのように、その壁を突き破り、
少女の左腕と右足の肉を掠め取り、持って言った。

少女の体からツイと、紅い線が垂れる、紅い線はやがて珠となり、滴となって、響の体を滴り落ち、やがては彼女の体から離れ、風に流され消えてゆく

(やってくれるね、今のは危なかったよ、でも、種が解ればその手品も怖くは無い)

包丁で手を切った時、その時は痛みは無い、しかし、その痛みは刻が経つにつれて強く、より鮮明になっていく、
鋭利な刃物で肉を断った時、神経は麻痺し、痛みを感じない、時間と共に肉体が己の負傷を認識する、
ではその断つモノが鋭利さを凌駕した時、肉体はどう反応するのだろうか、

そう、今響は痛みを感じていない、否、身体が、神経が、断たれたことを認識すらしていないのだ。

カマイタチを風で打ち消し残る紅い爪をかわし切り、七草の方を見ると林の中に駆け込んでいく姿が見えた、

(血が出てる…うぅ、後で絶対痛いよなぁ、コレ……早く済ませないと)

服を破り、負傷した腕と足を縛り止血する、これで少しは大丈夫、後は

(このまま林ごと吹き飛ばしてもいいんだけど…あんまり派手な事はしたくないし…
影渓さんや神さん呼ぶのも…なんか勝負に負けたみたいで嫌だなぁ)

少し指南する素振りを見せた後

(となるとやっぱり)

腰から更に短刀を取り出し、両手に構える

(コレだよねぇ)

林の前に降り立ち、中に入って行く

(もう少しだけ、遊ぶ事にするよ、次はどんな手品を見せてくれるのかな?)

魔物の潜む林の中に、一羽の小鳥が入っていった。
134七草vs伊賀 響 ◆O93o4cIbWE :2008/11/30(日) 00:17:44 0
(――――来た―――)

女が林に入ってくる気配、それは即ち、獲物が蜘蛛の巣に掛かったのと同じ。

(――サァ――遊んであげたいけど――これでお終いよ)

七草は腰の前で両腕を交差させ、精神を集中させる
      アサルトレプリカ
―――『猟奇自在』―――

七草の足元に在る血液から広がる、林中に蜘蛛の巣の様に張り巡らされた血の線、
その蜘蛛の巣が、新たな七草の触覚となり、まるで意思を持つかのように動き出した。

――――――――――――――――――――――――

(さっきの攻撃からして、やっぱり血を扱う能力だよなぁ、う〜ん)

響は相手の能力を分析していた、

(だったらやっぱり…そういえば、ここ妙に血生臭さ…)

――そこにいたの――

「―――ッ!!!」

その瞬間、僅かに木々のざわめきが強くなった―――

――――――――――――――――――――

恐らく、暗殺者として戦えば、少女の能力は七草を上回ったかもしれない、
しかしこれは戦いですらない、この林は最早七草の領域、
少女がこの林に足を踏み入れた時点で、勝敗は決まっていたのだ、

(――そこにいたの――あのまま逃げてればよかったのに―――)

触覚の一つが女の気配を感知した、その一帯に張り巡らせた線を集結させ、

―――女ごとその空間を切り刻んだ―――

木々が僅かにざわめき、ザン、と切断された木々が地面に落ちる音だけが、暗闇の中で響いた―――
135七草vs伊賀 響 ◆O93o4cIbWE :2008/11/30(日) 00:18:32 0
――――――――――――

「――アッ――クアッ――ヒウッ――…ゥゥゥ――」

暗闇の中に聞えるものは、木々のざわめきと、微かに聞える少女の呻き声、

「まだ生きてる?、そういい子ね、それにしても、いい声で鳴くのね貴方」

七草の手が少女の身体に触れる、暫らくすると、響の全身の傷が消えていった、まるで、最初から無かったかのように。

能力で切断したモノを、無かった事にした、この場合、切断した事実を無かったことにする事で傷を治した、

「うん、これでよし、と、何でこんな事するのかって眼ね、私の中の柴寄がアナタを殺すなってうるさいのよ」

「アナタを殺せない以上、ココにいても意味は無いわ、それじゃあね、
あ!そうそう、アナタの仲間達には『私は死んだ』って事にしてくれないかしら?」

自分の存在を死んだ事にするように持ち掛ける、もっともその右手は響の首に掛けられ、殆ど脅迫じみたものだが、

「そう、じゃ、あの二人に宜しくね」

そう言い残し、七草は去っていった、後に残った響は別荘という名のシナゴーグへ戻っていった

「サテ、これから何処へ行こうかしら、そうねぇ」

【七草:響に自分を死んだ事にするように持ちかけその場から立ち去る】
136廻間 統時@代理:2008/11/30(日) 11:40:27 0
>>130
>「起きろ!沙羅がさらわれた!!」

この言葉と先ほど浴びせられた殺気。この二つの事実は俺が目覚めるには十分すぎるものだった。
先ずは殺気で目を覚まし、言葉で頭を目覚めさせる。

「何だって!?」

俺は驚愕の叫び声を上げながら身体を起こし、懐に仕舞っていた紅い月を取り出す。
見れば、ニット坊を被った女が俺を叩き起こしたようだ。

「おいっ!沙羅がさらわれたって……!?」

思わず女の肩を掴んで問い詰めそうになったが、女の後ろで行われている行為でそれは留まった。
見覚えのある顔の蟷螂男が、先輩に向かって腕を振り上げているのだ。
蟷螂男という事は、腕は刃物という事。つまり、刃物を振り上げているという事だ。
先輩を殺すつもりだろうが……やらせはしねえッ!!

「はぁッ!」

俺は寝ていたという事実で時間が経っていた事を認識していたので、
左手に紅い月を持って鞘から抜き放ち、右手に二本分の威力を持った月下十時を形成する。
即座に先輩と蟷螂男の間に跳躍し、振り下ろされた鎌を両手の得物で弾き返す。
そして、女のほうへ振り返りこう叫んだ。

「そこのアンタ!話はコイツを倒してから聞かせてもらうぜ!!」

【廻間:睡眠から目覚め、梓川に加勢に入る。
    疲労は若干だが残っている。戦闘行為に支障はない】
137梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/12/01(月) 17:04:12 0
>>130>>136
>「後ろー!!」
え?
女の子の声の不安さに不味いと思い、振り向く。

あ、やばいな。死んだかもな。

カマキリ野郎が腕―――もとい、鎌を振り上げていた。
不味い。不味すぎる。
何が不味いかってーと、剣を下ろしている俺の状態だ。
今から防御の体制に入ってももう間に合わない。
こっちは重力に逆らって持ち上げる。
あっちは重力と一緒に振り下ろす。
僅かな差だが、これが命取りってやつになるんだな。
そんな考えを浮かばせて、鎌は振り下ろされた―――筈だったが。

>「はぁッ!」

掛け声と共に俺と奴の間に割り込み、鎌を弾く。
両手に剣、いや刀?を持った黒髪。

「…やっぱお前も異能者だったのか。なぁ、廻間」
さっきまで寝てたくせに格好良いじゃないかこの野郎め!
モテる理由もわからなくないな。

>「そこのアンタ!話はコイツを倒してから聞かせてもらうぜ!!」
後ろを向いてさっきの女の子に話しかけてるが、お前は俺と同じ過ちを繰り返す気か。
「それはいいがな、敵の攻撃方法を封じるまで安心するなって言われなかったのか?
とっとと前見やがれよ、『モテ男』の『女たらし』!」

再び襲いくる鎌を、今度は自分から前に出て剣で防ぐ。
うお、今度は首狙いか!
勿論もう一つの鎌が残ってるが、今度は余裕たっぷりだ!
「甘い甘い、甘すぎるぜぇぇ!【神経ノ切断(ライン・カット)】!」
首を胴体から外し、空中に浮かせ…空振らせる!
「へ、へっ!お前なんぞ怖くなんか無いな!」
首を戻すとすぐに間を取り、体勢を整える。

…あ、あとで二人に説明しないとな。


【梓川:危機一髪。廻間の加勢により幾分か心に余裕が出る】
138黒野暦 ◆yODyocELuA :2008/12/01(月) 23:47:58 0
―思い通り。
机に置いてある二つのメモを握りつぶす。
このメモに書いてあった沙羅という人物は寝ていた少年の知り合い。
名前からして女性だが、この周辺及び店内にそれらしき人物がいない事から、このメモを書いたのは闘っていた少年ではない。
ならば沙羅という人がどうなっているかは知らない。メモを見ていたら気づくかもしれないが、上にはサイフを借りた事に対するメモが重ねられていた。
仮に見ていて気づかれ嘘と知られても起こす為の口実だけに留めればいいだけ。

―そして彼も寝ていた少年が異能者である事を知らなかったような言動。名前は知っていても、二人はそれほど親しい間柄ではない。
あとは―

あぁ、最初の少年が殺られてしまっ…
…あの3人は武器の生成の能力。どこかに幻覚を見せるタイプの異能者がいるのか?

あの邪神やっとここまで追いついたか。

【黒野暦:警戒しながら裏口から出て外の様子を伺う】
【邪神:薬局の入り口から裏口に向かう。他の人には見えないが、通りかかる時に異能力を遮断する可能性がある】
139籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6 :2008/12/02(火) 19:12:15 0
>>125
すっかり、野菜しか無くなってしまった鍋を一人で片付けている池上をよそに織宮さんは更に肉の要請をしてきた。
私は今度こそ池上が少しは食べられるように腰を上げ相当な量の肉を鍋に入れる。
そして、再び椅子に腰を下ろすと、タイミングよく池上が話しかけてくる。

「……籐堂院。俺が空腹の時にタイミングよくこうして夕食にありつけたことは幸いだったが、
お前と早々に再会できたということも俺にとっては幸いだった。
これは……お前にも話して置かなくてはならないことだろうからな」

さっきとはうってかわって真剣に話し始めた池上の表情を見て、私は箸を止める。
織宮さんはこちらに耳を傾けながらも黙々と箸を進めていた。

「──つい先程のことだが、俺は機関のファーストナンバーの一人と会った。
その時は本格的に一戦交えたわけではなかったのでそいつの力全てを把握できたわけではないが、
それでもそいつの奥底に秘められた力が並大抵のものではないことだけは分かった。
他のファーストナンバーもそいつと似たような実力があるとすれば、俺にとってもお前にとっても
厄介なんてものではないだろう」
「……結論を言おう。俺が思うに、機関を潰すには、俺とお前の二人だけでは戦力が不足している。
俺とお前の二人では、ファーストナンバーの三、四人は殺せても、全滅させることはできないだろう。
──少なくとも後二人……いや、三人は俺達に近い実力を持った人間が必要だ。
そこで聞いておくが、お前にそんな人間の心当たりがあるか?」

まさか、池上がファーストナンバーに出会っていたとは。
それにしても無事で良かった、下手したら殺されていたかもしれないのに。
戦力か、私の頭には廻間、桐北、戦場ヶ原の顔が浮かぶ。
戦場ヶ原は協力してくれそうにない、だが廻間は多分協力してくれるだろう。
池上は織宮さんに視線を移し話しかける。

「あんたの戦闘力がどの程度か定かではないが、あんたが持つ治癒能力はこれからも必要になるだろう。
俺としてはサポート要因としてでもあんたに協力してもらいたいところだ。
とはいっても、拒否権を与えたつもりはないから協力は既に決定されているがな」
「何だと?
池上、横暴だぞ、織宮さんは私達に協力するメリットなんて何処にも無いのだ。
勝手に頭数に入れるな、織宮さんだって家庭を持っているかもしれないし、大切な人だっているかもしれないのだ。
織宮さん、すみません、この話は聞かなかった事にして下さい」

確かに織宮さんの治癒能力は重宝するだろうが、だからといって私達の戦いに巻き込んで言い理由にはならない。
織宮さんが『機関』の事を知っているなら別だが、この様子からしておそらく知らないだろう。
池上が顔を強ばらせたが、私は自分の意見を変えるつもりはない。
池上の返答を待たずに話題を変えるべく口を開いた。

「それと悪い知らせだが、私の師匠の籐堂院神の事は知っているな?
彼は今、『機関』にいる、色々とあって『機関』に寝返ってしまった。
もし、会ったとしても戦わない方が良い、それだけだ」

【籐堂院瑞穂:師匠の事を池上に話す】
140籐堂院神 ◆FleR8jlnN6 :2008/12/02(火) 19:26:52 0
>>135
七草を追って出て行った響が戻ってきた。
身体には傷一つなく、顔に笑みを浮かべていた。

「あの子はちゃんと殺してきたよ」
「ほぉ、殺してきたか。
じゃあ、なんであいつに付けた発信器はまだ動いているんだ?」

まだ二重人格だと分からなかった時、少し危険な臭いがしたから付けておいた発信器がこんな所で役に立つとは。
大人しい方の人格が出ていたので、俺が肩を叩いた時(>>24)に付けたのを気付かなかったのだろう。
響はもう嘘をついても仕方ないと思ったのか、やれやれという風に首を振った。

「いやぁ、ごめんね、神さん。
不覚にも負けちゃってさ、口止めされてたんだよね」
「また遊んでいたのか?
つくづく飽きない奴だなお前も、それで負けてちゃ世話ねぇぜ」

まさか本当に響が負けるとは、仮にも暗殺部隊隊長の響をここまで早く倒すとは相当な使い手。
これは早々に始末した方が良いかもしれないな。

「よし、次は俺が出る。
響、お前は他の隊員に連絡して七草の行動を監視させろ」

俺は暗殺部隊の証である黒装束を身にまとうと夜の暗がりに姿を消した。

【籐堂院神:七草を追い、街に繰り出す】
141喫茶店マスター ◆ytBxX/02GA :2008/12/02(火) 22:48:52 0
>>123
何か、厭な気配がする。――――――それは感覚全てに働く。生存欲求すら感じる暇を与えぬ気配。
神野さんや上司らしき方々は平然としているが、この殺気。相当の修羅場を潜り抜けてきたのか。

>「触るな」
その一言は永久凍土よりも冷たく感じた。―――――背筋に抜き身の刃を這わせたような悪寒。
……私は関与してはいけない。私は飽くまで平凡なマスターであるべきだ。争い?そんな物は要らない。必要なのはコーヒー、少しのお酒、それに音楽。
それだけで私は何時死んでも良い気がする。

>「あ、あの店長さん、トイレ貸してもらえますか?」
「……えぇ、此方の廊下の突き当りに御座います。――――――ごゆっくり、どうぞ」
少し顔を洗われるとよいだろう。あの表情は多分、状況について行けない事に対する恐怖、それに新しい一面が自分で見えてきた驚き。
そんな所だろう。

私に出来る事と言ったら……熱いコーヒーでも沸かしておこう。
地獄のように苦い、目の覚める、熱いコーヒーを。

それが私の仕事。
決して気付かれてはいけない。
【場所:Swallow Tail】
【恋島さんの為にコーヒーを沸かす】【遅れて申し訳御座いません】
142恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/03(水) 00:56:56 0
>>129>>141
自分のせいとは言え、この沈黙は心地悪い。俺は店長さんにトイレの場所を聞きながら心で歯軋りした。
にしても、来ちまったな。頭の中で俺は感じていた。あの日に戻っていく自分自身を。
>「なに、気にする事は無いさ。私も悪かったんだ。
  謝らなくても良い」
穏便な声でレオーネさんが、失礼な行為をした俺にそう返答した。やはりこの人は話が分かる。
レオーネさんがイスに座りなおすと同時に、店長さんが俺の問いに答えてくれた。

>「……えぇ、此方の廊下の突き当りに御座います。――――――ごゆっくり、どうぞ」
「どうもです」
俺は小さく会釈しながら、レオーネさんと店長さんにそう言ってトイレへと向かった。
ズキズキと脳みその端で不気味な痛みが走る。右手で頭を抑えながら、若干狭い廊下を歩いてトイレを見つける。
ドアノブを空けると温かみのある模様の壁と、無機質な洋式便器が俺を出迎えた。

別に用を足すわけに来たわけじゃない。ここに来たわけは――吐き出したかった。
後ろ手でドアノブを閉めてトイレに篭り、俺は便座を開けて、思いっきり……嘔吐した。
体が、いや、俺の中の善人の部分が今、自分がやったことに対して凄ましい嫌悪感を抱いていた。
俺は自分の手で、他人の命を奪ったのだ。あの男を、紅原と名乗った男の命を。

言い訳を考えようとすればするほど、腹のそこから嘔吐する。無意識に、両腕が震えていた。
何より、俺が俺をここまで冷静に見ていること自体が妙だった。本音を言えば、今すぐにでもここから逃げ出したい。
そしてこんな馬鹿げた、ふざけた、そして狂った世界から離脱したい。例えそれが――幻想だとしても。
だがそれは無理だ。何故なら、俺自身の足でその狂った世界に踏み込んじまったから。そしてこの悪夢は黙っていても終わりはしない。

もう禅門等は充分だ。充分だが、何故だか踏ん切りが付かない、あるいは付きたくないのかもしれない。
今の俺に……今の俺にあるのか? 命を捨てて、他人を殺してまで戦う理由が。
確かに国崎と決別した時にはぼんやりと、そうゆう理由が浮かんだ。だが、だが……分からない、分からなくなった。
これから先、俺は「機関」の一員として、異能者を手に掛けることになるだろう。それが女だろうと、子供だろうと、老人だろうと。
そう考えると俺の肩に途方もない罪が圧し掛かる。現状、一人殺しているのだ。そうだ……殺しているんだ。

俺の手で。
143恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/03(水) 00:57:30 0
一通り吐いて、呼吸が次第に収まってきた。俺はトイレットペーパーを引きちぎり口元を拭い、嘔吐物と共にレバーで水で流した。
ふたを閉めて、便座に座る。ふと、閉めたドアの真正面に小さな鏡が付けられている事に気づく。
女性客の身だしなみ確認の為に付けられているのだろう。あの店長さんらしく、気が利いている。

「……なぁ、耳鳴り。聞こえてるなら答えてくれないか。俺の決断が正しいのか」
俺は鏡に映っている俺に向かって……いや、耳鳴りに向けて話しかけた。傍から見るとキモイだろうな。
じっと鏡を見据えて、耳鳴りの返事を待つ。……ははっ馬鹿みてえ。やっぱ幻聴だよな。

『俺から言う事は何もない。俺の役目は達哉を守るだけだ』
意識下で聞こえた、耳鳴りの声。俺はどうしていいか分からず、ただ口元で半笑いを浮かべた。
お前と普通に会話できるって事は、おまえ自身もあの日に戻るって事だよなぁ……。
妙な懐かしさを感じながら、俺は耳鳴りに対して「普通」に話しかけた。

「お前と普通に話すのは高校以来だな。子供のままで良かったのに」
俺が口調交じりにそういうと、耳鳴りは毅然とした態度のまま返答した。
『子供のままで居られない状況だからこうなったまでだ。実際、もう何度か危険な目にあったんだろ?』
「まぁな……。しかもあの時みたいに自分からじゃなくて、あっち側から来るからなぁ。参っちまう」

相手はともかく、気兼ねなく喋る事ができるのが偉く久々に感じる。コイツとは色々とあったからな。
思い出すのは勘弁だが、幾度か、そして今でも助けられているし。ま、それは置いといて。一つ聞きたかったことがあった。
「そういやお前、服屋の時、俺に何も言ってくれなかったよな。なんでシカトしてたんだ? 腹刺されてマジやばかったんだぞ」
『あの時が、俺がこの状態に戻るかどうかの境目だったんだ。もし達哉が重症でなかったら、俺は子供に戻る気で居た』

……あの時と同じ、いや逆なんだな。高校の時と。あの時、俺ではなく、二人が――先輩と高部が死んだから、お前は戻ったんだ。
あの日から俺はお前を使う事を止めたからな。だが服屋以降、正確には岩城と対峙したとき、お前は今の状態になっていたよな。
つまりもう、あの時点で俺は片足突っ込んでたんだ。あっち側に。そして国崎の言葉――。それが俺の中のトリガーを引いた。
そして二回ほど起こった見慣れない……違う、高校の時には頻繁に見ていた。

力を使う度に見る記憶に無い物騒な夢。
もう二度と、お前を、耳鳴りなんて本格的に使う事はないと思ってたのにな。
けどこの流れは俺が望んだわけじゃない。あっちから俺の日常を壊しに来たんだ。ずけずけと。
そしてあまつさえ、俺を利用しようとしてやがる。冗談。俺は誰の引いた計画のレーンにも乗らない。

守る事が無駄だと分かった今、俺は攻める事で大事な物を守ってやる。そのためなら犠牲にしてやる、俺を邪魔する一切合切を。
決まった。腹を据えた。戻ってやるよ、あの日のお前を使って他人を熨して、蔑み、壊した俺に。

「……耳鳴り、今度こそ、俺は全部失っちまうかもな。それでも――俺と戦ってくれるか?」
『分かってるだろ? 俺は達哉の言葉にははいとしか言わない。生きのびろ、達哉。どんな手を使っても』

ドアノブを回し、俺はドアを開けてトイレから出た。よし、ちょっとテストだ。
口ではなく、意識下で耳鳴りに、俺は命令を出した。
麻痺状態は処置できないだろうが――体の自由をにしてくれ。無理やり視神経に繋いでな。

『了解した。ただ感覚は戻らないからあまり無茶な動きはするなよ』
耳鳴りの声がした瞬間を合図に、俺は麻痺したままの左腕を動かした。感覚は無いが――自由に振り回す事が出来る。
次は右足だ。一歩ずつ、感覚が無いものの、しっかりと両足で歩き出せる事を確認する。
そう、こいつの――耳鳴りの真価は危機回避能力だけじゃない。俺自身の危機に対するあらゆる処置が行えることだ。

これでもしもの事に対しての対策は一応出来た。後は――。
レオーネさんと店長さんの姿が見えた。一転、体に不具合がある様に見せかけて、レオーネさんの隣に座った。
「すみません、待たせましたね」

【場所:Swallow Tail】
【決意を固める。左腕・右足は感覚は無いものの、自由には動かせる】
【いえいえ、お気になさらずに】
144恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/03(水) 01:00:32 0
ちょい修正
×体の自由をにしてくれ
○体を自由にしてくれ
145梶原琢磨:2008/12/03(水) 16:22:39 0
>>137
確かに首を跳ねたはずだが…こいつは俺の能力とはやはり違うようだな

「化け物が―」

ふと自分の腕が視界に入る。人間なら本来5本の指の生えた手を携えてるはずの位置に刃を携えた腕を。
……
>>136そうだ。元はと言えばこいつの所為だ。
こいつが俺の腕を切らなければ俺は人間でいられた。こいつがいなければ俺は化け物にならなかった。
…殺す。
化け物の方は殺せなくてもこいつだけは絶対殺す。殺す殺す殺す殺す…

「殺す!!」

殺意の感情を高らかに叫び、化け物の証の両腕を振り上げる。この間脇腹はガラ空きで剣道のような現状況でこの瞬間が狙われないなどと思っていない。
いや、感情が先走った俺の心は考えていなかったかもしれない。しかし俺の体はそこに隙を作らせなかった。

腕を振り上げ、隙のできた脇腹から新たな刃が飛び出した。そしてそれはよく見ると鎖に繋がれていて、俺の意思で動くようだ。
…化け物か

【梶原琢磨:腕を振り上げて、脇から鎖鎌を生やし梓川と廻間に双方の攻撃を向ける】
146クロノ ◆SoGLnhQ8WY :2008/12/03(水) 18:06:53 0
鍔目秀弥、レオーネ・ロンバルディーニ、恋島達哉、神野沙羅、ルナの一同に集う喫茶店『Swallow Tail』
そこへ新たにボロボロのタキシードを着た男が入店してきた。
レオーネ同様にひと目でこの国の人間でない事が伺える金髪と白い肌。少し暑そうに手に持ったシルクハットで仰いでいる。

「こんな格好で失礼しマスネ。服を揃えられる所を探してるのデスガ―」

店内を見渡して何を思ったのかフッと口元を緩め、鍔目に顔を向けると

「ホットコーヒーでももらえマスカ?」

落ち着きが欲しかったのか、道一つ聞くのもタダでは悪いと思ったのか紅茶の注文をし始める。
その男―クロノはレオーネの隣の席に腰掛けると、ハンカチを取り出し顔に滲んでいた汗を拭き始める。

「私はこの国に来て日が浅いものデスガ、なんだか物騒な街デスネ。
 先程も交通事故でバイクの爆発に巻き込まれテ…おかげで服がボロボロデス。警察は何をしてるのでショウカ?」


そのハンカチはレオーネが空き地で永瀬翠に使った物と同じ柄をしていた。

【クロノ:現在地『Swallow Tail』】
147神重智&敬 ◆6eLTPQTFGA :2008/12/03(水) 19:07:45 0
「さて…そろそろいいだろう」
体内の血液が不足しているという事態もおおよそは吸血蝙蝠のお陰で補えた。
予備の分の血液を考えてもしばらくは動けるだろう。

さきほどの戦闘で破壊された中のビルに逃げ込んでいた神重は軽く伸びをして準備を整える。
もう夜だ…吸血鬼が活動をするのは今からだから…と少し嬉しそうな顔をする。
だが敬にはまだやることがあった。

(兄弟、今から体の支配権をお前に一時的に移す)
突然の言葉に智は驚きながら返事をする。
(……一体どういうつもりなんだ?)

敬は話した
小村と初めて戦った時とさきほどの戦闘では異能力が不安定すぎると。
もしかするとそれはお互いを認め合って人格…いや、能力が一つになりつつあるのではないかということ。
今のところお互いの人格が薄れるということは無い。少なくとも今は…。

(そこで、だ…先生に一時的に体を渡して能力の確認をしてもらいたくてね)
さすがに能力的には不死身と言えどこのままでは少々まずい。
それこそ機関に連れて行かれたらこの能力を奪い取る人間もいるかもしれないと付け加えて。

(そういうことか……いいでしょう…)
(よし…支配権を移すぞ)

グッ―――――
地面に膝をつき、人格の交代が行われる。

「………ふう」
久々の外の感覚。精神世界とはまた違うリアルな感覚。
(さあ先生、少し痛いかもしれないが自分の指先を少し切ってみてくれ)
ただの人間の会話ならこの男は狂っているだろう。だが異能者とみれば全くおかしいわけではない。
(…わかった)
地面に落ちている硝子の破片で軽く指を切る。血が滲み、地面に一滴、また一滴と垂らされる。
「………?」
智は違和感を感じていた。痛みをほとんど感じないのだ。
軽くとは言え、指を切ろうものなら人間は痛みというものを感じるのだ。

(敬…)
(なんだ?)
(お前は、自分で己の体を傷つけるとき痛みを感じるのか?)
(自分で傷つける時はほとんど感じないな。能力的に痛みを感じないように精神を制御されいるんだろうな)
(そうか……)
148神重智&敬 ◆6eLTPQTFGA :2008/12/03(水) 19:12:00 0
地面に小さな血溜まりが出来上がった。
(ようし…吸血蝙蝠をイメージして血液に作用しようとしてみてくれ)
(わかった)

敬がやっているように、智も吸血蝙蝠を練り上げようと精神に作用させる。
そして――

キキキッ

少し小さいかもしれないが、吸血蝙蝠が出来上がった。

(…………!)
(やっぱりな…俺とお前の能力は一つになりつつある…)
(そんな馬鹿なことが……)
(実際に目の前で起きている状況を理解しろ智 ともかくここで考えていても仕方ない…外へ出ようぜ)
(ああ…そうだな……)


出る前に智は元々の己の能力、重力連鎖を試しに発動させてみた。
『重力指定』 『重力空間』
しかし、重力の威力も精度も…人格が変わる前のソレと比べて…明らかに劣化していた

「こんなことが…この状態だと元の能力で使える技は一つか二つしかないな……」


不安を抱きつつ、夜の世界に智と敬は出て行った。

【神重:能力不安定 行動開始】
149黒野暦 ◆yODyocELuA :2008/12/03(水) 21:38:10 0
外に出てみるけど近くにとくに人がいる様子はない。ただ誰かに見られてるような気がした。
私は異能者の気配とやらを感じる力はないけど、視線には敏感だ。尾行されるのは邪神だけで充分である。
光を見た>>131。やはり少し遠くから望遠鏡だか双眼鏡だかでここを見られてる。

標的が見えても、あれほど遠くから幻覚を見せる能力が通じるものだろうか?
それとも私のノートのように広範囲無差別型で精神汚染をしてるだけ?
いやいや、ここが見られてるならやはりターゲットにされているんじゃ…
いや、効果の出た位置を特定できるシステムで、それで見てみる事にしたのか…

とにかくあそこにいるのがその手の異能者なら私でも勝てるかもしれない。

【黒野暦:アルトのいる所に向かう】
>>141 >>142-143

店長は恋島に化粧室の場所を教えると、彼は礼を述べてそそくさと歩いていった。
服装を直すようには見えなかったが……。所謂"用を足しに"でも行ったのだろう。
気にする事ではない。
ここに来て再度店内を見渡す。インテリアは合格ライン、
食器も飾った物ではないが店の雰囲気に合っている。
永瀬が気に入るのも解る気がするな。

待ち惚けというのは慣れている。だが、何時になっても退屈な事には変わりは無い。
恋島を待つ間、私はアドレス帳を埋める事にした。
未だに未登録のアドレスが在るのは少々頂けない。
永瀬と本部のメールアドレスは既に入っているが、その他の交友関係は全て振り出しに戻ってしまっている。

いい歳をした大の大人がこんな作業をやっていると思うと、何だか泣けてくるな……。
だが、打たなければ万が一の時の保険にならない。
せめて"彼女"のアドレスだけでも残して置くべきであろう。

それにしても、自身の記憶力を頼りにちまちまと細かい作業をやっていると、
猛烈に投げ出したくなるな。最近の若者は苦にならないのだろうか?
……私が歳を取ったと言う事だな。

七件目のアドレスを打ち終わった所で、恋島が戻ってきた。
相も変わらず右足を引き摺りながら椅子へと腰掛ける。

>「すみません、待たせましたね」

私は彼が戻った事に手を挙げて相槌を返す。
然程待ったという事は無いがね。アドレスを埋める作業をしていたし、
こちらも有意義な時間を過ごせた。

「顔色が優れなかったようだが、気分でも悪いのか?」

携帯をスーツの内側にあるポケットにしまいながら、恋島の方を向く。

気分でも悪いのか、とは言った物の恋島本人の顔色は、先程よりも随分健康そうに見える。
私は肩を竦めて見せた。自分が治癒系能力者であったなら、直ぐにでも彼を治している所だ。
まぁ、本人が大丈夫と言うのであれば、私がとやかく言う理由は無いが……。
>>150

>>146
それにしても永瀬たちは何をやっているのだ。まさか寄り道でもしてるのではあるまいな。
大体、昔から彼女は時間にルーズな方だ。いくら注意しても直さないから諦めたが。
シナゴーグの時を思い返しても、彼女が教習に遅刻した事は何回も在る。
その度に廊下に立たせたがね。

無言で思い出に浸っていると、店に新たな来客を告げるドアの開閉音が聞こえた。
やはり繁盛しているのだな、この店は。
客に対して興味は無い為、実際に見て確認をしている訳ではないが、
声は男性の物である。

>「こんな格好で失礼しマスネ。服を揃えられる所を探してるのデスガ―」

交番へ行け。喫茶店で頼む事は一つだろう?
そう、コーヒーだ。それにしても私のコーヒーはまだなのか?
ここまで来ると是が非でも飲みたくなるのが人間の性だ。

>「ホットコーヒーでももらえマスカ?」

なかなか話が解る方だ。だがしかし、コーヒーはホット以外は邪道だ。
確かに夏場は冷たいコーヒーが飲みたくなるが、
その誘惑を跳ね除けホットを注文するのが通だ。

男はつかつかと歩み寄ってきて、私の隣へと腰を下ろした。
彼には悪いが、私は興味の無い人間に近寄られるのが嫌いだ。
別に彼が嫌いだという事ではない、単に私の我侭だ。


「私はこの国に来て日が浅いものデスガ、なんだか物騒な街デスネ。
 先程も交通事故でバイクの爆発に巻き込まれテ…おかげで服がボロボロデス。警察は何をしてるのでショウカ?」

「それは気の毒に。――しかし、バイクの爆発に巻き込まれたという事は、
 余程近くに居たのだな……?」

ここに来て初めて男の顔に視線を流す。白人男性で年齢は二十代から三十代前半、
                ブロンド
髪の毛の色は私よりも少し濃い目の金髪。整ってはいるが奇妙な違和感を覚える。
奴の服装だ。彼はここがダンスホールだとでも勘違いしているのではないだろうか?
何がおかしいのか、口元は笑っている。

彼はカウンターにシルクハットを置くと、余程疲れたのかハンカチで額の汗を拭い始めた。
……じっと凝視する。男の、手の中の、汗を吸い取って濡れ始めたそのハンカチを。
"あれ"の柄には見覚えがある。昨日私が彼女に渡した……。
いや、見間違いか? ――そうであって欲しい。

「爆発に巻き込まれて、服"だけ"そんな無残な姿になったのかね?
 君は先程入店時に、"服を探している"と言ったな。

 爆発に巻き込まれた普通の人間なら、受けた傷を治そうとする為に、
 "救急車を呼んでくれ"と言うか、"治療できる物をくれ"とでも言う筈だ。
 ……それとも、ここが病院にでも見えたかい? 生憎ここは喫茶店だ、病院じゃあない」

間違いなくこの男は異能者だ。
私は恋島に男の行動に注意するように目で合図を送った。

【レオーネ:現在地『Swallow Tail』店内】
【クロノのハンカチを不審に思う】
152外道院柚鬼 ◆GWd4uIuzU6 :2008/12/03(水) 23:52:49 0
ランプに照らされた一室で、一組の女が円状のテーブルを囲んでいる。
ここは『シナゴーグ』と呼ばれる機関幹部が集う会合場所。
本来ならば機関の人間でさえも訪れる事は無い。ここは既に閉鎖されているのだ。
一人の女はまだ若く、花に例えるならば百合の花のような美しさを、
もう一人は老女ではあるが、身に着けているものは高価な物ばかりで、
彼女の社会的な地位の高さを窺わせる。
若い女、外道院柚鬼の目の下には隈――
彼女の宗派に記されている呪術を蓄積するという墨は今は無く、
極彩色の艶やかな着物を纏い、長い髪の毛をアップにし、金色の髪留めでまとめている。
普段の彼女からは想像も付かないような煌びやかさがそこに在った。
これが彼女、外道院柚鬼の正装なのである。
No.3と呼ばれた人物は静かに円卓に腰を掛けた。

「それで……。妾を呼んだ理由は何じゃ? No.3殿」

No.3と呼ばれた老女の顔には薄っすらと皺が浮かんで入るが、
かつての美貌を色濃く残しており、佇まいと相まって気品さを醸し出している。
白髪の老女はどこか威厳を感じさせる皺枯れた声で答えた。

「金剛達の事についてです……。彼らは機関の為と嘯きながら、
 その実己が野心の為に機関を利用している有り様。
 これは機関にとって背信行為に他なりません」

裏切り者には死を――それが機関の絶対たる掟。
その為の粛清部隊であったが、実際にはNo.1城栄金剛の持つ"鬼ども"より僅かに上回る程度であった。
それは即ち、金剛よりも遥かに劣るという事に他ならず、これでは金剛を始末する事など夢物語である。
故に今まで彼に対して直接的な行動はして来なかった。

「そんな事は解っておる。しかしあやつの力は絶大じゃ。
 だから今まで子供じみた妨害工作しか出来なかったのじゃろう?」

――外道院の言葉にNo.3は深く頷いた。
No.3を初めとした世襲幹部は、代々機関に多大な貢献してきた、云わばエリートなのだ。
その彼らが強大な力を持つとは言え、成り上がりがトップに立つ事など面白いと思う筈が無かった。

「しかし、No.1達はこの街で繰り広げられている"茶番劇"で手が足りないはず。
 そこに付け入る隙が出来るのです」

「つまり虚を突くという事か……。そんな事でとられる様な玉かの?」

怪訝そうな外道院に対して、No.3は僅かにその藤色の口紅を塗った唇を微かに歪ませた。
                        ユキ
「そこで貴女の力を借りたいのです、柚鬼。面倒事を頼まれてはくれませんか?
 貴女とて成り上がりの者に指図されるのはお嫌でしょう?」

確かに外道院は家督を継いでから今まで、金剛に日陰に追いやられて来た。
それは金剛が彼女達世襲幹部を親の仇のように、その力を封じようとした結果であった。
表社会のみならず機関でさえも爪弾きにされる事に、外道院は強い憤りを感じていたのだ。

「……そろそろこちらも動く、という訳じゃな?
 では、レオーネやポポフスキーにはどのような措置を?」

「同罪です。金剛の考えに賛同した者は全て……」

ランプの炎が怪しく揺らめくと、外道院は言葉の意味を理解して卑屈そうな笑いを挙げた。

「それはいい。是非あやつらを剥製にして飾ってみたかった」

喉を鳴らして笑うその様は、外道院の美貌に陰りを与えていた……。
【外道院&長束:現在地 閉鎖されたシナゴーグ】
153神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/12/04(木) 00:43:03 0
>>115 146
店の前で立っているとマスターが笑顔で出迎えてくれた。
店の中に入る。店の中にはさっき来たときにいなかったお客さんが二人。
一人は金髪の外国人。男嫌いな私でも素直にかっこいいと思う。
もう一人は…どっかで見たときがある…。どこでだっけ?
まあいいか。
とにかく椅子に座って注文する。
>「沙羅がココアがおいしいって言ってたから、私もココアにしようかしら。
 マスター、ココアちょうだい」
「わたしも!わたしも!」
>「えぇ、畏まりました。実は神野様がご友人を連れて来られる、という事で先にココアのご用意はしておきました。
 こちらで宜しければ、どうぞ。勿論神野様の分も御座いますよ」
と笑顔でココアを出してくれた。
しばらくするとボロボロのタキシードを着た金髪の男性が入店した。
なぜか口がにやけてる
それを目で追う。何か怖い。
その人はどうやら他の二人のお客さんと話してるみたいだ。

私はココアを飲みながらケータイをいじり始める。
ケータイには統時からメール…

「沙羅、今すぐガラス工場に来てくれ。大変なことが起きてる」

・・・・・?わたし統時にメルアド教えたっけ?
まあ行ってみるか。面白そうだし!ルナちゃんにも聞いてみよう。
「ルナちゃんも行く?大変なことが起きてるらしいよ!」

【場所 Swallow Tail店内】
【統時?からメール「ガラス工場に来い」】【ルナに行くか聞く】
154戦場ヶ原&屡霞 ◆u5ul7E0APg :2008/12/04(木) 01:03:58 0
>>126>>127
戦場ヶ原の放った渾身の一撃により、スティクス・ガノスビッチはその場から消滅した。
「…ゲホッ!ガハァッ!」
その場に残ったのは満身創痍の戦場ヶ原唯一人。
だが今の彼に勝利の喜びに身を震わせるような素振りはなかった。

「まだ・…終わってねぇ……ッ!!」

彼の手ごたえがそう言っていた。スティクスは、死んではいない―――…
シンギュラリティゼオレムの空間歪曲によって生じた次元の狭間に飲み込まれ、いずことも知れぬ場所へ飛ばされたのだろう。
ただ時空の歪みの中を移動する際に肉体に多大なる負荷を伴うが、そのダメージごときでくたばるスティクスでもないだろう。

「いつか……ブッ殺してやるからな・・・!」

そう言う戦場ヶ原自身、上半身の着物は破れ去り、その下の肉体は焼けただれたようになっている。
致命傷だ。
すぐにしかるべき処置を行わなければ彼はこのままここで力尽きることとなるだろう。

「いつか…、いつ…か……」

しかし当然彼には起き上がる力さえもない。彼の視界は徐々にフェードアウトし―――…意識は途切れた。
以前までの彼だったら、このままここで野垂れ死んでいただろう。
しかし、今の彼は違う。今の彼には、『仲間』がいるのだから。

「…やれやれ、こんな状態になりながらも勝つとはな。キミのしぶとさには呆れさえするよ。」

スティクスのボディスーツの切れ端を手にしながらため息をつくのは、神野屡霞だ。
彼女は2人いるうちの一人をその手で絶命させたものの、一人は逃した。彼女としても不本意な形での勝利だっただろう。
(まったく…禍ノ紅がヘマをしなければ、こんなことには…)
彼女はもう一度ため息をついて自分の身を省みた。
服の所々が斬撃によって切り裂かれ、彼女の艶やかな肢体がところどころ露わになっている。
首筋に巻くように彫られた蛇のタトゥーを右手で隠すようにして、彼女は戦場ヶ原に近づいた。
そして彼の身体を抱え上げ、気絶した彼に語りかけた。

「こう言ってはなんだが、こうなって正解だったろうな…。
 東雲にスティクス、2人もの強敵と連続で戦って、もし今起きていたらその状態のままさらに闘い続けると言い出しかねない。
 キミにも休息が必要だ。…それに、私にもな。」

そう言うと屡霞は抱え上げた戦場ヶ原を重そうに引きずりながら、移動を開始した。

「この時間では医者ももうやっていないだろう・・・。仕方ない。薬局で薬を調達して応急処置だけでも済ませよう。」

【屡霞:気絶した戦場ヶ原を抱えて国崎薬局方面へ移動。】
155煌神 リン ◆u5ul7E0APg :2008/12/04(木) 01:46:51 0

―――気がつけば私は、暗い暗い部屋にいた。

豪奢な意匠に飾られた壁や天井、家具。
まるで中世の御姫様が寝るようなベッドの枕もとには、かわいらしい熊のぬいぐるみが置かれていた。
見覚えのあるデザイン。これらすべては兄の趣向だ。
私を溺愛する兄――ツバサ・ライマースの、これは僅かな心遣いだろうか。
これから城栄金剛の生贄となる、この私への。

「お目覚めですか、リン様。」

ドアが開き、眩い廊下の光が目をつく。
そこから姿をあらわしたのは、黒髪に無表情をくっつけたメイド姿の女性―――『空雲』。私や兄がかつて世話になったメイドだった。
彼女に対するために身体を起こす時に気がついた。私の体は子供の肉体ではなく、16歳の本来の身体だった。
そして体にはあの文様が刻まれている。
あの時、城栄金剛に刻まれた、忌々しい無機質な数式…。これによって私は異能力を封印され、本来の姿でいることを余儀なくされているのだ。

「驚かれましたか、リン様。この部屋に。」
「…いいよ、分かってる。兄さんでしょ、この部屋に私を入れたのは。」

ふと窓の外に目線を移すと、綺麗な草原が広がっている。
しかし、彼女はすぐに気がついた。これは実際の光景ではなく、精密なホログラム映像だ。
実際にいるのは、間違いなく城栄金剛の本拠地、ナガツカインテリジェンスビルだろう。

「ねぇ空雲…。ひとつだけ教えて。」
「なんなりと。」
「私はこのあと…どうなるの?」

率直な質問に、空雲は一瞬口ごもる。当然だ。
もうお互い、私がこのあとどのような目に遭うかは金剛の言動から容易に想像できる。
金剛の謎の計画の生贄として捧げられるのだ。
かつての主人に向けてその事実を口にするのは、空雲はさすがにためらわれたのだろう。

「お願い空雲。覚悟は出来てるから。」
「リン様は…」

空雲はもはや腹をくくって、その口を開いた。

「リン様は…明日の正午、第一研究室にてヤハウェ被験体として実験台になります。
 実験を統括するのは研究室室長、ドクター善養寺…。明日、リン様の人権は一切を蹂躙されるものと思ってください。」

「善養寺…!」
私は言葉を失った。マッドサイエンティストとして有名なドクター善養寺。
その存在は機関の中でも城栄金剛よりも恐れられている。
なぜならば、金剛は論理的であり、失敗をしない限り害を及ぼされる危険はないが、善養寺は違う。
彼の、常人には理解できない独特すぎる思考はあらゆる方向に興味を放ち、その興味の餌食となった者は骨の髄までしゃぶりつくされるのだ。
その餌食になったと知らされた私は、ただ茫然とするしかなかった。

「では、リン様…。私はこれにて。
 なお、この部屋にかぎは掛けません。このフロアも自由に散策して結構です。
 セキュリティのかかった部屋に入るには、このセキュリティカードをご利用ください。
 お兄様からの御慈悲でございます…。残された時間くらい、自由にさせろと。」

空雲はそう言い、カードを一枚残してその部屋を去った。
私はその様子も頭に入らず、ただ茫然と虚空を眺めていた。
その虚空に浮かんだのは、見覚えのある、赤い髪に鋭い眼光を携えた、不器用な彼―――…

「天さん……」

【煌神リン:現在位置、ナガツカインテリジェンスビル36F、リンの部屋。】
156クロノ ◆SoGLnhQ8WY :2008/12/04(木) 23:52:36 0
>>151
「"普通の人間"デスカ…私、確かに昔から変わってると言われますけどネ」

コーヒーを待つ間クロノの視線は鍔目の方に向いていたが、話しかけられたのに気付くとその視線は顔ごとレオーネに向く。

「でも貴方の普通が間違ってマスヨ。普通の人間はこういう喫茶店ではコーヒーを頼むものデス。
 病院だと思った所でコーヒーをオーダーしたりしまセン。落ち着いてくだサイ」

次にレオーネの奥に見える恋島に対して視線を向け、しばらくするとにやけ顔になる。

「もしかして貴方がこの人の言う"喫茶店で治療できる物を所望した普通の人間"デスカ?外人をからかっては行けませんヨ?
 それともこの人にそう教わりましたカ?この人信用してはいけませんヨ」

それから少し考える素振りをしてから「ア〜!」と声を上げると、再び視線をレオーネに戻す。

「それとも事故にあったのに服だけで私の体が傷ついてないのが普通じゃないと言いたいのデスカ?
 それなら事故の爆発に巻き込まれたのはこの服だけだったという話デス」

服だけ巻き込まれるような状況になる事は普通とでも言わんばかりに答え、手にしていたハンカチをシルクハットに入れてすぐ取り出す。
取り出したハンカチは一見入れる前と変わらないように見えるが、よく見ると拭いた汗の後が消えすっかり乾いていた。

>>153
そして沙羅とルナの様子を横目に、レオーネを見据えて呟く。

「本当に大変デスネ。あの娘達もう出て行っちゃいそうデス。
 …言っておきますが貴方達の待ってる人達は来ませんヨ?」

【クロノ:現在地『Swallow Tail』】
157恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/05(金) 01:07:18 0
>>146>>150-151>>156
俺が戻ると、レオーネさんが小難しい顔で携帯を打っていた。永瀬達にメールでも送るのだろうか。
察するべき事でもない為、特にその事について気にしない。俺がイスに座ると、レオーネさんが片手を挙げた。
俺は小さく微笑み返しながら、見えないように左手を握ったり開いたりしながら体を慣らした。

そうだ、そういや俺、レオーネさんに自分の携帯番号を教えてなかったな。どこかにメモ帳――。
>「こんな格好で失礼しマスネ。服を揃えられる所を探してるのデスガ―」
背後から、すっとんきょんな声がした。感じからして男だ。妙に片言だが、外国人だろうか。
声の主はつかつかと、レオーネさんの隣に座り、珈琲を店長に注文した。

にしても、俺が言うのもなんだが珍妙な服を着た人だ。顔は普通の割とイケメンな白人さんなのに、服装のセンスが何とも言えない。
所々こげているタキシードからは、かすかに火薬の匂いがした。どう考えても普通じゃ……ふふっ。普通じゃねえな。
耳鳴り、コイツもやっぱアレか? 紅原と同じ連中なのか? てか来る店間違えてるだろ、アンタ。

『悪いが俺にはそれは分からない。だが、この男は異能者だ。警戒してくれ、達哉』
分かってるよ。もしもの時は殴ってでも蹴ってでもしてやる。流石に感覚の無い方じゃ無理だけどな。
出来るなら、この場所ではドンパチしたくはない。店長さんが良い人だし、第一俺が悪人みたいだ。
俺からは手は出さない。ま、出したとしてもレオーネさんが止めるだろうしな。……てかこれでこの外国人が本当にただの客だったらどうしよう。

>「私はこの国に来て日が浅いものデスガ、なんだか物騒な街デスネ。
  先程も交通事故でバイクの爆発に巻き込まれテ…おかげで服がボロボロデス。警察は何をしてるのでショウカ?」
そう言いながら、外国人は被っていたシルクハットを置き、懐から出したハンカチで、額を汗を拭った。
その瞬間、僅かにだがレオーネさんの表情が険しくなった。俺の頭の中で浮かぶ、一つの疑念。
初対面の人間に対して失礼極まりないが、俺自身、コイツに言い知れぬ不快感を覚えている。何だろうな、このモヤモヤした感覚。まるで……。

>「爆発に巻き込まれて、服"だけ"そんな無残な姿になったのかね?
  君は先程入店時に、"服を探している"と言ったな。

  爆発に巻き込まれた普通の人間なら、受けた傷を治そうとする為に、
  "救急車を呼んでくれ"と言うか、"治療できる物をくれ"とでも言う筈だ。
  ……それとも、ここが病院にでも見えたかい? 生憎ここは喫茶店だ、病院じゃあない」
畳み掛けるように、外国人に対してレオーネさんが疑問を投げかけた。すげぇ、俺にはここまで整然と言葉を紡ぎ出せない。
外国人はどこ吹く風で真正面の店長の方を向いていたが、ゆっくりと俺達のほうへと顔を向けた。
端正な顔立ち……だが、口元が何がおかしいのかにやけている。これか、俺が抱いていた漠然とした不快感は。
158恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/05(金) 01:08:56 0
>「"普通の人間"デスカ…私、確かに昔から変わってると言われますけどネ」
ぼそっと、自嘲するかのような口ぶりで、外国人が言った。変わってるのは自覚してるんだな……。
そして外国人は、ニヤニヤしながら、二言目を発した。

>「でも貴方の普通が間違ってマスヨ。普通の人間はこういう喫茶店ではコーヒーを頼むものデス。
  病院だと思った所でコーヒーをオーダーしたりしまセン。落ち着いてくだサイ」
馬鹿にしてるのか? どう考えてもアンタの方がこの状況下では異状だろうに。
それに服屋を聞くにしても、何故ここなんだ。もっと適した場所があるだろう。というか服を買うだけなら……なんか空しくなってきた。
にしても、トンでもない客が入ってきちまったな。異能者は異能者でも、こうゆうコメディアンみたいな異能者は初めてだ。

と、外国人の視線がレオーネさんではなく、俺に向けられている事に気づく。何だ? 俺はレオーネさんみたいにユーモアは持って……。
>「もしかして貴方がこの人の言う"喫茶店で治療できる物を所望した普通の人間"デスカ?外人をからかっては行けませんヨ?
  それともこの人にそう教わりましたカ?この人信用してはいけませんヨ」
今……何て言った? アンタ、俺の事を何時、誰から聞いた? と思ったが冷静に我に帰る。
コイツが紅原の仲間だとしたら、俺の事を知っていても何らおかしくないからだ。だが、問題はそこじゃない。
俺の中で溜まっていたこいつへの疑念が、急激に膨らんできた。俺の事をそこまで知っているなら、コイツは……。

と、凍っていた場の空気を弾くように、外国人がオーバーアクション混じりに言った。
>「それとも事故にあったのに服だけで私の体が傷ついてないのが普通じゃないと言いたいのデスカ?
  それなら事故の爆発に巻き込まれたのはこの服だけだったという話デス」
おかしいだろ、どれだけ丈夫なんだ、その服は。シリアスになっていた所を茶化されたようで、別の意味でイラッと来る。
もう確定して良いのだろうか。この態度や思わせぶりな口ぶり、そして俺の事を知っているという事実。
コイツは永瀬達の邪魔を、もしくは危害を加えたという事を。

いや、待て。待て待て。流石に先走りすぎではなかろうか。考えてみろ、コイツの素行を。
ここまで思わせぶりだと、逆に凄いかませなのかも知れない。なんかイっちゃてるっぽいし。
何より永瀬達がコイツ一人に負けるはずがない。国崎をアレほど追い詰めたのだ。そんじゅそこらの異能者じゃ太刀打ちできまい。
後ろの席で、神野さん達が席を立つ音がした。こんなアホに構っていられないんだ、早く永瀬達にあって治療してもらわなきゃ。

>「本当に大変デスネ。あの娘達もう出て行っちゃいそうデス。
  …言っておきますが貴方達の待ってる人達は来ませんヨ?」

何だと?

脳が考えるよりも先に――俺の手は、外国人――いや、「敵」のふざけた服の襟を掴んでいた。
右腕に出せるだけの力が加わっていて、破きそうなほどギリギリと、俺は襟を掴んでいた。
「やけに茶化すな。それほど愉快かい? 自分のやったことが」

怒りを露にしようとするほど、俺は冷めた口調になっていた。左腕の感覚が戻っていない事が心から悔しい。
外国人は口元をにやつかせたまま、微動だにしない。なるほど、こうゆう人種か。嫌だね、厄介だ。
だが躊躇しなくても良いって事は幸福でもある。――殺っても罪悪感が沸かないからな。
今の状態じゃ駄目だ。俺は右腕の力を抜き、襟を放して、最悪な闖入者に向き合った。コイツの――いや、その前に。

「すみません、レオーネさん。俺、この男とサシで話し合いたいんですけど、ちょっとココから出ていって良いですか?」

「迷惑、掛かりそうなので」
【現在地:Swallow Tail】
【クロノに対して怒りを露にする。麻痺継続中】
159織宮京 ◆9uPeCvxtSM :2008/12/05(金) 18:33:57 0
>>139
さっきから話の流れが全然見えない。
池上には協力しろと言われ、瑞穂さんはこの話は聞かなかった事にしろと言った。
機関とか何か物騒な単語も出てきたし、もう何が何やら。

「えっと、何だかよく分かりませんが、肉貰いますね。
それと、神の御技が必要ならいつでも教会にいらして下さい」

そう言いつつ鍋の中でおいしそうに色付いてきた肉を素早く取っていく。
この人達もこの人達で色々大変なのだろう、余計な詮索はしないでおこう。

「ほら、早く食べないと私がまた全部食べちゃいますよ?」

瑞穂さんと池上に食べるよう促す、まるで俺が振る舞っているようだ。
そういえば、携帯のアドレスを聞いておくのを忘れていた、このままじゃせっかく飯をたかりにきた意味がない。

「瑞穂さん、もしまた私の御技が必要でしたら、ここに連絡下さい」

自分のメールアドレスと電話番号、教会の住所まで書いてある名刺を渡す。
よし、これで当初の目的は達成した、後はあっちから電話かメールが来るのを待つだけだ。

【織宮京:籐堂院瑞穂に名刺を渡す ある程度協力するつもり】
160喫茶店マスター ◆ytBxX/02GA :2008/12/05(金) 22:38:39 0
>>146
「いらっしゃいませ」
やれやれ、今日は珍しくお客様が多くいらっしゃって下さる。明日は槍か雹でも降るのだろうか……。
今日は既に五人ものお客様がいらっしゃるとは。異郷の地に居るオーナーも驚くだろう。―――――――今は何所にいらっしゃるのだろうか。先月はスペインに居る、と手紙が来たが。
今月は何所に居るのだろうか。予想が当たっていたら……ブラジル、と言った所か。

>>151
「ホットコーヒーで宜しいですか?豆のご指定が御座いましたら、お伺いしますが……」
ブロンドの美しい髪のお方が二人……。容姿に全く気にしない性分とは言え、ここまで造形美を追及された存在を見せ付けられると、どうも自分も多少気に掛けるべきなのだろうか?
と言っても、詳しい訳では無い自分が何か出来る訳でも無いし、諦めよう。精々、左耳に開けたピアスが自分の出来るオシャレ、という物だろうか。

と言いつつも、このピアスは自分の罪を忘れない為に開けたのだが……。

>>153
「おや、何か御都合が悪くなられましたか?―――老婆心ながら進言させて頂きますが、大事な人を失う、と言うのは自分の想像以上に……辛いものです。
………………この世に神様なんていません。幾ら願っても、祈っても、願いを聞き入れる事等、皆無です。ならば、行動してください。自分が、自分を赦す為に……」
そう、自分は失ってしまった。殺してしまった。―――――――この両手で。
掛け替えの出来ない存在を。
―――――嗚呼、神様。私は貴方を許しません。例え、此の身を地獄の業火に焼かれたとして。私は地獄の底でお前を呪い続けるだろう。貴様に届かずとも、この声が嗄れたとしても、何度死のうとも。

>>156
>「本当に大変デスネ。あの娘達もう出て行っちゃいそうデス。
 …言っておきますが貴方達の待ってる人達は来ませんヨ?」

何やら不穏な空気だ。全く……。何か荒事を起こすのならば、私の眼の届かない場所にてお願いしたい。私は、もう奪いたくは無い。与える立場でも、奪う立場でも居たくない。
空気になりたい。

>>157-158
>「やけに茶化すな。それほど愉快かい? 自分のやったことが」
怖い。背中に粟立つ。怒りの混じった殺気は、恐怖の対象でしか無い。自分を見失い、ブレーキが利かない。
正直、自分には縁が深すぎる。


>「すみません、レオーネさん。俺、この男とサシで話し合いたいんですけど、ちょっとココから出ていって良いですか?」

>「迷惑、掛かりそうなので」

「申し訳御座いませんが、喧嘩も命の奪い合いも、御容赦願いたく思います。
この界隈は、私の住む街です。生きる街です。そして、死に行く街でしょう。―――――そして、リングでも無ければ、貴方方の命の奪い合いをする場所では御座いません。
お客様に、この様な事を言うのは気が引けるのですが……。私の目の届くところで、貴様らの汚い血をぶち撒けるなよ?」

【場所:Swallow Tail】
【クロノ・恋島の御両方に怒気を向ける】
161池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/12/05(金) 23:59:33 0
>>139>>159
(……メリットか。……そのことについての心配をする必要は無いだろうがな)
籐堂院は織宮が機関に反抗する人間の側につき、結果彼自身や彼の家族が危険に曝されることを
案じて言ったのだろうが、既に殺戮を第一の目的とした機関側の異能者が町に跋扈しているという
現状を考えれば、機関に歯向かう人間であろうとそうでなかろうと、死のリスクを背負わされている
点については同じなのだ。そして期限までの残り90時間余りを運よく生き抜くことができたとしても、
その後機関から命の安全を保障されるのかといえば、疑問であるだろう。
ならば結局のところ、我々異能者にとっての最善の道は元凶である機関を潰すこと以外にはなく、
だとすれば彼のメリットととは、機関に反抗する勢力に加担する行為そのものにあるといえるのだ。

もっとも、機関について何も知らなかったり、実際に強力な刺客と一戦を交えて、
このまま何もしなくても自身の死が現実に訪れつつあるということを悟っていなければ、
このことを説明したところでピンと来てはもらえないのも確かだろう。
(……あまり強引に引き入れたところで固い結束など望みようもないしな。
まぁ……籐堂院も反対していることだし、俺も他に治癒能力を持つ人間に心当たりがないわけでもない。
この場は必要以上に粘ることもない、か)
俺は心のうちでそう納得しながら、何も言わず煮えた野菜を口に運んだ。
その間、籐堂院は「悪い知らせ」と切り出して、文字通り悪いニュースを伝え始めた。

>「それと悪い知らせだが、私の師匠の籐堂院神の事は知っているな?
>彼は今、『機関』にいる、色々とあって『機関』に寝返ってしまった。
>もし、会ったとしても戦わない方が良い、それだけだ」
『籐堂院神』の裏切り──。敵は戦力を増やし、こちらは減った。
彼の実力がどれ程のものなのかは俺は知らない。だが、籐堂院の言い様では、
少なくともファーストナンバーレベルの実力を誇っているように感じられる。
それはどちらかといえば過小にはなっても恐らく過大にはならないものだろう。
籐堂院は「闘わない方がいい」と言ったが、こちらが機関と敵対している以上、
機関の側についた彼とはいつか相見え闘うことになるのは必然だ。避けることはできない。
悪い知らせを聞いて思わず溜息をついた俺を横目に、今度は今まで会話の蚊帳の外にいた織宮が
言葉を発した。

>「えっと、何だかよく分かりませんが、肉貰いますね。
>それと、神の御技が必要ならいつでも教会にいらして下さい」
>「ほら、早く食べないと私がまた全部食べちゃいますよ?」
それはこれまで一人で肉を平らげていた織宮らしからぬ言葉であった。
もしかしたら、彼なりに重くなった空気を掃おうと俺達に気を遣ったのかもしれない。
しかし思わずそう考えてしまったのは迂闊だったか、続いて彼は満面の笑みで籐堂院に名刺を渡していた。
(俺の考えすぎだったか……たくましい奴だ)
そう心の中で呆れ顔に呟きながら、俺は煮えた肉と野菜を取り皿一杯に装った。
162池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/12/06(土) 00:02:14 0
俺は取り皿の中の肉と野菜を口に運びながら言った。

「時計は午後8時近く……。これで74時間が経過して、期限まで残りは94時間程度になったわけだ」

『夜叉浪』と名乗ったあの男は、ファーストナンバーがこの町に召集を受けていると言った。
それは現在この町で行われているゲームに何かしらの関わりがあるからと思っていい。
とするなら、奴らファーストナンバーがこの町に集結しているのも、恐らく期限までの168時間のみ。
つまり、現在までに残された94時間が、奴らを殲滅する最大最初の好機になると考えられるのだ。

「……結果はどうあれ、94時間後には全ての決着が着いているだろう。
できればハッピーエンドで終わりたいが、そうなるにはこちらも今の内に手を打っておく必要がある。
俺は食事を終えたら、早速国崎薬局という場所を訪ねるつもりだ。その店の店長は中々の実力者だからな。
まぁ、協力してくれるかどうかについては別の話だが、訪ねてみる価値はあるはずだ」

取り皿に目を向けると、既にその中は空となっていた。
鍋の中にはまだ野菜や肉が残っていたが、俺はそれを再び取り皿に盛ることは無く、箸を置いた。

「──ごちそうさま」

【池上 燐介:食事を終える】
163黒野暦 ◆yODyocELuA :2008/12/06(土) 21:56:23 0
いた。>>131
よし背後を取れている。私の事は気付いてないかな?ちゃんとノートに書き込みながら来たしね。
金髪…それに背高い、細い、外国人?主催者はこの街に異能者100人にする為に世界から集めたのか…?
まあとりあえず不意打ちで弱らせてから勝負を挑んでフルボッコかな。体格負けしてるし、失敗したら逃げよう。

【黒野暦:アルトのいる場所まで移動、ペンでアルトの背後から首を狙って不意打ち】
164七草 ◆O93o4cIbWE :2008/12/06(土) 22:20:32 0
「アハ、さっきの娘、美味しかったわね、もっと貰っておけばよかったわ」

響との戦闘後、海岸から離れた彼、いや、彼女は一人呟き、町の方へと足を進めてゆく、
途中、何かを思い出したかの様に立ち止まり、深くため息をついた。

「ハァ〜…」

彼女は悔やんでいた、昨夜から現在までに至る有様に一人ごちる。

「まったく…私らしくないわね…」

この数年間、ここ貳名市で狩りと称し多くの異能者や機関の人間を殺してきたが
今に至るまで、姿を見られ、あまつさえ獲物を殺しそこなった事は無かった、
現在に至るまで、完璧と言える程の隠蔽工作を行い決して表舞台に顔を出す事は無かった、
そう、たとえ機関であっても彼女の存在を知っている者はいないだろう、例外を除いて。
それがどうしたことだ、目撃者を仕留めるのに苦戦し、さらに割って入った機関の人間にまで顔を見られた、
挙句の果てに両者とも殺しそこなった上にその後の反動で気を失ってしまうとは。

彼女の憂鬱はまだ続く、眼が覚めれば機関の暗殺部隊に連れ去られていた、
その場は『柴寄』の人格が上手くやり過ごすかと思ったのだがやはり埒があかないので私が出て行ってやった
柴寄の奴は未だに殺す事に抵抗があるのか私の意思に抵抗してきた、今までに無かった事だ、が、しかし

やはりさっきの娘は殺して置けば良かった、私の好みだし、思う存分弄んでから、ねぇ、

舌なめずりしながらそう言う、何時もの彼女なら勿論、そうしていた、だが、出来なかったのだ、あくまで主人格である柴寄が、彼女の意思に干渉して来たからだ。

私が柴寄に干渉する事はあったが、柴寄の方が私に干渉してくる事は今までなかった、

人格の境界があやふやになってきているのか?だとしたら『アイツ』が出てくる事も、いや、『今』はまずい、
それよりもこれからどうするか、まずは肩に付いてた発信機、こいつをどうするか、下手をすれば、今後暗殺部隊に四六時中狙われる事になるかもしれない
そうなれば私はともかく柴寄の奴が危険だ、能力的にはともかくあの性格が致命的だ、甘すぎる、事実虐殺部隊に殺されかけた事もある、
あの時は暗殺部隊の、青髪の男が助けたから良いものの、そうでなければどうなったか、下手すればアイツが出て来たかもしれない
もしそうなったらもう私は知らない。

165七草 ◆O93o4cIbWE :2008/12/06(土) 22:21:13 0
「……」

そもそもこうなった原因は何だ?、姿を見られ、仕留めそこない―――
『あいつ』だ、私の姿を見てまだ生きてるあの教師風のイカレ野朗、そもそもの発端があいつ。

「あ〜〜…あの、『変態教師』ッ…!!」

そう考えると彼女は苛立ってきた、『あいつ』、神重の事を彼女がイカレ野朗と呼べるのか疑問が残るが
彼の能力が無ければこんな状況にはならなかったのだ、しかしそれを言うのは筋違いかも知れないのだが彼女には関係ないようだった。

(よし、今すぐあいつの元へ行って今度こそ決着を付けてやるわ、そしてその次はグラサンのキザ男、アナタよ、ウフフフフ)

方針は決まった、まずはあの男と決着を付ける、その後はサングラスを掛けた機関の男を始末する
暗殺部隊の面々はその後一人ずつ片付けてやろう、私は誰にも邪魔されず『愉しみたい』のだ、その邪魔をする奴は何人たりとも生かしておけない、
後はこの発信機をどうするか、そう考えていると、

「にゃお」

猫の鳴き声と共にこつ然と、彼女の足元に闇をそのまま写したかの様な黒猫が擦り寄ってきた。

「あーら、可愛い子ねぇ、丁度良いわ、ねぇ」

彼女は顔を摺り寄せる黒猫の首に発信機を取り付ける、そして黒猫は示し合わせていたかの様に走り去る。

「…」

途中黒猫は此方に振り返り、まるで話し掛けるような眼でこちらを見た後、闇の中へ、溶けるように消えていった、また同時に彼女も町へと歩みを進めた。

果たしてこの黒猫はただ人懐こい黒猫が、偶然、現れただけなのだろうか、その黒猫の行方を知るものは、誰もいない、
なぜなら、文字通り、闇に溶けてしまったから、しかしそれはまた、別の話。


【七草:神重の元へ移動中・発信機は、黒猫?、に取り付けられ発信機での追跡は不可能】
166小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/12/06(土) 23:58:29 0
>>108-109
月明かりが図書室を満たしていく。
さっきまでの戦いの空気が、静寂へと変わっていた。
「……アーリー、終わりましたよ」

ガラララ―――

「だ、大丈夫ですか!!小村さん!!」
呼びかけにすぐさま反応し、ドアからアーリーが飛び込んできた。
「ええ……少し傷が開いただけです」
「た、大変じゃないですか!!今止血しますね」
アーリーの手が小村の目に覆いかぶさり、H.V(ハーブ)が体内に送られてくる。
H.V(ハーブ)は傷口の細胞を活性化させ、人間の元来持っている再生能力を強めて止血されていく。

「……いつつ、やっぱり荒治療ですね。これは」
傷口を押さえ、壁に手をつきながらなんとか立ち上がる。
この止血は早いんだが疲れるし、体が麻痺したような感覚になる。

「さて、行きましょうか。夜も深けてきましたし。」
「はい。あ、でもこの人はどうするんですか?」
アーリーが床に倒れているカテリーナを指差す。
「……彼女には部下がいっぱい居ますし、
ほっといたら誰かが回収してくれるんじゃないですか。」
小村がほっとけ、と言うかのように手を振りながら、図書室から出て行く。
「そ、そんな適当でいいんですかぁ……」
カテリーナを尻目にアーリーが駆け足で小村を追いかけた。

「そういえばどうしてあんなにあの人はその…プライドとか、
勝ち負けにこだわっていたんですか?」
「おそらく…彼女の゛ポポフスキー゛という姓が許さないんでしょうね」
「?」
(世襲幹部でありながらセカンドナンバーであるポポフスキー家。理由は詳しくは知らないが
 昔のポポフスキー家の人間がある任務に失敗をしたとか。それ以来から11に降格したのだ。
 だから、彼女はその汚名を返上しようとして……)
「必死だったんでしょうね……」
「?」
アーリーが頭にクエスチョンマークを出してる間に、入ってくるときに使った非常口に着いた。

さて、と
「そういえば、定時連絡しとかないと……」
手を内ポケットに入れようと伸ばして――――いや、それは無理だった。
上着は神重と短髪との戦いで血がついたので脱ぎ捨てたのだった。
「…はぁ、めんどくさい。」
「ど、どうしたんですか?」
「どうやら機連送を落としたようです。全く…めんどくさい。
 アーリーは先に行っててください。後から追います」
そういい残し、この学校に来るときに来た道をもどり始める。
装神で跳べばすぐだが、
(まぁ、歩きついでにゴッドバルトと話でもしてみますか)
【小村:上着を取りに薬局方面へ】
【現時刻9:45】
167神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/12/07(日) 01:43:16 0
夜を一人の男が歩いている。
「さみーな…暇だな…」
正面には酔っ払いが一人歩いている。どうやらご機嫌らしく歌を歌っている。
(うるせーな…)
「兄ちゃん!な〜に見てんだよ!おれとやろうってか?!」
笑顔で男は答える・
「いいですよ。やりますか。俺の名前は宮野 光龍です。覚えといてください」
(すぐ忘れると思うけど、まあ一応名乗っとくか)
「兄ちゃん!俺はボクシングやってたんだぞ!このパンチを食らえ!」
横に避ける。
(…結構速いな。)
そして鞄の銃を取り出し構える。
「おっさんバイバイ」
(またあとで使ってやるからな)
「えっ!?」

―パァーン
光龍は酔っ払いをうった。脳天を打ったので当然死んでいる。
「死んだか?まあ頭を打ち抜けば死ぬな。死体の処理はえーっと…」
光龍は携帯を開く。メモ帳を見る
「先月、山で殺した狼3匹でいいか。名前は…狼1号・2号・3号だな」
少し集中する。
「出ろ!汚らしい狼共!!お前らの主人がお呼びだ!」
と叫ぶ。すると狼が3匹目の前に突然現れる。
「お前らに餌だ。そこの死体食べろ…って食ってるか」
さっき出した狼は酔っ払いの死体をむさぼり食べていた。

光龍の能力は簡単に言うと「ゾンビ」を出せる。
出せるゾンビの数に限りは無い。しかし対象を殺さなければゾンビとして出せない。
今回は先月殺した狼3匹を出した。さらに他人が殺した生き物のゾンビも名前さえ分かれば出せる。しかし「ゾンビ」に命令できるのはせいぜい攻撃するターゲットを決められるくらいだ。

「今日は大事なパーティだから人集めておかなきゃな…」
と言って彼は歩き出す。着いた先はガラス工場。
「まずは会場の準備と参加する人集めるか…」
【場所 ガラス工場】
【今からガラス工場の占拠するつもり】
168七草 ◆O93o4cIbWE :2008/12/07(日) 01:45:49 0
(さーて先生の居場所は、と)

私は『共有』を使い、今まで血液を取り込んだ者の位置を探る、
そう遠くは無い距離、私の背後、海岸のあたりに一人、先程やった娘だろう
あの娘の血は、とても美味しかった、もし今度会った時は、フフフ

町の方角に一人、この反応は間違いない、あの男、神重だ、
彼の血は今まで啜って来た人間の中で、最もソソるモノだった。

(アハ、見つけた、待ってなさいよ、先生ェ、ウフフフ)


それから四半刻ほど経っただろうか、街には、およそ人と呼べるモノなど無く
およそいるのは町を徘徊する、"鬼ども"ばかりである、

(ふぅん、機関も随分派手にやらかすわねぇ、これじゃこの町も大変ね、
ま、私としては遊び相手に困らなくて良いんだけどねぇ)

「――――」

建物の陰で、少年とも少女とも見える影が黒ずくめのフルメットの男の頭部を抱きかかえている、影の主が手を離すと
黒づくめの男は裂けた水風船の様に首からアカイロを流し、糸の切れた人形のように力なく、萎む様にぐしゃりと地に崩れ落ち
地面を、真紅に染め上げている、背後を見ればそのような黒色と紅色、紅白とは真逆のモノが、ごろ、ごろ、と転がるばかりである。

(ふん、虐殺部隊も、この程度じゃ唯のチンピラとおんなじね
こんな奴らじゃあ血を吸う気にもならないわ、私はこんな下種な血はいらないの)

まるで興味の無くなった玩具を見るような眼で足元を見回し、

(さって、遊びも済んだ事だし先生先生っと!)

影の主は、既に事切れた、人であった"モノ"に背を向けまるで少女のようにはしゃぎ出した
あれだけのアカイロの中に居て、まるで何事も無かったかのようにその身体を染めるものは、何も無かった。

169七草 ◆O93o4cIbWE :2008/12/07(日) 01:46:31 0

(見ーつけた)

辺りには壮大な瓦礫の山、周囲の地面や建物には、咽返るほどの血痕と爆発の後、そして想像も付かないような鋭利なナニカで刻まれた爪跡
およそ常人には何が起きたか理解できない光景、そう、ここは神重と七草、そして小村が昼間戦闘した場所、
まるで戦争でも起きたかのようなその傷跡が、異能の力の凄まじさを物語っている
幸いなのはこの場所が、街から少し離れた場所にあり、人の住んでいない区画であったという事である。

記憶に新しい光景、その先に、探していた一人の影があった、そう、神重である
彼女は気配を断ち神重の死角に立っており、襲おうと思えば何時でも襲える状態であった。

(なんだか昼間とは様子が違うわね、このまま殺っちゃうのも良いけど、すこし、おしゃべりしましょうか、)

声の掛かる距離まで近づくが気付いていないようだ

「やっほー、こんばんは、せーんせ」

思い切りおどけた声を掛ける、

神重は咄嗟に振り向き、警戒態勢を取る、その形相は何かに焦っており、鬼気迫ると言った表情だ、
それと同時に空気が重くなるような感覚に見舞われる
「――ッ」
それは空気が重くなるという文字通り、空気の重量が重くなった、当然身体にも相応の重量が増加する、
だが彼女が驚いたのは、先程は血液を使う能力だった男が、突然重力を操りだした事よりも
その能力が、酷く不安定だった事だ、最初こそ動けなくなる程の重力だったが、すぐに動ける様な重力になり
また重くなったり軽くなったりを繰り返すばかりである、それも、最初ほどの威力は無く、こちらの動きを封じるには至らない

彼女は、顔に笑みを浮かべ話し出す

「いやね、そんなに身構えなくても、別に殺そうってつもりはないんだから、
殺すんだったらもうとっくに殺してるわよ?」

相変わらずの挑発口調で喋りたてる

神重は諦めたのか重力を解除したが、明らかにこちらを信用せず、警戒心を解かない。

改めて神重を見ると、明らかに雰囲気が違う、別人、とまでは行かないが
少なくとも昼間戦った相手とは思えない、昼間の彼はもっと覇気があり、戦いを愉しむような
私と同じような眼をしていた、が今の彼は違う、そして、やはり異能力が弱いというか不安定だ。


「ま、アナタも殺そうと思えば今ので殺せてるわよね、で、ひょっとしてアナタは彼が作った偽者?
私は血を司る素敵な吸血鬼さんを探してるんだけど、人違いなら殺そうかな?」


【七草:神重と接触】
>>156 >>157-158

>「ホットコーヒーで宜しいですか?豆のご指定が御座いましたら、お伺いしますが……」

「あぁ、ホットコーヒーをブラックで頼むよ。豆はマンデリンが在ればそれを頼む」

来た! 漸く来た! 私がこの店にやって来た97%がついに手の届く所へとやってきたのだ。
待っていたと言わんばかりに、私は店主の問いに食らい付く。
入店した時にコーヒーを注文した気がするが、そんな事は最早如何でもいい。
大事な事は只一つ。そこにコーヒーが在るか無いかだ。

>「本当に大変デスネ。あの娘達もう出て行っちゃいそうデス。
> …言っておきますが貴方達の待ってる人達は来ませんヨ?」

その時、世界がモノトーンの世界へと反転した。
隣に座った奇怪な男やそれに奇異の目を向ける恋島などの周りの人間の言動も、
先程まで耳を傾けていた店内に流れていたジャズの音も、一切合切が無に帰す。
その言葉の意味を反芻し、意味を理解した時、
私は死刑宣告を受けた囚人の気持ちが理解できた気がした。

永瀬の――いや、シナゴーグの教官を務めたのは、痩せこけてしまった自分の良心を満足させる為。
この世界で優しさは命取りになる。故に極限まで己が良心を削り取らなければ為らない。
同時にそれは自分の中の人間らしさを放棄すると言う事に他ならなかった。
人は喜怒哀楽が在って、初めて人間であると言えるのである。
それが無い人間は、果たして人間と呼べるのだろうか?
答えはノーである。人間らしさを無くしたニンゲンを、古来から人は"化け物"と呼ぶのだ。

そんな私に永瀬は多少文句を言いながらも、信頼してくれた。
だが、彼女に自分の考えを見透かされているような気がして、
彼女と目が合う度に何時も怯えていた。

>>170 >>160

>「やけに茶化すな。それほど愉快かい? 自分のやったことが」

恋島は男の胸倉を掴むと、服を千切り取らんとばかりに締め上げる。

>「すみません、レオーネさん。俺、この男とサシで話し合いたいんですけど、ちょっとココから出ていって良いですか?」

>「迷惑、掛かりそうなので」

男のふざけた態度が恋島の怒髪天を突いたのだろう。
憎悪と怒気が入り混じって今にも暴発しそうだ。
そこへ店長が割って入ってくる。私は相変わらずの無表情で真正面の食器棚を見つめていた。

>「申し訳御座いませんが、喧嘩も命の奪い合いも、御容赦願いたく思います。
> この界隈は、私の住む街です。生きる街です。そして、死に行く街でしょう。―――――そして、リングでも無ければ、貴方方の命の奪い合いをする場所では御座いません。
> お客様に、この様な事を言うのは気が引けるのですが……。私の目の届くところで、貴様らの汚い血をぶち撒けるなよ?」

偉く怒気を孕んだ口調だな。これがこの一見すると優男に見える店長の本来の性格なのかも知れない。
もしかしたら、何らかの外的要因が引き金となって、封じ込めた筈の本性を呼び起こしたのか?

「永瀬は私が手塩に掛けて育てた"娘"だ。
 この程度でくたばる筈が無い」

静かに目を瞑る。そこに浮かんでくるのは、永瀬との思い出の数々……。
赤の他人が孤児院の家族達と初めて同格に並んだのだ。

「私は彼女の遺体を確認するまで、生きている可能性を信じる」

ゆっくりと目を見開く。目に飛び込んできたのは食器棚のアンティーク調の食器だった。

「それとマスター。君は家族を傷つけられた事はあるかい?
 イタリア人は家族を最も大事にする民族だ。もし家族が傷付けられたら、
 一族総出で仕返しをする。

 そして私はそのイタリア人だ」

【レオーネ:現在地『Swallow Tail』店内】
172クロノ ◆SoGLnhQ8WY :2008/12/07(日) 21:33:07 0
>>158
レオーネに外へ行く事を告げる恋島の様子に、クロノは関心したように再び笑う。

「ソウソウ。ここからはこんな所でする話じゃありマセン。思ったより常識があるじゃないデスカ
>>160
 マスター、私は数分で戻るのでその頃コーヒーは用意してくだサイ。豆には拘りマセン」

二人の様子の変化にまるで動じる事なく返答し、シルクハットを置いて恋島と共に店の外へ出て行く。
>>171
「…落ち着いてくだサイ。レオーネサン?」

その際レオーネにニヤリとした口元と囁く様に台詞を残して。


外に出ると軽くステップを踏みながら、踊るような動きで店から2〜300m離れた道外れまで先に移動する。
店内のテーブル奥にいる鍔目からは位置的にも死角で見えない場所だが、客席にいる者なら窓から様子が見えない事もない。

「ここまで来ればマスターからはこちらの様子は見えマセン。
 ですが先程も言ったようニ、もう近くに仲間は店内のレオーネサンしかいませんヨ"機関の方"?」

そこの地面にはどういうわけか2,3人分の男物のズボン、パンツ、靴下、靴が土に塗れて大雑把にまとめられて転がっており、
アンテナのついた機械のようなものが壊れて、その破片らしき物や血痕があちこちに見られる。しかし上着や人の姿は見えない。
クロノはその場で踊るように回りながら、恋島が追いついてくるのを待っている。

「店内ではコーヒーの香りで判りにくいものでしたガ、私には貴方からする血の匂いモ、
 お二人から臭う悪〜い機関の臭いもちゃんと判りマシタ。悪臭デス。環境汚染デス。貴方も土に還ってくだサイ」

台詞を終える前に恋島には耳鳴りが警戒の声を出していた。
台詞を終えると同時に距離を詰めたクロノの手刀が恋島の心臓目掛けてを突き出される。

【クロノ:恋島と共に『Swallow Tail』を出て、2〜300m離れた道外れまで行き恋島を刺す】
173喫茶店マスター ◆ytBxX/02GA :2008/12/07(日) 23:00:30 0
>>170-171
「……畏まりました。マンデリンで御座いますね。丁度良い具合に、最高級のマンデリンを買い付けた所でした。
お客様に飲んで頂ける為に入って来た様ですね……」
自分の目、鼻、舌で選別した豆。それは何よりも自信を持てる。――――お客様に合わないのならそれは私が悪いのだが。

それよりも、あの二人が気になる。荒事を行う気なのだろう。正直、何よりも腹立たしい。
血の匂い、硝煙、そんな物に塗れている人間にコーヒーの味など解ってたまるものか。死のうが生きようが私には何ら関係は皆無。

だが、そんな汚物に私の聖域を穢す、全てを否定する事などさせない。
>「それとマスター。君は家族を傷つけられた事はあるかい?
 イタリア人は家族を最も大事にする民族だ。もし家族が傷付けられたら、
 一族総出で仕返しをする。

 そして私はそのイタリア人だ」

「そう言われれば、イタリアの方は血の繋がりを何よりも大切にされる、と聞いた事が御座いますね。
フフフ……。私の様な人間に、酷い事をお聞きになられますね。

私は、今で言う、ネグレクトを受けていました。親にとって私は居ない存在、でしたよ。
生きる為には何でもして来ました。法に触れるギリギリの事も……。奨学金と体を切り売りする様な事をして、大学に行き、独りで過ごし、ここのオーナーと知り合い、今に至ります。

私にとって、家族は不必要。寧ろ、此処に来て頂けるお客様皆様が家族、と思わせて頂いています。
ここのマスターになった時に、初めて親から連絡が来ましたよ。『金を融通しろ』……それだけでしたよ。

可笑しな話だとお思いになりませんか?家族という概念を、大人になって漸く知り、それを又実の親に否定されるのですよ……。

―――――――失礼、戯言だと聞き流して頂けると有り難いです。
では、マンデリンで御座います」

全く、今日は厄日だろうか。見ず知らずのお客様にこんな事を言ってしまうとは。
今日の気分は正にコーヒーの色が似合う。
何も映さない、地獄を体現したような色が、似合う。

嗚呼、もう全てを終わらせてしまいたい。この眼を潰してしまえば、もう悩まずに済むのだろうか。
【場所:Swallow Tail】
【レオーネ様にマンデリンをお出しする】
174鳳旋 希一 ◆sJZQ9grsuk :2008/12/08(月) 00:55:51 0
携帯電話にメールが着いてから早や数日。
この貳名市での異能者同士のバトルロワイヤルは始まった。
これでも異能者なわしにも普段の下らない日常にチトは変化があると思ったのじゃが
何も変化は無かった。わしの能力は一度も使用せずただ毎日
働いて飯を食らって働いて飯を食らってそして寝る。それの繰り返しじゃった―――


>>167
夜。居候させて貰っておる工場の長から工場周辺の巡回を任されたので外を出歩いた。
夜でも変わらない日常。風景。特に変化も無く肌に触れる風だけが冷たかった
敷地内をある程度歩き、壁際で用をたし、帰ろうとした途端―――

―パァーン

突然響きわたる銃声。そう遠くない。おそらく工場の敷地内。小さな期待を胸に走り出す

銃声を辿り、工場の隣に位置する小さい通りに出る。目にした光景はとても不快な物じゃった。
暗くとも分かる。四足獣のカタチ 犬が…三匹じゃろう。それが群がり、人を喰らっている。
その近くには犬に指示を送っている(であろう)若者。異能者。わしの中に堪えきれない怒りが込み上げてくる。が


すぐにそんな感情は一切無くなってしまった。

 
今あるものは未知の者への興味、関心、好奇心
ついに初めて会う自分以外の異能者。
作業を終え、歩を進める若者の後を追う。

やがて若者はガラス工場の前で立ち止まった。合わせてこちらも立ち止まった。
このガラス工場だけは夜間勤務型で今も尚大勢の労働者が働いていた
立ち止まっている。言うなら今しかない。

「オヌシは、何者じゃ?」


【場所 ガラス工場前】
【興味本位から宮野 光龍に接触】
175戦場ヶ原&屡霞 ◆u5ul7E0APg :2008/12/08(月) 13:53:25 O
夜もふけた街の中を、重傷を負った男を担いで闊歩するボロボロの美女。
昼間に歩こうものなら不審者として警察行きだ。
しかし幸いにしてこの通りは人通りが少ない。
屡霞は気を失っている戦場ヶ原を引きずるように抱えながら、ひとりごちた。

「あのメールが届いてから3日…か。期限は1週間に延びたものの、日に日に私達を取り巻く環境は熾烈なものになっている…。
『機関』…一体何が目的なんだ…?」

前方に『国崎薬局』の看板が見えた。
明かりはついている。幸いまだ営業時間ではあるようだ。
しかし、屡霞の表情は険しく引き締まった。

(これは――――殺気?)

無数の殺気が入り乱れている。それは、なんと行き先の薬局の中から放たれているではないか。
なんということか。休息のために立ち寄ろうとした場所が、更に修羅場になっていようとは。

「我々に安息の地はない……そういうことか。」

苦笑しながら屡霞は刀の鯉口を切り、戦闘態勢に入った。
戦場ヶ原を近くのゴミ捨て場にほおり投げ、店内の様子を伺う。
3人の男が対峙している。そのうち2人の少年に対する男は両手を刃に変えた異形だ。
異能力者が強盗にでも入ったか…。なんにせよ、その中でもっとも殺気を放っているのがその異形だった。
ならば誰を黙らせればいいかは自ずとわかる。

「御免!」

屡霞は素早く店内に切り込むと、異形に体当たりを当てて転倒させる。
相手に状況把握させる間も与えず、倒れた体をハイヒールブーツで踏み付け、その首筋に刀をあてがった。
屡霞は一瞬の動きで異形の行動を押さえると、落ち着いた声で残りの2人に声をかけた。

「…切り傷と擦り傷に効く薬を所望したいのだが、店主はどちらかな?」

静寂に包まれた店内に、屡霞の凛とした声が響いた。

【屡霞:国崎薬局に乱入。梶原を取り押さえて廻間と梓川に話し掛ける】
176神重智&敬 ◆6eLTPQTFGA :2008/12/08(月) 21:10:05 0
>>169

町は暗い。
それもそのはず時刻は既に9時を回っていたのだ。
瓦礫の山から歩き出した神重は昼間に二手に別れた宗方にメールを送っていた

『こちら神重 桐北捜索中にゴタゴタに巻き込まれたが無事だ。
 そちらの状態はどうか?』
なんとも簡素な文章かもしれないが、長々しい文章より目的だけを伝えたほうが効率はよい。
それにそんな文章を打ってるような状況でも無かったからである。

「あまりにもこの能力は不安定すぎるな…一旦薬局へ戻ってみるか…」
今この状態では敵と闘っても仕方あるまい。
それよりも薬局へ行って体力を温存するほうが身のためかもしれない。
そんな考えをしている最中に

「やっほー、こんばんは、せーんせ」
背後からの、声
敵意は無いように感じられるがこんな瓦礫の山に来る者といえば変質者か異能者くらいのものだ。
咄嗟に背後へ空間重力をかけ、距離をとる。

(…こいつは…!)
そう、昼間の敬と同じ…いや、根本的には違うのかもしれないが…血を扱う能力者だ。
確か名前は――七草――
空間重力をかけているもののその威力はやはり不安定だ
最初は苦しげな顔をしていた七草も、やがてその異変に気づいたか少し余裕を持った笑顔でこちらに話しかけてくる。

「いやね、そんなに身構えなくても、別に殺そうってつもりはないんだから、
殺すんだったらもうとっくに殺してるわよ?」

確かにその通りかもしれない。
背後から声をかけられた時点で既に向こうがその気なら命は無かった。
もっとも…今の状態の神重を殺せるかは別、だが。

パチンッ
重力を解除しつつも、智は警戒を解かない
(智…油断するなよ。どういう目的できたかはわからんが、仲良く紅茶を飲もうと誘いにきたわけではなさそうだ)
(わかっている)

「ま、アナタも殺そうと思えば今ので殺せてるわよね、で、ひょっとしてアナタは彼が作った偽者?
私は血を司る素敵な吸血鬼さんを探してるんだけど、人違いなら殺そうかな?」

(だとさ…敬。随分なのに好かれてしまったようですね)
(俺にそっちの気はない。言い寄られるなら美人な女のほうがいいに決まってる)

「今私はその素敵な吸血鬼であって吸血鬼ではない…といえばわかるかな?
 わかってもらっても…完全な吸血鬼になる気は今はないけれどね」
もしこいつの目的が敬の命だとすれば、必然的にこの体を狙ってくるはず。
目的が分からない以上いきなりの攻撃はできないが……備えあれば憂いなし…だな。

右手に少しずつ重力を集中させて神重は考える
(そんな技もあったのか…智)
(当たり前だ。私は重力全般を操る能力者だ…いざとなったらこの"重力剣"で少しは凌げるはず…)
(能力が不安定な以上、多少強力な技のほうが使えるかもしれないってか…諸刃の剣だな)
(…"時空重圧"もある…この二つを使えれば…!)

神重の手に負った小さな傷はこの会話で既に完治していた。
これは敬の能力が発動しているためである…。

【神重:七草に警戒中 ヒント?のようなものを与える こちらを狙うならば迎撃の構え】
177恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/08(月) 22:26:26 0
>>170-173
俺の張った剣幕に対しても全く反応を見せず、奴は何が愉快のかさっきから変わらず表情を緩めていた。
奴の発言に対して、レオーネさんは微動だにしていない。さすが幹部クラスだけあって、俺のようにすぐに感情的にはならないって訳か。
心の隅で、俺はレオーネさんに止められる気がしていた。手が出るのが早すぎる気がしていたから。
しかしそれほど、俺は奴に対する怒りが沸いていた。何だろう、俺の中の本能みたいな物が、奴の存在を許せないのだと思う。

奴を見ていると、大バカ野郎だった頃の俺を思い出す。まぁ、今はその頃に戻らなければいけないのだが。

レオーネさんの返事を待っていると、意外な人が俺と奴に声を掛けた。
>「申し訳御座いませんが、喧嘩も命の奪い合いも、御容赦願いたく思います。
  この界隈は、私の住む街です。生きる街です。そして、死に行く街でしょう。
  ―――――そして、リングでも無ければ、貴方方の命の奪い合いをする場所では御座いません。
  お客様に、この様な事を言うのは気が引けるのですが……。私の目の届くところで、貴様らの汚い血をぶち撒けるなよ?」
店長……さん? その言葉にはさっきまでの穏やかで知己に富んだ雰囲気ではなく、はっきりとした怒気が込められていた。
恐らく俺の台詞や奴の態度から思うに店でドンパチすると思ったからだろう。それにしても最後の言葉の迫力に、俺は気圧されそうになった。
頭の中でおれは店長さんに詫びた。そしてこの店にはもう来れないな……と思うと実に残念であった。

>「永瀬は私が手塩に掛けて育てた"娘"だ。
  この程度でくたばる筈が無い」
俺の問いに、レオーネさんは一切ブレが無い、けれど静かな怒りを秘めた・・…・様に聞こえる声で答えた。
あの電話越しの会話から永瀬とレオーネさんの仲は何となく察し出来たが、そこまでレオーネさんが永瀬を思っているとは思わなかった。
確かにあの永瀬が、奴に手負いを負わされるとは俺も思えないが、どうも悪い予感しかしない。そしてそうゆう予感は大体的中する。

>「私は彼女の遺体を確認するまで、生きている可能性を信じる」
俺はレオーネさんのその言葉に、小さく頷く。少し考えがネガティブすぎた。
もしかしたら病院にでも運ばれているのかもしれない。今すぐ奴が事故(では無いと思うが)に遭遇した現場に出向きたい気分だ。
そうだ、永瀬たちの容態を知る為にも、俺は奴に勝たなければいけない。他に聞くべき事は腐るほどある。

>「マスター、私は数分で戻るのでその頃コーヒーは用意してくだサイ。豆には拘りマセン」
そう言って、奴は傍らのシルクハットを置くと、颯爽と身を翻し店の外へと向かった。
お前が戻るのはココじゃない。病院だよ、それも刑務所のな。と言いかけるが心に中にしまっておく。
店長さんの機嫌を損ねた手前、ココに入られない。奴に続く訳ではないが、俺は携帯をポケットから取り出しその場に置き、奴の後を追った。
奴の後ろを歩くのは些か癪だが、喧嘩を吹っかけたのは俺だ。一応奴の行動には従ってやる。ステップ踏むな鬱陶しい。
178恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/08(月) 22:26:56 0
どこら辺まで来たのだろうか。喫茶店が見えるものの、中の様子までは伺えない場所まで俺と奴は歩いていた。
まるで俺達が戦うのを分かっていたかのように、人がいない。まぁ時間帯が時間帯だし、おかしくは無いが。
ふと周りに目を移すと、地面に何故か、ズボンやパンツが錯乱していた。それらは泥等の汚れでぐちゃぐちゃになっており、洗っても穿けそうに無い。
また、見覚えの無い……通信機? みたいな物が破片を散らして転がっていた。何があったかは知らんが、これも奴の仕業だと思っておこう。

>「ここまで来ればマスターからはこちらの様子は見えマセン。
  ですが先程も言ったようニ、もう近くに仲間は店内のレオーネサンしかいませんヨ"機関の方"?」
奴が立ち止まり、俺に向き合い、口元を歪めてそう言った。レオーネさんの事も知っている……のは分かるが、やっぱ俺の事も知っていたみたいだな。
だが手前は勘違いしている。俺はまだ正式に「機関」の一員になったわけじゃない。言うなれば見学者みたいなものだ。
……ま、ただの揚げ足取りだが。俺は無言で紅原戦と同じく、低い体勢を取る。

奴は俺をからかっているのか、俺の周りをくるくると回転している。その足つきはバレエでも踊っているかのようだ。
もし奴が飛び道具系の異能力を持っているなら、わざわざ俺を呼び出すまでも無く、店の外から攻撃するなりなんなりするはず。
また、精神攻撃系の異能力なら店を出た瞬間に、俺に仕掛けてくると思う。そう考えると、こいつに喧嘩を吹っかけた俺は相当命知らずだったって事だな。
この二つが無いとするなら、奴の異能力は肉体強化系か、武器生成系のどちらかだ。ならどうする……どうすれば良いと思う? 耳鳴り。

『逆に聞くが、達哉だったらどうするんだ? 今までの戦いから考えてみてくれ』
む、手厳しい。俺が戦ってきた相手の傾向を考えると……大概の奴が動きを封じられて負けているな。
つまり奴が身動きが取れないほど接近すれば、勝てる可能性があるって事だ。だがそれには一つの問題がある。
例え零距離まで接近できたとしても、刺されるか斬られたり、、異能力を使われたなら、俺の負けだ。
なら取るべき行動は二つ、反撃できなくなるほど叩きのめすか、急所を狙って一気に無力化するかだ。

俺はかつての岩城戦の時の様にじっと目を閉じた。こうして集中力を高めながら、尚且つ耳鳴りの声に耳を澄ます。
奴が周囲を奔る音が右方左方、耳元で聞こえてくる。どこから来る? 前か、後ろか、上か。
麻痺していた左腕と右足の感覚が、若干戻ってきているような気がする。ただ、爪で掌を押すと遠い痛みがするだけで、体温は戻らないが。
次第に周りの雑音が聞こえなくなる。奴が俺に対して何か言っているが、意識を集中させるとすぐに聞こえなくなった。

頭の中で、体温を帯びた奴の姿が輪郭を帯びてくる。この感覚、実に懐かしい。
こうやって喧嘩してたんだよな、俺。自分の感覚の一切を耳鳴りのアドバイスに任せながらさ。
そうする事で、体が勝手に動くんだ。無我の境地という明鏡止水というか、けたたましい雑念――ノイズの中から、本物を探る。
――だから言ってるだろ、そのニヤケ顔を。

『達哉、真正面からだ。後方にステップで避けるか、側転して回避するんだ。……いや、良い。達哉の好きにしてくれ』

OK。好きにやらせてもらうぜ、なぁ……
「遅せぇんだよ」
その一瞬、刹那――。俺の左手が、奴の突き出した右手をグッと掴み、紙一重、背中合わせになる。この手つきは――手刀か。
その先端にはありありと、奴が抱いている殺意の波動が見えた。この手で永瀬を――いや、何人もの命を奪ってきたんだな。
それも実に楽しそうに。分かるぜ、俺もお前みたいに、楽しんで他人様を傷つけたからな。だからな、だからこそ――。

「イラつくんだよ。手前みたいに――嬉々として人を傷つける輩はな」
意外と奴の身長が高く、この体勢のままじゃぶちかませない。なら簡単、体勢を崩してやりゃ良い。
俺は掴んでいる奴の右手をコマのように引っ張った。遠心力は掛からないが、不安定な体勢のお陰で、奴の体が若干よろけ――。
俺はその不意を付き、奴の頭目掛け、思いっきり頭突きをかました。数秒頭にお星様が回るが、痺れるだけで全く痛くねぇ。
奴の右手を離し、バックステップしながら距離をとる。はぁ――――面白い。完全に忘れてたな、こうゆう感覚。

「悪いなシルクハット。お前の話は全然聞いてなかったぜ」

「そうだ、お前の名前を教えろよ。俺は恋島達哉。ただの――ジャーナリストだ」
【現在地:歩道】
【クロノの手刀を避け、頭突きを食らわす。名前を尋ねる】
179神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/12/08(月) 23:31:02 0
>>174
>「オヌシは、何者じゃ?」
見られた。後ろには男が立っていた。背も高くすらっとしている。
まあまあかっこいい。(俺ほどではないが)

…てか、「じゃ」ってなんだよ「じゃ」って!お前は爺かよ。
しかし見られちまったか。どうするかなー?

@ 狼共のえさ 今食っちまったからもう食わないか…
A 俺の手で殺す 手汚れたりすんのもやだし工場の近くだから人くるか…
B ずっと前から好きでした …俺もおかしくなったか
C とりあえず会話 

…Cだな。俺は笑顔で話しかける。
「俺か?俺は宮野 光龍。俺は今からそこの工場のやつら全員ぶっ殺してパーティ開く  
 …まあ怖い顔しなさんな。じゃあ俺が質問する。これで平等だ。」
「工場のやつら全員ぶっ殺して」のところで顔がめっちゃ怖くなった

どうやらこの男、よほどガラス工場が大事らしいな…

―5分後
質問したいが空気が重過ぎる…。さっきからどっちもだんまりじゃねえか!
打開する手は…自動販売機!まさか自動販売機に感謝するときが来るとは…
「お前なんか飲むか?おごってやるよ!俺は午前の紅茶!お前は?」

とりあえずこの空気をどうにかしないと…

【場所 ガラス工場】
【鳳旋にジュースをおごる】【何がいいか聞く】
180クロノ ◆SoGLnhQ8WY :2008/12/09(火) 00:08:49 0
>>178
恋島から頭突きを受けると、そのまま前倒れに手を地面に当て押し、その勢いでばくてんしながら華麗に着地しくるりと一回転して手を頭にして決める。
その間に機械の破片がいくらか散らかっているようだが手が傷ついてる様子はない。

「オット、帽子は置いてきたのでしたネ。私名乗りましたヨ?ちゃんと聞いていてくだサイ」

もちろんクロノはここに来るまでに名乗りを挙げてなどいない。
頭を抑えたのは帽子をかぶっていたと思っていたからなのか、頭突きを受けた事に対して特に痛がる様子はなかった。

「…………」

しばらく沈黙して動かないでいる。

「ウ〜ン、思考が読まれてるわけではなさそうなのですがネ〜。
 私の名前も知らずニ、何を根拠に私の事を"嬉々として人を傷つける輩"などと言うのカ…傷つけてるのは貴方じゃないデスカ」

台詞を終えると同時に、袖下から取り出したナイフを恋島の胸に目掛けて投げつける。
当然恋島には、耳鳴りの警戒で心臓への直撃などは起こりえない。

「嬉々として人を傷つける輩というのは貴方でショウ?武器が無いなら使ってかまいませんヨ?
 言っておきマスガ、先程頭がぶつかったのが故意なのでしタラ、続ければ先に割れるのは貴方の頭デス」

ナイフは片刃で柄の部分が木製の一見すれば普通のナイフ。刃から柄まで全体的に傷だらけだが簡単に折れたりしそうな感じはしない。
しかし耳鳴りはそのナイフに対して警戒の声を止めなかった。

【クロノ:体勢を立て直して恋島にナイフを投げる。頭突きのダメージの影響は見られず、攻撃だったのかさえ不思議に思っている様子】
181鳳旋 希一 ◆sJZQ9grsuk :2008/12/09(火) 00:34:05 0
近くで見てみるとその若者は長身で凛々しい顔立ちの少年じゃった

>俺は今からそこの工場のやつら全員ぶっ殺してパーティ開く

…一瞬、炎が体内を駆け巡った。己では抑えられそうにない怒り、殺意。
駄目じゃ駄目じゃ!抑えろ。今は抑えるのじゃ…!それに
ここで彼奴と戦えば長達が巻き込まれる。それだけは絶対駄目じゃ。

>じゃあ俺が質問する。
ふむ…何も知らぬ赤子同然のわしに一体何を聞くというのか。
わしが質問したいわ。

―5分後
遅いわ…!彼奴は何を考えているのか!
もう限界じゃ…!一発、一発でいいから殴りたいわ…

―お前なんか飲むか?おごってやるよ!―

ふむ。光龍という少年、口は悪いが礼儀を知っているようじゃ。
殴りかかろうとした事が恥ずかしいの

「茶、爽快美茶を頼もう」

年下の者に烏龍茶を奢って貰うとは。じゃが今月は金欠なのでありがたい。彼奴は良い奴じゃの
渡された烏龍茶に口を付けながら思う。
(この奇怪な異能者についていけば強者と出会うことはできるのじゃろうか…)

【ガラス工場前】
【光龍から烏龍茶を奢ってもらう 戦闘に意志は無し 質問待ち】
182梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/12/09(火) 01:16:28 0
>>145
カマキリ野郎は、じっと腕を見つめ始めた。
なんだこいつ…その行動が格好良いとでも思ってるのかね。
いや、そんな雰囲気じゃ無さそうだ。

突然俺達を睨みつけ―――
>「殺す!!」
両方の腕を振り上げた。
刃物は恐ろしいが、攻撃が段々パターン化されてるぜ?
もう余裕が無いってことだろうな。

「なら、ここで一気に片をつけてしまおうじゃねぇか!隙だらけだぜ!」
速いって言ったってな、そんながら空きのところ誰が逃すかy…」
言い終える前に、奴の脇腹が異様な動きをした。
何が起きたかと確認する前に、次の動作が行われた。

鎖鎌が、左右対称に突き出てきやがった。
「…な、な、ななななな何だこりゃ!?」
六本の手足って、カマキリに本気で近付いてきてるんじゃないか!
そのうち頭が三角形になるんじゃ、じゃなくて。
こいつの能力は体から刃物を出すこと…じゃなくて!
4つの鎌が襲い掛かってくる!対する俺は一つ!
こんなん防ぎきれる筈が…逃げろ!

だが からだは いうことを きかない!
やばい、なんでこんなときに足が重いんだ!
靴が重く感じ、体が動きにくい。背を向けて走り出せない。
逃げろ逃げろ逃げ…

>>175
>「御免!」
狭い店内に、女性特有の高い声が響く。
何処からか、なんてのは聞くまでもなく敵の後ろ!
その女性は素早い動きにより、一瞬でカマキリの行動を封じてしまった…。

>「…切り傷と擦り傷に効く薬を所望したいのだが、店主はどちらかな?」
女性の凛と響く声に意識が覚醒する、と同時に緊張感が抜ける。
どさりと床に尻餅をつくと、思い切り息をつく。
「は、ぁ……あー怖かった…。いやぁ助かったぜ。
あ、失礼ですがどっちも店長じゃありませんよ、単なる…」

単なる、何にするかな?
客、いやこれじゃ戦う意味も無さそうだ。
此処は無難に…。
「…単なる、店番の店員ですね。えーっと、擦り傷にはカウンターの塗り薬、切り傷なら…」
以前に落としたビンが有った所を指差す。
「その棚の薬がいいんじゃないですかね?ぱっと見ではそんな感じでしたよ」



【梓川:床に座り込む。屡霞に薬の在り処を適当に教える】
183アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/12/09(火) 14:54:28 0
>>163
>>182

「――――終わった、か」

国崎薬局での戦いは終った。予想外の乱入者によって、鎌腕の男は制圧された。

「予想より早かったか。しかし……まあ、いいわ。
 見ていただけでも、十分楽しめたし――――それに、やっても意味がない」

元々、単なる八つ当たりのようなものだったのだ。あの日常とやらを壊すのは。
しかしようやく冷静になった。――――日常を捨てた分際で、日常を求める男。
その男は、多分もう終わりだろう。……脱出するというのなら、潰すまで。
その為にも、あのビルに戻るべきだろう。機関に敵対する者が襲撃に来るとすれば、脱出には最高のタイミングだ。
―――先程、冷静になったと言った。けれど、それは返上しよう。
油断があった、慢心があった、失敗した。既に私は、背後からなにか鋭く尖ったモノで首を貫かれ、

「ぐ、あ――――ハ、ハハ。ちょうどいいわ、ちょっと半端な状態だったのよ。
 殺し合いなら乗ってあげるわ、襲撃者さん? けれど――お互いの立場を知るべきだと思うわね」

再生しながら振り返る。背後を取られ続けるのはマズイ。
相手が異能者であるにしろ、そうでないにしろ、不利な状況をそのままにしておく理由はない。
……性別は女性、だろう。雰囲気ではそうだ。しかし、自分の正体を隠すには十分なだけの服装。

「私はフリーの異能者。ちょっとあそこが騒がしかったから、観察させてもらっていたの。
 それで、アナタは――殺し屋かなにかかしら? あるいは、突発的に殺人衝動にかられた一般人?
 ……まあ、どちらでもいいけど」

言いながらも、彼女の背後に高熱の壁を作り始める。
無論、ある程度の距離があっても、熱として感じられるだけの壁を。

「逃がすつもりはないわ。さあ――――貴方を教えてもらおうかしら」

知る前に殺すのは好きではない。知るというのは、力を得ることと同じだからだ。

【アルト:黒野暦について知る】
184黒野暦 ◆yODyocELuA :2008/12/09(火) 17:19:44 0
>>183
結論を言うなら完全に失敗。そしてこの熱さは幻覚じゃない。どこで読み違えたんだろう…
…逃げにくい。気持ちの問題ではなく空間的に。それにこの熱さの中でノート出したら燃えそうだ。いや、書く前に燃やされそうだ。
それ以前にペン先溶けてるように見える。熱の所為かな?まずい、COOLになるんだ!
…よし。今ノートは使えない。付けた傷も効果無さそうだし、体格的に見ても適わないJK。
あの薬局からこちらの様子は…気付く方が珍しいんだろうなぁ。
言い訳言い訳…私は何して生活を得ている?こういう時にスキルを生かせ!
あ、攻撃が効いてないなら…

「すみません。呼びかけても返事が気付く様子が無かったので、ちょっと手荒い事をしてしまいましたが、強い異能者と聞いてたので大丈夫かと思って…」

そして私は薬局へ向かっている人物を指差す。>>166

「あの人が貴女とパートナーを組みたいそうです」

あの男性が何者であるとか異能者とかそうでないとかは重要ではない。とにかくこの場で時間を稼げれば邪神が追いついてくる。
この高熱の壁はさすがに異能力に間違いないだろうし、邪神がつけばとりあえず熱から解放されて逃げる力がつく。

【黒野暦:邪神が追いついてくるまで時間稼ぎにアルトと会話、小村に頼まれてやったような事を言い始める。邪神はその小村のいる辺り】
185アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/12/09(火) 20:17:11 0
>>184

「すみません。呼びかけても返事が気付く様子が無かったので、ちょっと手荒い事をしてしまいましたが、強い異能者と聞いてたので大丈夫かと思って…」

言いながら、彼女は薬局へ向かっている男を指差す。

「あの人が貴女とパートナーを組みたいそうです」

その方向を見て……ああ、小村さんか。彼が私とパートナーを、ね。
――――ダウト。現状と彼の方向性から考えれば、その可能性は低い。

「なるほど。メッセンジャーガールだと言いたいわけね?
 でもまあ――――先に質問に答えてもらうわ。貴方の立場と、分類は?
 無所属なのか、どこかに所属しているのか。人間なのか異能者なのか。
 あるいは単なる通行人か――どちらにせよ、答えてもらわないと困るのよね」

真実か否かはともかくとして、彼女が私と彼の立場を知っているかは確認しておきたい。
それに、名前ぐらいは知っておきたいということもある。

「答えなければどうなるか――理解、できるわよね?」

【アルト:黒野暦について知る】
>>173

ネグレクト……。即ち育児放棄。
この育児放棄は積極的ネグレクトと消極的ネグレクトの二つに分けられる。
積極的ネグレクトとは、親に養育の知識や経済力の不足など、
子供を育てられない明確な理由がないのに育児を放棄することである。
消極的ネグレクトとは親の経済力が不足していたり、
精神的疾患や知的な障害がある等の理由で育児ができない事を指している。
マスターが二つの内の何れかを受けていたかは、話を聞けば解る。
彼の場合は積極的ネグレクトに該当している。

子供はどんな時でも、どんな事があっても親を信頼しているものだ。
故に親も子供に対して絶対の信頼を置かなければ為らない。
これは人の親になった者の義務であり、当然の常識なのだ。
そして、親は子供を決して裏切っては為らないのだ。

こんな悲しみだけが広がる世界……。だが、この星はそれ程多くの悲しみを受け止めきれはしない。
そして何時の日かそれは飽和する。そうなれば、悲しみが次の悲しみを創る世界になってしまう。
その世界では、マスターや恋島達哉の様な子供達で埋め尽くされる事になってしまうだろう。

だが、私がそんな事はさせない。私と城栄でこの世界を変えてやる。
この歪に歪んだ世界の縦糸を私たちが束ねてやる。

店内をお世辞にも心地良いとは言えない空気が支配する。
静かに流れるジャズだってうわの空だ。
マスターの思いつめた表情を見ると、若い頃の自分を思い出す。

「家族か……。私の場合は君よりも幸せだったのかな。
 私は親の顔を知らない。赤ん坊の頃に棄てられたからさ」

だが、私には孤児院の兄弟達が居た。彼らは私を拾い、暖かいミルクと毛布を与えてくれた。
親の代わりに無償の愛を私に授けてくれた。彼らは紛れも無く私の家族だった。
コーヒーカップをソーサーごと持ち上げると、カップを口へと運ぶ。
マンデリンの芳醇な香りが鼻腔一杯に広がった。
深いコクを口一杯に味わうと、私は次の言葉を捜した。
>>186

「――親が居ない。居たのに愛して貰えなかった。
 だが、それは些細な事に過ぎない。君も知っているだろう?

 大事な事はたった一つ。これまでの人生の中で、
 たった一人でも自分を愛してくれた人が居るかどうかだ」

これは私の持論だ。どんな時でも、どんな状況でも、必ず誰か一人は味方が居るものである。
この人物が居るか居ないかで人の人生は大きく歪んでしまう。
こんな話になると柄にも無く、つい熱くなってしまう。
そして次に思い出すのだ、息子の事を……。

「……私には昔、子供が居た。元気な男の子だった。
 だが、息子は取り上げられた……。

 さらったのは組織の別のグループ連中さ」

攫われた時は産まれたばかりで息子との思いでは無いが、
親友の城栄が ほくほく顔で子供用の遊具をこれでもかと買い漁って来たのを思い出した。

私は機関の派閥争いに、無関係な息子を巻き込んでしまった。
標的は私一人で良い筈なのに……。
それ以来、私は子供と見るとつい息子を重ね合わせてしまい、情を移してしまう。
永瀬の時もリンの時も、シナゴーグに居た時も。自分が息子を愛してやれなかった分、
他の子供たちに愛情を注ぐようになったのだ。

生きていればリンと同じ16歳になっている筈だ。

「私の組織は悪い事をしているからね。
 私自身、色々やってきたよ。人だって殺した。

 その罰かも知れないな……」

悲しみを悟られまいと、私はマスターに精一杯の笑顔を見せたが、
どうもぎこちなかった……。

【レオーネ:現在地 『Swallow Tail』】
188黒野暦 ◆yODyocELuA :2008/12/09(火) 21:43:06 0
>>185
「私の立場を答えるなら、あの人に雇われているメッセンジャーとでも言えばいいのでしょうか?
 個人的に昔からよくしてもらっていて、今回の件を知り彼の力になりたくて協力する事にしました。
 貴女のように外国の異能者の方も結構集まってるという話でしたので外国語が話せる子は役立つと…
 貴女のように日本語が上手な方にはこの点は不要ですけどね」

「そして私が異能者か否かと問われれば否です。
 異能者同士で手を組もうとしても、いきなり直接会えば敵として話し合う事も適わず戦いになる可能性は高いわけです。
 ですが私のような普通の人間をメッセンジャーとして使えば例え駄目な場合でも血を流す事にはなる可能性は低いんです。
 私を倒してもバトルロイヤルの勝ち星が得られるわけではありませんし、彼も私も貴女が無駄な暴力を好む方とは見ていません」

「でも彼が弱いから強い貴女を必要としているのかと聞かれればそれは違います。
 能力の相性もよく、共闘の際にも貴女の迷惑になるような事もないと思います」

思いのほか邪神が来るのが遅い。私は話してる間に別の手立てを考え始めていた。

【黒野暦:小村と昔馴染みで普通の人間のメッセンジャーという設定にする】
189神野 屡霞 ◆u5ul7E0APg :2008/12/09(火) 22:31:43 O
>>182
混じり色の髪をした少年いわく、店主はここにはいないらしい。
とすればこの少年らは強盗に居合わせた単なる客といったところか。

「いや、分からないのならば構わない。自分で探そう。ありがとう。
…しかし、君達も災難だったな。」

屡霞は少年たちに優しく声をかけながら、眼下の異形に鋭い目を落とした。
「ガァァアアア……お…オンナァ………!…グァ……」
もはや意識を失い、本能のみで動いている―――いや、動かされていると言った方がいいだろう。
屡霞の霊視には、彼を操る操り糸のような『気』がハッキリと映し出されていた。
(こいつ自体はただのデク……。機関の中に人間を操る能力者でもいるのか。
なんにせよ、憐れな奴だ―――…)
屡霞が憐憫の目を向けると、異形は腹から生やした鎖鎌を屡霞に向けて放った。
「オンナァァアアアアアアア!!」
「今、楽にしてやる。」
一閃。
屡霞は何のためらいもなく異形の首筋にあてがった刃を薙いだ。
同時に勢いよく吹き出す鮮血。即死だ。
人としての誇りを失ってまで醜く生き延びるよりは、ここで苦しむ間もなく逝かせる―――…
それは屡霞の慈悲の心だった。
「安らかに……」
帰り血を浴びて真っ赤になった屡霞は異形の亡きがらに向けて静かに一礼した。

そこでふと視線を感じて目を上げると、先程の混じり色の髪の少年が怯えたような目でこちらを見ていた。
当然だろう。たった今、目の前で無造作に殺人が起きたのだ。驚かない方がどうかしている。
屡霞はため息を漏らすと、刀を鞘におさめ、ゆっくりと二人にといかけた。

「……どうやら驚かせてしまったようだな。
しかし、君達もこの街にいる以上、今、この街で何が起きているのか知る必要がある。
だが、知れば二度と日常には戻れなくなるだろう。君達にその覚悟があるのなら、私の話を聞け。
覚悟がないのなら、悪いことは言わない。今すぐこの街を出て、どこへでも逃げるがいいさ。」

屡霞の瞳は、どこまでも本気だった。

【屡霞:梶原を殺害。梓川と廻間の覚悟を試す】
190神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/12/09(火) 23:00:48 0
>>181
>「茶、爽快美茶を頼もう」
「オウ分かった!」といって買って来る。

買って来て渡す。
どっちも飲み終わったあとで改めて質問する。

「お前彼女いるか?それとも愛した人がいるか?」
(いるふうには見えんな)
おっと触れちゃいけない話題だったか。見事に落ち込んでやがる…

「まあ質問はそれなんだが、俺がこの町に来た理由は別れた彼女とより戻したくて来たんだ…。そいつと喧嘩…見たいなのしちまって彼女がここの町に引っ越したことは分かってんだ。だから今度こそ彼女に謝ってやり直したいんだ。」
(本当は俺があいつを追い出しちまったんだけどな。そのせいで俺がわざわざここに来ちまった。さっさとあいつ見つけて今度こそ解剖してやりてぇな!まあ…話をちょっと美化すればこんな話だな)

「それよりお前は能力者か?能力者だったらついて来い。俺には仲間が必要だ。
お前が能力者でついてこなかったら駄々こねてこの工場ぶっ壊す!
…のは冗談だ。だからやめろその顔…こえーよ」

こいつ工場のことに関すると顔こえーよ

「で、来るのか?来ないのか?」
【場所 ガラス工場】
【鳳旋を仲間にしたい】
191廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/12/09(火) 23:32:26 0
>>145
キン、キンと店内に規則的な金属音が響く。
俺に向けられた蟷螂男の攻撃を全て防ぐか、受け流しているからだ。
大振りすぎる攻撃が何度も続いているためか、考え事をする余裕も出てきた。俺は頭を回転させる。
……狭い店内、俺の最大の武器である『速度』はこの場所では生かせない。
まあやろうと思えば出来るのだが、精々残像が2つ……といった所か。
俺はこんな事をずっと思っていた……そんな俺の考え事は突然終わった。

「っ!」

突然蟷螂男の脇腹から刃物が飛来してきたからだ。それは鎖鎌に酷似していた。
刃物自体は鎌ではなかったので、悪魔でも「鎖鎌に酷似した何か」だが。
その武器で俺を殺そうっていうのか?甘い……その程度で俺は殺せない。
どの点でも良い。お前は異能力無しで人間という種の壁を越えたかってのか?
俺は越えた。速度だけならば、地球上のどの生物にも負けるわけにもいかない。
剣術は未だ修行中の身だ。その辺の武芸者に負ける気はしないが、俺以上の者はどこかに必ずいるだろう。
だが、こんな素人に毛が生えたような人間が俺を越えているわけがない。
欲望に任せただけの邪まな刃で、俺を斬れると―――殺せると思うなよ。

「テメェの刃で、俺の首を取れるとでも―――」

>>175
瞬間、店内に異質な声が響いた。
俺が今までに聞いたことの無い声だが、誰だ?
その声の主は流れるような動作で蟷螂男を伏せ、踏みつけ、刀で動きを封じる。

「……女?」

声の正体は女だった。
俺の『紅い月』とは違い所持している刀は長刀だ。
やけに禍々しい気を放っているが、気のせいだと思いたい。
しかし何故こんな時にこんなヤツが?

>「…切り傷と擦り傷に効く薬を所望したいのだが、店主はどちらかな?」

……なるほどね、薬を探しているのか。
これでこの女がここに来た理由が分かった。だが、肝心な事がわかっていない。
まあそれを聞く前に俺の事を告げておこう。

「俺は……ただの留守番だ」

留守番だという事実を告げると、次に先輩が話しかける。
どうやら先輩は自分の事を店番だと言ったようだ。
だから、客としての対応は先輩に任せよう。

「これでアンタの目的は果たしたか?
 じゃあ俺の質問に答えてくれ。アンタは何者なんだ。
 こんな状況に、しかもこんなヤツ相手に刀を持って臆せず叩き伏せるようなヤツなんだ。
 ただ者じゃあないんだろう?―――ああ、そこの男はどうすっか。
 動けないように足でも切ってゴミ袋に詰めるか?」

きっと俺の目はゴミクズを見るような目だったに違いない。
……不味いな、普段の俺も漆黒の心に犯されてきたっていうのか?
まあ今は大丈夫だろう。今は……
192廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/12/09(火) 23:33:20 0
>>189
>「オンナァァアアアアアアア!!」
「あー、うるさいな。少し蹴り入れて黙らせ―――」

話をしようと、女の正体を知ろうとしたらジタバタと蟷螂男が暴れる。
このままでは話が進まなさそうなので、言ったとおりに蹴りを入れて黙らせようとしたその時。

「―――るか……って、やりやがった?」

女の一閃で首が飛び、女が血で紅く染まる。
わずかだが、俺にもその血は降りかかった。俺はその血を袖で拭う。
吐きそうかと問われたら、ぶっちゃけ前にあった仮面の男の自爆の方がグロかったので、吐きそうだとかそういうのは無かった。
ただ、いきなりの事だったので驚きはしたけど。
次に来たのは女の説明。
この町に何かが起きているとの事だが、そんな事は百も承知だ。
さっきだって襲われたばかりなんだ、何かが起きているなんて分からないわけが無い。
だが、詳しくは分からない。知るにはこの女の話を聞かないと駄目だろうな……

「覚悟なら、あるさ」

そうだ、関係ない者を巻き込ませるわけにはいかないんだ。
俺はただの人間を護る義務がある。そのためなら、この身体を砕く覚悟だ。
逃げるなんて、冗談じゃない!

「話してくれ、この町に何が起きているか。
 ……ただ、その前に身体を洗って、着替えてくれ。全身血まみれだからな。
 そんなんで外歩いたら、とっ捕まるぞ。俺は茶でも淹れてるから」

それにしても、この死体どうすっかな。

【廻間:屡霞に身体の血を落として欲しい。屡霞の事を知りたい】
【漆黒の心 侵食率10%】
193ルナ ◆7VdkilIYF. :2008/12/09(火) 23:34:37 0
>>115>>146
……見事なココアね。これは万点いくかも分からないわよ。
そんなココアを私と沙羅が飲みながら談笑していると、また新たな客が入店してきた。
私は何気なく入り口を見る。そこには明らかに浮いているとしか思えない人物がいた。
何あれ、元貴族のホームレス?それにしては肌も白いし。
……おかしい。私はその人物に違和感を覚える。
沙羅はどう思っているんだろ?そう思ってチラッと沙羅の方を見た
すると、沙羅が今まで携帯に向けていた顔を私に向け問いかけた。

>「ルナちゃんも行く?大変なことが起きてるらしいよ!」
「……え、どこに?」

そう聞くと、沙羅はガラス工場と答えた。
何でも統時からメールが―――来た?
待てよ……少しおかしい。今の時間、統時は熟睡しているはずだ。
超融合の影響は半端じゃない。もし起きていたとしても、わざわざ自分から行動は起こさないはずだ。
その統時が何故?それ以前に、メールアドレスは教えていないはずだ。
と、なると……偽者からのメールか。
そう決まれば行かせないべきなのだろうが―――今のこの店の雰囲気は嫌すぎるっ!
とにかく、今すぐにこの場所から離れたい。
そう思った私は沙羅の問に賛同した。一応警告はしながら。

「……ええ、私もいくわ。あなた一人だけじゃ不安だし、それにこの場所から離れたいし……
 ああ、そう。そのメール信用しない方が良いと思うわ。
 怪しすぎるわよ。統時は今自分からは行動起こさないと思うの。
 それに、メールアドレス教えて無いでしょ?」

とりあえず私は席を立ち、店から出た。
もちろん勘定は払っている。
さて、いきましょうか……ガラス工場とやらに。

【ルナ:Swallow Tail店外
 沙羅に届いたメールに警戒心を抱く】
194鳳旋 希一 ◆sJZQ9grsuk :2008/12/10(水) 00:14:58 0
>>190

>「お前彼女いるか?それとも愛した人がいるか?」
ぐっ…まさかこんな質問を投げかけてくるとは…予想外じゃった…

「こんな顔じゃからの…わしに近づく女子は皆無なんじゃ…」

無念そうに首を落とす。学生時代、喧嘩続きで常に傷だらけ
紅髪紅眼おまけに老獪な喋り方で皆彼を恐れ誰も近づこうともせず
果てにはある事件をきっかけに彼は高校を立ち去ることになった――

>「別れた彼女とより戻したくて来たんだ…」
なるほどな。わしはまったく経験したこと無いが(泣)
彼奴の彼女への一途な強い意志が伝わってくるわ
茶の恩もあるしの。ここは一つ彼奴の話に乗ろうぞ。

それに共にいれば自然と強者が寄って来そうじゃ。

「よし、いいじゃろう!わしがその彼女との橋渡しになろうぞ!
そういえばわしの名を教えてなかったの、わしは鳳旋 希一という。
さぁ光龍よ!共に彼女の元へ行こうぞ!じゃが、工場だけは手を出すなよ?」

握手を求める

【ガラス工場前】
【光龍と手を組む】
195梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/12/10(水) 00:27:26 0
>>189>>191-192
適当に対応していると、廻間が何か言い始める。
>「これでアンタの目的は果たしたか?
> じゃあ俺の質問に答えてくれ。アンタは何者なんだ。
> こんな状況に、しかもこんなヤツ相手に刀を持って臆せず叩き伏せるようなヤツなんだ。
> ただ者じゃあないんだろう?―――ああ、そこの男はどうすっか。
> 動けないように足でも切ってゴミ袋に詰めるか?」

「お、おいおい……何怖いこと言ってんだよ」

最後の言葉はどうかと思うな。
本当にやりそうで凄まじく恐ろしいぞ。
ブラックジョークも大概にしてほしいんだがなぁ…。

その時、カマキリが喚き始めた。
言葉は既に叫びとなっているが、「女」と言っていることは間違いなさそうだ。
耳を塞ごう。そう思って手を持ち上げて―――

紅い紅いモノが、『カマキリの首があった場所』から迸った。

「…え?え、あ………あ……」

口から漏れるのは、言葉にならない呻き声。
イマ、ナニガ、オキタンダ?
目の前の女性が、人間の頭部を一片の躊躇いも無く切断した。
虫を叩き落とすような冷静さで、人を殺した。
廻間を見れば…驚いてはいるが、冷静だ。
いや、冷静すぎる。俺がおかしいのかというくらいに二人は冷静すぎた。

女性は溜息を付くと、俺達に問いかけてきた。

>「……どうやら驚かせてしまったようだな。
>しかし、君達もこの街にいる以上、今、この街で何が起きているのか知る必要がある。
>だが、知れば二度と日常には戻れなくなるだろう。君達にその覚悟があるのなら、私の話を聞け。
>覚悟がないのなら、悪いことは言わない。今すぐこの街を出て、どこへでも逃げるがいいさ。」

廻間は聞く意思を示し、血を落とすことを提案した。
だが、俺は―――。

「悪いけど……少し考えさせてもらっても、いいか?
 そうだ、廻間。お前も鏡見てこい。落書きだらけだぞ…はは」

苦笑い交じりにおどけた振りをして指摘する。


―――二人が店の奥に入っても、俺はずっと其処に座っていた。
血塗れの店内。先程の冷たい目。物言わぬ死体。
現実離れした光景に、目頭に熱いものがこみ上げてきた。堪えきれず、涙腺が決壊した。

「はは、は…出来の悪いストーリーだな……夢にしちゃリアルすぎるぜ…。
ははははは、あはははははははは!ははははははははは……はははははは…!」

涙を流しながら、狂ったように笑いながら、今更ながらこの殺し合いゲームに首を突っ込んだことに後悔していた。

【梓川:梶原の死体の傍で泣き笑い叫ぶ。混乱中。整理が付いたら店の奥に戻る】
196恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/10(水) 01:11:32 0
>>180
――流石に、これで音を上げてもらっちゃ拍子抜けもいい所だよな。
額を押さえながら、俺は奴の動向を見張る。大したダメージを与えられなか……。
俺の頭突きをものともせず、奴は前方にぐらりと倒れる様に両手を地面につけると……逆立ちしてあろう事かバック転しやがった。
全然効いてねえのかよ! あまりにも余裕なその態度に、俺は怒りの炎が揺らぐのを感じた。
しかも両手を頭につけて決めポーズまで決めやがった。

>「オット、帽子は置いてきたのでしたネ。私名乗りましたヨ?ちゃんと聞いていてくだサイ」
名乗ったのを聞いた覚えはないな。全く。まぁ正直聞く理由はないんだがな。
今後の事を考えて聞いておいても損は無いなって気がしただけだ。色んな意味でな。
にしてもさっきから螺子が飛んでる様な事ばっか言ってるな、コイツは。大体口調や雰囲気からどんな人間かは察してたが。

奴は俺の攻撃に不思議がっているように首を捻ると、その場でだんまりと何かを考え込んだ。
くそ、俺の事を眼中にもしてねぇみたいだな。仕方ねえか。この前まで何処にでもいる一般人だったんだから。

>「ウ〜ン、思考が読まれてるわけではなさそうなのですがネ〜。
  私の名前も知らずニ、何を根拠に私の事を"嬉々として人を傷つける輩"などと言うのカ…
  傷つけてるのは貴方じゃないデスカ」
まただ、あのイラッとするにやけ顔。その口元を縫い付けたくなる衝動に駆られる。すっごくな。
それと如何にも人を見下しているような敬語の使い方に実に怒りを覚えるね。日本人として。
まぁ言いたい事は一つ、やっぱりお前は許せねえ存在だってことだ。生理的にも倫理的にもな。

奴が喋り終わり、一拍、息を吐くと俺に対して鋭い眼光を投げつけてきた。それと同時にどこからか――鈍く光る物を取り出した。
あの形状、間違いない。さして大きくは無いものの、かなり切れ味の良さそうな小型のナイフだ。
遠目からでも認識できるほど、そのナイフは柄から刃までボロボロの傷だらけだった。よく刃毀れしないもんだな。
奴はその柄の部分を摘まむ様に片手に挟むと――俺に対して投球フォームを取った。
197恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/10(水) 01:12:56 0
>「嬉々として人を傷つける輩というのは貴方でショウ? 武器が無いなら使ってかまいませんヨ?
  言っておきマスガ、先程頭がぶつかったのが故意なのでしタラ、続ければ先に割れるのは貴方の頭デス」
奴の挑発めいた声が、俺の耳元に響く。悪いが故意じゃねえ、狙ったんだ。大した威力にもなんなかったがな。
それにその言い方、まるで俺が今まで他の異能者、もとい他人を傷つけてきたような言い草だが……。

「その言葉、そのままそっくり返してやる。同じ穴の狢って言葉知ってるか? つまり――そうゆうこった」

耳鳴り、奴は俺のどっちを狙っている? 頭か? 心臓か?
『あの体勢からして、心臓部だ。避けるだけなら安易だが……どうもおかしいな』
おかしいって何がだ? あいつの言葉遣いか?
『ジョークを言ってるつもりは無いよ。ただ、彼の性格上ただのナイフを投げるとは俺は思わない。つまり……』

柄の部分にも仕掛けがあるって事か。毒を塗ってあるか、それとも奴以外が握ると隠し刃でも出てくるのか。
やりたかないが、奴の言葉を反芻すると、武器が無いなら使って良いといった。って事はだ。
さっきの要領で奴の投げたナイフを取っても良いってこった。
だがそんな単純にいくはずがねえ。さっきの不意を突いた頭突きだって飄々と無下にしちまいやがったしな。
もしくは奴がナイフ自体に細工を仕掛けたという可能性もある。避けた瞬間に曲がるとか、刃だけ飛び出るとかな。

たくよっ、一々趣味が悪いんだよ、手前は。男なら正々堂々と素手で来いってんだ。つってもこのままじゃ決定打は与えられないしな。
『どうするんだ、達哉? このまま回避行動を取るか?』
悪いな耳鳴り。だがそれは断る。さっきの頭突きといい、今のナイフといい奴には正統法――正面から打ち勝つ事は出来ねえ。
とにかく意表をつかねぇことには、奴に一泡ふかす事が出来ないんだよ。つまりだ、最も予想し得ない行動ってのは――。

自ら、当たって砕ける事だ。

俺は奴が放ったナイフに向かって走り出した。結構離れていたせいか、案外距離がある。
平行移動で右側に逸れながら、俺は体を捻らせ、麻痺している方の左腕を差し出す。このままナイフは左腕に刺さ――る訳ねぇだろ!
『今だ、達哉!』
耳鳴りの声に合わせる0.1秒、俺は右手を素早く差し出して、ナイフの刃を掴んだ。――っつ。流石に痛いな、がそれもすぐに消える。

「砕けるのは、手前のプライドだ、タコ」
俺はナイフの刃を掴んだ右腕を頭手に高く掲げながら勢いよく回転し――奴へと投球し返した。
すかさずバックステップしながら、その結果を見守る。さぁ、次はどう出る? シルクハットさんよ
【投げられたナイフを投げ返す】
198神野 屡霞 ◆u5ul7E0APg :2008/12/10(水) 01:43:28 0
>>192>>195
「覚悟なら、あるさ」
黒髪の少年は迷いなく、そう答えた。その瞳には一点の曇すらもない。
「ほう…」と、屡霞は思わず感嘆を漏らした。一般人の客などでは無い。この少年は、相当の修羅場をくぐってきている――。
そこで屡霞は霊視によって、二人の体から異能者の証であるオーラが滲み出ていることに初めて気がついた。
(この二人も異能者だったのか…。これも巡りあわせというものだろうな。)
フッと笑うと、黒髪の少年が続けて口を開いた。
「話してくれ、この町に何が起きているか。
 ……ただ、その前に身体を洗って、着替えてくれ。全身血まみれだからな。
 そんなんで外歩いたら、とっ捕まるぞ。俺は茶でも淹れてるから」
「あぁ…、ではお言葉に甘えさせてもらう。かたじけない。」
丁寧に頭を下げると、屡霞は少年の案内に従って店の奥へと向かった。
その途中、混じり色の髪の少年の怯えきった顔が屡霞の前をよぎった。
彼は、呆然としていた。
彼も黒髪の少年と同じ異能者だが、彼は違う――…。戦場などとは無縁の環境で今まで過ごして来たのだろう。
悪いことをした――…後悔の念が屡霞の胸を締め付ける。
思えば彼女自身も異能力の素質は持ってはいたが、闘いなど望んでもいなかった。しかし彼女の持つ異能力が魑魅魍魎を呼び寄せ、闘いの螺旋に引きずり込む。
おかげで彼女の人生は常人のそれとはまるで違う形に歪んでしまった。
しかし、悲観していても闘いはやってくる。これは『異能力』という悲しい宿命がもたらす因果なのだと、彼女はいつしか悟っていた。

シャワーを浴びて、身体にこびりついた血と一日の闘いの疲れを洗い流すと、黒髪の少年が用意してくれていた男物の衣服を身につける。
ぶかぶかのワイシャツから時折見える滑らかな肌が艶めかしかった。
浴室から出ると、店の方から混じり色髪の少年の泣き声とも笑い声ともつかぬ声が聞こえた。
…状況の変化についてゆけず混乱しているのだろう。だが屡霞自身にはどうしてやることもできない。
自分たち異能者は、受け入れるしかない、そして闘いの道を選ぶしかないのだ。そうしなければ、その先に待つ者は『死』以外の何物でもない。
少年から視線をそらし、もう一人の少年の待つ座敷へ上がる。
そしてまた丁寧に、真四角に正坐して座り、その横へ禍ノ紅をゆっくりと置く。

「数々のご厚意、痛み入る。…ところで、まだキミの質問に答えていなかったな。
 私は神野 屡霞。キミの推測通り、異能者だ。霊感が少々強くてね。おかげでこんな妖刀にも目をつけられて困ったものさ。」

屡霞は脇の禍ノ紅を手にとって苦笑する。禍ノ紅は依然その力を失っている。この状況なら彼には黙っていてもらえた方が助かるのだ。

「あの異形の骸のことも気にはかけるな。私の連れが上手く消して――……あぁっ!」

突然大きな声を上げて飛びあがる。戦場ヶ原のことを忘れていた…。今頃彼は瀕死の状態で表のゴミ捨て場に打ち捨てられているだろう。
「すまない。連れがいたのを忘れていた。これは怪我人でね。出来れば彼とともに今夜一泊床(とこ)を借りたいのだが…。」
勝手口からぐっすり眠っている戦場ヶ原の身体を引きずり込みながら、屡霞は照れ笑いで言う。

「人相は悪いし少々歪んで乱暴な奴だが、根は真面目で優しい奴だ。
暴れさせるような真似は私が決してさせない。…いかがだろうか?」

眼の前の黒髪の少年の顔に、急に敵意が湧いて来たように見えるのは気のせいだろうか。

【屡霞:現在時刻PM8:00前後。話の本題には梓川が落ち着いてから触れるつもりのようだ。】
199神野 沙羅 ◆LHz3lRI5SI :2008/12/10(水) 21:38:30 0
>>193

>「……ええ、私もいくわ。あなた一人だけじゃ不安だし、それにこの場所から離れたいし……
 ああ、そう。そのメール信用しない方が良いと思うわ。
 怪しすぎるわよ。統時は今自分からは行動起こさないと思うの。
 それに、メールアドレス教えて無いでしょ?」

「確かに教えてないけど…行くしかないでしょ?理由は言わなくてもいいよね?」
とりあえず気まずい店内から出ることにする。もちろんお金を払った後でからだ。

「ご馳走様でした。また来ますね!」とマスターに手を振る。
マスターも手を振りかえしてくれた。

さて…この後どうするかな?
メールの心当たりは…無い
とりあえずガラス工場に行くか!

とりあえずルナちゃんって戦えるのかな?
「ルナちゃん!これから異能力と戦うかもしれないけどルナちゃん戦える?」

【場所 Swallow Tail店外】
【ルナに戦闘できるのか聞く。】
200クロノ ◆SoGLnhQ8WY :2008/12/10(水) 22:17:28 0
>>197
ナイフの刃を掴んで投げ返してきた恋島の様子を見ながら考え込むように立ちかまえている。
その間にナイフはクロノの目前にまで迫っていたが回避行動を取る気配は無い。

「……」

ナイフはクロノの顔をかすめた…ように見えたがやはり顔には傷一つできていない。
飛んできたナイフはそのまま地面に刺さる。ナイフに目をやり、再度恋島に目を向けた。

「なかなか思い通りに行かないものデスネ〜。ですが思考が読まれているわけでないのは間違い無いようデス」

地面から刺さっているナイフを抜く。

「これは決着に時間がかかりそうデス。お話しながらにしましょうカ。
 先程聞かれた事に答えマスガ、同じ穴の狢という言葉は知ってマス。確かに今ナイフを投げた事で貴方も傷つきマシタ。
 貴方を一方的な悪に見せたかったのですが失敗デス」

喋っている間にも距離を詰めていきながら手刀とナイフを構えながら迫る。

「しかし私のプライドが砕けると言うのはどういう事でショウ?もしかして武器も能力も使わずに勝つとでも言うのデスカ?
 自信を持つのはかまいませんガ、普通の人間ではいくらぶつかっても私が平気な事には早めに気付いてくだサイネ。
 せっかく助かっている命なのですカラ、いろいろと考え直すべきデスヨ」

ナイフは切るように、手刀は刺すように狂ったように踊り迫る。

「ア〜、そうそう達哉サン。私の名前はシルクハットでもタコでもありまセン。クロノデス。
 機関の――
>>193>>199
 ―オヤ?あの方達はもう出て行くようデス。取り押さえなくて良いのデスカ?」

名乗りを挙げた後にも言葉を続けようとして、ルナが喫茶店を出て行く事に気付き、その様子を示したりするも
無論その間も止まる事なく、恋島に殺意を向けた動きは続いている。

【クロノ:話しながら右手に手刀を、左手にナイフを構え恋島に切り刺し迫る】
201宮野 光龍 ◆LHz3lRI5SI :2008/12/10(水) 22:30:05 0
>>194
「よし、いいじゃろう!わしがその彼女との橋渡しになろうぞ!
そういえばわしの名を教えてなかったの、わしは鳳旋 希一という。
さぁ光龍よ!共に彼女の元へ行こうぞ!じゃが、工場だけは手を出すなよ?」
と言って握手を求める。俺はその握手にこたえた。
「当たり前だ。俺は約束守る男だ。」
(だって工場に手出したらお前ゼッタイ怒るもん…てか人の話疑わないとか馬鹿なのか?)

「じゃあ行くか!っとその前に…」

狼に近づく 忘れてたな…
「あの女が来たら殺すなよ?まあ、お前らが覚えてるはず無いけどな…」
と命令する。…聞いちゃいねえな。
(あの女はどうせまだ「戦い」を嫌いなアマちゃんだから3匹もいれば流石に食い殺されるかもな…そん時はその死体を解剖して楽しむから良いか)

グ〜〜
腹が鳴る。これは恥ずかしいな…。鳳旋も苦笑いでこっちを見ている。

「おい鳳旋!飯いこうぜ飯!俺腹へってんだ!それともお前飯作れるか?」

【場所 ガラス工場】
【鳳旋に食事の提案】
202七草 ◆O93o4cIbWE :2008/12/10(水) 23:05:39 0
――人違いなら殺そうかな?

挑発する七草に対し、神重は少し思案した後冷静に切り替えした

「今私はその素敵な吸血鬼であって吸血鬼ではない…といえばわかるかな?
 わかってもらっても…完全な吸血鬼になる気は今はないけれどね」

そう、つまらない、大方この先生も多重人格で私の求める先生は今は居ないのね
じゃあ如何しようかしら、無理矢理引きずり出す?、それとも、

つまらなそうな態度を見せ、神重の顔を覗き込むように見る、
その後両手を後ろに組み身体を左右に揺らし、挑発的な態度を取る。

「ん〜、何の用かって言われると別に用は無いんだけどねぇ、
まぁアナタがしたいって言うならしても良いけど…」

相手の反応を見た後

「うふふ、まぁこんな所で立ち話も何だから、落ち着く場所で話さない?
良いお茶の店が在るのよ…ってこの時間は空いてないかしら」


【七草:神重をお茶に誘う】
203池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/12/11(木) 02:09:07 0
箸を置き、手を合わせて食事を終えたことを二人に告げると、俺は一息つく間もなく席から立ち上がった。
そして懐から出した手帳に携帯の電話番号を記すと、そのページを破り取ってテーブルの上へと置いた。

「一度自分の携帯でその番号にかけてくれ。携帯に履歴が残るから、それでお前の番号も分かる。
敵の出方次第では、これからはわざわざ直接会って話をするということもできなくなるかもしれんからな
……神父サン、協力する気になったらあんたもかけてくれ。まぁ、あんたが野郎にかけるとは思えんがな」

少々、冷笑混じりにそう言うと、俺は背を向けて玄関へと歩き出した。

「──では、行ってくる」

まだ食事中の二人にそう言い残すと、俺は玄関を潜って夜の街へと姿を消した。
──外は、いつの間にか強い冷たい風が吹き始めていた。
自身の異能力の特性もあって、俺は他の人間に比べて随分と寒さには強いつもりだが、
それでも流石に三月の夜風を「暖かい」と思う気にはなれない。

「……風……か」

俺は暗闇の中でそう呟くと、何かを思い出したかのように突如道路のど真ん中で足を止めた。
そして周囲に人の気配がないことを確認すると、国崎薬局のある方向を見据えて、再び呟いた。

「あそこまで距離はおよそ数百メートル。周りに人気も無い。──調度いいかもしれんな」

俺の脳裏にはつい数時間前の出来事が蘇っていた。
──爆発するビルからいち早く脱出するために、本来は敵に対して放たれる凍気のエネルギー体を
床にぶつけ、反動を利用してロケットのように天を翔けたあの時のことを。

俺の身体能力は常人のそれとほとんど変わらない。
仮にこれから鍛え上げたとしても、飛躍的な上昇は望めないだろう。
だから『氷を作り出す』という生まれ持った特異能力から絶対的な必殺拳を生み出す必要がある。
俺がそう考えたのは五年前──。その結果、俺は『氷雪波』をはじめとする殺傷を目的とした
強力な技を多数編み出し、それをもってこれまで幾多の敵を容易く屠ってきた。
しかしここ数日の間の、剣使い、国崎、岩城、クラコフらの身体能力の高い敵との闘いが、
俺に戦闘における身体能力の重要性を思い知らせていた。

──技が強力でも本体の強さがそれと伴っていなければ、闘いは予想以上に手間取る。
俺にはもっと、彼らのような強さが必要なのだ。

だが、そうは思ってみても、今更彼らのようなパワーとスピードなど求められるはずもない。
しかし、彼らにはない独自の機動力を身に着け、それをもって本体の能力を補うことなら
可能ではないのだろうか。
(……自信はある。試してみる価値はあるだろう)
204池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/12/11(木) 02:16:53 0
──俺は一つ深呼吸をした後、凍気を放出し始めた。
だが、それはいつものように手の平からではなく、主に『脚部』から放たれている。
地面から跳ね返った凍気の気流が徐々に激しさを増し、横から吹き付ける北風とはまた別の冷たい風が
俺の周囲に流れ始める。しかし、一向に何も起ころうとはしない。

そこで俺は、思い切ったように一気に凍気の放出を強めた──。
──するとその瞬間、俺の体は瞬時に高さ十数メートルの地点にまで浮かび上がった。
不意の出来事であったため慌てて凍気の放出を弱めるが、すると今度は推進力が足らずに体の落下が始まる。
地面との激突を避けようとまた放出を強めると一気に上昇し、弱めすぎると落下する。
だが、そうして幾度か空中で上昇と落下を繰り返している内にコツを掴めたのか、
俺は数分後には高さ十メートルほどの位置で、上昇もせず落下もせず体を静止させることに成功していた。
それもまるで地面に二つの足をつけているかのように、安定した自然な格好で。

戦争では空からの攻撃は地上軍にとって大いに脅威となりえたが、
異能力戦闘においてもそれと同様だとは一概に言い切ることはできないかもしれない。
しかし、空というフィールドを活用することは、少なくとも空を飛べる敵とは互角の条件で、
そして空を飛べぬ敵に対しては有利に働く。いずれにしてもマイナスにはならないはずである。
        コールド・ウイング
(……こいつを『冷翼波』とでも名付けようか。実験は予想通り成功した。
これで少しは地上戦での動きの鈍重さをカバーできるだろうが……)

心の中でそう呟くと、俺は視線を十メートル真下の地面に向けて、今度は口に出して呟いた。

「やはり凍気を放出する分、限界はあるだろう。それ程多くの凍気を使わず宙を舞えるのは幸いだったが、
長時間は飛び続けることはできまい……」
                                オーラ
異能力を行使する度に、俺の体から流れ出る青色の『気』……。
物質を凍らせる力を持つことから俺はこのエネルギーを『凍気』と名付けた。
技を放つ時、使用する凍気の量が多ければ多いほど威力は増していくが、『気』と表す以上、
勿論体内に蓄積されるその量は無限ではなく有限であり、使えば使う程人体への負担は高まっていく。
一度全ての凍気を使い果たせば、少なくとも丸一日は精神的にも肉体的にも疲れ果て、
身動き一つ取れなくなる程だ。かつての修行時代ではそれが原因で死に掛けたこともあった。
ここまでの74時間あまりの間、戦闘の回数の割には敵に強力なダメージを与えることのできる
『氷雪波』を敢えてほとんど使わなかったのは、そういった不安要素があったからだ。
そしてそれが、俺が一人で数で勝る機関と闘うことを断念した理由の一つでもあった。

「さて……それより、そろそろ行くか。店長が戻っていればいいがな」

空中から再び国崎薬局のある方向を見据えると、俺は薬局へと向かって宙を進んだ。
スピードは地を走るよりも速い。この様子ならば、三分とかからずに到着できるだろう。

【池上 燐介:新たな技『冷翼波』を会得。籐堂院宅→国崎薬局へ】
205小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/12/11(木) 02:29:29 0
>>188>>185
(…つまり、なにも覚えていないと)
(ウム)

「ウム………じゃありませんよ!!!」
震える手を押さえきれず、すぐ横のビルの外壁に叩きつけた。
小村を不審がって見ていた数人の通行人はそれに驚き、各々の反応を見せ、早足で去った。
(私はあなたに殺されかけたのですよ!? あなたが私の動きを止めたからせいで!)
(デスガ、私ノ記憶ニハ、ソノヨウナ出来事ハ、含マレテ、イマセン。マスターノ思イ違イデショウ)
(な……全く…もういいです。原因は大体わかってますから。)
(原因ガ、分カッテイルノナラ、何故、私ニ?)
(念のためのチェックですよ。これからは勝手な行動はしないでくださいね…)
原因……おそらく、このゴッドバルトには自分を保護する機能でも付属されているのだろう。
あの金剛によって――――

「待てよ……しかしそうするとゴッドバルトには…」
頭を捻っていろいろと考察していると、ゴッドバルトが突然飛び出してきた。
「…ゴッドバルト……さっき言いましたよね…勝手に動くなと!!」
「何カガ、居マス。前方三メートル先」
「なにかって……なんです?」
「恐ラク、異能力。能力予測不明。白黒ノボディーニ、少女の容貌ヲシテイマス」

異能力?私には全く感じられることは出来ない。
姿は見えなくても、異能の気ぐらいは感じてもいいはずなんだが。

「ドウシマス?」
「ま、とりあえず捕縛でしょうかね」
手を前に差し出し、ゴッドバルトに命令を告げる。
「Yes、my master」
ゴッドバルトは左腕を振りかぶり、腕を鎖に変化させるとともに振り回した
『神の鎖ゴッドチェーン』
「まぁ、ただのエネルギーで作った丈夫な鎖なんですけどね」
だが、ゴッドバルトを形成させてるエネルギーは超圧縮のメタトロンで構成されている。
このエネルギーは衝撃にはもちろん、炎、雷、爆撃なんでも防げる。
しかし限度はあるし、水に弱い性質になっている。
「でも、そう簡単には逃れられませんよ。」
206小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/12/11(木) 02:32:33 0
鎖で雁字搦めにされた『何か』はしぶとくガチャガチャと体を揺らしている。
「Master コノ物体ハ、何処カヲ目指シテ、行動シテマス」
そう言われれば、この『何か』は一方向ばかりに体を揺らしている。
その先には、見慣れた一人の女性と一人の少女が居た。
「あれは……アルトさんですかね?」
もう片方は知らないが、片方はアルト・ハーケンに間違いない。
「全く…面倒なことしてそうですね」
ウンザリした顔で、ため息をつきつつ呟いた。
よく見れば、二人はあまり言いムードではない。
あれはお互いを探り合ってる一触即発の―――いつ戦いが始まるか分からないムードだ。

「勘弁してくださいよ、今日は異能獣の熊に、一般異能者二人に、
カテリーナを相手にしたんですよ……」
つまり自分はいま戦う体力も、気力もない。
「ドウシマス?)
「…おそらく、『それ』はあの人たちを目指してるんでしょう。さっさと渡して、さっさと行きましょう。」
自分の左手を装神させ、その物体を担ぐ。
ゴッドバルトはそれと同時に小村の影に戻っていく。
(頼みますよ、戦うなんて面倒なこと今はしたくありませんよ)

その思いからか、早足で小村は歩き出した。
【小村:『邪神』を異能の鎖で捕縛。それを持って、二人のところへ向かう(後十数秒で着く)】
【戦う気はゼロ】
207黒野暦 ◆yODyocELuA :2008/12/11(木) 07:55:03 0
>>205-206
ふと先程の男性がいなくなってないかと見てみる。
…薬局方面に向かってたように思ったのだけどどこ行ってしまったのだろう?時間稼ぎももうできなそうだなぁ…
邪神!邪神は今どこにいる!?早く来てくれないと殺されるだろう!
自分の来た道取りを辿っていく―と見つけた。よし、この距離ならあの鈍間でもさすがに1分もかからない。
もう少しだけ……あれ捕まってる?それにあの人は―
―――
――


「あ、私が遅いから様子を見に来たみたいです」

この場にやってくる小村を向き示す。…これは時間が延びただけで逃げにくさは上がったような気がするな。

【黒野暦:邪神と小村の接近に気付いて、アルトにもその事を示す。焦燥】
208鳳旋 希一 ◆sJZQ9grsuk :2008/12/11(木) 15:04:51 0
>>201

>「じゃあ行くか!っとその前に…」
狼に近づく 忘れてたな…
「あの女が来たら殺すなよ?まあ、お前らが覚えてるはず無いけどな…」

ふむ、あの人喰い犬、いや、よく見ると狼か。見た目は変わらんようじゃが…
脳天に…丸い穴…弾痕か…?光龍の能力は不明じゃがおぞましいものじゃのう。
あの狼に何か言いかけているが聞き取れないの。

グ〜〜 「おい鳳旋!飯いこうぜ飯!俺腹へってんだ!それともお前飯作れるか?」

どうやら彼奴の腹の音らしい。わしも長から三日三晩飯を抜かれ
何も食ってないから丁度いい機会じゃの。わしの料理を振るってやりたい
当然金は持ち合わせてないので、彼奴には負担してもらうことになるのじゃが。

「作れるがのぉ…恥ずかしい話じゃが、食い物が我が家に何も残ってないのじゃ。
こんな時間じゃからな。開いてる店は…唯能くらいじゃな。
少々遠いが買い物に付き合って貰う事になるがよいかの?」

スーパー唯能。唯能高校から歩いて数分の場所にある中型スーパーマーケット
珍しく24時間営業で、周囲に公共施設が多く、朝晩問わず多くの買い物客が訪れる

「腹が減っては戦が出来ん!では早速行くか!」
…早く熱い飯が食べたいのぉ…

【ガラス工場前→移動】
【スーパー唯能に向かう】
209恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/11(木) 19:02:42 0
>>200
さて……俺が放った奴のナイフの行方は……ってあれ? なんで避けないんだ、奴は。
下手すりゃ顔にぐっさり、掠っても頬がすぱっと切れちまうのに。奴は直立状態のまま、何を考えているのかその場を動かない。
そろそろナイフが奴の顔まで迫る。だが、奴は一向にその場から動かずに考えに耽っている。早くも決着・・・・・・かと思ったが。
流石にそう上手くはいかずに、俺が投げたナイフは奴の頬を掠ると、曲線を描くように地面に落ちた。

あぁ、ちくしょう。けど何となく昔の勘が戻ってきた。どっかで練習でも積めば、正確に投げる事が出来そうだ。
奴はというと、地面に突き刺さっているナイフにしばらく視線を向けると俺の方に向き直り、言った。
>「なかなか思い通りに行かないものデスネ〜。ですが思考が読まれているわけでないのは間違い無いようデス」
もし俺が手前の思考を読めるなら、とっくの昔に必要な情報を聞きだした上に叩きのめしてるわ。

つかつかと刺さっているナイフの場所まで奴は近寄るとそれを抜き差し、俺の方に向けた。
同時に先ほど俺に向かってきた手刀の型を作ると、ゆっくりと語り始めた。
>「これは決着に時間がかかりそうデス。お話しながらにしましょうカ。
  先程聞かれた事に答えマスガ、同じ穴の狢という言葉は知ってマス。確かに今ナイフを投げた事で貴方も傷つきマシタ。
  貴方を一方的な悪に見せたかったのですが失敗デス」
姑息だな。確かに俺がナイフを持てば、客観的に見て俺の方が悪人になるわな。だがそれはそれだ。
俺の中じゃ手前は一方的、かつ胸糞悪い悪漢には変わりねえ。それに傷ついてるわ、さっきから心が。

奴は語りながら、俺の方へとナイフと手刀を振り回しながら走ってきた。早い。早いし、実に堂が入ってやがる。
『左上部、右正面』
『正面からだ』
『回転しながら斬って来るぞ』
耳鳴りの助言を聞きながら、俺は奴の攻撃を一身に避ける。しかし手が早い。少し油断したら深く斬られちまいそうだ。

防御、というか回避に徹してちゃ埒が明かねぇ。かといって下手に出れば負けちまう。つまり死だ。
どうにか奴の攻撃を止める、もしくは決定打を……てか無駄に硬いんだよな、コイツ。
銃なんてこの辺にある訳無いし、奴の攻撃からナイフを奪い取るのは偉く難しそうだ。手が切り裂かれちまう。
くそっ、為す術無しかよ。そういや気づけばもう夜か。すっげぇ動いてるせいか、ジャンパーのせいで偉く暑……。
210恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/11(木) 19:03:41 0
――ヤバイ。見えたかもしれん。奴に一矢報い、尚且つ情報を聞き出す方法が。
紙一重で奴の攻撃をかわしながら、俺は片手でジャンパーのファスナーを一気に下ろした。後は……。
奴は俺に対して一切攻撃の手を休めない。対して疲れている様子も無いし、大した野郎だ手前は。
だがどれだけ必ずどこかに隙が生まれるはずだ。奴が何か挑発めいた事を言っているが、正直頭に入らない。

ふと、奴が思い出したよう明るい声で言った。
>「ア〜、そうそう達哉サン。私の名前はシルクハットでもタコでもありまセン。クロノデス。
  機関の――
やっぱり手前は「機関」の手先だったのか。ついでに手前の本当の名も分かった。クロノねぇ……。
まぁ二度は会うにしても戦いたくはねえな。にしても「機関」入りしちまうとコイツと同僚になるのか……やだやだ。
と、奴は機関のと言い掛けて、目線を店側に移した。――その隙、貰った! 俺は瞬間的にジャンパーの袖から腕を抜き、ジャンパーを脱ぐ。
  
> ―オヤ?あの方達はもう出て行くようデス。取り押さえなくて良いのデスカ?」
あの方達――恐らく神野さん達の事だろう。何か用事でも出来たんだろうな。ま、そんな事はどうでも良い。
俺はジャンパーを片手に持ち、クロノが俺に視線を向けた瞬間――。

「戦ってる最中によそ見をするなって――上司に教わらなかったか?」
後方に下がりながら、俺はクロノ目掛け思いっきりジャンパーをぶん投げた。ジャンパーは宙をふわっと漂う。
クロノは俺のジャンパーを思いっきり切り裂いた――が、当然ながら俺はその先にはいない。
滑り込むように、俺はクロノの背後に回りこみ、突進するようにクロノの腰元に入り込んだ。そして――。

クロノの腰を両腕で思いっきり抱きしめて、全身に力を込めた。ちぃっ、コイツ、意外と重い……。
だがここで負けるわけには、負ける訳にはいかないんだよッ!
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
俺は上半身を反らしながら、渾身の力を込めてクロノを――後方に叩き落した。瞬間、俺の腰にピキッかミシッという音がしたが聞かなかった事にする。

クロノを拘束し続けながら、俺は一番聞きたかった事をクロノに聞いた。
「俺が聞きたい事は一つだ。永瀬達を襲ったのは、お前か?」
【背後に回りこみバックドロップを掛ける。技は継続中】
211宮野 光龍 ◆LHz3lRI5SI :2008/12/11(木) 20:35:30 0
>>208
>「作れるがのぉ…恥ずかしい話じゃが、食い物が我が家に何も残ってないのじゃ。
こんな時間じゃからな。開いてる店は…唯能くらいじゃな。
少々遠いが買い物に付き合って貰う事になるがよいかの?」
「ああ」と短く返事する。
おっ!意外だな…こいつ本当に料理できんのか?

>「腹が減っては戦が出来ん!では早速行くか!」

「分かった。今行く!」
さっきあいつにメールしたけど返事来ないな… 
まあ来たらアホだな。 とりあえず今日は鳳旋と行動するか。

「鳳旋。お前の料理うまいのか?それと何作るんだ?」

【場所 スーパー唯能付近】
【鳳旋の料理の腕を心配】
【沙羅のが来ないと確信 念のため狼3匹を工場付近においておく】
212鳳旋 希一 ◆sJZQ9grsuk :2008/12/11(木) 22:00:33 0
>>211

>「鳳旋。お前の料理うまいのか?それと何作るんだ?」

「うむ、よく聞いてくれた!自分で言うのはチトあれじゃが
わしはこう見えて家庭的での。中学のサバイバル時代はよく自炊をして飯を食らっていたものよ。
それでな…―――

―――10分後

注文があるならなんでも言ってくれな。基本食と和食、あとカレーなら作れるからの。」

歩きながら延々と語りつづける。光龍は少々呆れ気味だった

「さぁ、着いたぞ。ここが我らが挑む戦場となる…スーパー唯能じゃ!」
辺りは暗く誰もいない廃れた通りだったが、このスーパー唯能だけは熱気に包まれていた
主婦、学生、仕事帰りのリーマン、貧乏人。まさにお祭り状態だった

これから始まるのは――月に二回開催深夜限定15分タイムサービス。

あらゆる商品全てが大幅に値下げされ、普段は在りつけない
(希一としては高級な)ステーキ肉などもたった百円で買えてしまうという

「開幕は二分後じゃ…では光龍よ。お互い健闘を祈る。」
希一は人ごみの中へと消えていった

【スーパー唯能】
【飯の為のタイムサービスに挑む】
213クロノ ◆SoGLnhQ8WY :2008/12/11(木) 22:33:34 0
>>210

「……」

しばらく返事は無かった。さすがにアスファルトに頭を叩きつけられれば気絶してしまってもおかしくはない。
しかしそうではなかった。今の攻撃によって自身の腰に亀裂の入る音が恋島には届いた。
だが同時に聞こえるはずの音と手ごたえが存在しなかった。
相手の頭と地面がぶつかる時に聞こえるはずの衝突音及びその衝撃。
そして恋島の目の前に映るクロノの姿は――

――首から上が地面に貫通していた。

ここが柔らかい土でできた場所ならそれはさほど不思議ではない。しかしコンクリートでできた道路上にそれは存在する。
それだけならまだ恋島の火事場のバカ力が発現した可能性や、道路が脆くなっていたなどの可能性も無くはない。
しかし道路には貫通地点を中心とした亀裂すらない。まともな現象ではなかった。

少しすると首が埋もれている主の手が動き出し、地面を突き放してその勢いで逆立ちする体勢になると、埋まっていた顔が地上に出る。
下半身も腰を持った主の背中を蹴り飛ばすように足が伸び、恋島が離れると前倒れに勢い付け立ち上がる。
埋まっていた顔には傷一つない。

「全然殺る気が感じられなかったノデ、てっきり戦ってると思ってたのは私の独りよがりかと心配してマシタ。
 ですがそれでも貴方は普通の人間の域を出マセン」

落ちてるジャンパーを拾うと、穴を空けるように布地から指を貫き出す。
しばらく眺めた後、それを放り捨てるとジャンパーは地面に埋まっていく。

「ところで地面に埋まっててよく聞こえなかったのデスガ、何か聞かれましたカ?」

恋島と向き合ってはおらず、落としたナイフを探し見つけるとそのまま拾いに行く。

【クロノ:異能力により地面をすり抜けるように貫通、頭部直撃を避け無傷。ジャンパーも異能力を使い地面に埋める】
214アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/12/12(金) 04:55:50 0
>>188
>>206

「私の立場を答えるなら、あの人に雇われているメッセンジャーとでも言えばいいのでしょうか?
 個人的に昔からよくしてもらっていて、今回の件を知り彼の力になりたくて協力する事にしました。
 貴女のように外国の異能者の方も結構集まってるという話でしたので外国語が話せる子は役立つと…
 貴女のように日本語が上手な方にはこの点は不要ですけどね」

ダウト。――――本当に運がない。彼が小村禅夜でなければ、切り抜ける方法としてはそこまで悪くもないのだけれど。
そもそも、彼が私に対して何かを伝えたいなら、メッセンジャーなど不要だ。
連絡手段は持っているし、彼がそれを失っていた場合、必要となるのは機関への連絡だろう。

「そして私が異能者か否かと問われれば否です。
 異能者同士で手を組もうとしても、いきなり直接会えば敵として話し合う事も適わず戦いになる可能性は高いわけです。
 ですが私のような普通の人間をメッセンジャーとして使えば例え駄目な場合でも血を流す事にはなる可能性は低いんです。
 私を倒してもバトルロイヤルの勝ち星が得られるわけではありませんし、彼も私も貴女が無駄な暴力を好む方とは見ていません」

ダウト。駄目な場合には、人間が血を流すことになる。
そもそも、関係者が犠牲にならずにいられるような状況ではない。

「でも彼が弱いから強い貴女を必要としているのかと聞かれればそれは違います。
 能力の相性もよく、共闘の際にも貴女の迷惑になるような事もないと思います」

……ダウト。駄目ね、これは。でもまあ、確かに異能者ではなさそうだ。
と、彼女はもう一度どこかを見て、何かに気付いたように言う。

「あ、私が遅いから様子を見に来たみたいです」

本当に運が悪い。ある意味では、少し楽しかったけれど。

「……いいわ、逃げたいなら逃げなさい。
 流石に言い逃れができる状況ではなさそうだしね?」

もう興味もないし、どうせ逃げられる状況ではないけれど。
私は手を出さない、と宣言した。

【アルト:黒野暦から興味を失う】
215黒野暦 ◆yODyocELuA :2008/12/12(金) 08:53:51 0
>>214
私は間髪入れずに駆け出し、熱の壁を感じた辺りまで邪神が連れて来られると
そこに飛び込むように入り、熱が感じない事を確認すると同時にノートを取り出し、
自分がそこの異能者の女性に見つかった事、男性の異能者に鎖で邪神が連れてこられた事を一気に書き込み、
その後走り去る際にも自身の挙動を一挙一動書き込みながら逃げ遂せる。

これで二人とも私の事を覚えていない。
女性の方は薬局の様子を見てたら背後に私ではなく、あの男性がいたというように感じる。
男性の方は邪神が捕まったのがさっき見てた位置なら、そこから気が付いたらあの女性の前にいた。
こう記憶は整理されている。

…いや、一つ問題が残っていた。
邪神が捕まってるといずれ私の居場所を特定されてしまう。
離してくれる可能性もなくはないが、命の危険を感じた。それにこのバトルロイヤルの期限までもう時間もない。
幸い私の持っている異能力は一度だけ捨てられる…と邪神は言っていた。
その際ノートの所有者を失う事によって、邪神も再びノートに封印されると。
この力が失われるのは惜しいけど、命を失うよりはマシと考える。

私はこの黒歴史ノートを手にした事を書き込んだ。

【黒野暦:アルトと小村の前から逃げ遂せ、その間の自分と邪神に関する記憶を消す。さらにノートの所有権放棄で邪神も消える。
 人間でないゴッドバルトには記憶が残っている】
216籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6 :2008/12/12(金) 17:32:47 0
池上が帰った後私の部屋には当然ながら織宮さんと私の二人が残された。
ついさっきは織宮さんを巻き込みたくないなどと偽善ぶった事を言っていたが、よくよく考えるとこの町に居る以上どちらにしろ危険なのだ。
池上はそれを分かっていた上で誘っていたのかもしれない。
戦うか否かは別として何が起こっているかくらいは教えておいた方が良いだろう。

「織宮さん、今から私が話すこと少し馬鹿らしいと思いますが、聞いて下さい」

そう切り出すと、織宮さんも雰囲気を察したのか、頷いた静かに私の言葉を待ってくれる。
私はこの町で起きている『機関』の暗躍、今ここがどれほど危険なのかを話した。

「俄には信じがたいとは思いますが、夜道で私達を襲ってきたのもおそらく『機関』の一員。
今後あのような事がまだあると思いますから、何かあったら直ぐに私に知らせて下さい。
出来るだけ駆けつけるようにします」

それだけ言って机の上にある鍋を片付け始める、織宮さんはまだ神妙な顔をして考え込んでいる。
信じて貰えるとは思っていなかっただけにこの反応は意外だった。
どう思っているのかは分からないが少なくとも丸っきり否定されるということは無かった。
私は携帯からさっき貰ったアドレスを登録し、織宮さんにメールを送ってから、池上の電話番号にかけ、履歴だけを残しておき切った。

「では、そろそろお開きにしましょうか。
もう八時過ぎです、織宮さんも帰った方がよろしいのでは?」

今日は非常に疲れた、連戦に連戦を重ね、私の身体はとても疲弊している。
明日に備えて寝た方が良いだろう。

【籐堂院瑞穂:織宮京に『機関』の事について話す】
217宮野 光龍 ◆LHz3lRI5SI :2008/12/12(金) 22:32:35 0
>>212
「鳳旋。お前の料理うまいのか?それと何作るんだ?」

「うむ、よく聞いてくれた!自分で言うのはチトあれじゃが
わしはこう見えて家庭的での。中学のサバイバル時代はよく自炊をして飯を食らっていたものよ。
それでな…―――

―――10分後

注文があるならなんでも言ってくれな。基本食と和食、あとカレーなら作れるからの。」

とりあえず基本食と和食とカレーが好きらしい。まあそこしか聞いてなかったからな。

>「さぁ、着いたぞ。ここが我らが挑む戦場となる…スーパー唯能じゃ!」

「戦場って言っても誰も戦って…ッうお!」
そこは異様な気がする場所だった。
皆、顔つきが違う。よほどこのタイムサービスに命をかけているのだろう。
まさしくそこは「戦場」だった。

呆気をとられていると鳳旋が真剣な声で伝える。
>「開幕は二分後じゃ…では光龍よ。お互い健闘を祈る。」
それだけ言い残し人ごみに消えた。

俺は柔軟体操をし始める。知らないおばさんが俺に話しかける。
「…見ない顔だね。あんた名前は?」
「宮野 光龍…」
「何を買いに来たんだい?」
「…魚だ」
「そうかい。宮野 光龍…がんばるんだよ」

…いろいろツッコミたいが突っ込んでいけない雰囲気のようだ。

時計を見る。後一分。俺は神経を集中させてクラウチングスタートをとる。
目指すは鮮魚コーナー。ターゲット「魚」。
鳳旋!どうにかがんばってくれ。

【スーパー唯能】
【飯の為のタイムサービスに本気で挑む】【狙う食材は魚】
218廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/12/12(金) 23:30:31 0
>>195>>198
俺が女の目を黙ってみていると、先輩の力が抜けたような声が聞こえて来る。
その声は俺に向けて発していたようなので、俺は視線を変え先輩の方へと向ける。

>「そうだ、廻間。お前も鏡見てこい。落書きだらけだぞ…はは」

落書きだらけ、だって?
言われてみれば顔に違和感を感じるような……
とりあえず、茶を淹れる際に鏡で顔を見てみるとしよう。
それにしても先輩は大丈夫なのか?顔には明らかに動揺、呆然などの色が見て取れる。
まあ今は触れないほうが賢明だろうか。

「とりあえず奥に入りなよ。
 確か……風呂はそっち、トイレはそっちにある。
 その服は……とりあえず洗濯機にでもブチ込んどいてくれ」

俺は女を店の奥に案内し、風呂場などの位置があるであろうを教えた。
なぜハッキリしない言い方かというと……俺も知らないからだ。
だから大まかな予想で場所を教える。
女は真っ直ぐに風呂場があるであろう位置へと向かった。
戻ってこないところを見ると、どうやら合っていたらしい。
次に俺は女の着る服を探すため、タンスの中を探る。
勝手に他人の家のタンスを探るなんて、どこぞの勇者みたいだが文句を言ってる場合でも無いだろ。
とりあえず……間に合わせで……Yシャツかな。下は……まあ血がかかっていたのは上だけみたいだしいいかな。
でも一応出しておくか……そういうわけでズボンを出しておいた。ブカブカかもしれないが、無いよりはマシだ。
今はこれ位しかないみたいだし、まあ我慢してもらおう。
俺はYシャツとズボンを手に取り、浴室の前の洗面所に置きに行く。

「タオルと一緒に置いておくからなー」

浴室からはシャワーの流れる音と一緒に、女の了承の声が聞こえてきた。
役目を果たした俺は洗面所から出ようとした時、チラッと俺の顔が鏡に映った。
そこに映っていたのは……

「なんじゃこりゃあ!!」

俺の顔が落書きされている!?
しかも、モテ男だの女たらしだのひどいものばかりじゃねえか!!
ちっくしょう!ルナか沙羅か先輩だな、やったのは!!ふざけやがって!!
とりあえず、まず怒りを静めることにする。
石鹸を手にとって泡立て顔を洗い、落書きを落とす。幸いにも水性だったようで、落書きは比較的すぐ落ちた。

「はあ……ったく、落書きなんて止めろよな」

俺の呟きは誰にも聞かれる事無く、闇に消えていった。
219廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/12/12(金) 23:32:34 0
洗面所から出た俺は台所に向かい、茶を淹れる。
人数分の茶を淹れると座敷の上のテーブルに置き、座って女を待つことにした。
少しすると、女が浴室から出てきた。当然といえば当然だが、身体からは湯気が立っている。
服は出しておいたYシャツを着ているが、やっぱりブカブカな用で見えそうで怖い。
俺は慌てて視線を逸らした。
とりあえず、俺と女は向かい向かいに座る。女の横にはあの禍々しい刀が置かれている。
先輩はまだ現実を受け入れていないようで、この場には現れていない。

>「数々のご厚意、痛み入る。…ところで、まだキミの質問に答えていなかったな。
  私は神野 屡霞。キミの推測通り、異能者だ。霊感が少々強くてね。おかげでこんな妖刀にも目をつけられて困ったものさ。」

「そうか、まあ異能者でもなきゃあんな場面には乱入しないだろうな……」

屡霞と名乗った女の説明に俺は一人で勝手に納得する。
しかし妖刀なんだな、あの刀は……道理で禍々しい気を放ってるわけだ。
妖刀、一度持ってみたいもんだが。
妖刀だと言うからには、ヤバいんだろうな。だから持つのは止めておこう。
俺にはこの『月下十時』と『紅い月』で十分だし、分相応だ。
刀の事には出来るだけ触れず、俺たちは話を進める。
すると途中で屡霞がいきなり素っ頓狂な声を上げ、立ち上がり勝手口から飛び出していった。
俺がぽかんとしていると、すぐに一人の男を引きずりながら戻ってきた。
かなりの大怪我だが、大丈夫だろうか。

>「すまない。連れがいたのを忘れていた。これは怪我人でね。出来れば彼とともに今夜一泊床(とこ)を借りたいのだが…。」

「怪我人?ああ、道理で。
 こんな時間じゃ病院もあれだしな……わかった、店主の国崎ってヤツが戻ってくるまでならいいぞ。
 国崎が戻ってきたら戻ってきたで、国崎に許可を取ってくれ……って」

屡霞が引きずってきた男、俺はそいつに見覚えがあった。

「こいつは……」

確か『戦場ヶ原 天』って名前の異能者……前に俺たちと戦い、俺たちに敗北したヤツだ。
ただ、勝ったとはいえ俺や共に戦った七重もただではすまなかった。
現に俺と共闘した七重は俺以上の重傷を追っている。
そう思うや否や沸々と静かに、確実に怒りがこみ上げてくる。
だが、今は怒りに身を任せている場合じゃない。こんな場面で怒っていたら話を聞くなんて無理だ。
そう思った俺は怒りを押さえ込んだ。

(落ち着け、落ち着けよ俺……)

自分に何回かそう言い聞かせると、落ち着きが戻ってきた。
女が俺にどこか心配した様子で声をかけてくる。
どうやらいきなり表情が変わったらしく、何かあったと思われたらしい。

「何でもない……とにかく、さっき言ったとおりだ。
 俺もしばらくここで休んでるよ。家に戻ったら一人で危ないしな」

【廻間:屡霞の申し出を国崎が帰ってくるまでならいいと条件付で了承】
220ルナ ◆7VdkilIYF. :2008/12/12(金) 23:34:03 0
>>199
「戦えるって……?」

私は思わず首を捻る。
……さて、どうしようかしら。
統時は私の事を相棒って言ってるのよね。
それはすなわち、私を神族だとバラしてはいけないということなんだけど。
この事実を隠したままじゃあ私は独自で動けないわね。
私自身も廻間の異能力の影響による存在だってことにしちゃおうかしら。
言ってしまえば『月下十時』に憑いている精霊……みたいな?
こう言ったら「精霊が独自に動けるのか?」とか「武器に憑いていなくていいのか?」とか言われそうだけど……
まあメンドクサイからこれでいいか。

「んー、今の身体じゃちょっと難しいわね」

身体と言う単語に違和感を覚えたのか、沙羅が詳細を求めてくる。

「どういう意味って?まあ論より証拠、見てなさい」

そう言って私は沙羅の身体に触れる。すると、私の手が沙羅をすり抜けた。
周りから見れば、沙羅の身体に埋まっているように見えるだろう。
流石の沙羅もこれには度肝を抜かれたようだ。

「私は統時の能力の一片。統時が作り出す武器に憑いている精霊。
 だから統時は私に触れることが出来るし、私も統時に触れることは出来る。
 でも、私は統時以外の人間に触れることは出来ないし、統時以外の人間が私に触れることも出来ない。
 物質には干渉する事は出来るけど、生命には干渉できないのよ。
 もし、私の魂の器となる体があれば……統時以外の生命体に触れることも出来るけどね」

その辺に落ちてる小石を適当に拾って握り締める。
それは紛れも無く今いった言葉が事実だという事を示していた。

「だから、何ていうのかしらね。私が武器を持って援護をする事は出来るわ。
 でも今は武器らしい武器なんて持ってない。だから、期待しないでね。
 勝手についてきて何様のつもり? って思うかもしれないけど……
 その代わりといっちゃ何だけど、適当な武器が手に入ったら任せて頂戴ね。
 ……ちなみに個人的には弓が一番得意よ」

【ルナ:援護なら可能だが、現状では無理に等しい。
 正体については誤魔化している】
221鳳旋 希一 ◆sJZQ9grsuk :2008/12/12(金) 23:36:59 0
>>217

「ハッハッハ!相変わらずここは熱気であふれておるの!
ガキの頃を思い出すわ!

狙いは定まっておる。国産牛ステーキ肉。やはり客人は盛大に歓迎せねばならなからのう

肉コーナーの中でもここは特に狙う者が多く、常に熟練の主婦が張り付いており
初心の者では触る事は愚か、見ることさえ不可能じゃった。

(ねぇ…あの人ってもしかして…)
(クリムゾンよ…!クリムゾンが帰ってきたんだわ!)

この鳳旋 希一、主婦からも恐れられる存在よ。

スーパー唯能に残る生きた伝説。クリムゾン。
店内のあらゆるコーナーの最難関を僅か14歳で制覇し、スーパー唯能の主婦王・松水伸子をも打ち負かした男。
紅い髪、眼からその異名が取られている。が数年前からこのスーパー唯能から姿を消していたのじゃ。

開幕一分前。少しずつ身構える人々が増えてきている。
ふん、いくら身構えようと強靭な肉体でも持っていなければ人の波に飲まれてお終いよ。

「あー、あー、只今より、タイムサービスを開始しまっすっ!」
店長の放つ開幕の一言。人の波は雪崩の如く攻め寄せる。
これで数十人倒れたことか。
「かの主婦王からも恐れられたワシの力、見るがいい!」
走り出す。人の波を掻い潜り、確実に通れる道を見つけながら
「この合戦、地形を読み取った者の勝ちよぉ!」

やはり、店内は主婦の数が多かった。流石ベテランといったところか。肥満気味の太った女でも、この状況ではサッカー選手並の俊敏性があった

だが、只一人、王の如くゆっくりと道を歩く白髪交じりのロングヘアーで四十代半ばの女。松水伸子。
周囲の主婦は端に離れ、何故か、倒れていた。
「久しぶりじゃな!主婦王よ!再びわしの前に平伏すがいいわ!」
「出たわね…!クリムゾン!あなたに敗北して、私がどれだけ苦労を重ねたことか…
数年前の私とは違うことを教えてあげるわ!次はあなたが私に平伏す番なのよ!」

火花を散らしあい、互いに走りあう。精肉コーナーは店内の最奥にあり、数十メートル先にあった。

「さぁ、クリムゾン!私に道を譲りなさい!」
「ぐおぁっ!なん…じゃと…か、体が重い…!」
この言葉を聞いた瞬間、体が重くなった。

《欲望という名の刻印》松水伸子の底知れぬ欲望は異能の領域に達していたのだ

「あっはっは!この勝負、私の勝ちかしらねぇ!?クリムゾン!」

【スーパー唯能】
【飯の為のタイムサービスに挑む】
【鳳旋、戦闘?中】
222恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/13(土) 18:16:27 0
>>200
さて……俺はその体勢のまま、クロノの返事を待った。流石の奴も、これには対抗できまい。
返事が無いのを見ると、まさか気絶してるか伸びちゃってるのかもな。――ってそれはまずいって。聞かなきゃいけない事はたくさんあるんだ。
だがしばらく待ってもクロノの返事は返ってこない。そろそろ俺の腰がヤバイ。つーかどうなって……。

あ? 首が……道路を……貫通してる? 俺の目がおかしくなっちまったのかと思ったが、すぐに冷静になる。
――異能力か。なんで俺はこうも簡単な事に気がつかなかったのか。そうだ、俺が戦っているのはただの人間じゃない。
どんな事が起こっても何もおかしくない事ぐらい、自分で分かっていただろうに。
にしても目の前の光景には、頭の中で冷静を気取っていても唖然とする他無かった。

クロノは両足をゆっくりと真っ直ぐ伸ばすと、反動を付けるように一気に両足を反った。
俺はその勢いで、クロノの体を手放してしまった。尻餅をついたがすぐに立ち上がり、後ずさりしながらクロノの方を向く。
クロノは両手を突いてさっきと同じく爆転をすると、服の汚れを払った。頭部には勿論、体にも全く負傷した後が無い。

>「全然殺る気が感じられなかったノデ、てっきり戦ってると思ってたのは私の独りよがりかと心配してマシタ。
  ですがそれでも貴方は普通の人間の域を出マセン」
飄々として口ぶりで、クロノは俺にそう言った。おいおい、俺が必死に立ち回ったのにお前は遊んでたつもりかよ?
最後の発言は褒め言葉って意味で取って良いのか? 悪いが俺は正真正銘普通の人間なんだかな。
しかしココまで裏を掛かれるとは思いもしなかったぜ。頭痛はともかくナイフ、そしてバックドロップは意表をついたつもりだが。

てか流石に腰に響いたのか、腰にジンジンと鈍い痛みが響いている。実際無理な動きをしすぎた懸念がある。
クロノはさっき俺に投げられた時に、抜け落ちたナイフをきょろきょろと探している。あ、そういや俺のジャンパーは……。
と思ったその時、クロノが何かを拾い上げた。薄汚れた……って俺のじゃねえか! ちょ、おま!
クロノはジャンパーに穴をあけると、地面に放り投げた。水中に落ちるように、ジャンパーは地面に埋っていく。
俺の……初給料で買った……ジャンパー……。コイツには物を大事にする精神ってのは無いのか? 自分がやられて嫌な事は人にするなよ……。
223恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/13(土) 18:17:20 0

>「ところで地面に埋まっててよく聞こえなかったのデスガ、何か聞かれましたカ?」
ナイフを地面から拾い上げたクロノが、俺に視線を向けずに言った。完全に馬鹿にされてるぞ俺。
はぁ……。なんつうかここまで小馬鹿にされると、真面目に戦ってるのが馬鹿馬鹿しく感じちまうな。
クロノはさっき決着が付くのは時間が掛かるといったが、正直もう俺には奴に抗える力は殆ど残されていない。

実は動いているうちに、何故か左腕と右足の感覚が完全に戻っていた。紅原の毒の持続性が切れたのかは知らんが。
だからダッシュで逃げる事(100%不可能だが)が出来るし、その場に落ちている機械? のような物をぶん投げる事もできる。
だが、だがだ。どうしても俺には不利な事がある。それはだな……。

逝っちゃったのだ。腰が完全に。

だから俺の意思とは関係無しに、俺はその場に腰を下ろしている。クロノはさっきので体の調子が狂ったのか、ラジオ体操的な動きをしている。
こりゃあマジで万事休す、及び泣きっ面に蜂か? にしてもこれはホントに参った。自分の不摂政を呪うねぇ、俺は。流石にこれはクロノのせいじゃない。
なんかこのままじゃ俺が余裕みたいな感じだな。超絶不利な立場なのに。にしてもあんま恐怖感が無いのは何故だ。
あまりにも行動と結果が空回りしすぎて笑うしかないからかもな。そう思うと自然に口元から笑いがこぼれてきた。

俺の行動に、クロノは疑問符を浮かべた。そりゃあそうだ。いきなり路上に座った上に笑い出すとあっちゃ、狂人と思われても仕方が無い。
コイツでも少しは優しさがあるのかも知れない。どうせこのまま黙っていても殺られるのだ。なら良いだろう。
俺は上げれるだけ(といってほんのちょっとだが)腰を上げて左膝を付いて、クロノの方を向いて言った。
「・・…・たくっ、どこまで俺をおちょくるんだよ、アンタは。参った参った」

苦笑を交え、俺は数回拍手する。人間性はクソッタレの下衆野郎だが、戦闘能力に関しちゃは褒めるしかない。
「でだ、さっき聞きたかった事があったんだが、アンタの異能力とやらで無下にされちまったからな。
 もしアンタに獲物を殺す前の余裕とやらがあったら教えてもらいたい」

「やっぱりアンタなのか? 香坂と――永瀬を手に掛けた人物は?」
【腰をやってしまったため、身動きするのが難しい。クロノに再度永瀬達の事を聞く】
【現在地:路上】
224八神統夜:2008/12/13(土) 21:05:43 0
名前:八神 統夜
二つ名:葬送幽鬼(シャドウパレード)
年齢:15
身長:169cm
体重:65kg
種族:人間
職業:学生
性別:男
能力:魂・死体を自由自在に操る(ただし、ある代償が必要)
容姿:眼にかかるの灰色の短髪・ブレザーの学生服(黒色)
趣味:読書、ギター
好きなもの:友達とだべること・本・ギター
嫌いなもの:虫

キャラ解説:
小学生の時に、事故で頭に障害が残り
それ以来、幽霊などのたぐいが視えるようになってしまった
それから、自分が幽霊などのたぐいが視えることを他人には話さないこと
にして静かに暮らしていたが、
能力が覚醒したことにより否応ことなく戦いに巻き込まれことになってしまった
統夜の能力は、より多くまた、強い霊の場合代償を必要とするが
ただし、一度使役し自分を認めさせた霊には、たとえ強くても
代償は必要ない

始めまして今回から参加させてもらう
八神 統夜です、よろしく
あと、皆さんのような文才は僕にはありませんので
お見苦しい点が多々ありますがよろしくおねがいします
225名無しになりきれ:2008/12/13(土) 21:08:07 0
>>224
ちょっと待て
こっちじゃなくて避難所に書いてくれ
226梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/12/13(土) 21:09:40 0
>>198
涙が枯れ、目が腫れ、喉や腹が痛くなっても笑いが止まらなかった。
―――狂ってるのは俺か世界か。
いや、どっちもか。

暫く経ってから、漸く狂った笑いが止まる。
それは、頭が冷えた証拠だった。
頭の回転が途端に速く、多くなる。

(現実は否定しようが無い…目の前で人を殺され、斬られた首が転がってるのも否定できない。
 なら、これからどうするか。冷徹に判断を下すべきだな。まずはやらなきゃいけないことは…)

やるべき事と言えば…。
第一に、死体の隠滅、血痕始末。
第二に、情報の収集。
第三に、安全の確保。
第四に、死亡回避方法の考案。
大雑把だがこれらが、俺が元の日々に戻る為に必要なことだ。

(まずは死体を消すことだ。だけど、さっきの女性の話を聞いてからでも構わないか。
 どうせ、此処は去るだろうし。)

それでも念のため、少しの間隠蔽しておこう。
死体と飛び散った血に霧を纏わせて、ぱっと見た感触をぼやかす。
吐き気のしそうな光景は少し和らげられたが…。
「…上手く、見えなければいいけどな」


座敷に入ると、廻間と女性が向かい合って座ってた。
その近くには、なにやら怪我をした男性が居た。誰だろうな?

「やあやあ、梓川が入室いたしました〜」
無理にテンションを上げておどけた様子で部屋に入る。
ちょっと驚いた目で見られたがそんなの構いやしないね。
「そんなわけで言い忘れてたが、唯能高校3年。梓川博之だ。
親しい奴らにはハカセなどと言われてるが、まぁ見ての通りそんな柄じゃないんだけどな?
そもそも『はかせ』の漢字違うし。

…で、さっき覚悟があるなら話を聞けって言ってたよな。聞くだけ聞かせてくれないか?
それから日常に戻るか、戻れないか判断する。
ん、それとも……廻間、もしかしてお邪魔だったか?」

ニヤリと胡散臭そうな笑みを浮かべてみた。


【梓川:冷静。無理して性格を作り上げている状態】
227神重智&敬 ◆6eLTPQTFGA :2008/12/13(土) 21:12:37 0
>>202

「うふふ、まぁこんな所で立ち話も何だから、落ち着く場所で話さない?
良いお茶の店が在るのよ…ってこの時間は空いてないかしら」

こちらが迎撃準備をしてるのを知ってか知らずか
七草はどこかで話をしよう、などと言い出した。

(おかしいな…こいつには何かあるぜ…)
敬がそう言うのも無理はない。
真昼間からあんな大々的に殺し合いをしておいて今更落ち着く場所で話さないというのは如何なものか。
だが智の考え方は違った。

(…おもしろい…)
(何言ってやがる智、こいつはどう考えても怪しいだろうが)
(こいつが何を考えて我々と接触したか…それを知るだけでも随分変わると思うが?)
(まぁ…それはそうなんだが…)
(決まりだな)

集中させていた力を解く。
気持ち周りの空気が軽くなったのは気のせいではないのだろう。

「いいでしょう…その店が開いてるかどうかは置いておいて…
 とりあえず行きましょうか、案内をお願いします」

敵意が無いならば相手には敬意を払わなければならない。
智は出来るだけ丁寧に言葉を話した。

少し嬉しそうな顔をした七草が道案内をしようと歩き出し
それに少し遅れて智も歩き始める。

「だが全く何も無いわけではないだろう
 その目的を歩きながら少しは聞かせてもらおうか」

(まったく…どうなってもしらねえぞ…先生)

【神重:七草の行動に疑問を持ちながらも一応同行する】
228八神統夜:2008/12/13(土) 21:18:13 0
>>225
すいません、間違えました。
避難所に書きます
229七草 ◆O93o4cIbWE :2008/12/13(土) 22:11:56 0
>>227

「いいでしょう…その店が開いてるかどうかは置いておいて…
 とりあえず行きましょうか、案内をお願いします」

神重は暫し思案した後、此方の誘いを受け入れた。

「うふふ、そう来なくっちゃ!、じゃ、行きましょうか」

移動しようとした矢先に再び神重が切り出してきた。

「だが全く何も無いわけではないだろう
 その目的を歩きながら少しは聞かせてもらおうか」

ふぅん、目的、ねぇ、目的なんて本当はないんだけどねぇ、ま、強いて上げるなら

「言ったでしょ、貴方を倒すのはこの私だって…
 でも今のアナタを倒しても意味が無いわ…だからアナタが私以外の奴に倒されないように
 力が戻るまで私が……、守ってやるって言ってるの…、アナタにだって悪い話じゃないと思うけど?
 分かった?、じゃあ行くわよ!」

途中から神重に背を向け話し出し、そのまま歩みを進め出した、神重は帰ってきた返事が予想外で面食らっている様子だが、
今の彼女には見えておらず早足で先に進んでいて神重とは多少の距離が離れている。

「ホラ!早く来ないと置いていくわよ!」


【七草:移動を開始】
230神野 屡霞 ◆u5ul7E0APg :2008/12/13(土) 22:17:57 0
>>219>>226
黒髪の少年は多少戸惑いながらも、屡霞と戦場ヶ原の宿泊を承諾してくれた。
彼の様子から察するに、おそらく戦場ヶ原と何かあったのだろう。
昂ぶった戦場ヶ原に理不尽な理由で闘いを挑まれた少年の画が容易に想像できた。
「ありがとう。」
また丁寧に頭を下げると、屡霞は戦場ヶ原を次の間の座敷に寝かせた。

「やあやあ、梓川が入室いたしました〜」
突如、空気に見合わぬ陽気な声が部屋に響いた。
振り向けばそこには先ほどまで泣き狂っていた混じり色の髪の少年がにこにこと座敷へ上がってきていた。
その表情はどう見ても作り笑いだ。狂いそうになる自分を必死に抑え込もうとして無理に表情を作っているのがよくわかった。
(哀れな…。しかし、強い少年だ。)
普通の人間ならば、先ほどの状況に我を失い逃げ出していただろう。
しかし、彼は逃げなかった。狂気を抑え込むだけの心の力を、彼は持っていたのだ。
彼は明るい調子で梓川と名乗った。そして黒髪の少年を廻間と呼んだ。
梓川と廻間が軽口を叩き合っている間に、屡霞は二人とちゃぶ台をはさんで正坐し、ゆっくりとその口を開いた。

「…では、話の本題に入ろう。
 まずキミたちが異能者ならば、3日前、キミたちのもとへ不可解なメールが届いただろう。」

二人が黙ってうなずくのを確認して、屡霞は続けた。

「生き残るために戦え―――、このバカげた催しの黒幕が…我々が『機関』と呼んでいる組織だ。
 私もこの3日間この街で情報を集め、そこに寝ている男…戦場ヶ原と出会って確信を得たのだが、
そこで得た情報をまとめて、キミ達に話そう。」

屡霞はそこで切ると、出された緑茶に口をつけた。
そしてゆっくりと時間をかけて話し出す。

機関という組織の強大さ…、

城栄金剛という男の存在とその所業…、

街に放たれた機関の刺客や虐殺部隊…、

戦場ヶ原の過去…、

そして機関の今の目的とその本拠地―――…

自分たちが知り得るすべての情報を洗いざらい話した。
いつしか二人は、食い入るように話を聞き、それぞれが思う表情をしていた。
そんな二人を見て屡霞は、茶で口をうるおしてから真剣な表情で付け足した。
「…なぜ私が、初対面のキミたちにここまで話すか、分かるか?」
そう言う屡霞の眼は、だんだんと見る者を威圧する眼に変わっていった。

「キミたちを我々の仲間たり得る異能者と見込んだからこそだ。
 私は先ほどこう言った。知れば二度と日常には戻れなくなるだろう、と…。
 キミたちはもう知ってしまった。もう後戻りは出来ない。
 この情報を知った上で私の協力要請を拒むというのなら、私はキミたちをここで斬らねばならない。…あそこにころがっている骸のようにな。」

二人が当惑するのを見て、屡霞は申し訳なさそうに苦笑した。

「脅すような形になってすまない。だが、機関という強大な敵に立ち向かうには、力が必要なんだ。
 キミたちの力を、貸してほしい。」

【屡霞:現在位置:国崎薬局。現在時刻:長話をしたため9:00くらい】
231名無しになりきれ:2008/12/14(日) 00:31:40 0
鬼頭燕雀からのメールが来て、3日が経過した夜
八神統夜はとある廃ビルの屋上にいた
「そろそろ、俺も参加しようかな」
そう、つぶやき後ろを振り向く
「なあ、楽しみだよなおまえたち」
後ろには、誰もいない、
否、
ヒトだったモノがゆらゆらと舞っていた
その数、百十二
「「「「「ああ、楽しみだ」」」」」
人魂がいっせいに答える
「なんたって、いままで力を出す機会なんかなかったもんな」
嬉しそうにに統夜は、そう言った
彼は、屋上の手すりに手を掛け登りちょうど折り返し地点の所で街を眺める
「やっぱり、この街の夜景は美しい」
ビルの窓の明かり、住宅地の明かりそれらがあいまって、地上の星空のようだ
と、統夜は思った
「だが、儚くそして脆い」
後ろを振り向き、人魂に語るように言い放った
「この美しい街を俺らの手で美しくしてやろうじゃないか、幸い、ここには
お前らが見えそうなやつがたくさんいる」
そう言い、フェンスを蹴り上げ地上5階だてのビルから飛び降りる
「さあ、俺の戦いの始まりだ」
新たな男が、この物語に加わった瞬間だった

【八神 統夜:現在位置:街のどこか】

232池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/12/14(日) 00:50:43 0
──目的地を捕見下ろしながら、徐々に体を重力のままに地面へと降下させていく。
空から舞い降りる瞬間を通りがかりの人間に目撃でもされたら面倒なことになるところであったが、
まだ真夜中とも言える時間帯ではないにも関わらず、薬局の表通りには人の影が全く見られな
かったのは好運であった。

俺はゆっくりと、なるべく音を立てずに大地に着地し、生涯初の空中飛行を二分半で終えた。
だが、そんな短い飛行時間でも、『冷翼波』についての特性を判明させるに至っていた。
それは技の威力と同様、やはり飛行の速度も上げれば上げるほど凍気の消費が増えるということ。
そして地を走るより早く、だができる限り長時間の飛行を望むなら、
その速度は今の俺には恐らく時速40〜50kmほどがベストになると思われるということなどである。

使用に関しての目安をつけ、俺は思わず微笑を浮かべながら眼前の国崎薬局を見据えた。
薬局の中には複数の異能力が感じられるが、不思議なことに俺の右手は今までのように痛みを訴える
ことはなかった。だが、痛みを感じなくなった代わりに『勘』というものが鋭くなったのだろうか、
俺は自分でも驚くほど薬局の中の異能力の数を正確に捉えていた。数はそう、一つ二つ、四つほどだろう。
俺が薬局を出た時は中にはあの剣使い一人しか残っていなかったので、
つまり俺が離れていた間に、他三人の異能者が来たということになる。
残念ながら今の俺にはその中の一人が国崎かどうかまで知ることはできないが、
どの道薬局には立ち入らなければならないことには変わりはない。
俺は笑みで緩んだ顔を引き締めると、薬局の玄関まで歩みを進めて、ドアを開いた──。

──ドアを開くと、まず店内に立ち込めた異臭が俺の鼻をついた。
それが妙な靄がかったような物体から放たれていたことには直ぐに気がついたが、
その物体が異能者の亡骸であり、異臭とは血の臭いであったことに気がつくまで少々の時間を要した。
勿論、死体を作ったのはこの店から感じた四人の異能者であることは容易に想像がついた。
店のカウンターにその姿がないということは、奥の部屋にでも引っ込んでいるからなのだろう。
俺は無言で歩みを進めると、店の奥へと入っていった。

──奥の部屋に辿り着くまでの途中の廊下で、俺は複数の男女の声を耳にして不意に立ち止まった。
彼らは会話に熱中しているせいで俺の存在に気がついていないのか、
小声で話すこともしていなかったので、俺はその内容を容易に聞き取ることができていた。
聞けば、どうやら俺の他に協力者を探している人間がいるらしい。それも声からしてそいつは女のようだ。
俺は止めていた足を再び動かすと、堂々と部屋の中へ入り込んだ。

部屋を見渡すと、そこには四人の人間がいた。四人の内二人は剣使いと霧男、
もう一人は見覚えのない黒髪の女。協力者を探していると思われる女とは、恐らくこいつのことだろう。
だが、残る最後の一人は──俺がまるで予想していなかった人間だった。
『山田 権六』──。戦闘の後だったのか、体は傷だらけで意識を失っているようなので声は聞けないが、
顔やあの特徴的な格好からして、見間違えるはずはない。
(……国崎を探して山田に会うとは……流石に予想できなかったな)

>>230
「──店長は戻らず、店内では殺人か……。いよいよこの店の未来は暗くなってきたな」

そう言って彼らの会話に乱入すると、次に俺は黒髪の女に目を向けて、言葉を続けた。

「力を貸して欲しいなら俺が貸してやってもいい。どうやら俺と目的は同じようだからな」

【池上 燐介:右手の痛みに頼らなくとも、異能者の存在を察知できるようになる。神野らの会話に乱入】
【現在地・国崎薬局】
233八神統夜:2008/12/14(日) 01:40:05 0
>>231
幸い廃ビルだったから、ビルから降りてきた所は誰にも見られていない
さーて、まずどっからいくか
さて、どんなヤツがいるか楽しみなんだが
とりあえず市街に行ってみるとして
まず偵察に出すか
「『人魂哀歌-ヒューマンエレジー-』発動」

─人魂哀歌-ヒューマンエレジー-
人魂と自分の感覚をつなげ、人魂が見聞きした事を直接脳に送る術
しかし、相当な力を持った異能者には見えてしまうという欠点がある
また、普通の人魂と違って蒼い炎をしている。

人魂が見た光景が直接脳に見えてきた、
元の風景が遠ざかり、送られてきた風景が近くなっていく
「…よし、半径2kmには異能者らしき者はいない、よし解除」
遠くの光景が、遠ざかり元の風景に戻る
「何回やっても、これってなれないんだよな」
眼が少し違和感があるがこれで、安全は確認された
もうそろそろいくか
歩いて市街まで、直線ルート時間で、30分弱
時間ももったいないし、走っていくか
それだと10分くらいですむだろうしな
「じゃあ、いくか」

【八神統夜:10分後、市街に到着 現在位置:フタツナスカイホテル周辺】
234クロノ ◆SoGLnhQ8WY :2008/12/14(日) 09:21:04 0
>>223
「オヤ、やはり貴方からすれば遊んでいるつもりだったのでしょうカ?
 まあかまいマセン。私は貴方のような機関の方と戦う時、いちいち名前を聞く習慣は無いのでわかりませんガ…
 箱を出す異能者の少女の事ならここには来ないと言ったはずデス。まああの辺りで待機していた方達と違って確認はしてませんガネ」

そう言って>>172のズボンやら靴やらが落ちてた場所を示す。
そこに注意が行く間に、先程のように再び手刀とナイフを構えると恋島に一気に距離を詰める。

「貴方はちゃんと埋葬してあげマスヨ」

そして腰を悪くして反応の追いつかない恋島の胸を手刀で刺し、首をナイフで切り裂く。
―その未来は寸での所で止められた。手刀は恋島の服を貫通して胸に爪が食い込み、ナイフは首元に刃先を付きつけ血玉を浮かばせている。
その体勢のままクロノは恋島の顔から目を背けずに、一瞬の間を置いて口を開いた。

「…何かありましたカ?」

顔は恋島に向けたまま。しかしこの問いはこの場に現われた第三者に向けられたものだった。
しばらくの静寂の後、電柱の影から黒いコートとサングラスを装着した長身の青年がぬっと現れた。


「ふふふ……この俺『闇の解析者』に気付くとは、中々やるようですねぇ」
「用件があるのなら早めにお願いしますネ」

『闇の解析者』と名乗ったその男は口を開こうとするが、恋島に視線を向けると話しずらそうにしている。

「かまいマセン」
「…ヤハウェケース1、コードネーム『火炎歌劇(クリムゾンラビリンス)』が機関に囚われている情報入手。
 これを使い例の計画を明日には行われる模様。指令はこの計画の阻止。場所はナガツカインテリジェンスビル」
「"計画の阻止"デスネ?」

クロノに話をせがまれると、闇の解析者はすぐ用件を伝え、簡潔な確認にもすぐ頷いた。
やりとりから二人が知り合いである事が伺える。

「判りマシタ。この機関の方を片付けたら一緒に行きまショウ」
「機関の方?…ふふふ!クロノ、闇の解析者の俺には判る。その男はまだ正式な機関の人間じゃない。まあ既に入るつもりでいるようだが」
「オヤ…貴方がそう言うのなら間違いないのでしょうネ。臭いが微妙だったのでそんな気もしていてましたガ」

両手はそのままの体勢でクロノは顔を俯け、肩を落とす。しばしの沈黙。そして再び顔を上げて恋島に向き直る。
恋島に向き直ったそのニヤケ面は、今まで以上に嬉しそうな様相をしていた。

「達哉サン、今から私達は機関と戦いマス。このまま敵になるならこの場で殺さなければなりマセン。
 ただのジャーナリストを続けるか今死ぬか選んでくだサイ」

【闇の解析者:電柱から現われ>>155の情報を伝え、恋島がまだ機関の人間でない事を証明する】
【クロノ:現われた闇の解析者と知り合いの様子。手刀とナイフを突きつけた状態で恋島に選択を差し迫る】

【虐殺部隊以外の機関の者にナガツカインテリジェンスビルの警護をするように通達が来る】
【廻間統時をこの件に連れて行く目的で国崎薬局に『廻間幻十』がやって来る】
235姫野 与一 ◆LuqsQs0P4w :2008/12/14(日) 12:16:53 0
彼女は50階建てナガツカインテリジェンスビル本社、その屋上で眠っていた。
…なのにまたこのメールで起こされた眠そうなポニテ。彼女は機関のNo.20姫野 与一

「またぁ…?眠いのにぃ…内容は…同じかぁ…めんどくさ…ウウー…寒寒…」

偉い人から仕事が来たからやらなきゃいけない。また''人の狙撃''…
今までここで何十人殺したか。偉い人曰く人をたくさん殺せば生き延びれるとか。
「眠いけど…やらなきゃなぁ…」
狙いは大木南川の河川敷にいる帽子のおじさん。…棒…?棒があの人の武器なのかな。ダッサイなぁ
携帯を投げ捨てて、立ち上がり自分の背丈以上に長い愛弓「飛竜」を構える。それを黒いグローブを付けた右手で強く引き絞った。
河川敷とビルの距離は相当離れており、河川敷からはその姿をまず確認できない。
だが彼女には狙いがはっきりと見えていた。
彼女は生まれつき視力が常人を超越しており、人々は「神の目」と呼んでそれを尊敬した。

弓を引く右手が光り、槍状の物質を形成した。鋭く細長い冷たい鉄の塊。

―矢の生成。それが彼女の異能力だった―
「ターゲット確認。視界良好、飛竜安定確認、装弾物語固定完了、障害、無し。
じゃ、そのダッサぁい武器と一緒に死んでねぇ…」

パッ、と右手を放し、放たれたそれはゴウッと音を立て風を強引に切り裂き、中年の頭を貫通し、死体共々川に落ちた。死亡確認
「また一発で終わっちゃった…つまんないの…」
弓を隣に置き、大の字で寝転がり。自分の髪を口元に当てている
「全然手応えがない…もうここにいるの飽きた…」
屋上にはレトルト食品のゴミが散乱していた。彼女は三日三晩ここで異能者を狙撃をしているのだ。
「ここ寒い…暖かい所で寝…た、い…なぁ…」
眠った。再び依頼が来るその時まで。
だが、投げ捨てた携帯が振動を鳴らしていた。内容は近日中に攻めてくる異能者軍団の迎撃――

【河川敷にいた棒使いの異能者を殺害】
【ここにいる事に飽きている】
【睡眠中】
236恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/14(日) 20:33:53 0
>>234-235
肩で息をしながら、俺はクロノの返答を待った。どんな返答だろうが聞き入れるつもりだ。
けど一つ、俺には心配事があった。それはレオーネさんの事だ。
もし俺の的中通り、永瀬達が死んででも居たら、俺はあの人とどう付き合えばいいか分からない。
永瀬達がこんな目にあったのも、クロノが俺達の目の前に現れたのも全て、元を辿っていけば俺の行動の結果だ。
俺は自分の行動で、何の関係の無い人間を巻き込んでしまった。そうだ、俺の行動で……。

>「オヤ、やはり貴方からすれば遊んでいるつもりだったのでしょうカ?
  まあかまいマセン。私は貴方のような機関の方と戦う時、いちいち名前を聞く習慣は無いのでわかりませんガ…
  箱を出す異能者の少女の事ならここには来ないと言ったはずデス。まああの辺りで待機していた方達と違って確認はしてませんガネ」
……っつ、もう返す言葉も見つからねえよ。まぁ普通、これから殺そうとする相手の名前何ざ、よっぽど悪趣味でない限り聞かんわな。
はぐらかしているの……か? それとも手前の性格上、直接言いたくねえってのか。とことん気にいらねぇ、手前。

奴は視線を衣服が散らかった場所に移した。俺は疲れのせいか、目がとろんとしてしまいそっちを向……。

>「貴方はちゃんと埋葬してあげマスヨ」
クロノの声が聞こえた瞬間、俺の首元にとても冷たく残酷な感触が過ぎり、同時に胸に鋭い痛みが奔る。
――――ナイフと手刀の同時攻撃か。
くそ、完全に殺す気かよ。たらりと首から血が滴り落ちるのが分かる。少しでも動けばスパッと斬れそうだ。
同時に奴は少しずつ、俺の胸に爪を食い込ませた。流石に心臓まで貫く事は出来ないだろうが、非情に息苦しい。
奴の視線が俺の視線と重なる。恐怖は感じないがなるほど、すげえ威圧感だ。負けじと俺はガンを飛ばすが、何時まで持つやら。

>「…何かありましたカ?」
俺と目を合わせながら、クロノがそう呟いた。・・・・・・背後に気配を感じる。第三者か? 
にしてはクロノの言い方に毒が無い。おそらくクロノの仲間だろう。
参ったな……と思うが、クロノと違いその気配は弱弱しい。当然ながら第三者のその顔を拝む事は出来ないが。
クロノはその男に対して用件を急かした。まさか俺を……と思ったが、こんな町で名を知られる様な事をした覚えは全然無いんだが。

その男とクロノの会話の内容は、俺には理解できないしれない物だった。ヤハウェ? クリムゾンラビリンス?
それに計画って何だ? それにナガツカインテリジェンスビルってこの町で一番デカイオフィスビルだよな……。
もしかしたらこいつらはテロでも起こそうってのか? だとしても俺にできることなんざ何も無いがな……。

会話が終わったようで、クロノの仲間とクロノは一拍間を置いた。……いいから俺から目を離せよ。瞬きできないだろうが。
>「判りマシタ。この機関の方を片付けたら一緒に行きまショウ」
 「機関の方?…ふふふ!クロノ、闇の解析者の俺には判る。その男はまだ正式な機関の人間じゃない。
  まあ既に入るつもりでいるようだが」
 「オヤ…貴方がそう言うのなら間違いないのでしょうネ。臭いが微妙だったのでそんな気もしていてましたガ」
クロノの仲間の男が、嬉々とした音色で俺の事を指した。多分異能力かなんかで俺の事を探ったみたいだ。
人の事を覗き込むのはクロノと同じくらい悪趣味だから止めとけと、俺は言いたい。生憎喋っても斬れそうだから言えないが。
にしてもコイツはキッツイぜ……。首にナイフ、胸に手刀か。そして少しでも動けばスパッ、またはドスッ……ね。
237恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/14(日) 20:34:23 0
左腕と右足の様子は幸か不幸か完全に回復している。体温が戻ったお陰か、えらく肌寒い。ジャンパーを取られたからな。
腰だ。問題は。もしさっき腰を打ってなかったら、迎撃なり出来ただろうに。かといってその後は……。ま、ムリダナ。
ギリギリまで引きつけて股間を蹴ってやろうと思ったが、あまりにも至近距離過ぎる。この距離じゃ動く事も、動く事も?
そうだ、俺さっきから腰にばっか重点を置いて考えていた。別に全身が拘束されてる訳でも、完全に身動きが取れないわけでもない。
ただ単に逃げるだけなら不可能じゃないはずだ。それに……背後のクロノの仲間はその雰囲気から考えて大した事は出来ない。

クロノとその背後のクロノの仲間の会話から察するに……。
彼奴らは今からナガツカインテリジェンスビルでテロ行為かそれに近い事をするつもりだ。
つまりクロノにはもう喫茶店による時間は無い。
まぁレオーネさんがクロノに負けるはずは無いとは思うが、コイツが喫茶店に行かない事を祈ろう。
ぶっちゃけマスターの事も、そして俺自身の過ちの事でも……俺は喫茶店には……。

>「達哉サン、今から私達は機関と戦いマス。このまま敵になるならこの場で殺さなければなりマセン。
  ただのジャーナリストを続けるか今死ぬか選んでくだサイ」
一度俯いたクロノが、思いっきり気持ち悪い笑顔で俺にそう言った。・・・・・・嫌だ。手前にだけに殺されるのは、絶対に嫌だね。
……耳鳴り、後ろに障害物は? 何か尖ってる物とか無いか調べてくれ。
『無いな。クロノの仲間の男との距離は一畳は離れている。……どうするつもりだ?」
「こうするんだよ」
俺は明るい声でそう言いながら――――勢いよく後転した。同時にクロノのナイフを持っている方の手を右足で弾き飛ばす。

回転しながら、クロノの仲間の男の戸惑っている顔が見えて妙におかしかった。回転し終わり、体勢を立て直す。
「うううらぁっ!」
自分自身なんでこんな掛け声なのかは分からないが、俺は無理やり腰を奮い立たせた。
ヤバイ、凄くヤバイ音がするけど、なりふり構ってらんねぇ!
――――た、立てた……立てたぞ! つっ、いつつ……。やっぱり腰いてぇ……。だが、これで取り合えず逃げる事だけはできる。
だがただで逃げるのは俺の性根が絶対に許さない。俺は目の前でナイフを拾おうとするクロノの顔目掛けて――――膝蹴りを決めた。

感触はしたが、こいつには大したダメージにはならないだろう。まぁ、良い。俺自身の自尊心が回復したからな。
膝蹴りを決めた後、俺は体を急回転させて、クロノとクロノの仲間に向きあった。
クロノの様子はよく分からないが、仲間の方は驚いているようだ。
何か言ってやりたい。こいつらが悔しがるような台詞を――――。
「あ……ジャ、ジャンパーの借りは何時か必ず返すぞ! バーカ!!」
238恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/14(日) 20:36:25 0
一体何処まで俺は走ったのだろう。クロノに幼稚すぎる捨て台詞を吐いてから……。
実際酷い負け仕合だ。いや、仕合にもなっちゃいないだろう。俺は完全にクロノに負けた。完全に。
走りながら俺の頭の中で様々な念が過ぎっては渦巻いた。
軽はずみな行動が招いた結果による自責の念、無駄に虚勢を張った事に対する後悔の念。
それに……もうやめた。惨めだ、惨め過ぎる。あんまりにも俺は弱すぎる。心も体も何もかも。

とにかくもう喫茶店に、いや、レオーネさんには会えない。クロノに負けた上に、永瀬達が無事でないと分かった今、会えるはずが無い。
あぁ、走りすぎたかな……。俺はその場に立ち止まり、肩を上下しながら息を整えた。これほど必死で走ったのは何年前だったかな。
ふと周囲に目を向ける。物寂しい河川敷だ。もう時間が時間だから当たり前だが……寂しいな、ホント。
何だろう、無性に何かが俺の中で湧き上がる。俺は……俺はどうしたいんだ? 妙だ、何で泣いてるんだ、俺。

もう俺には戻る場所が無いな……。レオーネさんからは逃げた事で「機関」入りを振り、かといって国崎がいない今、もう仲間もいない。
全部俺のせいだ、全部俺自身の行動が招いた……分かっちゃいる。分かっちゃいるがやりきれねぇ。後悔しても仕方が無い事くらい。
もうこのまま誰かに殺されちまった方が良いのかもな。そう思って、その場にしゃがみこむ。もうどうでもいいや。どうせ俺なんてさ。

「お、おおい、ア、アンタも異能者か?」
しがわれた声がして、俺は顔を横に向けると帽子を被った薄汚れた服装のオッサンがオドオドしながらそう聞いた。
浮浪者か? 身なりからして完全に落ちぶれちまってんな。ま、戦う事から逃げた卑怯者な俺よりかはマシだろうが。
俺は半場呆れ気味で、オッサンに言い返した。
「だったら?」

「なら……なら、悪いが死んでくれ」
おいおいオッサン、右腕が震えてんぞ。するとオッサンの手からいかにも弱弱しい鉄の棒が生成された。オッサン、アンタが異能者って……。
まぁ、クロノに嬲り殺されるよりかは、必死で生きているこのオッサンに殺された方がまだマシかもな。俺は目を閉じ、オッサンの攻撃を待った。
ぶっちゃけあんな棒で殴られても全く痛く無さそうだが、それならそうで川にでも突っ込めば良い。

「悪いな、あんちゃん。……くぉぉぉぉっ!」
オッサンが棒を構えて、俺へと向かってくる。あ〜あ。下らねえ人生だった。このまま……
『達哉、すぐに離れろ! 遠距離攻撃だ!』
耳鳴りが何故か焦るような口調でそういった。まぁ遠距離は遠距……え、エエ?

俺の目の前で、オッサンの頭にどこからか飛んできた鉄の棒が貫通した。恐ろしいくらい先端が尖った鉄の棒だ。
オッサンは糸が切れた人形のように辺りを揺ら揺らとすると、転倒して河川敷をゴロゴロと落ちていき、川の中に落ちた。
や、やべぇ……。あまりに一瞬の出来事に、俺の口から乾いた笑いがこぼれた。
【現在地:河川敷】
【クロノの問いを拒否するとともに窮地を脱す。河川敷まで逃げた後、姫野の異能力を目の当たりにする(無論姫野の姿は見えない)】
239久坂 闇 ◆AcGOOYOwno :2008/12/14(日) 21:39:30 0
「暇ね……」
貳名市某所にある呉服屋で、闇はそう呟いた
客の来ない店の番ほど暇なことは無い
もう店を閉めようかそう思ったとき、闇の携帯が鳴った
「こんな時間に……?」
訝しげに思いつつ、新着メールを開く
差出人に心当たりは無い、普段なら無視する所だ
……しかし、今日は違った
そのメールを何度も読み返す
そして、再び顔を上げたとき
闇の表情は笑う様に歪んでいた
「良い暇つぶしになりそうね……」
自ら積極的に戦闘に参加する気は無いが
どこかから見物するのみならこれ以上の暇つぶしは無い
そう思って、闇は夜のヤミの向こうへと消えた
【久坂 闇:現在位置:市内某所呉服屋前】
240小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/12/14(日) 22:20:00 0
>>214-215
ガシャン―――
『何か』を拘束していた鎖が、獲物の消失により意味を失った。
鎖同士がぶつかり合う金属音によって、小村がハッと我にかえる。

「な?……」
驚きの顔を見せ、周りを見渡す。
さっきまで歩道に居たというのに、ここはビルの屋上だ。
それに、
(……ゴッドバルト、今なにが起きました?)
(拘束シテイタ、物体ガ逃ゲマシタ、ソレト少女ガ一名、走リ去リマシタ、Master)
(少女……それはさっき、歩道から屋上に見えた少女ですか?)
(Yes Master)
(………なるほど)
いまのゴッドバルトの話によって大体推測がついた。

筋書きこんなもんだろう。
その少女が、今私の目の前で自分と同じ驚きを表れしているアルトさんと対峙していた。
しかし状況が悪くなり逃げようと考えるが、運悪く私の登場によって挟み撃ちの形なった。
……運の悪い少女だ。
そして、なんとかこの場をやり過ごそうと我々の記憶を消した。
その記憶干渉をしたのは、おそらく近くに居たその少女の仲間。
それか、さっきまで捕らえていた『何か』だろう。
まぁ、見たところ我々には何もしていないようだから、それ以外の目的はないだろう。

「全く……無駄に時間を使わされましたね。」
私の発言に、まだあまり状況の見込めていないアルトが詳細を求めてきた。
が説明が面倒なので無視する。
「それじゃあ、私は急いでるので。」
背を向けて、手をヒラヒラと振りながら立ち去ろうとした。
アルトが更に何か言ってきたが、スルーする。
装神させた足で、ビルからビルへ飛び移りながらその場を後にする。
後ろでアルトの嫌悪的な視線を受けるが、気に留めない。

(……小村)
ゴッドバルトが、私をMasterと呼ぶときは警戒、または戦闘モード。
小村と呼ぶときは通常モードだ。つまり警戒を解いたゴッドバルトが話しかけてきた。
(なんです。)
(モシカシテ、昔カラ知ラズ知ラズ、嫌ワレルタイプカ?)
(そういえば、機関の支部などでたまたま話しかけられたことが度々ありましたが
どの人は二度と話しかけられませんでしたね)
(……ソウカ)

【小村:移動中】
241クロノ ◆SoGLnhQ8WY :2008/12/14(日) 23:41:09 0
>>237
恋島が逃れた後には、クロノと闇の解析者の二人の姿だけが残された。

「……間違いないのデスカ」
「ふふふ!闇の解析者の俺には判る。あの男はもう機関に入る気は失っていた。殺す必要は無い」
「それは残念デス」

クロノは最初から恋島のどう振舞おうと、闇の解析者が恋島が機関に入る意思を変えてないと言った時に殺す事にしていた。
結局、闇の解析者から抹殺許可は出ず恋島を逃がす事になった。

「闇の解析者サンはお優しいデスネ〜」
「…クロノ、貴方の殺人趣味を否定はしない。だがなりふり構わず人を殺すようなら機関の人間と同じだ」
「わかってマス。今から殺していい人達に会いに行くのですから不満はありまセン」

クロノ達はその場からナガツカインテリジェンスビルに向けて歩き出した。

「ところで貴方無事だったのデスネ」
「ふふふ!闇の解析者の俺には解っていた。あの男に秘密なお薬を使われる事が。あらかじめ免疫をつけておいたのです」

【クロノ:闇の解析者と共にナガツカインテリジェンスビルに向かう。『Swallow Tail』にシルクハットは置いたままになってる】
242織宮京 ◆9uPeCvxtSM :2008/12/15(月) 01:29:57 0
>>216
瑞穂さんから聞かされた驚きの新事実。
それはこの街には『機関』という組織があって、その組織が何か凄いことをしようとしているらしいという事だった。
それと、俺の持っている御技の事を異能力だと言っていた。
漫画の読み過ぎと言いたいところだが、最近礼拝客が少ないことや襲われる事を考えるとあながち間違ってはいないのかもしれない。
まさか、神の子である俺を危険視しているどこかの宗教団体では無いのでは?
成る程、あり得る話だ、これなら辻褄が合う。
多分、謎の宗教団体が俺の教会近隣の人を脅して礼拝に来させなくしたり、聖書不買運動をしているに違いない。
多少の認識の誤差があるが瑞穂さんが言いたいのはこれのことだろう。
とすると、俺が協力するのは当然か。

「では、そろそろお開きにしましょうか。
もう八時過ぎです、織宮さんも帰った方がよろしいのでは?」
「そうですね、そうしますよ。
それとさっきの話ですが私は当事者ですし、皆さんとは協力していきたいですね」

本当ならばこのまま瑞穂さんの部屋に泊まっていってあわよくば……。
したかったが、俺は聖なる御子っぽいキャラで通すことに決めているからまだ我慢だ。
瑞穂さんみたいなタイプはこちらから離れると着いてくるもんだ。

「では、失礼しますね、お休みなさい」

外はすっかり暗くなり、月が頭上で俺を照らす、月さえも所詮は俺のもり立て役でしかない。
教会への道を歩いていく、聖書は売れなかったが予期せぬサプライズのおかげかその足取りは軽やかであった。
ここから教会がある路地に行くにはこの河川敷に面している廃ビルの脇道から行くのが早いだろう。
廃ビル目指して河川敷を歩いていると、何やら目の前に人影が見える。
近くに街灯が少なく暗いせいか男というくらいしか判断できないが、この時間にこんな所で突っ立ってる人物なんてどうせまともな人間ではないだろう。
ホームレスかそれとも……まさかこいつ俺が来るのを分かっていてここで待っていたのか?
それならこちらも警戒していかなければ。
【織宮京:恋島と遭遇】
243姫野 与一 ◆LuqsQs0P4w :2008/12/15(月) 01:39:14 0
>>241

迂闊だった。おじさんの隣に人がいたのを見逃した。これは寝てられない…
起き上がって矢を放った河川敷を見ても既に誰もいなく、血の跡が残っているだけだった。

「失敗した…二本創るんだったなぁ…でも、あのおじさん、飛んできた矢を事前に回避したような…?」

頭に一つ疑問を抱えながらも投げ捨ててあった携帯を拾って中を覗く。メールが一件。

「えー……ウ…ハッ!寝ちゃ駄目だ…んーと、また狙撃か…どうせ一撃…フワァ…眠…」
メールによると、南西から歩いてくるタキシードの男を狙えとか。そんなのいるのかなぁ…
……いた。ニヤニヤと感じ悪い笑いを作りながらこちらに歩いてくる手足の長い金髪男。ともう一人

一瞬で感じた。''あの人は絶対好きになれない''と。

フワ…と再び欠伸をして、弓を構え、矢を創りだす。先ほどの物よりも更に細長い鋼鉄の槍、それを三本創った。
矢を指の間に挟むように持ち、全工程を一気に終了する。
与一の半分眠っている眼は睨みつけるような鋭い眼へと変わった。

「アイツ…嫌いだ…死んじゃえばいいんだ…どうせつまらないんだし…」

三本の矢を一発ずつ放つ。一発目は金髪、二発目はおまけ、三発目は金髪。
重く鋭い矢が三本、風を切り飛んでいく。
一発ずつのタイムラグは約二秒。回避する時間など無いに等しい。
「これで終わり…眠い…」

【ナガツカインテリジェンスビル屋上】
【クロノ一行を狙撃】
244クロノ ◆SoGLnhQ8WY :2008/12/15(月) 18:05:03 0
>>243
目的地に向かう道中。
闇の解析者には分かっていた。自分達レジスタンス『殲滅結社(ファンダメンタルデリート)』が今夜攻め入る事が機関に知られていると。
そしてこのような事態が起こりうる事も分かっていた。ふいに風を切る音を感じる。その方向を振り返った瞬間――

――共に歩いていたクロノは飛んできた矢に前から胸を貫かれた。

矢の向きから飛んできた方向を察すると、すぐに近場の電柱の影に隠れる。自分にも攻撃が向けられている事が闇の解析者には解っていた。
電柱の影から様子を見ると、先程まで自分のいた位置に上空から飛んできた矢が地面に突き刺さっていた。
一方クロノの様子を伺うと、その身体には新たにもう一本の矢が追加されていた。

「……」

彼は矢に体を貫かれて仰け反った姿勢のまま、弁慶のごとく立ちすくんでいた。
顔はいつもの笑顔を崩しておらず、腕はだらりと背中で揺れている。そしてその手には…
闇の解析者には解っていた。彼が今何を思っているのか、自分に何を求めているのか―

「――今です!」

闇の解析者が叫ぶと同時にクロノの腕の揺れが止まり、夜の街に銃声がこだまする。
クロノは背中で後ろ手に拳銃を持っており、親指で引き金を引いていた。
放たれた銃弾はクロノの身体を背中から貫通し、矢の飛んできた方向…ナガツカインテリジェンスビル屋上の姫野に向けて飛んでいく。

【闇の解析者:自分に向けられた矢を避け、クロノの様子から異能力で解析した弾道に差し掛かった時に銃を撃つタイミングを指示】
【クロノ:矢が飛んできた方向から見えないように、袖下に仕込んでいた拳銃を後ろ手に構えて、闇の解析者の示したタイミングで撃つ】
【矢や銃弾に対して異能力により身体をすり抜けるように貫通させている為、身体は無事。着てる服に対しては異能力を込めてなく、矢は刺さった状態】
245宮野 光龍 ◆LHz3lRI5SI :2008/12/15(月) 19:22:29 0
>>221
結果から言おう
「どう考えても買い物のレベルじゃねーぞ!!!買えるわけねーだろ!ばーか!(やけくそ)」

―10分前
魚を求め俺は走った!後2メートル!もう魚は目前だ!
「坊主は歩いて帰れ…ここは遊び場じゃねぇ…!」
「誰だ!?」
振り向くと大勢の人がいるがまだ追いついてない。
「前か!!」
視線を前に移すと1人のサラリーマンが先頭を走っていた!
「待てこの野郎!」と言って追いかけようとしたが靴紐がいつの間にか両方結ばれており盛大にこけた。当然後方から来る客に踏まれないように端っこで靴紐を解いたが
時すでに遅し。魚は一匹もなくなっていた…。

その壮絶な戦いから10分後の現在に至る。

どうしようもなく歩いていると従業員専用出入りで声がする。
「なんだ?」
気になるので中に入る。見ると女性が泣いているようだ。場所は…鮮魚コーナーで出す魚をさばいているところだ。

「どうしたんだ?って切ったのか!さっさと治療しろ!」
よく見ると手に血がついてる。どうやら手を切ったらしいな。
「私はお客様のために魚をさばかなくては…!」
「無理すんな!お前は治療してもらえ!」
「でも…魚は?」

「魚?心配すんな!俺が解剖してやる!」
【鮮魚コーナー付近 外からでもガラス越しに見える】
【これから魚を解剖(さばく)つもり】【当初の目的を忘れている】
246恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/15(月) 20:43:25 0
>>242
どこからともなく襲ってきた鉄の棒――――いや、よく考えると矢? みたいな物が、俺を殺そうとしたオッサンを貫いた。
一見またクロノの攻撃かと思ったが、奴は弓はおろか武器なんて持ってなかった。いや、持っていたとしても打ってくる方向がおかしい。
だって矢はオッサンの頭目掛け左方から飛んできたのだ。確か左方はナガツカインテリジェンスビルを中心にしたオフィス街だったな。
いや、いやいやいや。可笑しい。あの町のどのビルに居ようと、オッサンの頭部目掛け狙撃する事なんて不可能だ。それも弓で。

み、耳鳴り、周囲の状況は把握できるか? そうだ、動物一匹でも良い。結果次第ではすぐに逃げなければ。
『……それらしい反応は一切見られない。……というか男を打ち抜いた物体がどこから撃たれたのかが把握できないんだ』
マジかよ! もしかしてその矢を撃った奴が透明人間とか、気配を消す系な異能力な可能性は?
『それも違う。ココには達哉以外の生体反応は確認できないんだ。
 異能者本人ではなく異能者が操る動物やそれに準ずるものを使った攻撃かと探ってみたけど、やっぱり反応が無い』

俺は無言で、オフィス街を見つめた。あの距離からこの距離まで狙撃できるなんて、どれだけ凄腕のスナイパーでも無理だろう。
これまで異能力の無茶苦茶さは嫌と言うほど目の当たりにしてきたが、こんな事が出来る異能力があるとはつくづく恐ろしいな、オイ。
ん、てか……俺の身も危ないだろ! 一応両腕両足は完治したが、クロノとの戦いで俺の体は疲れと筋肉痛で満身創痍だ。
もし俺目掛けて二発目が放たれたら、多分避けられないと思う。オッサンと一緒に仲良く川の中は御免こうむる。

俺は視線を正面に戻し、この場から逃げる為に体を走らせた。まずい、ビビってるせいか足元がドタつく。
ん? 何時来たのかもう一人、俺のほかに河川敷が人が来ている。――――まさか。
心臓が一瞬凍るような気がしたが、目を細めると全く違う人だった。
暗くてよく見えないが、黒尽くめの服を着た――――神父さん?的な人だ。

神父さんが何でこんな所に? こんな物騒な町で宗教なんて無意味だろうに。
……まさかオッサンみたいに人を殺めようとする異能者じゃないだろうな。
くそ、もう戦うような力は残ってねえぞ! だが神父さんは俺が走ってきても攻撃してくる予兆は無い。

むしろ何故か怯えているような様に見える。・・・・・・マジで神父さんのか? それも異能者でも何でも無い……?
いや、油断は出来ない。ああやって油断を誘って、俺が近づいた瞬間本性を露わにするかもしれない。きっと……。
……なんか違う気がしてきた。雰囲気が異能者が持ってるギラギラしたそれとは全く違う。
失礼だが凄く・・・・・・普通の人です。まぁ俺もそうだが。

けどどうやってココがヤバイ事を知らせればいいんだ。狙撃主が俺と神父さんを狙うのは安易に想像できる。
一応逃げるは逃げるが、狙撃主の腕前からして撃ち漏らすなんて事は考えられない。狙われるとしたら――――突っ立ってる神父さんの方だ。
何か上手い台詞、上手い台詞……あぁ、くそ!
「早く逃げろ! 矢の雨が降ってくるぞ!」
【現在地:河川敷】
【走って逃げながら、折宮に河川敷から逃げるよう叫ぶ】
247恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/15(月) 20:44:31 0
【名前を間違えましたorz織宮さん、ごめんなさい】
私の言葉に店主は静かに相づちを返すと、コーヒーカップを洗い始めた。
この男の過去に何が在ったかなど興味が無い。
だが、私や恋島と同じく心に深い傷を負った事は確かだ。
首を振ると、再びマンデリンの味を楽しむ為、私はコーヒーソーサーを持ち上げた。
唇まであと数センチと言う所で、ジャケットの内側に在るポケットが規則正しく振動をし始めた。

機連送を開いてみると、どうやらメールのようだ。
差出人は桜庭右近……。城栄の側近だ。

『〜通達〜

 機関本部を抵抗分子が襲撃する模様
 No.6は直ちに本部ビルへと戻られたし

 これは全ての任務よりも優先される』

どうやら私宛に作られたメールらしい。
側近がメールをして来たという事は、このメールは城栄の言葉でもあるという事か。
私はテーブルの上に置かれた恋島の携帯電話を胸ポケットに容れ、
代わりに財布から恋島と自分の飲食料をテーブルの上に置いた。

「釣りは要らないよ。ご馳走さま。
 コーヒー、とても美味しかった」

店主に別れの挨拶をしてから、アンティーク調のドアを開け夜の闇へと身を翻した。

恋島を探してみるが、それらしい異能者の気配は感じ取る事が出来ない。
よもや、倒されてしまったのか? 私が付いていながら何たる不覚。
しかし、例のシルクハットの男も姿が見えない。普通ならば恋島を倒した後に私を狙う筈だ。
恋島ともども気配が感じられないという事は、
別の場所に移動したか両者とも無事でお開きになったかだ。

三月の冷たい風が身を切り裂く。待ち惚けの末にフェードアウトされるとは多少ショックだ。
だが、今は恋島を捜索している猶予は無い。一刻も早く本部に戻って準備を整えなくては。

                        ファンダメンタルデリート
本部を強襲する抵抗分子……。十中八九、『殲滅結社』という連中だろう。
以前より機関の情報部が血眼になってその存在を調べていた筈だ。

――抵抗分子、か。
私は籐堂院神の作った組織と戦った時を思い出して、ふと笑みを浮かべた。

キーケースから車の鍵を取り出すと、やや大型のキーに取り付けられたボタンを押す。
すると、駐車場に停めてあった『ライラック』のフォグランプが二回チカチカと光った。
鍵を挿さなくてもロックが外れるというのは便利なものである。

颯爽と車に乗り込むとエンジンを始動させて、数回アクセルを踏み鳴らす。
けたたましい排気音が周辺に鳴り響いた後、
車はここへ来た時とは全く正反対の勢いで路地裏を後にした。

【レオーネ:現在地 道路】
【ナガツカインテリジェンス本社ビルを目指している】
249姫野 与一 ◆LuqsQs0P4w :2008/12/15(月) 23:11:46 0
>>244

おまけの方には避けられたけどアイツには二発とも手応えはあった。はずだった。
槍は二本とも胸部に当たってる、しかも一本は確実に心臓を貫いたのに…

「…なのに…なのに、なんでアイツは生きてるのかなぁ?」

――! 銃弾が飛んでくる!弾道は脳天へのコース――
フッと横に顔を逸らし最低限の回避。
相当な距離が空いているんだから避けることくらい簡単だね

「フフフ…面白いことするよねぇ…見えない相手に反撃して来るなんて…
しかも直撃コース。この街の人は本当に面白い…弱かったり強かったり」
体が震える。まさか一撃で倒れない、しかも起き上がってくる相手に出会うなんて。震えが止まらない。

しかし、その震えは――自分では倒せないかもしれない――という意志の現われでもあった。

放った槍は消えた。彼女自身に負担をかけ過ぎないため一定時間を過ぎると自動的に消えてしまうのだ。
与一は再び弓を握り、構える。眼はやはり半開きだったが、生き生きとしていた

「刃物が効かないならぁ…少し疲れるけど…燃やしちゃえばいいんだぁ」

硬度は鋼鉄――内部は油脂焼夷弾――
左手が創りだしたのは先端の尖った鋼鉄のナパーム弾。構造固定完了

落ち着くんだ――相手の位置は分かっている――場所が特定できるなら私にとっては動かない扇の的。
あんなものも倒せずして何が与一だ。アイツを倒さなきゃ私の誇りに一生癒えない傷が残ってしまう

耳当ては風の音を遮ってくれる。与一は落ち着きながら、そして、ただ静かに――

矢を放つ。

槍は風を切りながら炎を纏いアイツの傷口へと飛んでいった。
それはさながら赤い流れ星のように――

星輝く空が見える暗黒に包まれた屋上。真っ白い服装に風に靡く薄い金髪のポニーテール。
辺りが暗かったからなのか、彼女の一連の動作は美しく輝く白い天馬のように見えた――

【ナガツカインテリジェンスビル屋上】
【クロノへとナパーム弾の槍を放つ】
250廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/12/16(火) 00:08:58 0
>>226>>230
仮にとは言え許可が出たことが嬉しいのだろう。屡霞は俺に丁寧に頭を下げた。

「そういえば名乗ってなかったな……俺は廻間、廻間統時。
 時を統べるって書くんだけど……名前負けも良いところだよ」

自傷するように、軽く乾いた笑いを浮かべる。

>「やあやあ、梓川が入室いたしました〜」

先輩が場に入ってくる。俺は視線を先輩の方へと向けた。

>「廻間、もしかしてお邪魔だったか?」
「……先輩、無理に明るく振舞わなくても良いんだぞ?」

俺には先輩が無理に笑っているように見えた。
恐らく先輩は今まで普通に生きてきたのだろう。
幼い頃から武人としての修行を積み、戦いへの恐怖心などが無い俺はともかくだ。
さっき起こった首刎ねは先輩にとっては到底受け入れがたいものだろう。

「……まあ先輩なら自分の事は自分でなんとかするよな、大人なんだし」

俺は目線を屡霞の方へと戻す。
―――話が始まった。

「……分かっていたとは言え……確認してみるとだいぶ面倒な状況なんだな……」

数十分後、話を聞き終わった俺の中に憂鬱が満ちた。
機関や刺客については、俺も戦っているので知っている。
それに戦場ヶ原の過去については追求するつもりはない。
誰だって知られたくない過去の一つや二つぐらいあるだろうからな。
ただ、城栄の能力についてが聞いてもよく分からない……数式化して書き換えるってどういうこった?
……実際見てみないと分からないか……

「まあ、機関に立ち向かうってんなら……俺も力を貸そう。話を聞く以前から決めていた事だ。
 機関を倒さなきゃ俺は日常生活には戻れないだろう。それに大事な人だって護れやしない」

頭の中を切り替え、屡霞に返答を返す。
返答の中身は、共に戦う意思を示す言葉。

「これから共に戦う仲間なんだ、よろしくな」

俺は屡霞に握手を求めた。
251廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/12/16(火) 00:11:14 0
>>232>>234

>「──店長は戻らず、店内では殺人か……。いよいよこの店の未来は暗くなってきたな」
「!」

だが、握手は後回しとなってしまった。
後ろから聞こえてきた言葉に、思わず振り返って手が引っ込んでしまったからだ。
そこに立っていたのは氷使いの男……また来たのか。

>「力を貸して欲しいなら俺が貸してやってもいい。どうやら俺と目的は同じようだからな」
「……聞いていたみたいだな」

俺は聞くように呟いた。氷使いの男は答えるように頷く。

「まあ仲間が増えるのは良いことだ。過去の事は忘れる事にしよう」

俺は竦めるようにまた呟いた。氷使いの男はどうなんだろうか。
俺と仲良くできるのかな、こいつは。

……ん、待て。氷使いの男以外に、気配がもう一つ。
この身に覚えのある気配……これは……この人物は……まさか!?
俺は入り口に駆け寄り、ドアを開ける。すると、やはりと言うべきか俺の予想通りの人物が其処に立っていた。

「アニキ!?」
「久し振り……と、言うべきでも無いだろうな。
 俺とお前は一昨日に一度会っているからな」
「なっ……あれはやっぱりアニキだったのか……」

認めたくは無かったが、これでもう認めるしかない。
やっぱり廃校で出会ったのはアニキだったんだな……

「まあ元気でやっているようでなによりだ。唯一の家族だからな」

いきなり俺の前に現れたアニキ。
一体何の目的が……ただ単純に、俺に会いに来ただけか?
何故、あの死体に反応を示さない?俺の中に疑惑が渦巻いてきた。

「それより、何をしに?」
「……大事な話をな。
 そこのお前たちも、聞くなら聞くと良い。機関に立ち向おうとしているんだろう?」
252廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/12/16(火) 00:12:41 0
話、だと?
一体何の話なんだ……まあ、とりあえず聞くとするか。

【廻間;屡霞やその仲間と共に戦う事を選択。
    幻十に若干の不信感】

(最後の一部分だけコピペし損ねてしまいました、すいません……)
253城栄 金剛 ◆u5ul7E0APg :2008/12/16(火) 00:17:49 O
午後8:30。
夜景が瞬く貳名市を一望出来る特等席、ナガツカインテリジェンスビル最上階のテラスで、城栄金剛は手の上に何やら図式を浮かび上がらせ、それを凝視していた。
図式にはアルファベットや数字が一定の法則のもと並べられている。
彼以外が見ればそれはただの暗号にしか見えないが、その正体は彼自身の『記憶』。
彼はまるでスーパーコンピュータのようにこうして自分の記憶を数式化して圧縮し、自分の中に貯蔵している。
こうすることで一度に入る膨大な情報を一言漏らさずすべてを頭の中に入れることが出来るのだ。
無論、この技術は彼自身の人外じみた異能の才覚に基づくものであるのだが。
どうやら彼は今、『計画』について次の段階を考えているらしかった。

「申し上げます。」

背後のドアが音もなく開く。中から現れたのは、側近、桜庭だ。
依然振り向かずに掌を凝視する金剛に向けて、桜庭は起伏のない声で言葉を続ける。

「臨時報告がふたつ入りましたのでご報告いたします。
まず第一、街に放っていた虐殺部隊隊長、スティクス・ガノスビッチが異能者に敗北しました。」

金剛お抱えの虐殺部隊。その隊長の敗北という報告を受けても、金剛の表情は変わらなかった。
「生命反応は断絶してはおりませんが、位置情報が不明です。ただいま位置特定に急いでおります。」
計算のうち――…そう言わんばかりに、金剛は動じない。
しかし、次の報告を受けて金剛の眉が初めてピクリと動いた。

「第二の報告です。
多方面に潜伏させた諜報部隊からの報告によりますと、反抗勢力『殲滅結社』が、明日我社への一斉攻撃を企てている模様。」

「ほォ…。」

金剛はそこでニヤリと笑い振り返った。
その表情にはかすかに怒気が含まれている。

「明日の煌神リンの『搾取』に併せて来たな…。
そろそろ来るころだとは思ってはいたが、どうも連中はとことん俺の邪魔をしたいものらしい…。」

口元は笑ってはいるが、その目には静かな怒りが篭められている。
その様子に桜庭は幾分か身を強張らせた。

「まず機関内の内応者、諜者を洗い出して俺の前に引っ立てろ。尋問して情報を搾り出す。
そしてファーストナンバーをビルに呼び戻して外側を固めろ。
ビル内は対異能者迎撃要塞形態に転換。臨戦態勢に入るぞ。
それを全部くぐり抜けた奴には……この俺が直々に『ご褒美』をくれてやる…!」

金剛は苛立っていた。
計画が大詰めに迫って来たこのタイミングで、外敵が進攻してきたのだ。
許せない。抗うものは完膚無きまでに叩き潰す。
その怒り狂う巨獣を前にして、戦慄した桜庭は逃げるようにその部屋を出て行った。
254クロノ ◆SoGLnhQ8WY :2008/12/16(火) 18:31:29 0
>>249
クロノは自分に刺さった2つの矢が消えたのに気付くと姿勢と息を整える。
自分達の襲撃する目的地であり、矢の飛んできた方角であり、銃弾を向けた方角である
ナガツカインテリジェンスビル屋上に視線を向けたまま、電柱に隠れている闇の解析者に問いかける。

「当たりましたカ?」
「ふふふ!闇の解析者の俺には判る。撃ってきたのは異能者だ。性別は女性、歳は10代、スリーサイズは80,60,75」
「私には当たっているのかわかりまセン」
「弾は外れたようだ。しかしスリーサイズには自信が――」
「貴方がそう言うのなら間違いないのデ――オヤ、この臭いハ」

新たに飛んできた存在が視認できる距離まで迫った時に嗅ぎ取った臭い。
彼は自分よりも確実に判るであろう仲間に確認を取ろうとして電柱に目を向けると、既にその仲間はいなくなっていた。
斜め前方より飛んできた槍に対して先程のようには受けずに、今度は前方に手を付くように跳んで避ける。
クロノは逆立ちの体勢になり、槍は股の間を抜けて彼の目の前で地面を打つ。
しかし今回はそれで終わらない。地面を打った槍は、瞬く間に周囲の酸素を奪い、広範囲に亘って地獄の業火で焼き尽くす。
当然彼も業火に巻き込まれ、その影は踊り狂う間もなく消滅した。


「酷い臭いデス。鼻が曲がってしまいマシタ」

闇に包まれた下水道をひたひたと歩く音。

「これでは機関の人の臭いも判りまセン」

相も変わらずにやけた口元と金髪、そして白い肌。
しかし今そこに存在している白き肌は、地上で燃え尽きた黒き布で隠される事なく全てを曝け出していた。
その曝け出された身体を見た者がいれば、特徴的に思うところは男性特有の局部でも、手足の長さでも全身の肌白さでもない。
――大抵の者はその全身を覆うように存在する無数の傷跡に目を奪われるだろう。
戦いの勲章などと呼ぶにはあまりに異常な数が全身を覆っているのだ。当然恋島との戦いや姫野の撃った矢や炎による火傷でこんな傷はできない。

「まあ仲間の顔は知っていますシ、それ以外にビルにいる人は機関の人と判断してかまいませんよネ?」

クロノの独り言に応える者は存在しない。ただひたすらに裸足で歩く音にクロノはさらにニヤケ面になる。
しばらく歩いてるうちにふと身体中の傷跡が疼き出すのを感じる。

「オヤ、異能力を使い過ぎたでしょうカ?それとモ…」

両腕にも存在する疼いた傷跡を擦るようにするその姿は、寒さに震えているとも何かに恐怖しているとも見える。
しかし彼の顔は相変ニヤケ面を崩していなかった。

【クロノ:飛んできた槍を避けた後、異能力で地面を全身すり抜け貫通、下水道に出てそこからビルの方向へ向かう】
【炎に巻き込まれたのは武器を含めた身に纏っていたもの全て、その為現在全裸で下水道を歩いている】

【国崎を連れてナガツカインテリジェンスビルに向かっていた『オマエ』がナパーム弾による火災に気付いて一般人の洗脳により隠蔽を行う】
255神重智&敬 ◆6eLTPQTFGA :2008/12/16(火) 20:54:01 0
>>229

こちらの問いかけに七草は答える。

「言ったでしょ、貴方を倒すのはこの私だって…
 でも今のアナタを倒しても意味が無いわ…だからアナタが私以外の奴に倒されないように
 力が戻るまで私が……、守ってやるって言ってるの…、アナタにだって悪い話じゃないと思うけど?
 分かった?、じゃあ行くわよ!」

こちらが返事をする前に背を向けて七草は歩き出した。

(…………)
(……なぁ兄弟…これが俗に言う…トンデレってやつか?)
(……ツンデレの間違いだろうが……敬)

こちらの面食らった様子にも気づかず、少し距離が離れた時点で振り返り

「ホラ!早く来ないと置いていくわよ!」

と、こちらを呼んでいた。

(なぁ…男…いや男なのかはわからんが…ツンデレって実際見るとアレなんだな…)
(うむ…恐らくこれが現実というものなんだろうな…とはいっても私がツンデレに興味は無いが
 まぁ恐らく彼…いや彼女…?に敵意は無いでしょう…多分…?)

精神世界で会話を続けているうちに七草の呼び声が大きくなってくる。
さすがにこの時間にこの大声は近所迷惑ではなかろうか、などと一般人の考えをする神重だった。

「わかりました、すぐ追いつきますので…。そう大声を出さないでもらいたいですね」

【神重:七草についていく】
256姫野 与一 ◆LuqsQs0P4w :2008/12/16(火) 22:42:12 0
着弾して火は燃え上がっている。命中した…かな
確かに炎の中心でアイツは燃えていた。

「ふう…面白かった…けどぉ私の…勝ち…フフ」
与一の顔は僅かにだが微笑んでいるようにも見えた。
安心しきって最後にもう一度アイツの方を見ると―――

火の中心には燃え盛っているアイツの衣服だけ。
にやけた顔の男も一緒にいた男もそこにいなかった

「消えたぁ…?骨が残らないのはおかしいし、もしかしてぇ逃げられた…?ということは…私の…負け…」
顔を引っ込めてその場に膝を突く。その仕草は機関の狙撃者ではなく、ただの少女の仕草だった。

「私の負けだよ…アイツらには逃げられたし…」
四つん這いの状態からもう一度地上を見下ろす。
すごい光景だった。お互いに顔も知らない者同士なのに火を消す為に団結して消化している。
与一の頬を涙が濡らしていく。一人の少女の泣き声は夜空に響いた。

――10分後

弓を片手に夜食のメロンパン(カスタード)を頬張りながらグルグルと歩き回っている。

「地上は面白いねぇ…私の想像を上回るくらい面白い…」

なのに…私は偉い人の指示でただ誰もいない屋上から一方的に打っているだけ。
ここはつまらない。私も地上に帰りたい。暖かい布団で寝たいな。戦いたいなぁ…

「…私をここから連れ出してくれる人来ないかなぁ…」

それにしても…おまけの方…私の事をすごくえっちな目で見ていたなぁ
次、あの顔見たら飛竜使わないで素手でぶっとばそうと思う。うん


【ナガツカインテリジェンスビル屋上】
【クロノに逃亡される】
【オマエには気付いていない】
257 ◆SoGLnhQ8WY :2008/12/16(火) 23:33:25 0
>>112の後――
その男の横を走りすぎようとした時、バイクを運転する香坂が驚愕の表情をその男に向けたのに翠は気が付いた。
次に気付いたのは銃声、そしてバイクがバランスを崩して転倒した事。その時に香坂が身体を打って気絶した事。
翠は香坂を抱えてバイクから飛び降りると、落下の衝撃と爆発による衝撃から自分達を包んで護るように、柔らかくも頑丈な箱を出現させる。
その時レオーネから預かっていたハンカチが爆風で飛ばされているのに気付きそのハンカチも汚さないように箱を出現させて包む。
そして箱の中から見える先程の男。金髪で黒いタキシードを着て、嫌なニヤケ面をしている。
この男も近くで爆発に巻き込まれたように見えた。しかし服はボロボロになっているものの、顔には焼け跡一つ見当たらない。異能者だ。
そしてこの男が敵だと確信させたのはその手に持っていた銃。香坂を撃とうとしたのか、バイクのタイヤに撃ったのかは知らないけどそれが原因で転倒したのは確か。
翠はその男の周りを包み込むように箱を出現させて閉じ込める。そして上空にさらに硬質の箱を作り出して角から落とす。
敵は倒した。香坂が撃たれた可能性もあった為にその場で確認する。外傷は見られなかった。
ほっと息をするその隙に倒したと思っていた男は落とした箱も、その身を包む箱もすり抜けてこちらに来た。やはり無傷。いくつも箱を出現させて相手に当てるが、どれもすり抜けて貫通していってしまう。
男が自分達の箱の前まで来る。翠は自分達を護っている箱の硬度を強める。しかしそれが無いものかのようにその男は手を入れてくる。寄り添う二人。そして――

二人を包む透明な箱は中から大量の血で塗りつぶされた。


――病院のベッドで翠は目覚める。

「……織重ちゃん、どこ?」

【永瀬翠:現在地病院】
258梓川 博之 ◆acBW5xlTro :2008/12/16(火) 23:40:22 0
>>230>>234>>250-252
>「……先輩、無理に明るく振舞わなくても良いんだぞ?」
開口一番、それが飛び出るか。
予想以上に廻間は鋭かったようだ。それも恐ろしいほど。

>「……まあ先輩なら自分の事は自分でなんとかするよな、大人なんだし」
「先輩にそういう口の聞き方は無いんだろ?『モテ男』君め」
苦笑交じりに混ぜ返す。

それから女性の話が始まり、数十分かけてじっくりと情報を話していった。
驚愕に驚愕が続く話の内容…。

「…………機関がそこまででかい組織だったとは…」

そして、女性は手を貸さないと殺すと言った。
廻間はそれに快く了承している。

(だけど、それだけでかい組織となると構成員もかなりの数の筈……異能者も沢山。
 幹部を一人一人闇討ちでもしないとリスクがでかすぎる。さて…)

そう考えていると、後ろから会話に乱入する無礼者が来ていた。

>「──店長は戻らず、店内では殺人か……。いよいよこの店の未来は暗くなってきたな」
「……その声は、またあの礼儀知らずかよ」

後ろをちらりと見れば、あの灰色の髪の男。
何を言うかと思えば、力を貸すなどという。
だが、俺は信用できない。一方的に情報を寄越せと言う奴だ、そのうち裏切るかもしれないしな。

と、ふと廻間が入り口に突進し、扉を開く。

>「アニキ!?」

…今度は廻間のお兄さんか。
この数日、色んな人と出会うな。

【梓川:幻十の話を聞くつもり。屡霞達の協力の要請に対してはまだ返答せず】
259久坂 闇 ◆AcGOOYOwno :2008/12/17(水) 19:49:28 0
弱った……
勢い込んで出てきたのはいいけど、何処に行くべきなのか……
あれから、主催者側からの連絡はない
異能者の気配を感知出来る程の感覚も持ち合わせてない
……つまり、行くあてはゼロだ……

とにかく、街全体の様子を把握出来る所――
――たとえば、大きな建物の上などに移動してみた方が良いかもしれない

此処から、一番近くて、大きな建物といえば……
「ナガツカインテリジェンスビル……」


【久坂 闇:ナガツカインテリジェンスビルに向かう】
260アルト ◆Jm4vxzroP6 :2008/12/17(水) 19:57:54 0
>>240

いつのまにか振り向いた私が見たのは、小村禅夜だった。
……不可解で、不愉快だ。何者かの精神干渉かなにか、か?

「全く……無駄に時間を使わされましたね。」

妙に疲れた感じで、なにかを知っている風なことを言う。

「あら、なにかあったんですか?」

尋ねるが、その疑問は無視される。

「それじゃあ、私は急いでるので。」

そのまま手を振り、彼は立ち去った。―――ハハ、不愉快だ。
一体なにがどうなっているのかを把握することができない、というのは。

「……いけない、一度休んだ方がよさそうね」

この場に留まる理由もなくなった。私は、一度ナガツカインテリジェンスビルに戻ることにした。

「これを解析してもらえば、なにか分かるかもしれませんしね」

機連送、だったか。音声を記録する機能もあるらしい。
その記録した音声を調べれば、何があったかを知ることもできるだろう。

「ああ、もう。やれやれね。――――本当は、暴れたい気分なんだけれど」

気分で暴れるのは、趣味じゃない。趣味趣向を無視するほどのストレスはない。
精神攻撃の類か。なんらかの干渉があったのは事実だろう。
私の心を害するというのなら――殺さねばならない。
この殺意は、その時まで取っておこう。

【アルト:ナガツカインテリジェンスビルに戻る】
261折川雅司 ◆acBW5xlTro :2008/12/17(水) 21:39:32 0
>>256
ガンガン!

ナガツカインテリジェンスビルの屋上に、乱暴なノック音が響く。
その後に入ってくるのは金髪ツンツン頭の男。
ビルの上の強い風にも怯まず、手に持っていたホットコーヒーを姫野に投げ渡しながら挨拶をする。

「よぉ与一ぃ、数ヶ月振りぃ。元気だっただろーなぁ?ヒャッハッハ」

何気に笑顔を浮かべながらやってきた男は―――折川雅司。表ではミュージシャンとして活動している青年だ。
機関のNo.77であり、姫野とは共同任務の際に知り合い、気が合って友人となった。
反対そうな性格が逆に気に入った!とは折川の談。

「本当は連絡入れようと思ったんだがよぉ、機連送が不意打ちで壊れちまったんでなぁ。
新しいの貰おうと思って来たら、丁度良いだろーってことで直接会いに来たっつーわけだぁ!
いつもどおり眠そうで元気そうでなによりだぜぇ!
しっかし、てめぇはきちんとしたところで寝て…………なさそーだなぁ。ゴミ塗れじゃねーかぁ。
それぐらいきちんとしろよぉ?」

呆れた表情を作りながら、自らの手に持っていたコーヒーを飲み干して。
からからと笑っているが、人の事が言えるような立場ではなさそうだ。

だが、急に何か思い出したらしく。
途端に真剣な顔になると、姫野の目を見据えながら話す。

「…あぁ。そういえば、ウエからてめぇに仕事があるって言ってたぜぇ。
簡潔に言うとだなぁ…地上に降りろ、だそうだ。
なーんか雑魚が大勢やられたりとか、厄介な奴らが押し寄せるとかでなぁ。
それにセカンドナンバーの上位の奴らも殺られたらしく、ファーストナンバーも出てるが人手が足りないそうだ。
其処でてめぇに前線に出てもらおーってことらしい」


【場所:ナガツカインテリジェンスビル屋上】
【折川雅司:姫野に新しい任務を言い渡す】
262鳳旋 希一 ◆sJZQ9grsuk :2008/12/17(水) 21:42:35 0
>>245

「ク、クリムゾ…ン…」

なんとか主婦王の異能力から逃れることが出来た。
近くで松水伸子は倒れていた。自分の能力を扱いきれていなかったのか
自分の欲望に飲み込まれたのだ。

松水の能力は他人に欲望の多いほど、重さを与える精神攻撃。
だが、自分の圧倒的な欲望に能力が反応して自滅してしまった。
奴がてこずっている間に気合で押し返し、なんとか肉を手に入れることが出来た。

「わしの初戦が主婦王でしかも自身が自滅してしまうとは…
ふむ、誰が異能者か分からんからの…油断できん」

じゃが…わしは…ステーキ肉の置いてある台の前である事に気付いてしまった。



か、金を持ってなかったのじゃ…



ステーキ肉が右手に二つ、左手に一つとサイコロステーキ。
無断で持って帰るのはここの者達全員を敵に回しかねない。
光龍を探すかの…

タイムサービスは終了し、店内の人々は半分以下程度しかいなかった
とりあえず光龍を探そうと歩き回っていると、鮮魚コーナーに人だかりが見えた。

たかが商品を捌いているだけなのに何を騒いでおるのじゃ?
気になり、人ごみを避けて原因の場所を覗くと―――

いた。光龍。彼奴は何をやっておるのじゃ…

ふむ、しかしここで、彼奴を止めて拗ね始めたらこっちが困るからのぉ…
ここは一つ、彼奴の実力を見させてもらおうかの。

【スーパー唯能】
【肉を確保】
【光龍の解体を見ている】
263姫野 与一 ◆LuqsQs0P4w :2008/12/17(水) 23:12:17 0
ナガツカインテリジェンスビルの屋上に、乱暴なノック音が響く

「んん…うる…さいなぁ…ムニャムニャ…」
私としたことが、また寝ていたようだ。まさかこんな短時間で何回も寝るなんて。
今のは扉が開いた音。入ってきたのは…金髪ツンツンの男。
確か以前に任務で出会って仲良くなった人。まさかこんなところに来るなんて。名前は…たし…か…

「折…川君?あ…」
突然コーヒーが飛んでくる。私はこれを白羽取りの如く両手で…
…イタイ。取れなかったぁ…

>「よぉ与一ぃ、数ヶ月振りぃ。元気だっただろーなぁ?ヒャッハッハ」

ウッ…笑われた…少し悔しい…かな

>しっかし、てめぇはきちんとしたところで寝て…………なさそーだなぁ。ゴミ塗れじゃねーかぁ。
それぐらいきちんとしろよぉ?」

「え?あ、こ…これは…その…仕事の後はすぐに…ネムッチャ…」
最後まで続かなかった。恥ずかしい…同僚で友人でも相手は異性だ。こんな所を見られるなんて
ある意味一生心に残ってしまう傷が…

>呆れた表情を作りながら、自らの手に持っていたコーヒーを飲み干して。
コーヒー飲むの速いなぁ…
ちびちびと飲みながら彼を見ていると途端に真顔になった。

>「…あぁ。そういえば、ウエからてめぇに仕事があるって言ってたぜぇ。
簡潔に言うとだなぁ…地上に降りろ、だそうだ。
なーんか雑魚が大勢やられたりとか、厄介な奴らが押し寄せるとかでなぁ。
それにセカンドナンバーの上位の奴らも殺られたらしく、ファーストナンバーも出てるが人手が足りないそうだ。
其処でてめぇに前線に出てもらおーってことらしい」

「え?うそ…折川君、ホントに?」
これには驚いた。まさにぐっどたいみんぐ。地上に降りれば、アイツとも戦える。あの変態もぶっとばせる。
こんなに良い事はない。彼には感謝しないと。

「…分かった。偉い人の命令なんだよね?じゃ、行こう」

小さく鼻歌を歌いながら散らばっているコンビニ製品を集め大きなヴァイオリンケースのような大きな黒いカバンに弓と一緒に詰め込む。
カバンの中には既に物が入っており、生きるために必要な貴重品も入っている。
さらには分解されている長身のライフルまで入っていた。ちなみにカバンの中もとてつもなく散らかっている

真っ白なコートを着て、片手にバッグを持ち、片手で折川の手を引いてせっせと階段に向かう。
こんな所早く離れたい――その一心のみで動いていた

【ナガツカインテリジェンスビル屋上→移動】
【折川と地上へ】
264織宮京 ◆9uPeCvxtSM :2008/12/18(木) 15:02:23 0
>>246
目の前の人影はもの凄い勢いでこちらに走ってくる。
やはり、俺を倒すために送られた刺客か、そう思い身構えると。

「早く逃げろ! 矢の雨が降ってくるぞ!」

その人影はそう叫んだ、距離が近づくにつれて顔がはっきりと分かってくる。
年は二十代くらいの眼鏡をかけたどこにでも居そうな若者だ、何か幸の薄そうな顔をしている。

「やのあめ?何ですかそれ、おいしいのですか?」

青年は俺の言葉を聞く前に走り去っていく、何となく俺もそれに従い走る。
一向に青年が言った『やのあめ』と言うものは降ってこない、いったい何んだ。
青年は走り疲れたのか立ち止まり息を整えている。

「はぁはぁ……どうしたのです?やのあめなるものは降ってきませんが?」

俺も走り疲れて息を整える、年は取りたくない物だこの程度で疲れるとは。
青年は上の方をきょろきょろと見渡して安心したように息を吐いた。
それにしてもこの青年は俺を狙っている訳ではないのか、少し残念だ。
この街の平和を脅かす物はこの神の子織宮京が成敗してやろうと思っていたのに。
などと思っていたら、いつの間にか目の前に教会への近道がある廃ビルがあった、何という幸運、これも神の導きだな。

【織宮京:恋島と一緒に走る 現在地 河川敷付近の廃ビル】
265戦場ヶ原&屡霞 ◆u5ul7E0APg :2008/12/18(木) 15:42:24 O
>>232
戦場ヶ原は、聞き覚えのある声を聞き、目を醒ました。
見知らぬ天井、壁、畳に囲まれた部屋の中。
おそらく倒れている間に屡霞が運んでくれたのだろう。しかし、体の痛みは依然として彼の肉体を蝕む。
ふと顔を上げると、襖の向こうには屡霞と、昨日戦ったスピード小僧こと廻間と、知らない弱気そうな少年が座っていた。そして――……
「池上……燐介ッ!」
夕べ死闘を演じた氷使いが立っているではないか。
「ぐッ…!」
戦場ヶ原は急いで立ち上がろうとしたが、体が思うように動かず、肘をつく。
「戦場ヶ原ッ!」
突然部屋に現れた未知の訪問者に不審な目を向けていた屡霞は、池上から目を離して、目を醒ました相棒に駆け寄った。
その凄まじい怪我を見て梓川は怯み、廻間は相変わらず睨み付けている。
戦場ヶ原は屡霞に支えられながらも、池上の前まで足を踏み出した。
「手を貸す…だと?なんのつもりだ、池上燐介。…ふざけるな!貴様に手伝ってもらうほど――」
「戦場ヶ原!」
池上に食ってかかる勢いの戦場ヶ原を、屡霞は窘めた。
「つまらん意地を張るな!キミも虐殺部隊と戦って分かっただろう。
物量がケタ違いだ。もう我々二人で立ち向かえる相手ではない。
我々が喧嘩を売ったのは、そういう相手なんだ。」
「クッ……」
屡霞の説得に、戦場ヶ原は納得の行かない様子でそっぽを向いた。
「すでにそこの異能者二人、廻間には了承を貰った。彼とキミの間に何があったか知らないが、彼は快く承諾してくれたぞ。
キミもいい加減大人になったらどうだ。」
戦場ヶ原は傍らに座る廻間と睨み合う。その眼の奥に眠る闘志に、戦場ヶ原は気がついた。
(コイツ……昨日よりも成長してやがる…)
梓川は依然進退を考えているようだった。しかし、話を聞いた以上、選択肢は一つしかない。
彼にも闘ってもらわなければならない……そういった思惑が、屡霞の中にはあった。
その時、廻間が突然何かに気がついて、表の店へ駆け出した。
何事かと一同もそれに続く。するとそこには、廻間によく似た風貌の青年が立っていた。
「アニキ!」廻間がそう呼んだ青年は、不敵な笑みを浮かべて、一同を見渡すと、話があるから聞け、と言った。
屡霞は戦場ヶ原をまた投げ捨てて、素早く禍ノ紅を抜き放つと青年に刃を向けた。

「何者だ…貴様ッ!」

【戦場ヶ原:目を醒ます。】
266池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/12/18(木) 21:38:59 0
>>251>>258>>265
──俺の言葉が意外だったのか、霧男は憮然とした表情を一向に崩そうとせず、
山田に至っては俺を真っ向から拒絶し、この場で再戦しようかという勢いでいる。
が、俺と彼らは元々敵同士だったのだから、彼ら二人の反応は当然とも言えるだろう。
むしろ俺にしてみれば、彼ら二人より『廻間』とかと呼ばれたあの剣使いや
黒髪の女の随分とあっさりと了承した態度の方が意外であった。
まぁ、それだけ二人も自身に差し迫った状況を存分に理解してきたということなのだろう。

傷だらけの体を引きずりながら今にも俺に掴みかかろうとする山田に対し、
黒髪の女がなんやかんやと言葉を並べて諫めると、やがて山田はしぶしぶと引き下がっていった。

「フッ……阿呆が」

俺はそんな山田を見て、冷笑気味にそう呟いた──そんな時だった。
鋭さを増していた俺の感覚が、不意に一つの異能力を捕らえたのは。
既に廻間はその気配に気がついていたのか、彼はいち早く店の出入り口に駆け寄ると、ドアを開けた。
と、そこには、一人の男が立っていた。廻間が思わず「アニキ」と叫んでいたことから、ここは廻間の兄と
思うしかないのだろう。彼は俺達に何かを話そうとしたが、それは彼に警戒して刀を抜いた黒髪の女に
よって制止させられていた。
俺は「やれやれ」といわんばかりに溜息をつくと、彼女の横に立ち静かに口を開いた。

「最近、この町では女が刀を振り回すのが流行っているのか?
……こいつは俺達に何かを話したいようだから、まずはそいつを大人しく聞いてやろう。
五対一を覚悟で喧嘩を売りに来たとも思えんし……な」

【池上 燐介:話を聞くことにする】
>>248

フランス製の蒼い高級車は、向かい風を切り裂きながら疾風の如くひた走る。
許されざる魔性の城ナガツカインテリジェンス本社ビルへ。
乗っている男――レオーネ・ロンバルディーニの表情は何処か険しく、
そしてまた何処か嬉しそうにも見える。既にセカンドナンバーにも多数の犠牲が出ている中、
ファーストナンバーであるレオーネにも、その異能を存分に発揮しろとの通達が届いていた。
彼らファーストナンバーといえば、機関の方針決定を司る最高幹部にして機関最高の戦力だ。
それすらも実戦に投入する程の一大事にしては、街は静かであった。

いや――静か過ぎるのが一大事の証拠なのかも知れない。
昨日までの異能者同士の戦いの音は勿論、生活の雑踏すらも街には響いてはいない。
まるでこの街がゴーストタウンにでもなったかの様だった。

本部を狙うとなれば、その混乱に乗じて不安定要素が必ず入ってくる。
親友の、そしてレオーネ自身の計画を最も憎悪する男が、この絶好の好機を逃す筈が無い。

――そういえば、アイツはこんなアップテンポ調の賑やかな歌は好きではなかったな……。
レオーネは車内に響く流行歌手の歌を聞きながら、
これから確実に訪れるであろう"宿敵"との思い出に思いを馳せた。

レオーネと宿敵――長束誠一郎が初めて出会ったのは何時の頃だったか。
それを思い出すのには、先ず自分が機関に入った頃を思い出す必要が在った。
何故ならば、レオーネを機関に入れた人物は誠一郎の実の父親であったから……。
それは酷く懐かしい記憶。しかし同時に、
彼にとっては思い出す事も躊躇われる程苦痛に満ちた記憶でもあった。

物語とはかくも悲劇的なラストで終わる物なのか……。
一度湧き出た記憶の奔流は、今更塞き止める事を叶わずレオーネの心を苛んで行った。
268レオーネ(回想) ◆GWd4uIuzU6 :2008/12/19(金) 00:06:39 0

頭は暗く冷たいアスファルトの上、瞳は天を見上げている。
憎悪の目で見る空の色は、オレの心と同じく真っ黒だった。
違いがあるとすれば、そこに星が在るか無いかの違いだ。
家が燃え落ちてから、オレはずっとこうやって天を睨みつけていた。
ただただ呆然と、神に対する呪詛の言葉を吐きながら……。
こうしているのも、後四十分で四日目に入ろうとしている。
ここミラノの街が存在する北イタリアの冬は寒く、
辺りはすっかり白銀に満たされている。
深々と降りしきる白い妖精が、オレの顔を、体を覆っていく。
いっそこのまま永久の眠りに身を委ねたら、また皆に逢えるのだろうか?
涙は既に涸れ果てた。オレにはその事が堪らなく悲しかった……。

「おい、兄ちゃん。おめぇ誰に断っておれさまの縄張りに入ってきてんだ?」

不意に頭上から降って来たしゃがれた男の声に返す言葉を発する力は、
最早オレには残されていなかった。
天を見上げている視界の中に薄汚れたと言う言葉は生易しく思えるほど、
ボロボロになった衣服を纏った男が入ってきた。
アルコールの臭いが鼻につく。

「誰に断ってここで寝そべっているんだ、このクソガキが!」

体が吹っ飛ぶかと思えるほどの衝撃の後に腹に強烈な痛みを覚えた。
すぐさまオレは自分が蹴られたのだと理解した。
一発、二発、三発――。繰り返し蹴り上げられる男の足を防ぐだけの力はもう無い。
これでいい、このままにしていれば内臓が破裂して死ぬ事が出来る。
男の激昂は留まる所を知らず、無抵抗なオレの姿に気を良くしたのか、
腹を痛めつける足は益々力がこもって来た。
もうすぐ皆にまた逢える。そう思うと、不思議と枯れた筈の涙腺から暖かい滴が流れ出た。

「な…なんだっ、てめぇは! やろうってのか?」
不意に止まる男の足。なんだよ、何で死なせてくれないんだ?
霞んだ目に、闇夜を貼り付けたような黒いリムジンが映った。
最近の死神はリムジンに乗ってきてくれるようだ……。

「異能者の気配に感づいてここまで来たが、
 こんな裏通りなど普段なら気にも留めなかったな」

そっと差し出された大きな手の持ち主は、
言葉はイタリアの言葉を話しているが明らかに東洋人だった。
そいつは長身で黒い頭髪に高そうなネクタイをしていた。
なによりも、純白色の世界に漆黒のスーツがオレには異様に見えた。

オレからの反応が無い事を見るや、男は強引にオレの手を取り抱きかかえた。

「ここで遇ったのも何かの縁。みすみす見殺しにする訳にもいかないだろ」

――男が滞在していると言うホテルへ向う車の中で、
オレはこの男の名前がコウセイ・ナガツカという事を知った。
ナガツカインテリジェンス本社ビルの脇に在る立体駐車場、
私はここに車を止める事にした。
本来ならば地下駐車場に停めるべき所だが、近間で済ます事にしよう。

排気音とエンジン音であれ程煩かった車内は、エンジンを切った事で途端に静寂に包まれた。
それにしても、思い出してしまったな。師との出会いを……。
そうだ、浮浪者によるリンチと寒さで弱りきった私を介抱してくれたのは、
他でもないあの誠一郎の実父長束公誠その人だった。
あの時差し出された大きな手……。私は一生忘れる事は無いだろう。
師は冷たく凍りついた私の心を溶かしてくれた。
彼は私にとってこの世でただ一人の、尊敬に値する人物だった……。

車から降りてキーケースをジャケットの内側にしまい込むと、
正面玄関を目指して歩いていく。この距離は楽ではないな。

私は若干急ぎ足で正面玄関のドアを開けた。
一階ロビーは無駄に広く、無駄に豪勢な造りをしている。
大理石で出来た床に観葉植物や虎の剥製などが置かれている。
奴の――城栄の趣味全開といった所か。まぁ、第一印象が重要なのは確かだが。

40階にある作戦会議室にでも行ってみるか。
何か情報が得られるかも知れない。
早速エレベータに向うが、他の階をウロウロしていて全く降りてくる気配が無い。

――私は自分のアンラッキーさに、盛大に舌打ちをした

【レオーネ:現在地 ナガツカインテリジェンス本社ビル ロビー】
【エレベーターを待っている。回想は残り6回】
270七草 ◆O93o4cIbWE :2008/12/19(金) 00:27:49 0
>>255

「コラ―!―ハヤク―!!」

あれから此方が何度も呼んでいるが来ない

「わかりました、すぐ追いつきますので…。そう大声を出さないでもらいたいですね」

そう言って、しばらくしてやっと此方に歩いてきた。

「ぅむぅ………」

手を口元に当てて黙る
確かに少し声が大きすぎた、この辺りには虐殺部隊がうろついてると言うのに、あまり目立つことはしたく無かった。

此処に来る前に虐殺部隊を始末しておいたが、所詮氷山の一角に過ぎない、やはり叩くのなら幹部クラス、それさえ叩けば。

「あ、アハハ…そうね、ちょっとうるさかったわね、
 ああそう、この辺は―――!」

刹那、七草は服の下に隠してあった短刀を腰から取り出し神重に向かって投げつけた、
短刀は風を切る音と共に神重の頬を掠め、背後の物陰にいた黒ずくめの男の肩に刺さり銃を落とし蹲っている。

一瞬の出来事で硬直していた神重が状況を把握したのか此方を向き直し問い詰めて来た、彼女はそれを無視し

「お客さんの登場ね、やれやれ、誰のせいかしら?」

此方を凄い形相で見てくる先生を無視し、黒づくめの男に一気に駆け寄る、
至近距離まで近づいた辺りで蹲っていた男が銃を拾い直し此方へ構えた、
それに合わせ姿勢を低くし男の懐に潜り込む。

「…の……を邪魔する奴は―…」

この男には聞えているだろう、だが神重からは聞き取れていないようだ、そして

「馬に蹴られて死んでしまうといいわ――」

男の胸部へ向けて強力な背面蹴り、いや馬蹴りと形容した方がいいのかもしれない

蹴りを食らった男は吹き飛び倒れこむ、彼女は身を翻し腰から更に短刀を取り出し男の首目掛け投擲した、
短刀は正確に男の急所を穿ち、男は首から血を流し絶命した。



271恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/12/19(金) 00:29:05 0
>>264
走りながら思った。流石に矢の雨は無いわ。どんな表現だよ。何となくやばそうな感じを伝えたかったのだが……。
背後を窺うと、神父さんがポカンとした表情を浮かべていたが、俺の様子から察したのか俺の後ろを走り出した。
どうにか神父さんをココから移動させる事が出来そうだ。俺は心の中で安堵した。

しかしどこまで走ればいいのやら。とにかく喫茶店とは違う方向が良いだろう。俺はさっき来た道とはとにかく違う方向に走った。
周囲の風景が物悲しいゴーストタウンに変わっていく。結構この町って広いんだなぁと、どこか他人事のように思う。
――――ここまで来れば大丈夫なのか……な? それにしても見た事も来た事も無い場所だ。結構この町を歩いた筈なのに。
立ち止まって荒い呼吸を徐々に静めていく。っと安心は出来ない。耳鳴り。

『生体反応は無いな。熱源反応も掛けてみたけどそれらしき物は見られない。それに……その男からも殺意は感じられない』
頭上のビルらしきビルを見回るが、特に変な奴はいない……と思う。神父さんもその様子から見るに悪人では無さそうだし。
改めて神父さんに振り向くと、神父さんは息を整えながら俺に聞いてきた。

>「はぁはぁ……どうしたのです?やのあめなるものは降ってきませんが?」
ニュアンスからして、俺の矢の雨発言を不思議に思っているようだ。まぁそりゃあそうだ。
けど一緒に河川敷から逃げてくれてよかった。もし神父さんが俺を頭のおかしい人だと思ってスルーしていたら、どんな事態になっていたか。
つか弁明しないと。どっちにしろ神父さんに俺の事を誤解させたままになってしまう。

「ごめんなさい、突然連れ出してしまって」
俺は神父さんに頭を下げながら謝罪した。神父さんの反応が微妙に怖くて顔を上げられない。
「けど、あのままだと貴方に命の危険が迫ると思い、ああいう行動に出るしかなかったんです。で・・・…」

まずい、言い訳が見つからない。目の前でボーっとしてたらおじさんの頭に矢が刺さって川に落ちたんです!
……なんて言える訳無いじゃん。物凄くヤバイ上に逃げざるおえない状況だと頭の中では理解しているが、口で説明できる光景じゃない。
このままじゃマジで神父さんに連れ出した理由を分かってもらえなくなる。それだけは避けたいが、どう説明すれば分かってもらえるだろう。
俺がチラリと目線を上に上げると、神父さんが凄く不審そうに俺を見ていた。あぁ・・・・・・まずい、すげぇまずい。

っつ! 俺は反射的に首筋を掌でふさいだ。たらりと、生暖かい血が指の間を伝った。同時に服に胸の辺りの血が滲んだ。
そうか、クロノとの戦いの時の傷が今になって・・・…。戦ってる最中はアドレナリンとやらが脳みそに流れてるせいで痛覚が鈍るんだよな。
一息ついた途端、クロノから食らった攻撃による傷がズキズキと疼きだした。いや、これは結構……痛い。
血を止めようと掌を押し付けるが、細々と流れる血は止まろうとしない。あ、そういやさっきから偉く寒いな……。

あ! そういやジャンパーはクロノが地面に埋めやがったんだ! ちくしょう、あの野郎トンでもない事を……。
寒い……。冗談じゃなくて凄く、凍えそうなくらい寒い……。俺は両肩の震えを両腕で押さえた。歯がカタカタ震える。
なんか世界で一番不幸な気分だ。全部自業自得なのが救えねぇ。気づけば両膝が地面に落ちていた。
痛みと寒さと空しさとどうしようもなさが混然一体となって、今の俺を包み込んでいた。一言で言えば死にたくなってくる。

あれ? 視界が、視界がぼやけていくぞ? 顔を上げて神父さんの表情を見ようとするが、すればするほど顔が下がる。
駄目だ、倒れちゃ神父さんに迷惑を掛け……上がれ、上がれよ、オイ……
そうだ、倒れる前に……。倒れる前に何か伝えなきゃ、な……。
「あ、あの・・・…」

「フラン……ダースの……犬っぽく、ないっすか? 今の俺……て……」
薄れ行く意識の中で放った台詞に、俺はただただ悲しくなった。だって何言っても……もう……いいや……。
【疲労がピークに達して行き倒れ。ギリギリ意識はある状態】
272七草 ◆O93o4cIbWE :2008/12/19(金) 00:29:27 0

「――ふう、」

彼女はため息をつきながら、男の肩と首に刺さった二本の短刀を抜き取る

「うわっ、きったなぁ〜い」

不満そうに短刀に付いた血を払いながら神重の方を見る

「あ〜あ見つかっちゃったわね〜、え?こいつ等は何者かって?
 知らないの?それよりもこれからいっぱい来るわよ」

そう言ってるうちに道の向こうからぞろぞろとやって来た、
私の眼は暗闇でも獲物を確実に捕える、距離はおよそ600メートル先、数は4…5…6人か

「4…5…6人ってとこね」

振り返り先生に聞こえる様に呟く、先生には見えてるのかしら?

「それじゃあ、行くわよ先生、何か作戦は在る?
 無ければこのまま殺っちゃうわよ?」

【七草:虐殺部隊が接近中、七草は虐殺部隊を目視可能・神重に作戦は無いか聞く】
273 ◆KmVFX58O0o
――――頭上高く、ナイフを逆手持ちしていた男が、ハッと我に帰る。同時にするりと、男の手からナイフが落ちる。
仁王立ちしている男の真下には、空ろな表情で首辺りに血の水溜りを作った女性の死体が居た。男の視線が女性の視線と合う。
瞬間、男は声にならない声を出して腰を抜かすと、その場から逃げる様に地を這った。すると・・・…。

「お疲れ様です。ちゃんと殺せましたね」
抑揚の無い冷めた声がして、男が顔を上げると――――四角いメガネを掛けたスーツの男が、にこりともせず男を見つめていた。
「ひ、ひぃぃ!」
「何を驚いているんです? 貴方自身が望んだのではないですか。彼女を――――殺したいと」

男が怯えながら、傍らのナイフを右手で握ろうとする。だが、スーツの男は男の近くに歩むと、冷静に男の右手を革靴で踏んだ。
「ち、違うんだよ! 俺はただ、妻を戦いに巻き込みたくないと・・・…」
「その思いが今の行動です。しかし良かったではありませんか。他人に奥さんを殺される前に、自分で殺すことが出来たのですから」

スーツの男がそう言いながら、掛けていたメガネを取って男の視線を自分の両目に合わせる。
スーツの男が見つめる事数秒、男の目に覇気が無くなり、次の瞬間、男はナイフを握ると、自分の喉元を裂いた。
非常に耳心地の悪い音がするが、スーツの男は微動だにしない。
男が息絶えるのを確認すると、スーツの男は胸元のポケットから携帯を取り出した。
「もしもし、曾壁です。被験者の死亡を確認。処理班を派遣してください」

それだけ伝えると、スーツの男――――曾壁は足元に転がる二つの死体を一瞥すると、部屋を後にした。
『機関』の構成員である曾壁に与えられた任務は、戦闘を放棄したと思われる異能者の排除だ。
実際バトルロワイヤルに巻き込まれた異能者の中には、戦う事が出来ない者や、戦う意思が無い者が存在する。
その様な者に対して行われる行為は唯一つ――――排除だ。
上層部の意思によって選ばれた異能者以外の非力な異能者に、生存理由など存在しない。
曾壁は商店街での戦い以降(梶原への精神強化は臨時任務であった)、この任務に付きっ切りだった。

曾壁は不満だった。不満というより欲求不満かもしれない。
商店街での戦いは、曾壁自身の戦歴の中でははじめて自らの力を、最大限発揮できた戦いだった。
しかし今はどうだ。自分の異能力に逆らう事も、抗う事も出来ない弱者を甚振り、殺すだけではないか。
別に曾壁には正義感や倫理観は無いが、もう一度あの白衣の男――――国崎のような強敵の異能者と一線交えたい。
その様な思いが常に頭の片隅にこびり付いては離れなかった。

今回手に掛けた被験者は、今年結婚する予定だった男女だった。男の方が何の能力だが不明だが、異能力を授かっていた。
しかし彼女が異能力を持ちえぬ一般人で、男は自らを迎えに来た曾壁に、その事を説明したのだ。
その末が、最初の惨状である。男は戦う気がないとはっきり公言した上、持っていた異能力が不幸にも戦闘向きでは無かったのだ。
曾壁の独断ではなく、上の命令である。曾壁は上の命令に何ら疑問も不満も持たず、何人もの異能者を自らの異能力で殺害した。

だがいい加減、曾壁は霹靂していた。非力な異能者を殺しても何も面白く無い。それもドイツもコイツもあっさりと死んでしまう。
このままバトルロワイヤルに大きな動きが無ければ、永遠とこの任務を続けなければならない――――その事が曾壁を苛立たせていた。
男女が住んでいた部屋を出て、アパートを降りると迎えの乗用車が来ていた。曾壁はゆったりとした動作で、車に乗った。

「曾壁様、社長から緊急指令です」
乗り込んだと同時に、運転手が曾壁に声を掛けた。仮眠を取ろうとしていた曾壁は閉じかけた目を開く。
「対「機関」組織による本社への襲撃が行われるとの連絡です。至急本社に向かうようにと」

運転手の話を聞いた途端、無意識に曾壁の口元が小さく微笑んだ。無論運転手はその事には気づいていない。
ポケットにしまった携帯を再度取りだし、曾壁は携帯を開いた。そこには、排除対象の異能者のリストが写っている。
「この男とこの男は使えるな……他は…・・・壁役にでもするか」
「曾壁様?」

曾壁が小声で独り言を呟いたが、運転手には聞こえていない。運転手は曾壁にこのまま本社に向かって良いのか問いた。
「このまま本社に向かいますが、他に御用はございますか?」
「いや、ありません。本社に戻ってください」

【曾壁:ナガツカインテリジェンスビルに向かう】