勇者のいらないファンタジーTPRG

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1 ◆pD1VYK0Qmnjp
ジャンルはファンタジーです
勇者様にはなれませんし、あらゆる魔法や剣技を習得する事も出来ませんが、
それでも良ければ一緒にファンタジー世界を楽しみましょう

GMはアリです
決定リールは相談の上でお願いします
○日ルールは5日です
版権・越境はなしです
名無し参加もなしです
敵役参加は難しいかもしれません
避難所は http://jbbs.shitaraba.net/internet/20792/ です



以下がテンプレです

名前:
性別:
年齢:
外見:
性格:
所属:
  L専門分野:
装備:
興味がある事(目標):
備考:
2 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/17(土) 06:16:08.35 0
……この世界には表と裏があります。
表の世界は四柱の女神が創造した四つの大陸と広い海から成る、恵みに満ちた人間界です。
また女神達はその大陸に自らに形を似せた生き物……人を作りました。
そして愛する被造物が生きていく為の術として、己の力の片鱗を彼らに与えました。

西の大陸に生きる人々には神秘の女神グランマージが、魔法や奇跡を起こす為の力……マナを知覚し、操る為の才能を。
東の大陸に生きる人々には智慧の女神シェプファーが、この世の法則を読み解き、そして利用する為の知恵を。
北の大陸に生きる人々には個性の女神アイゲンアートが、この世に決して二つはない、その者だけが持つ特異なる能力を。
南の大陸に生きる人々には慈愛の女神リーベが、この世界に満ちる自然や恵みそのものが、皆を守ってくれるようにと無償の愛を。

あなた達がいるのは西の大陸……ここに生きる人々は理外の理たる魔法を扱う事が出来ます。
魔法の中でも特に癒やし、生命、守護、光などに纏わるものは奇跡と呼ばれる事があります。
またマナは魔法や奇跡の源であるだけではなく、生命力そのものでもあります。
その為、魔法が使えなくとも優れた身体能力を持つ人が多いのも、西の大陸の特徴です。

また人々は大抵の場合、各々の生まれた大陸に強い愛着を持っています。
大陸は女神達の愛そのものと言っても過言ではないからです。
その為、大陸間の旅行者はいても移住者はあまりいません。

ですが大陸間の関係は基本的に良好です。人間同士の大規模な争いはこの世界にはありません。「
何故なら人間には、人間以外の敵がいるからです。そう……この世界には、魔物がいるのです。

魔物共は裏の世界……かつて女神達が被造物を脅かす悪しき存在を封じたと言われる、陰惨溢れる魔界に住んでいます。
元来、魔物共は人間界へやってくる事は出来ませんでした。
が、ある日を境に突然、人間界へと現れ、攻め込んでくるようになったのです。
それは魔物共の長である魔王が長い年月をかけ、人間界への門を開く大魔術を編み出したからだと言われています。

以来、人類はその歴史の中で何度も何度も魔物共と争い、苛烈な侵攻を跳ね除けてきました。
直近では百年ほど前、女神に選ばれし勇者が魔界へと乗り込み、魔王を征伐しました。

それから人間界にはしばしの平和が流れていましたが……七日前の事です。
国営報道局から、魔術師ギルドの占術師達によって魔王の復活が予知されたと報じられました。
それはつまり、魔物共が再び人間界へと攻めこんでくるという事です。

弘報から三日が経ち、巷には不安と恐怖が漂っています。
女神様による勇者任命のお告げはまだ来ていないのか。魔物共はいつ、どこを攻めてくるのか。
しかし、全ての人々が魔物に怯え、魔王の復活に嘆き、勇者の登場を待ち望んでいる訳ではありません。
むしろ逆、魔王の復活に胸を高鳴らせている者達もいます。

例えば魔術師ギルドに属する者達は、魔物の使う独自の魔法や、触媒としての彼らに強い興味を持っています。
剣士ギルドや拳士ギルドに属する者達は、魔物共を己の技の冴えを確かめ、また知らしめる絶好の相手として見ています。
レンジャーズギルドに属する者達は、魔物共からしか手に入らない価値ある品々を手にしたくて堪りません。
商人ギルドに属する者達は、戦乱に伴う特需や、魔物共から得られる素材の売買で大儲けしてやろうと目論んでいます。
彼らの殆どは、勇者など必要とはしていません。あるいは平和や安寧さえも。
3 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/17(土) 06:18:06.86 0
……魔物共は恐らく既に人間界と魔界を繋ぐ門を開き、我々の世界へと潜り込んできているでしょう。
そしてまず初めに門を守る為の陣地設営を行い、それから何処かへと攻め込んでくるはずです。

西の大陸では既に魔術師ギルドの占術とレンジャーズギルドの斥候によって魔物共の探索が行われています。
どうやら……魔物共の門は王都マーギアーの北にある山の中腹に開かれたようです。
レンジャー達の報告では彼らはそこに陣を張り、森に身を隠しながら王都へと接近してきているとの事です。
電撃戦を仕掛けて国の中枢を叩く事で、今後の戦運びを有利にしようと目論んでいるのでしょう。

王都はにわかに慌ただしくなりました。
報告が本当ならば……いえ、まず間違いはないでしょうが、とにかく急いで防衛戦の準備をしなくてはならないからです。
王都に駐在している正規軍の兵士だけでは到底不足だと予測された為、各ギルドには戦闘員の派遣が呼びかけられています。

戦闘への参加を命じられた、あるいは希望する者は、王都の中央広場へと集まるようにとの事です。
そこで軍の主導の下、まずは防衛戦力として正しく機能するよう部隊として編成を行うようです。
あなた達は指示を待っていてもいいですが、自分から気になる相手に声をかけてみるのもいいかもしれません。





……中央広場の隅の方で、五人の僧兵が固まっていました。
どうやら自分達で隊を組もうと、相談をしているようです。
いえ、相談と言うよりは、四人が残る一人を説得しようとしている様子です。

「すみませんが……僕は遠慮しておきます。僕達は魔物との戦闘経験が殆どありませんから。
 どんな敵が相手でも対応出来るよう、あまり偏った編成になってしまうのは良くないと思いますよ」

男四人から言い寄られているのは、長いブロンドの髪に整った目鼻立ちの青年でした。
困り顔と誤魔化すような笑顔を半々で表情に浮かべている彼の名は、ヴァントと言います。
佇まい一つですら潔白さを感じさせる修道士の鑑のような彼は、その能力においても他の者よりもずっと優れていました。
奇跡を……中でも何かを守ったり遮ったりする結界術に関しては一角の者で、僧兵団の中では異例の若さで分隊長を勤めています。
魔物との戦闘に臨むに当たって、同職が隊を組みたいと思うのも不思議ではありません。

「それに……今更何をしたって、僕らが勇者になれなかった事は覆りませんよ。
 無茶はよしましょう。下手を打てば命を落とすかもしれない。そんな事は、女神様も望んでいない筈です」

ですが……どうも何か様子が変です。
僧兵達はまるで魔物共よりも、何か別の事を気にかけているようにも見えます。
何があったのか尋ねてみるのもいいでしょう。もっとも、尋ねるまでもなくすぐに明らかになる事かもしれませんが。



【参加待ちです。よろしくお願いします】

【NPCテンプレ】
名前: ヴァント・ヴィルヘルム
性別: 男
年齢: 19
外見: 長いブロンドの髪、好青年
性格: 模範に忠実
所属:グランマージ教、マーギアー教会
  L専門分野:『結界』の奇跡
装備:チェーンメイル、十字型の短刀、鎖鞭
興味がある事(目標):勇者が本当に勇者に相応しいのか
備考:優しく明るく潔癖な振る舞いの出来る人物ですが、それはあくまで彼が模範に忠実だからです。
    彼が優しく明るく高潔な精神を持っているかどうかは、また別の話です。
4 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/17(土) 06:20:30.94 0
『この世界の設定』

この世界での女神とは概念的なものではありません。ちゃんと存在しています。
魔王が復活した際に勇者の素質を持つ者の名を告げるなどの形で人間界へ干渉する事もあります。

魔物共がどうやって生まれ、何故人間界へと戦争を仕掛けてくるのかは判明していません。

門は決して強固ではなく、また人間界から魔界への入り口にもなってしまいます。
その為か、街のど真ん中に門が開かれる事は滅多にありません。

ギルドとは協同組合や斡旋所のような組織です。
所属員は仕事による収入をギルドに上納しなくてはなりませんが、その割合は能力の度合いに比例します。
能力の低い者は上納金による損よりも、ギルドによる住居の賃貸や福祉による得の方が上回るように出来ています。
能力のある者はギルドに所属する必要性が薄いように思えますが、ギルドは同業者との交流の場としても有用です。
ギルドを介さない場合、一人で一から人脈やコミュニティを作らなくてはなりません。
それは大変不便な事なので、大抵の人はギルドに所属して仕事や研究を行います。

ギルドはこの世界に沢山あります。
上述の魔術師、剣士、拳士、レンジャーズギルドの他にも医師ギルド、薬師ギルドなど、農家ギルドなど、戦闘に限らず大抵の職業にはギルドがあります。
もし既出のギルドがあなたの技能にそぐわない場合はお尋ね下さい。きっと適切なギルドがある筈です。

戦闘に特化した技能しか持たない者達は、平時は肉体労働や警備、治安維持などで生計を立てています。
また人間界には門を破壊され落ち延びた魔物が、そう多くはないですが潜んでいます。
優れた戦闘能力を持つ者はそれらの討伐に招集される事があります。

他にも、門を通って人間界へとやってきた魔物がこちら側での拠点として作った洞窟や砦……ダンジョンの見張りといった仕事もあります。
門を破壊した後に残されたダンジョンは一部ですが、魔術の触媒などに有用な魔物を生かさず殺さずにしておける養殖場のように認識されています。

異なる二つの分野、技術を高い水準で修められる人間は殆どいません。マナの扱い方がまるで違うからです。
魔法を交えた剣術、剣を用いた魔法を扱える者はいても、魔法と剣の両方に熟練した者はまずいません。

また西の大陸にはグランマージを信奉する教会組織が存在します。
そこには女神を強く信仰し、癒やしや生命、守護や光に纏わる魔法を扱う者が多く所属しています。
教会は社会福祉、奉仕活動に熱心で人民から信頼されています。非常時には戦闘にも参加出来るよう訓練を受けている者もいます。

勇者は教会所属の人間が任命される事が多いようです。
女神が信徒の中から選んでいるのか、勇者の素質があるから信徒になるのかは分かりません。

最後に……戦闘に参加する、あるいは関わるギルドにとって、勇者はあまり好ましい存在ではありません。
魔物との戦争を終わらせてしまうその存在は、魔術師やレンジャー達にとっては邪魔とさえ言えます。
また強さの象徴として見られるその姿も、剣士や剣士にとってはあまり気持ちのよいものではないでしょう。
一応、国は各ギルドに勇者への可能な限りの協力を呼びかけていますが、無理に従わせる事は国王にも出来ません。
何故なら彼らはどれも大きく、社会を成す為に必要不可欠な存在だからです。
5名無しになりきれ:2014/05/17(土) 23:29:35.45 0
せっかく設定いっぱい考えても、他人が興味あるようにしないと駄目だとおもいました
まる☆ミ
6名無しになりきれ:2014/05/17(土) 23:54:09.06 0
なんつーフェミ臭い創世記・・・
これは女神もいらないですわ
7名無しになりきれ:2014/05/18(日) 00:06:20.17 0
おもしろそう
西大陸以外のキャラは出さないほうがよし?
8 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/18(日) 00:24:31.15 0
>>7
技能に関してはオーソドックスなファンタジー(拳、剣や魔法など)に限定したいと思っています
あんまりレギュレーションの幅を広くするとなんでもアリになってしまいそうなので
9名無しになりきれ:2014/05/18(日) 09:51:48.19 0
ポエムは早くペルソナ書けよ
10名無しになりきれ:2014/05/18(日) 13:05:25.52 0
設定書きすぎでちゃっかりキャラまで用意して

笑うしかねぇなこれw
11名無しになりきれ:2014/05/19(月) 03:53:22.79 i
もう少しわかりやすく書き直してスレ立て直してくれたら参加考える

それと

これ置いておきますね
12名無しになりきれ:2014/05/20(火) 02:22:07.05 0
女神のくだりが無きゃ参加する
13名無しになりきれ:2014/05/20(火) 20:29:19.61 0
北の大陸出身のガンカタ使い…とかだったら面白そうだったが…

まぁ、少し様子を見させてもらうね
14 ◆xk8vHLmanfSw :2014/05/21(水) 04:45:21.28 0
>>8
つい最近温めていたキャラクター案がこのスレの雰囲気と合いそうなので、ひとまず設定だけ投下します。
技能的な関係上他大陸出身で考えてみたんだけど、こういうのも駄目かな?
前衛型じゃなくてサブキャラクター的に地味な立ち位置で参加したい所存。
【呪い】の設定は個人導入で説明するけど、邪気眼じみた能力開放も「イヤボーン!」みたいな展開も無いので安心召されよ
飽く迄キャラクターが他者と関わる上での「欠点」みたいなものなので。
っつーわけで、ジャッジ( `・∀・´)ノヨロシクデス

名前:エゼルフリーデ・オペトノマ
性別:女
年齢:21
外見:フラックスヘア(亜麻色の髪)のハーフアップを翠色のリボンで留めている、黒瞳
性格:自分に正直
所属:シェプファー教/薬草師ギルド
  L専門分野:薬草学、ベルク流杖術(※護身術:目録レベル)
装備:樫の杖、バックパック、眼鏡(養母の形見)、基本的に旅行に適した軽装
興味がある事(目標):ある日から自分にかけられてしまった【呪い】(後述)の正体と、それを解く方法を探している
備考:東の大陸出身。
   9歳のとき、故郷の村を襲った流行病により両親を喪った。
   悲しみに暮れるのも束の間、彼女自らも両親と同じ病に罹患してしまい死の淵へと立たされる。
   そのとき、村に一人の老婆が立ち寄った。彼女の知恵により、エゼルフリーデは一命を取り留める。
   老婆は薬草師であった。
   天涯孤独の身となったエゼルフリーデは、自身も薬草師になることを志し、老婆に弟子入りさせてもらうよう懇願する。
   村人からの要請もあり、放浪することにそろそろ疲れていた老婆は彼女の願いを聞き入れた。
   それから5年間、老婆の養女となったエゼルフリーデは彼女の下で学び、老婆に負けないぐらいの薬草師となった。

   だが、14歳となったエゼルフリーデを待ち受けていたのは新たな別れと、そして不可思議な【呪い】。
   自らの技術も、女神がもたらす魔法や奇跡、知恵や愛を以てしても解けない、それはそれは不可解な【呪い】。

   彼女にとって……長い長い、旅の始まりであった。
   ちなみに結構な方向音痴でもある(伏線)
15 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/21(水) 16:08:22.59 0
>>14
分かりました。オッケーです
東の大陸で生まれた者は魔法も優れた身体能力も使えませんが
知恵……要は科学について深い適性を持っています。エゼルちゃんの薬草学はそういう点でジャストミートしてますね
呪いに関してはおいおい見せてくださいな
16ゼライ ◆QS360x1VuM :2014/05/21(水) 23:35:07.04 0
名前:ゼライ・マシアス
性別:男
年齢:28歳
外見:褐色の肌、筋骨隆々の大男、スキンヘッド、全身傷だらけ、各関節に瘤
性格:実直、世間知らず
所属:拳士ギルド
  L専門分野:辺境の拳技
装備:頑丈な皮製の腰巻き
興味がある事(目標):己の拳の技を磨くこと
備考:
南の大陸の出身者。
しかし、女神の加護が及びにくい辺境の砂漠地帯に生まれたため、信仰心は薄い。

故郷でひっそりと受け継がれてきた教えを基に我流の拳術を会得しており、幼い頃からひたすら修行に明け暮れた。
己の拳技を磨くことにのみ専心し、それ以外には余り興味を示さない。
隔絶された地域での研鑽に限界を感じ、更なる挑戦のために故郷を旅立った。
そして放浪の末、西の大陸に辿り着き現在に至る。

旅の経験はそこそこ長いが、性格ゆえに世間知らずさが目立つ。

【辺境の拳技】
ゼライの故郷でひっそりと受け継がれてきた拳闘術の教え。
過酷な環境で生き抜くための肉体と精神力を得るための技術が昇華したものと言われている。
その内容は己の肉体を武器とし、鎧とすることに終始徹底した極端な剛拳の教えである。
教えに基づく修練は凄まじく苛烈で、長く続けた者は体の肉の付き方が異様に変わってしまうほど。

ゼライも例外ではなく、髪の毛は全て抜け落ち、全身古傷だらけで、全身の関節には瘤が出来ている。
また、筋肉の形も常人とは異なっているなど人間離れした外観となっている。
17 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/22(木) 00:46:47.82 0
>>16
よろしくお願いします!……なのですが
西の大陸ではマナによる身体強化がありますので、身体能力において他の大陸の人間とは初期値からしてモノが違います
そこら辺、大丈夫でしょうか

南の大陸で生まれた者は自然に愛され、それらから力を借りる素質を持っています
もしよろしければそちらもご利用下さい
18ゼライ ◆QS360x1VuM :2014/05/22(木) 17:27:15.36 0
名前:ゼライ・マシアス
性別:男
年齢:28歳
外見:浅黒い肌、筋骨隆々の大男、スキンヘッド、無精ヒゲ、各関節に瘤
性格:実直、やや世間知らず
所属:拳士ギルド
  L専門分野:故郷の教えに基づく我流格闘術、固有能力
装備:頑丈な皮製の闘衣
興味がある事(目標):己の拳の技を磨くこと
備考:
北の大陸の出身者。
その中でも、最北端の辺境に位置する極寒の氷雪地帯に生まれ育つ。
彼の故郷の出身部族は、同じ北の大陸の住人たちともほとんど関わりを持たずひっそりと暮らしている。

故郷の教えに基づく我流の格闘術を会得しており、幼い頃からひたすら修行に明け暮れる。
また、持って生まれた固有能力との相性もあり、その強さは若くして部族内でも最強であった。
しかし、隔絶された地域での研鑽に限界を感じ、更なる挑戦のため旅に出る。
そして放浪の末、西の大陸に辿り着き現在に至る。

己の拳技を磨くことにのみ専心し、それ以外には余り興味を示さない。
旅の経験は長いものの、その性格故にやや世間知らずな面が目立つ。
19ゼライ ◆QS360x1VuM :2014/05/22(木) 17:48:17.15 0
【故郷の部族】
古くからその極寒の地を居住地として暮らしてきた部族。
彼らの心の支えは、女神アイゲンアートへの信仰と己の肉体のみである。
しかし、自立心の強い性質故に女神の加護に頼ることを是としておらず、みだりに固有能力を使うことを禁じている。
そのため、過酷な環境で生き抜くために己の肉体を徹底的に鍛え上げることを教えとして伝え続けている。

【故郷の教え】
ゼライの故郷の部族で古くから伝えられている、過酷な環境を生き抜くための教え。
頑強な肉体は寒さに耐えるだけでなく、魔物から己の身を守り狩りにも役立っている。
そして、何時しか教えは一種の拳技の勧めのような内容へと変わっていった。
己の肉体を武器とし、鎧とすることに終始徹底した極端な剛の拳の教えである。
教えに基づく修練は凄まじく苛烈で、長く続けた者は体の肉の付き方が異様に変わってしまうほど。
部族の者の中には、ゼライのように己の拳技を磨くことに熱中する者も居る。
しかし、その多くはゼライのように部族の枠組みを越えようとはしない。
あくまでも部族内でのみ通じるものでしかない。

【固有能力】
多くの北の大陸出身者がそうであるように、ゼライもまた固有能力を持っている。
一種の呼吸法として発現するもので、任意に発動させることが可能。
効果は、体内の『気』の力を飛躍的に高め、それをを自在に操るというものである。
身体能力の強化、気そのものを利用した攻撃手段への転用など、汎用性は高い。。
しかし、肉体に負担を掛けてしまうため常に使い続けることは出来ない。
そのため、本気を出す時以外は効果の度合いを調整して抑えることで長時間の使用に対応している。
ゼライが部族の枠組みを超えてまで拳技の追求を図ったのも、この力が切っ掛けである。
20エゼルフリーデ ◆xk8vHLmanfSw :2014/05/23(金) 01:50:12.51 0
主なる神は言われた。「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。」 〜旧約聖書 創世記2章18節〜



   ◆

通りは人で賑わっていた。
日常を送る人々の喧騒と、これから起こりうる戦争の前の緊張が混じりあった、奇妙な賑わいである。

「きょろきょろ……」

その雑踏の中で一人の女性が立ちすくんでいた。
行き交う人々の誰かに道を尋ねようと左右に首を振っている。
彼女の名はエゼルフリーデ、旅の薬草師である。

「もしもし」

やがて通行人の男に声をかけて、そう呼び止める。
男の視点には大きな背負い袋をしょった亜麻色の髪の乙女が割り込んできたことだろう。
土埃のついた旅装に背丈以上はある樫の杖という物々しい出で立ちに一瞬ギョッとするも、彼女のお淑やかな風貌を認めて足を止めた。

「どうかしましたか?」

男が聞く。エゼルフリーデは用意していた黒板を取り出し、白墨で「薬草師ギルド」の意味を表す文字を彼に読ませた。

「どこどこ?」

男は自分の顔に怪訝なものが浮かぶのを感じ……しかし、平静を装った。
エゼルフリーデにはそれがわかっていた。同時に彼の気遣いが、ある種の勘違いであることも。
二十歳を超えたエゼルフリーデの容姿は若い母親でも通じるし、ともすれば未だに十代の半ばとも間違われる幼さを含んでいる。
しかし、彼女の発する言葉遣いはそれよりもさらに『幼すぎる』印象を、誤解を、人に与えてしまう。

「薬草師ギルド……?この辺にはよく来るけどあんまり聞かないなー。地図持ってる?」

紹介元のギルドから預かっている地図を男に見せる。

「んー、ちょっとよくわからないな。ごめんね!」

男は地図を返し、行ってしまった。残されたエゼルフリーデは小さな溜息をつく。
彼で7人目になるが、未だに目的地の情報がつかめない。地図が古すぎるのだろうか、あるいは余程マイナーな場所にあるのか……
夕方までにあと何度「もしもし」「どこどこ?」を繰り返せばいいのだろう。

「あ、そうだ!」

うんざりしていたエゼルフリーデに、先ほどの男が思い出したように振り返る。

「教会の人なら知ってるんじゃないかな」


【1/2】
21エゼルフリーデ ◆xk8vHLmanfSw :2014/05/23(金) 01:53:27.44 0
男の親切さに対し、エゼルフリーデは深々と頭を下げた。
こういう時に「ありがとう」と言えない自分が本当に呪わしい、エゼルフリーデは常々そう思っている。

   ◆

彼女はある日を境に【呪い】にかけられていた。
話すときに同じ音の繰り返し……つまり、擬態語や擬音語のような言葉しか発することが出来なくなってしまったのだ。
理由は未だにわからない。
各大陸のギルドを転々としながら旅を続けているのだが、未だにこれを解く術は見つかっていない。
【呪い】を解くための旅を続けてから、既に7年の歳月が流れていた。

しかし先日、異界の住人がこちらの世界へと攻め込んでくるかもしれないという話を聞きつけ、エゼルフリーデは西の大陸へとやってきた。
こちらの世界で駄目ならば、あちらの世界に何か手掛かりがあるかもしれない。
未知の理を求める多くの魔術師と同じく、彼女にもまたそんな思惑があった。

先の男性から教会の場所を聞き、徒歩で向かう。

「……あらあら?」

しかし、やはりわからない。
先のテンプレートでも記入済みだが、彼女はかなりの方向音痴であった。
とは言うものの、道案内が良かったのか教会の近くまでは来ていたらしい。僧兵と思しき人物の姿を多く見かける。
当のエゼルフリーデに自覚は無いが、この場所こそが王都の中央広場であった。


>>3
広場に固まっているいくつかの集団の中で、ある五人組が目にとまった。
四人の僧兵が一人の青年を取り囲んでいる。何か勧誘を受けているようだ。

「すみませんが……僕は遠慮しておきます。僕達は魔物との戦闘経験が殆どありませんから。
 どんな敵が相手でも対応出来るよう、あまり偏った編成になってしまうのは良くないと思いますよ」

中心にいる青年もまた僧兵だろうか。禁欲的で端整な顔立ちをしており、エゼルフリーデの主観的にもハンサムな部類と思われる。
しかし、これまで色々な大陸を渡ってきた彼女にとって、それ自体は別に珍しくもない。

「それに……今更何をしたって、僕らが勇者になれなかった事は覆りませんよ。
 無茶はよしましょう。下手を打てば命を落とすかもしれない。そんな事は、女神様も望んでいない筈です」

何となく。ただそれだけの理由で彼女は足を止め、彼らの様子を見物することにした。

「おやおや」

自分でも不思議に思うエゼルフリーデであった。

【2/2】【僧兵達の動向を見物中】【避難所にてご挨拶】
22 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/23(金) 01:54:34.90 0
>>18
いい感じですね!
北の大陸ではゼライさんのように、体系化出来ない固有の能力を皆が持っています
本編への参入の際は、現在は王都の中央広場にて防衛部隊の編成中ですので、そちらへ向かって下さい
23 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/23(金) 01:56:26.76 0
>>21
改めてよろしくお願いします!
24ゼライ ◆QS360x1VuM :2014/05/23(金) 22:05:56.85 0
魔物を迎え撃つための防衛隊の編成が逐次進められている中央広場
町の明るい華やかな雰囲気とは対照的に、そこは物々しい空気に包まれていた
不安を隠せない者、武者震いする者、心を落ち着けている者
防衛部隊に組み込まれる様々な戦士達の感情が飛び交っている

中央広場の一角では、前衛部隊への配属を希望する者達が集まっていた
部隊の壁役を買って出るだけあり、誰もが皆逞しい肉体を持つ屈強な戦士達である
その中に、一際異様な雰囲気を放つ一人の大男の姿があった

ゼライ「………」

来ている闘衣は少々ボロいが、露出している肉体には痛々しい古傷が無数
関節には瘤が出来ており、筋肉の付き方も異様で明らかに不自然だった
普通の鍛え方で作り出せるような肉体ではない…分かる者には一目瞭然である
それ故に、周囲の戦士たちもゼライには余り近づこうとしない

拳士「おいゼライ、一人で何やってる!
ギルドからの参加希望者はおまえ以外全員配属が終わったんだぞ!
早く手続きを済ませろ!」

ゼライ「ああ…」

ボロくなった闘衣を眺めていたが、ギルド仲間の拳士の呼び掛けで軍の担当官の下へと歩き出した
他者と余り馴れ合わず、拳を振るうこと以外にさして興味を示さない
そのため、彼は所属している拳士ギルドの中でも浮いた存在であった

拳士「全く…
おまえの腕は買っているが、こういう時ぐらい勝手は控えてくれ
今回のヤマはいつもの仕事とはワケが違うんだ」

ゼライ「すまぬ…
少し考え事をしていた…」

そう言って、ボロく古びた闘衣を見やる
25ゼライ ◆QS360x1VuM :2014/05/23(金) 22:22:48.09 0
>>24続き
拳士は呆れ返ったように溜め息をもらす
しかし、直ぐに態度を改める
ゼライは無表情ではあるものの、感慨深い眼差しを服に向けていたからだ
ギルド内ではそこそこゼライと親しいこの男も、そんな表情は見たことがなかったので気になったのだ

拳士「そういや、ギルドに入った頃から使ってたな
その服によほど思い入れがあるのか?」

ゼライ「故郷に居た頃から苦難を共にしてきた
武器も持たぬ修練に一人旅では、愛着くらい沸く」

拳士「ハハ…
おまえに殴ること以外に執着があるとは驚いた
特に魔力みたいなものは感じられんし、単純にいいモンみたいだな
ま、強い魔物を上手く仕留めりゃ上等な素材が手に入る
そいつで仕立て直してやりゃいい」

拳士は笑いながらゼライの肩をポンと叩くと、気分が良さそうにその場を立ち去っていった
ゼライはその背中をわずかに笑みを浮かべて見送った

ゼライ「ああ、そのつもりだ…」

【前衛部隊への配属願いの手続きのため、軍の担当官と接触】
【周りの状況は余り気にしていない】
26名無しになりきれ:2014/05/25(日) 16:10:26.99 0
>>25
カチャ…

パァーン!
(時間切れでゼライが射殺された)
27エゼルフリーデ ◆xk8vHLmanfSw :2014/05/26(月) 01:43:44.76 0
スレ主からのレスが来ない。
エゼルフリーデは名無しを相手に暇つぶしを始めた。

>>26→(´‐` ○)\(○`ε´○) コラ!コラ!
28 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/26(月) 02:19:27.27 0
すみませーん。もう少しお待ちくださーい
29名無しになりきれ:2014/05/26(月) 10:09:14.25 0
>>27
うざ
30エゼルフリーデ ◆xk8vHLmanfSw :2014/05/27(火) 12:08:18.41 0
名無しは小さな子どもであった。
明らかな場違いである。親とはぐれてしまったのだろうか。
知らない大人に叱られて拗ねたような態度をとっている。
子どもの緊張をほぐすため、エゼルフリーデは彼(彼女?)のほっぺをつついてみた。

ツンツン( ・∀・)rァ)´Д`)←>>29

子供は行ってしまった。
31名無しになりきれ:2014/05/27(火) 14:29:04.74 0
そういう風なことしてると荒れの原因になるって分からないか?
分からないバカならキャラハンなんぞ辞めちまえ
少なくとも俺はおまえを荒らし認定した
32名無しになりきれ:2014/05/27(火) 15:57:25.66 0
こいつ厨房か…?
2chで顔文字とか痛すぎるわ
もしなりきりのつもりならよそでやれ
33名無しになりきれ:2014/05/27(火) 21:23:21.10 0
割と確信犯かもな
34名無しになりきれ:2014/05/28(水) 14:22:06.67 0
ダークファンか…
あの中で何人か地雷っぽいの居るな
レスの描写がいまいち簡潔すぎる
下手糞は地雷になりやすいから怖い
35 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/29(木) 03:20:42.65 0
>>21

デートのお誘いに熱心な仕事仲間達をなんとか説き伏せてから一息つくと、ヴァントは自分に視線を向ける人物に気が付きました。
いえ、自分と言うよりかは自分達、でしょうか。
彼女の視線はいわゆる、お喋り目当てに礼拝堂にやってくるような女性達のそれとは別の色をしていました。

「どうかしましたか?」

具体的に彼女が何を考えているのかは分かりませんが、だからと言って無視したり邪険に扱うのは彼の好む模範に反します。
実はなんとなく、ちょっとした興味程度の理由で彼らを見ていた彼女はもしかしたら戸惑ってしまうかもしれません。
ですが、恐らくは元々の目的であった薬師ギルドの位置を彼に尋ねる事でしょう。
なお、西の大陸にはマナの関係で他の大陸にはない植物が多々存在します。
彼女が薬師として優秀ならば、旅の道中でそういったものを採取しているかもしれません。

ともあれ、彼女はまたも口にする筈です。「どこどこ」と。
その直後です。

「何をしてる。お前の配属先を決めるのはソイツじゃないぞ」

彼女の背後から、男の声がしました。ギルドからの増援を部隊として編成する、軍の担当官です。
彼は黒板など見えてはいませんし、彼女が運命的なまでに方向音痴だなんて事も知りません。
この場にいる以上、当然防衛戦に参加するつもりなのだろうと見なしています。

「お前は……なかなか面白い『色』をしているな。使えそうだ。ちょっと待っていろ」

彼はエゼルフリーデを観察するように見つめると、そう言いました。
元々はレンジャーズギルドの出である彼には、人や物の性質を、色として認識する特技があるのです。
彼はそれを使って部隊の編成をスムーズに行っているようです。

>>24

「おい、そこの武術家。そう、お前だ。お前もまだ未配属なんだろう。こっちに来い」

エゼルフリーデに釘を刺した後で、彼はゼライに声をかけました。

「確かお前は前線への配属が希望だったな。だが……多分、お前が望んでいるようなものじゃないぞ、そこは。
 前線での主な火力は魔術師達による遠距離からの魔法だ。敵に接近される前に撃滅出来るのなら、それが一番だからな。
 剣士や武術家は、その護衛が主な任務になるだろう」

彼の色を見抜く特技は、ゼライが苛烈な戦いを望んでいる事までしっかりと理解していました。
そして、それが前線には存在しない事も。
要するに、魔法で巻き添えにしてしまう事を避ける為、白兵戦はやむを得ない時以外は行われないという事です。

「けどな、そう落ち込むなよ。ちゃんとお前にぴったりの任務がある。付き合わされる方は……まぁ、災難だろうがな」

ですが、彼はにやりと、やや悪党じみた笑みを浮かべると、更に説明を続けます。

「実は、奴らはそれなりに頭が使えるようでな。部隊の殆どは既に森を出て正面から攻めてきてるんだが、一部はまだ森に残っているらしい。
 戦闘が始まってから、戦線を無視して直接こっちへ攻め入ろうって腹だろうな。
 他にも妙な動きをしてる隊がいくつかあるらしい。どれも放っておく訳にはいかんが、それにかかりっきりで正面が疎かになっちゃ本末転倒だ」

それなりの知性があるのなら、三人はもう自分が何をさせられるのか分かった事でしょう。
若干一名を除いては、分かってしまった、と言うべきかもしれませんが。
36 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/29(木) 03:21:18.16 0
「お前達にはソイツらを根こそぎ叩いてもらう。言っとくがな、地味な使いっ走りだなんて思うなよ。
 別働隊と言やあ精鋭揃いって相場が決まってる。それに、奴らはあちこちに展開してやがるからな。
 他の対応部隊がしくじった時にゃ、戦場を突っ切ってでも援護に言ってもらわなきゃならん」

そこで彼は一旦言葉を区切ると、再度三人を品定めするような目つきで見回しました。

「じゃあ、まずは北の城門へ向かってくれ。そこらにいる兵士にこれを見せれば細かい指示をくれる。
 お前達は皆軽装だし、得物もあまり音を立てずに済ませられそうだ。色も悪くない。期待してるぜ」

そう言って走り書きの羊皮紙をゼライに手渡すと、彼はまた別の部隊編成の為にどこかへ言ってしまいました。
真っ赤に染め上がった鉄板の上で踊る方が幾分マシと言った具合の任務ですが、今更断る事も出来ません。
無断で逃げれば……それは各人の評判、信頼に関わってくるでしょう。

「……えーと、その」

ややあって、ヴァントが困ったように声を漏らしました。
彼はこういう時にどう振る舞うのが模範的なのかについての解答を持っていないからです。
もっとも、それを持っている人はそうそういないでしょうが。

「これもきっと女神様の思し召しでしょう。僕はヴァントと言います。お二人とも、よろしくお願いします」

どんな不幸もたちまち価値のあるものに出来る決まり文句と共に、ひとまず彼は笑顔を浮かべて二人に握手を求めました。



「……そう言えば、えっと、ゼライさんでしたよね。あなたは見た目からして格闘家と分かりますけど、
 エゼルフリーデさんは……薬師ギルドを探していたんでしたっけ?特技もそっち関連ですか?」

城門へ向かう途中で、ヴァントはエゼルフリーデに尋ねます。
これから共に戦場に立つのですから、お互いの特技について知っておくのは悪い事ではありません。

「それと、僕の特技ですが……こんな事が出来るんですよ」

そう言うと彼は足を止め、腰の短刀を抜くと……自分の頭上へと放り投げ、その行方を見上げました。
重力に囚われた短刀は切っ先を下にして持ち主の元へと落下を始めます。
ですが刃がヴァントに突き刺さる直前で、小気味いい金属音が響きました。
何もない空中で、まるで何かにぶつかったように短刀が弾かれて、石畳の上へと落ちました。

「驚きました?お二人には見えないでしょうが、今僕の頭上には結界……まぁ、壁みたいなものがあるんですよ。これが僕の特技です。
 刃物だけじゃなくて、もっと色んな物を遮る事も出来ますよ。例えば、気配なんかもね」
37 ◆pD1VYK0Qmnjp :2014/05/29(木) 03:21:59.28 0
……防衛戦力の編成、配置が完了してから間もなくして、北の方角に魔物の群れが見えてきました。
人の背丈ほどの大きさを持つ狼のような魔物が見渡す限り並んでいます。
対魔物の戦闘を専門的に学んだ者なら、それらが大した能力も知性も持たない使い捨ての戦力だと理解するでしょう。
魔物にも知性を持つ種族と持たない種族がいるという事は、過去に幾度となく繰り返された戦争の中で判明しています。

ともあれ……双方の距離が埋まるのを待っている理由はありません。先手を打ったのは人間達でした。
国軍兵の合図を皮切りに、魔術師達が一斉に魔法による長距離射撃を開始します。
炎、冷気、風、様々な現象が砲弾の姿を得て魔物の群れを地面ごと薙ぎ払い、吹き飛ばしていきます。

「……やる気ねえなぁ、おい。こんなんじゃ真正面から勝つ気はありませんつってるようなもんじゃねえか」

城壁の上から戦況を見下ろしていた兵士の一人が、小さく呟きました。

「やっぱ本命は別働隊って事か。対応部隊の奴ら、しっかり働いてくれよ」



……エゼルフリーデ、ゼライ、ヴァントの三人は、戦線からやや離れた森へ向かうようにと命令を受けていた。
斥候に出たレンジャー達の報告によれば、少数の魔物は戦場に出ず、未だ森の中で潜伏、移動しているそうです。
その動きは迅速かつ組織的で、まず間違いなく知性を持った、比較的高位の魔物であると予測されました。
正面の大戦力を囮にして王都へ潜り込み、破壊工作や撹乱、可能ならば暗殺などを行うつもりなのでしょう。
言うまでもなく、放っておけるものではありません。

そして……見晴らしの悪い森の中において、優位なのはエゼルフリーデ達三人の方です。
物音や臭いなど、視覚以外による索敵の材料……総じて気配と呼ばれるものを、ヴァントの結界は完全に遮断出来るからです。
と、不意にその彼が手振りで二人を制止します。

「……いましたよ。アレは……人狼種って奴でしょうか。やっぱりこちらの前線も無視して、城壁の方へ向かっていますね」

人狼種……高い俊敏性、瞬発力、そして鋭い牙と爪を持つ非常に危険な魔物です。
読んで字の如く、人と狼を掛けあわせたような外見のその魔物は、個体差はあるものの確かな知性を有しているとも言われています。
知性があるという事は、つまり人と同じように学び、技術を積み上げられるという事です。
人と同じように知性を持ち、しかし獣の膂力を併せ持つ……森の中で出くわしたい相手ではありません。まともな人間ならば、ですが。

幸いな事に、相手はこちらに気付いていません。
相手の数は五体とエゼルフリーデ達よりも多いですが、だからと言って逃げ出す訳にもいきません。
今以上に状況がよくなる事もまずないでしょうし、仕掛けるなら、今です。

【人狼 が あらわれた。てき は こちら に きづいていない】
38名無しになりきれ:2014/05/29(木) 22:44:48.58 I
なんでお前らってみんな俺だけはここに蔓延るクズの仲間じゃないみたいな口ぶりなの?
39名無しになりきれ:2014/05/30(金) 00:41:44.41 0
パシュ…

>>35-37が首を落とされる
40僧侶
回復魔法で首をもとに戻した