GM:今のところなし
決定リール:あり。過度の決定リールは同僚と相談で調節
○日ルール:基本3日ただし+2日追加可能
版権・越境:なし
敵役参加:あり(事前に要相談)
避難所の有無:あり
備考:舞台は現代のアメリカみたいな場所だと思って下さると良いかもです。
但し、仮想国なので日本にあるような法律やシステムを作っても問題なしです。
キャラテンプレ
名前:
性別:
年齢:
種族:(純人種・亜人種・獣人種)
容姿:
性格:
職業:
能力:(戦術や使用魔術、特技など)
備考:
現代幻影TRPG避難所
http://yy44.kakiko.com/test/read.cgi/figtree/1323941039/l50
突如乱入したスタンプが、オレの手から瓶を取り上げる。
>「マンドレイクだ。しかも人間の血に浸して乾燥させて粉末にしたタイプとみた。
この学校ではそんな危ないものをケーキに混ぜて学生に食わせるのか?」
「えぇーっ!?」
そう言われてみれば、瓶の中の粉末は毒々しい色をしている。
さっきまではこんな色をしていなかったはずだ。
>(さっきの…ブラウン先生がマンドレイクを所持していたとは考えにくいですにゃ)
>(グラン、トト、一応全部のケーキを一部分でいい、怪しまれないように回収しろ。後で他に麻薬が入っていないか検査するぞ)
(トト、オレが皆の気を引くからその間にケーキの回収を頼む!)
オレは敢えて大袈裟に、ブラウン先生に疑いをぶつける振りをする。
この一言だけで後は自動的に大騒ぎになるという寸法だ。
「先生……ブラウン先生ですわね、例の事件の犯人は……!」
もちろんファンクラブの面々は黙ってはいない。口だけでは無く手も出る大乱闘に発展した。
「あなた何てことを言うの!?」
「キーッ!先生に謝りなさい!」
殴打や蹴りが繰り出されるが、魔法教育は受けているとはいえ戦闘の方は一般人。
ひらりひらりと避けてみせる。
「おのれ、ちょこまかと……! ぶっとばしたろか!」
激昂して魔法を唱える体制に入るファンクラブ会員。それは流石にまずくね!?
作戦は大当たりだったが、予想以上の騒ぎになりすぎた。
トトは余裕で検体を回収出来た事だろう。
「落ち着きたまえ君達、状況が状況だ。疑われるのも無理はない」
あわやと思われたが、先生自身がなだめてとりあえず場をおさめる。
「今日はもう帰りなさい、後は私達がやります」
グリーン先生に促されて帰る振りをして教室から出る。
授業中にあの瓶が混入されたのだとしたら、忽然と姿を消した生徒達の中に高確率で犯人がいる……!
犯人候補達が行きそうな場所を思い浮かべると、やはり図書室に辿り着くのだった。
書庫の前を通ると、中から微かに声が聞こえてくるのに気付き、耳を澄ませる。
「とんだ邪魔が入りましたねお姉さま……」
「ええ、もう少しだったのに……」
――――!!
「お前達! 何やってんだー!」
書庫内に乱入する。そこにいたのは、マリアとミラだった。
「さあポケットの中身を全て出すんだ」
ミラはこちらを一瞥すると、いつも通り淡々とした様子でマリアに言った。
「……見つかってしまいましたね、お姉さま」
「こういうのはね、飛んで火に入る夏の虫と言うのよ。
今度こそ逃れられないわよ、ミスギニョール……いえ、人形少女――!」
膨大な魔力が渦巻き、マリアの姿が変化していく。
マリアは漆黒の翼が生えた妖艶な女悪魔のような姿になった。
「なっ、サッキュバス――!?」
「そうよ。マリアお姉さまは私の使役する夢魔……サッキュバスなの。
女の園で美少女食い放題と言ったら大喜びで契約に乗ってくれたわ」
――サッキュバスはサッキュバスでもレズサッキュバスだった!
それにしても、あの時唇を許していたらマジで即麻薬注入されていたということだ。おーこわ!
「やっておしまい、お姉さま!」
ミラの号令に従いマリアが腕を一振りすると、その手の中に大鎌が現れる。
そして地面を軽く蹴ると、踊るような動作で斬りかかってきた!
「はッ!!」
飛び退って避けて本棚の側面を蹴り、流星のように落下しながらパンチを叩き込む。
床に大穴があいた。
「お前達! 何やってんだー!」
書庫内に乱入する。そこにいたのは、マリアとミラだった。
「さあポケットの中身を全て出すんだ」
ミラはこちらを一瞥すると、いつも通り淡々とした様子でマリアに言った。
「……見つかってしまいましたね、お姉さま」
「こういうのはね、飛んで火に入る夏の虫と言うのよ。
今度こそ逃れられないわよ、ミスギニョール……いえ、人形少女――!」
膨大な魔力が渦巻き、マリアの姿が変化していく。
マリアは漆黒の翼が生えた妖艶な女悪魔のような姿になった。
「なっ、サッキュバス――!?」
「そうよ。マリアお姉さまは私の使役する夢魔……サッキュバスなの。
女の園で美少女食い放題と言ったら大喜びで契約に乗ってくれたわ」
――サッキュバスはサッキュバスでもレズサッキュバスだった!
それにしても、あの時唇を許していたらマジで即麻薬注入されていたということだ。おーこわ!
「やっておしまい、お姉さま!」
ミラの号令に従いマリアが腕を一振りすると、その手の中に大鎌が現れる。
そして地面を軽く蹴ると、踊るような動作で斬りかかってきた!
「はッ!!」
飛び退って避けて本棚の側面を蹴り、流星のように落下しながらパンチを叩き込む。
床に大穴があいた。
「にゃっ!」
刺客からトトが突進して拳を叩きつけるが、鎌の側面で弾かれた。
何を思ったか鎌を消し、ニヤリと笑うマリア。
「ウフフ、この子達やっぱり可愛いですわ。食っちゃっていいかしら、ミラ」
「仕方ないわね……後できっちり始末するのよ!」
「ひえぇええええええええええええええええ!?」
オレ達は大絶叫しながら走り出した。
追いかけるサッキュバス先輩。逃げ回るオレ達。狭い書庫内でシュールな鬼ごっこが繰り広げられる。
落ちていた本に躓いて転ぶ。
「あ――あぁ……」
野獣…じゃなくてモンスターと化した先輩が迫ってくる――!
「ふざけんなぁあああああああああああああああ!!」
スタンプが本棚の死角から飛び出して突進してきてオレをかばうように割り込む。
勢い余ったサッキュバス先輩は、スタンプに抱き着くような形になった。
「ぎゃぁああああああああああああああああああ!!」
断末魔の悲鳴が響く! ――サッキュバス先輩の。
見れば、サッキュバス先輩が煙と化して解けるように消えていくではないか。
「えっ!?」
暫く唖然としながらその光景を見た後、助かったという安堵の認識がくる。
「男に抱きつかれると煙となって消えてしまう……彼女の弱点を見抜かれるとは。
その機転を讃えて今日の所はこの辺にしといてやるわ。覚えてなさい!」
そう言ってミラは煙幕を炸裂させる。辺りに煙が立ち込め、何も見えなくなる。
「待て! げほっげほっ……!」
煙が晴れた時――ミラの姿は跡形も無く消えているのであった。
数日後――麻薬を広めていた実行犯のマリアは倒したものの、ミラはあれっきり行方不明。
余計な騒ぎを起こさないようにという事で、事件の顛末は上層部を除いて公にはされていない。
マリアもミラも一身上の理由で転校という事になっている。
それでも、聖マリアでの麻薬騒動はおさまったので、依頼者のトトには依頼成功として感謝された。
そして高校を出ていなかったオレは、なし崩し的にそのまま聖マリアに通う事になったのだった。
「ただいま〜!」
「ん、あ、お帰り」
テンション低いスタンプ。
麻薬騒動の元凶を逃がしてしまったので沈んでいるのである。
スタンプの背中をばーんと叩いて言う。
「一応依頼成功したんだしいつまでも引きずってんじゃねーよ! 次があるって!
オレ達の戦いはまだまだこれからだ!」
――第一部完!
お疲れ様ー
【スレ再利用させていただきます】
【なりきりリレー小説】HEROS!〜現代幻想英雄伝〜
私達の住む世界ととてもよく似たとある世界。
もしも、よりにもよってそんな世界が数多の異世界の連結拠点となってしまったとしたら――
これは、週一ペースで現れる圧倒的にして強大な侵略者に立ち向かう、ヒーロー達の物語。
不可能を可能にし運命を切り開く力は君と共にある――。今こそ語ろう、奇跡の英雄譚を!
TRPG系スレの亜種で、特殊な形式のリレー小説スレです。
参加方法には大きく分けて4つあります。
PC(※1)参加
プレイヤーキャラクターを保有してのレギュラー参加。
基本となる参加方法。トリップを付けてください。
NPC(※2)参加
NPC(ノンプレイヤーキャラクター)を演じてのスポット参戦。トリップ不要。
ST(ストーリーテラー)参加
自らのPCを持たずにNPC操作専属でスレに参加したい場合、それを禁止しない。
名無しとは動かせるキャラの幅が変わってくるため、トリップを付けてください。
名無し参加
なな板TRPGの伝統的な文化。
名無しでのネタ振りの事。単語投下から長文投下まで幅広く歓迎する。
※1 PC
基本的には、作成した個人が占有するキャラクター。普通は他の人が動かしてはいけない。
が、このスレでは他人のPCの操作も許可される場合がある。
※2 NPC
PC以外のキャラクターで、基本的に皆で共有する。
このスレではいつでも誰でも自由に登場させたり動かしていい。設定操作等も自由。
ルール
ジャンル: 現代風ごった煮ファンタジー
コンセプト:無駄にスケールのでかいお使い型RPG+日曜朝のヒーローヒロインもの
決定リール:あり ※1
○日ルール:7日/14日 ※2
版権・越境:全てOK ※3
敵役参加:もちろん自由
避難所の有無:スレが軌道に乗ったら参加者と相談の上用意します。
※1
このスレは決定リールを採用する。
決定リール……自分の行動が相手に与えた結果を書いていいというルール。
例:オレは殴り掛かった!(行動)お前は吹っ飛んだ!(結果)
・変換受け
他人がやらかしてきた決定リール、設定操作をキャンセルしていいというルール。
許可不許可に拘らず全員に常時発動。
許可した手前……等という遠慮は無用。気に食わない事があればどんどん蹴るといい。
そこから発展して、このスレでは前の人のレスを自分なりに変換して受けていい事とする。
前に出た設定を世に広く知れ渡っている通説であった事にして、真実の設定として別の設定を出す等。
一言で言ってしまえば”後出し優先”のルール。
実はキミは神の一族だった!
→例1:いえ、神の一族ではなく紙の一族です
→例2:……という夢を見たんだ。
※2
・7日ルール
前の投下から7日間(168時間)投下が無い場合、上記のルール使用不使用に関わらず、そのPCの操作が解禁される。
これによる操作解禁は、そのPCの投下があった時点で解除される。
・14日ルール
前の投下から14日間(336時間)投下が無い場合、キャラクター操作に加え設定操作まで全て解禁される。
つまり完全NPC化。ただしそのPCの投下があった時点で解除される。
・途中参加・FO・不定期参加・複数PC掛け持ち自由
FOとは何の連絡も無くスレを辞める事。不定期参加とは文字通りの超のんびりした不定期の参加。
このスレでは自由とする。ただし、上記7日ルールが容赦なく適用される事に留意されたい。
途中参加自由。レス順無し。一回の分量制限も無し。書きたいときに書きたいことを書きたいだけ書けば良し。
・1トリップにつき持てるPCは1キャラまで。複数トリップを使い分けての参加は自由
この場合、7日ルールや14日ルールをトリップごとに別々に計測するのに留意の事。
・表記方法
自由。
地の文で行動等を書き、「」内に台詞を書く小説式以外に
地の文でセリフを書き、()で行動等補足するという台本形式も可。
このスレの辞書に失敗という文字はありません。参加する事に意義がある!
キャラクター作成
PCで参加を希望する方はキャラクター作成をお願いします。
名前:
出身世界:(世界の名前を書いてもいいし『典型的ファンタジー系世界』等ざっくりでもいいです)
属性:(RPG系・変身ヒーロー・魔法少女など)
種族:
性別:
年齢:
技能:
外見:
装備:
操作許可指定:
設定操作許可指定:
これは飽くまでも一例。項目は追加・削除自由。不明と書いておいてストーリーの途中で決めてもいいです。
操作許可指定
他の人が、自分のキャラクターを操作する事を許可するかどうか。
名無しも可/参加者のみ可/不可 の三段階で名前欄で指定。
設定操作許可指定
そのキャラクターの設定を他人が操作していいかどうか。
名無しも可・参加者のみ可・不可の三段階で指定。
※3
オリキャラだけでなく、版権キャラ・他スレからの越境キャラ、実在の有名人・それらのパロディ等も自由とする。
ただし、余程詳しく設定を書き込まない限り多分元ネタからはかけ離れていく事を了承のこと。
レヴァリアース――私達の住む地球ととてもよく似た世界。
お堅い物理法則や複雑な経済原理が支配するご存じリアル志向の世界で、地球と似たような歴史を辿ってきた――はずだった。
しかし2020年――マーヤ文明に予言された世界滅亡の日。突如としてアトランティカ大陸が浮上!
そこから史上最恐の魔王、その名も“終端の王”が現れ世界を恐怖のズンドコ…じゃなかった、どん底に陥れた!
そしてこれまた異界から来た勇者人呼んで“異世界の騎士”が魔王を倒し、世界に平和を取り戻した――かに見えた。
だがしかし! これは始まりに過ぎなかったのだ。
アトランティカには数多の異世界と繋がるゲートが無数にあったのである。
こうしてレヴァリアースは一躍、多元世界の連結点――多次元支配の鍵を握る重要拠点となってしまった!
当然、わかりやすい悪役から胡散臭い正義の味方までひっくるめて人外魔境の輩が続々流入。
魔力やら精霊やらの謎の力も流れ込み、そのうちレヴァリアース原住民の中からも
厨二病が高じてラノベ系の異能に開眼する者、星の声を聞いちゃう者、クッソ汚い淫獣にそそのかされて変身ヒーローヒロインの力を得る者も続々登場。
化物や怪人や自称魔王が週一ペースで暴れては自称勇者や特撮ヒーローや魔法少女に倒されるしっちゃかめっちゃかの世界となった。
更には謎の力によって旧校舎や廃工場がダンジョン化、うかうかしていると街中で行方不明者が続出する始末。
そんなご時世、人々が求めるのはお助け集団。もはや公的機関も手におえず匙を投げ、乱立するはNPO法人ヒーローズギルド!
約週一ペースの化物退治はもちろんのこと、行方不明者捜索のダンジョンアタック、時には運営資金獲得のためにお宝ハントにも赴く!
無駄にスケールのでかいお使い型ファンタジー+日曜朝のヒーローものの融合、ここに開幕!
名前:ブラウ・エルローズ
出身世界:レヴァリアース
属性:変身美魔女
種族:多分人間
性別:女
年齢:42歳アラフォー!
技能:イケメン魔法戦士『青薔薇騎士』に変身
外見: 黒髪ストレートセミロング。年齢不詳。見た目だけ知性派美人風。
装備: 銀縁眼鏡。ゴシック風の黒のパンツスーツに青薔薇十字団のブローチ。
操作許可指定:名無しも可
設定操作許可指定: 名無しも可
――自分を信じて『夢』を追い続けていれば、夢はいつか必ず叶う !
ヒーローズギルド『青薔薇十字団』の団長。
イケメンや美少年に目が無いので、美少年姿のクッソ汚い淫獣、淫キュくんに唆されてホイホイっと契約してしまったらしい。
契約時にとっさにイケメンを願ったため、自らがイケメンに変身する能力を得てしまった。
が、イケメンになって美少年姿の相方と戦えるという事で結構ご満悦。
NPCデータ
名前:淫キュくん
出身世界:?
属性:変身魔法少女もののマスコット
種族:クッソ汚い淫獣
性別:?
年齢:?
技能: 青薔薇十字団への勧誘、メンバー募集の広報。契約により異能を与える。
外見: 普段は変なリスザルだが、戦闘時や契約を迫る時は白い猫耳の美少年に変身する。
装備: 全裸じゃね?
――君なら運命を変えられる。避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい!
ブラウの相方にして、ヒーローズギルド『青薔薇十字団』の謎多きマスコット。
巧みなセールステクニックによって契約に持ち込み、相手の願いに応じて異能を与える事が出来る。
彼が言うには欲しい物は、絶望から希望への相転移。
元は流れのセールスマンだったが、思うところあって青薔薇十字団の専属マスコットとなり、ブラウと行動を共にしているらしい。
――諦めたらそれまでだ。でも、君なら運命を変えられる。
絶望の淵で手を差し伸べられたとき、人は99.99%の確率でその手を掴む。
――避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい! そのための力が、君には備わっているんだから。
時に藁をも掴む思いで。時にやけっぱちで。時にもうどうにでもなーれと。
時に――それが、甘美な罠だと分かっていたとしても。
――だから僕と契約して、魔法少女になってよ! さあ、君の願いは何?
「あっはははははは! いいよ? その取引、乗ってやる。
奇跡、買ってやるよ。だから、イケメンをおーくーれーーーーー!!
無理ならアンタでもいいや、美少年よ、我が物になれ!」
結論から言うと、クッソ汚い淫獣は破格の出血大サービスをしてくれた。
少しばかり解釈の相違はあったものの、願いを二つとも叶えてくれたのだ。
これが、全ての始まりだった。
―― HEROS!〜現代幻想英雄伝〜 第一話 ――
ここはEU連合王国――本土から海を隔てたイングラン島の最大の都市、魔法都市ロンディアナ。
我がヒーローズギルド『青薔薇十字団』が本拠地を置く街だ。
そして今、この都市は一年で一番活気づく時期である。
年に一度のクディッチボールの世界大会が迫っているのだ。
クディッチボールとは、空を飛びまわる羽根が生えたボールをこれまた空を飛びまわって追い掛け回し
一番ボールを多く集めた者が勝ちというこの都市の伝統的スポーツである。
相手への攻撃、更には武器の持ち込み等自由のため、近年では実質単なる空中無差別格闘戦と化し、一部のファンの間で問題視されているとかいう話だ。
元々は箒にまたがってやるものだったが、最近は魔法のじゅうたんや自力飛行も許可されている。
そんな折。市内のヒーローズギルド代表者が、魔法省ロンディアナ支部に一同に介していた。
偉そうなヒゲオヤジが壇上に上がり、勿体ぶって話し始める。
「えー、おほん。この度皆に集まって貰ったのは他でもない。
クディッチボールの世界大会についてなのだが……皆に協力を要請したい」
「超機密事項だから詳しい経緯は言えないのだが……”名前を呼んではいけないあの人”が今度の出場選手の中に紛れ込んでいるらしい!」
ざわ・・・ざわ・・・
“名前を呼んではいけないあの人”という言葉が出た途端に、会議室内に一気にざわめきが広がる。
「ああ、あの本名が魔法省の特別保護管理下にあって、その名を呼ぶことはおろか、書き記すことさえ禁止されている伝説の……!」
「恐ろしや、あな恐ろしや!」
「レヴァリアースに舞い戻ってきやがったのか……!」
「だから誰なんだよ」
私はネット上のフリー百科事典であるアンサイクロペディアで、”名前を呼んではいけないあの人”を検索した。
要するに一言で言うと、昔一時期世界を支配しかけた闇の魔法使いで
ガチホモこそ至高の純血とし、全世界ガチホモ化計画を推し進めたらしい。
嘘だとおもったらアンサイクロペディアを見てみよう、そう書いてあるから。
「奴を野放しにすれば、伝統あるスポーツが100%ガチムチパンツレスリングと化す――!!
それだけは避けなければならない!!」
ヒゲのおっさんは、口角泡を飛ばしながら目をくわっと見開いて熱弁をふるう。
ちなみにガチムチパンツレスリングとは、パンツを取られたら負けという特殊なルールのレスリングの事らしい。
「別にどうでもいいじゃん。タマの取り合いがパンツの取り合いになったところで大して変わんなくない?
そもそも各国から代表者が選出されてくる大会になんで変なんがまぎれこんでくるんだよ」
「うっせー! だって国とか何百個もあるし!
南の方の島のなんちゃら共和国とかいちいち全部把握してねーよ!!
変なんが紛れ込んでもぶっちゃけ分からねーよ!」
おっさんはそこまで言ってはっと我に返り、何事もなかったかのように本題に戻る。
「そう、数百人が大乱闘する中に変なのが多少紛れ込んでてもぶっちゃけバレない。
そこでだ……団員達に出場者として潜入して警備にあたらせてほしい!」
ざわ・・・ざわ・・・
辺りに再度ざわめきが広がる。
「要するに空中ガチムチパンツレスリングに出場しろと…・・!?」
「駄目だべ! パンツ一丁で飛びまわるならまだ許すけどパンツを取られたら駄目だべ!」
ためらう声が多い中、ヒゲのおっさんがぽそっと呟いた。
「今年の補助金の分配はどうしようかな〜」
それを聞いた瞬間、私は立ち上がって宣言していた。
「ヒーローズギルド青薔薇十字団、全力を持って協力させて戴きます!」
ツマンネ
ほんっとセンスねーよな。
ニコ動ネタとか引っ張ってこられても困るだけだし
世界観とか引き継ぎましたーとか言ってるけど、いつものお前のスレじゃん
前のGMは回し方が下手で今一だったけど、設定に関しては面白いほうなのに
お前のせいで台無しだし、てか本当に劣化させるのだけは得意だよな
レギオンも設定がうんたらかんたらとか言ってるけど、お前のほうが十分ひでぇよ
どうせここも他のTRPGスレから追い出された奴らのふきだまりになるのが目に見えたな
というかな、ジェンスレのこと忘れたとは言わせねぇぞ。
お前が前科者である以上、汚名返上する何かがお前にあるのか?
世界観やレスの内容みる限り皆無だぜ。
悪いことは言わない、もう少し大人しくしてろ
もしくは、こんなだだ滑りしかしないネタの乱用をやめてもっとこう
ファニーからインタラスティングなレスをかけるよう努力したほうがいい
本当に痛いだけだから、てか俺、お前のレスで笑ったことねぇからマジやめろ
――数日後、差出人不明の手紙が届いた。
「ほんっと運営センスねーよな。
ガチムチパンツレスリングな依頼とか引っ張ってこられても困るだけだし
理念とか引き継ぎましたーとか言ってるけど、いつものお前の仲良しグループの延長じゃん
前の団長は資金繰りが下手で今一だったけど、人望に関しては最高だったのに
お前のせいで台無しだし、てか本当に劣化させるのだけは得意だよな
近所のヒーローズギルド「エンジェルレギオン」も団長の手腕がうんたらかんたらとか言ってるけど、お前のほうが十分ひでぇよ
どうせここは他のヒーローズギルドから追い出された奴らのふきだまりになるのが目に見えたな
というかな、先代団長のこと忘れたとは言わせねぇぞ。
お前が前科者である以上、汚名返上する何かがお前にあるのか?
お前のギルドの状態みる限り皆無だぜ。
悪いことは言わない、もう少し大人しくしてろ
もしくは、こんなダダ滑りしない依頼を受けるのをやめてもっとこう
やる気の出るような格好いい依頼を持ってくるよう努力したほうがいい
本当に痛いだけだから、てか俺、お前に代替わりしてからのギルドに助けられたことねぇからマジやめろ」
――見事なまでのアンチレターであった。
「……そうだな、そうかもしれないな」
実は“青薔薇十字団”は私が設立したヒーローズギルドではない。先代から引き継いだものなのだ。
強くてかっこよくて街の人々から頼られて慕われてた先代。
物語の世界から抜け出してきたような理想のヒーローだった先代は――侵略者の手から私を守ろうとして、死んだ。
私が殺したような物なのだ、私の事を恨んでいる者もいて当然だ。
先代を思い出して物思いにふけっていると、リスザルの姿をした我がギルドのマスコット、インキュくんが駆けてきて膝に乗る。
「やっぱりもうちょっと普通路線にした方がいいと思うな。流石にあの団員規則はどうかと……」
私は首を横に振る。
「私は理想のヒーローになんてならないし団員もそうはさせない。自分を犠牲に誰かを助けるヒーローなんてまっぴらだ……!」
不可能を可能にし運命を切り開く誓い――それが我がギルドの団章である、青薔薇の紋章に込められた意味。
『信じれば夢は叶う!』 それが先代の口癖だった。
夢は何かと聞くといつも、『叶った時に分かるさ』と言って教えてくれなかったわけだが。
ついぞ聞かず仕舞いになってしまった――
そして2代目団長に就任した私は、理念を据え置きつつも団員規則を一新したのであった。
・出来るだけ一人の敵を大勢でボコれ!
・敵わないと思ったら即逃走!
・本当に危なくなった時は命乞いを厭うな!
・卑怯上等! 死人に口なし!
・死亡厳禁!!!
こんな感じの数々のヒーローらしからぬ規則によって、ギルドの評判はガタ落ち。(当たり前)
今のギルドの人数は――はっきり言って幽霊部員が多くて把握できていない。
ヒーローズギルドというのは、専業でやっているのは団長や幹部クラスだけ。
放課後や休日のクラブ活動のようなノリでやっている人、さらには幽霊部員も結構いるのである。
NPCデータ
名前:Vモード(名前を読んではいけない)
出身世界:魔法学校のある某世界?
属性:闇の魔術師
種族:元々は人間?
性別:ガチホモ
年齢: ?
技能: 闇の魔術
外見: 黒マントにガスマスクのような仮面。無関係の作品が混ざりこんでいるが気にしてはいけない。
装備: Sバンクのケータイ
ちなみに前回レヴァリアースに来た時はガチホモを集めるために通信手段が必要と思い立ち
その絶大な魔力によって自ら通信規格を開発して携帯電話会社を始め、その通信規格に自らの名を冠してVモードと名付けた。
しかし「東京な」という謎の文字が書かれたTシャツを着た魔法使いに敗れた。
余談だがその魔法使いは∀Uを愛用していたという。英雄だけに。
名前:カイass(略してカイ君)
出身世界:Sバンク発祥の地である某世界?
属性:クッソ汚い淫獣
種族:元々は人間?
性別:漢
年齢: ?
技能: 可愛らしい犬の姿で釣って巧みに顧客をSバンク契約に持ち込む。時々犬耳の美形のおっさんに変身する
外見: 白い犬
装備: Sバンクのケータイ
どう見てもVモードのペット。無駄に渋い声で喋る白い犬。
しかしその正体は通信を掌握する事による多世界支配を目論む通信会社Sバンクの頂点に君臨する存在。
「トトロの心臓」を持つ不死身のセールスマンであり、永遠の時を生きているらしい。
すでにVモードを買収して手中におさめているが
Vモードの方は買収されたと気付いておらず、戦略的協力だと思っているのが恐ろしいところである。
ブラウさん、よろしくです。
世界観と合わない箇所があれば訂正します。
名前:マイ・メロデン
出身世界:美しい国
属性:神使いの剣士
種族:半妖
性別:女
年齢:?
技能:古剣術
外見:サムライ
装備:タケミツソード。キモノ。
女狐と人間の男の間に生まれた半妖怪。
いっぱい人を殺めてきたが、ある事件を境に誰も殺めないと誓う。
女だが男として育てられたために、男性に対して強いコンプレックスがある。
>>24 よろしくです!
このスレで世界観と合わないテンプレを作る方が至難の技ですよw
ポジションの希望とかはありますかー?
最初からギルドに所属してる事にしてもいいし関係ないところから始めてもいいですよー
魔法都市ロンディアナ。宿舎の窓から外を珍しそうに眺めている侍がいた。
彼女の名前はマイ・メロデン。神使いの剣士。東の国から来た。
祖国を代表するクディッチボールの選手の護衛のために。
当初メロデンは外国に来るのはいやだった。
しかし大使館にいる友人の頼みを断りきれることもなく
しぶしぶ護衛を請け負ったのだった。が今の心境は違う。
この国の古びたレンガ造りの建物も好きになれた。それは幸運なことだった。
ただ一つだけ問題があった。
それは護衛すべき相手が気に食わないということ。
シャワールームから出てきた彼は前も隠さずに堂々とベッドに胡坐。
それはメロデンが女だということを隠しながら男として生きているから仕方がないことだったがやはり解せない。
かれが男に生まれたことを見せびらかせているようにもおもえた。
女に生まれてしまったメロデンはメロデン家の当主として男として生きることをとても努力しているのにだ。
「おまえ、はやく服を着ろ。青薔薇十字団の幹部たちとの会食の時間まで半刻もないんだぞ!」
※ ※ ※
青薔薇と会食の約束をした場所。
どうやら少し早く着すぎてしまったようだ。
メロデンは鋭い眼差しで辺りを見渡している。すると後ろから声。
「あんた、クディッチボールの代表選手じゃね?サインくれよ」
ぼろ布を纏った謎の人物が複数。
「え、はい。いいですよ」
「おい!待て。貴様らあやしいぞ。近づくな!」
メロデンは刀に手をかける。
クディッチボールの大会がいよいよ近付いてきたある日。
とある国のクディッチボール連盟から、我がギルドに直々に依頼が舞い込んだ。
なぜ無名の三流ヒーローズギルドであるうちに!? などという様々な謎はあるが
我がギルドの資金繰りは決して裕福ではないため、受けないという選択肢は無い。
その国の名は”神域国家ヤマト”――”美しい国”、”天帝を中心とする神の国”などの様々な異名を持つ島国である。
ちなみに、これらの異名はどちらもその国の昔の大臣が残した名言だ。
依頼の内容は代表選手の警護の援助。
ヤマトの連盟も”名前を呼んではいけないあの人”が紛れ込んでくるという情報を何らかの手段で入手し警備を固める事としたのだろう。
それに先立ち、ヤマトから来た代表選手とその護衛との会食が開かれる事になった。
会食に赴くのは、もちろん団長である私、ブラウ・エルローズと、マスコットであるインキュくんだ。
私達が約束の場所であるレストランに行くと、相手方はすでに席に座っていた。代表選手と、その護衛。
代表選手は太った男であり、神を不思議な形に結い上げている。
身に付けているのは、パンツよりも露出度の高い独特の短パン(回しというらしい)一丁。
あんなのでもパンツじゃないから恥ずかしくないのだろうか。
はっきり言ってシュールだが、ヤマト最強の格闘技の使い手、スモウレスラーの正装だそうだ。
護衛の方は、オーソドックスなサムライの恰好をした美少年。大切な事だからもう一度言おう、美少年である。
何はともあれ彼らの元に赴き挨拶をしようとした時だった。
ぼろ布をまとった怪しい人物が代表選手に話しかける。
>「あんた、クディッチボールの代表選手じゃね?サインくれよ」
>「え、はい。いいですよ」
代表選手があっさりサインに応じようとしたその時だった。
危険を察知したらしい護衛のものが、待ったをかける。
>「おい!待て。貴様らあやしいぞ。近づくな!」
「私達は怪しい者ではない、ただここにサインを貰いたいだけです。
彼からは、我々と同じオーラを感じるのです……!」
そう言って怪しい人物がぼろ布の中から取り出した冊子を、近づいてガン見する。
「なんですか、あなたは……!?」
冊子には、『全裸で生活する権利を要求する署名』と書いてある。
間違いない、彼らの正体は――
「街の治安を乱す過激派集団め! お前らの正体見抜いたり! ほいさぁああああああああああ!!」
ぼろ布を矢継ぎ早に引きはがす! ぼろ布は何の抵抗もなく引きかがされ、現れたのは全裸の男5人!
ヌーディストの権利拡大を目指す過激派アイドル集団、SMAPA(スマッパ)だ――!
クディッチボール大会の時期には、どさくさに紛れてこのような過激な主張をしようとする輩も集まってくるのだ。
上品な雰囲気のレストラン内は一時騒然、悲鳴に混じってところどころで歓喜の声が響き渡る!
そんな中、私は代表選手とその護衛に自己紹介をする。
「折角の会食だというのにいきなり騒がしい事になってしまったな……。
お初にお目にかかる、私は青薔薇十字団団長のブラウ・エルローズ、この者は我がギルドのマスコットのインキュ君だ。
全力をあげて代表選手の護衛にあたらせて戴く次第、以後よしなに――」
>「街の治安を乱す過激派集団め! お前らの正体見抜いたり! ほいさぁああああああああああ!!」
マイは絶句した。謎の知性派美人によって男性たちの布が剥がされてゆく。
その正体はスマッパ。
ブラウは正体を見抜いたとか得意げな態度をとっていたがそんなものはそっとしておくべきだ。
彼らは惜しげもなく見事な肉体美をさらけ出し踊り始めている。
もう、すべてが信じられなかった。マイはこの国は紳士の国と聞いていた。
でもまさか、一般人のなかにもこのような輩が紛れ込んでいるとは。
そんな中、スマッパのボロ布を剥がした知性派美人が話しかけてくる。
破廉恥な女。女女してる女。肉食系女子?マイが生理的に一番苦手なタイプ。
それは自分が一生懸命に抑制していることを何の躊躇いもなくやってのけてしまう女だからだろう。
>「折角の会食だというのにいきなり騒がしい事になってしまったな……。
お初にお目にかかる、私は青薔薇十字団団長のブラウ・エルローズ、この者は我がギルドのマスコットのインキュ君だ。
全力をあげて代表選手の護衛にあたらせて戴く次第、以後よしなに――」
「……」
ひくりと眉がつり上がる。こいつが、この女が…
――団長!?
ありえない。信じられない。どう見てもただの変態女なのに。
だがマイは深々と一礼をする。
「…私の名はマイ・メロデン。ヤマトの侍です。この男はスモウレスラー。わが国の代表選手。
この度は護衛に協力していただくことになって、真にありがとうございます」
それだけ言って、マイはつんとそっぽをむいてしまった。
変態に礼をするなど愚の骨頂。
席に座ると、音もなくナイフで綺麗に切ったステーキをすっとフォークで口に運ぶ。半ばやけ食い気味で。
いっぽうの隣のスモウレスラーはというと暢気なもので無心で料理を平らげていった。
その食べる量はとてつもなく、あっという間にテーブルの上が皿で溢れかえる。
マイはやっぱりこいつも気にくわないと重ね重ね思う。
体重を気にすることもなくぶくぶく太って、紐パンを穿いて変な髪形で
人を投げることを生業とする男。
はやく仕事を終わらせてヤマトに帰りたい。
その想いは募るばかりだった。
正体が顕になったSMAPAは、ノリノリで踊りながら兄ソンを歌い始めた!
彼らのリーダーは草抜つよし。
公園でいきなり全裸になって、シンゴーシンゴーと叫びながら噴水で行水をおっぱじめるという衝撃的なデビューを遂げたらしい。
そんな事はどうでもよく、すぐに警察が来て全裸系アイドル達は連行されていった。
露出して警察に連行される所までテンプレ。そしてすぐに釈放されてはまた露出ライブの無限ループらしい。
何故かというと、捕まる度に根強いファンの集団が警察を包囲して騒ぐからだ。
流石はロンディアナ。変態紳士の街。
>「…私の名はマイ・メロデン。ヤマトの侍です。この男はスモウレスラー。わが国の代表選手。
この度は護衛に協力していただくことになって、真にありがとうございます」
礼儀正しく深々とお辞儀をするサムライ。
女みたいな名前だな、と思ったがそれは口には出さず。
「堅苦しい挨拶はここまでにしよう。よろしく、マイ殿にスモウレスラー殿」
握手をしようと手を差し出すが、マイ殿はそっぽを向いてしまっていた。
何か気に障ることを言っただろうか。
と、頭を捻っていると、淫キュ君が教えてくれた。
「多分君が全裸系アイドルの布を引っぺがしたからだね。
ヤマトのサムライは格式高いんだ」
「包装材のプチプチはプチプチしたくなる
仮面キャラの仮面は剥ぎ取りたくなる、全身布キャラの布も剥ぎ取りたくなる
それが人情というものではないのか」
「ガキかお前は」
そんなやりとりなど気にせず、スモウレスラーは物凄い勢いで料理を食べている。
「ところで……素朴な疑問だけど君はどうやって空を飛ぶんだ?」
「むぐむぐ……アッハイ、修行によって身に付けた超越神力で飛びます。
やってみましょうか」
スモウレスラーはその場であぐらをかき、気合いでぴょんぴょんと飛び始めた。
「ふんっふんっ!!」
「…………」
ステーキを口に運びながら生暖かく見守る。男が跳ぶたびに、店内に振動が走る。
あぐらをかいた状態で飛び跳ねるのはそれはそれで凄いが、一向に浮かび上がる気配はない。
「ふぅ……ちょっと食べすぎました」
本当に飛べるのかコイツ――!? そんな疑問が浮上した時だった。
黒いローブをまとった男達が乱入してきた! 今度は露出狂ではない、多分。
店員に魔法の杖を突きつけ、似顔絵を見せながら脅す。
「この男がこの店にいるのは分かっている! どこだあ!
神の国からやってきた超越神力の使い手――ヤマトの代表選手だ!」
似顔絵の絵が下手過ぎて難を逃れる、というのがこんな時によくあるパターンだが、今回はそうではない。
むしろ上手い。似顔絵に描かれているのは、イケメン巫者系キャラであった。
似顔絵と、スモウレスラーの顔を見比べる。
まあ確かに目が二つあって鼻と口が一つあるところは当たっているな。
私はマイ殿に耳打ちした。
「どうやら彼は狙われているらしいな……大使館に帰るのは危険だ、近所に私のギルドがある。ひとまずそこに行こう」
店を出ようとすると、当然黒ローブ達に呼び止められた。
「お前ら待て!」
「帰りたいんだが通ってもいいか? 我々全員その似顔絵とは似ても似つかないだろう?」
「確かにそうだな……、通ってよし!」
こうして我々は脱出に成功した。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
私達は、『青薔薇十字団事務所』の看板を掲げた建物に入っていく。
中では学校帰りの小学生達がたむろってDSをして遊んでいた。
通学路にあり、淫キュ君が通りすがりの小学生を呼びこんでしまうため、小学生達の恰好のたまり場となっているのだ。
「またか。お前達、ここを公園か何かと勘違いしているだろう」
小学生達はそれには答えず、マイに興味を示した。
「おおっ、サムライじゃねーか!」
「すげー!本物!? 天帝を中心とした神の国から来たのか!?」
マイの周囲に団子のように人だかりが出来る!
放っておかれてどことなく寂しそうなスモウレスラー。
>「ふんっふんっ!!」
スモウレスラーは自分の飛行方法をブラウたちに教えていた。
しかし彼はまったく飛べないでいた。その様子はまるでスタジオジ○リ。
それを見たマイの頭は痛くなる。だから太り過ぎなんだってば!
そう思いながら両手で顔を隠しテーブルに塞ぎこむ。
すると突然、男たちが乱入してきたのだった!
>「この男がこの店にいるのは分かっている! どこだあ!
神の国からやってきた超越神力の使い手――ヤマトの代表選手だ!」
でも、似顔絵と本人が違い過ぎるということで事無きを得、マイたちは無事。
会食も無事に終わり、ブラウたちに連れられて『青薔薇十字団事務所』の看板を掲げた建物に入っていく。
>「おおっ、サムライじゃねーか!」
>「すげー!本物!? 天帝を中心とした神の国から来たのか!?」
「ああ、そうだ」
子どもたちの羨望の眼差しを一身に受け満更でもないマイ。
ふっとクールに微笑している。
「すまないが、道をあけてくれないか?私たちは長旅で疲れているのだ」
マイは、子どもたちのお腹を擽って追いかける。
子どもたちは蜘蛛の子を散らすようにケタケタ笑いながら逃げてゆく。
そのなかで一人の男の子が本気になって怖がって逃げてゆくさまが面白かった。
「…あ」
だが突然、偏頭痛。逃げる子どもの後ろ姿に、逃げる男の背中が重なって見えた。
記憶が蘇る。逃げる男の声が、顔が、記憶の底から鮮やかに蘇る。
「あ、あああっ!」
その場でマイは蹲る。この手で殺めた男の最期の顔がまざまざと蘇る。
斬り殺した人間の顔は一人残らずはっきりと覚えている。
呼吸が荒くなる。息が上手く吸えない。まるで丘に上がった金魚のように。
なので心配したインキュ君がマイに後ろから慌てて近づく。
「!!」
驚愕。踵を返したマイは無意識でインキュ君の出足を払う。
インキュの後ろ足から前足へ体重が移る刹那、踏み出した足を払う。
それならば大の男でも体重などないも同じ。
まして猿など赤子の手をひねるよりもたやすく転ばすことができる。
マイは転倒したインキュ君に馬乗りになり抜いたタケミツをその喉元に突き立てていた。
そして我に返る。インキュ君はガタガタと震えていた。
それを見ていたスモウレスラーも震えていたが、軽く会釈をしてブラウの背中を押す。
マイに構わずに行こうとしているのだ。マイは俯いたまま悲しげに…
「すまなかった。後ろから何かが走ってくるとついこうなってしまう。許してくれ」
すっと立ち上がり深々と一礼。すると壁に背にした長身の男が
「へえークレイジーだねヤマトのサムライは。
ブラウ、こんなクレイジーボーイを大切な我が家に迎え入れていいのかい?」
そう言ってキラキラと輝いた。薔薇を口に咥えた青年が。
>「ああ、そうだ」
>「すまないが、道をあけてくれないか?私たちは長旅で疲れているのだ」
子ども達に囲まれて満更でもなさそうなマイを見て、こちらも微笑ましい気分になる。
しかし、それは突然の出来事だった。
>「…あ」
>「あ、あああっ!」
「おいどうした!?」
突然呻き声をあげながらうずくまるマイ。
私より先に、インキュくんが後ろから駆け寄る。そこから先は一瞬の出来事だった。
気が付けば、マイが転倒したインキュ君に剣を突きつけていた。
「何をするつもりだ! やめろ!」
ゆっくりと刃をおさめるマイ。自らの行為に怯えるような表情をしている。
スモウレスラーは、私の背を押して立ち去るように促す。
自らの護衛が突然御乱心となれば、それも無理からぬ反応だろう。
しかし私は、何故かマイを放っておくことはできなかった。
神の国ヤマト、そこでこのサムライはどんな修羅場をくぐってきたのか――。
>「すまなかった。後ろから何かが走ってくるとついこうなってしまう。許してくれ」
悲しげに謝るマイに、私は努めて明るく応えた。
「なるほど、ゴ○ゴサーティーンのようなものなんだな。
インキュ君、くれぐれも後ろから近づくなよ。サムライ様にかかればお前なんかひとたまりもないぞ、ハハハ!」
そこで、何の前触れもなく勘違い気障男が登場。今日も無駄に輝いている。
>「へえークレイジーだねヤマトのサムライは。
ブラウ、こんなクレイジーボーイを大切な我が家に迎え入れていいのかい?」
「いつからいたんだお前! さりげなく背景に溶け込んでんじゃねーよ! つーか何が我が家だ何が」
こいつは通称薔薇男爵、本名不詳。
一応青薔薇十字団団員、という名目の、いつの間にか勝手に事務所の隅で寝起きをしている素性不明無職の居候。
背景に溶け込む技能だけは超一流だ
ちなみに私は、貴族キャラが持ちネタの売れないお笑い芸人ではないかと踏んでいる。
勝手にテレビを付けてくつろぎはじめる薔薇男爵。テレビから緊急ニュースが流れて来る。
『緊急ニュースです、大使館が突然怪しい集団に襲撃されました!
犯人グループの狙いはヤマトの代表選手だった模様……!』
私はスモウレスラーとマイに向かって提案する。
「思うにスモウレスラー殿、そなたは相当なワケありなのではないか?
大会の日までここに滞在してはどうだろう。
まさか三流ギルドの事務所に隠れているとは誰も思わないだろう」
今回の私の任務は飽くまでもスモウレスラーの警護。
しかし、彼自身スモウレスラーの護衛であるマイを放っておけない、という気持ちからであった。
それは彼が美少年だから、というのももちろんあるが、それ以上の何かがある気がしてやまないのだ。
>「なるほど、ゴ○ゴサーティーンのようなものなんだな。
インキュ君、くれぐれも後ろから近づくなよ。サムライ様にかかればお前なんかひとたまりもないぞ、ハハハ!」
ブラウは明るく努めていた。だけど多分、それは表向きだけ。
マイはそう思う。心の中では絶対にマイを警戒しているはず。
それにブラウが笑ったことに、マイは悔しく思う。
楽天的なのか何なのか。心に余裕があり過ぎているのか
きっとサムライとして必死に生きてきたマイをバカにしているのだ。
見下しているからこそ「笑える」のだ、と思う。
>「いつからいたんだお前! さりげなく背景に溶け込んでんじゃねーよ! つーか何が我が家だ何が」
「ふへへ、そう怒りなさんな。だがよぉ、怒った顔も美人だぜ〜ブラウた〜ん♪」
そういうと薔薇男爵はソファに座りテレビをつけた。
そんな男をマイは気持ち悪いと思う。こいつは根っからの女垂らしと確信する。
そして流れてくるのは緊急ニュース。その内容は大使館が襲撃されたとのこと。
狙いはもちろんヤマトの代表選手なのだろう。それを見たブラウが提案を持ち出してくる。
>「思うにスモウレスラー殿、そなたは相当なワケありなのではないか?
大会の日までここに滞在してはどうだろう。
まさか三流ギルドの事務所に隠れているとは誰も思わないだろう」
「おお、それならここに滞在させていただきましょうか!」
スモウレスラーは訳は答えずにギルドに隠れるということだけを快諾。
それに対してマイは鼻白んだ顔を隠し切れないでいた。
ヤマトから直に護衛の依頼をされたのはこのマイ・メロデンだ。
それなのにこのスモウレスラーは青薔薇に鞍替えをしようとしている。
なのでマイは裏切られた気持ち。
(私はそんなに頼りないのか?……ああ、そうだろうな。私の心は、壊れているからな)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「おいクレイジーボーイ。おめーの部屋はここだよ。
てか、おめー、人斬りって奴だろ?俺は目を見りゃわかるんだよ。
今回の仕事はただの護衛だからよ。罷り間違っても誰かをぶった斬るのだけはやめてくれよな。
それが無理なら大会が終わるまで、この部屋で大人しくしてくれてたっていいんだぜ?」
薔薇男爵はマイのことが嫌いらしい。
彼は、ブラウに好感をもたれているマイに嫉妬しているのだった。
部屋に入るとマイは窓を開けてベランダに出る。そこには古い椅子とテーブル。
「……タケミツで人が斬れるわけがあるまい」
椅子に横になってひとりごちる。疲労が全身に圧し掛かってくる。
だからマイは、気絶するようにマドロミのなかに落ちていってしまった。
>「おお、それならここに滞在させていただきましょうか!」
スモウレスラーは質問部分は華麗にスルーしつつ、ここに滞在する事に快諾した。
こやつ、なかなか侮れん! が、こちらの狙い通り滞在すると言ってくれただけでもよしとしよう。
それに対して、マイは不機嫌そうだ。
「確かにここは大使館より狭苦しいし訳の分からん輩もたむろっているが……
さっきのニュースを見ただろう? 大使館に戻るのは危険だ」
空き部屋の空気を入れ替え、掃除機をかけてマイ達を迎える準備をしていると――
>「おいクレイジーボーイ。おめーの部屋はここだよ。
てか、おめー、人斬りって奴だろ?俺は目を見りゃわかるんだよ。
今回の仕事はただの護衛だからよ。罷り間違っても誰かをぶった斬るのだけはやめてくれよな。
それが無理なら大会が終わるまで、この部屋で大人しくしてくれてたっていいんだぜ?」
薔薇男爵の野郎が勝手に仕切り始めた!
暴言を吐きながらマイを部屋に押し入れる薔薇男爵。
「だからここはお前の家じゃないっつーのこの不法滞在者が!」
そしてマイに向きなおり――
「今日は疲れただろう、夕食の時間までゆっくりするといい」
そう言って一端部屋を出た。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
夢か現か、マイの目の前に、営業モード――つまり白い猫耳の美少年と化したインキュ君が現れる。
『――君なら運命を変えられる。避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい!
そのための力が、君にはあるのだから!』
マイはどうやら敏腕勧誘員インキュくんにロックオンされてしまった模様。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「インキュくんよ」
「ん、何?」
「さっきマイの部屋から出てきただろう。
勧誘熱心なのは嬉しいが誰かれかまわず勧誘するのはやめてくれ。
マイは試合が終わったらヤマトに帰るのだからな」
「……バレたか。なに、夢うつつをねらってかるーくジャブをかけただけさ」
――完全に洗脳商法である。
「ところで今日は何日だ?」
「3月3日だけど?」
「3月3日はヤマトでは”ひな祭り”という行事があるらしい。
よく分からないがカラフルな寿司やあられを食べるそうだ。
という訳で今から夕食の準備をするので手伝ってくれ」
そこで、スモウレスラーが口をはさむ。
「歓迎してくれるのは嬉しいのですがひな祭りは女子のための行事ですよ?
私としてはそれよりちゃんこ鍋の方が……」
「お前の眼は節穴か? 女子ならここにいるじゃないか」
「失礼いたしましたー!」
何の行事かは大した問題ではなく、要は歓迎パーティーの口実が出来ればなんでもいいのだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そして日が落ちた頃――ベランダの椅子で寝ているマイを起こす。
「いつまでもそんな所で寝ていては風邪をひくぞ。
昼があんな事になってしまってお腹がすいただろう、夕食の時間だ」
マイを伴ってダイニングへ。
食卓の上には、カラフルなばら寿司やカラフルなあられが並んでいる。
私がインキュ君と一緒に準備したものだ。
「今日がヤマトではひな祭りという日だと聞いてついやった。
なんでも女子のための祭典らしいが……私に付き合うと思って食べてくれるかな」
スモウレスラーはというと、すでに席に座ってカラフルなあられを鷲掴みにしてほうばっている。
情緒も何もあったものではない。
>『――君なら運命を変えられる。避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい!
そのための力が、君にはあるのだから!』
まどろみのなかで猫耳の美少年をみた。
夢や希望を信じて疑わない少年のまっすぐな眼差し。
このこは汚れを知らないのだろう。
マイはしらんぷりしながらそのまま狸寝入り。
そう、少年の言った通りマイには力がある。
先祖代々受け継いできた神道芽路伝流古剣術という無敵の剣が。
だが、それゆえに人を殺めすぎた。マイの両の手は血まみれだった。
純粋な少年の助言に何を答えたらよいというのだろう。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そして日が落ちた頃――
>「いつまでもそんな所で寝ていては風邪をひくぞ。
昼があんな事になってしまってお腹がすいただろう、夕食の時間だ」
「……!!」
いつの間にか夕刻までも眠りこけてしまったらしい。
マイは慌てて手櫛で髪を整えるとダイニングへ。今までこんなことはなかった。
護衛もほったらかしに熟睡してしまうことなど。
それはきっと、マイがブラウという女を、無意識に信頼している証なのだろう。
もちろん生理的には好かないのだが。
>「今日がヤマトではひな祭りという日だと聞いてついやった。
なんでも女子のための祭典らしいが……私に付き合うと思って食べてくれるかな」
「え?」
雛祭り。一生の災厄を人形に身代わりにさせるという儀式。
だが男として育てられたマイは雛祭りなどやったことがなかった。
席に座っても料理や菓子に手を付けられないでいる。
「私はヤマトの男児だ。このようなもの、食べられるわけがなかろう!」
一握り、掴んだあられをテーブルにたたき付けるマイ。
それを見ていたスモウレスラーは無言で立ち上がると片手でマイを突き飛ばした。
もう堪忍袋の緒が切れてしまったらしい。
「ブラウさん、大変失礼いたしました。もうこいつには甚だ呆れてしまいました。
現時刻をもちまして、私の護衛の任を解くことに決定させていただきます」
そう言って、スモウレスラーはテーブルの上に散らばったアラレをかき集め始める。
マイは尻餅をついたまま、目が点になっていた。
突き飛ばされ、ずれた着物から白い肩があらわになっているのもそのまま、
放心状態で起き上がれないでいた。
そして真っ白になっている思考の最奥から、
なにかやりきれない感情が押し寄せて来ようとしているのを感じる。
このままでは泣いてしまうことだろう。
まずいと思ったマイは感情を吹き飛ばすかのようにこう叫んだ。
「お、おまえらになど、私の気持ちがわかるものか!!」
立ち上がったマイは扉に向かって駆けた。
ブラウの後ろの壁、またもや背景に溶け込んでいた薔薇男爵はヤレヤレといった顔。
「めんどくせーやろうだぜ。あんなのほっとけよブラウ。厄介払いができてこっちもせいせいだわ」
彼は赤ワインを片手に盛大なため息を吐き、
薄暗くなりつつあるロンディアナの町並みを窓から見つめている。
マイは何やら戸惑った様子。そして……キレた!!
>「私はヤマトの男児だ。このようなもの、食べられるわけがなかろう!」
「何ィイイイイイイイイイ!?」
そんなにキレるような事をやったか!?
だって隣のスモウレスラーはフツーに食べてるじゃん!
何食わぬ顔で食べ続けると思いきや、無言で立ち上がりマイに張り手。
スモウレスラーもついにキレたらしい。
その力は凄まじく、片手で突かれただけでマイは吹っ飛んだ。
「ま、まあ落ち着いて……!」
>「ブラウさん、大変失礼いたしました。もうこいつには甚だ呆れてしまいました。
現時刻をもちまして、私の護衛の任を解くことに決定させていただきます」
何とか場をおさめようと、焦ってなだめる私。
「いや待て、選手本人の意思とはいえ一人の判断で勝手に解けるもんでもないだろう。
ほら、連盟の大人の事情とか色々……マイ、大丈夫か?」
マイの方を見る。着物が乱れ、白い肩があらわになっている。
最初に見た時からかなりの美少年だとは思ったが、それにしても華奢だな……。
いや、本当に少年なのか……?
>「お、おまえらになど、私の気持ちがわかるものか!!」
マイは大声で叫び、扉から出て行ってしまった。
>「めんどくせーやろうだぜ。あんなのほっとけよブラウ。厄介払いができてこっちもせいせいだわ」
薔薇男爵に、私の代わりにインキュ君が冷静なビジネス的視点で応える。
「君は全然分かってないね、このままみすみす逃がす事は大きな損失だよ――感じた、あの子妖狐の血を引いている」
そんな彼らを尻目に、私は外に飛び出した。こんな異国の地で野垂れ死にされても困る。
護衛をやめるならやめるで祖国に帰るのを見届けねば。
「マイ、今日はもう遅い。とりあえず戻ってよく考えるんだ!」
走り去って行くマイを追いかけながら叫ぶ。その時だった。
マイの目前の空間が歪み、そこから、黒マントとガスマスク風の仮面の人物が現れる――!
「……! 下がれ!」
足を止めたマイに叫び、彼の前に進み出る。
謎の人物は重々しい口調で語り始めた。
「お初にお目にかかる。我こそが”名前を呼んではいけないあの人”だッ!
我の本名を知りたいか……? ……教えてやんなーい!!」
「じゃあ聞くなよ!」
「お前がヤマト代表選手の護衛か……《クソ・ミーソ》!」
“名前を呼んではいけないあの人”は魔法の杖をマイに突きつけ、怪しげな波動を放った。
まずい、闇の魔術だ――!
「マイ……! お前、何をやった!!」
「安心しろ! この魔法をかけられても死にはしない!
ただどんな女好きな男も問答無用でガチホモになってしまうだけだ!
つまりッ!! 今この時からこのガキは我の言いなりッ!!」
「な、なんて恐ろしい魔法なんだ……! マイ、目を覚ませ、かかるんじゃない!」
マイの肩を掴みゆさぶるが、マイは全くの正気のようだった。
「馬鹿な……この魔法が効かぬ男などいないはず……貴様、女か!」
私は腰に差した剣の柄を天に掲げ、恥ずかしい変身キャッチフレーズを叫ぶ!
「ハハハハ、馬鹿め、今度はこっちから行くぞ! 貴様はここで仕留める!
青き薔薇よ、我に運命を切り開く力を――開花《フローリッシュ》!!」
私は眩い光に包まれ、変身を遂げる! 系統としてはレ○アース系変身魔法騎士だ!
手の中の柄から伸びる魔法の刀身、漆黒の髪は太陽の金髪に。
身に纏うは、青を基調とした軽鎧。極めつけにマントをはためかせた完全無欠のイケメンへと変化した!
ファンタジー世界ならまだしも現代世界にそんなんがいたら単なる変質者というツッコミは禁止である――!
「信じれば夢は叶う!”青薔薇騎士”見・参――!!」
変身を終えた私は、キメ台詞と共に3日3晩かけて考えた超かっこいいポーズをキメた!
変身ヒーローものならともかく現代ファンタジーでこんなポーズをキメていたら単なる変質者(ry
とにかく“名前を呼んではいけないあの人”は、律儀に変身シーン完了を待ったうえで、律儀に様式美に則って反応した。
「現れたな、”青薔薇”……! しかしヒーロー一匹など一瞬でひねりつぶしてみせるわあ!」
「やれるものならやってみろおおおおお!!」
剣と杖で暫し切り結ぶんだ後、名前を呼んではいけないあの人は飛び退って距離を取る。
「少しはやるようだな……。
フォースのダークパワーよ我に力を! はぁあああああああああああああ!!」
名前を呼んではいけないあの人は凄い気合いを入れ始めた!
何か色々な版権作品が混ざっているが気にしてはならない。
「くっ、物凄いプレッシャーだ!」
私はとりあえず様式美に則って驚いた。果たして変身ヒーローものの様式美に則る必要があるのか、だって?
それは私の契約内容に、変身ヒーローものの様式美に則らないといけないという決まりが含まれているからである。
>「くっ、物凄いプレッシャーだ!」
「……ふえ?」
色々なことが起こりすぎて呆けるマイ。でも、これだけは理解できていた。
名前のわからない敵にマイの正体が女とばれてしまったこと。
あのものの口を封じなければ、メロデン家は女が当主とバカにされてお家断絶となってしまうことだろう。
なんとかしなければと思い悩むマイ。
だがそんなマイの心とは裏腹に、ブラウ団長のあの姿、あれではまるでコスプレイヤーだ。
だからマイはどんびき。
そして気がついたら敵は気合を入れ始めている。
「すきあり!!」
マイは宙に舞うと、くるくると前転しながら抜刀。
タケミツソードで敵の頭を叩きあげる。
「芽路伝流古剣術――怒忘連!!」
すた。着地。
振り向いて流し目。納刀してフンと小鼻から息。
ちなみに芽路伝流古剣術――怒忘連とは敵の頭のツボを何度も刺激して
今おこったこと出来事を記憶から消し去る業。
「お前がヤマト代表選手の護衛か……《クソ・ミーソ》!」
「え?」
再び繰り出される魔法。繰り返される行動。
「少しはやるようだな……。
フォースのダークパワーよ我に力を! はぁあああああああああああああ!!」
負けず嫌いのマイはもう一度同じ技をかける。
「芽路伝流古剣術――怒忘連!!」
「お前がヤマト代表選手の護衛か……《クソ・ミーソ》!」
「芽路伝流古剣術――怒忘連!!」
「お前がヤマト代表選手の護衛か……《クソ・ミーソ》!」
「芽路伝流古剣術――怒忘連!!」
「お前がヤマト代表選手の護衛か……《クソ・ミーソ》!」
「芽路伝流古剣術――怒忘連!!」
「お前がヤマト代表選手の護衛か……《クソ・ミーソ》!」
「芽路伝流古剣術――怒忘連!!」
「お前がヤマト代表選手の護衛か……《クソ・ミーソ》!」
これでは埒があかない!!だけどマイは閃いた。
普通に洗脳されたフリをすればいいのだと。
「わたしは貴方さまのいいなりの糞っ汚い奴隷です。なんなりとお申し付けくださいませ」
マイは人形のような無表情で語った。
>「芽路伝流古剣術――怒忘連!!」
マイがひらりと宙に舞い、剣で敵の頭に斬りつけた、ように見えた。
――否、斬りつけてはいない、打撃を叩き込んだだけだ。
見た所相手に外傷は無く、目立ったダメージがあるようにも見られないが、何らかの効果があるのだろう。
>「お前がヤマト代表選手の護衛か……《クソ・ミーソ》!」
敵は、同じ行動を繰り返す。マイが使ったのはおそらく記憶を消す技か。
それに対してマイも何度も同じ技で対抗し、無限ループに陥った。
自分が女であるという事は敵の記憶に残してはならない、知られてはならない事なのかもしれない。
何回目かのループの時、マイは違う行動に出た。洗脳された振りをしたのだ。
>「わたしは貴方さまのいいなりの糞っ汚い奴隷です。なんなりとお申し付けくださいませ」
それに対し、敵はご満悦の表情。指をちっちっと横に振りながらドヤ顔で言う。
「宜しい。ただし一つだけ注文だ、”糞っ汚い”ではない。”クッソ汚い”だ! ここ重要!」
「マジでどうでもいいわぁああああああああああ!!」
マイにご満悦で隙だらけになっていた敵に、フツーに斬りつける。
「しまっ――! しかしここで私を倒したとて貴様らに勝ち目はない!
我が相棒カイ君が必ずや我々の悲願を達成してくれるであろう――!
……ぐわぁああああああああああああああ!!」
敵は長台詞を喋った後断末魔の悲鳴を上げながら地面に倒れた。そして響き渡る大いびき。
それが私こと青薔薇騎士の使う不殺の魔剣『眠り姫』の効果。
斬った敵を殺さずに眠らせる不思議な剣だ。
ただし効果時間は皆目見当がつかず、30分で起きる事もあれば3000年眠り続ける事もあるらしい。
後ろから聞こえてきた拍手に振り返ってみると、スモウレスラーが拍手をしていた。その隣にはインキュ君。
「私を狙ってきた刺客を退けてくれたのですね……。
マイ殿はこれを予期して……、先刻の無礼、何と言ってお詫びしたらよいか。
厚かましいのを承知で承知で申し上げる、是非私の護衛を続けて戴きたい!」
スモウレスラーはジャンプして正座のような姿勢で着地し、両手と額を地面に付けた。
ヤマトにおける最高級の謝罪、ジャンピングDOGEZAである!!
この態度の代わり様、インキュ君がさりげなく印象操作をかけた事は想像に難くない。
133 名前: ◆6nXELe5RK6 [age] 投稿日:11/09/15 00:06:05 ID:TP6qrd41
ごめんなさい、もう無理です。
本来なら各スレでお詫びすべきですがこの場を持ってまとめて引退を表明させていただきます。
どうせ掛け持ちがバレバレですしね。
今まで同僚に対してマイナスの感情を持った事なんて一度もありませんでした。
参加者という形で来てくれるなら誰であっても大事な仲間でした。別に心が広いわけじゃない。
いい話を作りたかったわけでも真面目になりきりがしたかったわけでもない。
ただ皆でお祭り騒ぎしたい一心でやっていたから。
過疎で最初から少人数や参加者のほとんどが早い時期にFOする中で消えずにやっていたら
いつの間にか消去法主人公や消去法スレ主になっていただけなんです。
きっとそのパターンが多かったから勘違いされてしまったんですね。
ゾンビ化して延々とガラパゴスするしか能がないのは本当にその通りです。
ごくたまに過大評価を受けたのは余程周囲の条件が揃った時だったんでしょう。
お祭りの途中で帰りたくない一心で必死でついて行っていただけ。
世界観なんて出したもん勝ちの何でもアリでよかった。ストーリーの良し悪しなんてどうでもよかった。
こっちのレス読んでなさそうでも文章が解読不能でも何でもよかった。一緒に騒いでくれるならそれで良かった。
唯一悲しいのがいなくなられる事でした。それなのに何度も同僚が叩き出されるのを経験しました。
皆一緒にやっていて楽しい相手ばかりだった。
名無しで文句付けてくる輩が憎くて仕方なかった。どうして大事な友達を奪うんだろうって。
どうしてあんな奴らの言う事に耳を貸すんだろうと思って腹を立てたりもした。
なのに自分がその末路を辿るなんて。
こうなったきっかけは某騒動でしょうがあれだけであそこまでになるとは思えません。
積年の恨みが爆発してしまったのでしょう。
きっと真面目にやりたい人にとってはウザくてしょうがない邪魔な存在だった。
過疎スレだから、もしくは最古参だから、等等の理由で言えなかったんだと思います。
叩きの内容自体よりもあんなに延々と粘着して無理矢理話を持って行ったり粗を探して長文を書いてまで叩きたいほど恨みを買っていたのか
と思うともう一文字も書けません。
ライト、オリキャラ、ジェンスレ、スぺオペ、GS、ガチ芸のごめんなさい。
無責任なのは分かっています。本当はみんなと一緒に完走したかった。でも無理なものは無理です。
キャラも世界観も好きにして下さって結構です。続行不可能になって潰れたら申し訳ありません。
といってもあれは本来無いはずの場所。豆腐メンタルの人は見てはいけない所ですからね。
要するに肥溜めを覗いて遊んでいたら肥溜めに落ちて溺れ死んだただのバカ。
こんな末路を辿るのは自分が最後になるように願っています。
今までお付き合いくださった方、応援して下さった方はありがとうございました。本当に楽しかった。みんな大好きです。
自分の犠牲になってきた人にはお詫びを。もう来ないので安心してください。
罵倒していただいて構いません。ですがもう見に来ないので意味は無い事を伝えておきます。
さようなら。この業界のこれからの発展を祈っています。
44 :
名無しになりきれ:2013/03/08(金) 15:21:50.63 0
133 名前: ◆6nXELe5RK6 [age] 投稿日:11/09/15 00:06:05 ID:TP6qrd41
ごめんなさい、もう無理です。
本来なら各スレでお詫びすべきですがこの場を持ってまとめて引退を表明させていただきます。
どうせ掛け持ちがバレバレですしね。
今まで同僚に対してマイナスの感情を持った事なんて一度もありませんでした。
参加者という形で来てくれるなら誰であっても大事な仲間でした。別に心が広いわけじゃない。
いい話を作りたかったわけでも真面目になりきりがしたかったわけでもない。
ただ皆でお祭り騒ぎしたい一心でやっていたから。
過疎で最初から少人数や参加者のほとんどが早い時期にFOする中で消えずにやっていたら
いつの間にか消去法主人公や消去法スレ主になっていただけなんです。
きっとそのパターンが多かったから勘違いされてしまったんですね。
ゾンビ化して延々とガラパゴスするしか能がないのは本当にその通りです。
ごくたまに過大評価を受けたのは余程周囲の条件が揃った時だったんでしょう。
お祭りの途中で帰りたくない一心で必死でついて行っていただけ。
世界観なんて出したもん勝ちの何でもアリでよかった。ストーリーの良し悪しなんてどうでもよかった。
こっちのレス読んでなさそうでも文章が解読不能でも何でもよかった。一緒に騒いでくれるならそれで良かった。
唯一悲しいのがいなくなられる事でした。それなのに何度も同僚が叩き出されるのを経験しました。
皆一緒にやっていて楽しい相手ばかりだった。
名無しで文句付けてくる輩が憎くて仕方なかった。どうして大事な友達を奪うんだろうって。
どうしてあんな奴らの言う事に耳を貸すんだろうと思って腹を立てたりもした。
なのに自分がその末路を辿るなんて。
こうなったきっかけは某騒動でしょうがあれだけであそこまでになるとは思えません。
積年の恨みが爆発してしまったのでしょう。
きっと真面目にやりたい人にとってはウザくてしょうがない邪魔な存在だった。
過疎スレだから、もしくは最古参だから、等等の理由で言えなかったんだと思います。
叩きの内容自体よりもあんなに延々と粘着して無理矢理話を持って行ったり粗を探して長文を書いてまで叩きたいほど恨みを買っていたのか
と思うともう一文字も書けません。
ライト、オリキャラ、ジェンスレ、スぺオペ、GS、ガチ芸のごめんなさい。
無責任なのは分かっています。本当はみんなと一緒に完走したかった。でも無理なものは無理です。
キャラも世界観も好きにして下さって結構です。続行不可能になって潰れたら申し訳ありません。
といってもあれは本来無いはずの場所。豆腐メンタルの人は見てはいけない所ですからね。
要するに肥溜めを覗いて遊んでいたら肥溜めに落ちて溺れ死んだただのバカ。
こんな末路を辿るのは自分が最後になるように願っています。
今までお付き合いくださった方、応援して下さった方はありがとうございました。本当に楽しかった。みんな大好きです。
自分の犠牲になってきた人にはお詫びを。もう来ないので安心してください。
罵倒していただいて構いません。ですがもう見に来ないので意味は無い事を伝えておきます。
さようなら。この業界のこれからの発展を祈っています。
>「宜しい。ただし一つだけ注文だ、”糞っ汚い”ではない。”クッソ汚い”だ! ここ重要!」
「そうなのですか〜?そうなのでしょうねぇ。ポケモンゲッツだぜ!も、ポケモンゲツッだぜ!
では歯切れが悪いですもの〜っ。申し訳ございませんでしたぁ。ご主人さま」
>「マジでどうでもいいわぁああああああああああ!!」
ブラウはキレのいいツッコミとともに剣を振るう。
>「しまっ――! しかしここで私を倒したとて貴様らに勝ち目はない!
我が相棒カイ君が必ずや我々の悲願を達成してくれるであろう――!
……ぐわぁああああああああああああああ!!」
「カイ君?」
敵は謎の名前を残して倒されてしまった。
魔剣『眠り姫』の効果で眠ってしまっている。
週一ペースで現れると言うのなら無理もない。
というか週一ペースで敵が現れてネタはつきないのだろうか?
すると後ろから拍手が聞こえたきた。振り返ればスモウレスラー。
>「私を狙ってきた刺客を退けてくれたのですね……。
マイ殿はこれを予期して……、先刻の無礼、何と言ってお詫びしたらよいか。
厚かましいのを承知で承知で申し上げる、是非私の護衛を続けて戴きたい!」
スモウレスラーはジャンプして正座のような姿勢で着地し、両手と額を地面に付けた。
ヤマトにおける最高級の謝罪、ジャンピングDOGEZAである!!
「……」
マイにはよくわからなかった。スモウレスラーの思考回路が。
無論、インキュ君の印象操作が影で行われたことなど知るよしもない。
ヒナアラレをテーブルに叩きつけたのはマイが悪いのだし、…でもまあいいと思う。
マイを突き飛ばしただけでもスモウレスラーは謝罪するべきなのだから。
「面をあげるのだスモウレスラーよ。今回だけは特別に許してやろう」
――ロンディアナの夜は更けてゆく。
>「面をあげるのだスモウレスラーよ。今回だけは特別に許してやろう」
「かたじけない、マイ殿!」
こうしてマイは無事スモウレスラーの護衛を継続する事となり、“名前を呼んではいけない人”の脅威は去った。
後は普通に何事も無く警護を終えるだけなのだが……敵が最後に言い残した台詞、カイ君が気になる。
単なるハッタリだといいのだが……
――数日後
数日後、クディッチボール大会の日がやってきた。
この競技は乱闘式で行われるため、護衛である私達も選手として紛れ込むこととなる。
会場にはたくさんのイロモノ…もとい選手達が集まっていた。
昔の大魔導士にあやかって”TOKYOな”のシャツを着た人物が気合いを入れている。
「来るなら来い、闇の魔導士め……この僕が成敗してやろう!」
「ある意味勝てる気がしないな…」
残念ながらTOKYOな魔法使いの宿敵である闇の魔導士はもう倒されてしまったのだが。
試合開始前に、緊急連絡時のために必ず持っておいてくださいという指示のもとに、全員に携帯電話機が配られた。
そして試合開始。一斉に飛び上がる各国選手達。
我がヤマト代表のスモウレスラーも超越神力によって飛びあがら……ない。
あぐらをかいてぴょんぴょん飛んでいる。
ちなみに私が飛行手段として選んだのは、何の捻りもなく支給品の箒である。
しかしスモウレスラーの体格では箒で空を飛ぶのは無理があるそうだ。
「少し朝食を食べ過ぎたようです」
「またか!」
『おーっと、ヤマト代表選手スモウレスラー、未だ浮かない!
10秒以内に浮かびあがらないと失格になってしまいます!』
しかしただ跳んでいるだけにしては微妙に滞空時間が長いような気がする。
最初だけ勢いをつけてやれば飛べるのではないだろうか。
そう思った私は、スモウレスラーの片手を掴んでマイに声をかける。
「マイ、手伝ってくれ! せーので引っ張り上げるぞ!」
ブラウは支給品の箒に乗っていた。だからマイも箒。
でも直に箒に跨ると股ズレを起こしそうだったので、
座布団を紐でぐるぐる巻きにして棒に固定。クッション代わりにしていた。
おまけに馬の手綱をつけてなんとか安定感も獲得。
なので準備は万端。スタートと同時に空に浮かび上がる。
でも…
>『おーっと、ヤマト代表選手スモウレスラー、未だ浮かない!
10秒以内に浮かびあがらないと失格になってしまいます!』
>「マイ、手伝ってくれ! せーので引っ張り上げるぞ!」
ちっ!マイは舌打ち。箒を旋回させてスモウレスラーにつっこむと
その顔面を足蹴り。深々とスモウレスラーの顔に減り込むマイの足。
マイは苛立った様子で減り込んだ足をぐりぐり。
「クズめ。朝食を食べ過ぎた?体調管理は己の仕事であろうが!!」
詰ると、そのまま足のつま先をスモウレスラーの口にねじ込む。
喉の奥へと。
「胃の中の物を全部吐き出せ!それなら少しは軽くなって飛べるはずだ!」
マイの鬼のような行動にスモウレスラーは涙目。
それを見るに見かねた薔薇男爵がスモウレスラーの片手を掴み引っ張りあげる。
「おい糞ガキ!ブラウ様が引っ張りあげろって言ってんだろ!
もう時間がねえ!てめーはこいつのケツを押しやがれ!!うおおおお!!」
箒に跨った薔薇男爵は、こめかみに青筋を浮かばせながらおもいっきり引っ張る。
でもその股間は、スモウレスラーの重さに限界に近い。なぜなら棒が恐ろしいほど食い込むのだ!
もう終わり。誰もがそう思ったそのとき。
「ぐぼえ!」
とうとう嘔吐したスモウレスラーはブラウと薔薇男爵の力によって空に飛翔。
吐いたものを観客たちに撒き散らしながらビルの壁に激突。跳ね返りさらに跳ね返る。
その有様はまるで肉でできたスーパーボールだった。
「くっ、汚らしい!おまけに気持ち悪い。それに自分がボールになってどうする!?
はやく羽の生えたボールを回収しろ!!」
壁に激突した傷によって血だるまになってゆくスモウレスラーを見てマイは怒鳴りつける。
そんななか、響くのは観客の笑い声。ヤマトの代表が笑われているのだった。
「きさまら、笑うな!!笑うなら名を名乗れ!!」
睨みつけると静まり返る。もう誰が笑ったかはわからない。
民衆とはどこでもそういうものなのだ。常識という民意を盾に正義をかざす。
強いものの裏に隠れ、さも自分が強いものと錯覚し、少数派となれば再び鞍替え。
まことに自分の言葉をもっていないものたちのおぞましさ。
「うわああああ!!」
振り返れば薔薇男爵の悲鳴。マイは慌てて振り返る!
>「胃の中の物を全部吐き出せ!それなら少しは軽くなって飛べるはずだ!」
「マイ、いくら祖国のためとはいえやりすぎだ!」
マイの過激な行動に唖然。やはり張り飛ばされた事を根に持ってるんだろうな……。
>「おい糞ガキ!ブラウ様が引っ張りあげろって言ってんだろ!
もう時間がねえ!てめーはこいつのケツを押しやがれ!!うおおおお!!」
「かたじけない薔薇男爵!」
薔薇男爵がスモウレスラーを引っ張り上げ始めた。
こいつが真面目に行動するとは槍でも振るんじゃなかろうか!
彼らの努力が功を奏してあまり綺麗ではないシーンが繰り広げられた代わりに
スモウレスラーは無事に浮き上がる事に成功し失格は免れた。
>「きさまら、笑うな!!笑うなら名を名乗れ!!」
民衆に向かって怒るマイを見ながら思う。
世界の民衆たちは今は、ヒーロー達が侵略者に勝ち続けているからこそヒーローを応援しているのだろうか。
もしも侵略者が世界を支配しそうになったら民衆たちはあっさりと寝返るのだろうか……。
そんな思考は、薔薇男爵の悲鳴で中断される事となった。
>「うわああああ!!」
薔薇男爵は大剣を軽々とぶん回しながら飛龍のような騎獣に乗って飛ぶ犬耳のおっさんに追い掛け回されていた。
背景に溶け込む事に関してはあいつの右に出る者はいないというのに、一体どうしたのだろうか。
犬耳のおっさん、ドヤ顔で解説。
「このような能力持ちこそこの競技では真っ先に潰しておかねば……。
皆が潰しあっている間に背景で玉を集めて優勝をかっさらう可能性が大だからな!」
こいつは一応名目上団員にはなっているがぶっちゃけただの不法占拠者である。
知らん!と一蹴して放っておいてもいいのだが……。それでも私は――
「そいつに手を出したら私が許さん!!」
「ブラウたん……!」
気が付いたら叫んでいた。歓喜に輝く薔薇男爵の顔。続けて力一杯宣言する。
「チームヤマトの優勝がっ、ひいては賞金の分配によるギルドの資金調達がっ、そいつに掛かっているッ!!!!」
理由それかい!!という敵味方問わないその場にいる全員の心の声が一斉に聞こえた気がした!
「というわけで……マイ! スモウレスラー! あいつを助けるのを手伝ってくれ! チームヤマトの勝利の鍵だ!
――開花《フローリッシュ》!」
青薔薇騎士に変身した私は、マイに確率操作魔法をかける。
「青き薔薇の女王よ、この者に喝采を! アプローズ【達成値+1】!」
「ハハハ! おまじない程度の魔法に意味なんてあるかぁあああ!
くれでもくらえ! 必殺着信音! 黒・板・超・音・波!」
犬耳のおっさんが携帯電話の端末を操作すると、各自に配られた携帯電話から黒板を引っ掻いた音のような着信音が一斉に大音量で流れた!
>「ハハハ! おまじない程度の魔法に意味なんてあるかぁあああ!
くれでもくらえ! 必殺着信音! 黒・板・超・音・波!」
「てやあああああ!!」
マイの咆哮。黒板超音波を相殺するほどの音量。
続けて疾駆。抜刀。
斬断される犬耳おっさんの携帯電話。
きらきらとした携帯の破片が雪のように舞い落ちる。
「犬耳よ。おぬしの技など私には通じぬ。なぜなら届かぬのだ。
響かぬのだ。かなしいことにな……」
箒に乗ったマイは天高く飛翔。太陽に背に急降下。
「メロデン流奥義――お願い舞いメロ斬り!!」
脳天に打ち付けられるタケミツソード。その衝撃で吹き飛ぶ犬耳。
そして勝利。
しかし虚しさが込み上げてくるのは何故だろう。
>「メロデン流奥義――お願い舞いメロ斬り!!」
マイの鮮やかな剣技により、犬耳のおっさんに見事に勝利!
しかし土壇場に追い込まれた敵役が最後の足掻きをするのはお約束である。
「私は……私は負けるわけにはいかないのだよ! かくなる上は……
――出でよ、決戦兵器A.I.B.O!!」
何故かSMAPAが出てきてヒット曲に合わせて踊り出す。
彼らはすでに犬耳のおっさんの手札として取り込まれていたのだ!
「お前達、もうシャバに舞い戻りやがったのか!」
巨大な地響きとともに、競技場のど真ん中がせり上がり巨大な何かが出現する!
それは白い犬型の巨大ロボであった!
それに乗り込むSMAPAの面々と犬耳のおっさん。
『数量限定!A.I.B.Oカイ君バージョン、発進!!』
口から破壊光線を出しながら歩きはじめる巨大犬型ロボ。
『大会に潜りこんだ後様々な手回しをしようと思っていたが作戦変更だ。
かくなる上は全ての携帯電話会社を潰し携帯電話の市場を支配するのだぁあああああ!』
「面倒臭いし回りくどい事せずに最初からそうすりゃよかったんじゃね?」
「世界は、世界はお終いじゃあああああああああああああああああ!!」
私の冷静なツッコミは響き渡る阿鼻叫喚にかき消されるのであった!
>「世界は、世界はお終いじゃあああああああああああああああああ!!」
マイは耳を塞いでいた。
(気持ち悪い)
なにもかも。
敵は人としての美学も悪人としての美学も持ち合わせてはいなかった。
自分の理想の世界を作るために、ただ何も考えずに破壊するだけ。
「ふふふ…。もはや私には、何もできることはない。そう、君たちの勝ちだ」
【すいません。ブラウさんが何をしたいのかわかりません】
>>51 下手でごめんね
別に深く考えなくてもヒーローものの終了前5分で怪人が巨大化して最後の足掻きをするのと同じノリですよー
なので私の想定では何も考えずに派手にぶっとばして爆発でもさせてもらえば…という感じです。
本文の「虚しさが込み上げてくるのは何故だろう」をもう一騒動派手に頼む!と解釈したのだけど読み違えたみたいね
でも私が何をやろうとしてるかなんて気にしなくていいんですよ
私の貧困な引き出しに合わせて小さくまとまる必要なんてありません
あなた自身がやりたい事を思いっきりぶつけてもらったらそれが一番楽しいかな!
やりたい事をぶつけあった時に起こる化学反応が大好き
でも同じ感覚で余所に行かないでくださいねw きっと迷惑かけますから
戦意を失ったマイは地べたにぺったりと女座り。
一点を見つめ虚ろな顔。
犬型ロボに踏み潰されて死ぬのも時間の問題だった。
(わたし…、死ぬんだ…。一人で……)
巨大な犬ロボに踏み潰されて死ぬのも当然の報いなのかもしれない。
今までマイは多くの人を殺しすぎた。
私利私欲のためだけの小悪党に殺されるのもあたりまえのこと。
マイは微笑む。彼らには彼らの意思がある。
この身を携帯市場の支配の礎とするのも悪くない。
何が素晴らしくて何がくだらないかなど決めることなど出来やしない。
ただここで、おわり。それだけのこと。
死んでしまえば、何も考えずにすむのだ。罪悪感も感じずにすむのだ。
「さようなら…」
>>52 すいません。
さいごにブラウさんと一緒に盛り上げたい。でも何をしたらよいのかわからない。
そんな失望感でいっぱいで、八方塞になっていました。
さいごにありがとうって言いたいので、もう少しがんばります
勝ち目の無い敵を前に、諦念に身を委ねたマイ。
しかし、巨大犬型ロボの足がマイを踏み潰す事はなかった。
目を開けたマイは、迫ってくるロボの足が止まっている事に気付くだろう。周囲の物も全てが止まっている。
時が止まっているのか、一瞬の間に精神干渉を受けているのか、どちらで解釈してもいい。
どちらにしても同じことだ。
いつの間にか傍らに、白い猫耳の美少年がいた。
――諦めたらそれまでだ。でも、君なら運命を変えられる。
――避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい! そのための力が、君には備わっているんだから!
それだけ言うと、ネコ耳の美少年は白い光の粒となって消え、同時に時が動き出す。
その瞬間、走りこんできたブラウ(イケメンver)がマイを救出したのだった。
お姫様抱っこで。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「マイ、逃げろ!」
犬耳の足が迫ってくるというのに一歩も動かないマイ。
私は弾かれたように猛ダッシュ。
マイを抱き上げて走り抜けた直後、犬耳ロボの足が先程までマイがいた地面にめり込んだ。
「危ない所だった……怪我はないか?」
そう言いながらマイを降ろす。
「この世界は世界間の交通の要所だ。
今ここで止めねばアイツがこの世界のみならず数多の世界の携帯電話市場を一手に握る事となる!」
私利私欲のために多世界に干渉する事、それは侵してはならぬ禁忌なのだ。
何故、と言い出したら話がややこしくなるのでそこは深く突っ込んではいけない。
時空飛び越えものファンタジーで好き勝手な時間改変が禁忌とされているのと同じノリと思っておけばよい。
かといって、あんな巨大ロボとどう戦えばいいのか。心配ご無用。こちらも巨大ロボで迎え撃てばいいのだ。
宙を舞っていた白い光の粒が次第に集まり、巨大な何かの形を成していく。
『決戦兵器―― I.N.Qくん見参!!』
顕れたのは、巨大な白猫型ロボット。インキュ君の3つ目の形態。今急遽考えただろうというツッコミは禁止だ。
I.N.Q君は目から光を放ち、私達を内部に転送する。
気が付くとコントローラーも何もない操縦室に、私達は並んで座っていた。
「I.N.Q君は精神感応式操縦……操縦者が思った通りに動く操縦方式だ。
一人で操縦するより二人で操縦する方が格段に難しい、二人がてんでバラバラの事を考えるとタコ踊りになってしまう。
だけどね……二人が息を合わせればその力を10倍にも100倍にも引き出す事ができるんだ!
君は私が嫌いかもしれないけどお願いだ、今だけは頼む!」
『フハハハハハ、馬鹿め! 猫で犬に勝てると思うかぁああああああああ!!』
A.I.B.Oの口から容赦なく破壊光線が放たれる!
かくして、白犬ロボットと白猫ロボットの大決戦が始まった!
>――諦めたらそれまでだ。でも、君なら運命を変えられる。
(どうやって?人生にはどうしようもならないことだって沢山あるのよ…。
私のことなんて何にもわかってないくせに…何を言うのよ……)
>――避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい! そのための力が、君には備わっているんだから!
(ほんとに押し付けがましい!苦しみも何も感じえない馬鹿みたいに…。
私に力が備わっている?いったいどこに?あるのは挫折と苦痛だけよ。
それも考えもしなければ味わったことのない者に何を言われたってイラつくだけなのに!)
>「危ない所だった……怪我はないか?」
「……っ!…怪我はないけど…ムカツクのよ!!あいつが!!
あの白猫の糞ガキがああああ!!」
>『決戦兵器―― I.N.Qくん見参!!』
>顕れたのは、巨大な白猫型ロボット。インキュ君の3つ目の形態。今急遽考えただろうというツッコミは禁止だ。
>I.N.Q君は目から光を放ち、私達を内部に転送する。
>気が付くとコントローラーも何もない操縦室に、私達は並んで座っていた。
>「I.N.Q君は精神感応式操縦……操縦者が思った通りに動く操縦方式だ。
一人で操縦するより二人で操縦する方が格段に難しい、二人がてんでバラバラの事を考えるとタコ踊りになってしまう。
だけどね……二人が息を合わせればその力を10倍にも100倍にも引き出す事ができるんだ!
君は私が嫌いかもしれないけどお願いだ、今だけは頼む!」
「え?え〜?いやああああ!!こんなの生き地獄よおおおおおお!!後生ですから勘弁してくださあああい!!」
白猫ロボの右手がブラウの乗っているところへパンチ。
装甲が潰れてブラウを押しつぶす。
同時に白犬ロボの破壊光線が左足を破壊。
バランスを崩した白猫ロボは青薔薇のアジトに転倒。
「えへへへへへ!」
マイはアホみたいな笑い声をあげている。もう気がおかしくなっている。
「あははーブラウは死んじゃったあああ。ざまあみなさいよおおお。
くそむかついてたのよあの偽善者ぶってるあの糞女がね。
わたしなんて者に不殺ずの誓いなんて守られるわけないじゃないのおおお。
もうめんどうくさいから、みなごろしよ。むかしみたく斬って斬ってきりまくってやるんだからああ」
白猫ロボの口ががっぱりと開き牙がびっちりと見えた。
「ぶkkろそぶっころしてわげぶあおjごあああ!!!!!」
そして犬ロボをバリバリと食べ始める猫ロボ。
暴走している右手は犬ロボの腹部を乱打しつづけている
「おまえだよおまえらがあああ!!綺麗に終わらせるつもりが私を怒らせるからああああ!!
中の人間ごとぶっ潰してそのコクピットないを血と内臓の桶に変えてやるんだからあああ!!」
「うにゃあああああ!!」
猫ロボが吠えめちゃめちゃになった犬ロボを天に抱え上げる。
【場所・時間軸不定】
どこまでも無邪気な瞳で、美少年の姿をしたインキュ君が笑っていた。
あのインキュ君と同じ存在なのか、同種の別の個体なのか、大元を同じくする端末なのかはわからない。
スクリーンには、マイが勝利をおさめる光景が映っている。
それもただの勝利ではない、奇跡の大逆転、完全なる圧倒的大勝利だ。
「フフフ、全てはボクのシナリオ通りさ。ほらね、君にはちゃんとあったじゃないか。運命を変える力が!
思ったよりちょーっと過激だったけどね」
超高次元生命体であるクッソ汚い淫獣を侮ってはいけない。
彼らにとって、人間程度の低次の生物を掌で転がす事など容易い事なのだ。
アホな単細胞生物のブラウみたいなタイプなどは尚更だ。
そして、青薔薇十字団二代目団長ブラウ・エルローズは42歳で非業の死を遂げた――これが公式の情報である。
もう一度言おう、”公式の”情報である。
クッソ汚い淫獣に目を付けられたが最後、綺麗に死んで終わりなど許されるはずがないのだ。
「ブラウ、ブラウ……!」
私を呼ぶ声が聞こえる。懐かしい顔が見える。
「先代……! そうか、私は死んだのだな……」
「そうじゃない。よく見て見ろ。”あのお方”が超技術をもってお前を助けて下さったのだ
私の時と同じように、な」
先代団長が鏡を持ってくる。
そこには何故かドSの女王様のような服を着たグラマラスな美女が映っていた!
いわゆる悪の怪人組織の女幹部である。
よく見ると先代団長も、びっくり改造生物になっている。
「さあ、悪の組織の一員として共に素晴らしい世界を創り上げようではないか!」
「はい先輩!」
我ながらそこで納得するなと思うが、多分脳まで改造されているので仕方がない。
――こうして、私達の世界征服が始まったのであった!
運命を変えた猫ロボの登場。でもこんな勝利なんて意味がない。
それは勝ったのではなく勝たせられた。変わったのではなく変えられた。
だから何の意味もない。
だが、マイが殺そうとした犬ロボの中の者たちは全員生きている。
それはマイの慈悲から生かしたのではない。ただ殺せなかっただけ。
昔「ヤマトをつくり変えたい」とマイの愛した男は言った。
だからマイはジャマするものをすべて、男のために斬り殺した。だが時代の波は残酷だった。
新しく出来た政府は、マイの愛した男を殺人集団の首謀者にでっち上げ討伐命令を下した。
それを甘んじて受けたのはマイの愛した男。
自身が世の中の恨みをすべて飲み込むために逆賊の汚名をかぶり
新政府に討たれたのち斬首刑にされた。
男は最期に言った。
「マイよ、オイたちの時代を破壊する役目はのう、終わったんじゃ。
これからは時代をつくっていくんのんじゃ。だから殺してはいかんぜよー!」
マイには男の言っている意味がわからなかった。
だから男を殺された復讐としてさらに新政府の役人を暗殺し続けた。
そんなある日。マイは禁断の恋をした。どこかあやしげな雰囲気の女に恋をした。
女はマイに弟子入りを志願し、マイもそれを快諾。そして二人は愛しあった。
マイは女をさらけだし、女も女をさらけだし、朝も昼も夜も、春も夏も秋も冬も
ナメクジのように睦みあった。
だが悲しいことがおこる。女の正体は悪の組織の一員だったのだ。
「マイ、あたいと一緒に死んでおくれ!」
それは心中という罠だったのだろう。女とマイはボートに乗って湖の真ん中へ。
マイも生きている限り幸せなんてありえないと思いお互いに笑って死のうと誓う。
でもちょうど湖の真ん中に着いた時。女はおいおいと泣き出した。
「やっぱりさ、どんなにアンタが憎くったって、あたいにアンタは殺せやしないよぉ。
例えアンタに昔、大好きな兄さんを殺されたからといったってねえ。
そうさ、こんな卑怯なこと、天国の兄さんだって望んじゃいないだろう」
「そ、それはいったいどういう意味だ!?まさか私を騙し…」
「……そうさ、そうだよ。あたいはアンタを騙してた。すまなかったねぇ。
でもさ、これだけはホントだよ。あたいはアンタを愛しちまった。
優しかったあたいの兄さん以上にねぇ」
その時、船に乗った者たちが近づいてきた。
「姉御なにやってんだい。話が違うぜ。そいつは人殺しだ。
姉御の兄貴を殺して、俺らのおっ父を殺した人殺しだ。今すぐ殺せ!」
船に乗った少年が鉄砲を撃つ。
バン!
銃声の後、女の胸元が赤く染め上がる。
なんと女が盾となり、マイを助けてくれたのだった。
マイは突然のことに言葉を失ってしまう。が、次の瞬間
「ぶはああ!女、子どもにゃ任せてられんわあああ!」
湖の中から頭に触角をつけた虫みたいな男が現れた。
その男は銃を乱射してマイを狙う。同時に流れ弾が子どもをも射殺。
「きっさまあああ!!」
マイはアメンボ男を突き殺した。するとアメンボ男の仮面がとれて顔が出る。
「…マ、、イ」
その正体はなんとマイの初恋の相手。
あろうことか彼は悪の組織に洗脳されていたのだ。
「い、いやあああああああああああ!!!!!」
――それ以来、マイは人を殺せなくなってしまったのだった。
* * *
ブラウは抵抗することなく死んでしまった。
猫ロボが意志の力で動くのなら、左手でなんとか止められたはずなのに。
そう、ブラウはマイを見捨ててこの世から逃げたのだろう。
やはり彼女の言葉はすべてが紛い物だったのだ。
しばらくたって、マイは空ろな目で天を見上げる。
これからブラウに破壊された心を再生する旅が始まるのだ。
こうして、今回のエピソードは幕を閉じる
しかしこれは週一ペースで紡がれる英雄伝のほんの一片に過ぎないのだ
これからもこの世界は、王道なものからシュールなものまで数えきれない程の伝説を紡いでいく事だろう。
―― 第一部完!