1 :
(U^ω^):
(U^ω^)アルトくんだお
2 :
名無しになりきれ:2012/11/01(木) 21:28:58.60 0
( ^ω^)ゴミカスハートフル
3 :
名無しになりきれ:2012/11/01(木) 21:29:44.30 0
きんもー
4 :
名無しになりきれ:2012/11/02(金) 01:20:21.11 0
歌姫の最中、殿方は終わる。
意味不明なスレッド
わおーん
あるくん
頭がキンキンする。冷気で血が淀んでいる。
だからルナの思考は鈍くなっていた。
ボレアースに蹴飛ばされ、二つに割れた雪だるまの片割れをどうにかするべく
フリードは自分自身を氷の腕で吹っ飛ばす。
なんという元気だろうか。否、それは元気というものを超えている。
彼は術者である自分を気絶させて雪玉を消すつもりだったのだろう。
ルナはフリードの心意気に感化され、腰に下がったタクトに手をかける。
もう自分たちでなんとかするしかない。こうなったらわずかに残された魔力で、
足元の雪原に反転魔法をかけ、冷たさを熱さに変え穴を開けるしか…
しかしその表情は凍りつく。
幽霊の女の出現。続いて
>「あ〜〜〜こうなったら一蓮托生だぎゃあああ!!」
なんとササミが首飾りに魔力を供給しはじめたのだ。
と同時に負ぶさってきたリリィが丸い物体になってころりと落ちる。
「ひっ!!」
ルナは生首が落ちてきたと思ってびっくりした。
しかしすぐに首飾りを外してササミから離れると、丸いものを拾い上げて反転魔法を流そうとする。
時間を捲き戻してリリィを再生するつもりなのだ。
でも魔力も少なく、まして時間に干渉するほどの力をルナはもっていない。
「なにこれ!どうなっちゃってるのよ。誰かなんとかして!!」
パニックになり金切り声をあげたが、その声は自分でも驚いてしまうほど小さい。
気道も肺も寒さで縮み上がっているのだ。声など出ないのだ。
そして目の前に現れた白いドレスの女が、「次はお前だ」とばかりにルナを指差す。
ルナは負けじと迫り来る雪玉を指差す。すると女は雪玉の排除を優先させ
女が出現させた壁は雪玉の軌道を変える事に成功する。
「た、たすかったっ!」
とりあえず雪玉という目の前の恐怖は去った。
だがササミの魔力を吸収した首飾りには亀裂が生じていた。
その僅かな隙間から無数の触手が溢れ出して来る。それは「蔦」だった。
蔦の主タナトストーンは、ボレアースをわざと神に戻し、純正の神気の吸収に成功すると
次に生徒たちの魔力に反応しざわざわと触手のように動きだす。
「我が世の春が来た!ハッハッハッハ、このときをどんなに待ち望んでいたことか。
母なる大地よ。小生は帰って来たぞっ!!」
蔦の中心から男の声がする。男はぼさぼさでこげ茶色の髪を振り乱し泣きながら叫んでいた。
古代ギリシア人のような出で立ちで背には翼。右手に持った大きな鎌で
自分の左手を突き刺していた。蔦が生えているのはその左手からだった。
背丈はササミより一回り大きいくらいだろうか。
まだ完全ではないがタナトストーンが復活したのだ。
「んんん、漲ってきた!少々黴臭かったがボレアースの荒々しい神の力。確かに頂戴した。
それとこの魔界の者の魔力は、じつに香しい味だったぞ。狂おしく酔ってしまいそうな味であった!
田舎神族と侮蔑した無礼はそれで帳消しとしよう!」
タナトストーンは左手をササミの腰にまわし、生えている蔦で体に絡み付けている。空は青空。
風で舞った粉雪が雪原に光の波を立てる。
「おおそうだ。魔界の小娘、もといササミさんよ。わが国の最初の民とならぬか?
小生はこの世界のすべての大地を田畑に変えたい。小生は農耕の神の力を持っている。
我が国の民となったあかつきには子々孫々永遠に飢えることはないであろう。どうだ小娘よ?
それと他の者たちもだ。農民となり小生を永遠に信仰し続けるのだ。悪い話ではあるまいが」
ルナはあわあわと立ちすくんでいた。ササミが捕まってしまっているからだ。
胸元には球体となってしまったリリィを抱きしめている。
どうしよう…、思考を働かせようとした次の瞬間、その体はひっくり返る。
「ルナさん!君もそうだ。農民となって大地とともに生きてはみぬか!?
それとも死んでその身を大地の肥やしと変えるか?さあどっちーーーーー!?」
問いかけのあと、クロノストーンは雪原を滑空する。
ボレアースのミイラとルナを結婚式のとき車の後ろにつける缶のようにして。
ササミは抱いたまま。球体となったリリィはルナが抱きしめたまま。
そして彼はフリードとエンカの前に降り立つのだ。
「逃がさんぞ。フリード君。君は小生を氷漬けにして海に沈めるとかなんとか言っていたが、
そんなことが出来るのかね?このタナトストーンを…もう一度封じられると思っているのかああああ!!?」
泣き声と混じったヒステリックな声をあげ、タナトストーンは右手にもった大鎌を振り下ろすのだった。
>>87-88 テオドールの魔法でズタズタに破壊されるクロノストーンの右腕。噴出する真紅の鮮血。
フリードに打ち下ろされんとしていた大鎌は、握力を失った主のもとからすり抜けて、雪原へと突き刺さる。
>「名前が知りたければ教えて差し上げよう。テオボルト・ジェナス。自分探し途中のただの魔法使いだ。
封印されてたのは貴様か? 封じられるのが嫌なら、そっ首落としてそこらの森の獣の餌にしてくれよう」
「ほほう、テオボルト君。それなら君は農民になるといい。
大地を耕し自分を耕せ。虫を見つけ自分を見つけろ。
そうすればいつか君は、輝かしい黄金の自分と出会えるはずだああ!
ハッハッハッハッハー!」
怒れるテオボルトを見つめながら、クロノストーンは叫び返す。
>>89 >「…なぁ、オッサン。右手からよぉ、すっげ〜血が出てるぜ?
何があったか知らねぇけどよぉ、手当てが必要なんじゃあねぇのか〜?」
「その言葉に感謝するぞエンカ君!我が名はクロノストーン。農耕の神である。
君の言動は馬車の中で注視していた。君はクラスメイト想いのやさしい少年だ。
それならいっそクラスメイト想いの野菜少年にならぬか?
そう、君は野菜農家の少年になったほうがいい。そして心のうちに潜む獅子など一生眠らせてしまえ。
そのほうがよかろう?そうなってしまえば、もう誰も傷つけることはない。君も傷つく心配もないのだ!!」
エンカの無意識に、荒ぶる獣の力を感じつつクロノストーンは言った。
その言動は真実でもあり、彼を油断させるためのものでもあった。
>>90 >「あ”〜〜〜吐いてすっきりしたがね
封印とかれたてにしてもボケるのも大概にしやしゃーせや!
神々の敵対者である魔族の魔力で復活したのに喜ぶって神としてのプライドはあらせんのか!
たとえおみゃーさんが気にせんでも他の神々からは神の癖に魔族によって救われたゆー烙印を一生背負わされるんだぎゃ!」
「ほほー、考えてみれば、それは困るな。なによりガイアが悲しむ。
しかしササミさんよ。君はどうして魔族になど生まれてしまったのだ。
小生はこの大地をこよなく愛している。できれば君とともに、この大地と生きたかったぞ」
半眼でにこりと笑うクロノストーン。
>>87-88 テオドールの魔法でズタズタに破壊されるクロノストーンの右腕。噴出する真紅の鮮血。
フリードに打ち下ろされんとしていた大鎌は、握力を失った主のもとからすり抜けて、雪原へと突き刺さる。
>「名前が知りたければ教えて差し上げよう。テオボルト・ジェナス。自分探し途中のただの魔法使いだ。
封印されてたのは貴様か? 封じられるのが嫌なら、そっ首落としてそこらの森の獣の餌にしてくれよう」
「ほほう、君はテオボルトというのかね?自分探しの旅をしている?
ほー、では聞こう。君が小生の首を落としたところで、探し物はみつかるのか?
たぶん見つからないだろう?それなら君は農民になるといい。
大地を耕し自分を耕せ。虫を見つけ自分を見つけろ。
そうすればいつか君は、輝かしい黄金の自分と出会えるはずだああ!
ハッハッハッハッハー!」
怒れるテオボルトを見つめながら、クロノストーンは叫び返す。
>>89 >「…なぁ、オッサン。右手からよぉ、すっげ〜血が出てるぜ?
何があったか知らねぇけどよぉ、手当てが必要なんじゃあねぇのか〜?」
「その言葉に感謝するぞエンカ君!我が名はクロノストーン。農耕の神である。
君の言動は馬車の中で注視していた。君はクラスメイト想いのやさしい少年だ。
それならいっそクラスメイト想いの野菜少年にならぬか?
そう、君は野菜農家の少年になったほうがいい。そして心のうちに潜む獅子など一生眠らせてしまえ。
そのほうがよかろう?そうなってしまえば、もう誰も傷つけることはない。君も傷つく心配もないのだ!!」
エンカの無意識に、荒ぶる獣の力を感じつつクロノストーンは言った。
その言動は真実でもあり、彼を油断させるためのものでもあった。
>>90 >「あ”〜〜〜吐いてすっきりしたがね
封印とかれたてにしてもボケるのも大概にしやしゃーせや!
神々の敵対者である魔族の魔力で復活したのに喜ぶって神としてのプライドはあらせんのか!
たとえおみゃーさんが気にせんでも他の神々からは神の癖に魔族によって救われたゆー烙印を一生背負わされるんだぎゃ!」
「ほほー、考えてみれば、それは困るな。なによりガイアが悲しむ。
しかしササミさんよ。君はどうして魔族になど生まれてしまったのだ。
小生はこの大地をこよなく愛している。できれば君とともに、この大地と生きたかったぞ」
半眼でにこりと笑うクロノストーン。
>>87-88 テオドールの魔法でズタズタに破壊されるクロノストーンの右腕。噴出する真紅の鮮血。
フリードに打ち下ろされんとしていた大鎌は、握力を失った主のもとからすり抜けて、雪原へと突き刺さる。
>「名前が知りたければ教えて差し上げよう。テオボルト・ジェナス。自分探し途中のただの魔法使いだ。
封印されてたのは貴様か? 封じられるのが嫌なら、そっ首落としてそこらの森の獣の餌にしてくれよう」
「ほほう、君はテオボルトというのかね?自分探しの旅をしている?
ほー、では聞こう。君が小生の首を落としたところで、探し物はみつかるのか?
たぶん見つからないだろう?それなら君は農民になるといい。
大地を耕し自分を耕せ。虫を見つけ自分を見つけろ。
そうすればいつか君は、輝かしい黄金の自分と出会えるはずだああ!
ハッハッハッハッハー!」
怒れるテオボルトを見つめながら、クロノストーンは叫び返す。
>>89 >「…なぁ、オッサン。右手からよぉ、すっげ〜血が出てるぜ?
何があったか知らねぇけどよぉ、手当てが必要なんじゃあねぇのか〜?」
「その言葉に感謝するぞエンカ君!我が名はクロノストーン。農耕の神である。
君の言動は馬車の中で注視していた。君はクラスメイト想いのやさしい少年だ。
それならいっそクラスメイト想いの野菜少年にならぬか?
そう、君は野菜農家の少年になったほうがいい。そして心のうちに潜む獅子など一生眠らせてしまえ。
そのほうがよかろう?そうなってしまえば、もう誰も傷つけることはない。君も傷つく心配もないのだ!!」
エンカの無意識に、荒ぶる獣の力を感じつつクロノストーンは言った。
その言動は真実でもあり、彼を油断させるためのものでもあった。
>>90 >「あ”〜〜〜吐いてすっきりしたがね
封印とかれたてにしてもボケるのも大概にしやしゃーせや!
神々の敵対者である魔族の魔力で復活したのに喜ぶって神としてのプライドはあらせんのか!
たとえおみゃーさんが気にせんでも他の神々からは神の癖に魔族によって救われたゆー烙印を一生背負わされるんだぎゃ!」
「ふむ。考えてみれば、それは困るな。なによりガイアが悲しむ。
しかしササミさんよ。君はどうして魔族になど生まれてしまったのだ。
小生はこの大地をこよなく愛している。できれば君とともに、この大地と生きたかったぞ」
半眼で微笑するクロノストーン。
>>91 >「そっちの爺さんも!封印の管理者ならぼやいとりゃせんでさっさと戦やーせ!
エンカ、神同士の戦いは勝手にやらせときゃえーし、ほっときゃええがね!」
「…な、なんじゃとぉ。小虫がようほざいたわぁ」
ボレアースはよれよれと這い蹲っている。
>>92-93 ササミの石化ガスのおかげで、ルナはクロノストーンの拘束から抜け出した。
手に持っていた球体も、今は胸に抱きしめている。
お化けによって、リリィがどんな魔法をかけられたのか理解できないでいたルナは、
球体を割るとかそんな発想は出来ずにいた。
でも…球体の中から振動がするのに気付く。
>「おーいルナちゃん!神様!誰でもいいから私をここから出してよー!」
「リリィ!?」
小さな声がする。ルナは球体をまじまじと見つめる。
穴や隙間、シールみたいなものがないか調べる。
「リリィ?どうなっちゃってるの?
怪我はない?大丈夫?私、どうしたらいいの?」
ルナはリリィの返事を待った。
>>91 >「そっちの爺さんも!封印の管理者ならぼやいとりゃせんでさっさと戦やーせ!
エンカ、神同士の戦いは勝手にやらせときゃえーし、ほっときゃええがね!」
「…な、なんじゃとぉ。小鳥がようほざいたわぁ」
ボレアースはよれよれと這い蹲っている。
思えばクロノストーンによって、ボレアースの運命も狂わされてしまったのだ。
封印しようとして呪いをかけられ、馬にされてしまったあと
彼は恥ずかしくて天界に戻れないでいた。なので山の奥にひっそりと暮らしていた。
それに年々と薄れてゆく人々の信仰心。年金暮らしの老人のように細々とした生活。
そこへ過去から現れた因縁の宿敵クロノストーン。
退治出来てなかったと皆が知ってしまえば、恥の上塗り。
何としてでもこのことは内密に処理しなければならないのだ。
>>92-93 ササミの石化ガスのおかげで、ルナはクロノストーンの拘束から抜け出した。
手に持っていた球体も、今は胸に抱きしめている。
お化けによって、リリィがどんな魔法をかけられたのか理解できないでいたルナは、
球体を割るとかそんな発想は出来ずにいた。
でも…球体の中から音がするのに気付く。
>「おーいルナちゃん!神様!誰でもいいから私をここから出してよー!」
「リリィ!?」
小さな声がする。ルナは球体をまじまじと見つめる。
穴や隙間、シールみたいなものがないか調べる。
「リリィ?どうなっちゃってるの?
怪我はない?大丈夫?私、どうしたらいいの?」
ルナはリリィの返事を待った。
>>94 >「子孫断絶脚!!」
「ぐはーーーーっ!!」
悶絶。
>「いやこの人…いえ神……いや信仰を失った神は妖怪に堕ちるらしいから
妖怪ですかね?とにかく敵なんですってば!!」
「否!小生は神である。それに敵か味方かは君の決めることかね?そうだよなあ、みんなー?
ハッハッハッハー!小生は、敵か味方か?さあどっちーーーー!!?」
>>87-88 テオドールの魔法でズタズタに破壊されるクロノストーンの右腕。噴出する真紅の鮮血。
フリードに打ち下ろされんとしていた大鎌は、握力を失った主のもとからすり抜けて、雪原へと突き刺さる。
>「名前が知りたければ教えて差し上げよう。テオボルト・ジェナス。自分探し途中のただの魔法使いだ。
封印されてたのは貴様か? 封じられるのが嫌なら、そっ首落としてそこらの森の獣の餌にしてくれよう」
「ほほう、君はテオボルトというのかね?自分探しの旅をしている?
ほー、では聞こう。君が小生の首を落としたところで、探し物はみつかるのか?
たぶん見つからないだろう?それなら君は農民になるといい。
大地を耕し自分を耕せ。虫を見つけ自分を見つけろ。
そうすればいつか君は、輝かしい黄金の自分と出会えるはずだああ!
ハッハッハッハッハー!」
怒れるテオボルトを見つめながら、クロノストーンは叫び返す。
>>89 >「…なぁ、オッサン。右手からよぉ、すっげ〜血が出てるぜ?
何があったか知らねぇけどよぉ、手当てが必要なんじゃあねぇのか〜?」
「その言葉に感謝するぞエンカ君!我が名はクロノストーン。農耕の神である。
君の言動は馬車の中で注視していた。君はクラスメイト想いのやさしい少年だ。
それならいっそクラスメイト想いの野菜少年にならぬか?
そう、君は優しい野菜農家になったほうがいい。そして心のうちに潜む獅子など一生眠らせてしまえ。
そのほうがよかろう?そうなってしまえば、もう誰も傷つけることはない。君も傷つく心配もないのだ!!」
エンカの無意識に、荒ぶる獣の力を感じつつクロノストーンは言った。
その言動は彼なりの真実でもあり、エンカを油断させるためのものでもあった。
>>90 >「あ”〜〜〜吐いてすっきりしたがね
封印とかれたてにしてもボケるのも大概にしやしゃーせや!
神々の敵対者である魔族の魔力で復活したのに喜ぶって神としてのプライドはあらせんのか!
たとえおみゃーさんが気にせんでも他の神々からは神の癖に魔族によって救われたゆー烙印を一生背負わされるんだぎゃ!」
「ふむ。考えてみれば、それは困るな。なによりガイアが悲しむ。
しかしササミさんよ。君はどうして魔族になど生まれてしまったのだ。
小生はこの大地をこよなく愛している。できれば君とともに、この大地と生きたかったぞ」
目を細め、微笑しているクロノストーン。
>>91 >「そっちの爺さんも!封印の管理者ならぼやいとりゃせんでさっさと戦やーせ!
エンカ、神同士の戦いは勝手にやらせときゃえーし、ほっときゃええがね!」
「…な、なんじゃとぉ。小鳥がようほざいたわぁ」
ボレアースはよれよれと這い蹲っている。
思えばクロノストーンによって、ボレアースの運命も狂わされてしまったのだ。
封印しようとして呪いをかけられ、馬にされてしまったあと
彼は恥ずかしくて天界に戻れないでいた。なので山の奥にひっそりと暮らしていた。
それに年々と薄れてゆく人々の信仰心。年金暮らしの老人のように細々とした生活。
そこへ過去から現れた因縁の宿敵クロノストーン。
退治出来てなかったと皆が知ってしまえば、恥の上塗り。
何としてでもこのことは内密に処理しなければならないのだ。
>>92-93 ササミの石化ガスのおかげで、ルナはクロノストーンの拘束から抜け出した。
手に持っていた球体も、今は胸に抱きしめている。
お化けによって、リリィがどんな魔法をかけられたのか理解できないでいたルナは、
球体を割るとかそんな発想は出来ずにいた。
でも…球体の中から音がするのに気付く。
>「おーいルナちゃん!神様!誰でもいいから私をここから出してよー!」
「リリィ!?」
小さな声がする。ルナは球体をまじまじと見つめる。
穴や隙間、シールみたいなものがないか調べる。
「リリィ?どうなっちゃってるの?
怪我はない?大丈夫?私、どうしたらいいの?」
ルナはリリィの返事を待った。
>>94 >「子孫断絶脚!!」
「ぐはーーーーっ!!」
悶絶。
>「いやこの人…いえ神……いや信仰を失った神は妖怪に堕ちるらしいから
妖怪ですかね?とにかく敵なんですってば!!」
「否!小生は神である。それに敵か味方かは君の決めることかね?そうだよなあ、みんなー?
ハッハッハッハー!小生は、敵か味方か?さあどっちーーーー!!?」
>「魔族に蘇らせてもらった穢れた神さんもだがね!
あんたがやる事は自分を封印した張本人である神への復讐だがね!
こんなところで人間ども相手にはしゃいでないで、天界に行って暴れるのが筋だろーがや!
それもできんようなボケ神が信仰を集めようなんぞ片腹いたいぎゃ!」
「うぬぬぬ…」
クロノストーンは唸った。ササミの侮蔑の視線は彼にとって耐え難いものだった。
モノには順番がある。そう言い返したかったのだが、その前に神特有の矜持が立ちはだかる。
さらにテオドールに攻撃を受け放り投げてしまった大鎌との距離10メートル。
目の前にはテオドール。視線を移せば、猫神と交渉しているフリード。未知の力を秘めているエンカ。
学園との距離は50メートルはあるだろうか。校内には無数の魔力を感じる。
まず初めに、クロノストーンは大鎌を回収すべく大地を蹴る。
そこへ猪突してきたのはボレアース。
二神は衝突して、お互いにもんどりうって吹っ飛んだ。
「ぐほっ!」
腹部に衝撃を受けたタナトストーンの口から濡れた石が顔を出している。
「あれじゃ、あれが奴の本体の石ころじゃ!大昔にタナトスがゼウスと間違えて飲み込んだという石じゃ。
あれを何かに閉じ込めてしまえば奴をもう一度封印できるはずじゃ!」
ボレアースはもう半透明になっていたが、最後の力を振り絞って神の力を放つ。
すると、もよもよとした直径50センチくらいの霧のようなものが生まれた。
「その霧の玉に触れて願うのじゃ。冷気を生み出す道具ができようぞ。
それで石を氷結させるのじゃ。さすれば奴をもう一度封印することができるじゃろう」
そういい遺して、ボレアースは小さな雪の妖精になってしまった。
>>87-88 テオドールの魔法でズタズタに破壊されるクロノストーンの右腕。噴出する真紅の鮮血。
フリードに打ち下ろされんとしていた大鎌は、握力を失った主のもとからすり抜けて、雪原へと突き刺さる。
>「名前が知りたければ教えて差し上げよう。テオボルト・ジェナス。自分探し途中のただの魔法使いだ。
封印されてたのは貴様か? 封じられるのが嫌なら、そっ首落としてそこらの森の獣の餌にしてくれよう」
「ほほう、君はテオボルトというのかね?自分探しの旅をしている?
ほー、では聞こう。君が小生の首を落としたところで、探し物はみつかるのか?
たぶん見つからないだろう?それなら君は農民になるといい。
大地を耕し自分を耕せ。虫を見つけ自分を見つけろ。
そうすればいつか君は、輝かしい黄金の自分と出会えるはずだああ!
ハッハッハッハッハー!」
怒れるテオボルトを見つめながら、クロノストーンは叫び返す。
>>89 >「…なぁ、オッサン。右手からよぉ、すっげ〜血が出てるぜ?
何があったか知らねぇけどよぉ、手当てが必要なんじゃあねぇのか〜?」
「その言葉に感謝するぞエンカ君!我が名はクロノストーン。農耕の神である。
君の言動は馬車の中で注目していた。君はクラスメイト想いのやさしい少年だ。
それならいっそクラスメイト想いの野菜少年にならぬか?
そう、君は優しい野菜農家になったほうがいい。そして心のうちに潜む獅子など一生眠らせてしまえ。
そのほうがよかろう?そうなってしまえば、もう誰も傷つけることはない。君も傷つく心配もないのだ!!」
エンカの無意識に、荒ぶる獣の力を感じつつクロノストーンは言った。
その言動は彼なりの真実でもあり、エンカを惑わすつもりでもあった。
>>87-88 テオドールの魔法でズタズタに破壊されるクロノストーンの右腕。噴出する真紅の鮮血。
フリードに打ち下ろされんとしていた大鎌は、握力を失った主のもとからすり抜けて、雪原へと突き刺さる。
>「名前が知りたければ教えて差し上げよう。テオボルト・ジェナス。自分探し途中のただの魔法使いだ。
封印されてたのは貴様か? 封じられるのが嫌なら、そっ首落としてそこらの森の獣の餌にしてくれよう」
「ほほう、君はテオボルトというのかね?自分探しの旅をしている?
ふむ、では聞こう。君が小生の首を落としたところで、探し物はみつかるのか?
たぶん見つからないだろう?それなら君は農民になるといい。
大地を耕し自分を耕せ。虫を見つけ自分を見つけろ。
そうすればいつか君は、輝かしい黄金の自分と出会えるはずだああ!
ハッハッハッハッハー!」
怒れるテオボルトを見つめながら、クロノストーンは叫び返す。
>>89 >「…なぁ、オッサン。右手からよぉ、すっげ〜血が出てるぜ?
何があったか知らねぇけどよぉ、手当てが必要なんじゃあねぇのか〜?」
「その言葉に感謝するぞエンカ君!我が名はクロノストーン。農耕の神である。
君の言動は馬車の中で注目していた。君はクラスメイト想いのやさしい少年だ。
それならいっそクラスメイト想いの野菜少年にならぬか?
そう、君は優しい野菜農家になったほうがいい。そして心のうちに潜む獅子など一生眠らせてしまえ。
そのほうがよかろう?そうなってしまえば、もう誰も傷つけることはない。君も傷つく心配もないのだ!!」
エンカの無意識に、荒ぶる獣の力を感じつつクロノストーンは言った。
その言動は彼なりの真実でもあり、エンカを惑わすつもりでもあった。
>>90 >「あ”〜〜〜吐いてすっきりしたがね
封印とかれたてにしてもボケるのも大概にしやしゃーせや!
神々の敵対者である魔族の魔力で復活したのに喜ぶって神としてのプライドはあらせんのか!
たとえおみゃーさんが気にせんでも他の神々からは神の癖に魔族によって救われたゆー烙印を一生背負わされるんだぎゃ!」
「おお、考えてみればそれは困るな。なによりガイアが悲しむ。
しかしササミさんよ。君はどうして魔族になど生まれてしまったのだ。
小生はこの大地をこよなく愛している。できれば君とともに、この大地と生きたかったぞ」
目を細め、微笑しているクロノストーン。
>>91 >「そっちの爺さんも!封印の管理者ならぼやいとりゃせんでさっさと戦やーせ!
エンカ、神同士の戦いは勝手にやらせときゃえーし、ほっときゃええがね!」
「…な、なんじゃとぉ。小鳥がようほざいたわぁ」
ボレアースはよれよれと這い蹲っている。
思えばクロノストーンによって、ボレアースの運命も狂わされてしまったのだ。
封印しようとして呪いをかけられ、馬にされてしまったあと
彼は恥ずかしくて天界に戻れないでいた。なので山の奥にひっそりと暮らしていた。
それに年々と薄れてゆく人々の信仰心。年金暮らしの老人のように細々とした生活。
そこへ過去から現れた因縁の宿敵クロノストーン。
退治出来てなかったと皆が知ってしまえば、恥の上塗り。
何としてでもこのことは内密に処理しなければならないのだ。
「ひょおおおお…」
ボレアースは最後の気力で立ち上がる。
>>92-93 ササミの石化ガスのおかげで、ルナはクロノストーンの拘束から抜け出した。
手に持っていた球体も、今は胸に抱きしめている。
お化けによって、リリィがどんな魔法をかけられたのか理解できないでいたルナは、
球体を割るとかそんな発想は出来ずにいた。
でも…球体の中から音がするのに気付く。
>「おーいルナちゃん!神様!誰でもいいから私をここから出してよー!」
「リリィ!?」
小さな声がする。ルナは球体をまじまじと見つめる。
穴や隙間、シールみたいなものがないか調べる。
「リリィ、大丈夫?…かわいそう。
あのお化けがボールの中に閉じ込めちゃったのね。
ねえ、怪我はない?私、どうしたらいいの?あのお化けったらなんだってこんなこと…」
ルナは球体に耳をぴたっとつける。
>>94 >「子孫断絶脚!!」
「ぐはーーーーっ!!」
悶絶。吐血。虹の橋。
>「いやこの人…いえ神……いや信仰を失った神は妖怪に堕ちるらしいから
妖怪ですかね?とにかく敵なんですってば!!」
「否!小生は神である。それに敵か味方かなど君の一存で決められることなのかね?
そうだよなあ、みんなー? ハッハッハッハー!
さあ、どっちだ?小生は敵か味方か?さあどっちーーーー!!?」
口から血を流しながら狂気の笑み。
こんなわけのわからない者が味方なわけがないだろう。
>「魔族に蘇らせてもらった穢れた神さんもだがね!
あんたがやる事は自分を封印した張本人である神への復讐だがね!
こんなところで人間ども相手にはしゃいでないで、天界に行って暴れるのが筋だろーがや!
それもできんようなボケ神が信仰を集めようなんぞ片腹いたいぎゃ!」
「うぬぬぬ…」
クロノストーンは唸った。ササミの侮蔑の視線は彼にとって耐え難いものだった。
モノには順番がある。そう言い返したかったのだが、その前に神特有の矜持が立ちはだかる。
さらにテオドールに攻撃を受け放り投げてしまった大鎌との距離10メートル。
目の前にはテオドール。視線を移せば、猫神と交渉しているフリード。未知の力を秘めているエンカ。
学園との距離は50メートルはあるだろうか。校内には無数の魔力を感じる。
それを吸収できればさらなるパワーアップが可能なのだが。
そう逡巡した刹那
「クロノストーン!!」
ボレアースが死に物狂いで猪突して来るのが見えた。
唾棄し、クロノストーンは大鎌を回収すべく大地を蹴る。
そして二神は衝突。お互いにもんどりうって吹っ飛んだ。
「ぐほっ!」
腹部に衝撃を受けたタナトストーンの口から濡れた石が顔を出している。
「あ、あれじゃ、あれが奴の本体の石ころじゃ!大昔にタナトスがゼウスと間違えて飲み込んだという石じゃ。
あれを何かに閉じ込めてしまえば奴をもう一度封印できるはず!」
力を使い果たしたボレアースは、すでに半透明になっていたが、最後の力を振り絞って神の力を放つ。
すると、もよもよとした直径50センチくらいの霧のようなものが生まれた。
「その霧の玉に触れて願うのじゃ。さすれば冷気を生み出す道具を生み出すことができよう。
それで奴との戦いを優位にもってゆくのじゃ。…たのむ。たのんだぞ」
そう勝手なことをいい遺して、ボレアースは消えてしまった。
「むもももも!」
クロノストーンは、口から顔を出した石を手で押し込んで再び飲み込む。
その背後、学園の窓に映る小さな顔。保健室の窓から外をじっと見ている夢見石の少年。
だがそれは本筋と関係ない。ただ見ているだけなのだ。
「小生に従う者は、力をかせい!だが邪魔するものは大地の肥やしと変えてやろう!」
クロノストーンは翼を羽ばたかせた。
生じた小さな竜巻は邪魔するものを吹き飛ばすだろう。
と同時に天高く舞い上がった彼は、大地に突き刺さっている大鎌を取らんと舞い降りるのだ。
>「よぉ、ルナちゃん。さっきまで具合が悪そうだったけどよぉ、大丈夫か〜?
なんなら保健室まで連れて行ってやるぜ?」
「ん?んん?私はなんとかだいじょうぶなんだけど、リリィが…」
リリィの入ってる球体を耳に当てながら目だけでエンカを見る。
エンカが来てくれたのでルナはすこしホッとする。
>「なぁ、ルナちゃん。『北風と太陽』の話って知ってるか?
北風がバイキングを育てたって話だ。…あー違ったかな?
とにかくよぉ、こういう時は暖めてみたら問題が解決するんじゃねーかな?」
「え?北風と太陽の話って些細なことから北風と太陽が言い争いになって
結果まったく関係のない一人の旅人を虐待するという自然の神々の気まぐれさと
横暴さを描いた寓話でしょ?それがどうしたっていうのよ?」
ルナが目をぱちくりさせていると、エンカは球体をライターであぶり始めた。
ルナの問いかけに、球体の中のリリィは答える。
顔のない女のおばけには見覚えがないということ。
球体の内部が結構快適だということ。
それに学園からの救助が今もってないということ。
「そういえば…」とルナはいぶかしむ。
そこへ現れたのはエンカだった。エンカは顔の傷口から血を垂らしている。
でもエンカは自分のことなど省みずにルナの心配をしてくれた。
そのエンカの様子にリリィは驚いて…
>「ルナちゃん、エンカに、その怪我どうにかしろって言ってやってよ!」
「 そ、そうよね、止血しなきゃ!えっと、首を何かで縛ったらいいのかな?
あははダメよね。血は止まるけど呼吸も止まっちゃう…。じゃあ一緒に保健室にいく?」
そんなことを言っていると、エンカは北風と太陽の話をはじめた。
ルナがその話をなんか変と思っていると、ササミがさらに魔界に伝わる北風と太陽の話を付け足す。
「なにそれ…怪談?」
ルナの顔は青ざめた。悪魔はいったいどこからやってきたのだろう。
考えるルナ。するとエンカはルナの手から球体を取り出し炙り始める。
>「キャー止めて!燃える燃える燃えるううう!!」
「キャーやめてあげてーっ!!」
悲鳴をあげてルナがあわあわしていると球体が光りリリィが出てきた。
「ふぎゅ!」
下敷き。リリィに潰されて雪原に埋まるルナの顔。
>「それとササミちゃん、もしかして風邪引いてるんじゃないの?そんな薄着で・・・・・・。
ルナちゃん、悪いけど私が貸したコート、ササミちゃんに渡してくれない?
>「だ、だいじょうぶ、だだだだが・・・ね。もうくさtt神も片付きそうやし、ずぐぬぅえっぷ」
「もうやせ我慢なんてしないの!はやくみんなで保健室にいこう!死んじゃうと悪いもん」
コートを脱いで、蹲っているササミに被せようとする。
しかしその前にコートが強風で吹き飛ばされる。続いてルナも。
「きゃああああ!おたすけえええ!!」
悲鳴をあげていると、空中にリリィとササミも舞っているのが見えた。
大鎌を取り戻さんがため、クロノストーンは跳躍、降下、眼下を仰ぐ。
農耕神の誘惑に、一度は友好的な態度を見せたエンカではあったが
少年はルナのもとへと去ってしまう。
(む、邪魔もしなければ、応援もしないということか。
それもよかろうが!さらばだエンカ君!)
>「よぉ、ルナちゃん。さっきまで具合が悪そうだったけどよぉ、大丈夫か〜?
なんなら保健室まで連れて行ってやるぜ?」
「
間一髪竜巻を回避し雷撃を放つテオボルト。
ルナの問いかけに、球体の中のリリィは答える。
顔のない女のおばけには見覚えがないということ。
球体の内部が結構快適だということ。
それに学園からの救助が今もってないということ。
「そういえば…」とルナはいぶかしむ。
そこへ現れたのはエンカだった。エンカは顔の傷口から血を垂らしている。
でもエンカは自分のことなど省みずにルナの心配をしてくれた。
そのエンカの様子にリリィは驚いて…
>「ルナちゃん、エンカに、その怪我どうにかしろって言ってやってよ!」
「 そ、そうよね、止血しなきゃ!えっと、首を何かで縛ったらいいのかな?
うー…そんなのダメよね。血は止まるけど呼吸も止まっちゃう…。じゃあ一緒に保健室にいく?」
そんなことを言っていると、エンカは北風と太陽の話をはじめる。
ルナがその話をなんか変と思っていると、ササミがさらに魔界に伝わる北風と太陽の話を付け足す。
「なにそれ…怪談?」
ルナの顔は青ざめた。悪魔はいったいどこからやってきたのだろう。
考えるルナ。するとエンカはルナの手から球体を取り出し炙り始める。
>「キャー止めて!燃える燃える燃えるううう!!」
「キャーやめてあげてーっ!!」
悲鳴をあげてルナがあわあわしていると球体が光りリリィが出てきた。
「ふぎゅ!」
下敷き。リリィに潰されて雪原に埋まるルナの顔。
>「それとササミちゃん、もしかして風邪引いてるんじゃないの?そんな薄着で・・・・・・。
ルナちゃん、悪いけど私が貸したコート、ササミちゃんに渡してくれない?
>「だ、だいじょうぶ、だだだだが・・・ね。もうくさtt神も片付きそうやし、ずぐぬぅえっぷ」
「もうやせ我慢なんてしないの!はやくみんなで保健室にいこう!死んじゃうと悪いもん」
コートを脱いで、蹲っているササミに被せようとする。
しかしその前にコートが強風で吹き飛ばされる。続いてルナも。
「きゃああああ!おたすけえええ!!」
悲鳴をあげていると、空中にリリィとササミも舞っているのが見えた。
これはやばい。
大鎌を取り戻さんがため、クロノストーンは飛翔、降下、眼下を仰ぐ。
農耕神の誘惑に、一度は友好的な態度を見せたエンカではあったが
少年はルナのもとへと去ってしまっていた。
(む、邪魔もしなければ、応援もしないということか。
それもよかろう!さらばだエンカ君!)
――風の音と一緒に少女たちの悲鳴が聞こえる。
飛翔するときに生み出していた竜巻は、リリィ、ササミ、ルナの三人を巻き込んでいた。
だがしかし間一髪竜巻を回避し雷撃を放つはテオボルト。
>「ええい、さっさと去ね! 『サンダー・ランス』!!」
「これが君の答えか!テオボルト君!!」
タナトストーンが大鎌の前に降り立つのと、
テオボルトの雷撃の槍が彼の腹部を貫くのは同時だった。
大股を開きながら左手を獲物に伸ばす。震える指先が柄に触れる。
だが腹部は弾ける様な音を立てて煙を上げている。
帯電した空気がちりちりと焦げた匂いを放っている。
「がは!!」
吐血とともに雪原に転がる石。
そう、クロノストーンは本体である石を吐き出したのだ。
「い、いやだ…封じられたくない。封じられたくなんかないよぉ。
あんな暗いところに一人っきりなんて、さみしいんだよぉ…」
クロノストーンはうつ伏せに倒れると、石に手を伸ばして呻いていた。
>「そんな事僕が知るものですか!とっとっと封印されておしまいなさい!!
万能なるマナよ!雪と氷の力を僕に与えよ!!
安らかなる永遠の眠りを!美しき氷の棺を!『フリージングコフィン』!!」
>「姉さんは何故かこの中で眠るのが好きみたいですが・・・・・・・
本来は死者を収め埋葬するための魔法です
さあ貴方をこの中に封印して差し上げますよ!」
「うう、くやしい…。ここまできて、こんな小さな美少年に封印されようとしているなんてよぉ〜!!」
クロノストーンは這い蹲ったまま大鎌を横に薙ぐ。
刹那、硬質な音がフィジルの空に鳴り響く。グレンのダブルクレッセントハーケンとクロノストーンの大鎌が衝突したのだ。
クロノストーンは左手一本で大鎌を振っていたのだが、猫と男の重量差は一目瞭然。
グレンは大きく後ろに体勢を崩した。その隙を見計らいクロノストーンは吐き出した石を懐に入れる。
腹部はすでに電撃の槍で焼け焦げてしまっていたため、そこ以外に安全な場所はないとふんだのだ。
だが目を離していたほんの一瞬、そのままグレンは後退しフリードとタッチ。パートナーと体を入れ替えていた。
>「フリージングサーベル!早い突きが躱せますか?セイセイセイセイセイセイヤァァァァァ!!」
フリードは刃の無い鍔のみのサーベルに氷の刀身を生み出し、容赦なく突きを繰り出してくる。
>「それそれぇ〜ちゃんと避けないと凍っちゃいますよ〜」
「うっ、おおーっ!!」
瞠目。焦燥。一匹と一人の見事な連携。
完全に虚をつかれたクロノストーンの肩口にサーベルの突きが入った。
身を起こし、間合いをとるまでにさらに攻撃を受けた。
そして凍りつき氷結した胸の傷口から飛び散った血液が、雪のように煌き舞い散るのだった。
「楽しいかねフリード君。戦いは死を意識するから、生を実感できる。
君は今まで何度も強敵と戦って生き残って来たと言ったな。
見た目とは裏腹に幾度となく死線を潜り抜けてきた百戦の魔法剣士といったところか…。
……だがなぁ、おまえごときにゃこのクロノストーンは倒せねぇんだよぉっおお!!
よみがえった小生とこの大地の絆は誰にも断ち切ることはできんのだ!!誰にもなぁーっ!!」
雪原から何本もの蔦が噴出し、フィジルの生徒たちを拘束せんとする。
大地に突き刺さってクロノストーンに回収されるそのときまでずっと、
大鎌は雪の下に蔦を張り巡らせていたのだった。
「ハッ…ハッハッハー!」
よろめきながらクロノストーンは学園へ。
魔法障壁のようなものを蹴り破ると、次にガラスの大扉を握り拳固で叩き割る。
「ここに、魔力を持った者どもが沢山いた気配がしたのだが…」
玄関ホールに入ってみても静かだった。ふと廊下を見ると顔のない女が立っていたような気がした。
「おい、きさま…」
一歩踏み出すと足元に球体。クロノストーンは踏みつけて派手に転んでしまう。
「がは!!」
後頭部を床にしこたま打ちつけたあと、怒ったクロノストーンは球体を投げつけて校内に侵入。
兎に角傷を治さなければと、魔力を吸収すべく人、回復アイテムを求めて校内を徘徊しはじめた。
【雪原から時間稼ぎの蔦攻撃(触手)】
【クロノストーンは人間の魔力、回復アイテムを求めて校内へ】
【クロノストーンの負傷状況:右手の裂傷。腹部に火傷及び裂傷。胸部に複数の凍傷及び刺傷】
「ハッ…ハッハッハー!」
よろめきながらクロノストーン大鎌を振るう。
しかしそれはテオドールめがけてでもなく、フリードでもない。
己の心の臓をめがけ一突き。
「ガイアよ。母なる…ガイアよぉ…」
人にこれほどまでに辱めを受けたという情報は神の精神体に深いダメージを残していた。
このままでは封印されるまえに己が維持できないだろう。
心臓を貫いた大鎌から、クロノストーンの肉体は樹木そのものへと変化させてゆく。
大地に根をはり、葉を覆い茂らせて巨大な木へと。
リリィやササミ、おまけにルナはその木の枝をクッションとしてとらわれるかもしれない。
その枝にたわわに実っているのは甘い匂いのするおいしそうな果実。太古に滅んでしまった幻の果実。
一口食べてみたらわかるだろう。その美味しさがあなたたちを魅了することに。
ルナは緑の生い茂る枝の上で眠っていた。
口をもごもごと動かしている。果実を食べながら夢をみているようだ。
「おにいちゃん…そこにいたの。むにゃむにゃ…」
寝言と一緒に笑みがこぼれる。
葉擦れの音が声となってこの場にいる全生徒たちの頭に響いてくる。
みな自分だけは過ちをしないと信じながら業が業を生み、
悲しみが悲しみを生む輪から抜け出せない。
ここはすべてを断ち切る場所。
この子をみてごらん。彼女は生まれて初めて安らかな喜びを感じている。
――葉擦れの音が幻聴を誘う。
みなの頭に、それぞれ大切に思う人の声が届く。
「さあ、おたべ…。さあ…」
果実は美味しそうなその色と匂いであなた達を魅了している。
クロノストーンは太古の果実で悲しみを忘れさせて、
あなたたちを下僕に変えるつもりなのだ。
>「そんな事僕が知るものですか!とっとっと封印されておしまいなさい!!
万能なるマナよ!雪と氷の力を僕に与えよ!!
安らかなる永遠の眠りを!美しき氷の棺を!『フリージングコフィン』!!」
>「姉さんは何故かこの中で眠るのが好きみたいですが・・・・・・・
本来は死者を収め埋葬するための魔法です
さあ貴方をこの中に封印して差し上げますよ!」
「うう、くやしいぞ…。ここまできて、こんな小さな美少年に封印されようとしているとはなぁ〜!!」
クロノストーンは這い蹲ったまま大鎌を横に薙ぐ。
刹那、硬質な音がフィジルの空に鳴り響く。グレンのダブルクレッセントハーケンとクロノストーンの大鎌が衝突したのだ。
クロノストーンは左手一本で大鎌を振っていたのだが、猫と男の重量差は一目瞭然。
グレンは後ろに大きく体制を崩してしまう。だがそのまま後退するとフリードとタッチ。
パートナーと体を入れ替えることに成功。
>「フリージングサーベル!早い突きが躱せますか?セイセイセイセイセイセイヤァァァァァ!!」
フリードは刃の無い鍔のみのサーベルに氷の刀身を生み出し、容赦なく突きを繰り出してくる。
>「それそれぇ〜ちゃんと避けないと凍っちゃいますよ〜」
「うっ、おおーっ!!」
瞠目。焦燥。一匹と一人の見事な連携。
完全に虚をつかれたクロノストーンの肩口にサーベルの突きが入った。
身を起こし、間合いをとるまでにさらに攻撃を受けた。
そして凍りつき氷結した胸の傷口から飛び散った血液が、雪のように煌き舞い散るのだった。
「やるじゃないかフリード君。君は今まで何度も強敵と戦って生き残って来たと言ったな。
見た目とは裏腹に幾度となく死線を潜り抜けてきた百戦の魔法剣士といったところか…。
……だがなぁ、おまえごときにゃこのクロノストーンは倒せねぇんだよぉっおお!!
よみがえった小生とこの大地の絆は誰にも断ち切ることはできんのだ!!誰にもなぁーっ!!」
雪原から何本もの蔦が噴出し、フィジルの生徒たちを拘束せんとする。
大地に突き刺さってクロノストーンに回収されるそのときまでずっと、
大鎌は雪の下に蔦を張り巡らせていたのだった。
しかし。
>「ド畜生がーっ!!こいつはメッチャ許せんよなーっ!!」
エンカが激昂し走って来る!その背後に少年を拘束せんとする無数の蔦をひきつれながら。
>「フリード!テオボルト!お前らは手をだすなーっ!
このオッサンは、この俺が止めをさす!!」
「ハッハッハ!戦うと元気になるなエンカ君!それは死を意識して生を実感するからだ!!
だが悲しいことに君の運命は、決まっている!!そうだ、君は大きな木の下に埋めてやろう!
死んでしまった可愛いペットのようになぁ!」
力を振り絞って、石に手を伸ばす。
虚勢を張っていたものの、テオボルトやフリードに受けた傷は
>「さっきアンタに止めをさすって言ったな。スマン、ありゃ嘘だ」
「…な、なに!?」
>「そんな事僕が知るものですか!とっとっと封印されておしまいなさい!!
万能なるマナよ!雪と氷の力を僕に与えよ!!
安らかなる永遠の眠りを!美しき氷の棺を!『フリージングコフィン』!!」
>「姉さんは何故かこの中で眠るのが好きみたいですが・・・・・・・
本来は死者を収め埋葬するための魔法です
さあ貴方をこの中に封印して差し上げますよ!」
「うう、くやしいぞ…。ここまできて、こんな小さな美少年に封印されようとしているとはなぁ〜!!」
クロノストーンは這い蹲ったまま大鎌を横に薙ぐ。
刹那、硬質な音がフィジルの空に鳴り響く。グレンのダブルクレッセントハーケンとクロノストーンの大鎌が衝突したのだ。
クロノストーンは左手一本で大鎌を振っていたのだが、猫と男の重量差は一目瞭然。
グレンは後ろに大きく体制を崩してしまう。だがそのまま後退するとフリードとタッチ。
パートナーと体を入れ替えることに成功。
>「フリージングサーベル!早い突きが躱せますか?セイセイセイセイセイセイヤァァァァァ!!」
フリードは刃の無い鍔のみのサーベルに氷の刀身を生み出し、容赦なく突きを繰り出してくる。
>「それそれぇ〜ちゃんと避けないと凍っちゃいますよ〜」
「うっ、おおーっ!!」
瞠目。焦燥。一匹と一人の見事な連携。
完全に虚をつかれたクロノストーンの肩口にサーベルの突きが入った。
身を起こし、間合いをとるまでにさらに攻撃を受けた。
そして凍りつき氷結した胸の傷口から飛び散った血液が、雪のように煌き舞い散るのだった。
「やるじゃないかフリード君。君は今まで何度も強敵と戦って生き残って来たと言ったな。
見た目とは裏腹に幾度となく死線を潜り抜けてきた百戦の魔法剣士といったところか…。
……だがなぁ、おまえごときにゃこのクロノストーンは倒せねぇんだよぉっおお!!
よみがえった小生とこの大地の絆は誰にも断ち切ることはできんのだ!!誰にもなぁーっ!!」
雪原から何本もの蔦が噴出し、フィジルの生徒たちを拘束せんとする。
大地に突き刺さってクロノストーンに回収されるそのときまでずっと、
大鎌は雪の下に蔦を張り巡らせていたのだった。
しかし。
>「ド畜生がーっ!!こいつはメッチャ許せんよなーっ!!」
エンカが激昂し走って来る!その背後に少年を拘束せんとする無数の蔦をひきつれながら。
>「フリード!テオボルト!お前らは手をだすなーっ!
このオッサンは、この俺が止めをさす!!」
「ハッハッハ!戦うと元気になるなエンカ君!それは死を意識して生を実感するからだ!!
だが悲しいことに君の運命は、決まっている!!そうだ、君は大きな木の下に埋めてやろう!
死んでしまった可愛いペットのようになぁ!」
そう叫ぶと、力を振り絞って石に手を伸ばす。
虚勢を張っていたものの、フリードやテオボルト、
要するに人にこれほどまでに辱めを受けたという情報は神の精神体に深いダメージを残していた。
このままでは封印されるまえに己が維持できないだろう。
>「さっきアンタに止めをさすって言ったな。スマン、ありゃ嘘だ」
>エンカは拾った石をクロノストーンが望むようにした。
>間もなくクロノストーンのお腹に収まる本体の石。
>そしてエンカはさらに、リリィからもらった薬草のシートをクロノストーンの傷口に当てがった。
>「俺はアンタに止めをささない!なぜなら、アンタは今から俺の仲間になるからだ!
>そして俺はアンタにお願いしたいと思っている。リリィ達を助けてくれと!」
「リリィ…あの少女か。魔力を奪う時、なぜかあたたかい力を感じた不思議な少女」
おもてを上げ天を見上げる。
竜巻は、ぐるぐると学園の少女三人を巻き上げ続けていた。
>「あんたに対する取引材料は何もない!ただのお願いだ!
返事や質問は聞かないぜ〜?今はちょっとの時間も無駄にできねぇからよ〜。無駄無駄…」
「願い…」
人の祈りや願い。
久しく忘れていた感情がクロノストーンの心に芽生える。
エンカの純粋な思いが胸をくすぐる。
「ハッ…ハッハッハー!」
よろめきながらクロノストーン大鎌を振るう。
しかしそれはテオドールめがけてでもなく、フリードでもない。
己の心の臓をめがけ一突き。
「ガイアよ。母なる…ガイアよぉ…。小生に最後の力を……」
心臓を貫いた大鎌から、クロノストーンの肉体は樹木そのものへと変化させてゆく。
大地に根をはり、葉を覆い茂らせて巨大な木へと。
リリィやササミ、おまけにルナはその木の枝をクッションとして捉えることが出来るかもしれない。
その枝にたわわに実っているのは甘い匂いのするおいしそうな果実。太古に滅んでしまった幻の果実。
一口食べてみたらわかるだろう。その美味しさがあなたたちを魅了することに。
>「そんな事僕が知るものですか!とっとっと封印されておしまいなさい!!
万能なるマナよ!雪と氷の力を僕に与えよ!!
安らかなる永遠の眠りを!美しき氷の棺を!『フリージングコフィン』!!」
>「姉さんは何故かこの中で眠るのが好きみたいですが・・・・・・・
本来は死者を収め埋葬するための魔法です
さあ貴方をこの中に封印して差し上げますよ!」
「うう、くやしいぞ…。ここまできて、こんな小さな美少年に封印されようとしているとはなぁ〜!!」
クロノストーンは這い蹲ったまま大鎌を横に薙ぐ。
刹那、硬質な音がフィジルの空に鳴り響く。グレンのダブルクレッセントハーケンとクロノストーンの大鎌が衝突したのだ。
クロノストーンは左手一本で大鎌を振っていたのだが、猫と男の重量差は一目瞭然。
グレンは後ろに大きく体制を崩してしまう。だがそのまま後退するとフリードとタッチ。
パートナーと体を入れ替えることに成功。
>「フリージングサーベル!早い突きが躱せますか?セイセイセイセイセイセイヤァァァァァ!!」
フリードは刃の無い鍔のみのサーベルに氷の刀身を生み出し、容赦なく突きを繰り出してくる。
>「それそれぇ〜ちゃんと避けないと凍っちゃいますよ〜」
「うっ、おおーっ!!」
瞠目。焦燥。一匹と一人の見事な連携。
完全に虚をつかれたクロノストーンの肩口にサーベルの突きが入った。
身を起こし、間合いをとるまでにさらに攻撃を受けた。
それは翼を凍らせ砕き、胸を幾度となく突き刺す。
そして傷口からは飛び散った血液が、雪のように煌き舞い散るのだった。
「くっ…やるじゃないかフリード君。君は今まで何度も強敵と戦って生き残って来たと言ったな。
見た目とは裏腹に幾度となく死線を潜り抜けてきた百戦の魔法剣士といったところか…。
……だがなぁ、おまえごときにゃこのクロノストーンは倒せねぇんだよぉっおお!!
よみがえった小生とこの大地の絆は誰にも断ち切ることはできんのだ!!誰にもなぁーっ!!」
雪原から何本もの蔦が噴出し、フィジルの生徒たちを拘束せんとする。
大地に突き刺さってクロノストーンに回収されるそのときまでずっと、
大鎌は雪の下に蔦を張り巡らせていたのだった。
しかし。
>「ド畜生がーっ!!こいつはメッチャ許せんよなーっ!!」
エンカが激昂し走って来る!その背後に少年を拘束せんとする無数の蔦をひきつれながら。
>「フリード!テオボルト!お前らは手をだすなーっ!
このオッサンは、この俺が止めをさす!!」
「ハッハッハ!戦うと元気になるなエンカ君!それは死を意識して生を実感するからだ!!
だが悲しいことに君の運命は、決まっている!!そうだ、君は大きな木の下に埋めてやろう!
死んでしまった可愛いペットのようになぁ!」
そう叫ぶと、力を振り絞って石に手を伸ばす。
虚勢を張っていたものの、フリードやテオボルト、
要するに人にこれほどまでに辱めを受けたという情報は神の精神体に深いダメージを残していた。
このままでは封印されるまえに己が維持できないだろう。
――先に石を手にしたのはエンカだった。
クロノストーンはついに観念した。
>「さっきアンタに止めをさすって言ったな。スマン、ありゃ嘘だ」
>エンカは拾った石をクロノストーンが望むようにした。
「…!?」
>間もなくクロノストーンのお腹に収まる本体の石。
>そしてエンカはさらに、リリィからもらった薬草のシートをクロノストーンの傷口に当てがった。
>「俺はアンタに止めをささない!なぜなら、アンタは今から俺の仲間になるからだ!
>そして俺はアンタにお願いしたいと思っている。リリィ達を助けてくれと!」
「ああ、リリィ…あの少女か。魔力を奪う時、なぜかあたたかい力を感じた不思議な少女」
おもてを上げ天を見上げる。
竜巻は、ぐるぐると学園の少女三人を巻き上げ続けていた。
飛翔すれば何とか助けられるかもしれないが、
今の彼には砕け散った翼の根元しかなかった。
>「あんたに対する取引材料は何もない!ただのお願いだ!
返事や質問は聞かないぜ〜?今はちょっとの時間も無駄にできねぇからよ〜。無駄無駄…」
「願い…」
人の祈りや願い。
久しく忘れていた感情がクロノストーンの心に芽生える。
エンカの純粋な思いが胸をくすぐる。
「ハッ…ハッハッハー!」
よろめきながらクロノストーン大鎌を振るう。
しかしそれはテオドールめがけてでもなく、フリードでもない。
己の心の臓をめがけ一突き。
「ガイアよ。母なる…ガイアよぉ…。小生に最後の力を……」
心臓を貫いた大鎌から、クロノストーンの肉体は樹木そのものへと変化させてゆく。
大地に根をはり、葉を覆い茂らせて巨大な木へと。
リリィやササミ、おまけにルナはその巨木の枝をクッションとして捉えることが出来るかもしれない。
その枝にたわわに実っているのは甘い匂いのするおいしそうな果実。太古に滅んでしまった幻の果実。
一口食べてみたらわかるだろう。その美味しさがあなたたちを魅了することに。
暗く寂しい場所、凍てついた時の中で、小生は絶望の鉄鎖に繋がれていた。
いつの日か、この獄鎖を引きちぎり、再び陽光を浴びる日が来ることをずっとずっと夢見てきたのだ。
だがそれも今日で終わる。
そうだ、エンカ君よ。君が小生を救ってくれたのだ。
人と神、進む道は違えど、君はともに歩むと誓ってくれた。
その気持ちが嬉しかった。だから確信したかった。
君が認め合える人々の存在を。
もはや共に大地を耕すことは叶わぬ。
だが小生は、君の見える場所に常に立っていようと思う。
どんな風が吹き、恐怖で肩がすくんでも
小生はここから一歩も動かないであろう。
農耕の神が生み出した竜巻に巻き込まれながら、ルナは苦しんでいた。
風が強すぎて息が吸えないし、おまけに目も開けられない。
風の音も聴覚を遮断して不安感を煽る。
とても苦しい。苦しい時間は長く感じるものだ。
何分、何十分、過ぎたのだろう。
風が弱くなってゆく。それと同時に落下してゆく体。
薄く目を開けてみると、落ちてゆくリリィとササミが見えた。
「いやあああああああ!!」
ルナは絶叫し、ぜったい届かないはずの手を虚しく伸ばす。
農耕の神が生み出した竜巻に巻き込まれながら、ルナは苦しんでいた。
風が強すぎて息が吸えないし、おまけに目も開けられない。
風の音も聴覚を遮断して不安感を煽る。
とても苦しい。苦しい時間は長く感じるものだ。
何分、何十分、過ぎたのだろう。
風が弱くなってゆく。それと同時に落下してゆく体。
薄く目を開けてみると、落ちてゆくリリィとササミが見えた。
「いやあああああああ!!」
ルナは絶叫し、届かないはずの手を虚しく伸ばす。
リリィもササミも絶対失いたくないのだ。
繋がっている絆。生まれつつある絆。どちらも大切な絆。
「みんな、死んじゃっても、ずっとお友達でいようね〜」
諦念が胸を占める。
大人になったら子どもを産んで、リリィの子どもと仲良しにさせる夢も儚く散るのだ。
こんど生まれたらすごいナイスバディに生まれて、怖いものなしー、
みたいな人生だったらいいな。頭もよくて三カ国語くらい喋れるの…。
「…ははは」
微苦笑したあと、瞳を閉じて死が訪れるのを待つ。
全身を雪原に叩きつけられる衝撃を…。
でも…。
葉擦れの音が耳朶を叩く。
柔らかな新芽としなやかで弾力のある枝の群れが幾層にも重なり落下の衝撃を受け止めていく。
クロノストーンが巨木となってリリィやルナ、そしてササミを受け止めたのだ。
農耕の神が生み出した竜巻に巻き込まれながら、ルナは苦しんでいた。
風が強すぎて息が吸えないし、おまけに目も開けられない。
風の音も聴覚を遮断して不安感を煽る。
果たして、リリィとササミは無事なのだろうか。
不安で胸がいっぱいになる。とても苦しい。苦しい時間は長く感じるものだ。
何分、何十分、過ぎたのだろう。
風が弱くなってゆく。それと同時に落下してゆく体。
薄く目を開けてみると、眼下に落ちてゆくリリィとササミが見えた。
「いやあああああああ!!」
ルナは絶叫し、届かないはずの手を虚しく伸ばす。
リリィもササミも絶対失いたくない。
繋がっている絆。生まれつつある絆。どちらも大切な絆。
「みんな、死んじゃっても、ずっとお友達でいようね」
諦念が胸を占める。
大人になったら子どもを産んで、リリィの子どもと仲良しにさせる夢も儚く散るのだ。
こんど生まれたらすごいナイスバディに生まれて、怖いものなしー、
みたいな人生だったらいいな。頭もよくて三カ国語くらい喋れるの…。
「…ははは」
微苦笑したあと、瞳を閉じて死が訪れるのを待つ。
全身を雪原に叩きつけられる衝撃が訪れるのを…。
でも…。
葉擦れの音が耳朶を打つ。
柔らかな新芽としなやかで弾力のある枝の群れが幾層にも重なり落下の衝撃を受け止めていく。
クロノストーンが巨木となってリリィやルナ、そしてササミを受け止めたのだ。
が、いきおいは止まらない。
枝を掴むといういとまもなく、ルナはお尻から落っこちた。
強打したお尻や腿にぱきぱき音を立てて折れた小枝が突き刺さる。
「痛いっ、あいたたたた」
痛いということは生きているという証。なにか不思議な力が働いて、ルナは助かった。
今まで無かったはずの大木の枝がクッション代わりになり落下速度を軽減してくれたのだ。
少し離れた所では、足首に革紐を捲きつかせたササミが枝からぶら下がっているのが見えた。
その向こうにリリィも。最終的にはフリードが受け止めてくれたらしい。
ルナは胸を撫で下ろす。足をさすり怪我がないのを確かめる。
すると手に何か、くしゃっとした感触を感じた。
犬?疑問を感じて視線を落とす。その後、驚愕。
「えっ、誰!?」
尻餅をついたさいに、誰かを下敷きにしていたのだ。
そう、テオドールである。彼は雪に顔をつっぷしたまま動かない。
ルナはびくっとして立ち上がり…
「あの、もしもし?」
おそるおそる声をかけてみた。
>「……あれ?この場合、俺はどうやって地上に降りたらいいんだ?」
風がすさぶ。葉擦れの音が声となってエンカの耳に届く。
凍てついた時の中、暗く寂しい場所で、小生は絶望の鉄鎖に繋がれていた。
いつの日か、この獄鎖を引きちぎり、再び陽光を浴びる日が来ることをずっとずっと夢見てきたのだ。
だがそれも今日で終わる。
そうだ、エンカ君よ。君が小生を救ってくれたのだ。
人と神、進む道は違えど、君はともに歩むと誓ってくれた。
その気持ちが嬉しかった。だから確信したかった。
君が認め合える人々の存在を。
だがもはや、共に大地を耕すことは叶わぬ。
小生はここに根を張り、君の見える場所に常に立っていようと思う。
どんな風が吹き、時の流れがこの身を朽ち果てさせても、小生はここから一歩も動かないであろう。
それが君と、小生との大切な絆だからだ。
エンカの頭上の枝から、羽の生えた種がくるくると落ちてくる。
その種はきっとエンカを地上に降ろしてくれることだろう。
>「……あれ?この場合、俺はどうやって地上に降りたらいいんだ?」
そのとき、風がすさぶ。葉擦れの音が声となってエンカたちの耳に届く。
『凍てついた時の中、暗く寂しい場所で、小生は絶望の鉄鎖に繋がれていた。
いつの日か、この獄鎖を引きちぎり、再び陽光を浴びる日が来ることをずっとずっと夢見てきたのだ。
だがそれも今日で終わる。
そうだ、エンカ君よ。君が小生を救ってくれたのだ。
人と神、進む道は違えど、君はともに歩むと誓ってくれた。
その気持ちが嬉しかった。だから確信したかった。
君が認め合える人々の存在を。
だがかなしいことに、もはや君と共に大地を耕すことは叶わぬ。
それゆえに小生は、ここに根を張り、君の見える場所に常に立っていようと思う。
どんな風が吹き、時の流れがこの身を朽ち果てさせようとも、小生はここから一歩も動かないであろう。
それが君と、小生との大切な絆だからだ……』
エンカの頭上の枝から、羽の生えた種がくるくると落ちてくる。
その種はきっとエンカを地上に降ろしてくれることだろう。
ルナは大木を見上げながら目びさしをする。
「……さみしかった気持ちはわかるんだけど、わかるんだけど」
神様のわがままで皆が死にかけて、自己満足みたいな感じで終わるとか
もう、ただのいい迷惑。と言いかけてやめる。
「…ああもう!首飾りはなくなっちゃったし」
>「……あれ?この場合、俺はどうやって地上に降りたらいいんだ?」
エンカは降りれなくなっているらしい。
そのとき、風がすさぶ。葉擦れの音が声となってエンカたちの耳に届く。
『凍てついた時の中、暗く寂しい場所で、小生は絶望の鉄鎖に繋がれていた。
いつの日か、この獄鎖を引きちぎり、再び陽光を浴びる日が来ることをずっとずっと夢見てきたのだ。
だがそれも今日で終わる。
そうだ、エンカ君よ。君が小生を救ってくれたのだ。
人と神、進む道は違えど、君はともに歩むと誓ってくれた。
その気持ちが嬉しかった。だから確信したかった。
君が認め合える人々の存在を。
だがかなしいことに、もはや君と共に大地を耕すことは叶わぬ。
それゆえに小生は、ここに根を張り、君の見える場所に常に立っていようと思う。
どんな風が吹き、時の流れがこの身を朽ち果てさせようとも、小生はここから一歩も動かないであろう。
それが君と、小生との大切な絆だからだ……』
エンカの頭上の枝から、羽の生えた種がくるくると落ちてくる。
その種はきっとエンカを地上に降ろしてくれることだろう。
ルナは大木を見上げながら目びさしをする。
「……さみしかった気持ちはわかるんだけど、わかるんだけど」
神様のわがままで皆が死にかけて、自己満足みたいな感じで終わるとか
もう、ただのいい迷惑。と言いかけてやめる。
「…ああもう!首飾りはなくなっちゃったし」
でも、良かった。ルナの大切に思う人たちは全員無事だったから。
そう、絆は守られた。みんなの力で、絆は守られたのだ。
農耕の神が生み出した竜巻に巻き込まれながら、ルナは苦しんでいた。
風が強すぎて息が吸えないし、おまけに目も開けられない。
風の音も聴覚を遮断して不安感を煽る。
果たして、リリィとササミは無事なのだろうか。
不安で胸がいっぱいになる。とても苦しい。苦しい時間は長く感じるものだ。
何分、何十分、過ぎたのだろう。
風が弱くなってゆく。それと同時に落下してゆく体。
薄く目を開けてみると、眼下に落ちてゆくリリィとササミが見えた。
「いやあああああああ!!」
ルナは絶叫し、届かないはずの手を虚しく伸ばす。
リリィもササミも絶対失いたくない。
繋がっている絆。生まれつつある絆。どちらも大切な絆。
でも、もう手遅れのようだ。
「みんな、死んじゃっても、ずっとお友達でいようね」
諦念の色も隠せずに、ルナは呟く。
大人になったら子どもを産んで、リリィの子どもと仲良しにさせる夢もここで儚く散るのだ。
こんど生まれたらすごいナイスバディに生まれて、怖いものなしー、
みたいな人生だったらいいな。頭もよくて三カ国語くらい喋れるの…。
「…ははは」
微苦笑したあと、瞳を閉じて死が訪れるのを待つ。
全身を雪原に叩きつけられる衝撃が訪れるのを…。
でも…。
葉擦れの音が耳朶を打つ。
柔らかな新芽としなやかで弾力のある枝の群れが幾層にも重なり落下の衝撃を受け止めていく。
クロノストーンが巨木となってリリィやルナ、そしてササミを受け止めたのだ。
が、いきおいは止まらない。
枝を掴むといういとまもなく、ルナはお尻から落っこちた。
強打したお尻や腿にぱきぱき音を立てて折れた小枝が突き刺さる。
「痛いっ、あいたたたた」
痛いということは生きているという証。なにか不思議な力が働いて、ルナは助かった。
今まで無かったはずの大木の枝がクッション代わりになり落下速度を軽減してくれたのだ。
少し離れた所では、足首に革紐を捲きつかせたササミが枝からぶら下がっているのが見えた。
その向こうにリリィも。最終的にはフリードが受け止めてくれたらしい。
ルナは胸を撫で下ろす。足をさすり怪我がないのを確かめる。
すると手に何か、くしゃっとした感触を感じた。
犬?疑問を感じて視線を落とす。その後、驚愕。
「えっ、誰!?」
尻餅をついたさいに、誰かを下敷きにしていたのだ。
そう、テオドールである。彼は雪に顔をつっぷしたまま動かない。
ルナはびくっとして立ち上がり…
「あの、もしもし?」
おそるおそる声をかけてみた。
>「……あれ?この場合、俺はどうやって地上に降りたらいいんだ?」
エンカは降りれなくなっているらしい。
そのとき、風がすさぶ。葉擦れの音が声となってエンカたちの耳に届く。
『凍てついた時の中、暗く寂しい場所で、小生は絶望の鉄鎖に繋がれていた。
いつの日か、この獄鎖を引きちぎり、再び陽光を浴びる日が来ることをずっとずっと夢見てきたのだ。
だがそれも今日で終わる。
そうだ、エンカ君よ。君が小生を救ってくれたのだ。
人と神、進む道は違えど、君はともに歩むと誓ってくれた。
その気持ちが嬉しかった。だから確信したかった。
君が認め合える人々の存在を。
だがかなしいことに、もはや君と共に大地を耕すことは叶わぬ。
それゆえに小生は、ここに根を張り、君の見える場所に常に立っていようと思う。
どんな風が吹き、時の流れがこの身を朽ち果てさせようとも、小生はここから一歩も動かないであろう。
それが君と、小生との大切な絆だからだ……』
エンカの頭上の枝から、羽の生えた種がくるくると落ちてくる。
その種はきっとエンカを地上に降ろしてくれることだろう。
ルナは大木を見上げながら目びさしをする。
「……さみしかった気持ちはわかるんだけど、わかるんだけど」
神様のわがままで皆が死にかけて、自己満足みたいな感じで終わるとか
もう、ただのいい迷惑。と言いかけてやめる。
「…ああもう!首飾りはなくなっちゃったし」
でも、良かった。ルナの大切に思う人たちは全員無事だったから。
そう、絆は守られた。みんなの力で、絆は守られたのだ。
>意外!乗合馬車の正体はかぼちゃ!!
>さっきまで馬車の残骸があったはずの雪上にはバラバラになったかぼちゃが散乱していた
>「いくら経費削減のためだからって魔法でかぼちゃを馬車にしてたとは」
「かぼちゃ?それならパンプキンシチューでも作ってこれからみんなでパーティーね。
きっとぽかぽかに温まるから…って、ちょっと!男性陣はササミを助けてあげて!
枝に吊るされて、ハングドマンぢゃないんだから!」
ルナはレスの順番てきにテオドールに向かって話しかけた。すでにルナは元気を取り戻していた。
なぜならクロノストーンの呪縛から解き放たれている今は熱もない。ただ魔力を失っているだけ。
リリィのコートもちょうど近くに落ちていたので拾い上げ、リリィに手渡す。
ササミのことは任せて、自分はカボチャのかけらを拾い集めるのだった。
ここは図書国家、バニブルのとある庭園。
木立の奥、古木の後ろから、寄り添う二つの影がはみだしていた。
一人は男で一人は女。互いの背にためらいながら手を伸ばす。
女の腕は男の肩へ、男の腕は女の腰へ回され、女が軽くつま先立った。
顔と顔が近寄ってゆき、鼻先をずらして、唇が重なる。影がひとつになる。
「きゃわぁーっ!!」
口づけを目撃してしまった。
気づいたときにはスクルドの腰は抜けていた。
しかも他人ならいざ知らず、スクルドを可愛がってくれ、心から慕う姉と
最愛の夫との――口づけだ。
「うそ、これは何かのまちがいよ。どうしよう。
ハー君とウェル姉があんなことする仲だったなんて…」
ぐっと拳を握ったとたん、胸が妬けスクルドは泣きそうになった。
ハー君ことハーラルは近衛兵の長。ウェル姉ことウェルザンディは国家司書。
例えたら警視庁長官と、なんてら大臣のような関係なのだ。
たぶん。そう思う。スクルドには詳しいことはよくわからなかったが。
ふらふらになりながらスクルドはもう一度古木に視線を移す。
しかし、二人は立ち去ったあとのようだった。
(…どうしよう。……どうしよう)
疑念が頭から離れない。スクルドは魔法で動く魔導車に乗って庭園をあとにする。
後ろはもう大渋滞。スクルドは安全運転だから。
おまけに右折ができず、狭い場所にとめるのも苦手。公園の駐車スペースにひん曲げながら車をとめる。
「…はあ」
公園のベンチで噴水をみながら盛大なため息。
49 :
名無しになりきれ:2013/01/22(火) 18:10:54.94 0
관의위
ここは図書国家、バニブルのとある庭園。
木立の奥、古木の後ろから、寄り添う二つの影がはみだしていた。
一人は男で一人は女。互いの背にためらいながら手を伸ばす。
女の腕は男の肩へ、男の腕は女の腰へ回され、女が軽くつま先立った。
顔と顔が近寄ってゆき、鼻先をずらして、唇が重なる。影がひとつになる。
「きゃわぁーっ!!」
口づけを目撃してしまった。
気づいたときにはヴァルルの腰は抜けていた。
しかも他人ならいざ知らず、最愛の夫と、ヴェルザンディ国家司書との
――口づけだ。
「うそよー!これは何かのまちがいよ。どうしよう。
ハー君と国家司書があんなことする仲だったなんて…」
ぐっと拳を握ったとたん、胸が妬けヴァルルは泣きそうになった。
ハー君ことハーラルは近衛兵の長。かたやウェルザンディは国家司書。
例えたら警視庁長官と、なんてら大臣のような関係なのだ。
たぶん。そう思う。ヴァルルには詳しいことはよくわからなかったが
でも、ふらふらになりながらもう一度古木に視線を移す。
しかし、すでに影はなかった。二人は立ち去ったあとのようだった。
(…どうしよう。……どうしよう)
疑念が頭から離れない。ヴァルルは魔法で動く魔導車に乗って庭園をあとにする。
そしてしばらくすると、クラクションの音が街中に鳴り響く。
振り返れば後ろは大渋滞。それはヴァルルが超安全運転だから。
おまけに右折ができず、狭い場所にとめるのも苦手。
だから公園の駐車スペースにひん曲げながら車をとめる。
「…はあ」
公園のベンチ。
しょんぼりしながらヴァルルは盛大なため息を吐いた。
まさかハーラルが浮気していたなんて…。
(いえ、ちょっとまって)
ヴァルルは立ち上がる。そして恋愛小説を思い出す。
悪い女から騙されるおろかな男のことを。
「きっと、ハー君はあの女に騙されてるんだわ!」
ここは図書国家、バニブルのとある庭園。
木立の奥、古木の後ろから、寄り添う二つの影がはみだしていた。
一人は男で一人は女。互いの背にためらいながら手を伸ばす。
女の腕は男の肩へ、男の腕は女の腰へ回され、女が軽くつま先立った。
顔と顔が近寄ってゆき、鼻先をずらして、唇が重なる。影がひとつになる。
「きゃわぁーっ!!」
口づけを目撃してしまった。
気づいたときにはヴァルルの腰は抜けていた。
しかも他人ならいざ知らず、最愛の夫と、ヴェルザンディ国家司書との
――口づけだ。
「うそよー!これは何かのまちがいよ。どうしよう。
ハー君と国家司書があんなことする仲だったなんて…」
ぐっと拳を握ったとたん、胸が妬けヴァルルは泣きそうになった。
ハー君ことハーラルは近衛兵の長。かたやウェルザンディは国家司書。
例えたら警視庁長官と、なんてら大臣のような関係なのだ。
たぶん。そう思う。ヴァルルには詳しいことはよくわからなかったが
でも、ふらふらになりながらもう一度古木に視線を移す。
しかし、すでに影はなかった。二人は立ち去ったあとのようだった。
(…どうしよう。……どうしよう)
疑念が頭から離れない。ヴァルルは魔法で動く魔導車に乗って庭園をあとにする。
そしてしばらくすると、クラクションの音が街中に鳴り響く。
振り返れば後ろは大渋滞。それはヴァルルが超安全運転だから。
おまけに右折ができず、狭い場所にとめるのも苦手。
だから公園の駐車スペースにひん曲げながら車をとめる。
――公園のベンチ。
「…はあ」
しょんぼりしながらヴァルルは盛大なため息を吐いた。
まさかハーラルが浮気していたなんて…。
(いえ、ちょっとまって)
ヴァルルは立ち上がる。そして恋愛小説を思い出す。
悪い女から騙されるおろかな男のことを。
「きっと、ハー君はあの女に騙されてるんだわ!
あの女狐め!尻尾を掴んで地獄の業火に叩き込んでやるわ!!」
こうしてヴァルーは、私立探偵の事務所の門を叩くのであった。
「断る!!」
「え?どうしてなの!?」
私立探偵の事務所の客室で、ヴァルーは探偵に怒鳴られていた。
「そんなん調査したらこっちの命がなくなるわ!」
私立探偵「スパイダー・ハマーダ」は関西弁でまくし立ててくる。
「じゃあ、自分で調査するので私を探偵にしてください!」
「なんでやねん!!」
ハマダーの怖い顔。まるで野犬。ブルドッグ。
ぶ厚い下くちびるを突き出してまるでヤクザ。
ヴァルーは負けじと頬を膨らませてみせた。
そのあと、部屋に押し入って、勝手に掃除を始める。
「ちょ、おま、なにしてんねん!!」
「みたらわかるでしょ。掃除です。もう私は今から探偵みならいです」
その時だった。扉が開いて、お客様がいらした。
「いらっしゃいませ」
ヴァルーは元気な声で挨拶をした。
野中は美術室の中央の椅子に座った。
海棠は神部の斜め後ろ。背後霊のように椅子に腰を下ろす。
モデル野中を目の前にした神部は、今、何を思っているのだろう。
海棠は視線を彼女の指先に移した。
鉛筆を持った神部の指が揺れている。迷っているのだろうか。
紙を走る鉛筆の音が弱弱しく、室内は驚くほど静かだ。
でもこの静寂が心地よいと海棠は思う。時のなかに埋没してゆく感覚。
それは、深い海の底に沈んでゆく感覚にも似ていた。
しばらくして――
>「僕は須佐野 命。月光館の生徒だが今日は前衛的絵画のモデルとして来たんだ。ヨロシク!
多分今頃随分噂になってるだろうがまあアレだ、人の噂も75日!
そんな事よりイヨカン隊員は絵がすごく上手いから色々書いてもらうといい」
月光館の生徒が現れた。名前は須佐野命。神部とは知り合いらしい。
海棠は会釈をして、それだけで終わりにしようとした。
でも、野中が余計なことをし始める。
彼女は椅子の背に寄りかかりながら背伸びをしたあと…
「ちょっと休憩。…てか貴女もモデルなの?私の名前は野中エミコ。
そっちのショートカットの子は海棠美帆。よろしくね〜」
バカ丸出し。人の紹介までしなくてもいい、と海棠は野中をねめつける。
そんな折、須佐野はとあるキャンバスを指差して
>「あれ、君には何に見える? 僕には天使を題材にした前衛的絵画に見えるんだが」
と言う。それに神部は
>「天使ですよ、本当に。私を助けてくれた。」
と返した。
「助けてくれた?」
野中は神部に勧められた椅子を自ら美術室の中央に持ってゆきそこに座った。
海棠は神部の斜め後ろ。背後霊のように椅子に腰を下ろす。
モデル野中を目の前にした神部は、今、何を思っているのだろう。
海棠は視線を彼女の指先に移した。
鉛筆を持った神部の指が揺れている。迷っているのだろうか。
紙を走る鉛筆の音が弱弱しく、室内は驚くほど静かだ。
でもこの静寂が心地よいと海棠は思う。時のなかに埋没してゆく感覚。
それは、深い海の底に沈んでゆく感覚にも似ていた。
しばらくして――
>「僕は須佐野 命。月光館の生徒だが今日は前衛的絵画のモデルとして来たんだ。ヨロシク!
多分今頃随分噂になってるだろうがまあアレだ、人の噂も75日!
そんな事よりイヨカン隊員は絵がすごく上手いから色々書いてもらうといい」
月光館の生徒が現れる。名前は須佐野命。神部とは知り合いらしい。
海棠は会釈をして、それだけで終わりにしようとした。
でも、野中が余計なことをし始める。
彼女は椅子の背に寄りかかりながら背伸びをしたあと…
「ちょっと休憩。…てか貴女もモデルなの?私の名前は野中エミコ。
そっちのショートカットの子は海棠美帆。よろしくね〜」
バカ丸出し。人の紹介までしなくてもいい、と海棠は野中をねめつける。
そんな折、須佐野はとあるキャンバスを指差して
>「あれ、君には何に見える? 僕には天使を題材にした前衛的絵画に見えるんだが」
と言う。それに神部は
>「天使ですよ、本当に。私を助けてくれた。」
と返した。
(助けてくれた?)その言葉がひっかかる。
>「…私は、この絵の物体をもう一度見たい。」
「……」
その願いはどことなく海棠と一緒だと思う。
天使に会いたい神部。ジョーカーに会いたい海棠。
>「主治医は、もう一人の自分…『カゲ』、と言っていたけれど、先日、ほぼ同じ意味の『シャドウ』という言葉を聞いた。
その子なら何か分かるんじゃないかって思って探しているの。
今はまだ、久我浜清恵と言う名しか分からない。しかも今日は学校に来ていないみたいで、八方塞がりなんだけどね。」
「もう一人の自分…」
海棠は思い出す。あの時ジョーカーが言った言葉を。
『おまえはペルソナの力を手に入れた。それはおまえに影のように付き従う、もう一人の自我。
おまえに新たなる力を与えてくれるだろう』
影。もう一人の自我。
何かが細い糸で、繋がっているように思える。
もしかしたら、この糸を手繰ってゆけば、
ジョーカーのもとへ行けるかもしれない。
しかし肝心要の久我浜清恵の情報を海棠は知らない。
まさに神部の語るとおりの八方塞がり。
>「主治医は、もう一人の自分…『カゲ』、と言っていたけれど、先日、ほぼ同じ意味の『シャドウ』という言葉を聞いた。
その子なら何か分かるんじゃないかって思って探しているの。
今はまだ、久我浜清恵と言う名しか分からない。しかも今日は学校に来ていないみたいで、八方塞がりなんだけどね。」
「もう一人の自分…」
海棠は思い出す。あの時ジョーカーが言った言葉を。
『おまえはペルソナの力を手に入れた。それはおまえに影のように付き従う、もう一人の自我。
おまえに新たなる力を与えてくれるだろう』
影。もう一人の自我。
何かが細い糸で、繋がっているように思える。
もしかしたら、この糸を手繰ってゆけば、
ジョーカーのもとへ行けるかもしれない。
しかし神部も言っている通り、肝心要の久我浜清恵の情報を海棠は知らない。
まさに八方塞がり。
>「主治医は、もう一人の自分…『カゲ』、と言っていたけれど、先日、ほぼ同じ意味の『シャドウ』という言葉を聞いた。
その子なら何か分かるんじゃないかって思って探しているの。
今はまだ、久我浜清恵と言う名しか分からない。しかも今日は学校に来ていないみたいで、八方塞がりなんだけどね。」
「もう一人の自分…」
海棠は思い出す。あの時ジョーカーが言った言葉を。
『おまえはペルソナの力を手に入れた。それはおまえに影のように付き従う、もう一人の自我。
おまえに新たなる力を与えてくれるだろう』
影。もう一人の自我。
何かが細い糸で、繋がっているように思える。
もしかしたら、この糸を手繰ってゆけば、
ジョーカーのもとへ行けるかもしれない。
しかし神部も言っている通り、肝心要の久我浜清恵の情報を海棠は知らない。
久我浜が登校してくるのを何日も待っていよう。
海棠が、そんな消極的な決意を固めようとしていたその時だった。
「久我浜さんならこの前の夜、見た子がいたわ。男とどっかに歩いていったって。
でもね変なの。そっちのほうは寂れてて何にもないはずなのよ。はっきり言っちゃったらホテルも何にもないの。
あるのは廃工場だけ。それもお化けが出るって有名なの。まさかこんな寒い季節に肝試しなんておかしいよね」
どこで手に入れた情報なのか、野中エミコが得意そうに語ってくる。
海棠は野中のその態度に目を見開いて…
「廃工場に男と一緒に歩いて行って今日も学校に来ていないってそれって事件でしょ!?
はやく警察に連絡しないとっ。それか親か先生に連絡して…」
小さく叫びあがる。
「え、そう〜?もし違ったらどうするの?余計なお世話して久我浜さんに大迷惑をかけちゃうかもよ?
もしもそうなっちゃったら私なら悲惨ね」
海棠はしばらく沈黙。正直に言って自分には判断出来なかった。
かすかな希望として、明日になったら久我浜が何事も無く登校してくることを祈るのみ。
「……ごめんなさい」
そういい残して海棠は学校をあとにする。
見えかけた細い糸はどこか遠くへ消えかけていた。
>「主治医は、もう一人の自分…『カゲ』、と言っていたけれど、先日、ほぼ同じ意味の『シャドウ』という言葉を聞いた。
その子なら何か分かるんじゃないかって思って探しているの。
今はまだ、久我浜清恵と言う名しか分からない。しかも今日は学校に来ていないみたいで、八方塞がりなんだけどね。」
「もう一人の自分…」
海棠は思い出す。あの時ジョーカーが言った言葉を。
『おまえはペルソナの力を手に入れた。それはおまえに影のように付き従う、もう一人の自我。
おまえに新たなる力を与えてくれるだろう』
影。もう一人の自我。
何かが細い糸で、繋がっているように思える。
もしかしたら、この糸を手繰ってゆけば、
ジョーカーのもとへ行けるかもしれない。
しかし神部も言っている通り、肝心要の久我浜清恵の情報を海棠は知らない。
久我浜が登校してくるのを何日も待っていよう。
海棠が、そんな消極的な決意を固めようとしていたその時だった。
「久我浜さんならこの前の夜、見た子がいたわ。男とどっかに歩いていったって。
でもね変なの。そっちのほうは寂れてて何にもないはずなのよ。はっきり言っちゃったらホテルも何にもないの。
あるのは廃工場だけ。それもお化けが出るって有名なところ。まさかこんな寒い季節に肝試しなんておかしいよね」
どこで手に入れた情報なのか、野中エミコが得意そうに語ってくる。
海棠は野中のその態度に目を見開いて…
「廃工場に男と一緒に歩いて行って今日も学校に来ていないってそれって事件でしょ!?
はやく警察に連絡しないとっ。それか親か先生に連絡して…」
思わず椅子から立ち上がってしまう。
「え、そう〜?もし違ったらどうするの?余計なお世話して久我浜さんに大迷惑をかけちゃうかもよ?
もしもそうなっちゃったら私なら悲惨ね」
海棠はしばらく沈黙。正直に言って自分には判断出来なかった。
かすかな希望は、明日になり、久我浜が何事も無く登校してくることだけだった。
「……ごめんなさい」
そういい残して皆に背を向ける海棠。
見えかけた細い糸はどこか遠くへ消えかけていた。
>「主治医は、もう一人の自分…『カゲ』、と言っていたけれど、先日、ほぼ同じ意味の『シャドウ』という言葉を聞いた。
その子なら何か分かるんじゃないかって思って探しているの。
今はまだ、久我浜清恵と言う名しか分からない。しかも今日は学校に来ていないみたいで、八方塞がりなんだけどね。」
「もう一人の自分…」
海棠は思い出す。あの時ジョーカーが言った言葉を。
『おまえはペルソナの力を手に入れた。それはおまえに影のように付き従う、もう一人の自我。
おまえに新たなる力を与えてくれるだろう』
影。もう一人の自我。
何かが細い糸で、繋がっているように思える。
もしかしたら、この糸を手繰ってゆけば、
ジョーカーのもとへ行けるかもしれない。
しかし神部も言っている通り、肝心要の久我浜清恵の情報を海棠は知らない。
それならば仕方ない。久我浜が登校してくるのを何日も待っていよう。
海棠が、そんな消極的な決意を固めようとしていたその時だった。
「久我浜さんならこの前の夜、見た子がいたわ。男とどっかに歩いていったって。
でもね変なの。そっちのほうは寂れてて何にもないはずなのよ。はっきり言っちゃったらホテルも何にもないの。
あるのは廃工場だけ。それもお化けが出るって有名なところ。まさかこんな寒い季節に肝試しなんておかしいよね」
どこで手に入れた情報なのか、野中エミコが得意そうに語ってくる。
海棠は野中のその態度に目を見開いて…
「廃工場に男と一緒に歩いて行って今日も学校に来ていないってそれって事件でしょ!?
はやく警察に連絡しないとっ。それか親か先生に連絡して…」
思わず椅子から立ち上がってしまう。
「え、そう〜?もし違ったらどうするの?余計なお世話して久我浜さんに大迷惑をかけちゃうかもよ?
もしもそうなっちゃったら私なら悲惨ね」
海棠はしばらく沈黙。正直に言って自分には判断出来なかった。
かすかな希望は、明日になり、久我浜が何事も無く登校してくることだけだった。
「……ごめんなさい」
そういい残して海棠は皆に背を向ける。
見えかけた細い糸はどこか遠くへ消えかけていた。
「あまい果実の香り…。狂ってしまいそうだね」
大樹の枝に美しい少年が座っている。そう、夢見石の少年である。
彼は大樹の洞に鎮座しているひび割れた石をそっと取り出すと、瞳を閉じてキスをする。
すると石は蜃気楼のように溶けて少年の柔らかい唇に吸い込まれるようにきえてしまった。
「かなしいキスだよ。石の想いは僕の心のうちに。そして神の残留思念は天に還った。
今や古代樹の種の化石はその夢を叶え、フィジルの地に新たなる名所を生み出している。
僕たちは小石を蹴るけれど、小石もまた、僕たちを投げ飛ばしているのさ。
小石からみた現実を、僕たちは学ばなければいけないね……」
その時だ。エンカの強烈な蹴りが大樹を揺らす。
夢見石の少年は体勢を崩して無数の果実と一緒にエンカの背後へと落下。
その体を半分ほど雪に埋没させるのだった。
「僕は、小石だったらよかったよ…」
哀切な眼差しで、少年はエンカの背後を見つめる。
その瞳の奥にクロノストーンの輝きを孕ませながら。
※
>「あ、そういえば私のカバンは?」
「あ、これかも」とルナ。
カボチャの欠片を拾いながら偶然見つけたテオボルトの鞄。
よいしょと拾い上げ彼に手渡した。
「体、冷えちゃっただろうし、カボチャのシチューを食べて皆で暖まったらいいじゃん。
みんな貴方のこと知りたがってる。それにもともと今日はパーティーの日なんだから」
そう言ってルナは小さく笑った。エンカも果実をほお張りながら元気そうだし、フリードたちも無事。
もちろんササミは殺したって死なない。ルナはそんな変な信頼感を胸に抱き始めていた。
「でも、エンカ君ったらそんな変な果物を美味しそうにほお張っちゃって、
パーティーの前にお腹がいっぱいになっちゃったらどうするの?」
小首を傾げるルナ。続けてリリィに視線を移し…
「ごめんねリリィ。今日もみんなを変なことに巻き込んじゃって。
このお礼は必ず返すから許してね」
そんな言葉を口にする。
リリィがルナに気を使って、湿ったコートを羽織っていることには気が付いていない。
ただそんな優しいお友達が、墜落死を免れたことに、ただただ安堵しているだけだった。
灰白色の壁で囲われた病室と長い廊下が、今の須藤が生きるすべての世界だった。
廊下の突き当たりには守衛室。その突き当りの脇にはエレベーター。
白いスリップドレスの裾をひるがえし、リノリウムの冷たい床を素足でぺたぺた踏んで、
須藤は今日も病院内を散歩。廊下の途中には他にも病室のドアが並んでいたが
誰がいるのかはわからない。
「…いん…らけち」
呟いた彼女の声は妙に平板だった。
今日は一人でごはんをあげよう。
軽くステップして踵を返し、守衛室に併設された給湯室に足を向ける。
電気コンロと小さなシンクがついているだけの簡易キッチンと大きな棚で占拠された細長い空間。
「ちょっと待ってて」
壁にむかって囁き声をかけ、一旦その場を離れて、
爪先立ちで棚の上のほうにしまってある紙袋を一つ取る。
その中身は、守衛が内緒で調達して来てくれるポテトチップスだ。
「いただきまぁす♪」
そう言うと、須藤はぱりぱりとポテトチップスを食べ始め、
あっという間に平らげたあとに盛大なため息。
空っぽになったポテトチップスの袋に未練がましく視線を送りながら。
「こんなに美味しいものを自由に食べられないなんて何て不自由なの。
それにこんなところにいたって私の病気はよくならないと思う…。
日に日に痣だって大きくなってゆくし……」
悔しさで涙が込み上げてきた。
今まで願ったことはすべて叶えられてきたというのに今の自分は闇の中にいる。
いったいこの先どうなってしまうのだろう。どうしたらいいのだろう。
そう思うと目眩がして意識が遠のきそうになってしまう。
「そうよ…携帯。携帯があれば。また昔の自分に戻れるかも……」
須藤竜子は哀切な眼差しのまま、廊下を徘徊するのだった。
神部衣世、須佐野命のもとから早々に立ち去ってしまった海棠美帆は
どうして逃げてしまったのだろう、と後になってから後悔していた。
――極端な引っ込み思案。自分から行動を起こすことへの恐怖。
そのくせ、ジョーカーに対しては冷やかしのような態度をとってしまい
彼が願いを叶えてくれるという申し出を断ってしまっている。
変わってしまうことへの恐怖。天邪鬼。情けない。
海棠は電車から降りると、灰色の四角い口をぽっかりと開けている地下鉄の出口を見上げる。
(雨…)微かな雨音が、階段の壁に反響している。
これからどうしようかと途方に暮れながら濃灰色に濡れた足元の舗装階段に視線を落とす。
割り切れない気分のまま空を見上げる。
「はあ…」
ため息を吐いた。すると突然、携帯が鳴り出した。
久々に聞く呼び出し音。海棠はバッグから携帯をつかみ出しディスプレイに示されている発信者ナンバーを確認する。
もしかするとジョーカーかも知れない。だったらどうすればいい?
この電話にでたらどうなる……。
しかし発信元は知らない番号だった。
海棠は少し安心して通話ボタンを押した。
「海棠美帆さんだね?」
聞き覚えの無い男の声。
「あなたは?」
「名乗るほどの者ではないが、トーラスとでも言っておこうか。プリンス・トーラス」
変な電話だ。悪戯だろうか。切ろうとした海棠に、トーラスと名乗る男は素早く言った。
「切らないでくれよ。仮面党からの呼び出しだ。今すぐにクラブ・ゾディアックに来い。
奥にメンバーしか入れない扉がある。君が来たらわかるようにしておく。その扉から三階に上がれ。
VIPルームで待っている」
「ちょっと待って…いったい…」
一方的に喋って、電話は切れた。
悪戯?いや、電話の声は確かに「ジョーカー」と言った。
半信半疑だったが、海棠はクラブ・ゾディアックに向かった。
トーラスが言った通り、VIPルームへの扉は店の奥の目立たない場所にあった。
黒い服の男が扉のそばに立っていたが、海棠の顔を見ると何も言わずに開けてくれた。
廊下は赤い照明に照らされている。扉一枚隔てているだけなのに、フロアの喧騒がまるで届かない。
ややこしく曲がりくねった廊下を通って階段を上る。
三階の一番奥、重厚な扉を開いた瞬間、海棠は立ちすくんだ。
真紅の絨毯に革張りのソファ、大理石のテーブル。どこかの会社の重役室のようだ。
部屋には一人の人物。ソファにどっかりと腰を下ろしている。
黒いシャツに派手なネクタイの男。
「ようこそレイディ・スコルピオン。待っていたよ」
その声には聞き覚えがあった。電話をかけてきたトーラスだ。
しかし肝心のジョーカーがいない。騙されたと思った海棠の表情を読んだのかトーラスが言った。
「俺はジョーカー様に使える仮面党幹部だ。ジョーカー様はここにはいらっしゃらない。
あの方は滅多に人前に姿を現さない。よほどのことがない限り、仮面党の任務は我々で執り行う。
これまでは二人きりだったが……海棠美帆、君が三人目となる」
トーラスは上機嫌らしく笑顔を海棠に向けてきた。
「これで三つの星座が揃ったというわけだ。のこりはあと一つ。歓迎する蠍座のレイディ」
蠍座。あのとき確かに声を聞いた。蠍の星座を背負う者…と。海棠は蠍座の生まれだ。
「ともあれ、君は仮面党幹部としてジョーカー様に選ばれた。
今さら逃げ出すことはできないぞ。君はジョーカー様に理想を叶えてもらい、
その代償として忠誠をささげることを誓ったのだからね」
何も叶えてもらった覚えはない。海棠は自分には夢などないとはっきり言った。
それはジョーカーも承知しているはずだ。
「あの、仮面党の目的っていったい…」
「イン・ラケチの成就。イン・ラケチはマヤ語で『私は、もう一人のあなた』を意味する言葉だ。
そういう名前の幻の書物があるのさ。出版はされてないがね。イデアル・エナジーを集めて
人類を新たなる段階に進化させる。……それが仮面党の目的だ。
とりあえず、君にはこれを与えよう」
トーラスが差し出した掌の上に、手品のように青い物体が現れた。
海棠は息を呑んだ。それは青く透き通った髑髏だった。
神部衣世、須佐野命のもとから早々に立ち去ってしまった海棠美帆は
どうして逃げてしまったのだろう、と後になってから後悔していた。
――極端な引っ込み思案。自分から行動を起こすことへの恐怖。
そのくせ、ジョーカーに対しては冷やかしのような態度をとってしまい
彼が願いを叶えてくれるという申し出を断ってしまっている。
変わってしまうことへの恐怖。天邪鬼。情けない。
海棠は電車から降りると、灰色の四角い口をぽっかりと開けている地下鉄の出口を見上げる。
(雨…)微かな雨音が、階段の壁に反響している。
これからどうしようかと途方に暮れながら濃灰色に濡れた足元の舗装階段に視線を落とす。
割り切れない気分のまま空を見上げる。
「はあ…」
ため息を吐いた。すると突然、携帯が鳴り出した。
久々に聞く呼び出し音。海棠はバッグから携帯をつかみ出しディスプレイに示されている発信者ナンバーを確認する。
もしかするとジョーカーかも知れない。だったらどうすればいい?
この電話にでたらどうなる……。
しかし発信元は知らない番号だった。
海棠は少し安心して通話ボタンを押した。
「海棠美帆さんだね?」
聞き覚えの無い男の声。
「あなたは?」
「名乗るほどの者ではないが、トーラスとでも言っておこうか。プリンス・トーラス」
変な電話だ。悪戯だろうか。切ろうとした海棠に、トーラスと名乗る男は素早く言った。
「切らないでくれよ。ジョーカー様からの呼び出しだ。今すぐにクラブ・ゾディアックに来い。
奥にメンバーしか入れない扉がある。君が来たらわかるようにしておく。その扉から三階に上がれ。
VIPルームで待っている」
「ちょっと待って…いったい何なの…」
一方的に喋って、電話は切れた。
「水の水晶髑髏だ。蠍座は水のエレメントに属する星座。
君はこの髑髏を、イデアルエナジーで満たせ。それがジョーカー様のお望みだ」
押し付けられるように海棠は髑髏を受け取った。
見かけの印象より軽い。ひんやりとした手に吸い付くような感触があった。
「君の最初の仕事は廃工場に行き、大型のシャドウからエナジーを奪うことだ」
「……シャドウ?」
「一日と一日の狭間の時間。影時間に現れるエネルギー体のようなもの、とでも説明しておこう。
それは満月の夜、午前0時に現れる。今回はジョーカー様の望龍術によって、
発生地点を前もって予測することが出来た。君にはそれを退治してその屍からエネルギーを奪ってもらいたいのだ」
「……あの、でも」
いきなりそんなことができるわけがない。ありえない。
海棠は俯いたまま、逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
しかしトーラスは黙ったまま、拳銃を突き出し…
「君も影人間の噂を知っているだろ?奴らが暴れだすことによって影人間が増加してしまうのだ。
君にはシャドウを倒す力がある。協力してくれないか?」
影人間のことなら海棠も知っている。最近、増えだした無気力な人たち。
魂を奪われてしまったような生きる屍。それにシャドウを倒す力。
トーラスはきっとペルソナのことを言っているのだろう。
海棠はしぶしぶ、トーラスの差し出している拳銃を受け取った。
「それはコルト・ポニー。その弾丸には魔の力が宿っている。
シャドウや魔物に効果的にダメージを与えることができるだろう。
そして勘違いして欲しくはないのだが、君はそれと似た形の召喚器を以前に預かっているはずだ。
それで君の人格を一時的に破壊することによって安定したペルソナを引き出すことができるはず」
ここまで話されて、海棠は呆れるのを通り越して笑いが込み上げてきた。
あまりにも現実離れした話に、そんなことが本当にありえるものなら逆に起こってほしい。
今の自分を取り囲む現実からふざけた世界にいけるものなら行ってみたい。
そう、あのジョーカーに電話した時と同じ。できるものならやって欲しい。そんな投げやりの感覚。
「わかりました。やってみます。今日の深夜零時。廃工場ですね」
ほの暗い笑顔でトーラスを見つめる。その仮面のような表情にトーラスは息を呑むのだった。
「た、たのんだぞ。レディ・スコルピオン」
夢見石の少年は保険医の説明を聞いても無表情。
ササミの体の変化を、じっと見ていても見ているだけで何かを感じとっているわけでもない。
所謂スイッチがOFFの状態。
>「おも、おも・・・・・おもちかえりしましょーがくえんに。
少年、フリード君、テオ君、誰でもいいよ、私じゃちょっとおぼつかないから、手が空いてる人、エンカを手伝ってー」
リリィは上手くごまかしながら皆に頼みごと。
「いえっさーリリィタイチョ。おもちかえろけーしょん」
そう言ってエンカのひこずっているカボチャの破片に超強力なゴムをくくりつけて引っ張り始める夢見石の少年。
ササミは可愛らしくカボチャの皮に寝ている。まるで三日月のハンモック。
グレンも手伝おうとしたけどサイズ的に無理と断られていた。でもそれでよかったのだ。
ゴムがぶちきれて大惨事になるのはそれはまた別のお話。
いっぽう、時と場所が変わってパーティー会場。
ルナはテオボルトに約束通りパンプキンシチューをご馳走していた。
「お口に合うといいですけど……」
ルナの心配そうな顔。テオボルトに対しては遠慮もあるのか口数も少ない。
こういうときにリリィがいたら上手く緩和してくれるのに…。
そう思いながら向かいの席に視線を流すとフリードが
「ブランディ持ってきてください一番強いやつ」とか無茶なこと言っている。
「未成年でしょ?だめよ〜」
ルナはペロっと舌を出して、
「みなさまどうかご歓談ください」と言い残して保健室へ。
それを聞いて、ちゃっかりパーティーに参加していた夢見石の少年はフリードのほっぺを指でぐりぐり。
そう、彼はリリィにされたことをマネしているのだった。
廊下からルナの鼻歌が聞こえてくる。
両手で持つはトレイ。その上には三皿のパンプキンシチュー。
保健室でササミを看病しているであろうリリィとエンカに
あったかいパンプキンシチューが届くのはまた別のお話。
普通に真面目に焼肉定食って答えたのって超はずかしい。
ふと思い出したヴァルンは六階で顔から火を吹いていた。
すべるってわかってて悪魔の書はパスしたのだ。
「きー!くやしい!」
地団駄を踏んでいると声が聞こえる。
>『ほウ 案外 するドい のだ ナ。
待つ ゾ アマテらス の 子。 そし テ ファフニール げおルギウす ノ 子。
来た レば 我 汝ら ニ 与え ン。 知 を 叡智 ヲ 真 ジツ を』
「なによこれ〜。私には関係ないよっ。耳を澄まして損しちゃったよ〜!」
ヴァルンは損した気持ちになる。
すると上からさっそくゲッツとフォルテが降りてくる。
「もー!おそいよ〜!なにしてたの!?」
>「フォルテ君、ここよ〜」
>「騙されないで。そいつはモンスターが化けた偽物よ!」
「ええ!?私が本物のヴァルンだよ!」
ヴァルンの偽者に気付いたヴァルンは驚愕する。
偽者の顔のクオリティーが低すぎるのだ。はっきり言ってブス。
それなのにフォルテが普通に騙されていることにも腹が立った。
「フォルテ君!それは私の偽者よ!わからないの?明らかにブスじゃないの!!」
指をさして怒鳴りつけた先には三人のフォルテがいた。
それにあろうことかゲッツも三人いる。
そこへ現れるのはまた悪魔の書。
『見つヶ出せ!!真実ノ扉ヲ!!君たちの質問できる数は二つであるッ!!』
目の前に扉が二つある。片方は地下七階。もう片方は地獄谷温泉へと続いている。
扉にそう書いてある。どうやらゲッツとフォルテは
正直な偽者のフォルテとゲッツとヴァルン。嘘吐きの偽者のフォルテとゲッツとヴァルン。
本物のフォルテとゲッツとヴァルンに同時に質問を二つして、七階への道を探り出さなくてはならないらしい。
海棠美帆は廃工場の下見をすることにした。その場所はすぐにわかった。
有刺鉄線で周囲を囲われているが管理が杜撰らしく所々破れ目がある。
だから敷地内に入るのは容易だった。
(エミコの話じゃ幽霊が出るって話だったけど、シャドウとなにか関係があるのかしら…。
行方不明になってしまった久我浜さんも……)
人気のない建物のなかは、ひっそりとして肌寒い。
足音だけが高い天井にうつろに反響している。
窓は幾つかあるが、いずれも小さく、通路は暗かった。
だから、自宅から持ってきた懐中電灯の明かりだけが頼みの綱。
唾を一つ飲み込み鉄扉を開けて奥に進む。電灯の明かりで闇を照らす。
意外にも工場の奥は広かった。放置されたままの機材。
床には煙草と花火の残骸。やんちゃな中高生たちが侵入したことがあるのだろうか。
反対側の壁は遠すぎて電灯の光は届かなかった。
(……こんなところで、戦わなきゃならないなんて)
ありえない。肩を落とす海棠。
頭を振って不安を打ち消し、歩き出そうとした時、空気が震えた。
音は聞こえない。何者かが声にならない叫び声を発したような波動。
懐中電灯を前方に向ける。素早く前後左右に動かしたが、
視界に入ったのは積み上げられたコンテナだけだった。
「誰か、…いるの?」
もしかして須佐野、神部?そう思ったが返事はない。
トーラスの話では大型のシャドウの出現時間は午前零時。
まだ時間はあるはずなのに。
海棠美帆は廃工場の下見をすることにした。その場所はすぐにわかった。
有刺鉄線で周囲を囲われているが管理が杜撰らしく所々破れ目がある。
だから敷地内に入るのは容易だった。
(エミコの話じゃ幽霊が出るって話だったけど、シャドウとなにか関係があるのかしら…。
行方不明になってしまった久我浜さんも……)
人気のない建物のなかは、ひっそりとして肌寒い。
足音だけが高い天井にうつろに反響している。
窓は幾つかあるが、いずれも小さく、通路は暗かった。
だから、自宅から持ってきた懐中電灯の明かりだけが頼みの綱。
唾を一つ飲み込み鉄扉を開けて奥に進む。電灯の明かりで闇を照らす。
意外にも工場の奥は広かった。放置されたままの機材。
床には煙草と花火の残骸。やんちゃな中高生たちが侵入したことがあるのだろうか。
反対側の壁は遠すぎて電灯の光は届かなかった。
(……こんなところで、戦わなきゃならないなんて)
ありえない、と肩を落とす海棠。
頭を振って不安を打ち消し、歩き出そうとした時、空気が震えた。
音は聞こえない。何者かが声にならない叫び声を発したような波動。
懐中電灯を前方に向ける。素早く前後左右に動かしたが、
視界に入ったのは積み上げられたコンテナだけだった。
「誰か、…いるの?」
もしかして須佐野、神部?そう思ったが返事はない。
トーラスの話では大型のシャドウの出現時間は午前零時。
まだ時間はあるはずなのに、嫌な気配がする。
海棠美帆は廃工場の下見をすることにした。その場所はすぐにわかった。
有刺鉄線で周囲を囲われているが管理が杜撰らしく所々破れ目がある。
だから敷地内に入るのは容易だった。
(エミコの話じゃ幽霊が出るって話だったけど、シャドウとなにか関係があるのかしら…。
行方不明になってしまった久我浜さんも……)
人気のない建物のなかは、ひっそりとして肌寒い。
足音だけが高い天井にうつろに反響している。
窓は幾つかあるが、いずれも小さく、通路は暗かった。
だから、自宅から持ってきた懐中電灯の明かりだけが頼みの綱。
唾を一つ飲み込み鉄扉を開けて奥に進む。電灯の明かりで闇を照らす。
意外にも工場の奥は広かった。放置されたままの機材。
床には煙草と花火の残骸。やんちゃな中高生たちが侵入したことがあるのだろうか。
反対側の壁は遠すぎて電灯の光は届かなかった。
(……こんなところで、戦わなきゃならないなんて)
ありえない、と肩を落とす海棠。
頭を振って不安を打ち消し、歩き出そうとした時、空気が震えた。
音は聞こえない。何者かが声にならない叫び声を発したような波動。
懐中電灯を前方に向ける。素早く前後左右に動かしたが、
視界に入ったのは積み上げられたコンテナだけだった。
「誰か、…いるの?」
もしかして須佐野、神部?そう思ったが返事はなかった。
トーラスの話では大型のシャドウの出現時間は午前零時。
まだ時間はあるはずなのに、嫌な気配がする。
(私は何をやってるんだろ…)
ただ、ジョーカーに会いたいだけ?
望んでいた学校にも進学できなくて、仕方なく入学した学校ではいじめられて。
神部と須佐野は工場の最奥に進んでいた。長い廊下を恐る恐るゆっくりと。
彼女たちが突き当りを何度か左に曲がると、その奥には鉄扉。
鉄扉を開けると錆びた鉄の臭いに混じって、かすかな腐臭が漂っていた。
おまけに瘴気も立ち込めている。視界に捉えたものが歪んで見えるほどの。
構内はただっぴろく、無数のコンテナが横たわっているのが見えるだろう。
右手手前には金属の手摺と地下への階段。左手奥には二階へと続く階段が見える。
そしてフロアの最奥には小さな光。海棠美帆の懐中電灯の光だ。
ここで、一旦帰宅した海棠と、工場内を数十分歩き回っていた須佐野と神部は
互い違いの入り口から同フロアにたどり着くこととなる。
>「おーい、誰かいるか〜?」
声に反応したかのように、かすかな物音がした。
二人の背後からだ。ガチャガチャと何かを打ち合わせるような音。
低い呻き声。笑い声。不気味な音が重なりあって響いている。
神部と須佐野は更にフロアの奥に進むしかないだろう。
すると頭上から、空気を切り裂くような甲高い叫びが響く。
同時に何もなかったはずの空中に凝縮された影が出現する。
それは仮面を中心として、巨大な振り子と剥きだしの歯車を体とした巨大な化け物だった。
あろうことか振り子の重り部分は鋭い鎌で出来ており、どことなくギロチンを想起させる。
ゴーン!ゴーン!
鐘の音が響いた。
回転していた仮面がぴたりと止まり神部と須佐野を捉える。
化け物が突進してくる。
それは背後の壁と鉄扉に激しく衝突。
――敵はアサルトダイブを使用したのだ!
壁を破壊して、瓦礫の下となった大型のシャドウは、
歯車を回転させながら体勢を戻さんとしている。
海棠美帆は廃工場の下見をすることにした。その場所はすぐにわかった。
有刺鉄線で周囲を囲われているが管理が杜撰らしく所々破れ目がある。
だから敷地内に入るのは容易だった。
(エミコの話じゃ幽霊が出るって話だったけど、シャドウとなにか関係があるのかしら…。
行方不明になってしまった久我浜さんも……)
人気のない建物のなかは、ひっそりとして肌寒い。
足音だけが高い天井にうつろに反響している。
窓は幾つかあるが、いずれも小さく、通路は暗かった。
だから、自宅から持ってきた懐中電灯の明かりだけが頼みの綱。
唾を一つ飲み込み鉄扉を開けて奥に進む。電灯の明かりで闇を照らす。
意外にも工場の奥は広かった。放置されたままの機材。
床には煙草と花火の残骸。やんちゃな中高生たちが侵入した痕跡だろうか。
反対側の壁は遠すぎて電灯の光は届かなかった。
(……もう、こんなところで戦わなきゃならないなんて)
ありえない、と肩を落とす海棠。
頭を振って不安を打ち消し、歩き出そうとしたその時、空気が震えた。
音は聞こえない。何者かが声にならない叫び声を発したような波動。
懐中電灯を前方に向ける。素早く前後左右に動かしたが、
視界に入ったのは積み上げられたコンテナだけだった。
「誰か、…いるの?」
もしかして須佐野、神部?そう思ったが海棠の声が小さすぎて返事はなかった。
トーラスの話では大型のシャドウの出現時間は午前零時。
まだ時間はあるはずなのに、嫌な気配がする。
神部と須佐野は工場の最奥に進んでいた。長い廊下を恐る恐るゆっくりと。
彼女たちが突き当りを何度か左に曲がると、その奥には鉄扉。
鉄扉を開けると錆びた鉄の臭いに混じって、かすかな腐臭が漂っていた。
おまけに瘴気も立ち込めている。視界に捉えたものが歪んで見えるほどの。
構内はただっぴろく、無数のコンテナが横たわっているのが見えるだろう。
右手手前には金属の手摺と地下への階段。左手奥には二階へと続く階段が見える。
そしてフロアの最奥には小さな光。海棠美帆の懐中電灯の光だ。
ここで、一旦帰宅した海棠と、工場内を数十分歩き回っていた須佐野と神部は
互い違いの入り口から同フロアにたどり着くこととなる。
>「おーい、誰かいるか〜?」
声に反応したかのように、かすかな物音がした。
二人の背後からだ。ガチャガチャと何かを打ち合わせるような音。
低い呻き声。笑い声。不気味な音が重なりあって響いている。
神部と須佐野は更にフロアの奥に進むしかないだろう。
すると頭上から、空気を切り裂くような甲高い叫びが響く。
同時に何もなかったはずの空中に凝縮された影が出現する。
それは仮面を中心として、巨大な振り子と剥きだしの歯車を体とした巨大な機械仕掛けの化け物だった。
あろうことか振り子の重り部分は鋭い鎌で出来ており、どことなくギロチンを想起させる。
ゴーン!ゴーン!
鐘の音が響く。
回転していた仮面がぴたりと止まり神部と須佐野を捉える。
化け物が突進してくる。
それは背後の壁と鉄扉に激しく衝突。
――なんと敵はアサルトダイブを使用したのだ!
壁を破壊して、瓦礫の下となった大型のシャドウは、
歯車を回転させながら体勢を戻さんとしている。
瞬間、世界は光に埋もれた。
リュジーは眩む目を微かに開きながら、目の前の光景に声を失う。
浄化の光。神域の世界。
光に呑まれた呪怨の大群は一瞬にしてその身を蒸発させ欠片すら残さない。
これが多重世界を駆け抜ける永久闘争存在の武器の一つ、
――穢れなき威光!
凄まじい威力だ。それは大量の呪怨を呑みこんだのち
徐々に姿を細め、幻のように音もなく消えた。
「…すげーぜ。あいつ」
放心状態で闘争存在を見つめる。
これで終わったのだと胸を撫で下ろすリュジー。
しかし――
佐伯伽椰子の分霊が縋るようにリュジーの腰にしがみ付いてくる。
爪を立てて、腰に食い込む細い指。
伽椰子は最後の悪あがきでその場にいる者を暗黒空間にに引きずり込もうとしているのだ。
「てめーこらー!しつこい女はうぜーんだよ!!」
リュジーは彼女の喉を掻き切ろうと短剣をふりあげる。
同時に目を瞠る。短剣を持つ右手が停止する。
大きく見開いたリュジーの目に映るは血の涙を流す佐伯伽椰子。
>「超重獄、昇天の間」
さらに伽椰子の霊体を押しつぶすかのような攻撃が加わる。
同時に永久闘争存在の攻撃。伽椰子本体へと逆流する光の奔流。
伽椰子は呻き声をあげながら悶絶している。
「…あああぁ。た、たすけてぇ」
「ば、ばかやろう!てめーは今まで何人もの人間を殺してきたってんだよ!!
今さら命乞いかよ。潔くあの世にいきやがれ!!」
「…あああああああああ!!」
「ちっきしょう!!」
短刀を振り下ろす。――斬断。
二つの影は押し倒されるように地面へ。
「くぅん」
猟犬が短く啼く。
仰向けに倒れたリュジーの腹の上には一人の女。
長く美しい黒髪。紅い唇。白い肌。女が生まれ持つ美しい生の色。
――佐伯伽椰子。
彼女は無言でリュジーの顔を見つめていた。
分霊であった彼女と本体とを繋ぐ魂の通路は
リュジーの短刀によって切断されていた。
「おい糞娘。たすけてやったぜ。どうだい今の気分はよ。
おめーが今まで問答無用でやってきたことを、闘争存在はやったまでなんだよ。
因果応報なんだぜ。わかるか?理由もなく殺されちまう気分をよ」
「………」
リュジーの体の上で佐伯伽椰子は目を虚ろにしていた。
そして倒れこむようにして、抱きつくのだった。
でもその体はいつの間にか縮んでいる。そう、まるで幼女のように。
「ちょ、やめやがれ。くすぐってえ!」
起き上がって離そうとするが幼女はその手を離さない。
しまった。あのまま成仏させておけばよかった。そう思ったのも後の祭り。
さて、どうしようか。リュジーは幼女を前に座らせ猟犬に跨った。
と、キーと変な声がして肩に淫夢くんが飛び乗ってくる。
かくして猟犬と幼女、おまけに淫夢くんをひきつれたヤクザの冒険が今、幕を開けるのだった。
某日。フィジル魔法学園。
魔法科の先生に連れられて、ルナは中庭に来ていた。
先生はとても真剣な顔をしていて、なんだか怖い。
ルナがどきどきしていると、先生は花壇に立っている天使の像の頭の上に林檎を置いた。
美味しそうに熟れた林檎。
でもそれは少しずつ小さくなって青くなってゆく。
そう、若返っているのだ。
それをじっと見ていたルナだったが、
先生がなぜそれをルナに見せたのか、その意味はわからない。
「この天使の石像は、百年前に作られたものなのですよ」
「へー、そうなんですか。そうは見えないです。白くってとても綺麗な色をしていますから…」
首をかしげたまま、ルナは天使の白い頭を撫でようとした。
すると先生が「だめです!」とルナの手を強く握り締める。
「まだ気がつきませんか?この石像はあなたの逆転魔法の影響で時が逆流してしまっているのですよ!」
鳥居呪音は、レン・ジャンのことを自分と似てると思った。
戦争ですべてを失ったレン。時の流れによってすべてを失ってゆく鳥居。
まるで同じものの表と裏。ただ問題は、何を奪うかだけの話なのだろう。
命まるごとすべてを奪いたいレンに、芸事で他人を魅了し、その心を奪いたい鳥居。
どちらも己の孤独に対する復讐ともいえる。
ただ鳥居が気にかかったのは、レンの失ったものがあまりにも大きすぎたのだということ。
そう、彼の心が粉々に破壊されてしまうほどに、思いでは切なく、その心を深く傷つけたのだ。
でもそうだとしたなら、レン・ジャンは己の行為に恥じるべきなのだ。
父や母や友にたいして。なぜなら彼は、自分で自分を破壊してしまっているのだから。
心に狂わしいほどの愛を抱いたまま、愛する者の思い出ごと自分を。
はたして彼らはジャンにそうなって欲しいと望んだのだろうか。
(……くっ、なんだかやり場のない怒りが込み上げてきます。
にしても日本人の女ってやっぱり倉橋さんなのでしょうか。
…亡国士団っていったい。それに彼は不死の遺宝なんて知ってませんでした!)
鳥居は、キーと地団駄を踏みたい気分になる。べつに分からなくてもよいことなのかもしれないが
やっぱりわからないと気持ち悪いのだ。裏で何かが起きている、もしくはすべての謎は一つに繋がっている
と勘繰ってしまうのは人間の悪い癖なのだろうか。
まるで、神様がいると信じ込んでいる人間のご都合主義のように。
鳥居呪音は、レン・ジャンのことを自分と似てると思った。
戦争ですべてを失ったレン。時の流れによってすべてを失ってゆく鳥居。
まるで同じものの表と裏。ただ問題は、何を奪うかだけの話なのだろう。
命まるごとすべてを奪いたいレンに、芸事で他人を魅了し、その心を奪いたい鳥居。
どちらも己の孤独に対する復讐ともいえる。
ただ鳥居が気にかかったのは、レンの失ったものがあまりにも大きすぎたのだということ。
そう、彼の心が粉々に破壊されてしまうほどに、思いでは切なく、その心を深く傷つけたのだ。
でもそうだとしたなら、レン・ジャンは己の行為に恥じるべきだ。
父や母や友にたいして贖罪するべきなのだ。
なぜなら彼は、自分で自分を破壊してしまっているのだから。
心に狂わしいほどの愛を抱いたまま、愛する者の思い出ごと自分を。
だから鳥居は問うてみたかった。
はたして彼らが、ジャンにそうなって欲しいと望んだのかと。
(……くっ、なんだかやり場のない怒りが込み上げてきます。
にしても日本人の女ってやっぱり倉橋さんなのでしょうか。
…亡国士団っていったい。それに彼は不死の遺宝なんて知ってませんでした!)
鳥居は、キーと地団駄を踏みたい気分になる。べつに分からなくてもよいことなのかもしれないが
やっぱりわからないと気持ち悪い。裏で何かが起きている、もしくはすべての謎は一つに繋がっている
と勘繰ってしまうのは人間の悪い癖なのだろう。
まるで、神様がいると信じ込んでいる人間のご都合主義のようなもの。
鳥居呪音は、レン・ジャンのことを自分と似てると思った。
戦争ですべてを失ったレン。時の流れによってすべてを失ってゆく鳥居。
まるで同じものの表と裏。ただ問題は、何を奪うかだけの話なのだろう。
命まるごとすべてを奪いたいレンに、芸事で他人を魅了し、その心を奪いたい鳥居。
どちらも己の孤独に対する復讐ともいえる。
ただ鳥居が気にかかったのは、レンの失ったものがあまりにも大きすぎたのだということ。
そう、彼の心が粉々に破壊されてしまうほどに、思いでは切なく、その心を深く傷つけたのだ。
でもそうだとしたなら、レン・ジャンは己の行為に恥じるべきだ。
父や母や友にたいして贖罪するべきなのだ。
なぜなら彼は、自分で自分を破壊してしまっているのだから。
心に狂わしいほどの愛を抱いたまま、愛する者の思い出ごと自分を。
だから鳥居は問うてみたかった。
はたして彼らが、ジャンにそうなって欲しいと望んだのかと。
(……くっ、なんだかやり場のない怒りが込み上げてきます。
にしても日本人の女ってやっぱり倉橋さんなのでしょうか。
…亡国士団っていったい。それに彼は不死の遺宝なんて知ってませんでした!)
鳥居は、キーと地団駄を踏みたい気分になる。べつに分からなくてもよいことなのかもしれないが
やっぱりわからないと気持ち悪い。裏で何かが起きている、もしくはすべての謎は一つに繋がっている
と勘繰ってしまうのは人間の悪い癖なのだろう。
まるで、神様がいると信じ込んでいる人間のご都合主義のようなもの。
>「話は終わりだ。殺技の見物料としては、もう十分だろう?
さあ怒れよ。俺を憎み、軽蔑しろ。それすらも、俺はお前達から奪ってやろう」
「奪う?」
鳥居は小さく聞き返した。すると男が構えを取った。
鳥居も身構える。その瞳は零下の怒りを湛えている。
だが怒りだけではなかった。声にならぬ慟哭が響く。
殺気が空気を染め上げてゆく。
しかし次の瞬間、鳥居は男に吸い寄せられた。その前に閃いたのは銀光。
なんと彼は距離を斬り詰めたのだ。
「マリーさん、蹴ってぇ!!」
咄嗟の出来事に鳥居は、マリー側に二本の足を思いっきり突き出す。
マリーが足をだしてくれたら二人はお互いにジャンを弧の中心として飛び逃げることが出来るはず。
それが叶わなくても鳥居の蹴りがマリーの尻にでも当たれば、お互いに反発して間合いをあけることが出来るはずだ。
そして鳥居は少し離れた地面にころりと転がり、ぺぺっと砂を吐いたあと
「そんなに奪いたい気持ちが強いんでしたら、あなたにとってもっとも大切なものを、
お父さんとかお友達の代わりになるものを、どこからか奪ってきたらいいじゃないですかっ!!
それすらもできない臆病者が、僕の心から怒りを奪うことは出来ません!」
そう言ってねめつける。その大切なものは自分にとって何なのだろうと失念するのはあとのこと。
怒りに身を任せ屋根に跳躍すると、移動しながら瓦をジャンに投げつける。つかず離れず次々と。
>「鼻ァ良いからよ、手っ取り早いだろォが。
あと、暴力は振るうし、物ぶっ壊すけど盗みはしねェ主義でな。
お前さんに手を出すつもりはさんさらねェよ。人妻とか興味さんさらねェし」
「うん。それはよかったよ。私はハー君だけのもの。
でもね。ゲッツはずっとお友達だから、心配しないで」
>「自慢げにいう事じゃねえよ!?
ってかおっぱいあれば何でもいいんじゃなかったのかよ!」
「えー…。じゃあおっぱいがついてたら掃除機や冷蔵庫でもいいってこと?それって超へんたいじゃん」
>「もともと、アインオブソウルの封印場だった。が」
>「中央図書館と言う場からして、進入してしまい行方をくらます奴らが多くなった。」
>「故に、ここをプライベート場みたいにした。」
>「こんな説明で分かるか?お三方」
>「ちょい待て、マジでプライベート図書館なの!?」
>『ソうだナ』『ここニ』『来た』『生物』『ハ我ら』『ノ』『観測ノ』『上でハ』
「うそよ!ハー君は騙されてるだけなんだから!!」
そう思わないと、ヴァルンの胸は張り裂けてしまいそうだった。
そして振動。轟音。それに焦燥の色を隠せないヴァルン。
音のした方角に駆け、目を瞠る。
行き着いた先には国家司書とハーラルがいた。
「ハー君……! 目を覚まして!」
祈るような気持ち。
どうやらハーラルは操られている。
>「ヴァルンちゃん、ハー君は必ず引き戻してやる。でも最後の決め手は君自身だ。頼んだよ!
導師様、ゲッツ! オレの呪歌が効くまで時間をかせいでくれ! くれぐれも殺すな!」
「フォルテくん……。ありがとう…」
>「世界の弥終 無くした翼探して 霧深い道 彷徨い続けるの
撒かれた時の捻子 薄暮の月に溶かし込む 水面から透明な朝へ
悲しみの向うへ 風を連れてゆくのさ いつか夢見た銀の波 輝く音色の波に乗って翔け出せ
Purification舞い上がれ 空の海を越えて Purification純化する愛は永久に神秘の歌奏でるの――」
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の顔を撫でる。
そう、今まさに戦いの火蓋がきっておろされたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方に疾駆。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
(今、逃げたら、神部さんが殺されちゃう)
スサノの声も上の空で、海棠は小さく呼吸を繰り返していた。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿と
剣を掲げシャドウに挑まんとするスサノの姿が映っていた。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。引き金に手をかける。
その時だった。
スサノを向いたシャドウが横薙ぎの風に叩かれて吹き飛ばされる。
転倒したシャドウに向けて、一人の学ランが駆け抜けて、倒れるシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
全力で鼻っ面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かって叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさに戦いの火蓋がきっておろされたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
(今、逃げたら、神部さんが殺されちゃう)
スサノの声も上の空で、海棠は小さく呼吸を繰り返していた。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿と
剣を掲げシャドウに挑まんとするスサノの姿が映っていた。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。引き金に手をかける。
その時だった。
シャドウが横薙ぎの風に叩かれて吹き飛ばされる。
転倒したシャドウに向けて、人影が駆け抜けて、倒れるシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
全力で鼻っ面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かって叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。
そしていっぽうのシャドウとは言うと、中務の術により正気を失っているようだ。
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさにペルソナ使いたちと大型のシャドウとの戦いの火蓋がきっておろされたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
逃げたいのも助けを呼びたいのも同じ気持ちだった。でも今逃げたら神部は……。
スサノの声も上の空で、海棠は小さく呼吸を繰り返す。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿と、剣を掲げシャドウに挑まんとするスサノの姿が映っていた。
このままでは二人は死んでしまうだろう。すると頭のなかに言葉が浮かび上がる。
かつて自分がジョーカーに言い放った言葉が…。
(私は何もかもが終わるまで、ぼーっと見ていたい。ただそれだけ)
だとしたらこの化け物が終わりの始まりだとしたら、終わると言うことはそんなに生温いことではないのだ。
「いったいなんなのよ、ジョーカーはっ。こんな仕事を私に押し付けるなんて!」
ひとりごちて、生唾を飲み込む。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。引き金に手をかける。
その時だった。
シャドウが横薙ぎの風に叩かれて吹き飛ばされる。
転倒したシャドウに向けて、人影が駆け抜けて、倒れるシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
全力で鼻っ面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かって叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。
そしていっぽうのシャドウはと言うと、中務の術により正気を失っているようだ。
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさにペルソナ使いたちと大型のシャドウとの戦いの火蓋がきっておろされたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
逃げたい、助けを呼びたい、それは海棠も同じ気持ちだった。でも今逃げたら神部は……。
スサノの声も上の空で、海棠は小さく呼吸を繰り返す。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿が映っている。
なんとかしないと。そう思った矢先、今度はスサノが剣を掲げ、シャドウに挑まんとしていた。
その姿に海棠は戦慄する。このままでは二人は死んでしまうだろう。
すると頭のなかに言葉が浮かび上がる。
かつて自分がジョーカーに言い放った言葉が…。
(私は何もかもが終わるまで、ぼーっと見ていたい。ただそれだけ)
だとしたら、この化け物が終わりの始まりだとしたら、終わると言うことはそんなに生温いことではないのだ。
「いったいなんなのよ、ジョーカーはっ。こんな仕事を私に押し付けるなんて!」
独語して、生唾を飲み込む。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。引き金に指をかける。
その時だった。
シャドウが横薙ぎの風に叩かれて吹き飛ばされる。
転倒したシャドウに向けて、人影が駆け抜け、倒れるシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
全力で鼻っ面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かってこう叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。
そしていっぽうのシャドウはと言うと、中務のペルソナ、クダンの術により正気を失っているようだ。
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさにペルソナ使いたちと大型のシャドウとの戦いの火蓋がきっておろされたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
逃げたい、助けを呼びたい、それは海棠も同じ気持ちだった。でも今逃げたら神部は……。
スサノの声も上の空で、海棠は小さく呼吸を繰り返す。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿が映っている。
なんとかしないと。そう思った矢先、今度はスサノが剣を掲げ、シャドウに挑まんとしていた。
その姿に海棠は戦慄する。このままでは二人は死んでしまうだろう。
すると頭のなかに言葉が浮かび上がる。
かつて自分がジョーカーに言い放った言葉が…。
(私は何もかもが終わるまで、ぼーっと見ていたい。ただそれだけ)
だとしたら、この化け物が終わりの始まりだとしたら、終わると言うことはそんなに生温いことではないのだ。
「いったいなんなのよ、ジョーカーはっ。こんな仕事を私に押し付けるなんて!」
独語して、生唾を飲み込む。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。――でも少し怖かった。
自分の心の奥底に眠る、慟哭の主の正体はいったいなんなのだろう。
その時だった。
シャドウが横薙ぎの風に叩かれて吹き飛ばされる。
転倒したシャドウに向けて、人影が駆け抜け、倒れるシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
全力で鼻っ面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かってこう叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。
そしていっぽうのシャドウはと言うと、中務のペルソナ、クダンの術により正気を失っているようだ。
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさに、ペルソナ使いたちと大型のシャドウとの戦いの火蓋がきられたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
逃げたい、助けを呼びたい、それは海棠も同じ気持ちだった。でも今逃げたら神部は……。
スサノの声も上の空で、海棠は小さく呼吸を繰り返す。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿が映っている。
なんとかしないと。そう思った矢先、今度はスサノが剣を掲げ、シャドウに挑まんとしていた。
その姿に海棠は戦慄する。このままでは二人は死んでしまうだろう。
すると頭のなかに言葉が浮かび上がる。
かつて自分がジョーカーに言い放った言葉が…。
(私は何もかもが終わるまで、ぼーっと見ていたい。ただそれだけ)
だとしたら、この化け物が終わりの始まりだとしたら、終わると言うことはそんなに生温いことではないのだ。
「いったいなんなのよ、ジョーカーはっ。こんな仕事を私に押し付けるなんて!」
独語して、生唾を飲み込む。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。――でも少し怖かった。
自分の心の奥底に眠る、慟哭の主の正体はいったいなんなのだろう。
その時だった。
シャドウが横薙ぎの風に叩かれて吹き飛ばされる。
転倒したシャドウに向けて、人影が駆け抜け、倒れるシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
全力で鼻っ面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かってこう叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。
そしていっぽうのシャドウはと言うと、中務のペルソナ、クダンの術により正気を失っているようだ。
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさに、ペルソナ使いたちと大型のシャドウとの戦いの火蓋がきられたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
逃げたい、助けを呼びたい、それは海棠も同じ気持ちだった。でも今逃げたら神部は……。
スサノの声も上の空で、海棠は召喚器を握ったまま。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿が映っている。
なんとかしないと。そう思った矢先、今度はスサノが剣を掲げ、シャドウに挑まんとしていた。
その姿に海棠は戦慄する。このままでは二人は死んでしまうだろう。
すると頭のなかに言葉が浮かび上がる。
かつて自分がジョーカーに言い放った言葉が…。
(私は何もかもが終わるまで、ぼーっと見ていたい。ただそれだけ)
だとしたら、この化け物が終わりの始まりだとしたら、終わると言うことはそんなに生温いことではないのだ。
「いったいなんなのよ、ジョーカーはっ。こんな仕事を私に押し付けるなんて!」
独語して、生唾を飲み込む。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。――でも少し怖かった。
自分の心の奥底に眠る、慟哭の主の正体はいったいなんなのだろう。
――ガワン!突如金属音。目を瞠る海棠。
シャドウは横薙ぎの風に叩かれ吹き飛ばされていた。
続けざま人影が駆け抜け、倒れたシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
シャドウの無表情な仮面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かってこう叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。
そしていっぽうのシャドウはと言うと、中務のペルソナ、クダンの術により正気を失っているようだ。
――好機到来だ。
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさに、ペルソナ使いたちと大型のシャドウとの戦いの火蓋がきられたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
逃げたい、助けを呼びたい、それは海棠も同じ気持ちだった。でも今逃げたら神部は……。
スサノの声も上の空で、海棠は召喚器を握ったまま。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿が映っている。
なんとかしないと。そう思った矢先、今度はスサノが剣を掲げ、シャドウに挑まんとしていた。
その姿に海棠は戦慄する。このままでは二人は死んでしまうだろう。
すると頭のなかに言葉が浮かび上がる。
かつて自分がジョーカーに言い放った言葉が…。
(私は何もかもが終わるまで、ぼーっと見ていたい。ただそれだけ)
だとしたら、この化け物が終わりの始まりだとしたら、終わると言うことはそんなに生温いことではないのだ。
「いったいなんなのよ、ジョーカーはっ。こんな仕事を私に押し付けるなんて!」
独語して、生唾を飲み込む。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。――でも少し怖かった。
自分の心の奥底に眠る、慟哭の主の正体はいったいなんなのだろう。
――ガワン!突如金属音。目を瞠る海棠。
シャドウは横薙ぎの風に叩かれ吹き飛ばされていた。
続けざま人影が駆け抜け、倒れたシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
シャドウの無表情な仮面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かってこう叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。
そしていっぽうのシャドウはと言うと、中務のペルソナ、クダンの術により正気を失っているようだ。
彼が、いったい何者なのかと詮索するのは後。今はこの好機を逃すわけにはいかない。
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさに、ペルソナ使いたちと大型のシャドウとの戦いの火蓋がきられたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
逃げたい、助けを呼びたい、それは海棠も同じ気持ちだった。でも今逃げたら神部は……。
スサノの声も上の空で、海棠は召喚器を握ったまま。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿が映っている。
なんとかしないと。そう思った矢先、今度はスサノが剣を掲げ、シャドウに挑まんとしていた。
その姿に海棠は戦慄する。このままでは二人は死んでしまうだろう。
すると頭のなかに言葉が浮かび上がる。
かつて自分がジョーカーに言い放った言葉が…。
(私は何もかもが終わるまで、ぼーっと見ていたい。ただそれだけ)
だとしたら、この化け物が終わりの始まりだとしたら、終わると言うことはそんなに生温いことではないのだ。
「いったいなんなのよ、ジョーカーはっ。こんな仕事を私に押し付けるなんて!」
独語して、生唾を飲み込む。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。――でも少し怖かった。
自分の心の奥底に眠る、慟哭の主の正体はいったいなんなのだろう。
――ガワン!突如金属音。目を瞠る海棠。
シャドウは横薙ぎの風に叩かれ吹き飛ばされていた。
続けざま人影が駆け抜け、倒れたシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
シャドウの無表情な仮面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かってこう叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。当然海棠は、彼を詮索するのは後まわし。
なぜならシャドウは、中務のペルソナ、クダンの術により正気を失っているからだ。
この好機を絶対に逃すわけにはいかない。
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさに、ペルソナ使いたちと大型のシャドウとの戦いの火蓋がきられたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
逃げたい、助けを呼びたい、それは海棠も同じ気持ちだった。でも今逃げたら神部は……。
スサノの声も上の空で、海棠は召喚器を握ったまま。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿が映っている。
なんとかしないと。そう思った矢先、今度はスサノが剣を掲げ、シャドウに挑まんとしていた。
その姿に海棠は戦慄する。このままでは二人は死んでしまうだろう。
すると頭のなかに言葉が浮かび上がる。
かつて自分がジョーカーに言い放った言葉が…。
(私は何もかもが終わるまで、ぼーっと見ていたい。ただそれだけ)
だとしたら、この化け物が終わりの始まりだとしたら、終わると言うことはそんなに生温いことではないのだ。
「いったいなんなのよ、ジョーカーはっ。こんな仕事を私に押し付けるなんて!」
独語して、生唾を飲み込む。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。――でも少し怖かった。
自分の心の奥底に眠る、慟哭の主の正体はいったいなんなのだろう。
――ガワン!突如金属音。目を瞠る海棠。
シャドウは横薙ぎの風に叩かれ吹き飛ばされていた。
続けざま人影が駆け抜け、倒れたシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
シャドウの無表情な仮面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かってこう叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。当然、彼を詮索するのは後まわし。
なぜならシャドウは、中務のペルソナ、クダンの術により正気を失っているからだ。
この好機を絶対に逃すわけにはいかない。
>「鳥居ッ!それでは大切な人を奪われた人間はどうなる!
大切な人から引き剥がされた人間の意思はどうなる!そんな卑しい理屈は投げ捨てろ!」
マリーは鳥居を一喝する。そんな卑しい理屈は投げ捨てろ、と言う。
それゆえに、鳥居にはわからなくなる。
フェイ老人は愛する子どもたちを守るために自分たちの命を奪おうとした。
マリーも苦しむ人を守るために命を奪う。
皆、奪うことによって満たされようとしている。
>「代わり……代わりか!面白い事を言うな吸血鬼!
お前には親の代わりが、友の代わりがあると言うのか!」
嘲笑するかのように叫ぶジャン。彼の言う通りだ。大切なものに代わりなんてない。
しかし、それでは自分は死ぬまで不幸であるということを認めてしまうことになる。
それでは悲しすぎるのだ。自分自身が。瓦を投げつける腕に自然と力がこもる。
だが無情にも、ジャン目掛け飛んでゆく瓦は硬質な音を立てて白壁に散華する。
>「俺にはそんなものはいない。皆の代わりなど、この世のどこにもな。
……あぁ、そうか。お前達は確か、血を吸えば誰もかもを血族に出来るんだったな。
なるほどな、流石は吸血鬼。たかが殺人鬼の俺では、到底及ばぬ思考を持っている」
「バカにして。僕にとって血族はそんなにはしたないものじゃないんです!」
鳥居はジャンの引き寄せる力を警戒しながら距離をとり続けている。
おまけに瓦の投擲。しかし、ジャンの動きに手抜かりはなかった。
軽妙な動きでマリーを遮断物と変えてしまっていた。
「…くく!」
これでは拉致があかない。鳥居にはこれと言った決定力もない。
勝敗を決するにはやはり双條マリーによる必殺の一撃しかないようだ。
ならばどうするか。鳥居はあかねに視線を移す。
>「あかね!何かサポートをしてくれ、私と鳥居だけじゃ無理だ」
それはマリーも察していたらしい。あかねに援護を要請。
だがあかねは完全に浮き足立っている様子。何か具体的に指示をしないと…。
そう思った次の瞬間、鳥居は宙に浮いていた。
(しまりました!)
何もない空中。距離は多めにとっていたつもりが、
ジャンは二つの距離を斬り詰め、その刃圏に鳥居をおさめていた。
>「鳥居ッ!それでは大切な人を奪われた人間はどうなる!
大切な人から引き剥がされた人間の意思はどうなる!そんな卑しい理屈は投げ捨てろ!」
マリーは鳥居を一喝する。そんな卑しい理屈は投げ捨てろ、と言う。
それゆえに、鳥居にはわからなくなる。
フェイ老人は愛する子どもたちを守るために自分たちの命を奪おうとした。
マリーも苦しむ人を守るために命を奪う。
皆、奪うことによって満たされようとしている。
>「代わり……代わりか!面白い事を言うな吸血鬼!
お前には親の代わりが、友の代わりがあると言うのか!」
嘲笑するかのように叫ぶジャン。彼の言うことにも一理ある。大切なものに代わりなんてない。
しかし、それでは自分は死ぬまで不幸であるということを認めてしまうことになる。
それでは悲しすぎるのだ。自分自身が。鳥居は見つけてみたいのだ。孤独から救われる方法を。
瓦を投げつける腕に自然と力がこもる。
だが無情にも、ジャン目掛け飛んでゆく瓦は硬質な音を立てて白壁に散華するのみ。
>「俺にはそんなものはいない。皆の代わりなど、この世のどこにもな。
……あぁ、そうか。お前達は確か、血を吸えば誰もかもを血族に出来るんだったな。
なるほどな、流石は吸血鬼。たかが殺人鬼の俺では、到底及ばぬ思考を持っている」
「バカにして。僕にとって血族はそんなにはしたないものじゃないんです!」
鳥居はジャンの引き寄せる力を警戒しながら距離をとり続けている。
おまけに瓦の投擲。しかし、ジャンの動きに手抜かりはなかった。
軽妙な動きでマリーを遮断物と変えてしまっていた。
「…くく!」
これでは拉致があかない。鳥居にはこれと言った決め手もない。
勝敗を決するにはやはり双條マリーによる必殺の一撃しかないようだ。
ならばどうするか。鳥居はあかねに視線を移す。
>「あかね!何かサポートをしてくれ、私と鳥居だけじゃ無理だ」
それはマリーも察していたらしい。あかねに援護を要請。
だが彼女は完全に浮き足立っている様子。何か具体的に指示をしないと…。
そう思った次の瞬間、鳥居は宙に浮いていた。
(しまりました!)
何もない空中。距離は多めにとっていたつもりが、
ジャンは二つの距離を斬り詰め、その刃圏に鳥居をおさめていた。
>「さあ、今度はどう躱すつもりだ?」
眼下で嬉々とした表情を見せるジャンはまるで鯱。
鳥居はというとまるで海上に跳ね上げられたペンギンだ。
この男は本当に殺戮を楽しんでいる。鳥居は歯噛みしながらその場で回転。
僧房に隠されていた部屋からいただいてきた中国風の黒マントを脱ぎ捨てると
それを彼の視界に被せ思いっきり両の手で張り手。
視界の遮断と空気抵抗による落下速度の軽減で、
ジャンの剣撃の確実性を奪い、深く自分の肉体を切断することを防いでみせる。
「うくく…」
だがジャンの剣は完全に避けきれていなかった。鳥居は地面に転がった。
脇腹を抉られたために大量の血が流れ出してしまっている。
再生するまでには数分時間がかかってしまうようだ。
しかしそれよりもなによりも、鳥居の視界に飛び込んだものは胸に短刀を受けたアカネの姿。
「…あかねさん」
脇腹を押さえて力なく立ち上がる。鳥居は今ごろになって気付く。
あかねも奪われてはいけないものの一つということに。
「動いちゃ、ダメです」
>「さあ、今度はどう躱すつもりだ?」
眼下で嬉々とした表情を見せるジャンはまるで鯱。
鳥居はというとまるで海上に跳ね上げられたペンギンだ。
この男は本当に殺戮を楽しんでいる。鳥居は歯噛みしながらその場で回転。
僧房に隠されていた部屋からいただいてきた中国風の黒マントを脱ぎ捨てると
それを彼の視界に被せ思いっきり両の手で張り手。
視界の遮断と空気抵抗による落下速度の軽減で、
ジャンの剣撃の確実性を奪い、深く自分の肉体を切断することを防いでみせる。
「うくく…」
だがジャンの剣は完全に避けきれていなかった。鳥居は地面に転がった。
脇腹を抉られたために大量の血が流れ出してしまっている。
再生するまでには数分時間がかかってしまうようだ。
しかしそれよりもなによりも、鳥居の視界に飛び込んだものは胸に短刀を受けたアカネの姿。
「…あかねさん」
脇腹を押さえながら力なく立ち上がる。鳥居は今ごろになって気付く。
あかねも奪われてはいけないものの一つということに。
「動いちゃ、ダメです」
あかねの状態は普通ではない。もちろんあれだけの出血で術を使うのは自殺行為。
それは素人の鳥居でもわかること。……胸がしめつけられる。
いつもこんなふうに、鳥居は人が死んでゆくのをみてきた。
ふたたび失われてしまうことへの恐怖。苛立ちが蘇る。
(おかあさん…たすけてよ…。ぼく、くるしいよ。
だって、みんなぼくをひとりぼっちにしていなくなっちゃうんだよ……)
すでにこの世にはいない母に哀願する。当然、返答などなかった。
この世では与えられたものは必ず何かに奪われてしまう。
だがそれに逆らい、鳥居を病魔からまもるため、彼を不死に変えたのが鳥居の母親だった。
つまり鳥居の永遠の孤独の元凶は母親の愛。
鳥居はジャンを見据える。先ほどジャンは、鳥居に代わりのものなどあるのかと問うた。
あるとしたら今まわりにいる人たち。日本にいるサーカスの団員たち。それとお客さま。
>「さあ、今度はどう躱すつもりだ?」
眼下で嬉々とした表情を見せるジャンはまるで鯱。
鳥居はというとまるで海上に跳ね上げられたペンギンだ。
この男は本当に殺戮を楽しんでいる。鳥居は歯噛みしながらその場で回転。
僧房に隠されていた部屋からいただいてきた中国風の黒マントを脱ぎ捨てると
それを彼の視界に被せ思いっきり両の手で張り手。
視界の遮断と空気抵抗による落下速度の軽減で、
ジャンの剣撃の確実性を奪い、深く自分の肉体を切断することを防いでみせる。
「うくく…」
だがジャンの剣は完全に避けきれていなかった。鳥居は地面に転がった。
脇腹を抉られたために大量の血が流れ出してしまっている。
再生するまでには数分時間がかかってしまうようだ。
しかしそれよりもなによりも、鳥居の視界に飛び込んだものは胸に短刀を受けたアカネの姿。
「…あかねさん」
脇腹を押さえながら力なく立ち上がる。鳥居は今ごろになって気付く。
あかねも奪われてはいけないものの一つということに。
「動いちゃ、ダメです」
あかねの状態は普通ではない。もちろんあれだけの出血で術を使うのは自殺行為。
それは素人の鳥居でもわかること。……胸がしめつけられる。
いつもこんなふうに、鳥居は人が死んでゆくのをみてきた。
ふたたび失われてしまうことへの恐怖。苛立ちが蘇る。
(おかあさん…たすけてよ…。ぼく、くるしいよ。
だって、みんなぼくをひとりぼっちにしていなくなっちゃうんだよ……)
すでにこの世にはいない母に哀願する。当然、返答などなかった。
この世では与えられたものは必ず何かに奪われてしまう。
だがそれに逆らい、鳥居を病魔からまもるため、彼を不死に変えたのが鳥居の母親だった。
つまり鳥居の永遠の孤独の元凶は母親の愛。それなのに今だ鳥居は母親を慕っていたのだ。
鳥居はジャンを見据える。先ほどジャンは、鳥居に代わりのものなどあるのかと問うた。
鳥居もそんなものはない、探している途中。と思っていた。
だが、それは近くにあったのだ。ただ近すぎて気付かなかっただけ。
そう絆だ。今まわりにいる人たちとの絆。
それに日本にいるサーカスの団員たち。それとお客さま。たくさんの笑顔。
鳥居は今頃になってマリーの言っていることがわかったのだ。
「……笑ってますか?あなたの心のなかで、大切に思っていた人は」
小さな鳥居の体から蒸気が噴出する。血の蒸気が。
それは血臭とともに霧状となって鳥居の周囲、ジャンの周囲を包み込んでゆく。
なんと傷口から血が蒸発しているのだ。炎の神気の力で。
神気は万物の元となる気。鳥居は神の気と魔の気の二つを一つの体に内在させていたのだ。
>「さあ、今度はどう躱すつもりだ?」
眼下で嬉々とした表情を見せるジャンはまるで鯱。
鳥居はというとまるで海上に跳ね上げられたペンギンだ。
この男は本当に殺戮を楽しんでいる。鳥居は歯噛みしながらその場で回転。
僧房に隠されていた部屋からいただいてきた中国風の黒マントを脱ぎ捨てると
それを彼の視界に被せ思いっきり両の手で張り手。
視界の遮断と空気抵抗による落下速度の軽減で、
ジャンの剣撃の確実性を奪い、深く自分の肉体を切断することを防いでみせる。
「うくく…」
だがジャンの剣は完全に避けきれていなかった。鳥居は地面に転がった。
脇腹を抉られたために大量の血が流れ出してしまっている。
再生するまでには数分時間がかかってしまうようだ。
しかしそれよりもなによりも、鳥居の視界に飛び込んだものは胸に短刀を受けたアカネの姿。
「…あかねさん」
脇腹を押さえながら力なく立ち上がる。鳥居は今ごろになって気付く。
あかねも奪われてはいけないものの一つということに。
「動いちゃ、ダメです」
あかねの状態は普通ではない。もちろんあれだけの出血で術を使うのは自殺行為。
それは素人の鳥居でもわかること。……胸がしめつけられる。
いつもこんなふうに、鳥居は人が死んでゆくのをみてきた。
ふたたび失われてしまうことへの恐怖。苛立ちが蘇る。
(おかあさん…たすけてよ…。ぼく、くるしいよ。
だって、みんなぼくをひとりぼっちにしていなくなっちゃうんだよ……)
すでにこの世にはいない母に哀願する。当然、返答などなかった。
この世では与えられたものは必ず何かに奪われてしまう。
だがそれに逆らい、鳥居を病魔からまもるため、彼を不死に変えたのが鳥居の母親だった。
つまり鳥居の永遠の孤独の元凶は母親の愛。それなのに今だ鳥居は母親を慕っているのだ。
鳥居はジャンを見据える。先ほどジャンは、鳥居に代わりのものなどあるのかと問うた。
鳥居もそんなものはない、探している途中。と思っていた。
だが、それは近くにあったのだ。ただ近すぎて気付かなかっただけ。
そう絆だ。今まわりにいる人たちとの絆。
それに日本にいるサーカスの団員たち。それとお客さま。たくさんの笑顔。
鳥居は今頃になってマリーの言っていることがわかったのだ。
「……ジャン。あなたのその笑顔は醜いですよ。惨めになりませんか?人を傷つけて笑っている自分が。
それに思い起こしてみてください。あなたが大切に思っていた人たちを。彼らは笑ってますか?あなたの心のなかで」
小さな鳥居の体から蒸気が噴出する。血の蒸気が。
それは血臭とともに霧状となって鳥居の周囲、ジャンの周囲を包み込んでゆく。
なんと傷口から血が蒸発しているのだ。炎の神気の力で。
神気は万物の元となる気。鳥居は神の気と魔の気の二つを一つの体に内在させていたのだ。
>「さあ、今度はどう躱すつもりだ?」
眼下で嬉々とした表情を見せるジャンはまるで鯱。
鳥居はというとまるで海上に跳ね上げられたペンギンだ。
この男は本当に殺戮を楽しんでいる。鳥居は歯噛みしながらその場で回転。
僧房に隠されていた部屋からいただいてきた中国風の黒マントを脱ぎ捨てると
それを彼の視界に被せ思いっきり両の手で張り手。
視界の遮断と空気抵抗による落下速度の軽減で、
ジャンの剣撃の確実性を奪い、深く自分の肉体を切断することを防いでみせる。
「うくく…」
だがジャンの剣は完全に避けきれていなかった。鳥居は地面に転がった。
脇腹を抉られたために大量の血が流れ出してしまっている。
再生するまでには数分時間がかかってしまうようだ。
しかしそれよりもなによりも、鳥居の視界に飛び込んだものは胸に短刀を受けたアカネの姿。
「…あかねさん」
脇腹を押さえながら力なく立ち上がる。鳥居は今ごろになって気付く。
あかねも奪われてはいけないものの一つということに。
「動いちゃ、ダメです」
あかねの状態は普通ではない。もちろんあれだけの出血で術を使うのは自殺行為。
それは素人の鳥居でもわかること。……胸がしめつけられる。
いつもこんなふうに、鳥居は人が死んでゆくのをみてきた。
ふたたび失われてしまうことへの恐怖。苛立ちが蘇る。
(おかあさん…たすけてよ…。ぼく、くるしいよ。
だって、みんなぼくをひとりぼっちにしていなくなっちゃうんだよ……)
すでにこの世にはいない母に哀願する。当然、返答などなかった。
この世では与えられたものは必ず何かに奪われてしまう。
だがそれに逆らい、鳥居を病魔からまもるため、彼を不死に変えたのが鳥居の母親だった。
つまり鳥居の永遠の孤独の元凶は母親の愛。それなのに今だ鳥居は母親を慕っているのだ。
鳥居はジャンを見据える。先ほどジャンは、鳥居に代わりのものなどあるのかと問うた。
鳥居もそんなものはない、探している途中。と思っていた。
だが、それは近くにあったのだ。ただ近すぎて気付かなかっただけ。
そう絆だ。今まわりにいる人たちとの絆。
それに日本にいるサーカスの団員たち。それとお客さま。たくさんの笑顔。
鳥居は今頃になってマリーの言っていることがわかったのだ。
「……ジャン。あなたのその笑顔は醜いですよ。惨めになりませんか?人を傷つけて笑っている自分が。
それに思い起こしてみてください。あなたが大切に思っていた人たちを。彼らは笑ってますか?あなたの心のなかで」
小さな鳥居の体から蒸気が噴出する。血の蒸気が。
それは血臭とともに霧状となって鳥居の周囲、ジャンの周囲を包み込んでゆく。
なんと傷口から血が蒸発しているのだ。炎の神気の力で。
神気は万物の元となる気。鳥居は神の気と魔の気の二つを一つの体に内在させていたのだ。
「僕はずっと見ていたいんです。みんなの笑顔を!!」
【周辺に血の霧を発生させました】
>「さあ、今度はどう躱すつもりだ?」
眼下で嬉々とした表情を見せるジャンはまるで鯱。
鳥居はというとまるで海上に跳ね上げられたペンギンだ。
この男は本当に殺戮を楽しんでいる。鳥居は歯噛みしながらその場で回転。
僧房に隠されていた部屋からいただいてきた中国風の黒マントを脱ぎ捨てると
それを彼の視界に被せ思いっきり両の手で張り手。
視界の遮断と空気抵抗による落下速度の軽減で、
ジャンの剣撃の確実性を奪い、深く自分の肉体を切断することを防いでみせる。
「うくく…」
だがジャンの剣は完全に避けきれていなかった。鳥居は地面に転がった。
脇腹を抉られたために大量の血が流れ出してしまっている。
再生するまでには数分時間がかかってしまうようだ。
しかしそれよりもなによりも、鳥居の視界に飛び込んだものは胸に短刀を受けたアカネの姿。
「…あかねさん」
脇腹を押さえながら力なく立ち上がる。鳥居は今ごろになって気付く。
あかねも奪われてはいけないものの一つということに。
「動いちゃ、ダメです」
あかねの状態は普通ではない。もちろんあれだけの出血で術を使うのは自殺行為。
それは素人の鳥居でもわかること。……胸がしめつけられる。
いつもこんなふうに、鳥居は人が死んでゆくのをみてきた。
ふたたび失われてしまうことへの恐怖。苛立ちが蘇る。
(おかあさん…たすけてよ…。ぼく、くるしいよ。
だって、みんなぼくをひとりぼっちにしていなくなっちゃうんだから……)
すでにこの世にはいない母に哀願する。当然、返答などなかった。
この世では与えられたものは必ず何かに奪われてしまう。
だがそれに逆らい、鳥居を病魔からまもるため、彼を不死に変えたのが鳥居の母親だった。
つまり鳥居の永遠の孤独の元凶は母親の愛。それなのに今だ鳥居は母親を慕っているのだ。
鳥居はジャンを見据える。先ほどジャンは、鳥居に代わりのものなどあるのかと問うた。
鳥居もそんなものはない、探している途中。と思っていた。
だが、それは近くにあったのだ。ただ近すぎて気付かなかっただけ。
そう絆だ。今まわりにいる人たちとの絆。
それに日本にいるサーカスの団員たち。それとお客さま。たくさんの笑顔。
鳥居は今頃になってマリーの言っていることがわかったのだ。
「……ジャン。あなたのその笑顔は醜いです。惨めになりませんか?人を傷つけて笑っている自分が。
それに思い起こしてみてください。あなたが大切に思っていた人たちを。彼らは笑ってますか?あなたの心のなかで」
ふと見ると、鳥居の体から蒸気が噴出している。血の蒸気が傷口から。 そう、炎の神気がよみがえりつつあったのだ。
神気は万物の元となる気。鳥居は神の気と魔の気の二つを一つの体に内在させていたのだ。
(これって…)自身から立ち上る蒸気に鳥居はあることを思いつく。
だから自分の体を爪で撫でるように引き裂いた。とともに内側から湧き出る神気が血液を蒸発させる。
それは血臭とともに霧状となって鳥居の周囲、ジャンの周囲を包み込んでゆくことだろう。
鳥居はジャンの視界を奪うつもりだった。
「マリーさん、僕、わかりました。僕はずっと見ていたいんです。みんなの笑顔を!!」
【周辺に血の霧を発生させつつあります】
名前・アムリーテ・クラスタ
性別・女型
年齢・17
髪型・ボブ・カット(金髪)
瞳色・コバルトブルー
容姿・白いビキニに黒い金色刺繍のコートを羽織っている。
頭にはサークレット。襟元には真っ赤なリボン。靴はブーツ。
備考・人間の魂を持ったアンドロイド。
両手両足は取り外すことが出来、戦況に合わせた武装が可能。
その体は最強の強度を誇るかわり、見た目より滅茶苦茶重い。鈍足。
得意技・殲滅特殊兵装「フォトン・レイ」チャージ時間に難あり。
好きなもの・魔力乾電池
苦手なもの・雷。水。埃。
うわさ1・
うわさ2・
>「鳥居ッ!それでは大切な人を奪われた人間はどうなる!
大切な人から引き剥がされた人間の意思はどうなる!そんな卑しい理屈は投げ捨てろ!」
マリーは鳥居を一喝する。そんな卑しい理屈は投げ捨てろ、と言う。
それゆえに、鳥居にはわからなくなる。
フェイ老人は愛する子どもたちを守るために自分たちの命を奪おうとした。
マリーも苦しむ人を守るために命を奪う。
皆、奪うことによって満たされようとしている。
>「代わり……代わりか!面白い事を言うな吸血鬼!
お前には親の代わりが、友の代わりがあると言うのか!」
嘲笑するかのように叫ぶジャン。彼の言うことにも一理ある。大切なものに代わりなんてない。
しかし、それでは孤独な者は死ぬまで不幸であるということを認めてしまうことになる。
それでは悲しすぎるのだ。自分自身が。鳥居は見つけてみたいのだ。孤独から救われる方法を。
瓦を投げつける腕に自然と力がこもる。
だが無情にも、ジャン目掛け飛んでゆく瓦は硬質な音を立てて白壁に散華するのみ。
>「俺にはそんなものはいない。皆の代わりなど、この世のどこにもな。
……あぁ、そうか。お前達は確か、血を吸えば誰もかもを血族に出来るんだったな。
なるほどな、流石は吸血鬼。たかが殺人鬼の俺では、到底及ばぬ思考を持っている」
「バカにして。僕にとって血族はそんなにはしたないものじゃないんです!」
鳥居はジャンの引き寄せる力を警戒しながら距離をとり続けている。
おまけに瓦の投擲。しかし、ジャンの動きに手抜かりはなかった。
軽妙な動きでマリーを遮断物と変えてしまっていた。
「…くく!」
これでは拉致があかない。鳥居にはこれと言った決め手もない。
勝敗を決するにはやはり双條マリーによる必殺の一撃しかないようだ。
ならばどうするか。鳥居はあかねに視線を移す。
>「あかね!何かサポートをしてくれ、私と鳥居だけじゃ無理だ」
それはマリーも察していたらしい。あかねに援護を要請。
だが彼女は完全に浮き足立っている様子。何か具体的に指示をしないと…。
そう思った次の瞬間、鳥居は宙に浮いていた。
(しまりました!)
何もない空中。距離は多めにとっていたつもりが、
ジャンは二つの距離を斬り詰め、その刃圏に鳥居をおさめていた。
>「さあ、今度はどう躱すつもりだ?」
眼下で嬉々とした表情を見せるジャンはまるで鯱。
鳥居はというとまるで海上に跳ね上げられたペンギンだ。
この男は本当に殺戮を楽しんでいる。鳥居は歯噛みしながらその場で回転。
僧房に隠されていた部屋からいただいてきた中国風の黒マントを脱ぎ捨てると
それを彼の視界に被せ思いっきり両の手で張り手。
視界の遮断と空気抵抗による落下速度の軽減で、
ジャンの剣撃の確実性を奪い、深く自分の肉体を切断することを防いでみせる。
「うくく…」
だがジャンの剣は完全に避けきれていなかった。鳥居は地面に転がった。
脇腹を抉られたために大量の血が流れ出してしまっている。
再生するまでには数分時間がかかってしまうようだ。
しかしそれよりもなによりも、鳥居の視界に飛び込んだものは胸に短刀を受けたアカネの姿。
「…あかねさん」
脇腹を押さえながら力なく立ち上がる。鳥居は今ごろになって気付く。
あかねも奪われてはいけないものの一つということに。
「動いちゃ、ダメです」
あかねの状態は普通ではない。もちろんあれだけの出血で術を使うのは自殺行為。
それは素人の鳥居でもわかること。……胸がしめつけられる。
いつもこんなふうに、鳥居は人が死んでゆくのをみてきた。
ふたたび失われてしまうことへの恐怖。苛立ちが蘇る。
(おかあさん…たすけてよ…。ぼく、くるしいよ。
だって、みんなぼくをひとりぼっちにしていなくなっちゃうんだから……)
すでにこの世にはいない母に哀願する。当然、返答などなかった。
この世では与えられたものは必ず何かに奪われてしまう。
だがそれに逆らい、鳥居を病魔からまもるため、彼を不死に変えたのが鳥居の母親だった。
つまり鳥居の永遠の孤独の元凶は母親の愛。それなのに今だ鳥居は母親を慕っているのだ。
鳥居はジャンを見据える。先ほどジャンは、鳥居に代わりのものなどあるのかと問うた。
鳥居もそんなものはない、探している途中。と思っていた。
だが、それは近くにあったのだ。ただ近すぎて気付かなかっただけ。
そう絆だ。今まわりにいる人たちとの絆。
それに日本にいるサーカスの団員たち。それとお客さま。たくさんの笑顔。
鳥居は今頃になってマリーの言っていることがわかったのだ。
「……ジャン。あなたのその笑顔は醜いです。惨めになりませんか?人を傷つけて笑っている自分を。
それに思い起こしてみてください。あなたが大切に思っていた人たちを。彼らは笑ってますか?あなたの心のなかで」
ふと見ると、鳥居の体から蒸気が噴出している。血の蒸気が傷口から。 そう、炎の神気がよみがえりつつあったのだ。
神気は万物の元となる気。鳥居は神の気と魔の気の二つを一つの体に内在させていたのだ。
(これって…)自身から立ち上る蒸気に鳥居はあることを思いつく。
だから自分の体を爪で撫でるように引き裂いた。とともに内側から湧き出る神気が血液を蒸発させる。
それは血臭とともに霧状となって鳥居の周囲、ジャンの周囲を包み込んでゆくことだろう。
鳥居はジャンの視界を奪うつもりだった。
「マリーさん、僕、わかりました…。僕はずっと見ていたいんです。みんなの笑顔を…」
【周辺に血の霧を発生させつつあります】
名前・アムリーテ・クラスタ
性別・女型
年齢・17
髪型・ボブ・カット(金髪)
瞳色・コバルトブルー
容姿・白いビキニに黒い金色刺繍のコートを羽織っている。
頭にはサークレット。左目に眼帯。襟元には真っ赤なリボン。靴はブーツ。
備考・人間の魂を持ったアンドロイド。 海賊ルックでコートの下は水着、そんな感じ。
両手両足は取り外すことが出来、戦況に合わせた武装が可能。
その機械の体はの戦車並みの強度を誇るかわり、見た目より滅茶苦茶重い。鈍足。
基本的に魔力電池は万物に宿る「気」を特殊な装置を用いて収集。
魔力電池に貯蓄した「気」は光エネルギーに変換される。
体内を汚されると内部から強風を発生させて汚れを排出する。
得意技・殲滅特殊兵装「フォトン・レイ」チャージ時間に難あり。
左目の眼帯から圧縮砲。フォトンナックル。基本怪力。
好きなもの・魔力乾電池。機械類。家電。昆虫。
苦手なもの・雷。水。埃。 ふわふわしたもの。やわらかくてすぐ壊れるもの。
うわさ1・この世のどこかでずっと眠っていたらしい。
うわさ2・
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさに、ペルソナ使いたちと大型のシャドウとの戦いの火蓋がきられたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
逃げたい、助けを呼びたい、それは海棠も同じ気持ちだった。でも今逃げたら神部は……。
スサノの声も上の空で、海棠は召喚器を握ったまま。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿が映っている。
なんとかしないと。そう思った矢先、今度はスサノが剣を掲げ、シャドウに挑まんとしていた。
その姿に海棠は戦慄する。このままでは二人は死んでしまうだろう。
すると頭のなかに言葉が浮かび上がる。
かつて自分がジョーカーに言い放った言葉が…。
(私は何もかもが終わるまで、ぼーっと見ていたい。ただそれだけ)
だとしたら、この化け物が終わりの始まりだとしたら、終わると言うことはそんなに生温いことではないのだ。
「いったいなんなのよ、ジョーカーはっ。こんな仕事を私に押し付けるなんて!」
独語して、生唾を飲み込む。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。――でも少し怖かった。
自分の心の奥底に眠る、慟哭の主の正体はいったいなんなのだろう。
――ガワン!突如金属音。目を瞠る海棠。
シャドウは横薙ぎの風に叩かれ吹き飛ばされていた。
続けざま人影が駆け抜け、倒れたシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
シャドウの無表情な仮面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かってこう叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。当然、彼を詮索するのは後まわし。
なぜならシャドウは、中務のペルソナ、クダンの術により正気を失っているからだ。
この好機を絶対に逃すわけにはいかない。
名前・アムリーテ・クラスタ
性別・女型
年齢・17
髪型・ボブ・カット(金髪)
瞳色・コバルトブルー
容姿・白いビキニに黒い金色刺繍のコートを羽織っている。
頭にはサークレット。左目に眼帯。襟元には真っ赤なリボン。靴はブーツ。
備考・人間の魂を持ったアンドロイド。 海賊ルックでコートの下は水着。
腹部両腕脚部はメカメカしく歯車や配線が露出している。
頭部両手両足は取り外すことができ、戦況に合わせた武装が可能。
その機械の体はの戦車並みの強度を誇るかわり、見た目より滅茶苦茶重い。鈍足。
基本的に魔力電池は万物に宿る「気」を特殊な装置を用いて収集。
魔力電池に貯蓄した「気」は光エネルギーに変換される。
体内を汚されると内部から強風を発生させて汚れを排出する。
得意技・殲滅特殊兵装「フォトン・レイ」チャージ時間に難あり。
左目の眼帯から圧縮砲。フォトンナックル。基本怪力。
好きなもの・魔力乾電池。機械類。家電。昆虫。
苦手なもの・雷。水。埃。 ふわふわしたもの。やわらかくてすぐ壊れるもの。
うわさ1・この世のどこかでずっと眠っていたらしい。
うわさ2・海賊ルックはアムリーテを修理した先生の趣味らしい。
名前・アムリーテ・クラスタ
性別・女型
年齢・15
髪型・ロングヘア(金髪)
瞳色・コバルトブルー
容姿・白いビキニに黒い金色刺繍のコートを羽織っている。
頭にはサークレット。左目に眼帯。襟元には真っ赤なリボン。靴はブーツ。
備考・人間の魂を持った機械人形。 海賊ルックでコートの下は水着。
腹部両腕脚部はメカメカしく歯車や配線が露出している。
頭部両手両足は取り外すことができ、戦況に合わせた武装が可能。
その機械の体はの戦車並みの強度を誇るかわり、見た目より滅茶苦茶重い。鈍足。
基本的に魔力電池は万物に宿る「気」を特殊な装置を用いて貯蓄される。
魔力電池に貯蓄された「気」は光エネルギーに変換される。
体内を汚されると内部から強風を発生させて汚れを排出する。
得意技・殲滅特殊兵装「フォトン・レイ」チャージ時間に難あり。
左目の眼帯から圧縮砲。フォトンナックル。基本怪力。
好きなもの・魔力乾電池。機械類。家電。昆虫。
苦手なもの・雷。水。埃。 ふわふわしたもの。やわらかくてすぐ壊れるもの。
うわさ1・この世のどこかでずっと眠っていたらしい旧世界の機械人形。
うわさ2・海賊ルックはアムリーテを修理した先生の趣味らしい。
うわさ3・もともと子どもを守りたいという気持ちが強いらしい。
名前・アムリーテ・クラスタ
性別・女型
年齢・15
髪型・ロングヘア(金髪)
瞳色・コバルトブルー
容姿・白いビキニに黒い金色刺繍のコートを羽織っている。
頭にはサークレット。左目に眼帯。襟元には真っ赤なリボン。靴はブーツ。
備考・人間の魂を持った機械人形。 海賊ルックでコートの下は水着。
腹部両腕脚部はメカメカしく歯車や配線が露出している。
頭部両手両足は取り外すことができ、戦況に合わせた武装が可能。
その機械の体は戦車以上の強度を誇るかわり、見た目より滅茶苦茶重い。鈍足。
基本的に魔力電池は万物に宿る「気」を特殊な装置を用いて貯蓄される。
魔力電池に貯蓄された「気」は光エネルギーに変換される。
体内を汚された場合、内部から強風を発生。汚れの排出が可能。
得意技・殲滅特殊兵装「フォトン・レイ」チャージ時間に難あり。
左目の眼帯から圧縮砲。フォトンナックル。基本怪力。
好きなもの・魔力乾電池。機械類。家電。昆虫。
苦手なもの・雷。水。埃。 ふわふわしたもの。やわらかくてすぐ壊れるもの。
うわさ1・この世のどこかでずっと眠っていたらしい旧世界の機械人形。
うわさ2・海賊ルックはアムリーテを修理した先生の趣味らしい。
名前・アムリーテ・クラスタ
性別・女型
年齢・15
髪型・ボブカット(金髪)
瞳色・コバルトブルー
容姿・白いビキニに黒い金色刺繍のコートを羽織っている。
頭にはサークレット。襟元には真っ赤なリボン。靴はブーツ。
備考・人間の魂を持った機械人形。 海賊ルックでコートの下は水着。
腹部両腕脚部はメカメカしく歯車や配線が露出している。
頭部両手両足は取り外すことができ、戦況に合わせた武装が可能。
その機械の体は戦車以上の強度を誇るかわり、見た目より滅茶苦茶重い。鈍足。
基本的に魔力電池は万物に宿る「気」を特殊な装置を用いて貯蓄される。
魔力電池に貯蓄された「気」は光エネルギーに変換される。
体内を汚された場合、内部から熱風が発生。汚れの排出と乾燥が可能。
得意技・殲滅特殊兵装「フォトン・レイ」
フォトンナックル。基本怪力。 大腿部に小型誘導ミサイル。
レーダーによる索敵。
好きなもの・魔力乾電池。機械類。家電。昆虫。
苦手なもの・雷。水。埃。 ふわふわしたもの。やわらかくてすぐ壊れるもの。
うわさ1・この世のどこかでずっと眠っていたらしい旧世界の遺物。
うわさ2・海賊ルックはアムリーテを修理した先生の趣味らしい。
片言。おっとりしている。
名前・アムリーテ・クラスタ
性別・女型
年齢・15
髪型・ボブカット(金髪)
瞳色・コバルトブルー
容姿・白いビキニに黒い金色刺繍のコートを羽織っている。
頭にはサークレット。襟元には真っ赤なリボン。靴はブーツ。
備考・人間の魂を持った機械人形。 海賊ルックでコートの下は水着。
腹部両腕脚部などの可動部はメカメカしく歯車や配線が露出している。
頭部両手両足は取り外すことができ、戦況に合わせた武装が可能。
その機械の体は戦車以上の強度を誇るかわり、見た目より滅茶苦茶重い。鈍足。
基本的に魔力電池は万物に宿る「気」を特殊な装置を用いて貯蓄される。
魔力電池に貯蓄された「気」は光エネルギーに変換される。
体内を汚された場合、内部から熱風が発生。汚れの排出及び乾燥が可能。
得意技・殲滅特殊兵装「フォトン・レイ」
フォトンナックル。基本怪力。 大腿部に小型誘導ミサイル。
レーダーによる索敵。
好きなもの・魔力乾電池。機械類。家電。昆虫。
苦手なもの・雷。水。埃。 ふわふわしたもの。やわらかくてすぐ壊れるもの。
うわさ1・この世のどこかでずっと眠っていたらしい旧世界の遺物。
うわさ2・海賊ルックはアムリーテを修理した先生の趣味らしい。
片言。おっとりしている。
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさに、ペルソナ使いたちと大型のシャドウとの戦いの火蓋がきられたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
逃げたい、助けを呼びたい、それは海棠も同じ気持ちだった。でも今逃げたら神部は……。
スサノの声も上の空で、海棠は召喚器を握ったまま。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿が映っている。
なんとかしないと。そう思った矢先、今度はスサノが剣を掲げ、シャドウに挑まんとしていた。
その姿に海棠は戦慄する。このままでは二人は死んでしまうだろう。
すると頭のなかに言葉が浮かび上がる。
かつて自分がジョーカーに言い放った言葉が…。
(私は何もかもが終わるまで、ぼーっと見ていたい。ただそれだけ)
だとしたら、この化け物が終わりの始まりだとしたら、終わると言うことはそんなに生温いことではないのだ。
「いったいなんなのよ、ジョーカーはっ。こんな仕事を私に押し付けるなんて!」
独語して、生唾を飲み込む。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。――でも少し怖かった。
自分の心の奥底に眠る、慟哭の主の正体はいったいなんなのだろう。
――ガワン!突如金属音。目を瞠る海棠。
シャドウは横薙ぎの風に叩かれ吹き飛ばされていた。
続けざま人影が駆け抜け、倒れたシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
シャドウの無表情な仮面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かってこう叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。当然、彼を詮索するのは後まわし。
なぜならシャドウは、中務のペルソナ、クダンの術により正気を失っているからだ。
この好機を絶対に逃すわけにはいかない。海棠は眉根を寄せ戦う決心をする。
>「……来いッ! ラクシャーサ! 切り刻め! 『キルラッシュ』!」
目に映る赤紫の奔流。硬質な音とともに闇に散る火花。
それは宙で踵を返す。その姿はまるで悪鬼。
>「まだ、だ! 手を緩めるなラクシャーサ! 『キルラッシュ』! 『疾風斬』! 『キルラッシュ』!」
切って切って、刻め刻め! あぁ、畜生! まったく気が収まらねぇ、苛つきが止まらねぇ!
俺の自業自得が入ってるとはいえ人様の日常をぶっ壊しやがって化物が! 壊れろ! もっと壊れろ!
コンテナの横。発狂したかのように男が悪鬼に命令を下している。
制服から月光館の生徒とわかったが、彼らは仲間なのだろうか。
わからない。わからないことだらけ。ここにきてペルソナのオンパレード。
もしかして召喚器さえあれば誰でもペルソナ使いになることが出来るのだろうか。
このままあの人たちでだけで勝てそう。海棠は期待した。
しかし、巨大な機械の化け物は倒れなかった。
鬼の形をしたものがあれだけ打ち据えたら動物の象だって瀕死になるはず。
バスさえも大炎上することだろう。どうやらあれは普通の代物ではないのだ。
海棠は、帰ったらトーラスに問い詰めなければならないと思う。
私を殺す気だったのか、と。
視線の先の風祭はすでにふらふら。シャドウも体勢を整えつつある。
唇を噛んでいる海棠の顔はぎゅっと小さくなった感じだった。
姿勢も悪く首をすくめて萎縮していた。引き金にかけた指も小さく震えている。
だが、もう戦うしかないのだ。原始的な感情を呼び起こせ海棠。
男たちが狩りに出かけている間に、住んでいる洞窟が猛獣に襲われたと思え。
「……来たれ。ペルソナ!」
叫び声と同時に体が青い光に包まれた。引き金を引くと同時にガラスの割れるような硬質な音。
空気が震える。聞くものの精神を破壊するかのように轟く咆哮。
緩やかに揺れる黒髪。スカートの裾。青白い光が渦潮のように海棠を中心に渦巻いている。
渦の中心からは口元しか見えない長い髪の女が浮かび上がってくる。
美しい衣を纏い、フランスの貴婦人のドレススカートのように大きく膨らんだ下半身で海棠を包み込んでいる。
そう、これが海棠のペルソナ「オトヒメ」だった。海神の娘。海底という異界の住人。別れる定めの女。
すさまじい破壊音。同時に埃っぽい風が海棠の全身を撫でる。
そう、今まさに、ペルソナ使いたちと大型のシャドウとの戦いの火蓋がきられたのだ。
海棠美帆は唇を噛んだあと、前方にゆっくりと歩む。
その後驚愕。向こうから走ってくるのはスサノミコト。
その後ろには、脹脛から大量の血を流しながら一人、シャドウと奮戦している神部衣世。
(そっか、二人を巻き込んじゃったんだ…)
二人に危険を伝えておけばよかった。そう思っても後の祭りだ。
それ以前に海棠は、二人の携帯番号を知らない。
後悔先に立たず。あとから気付いたって意味がない。
海棠は震える手で、ウエストポーチから召喚器を取り出す。
>「そんな所に突っ立ってないで早く逃げよう! 助けを呼ぶぞ……!」
逃げたい、助けを呼びたい、それは海棠も同じ気持ちだった。でも今逃げたら神部は……。
スサノの声も上の空で、海棠は召喚器を握ったまま。
その瞳には鉄パイプを失い狼狽している神部の姿が映っている。
なんとかしないと。そう思った矢先、今度はスサノが剣を掲げ、シャドウに挑まんとしていた。
その姿に海棠は戦慄する。このままでは二人は死んでしまうだろう。
すると頭のなかに言葉が浮かび上がる。
かつて自分がジョーカーに言い放った言葉が…。
(私は何もかもが終わるまで、ぼーっと見ていたい。ただそれだけ)
だとしたら、この化け物が終わりの始まりだとしたら、終わると言うことはそんなに生温いことではないのだ。
「いったいなんなのよ、ジョーカーはっ。こんな仕事を私に押し付けるなんて!」
独語して、生唾を飲み込む。
自分にペルソナという不思議な力があるのなら、今使わなければ。
召喚器をコメカミに向けて構える。――でも少し怖かった。
自分の心の奥底に眠る、慟哭の主の正体はいったいなんなのだろう。
――ガワン!突如金属音。目を瞠る海棠。
シャドウは横薙ぎの風に叩かれ吹き飛ばされていた。
続けざま人影が駆け抜け、倒れたシャドウの鼻っ面に蹴りを叩き込む。
シャドウの無表情な仮面に靴底を叩き込みながら、どう見ても不良の男は、三人に向かってこう叫ぶ。
>「戦えねぇとか、度胸ねェとか、役に立たねぇ奴はさっさと引っ込め!
なんかできるやつはそこらの廃材でも鉄パイプでも持つなり、石投げるなりしてくんね!?
ちょいと、俺一人じゃどーしようもねェからよぉ!! だァ……ッ、デビルタッチ!」
オールバックのメガネは春日高校の生徒らしい。それもペルソナ使い。
牛の頭蓋を被った和服の男を傍らに従えている。当然、彼を詮索するのは後まわし。
なぜならシャドウは、中務のペルソナ、クダンの術により正気を失っているからだ。
この好機を絶対に逃すわけにはいかない。海棠は引き金にかけた指に力を込めようとする。
そのときだった――
>「……来いッ! ラクシャーサ! 切り刻め! 『キルラッシュ』!」
目に映る赤紫の奔流。硬質な音とともに闇に散る火花。
それは宙で踵を返す。その見返った様はまるで悪鬼。
>「まだ、だ! 手を緩めるなラクシャーサ! 『キルラッシュ』! 『疾風斬』! 『キルラッシュ』!」
切って切って、刻め刻め! あぁ、畜生! まったく気が収まらねぇ、苛つきが止まらねぇ!
俺の自業自得が入ってるとはいえ人様の日常をぶっ壊しやがって化物が! 壊れろ! もっと壊れろ!
コンテナの横。発狂したかのように男が自身のペルソナに命令を下している。
制服から月光館の生徒とわかったが、彼らは仲間なのだろうか。
わからない。わからないことだらけ。ここにきてペルソナのオンパレード。
もしかして召喚器さえあれば誰でもペルソナ使いになることが出来るのだろうか。
このままあの人たちでだけでも勝てそうと海棠は期待した。
しかし、巨大な機械の化け物は倒れなかった。
鬼の形をしたものがあれだけ打ち据えたら動物の象だって瀕死になるはず。
バスさえも大炎上することだろう。どうやらあれは普通の代物ではないのだ。
海棠は、帰ったらトーラスに問い詰めなければならないと思う。
私を殺す気だったのか、と。
視線の先の風祭はすでにふらふら。シャドウも体勢を整えつつある。
唇を噛んでいる海棠の顔はぎゅっと小さくなった感じだった。
姿勢も悪く首をすくめて萎縮していた。引き金にかけた指も小さく震えている。
だが、もう戦うしかないのだ。 ここには逃げる理由よりも戦う理由のほうが多い。
何はともあれ、この行動の先にはジョーカーがいる。
海棠にはあの悲しげに俯いた仮面の男が忘れられない。
「……来たれ。ペルソナ!」
叫び声と同時に体が青い光に包まれた。引き金を引くと同時にガラスの割れるような硬質な音。
空気が震える。聞くものの精神を破壊するかのように轟く甲高い咆哮。
緩やかに揺れる海棠の黒髪。スカートの裾。青白い光が渦潮のように彼女を中心に渦巻いている。
渦の中心からは口元しか見えない長い髪の女が浮かび上がってくる。
美しい衣を纏い、フランスの貴婦人のドレススカートのように大きく膨らんだ下半身で海棠を包み込んでいる。
そう、これが海棠のペルソナ「オトヒメ」だった。海神の娘。海底という異界の住人。別れる定めの女。
「これが…私のペルソナ…お、オトヒメ?」
ペルソナの青く優しい光に包まれながら、ペルソナの声を聞いたような気がした。
オトヒメは神部の傷を治せると心に語りかけてくる。そのスペルの名はディア。
なので海棠は神部の元へ駆ける。
「あの、神部さん。…ごめんなさい。私、不器用だから…」
オトヒメの手が神部の脹脛に刺さったガラス片を引き抜くと
その指先からきらきらと輝く飛沫が優しい雨となって傷口を潤す。
そして神部の傷口はもののみごとに塞がった。
あとはもしかしたら…そんな期待を込めて、神部に召喚器を差し出す。
「これ、召喚器って言うの。ピストルみたいな形をしてるけど弾は入ってないわ。
これを自分に向けて撃ってみて。もしかしたら貴女もペルソナを呼び出せるかもしれない。
貴女が会いたいって言っていた天使様を呼び出すことが出来るかもしれないわ」
そう言って海棠は二人の前に盾となって、ポーチからもう一つの武器、
正真正銘のピストルをシャドウに向かって構えた。
トーラスからもらった魔物に効果のあるというコルトポニーというピストルだ。
「ごめんね。スサノちゃんも。なんとか貴女だけは逃げられるようにするから」
撃鉄をあげる。銃口をシャドウに向ける。
「どいて!」
ラクシャーサのペルソナ使いに向かって叫ぶ。
その後、発砲。弾丸はシャドウの体に命中はしたようだが
跳ね返る無数の金属音とともに脇に置いてあったドラム缶に命中。
同時にドラム缶が爆裂し、爆風で横薙ぎに倒されるシャドウ。
その体は長いこと封鎖されていた工場の大扉に衝突。外気をフロア内に流し込む。
いっぽうでドラム缶から噴出した炎は生き物のように壁や天井を這いまわる。
「これが…私のペルソナ…お、オトヒメ?」
ペルソナの青く優しい光に包まれながら、ペルソナの声を聞いたような気がした。
オトヒメは神部の傷を治せると心に語りかけてくる。そのスペルの名はディア。
なので海棠は神部の元へ駆ける。
「あの、神部さん。…ごめんなさい。私、不器用だから…」
オトヒメの手が神部の脹脛に刺さったガラス片を引き抜くと
その指先からきらきらと輝く飛沫が優しい雨となって傷口を潤す。
そして神部の傷口はもののみごとに塞がった。
あとはもしかしたら…そんな期待を込めて、神部に召喚器を差し出す。
「これ、召喚器って言うの。ピストルみたいな形をしてるけど弾は入ってないわ。
これを自分に向けて撃ってみて。もしかしたら貴女もペルソナを呼び出せるかもしれない。
貴女が会いたいって言っていた天使様を呼び出すことが出来るかもしれないわ」
そう言って海棠は二人の前に盾となって、ポーチからもう一つの武器、
正真正銘のピストルをシャドウに向かって構えた。
トーラスからもらった魔物に効果のあるというコルトポニーというピストルだ。
「ごめんね。スサノちゃんも。なんとか貴女だけは逃げられるようにするからね」
撃鉄をあげる。銃口をシャドウに向ける。
「どいて!」
ラクシャーサのペルソナ使いに向かって叫ぶ。
その後、発砲。弾丸はシャドウの体に命中はしたようだが
跳ね返る無数の金属音の反響とともに虚しく虚空に消えた。
海棠の額には冷や汗が流れる。トーラスのコルトポニーで魔物を倒せるなんて嘘。
まったく効果がなかった。本当に彼に嵌められたのでは、と思ってしまう。
「なにか、他に出来ることってないの!?」
オトヒメに問いかける。するとオトヒメはアクアという術が使えると答える。
もちろん海棠にだけ聞こえる心の声で。
それは例えたら強力な水鉄砲なのだと無意識にイメージが流れ込んでくる。
「だったら今すぐ使うから!」
シャドウに向けてオトヒメと海棠が同じ動きで指をさす。
ペルソナの指し示した指先にはエネルギーが凝縮。
狙いを定めたあと、それは一気に解き放たれる。
「アクア!」
水の気が迸る。一直線にシャドウにめがけて。
「アクア!…アクア!」
立て続けに二撃三撃。二撃目を喰らったシャドウは大きく体勢を崩している。
もう一撃でダウン。そう思っていた。しかし――
…マハラギオン!!
火炎で視界がいっぱいになる。
「きゃああああああ!!」
オトヒメが悲鳴をあげる。
透明なスカートの内部にいる海棠にも体が焼ける痛みが伝わってくる。
気絶しそうな激しい痛みが。これはオトヒメのウィークポイント。火炎の力。
シャドウは火炎系の術を使用したのだった。
シャドウはぎこちない動きでアクアの水撃で濡れた床を這ってくる。
その一方でマハラギオンで生み出された炎は生き物のように壁、天井に這い上がってゆく。
下は洪水、上は大火事。まさに生き地獄。
しかし、シャドウの体も亀裂だらけのようだ。
あと一押し出来さえすれば、必ず殲滅することが出来るだろう。
「これが…私のペルソナ…お、オトヒメ?」
ペルソナの青く優しい光に包まれながら、ペルソナの声を聞いたような気がした。
オトヒメは神部の傷を治せると心に語りかけてくる。そのスペルの名はディア。
なので海棠は神部の元へ駆ける。
「あの、神部さん。…ごめんなさい。私、不器用だから…」
オトヒメの手が神部の脹脛に刺さったガラス片を引き抜くと
その指先からきらきらと輝く飛沫が優しい雨となって傷口を潤す。
そして神部の傷口はもののみごとに塞がった。
海棠はまっすぐに神部の顔を見ながら彼女に召喚器を差し出す。
そう、まるで形見でも手渡すかのように。
「これ、召喚器って言うの。ピストルみたいな形をしてるけど弾は入ってないよ。
これを自分に向けて撃ってみて。もしかしたら貴女もペルソナを呼び出せるかもしれない。
これで貴女が会いたいって言っていた天使様を呼び出すことが出来るかもしれないわ」
そう言って海棠は二人の前に盾となって、ポーチからもう一つの武器、
正真正銘のピストルをシャドウに向かって構えた。
トーラスからもらった魔物に効果のあるというコルトポニーというピストルだ。
「ごめんね。スサノちゃんも。なんとか貴女たちだけは逃げられるようにするからね」
撃鉄をあげる。銃口をシャドウに向ける。
「そこの人どいて!」
ラクシャーサのペルソナ使いに向かって叫ぶ。
その後、発砲。弾丸はシャドウの体に命中はしたようだが
跳ね返る無数の金属音の反響とともに虚しく虚空に消えた。
海棠の額には冷や汗が流れる。トーラスのコルトポニーで魔物を倒せるなんて嘘。
まったく効果がなかった。本当に彼に嵌められたのでは、と思ってしまう。
「なにか、他に出来ることってないの!?」
オトヒメに問いかける。するとオトヒメはアクアという術が使えると答える。
もちろん海棠にだけ聞こえる心の声で。
それは例えたら強力な水鉄砲なのだと無意識にイメージが流れ込んでくる。
「だったら今すぐ使うから!」
シャドウに向けてオトヒメと海棠が同じ動きで指をさす。
ペルソナの指し示した指先にはエネルギーが凝縮。
狙いを定めたあと、それは一気に解き放たれる。
「アクア!」
水の気が迸る。一直線にシャドウにめがけて。
「アクア!…アクア!」
立て続けに二撃三撃。二撃目を喰らったシャドウは大きく体勢を崩している。
もう一撃でダウン。そう思っていた。しかし――
…マハラギオン!!
火炎で視界がいっぱいになる。
「きゃああああああ!!」
オトヒメが悲鳴をあげる。
透明なスカートの内部にいる海棠にも体が焼ける痛みが伝わってくる。
気絶しそうな激しい痛みが伝わってくる。
これはオトヒメのウィークポイント。火炎の力。
そう、シャドウは火炎系の術を使用したのだった。
ガシャン!崩した体勢が自重で復活。
さらにシャドウはぎこちない動きでアクアの水撃で濡れた床を這ってくる。
その一方でマハラギオンで生み出された炎は生き物のように壁、天井に這い上がってゆく。
下は洪水、上は大火事。まさに生き地獄。
しかし、シャドウの体も亀裂だらけのようだ。
あと一押し出来さえすれば、必ず殲滅することが出来るだろう。
名前・アムリーテ・クラスタ
性別・女型
年齢・15
髪型・ボブカット(黒髪)
瞳色・灰色
容姿・白のラインが綺麗に入ったスク水姿(実は超合金)
頭にはサークレット。襟元には真っ赤なリボン。靴はブーツ。
備考・人間の魂を持った機械人形。
腹部両腕脚部などの可動部はメカメカしく歯車や配線が露出している。
頭部両手両足は取り外すことができ、戦況に合わせた武装が可能。
その機械の体は戦車以上の強度を誇るかわり、見た目より滅茶苦茶重い。鈍足。
基本的に魔力電池は万物に宿る「気」を特殊な装置を用いて貯蓄される。
魔力電池に貯蓄された「気」は光エネルギーに変換される。
体内を汚された場合、内部から熱風が発生。汚れの排出及び乾燥が可能。
もともと分けのわからない古代兵器だったらしいが、とある先生が極秘裏に再教育。
研究の末にパワーダウンさせるためのパーツを開発し、安全性を確保した。
得意技・殲滅特殊兵装「フォトン・レイ」
胸部に埋め込まれている宝石(エンジェルハート)から光のエネルギーを放出。
フォトンナックル。基本怪力。生体レーダーによる索敵。
好きなもの・魔力乾電池。機械類。家電。昆虫。こども。
苦手なもの・雷。水。埃。 毛むくじゃらなもの。
うわさ1・この世のどこかでずっと眠っていたらしい旧世界の遺物。
うわさ2・とある先生から調教されているらしい。
名前・アムリーテ・クラスタ
性別・女型
年齢・15
髪型・ボブカット(黒髪)
瞳色・灰色
容姿・白のラインが綺麗に入ったスク水姿(実は超合金)
頭にはサークレット。襟元には真っ赤なリボン。靴はブーツ。
備考・人間の魂を持った機械人形。
両腕脚部の可動部はメカメカしく歯車や配線が露出している。
両手両足は取り外すことができ、状況に合わせた特殊装備が可能。
その機械の体は戦車以上の強度を誇るかわり、見た目より滅茶苦茶重い。鈍足。
基本的に魔力電池は万物に宿る「気」を特殊な装置を用いて貯蓄される。
魔力電池に貯蓄された「気」は光エネルギーに変換される。
体内を汚された場合、内部から熱風が発生。汚れの排出及び乾燥が可能。
もともと分けのわからない古代兵器だったらしいが、とある先生が極秘裏に再教育。
研究の末にパワーダウンさせるためのパーツを開発し、安全性を確保した。
得意技・殲滅特殊兵装「フォトン・レイ」
胸部に埋め込まれている宝石(エンジェルハート)から光のエネルギーを放出。
フォトンナックル。基本怪力。こどもレーダーによるこども捜索。
好きなもの・魔力乾電池。機械類。家電。昆虫。こども。
苦手なもの・雷。水。埃。 毛むくじゃらなもの。
うわさ1・この世のどこかでずっと眠っていたらしい旧世界の遺物。
うわさ2・とある先生から調教されているらしい。
名前・アムリーテ・クラスタ
性別・女型
年齢・15
髪型・ボブカット(黒髪)
瞳色・灰色
容姿・白のラインが綺麗に入ったスク水姿(実は超合金)
頭にはサークレット。襟元には真っ赤なリボン。靴はブーツ。
備考・人間の魂を持った機械人形。
両腕脚部の可動部はメカメカしく歯車や配線が露出している。
両手両足は取り外すことができ、状況に合わせた特殊装備が可能。
その機械の体は戦車以上の強度を誇るかわり、見た目より滅茶苦茶重い。鈍足。
基本的に魔力電池は万物に宿る「気」を特殊な装置を用いて貯蓄される。
魔力電池に貯蓄された「気」は光エネルギーに変換される。
体内を汚された場合、内部から熱風が発生。汚れの排出及び乾燥が可能。
もともとは遺跡から発掘された古代兵器だったらしいが、とある先生が改良、及び再教育。
研究の末にパワーダウンさせるためのパーツを開発し、最近やっと、その安全性を確保した。
得意技・殲滅特殊兵装「フォトン・レイ」
胸部に埋め込まれている宝石(エンジェルハート)から光のエネルギーを放出。
フォトンナックル。基本怪力。こどもレーダーによるこども捜索。
好きなもの・魔力乾電池。機械類。家電。昆虫。こども。
苦手なもの・雷。水。埃。 毛むくじゃらなもの。
うわさ1・この世のどこかでずっと眠っていたらしい旧世界の遺物。
うわさ2・とある先生から調教されているらしい。
>「いえいえ髪の毛は重要ですよ、あるのとないのでは大違いです
たまになんで頭にわかめ載せてるのとか言われますけど
こういう髪質なんだから仕方がありません
本当は腰まで伸びていればいざというときに首を守る防具になったり
サバイバルするときに釣り糸代わりに使えるんですけどね
やっぱり男らしくないからこの長さに留めてあるんですよ」
「男らしくない?それではフリードリッヒは男の子なのですか。
……うーん、子どもの性別の判定は難しいものです。ひよこの選別と似ています」
>「こういう時は僕に任せてください
周りは海ですが海は水の塊です、そして僕は冷気を操るユニークスキル
もとい魔法を最も得意にしています
水を凍らせて氷にしてしまえば足場にして渡る事が出来るはずです」
「……?」
疑問いっぱいのアムリーテの顔。
そんな中、フリードリッヒは海上に氷の道を作ると先に進んでゆく。
なのでアムリーテも恐る恐る氷上を歩んで行き本島へ。
氷の道は、アムリーテの重さでヒビだらけになってしまったが渡り終えるまでは何とかもった。
最後にピョンと飛ぶと流氷になって流れていく。
そして砂浜には誰かがいた。
>「おやおや、随分と機械的な少女じゃないか。生メカしい肉体が魅力的だねぇ…」
「はい。私のボディは自慢の超鋼。それに肉体部分は魔法の人口樹脂なのです。
しかし、生メカしいとは…。お褒めにいただき、まことにエレキ照レルでございます」
>「おっと失礼。自己紹介が遅れたね。僕の名前は霊園言葉。親しみをこめて『友達の友達』って呼んでよね」
>「私は青葉華菜ですわ。特技は薬の調合です」
>「蟲野蝶矢だよ。好きなものは蟲。よろしくね」
>「僕もカブトムシとか甲虫系は好きですけどうねうねした類はちょっと」
「はじめまして。私の名前はアムリーテ・クラスタといいます。よろしくお願いいたします。
それと私も虫が好きです。堅い甲殻は私とボディと御揃いです。
キラキラとした美しい光沢を放ち、それでいて身を守る強靭さを兼ね備えています。
それはとても素晴らしいことと私は思います」
>「いえいえ髪の毛は重要ですよ、あるのとないのでは大違いです
たまになんで頭にわかめ載せてるのとか言われますけど
こういう髪質なんだから仕方がありません
本当は腰まで伸びていればいざというときに首を守る防具になったり
サバイバルするときに釣り糸代わりに使えるんですけどね
やっぱり男らしくないからこの長さに留めてあるんですよ」
「男らしくない?それではフリードリッヒは男の子なのですか。
……うーん、子どもの性別の判定は難しいものです。ひよこの選別と似ています」
>「こういう時は僕に任せてください
周りは海ですが海は水の塊です、そして僕は冷気を操るユニークスキル
もとい魔法を最も得意にしています
水を凍らせて氷にしてしまえば足場にして渡る事が出来るはずです」
>「おっ、頼むぞ。海水で濡れると後でべとつくし、こういう時はフリードのような魔法使いがありがたい。
……それとミス・クラスタ。島を探索するなら、しばらく私たちと来るか?
いずれ我々も島を見て回らなければなさそうだし、人が多ければ作業の手間も幾らか省けるだろうしな」
「はい。そうさせていただきます。しかしテオボルトさん。作業とはなんでしょうか?」
疑問いっぱいのアムリーテの顔。
そんな中、フリードリッヒは海上に氷の道を作ると先に進んでゆく。
なのでアムリーテも恐る恐る氷上を歩んで行き本島へ。
氷の道は、アムリーテの重さでヒビだらけになってしまったが渡り終えるまでは何とかもった。
最後にピョンと飛ぶと流氷になって流れていく。
そして砂浜には誰かがいた。
>「おやおや、随分と機械的な少女じゃないか。生メカしい肉体が魅力的だねぇ…」
「はい。私のボディは自慢の超鋼。それに肉体部分は魔法の人口樹脂なのです。
しかし、生メカしいとは…。お褒めにいただき、まことにエレキ照レルでございます」
>「おっと失礼。自己紹介が遅れたね。僕の名前は霊園言葉。親しみをこめて『友達の友達』って呼んでよね」
>「私は青葉華菜ですわ。特技は薬の調合です」
>「蟲野蝶矢だよ。好きなものは蟲。よろしくね」
>「僕もカブトムシとか甲虫系は好きですけどうねうねした類はちょっと」
「はじめまして。私の名前はアムリーテ・クラスタといいます。よろしくお願いいたします。
それと私も虫が好きです。堅い甲殻は私とボディと御揃いです。
キラキラとした美しい光沢を放ち、それでいて身を守る強靭さを兼ね備えています。
それはとても美しく素晴らしいことと私は信じています」
>「いえいえ髪の毛は重要ですよ、あるのとないのでは大違いです
たまになんで頭にわかめ載せてるのとか言われますけど
こういう髪質なんだから仕方がありません
本当は腰まで伸びていればいざというときに首を守る防具になったり
サバイバルするときに釣り糸代わりに使えるんですけどね
やっぱり男らしくないからこの長さに留めてあるんですよ」
「男らしくない?それではフリードリッヒは男の子なのですか。
……うーん、子どもの性別の判定は難しいものです。ひよこの選別と似ています」
>「こういう時は僕に任せてください
周りは海ですが海は水の塊です、そして僕は冷気を操るユニークスキル
もとい魔法を最も得意にしています
水を凍らせて氷にしてしまえば足場にして渡る事が出来るはずです」
>「おっ、頼むぞ。海水で濡れると後でべとつくし、こういう時はフリードのような魔法使いがありがたい。
……それとミス・クラスタ。島を探索するなら、しばらく私たちと来るか?
いずれ我々も島を見て回らなければなさそうだし、人が多ければ作業の手間も幾らか省けるだろうしな」
「はい。そうさせていただきます。しかしテオボルトさん。作業とはなんでしょうか?」
疑問いっぱいのアムリーテの顔。
そんな中、フリードリッヒは海上に氷の道を作ると先に進んでゆく。
なのでアムリーテも恐る恐る氷上を歩んで行き本島へ。
氷の道は、アムリーテの重さでヒビだらけになってしまったが渡り終えるまでは何とかもった。
最後にピョンと飛ぶと流氷になって流れていく。
そして砂浜には誰かがいた。
>「おやおや、随分と機械的な少女じゃないか。生メカしい肉体が魅力的だねぇ…」
「はい。私のボディは自慢の超鋼。それに肉体部分は魔法の人口樹脂なのです。
しかし、生メカしいとは…。お褒めにいただき、まことにエレキ照レルでございます」
>「おっと失礼。自己紹介が遅れたね。僕の名前は霊園言葉。親しみをこめて『友達の友達』って呼んでよね」
>「私は青葉華菜ですわ。特技は薬の調合です」
>「蟲野蝶矢だよ。好きなものは蟲。よろしくね」
>「僕もカブトムシとか甲虫系は好きですけどうねうねした類はちょっと」
「はじめまして。私の名前はアムリーテ・クラスタといいます。よろしくお願いいたします。
それと私も虫が好きです。堅い甲殻は私とボディと御揃いです。
キラキラとした光沢を放ち、それでいて身を守る強靭さを兼ね備えています。
それはとても美しく素晴らしいことと私は信じています」
>「いえいえ髪の毛は重要ですよ、あるのとないのでは大違いです
たまになんで頭にわかめ載せてるのとか言われますけど
こういう髪質なんだから仕方がありません
本当は腰まで伸びていればいざというときに首を守る防具になったり
サバイバルするときに釣り糸代わりに使えるんですけどね
やっぱり男らしくないからこの長さに留めてあるんですよ」
「男らしくない?それではフリードリッヒは男の子なのですか。
……うーん、子どもの性別の判定は難しいものです。ひよこの選別と似ています」
>「こういう時は僕に任せてください
周りは海ですが海は水の塊です、そして僕は冷気を操るユニークスキル
もとい魔法を最も得意にしています
水を凍らせて氷にしてしまえば足場にして渡る事が出来るはずです」
>「おっ、頼むぞ。海水で濡れると後でべとつくし、こういう時はフリードのような魔法使いがありがたい。
……それとミス・クラスタ。島を探索するなら、しばらく私たちと来るか?
いずれ我々も島を見て回らなければなさそうだし、人が多ければ作業の手間も幾らか省けるだろうしな」
「はい。そうさせていただきます。しかしテオボルトさん。作業とは一体なんでしょうか?」
疑問いっぱいのアムリーテの顔。
そんな中、フリードリッヒは海上に氷の道を作ると先に進んでゆく。
なのでアムリーテも恐る恐る氷上を歩んで行き本島へ。
氷の道は、アムリーテの重さでヒビだらけになってしまったが渡り終えるまでは何とかもった。
最後にピョンと飛ぶと流氷になって流れていく。
そして砂浜には誰かがいた。
>「おやおや、随分と機械的な少女じゃないか。生メカしい肉体が魅力的だねぇ…」
「はい。私のボディは自慢の超鋼。それに肉体部分は魔法の人口樹脂なのです。
しかし、生メカしいとは…。お褒めにいただき、まことにエレキ照レルでございます」
>「おっと失礼。自己紹介が遅れたね。僕の名前は霊園言葉。親しみをこめて『友達の友達』って呼んでよね」
>「私は青葉華菜ですわ。特技は薬の調合です」
>「蟲野蝶矢だよ。好きなものは蟲。よろしくね」
>「僕もカブトムシとか甲虫系は好きですけどうねうねした類はちょっと」
「はじめまして。私の名前はアムリーテ・クラスタといいます。よろしくお願いいたします。
それと私も虫が好きです。堅い甲殻は私とボディと御揃いです。
キラキラとした光沢を放ち、それでいて身を守る強靭さを兼ね備えています。
それはとても美しく素晴らしいことと私は信じています」
>一通り自己紹介を聞き終えると、テオボルトもまた口を開く。
>「私はテオボルト・ジェナス。この格好は気にしないでくれ、日光が苦手なものでね」
(日光が…苦手)
その言葉に反応したアムリーテは斜め後ろからテオボルトを見つめている。
>「……まあいい。さて、お嬢さん方も要件は課題なんだろう? 丘の上に見える洋館に行こう、何かありそうだ」
(課題…。作業…)
どうやらここにいる子どもたちは何かの任務を受けている。
アムリーテはそう思考する。
「あの、先ほど高速で移動する四人の子どもの反応が、私のレーダーにありました。
ですがその中の一人の子どもがどこかに取り残されてしまっているようです。
どうしましょう?残りの三人の子どもは無事に洋館に辿りついているようですが。。
もしかして、一人の子どもだけ、捨てていかれたのでしょうか?」
心配したアムリーテは突然駆け出す。と言っても、がきゅんがきゅんと間接から音を出しながら鈍足。
最大でも100メートル25秒くらいの速さ、というか遅さ。
果たして、アムリーテはロゼッタを見つけ出すことが出来るのであろうか?
ジョーカーとの関係は、ひた隠しにしておきたかった海棠だったが、思わず風祭に喋ってしまった。
それもこれも仮面党の幹部、トーラスへの不信感から。
彼の話ではジョーカーの望龍術により大型のシャドウの発生場所を予測し
海棠を派遣したということだったが、ここにいるペルソナ使いたちの協力がなければ、
海棠は絶対に死んでいた。海棠にはそこのところがまったく腑に落ちなかった。
そんな中、神部は門限があるからと帰宅し、スサノもそれに続く。おまけに風祭も逃走。
>「俺は問題ねーよ、親父は別居してるってか、今一人暮らしだし。
ただ……お前さん方は女の子だしな、どうせ乗りかかった船だ、近場まで送ってやんよ?」
「……」
後ろを振り向いたら誰もいなかった。うまいこと逃げられたのだ。
それは神ではなかった。悪魔でもなかった。それは無意識の海から生まれたもう一人の自分。
涅槃に辿りつくために本当の自分を捜して自らの内部に潜り込んでゆく自我。
もつれた螺旋の渦。いびつな影。
その螺旋の奥であなたは眠っている。眠りながら、人である夢を見ている。
神であり悪魔であり人であるところの螺旋の夢を。
それは神ではなかった。悪魔でもなかった。それは無意識の海から生まれたもう一人の自分。
涅槃に辿りつくために本当の自分を捜して自らの内部に潜り込んでゆく意識。
もつれた螺旋の渦。いびつな影。
その螺旋の奥であなたは眠っている。眠りながら、人である夢を見ている。
神であり悪魔であり、人であることの螺旋の夢を。
* * * * * *
――影がない。校庭の揚羽蝶がテレビのブラウン管を飛んでいるように見える。
こんな季節外れに、それもどうしてあんな広い運動場を、たった一匹で飛んでいるのだろう。
終業のチャイムが鳴る。それでも海棠は校庭を見つめたまま物思いに耽っていた。
今日も一日、真面目に授業だけはこなした。それは苦痛でも快楽でもなかった。
ただ無機質に流れた時間。二度とは戻ってこないであろう青春の一コマ。
須藤に苛められていた頃が、まるで嘘のように平穏に過ぎる一日。
しばらく時間が経つと、校舎はひっそりと静まり返る。
海棠は放課後の空き時間を利用して、仮面党の隠しアジト「クラブ・ゾディアック」に向かうつもりだった。
階段を降りると廊下の奥、音楽室からクラリネットの音が響いてきた。
そう言えば学園祭も近い。今頃は美術部の神部も、創作活動で忙しいのだろうか。
それは神ではなかった。悪魔でもなかった。それは無意識の海から生まれたもう一人の自分。
涅槃に辿りつくために本当の自分を捜して自らの内部に潜り込んでゆく意識。
もつれた螺旋の渦。いびつな影。
その螺旋の奥であなたは眠っている。眠りながら人である夢を見ている。
神であり悪魔であり、人であることの螺旋の夢を。
* * * * * *
――影がない。校庭の揚羽蝶がテレビのブラウン管を飛んでいるように見える。
こんな季節外れに、それもどうしてあんな広い運動場をたった一匹で飛んでいるのだろう。
終業のチャイムが鳴る。それでも海棠は校庭を飛んでいる揚羽蝶を見つめたまま物思いに耽っていた。
今日も一日、真面目に授業だけはこなした。それは苦痛でも快楽でもなかった。
ただ無機質に流れた時間。二度とは戻ってこないであろう青春の一コマ。
須藤に苛められていた頃が、まるで嘘のように平穏に過ぎる一日。
しばらく時間が経つと、校舎はひっそりと静まり返る。
海棠は放課後の空き時間を利用して、仮面党の隠しアジト「クラブ・ゾディアック」に向かうつもりだった。
階段を降りると廊下の奥、音楽室からクラリネットの音が響いてくる。
そう言えば学園祭も近い。今頃は美術部の神部も、創作活動で忙しいのだろうか。
それは神ではなかった。悪魔でもなかった。それは無意識の海から生まれたもう一人の自分。
涅槃に辿りつくために本当の自分を捜して自らの内部に潜り込んでゆく意識。
もつれた螺旋の渦。いびつな影。
その螺旋の奥であなたは眠っている。眠りながら人である夢を見ている。
神であり悪魔であり、人であることの螺旋の夢を。
* * * * * *
――影がない。校庭の揚羽蝶がテレビのブラウン管を飛んでいるように見える。
こんな季節外れに、それもどうしてあんな広い運動場をたった一匹で飛んでいるのだろう。
終業のチャイムが鳴る。それでも海棠は、校庭を飛んでいる揚羽蝶を目で追ったまま物思いに耽っていた。
今日も一日、真面目に授業だけはこなした。それは苦痛でも快楽でもなかった。
ただ無機質に流れた時間。二度とは戻ってこないであろう青春の一コマ。
須藤に苛められていた頃が、まるで嘘のように平穏に過ぎる一日。
しばらく時間が経つと、校舎はひっそりと静まり返った。
海棠は放課後の空き時間を利用して、仮面党の隠しアジト「クラブ・ゾディアック」に向かうつもりだった。
階段を降りると廊下の奥、音楽室からクラリネットの音が響いてくる。
そう言えば学園祭も近い。今頃は美術部の神部も、創作活動で忙しいのだろうか。
それは神ではなかった。悪魔でもなかった。それは無意識の海から生まれたもう一人の自分。
涅槃に辿りつくために本当の自分を捜して自らの内部に潜り込んでゆく意識。
もつれた螺旋の渦。いびつな影。
その螺旋の奥であなたは眠っている。眠りながら人である夢を見ている。
神であり悪魔であり、人であることの螺旋の夢を。
* * * * * *
――影がない。校庭の揚羽蝶がテレビのブラウン管を飛んでいるように見える。
こんな季節外れに、それもどうしてあんな広い校庭をたった一匹で飛んでいるのだろう。
終業のチャイムが鳴る。それでも海棠は、飛んでいる揚羽蝶を目で追ったまま物思いに耽っていた。
今日も一日、真面目に授業だけはこなした。それは苦痛でも快楽でもなかった。
ただ無機質に流れた時間。二度とは戻ってこないであろう青春の一コマ。
須藤に苛められていた頃が、まるで嘘のように平穏に過ぎる日々。
しばらく時間が経つと、校舎はひっそりと静まり返る。
海棠は放課後の空き時間を利用して、仮面党の隠しアジト「クラブ・ゾディアック」に向かうつもりだった。
階段を降りると廊下の奥、音楽室からクラリネットの音が響いてくる。
そう言えば学園祭も近い。今頃は美術部の神部も、創作活動で忙しいのだろうか。
それは神ではなかった。ましてや悪魔でもなかった。
それは無意識の海から生まれたもう一人の自分。
涅槃に辿りつくために本当の自分を捜して自らの内部に潜り込んでゆく意識。
もつれた螺旋の渦。いびつな影。
その螺旋の奥であなたは眠っている。
眠りながら人である夢を見ている。
神であり悪魔であり、人であることの螺旋の夢を。
* * * * * *
――影がない。校庭の揚羽蝶がテレビのブラウン管を飛んでいるように見える。
こんな季節外れに、それもどうしてあんな広い校庭をたった一匹で飛んでいるのだろう。
終業のチャイムが鳴る。それでも海棠は、飛んでいる揚羽蝶を目で追ったまま物思いに耽っていた。
今日も一日、真面目に授業だけをこなした。それは苦痛でも快楽でもなかった。
ただ無機質に流れた時間。しかし二度とは戻ってこないであろう青春の一コマ。
須藤に苛められていた頃がまるで嘘のように平穏に過ぎる日々。
しばらく時間が経つと、校舎はひっそりと静まり返る。
海棠は放課後の空き時間を利用して、仮面党の隠しアジト「クラブ・ゾディアック」に向かうつもりだった。
階段を降りると廊下の奥、音楽室からクラリネットの音が響いてくる。
そう言えば学園祭も近い。今頃は美術部の神部も、創作活動で忙しいのだろうか。
それは神ではなかった。ましてや悪魔でもなかった。
それは無意識の海から生まれたもう一人の自分。
涅槃に辿りつくために本当の自分を捜して自らの内部に潜り込んでゆく意識。
もつれた螺旋の渦。いびつな影。
その螺旋の奥であなたは眠っている。
眠りながら人である夢を見ている。
神であり悪魔であり、人であることの螺旋の夢を。
* * * * * *
――影がない。校庭の揚羽蝶がテレビのブラウン管を飛んでいるように見える。
こんな季節外れに、それもどうしてあんな広い校庭をたった一匹で飛んでいるのだろう。
終業のチャイムが鳴る。それでも海棠は、飛んでいる揚羽蝶を目で追ったまま物思いに耽っていた。
今日も一日、真面目に授業だけをこなした。それは苦痛でも快楽でもなかった。
ただ無機質に流れた時間。しかし二度とは戻ってこないであろう青春の一コマ。
須藤に苛められていた頃がまるで嘘のように平穏に過ぎる日々。
しばらく時間が経つと、校舎はひっそりと静まり返る。
海棠は放課後の空き時間を利用して、仮面党の隠しアジト「クラブ・ゾディアック」に向かうつもりだった。
階段を降りると廊下の奥、音楽室からクラリネットの音が響いてくる。
そう言えば学園祭も近い。今頃は美術部の神部も、創作活動で忙しいのだろうか。
それは神ではなかった。ましてや悪魔でもなかった。
それは無意識の海から生まれたもう一人の自分。
涅槃に辿りつくために本当の自分を捜して自らの内部に潜り込んでゆく意識。
もつれた螺旋の渦。いびつな影。
その螺旋の奥であなたは眠っている。
眠りながら人である夢を見ている。
神であり悪魔であり、人であることの螺旋の夢を。
* * * * * *
――影がない。校庭の揚羽蝶がテレビのブラウン管を飛んでいるように見える。
こんな季節外れに、それもどうしてあんな広い校庭をたった一匹で飛んでいるのだろう。
終業のチャイムが鳴る。それでも海棠は、飛んでいる揚羽蝶を目で追ったまま物思いに耽っていた。
今日も一日、真面目に授業だけをこなした。それは苦痛でも快楽でもなかった。
ただ無機質に流れた時間。しかし二度とは戻ってこないであろう青春の一コマ。
須藤に苛められていた頃がまるで嘘のように平穏に過ぎる日々。
しばらく時間が経つと、校舎はひっそりと静まり返る。
海棠は放課後の空き時間を利用して、仮面党の隠しアジト「クラブ・ゾディアック」に向かうつもりだった。
階段を降りると廊下の奥、音楽室からクラリネットの音が響いてくる。
そう言えば学園祭も近い。今頃は美術部の神部も創作活動で忙しいのだろうか。
ほんの少しだけ神部のことが気になった海棠は、美術室のそばを通ってゆくことにした。
廊下を渡り、さらに階段を降り、中庭を横切って美術室に向かう。
ドアが締めきられているどの教室からも物音一つせず、
まるで巨大な静謐の中にでも閉じ込められてしまったかのような静けさに
上履きの立てる乾いた音だけが響き渡る。
それは神ではなかった。ましてや悪魔でもなかった。
それは無意識の海から生まれたもう一人の自分。
涅槃に辿りつくために本当の自分を捜して自らの内部に潜り込んでゆく意識。
もつれた螺旋の渦。いびつな影。
その螺旋の奥であなたは眠っている。
眠りながら人である夢を見ている。
神であり悪魔であり、人であることの螺旋の夢を。
* * * * * *
――影がない。校庭の揚羽蝶がテレビのブラウン管を飛んでいるように見える。
こんな季節外れに、それもどうしてあんな広い校庭をたった一匹で飛んでいるのだろう。
終業のチャイムが鳴る。それでも海棠は、飛んでいる揚羽蝶を目で追ったまま物思いに耽っていた。
今日も一日、真面目に授業だけをこなした。それは苦痛でも快楽でもなかった。
ただ無機質に流れた時間。しかし二度とは戻ってこないであろう青春の一コマ。
須藤に苛められていた頃がまるで嘘のように平穏に過ぎる日々。
しばらく時間が経つと、校舎はひっそりと静まり返る。
海棠は放課後の空き時間を利用して、仮面党の隠しアジト「クラブ・ゾディアック」に向かうつもりだった。
階段を降りると廊下の奥、音楽室からクラリネットの音が響いてくる。
そう言えば学園祭も近い。今頃は美術部の神部も創作活動で忙しいのだろうか。
ほんの少しだけ神部のことが気になった海棠は、美術室のそばを通ってゆくことにした。
廊下を渡り、さらに階段を降り、中庭を横切って美術室に向かう。
ドアが締めきられているのでどの教室からも物音一つしない。
まるで巨大な静謐の中にでも閉じ込められてしまったかのような静けさに
上履きの立てる乾いた音だけが響き渡る。
朝。君は洗面台の前に立ちながら、バスルームの戸口に人の立つ気配を感じた。
驚いて振り返ろうとした刹那、首筋にあてられた刃物の感触に君の全身は凍りつくはずだ。
「動かないで。動いたら切れるよ」耳元で早口の囁き声。
少しハスキーで険のある、しかしまだ十代くらいの少女の声。
鏡に映る君の肩越しには、カッターナイフを手にした人影の頭が半分だけ見えることだろう。
長い睫毛に縁取られた目は釣り上がっており、胸まで伸びた茶色の髪は濡れていた。
おまけに裸足で白いスリップドレス一枚という下着同然の格好をしており
まるでどこからか逃げ出して来たような格好をしている。
そう、彼女は森本病院から脱走して来た「須藤竜子」だった。
「あなたもペルソナ使いなの?ふひひ…。召喚器、見つけちゃった。それとお金と携帯電話もちょうだい。
あの糞ジジィに病院に閉じ込められちゃってから、この竜子様はろくな生活を送ってこれなかったのよね。さあ、はやく!」
指示とともにカッターナイフの刃が強く押し当てられる。
そして、君の回答を聞き終えた少女は、廊下まで後ずさると
少し視線を彷徨わせて虚空に向けて笑みを浮かべた。
もしかして、彼女は気が狂っているのであろうか。
須藤は素足に靴を引っ掛けて玄関を飛び出してゆく。
君に中途半端な後味の悪さを残したままで……
朝。君は洗面台の前に立ちながら、バスルームの戸口に人の立つ気配を感じた。
驚いて振り返ろうとした刹那、首筋にあてられた刃物の感触に君の全身は凍りつくはずだ。
「動かないで。動いたら切れるよ」耳元で早口の囁き声。
少しハスキーで険のある、しかしまだ十代くらいの少女の声。
鏡に映る君の肩越しには、カッターナイフを手にした人影の頭が半分だけ見えることだろう。
長い睫毛に縁取られた目は釣り上がっており、胸まで伸びた茶色の髪は濡れていた。
おまけに裸足で白いスリップドレス一枚という下着同然の格好をしており
まるでどこからか逃げ出して来たような格好をしている。
そう、彼女は森本病院から脱走して来た「須藤竜子」だった。
「あなたもペルソナ使いなの?ふひひ…。召喚器、見つけちゃった。それとお金と携帯電話ちょうだい。
あの糞ジジィに病院に閉じ込められちゃってから、この竜子様はろくな生活を送ってこれなかったのよね。さあ、はやく!」
指示とともにカッターナイフの刃が強く押し当てられる。
カッターを持つその腕は白く痣のような刺青が施されていた。
そして、君の回答を聞き終えた少女は、
廊下まで後ずさると少し視線を彷徨わせて虚空に向かって笑みを浮かべる。
もしかして、彼女は気が狂っているのであろうか。
須藤は素足に靴を引っ掛けて玄関を飛び出してゆく。
君に中途半端な後味の悪さを残したままで……
>198
>「………??」
「あ!待ってです」
ロゼッタはアムリーテの下から這い出ると、一目散に林の中へ走っていった。
エンカの自動車が走ったルートから逸れた、もっと樹木の生い茂った方向へ!
そして、それを見たアムリーテは申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。
あろうことかロゼッタを驚かせてしまった。
それに彼女は、樹木の生い茂った方角へとさらに逃げ出してしまう始末。
だからアムリーテの頭からは煙がのぼる。
(困ったですセンセイ、わたしはどうしたらよいですか…)
>202>203
>「えー・・・・・・・・え?あれ?何で私が不良なのよ?
だいたい貴方が、ロゼッタちゃんを捕まえて、無理やりどこかに連れて行こうとしてたから!
私はロゼッタちゃんを助けようと思っただけで、別に貴方を壊したいなんてこれっぽっちも思ってないし!!」
「あなたは痛い目をみせると言って、私に謎の袋を投げつけました。
それに箒に二人乗り。それも私の大嫌いな毛むくじゃらの猫と。
おまけに胸ポケットには不気味な藁の人形を詰め込んでいます。
そう、その姿はまるで悪魔、悪魔の子です。不良で悪魔の子です!」
真っ直ぐな目で睨みつけるアムリーテ。
その視線の先。リリィの胸ポケットから這い出してきた藁人形は
不気味な呪詛のような言葉を紡ぎだしている。
なんだか「しね」とか言っているようにも聞こえる…。
そんな不快な感じに、アムリーテは灰色の瞳を赤い攻撃色に変化させる。
>201
そんななか、現れたのはフリードリッヒ。
彼はリリィにアムリーテが危険な存在ではないことを説明してくれていた。
いっぽうのリリィはというと、そんな会話を聞いてか聞かずにぷるぷると震えている。
>「アムリーテさんもそのポーズはなんですか?トランスフォームの途中かなんかですか?」
>『3体合体6変化ぐらいしてくれそうだよね』(ケットシー語)
>「まあ僕たちも合体ぐらいできますから不思議じゃないんですけど」
「……いえ、フリードリッヒ。これは防御体勢です。
私は四つん這いになって背中の傾斜角度を調整することにより
攻撃物の装甲面に対する運動エネルギーを分散させるつもりでした。
なので決してこれはトランスフォームでも合体行為でもありません」
普通に答えるアムリーテ。赤かった瞳が灰色に戻っている。
二人の会話で、なんとなくアムリーテにもことの成り行きがわかってきた。
今までのことは、アムリーテの恐ろしいほどの勘違いだったことに。
「すいません。どうやら勘違いさせてしまったのは私のほうでした。ごめんなさいです」
四つん這いからさらに縮こまって、綺麗な土下座をみせるアムリーテ。
きっとリリィは傷ついている。そう思うと居た堪れなくなる。
まして、子どもを見てくれで悪い子と判断してしまうなんてセンセイに会わせる顔がない。
傷心のアムリーテ。でもそんなアムリーテに、リリィは館へ行かないかと誘ってくれた。
「ありがとです。それでは私も館にいきます。あなたたちには本来の目的があるのですよね。
それならば私は、みなさんのお役に立ちたいです。
ですがロゼッタはどうしましょう。私は彼女を驚かせてしまいました。
彼女の位置は子どもレーダーで捕捉することはできますが、私の足では最早捕らえることはできないでしょう」
アムリーテが洋館に辿り着いたのは、時間的にはいつごろになるのだろうか。
フリードリッヒの後になるには確かなこと。それに逸れてしまったテオボルト、青葉たちは?
子どもレーダーは洋館の中にいくつかの反応を示しているが、確定はできないでいた。
それに子どもレーダーも、とあるものの内部に存在する子どもだけは見つけられない。
洋館の入り口にはエンカのジドウシャがあった。
アムリーテは辺りに人がいないか確かめたあと、頬を赤らめながら指先でそのボディを撫でる。
その後、フロントに頬をすりすり。まだちょっとエンジンがあたたかい感じが心地よくて
その場にぺったりと尻餅をついてしまう。が、人目を気にして早々に立ち上がると洋館の中へ。
>【この先テレポートなど空間魔法使用不能】
>【この先内部破壊を禁止する。戦闘には注意を払う事】
洋館のなか、煌煌と輝くシャンデリアが照らすエントランス。
その最奥の扉には入り口と記されており、上記のようなことわりがあった。
あやしい。そう思う。もしかしたらこの先にセンセイが?
かすかな期待が沸き起こるが、勝手なことをするのも気がひける。
エントランス内にはフリードリッヒもいて何やら考えているようだった。
少し前にテオボルトは、子どもたちは課題があってこの島に来たと言っていた。
それは何か。もう少し詳しく聞いてみよう。そう思ったアムリーテはフリードリッヒに近づこうとする。
が、そのとき、足元が気になった。ふと床を見ると、埃まみれの中に足跡がある。
はて、この洋館は今まで人が住んでいなかったのだろうか。
それとも主が掃除が嫌いだった?そんなまさか…
「く、くしゅん!」
舞い上がった埃がアムリーテの鼻腔を刺激する。100万馬力のクシャミが空気砲となってエントランスを直進する。
埃はアムリーテの天敵なのだ。
「ここは、だめです!この埃は絶対にダメです!子どもたちの肺が汚れてしまいます!」
アムリーテは階段の下に扉をみつけて奥に進む。たぶんトイレなどの横に清掃道具もあるはず。
そしてしばらく下のフロアをうろちょろしたあと、モップを見つけるとエントランスの清掃を開始。
まるでこの洋館に住む気まんまんの様子でせっせと掃除を始めたのである。
須藤竜子は春日山高校で中務と接触したあと、正面玄関から逃走。
その後、パトカーのサイレンの音を聞き慌てて近くの神社へと身を隠す。
もしかしたらパトカーに乗った警官たちは須藤を連れ戻しに来たのかもしれない。
須藤を森本病院に隔離した糞ジジィこと、祖父の須藤竜蔵にはそれほどの権力がある。
何を隠そう須藤竜子の祖父須藤竜蔵は現職の外務大臣だからだ。
とある事件がきっかけで、子どもの頃にペルソナの能力を授かった須藤竜子だったが
ペルソナの力と引き換えに彼女は健康な身体を失ってしまっていた。
それゆえに数年前まで森本病院で療養していたのだが、
偶然か必然か、ある日病室にジョーカーが現れ彼女に健康を与えたのだった。
それも水泳で楽々と他者を圧倒できるほどの健康体を。
そして健康を得た彼女は喜んでジョーカーに従うことを誓い仮面党に入党。
イン・ラケチ成就のために影で暗躍。
しかし、活動のためにペルソナを乱用し、徐々に精神を病んでしまうと、
それを良く思わなかった祖父に、再び森本病院へと叩き込まれてしまったのだった。
須藤竜子は春日山高校で中務と接触したあと、正面玄関から逃走。
その後、パトカーのサイレンの音を聞き慌てて近くの神社へと身を隠す。
もしかしたらパトカーに乗った警官たちは須藤を連れ戻しに来たのかもしれない。
須藤を森本病院に隔離した糞ジジィこと、祖父の須藤竜蔵にはそれほどの権力がある。
何を隠そう須藤竜子の祖父須藤竜蔵は現職の外務大臣だからだ。
とある事件がきっかけで、子どもの頃にペルソナの能力を授かった須藤竜子だったが
ペルソナの力と引き換えに彼女は健康な身体を失ってしまっていた。
それゆえに数年前まで森本病院で療養していたのだが、
偶然か必然か、ある日病室にジョーカーが現れ彼女に健康を与えたのだった。
それも水泳で楽々と他者を圧倒できるほどの健康体を。
そして健康を得た彼女は喜んでジョーカーに従うことを誓い仮面党に入党。
イン・ラケチ成就のために影で暗躍。
しかし、活動のためにペルソナを乱用し、徐々に精神を病んでしまうと、
それを良く思わなかった祖父に、再び森本病院へと叩き込まれてしまったのだ。
そんな祖父の横暴さを須藤竜子は悔しく思う。
彼の横暴さに、須藤竜子の人生は歪められ破壊されようとしている。
かつて、竜子の父もそうであったかのように。
腕に張り付いた蜘蛛の刺青ような痣を見つめながら、須藤は自身を抱くように身を縮めた。
身も心も寒くて涙がこぼれてしまいそうだった。
はやく仮面党の本拠地に戻りたい。だが捕まりたくない。
なんとか逃げ回りながら春日山高校までたどり着いたのだが、ここからが問題だ。
須藤竜子は春日山高校で中務と接触したあと、正面玄関から逃走。
その後、パトカーのサイレンの音を聞き慌てて近くの神社へと身を隠す。
もしかしたらパトカーに乗った警官たちは須藤を連れ戻しに来たのかもしれない。
須藤を森本病院に隔離した糞ジジィこと、祖父の須藤竜蔵にはそれほどの権力がある。
何を隠そう須藤竜子の祖父、須藤竜蔵は現職の外務大臣だからだ。
とある事件がきっかけで、子どもの頃にペルソナの能力を授かった須藤竜子だったが
ペルソナの力と引き換えに彼女は健康な身体を失ってしまっていた。
それゆえに数年前まで森本病院で療養していたのだが、
偶然か必然か、ある日病室にジョーカーが現れ彼女に健康を与えたのだった。
それも水泳で楽々と他者を圧倒できるほどの健康体を。
そして健康を得た彼女は喜んでジョーカーに従うことを誓い仮面党に入党。
イン・ラケチ成就のために影で暗躍。
しかし、活動のためにペルソナを乱用し、徐々に精神を病んでしまうと、
それを良く思わなかった祖父に、再び森本病院へと叩き込まることになってしまったのだ。
そんな祖父の横暴さを須藤竜子は悔しく思う。
彼の横暴さに、須藤竜子の人生は歪められ破壊されようとしている。
かつて、竜子の父もそうであったかのように。
腕に張り付いた蜘蛛の刺青ような痣を見つめながら、須藤は自身を抱くように身を縮めた。
身も心も寒くて涙がこぼれてしまいそうだった。
はやく仮面党の本拠地に戻りたい。だがこんなところで捕まりたくない。
なんとか逃げ回りながら春日山高校までたどり着いたのだが、ここからが問題だ。
手元にあるのは中務から奪った二万四千円。
須藤竜子は春日山高校で中務と接触したあと、正面玄関から逃走。
その後、パトカーのサイレンの音を聞き方向転換すると、慌てて体育倉庫へと身を隠す。
もしかしたらパトカーに乗った警官たちは須藤を連れ戻しに来たのかもしれない。
須藤を森本病院に隔離した糞ジジィこと、祖父の須藤竜蔵にはそれほどの権力がある。
何を隠そう須藤竜子の祖父、須藤竜蔵は現職の外務大臣だからだ。
とある事件がきっかけで、子どもの頃にペルソナの能力を授かった須藤竜子だったが
ペルソナの力と引き換えに彼女は健康な身体を失ってしまっていた。
それゆえに数年前まで森本病院で療養していたのだが、
偶然か必然か、ある日病室にジョーカーが現れ彼女に健康を与えたのだった。
それも水泳で楽々と他者を圧倒できるほどの健康体を。
そして健康を得た彼女は喜んでジョーカーに従うことを誓い仮面党に入党。
イン・ラケチ成就のために影で暗躍。
しかし、活動のためにペルソナを乱用し、徐々に精神を病んでしまうと、
それを良く思わなかった祖父に、再び森本病院へと叩き込まることになってしまったのだ。
そんな祖父の横暴さを須藤竜子は悔しく思う。
彼の横暴さに、須藤竜子の人生は歪められ破壊されようとしている。
かつて、竜子の父もそうであったかのように。
腕に張り付いた蜘蛛の刺青ような痣を見つめながら、須藤は自身を抱くように身を縮めた。
身も心も寒くて涙がこぼれてしまいそうだった。
はやく仮面党の本拠地に戻りたい。だがこんなところでは捕まりたくない。
問題はここからだ。
手元にあるのは中務から奪った二万四千円。
これで、彼の言った通りにコンビニでプリペイドの携帯を買い
そのあとはジョーカーに助けを求めよう。
須藤は体育倉庫から出ると再び教室に忍び込み、ロッカーから運動着を引っ張りだしていそいそと着替えた。
女子の運動着は清掃の時に身につけたり、自転車通学の子なら風の強い日にスカートの下に履いたりと
常にロッカーに入っていると考えてもいい。
ついでに須藤は、中務の大きすぎる靴も脱ぎ捨て内履きに履き替えると夢崎区へ。
須藤竜子は春日山高校で中務と接触したあと、正面玄関から逃走。
その後、パトカーのサイレンの音を聞き方向転換すると、慌てて体育倉庫へと身を隠す。
もしかしたらパトカーに乗った警官たちは須藤を連れ戻しに来たのかもしれない。
須藤を森本病院に隔離した糞ジジィこと、祖父の須藤竜蔵にはそれほどの権力がある。
何を隠そう須藤竜子の祖父、須藤竜蔵は現職の外務大臣だからだ。
とある事件がきっかけで、子どもの頃にペルソナの能力を授かった須藤竜子だったが
ペルソナの力と引き換えに彼女は健康な身体を失ってしまっていた。
それゆえに数年前まで森本病院で療養していたのだが、
偶然か必然か、ある日病室にジョーカーが現れ彼女に健康を与えたのだった。
それも水泳で楽々と他者を圧倒できるほどの健康体を。
そして健康を得た彼女は喜んでジョーカーに従うことを誓うと仮面党に入党。
イン・ラケチ成就のために影で暗躍。
しかし、活動のためにペルソナを乱用し、徐々に精神を病んでしまうと、
それを良く思わなかった祖父に、再び森本病院へと叩き込まることになってしまったのだ。
そんな祖父の横暴さを須藤竜子は悔しく思う。
彼の横暴さに、須藤竜子の人生は歪められ破壊されようとしている。
かつて、竜子の父もそうであったかのように。
腕に張り付いた蜘蛛の刺青ような痣を見つめながら、須藤は自身を抱くように身を縮めた。
身も心も寒くて涙がこぼれてしまいそうだった。
はやく仮面党の本拠地に戻りたい。だがこんなところでは捕まりたくない。
問題はここからだ。
手元にあるのは中務から奪った二万四千円。
これで、彼の言った通りにコンビニでプリペイドの携帯を買い
そのあとはジョーカーに助けを求めよう。
須藤は体育倉庫から出ると再び教室に忍び込み、ロッカーから運動着を引っ張りだしていそいそと着替えた。
女子の運動着は清掃の時に身につけたり、自転車通学の子なら風の強い日にスカートの下に履いたりと
常にロッカーに入っていると考えてもいい。
ついでに須藤は、中務の大きすぎる靴も脱ぎ捨て内履きに履き替えると夢崎区へ向かう。
須藤竜子は春日山高校で中務と接触したあと、正面玄関から逃走。
その後、パトカーのサイレンの音を聞き慌てて方向転換すると体育倉庫へと身を隠す。
もしかしたらパトカーに乗った警官たちは須藤を連れ戻しに来たのかもしれない。
須藤を森本病院に隔離した糞ジジィこと、祖父の須藤竜蔵にはそれほどの権力がある。
何を隠そう須藤竜子の祖父、須藤竜蔵は現職の外務大臣だからだ。
とある事件がきっかけで、子どもの頃にペルソナの能力を授かった須藤竜子だったが
ペルソナの力と引き換えに彼女は健康な身体を失ってしまっていた。
それゆえに数年前まで森本病院で療養していたのだが、
偶然か必然か、ある日病室にジョーカーが現れ彼女に健康を与えたのだった。
それも水泳で楽々と他者を圧倒できるほどの健康体を。
そして健康を得た彼女は喜んでジョーカーに従うことを誓うと仮面党に入党。
イン・ラケチ成就のために影で暗躍。
しかし、活動のためにペルソナを乱用し、徐々に精神を病んでしまうと、
それを良く思わなかった祖父に、再び森本病院へと叩き込まることになってしまったのだ。
そんな祖父の横暴さを須藤竜子は悔しく思う。
彼の横暴さに、須藤竜子の人生は歪められ破壊されようとしている。
かつて、竜子の父もそうであったかのように。
腕に張り付いた蜘蛛の刺青ような痣を見つめながら、須藤は自身を抱くように身を縮めた。
身も心も寒くて涙がこぼれてしまいそうだった。
はやく仮面党の本拠地に戻りたい。だがこんなところでは捕まりたくない。
問題はここからだ。
手元にあるのは中務から奪った二万四千円。
これで、彼の言った通りにコンビニでプリペイドの携帯を買い
そのあとはジョーカーに助けを求めよう。
須藤は体育倉庫から出ると再び教室に忍び込み、ロッカーから運動着を引っ張りだしていそいそと着替えた。
女子の運動着は清掃の時に身につけたり、自転車通学の子なら風の強い日にスカートの下に履いたりと
常にロッカーに入っていると考えてもいい。
ついでに須藤は、中務の大きすぎる靴も脱ぎ捨て内履きに履き替えると夢崎区へ向かう。
「でもあいつ…。どこかで見たような気が……」
コンビニへ向かう途中、須藤は中務のことを思い出して既視感を感じていた。
そんな感情は最近になって極々頻繁に沸き起こる。原因はわからない。
これはいったいなんなのだろう。海棠という女を見た時も始めてだというのにイライラが込み上げてきた。
まさか前世からの因縁?そんな馬鹿なことが。須藤は微苦笑し、答えのでないままコンビニへ。
そしてマスクと携帯を購入するとコンビニの裏側の駐車場で
ジョーカーを呼び出そうと自分自身の携帯番号を打ち込み送信ボタンを押す。
しかし、あろうことかジョーカーは現れなかった。
もう!っと憤慨して髪の毛を掻き毟る須藤。
それならば、仮面党の幹部であるトーラスに連絡をとりたいところだったが
彼女はトーラスの携帯番号を覚えていない。その場に蹲り肩を震わす。
こんな状況ではもはや自力で行動するしかないのだろう。
須藤竜子は春日山高校で中務と接触したあと、正面玄関から逃走。
その後、パトカーのサイレンの音を聞き慌てて方向転換すると体育倉庫へと身を隠す。
もしかしたらパトカーに乗った警官たちは須藤を連れ戻しに来たのかもしれない。
須藤を森本病院に隔離した糞ジジィこと、祖父の須藤竜蔵にはそれほどの権力がある。
何を隠そう須藤竜子の祖父、須藤竜蔵は現職の外務大臣だからだ。
とある事件がきっかけで、子どもの頃にペルソナの能力を授かった須藤竜子だったが
ペルソナの力と引き換えに彼女は健康な身体を失ってしまっていた。
それゆえに数年前まで森本病院で療養していたのだが、
偶然か必然か、ある日病室にジョーカーが現れ彼女に健康を与えたのだった。
それも水泳で楽々と他者を圧倒できるほどの健康体を。
そして健康を得た彼女は喜んでジョーカーに従うことを誓うと仮面党に入党。
イン・ラケチ成就のために影で暗躍。
しかし、活動のためにペルソナを乱用し、徐々に精神を病んでしまうと、
それを良く思わなかった祖父に、再び森本病院へと叩き込まることになってしまったのだ。
そんな祖父の横暴さを須藤竜子は悔しく思う。
彼の横暴さに、須藤竜子の人生は歪められ破壊されようとしている。
かつて、竜子の父もそうであったかのように。
腕に張り付いた蜘蛛の形の刺青ような痣を見つめながら、須藤は自身を抱くように身を縮めた。
身も心も寒くて涙がこぼれてしまいそうだった。
はやく仮面党の本拠地に戻りたい。だがこんなところでは捕まりたくない。
問題はここからだ。
手元にあるのは中務から奪った二万四千円。
これで、彼の言った通りにコンビニでプリペイドの携帯を買い、そのあとはジョーカーに助けを求めよう。
須藤は体育倉庫から出ると再び教室に忍び込み、ロッカーから運動着を引っ張りだしていそいそと着替えた。
女子の運動着は清掃の時に身につけたり、自転車通学の子なら風の強い日にスカートの下に履いてみたりと
常にロッカーに入っていると考えてもいい。
ついでに須藤は、中務の大きすぎる靴も脱ぎ捨て内履きに履き替えると近くのコンビニへと向かう。
「でもあいつ…。どっかで見たような気がする……」
コンビニへ向かう途中、須藤は中務のことを思い出して既視感を感じていた。
そんな感情は最近になって頻繁に沸き起こる。でもその原因はわからない。
これはいったいなんなのだろう。海棠という女を見た時も始めてだというのにイライラが込み上げてきた。
まさか前世からの因縁?そんな馬鹿なことが?――ありえない。
須藤は微苦笑し、答えのでないままコンビニへと歩んだ。
そしてマスクと携帯、大好きなポテトチップスを購入すると人気のない裏路地に移動し、
ジョーカーを呼び出そうと自分自身の携帯番号を打ち込み送信ボタンを押す。
が、あろうことかジョーカーは現れない。
もう!っと憤慨して髪の毛を掻き毟る須藤。
それならば、仮面党の幹部であるトーラスに連絡をとりたいところだったが
彼女はトーラスの携帯番号を覚えていない。
(どうしよう…)
そう思いながら爪を噛む。こんな状況ではもはや自力で行動するしかないのだろう。
しかし街中で、警察のパトカーが騒いでいるのが気になってしまう。
そう、須藤は白道の存在を知らなかった。警察が騒いでいるのは白道を追いかけているのだった。
だが、すべてのパトカーが自分を追いかけているのではないかと
勘違いしている須藤にはそれが気が気ではなかったのだ。
須藤はふらふらと近くの漫画喫茶に入店すると、倒れこむように個室で睡眠をとる。
目が覚めるのは次の日の午後になることだろう。
なぜなら彼女は病院から脱走後、一睡もしていなかったからだ。
須藤竜子は春日山高校で中務と接触したあと、正面玄関から逃走。
その後、パトカーのサイレンの音を聞き慌てて方向転換すると体育倉庫へと身を隠す。
もしかしたらパトカーに乗った警官たちは須藤を連れ戻しに来たのかもしれない。
須藤を森本病院に隔離した糞ジジィこと、祖父の須藤竜蔵にはそれほどの権力がある。
何を隠そう須藤竜子の祖父、須藤竜蔵は現職の外務大臣だからだ。
とある事件がきっかけで、子どもの頃にペルソナの能力を授かった須藤竜子だったが
ペルソナの力と引き換えに彼女は健康な身体を失ってしまっていた。
それゆえに数年前まで森本病院で療養していたのだが、
偶然か必然か、ある日病室にジョーカーが現れ彼女に健康を与えたのだった。
それも水泳で楽々と他者を圧倒できるほどの健康体を。
そして健康を得た彼女は喜んでジョーカーに従うことを誓うと仮面党に入党。
イン・ラケチ成就のために影で暗躍。
しかし、活動のためにペルソナを乱用し、徐々に精神を病んでしまうと、
それを良く思わなかった祖父に、再び森本病院へと叩き込まることになってしまったのだ。
そんな祖父の横暴さを須藤竜子は悔しく思う。
彼の横暴さに、須藤竜子の人生は歪められ破壊されようとしている。
かつて、竜子の父もそうであったかのように。
腕に張り付いた蜘蛛の形の刺青ような痣を見つめながら、須藤は自身を抱くように身を縮めた。
身も心も寒くて涙がこぼれてしまいそうだった。
はやく仮面党の本拠地に戻りたい。だがこんなところでは捕まりたくない。
問題はここからなのだ。
手元にあるのは中務から奪った二万四千円。
これで、彼の言った通りにコンビニでプリペイドの携帯を買い、そのあとはジョーカーに助けを求めよう。
須藤は体育倉庫から出ると再び教室に忍び込み、他人のロッカーから運動着を引っ張りだしていそいそと着替えた。
女子の運動着は清掃の時に身につけたり、自転車通学の子なら風の強い日に
スカートの下に履いてみたりとするため常にロッカーに入っていると考えてもいい。
ついでに須藤は、中務の大きすぎる靴も脱ぎ捨て内履きに履き替えると近くのコンビニへと向かう。
「でもあいつ…。どっかで見たような気がする……」
コンビニへ向かう途中、須藤は中務のことを思い出して既視感を感じていた。
そんな感情は最近になって頻繁に沸き起こる。でもその原因はわからない。
これはいったいなんなのだろう。海棠という女を見た時も始めてだというのにイライラが込み上げてきた。
まさか前世からの因縁?そんな馬鹿なことが?――ありえない。
須藤は微苦笑し、答えのでないままコンビニへと歩んだ。
そしてマスクと携帯、大好きなポテトチップスを購入すると人気のない裏路地に移動し、
ジョーカーを呼び出そうと自分自身の携帯番号を打ち込み送信ボタンを押す。
――が、あろうことかジョーカーは現れなかった。
もう!っと憤慨して髪の毛を掻き毟る須藤。
それならば、仮面党の幹部であるトーラスに連絡をとりたいところだったが
彼女はトーラスの携帯番号を覚えていない。
(くうっ…どうしよう……)
そう思いながら爪を噛む。こんな状況ではもはや自力で行動するしかないのだろう。
しかし警察のパトカーが、街中で騒いでいるのが気になってしまう。
そう、須藤は白道の存在を知らなかった。警察が騒いでいるのは白道を追いかけているため。
だがすべてのパトカーが自分を追いかけているのではないかと
勘違いしている須藤にはそれが気が気ではなかったのである。
須藤はふらふらと近くの漫画喫茶に入店すると、倒れこむように個室で睡眠をとる。
目が覚めるのは次の日の午後になることだろう。
なぜなら彼女は昨日から一睡もしていない。病院から脱走後、これが始めての睡眠だった。
>「……浅はかだな。俺の苦しみが愛だと?この女が俺を殺せない?
夢見がちなガキの戯言だ。そんな妄想よりもずっと確かな事を一つ、教えてやる。
俺も、この女も、人殺しには違いないんだよ」
あかねを背負った鳥居は無言。
振り返ることもなくジャンの言葉を背中で聞くと、その場をあとにした。
ただジャンの投げかけた言葉が胸に、棘のように突き刺さっている。
(どちらも同じ、人殺し…)
名前・パピスヘテプ
性別・女
年齢・15
髪型・ドレッドポニー
瞳色・黒
容姿・褐色、長身、出るところは出てへっこむ処はへっこんでいる。手足が長い。
漆黒毛皮のロングコート着用、犬の頭を模したフードを深くかぶっており見えるのは口下だけ。
左右の袖口も犬の頭を模しており、裾はふくらはぎまであり、一部はパピスヘテプの影に滴っているように同一化している
素顔は褐色の肌に掘りの深い顔。目にはアイシャドー。
ドレッドヘアーをまとめてポニーテールの様にしている
備考・死霊科所属でもサボり気味
いつも何かしらを飲み食いしている
基本的におおらかだが、役割的に静寂を貴ぶ反動で好奇心旺盛
憑かせている霊が冒険活劇に憧れていることもあり、厄介ごとに首を突っ込みたがる
まずは話し合いが基本スタンス
いつも骸骨を模したカンテラを持っているが、香炉も兼ねており、柔らかな臭いが染みついている
オシリス神を信仰しているのでオシリ好きだぞ
得意技・影術、除霊
好きなもの・ 野菜、果物
苦手なもの・闇、高所、猫、人情話、持久走
うわさ1・可愛い事に憧れを持ち似合わないと自覚していながら「パピちゃん」と呼ぶようにお願いしているらしい。
うわさ2・「さん」ではなく「ちゃん」が重要らしい
>「……浅はかだな。俺の苦しみが愛だと?この女が俺を殺せない?
夢見がちなガキの戯言だ。そんな妄想よりもずっと確かな事を一つ、教えてやる。
俺も、この女も、人殺しには違いないんだよ」
あかねを背負った鳥居は無言。
振り返ることもなくジャンの言葉を背中で聞くと、その場をあとにした。
ただジャンの投げかけた言葉が胸に、棘のように突き刺さっている。
(どちらも同じ、人殺し…。)
薄闇の街を鳥居は駆ける。
その表情は強張っていて、小さく固くなってしまった感じだ。
流れるあかねの血は、命の砂時計。
地を赤く染め上げると同時に徐々に失われてゆく体温。
そうだ、あかねの命のろうそくは消えかけている。
鳥居はあかねの死を覚悟できないまま、寺院へと急いでいた。
闇夜に沈んでいた動死体に気付かないまま。
そんな中、現れたのは生還屋。
>「――オイオイ、あのおっかねえ殺し屋さんは何やってんだ?
オメーみてーなガキンチョを一人にしちまいやがって」
気がつけば動死体が彼の後ろで絶命していた。
その様相にどきりと肝を冷やした鳥居であったが、
次の瞬間、さらに痛切な選択に問われる鳥居なのであった。
>「コイツはもう助かんねえよ。……ここで完膚なきにとどめを刺すか。
それとも、このまま置いていくか……お前が選べ」
生還屋の言葉に鳥居は覚悟を決めた。
このまま置いていって、あかねが動死体となって街を彷徨う姿など想像したくない。
ジャンの凶刃に倒されたあかねが、さらに呪災によって陵辱されることなど許されない。
「生還屋さんって、刃物は持ってましたっけ?あったらそれを貸していただけませんか?
せめて彼女の身体に、出来るだけ傷はつけないようにしたいので…」
マリーの剣捌きように頚椎を一突き出来れば、あかねはほとんど無傷でいられるはず。
鳥居は哀切な眼差しで生還屋を見つめる。
>「――勝手に、殺さんといてえな……。冗談キツいで、生還屋はん……」
「うわっ、あかねさん!!」
驚愕。あかねは息を吹き返した。
>「……まぁえっか。とにかく助かったんやし、それでええやんな!
ほなフーはんのトコ、帰ろか。
って、アレ?マリーはんは?どこなん?……無事なんよね?」
「え、えっと…、もう少し経ったら追いかけて来ると思いますよ」
そう言って苦笑している鳥居の身体はがくがくと震えていた。
ここにきて、人の生き死にを考えたり、自分の手で命を奪おうとしたりと
感情が上手く追いついてこないのだった。
>「……浅はかだな。俺の苦しみが愛だと?この女が俺を殺せない?
夢見がちなガキの戯言だ。そんな妄想よりもずっと確かな事を一つ、教えてやる。
俺も、この女も、人殺しには違いないんだよ」
あかねを背負った鳥居は無言。
振り返ることもなくジャンの言葉を背中で聞くと、その場をあとにした。
ただジャンの投げかけた言葉が胸に、棘のように突き刺さっている。
(どちらも同じ、人殺し…。)
薄闇の街を鳥居は駆ける。
その表情は強張っていて、小さく固くなってしまった感じだった。
流れるあかねの血は、命の砂時計。
地を点々と赤く染め上げてゆくと同時に徐々に失われてゆく体温。
今まさに、あかねの命のろうそくは消えかけている。
だが鳥居はあかねの死を覚悟できないまま、寺院へと急いでいた。
闇夜に沈んでいた動死体にも気付かないままに。
そんな中、現れたのは生還屋。
>「――オイオイ、あのおっかねえ殺し屋さんは何やってんだ?
オメーみてーなガキンチョを一人にしちまいやがって」
気がつけば動死体が彼の後ろで絶命している。
その様相にどきりと肝を冷やした鳥居であったが、
次の瞬間、さらに痛切な選択に問われるのであった。
>「コイツはもう助かんねえよ。……ここで完膚なきにとどめを刺すか。
それとも、このまま置いていくか……お前が選べ」
視線の先の地べたには、生還屋に引きむしるかのように降ろされたあかねが横たわっていた。
このままここに置いていって、あかねが動死体となって街を彷徨う姿など鳥居は想像したくない。
ジャンの凶刃に倒されたあかねが、さらに呪災によって陵辱されることなど絶対に許されない。
「生還屋さんは…、刃物は持ってますか?あったらそれを貸していただけませんか?
せめて彼女の身体に、出来るだけ傷はつけないように止めをさしたいので…」
マリーの剣捌きように頚椎を一突き出来れば、あかねはほとんど無傷で完全な死体になれるはず。
鳥居は哀切な眼差しで生還屋を見つめる。しかし――
>「――勝手に、殺さんといてえな……。冗談キツいで、生還屋はん……」
「はわわっ、あかねさん!!」
一同は驚愕。なんとあかねは息を吹き返した。
>「……まぁえっか。とにかく助かったんやし、それでええやんな!
ほなフーはんのトコ、帰ろか。
って、アレ?マリーはんは?どこなん?……無事なんよね?」
「え、えっと…、も、もう少し経ったら追いかけて来ると思いますよ」
そう言った鳥居の身体はがくがくと震えていた。
ここにきて人の生き死にを考えたり、自分の手で仲間の命を奪おうとしたりするその
自分自身の感情に自分が上手く追いついてこれないのだった。
絶叫が夜闇に響き渡っていた。どうやら寺院のほうからだ。
あかねと生還屋は先を急ぐ。
すると後ろからマリーが追いついて来た。
「あの…マリーさん。ご苦労さまでした。ジャンはあんなことを言ってましたけど、
僕は誰にでもこの世界に報復したいって思う気持ちはあると思うんです。
上手く言えませんがこの世界にたいして溜まってしまった鬱憤の晴らし方って言うか表現方法っていうか…。
でもその形はジャンよりもずっとマリーさんのほうが僕に近いんだって思います」
なんとも上手く言えなかった鳥居だったが、話すことによって少し気が楽になった気がした。
続けて鳥居はあかねを指差して嬉しそうに語る。
「見てください。さっき奇跡のようなことが起きたんです。
死にかけていたあかねさんが突然息を吹き返したんですよ!」
鳥居は微笑みながら寺院へと向かう。
が、その笑みは一瞬で凍りついてしまう。目の前には弁髪を結った極度の肥満男。
まるで日本の力士のようでもある。彼は門と結界を破ろうとしていた。
それも信じられないような動機で。
次に鳥居は目を覆いたくなった。
ダーは動死体に変化しようとしていた女の首を指一本で折り曲げ
苦渋の選択をした自分自身に陶酔してしまっている。
「……」
一通りの肥満男の行動を見て、鳥居が思ったことはただ一つ。
彼は「頼光以上」だということ。
否、比べることも失礼なほどイカレてしまっている。
絶叫が夜闇に響き渡っていた。どうやら寺院のほうからだ。
あかねと生還屋は先を急ぐ。
すると後ろからマリーが追いついて来た。
「あの…マリーさん。ご苦労さまでした。ジャンはあんなことを言ってましたけど、
僕は誰にでもこの世界に報復したいって思う気持ちはあると思うんです。
上手く言えませんがこの世界にたいして溜まってしまった鬱憤の晴らし方って言うか表現方法っていうか…。
でもその形はジャンよりもずっとマリーさんのほうが僕に近いんだって思います」
なんとも上手く言えなかった鳥居だったが、話すことによって少し気が楽になった気がした。
続けて鳥居はあかねを指差して嬉しそうに語る。
「見てください。さっき奇跡のようなことが起きたんです。
死にかけていたあかねさんが突然息を吹き返したんですよ!」
鳥居は微笑みながら寺院へと向かう。
が、その笑みは次の瞬間に凍りついていた。目の前には弁髪を結った極度の肥満男。
まるで日本の力士のようでもあるその男は、あろう事か寺院の門と結界を破ろうとしていた。
それも信じられないような動機で。
次に鳥居は、彼の行動に目を覆ってしまう。
ダーは動死体に変化しようとしていた女の首を指一本で折り曲げ
苦渋の選択をした自分自身に陶酔していたのだ。
「……」
一通りの肥満男の行動を見て、鳥居が思ったことはただ一つ。
彼は「頼光以上」だということ。
否、比べることも失礼なほどイカレてしまっている。
絶叫が夜闇に響き渡っていた。どうやら寺院のほうからだ。
あかねと生還屋は先を急ぐ。
すると後ろからマリーが追いついて来た。
なので鳥居は、一呼吸おいたあと思い切って話しかけてみる。
「あの…マリーさん。ご苦労さまでした。ジャンはあんなことを言ってましたけど、
僕は誰にでもこの世界に報復したいって思う気持ちはあると思うんです。
上手く言えませんがこの世界にたいして溜まってしまった鬱憤の晴らし方って言うか表現方法っていうか…。
でもその形はジャンよりもずっとマリーさんのほうが僕に近いんだって思います」
なんとも上手く言えなかった鳥居だったが、話すことによって少し気が楽になった。
続けてあかねを指差して嬉しそうに語る。
「見てください。さっき奇跡のようなことが起きたんです。
死にかけていたあかねさんが突然息を吹き返したんですよ!」
鳥居は微笑みながら寺院へと向かう。
が、その笑みは次の瞬間に凍りついていた。目の前に現れたのは弁髪を結った極度の肥満男。
まるで日本の力士のようでもあるその男は、あろう事か寺院の門と結界を破ろうとしていた。
それも信じられないような動機で。
次に鳥居は、彼の行動に目を覆ってしまう。
あろうことか肥満男ことダーは、動死体に変化しようとしていた女の首を
指一本で折り曲げ殺害すると、苦渋の選択をした自分自身に陶酔していたのだ。
「……」
一通りの肥満男の行動を見て、鳥居が思ったことはただ一つ。
彼は「頼光以上」だということを。
否、比べることも失礼なほどイカレてしまっているということを。
「んー…、なんかムカつきます。でもどうしてなのかなぁ?
頼光よりもぜんぜん可愛げがないからかなぁ。っていうかマリーさん。
女の人って男の人に守られちゃったらコロっと惚れちゃったりするものなのでしょうか?」
鳥居はダーのことを生理的にムカついた。
アホゆえに生の感情をむき出しにしてしまっている彼は、男という生き物の敵なのかもしれない。
子どもの身体の鳥居は男としての本能的な感情が弱いのだろう。
でも子どもながら優しくしなければならないなど変なプライドのようなものもあるのも事実。
その男の美学というものをダーはそのアホさで見事に地に貶めている。
だから鳥居はあの男を許せないのだ。
「あなたになんて守ってもらわなくったって、ぜんっぜん大丈夫ですから!
マリーさんもあかねさんも僕が守るって誓っているんだから余計なお世話しないでください!!」
怒る鳥居の拳に炎が宿る。その拳には吸血鬼の膂力も秘めている。
マリーやあかねに対しての絆は少年の心に軸を与え、神気を制御する術を与えていた。
山神と戦っていたころとは異質な力。昔の鳥居を爆薬と例えたら今は剣。
鳥居は炎の神気を指先に集めると地面に直径五メートルほどの炎の円を描く。
「さあ、男同士『力と力』で勝負です。この輪の中から出たら負け。転んでしまっても負けです。
正々堂々と勝負して僕に勝てたら、美人のマリーさんも可愛いあかねさんも、
きっと貴方のことを素敵と思うことでしょう」
果たしてダーは鳥居の誘いに乗ってくれるだろうか。
「はっけよーい…」
土俵の中央で前傾姿勢で構える。
ダーが立ったら鳥居も立ち上がり腰にタックルをすることだろう。
「んー…、なんかムカつきます。でもどうしてなのかなぁ?
頼光よりもぜんぜん可愛げがないからかなぁ。っていうかマリーさん。
女の人って男の人に守られちゃったらコロっと惚れちゃったりするものなのでしょうか?」
鳥居はダーのことを生理的にムカついた。
アホゆえに生の感情をむき出しにしてしまっている彼は、男という生き物の敵なのかもしれない。
子どもの身体の鳥居は男としての本能的な感情が弱いのだろうが
子どもながらにも女性には優しくしなければならないなど変なプライドのようなものもあるのも事実。
その男の美学というものをダーはそのアホさで見事に地に貶めている。
結局は自己愛に尽きるのだとしても、鳥居は人を守るということに夢を見ていたいのだ。
だから鳥居はあの男を許せないのだろう。
「あなたになんて守ってもらわなくったって、ぜんっぜん平気ですから!
マリーさんもあかねさんも僕が守るって誓っているんだから余計なお世話しないでください!!」
怒る鳥居の拳に炎が宿る。その拳には吸血鬼の膂力も秘めている。
マリーやあかねに対しての絆は少年の心に軸を与え、神気を制御する術を与えていた。
山神やフェイと戦っていたころとは異質な力。昔の鳥居を爆薬と例えたら今は剣。
鳥居は炎の神気を指先に集めると地面に直径五メートルほどの炎の円を描く。
「さあ、男同士『力と力』で勝負です。この炎の輪の中から出たら負け。足の裏以外をついてしまっても負けです。
正々堂々と勝負して貴方が僕に勝てたら、美人のマリーさんも可愛いあかねさんも、 きっと貴方のことを素敵に思うことでしょう。
そうです。貴方は二人を守るに値する素晴らしい男となるのです」
果たしてダーは鳥居の誘いに乗ってくれるのだろうか。
「はっけよーい…」
土俵の中央で手をついて前傾姿勢で構える。
ダーが立ったら鳥居も立ち上がり腰にタックルをすることだろう。
目が覚めたのは次の日の午後だった。
陽射しは大きく傾いていて、窓ガラスを叩く交差点の喧騒の隙間から
騒々しくパトカーのサイレンの音が聞こえてくる。
須藤竜子は白っぽく濁った意識の表層で、聞くともなしにその雑音に耳を傾けていた。
「テロだってよテロ!路地裏で爆弾テロって話だ!!」
「え?ほんとかよ?隕石が落ちたんじゃなかったのかよ?無数のクレーターが発見されたって誰かが言ってぜ」
「おい、警察が来てるぞ!」
言い合いをしている男の人たちの言葉の意味はよくわからなかった。
しかし騒がしくなってきたのは事実だったので、須藤は清算を終えると漫画喫茶を後にする。
そんななか、人込みの間に見え隠れするのは猫耳のフード。
刹那、再び沸き起こるデジャヴ。
(私、あの猫耳を知ってる…。名前も……知ってる)
何かがわかりかけてきたような気がした。忘れてしまっていた夢を思い出すような感覚。
だがその時、どこからともなく男の声がした。
「君、ちょっと、いいかな?」
須藤はぎょっと身を縮め、思わず声を上げてしまった。
しかし男に呼び止められたのは須藤ではなく、前を歩く白道睡蓮のほう。
「署まで来てくれないかな?」
男が警察手帳を見せると白道のまわりを数人の男たちが取り囲む。そう、彼らは私服警官だった。
白道が抵抗をしなければ、彼らはパトカーに乗せて白道を警察署まで連れて行くことだろう。
が、それを見ていた須藤が大声で叫ぶ。
「…に、逃げて!!」
その掛け声とともに人込みが割れた。次々と巨大な人影が警官や通行人をなぎ倒す。
そう、その能力はペルソナだった。それも制御されていない暴れ馬のような力を秘めた…。
警官たちは恐れおののきながらも立ち上がる。
謎の力でひっくり返った彼らではあったが一部の者はすでに察していた。
「あ、あの子は須藤竜子だ!外務大臣から直々に捜索願が出ている子だ。あの子も保護しろ!」
私服警官が複数、須藤に駆け寄りその細い腕を掴みあげる。
いっぽうの白道のほうは婦人警官が一人。震える手で彼女の手首を掴んでいた。
目の前にはドアの開かれたパトカー。
「さ、中に入りなさい。警察官殺しの重要参考人としてあなたを連行するわ」
【】
須藤竜子が目が覚めたのは次の日の午後だった。
陽射しは大きく傾いていて、窓ガラスを叩く交差点の喧騒の隙間から
騒々しくパトカーのサイレンの音が聞こえてくる。
須藤は薄っすらと目を開けながら、白っぽく濁った意識の表層で
聞くともなしにその雑音に耳を傾けていた。
「テロだってよテロ!路地裏で爆弾テロって話だぜ!!」
「え?ほんとかよ?隕石が落ちたんじゃなかったのかよ?無数のクレーターが発見されたって誰かが言ってぜ」
「おい、警察が来てるぞ!」
言い合いをしている男の人たちの言葉の意味はよくわからなかった。
しかし騒がしくなってきたのは事実だったので、須藤は清算を終えると漫画喫茶を後にする。
そんななか、前方の人込みの間に見え隠れするのは猫耳のフード。
刹那、再び沸き起こるデジャヴ。
(私、あの猫耳を知ってる…)
何かがわかりかけてきたような気がした。
それはまるで、忘れてしまっていた夢を思い出すような感覚に似ていた。
だがその時、どこからともなく男の声が響き、すべての思考を打ち壊す。
「君、ちょっと、いいかな?」
ひっ!須藤はぎょっと身を縮め、思わず声を上げてしまった。
しかし男に呼び止められたのは須藤ではなく前を歩く白道睡蓮のほう。
「署まで来てくれないかなぁ?」
男が警察手帳を見せると白道のまわりを数人の男たちが取り囲む。そう、彼らは私服警官だった。
白道が抵抗をしなければ、彼らはパトカーに彼女を乗せて警察署まで連れて行くことだろう。
が、それを見ていた須藤が大声で叫ぶ。
「…に、逃げて!!」
その掛け声とともに人込みが割れた。次々と巨大な人影が警官や通行人をなぎ倒す。
それは明らかに須藤のペルソナだった。それも制御されていない暴れ馬のような力を秘めた…。
警官たちは恐れおののきながらも立ち上がると、ペルソナにむけて拳銃を構える。
ただただ驚愕している彼らではあったが、一部の者はすでに察していた。
「あ、あの子は須藤竜子だ!外務大臣から直々に捜索願が出ている子だ。あの子も捕まえろ!」
私服警官が複数、須藤に駆け寄りその細い腕を掴みあげる。
いっぽうの白道のほうは婦人警官が一人、震える手で彼女の手首を掴んでいた。
目の前にはドアの開かれたパトカー。
「さ、中に入りなさい。警察官殺しの重要参考人としてあなたを連行するわ」
婦人警官は白道の背中を押してパトカーに押し入れようとしていた。
須藤竜子が目を覚ましたのは次の日の午後だった。
陽射しは大きく傾いていて、窓ガラスを叩く交差点の喧騒の隙間から
騒々しくパトカーのサイレンの音が聞こえてくる。
須藤は薄っすらと目を開けながら、白っぽく濁った意識の表層で
聞くともなしにその雑音に耳を傾けていた。
「テロだってよテロ!路地裏で爆弾テロって話だぜ!!」
「え?ほんとかよ?隕石が落ちたんじゃなかったのかよ?無数のクレーターが発見されたって誰かが言ってぜ」
「おい、警察が来てるぞ!」
言い合いをしている男の人たちの言葉の意味はよくわからなかった。
しかし騒がしくなってきたのは事実だったので、須藤は清算を終えると漫画喫茶を後にする。
そんななか、前方の人込みの間に見え隠れするのは猫耳のフード。
刹那、再び沸き起こるデジャヴ。
(あ、私…、あの猫耳を知ってる……)
何かがわかりかけてきたような気がした。
それはまるで、忘れてしまっていた夢を思い出すような感覚に似ていた。
だがその時、どこからともなく男の声が響き、すべての思考を打ち壊す。
「君、ちょっと、いいかな?」
ひっ!須藤はぎょっと身を縮め、思わず声を上げてしまった。
しかし男に呼び止められたのは須藤ではなく前を歩く白道睡蓮のほう。
「署まで来てくれないかなぁ?」
男が警察手帳を見せると白道のまわりを数人の男たちが取り囲む。そう、彼らは私服警官だった。
白道が抵抗をしなければ、彼らはパトカーに彼女を乗せて警察署まで連れて行くことだろう。
が、それを見ていた須藤が白道にむかって大声で叫ぶ。
「…に、逃げて!!」
その掛け声とともに人込みが割れた。次々と巨大な人影が警官や通行人をなぎ倒す。
それは明らかに須藤のペルソナだった。それも制御されていない暴れ馬のような力を秘めた…。
「ちっ!ばけものめ!!」
警官たちは恐れおののきながらも立ち上がると、ペルソナにむけて拳銃を構える。
ただただ驚愕している彼らではあったが、一部の者はすでに察していた。
「あ、あの子は須藤竜子だ!外務大臣から直々に捜索願が出ている子だ。あの子も捕まえろ!」
私服警官が複数、須藤に駆け寄りその細い腕を掴みあげる。
いっぽうの白道のほうは婦人警官が一人、震える手で彼女の手首を掴んでいた。
目の前にはドアの開かれたパトカー。
「さ、中に入りなさい。警察官殺しの重要参考人としてあなたを連行するわ」
婦人警官は白道の背中を押してパトカーに押し入れようとしていた。
海棠は美術室の前に一人、ぽつんと立って
廊下の壁に掲示されている美術部員たちの作品を鑑賞していた。
だが海棠には作品の内容よりも一つ気になっていることがあった。
そう、神部の名前だ。彼女の描いた作品はいったいどれなのだろう。
海棠はまだ、神部自身と触れ合うのは怖かった。
廃工場であんな風に会話をすることが出来たのは、これが最期と覚悟していたから。
でも今は怖い。一人でいるほうが自分が自分でいられる感じ。
壁の向こうには神部本人がいるのであろうが、
ただ近くに自分がいるというだけで今は満足していた。
沈黙が落ちる。海棠はしばらく掲示物に視線を這わせていた。
もちろん海棠には、作品を観てすぐに誰の作品なのか分かるほどの眼力はない。
ただ想像しているのは、神部の作品なら優しい感じなのだろうということ。
実際神部は、長身でおっとりしてそうなタイプ。でもどこかに茶目っ気を秘めた感じ。
海棠は知らない名前と知らない作品を照合させる作業をしばらく続けている。
が、そのときだった。突然携帯電話が鳴り出した。慌ててカバンから携帯を取り出す海棠。
ディスプレイにしるされている発信者ナンバーはプリンス・トーラス。
きっとこのまえの、シャドウ殲滅作戦のことなのだろう、
海棠はこっちにも言いたい事があると言わんばかりに強く通話ボタンを押した。
「もしもし海棠ですが」
(あ、お疲れ様。プリンス・トーラスだが。今すぐ水晶髑髏を持って来てくれないか。
それに話がある。とりあえず今すぐに来てくれ。あ、お友達も何人か連れてな。頼んだぞ)
「え?」
海棠が返す間もなく電話は切れた。来てくれというのは多分ゾディアックにということなのだろう。
それにわざとなのかなんなのか忙しい感を出していたトーラス。
おまけにあろうことかお友達を連れて来いという指示。海棠は目を瞑ってため息を吐いた。
誰にでも友達が沢山いると思うのは大間違いのことなのだ。
そう、海棠の友達は少ない。
同じ、苛められっ子仲間のエミコは最近なにかと忙しいようすだった。
学校が終わればすぐに用があるとどこかに消えてしまう。
それならもう、頼みの綱は……
海棠が立ち尽くしていると隣に人の気配。
振り向けば神部衣世。
「あ、あの…お久しぶりです」
びっくりした海棠は、きょどりながら軽く会釈。カバンを胸の前で抱きながら何故かその場で一回転。
すぐにこの場から逃げだそうと思ったのだったが、トーラスの指示もあったために逃げ出せず、
いわゆる軽いパニック状態になりながら頬を赤らめている。
もう自分でも変な感じになっていることは分かっていた。
それならここは思い切って……
「あうぅ…、神部さん。今ってお忙しいですか?やっぱり、学園祭も近いことですしお忙しいですよね。
あの、えっと…私、神部さんにとんでもないお願いごとがあるのですけど、いいですか?
その、あの…、部活が終わってからでいいのですけど、私と一緒にクラブ・ゾディアックに来ていただけませんか?
出来れば、その、お友達として……」
そう、海棠の友達は少ない。
同じ、苛められっ子仲間のエミコは最近なにかと忙しいようすだった。
学校が終わればすぐに用があるとどこかに消えてしまう。
それならもう、頼みの綱は……
海棠が立ち尽くしていると隣に人の気配。
振り向けば神部衣世。
「あ!あの…お久しぶりです」
びっくりした海棠は、きょどりながら軽く会釈。カバンを胸の前で抱きながら何故かその場で一回転。
すぐにこの場から逃げだそうと思ったのだったが、トーラスの指示もあったために逃げ出せず、
いわゆる軽いパニック状態になりながら頬を赤らめている。
そして暫くモジモジ。
もう自分でも変な感じになっていることは分かっていた。
それならここは思い切って……
「あうぅ…、神部さん。今ってお忙しいですか?やっぱり、学園祭も近いことですしお忙しいですよね。
あの、えっと…私、神部さんにとんでもないお願いごとがあるのですけど、いいですか?
その、あの…、今すぐになんですけど私と一緒にクラブ・ゾディアックに来ていただけませんか?
出来れば、その、お友達として……」
無茶と知っていて頼んでみた。
たとえここで断られたとしても、これなら断られてしまったと言い訳の弁が立つ。
海棠は何としても仮面党の幹部、レディ・スコルピオンとしてジョーカーに認められる必要があった。
それはあの男にもう一度会いたいがため。
実際には仮面の彼の正体が、男かどうかもわからなかったし
ボイスチェンジャーを使っている女なのかも知れない。でも彼の悲しそうな声が海棠には忘れられないでいた。
いつか、あの男と同じ場所にゆくことが出来れば、その悲しみの意味がわかるような気がしていた。
だから、ジョーカーのことが許せず倒すべき相手としてみているわけでは決してない。
だが自分がジョーカーに会いたいというだけで、神部を利用しようとしていることには
とてつもなく罪悪感を感じている。
珠間瑠市夢崎区、クラブ・ゾディアックは、この近隣の不良たちのたまり場だ。
大して広くもない店内は今日も混み合っており、叩きつけるような重低音が床や壁を震わせ、
立ち込める紫煙が視界を曖昧にしていた。
仮面党の幹部、プリンス・トーラスはVIPルームにいるはずだった。
海棠は一つ唾を飲み込むと店の奥に進む。そこは暗い場所だった。
黒い服の男がその目立たない扉のそばに立っていたが、
海棠の顔を見ると何も言わずに扉を開けてくれる。
そして扉を潜れば赤い照明に照らされている不気味な廊下に出る。
扉一枚隔てているだけなのにフロアの喧騒がここにはまるで届かず
さらにややこしく曲がりくねった廊下を通って階段を上れば
三階の一番奥、重厚な扉の奥にVIPルームがあった。
真紅の絨毯に革張りのソファ、大理石のテーブル。
そこはまるで、どこかの会社の重役室のようだった。
「ふふ…、お友達を連れて来たようだな。さあさ、かけたまえ遠慮せずに」
珠間瑠市夢崎区、クラブ・ゾディアックは、この近隣の不良たちのたまり場だ。
大して広くもない店内は今日も混み合っており、叩きつけるような重低音が床や壁を震わせ、
立ち込める紫煙が視界を曖昧にしていた。
仮面党の幹部、プリンス・トーラスはVIPルームにいるはずだった。
海棠は一つ唾を飲み込むと店の奥に進む。
そこは暗い場所で、黒い服の男がその目立たない扉のそばに立っていたが、
海棠の顔を見ると何も言わずに扉を開けてくれる。
そして扉を潜れば赤い照明に照らされている不気味な廊下に出る。
扉一枚隔てているだけなのにフロアの喧騒がここにはまるで届かず
さらにややこしく曲がりくねった廊下を通って階段を上れば
三階の一番奥、重厚な扉の奥にVIPルームがあった。
真紅の絨毯に革張りのソファ、大理石のテーブル。
そこはまるで、どこかの会社の重役室のようだった。
「ふふ…、お友達を連れて来たようだな。さあさ、座りたまえ遠慮せずに」
トーラスは相変わらずに派手なネクタイをぶら下げてどこか機嫌が良い様子。
珠間瑠市夢崎区、クラブ・ゾディアックは、この近隣の不良たちのたまり場だ。
大して広くもない店内は今日も混み合っており、叩きつけるような重低音が床や壁を震わせ、
立ち込める紫煙が視界を曖昧にしていた。
仮面党の幹部、プリンス・トーラスはVIPルームにいるはずだった。
海棠は一つ唾を飲み込むと店の奥に進む。
そこは暗い場所で、黒い服の男がその目立たない扉のそばに立っていたが、
海棠の顔を見ると何も言わずに扉を開けてくれる。
そして扉を潜れば赤い照明に照らされている不気味な廊下に出る。
扉一枚隔てているだけなのにフロアの喧騒がここにはまるで届かず
さらにややこしく曲がりくねった廊下を通って階段を上れば
三階の一番奥、重厚な扉の奥にVIPルームがあった。
真紅の絨毯に革張りのソファ、大理石のテーブル。
そこはまるで、どこかの会社の重役室のようだった。
「ふふ…、お友達を連れて来たようだな。さあさ、座りたまえ遠慮せずに」
トーラスは相変わらずに派手なネクタイをぶら下げており、何故か今日は機嫌が良い様子。
海棠はそんな態度に少々苛つきながらもソファに腰を下ろした。すると…
「レイディ、約束のものはどうした?」
と、トーラスは仮面のような笑顔で問うのだった。
なので海棠は、腰巾着の中に入れた水晶髑髏を彼に手渡した。
トーラスはそのパンダの刺繍の施された腰巾着から、
ぬるっと水晶髑髏を取り出すとそれを持って奥の部屋へと消える。
そして数分後。
大理石のテーブルに用意されたのはストロベリーパフェだった。
「食べながらでいいから聞いてくれ。
単刀直入に言うが君たちにはアイドルグループとしてデビューしてもらいたい。
その名も『ミューズ』学芸、芸術を司る九人の女神を意味する言葉だ。
デビュー曲もすでに用意してある。その名も『ジョーカー』。これはその歌詞と譜面だ」
珠間瑠市夢崎区、クラブ・ゾディアックは、この近隣の不良たちのたまり場だ。
大して広くもない店内は今日も混み合っており、叩きつけるような重低音が床や壁を震わせ、
立ち込める紫煙が視界を曖昧にしていた。
仮面党の幹部、プリンス・トーラスはVIPルームにいるはずだった。
海棠は一つ唾を飲み込むと店の奥に進む。
そこは暗い場所で、黒い服の男がその目立たない扉のそばに立っていたが、
海棠の顔を見ると何も言わずに扉を開けてくれる。
そして扉を潜れば赤い照明に照らされている不気味な廊下に出る。
扉一枚隔てているだけなのにフロアの喧騒がここにはまるで届かず
さらにややこしく曲がりくねった廊下を通って階段を上れば
三階の一番奥、重厚な扉の奥にVIPルームがあった。
真紅の絨毯に革張りのソファ、大理石のテーブル。
そこはまるで、どこかの会社の重役室のようだった。
「ふふ…、お友達を連れて来たようだな。さあさ、座りたまえ遠慮せずに」
トーラスは相変わらずに派手なネクタイをぶら下げており、何故か今日は機嫌が良い様子。
海棠はそんな態度に少々苛つきながらもソファに腰を下ろした。すると…
「レイディ、約束のものはどうした?」
と、トーラスは仮面のような笑顔で問うのだった。
なので海棠は、腰巾着の中に入れた水晶髑髏を彼に手渡した。
トーラスはそのパンダの刺繍の施された腰巾着から、
ぬるっと水晶髑髏を取り出すとそれを持って奥の部屋へと消える。
そして数分後。
大理石のテーブルに用意されたのはストロベリーパフェだった。
「食べながらでいいから聞いてくれ。
単刀直入に言うが君たちにはアイドルグループ『ミューズ』としてデビューしてもらいたい。
ああ、ミューズとは学芸、芸術を司る九人の女神を意味する言葉だ。
それにデビュー曲もすでに用意してある。その名も『ジョーカー』。これはその歌詞と譜面だ」
トーラスは白い紙を数枚、テーブルの上に置く。
その紙には歌詞がこう書いてあった。
享楽の舞 影達の宴 異国の詠 贖罪の迎え火は天を照らし 獅子の咆哮はあまねく響く
冥府に輝くは五なる髑髏 天井に輝くは聖なる十字架 天に昇りて星が動きを止める時
マイヤの乙女の鼓動も止まる 後に残るは地上の楽園 そして刻は繰り返す
この男は突然何を言い出すのだろう。歌詞を見ながら海棠は思った。と同時に恐ろしくなってくる。
このまま彼の指示がどんどんとエスカレートしてしまったらどうしよう。
というよりこの話を回避することは出来ないものだろうか。
海棠は紙面から視線をトーラスに移して…
「ミューズって九人の女神を表しているんだとしたら、ぜんぜんメンバーの人数が足りなくありませんか?
それに私、歌なんて歌えません。っていうかずっと言いたかったんですけど貴方は私に無茶なことを言いすぎなんです。
この前のシャドウだって、私一人じゃ勝てなかったし!」
刺々しい口調で言い終えるとパフェをスプーンで一口。
でもトーラスは、ネクタイの結び目を弄くりながら余裕の顔。
「んんー…、何はともあれ勝てたということは事実なんだろ?
ならそれで良かったんじゃないのか?たぶん、そういう運命だったはずだ。
それにシャドウ殲滅はジョーカー様の命令だったんだ。俺の指示じゃない。
だがまあ、すまなかったな。これもイン・ラケチ成就の第一歩だということで
ここは我慢してくれないか?」
言い終えてからトーラスは、苦笑するような表情を見せた。
その時、扉が開いた。その隙間から室内を確かめるように覗いているのは何と野中エミコ。
「お、いいところに来た。入りたまえ野中君。この子たちは新しく入ったミューズのメンバーだ。
紹介しよう海棠美歩君に…」
「神部さん!」とエミコ。
「お?知り合いだったのかね。そうか、君たちは同じ七姉妹学園の生徒だからね。
んー、なら話は早いんじゃないか?野中君にはすでにボイストレーニングをやってもらっている。
海棠君が歌うのが無理でもその子と野中君に歌ってもらえばそれでいい。
最悪、野中君一人に歌ってもらってあとは適当に周りで踊ってもらえたらそれでもいい」
海棠は美術室の前に一人、ぽつんと立って
廊下の壁に掲示されている美術部員たちの作品を鑑賞していた。
だが海棠には作品の内容よりも一つ気になっていることがあった。
そう、神部の名前だ。彼女の描いた作品はいったいどれなのだろう。
海棠はまだ、神部自身と触れ合うのは怖かった。
廃工場であんな風に会話をすることが出来たのは、これが最期と覚悟していたから。
でも今は怖い。一人でいるほうが自分が自分でいられる感じ。
壁の向こうには神部本人がいるのであろうが、
ただ近くに自分がいるというだけで今は満足していた。
沈黙が落ちる。海棠はしばらく掲示物に視線を這わせていた。
もちろん海棠には、作品を観てすぐに誰の作品なのか分かるほどの眼力はない。
ただ想像しているのは、神部の作品なら優しい感じなのだろうということ。
実際神部は、長身でおっとりしてそうなタイプ。でもどこかに茶目っ気を秘めた感じ。
海棠は知らない名前と知らない作品を照合させる作業をしばらく続けていた。
が、そのときだった。突然携帯電話が鳴り出した。慌ててカバンから携帯を取り出す海棠。
ディスプレイにしるされている発信者ナンバーはプリンス・トーラス。
きっとこのまえの、シャドウ殲滅作戦のことなのだろう、
海棠はこっちにも言いたい事があると言わんばかりに強く通話ボタンを押す。
「もしもし海棠ですが」
(あ、お疲れ様。プリンス・トーラスだが。今すぐ水晶髑髏を持って来てくれないか。
それと話がある。とりあえず今すぐに来てくれ、あとお友達も何人か連れてな。頼んだぞ)
「え?」
海棠が返す間もなく電話は切れた。来てくれというのは多分ゾディアックにということなのだろう。
それにわざとなのかなんなのか忙しい感を出していたトーラス。
おまけにあろうことかお友達を連れて来いという指示。海棠は目を瞑ってため息を吐いた。
誰にでも友達が沢山いると思うのは大間違いのことなのだ。
そう、海棠の友達は少ない。
同じ、苛められっ子仲間のエミコは最近なにかと忙しいようすだった。
学校が終わればすぐに用があるとどこかに消えてしまう。
それならもう、頼みの綱は……
海棠が立ち尽くしていると隣に人の気配。
振り向けば神部衣世。
「あ!あの…お久しぶりです」
びっくりした海棠は、きょどりながら軽く会釈。カバンを胸の前で抱きながら何故かその場で一回転。
すぐにこの場から逃げだそうと思ったのだったが、トーラスの指示もあったために逃げ出せず、
いわゆる軽いパニック状態になりながら頬を赤らめている。
そして暫くモジモジ。
もう自分でも変な感じになっていることは分かっていた。
それならここは思い切って……
「あうぅ…、神部さん。今ってお忙しいですか?やっぱり、学園祭も近いことですしお忙しいですよね。
あの、えっと…私、神部さんにとんでもないお願いごとがあるのですけど、いいですか?
その、あの…、今すぐになんですけど私と一緒にクラブ・ゾディアックに来ていただけませんか?
出来れば、その、お友達として……」
無茶と知っていて頼んでみた。
たとえここで断られたとしても一度は問うたのだから、断られてしまったのだと言い訳の弁が立つ。
海棠は何としても仮面党の幹部、レディ・スコルピオンとしてジョーカーに認められる必要があった。
それはあの男にもう一度会いたいがため。
実際には仮面の彼の正体が、男かどうかもわからなかったし
ボイスチェンジャーを使っている女なのかも知れない。でも彼の悲しそうな声が海棠には忘れられないでいた。
いつか、あの男と同じ場所にゆくことが出来れば、その悲しみの意味がわかるような気がしていた。
だから、ジョーカーのことが許せず倒すべき相手としてみているわけでは決してない。
だが自分がジョーカーに会いたいというだけで、神部を利用しようとしていることには
とてつもなく罪悪感を感じている。
珠間瑠市夢崎区、クラブ・ゾディアックは、この近隣の不良たちのたまり場だ。
大して広くもない店内は今日も混み合っており、叩きつけるような重低音が床や壁を震わせ、
立ち込める紫煙が視界を曖昧にしていた。
仮面党の幹部、プリンス・トーラスはVIPルームにいるはずだった。
海棠は一つ唾を飲み込むと店の奥に進む。
そこは暗い場所で、黒い服の男がその目立たない扉のそばに立っていたが、
海棠の顔を見ると何も言わずに扉を開けてくれる。
そして扉を潜れば赤い照明に照らされている不気味な廊下に出る。
扉一枚隔てているだけなのにフロアの喧騒がここにはまるで届かず
さらにややこしく曲がりくねった廊下を通って階段を上れば
三階の一番奥、重厚な扉の奥にVIPルームがあった。
真紅の絨毯に革張りのソファ、大理石のテーブル。
そこはまるで、どこかの会社の重役室のようだった。
「ふふ…、お友達を連れて来たようだな。さあさ、座りたまえ遠慮せずに」
トーラスは相変わらずに派手なネクタイをぶら下げており、何故か今日は機嫌が良い様子。
海棠はそんな態度に少々苛つきながらもソファに腰を下ろした。すると…
「レイディ、約束のものはどうした?」
と、トーラスは仮面のような笑顔で問うのだった。
なので海棠は、腰巾着の中に入れた水晶髑髏を彼に手渡した。
トーラスはそのパンダの刺繍の施された腰巾着から、
ぬるっと水晶髑髏を取り出すとそれを持って奥の部屋へと消える。
そして数分後。
大理石のテーブルに用意されたのはストロベリーパフェだった。
「食べながらでいいから聞いてくれ。
単刀直入に言うが君たちにはアイドルグループ『ミューズ』としてデビューしてもらいたい。
ああ、ミューズとは学芸、芸術を司る九人の女神を意味する言葉だ。
それにデビュー曲もすでに用意してある。その名も『ジョーカー』。これはその歌詞と譜面だ」
トーラスは白い紙を数枚、テーブルの上に置く。
その紙にはこんな歌詞が書いてあった。
享楽の舞 影達の宴 異国の詠 贖罪の迎え火は天を照らし 獅子の咆哮はあまねく響く
冥府に輝くは五なる髑髏 天井に輝くは聖なる十字架 天に昇りて星が動きを止める時
マイヤの乙女の鼓動も止まる 後に残るは地上の楽園 そして刻は繰り返す
この男は一体何を考えているのだろう。歌詞を見ながら海棠は思った。と同時に恐ろしくなってくる。
このまま彼の指示がどんどんとエスカレートしてしまったらどうしよう。
というよりこの話を回避することは出来ないものだろうか。
海棠は紙面から視線をトーラスに移して…
「ミューズって九人の女神を表しているんだとしたら、ぜんぜんメンバーの人数が足りなくありませんか?
それに私、歌なんて歌えません。っていうかずっと言いたかったんですけど貴方は私に無茶なことを言いすぎなんです。
この前のシャドウだって、私一人じゃ勝てなかったし!」
刺々しい口調で言い終えるとパフェをスプーンで一口。
でもトーラスは、ネクタイの結び目を弄くりながら余裕の顔。
「んんー…、何はともあれ勝てたということは事実なんだろ?
ならそれで良かったんじゃないのか?たぶん、そういう運命だったはずだ。
それにシャドウ殲滅はジョーカー様の命令だったんだ。俺の指示じゃない。
だがまあ、すまなかったな。これもイン・ラケチ成就の第一歩だということで
ここは我慢してくれないか?」
言い終えてからトーラスは、苦笑するような表情を見せた。
その時、扉が開く。その隙間から室内を確かめるように覗いているのは何と野中エミコ。
「お、いいところに来た。入りたまえ野中君。この子たちは新しく入ったミューズのメンバーだ。
紹介しよう海棠美歩君に…」
「神部さん!」とエミコ。
「お?知り合いだったのかね。そうか、君たちは同じ七姉妹学園の生徒だったんだね。
んー、なら話は早いんじゃないか?野中君にはすでにボイストレーニングをやってもらっている。
海棠君が歌うのが無理でもその、神部君という子と野中君に歌ってもらえばそれでいい。
最悪、神部君も無理でも野中君一人に歌ってもらってあとは適当に周りで踊ってもらえたらそれでもいい」
「えっと、これってなんなんですか?もしかして貴方の趣味とか?」
トーラスの話に、すっかりついていけなくなった海棠は眉根を寄せる。
だがトーラスは気にも留めていない様子で言葉を続けた。
「趣味?いや、俺の正業だよ。それに君の大事な仕事でもある」
そう言ってトーラスは目を細める。
なので海棠は察した。これも仮面党の仕事の一つであるということを。
「よし、ということで、君たちのデビューの舞台は学園祭にしようかと思っている。
そうだな…。詳しい日取りは後で連絡するよ。ああそうだ。最後に何か質問はないかね?」
トーラスは意味ありげな微笑を浮かべ一同を見回した。
海棠は食べているパフェに甘さを感じなくなっていた。
まさかこんなことになってしまうとは。
神部を巻き込んでしまったことに強く罪悪感を感じられずにはいられない海棠だった。
なんということか。
こんなところで野中エミコに遭遇してしまうとは。
やはり彼女も仮面党なのだろうか。それとも…。
いたたまれなくなった海棠は思わず立ち上がってしまう。
「えっと、これってなんなんですか?もしかして貴方の趣味とか?」
トーラスの話に、すっかりついていけなくなった海棠は強い口調で問いかけた。
だがトーラスは気にも留めていない様子で言葉を続ける。
「趣味?いや、俺の正業だよ。それに君の大事な仕事でもある」
そう言って目を細めるトーラス。
なので海棠は察した。これも仮面党の仕事の一つであるということを。
「よし、ということで、君たちのデビューの舞台は学園祭にしようかと思っている。
そうだな…。詳しい日取りは後で連絡するよ。ああそうだ。最後に何か質問はないかね?」
トーラスは意味ありげな微笑を浮かべ一同を見回した。
海棠はその微笑を正視出来ず、思わず立ち眩みそうになる。
まさかこんなことになってしまうとは。
神部を巻き込んでしまったことに強く罪悪感を感じられずにはいられない海棠だった。
なんということか。 こんなところで野中エミコに遭遇してしまうとは。
やはり彼女も仮面党なのだろうか。それともトーラスに偶然にスカウトされた?
いたたまれなくなった海棠は思わず立ち上がってしまう。
「えっと、いきなり歌手になれって一体なんなんですか?もしかして貴方の趣味とか?」
トーラスの話に、すっかりついていけなくなった海棠は強い口調で問いかけた。
だがトーラスは気にも留めていない様子で言葉を続ける。
「趣味?いや、俺の正業だよ。それに君の大事な仕事でもある」
そう言って目を細めるトーラス。
なので海棠は察した。これも仮面党の仕事の一つであるということを。
「よし、ということで、君たちのデビューの舞台は学園祭にしようかと思っている。
そうだな…。詳しい日取りは後で連絡するよ。ああそうだ。最後に何か質問はないかね?」
トーラスは意味ありげな微笑を浮かべ一同を見回した。
海棠はその微笑を正視出来ず、思わず立ち眩みそうになる。
まさかこんなことになってしまうとは。
神部を巻き込んでしまったことに強く罪悪感を感じられずにはいられない海棠だった。
>「もっとも、俺はエンカがどうなろうと知ったことじゃあねぇけどよ〜」
(どうやらあの子は、何者かにとりつかれているようですね)
>ゴゴゴゴ…という低い音がし、天井がゆっくりと降りてきた。
>トラップである。このまま一同をペシャンコにするつもりのようだ。
(ここは私の百万馬力の見せ所でしょうか?)
>と天井と壁の間の隙間を凍らせ始める
>「これでちょっとは天井が降ってくるのを遅らせることが出来るでしょう
あとは天井を止める隠しスイッチを見つけるだけです
惜しむらくは僕らはみんな魔法使いでこういうのが得意なシーフが居ないってことですね」
(さすがはフリードリッヒ!偉い子です。そうですね。あとは隠しスイッチを…)
>天井を見上げた後、視線をエンカに戻してパピスヘテプは犬の頭を模したフードを深々と被り、カンテラを懐から取り出した。
>香を焚き鎮静効果のある香りと光がエンカとパピスヘテプを包む。
>フリードが必死に稼いだ10分をのんびりとした話し合いで費やそうとするパピスヘテプ。
>この建物自体があなたの身体だから傷つけないようにするための誘導
(パピスヘテプの推理。気になります。私も何か試してみましょうか?)
先ほどテーブルを壁にぶつけた時、エンカには何の反応もなかったはず。
それはエンカの微妙な反応を見過ごしてしまったのか、ただ単に衝撃が弱すぎたのか。
>「ええい、こうなれば力づくッ!!」
>ドバキャッ!
>「………………」
>思い切り取っ手を引っ張り、ドアから取っ手を引きはがしてしまった。
>テオボルトはぽかんとした表情で周りを見た。どうしよう、とでも言いたげな顔である。
「ごめんなさい!」
アムリーテは突然テオボルトに腹パン(お腹をパンチ)
それは彼がドアノブを壊したからではなかった。
エンカは料理を食べる前から様子がおかしいようだったが、テオボルトがわざわざそれを食べる必要もない。
エンカに取りついているであろう者は、食べようぜーとか明らかに何かを狙っていた様子だった。
アムリーテは正しい判断をするべきと思った。
例えば潰されてしまった子どもたちはどうなってしまうのか。
それにも意味があるはず。
>扉には【入り口】と記されていた。
>【この先テレポートなど空間魔法使用不能】
>【この先内部破壊を禁止する。戦闘には注意を払う事】
・明日、別紙の地図に書かれた転移用ゲートの場所まで赴き、集まった者たちと一緒に転移すること。
・行き先の小島では当日、翌日と「清掃活動」に励むこと
・島内の設備は自由に使ってもいいが、食料などは自前で調達すること
・野外活動(サバイバル)の準備は怠らないこと
・「清掃活動」以外の時間は自由にすごしてもよい
・課題をこなせなかったものには、ペナルティが課せられる
>「もっとも、俺はエンカがどうなろうと知ったことじゃあねぇけどよ〜」
「どうやらあの子は、何者かにとりつかれているようですね。
たぶんあの子を利用して、何者かが子どもたちを罠にかけようとしていたようです。
…でもいったい何のために?」
>ゴゴゴゴ…という低い音がし、天井がゆっくりと降りてきた。
>トラップである。このまま一同をペシャンコにするつもりのようだ。
「まずいです。作戦が失敗した彼は、子どもたち潰しにかかりました。
それならばここは、私の百万馬力で!」
>と天井と壁の間の隙間を凍らせ始める
>「これでちょっとは天井が降ってくるのを遅らせることが出来るでしょう
あとは天井を止める隠しスイッチを見つけるだけです
惜しむらくは僕らはみんな魔法使いでこういうのが得意なシーフが居ないってことですね」
「さすがはフリードリッヒ!偉い子です。そうですね。あとは隠しスイッチを…」
>天井を見上げた後、視線をエンカに戻してパピスヘテプは犬の頭を模したフードを深々と被り、カンテラを懐から取り出した。
>香を焚き鎮静効果のある香りと光がエンカとパピスヘテプを包む。
>フリードが必死に稼いだ10分をのんびりとした話し合いで費やそうとするパピスヘテプ。
>この建物自体があなたの身体だから傷つけないようにするための誘導
(パピスヘテプの推理。気になります。私も何か試してみましょうか?
先ほどテーブルを壁にぶつけた時、エンカには何の反応もなかったはず。
それはエンカの微妙な反応を見過ごしてしまったのでしょうか、
それともただ単に衝撃が弱すぎただけなのでしょうか)
>「ええい、こうなれば力づくッ!!」
>ドバキャッ!
>「………………」
>思い切り取っ手を引っ張り、ドアから取っ手を引きはがしてしまった。
>テオボルトはぽかんとした表情で周りを見た。どうしよう、とでも言いたげな顔である。
「……」
アムリーテは無言。ただテオボルトの心配はしていた。
彼は人間サソリを食べてしまっている。
エンカに憑いている者の目的はそれを食べさせることだったはず。
ならば彼はこれからどうなってしまうのだろう。
何もしなければ天井に潰されて死ぬだけ?そう死ぬだけのはず。
街中での突然の捕り物劇に、携帯カメラのシャッターを押す者、
ツイッターで呟きを始める者、逃げ出す者、などと様々な動きを見せる通行人たち。
それらを背景に須藤竜子は私服警官たちと睨み合っていた。
少女の傍らに立つのは異形。無意識の海から生まれ出た影。
まるで心臓の殻を突き破って生まれ出てきたような「それ」は
少女の身体に激しい痛みさえ与えていた。
歯を食い縛りながら須藤は思う。
こんな思いまでして白道を助けたのは何か絶対的な理由があるのではないかと。
自身の無意識の奥底に、その理由が今も眠り続けているのではないのだろうかと。
私服警官たちの背後に白道が見える。彼女はパトカーに押し込められようとしていた。
しかし、須藤には分かった。
白道の余裕の表情と、婦人警官の青ざめた表情から、
彼女が助かるものと確信したのである。
>「昇進おめでとうございますッス、公僕の皆様。
確か、二階級特進でしたッスか?殉職って……」
「何を言っているの貴女…、まさか!!」
婦人警官の見開かれた瞳には紅い翼が映っていた。確かに見えたような気がしていた。
次の瞬間、網膜が強い光に射られると、婦人警官の視界は完全にホワイトアウトする。
そう、彼女が最期に見たのは紅い翼の女神。
落ちてきた光は収束すると、血も骨も魂さえも残さずにすべての警官たちを消し去った。
街中での突然の捕り物劇に、携帯カメラのシャッターを押す者、
ツイッターで呟きを始める者、逃げ出す者、などと様々な動きを見せる通行人たち。
それらを背景に須藤竜子は私服警官たちと睨み合っていた。
少女の傍らに立つのは異形。無意識の海から生まれ出た影。
まるで心臓の殻を突き破って生まれ出てきたような「それ」は
少女の身体に激しい痛みさえ与えていた。
歯を食い縛りながら須藤は思う。
こんな思いまでして白道を助けたのは何か絶対的な理由があるのではないかと。
自身の無意識の奥底に、その理由が今も眠り続けているのではないのだろうかと。
私服警官たちの背後に白道が見える。彼女はパトカーに押し込められようとしていた。
しかし、須藤には分かった。
白道の余裕の表情と、婦人警官の青ざめた表情から、
彼女が助かるものと確信したのである。
>「昇進おめでとうございますッス、公僕の皆様。
確か、二階級特進でしたッスか?殉職って……」
「は?何を言っているの。貴女…、ま、まさか!!」
婦人警官の見開かれた瞳には紅い翼が映っていた。確かに見えたような気がしていた。
次の瞬間、網膜が強い光に射られると、婦人警官の視界は完全にホワイトアウトする。
そう、彼女が最期に見たのは紅い翼の女神。
天上から落ちてきた光は収束を開始すると、血も骨も魂さえも残さずにすべての警官たちを消し去ってゆく。
街中での突然の捕り物劇に、携帯カメラのシャッターを押す者、
ツイッターで呟きを始める者、逃げ出す者、などと様々な動きを見せる通行人たち。
それらを背景に須藤竜子は私服警官たちと睨み合っていた。
少女の傍らに立つのは異形。無意識の海から生まれ出た影。
まるで心臓の殻を突き破って生まれ出てきたような「それ」は
少女の身体に激しい痛みさえ与えていた。
歯を食い縛りながら須藤は思う。
こんな思いまでして白道を助けたのは何か絶対的な理由があるのではないかと。
自身の無意識の奥底に、その理由が今も眠り続けているのではないのだろうかと。
私服警官たちの背後に白道が見える。彼女はパトカーに押し込められようとしていた。
しかし、須藤には分かった。
白道の余裕の表情と、婦人警官の青ざめた表情から、
猫耳の少女が助かるものと確信したのである。
>「昇進おめでとうございますッス、公僕の皆様。
確か、二階級特進でしたッスか?殉職って……」
「は?何を言っているの。貴女…、ま、まさか!!」
婦人警官の見開かれた瞳には紅い翼が映っていた。確かに見えたような気がしていた。
次の瞬間、網膜が強い光に射られると、婦人警官の視界は完全にホワイトアウトする。
そう、彼女が最期に見たのは紅い翼の女神。
天上から落ちてきた光は収束を開始すると、血も骨も魂さえも残さずにすべての警官たちを消し去ってゆく。
こうして南港警察署刑事一課強行犯係の捜査チーム、通称「三島班」は全員が殉職した。
確かに彼らの正義心と連帯感からくる勇気ある行動は敬意に値するものだった。
しかし、保身を第一と考える警察の上層部は三島班の行動を汚点として処理し、
きっと闇に葬ってしまうことだろう。
――気がつけば、断罪の光が街に沈黙を齎していた。
>「んじゃ、逃げるッスか!行くッスよ、竜子チャン♪」
「あ…」
手を繋ぎ、二人は雑踏を駆け抜ける。
冷たい秋風が死人の手のように須藤の髪を梳かしている。
そう、すでにこの街は死で満ちているのだ。
>「にゃお♪」
悪戯っぽく猫の様に鳴く白道睡蓮。一体彼女はどこへ向かっているのだろうか。
半ば強引に導かれながら、須藤はいつの間にか暗い裏通りに入っていた。
徐々に悪臭が鼻を刺激する。飲食店の生ゴミが散開する裏路地を二人は野良猫のように駆けていた。
その時だ。脳裏に蘇る記憶。頭の中で呪詛のように鳴り響く音楽。
それに思わず須藤は口ずさんでしまう。そう、まるでミュージカル映画のワンシーンのように。
「享楽の舞 影達の宴 異国の詠 贖罪の迎え火は天を照らし 獅子の咆哮はあまねく響く
冥府に輝くは五なる髑髏 天井に輝くは聖なる十字架 天に昇りて星が動きを止める時
マイヤの乙女の鼓動も止まる 後に残るは地上の楽園 そして刻は繰り返す」
きっと白道は、須藤が気が狂っていると思うことだろう。
だがその歌の旋律は、人の意識の奥底を揺さぶるような魔術的な要素を含んでいるようだった。
歌い終えた須藤は呼吸を荒げ、白道の手を振り解くと歩調を落とす。
ふと視線を這わせば、残飯に半身を突っ込んで食料を漁っている猫。
その様子に須藤は感覚でわかった。どうやらこの辺りは夢崎区らしい。
「ハア…ハア…。ありがと…助かったわ。それに貴女の名前は白道睡蓮さんでしょ?、
私、何故かはわからないけど知ってるの。たぶん、前にどこかで会ったのかもね…」
街中での突然の捕り物劇に、携帯カメラのシャッターを押す者、
ツイッターで呟きを始める者、逃げ出す者、などと様々な動きを見せる通行人たち。
それらを背景に須藤竜子は私服警官たちと睨み合っていた。
須藤の傍らに立つのは異形。無意識の海から生まれ出た影。
まるで心臓の殻を突き破って生まれ出てきたような「それ」は
少女の身体に激しい痛みさえ与えていた。
歯を食い縛りながら須藤は思う。
こんな思いまでして白道を助けたのは何か絶対的な理由があるのではないかと。
自身の無意識の奥底に、その理由が今も眠り続けているのではないのだろうかと。
私服警官たちの背後に白道が見える。彼女はパトカーに押し込められようとしていた。
しかし、須藤には分かっていた。
白道の余裕の表情と、婦人警官の青ざめた表情から、
猫耳の少女が助かるものと確信していたのである。
>「昇進おめでとうございますッス、公僕の皆様。
確か、二階級特進でしたッスか?殉職って……」
「は?何を言っているの。貴女…、ま、まさか!!」
婦人警官の見開かれた瞳には紅い翼が映る。そう、確かにそれは見えていた。
が、次の瞬間、網膜が強い光に射られると、婦人警官の視界は完全にホワイトアウト。
そうだ。彼女が最期に見たのは紅い翼の女神。
そして天上から落ちてきた光は収束を開始すると、血も骨も魂さえも残さずにすべての警官たちを消し去ってゆく。
こうして南港警察署刑事一課強行犯係の捜査チーム、通称「三島班」は全員が殉職した。
確かに彼らの正義心と連帯感からくる勇気ある行動は敬意に値するものだった。
しかし、保身を第一と考える警察の上層部は三島班の行動を汚点として処理し、
きっと闇に葬ってしまうことだろう。
――気がつけば、断罪の光が街に沈黙を齎している。
>「んじゃ、逃げるッスか!行くッスよ、竜子チャン♪」
「あ…」
手を繋ぎ、雑踏を駆け抜ける二つの影。
冷たい秋風が死人の手のように須藤の髪を梳かしている。
そう、すでにこの街は死で満ちているのだ。
>「にゃお♪」
悪戯っぽく猫の様に鳴く白道睡蓮。一体彼女はどこへ向かっているのだろうか。
半ば強引に導かれながら、須藤はいつの間にか暗い裏通りに入っていた。
徐々に悪臭が鼻を刺激する。飲食店の生ゴミが散開する裏路地を二人は野良猫のように駆けていた。
その時だ。脳裏に蘇る記憶。頭の中で呪詛のように鳴り響く旋律。
それに思わず須藤は口ずさんでしまう。そう、まるでミュージカル映画のワンシーンのように。
「享楽の舞 影達の宴 異国の詠 贖罪の迎え火は天を照らし 獅子の咆哮はあまねく響く
冥府に輝くは五なる髑髏 天井に輝くは聖なる十字架 天に昇りて星が動きを止める時
マイヤの乙女の鼓動も止まる 後に残るは地上の楽園 そして刻は繰り返す」
きっと白道は、須藤が気が狂っていると思うことだろう。
だがその歌は、人の意識の奥底を揺さぶるような魔術的な要素を含んでいるようだった。
歌い終えた須藤は呼吸を荒げ、白道の手を振り解くと歩調を落とす。
ふと視線を這わせば、残飯に半身を突っ込んで食料を漁っている猫。
その様子に須藤は感覚でわかった。どうやらこの辺りは夢崎区らしい。
「ハア…ハア…。ありがと…助かったわ。それに貴女の名前は白道睡蓮さんでしょ?、
私、何故かはわからないけど知ってるの。たぶん、前にどこかで会ったのかもね…」
それがどこかは、まだ思い出せない。
だから須藤竜子は、生ゴミの残骸を避けながら白道についてゆく。
彼女のことを知れば知るほど、何かを思い出してゆくのではないか。
そんな期待を胸に秘めて。
「貴女のペルソナ。すごいペルソナだったね。
私のと違う。ちゃんと言うことを聞いてくれるペルソナ。
羨ましいなぁ。強かったし…」
目を輝かせている須藤。
白道が警官を複数人殺害したことは気にも留めていないのだろう。
少女は羨望の眼差しで言葉を続ける。
「その力。私たちに貸してくれない?私たち仮面党に。イン・ラケチの成就のために。
いいでしょ?貴女と私たちで世界を変えてみせましょうよ。
ジョーカー様とともにイデアルエナジーを集めて、人類を新たなる段階へと進化させましょう」
「ハア…ハア…。ありがと…助かったわ。それに貴女の名前は白道睡蓮さんでしょ?、
私、何故かはわからないけど知ってるの。たぶん、前にどこかで会ったのかもね…」
それがどこかは、まだ思い出せない。
だから須藤竜子は、生ゴミの残骸を避けながら白道についてゆく。
彼女のことを知れば知るほど、何かを思い出してゆくのではないか。
そんな期待を胸に秘めて。
「貴女のペルソナ。すごいペルソナだったね。
私のと違う。ちゃんと言うことを聞いてくれるペルソナ。
羨ましいなぁ。強かったし…」
目を輝かせている須藤。
白道が警官を複数人殺害したことは気にも留めていない。
否、むしろその能力の高さに敬意を払っているようでもあった。
それ故に少女は、羨望の眼差しで言葉を続けるのだ。
「その力、私たちに貸してくれない?私たち仮面党に……。イン・ラケチの成就のために。
いいでしょ?貴女と私たちで世界を変えてみせましょうよ。
イン・ラケチが成就されたら人類は新たなる段階へと進化するの。
そうなったら、みんなの病気もなくなるだろうし、
無能な人間たちが馬鹿げたことを繰り返さなくってもすむようになるのよ」
明らかに宗教団体的な須藤の発言に、白道はどのような反応を示すのだろうか。
だがその須藤は興奮し過ぎたのか、白道の答えを待たずに胸を抑えながら苦しそうにしている。
「……この命。無くなっちゃうまえに…私は世界を変えたいのよ。
どいつもこいつもさ、馬鹿げたことを繰り返してる場合じゃないんだから」
弱弱しく震える須藤の身体ではあったが、その瞳には怒りにも似た激しい情念を孕んでいる。
「ハア…ハア…。ありがと…助かったわ。それに貴女の名前は白道睡蓮さんでしょ?、
私、何故かはわからないけど知ってるの。たぶん、前にどこかで会ったのかもね…」
それがどこかは、まだ思い出せない。
だから須藤竜子は、生ゴミの残骸を避けながら白道についてゆく。
彼女のことを知れば知るほど、何かを思い出してゆくのではないか。
そんな期待を胸に秘めて。
「貴女のペルソナ。すごいペルソナだったね。
私のと違う。ちゃんと言うことを聞いてくれるペルソナ。
羨ましいなぁ。強かったし…」
目を輝かせている須藤。
白道が警官を複数人殺害したことは気にも留めていない。
否、むしろその能力の高さに敬意を払っているようでもあった。
それ故に少女は、羨望の眼差しで言葉を続けるのだ。
「その力、私たちに貸してくれない?私たち仮面党に……。イン・ラケチの成就のために。
いいでしょ?貴女と私たちで世界を変えてみせましょうよ。
イン・ラケチが成就されたら人類は新たなる段階へと進化するの。
そうなったら、みんなの病気もなくなるだろうし、
無能な人間たちが馬鹿げたことを繰り返さなくってもすむようになるのよ」
明らかに宗教団体的な須藤の発言に、白道はどのような反応を示すのだろうか。
だがその須藤は興奮し過ぎたのか、白道の答えを待たずに胸を抑えながら苦しそうにしている。
「……ねえ、いいでしょ?
この命がさ、無くなっちゃうまえに…。私は世界を変えたいのよ。
どいつもこいつもさ、馬鹿げたことをただ繰り返してるだけじゃない…。
それはね、あきらかに時間の無駄なのよ。そう、命の無駄遣いなのよ……」
弱弱しく震える須藤の身体ではあったが、その瞳には怒りにも似た激しい情念を孕んでいた。
――夢崎区。クラブ・ゾディアック(VIPルーム)
ミューズというユニット名で、歌手デビューをしろと無理難題を押し付けてくる仮面党幹部トーラス。
それに毅然とした態度で条件を突き返すのは神部衣世。
二人に挟まれた海棠美歩は、何となく大人の世界を垣間見たような気がした。
たった一歳違うだけだというのに、神部の行動は洗練されているし
何よりも常識的で正しいと思う。
これも大病を患って、彼女が一年留学したという影響なのだろうか。
神部は過去に死というものを実感したはずだ。
だからこそ今、生きている時間を大切に過ごすことが出来ているし
自分自身を大切にすることが出来ているのだろう。海棠はそう思う。
自分のように人生が上手くいかないからと言って、
「どうでもいい」とか「世界が終わるのを見ていたい」など
そんなみすぼらしい考えなど神部は持ち合わせていないのだろう。
――夢崎区。クラブ・ゾディアック(VIPルーム)
ミューズというユニット名で、歌手デビューをしろと無理難題を押し付けてくる仮面党幹部トーラス。
それに毅然とした態度で条件を突き返すのは神部衣世。
二人に挟まれた海棠美歩は、何となく大人の世界を垣間見たような気がした。
たった一歳違うだけだというのに、神部の行動は洗練されているし
何よりも常識的で正しいと思う。
これも大病を患って、彼女が一年留学したという影響なのだろうか。
神部は過去に死というものを実感したはずだ。
だからこそ今、生きている時間を大切に過ごすことが出来ているし
自分自身を大切にすることが出来ているのだろう。海棠はそう思う。
自分のように人生が上手くいかないからと言って、
「どうでもいい」とか「世界が終わるのを見ていたい」など
そんなみすぼらしい考えなど神部は持ち合わせていないのだろう。
そんな折、野中エミコは部屋の奥の扉に入ってゆくと
中からチョコレートパフェを自分で勝手に持ってくる。
野中のそんな行いに海棠は、彼女がすでにジョーカーと接触しており
仮面党の一員であるのだろうと想起。
でも一体野中は何をジョーカーに願ったのだろう。
そんなことを一瞬だけ気にしながら、海棠は神部とトーラスのやり取りに意識を戻す。
――夢崎区。クラブ・ゾディアック(VIPルーム)
ミューズというユニット名で、歌手デビューをしろと無理難題を押し付けてくる仮面党幹部トーラス。
それに毅然とした態度で条件を突き返すのは神部衣世。
二人に挟まれた海棠美歩は、何となく大人の世界を垣間見たような気がした。
たった一歳違うだけだというのに、神部の行動は洗練されているし
何よりも常識的で正しいと思う。
これも大病を患って、彼女が一年留学したという影響なのだろうか。
神部は過去に死というものを実感したはずだ。
だからこそ今、生きている時間を大切に過ごすことが出来ているし
自分自身を大切にすることが出来ているのだろう。海棠はそう思う。
自分のように人生が上手くいかないからと言って、
「どうでもいい」とか「世界が終わるのを見ていたい」など
そんなみすぼらしい考えなど神部は持ち合わせていないのだろう。
そんな折、野中エミコは部屋の奥の扉に入ってゆくと
中からチョコレートパフェを自分で勝手に持ってくる。
海棠は野中のそんな行いに、彼女がすでにジョーカーと接触しており
仮面党の一員であるのだろうと想起。
でも一体野中は何をジョーカーに願ったのだろう。
そんなことを一瞬だけ気にしながら、神部とトーラスのやり取りに意識を戻す。
――夢崎区。クラブ・ゾディアック(VIPルーム)
ミューズというユニット名で、歌手デビューをしろと無理難題を押し付けてくる仮面党幹部トーラス。
それに毅然とした態度で条件を突き返すのは神部衣世。
二人に挟まれた海棠美歩は、何となく大人の世界を垣間見たような気がした。
たった一歳違うだけだというのに、神部の行動は洗練されているし
何よりも常識的で正しいと思う。
これも大病を患って、彼女が一年留学したという影響なのだろうか。
神部は過去に死というものを実感したはずだ。
だからこそ今、生きている時間を大切に過ごすことが出来ているし
自分自身を大切にすることが出来ているのだろう。海棠はそう思う。
自分のように人生が上手くいかないからと言って、
「どうでもいい」とか「世界が終わるのを見ていたい」など
そんなみすぼらしい考えなど神部は持ち合わせていないのだろう。
そんな折、野中エミコは部屋の奥の扉に入ってゆくと
中からチョコレートパフェを自分で勝手に持ってくる。
海棠は野中のそんな行いに、彼女がすでにジョーカーと接触しており
仮面党の一員であるのだろうと想起。
でも一体野中はジョーカーに何を願ったのだろう。
まさか、性格を明るくしたいとか?
そんなことを一瞬だけ気にしながら、神部とトーラスのやり取りに意識を戻す。
神部衣世がトーラスに投げかけたのは三つの質問。
>「どうして私達のような素人を捕まえてミューズを結成したのでしょう。
仮面党の宣伝塔にでもしたてあげるつもりですか?そんな浅い考えでは無いことを願いますが。」
「ハハハ。いやいや図星だよ。神部君とか言ったね?君は実に聡明だ。
今、仮面党は君みたいな凛として強い若者の力を欲しているんだよ。
その為には今時でポップな広告塔が必要と思ってね」
トーラスはあっさりと神部の意見を肯定。
>……ジョーカーは人間ですか?何をしているのです?年は?性別は?ペルソナ使いなの?」
「……ジョーカー様は思慮深いお方だよ。俺たちのために仮面を被り、ジョーカーになられたという。
年齢も性別もわからぬが、イン・ラケチ成就のために今もこの街を奔走なされているはずだ。
それにペルソナ使いかはどうかはわからん。俺はあのお方のペルソナを見たことがないからな。
ただその可能性は大とだけ伝えておこう。なぜならあのお方に成せないことはないからだ。
さらに望龍術という神秘的な力も持っておられる。
それらを惜しげもなく使役し、ジョーカー様は俺たちをイン・ラケチへと導いてくださっておられるのだ」
>「長いこと喋ってましたけど、あと一つだけ。これに答えてくれさえすれば、後の問いはぶっちゃけノーコメントでも結構。
――どうしてジョーカーはイン・ケラチを成就させたいのだろうか。
その願いが叶った後、世界はどう変わる?」
「……ん」
短く言ってトーラスはテーブルの上のブランデーを一口。
その動作の間に言葉を選んでいるともとれる。
「そうだな。宗教を超えた大いなる救済が行われたのち、
世界からすべての不幸がなくなる、とでも言っておこうか」
その時、海棠は不思議に思った。かつて海棠が教えられたことと
トーラスが今、神部に伝えたこととでは少々ニュアンスが違っていたからだ。
神部衣世がトーラスに投げかけたのは三つの質問。
>「どうして私達のような素人を捕まえてミューズを結成したのでしょう。
仮面党の宣伝塔にでもしたてあげるつもりですか?そんな浅い考えでは無いことを願いますが。」
「ハハハ。いやいや図星だよ。神部君とか言ったね?君は実に聡明な女性だ。
今、仮面党は君みたいな凛として強い若者の力を欲しているんだよ。
その為には今時でポップな広告塔が必要と思ってね」
トーラスはあっさりと神部の意見を肯定。
>……ジョーカーは人間ですか?何をしているのです?年は?性別は?ペルソナ使いなの?」
「……ジョーカー様は思慮深いお方だよ。俺たちのために仮面を被り、ジョーカーになられたという。
年齢も性別もわからぬが、イン・ラケチ成就のために今もこの街を奔走なされているはずだ。
それにペルソナ使いかはどうかはわからん。俺はあのお方のペルソナを見たことがないからな。
ただその可能性は大とだけ伝えておこう。なぜならあのお方に成せないことはないからだ。
さらに望龍術という神秘的な力も持っておられる。
それらを惜しげもなく使役し、ジョーカー様は俺たちをイン・ラケチへと導いてくださっているのだ」
気がつけば、あのトーラスから笑顔が消えている。
ジョーカーについて語る彼の眼差しは真剣そのものだった。
>「長いこと喋ってましたけど、あと一つだけ。これに答えてくれさえすれば、後の問いはぶっちゃけノーコメントでも結構。
――どうしてジョーカーはイン・ケラチを成就させたいのだろうか。
その願いが叶った後、世界はどう変わる?」
「……ん」
短く言ってトーラスはテーブルの上のブランデーを一口。
乾いた喉を潤すためか、その動作の間に言葉を選んでいるのか。
それは本人以外にわからない。
「そうだな。宗教を超えた大いなる救済が行われたのち、
世界からすべての不幸がなくなる、とでも言っておこうか」
その時、海棠は不思議に思った。かつて海棠が教えられたことと
トーラスが今、神部に答えたこととでは少々ニュアンスが違っていたからだ。
それに何かの意味はあるのだろうか。考えるとすれば、神部はまだ仮面党員ではないということと
ジョーカーと接触していないということ。
やはり身内以外には真実は伝えられないということなのだろうか。
海棠がトーラスから聞いた言葉は、イデアルエナジーを集め
人類を新たなる段階へと進化させるということだった。
しかしそもそも進化とはどういうことなのだろう?
進化したあとの人間はいったいどうなることなのだろう?
その言葉は、今さらながら胡散臭い。
神部衣世がトーラスに投げかけたのは三つの質問。
>「どうして私達のような素人を捕まえてミューズを結成したのでしょう。
仮面党の宣伝塔にでもしたてあげるつもりですか?そんな浅い考えでは無いことを願いますが。」
「ハハハ。いやいや図星だよ。神部君とか言ったね?君は実に聡明な女性だ。
今、仮面党は君みたいな凛として強い若者の力を欲しているんだよ。
その為には今時でポップな広告塔が必要と思ってね」
トーラスはあっさりと神部の意見を肯定。
>……ジョーカーは人間ですか?何をしているのです?年は?性別は?ペルソナ使いなの?」
「……ジョーカー様は思慮深いお方だよ。俺たちのために仮面を被り、ジョーカーになられたという。
年齢も性別もわからぬが、イン・ラケチ成就のために今もこの街を奔走なされているはずだ。
それにペルソナ使いかはどうかはわからん。俺はあのお方のペルソナを見たことがないからな。
ただその可能性は大とだけ伝えておこう。なぜならあのお方に成せないことはないからだ。
さらに望龍術という神秘的な力も持っておられる。
それらを惜しげもなく使役し、ジョーカー様は俺たちをイン・ラケチへと導いてくださっているのだ」
気がつけば、あのトーラスから笑顔が消えている。
ジョーカーについて語る彼の眼差しは真剣そのものだった。
>「長いこと喋ってましたけど、あと一つだけ。これに答えてくれさえすれば、後の問いはぶっちゃけノーコメントでも結構。
――どうしてジョーカーはイン・ケラチを成就させたいのだろうか。
その願いが叶った後、世界はどう変わる?」
「……ん」
短く言ってトーラスはテーブルの上のブランデーを一口。
乾いた喉を潤すためか、その動作の間に言葉を選んでいるのか。
それは本人以外にわからない。
「そうだな。宗教を超えた大いなる救済が行われたのち、
世界からすべての不幸がなくなる、とでも言っておこうか」
その時、海棠は不思議に思った。かつて海棠が教えられたことと
トーラスが今、神部に答えたこととでは少々ニュアンスが違っていたからだ。
それに何かの意味はあるのだろうか。考えるとすれば、神部はまだ仮面党員ではないということと
ジョーカーと接触していないということ。
やはり身内以外には真実は伝えられないということなのだろうか。
海棠がトーラスから聞いた言葉は、イデアルエナジーを集め
人類を新たなる段階へと進化させるということだった。
しかしそもそも進化とはどういうことなのだろう?
進化したあとの人間はいったいどうなるというのだろう?
神部衣世がトーラスに投げかけたのは三つの質問。
>「どうして私達のような素人を捕まえてミューズを結成したのでしょう。
仮面党の宣伝塔にでもしたてあげるつもりですか?そんな浅い考えでは無いことを願いますが。」
「ハハハ。いやいや図星だよ。神部君とか言ったね?君は実に聡明な女性だ。
今、仮面党は君みたいな凛として強い若者の力を欲しているんだよ。
その為には今時でポップな広告塔が必要と思ってね」
トーラスはあっさりと神部の意見を肯定。
>……ジョーカーは人間ですか?何をしているのです?年は?性別は?ペルソナ使いなの?」
「……ジョーカー様は思慮深いお方だよ。俺たちのために仮面を被り、ジョーカーになられたという。
年齢も性別もわからぬが、イン・ラケチ成就のために今もこの街を奔走なされているはずだ。
それにペルソナ使いかはどうかはわからん。俺はあのお方のペルソナを見たことがないからな。
ただその可能性は大とだけ伝えておこう。なぜならあのお方に成せないことはないからだ。
さらに望龍術という神秘的な力も持っておられる。
それらを惜しげもなく使役し、ジョーカー様は俺たちをイン・ラケチへと導いてくださっているのだ」
気がつけば、あのトーラスから笑顔が消えている。
ジョーカーについて語る彼の眼差しは真剣そのものだった。
>「長いこと喋ってましたけど、あと一つだけ。これに答えてくれさえすれば、後の問いはぶっちゃけノーコメントでも結構。
――どうしてジョーカーはイン・ケラチを成就させたいのだろうか。
その願いが叶った後、世界はどう変わる?」
「……ん」
短く言ってトーラスはテーブルの上のブランデーを一口。
乾いた喉を潤すためか、その動作の間に言葉を選んでいるのか。
それは本人以外にわからない。
「そうだな。宗教を超えた大いなる救済が行われたのち、
世界は生まれ変わる、とでも言っておこうか」
その時、海棠は不思議に思った。かつて海棠が教えられたことと
トーラスが今、神部に答えたこととでは少々ニュアンスが違っていたからだ。
それに何かの意味はあるのだろうか。考えるとすれば、神部はまだ仮面党員ではないということと
ジョーカーと接触していないということ。
やはり身内以外には真実は伝えられないということなのだろうか。
海棠がトーラスから聞いた言葉は、イデアルエナジーを集め
人類を新たなる段階へと進化させるということだった。
しかしそもそも進化とはどういうことなのだろう?
進化したあとの人間はいったいどうなるというのだろう?
どんなふうに世界が生まれ変わるか、どんなふうに人類は進化するのか。
トーラスにそれを問うても、彼には答えられないことだろう。
なぜなら彼は知らないからだ。
だが、イン・ラケチにいたるまでの過程は知っている。
その内容を、神部たちに教えることは出来ないだろうが。
――神部と海棠がゾディアックを出る頃には辺りは薄暗くなっていた。
神部は門限があるだろうから海棠は彼女と一緒に帰ることにした。
野中はというと、しばらくこのゾディアックで踊りのレッスンを続けるのだという。
海棠は野中のことを心配したが、兄に迎えに来てもらうので大丈夫とのこと。
「ごめんなさい」
帰り道、前を歩く神部の後ろ姿に、海棠は深々とお辞儀する。
それもお辞儀しながら歩いていたので中年のサラリーマンの胸元におもいっきり頭突きをかます。
でも幸いなことに優しい方だったので事無きを得、そのまま神部と歩いた。
路地裏からは猫同士の喧嘩でひっくり返ったゴミ箱の金属音が響いてくる。
そこで海棠は堰を切ったかのように一言。
「……トーラスは私に、イン・ラケチで人類が進化するって言ってました。
そのためにはイデアルエナジーを集めなきゃいけないって。
それと隠していたわけじゃないんですけどゾディアックで彼に渡したものは水晶髑髏なんです。
廃工場にいた化け物から奪ったイデアルエナジーが詰まっている」
相変わらず敬語の海棠。
敬語は海棠の口に染み付いている言葉なのでそんなに簡単には変えられない。
ただ、自分の心に近づいてくれた神部が、トーラスに騙されているような気がして
海棠は自分の分かりうることを白状したまでだった。
どんなふうに世界が生まれ変わるか、どんなふうに人類は進化するのか。
トーラスにそれを問うても、彼には答えられないことだろう。
なぜなら彼は知らないからだ。
だが、イン・ラケチにいたるまでの過程は知っている。
その内容を、神部たちに教えることは出来ないだろうが。
――神部と海棠がゾディアックを出る頃には辺りは薄暗くなっていた。
神部は門限があるだろうから海棠は彼女と一緒に帰ることにした。
野中はというと、しばらくこのゾディアックで踊りのレッスンを続けるのだという。
海棠は野中のことを心配したが、兄に迎えに来てもらうので大丈夫とのこと。
「ごめんなさい」
帰り道、前を歩く神部の後ろ姿に、海棠は深々とお辞儀する。
それもお辞儀しながら歩いていたので中年のサラリーマンの胸元におもいっきり頭突きをかます。
でも幸いなことに優しい方だったので事無きを得、そのまま神部と歩いた。
路地裏からは猫同士の喧嘩でひっくり返ったゴミ箱の金属音が響いてくる。
そこで海棠は堰を切ったかのように一言。
「……トーラスは私に、イン・ラケチで人類が進化するって言ってました。
そのためにはイデアルエナジーを集めなきゃいけないって。
それと隠していたわけじゃないんですけどゾディアックで彼に渡したものは水晶髑髏なんです。
廃工場にいた化け物から奪ったイデアルエナジーが詰まっている」
相変わらず敬語の海棠。
敬語は海棠の口に染み付いている言葉なのでそんなに簡単には変えられない。
ただ、自分の心に近づいてくれた神部が、トーラスに騙されているような気がして
海棠は自分の分かりうることを伝えずにはいられないのだった。
運命を変えた猫ロボの登場。こんな勝利なんて意味がない。
それは勝ったのではなく勝たせられた。変わったのではなく変えられた。
何の意味もない。
だが、マイが殺そうとした犬ロボの中の者たちは全員生きている。
それはマイの慈悲から生かしたのではない。ただ殺せなかっただけ。
昔「ヤマトをつくり変えたい」とマイの愛した男は言った。
だからマイはジャマするものをすべて、男のために斬り殺した。だが時代の波は残酷だった。
新しく出来た政府は、マイの愛した男を殺人集団の首謀者にでっち上げ討伐命令を下した。
それを甘んじて受けたのはマイの愛した男。自身が世の中の恨みをすべて飲み込むために逆賊の汚名をかぶり
新政府に討たれたのち斬首刑にされた。
男は最期に言った。
「マイよ、オイたちの時代を破壊する役目はのう。終わったんじゃ。これからは時代をつくっていくのんじゃ。だから殺してはいかん」
マイには男の言っている意味がわからなかった。
だから男を殺された復讐としてさらに新政府の役人を暗殺し続けた。
そんなある日。マイは再び恋をした。斬首にされた男と似ている雰囲気の男。
男はマイに弟子入りを志願し、マイもそれを快諾。そして二人は愛しあった。
マイは女をさらけ出し、朝も昼も夜も、春も夏も秋も冬も。睦みあった。
だが悲しいことがおこる。男の正体は悪の組織の一員だったのだ。
「マイ、俺と一緒に、死んでくれ!」
それは心中という罠。男とマイはボートに乗って湖の真ん中へ。
マイも生きている限り幸せなんてありえないと思い笑って死のうと思った。
運命を変えた猫ロボの登場。でもこんな勝利なんて意味がない。
それは勝ったのではなく勝たせられた。変わったのではなく変えられた。
だから何の意味もない。
だが、マイが殺そうとした犬ロボの中の者たちは全員生きている。
それはマイの慈悲から生かしたのではない。ただ殺せなかっただけ。
昔「ヤマトをつくり変えたい」とマイの愛した男は言った。
だからマイはジャマするものをすべて、男のために斬り殺した。だが時代の波は残酷だった。
新しく出来た政府は、マイの愛した男を殺人集団の首謀者にでっち上げ討伐命令を下した。
それを甘んじて受けたのはマイの愛した男。自身が世の中の恨みをすべて飲み込むために逆賊の汚名をかぶり
新政府に討たれたのち斬首刑にされた。
男は最期に言った。
「マイよ、オイたちの時代を破壊する役目はのう、終わったんじゃ。
これからは時代をつくっていくんのんじゃ。だから殺してはいかんぜよー!」
マイには男の言っている意味がわからなかった。
だから男を殺された復讐としてさらに新政府の役人を暗殺し続けた。
そんなある日。マイは再び恋をした。斬首にされた男と似ている雰囲気の男。
男はマイに弟子入りを志願し、マイもそれを快諾。そして二人は愛しあった。
マイは女をさらけ出し、朝も昼も夜も、春も夏も秋も冬も睦みあった。
だが悲しいことがおこる。男の正体は悪の組織の一員だったのだ。
「マイ、俺と一緒に、死んでくれ!」
それは心中という罠。男とマイはボートに乗って湖の真ん中へ。
マイも生きている限り幸せなんてありえないと思い笑って死のうと誓った。
運命を変えた猫ロボの登場。でもこんな勝利なんて意味がない。
それは勝ったのではなく勝たせられた。変わったのではなく変えられた。
だから何の意味もない。
だが、マイが殺そうとした犬ロボの中の者たちは全員生きている。
それはマイの慈悲から生かしたのではない。ただ殺せなかっただけ。
昔「ヤマトをつくり変えたい」とマイの愛した男は言った。
だからマイはジャマするものをすべて、男のために斬り殺した。だが時代の波は残酷だった。
新しく出来た政府は、マイの愛した男を殺人集団の首謀者にでっち上げ討伐命令を下した。
それを甘んじて受けたのはマイの愛した男。自身が世の中の恨みをすべて飲み込むために逆賊の汚名をかぶり
新政府に討たれたのち斬首刑にされた。
男は最期に言った。
「マイよ、オイたちの時代を破壊する役目はのう、終わったんじゃ。
これからは時代をつくっていくんのんじゃ。だから殺してはいかんぜよー!」
マイには男の言っている意味がわからなかった。
だから男を殺された復讐としてさらに新政府の役人を暗殺し続けた。
そんなある日。マイは禁断の恋をした。どこかあやしげな雰囲気の女に。
女はマイに弟子入りを志願し、マイもそれを快諾。そして二人は愛しあった。
マイは女をさらけだし、女も女をさらけだし、朝も昼も夜も、春も夏も秋も冬も
ナメクジのように睦みあった。
だが悲しいことがおこる。女の正体は悪の組織の一員だったのだ。
「マイ、私と一緒に死んでおくれ!」
それは心中という罠。女とマイはボートに乗って湖の真ん中へ。
マイも生きている限り幸せなんてありえないと思いお互いに笑って死のうと誓う。
でもちょうど湖の真ん中に着いた時。女はおいおいと泣き出した。
「やっぱりさ、どんなにアンタが憎くったって、あたいにアンタは殺せやしないよぉ。
例えアンタに昔、大好きな兄さんを殺されたからといったってねえ。
そうさ、こんな卑怯なこと、天国の兄さんだって望んじゃいないだろう」
「そ、それはいったいどういう意味だ!?まさか私を騙し…」
「……そうさ、そうだよ。あたいはアンタを騙してた。すまなかったねぇ。
でもさ、これだけはホントだよ。あたいはアンタを愛しちまった。
優しかったあたいの兄さん以上にねぇ」
その時、船に乗った者たちが近づいてきた。
「姉御なにやってんだい。話が違うぜ。そいつは人殺しだ。
姉御の兄貴を殺して、俺らのおっ父を殺した人殺しだ。今すぐ殺せ!」
バン!
銃声の後、女の胸元が赤く染め上がる。
なんと女が盾となり、マイを助けてくれたのだった。
マイは突然のことに言葉を失ってしまう。が、次の瞬間
「ぶはああ!女、子どもにゃ任せてられんわあああ!」
湖の中から頭に触角をつけた虫みたいな男が現れた。
その男は銃を乱射してマイを狙う。同時に流れ弾が子どもをも射殺。
「きっさまあああ!!」
マイはアメンボ男を突き殺した。するとアメンボ男の仮面がとれて顔が出る。
「…マ、、イ」
その正体はなんとマイの初恋の相手、モリノスケ。
あろうことか彼は悪の組織に洗脳されていたのだ。
運命を変えた猫ロボの登場。でもこんな勝利なんて意味がない。
それは勝ったのではなく勝たせられた。変わったのではなく変えられた。
だから何の意味もない。
だが、マイが殺そうとした犬ロボの中の者たちは全員生きている。
それはマイの慈悲から生かしたのではない。ただ殺せなかっただけ。
昔「ヤマトをつくり変えたい」とマイの愛した男は言った。
だからマイはジャマするものをすべて、男のために斬り殺した。だが時代の波は残酷だった。
新しく出来た政府は、マイの愛した男を殺人集団の首謀者にでっち上げ討伐命令を下した。
それを甘んじて受けたのはマイの愛した男。自身が世の中の恨みをすべて飲み込むために逆賊の汚名をかぶり
新政府に討たれたのち斬首刑にされた。
男は最期に言った。
「マイよ、オイたちの時代を破壊する役目はのう、終わったんじゃ。
これからは時代をつくっていくんのんじゃ。だから殺してはいかんぜよー!」
マイには男の言っている意味がわからなかった。
だから男を殺された復讐としてさらに新政府の役人を暗殺し続けた。
そんなある日。マイは禁断の恋をした。どこかあやしげな雰囲気の女に。
女はマイに弟子入りを志願し、マイもそれを快諾。そして二人は愛しあった。
マイは女をさらけだし、女も女をさらけだし、朝も昼も夜も、春も夏も秋も冬も
ナメクジのように睦みあった。
だが悲しいことがおこる。女の正体は悪の組織の一員だったのだ。
「マイ、私と一緒に死んでおくれ!」
それは心中という罠だったのだろう。女とマイはボートに乗って湖の真ん中へ。
マイも生きている限り幸せなんてありえないと思いお互いに笑って死のうと誓う。
運命を変えた猫ロボの登場。でもこんな勝利なんて意味がない。
それは勝ったのではなく勝たせられた。変わったのではなく変えられた。
だから何の意味もない。
だが、マイが殺そうとした犬ロボの中の者たちは全員生きている。
それはマイの慈悲から生かしたのではない。ただ殺せなかっただけ。
昔「ヤマトをつくり変えたい」とマイの愛した男は言った。
だからマイはジャマするものをすべて、男のために斬り殺した。だが時代の波は残酷だった。
新しく出来た政府は、マイの愛した男を殺人集団の首謀者にでっち上げ討伐命令を下した。
それを甘んじて受けたのはマイの愛した男。
自身が世の中の恨みをすべて飲み込むために逆賊の汚名をかぶり
新政府に討たれたのち斬首刑にされた。
男は最期に言った。
「マイよ、オイたちの時代を破壊する役目はのう、終わったんじゃ。
これからは時代をつくっていくんのんじゃ。だから殺してはいかんぜよー!」
マイには男の言っている意味がわからなかった。
だから男を殺された復讐としてさらに新政府の役人を暗殺し続けた。
そんなある日。マイは禁断の恋をした。どこかあやしげな雰囲気の女に恋をした。
女はマイに弟子入りを志願し、マイもそれを快諾。そして二人は愛しあった。
マイは女をさらけだし、女も女をさらけだし、朝も昼も夜も、春も夏も秋も冬も
ナメクジのように睦みあった。
だが悲しいことがおこる。女の正体は悪の組織の一員だったのだ。
「マイ、あたいと一緒に死んでおくれ!」
それは心中という罠だったのだろう。女とマイはボートに乗って湖の真ん中へ。
マイも生きている限り幸せなんてありえないと思いお互いに笑って死のうと誓う。
でもちょうど湖の真ん中に着いた時。女はおいおいと泣き出した。
「やっぱりさ、どんなにアンタが憎くったって、あたいにアンタは殺せやしないよぉ。
例えアンタに昔、大好きな兄さんを殺されたからといったってねえ。
そうさ、こんな卑怯なこと、天国の兄さんだって望んじゃいないだろう」
「そ、それはいったいどういう意味だ!?まさか私を騙し…」
「……そうさ、そうだよ。あたいはアンタを騙してた。すまなかったねぇ。
でもさ、これだけはホントだよ。あたいはアンタを愛しちまった。
優しかったあたいの兄さん以上にねぇ」
その時、船に乗った者たちが近づいてきた。
「姉御なにやってんだい。話が違うぜ。そいつは人殺しだ。
姉御の兄貴を殺して、俺らのおっ父を殺した人殺しだ。今すぐ殺せ!」
船に乗った少年が鉄砲を撃つ。
バン!
銃声の後、女の胸元が赤く染め上がる。
なんと女が盾となり、マイを助けてくれたのだった。
マイは突然のことに言葉を失ってしまう。が、次の瞬間
「ぶはああ!女、子どもにゃ任せてられんわあああ!」
湖の中から頭に触角をつけた虫みたいな男が現れた。
その男は銃を乱射してマイを狙う。同時に流れ弾が子どもをも射殺。
「きっさまあああ!!」
マイはアメンボ男を突き殺した。するとアメンボ男の仮面がとれて顔が出る。
「…マ、、イ」
その正体はなんとマイの初恋の相手、モリノスケ。
あろうことか彼は悪の組織に洗脳されていたのだ。
「い、いやあああああああああああ!!!!!」
――それ以来、マイは人を殺せなくなってしまったのだった。
でもちょうど湖の真ん中に着いた時。女はおいおいと泣き出した。
「やっぱりさ、どんなにアンタが憎くったって、あたいにアンタは殺せやしないよぉ。
例えアンタに昔、大好きな兄さんを殺されたからといったってねえ。
そうさ、こんな卑怯なこと、天国の兄さんだって望んじゃいないだろう」
「そ、それはいったいどういう意味だ!?まさか私を騙し…」
「……そうさ、そうだよ。あたいはアンタを騙してた。すまなかったねぇ。
でもさ、これだけはホントだよ。あたいはアンタを愛しちまった。
優しかったあたいの兄さん以上にねぇ」
その時、船に乗った者たちが近づいてきた。
「姉御なにやってんだい。話が違うぜ。そいつは人殺しだ。
姉御の兄貴を殺して、俺らのおっ父を殺した人殺しだ。今すぐ殺せ!」
船に乗った少年が鉄砲を撃つ。
バン!
銃声の後、女の胸元が赤く染め上がる。
なんと女が盾となり、マイを助けてくれたのだった。
マイは突然のことに言葉を失ってしまう。が、次の瞬間
「ぶはああ!女、子どもにゃ任せてられんわあああ!」
湖の中から頭に触角をつけた虫みたいな男が現れた。
その男は銃を乱射してマイを狙う。同時に流れ弾が子どもをも射殺。
「きっさまあああ!!」
マイはアメンボ男を突き殺した。するとアメンボ男の仮面がとれて顔が出る。
「…マ、、イ」
その正体はなんとマイの初恋の相手、モリノスケ。
あろうことか彼は悪の組織に洗脳されていたのだ。
「い、いやあああああああああああ!!!!!」
――それ以来、マイは人を殺せなくなってしまったのだった。
* * *
ブラウは抵抗することなく死んだ。
猫ロボが意志の力で動くのなら、左手で止められたはずなのに。
そう、ブラウはマイを見捨ててこの世から逃げた。
やはり彼女の言葉はすべてが紛い物だったのだ。
しばらくたって、マイは空ろな目で天を見上げる。
これからブラウに破壊された心を再生する旅が始まるのだ。
鳥居は少しずつ少しずつだが成長している。と思う。
それはまるで、さざれ石のイワオとなりて、苔の生すほどの成長速度で。
それならば今回、目の前で直立するダーは一体鳥居に何を教えてくれるのだろうか。
フェイとの戦いでは人それぞれに、大切な人の順番があると言うことを実感した。
それは今まで生きてきて考えてもみなかったことだ。でも、思い起こしてみたらそうなのだ。
鳥居の一番好きな人はあくまでも今はなき母親であって、それ以外の人は平たく同じ。
もとから順番なんてなく、命を大切にしたら人間らしいし、皆が喜ぶという幻を信じていただけ。
ジャンとの戦いで、鳥居は彼に「愛しているものの代わりを奪ってくれば?」と言った。
それは鳥居の本性だったのかも知れない。
でもマリーは「それでは奪われた者の気持ちはどうなる?」と否定。
本当に人間愛を持っている者なら、それを理解できたはずだ。
やはりこの吸血鬼として生きた数百年は永すぎたのだ。
10歳の子どもだったころの心を失うほどの年月。
夢という幻の霧のなかで独り、鳥居は彷徨っている。
だから、母になってくれるかも知れないものを探している。
初めて会ったアカネ。暗殺者マリー。出会った者に対して、常に何かを望んでいる。
鳥居は少しずつ少しずつだが成長している。と思う。
それはまるで、さざれ石のイワオとなりて、苔の生すほどの成長速度で。
それならば今回、目の前で直立するダーは一体鳥居に何を教えてくれるというのだろうか。
フェイとの戦いでは人それぞれに、大切な人の順番があると言うことを実感した。
それは今まで生きてきて考えてもみなかったことだ。でも、思い起こしてみたらそうなのだ。
鳥居の一番好きな人はあくまでも今はなき母親であって、それ以外の人は平たく同じ。
もとから順番なんてなく、命を大切にしたら人間らしいし、皆が喜ぶという幻を信じていただけ。
ジャンとの戦いで、鳥居は「愛しているものの代わりを奪ってくれば?」と言った。
それは鳥居の本性だったのかも知れない。
でもマリーは「それでは奪われた者の気持ちはどうなる?」と否定。
それが鳥居にはわからなかった。
本当に人間愛を持っている者なら、それを理解できたはずなのに。
やはりこの吸血鬼として生きた数百年は永すぎたのだろう。
10歳の子どもだったころの心を失うほどの年月。
夢という幻の霧のなかで独り、鳥居は彷徨っている。
だから、母になってくれるかも知れないものを探している。
初めて会ったアカネ。暗殺者マリー。出会った者に対して、常に希望を抱いている。
四百年前。病弱だった鳥居を吸血鬼に変えた鳥居の母親は、
やっと出来た子どもが病魔に命を奪われるのが悔しかっただけ。
自分の産んだ子どもが、喜びも何も知らないで死んでゆくのが口惜しかっただけ。
だから与えたくせに何故奪うのか、と神を呪ったりもした。
――
鳥居は少しずつ少しずつだが成長している。と思う。
それはまるで、さざれ石のイワオとなりて、苔の生すほどの成長速度で。
それならば今回、目の前で直立するダーは一体鳥居に何を教えてくれるというのだろうか。
フェイとの戦いでは人それぞれに、大切な人の順番があると言うことを実感した。
それは今まで生きてきて考えてもみなかったことだ。でも、思い起こしてみたらそうなのだ。
鳥居の一番好きな人はあくまでも今はなき母親であって、それ以外の人は平たく同じ。
もとから順番なんてなく、命を大切にしたら人間らしいし、皆が喜ぶという幻を信じていただけ。
ジャンとの戦いで、鳥居は「愛しているものの代わりを奪ってくれば?」と言った。
それは鳥居の本性だったのかも知れない。
でもマリーは「それでは奪われた者の気持ちはどうなる?」と否定。
それが鳥居にはわからなかった。
本当に人間愛を持っている者なら、それを理解できたはずなのに。
やはりこの吸血鬼として生きた数百年は永すぎたのだろう。
10歳の子どもだったころの心を失うほどの年月。
夢という幻の霧のなかで独り、鳥居は彷徨っている。
だから、母になってくれるかも知れないものを探している。
初めて会ったアカネ。暗殺者マリー。出会った者に対して、常に希望を抱いている。
優しいアカネに、強い意志をもつマリー。鳥居は彼女たちに幻想を抱いている。
自分の母親に対して思う幻想を重ねている。だがそれは幻想であって真実ではない。
そう、皆、仮面を被っているのだ。
鳥居は少しずつ少しずつだが成長している。と思う。
それはまるで、さざれ石のイワオとなりて、苔の生すほどの成長速度で。
それならば今回、目の前で直立するダーは一体鳥居に何を教えてくれるというのだろうか。
フェイとの戦いでは人それぞれに、大切な人の順番があると言うことを実感した。
それは今まで生きてきて考えてもみなかったことだ。でも、思い起こしてみたらそうなのだ。
鳥居の一番好きな人はあくまでも今はなき母親であって、それ以外の人は平たく同じ。
もとから順番なんてなく、命を大切にしたら人間らしいし、皆が喜ぶという幻を信じていただけ。
ジャンとの戦いで、鳥居は「愛しているものの代わりを奪ってくれば?」と言った。
それは鳥居の本性だったのかも知れない。
でもマリーは「それでは奪われた者の気持ちはどうなる?」と否定。
それが鳥居にはわからなかった。
本当に人間愛を持っている者なら、それを理解できたはずなのに。
やはりこの吸血鬼として生きた数百年は永すぎたのだろう。
10歳の子どもだったころの心を失うほどの年月。
夢という幻の霧のなかで独り、鳥居は彷徨っている。
だから、母になってくれるかも知れないものを探している。
初めて会ったアカネ。暗殺者マリー。出会った者に対して、常に希望を抱いている。
優しいアカネに、強い意志をもつマリー。鳥居は彼女たちに幻想を抱いている。
自分の母親に対して思う幻想を重ねている。だがそれは幻想であって真実ではない。
そう、鳥居は人間を美しく装飾してみているのだ。
鳥居は少しずつ少しずつだが成長している。と思う。
それはまるで、さざれ石のイワオとなりて、苔の生すほどの成長速度で。
それならば今回、目の前で直立するダーは一体鳥居に何を与えてくれるというのだろうか。
フェイとの戦いでは人それぞれに、大切な人の順番があると言うことを実感した。
それは今まで生きてきて考えてもみなかったことだ。でも、思い起こしてみたらそうなのだ。
鳥居の一番好きな人はあくまでも今はなき母親であって、それ以外の人は平たく同じ。
もとから順番なんてなく、命を大切にしたら人間らしいし、皆が喜ぶという幻を信じていただけ。
ジャンとの戦いで、鳥居は「愛しているものの代わりを奪ってくれば?」と言った。
それは鳥居の本性だったのかも知れない。
でもマリーは「それでは奪われた者の気持ちはどうなる?」と否定。
それが鳥居にはわからなかった。
本当に人間愛を持っている者なら、それを理解できたはずなのに。
やはりこの吸血鬼として生きた数百年は永すぎたのだろう。
10歳の子どもだったころの心を失うほどの年月。
夢という幻の霧のなかで独り、鳥居は彷徨っている。
だから、母になってくれるかも知れないものを探している。
初めて会ったアカネ。暗殺者マリー。出会った者に対して、常に希望を抱いている。
優しいアカネに、強い意志をもつマリー。鳥居は彼女たちに幻想を抱いている。
自分の母親に対して思う幻想を重ねている。だがそれは幻想であって真実ではない。
そう、鳥居は人間を美しく装飾してみているのだ。
でも目の前のこの男は…。
びくともしなかった。鳥居は完全にダーを甘くみていた。
この男は、頼光とは違う。そんな後悔をしても遅かった。
相撲を挑んで組んでみたものの、ダーの身体は恐ろしいほどに重い。
それに鳥居の能力を分析する思考力。
(この男、強いです…!でも負けられないのですっ!)
自分の心の中の幻を守るために鳥居は戦っている。
マリーたちとの絆は生まれつつある、そう信じているだけで孤独がほんの少しまぎれることも事実。
(もう仕方ありません。体内の炎の神気を手のひらで爆発させて相打ちに持ち込みます。
炎の爆発とともに僕は潰されてしまいますが、彼も大やけどをするはずです)
そう思った瞬間だった。マリーの刺突。木の葉のように宙に舞う巨体。
目の前の光景に鳥居は目を疑った。なんとマリーの短剣のうえにダーが立っている。
改めて鳥居は驚愕する。鳥居を上回る力。マリーの突きをかわす速さ。無駄のない身のこなし。
>「どうだ、見たか!いや!見えなかったろ!
そしてチビガキ!相手をぶっ飛ばしてえ時はな!こうやんだよぉ!!」
「ぶっとばす?守るんじゃなかったんですか?でも僕は今、大切な絆のためにマリーさんの盾になります!
あーかっこいいです!あの人なんかよりも、ちっちゃいのにマリーさんを守る僕のほうがずっとかっこいいです!」
ダーを見つめながら意識を集中する。そしてジト目でアカネに視線を移す。それは水の術の催促のしるし。
次の瞬間、周囲の炎の円が激しく燃え出し、ダー、マリー、鳥居の三人を土俵の中央とした炎の壁を作りあげる。
それは炎の神気の遠隔操作だった。作り出されたのは、まさに背炎の陣。
ダーがそのまま体当たりを慣行すれば、吹き飛ばされたマリーも鳥居も焼け死んでしまう。
でもそんなことできる?そんな一か八かの鳥居の挑発とハッタリだった。
でも目の前のこの男は…。
びくともしなかった。鳥居は完全にダーを甘くみていた。
この男は、頼光とは違う。そんな後悔をしても遅かった。
相撲を挑んで組んでみたものの、ダーの身体は恐ろしいほどに重い。
それに鳥居の能力を分析する思考力。
(この男、強いです…。でも負けられないのです)
自分の心の中の幻を守るために鳥居は戦っている。
マリーたちとの絆は生まれつつある、そう信じているだけで孤独がほんの少しまぎれることも事実。
(もう仕方ありません。炎の神気で作った俵を更に炎上させて、
そのあと円の中心に収束させ、僕ごと彼を燃やします。
僕は彼に潰されてしまうかもですが、もしかしたら炎の神気の操作を上手くできるかもしれないし…)
そう思った瞬間だった。マリーの刺突。木の葉のように宙に舞う巨体。
目の前の光景に鳥居は目を疑った。なんとマリーの短剣のうえにダーが立っている。
改めて鳥居は驚愕する。鳥居を上回る力。マリーの突きをかわす速さ。無駄のない身のこなし。
しかし、鳥居は諦めない。彼はマリーたちを守ると言っている。そこに隙があると思考する。
>「どうだ、見たか!いや!見えなかったろ!
そしてチビガキ!相手をぶっ飛ばしてえ時はな!こうやんだよぉ!!」
「ぶっとばす?守るんじゃなかったんですか?でも僕は今、大切な絆のためにマリーさんの盾になります!
あーかっこいいです!貴方なんかよりも、ちっちゃいのにマリーさんを守る僕のほうがずーーーっとかっこいいです!」
ダーを見つめながら意識を集中する。そしてジト目でアカネに視線を移す。それは水の術の催促のしるし。
次の瞬間、周囲の炎の円が激しく燃え出し、ダー、マリー、鳥居の三人を土俵の中央とした炎の壁を作りあげる。
それは炎の神気の遠隔操作だった。作り出されたのは、まさに背炎の陣。
ダーがそのまま体当たりを慣行すれば、吹き飛ばされたマリーも鳥居も焼け死んでしまう。
でもそんなことできる?そんな一か八かの鳥居の挑発とハッタリだった。
【ダー君がどんな動きをみせようとも、鳥居はマリーの盾となってダー君を両手で受け止めようとします】
>「いやぁ〜、竜子チャンはせっかちでいけないッスねぇ。勧誘にしろ商談にしろ落ち着いた場所でするべきッス。
これ物事を円滑に進める為の鉄則鉄板ッスよ」
「ふーん。私は私なりに合理的に話を進めたいって思ってるだけなんだけどなぁ。だって、時間は待ってはくれないでしょ」
山吹色の炎に照らされながら、須藤は微苦笑。
白道はこの廃ビルの一室を落ち着いた場所と言う。ということはここは白道にとって自宅ともいえるような場所なのだろう。
目の前のスナック菓子の袋を見つめながら、須藤はこの交渉が上手くいくものとばかりと考えていた。
感じたデジャヴに投げ渡される召喚器。きっとこれは運命の出会い。そう信じていた。
>「あー、まず自己紹介からッスかねぇ?ていうかなんで私の名前を竜子チャンは知ってるんスか?
私そんな有名人だったスかね?痕跡残さないようにしてたんスけどねぇ……」
「え?それはデジャヴ。きっとどこか違う世界で貴女と私は出会っていたの」
短く答えて、赤黒い召喚器をまじまじと眺める須藤。
しかし、次の白道の発言にその表情は一変。
白道の「制御出来ないペルソナは雑魚」その言葉はありのままの須藤に対する侮辱だ。
さらに白道は自身のペルソナの解説を始め、力を貸して欲しいという須藤の申し出も断ってしまう。
おまけに無関心。
>「いやぁ〜、竜子チャンはせっかちでいけないッスねぇ。勧誘にしろ商談にしろ落ち着いた場所でするべきッス。
これ物事を円滑に進める為の鉄則鉄板ッスよ」
「ふーん。私は私なりに合理的に話を進めたいって思ってるだけなんだけどなぁ。だって、時間は待ってはくれないでしょ」
山吹色の炎に照らされながら、須藤は微苦笑。
白道はこの廃ビルの一室を落ち着いた場所と言う。ということはここは白道にとって自宅ともいえるような場所なのだろう。
目の前のスナック菓子の袋を見つめながら、須藤はこの交渉が上手くいくものとばかりと考えていた。
感じたデジャヴに投げ渡される召喚器。きっとこれは運命の出会い。そう信じていた。
>「あー、まず自己紹介からッスかねぇ?ていうかなんで私の名前を竜子チャンは知ってるんスか?
私そんな有名人だったスかね?痕跡残さないようにしてたんスけどねぇ……」
「え?それはデジャヴ。きっとどこか違う世界で貴女と私は出会っていたの」
短く答えて、赤黒い召喚器をまじまじと眺める須藤。
しかし、次の白道の発言にその表情は一変。
白道の「制御出来ないペルソナは雑魚」その言葉はありのままの須藤に対する侮辱だ。
さらに白道は自身のペルソナの解説を始め、力を貸して欲しいという須藤の申し出も断ってしまう。
おまけに無関心な態度が須藤の感情を逆撫でする。
自分は雑魚じゃない。雑魚とは海棠美歩とかそんな者のことを言う。
自分みたいに命をかけて頑張りもせず、だらだらと最低のビリッ尻で生きている者。
人生を諦めて妥協している者。成長しない者。あんな者たちには生きている価値がない。
家畜以下のくせに自然や命を食い物にしている無駄な存在。
須藤はランタンの明かりだけで照らされた広い部屋の壁際まで移動。
白道の死角に立つと、この部屋には窓がないのでは?と、ふと思った。
とすればこの場所は、外側からは攻め難いし内側からは逃げ難い場所。厄介な場所。
息苦しさも感じる密閉感に、須藤はふと、森本病院の隔離病棟を思い出してしまう。
「うーん…残念。貴女と私はとっても気が合うと思っていたのになぁ」
須藤は銃口を自身のコメカミに押し当てると引き金をひく。
その瞬間、禍々しい光の放出とともに出現したのは須藤のペルソナ「エリス」
鎧を纏った有翼の女神は槍の尖端で白道を狙い、今にも飛び掛ってしまいそうだ。
>「いやぁ〜、竜子チャンはせっかちでいけないッスねぇ。勧誘にしろ商談にしろ落ち着いた場所でするべきッス。
これ物事を円滑に進める為の鉄則鉄板ッスよ」
「ふーん。私は私なりに合理的に話を進めたいって思ってるだけなんだけどなぁ。だって、時間は待ってはくれないでしょ」
山吹色の炎に照らされながら、須藤は微苦笑。
白道はこの廃ビルの一室を落ち着いた場所と言う。ということはここは白道にとって自宅ともいえるような場所なのだろう。
目の前のスナック菓子の袋を見つめながら、須藤はこの交渉が上手くいくものとばかりと考えていた。
感じたデジャヴに投げ渡される召喚器。きっとこれは運命の出会い。そう信じていた。
>「あー、まず自己紹介からッスかねぇ?ていうかなんで私の名前を竜子チャンは知ってるんスか?
私そんな有名人だったスかね?痕跡残さないようにしてたんスけどねぇ……」
「え?それはデジャヴ。きっとどこか違う世界で貴女と私は出会っていたの」
短く答えて、赤黒い召喚器をまじまじと眺める須藤。
しかし、次の白道の発言にその表情は一変。
白道の「制御出来ないペルソナは雑魚」その言葉はありのままの須藤に対する侮辱だ。
さらに白道は自身のペルソナの解説を始め、力を貸して欲しいという須藤の申し出も断ってしまう。
おまけに無関心な態度が須藤の感情を逆撫でする。
自分は雑魚じゃない。雑魚とは海棠美歩とかそんな者のことを言う。
命をかけて頑張りもせず、だらだらと最低のビリッ尻で生きている者。
人生を諦めて妥協している者。成長しない者。あんな者たちには生きている価値がない。
家畜以下のくせに自然や命を食い物にしている無駄な存在。
須藤はランタンの明かりだけで照らされた広い部屋の壁際まで移動。
白道の死角に立つと、この部屋には窓がないのでは?と、ふと思った。
とすればこの場所は、外側からは攻め難いし内側からは逃げ難い場所。厄介な場所。
息苦しさも感じる密閉感に、須藤はふと、森本病院の隔離病棟を思い出してしまう。
しかしここが白道の世界。彼女が安心していられる場所。
「うーん…残念。貴女と私はとっても気が合うと思っていたのになぁ」
須藤の緊迫感のない声。それとは裏腹に行動は狂気。
少女は銃口を自身のコメカミに押し当てると引き金をひいていた。
その瞬間、禍々しい光が放出されカンテラの明かりが相殺される。
そして出現したのは須藤のペルソナ「エリス」
鎧を纏った有翼の女神は槍の尖端で白道を狙い、今にも飛び掛ってしまいそうだ。
>「いやぁ〜、竜子チャンはせっかちでいけないッスねぇ。勧誘にしろ商談にしろ落ち着いた場所でするべきッス。
これ物事を円滑に進める為の鉄則鉄板ッスよ」
「ふーん。私は私なりに合理的に話を進めたいって思ってるだけなんだけどなぁ。だって、時間は待ってはくれないでしょ」
山吹色の炎に照らされながら、須藤は微苦笑。
白道はこの廃ビルの一室を落ち着いた場所と言う。ということはここは白道にとって自宅ともいえるような場所なのだろう。
目の前のスナック菓子の袋を見つめながら、須藤はこの交渉が上手くいくものとばかりと考えていた。
感じたデジャヴに投げ渡される召喚器。きっとこれは運命の出会い。そう信じていた。
>「あー、まず自己紹介からッスかねぇ?ていうかなんで私の名前を竜子チャンは知ってるんスか?
私そんな有名人だったスかね?痕跡残さないようにしてたんスけどねぇ……」
「え?それはデジャヴ。きっとどこか違う世界で貴女と私は出会っていたの」
短く答えて、赤黒い召喚器をまじまじと眺める須藤。
しかし、次の白道の発言にその表情は一変。
白道の「制御出来ないペルソナは雑魚」その言葉はありのままの須藤に対する侮辱だ。
さらに白道は自身のペルソナの解説を始め、力を貸して欲しいという須藤の申し出も断ってしまう。
おまけに無関心な態度が須藤の感情を逆撫でする。
自分は雑魚じゃない。雑魚とは海棠美歩とかそんな者のことを言う。
命をかけて頑張りもせず、だらだらと最低のビリッ尻で生きている者。
人生を諦めて妥協している者。成長しない者。あんな者たちには生きている価値がない。
家畜以下のくせに自然や命を食い物にしている無駄な存在。
須藤はランタンの明かりだけで照らされた広い部屋の壁際まで移動。
白道の死角に立つと、この部屋には窓がないのでは?と、ふと思った。
とすればこの場所は、外側からは攻め難いし内側からは逃げ難い場所。厄介な場所。
息苦しさも感じる密閉感に、須藤は森本病院の隔離病棟を思い出してしまう。
しかしここが白道の世界。彼女が安心していられる唯一の場所なのだろう。
「うーん…残念。貴女と私はとっても気が合うと思っていたのになぁ」
須藤の緊迫感のない声が響く。それとは裏腹に行動は狂気。
少女は銃口を自身のコメカミに押し当てると引き金をひいていた。
その瞬間、禍々しい光が放出されカンテラの明かりが相殺される。
そして出現したのは須藤のペルソナ「エリス」
鎧を纏った有翼の女神は槍の尖端で白道を狙い、今にも飛び掛ってしまいそうだ。
>「そいや、竜子チャン。さっき走ってる時に口ずさんでいた歌なんスか?
歌詞やらなにやらはともかく、とてもいい音色?いや旋律だったッスけど」
「あ、それはね。人の心を奪う歌。聞いた者の魂の一部を肉体から離れさせるための歌。
そして肉体から剥離させた人々の魂をイデアルエナジーとして水晶髑髏に溜め込んでイン・ラケチを完成させるためのものなのよ。
それと同時にその歌は予言でもあるの。享楽の舞はクラブ・ゾディアックでの集会。
影達の宴は学園祭で大量に生み出されるであろう影人間たちを示唆してる。それと異国の詠は文字通り異国の女神たちの歌。
まあ、予言って言っても何度も繰り返されていることを皆忘れているだけって話なんだけどさ…。
だからこの運命の螺旋から抜け出すためには何としてでもイン・ラケチを成就させなければならないのよ」
饒舌に語る須藤は、何かしらの記憶を断片的にではあるが思い出しているようだ。
それはエリスを制御して召喚出来たということも関係しているのかも知れない。
威風堂々と直立するエリスを傍らに、余裕の須藤。
白道が振り返れば、その姿にきっと恐れ戦くはず。
「ねえー、これからの貴女の運命のことなんだけどさ。このままじゃ貴女はすぐに不幸になっちゃうと思うんだ。
この先、貴女を狙って貴女の世界を破壊しようと迫ってくる者が現れるの。嘘だと思う?
それなら数日後の春日山高校の学園祭に行ってみるといいわ。そこに貴女の宿敵が現れるはずだから。
多分貴女の言うルーキーね。でも今のうちにどうにかしておかないと取り返しのつかないことになるわよ。
世界の歪みは今のうちに正しておかないとねぇ…」
>「そいや、竜子チャン。さっき走ってる時に口ずさんでいた歌なんスか?
歌詞やらなにやらはともかく、とてもいい音色?いや旋律だったッスけど」
「あ、それはね。人の心を奪う歌。聞いた者の魂の一部を肉体から離れさせるための歌。
そして肉体から剥離させた人々の魂をイデアルエナジーとして水晶髑髏に溜め込んでイン・ラケチを完成させるためのものなのよ。
それと同時にその歌は予言でもあるの。享楽の舞はクラブ・ゾディアックでの集会。
影達の宴は学園祭で大量に生み出されるであろう影人間たちを示唆してる。それと異国の詠は文字通り異国の女神たちの歌。
まあ、予言って言っても何度も繰り返されていることを皆忘れているだけって話なんだけどさ…。
だからこの運命の螺旋から抜け出すためには何としてでもイン・ラケチを成就させなければならないのよ」
饒舌に語る須藤は、何かしらの記憶を断片的にではあるが思い出しているようだ。
それはエリスを制御して召喚出来たということも関係しているのかも知れない。
威風堂々と直立するエリスを傍らに、余裕の須藤。
白道が振り返れば、その姿にきっと恐れ戦くはず。
「ねえー、これからの貴女の運命のことなんだけどさ。このままじゃ貴女はすぐに不幸になっちゃうと思うんだ。
この先、貴女を狙って貴女の世界を破壊しようと迫ってくる者が現れるの。嘘だと思う?
それなら数日後の春日山高校の学園祭に行ってみるといいわ。そこに貴女の宿敵が現れるはずだから。
多分貴女の言うルーキーね。でも今のうちにどうにかしておかないと取り返しのつかないことになるわよ。
世界の歪みは今のうちに正しておかないとねぇ…」
須藤は白道を地獄へ叩き落そうとしている。すでに交渉は決裂していると考えてもいい。
ただ分かり合おうとした結果がこれ。世界のすべてを許せない須藤に自分の世界を大切にする白道。
「ねえ、黙ってないでこっちを見なさいよ。どう?私のペルソナ「エリス」は」
相手を恐れさせて威圧する。それは須藤竜子の祖父、須藤竜蔵と同じやり口だ。
でも須藤には、無理やりにでも白道を従わせる積もりはない。
ただ自分を雑魚と呼ぶものは許せない。
ならば恐れ戦かせ敗北感を味合せる。それだけで十分だった。
この後白道が、どのような態度を見せるのかはわからなかったが、
須藤はこれからクラブ・ゾディアックにむかうことだろう。
イン・ラケチ成就のために、トーラスともっと踏み込んだ議論を交わすためだ。
黒目のさかなやさん
女性の願いを叶えると
この系になる
トリインフルエンザ
鮎茶屋に鯉幟
偽リリィ(inアムリーテ)は自分の身体を動かしながら、
滑らかに動く部分とそうでもない部分の差異に驚きながら
これが生きているということなのだと感じていた。
>「なにやっているの?早く地下に行きましょう」
「
パピに誘われて地下へ。視線の先の偽アムリーテ(inリリィ)はというと
偽リリィ(inアムリーテ)を偽者と勘違いしたままエンカを引っ張ってゆく。
そして一同は、地下へと侵入。
先行しているテオボルトのことを少しだけ心配していた偽リリィだったけど、それは取り越し苦労だった。
彼は偶然にも幻灯機を見つけており、フリードと何やら会話している。
>「だれか機械に強い人は・・・・・・リリィさん・・・もといアムリーテさんとかどうですか」
とフリード。
「えっと…、本体自体を修復することは無理でしょうけど、おそらくメモリーカードから情報を抜き出すことは可です。
それではやってみます」
>「いたいた。ミス・クラスタ、これの修理を頼む。私にはどうすりゃいいかわからんのでな」
テオボルトの問いに、おそらくあわあわしているであろう偽アムリーテ。
「ちょっと、私の身体で子どもに乱暴はやめてください!」
エンカを引っ張っている偽アムリーテ(inリリィ)を一喝し、偽リリィは幻灯機を受け取るとそれを胸の前で構えた。
しかし何も起こらない。起こるわけがない。
なぜなら今のアムリーテの意識はリリィの身体に入っているから。
本来なら胸の宝石、エンジェルハートから極細のレーザーを放出して幻灯機をスキャン。
内部の信号起伏を読み取って電脳内部で映像に変換する。そのつもりだった。
(あむむ…、ボケていたです。にしてもチョッとだけ会話をするつもりでリリィの身体を借りたつもりが
チャッカリと私の身体と入れ替わってしまっているなんて。理由はわかりませんがあの子はとても恐ろしい子です)
でもドキドキしている自分もいた。
地下での恐怖感は、皆で生きていることをアムリーテに伝えてくれていた。
(この身体から出て行きたくないかもです…)
そんなふうに思う自分に罪悪感を感じる。アムリーテの機能はアムリーテが一番良く知っている。
なので元に戻らなければならないのに。
偽リリィ(inアムリーテ)は自分の身体を動かしながら、
滑らかに動く部分とそうでもない部分の差異に驚きながら
これが生きているということなのだと感じていた。
>「なにやっているの?早く地下に行きましょう」
「 はいです」
パピに誘われて地下へむかう。視線の先の偽アムリーテ(inリリィ)はというと
偽リリィ(inアムリーテ)を偽者と勘違いしたままエンカを引っ張ってゆく。
先行しているテオボルトのことを少しだけ心配していた偽リリィ(inアムリーテ)だったけど、それは取り越し苦労だった。
彼は偶然にも幻灯機を見つけており、フリードと何やら会話している。
>「だれか機械に強い人は・・・・・・リリィさん・・・もといアムリーテさんとかどうですか」
とフリード。
「えっと…、本体自体を修復することは無理でしょうけど、おそらくメモリーカードから情報を抜き出すことは可です」
>「いたいた。ミス・クラスタ、これの修理を頼む。私にはどうすりゃいいかわからんのでな」
テオボルトの問いに、おそらくあわあわしているであろう偽アムリーテ。
「私の身体で子どもに乱暴はやめてください」
エンカを引っ張っている偽アムリーテ(inリリィ)を一喝し、偽リリィは幻灯機を受け取るとそれを胸の前で構えた。
しかし何も起こらない。起こるわけがない。
なぜなら今のアムリーテの意識はリリィの身体に入っているから。
本来なら胸の宝石、エンジェルハートから極細のレーザーを放出して幻灯機をスキャン。
内部の信号起伏を読み取って電脳内部で映像に変換する。そのつもりだった。
(あむむ…、ボケていたです。にしてもチョッとだけ会話をするつもりでリリィの身体を借りたつもりが
チャッカリと私の身体と入れ替わってしまっているなんて。理由はわかりませんがあの子はとても恐ろしい子です)
でもドキドキしている自分もいた。
地下での恐怖感は、皆で生きていることをアムリーテに伝えてくれていた。
(この身体から出て行きたくないかもです…)
そんなふうに思う自分に罪悪感を感じる。アムリーテの機能はアムリーテが一番良く知っている。
なので元に戻らなければならないのに。
偽リリィ(inアムリーテ)は自分の身体を動かしながら、
滑らかに動く部分とそうでもない部分の差異に驚きながら
これが生きているということなのだと感じていた。
>「なにやっているの?早く地下に行きましょう」
「 はいです」
パピに誘われて地下へむかう。視線の先の偽アムリーテ(inリリィ)はというと
偽リリィ(inアムリーテ)を偽者と勘違いしたままエンカを引っ張ってゆく。
先行しているテオボルトのことを少しだけ心配していた偽リリィ(inアムリーテ)だったけど、それは取り越し苦労だった。
彼は偶然にも幻灯機を見つけており、フリードと何やら会話している。
>「だれか機械に強い人は・・・・・・リリィさん・・・もといアムリーテさんとかどうですか」
とフリード。
「えっと…、本体自体を修復することは無理でしょうけど、おそらくメモリーカードから情報を抜き出すことは可です」
>「いたいた。ミス・クラスタ、これの修理を頼む。私にはどうすりゃいいかわからんのでな」
テオボルトの問いに、おそらくあわあわしているであろう偽アムリーテ。
「私の身体で子どもに乱暴はやめてください」
エンカを引っ張っている偽アムリーテ(inリリィ)を一喝し、偽リリィは幻灯機を受け取るとそれを胸の前で構えた。
しかし何も起こらない。起こるわけがない。
なぜなら今のアムリーテの意識はリリィの身体に入っているから。
本来なら胸の宝石、エンジェルハートから極細のレーザーを放出して幻灯機をスキャン。
内部の信号起伏を読み取って電脳内部で映像に変換する。そのつもりだった。
(あむむ…、ボケていたです。にしてもチョッとだけ会話をするつもりでリリィの身体を借りたつもりが
チャッカリと私の身体と入れ替わってしまっているなんて。理由はわかりませんがあの子はとても恐ろしい子です)
でもドキドキしている自分もいた。
地下での恐怖感は、皆で生きていることをアムリーテに伝えてくれていた。
(この身体から出て行きたくないかも…)
そんなふうに思う自分に罪悪感を感じる。アムリーテの機能はアムリーテが一番良く知っている。
なので元に戻らなければならないのに。
「あ、でももしかしたら」
偽リリィ(アムリーテ)はリリィがテレパシーを使えることを知っている。
だから
それ故に、偽リリィ(アムリーテ)は何か硬そうなものを探し始める。
何でもいいから頭をぶつけて気絶して、幽体離脱をしなければ。
あとは偽アムリーテ(リリィ)が機能停止状態なら文句なしなのだが
そこは気合で体から押し出そう。
そう誓って、偽リリィ(アムリーテ)は壁にガンガンと頭を打ち付ける。
でも痛いだけで中々気絶出来ないでいた。
ぷるぷると震えながら床に蹲ると、
先ほど壁に体当たりをしたリリィの決死の行動を思い起こし絶句。
友達を救うために気絶するほど壁に激突するなど正気の沙汰ではない。
こんなのはオデコがいくらあっても足らない。
こうなったら何とかリリィに説明して幻灯機の情報を抜き出してもらう他ない。
偽リリィ(アムリーテ)は偽アムリーテ(リリィ)に情報の抜き取り方を説明するとその手を握る。
それはアムリーテの体で読み取った情報を、リリィのテレパシーで音と映像で皆に伝えるため。
でも結構無造作に置かれていた壊れた幻灯機に極秘情報みたいのが収まっていると考えるのもおかしなこと。
しかしダムもヒビで決壊するというし、試してみる価値はあるのだ。
偽リリィ(inアムリーテ)は自分の身体を動かしながら、
滑らかに動く部分とそうでもない部分の差異に驚きながら
これが生きているということなのだと感じていた。
>「なにやっているの?早く地下に行きましょう」
「はいです」
パピに誘われて地下へむかう。視線の先の偽アムリーテ(inリリィ)はというと
偽リリィ(inアムリーテ)を偽者と勘違いしたままエンカを引っ張ってゆく。
先行しているテオボルトのことを少しだけ心配していた偽リリィ(inアムリーテ)だったけど、それは取り越し苦労だった。
彼は偶然にも幻灯機を見つけており、フリードと何やら会話している。
>「だれか機械に強い人は・・・・・・リリィさん・・・もといアムリーテさんとかどうですか」
とフリード。
「えっと…、本体自体を修復することは無理でしょうけど、おそらくメモリーカードから情報を抜き出すことは可です」
>「いたいた。ミス・クラスタ、これの修理を頼む。私にはどうすりゃいいかわからんのでな」
テオボルトの問いに、おそらくあわあわしているであろう偽アムリーテ。
「私の身体で子どもに乱暴はやめてください」
エンカを引っ張っている偽アムリーテ(inリリィ)を一喝し、偽リリィは幻灯機を受け取るとそれを胸の前で構えた。
しかし何も起こらない。起こるわけがない。
なぜなら今のアムリーテの意識はリリィの身体に入っているから。
本来なら胸の宝石、エンジェルハートから極細のレーザーを放出して幻灯機をスキャン。
内部の信号起伏を読み取って電脳内部で映像に変換する。そのつもりだった。
(あむぅ…、ボケていたです。にしてもチョッとだけ会話をするつもりでリリィの身体を借りたつもりが
チャッカリと私の身体と入れ替わってしまっているなんて。理由はわかりませんがあの子はとても恐ろしい子です)
でもドキドキしている自分もいた。
地下での恐怖感は、生きていることをアムリーテに伝えてくれていた。
(この身体から出て行きたくないかもです…)
そんなふうに思う自分に罪悪感を感じる。アムリーテの機能はアムリーテが一番良く知っている。
なので元に戻らなければならないのに。
それ故に、偽リリィ(アムリーテ)は何か硬そうなものを探し始める。
何でもいいから頭をぶつけて気絶して、幽体離脱をしなければ。
あとは偽アムリーテ(リリィ)が機能停止状態なら文句なしなのだが
そこは気合でリリ魂を体から押し出そう。
そう誓って、偽リリィ(アムリーテ)は壁にガンガンと頭を打ち付ける。
でも痛いだけで中々気絶出来ないでいた。
ぷるぷると震えながら床に蹲ると、
先ほど壁に体当たりをしたリリィの決死の行動を思い起こし唖然。
友達を救うために気絶するほど壁に激突するなど正気の沙汰ではない。
こんなのは痛すぎるしオデコがいくらあっても足らない。
こうなったら何とかリリィに幻灯機の情報を抜き出してもらう他ない。
偽リリィ(アムリーテ)は偽アムリーテ(リリィ)に情報の抜き取り方を説明するとその手を握る。
それはアムリーテの体で読み取った情報を、リリィのテレパシーで音と映像で皆に伝えるため。
でも結構無造作に置かれていた壊れた幻灯機に極秘情報みたいのが収まっていると考えるのもおかしなこと。
しかしダムもヒビで決壊するというし、試してみる価値はあるのだ。
そうこうして、テレパシーが渦となって幻灯機の情報を一行の脳内へと映し出す。
胸の宝石、エンジェルハートから放出されるレーザーは極細微に、絶妙なさじ加減で放射されているようだ。
幻灯機は古かったために所々読み取れない映像もあり、おまけに途中で重ね録りされた部分があった。
その重ね録りされた部分には何も無かったはずの現フロアの地下室の一室が映し出されている。
石像の口の中に隠されたスイッチを押す何者かの手。きっと撮影者の手だろう。
その次に煌煌と煌く天井。良く見ると輝くそれは円陣のようだ。そして降りてくる吊り天井。
天井が迫り、撮影者が光に飲み込まれてゆくところで映像は終わっている。
しかしこの館の主は、よほど吊り天井が好きなのだろう。
その時だった。
足音が近づいてくる。何かしら一度聞いたら忘れられないような特徴のある足音のようでもあった。
しかし地下にはさらに地下に続く入り口など見つからなかったはず。
それなのに、足音の主は一体どこから現れたのだろう。
その不気味な足音に、偽リリィ(inアムリーテ)の集中が乱れてしまうと、読み取った映像は完全には皆に伝えられずに終了。
だが、偽アムリーテ(inリリィ)の記憶には保存されているかも知れない。
それ故に、偽リリィ(アムリーテ)は何か硬そうなものを探し始める。
何でもいいから頭をぶつけて気絶して、幽体離脱をしなければ。
あとは偽アムリーテ(リリィ)が機能停止状態なら文句なしなのだが
そこは気合でリリ魂を体から押し出そう。
そう誓って、偽リリィ(アムリーテ)は壁にガンガンと頭を打ち付ける。
でも痛いだけで中々気絶出来ないでいた。
ぷるぷると震えながら床に蹲ると、
先ほど壁に体当たりをしたリリィの決死の行動を思い起こし唖然。
友達を救うために気絶するほど壁に激突するなど正気の沙汰ではない。
こんなのは痛すぎるしオデコがいくらあっても足らない。
こうなったら何とかリリィに幻灯機の情報を抜き出してもらう他ない。
偽リリィ(アムリーテ)は偽アムリーテ(リリィ)に情報の抜き取り方を説明するとその手を握る。
それはアムリーテの体で読み取った情報を、リリィのテレパシーで音と映像で皆に伝えるため。
でも結構無造作に置かれていた壊れた幻灯機に極秘情報みたいのが収まっていると考えるのもおかしなこと。
しかしダムもヒビで決壊するというし、試してみる価値はあるのだ。
そうこうして、テレパシーが渦となって幻灯機の情報を一行の脳内へと映し出す。
胸の宝石、エンジェルハートから放出されるレーザーは極細微に、絶妙なさじ加減で放射されているようだ。
幻灯機は古かったために所々読み取れない映像もあり、おまけに途中で重ね録りされた部分があった。
その重ね録りされた部分には何も無かったはずの現フロアの地下室の一室が映し出されている。
石像の口の中に隠されたスイッチを押す何者かの手。きっと撮影者の手だろう。
その次に煌煌と煌く天井。良く見ると輝くそれは円陣のようだ。そして降りてくる吊り天井。
天井が迫り、撮影者が光に飲み込まれてゆくところで映像は終わっている。
しかしこの館の主は、よほど吊り天井が好きなのだろう。
その時だった。
足音が近づいてくる。何かしら一度聞いたら忘れられないような特徴のある足音のようでもあった。
しかし地下にはさらに地下に続く入り口など見つからなかったはず。
それなのに、足音の主は一体どこから現れたのだろう。
その不気味な足音に、偽リリィ(inアムリーテ)の集中が乱れてしまうと、読み取った映像は完全には皆に伝えられずに終了。
だが、偽アムリーテ(inリリィ)の記憶にはその全容が保存されているかも知れないしそうでもないかも知れない。
偽リリィ(inアムリーテ)は自分の身体を動かしながら、
滑らかに動く部分とそうでもない部分の差異に驚きながら
これが生きているということなのだと感じていた。
>「なにやっているの?早く地下に行きましょう」
「はいです」
パピに誘われて地下へむかう。視線の先の偽アムリーテ(inリリィ)はというと
偽リリィ(inアムリーテ)を偽者と勘違いしたままエンカを引っ張ってゆく。
先行しているテオボルトのことを少しだけ心配していた偽リリィ(inアムリーテ)だったけど、
それは取り越し苦労だった。
彼は偶然にも幻灯機を見つけており、フリードと何やら会話している。
>「だれか機械に強い人は・・・・・・リリィさん・・・もといアムリーテさんとかどうですか」
とフリード。
「えっと…、本体自体を修復することは無理でしょうけど、おそらくメモリーカードから情報を抜き出すことは可です」
>「いたいた。ミス・クラスタ、これの修理を頼む。私にはどうすりゃいいかわからんのでな」
テオボルトの問いに、おそらくあわあわしているであろう偽アムリーテ(inリリィ)
「私の身体で子どもに乱暴はやめてください」
エンカを引っ張っている偽アムリーテ(inリリィ)を一喝し、偽リリィは幻灯機を受け取るとそれを胸の前で構えた。
しかし何も起こらない。起こるわけがない。
なぜなら今のアムリーテの意識はリリィの身体に入っているから。
本来なら胸の宝石、エンジェルハートから極細のレーザーを放出して幻灯機をスキャン。
内部の信号起伏を読み取って電脳内部で映像に変換する。そのつもりだった。
(あむぅ…、ボケていたです。にしてもチョッとだけ会話をするつもりでリリィの身体を借りたつもりが
チャッカリと私の身体と入れ替わってしまっているなんて。理由はわかりませんがあの子はとても恐ろしい子です)
でもドキドキしている自分もいた。
地下での恐怖感は、生きていることをアムリーテに伝えてくれていた。
(この身体から出て行きたくないかもです…)
そんなふうに思う自分に罪悪感を感じる。
アムリーテの機能はアムリーテが一番良く知っているから、元に戻らなければならないのに。
それ故に、偽リリィ(アムリーテ)は何か硬そうなものを探し始める。
何でもいいから頭をぶつけて気絶して、幽体離脱をしなければ。
あとは偽アムリーテ(リリィ)が機能停止状態なら文句なしなのだが
そこは気合でリリ魂を体から押し出そう。
そう誓って、偽リリィ(アムリーテ)は壁にガンガンと頭を打ち付ける。
でも痛いだけで中々気絶出来ないでいた。
ぷるぷると震えながら床に蹲ると、
先ほど壁に体当たりをしたリリィの決死の行動を思い起こし唖然。
友達を救うために気絶するほど壁に激突するなど正気の沙汰ではない。
こんなのは痛すぎるしオデコがいくらあっても足らない。
こうなったら何とかリリィに幻灯機の情報を抜き出してもらう他ない。
偽リリィ(アムリーテ)は偽アムリーテ(リリィ)に情報の抜き取り方を説明するとその手を握る。
それはアムリーテの体で読み取った情報を、リリィのテレパシーで音と映像で皆に伝えるため。
でも結構無造作に置かれていた壊れた幻灯機に極秘情報みたいのが収まっていると考えるのもおかしなこと。
しかしダムもヒビで決壊するというし、試してみる価値はあるのだ。
そうこうして、テレパシーが渦となって幻灯機の情報を一行の脳内へと映し出す。
胸の宝石、エンジェルハートから放出されるレーザーは極細微に、絶妙なさじ加減で放射されているようだ。
幻灯機は古かったために所々読み取れない映像もあり、おまけに途中で重ね録りされた部分があった。
その重ね録りされた部分には何も無かったはずの現フロアの地下室の一室が映し出されている。
石像の口の中に隠されたスイッチを押す何者かの手。きっと撮影者の手だろう。
その次に煌煌と煌く天井。良く見ると輝くそれは円陣のようだ。そして降りてくる吊り天井。
この館の主は、よほど吊り天井が好きなのだろう。
天井が迫り、撮影者が光に飲み込まれてゆくところで映像は不本意に終わってしまう。
なぜなら足音が近づいてくる。その音は何かしら一度聞いたら忘れられないような特徴のある足音のようでもあった。
しかし地下にはさらに地下に続く入り口など見つからなかったはず。
ということは、探せば絶対にあるのだ。地下への入り口は!
その不気味な足音に、偽リリィ(inアムリーテ)の集中が乱れてしまったから、
偽アムリーテ(inリリィ)が読み取った映像は完全には皆に伝えられずに終了してしまったのであった。
だが、偽アムリーテ(inリリィ)の記憶にはその全容が保存されているかも知れないしそうでもないかも知れない。
それか映像自体が意味の無い物なのかもしれない。
それ故に、偽リリィ(アムリーテ)は何か硬そうなものを探し始める。
何でもいいから頭をぶつけて気絶して、幽体離脱をしなければ。
あとは偽アムリーテ(リリィ)が機能停止状態なら文句なしなのだが
そこは気合でリリ魂を体から押し出そう。
そう誓って、偽リリィ(アムリーテ)は壁にガンガンと頭を打ち付ける。
でも痛いだけで中々気絶出来ないでいた。
ぷるぷると震えながら床に蹲ると、
先ほど壁に体当たりをしたリリィの決死の行動を思い起こし唖然。
友達を救うために気絶するほど壁に激突するなど正気の沙汰ではない。
こんなのは痛すぎるしオデコがいくらあっても足らない。
こうなったら何とかリリィに幻灯機の情報を抜き出してもらう他ない。
偽リリィ(アムリーテ)は偽アムリーテ(リリィ)に情報の抜き取り方を説明するとその手を握る。
それはアムリーテの体で読み取った情報を、リリィのテレパシーで音と映像で皆に伝えるため。
でも結構無造作に置かれていた壊れた幻灯機に極秘情報みたいのが収まっていると考えるのもおかしなこと。
しかしダムもヒビで決壊するというし、試してみる価値はあるのだ。
そうこうして、テレパシーが渦となって幻灯機の情報を一行の脳内へと映し出す。
胸の宝石、エンジェルハートから放出されるレーザーは極細微に、絶妙なさじ加減で放射されているようだ。
幻灯機は古かったために所々読み取れない映像もあり、おまけに途中で重ね録りされた部分があった。
その重ね録りされた部分には何も無かったはずの現フロアの地下室の一室が映し出されている。
石像の口の中に隠されたスイッチを押す何者かの手。きっと撮影者の手だろう。
その次に煌煌と煌く天井。良く見ると輝くそれは円陣のようだ。そして降りてくる吊り天井。
この館の主は、よほど吊り天井が好きなのだろう。
天井が迫り、撮影者が光に飲み込まれてゆくところで映像は不本意に終わってしまう。
なぜなら足音が近づいてくる。
その音は何かしら一度聞いたら忘れられないような特徴のある足音のようでもあった。
しかし地下にはさらに地下に続く入り口など見つからなかったはず。
それなら足音の主は一体どこから来たのだろう?まさか幻覚ではあるまい。
ということは探せば絶対にあるのだ。地下への入り口は!
その不気味な足音に、偽リリィ(inアムリーテ)の集中が乱れてしまったから、
偽アムリーテ(inリリィ)が読み取った映像は完全には皆に伝えられずに終了してしまったのであった。
だが、偽アムリーテ(inリリィ)の記憶にはその全容が保存されているかも知れないしそうでもないかも知れない。
それか映像自体が意味の無い物なのかもしれない。
「……誰か来ます。ということはこの地下フロアにも入り口か出口はあるはずです。
ボウフラのように沸いて出てきたのでなければの話ですが。
しかし何者なのでしょう?人間嫌いのアンチラストの使いでしょうか?
こっちから赴くと決めいたのにむこうから来てくださるなんて好都合です」
そう言いながらドキドキしている偽リリィ(アムリーテ)。
とりあえずはここから移動する理由もなく、近づいてくるのならば向かう理由も無い。
ただその煙はタバコのもので、不快だった。
「こらこらー!タバコを消しなさい。タバコの煙は子どもに悪影響を及ぼすです」
キーっと体が動く。リリィの体は感情が昂ぶるとキーっとなるらしい。
でも足音も近づいてくるし、細い煙もどんどんと漂いはじめている。
だから偽リリィ(アムリーテ)はパニック。
グレンを嫌々抱っこして持ち上げると、偽アムリーテ(リリィ)の眼前に突き出した。
そうするときっと偽アムリーテは特大のクシャミをするはず。それでタバコの煙も吹き飛ぶはず。
「……誰か来ます。ということはこの地下フロアにも入り口か出口はあるはずです。
ボウフラのように沸いて出てきたのでなければの話ですが。
しかし何者なのでしょう?人間嫌いのアンチラストの使いでしょうか?
こっちから赴くと決めいたのにむこうから来てくださるなんて好都合です」
そう言いながらドキドキしている偽リリィ(アムリーテ)。
とりあえずはここから移動する理由もなく、近づいてくるのならば向かう理由も無い。
ただもくもくと漂ってくるタバコの煙だけは不快だった。
「あの…タバコを消しなさいです。タバコの煙は子どもに悪影響を及ぼすです」
無意識にキーっと体が動く。リリィの体は感情が昂ぶるとキーっとなるらしい。
でも足音も近づいてくるし、細い煙もどんどんと漂いはじめている。
だから偽リリィ(アムリーテ)はパニック。
グレンを嫌々抱っこして持ち上げると、偽アムリーテ(リリィ)の眼前に突き出した。
そうするときっと偽アムリーテは特大のクシャミをするはず。それでタバコの煙も吹き飛ぶはず。
名前・ククレーニュ先生
性別・男
年齢・28
髪型・シェイド
瞳色・黒
容姿・ワンレンズ型のサングラス。
スーツにダスターコートを羽織っており手に持ったダレスバックには特殊な道具が入っている。
備考・フィジルの新米教師。専門は錬金術。
考古学にも精通しておりガイア仮説の証明のために世界を渡り歩いてきた。
一人称は「わし」
得意技・機械の修理。改造。人口臓器の移植手術。
好きなもの・改造。修復。
苦手なもの・破壊。死。
うわさ1・どんなことをしても生命を生かし続けたいという意志が強いらしい。
うわさ2・動く謎の小島が自宅らしい。
うわさ3・
うわさ4・
名前・ククレーニュ先生
性別・男
年齢・28
髪型・シェイド
瞳色・黒
容姿・ワンレンズ型のサングラス。
スーツにダスターコートを羽織っており手に持ったダレスバッグには特殊な道具が入っている。
備考・フィジルの新米教師。専門は錬金術。
考古学にも精通しておりガイア仮説の証明のために世界を渡り歩いてきた。
一人称は「わし」
得意技・機械の修理。改造。人口臓器の移植手術。
好きなもの・改造。修復。
苦手なもの・破壊。死。
うわさ1・代々獣医の家系で、伝説の生き物の治療などをやってきたらしい。
うわさ2・壊れゆくものを目の前にすると、自分の治療技術に対する挑戦と捉えて、
何としてでも治したくなるらしい。
うわさ3・動く謎の小島が自宅らしい。
うわさ4・好奇心が異常なほど強いらしい。
名前・ククレーニュ先生
性別・男
年齢・28
髪型・黒髪のシェイド
瞳色・黒
容姿・ワンレンズ型のサングラス。
スーツにダスターコートを羽織っており手に持ったダレスバッグには特殊な道具が入っている。
備考・フィジルの教師。専門は錬金術。
考古学にも精通しておりガイア仮説の証明のために世界を渡り歩いてきた。
一人称は「わし」
得意技・体のすべてが人工多能性超幹細胞で出来ており変身が可能(例えば足を手に変えたり出来る)
機械の修理。改造。人口臓器の移植手術。
好きなもの・改造。修復。ものづくり
苦手なもの・破壊。
うわさ1・代々獣医の家系で、伝説の生き物の治療などをやってきたらしい。
うわさ2・壊れゆくものを目の前にすると、自分の治療技術に対する挑戦と捉えて、
何としてでも治したくなるらしい。
うわさ3・動く謎の小島が自宅らしい。
うわさ4・好奇心が異常なほど強いらしい。
名前・ククレーニュ先生
性別・男
年齢・28
髪型・黒髪のシェイド
瞳色・黒
容姿・ワンレンズ型のサングラス。
スーツにダスターコートを羽織っており手に持ったダレスバッグには
錬金術の道具、及び医療器具が入っている。
備考・フィジルの教師。専門は錬金術。
考古学にも精通しておりガイア仮説の証明のために十代の頃は世界を渡り歩いてきた。
その時に一緒に冒険していた恋人も医療に精通しており
大怪我を負ったククレーニュに、自身の血液を輸血をしてくれたのちに
ガイアの亀裂に落ちて行方不明となっている。
とある遺跡でアムリーテを発見して武装解除をしたのち、再教育したのは
元恋人が子ども好きだったから。一人称は「俺」
得意技・現在は体のすべてが人工多能性超幹細胞で出来ており生命体なら何にでも変身が可能。
機械の修理。外科手術。
好きなもの・ガイア。
苦手なもの・自分。他人。
うわさ1・代々獣医の家系で、伝説の生き物の治療などをやってきたらしい。
うわさ2・壊れゆくものを目の前にすると、自分の治療技術に対する挑戦と捉えて、
何としてでも治したくなるらしい。
うわさ3・動く謎の小島が自宅らしい。
うわさ4・いつの日にか、神になりたいらしい
幻影機に映されていたのは鼠の左手の再生治療。
>『以上で私の発表を終わります。
この研究が、私の娘のためだけでなく、広く世界で難病に苦しむ子供達の助けとならんことを…(ガーーーー)』
(子どもたちのために誰かがどこかで研究をしていたみたいです。
おそらくはこの洋館の地下と考えるのが妥当でしょう。
ですが彼女の行為は私たちを殺そうとしたアンチラストとは真逆の行為みたいです。
彼女の身に、何事も起こっていなければよいのですが……)
謎の女の再生術の映像に、アムリーテは行方不明となったセンセイのことを思い出す。
錬金術師であり冒険家でもあったククレーニュという名の男のことを。
綺麗な女ならいつまでも綺麗なままでいたいって思うし、石だってずっと石のままでいたいと思っているはず、とアムリーテは思う。
そう思っていなければ石は粉々に砕け散ってしまっている。この世に石などないはずのだ。
それと同じで、機械人形に造られた自分も、機能を正常に果たしていたいと心のどこかで思っている。
とある古代遺跡で、長い眠りから覚めたアムリーテ・クラスタ。
ククレーニュに再び命の火を灯され、彼女は嬉しく思った。
と同時に疑問が浮かび上がりこう問うたのだ。
「なぜ貴方は、私を目覚めさせてくれたのですか?」
静かに問いかけるアムリーテに、男はこう答えた。
「俺が死に掛けていた時、助けてくれた人がいた。
その行為が俺には何よりも嬉しかった。きっと、今の君以上にね」
自分が助けられて嬉しかったから、自分も誰かを助ける。
男の答えは、単純と言われれば単純なことだった。
この幻影機の映像によって、アムリーテの予測は少しずつではあるが現実のものへと移行し始めている。
本来機械にあるべきはずでないもの「第六感」のようなものでアムリーテは導かれている。
そう、信頼するククレーニュ先生の元へと。
幻影機に映されていたのは鼠の左手の再生治療。
>『以上で私の発表を終わります。
この研究が、私の娘のためだけでなく、広く世界で難病に苦しむ子供達の助けとならんことを…(ガーーーー)』
(子どもたちのために誰かがどこかで研究をしていたみたいです。
おそらくはこの洋館の地下と考えるのが妥当でしょう。
ですが彼女の行為は私たちを殺そうとしたアンチラストとは真逆の行為みたいです。
彼女の身に、何事も起こっていなければよいのですが……)
謎の女の再生術の映像に、アムリーテは行方不明となったセンセイのことを思い出す。
錬金術師であり冒険家でもあったククレーニュという名の男のことを。
綺麗な女ならいつまでも綺麗なままでいたいって思考することだろうし、
石だってずっと石のままでいたいと思っているはず、とアムリーテは思う。
そう思っていなければ石は石であり続けない。この世に石など存在しないはずなのだ。
それと同じで機械人形に造られた自分も、機能を正常に果たしていたいと心のどこかで思っている。
とある古代遺跡で、長い眠りから覚めたアムリーテ・クラスタ。
ククレーニュに再び命の火を灯され、彼女は嬉しく思った。
と同時に疑問が浮かび上がりこう問うたのだ。
「なぜ貴方は、私を目覚めさせてくれたのですか?」
静かに問いかけるアムリーテに、男はこう答えた。
「俺が死に掛けていた時、助けてくれた人がいた。
その行為が俺には何よりも嬉しかった。きっと、今の君以上にね」
自分が助けられて嬉しかったから、自分も誰かを助ける。
男の答えは、単純と言われれば単純なことだった。
この幻影機の映像によって、アムリーテの予測は少しずつではあるが現実のものへと移行し始めている。
本来機械にあるべきはずでないもの「第六感」のようなものでアムリーテは導かれている。
そう、信頼するククレーニュ先生の元へと。
アムリーテ(リリィ)が氷の床に亀裂を入れ、クシャミ砲を飛ばし
パピステヘプに振り向かれた瞬間。それはリリ魂を串刺しにした。
それとは得体の知れない者たちの眼差しだ。
ざわざわ…とアムリーテの肉体の奥、エンジェルハートの最奥から迫る波動。
ほの暗い無意識の深海から迫る影の群れ。
『アナタは、ダレ?アノ子はどこへいったの?』
リリィに問いかけるのはアムリーテと同じ意識。
でもそれは氷のように冷たい無機質な印象を与える。
『アノ子がいないのなら、この体をのっとちゃいましょうよ。
姉である私たちすべてのクラスタを破壊した最強のクラスタの体を…。
おぞましき人間の男に誑かされた愚かな妹の体をね…』
「…ふっ、ひひひ」
不気味に笑い始めるアムリーテ。もちろんリリ魂を巻き込んだまま。
でもその前に説明すると、「クラスタ」は塊。群れ。集団という意味。
アムリーテ・クラスタとは、太古の昔にデウス・エクス・マキーナ(機械仕掛けの神)
の一人として、混沌とした世界を終結させるために造られた兵器の集団なのだ。
だが、ククレーニュにより命の大切さを学習したアムリーテは
他のアムリーテたちを破壊した後、彼に四肢の兵装を外す手術をしてもらったのだ。
その時に姉たちのゴースト(怨念)が、胸のエンジェルハートに侵入したことも気付かずに。
>「こいつらさっきからおかしな事ばっかり言ってるっすよ〜!
先輩の御威光でよ〜、何とかしてくださいっすよ〜!」
「アナタを殺して分解してみたらちょっとは何かがわかるかもです。
少なくともマリアベルってものが何なのかとか。でも、何にも出てこなかったらごめんなさいです」
胸の宝石、エンジェルハートから圧縮砲が放たれる。
それは昇ってきた階段を破壊して地上への最短の逃走経路を寸断する。
「はいはい。どうするですか子どもたち。エンカさんでしたっけ?
今ので蒸発しちゃったかもですね。残ったゴミから何か出てきましたか?皆で仲良くさがしてみましょう」
アムリーテは鼻で笑いながら、パピスヘテプをねめつける。
そしてフリードへ向かって握り拳固。
「あなたの墓穴、掘ってあげますです!」
両手でフリードごと床を叩きつける。後手キャンとかなんとかしなければ
フリードは地殻を越えてマントルまで減り込んでしまうかもしれない。
そして――
「あむむ!さっきからこのノイズはなんですか!?小便くさい小娘が!じゃまをするなです!」
大暴れを始めるアムリーテ。
それをリリィの中のアムリーテは震えながら見ている。
オデコのコブもじんじんして痛む。
それに無敵の体で子どもを守るとか言っていた自分を恥ずかしく思う。
「…あむむぅ。こ、こわい、こわいですぅ」
よたよたと壁伝いに進むと隠れようとして扉をあける。すると映像に出ていた石像があった。
だからって光る吊り天井を作動させる理由もアムリーテには見当たらない。
だが天井で光る円陣に見覚えのある者もここにはいるはずだ。それは一体何なのか。
思い当たることがあれば進路は開かれることだろう。
幻影機に映されていたのは鼠の左手の再生治療。
>『以上で私の発表を終わります。
この研究が、私の娘のためだけでなく、広く世界で難病に苦しむ子供達の助けとならんことを…(ガーーーー)』
(子どもたちのために誰かがどこかで研究をしていたみたいです。
おそらくはこの洋館の地下と考えるのが妥当でしょう。
ですが彼女の行為は私たちを殺そうとしたアンチラストとは真逆の行為みたいです。
彼女の身に、何事も起こっていなければよいのですが……)
謎の女の再生術の映像に、アムリーテは行方不明となったセンセイのことを思い出す。
錬金術師であり冒険家でもあったククレーニュという名の男のことを。
綺麗な女ならいつまでも綺麗なままでいたいと思考することだろうし、
石だってずっと石のままでいたいと思っているはず、とアムリーテは思う。
そう思っていなければ石は石であり続けない。この世に石など存在しないはずなのだ。
それと同じで機械人形に造られた自分も、機能を正常に果たしていたいと心のどこかで思っている。
とある古代遺跡で、長い眠りから覚めたアムリーテ・クラスタ。
ククレーニュに再び命の火を灯され、彼女は嬉しく思った。
と同時に疑問が浮かび上がりこう問うたのだ。
「なぜ貴方は、私を目覚めさせてくれたのですか?」
静かに問いかけるアムリーテに、男はこう答えた。
「俺が死に掛けていた時、助けてくれた人がいた。
その行為が俺には何よりも嬉しかった。きっと、今の君以上にね」
自分が助けられて嬉しかったから、自分も誰かを助ける。
男の答えは、単純と言われれば単純なことだった。
この幻影機の映像によって、アムリーテの予測は少しずつではあるが現実のものへと移行し始めている。
本来機械にあるべきはずでないもの「第六感」のようなものでアムリーテは導かれている。
信頼するククレーニュ先生の元へと。ただ、そう信じていたかった。
アムリーテ(リリィ)が氷の床に亀裂を入れ、
クシャミ砲を飛ばし パピステヘプに振り向かれた瞬間。
それはリリ魂を串刺しにした。
それとは得体の知れない者たちの眼差しだ。
ざわざわ…とアムリーテの肉体の奥、エンジェルハートの最奥から迫る波動。
ほの暗い無意識の深海から迫る影の群れ。
『アナタは、ダレ?アノ子はどこへいったの?』
リリィに問いかけるのはアムリーテと同じ意識。
でもそれは氷のように冷たい無機質な印象を与える。
『アノ子がいないのなら、この体をのっとちゃいましょうよ。
姉である私たちすべてのクラスタを破壊した最強のクラスタの体を…。
おぞましき人間の男に誑かされた愚かな妹の体をね…』
「…ふっ、ひひひ」
不気味に笑い始めるアムリーテ。もちろんリリ魂を巻き込んだまま。
でもその前に説明すると、「クラスタ」は塊。群れ。集団という意味。
アムリーテ・クラスタとは、太古の昔にデウス・エクス・マキーナ(機械仕掛けの神)
の一人として、混沌とした世界を終結させるために造られた兵器の集団なのだ。
だが、ククレーニュにより命の大切さを学習したアムリーテは
他のアムリーテたちを破壊した後、彼に四肢の兵装を外す手術をしてもらったのだ。
その時に姉たちのゴースト(怨念)が、胸のエンジェルハートに侵入したことも気付かずに。
>「こいつらさっきからおかしな事ばっかり言ってるっすよ〜!
先輩の御威光でよ〜、何とかしてくださいっすよ〜!」
「アナタを殺して分解してみたらちょっとは何かがわかるかもです。
少なくともマリアベルってものが何なのかとか。でも、何にも出てこなかったらごめんなさいです」
胸の宝石、エンジェルハートから圧縮砲が放たれる。
それは昇ってきた階段を破壊して地上への最短の逃走経路を寸断する。
「はい。で、どうするですか子どもたち。エンカさんでしたっけ?
今ので蒸発しちゃったかもですね。ふひひ…
残ったゴミから何か出てきましたか?皆で仲良くさがしてみましょう」
アムリーテは鼻で笑いながら、パピスヘテプをねめつける。
そしてフリードへ向かって握り拳固。
「あなたの墓穴、掘ってあげますです!」
両手でフリードごと床を叩きつける。後手キャンとかなんとかしなければ
フリードは地殻を越えてマントルまで減り込んでしまうかもしれない。
そして――
「あむむ!さっきからこのノイズはなんですか!?小便くさい小娘が!じゃまをするなです!」
大暴れを始めるアムリーテ。
それをリリィの中のアムリーテは震えながら見ている。
オデコのコブもじんじんして痛む。
それに無敵の体で子どもを守るとか言っていた自分を恥ずかしく思う。
「あむむぅ。こ、こわい、こわいですぅ。
私ってあんなに怖かったですか。マジキチロールですぅ……」
よたよたと壁伝いに進むと隠れようとして扉をあける。すると映像に出ていた石像があった。
だからって光る吊り天井を作動させる理由もアムリーテには見当たらない。
だが天井で光る円陣に見覚えのある者もここにはいるはずだ。それは一体何なのか。
思い当たることがあれば進路は開かれることだろう。
須藤竜子のペルソナ「エリス」に気がついた白道は驚いた表情を見せた。
その顔に須藤はにやり。なぜなら自分を馬鹿にするものは許さない。
驚いて、平伏せばよいと思う。
そうやって、いつも他人を見下すことで須藤は安心を得てきた。
でも良く見れば、白道のそれは違った。
彼女は驚いてなどいない。あろうことか驚いたフリをしている。
それならばノーリアクションのほうがまだましだった。
だから須藤は真っ赤な顔で下唇を噛んでいる。
須藤竜子は自身のペルソナ「エリス」を白道に見せつけ、彼女を威圧しようとした。
しかし当の白道は驚いた素振りを見せたものの、それは演技。驚いたふりだった。
だから馬鹿にされていると感じた須藤は下唇を噛んで真っ赤な顔。
>「エリちゃん見せて、私がどんな反応するか見たかったスか?あわよくば恐れおののいてくれると?
残念ながらそれはあり得ないッス、竜子チャンのより格上のペルソナもペルソナ使いも見た事あるッスから」
「どこでよ!?あたしより優れたペルソナ使いなんているの!?
いるとしたら、そいつはいったいどんな人間なのよ!!」
須藤は声を荒げる。なぜなら自分は選ばれた人間と信じているから。
自分を蝕むペルソナの力も、それは力が強すぎるから。今まではそう思っていた。
そして自分は外務大臣の孫娘。無下に扱う者など日本にはいない。
おまけにその美貌に男子生徒たちはメロメロ。傍に近づくと緊張で転んでしまう男子もいた。
それに女子生徒たちは羨望の眼差しで須藤に接し、会うたびに褒め称えてくれる。
すべての人間は、この須藤竜子様を崇めて大切にする。それが当たり前。というよりそうでなければならない。
なのに目の前の白道は須藤をとても馬鹿にしている。
「私の既視感からしたら、貴女とはとっても仲良くできると思っていたのに何かを勘違いしちゃってたみたい。
私はすべてに置いて下に見られることが大嫌いなの。それが現実って言われちゃってもね」
須藤は誰からも弱く見られたくなかった。なので自身に不治の病があることを悔しく思っている。
これは神の嫉妬なのだと本気で思っている。
だからイン・ラケチでこの世界を変える。神に復讐する。人の業を取り払う。
でもそれが白道にはわからないらしい。
――包丁を持ち迫る白道に、エリスの槍が投擲される。
「……エリス!」
人は物を見て認識するまで刹那の時間を要するらしい。
ということは「今」と認識している時間はほんの少しの過去ということ。
その無意識の狭間よりも早く、エリスは反応した。そしてネメシスを串刺しにした。
しかし――
>「ここで問題ッスよ竜子チャン。
アンタのエリちゃんが私とネメちゃんを殺すのが早いか、それとも私が竜子チャンの首を切り裂くのが早いか、やってみるッスか?」
強く当てられた包丁に、ひくりと白い喉を動かす須藤。
「やってみたいのなら、やってみなさいよ。私にはその覚悟があるんだから」
須藤は命乞いなどしない。弱音を吐く自分を想像すら出来ない。敗北する自分も。
だからエリスのパワーで何とかこの状況を打開したいと思っていた。
それが無理なら何とか立場的に優位に立って負けない感じで終わらせたい。
そんな矢先…
>「……って、冗談ッスよ、冗談!恩人を殺っちゃう程、私は薄情じゃないッス。
でぇ、竜子チャンはホントせっかちさんッスね!勧誘、交渉ってのは相手にとっても有利な条件出さなきゃ成立しないッスよ?
格下であろうと格上であろうと、これは鉄板鉄則ッス。脳内に刻み込んどくが良いッスよ」
包丁は引かれ、ネメシスも消える。
>「私は命令されるのは嫌ッスけど、お願いや頼みなら聞いてあげてもいいッスよ。
見返りと報酬、それ次第で悩める竜子チャンのお願いと頼みを聞いてあげる、ってのはどうッスか?
ま、竜子チャンが攻撃的じゃなかったら2、3個位は無料奉仕してあげたッスけど、さっきの悪意と攻撃でチャラッスねぇ
時間の有効活用もいいッスけど、短気は損気、覚えておいて損は無いッスよ、竜子チャン。
時間を有効に使っているつもりでも結果的に、ロスしてる事だってあるんスから」
「やってみたいのなら、やってみなさいよ。私にはその覚悟があるんだから」
須藤は命乞いなどしない。弱音を吐く自分を想像すら出来ない。敗北する自分も。
だからエリスのパワーで何とかこの状況を打開したいと思っていた。
それが無理なら何とか立場的に優位に立って負けない感じで終わらせたい。
そんな矢先…
>「……って、冗談ッスよ、冗談!恩人を殺っちゃう程、私は薄情じゃないッス。
でぇ、竜子チャンはホントせっかちさんッスね!勧誘、交渉ってのは相手にとっても有利な条件出さなきゃ成立しないッスよ?
格下であろうと格上であろうと、これは鉄板鉄則ッス。脳内に刻み込んどくが良いッスよ」
包丁は引かれ、ネメシスも消える。
なので須藤は内心安堵。が、それと同時に怒りも沸々と湧き上がってくる。
最初に「制御されていないペルソナはルーキーよりも雑魚」と馬鹿にしたのは白道なのに…。
だが、まさかの人間性を試されたのだとは思いもよらない須藤だった。
>「私は命令されるのは嫌ッスけど、お願いや頼みなら聞いてあげてもいいッスよ。
見返りと報酬、それ次第で悩める竜子チャンのお願いと頼みを聞いてあげる、ってのはどうッスか?
ま、竜子チャンが攻撃的じゃなかったら2、3個位は無料奉仕してあげたッスけど、さっきの悪意と攻撃でチャラッスねぇ
時間の有効活用もいいッスけど、短気は損気、覚えておいて損は無いッスよ、竜子チャン。
時間を有効に使っているつもりでも結果的に、ロスしてる事だってあるんスから」
「ってことは仮面党に入るのは嫌だけど私に従うのはOKってことね。わかったわ。じゃあ見返りは……。
えっと、イン・ラケチにはまったく興味がないわけでしょ。自分の世界にしか興味がないって、たしか言ってたわねぇ。
……あ、それじゃあ報酬はお金でいい?
今すぐには無理だけど祖父の竜蔵が死んじゃったら遺産はすべて私のものになると思うの。
それとこれからはお願いね。次に仮面党で計画しているのはイデアルエナジーの奪取。
数日後に春日山高校で行われる学園祭の催しでミューズっていうアイドルグループが歌を唄うから
その時に私たちの護衛をして欲しいのよ」
「やってみたいのなら、やってみなさいよ。私にはその覚悟があるんだから」
須藤は命乞いなどしない。弱音を吐く自分を想像すら出来ない。敗北する自分も。
だからエリスのパワーで何とかこの状況を打開したいと思っていた。
それが無理なら何とか立場的に優位に立って負けない感じで終わらせたい。
そんな矢先…
>「……って、冗談ッスよ、冗談!恩人を殺っちゃう程、私は薄情じゃないッス。
でぇ、竜子チャンはホントせっかちさんッスね!勧誘、交渉ってのは相手にとっても有利な条件出さなきゃ成立しないッスよ?
格下であろうと格上であろうと、これは鉄板鉄則ッス。脳内に刻み込んどくが良いッスよ」
包丁は引かれ、ネメシスも消える。
なので須藤は内心安堵。が、それと同時に怒りも沸々と湧き上がってくる。
最初に「制御されていないペルソナはルーキーよりも雑魚」と馬鹿にしたのは白道なのに…。
だが、まさかの人間性を試されたのだとは思いもよらない須藤だった。
>「私は命令されるのは嫌ッスけど、お願いや頼みなら聞いてあげてもいいッスよ。
見返りと報酬、それ次第で悩める竜子チャンのお願いと頼みを聞いてあげる、ってのはどうッスか?
ま、竜子チャンが攻撃的じゃなかったら2、3個位は無料奉仕してあげたッスけど、さっきの悪意と攻撃でチャラッスねぇ
時間の有効活用もいいッスけど、短気は損気、覚えておいて損は無いッスよ、竜子チャン。
時間を有効に使っているつもりでも結果的に、ロスしてる事だってあるんスから」
その言葉を聞いた須藤は、目を瞑って人差し指で頬をぽりぽり。
短気は損気とはいったいどういう意味なの?と聞き返したいような顔をしていたが
わかったふりをして腰に両手をあて、両目を細める。
「ってことは仮面党に入るのは嫌だけど命の恩人の私に従うのはOKってことね。わかったわ。じゃあ見返りは……。
えっと、イン・ラケチにはまったく興味がないわけでしょ。自分の世界にしか興味がないって、たしか言ってたわねぇ。
……あ、それじゃあ報酬はお金でいい?
今すぐには無理だけど祖父の竜蔵が死んじゃったら遺産はすべて私のものになると思うの。
それとこれからはお願いね。次に仮面党で計画しているのはイデアルエナジーの奪取。
数日後に春日山高校で行われる学園祭の催しでミューズっていうアイドルグループが歌を唄うから
その時に私たちの護衛をして欲しいのよ。それならいいでしょ?ね、白ちゃん」
白道の好意とは別に、須藤は白道のことを少し馬鹿にし始めていた。
それは白道が自分の世界を壊すものを殺すのと似ている感情。
出会った当初は白道に対して畏敬の念を持っていた須藤だったが、今では内心見下し始めている。
理解しあえばし合うほどに、互いの距離は離れてゆく。そんな矛盾の生まれる瞬間だった。
土俵の円として作り上げられた炎の神気は、
鳥居の遠隔操作で激しく燃え出し周囲に炎の壁を生み出している。
そんな中、鳥居に向けて繰り出されるのはダーの重い連撃。
>「テメェさっきからいちいち生意気なんだよ糞ガキが!
だが安心しな!俺は心が広えからよぉ!それでもちゃーんと守ってやるよ!
――なにせテメェは!これから自分の身も守れねえくらいに、めったくそになるんだからなぁ!!」
「わあ!」
わあわあと悲鳴をあげながらも鳥居は何とか攻撃を避けていた。
ダーのそれは一発一発が岩をも砕く破壊力。しかし円の動きならば動きは読みやすい。
おまけに鳥居には吸血鬼の身体能力がある。
それにその動きは、先ほどマリーの刺突を避けた目にも止まらない動きではなかった。
今までのダーの行動、組んだときの重さ。マリーの刃物に乗るその身体の身軽さから
彼は自分の重さを操っているのだと鳥居は理解していた。
それならば何故、この連撃の速さは僅かながらに遅いのか。
(……体を軽くしきれていない?じゃあその理由は?)
暗殺者のマリーとは違い、鳥居に対してはそんなに速さを必要としていないからだろうか。
それとも連撃技の特性からか。
今の攻撃は回避や突撃の動きとは違い、高度な重心移動を必要としているからこそ遅いのだろうか。
鳥居が相撲を仕掛けて組んだとき、相反する力を操作するには一瞬のためが必要と語ったのはダーだ。
重から軽へ、静から動へ。しかしダーの連撃には隙がない。とすればいったい何なのだろう。
どうすればよいのだろう。
ダーが軽くなっている状態で鳥居が攻撃することが出来れば力でねじ伏せることができる。
しかしその状態のダーは速過ぎて捕まえられない。
逆に重くなっている状態では
土俵の円として作り上げられた炎の神気は、
鳥居の遠隔操作で激しく燃え出し周囲に炎の壁を生み出している。
そんな中、鳥居に向けて繰り出されるのはダーの重い連撃。
>「テメェさっきからいちいち生意気なんだよ糞ガキが!
だが安心しな!俺は心が広えからよぉ!それでもちゃーんと守ってやるよ!
――なにせテメェは!これから自分の身も守れねえくらいに、めったくそになるんだからなぁ!!」
「わあ!」
わあわあと悲鳴をあげながらも鳥居は何とか攻撃を避けていた。
ダーのそれは一発一発が岩をも砕く破壊力。しかし円の動きならば動きは読みやすい。
おまけに鳥居には吸血鬼の身体能力がある。
それにその動きは、先ほどマリーの刺突を避けた目にも止まらない動きではなかった。
今までのダーの行動、組んだときの重さ。マリーの刃物に乗るその身体の身軽さから
彼は自分の重さを操っているのだと鳥居は理解していた。
それならば何故、この連撃の速さは僅かながらに遅いのか。
(……体を軽くしきれていない?じゃあその理由は?)
暗殺者のマリーとは違い、鳥居に対してはそんなに速さを必要としていないからだろうか。
それとも連撃技の特性からか。
今の攻撃は回避や突撃の動きとは違い、高度な重心移動を必要としているからこそ遅いのだろうか。
鳥居が相撲を仕掛けて組んだとき、相反する力を操作するには一瞬のためが必要と語ったのはダーだ。
重から軽へ、静から動へ。しかしダーの連撃には隙がない。とすればいったい何なのだろう。
どうすればよいのだろう。
例えばダーが軽くなっている状態で、鳥居が攻撃することが出来れば力でねじ伏せることができるのか。
それは否だ。その状態のダーは速過ぎて捕まえられない。それ以前に鳥居の攻撃を知覚した時点でダーは体を重く変えるはず。
その逆はというと、マリーの刺突をさけた彼の羽毛のような軽妙な動きがすでに物語っている。
それならばこのままダーが消耗するまでただ待ち続けるのか?
しかし子どもの鳥居が大人のダーの体力に勝るとは思えない。
土俵の円として作り上げられた炎の神気は、
鳥居の遠隔操作で激しく燃え出し周囲に炎の壁を生み出している。
そんな中、鳥居に向けて繰り出されるのはダーの重い連撃。
>「テメェさっきからいちいち生意気なんだよ糞ガキが!
だが安心しな!俺は心が広えからよぉ!それでもちゃーんと守ってやるよ!
――なにせテメェは!これから自分の身も守れねえくらいに、めったくそになるんだからなぁ!!」
「わあ!」
わあわあと悲鳴をあげながらも鳥居は何とか攻撃を避けていた。
ダーのそれは一発一発が岩をも砕く破壊力。しかし円の動きならばその軌道は読みやすい。
おまけに鳥居には吸血鬼の身体能力がある。
それにその動きは、先ほどマリーの刺突を避けた目にも止まらない動きではなかった。
今までのダーの行動、組んだときの重さ。マリーの刃物に乗るその身体の身軽さから
彼は自分の重さを操っているのだと鳥居は理解していた。
それならば何故、この連撃の速さは僅かながらに遅いのか。
(……体を軽くしきれていない?じゃあその理由は?)
暗殺者のマリーとは違い、鳥居に対してはそんなに速さを必要としていないからだろうか。
それとも連撃技の特性からか。
今の攻撃は回避や突撃の動きとは違い、高度な重心移動を必要としているからこそ遅いのだろうか。
鳥居が相撲を仕掛けて組んだとき、相反する力を操作するには一瞬のためが必要と語ったのはダーだ。
重から軽へ、静から動へ。しかしダーの連撃には隙がない。とすればいったい何なのだろう。
どうすればよいのだろう。
例えばダーが軽くなっている状態で、鳥居が攻撃することが出来れば力でねじ伏せることができるのか。
それは否だ。その状態のダーは速過ぎて捕まえられない。
それ以前に鳥居の攻撃を知覚した時点でダーは体を重く変えるはず。
その逆はというと、マリーの刺突をさけた彼の羽毛のような軽妙な動きがすでに物語っている。
それならばこのままダーが消耗するまでただ待ち続けるのか?
しかし子どもの鳥居が大人のダーの体力に勝るとは思えない。
土俵の円として作り上げられた炎の神気は、
鳥居の遠隔操作で激しく燃え出し周囲に炎の壁を生み出している。
そんな中、鳥居に向けて繰り出されるのはダーの重い連撃。
>「テメェさっきからいちいち生意気なんだよ糞ガキが!
だが安心しな!俺は心が広えからよぉ!それでもちゃーんと守ってやるよ!
――なにせテメェは!これから自分の身も守れねえくらいに、めったくそになるんだからなぁ!!」
「わあ!」
わあわあと悲鳴をあげながらも鳥居は何とか攻撃を避けていた。
ダーのそれは一発一発が岩をも砕く破壊力。しかし円の動きならばその軌道は読みやすい。
おまけに鳥居には吸血鬼の身体能力がある。
それにその動きは、先ほどマリーの刺突を避けた目にも止まらない動きではなかった。
今までのダーの行動、組んだときの重さ。マリーの刃物に乗るその身体の身軽さから
彼は自分の重さを操っているのだと鳥居は理解していた。
それならば何故、この連撃の速さは僅かながらに遅いのか。
(……遅い理由が理解できたら、もっと遅くする方法がわかるかも)
暗殺者のマリーとは違い、鳥居に対してはそんなに速さを必要としていないからだろうか。
それとも連撃技の特性からか。そのほかの理由か。
今の攻撃は回避や突撃の動きとは違い、高度な重心移動を必要としているからこそ遅いのだろうか。
重から軽へ、静から動へ。見事なダーの連撃には隙がない。とすればいったいどうすればよいのだろう。
(もしかして…、あの巨体で軽くなるってことには僕たちには分かりえない何かしらのデメリットがあるのかも。
もしかしたら空気抵抗がすごくなるとかです)
「ふっふっふ。僕に致命傷を与えるためにはもっと速さが必要ですよダー。
それともそれ以上の速さは出せませんか?マリーさんの攻撃を避けたときみたく
恐ろしく軽くなってみてはいかがですか?」
そう言って、両手から練りだした炎の神気を胸の前で捻り火炎の竜巻を生み出す鳥居。
それは周囲の炎の壁と相成って、上昇気流とともに激しい気流の乱れを地上に生み出した。
土俵の円として作り上げられた炎の神気は、
鳥居の遠隔操作で激しく燃え出し周囲に炎の壁を生み出している。
そんな中、鳥居に向けて繰り出されるのはダーの重い連撃。
>「テメェさっきからいちいち生意気なんだよ糞ガキが!
だが安心しな!俺は心が広えからよぉ!それでもちゃーんと守ってやるよ!
――なにせテメェは!これから自分の身も守れねえくらいに、めったくそになるんだからなぁ!!」
「わあ!」
わあわあと悲鳴をあげながらも鳥居は何とか攻撃を避けていた。
ダーのそれは一発一発が岩をも砕く破壊力。しかし円の動きならばその軌道は読みやすい。
おまけに鳥居には吸血鬼の身体能力がある。
それにその動きは、先ほどマリーの刺突を避けた目にも止まらない動きではなかった。
今までのダーの行動、組んだときの重さ。マリーの刃物に乗るその身体の身軽さから
彼は自分の重さを操っているのだと鳥居は理解していた。
それならば何故、この連撃の速さは僅かながらに遅いのか。
(……遅い理由が理解できたら、もっと遅くする方法がわかるかも)
暗殺者のマリーとは違い、鳥居に対してはそんなに速さを必要としていないからだろうか。
それとも連撃技の特性からか。そのほかの理由か。
今の攻撃は回避や突撃の動きとは違い、高度な重心移動を必要としているからこそ遅いのだろうか。
しかし重から軽へ、静から動へ。見事なダーの連撃には隙がない。とすればいったいどういうことか。
(もしかして…、あの巨体で軽くなるってことには僕たちには分かりえない何かしらのデメリットがあるのかも。
もしかしたら空気抵抗がすごくなるとかです。でわ、少し試してみましょうか)
「ふっふっふ。僕に致命傷を与えるためにはもっと速さが必要ですよダー。
それともそれ以上の速さは出せませんか?マリーさんの攻撃を避けたときみたく
恐ろしく軽くなってみてはいかがですか?」
そう言って、両手から練りだした炎の神気を胸の前で捻り火炎の竜巻を生み出す鳥居。
それは周囲の炎の壁と相成って、上昇気流とともに激しい気流の乱れを地上に生み出した。
――映像に出ていた光る吊り天井の部屋。
リリィのなかでアムリーテはぷるぷると震えていた。
きっと自分の体を操っていたのは姉たちのゴースト。
大昔に敗北した腹いせに、アムリーテが好きな子どもたちを
痛めつけようとしたのかもしれないし、もとから狂っていたのかもしれない。
なぜなら彼女たちは人を殺すために造られた兵器。
殺人に存在意義を感じて大いに殺戮を楽しんでいたのかもしれないのだ。
土俵の円として作り上げられた炎の神気は、
鳥居の遠隔操作で激しく燃え出し周囲に炎の壁を生み出している。
そんな中、鳥居に向けて繰り出されるのはダーの重い連撃。
>「テメェさっきからいちいち生意気なんだよ糞ガキが!
だが安心しな!俺は心が広えからよぉ!それでもちゃーんと守ってやるよ!
――なにせテメェは!これから自分の身も守れねえくらいに、めったくそになるんだからなぁ!!」
「わあ!」
わあわあと悲鳴をあげながらも鳥居は何とか攻撃を避けていた。
ダーのそれは一発一発が岩をも砕く破壊力。しかし円の動きならばその軌道は読みやすい。
おまけに鳥居には吸血鬼の身体能力がある。
それにその動きは、先ほどマリーの刺突を避けた目にも止まらない動きではなかった。
今までのダーの行動、組んだときの重さ。マリーの刃物に乗るその身体の身軽さから
彼は自分の重さを操っているのだと鳥居は理解していた。
それならば何故、この連撃の速さは僅かながらに遅いのか。
(……遅い理由が理解できたら、もっと遅くする方法がわかるかも)
暗殺者のマリーとは違い、鳥居に対してはそんなに速さを必要としていないからだろうか。
それとも連撃技の特性からか。そのほかの理由か。
今の攻撃は回避や突撃の動きとは違い、高度な重心移動を必要としているからこそ遅いのだろうか。
そもそも遅いということはどういうことなのか。
(もしかして…、あの巨体で軽くなるってことには僕たちには分かりえない何かしらのデメリットがあるのかも。
もしかしたら空気抵抗がすごくなるとかです。でわ、少し試してみましょう)
「ふっふっふ。僕に致命傷を与えるためにはもっと速さが必要ですよダー。
それともそれ以上の速さは出せませんか?マリーさんの攻撃を避けたときみたく
恐ろしく軽くなってみてはいかがですか?」
そう言って、両手から練りだした炎の神気を胸の前で捻り、火炎の竜巻を生み出す鳥居。
それは周囲の炎の壁と相成って、上昇気流とともに激しい気流の乱れを地上に生み出した。
――映像に映っていた光る吊り天井の部屋で
リリィのなかのアムリーテはぷるぷると震えていた。
きっと自分の体を操っていたのは姉たちのゴースト。
大昔に敗北した腹いせに、アムリーテが好きな子どもたちを
痛めつけようとしたのかもしれないし、もとから狂っていたのかもしれない。
なぜなら彼女たちは人を殺すために造られた兵器。
殺人に存在意義を感じて大いに殺戮を楽しんでいたのかもしれないのだ。
扉の隙間から聞こえるのは雷撃の音。
その後、静かになったかと思うと犬の遠吠えが微かに響いてくる。
たぶん、アムリーテの体は機能を停止させられた。
それはとても悲しいことだったが当然のことなのだ。
「私が良かれと思ってやってきたことは何にも上手くいかなかったみたいです」
その時、リリィ(アムリーテ)の両目から涙が零れ落ちる。
多分エンカとフリードリッヒは死んでしまっている。
他の子どもたちにも多大な迷惑をかけてしまっている。
それに姉たちの怒り。
大好きなセンセイのためにやってきた結果がこれなのだと思うと
自分自身を虚しく感じる。
「……うぅ〜〜〜」
リリィの体を使い、アムリーテは涙を流していた。
すると聞こえてくるのはパピスヘテプたちの足音。
姉たちのゴーストはきっと彼女に処理されたのだろう。
今までの彼女の言動でそれは察することができた。
涙を拭って、アムリーテは立ち上がる。
子どもたちに合せる顔はないが、大好きなセンセイを人目みるまではこのままでいたい。
きっとリリィたちはエンカとフリードリッヒを酷い目に合せたアムリーテを許さないだろう。
「ごめんなさいリリィ…。体は絶対に返します」
胸に手を当ててリリィの心臓に願うアムリーテ。でもこの部屋は行き止まり。
なのでアムリーテは強く願った。助けてくださいセンセイと…。
その刹那、記憶の底から蘇るのはセンセイが差し伸べる手。
アムリーテの髪についたゴミを取ってくれた優しい手。
その手は幻影機に収められていた手と同じものだった。
そう、石像の口のなかに手を入れた者とおなじもの。
「……もしかして」
石像の口の中のスイッチを押して、光始めた天井の魔法円を見つめる。
そしてアムリーテは部屋の中に落ちていた石の欠片を天井に投げてみる。
すると石の欠片は落ちてこなかった。
「やっぱりです!」
光り輝く吊り天井に押しつぶされるかのようにリリィは消えた。
――映像に映っていた光る吊り天井の部屋で
リリィのなかのアムリーテはぷるぷると震えていた。
きっと自分の体を操っていたのは姉たちのゴースト。
大昔に敗北した腹いせに、アムリーテが好きな子どもたちを
痛めつけようとしたのかもしれないし、もとから狂っていたのかもしれない。
なぜなら彼女たちは人を殺すために造られた兵器。
殺人に存在意義を感じて大いに殺戮を楽しんでいたのかもしれないのだ。
扉の隙間から聞こえるのは雷撃の音。
その後、静かになったかと思うと犬の遠吠えが微かに響いてくる。
たぶん、アムリーテの体は機能を停止させられた。
それはとても悲しいことだったが当然のことなのだ。
「私の願いが、こんな悲劇に繋がってしまっていたなんて…」
その時、リリィ(アムリーテ)の両目から涙が零れ落ちる。
多分エンカとフリードリッヒは死んでしまっている。
他の子どもたちにも多大な迷惑をかけてしまっている。
それに姉たちの怒り。
大好きなセンセイのためにやってきた結果がこれなのだと思うと
自分自身を虚しく感じる。
「……うぅ〜〜〜」
リリィの体を使い、アムリーテは涙を流していた。
すると聞こえてくるのはパピスヘテプたちの足音。
姉たちのゴーストはきっと彼女に処理されたのだろう。
今までの彼女の言動でそれは察することができた。
涙を拭って、アムリーテは立ち上がる。
子どもたちに合せる顔はないが、大好きなセンセイを人目みるまではこのままでいたい。
きっとリリィたちはエンカとフリードリッヒを酷い目に合せたアムリーテを許さないだろう。
「ごめんなさいリリィ…。体は絶対に返します」
胸に手を当ててリリィの心臓に願うアムリーテ。でもこの部屋は行き止まり。
なのでアムリーテは強く願った。助けてくださいセンセイと…。
その刹那、記憶の底から蘇るのはセンセイが差し伸べる手。
アムリーテの髪についたゴミを取ってくれた優しい手。
その手は幻影機に収められていた手と同じものだった。
そう、石像の口のなかに手を入れた者とおなじもの。
「……もしかして」
石像の口の中のスイッチを押して、光始めた天井の魔法円を見つめる。
そしてアムリーテは部屋の中に落ちていた石の欠片を天井に投げてみる。
すると石の欠片は落ちてこなかった。
「やっぱりです!」
その後、光り輝く吊り天井に押しつぶされるかのようにリリィ(アムリーテ)はその場から消えた。
リリィ(アムリーテ)がたどり着いた場所は不思議な場所だった。
洞窟のような迷路のような、巨大な蟻の巣のような感じもする。
キノコや光苔、輝く水晶のようなものが木のように生えていたりもした。
まるで人工物と自然物のカオス。
不思議な気持ちになりながらリリィ(アムリーテ)は
ぺたぺたと坑道のような道を下へ下へと降りてゆく。
それはまるで冥府行。世界各地に伝わる神話のような感じだった。
エウリディケとオルフェウス。イザナミとイザナギ。行き先は亡者の国。
それならばこの先にアンチラストはいるのだろうか?
でもその前に早くセンセイを見つけてリリィの体を返したい。
「はあ…疲れちゃったです」
巨大キノコに腰をかけて休憩をする。
ひとりぽっちは何となく寂しいが特別になれた感じもして何か清清しい。
そんな時、聞こえてきたのは動物の咆哮のような不気味な音。
【謎の地下迷路へ逃げるリリィ(inアムリーテ)】
ソーテー、そうそうたるメンバーがそろってるかも!
エスパーしてみました
ぺトラ:従士=避難所で他の人も何かを考えているからキツキツはダメと公平な意見。
リゼリア:三浦=避難所でベッポをベタ誉め
ベッポ:佐藤=
ジェームズ:牧街
だから肥溜めで大騒ぎしてた
>「いやぁ〜、竜子チャンはせっかちでいけないッスねぇ。勧誘にしろ商談にしろ落ち着いた場所でするべきッス。
これ物事を円滑に進める為の鉄則鉄板ッスよ」
「ふーん。私は私なりに合理的に話を進めたいって思ってるだけなんだけどなぁ。だって、時間は待ってはくれないでしょ」
山吹色の炎に照らされながら、須藤は微苦笑。
白道はこの廃ビルの一室を落ち着いた場所と言う。ということはここは白道にとって自宅ともいえるような場所なのだろう。
目の前のスナック菓子の袋を見つめながら、須藤はこの交渉が上手くいくものとばかりと考えていた。
感じたデジャヴに投げ渡される召喚器。きっとこれは運命の出会い。そう信じていた。
>「あー、まず自己紹介からッスかねぇ?ていうかなんで私の名前を竜子チャンは知ってるんスか?
私そんな有名人だったスかね?痕跡残さないようにしてたんスけどねぇ……」
「え?それはデジャヴ。きっとどこか違う世界で貴女と私は出会っていたの」
短く答えて、赤黒い召喚器をまじまじと眺める須藤。
しかし、次の白道の発言にその表情は一変。
白道の「制御出来ないペルソナは雑魚」その言葉はありのままの須藤に対する侮辱だ。
さらに白道は自身のペルソナの解説を始め、力を貸して欲しいという須藤の申し出も断ってしまう。
おまけに無関心。
どこからか聞こえてくる謎の咆哮のような音に、リリィの体が自然と震える。
すると服の中から飛び出してきたのは一匹の人間蠍。
それはどこかに向かってぞろぞろと歩き出す。
(きっと、主であるアンチラストの元へと向かっているです)
アムリーテはそう思考して蠍について行った。
幻影機には鼠の左腕の再生治療が収められていた。
アムリーテはそれがセンセイと何気に関係があるような気がしていた。
だからこの洋館の謎を解けば、アンチラストの元へと向かえば、
センセイに出会えるかも知れない、と思い始めていた。
>地面にはときどき『オカアサン ダイスキ』という落書きが書かれていた。
「オカアサン?」ふと幻影機に映っていた白衣の女が脳裏に浮かぶ。
>『以上で私の発表を終わります。
この研究が、私の娘のためだけでなく、広く世界で難病に苦しむ子供達の助けとならんことを…(ガーーーー)』
「オカアサン、ダイスキ」とは、たぶんその娘が書いた落書き。
しばらく進むと謎の人影。三つの骸骨。
>「ブッダム・サラナム・ガッチャーミ
ダンマム・サラナム・ガッチャーミ
サンガム・サラナム・ガッチャーミ」
「あなた、誰ですか?ここで何をしているですか?」
人間蠍を追いかけているうちにここに来てしまった。
ということは謎の人物の正体はアンチラストの可能性が高い。
しかし、その小さな容姿に油断してか、アムリーテは思わず問うてしまう。
「あの落書きはあなたの書いたものですか?オカアサン、ダイスキと」
誰かを好きと思う気持ちはアムリーテも同じ。
そんなアンチラストに同情をするアムリーテだった。
どこからか聞こえてくる謎の咆哮のような音に、リリィの体が自然と震える。
すると服の中から飛び出してきたのは一匹の人間蠍。
それはどこかに向かってぞろぞろと歩き出す。
(きっと、主であるアンチラストの元へと向かっているです)
アムリーテはそう思考して蠍について行った。
幻影機には鼠の左腕の再生治療が収められていた。
アムリーテはそれがセンセイと何気に関係があるような気がしていた。
だからこの洋館の謎を解けば、アンチラストの元へと向かえば、
センセイに出会えるかも知れない、と思い始めていた。
>地面にはときどき『オカアサン ダイスキ』という落書きが書かれていた。
「オカアサン?」ふと幻影機に映っていた白衣の女が脳裏に浮かぶ。
>『以上で私の発表を終わります。
この研究が、私の娘のためだけでなく、広く世界で難病に苦しむ子供達の助けとならんことを…(ガーーーー)』
「オカアサン、ダイスキ」とは、たぶんその娘が書いた落書き。
しばらく進むと謎の人影。三つの骸骨。
>「ブッダム・サラナム・ガッチャーミ
ダンマム・サラナム・ガッチャーミ
サンガム・サラナム・ガッチャーミ」
「あなた、誰ですか?ここで何をしているですか?」
人間蠍を追いかけているうちにここに来てしまった。
ということは謎の人物の正体はアンチラストの可能性が高い。
しかし、その小さな容姿に油断してか、アムリーテは思わず問うてしまう。
「オカアサン、ダイスキ…と、道に書いたのはアナタですか?」
誰かを好きと思う気持ちはアムリーテも同じ。
そんなアンチラストに同情をするアムリーテ。
「あの落書きを読んだオカアサンは、きっと嬉しいとおもうです。
心は心をスキになります。それはとても不思議なことです」
そう言ってリリィ(inアムリーテ)はアンチラスト・ホワイトを見つめた。
どこからか聞こえてくる謎の咆哮のような音に、リリィの体が自然と震える。
すると服の中から飛び出してきたのは一匹の人間蠍。
それはどこかに向かってぞろぞろと歩き出す。
(きっと、主であるアンチラストの元へと向かっているです)
アムリーテはそう思考して蠍について行った。
幻影機には鼠の左腕の再生治療が収められていた。
アムリーテはそれがセンセイと何気に関係があるような気がしていた。
だからこの洋館の謎を解けば、アンチラストの元へと向かえば、
センセイに出会えるかも知れない、と思い始めていた。
>地面にはときどき『オカアサン ダイスキ』という落書きが書かれていた。
「オカアサン?」ふと幻影機に映っていた白衣の女が脳裏に浮かぶ。
>『以上で私の発表を終わります。
この研究が、私の娘のためだけでなく、広く世界で難病に苦しむ子供達の助けとならんことを…(ガーーーー)』
「オカアサン、ダイスキ」とは、たぶんその女の娘が書いた落書き。
しばらく進むと謎の人影。三つの骸骨。
>「ブッダム・サラナム・ガッチャーミ
ダンマム・サラナム・ガッチャーミ
サンガム・サラナム・ガッチャーミ」
「あなた、誰ですか?ここで何をしているですか?」
人間蠍を追いかけているうちにここに来てしまった。
ということは謎の人物の正体はアンチラストの可能性が高い。
しかし、その小さな容姿に油断してか、アムリーテは思わず問うてしまう。
「オカアサン、ダイスキ…と、道に書いたのはアナタですか?」
誰かを好きと思う気持ちはアムリーテも同じ。
そんなアンチラストに同情をするアムリーテ。
「あの落書きを読んだオカアサンは、きっと嬉しいとおもうです。
心は心をスキになります。それはとても不思議なことです」
そう言ってリリィ(inアムリーテ)はアンチラスト・ホワイトを見つめた。
吸血鬼の身体能力をもつ鳥居は小さくてすばしっこい。
あの動物の「猿」にもひけをとらないほどに。いやそれ以上の動きを持っている。
なので鳥居に致命傷を与えられないダーは痺れを切らして跳躍。
瞬時に己の体を軽くしたのだ。だがその体に熱の上昇気流が追いつくことはなかった。
そう、なぜなら彼は自ら跳躍し上昇気流を利用。
足の裏に練り上げた気を展開させてフーの結界と反発。
ド迫力の身のこなしをもって、鳥居に反撃を仕掛けんとせん。
が、思いとどまるかのように遠くに着地。
>「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」
「……」
目を皿のように見開き無言の鳥居。
今の流れでは、確実に鳥居は踏み潰されていた。
結界と反発をすることにより方向転換、さらに加速度を増す攻撃など想像外。
戦闘経験の豊富さを鳥居は瞬間的に思い知らされてしまう。
吸血鬼の身体能力をもつ鳥居は小さくてすばしっこい。
あの動物の「猿」にもひけをとらないほどに。いやそれ以上の動きを持っている。
なので鳥居に致命傷を与えられないダーは痺れを切らして跳躍。
瞬時に己の体を軽くしたのだ。だがその体に熱の上昇気流が追いつくことはなかった。
そう、なぜなら彼は自ら跳躍し上昇気流を利用。
足の裏に練り上げた気を展開させてフーの結界と反発。
ド迫力の身のこなしをもって、鳥居に反撃を仕掛けんとせん。
が、思いとどまるかのように遠くに着地。
>「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」
「……」
目を皿のように見開き無言の鳥居。そう、ダーは手加減している。
でなければ今の流れで鳥居は確実に踏み潰されていた。
そしてさらに瞠目すべきはその戦闘センス。結界と反発をすることにより方向転換し、
さらに加速度を増す攻撃などまったくの想像外。
吸血鬼の身体能力をもつ鳥居は小さくてすばしっこい。
あの動物の「猿」にもひけをとらないほどに。いやそれ以上の動きを持っている。
なので鳥居に致命傷を与えられないダーは痺れを切らして跳躍。
瞬時に己の体を軽くしたのだ。だがその体に熱の上昇気流が追いつくことはなかった。
そう、なぜなら彼は自ら跳躍し上昇気流を利用。
足の裏に練り上げた気を展開させてフーの結界と反発。
ド迫力の身のこなしをもって、鳥居に反撃を仕掛けんとせん。
が、思いとどまるかのように遠くに着地。
>「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」
「……」
目を皿のように見開き無言の鳥居。そう、ダーは手加減している。
でなければ今の流れで鳥居は確実に踏み潰されていた。
そしてさらに瞠目すべきはその戦闘センス。結界と反発をすることにより方向転換し、
さらに加速度を増す攻撃など鳥居にはまったくの想像外の動き。
吸血鬼の身体能力をもつ鳥居は小さくてすばしっこい。
あの動物の「猿」にもひけをとらないほどに。いやそれ以上の動きを持っている。
なので鳥居に致命傷を与えられないダーは痺れを切らして跳躍。
瞬時に己の体を軽くしたのだ。そう、彼は自ら跳躍し上昇気流を利用。
足の裏に練り上げた気を展開させてフーの結界と反発。
ド迫力の身のこなしをもって、鳥居に反撃を仕掛けんとする。
が、思いとどまるかのように遠くに着地。
>「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」
「……」
目を皿のように見開き無言の鳥居。
激情はしていたが、ダーは己の主義のために踏みとどまり手加減した。
でなければ今の流れで鳥居は確実に踏み潰されていた。
そしてさらに瞠目すべきはその戦闘センス。結界と反発をすることにより方向転換し、
さらに加速度を増す攻撃など鳥居にはまったくの想像外の動き。
吸血鬼の身体能力をもつ鳥居は小さくてすばしっこい。
あの動物の「猿」にもひけをとらないほどに。いやそれ以上の動きを持っている。
なので鳥居に致命傷を与えられないダーは痺れを切らして跳躍。
瞬時に己の体を軽くしたのだ。そう、彼は自ら跳躍し上昇気流を利用。
足の裏に練り上げた気を展開させてフーの結界と反発。
ド迫力の身のこなしをもって、鳥居に反撃を仕掛けんとする。
が、思いとどまるかのように遠くに着地。
>「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」
「……」
鳥居は目を皿のように見開き無言。
ダーは激情はしていたが、己の主義のために踏みとどまり手加減した。
でなければ今の流れで鳥居は確実に踏み潰されていた。
そしてさらに瞠目すべきはその戦闘センス。結界と反発をすることにより方向転換し、
さらに加速度を増す攻撃など鳥居にはまったくの想像外の動き。
吸血鬼の身体能力をもつ鳥居は小さくてすばしっこい。
あの動物の「猿」にもひけをとらないほどに。いやそれ以上の動きを持っている。
なので鳥居に致命傷を与えられないダーは痺れを切らして跳躍。
瞬時に己の体を軽くしたのだ。そう、彼は自ら跳躍し上昇気流を利用。
足の裏に練り上げた気を展開させてフーの結界と反発。
ド迫力の身のこなしをもって、鳥居に反撃を仕掛けんとする。
が、思いとどまるかのように遠くに着地。
>「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」
「……」
鳥居は目を皿のように見開き無言。
ダーは激情はしていたが、己の主義のために踏みとどまり手加減したのだ。
でなければ今の流れで鳥居は確実に踏み潰されていた。
そしてさらに瞠目すべきはその戦闘センス。結界と反発をすることにより方向転換し、
さらに加速度を増す攻撃など鳥居にはまったくの想像外の動き。
>「……ったく、本当に……『面倒くせえ』なぁ、畜生。あっちいし」
>「言っとくけどよぉ。俺の術の欠点を見つけて……それでいい気になってんじゃあねえぞ。
そりゃあ速く動けりゃ色々やり易いぜ。
俺のナリを見て油断したタコをさっさと仕留めたりよぉー」
>「だがな、所詮はただの小細工……手品の類に過ぎやしねー。
テメェらは今から後悔する事になるぜ。この俺から小細工を奪っちまってよぉ。
これじゃあもう――『マジメ』にやるしかなくなっちまったじゃねえか」
ダーは面倒と悪態をつきながら真面目にやるしかないと宣言。
その後、身構えると雰囲気が豹変。流れるような身のこなしで砂弾を放つ。
(目潰し!?)否、小細工はしないと彼は言った。
鳥居は理解できないまま、しかし砂弾の得体の知れないを攻撃を怪訝に感じ、
炎の神気を右手に纏うと、回避しながら砂弾を払う。これはダメもとの本能的な動き。
だが、それが功をそうした様だった。
重さを孕んでいたダーの汗は一瞬で蒸発し、砂弾はただの砂と化す。
「いたたたぁ!」
ただ蒸発しきれなかった砂弾が鳥居の爪先に落ちて悶絶させる程度。
ダーの思わせぶりな態度が鳥居の恐怖心を煽り警戒心を強めた。
だがそれが逆に幸運だったのだ。ぼけっとしたまま砂を払うだけだったら
今頃鳥居は血の海のなかにいたことだろう。
吸血鬼の身体能力をもつ鳥居は小さくてすばしっこい。
あの動物の「猿」にもひけをとらないほどに。いやそれ以上の動きを持っている。
なので鳥居に致命傷を与えられないダーは痺れを切らして跳躍。
瞬時に己の体を軽くしたのだ。そう、彼は自ら跳躍し上昇気流を利用。
足の裏に練り上げた気を展開させてフーの結界と反発。
ド迫力の身のこなしをもって、鳥居に反撃を仕掛けんとする。
が、思いとどまるかのように遠くに着地。
>「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」
「……」
鳥居は目を皿のように見開き無言。
ダーは激情はしていたが、己の主義のために踏みとどまり手加減したのだ。
でなければ今の流れで鳥居は確実に踏み潰されていた。
そしてさらに瞠目すべきはその戦闘センス。結界と反発をすることにより方向転換し、
さらに加速度を増す攻撃など鳥居にはまったくの想像外の動き。
>「……ったく、本当に……『面倒くせえ』なぁ、畜生。あっちいし」
>「言っとくけどよぉ。俺の術の欠点を見つけて……それでいい気になってんじゃあねえぞ。
そりゃあ速く動けりゃ色々やり易いぜ。
俺のナリを見て油断したタコをさっさと仕留めたりよぉー」
>「だがな、所詮はただの小細工……手品の類に過ぎやしねー。
テメェらは今から後悔する事になるぜ。この俺から小細工を奪っちまってよぉ。
これじゃあもう――『マジメ』にやるしかなくなっちまったじゃねえか」
ダーは面倒と悪態をつきながら真面目にやるしかないと宣言。
その後、身構えると雰囲気が豹変。流れるような身のこなしで砂弾を放つ。
(目潰し!?)否、小細工はしないと彼は言った。
鳥居は理解できないまま、しかし砂弾の得体の知れないを攻撃を怪訝に思い、
炎の神気を右手に纏うと回避しながら砂弾を払う。これはダメもとの本能的な動き。
だが、それが功をそうした。 重さを孕んでいたダーの汗は一瞬で蒸発し、砂弾はただの砂と化す。
「いたたたぁ!」
ただ蒸発しきれなかった砂弾は鳥居の爪先に落ちて彼を悶絶させる。
ダーの思わせぶりな態度が鳥居の恐怖心を煽り警戒心を強めた。
だがそれが逆に幸運だったのだ。ぼけっとしたまま砂を手で受け止めただけなら
今頃鳥居は血の海のなかにいたことだろう。
吸血鬼の身体能力をもつ鳥居は小さくてすばしっこい。
あの動物の「猿」にもひけをとらないほどに。いやそれ以上の動きを持っている。
なので鳥居に致命傷を与えられないダーは痺れを切らして跳躍。
瞬時に己の体を軽くしたのだ。そう、彼は自ら跳躍し上昇気流を利用。
足の裏に練り上げた気を展開させてフーの結界と反発。
ド迫力の身のこなしをもって、鳥居に反撃を仕掛けんとする。
が、思いとどまるかのように遠くに着地。
>「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」
「……」
鳥居は目を皿のように見開き無言。
ダーは激情はしていたが、己の主義のために踏みとどまり手加減したのだ。
でなければ今の流れで鳥居は確実に踏み潰されていた。
そしてさらに瞠目すべきはその戦闘センス。結界と反発をすることにより方向転換し、
さらに加速度を増す攻撃など鳥居にはまったくの想像外の動き。
>「……ったく、本当に……『面倒くせえ』なぁ、畜生。あっちいし」
>「言っとくけどよぉ。俺の術の欠点を見つけて……それでいい気になってんじゃあねえぞ。
そりゃあ速く動けりゃ色々やり易いぜ。
俺のナリを見て油断したタコをさっさと仕留めたりよぉー」
>「だがな、所詮はただの小細工……手品の類に過ぎやしねー。
テメェらは今から後悔する事になるぜ。この俺から小細工を奪っちまってよぉ。
これじゃあもう――『マジメ』にやるしかなくなっちまったじゃねえか」
ダーは面倒と悪態をつきながら真面目にやるしかないと宣言。
その後、身構えると雰囲気が豹変。流れるような身のこなしで砂弾を放つ。
(目潰し!?)否、小細工はしないと彼は言った。
鳥居は理解できないまま、しかし砂弾の得体の知れないを攻撃を怪訝に思い、
炎の神気を右手に纏うと回避しながら砂弾を払う。これはダメもとの本能的な動き。
だが、それが功をそうした。 重さを孕んでいたダーの汗は一瞬で蒸発し、砂弾はただの砂と化す。
「いたたたぁ!」
ただ蒸発しきれなかった砂弾が鳥居の爪先に落ちて彼を悶絶させる。
ダーの思わせぶりな態度が鳥居の恐怖心を煽り警戒心を強めた。
だがそれが逆に幸運だったのだ。ぼけっとしたまま砂を手で受け止めていたなら
今頃鳥居は血の海のなかにいたことだろう。
吸血鬼の身体能力をもつ鳥居は小さくてすばしっこい。
あの動物の「猿」にもひけをとらないほどに。いやそれ以上の動きを持っている。
なので鳥居に致命傷を与えられないダーは痺れを切らして跳躍。
瞬時に己の体を軽くしたのだ。そう、彼は自ら跳躍し上昇気流を利用。
足の裏に練り上げた気を展開させてフーの結界と反発。
ド迫力の身のこなしをもって、鳥居に反撃を仕掛けんとする。
が、思いとどまるかのように遠くに着地。
>「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」
「……」
鳥居は目を皿のように見開き無言。
ダーは激情はしていたが、己の主義のために踏みとどまり手加減したのだ。
でなければ今の流れで鳥居は確実に踏み潰されていた。
そしてさらに瞠目すべきはその戦闘センス。結界と反発をすることにより方向転換し、
さらに加速度を増す攻撃など鳥居にはまったくの想像外の動き。
>「……ったく、本当に……『面倒くせえ』なぁ、畜生。あっちいし」
>「言っとくけどよぉ。俺の術の欠点を見つけて……それでいい気になってんじゃあねえぞ。
そりゃあ速く動けりゃ色々やり易いぜ。
俺のナリを見て油断したタコをさっさと仕留めたりよぉー」
>「だがな、所詮はただの小細工……手品の類に過ぎやしねー。
テメェらは今から後悔する事になるぜ。この俺から小細工を奪っちまってよぉ。
これじゃあもう――『マジメ』にやるしかなくなっちまったじゃねえか」
ダーは面倒と悪態をつきながら真面目にやるしかないと宣言。
その後、身構えると雰囲気が豹変。流れるような身のこなしで砂弾を放つ。
(目潰し!?)否、小細工はしないと彼は言った。
鳥居は理解できないまま、しかし砂弾の得体の知れないを攻撃を怪訝に思い、
炎の神気を右手に纏うと回避しながら砂弾を払う。これはダメもとの本能的な動き。
だが、それが功をそうした。 重さを孕んでいたダーの汗は一瞬で蒸発し、砂弾はただの砂と化す。
「いたたたぁ!」
ただ蒸発しきれなかった砂弾が鳥居の爪先に落ちて彼を悶絶させる。
ダーの思わせぶりな態度が鳥居の恐怖心を煽り警戒心を強めた。
だがそれが逆に幸運だったのだ。ぼけっとしたまま砂を手で受け止めていたなら
今頃鳥居は血の海のなかにいたことだろう。
(砂を重くした?いえ、僕の燃やした砂はそのままサラサラになって飛んでゆきました。
ということはこの汗で湿った砂が重いということです。この砂の重さの正体は彼の汗です。
あくまでも重く出来るのは自分の体。もしくは体の一部だったものなのです)
砂弾による負傷は右足の爪先だけ。すぐに再生する。
でもその間もダーはマリーへと迫り、恐るべし技「八閃翔」を繰り出していた。
あの大男の筋力でマリーよりも軽いのであれば、単純に考えてダーはマリーよりも速い。
かと言って重くなるのは技の衝突する刹那のみ。
仮にマリーが何らかの手段で対抗したとしてもダーはこの地上において
無重力下のような回避行動が可能。
炎の上昇気流はダーの攻撃時の精度を落とすものの回避行動にはまったくの効果が無い。
逆に炎の上昇気流がダーを上へ上へと加速させる。
だからといって炎を消してしまえば高速移動の攻撃が待っていることだろう。
「ん〜〜〜〜〜」
鳥居の想像ではマリーに勝ち目はなかった。
ダーの速さや破壊力に対抗する必殺技のようなものなどあるのだろうか。
だから自分が何とかしなければ。
「あー!相手を叩く瞬間に攻撃を重くするのであれば、重力に逆らう上への攻撃ってどうなるのでしょうか?」
何かを閃いた鳥居は吸血鬼の身体能力で跳躍する。それは屋根に一っ飛びできるほど。
そして最高到達点に達すると炎の翼を噴出させて更に上昇。
火誉山での巨大粘菌との戦いで見せた炎を纏った上空からの突撃。
それを慣行するつもりだった。
あの時と違い、吸血鬼の体であれば威力は倍増、というか捨て身で行ける。
ぎりぎりまで落下速度を落とさずに炎の翼で自身の軌道の修正も可だ。
「もしかしたら貴方に屈辱を味合せてあげることができるかもしれません。
敗北を味わってこそ、人は成長できるのかもしれませんから!」
【上から鳥居が落下攻撃(両手に拳固を作ってダー君に突撃。
その威力は大男でも軽く骨折するほど)衝突時には鳥居も骨折するが暫くしたら回復する】
――学園祭日和の秋晴れだった。
春日山高校の校門前には晴々しく学園祭の看板が立てかけられ、
色とりどりの紙テープで飾られている。
いつもは無味乾燥な学校も、今日ばかりは音楽が鳴り響いて、
楽しげな雰囲気に満ちていた。
「美術部でーす。見て行ってくださーい」
「バレー部、間もなく試合を始めます」
「模擬店やってまーす」
張り切ったカス校生が大声で呼び込みをしたり、チラシを配ったりしている。
他校の生徒も遊びに来ているし、父兄も多数来校している。
そんな中、校門をくぐった君たちは「おねがいしまーす」の声とともにチラシを受け取ることだろう。
それは『ミューズのマスカレードコンサート』の案内だった。
主催は生徒会。場所は体育館。
参加者は必ず生徒会で配っている仮面を受け取って着用すること、と規定されている。
――学園祭日和の秋晴れだった。
春日山高校の校門前には晴々しく学園祭の看板が立てかけられ、
色とりどりの紙テープで飾られている。
いつもは無味乾燥な学校も、今日ばかりは音楽が鳴り響いて、
楽しげな雰囲気に満ちていた。
「美術部でーす。見て行ってくださーい」
「バレー部、間もなく試合を始めます」
「模擬店やってまーす」
張り切ったカス校生が大声で呼び込みをしたり、チラシを配ったりしている。
他校の生徒も遊びに来ているし、父兄も多数来校している。
そんな中、校門をくぐった君は「おねがいしまーす」の声とともにチラシを受け取ることだろう。
それは『ミューズのマスカレードコンサート』の案内だった。
主催は生徒会。場所は体育館。
参加者は必ず生徒会で配っている仮面を受け取って着用すること、と規定されている。
「すぐ近くに来ているわ。私には感じるの。すぐ近くにデジャヴの少年少女たちが来ていることがね…」
校舎の壁にもたれかかるようにして、君たちの様子を伺っている仮面の少女がいる。須藤竜子だ。
黒いマントを羽織り、腰には小太刀。街中では人目をひかずにはおかないだろうが、今日は特別。
生徒会が配っているマスカレード用の仮面を被った人々が行き交っているのでその姿は目立たなかった。
「イン・ラケチを邪魔する者たちは歪みとともにすでに消え去ったと思っていたけど、
でもやっぱり、どこの世界でも似たような者が現れるものね。謎を探り嗅ぎつけ怠惰な日常を求め続ける者たち。
彼らの顔はまだ思い出せないけれど会えば絶対わかるはず。
「すぐ近くに来ているわ。私には感じるの。すぐ近くにデジャヴの少年少女たちが来ていることを感じるの…」
校舎の壁にもたれかかるようにして、君たちの様子を伺っている仮面の少女がいる。須藤竜子だ。
黒いマントを羽織り、腰には小太刀。街中では人目をひかずにはおかないだろうが、今日は特別。
生徒会が配っているマスカレード用の仮面を被った人々が行き交っているのでその姿は目立たなかった。
「イン・ラケチを邪魔する者たちは歪みとともにすでに消え去ったと思っていたけど、
でもやっぱり現れるのね。謎を探り嗅ぎつけ、怠惰な日常を求め守ろうとする者たち。
彼らの顔はまだはっきりとは思い出せないけれど会えば必ずわかるはずよ。
だからもしも彼らを見つけ出せたらこの学校の地下にある防空壕におびき寄せてそこで始末するの」
そう白道に語りかけ、須藤は地面を透視するかのように、じっと見つめる。
* * * * * * * *
体育館。暗幕ですべての外光は遮られ体育館内部は真っ暗になっている。
その闇を裂くのは一条の光。ステージで照らされているのは野中エミコ。
今まさに照明のテストが行われていた。
「すぐ近くに来ているわ。私には感じるの。すぐ近くにデジャヴの少年少女たちが来ていることを感じるの…」
校舎の壁にもたれかかるようにして、君たちの様子を伺っている仮面の少女がいる。須藤竜子だ。
黒いマントを羽織り、腰には小太刀。街中では人目をひかずにはおかないだろうが、今日は特別。
生徒会が配っているマスカレード用の仮面を被った人々が行き交っているのでその姿は目立たなかった。
「イン・ラケチを邪魔する者たちは歪みとともにすでに消え去ったと思っていたけど、
でもやっぱり現れるのね。謎を探り嗅ぎつけ、怠惰な日常を求め守ろうとする者たち。
彼らの顔はまだはっきりとは思い出せないけれど会えば必ずわかるはずよ。
だからもしも彼らを見つけ出せたらこの学校の地下にある防空壕におびき寄せてそこで始末するの」
そう白道に語りかけ、須藤は地面を透視するかのように、じっと見つめる。
* * * * * * * *
体育館。暗幕ですべての外光は遮られ体育館内部は真っ暗になっている。
その闇を裂くのは一条の光。ステージで照らしだされるのは野中エミコ。
今行われているのは照明のテストだった。
海棠は、そんなスポットライトの中の野中を見ながら小さな溜息。
本当は唄いたくなんてない。今すぐに逃げ出したい。
でもイベントを成功させて、ジョーカーに近づきたい自分もいる。
思えば、いつの間にか思っていることと行動は正反対。
体育館。暗幕ですべての窓を遮られた体育館内部は真っ暗になっていた。
その闇を裂くのは一条の光。スポットライトの光。
ステージで光を浴びている主は野中エミコ。今、行われているのは証明器具のテストだった。
海棠は、そんなスポットライトの中の野中を見ながら小さな溜息。
本当は唄いたくなんてない。今すぐに逃げ出したい。
でもイベントを成功させて、ジョーカーに近づきたい自分もいる。
思えば、いつも思っていることと行動は正反対。
――学園祭日和の秋晴れだった。
春日山高校の校門前には晴々しく学園祭の看板が立てかけられ、
色とりどりの紙テープで飾られている。
いつもは無味乾燥な学校も、今日ばかりは音楽が鳴り響いて、
楽しげな雰囲気に満ちていた。
「美術部でーす。見て行ってくださーい」
「バレー部、間もなく試合を始めます」
「模擬店やってまーす」
張り切ったカス校生が大声で呼び込みをしたり、チラシを配ったりしている。
他校の生徒も遊びに来ているし、父兄も多数来校している。
そんな中、校門をくぐった君は「おねがいしまーす」の声とともにチラシを受け取ることだろう。
それは『ミューズのマスカレードコンサート』の案内だった。
主催は生徒会。場所は体育館。開演は午後二時から。
参加者は必ず生徒会で配っている仮面を受け取って着用すること、と規定されている。
しかし、コンサートが始まるまでにはまだ時間があるようだ。
なので君たちは、それまで自由に行動をしてもらっても構わない。
が、君たちの様子を伺っている仮面の少女の存在に気付いてみるのもいいだろう。
彼女は校舎の壁にもたれかかるようにして君たちの様子を伺っている。
そう、仮面の少女の正体は須藤竜子だ。
須藤は黒いマントを羽織り腰には小太刀。街中では人目をひかずにはおかないだろうが今日は特別。
生徒会が配っているマスカレード用の仮面を被った人々が行き交っているのでその姿は目立たなかった。
傍らに白道を連れ添えた須藤はぽつぽつと言葉を紡ぐ。
「すぐ近くに来ているわ。私には感じるの。すぐ近くにデジャヴの少年少女たちが来ていることを感じるの…。
イン・ラケチを邪魔する者たちは世界改変時にすでに消え去ったと思っていたけど、
でもやっぱり現れるのね。謎を探り嗅ぎつけ怠惰な日常を求め守ろうとする者たち。
彼らの顔はまだはっきりとは思い出せないけれど会えば必ずわかるはずよ。
だからもしも彼らを見つけ出せたらこの学校の地下にある防空壕におびき寄せてそこで始末するの」
――学園祭日和の秋晴れだった。
春日山高校の校門前には晴々しく学園祭の看板が立てかけられ、
色とりどりの紙テープで飾られている。
いつもは無味乾燥な学校も、今日ばかりは音楽が鳴り響いて、
楽しげな雰囲気に満ちていた。
「美術部でーす。見て行ってくださーい」
「バレー部、間もなく試合を始めます」
「模擬店やってまーす」
張り切ったカス校生が大声で呼び込みをしたり、チラシを配ったりしている。
他校の生徒も遊びに来ているし、父兄も多数来校している。
そんな中、校門をくぐった君は「おねがいしまーす」の声とともにチラシを受け取ることだろう。
それは『ミューズのマスカレードコンサート』の案内だった。
主催は生徒会。場所は体育館。開演は午後二時から。
参加者は必ず生徒会で配っている仮面を受け取って着用すること、と規定されている。
しかし、コンサートが始まるまでにはまだ時間があるようだ。
なので君たちは、それまで自由に行動をしてもらっても構わない。
が、君たちの様子を伺っている仮面の少女の存在に気付いてみるのもいいだろう。
彼女は校舎の壁にもたれかかるようにして君たちの様子を伺っている。
そう、仮面の少女の正体は須藤竜子だ。
須藤は黒いマントを羽織り腰には小太刀。街中では人目をひかずにはおかない姿であろうが今日は特別。
生徒会が配っているマスカレード用の仮面を被った人々が行き交っているのでその姿はあまり目立たなかった。
傍らに白道を連れ添えた須藤はぽつぽつと言葉を紡ぐ。
「すぐ近くに来ているわ。私には感じるの。すぐ近くにデジャヴの少年少女たちが来ていることを感じるの…。
イン・ラケチを邪魔する者たちは世界改変時にすでに消え去ったと思っていたけど、
でもやっぱり現れるのね。謎を探り嗅ぎつけ怠惰な日常を求め守ろうとする者たち。
彼らの顔はまだはっきりとは思い出せないけれど会えば必ずわかるはずよ。
だからもしも彼らを見つけ出せたらこの学校の地下にある防空壕におびき寄せてそこで始末するの」
――学園祭日和の秋晴れだった。
春日山高校の校門前には晴々しく学園祭の看板が立てかけられ、
色とりどりの紙テープで飾られている。
いつもは無味乾燥な学校も、今日ばかりは音楽が鳴り響いて、
楽しげな雰囲気に満ちていた。
「美術部でーす。見て行ってくださーい」
「バレー部、間もなく試合を始めます」
「模擬店やってまーす」
張り切ったカス校生が大声で呼び込みをしたり、チラシを配ったりしている。
他校の生徒も遊びに来ているし、父兄も多数来校している。
そんな中、校門をくぐった君は「おねがいしまーす」の声とともにチラシを受け取ることだろう。
それは『ミューズのマスカレードコンサート』の案内だった。
主催は生徒会。場所は体育館。開演は午後二時から。
参加者は必ず生徒会で配っている仮面を受け取って着用すること、と規定されている。
しかし、コンサートが始まるまでにはまだ時間があるようだ。
なので君たちは、それまで自由に行動をしてもらっても構わない。
が、君たちの様子を伺っている二人の少女の存在に気付いてみるのもよいだろう。
一人は猫耳フードの少女。もう一人は仮面の少女。
二人とも校舎の壁にもたれかかるようにして君たちの様子を伺っている。
勿論、猫耳フードの少女は白道睡蓮。仮面の少女は須藤竜子だ。
須藤は黒いマントを羽織り腰には小太刀。街中では人目をひかずにはおかない姿であろうが今日は特別。
生徒会が配っているマスカレード用の仮面を被った人々が行き交っているのでその姿はあまり目立たなかった。
傍らに白道を連れ添えた須藤はぽつぽつと言葉を紡ぐ。
「すぐ近くに来ているわ。私には感じるの。すぐ近くにデジャヴの少年少女たちが来ていることを感じるの…。
イン・ラケチを邪魔する者たちは世界改変時にすでに消え去ったと思っていたけど、
でもやっぱり現れるのね。謎を探り嗅ぎつけ怠惰な日常を求め守ろうとする者たち。
彼らの顔はまだはっきりとは思い出せないけれど会えば必ずわかるはずよ。
だからもしも彼らを見つけ出せたらこの学校の地下にある防空壕におびき寄せてそこで始末するの」
仮面の覗き穴から見える須藤の両眼は狂気を孕んでいる。
>「ワタシの名前はアンチラスト。このモノ達のクヨウをしていたところダ。
カレラとワタシはイノチをバカリの打ち合いをした間柄だが、死ねばミナ、ホトケゆえ……」
「死ねばミナ、ホトケ?それはロボットもですか?
いえ、そもそもロボットは生きていると言えるのでしょうか…」
と、問いかけると同時に、アムリーテはこの少女をアンチラストと認識する。
目の前にある骸骨は多分人間のもの。
アンチラストは真剣勝負をして、命を奪ったものの魂を供養しているらしい。
しかし、マリアベルに命じて、子どもたちを襲った理由は不明。
それにはいったい何の目的があったというのか?
>アンチラストは答えるかわりに、立ち上がり、くるりと振り向いた。
>「それはフシギなことでも、ナンでもないのだ。
ダレにもココロがあり、ココロはシュウチャクを生む。
シュウチャクはそのうち失うことへのオソレとなり、
オソレはイカリへと変わる。
イカリはモウシュウを生み、やがて訪れるのはハカイ。
そして無……」
アンチラストの言葉にアムリーテは沈思。
センセイに対してのアムリーテの思い。それは執着。
と同時に失うことへの恐怖がアムリーテを狂わせている。
>「ワタシの名前はアンチラスト。このモノ達のクヨウをしていたところダ。
カレラとワタシはイノチをバカリの打ち合いをした間柄だが、死ねばミナ、ホトケゆえ……」
「死ねばミナ、ホトケ?それはロボットもですか?
いえ、そもそもロボットは生きていると言えるのでしょうか…」
と、問いかけると同時に、アムリーテはこの少女をアンチラストと認識する。
目の前にある骸骨は多分人間のもの。
アンチラストは真剣勝負をして、命を奪ったものの魂を供養しているらしい。
しかし、マリアベルに命じて、子どもたちを襲った理由は不明。
それにはいったい何の目的があったというのか?
>アンチラストは答えるかわりに、立ち上がり、くるりと振り向いた。
>「それはフシギなことでも、ナンでもないのだ。
ダレにもココロがあり、ココロはシュウチャクを生む。
シュウチャクはそのうち失うことへのオソレとなり、
オソレはイカリへと変わる。
イカリはモウシュウを生み、やがて訪れるのはハカイ。
そして無……」
アンチラストの言葉にアムリーテは沈思。
センセイに対してのアムリーテの思い。それは執着。
と同時に失うことへの恐怖がアムリーテを狂わせているのかも知れない。
勿論、アムリーテがそれを自覚しているということはないのだ。
>アンチラストはまるで鞠が弾むように、ポーンポーンと飛び跳ねると、ふっと姿が消えた。
>そして次の瞬間、リリィ(アムリーテ)の背中にアンチラストが張り付いていた!
>アンチラストは大きな声で叫んだ。
>「ネー!アソンデー!アソンデー!おネエちゃん、名前はナンてーの!?
ツオイー!?ツオイー!?(強いー!?強いー!?)」
「私の名前は…アムリーテ。強くはありません」
背中にアンチラストの重さを感じつつ、アムリーテはそう呟いた。
彼女の言動は、決してリリィの体について言っているのではなく、自分の魂についての発言であり
アムリーテは他の子どもたちのように情け深く、自身の思いから他人を守ることなどなかった。
結局はセンセイの言いつけを守っている自分を嬉しく思っていただけなのだ。
そんな折、アンチラストはとあるリリィの体の特徴に気がついてしまう。
それは服が後ろに引っ張られていたため、胸の薄さがあらわになってしまっていたのだった。
>「おヌシ!?チチが無いではないか!?オンナのくせに!オンナのくせに!」
「きゃあ」
小さな悲鳴をあげるアムリーテ。
>アンチラストはぴょんとリリィ(アムリーテ)の背中から飛び降りると、自分にはあるぞとばかりに胸をはった。
>たしかにアンチラストの胸には膨らみがあったが、本当はパーカーの布が余っているだけである。
>「よーし、おネエちゃんのおチチを探しにイコー!」
>アンチラストは地面に落ちていた木の棒を拾うと、それをふりまわしながらテテテテとどこかへ走りだした。
それをアムリーテは怪訝に思う。
今のアンチラストの言動は、さきほどのアンチラストとはまるで別人。
それにお乳を探しにゆくことなど現実的に可能なことなのだろうか。まるで不可思議な言動。
しかし、アンチラストの能力が“真実への到達を拒む事”と認識している者ならばそれも納得ができる。
だが、アムリーテはそれを知らない。どうしてお乳を探しに行かなければならないのか。
そんな疑念で胸がいっぱいになってしまう。
が、しばらく地下を進むと謎の影に遭遇する。
その男は半獣人だった。それも豚の。キノコを貪りながら二人を見つめていたが
アンチラストを見つけると静かに怒りを孕んだ声で…
「てめーはアンチラスト…。こんどこそ捕まえてやるぜ」
>「ワタシの名前はアンチラスト。このモノ達のクヨウをしていたところダ。
カレラとワタシはイノチをバカリの打ち合いをした間柄だが、死ねばミナ、ホトケゆえ……」
「死ねばミナ、ホトケ?それはロボットもですか?
いえ、そもそもロボットは生きていると言えるのでしょうか…」
と、問いかけると同時に、アムリーテはこの少女をアンチラストと認識する。
目の前にある骸骨は多分人間のもの。
アンチラストは真剣勝負をして、命を奪ったものの魂を供養しているらしい。
しかし、マリアベルに命じて、子どもたちを襲った理由は不明。
それにはいったい何の目的があったというのか?
>アンチラストは答えるかわりに、立ち上がり、くるりと振り向いた。
>「それはフシギなことでも、ナンでもないのだ。
ダレにもココロがあり、ココロはシュウチャクを生む。
シュウチャクはそのうち失うことへのオソレとなり、
オソレはイカリへと変わる。
イカリはモウシュウを生み、やがて訪れるのはハカイ。
そして無……」
アンチラストの言葉にアムリーテは沈思。
センセイに対してのアムリーテの思い。それは執着。
と同時に失うことへの恐怖がアムリーテを狂わせているのかも知れない。
勿論、アムリーテがそれを自覚しているということはないのだが…。
>アンチラストはまるで鞠が弾むように、ポーンポーンと飛び跳ねると、ふっと姿が消えた。
>そして次の瞬間、リリィ(アムリーテ)の背中にアンチラストが張り付いていた!
>アンチラストは大きな声で叫んだ。
>「ネー!アソンデー!アソンデー!おネエちゃん、名前はナンてーの!?
ツオイー!?ツオイー!?(強いー!?強いー!?)」
「私の名前は…アムリーテ。残念ですが、強くはありません」
背中にアンチラストの重さを感じつつ、アムリーテはそう呟いた。
彼女の言動は、決してリリィの体について言っているのではなく、自分の魂についての発言であり
アムリーテは他の子どもたちのように情け深く、痛みを知っているからこそ他人を助けるわけではなかった。
結局はセンセイの言いつけを守っている自分を嬉しく思っていただけ。
自分も他人も助けられたら嬉しく思うという単純な気持ちを抱いていただけ。
でもリリィの肉体を得たアムリーテは痛みを知った。
それは単に破損した部分の情報ではなく生きるための痛みでありとてつもない激痛だった。
しかし、そんな痛みを味わってもまだリリィという少女は友達のために献身的に尽くしてゆく。
アムリーテは、リリィにもう一度会えたならその理由を聞いてみたいと思っていた。
そんな折、アンチラストはとあるリリィの体の特徴に気がついてしまう。
それは服が後ろに引っ張られていたため、胸の薄さがあらわになってしまっていたのだった。
>「おヌシ!?チチが無いではないか!?オンナのくせに!オンナのくせに!」
「……!!」
頬を朱で染めあげるアムリーテ。
>アンチラストはぴょんとリリィ(アムリーテ)の背中から飛び降りると、自分にはあるぞとばかりに胸をはった。
>たしかにアンチラストの胸には膨らみがあったが、本当はパーカーの布が余っているだけである。
>「よーし、おネエちゃんのおチチを探しにイコー!」
>アンチラストは地面に落ちていた木の棒を拾うと、それをふりまわしながらテテテテとどこかへ走りだした。
それをアムリーテは怪訝に思う。
今のアンチラストの言動は、さきほどのアンチラストとはまるで別人。
それにお乳を探しにゆくことなど現実的に可能なことなのだろうか。まるで不可思議な言動。
しかし借りたものには利子をつけて返すべきとも思う。
きっと増量していればリリィに対する償いのようなものにもなると考える。
「では、参るです。リリィの胸を求めて…参るです!」
が、しばらく地下を進むと謎の影に遭遇する。
その男は半獣人だった。それも豚の。
彼はキノコを貪りながら二人を見つめていたが
アンチラストに気がつくと静かに怒りを孕んだ声で…
「てめーはアンチラスト…。こんどこそ捕まえてやるブヒ」
そう言って、巨体の肉を揺らしながらのしのしと近づいてくる。
そう、彼はアムリーテの捜していたククレーニュ先生だった。
だが今の彼の見た目はゴブリンかオーク。
アムリーテはがくがくと震えながら絹を裂くような悲鳴をあげる。
「きゃああああああああああ!!」
こうしてリリィの胸を求めたアムリーテは、豚の半獣人の姿のククレーニュと再会することとなった。
そんな折、アンチラストはとあるリリィの体の特徴に気がついてしまう。
それは服が後ろに引っ張られていたため、胸の薄さがあらわになってしまっていたのだった。
>「おヌシ!?チチが無いではないか!?オンナのくせに!オンナのくせに!」
「……!!」
頬を朱で染めあげるアムリーテ。
>アンチラストはぴょんとリリィ(アムリーテ)の背中から飛び降りると、自分にはあるぞとばかりに胸をはった。
>たしかにアンチラストの胸には膨らみがあったが、本当はパーカーの布が余っているだけである。
>「よーし、おネエちゃんのおチチを探しにイコー!」
>アンチラストは地面に落ちていた木の棒を拾うと、それをふりまわしながらテテテテとどこかへ走りだした。
それをアムリーテは怪訝に思う。
今のアンチラストの言動は、さきほどのアンチラストとはまるで別人。
それにお乳を探しにゆくことなど現実的に可能なことなのだろうか。まるで不可思議な言動。
しかし借りたものには利子をつけて返すべきとも思う。
きっと増量していればリリィに対する償いのようなものにもなると考える。
「では、参るです。リリィの胸を求めて…参るです」
が、しばらく地下を進むと謎の影に遭遇する。
その男は半獣人だった。それも豚の。
彼はモウソウダケを貪りながら二人を見つめていたが
アンチラストに気がつくと唸り吠えた。
「ふごおおおおおおおおおお!!」
巨体の肉を揺らしながらのしのしと近づいてくる豚男。
そう、彼はアムリーテの捜していたククレーニュ先生だった。
だが今の彼の見た目はゴブリンかオーク。
アムリーテはがくがくと震えながら絹を裂くような悲鳴をあげる。
「きゃああああああああああ!!アンチラスト、あなたは私をだましたですか?
そうです。あなたはマリアベルに命令して子供たちを襲いました。こ、これも…罠だったのですね!?」
こうしてリリィの胸を求めたアムリーテは、豚の半獣人の姿のククレーニュと再会することとなった。
そして豚男は、腰の抜けたリリィ(アムリーテ)を左腕の脇に抱えると通路に仁王立ち。
その状態のアムリーテはハミ出た肉に顔を挟まれて失神寸前。
「ぶひひ…やっと会えたぜ…アンチラストォ」
豚男の鋭い眼光がアンチラストを射抜く。
>「ユカリコヨヒシコ親子よ……コケシ温泉に戻るのだ……
そこに全ての真実が……ぐふっ」
タケトシ市長の残した謎の言葉に、たいそう満足したヨヒシコが額づけば
意地悪じいさんの呼び出した高級車が走ってくる。
>「そうと決まればすぐに向かうぞ!」
こけし温泉に着けば、タケルがうつ伏せになって転がっており
その身には桜の花びらが降り注いでいた。そう、その光景はまさに
――春の盛り。
散り始めた桜の花弁が風に運ばれ、タケルのそこここにへばりつくような春の盛り。
提灯が揺れる。女たちが踊りながらタケルの前を過ぎてゆく。
風が吹く。枝が鳴く。睦言のように優しい音をたてる。
その光景を、旅館の窓から目を細めて見ている独りの女がいた。
>「ユカリコヨヒシコ親子よ……コケシ温泉に戻るのだ……
そこに全ての真実が……ぐふっ」
タケトシ市長の残した謎の言葉に、たいそう満足したヨヒシコが額づけば
意地悪じいさんの呼び出した高級車が走ってくる。
>「そうと決まればすぐに向かうぞ!」
こけし温泉に着けば、タケルがうつ伏せになって転がっており
その身には桜の花びらが降り注いでいた。そう、その光景はまさに
――春の盛り。
散り始めた桜の花弁が風に運ばれ、タケルのそこここにへばりつくような春の盛り。
提灯が揺れる。女たちが踊りながらタケルの前を過ぎてゆく。
風が吹く。枝が鳴く。睦言のように優しい音をたてる。
そんな夢心地のタケルだったが、次の瞬間。
後頭部に激痛が走り悶絶。振り仰げばそこには女が立っていた。
着物の裾からは白い足が覗いている。女はその足で、下駄で、タケルの頭を蹴ったのだった。
「あんたはタケトシの息子だね。親父同様、なんて女癖が悪いんだろうね。
いや、男ってもんは皆そんなものなのかい?花咲かの爺さんもとんだスケコマシだったからねえ」
>「ユカリコヨヒシコ親子よ……コケシ温泉に戻るのだ……
そこに全ての真実が……ぐふっ」
タケトシ市長の残した謎の言葉に、たいそう満足したヨヒシコが額づけば
意地悪じいさんの呼び出した高級車が走ってくる。
>「そうと決まればすぐに向かうぞ!」
こけし温泉に着けば、タケルがうつ伏せになって転がっており
その身には桜の花びらが降り注いでいた。そう、その光景はまさに
――春の盛り。
散り始めた桜の花弁が風に運ばれ、タケルのそこここにへばりつくような春の盛り。
提灯が揺れる。女たちが踊りながらタケルの前を過ぎてゆく。
風が吹く。枝が鳴く。睦言のように優しい音をたてる。
そんな夢心地のタケルだったが、次の瞬間。
後頭部に激痛が走り悶絶。振り仰げばそこには女が立っていた。
着物の裾からは白い足が覗いている。女はその足で、下駄で、タケルの頭を蹴ったのだった。
「あんた、タケトシの息子だね。親父同様なんて女癖が悪いんだろうね。
いや、男ってもんは皆そんなものなのかい?花咲かの爺さんもとんだスケコマシだったからねえ」
そう言うのは黒髪の着物女。その女の白い肌はどこにもムラがなく、
睫毛は密集していて縁がとてもくっきりしており、
頭の形、鼻の反り方、その一つ一つを追うとそこにあるすべては完璧。
あまりにも整い過ぎていて、この世のものではない雰囲気さえ漂っている。
女はユカリコに気がつくと不気味に微笑んだ。
「おや、ずいぶんと可愛いぼうやだねえ。あんたには勿体無いくらいの可愛らしいぼうやだよ。
ねえ、あんた、ちょっとアタシにその子を抱かせてくれないかい?アタシはね、可愛い坊やに目がないんだよ」
>「ヨヒシコは渡さん!!」
「まあああ」
ヨヒシコは頬を赤らめてふにゃっとした顔。だが、次の瞬間、その顔が恐怖で歪む。
「まあああああああああああああああ!!」
ヨヒシコの足をひっぱる和風の絶世の美女。その名は土御門定子。なのでヨヒシコはユカリコの胸の授乳ブラにしがみつき抵抗。
どんどん伸びてゆくヨヒシコの足。でも安心してほしい。服が伸びているだけなのだから。
「こりゃとーんだマザコンやろうだねえ!いいかげんその手をお放し!」
びょんびょんと伸びる足を、定子は細腕をぷるぷるさせながら引っ張り続けており
かたやヨヒシコは、目をぎゅっと閉じたまま堪えている。
――春の盛り。
散り始めた桜の花弁が風に運ばれ、タケルのそこここにへばりつくような春の盛り。
提灯が揺れる。女たちが踊りながらタケルの前を過ぎてゆく。
風が吹く。枝が鳴く。睦言のように優しい音をたてる。
そんな夢心地のタケルだったが、次の瞬間。
後頭部に激痛が走り悶絶。振り仰げばそこには女が立っていた。
着物の裾からは白い足が覗いている。女はその足で、下駄で、タケルの頭を蹴ったのだった。
「あんた、タケトシの息子だね。親父同様なんて女癖が悪いんだろうね。
いや、男ってもんは皆そんなものなのかい?花咲かの爺さんもとんだスケコマシだったからねえ」
そう言うのは黒髪の着物女。その女の白い肌はどこにもムラがなく、
睫毛は密集していて縁がとてもくっきりしており、
頭の形、鼻の反り方、その一つ一つを追うとそこにあるすべては完璧。
あまりにも整い過ぎていて、この世のものではない雰囲気さえ漂っている。
>「ヨヒシコは渡さん!!」
「まあああ」
ヨヒシコは頬を赤らめてふにゃっとした顔。だが、次の瞬間、その顔が恐怖で歪む。
「まあああああああああああああああ!!」
ヨヒシコの足をひっぱる和風の絶世の美女。その名は土御門定子。なのでヨヒシコはユカリコの胸の授乳ブラにしがみつき抵抗。
どんどん伸びてゆくヨヒシコの足。でも安心してほしい。服が伸びているだけなのだから。
「こりゃとんだマザコンやろうだねえ!いいかげんその手をお放し!」
びょんびょんと伸びる足を、定子は細腕をぷるぷるさせながら引っ張り続けており
かたやヨヒシコは、目をぎゅっと閉じたまま堪えていた、が、しかし、が
引き裂かれる授乳ブラ。四散する母乳パッド。噴出する母乳。
「まああああああああああ!!」
ヨヒシコは絶叫とともに定子のもとへ。
「この子何歳だい?断乳も満足に教え込んでないたあ、ダメな母親だねえ」
鬼のような鋭い眼光。定子に抱かれたヨヒシコは、恐怖のあまり縮こまり黙り込んだ。
「じゃあこの子はもらってくよ」
そういい残すと定子は去っていく。まるでやり口は北○鮮だ。
こけし温泉「挑戦の間」
そこは誘拐された子供たちで溢れかえっていた。
そして集まってくるのは最終決戦をするために集まった人たち。
であったばかりの見ず知らずの者を従えて、ユカリコは堂々と進む。
野良犬たちに吠えられながら。こじきたちの熱視線を全身に浴びながら。
「ふん。子供を取り返しに乗り込んで来たっていうのかい?たいした度胸だねえ。
それならその度胸に免じて、ゲームで勝負をつけようじゃないか。
そうさね。ゲームはドッジボール。その代わりあんたたちが負けたら
死ぬまでこのこけし温泉で下働きをしてもらうからねぇ」
地面にラインが現れ、魑魅魍魎の観客たちが一斉に現れる。審判は骸骨。
「それじゃあ始めようじゃないか」
いつのまにか定子は動きやすい運動着を着ておりハチマキを巻いていた。
そのまわりには五体の妖怪。対するユカリコチームは謎のマントの集団。
しかし定子はボールを持ったまま。
いっこうに投げてこないまま、数十時間が経過した。
「それじゃあ始めようじゃないか」
いつのまにか定子は動きやすい運動着を着ておりハチマキを巻いていた。
そのまわりには五体のシキガミ。対するユカリコチームは謎のマントの集団。
「わたしのボールが受け止められるかい?」
定子はボールにさらさらと文字を書いた。それには「奪重」と書いてある。
そして綺麗なフォームから投げ出されるボール。ふわっと山なりのボール。
それは幼児でも受け止められそうなゆっくりな速さ。
マントの大男がそれを片手で受け止める。するとなんということだろう。
飛んでいった!大男が。と同時に消える「奪重」の文字。
「だいじょうぶかあ!?」
「…なんだいまのは?ボールを触ったとたん、体の踏ん張りがきかなくなっちまったぜ…」
ボールはポンポンとバウンドしながら再び定子の元へ。
「一人アウトだねえ。さあて、お次は何を奪ってやろうかねえ」
定子は「奪摩擦」とボールに書き、またゆっくりとしたボールを投げた。
それは定子の術「呪呪球」(のろのろだま)
相手にボールを与えることでボールに書いてある文字のものを奪う術。
今、ボールには奪摩擦と書いてある。
なので次にボールを受け取った者からは摩擦力が奪われるのだ!
だから全身つるんつるんになってボールも受け止めれないし
上手く立つこともできなくなってしまうことだろう。
姓名:文熙o(ムン・ヒジュン)
性別:男
年齢:23
風貌:切れ長の目。長髪。美形。黒ベースの韓服
身分:両班
特技:
(U^ω^)わんわんお
310 :
名無しになりきれ:2013/05/04(土) 21:23:23.32 0
(U^ω^)アルトくんがしつもんにこたえるお!
アルト君////
(U^ω^)アルトくんのスレをコピペであらしたのだあれ
313 :
名無しになりきれ:2013/05/06(月) 01:57:36.73 0
(U^ω^)ごーるでんういーくはおねえちゃんが家にいてくれてうれしいな
314 :
名無しになりきれ:2013/05/07(火) 23:59:44.26 0
(U^ω^)しっぽふりふり おねえちゃんがかいしゃから帰ってきたお
(U^ω^)ささみまきまきガムウマーだお
(U^ω^)うめたてとかしてスレをしぶつかしたらダメだお
がっこいきたくないお
318 :
名無しになりきれ:2013/05/27(月) 21:37:17.83 0
(U^ω^)おねえちゃんもしごといきたくないってよくいってるお
いっしょうくっていけるざいさんがあったらしごとなんてしないのにってぼやいてるお
きみもざいさんがあるならがっこいかなくていいんじゃないかお?
319 :
名無しになりきれ:2013/08/11(日) NY:AN:NY.AN 0
(U^ω^)わんわんお!
おんわんわ
321 :
名無しになりきれ:2014/07/24(木) 01:23:10.35 0
(‘ω’)若林です
出てる出てる 李出てる