『マッドスライム』
体が液体で出来ている単細胞系の魔物「スライム」の一種で、体は泥や生物の老廃物で出来ている。
生物であったり無生物であったり、個体によってまちまちだが姿形は概ね共通している。
このスライムは神殿製であり、泥の他に人の垢や油で作らており大変汚い。
しかしこのスライムの泥はある処理を施すととても美容と健康に良い泥に変化する。
余談だが、ここで倒されたマッドスライムは後で街の人々が回収する手筈となっている。
泥スライムは直径十メートル程の鈍重な体をのそのそと動かし、
居並ぶ参加者へと近づいてゆく。当然獲物を捕食する為だ。
粘着質でスライムの割にやや硬めの体からの叩きつけや体当たりは、
大きさ故に避けづらく、そして重さ故に侮れない攻撃力を持っている。
『やって来たぞい第一の関門!マッドスライム!
物理攻撃の効きにくいコヤツを倒せるものは誰か!あ、誰かおらんのじゃろうか〜!』
実況役の老人のしゃがれ声が降ってくるが気にする者は少ない。
敵の頭頂部らしき天辺には件の指輪が光っている。倒さなければ指輪は手に入らない。
「よゥしお前ら、客を先に行かすぞ!陽動かけろィ!」
ヴァレンタインは部下たちと共にアーケードからスライムを引き剥がすつもりのようだ。
「二代目、あすこに指輪が」「おっしゃ待っててくれマイムさ〜ん!」
ヤスケは構わず突っ込んで行ってしまった。
「エコーエコーワルドゥル エコーエコーシャーリ オーン アルシル スバフ アザカン!」
(響け響け世界に 響け響け御国へ アルシルの名の元 我に力を!)
マイムは呪文を唱えて力を溜めている。そんな彼らの周りでは観光客が間近で呑気にスリルを味わっている。
(リエッキさんの姿が見えない、無事でいて欲しいが、でもあの指輪だけは絶対手に入れなければ!)
マイムは焦りと葛藤を抱えながらも、マッドスライムと戦うことを選んだ。
障害物と戦うか、他の者が戦っている間に通り過ぎるかは参加者次第だ。