1 :
牧街:
えー…皆さんこんにちは
このスレは椎名高志先生の漫画、「ゴーストスイーパー美神極楽大作戦」の世界が舞台のTRPGスレです
えぇ
で、ゴーストスイーパー美神の世界観は
現実社会においては信憑性を疑問視される声も多い占術や呪術や霊能力、神や悪魔や妖精、幽霊や妖怪、それらを鎮めたり除霊したりする霊能者の存在が世界で広く認知されている。
また一部の妖怪等は人間と共存し社会の中で受け容れられている。一方で、社会の基盤はあくまで科学であり、科学を基に幽霊や妖怪等の定義付けを行う事が難しい面もあり、その信憑性を問う声も存在している。
国際機関や各国家は上記の存在を認めており、国家によっては政治に大きな影響を及ぼしている。
また除霊を行う霊能者はゴーストスイーパーと呼ばれ、国家資格制度を設けて管理している。
人間が暮らす人間界のほかに、神族などが住む天界(神界)や魔族などが住む魔界が存在しており、天界と魔界を合わせて冥界と呼んでいる。
神族と魔族の上層部はハルマゲドンを回避するためデタント状態にあり最高神と魔王も親睦が深い様子。 しかし、世界を維持するために魔族は基本的に悪として神族や人間に負け続けなければならい役割を強制されているため
と、ウィキペギアに書かれておりますが
「アンデットモンスターがときおり現れ、それをやっつける職業の人達がいる世界」
と簡素に憶えておくのもありです、多分
えぇ
まずは死ね
ルールは以下の通りです
GM:(あり/依頼を提出した方がGMをやってください)
決定リール:(あり、後手キャンセルあり)
○日ルール:(あり/3日、ただし事前に報告があれば延長も可)
版権・越境:(キャラの直接の登場はなし、台詞の中(*1参照)や、どう見てもそれにしか見えないよーな物が出るのはあり。後者はほどほどに)
(対艦超強力破邪札や見鬼君などのGS美神世界のオリジナル除霊具は直接の登場可。獣の槍や間流結界術等の他世界の版権除霊具や術は全て不可)
名無し参加:(あり・悪霊投下など)
敵役参加:(あり)
避難所の有無:(今の所なし)
キャラテンプレ
【名前】
漫画ちっくな名前全然OK 科学最 高(かがくさい こう)とか
【年齢】
最低でも中学生以上である事
【体格】
完璧な肉体を求めすぎない事
【容姿(霊衣)】
戦闘時等にしてる格好を書いてください
ちなみに特攻服だの化学特捜隊の制服だの除霊からかけ離れたものでも全然OK
世の中にはボディコンやセーラー服で除霊を行う人もいます
【属性】
仏教系、キリスト教系、精霊魔術系、魔法、等々
【霊圧】
GS試験の第一試験がこれの測定なので、あんまり低すぎても駄目、高すぎるのは勿論駄目
単純な力のぶつかり合いをした時に発揮されるパワーであり、技量や身体能力には一切関係なし
0〜10・一般人 (原作で野球選手がここに属していました)
11〜30・才能のある素人 (原作でごく普通の歌手がここに属していました、どうも若い女性は霊圧が高いようです)
31〜70・訓練された霊能者 (原作で幼少の頃から霊能力者になるために鍛えられていた少女がここに属していました)
71〜90・一流どころの霊能者
91〜99・超一流の霊能者 (一流の霊能力者でも死ぬ様な修行を切り抜けた美神さんがここにいました)
100・人間の限界
【特殊能力】
煩悩を霊力に変えられる、時間移動能力、念動発火、などなど
【装備】
GS美神世界の詳しい道具の説明や解説はウィキペギアを読んでくださいまし
【趣味】
ここは何書いてもいいです。ソックスハンター上等
【備考】
キャラクターのバックボーンなど。
こういうのをやると必ず複数種族の混血いいとこ取りをする人がいるのであらかじめ注意。
強くて格好いいキャラではなく、欠点がいい所を消してる位のキャラを書きましょう!
細かい原作知識、+このスレの知識
・GS資格習得試験は
1、最寄のGS事務所の中で研修先を見つけ、そこで研修を積み、そこから毎年行われている試験を受験させてもらう(個人で勝手に強くなって資格試験を受ける輩もいるかも知れないけれど一般的には)
2、霊圧をはかり、高いものが上から順に結構な数残される
3、全体で何人いたかわからないが、生き残った受験者同士でトーナメントを行い、2勝すれば資格習得、ただし、3回戦からギブアップができなくなる
と言う感じで、入手できます
・撤退、退却、敗走について
このスレは「悪霊を倒し、3流GS達が勝つまで物語が続く」分けではありません
「除霊に参加したGS全員が除霊を諦める」もしくは「参加者が全員戦闘不能になる」
等の理由で「悪霊に3流GS達が敗北」しても、物語は終了しますが、スレは続行し、新たな物語に続きます
「別に3流GS達が負けたからと言って、世界が滅びるわけではありません」
ので、「もう危ないと思い警察に後を任せて帰った」だとか「依頼主に仕事続行を断った」等の方法で、物語を終わらせる事もできます
ただそう言った「悪霊に負けたり、悪霊から逃げたり」する終わり方をした場合
後の展開に、「3流GS達の評価が下がっているため、ショボイ依頼しかこない」だとか「護衛を依頼した依頼主が無残な殺され方をした」
と言った影響を及ぼす…かも知れません
一応私がGMを今やらせていただいてますが、まだ経験未熟ゆえ、力加減がイマイチわかっておりません
ですから「これは変なパワーアップとかしなければ無理だろ」と思った時は、無理に倒そうとせず、戦闘放棄した方が、話が上手くまとまる可能性もあります
更に戦闘を放棄しても、必ずしも後の展開に悪い影響があるかと言うと、一概にそうとも言えないので
とりあえず
「勝てそうに無い敵が出てきたら、パワーアップより敗走を!」
と憶えておいてください
くぎゅううううううううううううううううううう
新スレなので前回のことを少し思い出してみよう。
今回は『日常編』で、記憶が確かであればいつのまにやら敵だと勘違いされてた気がするんDA
…………ちょっと事が複雑すぎてよくわかりません。複雑すぎて……誰を信じて良いんだか
>「牧街殿、上上〜!」
自転車(妖怪?)に乗った外見年齢中学生の女の子が突然やってきた。
口で言うのみならば邪魔するなと瑞希は頭の端で考える。
で災禍のど真ん中にいる牧街といえばびっくりしながらも捕縛を躱そうとしている、が。
「遂行完了」
アスファルトへ皹を作りつつ着地、当然その手はしっかりと牧街を掴んでいた。
牧街は遅かった。ホラー映画で真っ先に死ぬ面白黒人より反応が遅かったのだ。
某サメ映画では死にそうで死ななかったが、それはおいておく。
>「あわわわわわわわわ…」
恐怖に震えながら必死でアイコンタクトを送る牧街を見て、瑞希はようやく本来の目的を思い出す。
掴んでいた首根っこを離して心の中で自省。あくまで心の中でだが。
少々乱暴な手段だったか──もう少し穏便に事を済ませれば良かった。
「失敬、一連の無礼をお許し下さい。何分修練を終えたばかりで力加減に慣れておりません故
しかし突然逃げ出されるとこちらに非があると認識し、是が非でも謝辞を述べねばと思いましたので」
ぴっ牧街とカフェに敬礼して素直に謝った。
本人にとってはまあ、ちょっとやり過ぎたかなという認識である。
しかし被害者側にすりゃ化物みたいな人間に追われる恐怖を味わわされたのだからちょっとどころじゃない。
「そちらは……御友人の方ですか。私は瑞希と申します。
若輩者ですがGSをやらせて頂いております、以後お見知りおきを」
ごそごそと鞄から名刺を取り出しぴっとカフェに差し出す。
相変わらず周囲のことをガン無視したマイペースっぷりである。
以後くそ真面目な言い方でカフェにつらつらと今までのあらましを語りだした。
わざわざ台詞で書き出すのがめんどいので要約しておくと
・自分はこの街に今日引っ越してきたばっかり
・昼食を摂りたいが街のことを良く知らないので何処にしようか決めあぐねている
・そこで偶然近くにいた牧街に聞こうとしたのだが“何故か”ダッシュ逃走された
ということである。
しかしその無表情さと抑揚のない声が相まって信じてもらえない可能性もあるだろう。
本人はまったくもっておかしなことなのだが、その事実に気付いていない。
「牧街さん。初対面の際には失礼を働いてしまったようで、申し訳ありません
あのそれで……私はどこをどういった風に無礼なことをしてしまったのでしょうか?」
ずんずんと牧街に近づき、首を傾げる。
ちなみに今力加減をミスったのか右足を中心に30センチほど地面が抉れた。
こう、ビシッと悲鳴を上げながら。
>8
>「遂行完了」
哀しいかな、牧街はあっさりと捕まった。
「牧街殿、お主の尊い犠牲は無駄にはせんぞ・・・!
必ず助けを呼んでくる故それまで粘るんじゃ!」
前段と後段が矛盾した発言をしながら、自転車で回れ右をしようとする。
>「そちらは……御友人の方ですか。私は瑞希と申します。
若輩者ですがGSをやらせて頂いております、以後お見知りおきを」
が。瑞希と名乗った怪力超人は、名刺まで出して丁寧に挨拶をしてきた。
「う、うむ。よろしく頼もうぞ」
そして、瑞希の説明を聞き、今回は日常回だったことを思い出す。
(日常回なれば敵ではあるまいな)
カフェは、メタな理由で自分を納得させた。
>「牧街さん。初対面の際には失礼を働いてしまったようで、申し訳ありません
あのそれで……私はどこをどういった風に無礼なことをしてしまったのでしょうか?」
「ひいっ!」
陥没した地面にびびりながらも、日常回への回帰を試みる。
「昼餉を取りたいのであったな。妾の家の喫茶店はどうじゃ?
様々な趣向がこらしてあっておそらく楽しいと思うぞ」
>9
【ありがとうございます。残念ながらログは持ってません・・・】
アイコンタクトを受けたカフェは、あろう事か逃走の姿勢をとりだす
「ちょ!カフェさん!逃げるってあんた!」
いつもならここで牧街殿はなせーと助けに飛び込んで来てくれる女性のまさかの助けを呼んでくる発言に動揺する牧街
いやカフェ自身の生命を守る事を考えりゃ正しい行為なのだが現状の牧街には助けが来るまで無事でいる事なんぞできる分が無い
「遂に俺に愛想をつかしたんですかカフェさん!待ってカフェさん!トレカとか黒酢出して助けてカフェさ…」
見苦しい救援要請が終わる前に、しかし加害者側が謝罪してきてくれた
人間技とは思えない行いで牧街を襲撃した瑞希の言動と態度に、恐怖で動揺しまくっていた牧街は、ある結論に達した
「…そうか!わかったぞ!!」
ここまでやってどこがどう無礼かわからない人間なんぞいるわけが無い!!
そんな結論に至った牧街は、上の方に視線を凝らし、このスレのタイトルを確認する
「……あれ?いいんだよな…GS美神だよ…な」
宇宙パトロール隊MACTRPGか一番湯のカナタTRPGにキャラ使いまわしでなったのかと思ったのだが、どうやらその心配は無いらしい
さてどうした物か
どこからつっこんでどうつっこむと地雷に遭遇するか、このタイプのキャラと会話した事が無いのでわからない
と言うか地面に悲鳴を上げさせるような怪人を相手にいつまでも正気を保ってられるとは思えない
>「昼餉を取りたいのであったな。妾の家の喫茶店はどうじゃ?
様々な趣向がこらしてあっておそらく楽しいと思うぞ」
と、顔を引きつらせて考えあぐねる牧街に、カフェが助け舟を出してくれた
そうだ、とりあえず落ち着ける場所に移動しよう
「そ…それがいいと思います、えぇ、はい」
へっぴり腰で牧街も同意、皆でカフェの喫茶店へ向かう
例の冥土喫茶の妙な雰囲気の中、牧街はとりあえずあの馬鹿高いコーヒーを注文し、瑞希に質問を始める
「えーと…さっきの話しだけどまずその、アレだ、どこから来た…と言う設定になってますか?あ、いやその、あんまり、ね、一般的な思考ができてない方だからちょっち遠くから来たのかな何てその…」
設定になってますかなどと聞くのは、はなっから牧街は彼女は人間じゃないと思っており、本当の住所の惑星を言えないと思っているからだ
とりあえず出身地から何故常識をもっていないかを割り出していこうというわけである
…前スレで聞いたかも知れないが恐怖から牧街の耳には入っていないのだろう
>>9 【すみません、私も持ってないです】
>>(前スレから引き続いて職務質問する警察官)
>「貴様!何だその格好は!っというかどーいうつもりだ!!えぇ?」
かくして巻街や瑞希、カフェの去った路上では、警察官・大鳥巡査の職質が始まっていた。
職務質問とは、何らかの不審な点がある人物を警察官が呼び止めて、職業やら何やらを聞く行為である。
煩わしく感じるかもしれないが、善良な市民なら無闇に拒んではいけない。
「私は聖騎士(パラディン)だ。この地に顕現した六体の魔王(ダークロード)を封印する為に戦っている」
善良な市民化かは疑わしかったが、とりあえず鎧姿のコスプレをしている李珠も拒まずに答えた。
「いや、そういうのは公的機関に任せろっ!路上で刃物振り回すとか何考えてんだ!普通に銃刀法違反じゃぁぁ!」
李珠は冷静に応えたのだが、明らかに異様な人を見つけた為か、大鳥巡査は張り切っていてテンションが高い。
叫びながら手錠を振り回して、不審者を逮捕する気満々である。
「これはダークロードだけを斬る聖剣だ」
李珠が鞘から抜いた剣をぶんっと振って天に向けると刀身が陽光に煌めく。
あまり有効な説得とは普通人なら思えないが、パラディン様は至って真面目な顔である。
「貴様、さっき変な風起こして、そのダークロード以外のモンをふっ飛ばしただろうがぁぁ!忘れたかっ!
って……んっ……お前の顔、どこかで見たような……?ちょっと待て……」
そう言えば李珠は警察の御厄介になった経験があった気がするので、大鳥巡査が顔を知っていても一向におかしくはない。
小型の電子手帳っぽいもので、何やら検索を始める大鳥巡査。
一分ほど調べると、データベースの要注意人物項目の中に李珠の顔を見つけた。
李珠の格好は、何やら今季始まるアニメのコスプレらしい。
不審者対応マニュアルには"彼らの世界観に合わせつつ、速やかに逮捕して街の治安を取り戻しましょう"とある。
「ふむ、じゃあちょっといいかな」
「いったい何を!これは魔女狩りか!異端審問か!」
速やかに不審者の手首に手錠を掛けた大鳥巡査が、近くの交番に李珠を連れて行こうとする。
暴れる李珠へ、大鳥巡査は宥めるように言った。
「いや、俺がお前のマスターだ。これは、レイシュ(だっけ……めんどくせぇな)だ」
「そうか、貴方が私のマスターか。では宜しく頼む」
何かを納得したかのように不審者は大人しく連行され、これで街はまた少し平和を取り戻した!
こういった小さな正義の積み重ねが、日本を平和にするのである!警察バンザイ!
【
>>9 ここで復元中のようですよ
http://774san.sakura.ne.jp/test/read.cgi/hinanjo/1317490506/】
【それでは私はこれにてドロンさせて頂きますっ】
【>12-13 ありがとうございます。
前スレの最後が見れなくなってしまったので一応確認なんですが
瑞希さんと李珠さんは別の方でしたよね。
3日たってしまったので書いた方がいいのかな・・・?】
はい別人です
三日目のギリギリまで待たせてしまって恐れ入りますが
今日中にレス致しますのでしばしお待ち頂ければ幸いです
>「昼餉を取りたいのであったな。妾の家の喫茶店はどうじゃ?
>様々な趣向がこらしてあっておそらく楽しいと思うぞ」
「僥倖です。御友人の家が喫茶店とは思いもよらず」
カフェの誘いに瑞希は無表情に返答した。
まさかメタ視点の理由で納得したなどと思いもよらないだろう。
まあそれもこれも脳みその構造がどっか変な瑞希が悪いのだ。そうなのだ。
>「そ…それがいいと思います、えぇ、はい」
唯一常識人・牧街もMACなどというおおよそ全滅でもするか
世界的な規模でハンバーガーの販売でもしそうなネタを晒しつつ未だ腑に落ちぬ様子で頷いた。
いや、この場合腑に落ちる方がどうかしている。
数分の移動時間を経て場所はカフェの冥土喫茶。
テーブルに着くと早速牧街はコーヒーを注文した。
一方瑞希は未だメニューで顔を隠すようにじいっと文面を見つめている。
>「えーと…さっきの話しだけどまずその、アレだ、どこから来た…と言う設定になってますか?あ、いやその、あんまり、ね、一般的な思考ができてない方だからちょっち遠くから来たのかな何てその…」
設定、の部分で瑞希の頭の上に疑問符が浮かぶが、さして気にする様子もなく流した。
「北海道です。人も通わぬ山奥に家があったゆえ通学が不便でしたね
幼少の頃よりそこで父が師となりGSとなるべく精神・肉体をひたすらに練磨しておりました」
とにかく少し常識が欠けてはいるものの地球外生命体でないのは確かである。
まあこれもそれも修練優先で学校にあまり通わなかったり
父が俗世に疎かったり、家にテレビがなかったりしたのが原因なのだが。
そしてその父があまりに人間離れしているため瑞希が力加減を忘れる一因になってたりするが、まあおいておく。
「それで、あの」
やがて瑞希はおずおずといった調子で声をあげた。
「この……パフェというのは一体どのような食べ物なのでしょう?今まで見たこともないので……」
無表情な顔を珍しく気恥ずかしそうにして。
やはり常識というか形容できない何かが都合よく欠落している。
【
>>12-13感謝感激雨あられ!】
【しかしログは所持していないゆえお役に立てそうにありません、面目ない……】
>11
>16
>「遂に俺に愛想をつかしたんですかカフェさん!待ってカフェさん!トレカとか黒酢出して助けてカフェさ…」
「おおそうじゃ! 妾はこういう時は後先考えずに助けに入るキャラじゃった!」
今後に備えて、トレカとか黒酢を復習しておく必要がありそうだ。
場面は、カフェ家の喫茶店に移る。
>「えーと…さっきの話しだけどまずその、アレだ、どこから来た…と言う設定になってますか?
>あ、いやその、あんまり、ね、一般的な思考ができてない方だからちょっち遠くから来たのかな何てその…」
「なるほど、隣り合わせにして手の届かぬ世界、果てしなく遠く、限りなく近い場所――という類か」
そっち方面の答えを期待してワクテカするカフェだったが――
>「北海道です。人も通わぬ山奥に家があったゆえ通学が不便でしたね
>幼少の頃よりそこで父が師となりGSとなるべく精神・肉体をひたすらに練磨しておりました」
普通に日本人だった。明らかに、李珠とは違う人種のようだ。
そのGSとしてのガチっぷりに、カフェは思わず感嘆の声を漏らす
「幼少のころから鍛錬か・・・偉いのう」
>「それで、あの」
>「この……パフェというのは一体どのような食べ物なのでしょう?今まで見たこともないので……」
「パーフェクトの略。アイスにクリーム、フルーツにコーンフレーク。全てが一度に楽しめる究極のデザートじゃ。
更に! この喫茶店では独自の趣向を凝らし、ラーメンスナックも入っておる」
カフェが解説していると、ささっとオカマのような店員が寄って来た。
「美味しくなる呪文をかけてあげましょう。ドドスコスコスコドドスコスコスコドドスコスコスコラブ注入☆」
店員は、奇妙な踊りを踊りながら、パフェにラブを注入している。
「さあ皆さんご一緒に」
酷い無茶振りである。全くもって、ありがた迷惑なサービスだ。
「母上め、今度はこんな趣向を凝らしよったか・・・」
瑞希の説明を聞いた牧街はしばらく考えた後、大きなため息をついた
(世の中にはろっくでもないオヤジがいるもんだなぁ…)
そんな霊と戦う事ばかり強い人間作っても人間同士のコミュニケーションがまともにできないようでは基本的に個人経営のこの業界でやっていけるわけがない
客を相手にあんな事すりゃ一発で客の信頼は失われ二度と来てもらえなくなるだろう
(昔堅気のオヤジに育てられて可哀想に、カフェさん共々俺のピンチの時に呼んで仕事を分けてあげよう)
「まぁ、最初の内は仕事も来ないだろうから俺の方から仕事を手伝って欲しいと要請すっかもしれないのでその時はよろしくお願いします
あ、連絡先を…」
牧街は新しいカプセル怪獣を手に入れんとしていた
突如現れる変なオカマに牧街は頭を抱える
(あーのおばはんは家計が火の車だっつってたのに何雇ってんだよ)
「あの…瑞希さん、こういうのは普通の店では無いですから、真似したら駄目ですよ、と言うかこれは忘れましょう、えぇ」
一応瑞希にフォローを入れる牧街
【ネタがつきてきたのでもうこのまま日常編やめて次の悪霊と戦い始めませんか?】
>「幼少のころから鍛錬か・・・偉いのう」
>「まぁ、最初の内は仕事も来ないだろうから俺の方から仕事を手伝って欲しいと要請すっかもしれないのでその時はよろしくお願いします
あ、連絡先を…」
「そういえば牧街さん達はGSでしたね。失念していました、連絡先はこの名刺に……」
前スレのログがないので確認できないがGSだってこと知ってたっけ?やや、マジで思い出せない。
ま、まあ多分冥土喫茶内でそういう一幕があったのだろう。なんだか知らんがとにかくよし!
中の人は適当な人間なのでこの程度別に仔細なしである。
カプセル怪獣が増えるよ!やったね牧ちゃん!
>「パーフェクトの略。アイスにクリーム、フルーツにコーンフレーク。全てが一度に楽しめる究極のデザートじゃ。
>更に! この喫茶店では独自の趣向を凝らし、ラーメンスナックも入っておる」
カフェの説明によるとつまりはそういうことであり、瑞希の中でパフェ=究極のデザート
トッピングにラーメンスナックというイメージになった。
余談ではあるが似たデザートにサンデーがある。果てしなくどうでもいい。
>「美味しくなる呪文をかけてあげましょう。ドドスコスコスコドドスコスコスコドドスコスコスコラブ注入☆」
と、カフェのやや説得力に欠ける解説の中オカマの店員が現れ奇妙な踊りを披露しながら愛を注入してくれた。
プライスレスだがそっち方面には既に若林がいるし少々キャラ被りしている気がしないでもない。
>「さあ皆さんご一緒に」
>「あの…瑞希さん、こういうのは普通の店では無いですから、真似したら駄目ですよ、と言うかこれは忘れましょう、えぇ」
>「母上め、今度はこんな趣向を凝らしよったか・・・」
冥土しんごの無茶ぶりに牧街は顔を露骨に歪め、カフェですら呆れ顔である。
二人がこんな調子なのだから瑞希はとうの昔に考えるのをやめて心の中でお経を唱えた。
「このような状況下に於いてどういった対応を取ればいいのか……都会は不思議です」
無表情であることに変わりはなかったが、どこか困った様子でもある。
こうして瑞希は都会を学びながらパフェのアイスを一口含んだ瞬間。
「……甘い」
糖度の高い食べ物はほとんど食さないため未知の領域であった。ちょっと感動した。
勿論周囲にはそんなものを気取られないほどの無表情であったが。
そして他愛ない談笑が少しだけ続き、お昼時が終わろうとした頃。
「今日はありがとうございました。牧街さん。カフェさん。
何かあれば名刺に記載されている電話番号へお掛けください。いつでもお力添えしますゆえ」
代金を支払い、ぴっと敬礼する。
そして言葉を言い残し───押したドアをうっかり粉々に破砕して店を出たのであった。
【夜まで行って終わりでしたっけ?んじゃ瑞希はこのまま家帰ったってことで】
【導入文で既にネタが尽きていた自分に隙はなかったっ】
>18-19
>「このような状況下に於いてどういった対応を取ればいいのか……都会は不思議です」
はじめての都会体験の瑞希には、カフェ家の喫茶店は刺激が強すぎたようだ。
>「あの…瑞希さん、こういうのは普通の店では無いですから、真似したら駄目ですよ、と言うかこれは忘れましょう、えぇ」
「うむ。
店員がメイド服を着ていたり特殊な趣向を凝らした店はこの辺りにはよくあるが
うちはその中でも特殊じゃからの」
>「……甘い」
「美味しかろう、うちの父母が研究を重ねて丹精込めて作っておるからな」
無表情ながらもどことなく嬉しそうな瑞希を見て、カフェは上機嫌だ。
>「今日はありがとうございました。牧街さん。カフェさん。
何かあれば名刺に記載されている電話番号へお掛けください。いつでもお力添えしますゆえ」
「うむ、かたじけない。瑞希殿こそGSを始めたばかりで大変であろう。
いつでも頼ってくるんじゃぞ」
こうしてほのぼのとした雰囲気のまま日常編が終わろうとしたその時!
パリーン!
「キャーーーーーーーーー!!」
ドアが粉々に砕け散り、カフェの母親の悲鳴が響き渡りましたとさ。
【>18 賛成です。一旦区切ってもこのまま移行でもどっちでも出来そうですね】
一日が終わり…
平穏無事…と言う分ではないが、とりあえず家に帰ってこれた牧街は、今日も色々あったなぁと夕飯の仕度をし、晩飯を食い、風呂に入った後布団に入る
さぁて明日から仕事だなぁ、などと思いつつ
…こいつは既に今日仕事をサボった事も、今日一日布団の中に篭るつもりでいた事もすっかり忘れている
と言うか最早、今朝まで不意に沸いて来ていた過去の忌まわしい記憶はなりを潜め、牧街の精神は平時まで回復していた
全ては新たなカプセル怪獣、瑞希の登場のインパクトによって上書きされたのである
平和な日常は過ぎ去り…翌日からまた、悪霊との命懸けのバトルが始まる
頑張れ牧街、負けるなカフェ!地球を守れ、EDF!
次回につづく
【はい皆様ありがとうございましたー!日常編完結です
いや思ったよりネタが続かんと言うか何と言うか…
次のシナリオお2人のどちらかが考えますか?
それとも、俺が作りましょうか?
それならお2人とも新規だしいきなりテロ魔族編ラストやるのもアレですからまたテキトーな悪霊が出てきてそいつとのバトルの話しになると思いますが】
皆様お疲れ様でしたっ!
いやーよくよく考えるとキャラ変えて速攻日常編ってのも色々とおかしいですね自分
それにまともにネタふれなくて反省。どちくしょう遺憾ですっ
自分はウケミンにおいても頂点に立つPLゆえシナリオ主導はできそうにないです、申し訳ありません
こうして、カフェの日常らしからぬ日常編は終わった。
新たなカプセル怪獣仲間(?)を加え、再び悪霊との戦いが始まる!
【ありがとうございました!
次のシナリオについては瑞希さんに同じくっ。今回は牧街さんにお願いしたいと思います】
「幻のコンビニ、っと言うと、えぇっと…例の峠に出るというアレですか?」
「そうです…」
その日、牧街の事務所に一件の人探しの依頼が届いていた
ショートカットに小柄、肌が白く、顔立ちのいい依頼者からの依頼、それは行方不明の兄を探して欲しいという物で
問題の兄はトラックの運転手で、無線で「コンビニが迫ってくる!」と言う断末魔を残して、行方がわからなくなっているらしい
当然警察が捜査をしているが、依頼者の兄のトラックが道端で事故にあっているのを見つけただけで、死体も見つかっていないという
そして兄が行方不明になった「白の巣峠」は昔から行方不明者が続出し、又、「深夜に突然現れる謎のコンビニ」が話題になっていた
警察は激務に狂った兄が行方不明になったのだろうとまともに相手をしてくれず、オカルトGメンすらも「白の巣峠だから…」と半ば諦めている風で、頼りにならない
そこで怪奇現象に対抗すべく個人経営のゴーストスイーパーに依頼をした、と言うわけなのだ
「真面目なおにいちゃんはきっと…きっと悪霊に捕まっているんです。お願いします牧街さん!お兄ちゃんを助けて!」
「わかりました…。えぇ、ただ…」
断る理由は無い、のだが、牧街は困った
実はこの幻のコンビニ事件、恐山師範をはじめ、多くのGSが調査し、その度に行方不明者を見つけられなかった、筋金入りの難事件なのだ
「難しいのはわかってます…けど…けどお兄ちゃんを思うと…お願いします!どうか!どうか!」
言ってしくしくと泣き出す依頼者
かわいらしいと美しいの中間の様な依頼者のその動作に、牧街は惜しいなあとため息をついた
(これで女の子ならモッテモテだったろうに…)
そう、今回の依頼者は男の娘と書くにふさわしい美少年
カフェならたまらないところだが、牧街には通用しない
メロメローンになって無理難題に挑む程牧街は分別が無くないのだ
「とりあえず、仲間のGSにも声をかけて、明日から捜索を開始します。えぇ、ただ、期待はしないで下さい。その代り依頼料はお兄さんが見つかった時で結構ですから、えぇ」
「ありがとうございます、牧街さん…」
くすんと涙ぐんだままの依頼者から行方不明の兄の写真を受け取り、依頼者と別れて牧街はため息一つ
ふと、依頼者の兄の写真に目をやれば…
「タマタマは置いてくるべきだったろうに…」
トラックの運転手に似合わぬやはり女性と見まがう美青年
「まぁ、助けますけどね、えぇ」
惜しいなあ惜しいなあと思いつつ、牧街は電話の受話器を取る
「ミクラス!頼むぞ!!」
牧街はとりあえずカフェに電話をかけた…が、留守電になってたためメッセージを残し、別のカプセル怪獣に電話を繋ぐ
「出ろ!アギラ!」
アギラと言うのは……桜井の事だ!!
が、ここも留守電…ありみちゃんもいないらしい
「…桜井さん、来れたらでいいんで、来て下さいね、お願いします」
入院してる桜井の中の人の無事を祈りつつ、受話器を置いて、最後のカプセル怪獣に電話を繋ぐ
「頼むぞ!ウィンダム!」
「この携帯電話は、電源が入っていないか、電波の届かないところに…」
「……タローさん、どこにいるんだ……」
もう何スレも前に分かれたタローに思いをはせつつ、牧街は受話器を置く
「はぁ……だーーーーれもいやしない、仕方無い、場所は言ってあるしボチボチ皆合流してくるだろう」
おい
「さて、それじゃいっちょ出っぱ…」
オイコラ!
「っるせーなナレーション!どーした!」
忘れてる!一人忘れてる!
「あ?月夜田はカフェさんが連れてくるだろうに後誰が…あぁ!!」
慌てて受話器を取る牧街
「ゴード!!来てくれ!!」
知らない人は宇宙人15+怪獣35で検索してみよう
新たなカプセル怪獣に電話を繋ぐ牧街
ここで新キャラが出てきてこの電話を取ったら作者は画面の前で腹筋を破壊されるだろう
はたして、繋がるか!
人間のバイタリティとは本当に恐ろしい。
転校してから数日、瑞希はクラスから当然浮いていた。
備品をぶっ壊すわ変なところで常識足りないわ諸々。
しかしそんな変人属性も三日もすれば目立たずクラス馴染みのものと化していたのだから。
そんなある日、瑞希が級友と下校していた際。
その着信音は突然鳴り響いた!
どんな着信音かは描写しない!だが敢えて覚悟完了、とだけ言わせて頂こうっ!
「はいもしもし。その腐った認識貴様に返す、GSの瑞希です。ご用件はなんでしょう」
抑揚のない淡々とした声で通話ボタンを押し応対。
相手は平日からセ○ンごっこしてる社会人即ち牧街モリオその人であった。
余談だが瑞希のキャッチコピーは複数ある。
牧街から協力を伝えられた仕事の内容とは──ずばり“白の巣峠”で行方不明になった男の娘兄の捜索。
一見すれば事が複雑すぎてよくわからない……というような内容ではない。
しかし牧街曰く難事件であり、ようは迷宮入りしている物件らしいがそんなものは瑞希に関係ない。
何もせぬまま終わらせてしまうことこそが瑞希にとって最も恥とすることだからだ。
「青木さん、白の巣峠はどちらにあるのですか?
“仕事”で行く事になったのですが、場所が分からないのです」
携帯を閉じると無表情に下校を共にしていた青木さんに向き直る。
「え?もしかして『幻のコンビニ』?危ないよ〜〜……やめといた方がいいよ……
学校でも近づかないようにって言われたことあるし……誰も解決したことないんだって」
不安げな表情で瑞希を見つめぐいと袖を掴む。
転校生の瑞希には知らぬことだが、一流所の恐山師範をはじめとする各GSが挑んでも解決できないほどの事件だ。
学生の安全を考慮して注意が為されているのは当然であり、青木さんが心配するのもまた必然である。
「仔細ありません、我が身は牙なき人の剣ですから。丈夫さには自身がありますゆえ」
しかしそんな心配をぴしゃりと跳ね除けるように、瑞希は事も無げに言い放つのだった。
白の巣峠に一足早く着いた瑞希は集合場所の事故現場に一人ぽつんと立っていた。
車道には事故の痕跡が未だくっきりと残っている。
そうしている暇な時間を過ごす中、瑞希に天啓の如き圧倒的閃きが走った。
(────分かりました、犯人はヤスですね。)
【誰が黄金獣神やねん。白の巣峠に一足早くいます、犯人はヤス】
>25
カフェは、牧街から電話が入ったその時、喫茶店の片隅で、怪しい遊びの真っ最中だった。
「密林の中を3日3晩彷徨い、そなた達が絶望したその時――」
「その時何でござるか!?」
「密林の中にL○WSONがあったのじゃ。それはまるで後光がさしているようであった……。
コンビニから声が聞こえてきた。
『私は時空の狭間に存在し、本当に私を必要とする人の前に現れるコンビニの神――』」
「『嗚呼、古くから村に伝わる言い伝えは本当だったでござる!』」
要するに実も蓋も無く言ってしまうと、町内のTRPGサークルである。
クライマックスで盛り上がりは最高潮、電話に気付くはずも無く――
カフェが留守電に気付いたのは、大きいお友達の皆が帰ってからの事であった。
「男の娘弟が男の娘兄を探しているじゃと!? すぐに行かねば!
みこと殿も誘ってみるかの」
みことの携帯に留守電を残し、猫バスをチャーターして白の巣峠に向かう。
コンビニ一つ無さそうな田舎だ。これならコンビニの神も出て来たくなるかもしれない。
「工アリスは死ぬ、猿の惑星は地王求、小吾空はサイヤ人、そして――」
とめどなく降りてくる天啓を呟きながら、猫バスが事故当時を再現する。
「コンビニが迫ってくる!」
猫バスは、キキィ―ッと前足を突っ張って急ブレーキをかけた。
幻のコンビニが迫ってきたから……ではなく、瑞希が迫ってきたからだ。
もちろん実際には瑞希は事故現場で佇んでいただけで、迫っていったのはこっちである。
「瑞希殿、いちはやく現場に着いておるとは素晴らしいぞ!
そのやりきった顔……もしやもう犯人が分かったのか?」
カフェ等2人が何か暴走した結論に達していた頃
牧街は酷く重い表情で白の巣峠目指して車を運転していた
顔には諦めの色が浮かび、ため息を何度もつき、信号につかまるたびに引き返そうかと何度も迷う
絶対にこの事件は解決できない
牧街は完全に諦めていた
出発前、牧街は恐山師範がどの様に幻のコンビニを探したか、当事の資料や参加したGSに聞くなどで調べて来ていた
ここの所牧街はカフェの無謀な突撃に影響され、今まで面倒くさがっていた資料あさりや情報集をしっかりとやっている
それは自分がしっかりしていないとパーティーが全滅するという自覚が牧街に目覚めた大変良い兆候なのだが、それはさておき
その調べた情報で、牧街はたった数名のGSで幻のコンビニを発見する事が如何に無謀かを思い知ったのである
で、情報探しのために牧街は遅くなり、誘った癖に一番最後に現場に到着したわけである
周囲はもう薄暗くなり(といっても薄暗くなる頃の時間に集まるように指示したわけだが)、集合場所の事故現場に到着すると、牧街は車を路上にとめ、2人に近づいていく
路上駐車は本来良くないが、白の巣峠は滅多に車が通る所ではないし、他に車を止めるところも無い、警察の監視員がいるわけでもない
お天道様も人道的な捜索活動のためならば見逃してくれるだろう
「遅くなり…なんですか2人してやたらやり遂げた顔して…」
まさかこの2人が妙な電波を受信し、李珠も真っ青な結論に達して既に依頼達成した気でいるなどと想像もつかない牧街は、とりあえず気を取り直し、2人に資料を手渡す
「これ、家の道場が調べた白の巣峠の行方不明事件のこれまでの情報です」
資料の中身は以下の通りだ
白の巣峠
総行方不明者数:平成元年の最初の事件から16件
事件の特徴:行方不明者は老若男女問わず、事故車だけを残し。人間が消失する、行方不明者は必ず一人で車に乗っている。目撃者は一切無し
携帯の普及以降、「コンビニに襲われている」「コンビニが立っている」「コンビニが迫ってくる」と言う110番通報や無線通信を最後に消える事が常になった
調査方法:恐山流除霊道場隊員35名がダウジングとフーチを使い白の巣峠全体を捜索、又、上空からヘリでも捜索するも妖怪も異次元の魔窟も、また一切の霊的な反応も捉えられなかった
それ以前に警察が200人体制で白の巣峠を徹底的に捜索しており、人海戦術では行方不明者の発見は絶対に不可能だと考えられ、根本的な謎のコンビニの正体と消失の方法の解明が必要である
他に有名な占い師やサイコメトラーが調査したらしいが、彼等ですら「何も見えない」と言っており、もし妖怪の仕業であるとするならば、恐ろしく知能の高い輩である事は間違いない
「…ちらちらーっとその辺を探して帰る方向でいきましょう、ね?」
資料から妖怪の恐ろしさをまざまざと見せ付けられていた牧街は、2人にかわいた笑いを浮かべながら腰抜けな提案をした
カフェと牧街が集合場所に到着し、ようやく捜索の最低人数が揃った。
ただ犯人がヤスである以上捜索の必要はないのかも知れない。いや、マジで。
いやもしかしたら山本太郎もといマツかも知れない。そう犯人はマツだったのだ!
>「これ、家の道場が調べた白の巣峠の行方不明事件のこれまでの情報です」
といって早速牧街がごそごそと資料を瑞希とカフェに手渡す。
協力を要請した側だけあってそこらはきっちりしていることに瑞希はそこそこ関心した。
「……つまり、私達が考えつくような捜索は既にやり尽くされているわけですね」
資料を一通り読み終えると瑞希はぼそりと一言呟いた。
これだけ大規模に行われても幽霊や妖怪の影一つ見当たらないあたり考えられる可能性は二つ。
一つは霊的な事件ではなく人の起こした事件。
そしてもう一つは牧街ら三流GSでは手に負えないほどの妖怪や悪霊の起こした事件、ということである。
>「…ちらちらーっとその辺を探して帰る方向でいきましょう、ね?」
やる気がないのかビビッてるのか判然としない態度の牧街。
そんな臆病風に吹かれた牧街に、瑞希は表情をそれと分からないまでにむっとさせた。
理由はどうあれ適当に済ませてしまうのは瑞希の性分ではないし快くも思わないのだ。
「……では、折角車があるので被害者と同じ状況を再現してみるのはどうでしょう」
そして瑞希はある提案を出した。
「被害者は全員“一人で車に乗っているときに行方不明になる”のですよね?
私達の誰か一人が白の巣峠を車で徘徊すれば幻のコンビニに遭遇できるかも知れません」
虎穴にいらずんば孤児を得ず。
それが運良く起こってくれるかは分からないし、生命の保障があるとは限りませんがと付け加えて。
電波を受信させていたわりにはそこそこ真面目に考えていたようである。
「ただ、もし実行するなら私は未成年な上に無免許ゆえ
牧街さんかカフェさんのどちらかにやって頂くことになりますが」
こーいう場合一番生存確率の高い人間、すなわちくそ頑丈な瑞希がやるべきなのだろう、が……
生憎未成年だった!残念。いや全くもって遺憾である。
まあそもそもこの提案が通るかはカフェの同意と牧街のヘタレ具合にかかっているわけだが。
【誰かが一人で牧街さんの車運転して幻のコンビニが出現するか試そうぜ!という提案】
>28-29
カフェと瑞希が犯人はヤス、もしくは山本太郎もといマツ、という結論に達した頃――
我らの牧街が到着した。
>「遅くなり…なんですか2人してやたらやり遂げた顔して…」
「何じゃ? 浮かない顔をしておるのう」
やり遂げたような顔の二人とは対照的に、牧街は諦めたような顔をしている。
>「これ、家の道場が調べた白の巣峠の行方不明事件のこれまでの情報です」
牧街が持ってきた情報を見て、自らの推理を披露するカフェ。
「ふむふむ、きゃっつらも相手を選ぶのかもしれん。
力が無さそうな一般人の前だけを狙って、見るからに気合の入った捜索陣の前には現れんのかもしれぬ」
>「……では、折角車があるので被害者と同じ状況を再現してみるのはどうでしょう」
「うむ、やってみる価値はあるの。
妾も宣告猫バスで試してみたのだが猫バスだと恐れをなして出て来ないのかもしれぬ」
>「ただ、もし実行するなら私は未成年な上に無免許ゆえ
牧街さんかカフェさんのどちらかにやって頂くことになりますが」
「うむ、一つ問題があるとすれば妾はペーパードライバーじゃが……
人も対向車も出て来ない山道なら問題なかろう」
カフェは乗り気だが、大事な車をぶつけられては大変と、牧街が猛反対しそうな気もする。
「お…俺は反対…っとはいきませんよねぇ…」
瑞希の提案に、牧街は恐々反対の意思を示す
「いや…だって相手は少なくともコンビニ位のサイズの巨大な妖怪か何かって事ですよ?
三人がかりでもどうかわからんのにたった一人ってのは…えぇ…はい」
瑞希が怖いので視線を合わせないように合わせないようにしながら頑張って自分の意見を言う
しかし、人の意見に反対したのだから、自分が代わりの意見を言わなければ、捜査は進展しない
とりあえずその辺探しましたでは必ず見つからないし、何より目の前のクソ真面目で馬鹿力の女が納得してくれないだろう
折角の新しい、カプセル怪獣、早々に仲がこじれるのは避けたい
「えーっと…そうだなぁ…」
何とか代わりの作戦を考えようと牧街は頭を抱えだす
まず普通こういった捜索活動はどうやって行うだろう
警察犬とか使う?
ネコ達に代用が効きそうだが、んなもん警察がやったに違いない
聞き込み?
いや…誰に?
生きた人間でこの事件の目撃者何ていない
んじゃ霊に聞くか?
いや、自縛霊ってのはほとんどの場合考える力を失ってる(いつかの噛まれただけで何故か仲間になった変な手は特殊な例なのだろう)、聞き込みなんてできる分が無い
その前にこの辺に霊何て…
……待てよ
霊?
何か引っかかるな…
行方不明者
目撃者
霊…
…そうか
「霊がいない…」
しばらく考えていた牧街は、おもむろにボソリと呟いた
「ここで被害者が殺されているなら…何で被害者の霊がここにいないんだろう…」
そうだ
死んだのならば、成仏していない限り霊魂がいていいはずである
その霊魂すらこの場に無いという事は…
「被害者は生きてる…いや…成仏した?」
いや、生きているかはわからないが、殺されているなら成仏しているのはおかしい
皆この世に未練のありそうな人達だからだ
「……じゃあ…」
そこまで考えて、牧街は瑞希とカフェの手を取り、車に引っ張り込む
「帰りましょう!!」
断固とした調子で、牧街は2人に言う
「今回の事件は…ヤバ過ぎます!多分妖怪だ!妖怪が被害者を殺して魂を痕跡も残さず吸収してるんです!
迂闊に戦っていい相手じゃない!すぐここから逃げましょう!」
そう言って牧街は有無を言わさず車を発進させんとする
【ちと急用できたので自分のターンは飛ばしてください……申し訳ありません】
【>32 了解です、無理しないでくださいね】
>31
牧街が、周辺に霊がいない事に気付く。
そこから、恐るべきヘタレパワーによる推理が発展し、一つの結論を導き出す。
>「帰りましょう!!」
「む? 生きているか成仏したかであれば地縛霊になるよりはいいではないのか?
成仏しているとは考えにくい故……生きておる?」
>「今回の事件は…ヤバ過ぎます!多分妖怪だ!妖怪が被害者を殺して魂を痕跡も残さず吸収してるんです!
迂闊に戦っていい相手じゃない!すぐここから逃げましょう!」
「コンビニの中は竜宮城のような空間で、帰りたく無くなってしまったのかもしれぬ。
だとしたら早く救出せれば男の娘兄がお爺さんになってしまうぞ!」
止める間もなく牧街は車に乗り込み、車を発進させる。
「行ってしもうた。逃がしはせんぞ! 瑞希殿、乗るのじゃ!」
カフェは即座に猫バスに乗り込み、運転手に命じて発進させる。
「運転手、発車じゃ!」
「ラジャー、今すぐ飛び越えて立ちはだかれますけどどうします?」
「うむ、頼む……いや待て、今しばらく様子を見るのじゃ」
偶然にも、瑞希が提案したように、牧街が一人で車を運転しているという状況になっている。
このまま後を付けていれば、もし万が一何か異変が起こればバッチリ目撃できる構図だ。
立ちはだかって止めるのは、何も起こらない事を確認してからでも遅くないと思ったのだ。
「あれ?カフェさん達がいない…」
おかしいな、引っ張り込んだはずなのに…と小首を傾げる牧街
牧街はヘタレだが、仲間を見捨てるほど冷酷で自分勝手ではない
瑞希とカフェを連れてとりあえず白の巣峠から出て、その後妖怪の正体を考えようと思っていたのだが
カフェが変わり身の術でも使ったのだろうか、誰も後ろには乗っていなかった
どうもこう、乗せたと思って手を離したときに逃げられたようである
「まぁーーーたあの人は…しょうがない一回戻って…」
仕方なく牧街がUターンしようとした、その時…
「嘘……だろ…」
牧街は目を疑った
一瞬にしてぐぐっと妖気が高まったかと思ったら、なんとコンビニが…幻のコンビニが出現したのだ!!
そして…
あろう事かコンビ二はあろう事かカフェ等の乗る猫バスの前に現れ、ネコバスに襲い掛かっていたのだ
「おわあああああああああああああと…当バスは現在妖怪の攻撃を受けております!皆さましっかり手すりにおつかまりください」
「ギニャアアアアアアアアアアアアア」
まるで床に散らばった埃が一箇所にまとまるように小さな「何か」が合体して出現したコンビ二は、店内から白い糸の様な物を伸ばしてネコバスを縛りつけ、店の入口へずるずると引っ張り込もうとしてくる
店の自動ドアの向こうは巨大な牙の生え揃った口になっていて、ネコバスでも簡単に食いちぎってしまいそうだ!
ネコバスは必死で逃げようともがくが、幻のコンビニから糸が次々伸びてきて、ネコバスをぐるぐる巻きにしはじめ、ネコバスはどんどん身動きが取れなくなっていく
幻のコンビニ、それは牧街の予想通り、襲った相手を幽体まで喰ってしまう恐ろしい妖怪だったのだ
しかし、そんな恐ろしく、そして巨大な妖怪が何故警察やGS達の目をかいくぐれたのか
そして何より何故牧街では無くカフェ等の前に現れたのか?
と言うか何故コンビニの姿をしているのか?
他の二つはわからないが、何故カフェ等の前に現れたのかは大体想像がつく
猫バスが妖怪であるからだ
幻のコンビには自分のテリトリーにネコバスと言うほかの妖怪が入って来た事が気に食わず、攻撃を仕掛けてきたのだ!
【>瑞希さん
いけそうですかー? それとももう1ターン飛ばした方がいいかな?】
「………牧街さんがUターンしましたね。何事でしょう」
カフェの妖怪バスの中で瑞希は抑揚のない声で呟く。
こんな猫バスを行使できるってカフェは結構凄いんじゃないのだろうか。
しかしそんな呑気な雰囲気も、急上昇した妖気に掻き消され。
「────あれが、幻のコンビニ………!」
欠片のようなものが少しずつ。舞うようにそこに集約され。
進行方向にうっすら怪しく光るコンビニが、突如として出現したのだ!
そして状況からみればこのままコンビニは牧街を攻撃するのだろう。
……と思っていたが、違った。
>「おわあああああああああああああと…当バスは現在妖怪の攻撃を受けております!皆さましっかり手すりにおつかまりください」
>「ギニャアアアアアアアアアアアアア」
「理解しました。コンビニが妖怪だという牧街さんの推理が正しいならば
いわばこの妖怪猫バスは敵の縄張りへ足を踏み込んだ侵略者です。しからば攻撃されるのは必然でしょう」
手すりにしがみついて瑞希はあくまでも冷静である。
焦りや不安、怒りといった感情は仕事において邪魔でしかない。
その手の精神訓練はしっかり修行の中で施されているのだ。
「店の自動ドアに鋭利な牙確認。あれで食いちぎるはらでしょう」
このままでは糸による拘束で引き摺られあの鋭利な牙で切断、咀嚼される未来が現実のものとなってしまう。
猫バスも必死で抵抗しているが糸はますます絡みつくばかりで時間の問題でしかなかった。
「このまま呑気にことを構えている余裕はなさそうですね」
バスから飛び出したかと思うと、瑞希は黒い手袋を両手に着け靴の踵で地面を軽く二度蹴る。
手袋と靴には霊力を流せるように施されており、これで瑞希は悪霊に対して格闘を行うのだ。
「これが霊的防衛術の力ですっ!」
叫んだ直後瑞希は手頃な太さの糸の一部を力任せに引き千切り、コンビニの逆方向へ引っ張りはじめたのだ!
驚いたことに防衛“術”云々一切関係ない!単なる馬鹿力である!!
なにより恐ろしいのはその馬鹿力で僅かながらも着実に猫バスを引っ張っていることだろう!
「私が時間を稼ぐので今の内に牧街さんを呼んでなんとかしてください」
とはいえ相手は強力な妖怪だ。時間稼ぎにはなっても所詮それまで。
とどのつまり“でもそれって根本的解決になってないですよね?”っつーことなのだ。
【猫バス引っ張って食いちぎられないようにする。でも時間稼ぎ】
>34
>36
カフェたちは見た、小さな何物かが合体し、幻のコンビニが出現する奇跡の光景を!
>「────あれが、幻のコンビニ………!」
「こうして我々は、半年間の取材旅行の果て、探し求めた幻のコンビニを遂に捕えたのじゃ……!」
と、呑気にドキュメント番組風のコメントをしているカフェだったが、次の瞬間、コンビニが取材陣に襲い掛かってきた。
忘れてはならない、ここは弱肉強食の野生の王国なのだ!
>「理解しました。コンビニが妖怪だという牧街さんの推理が正しいならば
いわばこの妖怪猫バスは敵の縄張りへ足を踏み込んだ侵略者です。しからば攻撃されるのは必然でしょう」
「なぜに落ちついとんじゃ!」
と、突っ込むか突っ込まないかのうちに、瑞希は猫バスの外に飛び出し、綱引きのように猫バスを引っ張り始めた。
「すごいぞ! そんな霊的防衛術は初めて見た。妾も負けてはおれん。
特殊破邪札――【タケノコ】!」
カフェも猫バスから飛び出し、腕を一閃。トレカのような破邪札をコンビニの口の中に投げ入れる。
口の中でタケノコが急成長し、一束の竹となり、つっかえ棒と化す。
それを見届ける間もなく、カフェは牧街の元へと走っていた。
「牧街殿、猫バスと綱引きしている今、あやつは方向転換出来ん。
後ろから攻撃してみようぞ!」
そう言いながら、自分も攻撃用の破邪札を構える。
猫バスが拘束されている事を逆手に取った作戦である。
瑞希とカフェの応戦に、動きが鈍る幻のコンビニ
引き返していた牧街も到着し、そこにカフェが駆けて来る
>「牧街殿、猫バスと綱引きしている今、あやつは方向転換出来ん。
後ろから攻撃してみようぞ!」
「わかりました!同時攻撃で一気にカタをつけましょう!!」
そう言ってバッと20万円の破邪札を3枚取り出す牧街
「南無!!」
カフェと共に破邪札を投げつけ、2人の破邪札の爆裂が幻のコンビニに命中する
「ギャアアアアアアアアアアアアアアア」
悲鳴を上げる幻のコンビニ
後ろの外壁がボロボロと脆く崩れ、コンビニの中があらわになる
コンビニの中、そこは…真っ暗く、何も見えない
いや、暗いのではない!
「黒い何か」がぎっしり詰まっているのだ
そして更に、信じられないことが起こる
たった今2人の攻撃で消し飛んだコンビニの外壁、その外壁があっという間にもぞもぞと再生し始めたのだ
「セブンツーワン…恐るべし…」
その光景に思わずボソリと呟く牧街
言われてみてみると、幻のコンビ二はコンビニ業界のNo1メーカー、「セブンツーワン」の看板を掲げている
何かこの辺りにも事件を解決する鍵がありそうだが、今は悪霊退治が最優先だ
「さ…再攻撃しましょう!再生しきる前に完全に吹き飛ばすんだ!!」
そう言って牧街が再攻撃に入ろうとした、その時!
幻のコンビニの入口と、カフェと牧街によって開けられた穴から、お弁当、おにぎりやサンドイッチ、雑誌におかし、飲み物に、たばことセブンツーワンの商品たちが無数に飛び出し、牙の生え揃った口をあけて全員に襲い掛かってきた!!
「あぎゃああああああああああああああいてぇ!いててええええ」
突然沸いてきた商品群に頭や肩、太股に喰いつかれ、血を流して痛がる牧街
必死に振りほどこうともがくが、牙は深く食い込んで、肉を食いちぎらんとする
「ニギャアアアアアアアアアアアアアアア」
必死に逃げようとしていたネコバスも同様にかじりつかれ、悲鳴を上げて苦しむ
当然、コンビニと綱引きしていて無防備な瑞希や、牧街の隣のカフェにも弁当やおにぎりが襲い掛かっていく
「ふ…二人共!とても敵わないから糸だけ何とかして逃げましょう!」
必死に弁当やおにぎりに抵抗しながら叫ぶ牧街
えーっと…瑞希さんかカフェさん、いらっしゃいましたらお返事下さい
いますよー。
瑞希さんが来る来ないに拘らず今日の夜に書きますね。
>38
>「南無!!」
「にゃむ!!」
牧街とカフェの同時攻撃が炸裂する。
>「ギャアアアアアアアアアアアアアアア」
「効いたか!?」
が、外壁はすぐに再生し始める。二人が再攻撃しようとしたその時。
コンビニの商品群が襲い掛かってくる!
「あいたたたたた!! やめんか食いもんが食いつくでない!」
>「ふ…二人共!とても敵わないから糸だけ何とかして逃げましょう!」
「うむ!」
そう言ってみたものの、カフェは刃物のような武器を持っていない。
そこでとった方法は……。
「運転手! こっちに来るんじゃ! 刃のブーメランに化けい!!」
「へいお待ちー!」
猫バスの運転手を呼びつけ、この状況に最適な武器に化けるように言いつける。
猫バスの運転手も失業がかかっているので、怯えながらも素直に化けた。
「うりゃああああああああああ!!」「にゃあああああああああああ!!」
運転手が化けた刃付きのブーメランを、糸に向かってぶん投げる!
多少投げるのが下手でも、ブーメランが自動で調整してくれる安心設計である。
カフェの投げたブーメランは幸いにしてコンビニの糸を叩ききった
「さぁ!後は脇目も振らずに逃げましょう!!」
牧街はネコバスが自由になったのを確認すると、車に戻って文字通り脇目も振らずに逃走する
「はいはいフルスピードですっ飛ばすよ!」
「フニャアアアアアアアアアアア」
ネコバスも急発進し、あっという間に幻のコンビニを振り切る
残された幻のコンビ二は、再び出てきた時の逆の様にボロボロと無数の小さな何かに変わり、近くの森へ消えてしまった
車を飛ばし、逃走していた牧街は、後ろを何度も確認し、幻のコンビニがついてきていない事を確かめると、深い深いため息をつく
「な…何だったんだありゃ…」
一息ついて、ふと見ると、既に白の巣峠を脱出し、数件の民家が現れてくる
「丁度いい、電話を借りよう」
そう思った牧街は車を止めると、一件の民家の戸を叩いた
「はーい」
「すみません、ゴーストスイーパーです、お電話お借りしてもよろしいでしょうか?」
「え?すみません妙な除霊とかはちょっと…」
「あ、違うんです、俺、携帯もってなくて…」
「は?」
「ビンボで携帯持ってないんです」
今時携帯を持っていないなんて信じられない民家の住民を何とか説得した牧街は、電話を使ってカフェに連絡を取ろうと試みる
とりあえず合流して、それから警察に届けようという考えだ
>42
>「さぁ!後は脇目も振らずに逃げましょう!!」
「皆の衆、撤退じゃああああああ!!」
牧街は自分の車に飛び乗り、カフェと瑞奇は猫バスに乗り込む。
こうして彼らは無我霧中で逃げて逃げて逃げまくり……我に返ると、すでに白の巣峠を脱出していた。
「ここまでくればもう大丈夫じゃろう」
丁度目の前にコンビニ「セブンツーワン」があった。幻ではなく本物である。
カフェは猫バスから降り、コンビニに中に入っていく。
「店員殿、昔廃墟になったセブンツーワン等の噂を聞いたことはないか?」
と、店員に聞き込みを行っていたところ、電話がなった。
もちろん牧街からの電話である。
「おお、牧街殿。セブンツーワン白の巣街店の中におるぞ。
なーに、ビビるでない。本物のコンビニじゃ」
【>瑞希さん
3日たったので先に書かせてもらいました。時間が出来たらいつでも来てくださいね】
「あ、良かった、繋がった、カフェさん、今ど……カフェさん?もしもーし」
カフェが電話に出て喜んだのも束の間、電話はあっという間に切れてしまった
「?っかしいな」
「お兄さん、電話使用料10円」
「あ…えーっと…もう一回…」
「2回目からは100円になるよ」
「値段設定おかしくね!?」
住民にぼったくられつつ慌ててかけなおす牧街だったが、しかし電話はやっぱり繋がらない
しかも電波が届かないのではなく、話中で繋がらないのだ
「い…嫌な予感しかしない…」
受話器を握り締めながら、牧街は冷や汗を流した
『あぁ、カフェさん、良かった無事だったんですね』
その頃、カフェの携帯は何故か牧街に繋がったままの状態になっていた!?
『セブンツーワン白の巣峠店ですか…わかりました、今から向かいますからもう少し待ってくださいね』
そう言って、切れる電話
口調も声も間違いなく牧街、怪しいところは特にない
「廃墟になったコンビニ…ですか?」
カフェの話を聞いて、うーんっと考え込んでいた店長は、しかし何も思い当たる節がないようで、申し訳ありませんと首を横に振った
ちなみにこの店長もこのコンビ二もカフェの言うとおり正真正銘本物の人間と建物だ
「あ、ただ…」
はっと何かに思い当たったように、店長が顔を上げたその時
カフェの携帯に先ほどカフェの元にかかってきたのと同じ番号から電話がかかってきた
『あ、カフェさん、牧街です、今そっちに向かって走ってます、もうすぐつきますが…、ちょっと外に出てください』
なにやらカフェに誘いをかける牧街の声
言われるままに外に出ると、声は話を続ける
『そのコンビ二は危険です!悪霊の巣になってる可能性が高い!絶対に探索したりしないで下さい!いいですか!絶対に駄目ですよ!』
そう言って、牧街からの電話は切れてしまった
>44
>「あ、良かった、繋がった、カフェさん、今ど……」
プツッツーッツーッ
>『あぁ、カフェさん、良かった無事だったんですね』
通話が一瞬途切れたが、すぐに復旧する。
田舎のため、電波状態が悪いのだろうか、と思うカフェ。
>『セブンツーワン白の巣峠店ですか…わかりました、今から向かいますからもう少し待ってくださいね』
「うむ、待っておるぞ」
>「廃墟になったコンビニ…ですか?」「あ、ただ…」
店長が何かを思い出したようだった。
>『あ、カフェさん、牧街です、今そっちに向かって走ってます、もうすぐつきますが…、ちょっと外に出てください』
「すまぬ、後で聞こうぞ」
店長にそう声をかけ、店から出る。
>『そのコンビ二は危険です!悪霊の巣になってる可能性が高い!
絶対に探索したりしないで下さい!いいですか!絶対に駄目ですよ!』
カフェは店長の姿を思い起こした。あの店長は多分足があった。あったに違いない。
Uターンして店の中に戻り、店長の腕を引っ張って外に出そうとする。
「店長――ッ! このコンビニは悪霊の巣になっておるらしい! 急いで外に出るのじゃ!」
『なんですか突然! 霊感商法ならお断りですよ!』
店長に、塩を撒かれて塩まみれになって外に追い出された。
「店長め、人がせっかく忠告しとるのに追い出してきよった」
猫バスの中に座って牧街到着を待つことにする。
しばらくカフェが待っていると、とことこと牧街が道の向こうから歩いてきた
「やあカフェさん、無事そうでよかった」
妙に無表情な牧街はそう行ってカフェの手を取ると、店の裏口へと歩き出す
「俺が来たからにはもう安心です、共に妖怪の巣を一網打尽にしましょう。あ、あなたはここに残っていてください、万が一のための用心です」
瑞希にそう言ってネコバスと瑞希と運転手を残し、牧街はコンビニの裏口からコンビニの中にカフェと共に入っていこうとする
「悪霊に悟られるといけないから少人数で動きましょう。恐らくこの裏口から悪霊の巣に入れるはずです」
そう言って、おもむろにカフェの手を握る牧街
妙に手が冷たい
「中はどうなっているかわからない。手を繋いでいきましょう」
一方
「カーーーーフェーーーーさーーーん、もーーしーーもーーーし」
「はいそろそろ使用料300円いただきますよー」
「ギャーーーー」
「ただいまー、あれ?その人何?」
「ん?あぁ、何か電話貸してくれとか言って…」
「お父さんが帰ってくるような時間になってるよおい!カフェさんどこと話してんの!頼むから電話出て!マジで!」
本物の牧街は民家で必死にカフェに電話していた
探しに行こうという気はないらしい
しばらく待っていると、牧街がやってきた。あらゆる意味で、妙に積極的だ。
>「悪霊に悟られるといけないから少人数で動きましょう。恐らくこの裏口から悪霊の巣に入れるはずです」
いつもの牧街なら、行くなら出来るだけ大人数で行こうとしそうだ。
>「中はどうなっているかわからない。手を繋いでいきましょう」
牧街が自分から手をつないできた事も驚きだが、それ以上に手の冷たさに驚くカフェ。
「牧街殿、生きておるか!?」
ガチャッ。
「ああ、賞味期限切れがこんなに出てしまった……。
やっぱり発注減らそうかな……」
コンビニの裏口からブツブツ言いながら賞味期限切れの商品を抱えた店長が出て来た。
「――あっ」
目が合った。一瞬の間の後。
「霊感商法お断り! 一人で断られたからって二人で来たって無駄無駄無駄あ!」
店長によって、賞味期限切れの商品が次々と投げつけられる!
食べ物が襲い掛かってくるこの光景、まるでいつかのデジャヴュのようだ。
「この野郎何しやがる!!」
賞味期限切れ商品をぶつけられた牧街は突如怒り狂い、店長に殴りかかっていく
「げはっ!だ…誰か…助け!」
「死ね!」
炸裂した鉄拳に店長の前歯は折られ、血が噴出す
「邪魔だ!俺の邪魔をするなら容赦はしないぞ!!」
「あんた!何なんだ!」
うろたえる店長に、牧街は口から糸の様な物を吐きかけ、ぐるぐる巻きにしてしまう
「ぐええ…く…苦しい!!」
「はっはっはっはっは」
笑いながらカフェの方を振り向く牧街、その目の下には不気味な隈ができていて、いつの間にか靴の先がぴんと尖っている
「お前も喰らえ!!」
そう言って偽牧街はカフェ目掛けて糸を口から発射する
その頃…
僕等の牧街は晩御飯の仕度があるからと家を追い出され、一人とぼとぼと車を押していた
ガソリンを入れ忘れ、車が動かなくなってしまっていたのだ
>48
>「この野郎何しやがる!!」
この時点で、牧街が偽物だったことに気付いたカフェは、いち早く対応する。
「そなた、牧街殿ではないな……霊衣《黒酢》!!」
カフェの技の一つ、黒酢を自由に操るオーパーツの力を使った日曜朝的な変身。
ゴスロリの上に鎧が装着される。だからどうしたと言われればそれまでだが。
>「邪魔だ!俺の邪魔をするなら容赦はしないぞ!!」
>「あんた!何なんだ!」
「邪魔……? 一体何の邪魔だと言うのじゃ!」
偽牧街は、糸を吐いて店長をぐるぐる巻きにした。この糸はコンビニ妖怪と一緒だ。
イミテート能力を持つ妖怪なのだろうか。
>「お前も喰らえ!!」
「なんの、黒酢パワー!」
手から高圧水流ならぬ高圧黒酢流を発射し、糸を押し返す。
一度戻って瑞希を呼んできた方がいいのではないか、とも思ったが、その間に店長が殺されてしまいそうだ。
ふと、カフェはある事を思いだした。
偽牧街は、なぜかコンビニから出ろと指令を出していた。
コンビニの中にはこいつが入ってこれない何かがあるのではないか。
そう考えたカフェは、イチかバチかの行動に出た。
「ええい、立てこもりじゃあ!」
ぐるぐる巻きの店長を引っ張ってコンビニ内部に駆け込んだ。
カフェにコンビニに立て篭もられた偽牧街は、ちっと舌打ちをした。
「俺とした事が、つい正体を現してしまった…。だが、馬鹿な奴だ、自分から俺達の巣に入っていくなんてな…」
おお!何と言う事だ。
あろう事かこの悪霊、正直にアジトの位置を教えていたのである。
そう、警察や恐山流GSが必死に白の巣峠を捜索しても何も手がかりが無いのは当たり前、悪霊の本拠地はここ、白の巣峠の近くのコンビニにあったのだ。
自分が牧街に化けてカフェと一緒にアジトに入り、油断したところで不意打ちし、やっつけようとしていたのである。
そしてあの時コンビニから出ろと指示したのは、カフェがアジトに独力で気づき、アジトを破壊される事を恐れたのだ。
「ふっふっふ、飛んで火にいる夏の蟲…」
不気味に笑う牧街の声がコンビニの中に響き渡り、カフェ達の足元にわさわさと何かが張ってくる
「わああああああああああ!く…蜘蛛!?蜘蛛だああああああああああああああ」
店長が悲鳴を上げる。
そう、蜘蛛だ、無数の小さな蜘蛛の妖怪がコンビニの裏口にわらわら現れ、足元からのそのそとカフェと店長に這い上がってきたのだ。
何千匹という蜘蛛達はカフェの鎧に群がり、糸をぶっ掛けてカフェの体を繭の様にぐるぐるぐるぐるとあっという間に包んでいく。
「商品を使わせてもらうぞ、店長!」
コンビニに立てこもったカフェは、武器になりそうな物を物色する。
「ふっふっふ、飛んで火にいる夏の蟲…」
「すまぬ、店長……判断を誤ってしもうた」
イチかバチかのバチが当たってしまったようだ。このコンビニは普通に悪霊のアジトだった!
が、この場を切り抜ける事さえ出来れば、あとはこのコンビニを破壊すれば事件を解決出来るという事だ。
>「わああああああああああ!く…蜘蛛!?蜘蛛だああああああああああああああ」
「嫌じゃああああああああああああ!!」
カフェは悲鳴をあげながら、糸にぐるぐる巻きにされていく。
万事休す、と思われたその時。カフェが糸の拘束からするりと抜ける。
霊衣を自ら解除する事によって、糸から抜け出したのだ。
「これでも食らええ! アースレッドおおおおお!」
そして手に取ったのは、殺虫スプレー。
店長と足元の床に盛大にぶっかけながら、店長を引きずりつつじりじりと表出口の方へ移動していく。
表口にたどり着くカフェ。
しかし、出入り口のドアは押しても引いてもビクともしない。
見れば、蝶番のところが糸の様な物でガチガチに固められている。
更に蜘蛛達はアースレッドの猛攻にもビクともせず、再びカフェ目掛けて糸の一斉発射を開始した。
こいつ等は妖怪、毒ガスを含めた通常兵器で倒す事は出来ないのだ。
「あきゃああああああああもう駄目だああああああああ」
蜘蛛達は糸で動きを封じながらカフェの体に這い上がっていき、ガジガジと噛み付いてくる。
すると、噛まれた所から強い痺れが広がり、体の自由が利かなくなってきた。
「はっはっはっはっは、俺達の勝ちだ」
高らかに笑いながら裏口から現れる偽牧街。
そんな中、何と裏口から更にカフェと店長まで現れた!
この小さな蜘蛛の群れの妖怪は集団で集まる事で、様々な物に擬態する能力を持っているのだ。
「ふっふっふっふっふお前等はアジトに引き込んでゆっくり食ってやる」
ニヤニヤ笑いながらカフェ達を絡め取る蜘蛛達、カフェ絶体絶命!
はたして、当方に迎撃の構えは無いのか!
ヒーローは現れないのか!?
待て次レス!
>52
>「ふっふっふっふっふお前等はアジトに引き込んでゆっくり食ってやる」
「助けて牧街殿おおおおおおおおおおおおお!!」
カフェは、ド○えもんに助けを求めるの○太君のごとく叫んだ。
しかし、牧街は離れた場所で一人とぼとぼと車を押している真っ最中だ。
助けに来るのは不可能だろう。と思われたその時。
「にゃおおおおおおおおおおおん!!」
猫の鳴き声が響く。牧街ではなかったが、助けは来た!
皆さんはコンビニ前に猫バスを駐車したままだったのを覚えていただろうか。
さすがに異変に気付いた猫バスが、コンビニ表口に体当たりを仕掛けたのだ。
何回目かの体当たりで、ガラスが砕け散った。
「カフェさん! 大丈夫ですか!?」
さらに、猫バスから飛び降りて駆け込んできたのは怪力GS瑞希。
ぐるぐる巻きになったままのカフェと店長を軽々と両脇に抱え、砕け散った入り口から出て行こうとする。
果たして逃走は成功するのか!?
「びえっくし!!」
近場にガソリンスタンドがあったため割とすぐ補給を受ける事ができた牧街は、ガソリンを入れてもらいながらくしゃみを一つしていた。
「……冷えてきたなぁ」
ベタ台詞を言って、牧街は自分の肩を抱いて震えた
「小癪な奴め!待てぇ!」
口から糸を吐いてネコバスを絡めようとする偽牧街と蜘蛛達
しかしネコバスは颯爽とそれを振り切り全力疾走でその場から逃げていく
「えぇい!我々の居所がわかってしまうなんて!何でGSと妖怪が一緒になんてなっているんだ!」
そう言って悔しげに地面を叩く偽牧街
「そんな事を言っている場合か!このままではあっと言う間に人間の討伐隊がここに来るぞ!」
焦った表情でそういう偽店長
「い…いやまだだ!まだ今奴等を捕まえられればごまかしがきく!追え!追うんだ!」
偽牧街達はわさわさと黒い小さな蜘蛛の群れに分離し、他に小蜘蛛達と共にざわざわと散って白の巣峠へ向かう
瑞希の手によってカフェたちは猫バスに担ぎ込まれて、急発進。
はさみで糸の拘束から解放される。
「たすかった……かたじけないぞ、瑞希殿」
店長は目を白黒させながらガタガタ震えている。
「い、一体何なんですかアレ……!
それにこのバス! このままあの世に連れて行くんじゃないだろうな……!」
「巻き込んですまぬ。実はお主のコンビニは悪霊の本拠地になっておったのじゃ。
妾達はそれを退治しにきたGSというわけじゃ。この猫バスは見方だから安心するが良い」
「まだ安心は出来ないようですよ」
と、瑞希。
後ろを見れば、蜘蛛の群れが追ってきているではないか!
「――霊衣《黒酢》! 来るでないうおりゃああああああ!!」
ピストルの代わりに黒酢を撃ちながらのカーチェイスが繰り広げられる。
ある事を思いだしたカフェは運転手に尋ねた。
「運転手! そういえば猫バスは空飛んだり出来たのではなかったのか!?」
「めんごめんご、ちょっと今故障中でねえ――ああっ」
進行方向に猫が飛び出して来た。
なんとしても猫をひくわけにはいかないので、慌ててハンドル(?)を切る運転手。
キキーッとブレーキ音を立てながら突っ込んだ場所は、ガソリンスタンドだった!
「キャーー」
「わーーー」
ネコバスが突っ込んだ事でたちまちパニックになるガソリンスタンド
「のわぁ!カフェさんに瑞希さん!何してんだいったい」
なだれ込んできた蜘蛛の群れの攻撃にさらされながら、ネコバスに向かって叫ぶ牧街
その間にも蜘蛛達は一斉に糸を放ち、毒の牙で噛み付き、ネコバスに群がっていく
「ギャニャーーー」
凄まじい悲鳴を上げて苦しむネコバス
「あわわわわわわ」
情けない悲鳴を上げておろおろする牧街
しかし、突然蜘蛛達は攻撃をやめ、かさかさと逃げ出し始めた
耳をすませば、遠くからサイレンの音が聞こえてくる
「団結した人間には敵わない…己…せっかくいい餌場を見つけたのに…」
そういい残して、蜘蛛達はがさがさとあっという間にいなくなってしまった
>56
カフェたちが突っ込んだガソリンスタンドには――
>「のわぁ!カフェさんに瑞希さん!何してんだいったい」
偶然、そう偶然、我らのヒーロー牧街がいた!
「驚いてる場合じゃないぞ牧街殿! 見せ場じゃ!
最後の5分で主人公が格好よく敵を撃退して事件解決するのじゃあ!」
>「あわわわわわわ」
見せ場どころか、牧街は例によって例のごとくあわあわするばかり。
しかし――
>「団結した人間には敵わない…己…せっかくいい餌場を見つけたのに…」
「やったぞ牧街殿、我らの団結の勝利じゃ!」
蜘蛛たちは、人間の団結に恐れをなして去って行った!
さて、事件解決に至る最後の仕上げを忘れてはならない。
「喜べ牧街殿、別れて行動している間に妾達は事件の真相を突き止めた。
コンビニ妖怪の正体は、擬態する蜘蛛妖怪の群れだったのじゃ。
そしてその本拠地は――セブンツーワン白の巣峠店!
事件を解決するには……店長殿には酷じゃが取り壊さねばならん」
カフェは残酷な事実を言い放った。
「ご無体なああああああああああああああ!!」
店長の魂の叫びが木霊する――。
【終わり……かな? ありがとうございました!】
【名前】 松尾 マチコ
【年齢】 22
【体格】 ショートヘア。うしろ姿が微妙に太ってみえる
【容姿(霊衣)】 テニスウェアー
【属性】 霊的格闘術
【霊圧】 55.55マイト
【特殊能力】 丸い物にに霊力をこめて打つ
【装備】 テニスラケット
【趣味】 丸い物が大好き
【備考】 化け猫の「まっちゃ」に取り憑かれている
こんにちは。参加してもいいですか?
>「やったぞ牧街殿、我らの団結の勝利じゃ!」
>「喜べ牧街殿、別れて行動している間に妾達は事件の真相を突き止めた。
コンビニ妖怪の正体は、擬態する蜘蛛妖怪の群れだったのじゃ。
そしてその本拠地は――セブンツーワン白の巣峠店!
事件を解決するには……店長殿には酷じゃが取り壊さねばならん」
「そうです…ねぇ、えぇ」
(いや俺達じゃなくて多分警察を恐れて逃げていったんだろうなぁ…)
逃げた蜘蛛達にとりあえず一息つきながら、素直に命が助かった事を喜ぶカフェに水を刺すまいととりあえず同意する牧街
しかし、その心中は暗い
何故なら今回の事件、何も解決していないからだ
確かに、牧街やカフェ達の活躍で敵の正体はわかり、追い散らす事に成功はした
しかし、妖怪自体は健在であり、ここではない別の場所で、同じ様に人間を襲い始める事は明白である
根本的な解決には至っていない、が…
「まぁ、俺達何かこんなもんかー」
牧街的にもこれ以上どうする事もできないのでとりあえずカフェと一緒に喜ぶ事にした
「あ、カフェさん、別に妖怪が戻ってくるわけでは無いんですからセブンツーワン取り壊さんでもいいと思いますよ、えぇ」
「ほんとですか?ありがとうございます!」
「まぁ、とりあえず何があるか…、巣を見つけ出して一回探索してみましょう」
こうして、牧街達はセブンツーワン白の巣峠店へと戻る事にした
そんな分でその後少しして到着したオカルトGメンと協力し、牧街達は悪霊の巣に立ち入り、骨だけになった今回の依頼者の兄と、これまでの犠牲者達を発見する
依頼者は号泣し、オカルトGメンに妖怪を取り逃がした事をこっぴどく叱られ、あの妖怪がコンビニに擬態していたのは住処がコンビニだったので、蜘蛛達が一箇所に集まると自然とコンビニの形に擬態してしまう癖がついていた等この後も色々あるのだが
新しい参加者の方も来たし、特にこれといった事もないので省く事にする
………
……
どこかの暗がり
無数の小蜘蛛達の前に、あの笑顔の仮面の魔族の姿がある
「そういうわけで、君達にも協力してもらいたいんだ、僕の計画に」
何らかの計画を蜘蛛達に話した仮面の魔族に、小蜘蛛達はしばらく考えていたが、やがてわかったと仮面の魔族に同意する
「お前の計画なら俺達は大勢の人間を食える。こそこそ隠れずにうまい人間を食えるなら、これにこした事は無い」
「いい返事だね、期待しているよ」
会話を終え、わさわさと暗闇の中に消える小蜘蛛達
それを見送って、仮面の魔族はふふふとほくそ笑む
「もうすぐ始まる…僕の最後の計画が…」
そう言って立つテロ魔族の後ろには、Mrスパイクバットと、そして……耳まで裂けた口を持つ、老婆の姿があった…
【ありがとうございました!!
>>58さん、はじめまして!よろしくおねがいします
えー…実は、次、最終章(少なくとも俺が作るのは)です(前から次が最後次が最後と言ってた気がするしそろそろ…)!
が……折角新規の方来たしもう一シナリオ普通の悪霊戦を挟みたい(もうすぐ始まるってテロ魔族は言うてるだけで次章からとは言ってないわけだし)のですがどうでしょうか?
何かシナリオある方いらっしゃいます?】
えへへ、よかったぁ
ありがとです。とっても嬉しいです
それじゃあ牧街さんにカフェさん、ふつつか者ですがよろしくお願いします
>シナリオ
皆さんにお任せします
マチコ殿よく参った、よろしくお願い致す!
最終章は結構シリアス寄りになりそうなので今回は比較的オバカな話をやりたいかもw
季節ネタを加えて
サンタのコスプレをした悪霊(妖怪?)が色んな家に侵入しては寝ている人の枕元に
明らかに嫌がらせな置き土産をしていく事件、なんてどうでしょうw
>>82 採用!面白いww
それで行きましょう!
カフェさん冒頭導入部お願いできますか?
>63
よしきた!
節操無き無宗教国家日本!
今年もカップルがいつにも増してウザさを増し、ボッチ達が荒れ狂うあの季節がやってきた――!
侵すべからざる聖地秋葉原にも、この時ばかりはカップルの脅威が押し寄せる!
飾りつけられた樫の樹、明滅するイルミネーションの下を、カフェと猫師匠が歩いている。
「全く、無宗教のくせに意味も無く浮かれよって、けしからん、実にけしからん」
「全くだにゃ〜」
そんな二人の頭の上には、意味も無く三角帽子が乗っている。
いくらなんでも浮かれすぎだ。
「こんなけばけばしいイルミネーションをしたら星が見えなくなるにゃ。
昔の秋葉原はこうやって空を見上げただけで天然のイルミネーションがあったものにゃ」
空を仰ぎ見る猫師匠につられ、カフェも空を見上げる。
その瞬間、カフェは信じられないものを目撃した、ような気がした。
「あっ!」
「どうしたにゃ?」
「今、サンタのソリが横切って行かなかったか?」
「そんにゃまさか!」
++++++++++++++++++++++++++++++++++++
――数日後。爽やかな朝――カフェ家で小さな大事件が巻き起こる。
「キャ―――――!!」
カフェママの悲鳴が響き渡る。
「起きたら枕元に蛇皮ならぬ蛇の抜け殻製のバッグが――!」
「妾の枕元には超ミニスカのメイド服が置いてあったぞ! 絶対パンツ見えるわ!」
「私の枕元には見るからに趣味の悪い壺が!」
そして同じような事件(?)が町内で続発し、多数情報が警察に寄せられる事になる。
しかし微笑ましいだけで実害の無いこの事件。
日夜凶悪犯と戦わなければならない警察が相手にしている暇はない。
かといって、万が一人間が犯人だとしたら立派な住居不法侵入。放っておくわけにもいかない。
そこでGS事務所に依頼が降りてくることになった!
こんなしょうもない事件を取り扱ってくれそうな事務所といえば、もちろん我らが秋葉原流一派だ!
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「――と、いうわけにゃ」
猫師匠から依頼の内容を聞いたカフェは、嬉々として依頼を受けた。
「了解した!
エセサンタをとっつかまえて強くてかっこいいパワーアップアイテムを出してもらうのじゃ」
「言い忘れていたにゃ、他のGS事務所にも依頼を出したらしいから報酬は早い者勝ちになるにゃ」
秋葉原流以外にこんな依頼を受けそうな事務所と言えば……牧街の事務所が真っ先に思い浮かんだ。
早速電話をかける。が、出ない。
「なんじゃ、留守か。押し掛けてどんちゃん騒ぎ……じゃなくてサンタ捕獲の作戦を練ろうと思うたのに。」
――とりあえず空飛ぶサンタらしきものを目撃した広場にでも行ってみるかの」
と、飽くまでも仕事に行くのだとわざとらしく言い訳をしながら、カフェは浮かれた街に繰り出した。
カフェがエセサンタ殲滅に情熱を燃やしている一方その頃
我等が牧街は…
「クーーーリスマスが今年もきやがるゼ!」
「カップルが何だ!カップルが!」
「意味も無く騒ぎやがって!皆馬鹿だ!馬鹿!」
恐山流除霊道場の独身でモテナイ組の連中と一緒に、居酒屋で焼き鳥を摘んでいた
毎年この時期になるとクルシミマス会と称し、モテナイ組は居酒屋で飲み会を催し、もてないけど特に興味無い隊員達も、食費を浮かすためにそれに参加しているのである
「おう牧街!てめぇもそう思うよな?クリスマスで浮かれる輩なぞゾンビに食われろと思うよな?」
「コブラさん…かっ飛ばしてますね…」
やる気なくクルシミマス連中に対応する食費浮かす組
しかし、徐々に話題は牧街にとって良くない方向へと流れていく
「おい、しかしアレだよな…牧街、てめ最近、アレだな、女とーつるんで仕事してーらっしゃるよな?ん?」
「あぁ!?んだとてめゴラ!!おい!何クルシミマス会来てんだ!おい?お?」
一斉に鋭い視線を向けてくる恐山クルシミマス会員達
そのヤクザの様なオーラに、牧街は小刻みに震えながら、必死に弁解を始める
「いや、あの…かのかかかかっかかの、あの、カフェさんは、別にそーいったかんけーではなく」
「そーいった関係って何ぞや?ん?」
「おいサブ!ドラム缶と生コン、もってこい」
「へいコブラの旦那」
冷たい12月の海への片道切符が登場し、牧街は背筋が凍りつく
ちなみに牧街、何回か本当にダイブさせられた事がある、何故生きてるかは置いといて
絶体絶命のピンチに、牧街の中のヘタレ回路がフル回転し、この現状を打開する最良の言葉をつむぎだした!
「彼女はオタです!2次元しか興味無いですよ!今までだって全っぜんそーいった展開ありませんでしたし!はい!命賭けて助けた事もありますが全然無反応でしたよ!」
居酒屋中に響く牧街の必死の叫び
その叫びに、一同はしばらく黙り…
「あの…なんか、ごめんな」
「お前、今日、お勘定払わなくていいぞ」
「可哀想になぁ…本当に…」
男として見られていない牧街に哀れさを感じたのだろう
クルシミマス会員達は途端に優しくなり、牧街は逆になんだか悲しい気持ちになってきた
「俺とカフェさんの関係…か…」
居酒屋からの帰り道
牧街はカフェとの関係について改めて考えていた
最初の印象は、意味のわからない変な女だった
何の考えもなく、装備も無く、綺麗事ばかり言って突っ込んで行く
一緒にいると確実に死ぬだろうからと距離をおこうとした時期もあった
けれども…
いつの日か、牧街は彼女の背中に憧れていた
どんなに妖怪が強くても、どんなに恐ろしい事件が相手でも
格好いい台詞を口から吐き出し、妖怪に突っ込んでいく彼女
自分とは間逆の位置にいる彼女に牧街は魅かれている…
「……いや!いやいやいや、無い無い無い!無い!絶対無い!」
頭に浮かんだ考えを、ぶんぶん頭振って吹っ飛ばす牧街
「カフェさんって幼児体型だしオタクだし無謀だし…成瀬やアナスタシヤさんなら兎も角カフェさん何てありえな…」
そう言ってふと目を開けると…
目の前にカフェがふつーに立っていた
どーろの真ん中で物思いにふけっている間に近づいていたらしい
「あぎゃ!いや、ち、ちが!カフェさん、今のは」
慌てて取り繕わんとする牧街
【月曜日までには書くように努力するので
私の順番は飛ばしてください。いきなりすみません】
>67
カフェが広場に向かっていると――
>「……いや!いやいやいや、無い無い無い!無い!絶対無い!」
道路の真ん中で一人頭をぶんぶんと降っている不審な男がいた。
カップル達に精神力を吸い取られておかしくなってしまったのか可哀想に、と思いながら通り過ぎようとする。
>「カフェさんって幼児体型だしオタクだし無謀だし…成瀬やアナスタシヤさんなら兎も角カフェさん何てありえな…」
通り過ぎようとした所を、Uターンして戻ってくるカフェ。
>「あぎゃ!いや、ち、ちが!カフェさん、今のは」
「牧街殿――」
真剣な面持ちで語り始める。
「なかなか悪くない推理じゃ。敵の正体が身近な存在だった、というのは王道中の王道。
……じゃがこの場合はフツーに外部犯だと思うぞ」
カフェは、牧街がエセサンタの正体について推理していると勘違いしているのだった。
当然、話がかみ合っていない事はすぐに露呈し、かくかくしかじかと経緯が説明される。
「なんぞ、てっきり事件の推理をしておるのかと思ったぞ!
妾はこれよりエセサンタの目撃地点である広場に向かう!
妖怪バカップルどもが集結する最危険ポイントじゃ。それでも良ければついてくるがいい」
>68
【了解じゃ、もし登場の仕方に困っておるようなら誘導するから言うがよいぞ】
――行って参ります、とと様かか様。
――我ら一族は受けた恩は忘れぬもの。
――立派に恩返しを果たしてくるのです。
――はい、とと様かか様。
天に聳える霊峰を臨む谷の底、一人の娘が故郷を出立した。
昔、霊能力者に命を救われた娘は、恩を返すため、
生涯、御国を守るため、独り街に降りる。
# # # # # # # # # # # # # # # # #
煌々と光る白い月に瞬く冬の星たち。
立ち並ぶビルの灯とネオンの煌めきが、
ちょうどツリーにぶら下がった電飾のように綺麗で
それでいて物悲しい。
「んん〜?東京に、帰ってきた……」
松尾マチコの口から自然と言葉が洩れ、涙が零れ落ちる。
見つめる先はエセサンタの目撃地点である広場。
妖しくまぐわい蠢くは妖怪バカップルの群れ。
その中へ松尾はふらふらと夢遊病者のように移動していくと
自分の頬を両手で挟むように平手で叩き、眉間に皺を寄せる。
「とと様の占い当たった。石、割れた。悪いこと起こる。ここは妖怪の溜まり場」
松尾は薄闇のなかで、スポーツバッグからラケットを取り出し素振りを始めた。
理由はわからないけど苛々して、カップルらしき男の後頭部を見ていると、
心が妬けるようにむず痒くなる。
「うにゃーッ!!死して護国の英霊となれーッッ!!!」
ラケットを振り上げたまま、松尾は男に直進する。小さくはない胸の肉を揺らしながら駆ける。
女を置き去りにして逃げる男の丸い頭を目がけ、今まさにラケットを振り下ろさんとする。
【>69お気遣い嬉しく思います。早速投稿させていただきました。
それとレスの補足をさせていただきますと、
今は山で自殺未遂した松尾マチコの体に、山猫又族の「まっちゃ」が憑依していて
マチコの意識とまっちゃの意識が混線しているような状態です。
でも猫師匠が猫又なのでこの設定では変でしょうか?
修行をしていないマチコが猫又に憑依されただけで、55.55マイトも霊力があるのはおかしいかな?
他にも矛盾や、だめなところがあったら教えて下さい。
本来なら自分で解決するような問題なのに同僚の方々に頼ってしまって本当にすみません】
【名前】 松尾 マチコ
【年齢】 22
【体格】 ショートヘア。うしろ姿が微妙に太ってみえる
【容姿(霊衣)】 テニスウェアー
【属性】 霊的格闘術
【霊圧】 55.55マイト
【特殊能力】 丸い物にに霊力をこめて打つ
【装備】 テニスラケット
【趣味】 丸い物を見ると心がうずく
【備考】 化け猫の「まっちゃ」に取り憑かれている
【名前】 松尾 マチコ
【年齢】 22
【体格】 ショートヘア。むっちりしている
【容姿(霊衣)】 テニスウェアー
【属性】 霊的格闘術
【霊圧】 55.55マイト
【特殊能力】 丸い物に霊力をこめて打つ
【装備】 テニスラケット
【趣味】 テニス
【備考】 山猫又の「まっちゃ」に取り憑かれている
丸い物を見ると心がうずく
ちょい、なおしました
「とりあえずカフェさんがあるものに興味があるか無いかって言うことで悩んでましたが無さそうでしたてやんでいました、はい」
まさかカフェが自分をどう思っているか、などと真正面から説明する事はできないため適当に説明する牧街
カフェはエセサンタを探していたらしい
「エセサンタねぇ……サンタクロースも大変っすねぇ、偽モン出てきて
いやぁ、俺は年末まで仕事はってのは遠慮しますよ、それじゃ」
それじゃ、俺はこれでと牧街はカフェと別れて帰っていく…
……あれ!?どうしよう!出番がコレで無くなってしまうぞ!
牧街危うしとなった、その時
「牧街先輩!助けてくださーーーーい!」
後ろから聞いた事のある声がして、振り向けば逃げてくる影一つ
「青島訓練生!どうした!」
いがぐり頭の牧街の後輩、青島訓練生が必死の形相で牧街目指して走ってくるではないか
「変な…変な女がテニスラケットもって追いかけてくるんです!」
「変な女?」
「俺を狙ってるみたいなんで彼女を置いて囮になってここまで逃げて来たんですが…」
彼の言うとおり、青島目指して走ってくる、テニスウェアの異様な雰囲気の女の影一つ
「こいつが今回の悪霊か…よぉし!青島訓練生…」
「はい!」
「警察署までダッシュで逃げるぞ!!」
「え!?戦ってくれるんじゃ…」
「GO!!」
青島訓練生を促し、マチコからダッシュで逃げる牧街モリオ
どうしよう、早くも本編から脱線していく
>何か猫師匠の他にも猫又には勢力があるみたいだし問題ないと思います
>霊圧ってのは要するにゴリラに生まれりゃ人間より握力あるみたいに才能あれば初期値は高い奴はいくらでも高いし低い奴はいくらでも低いので、高くてもさして問題ではありません
>55.55マイトってGS的にギリギリっぽい霊圧だし…
>70
>72
>「とりあえずカフェさんがあるものに興味があるか無いかって言うことで悩んでましたが無さそうでしたてやんでいました、はい」
「そうか、言うまでも無く牧街殿には興味はあるぞ」
事もなげに牧街が悩んでいた事の答えを言い放つカフェだったが
どのような方向性で興味があるのかは全く不明なので、あまり意味は成さないだろう。
>「エセサンタねぇ……サンタクロースも大変っすねぇ、偽モン出てきて
いやぁ、俺は年末まで仕事はってのは遠慮しますよ、それじゃ」
「何じゃ、行かんのか。さては妖怪バカップル共に怖気づいたか――」
と、その時。
>「うにゃーッ!!死して護国の英霊となれーッッ!!!」
ラケット構えて男に襲い掛かる少女。今回の悪霊か妖怪、早速お出ましか!?
>「牧街先輩!助けてくださーーーーい!」
>「青島訓練生!どうした!」
追いかけられている男は、牧街の知り合いだった。
>「こいつが今回の悪霊か…よぉし!青島訓練生…」
>「はい!」
牧街の言葉に、こいつが今回のターゲットだと確信を持ったカフェ。
サンタのコスプレではなく、テニスウェアを着ているが、そんな事は些細な事。
後輩を連れて一目散に逃げようとする牧街を尻目に、ラケット女の前に立ちはだかる!
「ちょっと待った!」
ラケットを、ロリータ傘で防御しつつ問いかける――と言うより、決めつける。
「そなた、最近お騒がせのエセサンタじゃろう! 隠しても分かっておるぞ!」
【>70 全然問題ないと思うぞ! よろしくよろしく!】
松尾が毬栗頭の男を追いかけていると、中肉中背の髪のぼさっとした男が現われた。
敬愛なる我らが主神、ゴッド牧街モリオである。
>「こいつが今回の悪霊か…よぉし!青島訓練生…」
>「はい!」
>「警察署までダッシュで逃げるぞ!!」
>「え!?戦ってくれるんじゃ…」
>「GO!!」
「みゃあぁぁぁ!?」
松尾マチコの体に憑依していた山猫又の「まっちゃ」は突然のことに驚いていた。
死体と思っていた松尾の体に残っていた魂が、自分を無意識の底から揺り動かしている。
丸い物を見ると疼く猫の本能と、松尾の男に対するトラウマが融合して暴走してしまっている。
「メスがオスを追いかけるのは人間だけ」とまっちゃは声を大にして言いたかった。
自然界の動物の世界でメスがオスを追いかけているというのはあまり聞いたことがない。
恋する季節、発情期になるとメスはフェロモンを出してオスを引き寄せる。
一頭のメスをめぐって何頭ものオスが死闘を繰り返し、勝ったオスがメスを手に入れる権利を得る。
メスはオスたちの戦いによって選ばれるものであり、勝ったオスを気にいるかどうかはメスが決定するものである。
この単純なルールはあの可愛いパンダの世界でも起きている。
動物の世界で、「待って私を捨てないで」と追いかけているメスを見たことがない。
もちろん追いかければ、オスはさっさと逃げる、もの凄いスピードで。
選ぶ権利のある自然界のメスは追いかけないのである。
「去る者は追わず、来るものは吟味してから向かい入れる」これが自然界のルール、メスのプライドである。
恋、結婚はメスが選択権を持っているのである。
まっちゃはマチコに呼びかける。
「女(メス)のプライドを取り戻せ。逃げる男は追いかけてはいけない」
「はぇ?おんにゃのぷらいろ?」
「すきありーっっ!!」
まっちゃの魂がマチコの魂をぶん殴って、まっちゃの人格が松尾の肉体を支配する。
>「ちょっと待った!」
「フーッッ!!?」
気がつけば、ラケットを受けるロリータ傘。
興奮している松尾のアドレナリンにまっちゃの魂は高揚している。
>「そなた、最近お騒がせのエセサンタじゃろう! 隠しても分かっておるぞ!」
「おら、エセサンタとちがう!山猫又族のまっちゃなり!護国のために里へ来た。
とと様の占い、石われた。街に悪いことおこる!
御国をお騒がせしてるエセサンタはきっとその前触れ!おらが退治する」
目の前にたちはだかっているのはロリータファッションの女。
傘からは神通力を感じる。
「もしかして、霊能力者殿か?これは失礼!この体は憑依した借り物。まだうまくあやつれぬのだ」
松尾は挨拶のつもりで、カフェの鼻の頭にちょこんと鼻をくっつけたが、
間違いに気付いてぺこりと頭を下げた。
【>72>73ありがとうございます!よろしくお願いします!】
後輩と共に駆け去らんとする牧街の後ろで、何とカフェが傘を手にテニスラケット女と戦おうとしていた
「牧街さん!カフェさんが!」
「カフェさん!危ない!不審者は警察に任せて!」
慌てて止めに入ろうとする牧街だったが、その前に相手が戦闘態勢を解除した
>「おら、エセサンタとちがう!山猫又族のまっちゃなり!護国のために里へ来た。
>とと様の占い、石われた。街に悪いことおこる!
>御国をお騒がせしてるエセサンタはきっとその前触れ!おらが退治する」
名乗りを上げるテニス女
「このクソ寒い中そんな寒そうな格好でいるから常人じゃ無いと思ってたけれども…、猫師匠の同属だったのか」
猫師匠の同属と言われると、何かもう宇宙戦艦とかに乗って現れても納得できてしまいそうな位あらゆる事の説明になっている
つまり、細かい突っ込みどころは無視した方がいい存在と言う事だ
「で、その山猫又さんが何で青島訓練生を攻撃してたんですか?えぇ、ぼーこー傷害未遂で犯罪行為ですよ」
相手が戦闘態勢を解除したので途端に強気になってまっちゃに質問する牧街
青島訓練生は牧街の後ろで身構えている
ちなみに、青島訓練生もその辺の不良程度なら複数名相手でも一方的にボコれる位強かったりするのだ
そんあ風に一同が会話していたその時
どこからともなくしゃんしゃんしゃんしゃんと鈴の音がしてきたではないか!
「サ…サンタ!?エセサンタが出たのか!?」
思わずその編の電柱の影に隠れる牧街と、勇敢に女性陣を守ろうと背中に庇おうとする青島訓練生
牧街、ヘタレは健在である
>74-75
>「おら、エセサンタとちがう!山猫又族のまっちゃなり!護国のために里へ来た。
とと様の占い、石われた。街に悪いことおこる!
御国をお騒がせしてるエセサンタはきっとその前触れ!おらが退治する」
山猫又族と言われた途端に、カフェは態度をコロリと変える。
「おお、そうか! うちの師匠がいつも世話になっておる。
エセサンタを探すのを手伝ってくれるか! それは助かるぞ」
猫又族といっても一つの勢力にまとまっているわけではないので
実際に世話になっているかどうかは不明である。
>「もしかして、霊能力者殿か?これは失礼!この体は憑依した借り物。まだうまくあやつれぬのだ」
>「で、その山猫又さんが何で青島訓練生を攻撃してたんですか?えぇ、ぼーこー傷害未遂で犯罪行為ですよ」
「うむ、憑依先の人間のほうの思念が干渉したのかもしれんのう」
取り憑かれた側が取り付いたものの怨念で暴れ出すことはよくあるが、逆はあまり聞かないものだが……。
が、すぐにそれどころではなくなった。どこからともなく聞こえてくる鈴の音。
>「サ…サンタ!?エセサンタが出たのか!?」
「上、上じゃ!」
カフェが上を指さす。なんと、童話に出てくるそのままの、サンタが乗ったトナカイが引くソリが横切っていく!
この前とは違う、はっきりと視認できる程度に低い位置だ。
拡声器を持って犯行予告をのたまいながら通り過ぎていく。
「フォッフォッフォ、今宵はモテない可哀想な男どもにプレゼントを配りにいこうかの。
決して邪魔するんじゃないぞ」
エセサンタが去り、暫し場が沈黙を支配した後。
「あらやだ、疲れてるのかしら、変な物が見えたわ」
「気のせいだよ、ハハハ」
何も見なかった事にして通常運転に戻っていくバカップル達。
一方カフェは、ノリノリで意見を募りはじめた。
「今夜のターゲットはモテない可哀想な男だそうじゃ。モテない男が集っていそうなところはどこであろうか」
牧街は、クルシミマス会後、今頃眠りこけているであろう恐山道場のメンバー達が真っ先に思い浮かぶ事だろう。
>「うむ、憑依先の人間のほうの思念が干渉したのかもしれんのう」
「そうなり!監察医、篠宮葉月も、死体は語るといってる。でも松尾マチコは生きてた」
そんな風に一同が会話していたその時、夜空に鈴の音が響く。
>「サ…サンタ!?エセサンタが出たのか!?」
>「上、上じゃ!」
>「フォッフォッフォ、今宵はモテない可哀想な男どもにプレゼントを配りにいこうかの。
>決して邪魔するんじゃないぞ」
突然のエセサンタの出現に、電柱の影に隠れる牧街と、勇敢に女性陣を守ろうとする青島訓練生。
カフェの指し示す方向には、ソリに乗って去るエセサンタ。
カフェは、ノリノリで意見を募る。
>「今夜のターゲットはモテない可哀想な男だそうじゃ。モテない男が集っていそうなところはどこであろうか」
「あ!」
まっちゃは牧街を指差した。
松尾の記憶から、牧街が充分にもてない顔だということを知っている。
「こいつきっとモテナイ。モテナイ男の集まる所、こいつに聞けばわかるなり。
おまえ、いつもどこ行く?」
まっちゃは牧街の髪の毛を引っ張って、電信柱の影から引きずり出す。
「うーむ、行ったか」
エセサンタが行ったのを確認し、やれやれと安心する牧街
しかし、それも束の間、何やら無礼な女に髪を引っ張られる
「痛い!心も体も痛いです!えぇ!何?モテナイ?俺がモテナイ?そうだよ文句あるか?え?」
「牧街さん落ち着いて!」
「あ、青島訓練生ほら、君、彼女待ってんじゃないの?」
「え?でも…」
「いんだいんだ、君ほら、無理に関わろうとせんでいいから、な?戻ったげなさい」
「あ、すいません、それじゃ僕はこれで」
ぺこりとお辞儀をして、去っていく青島訓練生を見送った牧街は、はーっとため息一つ
「モテナイ男の集まる場所っつったら…」
コブラ率いるクルシミマス会員達の顔が真っ先に浮かんだが、彼等はプロの、しかも牧街よりもはるかに実力の高いGS達
寝床には霊の報復を予想して常に結界が張られ、エセサンタが近づけば返り討ちにあう事は間違いないため、いかにエセサンタでも近づいたりはせんだろう
ではモテナイ男と言えば他に誰がいるか
中学の頃の知り合いとかにはいるにはいるが、会いにいけるほど親しい間柄ではない
後は…
「……神藤 巳す…いや彼はモテなさそうってだけでモテナイわけじゃないか…」
何か懐かしいコテハンの名前が出てきた
(そー言えばここ最近会った人ってみーんな女の子ばっかだったなぁ
カフェさんに始まって
赤城(李珠)さん
アナスタシヤさん
織羽嬢
ありみちゃん
桜井さん
月夜田
藤原さん
ドリーさん
瑞希さん…
こんなに一杯女の子がいたのに一回も色恋沙汰の話題でてこなかったよな、今まで)
そこに響く先ほどのまっちゃの言葉
「こいつモテナイ。」
「ぐああああああああああああああああああああああそうだよ!おりゃモテナイよ!周りに女の子がわんさか集まってきても一回もポッとか、キュンとか、そーいう描写はかけらも無かったよ!
どちくしょうそれがおかしいか?あ?」
まっちゃの首根っこをとっ捕まえ、ゆっさゆっさ揺さぶりながら吠える牧街
最初の頃はタローと会話するのも一苦労だった男が成長したもんである
兎にも角にも、「間違いなくエセサンタが来るだろう男」が誰であるかは明確になった
餌が出来れば後は仕掛けをして待つだけである
上の文についでに言うと質問にも答えていないという一文をどこかに適当に脳内で入れてください
>77
>「あ!」
まっちゃは突然、牧街を指さす。
「どうした?」
>「こいつきっとモテナイ。モテナイ男の集まる所、こいつに聞けばわかるなり。
おまえ、いつもどこ行く?」
「なるほど、盲点じゃった」
モテない男といえば、常にモテない事を嘆き悲しみながらカップルたちにどす黒い嫉妬の炎を燃やしている、
もしくは三次元をとうに諦めて二次元嫁とラブラブというキャラ付けがされている――
というイメージがカフェの中に根強く植え付けられている。
よって、牧街がさりげなくモテないという事実に気付かなかったのだ。
>「ぐああああああああああああああああああああああそうだよ!おりゃモテナイよ!周りに女の子がわんさか集まってきても一回もポッとか、キュンとか、そーいう描写はかけらも無かったよ!
どちくしょうそれがおかしいか?あ?」
牧街は、まっちゃを揺さぶりながら開き直る。意外とモテない事を気にしていない訳でもないようだ。
「牧街殿、エセサンタ捕獲にはそなたの協力が必要不可欠じゃ!
協力といっても今すぐ家に帰って寝るだけでよい! 妾達で寄って来たエセサンタをとっつかまえてやるわ」
「ぐみゃ〜!」
細目の中肉中背男が、ぽっちゃりテニス女の首を絞めている。なんという醜い絵ヅラか!
牧街のまわりに女が集まりやすいというのも、神様の皮肉な悪戯か!?
まっちゃは苦し紛れに、牧街の股間に膝蹴り。
「んにゃ。死ぬなマチガイ。ヘタレな人生、フラッシュバックだめ。おまえ大切なエサ。カフェの言うとおり、はやく家帰ってネルなり」
耳元で優しく囁くまっちゃだった。
>「なるほど、盲点じゃった」
「フォローしてくださいよ!」
普通に納得するカフェに、思わずつっこむ牧街
(やっぱこの人…全く脈無し何だなぁ…)
何だか悲しくなってしまった牧街は、油断してしまう
「ぐどぅさ!!」
次の瞬間、股間にまっちゃの一撃を受け、股間を抑えてうずくまる牧街
実は気持ちよかったりはしない、普通にこう、冷や汗かいて喋れなくなってる
>「んにゃ。死ぬなマチガイ。ヘタレな人生、フラッシュバックだめ。おまえ大切なエサ。カフェの言うとおり、はやく家帰ってネルなり」
(こ…こいつ、除霊しちゃる…)
耳元で優しく囁いてくるまっちゃに、月夜田みことに感じたのと同じ苛立ちを覚え、うずくまって痛みが引くのを待ちながら、引きつった笑みを浮かべる牧街
そういえば月夜田さんはそろそろ戻ってくるはずだったのに未だに戻ってこない
同じく戻ってこないニュー牧街こと高山さんも合わせて、もしかして戻ってくるタイミングが見つからずに戻るに戻れないでいるのだろうか…
>「牧街殿、エセサンタ捕獲にはそなたの協力が必要不可欠じゃ!
>協力といっても今すぐ家に帰って寝るだけでよい! 妾達で寄って来たエセサンタをとっつかまえてやるわ」
それは兎も角、牧街はカフェの申し出を受け、うーんと考え込んでしまう
ただ寝るだけ…で済むはずが無いのは、今まで一緒に除霊してきた敬意から考えて間違いない
どーせ今回もまたこっぴどい目に合わされて入院する憂き目になる事は間違いないのだ
が…
(…断ってもどーせ俺のとこにエセサンタは来るわけだしな)
仕方ないな…と牧街は二人の申し出を了承した
――――――
さて舞台変わって牧街宅
早速牧街は布団を敷いて、眠りにつかんとする…が
「カフェさん、眠れない…」
そりゃそーだ、女の子が二人、戦いに備えて寝床の脇でじーっと身構えているのだ、緊張して眠れるわけが無い
(添い寝しろとか言ったらさすがに怒るだろーなー)
などとのんきな事を考え、牧街はハッとなってまっちゃに対して防御の構えを取る
次の話の展開は、「なら眠らしてやる!」とか言ってまっちゃが牧街に襲い掛かってくるに違いないからだ
>81-82
>「ぐどぅさ!!」
牧街が、突然奇声を発してうずくまる。
まっちゃが、股間を蹴り上げたのだった。
「まっちゃ殿、今のは痛いと思うぞ」
何だかんだで牧街は協力を了承した。
舞台は牧街の家へ移動し、作戦開始――。
「カフェさん、眠れない…」
「そうか、だが添い寝はいかんぞ、エセサンタにモテない男と認識してもらえなくなるからの」
などと冗談を言っていると、牧街がさっと防御態勢を取る。
まっちゃに警戒しているようである。
「これ、まっちゃ! 永久に眠らせてはいかん」
そこでカフェは思った。
添い寝しなくても、寝床の脇に女子が二人も控えていては、到底モテない男の枠には入れてもらえないのではないかと。
「まっちゃ殿、ここはいかん、屋根の上に移動しようではないか。
奴は空からソリに乗ってくるようじゃし丁度いいであろう」
>「これ、まっちゃ! 永久に眠らせてはいかん」
「みゃあ!!」
振り上げていたラケットを静かにおろす
>「まっちゃ殿、ここはいかん、屋根の上に移動しようではないか。
奴は空からソリに乗ってくるようじゃし丁度いいであろう」
「わかったなり」
とりあえず外に出た
>「そうか、だが添い寝はいかんぞ、エセサンタにモテない男と認識してもらえなくなるからの」
(心を読まれている!?)
カフェの言動に動揺する牧街
あー…スケベって思われてたんだなぁと何だか悲しくなっていると、ここぞとばかりにまっちゃもラケットを振り上げていた
「この野郎…」
このわけのわからん謎の山猫はとりあえず事がすんだらやっつけてやろう
そう思いつつ、二人が出て行ってすぐ、布団を被る牧街
「……くーー…………」
さっきまであんな事言ってたくせに、割とあっさり眠りにつく牧街
ほどなく、再びどこからか鈴の音が聞こえてくる
「おや、あれ程邪魔をするなと言ったのに、仕方の無い子達じゃのお…」
屋根の上で待機していたカフェ等を見て、エセサンタはひげをさすりながら言った
「なら仕様が無い、邪魔するのであればわしも実力行使にでよう!」
そう言って、プレゼント袋をまっちゃに向けるエセサンタ
すると、プレゼント袋がしゅーーーーっとブラックホールのようにまっちゃを吸引し始める
「ふぉふぉおふぉ、この袋に吸い込まれるとわしの意のままに動くおもちゃになる!お前さんたちにはこのままもてない男達のプレゼントになってもらおう」
展開が18禁っぽくなってきた!
色々危うし!
【遅れてすまぬ!】
>84-85
>「わかったなり」
まっちゃは意外と素直に言う事を聞いて、外に出た。
屋根の上で待っていると――
>「おや、あれ程邪魔をするなと言ったのに、仕方の無い子達じゃのお…」
ついに姿を現したエセサンタ。
「エセサンタ! 全国を回ってまでしょうもないものを配るぐらいなら対魔族との最終決戦に備えて強力なアイテムを出せい!」
>「なら仕様が無い、邪魔するのであればわしも実力行使にでよう!」
エセサンタは、まっちゃを吸引しはじめた。
>「ふぉふぉおふぉ、この袋に吸い込まれるとわしの意のままに動くおもちゃになる!お前さんたちにはこのままもてない男達のプレゼントになってもらおう」
「なぬう!? それはいかん、まっちゃをプレゼントになど貰った日には命がいくつあっても足りぬ!」
カフェは、吸引袋の口を必死で締めて妨害しようとする。が――
「吸引力3倍!!」
吸引力の上がった袋に、まっちゃともどもあっさり吸い込まれた――。
そして、牧街が目を覚ました時――バカでかい袋が一つ、枕もとに置いてあるのであった。
>85-86
牧街の布団の中で、少女が添い寝していた。
頭に猫耳をつけていて尻尾が生えている。
テンションは低い
少女はまっちゃだった。
おもちゃと化した松尾マチコの体を捨て山猫又の姿になっていた
「こんなはずじゃなかった…。不覚なり……」
茫然自失で呟きながら、牧街をじっと見つめている
そしてしばらく観察したあと、昨日の夜にあった恐ろしい出来事を
彼に伝えたのであった。
「どうするマチガイ?カフェ、おもちゃになって戻らない。売るなりか?二万で売るなりか?」
心配そうな顔で牧街を覗き込む。
「ちなみにエセサンタはあっちに飛んでった」
指をさしたあと、まっちゃは起き上がり冷蔵庫をあさる
朝……もとい、昼
夢も見ない程爆睡していた牧街だったが、昼の1時ともなるとさすがに目が覚める
うーんなどと言いながら手を動かすと…
ふにっ
やわらかい物に触れた
…?
ふにっ、ふにっ
柔らかく、すべすべした物が仰向けになって寝ている自分の右隣に存在している
なにやら暖かい息も右頬に当たり、すーすーと寝息も…
「!”#$%’(!?」
猫耳少女だ!
猫耳少女が牧街の横で寝ているのだ!!
異常事態に牧街はすばやく跳ね起き、動揺しまくる
(何だ?何だ何だ何だなんだ何だ?えええええええええええええ?何で猫耳の…猫…)
思考が混乱する中、必死に頭をめぐらし、何故ここに猫耳少女がいるのか考える牧街
(…あれか?あの昨日の妙な猫又云々言ってた)
奇人変人に慣れてきたため軽く流していた山猫又の存在を思い出したが、昨日は人間だったはず……
などと考えている間に、まっちゃがうんっ…と甘い息をもらして寝返りをうつ
牧街が布団から出たため、布団に冷たい風が入ったからだ
ごくり…
牧街は生唾を飲み込む
自分の部屋の、自分の布団で、猫耳の、女の子が寝ているのだ
原因はわからないが、かなりおいしいシュチュエーションである
寝ている少女をじーっと見つめる牧街
(…柔らかかったなあ)
手に残る先ほどの感触を思い出し、ぼっと赤くなる
そして再度手を…
(………罠だ!!)
過去一度、化け狐に化かされた経験を持つ牧街の理性が、一瞬にしてスケベ根性を制圧した
今回は例の脳内バトルの描写も無い
あれだけ今まで欲望に釣られて酷い目にあってきたのだ
こんな所でこの程度のおいしいえさに釣られる牧街ではない!!
そうこうしてる間にまっちゃが目を覚ました
やっぱり例の山猫又とやらで、どうやらエセサンタに返り討ちにされたらしい
「ほーらね、やっぱり手を出すと痛い目に……ってエセサンタに返り討ちにされたぁ!?
カフェさん大丈夫なのそれ!?おい!」
動揺しまくる牧街
まっちゃの方も当然、本気で応戦したのだろう、茫然自失としており、彼女に責任が無いのは明白だから責める事はできない
>「どうするマチガイ?カフェ、おもちゃになって戻らない。売るなりか?二万で売るなりか?」
「どうするって…そりゃエセサンタやっつけるし……か?え?」
エセサンタ討伐の方法を考え始めようとしていた牧街は、まっちゃの一言に一瞬思考停止した
カフェさんが…おもちゃに…
男の欲望を意のままに適える玩具に
カ フ ェ さ ん が 俺 の も の に
>「ちなみにエセサンタはあっちに飛んでった」
その後はもう、牧街の耳にまっちゃの言葉も、貧乏な牧街の大事な食料を漁る音も、もはや届かない
思考の中で、理性と煩悩の最終決戦が開戦し、牧街はがちがちに固まっていた
――――――
牧街脳内理性第一防衛ライン
凄まじい数をそろえた煩悩軍の大艦隊は、「好きな娘を自分の意のままにできる」と言う全男子の夢の様なシュチュエーションから得た圧倒的な力を持って、鍛え抜かれた理性の精鋭部隊をあっという間に蹴散らしていた
煩悩軍将軍「これまで、我々は散々秋葉茶子を助けてきた、ここで肉体関係を得て、更に入籍とか済ませて一生分奉仕させたとて、罰は当たらん!今こそ、男の欲望を解放し、人生を明るい未来に包むときなのだ!」
煩悩艦隊の猛攻に、理性軍はほうほうのていで第一防衛ラインから後退していく
―――――――
「カフェさんが…思いのまま…カフェさんのちーさいおぱーいも…あ…アソコも…あそ…阿蘇…」
袋を前に、ブルブル震える牧街
口元からは涎がたれ始め、はたから見れば危ない人全開である
やがて牧街は袋の口に手をつけようとして…止まった!!
――――――
理性第二次防衛ライン「コレワーワナダ要塞」
迫り来る煩悩艦隊を、コレワーワナダ要塞は完全に受け止めていた
前回の化け狐事件で強化された要塞の守りは万全であり、煩悩艦隊の猛烈な猛砲撃を完全に受け止め、火器をもって次々確実に煩悩艦隊を沈めていく
――――――
(いやいやいやいやこれは罠だ!今までこーいうおいしいシュチュエーションで良い事があったためしがない!大体ここは18禁じゃないし、それにほら、そーいう事があった後って絶対酷い目にあうってそーば決まってるし)
ぶんぶんと顔を振って煩悩を吹っ飛ばす牧街
(それにほらー、玩具になったーってのはさー、アレだよ、どーせ等身大のフィギュアとかになったってだけで、生身のまんまめすどれーとかになるわけじゃ無いだろーしなぁー、それにカフェさんって幼児たいけーだしオタクだし…)
第二次防衛ラインで煩悩が止められた事で、牧街はやらしい気持ちを追い返しつつ、とりあえず袋を開く
だが、まっちゃが牧街の家の食い物を次々食い荒らしている事に気づけるほどには理性は回復していない
つまりまだ煩悩と理性の戦いの行方はわからない、それは袋の中身次第、なのである!!
やがて開かれた袋の中には…
…普通に眠るカフェと松尾マチコの姿が…
(!?!?ふつーだ!普通の体だ!どーいう事だ!?もしかして…助かってるのか!?)
動揺に動揺を重ね、もうどうしていいかわからない牧街
カフェだけでも動揺が止まらないのに、横に見知らぬ少女(しかも可愛い)までいた日には、固まるしかないだろう
だが、だが牧街はそれでも理性を振り絞り
とりあえず、横のテニスウェアの少女は置いておいて、カフェを起こしてみることにした
「あの…カフェさーん…その…大丈夫…ですか?」
万一の襲撃に備え、防災用のヘルメットを被り、テーブルを盾にしながら、部屋の隅から神通杖でつんつんとカフェをつついて起こそうとする牧街
>90
>「あの…カフェさーん…その…大丈夫…ですか?」
「……ん」
神通杖でつつかれ、おもむろに起き上がるカフェ。
「牧街殿、何か変じゃ……」
潤んだ瞳で牧街を見つめ、立ち上がって牧街の方に歩みを進める。
そして――
腕をまっすぐに下ろし手首を外側に90度向けるというペンギンに似た姿勢を取り
無言で膝を大きく曲げながら歩き回る踊りをし始めた。
同じくおもちゃと化したマチコがリンゴを投げ、口にくわえたフォークでキャッチする等の芸を披露する。
「なんじゃ!? 体が勝手に動くぞ――!」
二人はエセサンタの思い通りに動く玩具になってしまった。つまり、エセサンタが遠隔操作しているのである。
どういうわけかエセサンタ、モテない男を笑わせるためのエンターテイメント的な意味の玩具をイメージしてしまったらしい。
「一刻も早くエセサンタを倒さねば!
それはそうと牧街殿、見知らぬ猫耳少女が冷蔵庫をあさっておるが……」
ヒゲダンスをしながらまっちゃの犯行を指摘するカフェ。
「くそまずいなり」
冷蔵庫に美味しいものはなく、まっちゃのテンションはさらに下がった。
なにやら部屋が騒がしいので視線を移せば、カフェと松尾がダンスをしている。
どうやら二人はエセサンタに操られているらしい。
>「一刻も早くエセサンタを倒さねば!
それはそうと牧街殿、見知らぬ猫耳少女が冷蔵庫をあさっておるが……」
「おら、まっちゃなり。エセサンタ倒すため腹ごしらえ。
みんなも遠慮しないで食べるなり」
まっちゃは牧街の心の葛藤を知るよしもなく、冷蔵庫に入っていたソーセージをカフェに放り投げた。
「マチコは操られてるからもうダメ。
この服借りる。まっちゃ変装。外出る、平気」
そういって衣装箪笥を漁り着替えると、猫耳も尻尾も隠れ、見た目、普通の少女と化すまっちゃ。
ただ霊圧は半分以下に低下している。下界の空気が、山猫又の彼女には合わないのである
まさにマチコの肉体は汚染地帯に入るための防護服代わりのようなものなのであった。
※ ※ ※
一行は牧街の車に乗って、エセサンタの飛んで行った方角へ走っていた。
車の中で、まっちゃはまっちゃなりにエセサンタの正体を推理している。
「エセサンタが、サンタさんの真似するは、何か理由ある。
その理由、きっと解決のヒントになるなり」
まっちゃは松尾のバッグからアイパッドを取り出すと地図を開いた。
エセサンタが飛んで行った方角と牧街の家を結ぶ延長線上には
いくつか怪しい場所があるようだ。
まっちゃは、怪しいいくつかをピックアップして画面に画像を映し出してみる。
「ここ!ここ怪しいなり!」
指は、ある場所を指し示していた。
おもむろに起き上がるカフェ
そして、そのまま牧街に近づいてくる
牧街は生唾を飲み込んだ
(これは…
これはいわゆるこう
「体が熱いのじゃ…」となって、こう…)
>「なんじゃ!? 体が勝手に動くぞ――!」
牧街の期待は完全に裏切られ、カフェと松尾は髭ダンス何ぞを踊りだす
エッチな玩具を期待した牧街は自分の期待とは違う物だった事を悟り、どさっとその場に崩れ落ちた
真っ白になりながら涙を流していた牧街だったが、時がその心を癒し(つっても5分位しか経っていないが)意識を取り戻す
「はっ!そ、そうだ!カフェさんを元に戻そう!うん」
エッチな玩具になぞなっていなかったため、もう元に戻さない理由は無い!
すぐにでもエセサンタを見つけ出し、やっつけなければ
>それはそうと牧街殿、見知らぬ猫耳少女が冷蔵庫をあさっておるが……」
「へ?うおおおおおおおおおおおてめ何してんだああああああああ」
勝手に冷蔵庫を漁るまっちゃを発見し、雄たけびを上げる牧街
しかしまっちゃは無視して冷蔵庫を漁っていく
まっちゃの態度に、牧街の腸が煮えくり返る
牧街はこれまで、こういう無遠慮な輩のためにこっぴどいめにあってきた
百村大、月夜田みこと、ザーボ・ン・サント・ド・ドーリ・アサン…
最初に出会った時しっかり強い態度で接していれば、車の窓ガラス割られたり除霊の現場に乱入されて馬鹿にされまくったり足手まといになったりしなかった
そうだ!ここで負けては駄目だ!
「こ…こらぁ!何勝手に…!!」
声が裏返りながらも牧街は注意する、が
>「マチコは操られてるからもうダメ。
この服借りる。まっちゃ変装。外出る、平気」
ガン無視された
しかも服まで奪われた
……あれ?今服着たって事はこの猫また今まで全…
って事は牧街は全裸の女と同じ布団で…
「まぁ、細かい事言ってても仕方ないか」
牧街は急にやさしくなり、まっちゃ達を連れてエセサンタ討伐に乗り出すことにした
が、色々気がかりな事が…
「カフェさんとこの女の子どうしよう…」
カフェは一応意識があるらしくまともに喋れるため連れて行こうと思えば何とかなるが、もう一人の娘についてはどうしようもない
目がうつろになってて意識があるのかどうかもわからない、そしてそんな娘を除霊に連れて行くわけにもいかないし、家に置いておくと誘拐事件に間違われそうだ
と言うわけで牧街は事情を話してマチコの体をカフェさん両親に預かってもらうことにした
説明がいちいち面倒だったのでとりあえず「エセサンタの犠牲者だから保護してあげていてほしい」と言ったら納得した
「…じゃ行きますか」
正直カフェさんすら倒す悪霊相手にこんな自分勝手な猫娘と二人で戦って勝てるとは思えないが、カフェが酷い目にあっているのだ
助けないわけにはいかない
助けられなくても後で言い訳がたつ程度には何かしなければならないのだ
>「エセサンタが、サンタさんの真似するは、何か理由ある。
その理由、きっと解決のヒントになるなり」
「つまり…目的っしょ?困らせたいのか喜ばせたいのか真意がイマイチよくわからないんだよなぁ…」
車を運転しながら、まっちゃの意見を聞く牧街
ちなみにカフェはダンスがうざいので動けないようにロープでがんじがらめにして後部座席に乗せている
>「ここ!ここ怪しいなり!」
「…なるほど、廃棄された玩具会社の工場っすか、便利っすね、その携帯電話」
まっちゃが意外に使えるキャラだったので感心し、車を走らせて現地に向かう牧街
しばらくして、工場前に到着した
中からは何も聞こえてこない
「…よし、まっちゃ隊員!直ちに偵察に向かいたまえ、君は身が軽い」
車から出た牧街は、まっちゃに指示を出す
>92-93
カフェがヒゲダンスを踊り始めたのを認識すると、牧街は盛大に崩れ落ちた。
「……玩具の種類が気に食わんかったようじゃのう」
すぐに復活した牧街は、猫耳少女の犯行に気付き雄たけびをあげる。
>「へ?うおおおおおおおおおおおてめ何してんだああああああああ」
>「おら、まっちゃなり。エセサンタ倒すため腹ごしらえ。
みんなも遠慮しないで食べるなり」
が、猫耳少女は何食わぬ顔でソーセージを勧めてくる始末。
カフェは一行目に気を取られてツッコミを忘れるのであった。
「なるほど、お主がまっちゃの本体か。ではこっちは意識が朦朧としたマチコという事だな」
>「マチコは操られてるからもうダメ。
この服借りる。まっちゃ変装。外出る、平気」
「なぬ!?」
何故かここにきて、まっちゃが今までナチュラルに全裸だったことに気付いたカフェ。
天然系人外美少女突如襲来――。
玩具の方向性は違っていても、別の部分で牧街が期待している展開にはなっているのではないか!?
>「まぁ、細かい事言ってても仕方ないか」
牧街も満更でもなさそうだ。
「これはいかん! 早くエセサンタを倒して元に戻してもらうぞ、まっちゃ!」
>94
>「エセサンタが、サンタさんの真似するは、何か理由ある。
その理由、きっと解決のヒントになるなり」
>「つまり…目的っしょ?困らせたいのか喜ばせたいのか真意がイマイチよくわからないんだよなぁ…」
「今までに報告されたエセサンタのプレゼントは、ちょっと笑ってしまうようないらない物ばかりじゃ。
困らせたいならもっと迷惑なものにするはず。
喜ばせたいなら普通にまともな物を配ればいい……つまりどういうことじゃ?」
しばらくして、車は今はもう使われていない玩具工場跡に到着する。
>「…よし、まっちゃ隊員!直ちに偵察に向かいたまえ、君は身が軽い」
「頼むぞ、まっちゃ!」
いつものカフェなら自ら探索に繰り出すところだが、今はロープでぐるぐる巻きになっているのでまっちゃ頼みである。
工場の敷地内は人の気配はなく、静まりかえっている。
もしもまっちゃが工場の建物の中に入った場合――怪奇現象が彼女を襲う!
勝手にレーンが動きだし、ちょっと笑ってしまうようないらない玩具を作り出す事だろう。
1
7
5
カフェくっさ
100 :
◆IgQe.tUQe6 :2012/01/02(月) 02:37:14.45 0
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>「…よし、まっちゃ隊員!直ちに偵察に向かいたまえ、君は身が軽い」
>「頼むぞ、まっちゃ!」
「わかったなり!」
まっちゃが廃工場に侵入したら、レーンが動き出し勝手に玩具を作り出した。
何のためかはわからない。でもきっとなにかの理由があるのだろう。
もしかしたら何かのメッセージを伝えているのかも知れない。
調べてみる必要があると思ったまっちゃは、怖いのを我慢してレーンの上流へむかった。
何年ぶりかに火の灯った廃工場に不気味に響く機械音。
途中、振り返ってみても牧街の姿もカフェの姿もない。
まっちゃの父、トト様の占いでは、もうすぐ街に悪いことがおこるという。
これもその前触れかと思うと、縮こまったまっちゃの魂に火がついた。
悪霊を退治することによって、街を救うことによって、
昔、自分達を救ってくれた霊能力者に恩返しが出来るとまっちゃは信じていたのである。
「…なんかいる」
奥から何か気配を感じる。よく見てみると、玩具達が機械の中に飛び込んで、自らの体をバラバラにしていた。
バラバラになった部品はランダムに組み合わされて、新しい奇妙な玩具を作りだしている。
まっちゃにはこの光景が理解不能だったが、決して正気の沙汰ではないと直感した。
毛むくじゃらのコップ。無数の手足が生えた壷。
メイドではなく奴隷の服。八頭身のドラえもん。穴のないオカリナ。
シュールを通り越して悪意さえ感じる。
その時だ。まっちゃを何者かが捕まえて機械の中に放り込んだ。
身に着けていた牧街の服がバラバラになって弾け飛ぶ。
「ふぎゃああああああ!!!」
工場内にまっちゃの絶叫が響いた。
まっちゃを偵察に向かわせた牧街は、車に戻ると、エンジンを始動し、いつでも出発できるようにする
「…あぁは言いましたけど、多分何も無いっすよ、ここ」
言って、シートにおっかかる牧街
ぶっちゃけまっちゃの言ってることを真に受けていない
ここかな〜と感じたところにそうそう都合よくターゲット何ぞいるはず無いのだ
それでもまっちゃを偵察に出したのは彼女が「絶対ここだ」と強情を張って無駄な争いを起こす事を防ぐためである
なら何故牧街が入っていかないかというのは、単純に怖いからと、許可も取らずに入れば不法侵入になるからだ
(さてそれじゃどーやってエセサンタ探すか…)
とりあえず車で出たとはいえ、アテは全く無い
見鬼君は持っているが、安物なので遠くに逃げられている場合見つけられないし、精度も良くない
それよりもカフェにかかった呪いを解く努力をした方がよっぽど効率が…
>「ふぎゃああああああ!!!」
「!!??」
突如工場内から響いてくるまっちゃの悲鳴
牧街はあわててハンドルを取り、アクセルをふかして…
「…いや逃げちゃ駄目だな!」
逃げようとするが思いとどまり、必殺の霊体ボウガンを手に、神通杖を背中に、腰のバックルに各種破邪札を装備し工場内に突入する
「どした!?大丈夫かまっちゃ!」
声のした方に駆けつけてみれば、そこには不気味な影一つと、散らばった牧街の服…
「な……喰らえ!!」
まっちゃが殺された!
そう判断した牧街の心にどっと感情の波がおしよせ、次の瞬間、牧街は影目掛けて銀の矢を発射した!
並みの悪霊や妖怪ならあたれば一撃で消滅する
>101-102
工場内にまっちゃがはいって行ってしばらく後。
>「ふぎゃああああああ!!!」
まっちゃの絶叫が響いた! 出番だ我らがヒーロー牧街、颯爽と乗り込んでまっちゃを救い出せ!
牧街は電光石火のスピードで車を発進させようと……
「逃げちゃ駄目じゃ逃げちゃ駄目じゃ逃げちゃ駄目じゃ」
>「…いや逃げちゃ駄目だな!」
カフェの呪いのような呟きが功を奏してか、牧街は思いとどまって工場内に入っていく。
>「な……喰らえ!!」
放たれた銀の矢が、謎の影を穿つ!
銀の矢が胸に突き刺さり、倒れ伏すまっちゃ――ではなく、
よく見るとそれは全裸のまっちゃの等身大フィギュアだった……。
「ひぃいいいいいい!! 大丈夫ですか!?」
声がする方を見れば、見るからに草食系の見知らぬ男が、機械を開けて全裸のまっちゃを引っ張り出している。
男は牧街に気付くと、弁明を始めた。
「怪しい者ではありません。ここの玩具会社の元社員です。
ここはシュールな玩具やウケ狙いのパーティーグッズなどを作っている工場だったんです。
決して売上は良くはなかったけどコアな顧客もいて毎日楽しかったなあ……。
クリスマスには毎年サンタの格好をして販促のイベントをやって……。
でも最近会社が潰れてしまって今年は出来ませんでした。
……それで未練が振り切れずに見に来たらこれですよ!」
そこに、いつの間にか来ていたぐるぐる巻きのままのカフェが、推理を披露する。
「ははーん、読めて来たぞ……エセサンタの正体、お主の生霊かもしれん!!」
牧街の服は玩具の原材料としては不適格だったらしく、紙吹雪の如く機械から吐き出され
途中に挟まったまっちゃも、突如現れた草食系男子に救出されることとなった。
「ふみゃあ!」
救出されたまっちゃは青年の姿に気がついて慌てて猫耳を手で隠す。
その理由は、普通の人間に猫又であることがバレたら、化け物と間違えられて大騒ぎなるから…。
まっちゃは尻尾も見られないように、お尻を壁側に向け作り笑い。
決して妖しいものではありませんとアピールする。
>「ははーん、読めてきたぞ……エセサンタの正体、お主の生霊かもしれん!!」
―― ということは解決の糸口は青年の心。彼の心にある。
まっちゃは青年と顔を合わせ――
「おまえ、玩具を配れば満足するなりか?でもみんなが有難迷惑。
こんなの誰も要らないから会社潰れた。お年玉のほうが百倍いいなり」
と失礼なことをずけずけと言い放つのであった。
あけおめ!ことよろ〜
「……」
突然現れた草食系男子
自分語りする草食系男子の声を横に聞きながら、牧街はそっとカフェの傍により、彼女の体で手元を隠しながらボウガンを装填する
>「おまえ、玩具を配れば満足するなりか?でもみんなが有難迷惑。
>こんなの誰も要らないから会社潰れた。お年玉のほうが百倍いいなり」
「不法侵入並びに不法投棄…刑法的にも犯罪っすね」
言って、牧街はカフェの影からボウガンを出し、草食男子めがけて発射する!
草食男子はボウガンをさっと回避し、ぎろりと牧街を睨む
「…なぜわかったのかな?」
そう言った草食形男子の体はびきびきと太りだし、エセサンタの姿に変わった!
それに向かって牧街はびしっと指差し語りだす
「俺達の方が明らかに怪しいのに怪しいものではありません何て名乗る人間はいないからだ!!」
…本当に元社員だった場合、この状況見てまずする事は逃げて通報だろう
「うぬぅ…変人ばっかりおるからちょっとばかしごまかしても大丈夫だと油断しとったわい」
「悪かったな変人で!」
怒りながら神通杖を構える牧街、対し、エセサンタは例の袋をはじめ何も武器がない
(イケル!)
「うおりゃああああああああああああああああああ久々の牧街Dクラああああああああああッシュ!」
第七使徒に挑む赤い人造人間が如く飛び上がり、エセサンタ目掛けて神通杖を振り下ろす牧街!
が、エセサンタは華麗なフットワークでそれをかわし、牧街目掛けて鉄拳の雨を降らせてきた!
「ぎゃびあ!?ぶぼろば!?」
意外に強いエセサンタに牧街は滅多打ちにされ、あっという間にKOされる
サンタクロースは皆、プレゼントを強奪されないよう、サンタ拳という強力な拳法を身につけているのだ
「俺の魂の玩具〜…いらねえとか抜かした奴はお前かぁ?」
目をギラつかせながらまっちゃとカフェに近づいてくるエセサンタ
どうやら生霊ではなく死霊だったらしい…
>>105 はいあけましておめでとうございますですー
【遅くなりましたがあけましておめでとうございますw】
>104
>106
>「うおりゃああああああああああああああああああ久々の牧街Dクラああああああああああッシュ!」
「おおっ、今回は牧街殿が冴えとるぞ!!」
青年の正体を見抜いた牧街がエセサンタに飛びかかる
――が、あっさり返り討ちにされてしまった。
>「ぎゃびあ!?ぶぼろば!?」
「やはり駄目か……」
猫又の体のため、力が十分に発揮できないまっちゃと、ロープでぐるぐる巻きのカフェに、エセサンタが迫ってくる。
普通にピンチだ。
>「俺の魂の玩具〜…いらねえとか抜かした奴はお前かぁ?」
その問いに、カフェはきっぱりと答えた。
「そんな事はない! お主のプレゼントには家族一同散々笑わせてもらったぞ!
ぷっ、うくくく……ぎゃはははは!」
出来た玩具を見回して、笑い出すカフェ。八頭身のド○えもんがツボにはまったようだ。
これによってカフェはとりあえうず攻撃対象から外れ、まっちゃに迫っていく。
「見ろ! こんなにウケているがそれでも誰も要らないというか!?」
ここで要らないと言ったら色々とヤバそうな気がするが、まっちゃなら普通に言いそうな気もする。
牧街は死霊にKOされてしまった。
なんと草食系の男の正体は死霊でありエセサンタ!
GS達に魔の手がせまる!
が、しかし、カフェは死霊の作った玩具を褒めたたえ敵の標的から外れることに成功。
残ったのはまっちゃのみ。
「…う〜、ゴミみたいな玩具をゴミ言ってなにが悪い…?こんなのきわものなり」
「……!!」
ぴきぴきぴきぴき…死霊のこめかみにアオスジが浮く
刹那、死霊のサンタ拳が唸る
ぶん!
「にゃあ!!」
間一髪、死霊の拳を避けたまっちゃは牧街の体にダイビング
牧街の体にヒョウイし立ち上がり、牧街の声で話す
「おまえ、自分の虚栄心を満たすために玩具作るなりか?
怒る理由、そんなちっぽけなプライドなら、玩具が泣くなり!!」
「く!!なにを言う!?おまえになにがわかる!?」
死霊は怖い顔。
まっちゃがしめしめと笑い、銀の矢にヒョウイすれば死霊は低く腰を落とし身構え叫ぶ……
「もう一度言ってみろ!この中肉中背!!」
牧街をにらみつける死霊の体から雪をも溶かすような怨念が巻き上がる
ぼうぼうと燃えるようなヒゲ。赤より紅く染まる真紅の服。
「この服はサンタの血!サンタの怒り!サンタの憎しみ!おまえにも味あわせてやる!!サンタの苦しみをぉーッ!!」
なんと…身構えているサンタの両腕が輝きを始めた!
「○×△□○ーッッ!!」
よくわからない迫力で技名を叫ぶ死霊。その時……
「マチガイ、銀の矢を撃つなり。おら、矢にヒョウイしてる。霊力は倍増してるはずなりよ」
まっちゃの声が牧街の耳朶に触れた。
ぶちのめされて目を回していたマチガイ…もとい牧街だったが、持ち前の回復力で既に回復しようとしていた
>「おまえ、自分の虚栄心を満たすために玩具作るなりか?
>怒る理由、そんなちっぽけなプライドなら、玩具が泣くなり!!」
(おろ?口が勝手にせりふを…我ながら格好いい事言うなあ)
まっちゃに体を乗っ取られていることに気づかず、朦朧とする頭でそんな事を考えていた牧街だった、が
>「もう一度言ってみろ!この中肉中背!!」
何やら別の漫画のようなすさまじい迫力のエセサンタの前に、意識はあっという間に覚醒した
「えぇ!?俺一体何を?って言うか俺言ってない」
>「この服はサンタの血!サンタの怒り!サンタの憎しみ!おまえにも味あわせてやる!!サンタの苦しみをぉーッ!!」
「待って!お願い話を聞いて!」
必死の弁解も、明らかにやばい必殺技の構えを取りながら、牧街に殺意を向けるエセサンタには効果無い
「うわああああああああああやっぱ関わるんじゃ無かった〜〜〜〜」
全泣きで雄たけびを上げる牧街
>「マチガイ、銀の矢を撃つなり。おら、矢にヒョウイしてる。霊力は倍増してるはずなりよ」
が、そこで足元から救いの声が!
「よしナイス!」
牧街はすぐさま飛びつくようにボウガンを拾い、技をぶっ放してこようとしているエセサンタに向ける
「資源が枯渇し始めているこの時代に…いらんもん作るなぁあああああああああ!」
まっちゃ入りボウガンがエセサンタ目掛けてぶっ放される
>109-110
>「○×△□○ーッッ!!」
サンタは日本語による表記が不可能な奇声とともに、どこかで見た事あるような衝撃波を放った!
もしからしたらか○はめはと言ったのかもしれない。
>「資源が枯渇し始めているこの時代に…いらんもん作るなぁあああああああああ!」
一方迎え撃つ牧街がガイアの叫びを代行しながら、まっちゃが憑依した銀の矢を放つ!
二つの力はぶつかり合い――銀の矢がサンタの胸に突き刺さった!
まっちゃの思念がエセサンタに流れ込む。
――おまえ、自分の虚栄心を満たすために玩具作るなりか?
――怒る理由、そんなちっぽけなプライドなら、玩具が泣くなり!!
エセサンタは草食系青年形態に戻り、がっくりと膝を突いた。
銀には古くより退魔の効果があると言うが、先程までとは打って変わって憑き物が取れたような目をしている。
「……そうだね……君の言う通りだ……」
「エセサンタ……」
「会社がつぶれた日の帰り道、僕は交通事故に会って死んだ。
死んだ僕の前に謎の人物が現れたんだ。これからも玩具を作り続けたくはないかと……
楽しんでもらいたいという思いはいつしか自らの虚栄心に変わり、そのために手段を選ばなくなっていった……」
「そいつ……魔族か!?」
「分からない。でもこの街に危機が迫っている事は確かだ……この街の皆の笑顔を守ってくれ……」
青年の姿が次第に薄くなり、消えていく。
「待て、お主!」
駆け寄ったカフェに、青年は囁いた。
「君の事を玩具にしてごめんよ。
都合のいい玩具なんて嬉しくもなんともない、欲しければこそ、あの青年が自分で手に入れないといけないんだ……」
「どういう意味じゃ!?」
「……これは僕からのプレゼントだ」
カフェの問いに答えが返されることは無く、青年が消えた後には、大きめの靴下が一つ残っていた。
この中に魔族との最終決戦に役立つアイテムが入っている……かもしれない!
なんと!大きめの靴下の中には大人の玩具が入っていた!
牧街が銀の矢を放つ。
背景にまっちゃの顔が浮かんで両目がピカーンと光って
グサッ!
サンタの胸に矢が刺さった!
と同時にまっちゃに流れこむサンタ=青年の記憶。
キキーッ!ドカーンッ!
天を仰ぐ両目に映る不気味な影。
影は青年に誘惑の言葉を投げかけてきた。
やわらかな物腰とは裏腹にまっちゃはめのまえの人物を恐ろしいと思う。
そして青年は改心して成仏し、床にプレゼントを残していった。
「これ…なんなりか?」
まっちゃはプレゼントを牧街に差し出して首を傾げていた。
【携帯名無しは、まっちゃじゃないなり】
「まっちゃ、無事か?」
エセサンタが人間に戻ったのを確認した牧街は、まっちゃに駆け寄った
銀の矢は「あらゆる魔」を払う効果がある
悪い奴だけやっつけるいつかの都合のいい猫師匠ハンマーとは違い、霊体に対して毒物のようなものだ
そんな物に憑依すれば、体に負担がかかるだろう
が、まっちゃは見た感じ平気そうだ
「…タフだな」
おーとまっちゃに感心する牧街
どうやら街の平和のためにわざわざこちらにやってくる程度の実力はあるようである
(…そういや何かエセサンタ騒動で流し流しになってたけどこの娘がこっち来た理由って何か危機が迫ってる云々だったよな…
いやそれもそうだけどあの人間の体ってどうやって手に入れたんだ?
何か死んだような感じの人間だったけど…
まさかこいつが無理やり…)
常識がなさそうだしやりかねん
後でまっちゃを問いただそうと牧街は思った
と、牧街が物思いにふけっている間に、エセサンタの青年は成仏している
そしてまっちゃの手に握られているプレゼント
「ふーん、どれどれ」
牧街はまっちゃからプレゼントは受け取ると、兎にも角にもまず開封
すると中から電気こけしが…
…出てくる事は無い、この世界は少年誌がベースだ
「…チケット?いや、カードキーかな?」
何やらまっ黒いカードのような物が靴下の中には入っていた
微妙に妖気のような物も感じられる
謎のカードキーは、牧街の手で恐山流除霊道場の分析班にまわされた
そして、一同は再び牧街のアパートへ
室内にはカフェの両親に預けておいたマチコもいる
「まっちゃ、そういやこの娘さんの体どうやって手に入れたんだ?」
完全武装を解かずに、まっちゃにたずねる牧街
カフェの体も元に戻っているため、戦力として期待できる
戦力で勝っているため、牧街は強気なり、堂々とまっちゃに問いただした
牧街はこのよくわからん天然の猫又が、とりあえず悪い奴で無いことはわかったが、だからと言って無意識に悪い事をしない奴とは思っていない
もしマチコの体を不法に手に入れていたのなら、即座に彼女を解放しなければならない
今後のために、牧街は両者の関係性をはっきりとさせておくべきだと思っていた
勿論、今後とは、まっちゃを新たなカプセル怪獣として使役していく事を指している
「えーと、君もそろそろ意識が戻ってると思うけど、こいつと何があったか、教えてくれないかな?」
牧街は、マチコの方にも質問してみた
牧街のアパート
>「まっちゃ、そういやこの娘さんの体どうやって手に入れたんだ?」
「拾った。そいつ山で死んでたから、のりうつった」
ガサガサと袋から照り焼きハンバーガーを取り出してまっちゃは食べ始める。
少しまえに、牧街の財布からお金をとってマックから買ってきていたのだ。
「みんなで食べるなり」
火燵のうえにチキンナゲットやフライドポテトが沢山並ぶ。
>「えーと、君もそろそろ意識が戻ってると思うけど、こいつと何があったか、教えてくれないかな?」
「え?べつになにも…。ただ私は山で…その……。
う…、うわあぁん!ごめんなさい!」
マチコは火燵の布団に顔を埋める。うなじに紫色の縄のあとが滲んでいる。
首つり自殺を行ったものの、腐った枝と体重が邪魔をして失敗したのだった。
「あの、聞いてくれますか?私の彼…交通事故で死んでしまったんです…。
子供が好きで、玩具が好きで、とっても優しい彼でした…なのに、それなのに…死んでしまった…
私はかなしくてかなしくて死のうと思って山にのぼりました……
そうしたらいつの間にか街に帰って来てしまっていて…。
これはきっと彼が私に、死んじゃダメって導いてくれたのですね…」
「……」
まっちゃは頬っぺたにソースをつけながら、マチコの話を聞いている。
拾った財布の持ち主が現れた感じ。
だから流石のまっちゃもマチコの体にヒョウイすることを諦めていた。
「ダヴルチーズヴァーガー食べるなり?どうした?嫌いなりか?」
「うううん、大好き」
マチコはダブルチーズバーガー2個とオレンジジュースを食べ尽くすと挨拶をして去っていった。
「しかたないなり。おら、このままの姿でマチガイの家に住むしかないなり」
深い溜め息を吐くまっちゃだった。
【名前】まっちゃ
【年齢】 不明
【体格】 ストレートヘア。中学生くらいの体型
【容姿(霊衣)】牧街のおさがり
【属性】 霊的格闘術
【霊圧】 33.33マイト
【特殊能力】憑依
【装備】爪
【趣味】占い
【備考】山猫又
>「これ…なんなりか?」
>「ふーん、どれどれ」
まっちゃが牧街に、プレゼントを手渡す。
>「…チケット?いや、カードキーかな?」
「ふむ、大人向けの玩具かのう」
大人向けの玩具とは、文字通り大人が楽しめる高価な玩具の事で、大人の玩具とは意味が違うので注意を要する。
そしてカフェの家に寄ってマチコを回収し、再び牧街のアパートへ。
>「まっちゃ、そういやこの娘さんの体どうやって手に入れたんだ?」
>「拾った。そいつ山で死んでたから、のりうつった」
「しかし、こやつは死んでないと思うぞ……」
>「みんなで食べるなり」
「ちょっと待てい! 何時の間に買った!? というか金はどこから調達した!?」
まともに答えそうにないまっちゃに代わり、意識を取り戻したマチコが経緯を語り始める。
>「あの、聞いてくれますか?私の彼…交通事故で死んでしまったんです…。
子供が好きで、玩具が好きで、とっても優しい彼でした…なのに、それなのに…死んでしまった…
私はかなしくてかなしくて死のうと思って山にのぼりました……
そうしたらいつの間にか街に帰って来てしまっていて…。
これはきっと彼が私に、死んじゃダメって導いてくれたのですね…」
「マチコ殿……大丈夫じゃ、お主の彼はちゃんと成仏したぞ」
マチコはダブルチーズバーガーを食べ尽くすと去って行った。
>「しかたないなり。おら、このままの姿でマチガイの家に住むしかないなり」
「なぬー!? 人外猫耳美少女が押し掛けて転がり込むってそれ何てギャルゲ展開!?」
こうして今回の事件は一件落着。
突如転がり込んだ人外猫耳美少女との共同生活が始まるぞ!?
次章、GS美神世界でギャルゲTRPGに突入――!(←真っ赤なウソ)
【ありがとうございいました!クリスマスネタなのに1月半ばになってしまいましたがw】
>「拾った。そいつ山で死んでたから、のりうつった」
「…地獄先生ぬ〜○〜の狐か」
あきれて口を引きつらせる牧街
と、何やら山猫娘はハンバーガーの袋を出し、もりもりと食い始めた
へー都会に順応してるんだなーと妙に感心する牧街だったが、だったら法律だって知ってるはずである
悪い妖怪だと思われまいと嘘をついている可能性が否定できない
だが、それもマチコの説明で杞憂に終わり、マチコもダブルチーズバーガー食って、挨拶して帰っていった
なおテニスウェアだけでは寒そうなので、牧街の古着を重ね着してもらっている
さて一息ついたという所で…
>「しかたないなり。おら、このままの姿でマチガイの家に住むしかないなり」
何か猫がとんでもない事をほざきだした
「おま…んな事できるわけ…」
言いかけ、ある事に気づく牧街
…こいつ、ハンバーガー買った金どうしたんだ、と
そおっと自分の財布を確認してみれば、夏目漱石が行方不明になっている…
「………山に帰れえええええええええええええええええええええええ」
牧街Dクラッシュの一撃が、まっちゃを冷たい窓の外に吹き飛ばした
「ったく!とんでもない妖怪だった…」
ぶつぶつ文句を言いながら、牧街は塩を巻き、戻ってこれないように結界を構築し始める
牧街モリオには、猫娘を買う生活的余裕など無いのだ!
こんばんはー
頭が痛くて書けないので今回はパスさせて下さい
カフェさん
エセサンタのシナリオお疲れ様でした
>「………山に帰れえええええええええええええええええええええええ」
「おおっ、ホームラン!」
牧街は自らギャルゲTRPG化フラグをへしおったのであった。
――そして数日後。
「まっちゃ殿ではないか、どうじゃ? うちに転がり込むか?」
まっちゃはカフェに拾われそうになっていた。
月夜田とのタッグに続く、(牧街にとっての)最恐疫病神コンビ結成第2弾の予感がする。
【>まっちゃ殿 大丈夫かえ? 無理をしてはいかんぞ】
>「………山に帰れえええええええええええええええええええええええ」
>「おおっ、ホームラン!」
「ふにゃああぁあん!!」
まっちゃは窓の外に飛ばされると着地して泣きながらどこかへ駆けていった。
そこはまっちゃの猫の部分で、空腹を満たすことは正しいことと思っている。
そして人間界のルールも山で勉強していて諭吉の印刷された紙を渡せば
人間がいいなりになることも知っている。
「マチガイなぜ怒った?あいつはきっとキチ○イなり…」
電柱の影から牧街の家をのぞき見しながら独り言を吐き、
まっちゃはとぼとぼとどこかへ立ち去った。
数日後
>「まっちゃ殿ではないか、どうじゃ? うちに転がり込むか?」
「カフェ?」
まっちゃはキョロキョロおどおどしながら辺りを見回して
「マチガイはいない?あいつ大キライ。GSのかざかみにもおけないなり。
まっちゃを助けてくれた人はとても優しかったのに…」
わーんと泣きながらカフェに抱き着く。
「カフェ…ずっといっしょ…なかよしなり」
まわりの目も気にしないで、まっちゃはカフェに抱き着いていた。
【まっちゃの勘違いで仲たがいにしてみました】
ご心配おかけしました
起きては靴下をはき起きては靴下をはくという悪夢を五〜六回繰り返しみながらも風邪は完治しましたー
>>123 風邪治って良かった〜〜〜!
これからもよろしくお願いします!
ごめんなさい2月の7〜10日位までテストに集中するためPCに触れない事にしました
牧街は正月は実家に帰ってる事にして、少しの間お二人だけで進めていただけないでしょうか?
本当にすいません
…いや、その、日ごろ勉強してなかったからかなり本格的にしないとまずいんです、ほんとすいません
>「マチガイはいない?あいつ大キライ。GSのかざかみにもおけないなり。
まっちゃを助けてくれた人はとても優しかったのに…」
「まっちゃ殿、それは……」
誤解じゃぞ、と言いかけた時、まっちゃが泣きながら抱きついてくる。
「カフェ…ずっといっしょ…なかよしなり」
「……よし! まずは妾の家の喫茶店に行こうぞ。何でも好きな物を頼むが良い。
妾の大事な友達となれば母上が気合いを入れて作ってくれよう」
こうして、牧街とのギャルゲ的同居生活の代わりに、カフェとの百合アニメ的(?)同居生活が始まったのであった。
>124
【ファイトじゃ! まっちゃ殿と仲良く留守番しておく故心配は要らぬ!】
>123
【何じゃその夢はw 完治オメ!
牧街殿がそういう事ゆえ、束の間二人で対面進行するかの。
このスレ短編をやりつつ背景にゆるやかーにテロ魔族との戦い、みたいな長期シナリオがあって
次は牧街殿がそれの最終章をやるそうじゃ。
なので牧街殿が帰ってくるまで日常でもやりつつ場を暖めておくかの?】
>>124 こちらこそごめんなさい。
中途参加で牧街さんの予定を狂わせてしまったのかもです。
>テスト
影ながら応援しています。良い結果がでますように…。
>>125 了解しました。日常やってみます。
カフェの喫茶店。入り口には小さな雪だるま。
それはうっすら積もった初雪をかき集め、まっちゃがつくったもの。
「あけおめー!お年玉ちょうだーい」
もう一月も終わるというのに、少女はお年玉をねだっている。
カフェの喫茶店を手伝いながら、客にお年玉をねだっているのだ。
チャリン。
一人の客から200円をもらうと、
まちゃは大喜びで二階のカフェの事務所にあがり――
「カフェー、おら買い物してくる。留守番は頼んだなり」
事務所のドアに手を開け、飛び出そうとする。
すると扉の裏には女が立っていた。
「すみません。ここはGSさんの事務所ですか?
ご依頼したいことがあってお訪ねしたのですけれど」
女は静かにコートを脱いでソファに座る。
「おきゃくさま?」
「ええ。あのすみません。大人の方はいらしゃいますか?」
「カフェは大人なりよ」
「あ!ごめんなさい。あなたがGSの方でいらっしゃるのね。
依頼というのは、あなたに私の話を聞いてもらいたいの。
そして、解決できる問題か判断してもらって出来れば解決してもらいたいの」
「?」
「あれは去年のことでした。私はこの黒いものを拾いました。
それ以来悪いことばかりが続くんです。職場で大失敗してしまったり、
彼氏に逃げられてしまったり…」
「じゃあこんな黒いもの捨てればいいなり」
「ダメなんです!捨てても次の日には少し膨らんで戻って来るんです!
そのたびに起きる災いが大きくなっている気もします!」
「…んにゃ。どうするなり?そもそもこの黒いのはなんなりか?」
困った顔でカフェをみつめるまっちゃだった。
【日常じゃなくって依頼になってしまいました】
「平和じゃのう。嵐の前の静けさ……なんちゃっての」
誰に言うともなく一人ごちるカフェ。
クリスマス騒動以後、特に大きな事件は無く平和な日々が続いていた。
正月も過ぎ、一月下旬……まっちゃはすっかり店の看板猫として馴染んでいる。
それなのに何か物足りないような気がするのは、牧街が実家に帰っていていないからだろうか。
>「カフェー、おら買い物してくる。留守番は頼んだなり」
「おおっ、またおひねりを貰ったか。良かったのう!
気を付けて行って来るのじゃぞ」
そう言ってまっちゃを送りだそうとした時。
>「すみません。ここはGSさんの事務所ですか?
ご依頼したいことがあってお訪ねしたのですけれど」
――客が来た。依頼者の女は、ソファに腰掛け顛末を語りはじめる。
この依頼が未曾有の波乱の幕開けになる……のか!?
依頼を聞き終わり、まっちゃがカフェに話を振る。
>「…んにゃ。どうするなり?そもそもこの黒いのはなんなりか?」
「……おそらく恐ろしく手の込んだ呪いのアイテムであろう」
まずは二番目の質問に、誰でも思いつきそうな当たり障りのない答えを返す。
だが、続いて最初の質問に対しての答えは当たり障りのないものではなかった。
「では今日はその黒い物をここに置いておくがよい。
今日一晩この事務所で鍵のかかる箱に入れて厳重に保管してみようぞ。
それでもお主の元に帰ったらまた次の手を考えねばならぬが」
「ありがとうございます! よろしくおねがいします!」
心底有り難そうにお礼を言う依頼者だったが、失敗したらまた石が少し膨らんでしまう。
作戦が成功したらしたで、今度はカフェ達が災厄に見舞われる事になるかもしれない。
カフェ&まっちゃ危うし――!
「平和じゃのう。嵐の前の静けさ……なんちゃっての」
誰に言うともなく一人ごちるカフェ。
クリスマス騒動以後、特に大きな事件は無く平和な日々が続いていた。
正月も過ぎ、一月下旬……まっちゃはすっかり店の看板猫として馴染んでいる。
それなのに何か物足りないような気がするのは、牧街が実家に帰っていていないからだろうか。
>「カフェー、おら買い物してくる。留守番は頼んだなり」
「おおっ、またおひねりを貰ったか。良かったのう!
気を付けて行って来るのじゃぞ」
そう言ってまっちゃを送りだそうとした時。
>「すみません。ここはGSさんの事務所ですか?
ご依頼したいことがあってお訪ねしたのですけれど」
――客が来た。依頼者の女は、ソファに腰掛け顛末を語りはじめる。
この依頼が未曾有の波乱の幕開けになる……のか!?
依頼を聞き終わり、まっちゃがカフェに話を振る。
>「…んにゃ。どうするなり?そもそもこの黒いのはなんなりか?」
「……おそらく恐ろしく手の込んだ呪いのアイテムであろう」
まずは二番目の質問に、誰でも思いつきそうな当たり障りのない答えを返す。
だが、続いて最初の質問に対しての答えは当たり障りのないものではなかった。
「では今日はその黒い物をここに置いておくがよい。
今日一晩この事務所で鍵のかかる箱に入れて厳重に保管してみようぞ。
それでもお主の元に帰ったらまた次の手を考えねばならぬが」
「ありがとうございます! よろしくおねがいします!」
心底有り難そうにお礼を言う依頼者だったが、失敗したらまた石が少し膨らんでしまう。
作戦が成功したらしたで、今度はカフェ達が災厄に見舞われる事になるかもしれない。
カフェ&まっちゃ危うし――!
【二重投稿すまぬ】
131 :
まっちゃ:2012/01/23(月) 19:24:08.72 0
>「……おそらく恐ろしく手の込んだ呪いのアイテムであろう」
「のろい?」
>「ありがとうございます! よろしくおねがいします!」
女はお礼を言うと去った。
「(なにか変。どうしてあの女はこんなものを拾ったなりか?胡散臭いなり…)」
まっちゃは怪訝な表情で黒い物を見つめていたが、箸で摘み箱の中に入れる。
そして夜――
カフェとまっちゃは同じ夢を見た。
どんぶらこ。どんぶらこ。
川上から桃が流れてきてそれをおばあさんが拾う。
「そりゃー!」「おりゃー!」
おばあさんが桃を家に持って帰れば、名刀まさむねでおじいさんがたたっ斬る
そうしたら中からカフェが登場。
おばあさんは真っ黒いものをカフェに渡し鬼を退治してこいとか言った。
カタンカタン
隣の部屋からは機織り機の音がして月夜田みことが鶴になって飛んで行く。
わんわん。
裏の畑では犬の牧街がここ掘れワンワンと鳴いている。
山からは熊に乗ったまっちゃが現われた。
「カフェ。ここはどこなりか?」
その頃鬼たちは銀座のクラブで豪遊していた!
>「カフェ。ここはどこなりか?」
夢の中のまっちゃに、夢の中のカフェは謎めいた答えを返す。
「ここは夢の世界――さりとてただの夢と思って侮ってはならぬ。
夢とは人々の深層意識が集う領域……、魔族共が夢の世界から人間界の制圧を試みんとも限らん。
鬼とは人の心の闇の象徴……。妾はこれより鬼退治に行く! これをやるから我が仲間となるがよい!」
真っ黒い物を熊に乗ったまっちゃに渡して、強引に仲間にする。
「さて、ここに犬の牧街殿が発掘してくれた大判小判がある。
先も言ったように鬼とは人の世に潜むもの。まずは銀座のクラブに行き潜入捜査しようではないか」
カフェ達は鬼退治のために銀座のクラブに乗り込んだ。 ※夢の中です
銀座の高級仮装クラブ「ちゃちゃまーる」
まっちゃはオーナーの首にマサカリあて
「よく見て。おらたちは本物の御伽話の主人公なり。勧善懲悪の象徴なり。
言うこと聞かなかったら、おまえ、ただじゃすまない」
物騒なことを言い放つ。ちなみに金太郎姿のまっちゃはお尻丸出し。
恐喝と公然わいせつみたいなことを二つ同時に犯している。
「わかったら協力するなり」
「…は、はい」
カフェとまっちゃはホステスに変装して潜入捜査を始めた。といってもそのままの姿。
店内は流石に高級仮装クラブだけあって、客もホステスたちも皆仮装している。
「桃太郎ちゃーん、こっちこっちー」
酔って赤い顔をした男がカフェたちを呼びつける。頭には立派な角。
「きみ、きゃわゆいねぇー」
眼鏡の鬼はちゃらかったのでチャラ鬼と名付ける。
彼はべたべたと擦り寄ってくる。
「きもちわるいなり!おらたちが誰かわからないなりか!?」
「おこった顔も、きゃわいーねぇー」
指を二本突き出して、カフェの胸とまっちゃの胸をつつく。
怒ったまっちゃがマサカリを振り上げると
ガチャガチャガチャ!
まわりにいた人たちが一斉に銃口をカフェたちに向けた。
「いえーい。きみたち騙されちゃったんだぜぇーい!お間抜けな子猫ちゃーん」
チャラ鬼がバチンとまっちゃにビンタをして張り倒せば
そこへ現われたのは本物の桃太郎。
猿がカフェに蹴りを入れて壁に蹴り飛ばせば
犬が鬼に疾駆して鬼の攻撃をわざとらしく受け大怪我をする。
「犬ー!!」
桃太郎が叫ぶ。
「ゆるさねえ!!ぜっていにゆるさねえ!!」
桃太郎は両目から涙を溢れさせ口に血をにじませながら叫ぶ。
喉が張り裂けんばかりに絶叫する。
「おれたちはちっぽけな存在だ!!!!!!!だけどよお!!!!!!!!!
なんてらかんてら…」
筋肉が縮小し、爆発力が大地と峻別!!
自然な甘さがありそれでいてしつこくないエネルギーを帯びた日本刀が風をきる。
そこへ刀に吸い込まれるように潜伏していた鬼の大将が出現。
自ら顔面を刀の軌道に入れ込めば――
「うおおおおお!!!」
溢れかえる血!
「カフェ。これなんなりか?
なんだか、一年くらいかけてやることを数秒でやった感じがするなり」
「おっと邪魔はするなよ。お花畑の偽桃太郎め」
カフェを羽交い絞めにする正体不明の真っ黒いのがいた。
前レスのあらすじ!
カフェ達は、銀座の仮装クラブに潜入し、鬼退治を始めるが、鬼に取り込まれてピンチに陥る。
これは鬼達の罠だったのだ。
そこに本物の桃太郎が現れ……鬼の大将は正義の刀の前に倒れた!
>「カフェ。これなんなりか?
なんだか、一年くらいかけてやることを数秒でやった感じがするなり」
「うむ、まあ夢の世界だからこういうこともあろう」
>「おっと邪魔はするなよ。お花畑の偽桃太郎め」
カフェは、正体不明の真っ黒いのに羽交い絞めにされていた!
が、これが夢だと分かっているカフェは慌てる様子も無く、推理を披露する。
「お主……あの黒い石じゃな?
気が触れるような混沌とした夢を見せ、精神エネルギーを吸い取り運気を下げる――!
目覚めた時には本人は夢の内容は忘れている……そんなところであろう」
「ククク……よく分かったな……。
だがお前達には混沌とした夢が通用しないどころかノリノリで適応してやがる。
許さん!」
「さてはお主、ナイトメアであるな!?」
「失礼な奴だ、そんなものと一緒にするな……」
凄まじいオーラが渦巻き、真っ黒い物体が真の姿を現す――!
変化が終わった時そこには……
「幻妖密使中年隊! 名井と……」「芽阿!」
「「見参!!」」
まっちゃとカフェの前で、小悪魔系少女の服装をした中年オヤジ二人がポーズを決めていた。
それを見たカフェは妙に納得した。
「うむ、まさしく悪夢じゃ」
【牧街殿が帰ってくる頃を見計らってミニシナリオとして終わらせるのがいいかもしれんの】
「ひーはー!!」
しゅたしゅたしゅたしゅた!
床を、壁を、天井を、名井と芽阿が駆け巡る。
息の合った連携攻撃で後ろから前からカフェを挟み撃ち。
飛んでくる二つのお尻。
ぶちゃあ!
二つのお尻にカフェの頭は挟まれた!ぐりぐりと密着され擦られた。
夢とは言え精神的ダメージ大きいことだろう。
「ぐげげげげげ!壊れた心の隙間から、さらに深層意識に潜り込んで、極上の悪夢を見せてやる!」
「のほほほほほ!いくぜぇー兄貴ー!せーの…」
「「ハートブレイクディスピアーッ!!」」
ブバババババババババババ!!
「カフェー!!逃げるなりー!!」
目の前の悪夢にまっちゃは息を飲んだ。
あの優しいカフェが中年オヤジ二人に、お尻で頭を挟まれているのだから。
虚ろなカフェの瞳には例によって、あのトラウマが浮かんでいる。
――夕暮れの教室。たむろしている不良たちがひそひそと噂話。
だが、ここは夢の世界なのでひそひそはすべて聞こえてくる。
カフェの頭に針のように刺さってくる。
「あいつ、○○と仲良く遊んでたぜ」
「へー、同じ穴のむじなじゃねぇ?」
「きもくね?あいつら」
「放課後、○○を半殺しにしようぜ」
「いいねー」
「ふひひ…」
※ ※ ※
「よー。あいつひきこもっちゃったってよ」
「うそ?超うけるんだけど」
「そりゃそうだろ。半殺しにされてもお友達は助けてくれないんだぜ?」
「半殺しにしたのは、おれらだけどな。にひひ」
「ほら、あれ見てみ。あいつぼっちになってるぜ」
「くっくっく、ざまあwww」
机に独り座るカフェを不良たちが見ている。
そして、カフェの深層意識から溢れ出して来る化け物がカフェの心を内部から壊し始めた。
そう、まるで卵の殻のように。
「よーし、そろそろフィニッシュといくか兄弟!」
「ほほーい!!」
名井と芽阿は天井を突き破り、空高く舞い上がったかと思えば、カフェを目がけて急降下。
「「ファイナルサイコクラッシャーッ!!!!!」」
光りの矢となった中年がカフェに迫る!!
【わかりました】
「ぎゃああああああ!! 尻があああああああ!! 尻があああああああ!!」
純然たる精神攻撃は夢の中でも威力を発揮する。
それどころか、下手すれば精神世界の夢なればこそ逆にダメージが増大する!
>「「ハートブレイクディスピアーッ!!」」
「う……あ……」
意識の深部から語りかけてくる、名前すらも忘れてしまった同級生。
「どうして……どうして、今の君みたいにアイツらと戦ってくれなかったの?」
「ごめんね、ごめんね、今の私なら君を守れたのに……」
「いいんだ、僕の頼みを聞いてくれれば許してあげる。
……一緒に逝こう、今度こそ、ずっと友達だよ……」
夢の少年が、カフェの首に手をかける。絞殺さんとするように。
ああ、それもいいかもしれない――と、カフェが提案を黙認し、されるがままになりかけた時。
―― カフェ…ずっといっしょ…なかよしなり
まっちゃの声が聞こえたような気がした。
「すまぬ、お主のような思いをする者を二人も出すわけにはいかん!」
カフェは、弾かれたように少年の手を振り払う。
幻の少年は、跡形も無くかき消えた。
「危うく騙されるところであった。全ては幻じゃ……。
お主はあんな不良どものために死ぬような奴じゃない。
きっとどこかで幸せに暮らしていると信じておるからな――!」
>「「ファイナルサイコクラッシャーッ!!!!!」」
中年が光の矢となって迫ってくる!
「まっちゃ殿、こちらもオヤジどもに対抗して友情パワーじゃ!
合わせるのじゃ! caffe&抹茶のハイパー喫茶店アタック!!」
カフェが高々と右手を掲げる。その右手からは、コーヒー色の光が溢れだす!
>「まっちゃ殿、こちらもオヤジどもに対抗して友情パワーじゃ!
>合わせるのじゃ! caffe&抹茶のハイパー喫茶店アタック!!」
「……あ!!」
高々と右手を掲げるカフェの姿が、まっちゃには一瞬だけ、
昔、猫又一族を助けてくれた霊能力者と重なって見えた。
その人は多分もうこの世にはいない。
ただ、とても優しい人で、別れの日にこう言った。
「受けた恩は、わたしではなくて他の人に返してほしい」と――
強くて優しくて謙虚。
あの日の、一流を超えた超一流の言葉に、小さいまっちゃは胸を奮わせたものだ。
「ぱわぁー!!」
両手を掲げ、まっちゃは抹茶色の光りをつくりだす。
まばゆい光が頭上で爆発する。
夢の世界で、光に具現化した霊力同士が衝突しているのだ。
「あ、あの光は、まさか!?くっ…」
「あ、兄貴〜、やべーよ。あれじゃ勝てねーよ!」
「黙れ!!」
ガブリ!!ガボン!ゴクン!
なんと名井を芽阿が食べた!!
芽阿の加齢臭は臭みを増しハゲあがった頭がさらに光り輝く。
「ククク、悪夢は終わらない。カスどものちっぽけな夢を踏み潰し、
絶望をすすり、憎しみを食らい、悲しみの涙で喉を潤そう…くはははは!!」
名井の血で染まった真っ赤な口を開け、大笑いする芽阿。
「仲間を食べるなんて、狂ってるなり! 」
「絶望はオレの力の源。おまえらも喰らってやる。
そしてオレさまの一部となり永遠に超絶悪夢を紡ぎ続けるのだ!!」
「そんなのお断りなり!おらはカフェといっしょ!
お前の夢物語は自己完結の自分だけの物語!でも、おらたちは違う!
いっしょに紡いでいくのなり!!おともだちだからいつもいっしょ!!
いつでも心を一つにできるなりよ!!」
まっちゃはカフェの体に憑依する。カフェinまっちゃ。
(ぽかぽか。カフェのなか…あったかいなり…。
……カフェ、あの孤独な人を悪夢から覚まさせてあげるなりよ)
カフェの霊力が増してゆく!コーヒー色の光が濃さを増す!
>「ぱわぁー!!」
まっちゃが作り出した抹茶色の光がコーヒー色の光と合わさり、炸裂する!
カフェはふと思い出した。ちょっとした霊能力者だったご先祖様の茶々の事を。
といっても、文字通りの”ちょっとした”霊能力者だが――。
いつぞやの温泉編では、墓から出てきて果敢に悪霊に立ち向かい、カフェと月夜田のピンチを救ってくれた。
動物が大好きな優しい人だったそうだ。……たとえ相当な変態だったとしても。
「茶々殿、妾は……いつかお主のような霊能力者になれるかの」
>「あ、あの光は、まさか!?くっ…」
>「あ、兄貴〜、やべーよ。あれじゃ勝てねーよ!」
>「黙れ!!」
「お主どもの負けじゃあ、観念せい!」
仲間割れを始める中年二人を見て、カフェは勝利を確信した――
だがしかし! 名井を喰らう芽阿。地獄絵図である。
「お主たち、仲間じゃなかったのかえ!?」
>「絶望はオレの力の源。おまえらも喰らってやる。
そしてオレさまの一部となり永遠に超絶悪夢を紡ぎ続けるのだ!!」
>「そんなのお断りなり!おらはカフェといっしょ!
お前の夢物語は自己完結の自分だけの物語!でも、おらたちは違う!
いっしょに紡いでいくのなり!!おともだちだからいつもいっしょ!!
いつでも心を一つにできるなりよ!!」
「哀れな輩じゃ……。教えてやろうぞ、何人喰らってもその飢えが満たされることは無い!
喰らえば喰らうほど力に飢え終わらない悪夢へと転がり落ちていくだけじゃ!」
まっちゃがカフェの中に入っていく。
力強い、それでいて優しい力がカフェの中に満ち満ちる!
>(ぽかぽか。カフェのなか…あったかいなり…。
……カフェ、あの孤独な人を悪夢から覚まさせてあげるなりよ)
「おう、行くぞ、まっちゃ――!」
――眩い光がカフェを包み込む!
一瞬の後、頭身の低いデフォルメギャグキャラのカフェはどこへやら。
そこには――7頭身(イメージ)のすらりとした女性が立っていた。
ただしその顔立ちは大人っぽくはあるが紛れも無くカフェのもの。
服装はコーヒー色と抹茶色を基調としたゴスロリ。
手に持つ武器は、いつもの傘の代わりに巨大なティースプーン。
そして、なんといっても頭には猫耳がついている。
「――マジカルプリンセス・抹茶ラテ――見参!」
――なんということでしょう。合体キャラが爆誕してしましまいました。
まさに大改造劇的ビフォーアフター。まあ夢の中だしこんな事もあるだろう。
カフェとまっちゃの合体キャラ、抹茶ラテを前にした芽阿は、尚不敵な笑みを浮かべていた。
「なかなか面白い――だが我が力の前では無駄な事だ!
むしろ一人ずつ喰らう手間が省けて好都合! 二人まとめて我が糧としてやろう!
喰らえ中年流秘奥義、臭い息!」
芽阿はその技名の通り、臭い息を吐きかけてきた!
まともに喰らえば各種バッドステータス変化を受けてしまう恐ろしい技だ!
【合体キャラという事で二人で交互に動かそうぞw】
ふーん
なるほどねー
保守
>「なかなか面白い――だが我が力の前では無駄な事だ!
>むしろ一人ずつ喰らう手間が省けて好都合! 二人まとめて我が糧としてやろう!
>喰らえ中年流秘奥義、臭い息!」
「なんの!おちゃっぱカテキン!」
左手から茶葉の嵐が噴出し、臭い息をかき消す。
と同時に風圧で吹き飛んだ芽阿は空中で反転、逆さまに停止、体を震わせ切歯扼腕。
その様子に抹茶ラテは余裕の微笑。
「ふっ…、もう終わりにしようではないか。お主の負けじゃ」
「く、くそ!オレは負けん!!絶対に……」
眉間に皺を寄せる。悔しさで食いしばった歯茎から血が溢れ出す。
誰の目にも勝負は見えた。十中八九、芽阿の敗北が。
しかしそのとき――
「ふーん、なるほどねー」
遠くをカフェパパが歩いていた。
近くの部屋で寝ているカフェパパの意識が黒い石の中に紛れ込んできたのだ。
「ククククッ…神はこのオレを見捨てていなかったぞぉ!!」
カフェパパに弾丸の如く飛翔する芽阿。
絶叫するカフェパパ。それも無理はない。
小悪魔少女の姿をしたオヤジが飛来してきたのだから。
――抹茶ラテが気がついた時には、すでに遅かった。
芽阿は瞬時に己の体を豚骨スープ化して、カフェパパの口の中から体内へと侵入。
カフェパパは白目を剥いて口から汁をダラダラ。見る見るうちに腹部が餅のように膨らんでゆく。
増大してゆくコレステロール値。もう健康体を『保守』することもかなわない
カフェパパのパジャマが破れ、中から現われたのは、角、羽、尻尾、完備の際どい小悪魔衣装を纏ったカフェパパ。
その姿はさらに禍々しいものへと変化していくようだ。
【ちょっと体調不良でおそくなりました。ごめんなさい】
「父上――ッ!!」
抹茶ラテの目の前で、カフェパパは禍々しい変化を遂げる!
超肥満体形! 堂々たる腹肉! 全身から立ち上る加齢臭!
変化が終わった時、そこには――
ド○クエ第八作目のラスボスの暗黒神(※超メタボ体形)が、無理矢理小悪魔ファッションを着たような姿のクリーチャーがいた。
クリーチャーがご丁寧に自己紹介をする。
「我が名はメタボリック・シン・ドリーム! 醜く贅沢三昧をし食料資源を食いつぶす先進国人類の罪の権化……!
長いので略してシンと呼ぶが良い!」
「馬鹿な。父上は貧乏生活のせいで暴食などしたくても出来ぬ!
――はっ、たまには暴食をしてみたいという心の隙間に入り込まれてしまったのか……!」
「そうだ、抑圧された欲望こそが我が最高の糧となる――!」
抹茶ラテは、決意のこもった顔で宣言した。
「わたし、シンを倒します。必ず倒します――!」
「フハハハハハ! 倒せるものなら倒してみろ! 喰らえ、超豪華フルコース!」
メタボリック・シン・ドリーム略してシンが小悪魔ステッキを一振りすると……
純白のテーブルクロスがかかった超豪華ディナーセットが現れた!
そこに、ロリショタ美少年の猫師匠(の幻)が、キャスターに料理を載せて現れる。
「なんとかかんとかのなんとかかんとかにゃ」
フランス料理っぽい何か凄そうな料理名と共に、料理がテーブルの上に置かれた。
「なんて美味しそうなのじゃ……しかしこれは罠じゃ。
いやでもちょっとぐらいなら……」
果たして抹茶ラテは豪華フルコースの誘惑を振り切る事が出来るのか!?
【なに、3日も経ってないのに遅くなったうちにも入らぬ。
最近寒いゆえお互い気を付けようぞ】
>「なんて美味しそうなのじゃ……しかしこれは罠じゃ。
>いやでもちょっとぐらいなら……」
「さあお食べ。怖がらないで」
「ごきゅ…」
唾を一つ飲み込んだら、くぅーとお腹が鳴る。
「ちょっとぐらいならよいじゃろ……」
「ダメなり、かふぇ!これは罠なり!あの料理、よくない臭いする!!」
「ええい、お主は黙っておれ……。
わらわの体が、舌が欲しておるのじゃ……。いただきまーす」
料理のいい匂いにカフェの心は完全に支配されかけていた。
「だめー!!」
びょん!もぐもぐもぐもぐ!
憑依を解除し、カフェの体から飛び出したまっちゃが料理にむしゃぶりつく。
そして匂いさえ残さずに一瞬で平らげる。
「う、おなか…、いたい…。トイレ…いきたい…」
まっちゃはうずくまり真っ青な顔。やはり毒が入っていたのだ。
「ばかめ。仲間を助けるために自ら毒を食べるとはな。
だが、それも無駄だ。なぜならほれ!」
小悪魔ステッキを一振りすると、今度は桜井美月が冷笑を浮かべ、本格手打ちそばを作り始めた。
べたん!べたん!そば粉の塊を木のテーブルに打ち続けている。にたにたと笑いながら。
「とってもとっても美味しい手打ちそばをつくりますわ。
2時間少々お待ちくださいましね。閉店20分前ですけれど。おーほっほっほ!」
「カフェ…。おら、うんちもれるなり」
「クックックック…どうするこむすめ?」
「……う!!?」
突如、苦しみだすシン。
「娘たちをいじめるな…」
「なにぃ、こいつぅ〜…」
――なんとシンの中で芽阿とカフェパパが戦っている!
「事情はよくわからないけど、パパが押さえつけているから
はやくこいつをやっつけるんだ!うおぅ、うおぅ、うおおおおおおおお!!」
カフェパパは三点倒立をした。理由は健康によいと思うから。
現在、あまり三点倒立を好き好んでする人はあまり見受けられないが
健康の一つとしてする人も少ない。でもカフェパパは信じていたのである。
超メタボに対する最後の対抗手段として…
シンのこめかみに浮き出る青筋が「ぶちころすぞ」と文字を浮かび上がらせている。
体内に潜伏している芽阿がそうさせているのだ。
「親子愛だ?薄っぺれ〜、どこまで耐えれるかこりゃ見ものだぜぇ!やれ!桜井美月!猫師匠!」
「「いえす。たかすくりにっく」」
突如、目が虚ろになった桜井と猫師匠が鞭でカフェパパを叩き始める。
すでにシン(芽阿)は夢の世界そのものを侵食し、コントロールし始めていた。
カフェパパの小悪魔衣装が破れ、白磁のような肌があらわになる。
「「おほほほほほほ」」笑う桜井と猫師匠。
「ぐあああああああああ!!!」叫ぶカフェパパ。
「うひひひひひー!!!」悶絶するシン。
――果たしてどうなってしまうのか。
【はーい、カフェさんも体に気をつけてくださいねー】
>「う、おなか…、いたい…。トイレ…いきたい…」
「まっちゃ殿!?」
まっちゃは、カフェを守るために毒と分かっていながら自ら料理を平らげたのだ。
カフェは深く感銘を受けると同時に、まっちゃを犠牲にしてしまった自らの心の弱さを呪った。
>「ばかめ。仲間を助けるために自ら毒を食べるとはな。
だが、それも無駄だ。なぜならほれ!」
「まっちゃ殿、すまぬ……。真にかたじけない。
じゃがその献身、決して無駄にはせん! すぐにこいつを倒してこの悪夢を終わらせる故少しの辛抱じゃ!
シン! 妾はもうどんな誘惑にも動じぬぞ!」
>「とってもとっても美味しい手打ちそばをつくりますわ。
2時間少々お待ちくださいましね。閉店20分前ですけれど。おーほっほっほ!」
残念ながら誘惑に耐える必要が無かった。
>「カフェ…。おら、うんちもれるなり」
>「クックックック…どうするこむすめ?」
「くっ、牧街殿がいない間にここを文字通りの糞スレにする訳にはいかぬ……!
まっちゃ殿、もう少しだけ我慢するのじゃ!」
その時、カフェパパが親子愛による三点倒立を繰り出し、シンを抑えつける。
>「親子愛だ?薄っぺれ〜、どこまで耐えれるかこりゃ見ものだぜぇ!やれ!桜井美月!猫師匠!」
>「「いえす。たかすくりにっく」」
桜井と猫師匠がカフェパパを鞭でしばき始める。
「おのれ、よくも父上を……! 消えるが良い!」
カフェは、ゴスロリ傘を振り上げ、二人に突進する。
突進するカフェに、問いかけるシン。
「おっといいのか? 大事な師匠なんだろ?
本人の意識がこの夢の世界に来ているかもしれないんだぞ?
いい事を教えてやろうか、俺様の悪夢の中で死んだら現実世界でも無事ではいられないぜ?」
カフェは、動きを止めた。
もし、万が一、本当に師匠の意識がここに来ているのだとしたら……。
「猫師匠は……父上をしばいたりまっちゃに毒を食わせたりせぬ! たあああああああああ!!」
ザシュッ! 傘を一閃。
猫師匠と桜井の姿はざぼーんと音を立てて掻き消えた。
そして……
「カフェ、よくやったにゃ。やっとこの世界に潜り込めたにゃ」
なんと、本物の猫師匠の意識が現れた! 霊力によってカフェ達が危ない事を察し、助けに来たのである。
これにはシン(芽阿)も、怒り心頭である。
「友情、親子愛、師弟愛……どいつもこいつも鬱陶しい!
どうしてそこまで信じられる!? そんなもの……いとも簡単に壊れるんだ!
コウナッタラ……コノセカイトドウカシ、スベテヲノミコンデヤル――!」
カフェパパの体から芽阿が黒い霧となって出て行き、世界を浸蝕していく――!
「覚えているかにゃ? 秋葉原は、聖なるお茶の名産地!」
猫師匠が、カフェの手に手を重ねる。
「もちろん覚えておる。悪夢よさめよ――お目目ぱっちりカフェイン!!」
コーヒー色の光が、世界を包み込んでいく――!
永遠の悪夢に引きずり込もうとする力と、終わらない悪夢を終わらせようとする力。
二つの力がぶつかり合う!
兵部京介信者よ、これだけは覚えておけ
兵部は脚本家により猛プッシュされているだけで、裏主人公だと勘違いしてる頭の可哀想な人だ
2期でも、子供失笑&みんなが最も恐れてる兵部マンセー回連発も今のプッシュから見てマジでありそうで怖い
アニメで変なゴリ押しで一人ランチボックス回でアンチになった
描写っていうか掘り下げが少ないんだよな
何か謎のありそうな新キャラ→仕事してないシーンばっかり→不自然なマンセーのコンボは正直どうなの
それでしばらく放置かと思ったらキャリー回で不自然な仲間アピだし、アニメなんか露骨なageも追加
他のキャラと仲良くなったような素振りもなく、兵部はいい奴(笑)とか失笑だわ
キャラの個性も確立してないのにゴリ押しばっかりだからこんなに不快なのかな
デート回で過去を語る話も唐突過ぎて同情なんてできなかったわ
そういう話にしたいならもっと姉弟の絆を見せてほしかった
兵部ってほんと中身ないよな
すっからかんなのにいい奴(笑)だなんだ言われても興醒めする
薫の相手が皆本か兵部かで荒れるくらいなら、兵部が相手で寧ろ良かったとか言ってる人いたんだが、なんか違うと思った
どっちが相手になろうと婿が公式で決まれば荒れないわけないし、挙げ句にそれをポッと出に持ってかれるってのは正直納得いかないと普通思うもんじゃないのか
もう兵部のせいでアニメ見る気が湧かない…
これから(2期)の事考えると憂鬱だわ
アクションアニメで恋愛回というか悪役の為に何話も使うのが理解できん
しかも内二話とか正直必要ないぐらい無駄に感じたし、それに使うなら他のキャラと絡ませてキャラを掘り下げろと
姉とすらまともに絡まない上に薫との絡みも薫のキャラが兵部に都合の良い形になってる気がしてならない
余計な所にしゃしゃり出てこないでほしい
原作では死んでるから、2期の兵部の扱いどうなってんだろうな
原作を見る限り、なんの脈絡もないみたいだな
やっぱり兵部は兵部だな
兵部のせいで余計な恋愛描写増えたし本当うんざりさせられた
もうどうでもいいから2期には出てこないでくれ
2期ででしゃばらなきゃもう勝手にしていいってレベルだが、また薫兵に時間使うのは勘弁な
兵部よりは椎名が恋愛話入れてきたのが悪いと思うが兵部はやっぱり…
不二子はキャラのドラマ的に目立っても分かるし、アニメは原作に比べて改良された印象だし
原作でもアニメでもあからさまな特別扱いの兵部はなんか違いすぎるわ
ましてやそれ相応のドラマだってないし
元々ストーリーの整合性は2の次の子供向けアニメだよ
1期ではキーキャラだったからゴリ押しも納得したけど2期でも出張ってきたら嫌だな
後から登場するキャラを最強設定にする、上書き絶対可憐チルドレンには何も期待していなかったがさすがに酷いな
皆本の存在とはなんだったんだよ
椎名には呆れたわ
こんな何かやればやるほど嫌いになるキャラ初めてだ
やり方が汚いんだよなぁ
皆本が突然とってつけたようなキャリーフラグが立てられるし
普通に兵部出して気付いたらくっついてました!なら分かるけど、兵部の為にこんな事になった皆本が可哀想だ
こう言うとカプ厨呼ばわりされるんだろうが、こんな汚いゴリ押し見せられたらカプ厨呼ばわりされてもいいや
椎名が恋話も一つの売りにしてるようだからな
こういうのはそのキャラのファン以外誰も喜ばない事を分かってないよね
絶チルには恋愛もただのオマケだ
けどやっぱりこういうのって違うだろ、と
兵部も普通に目立つぐらいなら多分ふーんで済んでた、メインキャラだし
でも個人回が何回もあるとか薫のキャラが微妙に変とか設定付けすぎとかそりゃイラッとしたけど
何より他キャラの扱いについて色々と
展開無理矢理過ぎw
兵部のポッと出感パネェェェwww
せめて後半から出せよww
なんかこれ兵部が悪いんじゃなくて椎名だよな…全て
たまに本スレとかでもっと兵部をプッシュしろみたいな事を言ってる奴がうざい
絶チルキャラで1番じゃないかってぐらい優遇されてるのにこれ以上ゴリ押しとかマジ勘弁
どんな過去があるのかと思えば結局ただの恋愛要員だったし
こいつよりチルドレンに出番やってやれよ
裏主人公ならもっと優遇しろって言ってる奴ちょろちょろいるな
これ以上やったら本気で何アニメ状態になる
兵部のプッシュによって作品に違和感感じた人とか、純粋に合わないから嫌いって人がたくさんいる
まあ兵部は裏主人公にするために、ゴリゴリ推されてたみたいだからこれ以上やりようがなさそうだけど
兵部の存在って結局なんだったんだろう
椎名さんの暴走でアニメは最初も最後もよく分からん奴になったよな
まあ自分が嫌いなのはボソボソ喋りとクイーン(笑)としか絡もうとしない点なんだけどな
人一倍正義感の強い薫が兵部と仲良くなるのは違和感ない?
大切な存在(笑)だからって事にしたいんだろうけどアンチだからかもしれないが兵部に愛着ないから薫が一人で盛り上がってる感じがしてついていけなかった
設定的には無理はないのかもしれないけど、視聴者から見た印象としてやっぱり唐突感があると思う
最初からうまくキャラを立たせて愛着を持たせてくれたならまだしも薫ぐらいしかまともに絡まない、空気読めない、なんか浮いてるキャラだったのにいきなりいい奴(笑)化して周りからマンセーされて、意味分からん
原作もアニメも描写が設定負けしてて、本来なら納得できそうな事でも違和感を感じざるを得ない
ただここは個人差があるだろうけど
1人だけ浮いているあの声はどうにかなんないのかな?
あれが変わるだけで多少はマシになったかもしれないのに…
前スレで美少年(笑)だからあの声でいいだろとか言われていたけど本来は爺さんなのにあの声だとただの痛い人じゃないかw
一応定義としては間違ってないらしいがやはり兵部の裏主人公設定は違和感あるな
設定付けすぎて設定同士が食い合っちゃってるから変な事になってる
兵部の声、もっと凛とした感じなら他のキャラにないクール系なイメージになって良かったような気がしないでもない
あんなBLアニメにしか出てこないような美少年と精神病履き違えたような不快な声だされても…
兵部って裏主人公って感じがしない
薫が種付けするために出てきたキャラという印象
公式は一生懸命エピソードを挟んで裏主人公として盛り上げようとしてるんだろうけどなんかキャラも人間関係もうっすいからただ見せられてるだけに感じてる
姉とすらまともに絡んでないから過去が明らかになる回とか全く思い入れが持てなかったし
絶チルってなんだかんだキャラの絡みは狭いもんだけど、兵部はそれにしたって狭すぎる
薫とカプるためだけのキャラとして割り切って出した感じだよな
これまでの原作やアニメの兵部見てても薫とのカプ専用キャラにしか見えないと思う
基本薫としか絡まないし「クイーンクイーン」だし
つられて薫のキャラもなんか違和感出てくるし
もちろん感じ方に個人差はあるだろうが
せめて義姉とまともに絡んでたらまだここまで浮かなかったと思うんだ
ただ突っ立ってるだけじゃ過去の話とかいきなり感がするわ
兵部を裏主人公にさせる為だけに義理の姉弟設定にしたとしか思えん
兵部は「薫の」特別な存在だったり「薫の」過去と自分の過去が似てるとかで個性が薫絡みありきな気がするんだ、しかもストーリー関係ないという
管理官の弟として見ても薄すぎて印象に残らないしでそういう意味では兵部は薫とくっつかないと他に何もできないキャラなんじゃないのだろうか
このアニメにおいて、兵部は恋愛絡みでしか動かせないキャラになってるって事
腐向けアニメならありだろうけど子供、ましてや女児向けアニメでどうなんだろ
前に誰かが言ってたけど、薫のお兄さんって設定だったらまだ良かったのにな
最終的にはラスボスにキャラチェンジするんだと思ってたけど、そんな事はなかった
一応兵部のウリな部分は
裏主人公 謎の過去
だからな
互いに食い合ってるけど
今後兵部マンセー回があると思うと鬱というか
尺的にない…よな
ってかこれ以上兵部に無駄にシーンつぎ込んでほしくない
無駄に兵部に回使ったからつめつめで、肝心なチルドレンや皆本が…
真面目な話キャリー編の尺が少ないのを見るとです帳の回とデート回の分をキャリー関係に回してやれば良かったのに
兵部出てきた時はキャラデザかっこいいなあって思ったけどなんか扱いが不自然にヒーローヒーローしてて苦手になった
キャラそのものよりもプッシュの違和感のせいで敵意になっちゃったかも
苦手な男キャラできるなんてショックだ
兵部いるとストーリーがブレる
ただいまっす!
とりあえずシナリオ終わり近い見たいなんで、終わるまで待機してますねw
おかえりなのじゃ! 思ったより早く帰ってきてくれてうれしいぞ!
待たせて済まんのう。とりあえずまっちゃ殿が来るまで待機っ。
なんか、兵部って本当にエスパー救いたいのか疑わしいよな
エスパーじゃなくて薫が救いたいんだろ
あのキャラデザは、かっこいいとは思うんだけどやっぱり他と比べると浮いてるし
狙ってるというかあざとい感じがして苦手だ
限りなく後出しヒーロー扱いな兵部に嫌気がさした
「僕のクイーン」ボソ
これで大嫌いになった
後出しキャラで持ち上げられるのは仕方ないが、悪役の上にそのエピソードがストーリーとあまり関係ないのがな
ヒロインの薫絡みとはいえメインであるアクションを蔑ろにしてまでやる事じゃない
特にデート回
存在価値が薫の恋愛担当だけだから余計に必要か?と思ってしまう
しかも後出し裏主人公だしな
一度会っただけだし
微妙な裏主人公だ
アニメ本編もあれだけどアイキャッチがうへぇ、となった
最初そんなに気にならないキャラだったんだけどなぁ
だんだんうざくなってきて、もう不二子もろとも消えてほしいよ
不二子と姉弟まとめてリストラで良かったのに
2期では不二子の方は出演確定だからな
残念ながら弟の方も出てくるだろう
裏主人公は兵部なんだろうけど、こいつが裏主人公とかちょっともやっとする
普通にあのキャラは小学生編〜中学生編にかけて各作品の中でメインキャラなだけだろ
流石にこれで裏主人公がどうこう言い出すのがちょっとない
普通にあのキャラは小学生編〜中学生編にかけて各作品の中でメインキャラなだけだろ
流石にこれで裏主人公がどうこう言い出すのがちょっとないポッと出の裏主人公か
なんか顔は能面だし大してお役に立ってるとは思えないしクイーンクイーンだし…
やっぱ無理
つか兵部は2期も出るのか
いらねーし
兵部のキャラデザが妙に浮いてる気がしてならん
つうかリーダーのくせに何もしてないじゃないか
出した意味あるのか?
薫の婿or裏主人公>>>>>パンドラのリーダーなんでしょ。重要視されてる設定が
キャラには申し訳ないがやり方が下手すぎる。「裏主人公」にしたいならもっと前から振ってないとダメだし
後から追加ならそれで無理のない設定にすりゃ良かったのに
制作側が欲張りな上にストーリー下手だしな
上手く動かせないキャラなんて作んなって話だよな
兵部関係については裏主人公とはいえ悪役なのに尺割きすぎなのがな
全部薫との仲だけで始まって終わるから話的にも浮いてる
しかしここまで公式のやってる事が色んな意味で逆効果になってるキャラも珍しい
マクロスみたいに大人の事情が分かりやすいのはまだ分かるが、絶チルで兵部みたいな悪役キャラの為に何話も割く必要性が分からない
裏主人公ってそんなに重要か?キーキャラ関連だってユーリがいるから正直いらんし
時々もう、どうでもいいや知らねってなるけど、姿を見たらなんかイライラする不思議
何で悪役にしたんだろう?
くっつける気なら悪役にしない方が無難だったんじゃないのかなぁ
まさか悪役じゃないと出番作れないなんてアホな話はないだろうし
悪役にしたのは効率良くさせて薫に近付けさせるためだけの設定だとしか思えない
悪役じゃない兵部なんて、薫の腰巾着みたいなもんだ
兵部だけ薫専用みたいな位置だから違和感あるよ
兵部の声って遊佐が無理して言ってるようにしか聞こえないんだよね
BLEACHの市丸ギンとかうたプリの日向先生とかは違和感感じなかったのに
メインの声が一番微妙ってどういう事だよw
あのか細い声が余計にキャラを浮かせているんだよな
なんか1人だけ声が通ってない感じで兵部が苦手な要因の一つなんだよな・・・
個人的に兵部関連で嫌な事の一つがカプ厨の活性化だわ
変に兵部を持ち上げたり婿フラグを立てまくったり皆本に女とフラグ立てたりしたせいで、皆本のカプ厨がキレて鬱陶しい事になったし
いかに兵部の存在が駄目(個人的に)かよく分かったわ
ましてやキャラ自体も好きじゃないし、無駄に尺を取る(しかも謎もしょっぱい)から不快でしかない
これじゃ、2期でもまた兵部関連のシーンがあるんじゃないかと先が思いやられる
これ以上兵部に無駄な尺は割かないと思いたいな
それでユーリや未来関連がおざなりになるようならそれこそ兵部が叩かれまくるだろうからスタッフだって分かってるだろうし
普通の人々とか2回ぐらいしか出番なくて、兵部の踏み台・・・
溜め息出ちゃうよ
個人的にこれ以上兵部に時間割いてほしくない
だけど2期で未来の為にフラグとして組み込む可能性はあるんだよな
こればっかは放映始まるまで分からんからなー
今まで見てて兵部はプッシュする割には、
扱いにくいキャラじゃないかと思う
蕾見管理官と兵部マジいらない
見てるとイライラしてくる
つか、見た目きもいし性格もきもいとか、マジどんだけwwww
兵部って誰得キャラなの?
やっぱ腐女子向けなの?
最初から普通に働かせておけば良かったのに、大した仕事もしてなかったり働いたと思ったら他キャラをsageるような事やって、スタッフはどうしたいのかと
人によるだろうけど、個人的にどうして絶チルであそこまでキャラの描写が下手なのか考えてしまった
最初は原作よか出番もないしマシかと思ってたけど、アニメのあの突然のマンセーで原作より嫌いになった
原作はやたらヒーローアピールがうざい、アニメは描写が下手すぎ
まあどっちにしても未だに兵部を絶チルのキャラと言われても違和感を感じるわ
あれだけ無駄な回を作ったんだから、これ以上兵部回作ったら重要回が減少
結果、内容が薄い恋愛アニメになる
兵部の様な恋愛脳スタッフも、それ位分かるんじゃ(笑)
デート回を作るんだったら、ユーリの事を詳しくやってほしかったなぁ
蕾見管理官のキャラって桐壺局長と被ってるよね。いらねー
ほんと蕾見姉弟役立たずw
姉は未来を見守るという名の放置
後半だけでも行けば、戦況は変わったのに・・・
弟は最終回間近なのに貴重な時間を奪いチルドレンとデート
つくづく無駄なキャラだよね
3rdEDの男二人表情豊かでかっこよかったけど、兵部だけ能面なのな
皆本、賢木は緊張に満ちあふれてる感あったし
皆本の銃を構えてる表情は良かったな
兵部はなんだ、機械的に動いてますな風にしか見えんかった
最初出てきてから今までずっと嫌いなキャラ
なんで普通の人々が消えて兵部が出てくんの?
人気投票でも人気なかったし
人気投票欄外のくせに何ヒーロー面してんの?
普通の人々が兵部の為に消えたけど、普通の人々並み又はそれ以上の仕事してるのか・・・いやしてないねwww
パンドラのリーダー(なんちゃって)なんだし、仕事する,しないの変化(ボーっと突っ立ってるorエスパー狩り)を出さず働いてほしい
雑用は他メンバーに任せといて、兵部だけクイーンとランデブーですか・・・
職権(?)乱用もいい加減にしてほしい。見てて腹立つから
でも、兵部が普通に仕事してると思ったら他メンバーが仕事してないように見えるんだよな
本当になんなんだ
同時に仕事させる描写が出来ないスタッフが無能なんだろ
あと単に兵部は薫専用キャラだからリーダーの仕事は別にいいとかそういう制作内暗黙ルールがあるのかもしれん
仕事もだが人間関係も薫以外には消極的だよな、コイツ
積極的にだと思ったらただのマンセーだもんな
薫以外の女との絡みがない→薫に一途な兵部!
他のメンバーとの絡みも少ない→兵部は特別な存在なんだからモブとまとめて扱うのはダメ!
途中まではこういうルールでもあるのかと思ってた
エスパースカウトで他キャラとの絡みが出てきたかと思えば、兵部マンセーの嵐でウンザリしたな
絡みといえば、薫とすら絡みらしい絡みとは思えないんだよなあ
兵部同様パンドラのレギュラー的キャラの大鎌澪の方がまだまともに絡んでるように感じるというか
やっぱりこの手のアニメでキャラとしての個性を見せたいなら、他のキャラともっと絡んだ方が良かったな
そもそも絆とか信頼とかテーマに入ってるであろう絶チルでほとんど誰とも絡みなく、他キャラをsageるような仕事をして個人マンセーな兵部の描写は違和感ある
どちらかというと個人系の一部で叩かれてる不二子だってまだ色々と絡んでる方だし
多分出番じゃないって事なんだろうなあ、どうしてこうなった
あと、姉とまともに絡んでないのもおかしい
姉が兵部を養子にするだけの思い入れとか全く感じられないし、姉弟らしい会話すらない状況じゃ、ただのショタコンだったとしか思えんわ
他キャラは駄目でもせめて姉との絡みだけでもなんとかすれば良かったのに
ぶっちゃけ兵部は姉より薫の方が優先度高そうに見える
明らかに薫より不二子と過ごした時間が長そうだけどな
そう、思えちゃう兵部ってな…
不二子の方は兵部優先思考が見て取れるが、兵部の方はそこまでって感じしないな
絶チルはとうとうやらかしたね
スタッフの着眼点が、コメディから薫の恋の行方へと変化している様にしか思えないんだけど・・・
大体アクションを売りにしているアニメが、兵部をマンセーして薫の本命だよんw
なんてやられると視聴率が上がんないのも頷ける
ちびっ子達も視聴率を支えてるんでしょ?
このままじゃスタッフのほとんどがカプ厨みたいじゃん
今頃遅いけどさ・・・
2期では恋愛メインにはしないで・・・
ミッション・・・やろうぜ・・・・
恋愛なんて、それこそDBみたいなあっさりしたようなレベルでもいいと思う
なんか後半になってから妙に恋愛要素が出張って見えるようになったのも多分兵部の影響な気がする
あと、兵部のキャラ自体付けすぎで矛盾はあるけど、別に薫と恋愛させないでもそれこそ姉と絡むなりすればそれなりに話的に浮かないだろうにねぇ
むしろ薫ありきなキャラとして描いた事で、逆に本人も薫もキャラとしておかしくしてる気もする
役割がないキャラはいらん
家の小学生の子供二人共、兵部が出てくるとつまんないって言ってる
ナオミ回はそれは楽しそうに見てたけどさ
子供って悪役なんて気にしてるもんなのか?
悪役じゃなくて話の内容がつまらなくなるから嫌だって言ってんだよねきっと
でも、視聴率低いのどっかで聞いた事あるよ
兵部が出張るとストーリーが薄くなるし、恋愛中心になるからね
本来添え物レベルの悪役をメインに何話も使う方が変
23話の絶チル、大鎌と九具津が兵部に抱きついてるシーンに違和感を感じた
しかも兵部が困り顔してるのにイラっときたwww
いつもハブられてるから捻じ込んでみた感じかな
結局薫絡みでしか出番を作らなかった為に何やっても違和感しか感じないな
ましてや一人ランチボックスマンセーとかやらかしてるから、なんか変な言い方だけど個人的に「抜け駆け」した嫌な男というイメージがあるので今更兵部は仲間なんです!だから仲良しなんです!とかやられても、と
まあ、じゃあどうしろとと言われても困るけどさ
いざ突然消えたらOPやら何話も使ってゴリ押しした意味なくなるし
アンチの自分ですらどうすりゃいいのか分からんキャラになっとる・・・
兵部はいらないよ。今更遅いけどさ
マンセー無しではキャラが成り立たないんだもん
大鎌や九具津と接点のない兵部が二人に抱きつかれるとか・・・・アホかスタッフ
きちんと仲良くして、仲間ですよ描写してから、やったね!だきっ!だと思うよ?
違和感あって当然だと思うよ
ミステリアスなのか天然なのかキャラが迷走しててよく分からない
なんか無理に完璧な人にしようとしてる感じがする
>>148 コーヒー色が悪夢の世界を塗り替えていく。
「むにゃむにゃ…」
まっちゃが目覚めたら、黒い石の入った箱がガタガタと激しく揺れている。
>「もちろん覚えておる。悪夢よさめよ――お目目ぱっちりカフェイン!!」
「カフェはまだ夢のなかなりね。寝言を言ってるなり…」
「だいじょうぶかい!?」
「あ、パパさん!」
「悪い夢をみて胸騒ぎがしてさ。心配になって様子を見に来たのだよ」
「よいところへ来たなり!夢の世界で悪いことする悪霊が、あの箱の中の石の中にいるなり。どうする、ぱぱさん!?」
「えー!なんだって!?そんなわけのわからないものが、みんなを苦しめているのかい!それはゆるせないぞ!」
カフェパパが金属バットで箱を横に薙げば、衝撃で開いた箱の中から石が転がり出る。
「こんなものー!!」
そして、金属バットで黒い石を粉々に砕いた。
――夢のなか
「ぐあぁあぁ!!」
金属バットの衝撃により、均衡が破られカフェのカフェインパワーが炸裂する。
と同時に世界が光に包まれる。
「くっくっくっくっくっくっくっくっく…、オレに勝ったってそれは所詮束の間の勝利なのだよ。
現実よりもよぉ、オレ様の悪夢のほうがましだってくらいの恐ろしいことがこれからお前たちにやってくるだろう。
だがなぁ、お前だけは逃がさねぇ!秋葉茶子ぉ!!夢見る不思議ちゃんはお花畑のほうがお似合いなんだぜ!!」
最期の力を振り絞って、巨大エリートサラリーマンになった芽阿がカフェに倒れてくる。
ずずーん!!
――現実。
昼頃になって、まっちゃが依頼主の女に電話しても
それは現在使われておりませんになっていた。
カフェは眠ったまま。すぐに病院に入院した。
病室は心配して集まった人たちが入れ替わり立ち代りして
まっちゃは汗で濡れたカフェの額をタオルで拭っている。
「カフェ…。おきるなり」
まぶたをぐりっと指で開いてみる。
「ぐすん。世の中…、わるいことばかりおきる。とてもかなしい。
誰も何も悪いことしていないのに…。生きてるだけでみんな苦しむなり」
まっちゃは眠るカフェにひしと抱きつき、おいおいと泣くのであった。
【牧街さん、おかえりなさい】
【今回の話、自分の番はこれで終わりです】
>「くっくっくっくっくっくっくっくっく…、オレに勝ったってそれは所詮束の間の勝利なのだよ。
現実よりもよぉ、オレ様の悪夢のほうがましだってくらいの恐ろしいことがこれからお前たちにやってくるだろう。
だがなぁ、お前だけは逃がさねぇ!秋葉茶子ぉ!!夢見る不思議ちゃんはお花畑のほうがお似合いなんだぜ!!」
「知っておるぞ、エセサンタが言っておった! 間もなく秋葉原は史上最大の危機に見舞われるのじゃ……!
ならば猶更寝ている場合ではない。 妾は全ての夢見る者達のために大好きな街を守りたい――!
というか何故に妾の本名を知っておる!? な、なにをするきさま――!」
熱い口上もむなしく、カフェはエリートサラリーマンとなった芽阿の下敷きになった。
++++++++++++++++++++++
冴えない童顔地味女の秋葉茶子は、一面の花畑の中を歩いていた。
自分はどうしてこんな場所にいるのだろうか、考えても分からない。――まあいいか。
「ああ、平和だなあ」
寝転んで空を見上げる。まるで作り物のように青く澄み切った空。吹き抜けていく涼やかな風。
そんな彼女に、声がかけられる。
「いい所であろう、こっちに来て一緒に作ろうぞ」
そこにいたのは、ゴスロリの魔法少女。作っているのは、花の冠。
茶子とそっくりな顔をした、人々の夢と希望を守る正義のヒロインカフェ。
「あなたは……?」
「妾は、そなた自身。そなたの心が作り出した虚構のヒロイン。
そなたはもう十分よくやった。もう血みどろの戦いに身を投じる事はない――」
カフェは、茶子の頭に花の冠を載せる。
>「カフェ…。おきるなり」
「カフェ、誰かが起きろと言ってるよ」
「何、気にすることは無い」
そんな会話をしていると、遠くから、騒ぐ中年の声が聞こえてきた。
名井と芽阿がお花畑の入場門なるところで通行止めを喰らって暴れまわっている。
「入れてくれえ! 俺達だってお花畑でまったりしたい!」
「何でアイツは入れて俺達は入れてくんないんだよお!」
二人は、息をぴったり合わせて卒業式の口上風に自分たちの境遇を語り始めた。
「入社式のあの日! 二人一緒にエリートサラリーマンになると誓い合ったのに!」
「押し寄せる不況の波! メタボという理由でリストラ!」
「家庭崩壊! 転落人生!」
「そして金のもつれから二人の固い友情は怨恨へと変わる!」
「芽阿はかつての親友名井を殺害し、自分も死んだ!」
「「そして俺達は人々を不幸へと引きずり込む恐怖の悪霊と化したのだああああ!!」」
「虚しいのう、虚しいのう。どのような経緯があるにせよ所詮悪霊は悪霊じゃ」
中年の魂の叫びを一蹴するカフェ。
茶子はそんなカフェの手を引き、門に向かって走り出した。
「門番さん、これで二人ぶん定員が開く! 二人を入れてあげて!」
「なぜじゃ、茶子! なぜ悪霊に情けをかける!」
「カフェは強いから分からないんだよ。あの二人はウチと……」
大学を出てみたものの就職が決まらずニート生活突入。家業があるとはいっても常に潰れかけ。
猫師匠に出会いGSの素質を見出されなかったら、強くて勇気に溢れた正義のヒロインカフェと出会わなかったら――
いつか自暴自棄になって自分もああなっていたかもしれないのだ。
茶子はカフェを強引に門の外に引っ張り出した。茶子の言葉の続きを、カフェが継ぐ。
「とてもよく似ている――そうであろう? やれやれ、仕方ないのう!
じゃが……こうなるのは最初から分かっておった」
「行こう、カフェ! 秋葉原を守るんだ! あんな悪霊を増やさないように! 悲しみの連鎖を断ち切るために!」
茶子とカフェは重なり、再び一つになる――。
++++++++++++++++++++
>「ぐすん。世の中…、わるいことばかりおきる。とてもかなしい。
誰も何も悪いことしていないのに…。生きてるだけでみんな苦しむなり」
まっちゃの流した涙がカフェの顔に落ちる――。そこから淡い光が広がった――ような気がした。
そして、奇跡は起こる。カフェがゆっくりと目を開ける。そして訥々と語り始めた。
「その通りじゃ。この世にかっこいい大物悪役になれるような本当に悪い人間など滅多に……もしかしたら一人もおらぬ。
悪い奴なんては本当は……どうしょうもない情けない奴ばかり。
ちょっとした歯車のずれに足を掬われてしまった弱い人や駄目な人ばかりじゃ」
その言葉を言い終わるか言い終わらないかのうちに……周囲から盛大な歓声があがる。
「うおおおおおおお! 我が娘よおおおおおお!!」
「カフェ! よく帰ってきてくれたわね! かっ、勘違いしないで、あなたがいないと喫茶店の人手が足りないのよ!」
「ぼくちんは別に心配なんてしてなかったにゃ。カフェはこんな所でくたばるような奴じゃないにゃ……ぐすっうぅっ」
「なんじゃ!? 妾は危篤だったのか!? 」
答えを聞かずとも、周囲がどうやら病院の一室であること、そして涙にぬれたまっちゃの顔を見れば、大体の事は推測がついた。
「まっちゃ殿、心配をかけたの……」
カフェはまっちゃをぎゅっと抱きしめた。
こうして、カフェは悪夢に打ち勝ったのであった。しかし、これは所詮牧街が実家に帰っている間の繋ぎの話に過ぎなかったのだ。
この時、秋葉原にはすでに未曾有の危機が迫りつつあった(!?) 次回、テロ魔族との、運命の最終決戦――の予定!
【まさかこんな超展開が来るとはw いつもと違う感じで面白かったぞ】
【お待たせしたのじゃ牧街殿! これにして間章終了!】
【お疲れ様です!!&ありがとうございます!!
テストも(結果がまだわからんので何ともいえませんが)終わり、いよいよこっちに集中できます!!
最終決戦!!気ぃ張って頑張りますので、どうかどうか、最後まで、よろしくお願いします!!
ここが最後の踏ん張りどころです!ここに残った3人で、大団円まで頑張りぬきましょう!
では、最終決戦、スタートです!!】
キャラとかって、どこか駄目なとことか欠点とかあって魅力感じたり、愛着とか共感して好きになるんだよな、自分は
兵部の場合、もう完璧なキャラの出来上がりじゃないか
魅力どころかうわぁ感出まくりで、何やっても違和感しか感じない
兵部みたいなキャラってわりといるけど、絶チルみたいな女児向けではそういないよね
そういう意味でも兵部って浮いてる気がする
どうせ男性キャラを大事にするならコメリカのケンとかグリシャム大佐とかを大切にしていただきたいぜ
こんなわけ分からないキャラに時間使うよりこの人たちなんとかしてほしいよ
兵部は「無難な人」として描かれてないだろ、今も昔も
方向性を変えただけで、突っ立ってるだけの天然アピールのミステリアス(という名の白痴)から何故か当たり前の事(今まで言及されてなかっただけでバベルメンバーが似たような事を既にやってる)
をやっただけでありがたいありがたいでヒロインにまで感謝させたりして、これのどこが無難な人?と
原作の方であそこまで裏主人公&婿のゴリ押しを見てきてるのと兵部のキャラがあまりに薫との間でドラマが終わりすぎてるから
それ以外の意味で絶チルに出した意味を見いだせなかったんだ
皆本に「それは間違ってるぜ」と言うのを見てそんな先の事誰も分かるわけないじゃん…と思った自分
独りよがりというか、あれ同性相手だったら恐ろしい事になってたよ
兵部のプッシュによって作品に違和感感じた人とか、純粋に合わないから嫌いって人がたくさんいる
まあ兵部は裏主人公にするために、ゴリゴリ推されてたみたいだからこれ以上やりようがなさそうだけど
兵部の存在って結局なんだったんだろう
椎名さんの暴走でアニメは最初も最後もよく分からん奴になったよな
1月も終わり…
我らが牧街モリオは、仕事を再開するために東京へと戻り、丁度「非番」だった例のでかいマスクをつけた親友、阿湖野青年に車で駅からアパートに送ってもらっていた
「しかし…まさか1ヶ月近くいる事になるとはなぁ…」
「…凄い進歩だよ…俺なんか未だに帰れない」
自分が実家に…忌々しい記憶がこびりついて消えない場所に一月も入れた事を自分で驚く牧街を、賞賛する阿湖野青年
牧街も阿湖野青年も、東京ではなく地方出身者である
そしてこの二人は幼馴染であり、一緒に体験したある出来事がきっかけで、中学卒業後逃げるようにそれぞれの今の職場に入り
以後、実家にはほとんど帰っていないのだ
「……チハル、な」
「………」
「…………すまん」
渋滞に捕まり、遅々として進まない車内で、牧街は己の妹の名前を出すが、すぐに取り消した
阿湖野がその話を…例え彼にとってそれが多少なりと彼の心を救う事になるような話だったとしても
その系統の話を聞きたいなどと絶対に思わない事を、牧街はよく理解していたからだ
だが、それでもなお、阿湖野に伝えたかった話題らしく、じっと話したそうにする牧街に
根負けした阿湖野は、やがてどうした?と勤めて笑顔で尋ねた
「…チハル、笑ったんだ」
それを聞いた阿湖野はしばらく黙っていたが、やがて、「そうか」とだけ呟き、再び無言になった
牧街の妹、チハルは、過去の精神的ショックが原因で、完全に心を閉ざし、頬をつねっても話しかけてもまるで反応しない、生きた人形となっている
成長も止まっているため、全く変わらない外見で、一日中、ベットの上で寝ているのか起きているのかわからない半開きの目で天井を見つめ、横になったままぴくりともしない
食事は点滴、トイレにも起きないため常にオムツ、耳は聞こえているはずなのに何を言っても反応しない、どこを触っても表情を変えない…
そんな半死人のような状態のまま、彼女は牧街の父の運営する病院に、ずっと入院している
牧街の父は結構な大病院の院長であり、母は専業主婦をしている
両親とも牧街がGSになるのに猛反対し、「医者の息子」を作る事を目標に人生を生きていた節のある母など、「親不孝者!悪魔!」と牧街を散々なまでに罵った
それでも牧街はそれを押し切り、更に断弦の厳しい特訓を経て正規のGSになったため、どうにか父の方は牧街を「よく頑張ったな」と認めてくれているのだが
今でも、母は牧街にいい顔をしない
いやそれどころか「どの面下げて帰ってきた」と即効で追い出そうとすらする
だから、今回の帰郷も、本当なら早期に家に帰る…
はずだったのだが、牧街の方は牧街の方でトラブルが発生した
チハルが、病室からさらわれそうになったのだ
人間技ではない犯人の動きに、妖怪だと悟った牧街は自ら進んでチハルの守りにつき、警察と協力してどうにか妖怪を撃破してきたのだった
(なお、それでも牧街の母は
「お前のいかがわしい仕事のせいでチハルまで危なくなったんだ!お前の賢い兄さん達にまで迷惑がかかるといけないからすぐに今の仕事をやめろ!」
とまるで牧街が悪いかのように彼を非難していた)
そして、妖怪を倒した牧街が、東京への帰り際、最後にチハルのところに立ち寄った時、彼女の目元が、少しだけ、笑顔の形に動いた
そんな気が、牧街にはしたのだ
それを見て、牧街は彼女が…チハルがいつかまた…いや近いうちに心を取り戻すのではないかという希望を感じたのである
そんな希望を、阿湖野に伝えたつもりだったのだが、阿湖野青年の反応は薄い
彼だって、チハルの事で自らに全面的に非があると激しく心を痛めていたのだ…いや、今だって彼は全面的に自分が悪かったと思っているだろう
だからその心の重石を少しでも軽くできれば、そんな想いも篭っていただけに、牧街は自らの言葉が空振りに終わった事が大変残念だった
やがて、阿湖野の車は牧街のアパートの前に到着する
「ありがとう、助かったよ」
「いやいや、また、何かあったら言ってくれ」
「…あ、そういや、金!今返せる!ちょっと上がってかないか」
「お?そうか?じゃ遠慮なく」
そんな具合で牧街の部屋まで来た二人の前に、病院から退院してきたカフェと、それに寄り添うまっちゃが現れた
「おろ、カフェさん、お久しぶりです……ってか猫、お前、まだいたのか?」
カフェに挨拶し、まっちゃに財布を取られまいと警戒する牧街
その後ろで大きなマスクをした阿湖野青年は二人に会釈する
そんな風に一同が集まった……その時だった
秋葉原の方向から突如、すさまじい破砕音が響き渡ってきた!!
更に立て続けに3度、連続して何かが落下してきたような破砕音が響き渡ってくる!
何事かと慌てる一同
「テレビつけよう、テレビ!」
阿湖野青年に促され、牧街が自室に皆と一緒にはい…ろうとして、すぐに「カフェさんの所にしよう!」と言う
まっちゃを家に入れると、再び泥棒される可能性が高いからだ
『臨時ニュースです!本日午後2時48分、東京都秋葉原が正体不明の「壁」に囲まれました
繰り返します、秋葉原が正体不明の「壁」に囲まれ、内部との連絡が取れなくなっています
近隣住民の皆様は「壁」に近づかず、警察と自衛隊の指示に従い、速やかに「壁」から離れてください
続報が入り次第…あ、今、現地との中継が繋がりました』
キャスターの声が途切れるや否や、テレビの画面には、何か巨大な黒い「箱」のような物が、都市の真ん中に出現している上空からの映像が映し出された
『こちら、現地です!ご覧ください!秋葉原が、秋葉原が正体不明の黒い壁のような物に囲まれています!この壁の正体は全くわかっていません!』
『XXXさん!中の様子は確認できますか?』
『駄目です!全くなかの様子をうかがい知る事はできません!あ!警察の航空隊が飛来して来ました!地上でも警察による付近住民の避難誘導が行われています』
レポーターの声の通り、ミサイルを搭載した警察の戦闘機(GS美神世界の警察は戦闘機や戦闘ヘリを配備しています、しかも街中でミサイルを使います)が街の上空を旋回し始めた
その下では壁の出現で事故を起こした車から警察が人々を救出する様が映し出される
だが、「黒い壁」の中の秋葉原の様子は、全く見る事ができない
皆がテレビを食い入るように見つめていると、不意に阿湖野の携帯がなった
阿湖野はすばやくそれを取ると、はい、はい、了解ですとうなづき、「金はまた今度でいい」と言って、帰っていく
呆然とテレビを見ていた牧街は、テレビを指差すと、ゆっくりとカフェのほうを見る
「……これ、まさかテロ魔族じゃないっすよね?」
これは無理だろ…といった調子で、牧街はカフェに尋ねた
黒い壁の向こう、秋葉原
そこは、この世の地獄と化していた
「いやあああああああああああ」
「きゃあああああああああああ」
「助けてええええええ」
響き渡る悲鳴と、必死に逃げる人の波、波、波
それに、テロ魔族が地獄に落ちた旧日本軍の霊体研究者達から手に入れた技術で特殊な改造を施された悪霊や妖怪達が襲い掛かかる
Mrスパイクバットを筆頭に、鬼モドキ、蜘蛛妖怪、合体悪霊、更には触手を生やした壺の怪物の姿まである
それらが群集に群がり、喰らいつき、次々と倒していく
彼らに殴られたり食われたりした人々は、しかし、肉体には傷一つつかずに倒れ付し、体から魂が抜けていく
その魂は虚空を漂い、苦しみに満ちたうめき声を上げる
この空間は、通常の霊体にすさまじい苦痛を与え続けるようにできているのだ
次々と生きた人間の魂が秋葉原に漂い始め、たちまち苦痛にのたうつ悲鳴が秋葉原を覆いつくす
人々は携帯で助けを求めたり、逃げようと壁を必死に叩いたりするが、携帯は全く繋がらず、秋葉原を囲む黒い壁は何をしてもびくともしない
「ふふふふふふふふふ…いいねいいねいいね…最高だよ…」
秋葉原のどこか
黒い空間を作り出す方陣の中央で、己の強大な魔力を使って黒い壁を構成しながら、仮面のテロ魔族はほくそ笑んだ
彼には外で行われている大量虐殺…いや、大量拷問による人々の苦悶と恐怖がダイレクトに感じ取れているのだ
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!いい!凄く…いいいいいいいいいいいいいいい!」
快感に身悶えながら、テロ魔族は大声で叫ぶ
恐るべきテロ魔族の計画
それは、地上に苦しみを作り続ける文字通りの「地上の地獄」を作り上げる事だったのだ
そのためのこの黒い特殊な空間なのである
はたしてこの特殊な空間の正体は一体何か!
そして、「地上の地獄」と化そうとしている秋葉原の運命は!
いよいよ、最終決戦の幕が上がったのだ!!
まあ自分が嫌いなのはボソボソ喋りとクイーン(笑)としか絡もうとしない点なんだけどな
人一倍正義感の強い薫が兵部と仲良くなるのは違和感ない?
大切な存在(笑)だからって事にしたいんだろうけどアンチだからかもしれないが兵部に愛着ないから薫が一人で盛り上がってる感じがしてついていけなかった
設定的には無理はないのかもしれないけど、視聴者から見た印象としてやっぱり唐突感があると思う
最初からうまくキャラを立たせて愛着を持たせてくれたならまだしも薫ぐらいしかまともに絡まない、空気読めない、なんか浮いてるキャラだったのにいきなりいい奴(笑)化して周りからマンセーされて、意味分からん
原作もアニメも描写が設定負けしてて、本来なら納得できそうな事でも違和感を感じざるを得ない
ただここは個人差があるだろうけど
1人だけ浮いているあの声はどうにかなんないのかな?
あれが変わるだけで多少はマシになったかもしれないのに…
前スレで美少年(笑)だからあの声でいいだろとか言われていたけど本来は爺さんなのにあの声だとただの痛い人じゃないかw
一応定義としては間違ってないらしいがやはり兵部の裏主人公設定は違和感あるな
設定付けすぎて設定同士が食い合っちゃってるから変な事になってる
兵部の声、もっと凛とした感じなら他のキャラにないクール系なイメージになって良かったような気がしないでもない
あんなBLアニメにしか出てこないような美少年と精神病履き違えたような不快な声だされても…
兵部って裏主人公って感じがしない
薫が種付けするために出てきたキャラという印象
公式は一生懸命エピソードを挟んで裏主人公として盛り上げようとしてるんだろうけどなんかキャラも人間関係もうっすいからただ見せられてるだけに感じてる
姉とすらまともに絡んでないから過去が明らかになる回とか全く思い入れが持てなかったし
絶チルってなんだかんだキャラの絡みは狭いもんだけど、兵部はそれにしたって狭すぎる
薫とカプるためだけのキャラとして割り切って出した感じだよな
これまでの原作やアニメの兵部見てても薫とのカプ専用キャラにしか見えないと思う
基本薫としか絡まないし「クイーンクイーン」だし
つられて薫のキャラもなんか違和感出てくるし
もちろん感じ方に個人差はあるだろうが
最初出てきてから今までずっと嫌いなキャラ
なんで普通の人々が消えて兵部が出てくんの?
人気投票でも人気なかったし
人気投票欄外のくせに何ヒーロー面してんの?
普通の人々が兵部の為に消えたけど、普通の人々並み又はそれ以上の仕事してるのか・・・いやしてないねwww
パンドラのリーダー(なんちゃって)なんだし、仕事する,しないの変化(ボーっと突っ立ってるorエスパー狩り)を出さず働いてほしい
雑用は他メンバーに任せといて、兵部だけクイーンとランデブーですか・・・
職権(?)乱用もいい加減にしてほしい。見てて腹立つから
>>286-290 ――某日
まっちゃは台所でチョコレート作りに励んでいた。
カフェママにバレンタインデーのことを聞いたから自分もやってみたくなって
2月14日にすばらしいチョコを皆にプレゼントできるようにと猛練習中なのだ。
「今日もいっぱい作ったなり。これはみんなにお裾分け。
これ、ぱぱさんのとお客様の。これはままさんのとカフェのチョコ。
あと、この焦がしたのどうしよう。チョコなのか炭なのかわからないなり」
アルミホイルで、真っ黒い巨大おにぎりみたいな焦げチョコを包みながらまっちゃは考えた。
「あ、マチガイ…。あいつにプレゼントするなりよ」
名案を閃いて、家のなかでカフェを探す。
「カフェー。マチガイのとこ行こー。あれ、どこにいったなりかー?――あ!!」
気がついたら、まっちゃの机の上に置いてあった占いの石が粉微塵に割れて砂になっている。
これはまっちゃの父がくれたもの。もう、悪い予感しかしない。
「……」
まっちゃの目は真剣になった。
もくもくと着替えたあと、カフェを見つけて――
「……マチガイのとこ、行くなり」
裾をひっぱって、牧街のアパートへ。
※ ※ ※
>「おろ、カフェさん、お久しぶりです……ってか猫、お前、まだいたのか?」
「べー」
ニットキャスケットで猫耳を隠しているまっちゃが、カフェの後ろから顔を覗かせて舌を出す。
牧街Dクラッシュを受けた痛みと悲しみは忘れはしない。
カフェに例の焦げチョコを手渡して欲しいとコソコソと催促する。
一見、恥かしがりの少女が友達に代理でチョコを渡して欲しいと頼んでいるようにも見えるが
これはただ単に、まっちゃが牧街のことが怖いし大嫌いだから。
「ととさまの占いの石、今日、粉々になった。
もう、いつ何が起きてもおかしくない状況なり。みなで警戒す…」
……その時だった。秋葉原の方向から突如、すさまじい破砕音が響き渡ってきた!!
一同はカフェの家に集まりテレビをみる。
>「……これ、まさかテロ魔族じゃないっすよね?」
テレビ画面の現実に牧街はカフェの顔を見つめていた。
【様子見してるね】
でも、兵部が普通に仕事してると思ったら他メンバーが仕事してないように見えるんだよな
本当になんなんだ
同時に仕事させる描写が出来ないスタッフが無能なんだろ
あと単に兵部は薫専用キャラだからリーダーの仕事は別にいいとかそういう制作内暗黙ルールがあるのかもしれん
仕事もだが人間関係も薫以外には消極的だよな、コイツ
積極的にだと思ったらただのマンセーだもんな
初期見てたら、やっぱりアクションが中心でチルドレンと皆本は 四 人 で 任務をこなしてるんだよな
喋らないでも仲良しだなって感じもする
薫以外の女との絡みがない→薫に一途な兵部!
他のメンバーとの絡みも少ない→兵部は特別な存在なんだからモブとまとめて扱うのはダメ!
途中まではこういうルールでもあるのかと思ってた
エスパースカウトで他キャラとの絡みが出てきたかと思えば、兵部マンセーの嵐でウンザリしたな
絡みといえば、薫とすら絡みらしい絡みとは思えないんだよなあ
兵部同様パンドラのレギュラー的キャラの大鎌澪の方がまだまともに絡んでるように感じるというか
やっぱりこの手のアニメでキャラとしての個性を見せたいなら、他のキャラともっと絡んだ方が良かったな
そもそも絆とか信頼とかテーマに入ってるであろう絶チルでほとんど誰とも絡みなく、他キャラをsageるような仕事をして個人マンセーな兵部の描写は違和感ある
どちらかというと個人系の一部で叩かれてる不二子だってまだ色々と絡んでる方だし
多分出番じゃないって事なんだろうなあ、どうしてこうなった
姉とまともに絡んでないのもおかしい
姉が兵部を養子にするだけの思い入れとか全く感じられないし、姉弟らしい会話すらない状況じゃ、ただのショタコンだったとしか思えんわ
他キャラは駄目でもせめて姉との絡みだけでもなんとかすれば良かったのに
姉とまともに絡んでないのもおかしい
姉が兵部を養子にするだけの思い入れとか全く感じられないし、姉弟らしい会話すらない状況じゃ、ただのショタコンだったとしか思えんわ
他キャラは駄目でもせめて姉との絡みだけでもなんとかすれば良かったのに
あと、紫穂の能力は攻撃性こそはないけど情報収集したり敵の意図を読んだりしてる描写があるから、無能なんてイメージとは程遠い
チルドレンは三人でセット、そのうち三人とも皆本を想ってもいるよって事だったんだよな…
兵部のクイーン(笑)に対する盲目具合はやっぱ異常
【>275 テストお疲れさまじゃ。このスレもついに最終決戦なんじゃのう……!
3人で有終の美を飾ろうぞ! 微力ながらも力になれたら幸いじゃ!】
「なんじゃ、クリスマスが終わったかと思えばもうバレンタインかい!
どちらも所詮デパートの商業戦略じゃ。
とかく資本主義社会はモテない男が生きにくいように出来ているのう。
……今日のおやつはどんなチョコかのう、楽しみじゃ」
要するになんだかんだ言いつつお菓子が食べれりゃオールOK。
まっちゃのおすそわけを楽しみにしているカフェ。
そこに、いつになく真剣な目をしたまっちゃが現れる。
「ん? おやつにはまだ早い……どうしたまっちゃ」
>「……マチガイのとこ、行くなり」
並々ならぬ事情があると察したカフェは、黙って牧街のところへ着いていく。
>「おろ、カフェさん、お久しぶりです……ってか猫、お前、まだいたのか?」
「牧街殿こそ長いこと実家におったのう。
いない間にまっちゃ殿がうちの喫茶店の看板猫として定着してしまったぞ」
>「べー」
まっちゃが、チョコを牧街に渡して欲しいと催促する。
カフェは思った。そうか、本当は牧街殿の事が好きだったのか――!
好きな相手にあえて意地悪な態度を取るのは良くあることで……。
が、次の一言でそれが大いなる誤解だったことが判明する。
>「ととさまの占いの石、今日、粉々になった。
もう、いつ何が起きてもおかしくない状況なり。みなで警戒す…」
「何じゃと!?」
――うむ、常識的に考えてツンデレ猫耳美少女というギャルゲ展開は無い。
と、くだらない事を考えている場合ではなくなった。
破砕音! 破砕音! 破砕音! 破砕音! 計四回!
「何事じゃ!?」
>「テレビつけよう、テレビ!」
>「カフェさんの所にしよう!」
「なんじゃ、まっちゃ殿が住み着くのをまだ警戒しておるのか」
カフェ家に行って、テレビの臨時ニュース鑑賞会。
>「……これ、まさかテロ魔族じゃないっすよね?」
「うむ、魔族とはいえ個人の力ではこれは無理であろう……」
テレビには、映画の1シーンのような光景が映し出されていて、イマイチ現実感が無い。
しかしこれは紛れもない現実、しかも遠い場所ではなく、目と鼻の先の秋葉原なのだ。
「妾達が出る幕ではない、警察に任せておこうぞ」
事態のあまりのスケールの大きさに、今回ばかりは現実逃避に走るカフェ。
が、そうは問屋が降ろさない。喫茶店の前に、猫バスが停まる。
「さあさあ、乗った乗ったー、師範たちを助けに行くよー!」
猫バスの運転手はこの期に及んでもいつも通りのノリを崩さない。
が、この言葉でカフェの意識が現実に返ってきてしまった。
秋葉原流道場は当然、秋葉原にあり、つまりあの黒い壁の中に猫師匠や門下生たちが閉じ込められている可能性がとても高いのだ!
「師匠……。
師匠があの中で戦っておるのに妾だけのうのうとしておるわけにはいかん!!
妾は妾の出来る事をやるのじゃ!」
カフェが、最終決戦開始の雰囲気を漂わせながら、意気揚々と猫バスに乗り込んだ。
が、運転手の次の一言がそれをぶち壊した。
「でもあの黒い壁は多分通れないと思う、ゴメンねー!」
それに対するカフェの一言が、更に雰囲気をぶち壊す。
「うむ、問題ない。壁の外でひたすら皆の無事を祈るのじゃ!」
“妾の出来る事”とは、壁の外でひたすら祈る事だった! どうなる最終決戦――!
幕は上がったのはいいが果たしてまともに始まるのか、それが第一の関門だ!
猫バスに乗り込み黒い壁まで行ってその前でひたすらみんなの無事を祈る
などと述べるカフェに牧街は猫バスに乗り込んで彼女と運転手の手をがっしとつかみ、すぐにバスから引き釣り降ろす
「あんな危ないとこ近づいたら駄目っすよ!自衛隊や警察が近くを封鎖してるだろうし、それに何より中から何か出てこないとも限らないんですよ!」
運転手とカフェを正座させ、怒る牧街
普通に考えて危ない所に行ってはいけない
「それよりも、皆でここから避難しましょう!荷物をまとめて猫バスにつむんです!」
そう言って牧街が立ち上がろうとした、その時、牧街の家の電話がけたたましく鳴り響いた
家に戻り、電話をとった牧街の耳に恐山師範の声が響く
「俺だ、牧街、近くにカフェ氏はいるか?」
「はぁ、まぁ、いますけど」
「すぐに彼女を連れて、道場まで来い!お前が以前分析班にまわした黒いチケットが妙な光を放ってカフェ氏の名前を表面に浮かせているんだ!」
「な…何ですと!?」
「恐らく…、あの黒い壁の中への招待状と言う事だろう。命をかけて一緒に戦った事のある人なら一緒に同行可能ですなどとも書いてある」
「じ…じゃあ師範も一緒にこれるんで…」
「30歳以上使用不可だそうだ」
「なら特殊部隊を…」
「あいにく奴らは今ブラジル」
牧街の額に冷や汗が流れる
「じゃあ…えーと」
「すぐ取りに来い、その後、突入作戦を練るぞ」
恐山師範の所へ行った。
「ほんとなり。文字が光っているなり。
このチケットで黒い壁の中に瞬間移動でも出来るなりか?
まさかそんな非常識なことが出来るとは思えないし。
それにこれは罠なりよ。きっとカフェに恨みをもつ者の仕業。
チケットに書いてあることを読めば一目瞭然なり」
テレビの報道を見ると戦闘機が空を旋回している。
まっちゃはチャンネルを回してみた。地下鉄がどうなっているのか気になったからだ。
あの黒い壁が立方体状で、底面にも壁が展開されているとすれば地下からの侵入は不可能に近い。
やはりチケットを使い侵入するしか方法はないのだろうか。
「カフェ、行くなりか?そんなの自殺行為なり。相手はあんな大きな壁を作れるやつなりよ。
師範たちよりも能力が低いカフェがいったら足手纏いになるだけなり」
テロ魔族の罠に正面から挑んで、それを打破する爆発力が三流のGSにあるとは思えない。
何よりも、まっちゃはこれほどのことが起こるとは信じられなかった。
罵倒も、ただただカフェの身を案じていたためである。
「勝算がない限り、おらは断じて突入には反対なり!」
恐山師範をねめつけるまっちゃがそこにはいた。
カフェと猫バスの運転手は、何故か正座させられ牧街に説教された。
>「あんな危ないとこ近づいたら駄目っすよ!自衛隊や警察が近くを封鎖してるだろうし、それに何より中から何か出てこないとも限らないんですよ!」
「うむ、それもそうじゃな……」
>「それよりも、皆でここから避難しましょう!荷物をまとめて猫バスにつむんです!」
「了解じゃ! 父上と母上と、それからみこと殿とか桜井殿、その他諸々の歴代の仲間達も……」
反論のしようがない常識的な意見に、カフェはあっさり押し切られ、非難の算段を始めるのであった。
――最終章、完! となりかけたその時! 牧街が電話を取りに行く。
「何い!? 例の大人向けの玩具に妾の名前が浮かび上がっているじゃと!?
しかもその微妙な年齢制限は何じゃ!」
念のため言っておくが大人の玩具ではなく大人向けの玩具である。
>「じゃあ…えーと」
>「すぐ取りに来い、その後、突入作戦を練るぞ」
有無を言わさぬ口調で押し切られ議論の余地も無く。
とりあえず猫バスに乗り込み恐山道場へと向かう一同。
>「ほんとなり。文字が光っているなり。
このチケットで黒い壁の中に瞬間移動でも出来るなりか?
まさかそんな非常識なことが出来るとは思えないし。
それにこれは罠なりよ。きっとカフェに恨みをもつ者の仕業。
チケットに書いてあることを読めば一目瞭然なり」
「妾は品行方正に生きてきたのじゃ。恨みを持つ者など……」
そこまで言って、例の小学校時代の同級生が頭に三角の布をつけて
うらめしやのポーズをとっている光景が思い浮かんだ。
「いっかああああああん! それは駄目じゃあああああああ!!」
常識的に考えてあの同級生がこんなスケールのでかい悪霊になるはずがない。
それ以前に死んでいるわけがない。カフェはそう思い直した。
>「カフェ、行くなりか?そんなの自殺行為なり。相手はあんな大きな壁を作れるやつなりよ。
師範たちよりも能力が低いカフェがいったら足手纏いになるだけなり」
「そうじゃのう……。正直あのような壁を作れる敵に対抗できるとは思えん」
恐山師範は、意外にもあっさりとそれに頷く。
「君が拒否するというなら我々も強制することは出来ない。
今の所それ以外に壁の仲に突入する方法は不明、誰も手出しできないだろうが仕方の無い事だ」
「うぐ……」
「警察が手をこまねいている間に何千という人の命が奪われるかもしれないがそれも致し方あるまい……」
「うぐぐ……」
「一介の三流GSを危険に曝そうというのがどうかしていた。ここは危険だ、早く避難……」
師範の言葉を遮り、カフェは叫んだ。
「突入する! 妾は突入するぞおおおおおお!」
「おおそうか! 突入してくれるか!」
恐山師範はしたり顔。
猫師匠とも親交が深い恐山師匠は、カフェがGSになる時に作り上げられた人格である事を知っていた。
どのようにすればカフェを操縦できるか位見当がついたのである。
しかし、流石のまっちゃは流されなかった。カフェがその気になっても、断固として突入に反対を唱える。
>「勝算がない限り、おらは断じて突入には反対なり!」
「まっちゃ殿、オタクにはの、負けると分かっていても戦わねばならぬ時があるのじゃ!」
と、明後日の方向を向いてアニメの1シーンのようなセリフを言い、まっちゃのほうへ向きなおる。
「……なんての、考え無しに普通にやっても負ける故
勝利を確実にするためにいまから突入作戦を練るのではないか。
それに絶対死んだりはせぬ。危なくなったらすぐに逃げるからの。
妾は牧街殿からヘタレ根性……もとい退く勇気を教わったのじゃ!」
「師匠! 作戦会議ですか!?」
「私の優秀な頭脳の見せ所ですね……!」
(自称)優秀な頭脳を持つ恐山流のブレイン達が勝手にわらわらと集まる。
こうして、突入作戦会議が始まった!
悪役じゃなくて話の内容がつまらなくなるから嫌だって言ってんだよねきっと
でも、視聴率低いのどっかで聞いた事あるよ
兵部が出張るとストーリーが薄くなるし、恋愛中心になるからね
本来添え物レベルの悪役をメインに何話も使う方が変
23話の絶チル、大鎌と九具津が兵部に抱きついてるシーンに違和感を感じた
しかも兵部が困り顔してるのにイラっときたwww
いつもハブられてるから捻じ込んでみた感じかな
「うむ、本当によく、決断してくれた…ありがとう」
カフェがしっかり撤退する事を視野に入れた上で決断した事を見て、恐山師範は口元を緩ませて、お礼を言う
「よし、では作戦会議を始める、わかってると思うが、この作戦、牧街は強制参加だ」
「わかってます」
牧街がいやじゃああああああああと逃げる事を想定していた師範は、以外に牧街が物分りがいい事に、めちゃくちゃ無言で驚く
「き…貴様本物の牧街か!?」
「……ぶっちゃけ超行きたくありません、けど…」
牧街は一泊置いて…
……
…
「やっぱ行きたくないですね」
「だろうな、だが駄目だぞ」
「はい…、あきらめます」
やっぱり行きたくなかったようだ
が、師匠に睨まれ強制参加を決定する
「それからそこの…何か猫、お前も参加するか?」
次に、まっちゃに参加の有無を尋ねる師範
「最初に断っておくが、まだ本当に突入すると決まったわけじゃない
さっき猫が言ったとおり、突入するのは無謀と判断せざる得ない
俺としても突入せずに決着がつくなら望む所だ」
「壁の破壊は?」
「警察無線を傍受したが、結界崩しやミサイルではやはり全くびくともしないらしい、壊せるとしたら神魔族だけだろうな」
「壁の発生原因はやはり中にあるのでしょうか?」
「わからん、中との連絡がとれないから、中に大規模な装置があるのか、それとも遠隔操作なのか…。だが規模から考えて恐らく前者だろう」
「突入するとして、中との通信手段を手に入れて、外部からサポートできるようにする必要がありますね」
「うむ、まず最初の点はそこだ。中に入った後、外と交信できなくなる事…。それを何とかせねば」
なんだかんだ言って突入する方向にまとまっていく話…
(うげ…嫌だなぁ…入っていきたくないなぁ…)
心底嫌そうに話を聞いていた牧街は、ふと、ある事に気づき、カフェのすそを引っ張った
「命をかけて一緒に戦った仲間無制限にOKなら…桜井さんや瑞希さんにも連絡を取りましょう!もしかしたら来てくれるかもしれない」
「…戦力は多い方がいいが、しかし犠牲者が増える事に繋がりかねんぞ」
「あぅ…」
「………一人10億までなら用意してやろう」
「…師範?」
恐山師範は目をつぶると、照れ臭げに牧街達に微笑んでみせる
「大事な弟子と…そのトモダチ…ついでに猫をむざむざ見殺しにはできん。護衛を雇う金位だしてやろう」
「…師範……」
今まで見た事の無い師範のやさしさに、牧街は…
(今回の事件……マジで超やばいんだ…)
今回の事件のやばさを痛感し、思わず席から立ち上がった
「どこへ行く」
「あう…ちょ…ちょっと風に当たりに…」
言って、去っていこうとする牧街
【すんません、今週多忙でテンションが上がらないので突入までもう少し待って下さい】
恐山流の門下生たちが集まって、ああだこうだと作戦会議を始める中、スーツ姿の女が口を開く。
彼女の名は藤津木織羽。霊力は皆無だが一応恐山流の門下生である。
「まずは相手の検証から始めましょう。
これだけの規模の壁を造れるなんて相当に力ある存在……それも魔的な存在でしょうね。
事を起こすのに秋葉原を選んだ事からも、それが窺えるわ」
織羽は広げた地図を指差しながら続けた。
「秋葉原って、これと言った神域が無いのよ。
周辺には取り囲む様に神社があるけど、その内側には狭い路地裏に小さな稲荷神社が一つあるだけ。
秋葉原の由来になった秋葉神社でさえ、秋葉原の中には無いって有様。
とても多くの人と欲が集まる土地なのに神族が干渉し辛い。
つまり魔的な存在が暴れるなら、秋葉原はうってつけってわけ」
地図から視線を離した織羽がカフェを見る。
「壁の中に特定の人物を招く理由は、二つ程考えられるわ。
怨恨なんかの個人的執着心、別の可能性としては霊的に特殊な体質を持っている人物を利用したいか。
いずれにしても、カフェさんと面識があって強力な力を持った魔的な存在。
こう考えると、やっぱり例のテロ魔族しか思い当たる奴が居ないわね。
どんなに強くても一介の悪霊が出来るとは思えない仕業だし」
彼女の生家、藤津木家も密かに魔族と提携している霊具メーカーであるが、それは今回の事件と別に関わりは無い。
そもそも織羽は、そんな関係を知らないので、テロ魔族の他に心当たりの魔族が無いのは当然である。
「それで……肝心要の魔族対策だけど、これは難しい所ね。
一流のGSなら魔族を退治した例も皆無じゃないけど、二線級以下に同じ事なんて期待出来ない。
個人携行物には制限が無さそうだから、せめて出来そうって言うのは、高価な武器を山ほど持ち込むくらい?
武器次第では、同じ死ぬにしても一矢報いる程度は出来るかも」
作戦会議が進む中で門下生の一人、青島訓練生が、藤津木さんは行かないんですか?と聞いてきた。
織羽、答えて曰く。
「……え、私? 行く訳無いでしょ。そんな蛮勇は持ち合わせて無いもの。
一応、アナスタシヤを持ってけないか打診するけど……私自身は足手纏いになるだけ」
>>328 織羽は牧街が席を外そうとするのを見てとると、傍に近寄り、葉擦れの囁きで耳打ちする。
「……ねえ、今回ばっかりは逃げても良いんじゃない? 相手が魔族なら詰みよ、人生の。
私が言えた義理じゃないけど、仮に恐山道場を破門されたって死ぬわけじゃないんだし……。
これだけの大事件なら直ぐに政府も動く。一週間もすれば世界中から腕利きのGSが集まって来るわ。
そして壁の中に籠城したって事は、敵も外へ手出しできない……そう、外にいれば安全なのよ。
カフェさんは止まりそうにないから気絶させて攫うとして、もし姿を眩ますなら足を用意してあるけど……」
そう言って織羽は牧街のポケットにメモを差し込む。逃走手段や当座の資金について書かれているものだ。
この女、色んな事から逃げまいとして恐山流の門下生となった筈である。
しかし真っ先に逃げを勧め、霊力皆無の自分は行かなくても良いだろうと安堵もしている……まるで成長していない。
牧街の傍を離れると、織羽は何事も無かったように作戦会議の中に戻って話を続けた。
「後は結界を張るとか……秋葉原を取り囲む壁の外側に、高位の術者達が協力して広大な結界を張るの。
相手の結界を、より大きな結界で包むわけね。
結界ってのは、確か対象を絞る程に強度が上がった筈よ。
同じ量の霊力を注ぐなら、不特定多数の存在より、特定の個体だけを封じる事に特化した結界の方が強い。
テロ魔族一体を止める為だけの結界を作れれば、多少は相手を弱化できないかしら?
問題は個体を対象にするならテロ魔族の真名を術に組み込んで、血液とか体の一部も印形に加える必要がある事ね。
でも、首尾良くそれらが手に入ったとしても、壁の外に運ぶ手段がクリアにならないと、どうにもならないわ。
あのチケットが双方向移動可能なんて思えないし」
織羽は長々と語っているが、見事なまでに実戦経験の乏しい人間の意見である。
結局は力押しと結界と言う除霊の基本中の基本で、そんな事は誰にでも思い付く。
除霊具店を生家とするのでオカルトの知識はあっても、実践は出来ないので仕方ないとも言えようが。
【継続参加は無理そうなので、1レスだけの賑やかしを】
レスを書く時間が空いたのに体調が最悪になってしまいました
体が冷えてるのにPCの前で何とかならないかな〜ってボーっと
している状態で、せっかく盛り上がってるのにダメな状態です
まっちゃはついていくことにして話は進めて下さい。ごめんなさい
>「まずは相手の検証から始めましょう。
これだけの規模の壁を造れるなんて相当に力ある存在……それも魔的な存在でしょうね。
事を起こすのに秋葉原を選んだ事からも、それが窺えるわ」
「織羽殿……! 久しぶりじゃのう」
織羽が何やら頭良さげな分析を語りはじめた。
彼女によると、壁の中の人物は個人的執着心があるか霊的に特殊な体質を持っている人物を利用したいかだという。
「うーむ、妾がテロ魔族に個人的執着心を持たれるほど大物だとは思えん。
となれば霊的に特殊な体質……なのか? 確かに血筋はある意味において特殊そうではあるが……」
変態先祖茶々さんの顔が思い浮かんだ!
>「命をかけて一緒に戦った仲間無制限にOKなら…桜井さんや瑞希さんにも連絡を取りましょう!もしかしたら来てくれるかもしれない」
>「…戦力は多い方がいいが、しかし犠牲者が増える事に繋がりかねんぞ」
「犠牲者などと縁起でもない事を……」
>「大事な弟子と…そのトモダチ…ついでに猫をむざむざ見殺しにはできん。護衛を雇う金位だしてやろう」
「恐山師範殿……妾、頑張るぞ!」
今までずっとツン系キャラだった恐山師範の初めてのデレ化に感動し、やる気を出すカフェ。
それに対して牧街は、立ち上がってどこへともなく去って行こうとする。
しばらくして織羽が戻って来て、再び作戦を語り始める。
「テロ魔族の体の一部か……。
超ラッキーガールのみこと殿ならもしかしたら手に入れられるかもしれんのう。最近見かけぬが。
あれじゃ、地面に穴を掘って結界の中と外を行き来することはできんかの」
「それは結界攻略の鉄板ネタだが、地中にも普通に球状に結界がはってあったらアウトだ。
今回これだけ手の込んだ招待をしておいてそんな漫画的手段が通用しそうとは思えん」
会議は踊る、されど進まず。
【>328 了解じゃ、膠着状態で止めといたぞw
【>330 大丈夫!? 体調がよくなってからでいいからの】
【>331 すごい! 本当にそんな漫画があるような気がしてしまうぞ!! 絵師どのかたじけない!!】
【それと織羽殿応援ありがとう! 最終章頑張るぞ!】
>「まっちゃ殿、オタクにはの、負けると分かっていても戦わねばならぬ時があるのじゃ!」
「にゃあ!!」
まっちゃは、カフェのうしろ姿に、遠い日の記憶を甦らせた。
あの赤頭巾茶々の勇姿が、走馬灯のようにカフェの周りを流れている。
魔族率いる人狼族と山猫又族の凄惨な死闘に終止符を打ち、
ちょっとだけ再起不能になったあの伝説の霊能力者「赤頭巾茶々」
>「……なんての、考え無しに普通にやっても負ける故
>勝利を確実にするためにいまから突入作戦を練るのではないか。
>それに絶対死んだりはせぬ。危なくなったらすぐに逃げるからの。
>妾は牧街殿からヘタレ根性……もとい退く勇気を教わったのじゃ!」
「……カフェ」
>「それからそこの…何か猫、お前も参加するか?」
「もちろんなり!カフェがいくところにはおらもゆく!
おらは人間に恩返しをするために里におりてきたなりよ!」
>「どこへ行く」
>「あう…ちょ…ちょっと風に当たりに…」
席を外す牧街。傍には織羽がいて、なにやら耳打ちをしている。
おまけに紙切れを貰って去って行こうとしている。
まっちゃはそれを鼻白んだ顔でじっと見つめたあと、そっぽを向いた。
「……ふん。カフェが行くっていってるのに煮え切らないやつなり。
おまけにあんな女がいるなんて。いつもカフェカフェ言ってるくせに。
それに命が惜しいくせに師範が怖いから行くとか情けないなりよ。
あ〜ぁ〜カフェが可哀そうなり〜」
>「後は結界を張るとか……秋葉原を取り囲む壁の外側に、高位の術者達が協力して広大な結界を張るの。
(省略)
>あのチケットが双方向移動可能なんて思えないし」
>「テロ魔族の体の一部か……。
>超ラッキーガールのみこと殿ならもしかしたら手に入れられるかもしれんのう。最近見かけぬが。
>あれじゃ、地面に穴を掘って結界の中と外を行き来することはできんかの」
>「それは結界攻略の鉄板ネタだが、地中にも普通に球状に結界がはってあったらアウトだ。
>今回これだけ手の込んだ招待をしておいてそんな漫画的手段が通用しそうとは思えん」
会議は踊る、されど進まず。
禅問答の如く繰り返される自問自答。思考と口論の錬環。
「結局はチケットを使うしかないなりか?
そうとわかってチケットを用意したなら、敵はそうとう頭の切れる奴なり。
あれが何かの儀式で、カフェが必要なら、
普通、カフェを拉致したあとに黒い壁を発生させるなりよ。
でも中にいるやつはカフェをエサにゴキブリホイホイのように
カフェの友達を集めようとしているなり。なんて狡猾なやつなりか!」
>328あまり無理をしないで下さいねー
>331ありがとう
>333がんばろう
織羽さん、応援ありがとう
ちょいと今日は馬鹿みたいに疲れてるんで続きは明日
…長期休暇に入ったんで今週はバリバリ進めますぜw
>>331 感動しました!!超絶ありがとうございます!!
即効で保存しました!!
まさしく牧街、イメージどおりですw
>>織羽さん
お久しぶりです!!
応援ありがとうございます!
今後も気が向いてチャンスがあったら遠慮なくばしばし参加しちゃってくれたらうれしいです!
>カフェさん、まっちゃさん
わがまま言って申し訳ありませんでした
今週が山場だったのでおかげさまで凄く助かりました!
本当にありがとうございます!
>>335 お体に気をつけて、無理なさらないで下さいね
…そういえば入院して去っていった桜井さんはどうなったんだろう
東日本大震災の前だったから未だに心配です
在 日 発 狂 ス レ
織羽の言葉に、牧街は無言で彼女の差し出したメモを見つめていたが、やがて暗い調子で「ありがとうございました」と言って、外へ消えた
その後も会議は続くが、決定的な黒い壁への打開策は見つからない
当然だ
今、こうしている間にも、日本政府が、いや、天界の神々や魔界の魔族たちまでもが黒い壁に対応する策を探していて、しかし見つけられずにいるのだ
如何に恐山流除霊道場の面々が有能でも、有効打を見いだせなくて当然なのだ
「結界を上から張る…か、政府に要請すればできない事は無いかもしれないな」
やがて、恐山師範は織羽の言う作戦を現実的に検討しようとし始めた
事態が事態だ
織羽の言う大規模な作戦も、実行しようと思えば実行できなくも無いのである
師範とて本心を言えば、無謀ともいえる突入作戦にカフェを挑ませたくは無い
「日本政府も同じ作戦を思いついているはずだ、もうすぐ本格的な準備も…」
「師範!た……たたたた…大変です!」
恐山師範の言葉をさえぎり、道場に門下生が駆け込んでくる!
「どうした!」
「結界の…例の黒い結界が…結界が、警察の戦闘機を攻撃しました!あれは…あれはただの結界じゃありません!何か…別の何かです!」
「何ぃ!?」
その報告には、さすがの恐山師範も驚愕せざる終えない
師範は門下生を促し、テレビをみんなのいる場所へと運ばせた
上空のスクリーンに映し出された黒い壁の上空を飛ぶ戦闘機を見つめながら、笑顔の仮面は笑い声を上げる
「ふふふふふ…」
魔族がせせり笑った瞬間、黒い壁の一部がシュルシュルと触手のようにのび、逃げようとする戦闘機を絡めとり、撃墜して見せた!
「これで人間にもわかってもらえたかな?これが自分達の手に負えないものだって」
仮面の魔族が作り出した黒い壁
それは……「宇宙でできた壁」だった
魔族のナンバー2、アシュタロス
ワールドプロセッサと呼ばれる世界改変装置を使い、宇宙の改変を行おうとした彼の計画は、美神令子と仲間達の手で消滅した
しかし、アシュタロスはその計画の過程で、「宇宙の卵」と呼ばれる多数の宇宙の元を無数に作り出していた
その「宇宙の卵」のうち、一部を、テロ魔族は回収、大掛かりに手を加えて、「宇宙でできた兵器」を作り出したのである
宇宙の改変には莫大なエネルギーを必要とする
しかし、テロ魔族は宇宙の雛形の段階でわずかに手を加え、宇宙本来の形とは全く違う、「宇宙でできた壁」を作り出したのだ
それは「究極の魔体」と呼ばれるアシュタロスが作り出した巨大な対神兵器と製造方法を一部同じくする、まさしく恐るべき悪魔の所業
そんな強大で、壮大で、原理も機構も理解できないようなすさまじい物を前にしては、人間にはもはや成すすべは無い
頼りの神族も、魔族も、突然の事に未だ、有効な対処方法を見出せていなかった
テロ魔族の計画に、死角はない
そう、わざと作った一角以外は
「今頃あの娘はどんな顔をしているかな」
テロ魔族は今チケットの前にいるだろう、カフェの顔を想像し、ほくそ笑む
政府にも神々にも成すすべが無い現状
「正義の味方」であるカフェの手には、「秋葉原の人々の下にいける鍵」がある
ただそれは「秋葉原に助けにいける」というだけであり、実際に助けられるわけではない
いや、助けにきても助ける事は不可能だろう
だから、自分の命の惜しい人間は、「仕方ない」と割り切ってあきらめるしかない
そう、テロ魔族がカフェにチケットを送った目的、それは、「カフェに自分の命を守るために、秋葉原の仲間達を見捨てさせ、その心に一生残る傷を作る事」
ただそれだけだった
テロ魔族の目論見では、このままカフェは一生、壁の外で思い、悩み、苦しみ続ける事になっている
これだけの強大な力、これだけの壮大な規模
目の前にしてちっぽけな力しか持たないカフェが、まさか本気で突入してこようとおもっているなどと、思ってもいない
つまるところ、カフェに送ったチケットなど、自分の楽しみを散々邪魔してきたカフェへのスケールの大きな嫌がらせでしかないのだ
勿論、この「宇宙でできた壁」そのものの目的は違う
「宇宙でできた壁」は世界の均衡を取り戻すと言うテロ魔族の悲願によるものであり、決してカフェなどと言う路傍の蟻を相手にした遊びとは違う
笑顔の仮面の全てをかけた、一大計画だ
しかしその一大計画に小さな穴を開けてまで、笑顔の仮面はカフェに嫌がらせをしたのである
相当に性格が悪い
彼方の秋葉原から聞こえてくる爆音を耳にしながら、牧街モリオは頭を抱えていた
へタレセンサーが、長年培ってきたヤバイ状況を感知する感覚器が
全身全霊を持って「行くな行くな」と牧街を止めていた
彼は確信していた、「行けば、死ぬ」と
もう怖くて怖くて、どうにかなりそうで、今回ばっかりは師範と戦う事になってでも、逃げ出したいと思っている
……いや、正確に言うと、牧街は師範そのものが怖いわけではない
牧街が本当に本気を出して逃げれば、恐山断弦は愚か、FBIだって彼を捕まえる事はできないだろう
牧街が師範を前にして、事件から逃げる時、本当の本当に牧街が恐れていた物
それは、「師範に失望される事」だった
「師範に失望される事」は、それ即ち、もう永遠に師範から新たな仕事を分けてもらえない事……つまり、「誰かのために悪霊と戦えなくなる」事を意味する
ゴーストスイーパーは9割の金のために戦う
だが、最後の1割を大事にしないわけでは、決して無い
むしろ、最後の1割をないがしろにする者は、ゴーストスイーパーを続けていけない
やはり、最後の最後で大事にしなければならない物、それは、仕事に関わる人々との関係なのである
そして、師範が「逃げるな」と言ったミッションで逃げたら
なおかつ師範の手から逃れるために軽蔑されるような方法で本気で逃げ続けたら
間違いなく牧街は仕事に関わる人々…依頼人、師範、状況提供者、そして…仲間達との絆が断ち切られ、GSとしての道を完全に断たれるのだ
それは、断弦に殴り殺されるよりも、牧街が恐れる事である
そう、牧街は本当は、カフェよりもずっとずっと、自分のGSとしての能力を世界平和のために使いたいのだ
凶悪な悪霊に、無償で挑み、大勢の人を助け、感謝の言葉も受け取らずに去っていきたいのだ
そして牧街だって、そんなGSに…ヒーローのようなGSになろうと努力をしてきた…
………話は、牧街がGSになろうと決意した時期までさかのぼる
あるところに、大変勇敢な少年がいた
少年は「人間の内に秘められた無限のパワー」を本気で信じ、どんな事が起こっても諦めさえしなければ、必ず道を切り開けると思っていた
だから、少年は何者も恐れなかった
少年の名は、牧街モリオ、当時、小学6年生
その日、牧街は、友人の阿湖野に誘われ、学校の裏の沼に潜んでいるらしい「口裂き婆」の退治に向かっていた
阿湖野は、祖父が高名な退魔師であり、自身も祖父から「筋がいい」とさまざまな除霊術を教えられており、いつの日かその力を正義のために使い、悪霊を爽快にぶっ飛ばしてやろうと日々チャンスを待っていたのだ
牧街は止めてもきかない阿湖野に誘われ、「こいつ一人でやられそうになった時、俺の秘めた力が覚醒して…」と自分が最終的にいい所をとろうと言う下心もあってついていき
そんな二人を心配して、牧街の出来のいい妹、チハルも、追い払おうとする二人に無理やりくっついて、3人で口先婆の下へと向かったのである
そして、そこに婆はいた
口上など唱えて颯爽と戦いを挑む阿湖野を、婆は最初、全く生気を感じない顔でぼーっと眺めているだけだった
阿湖野が攻撃を加えても、調子に乗った牧街が投石をぶつけても
婆はただじっと、無表情にそこに立っていた
やがて、最初の熱が冷め、徐々に婆に対する恐怖がわき始め、「おい帰ろうぜ」と阿湖野が言った、その時だった
「 ど こ へ 行 く 」
突然のすさまじい大絶叫と共に、婆はチハルに襲い掛かり、逃げる間もなくチハルは頬に包丁を突き刺された
「助けて!!お兄ちゃん!お兄ちゃん!おにい…おにぃいいいいいいいいいいい…い”い”い”い”い”い”い”い”い”い”い”」
チハルの絶叫が響き血が滴る中、恐怖よりも大事な妹を傷つける婆への怒りが沸いた牧街は、阿湖野が腰を抜かす前で必死に婆に抵抗した
でかい石をぶつける
が、すり抜ける
尖った木で突き刺そうとする
が、すり抜ける
必殺キックを叩き込む、すり抜ける
阿湖野の唱えた呪文を必死に真似て唱える、何も起きない
チハルの頬が裂ける
血が流れる
「に”い”い”い”い”い”い”い”ぢゃん!に”い”ぢゃあああああああああ…あ”ああ”あああああああああ”ぃいい”」
チハルの絶叫が響く、響く、響く
やがて、短い肉の裂ける音と共に、チハルは完全に動かなくなった
チハルから離れた婆が次いで腰を抜かす阿湖野に襲いかかった時
それでも牧街はまだ信じていた
人間の内に秘めたパワーを、悪を憎む正義の心に宿る力を…
だから、牧街は立ち向かった
親友を襲う怪異に、逃げようともせず、必死に、もてる限りの力と、周りの道具を持って…
結局、牧街は何も出来なかった
阿湖野の頬が半分裂かれた時、学校が呼んでいた恐山断弦が駆けつけてきて、牧街だけは救われるのだが
チハルは重症、更に精神崩壊
阿湖野も重症を負い、事件のショックから引きこもりになってしまった
「何故二人は助からなかったんですか」
もてる力を全てぶつけて、考えうる限り全ての事をして、チハルは、阿湖野は助からなかった
諦めずに最後まで戦っても、守りたいものを守れなかった
「頑張れば何とかなる」と信じていた牧街にとって、それは理不尽な事だった
だから、断弦は言った「貴様が自分の身を自分で守れなかったからだ」
即ち、「身を守る」行為とは、その場で全力を尽くす行為の事だけをさすのではない
危ない物には基本的に近づかない
危ない物が近づいてこないように気を配る
危ない物に万一遭遇してもいいように常日頃から備えておく
そんな事もせず、進んで危ない物に近づき、無警戒に悪霊に喧嘩を売り、何の準備もしていないくせにその場だけ頑張った所で、助かるはずなどない
それが現実なのだ
この時、牧街は「都合良く沸いてくる不思議なパワー」なんて物がこの世に存在しない事を知った
常日頃からの備えと、万全の事前準備、情報収集、それら無くして、戦いには勝てない
孫子いわく、戦いとは、始まった時に既に決まっている物…
それを知ってなお、牧街はまだ、正義のために戦おうとした
いや、それを知ったから、なお、正義のために、彼は戦おうと思ったのだ
だったら強くなってやる!
ゴーストスイーパーになって、あんな悪霊共をぶった切ってやる!
もうチハルや阿湖野みたいな奴は出さない!
熱い想いが胸に湧き上がり、彼は恐山流除霊道場へと志願した…
そして、彼を待っていたのは、また、とてもつらく、厳しい「現実」だった
基礎体力を得るための修練も、霊力を増すための精神修行も、「強くなるためには当然」という想いがある牧街には、大した苦ではなかった
同期生達の中で彼は頭一つ上であり、次々と恐山流の修行のステップをこなして行った彼は、高校の頃にはプロのGS並の霊圧を練れるようになる
そして、同期性の中で最も早く、彼は実戦に挑み…
そして、惨敗した
霊的格闘術のみで戦った初戦
鍛えぬいた必殺技は悪霊に蚊ほども効果無く、無様に逃げ惑い、大怪我を負い、師範等に助けられ…
あの日々は何だったんだ!
牧街は自分の才能の無さを嘆いた
だが、それでも牧街は諦めなかった
道具を使えば、悪霊とは互角に戦える
的確な道具を見出せれば、勝つ事も難しくない
技だけが全てではないと道具に目をやれば、その額に目玉が飛び出そうになり
ならば金を貯めなければと仕事に打ち込もうとすれば、実家から「GSを辞めるか家から出て行くかどっちかにしろ」と言われて家を追い出され
自活しなければならなくなって家事が忙しくなり、仕事に影響が出て悪霊に負け、低賃金しか得られず、それもまた医療費や生活費で消え、除霊するのもただじゃないためそこで借金が出て…
一人で歩いていくために必要な先立つ物、にも、牧街は大いに苦しめられた
結局、一人でGSをやっていけるだけの道具を得れたのは、二十歳を過ぎた頃だった
その頃には、もう牧街は昔のような熱意は失っていた
強い敵
理解の無い依頼者
慢性的な資金不足
生活苦
それらにボッコボコにぶちのめされ、いつまでたっても目標としていたヒーローには届かず、更に月日をおうごとにそれから離れてすらいる
そんな自分にふてくされ…
「師範が無理矢理つなぎとめていてくれるから」ギリギリ、牧街はGSとして生きていく事を投げ出さずにすんでいたのだ
もし、断弦が牧街の戦いを強制しなければ
彼は苦難に負け、GSをやめているだろう
だから、牧街は「師範に見限られる事」はしたくないのだ
それは、自分が自分らしく生きていく、最終防衛ラインを断ち切るという事だから…
だが、今、その断弦が、逃げろと言った
ヒーローならば立ち向かう局面で、最終防衛ラインが…牧街が自分らしく生きていこうとする行動を取れる最終防衛ラインが崩壊したのだ
当然、命が惜しい
もう逃げない理由は無い
行けば死ぬ
だが…
だがこんな時、ヒーローなら
……いや、ヒーローすら破る巨大な怪獣達に現有兵器で立ち向かう防衛隊の勇者達ならば
「自分らしく生きていこうとする事は、命をかける価値がある事なのか?死をとして自分を貫く事って…」
牧街は頭を抱えた
自分らしく生きて死ぬか、それとも、何もかも捨てて、無様に生きるか
「俺はどうすればいいんだよ…」
牧街の頬を、涙がつたった
【もう少し続きます!だから今晩また書きますので待ってください】
特技の欄にPCと はい!ITスキルはかなりの物になっています
書いていますが ∧_∧
( ゚Д゚) (^+ ^ )
| ∞ ___ ノ ノ. |
| ̄L`L | | 」´」 ̄|
日本を悪の在日から守ることにかけては誰にも負けません
・・・ ∧_∧ 1分間で在日認定500人分は余裕です
( ゚Д゚) (^+ ^ )
| ∞ ___ ノ ノ. |
| ̄L`L | | 」´」 ̄|
いや、それはITスキルとか言わないよ
使える言語は何あります? ∧_∧ ・・・
( ゚Д゚) (^+ ^ )
| ∞ ___ ノ ノ. |
| ̄L`L | | 」´」 ̄|
パワーポイントでプレゼンの経験は?
MOSとかの資格は? っ
簡単なマクロとか組めますか? ∧_∧ っ
( ゚Д゚) (^+ ^;)
| ∞ ___ ノ ノ. |
| ̄L`L | | 」´」 ̄|
キミは今まで
PCで2ちゃん以外に何やってきたの? ∧_∧
( ゚Д゚) ( ^ +)」
| ∞ ___ == ┌/ /
| ̄L`L | | | ̄| == />
牧街は、自分らしく生きていくという選択肢が…命を捨てて秋葉の人達のために戦うという選択肢が選べない
選びたいのだが、恐怖が、行ったところで何も出来ないだろうという現実が、自身への諦めが、選ばせない、選ばしてくれない
しかし
同じ様に考えただろうカフェは、あっさりと、至極あっさりと行くことを決意していた
自分の無力さを何度も何度も痛感させられ、現実にノックアウトされてきた牧街にとって、カフェの第一印象は最悪をだった
自分よりも格上のGSをあっさり倒した妖怪を前に、無策に突撃していき、実力が追いついていない癖に運よくいつも勝利を勝ち取る
まるで彼女は、牧街が欲していて得られなかった、「人間の内に秘められた不思議な力」を持っているようだった
牧街は激しく彼女に嫉妬した
何故あの女は活躍できて…
心のそこからそう思えた
だからこそ、彼は一度、殺人鬼へと身を落としそうになったのだ
しかし、カフェへの嫉妬から、妬みから、デモンサーカスや紅バサミのような殺人鬼と化しそうな彼を止めたのは、やはりカフェだった
捕らわれの身に落ちてなお、牧街を思いやる彼女の心
そこに、牧街は彼女にあって、自分に無い物を痛感した
果たして同じ立場にたたされて、牧街は自分に刃を向ける相手を思いやる事ができるだろうか
そう思った時、牧街の心から自然と嫉妬は消え、今では素直に…いやまだ色々と引っかかるところはあるが、それでも以前のように黒い思いも無く、彼女に魅かれている
師範からチケットの事を聞いた時、牧街は直感的に、「カフェならば行く」と思った
彼女は、「本物」だから
牧街のように、曲がる事無く、まっすぐにGSの道を進む事ができた人だから…
そして、牧街の想像通り、カフェは黒い壁の向こうへ行く事を決意していた
だが、行けばカフェは死ぬだろう
カフェの天性の運が…いや人の持つ「内に秘められた力」すら、テロ魔族に通じない事は既にわかっている
それほどまでに、あの仮面の魔族は強大なのだ
だから牧街は本心を言えばカフェに行ってほしくはない
いや、「自分がついて行く事を断念したのであれば」カフェを止めて突入作戦そのものを叩き潰す事だって辞さない
だが…
カフェの運をもってしてなお、勝てないとわかるこの状況で、しかし、牧街はまた、もう一転、何かしろの要素が加わり、カフェを助けてくれるのではないか
そう思えてもいた
だから、牧街はカフェを止める事もできない
もしかしたらカフェならば、そう思えるから…カフェを止められない
「結局、今までとおんなじだな…」
そう言って、牧街はため息をつく
これまでの戦い、一度だってまともに力押しだけで悪霊を倒せたためしがない
いつもカフェが、月夜田が、運よく相手の弱点や不安要素を引っ張り出し、どうにかこうにか行き当たりばったりで勝って来た
いや、勝ったなどという言葉を当てはめるのも悪いような物だった
今だって同じだ
何の準備もできず、何の対策も立てず、ただ、行くだけ…
行ってみれば何とかなる、ただ、それだけ…
「……行くしかないんだよな…」
言葉に出していって、牧街は何だか情けなくなった
十年近く、この道に関わってきて、何も出来ない
ただついていく事しか出来ない
ただ…
いや…
「……何も出来ないんじゃない、しようとしないんだ!!」
牧街は気づいた
自分が今流れにまかされたままでは、あの日と…ただ「不思議な力」に任せて、口裂き婆と戦いに行った日となんらかわりが無い事を
そうだ
諦めて、ふてくされて、何もせず、ただカフェやまっちゃに流されるがままになっていて、ただカフェの不思議な力を信じているだけなのは自分だ!
「俺は何て馬鹿だったんだ…。こんなとこでサボってる場合じゃねえ!」
牧街は織羽からもらった紙を破り捨てると、会議の場へと走った
誰に説得されるでもなく
自分の心で振るい立ち、カフェを…秋葉原を、救い、自分が自分らしく生きていく道を歩むために…
その姿は英雄ではない、強大な敵に現有兵器で颯爽と立ち向かう防衛軍…勇者のものだった
「ポイントは、チケットです!」
黒い壁そのものをどうにかする事ができない事がわかった牧街は、チケットを手に、声を大にして皆に言った
線目は見開かれ、目は輝きを取り戻している
「壁をどうにもできないなら、チケットの方を改造すればいい!」
「しかしどうやる、魔族の作ったチケットだ、相当精密な物になっているだろう。複製する事はできないぞ」
「複製する必要はありません、阿波日さん!」
「その通り、俺に任せてくれ、一箇所だけ、改造するあてがある」
牧街に呼ばれて出てきたのは、牧街の恩人で、オカルトグッズ作成のプロ、阿波日氏だ!!
「このチケットの40歳以上立ち入り禁止の部分、ここだけなら何とか打ち消す事ができそうなんだ」
「一体どうやって?」
「年齢制限を設けるに当たって、その基準とする相手の生態エネルギーを感知する機構があるはずだ、そこを狂わせる」
「なるほど…それで、どれ位かかる?」
「…丸一日」
「よし!」
恐山師範は立ち上がると、カフェ、まっちゃ、牧街を見回した
「明日、突入作戦を決行する!お前達はすぐ知り合いのGS全員に応援要請を送るなり装備を整えるするなりして全力で準備しろ!必要なら破邪札も精霊石も俺が準備してやるから遠慮なく言え!」
「師範、しかしそれでは散財に…」
「財産は何のために貯める!こんな時のためだ!!貯めたもの全部使うぞ!」
猛師範に、門下生達も奮い立ち、各々も道具集めや他に出来る事を探しに散っていく
わずかだが見えた勝利への希望!
戦いの結果は、事前の準備にかかっている!
もてる全てを持ってきて、テロ魔族と戦うのだ!!
【大変長らくお待たせしました!長文で申し訳ありません!】
>「でも中にいるやつはカフェをエサにゴキブリホイホイのように
カフェの友達を集めようとしているなり。なんて狡猾なやつなりか!」
「なんて奴じゃ、我らの友情パワーを見せつけ卑劣な手段で罠にはめようとしたことを後悔させてやろうぞ!」
>「日本政府も同じ作戦を思いついているはずだ、もうすぐ本格的な準備も…」
>「師範!た……たたたた…大変です!」
血相を変えて駆け込んでくる門下生。
>「結界の…例の黒い結界が…結界が、警察の戦闘機を攻撃しました!あれは…あれはただの結界じゃありません!何か…別の何かです!」
「攻撃……じゃと!?」
テレビを見ると、壁から触手が伸びて戦闘機を撃墜しているではないか!
下手すれば突入する前にゲームオーバーになる可能性もある。
外へと消えて行った牧街はというと、一向に帰ってこない。
カフェは、師範に言った。
「師範、牧街殿は……無理にいかせないでくれるか?
だって牧街殿は……ツイてないのじゃ! いつも貧乏くじを引くポジションになりよる!」
ちなみにいつも貧乏くじを引かせているのは、カフェとその同類達である。
「そのツイてない牧街殿がいったら……牧街殿が……牧街殿が……」
貧乏くじをひきながらも人知を超えたサバイバル能力と打たれ強さで今まで生き残ってきた牧街だが
今度ばかりは相手が更に人知を超えている。
行けば無事ではいられないだろう――
そう思ったカフェは、師範に牧街除外を申し出たのだった。
しかしもちろん、そんなものを聞き入れる師範ではない。
「カフェよ、牧街は確かに運がいいとはいえないかもしれん。
だがだからこそ飛びぬけた生存能力を持つに至った。運が悪い者だからこそ出来る事があると思うぞ」
そこに、ドアをバーンと開けて入ってくる人物がいた。そう、我らが牧街である――!
この短時間に何があったのか、さっきまでのへっぴり腰はどこへやら、彼は勇者のオーラを放っていた――!
「牧街殿……!」
学校の怪談編で、ヘタレマインドを奪われた牧街を見た事があるが、それとも似ているようで全然違う。
生存本能の裏返しである恐怖も全て内包した上での勇気。
これが彼の本来の姿なのかもしれない。
>「ポイントは、チケットです!」
牧街が、阿波日に依頼し、チケット改造の手配をする。
恐山師範が立ち上がり、皆に指令を出した。
「明日、突入作戦を決行する!お前達はすぐ知り合いのGS全員に応援要請を送るなり装備を整えるするなりして全力で準備しろ!必要なら破邪札も精霊石も俺が準備してやるから遠慮なく言え!」
「了解じゃ!」
こうして、三流GS史上最大の突入作戦が始まった――!
外に出ると、壁の近くまでいく根性が無いヘタレ放送局が来ていた。
「えー、恐山流の道場にやってきました。恐山師範にあの壁に関する見解を聞いてみたいと思います」
「すまぬ、ちょっとだけ出してくれ!」
カフェはリポーターからマイクを奪い取り、カメラの前にしゃしゃり出た。
そして、前置きも何も無しで語り始める。かつて共に戦ってきた仲間達に向かって――。
「明日、妾はあの黒い壁の中へ突入作戦を決行する……。
妾と命をかけて一緒に戦った事のある者なら、共に突入できるそうじゃ。
もちろん、生きて帰ってこれる保証はない。その上で請うぞ――。
一人でも多くの戦力が必要なのじゃ、一緒に来てほしい!
参加してくれた者は今後万年妾の実家の喫茶店無料で食べ放題飲み放題とする!!」
この期に及んで、犠牲者は最小限に、なんてセコいことは言わない。
目指す結末はただ一つ。必ず秋葉原を救い、全員で生還すること!
「返して下さい! もう、なにバカなことを言ってるんですか!」
「言ってみたかっただけじゃ、気にせんでくれ」
リポーターにマイクを取り返された。
そして、今までに手に入れたあらゆるアイテムはもちろん全て持って行く事にする。
黒酢を自由に操る事が出来る霊衣《黒酢》。黒歴史ノートに、レスノート。退魔お茶スプレー。
果てはエセサンタからもらった超ミニメイド服。見事に役に立ちそうにない者ばかりだ。
となれば、やはり財力に物を言わせるしかないのか!?
「師範、トラック一杯分の精霊石を用意するのじゃあああああ!」
精霊石は一個数億円するのだ。いくらなんでもそれは無理であろう――
【>牧街殿
お疲れ様なのじゃ!今までの参加者達も参加してくれると嬉しいのう。
桜井殿はスレが外部に行ってて迷ってしまった可能性もあるかと。来てくれないかな〜】
ごめんなさい。私事なのですが、最近頭痛がひどくて書けません
体調が良くなるときはあるのですけど、毎回お待たせするのも悪いので
残念ですがここでお別れです
春になったら太陽の光を浴びて元気になるかもしれません
そのときにまたどこかのスレでお会い出来たらうれしいです
牧街さんカフェさんありがとうございました。お世話になりました
最後の戦いで牧街とカフェの運命がどうなっていくのかとても楽しみです。がんばってください。
それではお先に失礼いたします。さようなら
【えっ、えっ!? とても残念じゃがそのような理由ならば無理を強要するわけにはいかぬ。
お主がどう思っているかは分からぬが
妾にとってお主は奇跡的なまでにノリが合う故本当にやりやすかったし楽しかったぞ。
絶対またどこかの世界で会おうぞ!
でももうすぐ春だしもし可能なればこのスレのラストにでも顔を出してくれたら嬉しいぞ!】
>>352 ろくなおもてなしもできず申し訳ありませんでした…
体を大切になさって下さいね
そしてもしまた来たくなったら、いつでも、いらして下さい
楽しかったです
それではまた、お元気で
カフェが準備を進める中、牧街もまた、道場の武器庫に入り、ひたすらに準備する
リュック一杯、もてるだけの1億クラスの強力な破邪札とありったけの霊体ボウガンの矢を装備し、ホルスターに師範から借用した銀の弾丸の装填された480発入りのMAC10を下げ、最高級の神通杖を下げる
もう大抵の悪霊ならば相手にならないレベルの超高級な重装備だ
(な…何だか、勝てる気がしてきたぞ!)
それら強力な装備を見回しながら、確実に勝率が高まっている事を実感し、うんうんと牧街は頷く
これら強力な装備に、またまっちゃが憑依してくれれば、その威力は倍増する事だろう
そうなれば鬼モドキクラスの悪霊が相手でも…
「し…師範!あの猫娘が…」
と、そこで「裏の武器庫」内で装備を整えている師範の下へ青島訓練生が走ってきたらしい声が聞こえてきた
「どうした?」
「あの…あの猫娘が…その…突然腹を壊したとかで…」
「何!?」
まっちゃが牧街の家で食ったまずい冷蔵庫の中身
それがどうやらここに来て効力を発揮したらしい…
一人暮らしの男の家の冷蔵庫の中身
そこには野生動物すら撃破する恐るべき自己進化を遂げた菌がいたようだ…
「……あ、ありがとう、まっちゃさん、君は牧街の腹を守った、俺は君に、カプセル怪獣4号の称号をあげよう」
原因が自分にあると悟った牧街は、ぼそっと空にまっちゃの顔を浮かべて彼女に変な称号を送る
ちなみに1号は阿湖野、2号はカフェ、V3号は瑞希である
「…仕方ないな…俺が医療費は負担しよう」
なっちゃったもんは仕方ないなといった感じの恐山師範の声がした
妖怪だしもしかすると正露丸一発で治るかもしれないが、しかし入院するに越した事はない
こうして、まっちゃは突入班から脱落してしまった…
「…そうだ、電話してみよう」
突入する人数が減ったため、牧街は駄目もとでタロー等に電話をかけて回る事にする
駄目もと、と言うのは、勝ち目の見えない戦いだ、誰も好き好んで他人のためについてこないだろうと言う考えがあるからだ
それでも、藁にもすがる思いで受話器をとり、電話をかける
まずは成瀬…はそういえばカフェと命をかけて共に戦った事はなかった
が、成瀬は人じゃないので「アイテム」として参加できるやも知れない
「繋がれよ…成瀬!」
牧街は以前仕事中だからかけてくるなと言われた、あの携帯電話に電話する
「あの壁については…わかりません!!」
「霊的な物ではない、と言う事ですか?」
「えぇ、もう何といいますかな、人智を越えた物ですね、コメントする事は特にありません」
「わかりました、ありがとうございます」
恐山師範は、へタレ放送局の質問を、適当に流しておひきとり願った
そんな物にかまっている余裕はない!
「ん?カフェ君か、何?精霊石をダンプ一杯?……無理だな、金はあっても調達するのが難しい」
そう言って、恐山師範はカフェにアタッシュケースを投げ渡した
中には…精霊石が6個、入っている
「君に渡せる精霊石はそれで全部だ、有効に使ってくれ。…後」
言って、師範は精霊石のついたネックレスとピアスを持ってこさせる
「これもつけておくといいだろう。精霊石3個をすぐに使えるようになる、守り、攻め、どちらにおいてもかなり有効だ」
…これで、総額45億円程
恐ろしい額である
「他に何かいるか?対戦車バズーカは?マシンガンは?」
がっちゃがっちゃと物騒な重火器をカフェの前に師範は積む
半分笑ってるので使えない物を見せて困らせてやろうと言う師範なりの冗談らしい
トラック一杯分の精霊石は無理だったようだが、精霊石6個入りのアタッシュケースをくれた。
それと、精霊石付きのネックレスとピアス、これで計9個だ。
「師範殿……」
早速ネックレスとピアスをつける。ピアスホールを開けていないので、ピアスは服に装着。
>「他に何かいるか?対戦車バズーカは?マシンガンは?」
カフェは物騒な重火器を持ち上げようとするが……
「なんぞこれ、持ちあがらぬぞ!」
「なに、半分冗談だ。これはどうだろう」
そう言って師範は、一振りのロリータ傘を出してきた。傘にしては少し(かなり?)ごっつく見える。
「傘型神通杖としても使えるのはもちろんだが、メイン機能は銃だ。
操作は簡単、極限まで軽量化されている。中には銀の弾丸が250発装填されている」
「師範、感謝するぞ……!」
この事件が起こって驚異的なスピードで作らせたのか、前からプレゼントしようと思っていたのか
もしくはこの手の門下生が来る事も予期して元から用意してあったのかは定かではない。
そこに、まっちゃ脱落の一報が入る。
悪夢の中での出来事を思い出し、しんみりするカフェ。
「まっちゃ殿……。妾だけではなく牧街殿まで食中毒から救ってくれたのじゃのう……」
さて、いつまでもしんみりしているわけにはいかない。戦力が一人減ってしまった。
そこに、カフェママとカフェパパが雪崩れ込んでくる。
「カフェ、ニュース見たわよ!
危ない事はやめなさい……と言いたいところだけど止めても無駄なのは分かってる。
ママも一緒にいくわ! ……と言いたいところだけど行けないのね……。
せめて私の代わりにチェルノを連れて行きなさい!」
「母上……感謝するぞ!」
「カフェちゃん、あたい頑張るよ!」
カフェママの後ろから、チェルノが現れた。
チェルノとは、カフェママが長年愛用していたら妖怪化した妖怪ママチャリである
続いて、カフェパパが怪しげな壺を差し出してくる。
「カフェ、パパからもアイテムの補給だ。
これはパパの壺コレクションの中で最も霊験あらたかな壺だ。
持って行きなさい、きっと役に立つだろう」
「う……うむ、礼を言うぞ、父上」
役に立ちそうにないという訳にもいかず、とりあえず有難く受け取っておいた。
さて、役に立つかはともかく大量の物資が集まったが、持ちきれないという問題が発生する。
「はいはーい! 私もコンビニ妖怪の時に一緒に命がけで戦ったよ!」
猫バスの運転手がここぞとばかりに存在をアピール。集めた物資をせっせと猫バスに積み込む。
「弾薬よし…、武器よし、破邪札よし…」
魔族との決戦を翌日に控えた、深夜の恐山流除霊道場
道場に敷いた布団の上
床の上に明日持って行くありったけの装備を並べ、牧街は最後の確認を行っていた
明日は決戦
自分の今までの人生、その全てをかけた、決戦、全てをぶつける、決戦
緊張に緊張が重なり、布団に入る度にいてもたってもいられなくなりその度に起きて、装備を点検したり、素振りをしたりして汗を流していた
生きて帰って来れないかもしれない戦い
いや、どうやれば生きて帰ってこれるのか本気でわからない位の戦い
もう、家族や、友人達にも会えないかもしれない
だが、それはこの戦いに限った事ではないから、牧街はあえて今回も、家族や友人達には特に何も告げていない
本当なら、友人や家族に見送られ、「行ってくるぜ!」と格好いい台詞でもいいながら、勇ましく堂々と出撃するのがこういう場合の正しい突入の仕方なのだろう
が
そんな洒落て格好いい出撃が出来るほど、牧街はこの日に備えて万全の準備をしていないし、こんな事になるなんて、三日前の夜には想像にもつかなかった
だから、装備だってほぼいきあたりばったり、気分だっていつもの通り…
だったのだが、夜になり、冷静になればなるほど、へタレセンサーが震えだし、牧街やめろ、牧街行くな、夜の内に逃げろ、ここは現実、お前はヒーローになれないと声を大にして叫び散して牧街を震えさせるのだ
「……馬鹿だよ、俺…」
結局、あの後かけた電話は誰にも繋がらなかった
成瀬にも
神藤にも
タローにも
桜井にも
瑞希にも
おおよそ電話番号を教えてもらってるGS達には連絡したのだが、誰一人として応答せず
GSじゃないドリー、月夜田、高山には連絡せず、藤原は連絡先を知らない
当たり前だ、幾多の戦いを一緒に勝ち抜いてきた戦友たちではない
彼らはたまたま一緒に仕事をした関係…ただそれだけなのだ
ここで都合よく全員集合し、牧街やカフェのために、命を張って戦ってくれたりはしない
普通に考えればわかる…
誰も来るわけがない、そうなのだ…
…逆に、もしタローや桜井や瑞希がピンチで電話をかけてきても、牧街だって断るだろう
しかし、カフェなら…
「ふぅー…」
何となく、前に変な村で月夜田に言われた事を思い出し、ため息をつく
――「ちょっと牧街さん!逃げちゃダメでしょ!私はいいんだけど未来のお嫁さんのカフェさんを置いて逃げるなんて絶対ダメよ!!」
「……馬鹿だよ、俺」
最後にもう一度呟いて、牧街は布団の中に戻った
死ぬとわかっていても…絶対起こりえない事がわかっていても…
どっかの馬鹿女なら突っ込んでいくだろうから、仕方なくついていくしかないのだ
だって……
…次回、決戦開始
その夜、カフェは夢を見た。
何も無い空間で、ゴスロリ魔法少女カフェと童顔地味女茶子が向き合っている。
カフェは茶子に問いかけた。
「茶子……真に良いのか? 今度ばかりは生きて帰ってこれる保証はないのだぞ?」
茶子は微笑んでそれに返す。
「正義のヒロインが何を言っているの? あなたを見出した猫師匠を見捨てるわけにいかないでしょ?
魔法少女は、夢と希望を叶えるんだよ」
「馬鹿者! 死んだら何もかも終わりではないか!
そなたは情けない一般人として生きながらえることよりも正義のヒロインとして死ぬことを選ぶのか?」
「死ぬ……? ふふっ……あっはっはっは!」
「な……何が可笑しいのじゃ!」
「そりゃあ一人だったら行かない。カフェが突っ込んで行ってすぐ死ぬだけだもの。
でも……牧街さんと一緒なんだよ!」
「馬鹿者! あのようなヘタレ……」
激昂するカフェを制し、茶子は語り始める。
「ヘタレだからこそ。彼は誰よりも”強い”……!
カフェだって本当は知ってるはずだよ。牧街さんは生き残る事にかけては世界一の天才。
現に今までどんな強力な魔族に相対した時だって生き残ってきたじゃない。
戦いが殺し合いなら、最後に勝つのは死なない方だ。死ななければ、いつかは必ず勝つ!
無鉄砲で無謀なカフェはいつもそれを少し早めてきただけ……」
「ふむ、一理あるな。つまり妾と牧街殿は最強のコンビという訳じゃ!」
「そう。だから行くよ――
この戦いが終わったら、ウチは本当の意味でカフェと一つになる……」
―― 次の日
出発しようとする一行の元に、牧街の気も知らず、カフェママとカフェパパが盛大なお見送りをするべく押し掛けていた……。
「カフェ、牧街君、私達が愛をこめて握ったおにぎりを持って行きなさい」
「ドドスコスコスコドドスコスコスコドドスコスコスコラッキー注入☆」
愛のおにぎりを強制的に渡し、ついでに、何故か一緒に来ていたオカマの店員が幸運を注入する。
「父上、母上、行って来るぞ!! 必ずや秋葉原を救い皆で生還する!」
意気揚々と猫バスに乗り込む!
決戦、その時
カフェが猫バスに乗り込んできたのを確認すると、先に乗り込んでいた牧街は無言で彼女にうなづき、同じく乗り込んでいる師匠のほうを向く
師匠は無言で、カフェにチケットを渡した
「そのチケットは一方通行で向こうに行くだけのゲートをここに作れるらしい、だから、後からカフェさんの仲間が来ても、秋葉原に行く事ができる」
窓の外で、アワビさんがチケットについてカフェに説明した
…最も、まず応援など来ないだろう、が
「……行きましょう!」
「よし」
牧街が気合を篭めていい、師範がうなづき、カフェがチケットを掲げると、猫バスの前に黒い渦巻きが出現した!
「それじゃ…いっくよーーーーー!」
「おー!」
運転手の合図に、元気に手を上げるチェリノ、それに続いて、牧街もやけくそ気味に手を上げる
「おおおおお!」
その様子に、恐山師範は薄く微笑むと、息を吸い込み…
「 お お お お お お お お お お お お お お お ! !」
道場の外に響き渡る程の大声をあげた!!
師範の迫力に固まる一同に、師範は渦巻きを指差し、叫ぶ!
「出撃だ!!」
「了解〜〜〜!!」
黒い渦巻きの中目掛け、猫バスが突進する!
黒い渦の向こう…
そこは、この世の地獄のような有様だった
空は漆黒に染まり、あらゆる方向に生霊となって苦しむ人々の魂が飛び交い、路地には魂を抜かれた人々の体が転がっていて、あちこちで火事の煙が上がっていて…
そして、大通りにはオニモドキや小さな蜘蛛、小鬼や、赤、灰、緑、ピンクの細身の悪魔、赤目山に出た老婆などが生きた人間を探してうろつきまわり、どこからか悲鳴が響き渡ってくる
「ひどい有様だ…」
秋葉原の大きなビルの屋上に降りた猫バスから下を見下ろした師範は、その光景に思わず息を呑み、牧街は…
「かーーーーえーーーーるーーーーおーーーーうーーーーちーーーーかーーーえーーーーるーーーーー!!」
今まで抑えていた物があふれ出したのか、黒い渦巻きの見えない壁にびとーーーと頬をくっちけ、どんどんどんどん壁を叩いている
だがもう戻れない、戻る事はできない!
「……とりあえずどうする?秋葉流の本拠地へ向かってみるか?」
牧街を叱る労力が惜しいのか、師範はとりあえず牧街を無視して、カフェに尋ねてみた
だが下は悪霊の大群がひしめき、如何に猫バスといえども突っ切るのは難しいかもしれない
>「……行きましょう!」
>「よし」
ゲートを開くチケットが手渡される。
「こうか? 妾は行くぞ――首を洗って待っておれ魔族め!!」
カフェがチケットを高々と掲げると、猫バスの目の前に黒い渦巻きが現れた!
>「 お お お お お お お お お お お お お お お ! !」
>「出撃だ!!」
>「了解〜〜〜!!」
黒い渦巻きを潜る猫バス。最終決戦の始まりだ!
―― 秋葉原
>「ひどい有様だ…」
地上はさながら、悪霊妖怪オールスターの展覧会。
師範が息を飲むほどなのだから、想像を絶する地獄絵図である事は容易に想像がつくだろう。
「な、なんという……なんという……」
カフェの声を、牧街の絶叫がかき消した。
>「かーーーーえーーーーるーーーーおーーーーうーーーーちーーーーかーーーえーーーーるーーーーー!!」
「牧街殿……相変わらずいつも通りじゃのう」
帰る帰ると叫んでいる牧街を見て、平常心を取り戻すカフェ。
ここで牧街が妙に勇敢になっていたりしたら逆に死亡フラグだ。
>「……とりあえずどうする?秋葉流の本拠地へ向かってみるか?」
「うむ、まずは猫師匠たちを助けるのじゃ! 運転手、近くまで頼む!」
「ラジャー!」
秋葉原流道場上空まで飛んだ猫バス。問題はここからだ。
下には種々の悪霊が跳梁跋扈している。そこでカフェが、迷案を思い付いた。
「そういえば猫バスは妖怪であったな? 悪い妖怪の振りをすれば仲間だと思ってもらえるのではないか?」
「ちょっと試してみようか。……あの悪霊空飛びまわったりしないよね?」
猫バスの運転手が悪そうな顔をしながら、地上へ降りていく。
カフェも便乗して悪霊の演技。
「美味しい人間はいねえがー!?」
「喰らい尽くしてやろうぞ〜!」
地上がだんだんと近づいてきた。何か普通に攻撃受けそうな気がする。
悪霊の不利をして地上に降り立ってみようとするカフェと猫バス
しかし悲しいかな、二人とも普通の善人
いくら悪人の不利しても、オーラと言う奴が全く違う
それは牧街とチェルノも同じ
ショッカー怪人と友達に無理矢理万引きさせられてる小学生程の差がそこには存在している
「い…いてもうたるぞぉ…」
「牧街さん声震えてるよ」
「名前呼ぶな因縁つけられる!」
あぁ、こんな連中が歴戦の悪霊達を騙せるわけが…
あった
「…おい、あのバスの中の人、誰だ?」
「周りの連中は大した事なさそうだが、一匹とんでもないのがいるぜ」
「やべぇ…あいつに全部とられちまうんじゃねえか?」
割と小物っぽい雑魚悪霊達が隅の方でぼそぼそ呟き、オニモドキとか小鬼が猫バスに道をあける
彼らの視線の先にいるのは…
「……〜〜〜」
全身からただならぬ殺気をかもし出し、不気味ににやにやと笑う恐山師範その人だ…
「…殺す」
「へ?」
「もっと殺す」
「あの…し…」
ダンっと猫バスの床を蹴る恐山師範
びくっとなる一同&雑魚悪霊達
「行くぞ」
「「「は…はい…」」」
カフェ等に容赦なく殺気を放ちながら呟かれたその一言に、一同は震える声で答え、慌てて猫バスを秋葉原流へ走らせる
そう、グラサンに胴着姿の恐山師範はどう見ても怪しい、少なくとも正義の味方には見えない
そんな師範が殺意を周囲にばら撒けば、それはもう警察官が職務質問せずビビッて逃げ出すレベルの危険人物だ
さて師範の活躍で普通に秋葉原流の道場へ向かう一同の前に、オニモドキや緑の細身悪魔、レッサーデーモンに小鬼、婆妖怪の大渋滞が現れた
その先を見れば、秋葉原道場の方から煙が上がり、すさまじい戦闘音が聞こえてくる!
どうやら秋葉原流道場は、敵の妖怪の集中攻撃を受けているらしい!
しかも!その周囲は悪霊や妖怪の群れが千、万単位で取り囲み、普通に行ってたどり着く事は無理そうだ!
「…この数を強行突破は無理だな」
戦国時代の城攻めをする兵士達のように秋葉原流の道場をあり一匹逃げられないように取り囲み、入り口や窓を攻撃する悪霊達をごまかしたり強行突破する事は断弦をして無理らしい
額に汗を浮かべ、苦い表情を浮かべる断弦
ちなみに、牧街は悪霊の大群見て白目をむいて口をあけたまま硬直している
「……とりあえず一度隠れて対策をたてよう」
そう言って、師範は牧街を蹴って現実に戻しつつ、路地裏の方を指差した
,━━━ヽ
┃ ┃
┃ ― ― ┃
[| ´ ∪ ` |] 深夜二時か
| ー |
\__o__/
/~ ∨ `ヽ
味方すらもビビらす恐山師範の活躍により、地上に降りる事には成功した一行。
しかし、秋葉原道場は、オバハン達が韓流スターのコンサートに押し掛けるがごとく、大量の悪霊が押し掛けていた!
あまりに非常識な光景に、もう心配を通り越して呆然とするしかない。
「流石秋葉原道場、悪霊たちに大人気じゃ……」
>「…この数を強行突破は無理だな」
「牧街殿、牧街殿!」
白目むいて固まっている牧街をゆさゆさ揺さぶるが、反応が無い。
それを、恐山師範が容赦なく蹴って、現実に引き戻す。
>「……とりあえず一度隠れて対策をたてよう」
路地裏に入り、作戦を練る事に。
作戦を練ると言っても、恐山師範もお手上げのこの状況をどうしろというのか。
そこでカフェはある事を思い出した。
「皆、ついてくるのじゃ!」
カフェ達は路地裏の奥に入っていき、小さな神社にたどり着く。
花房神社――織羽が言っていた、秋葉原の中に唯一存在する神社である。
人ひとり通れるような狭い狭い路地の先にあり、通りがかりで見つける事はまず無い。
祀っている神は、宇迦之御魂神。いわゆるお稲荷さんだ。
カフェは五円玉を投げ、柏手を打って祈った。
「狐殿、おるか? 秋葉原は未曾有の有事、助言を求む!」
すると、狐の姿をした妖怪、もとい超弱小神がガクブル震えながら現れた。
「よ、よかった悪霊じゃなくて……
ここにいつ悪霊が雪崩れ込むかと……もうガクブルで……
へるぷ! へるぷみー!」
「……駄目じゃこりゃ!」
一応神社なのに悪霊の攻撃を免れているのは知っている者しかたどり着けない立地のせいか
こんなヘタレなので歯牙にもかけられずにスルーされているかのどっちかであろう。
87 :名無しさん@3周年[sage]:2008/01/15(火) 16:16:22 ID:+N7xOgwx
どこでもいいがヤクザのHPを開いてみよう。
組員に対し、銃を所持したり、覚せい剤を密売したり、恐喝をしたり、暴力事件を
起こせなどと指示している組はただの一つもない。それどころか、そのようなことを
行なったら破門すると書かれている組もある。
組織として暴力行為をやれと指示する掟のような文章が無ければ、ヤクザは安全なのだろうか?
答えは自明の理だろう。旧日本軍も全くしかりである。
女を攫って来て強姦をしろなどという政策的文書は、もちろん表面上は存在しない。
仮にあったとしても証拠隠滅のため、破棄されたろう。
しかし、全アジア中にわたる膨大な被害者の証言と、日本軍各部隊の行動記録、日記
極秘命令や指示書、戦後裁判における聞き取りなどによって、日本軍は組織実態として
略奪・強姦軍隊であったことが歴然となった。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
それを決定的に証拠付けたのが、日本の戦争責任資料センターの会見であり、
その会見によって、安倍捏造は急遽前言を翻して、日本による強制性を明確に
認める発言をしたのである。さらに、東京裁判をはじめ、先日の最高裁判決は、
性奴隷の強制連行を日本国として認定したのだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
もう結論は全て出揃ってしまった。 宗教右翼はムダな悪あがきを止めよう。
余りにも情けないお稲荷さんのありさまに、肩を落とす一同
「まぁ…ここの神様が強けりゃ真っ先にテロ魔族が何かしろするでしょうしねぇ、えぇ…」
ため息をついてそういう牧街の横で、何かしろ考えていた恐山師匠は、やがてポンっと手を叩くと、おもむろにむんずとお稲荷さんを捕まえた
「ふぇ!?い…一体なんですか?」
「お前、鳩とかに化けられるか?」
「え?え?」
「化けられるかと聞いている」
仮にも神様に脅すような声色出して尋ねる師匠
そしてその迫力にガクブルする神
「ば…化けられ…るけど…」
「よし、伝書鳩になって秋葉原流道場との連絡役になってくれ」
「ええええええええ!そんなのい…」
「……」
嫌がるお稲荷さんに、すさまじいプレッシャーを放ち、黙らせる師範
「わ…わかりました」
「言葉の最初と最後にサーをつけろ」
「へ?」
「サーをつけろと言っている!」
「サ…サー、わかりました、サー…」
「声が小さい!!それでも貴様恐山流の門下生か!」
「サー!わかりました!サー!」
そして、いつの間にか秋葉原の小さなお稲荷さんは恐山師範の手下にされていましたとさ…
「ば…罰あたるんじゃねえか…」
「あのおじさん怖い…」
そのあんまりにもな有様に、肩を抱き合って震える牧街とチェルノ
こっちに来てから師範が大活躍すぎて牧街がとても空気だ
恐山流の門下生と化したお稲荷さんは、牧街等が応援にきた旨を記した紙を足にくくりつけ、秋葉原流の道場に向かい、程なくして返事をもって帰ってきた
小さな伝書鳩なので、建物を攻撃するのに夢中の悪霊達は気に留めなかったらしい
「えーと何々」
帰ってきて「怖かったよぉ」とカフェの懐に飛びついて泣くお稲荷さんを横に、手紙を読み始める恐山師範
「なるほど、秋葉原流道場に大勢の人をかくまっているらしい、そして猫師匠はこの現象を打破すべく、単身この現象の原因を潰しに行ったらしい!」
「え?原因がわかってるんですか?」
「これによると……近くのビルに登るぞ」
一同は師範に促され、近くの高いビルに上りました
「あれを見ろ」
ビルの上から秋葉原を囲む壁の、四隅を見ると、そこには巨大な四つの柱が立ち、その壁の天井に接する部分から壁の中心へ大きな管のような物が延びていて、それらが交差する場所には大きな円盤のような物が、ある
「最初に聞こえた爆発はあの四つの柱が立つ音だったようだ、秋葉原流の師範はあの柱のどれかにいるらしい」
「すぐ助けに行きましょう!」
「うむ!」
お稲荷さんは、師範に脅されて重要任務を託された。
大丈夫だろうかとやきもきしながら待っていたが、無事に返事を持って帰ってきた。
「本当に……よく頑張ったのう!」
秋葉原道場には、大勢の人をかくまって無力な人々のシェルターとして頑張っているらしい。
道理で集中攻撃を受けているわけだ。
>「あれを見ろ」
師範の示した先には、謎の4本の柱。
どうやら、あの柱が秋葉原を隔離する壁を支えているらしい。
>「最初に聞こえた爆発はあの四つの柱が立つ音だったようだ、秋葉原流の師範はあの柱のどれかにいるらしい」
>「すぐ助けに行きましょう!」
>「うむ!」
猫バスに乗って柱のうちの一本に向かう。
柱から変な触手が出てきて絡め取られるのではないかと気が気ではないが、そんな事は無かった。
触手が出るのは壁の外側に対してだけなのかもしれない。
柱沿いに回りながら、柱を調べて回る。
魑魅魍魎は秋葉原道場に集結しているためか、端っこのここには意外といないようだ。
と、思いきや……
「ここは通さん!!」
老婆の妖怪が現れた! 柱を背に立ちはだかっている。
「出たああああああああああ!!
む? ここは通さん、という事はその後ろに入れる扉でもあるのか!?」
バキ!ドカ!ポカスカポカスカ!
「ひ…でぶ…」
「おとといキヤガレ!」
煙になっていく老婆に、ふんっと鼻を鳴らして師範が吐き捨てる
所詮並の悪霊、恐山師範と装備が充実して数が揃ってるGS達の相手になんぞ全くならなかった
袋叩きにされてあっという間に消滅してしまう
「なるほど、確かに入り口はあるようだな…」
カフェの言うとおり、黒い柱には入り口があいていて、螺旋階段で上に上れるようになっている
「…だが、見張りがいた所を見ると猫師匠はここを使ったわけでは無さそうだな…、どうする?猫師匠を探すか?それともここを登るか?」
師匠はそう言って、カフェを見る
「……俺、高い所も実はあんま得意じゃないんですわ」
「へー」
一方、牧街は完全に空気と化し、螺旋階段の上を見上げてチェルノとどうでもいい会話をしていた
駄目だ、師範ばっか目立ってしまう
チェルノと雑談している牧街の頭を目掛けて何者かが落下して来た
気付いたチェルノが牧街を突き飛ばして地面にひっくり返れば、謎の影が着地する。
その姿は女子高生のものだった。
「はぁー…。こんな危ない場所に仲間を引き連れて来ちゃうなんて…やっぱりだめな人」
肩を落としている少女は月夜田みこと
赤く充血した瞳で、カフェに鋭い視線を送る
「牧街さんものこのこ着いて来ちゃって、いい人作戦のつもり?」
月夜田はごそごそとウエストポーチを漁っている。
中には数枚の霊符。
そのなかから一枚を取り出し真言を唱えれば辺りは炎に包まれる
そして地面が爆発
予め仕掛けられていたダイナマイトが火術で誘爆したのだ
月夜田はチェルノを抱いてピョーンと跳躍し、近くの物影に隠れる
爆音を聞き付けた多くの敵たちは柱に向かってくるだろう
【お久しぶりで〜す。牧街さん、カフェさんお疲れ様で〜す。参加してもよろしいでしょうか?】
【みこと殿ぉおおおお! まさか壁の向こうから助けに来てくれる仲間がおったとは!
よくぞ戻った! 共に完走まで走り抜けようぞ!】
【よろしくお願いします。わけあって猫師匠のように壁の内側にいました】
>>374 おかえりなさい、お久しぶりです
よく戻って来てくれました!
最後までもう少し!
お互い頑張っていきましょう!
老婆は師範とその仲間達によって一瞬にしてボコられた。
そして、後ろから入口が現れる。
>「…だが、見張りがいた所を見ると猫師匠はここを使ったわけでは無さそうだな…、どうする?猫師匠を探すか?それともここを登るか?」
「うーむ、見たところ上で繋がっておるからどこに入っても合流できるか?
いやしかし……」
迷うカフェであったが、迷う必要はすぐになくなった。謎の影が飛来する!
カフェは一瞬新たな刺客かと思い身構え、すぐに構えを解く。
>「はぁー…。こんな危ない場所に仲間を引き連れて来ちゃうなんて…やっぱりだめな人」
「なんじゃ!? 妾の出演したテレビを見て来てくれたのか!?
馬鹿者! お主こそこんな危ない場所に来るでない……! ……かたじけない。
ん、しかしお主……螺旋階段の上から落ちて来なんだか!?」
>「牧街さんものこのこ着いて来ちゃって、いい人作戦のつもり?」
続いて月夜田は、突然地面に放火した。辺りは火の海となり、爆発が起こる。
「なぬああああああああ!? げほっげほっ」
火事の死因で一番多いのは、煙を吸っての窒息死だそうだ。
下が燃えているのに螺旋階段を上るなど自殺行為である。カフェは慌てて柱の外に脱出した。
「迫ってくる火に追われながら登る時限イベントは趣味ではない!
他の柱に行ってみようぞ!」
見れば、爆音に釣られて敵がわらわらと集まりつつある。
「猫バス殿、急いで発射じゃ!」
チェルノに突き飛ばされ、簡単に吹っ飛ぶ牧街
同時に、何者かが地面に着地する
そいつの姿を見て、牧街は…
「えー………」
すっごい、これでもかって位すっごい、もうすっごい嫌な顔をした
よりにもよってそこに来たのは、霊能力が無いから直接的には全く役に立たない上、挙句すげぇ勢いで牧街を馬鹿にしてくるいるだけでストレスがたまる女だった
「期末テストの季節、もう終わってたのか…」
ちっと舌打ちする牧街
あぁ、またこいつが横でギャーギャー騒ぎ出すんだなぁと牧街がただでさえ敵は強い上に味方にまで騒ぎ立ててくる奴がまざったことに頭を抱えかけた、その時
突然、月夜田は地面に火を放ち、周囲が爆発に包まれた
「お…おわ!?」
とっさの爆発に、牧街はなすすべが無かったが、頼りになる我等が師範は即座に反応
爆発の瞬間に牧街を足払いで転ばし、自らも身を伏せ、ダメージを最小限に抑えた
「ぐ…油断したな…」
炎の中で、体についた砂を払いつつ、周囲を見回して人数確認をする師範
爆音に悪霊達が誘われてくる
この柱で戦う事は得策ではないととったのだ
「…よし、全員いる、行くぞ」
「え?チェルノさんは…」
「…行くぞ!」
むんずと牧街を捕まえ、師範は猫バスに乗り込む
カフェはチェルノの不在に気づいておらず、既に猫バスに乗り込んでいる
既に周辺は悪霊に包囲されはじめ、とても今から月夜田とどこかへ消えたチェルノを助けには行けない
「…わかってくれとは言えない、だが、我々にはやらねばならない事がある、行くぞ」
「は…発進だねぇ!」
爆発で猫バスは体に怪我をしていたが、それでも精一杯気力を振り絞り、跳躍し、全力でその場から逃げていく
疾走する猫バスの中
「月夜田の奴、どういうつもりだ…、糞、チェルノさんが…」
爆発の際に月夜田と共に消えてしまったチェルノを思い、突然攻撃してきた月夜田に憎しみを向ける牧街
「アレは正気の目ではなかった、恐らく、テロ魔族に操られているんだろう」
「!?もしかして、チハルが連れ去れさられそうになったみたいに、あいつもカフェさんを動揺されるためにさらわれてたんじゃ…」
「かもしれん」
ぐっと牧街は奥歯をかみ締める
魔族の技術をもってすれば人間の心を操るなんて造作も無い
ありえないはなしではないだろう
そうしている間に、次の柱へとたどり着いた
そこは既に扉が開いていて、見張りの姿も無い
「猫師匠はここから行ったらしいな」
「すぐ後を追いましょう!!」
武器を手に、一同は柱の中へと足を踏み入れていく
柱の中は拍子抜けするほど何もトラップは無かった
いや、あったとしても猫師匠が既に一掃したのかもしれない
とにかく螺旋階段を駆け上がり、かなりあっさり塔の頂上にたどり着いて、そこから中心の円盤へ向かう通路を発見した
通路は割りと広く、天井も高くなっていて、その奥では、猫師匠が何者かと戦っている!!
「ニィ……はぁ…はぁ…」
「…」
霊の笑顔の仮面でもMrスパイクバットでもない
肩で息をしている猫師匠の相手は…
「あ!あいつは」
「隊乱闘、量産されていたのか!」
「ゾンビ村で戦った奴より大分…いや、かなり強そうですよ」
猫師匠と戦う巨大な悪魔、それはあの、ゾンビ村でテロ魔族が作っていた隊乱闘だった!
しかも、今度は完成品らしく、鋏もバットもよりまがまがしく頑丈そうな物へと変わり、皮膚も鎧のように分厚そうで、光沢を帯びている
また、口から火でも吐くのだろう、床がわずかに燃えていた
どうやら、中心部への入り口はこいつが守っているらしい
隊乱闘は
「加勢する!!」
師範はそう言って、例の対霊ロケットランチャーを取り出し、問答無用で発射した
「グああああああぅううううううううううううう」
しかし、隊乱闘は腕を一振り、かまいたちを起こし、対霊ランチャーの弾頭を空中で撃墜する
「う…あひ…ちゅ…中ボスでこのレベル、っすか…」
すさまじい隊乱闘のパワーに、牧街はすっかり腰を抜かしている…
>「猫バス殿、急いで発車じゃ!」
少し焦げた猫バスは次の柱を目指し、煙る地面を蹴りあげた
月夜田みことはそれを確認すると、チェルノを半自転車モードにして後を追う
「今のをどう思ったチェルノ?あの人たちはあなたを見捨てていっちゃったのよ」
チェルノが仕方ないと答えてしばらく走れば次の柱が見えた。
物影に隠れながら待機していた猫バスは怒るでもなく悲しそうな顔をしていたから月夜田は心がちくりと痛む。
「わ、悪いのは、あの人たちなんだから!」
心に思っていたことをあまり我慢する性格ではないので、指をさして猫バスにそう叫んだ。
「…ねぇ、あなたはここで猫バスを守ってあげて」
チェルノに囁いたあと柱に入った月夜田。螺旋階段をぴょんぴょんと跳躍しながら牧街たちに追い付けば
廊下では隊乱闘とGSたちが交戦している。
「ねぇ…チェルノは死んじゃったよ。どうするの?…カフェさんって本当は自分のことしか考えてないんでしょ?
いつも優しくしていたら困った時に誰かが助けてくれるものね」
カフェを一瞥し静々と牧街に近づく
そして、背中に抱き着くと女とは思えない力で締め上げる。
このヘタレの卑怯者を地獄に堕としたい。そんな願いが胸中にあった。
その理由はテロ魔族の策略で、この数ヶ月間月夜田は偽カフェと偽牧街に騙され続け、疑心暗鬼に陥っていたのである
そこへテロ魔族は兎の悪霊を取り付かせて完全に洗脳したのだ。
すべてはカフェを苦しめるために。
「偽善者に卑怯者め。絶対に許さない!」
月夜田は牧街の背中にオデコをつけ抱きしめたまま跳躍。
天井に彼の頭を打ち付けた。
「そ〜ら、その線目が二度と開かないようにしてあげるわ!」
兎の悪霊に憑かれた月夜田の力は凄まじい
牧街から離れると壁や天井を駆け巡りGSたちを翻弄する
「ねぇカフェさん。さっきの話の続きなんだけど、命をかけて戦った仲間が結局は誰一人として来てくれなかったわけじゃない。
それはどうしてかわかる?……それはね、カフェさんの優しさが作られた仮面だから。秋葉茶子の幻想…ただの憧れだから。うひひひ」
月夜田は不気味に笑い真言を唱える。
嫌な予感がした恐山師範は見事な体術で月夜田の腹を蹴り飛ばそうとした。
が、しかし月夜田は身を翻し隊乱闘の巨体の裏に隠れた。
「とりついた悪霊が私の身体能力と霊力を何十倍にもしてくれてるの。
驚いた?じゃあ驚きついでにこの術でもっと驚いてみて。ヘタレの牧街さん」
突然GSたちの足元が軟らかくなっていく。
粘土質から泥状、そして液状へと。
それは水の道術だった。
廊下の床にいつの間にか月夜田の霊符が貼られ十メートルの結界を作りあげている。
床は透明な水へと変化し、眼下の建物を透かして映し始めた。
「溺れて死ぬことはないけれど、深く沈んじゃったら秋葉原に真っ逆さまよ」
首を傾げた月夜田が、隊乱闘の後ろからひょっこりと顔を出せば、隊乱闘はGSたちに火を吹いた!
>>375 怒られると思ってドキドキしてました
最後ですが、よろしくお願いします
あと今いる場所も外の壁と同じ材質なのか少し気になりました
>>382 >あと今いる場所も外の壁と同じ材質なのか少し気になりました
材質的には同じ…何ですけど、「形状はテロ魔族の意思で自在に変化する」材質なんで、液状に変化させた事については特に深く考えなくてもよさげです
ってかほら、ディバイディングドライバーみたいに物質を壊さないで材質を変える的な術っぽいからその辺気にしなくてもーまんたいですよw
あ、でもぶっ壊すのはちょいご勘弁を
それができるなら外の壁も壊せる事になるんで
猫バスが発進してから、チェルノがいない事に気付く。
>「月夜田の奴、どういうつもりだ…、糞、チェルノさんが…」
「みこと殿に連れ去られたのか……!?」
>「アレは正気の目ではなかった、恐らく、テロ魔族に操られているんだろう」
>「!?もしかして、チハルが連れ去れさられそうになったみたいに、あいつもカフェさんを動揺されるためにさらわれてたんじゃ…」
>「かもしれん」
「そう言う事じゃったのか……。正気ではない行動はいつもの事ゆえ気付かなんだ!」
とにもかくにも、次の柱から内部に突入する。
進んだ先にいたのは――
>「ニィ……はぁ…はぁ…」
「師匠……!! 遅くなってすまなんだ!」
>「加勢する!!」
「妾も行くぞ!!」
ロリータ傘を翻しカフェが加勢しようとしたその時――!
月夜田が静々と近づいてくる。
>「ねぇ…チェルノは死んじゃったよ。どうするの?…カフェさんって本当は自分のことしか考えてないんでしょ?
いつも優しくしていたら困った時に誰かが助けてくれるものね」
「そ、そんな事は……!」
返答に詰まるカフェ。そんな事は無いと本当に言い切れるだろうか――。
真の意味で見返りを求めぬ献身の心を持つ者など、そうそういるものではない。
歴史上の聖者や、そうでなければRPGに出てくる勇者や日曜朝のテレビに登場する特撮ヒーローや魔法少女だけだ。
>「偽善者に卑怯者め。絶対に許さない!」
月夜田が、牧街の頭を何度も天井に打ちつける、
「やめろおおおおおおお! みこと殿……、お主らしくないぞ!
確かにお主は今までも牧街殿を散々振り回してきたが悪意を持ってやったことなど一度たりともなかったであろう!!」
>「ねぇカフェさん。さっきの話の続きなんだけど、命をかけて戦った仲間が結局は誰一人として来てくれなかったわけじゃない。
それはどうしてかわかる?……それはね、カフェさんの優しさが作られた仮面だから。秋葉茶子の幻想…ただの憧れだから。うひひひ」
真実を射抜くような言葉が胸に突き刺さる。
「お主、何故それを……!? 違う……違う違う!!」
傘で殴るべく突進するが、恐山師範の攻撃すらもかわす今の月夜田に届くはずもない。
>「とりついた悪霊が私の身体能力と霊力を何十倍にもしてくれてるの。
驚いた?じゃあ驚きついでにこの術でもっと驚いてみて。ヘタレの牧街さん」
足元が液状化し、沈んでいく――!
「なんじゃと!?」
>「溺れて死ぬことはないけれど、深く沈んじゃったら秋葉原に真っ逆さまよ」
隊乱闘が火を噴き、いったん潜らざるを得ない状況となる。
「がばげべごぼ……」
水中で、カフェは漆黒の鎧を纏う。
カフェが持っているしょうもないアイテムの一つ、黒酢を自在に操る事が出来るオーパーツ、霊衣《黒酢》である!
そして、牧街の方に泳いで行って腕を掴み、足の裏から黒酢をジェット噴射した。
こういう場合普通は手から出るものだが、手から出るなら足から出ても不思議はないだろう。
「お酢の力で悪霊退散じゃあああああああ!!」
水中から飛び出したカフェは、今度は手から黒酢のジェット水流を隊乱闘に浴びせる。
「あばばばばらばばばば……ばら?」
隊乱闘の恐るべき力にビビッて身動きできなくなっていた牧街は、あっさりと後ろから月夜田に抱きつかれ、驚く間もなく締め付けられ、頭を天井に叩きつけられた
「ひでぶっ!」
頭を抱え、ギャーギャーと痛みにもがく牧街
痛みにもがき苦しむ余り、月夜田の言っている事を聞き逃してしまう
ここで牧街が月夜田のカフェへの心理攻撃を聞いていれば、それを叩き潰せる決定的な言葉を、牧街は言う事ができたというのに…。
「こんの腐れ小娘がぁあああああ!!」
元々うじうじした奴が大嫌いな師範が感情一杯に月夜田目掛け殺人キックを放つが、月夜田はそれをたやすく回避する
「ちっ、こんの餓鬼…、黙って聞いてれば好き放題…」
「ちょ!恐山師範!相手は人間のみことちゃんにゃ〜〜!」
「うっさい!撃ち殺せば元に戻る!」
「落ち着くのにゃ恐山師範!」
更に師範は月夜田目掛けて必殺の杖マシンガンを向けようとして猫師範に止められる
>驚いた?じゃあ驚きついでにこの術でもっと驚いてみて。ヘタレの牧街さん」
そこで月夜田の術で地面が液化し始めるが、わーわー沈む〜〜とか言ってなすすべない牧街と違い、師範は水面を蹴って跳躍!上空から月夜田に襲い掛かる!
「死ねぇえええ!」
「だから殺しちゃ駄目にゃあ!」
だが、隊乱闘の火炎にさえぎられ、師範は慌てて身を翻して地面に着地、火炎を避ける事に手一杯になってしまう
しかしそこでパニックになっておぼれる牧街をレスキューしたカフェが水中から現れ、師範に気を取られる隊乱闘に黒酢を浴びせかけた!
「ようし今だ今畜生!」
「だからみことちゃんを狙っちゃ駄目だって言ってるにゃ!いい加減に真面目にするにゃ!」
「ぐぬ…!」
そこでここぞとばかりに恐山師範は月夜田に狙いを定めるが、とうとう猫師匠が本気でキレ、ようやく頭に上った血が下がる。
ちなみに、一応急所は狙っていなかった…らしい…。
「お” お” お”おおおおおおおお!!」
黒酢のジェット水流を浴びせられ、しかし、隊乱闘は全く怯まない。
カフェ必殺の黒酢は、隊乱闘の体にはやけどしない程度の熱いお湯程度の効果しかなかったのだ!
恐るべき隊乱闘の禍々しい鋏と棘金棒のようなバットがカフェに襲い掛かろうとしたその時、月夜田を狙っていた恐山師範の杖マシンガンが、隊乱闘に火を噴いた。
銃弾が隊乱闘の皮膚に突き刺さるが、隊乱闘は物ともしない。
しかし、攻撃目標をカフェから師範たちに移したようである。
「こいつは俺達に任せろ、お前らはその女を殺れ!」
「猫車輪の術を喰らうにゃああああ!!」
恐山師範の言葉と共に、飛び上がった猫師範が空中で高速回転しながら隊乱闘に体当たりを放つ!
隊乱闘は空中で猫師匠を撃墜しようとするが、猫師匠は空中で軌道を変え、隊乱闘の顔面に高速でぶち当たった!
「よし!!」
そこで既に駆け出していた恐山師範が杖に霊力を篭めて、杖全体が青い光を帯びる。
「喰らえ!!」
恐山師範は隊乱闘の胴体をなぎ払おうとした…が!隊乱闘はひらりと巨体に似合わない身軽さで攻撃を回避してみせる
隙だらけになった師範の脇で、隊乱闘が振りかぶる
「ぐ!」
師範はとっさに、サングラスのレンズに加工した精霊石を発動させた。
右のレンズの精霊石が光り輝き、隊乱闘がまぶしげに身を守り、攻撃を中止する。
その隙に、師範は隊乱闘から距離をとった
「強い…」
「精霊石もほとんど効いてにゃいね」
「あぁ」
武器を構えて向かい合う隊乱闘と師範たち。
一方、師範達が隊乱闘と戦っているために自力で月夜田を倒さねばならなくなった牧街たちは…。
「やいこの月夜田野労またこんな霊なんぞに取り付かれやがって!今度こそ鉄拳制裁してくれるから覚悟しろ!えぇ!」
牧街は流石に銃撃を加えようとは思わないようだが、牧街は日ごろの恨みを篭めて、ぐーで殴る位はやる気満々だ。
どこか嬉しそうに月夜田をビシっと指差し、怒りの台詞を吐き散らす。
具体的な恨みこそ思い出せないものの、常に「牧街格好悪い」だの「往生際が悪い」だの「みっともない」だの「うるさい」だの言われてばしばし叩かれてきた仕返しを公然と仕事で出来るのだ。
言うならば、今まで散々卑劣な策で攻めてきた怪人を追い詰めて、力押ししてきた相手を爽快にぶっ飛ばす感覚とでもいうのだろうか。
兎も角下らないうらみ重なる月夜田みことに、牧街はこの時とばかりに戦いを挑む。
ああ何と格好悪いんだ牧街!書いてて筆者もこいつ言われても仕方ない事してんじゃんと思えてきた!
「喰らえこんなろ!!」
兎に角、叫びと共に、牧街は月夜田目掛けて500万円の破邪札を次々と投げつけた!
当たれば妖怪だってただではすまない!
月夜田の道術で生み出された水たまりから、霊衣の力で脱出するカフェ。
隊乱闘に黒酢のジェット水流を浴びせるもその効果はほとんどなかった。
「ふひひ、むだよ」
霊衣を纏ったカフェの姿に、月夜田は内心ひやりとしていた。
どんな強敵もあの奇跡の化学反応で撃退してきたということを月夜田みことは充分に知っているのだから。
>「喰らえこんなろ!!」
牧街は500万円の破邪札を、次々と月夜田に投げつけてくる。
しかし兎の悪霊にとり憑かれている彼女はいとも容易くそれを避け続けた。
「あはは、こんなの当たるわけないじゃん」
避けながらも、ウエストポーチから再び黒い霊符を取り出し、床や天井にちゃっかりと貼り続けている。
すると霊符の貼り付いた部分から冷気が溢れ出し、今度は廊下全体を凍結させてゆく。
月夜田の持つ黒い霊符はテロ魔族の作ったチケットと同質の能力を持ち
黒い壁に干渉することが出来るらしい。
天井から垂れ下がってきた無数の巨大な氷柱は自重で砕け、GSたちに降り注ぐ。
「ほら!避けないと串刺しになっちゃうわよ!」
思わず叫んでしまう自分に驚いてしまう月夜田。
つい先程までは、カフェや牧街に強烈な憎しみを抱いていたはずなのに、
あの霊衣を纏った本物のカフェの姿には憎悪が削がれてしまう。
珍しく逃げずに戦う牧街の姿には戦意が失われていく。
(どうして……?)
ダマサレテハダメピョン。カフェハ、オモシロイカッコウニナッテ油断サセテルダケピョン
牧街ハ、ミコトヲ甘クミテルダケ…。耳ヲスマセバ聞コエテクルハズピョン。
アイツラ人間ノ嘲リ笑ウ心ノ声ガ…
「そ、そうねうさぎ…ありがとう。私が甘かったわ」
氷柱は氷の牢獄となり牧街を閉じ込める。
「あなたはそこで、指をくわえて見てなさい。カフェさんが酷いめにあうのをね」
牧街を一瞥した月夜田は、歪んだ微笑みを浮かべながらカフェに迫る。
そしてその首に両手かけ締め付ける。兎の悪霊の力で月夜田の腕力はとても強くなっていた。
「ほらほら、どう?苦しい?なんとかしないと死んじゃうよ」
「ウヒヒヒ…アハハハハ!シネ人間!殺サレル恐怖ヲ味ワエピョン!ワチノ家族ハ人間ニミナゴロシニサレタノダ!」
月夜田の顔と兎の悪霊の顔が二重に重なり、鬼のような形相へと変化してゆく……
>「お” お” お”おおおおおおおお!!」
「――やったか!?」
そのきっちりやってないフラグを立てる言葉通り、全然全くやってません!
鋏とバットがカフェにダブルで襲い掛かるが、師範コンビが助けに入る。
>「こいつは俺達に任せろ、お前らはその女を殺れ!」
>「猫車輪の術を喰らうにゃああああ!!」
「かたじけない……!」
隊乱闘を師範達に任せ、みことの方に向かう。
恐山師範の台詞のやれ、に不穏な漢字が当てられているような気がしてならないが――。
「みこと殿、必ず助けてやるぞ……」
>「喰らえこんなろ!!」
>「あはは、こんなの当たるわけないじゃん」
牧街が投げる破邪札をひょいひょいとよけながら、霊符をいたるところに貼り付けていくみこと。
「みこと殿、忘れたか!? 一緒に遊園地を走り回ったこと――
温泉に入った事、ゲーセンのおっさんを懲らしめた事、それから、旧校舎の霊を解放したこと――
あの夜見た花火を忘れたか!? そなたは妾の一番弟子なんじゃぞ!」
ちなみに二番弟子はまっちゃである。そう言っている間に、辺りに冷気が充満していく。
「なんじゃ……?」
>「ほら!避けないと串刺しになっちゃうわよ!」
鋭く尖った氷柱が降り注ぐ! ゴスロリ傘を開いて防御するカフェ。
「牧街殿――! 牧街殿も入れ!」
牧街の方に走るが、牧街は氷の牢獄に閉じ込められていた。
そして、みことは、カフェの首に手をかけて締め始める。
>「ほらほら、どう?苦しい?なんとかしないと死んじゃうよ」
>「ウヒヒヒ…アハハハハ!シネ人間!殺サレル恐怖ヲ味ワエピョン!ワチノ家族ハ人間ニミナゴロシニサレタノダ!」
「お主……」
みことは、人間に恨みを持つ兎の悪霊に取りつかれているのだった。
カフェは、以前の猫師匠の幼馴染の化け猫が出て来た騒動の事を思いだす。
あやつも、自分たちの事しか考えぬ人間に怒りを燃やしておったな――。
「確かに人間は調子に乗り過ぎたのかもしれぬ。
世界の均衡を取り戻そうとするテロ魔族の行いは、大局的に見れば正しい事なのかもしれぬ。
だが――大事な街が滅茶苦茶にされるのを、目の前で人が倒れていくのを、見過ごす事は出来ん!」
みことの、首を締める力が更に強くなってくる。
絶体絶命のピンチに、カフェは最近とんと使う機会の無かった魅了の術を使い始めた。
これは本来、対オタクの霊専用の術であり、ウサギの悪霊に妹萌え属性があるはずはないのだが、駄目元の悪あがきだ。
「かはっ……お兄ちゃん、復讐するな、とは言わない。するなと言われてやめる位なら初めからしないよね。
だから、誰かが止めなきゃいけないの。みことちゃんを返して!」
カフェは力を振り絞って右手を振り上げ、みことの頬に渾身のビンタを放つ。
「お願い、目を覚まして!!」
「なろう味な真似を…!」
降り注ぐ氷の雨を避けながら、牧街は再度破邪札を投げんとするが、周囲を氷の柱に囲まれ、身動きが取れなくなってしまった!
>「あなたはそこで、指をくわえて見てなさい。カフェさんが酷いめにあうのをね」
「何!?お前俺なら兎も角カフェさんに手ぇ出すのか!?」
月夜田の態度に、牧街は今更「あれ?こいついつもと違うぞ」という感じになる。
どうも牧街は今まで月夜田が地でテロ魔族の味方をしていたと思っていた節があるらしい。
>「ウヒヒヒ…アハハハハ!シネ人間!殺サレル恐怖ヲ味ワエピョン!ワチノ家族ハ人間ニミナゴロシニサレタノダ!」
そんな彼の前で、カフェの首が締め付けられ始めた!
眼前の氷柱が邪魔で破邪札やボーガンは狙いが定めにくく、カフェに当たりかねないので使えない!
「おいよせ月夜田!洒落にならないぞ!お前自分が何してるのかわかってるのか!現実を見ろ!!」
悪霊に取り憑かれているからやっている事は牧街にも重々わかっているが、それでも牧街は叫んだ。
っというか牧街的に月夜田なら悪霊の精神攻撃など物ともしないだろうという頭があった。
現に彼女はあの恐ろしいデモンサーカス達殺人鬼に物怖じせず、牧街が恐ろしくなってわめき散すような環境でれいせいに対処していたのだ。
その精神力をもってすれば、悪霊の心理攻撃など物の数でないはずである。
だから今回も彼女が正気さえ取り戻せれば…。
牧街はそう考えていた。
だが、それは大きな間違いである。
月夜田みことは、精神力が強いのではない、「現実を見ていない」のだ。
月夜田みことの家は、現実から逃げたくなるほどに厳しく、辛い。
みことは何を言っても聞いてくれない母親によって、現実に立ち向かう事の愚かさを感じて、ゴーストスイーパーという現実味の無い世界に身を投げていたのだろう。
彼女にとって、カフェ達と一緒に行った時間は、言わば夢のような物。
自分に甘く優しいカフェと、自分より五月蝿いが情けなく、見下せる牧街。
悪霊も彼女が楽しむ事で引き寄せる陽の気が巻き起こす幸運によって彼女に近づけず、痛みは牧街が、精神的苦痛はカフェが代わりに受け止めるため、彼女を現実に引き戻すような苦痛はそこに存在しない。
苦痛が無いから、彼女は適当に活躍できる。
あの校舎の事件にしたって、月夜田はまともに悪霊と戦って怪我したり、嫌な思いをしてその先に悪霊を倒せたわけではない。
牧街が骨を折られ、カフェが心を奪われた中で彼女は格好いい台詞をいい、それに伴って敵が自滅しただけだ。
だから、今のところ月夜田にとってカフェ達といる時間は夢の時間でしかない。
彼女にとっての現実は、どうする事もできない、ただ漠然とした不安だけが未来に広がる暗黒の不確定な世界。
実際に、月夜田は現実の世界…母親との関係に発展が見えていない。
だから、「現実の」月夜田みことは弱いのだ。
カフェがウサギの妖怪に必死に訴える中で、牧街は半分キレ気味に月夜田に叫んでいた!
「お前!俺があのゲーセンで言った事、もう忘れたのか?お前カフェさんに迷惑かけないんじゃなかったのか?なぁ!」
牧街は月夜田が大嫌いだ。
自分は、悪霊を舐めてかかった時、人生を狂わされる程大きな物を失った。
なのに、月夜田は牧街以上に悪霊を舐めてかかっているにも関わらず、何も失っていない、むしろ、あの時牧街が欲していた力を…目に見えないただその場だけ頑張れば発動する力を行使し、活躍さえしている。
それでも、彼女がカフェの優しさに引き付けられ、人にも霊にも平等に振舞っていた事は、多少なりと評価していたのだ。
だが、今の彼女はどうだ。
ゴーストスイーパーを志、カフェの一番弟子を自称していた(あれ?してなかったっけ?)にも関わらず、今、無様に悪霊にとり憑かれ、カフェを苦しめている。
悪霊など問題にしない強い心を月夜田が持っていると思っている牧街にとって、これは単に月夜田がウサギに単純に同情し、簡単に理念を変えてカフェ等に牙を向いているようにしか見えない!
「月夜田!てめぇ!そのウサギが可哀想だとか思ったんだろ!だから体貸したんだろ!お前そういう奴だからな!」
必死に氷の牢を破壊しようとしながら、牧街はウサギの言う事など耳も貸さず、まっすぐに月夜田に叫ぶ!
「でもな!そのウサギの言うとおりにそいつに味方して見ろ!誰だか知らないどっかの馬鹿がウサギを殺したばっかりに、関係ない大勢の人が一杯一杯死んで苦しまなきゃならなくなんだぞ!!」
線目が見開かれる。
本気モード突入だ。
「どっかの馬鹿一人のためにウサギの一家だけですめば良かったのがウサギの恨みのために人間の大勢殺してみろ!その人間の大勢の遺族や霊が、今度はウサギを恨んで殺しにかかるぞ!!」
横で戦う恐山師範が、牧街の叫びを聞き、月夜田への怒りを解いた。
もう自分が入る幕は無い、そう判断し、隊乱闘に意識の全てを師範は注ぐ!
「っつーか常識で考えれば復讐が何も生まない事位わかるだろうが!馬ぁ鹿!馬ぁああああ鹿ぁ!クソ馬ぁああ鹿ぁ!悔しかったらその霊を誰も傷つけずに自分の力で除霊してみろ!断言する!てめぇにゃ出来ない!!さぁどうする!もう決まってるよな!目の前にいるのは誰だ!」
息を整え、牧街は叫ぶ!
「お前の一番好きな、信頼できるGSだろう!何でそのウサギの事をカフェさんに相談しなかった!慢心だろアフォ!間抜け!悔しいだろ?悔しかったらさっさと自分のミスを認めろ!その位の勇気持て!勇気出せ!馬鹿!」
【月夜田は現実が弱いの下りはこれまで書いてある内容から月夜田さんのキャラはこんな風じゃないか?って言うのの俺の推論書いたんですが、実際の所どうなんでしょうか?
このままじゃまずかったら言ってください。】
>「かはっ……お兄ちゃん、復讐するな、とは言わない。するなと言われてやめる位なら初めからしないよね。
>だから、誰かが止めなきゃいけないの。みことちゃんを返して!」
「……ウサ子?ソコニイルノハ…ウサ子カイ!?…ァ…ア、生キテイタノカイ、ウサ子!?」
兎の悪霊の顔がパッと輝き、カフェの首を絞めていた月夜田の手が緩む。
>「お願い、目を覚まして!!」
続けてカフェの平手打ちが月夜田の頬を打てば、少女の手はカフェの首から離れた。
カフェはその場にしゃがみ込み咳き込んでいる。
月夜田は迷いながらも神通棍を取り出し、黒い霊気の光を放出させたそれを振りかざす。
「うさぎの耳は…ちっちゃい悪口でもなんでも聞こえる…。
おまけに臆病で、さみしいと死んじゃうの……私と…同じなの…」
――数年前。月夜田が小学生のころ、学校で飼っていた兎たちが変質者に殺にされた。
小さかった月夜田はクラスメイトと一緒に兎たちが天国に逝けることを祈った。
でも一匹の兎の魂だけは、自分が変質者から殺されたのも気付かずにずっと逃げ続けていた。
それが今、月夜田にとりついている兎の悪霊。兎の悪霊は、月夜田と同じく現実を受け入れられずに
殺された日からずっと、逃げ続けていたのだ。家族を殺した変質者の恐怖から。
そして、自分がすでにこの世のモノではないという現実から。
>「おいよせ月夜田!洒落にならないぞ!お前自分が何してるのかわかってるのか!現実を見ろ!!」
「…現実?これが現実よ。偽善者のカフェさんより強くなった私。永遠にへタレの牧街さんを馬鹿にし続けられる私」
>「お前!俺があのゲーセンで言った事、もう忘れたのか?お前カフェさんに迷惑かけないんじゃなかったのか?なぁ!」
「牧街さんの言ったことなんて、覚えているわけないじゃん」
>「月夜田!てめぇ!そのウサギが可哀想だとか思ったんだろ!だから体貸したんだろ!お前そういう奴だからな!」
「可哀そうじゃなかったらなんなのよ?この兎の悪霊は牧街さんよりもずっと不幸よ」
>「でもな!そのウサギの言うとおりにそいつに味方して見ろ!誰だか知らないどっかの馬鹿がウサギを殺したばっかりに、
>関係ない大勢の人が一杯一杯死んで苦しまなきゃならなくなんだぞ!!」
「…え?」
>「どっかの馬鹿一人のためにウサギの一家だけですめば良かったのがウサギの恨みのために人間の大勢殺してみろ!
>その人間の大勢の遺族や霊が、今度はウサギを恨んで殺しにかかるぞ!!」
「…」
>「っつーか常識で考えれば復讐が何も生まない事位わかるだろうが!馬ぁ鹿!馬ぁああああ鹿ぁ!クソ馬ぁああ鹿ぁ!
>悔しかったらその霊を誰も傷つけずに自分の力で除霊してみろ!断言する!てめぇにゃ出来ない!!
>さぁどうする!もう決まってるよな!目の前にいるのは誰だ!」
「……」
>「お前の一番好きな、信頼できるGSだろう!何でそのウサギの事をカフェさんに相談しなかった!
>慢心だろアフォ!間抜け!悔しいだろ?悔しかったらさっさと自分のミスを認めろ!その位の勇気持て!勇気出せ!馬鹿!」
「………」
【ちょっと疲れました。すこし横になって休んでから続きは午前0時までに書く予定です】
>「お前の一番好きな、信頼できるGSだろう!何でそのウサギの事をカフェさんに相談しなかった!
>慢心だろアフォ!間抜け!悔しいだろ?悔しかったらさっさと自分のミスを認めろ!その位の勇気持て!勇気出せ!馬鹿!」
「………」
テロ魔族は月夜田みことと悪霊兎の関係を利用して月夜田に悪霊兎を憑衣させていた。
カフェを苦しめるためにはその弟子である月夜田を利用するのが効果的と考えたからだ。
案の定、悪霊の憎しみによって負の感情が増加した月夜田はカフェと牧街に牙をむく。
カフェの優しさを嘘っぱちと見なし卑怯者の牧街に嫌悪する。
月夜田は神通棍を振り上げたまま、うずくまるカフェの背中を見つめていた。
叩かれた頬がじんじんと痛んだ。
(この頬の痛みはカフェさんの醜い本性の証。少しでも気にくわないことをやったからって、
目を覚ませって暴力をふるった…。もう迷うことなんてない。こんなやつやっつけるのよ)
「待テ。コイツハ、ワチノ妹ダ。タスケテヤッテクレ」
「……え!?」
悪霊兎が月夜田を意識の中で呼び止める。
カフェの魅了の術を悪霊兎は本当の妹と信じたのである。
「…ち、ちが」
言葉に詰まる。魂が同化しているために、悪霊兎の喜びを自分のことのように感じてしまう。
そのために月夜田は戸惑った。哀れな兎の偽りの歓喜に。
「そいつはあなたの妹なんかじゃない。偽善者気取りのだらしない女。
…私のことを弟子とか言ってるくせに修行とかさせてくれるわけでもないダメなぐうたら女なの。
おかげで私はずっと弱いまま。三流GSにもなれない情けなくて惨めな人間のままなの」
「嘘ヲツクナ。コヤツハワチノ妹ダ……」
「うそじゃないわ!」
「サー、妹ヨ。一緒ニ憎イ人間ヲヤッツケヨーデハナイカ」
「……………」
ここで月夜田は沈思する。悪霊兎の愚鈍さにドン引きする。
カフェが目を覚ませと言った意味と牧街の叫んだ意味を理解する。
「私、この悪霊兎の気持ちを心から理解できていなかったのかも。
辛い現実から逃げるために悪霊兎を利用していただけだった。
偽善者はカフェさんじゃなくって私。……バカな弟子でごめんなさい。カフェさん」
月夜田の神通棍から出る光は清浄化し本来の色を取り戻してゆく。
「その人はウサ子じゃないわ。ウサ子はもう…死んでるのよ。そしてあなたも……。
あの日、私はこの目で見たの、兎小屋で。あなたたち一家の死体を…。
だからもう、やめよ。怨み続けたって自分が苦しいだけだもん。成仏して天国でほんとの家族に会おうよ?」
「ウ…ゥグ…嘘ダ…嘘ダ!」
「ごめんね兎。もう苦しまなくっていいの。
私も弱い自分を見つめて生きていくから、あなたも真実を見つめてみて。おねがいよ」
「ヌググ〜オマエハ、ワチヲ拒絶スルツモリカ!?ナラバオマエノ体ナドイラヌハ!
ワチハ妹ト一緒!妹トヒトツ二ナルノダ!」
「やめてー!!」
悪霊兎が自分の体を捨てて、うずくまるカフェにとり憑こうとしたのを察した月夜田は自分の太ももを神通棍で一突きした。
神通棍で貫通させた部分に悪霊兎の太ももは固定されて身動きが取れないでいる。
と同時に牧街を閉じ込めてい氷柱の牢獄は音を立てて崩れ落ちた。
月夜田の霊圧が本来の少ない量に戻ったために道術を維持出来なくなっていたのだ。
「カフェさん、牧街さん…ごめんなさい。兎を成仏させてあげて……」
【
>>393月夜田が現実に弱い、それって最終章に参加する前に何となく考えてましたw
死ぬかもしれない場所に来るのって結構な理由付けが必要なんじゃないのかなーって。
この最終章を月夜田の人生の試練として考えてたりしてました。でも結果的には軽い感じで参加という形になっていますw】
>「……ウサ子?ソコニイルノハ…ウサ子カイ!?…ァ…ア、生キテイタノカイ、ウサ子!?」
魅了の術が思わぬ効果を発揮する。兎の悪霊には、妹がいたのだ。
そういえばウサギは兄弟が多いので、それ程驚くことでもないかもしれない。
>「うさぎの耳は…ちっちゃい悪口でもなんでも聞こえる…。
おまけに臆病で、さみしいと死んじゃうの……私と…同じなの…」
「みこと殿……何を!?」
みことが無防備な背中に狙いを定める気配を感じ、身を固くするカフェ。
そこに、牧街の叫びが飛び、彼女を押しとどめる。
「牧街殿……」
牧街がこれ程必死に何かを訴えているのは、カフェが知る中では初めてだった。
それを自分のためと解釈し、更にその事を嬉しく思っている事に、彼女自身は気付いているのだろうか。
>「お前の一番好きな、信頼できるGSだろう!何でそのウサギの事をカフェさんに相談しなかった!慢心だろアフォ!間抜け!悔しいだろ?悔しかったらさっさと自分のミスを認めろ!その位の勇気持て!勇気出せ!馬鹿!」
「ふふっ、師匠の手を煩わせるまでもありません、というところであろう。
でも今度からはこうなる前に相談するんじゃぞ……」
所詮は三流GSとGSの世界に憧れる一般人の師弟ごっこ。
自分が師匠を名乗れるほど立派なGSには程遠い事は十分すぎる程分かっている。
だから、自分の中にある理想の師匠のイメージを演じるのだ。
みことはその虚構を見抜いていたのか――。
>「待テ。コイツハ、ワチノ妹ダ。タスケテヤッテクレ」
カフェを妹と思いこんだ兎が、みことに懇願する。
苦し紛れの魅了の術が結果的に、哀れな兎に偽りの歓喜を与えてしまった事に、罪悪感を覚える。
愛は時に人を狂わせる、と言うが、人だけではないのかもしれない。
この兎が悪霊になった本当の理由は、自分が死んだ事よりも妹や家族が殺されてしまった事ではないのだろうか。
>「そいつはあなたの妹なんかじゃない。偽善者気取りのだらしない女。
…私のことを弟子とか言ってるくせに修行とかさせてくれるわけでもないダメなぐうたら女なの。
おかげで私はずっと弱いまま。三流GSにもなれない情けなくて惨めな人間のままなの」
「……よいのか? 妾の修行は厳しいぞ」
師弟ごっこ、と思っていたのは自分だけで、みことは本気でGSになりたいのかもしれない。
厳しく修行をすべきだったのかもしれない。いや、まだ遅くは無い。
今からでも、本当の師弟になれるはずだ。
>「サー、妹ヨ。一緒ニ憎イ人間ヲヤッツケヨーデハナイカ」
「悪いがそれは出来ぬ。妾はそなたの妹ではない。
そやつは妾の大事な友達じゃ。兎殿、そやつを離してやってくれ……」
>「私、この悪霊兎の気持ちを心から理解できていなかったのかも。
辛い現実から逃げるために悪霊兎を利用していただけだった。
偽善者はカフェさんじゃなくって私。……バカな弟子でごめんなさい。カフェさん」
「……何、弟子はバカなほど可愛いものじゃ……と今までなら言うところであるが……
本当じゃこのバカ弟子! そんな悪霊に取り憑かれるなんざ修行が足りんぞ!
帰ったらスパルタ式で修行じゃ! カリキュラムはまずは魅了の術の習得から!」
みことが正気を取り戻し、兎に、成仏するように説得する。
しかし兎は聞き入れず、今度はカフェを乗っ取ろうとする。
>「ヌググ〜オマエハ、ワチヲ拒絶スルツモリカ!?ナラバオマエノ体ナドイラヌハ!
ワチハ妹ト一緒!妹トヒトツ二ナルノダ!」
>「やめてー!!」
みとこは、なんと自分の太腿を突き刺して兎の悪霊を固定した。
>「カフェさん、牧街さん…ごめんなさい。兎を成仏させてあげて……」
「兎殿、騙してすまなんだ……。だが、そなたも本当は分かっておったのであろう?
現世に留まり続ける限りウサコには会えん。成仏するのじゃあああああああ!!」
傘型神通棍で一息に、みことの体から上半身飛び出してもがいている兎の悪霊を貫いた。
>「そいつはあなたの妹なんかじゃない。〜おかげで私はずっと弱いまま。三流GSにもなれない情けなくて惨めな人間のままなの」
>「……よいのか? 妾の修行は厳しいぞ」
>「私、この悪霊兎の気持ちを心から〜
>「……何、弟子はバカなほど可愛いものじゃ
カフェ師弟の…いや、やっと本当に師弟関係となった月夜田みことと秋葉茶子の会話。
その会話に、約一名、すっっっっごい加わろうとしている男がいた。
「恐山師範!さっきからカフェ達の方に気をとられすぎにゃ!」
「すまん!今向こうから私を呼ぶ声がした気がしてな…」
弱い弟子、スパルタ、術の習得…。
それらのキーワードに反応し、めっちゃくちゃ目をぎらつかせて月夜田を見る恐山師範。
こんな状況でなかったらすぐにでも「貴様は俺の弟子となれぇえええええええええ」とか言いながら月夜田を拉致して道場に閉じ込めて調教(ぇ し、立派なゴーストスイーパーに仕立ててしまいそうな雰囲気である。
だが、隊乱闘の猛攻は激しく、すぐに師範の注意は再び全て隊乱闘に持っていかれてしまう。
(くそぅこんな状況でさえ無ければ…)
恐山師範歯噛みして悔しがった。
牧街は冷たい氷の牢獄を破壊しようと必死に神通杖を叩き込みながら、二人の話を聞く。
もう、牧街は伝えたい事を全て言った。
後は、あの二人なら大丈夫!
そう、彼には確信があった。
カフェは、確かに上っ面だけ作った人間かも知れない。
月夜田は、確かに意思の弱いわがままな人間かもしれない。
だが、二人は強い信頼の絆で結ばれている。
テロ魔族の作ったデモンサーカス等殺人鬼の霊達に追い詰められた時の月夜田の態度に、牧街は彼らの「見えない力」ならぬ「見えない絆」を感じ取っていたのだ。
それは、「上っ面」だけで築き上げられる絆ではない。
上っ面の下の、底の底の、一番底で、彼女達は結びついているのだ。
それも、本人達が知らないうちに…。
その本人達すらもわからない絆を、牧街のヘタレセンサーはどういう原理と理屈か察知し、その強さを、今この場で発揮させたのだ。
己の魂の篭った言葉で…。
そして、絆はテロ魔族の作った「ニセモノの絆」に打ち勝ち、氷の牢獄が消えた!!
>「カフェさん、牧街さん…ごめんなさい。兎を成仏させてあげて……」
「初めてお前の声を聞いた気がするよ」
紛れも無い「現実」の月夜田の言葉に、牧街はカフェの後ろから駆け出し、カフェに続いて跳躍する。
「牧街Dクラッシュ!!」
一千万円の破邪札を装着し、「切れ味」を増した神通杖で、カフェの貫くウサギの悪霊と、月夜田の結合部分を叩き切る!
ウサギの霊の月夜田への逆流を防ぐためだ!
一方、恐山流除霊道場…。
完全武装した恐山流のGS達が、道場の前でバリケードを作っている。
その前には、数体の超強力な妖怪達…。
「無駄な事をしおって、さっさとそこを通してもらおう。」
「ふふふ、おいしそうな気をもった方々ですね。」
「ふむ、ここはわし一人で十分じゃな。」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。」
「ふっふっふ…今こそあの時のお返しをする時…ニヤ」
やがて、そいつらはいともたやすく恐山流の門下生達が敷いた防衛線を突破し、ゲート…秋葉原へと侵攻してきた!!
今月から専門学校が忙しくなるので、金曜の夜と、土曜、日曜の朝しかかけなくなります。
すいません。
あと少しです!
どうか最後まで、よろしくお願いします!
>「……何、弟子はバカなほど可愛いものじゃ……と今までなら言うところであるが……
>本当じゃこのバカ弟子! そんな悪霊に取り憑かれるなんざ修行が足りんぞ!
>帰ったらスパルタ式で修行じゃ! カリキュラムはまずは魅了の術の習得から!」
「……カフェさぁん」
カフェの溢れる思いを受け止めた月夜田の目からは涙が溢れた。
>「初めてお前の声を聞いた気がするよ」
牧街の言葉は無視してぷいとそっぽをむく。泣き顔を見られたくないから。
>「兎殿、騙してすまなんだ……。だが、そなたも本当は分かっておったのであろう?
>現世に留まり続ける限りウサコには会えん。成仏するのじゃあああああああ!!」
>「牧街Dクラッシュ!!」
「ぎゃ!」
悪霊兎はカフェの傘によって貫かれる。
逆流をしないように見事に牧街のアシストも決まる。
「…ぐふぅ。これが人の心。繋がり。優しさ」
兎はこの世から消える瞬間に思い出した。
生き物係の子供たちの笑顔。小さかった月夜田たちの笑顔。
変質者に命を奪われる瞬間までは
その子供たちの優しさに包まれて生きてきたということを。
「そんなことも忘れてしまっていたとはな。わちはなんて馬鹿なのだ……」
GSたちのまわりが光輝き、白いもふもふしたものがぴょんぴょん跳ねている。
兎の家族たちがお迎えに来たのだ。
兎たちは天国で家族が揃うお祝いに牧街やカフェにすりすりして霊圧をアップさせる。
ほんのりと1くらい。そして光の粒となって成仏する。
残るは隊乱闘。そしてテロ魔族。
「私、ここから生きて帰ります。そしてカフェさんにGSの技をいっぱい教えてもらうの。
そしてお母さんに言うわ。立派なGSになるって」
月夜田はカフェを一体化するくらいに強く抱きしめていた。
もう誰がレズっていおうと我慢しない。
「牧街さんも私たちが生き残るために力をかしてね。ぜったいよ。
勝ち負けはさ、世界一の天才が強いんじゃないのよね。
生き残った者が強い。そうよね牧街さん?」
月夜田は痛む足を我慢しながら、壁を支えにして立ち上がる。
同じ三流以下でも、少し違う三流以下に。そんな思いを胸に秘めて。
【はーい、みんなでがんばりましょう】
【
>>403 了解じゃ、毎週週末までに回すようにするぞ!】
>「牧街Dクラッシュ!!」
カフェと牧街の連携がキマり、兎はあえなく撃沈する。
自分を恨みながら消えて行っても仕方がないと思っていたカフェだが、兎は何かを思い出したようだ。
>「…ぐふぅ。これが人の心。繋がり。優しさ」
>「そんなことも忘れてしまっていたとはな。わちはなんて馬鹿なのだ……」
「そうじゃ、人間はどこまでも弱く愚かだからこそ、人に優しく出来るし固い絆を結ぶ事ができる。
だがそなたを残酷な運命に突き落としたのもまた人間……。
同じ人間として代わりに詫びるぞ。すまなんだな……」
兎の霊達が戯れ、光の粒となって成仏する。なんだか力が湧いてくる……ような気がした。
抱き着いてくる月夜田を、力いっぱい抱きしめる。
>「私、ここから生きて帰ります。そしてカフェさんにGSの技をいっぱい教えてもらうの。
そしてお母さんに言うわ。立派なGSになるって」
「うむ、そなたは立派なGSになる! 立派になっていつか母上に認めさせてやろうぞ!
何、それ位の怪我は後で師匠に舐めて貰えばすぐによくなる――クエン酸で元気百倍!」
カフェは謎の回復技っぽい技名を叫びながら、月夜田に黒酢を飲ませる。
>「牧街さんも私たちが生き残るために力をかしてね。ぜったいよ。
勝ち負けはさ、世界一の天才が強いんじゃないのよね。
生き残った者が強い。そうよね牧街さん?」
「わざわざ言わなくとも牧街殿のヘタレもといサバイバルセンサーは常時フル稼働じゃ!
牧街殿の生存能力にみこと殿の強運が加われば最強じゃ!
さあて、隊乱闘フルボッコタイムに突入するかの」
傘から銀の弾丸を連射で打ち込みながら、隊乱闘に宣戦布告する!
「待たせたの、師範達! 五対一じゃぞ覚悟せい!」
光の粒になり、天に上る兎達。
それを見て、牧街はふと…。
感動以外の何か違和感の様な物を感じていた。
しかし、結局その違和感の正体はつかめず、牧街は首を傾げながら、視線を下に戻す。
このとき。牧街は…いや、GS達はうっかり大事なことを忘れていた。
…そう、この空間は入る事はできても、出る事はできないのである。
それが例え、霊体であっても…。
−−−−−
天界を目指し、上へ向かうウサギ達。
その前に、あの黒い壁が天井に立ちふさがる。
しまった!
ウサギ達は黒い壁の存在を忘れていた自分達の迂闊さを悔やんだ。
だが、もう遅い。
どうしようとパニックになり、右往左往するウサギ達の魂に、地上の悪霊達の一部…最も貪欲で、最も凶悪な連中が感づいて、宙を浮いてウサギ達へ襲い掛かってきた!
「もう兎でいいや!ひひひひひひひ!殴らせろ!なーーーーぐらーーーーせーーーろーーーーー!」
咆哮し、バットを振り回しながら突進するMrスパイクバットを筆頭に、兎達へ向かっていく精鋭悪霊。
幻のコンビニ…、レッサーデーモン、巨大赤悪魔、そして…
「綺麗な白い兎ねぇ…」
長くてよく聞こえる耳に聞こえたその声に、兎達は震え上がった。
その声は、あの日…、自分達が殺されたあの日に聞こえた声…。
「けれどねぇ、こうすればもっと綺麗になるのよ」
兎達は思い出した。
自分を殺した変質者が、人間では無かった事を…。
「口を引き裂くの〜」
……………
………
…
強く抱き合い、黒酢を分け合う美しきカフェ師弟を、牧街は穏やかな目で見守る。
もう、月夜田に対する嫌悪感は消えうせていた。
彼の胸に去来するのは、ああ、元の鞘に収まったんだなぁ、という、安心感…。
>「牧街さんも私たちが生き残るために力を〜
>「わざわざ言わなくとも牧街殿のヘタレもといサバイバルセンサーは〜
「とうっぜん!合点承知ですさね!えぇ!!」
やがて強い決意と共に、一同は隊乱闘へと挑んでいく。
「ふん!フルボッコできるものならやってみろ!」
「師範!いくら自分が苦戦してるからってそんな事言わんでください!」
爽快な笑みを浮かべて悪役見たいなせりふを吐く恐山師範に、腰のMAC10を引き抜いて隊乱闘めがけて撃ちまくりながら突っ込む牧街。
だが、カフェと牧街の銃撃に、隊乱闘はまったくひるまない。
「ニ〜…強いニャ…どうしてもジリ貧になるにゃあ…」
強固な体と耐久力、圧倒的な破壊力を持つ隊乱闘に、飛び道具は大して効果なく、必殺技は相手の攻撃が激しくて近づけない。
だから師範等は銃器や破邪札で隊乱闘をジリジリ削るしかないのだが、隊乱闘はまったく弱る様子が無いのだ。
「泣き言を言うな!たかが一匹!!……危ない!!」
何かに気づき、月夜田を突き飛ばす恐山師範。
そこで今まで月夜田のいたところに数本の釘が突き刺さった!
「ひへへへへへへへへ!楽しそうな事やってるなあああああああああ、オーーーーーれーーーーぬーーーきーーーでーーーーーー!」
ずぶずぶと天井が溶け始め、そこから現れるいくつかの影。
Mrスパイクバット、幻のコンビニ、レッサーデーモン、巨大赤悪魔、そして…
「おまえらぁ!み〜〜んなこういう風にしてあげるよーーーーー!!」
今まで戦ってきた老婆妖怪が可愛く見えるほどに醜悪な面をした、耳まで裂けた口を持つ老婆の大悪霊。
その手には…先ほど天に昇ったはずの兎達の魂…。
兎達の魂は今までその心を加護していた天国の気が引き裂かれ、今はこの空間にさらされた魂が起こす症状…すさまじい苦痛と絶望を浴び、苦しみにもだえ、悲鳴を上げて泣き叫んでいる。
その兎達の魂を婆はほーらとカフェ等にさらし、にんまりと笑っているのだ。
家族に会いたい一心で壁の中に「命がけで共に戦った仲間なら何人でも同行可能」のルールで兎の霊が入ってきた穴から壁の中へやってきた兎の家族達。
だが、卑劣な悪霊達は帰るすべを持たず困っている兎達に襲い掛かり、あまつさえ彼等の存在からGS達が壁の中枢へ向かう通路にいる事を悟り、襲ってきたのだ!
「 こ の 糞 婆 ぁ ああああああああああああああああああああ!!」
その姿を見た瞬間、牧街は目をかっぴらき、いや、つりあがらせ、全身を怒りで真っ赤にして、神通杖を手に切りかかっていった!
怒りでむちゃくちゃに霊力を使っているのか、神通杖は真っ白に輝き、まるで光の剣のようになっている。
それを皮切りに、悪霊達は一斉にカフェ達に襲い掛かってきた!
これで6対5…しかも実力差は圧倒的だ!
婆めがけて駆け出す牧街に赤悪魔と隊乱闘が火炎を吐きかけるが、牧街はサイドステップですばやく回避し、婆に突っ込んでいく!
彼の目には今、この婆しか見えていないのだろう!
闘志の塊となった牧街が婆に切りかかる!
「恐山流最終禁断奥義絶対粉「くぅおのヴァカがぁ!!!」
婆の鉈が命を捨てた最終奥義を使おうとした牧街を一刀両断する寸前、間一髪横からドリルキックで飛んできた恐山師範が牧街を横に吹っ飛ばして救出し、羽交い絞めにして後ろに連れて行く。
更に猫師匠が悪霊達の猛攻から一同を守るべく、精霊石で即興の結界を作った。
「後退する!援護してくれ!!」
「放せ!放してくれ!奴は!奴だけは俺がやる!放せ!!」
カフェ等に援護を要請しながら、婆に向かっていこうとする牧街をがっちり羽交い絞めにして後ろに引きずる恐山師範。
牧街の姿から、普段のへたれさややる気の無さは微塵も感じない。
あらぶる感情を全面に押し出し、婆への怨念と憎悪が体中からあふれ出さんばかりに感じられる。
「牧街君!落ち着くニャ!テロ魔族を倒せばきっと兎も秋葉の人たちも元に戻るニャ!」
襲い来る強力な悪霊達の猛攻を精霊石で結界を作って何とか防ぎながら、猫師匠が牧街に叫ぶ!
結界は強力なバリヤーでカフェと月夜田を悪霊や悪魔の猛攻から守っているが、相手の攻撃が強大すぎて長くは持ちそうに無い
すぐに牧街に正気に戻ってもらって、体制を立て直す必要があるのだ!
いや、牧街が正気だったとしても敵は6大悪霊、攻撃はおろか逃げることすら難しい!
一刻も早く牧街は冷静な判断力を取り戻す必要がある。
だが、猫師匠の説得に、牧街はぶんぶんと首をふると、違うと叫ぶ!
「妹の…あいつは妹の……あいつを倒せば戻るんだ!」
あせって言葉が出ないのだろう、牧街はどもるが、どもりながらも叫ぶ、必死に叫び、師範の拘束から逃れようとする。
「あいつを倒せばチハルが元に戻るんだ!チハルが元に!元に!」
叫ぶ牧街。
その間にも悪霊達は結界を破壊せんとする!
圧倒的戦力差!はたしてGS達の運命は
「うぐうぐ…ぷはー」
カフェに黒酢を飲まされて健康になる月夜田みこと。
>「わざわざ言わなくとも牧街殿のヘタレもといサバイバルセンサーは〜
>「とうっぜん!合点承知ですさね!えぇ!!」
「よーしっがんばろっ!」
一同は一丸となって隊乱闘に挑む。しかしたった一体の隊乱闘のあまりの強さに持久戦を強いられてしまっていた。
想定外の現実に月夜田は歯噛みし、RPGの強敵との戦闘を思い出す。
ありえないくらいの戦力差。プールの水をコップで空にしていくような感覚…。
おまけにこれといった弱点も見つけられないことに焦燥感を覚える。
「う〜、なんか敵を倒すいい方法はないのかなぁ?隊乱闘は攻撃力も守備力も完璧みたい。
ただ有利なのは、ここが通路で敵が大きな体をしてるから攻撃が当たりやすいってことだけね」
その時、何かに気付いた恐山師範が月夜田を突き飛ばす。
「きゃあ!」
転げる月夜田。面をあげれば今の今まで月夜田の立っていた床には鋭い針が突き刺さっていた。
そしてまがまがしい邪気を纏い現れる悪霊たち。その中でも一段と邪気に溢れた老婆の悪霊が一際目を引いた。
それはいやらしい目つきでカフェ等に白いもふもふしたものをちらつかせている。
なんとその正体は兎の霊たち。
先程、天に還ったと思われた兎たちは彼等に捕まり無惨な姿となっていたのだ。
>「 こ の 糞 婆 ぁ ああああああああああああああああああああ!!」
激怒した牧街が老婆の悪霊に飛び掛からんとする。
が、恐山師範がそれを制止させ、一同は結界の中へ避難。
牧街は怒りに我を忘れてチハルと譫言のように繰り返していた。
「牧街さん、しっかりして。チハルさんは貴方にとって大切な人みたいね。
でもここで貴方が冷静さを失って暴走しちゃったらすべてが水の泡になっちゃうわ。
怒りで我を忘れて覚醒、なんてパワーアップイベントは三流の私たちにはないの。
だから冷静になって…。お願い…牧街さん」
月夜田は瞳を潤ませて哀しい顔。
兎たちの無惨な姿を見せられても月夜田は無力。
祈りにも似た感情で牧街に懇願するしかなかった。
>「ニ〜…強いニャ…どうしてもジリ貧になるにゃあ…」
>「う〜、なんか敵を倒すいい方法はないのかなぁ?隊乱闘は攻撃力も守備力も完璧みたい。
ただ有利なのは、ここが通路で敵が大きな体をしてるから攻撃が当たりやすいってことだけね」
「むぅ、誰か超凄い必殺技とか持っておらんのか!?」
>「泣き言を言うな!たかが一匹!!……危ない!!」
間一髪で、恐山師範が月夜田を突き飛ばす。地面に突き刺さっているのは鋭い釘。
Mrスパイクバット、幻のコンビニ、レッサーデーモン、巨大赤悪魔……
一体でもトンデモない錚々たる悪霊たちが、最終章のお約束のオールスターで現れた!
そして真打は……
>「おまえらぁ!み〜〜んなこういう風にしてあげるよーーーーー!!」
「口裂けババアか!? じゃが断る!」
カフェが強がりの軽口を叩いている横で、牧街が凄まじい形相で突っ込んで行く。
明らかにいつもと様子が違う。
>「 こ の 糞 婆 ぁ ああああああああああああああああああああ!!」
「牧街殿……?」
>「恐山流最終禁断奥義絶対粉「くぅおのヴァカがぁ!!!」
恐山師範が、牧街を羽交い絞めにして強制的に後退させる。
>「牧街君!落ち着くニャ!テロ魔族を倒せばきっと兎も秋葉の人たちも元に戻るニャ!」
猫師匠の結界で守られながら、カフェは息を呑んで牧街の様子を見ていた。
>「妹の…あいつは妹の……あいつを倒せば戻るんだ!」
>「あいつを倒せばチハルが元に戻るんだ!チハルが元に!元に!」
牧街に最初に魅了の術をかけた時の事を思いだす。
確かチハルがどうとか、と言っていたが、その時は妹萌え属性があるのかと流していた。
チハルは決して二次元上の妹などではなく本当の妹で、その妹が口裂けババアにやられて今も苦しんでいる……!?
>「牧街さん、しっかりして。チハルさんは貴方にとって大切な人みたいね。
でもここで貴方が冷静さを失って暴走しちゃったらすべてが水の泡になっちゃうわ。
怒りで我を忘れて覚醒、なんてパワーアップイベントは三流の私たちにはないの。
だから冷静になって…。お願い…牧街さん」
カフェも魅了の術を使い、必死に牧街を説得する。
「お兄ちゃん、チハルを助けて。だから今は――逃げて!
ここで突っ込んでやられたら一生チハルは助からない。生きてさえいればチャンスはあるわ!
ここは一回引いて、大量のオタク戦士達を連れてきて数の暴力で押し切りましょう!」
月夜田の言う通り、三流GSにパワーアップイベントなんていう熱い展開はない。
頼れるものは大金をつぎ込んでの物量戦と数で押し切る人海戦術だ。前者はすでに実行済み。
勝てそうにない敵が出てきたら、パワーアップより敗走を!
カフェは、一端引いて、秋葉原道場から門下生たちを引き連れてくる作戦を考えていた。
当然秋葉原道場には大量の悪霊が殺到しているだろうが、今は最初と違ってみことが仲間にいる。
彼女は相手がザコ悪霊なら、悪霊の方が恐れをなして遠巻きに避けたり、どさくさに紛れて味方になったりした実績がある。
何とも不確かな希望的観測だが、他にいい方法が思いつかない以上賭けてみるしかない。
「行ってくれ! 皆にすぐ迎えに行くから準備するようにと伝えるのじゃ!」
カフェは、鳩に化けたお稲荷さんを先行して秋葉原道場に飛ばし、呟いた。
「どうか、秋葉原を守るために……牧街殿の大事な人を助けるために力を貸してくれ」
口裂き婆に突っ込んでいこうとする牧街を、カフェと月夜田が必死に止める。
>「牧街さん、しっかりして〜
>「お兄ちゃん、チハルを助けて。だから今は――逃げて!
二人の言葉を聴いて、牧街は一瞬、止まった。
きっかり数秒、牧街は目をつぶり…。
「ありがとう、二人とも。おかげで決心がついた。
やっぱり俺は行く!」
「許さん!第一、貴様が行って何がでk…」
「師範、恐山流の禁断の奥義…あれを使えばこの状況だって突破できるはずです。」
「!!」
牧街が口走った言葉に、恐山師範の顔色が変わった。
(牧街…貴様本気で…)
「…死ぬ気か?」
「師範、俺はあの日…初めて婆とあった日にもう死んでたんです。
そして俺はきっと、この日の…。皆のために、今目の前に立ちふさがっている妖怪達を粉砕するために。
必死で自分の命を守ってきたんだと思うんです。」
「…」
恐山流の禁断の奥義。
その内容は、おそらくこの二人の会話を聞いていれば、カフェや月夜田にも十分に伝わっただろう。
そう、それは、己の生命エネルギーを全て失う代わりに、敵を粉砕する技…。
パワーアップでも、都合のいい展開でもない。
目的のために人生を投げ出す…いや、人生の目標を達成して、人生を終わらせる最後の技…。
「俺は妹…チハルを助けるためにゴーストスイーパーになった。」
牧街は皆を見回して、早口に語りだす。
結界は悪霊達の猛攻にきしみ始めている。
だが、これが最後の別れになるのだ。
大切な人達への別れの挨拶は…最後位は、しっかりしなければならない、牧街はそう思っていた。
「俺、妹助ける事しか人生の目標無いんです。俺の人生の全てが今何です!
人生の目標を達成させて、最高の状態で人生を終わらせる。
逃げて逃げて逃げて逃げて、やっと掴んだチャンスなんです!
お願いします、師範、行かせてください!」
凛としたまっすぐな瞳でそう言う牧街。
その顔を見つめながら、師範は悟る。
本気なのだ、と。
牧街が自分の人生の価値が今決まると言った。
自分は今のために修行してきたのだと言った。
全て本気だろう。
…強力な悪霊達は、恐山師範とカフェ、月夜田、牧街、猫師範が束になっても真っ向から戦えばぼろ負けしてしまう。
カフェはオタク達を引き連れてきて戦う方法を言っているが、それは全く望みが薄い…。
この場を確実に突破するには、誰かが命を捨てるのが、最も確実なのだ…。
状況と本人の覚悟、どちらも揃っている。
そして師範は一流のゴーストスイーパーだ。
仲間のゴーストスイーパーよりも、人類にとって脅威となりうる存在の排除に全力を注がねばならない。
師範には、牧街を止める事はできない…。
「……」
師範は黙って、牧街の拘束を解除した…。
「……ありがとう、ございました、えぇ」
牧街は誰にとも無く、そう言うと、悪霊達へと駆け出す。
【ネタバレ:お稲荷さんの鳩はすっげー助かりました!おかげでアレがこーなってあーなってあーできます】
月夜田みことは現実が嫌いで、牧街やカフェと出会う前はゾンビ村で遊んでばかりいた。
心が荒んでいたので低級の悪霊からも仲間と思われ霊障などを受けずにいた。
幸せそうな人を見るとすぐにヤキモチを妬いて、ゾンビ村に除霊に来ていたカフェと牧街にさえも激しく嫉妬していた。
それもこれも自分が人より劣っていて満たされていないと思っていたから。
でもカフェと出会い弟子になることで未来は開け、もやもやはすべて吹き飛んだ。
と、さっきまでは思っていたのだけれど、やっぱり現実は甘くない。目の前には強力な悪霊たち。
牧街の覚悟に恐山師範は納得し拘束を解く。
恐山師弟の会話からは、牧街が命を使った捨て身の自爆技を放つことが聞き取れた。
>「……ありがとう、ございました、えぇ」
「……な、なにがありがとうございましたよ!かっこ悪い!かっこ悪いわよ牧街さん!
そうやっていつも勝手に突っ走ってみんなに心配させて。憎たらしい。
もう、牧街さんになんて会わなきゃ良かった。
そしたら知らない三流GSが、かっこよく自爆して仲間を救った、ってそんな美談で済んだはずなのに……」
月夜田は急に寂しくなって、牧街の体に触れようと手を伸ばす。
でも太ももに痛みが走ってその場に倒れ込み、猫師匠に抱かれた。
「猫師匠、秋葉原流にも何か奥義みたいのはないの!?恐山師範も何か……」
ここで月夜田は口を噤む。
愛弟子が死のうとしているのだから、恐山師範に何か出来ることがあるのならとっくにやっているはずなのだ。
恐山師範はただただ沈黙している。猫師匠はぺろぺろと月夜田の太ももの傷を舐めて癒している。
「カフェさんっ!牧街さんをたすけてー!!」
月夜田の絶叫が廊下にこだまする。
>「…死ぬ気か?」
>「師範、俺はあの日…初めて婆とあった日にもう死んでたんです。
そして俺はきっと、この日の…。皆のために、今目の前に立ちふさがっている妖怪達を粉砕するために。
必死で自分の命を守ってきたんだと思うんです。」
>「…」
二人の会話を聞いて、牧街が死のうとしている事を悟ったカフェは、目に涙を溜めて叫ぶ。
「たわけもの! ヘタレのくせに格好よく散るなど許さんぞ!」
>「俺は妹…チハルを助けるためにゴーストスイーパーになった。」
「――!!」
カフェは言葉に詰まる。
確かに、今ここで口裂け婆を仕留めなければ、次の機会がある保証はどこにもない。
「じゃが……!」
>「俺、妹助ける事しか人生の目標無いんです。俺の人生の全てが今何です!
人生の目標を達成させて、最高の状態で人生を終わらせる。
逃げて逃げて逃げて逃げて、やっと掴んだチャンスなんです!
お願いします、師範、行かせてください!」
恐山師範が、ゆっくりと拘束を解く。
師範が止められないものを、他の誰かが止められるわけはない。
「牧街殿……元気になったチハル殿に話して聞かせるぞ。
こんなにも格好いい兄者がいたこと……。
チハル殿を助けるためにゴーストスイーパーになったとしても、助けたのはチハル殿だけではない。
感謝している者はたくさんおるはずじゃ」
>「……ありがとう、ございました、えぇ」
>「……な、なにがありがとうございましたよ!かっこ悪い!かっこ悪いわよ牧街さん!
そうやっていつも勝手に突っ走ってみんなに心配させて。憎たらしい。
もう、牧街さんになんて会わなきゃ良かった。
そしたら知らない三流GSが、かっこよく自爆して仲間を救った、ってそんな美談で済んだはずなのに……」
言いたい事はみことが全て言ってくれる。
だからカフェは無理矢理でも笑って、言うべき事を言って送り出す。
「こちらこそ……ありがとう! 牧街殿に会えて良かったぞ!
牧街殿の事は嫌いでは無かった。
正直死んでほしくは無いが、チハル殿が一番なら仕方あるまい!」
>「カフェさんっ!牧街さんをたすけてー!!」
カフェは涙を流しながら両手を合わせて祈る。
「みこと殿、妾達には何もできぬ、せめて祈るのじゃ。
神様仏様、ご先祖様茶々様、どうか牧街殿をお守りくだされ――」
そういえば文字通りの神様を先程飛ばしたが果たして――
チハル。
お前が寝ている間、色んな事があったぞ。
あの後な、兄ちゃん、恐山断弦って人の所で、ゴーストスイーパーになったんだ。
あ、恐山断弦って言うのは実は偽名で、本名は別に…なんかこう、もっとしょぼい普通の名前があるんだけど。
恐山流の師範になると格好いい別名を名乗らなきゃならない決まりがあるから、今の名前を名乗ってるんだ。
どっかの警備隊の大隊長みたいだよな。
断弦さんは厳しい人でな。もう兄ちゃんすっごいすんごい、これでもかこれでもかって位死ぬような目に合わされたんだぜ。
そりゃーもう断弦さん死ねって何回思ったかわかんない位しごかれまくって、泣いて喚いて怪我して、心臓が止まった事もあったけど…。
俺、断弦さんに会って本当に良かったって思ってるよ。
断弦さんはな、お兄ちゃんがくじけそうになった時、いつもいつも背中を押さえつけて、ぐいぐい押してくれるんだ。
おかげで兄ちゃんは人に誇れる仕事につけたんだ。
感謝は…まぁ、置いといて。
とにかく、間違いなく尊敬できる人なんだぜ、恐山断弦師匠は。
その師範の下で修行して、ゴーストスイーパーになった俺は、大勢の人に会った。
まず最初にあったのが、成瀬って言うケチな女でな。
こいつがまたひどい奴で、平気で人のこと騙して囮にしたり強敵を「容易に倒せるカモがいたよー」とか言って俺を手伝わせたりってまぁろくでもない思い出ばかりが目立つ奴だけど…。
けどこいつがいたおかげで、兄ちゃんはゴーストスイーパーの業界の事がよーーーくわかったんだ。
格好つけほど馬鹿を見る………ってな……。
あ、あぁ、成瀬な、人間じゃ無かったんだよ。
あいつ実は生きた仮面でよ。
…まぁ、嫌いな奴じゃ無かったんだが。
別に好きってわけでも無いし…仮面でも全く問題ない、えぇ。
あー…話がそれたな。
そーそー、とんでもない奴とも出会ったぞ。
月夜田みことっつってな。
こいつがまためっちゃくっちゃクソめがっさ運がいい奴でよ。
生意気で実力が無い癖に活躍だけは一人前にできるからもう俺馬鹿にされる馬鹿にされる。
もう見てるだけで腹が立った、こいつは。
惜しむらくは探すまでも無くいい所が一杯ある所だな…。
嫌な奴の癖に、性根だけは曲がってないんだ、あいつ。
……可愛い奴だったぜ。
他にもまっちゃっつー猫娘とか、タローって言うイケメンの不良とか、桜井さんって言うボンキュボンのねーちゃんとか。
メカ娘何てのもいたなー。
名前何て言ったっけ?
そいつの主の娘も小生意気でよぉ…。
……まぁ、そんな風に一杯色んな人に出会って。
歯医者で妖怪と戦ったり。
孤島で免許かけてサバイバルしたり。
お山で狸と狐のために妖怪と戦ったり。
廃遊園地で魔族と戦ったり。
爺ちゃん婆ちゃんを悪用するゲーマー親父をこらしめたり。
後警察に捕まったり…。
お母さんと喧嘩したり。
親父と喧嘩して仲直りしたり。
阿湖野が……
そうそう
好きな人もできたんだ。
>「カフェさんっ!牧街さんをたすけてー!!」
(兄ちゃんが好きな人はな。
兄ちゃんが好きな物に似てる人だ。)
>「こちらこそ……ありがとう! 牧街殿に会えて良かったぞ!
(遠い星からやってきて、何の義理も無い人達のために戦うあれに似てる。
そんな人だったよ。)
>牧街殿の事は嫌いでは無かった。
正直死んでほしくは無いが、チハル殿が一番なら仕方あるまい!」
「……一番は今後ろにいますよ。」
婆めがけて駆けながら、牧街は誰にも聞こえないような声で、ぼそりと口を動かした。
知ってもらってももうどうにもならない想いだったから…。
ヘタレな自分だから生きのこったって伝える事なんかできない事だから…。
だから最後まで…。
墓場の向こうまで持っていく事にした。
「恐山流最終禁断奥義絶対粉砕炎陣」
牧街の体を、奥義の炎が紅蓮に染める。
恐山流最終禁断奥義絶対粉砕炎陣。
それは、己の生命エネルギーを霊力の炎に変える、恐山流最強にして最後の技である。
霊力の炎は爆発的な勢いで燃え盛り、あっという間に生命エネルギーを燃やし尽くすが、その分威力は抜群!!
「グオオオオオオオオオオオオ」
「キエェェェェェェエエエ!!」
結界から飛び出た牧街に、Mrスパイクバットと幻のコンビニが飛び掛ってきた。
「邪魔だどけえええええええええええええ!!」
だが燃え盛る牧街の炎は、瞬時にMrスパイクバットを炎で包み込んで焼き払い、幻のコンビニの半身を焼き払う。
「牧街を援護しろ!!」
黙っていた師範が立ち上がり、赤悪魔に手にした杖マシンガンを連射してけん制する。
猫師匠も破邪札を投げつけ、オニモドキに命中させた。
両者はひるみ、その間に牧街の炎を浴びせられたMrスパイクバットはのたうち狂い、あっという間に燃え尽きてしまう。
みなぎる牧街の生命力を原動力にした炎の威力は圧倒的であり、隊乱闘すらもたじろぎ、牧街に近づけない。
牧街の命が燃える!燃える!
「テロ魔族!!」
紅蓮の炎の熱に苦しみながら、牧街は叫んだ!
「お前の好きにはさせない!!」
最後に格好いいせりふが言いたかったのだろうか。
婆に一直線に向かいながら、らしくない事を言う牧街。
牧街は今、なりたった者になれている。
格好いい勇者に。
命をかけて弱者を救う戦士に。
対し、婆も一直線に牧街めがけて駆けて来る。
「クエエエエエエエエエエ」
振るわれる鉈の一撃が、牧街の口を叩き切らんとするが、牧街は左手で鉈を受け止め、纏う炎で鉈を溶解させた!
「ケ!?」
「婆!」
牧街の拳が婆の顔面に炸裂する!
「ゲバ!」
「糞婆!!」
炸裂する拳!
「てめぇのせいで…」
ジャブ!ジャブ!ボディブロー!フック!
「おぅれのじんせーはめっっちゃくっちゃどぅああああああああああああああああああ!!」
人生全ての恨みをこめた牧街の炎を纏った拳が婆に唸る!唸る!唸る唸る唸る!
武器を奪われた婆はなすすべなく拳を喰らうしかない!
Mrスパイクバットを瞬時に焼き払った牧街の命の炎だが、婆には即効では通じない。
そう簡単に終わらせる気は牧街には無いからだ!
「ああああああああああああああああああああああ」
更に牧街が追い討ちをかけんとした、その時。
隊乱闘の放った金棒の一撃が、牧街を壁まで吹き飛ばした。
対し、婆も一直線に牧街めがけて駆けて来る。
「クエエエエエエエエエエ」
振るわれる鉈の一撃が、牧街の口を叩き切らんとするが、牧街は左手で鉈を受け止め、纏う炎で鉈を溶解させた!
「ケ!?」
「婆!」
牧街の拳が婆の顔面に炸裂する!
「ゲバ!」
「糞婆!!」
炸裂する拳!
「てめぇのせいで…」
ジャブ!ジャブ!ボディブロー!フック!
「おぅれのじんせーはめっっちゃくっちゃどぅああああああああああああああああああ!!」
人生全ての恨みをこめた牧街の炎を纏った拳が婆に唸る!唸る!唸る唸る唸る!
武器を奪われた婆はなすすべなく拳を喰らうしかない!
Mrスパイクバットを瞬時に焼き払った牧街の命の炎だが、婆には即効では通じない。
そう簡単に終わらせる気は牧街には無いからだ!
「ああああああああああああああああああああああ」
更に牧街が追い討ちをかけんとした、その時。
隊乱闘の放った金棒の一撃が、牧街を壁まで吹き飛ばした。
【ごめんなさい、2回投稿した…(汗】
隊乱闘に吹き飛ばされた牧街の体の炎は、最早消え去ろうとしていた。
火柱のようだった炎は最早処理中の焚き火のような有様であり、牧街本体も倒れたまま立ち上がる気配が無い…。
「ゲ…ゲぇ……」
対し、婆は未だ健在だった。
全身から黒いオーラのような物があふれ、今にも消え入りそうだったが、それでもまだ、醜く現世にしがみついている。
カフェや師範の位置からでは、隊乱闘が邪魔になり、射撃する事はできない。
「……犬死じゃない」
「そうだ!!牧街!!」
蚊の泣くような声でつぶやいた牧街に、恐山師範が怒鳴った。
「お前の仇は、俺が討つ!安心して逝けい!」
師範は泣かない。
泣けば目が曇り、勝率が下がる。だから泣かない。
乾いた涙を流しながら、叫ぶ師範の前で、隊乱闘の牙が開き、牧街に紅蓮の炎が…。
「水竜激!!」
炸裂せんとした、その時。
強力な水の一撃が、悪霊共を押し流し、牧街を救った!!
突然の救援に、何事かと振り返った一同は、そこに希望を見た。
並び立つ見慣れた異形の者達。
その肩の上で、誇らしげに胸を張る秋葉原のお稲荷さん。
彼がこちらの世界に応援に来た彼等を見つけ、ここに案内してきたのである。
「らしくないぞ!牧街!貴様が諦めるなど!私に泣き土下座した奴のする事か!」
東方坂村から駆けつけたウンディーネが、腰に手を当て、びしっと牧街に言う。
「テロ魔族めには恨みがある。それにおぬし等にも貸があるからのぉ」
「ふぇふぇふぇ、今日のワシはいつもと違うぞ!」
「また嘘か?」
「ふんっ。これは本当じゃてい!」
大狸と妖狐は互いに不敵な笑みを浮かべあうと、カフェ等に微笑みかける。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおにぎりひめええええええええええええけんざーーーーーーん!!」
びりびりと辺りに響き渡る声と共に、ポーズを決めるおにぎり姫、彼女も又、テレビを見て、自分達を復活させてくれたカフェらのために来てくれたのだ。
「りんく!!」
「ぜ…ぜるだ!?」
「おぬし達に助けられた我等、今こそその恩を返すときと駆けつけてきたぞ!さあ!共に戦おう!!」
がしっと猫師匠の手をとり、頼もしく宣言するまたたびぜるだ!
そうだ。
確かにカフェ達と共に戦った者達にとっては、何の得も無い戦いだ。
だが。 ・・・・・
カフェ達に助けられた者達には、恩を返す又とないチャンスなのだ!
今までの戦いは、全く無駄ではなかったのである!
「行くぞおオオオオオオオオ」
「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」
雄たけび上げて突撃する正義の妖怪達。
「俺達も、続く!月夜田!牧街を頼む!ウンディーネの生命の水で炎が消えたからまだ息がある!」
月夜田に指示を飛ばし、師範も杖にエネルギーを溜めて参戦する!
頼もしい援軍も来た所で、クライマックスの始まりだ!!
【各々、NPC妖怪達を操って好きに敵妖怪を粉砕してください!】
カフェは涙を流しながら祈っていた。
>「みこと殿、妾達には何もできぬ、せめて祈るのじゃ。
>神様仏様、ご先祖様茶々様、どうか牧街殿をお守りくだされ――」
「はい」
月夜田はカフェの言葉通りに祈ることしか出来なかった。
牧街は霊力と命を燃やして悪霊たちに立ち向かっていた。それを恐山師範が援護していた。
そして牧街が悪霊婆に追い討ちをかけんとしたその時――
隊乱闘の放った金棒の一撃が、牧街を壁まで吹き飛ばした。
「………!!」
それを見た月夜田は絶句する。
思考が白んで全身の力が抜けていき絶望感に囚われる。
(牧街さんの命が……)
>「……犬死じゃない」
>「そうだ!!牧街!!」
呟く牧街に怒鳴り返す恐山師範。
>「お前の仇は、俺が討つ!安心して逝けい!」
師範は泣いておらず戦闘態勢を維持していた。そう、この師弟は強い絆で結ばれているのだ。
月夜田は不謹慎なことに恐山師範の醸し出す男の色香にジュンとしてしまう。
そこへ思いもよらず駆けつける救援。並び立つ見慣れた異形の者達。
その肩の上で、誇らしげに胸を張る秋葉原のお稲荷さん。
彼がこちらの世界に応援に来た彼等を見つけ、ここに案内してきたのであった。
>「行くぞおオオオオオオオオ」
>「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」
雄たけび上げて突撃する正義の妖怪達。
>「俺達も、続く!月夜田!牧街を頼む!ウンディーネの生命の水で炎が消えたからまだ息がある!」
「はい!」
月夜田は汗で湿ってるような牧街の脇から両手を入れて安全な場所まで移動させようと試みる。
触ってみると牧街の肩幅は意外と広くドキリとした。
(う〜重い…)
牧街の体は根っ子が生えているかのようで月夜田には持てもしなかった。
でも密着させた胸に彼の鼓動を感じている。
すると突然牧街の体が軽くなる。
驚いて下を見ると鋼鉄の少女チェルノが牧街を持ち上げていた。チェルノはカフェママのママチャリが妖怪化した少女。
妖怪たちの出陣を見て、居ても立っても居られずに猫バスのところから来たのだ。
「あ、ありがとうチェルノ。それとさっきはごめんなさい」
月夜田は小さな声でチェルノに謝る。チェルノはかぶりを振って気にしないでと言った風に返してくれた。
――そして始まる戦い。
牧街を後方に引っ込めたチェルノは月夜田に背中に乗れとジェスチャー。
チェルノの背中に乗るとペダルが現れたので漕いでみたら発電機のように妖力を溜め始めた。
「みんなどいて!」チェルノの両目が光り輝く。
――ヴオッ!
響く轟音。弾丸のように発射されたチェルノの右手が回転しながらオニモドキの体に風穴を開ける。
オニモドキは膝を落とし怨めしそうにチェルノたちを睨みつけていたがその隙に猫師匠が真っ二つにした。
一方、おにぎりひめは特大赤飯おにぎりを敵に向かって転がしていた。
隊乱闘は鼻で笑いそれを金棒で叩き割る。するともち米の粘着力で金棒が床にくっついた。
すごく強い力で叩いたから一瞬でもち米が餅になったのだ!
【あとはカフェさんにおまかせします】
先祖にちょっとした霊能力者を持つカフェは、幼い頃からよく人で非ざる者達を見てきた。
霊や妖怪や神といった者達だ。科学には未だに認められていないが確かに実在する。
カフェママはよくカフェに言い聞かせたものだ。
『いい? この世界には人で非ざる者達がいるのよ。
動物には優しくしなさい。ご先祖は敬いなさい。迷信だなんて思ってバチ当たりな事をしたら駄目。
さもなくば、祟られるわよぉ?』
『何それ、怖い……』
『そうね、でも逆もまたいっしょ、彼等は受けた恩は必ず返す――
彼等は、人間なんかよりもずっと純粋な存在だから』
カフェは、牧街の最後の戦いを手出しできずにただ見ていた。
その雄姿を目に焼き付けんとするように。
でも、本当にこれで最後なの?
都合よく奇跡なんて起こらないと分かっていても、願わずにはいられない。奇跡よ起これ――!
「牧街殿……」
>「ああああああああああああああああああああああ」
が、その戦いは思わぬ形で終わりを迎える。
牧街は隊乱闘に吹き飛ばされ、倒れ伏す。
>「……犬死じゃない」
>「そうだ!!牧街!!」
>「お前の仇は、俺が討つ!安心して逝けい!」
カフェは首を横に振りながら、本心を叫ぶ。
「敵討ちなんて妾は嫌じゃ……こんな終わりってないよ!」
――その時。凛とした声と共に、激流が悪霊たちを押し流す!
>「水竜激!!」
カフェは目を疑った。
東方差坂村のウンディーネ、大狸と妖狐、おにぎり姫、またたびぜるだ――
今までに助けた妖怪たちが堂々たる風格で並び立っていた。
カフェは目をこすりながら何度も瞬きする。
「嘘じゃ、奇跡なんて、起こらぬ――」
「奇跡ではない、知っておるだろう? 妖怪たるもの、受けた恩は必ず返す――!!」
ウンディーネが応えた。これは幻なんかじゃない。
今までに助けた妖怪たちが恩を返しに来たのだ。願いは、 届いた――!
「みこと殿、先程妾のことを自分の事しか考えていないと言ったな。
思い出した、そういえばそうじゃった。母上に何度も言い聞かされたものじゃ。
だがそれでいいのではないか? それで皆が幸せになれるのなら――」
そもそも思いやりの起源は、弱い者達が助けあわないとやっていけないという利己的なものだったらしい。
逆に考えれば、強い者は助けあわない。助けあう必要が無いからだ。
そして、最強の悪役はしばしばそれで足をすくわれて、束になってかかってきた弱っちい正義の味方達に負けるのだ。
カフェは妖怪たちに言った。
「お主らは弱い。
ちょっとした不幸な境遇で悪事に走った上この三流GSごときに改心させられてしまう程弱い者達じゃ」
何を言い出すのか訝しがる妖怪たちに続ける。
「だからこそ、力を合わせる事が出来る。種族を異にする妾達と固い絆で結ばれる事が出来る。
弱さは、強さだ――! 三流GSと三流妖怪が手を組めば、世界最強じゃ!」
力強く頷く妖怪たち。今ここに、最強の最弱チームが結成された!
>「行くぞおオオオオオオオオ」
>「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」
妖怪たちが突撃し。
>「俺達も、続く!月夜田!牧街を頼む!ウンディーネの生命の水で炎が消えたからまだ息がある!」
>「はい!」
恐山師範の声に応え、月夜田が牧街を救出する。
そして――
「カフェ殿、ワシらを使ってくれ!! いくぞ狐!」
「おう!」
喧嘩するほど仲のいい大狸と妖狐が息ピッタリに飛びあがり、空中で合体する。
「「フュージョン!!」」
二匹が合同で化けた光輝く刀が、カフェの手におさまる。
(すごかろう、悪しきものを切り裂く伝説の剣”デモンスレイヤー”じゃ!!)
(プッ、ダサい設定)
合体して尚口喧嘩する狸と狐に微笑みかけ、黒酢のジェット噴射で飛び上がる。
「そりゃああああああああああああああ!!
いくぞ、デモンクラッシャアアアアアアアアアア!!」
金棒がおにぎりでくっついて動きを止めている隊乱闘に、剣を突き立てる!
突き立てた場所から凄まじい閃光が迸り、隊乱闘は真っ二つになった!
恐るべき狸と狐の友情パワー。
空中で剣が狸と狐に分離して、三人で着地して決めポーズ。
残りの悪妖怪たちを見回しながら言い放つ。
「さあ、次はどいつじゃ――?」
>「みこと殿、先程妾のことを自分の事しか考えていないと言ったな。
>思い出した、そういえばそうじゃった。母上に何度も言い聞かされたものじゃ。
>だがそれでいいのではないか? それで皆が幸せになれるのなら――」
「え…?」
(言ってる意味がよくわからないなあ。自分のことだけを考えてたら皆が幸せになれるのかな?)
>「そりゃああああああああああああああ!!
>いくぞ、デモンクラッシャアアアアアアアアアア!!」
「きゃ〜!かっこいい!!」
カフェたちの技で隊乱闘が真っ二つになるとカフェたちは決めポーズ。
月夜田はチェルノから降りてパタパタと前に出る。
「カフェさん。さっき言ったことって自己愛ってことなの?
私たちが牧街さんが死ぬのが辛いと思ったのは自分が悲しくなるのが嫌だから。
だけど自分のことしか考えてなくて世の中が幸せになるのって、
カフェさんみたいに他人が傷つくのが嫌と思っている人たちがいっぱいいるから成立することよ。
実際、世の中には私欲のために他人を破壊するのを何とも思っていない人たちもいる。
テロ魔族や悪霊たちのように。じゃあ私たちは自己愛だけじゃ救われないってことでしょ?」
月夜田はどうしても我慢できなくなってカフェに問う。他のスレなら余計な台詞。
同僚にも鼻で笑われて軽くあしらわれるような話の筋とはあまり関係ないことを。
>「さあ、次はどいつじゃ――?」
「ごまかさないで!」
月夜田とチェルノはカフェに続く。目の前には半分子になった幻のコンビニ。
弱ったような様子でずるずると奥に向かって這っている。
「にがさないんだから!」
チェルノが追いかけて幻のコンビニの頭をぼこぼこと叩く。
一方、恐山師範と猫師匠コンビは、レッサーデーモンと赤悪魔のコンビと戦っていた。
しかしなかなか勝負は決まらない。敵のコンビはなぜか守りに徹しているようだった。
「てあ!」
そしてチェルノの銀の拳がコンビニを粉砕。
中から逃げ出して来た小さい店長をおにぎり姫がお尻で潰す。
勝利まであと少し。誰もがそう思っていたそのとき――
「「だれかあれをみてー!」」兎の霊たちの声が響く。
視線を移せば、廊下の奥で婆の大悪霊が牧街に乗りかかっているのが見えた。
――ぷつん。刹那、月夜田は怒りで我を忘れる。
体が勝手に飛び出して、鬼婆のところまで疾駆すると神通棍でその憎たらしい頭を叩く!
「この卑怯者〜!地獄へ…おちゃちゃえー!!!」
口が回らなくなるほどの月夜田の怒りが炸裂する。
【牧街殿は週一しか来れないんだから待ったげてよお!】
>>429>>430 【月夜田さん早いww
文章にあるとおり、ストーリー進んだわけじゃないし、月夜田さんが質問するならこの場面でしかできないでしょうから、こういうのなら全然OK、むしろやるべきだと思うんで俺はいいですよw】
チェルノに拳で粉砕された幻のコンビニは、正体である無数の小蜘蛛に戻ると、チェルノに群がってガジガジと喰らいついてきた!
小蜘蛛の牙は鋭く、チェルノはあっという間に傷だらけになっていく。
「いやー何これー!」
「今助けるぞ!!喰らえ!」
そこにウンディーネが強力な大水竜巻を作り出し、チェルノに食いつく小蜘蛛軍団を洗い流して撃破する。
勝利が目前に迫った、その時!
>「「だれかあれをみてー!」」
兎の霊たちの声が響き、一同が視線を向ければ、そこには口裂き婆にまたがられる牧街が…。
牧街はどうみても死んでいるようにしか見えないほどぼろぼろの黒焦げになっていて、なすがまま、やられようとしている。
ほくそ笑む婆、牧街を人質にとり、赤悪魔とレッサーデーモンを使い、一発逆転を狙うつもりのようだ。
だが、魔の空間の絶望の中にあっても恩を忘れずに牧街への注意を促した兎と、勇敢な月夜田みことの一撃、そして…。
「極楽へ…」
突然、牧街の手が月夜田に反撃しようとした婆の肩にガッとかかり、その体を固定した。
ぎょっとして婆が牧街を見れば…
白目をむき、頭と口から血を流し、ぼろぼろにすすけた顔から、すさまじいオーラを出す顔が迫ってくる!
「いかせてやりましゃああああああああああああああああああああああ!」
最後の力を搾り出して放たれた天竜落地砕が口裂き婆の頭を砕き、婆を消滅させた!
遂に、牧街は妹の仇をとり、自らがGSになった目的を達成したのである!
最早何も残っていない牧街は、技を放った姿勢のまま硬直し、やがて力なくその場に崩れ落ち…。
完全に、動かなくなった…。
「ギエエエェェェェエエエエエエ!」
「ヒイイイイイイイイイイイイイ!」
それを見た赤悪魔とレッサーデーモンは、最早かなわぬと見て背中を見せて逃走し始める。
「逃がさないニャー!りんく!」
「ぜるだ!合体攻撃で勝負を決めよう!」
恐山師範と共に赤悪魔達と戦っていた猫師匠と、猫師匠の応援に来たまたたびぜるだがそれを追撃しようとして、その肩を後ろから恐山師範にぽんっと叩かれる。
「ニャ?」
「ひニャ!このパターンは…」
何で止めるのかわからず、はてなマークを浮かべるまたたびぜるだと、思い当たる節があり、びくっとする猫師匠。
二人の肩を掴む恐山師範は、無表情で俯き、黙っている。
「不愛成亜龍苦雷怒…」
師範の呟きに、ひぃと口元を引きつらせる猫師範。
しかし、恐山師範の頬を何か光るものが伝っているのと、彼の肩越しに、真っ白に燃え尽きている牧街が見えて…
きっと表情を引き締めた!
「打打打…打武流ぅううううううううううううううううううりゃあああああああああああ!!!」
恐山師範の裂ぱくの気合に、猫師範とぜるだの体は激痛と共に緑と黒のオーラに包まれ、天井一杯までふわふわと上った後、ミサイルのように超高速で逃げる赤悪魔とレッサーデーモンに後ろから突っ込み、その胴をぶち抜いた。
しゅうしゅうと煙となって消えていく悪霊達。
最早、GS達の前に立ちふさがる悪霊はいない。
彼等の勝利である…。
全ての力を使い果たし、動かなくなった牧街を、恐山師範をはじめ、皆が輪になって囲む。
腰を落とし、牧街を抱き上げて診察していたウンディーネが……ゆっくりとかぶりを振った。
全員がはっと息を呑み…。
「私、医学の知識は無いからよくわかんないわ」
思いっきりずっこけた。
「どけいアホー!」
仮にも精霊にアホと叫び、診察を変わる恐山師範。
脈をはかり、瞳孔を見て、心臓の鼓動を聞き…。
「こいつ……ぴんぴんしとる!!」
全てをぶち壊しにする言葉を吐いた。
そういわれてみれば白目こそむい取るものの牧街の顔はどこか穏やかであり、心配した分何だか腹も立ってくる程に大丈夫そうだ。
自爆技を使ったにも関わらず、ウンディーネの救助が早かったおかげで、どうにか事なきを得たようである。
が、傷が傷だ、もう闘いには参戦できないだろう。
「全くこいつは……」
その寝顔を見ながら、恐山師範はどこかあきれたような安心した様な言葉を呟き…。
「生きて帰れたらどんな特訓を施してやらねばならんかなぁ…」
…次の瞬間には、実は自分がラスボスでしたって言っても問題ない位の邪悪なオーラを出して凄いせりふを吐いた。
あぁ、牧街の未来は暗い…。
>「いかせてやりましゃああああああああああああああああああああああ!」
「ひっ!!」月夜田の小さな悲鳴。
悪霊を攻撃すると同時に、牧街のすごいオーラ顔をみてしまった。
でも婆の悪霊の頭は牧街の天竜落地砕と月夜田の神通棍に挟まれて見事に爆発。
「きまった…」
あやうく妹の敵を月夜田に倒されてしまいそうになった牧街。
慌てて復活し宿敵を倒した彼を見て、月夜田はにらにら。
「牧街さん。やればできるじゃん」
倒れている牧街の頭をなでなでする。
>「打打打…打武流ぅううううううううううううううううううりゃあああああああああああ!!!」
そして恐山師範たちの合体技で悪霊たちは消滅した。
牧街もみなを一瞬驚かせたがぴんぴんしているようだった。
>「生きて帰れたらどんな特訓を施してやらねばならんかなぁ…」
恐山師範はオーラを出しながら凄い台詞を吐く。
どうやらこの恐山流は無駄にオーラの力が強化されるらしい。
月夜田はカフェの背中をそっと押して
「いまがチャンスかも…」耳元でそっとささやいた。
なんのチャンスかはわからない。余計なお世話かもしれない。
「あいたた…」
すると突然、痛みを訴えて恐山師範に倒れこむ月夜田。
「あ、ごめんなさい。わたし月夜田みことっていいます。
あの、恐山師範には妻子はいらっしゃいますか?」
とキラキラと目を輝かせている。
>>430 わかりました。自重します
>>431 ありがとうございます。でもこれからはなるたけ自重します
自分も今週の分のレスはこれで終わる予定です。
週のまん中とか忙しかったりするとレスを飛ばさなくてはならなくなるので…
【すまぬすまぬ、余計な心配だったのうw】
>「カフェさん。さっき言ったことって自己愛ってことなの?
私たちが牧街さんが死ぬのが辛いと思ったのは自分が悲しくなるのが嫌だから。
だけど自分のことしか考えてなくて世の中が幸せになるのって、
カフェさんみたいに他人が傷つくのが嫌と思っている人たちがいっぱいいるから成立することよ。
実際、世の中には私欲のために他人を破壊するのを何とも思っていない人たちもいる。
テロ魔族や悪霊たちのように。じゃあ私たちは自己愛だけじゃ救われないってことでしょ?」
みことは突如ストーリーの流れに関係の無い事を言い始めた。
だが今は激闘の途中なので答えている時間はない。
「話は後じゃ!」
この後暫し激しい激闘が繰り広げられ……
>「この卑怯者〜!地獄へ…おちゃちゃえー!!!」
>「極楽へ…」
>「いかせてやりましゃああああああああああああああああああああああ
>「打打打…打武流ぅううううううううううううううううううりゃあああああああああああ!!!」
三流GSと正義の妖怪連合軍は勝利した! そして皆で、倒れている牧街を囲む。
>「こいつ……ぴんぴんしとる!!」
「なんじゃい、死ぬ死ぬ詐欺かましよって!」
みことに抱き着いて喜ぶカフェ。みことが、耳元でそっと囁く。
>「いまがチャンスかも…」
「何を言っとる何を。寝ているからといって好き勝手していいもんではなかろう。
って何を言わせとんじゃ! ……おおそうじゃ」
ある事を思いだして少し真面目な顔になる。
「師匠としては一応先程の問いに答えておかねばなるまいな。
確かに人間を苦しめる事を存在意義とする悪霊もいれば、世界の均衡のためには手段を問わないテロ魔族もおる。
だが人間は違う……と妾は思う。人間は彼らのように純粋にはなれぬ。
だから……本当に悪い人間などいないし完璧な善人もいないのではないか?
基本は皆きっとあえて善悪で言えば真ん中よりも少しだけいい人で。
ただ道を踏み外した時に引き戻してくれる仲間がおるかおらぬかだけの違いではないか……と妾は思うぞ。
……答えになっていれば良いが」
人間は基本どっちかというといい人というなんとも呑気な答えだが
特に壮絶な過去も無くなんだかんだで幸せに生きてきたカフェにはこれが限界である。
が、逆に言えば特に壮絶な過去も無く幸せに生きてきた者だけが持てる信念とも言えるだろう。
とみことの方を見ると、痛みを訴えて倒れ込むではないか。
>「あいたた…」
「みこと殿!? 大丈夫か!?」
>「あ、ごめんなさい。わたし月夜田みことっていいます。
あの、恐山師範には妻子はいらっしゃいますか?」
「……大丈夫そうじゃの」
呆れ半分安心半分の笑みが浮かぶ。
あまりの熱い展開で一瞬忘れそうになったが、今のはまだ中ボスだ。
カフェはざっと前に進み出て言った。
「さて、とっととアキヴァ解放して帰るぞ!
柱の中心の円盤のようなところにラスボスがおる……多分!!」
突然倒れてくる月夜田みことを、おっと危ないと受け止める恐山師範。
>「あ、ごめんなさい。わたし月夜田みことっていいます
「ん?そういえばまともに挨拶してなかったな。」
廃遊園地とかで何度か顔を合わしているが、そういえばこの二人はまともに挨拶を交わしていない。
まぁ、接点があるようでない二人だから挨拶する必要が無かったといえばそれまでだが…。
>あの、恐山師範には妻子はいらっしゃいますか?」
「…今そんな質問に答える気分ではない。」
唐突な月夜田の質問に、恐山師範は何故今そんな事を聞くんだという顔で返答する。
他人から好意を寄せられる事にこの人は鈍感だ。
月夜田がキラキラ目を輝かせて尋ねているのに、全く普通に返答している。
「そんなもんより今は……。ああ、そうだあのさっきのお前の言葉だが…」
そのままさっさとラスボスとの戦いをおっぱじめようとする師匠だが、ふと先ほどの月夜田とカフェのやりとりを思い出し、自らも自らなりの言葉を答えを月夜田に話し出した。
「世の中には強いか、弱いか、それだけしかない。
正義は勝つ、悪は負ける、それは何故か、正しいとされているものは人を引き付けて人が集まれば力が集まり強くなる、だから正しいものは強い。
逆に自分勝手なもの、間違っているとされているものは人を引き寄せず、弱い。
勿論、本当は人を引き付けるはずのもの…正しいとされているものでも、その真相が周囲に伝わっていないせいで間違いにされて人が集まらない事もあるし、逆もある。
だから人間は正しいとされている事をしなければならない、そうしなければ強くなれず、強く無ければ楽しく生きていけないからだ。
だが、間違っているとされている事をあえてしても、その結果強くなり、そしてその結果周囲が幸せになれば、それは即ち正しい事と同じ事になる。
周囲が幸せになれるなら、周囲も力を貸してくれて、正しい事と同じだけの力を発揮するからな。
勿論、それを繰り返していけば将来的に色々と問題が出てくるかも知れないが、人間が病気になった時に本来体に無い物質を取り入れるように、適度にそういった事も必要になってくる。
その見定めが、難しい。
そして俺達とテロ魔族は今その見定めの判定で意見がぶつかり、こうして対立しているわけだ。
で、月夜田みこと、君は秋葉原が無くなったり、牧街の妹が苦しみ続けたりする世界を生み出すのと、とりあえず自分の周りに苦しむ人間が出なくなるの、どっちがいい?
俺は後者を選ぶ。
その結果、代わりに別の知らん誰かにその皺寄せが行って苦しむ事になるのかも知れんが、そんなもん知らん!
そいつがこの事を知って怒って俺のとこ怒鳴り込んできたり、俺を殺しにきたらその時はできるだけの事はするが、基本知らん!
後他に何か問題が出てくるかも知れんが、それは出てきた時に考える!
今はまず目先の連中を助け、友人知人そして自分を救う、これだけだ。
そのために、テロ魔族をぶっ潰す!
…さて。他の者も聞け、最終決戦の前の最後の確認だ!」
月夜田に話していた恐山師範は、全員を見渡すと、声を大にして尋ねる。
「お前等はこの戦いで何を得たい!何を奪われたくない!それが奴等の言う均等な世界や、自分の知らん奴等の苦しみよりも重い物なのか、もう一度考えろ、そしてこの戦いで勝って得られるものが奴等のやってる正しい事よりも価値があると思うものだけ、俺に続け!」
「天晴れな娘がくたばるのはまだ早い、私はこの娘の今後を見たい。行く。」
恐山師範の問いに、真っ先にウンディーネが答えた。
「恩っちゅーのは要するに恩を売ったほうが売られたほうにとってどれだけ価値があるかを示す物、なのかの?」
「私に聞くな…。とりあえずこの娘は生かしておいた方が今後わしらの山や他の山にとって有益じゃ、行く」
「ほっほっほ、同じく」
化け狸と妖狐もうなづく。
「定期的に戦わないと血が騒いでしょうがない!そして戦いの中で死ねるなら本望!それが私の人生!そしてどうせ戦うならば私に優しく信じられる輩達に味方したい!行く!」
闘気を体から放出しつつ、おにぎり姫も参戦を表明。
後は猫師匠とぜるだ、そしてみことだ。
>「…今そんな質問に答える気分ではない。」
「ふぇ…」
戦う男の横顔に痺れる月夜田。
>「師匠としては一応先程の問いに答えておかねばなるまいな。
(略)
……答えになっていれば良いが」
「そっか…、時に人は、欲望に惑わされてしまうけれど、
それを止めることが出来るのも誰かの手前勝手な自己愛なのかも」
>「さて、とっととアキヴァ解放して帰るぞ!
柱の中心の円盤のようなところにラスボスがおる……多分!!」
「はーーーーい!」
>「世の中には強いか、弱いか、それだけしかない。
(略)
今はまず目先の連中を助け、友人知人そして自分を救う、これだけだ。
そのために、テロ魔族をぶっ潰す!
…さて。他の者も聞け、最終決戦の前の最後の確認だ!」
「カフェさんも、恐山師範も、もしかして言ってることは同じことなのかな?
因果応報みたいなの。うん、世界中の人は救えないから、せめて目の前で苦しんでいる人は救いたいかも」
>「お前等はこの戦いで何を得たい!何を奪われたくない!それが奴等の言う均等な世界や、自分の知らん奴等の苦しみよりも重い物なのか、もう一度考えろ、
そしてこの戦いで勝って得られるものが奴等のやってる正しい事よりも価値があると思うものだけ、俺に続け!」
「得たいものは自分の未来かなぁ…。奪われたくないものは、……なかま。あー言っちゃった!はずかしい!」
みことは身を捩じらせていた。
「はいはーい!あたいもいくよ。カフェちゃんたちがあたいを大切に使ってくれたから、
あたいはただのママチャリから妖怪になれたんだもの。いかなちゃ後悔するっ」
チェルノはにっこり笑っている。
「……(あ、そういえば猫師匠って何を考えて戦っているのかなぁ。
カフェさんの気持ちは聞かなくってもわかってきたけど、
猫師匠っていつもどこでも機械みたく戦ってるから、すごくふしぎ…)」
月夜田はくるりと後ろを振り返り
「……牧街さん。いってくるね」
と呟くとカフェを見つめて肯いた。
恐山師範が、みことの質問に対して自分なりの答えを語り始める。
いかにも恐山師範らしい、生粋の武人らしい言葉だ。
もしこれが人生が変わる某番組なら迷わず深イイボタンを押している事だろう。
自分の周りの小さな世界、とりあえず自分たちが生きている時代の笑顔を守ろうとする主人公達。
宇宙規模、遥かな未来まで見据えた壮大な目的を標榜し、そのためには目先の僅かな犠牲など物ともしない悪役。
どこにでも転がっているよくある構図。
日曜朝の物語に出てくる正義のヒーローヒロインは、本当は正義なんかじゃないのかもしれない。
愛と正義、とよく並べられるけど、本当はその二つは正反対のものなのかもしれない。
「そうか、正義ではない。愛……じゃ。
感情の入り込む余地のない理論と、不条理で理屈では説明が付かない感情……
どちらか選ぶとすれば、妾は後者を選ぶ。
妾は馬鹿者ゆえ大局を見据えた利益などよう考えられぬわ!」
>「お前等はこの戦いで何を得たい!何を奪われたくない!それが奴等の言う均等な世界や、自分の知らん奴等の苦しみよりも重い物なのか、もう一度考えろ、そしてこの戦いで勝って得られるものが奴等のやってる正しい事よりも価値があると思うものだけ、俺に続け!」
>「天晴れな娘がくたばるのはまだ早い、私はこの娘の今後を見たい。行く。」
「ウンディーネ殿……」
――興味を持った者の行く末を見たいという願望。何とも感覚的な理由。
>「恩っちゅーのは要するに恩を売ったほうが売られたほうにとってどれだけ価値があるかを示す物、なのかの?」
>「私に聞くな…。とりあえずこの娘は生かしておいた方が今後わしらの山や他の山にとって有益じゃ、行く」
>「ほっほっほ、同じく」
「たぬき殿、きつね殿……」
――山の利益。しかし実際には、カフェを生かしておいたところで今後役に立つ保証はどこにもない。
>「定期的に戦わないと血が騒いでしょうがない!そして戦いの中で死ねるなら本望!それが私の人生!そしてどうせ戦うならば私に優しく信じられる輩達に味方したい!行く!」
「おにぎり殿……」
――戦いへの渇望。戦えるのはどちらについても同じなのに、それでもこっちを選んでくれた。
>「得たいものは自分の未来かなぁ…。奪われたくないものは、……なかま。あー言っちゃった!はずかしい!」
――やっとできた仲間を失いたくないという執着。
しかし引き留めるのではなく共に行って運命を共にするなら、それはきっと究極の愛だ。
>「はいはーい!あたいもいくよ。カフェちゃんたちがあたいを大切に使ってくれたから、
あたいはただのママチャリから妖怪になれたんだもの。いかなちゃ後悔するっ」
――妖怪になれた事へのお礼。
それは、妖怪になれて幸せだった、心を手に入れて共に過ごせて良かったという何よりの証明。
続いて、ぜるだが口を開く。
「テロ魔族に利用されていた所を目を覚まさせてくれた恩があるにゃ。
……どちらが正しいのかは正直わからにゃい。
でも、分からないのなら騙して利用したりしない方を選ぶニャ」
――狡猾な者より愚直な者を選んだ決断。
一見自然に思えるが、これもまた論理的に考えれば前者の方が勝てる可能性が高い、頼りがいがあるはずだ。
男女の愛だけが愛ではない。ストレートに好きですというだけが愛の告白ではない。
どれもこれも、形は違えど愛の告白ではないだろうか。カフェは皆を見回しながら一言だけ呟いた。
「妾は……幸せ者じゃの……」
残るは猫師匠だ。彼はニヤニヤと笑っていた。
「ふっふっふ、気付かれてしまってはしかたがにゃい。
ぼくちんは人間界に潜りこんだ妖。
純粋な者をけしかけて大局の安定を見据えた者と戦わせ世界を混乱させるのが真の目的にゃ。
宇宙規模の壮大な計画があっさり完遂する世界など面白くもないにゃ」
猫師匠の背景にラスボスっぽい黒いオーラが立ち込める……
が、カフェが即、オーラを傘で仰いで吹っ飛ばした。
「だとしても今更どうもこうもないわ! 猶更全面協力してもらうまでじゃ」
「そう言うのは分かっていたにゃ!」
猫師匠がカフェの横に並び立つ。
猫師匠は大昔から人の世に潜りこむ妖。もしかしたら満更嘘でもないのかもしれない。
『面白そうだから』とか『ノリで』いう理由で、言ってしまえば世を混乱させて楽しんでいるのかもしれない。
あるいは、カフェの想像もつかない深い人間愛があるのかもしれない。
世の中、全てを明らかにすればいいというものでもない。謎は謎のままにしておくのもまた一興だろう。
>「……牧街さん。いってくるね」
みことと顔を見合わせて頷き合う。
「牧街殿……必ず、皆で帰るぞ!!」
カフェは気を失っている牧街に力強く語りかけ、通路を中心に向かって走り始めた。
ぎぃぃ…と音を立てて、秋葉原の中心上空に存在する円柱への扉が開かれた。
円柱の中…この「黒い壁で仕切られた空間の中心」は暗く、その中心だけ、スポットライトを上から浴びているように明るくなっている。
そこに黒いオブジェのような石碑のようなものが置かれていて、その石碑の前には…。
「………来たんだ。」
並び立つ妖怪達と変人達…もといGS達を見て、笑顔の仮面は驚いたような、あきれたような声を出した。
強力な妖怪達を前にしても、また、1流のGSがいて、警備の隊乱闘が倒されているだろう事が予想できるのにも関わらず。
彼からは、「ふははよく来たな」とか言い出してこれから始まる戦いに心躍らせている様子も、
「君達は愚かだ」とか言って自分の正当性を諭しだす様子も無い。
それはまるで…。
「一斉攻撃だ!一気に勝負をつける!!」
叫びと共に恐山師範がテロ魔族めがけて精霊石を投げつける!
ウンディーネが腕に水を溜め、おにぎり姫もなにやら技を繰り出そうとした…
瞬間、一同をすさまじい爆発の雨が包み込む。
テロ魔族が腕から一瞬のうちに強力な妖力波を連続でぶっ放したのである。
「ぎゃああああああああ!」
「うわぁ!」
すさまじい威力の妖力波の連発に、攻撃しようとしていたGS妖怪連合の態勢は崩れてしまう。
「!!」
更に、テロ魔族は爆発の混乱からまだ一同が立ち直らないうちに瞬時に恐山師範の懐に入り込んだ。
不意を突かれた師範はしかしそれでも杖で防御の姿勢をとる。
が…。
「がぼっ!?」
無言でテロ魔族の放った拳の一撃が杖を簡単に叩き折、師範の腹にみしりと食い込んだ…。
「…来ちゃったんなら仕方ないね」
腹にテロ魔族の拳を食い込ませた師範は、しかしそれでも踏ん張ってこらえ、立ち続けようとするが、
手足はぶるぶると震え、口からは血が噴出し、かなり無理をしているのが簡単に見て取れる。
1流の霊的格闘術の使い手、恐山断弦が、一瞬でなすすべも無く素手で撃破されたのだ!
「さっさと、終わらせちゃおうか」
無造作に師範から拳を引き抜くと、
笑顔の仮面は面倒くさげに、そう、いった。
―――
例えばゲームを何週もプレイしていて、エンディングを見飽きてしまう事があるように、
「何度も見た決まった終わり方」っと言うのは、えてしてつまらないものなのだ。
ゲームの内容は楽しい、ストーリーも見ていないルートの話を見るのは楽しい。
だが、何度も見たムービーやエンディングはつまらない…。
特に、「高得点のハイスコアでクリアしようとして失敗した」時のエンディングなどは…。
―――
(こいつらそこそこ面白いからまた何か遊ぶ機会があったらいいなとか思ってたけど。
ここ来ちゃったら殺すしかないな…。
あーあ、まだ色々できる事あったろうに、ざーんねん。
ここまで馬鹿だったなんてねぇ…)
どさりと倒れ、血を流して動かなくなる恐山師範。
テロ魔族はそれを片足で踏みつけると、周囲のGS達にやる気なげに宣言する。
「来ちゃったからには皆殺しにすっから。…行くよ。」
言葉の交わしあいも、正義と悪云々の意見のぶつけ合いも、カフェ等の怒りを受け取る事もない。
一方的な宣言と行動。
そのテロ魔族の挙動には、完全に会話の余地は無い。
これが、魔族。
人類とは精神構造の異なる、神の作った人類の敵である。
「そら」
再び、超強力な妖力波が、カフェや月夜田達めがけ連射される。
1000マイトを軽く超える威力があり、並みの結界では簡単に打ち抜かれてしまうような物だが、
テロ魔族は鼻くそでも飛ばすように連射していた。
これが、魔族の力なのだ。
「…え」
月夜田の頭は真っ白になっていた。
さっきまでカフェと一緒にいい感じで駆け出していた気持ちが嘘のように吹き飛ばされていた。
妖力波でGSたちの陣形は崩されつつある。月夜田はほんとうにただの運の良さで一人立っていた。
「…ぇ」
次に月夜田は、瞳に映った光景に我を失うこととなる。
テロ魔族と重なり合った恐山師範が倒されたまま動かないのだ。
>「そら」
それはまるで悪夢。再び超強力な妖力波が、カフェや月夜田達めがけ連射される。
軽く1000マイトを超える威力があろう妖力波を、テロ魔族は鼻くそでも飛ばすように連射していた。
「……だめ。もうおしまいよ」
今さらご都合主義を全開にする気もなければ対した伏線もない。
テロ魔族との邂逅は、月夜田に自分には未来がないと絶望させるには充分過ぎるほどのインパクトを与えていた。
傍らのチェルノは口を真一文字に結びテロ魔族を見つめている。しかし――
「カフェちゃん。みことちゃん。今までありがとう」
にっこりと笑顔を残して、チェルノはテロ魔族に疾駆しようとした。
彼女は、さっき見た牧街の自爆技を自分の妖力で行うつもりだった。
でも、おにぎり姫に襟首を掴まれて引っ張られて、床にもんどりうって倒れこむ。
「おまえが自爆したって倒せる相手じゃない!ここは逃げて逃げて奴を消耗させるのさ!」
とおにぎり姫が叫べば
「牧街さんみたいに?」と月夜田が返す。
その名前に少しほっとすることに月夜田は自分でも驚いていた。
「あんな巨大なエネルギーを放出し続けられるわけがない。
鼻くそだって穿り過ぎたら鼻血がでるだろう?」
「それなら守りと避けに専念して時間稼ぎして何とか活路を見つけなきゃ。
そんな作戦でいい?カフェさんは。でもそのまえに……」
カフェの返答は聞かずに、月夜田はテロ魔族に叫ぶ。
「ちょっとちょっとテロ魔族さん!あなたはカフェさんに強い憎しみを抱いていたんじゃないの?
もしかしてもう飽きちゃったの?すっごいカフェさんを嬲りたかったんじゃなかったの〜?」
悪いけど、カフェをオトリにすることにした。テロ魔族の足元の恐山師範を救出するために。
しかし次の瞬間、GSたちは意外なものをめにすることとなる。
「があああああ!」
先程、狸と狐に真っ二つにされた隊乱闘だ。
隊乱闘は自分の体を両手で抱きしめて固定しながらズンズンと走ってくる。
「ひ!あいつ不死身なの!?」
驚く月夜田を大股で通り過ぎ、隊乱闘はテロ魔族に突っ込んでいく。
どーん!
「助太刀にきたなりー!」
聞き覚えのある声が隊乱闘の割れ目から聞こえた。
すると隊乱闘は、右手で恐山師範の足を掴みカフェらに放り投げる。
「おらゃおらゃおらゃおらゃ…おらゃーーっ!!」
続いて左手でテロ魔族へ拳骨の雨あられ。
「なにあれ…?カフェさん、なにあれ?」
月夜田には意味がわからなかったが
実は、腹痛が治った猫又のまっちゃが隊乱闘に憑依して乱入してきたのだった。
「いまこそ護国のため。正義のため。テロ魔族の野望を粉砕するときなり!」
まっちゃの叫びが闇にこだまする。
【まっちゃが登場しちゃったらダメでしょうか?だめなら
>>445のレスはなかったことにして下さい】
ある意味勇者達とついに対面したラスボステロ魔族の言葉は、至極あっさりとしていた。
>「………来たんだ。」
「なぬ、それだけ!? 仰々しい前口上を用意しておらんとは怪しからん!!」
>「一斉攻撃だ!一気に勝負をつける!!」
各々格好よく技を繰り出そうとする一同に向かって、何の前振りもなくテロ魔族は協力な妖力波を放ってきた!
つくづく様式美にそぐわない奴である。
>「がぼっ!?」
「恐山師範!?」
カフェは、一瞬にして理解した。圧倒的な力の差を。
いや、そんな物はずっと前から分かっていたはずなのに、さっきまでなんとなく力を合わせればなんとかなるような気がしていたのだ。
>「来ちゃったからには皆殺しにすっから。…行くよ。」
カフェは自分の判断ミスを呪った。
柱の一本を頑張って破壊して今日の所の混乱はおさめるという選択肢もあったはずだ。
否、柱の破壊なんてしようとしていたら、結局こいつが放っておかないだろうから、結果は同じか――。
どの選択肢を選んでもどう足掻いても負けるシナリオだったのだろうか……。
>「そら」
「……くっ」
ゴスロリ傘でガードするも、防ぎきれずに吹っ飛ばされる。
「みこと殿、無事か!?」
>「……だめ。もうおしまいよ」
そんな中チェルノが自爆しようとしておにぎり姫にとめられ、おにぎり姫が活路へのヒントとなる発言をした。
>「それなら守りと避けに専念して時間稼ぎして何とか活路を見つけなきゃ。
そんな作戦でいい?カフェさんは。でもそのまえに……」
「名付けてMP兵糧攻め! その作戦乗ったあ!」
>「ちょっとちょっとテロ魔族さん!あなたはカフェさんに強い憎しみを抱いていたんじゃないの?
もしかしてもう飽きちゃったの?すっごいカフェさんを嬲りたかったんじゃなかったの〜?」
「何を言っておるのじゃ!?」
と、口では言いながら、心の中でみことにGJを送った。
嬲る、という事はすぐには殺さないという事だ。
これでテロ魔族の嗜虐心に火がついてくれれば、時間が稼げる。
>「があああああ!」
その時、真っ二つの隊乱闘が走ってきて…
>「助太刀にきたなりー!」
隊乱闘に突っ込んで行った。ヒーローは遅れてやってくるものなのだ!
>「いまこそ護国のため。正義のため。テロ魔族の野望を粉砕するときなり!」
「まっちゃ殿!」
まっちゃの声を聞いたカフェの心に勇気が戻って来る。
猫師範が飛んできた恐山師範を受け止め、叫ぶ。
「皆良く聞いてにゃ。こいつを倒すのは無理にゃ!
目下秋葉原を救うには柱を一つでも破壊すればいい。でもそんな事を黙ってやらせてくれるはずはない。
だからここでこいつを足止めする者と外に出て柱を破壊する者にわかれるのにゃ!!
……ぼくちんはここで戦うにゃ!」
パーティーを足止め組と柱破壊組の二つに分ける提案。
戦力が減ってしまう危険な賭けではあるが、他に方法は無いように思えた。
しかしカフェは迷っていた。
自分には動物のすばしっこさも、鉄壁の防御も、水のような受け流しもない。
普通に考えてここで足を引っ張るよりも一刻も早く柱を破壊する方に加勢するべきだろう。
しかし猫師匠やまっちゃを置いて行く事はできない。途方に暮れて呟いた。
「妾はどうすればいいのじゃ……?」
【まっちゃ殿とまた会えてとても嬉しいぞ!】
>>445 今のカフェさんも前からいたカフェさんのキャラを使ってるわけですしまっちゃさんを出す事自体は構わないのですが、
次からこういう場合はいきなり文を書いて駄目だったら無かった事にするのではなく、「まっちゃさんのキャラを使いたいのですがよろしいでしょうか?」と、文に出す前に聞いてくださいね。
でないと、例えばカフェさんがいいと思って俺が駄目だと思い、カフェさんが文章に登場させた後に俺が駄目です消してくださいと言った際にカフェさんまで文章の訂正をする必要が出てくるからです。
それと当然ですがまっちゃさんが戻ってきたらキャラはまっちゃさんに返上してくださいね。
文章内容自体は問題ありませんよ♪
テロ魔族の猛攻に、守勢に転じるしかないカフェ達。
その光景に、テロ魔族は相変わらずやる気無く攻撃を続けんとする。
>「ちょっとちょっとテロ魔族さん!あなたはカフェさんに強い憎しみを抱いていたんじゃないの?
もしかしてもう飽きちゃったの?すっごいカフェさんを嬲りたかったんじゃなかったの〜?」
月夜田の言葉にも、テロ魔族は全く反応せず、一方的な攻撃を続行する。
まるで言葉が届いていないような、表情一つ変えないガン無視だ。
…それは例えば何か弱小な虫の巣を壊す人間が、威嚇する虫を放置するような冷淡とした態度である。
今までもテロ魔族は毎回現れる度に、カフェ達と遭遇した際も、ほとんど一方的に自分の都合だけを話、問答無用で後は実行してきている。
多分今回もカフェ達が何を言っても、テロ魔族が行動を変える事など無いだろう。
そう、カフェ達の力ではテロ魔族に「五月蝿い」と言う感情すらも現段階ではできないのだ…。
それほどまでに、力の差は圧倒的…。
特殊能力で無敵なのでも無く、様々な要素が合わさってできている限定的な最強でもなく。
数千年、数万年の時を存在し続けて養った戦闘能力、自力の圧倒的な差…。
あの美神令子がメデューサという魔族の中間管理職的な存在と香港で戦った際も、メデューサは美神が仲間達と全霊力を集め、更に相乗させて放った霊力波を、メデューサは半笑いで消滅させている。
それほどまでに、人間と魔族の実力差は決定的なのだ。
(あーあ、つまんねー、ちょーつまんねー…)
彼我の実力差から、全くやる気なく霊力波を撃ちまくるテロ魔族。
嬲り殺す事すら面倒くさいのだろう。
物を散らかした机の上を片付けるように淡々とカフェ等をテロ魔族が追い詰めんとした、その時!
>「助太刀にきたなりー!」
突如、真っ二つになった隊乱闘が室内へと乱入してきた!
これにはテロ魔族も多少興味を示したようだ、珍しい虫が部屋に入ってきたような対応をして…。
「何だこんなもんか…」
隊乱闘の放った拳の連撃をひょいひょいと上半身だけ動かして簡単に回避、すばやく隊乱闘の懐に潜り込み…。
「ふんっ!」
隊乱闘の胴体を妖力の篭った腕で殴りつけた。
恐山師範を一撃で倒した拳だが、流石に隊乱闘の体を一撃で破壊するには至らない。
それでも、隊乱闘はバランスを崩し、よろよろと後ろに後ずさってしまう。
更にテロ魔族は追い討ちをかけんとするが…。
「水竜連撃!」
「ダブル妖力波!!」
横からウンディーネと化け狸、狐が同時攻撃を放って来たので、やむなく中断、身軽にジャンプ、
ひらりと飛んだテロ魔族が今までいた所を、強力な妖力波と水の竜の群れが通過した。
そこ目掛け、ぜるだが精霊石を投げつける。
ジャンプしている状態ならばと懇親の力で正確にテロ魔族目掛けて投げられた精霊石は、しかしこれもあたらない。
テロ魔族が「空中を蹴って」精霊石の爆発を回避したのだ。
そう、魔族には飛行能力がデフォルトで備わっているのである。
ひらり着地し、再び攻撃に転じようとしたした時、テロ魔族の耳に猫師匠の必死の叫びが聞こえた。
>「皆良く聞いてにゃ。こいつを倒すのは無理にゃ!
目下秋葉原を救うには柱を一つでも破壊すればいい。でもそんな事を黙ってやらせてくれるはずはない。
だからここでこいつを足止めする者と外に出て柱を破壊する者にわかれるのにゃ!!
……ぼくちんはここで戦うにゃ!」
それを聞いたテロ魔族が、はっきりと、今まで感情を全く感じられないほどにてきとーな感じで戦っていたテロ魔族が物凄くはっきりと感情をあらわにした。
片手で頭を抱え、はーっとため息をつき、もう片手を前に出し、わかったわかったもういいと手首をちょいちょいと動かす…。
「呆れた」のだ……。
余りにも、余りにも差のある実力と、カフェ等の立てた作戦に、テロ魔族は察した。
本当に勝負にならない事を…。
どうなっても「自分が負ける事が無い」事を…。
「…………もういいわ、帰って」
呆れたポーズのまま、テロ魔族はそう言った。
殺意とか、怒りとか、そういう物は感じられない。
本当につまらない、本当に面白くない、そんな感情だけがテロ魔族から伝わってくる。
「何って言うかこう…、殺す価値が無いわ。帰って」
そう言って、テロ魔族は部屋の中心の、『『『この空間を制御している石碑のようなオブジェのような黒い物に触れ』』』、部屋の隅にここに来る時に出現していたゲートと同じような物を出現させるた。
ここ、テストに出る重要なとこなので、物凄く強調しました。
ここでゲートをくぐれば、生還できるかもしれない。
無理だった、精一杯やった、他の誰かが秋葉原を救ってくれる、命が一番大事…。
だが、いかなる理由を述べても、秋葉原を見捨てる事に変わりは無い。
時間は無い、早くしないと、テロ魔族の気が変わってしまうかもしれない。
>「名付けてMP兵糧攻め! その作戦乗ったあ!」
カフェは日傘をクルッと回して決めポーズ(想像)
「さっすが私の師匠!ノリがちがいすぎる!」
月夜田も神通棍を突き出し、空元気全開のやる気をだして見せる。
だめとわかっていても、希望をもたなくてはどうにもならない。
ただ泣いてるだけなら田んぼのカエルでもできるのだ。
でもテロ魔族の霊力波は尽きることもなく、まっちゃの奇襲も跳ね除けて
水竜連撃、ダブル妖力波といったGSたちの攻撃もいとも簡単に避けてしまう。
やはりどう見ても歴然とした力の差があった。
>「皆良く聞いてにゃ。こいつを倒すのは無理にゃ!
目下秋葉原を救うには柱を一つでも破壊すればいい。でもそんな事を黙ってやらせてくれるはずはない。
だからここでこいつを足止めする者と外に出て柱を破壊する者にわかれるのにゃ!!
……ぼくちんはここで戦うにゃ!」
聞こえてくる猫師匠の声。
するとテロ魔族は呆れたかのように
>「…………もういいわ、帰って」
「え」
>「何って言うかこう…、殺す価値が無いわ。帰って」
「……自分から招待しといて、もう帰れって失礼過ぎるわ。
つか、帰るわけないでしょ。この戦いは私にとって勝ち負けに意味はないけど
終わり方にはすごく大切な意味があるのよ。出来なかったのとやらなかったのじゃ
雲泥の差があって、おばあちゃんになってからあの時どうして帰っちゃったのかなって
後悔なんてしたくないんだからー!」
たぶん、ここで帰ってしまったら色々な意味ですべては終わる。
テロ魔族の話は自分達の元から離れて遠い世界の物語へと変わってしまう。
ここに来ても、月夜田みことは、夢見がちな気持ちを捨て切れてはいなかった。
常識から考えたら自殺願望でもない限り、あのゲートをくぐって帰ってしまうのが普通だろう。
でもその先の未来にはなにかがあるって信じたい。
諦めとか後悔とかを引きずったまま人生のスパイスにするなんて月夜田にはまだまだ早い。
「猫師匠。あれを見て…」
テロ魔族が触っている石碑のようなオブジェのようなものを見つめながら
月夜田は小声で囁く。すると猫師匠もわかったにゃと言った風にアイコンタクトで返してくる。
石碑に触れたテロ魔族は部屋の隅にゲートを出現させた。
ということはつまり、あれを制圧出来たら戦況は大きく変わるはず。
最悪の場合、破壊してしまえば、テロ魔族の野望は潰えるかもしれない。
「ちょっと待ってー!タ〜イム。帰る人と帰らない人を確認しまーす」
月夜田はテロ魔族にそう言って、みなと話し合うことにした。
「テロ魔族が触れているあの石碑みたいのは、色々なものを制御してるみたいだから
使い方がわかったら利用できそうね。でもあーいうのって使い方のわかる人ってここにいるの?」
と、月夜田が皆に問えば、チェルノが
「その前にあの石碑からテロ魔族を引き離さないとダメぢゃん」
と、興奮気味でつっこみをいれてくる。
「じゃあ、みんなで気付かないふりしてテロ魔族にアホみたいに戦いを挑んで隙をつくる。
そのどさくさに紛れて石碑の周りに結界を張って時間稼ぎをしてるうちに、カフェさんか誰かに石碑を操作してもらったら?
石碑に密着するようにしてたら、超霊力波も簡単に撃てないだろうし逆に安全かも。
うまくいったら黒い壁も消すことが出来るかも知れないしいい考えじゃない?」
「壁を消すなんてことは出来ないだろう。ただ現状維持はそれほど難しいことではない。
としたら私たちの誰かが、中と外との道が通じているということを、外の人間に知らせる必要もあるだろう」
とおにぎり姫が語れば、皆が月夜田を一斉に見つめる。
「ふぇ?…わたし?わたしにそれをやれっていうの?」
わたし、コテなんですけど〜それってNPCの役目じゃ…。そこまで言いかけてやめる月夜田。
「みことちゃんは正直言って足手纏いかな」
「おまえがいけ役立たず。すこしは役にたってみせろ」
妖怪たちはそう言って月夜田のお尻を叩く。
「う、う〜、カフェさ〜んたすけて〜。みんなに反論して〜」
実際、実力不足の月夜田には返す言葉もなく、目に涙を浮かべながらゲートの前に歩む。
これは勝つための作戦だから、月夜田にはそれほど後悔の気持ちはなかった。
でも、かなしみが胸いっぱいに溢れてくる。こんな優しい人たちや妖怪たちを置いていくなんて辛い。
自分が神様だったらテロ魔族なんかではなくて、この人たちに強い力を与えてあげたのに、とも思った。
月夜田はゲートに入ると、黒い道をてくてくと歩いてゆく。
もしも外に出れたらオカルトGメンや警察にゲートが繋がっているということ、
もしくは壁の中で、三流GSたちが外界との道を開くために懸命に頑張っているということを伝えることだろう。
でも今は後ろ髪を引かれる気持ち。仲間の叫び声を聞いたりしたら月夜田の気持ちは大きく揺らぐことだろう。
いっぽうテロ魔族の拳を腹部に受けて、痛みに我慢しながら立ち尽くしている隊乱闘ことまっちゃは
山猫又の化身らしく超聴覚で月夜田たちの話し合いを聞いていた。
「石碑を制圧して外界との道を確保するなりね。
それならおらがテロ魔族をふっとばしてみせるなり!」
雄たけびと共に、隊乱闘の両眼に再び火が灯る。
両足の巨大な筋肉は尋常ではない爆発力を生み出し
その巨体を地響きと共に疾駆させる。
そしてテロ魔族に衝突せんとしたその時。
両手を広げ、その巨体でテロ魔族を押し潰さんと倒れこむ。
その刹那、まっちゃは憑依を解除して隊乱闘の背を踏み板にし跳躍。
前のめりに倒れこむ巨体は、テロ魔族に死角を与えることだろう。
その死角を利用してまっちゃはテロ魔族の背に回りこむと、脊柱に手刀を一突き。
テロ魔族に憑依することに成功すればその記憶から、石碑の操作方法を奪おうとすることだろう。
【月夜田みこと:ゲートを通り外界に出ようとしている】
【まっちゃ:石碑の操作方法を奪おうとテロ魔族に憑依を試みる】
>「…………もういいわ、帰って」
「なぬ!? 帰ってよいのか!?」
>「何って言うかこう…、殺す価値が無いわ。帰って」
予想外のテロ魔族の言葉に、思わず聞き返すカフェ。それに対し、淡々とゲートを出現させる魔族。
その時、見えた。部屋の中心に向かって漫画のように集中線が見えた!
『この空間を制御している石碑のようなオブジェのような黒い物』を思いっきり強調している!
>「ちょっと待ってー!タ〜イム。帰る人と帰らない人を確認しまーす」
話し合いタイムが始まった。云々かんぬんあーでもないこーでもない以下略。
そして作戦が決まった。
>「う、う〜、カフェさ〜んたすけて〜。みんなに反論して〜」
「よし! このままでは埒があかん、皆で帰ろうぞ!」
わざとテロ魔族に聞こえるような大声で言いながら、カフェはみことの背中をポンッと叩いて送り出す。
重要な役目じゃ、頼んだぞ、と言うように。
何の役目かというと、もちろんこのまま大人しく帰ると見せかける役目だ。
そして自分もさも帰る準備をするように隅の方に置いてあったアタッシュケースを持つ。
最後の戦いが始まった!
まず巨大な化けたぬきと妖狐が狭いゲートの入り口に同時に殺到し、喧嘩を始める振りをする。
「とっとと道を譲らんかい!」
「どけ、私が先じゃ!」
「二人とも、おにぎりでも食べて落ち着くのじゃ……あっ」
おにぎり姫がおにぎりを出し、部屋の中心に向かって落とした振りをして転がす。
「こりゃ、何落としとんじゃ」
「もったいにゃいからぼくちんが食べるにゃ」
それを拾いに行く振りをするカフェと猫師匠。
黒い物体の近くまで来てカフェはおもむろに精霊石を投げ爆発を起こす。せめてもの目くらましだ。
猫師匠が8tと書かれたハンマーに化け、カフェがそれを振り上げる。
「必ず”皆で”帰る!! おおおおおおおおおおおお!!」
>「石碑を制圧して外界との道を確保するなりね。
それならおらがテロ魔族をふっとばしてみせるなり!」
再起不能かと思われた隊乱闘まっちゃが力を振り絞って突進。
巨体を駆使して倒れ込み、刹那の間死角を作る。
その隙にカフェが黒い物体に向かってハンマーを振り下ろした!
黒いゲートを開けたテロ魔族は、ぽりぽりと頭をかきながら月夜田の言葉を聞く。
>「……自分から招待しといて、もう帰れって失礼過ぎるわ。
黙ってぼーっと月夜田の話を聞いていたテロ魔族は、月夜田が話し終わると。
「あそ、んじゃ殺すわ」
ふっつーーーに殺しにかからんとする。
腕に霊力波をチャージし、再び攻撃を開始せんとした、その時。
>「ちょっと待ってー!タ〜イム。帰る人と帰らない人を確認しまーす」
タイムがかかり、試合は一回目のハーフタイムに入った。
「……いや、いいけどね、忙しいかって言われるとそうでもないし」
案外あっさりタイムを認めるテロ魔族。
呼んでおいて帰れとか言ってみたり、相変わらず声の調子も単調で、表情も仮面をつけているため伺えない。
それは強者故の余裕か、それとも……。
「…」
無言、ただひたすらの無言で、テロ魔族は一同を黙って見つめている。
月夜田がゲートに消えても。
狐と狸がゲートの前で喧嘩を始めても。
カフェがおにぎりを追いかけて黒い石碑に近づいても。
そして、隊乱闘まっちゃがつっこんで来ても。
テロ魔族はじっと黙ってその場に立ち続け…。
ガイン
っという音が響き渡るのと、テロ魔族の背後から攻撃を仕掛けたまっちゃが後ろにぶっ飛ばされるのは、ほぼ同時だった。
猫師匠のハンマーの直撃に、しかし、石碑型の黒い物体は全くびくともしない、ひびは愚か、傷すらもついてい。
石碑型の物体、それは確かにこの空間の制御装置だった。
石碑に手をかざし、制御魔方陣を起動させて念じれば、原始風水盤のように壁や、壁の中の空間を自由に制御する事ができる。
だが、破壊する事は不可能に近い。
なぜならば、この石碑も、柱も、外の壁と同じ物…いや、外の壁の本体こそがこの柱と、そして石碑なのだ。
故に、宇宙を破壊できるだけの力が無ければ、これらは破壊できない。
そして、石碑を用いて宇宙を制御するための魔方陣を起動させるには、起動に必要な形と出力に霊力を調整して石版に放出する必要があり、それを解析する事は不可能ではない。
だが、言うならば鍵となる霊力波を発見する事は5桁以上のナンバー式の南京錠をヒント無しで開ける様な物であり、莫大な時間がかかるだろう。
カフェ達にはそんな時間は…無い。
「……」
まっちゃを吹き飛ばしたテロ魔族の武器、それは「黒い羽」だった。
テロ魔族の背中から、白鳥の翼のような、それでいて漆黒の羽が現れ、それが勢いよく飛び出した事で、まっちゃを吹き飛ばしたのだ。
同時に、周囲の霊気…いや、妖気が、寒気を感じるほどに冷たくなる。
それは…テロ魔族が本気を出した事を意味していた。
周囲に圧倒的な妖気を、恐怖を、威圧感を放つテロ魔族。
最早その腕の一振り、いや、眼球の少しの動きで、自分は死ぬのではないだろうか。
そんな事をその場に立つものに感じさせるほどの殺気を体中からあふれさせながら、テロ魔族はゆっくりと、手を動かし…。
黒いゲートを指差した。
「……わかったろ?さぁ、帰れよ。」
そして、又、テロ魔族は帰れと言う。
相変わらずの呆れを含んだ調子で。
力の差がわかったろうと、もう何をしても無駄だと悟ったろうと…。
「な…何故だ!何故お前は我々を一掃できる力をもっていながら、帰れなんて言うんだ!」
「そうじゃぞ!元々呼んだのはお前の方じゃろう!」
その圧倒的な力に、思わずウンディーネと化け狸が質問した。
そうだ、何故、テロ魔族はこれほどに帰れ帰れと…わざわざ力の差を明確にしてまで言うのか。
本当は実力が無いから?
違う、それは実際に戦ったからわかる。
では…
「そんなの決まってるじゃないか、そこの秋葉茶子が終生…死んでから後悔し続けさせるためさ」
彼等の質問に、テロ魔族…いや、テロ堕天使はさも当然のようにあっさりとそう言った。
「あの時もしかしたらああできたんじゃないか、あの時もしかしてああしていたら、もっとああできたら…。そんな事を秋葉茶子が考え続けて、後悔しながら生き続けてほしい、ただそれだけなんだな、僕は」
「そんな事をして何の意味がある!」
「意味?」
テロ魔族はその質問に、ようやく、あのいつもの…いや、いつも以上の感情をあらわにする。
即ち…喜び。
「大きな仕事をやっている、自分へのご褒美かな♪」
快楽に満ちた楽しげな口調と、世界全てを見下したような雰囲気で、テロ魔族は語る。
「こんな大きな役目をやる僕を慰めるために、僕は最初こんな風に願った。
僕の仕事を邪魔した秋葉茶子が、一生壁の外で苦しんでほしいって。
だから来ない前提であのチケット渡したのに馬鹿な君はノコノコやってきて…。
残念だったよ、『僕の願ったとおり』にならなかったんだから。
でも僕は諦めなかった!!」
ぐっと拳を握り、テロ魔族は今度は決意を胸に語りだす。
「来てしまったのなら、君が諦めと後悔そして誰かがいつか何とかしてくれるんじゃないだろうかという少しの希望を胸に『自分の意思で』ここから逃げ出してくれれば、それは最初に願った願いと大差無くなる!」
言って、テロ魔族はゲートを指差す。
「さぁ、秋葉茶子ちゃん、つれてきた皆をつれて、あのゲートから帰るんだ。
君には長生きして、ここで見た事を一生心にとどめて、そして苦しみ続ける義務がある。
なぜなら君は世界の均衡を保とうとしている僕を邪魔したからだ。
僕の心の慰めのために、生き残り、生きて生きて生きて、そして死ぬんだ。
だから帰りたまえ。
さもなくば…。」
テロ魔族は、一泊置くと、ばさりと羽をはためかせた。
冷たい風が一同を包む。
殺気と、…絶望を帯びた風が。
「ここで、何の意味も無い死を迎えて、そして永劫苦しむ事になる。
…もう作戦タイムは無しだぜ。」
月夜田が闇の中を抜けると、そこは…。
「おい!誰か出てきたぞ!」
「例の、妖怪達か?それとも師範達か?」
「どっちでもない!女学生だ!誰だこいつ!」
「敵か!」
「落ち着け!人間らしい!」
どこかの道場にアサルトライフルを備えた土嚢と結界に守られた陣地が並んだ世にも奇妙な場所だった。
「貴様は何者だ!」
土嚢の壁の向こうから男の怒声が聞こえる。
彼等は緊張と得体の知れない者への恐怖で熱くなっており、迂闊な言動で発砲されかねない。
後ろに戻ろうにも、どうやらこのゲートも一方通行のようだ。
ちなみに、月夜田は恐山流除霊道場に来た事は一度も無い。
>「貴様は何者だ!」
「あ…あの、わたしは月夜田みことです。秋葉流のGS見習いです。
決して妖しいものではありません。黒い壁のなかでカフェさんや
牧街さんや恐山師範と一緒に戦って、い、いました…」
月夜田の語尾が震え始める。壁の向こう側では意外とケロッとしていた月夜田だったけど
ここに来て少し冷静な思考を取り戻すと、恐怖と涙があふれ出してきて止まらなくなってきたのだ。
「このゲートの向こうでは、まだカフェさんたちGSが戦っています。
たすけてください!はやくしないと皆殺しにされてしまいます!」
「…えーなんだって!?」
助けを求められた恐山の門弟たちはゲートに進もうとした。
しかしゲートは一方通行。
「どういうことだ!?進めないぞ!」
「そ、そんな…。じゃあここで待っててください!絶対にゲートは繋がります。
中にいるカフェさんたちが何とかしてくれるはずです!」
喉もからからで叫ぶ月夜田に、恐山の高弟の一人が毛布を持って介抱してくれた。
「うう…。牧街さんが…、恐山師範が…」
息も絶え絶えの月夜田は、恐山流の人たちにこれまであったことを伝えると意識を失ってしまう。
一方、壁の内部。
「……うくく…くだらないなり。おまえの考えは勝手すぎるなり。
おらたちがカフェには後悔させないなりよ。ぜったいに…」
まっちゃは太ももをぷるぷるさせながら気力を振り絞って内股で立ち上がる。
すると幻覚か、カフェと何か赤いずきんを被った恐ろしく強そうな人が重なって見えた。
「カフェ。おらは今まで一緒に戦えて嬉しかったなり。
いまわかったけど、カフェはおらたち猫又族を救ってくれた人の子孫なりね。
だから、おらは後悔しないなり。たとえここで死んでも、
カフェが壁の外で生きることを選んでも…」
まっちゃは眠るように半透明になってゆくと仄かに光り輝いていく。
「でも、もしもカフェが、最後までテロ魔族と戦うというのなら
おらの力を使って欲しいなり。たとえテロ魔族は倒せなくても
きっと奴をあのゲートの外へ吹き飛ばすほどのエネルギーは生み出せるはずなりよ」
そういい残すと、まっちゃは光り輝くモチのようなものに姿を変えて
カフェの目の前にぷかぷかと浮かんでみせた。
「あのひきこもりテロ魔族を、壁の外に出してや…る……な………り…………」
まっちゃの言葉はカフェの耳に微かに聞こえると、どんどん遠くなっていった。
猫師匠ハンマーの前に、石碑型の物体は砕け散る……とは問屋が降ろさなかった。
パリーン→しまった!→油断したお前の負けじゃあ!
を思い描いていたカフェは想定外の事態にすっかりパニックである。
黒い羽根を出したテロ魔族を前に右往左往する。
「ど、どどどどど…」
>「……わかったろ?さぁ、帰れよ。」
しかし尚、テロ魔族は帰れと言う。
>「な…何故だ!何故お前は我々を一掃できる力をもっていながら、帰れなんて言うんだ!」
>「そうじゃぞ!元々呼んだのはお前の方じゃろう!」
>「そんなの決まってるじゃないか、そこの秋葉茶子が終生…死んでから後悔し続けさせるためさ」
そしてテロ魔族は嬉々として語る。カフェを一生の後悔に突き落とす事の喜びを。
「何が自分へのご褒美じゃこのスイーツ魔族め!
一瞬人知を超越した遥か高みの精神を持っているのかと思うたが……
人を不幸にして喜ぶなんぞ人間と同レベルではないか!
それも人間の中でも最も歪んだ部類と同じじゃ!」
言ってしまってからしまったと思うカフェ。ヤバイ、殺される!
その時まっちゃが、半透明になって光輝く。
>「カフェ。おらは今まで一緒に戦えて嬉しかったなり。
いまわかったけど、カフェはおらたち猫又族を救ってくれた人の子孫なりね。
だから、おらは後悔しないなり。たとえここで死んでも、
カフェが壁の外で生きることを選んでも…」
「まっちゃ殿、どうしたのじゃ……!?」
>「でも、もしもカフェが、最後までテロ魔族と戦うというのなら
おらの力を使って欲しいなり。たとえテロ魔族は倒せなくても
きっと奴をあのゲートの外へ吹き飛ばすほどのエネルギーは生み出せるはずなりよ」
「本当か……!?」
たとえ倒せなくても、ゲートは一方通行だから外に吹き飛ばしてしまえば締め出す事は出来る。
後はお稲荷さんでも派遣してスーパーコンピューターのアナスタシアさんを呼んで石碑を解析してもらえば……
>「あのひきこもりテロ魔族を、壁の外に出してや…る……な………り…………」
「まっちゃ殿、お主の想い、無駄にはせぬ!」
カフェは光輝くもちを食べ…ずに、頭の上に乗せた。
まさか二番弟子を食べてキャラロストさせるなどという暴挙が出来るはずはない。
後で復活するとしても、復活時にどこから出てくるんだと考えると悲惨な事になりそうな予感がするのでやめておく。
頭に光輝くモチを乗せて餅入り抹茶ラテとなったカフェは……
「おちゃっぱカテキン!!」
夢の中でまっちゃと合体した時に使った技を繰り出した!
緑色の突風が巻き起こり、テロ魔族をゲートに向かって吹き飛ばさんとする。
まっちゃの命をかけた想いが、再び抹茶カフェを生み出し、二人の想いが、命が、希望が、詰まった風が、テロ魔族に吹きすさぶ!
が……
「……なるほど、最後まで勝てないって理屈も、負けた後どうなるかも、想像できなかったわけだ」
おちゃっぱカテキンの突風を、まるで海風でも受けるように平然と受けながら、テロ魔族はそう言った
自力の圧倒的な差。
それは自爆技を使ってなお、埋める事はできなかったのだ…。
後カフェ達を待つものは…。
絶…
「超水竜トルネード!!」
ウンディーネが全身からすさまじい水を竜巻の用にして、力一杯テロ魔族にぶつかった!
すさまじい濁流が突風に乗ってテロ魔族の下半身を飲み込み、ゲートへと押し流さんとする。
だが、テロ魔族はまだ平然としている。
待つものは絶望…
「W超強力妖力波!!」
狐と狸が妖力を搾り出し、テロ魔族の腹めがけて二人のエネルギーを相乗させた必死の妖力波をぶつける!
だが、テロ魔族の姿勢は崩れない。
絶望…
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぅぅぅうぅううぅぅぅうううううううううううううううう」
巨大なおにぎりと化したおにぎり姫がすさまじい速度で高速回転しながらテロ魔族へ特攻する!
だが、テロ魔族が拳を一振り……粉々に粉砕されてしまった。
絶望……。
絶望。
絶望。
「カフェさあああああああああああああああああああああああああああん!!」
その時だ!
入り口の扉をばんっと開け、肩においなりさんを乗せた牧街が勢いよく室内に入ってきた!
何故か傷がすっかり塞がっている牧街は凄まじい速度でテロ魔族へと向かっていく!
「どいつもこいつも……」
テロ魔族が懇親の拳でそれを迎え撃とうとした、その時!
「 後 任 し た ! 」
牧街はその横を通り抜け、さっさとゲートの向こうへと消えてしまった…。
しばしぼーぜんとする一同。
そして。
「なんだったんだあいつは!」
「ふざけんな!一人で逃げるな!」
「ほんの刹那でもあんな奴に期待した私が馬鹿だった!」
「まあアアアアアああああああああああきいいいいいいがいいいいいいいいいい!大概にせぇええええええええええええ!」
「!!??」
その牧街の有様に、妖怪達は怒りのパワーアップ!
不意打ちとパワーアップにテロ魔族は思わず体勢を崩し、数歩よろめけば、水が脚を取り、腹をぐいぐい妖力波は押し、風が吹き付けて体制を戻せず、更にそれなら元を断とうと攻撃しようにも体中に米粒になって硬くなったおにぎり姫がまとわりついて上手く体を動かせない!
「な……ななな!?」
混乱してよたよたとゲートまで押されていくテロ魔族。
しかしこのままではまずいと懇親の力を篭め、踏みとどまらんとする。
テロ魔族が体制を立て直せば、妖力波であっという間に一同は蹴散らされてしまうだろう!
何か、何かここで更にテロ魔族を怯ませる力が必要だ!
茶々の子孫、秋葉茶子に後悔はさせたくない。
カフェが例えどんな選択をしようとも、まっちゃは彼女に後悔だけはさせたくないと思っていた。
そしてカフェが選んだ選択は…
>「おちゃっぱカテキン!!」
テロ魔族との決戦。
>「……なるほど、最後まで勝てないって理屈も、負けた後どうなるかも、想像できなかったわけだ」
カフェとまっちゃの合体技を物ともせずに、テロ魔族は平然としていた。
おまけに後から繰り出した妖怪たちの技を受けても微動だにしなかった。
最早一同に待つものは絶望。そう誰もが諦めかけた時だった。
>「カフェさあああああああああああああああああああああああああああん!!」
牧街が現れ、颯爽とゲートへと消える。
それを見た妖怪たちは怒りを沸々と滾らせパワーアップ!
>「な……ななな!?」
思いがけない妖怪たちの反撃に、混乱してよたよたとゲートまで押されていくテロ魔族。
しかし寸でのところで踏ん張っていた。あと一押し。あと一押し出来さえすればテロ魔族を外へ吹き飛ばすことが出来るのに…。
かたや黄金のモチへと変化したまっちゃはおちゃっぱカテキンの使用でその光とともに妖力を失いつつあった。
夢のなかとは違い、現実世界での技の使用は負担がすごくかかるらしい。
それでもまっちゃは、迫り来る死の痛みや恐怖を耐え忍びカフェに妖力を与え続ける。
ここで妖力の供給を止めてしまえばすべては水泡と化してしまうからだ。
この戦いが終われば、きっと秋葉茶子はカフェになれるはず。
茶子が生み出した理想の正義の存在カフェに。だから……。
「カ…フェ…もっとおらの力を使うなり…。そうすればテロ魔族をもう一押しできるなり。
ずっと憧れていた理想の自分になれるなりよ……くっ…」
ついにモチは光を失い、その身にぴきぴきと亀裂を生じさせ始めた。
――まっちゃが意識を失うと、その混濁した精神世界に登場したのはなんと赤頭巾茶々。
彼は悲しそうな目でまっちゃを見つめていた。
「茶々どの…。ということはここは天国なりか?カフェはテロ魔族を吹っ飛ばしたなりか?
ん?どうしたなり?そんな悲しそうな目でみつめちゃいやなりよ。やっと、会えたなり。笑ってほしいなり…」
照れくさそうに言葉を吐くまっちゃ。今の茶々は温泉で見せた中年変態の姿ではなく、
頭に赤頭巾を被った半裸の美青年の姿であった。
まっちゃと赤頭巾茶々が数百年ぶりの邂逅を果たしていた時、
それとは別にテロ魔族の体にはさらにゲートへと押し込める力が加わっていた。
否、正確に言えば引っ張る力。それはゲートの奥、外の世界から伝わってきていた。
牧街の肩に乗っていたお稲荷さまが、霊糸で編んだ自分のチャンチャンコの糸を
すれ違い様テロ魔族の首に絡めて、牧街に繋げていたのだ――――
「おお!牧街だ。牧街が帰ってきたぞ!」
恐山の門下生の歓声に、気絶していた月夜田が目を覚ます。
彼女は飛び起きて、通報を聞いて駆けつけたオカルトGメンや
警官の込みあうなかをよたよたと駆け抜けていく。
「…カフェさんは?。みんなは?」
牧街が朗報とともに現れるものだと月夜田は信じていた。
でも、様子がおかしい。なんか変に元気になっているし、まさかと思う。
「まさか…自分だけ逃げてきたとか…」
まさかのまさか。月夜田はくらくらと立ち眩む。
でも仲間を見捨てて逃げてきたことは誰にも責められない。
だけど月夜田には納得がいかなくて、すっと平手打ちの構え…
「牧街さん、あなた…仲間のことを見捨ててきたの?どうしてなの!?
あなたはカフェさんのことを好…」
きなんじゃなかったのー!?と言いかけ、牧街の頬を叩こうとしたらお稲荷様が…
「この霊糸はテロ魔族に繋がっています。
みんなで引っ張ってテロ魔族を引きずり出してくださいっ!」
と皆に叫んだから、月夜田は目をぱちくりさせて牧街を見つめる。
すると、二人の止まったような時間を置き去りにして、
恐山の門下生たちやオカルトGメンたちが霊糸を引っ張り始めた。
―――いっぽう、壁の内側では、恐山の門下生たちの魂の声が鳴り響き始めていた。
霊糸は糸電話のように、テロ魔族、壁の内側にいる者たちへと彼らの思いを伝え始めていたのだ。
それはテロ魔族には理解出来ない人間の感情の渦。
脆弱な人間にだからこそ備わっている愛情や絆といった感情の渦だった。
「恐山師範の仇を討つんだ!」
「壁のむこうで戦っている人たちを見捨てるわけにはいかないよ」
「みんなで力をあわせてテロ魔族をやっつけるんだ」
沢山の人間の思いがカフェたちに伝わってゆく。
同時に霊糸を伝わりテロ魔族の意識へと混入していく。
妖怪たちが加勢するも、テロ魔族の圧倒的な力の前には成す術も無く……
その時!
>「カフェさあああああああああああああああああああああああああああん!!」
「牧街殿!!」
やってくれる! 我らのヒーロー牧街なら必ずやってくれる!
一瞬、根拠の無い期待感が場を支配した。
>「 後 任 し た ! 」
「何じゃあ!?」
本当に一瞬の出来事だった。
しかし、そのおかげで妖怪たちが怒りのパワーアップを遂げる!
まっちゃが、カフェにもっと自分の力を使うように促す。
>「カ…フェ…もっとおらの力を使うなり…。そうすればテロ魔族をもう一押しできるなり。
ずっと憧れていた理想の自分になれるなりよ……くっ…」
文句なしの王道展開。
自らの命を犠牲にして、主人公に敵を撃つ力を与える仲間。
葛藤の末にその意思を汲み、決意のもとに最後のとどめを放つ主人公。
仲間の尊い犠牲のもとに救われる世界(この場合は街)。
ここでまっちゃの力を使いテロ魔族を吹き飛ばせば、なれるのだ。
ずっと憧れていた、少年漫画の主人公のような王道英雄譚の正義のヒロインに。
――本当にそうか? カフェは今一番売れている少年漫画を思い出した。
その主人公は、頑張れば何とかなると思っているお目出度い性格で、何があろうと決して仲間を見捨てないのだ。
そのくせ、毎回毎回水戸黄門のように悪は討たれてめでたしめでたしで終わるのである。
「妾はゴスロリのカフェ……オタク王になる女じゃ!
まっちゃ殿、今すぐ救急車を呼ぶぞ!」
そう言うとカフェはどこかに電話しはじめた。一体何を考えているのだろうか。
餅のような物体を運び込まれても病院も困る。
>「恐山師範の仇を討つんだ!」
>「壁のむこうで戦っている人たちを見捨てるわけにはいかないよ」
>「みんなで力をあわせてテロ魔族をやっつけるんだ」
壁の向こうの人々の想いが伝わってきた。
テロ魔族には糸が絡み付いて、引っ張られている。あと一息、本当にあと一息だ。
その時、一陣の風が吹き抜ける。
「……来たか」
カフェが呟く。そこに現れたのは、毛並みを霊力になびかせる猫バスの雄姿。
実は、先程呼んでいたのはこの猫バス。
電話一本で、時間的距離的制約を無視して一瞬で現れる驚異の交通機関である。
戦闘用の技は持たないという事もあり今まで外で待っていたのだが……。
カフェは猫バスにひらりと飛び乗り、叫ぶ。
「突っ込めぇええええええええええええええ!!」
猫バスがテロ魔族を跳ね飛ばすべく突進する!
「の…な…か…えいじぃいいいいい!?」
よろめいていたテロ魔族は不意に後ろから引っ張られ、思いっきり無様に転倒する。
そして壁の内側から伝わってくる皆の想い!
それを感じたテロ魔族は……。
(え?え?仇?いや…仇?え?)
そう、それはテロ魔族には理解できない感情。
実は愛も絆も勇気とかその辺のアレも魔族は普通に理解できるのだが、それとは別に理解できない人間の想い!
即ち…。
(何であいつ等恐山師範が倒されてるのわかるんだ!?)
即ち、「勝手に自分達の師範を亡き者にして士気高揚を図る連中の気持ち」!
それを、テロ魔族は恐山流の門下生達に自分にはわからない絆が存在するものだと過大評価して困惑する!
ちなみにテロ魔族、感覚器が大変優れているのでゲートの向こうの事はしっかり聞き耳を立てていたのだが、月夜田みことは一言も恐山師範がやられた旨を周りに説明していない。
親を驚かせようと一人で料理をやっていたら鍋にかけた火が火柱となって熱く燃え上がってしまった状態の子供のような感じで何とか体制を立て直そうともがくテロ魔族に、とどめとばかりに猫バスが突っ込んでくる!
「お…おま…ちょ!」
もうめちゃくちゃだった。
テロ魔族的に今まで散々つぶしてきた勇者達のように、こいつ等も延々自分達の正当さやら何やらを語り、そして力の差を知って逃げるか、負けるかするはずだったのだが、
いきなり妖怪共は乱入してくるわ牧街はためらいなく逃げ出すわと彼の予想を斜め上に行く事態が続き、ぐだぐだな感じでなんだかんだで彼を押し込んでいく!
追い詰められて天使から魔族に落ちた経緯を語るだとか、実はあの装置に色々細工がある事を語るだとか、そういうイベントもすっ飛ばされた!
これでいいのだ!!
これが三流のやり方なのだ!!
ギチギチに凝り固まったパターンなんぞでやって勝てれば苦労など無い!
「………これはありだ!!ありだああああああああああああああああああ!!」
そんな状況下で何故かテロ魔族はでかい声で状況を肯定しだす!
実はあの石碑のようなコントロールマシーンにはテロ魔族の本当の魂が篭っており、機械にシンクロし、なおかつその魂の心を動かさない限りこの宇宙の壁は消滅しない!
魂を動かす、と言うことは、どの道テロ魔族の長い長い年月かけ、ここまで自分を落とし、遂には自分の事だけ考える事で…笑顔の仮面をかぶる事でごまかしてきた疑問に終止符が打たれるという事だ。
それは最終的に自分の勝利を意味する。
そして、彼女達ならば自分の納得のいく回答をだし、自分に勝利を…救いをもたらしてくれるだろう。
そう思い、カフェ等の猛攻にぐいぐいとゲートへ押されながら石碑の方を見たテロ魔族はぎょっとする!
そこには、既に石碑に触れる、ニヤニヤ笑いのボロボロズタボロ傷だらけの牧街の姿があった!!
実は皆が戦ってる間に復活していた牧街は猫バスのところまで戻り、奇襲攻撃せんと運転手を自分に変身させてチャンスをうかがっていたのだ!
そして、「意識を失うと存在感が消失する」ため半分意識が朦朧としていたため、皆に気づかれずに見事石碑にコンタクト取った牧街は、どうやら中の魂に質問を受けているようである。
「え?「何故悪党も善人も等しく全てを救おうとしてはいけないのか?」だって?」
自分の長年の問いに答えようとしている牧街の声に独立した意識を持つため中の魂の気持ちがわからない、カフェ等の集中攻撃を受けてゲートへと押されている「仮面の魔族の体」。
魔族という虐げられる存在と、神族というあがめられる存在、相反する二つの物を作り、そしてその仕組みを変えないまま無限に等しい年月を歩んできたこの世界への質問。
それに対して、牧街の口から出た答えは…。
「え?…あー……タイム!!カフェさーん!それ終ったらちょっちこっちに来てください!
俺ちょっとこう…今、頭回んない…。」
……そこで、テロ魔族の体はゲートの向こうへと押し出された…。
――――――
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお俺は戻る!戻る戻る戻るうううううううう邪魔するなあああああああああああああああああああああああ!!」
ゲートの向こうへとすっげー未練たらしく押し出された「テロ魔族の体」は、でたらめに霊力波を撃ちまくりだしてきた。
だが、対するGメンも恐山流も完全フル装備でしかも予算制限なしだ!!
そう簡単には負けない!!
唸る爆発!爆発!爆発!!
そこで突如、テロ魔族の体が燃え上がる!!
見れば、Gメンと恐山流の中に、あの東京タワー事件の際に人間に味方していた魔族正規兵の姿が……
「糞……糞おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!誰か教えてくれ!答え!…答えをおオオオオオオオオオオオオ!!」
自分だけ幸せになろう何て許されない。
そういうかの用に、次の瞬間、鋭い目つきの魔族正規兵が拳の一撃をテロ魔族の腹に放ち、その胴体を貫通させた。
「……報い…?ふざけんな…そんなシステム………おかしい……」
ビシリと笑顔の仮面にひびが入り、割れる。
そこには、不条理な世界を嘆き嘆き嘆き、真っ黒になった瞳と、真っ黒い血涙の痕をつけた、とても悲しげな顔があった…。
テロ魔族は倒された。
だが、その魂は答えを求めている…。
詳しくは…まぁ、次回、説明する。
ぐだぐだだが仕方が無い!
これが三流なのだから。(便利な言い訳やな…)
猫バスにゲートの方に押されていく魔族。
>「………これはありだ!!ありだああああああああああああああああああ!!」
「なんじゃ? 気が動転したのか!?」
それは満更間違いでは無い。
あまりに型破りな攻略法(?)の連続によって、魂を動かされたのだった。
彼の視線の先では……牧街が石碑に触れていた。
「牧街殿……! じゃあ今ゲートの向こうに行ったのは……?」
よく見ると、猫バスの運転手がいなかった。
猫バスは独立した妖怪であるため、別に運転手がいなくても走るのだ。
牧街が、石碑から何やら質問を受けている。
>「え?「何故悪党も善人も等しく全てを救おうとしてはいけないのか?」だって?」
「どういう意味じゃ……!?」
思わず、猫バスに押されている魔族に尋ねる。
しかし、答えられるはずもない。ここにあるのは、魂から切り離された体なのだから。
>「え?…あー……タイム!!カフェさーん!それ終ったらちょっちこっちに来てください!
俺ちょっとこう…今、頭回んない…。」
そこで、ゲートの向こうへ押し出されていく魔族。
牧街に言われるままに、石碑の方に向かう。
そこには、テロ魔族の本体――魂が封じ込めてあった。
「人知を超えた者共が長い時間をかけて作り上げてきたシステムの理由など……分かったら苦労はせぬわ。
人間の浅知恵で答えるなら
悪党も善人も等しく救われたら……弱い人間達が善い方向に向かおうとしなくなるからではないのか?
まっちゃ殿はどう思う?」
仄かに光る頭の上の餅のような物体を両手で取って、体の前で抱いて撫でる。
復活してほしいという思いを込めて。
【>みこと殿
すまぬな、3日たっていたので先にいかせてもらったぞ】
>「人知を超えた者共が長い時間をかけて作り上げてきたシステムの理由など……分かったら苦労はせぬわ。
>人間の浅知恵で答えるなら
>悪党も善人も等しく救われたら……弱い人間達が善い方向に向かおうとしなくなるからではないのか?
>まっちゃ殿はどう思う?」
「そもそもそのシステム自体がわからないなりよ。
まあ、おらが言えることといったら自分のために頑張るしかないってことなり。
でもこの石碑が本体だったとは驚きなりね。
あのとき、テロ魔族に憑依しようとしたときに気がつけたらよかったなり。
中身のない空っぽな状態だったって…」
カフェに撫でられ、いつの間にか、モチの姿のまっちゃは元に戻っていた。
でもヘロヘロだったので、おにぎり姫から猫飯を作ってもらってもぐもぐタイム。
「あ、そういえば恐山師範は大丈夫なりか?たしか倒れてたはずなりよ。
それにマチガイも、どうやって元気になったなり?」
※ ※ ※
>「……報い…?ふざけんな…そんなシステム………おかしい……」
「…テロ魔族さん。成仏してください。
でもさ、どんな完璧なシステムを作っても文句を言う人は出てきちゃうわけで
それに反発しちゃったのがアナタだったってだけのことじゃないの?よくわかんないけど」
合掌しながら、月夜田みことは割れた仮面を見つめていた…
【遅れてしまってごめんなさい。カフェさんが先に書いててくれたので助かりました。
牧街さんも週一でしかこれないのにごめんなさい。
難解な展開なのでどんなことを言ったら良いのか正解がよくわかりません。】
>>469【いや、よく戻ってきてくださいました。
上の展開の文が読み返してみるとすげぇ失礼な事言ってたのでいなくなられても仕方ないと思い、どう謝罪文を書いたものかと思ってた所に戻ってきていただけて、本当に助かりました。
難解な上に失礼な文ですみません(汗】
「え?あーいや、何故元気なのかって聞かれても…」
まっちゃの質問に、気合で立ち上がってここまで来ましたとしか言いようが無い牧街。
描写されてないだけでウンディーネとか猫師匠とかも治療を施していたりするので立ち上がる位回復するのは牧街的にはわけないのかもしれない。
つくづく不死身の男である…。
「とりあえず、俺と代わってくださいよ、もう…頭が…ふらふ……ら…」
そう言って、ばたりと倒れる牧街。
動かない体を精神力だけで動かして駆けつけてきたのだろう。
他ならぬカフェの…仲間のために。
「恐山師範は大丈夫ニャ!」
「今私と猫師匠で治療してるから、意識はしばらく戻らないだろうけど、命の心配は無いわ」
恐山師範も牧街の師匠何だから魔族の拳が腹を貫通していない時点で致命傷には程遠かったらしい。
猫師匠とウンディーネに治療されながらもう食えんとか寝言を言ってぐったり倒れこんでいる。
さて、牧街の代わりに抹茶ラテが石版に触れてみると、突如、彼女等の視界が真っ白い光に包み込まれた…。
真っ白い光の渦の中を、漂う抹茶ラテ。
ふと、前方に人型に黒い靄のようなものが集まり、抹茶ラテへ話しかけてきた。
「私は全てを救わんとする者、この世の矛盾を破壊せんとする者…。
神は言う、全ての生きとし生けるものを愛せと。
神は言う、愛を重んじろと。
しかし何故必ず虐げられん者がこの世に存在しなければならない?
即ち、悪魔が、魔族が…。
何故犠牲を出さねば多くを救う事ができない世界がある。
神の作りしこの矛盾を私は認めない。
我が問いかけに答えを…。
我が問いかけに心からの言葉を…。
我が問いかけに飾らない想いを…。
世界を変えんとするのに、その力を持たない者に、せめて一片の救いを…。」
黒い靄は壊れたレコード盤のように同じ事を繰り返し抹茶ラテに訴える。
同時に、抹茶ラテの頭にテロ魔族がこうなるに至った経緯が流れ込んできた。
テロ魔族の正体、それは堕天使だった。
最初は神の命じるままに、多くの人を救い、魔と戦い、そして多くの人を罰していた。
だが、神の教えがそもそも全ての人を幸せにできる者ではない…少なくとも地獄に落ちるなどと言う事がある時点で全ての魂が安息を得れるわけではない事を苦に、この魔族は神を疑い、堕天した。
そして、神の作ったシステムを…いや、神その物を倒すべく、テロ魔族となって悪事の限りを尽くし、時として「この世界の平衡を取り戻すため」と言う名目で他の魔族の協力を得て、着々と神との戦いの支度をしていたのである。
しかしそれすらも全てを救う事はできない。
神との戦いが始まれば、地上の多くの魂の影響を与え、最悪全人類の魂が消滅してしまうだろうからだ。
そんな矛盾で動けなくなったこの魔族の魂を、ある時別のテロ魔族が奪った。
魂を…己の全て、即ち矛盾と戦い全ての人を救おうと言う心の苦しみをこのシステムの制御装置として強制的に組み込み、全てを愛する心を失ったテロ魔族の体は、己のみを愛する存在となり、ただ世界の平衡を保つためだけに暴れさせられていたのである。
残った魂はここで制御装置として働く一方矛盾に苦しみ、苦しみ、苦しみ続けていた。
その苦しみこそがここの制御装置の原動力なのだ。
故に、その苦しみに一時の安息を与えれば、制御装置は停止する。
「答えを…安息を…。」
全てを救いたいが故に誰も救えなくなった者は、悲痛な問いかけを続けてきた。
【答えは真面目な物じゃない方が効果的ですw】
>「そもそもそのシステム自体がわからないなりよ。
まあ、おらが言えることといったら自分のために頑張るしかないってことなり。
でもこの石碑が」
「まっちゃ殿……! 無事で良かった!」
復活したまっちゃに抱き着く。
まっちゃはカフェの腕の中でおにぎりを食べながら牧街に問いかける。
>「あ、そういえば恐山師範は大丈夫なりか?たしか倒れてたはずなりよ。
それにマチガイも、どうやって元気になったなり?」
>「え?あーいや、何故元気なのかって聞かれても…」
>「とりあえず、俺と代わってくださいよ、もう…頭が…ふらふ……ら…」
「いっかあああああん! あんまり元気でもないぞ!」
>「恐山師範は大丈夫ニャ!」
>「今私と猫師匠で治療してるから、意識はしばらく戻らないだろうけど、命の心配は無いわ」
「……つくづく凄い師弟じゃ。
まっちゃ殿、テロ魔族の声、妾達で聞いてやろうぞ……!」
カフェはまっちゃと共に、石碑に触れた。
その瞬間、視界が光に呑みこまれた――。
夢か現か、そこは、意識がそのまま流れ込んでくるような心象世界。
カフェは、あの夢の中の様にまっちゃと一心同体になり抹茶ラテとなっている。
「ここは……どこじゃ……?」
前方に現れ、同じことを繰り返し問いかける人型の黒い霞。
「お主、テロ魔族か……」
見たものは、高潔な天使が苦悩の末に魔族へと堕ち、その魂までも奪われた悲劇。
全てを愛し、全てを救おうとするその姿は、間違いなく悪役ではなく主人公のものだ。
それが人間レベルの存在なら、目の前に見えている所だけ救って満足しておけばいい。
ただ彼は、神に近すぎる故に見える範囲が広すぎ、なまじ力を持ち過ぎ、そして純粋過ぎた。
「アホか! 大きな目的を達成するには犠牲はつきものじゃ!
だからそなたは三流のGSごときに倒される三流の悪役止まりなんじゃ……」
分かっている。彼はその多数の幸福のための少数の犠牲に納得がいかなくてテロ魔族になったのだ。
それを変えるためにはやはり犠牲が必要で、抜き差しならない自己矛盾に陥り全ては狂ったのだ。
しばし考えていたカフェは何を思ったか、自分語りを始めた。
「さて、聞かせてもらったお返しに妾の身の上話でもしようかの。GSとしての初仕事は取り壊し寸前の廃校。
……霊が暴れておる理由が黒歴史ノートを掘り起こされたくないという理由じゃった。
次はアニメの殿堂の建設中止に怒ったオタクの霊達が謎の建造物を完成させてのう。
村を震撼させる怪現象の黒幕がただのがめついゲーセンのオヤジ、何てこともあった。
一番弟子のみこと殿ときたらGSの修行も何もやってないのに何故かいつも強力な悪霊を倒してしまうんじゃ。
それから……さっきの牧街殿。
いい奴なのにいつもいつもトンデモな人々に振り回されてのう……。見ていて可哀想になるわ」
もちろん、自分がトンデモな人々のうちの一人だという自覚は無い。
抹茶ラテはここで、ぽんっと分裂してカフェとまっちゃになる。
(まっちゃ殿、頼んだぞ)
コント仕立ての茶番劇の始まりである。
「ところでまっちゃ殿、こんなしょうもない事ばかり起こる世界に神がいると思うか?」
※GS美神の世界に神がいつのは揺るぎない事実である。
「だとしたら……神がおるのにしょうもない事ばかり理由はなんぞや?」
「GSも三流、悪役も三流なら……」
―― 神も○○
○○を埋めよう!
ヒント:GS美神世界の、○○GSのスレ
「○○ならば仕方なかろう。
そんな造物主の下の世界に生まれてしまったのが運の尽き。
諦めて自分のために頑張るしかないってことなのかもしれぬな……」
【>まっちゃ殿
ここでバトンタッチじゃ!
迷っているようだから誘導してしまったがもし自分なりの答えがあれば遠慮なくそちらをやればよいぞ】
きゅいーん。。。
両手で狐をつくり胸の前で交差させる。
それは抹茶ラテに変身するときのポーズ。
「たー!」
>「GSも三流、悪役も三流なら……」
「はいはいはあーいっ!神も三流なりっ!」
まっちゃは元気に手をあげる。
>「○○ならば仕方なかろう。
>そんな造物主の下の世界に生まれてしまったのが運の尽き。
>諦めて自分のために頑張るしかないってことなのかもしれぬな……」
「そうなり。諦めて幸せに生きる道を探すなり。
おらは度が過ぎた秩序も混乱も御免こうむるなりよ。道は真中も歩けるなり。
だからもう無駄に苦しまないでほしいなりよ。業なんて大層なもの、誰か一人が背負っていいもんじゃないなりから」
まっちゃは真剣な眼差しでテロ魔族に近づくと…
「おらは、虐げられてきたテロ魔族さんにこんな言葉を送りたいなりっ
――ゆるしてにゃん♪」
両手を招き猫のように可愛らしくまげポーズをとった。
きっとカフェも同じポーズをとってくれていることだろう。
【んーわかりません。牧街さんごめんなさい。カフェさんありがとう】
ho
抹茶とカフェの言葉を受けたテロ魔族の魂は、沈黙した…。
そのままじっと、少しの間沈黙が空間を支配し…。
そしてゆっくりと、テロ魔族の魂がうごめき始めた。
黒い袋の中で蛇がのたうつようにぐにゃりぐにゃりと動き回った魂は、しばらくすると突然、小さくなり…
「ぅ青お朝fcにwslでvふぉわいvのいあsdにあぁdそvlなおvbのうあbvばdkjvばkbヴい」
次の瞬間!意味のわからない言葉と共に無数の黒と白のたまにわかれ、高速でカフェ達の周囲を飛び交い始めた!!
テロ魔族の魂に響いたカフェ達の言葉の影響でテロ魔族の魂は、カフェ達の言う言葉に甘えてもう全てを投げ出し消滅して安息を得ようとする白いたまと、それでも最初の意志を貫こうとする黒いたまに爆発してわかれてしまったのである!!
「ぅぐるぶるわああああああああああああああああぐうおおおおおおおおおおおおおお」
やがて黒い魂は一箇所に合体、黒い翼を背中から無数に生やした燃えるような赤い瞳をもつ山脈のように巨大な化け物と化した!
黒い化け物は両腕に巨大な黒い炎の塊を作り出すと、カフェと抹茶めがけて投げつけてきた!!
黒い怪物があんまりにも巨大なので、その手のひらから作られた黒い炎の塊も高層ビルくらいの大きさがある!!
あっという間に、二人は黒い炎に飲み込まれた!!
二人の魂が一気に消滅しそうになった、その時、白いたまの群れが二人を包み込み、守る!
≪奴に対抗できる姿をイメージしてくれ!!≫
二人の脳内に、白いたまの意思が伝わってくる。
≪君達のイメージが、想いが、力になる……。安息を……私に最後を!!≫
二人のイメージが、想いが、白いたま…テロ魔族の良心の力となる!
これが最後の最終決戦だ!!
>「ぅぐるぶるわああああああああああああああああぐうおおおおおおおおおおおおおお」
「ひっ!あなごさんみたいなり」
>≪奴に対抗できる姿をイメージしてくれ!!≫
「え?」
>≪君達のイメージが、想いが、力になる……。安息を……私に最後を!!≫
「じゃ、真っ白い羽根を思い浮かべるなり。
テロ魔族が、一番きれいだったころの天使の羽根なり」
まっちゃは合掌しながら瞳を閉じた。
むにゃむにゃ…
(しろいたま。まろいまろいしろいたま。しらたまぜんざい…)
じゅるり。
「はっ!白い玉をみてたら、白玉ぜんざいのことを思ってしまったなり」
「あとはカフェにおまかせするなり」
【まっちゃ思う。白い翼。白玉ぜんざいのこと】
>「おらは、虐げられてきたテロ魔族さんにこんな言葉を送りたいなりっ 」
「「――ゆるしてにゃん♪」」
まっちゃとカフェが左右対称のまねこ猫ポーズをとって見せる。
その言葉に、テロ魔族の魂は確かに動かされた。
迷える魂は白いたまと黒いたまに分かれ、今度こそ本当の本当に最後の決戦が始まる。
>≪君達のイメージが、想いが、力になる……。安息を……私に最後を!!≫
>「じゃ、真っ白い羽根を思い浮かべるなり。
テロ魔族が、一番きれいだったころの天使の羽根なり」
「真っ白い羽根……」
カフェも、目を閉じて白い羽を一心不乱に思い浮かべる。
強く、気高く、穢れ無き純白の心。次第にイメージが出来上がってきた。
「よし! 行くぞ、まっ…」
>「はっ!白い玉をみてたら、白玉ぜんざいのことを思ってしまったなり」
白玉ぜんざいという名の雑念が、出来上がりかけていた正統派のイメージを塗りつぶす!
目の前に現れる、お椀に入った白玉ぜんざい。
そこから羽根が生えた白玉だんごが飛び出し、辺りを飛びまわる。
「ああ……駄目じゃ……ん? いけるか!?」
羽根が生えた球体から、強引に連想を繋げる。
最近オタクの間で流行っているラノベに、魔法少年☆玻璃井法太 というのがある。
幼くして両親を失い虐げられながら暮らしていた平凡な少年法太が
魔法学校法具輪圧《ほぐわあつ》に入学し、闇の魔法使いと戦いを繰り広げるという物語である。
そしてその作中に、ほうきにまたがって
羽根が生えた白玉だんごを追い掛け回す競技”食いでっち”というものが登場するのだ。
「捕獲! ライオン組150点!」
カフェは、羽根つき白玉団子を両手でつかまえる。
するとカフェは白い光に包まれ、法具環圧の制服のような姿になった。
傘が変化した魔法の杖を振り、迷わず玻璃井法太に登場する、最強最大の防御呪文を唱える!!
「エクスペクト・パトロー南無!! 守護霊よ来たれ――!!」
かなり無理のある連想ゲームの末に、カフェとまっちゃのイメージが具現化したものとは……!
二体の巨大ロボだった。
片方は赤いずきんがトレードマーク。
カフェのご先祖様にして、まっちゃの故郷を救った英雄の赤ずきん茶々型。
もう片方は線目がトレードマーク。我の主人公牧街型だ!
カフェとまっちゃが思い浮かべる共通のヒーローである二人が、具現化したのだった。
『二人には指一本触れさせん!』
『茶々さん、後は任せた!』
やる気満々の茶々型ロボの一報、牧街型ロボの方は、早くも逃げようとしている。大丈夫か!?
≪アホ!白玉ぜんざいでどーしろってんだ!!≫
今までの神々しい雰囲気はどこへやら、白玉ぜんざい出したまっちゃにぶち切れる白い玉。
しかし!ここから奇跡のような大連想ゲームが始まった。
そして神様もびっくりなとんでも連想ゲームの末現れた巨大牧街ロボと巨大茶々ロボ!
≪し…正直こうなるとは思いもよらなんだ…≫
その光景に思わず本音が漏れるテロ魔族の意思。
これこそが人の想像力!!即ち未来を切り開く力である!!
…こじつけだ!!
『ふぉんどるぅあああああああああああああああああああ!!』
超巨大テロ魔族に立ち向かう茶々ロボ!
巨大な拳を雨あられと振りかざし、超巨大テロ魔族を滅多打ちにする!
しかし、超巨大テロ魔族はその拳の猛攻撃に耐えると、反撃に茶々ロボを爪で一閃した!!
茶々ロボの胸部前面装甲版が一撃で吹っ飛び、よろめく茶々ロボ!
そこに超巨大テロ魔族は口から暗黒火炎を吐きかけた!
『何のぉおおおおおおお!』
だが茶々ロボはバリアを張ってそれを防ぎ、反撃に腕を超巨大テロ魔族に向ける!
『哀よ!幽鬼よ!鬼謀よ!!壱!弐!参!死!伍!!素闘烈血!!カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
茶々必殺のエネルギー光球がテロ魔族に放たれ、凄まじい大爆発と共に炸裂する!!
数歩よろめく超巨大テロ魔族!
…だが、それだけだった。
茶々ロボだけでは、圧倒的にパワーが足りないのだ!!
そして牧街ロボは…既にいない!!
そう、逃げたのだ!!
≪お前に未来を築く力は無い!お前に私を倒す力は無い!お前には挫けず戦い続ける心も無い!!お前は私には勝てない!!≫
茶々ロボ…いや、カフェ達に向かって、超巨大テロ魔族はほえた。
そのとおりだ、人間では世界を大きく動かす事はできない、人間はテロ魔族に勝つ力は無い、そして、永久に同じ心でいつづけるられる人間もいない。
そんな物は、アニメやゲームの世界にだけ存在する。
いや、もしかしたらこの世界にもいるのかもしれないが、それは今この場にいる誰でもない。
≪お前には私を救えない!!もうお前に用は無い!!消さない!!永劫私の中でただあり続ける存在となり、生き続けろ!いつか永久の幸福がオトヅレルマデ≫
『させるかああああああああああ!!』
≪小ざかしいわ!!≫
『ぐおおおお』
超巨大テロ魔族の腕から強力なレーザーが放たれ、茶々ロボの両足を吹き飛ばした!
地面に無残に転がる茶々型ロボット。
≪モウワタシハマヨワナイ、わたしは永久にクルシミ続ける!ソシテいつか全てをスクウ!わたしは諦めない!≫
心が狂っているのだろう、滅裂な事を言いながら、カフェ達に手を伸ばしてくる超巨大テロ魔族。
その巨大な腕がカフェ達を包み込んでいく……。
『"エイス・ブレイド×ブランド・オブ・スーパージャスティス(超正義の刻印)"!!』
その時だった。
どこからか格好いい叫び声と共に巨大な光の剣が振りかざされ、超巨大テロ魔族の腕を切断した!!
腕を切断されても痛みが無いのか、超巨大テロ魔族は腕を切断した光の刃が振るわれた方を見て、驚愕した!
そこには、ドヤ顔で立つ牧街ロボと、それに追随する数体のGSロボ達の雄姿があった!!
そうだ!牧街が逃げるのは、生き残るため…明日の勝利を掴むためなのだ!!
逃げた牧街ロボは仲間を引き連れ、逆襲しに戻ってきたのである!!
『勝利を掴むぜ!!今回は遠慮なく振りまくるぜ!!愛と!怒りと!悲しみの!シャァァイニングGSソードッ!!』
叫びと共にG.SWEEPERの文字が輝く巨大な霊力の剣を振りかざし、テロ魔族を切りつけるタローロボ!!
しかし超巨大テロ魔族はそれを再生した腕で受け止め、タローロボめがけて口から火炎を吐き出さんとする、が!
『超大義!!』
そこを、横から瑞希ロボが強襲、強烈な必殺パンチを叩き込み、怯むテロ魔族に、今度はタローロボが今度はアルカナフィンガーを叩き込んだ!
見事なコンビネーション攻撃だ!
全身を滅多打ちにされた超巨大テロ魔族だが、まだまだ平気らしく、すぐにタローのアルカナフィンガーを力ずくで振り払い、今度は全身から触手の様な物を出現させた。
巨大な黒い触手の群れは猛り狂うように振るわれ、近くにいたタローロボと瑞希ロボを弾き飛ばす!
『しかし遅い!俺様には止まって見える!!』
その光景を見ていた神藤ロボが次の瞬間、突如消失!
そしてヒュンヒュンと何かが唸る触手の群れの周囲を飛んだかと思うと、触手の群れは次の瞬間にはぼとぼとと切られて地面に落下した!
必殺の超加速攻撃だ!!
『たたみ掛けるわよ!!』
触手が無くなった超巨大テロ魔族の胴体めがけ、バロンの仮面をつけた成瀬ロボが跳躍!
雪駄に超巨大テロ魔族は両手で迎え撃たんとするが…。
『ターゲットロックオン!全弾斉射!!』
巨大アナスタシヤが全身から火器やレーザーを乱射!超巨大テロ魔族をたじろがせ、その隙にバロンになった成瀬ロボの強烈な体当たりが超巨大テロ魔族を吹っ飛ばす!
吹き飛ばされた超巨大テロ魔族は怒りのままに黒いエネルギー光弾をつくり、めちゃくちゃに乱射してきた、が。
攻撃は全て見当はずれな方向へ飛び、牧街ロボ軍団には当たらない!!
『わたし達はあっちにいます!あっちに!そっちに!そこに!』
ありみちゃんロボのヒュプノで、幻覚を見ているのだ!
『とどめだ!!』
そこにすかさずとどめをささんと牧街ロボがダッシュで突っ込んでいく!
『ファイナル天竜落地s『アルティメット桜井クラああああああアアアアアアアアアアアッシュ!!』』
遂にトドメ!!っと言う所で突如別の何かが乱入!必殺光線をダメージ著しい超巨大テロ魔族に炸裂させた!!
『やっぱり最後はヒロインが決めなくっちゃね!』
一人だけロボじゃないウルトラゴッデスミヅキの必殺光線を受け、とうとう超巨大魔族は崩壊を開始する!
それはカフェとまっちゃの想いが…「一人で全てを成そうとしない心」が、「たった一人で全てを進めようとした者」を滅ぼした瞬間だった。
『ありがとう、二人とも、二人のおかげで私は安息を得る事ができた…』
ウルトラゴッデスミヅキに出番を取られ、ぼーぜんとする牧街ロボや、その他のロボ達がさらさらと消滅をする中、あの白い玉の声がカフェ達の心に響いてくる。
それと共に、テロ魔族の魂がコアを成しているこの世界も、だんだんと消滅を開始する。
『私は知った、全ての存在は、個だけでは何も成しえないと…。』
段々と、世界が暗くなっていく。
『今の世界に、完璧な存在など存在しない。皆、三流なのだ、だから悠久の時を、ただ一流になろうと歩み続けるしかないのだ。』
やがて、世界は、完全に真っ暗になった。
『その道に、近道は無い。それが知れて……良かった。』
『歩み続けてくれ、自分の道を』
『真っ直ぐに…少しでも多くの心が、歩みを止めずに道を歩み続ける事。それが…世界をやがて幸福で包むのだろうから…。』
――――――――――
石版からカフェ達が戻ってくると、凄まじい揺れが黒い建物を襲っていた!
テロ魔族の魂が倒された事で、宇宙でできた黒い壁や柱が消滅を開始したのだ!!
既に月夜田がくぐったゲートは消滅し、皆は猫バスに乗り込んでカフェ達が戻るのを待っている!
「カフェさん!早く乗ってくれ!脱出だ!!」
猫バスの中から、牧街の叫び声が響く!!
最終決戦は終った。
後はエンディングとエピローグを残すのみ!
脱出で死ぬなんぞあってはならない!!
夏風邪をひいてしまったみたいで、レスは土曜日あたりになるかもしれません
なのでカフェさんお先にどうぞ〜
【>482 それは大変じゃ。ご自愛なされ】
目の前で繰り広げられる熱いロボットバトルを前に、カフェはしみじみとまっちゃに語りかける。
「今まで本当にたくさんの仲間達に助けられてきたな……丁度こういう風に」
とどめはもちろん牧街ロボ、と見せかけて何故か一人だけロボじゃないボンッキュッボンッなお姉さん。
拳を握りしめて一緒に叫ぶ。
>『ファイナル天竜落地s『アルティメット桜井クラああああああアアアアアアアアアアアッシュ!!』』
「クラアアアアアアアアアッシュ!!」
とどめがこの人なのは、やはりボンッキュッボンッでバブリーなお姉さんを主人公とした原作へのオマージュだろう。
>『ありがとう、二人とも、二人のおかげで私は安息を得る事ができた…』
「うむ、一時はどうなる事かと思うたが良かった良かった…」
>『私は知った、全ての存在は、個だけでは何も成しえないと…。』
>『今の世界に、完璧な存在など存在しない。皆、三流なのだ、だから悠久の時を、ただ一流になろうと歩み続けるしかないのだ。』
>『その道に、近道は無い。それが知れて……良かった。』
「テロ魔族殿……というのも今更変じゃな。そなたの名前は何という?
妾の名はカフェ。次に生まれ変わった時は友達になったるわ!」
カフェは目をうるませながら叫ぶ。
>『真っ直ぐに…少しでも多くの心が、歩みを止めずに道を歩み続ける事。それが…世界をやがて幸福で包むのだろうから…。』
「待て! 名前を知らぬでは次に会った時に分からんではないか!」
実際には、生まれ変わったら名前も変わっているから、意味は無いのだが――。
やがてテロ魔族が作り出した心象世界は消え、元の世界に戻って来る。
戻ってきた途端。
>「カフェさん!早く乗ってくれ!脱出だ!!」
「なぬぅううううううううう!?」
黒い壁で作られた領域は崩壊を始めていた!
落下してきた巨大な黒い瓦礫を精霊石で吹っ飛ばし、猫バスへと走る
持ってきたものの使わなかったので、ここに来て大盤振舞だ。
「まっちゃ殿、乗れ!」
まっちゃを先に猫バスに乗せ、続いて自分も乗ろうとした時――。
突如として一帯の足場が崩れた。
やむを得ず発進する猫バス。成す術も無く堕ちていくカフェ――。
その時だった、白くてふわふわした霊がカフェに乗り移る。
「カフェよ、わちの力を使え!」
「週刊少年ジャーンプ!!」
この掛け声も原作へのオマージュかは定かではないが、カフェは人間業ではないハイジャンプを見せ、猫バスの高さに迫る。
そして仲間を信じて手を伸ばした。――頼んだぞ、まっちゃ!
>月夜田さん カフェさん
【すみません!再来週からテストなので、7月21日まで書き込めません。最後の最後の忙しいところに大変申し訳ない…。】
>月夜田さん
【余り無理せずに、ご自分を大事になさって、早く良くなってくださいね。】
戦いはついに終わりを迎えようとしていた。
>『私は知った、全ての存在は、個だけでは何も成しえないと…。』
>『今の世界に、完璧な存在など存在しない。皆、三流なのだ、だから悠久の時を、ただ一流になろうと歩み続けるしかないのだ。』
>『その道に、近道は無い。それが知れて……良かった。』
「それは…良かったなりね。急がば回れ。人生なるようにしかならないなり。
ちょっと自分っていう縛りから離れてみるだけで人は生きやすさをみつけるもの。
しばらくやすんでゆっくりするといいなりよ……」
まっちゃは疲れて眠くなっていた。
――辺りは闇に包まれている。
「……おわったなり。ととさま、かかさま」
テロ魔族の敗北とともに、まっちゃの使命もおわった。
牧街やカフェ、妖怪たちと共に過ごした時間は忘れることもないだろう。
>『真っ直ぐに…少しでも多くの心が、歩みを止めずに道を歩み続ける事。それが…世界をやがて幸福で包むのだろうから…。』
「そうなり。一つのことがおわったら、おらたちはまた歩きはじめるなりよ」
やがてテロ魔族が作り出した心象世界は消え、元の世界に戻って来る。
戻ってきた途端。
>「カフェさん!早く乗ってくれ!脱出だ!!」
>「なぬぅううううううううう!?」
黒い壁で作られた領域は崩壊を始めていた!
カフェは落下してきた巨大な黒い瓦礫を精霊石で吹っ飛ばし、猫バスへと走る。
>「まっちゃ殿、乗れ!」
「にゃー!」
ジャンプするまっちゃ。猫バスに乗り込む。
崩れゆく一帯。落ちてゆくカフェ。
「「「カフェー!!」」」
手を伸ばす。みんなで手を伸ばす。仲間たちがみんなで手を伸ばす。
そして触れる指先。カフェを鷲掴みにする複数の手。猫バスに引っ張り込まれるカフェ。
カフェを胴上げして喜ぶ仲間たち。まっちゃはカフェに抱きついて大喜び。
猫バスは勝利の雄たけびとともの駆けて行く。
【遅くなってすみません。】
〜 エピローグ 〜
秋葉原を覆っていた黒い壁は完全に消滅した。
結局、その黒い壁が何だったのか、誰があの壁を消滅させたのかは、世間の誰も知らない。
カフェや牧街のような小市民がそんな大々的な事を成してしまったら、翌日から周囲から身の丈に合わない破格の扱いを受け、人生を駄目にしていってしまうから
という事で、恐山師範が何やら動き、情報公開を規制してもらったのである。
しかし、だからと言ってカフェや牧街になんら報酬が無かったわけではない。
師範は政府から秘密裏に報酬として数十億円を受け取って、それを一同に均等に分配したのだ。
なので、あの事件を解決に導いたGS達は世間的に見て…
「三流」のままなのだ。
【失礼、上の文は色々おかしいので無かった事に
ごめんなさい、ほんっとうにごめんなさい。
TRPGを書けなくなりました…。
文章が思いつかなくなってしまった事と、もうTRPGに時間を割けなくなった、二つの意味です。
自分、実はある資格の習得を目指して今まで勉強していたのですが、今その大事な時期に入り、頭の中がその不安で一杯で、とても文章が考えられません。
いえ、それを考える余力を、勉強に向けたいです、このままでは人生棒に振ります、やばいです。
この最後の最後の最後で抜けてしまう事は今まで頑張ってきた皆さんの努力に、もう本当色々俺のわがままに、無茶振りに、耐えて耐えて頑張ってきてくださった皆さんの努力に本当に大変申し訳ないのですが
もう文章が思いつきません、考えられません。
カフェさん、月夜田さん、俺はぶっちゃけると、最初お二方のレスを見た時、頭抱えました。
って言うか、3〜4回、本気でレスを投げて辞めようかと思いました。
それはおそらく、お二人も同じような事が俺に対してあったと思います。
けれど、お二人はなんだかんだでこうして最後まで来てくれました。
俺も、お二人のレスが段々段々好きになってきていました。
最後のほう何か、これほどいいレスしてくれる人間はいないと本気で思ってました。
マジで楽しいと思えました、癒されました、リアルで女性と全く話せない俺が、何か女性と話してる気になれて幸せでした。
お二人ともありがとうございます、心からありがとうございます。
最後こんなどうしようもない形でお別れになるのがつらいです。
今まで一緒に頑張ってくださってありがとうございました
最後の最後で駄目駄目なスレ主で本当に本当に申し訳ありません。
最後のレス位頑張ってひりだせないスレ主でごめんなさい。
…お二方とやって来たこれまでは、俺の人生の宝です。
本当にありがとうございました。
それと、五傑、何て呼んでくださった雑談所の皆さん。
このTRPGを応援してくださった皆さん。
評価していただき、ありがとうございました、そして、こんな形でこの場を去るふがいない俺で申し訳ありません。
そして、その他のコテの皆さん、楽しい時間をありがとうございます。
このスレに関わった皆様の今後の人生がよいものであります事を、心よりお祈り致します。】
【なんということでしょう。
作中の牧街のカフェと月夜田に対する感情の推移はあなた自身の気持ちと重なっていたのですね…w
なので私は作中でカフェの口を借りて言わせて戴きます。
牧街殿のこのスレはみこと殿まっちゃ殿と一緒にちゃんと締めますから安心してください!】
あの大事件から数日後――カフェは日常に戻っていた。
以前と違う事があるとすれば、以前よりちょっと(かなり?)お金に余裕がある事だ。
真夏の日差しの中、揺れるゴスロリ傘。カフェは牧街の事務所に向かっていた。
あれから、牧街の妹のチハルは元気になったのだろうか。
牧街の事務所についてみると――門下生たちが家財を運び出していた。
「なんじゃ……?」
「牧街さん、一身上の都合で長期間実家に帰るって。
カフェさんにこれを渡して欲しいって頼まれた」
門下生から手紙を手渡される。
急いで手紙を開けると、びっしりと別れの挨拶と感謝の言葉が記されていた。
「……そうか」
自分の事務所兼喫茶店に帰ると、カフェはすぐに返事を書き始めた。
―――――
いや、とても余裕のない中で報告してくださってかたじけない。
そういう事なら全力で頑張れ! 牧街殿なら大丈夫じゃ!
無事に受かってまた気が向いたら帰ってくるがよいぞ。
そなたとは本当に色んな依頼を一緒に受けたのう。
暴走してばかりでたくさん困らせてすまなかった。
思い返せば我ながら悪ふざけが過ぎたと思う事も多々ある。
しかし妾は牧街殿に困らされた事は無かったぞ。本当に良い相方じゃった。
強いて言うなら牧街殿が依頼をやめようとばかりする時は
なかなか上級者向けでどうしたものかと思ったが…それはそれで面白かったw
牧街殿を状況に適応せざるを得ないように追い込んだ妾が言うのも何じゃが
長く一緒にいると本当に息が合ってくるもんだのう。
妾も最近では最高の相方のように感じていたぞ!
それに普通に見ればヘタレ全開で主人公キャラではない牧街殿がかっこよく見えるようになってしまった!
新ジャンルヘタレヒーローの開拓じゃのう。
牧街殿、こちらこそそなたと一緒だった日々は掛け替えのない宝物じゃ。今まで本当に本当にありがとう。
―――――
1F喫茶店の客席で手紙を書いているカフェの背後から、カフェママが話しかける。
「あらあら、そんなに熱心に誰に書いているの?」
「牧街殿じゃ、突然実家に帰ってしまってのう」
「そう、ラブレターでも書いているのかと思ったわ」
「何をいっとるんじゃ! そんなんじゃないわ!」
「フフフ」
意味深に笑うカフェママを放置し、カフェは立ち上がる。
「そうじゃ、みこと殿とまっちゃ殿とも連名にしようかの。
まっちゃ殿、おるか〜?」
カフェはその辺にいるかもしれないまっちゃを呼び、みことに呼び出しの携帯メールを入れる。
【お疲れ様でした。
優先順位は迷う余地がないほどはっきりしているもの。
無理して両立させようとして共倒れになるより、きっちり優先順位の高い方に集中するのは当然です。
しかも人生を左右する重要な資格なら尚更です。
今までお疲れ様でした、そしてありがとうございました。
検定が終わり生活が落ち着きふと個々の事を思い出し、時間の余裕があった時。
またふらりと遊びに来てくれると嬉しいです。
それでは、また何時か何処にて】
>>488牧街さん
牧街さんには好き放題レスしてしまってごめんなさい。悩ませてしまってごめんなさい。
カフェさんと違って月夜田は、牧街さんのことをぜんぜん応援できなかったのが悔しい
でも反省することばかり何だけど、牧街さんをいじるのはとても楽しかったです
それと牧街さんの逃げるほんとの理由とかは感動したし、テロマゾクの思想は哲学でした。
この物語は忘れません。思い出をほんとにありがとう
あとは某スレにも投下したとおりなのですが
優先するべきは牧街さんの人生、資格の習得なのでレスのことは気にしないで下さい
(なんか自分が言うのも変ですが…)
さいごに牧街さん、永い間お疲れ様でした
みごと資格を取得出来ることをお祈りしております
目標にむかって一生懸命な牧街さん、すてきです
【>みこと殿
本編のみこと殿のエピローグは書くかの?
もしもうよいのであればこちらで締めさせていただくが…】
>カフェさん
〆ていただいて結構です
気持ちがのってきたら忘れ去られたころに
自由にのんびり書こうかな〜なんて思ってましたw
それとカフェさんも今までありがとうございました。
みことは牧街さんの個性的なシナリオ運びも好きでしたが
どんなネタでも拾い上げるカフェさんの引き出しの多さにも感服してました
またこんど、別のスレでご一緒できたらうれしいです。
カフェの連絡を受けて、みことが駆けつける。
「ほれ」
カフェがみことに便箋を渡すと、黙々と手紙を書き始めた。
一緒にいる時は牧街の事を散々弄り倒していたみことだったが、手紙に書いたのはやはり感謝の言葉だったのだろう。
そして、ある事を決心したカフェは、弟子であるみこととまっちゃを前に宣言した。
「みこと殿、まっちゃ殿……妾の人格は催眠術によって作られたものだったのじゃ。
しかし、本当の人格に戻して貰おうと思う。
牧街殿が教えてくれた気がするんじゃ、本当の強さとは何か……」
カフェは、固い決意を瞳に宿し、猫師匠に懇願する。
「師匠、頼む! 催眠術を解いてくれ」
それに対し、猫師匠はとりあう様子を見せない。
「なにを言ってるにゃ。出来ないにゃ」
「師匠……!」
「催眠術ならもうとっくに解けてるにゃ」
「そこを何とか……へっ」
カフェは思わず素っ頓狂な声を上げる。
「しかしこのババア口調じゃとか……」
「しみついてしまったんだにゃ、残念! もう一生そのままにゃ」
「にゃ、にゃんだってー!?」
カフェの絶叫が秋葉原に木霊した――
――数日後
カフェは1F喫茶店で、備え付けのテレビを見ながらお子様ランチの旗を振っていた。
日本はオリンピックで沸き立っているのだった。
そこに、秋葉原門下生が駆けこんでくる。
「カフェさん! 競技場跡地で幽霊たちがオリンピックを始めたそうです!」
「何!? まっちゃ殿、みこと殿、出動じゃ――!」
まっちゃとみことを引きつれ飛び出すカフェ。
三流GSとその見習い、まともに依頼がこなせるはずもない。
しかし、どうにかなるさ、何とかなるさ、明日は明日の風が吹く!
いつの日か、一流になれる日を夢見て三流GS達は今日もゆく!
しかし――酷なようだが、彼らが一流になれることは無い。
一流とは、決して手の届かない理想。
どうしようもなく三流の人々が、少しでも一流に手を伸ばそうとする過程が歴史を紡いでいくのだろう。
三流の神が作った、どうしようもなく三流の世界で、三流GS達の物語はこれからも続いていく――
だから、敢えてこう締めよう。
第 一 部 完 !!
GS牧街極楽大作戦(?)これにて一応の完走となります。
牧街殿、本当におめでとう&長い間お疲れさまでした!
今までの参加者&名無し投下の皆さんもありがとうございました!
>>493 とりあえずの締め、という事で書かせていただいたぞ
スレはまだしばらく残るじゃろうから気が向いたら書いてやっておくれ
こちらこそありがとうございました!
みこと殿はどんどん話を進めるパワーがあって凄いな〜と思っておった。
それにそなたとはノリが合って純粋に楽しかったぞ!
なまじノリが合ってしまったばかりに牧街殿を悩ませてしまったのかもしれぬが…w
是非また別のスレで会おう!