【ゾンビ】 28日後.../ 28週後...【アンデッド】01

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906並野 人史(ナミノ ヒトシ) ◆JwKmRx0RHU
>>634
「この音楽!  とめろッ  奴らが来るッッ」

「え!? え!?」

ドガッ

ガラス張りの壁に感染者が張り付いた。

「2階に行けッ  早くッッ」
前田 敦子も感染者の只ならぬ様相に、今度は無言で従った。

ガラスに張り付く感染者の数が瞬く間に増えていく。
「(駄目だッ  もう出られないッッ)」
自動ドアの電源が入っており、感染者に反応して開き始める。
「(クッッ)」 2階に駆け上がり、奥で顔を強張らせている敦子を横目に戦闘装備を抱え、
「中に隠れろッッ」 防毒マスクをしっかりと嵌めたその時、最初の感染者が狂気を剥きだして駆け上がって来た。

ゴガッ

頭蓋を砕く音。
フォークを感染者の脳天に刺し込み更に押し込む。
最初の感染者は電池切れのように崩れ転げて消え、
「ギィァゲェェェァァーーーー!!」
「グルルァガァァァ!!!」
1階から一斉に、亡者どもの咆哮が上がり、階段の曲がりに人影がうごめく。
2体、3体、おそらくもっと・・・  動悸で胸が張り裂けそうだ。
「ハァッ  ハァッ ハァッ 」 無意識に己の左胸を鷲掴みしていた。  「(来るッッ)」
「グガァェアガーー!!!」

ゴッッ

ガゴッ

下からの唸り声の中、2階フロアに頭蓋を砕く音が繰り返し響く。
階段の幅は狭く、この地形を味方に1体ずつ向かって来る敵を的確に突き殺す。
2体―――3体―――4体―――・・・。
遂に感染者の亡き骸で階段を塞ぐことに成功した。
〜と感じた瞬間、死体の山の向こうから黒い塊が飛び跳ね襲いかかる。
反射的にフォークを突き込むが、しくじった・・・ッッ
頭部を捉えていない。
深々と胸板に刺さり、抜く間も無く押し切られ武器を手放し床でもみ合う。
腕力で対抗できない。
アッサリとテイクダウンを取られ、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3

いよいよ終わる時が来た。
肘を相手の首に当てて噛みつきを封じているが、この体勢を長く維持できないのは動かせぬ現実。
よく見ると黒人の感染者だ。 なんたる巨躯なのだ。
これに加え、感染症で能力が上昇してるんだから勝てる筈がない。

感染者の歯が防毒マスクに当たる。
907並野 人史(ナミノ ヒトシ) ◆JwKmRx0RHU :2011/07/27(水) 14:38:50.85 0
>>906

感染者の歯が防毒マスクに当たる。


「(あぁ、やっぱり女は運を落とす。
  さんざん苦労してきてまだ懲りないのか俺は・・・  自業自得だよ。
  あの子をエサにするどころか、こっちがエサとかどんなギャグだ馬鹿者め。
  何だ?
  こんな時にやけに思考が回る・・・  これが走馬灯ってやつか。  時間の進みが遅い・・・

  ならば、体は?
  ダメだ、身体が速く動くわけじゃない・・・

  どうせ時間が有るんだから考えてみるか。

  まず、フォーク。 刺さったまま抜けない。
  盾。 今さら拾っても意味が無い。
  鉈。 側面から払っても致命傷を与えられない。
  鋲打機。 どこだ? そうだ肩に掛けて腰の位置か。
  側頭部から連続して打ち込めれば倒せるかもしれん。
  一瞬だ。
  噛みつきを防いでる右手を離し、
  鋲打機を掴み、
  正確にコメカミに当て、
  さらに噛まれるより先にトリガーを引く。

  ・・・困難だ。
  とてもじゃないが成功するとは思えない・・・)」

黒人の両手が防毒マスクを掴み、剥ぎ取られ



側頭部に当てた鋲打機の発射口。
打つ。 バシュ! バシュ! バシュ!

ゴト・・・ン

巨躯の黒人が横倒しに転がる。

敦子と目が合ったが覚えてない。
階段に目を向けると、感染者2体が続けて這い上がって来ていた。

「(先手をォッッ)」

無心で駆け出し、額に狙いを定め引き金を引く。
コンクリートほどの強度がない頭蓋は、打ち込まれた鋲を後頭部まで通し、その先端を内部から露出させる。
崩れ落ちる相手の背を踏み死体の山を登り、次に来る亡者の頭髪を掴み引きずり降ろして打ち込む。

さらに次を引き摺り降ろして繰り返し、そして―――  引き金が無反応に・・・。  鋲が尽きた。

営業中の音楽が鳴り響いている。
908並野 人史(ナミノ ヒトシ) ◆JwKmRx0RHU :2011/07/27(水) 14:40:02.89 0
>>907

引き金が無反応に・・・。  鋲が尽きた。


営業中の音楽が鳴り響いている。

鋲打機を床に置き、フォークを拾おうとしたが踵を返す間もなく亡者が這い出て襲いかかって来る。

鉈を抜き、渾身の一撃を振り下ろす。

ゴッッ

相手は崩れ落ちた。
長身の男が組みかかって来たが、狙うべき頭部が高く、振り下ろせないまま押し込められてしまう。
壁を背に鉈を相手の口に挟み込ませると、感染者は鉈をかじりながら俺の頭髪を鷲掴みして左右に振り回す。
大人に子供が振り回されるが如く、亡者の背後の部屋の壁がグラグラ揺れる。
亡者の右手が俺の首を締め付け――― 急激に意識が薄れて行くのが感じられ、腕がだらりと下がり―――


亡者の首を何かが通過した。



首なしが倒れ、その背後には―――。

909並野 人史(ナミノ ヒトシ) ◆JwKmRx0RHU :2011/07/27(水) 15:02:15.57 0
>>907挿入

巨躯の黒人が横倒しに転がる。

巨躯の黒人が横倒しに転がる。
どうせ噛まれるならと、道連れにする覚悟で賭けに出た甲斐があった。