『【TRPG】遊撃左遷小隊レギオン!【オリジナル】 』

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261ロキ・ハティア ◆9pXiBpy0.U :2011/05/28(土) 22:57:04.77 0
>253-254
「プリメっちゃんにルインく〜ん、次の依頼だよーん!」
バーンと扉を開ける。プリメっちゃんがヘタレ君もといルイン君に押さえ込まれている。
「あれ? まさか……」
暫し間を開けてぽんっと手を打つ。
「東方の格闘技ジュードーってやつだね! 面白そう! 今度ワタシも誘ってよ!」

所変わって中央区。
ふぇんりるが怪我人の救出のために匂いを嗅ぎまわりながら着いて来ている。
「いよっ、便所飯君、こんにちワン! 挨拶すれば友達増えるよ!」
伸び縮みする笛を吹きながら堕天使さんの周囲をぐるぐる回る。もちろん特に意味は無い。

「わんわんわん!」
ふぇんりるが瓦礫の一か所で立ち止まって激しく吠える。瓦礫の隙間を覗き込む。
「大変だ、人が埋まってる〜。どっこいしょー!」
瓦礫はびくともしない。

>「『逃がしゃしないよ!!』」
「ナイスタイミング!」
プリメっちゃんが魔法で瓦礫をどかせてくれた。
「た、助かった……」
這い出てきた途端、お互いにお互いを指さす。
「あーっ、お前はー!」
「あーっ、キミ達はー!」

瓦礫の中から出てきた人達は……
「ジョジョジョジョジョの奇妙な音楽隊!」
でした!

ワタシを指さした奇妙な音楽隊の面々は言う。
「貴方様は我ら奇妙な音楽隊の指揮者!」
「そのとーおり!」
ワタシは自信満々で頷いた。彼らは歌の後遺症で記憶がおかしくなっているのだ。

「怪我人の救出とゴーレムの回収してるから手伝って〜」
「「「「「了解!」」」」」
やったね! 友達が増えたよ!
262ロキ・ハティア ◆9pXiBpy0.U :2011/05/28(土) 23:04:04.67 0
つ【瓦礫の中から奇妙な音楽隊を救出。友達増えたよ!】
263名無しになりきれ:2011/05/28(土) 23:42:13.69 O


梅雨の時ってさー周りに半乾きのくっせー奴でてくるだろ
アレが何より嫌なんだよな

264名無しになりきれ:2011/05/29(日) 17:44:11.87 O


雨うぜええええ


265フェイスレス ◆Er9uYXT4zw :2011/05/30(月) 09:28:27.08 0
胴体を打ち貫く一撃で、とうとうゴーレムは活動を停止した・・・
しかし、いつの間にかその体の上に降り立つ人影が。

「・・・今回の主犯、でしょうかね」
真っ先に反応した水と油の二人組の攻撃に乗じ、フェイスレスの足元からも赤い波濤が教会に押し寄せる。
ゴーレムの胴体と、その上の男ごと巻き込むように強酸の波が大質量を伴って叩きつけられる

「どうやら、どこの国も考え付く策は同じというところでしょうか。」
異才の寄せ集め、それによる作戦行動・・・どこの国も持て余すのだろう。
わずか20に届かぬ異才持ちどもが暴れただけで今回のこの街はおそらく凄まじい惨状となっているはずだ。
今はまだ攻撃に隠れて姿が見えないが、おそらく姿を現したあの男も何の手段もなく出てきた訳ではないだろう
ことここに至っても尚、フェイスレスの姿勢は『見』のままだった

【中央区:クランク1へ、強酸の波を叩きつける。】
266名無しになりきれ:2011/05/30(月) 11:29:42.83 0
避難所に一切顔出さないとはいいご身分ですねド下手くそさん
お前なんかいなくたってスレは回っていくんだよ?
なのに誠意も見せられないの?
267名無しになりきれ:2011/05/30(月) 12:13:05.94 0
268GM ◇N/wTSkX0q6:2011/06/02(木) 00:55:01.36 0
>「……はっ――――どうした、全然軽いぜ「経済力」っ!!!!!!」

クローディアが散財してぶっ放した滑腔砲。巨大質量の一撃が土煙の中に着弾し、大気に一際波を立てる。
果たせるかな、金貨10枚分の攻撃力は牙を向いてはくれなかった。晴れた埃の向こうに立っていたのはフィン=パンプティ。
血だらけで、薄汚れて、無傷とはとても言い難いが、それでも――家屋すら吹き飛ばす滑腔砲を受けて、五体の在るまま立っていた。

「『天鎧』……!!」

奇しくも先立ってクローディアを守った天鎧の防御力が、今度こそ彼女に仇なす結果となった。
舌を打ち、舌を巻く。防御だけに全てを費やした遺才。研ぎ澄まされた絶対の盾は、如何なる矛も通さない無敵の不可侵領域。

>「負けた仲間が情報を漏らしたら、情報持って攻めて来た相手から、それでも味方を全員守りきればいいだけじゃねーか!!
  んでもって捕まった仲間を助ければ、万事解決だろっ!!」

「ばっ……!?」

フィンが搾り出した言葉は、軍人が吐くにはあまりにもお粗末な理想論。
そして――武人が叫ぶならば、この上なく魅力的な提案だった。そしてクローディアは、生粋の文人だった。

「ふざっけんじゃないわよッ!わけわかんない!超弩級の意味不明よ!無責任なセリフでお茶濁そうとしてんのがヨミヨミだわ!!
 語るだけならタダでしょうよええそうよ!実行には責任と費用が掛かるの!安月給のくせにデカいこと言ってんじゃないわよっ!」

だが。
『天鎧』フィン=パンプティは、体現していた。
彼の後ろには文字通り矢の一本も通らず、クローディアが大枚をはたいた大量の攻撃を、一つ残らず無力化し受けきっていた。
これが天才。その異質。この男は、自分の在り方を確定している。大言壮語を、己の全てで肯定している。

>「よーく目に焼きつけやがれクロなんとかっ!!
  ――――俺は、フィン=ハンプティは、お前が捨てる物も全部守り抜いてやるぜ!!!!」

「きぃいいいいいいっ!必ず失わせてやるわ……!このあたしにご足労させた足代は、高くつくわよっ!」

『守れなかった』クローディア=バルケ=メニアーチャには、その男がとても眩しかった。
直視できず、目をそらすように、レイピア女へ視線を移す。

単純な話だ。『天鎧』は防御の遺才で、言い換えれば『守るだけ』の能力。攻撃能力自体は危険視するものではない。
目下の問題はレイピア女だ。将校クラスであろうがなかろうが、先刻の術式連打を悉く躱し尽くした練度は並大抵ではない。
弾数の懸念もある。ただでさえ借金を肩代わりしたばかりで節約モードなのだ。この調子で避け続けられたらあっという間に破産する。
クローディアには、あらゆるルートから品を入手する、『買う』才能こそ恵まれていたが、資産を運用する才には選ばれなかった。
そのあたりが本家の従兄と違うところで、彼はそれに加えて人身を懐柔する術にも恵まれているのである。

そう、才能にも程度の差というものがある。
得てして血族の本家が強力多彩な遺才を得て、血の薄い分家には運良く才能を受け継いでも微々たるものであることなど珍しくない。
本質的なことを言えば、クローディアのそれは厳密な『遺才』ではなかった。
『濃い遺才』とそうではないものを区別する言葉がこの国にはない為に、一絡げに遺才と呼ばれているだけなのだった。

閑話休題。
迎撃するクローディアの硬貨術式をかいくぐりながら、クローディアの胸先まで肉薄したレイピア女が、不意に止まった。
右目から流血している。負傷によるものではない。まるでいつもの如くといった感じで、慣れた手つきで血を拭う。

(なにかの代償、あるいは負荷によるもの――?なにはともあれ、今がチャーンスっ!あたしはチャンスを逃さない女!)

果たして、それはチャンスではなかった。レイピア女は、一部の隙すら生じさせない洗練された所作で剣を閃かせる。
剣先がこちらへ。触れてもいないのに、その刃の冷たさを肉の奥に感じた。
その切れ味が、どのような結果を齎すか、直接的なイメージとなって彼女の脳裏に去来した。

>「さてと、腕?脚?どっちが良いかしら?好きな方を選ばせてあげる――」

一瞬。一瞬だけ、とてつもない気あたりがクローディアを襲った。
いつの間にか流していた汗が全て引き、ぞっとするような圧力が彼女のつま先からつむじまでを貫いた。
269GM ◇N/wTSkX0q6:2011/06/02(木) 00:55:28.61 0
「ひっ――」

瞳孔が開いたまま戻らない。刃の輝きが異様に眩しくて、生々しい痛みの情報が脳内を加速して、剣の動きが酷くうすのろに思える。
そんなはずはないのに。

剣が来る。来る。来る来る来る。回避?防御?間に合わない。間に合うわけがない。
レイピア女は笑っていた。口端だけを緩める、それは平時ならば同性のクローディアですら見惚れるほどの柔和な美笑。
それが、今は、あまりにも凄絶な、獰猛な、猛禽の笑みを思わせた。あぎとを開いた捕食者は、きっとこんな顔をしてるんだろう。
そして、何も見えなくなる――

>「――なーんて、ね。」

景色が開いた。何も見えなかったのは、彼女が恐怖に耐えかねて瞑目していたからだった。
剣は正確に二回繰り出され、針の穴を通すような精密さでクローディアの背負う金庫の、皮の留め具を破壊していた。
右肩と左肩、それぞれをである。動く的の、小さな小さな留め具を、二つ同時に切断する、神業的な斬撃だった。
金庫が石畳に落下して、それを追うようにクローディアが尻餅をついた。目の前で微笑む女の圧力に、完全に屈服していた。

「あ……あ……」

腰が抜けてしまったのか、最早立つことすらままならない。
金庫を落とされた以上、引き出して使うことは不可能。クローディアにとっては、武装を解除されたに等しい事態だった。
命を奪わなかったのは、レイピア女の情けだろう。『泣いて謝るまで許さない』――最初から、そう言っていたではないか。
この気位。この品格。この技量。斜陽を背に立つ姿はまるで、英雄譚に出てくる品位煌々の戦乙女のよう。

「まさか……本当に……?」

この女は。2年前の帝都を救った――
不意に背中を預ける仲間の姿がフラッシュバックし、視線を回す。ナーゼムが、あぎとの中をナイフで蹂躙され、
あまつさえ――テーブルの残骸でタコ殴りにされようとしていた。

「っ!! ナーーーーーーゼムッッッ!!」

クローディアの咄嗟は機敏。袖に仕込んでいた銀貨――ナーゼムの給与の一秒分。掌に滑り落とし、魔術を発動する。
軍属ではないが、傭兵として戦っているクローディアやナーゼムは、『その身柄』こそが商品だ。
故に。

「来なさいっ!!」

離れたところで戦っていたナーゼムが、クローディアのすぐ傍へと召喚されてきた。
クローディアは足と腰に激烈な喝を入れて無理やり尻を上げると、獣のように金庫へと飛びついて金貨を掴めるだけ掴みとった。

「パンプティ!あんたに教えてあげるわ!あたしは仲間想いなんかじゃないけれど――商品は大事にする性質なの。
 どいつもこいつもあたしの大事な商品をーっ!そりゃ傭兵は使い捨てかもしれないけどね!無駄遣いして良い道理もないわ!
 あんたが全てを守るなら、あたしはあたしの財産を守る。天鎧なんかじゃ及ばない、金のかかった守りを実現してやるわ!」

金貨を――両手に抱えた金貨の全てを、魔術で彼女の力に変える。
ひときわ強い輝きのあと、クローディアを包みこむように金色の輝きが波を立てた。
やがて光が終逸したとき、そこにクローディアの姿はなかった。代わりに立っていたのは――馬車ほどもある、岩の巨人。

乙型陸戦ゴーレム、ミドルファイト3(豪華仕様)。インファイトシリーズとは別の設計理念のもと開発されたゴーレムで、
砲術戦に特化したスペックを誇る。両肩から生える二基の大口径魔導砲が主だった特徴であり、かの機を表す全てだ。
クローディアは操縦基に体を収めて、まっすぐと――先ほどまでナーゼムが戦っていた二人を見据えていた。

「イチャついてんじゃないわよーーっ!忌々しいから可及的速やかに、消えてなくなれーーーっ!!」

ミドルファイト3の砲門が開き、衝撃術の魔導砲撃が敵の二人を狙って発射された!


【レイピア二連撃によって金庫を落とされる。丸腰のピンチに、これまたピンチのナーゼムを召喚】
【砲撃戦ゴーレム・ミドルファイトを召喚して搭乗。セフィリアとウィレムへ砲撃】
270レイリン ◇lvfvBHCkg. :2011/06/02(木) 00:56:35.36 0
アルテリアの放った矢、いやそれはもう矢と呼べるレベルの大きさではなかった、がまるで稲妻のようにレイリンの投げたゴーレムを完璧に打ち抜く。
一向に衰える気配のない力場装甲にレイリンは一抹の不安を覚えたが、それは杞憂に終わる。
放った矢がわりの避雷塔の性質が力場装甲を拡散させ、ついに耐えきれなくなり教会へとゴーレムはその巨躯を磔にされた。

「――それはあたかもゴルゴタの丘の上で磔にされたイエスを彷彿とさせは流石にしなかった、なんてね。
それは良いとして気分が良くなるほど豪快ね、帰って課長の奢りで飲みましょう」

そういって踵を返そうとした瞬間、あたりを強烈な威圧感が支配する。
素早く振り向くと、そこには一人の男が、レイリン達の前で仲間に指示を出す。
それは『天才』揃いの遊撃課相手にあまりにも愚かな行動であり、殺して下さいと言わんばかり、のはずだが、レイリンは動かなかった。
本能的に察したのだ、これは隙があるわけではない、絶対に負けるわけがないと溢れんばかりの自信、その余裕があるからこその隙だろう。

>『クランク6了解。遺才回収』
>『クランク4了解。遺才回収』
>『クランク7了解。遺才回収』
>「――クランク1。遺才回収」

数人の男女が混じり合った声が響くと、目の前からゴーレムのパーツが消えていく。
分厚い装甲、内部機構、途切れることなく続いていた魔力の供給、そして丸い玉。
どんな馬鹿でも、わざわざ回収しにきたのだ、どれだけ重要なモノか言われずとも察するであろう。

>『そいつを逃がすな!暴走ゴーレムから何か抜いてやがったぞ!』

今まで冷静さを失うことなく、的確に指示を飛ばしていたボルトの声に始めて焦りの色がにじむ。
レイリンは応えるまでもなく了承し、隊長角と思われるクランク1と名乗っていた男に飛びかかろうとする。
しかし、それより前にサフロールが動き出す、今まで遮っていた日光に指向性を持たせ、光線状にしてクランク1へと放つ。
その眩い光を前にレイリンは目が眩む。
吸血鬼は日に弱いというのは有名な話である、しかしレイリンから言わせれば大げさだった。
灰になるだとかはあまりにも馬鹿げていて、吸血鬼は昼に弱いといっても夜ほどの力を出せないだけであってまともに活動するのに何の支障もないどころか一般人何かよりは遙かに動ける。
そして、昼には吸血鬼としての性質が弱くなる代わりに、吸血鬼に対して効くと言われているものでも殆ど効かない。
逆に夜で吸血鬼としての性質が色濃く出ているときは、例えば十字架、銀などのものに対しての耐性が弱くなる、最もたかが十字架程度でどうにかなるものでもないが。
だが、今は夜として動いていた最中にこの強い陽光は、直接当たったものではないと言えレイリンにとっては厳しいものがあった。

「くっ……止め……オブテイン」

その中でどうにか立ち上がり、サフロールを止めようと動き出そうとしたレイリンだったが、そこに新たな刺客が現れた。
なんとプリメーラが今にも倒れそうなレイリンに抱きついてきたのである。
それにより完璧にバランスを失い、みっともなく尻餅をつく。

>「レイリン姉さんと姐さんもご無事で何よりですー!」
「ちょっと……今夜相手してあげるから、退いて……ね?」

息も絶え絶えに、プリメーラを押しのけると、プリメーラはクランク1とサフロールに向かって攻撃を仕掛ける。
レイリンの事情を知ってか知らずかは分からないが、不意を突いたサフロールへの攻撃のおかげで、光線状の攻撃は強制的に終わらせられ、レイリンはようやく立ち上がる。

「さてと、じゃあ一気に終わらせましょう」

一対多の戦いにおいて重要なのは波状攻撃、ゴーレムなどの巨大で固い相手には一斉攻撃も必要だが、相手は人、フットワークの軽い敵に対しては休む暇を与えずに攻撃する波状攻撃が一番適している。
それを分かっていたかどうか定かではないが、結果としてそうなったサフロールとプリメーラの連携攻撃(?)により回避先を潰されたクランク1へと瞬時に肉薄し、その速度を乗せた拳を繰り出す。
271ストラトス ◇p2OedqKZik:2011/06/02(木) 00:57:22.17 0
>「………強くねーなぁ。俺。………勇気もねー」
>「情けないよな。……一人じゃこうやって対峙すらできないんだからさ」
彼の身体から一斉に大量の魔力が噴出するだがそれはすぐに手に持った槍へと収束していく

>「でもまあ、頑張って臆病の壁を突き崩してみるか……!」
言うと同時に雷のような速度で駆けたかと思うとG-03の脚の一本を踏み台にして

>「これが臆病者の精一杯の勇気だぁぁぁぁあぁぁああああぁぁぁぁあっ!!!」
敵に彼の必殺の力を持つ一撃が当たりそして・・・

>「ざまーみやがれ! 大・勝・利〜〜!!」
クラッカーの音が鳴り響く
>「何だよ本当は強いんじゃん、ヘタレ君! ん? 強いのにヘタレ君っていうのはあれだよなあ。なんて言うの?
プリメっちゃん気絶しちゃったし早く帰ろう!」

敵は今の彼の一撃で倒されたのだと聞いて場の空気が徐々に張り詰めたものではなくなってくる
「……」
自分も自覚はこそしていなかったが、緊張していたようだ。少し気が楽になる感じがした
背負っていたプリメーラも意識が回復したのか。ほんの少しだが身動きする気配がした
やっと終わったのか、そう思った瞬間である

>『どこを見ているのですか? 私はここですよ』

それは余りにいきなりの事でなんなのか理解できなかった、しかしそれはすぐに驚愕に変わる
「…あの一撃でなぜ倒されてない?」
その声は目の前でルインによって倒されたはずである敵のものであった
敵の声が聞こえたのだろうかプリメーラは身体を強ばらせて自分の背中に強くしがみついていた

>『フフフ……どうやらあなた達を見くびっていたようです。楽しいショーをありがとう!
その命、今しばらく預けておきましょう! あなたたちならもっともっと楽しませてくれそうですからね』

>「勝手な理屈をぬかすなよ!俺は、俺達はおもちゃじゃねーんだぞ!」
起き上った彼が敵に向かって叫ぶ、しかし敵はそれよりも先に消えてしまっていた


>「こ、怖かった〜〜〜〜。………い、いや。これは別に俺がチキンなんじゃなくて
 なんか化け物みたいな姿になって第二ラウンドとかになっても、その、困るしな。
 ホントだぞ!別にあんな変人仮面が怖い訳じゃなくてだな……!あっあっ!今笑ったな!!」

彼の必死の言い訳はやはり彼の嘘のつけない人柄を表しているのか、ユニークなものだ
あれだけのことがあったのに辺りは一気に緩いものになった
「だめ…口元がどうしても笑っちゃう」
ついつい自分も噴き出してしまった
272ストラトス ◇p2OedqKZik:2011/06/02(木) 00:57:51.27 0
【司令部/格納庫】

あのあとプリメーラや彼(あとで名前を聞いたところルインというらしい)やほかの人たちをG-03に載せて
再び空中に浮いて一気に司令部まで向かった
今は部隊の隊長であるボルト=ブライヤー 氏の指令があるまで各自待機とのことで司令部にいた
そして自分は格納庫に自分用に列車で運搬しておいた工具や甲型ゴーレム、工作機械などを整理し終えて
G-03以外の運搬する際にバラした乙型を組み直しているところだ

「んーやっぱり隊長にいろいろと申請しようかな…」
辺りに人はいないので普段と違い少し大きめの声になっている
「第二格納庫や地下施設の建造許可とあとは…機材とかって部隊の経費で落ちるかな?他には…」

淡々と独り言をしゃべりつつ、的確に効率よく物凄い勢いでゴーレムが次々組み上げられる
なんとも言えない光景がそこにあった


【司令部の格納庫にて指令がでるまで待機、出されればすぐにでも運搬用の装甲ゴーレムで出発可能】
273ナーゼム ◇mod3U1utJw:2011/06/02(木) 00:58:46.30 0
例えるなら、クルミだろうか
ヒトの頭とは魔獣にとって存外柔らかい
鈍く輝く処刑台が罪人の頭を簡単に噛み砕こうとした時だ。鋭い衝撃が襲う
噛めない、口を閉じることができない。
ナニかが引っ掛かっているのか?仮にそうだとしても魔獣の力に打ち勝っているソレはなんだ?

周りを見渡せばあの女はニードルデーモンの屍の上にいた
なるほど、合点がいった。低俗とはいえ同じ魔獣、そこらのモノより固い訳だ。
だが、所詮はその程度

「コノテイドォォォ、、小骨ミタイナモンダロォォォォ!!」
ギチギチと針がしなる。力を込めればソレすら砕くこと、訳無い。
しかし、眼前の相手はそれを悠長に見ていない

>「なぁバケモン。腕一本ぐらいならタダでくれてやるよ。釣りもいらないからさ。
 ついでに口内炎もあげるよ。水さえも飲めなくなるかもな、喜べよ」

口に広がる斬撃、刺突、斬撃!

今まで、どんな攻撃も大した怪我をしなかった。それは堅固な体だったからだ。
しかし、この内からの、まるで無防備な所を着いた闇雲な攻撃
今まで魔獣が出会わなかった
最後まで諦めない者の悪あがき

魔獣は悲鳴を上げた


「アアィ゛アアァ゛ァ゛ア゜ァイ゛ァア゜アアッッ」
274ナーゼム ◇mod3U1utJw:2011/06/02(木) 00:59:06.17 0
悶え苦しみ、暴れ回る。
その度に牙が男の腕を傷つける。しかし攻撃が緩まることはない

だが、魔獣の口はいつまでも女々しく悲鳴をだすモノではない、相手を恐怖させる咆哮を上げる為にある

「ガ゛アァ゛ァァア゛゛ア!!ナメンナァアアァァ!!!」

血に塗れた口の中に輝く針がへし折れた。引っ掛かりもなくなり勢いよく牙が落ち

――咬みついた。

さぁまずは腕一本頂くか
完全に切断するために力を更に込め


>「バリントンを……はなせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

られなかった
先程のナイフなど比ではない。巨大なゴーレムで殴られたような衝撃が側頭部を襲う

「ガッハァァッッ!!」

ついに捕えた、という油断が災いした。
呻いてしまった、口を開けてしまった、放してしまった。

少年はすぐさま距離をとる。
腕は重傷だが、とにかく生きている。

トドメを…、させなかった…?このオレが…?

ふがいなさに怒りが込み上げ
悔し紛れに腕を振り回して暴れる
周りの全てを壊し、己の腕の傷が更に広がり、
275ナーゼム ◇mod3U1utJw:2011/06/02(木) 00:59:26.18 0
剣が抜け落ちても獣の怒りは収まらない

「ガァ! クソガッ、クソガアァ゛ァ゛!!
ナンナンダテメェラ!オレガ怖クネェノカ!!?
ア゛ァ、痛ェ畜生…、オレハバケモノダゾ…、壊スコトシカデキナイ天才ダ…!」

血を吐き、悲痛に叫ぶ声が響く

彼は、寂れ、そして平和な村の平民の出だった。
天才とは無縁の家系に生まれ、天才として、それも一際悍ましい異才として生まれた
異才を覚醒させてから彼は愛されない、否定されつづけた人生だった
父を殺してしまった。母に否定された。故郷に殺されかけた。

自分のチカラが大嫌いだ。こんなチカラを持ってしまった自分が大嫌いだ。
だが、この組織は、この仕事は、この仲間は…
このチカラを必要としてくれた。
期待に応えたくて、今まで何度血に染まっただろう。
これからも変わらない呪われた人生かもしれない。
だが、必要とされることは「救い」なのだ。
だから…

「ココデ、負ケタラ…、オレノ存在ハ何処ニモ無イ!ソレダケハイヤダッッ!!」


砕けた破片が宙に舞い、鋭い破片が二人を狙う
礫の対処に一手遅れるはずだ。
「っ!! ナーーーーーーゼムッッッ!!」

まるでタイミングを合わせたかのようにクローディアの合いの手が入る
途端に場面は変わり、眼前には別の女がいた。
先程と自分と同じ、勝利を確信し、油断した表情をした…


「! モラッタアアァァァァァ!!!」

腕を横に凪ぐ。既にこちらは限界に近づきつつある
この一撃、例えこの腕ちぎれようと決める!!!




【ウィレムを解放、セフィリアの剣も抜けた】
【二人を礫で牽制後、クローディアによってワープ ノイファに決死の覚悟で攻撃】
276リードルフ ◇M0g7zNWq0k:2011/06/02(木) 01:00:21.71 0
「西区連中に言っとけ。軍の部隊と合流して怪我人の救出と手当、それから暴走ゴーレムの『元』になった機体の回収。
 中央区のアレはもう使い物にならねえだろうからな……申し訳程度でいいから適当に成果を掘り当てろ」
「ひ、ひゃい……。失礼しました……。」

痛む鼻を押さえ、涙を堪えながらフローレンスは退室した。
夜の姿は、どうも調子が狂ってしまう。エルフの時のまま振る舞おうとするからだろう。
こればかりは直らないだろうなと何度目になるか判らない嘆息が出た。

「さて、皆さんを集めなければ……。」

差し当たって、まずは医務室に向かうことにする。2人とも、そろそろ目を醒ましている筈だ。
なるべく音を立てぬよう、医務室のドアをゆっくり引く。

「失礼します、遊撃課のフローレンスで……。」

自己紹介しかけて、フローレンスは文字通り凍りついた。
場所を間違えた。その言い訳が通じたらどんなに良かっただろう。
ルインが、プリメーラを押し倒していた。しかも服がはだけている。
フローレンスは迷わず、ルインに大股で歩み寄り、きつい平手をお見舞いした。

「神聖な医務室で、しかも怪我人になんてことを……。恥を知りなさい!」

顔に紅葉を散らしルインを叱りつける。まさか事故だったとは露ほどにも思っていない。
緊迫した空気が張り詰める中、やにわにロキによって豪快に扉が開かれた。
その場で瞬時に空気を読んだかは分からないが、ロキは手を打って呑気そうに笑った。

「東方の格闘技ジュードーってやつだね! 面白そう! 今度ワタシも誘ってよ!」
「……じゅ、じゅーどー?かくとーぎ?」
「あ、あの、ペンダントを探してて…おにいさんが持ってるんじゃないかって…その……」

追い打ちをかけるように、プリメーラ自身が事故であることを説明した。
何てことだ。とんでもない勘違いをしていた事を諭され、更に顔が朱に染まる。
形容し難い空気が流れ、フローレンスはおろおろとするばかりで。

「ご、ごめんなさい……」
「す、すみませんでした……。」

結局二人は揃って、ルインに頭を下げるのだった。
277リードルフ ◇M0g7zNWq0k:2011/06/02(木) 01:00:43.96 0
【格納庫→中央区】

「ストラトスさん、いらっしゃいますか?」

格納庫に入室すると、ストラトスが訝しげにフローレンスを見る。
まさか目の前の女性がリードルフである事を知らない。頭を下げて自己紹介する。

「初めまして、遊撃課非常勤のフローレンスです、リードルフの姉ですわ。どうぞお見知りおきを。」

早速ですが、と西区に集っていたメンバー達を見回し、任務の概要に入る。
中央区に向かい、怪我人の救出を最優先する事を説明し、リードルフとは後で合流すると流しておいた。
そしてストラトスの運搬用ゴーレムに乗り、面々は中央区へ向かう。

「あれは……遊撃課の方でしょうか?」

フローレンスの視界に、背中に羽を生やした少年が映る。腕章は遊撃課のものだ。
少年は戦っているらしい。戦いは既に収束したものと思われたが、どうやらまだ終わりではないらしい。
一足早く降り立ったのはプリメーラだった。しかし方向は遊撃課の腕章をつけた女性たちの元だ。
金髪の女性に抱きついて甘えたかと思いきや、今度は敵と思わしき男と少年に瓦礫を放っている。
敵は彼らに任せよう。何より『今』は人間であるフローレンスは判断し、ルイン達へと振り向く。

「これより戦線の渦中の人達を避難させます。ストラトスさん、私を緊急避難所まで!
 皆さんは怪我人を運んできてください。治療も手伝ってくれると助かります……ルインさん貴方もですよ?
 スイさん、貴方はその鳩で東区や西区の怪我人も運ぶよう伝えてください。では……状況開始です!」

ロキ達もゴーレムから飛び降り、フローレンスは中央区の緊急避難所に降り立つ。
怪我人が皆、治療を待っていた。両頬を叩いて緊張をほぐし、集まった怪我人に大声で伝える。

「皆さん、応急手当をしますので一列に並んで下さい!重傷人を最優先に!」


【中央区に到着。緊急避難所で手当てを開始】
278スイ ◇nulVwXAKKU:2011/06/02(木) 01:01:28.34 0
鼻歌を歌いつつ、窓から窓へと飛び移る。
スイは鍵の開いた窓を探していた。

「このあたりにありそうなんだがな…」

現在ブラピ号は優雅に空を滑空中。
ほどよく開いた窓を見つけ、もう一つ上の窓辺にずり落ちつつぶら下がる。
その体勢のまま軽く窓を蹴って部屋に着地した。
そこには…なんとも言えない光景が広がっていた。
ルインが、プリメーラを押し倒している奇妙な事態を、スイは冷静に対処しようとした。

「…発情期か。」

…冷静すぎた。

「子作りはいいことだが…場所は選べよ。」

フローレンスに張り倒されたルインを見ながら言った。
そしてしどろもどろになっている二人を見て一言。

「そんなこともあるさ。」

そしてロキに向かって言った。

「是非その格闘技、今度教えてくれないか。」

じゅーどー、という響きに魅力を感じたスイだった。

【中央区】

光の一線が、ゴーレムの上にいた人物を射抜こうとする。
続いて瓦礫が飛ぶ。

「……。あー、と。」

状況から見て、この戦闘状況は問題なさそうだと判断する。
そこにフローレンスの声が聞こえた。

>「スイさん、貴方はその鳩で東区や西区の怪我人も運ぶように伝えてください」
279XC ◇nulVwXAKKU:2011/06/02(木) 01:02:47.12 0
>「では…状況開始です!」
「了解。それと」

スイは鳩を指さし、言った。

「こいつにはブラッディピース号という立派な名前があるんだ」

それだけ言うと満足したので、ブラピ号に話しかけた。

「おまえの仲間たちにも力を貸してくれと言ってくれ。」

わかったと言うように、ブラピ号は羽を広げ、そのまま飛び立つ。
近くの森からは、何羽もの鳩が、西区と東区に向かって飛び立っていく。
きっと鳩たちは怪我人を誘導してくれるはずだ。
空に飛び立ったのを確認すると、スイは、フローレンスを補助するために、緊急避難所へと足を向けた。

【鳩たちが西区と東区へゴー。怪我人を誘導します。】
【スイはフローレンスの手当の補助にまわります。】
280ルイン ◇5q.yyAvL6. :2011/06/02(木) 01:04:47.10 i
(……………ん…………ん?)

違和感を覚えたのは眠り始めてしばらくしてからだった。自分の上で何かが動いている。
寝起きでまともに働かない頭で何があったのかと億劫そうに首を動かすと

人が上にいた。

目があった。

思考が停止した。

叫ぶより早く口と鼻を塞がれる。息苦しさと寝起きの視界のぼやけで相手の顔がはっきり見えない。
何もわからない、という事実がルインの中を焦りと恐怖で満たしていく。

>「お願い騒がないで!これにはワケが……!」

(ま、まさか取立人が俺の内臓を売り払うつもりで…!?)

ルインにとって心当たりはそれしかない。
実際そんなことはまずありえない。が、突然の出来事で冷静さを欠いていた。
故に考えるより先に反射的に身体を動かし激しく抵抗していた。
足を動かし、相手の手を掴み、力任せに押す。結果───ベッドから落下。

「うおわぁぁぁっ!?」

しかしルインとて素人ではない。
情けない声を上げつつも、反撃を食らわぬよう相手を抑え込むことに成功した。
押さえ込んだ状態で恐怖からか呼気を荒げるその姿は色々とアブナイ。本当にアブナイ。
ふと相手の顔を覗き見る。え、と目が丸くなった。何故ならば不可解な行動を起こした人物が

>「あいたたたた…… !」

小さい娘もといプリメーラだったからだ。

「なななななななな何してんんんんんのっ!?何でっ!?意味がわかんない!」

「何故」とか「どうしてなんだ」といった疑問の台詞しか頭には浮かばず考えがまとまらない。
起きたばかりで頭がまだぼうっとしていたのもあったのかも知れない。

>「失礼します、遊撃課のフローレンスで……。」

二度のノックと共に現れたのは淑やかな女性だった。
女性は遊撃課の人間らしく丁寧に自己紹介を始めるが、場の惨状を見て瞬時に固まった。
そこで漸くルインも状況を飲み込みはじめたのか顔を引き攣らせる。

>「神聖な医務室で、しかも怪我人になんてことを……。恥を知りなさい!」

「え?え?い、いや、これは違うんです!これはただの事故といいますか……!違いますって!ちが」

果たせるかな、必死の説明はフローレンスの心に響くことなくばちんの快音と共に情けなく崩れ落ちる。
好感度が底を割る情景を垣間見た気がした。泣きたくなった。
そもそもパンツ丸出しの男の説明に耳を傾ける人間などいない。説得力なぞ全くない。

「うっ…ぐぐ……なんで俺が叩かれなきゃいけないんだ……」

初対面の女性にいきなり平手を貰ったのがショックだったらしく目の端には涙が溜まっていた。
281ルイン ◇5q.yyAvL6. :2011/06/02(木) 01:05:14.93 i
涙目になりながら窓に目をやると影が見えた。
人かどうかは判然としなかったが今のルインにそれを確かめる余裕はない。

>「子作りはいいことだが…場所は選べよ。」

そよ風が医務室に吹いた同時に窓から華麗に床へ着地。窓の外にいたのはスイだったらしい。
窓から入ってくるというスイの奇行は現在の緊迫した空気の中ではよくある日常の風景に感じられた。

「知らん!一生涯童貞の俺にそんなアドバイスいら……いやそんな話をしてるんじゃない!」

いよいよをもってルインも調子がおかしくなってきたらしい。
緊張した雰囲気の中で時間はただただ過ぎていく。ロキはそれを崩すように絶妙なタイミングで現れた。

>「プリメっちゃんにルインく〜ん、次の依頼だよーん!」

ばんとノックもなしに扉が豪快に開く。しかし異常なまでの温度差に誰も言葉を発しなかった。
ロキもしばし沈黙し、やがて考えがまとまったとでもいうように手をぽんと叩いた。

>「東方の格闘技ジュードーってやつだね! 面白そう! 今度ワタシも誘ってよ!」
>「……じゅ、じゅーどー?かくとーぎ?」

やった、とルインは心の中で救いの手を差し伸べてくれたロキに心から感謝した。
意図的であるのか偶然のものであるのかは判然としなかったが。多分後者だ。
畳み掛けるように間髪入れずプリメーラの説明が入り、事態は全て丸く収まった。

>「ご、ごめんなさい……」
>「す、すみませんでした……。」

「い、いや……いいですよ、勘違いってよくあることだし………」

頭を下げる二人にどこか申し訳なさそうな顔をする。
しかし一つだけ腑に落ちないことがあった。

(何で俺の口塞いだんだろー……あ、後服とかどうしてあんなことに?)

未だ納得がいかず頭には疑問符が浮かんだまま。
言ってはいけないような気がしたのでルインは心の奥にしまっておくことにした。


【中央区】

ストラトスの運搬用ゴーレムから降りると、遠くにいる他の遊撃課の人達に恐る恐る一瞥をくれる。

(筋骨隆々のおっさん……傷だらけのおっさん………やばいおっさんだらけ…ひいいい!!)

───がそんなことはあるはずもなく。
むしろルインが想像していたようなむさ苦しいおっさんだらけではなく、むしろその逆。
女性率の多いことにようやっと気付きほっと胸を撫で下ろす。
そしてプリメーラが節操なく課員の女の子達に抱きつくのをみて思わず苦笑い。

(………甘えてんのかな。まあ、子供だし。)

まさか同性愛者だとは夢にも思わない。
282ルイン ◇5q.yyAvL6. :2011/06/02(木) 01:05:43.18 i
「い、いや……安心しちゃいけない……もしかしたら戦うかも知れないんだぞ……!」

ルインは怪我人の救出とゴーレム回収優先だから、と半ば強引に連れて来られたが全く信用していなかった。
訝しそうに敵がいないか周囲を何度見回す。一体誰と戦っているんだろう。
向こうとは大分距離があったが、まだ戦闘が終わっていないらしいことが一層ルインを不安にさせる。

>「これより戦線の渦中の人達を避難させます。ストラトスさん、私を緊急避難所まで!
> 皆さんは怪我人を運んできてください。治療も手伝ってくれると助かります……ルインさん貴方もですよ?
> スイさん、貴方はその鳩で東区や西区の怪我人も運ぶよう伝えてください。では……状況開始です!」

「ほっ………良かった……嘘じゃなかったのね………」

随分と大きな安堵の声を漏らす。理由は勿論救助優先だからだ。
勿論そんな浮かれた気分で何故自分だけ釘を刺されたのかなど考えもしない。
早速与えられた任務をこなそうと足を動かす。負傷者はすぐに見つかった。

「ここにゴーレムの飛翔機雷に巻き込まれて怪我した奴がいる!重症だ!」
「任せてくれ!今行くぞぉぉおーーー!!」

喜び勇んで味方の帝国兵のところへ一直線。今までとは別人のようである。
勇気は欠片もないが人を助けようとする優しさくらいはルインも持ち合わせていた。

「俺は応急手当くらいしか出来ないから、止血して避難所連れて行こう」

てきぱきと応急手当を済ませ怪我人を乗せる即席の担架を作り上げた。

「って、担架は二人いないと使えないや。どうしよう………」
「俺が一緒に運ぶよ。だから大丈……いたっ!」
「肩を怪我してるんだから無理しない方がいいですよ。あ〜〜〜困ったな…どうしよう……」

くだらない事で途方に暮れる帝国兵とヘタレ。そこには天才のての字もない。
思わぬところで立ち往生を食らっていると一人の筋肉質の男が担架の端を掴んだ。

「あ、アンタは……?」
「“あんた”?あんたってェのは俺のことかいッ!?俺の名はたてぶえのジョセフ!
 ロキさんの命令で救助活動中だ!初対面でぶしつけだがねェ〜〜〜ッ!手伝ってやるぜ!」

軍装ではない、民間人の出で立ちをした男が加わる事により解決した。
普通ならば訝しむがロキさんならありえるな、と一人で納得した。

いざ担架を持とうとしたところで、瓦礫に山に足を滑らせ綺麗に転んだ。

「ちょっ………大丈夫か!?」
「だ………大丈夫れふ……さあ避難所へ急ぎましょう。すぐ近くじゃまだ戦闘やってますから……」

と、爽やかな笑顔で答えるルインの額から赤色の液体がだらだらと皮膚を伝っていた。
破片で頭を切ったらしい。切り傷は少し深いらしく虚ろな目で明後日の方向を見つめている。
これには流石のお調子者のジョセフも焦った。

「全然大丈夫じゃねーだろうが!!ロキさーん!怪我人が増えてます!」
「ははは、いや大丈夫ですから本当に……ほら、俺って髪の毛が赤茶色だから……血っぽいから」

ルインは至極真面目な顔で言葉を搾り出しているがどう見てもまともではない。
ついでにその気概を戦闘中に見せるべきだ。


【負傷者が一名増えました】
283フィン=ハンプティ ◇yHpyvmxBJw:2011/06/02(木) 01:06:37.93 i

レイピアと共にクローディアへと向けて疾駆するノイファ。
血を流すフィンは腕を組み、快活な微笑を浮かべながらそれを見送る。
その瞳に有るのは、ノイファが負ける事は無いであろうという一種の「信頼」であった。
防御の遺才である『天鎧』の血を色濃く受け継いでいるフィンだからこそ、判るのだ。
ノイファの「攻撃」面での強さと厄介さが。知識ではなく、本能的な部分で。

だから、周囲を見渡す程の余裕が出来た
そして、見てしまった。

「……な、っ、ウィレムっ!!?」

魔獣に腕を喰らわれんとしているウィレムの姿を

無事ではある様だが、その腕は鮮血に染まり、失血のせいで肌の色は蒼白と化している。
遠目にも判る。それが深い傷であるという事が。

「――――てっ、めえええええええっ!!!!!
 ウィレムに……俺の後輩に何してやがるんだッッ!!!!!!」

ウィレムの速度を持ってすれば、攻撃を喰らう事は無い。
そう思って魔獣へと向かわなかった。その判断が、裏目に出てしまったのかもしれない。
そしてその結果、ウィレムは傷ついた。

理解した瞬間、仲間を傷つけられたという事実への激怒か、
フィンは明朗な彼には珍しく、強い怒気を孕んだ声を出した。
傷ついた自身の傷の事など忘れたかの用に魔獣へと駆け出そうとしたが

>「パンプティ!あんたに教えてあげるわ!あたしは仲間想いなんかじゃないけれど――商品は大事にする性質なの。
>どいつもこいつもあたしの大事な商品をーっ!そりゃ傭兵は使い捨てかもしれないけどね!無駄遣いして良い道理もないわ!
>あんたが全てを守るなら、あたしはあたしの財産を守る。天鎧なんかじゃ及ばない、金のかかった守りを実現してやるわ!」

だが、期せずしてその必要は無くなった
クローディアが叫んだその言葉と共に、魔獣ナーゼムがフィンとノイファの前に突如として君臨したからだ。
恐らくは召喚と似たような現象なのだろう。
そして、呼び出された魔獣は、ダメージを負ってはいる様だが、未だその凶悪な力は健在している。
それは見る者に恐怖と絶望を味わわせるには十分な迫力であった。

>「! モラッタアアァァァァァ!!!」

そうして、薙ぎ払う様な豪腕、命を叩き折るかの如き一撃が繰り出される
先程の砲撃と同じく……否、その攻撃面積を考えれば、それをも上回るかもしれない
まさしく破壊に特化した一撃。それは容赦無くノイファへと襲い掛かり
284フィン=ハンプティ ◇yHpyvmxBJw:2011/06/02(木) 01:07:06.27 i
「――――させる、かよっ!!俺は言った! ノイファっちをどんな攻撃からでも守るって!!
 んでもって、これ以上、仲間は傷つけさせねぇ――――例え、俺の命にかけても、だっ!!」

「よく見とけクロなんとかっ!!
 テメェには、金よりも大切なモンを、俺が気付かせてやるっ!!!!」

刹那の後の交錯の後――――

その腕を、爪を、フィンが受け止めていた。
負傷した足で走ったからだろう。右足は鮮血で赤色へと変色しており、
魔法の雨で負った傷口からも血は流れている。

だが、それでも間に合った。

正に命がいらないかの暴挙だったが、しかし、フィンは魔獣からすれば遥かに脆弱な身体で、
魔獣の渾身の一撃を確かに受け止めていた。
超絶的な技巧を用いて、豪腕の衝撃を地面に逃がしたのだろう。
地面には円形にひび割れが生まれている。爪は――――ノイファには届いていない。
そう、フィンは確かに受け止めたのだ。

――――ただし、その代償は大きかったが。
よく見れば、魔獣の爪の一本がフィンの右脇腹を抉ってていた。
臓器は傷ついていない。致命傷ではないだろうが、それでも夥しい血が流れ出る。
持久戦になれば、失血で最悪命を落とす程の傷だ。

「……今度は、こっちの番だああっ!!!!!!」

だが、フィンはそんな様子はおくびにも出さず、その手甲を即座に魔獣の爪と爪の間に叩きつけた。
指の隙間というのは、どんな動物でも基本的には脆い箇所である。
如何なフィンが攻撃に向いていないとはいえ、頑健な金属を至近から渾身の力で叩きつければ、
それなりのダメージは与えられるかもしれない。

「ノイファ――――っ!!!!!」

膝を付きながら、フィンは背後のノイファに声をかける。
鎧は役目を果たした。次は剣の番だ。

【フィン、全身負傷及び、右足、右脇腹へのダメージ大。
 ナーゼムの一撃を受け止め、一撃反撃を入れる】
285ロキ・ハティア ◇9pXiBpy0.U:2011/06/02(木) 01:10:00.90 i
>276
フローレンスと名乗る綺麗な女の人が現れた。リーフ君のお姉さんなんだって。
でも姉弟なのになんで種族が違うんだ? もしかしてリーフ君はチェンジリングなのか?

チェンジリング……妖精の取り換え子。ここでの意味は人間の両親から生まれたエルフの事だよ!

>278
>「是非その格闘技、今度教えてくれないか。」
「実はワタシもやった事はないんだけど今度一緒にやってみよう! きっと楽しいよ!」

>277
ストラトスの作ったらしい運搬用ゴーレムで移動する。
「すごいすごーい! 空飛ぶゴーレムが作れるって事はー天空の城も作れちゃうんじゃない?」

>279
>「こいつにはブラッディピース号という立派な名前があるんだ」
「血塗られた和平……多くの犠牲の上に勝ち取った平和……深い!」

>282
空飛ぶ絨毯を使って楽々と怪我人を運んでいると、声がかけられた。
>「全然大丈夫じゃねーだろうが!!ロキさーん!怪我人が増えてます!」
>「ははは、いや大丈夫ですから本当に……ほら、俺って髪の毛が赤茶色だから……血っぽいから」
「おわっ!?」
ルイン君は緊急避難所に強制連行と相成った。

避難所では多くの怪我人が手当を待っていた。とてもリーフ君一人では間に合いそうにない。
とりあえず叫んでみた。
「気合いだ、気合いだ、気合いだ―――ッ!」
「ええっ!? 気合で治ったら苦労しませんよ!」
と、ジョセフさん。

「確かにそうだね。どんなに勇気100倍でも負ける時は負けるし死ぬときは死ぬ。現実は残酷だ。
でもそれが当てはまらない世界があるんだよ。でも彼の地では想いが形になる……。
んでもって今この辺は少しだけその世界に近い状態になってるね」
おそらくは偽りの夜の原因となった何かの大技の余波か。この魔力は堕天使さんのものだろう。

「奇跡の霊薬ポーションだよ! どんな怪我も一瞬で治るよ!」
意味ありげな青い瓶に入った霊薬をルイン君をはじめとする怪我人に配って回る。
と見せかけて本当は何の変哲もない水である。
さてさて、プラシーボ効果の実験です。どれ位の割合の人に効果が出るかな?

【ルインを緊急避難所に担ぎ込んだついでに怪我人相手にプラシーボ効果の実験を始める】
286名無しになりきれ:2011/06/02(木) 01:14:03.88 0
いつでもなな板に戻りやすいように、レス置き場のレスを転載しています
287セフィリア ◆LGH1NVF4LA :2011/06/02(木) 02:39:28.77 0
振り下ろす木塊、重さ片手で数十キロ、樫の木は堅い、武器としては十分な……いや、十分すぎるほどの物
彼女の細い腕には不釣り合いながらもその遺才がそれを持つことを可能にさせる。普通の人間が片手で持つなどは考えられない物
持つことが出来るのが彼女の遺才!ガルブレイズ家の異端!『剣舞姫』と呼ばれる達人!教導院時代にグラス・リッパーと恐れられた少女!!
そんなものはいまは関係ない、ただのセフィリア、セフィリア・ガルブレイズとして、同僚のウィレム・バリントンの窮地を救おうとその持てるすべてを……

双腕が支える木塊に注ぎ込んだ!!

まだ出会ったばかりの友のために叫ぶ、期間は関係ない……共に戦場で剣を並べた
その事実だけで戦友と友と呼ぶことに彼女は疑念を挟む余地などは存在していない
ただ友のために、その魔物の強靭かつ凶悪な両腕が彼女の軽い身体を木の葉のごとく引き裂くかも知れない
その鋭い牙、大きすぎる顎が彼女の小さな頭を噛み千切るかもしれない

───関係ない───

そのような考えが彼女の動きを鈍らせることはこれっぽっちもない、そんなものよりここで友を見捨て1人生き残ることのほうがなにより怖い
彼女の能力ならそれは造作もないことだろう。ゴーレムを取りにいき、現在の圧倒的な体格差を逆転させ、仇を取ることもできる
おそらくだがウィレムはそう望んだかもしれない、だが、だがしかし! 彼女それを良しとしない
貴族の矜持か騎士としての責務か? いや、違う。ただ彼女がそういう人間だっただけだ
ただの実戦経験がない者の無謀な突貫と取られるかも知れない。事実はそうであろうが彼女はただ友のために恐怖を抑えての行動

そうただ友のために

>「ふはっ……さっきのもかわいかったけど……やっぱセフィさんは……そっちの方が似合ってまスね……
 あ、そだ……次は……次があるのなら、その時は……ウィレム、と呼び捨てにして欲しいでっス……
 家名で呼ばれるのは……あんまり好きじゃないもんで……ね」

頭を打つ直前に聞こえる友の声……死ぬかもしれないときに軽口を叩く彼に彼女は口の端を少し上げる
だが、彼の左腕が魔獣の牙に傷つけられ、いまだその口の中に捕らえられている
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
怒りがインパクトの直前、さらに加速させる
288セフィリア ◆LGH1NVF4LA :2011/06/02(木) 02:43:29.83 0
>「ガッハァァッッ!!」

彼女の怒りの一撃が魔物の脳天に直撃した。同時に蹴りナーゼムから距離を取る
同時にくるは暴風のごときナーゼムの反撃、かろうじてかわす
背中に冷たいものが伝う……タイミングが一瞬でも遅れていれば死んでいた
恐怖が再び顔を出す、全身に緊張が走る。死神が彼女の首筋に刃をつきつけたような感覚

>「ガァ! クソガッ、クソガアァ゛ァ゛!!
ナンナンダテメェラ!オレガ怖クネェノカ!!?
ア゛ァ、痛ェ畜生…、オレハバケモノダゾ…、壊スコトシカデキナイ天才ダ…!」

周囲に響くは魔獣の咆哮
(怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い)
怖いに決まっている!
ふたたび溢れ出る感情に潰されそうになる。ウィレムの左腕のことを思い出すと怒りが恐怖を塗りつぶす

「よくも私の(友達の)ウィレム(家名で呼ばれるのがいやらしいので)を!」

怒りに任せて駆ける……
>「ココデ、負ケタラ…、オレノ存在ハ何処ニモ無イ!ソレダケハイヤダッッ!!」
ふいに聞こえる敵の独白……その言葉が彼女の動きを鈍らせる
負けたら自分の存在価値は……その才を疎まれ、左遷された自分の価値は……
「お前は幸運にも末娘だ!好きに生きるがいい!騎士になりたいと言うならそうすればいい! だが、その才に溺れるな!
その才に負けるな! その才を常に高めろ! そうすればお前は立派な騎士となり人々の憧れとなる! いいな!」

父の力強い言葉を思い出す、セフィリアはその言葉に元気よく返事したこともついでに思い出した
結局、彼と彼女の差はそういったところなのかも知れない、生まれによる不幸はいつの時代にもどこにでもあるのかも知れない
一歩間違っていればこの敵と自分は立場が逆だったかも知れない。一瞬、ほんの一瞬彼女の脳裏にはそんな考えが浮かぶ
気付けば目の前には瓦礫、彼女の頭にあたる。ごく小さいものでそれほどのダメージはないが、眼鏡が飛び、ぶつかったところから鮮血が一筋ながれる
隙が出来た!……かの魔獣の追撃はなかった。目を開けると魔獣は眼前ではなくノイファの前にあらわれる
いきなり移動に彼女は面食らうがどうやらクローディアの魔術によるものらしい
だが彼女にはそんなことを考えてる余裕はない。

「目が……! 目が痛い! 頭が……!」

突如、眼を抑え地面に座り込む
彼女の遺才は特殊だ。両手に持つ物を完璧に扱うためにそれに必要な身体能力も強化される。筋力、反射、持久力等々鍛えられる
その中でももっともその恩恵を受けるのが『眼』だ。戦闘にはその双眸が不可欠、驚異的な動体視力や物体把握能力などが脳に多大な負担をかける
そのために特殊な魔術を施し、眼の負担と脳の処理を軽減していた
眼鏡が負担を肩代わりし徐々に処理するそういう方式だ
それが無くなったために脳に負担が一気に来たのだ

「ああ……あ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

激痛が彼女を襲う、これほど長い間の実戦は経験したことがない
その蓄積された負担がいま彼女を襲っているのだ。いま彼女はただの人以下だ
289ウィレム ◆uBe66UnnCY :2011/06/02(木) 06:13:28.81 0
>「ガッハァァッッ!!」
浮遊感。
解放されたことに気づくのと、地面に着地するのは、ほぼ同時だった。
本能的に距離を取り、そして気付く。
――走れる?

さっきまで、息も絶え絶えで。いつ気を失ってもおかしくない状態だったのに。
視界ははっきりしている。息も切れていない。上から下まで、違和がない。
左腕が完全に使えずダラリと垂れ下がっていることを除けば、「元気なウィレム」がそこにいる。

理由はわからないが、まだ走れるみたいだ。
ただ、同時に。本能的に理解する。
こんなの、長続きするはずないと。

>「ココデ、負ケタラ…、オレノ存在ハ何処ニモ無イ!ソレダケハイヤダッッ!!」

「……俺たちが勝つことで存在がなくなる?どれだけあんたの存在ってちっぽけなんだよ。
 はっ、なら俺の全身全霊を賭けて、お前のその存在を否定してやるよ!」

――全てを失なったとしても、それでも、何かは残るものなんだよ、絶対に!

飛んできた瓦礫など全く苦にすることはない。避けることなど造作もないのだ。このウィレムには。
いざ反撃に移ろうとしたところで……隣に立つ人物の様子がおかしいことに気付く。

>「目が……! 目が痛い! 頭が……!」

「せ、セフィさん?」

さすがのウィレムも目を丸くする。さっきまであんなに元気だったのに、まさかさっきの礫が?
いや両目を押さえている。いくらなんでも同時に両の瞳に礫が当たるなんてことはないだろう。
頭、も?

>「ああ……あ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

いくらウィレムでも焦る。
セフィリアの攻撃力を当てにしていたところが十分ある。ウィレムのナイフは怪物の口の中に置いてきた。
そのセフィリアが戦えない?どうする?どうする?どうすればいい?

ふと気付くと目の前に居たはずの怪物がいない。視線を遠くにやると、さっきまで居なかったゴーレムが。
そして。

>「イチャついてんじゃないわよーーっ!忌々しいから可及的速やかに、消えてなくなれーーーっ!!」

砲撃が向かってくる。こちらに。すぐに逃げろ、だがここには蹲るセフィリアがいるんだぞ。
近づいてくる!着弾する!間に合わない――!

爆発。
290ウィレム ◆uBe66UnnCY :2011/06/02(木) 06:15:19.53 0
「はは……遅すぎっスよ」

セフィリアを右手だけで抱え、乾いた笑いを浮かべる。『縮地』に、「間に合わない」は存在しない。
この遺才をもってすら本当に間に合わないのなら、それを認識することすらないからだ。

視界の隅にあの怪物が映る。瞬間移動でもしたのか?あの丸太のような腕でもって、攻撃を仕掛けていた。
そして当然、あちらにはセンパイがいる。重傷のようだが、守り抜いていた。
――嘆息。
もしそこに居たのがウィレムだったらどうだった?2人揃ってぐしゃりと潰れて御臨終。
センパイだからこそ、護れるのだ。どんなに強い力が働いても。
その傷については心配ではあるが、センパイだから大丈夫だろうと考えてしまうほどに。
さっき怪物に拘束されていた時も、センパイの声は聞こえていた。俺のことも、気にかけてくれる。
いつまでも、越えることは出来ないだろう。ウィレムの尊敬する人だ。

そして、考えてしまう。護られている人のこと。その人を護れるのは自分じゃないこと。
少しだけ、ほんの少しだけの嫉妬の炎が、ウィレムの胸を焦がす。


「大丈夫スか?……ただ、あんなのに対抗できるのは、セフィさんだけだから。大丈夫じゃないと、困る」

セフィリアに声をかけつつ転がっていた、眼鏡を拾う。枠に歪みはあるものの、硝子に割れなどはない。
現状ではセフィリアは戦えそうにないが、かといって余裕などウィレムにはないのだ。
ゴーレムに対抗できるのは、おそらくゴーレムだけだろう。セフィリアのゴーレムに目をやる。
ここからそれほど遠くない場所に。ほぼ無傷の状態で聳えている。
逡巡は要らない。セフィリアを抱えたまま、ウィレムはそのゴーレムの側へと走る。

「俺が時間を稼ぐっスから……なんとか、元気になってくれ」

セフィリアを降ろし、眼鏡をかけさせる。目が目がと言っていたので、これで少しはマシになるか?
見渡す。向こうの方。背中合わせのように並ぶゴーレムと怪物。
その近くに、転がっている、物体がある。さっきまでクローディアが背中に担いでいたモノだ。
留め具の部分が破壊されている、さっきの戦いで落とす羽目になったのだろうか。
金庫を守るように並び立つ2つの巨躯。常で考えるのなら、そんなところに近づくのは自殺行為だ。
だが、考える時間すら惜しい。

瞬時に金庫の元へと向かう。気づく頃には、ウィレムはもうそこにいる。
金庫に手を掛ける。予想通りだがむちゃくちゃ重い。ましてやこっちは片腕だ。
だが、それでも力を込める。歯を食いしばる。手から血が出る。
持ち歩こうなんて思わない。少しだけでも持ち上げることさえ出来ればいい。それだけ出来れば――、

――跳べる。

ウィレムの足下からの推進力で、金庫ごと、高くへ。高くへ。遥か上空へ、跳んでいける。
291ウィレム ◆uBe66UnnCY :2011/06/02(木) 06:15:48.54 0
跳躍、のちの最終到達地点。
もう避難は完了した、市民は無人のダンブルウィード東区。その上空で、ウィレムは声高々に張り上げる。
この金庫が全財産だとは思わないが、財力を武器としているのなら、少しでも失われると、辛いだろ?

「さぁ皆々様お立会い!ここでとびっきりの良い知らせだ!
 魔物に襲われてこの街、色んな被害が出ちゃっただろう?壊れたモノを直すのだってタダじゃない!
 そんな時だ!なんと!あの大豪商のメニアーチャ家の方が、復興支援をしてくれるって仰せだよ!
 こりゃもう足を向けて寝られやしないね!さぁ早いもの勝ちだ!」

もちろん市民に聞かせている訳ではない。すべては、地上のクローディアへと。
まるで魔導拡声器でも使用したかのように通る声で叫びつつ、ウィレムは金庫の引き出し口に手を掛ける。
何の予備動作もなく金を取り出すのは見ていた。つまりは、そういうこと。予想通りだ、鍵はかかっていない。
体に括り付けていたのならそう盗まれたりはしないし、何度も取り出さなくてはいけないその遺才からか。
常日頃持ち歩く財布にまで鍵を付け、毎回開錠して支払う輩がいるなら、それは心配性の枠を越えている。

銅貨が、銀貨が、金貨が、紙幣が。まるで雨のように、零れ落ちてゆく。
一陣の風が吹いて、つむじを巻いて。四方へ、八方へ、十六方へ。
とてもじゃないが、拾い集めきれやしないだろう。
金をばら撒いて、ばら撒いて、ばら撒いて、金庫の中が空に近づいて。
最後の一掴みでも、遥か遠くに投げようとして。

――そして、糸が切れた。

なぜこんなに動けたのだろうか、とんと見当が付かないが……限界だったのは、ずっと前からだ。
理由など考えても堂々巡りだ。神様が俺に力を与えてくれたということにしよう。無神論者だけどな。
結果として、もう指一本すら動かせない。目の前が霞む。色づいていた世界が、白黒に変わっていく。
俺がやれることはやった。あとはみんなにやれるだけやってもらおう。また笑顔で会えるといいな。

(とりあえず……もう……疲れた……かな……)

ここは空中。叩きつけられたら重傷どころの騒ぎではない高さだ。
それ以前に、ほぼ間違いなくあのゴーレムに撃ち落とされるんじゃないだろうか。
だけど、もう何も出来ないから。
ふらふらと漂いながら、落ちながら。
ウィレムは瞳を閉じる。
満足げな表情を浮かべて。

【気絶】
292アルテリア ◇U.mk0VYot6:2011/06/02(木) 19:55:28.95 0
ゴーレムが沈黙したのを確認するとアルテリアは静かにため息をし、スティレットに視線を移す。
「レイスティンガー…カ」
確認するようにその名をつぶやくと、徐に矢筒に手をつっこみあるものを取り出す。
「いいセンスダ」
そういってスティレットにペロペロキャンディーを渡した。
「さぁテ、あのガチョウがどんな顔をしているか見に行くとしよウ」
そういってアルテリアは意気揚々と先ほどまでいた場所に戻っていった。

しかし、現場の状況は彼女が予想を裏切った。
大胆不敵に現れた敵によって言いようもない緊張感がただよっている。
ボルトの命令を受けすぐに射ろうとするも
>>「レイリン姉さんと姐さんもご無事で何よりですー!」
「離れロ!この豚女ッ!」
状況を省みずにタックルしてきたプリメーラによって邪魔される。
それを口汚く罵り蹴り飛ばし、改めようとするが、
サフロールの放った光、そして、プリメーラが飛ばした岩によって標的が完全に隠れてしまった。
「…チッ!!!」
不愉快そうに舌打ちし、しぶしぶ怪我人の救助にあたる。

敵の増援を発見した以上、この緊急避難所も安全とはいえず
アルテリアはそのまま避難所の警護についた。
>「奇跡の霊薬ポーションだよ! どんな怪我も一瞬で治るよ!」
>意味ありげな青い瓶に入った霊薬をルイン君をはじめとする怪我人に配って回る。
>と見せかけて本当は何の変哲もない水である。
「神も奇跡もないんだヨ!」
すぐさまロキに接近し、渾身の拳骨を落とした。
「どこの世界に酒瓶に薬を入れる医者がいるんダ!」
実は、ロキが渡していた瓶はアルテリアが最近ドハマリしていた酒の瓶だったのだ!
「何をするだぁー!!!」
ジョナサンが吼える。
「黙レ!この第一部捕虜!悔しかったら黄金長方形の回転でもやってみロ!」
先ほどまでのイライラが爆発したのか!怒りが露になり、その矢先がロキではなく
指揮者を殴られ燃え尽きるほどヒートしているジョ(略)ジョに向けられている。
【避難所を警備中、ロキの軽率な態度にキレるが、怒りの矛先はジョジョへ】
293名無しになりきれ:2011/06/02(木) 19:58:27.45 O



戦場カメラマンって何がおもしろいの?




294セフィリア ◇LGH1NVF4LA:2011/06/03(金) 03:09:38.88 0
激痛が襲う、眼も開けられない
いままでは目が痛くなることはあったが、ここまでの痛みはない
(こんなときに……不甲斐ない!!)
頭の中で毒づいてもしかたがないが、痛みで声に出すことは出来ない

>「イチャついてんじゃないわよーーっ!忌々しいから可及的速やかに、消えてなくなれーーーっ!!」
メニアーチャのお嬢様の声がするがウィレムを連れて逃げないと! その想いに身体応えてはくれない
(不甲斐ない! 不甲斐ない! 不甲斐ない!)
自分は貴族で騎士だ! 民を守る使命がある。友を守る使命がある
……いつもならそんなことも考えていただろう
ゴーレムが近づく……セフィリアは動くこともできない

>「はは……遅すぎっスよ」
身体が急に浮き上がる。ウィレムの声がするのは彼が助けてくれたからだろう
ぎゅっとウィレムの服を掴み、振る落とされないようにする
「あ……り…が…とう、わたし……かるいで……しょう?」
振り絞るように声をだす、痛みが増し思考力が薄れていく、せめての軽口

>「大丈夫スか?……ただ、あんなのに対抗できるのは、セフィさんだけだから。大丈夫じゃないと、困る」
ウィレムが落とした眼鏡をかけてくれる
「これで……大丈夫。ありがとう……ウィレム」
立とうとする……ふらつく足、叩いて奮起させる。やっとゴーレムの足下に立つ
彼の期待に応えたい! その想いだけで彼女はゴーレムに昇る

>「さぁ皆々様お立会い!ここでとびっきりの良い知らせだ!
 魔物に襲われてこの街、色んな被害が出ちゃっただろう?壊れたモノを直すのだってタダじゃない!
 そんな時だ!なんと!あの大豪商のメニアーチャ家の方が、復興支援をしてくれるって仰せだよ!
 こりゃもう足を向けて寝られやしないね!さぁ早いもの勝ちだ!」

始まるウィレムのパフォーマンス、敵の資金を使うその行動はとても滑稽で戦場という超緊張感が漂う空間でさえ
とてもおかしかった

セフィリアは笑うのをこらえながら、操縦櫃に身を埋めた
「さあ、サムちゃん。友達の期待に応えないといけないよ! 私とあなたなら出来る。さあ、悪いゴーレムちゃんを退治しようか!」
自分のゴーレム『サムエルソンmk3』に話しかける。語りながら魔術回路を次々と起動させていく、蒸気圧も問題はない
各部の魔術回路もオールグリーンを示す
さあ、私の時間の始まりだ
(ウィレム……時間稼ぎをありがとう)
彼の姿を探す……空で金庫の中身を投げようとしていた……が、急に糸が切れた人形のように落下し始める
「うそっ!」
ゴーレムを急速で移動させ落下点で待ち構える手のひらで相対速度を合わせ衝撃が内容にキャッチする
「ふう……あぶなかった」
ウィレムを狭い操縦櫃に入れると敵対するゴーレム『ミドルファイト3』に向き直る
「ゴーレムで敵対したのが運の尽き!私のサムちゃんが成敗してあげます!」
セフィリアはゴーレムに乗るとテンションがあがる
295ノイファ ◇QxbUHuH.OE :2011/06/03(金) 18:13:17.94 0
ブツリ――と、鋼の剣先は狙い違わず、遣い手の意思を忠実に実行した。
石畳へと落下した金庫が重々しい悲鳴を奏でる。

>「まさか……本当に……?」

地面に腰をつけたままのクローディアが、妙に熱の籠もった視線でノイファを見上げ、声を絞り出す。

「うん?ああ――」

ノイファは笑みを崩さず、しかしレイピアの切先は突き付けたままで、声に応じた。

「――ええ、もちろん。きちんとエミリーちゃんに謝るのなら、キレイさっぱり水に流してあげるわ。」

胸を反らせ、開いてる片手でぽんと叩く。
やや尊大に過ぎる調子かもしれないが、意思が挫けかかっている相手ならば反抗の芽を潰すのに丁度良い筈だ。
だが、そんなノイファの思惑とは裏腹に、クローディアの視線からは音を立てて熱が引いていく。

(え?あれえ?対応を間違いましたかねえ……)

右眼を苛む熱量はいまだ甚大。今日の使用は最早不可能だろう。
だから余裕の態度も、寛大な素振りも、全ては戦闘を回避するための虚勢。
今一度あの物量で攻められたら次を凌げる保障はないからだ。

>「アアィ゛アアァ゛ァ゛ア゜ァイ゛ァア゜アアッッ」
>「っ!! ナーーーーーーゼムッッッ!!」

そして魔獣の咆哮が場を席巻し、その声に気を取られた一瞬の隙をつかれ、止まっていた戦いの刻が再び息を吹き返す。
翻る金色と銀光。貨幣を介した召喚術。
果たして、クローディアは岩の鎧と魔導砲の剣を備えた巨兵を従え――

「こうして睨み合うのは二度目だわね……。」

――ノイファは本日二回目の、そして今度は至近距離で、ナーゼムと対峙するはめとなった。

魔獣の口から滴る夥しい量の血が大地を朱に染める。
ナーゼム自身のものか、それとも戦っていたセフィリアとウィレムのものなのかは判らない。
ただ、目の前の魔獣は激しい怒りに支配されている。その一点だけは確実だった。

>「! モラッタアアァァァァァ!!!」

「ふぅん。アナタ、案外流暢にしゃべれたのね!」

皮肉一つを残してノイファはレイピアを放った。無二の名剣といえども、ナーゼムが相手では荷が勝ちすぎている。
大地を穿つ剣。唸りをあげて迫る巨木の如き魔獣の豪腕。

前髪が揺れ、顔が引き攣る。背筋が粟立ち、口端が歪む。
回避する術も場所もない。ならば――

(――斬り拓くほか道はなし、ですねえ)

半ば捨鉢ともいえる覚悟。歪んだ口の端が釣り上がる。
引き延ばされる時間と知覚。ノイファは襲い掛かる絶死の一撃に対し、迎撃の構えを執った。
296ノイファ ◇QxbUHuH.OE :2011/06/03(金) 18:14:52.14 0
魔獣の豪腕がノイファに届くことはなかった。

>「――――させる、かよっ!!俺は言った! ノイファっちをどんな攻撃からでも守るって!!
  んでもって、これ以上、仲間は傷つけさせねぇ――――例え、俺の命にかけても、だっ!!」

「フィン君っ!?」

ノイファとナーゼムの間へ割り入ったフィンが、己の身を盾として阻んだからだ。
五体を血で染め、何時倒れても不思議ではないほどの無数の傷を負いながら、それでもなお駆けつける。
誰もが憧れ、誰もが求める、絶対不滅の英雄像。天の鎧、フィン=ハンプティとはまさにそれだった。

しかし英雄とて不死身ではない。
とりわけ右脇腹を抉る爪痕は深く、早々に傷口を塞がなければ失血死しかねない。

「待ってて、今治療を――」
>「……今度は、こっちの番だああっ!!!!!!」

だが、回復を促すノイファの声は、他ならぬフィンの裂帛でかき消される。
どころか、苦悶の表情を浮かべることもなく、魔獣の爪の隙間へと手甲を叩きつける。
フィンは声に出すことなく、その行動をもって告げているのだ。いまこそ反撃の時なのだと。

>「ノイファ――――っ!!!!!」

「あーもう!貴方といいウィレム君といい無茶ばっかりしてっ、ホント似た者同士だわ!
 倒れたりしたら……許さないからね!」

搾り出されるフィンの声に後押しされ、ノイファは走った。
一歩でフィンを置き去りにし、続く一歩で大地を蹴る。
着地するのは大地ではない。フィンが受け止め、延びきったままのナーゼムの腕。
針のような毛を掴み、甲殻の隙間へ指をかけ、先へ先へと疾走する。
肩口から鼻先へ、なだらかな鼻梁を踏み台に真上へ跳躍。
これ以上ないほど至近距離で、三度。視線と視線が絡み合った。

「流石にもう慣れたかしらね!それに意外と可愛い瞳してるわよ?アナタ。」

空中で姿勢を整え白刀を鞘走らせる。
孤を描いた切っ先が、大上段で静止する。そこまでが跳躍の頂点、あとは落下していくのみ。
限界まで身体を反らし、捩る。
最大威力の斬撃、狙うは魔獣の眉間。甲殻ごと、断ち斬ってみせる。

短い呼気とともに、ノイファは白刀を振り下ろした。


【ナーゼムの腕を駆け上り跳躍。落下速度も加えた斬撃を、眉間へ向けて振り下ろす】
297名無しになりきれ:2011/06/03(金) 20:14:44.83 O



最近チョン押しばっかりでマジうぜえ




298ストラトス ◇p2OedqKZik :2011/06/04(土) 01:53:07.88 0
【格納庫】

>「ストラトスさん、いらっしゃいますか?」

格納庫で黙々と道具や機材の整理していると誰かが入ってきた
声と見た目からして女性であるのはわかったが今本部にいる人達の半分ほどには挨拶をし終えたと思っていたため
誰だろうとしばらく考えていると

>「初めまして、遊撃課非常勤のフローレンスです、リードルフの姉ですわ。どうぞお見知りおきを。」
なるほど、非常勤の…それなら見かけなかったのも納得できる

「こちらこそはじめまして、これからはよろしくお願いします」


それからフローレンスさんは西区メンバーを収集して「早速ですが、」と任務の概要を告げた
大雑把に要約すると「中央区を中心に負傷者の救出活動をする」というものだった

「それなら、自分のゴーレムを使うのはどうでしょうか。運搬用はすでに組み終えましたし、甲型ゴーレムの人形モデルだと50体までなら同時操作可能です。
 といっても、瓦礫撤去にG-03のような乙型を使うので実質30体が限度でしょうが…」
大まかながら任務での役割が決定し早速、中央区へ向かうことになった

【中央区】

現在、運搬用のゴーレムに遊撃課の部隊と医療用の器具、乙型1機、甲型30機をのせて
中央区で戦闘が激しかったに向かって走行している

「やっぱ、これは振動が激しいすぎるからまだ改良が必要かな…」
そう考えていると徐々に建物の破壊が激しくなってきた。
それから更に進むと辺りには破損したゴーレムが見えだしてきた

>「これより戦線の渦中の人達を避難させます。ストラトスさん、私を緊急避難所まで!
 皆さんは怪我人を運んできてください。治療も手伝ってくれると助かります……ルインさん貴方もですよ?
 スイさん、貴方はその鳩で東区や西区の怪我人も運ぶよう伝えてください。では……状況開始です!」

「了解。ですがその前に甲型のゴーレムを10体ほど降ろして手伝わせます、
 さすがにこの範囲でこの人数では時間がかかりそうなので。」


【緊急避難所に向かうことを了解】
299GM ◇N/wTSkX0q6:2011/06/04(土) 19:27:33.71 i
砲塔から円状に広がる蒸気。魔導弾を吐き出した主砲がスライドし、戦闘用の蓄魔シリンダーを排莢する。
クローディアは胸部の操縦基に腰掛けながら、羊皮紙型の情報表示枠に目を通し、動力レベルを『強襲』から『戦闘』に切り替えた。
同時に動作形式をアクターモードからスレイヴモードへ。踵を上げて硬直していたミドルファイト3が緊張を解いた。

ゴーレム――傀儡重機の操縦方法には大別して2通りの種別がある。
中の人の四肢の動きをそのままゴーレムの動きに再現する、まさしく鎧のように動かす『アクターモード』。
操縦基に据え付けられた操作盤を通してゴーレムに命令を送り、奴隷のように動かす『スレイヴモード』。
前者は直感的に操縦できる上に操縦者の身体技能に比例してゴーレムの運動性能も上がる為、武芸者や兵士が好んで使う。
そして文民であるクローディアは、その逆――身体技能を必要としない代わりに操作が複雑な後者を常用していた。

『あーっはっは!勝った、勝ったわっ!!完ッ璧な不意打ち!流石は不意打ち界の麒麟児の名を欲しいままにするあたしだわ!』

わざわざ外部拡声管から外に高い声を響かせてクローディアは勝ち誇る。
敵は未だ砂埃の向こう。何やら頭を抑えていたテーブル女の方を砲撃してやった。ウィレムとやらはあの距離だ。まず間に合わない。

『あたしはやったわ!あとはアンタだけよナーゼム!お給料欲しかったらいいトコ見せなさい、査定は弾むわ――ッ!?』

瞬間、直感が脳裏に接近警報。クローディアの死角、ゴーレムの足元に、ウィレムが立っていた。
いつの間に?あさおこからどうやって?テーブル女は見捨ててきたのか?
――様々な疑念と逡巡がクローディアの右脳と左脳を高速でラリーする。あまりに速く、掴んで検めることもできない情報の嵐。
そうして硬直している間に、ウィレムはゴーレムの足元にあった金庫を担ぎ上げていた。

『なっ、何を――』

問うより疾く。ウィレムは跳んでいた。
金庫を担ぎ上げながら、『天才』の跳躍力で遥か直上の天へと辿りつく。そして彼は、胸いっぱいに息を吸ってから、叫んだ。

>「さぁ皆々様お立会い!ここでとびっきりの良い知らせだ!――

その言動が意味するところを瞬時に理解して、クローディアは顔から色を失った。
何をやろうとしているんだこいつは。マズい。これは絶対にマズい。それをされたら、私はもう戦えなくなってしまう。
止めないと――。ミドルファイトが彼女の意志を反映し、右腕に開いた中口径の連装魔導砲を向ける。
思考が上滑りして上手く魔力が練れない。操縦盤を握る手が泉のように汗を吹出す。努力むなしく、果たしてそれは起こった。
金庫の中身。クローディアが乏しい才で、まさしく爪に火をともす想いで貯めてきた硬貨が、紙幣が――全財産が、風に奪われる。

「あああああああああああああっ!!!」

故郷も後ろ盾も家族も財産も全て失った彼女が、金庫一杯の金額を貯めるのに、どれほど苦渋を啜ってきたことか。
裕福な家庭に生まれた、年頃の娘がするようなお洒落や美食やあらゆる幸せを溝に捨ててでも必死で金を増やしてきた。
最後の賭けの資産運用にも失敗し、『ピニオン』がその借金を肩代わりしてくれなければ、彼女はナーゼムと共に首を括っていたのだ。
傭兵に身をやつしてまで願った故郷・ウルタールの復興と、失った全てを買い戻すという彼女の切願も逃さず、風が再び奪っていく。

絶望が肺を絞めつけて、自然に叫びが漏れていた。怨嗟と、放心の呻き。目玉が眼窩から溢れそうなほどに見開いた。
波濤のように押し寄せる悲しみが、やがて確かな赫怒へ変わる。
300GM ◇N/wTSkX0q6:2011/06/04(土) 19:27:59.67 i
「――――――ッ!!」

焼け付いた感情は、それ以上彼女に何も言わせず、ただ冷徹な動きをクローディアの指先へ喚起した。
レクティルの中央に、意識を失って墜ちていくウィレムを合わせて。せめて一矢とばかりに撃発命令を出した。

射出。閃光。轟音。
果たせるかな――魔導砲の一撃は、ウィレムを砕いてはいなかった。
戦場には、クローディアのものとは別の、もう一人の巨人が佇んでいた。岩肌の巨躯。ゴーレムである。
敵のゴーレムが、ウィレムを庇うようにして、砲撃を防いでいた。対人用の魔導砲ではゴーレムの装甲に傷ひとつ入れられない。

>「ゴーレムで敵対したのが運の尽き!私のサムちゃんが成敗してあげます!」

ご丁寧に、外部拡声器を使って挑発までかけてきた。聞き覚えのある声。あの頭を抱えていたテーブル女だ。生きていた。
ミドルファイトに装備された最新の精査術式が相手の機種を割り出す。乙種、陸戦ゴーレム。製造元・機体名称――

「『サムエルソンmk3』――はんッ!レオンチェフの型落ち旧型安物ワゴンセール品じゃないっ!!
 威勢良い啖呵はケッコーだけど、あたしの『ミドルファイト3』、通称ミドっさんの敵じゃあ、ないわっ!!」

『サムエルソン』シリーズはその進撃能力から軍部での評判こそ良いが、mk3モデルともなると民生品として出回るほどに旧型だ。
帝国軍でも未だに実戦配備されている理由の一番は『安く、タフで、信頼性があるから』であり、まさしく究極の実用モデルと言える。
対するクローディアのミドルファイト3は帝都の老舗メーカー『エクステリア』の最新モデル。
生産性を度外視した高コストに見合う弩級の性能を持ち、進撃力こそサムエルソンに遅れをとるものの、実戦闘能力は桁違いだ。

「所詮は貧乏帝国の軍人ねッ!旧態然な現場主義は往々にして先進的な提案にとって変わられるものなのよっ!!
 温故知新なんて老害どものプロパガンダだって思い知らせてやるわーーーっ!時代の幕開けをその目に刻んで果てなさいっ!!」

これ以上ないほどに勝ち誇りながら、クローディアはサムエルソンから距離をとった。
背面装甲から八基の砲門がせり出し、太陽へ向く花弁のように前方のサムエルソンを捉えた。

「資本主義バスターーーーっ!!」

計八発の大口径装甲貫通魔導弾が、あるものは直進し、あるものは弧を描き、あるものは時間差で、全てがサムエルソンへ殺到する!
着弾すれば装甲を貫通してゴーレム本体に甚大なダメージを与えるだろう。操縦者だって無事では済まない。そういう攻撃。
クローディアの戦力分析は、純然たる事実を紐解いているが故に、寸分の狂いもなかった。
誤算があるとすれば――そう。理屈を無視し物理を超越する現象、『天才』という乱数までは、クローディアにも見立て切れなかった。


【ゴーレムバトル!八門の対装甲魔導弾がサムちゃんへ!】
301セフィリア ◆LGH1NVF4LA :2011/06/04(土) 23:50:47.19 0
ゴーレム戦……セフィリアは実戦では初めて戦う。もっとも帝都での警護が主な任務の近衛騎士団がゴーレムを乗って戦うということがまずない
ならセフィリアの実力はたいしたことがない? そんなことはない個人所有のゴーレム、貴族が有する広大な敷地
総操縦時間は有に数千時間をゆうに超える。厳しい父の訓練と趣味の時間が半々
その彼女、自身の技術には絶対の自信を持っている「帝都一のゴーレム乗り』
そんなふうに自負しているほどである。あくまで自称なのだが……
彼女が駆るゴーレム『サムエルソンmk.3』

>「『サムエルソンmk3』――はんッ!レオンチェフの型落ち旧型安物ワゴンセール品じゃないっ!!
 威勢良い啖呵はケッコーだけど、あたしの『ミドルファイト3』、通称ミドっさんの敵じゃあ、ないわっ!!」

クローディアの言う通り型落ちもいいところ、10年ほどまえにガルブレイズ家にやって来たときも、すでに進む新型機と交換のためである
幼いセフィリアの眼にその巨体は畏怖の対象としてではなく羨望の対象としてだった
「私もこんなに大きくてなりたい!!」
幼き日の彼女の願いが叶わなかったのは現在の姿が如実に表していることだった
彼女はこのセムエルソンを大切に扱った。幼い頃から整備を手伝い、拭いてあげることが日課だった
そんな彼女がクローディアの言葉に怒りを覚えないはずが無かった
普段なら……
だがその前にもっと彼女が意識を奪うことがあった

「ミドルファイト3!エクステリアのさ、最新型!まだ軍の一部でしか配備されてないのに!!どうして!
生産性は最悪! 整備性は劣悪! 武器は独自規格の特別製! エースオブエースのための機体!
私のサムちゃんとはカタログスペックが文字通り桁が違う!そんな……そんな……!」

彼女はミドルファイト3の搭載武装、装甲材質、魔力出力、開発者のコメントまですべての情報が彼女の頭に入っている
近衛騎士団の初任給で買おうと思っていた憧れの機体……初任給ではあと1000年分ぐらい足りないのを知った彼女は夜通し泣いたと言う
『出世しよう』彼女がそう心に決めたときだった
だから彼女は頑張った……必死で職務に専念した
頑張りすぎてここへ来た。この目の前の憧れを粉砕して自信の出世の道を開く
この旧式機で最新型のハイエンドモデルを撃破したとなれば噂になるに違いないっと考えている
302セフィリア ◆LGH1NVF4LA :2011/06/04(土) 23:52:15.92 0
>「所詮は貧乏帝国の軍人ねッ!旧態然な現場主義は往々にして先進的な提案にとって変わられるものなのよっ!!
 温故知新なんて老害どものプロパガンダだって思い知らせてやるわーーーっ!時代の幕開けをその目に刻んで果てなさいっ!!」
セフィリアの言葉に勢いを増すクローディアの言葉……当のセフィリアは口の端を大いに持ち上げ、歪な笑顔を形成していた
「ええ、まったくその通り。古いことは駄目! ことゴーレム界においては古さがそのまま戦力の差になるといってもいい!
だから!」
ぶつぶつと独り言を呟く
>「資本主義バスターーーーっ!!」
「だからっっ!……」
そこから先は大口径装甲貫通魔導弾の発射音にかき消された
一歩も動かないサムエルソンに誰もがやられたと思うだろう。だが操縦櫃のセフィリアだけが余裕の表情でそれを魔弾を眼で追っていた
着弾寸前に急速後退、脚部の金属車輪のお陰で移動能力は高い、魔弾が地面に突き刺さる
直進してく魔弾が装甲に突き刺さる!寸前に装甲が爆ぜる魔力感知装置が作動し装甲に仕掛けられた『爆』の魔術が発動したのだ
俗にいう爆発反応装甲と呼ばれるもの装甲の破片が魔導弾を撃墜し時間差の魔導弾する巻き込む

「私のサムちゃんは常に最新最強なんです!!」
彼女は家のお金で最新の装備を買い、そのつどパワーアップしていた
だから中身は別物と言ってよかった。これが『サムエルソンmk.3』の最大の特徴『拡張性』
古いからこそ改良の余地がある。彼女はサムエルソンの長所をのばす装備を施していた
重装甲と……
「多収束飛翔爆弾発射!」
背部武装コンテナから炎を吹き上げ、二本の中型飛翔機雷がインファイト3に飛ぶ、着弾まで半分といったところで炸裂
中から無数の小型魔導爆弾が殺到していく、周りの被害など考えない
「これはほんの挨拶程度っ!!」
直線運動のエネルギーを華麗に円運動の動きで遠心力に変換し綺麗にコーナーを回る
その動きを止めることはない、常に動き続ける。本来のサムエルソンでは出来ない動き
彼女の整備とアッセンブリーと操縦技術が結集したスペシャル・マニューバといえる

「砲撃機としてもゴーレムとしても操者としても私たちが上であることの証のために!
私はあなた達に勝ちます!」

くるりと半回転しインファイト3を正面に捉える
コンテナから取り出すは大型低反動魔導砲、そこから放たれる砲弾、鉄塊……中にはぎっしりと火薬がつめられている『榴弾』
あたれば大抵の機体は大ダメージを受けるだろう。さきほどの小型魔導弾の是非によっては一発大破も十分ありうる
303名無しになりきれ:2011/06/05(日) 22:33:23.00 O



アイスクリーム食いたい




304GM ◇N/wTSkX0q6:2011/06/06(月) 02:04:17.85 0
「クランク1より各位。件の意味不明小隊と接触した。会話で出来る限り情報を収集したのち離脱する。
 ――つーわけで、こんにちは帝国軍のみなさん。おじさん君たちのこともっと知りたいなあ。一体何者なのk」

>「クソ分かり切った事を何度も抜かしてんじゃねえよ凡人が!
  テメェが言うまでもなく……あのクソ野郎には俺が裁きを下してやらぁ!!」

クランク1が問いを発しかけた刹那、眼下の石畳から極光が迸った。
辛うじて視認できたのは、翼を生やした男がこちらに腕を向けている姿。収束された光の束が砲の如くクランク1へ殺到する。

「うわっと……おいおい、おじさんが話してる最中だぞ。途中で遮っちゃ駄目だろ」

クランク1は掌で応える。極光の矢が着弾する寸前で、ゴーレムに展開されていたのと同じ不可視障壁がそれを阻んだ。
極光は、まるで石に弾かれた雫のように大気中へ散っていく。

>「『逃がしゃしないよ!!』」

その合間を縫うようにして、瓦礫の散弾が飛来してきた。
全ての弾丸が、クランク1に届く前に虚空で停止し、見えざる手に握り潰されて細やかな破片の雨を石畳に降らせた。

「いや、だから、逆に考えてみ?ちょうど舌も回って気持ちよく喋ってる時にそうやって水差されるのは誰だって嫌だよな?
 人が嫌がることをやっちゃ駄目だろ。喋りたがりのガキじゃないんだから。あと年上にはちゃんと敬語を使おうな」

放たれた瓦礫は極光の射手にも及び、熱線の瀑布が中断される。
間断を作らぬように、今度は人の姿が肉迫してきた。鼻先まで近づいたのは、軍では知らぬ者なき『血の戦乙女』。

>「さてと、じゃあ一気に終わらせましょう」

戦場で数多の敵を屠ってきた一撃は、ごく単純なストレートパンチ。ただしそれは、理を超越せし者の一発だった。
極光を防いでいた不可視障壁を正面から殴りつける。それだけで、光によって削られ続けていた障壁が破砕された。
硝子が散るの如く、割られた障壁の破片が放射状に虚空へ広がっていく。形を戻せない。拳は壁を割砕いてなお勢いを止めない。

「おっさんの忠告は聞いとくもんだぜ若人」

瞬間、砕かれた破片の一つ一つが禍々しい形状の刺に変形。その切っ先の全てをレイリンに向け、彼女を針鼠に変えんと殺到する!
305GM ◇N/wTSkX0q6:2011/06/06(月) 02:05:13.55 0
クランク1が攻撃の成功を確信した刹那、彼の背後――教会の壁から刃が生えた。
音もなく突き出した長大な剣先は、濡紙を断つように岩造りの壁面を貫き破って、微塵も勢いを殺さずにクランクへ迫った。
それはまるで、壁の向こうから、壁など意にも介さず無造作に剣を振り抜いただけのようで、そして――事実そうだった。

「お……!」

崩行く壁の中から現れたのはフランベルジェ=スティレット。
口には何故かキャンディーの棒を咥えながら、両手で握った『館崩し』の刃筋を立ててクランク1へと叩きつける。
クランク1は咄嗟に、レイリンを攻撃する為の刺を総動員して館崩しの剣腹を打撃。刃の軌道を変えることに成功した。
振り抜かれた刃は誰を斬ることもなく弧を描いてスティレットの背へと帰っていった。

「やるねえ。真正面から突っ込んできた血の戦乙女は陽動、本命はこっちか!」
「ひゃいひょうひひゃっひょひひほへはひはふ!」
「口にもの入れたまま喋るなよ!そんなキメ顔して大事なセリフだったんじゃねえのか!?」

追撃をかけようと腰を落としたスティレットへ、クランクはただ指先を向けた。

「締まらねえなあ。少し黙ってろ」

ぎょん、と大気の軋む音がして、スティレットが吹っ飛ばされた。
砲撃や打撃を受けたのではない。まるで『後ろから引っ張られた』かのように背後の壁に叩きつけられ、崩れた瓦礫の中へ埋まった。

「あー無理だ。お前ら全然おじさんの話聞いてくれねえなあ。俺はただお前らの所属・規模・資本・現存勢力を
 ちょっと知りたいだけなのに。人間同士のコミュニケーションって奴はさ、やっぱお互いを理解するところから始まるんだよな」

クランク1はぼやきながらレイリンの拳圏から退避し、再び姿を消した。
やがて彼がもといた十字架の上へと忽然と出現する。レイリンやその仲間達が立つ、その遥か直上の場所だった。

「やれやれおっかねえなあ、くわばらくわばら。クランク1、情報の収集に失敗。これ以上の接触は危険と判断。これより帰投する」

念信器の向こうから了解の返答があり、クランク1は懐から手のひらサイズの符を取り出した。
遠隔術式の一種で、これを破ると遠隔地に施術した術式が発動する、一種の撃発信号のようなものだ。
クランク1は躊躇いなくそれを破り捨て、中央区の空を吹く風に紙片を流した。
それは、暴走ゴーレム『マキナ』に仕込まれた最後の機構――自爆機能を起動する撃発符だった。

「それでは諸君、バッハハーイ。連中が軍人なら、もう会うことはないだろうけどな」

きっかり5秒の間があいて、磔になっていたゴーレムの操縦機に起爆の魔方陣が浮かび上がる。
もはや意味を成さない警告の後、教会周辺の全てを焼き尽くす規模の大爆発が中央区を包んだ。


【クランク1撤退。暴走ゴーレムに仕込まれた自爆機能が作動し、付近一帯を丸ごと包む大爆発!】
306スイ ◇nulVwXAKKU:2011/06/06(月) 02:06:48.76 0
緊急避難所でフローレンスが重傷者を治療する間、スイは軽傷者を治療していた。
基本的薬草の知識のみ、リードルフにたたき込まれていたスイは、こんなところで役立つとは少し驚いていた。

「次!早く来い!」

だいたいの治療が終わりかけたところで、入り口付近が騒がしいのに気づいた。
そちらに目をやると、見知らぬ男と睨み合っているアルテリアと頭を押さえているロキ、血みどろで立っているルインを見つけた。
彼らに近づきとりあえず、ルインを引っ張って連れていき、避難所のベッドに乱暴に転がした。

「なんだ傷は浅いのか。」

未だ出血し続ける患部を見、ぼそりとそうこぼした。
重傷だったらフローレンスに押しつけて、面白そうなものが見れそうだと思ったのだが。
薬草を傷口に(盛大に)押しつけ、ガーゼを止めて、仕上げに一叩き。

「男なんだから、これぐらい我慢しろ。」

顔に笑みを浮かべながらスイはそう言い放った。
しばらく病人の相手を続けていると、外から激しい警告音。
慌てて窓から屋根に飛び上がった。
光景を見て、スイは引きつった笑みを浮かべた。

「おいおい……。自爆起動か。」

自嘲気味に呟く。
307スイ ◇nulVwXAKKU:2011/06/06(月) 02:07:28.03 0

「おい、せめて避難所守るぐらい協力しろ。」

その瞬間スイの目に狂気が浮かんだ。

「うわ。さっきからぜんぜん面白くねぇ!俺は血が見たいの!この盛大に吹き出して流れる血が!!たまには見せろやぁぁあ!」

ひとしきり叫んで落ち着いたのか、俯いていた顔をあげた。

「まぁいいか。感謝しやがれ。俺様の特大級だ。」

ぶわりと風が巻き起こり、一気に、暴風の竜巻と化した。
それと同時に、爆発が起こる。
激しい炎が避難所を襲おうとするが風に遮られ、上へと舞い上がる。
衝撃波に体を震わせながら、スイは恍惚とした笑みを浮かべた。

「いいねぇ。ビリビリくるねぇ!前言撤回だ!これは面白い!」

狂った笑い声をあげながら、風は避難所を守り続けた。

【軽傷者とルインの手当→爆発から避難所を風で守る】
308名無しになりきれ:2011/06/09(木) 18:25:15.39 0
■プロフィール
ニックネーム ・・・・・・・・ あっちゃん
所属事務所 ・・・・・・・・・ 太田プロダクション
生年月日 ・・・・・・・・・・・ 1991年7月10日
出生地 ・・・・・・・・・・・・・ 千葉県市川市
血液型 ・・・・・・・・・・・・・ A型
スリーサイズ ・・・・・・・・ T161 B76 W60 H83
活動期間 ・・・・・・・・・・・ 2005年12月8日〜
所属チーム ・・・・・・・・・ チームA
趣味・特技 ・・・・・・・・・・ ブログ、映画、寝る、スキンケア、朝ごはんを食べる、岩盤浴、ショッピング
好きな食べ物 ・・・・・・・ 海藻類、紀州梅のはさみ焼き、梅干、干し貝柱、堅あげポテト、刺身、寿司、貝類、スイーツ、レバ刺し
嫌いな食べ物 ・・・・・・・ 杏仁豆腐、グリンピース、辛いモノ全般
好きなキャラクター ・・・ リラックマ、ダッフィー、メルモ
好きな洋服 ・・・・・・・・・・ NINE、ヒステリックグラマー
好きな花 ・・・・・・・・・・・・ バラ、かすみ草
好きな色 ・・・・・・・・・・・・ ピンク、白、黒、金
好きな映画 ・・・・・・・・・・ 私の頭の中の消しゴム、トワイライト〜初恋〜、ゴシップガール
好きなアーティスト ・・・・ テイラー・スイフト、マイリー・サイラス、ビックバン、KARA、YUI
チャームポイント ・・・・・ 目
得意教科 ・・・・・・・・・・・・ 英語
今1番やりたい事 ・・・・・ 釣り
309名無しになりきれ:2011/06/09(木) 18:26:54.64 0
■映画
├あしたの私のつくり方(花田日南子役、2007年4月28日)
├伝染歌(香奈役、2007年8月25日)
├那須少年記(笹原恵役、2008年6月)
├DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?(2011年1月22日)
└もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(川島みなみ役、2011年6月4日)

■テレビドラマ
├スワンの馬鹿!〜こづかい3万円の恋〜(黒田比奈子役、2007年10月16日 - 全10話)
├栞と紙魚子の怪奇事件簿(紙魚子役、2008年1月5日 - 3月29日)
├太陽と海の教室(船木真由役、2008年7月21日 - 9月22日)
├松本サリン事件〜妻よ、母よ…犯人と"疑われた"家族 闘いと絆の15年〜(河野真澄役、2009年6月26日)
├こちら葛飾区亀有公園前派出所第六話(本人役、2009年9月12日)
├ドラマ24「マジすか学園」(前田敦子役、2010年1月8日 - 全12話)
├大河ドラマ「龍馬伝」(坂本春猪役、2010年3月頃 - )
├Q10(久戸花恋(Q10)役、2010年10月16日 - 全9話)
├桜からの手紙〜AKB48 それぞれの卒業物語〜(前田敦子役、2011年2月26日 - 3月6日)
├ドラマ24「マジすか学園2」(前田敦子役、2011年4月 - )
└花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス〜(2011年7月10日 - )

■バラエティ
├AKB48ネ申テレビ(2008年7月13日 - )http://www.fami-geki.com/nemousu/
├AKBINGO!(2008年10月1日 - )http://www.ntv.co.jp/AKBINGO/
├週刊AKB(2009年7月10日 - )http://www.tv-tokyo.co.jp/shukan_akb/
├AKBとXX!(2010年7月13日 - )http://www.ytv.co.jp/akbxx/
└なるほどハイスクール(2011年4月21日 - )http://www.ntv.co.jp/naruhodo/
310名無しになりきれ
■ラジオ
├ON8 柱NIGHT! with AKB48(2006年11月6日 - )http://www.bayfm.co.jp/
├AKB48 明日までもうちょっと。(2007年10月1日 - )http://www.joqr.co.jp/reco/akb48.html
├前田敦子のHEART SONGS(2010年4月5日 - )http://www.tfm.co.jp/personality/personality.php?id=539
├AKB48のオールナイトニッポン(2010年4月9日 - )http://www.allnightnippon.com/akb/
└AKB48のオールナイトニッポンモバイル(2010年4月9日 - )http://www.allnightnippon.com/m/akb/

■CM・宣伝等
├NTT DOCOMO(2006年)
├読売新聞135周年(2009年6月 - 7月)
├AOKI・フレッシャーズ48コーディ(2010年2月 - 3月)桜の栞
├7&I・セブンイレブン(2010年7月 - 31日まで)ラッキーセブン
├KAGOME・野菜1日これ一本(2010年7月 - )野菜シスターズ http://koreichi.jp/
├UHA味覚糖・ぷっちょ(2010年8月 - )ヘビーローテーション
├トワイライト(2010年9月1日 - )http://www.twilight-saga.jp/
├農林水産省・めざましごはん(2010年9月10日 - )ぐ〜ぐ〜おなか http://www.maff.go.jp/j/soushoku/kakou/mezamasi.html
├カスペルスキー研究所/初代所長(2010年9月28日 - )http://akb48-kasperskylabs.jp/
├サイバーエージェント・アメーバピグ(2010年10月18日 - )http://www.cyberagent.co.jp/news/cm/
├NTTぷらら・ひかりTV(2010年10月21日 - )Beginner http://www.hikaritv.net/akb/
├7&I・セブンイレブン(2010年11月 - )予約したクリスマス http://www.711net.jp/page/g/491h23
├警視庁通信指令センター/110番ポスター・CM(2011年1月 - )http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/110/110pc.htm
├AKB48×Hotto Motto GO!カツフェア開催!(2011年1月7日 - )http://www.hm-akb48.com/
├アサヒ飲料・WONDA(2011年3月1日 - )これからWonderland http://www.asahiinryo.co.jp/wonda/sp/
├UHA味覚糖・ぷっちょ(2011年3月14日 - )桜の木になろう
├日本赤十字社(2011年5月 - )僕にできること http://www.jrc-kentei2011.jp/
└UHA味覚糖・ぷっちょ(2011年5月23日 - )Everyday、カチューシャ http://www.akb48cho.jp/