【TRPG】空戦少女U【2ndSTAGE】

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1名無しになりきれ
てす
2名無しになりきれ:2011/02/11(金) 23:16:15 0
ロボット×ドックファイトTRPG


   空 戦 少 女 



ジャンル:SFスポーツアクション
コンセプト:短期バトル
期間:1シナリオ規定ターン
GM:あり(暫定)
決定リール:(あり)
○日ルール:5日
版権・越境:(なし)
名無し参加:(なし)


前スレ
【おっさん】空戦少女【TRPG】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1287860146/

避難所
空戦少女TRPG避難所
http://yy44.kakiko.com/test/read.cgi/figtree/1287858607/

まとめWiki
http://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/pages/44.html
3名無しになりきれ:2011/02/11(金) 23:32:29 0
当スレは近未来の世界を舞台にしたトンデモSFバトルスレです。
戦争のなくなった世界で、『空戦』は世界的な興業スポーツとして形を変えました。
国家や軍部や企業がこぞって開発したのは人工知能を備えた空戦専用の少女型アンドロイド。
フライトユニットを駆り自由に空を駆ける彼女たちを、世界的なアスリートにしてアイドルである彼女たちを、

――『空戦少女』と呼ぶのです。



新規参加者用テンプレ
基本事項は記入必須。任意事項は任意で埋めてみてください


◆基本事項◆

名前:
所属:
性別型:
容姿型:S、M、Lのうちいずれか(幼女型、少女型、成人型)
性格:
兵装:(軽装型:重装型:変形型:特殊型より設定)
武装:(最大3つまで、近接武器がある場合はその3つには加えない。)
概要:(キャラクターの簡単な解説。1行からOK)


◆任意事項◆

基本戦術:(どんな戦い方をするか簡単に。例:近接格闘に持ち込む、距離を保ちつつ後ろをとる等)
外見仕様:(フライトユニットの見た目や髪型、目や肌の色、服装等々)




◆各項目の基準について◆
容姿型編
人間換算で15歳以下の容姿をした機体を少女型、以上が成人型に分類される。

兵装編
軽装型:武装神姫LA、ストライクウィッチーズの様に比較的軽装に入る装備の物。
重装型:武装神姫、擬人化MSの様に全身を装甲板で固めた物。
変形型:武装、本体に可変機構を取り込んだ物。
     その特性上、装備の変更が効かないが高性能な物が多い。
特殊型:上記に含まれない例外枠。

武装編
武装に関しては大分して実弾、エネルギー、特殊の三つが上げられる。
実弾:機体負荷が少ない武装。その為、機動性に干渉しない。
     反面、弾薬関連で問題が発生しやすい。
エネルギー:機体などからのエネルギー供給が必要な武装。
        光学兵器が主流で弾速、破壊力ともに高い。
特殊型:上記二つに入らない特殊な物。
4扶桑 ◇jnVE8IlPwA:2011/02/16(水) 21:27:40 0
【前衛部隊】

ことブルドーザー作戦において、飛行に占める技術の天秤は『機体を速く飛ばすこと』に傾かない。
肝要なのは速度でなく制御。部隊全員が均一に同じ速度で、同じ方向に飛び続けるということ。

「一番乗りは扶桑であります!ただの一度だって負けたくないですからっ!」
「わざわざ負けフラグ立てまくってる娘の言うことかなー?」

惜しむらくは良くも悪くも前線の雄となり隊を牽引する立場にあるのが扶桑であったことである。
切込隊長と言えば聞こえはいいが、一機だけ先走って先導する斥候隊の尻に突き当たっていれば良い的だ。
隊列が乱れるかに思われたがそこは指揮役の妙手、突っ走る扶桑を中心に隊列で弓を描かせる形で即座に組み直した。
ちょうど渡り鳥のような飛び方。上から見れば『>』のように見えることだろう。折点が扶桑だ。

《――扶桑、コンソールのレーダーに注目しとけよ。そろそろ大阪城、交戦予測空域に入るぞ》
「了解でありますっ」

本作戦では前衛部隊の仕事は少ない。
先行した斥候遊撃混成部隊を突破してきた敵を後衛に任せつつ、大阪城の奪取に専念すれば良い。
むしろ拠点を手に入れてからが本番だ。敵陣へと深く切り込みバルーンを攻撃する、その前哨戦が今。

「ねえ空戦公社ちゃん、今回の奪還作戦上手くいくと思う?」
「直前でそーいうこと言っちゃうのも、失敗フラグを呼ぶことに……ッ!」

そのとき。扶桑の視界を小さく掠めて行ったもの。
『被弾の初撃』を、扶桑は見逃さなかった。傍を飛んでいた僚機の翼が快音を立てて爆ぜる。

>「それじゃいっくよー!くらえー!」

奇襲を受けている。

「こ、攻撃です!そんな、一体どこから……?」
「上であります!遥か上空から降りつつ撃って来てるのです!」

敵の奇襲部隊の戦法は一撃離脱の急降下爆撃。高高度から自由落下の力を借りた高速のヒットアンドアウェイ。
さながら瀑布か流星雨の如く降って撃っては眼下へ消えていく妙手に前衛隊は翻弄される。

「お、落ち着いてみんな!ここでことを構えちゃいけない!後衛が始末してくれるのを待つべき――」

前衛隊に蔓延し始めた応戦の流れを払拭すべく指揮役は声を飛ばす。
そのすぐ脇を、荷電粒子砲の極光が駆け抜けて入った。一束の光条が大気を焼きながら全身し、蒼穹を貫いていく。
5扶桑 ◇jnVE8IlPwA:2011/02/16(水) 21:28:52 0
「――巨砲さんであります!」
「あの人私たちまで灼く気なの!?」

アメリアは既に前衛ラインを突破した敵の奇襲部隊と交戦に入っていた。
彼女が墜とされればその時点で赤チームの主要防御力はその意味を失うわけだが、その心配には天秤を必要とする。

「いっくら速くても普通単機で重装型を相手にはしない……"あれ"に構い過ぎればそれこそ向こうの思うつぼだよ!」
「陽動でありますか!?」
「わからない。けどその公算は高いよ。本隊に対する絶対の信頼がなくちゃ――あんな捨て駒みたいなマネ、できないもん」
「でもでも、それならなおさら!巨砲さんが危ないんじゃ……普通は相手にしないということは、」
「『普通じゃない策がある』……その可能性も否定できないね。まだ二段三段の奇策を絡めてくるかも。うー……」

指揮役はうんうん唸ると、やがて腕を振り回して結論を出した。

「やむを得ない。前衛隊をに分割します!私を含めた前衛本隊は一時減速!敵の奇襲部隊の動きを見て必要なら後衛に援護!
 こっからならはさみうちにできるよ!それで前衛分隊はこのまま加速して遊撃部隊と共に大阪城へ!」

防衛ラインは惜しい。しかし前衛をこのまま後衛の援護に回せば大阪城は確実に敵の手中へ落ちるだろう。
それも含めた陽動だと考えるに、敵のブレーンは恐るべきやり手た。十重二十重の思惑を搦め手に変えて打ってくる。
結果前衛部隊は進行を遅らさざるを得なくなった。防衛の必要性を見極めるのには時間が必要。見事に稼がれたわけである。

「分隊は――空戦公社ちゃん、キミが中心になって纏めて」
「えーっ、扶桑に指揮適正ないでありますよ!?」
「大丈夫。先陣切って突撃するだけだから!」
「おおっ、そーゆーのなら得意であります!誰よりも上手くやってご覧に入れましょう!!」

扶桑はかぶりを振って作戦に応じた。

「それでは前衛分隊、遊撃部隊と合流し――大阪城奪還へ!」

アフターバーナーを更かし、ゆっくりとヨー機動で先遣隊の小隊長へ接近する。

「ライカさんでありましたね!これからおそらく敵の本隊との交戦になるであります。
 集中砲火が予想されますのでエーテル装甲の展開をお願いします。その影から順次手持ちの火器にて応戦するであります!」

大阪城空域へ突入する。


【白チームの陽動作戦により前衛隊の戦力を分断される。→前衛本隊は減速、前衛分隊(扶桑)はライカと共に大阪城へ加速】
【ライカにエーテルバリアの展開を要請。重戦車のように装甲頼りの進撃】
【伊勢の行動は特にありません】
6ライカ ◇qLtaZYz21k :2011/02/16(水) 21:31:27 0
>「それじゃいっくよー!くらえー!」

「な!」
その攻撃は前衛部隊のみならず遊撃部隊にも完全に不意打ちだった。
「くっ、まさかすでに接近されていたとは。不覚です!」

言葉を口にする間も敵の奇襲部隊は次々と急降下しながら攻撃を仕掛けてくる
(…しかし、機関銃だったのは幸いでした。
もし大火力の武装であれば部隊が半壊していた可能性もありますね…)
交戦しようかと考えた瞬間。
上部を荷電粒子砲の光の奔流が過ぎた
「…い、今のはさすがにヤバかったです…」
自分の装甲(エーテルバリア装置とは一体化しているが対実弾性能ではエーテルバリアを上回る
要はゴツくてかなり丈夫なエーテルバリア装置)では防げるレベルではなかった
(敵にならなくてよかった…)

今の流れ弾?から察するに
アメリアの部隊はすでに敵と交戦しているようだ。
そして、こちらの前衛部隊などにおける指揮役の方はどうやらもう結論を出したらしい

>「やむを得ない。前衛隊を二分割します!私を含めた前衛本隊は一時減速!敵の奇襲部隊の動きを見て必要ならば後衛に援護!
 こっちからならはさみうちにできるよ!それで前衛分隊はそのまま加速して遊撃部隊と共に大阪城へ!」

「了解です、御武運を。」

しばらくすると扶桑さんが接近してきた
>「ライカさんでありましたね!これからおそらく敵の本隊との交戦になるであります。
 集中砲火が予想されますのでエーテル装甲の展開をお願いします。その影から順次手持ちの火器にて応戦するであります!」

「了解。
 遊撃部隊は各自エーテル装甲を展開し、前衛分隊への攻撃を防御しつ応戦してください。」

【前衛分隊と共に大阪城空域へ突入開始】
7ラズ ◇j8buLRXlfY:2011/02/16(水) 21:32:30 0
【支援部隊】

時速948km/h。巡り巡る大阪の街並みを超低空で駆け抜ける機影が一つ。
一人、本隊に遅れて発進したラズベリルだ。
音速の2/3程度の速度で飛行する彼女だが、実は……これは彼女にとっての最高速を既に超えている。
と言うのも、彼女の武装「ON-STAGE.」に搭載された推進装置はベクトル変換に特化しており速度は全く重視されていないのだ。
又、この推進装置自体も曲者であり、音響を利用して空気の振動を推進ベクトルに変換するものであり、音を出し続けないといけないのだ。
最も……

《いま…飛び立とう!!今日もまた!やさしい日々がアタシを抱きしめてくれているのだから!!》

この隠密性とは無縁と言える全自動公害発生装置にとっては何の問題も無いのだが。
ただいま彼女が絶賛響かせている曲の名は「aces high〜Sky Fight Androids〜」
1980年代にとあるバンドにより発表された楽曲を現代の技術でエクステンデッド(ユーロビート)アレンジしたものであり、
同時に空戦少女オフィシャルのイメージソングともなっている楽曲だ。
そして、それに息吹を吹き込むのが空戦少女ラズベリル。彼女は必ず戦闘開始前にこの楽曲を選択していた。
その訳は唯一つ。「気分がノッてくるから」。
そんな楽曲を垂れ流し、自らの役割を果たそうとする彼女に通信が入る。先行した両機からだ。

『ラズにゃん!ラズにゃん!!もうドンパチはじまっちゃってるよ!!
 どうしよう!あたし達も攻撃に参加した方が良いのかな?』

『予想より早いじゃん。でも気にしなくて大丈夫。そもそも開始して一分足らずで撃墜される様な奴があんな口は叩かないじゃん。
 それよりも、こっちの作戦内容を説明する感じじゃん?』

『作戦?でも、こう言うときって統率のとれた動きをするのが……』

『普通はそうじゃん。でも、今回のビッグターゲットは言わば旧世代の有視界空戦に毛が生えた様なものって事、知ってる?』

そうおどけて、ラズベリルの口癖を真似するフロントライン。
どうやら彼女は他の戦術機より場数を踏んでおり、早くも今回の空戦の本質に気づいているようだった。

『真似すんなじゃーん!!ま、フロントラインの言う通りじゃん。
 実は今回の空戦にはアタシ達の性能面での決定的な穴があるじゃん』

そう告げるラズベリルの口調はいつもに増して自信過剰。
更にもう一人気がついたのだろう。今までずっと沈黙を保ち続けていた最後の一機が無線機越しに語りかける。

『普段の私達は……作戦領域全てを把握できていない……そう言う事?
 こう言った、戦争ゲームでは情報の伝達が最も優先される……そしてそれは、この……ビッグターゲットも同じ。
 それ故に斥候と言う索敵部隊が居る……その役割は早期警戒機。何が言いたいかって言うと大阪広すぎじゃね?』

『え?でも……あ!!もしかして!!』

一陣の風、ラズベリルが走り抜けた瞬間にこの世全ての、あの世全ての、電子の世界が、がらりと替わる。

『そう言う事。つまりはその弱点を見越して奇襲を仕掛ける事も出来るって事は……』

切り替わった虹鏡に映るのは西田家の超音ソク。
彼女は今、正面からローラー作戦を仕掛ける本隊を“足止め”している筈だ。

『それを全て把握できれば、常に相手に対して先手を打てるって事じゃん?』

スライドショーの様に切り替わっていく街の電気屋さんの店頭テレビ。
今度は、本人達はひっそりと奇襲を仕掛けようとしているのだろうがバレバレな伏兵達。
8ラズ ◇j8buLRXlfY:2011/02/16(水) 21:34:46 0
『こっちは常に神視点……つまりは気になるあの子の生着替えまで覗き放題。フヒ、フヒヒヒ……』

『レズビアンとか近寄んな!!』

更に、今度は大阪市内でネットワーク接続なされているの全てのスピーカーが同時に震える。
大規模なハッキングだ。それも一瞬でプロテクトまで持ち込みユーザー権限をはく奪する悪質な類のもの。
ラズベリルは既に準備を終えている。それどころかこれ見よがしに敵機を挑発前している。つまりは完全制圧。
NT○の職員さんご愁傷さま。○DDIの職員さん一昨日来やがれ。これより先は一方通行(マスメディア)もう誰にも邪魔はさせない。

『アタシをホストにネットワークを組む感じじゃん?フロントライン、トロイメント、フィギュ@を中継してエコーサウンドを照射。
 反響データから大阪市内の全空戦少女のデータ解析を行い。それをマッピングし全機にDRLさせるじゃん!!』

今の説明で何を言ってるのか分かる人物は一般に少ない。だが、彼女達は電子戦機だ。誰一人理解できない者はいなかった。
一斉に同じ言葉が聞こえる。さぁ、ライブの時間だ。

『『『了解』』』

宴会の開始と同時にハッキングされた全てのスピーカーからラズベリルの歌が発せられた。大気が震え、それが音と化す。
恐らく一般人はきっとこう思うだろう「ゲリラライブか?」と……しかし、その音色はある意味を持っている。
そして、その音色が大阪市内を満たした瞬間、赤軍の空戦少女全機に敵の配置図が転送されるだろう。
超高速で繰り広げられる大阪城上空の本隊がこのデータを活用できるかは別だが、出来ないならそれで構わない。
なぜなら、その穴はラズベリル自身で埋めればいいだけなのだから……
そうして遅ばせながらも戦闘空域に足を踏み入れるか否かと言う位置にまでたどり着いた彼女だがソナーに反応。
位置的には丁度、本隊を挟み込む様な位置だが、挟撃では無い。一直線に大阪城へ向かっている。

《ハイハーイ!!大阪城へ向かう気じゃん?残念だけどここから先は一方通行。そっち側からの侵入は……》

小気味いい接続音。背面に搭載された鍵盤楽器が解放され、凶暴なダンスナイトがこの世に解き放たれる。
展開された一対の鍵盤はキーボードとシンセイザー。光学式の鍵盤が怪しくほほ笑む。その名は「Laser carnival」
そして、選曲は……「Engage」!!

《禁止じゃーん!!》

一斉に放たれた十の光線は、乱反射を起こしながらその数を爆発的に増やし、下方より敵前線部隊に食らいついた。

【二ターン目終了。赤軍全機に白軍の配置が筒抜けになる。ラズベリルを撃墜、若しくは一定以上交戦すれば燃料切れで解除されます】
9ハイディ ◇0IuUC6exTU :2011/02/16(水) 21:36:25 0
冷たい風、果てしない青、微かに聞こえる戦争の音、それらは全てハイディの心を燃え上がらせていく、呼吸が荒くなり、コアの鼓動が早くなる。
しまいには身体の震えが止まらなくなる。
恐怖でも、怒りでも、悲しみでも、苦しみでもない、喜び・幸せ・満足、すなわち快、快感である。

「はぁ、はぁ…」
『ハイディ、大丈夫?』
「ええ、勿論、心配しなくても大丈夫よ」

戦争の音が近づいていく、火薬の臭いが鼻につく。
そして、前方から敵影が見えてくる、その数は少数、陽動により敵前線部隊を分割することに成功したのだろう。
敵を前にしてようやく震えが止まる、恐ろしいくらいに呼吸が落ち着く。

「戦争において、数は力、力は数。
数に劣っている相手に負けることはない!
陽動部隊が時間を稼いでいるうちに一気に潰す!」
『ハイディ、ハイディ!キャラ変わってるよ!』
「あ、あら、おかしいわね、おほほほほ」
『それも違うって…』
「こほん、とにかく、相手は少数、一斉攻撃ではなく連続攻撃で反撃する暇を与えないで」

ハイディの変貌っぷりに凍り付いた空気だったが、ハイディが指示を与えると、瞬く間に散開する。
しかし、そこで予想外のことがおこる、大阪全域に響き渡る謎の音楽。

>《ハイハーイ!!大阪城へ向かう気じゃん?残念だけどここから先は一方通行。そっち側からの侵入は……》
>《禁止じゃーん!!》

数多もの光が戦場を駆け巡る、それは建物にあたると乱反射を繰り返し、しまいには膨大な量の光線へと変わる。
ハイディ達前線部隊目がけて、一斉に襲いかかる。
流石に量が多すぎて、ハイディ達も避けきれずに被弾する。

「ふふふ、ペナルティを大量に被ってまで攻撃するなんて見上げた根性ね。
確かにやっかい、でも狙ってない攻撃なんてどうにでもできるのよ。
皆、出来るだけ早く交戦して、あの光線は敵味方区別無く襲ってくる、相手だけのアドバンテージではないわ」

ハイディの号令と共に前線部隊が敵の前線分隊と交戦を始める。
乱戦に持ち込みさえすれば、無差別遠距離攻撃は時として味方への妨害にもなり得る。

「指揮官! 街頭テレビに私たちの姿が映っていると…」
「何? まさか電子系の機体なのかしら…。
確かにやっかいだけど、正直今相手にしている時間はないわ、まだ相手は戦闘空域に入っていない、こっちにきたら相手にしましょう。
今となってはもうこちらの行動が分かってようが関係ないわ」

数で優勢に立っているハイディ達は、相手のロッテを分断するよう動き、息をつく暇を与えないように連続で銃撃を仕掛ける。
相手部隊も出来るだけ撃墜されないよう、動き回り時間を稼ごうとしている。

「最初の一撃が戦争の半分。
ここで大阪城を取れなければ私たちに勝機はない」

【ラズベリルによる妨害は無視で大阪城確保を目指す】
10超音ソク ◇kumtjTemMs:2011/02/16(水) 21:37:15 0
「うわ、うわわ……!」

不規則な飛行を繰り返して、超音ソクは下方から対空砲の如く放たれる弾幕を回避していた。
ただの航空戦闘機と違い、空戦少女は上方に向けても攻撃が出来る。
故に頭上を取る事は――当然エネルギーの観点では絶対的に有利だが――勝利を確定付けはしない。

断続的に放たれる散弾とロケット弾は、まだ白チームの遊撃手達を捕らえてはいなかった。
だが広範囲に拡散する散弾と爆風は、確実にソク達の行動を阻害する。
気を引き付けるのが精一杯だ。攻撃に転じるべく降下すれば、恐らく被弾は免れない。
遊撃手はソクを初めとして高速を誇るが、同時に装甲は薄く軽い。
散弾の一発を貰っただけでも、爆風の煽りを受けただけでも、損壊してしまう。

赤後衛部隊と白遊撃手の戦闘は、膠着していた。
弾丸が尽きるかエネルギーが切れるまで続く千日手。

>「指揮官! 街頭テレビに私たちの姿が映っていると…」

「え?……あ、うわっ!……あ、あぶなかったぁ」

しかし突然、眼下からの迎撃の精度が跳ね上がる。
停滞していた戦局に新たな一手が投げ込まれたのだ。
眼下の銃口が、ソクの進路とぴたり重なっていた。
慌てて回転しながら横に逸れて、彼女は回避を図る。
一瞬遅れて、鋭い音が彼女を追い越していった。
同時に弾丸が切り裂いた大気が風となって、彼女の頬を撫でる。
更に続く追撃も、これまでとは正確性が段違いだ。

「ちょ、いきなりなにがおこったのさぁ!」

思わず張り上げた声に、遊撃隊の一機から答えが返される。
切迫した声色だった。

「……多分、戦場の全機体がマッピングされてる」

「マッピングって、いちがバレバレってこと!?」

「位置どころじゃない。いや、むしろ位置はどう足掻いてもラグが生じる。
 だが多分進行方向や速度が割り出されてる。そのデータを使えば、射撃は当然正確度を増す」

勿論不規則な軌道や加減速を繰り返せば、マッピングされていたとしても誤魔化しは利く。
だがそんな事をすれば当然、エネルギーの消費は激しくなる。
結果的に陽動の続行が不可能になり、皺寄せは大阪城を争う前線部隊に及ぶ。
ひいては、試合そのものの勝敗が揺らぐ。

「っ!……じゃあ、いったいだれがそれをしてるの!?どうやったらとめられるの!?」

猛追する弾丸と爆風による逆巻きの雨を躱し、矢継ぎ早にソクが問う。
無線の向こうから返って来たのは返事ではなく、ざらついたノイズと短い悲鳴。

「あぁクソ!今のは危なかったぞ!……やってるのは、敵さんの電子戦機。十中八九アイツだろうな。
 ラズベリル、アイドル崩れの空戦少女さ。あんな安っぽい音楽、何がいいんだか。
 ……じゃなかったな。止め方は、普通ならこっちも電子戦で対抗するもんだが……」
11超音ソク ◇kumtjTemMs:2011/02/16(水) 21:38:56 0
「だが……?」

「こっちのチームにゃまともな電子戦機がいないんだよ。だがな、例えいたとしても、
 あのラズベリルと電子戦でやり合える奴は殆どいない。単純な演算、電子情報処理能力だけでも、
 そこいらの電子戦機とはダンチだ。渡り合える奴なんざ、鈴木鉄工のしげはるだったか、アレくらいしか知らねえ」

絶望的な情報は、更に上乗せされる。

「それにな、アイツのツールも一方的で、反則的だ。アイツは多分このマッピングを……反響定位で行ってる。
 特殊な音波を放って、その反響で索敵してやがるんだ。要はコウモリみたいな真似してるってこった。
 それでだ、普通レーダーってのは電磁波を使うんだ。だから対策にも当然電磁波が使われる事を基準に作られる」

分かるか、と僚機が言葉を繋ぐ。

「アイツの反響定位は、普通の電子戦機じゃ阻害出来ないんだよ。文字通り、別次元のツールを使ってやがるんだ。
 しかしこんな広範囲を網羅出来るとは、まったくアイドル様は金の使い方がよく分かってらっしゃるよ」

「じゃあ……どうしようもないってことなの!?そんなこと……」

落ち着け、と短い声がソクの狼狽を断ち切った。

「手はある。非常にシンプルな手だが……要はアイツを落としちまえばいいんだ」

「あ、そうか……って、でもわたしたちには、そのラズベリルがどこにいるのかわからないんだよ!?」

「分かるんだよ、それが」

弾幕から逃げ続ける僚機と、すれ違う。
ほんの一瞬見えた彼女の表情は、苦味が混じってはいたものの――笑っていた。

「さっき、まともな電子戦機がいないっつったろ。だからな、まともじゃない電子戦機がここにいるのさ。
 搭載してんのはESMとジャミングだけ……勿論、反響定位はどうしようもないさ。私の電子戦装備なんかクソの役にも立たない」

言葉と同時、僚機が戦場を一時離脱した。

「だがそんなクソ装備でも……モニターをクラックした大元の位置くらいなら、割り出せんだよ」

そして電子戦装備が展開される。

「『ESM』……電波探知だ!ハッキングと味方との通信ばかりは、音波を使う訳にもいかねえもんなあ!」
12超音ソク ◇kumtjTemMs:2011/02/16(水) 21:40:18 0
戦場を飛び交う電磁波を掴み取り、手繰る。
その先に、ラズベリル――そうでなくても電子戦機の一角――がいるのだ。

「見つけたぜ……!さあ超音、頼むぜ。アイツを叩き落としてきてくれ」

「うん、まかせて!……って、えぇ!?でも……」

「どうせこのままじゃジリ貧だ。それに後衛の陽動と牽制なら、一機くらい減った所で問題なく続けられるさ」

ちょっとばかし一機当たりに向けられる火力が増えちまうがな、と僚機は苦笑。
再び、ソクは行くように促される。

「……わかった。いってくるよ!まかせといて!」

「早めに頼むぜ。あと、お前の動きは筒抜けだって忘れんなよ。
 どうしても墜とせそうにないなら、精々逃げ回らせてやれ。
 電子戦と空戦機動を同時にさせてやりゃあ、その内腹を空かせるだろうさ」

頷きを残して、超音ソクは僚機から転送されたラズベリルの位置を目指した。
位置情報が割れている事を踏まえて早期から軌道を不規則にして、ラズベリルへ肉薄する。

「みつけた……!これでも、くっらえー!!」

ラズベリルのやや上方から、彼女は弾幕を展開した。

【逆探→ラズベリルを叩きに向かう。行動方針、撃墜orエネルギー切れ狙い】
13アメリア・ホーク ◇kumtjTemMs :2011/02/16(水) 21:41:27 0
「ウーン、中々当たりませんネー。デスガ、所詮は時間の問題デース。
 コッチはそちらが機動を緩めるか、エネルギーが切れるのを待てばいいんデスカラネー」

無論、それより早く撃墜出来れば、最善だ。
上空の遊撃手が消え去れば、前線の援護が可能になる。
大阪城が取り易くなる。勝利に一歩躙り寄れる。
残弾には気を配りつつも、アメリアは即席の対空砲火を続行した。

「……ンー?どこへ行くつもりデスカー?」

上空から離脱したソクを横目と、送信され続けるマッピングで追う。

「逃がしマセンヨー?」

上空に向いていたロケットランチャー『FREEBOM』の銃口が降ろされる。
角度を変更した射線が射抜くのは――

「ナーンテ、そんな少年漫画の噛ませみたいなセリフは吐かないデース」

超音ソクでは無かった。
標的は、白チームの前線部隊。
遊撃手が一機減れば、一機頭に注がれる火力は増える。
だがアメリアはその浮いた火力を、遊撃隊ではなく敵前線に向けた。

「流石に『BLUE CARPET』をぶっ放す余裕はアリマセンケドネ。
 コイツも十分、ホット&クールデース。イージーなジャパンの空戦少女を、蹴散らすくらいにはネ」

重い鈍い発射音が、断続して三つ響いた。
無線起爆が可能な、自由を宿したロケット弾が三発敵陣へと猛進する。
直撃を狙う必要はない。
マッピングが機能している今なら、敵陣のど真ん中で弾頭を起爆出来る。
ただそれだけで敵機は被弾、或いは爆風の煽りで姿勢制御を失うだろう。


【敵陣に到達したら起爆されるロケット弾を三発発射】
14扶桑 ◇jnVE8IlPwA :2011/02/16(水) 21:42:53 0
【3rd Turn ――失われた未来を求めて――】


>「了解。遊撃部隊は各自エーテル装甲を展開し、前衛分隊への攻撃を防御しつ応戦してください。」

遊撃部隊の展開したエーテル障壁は文字通り壁となり、扶桑たち前衛分隊の盾となる。
敵の火線の真っ只中に果敢にも突き進む姿はさながら地雷原を突破するマインローラー。
大阪城周辺にて勃発した戦闘は、激化の一途を辿っていた。

デュン!という電子音。コンソール・ゴーグルの通信機能が閃き、新たな情報が流れ込む。
視界の墨に青と緑の光が描き出すのは、大阪全域の交戦状況、そして敵機の位置情報を網羅したマップデータだった。

「これは……!」
「支援隊からの入電ね!ラズベリちゃん、やるじゃない!」

敵がどこにいるか一目瞭然。すなわち的である。
前衛隊はマップデータにオートターゲッティングを施し敵陣へ弾丸の雨を降らす。

「ひゃはーっ!逃げる空戦少女は白軍であります!逃げない空戦少女はよく訓練された白軍であります!」
「ホンット戦場は地獄だぜっフゥーハハハァー!」

情報戦に勝利したということは、効率的に攻勢に転じられることを意味する。
敵の護りの薄い場所――アメリアの長距離砲撃によって散らされ、こじ開けられた敵の前線ラインを把握できる。
遊撃・前衛分隊混合部隊は蟻の穴から崩れる堤の如く、大阪城エリアを侵食していく。

破竹を更に破る快進撃は、しかし長くは続かなかった。
コンソールが警告音を掻き鳴らす。視界一杯が赤く染まる現象が、一気だけでなく部隊全機に伝播する。

「ロックオンアラート……この距離で!?」

見回せど視認できる範囲に誘導兵器を持つ空戦少女はおらず、しかしアラートの間隔は次第に短くなっていく。
そして、攻撃が来た。
扶桑のすぐ傍を飛行していた僚機が――それを守る遊撃部隊のエーテル装甲ごと穿ち抜かれ、撃墜されたのだ。
その光景を視認できた空戦少女は網膜に一筋の光を焼き付けるだろう。大気を灼き虚空を貫く流星の如き、弾丸。

「これは……姉さん一尉の超長距離狙撃!」

扶桑は知っていた。伊勢の主力兵装、狙撃型リニアレールライフル。ゴルゴすら上回る射程を持つ重装兵器だ。
そんなふうに記憶の糸を手繰っている最中にも、次々と前衛部隊の僚機たちは翼を穿たれ高度を下げていく。
15扶桑 ◇jnVE8IlPwA :2011/02/16(水) 21:44:32 0
「ウソでしょう!実体弾系でこんな射程の武器が存在するの……!?」
「望遠カメラ使っても全然見えないよお!」
「編隊を組んでいたら良い的です!総員散開、各自戦域内の敵機に応戦であります!」

扶桑の号令で生き残った前衛分隊はバラバラの進路をとる。各自遊撃部隊とロッテを組んで何手かに別れた。
どうにか全滅は免れたが痛手だ。最も問題なのは、ただでさえ分断されたところに戦闘空域内で更に戦力を散らされたこと。
敵将の妙手によって戦場で孤立した部隊は、更に狙撃手の存在で無援へと追い込まれる。

「ら、ライカさん!扶桑とロッテを組みましょーっ!」

扶桑は空中をじたばたと泳ぎながらどうにかライカのもとへとたどり着き、その装甲の庇護下へ入る。
ジリ貧だ。例え優秀な電子戦闘機によるリアルタイムな情報供給があっても、それを活かす火力が成り立たない。
敵前衛部隊との交戦中に、扶桑は突破口はないかとマップデータを何度も確認する。
そして、違和感が発露する。

「ラズベリルさんから送られてきた位置情報データの履歴を参照してみたのですが……
 敵前衛部隊の動きが、ある一機の空戦少女によって牽引されているのであります。
 扶桑の睨みでは、おそらくこの方が指揮官」

すなわち敵将。扶桑の中の戦闘民族の血が騒ぐ。
これほど精緻極まる戦略を運用するのであれば、やはり指揮官は前線に出てくると踏んでいた。
直前で引き返したり部隊の中に紛れたりと巧妙に隠してはいるが、情報戦に勝るこちらの眼は逃れ得ない。

「ここで将を獲ります――前線で指揮官が撃墜されれば敵勢の判断の大部分を削げるはずであります!
 ライカさん、扶桑と一緒に賭けにでましょう。この戦いにて雌雄を決する一世一代のギャンブルを!」

マップデータから割り出した敵機はL型の空戦少女。
豊かな黒髪をビル風に吹き流し、集団戦に紛れていてもはっきりと感じ取れる、威風堂々とした圧を醸していた。

「二人であの御仁と交戦するでありますよっ――ライカさん援護をお願いします!」

扶桑は突撃剣を抜き放ち、無駄に高度を上げながらライナー軌道で敵機へ特攻する。
超振動の恩恵で斬鉄の切れ味を得た大剣で、横薙ぎにフルスイング!


【大阪城戦域にて前衛分隊離散。ライカとロッテを組んで逃げ延びた扶桑は逆転を賭けてハイディに特攻をかける】
16扶桑 ◇jnVE8IlPwA :2011/02/16(水) 21:46:15 0
【伊勢:3ターン目】

流石に敵も的に甘んじているわけがなく、二機ほど撃墜したところで散開された。
前衛部隊には扶桑が居た。伊勢の武装をよく知る彼女がいる以上、敵の部隊は接近戦術に切り替えてくるはずだ。
狙撃対策には、手近な敵を乱戦に巻き込むのがセオリー。誤射の危険がある以上、迂闊に乱戦の中へ弾は放てない。

「こんなものか……まあ良い。やるべき仕事は完遂した」

交戦空域内での、敵の分断。編隊を組ませない牽制。
こちらは数で圧している。ならばその真っ只中で敵機の一つ一つを孤立させてやればあとは鹿追いにも等しいワンサイドゲームだ。
伊勢は狙撃砲のボルトを引いて排莢すると、新たにカートリッジを装填し過熱した砲身を空冷する為に速度を上げた。
マルセイユと扶桑が交戦している。自陣の奥にいるこちらからは効果的な援護はできないが、せめて余計な邪魔が入らないようにしてやろう。


【赤組の前衛部隊を狙撃で離散させる。自陣深くを旋回中】
17ライカ ◇qLtaZYz21k:2011/02/16(水) 21:48:04 0
「…えっ?」
ロック オン アラートが鳴り響いたと思ったら
次の瞬間には前衛部隊の機体が弾丸によって貫かれ、落とされていた。
こちらの部隊の重エーテル装甲を貫通している上に敵機の姿はどこにもない。

「そんな馬鹿な!?」
だが、この距離でこんな威力を出せる武器を知らないわけではない
おそらく敵機はローレンツ力を利用したレールガン系の武装だと考えられる
だがこの系統はエネルギー消費が著しいという欠点がある

「…もしかすると、そこら辺も対策済みかもしれないので
うかつには信用できませんが。」
思考するのを一旦やめて外に目を向けると下から

>「これは……姉さん一尉の超長距離狙撃!」

……このヒトのところには凄いヒトがいるな…
いくら武器が凄くても見えなければ撃てない
この距離を狙撃するには精度の限りなく高いレンズを必要とする
そうしている間にも敵機からの狙撃は続く
前衛部隊に扶桑さんは部隊をバラす指示をしていたので
遊撃部隊の各隊員には前衛分隊の護衛…
といってもあんな狙撃では防げないのでそれ以外の攻撃の防御のために行かせた
「各隊員へ、健闘を祈ります」

孤立状態になってしばらくすると

>「ら、ライカさん!扶桑とロッテを組みましょーっ!」

扶桑さんだった。
「ええ、構いませんよ。ただあの攻撃に耐えれるかわかりませんが。」

しばらくすると扶桑さんが何か作戦を立てたようだった。
しかし、たった二機ではどうなるかわからないが。

扶桑さんの話を聞く限り敵の指揮官を潰しに行くらしい
実に扶桑さんらしい…

>「二人であの御仁と交戦するでありますよっーーライカさん援護をお願いします!」

「了解です」
言い終えると私は武器の中からPDWを出した

【とりあえず扶桑さんと共にし指揮者を倒しにいく】
18ハイディ ◇0IuUC6exTU :2011/02/16(水) 21:48:49 0
>「二人であの御仁と交戦するでありますよっ――ライカさん援護をお願いします!」

高度で有利な位置にいたハイディへと二機の敵影が高速で真っ直ぐ向かってくる。
ハイディは相手が近接戦闘系と見るや否や単騎で自陣の方へと身を翻し、相手に真後ろを晒す。
反転したとき減速したせいで、ハイディと敵機の距離は次第に狭まってくる。

「相手も馬鹿じゃないわね、この状況で逆転するには私を墜とすしかないと気付いたのね。
近接と遠距離のロッテなんて、私の最も苦手なタイプ」

自らの真後ろを晒すと言うことは、いわゆるむざむざ的になるようなものだ。
後ろに目がない以上、相手の銃撃を避けきれない。

「くっ…そろそろ、やばいわ」

少しでも攻撃を避けようと、バレルロールしながら進む。
そして、ついに敵機とハイディの距離が零に近くなったとき、敵機は更に速度を上げ、大剣を振りかざす。

「今!」

その時を待っていたハイディは、ストールして墜落しないギリギリの迎角で、急降下する。
急に対象を失った敵機の大剣は空しく空を切る。
急降下で得た速度を利用し、すぐさまインメルマンターンをし、銃口を敵機へと向ける。
間髪入れず引き金を引くと、大量の鉛玉が敵機目がけて吸い込まれていく。
しかし、急降下したときある程度読まれていたのか、命中したのはごく僅かで殆どが避けられる、そして速度を失い低空に位置するハイディ向かって斬りかかろうとする。

「これで狙えるかしら?」

乱戦から抜け出た空で、自陣に向かっていたハイディ。
そこで急降下すると、自陣からは敵が丸見えになる、いわば的である。
その時伊勢の銃口が正面から敵機を正確に捉えた。

【当たるか当たらないかはご自由に】
19ラズ ◇j8buLRXlfY :2011/02/16(水) 21:52:03 0
「当たれ!当たれあったれー!!」

本来なら攻撃では無く接近を行う距離。その距離でラズベリルは乱射に近い精度と頻度で鍵盤楽器を弾き繋ぐ。
「Engage」はキーボードだけの曲と言う事もあり、彼女はマイクを切り、声を出して演奏に徹している。
放たれる光帯は直撃したとて致命傷になり得ないパルスレーザ−。だが足止めには最適であり、事実として対象はその進行速度を鈍らせていた。
しかし、彼らは愚直にもそのまま前進を行うようだった。そこが少し気にいらないのかラズベリルは演奏を途中で止めてしまう。

「ま、こんなもんじゃん。
 シカトしやがったのは苛ついたじゃんけど今回はチームバトル……」

言葉尻を落としながらラズベリルは彼らを仕留めるべく後方より急接近する機影を眺めた。
空戦公社とスラストル社製の機影……ライカと言っただろうか?その二機が敵陣に真っ向から突撃している。

「全部を全部アタシが相手にする必要は無いじゃん?
 それに……!!」

その様を見つつ武装を折りたたみ、Sparkring-Vに持ち変えると勢いよくB♭を響かせる。
間髪いれずに「ON-STAGE.」は全速力後退。その直後、先程まで彼女が居た空間を鉛玉が穿つ。

「こう言う、飛んで火に入るなんとかが居る感じじゃん?」

相手に背を見せるようにそのまま一直線に市街地を駆け抜ける。確認の為に振り向く事は無い。
振り向く暇があるなら先程の礼をするのが彼女ラズベリルだ。その為には攻撃に適したポジションをとる必要がある。
後方より接近する機影を限界まで引き付けるように速度とマニューバを調整し、高速で市街地の曲がり角を切りこむように曲がり去る。

「この高さならスライスで速度を乗せて……」

そして、相手の視界から消えた瞬間、機体をスライスさせ速度を付けて敵機の下側からシザーズに持ち込む。

【シザーズとは…戦術機動の一つであり二機の戦闘機が並行無いしそれに準じた位置(上昇しながら行われる場合もあるにはある)にして飛行し、互いに背中を取り合うように交差する機動を指す。
 この場合、速度で劣るラズベリルは敵機の視界から消えた瞬間に互いに並行の位置になる様にスライスターンを行い、その状況から敵機の背後をとる為に交差する機動を描いている】

前後が入れ替わり、今度はラズベリルが敵機の背後をとる。
そのシルエットを背後からとはいえようやく確認したラズベリルだが、彼女は隠そうともせずに舌打ちをし、敵機に向けて攻撃を開始する。
螺旋を描きながら、複雑な軌道でヴァーティカル(上下)シザーズを行い背面の取り合い、捻じれ、二機は互いにオーバーシュートで誘い合う。

「しぶといじゃん……流石は西田家。空中での姿勢制御はお手の物って事じゃん?
 だったら……まずはそのイカれた運動性からむしり取って叩き落とす感じじゃん」

互いに膠着した状況。皮肉にもそれを先に破ったのは西田家、超音ソクだ。
オーバーシュートしたように見せかけ機体を大きくブレーク、その持ち前の速度を生かしラズベリルを引き離す。
大阪の市街と言う狭い空間での自殺行為とも取れる機動だが、それを自身の絶対的な姿勢制御能力でカバーした結果だった。
そのままソクは急上昇からの木葉落としの要領で上方より突撃を仕掛けてくる。
20ラズ ◇j8buLRXlfY :2011/02/16(水) 21:53:59 0
「攻撃の前に優位を確保せよ。可能なら太陽を背にって奴じゃん?」

完全に不意打ちに近い状況だ。
しかし、それで撃墜されていては空戦「アイドル」とは名乗れない。

「Brad on fire!and Laser carnival!」

接敵まで4.9秒。それだけあれば武装の展開は間に合う。
展開される電子の砦「Brad on fire」そして、再びLaser carnivalが接続される。変形に要した時間は2.8秒。残り2.1。
迎撃は問題ない。しかし、予定と現実は違う物。予定は未定。響く発砲音。
ソクはロックオンする前に発砲していたのだ。
着弾まで*.*秒。流石に弾速計算からの着弾予想時刻は計算が間に合わない。
こうなったらヤケクソだ。
ラズベリルはドラミングと共にシンセイザーを打ちこみ二刀流でソクの攻撃を弾き飛ばしにかかる。
電子ドラミングセットBrad on fireは自機周辺に強力な磁気シールドを展開する武装であり、その威力は銃弾であろうとも……

《ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!》

荷電粒子砲であろうとも機動を反らしてしまうほどだ。
しかし、使用には大きく制限がつく。例えば電波を使い電子戦を行っている状態ならば一時的に遮断しなければならない。
そのもろ刃の盾を一瞬だけ展開し、ラズベリルは反撃に転じる。

《アンタにもアタシの歌を聞かせてやるじゃん!wash my bioodで感涙するじゃん?》

演奏が開始され、再びマッピングも再開される。光点の数に変化は無し。目標位置捕捉完了。
電子仕掛けの歌姫の歌と共にマッピングによる正確無比な照準と追尾性のレーザーブレードがソクを斬り刻むべく振われた。
21超音ソク ◇kumtjTemMs :2011/02/16(水) 21:55:38 0
一進一退の攻防、幾度となく繰り返される上昇と下降、戦況は今一つ傾かない。
危うい均衡の上を、超音ソクは超高速で飛んでいた。

(エネルギーざんりょーは……うん、まだ……とべる)

まだ大丈夫ではなく、まだ飛べる。つまり既に芳しいとは言えない状況だった。
それでもソクは飛び続ける。例え勝てなくてもこの戦闘でエネルギーを削ってやれば、
マッピングの継続可能時間を縮める事が出来る。

>《アンタにもアタシの歌を聞かせてやるじゃん!wash my bioodで感涙するじゃん?》

撃ち放たれた追尾性の刃を肩越しの背後に確認して、ソクは瞬時に高度を落とした。
旋回と共に急降下する。高度が速度となって、地面が瞬く間に近付く。

「……っ、だいじょうぶ……!いける……はず!」

そして激突の直前で、彼女は機首を上げた。
振り返ると、刃は急激な軌道変更に付いて来れず、地面に直撃したようだ。
旋回の勢いはそのままに彼女はビル群へと潜り、ラズベリルの射線から逃れる。
マッピングはまだ継続している筈だ。ならば小細工は無用。
背の高いビルを盾にして彼女は上昇する。再びラズベリルの上を取った。
不規則な軌道の降下に伴って、銃撃を繰り出す。
とは言え、先んじて自機の位置を察知出来るラズベリルへの命中は難しい。

「そろそろつかれてくんないかなぁ……!」

だが回避運動を取らせるだけでも意味はある。
ソクにとっての勝利条件はラズベリルの撃墜ではない。
エネルギーを削りマッピングを止められれば、それでいいのだ。

「っ、はぁ……。アンタがへばるまで、ぜったいにおちてなんかやらないんだから!」

上方から下へと突き抜けたソクは必然、ラズベリルに背後を譲る事になる。
反撃は出来ない。ジンキング――不規則な動作で未来位置の予測を阻害しても、限度がある。
故に、ソクは機首と高度を上げる。宙返りの要領で、相手の背後を取り返す算段だ。

「さっきからきどっちゃってさぁ!アイドルなんでしょ!?だったらうたってばかりいないで……すこしはおどってみたらどう!?

しかしただの宙返りではない。頂上付近で機体を左に傾け、意図的に失速状態を作り出す。
速度を失った機体は円を描く途中で横滑りでの落下を始めた。結果、普通の宙返りよりも早く落ちる事になる。
これによって、ソクはラズベリルの背後を取った。
再度の銃撃。マッピングに対して不意を突けたかは怪しい物だが、無意味ではない筈だ。

【最後の機動、分かり難かったら単に捻り込みで背後を取ったって事で
 相変わらずエネルギー切れ狙い。けれども自機もエネルギーに余裕なし】
22アメリア ◇kumtjTemMs :2011/02/16(水) 21:56:42 0
空中を絶えず立体的に飛行する敵機は、赤組の後衛に位置するアメリアでは狙えない。
故に彼女は狙撃を放棄した。出来ない事をする必要はない。自明の理だ。
出来ないならば他者に任せるか――或いは目的を果たす為の他の術を模索すればいい。
そして彼女は、その術を持っている。正に己の手中に。
遠隔起爆の可能な『FREEBOM』は、敵陣で起爆すれば正確な狙いなしに攻撃が出来る兵装だ。
無論、本来なら相手を撃墜する程の正確性は得られない。
だが今なら、可能だ。ラズベリルのマッピングと『FREEBOM』の位置情報を照らし合わせれば、
相手の至近距離で確実に爆破出来る――筈だった。

「ホワッツ?マッピングが途切れましたヨ?」

爆破まで間もないと言う時に、送信され続けてきたマッピング情報が突如失われた。
通信による事情の説明はない。予定の分からない復旧を待つのは下策だ。

「……仕方アリマセンネー。まぁ、爆風の煽りくらいは届くデショウ」

唇を尖らせて呟き、アメリアは『FREEBOM』を起爆する。
瞬間、敵陣で爆風が弾けた。曖昧な狙いでは敵機を損傷させる事は出来ないかもしれない。
しかし隊列や姿勢制御を乱すくらいにはなるだろう。

「ついでに……コイツはオマケデース。ダメ押しって奴デスネー」

更に二発、アメリアはロケット弾を発射した。
直撃の公算は限りなく低いが、一応の狙いは定められている。
ハイディ・マルセイユと伊勢-弐零八式だ。
白チームの要となる二機、彼女達を撃墜には至らなくとも爆風で戦場から離す事が出来たのなら。
戦局は間違いなく有利になる。

「マ、いわゆるバシルーラって奴デスヨ。厄介な連中はどっかに飛ばすのが一番。
 オシロに絡めて言うならトザマダイミョーって奴デスネー。アレ?何か違いマスカ?」
23扶桑 ◇jnVE8IlPwA :2011/02/16(水) 21:58:34 0
【4ターン目 大阪城攻防戦!!】


「見・敵・必・殺――!」

ライカの援護射撃によって進路を限定された敵機のアフターバーナーを捉える。
扶桑が横薙ぎに繰り出した突撃剣の一閃は、しかしその威力を発揮することはなかった。
敵機が突如機首を下げ、大気の滝を滑るように急降下したのだ。敵なき牙は虚しく虚空を噛んで終わる。
扶桑は、相手を見失う。

「あ、あれっ?どこに行ったでありますか!?」

《下だ、扶桑!》

インカムからの入電にはっとして首を回せば、下空にてターンを完了した敵機が鉛玉を吐き出していた。
機動の最中とは思えないほど正確な狙いをつけて放たれた銃弾は、空気を食い破って扶桑を穿ちに走る。

「ぬわーーーっ!」

直前で気付けたのが幸いした。扶桑は弾を目視できる。
また扶桑の進行方向を追うようにして放たれたおかげで弾の威力が思うように上がらなかったが故か、被弾のダメージは微小に終わる。
だが、撃たれた。二対一で追い詰めておきながら、いいように誘導されてこの様という失態が、扶桑の意識を熱くする。

「一回は一回でありますよ――!」

追随するように縦旋回。敵機のインメルマンターンを再現し、再び剣を携えて加速する。
――その過程でまた、上手くライカの庇護下からおびき出されているということに、気付かないまま。

>「これで狙えるかしら?」

「なッ!?」

そして、攻撃が来た。
コンソールが一瞬にして赤く染まり、けたたましいロックオンアラートが視界を埋める。
急旋回も、回避挙動も、全てを置き去りにして。超長距離を穿つ紫電の槍が飛来した。

「っつああああっ!」

意識、思考、視界。あらゆる知覚と認識の外から来た轟爪無双の一撃は、扶桑の肩口から右翼にかけてを貫いた。
貫き、穿ち、それでも止まらず矢も盾もなく蒼穹に一筋の光条を描く。大空という背景に一本の線を追加する。
人造体組織の焼ける匂いと、ジェットユニットが砕けて燃える油の匂いを大気に撒き散らして扶桑は高度を下げていく。

(やられたであります――扶桑を過熱させ、乱戦状態から姉さん一尉の狙撃の機能する空間まで巧みな誘導!)

恐ろしく頭の切れる空戦少女。
その名も武勇も戦歴も扶桑は何一つとして知らないが、しかし現実に載せて叩き込まれた確固たる事実。
絶対的な『強者』という存在を、火を見るより如実に体現した彼女は、こちらに一瞥もくれず空を行く。
その姿に視界の中で掌を重ねて、しかしそこから零れ落ちていく存在を追うことができない。
24扶桑 ◇jnVE8IlPwA :2011/02/16(水) 22:00:06 0
《扶桑、扶桑!『プライベートウィング』の右半分をやられた!高度を維持できねえぞ!》
「……墜ちるのでありますか?」
《放っときゃそうなる。うまく左翼とのバランスを調整すりゃ高度は取り戻せるだろうが……》

そうなれば、もう前線で戦うだけの運動性能は確保できない。
コンソールに送信されてきた機体の損害状況を見せながら、チーフはそう説明した。
援護の武装が皆無な扶桑にとって、それは完膚なきまでの戦力外通告だ。
交戦に足る運動性能を発揮するには、破壊されたスラスターを捨て撃墜覚悟で高度を度外視する他ない。

《ペナルティ覚悟で一旦墜ちて、ピットのち再スタートって手もある。
 まあこの場合も、大阪城が獲れてなけりゃ自陣からのリスタートだから、》
「事実上の後方支援――良くて援軍扱いでありますね。『この戦い』に復帰するのはいずれにせよ不可能です」

前半戦において最も重要なファクターを占める、この大阪城攻防戦に。
参戦できないというもどかしさは、英雄願望の塊である扶桑にとって到底看過できるものではなかった。
なかったから。

「――絶っっっっっ対!諦めないでありますっ!!」

視界の端に、こちらへ向かって飛んでくるロケット弾の影が見えた。
その先端は敵指揮官を捉え、自陣から軌跡が伸びている――味方の支援砲火。
扶桑は持ち前の動体視力でその姿を捉えきり、

「超・絶・必・中!アルティメットぉぉぉぉぉスマッシュ!!」

突撃剣を横にして、幅広の剣身でロケット弾の推進基の尻を叩いた。
渾身の力で――さながらテニスか野球の如く、叩き込む。
推進力に加えて更なる運動エネルギーをぶち込まれたロケット弾は大気の壁を突き破る加速を得て敵司令官へと直進する!

「要は高度さえどうにかすれば扶桑はまだまだ戦えるのです!だったら――」

翼を折られた上で無茶な機動をした為高度はどんどん下がっていく。
扶桑はスラスターへのエーテル供給を全て止め、空気抵抗だけで機首を曲げ上空を向いた。
遥か直上の空には、おびき寄せられるがままに置いてきた、ロッテを組む僚機の姿。

「扶桑のこと、よろしく頼むでありますよ――ライカさん!」

上空へ拳を突き上げ、腕に装備されたエーテル圧式ワイヤーアンカーをライカへ向けて射出した。


【アメリアの撃ったロケット弾を突撃剣の横で殴りハイディへ向けスマッシュ】
【伊勢の狙撃を右翼に被弾。高度を取るか運動能力をとるかの選択で高度を捨て、ライカへ向けてアンカーを射出】
25扶桑 ◇jnVE8IlPwA :2011/02/16(水) 22:00:58 0
【伊勢・4ターン目】


>『これで狙えるかしら?』

「――十分だ」

ハイディによって巧みに誘導され、火線の真っ直ぐ先へさらけ出された扶桑の翼へ照準を合わせる。
彼女の武装に距離は関係ない。空気抵抗すら穿ち抜くリニアレールの亜光速弾は、大阪市を縦断したとて減衰なく貫くだろう。
軽装型の空戦少女の装甲などものの数にも入らない。当ててしまえば翼は愚か駆動中枢ごともぎ取れるだけの威力がある。

(お前がこの段階で墜ちるのは惜しいが、これも諸行無常。そろそろ私の怖い所も見せなくては尊敬は勝ちとれん)

スコープ内に扶桑をロックオン。あとは引き金を引くだけで、彼女は翼を失うだろう。
ハイディが決死の機動で捻出した絶好の好機へ向けて、伊勢が狙撃を完遂しようとしたその瞬間。

「――な!」

スコープ内にロケット弾の機影が射した。
それは真っ直ぐこちらを向いて尻に炎を灯し、同時にコンソール内に響き渡るロックオンアラートが、自らの危機を伝える。
敵のチームにも伊勢と同等の射程を持つ空戦少女が居たのかと驚愕も束の間、彼女は対応に追われた。

(真っ直ぐこちらに――いいだろう、私の狙撃を阻害すると言うのなら。その妨害ごと穿ち切る!)

引き金を正確に一回、押し込んだ。
外付けの変換器に供給されたエーテルエネルギーは電力に変えられ狙撃砲に命を宿す。
砲身を貫くように走る超電磁ライフリングに電流が流れ、反発電流を流し込まれた弾体が砲身内で浮上する。
摩擦抵抗から解放された弾丸は、電磁誘導線に導かれ長大なバレルの中で超加速を獲得。
パスっと空気の抜ける音を合図にして、亜光速にまで加速した赤熱の弾丸は銃口から虚空へと飛び出した。

一瞬で大阪市を縦断する光の線はロケット弾を貫き爆散させて尚止まらない。
爆発の煽りで少しだけ軌道を逸らされた弾丸は、扶桑の右翼を穿ってその先の空に果てた。


【アメリアの放ったロケット弾に狙撃を逸らされ扶桑を撃墜し損ねる】
26ライカ ◇s7TB6aH68Q:2011/02/16(水) 22:05:03 0
【4ターン目 大阪城付近 戦闘】

PDWを2丁を取り出し弾幕を張る
たったそれだけにより相手の寮機は優先的に回避しようとするため正確な狙いは難しくなる
それにより易々と扶桑さんと相手部隊長との接近及び戦闘が可能になった

「ここまでくれば相手は攻撃が部隊長に当たることを危惧して当てにくくなりますね…」

だが安心しすぎたのか、それとも相手の部隊長が一枚上手だったのか
扶桑さんとこちらとに大きな距離が出来てしまった

(…少々マズいですね)
扶桑さんに近づこうとすると相手部隊員は行く手を阻もうとする

(強行突破は不可能ではないですが…)と考えていると
攻撃が来た
(アラート!?もしかしてさっきの?)
こちらかと思いとっさに身構えた
しかし、実際に当たったのは自分ではなかった
(扶桑さん!?)
攻撃は扶桑さんの右翼を真っ直ぐに打ち抜いていた
扶桑さんは打ち抜かれ徐々に高度を下げて行く
(くっ、今すぐにも扶桑さんを補助したいのですが…)
周りの敵はある程度落とせたがほとんど生きている
また、敵部隊長もこちらに照準を合わせている

「なるほど、さっきのは距離を離すための作戦ですか…」

相手の攻撃が強くなる
本気ではなく、わざと攻撃せずに避けて足止めしたようだ

「仕方ないですね…」

武器をPDWからグレネードランチャーに変更し即座に

「喰らえ」

発煙弾を発射した
それは広範囲の煙幕のために作られていたため辺りは煙だらけになり
一時的に敵の視界を塞いだ
その隙をなんとか使い落下中の扶桑さんに近づく
27ライカ ◇s7TB6aH68Q:2011/02/16(水) 22:05:55 0
> 「扶桑のこと、よろしく頼むでありますよーーライカさん!」

「了解です!ひとまず一旦、相手と距離を空けます!」

扶桑さんのワイヤーアンカーを掴み適当な場所に引っかけ固定した
それとほぼ同時にまだ晴れていない煙幕に向かい
散弾を満遍なく5発ほどランチャーで放ち、間を空けず続けて…

「扶桑さん!ここからでも痛いかもしれませんが我慢してください!」

急加速し距離を離しながらまだ晴れぬ弾幕にむかいサーモバリック弾を撃ち込む
すると…大阪城の4割ほどを包む爆発が起きた

【敵部隊の包囲から脱出し扶桑を救助、その後サーモバリック弾にて攻撃し距離をあける】
【サーモグリット弾についての説明と設定です
 ちなみに別名は気化燃料爆弾です
 ライカの設計元のストラトス社は昔は戦闘機とそれの搭載武器などを作る会社で
 現在は空戦少女とロケットを作る会社です
 今回のこれはロケットの液体推進燃料と
 それらの技術を使い強化されたバージョンと捉えて下さい
 ちなみに超高熱と強烈な衝撃波による破壊です】
28ハイディ ◇0IuUC6exTU :2011/02/16(水) 22:06:44 0
>「超・絶・必・中!アルティメットぉぉぉぉぉスマッシュ!!」

敵機が後方から飛んできたロケット弾を大剣の腹でハイディ目がけて打ち込む。
ロケット弾自体は目視できていたハイディだったが、予期していない早さでハイディに向かってくるそれに反応しきれなかった。
後方からのロケット弾を剣で打ち込む、なんてことは並大抵の反射神経で出来るものではない。
それは、今まで何百もの空戦少女と対峙してきたハイディでさえ舌を巻くほどであった。

(なんて無茶苦茶…これは避けられない…!)

ハイディは反射的に機関銃の引き金を引く、鉛玉は寸分狂わず全てロケット弾へと吸い込まれ爆発を起こす。
自身への命中こそ避けてものの間近で爆風を受けたハイディはまともに戦闘できる状態ではなかった。

「油断したわ…私としたことが周りを全然見てなかったわね」

伊勢の銃撃のおかげもあって、敵機もまともに戦闘継続できる状態ではなかったため追撃こそ来なかったがハイディも飛ぶことが精一杯であった。

「でも、これで十分。
飛べさえすれば問題ないわ」

ただでさえ大阪城では自軍が優勢だったのに加えて、二機が戦線から離脱した。
それが大阪城で戦闘に与えた影響は決して小さくない。
敵機の僚機が煙幕を展開する、ハイディはそれに併せてチャフレアを射出し、敵側からの攻撃に備える。
そして、目視の効かない煙幕が展開されている空域から脱出し大阪城へ向かう。
ハイディの思惑通り、大阪城はほぼ自軍が占拠していると言っても過言ではない状況であった。

「これなら大阪城で再スタートできそうね」

しかし、ハイディの作戦からするとここまでは既定路線、問題はここから。
敵の前線部隊を止めていた陽動部隊はそろそろ壊滅しているはず。
だから、今から合流して来るであろう敵前線部隊の猛攻をどう乗り切るか、それがこれからの最も大きな山場である。

「指揮官!大丈夫ですか?」
「ええ、問題ない…とは言えないわね。
でも、少し直せばまだ戦えるわ、少しの間お願いね」

そう言って僚機に指揮を任せると、自身は大阪城のピットへと入る。
指揮官の戦闘不能という状況が自軍に少なからず動揺を与える。
急造であるがゆえに指揮官というものは部隊をまとめるのに無くてはならない存在である。
これからの大阪城防衛のさいに部隊の核と言えるものを失ったのは大きなマイナスであった。

【ハイディは大阪城のピットへ。
陽動部隊による敵前線部隊の攻撃終了、それに伴い自軍バルーンも大阪城へ接近。
攻撃によっては敵軍の攻撃が当たる位置】
29ラズ ◆j8buLRXlfY :2011/02/18(金) 01:03:01 0
【エキゾチックマニューバを用いて踊る娼婦はアビスメタルとダンスソングをプレリュード出来るか♯(シャープ)】

「さっきからきどっちゃってさぁ!アイドルなんでしょ!?
だったらうたってばかりいないで……すこしはおどってみたらどう!?」

《FEEL THE DARKNESS OF THE BITCH'S HOLE ……
 RED LIKE A GUILLOTI……》

ソクが叫ぶ。
と同時に彼女の描く軌道は失速を用いて方向変換を行いスライドをかけつつの降下機動「テールスライド」の変形型である。
こう書けば簡単に聞こえるかもしれない。
しかし、彼女の行った機動と言うのはきりもみ状態を誘発する機動でもあり、機体自体の挙動をコントロールできなければ墜落の危険性のあるものだ。
それをこの狭い市街地、それも観客から見える様な高度にもかかわらず行ったと言うのは、素直に称賛に値するものだ。
その軌道を用い得た格好のポジションからソクは嬉々として攻撃を開始する。
だが……

《ダメダメよ☆》

突然の編曲。
ダークな配色のアビスメタルが突如としてキャッチーなビートへとすり替わって行く。
それに合わせるようにラズベリルも又、機動を大幅に切り替え、45度の角度を付け上昇する。
突然の上昇に対応する様にソクもアップトリム状態に入り追従するがその瞬間に視界からラズの姿は消えている。
そして背後からのロックオンアラート……ソクは本能的にリバース機動。既に付いている45度の角度を利用したキューバンエイトで回避に入る。
ラズが使ったのは俗に言うコブラロールと呼ばれる機動だ。
行った機動自体は格段テクニックを要するものではない。だが彼女はそれにバレルロールを組み込み速度を落とさずに距離でオーバーシュートを発生させたのだった。

《アンコールはバレルロールでいかがじゃん?》

右から左へと流れゆく景色に酔い空を舞う二人の空戦少女。
再び背後を取られたソクはジンキング……ジグザズに切り返し相手のミスを誘う機動でブレークを狙う。
しかし、ラズベリルはなぜか離れない。いや、それどころか距離が近づいている。
有り得ない事だった。なぜなら、ソクの方が飛行速度では圧倒的に有利なのだ。ラズの様な鈍足機に追いつかれてしまう事などが無い。

《君の事、誰よりも、分ってる……》

だが事実として、ラズベリルの方から距離を詰めているのだ。実はこれには種は有るが仕掛けもない。
その事にソクが気がつくのはラズの一言がきっかけだった。

《解析完了じゃん!!悪いけどアタシのミュージックステージに常識は通用しない感じじゃん?
 全力で踊り合うじゃん?用意は良い感じじゃん?少しでも視線を逸らしたら「ダメダメよ☆」》

解析完了。ラズはソクの機動を先読みし、最短距離を進行していたのだ。
そしてそのことを仄めかした真意。それはソクを精神的に追い詰めると言う事だ。

《授業では教わらない事を!君に!教えてあげるわ♪》

後方に位置したままラズはただひたすらロックオンし続ける。煽り続ける。ソクの機動が、メンタルが、ボロボロに崩れる瞬間を待ち続ける。
そうして五つ目の反転を終えた瞬間。ソクは反撃に転じた。
30ラズ ◆j8buLRXlfY :2011/02/18(金) 01:05:14 0
《カモーン!!》

ソクの「反撃」とラズの「応戦」はほぼ同時だった。
ソクがアフターバーナーを吹かせ加速する。ラズがキーボードの発光部をフライングブイに組み付ける。
エンジンカット。轟と言うソニックブームの音と共に超絶的なテクニックが披露された。
その結果ソクとラズが互いに視線を「からませる」
超音ソクの進行方向と機首が真逆だった。
分りやすく言えばラズベリルが前に進行しているのに対し、ソクはアフターバーナーで得た推力だけを頼りにラダーとエルロンで飛行している。
そして切って落とされる銃撃戦。
紅の銃弾と紺碧の光刃が交差し、互いに射線を確保し、射線を避ける。
約3秒間の銃撃戦の後、二機はそれぞれ交差し今度は互いに上昇機動に入る。

(ここでシャンデル!!)

今まで下方よりの攻撃に徹していたラズベリルの上方への移動。彼女は今アツくなっていた。
互いに正面より交差機動に入り、そしてすれ違う!

(失速による反転の確立……!!)

100%!!
交差した二機が同時に振り向き、スライド機動で後ろを取るべく回転し合う。
その結果、描かれるのはDNA塩基配列の様な螺旋の機動。そしてその二つをつなぐように二機は更に銃撃を死会う。

《は・じ・け・る!!リズムに合わせて!!》

この二機の戦闘によりステージは最高潮の盛り上がりを見せる。
しかし、観客達のテンションも最高にクライマックスなその時。二機に対して警告が発せられてしまう。

「ペナルティエリアでの一定時間の戦闘を確認。警告に従い安全空域まで移動しない場合は……」

これはまさしく興醒めと言うものだった。
警告音に異議を唱える観客までで出したが判定は覆る筈もない。
この不完全燃焼極まりない判定だがラズは従う。彼女の立場では仕方のない事だった。

《次に会う時までに機体の挙動に現れる特徴を直すといいじゃん。
 カウンターを入れるのは良いけど、毎回だと単に予備動作にしかならないじゃん?》

そう告げ、ラズベリルは海側へと離脱して行く。

『触媒とバッテリーを使いすぎたじゃん……こちらフィルジーグ社。機材のメンテナンスの為ピットINするじゃん
 以後、弊社機復帰までマッピングは解除されるので注意されたし。繰り返す、マッピングは中断じゃん?
 なお、支援部隊各機は前線部隊の修理補給を優先しつつ、大阪城近辺の敵機への攻撃をするじゃん?』

【ラズベリルピットIN。マッピング、ハッキングが中断されました。
 復帰は後半戦開始と同時。それまでの間は他の支援機の描写を行います】
31超音ソク ◇kumtjTemMs :2011/02/21(月) 22:21:05.21 0
>《次に会う時までに機体の挙動に現れる特徴を直すといいじゃん。
  カウンターを入れるのは良いけど、毎回だと単に予備動作にしかならないじゃん?》

「まちなよ……!わたしはまだうたれてないし、アンタをうってもいない!しょーぶはまだ……」

最後まで言い終える前に、超音ソクは期待の制御を一瞬失った。
がくりと、ほんの一瞬だが大きく高度を落とし、辛うじて持ち直す。

『やめておけ、ソク。もうメインの動力源は枯渇している。帰還用の副動力まで使い果たすつもりか?』

彼女の耳の奥で、西田が事実を冷たい刃のように淡々と突き付ける。
ソクが押し黙り、拳を固く握り締め、強く歯噛みして――帰還の姿勢に移った。
幸いにして、大阪城は奪取出来たらしい。建物群に身を隠しての低空飛行で、ピットへと入った。
      キイ
「よう、『盗聴』てたぜ。マッピングは中断された。大阪城も取れた。十分な戦果じゃないか」

遊撃隊の僚機が、ソクよりも先に運び込まれて胴体の装甲を開かれていた。

「ま、流石にピットインは免れなかったが、最後まで逃げ切ってやったぜ。
 つまり被撃墜じゃなくて、あくまでも墜落。これは大きな違いだぜー?」

冗談めかして笑う僚機に、しかしソクは俯いた顔を上げようとはしなかった。
代わりに僚機の顔が、僅かに曇る。

「……そう気を落とすなって。向こうは掛けてる金もケタ違いなんだ。いけ好かねえが、仕方ねえよ」

慰めと同情を秘めた声がかけられて、それでもソクは微動だにしなかった。

『まぁ、試合の面ではともかく勝負では完全に負けていたからな』

西田が追い討ちをかける。

「おいおい、人様んちの事情に口うるさくするつもりはねーけどよ。もうちょい言い方ってモンが……」

思わず僚機が眉根を寄せて苦言を零したが、最後まで紡ぐ事なく口を閉ざす。
隣で機体の整備とエネルギーの補充を受けているソクが、微かに震えているのに気付いたのだ。

「あーあー、言わんこっちゃねぇ。おい、あんま気に……」

ソクの顔を覗き込みながらの、次なる僚機の言葉も、最後まで続く事なく途切れた。
僚機の両目に驚きの感情が浮かんで、瞳の水面を揺らす。

「……あいつ、よくも……よくもわたしをバカにしたな……!」

ソクの表情は、静かに煮え滾る溶岩のような憤怒に支配されていた。
搭載された幼稚で我侭な人格によって、彼女の心は折れるのではなく、激情に炎上していた。

「ゆるさない……ぜったいにゆるさない!つぎみつけたら、ぜったいにうちおとしてやるんだから!」

強く唇を噛んで、ソクは決意を固めた。
32アメリア・ホーク ◇kumtjTemMs :2011/02/21(月) 22:23:27.15 0
「……オゥ、信じられマセーン。なーんでオーサカジョー取られてるんデスカ?」

光に集る羽虫の執拗さを見せていた白チームの遊撃隊をようやく散らしたアメリアは、前線の戦況を見るなり不満を零した。

「チッ……まぁいいデース。あのハイディとか言う年増は撤退したみたいデスシ、遊撃隊も暫くは帰って来れないデショウ」

アメリアが戦場を見渡す。
氷を思わせる冷静な双眸を、事実のみを映す鏡として戦局を見定めていく。

「前半戦、時間はまだ残ってマスネ。相手は要の一人を欠いていマスシ、数もコッチが上デス。
 そして戦場の兵器の勝ち負けは、足し算引き算じゃアリマセン」

淡々と、呟く。

「バスケットの試合みたいなモンデスネー。同レベルのプレイヤーが5対4で試合をしたのなら、
 4人のチームはボロクソにされマース。常に牽制を受けず立ち回れる者が一機でもいれば、
 その一機を起点に敵を全滅させられる……って事デース」

意地の悪い、獰猛な笑みと共に、アメリアは『BLUE CARPET』を右手に取った。
散弾銃『Pain Cover』は肩に掛けて、左手には『FREEBOM』を構える。

「さぁ、向こうの前線と戦意をすり潰してやろうじゃアリマセンカ。一方的に、着実に、迅速に、ネ」

重爆撃と蒼い閃光が白チームのいる空域を、威力で塗り潰した。
直撃は無くとも、飛行可能な領域を瞬く間に削減していく。
前線の部隊が体勢を立て直し、前進し、戦線を展開する為の援護射撃だ。

【牽制を受けずに云々は元々、空戦じゃなくて陸戦空戦の理屈ですけども。まぁ戦闘機じゃありませんしご容赦を】
33扶桑-501SW ◆jnVE8IlPwA :2011/02/24(木) 06:02:07.92 0
【第五巡・『相対する対価』】


>「了解です!ひとまず一旦、相手と距離を空けます!」

直上へ向けて撃ち放ったワイヤーアンカーは、上方への加速を終えたところでライカに捕まえられた。
さながら蜘蛛の糸のごとく扶桑を空域へと留め、大阪市の風に吹き流すように牽引されていく。

「流石ライカさん……!やっぱり御仁は最高のパートナーであります!」

巻き取りリールを起動しライカの元――大阪城上空へと扶桑は帰還する。
彼女のフライトユニットは片翼が使いものにならないほどに破壊され、ピットしない限り二度と飛べないだろう。
扶桑に残されたのは『飛翔』ではなく『滑空』。向きと速度を調節しながら落ちて行くだけの挙動のみ。

ライカは交戦を続けていた。
扶桑という重りを背負いながらもその重装甲と重装備をフルに用い、彼女を守り続けている。
大阪城周辺に散開した敵機群と暫し銃撃戦を繰り広げたかと思うと、急激な慣性が来た。加速したのだ。

「ら、ライカさん!?何を――」
>「扶桑さん!ここからでも痛いかもしれませんが我慢してください!」

何事かを問うより先に答えが射出された。
晴れやらぬ弾幕の向こうにライカの放った弾頭が消え、そして視界が明滅した。
高速で流れる視野の向こう、ドップラー効果を起こしそうな速度の中で、視線の先に爆閃を見る。

大阪城空域の大半を占める空間が、巨大な爆弾と化していた。

「――っどえええええええええええええ!!!??」

大阪城と、それを取り巻く敵軍の空戦少女達を飲み込むような規模の大きさで爆炎が迸る。
燃料気化爆弾。空中に気化した燃料を高速散布し爆発させることで広範囲を一気に滅却する爆撃兵器である。
その威力は熱波と爆風。高熱を伴う衝撃波。地震でも起きたかと錯覚させる轟音と共に、扶桑の場所まで熱は来た。

《っ扶桑!息止めろ――!》

インカムからの怒号に弾かれ扶桑は口を噤む。
ライカの力場装甲ですら減衰し切れなかった衝撃波は彼女達の肌を叩き、体表を焦がす。
もしも呼吸を続けていたら燃焼で酸素の減った空気を吸って低酸素症を起こしていただろうし、
鼻孔から鼓膜にかけて衝撃波が突き抜け震盪を起こしていただろう。鼓膜が破れていたかも知れない。

「な、なんとゆう威力……!」

サーモバリック爆弾。燃料気化爆弾。
近年では歩兵武装にも採用されたと聞く兵器だが、流石に空戦仕様ともなると規模がケタ違いである。
何よりも戦場での運用を可能とするライカの装甲性能。並の空戦少女ならば自分の放った爆風でやられかねない。
彼女の装甲は継戦能力だけのものではない。むしろその真骨頂は――反動を無視して強力な武装を扱えるという一点。
超攻撃的防御性能。重装甲にして絶対の信頼性を誇る無類無双の『爆撃少女』――それがライカである。
34扶桑-501SW ◆jnVE8IlPwA :2011/02/24(木) 06:03:29.13 0
「見てくださいライカさん!敵機達が蚊トンボのように墜ちていくであります!」

人間より遥かに耐衝撃性に優れた素体をもつ空戦少女たちであるが、肺呼吸型の者は酸素の呪縛からは逃れ得ない。
毒ガスは効かなくとも、低酸素状態の大気を一吸いでもすれば吸気回路に異障が生じる。
呼吸器系にも甚大なダメージを被るし、ジェット機構が破損して航行不可能になる者も出てくる。
幸か不幸か爆裂範囲だけは大阪城空域の4割と抑えられているので(故に凝縮された威力を被ったわけだが)、
前線に出ている敵機の半数を撃墜するとまではいかなかったがかなりの数が継戦不能に陥っているようだった。

――それでも。彼女たちは今一歩及ばなかった。

「大阪城が……!」

敵の手によって陥落していた。ライカの兵装が如何に強力と言えど、今回に限っては運用が『遁走』を前提に設定されている。
もしも彼女が100%なりふり構わず燃料気化爆弾を殲滅目的に使っていれば、とにかく敵機に先んじられることはなかったろう。
どうしようもない事実。扶桑が足を引っ張ってしまったのだ。

(扶桑が……っ!扶桑がもっと思慮深く交戦していれば!ライカさんの装甲圏から誘き出されなければ!)

少なくとも今こうやって航行不能に陥ることはなくて、ライカと共に最前線で戦闘を続行できただろう。
信条としていた英雄志向の落日に、心が折れそうになった。なるが、しかし切り返す。

(そう!そんな反省は二秒で完了でありますっ!『今何をすべきか』なんて、今現在しか分からないのですから!)

大阪城より離れたこの空域から、敵に占領された大阪城を奪還する。
こと攻城戦において、攻める側と守る側は公平ではないし平等でもない。
攻守それぞれにジレンマは発生し、そしてその密度は得てして攻める側の不利という形ではたらく。
兵糧攻めの効かないこのビックターゲットという舞台であるならなおさらだ。敵の火線に常に身を晒し続けねばならないのだから。

「考えましょうライカさん!こっから大逆転できる最高にカッコイイ切り札の!欠片を集めて再構成するのであります!」
35扶桑-501SW ◆jnVE8IlPwA :2011/02/24(木) 06:04:09.84 0
ライカの装甲があれば、敵の集中砲火の中を突き進んで大阪城へたどり着けるかもしれない。
しかしそれをするにはライカのエーエルエネルギーをほぼ全て力場装甲に注がなければならず、攻守の攻めを欠くことになる。
扶桑がそれを代替できるのがベストだが、皮肉にも彼女は近接格闘偏重型。弾をばらまくことすらできない。

「時間の問題もあります。ビックターゲットは前後半、後半は領地の進捗状況が反映された状態でスタートです」

つまり大阪城を取られたまま前半のタイムアップを迎えた場合、後半戦を完全不利のまま開始する羽目になる。
敵の最前線が肉迫しているということで、その圧迫感は計り知れないだろう。勝負をかけるなら、今しかない。

「っ!!――マップデータも!?」

さらに間の悪いことに、ラズベリル達支援部隊によって送信され続けてきたマップデータが途絶えた。
支援部隊が壊滅したとは考えづらいが、それでも円滑な電子戦闘を中断させられる事情があったのだろう。

そして一番の問題は、扶桑のフライトユニットが推進機能の殆どをやられているというこの状況。
このままライカにおんぶに抱っこというわけにもいかず、しかし彼女の庇護から離れれば扶桑は自分で飛ぶことすらできない。

(何か別の……推進機能を使用せず高度を獲得する手段を見つけなければ……)

そのとき、一陣の風が彼女の頬を撫でた。それはライカの風防を貫いてこそ柔風で、すなわち外では突風。
大阪市街の林立する高層ビルの隙間を滑るように吹く上空の突風――ビル風。下から上へ吹き上げる上方気流。

扶桑の生体演算回路に紫電が走る。

「ライカさんっ!このまま大阪城まで十分な接近のあと――扶桑をあのビルのあたりへぶん投げてくださいっ!!」

突撃剣で大阪城南の高層ビル群を指す。
天を貫く鉄筋コンクリートの双頭。ツインタワービルである。

「そしたら散り散りになった偵察部隊と前衛分隊を集めて大阪城エリアの掃討戦を。陣頭指揮はライカさんにお願いするであります。
 扶桑はそれを全身全霊で手助けする為に――先んじて露払いをするでありますから!」


【扶桑の指示:前線の指揮官をライカに。バラバラになった偵察部隊と前衛分隊を集めるよう指示】
【扶桑の提案:このままではライカの性能を発揮できないので扶桑を大阪城の傍のビル群へ向けて射出】

【伊勢は狙撃砲の冷却中】
36名無しになりきれ:2011/02/25(金) 18:43:25.96 0
アメリカ空軍万歳
37ライカ ◆s7TB6aH68Q :2011/03/02(水) 22:04:32.83 0
サーモバリック爆弾によって先ほどまでいた敵機が煙の中から次々と墜落する
(できる限り後まで取っておきたかったですが…
まあ、十分な空間がなければビルにまで攻撃をあたえるかねないためここぐらいでしか使えないですが…)

しかし、全滅とはいかなかったのだろう。
>「大阪城が……!」

(やはり、頭は抑えられませんでしたか…)
扶桑さんの強襲ですら効かなかったのに、自分程度の攻撃でそう簡単に勝てるとは思ってはいない。
よくて、装甲を引き剥がす程度が限度であるとは考えていたが…

「完全に逃げられましたか…」

ここまで強いとは少し想定外だった。
弾幕と煙幕の中からパニックにならずあの状態から脱出し一瞬にして距離をあける
なんて、ほとんど出来る者はいない。
(早急に手を打たなくては駄目ですね…)

>「考えましょうライカさん!こっから大逆転できる最高にカッコイイ切り札の!欠片を集めて再構成するのであります!」

「扶桑さん…。そうですね、分かりました!」

>「時間の問題もあります。ビックターゲットは前後半、後半は領地の進捗状況が反映された状態でスタートです」

「了解です。マップを見ながら…」

>「っ!!――マップデータも!?」

「…正直、かなりヤバいですね。」

地図も中間地点も失ったこの状態で敵機による多人数攻撃を受ければ全滅は先ず避けにくい。
(しかも、さっきの攻撃で敵に警戒されている可能性が高い…)

ふと、目線を扶桑さんの方へ向けると何やら考えていた
すると、
「ライカさんっ!このまま大阪城まで十分な接近のあと――扶桑をあのビルのあたりへぶん投げてくださいっ!!」

「!?」

はじめ、何を言い出したかよくわからなかった。しかし、“ビル”と聞いて或る程度の予測は出来た。
続けて扶桑さんは…

>「そしたら散り散りになった偵察部隊と前衛分隊を集めて大阪城エリアの掃討戦を。陣頭指揮はライカさんにお願いするであります。
 扶桑はそれを全身全霊で手助けする為に――先んじて露払いをするでありますから!」

「!分かりました。残りの部隊に順次、無線で連絡をいれます。
それと…扶桑さん、部隊をまとめたらすぐに向かいますのでそれまで頑張って下さい。
くれぐれも無茶のない程度で。」

そう言うと扶桑さんの繋がったワイヤーを持って

「行きますよ…」

現在の自分の最高速度まで扶桑さんをひっぱり、速度を与えたのち指定された場所の辺りへ思いっきり投げた。

【ライカ:扶桑の提案を受け入れ、指示に従い残存部隊を収集する】
38名無しになりきれ:2011/04/25(月) 00:28:28.20 O
キン肉マン
39名無しになりきれ:2011/05/06(金) 03:01:52.23 0
test
40名無しになりきれ
ここが次の避難所か