>>145 あ…そうだったか。
…君のおかげで気づけた。
いや、素直に助かった…ありがとう。
んー、雨風がうるさくて眠れないな…。
……今…部員たちは殆ど寄生されている…・。
………フフフ…僕1人というのも…悪くないな…(メガネクイッ)
しかし…こちらはこちらでいつも通りに対応するよ。
>>14 生徒(避難所)
短髪ってほどではないけど、肩より下にまで行くほどの長さでも無い。
僕はよく髪型を変えるからね…センター分けにしたり、丸坊主にした事もあるよ。
僕を描いてくれるのかい?
ま、まぁせっかくだからモデルになってあげるよ…感謝してくれ。
>>15 生徒(避難所)
…大体3年ほど前かな……?
…何故彼女は今の曲がった性格になったのか…
正直言うと、ちょっと苦手なタイプなんだ…嫌ではないけど…
振り回されやすいと言うかなんというか…僕の問題だろうか。
(避難所でも書きましたがただいま風邪を引いてます、皆さんも気をつけて)
>>143霊明寺センパイ
へぇ…幽霊も人間が考えたか…
まあ結奈先輩は取りあえず無事ってことは分かったし無名もなんかそのうちに言って来るだろ
ん?顔赤くして熱でもあるのか?
まあ寄生は予測できねえからな
>>145 ありがとうよ!おかげで避難所の存在が分かったぜ!
今日、久しぶりに電車に乗ったんだ…
……僕の乗った車両は地獄だった。
咳き込んでる人が多くてね、それでも我慢して乗ってたんだけど…
………案の定…風邪をうつされた……僕とした事が…油断した……。
…やはりマスクは、常に持っておくべきだ……特にこの時期はね。
>>148 ……無明くんは神隠しにでもあったのかな…?
いや、顔が赤いのは……か、風邪だよ。ごほんごほんっ。
寄生は恐ろしいからね…気付かない内に君も寄生されるよ。
ふふふ……次は君が寄生される番…かもね…。
>>149霊明寺センパイ
なんだ〜風邪でかよ…
まっ…きをつけるこったな…
おい…アタシが寄生されるとかマジでありそうだからやめろよ…
151 :
文学部補欠:2010/12/09(木) 20:59:15 0
翌日、志奈は不安と期待の両方を胸に部室へと向かった。紗枝の話をすれば、きっとみ
んなは飛びついてくるに違いない。みんなに特ダネを持ち込めると言う期待と、果たして
この事件は心霊部の手に負えるものなのか、と言う不安だった。
しかし、昨日紗枝とした約束が背中を押した。心霊部には頼りになる仲間もいるし、自
分だっている。明日みんなを連れて紗枝の家に行くから、と。あのときの紗枝の涙を浮か
べたままの笑顔を、自分は裏切ってはならない。
部室の入り口の前で、一度立ち止まる。ふぅ、と小さく息を吐いたあと、思い切って扉
を開けた。
「僕が言っているのはそういうことじゃない!そもそも学校内で男女が堂々と乳繰り合っ
ているのがおかしいことだと言ってるんだ!」
「なあ、委員長!ここ、やっぱりわかんねぇんだけど!…ってまだ電話中かよ!じゃあ部
長!あのさ、ここなんだけd」
「やっぱりそうだったのよ!ついに見つけたわ、確証を!あの暮羽神社は昔、人柱を使っ
て建てられたのよ!」
志奈の視覚と聴覚に飛び込んできたのは、まるで繁忙期の一流会社のオフィスのような
喧騒を纏った心霊部の面々だった。
「いいか、僕はそもそも男女交際を禁止しようと言ったはずだ!それを百歩も千歩も譲歩
して今の状態に落ち着いたはずだろ?それをさらに甘く見ろというのはいくらなんでも
無法地帯に等しい風紀の乱れだ!」
部室の窓際で、携帯電話に向かって大声で説教をしているのは、風紀委員長の霊明寺国
理。学内の風紀の乱れの話をしているうちに、電話の相手が彼の逆鱗に触れる一言を放っ
てしまったらしい。おそらく、彼の話し相手は困ったようなうんざりしたような顔を浮か
べているに違いない。
「いや、それも大事だけどさ、今は俺の期末テストの方が当面の問題だろ?この代入って
のがうまくわかんないんだって!」
机に向かい、教科書とノートを難解な表情で睨みつけているのが無明瑛仁。そういえば
期末テストですべて平均点以上をとらないと、一人百物語を主催、ようは一人で百話の怪
談話をしなければいけないという課題を与えられていた気がする。
「そうとわかれば善は急げよ!早速暮羽神社に行って神主に話を聞きましょう!きっとあ
の大階段での幽霊の目撃情報に繋がる話が聞けるはずよ!」
おそらく図書館から借りてきたであろう、古ぼけた大きな本…市内の歴史を綴った書籍
であろうそれを持って、その中で見つけた記述に目を輝かせているのが部長、胡隈結奈。
もう瑛仁の声は耳に届いていないようで、完全に自分のモードにスイッチが入っている。
152 :
文学部補欠:2010/12/09(木) 21:01:26 0
こんな状況で、果たして自分の話が聞いてもらえるのだろうか。志奈は少しだけ戸惑い
ながら、声を上げた。
「あの、みんな!ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど!」
「もういい!電話じゃ話にならない!今から風紀委員を全員招集しろ!緊急会議だ!」
国理はツカツカと部室の出入り口へ向かうとくるりと振り返り、今日は早退する!と一
言だけ言い放つと、勢い良く引き戸を閉めて出て行ってしまった。
「霊明寺センパイ!ちょっと…!」
呼び止めようとしたが、もはや志奈の声は国理には届いていないだろう。
「あら、赤田さん!いいところに来たわ!前に一度話したことがあったわよね?暮羽神社
の大階段の幽霊!あの話に繋がりそうな史実を見つけたのよ!早速神主さんに話を聞き
に行こうと思うの!一緒に行きましょう!」
結奈は志奈に飛びついてきて志奈の手をとると、一気にまくし立てた。
「あ、あのさ!実はこれから、ちょっとある女の子の家に行く約束をしてるんだけど…」
その女の子が霊障に悩まされてて、と続けようとした志奈を、結奈が遮った。
「あら、そうなの。じゃあ仕方ないわね。無明くん!…は勉強だし。ま、これくらい私一
人で大丈夫か。行って来るわね!」
「い、いやそうじゃなくて!ちょ、ちょっと待ってくれって部長!」
志奈の声は既に届いていないようで、結奈は待ってなさい悪霊!と叫びながら走り去っ
てしまった。
呆然としていた志奈は、「わかった!」という瑛仁の声で我に返った。
「そっか、なんだよ2問目と同じ考え方だったのかよ!よーし、この調子で!」
ガッツポーズをした後、自分の頬を軽く叩いて気合を入れなおす瑛仁。
「なあ、無明」
志奈の呼びかけに「おう」と顔を上げた瑛仁の顔には、明らかな疲れが浮かんでいたが
その疲れに「諦め」は見えず、むしろ心地よい手応えを感じているようだった。
「どうした、赤田」
「…なんでもない。頑張れよな、勉強!アタシだって百話も怪談聞くの嫌だからな!」
「オッケー、任せとけ。柄でもないけど頑張ってみるよ」
みんなそれぞれ、何かを頑張っている。国理は冷めたことを言いながらも、風紀委員
長の仕事と心霊部の活動を両立させている。結奈はドンドンネタを持ち込み、ドンドン
と追求していく。瑛仁だって、こんな形とはいえ心霊部の活動の一端を担っている。
自分は、どうだろう?盛り上げ役にはなれていると思う。でも、それだけではないだ
ろうか。寝不足で、一度だけ部活をサボってしまったこともあった。そのとき、三人は
自分を心配してわざわざ家に来てくれた。とても、胸が痛んだ。適当なことやってちゃ
だめだ、と思った。
「…あのときの失態を、取り返してやる!アタシだって心霊部の一員。紗枝の事件を解
決して、みんなに褒めてもらうんだ!」
志奈は学校を出ると、駆け足で紗枝の家に向かった。
153 :
文学部補欠:2010/12/09(木) 21:03:28 0
なんか、早くも時系列におかしいとこが生じてる気がする。
とりあえず今日はここまでです。
あー早くも規制解除されてて良かった。
>>151‐153文学部補欠
おっしゃあ!ついにアタシのターンってか!
そうだな…アタシはただの盛り上げ役でしかないかもしれない…
だけどできることもある!
待ってろよ!紗枝!
必ず解決してやる!
>>150赤田さん
大丈夫だよ、寄生されてもこっちに戻れなくなるだけだから。
ただ、あっちに行く必要があるけどね…。
心配はしなくても大丈夫だと思うけど。
>>151-153文学部補欠くん
わざわざ続きご苦労様…
赤田さんに出来る事か…
叫んで気絶するとかかな?
…本人は本当に盛り上げ役だけだと
思っているのかな。
そんな部活で大丈夫か
157 :
文学部補欠:2010/12/11(土) 15:51:29 0
「いつも、何時くらいに来るんだ?」
「…5時くらいだから、もうすぐだと思う」
紗枝の部屋に着いた志奈は荷物を置くと、あの怪異のことについていくつか確認した。
心霊部の他のメンバーが来なかったことについては、みんな他のおばけの事件でちょっと
手が離せない、と説明した。だけど大丈夫、アタシは心霊部のホープって呼ばれてるんだ
から、と顔の横でガッツポーズを作ると、紗枝の顔から不安は消えた。
「今回は、どの辺りに来ると思う?」
志奈は怪異が現れそうな場所を、あらかじめチェックしておこうと紗枝に問いかけた。
「昨日、もうほとんど家の前だったから…」
「家の前って、この窓から正面か?」
「うん、いつもこの窓から外を見るんだけど…」
紗枝は立ち上がり窓のほうに向かい、昨日怪異が現れた位置を示そうとした…その時。
「おーい。おーい。もうすぐ行くからねー。おーい」
唐突に、その声は響いた。一瞬びくっと身を強張らせたあと、紗枝は恐る恐る志奈の方
を振り返った。その目には既に涙が浮かんでいる。
そのあまりに唐突な遭遇は、かえって志奈にとっては幸運だったかもしれない。驚きが
先にたってしまい、恐怖がほんの少しだけ薄れた。とはいえやはり、怖いものは怖い。紗
枝に向かって力強く頷き、立ち上がったが、その足は小さく震えていた。
(駄目だ、アタシが怖がっちゃ、紗枝は誰を頼ればいいんだ!)
震える足に軽く拳をぶつける。二人は、窓から下を見下ろした。
「っっっ・・・・!!!!!!」
一目見ただけで、この世の理を外れた存在だとわかる奇怪なもの。腰の辺りまで伸びた
真っ黒でボサボサの髪の毛。生を感じない、纏っている服とほとんど変わらないほど真っ
白な肌。ただそこに穴があるかのような、漆黒一色の目。もう玄関の前にたどり着いてい
たその存在は、上を見上げこちらの存在を確認すると、絶望すら感じるほど不気味な笑み
を浮かべ、手を振った。
「おーい。おーい。明日、行くからねぇ。」
駄目だ、やっぱり自分には無理だ。志奈のお腹の底から、絶叫がこみ上げてくる。
「きゃあああああああ!!!」
しかし次の瞬間、志奈の耳に届いたのは自分の悲鳴ではなかった。隣で志奈よりもさら
に小さな体を震わせている、紗枝だ。
志奈はグッと悲鳴を飲み込んだ。
「大丈夫!大丈夫だ!」
紗枝を力強く抱きしめると、もう一度外を覗いた。怪異は、既に消えていた。
158 :
文学部補欠:2010/12/11(土) 15:54:16 0
翌日、志奈の足は心霊部に向かっていた。昨日の今日で、あの慌しさが終わっていると
は思えない。今回の事件は自分の力で解決しようと決めたのだ。他の部員の力を借りよう
とは思っていない。にもかかわらず、志奈が心霊部に顔を出したのは最後の一押しをして
貰うためだった。
みんなに認められる、一人前の心霊部員になりたい。みんなの頑張っている姿を目に焼
き付けて、それからみんなの驚き、喜ぶ顔を想像した。
「間に合わないだって?いいか、間に合う間に合わないじゃないんだ。間に合わせろ!い
いか?30分後だ!それまでに用意するんだ!」
相変わらず、国理は忙しそうだ。電話に向かって抑えてはいるが怒鳴り声をぶつけるそ
の姿は、まるで昨日のリプレイを見ているようだった。
(霊明寺センパイ、あんなに忙しそうなのにちゃんと部室には顔出してんだな)
「よっしゃ!ビンゴだ!これで間違いないだろ!さっそく部長にメールを…」
昨日に引き続き、柄でもない姿の瑛仁。シャーペンを置き、携帯を手に取るその顔には
達成感が浮かんでいた。
(おお。問題集が終わったか?アタシもこれが片付いたら少し勉強しないとな)
ふとホワイトボードに目をやると、張り紙がしてある。
“暮羽神社に行ってきます! 結奈”
昨日だけでは聞き込みが終わらなかったのだろうか?それとも昨日は神主さんに会えな
かった?
(…どちらにせよ、不審者扱いされてなきゃいいけど、部長。)
志奈はぐるりと部室を見回した。
(…次にこの部室に帰ってくるときは、マジで心霊部のホープだからな!)
時計を確認すると、紗枝の家に向かって駆け出した。
====================ここまで====================
また同じような引き方になってしまった。
最初に思いつきで赤田さん目線で書き始めたら、すっかり赤田さんの話になっちゃいました。
なんだか死亡フラグみたいになってますが、このあとどうなるんでしょうか。
またそのうち続きを書かせてもらえると嬉しいです。お騒がせしました。
おっしゃあ!赤田特訓日記!
今日は怖いDVDを見ました!あと自転車ではよわなかったぜ!以上!
>>155霊明寺センパイ
まあ今のところアタシは寄生されてないぜ!
しかしこの状況はあれなのでアタシの特訓を報告することにしたぜ!
部長みたいなオーラが欲しいや
>>156 大丈夫だ、この部活は大丈夫だ!
いざとなったら…アタシがスポットに突撃するぜ!
>>157‐158文学部補欠
ありがとうよ、お礼にアタシのサインやるよ
しかし霊怖すぎだろ、大丈夫かなぁ…アタシ
冬の夜空は綺麗だね、眺めてると心が落ち着く気がするよ。
バルコニーで星空を見上げながら、紅茶を飲むと最高だよ。
月明りも綺麗だし………、昨日は中々くつろぐことができた。
勉強ばかりだとおっくうになるからね、誰しもたまには休憩が必要だよ。
……だけど…なんか人の叫び声が聞こえてきてね。
月明かりに照らされて、下に何か人影が見えた気がするけど…
…防犯カメラには何も映ってなかったし、たぶん気のせいだとは思うけど。
>>156(???)
大丈夫だ、無問題さ…今のところはね。
ま、たまに来れない時もあるけど…できるだけ出席するようにしている。
やるからには、しっかりと…ね。
…それに居心地も、悪く無いと思ってるんだ…。
少しは、ここの人に感謝してもいい…かな…少しだけだぞ?(赤面)
>>157(文学部補欠)
うん、今回も楽しませてもらったよ…。
いい文章書くね…落ち着いてスラスラと読むことができる…。
それに、ここの雰囲気もよく再現できている…ちょっと上から目線の意見だけどね。
この騒がしい感じも、最近は悪くないと……いやなんでもない。
とにかくお疲れ様、次回も楽しみにしているよ。
>>159(赤田さん)
特訓ねぇ……どうせなら僕のお爺さんのお寺に行ってみるかい?
夜の墓地はなかなか雰囲気が出てて、いい感じだよ?
慣れれば色々耐性が付くんじゃないかな…。
…まぁ、僕は遠慮させてもらうよ……悪い噂も流れてるしね。
161 :
文学部補欠:2010/12/12(日) 04:28:29 0
「じゃーんっ!」
志奈が誇らしげに取り出したのは、藁人形だった。町内にある、古ぼけた古物店で昔み
かけたのを覚えていて、学校から紗枝の家に来る途中に買ってきたのだ。
「藁人形…?あのおばけを呪うの?」
紗枝は不安げな顔で志奈の手に握られた藁人形を見つめる。
「違う違う。ま、藁人形と言えば呪いの道具を思い浮かべがちだよな。でもな、実は藁人
形には身代わり人形としての効果もあるんだぜ!ほら、ちょっと我慢しな」
志奈は紗枝の髪の毛を一本抜いた。
「うーん…一応、爪も入れておくか。爪きり、あるよな?」
紗枝に爪きりで爪をひとかけら切らせると、それと髪の毛を一緒に藁人形のお腹の中に
押し込み、最後に少し形を整えた。
「この状態で、深夜ご神木に五寸釘で打ち付けたら、紗枝は呪われてしまう。でもこのま
ま置いておけば、これは呪いや不幸から紗枝を守ってくれる身代わり人形になるんだ」
志奈は藁人形を勉強机の上に置くと、ほら、お願いしときなと紗枝に促した。紗枝は藁
人形に向かって手を合わせると、
「身代わり人形さん、どうか、紗枝を守ってください」
目を閉じて、強くそう願った。正直、志奈自身この方法に絶対の自信があったわけではな
かった。慣れない本を読み、ネットを使って、なんとか辿り着いたのがこの身代わり人形
だったのだ。
そして、時計の針が5時を少し回った。
162 :
文学部補欠:2010/12/12(日) 04:30:55 0
「おーい。おーい」
窓の外から声が聞こえる。
「き…来やがったな…よし、じゃあこの身代わり人形を目立つ場所において…」
志奈は身代わり人形を部屋の真ん中、床の上に置いた。
「おーい。今から行くからねー」
声は、昨日までとは違い「今から行く」と、はっきりそう告げた。
「おい紗枝、鍵はかけてるよな?」
紗枝は少しだけ思案を巡らせたあと、大丈夫、と震える声で答えた。しかし、次に聞こえ
てきた声は、家の中で鳴り響いていた。
「…玄関…入って来やがった…ちくしょう、おばけに鍵は関係ねえか…」
「お姉ちゃん、どうしよう…どうしよう…」
紗枝が志奈にしがみつく。
「だ、大丈夫だ!ほら、クローゼットの中に隠れよう!静かにしてるんだぞ!」
ふたりはクローゼットの中に身を隠した。声は、玄関から紗枝の部屋のある2階へと続
く階段まで移動していた。
「お姉ちゃん、お姉ちゃんっ…!」
紗枝はもはや恐怖に染まりきっており、志奈にしがみついたまま蚊の鳴くような声で何
度も何度もそう繰り返していた。志奈の頭が辛うじて冷静でいられたのは、紗枝のその存
在があったからであった。
部屋のドアが開く音が聞こえた。
163 :
文学部補欠:2010/12/12(日) 04:33:06 0
「(で…でけえ…!)」
僅かな隙間から部屋の様子を覗っていた志奈は、目を見張った。入ってきたそれは、人
間の形をしているものの、その大きさは2メートルを優に超えて…いや、3メートルに届
こうかと言う体躯で、纏う禍々しい空気は“瘴気”と表現するしかないものだった。
志奈の腕にしがみつく紗枝の体が一層強張るのを感じた。
「大丈夫、大丈夫だ…身代わり人形にお願いしたんだから…」
怪異はゆっくりと部屋の中に進み、床の上においてある藁人形を手に取った。そしてそ
れを眺めていた…と思った次の瞬間、人形はボロボロと朽ちてしまった。
「(…そうだ、それであんたのターゲットはもう死んだんだ!消えろ!消えてく…)」
「 ど こ だ ? 」
志奈たちの耳に飛び込んできた、絶望的な言葉。人形では、騙せなかった。
「おーい、どこだー…。来たよー… 来 た よ ! ! 」
怪異は今までにない大声で絶叫する。
「来たよ!!!!!!!!!!!!!!来たよ!!!!!!!!!!!!来たよ!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!来たよおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
紗枝の恐怖はもはや声にならず、その身体は戦慄に耐え切れずに小さく痙攣すらしてい
るように感じた。そしてそれは志奈も同様で、突然の大声に小さく跳ね上がった身体は、
クローゼットの中のカラーボックスに当たり、ごとりと音を立てた。
「しまっ・・・」
「 み ぃ つ け た 」
164 :
文学部補欠:2010/12/12(日) 04:35:28 0
怪異は音もなくクローゼットに近づく。
「…ぃ……ゃ…ぃゃ…いや…嫌!お姉ちゃん!助けて!!うわあああああああ!!!!」
ついに紗枝の心が恐怖に犯されつくしてしまった。乱暴に志奈の身体を揺さぶりながら
絶叫する。しかし志奈もそれに答えることもできなかった。自分の呼吸をすることすら難
しいほど、鼓動が早くなっていた。
ゆっくりと、クローゼットが開かれてゆく。そこには、怪異。絶望を感じさせる不気味
な笑顔で、そっと紗枝に手を伸ばす。志奈の身体は、動かなかった。ただ、紗枝の頭にそ
っと触れる手を、唯一の自由となった眼球が捉えていた。
「あ…あぁ…」
紗枝の嗚咽が聞こえる。苦しいのだろうか、搾り出すような声だった。
「ぁ…ぁあ……お…姉ちゃん…」
志奈の身体が、弾けたように自由を取り戻した。
勢い良く怪異の腕を掴むと、紗枝の頭から引き剥がした。
「…つ…連れてくなら、アタシを連れてけ…!」
怪異に表情はなかったが、それは驚きの表情に見えた気がした。そしてそのまま、ゆっ
くりと志奈の首に向かって、今度は両手をかけた。身体に力が入らない。生気を吸い取ら
れているのだろうか、激しい吐き気と頭痛が志奈を襲った。
(やっぱり…アタシじゃ無理だったか…ちくしょう…ちくしょう…)
意識が薄れていく。その中で、志奈は思った。紗枝は、見逃してもらえるのだろうか。
自分が死んでしまったあと、同じように殺されてしまわないだろうか。
「…に…逃げろ…っ!…さ…さえ…に…げろ…っ!」
逃げて、そのまま高校の心霊部の部室にいけ。そこにいる人たちならきっと…。そう伝
えようとした志奈だったが、それはもう言葉にはならなかった。
165 :
文学部補欠:2010/12/12(日) 04:40:19 0
「そこまでよ!!」
聞きなれた声。それはまるで気付けの様に、志奈の意識を辛うじて繋ぎとめた。結奈の
声。大きな音と衝撃とともに、志奈の首から怪異の手が離れる。
「おいおい部長!おばけに体当たりって!」
また、聞きなれた声。瑛仁の声。
「早く赤田さんを!」
これも。国理の声。…いや、この声は少し、いつもと違ってクールさがないような。志
奈の頭は、なぜか余裕にもそんなことを考えた。それほど、3人の声に安心したのだ。
「おい、大丈夫か!赤田!」
瑛仁が床に倒れこんでいる志奈を抱きかかえた。
「…わ…悪い…アタシじゃ…やっぱり無理だったみたい…」
安心感と、そして無力感のあまりに涙が零れた。
「あ…あたし…っ…ひっく…みんなみたいに…頑張りたくて…褒めてほしくて…ひぐっ…
でも…やっぱり…」
「赤田…わかった、とりあえず落ち着け、な?」
嗚咽で上手に舌の回らない志奈を瑛仁が優しくなだめる。
結奈は部屋をぐるりと見回した。その目は、ボロボロになった藁人形をみつけ、そして
志奈を見据えた。
「良くやったわ、赤田さん…いえ、志奈ちゃん」
その声に志奈は結奈を見やる。ニコリと笑ったその顔に、今度は違う涙が溢れる。
「ここからは、私たちに任せなさい。さあ…悪霊!よくも私の大切な仲間を傷つけてくれ
たわね…。絶対に許さない!」
結奈はビッと怪異を指差す。その姿は、志奈にとても眩しく見えた。まるで、小さいこ
ろ夢中になって見たテレビの中のヒーローが、自分を助けに来てくれたような気がした。
166 :
文学部補欠:2010/12/12(日) 04:43:10 0
一応書き上げてしまったんだけど、長文をこれ以上一気に書き込むのも気が引けるので
今回はここまでにしておきます。5レスでちょうどきりもいいし。
ここにきて、
>>133の頭に書いた「激闘!嘉原高校心霊研究部!」な展開になってきたかな
とわれながら思っております。
【遊園地のオバケ屋敷】オバケ「うあー」
キャアアアア!ひいぃ!お…落ち着けアタシ…
…さあかかってこい!(ガタガタ
オバケ「うあー」
…ブクブク…(バタリ!
>>160霊明寺センパイ
墓地…全力で拒否する!
なんでアタシがひ…一人で墓地なんかに行かなきゃ行けねーんだよ
怖いっつーの!ああ怖いさ!
しかしまあこの部室なんか居そうで怖いな…
>>161‐166文学部補欠
ありがとう!なかなかいい出来だぜ!
やっぱり今のままじゃアタシは…もっとつよくならなきゃな…
頑張るぜ!
さっきまで星空を眺めてたんだけど
ゆっくりと動く明るい星を見つけたんだ。
まさか、UFOとかではないよね…
と思いつつも30分くらい見続けてしまったよ。
結局途中で消えちゃって、見失ったけどね。
>>166 文学部補欠
「激闘!嘉原高校心霊研究部!」か…。
これだけ聞くと何かのバトル漫画みたいだね。
いや、幽霊とバトルをするのか。
テレビの中のヒーロー…か。
ピンチの時に、誰かが助けてくれるとそう見えるよね。
ともかくお疲れ様…僕が持ってきた高級な紅茶を飲む権利を与えよう。
>>167 赤田さん
1人が嫌なら誰かと一緒に行ったらどうだい?
胡隈さんとなら怖くないんじゃないかい…、喜んで行きそうだし。
というか、墓地のどこが怖いんだ?ただお墓が沢山あるだけじゃないか。
この部室ね…確かに居ると思うよ。
1や2じゃない…もっと沢山だね。
僕にはわかるよ、赤田さんはわからないのか…?(不吉な笑みを浮かべる)
力に自信あります?
や…やばい…恐怖のビデオの…あ…アタシにはレベル高いみたいだ…(ガクブル
>>168霊明寺センパイ
う〜ん…結奈先輩誘って見ようかな〜
墓場…怖いだろうが!何かでたらどうするんだよ!怖いからよく肝試しコースにもなるんだよ!
おい…一人じゃないってどういうことだ!マジでこの部室居そうだから!
>>169 力か?喧嘩なら自信あるけど約束破れないからさ…大事な約束だ
霊的な力ならないです
オバケ怖いのでないです
なんだかとても危機感を感じるんだけど…
はぁ、どうも…さらに部員が減っているね…。
>>169 生徒
得意技は背負い投げ……どういう意味かはわかるね。
喧嘩はまず負けたことがないよ、喧嘩が得意っていうのもおかしな話だけど。
風紀委員としてよく追いかけっこをする事に、なってしまうときもあるからね。
>>170 赤田さん
そんなに怖いのかい…?ただの石碑だと思ってれば平気だと思うけど…。
いや、僕たち1人だけじゃないって意味だよ。
…簡単に言うと他の部員もいるよ、ってことだよ。
はっはっはっ、大げさだね…赤田さんは。
172 :
霊明寺 国理 ◆hk5y4XhYEc :2010/12/16(木) 06:59:14 0
たまにはageてみようか…部員が来るといいけど。
規制続いてるし仕方ないね
最近より寒くなってきたね。
星が綺麗でいいけど、風邪をひきそうだ。
みんな、風邪ひかないように。
>>173 そうだね、寄生のせいで全体的に人が少ないかもね。
確かにこの部は、静けさに包まれてた方が、お似合いなのかもしれない。
…いや別に寂しいとかそういうわけじゃないけどさ。
部長なら私の家に昨日泊まって行きましたよ
なぜか寝付けない…明日は朝が早いんだけど…
困ったね…はぁ…。
>>175 生徒
なんだって?ちょっとよくわからないな…
もし本当だとしても、それは言わないことだ…。
君が何をやっていようが自由だが、
学校の風紀を乱すような発言は慎んでもらいたい。
さて、もう一度寝なおしてみようか。
寝付けない時は運動するといいんだっけ?
ま、ともかくおやすみ…Good Night.
クリスマスイブだよー
部室の飾り付けしようぜ
178 :
胡隈 結奈 ◆H7RLzLiYi2 :2010/12/24(金) 19:31:38 0
メリークリスマス!
うわっ、解けてた寄生!
よーっし!それじゃあ>177の言うとおり、クリスマスパーティやりましょう!
部員呼び戻さないとな
皆忙しいのかな…
>180
いいのよ、みんなのペースで。年末年始は何かと多忙だしね。
案外みんな、恋人とかいたりして。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・やばい。今ちょっと寂しいとか思っちゃったんだけど・・・。
大丈夫この方が心霊部っぽい
なんだかんだ言って志奈や委員長も戻ってきそうだしな
>182部員
そうよね。あんまり賑やかな心霊部も、心霊部っぽくないもんね。
盛り上がるのは良いけど、やっぱ「らしさ」は必要よね。
そういえば、文学部くんも来てないわね。
避難所にも顔を見せないってのがちょっと気になるわ。
漂流教室よろしく部室が異次元ワープしたら…
とか考えるとわくわくするよな
言いたい事は沢山あるけど、とりあえず…
あけましておめでとう・・・(メガネクイッ)
今年も良い年に、なるといいね。
でも、今年も残り365日しかない。
…考えものだね。
アンビリーバボーはあんまり面白くなかったなー
何はともあれあけおめ、廃部にならないよう頑張れ
>>186 アンビリーバボー…TV番組かな。
僕はTVを見ない主義なんだ…というかさっきまで外出しててね、暇も無かった。
うぐっ、廃部とは…またきつい事を言ってくれるね。
一応胡隈さんに副部長を任せられたし…まぁ頑張るよ。
じゃ、君にとって今年も良い年でありますように、ね。
うわあああおみくじ引き忘れたああああ
切腹しよう…
大丈夫だよ、別にここで引かなくてもいいんだし。
…神社に行けば、365日いつでも引けるよ。
ちなみに僕は大凶だった、くだらないね。
所詮おみくじなんだ、まあ気にする事はないと思う。
………。
そろそろ正月気分は抜けてきた?
どうかな、僕はいつもの僕だし…。
休みに入ったからと言って、何か変わった事もないし。
…季節感が無いのとは違うからね。
正月と言えば、正月太りなんてものがあるよね。
甘く見てると酷い目に……なんて事はないか、さすがに3日ほどじゃあね…。
おみくじで大吉とか引いて、浮かれないようにね?
おみくじといえば凶は箱からメが出るからめでたいって話を聞いたことあるな
なるほどね、そういう考え方もあったんだ。
大凶が出て悔しがってた僕が馬鹿みたいじゃないか。
いや、悔しがってなんかいない、今のは聞かなかった事にしてくれ。
前にも言ったけど所詮おみくじ、深く気にする必要も無い。
どれだけ嬉しがっても悔しがっても、どうせ1か月も経てば忘れてしまうだろう。
でも、箱からメが出るからめでたいって
よくよく考えると、何か違和感が…何でだろう。
初詣でお札買ってきたから適当なところに貼っとこうぜ