149 :
マイノス代理 :
カナから差し出された手を無言で取ると少年はゆっくりと立ち上がり、思い出したように急いで
息を吸う。なんとか呼吸を落ち着けると彼はカナの謝罪にぶんぶんと首を振る。言葉にする余裕が
まだ取り戻せていないようだ。更にそこから少しの間をおいてようやく話せるようになった彼、
マイノスは「結果オーライですよ」となんとか言うと先ほどの指輪からシルフを呼び出した。
「一応先に確認しておかないといけない事がありますからね。シルフ、さっきは済まない。ずいぶんと
みっともない所を見せてしまったね。もう一度言うよ、僕はマイノス。君と契約したモノ」
シルフ「気にしてないよ、むしろよく逃げ出さなかったね。泣いたり漏らしたりするものかと思ってたよ。
まあでもさっき大精霊様も言ってたように、オイラは他のシルフ達より少し力が強いんだ。だからそういう
機会もどんどん減って行く事だろうね」
そういうとその白い小人は得意げに鼻を鳴らした。マイノスは彼に頼もしさを覚えながら彼との契約の対価を尋ねた。
シルフ「ああ、オイラとの対価かい?よく聞きなよ。オイラが貰ったのは・・・お前の存在感ってやつさ」
言われた意味が全く分からなかったが構わずシルフは続ける。
「存在感がないのを影が薄いとか空気みたいって言うだろ、ありゃあ世界と縁が遠い証拠さ。んで、オイラは
お前の気持ちじゃなく直に存在感を頂いたってわけさ。だからあんまりオイラを強くしたりしない
方がいい。あ、それから影の精霊との契約も止しときな、言い方が違うけど対価は同じだからお前がどんどん
気付かれなくなってっちまうぞ?」
そこまで聞いたとき、マイノスは今度こそ人目も憚らず悶絶して、号泣して、絶叫して、そして昏倒した。
マイノスはシルフ契約した。使える補助呪文(だけ)が少し増えました。