「それにしてもひどいですよイーネさん、お荷物じゃない分まだマシですけどせめて使用人とか小間使い
くらいにしておいて欲しかったです。」
先ほどから少しの時間が経ち、店の中の雰囲気は少しは和らいだように見えた。現在マイノスはイーネと
差し向かいで飲んでいる。とはいってもジュースだが。
未だに不審の目が背中に注がれるが精霊文字で「下手な殺し屋より強いので絶対に刺激しないでください」と
貼り付けて警告をしておく。効果の程はわからないが今のところ突っかかって来る者はいない。
「そういえばあの戦士の人達ってどうしてます?あの時穴に落ちたのは僕とカナさんだけみたいでしたけど」
マイノスはイーネに三人の戦士の現状を、自分達が遭った目を思い出してながらあまり期待せずに聞いてみた。
>少年よ。今すぐにエレメンタルとの契約は出来るか?
そこにカナが話に入ってくる。続きを聞いた際にまじまじとカナを見る。エルフの義理堅さは本当に驚くべき
ものである。すぐにも是と応えたかったがそれと言えない理由があった。
「お気持ちは嬉しいんですが、契約の指輪を作らないといけないので今すぐには、でも1日あればできますから
待って貰えませんか!材料もあります、今から作れば明日の昼ぐらいには・・・」
精霊を使役するにはそれぞれに応対する宝石を埋め込んだ「契約の指輪」を用いて精霊と契約を
交わす必要がある。石の純度はそれほど関係がないので原石を研磨するのでも構わない。というか
お金の問題で精霊使いはもっぱら自前でそうやって指輪をつくる。のだが・・・