人間とエルフTRPGスレ

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132マイノス代理
翌日の昼食を手伝ったところ料理は概ね好評だった。考えてみれば農業、交易、狩猟と色々と
やっている彼等が偏食というのは考えにくいことだった。マイノスも久々に腕前を披露できて満足そうな顔をしている。
だがそんな平和な一時は、駆け込んできたエルフの一言によって破壊された。
「おい小僧、逃げろ!奴隷商人が、お前を追ってきたんだ!」

突然のことに騒然となる室内、居合わせた全員が息を呑み、マイノスを見やる。エルフの青年は続ける。
「俺、さっき入り口に来た奴の話を聞いちまったんだ!たぶんお前とカナが言ってた商人だろうけど
あいつは奴隷商人だったんだ。確か交易商って言ってたよな?あいつ・・・お前の事を商品って・・・」
その言葉に周囲の視線が痛い程の哀れみを帯びる。昨日まで眼前の少年をからかっていた者たちの
何人かは怒りや悲しみの形相に顔を歪めていた。言われてマイノスは考える。思考が追いつかない。
。自分はあくまで同行者枠、最悪ないとも言い切れない可能性だ・・・
彼の沈黙を肯定と受け取った青年エルフはやりきれず視線を逸らすと続けた。「子供みたいな外見
だったけど俺たちみたいなのがいるんだ、そんなのはアテにならない。あの黒さ、武闘派の長みたい
だった。・・・うちの年長者たちはよそ者は皆厄介者って言ってた・・・確かにそうかも知れん。でもお前
はいい奴だった。カナも助けてくれて、精霊もお前を気に入っている。俺たちもだ。・・・まだ間に合う、
逃げろ!」

他のエルフ達も次々に手伝いや抗戦を言ってきてくれた。少年はこの知り合って間もない恩人達の
心意気にただ泣き崩れるしかなかった。しかし誤解を解かねばイーネが危ない。ベソかきながらも
なんとか弁明していく。周りは未だ半信半疑だったがマイノスは説得を続け、やがて
入り口の方へと向かった。もしも青年エルフのいう通りだったらという不安を押し隠しながら・・・