帝国軍と連合軍の戦い

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532名無しになりきれ:2010/07/02(金) 02:36:39 0
委員長はどうした?
533 ◆JTBwt6TlOZbW :2010/07/02(金) 02:47:34 0
はーい土曜の深夜になりまーす!
534プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/07/04(日) 04:29:09 0
「気狭霧隊長、及びその部下ミレル…」
沈痛な声で俺は言った

「実は少々ショックな報告をしなければならない…」


大規模な戦闘の開始の報告があった時点で、情報部の人間に作戦の変更を伝え、
半ば狂乱状態の市民を誘導し、壁の外へ逃がすことにはどうやら成功したものの、
その市民の補佐のため再突入させた部隊は、一人でも多く市民を逃がすためという理由で踏みとどまり、
帰還したものは10名にも満たない

情報部のリーダーであるエクレイシアは現在行方不明
現時点でも連絡が無いところを見ると、おそらくはもう死んでしまっているのだろう


「諸君らがディエス・イレで傭兵を雇用した、という報告が、潜入中に情報部から入っていてな」
俺の声は震えているか?いや大丈夫だ…
今俺は彼らに背を向けている。俺の今の表情を見せるわけにはいかない…
「その金額が実に30万!口約束でも約束は約束だ。」



帝国はこの「事件」を、連合の一方的な侵略行為とした上で、かつての捕虜を名目上の帝国市民とした…
逃亡を果たしたディエス・イレの市民たちは、いまだに家族を失ったままだ
今はまだそんな気配は無いが、じき、連合に対する不満が表に表れることになるだろう…


「交渉のセオリーというものは、最初は希望の金額よりはるかに高い金額を提示するものだ、
それを値切る、という行為が、交渉のテーブルについた、という意思表示になる」


われわれは失敗した
…だれかが責任を取らなければならないのだ
535プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/07/04(日) 04:30:45 0
(続き)

「幸い、といってはなんだが、傭兵は行方不明となり、我々はその金額を支払わなくてもよくなった。」
俺は出来るだけ沈痛な声を出そうと心がけた
「だが、ここでひとつ問題が発生した。俺はその金額を捻出するために」
深呼吸
「連合の軍施設の清掃業者を解約した。」


「気狭霧隊長。これから一ヶ月間、清掃業者の代行を命じる」
ダメだ、やっぱり笑ってしまう。
「…つまり一ヶ月間のトイレ掃除だ。頑張ってくれたまえ」


…そして俺は、政治的なすべての責任を取り、明日から地方都市へ行く事になっていた

…この2人にこれくらいの意地悪は許されていいだろう
その地方都市は間欠泉と火山が名物の温泉の街ということだが
帝国がその街を今静かに包囲をしている、という情報がある

平地での正面からの戦力のぶつかり合いにならなければ、
うまく行けば生きて帰ってこれるだろう
帝国が被害を嫌って長期戦にでも持ち込んでくれれば、
うまくいけば救援も期待できるかもしれない




隊長、ミレル、そんなに不満そうな顔をするな
もし次に生きて会えたら、次は酒でもおごってやろう…
536 ◆JTBwt6TlOZbW :2010/07/04(日) 04:46:37 0

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                               /rt/   ィf< _ _ `/  /_j | l 
                              ノ |l/   ,' llニニ二ニ/  /  >、| 
                             /  /   /. ├ ¬ー/  / // ヽ 
                        /   /   /  |   ,/  /´,/    ヽ 
                         , イ    /  ∧  | fA./  //レ''´    \ 
                        〃≠-、,.イ/  ∧ \,|  /  /  ハ.      \ 
                       〈     { /  /  \__,jイ/  /  /  !`ヽ、   ≠、ヽ 
                        ヽ   V  /  {  ̄i{}7  /  イ  i   >'´   / 
                         \  / //`个tト-イ/  / _/   i l/    /

それではディエス・イレのお話はここまででございます…

いちおう私が行く街の名はイグニス・メギドということにして…おきますか…
ではまた!
537モドノフ少佐 ◆I4Ub/V0TeA :2010/07/08(木) 21:35:36 0
「同志諸君!どうか我らの手でイグニス・メギドを解放しようではないか!!」
メガホン越しにノイズが混じり、掠れた男の声が響く。「義勇兵募集!」と殴り書きされた旗の下、帝国軍将校が怒鳴っているのだ。
イグニス・メギド包囲部隊が設営した帝国軍駐屯地では、付近集落から住民をかき集め、義勇兵の募集を毎日行っていた。
最初は帝国軍への恐れから緊張していた聴衆たちも、繰り返される同じ言葉に飽き飽きしていた。
「我らはここから進撃を始めるのだよ!どうだ、素晴らしい事だ!我らが偉大な祖国の為に!」
契機付けか何か、演説者は先程からやたらめったらに新式の自動拳銃を空に向けて撃ちならしている。
最初は銃声に驚いていた聴衆達も、2度もの弾倉交換まで経た乱射に今やすっかり冷めてしまった。
「どうだ、俺と一緒に戦う同志はいないか!そこのお前も、そこのお前も、そこのお前も!」

ワンマンショーに辟易しているのは帝国将兵も同様だ。元気があるのは只一人、メガホン片手に空回りしている猫背の将校だけ。
駐屯地司令部勤務、兵站幕僚のゲオルギィ・モドノフ少佐だ。下級将校不足の折、新たな攻勢部隊の編成を命ぜられた男である。
見せ付けるかのように勲章を飾りたてた軍服姿で、腰には装飾入りの軍刀仕立てのサーベル、鼻の下にはピンと尖ったカイゼル髭。
しかし、愛嬌すら感じられる小さな丸眼鏡がただそこにあるだけで、本来軍服や髭がかもし出すであろう威厳を一切打ち消してしまっている。
元々地方都市の下級役人で、帝国軍参加後も兵站幕僚という閑職にあったモドノフは、将兵だけではなく高級将校からの評判も芳しくない。
だからこそ、であろうか。初めて命ぜられた戦闘部隊の長を勇ましく勤め上げる事で、彼らからの信頼を勝ち取ろうと考えているのだ。
例えこれが単なる左遷人事であったとしても、誰も自分に期待などしていないとしても。

「さあどうだ!誰か、誰か、俺についてくる同志は!祖国の為に戦える同志はいないか!」


#さて、とりあえずは新たな作戦に向けての人材募集をば…
#帝国軍にも、連合軍にも、キャラハンさんが集まってくれればいいのですけど。
538モドノフ少佐 ◆I4Ub/V0TeA :2010/07/08(木) 21:44:54 0
名前:ゲオルギィ・ニキートヴィチ・モドノフ
年齢:25
性別:男
体格:痩せ気味で身長は高いが猫背なので低く見える。
所属国:帝国
身分:帝国軍兵站幕僚たる少佐
装備:金細工の装飾が入れられたサーベル、自動式拳銃
特技:帳簿整理
性格:臆病なのを包み隠すように勇ましい言葉を好む。人付き合いが苦手
容姿の特徴:カイゼル髭、丸眼鏡、勲章を飾った将校用制服に制帽
戦争に対して:自分に銃弾が届かないなら、とても楽しい仕事

#あと、新しい司令官のテンプレだけ置いときますね。
539名無しになりきれ:2010/07/19(月) 19:00:08 0
再建期待age
540ルーク・ワイアット ◆Z13cTusvZU/D :2010/07/20(火) 23:55:04 0
くっ…ええい、ままよ!

名前:ルーク・ワイアット
年齢:23
性別:男
体格:まあまあそこそこ。一般的な兵士並み。
所属国:帝国
身分:一兵卒
装備:スナイパーライフルと軍支給の自動式拳銃
特技:狙撃。それ以外は並み。
性格:小心者。後衛で戦いたがる
容姿の特徴:ポニテ。愛国心が微塵もなくどこかアウトロー気味
戦争に対して:純粋に仕事。
541ルーク・ワイアット ◆Z13cTusvZU/D :2010/07/20(火) 23:57:45 0
やべえ添削繰り返してたら容姿の特徴に性格書いてたw
ごめんなさい
542名無しになりきれ:2010/07/24(土) 00:52:41 0
スレを立ち上げた気狭霧曰く「狂った少佐が戦いを挑んできて」成立したはずの帝国がもはや全然悪者に見えない件www

ま、そもそも戦争に善悪を決めてやろうというのが変な話なんだよね……
543モドノフ少佐 ◆I4Ub/V0TeA :2010/07/24(土) 01:35:16 0
「…同志軍人諸君!諸君の中には!俺に続けるものはいないか!!」
住民が要請に答えないと見るに、モドノフは標的を友軍へと変えた。この小役人的将校が嫌われる要因の一つだ。

>540
>「くっ…ええい、ままよ! 」
やがて雰囲気に押されたのか、一人の兵士が手を挙げた。
瞬間、モドノフの眼鏡がきらりと輝き、兵士や聴衆全ての視線が手を挙げた兵士に集まった。
帝国兵を含む全ての聴衆が、そして何よりモドノフが心から待ち望んだ生贄の登場である。
解放された住民たちは助かったと囁き合い、帝国兵たちは咳払いをして哀れな戦友から視線を逸らすのだった。
「そこの君、君だ!君は俺についてくるのだな!名は何と言うのか!」
張り上げた大声をメガホンで増幅させながら、モドノフはずかずかとその兵士に近づく。
「素晴らしいぞ、同志!君こそ真に革命的な兵士と言えよう!全人民の模範である!!!」
良く意味のわからない褒め言葉が、極めて至近距離で叫ばれる。もちろんメガホンをルークに向けまま。
「俺はゲオルギィ・ニキートヴィチ・モドノフ少佐!君が我がモドノフ小隊の隊員1号だ!では、今日の募集会はこれで終了!」
やれやれと言った調子で兵士達が後片付けを開始し、住民達は溜息と共に家へと戻ってゆく。

結果、残されたのは哀れな兵士と、空気の読めない将校の二人だけである。

>542
#うーん、少し人間的に演じすぎたかな。
#もっとやたらに住民虐殺とか略奪とかした方がいいのでしょうか。

544ルーク・ワイアット ◆Z13cTusvZU/D :2010/07/24(土) 13:15:01 0

「くっ…ええい、ままよ!」

気がつけばルークは半ば洗脳されたように一人挙手をしていた。
モドノフのメガホン攻撃を至近距離で受けた瞬間、我に返ったが時既に遅し。

>「俺はゲオルギィ・ニキートヴィチ・モドノフ少佐!君が我がモドノフ小隊の隊員1号だ!では、今日の募集会はこれで終了!」

ルークは後片付けを始める兵士達や住民の溜息を聞きながら状況を把握する。
──どうやらこの自分はこの馬鹿げた義勇兵の参加者第一号とのことらしい。

「やっちまった…やっちまったよお……」

ルークにとって戦争など傭兵と同じように単なるお仕事に過ぎなかったが、
こんな左遷人事じみたものに参加する必要などなかったのだ。
もっと割りのいい“仕事”などそこらへんにゴロゴロ転がっている。
極めつけがこのモドノフ少佐。嫌われ者で有名だがルークも例外なく好きではなかった。
猛烈な後悔の後、ルークは半ばやけくそ気味に腹を括った。

──意地でもイグニス・メギドを解放しようと──
──他の住人や同僚も道連れにしてやろうと──

「え、えーと…半ば勢いで参加することになりました…ルーク・ワイアットです。
え…へへへ、はははは……モノドフ小隊の第一号として粉骨砕身、尽力致しま す。
え〜〜〜ところで、質問はよろしいですか?………これから、どうなさるおつもりでしょうか」

間の抜けた口調で敬礼をすると、ルークは失礼を承知で早速大雑把な質問を浴びせた。
ルークの胸中はこの冴えないメンツでどうやっていくのか不安で仕方がなかったからである。


【戦争モノもこのテのスレもまるっきり初心者です。
足を引っ張ることが多々あると思いますが頑張りたいと思います】
545ブラウニー・ブラウン:2010/07/25(日) 01:59:06 P
「バカバカしいぜ…今じゃ俺も戦争犯罪人かよ…笑えねェ」

ディエス・イレの戦いの時、たった一人で帝国軍と戦い何とか生き延びたのだ。
しかし、その後連合軍に捕縛され特一級戦争犯罪人、そして帝国軍捕虜として連合軍のとある都市の地下牢獄に幽閉されていた。

両手にはめられた4つもの手錠と足枷。身に纏っているのはみすぼらしいボロ布と下着だけ。
武器などもってのほか。すべて没収されてしまった。
飯も一日三度も貰えない。そして、貰えたとしても物乞いでも食わぬものばかり。
それでもなんとかブラウニーは生きていたのだ。再び世界に舞い戻るその日を夢見て。

そんなある日、何十人もの連合軍兵士がブラウニーの牢獄を訪れた。

「とうとう、俺にも死刑宣告が出たか…?覚悟はできてんぜェ。殺したんだ、殺されもするさ」

"特一級戦争犯罪人、ブラウニー・ブラウン。貴様を死刑になどしない。連合軍最高法廷が出した判決は最前線での兵役だ"

それはつまり、戦争に協力しろという意味。
ブラウニーは死刑と言われても恐れは無く、いたって冷静だったが
最前線での兵役と聞いて体がガタガタと震えて生きていた。

"へへッ…どうした?ビビってんのかよ"

「バカ言うんじゃねえよ…ワクワクしてんのさ…これは武者震いだ…」

そしてブラウニーは地下牢獄から解放され最前線へと送られる事になったのだった。
送られる場所は帝国軍との防衛線を展開している都市。"イグニス・メギド"であった。
546モドノフ少佐 ◆I4Ub/V0TeA :2010/07/25(日) 03:22:21 0
>544
「そうか、ルーク。ルークか。ルークだな。よし、覚えておこう」
今やモドノフの胸は少年のように弾んでいる。自分の名前だけが記された真っ白の兵員名簿に、ようやく名前を書き込めるのだから。
随分前に『ゲオルギィ・ニキートヴィチ・モドノフ』と繊細な文字でサインした下、隊員番号01の指名欄に万年室を当てた。
「ルーク・ワイアット…っと。よーし、これでいい。今後の働きにも期待しているぞ、ワイアット!」
書き込まれた『ルーク・ワイアット』の文字はとても濃く、裏面に滲みそうなほどはっきりした文字だった。

本人はまだ知らないが、イグニス・メギド包囲部隊司令部はモドノフに期待しないどころか、どうにか彼を戦死させようと考えていたのだ。
モドノフには、一般に募集会で将校に認められる"強制徴収"の権限が認められていない。だからやむを得ず一人で"解放"に向かい戦死する。
それが司令部のシナリオだった。志望者の登場など、誰も想像していなかった。何せ、相手は汚職役人として住民に嫌われ、汚職将校として将兵に嫌われる男なのだから。
…だいたい、それを差し引いても人間的な部分に問題があると専らの評判である。

「これから、これからか。確かにな。うむ、どうしようか。少し待ちたまえよ」
ルークの問いかけに、つい言葉が詰まった。張り切ってはみたものの、所詮は兵站幕僚だ。そう、帳簿を眺め物資を前線に送り、一握りを着服する事だけが彼の仕事なのだ。
高級将校が身に着けるべき戦略論はもちろんの事、帝国軍士官学校入試レベルの戦術論すら知らない。兵隊の動かし方も、指示の出し方も知らない。
腰のサーベルは戦闘に不向きな装飾刀だし、自動拳銃も一ヶ月前に購入したばかり。発砲は先程の"契機付け"が初めて。的を撃った事すらない。
さらに良く見れば胸をきらきらと飾る勲章は何れも勤務記章であり、戦闘記章ではない。つまりモドノフは、一切戦争を知らない。
「…うん。ではまず、斥候に行こう。戦闘前の調査は重要だからな。さ、確認しよう。地図を見たまえ」
しかし困った事に、この小役人的将校の声は、態度は、いつだって自信に満ち溢れていた。この様を見たならば、誰もが彼に抱く悪印象すらも払底したかもしれない。
彼はただこの声と態度だけを頼りに、役人と言う肩書きを得て、軍人と言う肩書きを得て、常に隣り合わせの表面的処分を紙一重で避け続けてきたのだ。
腰の図嚢を開き、イグニス・メギドの周辺地図をドラム缶の上に広げる様も、まるで歴戦の下士官のように落ち着いている。
本当は斥候のイロハも知らないし、本当は今にも逃げ出したいほど怯えているというのに。
「ここを見たまえ。駐屯地、つまり現在地だ。我々はここから北へ向かい森林に潜り…103号と呼ばれるこの高地から、市街地を偵察する。南南西から広く眺める形だな」
話しながら赤鉛筆で何本かの直線を示してみる。新たな部下の目前で醜態は晒せない。迷う姿など見せられない。だから思いつくがまま、適当に引いた線だ。
彼にとっての幸運は、この赤い線が一般的戦術論に照らし合わせ、偶然にも概ね正しいルートであった事。
彼にとっての不運は、連合軍もまたこのルートを一般的戦術論から導き出し、十分に監視を強化している事。
「さあワイアット、準備はよろしいか!準備が整い次第、すぐに出発するぞ!」

#こちらもほとんど素人ですから、どうか気になさらず。
#一緒に頑張りましょう!

>545
#お久しぶりです。また敵として合間見えることをとても嬉しく思います。
547ルーク・ワイアット ◆Z13cTusvZU/D :2010/07/25(日) 12:10:53 0
>546

>「これから、これからか。確かにな。うむ、どうしようか。少し待ちたまえよ」

ルークの問いにモドノフ少佐は言葉に詰まったらしく、少しの沈黙が続いた。
兵站幕僚だった少佐にはとっては何をすればいいのか四苦八苦するのは無理もないのかもしれない。
かくゆうルーク自身“動かされる側”で動かす立場となればモドノフ少佐と同じような状態だっただろう。
戦闘も常に狙撃銃による援護が専らで前で斬り合うことなどしたこともない男だった。
寧ろ、『銃があるのに剣で斬り合うとか、原始人かよ』と馬鹿にしている。

>「…うん。ではまず、斥候に行こう。戦闘前の調査は重要だからな。さ、確認しよう。地図を見たまえ」

その後のモドノフ少佐の態度に限って言えばいくつもの修羅場を潜り抜けてきたような自信があった。
この態度にルークは気圧された部分があったが、何処か頼りないような気もする。
彼が兵站幕僚だったこともあり、まともな斥候などできるのかと懐疑的だったが、
地図に引かれた赤線や説明はルークの付け焼刃程度の戦術論で見ても正しいように見える。

>「さあワイアット、準備はよろしいか!準備が整い次第、すぐに出発するぞ!」

自信に満ち溢れた語勢と態度にお陰でこの先は安心だろう、と錯覚さえしそうなものだが
ルークは泥沼で死に掛けている男に足をひっつかまえられた気分だった。
その拭えない何かが態度に表れたのか、酷く間の抜けた口調と態度になってしまう。

「は、はあ…わかりました、サー」

不安感や不信感は結局拭えなかったが、ここまでくればやるしかない。
モドノフ少佐が斥候などしたことがないのは明白で、もし敵と遭遇などしてしまえば自分がなんとかするしかない。
ルークにできることはそうならないことを祈るだけだった。
ボルトアクション式の狙撃銃を入れたガンケースに
ホルスターの中へ自動式拳銃を収め、後は最低限の持ち物だけをポーチの中に入れた。

「さっ、逝…行きましょう、少佐。斥候、ですよね?」


>>545先輩、これからよろしくお願いします】
548プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/07/27(火) 03:41:38 0
イグニス・メギド…
火山と温泉と観光の街…
地震と、風向きによって街に降りそそぐ火山灰と、立ち込める硫黄のにおいと、

そしてドラゴンの伝説の街…


ここは連合の中でも特異な位置にある。

帝国を攻撃する拠点としては遠く、
連合の補給拠点とするには産物もない。

唯一の街の名物であるその温泉と、近くの火山に住むといわれる老いたドラゴンの伝説のために、
傷ついた兵の慰安や、一般市民の楽しみのための街として発展してきた
連合にも、帝国にも所属しない他の都市国家の外貨獲得に利用されてはいるものの

まさかそれが帝国の攻撃目標となるほど、観光地としての価値があるわけでも無い…

ことのおこりは、
この地域に群発する小さな地震と、間欠泉の噴き出すタイミングが微妙に合い、
小さな骨のかけらが、大量にここの温泉のお湯に混じる、という事件だった

ドラゴン伝説のある温泉地なのだ
しかも近くの火山から、風向きによって火山灰が降り注ぐ、
たいして、はやっているわけでも無い温泉地なのだ

この骨は伝説のドラゴンの骨だ!
客を呼ぶ、いい話題づくりだ!



ドラゴンの骨は火では焼くことが出来ず、毒水を浄化し、魔法で加工すれば素晴らしい武器になり、
そして、赤死病の、ほぼ唯一の特効薬となる…


街の人間は誰も信じてはいなかった
だが、街を訪れた魔法使いと、ドラゴン伝承の研究者は
あっさりそれをドラゴンの骨と認めたのだ

街は蜂の巣をつついたような騒ぎになった
549プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/07/27(火) 04:03:51 0
ドラゴンはどうやら近くの火山に本当に棲んでいたらしい

たまたまその骨のひとかけらが、地震でひびの入った地表から、
間欠泉に吹き上げられて温泉の水脈のどれかに入り込んだのだ

問題は、今ある以外に、その骨がまだこの街に埋まっているかどうかということだ
問題は、おそらくこの情報が漏れ、帝国がこの街をゆっくり包囲し始めているということだ
問題は、あるか無いかもわからないもののために貴重な戦力を割くわけにはいかないということだ

問題は、それでも、攻撃があった場合、
この街は、ただで敵の手に渡すわけには行かない、ということだ…


おそらくは帝国も、龍の骨が残っているかどうかなど確信は持っていない…
だからいまいち攻撃に踏み切れずに、静かに包囲しているだけなのだ…



「新任の指揮官か…女、とは…」
着任のあいさつを済ませたあと、街の責任者がつぶやいた言葉が俺の耳に残っていた
「連合はこの街を見捨てるつもりなのか…」

おそらくはそうだろう
龍の骨で、発見されたものについては、もうあらかたこの街からは運び出されている
だが、帝国の包囲のせいで骨の一部はまだ残っているし、何よりここには、
龍の骨など発見される前から、ずっと住んでいる人たちが居る…

確信が無い以上、帝国は総攻撃はかけてくるまい…
まず、わずかな部隊での様子見があるはずだ…
俺はこの町の地図を眺めてみた

「北に火山、東と西に岩ばかりの見通しのいい平原…南は少し行って、海、か」

北の火山から曲がりくねった一本の川が、街をつっきって南の海にのびている
川はところどころで地中にもぐりこみ―それがこの街の間欠泉の水源にもなっている

「いくらなんでも東と西はないな…敵襲の知らせがあってから、
兵隊がゆっくりひとっ風呂あびて余裕で配置に就ける…」

つまり、火山からの奇襲か、川を利用した潜入…
基本はこの二つに絞っていいだろう…
550ブラウニー・ブラウン:2010/07/27(火) 04:21:26 P
#>>546-548
#お久しぶりです、そして始めまして。
#先輩というほどのものではございません。むしろ一番初心者ですのでよろしくおねがいします。

ブラウニーに与えられたものはイグニス・メギド郊外の塔からの監視が任務だった。
だが、連合軍はそれでもブラウニーを信用していないらしくやはり両手にはなんとか引き金が引けるくらいの手錠が3つ。
そして塔の支柱に縛り付けられているロープがくくりつけられている右足。

「ンな事しなくたって逃げたりしねえよ。俺だって傭兵だ、マナーは守る」

そう、多くの傭兵が唯一絶対に戦場で守るマナーとは即ち契約。
不正に介入した戦争でない限り、契約は行われる。
傭兵稼業を飯の種にしている人種は契約違反を絶対にしない。
それはそれが当たり前でも有るし、傭兵としてもマナー、ポリシーだからだ。

「たくよ…こんな安モンの弾使わせんじゃねえよ。ヴェルサだ、ヴェルサのを持ってこい」

ヴェルサとは世界的に圧倒的なシェアを誇る弾丸や一部の銃器の製造元。
その独自の発想と、精密な生産に定評がある多国籍企業だ。

そしてブラウニーが今持っている狙撃銃もヴェルサ製の狙撃銃だった。
同社の弾丸を使えば銃の持つパワーを最大限に使えるのだ。
まして、ヴェルサ製の弾丸にはヴェルサの銃器でしか撃てない弾丸もあるほどだ。

「タバコはまずいしよォ…これならそこら辺の雑草でも燃やして吸った方がよっぽど美味いぜ」

わざと近くにいる兵士に聞こえるように言う。
その兵士も聞こえているはずだが、もちろん耳を貸すはずもない。

「とにかく、通った帝国軍を狙い撃ちすりゃあいいわけだろ?余裕だよ、吸血鬼とかじゃあなけりゃあな」
551プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/07/27(火) 04:21:47 0
この町に居る部隊は3部隊
ディエス・イレのときとは違い、精鋭兵は居ない…


「げん、現場に出て指揮をするのか…?」

…そのときを想像し、俺の手は震えていた…
「俺が…?」




怖い…

怖い…!!





#あはは
#申し訳ありませんこんな街で…
#これでもよい!というのであれば…

#ぜひ、ご参加ください…

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552モドノフ少佐 ◆I4Ub/V0TeA :2010/07/31(土) 17:09:18 0
>547
「そうだ、斥候だ。いいかね、敵を見つけても無闇に発砲するなよ。我らの戦力は極めて限られているのだ」
いくら一切の戦争経験を持たぬ兵站幕僚でも、二人きりで正面切った戦争をするほどに常識を失ってはいない。
もっとも、司令部は最終的にそれを行わせるつもりなのだが。

…それから1時間後。
「よーし、小休止!10分休め!」
モドノフ小隊はイグニス・メギド南西の森林にいた。日差しは暖かく、草木の香りに満ち、鳥のさえずりが聞える場所である。
まだ衝突が起きていない戦場は、まるで戦場とはかけ離れた穏やかな表情を見せている。
「やはり小部隊というのは優れた編成だな。敵も我々に気づいていないと見える」
さて、モドノフはいつもどおりに勲章をキラキラさせ金の刺繍で飾られた制服姿でそこにいた。野戦服など、そもそも受け取ってすらいない。
いかにも将校らしい制服に、背負い式の小隊無線機、地図と命令書を収めた図嚢、食料や荷物を納めた雑嚢といった中途半端な野戦装備はあまりにミスマッチだ。
「うーむ…」
ルークから少し離れて、立派なカイゼル髭を撫で付け、丸眼鏡を持ち上げながらモドノフは唸った。
目の前に広げた地図に引いた赤いラインを、何度も指で辿り、それと共に周辺を見回してみる。時々にはコンパスも眺めてみた。

…モドノフが迷った理由は明らかである。
まず、帝国軍の作成した地図はあまりに不正確だった。これは帝国軍が森林を連合軍勢力下と考え、地図作成の為の測量隊を送っていなかった事による。
そこに来て軍用地図の読み方をほとんど教育されていない兵站幕僚が地図を握っていて…とにかく、モドノフは自分の位置を見失ったのだ。
時計は時間を刻み続け、そうしている間に10分が過ぎてしまった。表情には表れないが、額にはわずかに汗がにじんだ。どうしよう。
「…小休止終わり!さぁ、出発だ!」
何れの地点に居るにせよ、東へ向かえば帝国軍が"ヴェルス川"と呼ぶ川にぶつかる。火山から市街を通り海へ繋がる長い川で、そこを北へ辿ればイグニス・メギドへと辿り付くであろう。
一般将校の教養に基づく戦術論に則って考えるとすれば、川沿いには連合軍の索敵哨が敷設されている可能性が極めて高いが…もちろん兵站幕僚ではそこまで気が回らない。
英雄たる新たな評価に憧れる汚職役人が取りうる選択肢は、間違いをひた隠し勇ましい台詞と共に歩き続ける他にないのだ。
ルークを呼び戻した後、モドノフ小隊は小さなコンパスだけを頼りに道らしい道も無い森林の中を進んでいくのだった。
保守
554名無しさん@自治新党スレでTATESUGI値審議中:2010/08/06(金) 20:44:34 0
生活保護
555プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/08/08(日) 05:42:17 0
#すいません時間が開いてしまって…
#モドノフさん、ルークさん、ブラウニーさん、よろしくお願いします

硫黄の匂いが立ちこめたイグニス・メギドに、ときおり涼しい風が吹く
ヴェルス川の上を通った風が、流れる水にわずかに冷やされるのだろう…

…真夏のこの街はとても暑い…

この町にいる3部隊のうち、1部隊は南に、一部隊は北に、
そして残りの一部隊をさらに三つに分けて、東と西と、龍の骨が保管されている建物に配置する

とりあえずはこれでいいだろう
どうせ物量では負けているのだ

もし全面的な対決になれば、連合軍からの増援が来るまで耐えることが俺の任務となるだろう
帝国から微妙に遠いこの街の位置ならば、帝国はこちらの増援に対してはたいした手を打てないはずだ
持久戦に持ち込めれば何とかなるはず…

とはいえ、それは絶望的に近い戦いになるだろう
なんとしても全面対決は避けなければ…

避ける方法は
ここに龍の骨があることを
なんとしても帝国の斥候に悟られないこと



…北と南の塔には、前任の指揮官が配置した狙撃兵がいるはず…



確認するべきかも知れない
俺は南の塔に向かった…
556プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/08/08(日) 05:50:30 0
#うーんあんまり書けませんでしたね…
#とりあえずブラウニーさんに会いに行くことにします

#ちなみに小さな地震はこの街ではちょくちょくあるつもりですので
#みなさん小道具的にお使いください…

#もちろん火山は噴火しない予定です…
>>1どこだ
558ルーク・ワイアット ◆Z13cTusvZU/D :2010/08/10(火) 10:50:13 0
>>552

>「よーし、小休止!10分休め!」

モドノフ少佐の声を合図にルークは手頃な岩に座り、水筒の水を口に含む。
暖かい日差しに囲まれたこの森は酷く穏やかだ。所謂嵐の前の静けさと言ったところなのかも知れない。
体力が有り余っていたルークは落ちていた棒で軽く地面をつっついた。

なんだか訳のわからない虫がうじゃうじゃいる。
青紫色の得体の知れない、図鑑にも載って居なさそうなヤツだ。
精神的ブラクラの類に匹敵するのではないか、とルークは歪んだ顔でただ一言そう思う。

>「やはり小部隊というのは優れた編成だな。敵も我々に気づいていないと見える」

「優れてるのは、どっちかっつーと我々に憑いてくれてる女神様の方でしょうけど……
まさか敵の指揮官がどうしようもないお間抜けさんって訳でもないでしょう」

モドノフ少佐の言葉に反応して言葉が出たルーク。
当のモドノフ少佐はひたすら地図と睨めっこを繰り広げている。

まさか、道に迷ったのでは。

そんな疑念が思考を横切ったがまさか、と考えを改めた。

>「…小休止終わり!さぁ、出発だ!」

そこから開拓されていない道を歩くこと約40分。

何かが流れる音が聞こえる。もしやと思い木々の隙間を縫って見える位置に移動し、目をこらす。
川だ。ここらである川と言えば、一度見せてもらった地図を見た記憶が正しければ一つしかない。
確か名前は“ヴェルス川”。そんな名前だった気がする。

「少佐、あれ、ヴェルス川…でしたっけ?とにかく、川じゃないんスかね?」


#遅れてごめんなさいですー。
#とりあえず川に到着ってことで
559ブラウニー・ブラウン:2010/08/12(木) 08:15:22 P
じっと塔の頂上から監視をするブラウニー。
結局、良いタバコも与えられず望んでいた弾薬も使えなかったので少々不機嫌だった。

コツコツ…

塔の螺旋状に作られた階段を誰かが登ってきているのだろう。
軍靴の音だ。ブラウニーは瞬時にそう判断した。

「制服さんが傭兵…もとい罪人に何の用だ?俺に死刑宣告でもしに来たか?」

ブラウニーの監視役に配置された青年下士官…名はジョンと言うらしい。
通常、狙撃兵は自身の周辺の監視が出来ない。
その為に一般的には狙撃兵とその周りを監視する兵とでペアを組む。
その事を考慮してジョンはブラウニーの隣に配置されてるのだろう。

ジョンは少し震えた声で、

「じょ、上官に対して無礼な口を…」

そこまで言うとジョンはブラウニーの鋭い、少しばかりか殺気を含んだ視線に気がついた。

「ぶ、無礼な口を…き、利くのは、その、やめた…ほうが…」

ジョンの額はわずかに湿っていた。気持ちの悪い汗だ。

「ハッハッハ、大丈夫だ。安心しな、アンタみてえな奴は嫌いじゃねェ」

依然、ブラウニーの右指は引き金の部分を握ったままだ。
ジョンはその事を確認すると、もう一度自分から血の気が引いていくのを感じた。

そうしてブラウニーは再び軍靴の音の主に目をやった。
560モドノフ少佐 ◆I4Ub/V0TeA :2010/08/14(土) 19:29:50 0
>558
コンパスだけを頼りに道なき道を歩く、歩く、歩く。自信に満ちた表情を浮かべながら、どんどんモドノフは不安になってきた。
迷ったことを見破られたらどうしよう。その時に、ルークを言いくるめる理由をモドノフは持っていない。
しかし幸いにして、40分ほど歩いたあたりで水のせせらぎが聞えてきた。
「そう、ヴェルス川だ。先程の小休止の際、少しばかり経路を変更したのだ。さ、確認しよう」
森林を抜けると開けた河原に出て、そこでルークに話しかけ地図を広げた。もちろん経路変更の理由は語らない。
「以前の経路は放棄する。さて、我々は現在…この位置にいると考えて良い」
まず森林のラインをバツ印で打ち消し、川沿いに適当な点を打つ。そこからすーっとまっすぐ赤いラインを市街へと伸ばした。
「ここからまっすぐ北上して…イグニス・メギドに接近する。あわよくば水門から潜入して市街を直接偵察する」
ほんの一瞬置いてから、自分がとんでもない発言をしたと気づく。しかし、自信満々に発した台詞を撤回など出来なかった。

ヴェルス川の流れは、イグニス・メギドの温泉と源流を共にしている。一説では、温泉成分に由来する極めて豊富かつ有効な栄養分を含むという。
観光客の土産物として販売もされており、帝国内でも中立都市経由で輸入されたものが流通している。
「さて、そろそろ時間だな。ワイアット、周辺の警戒を頼む。」
腕時計をちらりと見る。定時連絡の時間だ。背負い式無線機の電源スイッチを押し、ノイズの流れるヘッドホンを耳にあて、送話機に顔を寄せる。
「ハロー、ハロー、こちらシュテルン1、こちらシュテルン1。ゾンネの応答を乞う…」
シュテルンとゾンネ、即ち星と太陽とは帝国軍斥候隊が用いる代表的な符号だ。星が斥候隊を、太陽が司令部を意味する。
数秒置いて同じ台詞を繰り返して、周波数ダイヤルを回す。司令部との回線が開くまでこれを繰り返すのである。
「ハロー、ハロー、こちらシュテルン1!こちらシュテルン1!ゾンネの応答を乞う!」
やがてモドノフの声はどんどん大きくなってきた。彼の大きな声は、周囲の将兵が彼を嫌う理由としても挙げられる。

さて、一般的に前線指揮官たる将校は制服ではなくカーキ色や暗緑色の野戦服を着用し、勲章を佩用しない。それは何故か?
将校制服の肩章には階級を示す星が金糸で縫いこまれ、職人の手作業で帝国の国章を刻まれた銀ボタンはそれだけでも一流工芸品のように輝く。
そして左肋に勲章を飾れば、誰もが敬意を示さざるを得ない帝国軍人の姿となる。群集の中でも、兵の中でも、どこに居ても紛れる事のない姿だ。
…そう、たとえ夜闇、密林、あるいは濃霧の中であろうとも、である。狙撃兵にとって、輝く刺繍やボタン、勲章は絶好の的なのだ。
だが、モドノフの拙い思索はそんな基本的事項にも至らない。将校だから、将校らしい姿で、将校らしく振舞う。ただ、それだけしかない。
制服が目立つだとか、開けた場所で遮蔽物が無いだとか、無線機に叫ぶ声がやたらうるさいだとか…連合軍の狙撃兵に発見される可能性だとか。
士官学校の教官が卒倒しそうなほど、目下のモドノフ小隊は数多の問題に見舞われている。だが、モドノフ自身は一つたりとも自覚していない。
561プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/08/16(月) 02:18:40 0
>>559
螺旋状の階段を上がるにつれ、静かな声が聞こえてくる
何を言っているのかは、よくここからでは聞き取れないが、
おそらく狙撃兵と観測員の会話なのだろう

ちょうど塔の最上階のドアの前に立ったとき、小さな地震があり、
ドアの中から盛大な罵声が聞こえてきた…

この街は地震が多いため、塔などの高い建物は、わざと揺れることで
倒壊を防ぐ独特の建築になっている…
狙撃手にはさぞや不満な環境だろう

だが、監視の出来る建物など、ここにはこの塔くらいしかない…

「入るぞ」
562プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/08/16(月) 02:19:51 0
ドアを開けて、目の前に飛び込んできた光景は信じられないものだった…

狙撃主の手に…手錠?
それも3つも?

おそらくは前任の司令官の命令だろう
ある程度は鎖にゆとりを持たせたもののようだが、
行動が制限されることに変わりは無い

考えられるのは、この狙撃主が実は兵ではなく重罪人か何かで、
狙撃の腕を認められて無罪放免の代償にこの任務を行っている…ということくらいだが、
そんな報告はなかったはずだ…

「プリシラ・マレフィーカムル中佐だ」
俺は言った

「新任の軍指揮官、といったほうが話が早いかな?
…ここは現在、帝国の斥候部隊を排除する、という、かなり重要なポジションのはずなんだが…」

ふと視線を感じる
狙撃兵がまじまじと俺を見ていた

いつもの…女?という視線と…
よくわからない何か…
なんだ?
どこかで会ったのを忘れているのだろうか?

「この狙撃兵が自分の趣味で手錠をしているので無いかぎり、まずその手錠を外せ」
犯罪者でなければなんだ?手錠をしている理由…
「そして、よければ名前を教えてくれ…」
563プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/08/16(月) 02:52:15 0
#遅くなってしまい申し訳ありません
#自分の名前間違えるとか、どんだけ…正しくはマレフィーカルム、です
#元ネタはラテン語の「魔女」…厨二病は不治の病なのですね



#…か、かんじゃった、てへっ…とか…


#うえええん
564ブラウニー・ブラウン:2010/08/16(月) 03:43:40 P
「ほほう…その感じだと前任の指揮官の方がかなり優秀だな。
 手錠を使う事の意味がまるでわかっちゃあいねえ。コイツを外せば死ぬぜ。アンタら」

引き金に人差し指をひっかけると、制服―プリシラというらしい―の方を見た。
ジョンは状況を把握するとサッと持っていた突撃銃をブラウニーに向けた。

「名前か。ブラウニーだ、ブラウニー・ブラウン。だから茶色いコートさ。

 んなことより、名前なんてどーでもいいんだよ。
 指揮官さんよ、タバコもってるか?出来れば質の良いやつがいいんだが」

それを聞いたジョンに銃を頭に押し付けられるとハハハと笑った。

「待てよ。ジョン、あんた新兵だろう。その手を見れば分かる。
 左に出来たマメ。恐らく刀剣の訓練時に出来たものか。ってこたあ、つまりアンタは左利きなワケか。

 左利きなのになんたって剣を左腰に差してるんだ?
 一度でも戦闘を経験したやつなら、余程のバカでない限りそれくらいは気付く。
 間違いないな、ジョン。アンタは一度も人を殺した事がない」

そうして再び狙撃銃を手に取ろうとするブラウニー。
その時だった。

塔から見える森の中で何かが確かにキラリと光った。

(なんだ、ありゃあ…敵か?って、んなわけねえわな)

一瞬疑問に思ったもののその疑問はやがて消えた。
何故か。それはいくつもの死線を潜り抜けてきた、いわばベテランであったからだ。
戦場に於いて光るものを身に着けるのは自殺行為。それは戦場での常識といえるものだった。
何かが光ったとしても、反射する確率があるのはせいぜい銃のスコープと刀剣の類くらい。
よって、そんなことあるはずがないと自分で勝手に解釈してしまうのだ。

そう、例え森の中に敵兵が潜んでいたとしても。
565プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/08/18(水) 03:42:33 0
>>564
ブラウニー・ブラウン…
忘れるものか!


その名前はディエス・イレでさんざん俺を悩ませた名前だった。
行方不明と聞いて、てっきり死んだものと思っていたが…実際は生きていたわけだ

なるほど、それならば俺を殺したい理由もわかる…

考えてみれば、わが軍に協力するのを承諾したときは傭兵として敵に雇われていたわけだ
つまり、全てが終わったあと、持っている認識票、制服、それら全てが敵軍のもの…
おまけに連合に協力する、という約束は口約束でしかない

「ブラウニー・ブラウン…なるほど…生きていたのか…」

さあ、俺はどうすべきだ?

「30万の契約金はいまだ支払われず、得たものは3重の手錠というわけか…
それなら俺を殺したい気持もわかる」

相手はどう動く?

「率直に言って、30万の契約金は破格の金額にすぎる…おそらく、
君が戦時捕虜となった報告が俺になかったのはそのせいだ」

手のひらが、汗をかいている…

「だが、互いの関係を修復することはできないか?」

交渉に乗って来い!

「正直、今の俺にはそんな大金は出せない。
だが、1万程度ならば、すぐにでも何とか工面しよう」

思いついたように、付け加える
「…それに、だ」
「正直言って、君をいくら手錠でつなぐまねをしたところで、
君はその気になればいつでも俺を撃てるはずだ」
「今、この場では撃てなくても、俺がこの塔から外に出たときに撃てばいい」

女の軍人で長髪、と言う特徴は、遠目にもひどく目立つだろう
そして塔からの視界は広い

「手錠は外し、手錠をしていたことを謝罪する。
…鍵をくれ」

俺はジョンに向けて手を差し出した
566ブラウニー・ブラウン:2010/08/18(水) 09:07:55 P
ブラウニー・ブラウンは己の血で染まった記憶を辿っていた。
プリシラ、プリシラ・マレフィーカルム。
聞いた事の無い名前、見たことも無い顔、だが何故目の前のヤツは自分を知っている?

「その話から推測するにあの吸血鬼野郎とはなんらかの関係があったらしいな。
 ディエス・イレ方面の現場指揮官、参謀…その辺りが妥当かね」

一旦、ブラウニーは塔からもう一度何かが光った森をよく観察すると引き金から指を離した。
これはつまり戦う意思は無いと言うこと。

「ハハハッ、アンタも気に入ったぜ。30万なんてハッタリだよ。
 俺なんて傭兵風情がそんな大金もっちまったら、
 それこそ俺の首に懸賞金がかかるようなもんだぜ」

ブラウニーは一息おいて、

「それに、アンタはよく分かってる。俺はいつだってアンタも、この新兵もぶち抜ける

 傭兵ってーのはなァ、いつもどこかで死ぬんじゃねえかと気を配ってるわけだ。
 俺らはそれが仕事だからな。アンタらみてえに綺麗な制服や最新のライフル、切れ味の良い刀剣も支給されねえ。
 全部自分らで支度するのさ。どういうことかわかるか?俺らはそう簡単には死ねないんだよ」

そうして足元でくしゃくしゃになったタバコを一本、ひょいと持ち上げると火をつけた。
ブラウニーは口に指を突っ込み、奥歯のあたりをいじると少量の火薬を取り出した。
それを器用に手錠の関節部分に詰め込むと、タバコの先端をそこに近づけた。

ボンッ!

小さな爆発と共に、"二つの"手錠が音をたてて外れる。

「これで外す手間が省けたってモンだろ。よろしく頼むぜ、プリシラ指揮官殿」

その様子を見ていたジョンはプリシラの見とれるほどに美しい手に黒く錆びた鍵を置いた。
567プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/08/20(金) 05:19:51 0
>>566
…よかった、交渉はうまくいったようだ…

大きく安堵の息を吐くと、自然に頬がゆるむ…
いけないいけけない!今の自分は、今までのような兵站や諜報のような
裏方の仕事ではないのだ!

現場指揮官には威厳が必要、なのだという。
そのためには時には演技が必要だ


俺はゆっくりとブラウニーの最後の手錠を外した
錆びた黒い鍵は回すのにけっこうな力が必要だったから
いささかみっともなくも一度失敗して鍵を床に落としてしまったし
「きゃっ!」とかそのとき声を上げてしまったから
果たしてどこまで威厳を保つ演技が成功したやら…


…とはいえ、ジョンに鍵を渡されるときに、俺が手に汗をかいていたことはきっともう
バレてしまっているのだろうしなぁ…
指揮官の威厳など、いまさらか…



「残念だが、俺は煙草は吸わない…
だが…すぐにでも届けさせよう…」

手錠を外してすぐ、照れ隠しもあって、俺は窓の外を見ながら言った

やれやれ、つくづく、俺は裏方が合っているのだろうなぁ…
568プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/08/20(金) 05:28:25 0
>>560
最後の手錠を外そうと四苦八苦しているとき、視界の隅に何かが光ったような気がした…
手錠を外し終わって改めて窓の外に目をやれば、ヴェルス川の川面に光が反射している

周囲を敵に包囲されていなければ、この塔から遠く見下ろす景色は絶景だった…



「残念だが、俺は煙草は吸わない…
だが…すぐにでも届けさせよう…」

そう、兵站と諜報ならば、俺にとっては得意な分野だ
ディエス・イレの潜入作戦は失敗だったが、得たものもあった

帝国で悪魔を呼び出しているその方法…

ヒントではあったが、ディエス・イレの、わずかに助けられた住民と
エクレイシア率いる諜報員の情報を合わせた結果、
おそらくは、こうやっているのではないか、程度の事は知ることができたのだ

必要なものは、素体と触媒…
犠牲者と、悪魔の好む穢れた何か、と、言い換えていいかもしれない



「汚辱の短剣」と呼ばれるものが、今、プリシラの部屋に置いてある

そしてじき、本国からの、悪魔召喚に関する追加報告書が
プリシラの元に届くはずだった
包囲されているとはいえ、おおっぴらに攻撃や襲撃を受けているわけではない…

今は、まだ、この街への出入りは自由なのだ


風景の中で、何か動いたような気がした…
俺はちらりと横目でブラウニーを確認したが、動きは無い

…気のせいだろう

「では、正式な契約書を作成しなくてはな」
「私はいったん戻ることにしよう…」
569モドノフ少佐 ◆I4Ub/V0TeA :2010/08/28(土) 21:13:42 0
例えばこれが帝国軍士官学校の授業だったとしよう。基本小隊行動の盤上演習だ。
教官は先に述べたような問題点をいくらでも挙げて、「貴様は何も知らんのか」と、モドノフ候補生を強く叱咤したはずだ。
ところがサイコロを振ってみればこの結果。敵の狙撃兵は確かに輝く勤務記章を見たのに、敵と認識しなかった。
「こういうこともある」と苦々しくもごもごと言う教官を、モドノフ候補生は「それ見ろ」と鼻で笑うのだ。
もちろん何故狙撃兵が自分を見逃したのか、てんで理解していないが。
とにかくモドノフを見守る女神は、本当に寛大らしい。

知らぬ間に危機を脱したモドノフは、私物の小型ミルでコーヒー豆を挽いていた。傍らにはこれまた私物のコーヒーサイフォンまで用意されている。
軍支給品の粉コーヒーなど、まるで泥水だと常々モドノフは思っていた。だからこそ、雑嚢の容量を半分以上、これらの私物と豆に割いたのだ。
ヴェルス河で汲んだばかりの水を注ぎ、コーヒーサイフォンのランプに火を灯した。やがて沸騰した湯が挽きたてのコーヒー粉を浸してゆく。
「ワイアット、君も飲むかね?」
フラスコからカップへコーヒーを注ぎ、一口すすってから、まだ半分残っているコーヒーをルークへと勧める。

>568
淹れたてのコーヒーを啜りながら、ふと森の向こうに何かが見えた。木ではなく、草でもない。
「おや…ワイアット、向こうを見ろ。木の向こうに…もしや敵の索敵搭じゃないか?狙撃銃の照準器でを覗いてみたまえ。絶対に撃つなよ」
カップを片手に双眼鏡を覗く。巧妙な擬装はなされているが、それとしてみれば確かに索敵搭のようである。すっと上へと視線をずらす。
三人。狙撃銃を抱いた薄汚い男、制服姿の若い軍人、長髪の将校。何か話していた様だが、やがて長髪の軍人だけがすっと姿を消した。
「……おいおい、ありゃ女じゃないか」
即座にモドノフの頭が回転する。索敵搭があるという事は、逆に言えば大部隊の配置はない。となれば、塔を下りた女は一人で森林を歩く。
こちらは男が二人、向こうは女が一人。将校を捕らえたとすれば、それは斥候として最大級の収穫ともなる。…俺の名誉に繋がる!
「奴を捕らえる。邪魔になる荷物は一旦ここに置いていこう」
コーヒーを一気に飲み干すと、サイフォンやミルを布で包み、木陰へと隠す。距離はそう遠くない。やや早足で進めば塔の少し向こうで接触出来るはず。
自動拳銃を抜いたモドノフは、臆する様子もなく、ずかずかと森林の奥へと進んでいった。
570ブラウニー・ブラウン:2010/08/28(土) 21:40:44 P
やはり森の中に居る…
ブラウニーは直感的にそう思った。

スコープで索敵を続ける。
すると木々の合間に人影が見えた。

(敵…か?軍服を着ている。軍人か。いや、コーヒーを飲んでる…民間人か?)

完全に思考回路がこんがらがっていた。
こんなこと、本来の戦場であれば"あり得ない"のだ。

軍服を着た男が、木々の陰で悠々とコーヒーを飲んでいるのだ。

敵かも知れないし、そうでないかもしれない。
前代未聞。戦場でのキャリアは長いがこういった事態に直面するのは初めてだった。

(もう一人いるか…若いな。近頃じゃあ、ああ言う趣味もあるらしいしな…その類だろうか)

最近の風潮がただでさえ対応できない状況を更に困難にした。

軍服を着た男と青年が木々の陰でコーヒーを飲んでいる。
戦時中という雰囲気を全く感じさせない。
まるでキャンプに来ている様ではないか。

(監視する余地はあるが…もしかすると、オトリかもしれねェ…確認できてるのでも二人…
アイツらがもし軍人だったとしても何かできるわけでも無い。弾の無駄だ。無視するしかねぇか)

そうして、完全にその二人を監視の対象から外すと再び森の中を監視し始めた。
プリシラが持ってくる、上等のタバコを待ちながら…
571プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/09/07(火) 01:59:56 0
ため息をつきながら塔を降りる―

扱ったことはないものの、俺は銃にはある程度は詳しい。
もちろん好きで詳しいわけではなく、後方任務をこなすうちに詳しくなったものだ…
やれあの銃でなければダメだとか、この銃はこの任務には向かないとか、
とかく前線兵士というものは無理難題を吹っかける。

もちろんそれに答えるのが俺の仕事だったし、そういうわがままを通せる兵士は
えてして非常に有能なことが多いから、最大限の努力はする―
銃だの、武器だのに詳しくもなろうというものだ

あの狙撃銃はあまり精度がよくないという理由で、不評だったはずだ
タバコといっしょにもう少しマシな銃を手配してやれば、あの傭兵にも…

…ブラウニーも、少しは手錠の埋め合わせが出来るかもしれない。


現場の指揮官ほど難しいものはない。
ひっきりなしに判断を下さねばならず、その判断にかけられる時間はどれも少ない…
後方でのほほんと甘いコーヒーを飲みながら、いい考えが浮かぶまで
地図とにらめっこというわけには行かない…

間違った判断は、死に直結する…

俺は塔から出て、歩き出した



きらり、と、何かが光ったような気がして振り向いた先には…
572 ◆JTBwt6TlOZbW :2010/09/07(火) 02:07:45 0
#たったこれだけなのに遅くなってスミマセン…

#いちおう、プリシラは護身用の小さな銃は持っています
#急所に当たって、初めて死ぬかもしれない程度のわずかな威力の銃です
#プリシラ自身の射撃の腕は並みなので、急所は狙わずに
#ふともも、胴体、などの大きい部分を狙います

#あと隙があればためらわず逃げちゃいます!!

#必要なら、ある程度勝手に動かして構いませんので、よろしくですー
573 ◆JTBwt6TlOZbW :2010/09/07(火) 02:12:16 0
訂正

× …ブラウニーも、少しは手錠の埋め合わせが出来るかもしれない。
○ …ブラウニーにも、少しは手錠の埋め合わせが出来るかもしれない。

ごめんなさいごめんなさい
574モドノフ少佐 ◆I4Ub/V0TeA :2010/09/17(金) 19:25:43 0
がさがさと茂みに潜り道なき道を進み……やがて監視塔がより大きく見え始める頃、簡単に整備された道が見えた。
「連合軍の連絡路だな…」
背後のルークに手で伏せるように合図して、モドノフ自身はそそくさと向かい側の茂みへと姿を隠す。
…隠した、とは言っても、彼の迷彩効果を度外視した読んで字の如く輝かしい姿は、そう簡単に隠せるものではないのだが。
やがて、人影が塔の方から近づいてくる。レンズ越しに見たのと変わらない、長い髪の女将校だ。
目の前を通り過ぎる直前、彼女が何かに気づく。モドノフが立ち上がる。

>571
「手を挙げろ!連合軍の将校とお見受けする!」
モドノフの眼鏡、金色の勲章、軍服の装飾刺繍、そして銃口…色々なものが、プリシラが振り向いた先で光って見えた。
「帝国軍独立斥候小隊のゲオルギィ・ニキートヴィチ・モドノフ少佐だ!貴官はこれより我々の指示に従ってもらう!」
やけに通る声で、やけにはっきりと叫ばれた言葉は、戦場に不似合いな豪華な衣装も相まってまるで舞台劇の台詞のようだ。
護衛が居るとか即時に反撃されるとか、モドノフの心に一切の心配は浮かんでいない。根拠無き自信は彼の表情を一層将校らしくする。
モドノフは自身の思い浮かべる英雄的な将校を、この場面において見事に演じあげた。
「……我々はイグニス・メギドの情報を必要としている。貴官が知りうる限りのものを、可能な限り正確に教えていただきたい」
臆病を忘れた心は躍る。敵の将校を捕虜にした。斥候隊にして余りある大戦果だ。これで俺も、輝かしい軍歴を背負える。
プリシラの背後に回ると、自動拳銃の短い銃身をぐいと押し付けた。もちろん指は引き金に置いたままである。
「よーしワイアット、一度戻るぞ。先程の地点に無線機も荷物と一緒に置いてきたからな、急ぎこの件を報告しなければ」


#ちょいと長めに待ってみましたが、どうにもルークさんは書き込める状況にない様子なので、少し進めますね。

>572
#とりあえず拘束とかはしてません。武装解除も。
#モドノフ少佐は隙だらけですが…まぁ、見てくれの態度だけは有能なベテラン軍人風で、隙があるようには見えません。
#運と自信に満ちた態度だけが彼の武器です。上手いこと切り抜けてくださいな。
575プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/10/01(金) 05:49:27 0
            -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
            / /" `ヽ ヽ  \
        //, '/ u   u ヽハ  、ヽ  
        〃 {_{`ヽ u   ノリ| l │ i|   
        レ!小l○    ○ 从 |、i|   
         ヽ|l⊃ r‐‐v ⊂⊃ |ノ│  
      /⌒ヽ__|ヘ  ヽ ノ  u j /⌒i !  
     \ /:::::| l>,、 __, イァ/  /│  
.       /:::::/| | ヾ:::|三/::{ヘ、__∧ |
      `ヽ< | |  ヾ∨:::/ヾ:::彡' |
お待たせしていて申し訳ありませんっ!
まともに時間が取れるのは土曜の夕方になりそうです!

もうすこしだけ、お待ちください…
576名無しになりきれ:2010/10/01(金) 19:53:02 0
>>575
その代償として、今のシーズンに最適な国内旅行を紹介せよ。
コテに「JTB」が入っているぞ。
577プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/10/02(土) 18:31:42 0
>>574
日差しの中、涼しげな川のせせらぎと、遠くにセミの声が聞こえる
川の近くには風があるとはいえ、雲ひとつ無い天気はなかなかに暑く、

そして背中には、信じがたいほど硬くつめたい銃口の感触…
とてつもなく酷い気分だった

そう、もし―
俺が格闘の達人なら、ひょっとしたら、押し付けられた銃口が火を噴く前に
体全体をひるがえして銃を払いのけ…あるいは何とかできるのかも知れない
その方法は格闘技の訓練の中で教わっている

だが、自分の思い通りには、素早く体が動かない、ということも、格闘技の訓練で
イヤというほど教わっているのだ

…それこそさんざん痛い思いをして。




「さすがだな…モドノフ少佐。監視網は万全だったつもりだ。
…だが、そちらが我々の遥か上を行くのならば、この結果は仕方が無いな。」

…とりあえず、なんとかして背中に押し付けられた銃口を放してもらおう
ポケットの中には頼りないながら護身用の銃もある。
ポケットに手を入れる理由を…




…なぜ、身体検査をしない?
578プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/10/02(土) 18:39:58 0
この少佐は、部下に指示を出していた。
姿は見えないが、どこかに『もう一人隠れている』ことを
彼は親切にも教えてくれているわけだ
それに、銃を突きつけられているとはいえ、今は拘束されているわけでもない…



俺の頭の中に疑問がひらめく
なぜこの少佐はセオリーどおりに行動しない?
ここまであっさり侵入してきた軍人だ
いくらなんでも変じゃないか?

罠…は、意味が無い
いくらなんでも小規模な部隊以上のものが動けば
監視網のどこかに必ず引っかかるはずだ
人手不足とはいえ、そのくらいは確実にできる

つまり、俺をエサにした伏兵、は存在しない。

なら…
そうか…圧倒的優位を過信しているのか…
579プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/10/02(土) 18:56:54 0
「俺の名前はプリシラ・マレフィーカルム」
俺は慎重に、言葉を選んだ
「階級は中佐になる」




「たがいに仕官ならばわかっていただけると思うが、
情報を渡せ、と言われてほいほい喋ることはできない…くっ!」

押し付けられた銃口に力がこもる
…あとで背中が痣になっていないかどうか確認するべきかもしれない
だが、演技でなく声は出た


「…だが俺も命は惜しいので、条件によっては…そうだな、
ある程度の情報は渡そう。」


大げさにため息をつく。
そして声の調子を変えて、気さくに、親しげに…

「ナイショなんだが、ここには今はたいした戦力はないんだ。
包囲はされているものの、帝国に攻撃の理由が無い以上おおっぴらに
攻めては来ないと思っているからね」
「そもそもこんな温泉街に戦略的価値が無いことなんか、
俺が中佐をやってる時点で想像できるだろ?」

「さて、これ以上の事を話すためには、俺は連合の中佐であっちゃまずいんだ…
そこでちょっと相談なんだが…」

ごほん、と、咳払いをする

「まず、振り向いてもいいかね?」
「俺を負かしたやつの顔を、もっとよく見てみたいんだ」



…俺の手持ちの武器は…

銃と、
舌先三寸と、
「女」であること…

あとはあの凄腕の傭兵の狙撃手の存在か…

「女」のほうはほとんど経験がないからなんとも言えないが
相手が圧倒的に有利だと思っていてくれているなら、
少しは効いてくれるかもしれない…


俺は心の中で舌を出した
いいさ。女は嘘をつくものだ
580プリシラ ◆JTBwt6TlOZbW :2010/10/02(土) 19:15:01 0
>>576
ぐっ!…

あ、秋の国内旅行に最適、となると
連合国内でハコネという都市はどうだ?

静かな湖に映った美しい山の紅葉を遊覧船から眺めるのは美しいし
あわびとか美味しいし温泉もある
旅か…

いいな…




#すごく行きたいけど
#お金も暇もない!…orz



#というわけで、ひとまずここまで…
#少佐さんは苦肉の策の色仕掛けに隙を見せるでしょうか?…
581兵士
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