舞台は現代。
異能者達の奇妙な冒険を始めよう。
テンプレ
名前:
性別:
年齢:
身長/体重:
容姿の特徴:
能力詳細(一人につき一つ。途中で進化などは有り):
人物概要:
3 :
名無しになりきれ:2010/01/11(月) 13:57:42 0
お、楽しそう。参加しまっす
名前:土方比呂助
性別:男
年齢:24
身長/体重:176/85
容姿の特徴:腰まである長い茶髪、様々な装飾が付いた緑色のダウンジャケット
能力詳細(一人につき一つ。途中で進化などは有り):
【ライムスター】
近距離〜中距離用の能力。鋼鉄の弾丸を飛ばし相手に物理的なダメージを与えるなど
様々な効果を与える。
人物概要:私立探偵。かなりの変人だが緻密かつ大胆な戦い方を好む。
こんなのでいいの?
名前:佐藤ひとみ
性別:女
年齢:25
身長/体重:164/48
容姿の特徴:貞子みたいな長い黒髪の鬼太郎ヘアー 白い膝丈ワンピースに黒のダウンジャケット
能力詳細(一人につき一つ。途中で進化などは有り):
【フルムーンアイ】
遠距離 半自動操縦。監視能力、髪に隠れてるほうの右目を飛ばして直盗撮
飛ばした目からはクリオネみたいに触手が伸びたり食いついたりする
人物概要:ストーカー気質で思い込みが激しい。
ドドドドドドドドドド
7 :
名無しになりきれ:2010/01/12(火) 17:15:25 O
細かいルール教えて
初めてですがよろしくお願いします
名前:萩原秋冬
性別: 男性
年齢: 50
身長/体重:174/55
容姿の特徴:仕事の時は薄緑の作業服だが、いつもは赤のTシャツにジーパンで、ポケットがたくさんついた茶色の皮のコートを着ている。
能力詳細(一人につき一つ。途中で進化などは有り):
【プラントアワー】
近距離〜中距離型の能力。殴ったものからさまざまな植物を生み出し、操ることができる。たとえ鉄の塊でも植物を生み出す事は出来るが、少し時間が経つと枯れてしまう。
人物概要:清掃局員。正義感あふれる男だが、ちょっと気弱で大食らいな男。
名前: 大谷杉松
性別: 男性
年齢: 34
身長/体重: 171/73
容姿の特徴: 灰色のトレンチコートを着ていて、短髪 ぼろぼろの靴を履いている
能力詳細(一人につき一つ。途中で進化などは有り):
[スマートガントレット]
近〜中距離型の能力。直前にやった事をもう一度やった事にすることが出来る。
例:一度相手を殴った後発動→相手は二回殴られたことになる
人物概要: かなりの紅茶愛好家、いろいろなところに旅をしては紅茶を飲んでいる
10 :
9:2010/01/16(土) 17:13:38 0
挨拶書き忘れました…よろしくおねがいしますね
1はどこいった
ごめん、遅れました。そろそろ始めますか?
名前:来島 妙助(きじま みょうすけ)
性別:男
年齢:18
身長/体重:180/60
容姿の特徴:お洒落風の学生服、青色の髪型(立て気味)
能力詳細:
[スティール・ブラッド]
近距離専用パワー型。格闘戦に優れる。
超加速(周囲の時間を操作して自分とスタンドだけが素早く動くことの出来る能力)を持つ。
人物概要:うだつの上がらない性格の高校3年生。空から落ちてきた1枚の
ディスクを拾った事から能力を得る。
おうやれやれ
参加しないけど面白そうだからロムってんのに一向に始まらないんだもんよ
すみません遅れました。申し訳ないです!
【舞台】N県北条町(中都市程度の1町村)
2010年、かつてスタンドや波紋が世界を駆け巡り、様々な戦いが繰り広げられた
世界。
一度、世界は【一巡】し、新たな世界を作った。
これはそんな世界の1つ。パラレルワールドのお話です。
「おい、また遅刻か?妙助!」
教室で先生に今日も頭を叩かれた。
北条高校3年の俺の名前は来島妙助。
成績は下から数えてすぐ。部活動も面倒くさくてやってない。
他の連中は進学だの恋愛だのと忙しそうだが、俺には熱中するモンがない。
今日もまた、つまらない一日が始まりそうだ。
でも、この街は嫌いじゃない。
生まれてからずっと、この街の風を感じて生きてきた。
今も吹いているこの風は、好きだ。
空を見上げていると、ヒラヒラと1枚のCDみたいなモンが落ちてきた。
俺はそれを拾い上げる。
「…んだぁ、こりゃ?」
それが俺と、そしてこの街に住む人達の物語の幕開けになるとも知らずに。
>>12はそもそもスレ立てした1なのか?
違うのなら騙るような真似して何がしたいんだと聞きたい
もし1本人だというならいまさら何しに来たんだよといいたい
スレ立て時点で酉も入れず
>>7の質問にも応えず自分のテンプレも投下せず
それで5日経って遅れましたでテンプレ投下
これって人が集まらなかったら立て逃げするつもりだったけど、結構人が集まったからスレ主として降臨しましたって状態だろ
めちゃくちゃ卑怯なスタンスだと思う
その上能力はボスクラスの時間操作ときたらスレ主として運営していくとか参加者に気を配るより自分が主人公で気持ちよくなりたいてのが欠片も隠れていないんだよ
実際に投下したのはストーリーの導入じゃなく自分だけの導入だし
色々書いたけど立て逃げするつもりだったけどころあい見計らってきたって言うスタンスだけでもう致命傷なんだよ
参加表明していたけど取り下げる
アンタとは一緒のスレやろうとは思えないからな
別にどうこうして欲しいとは思わない
ただの愚痴だから気にせずスレを続けてくれ
>>19 それは残念です。別に自分だけとか卑怯なつもりは全然無いですよ。
何か気に喰わない部分があったのでしたら申し訳ないですが^^
>>19まあそう言うな
1も不慣れなのかもしれない
1もルールとか流れで考えてることあったら早めに投下しとけよ
参加希望者が多かった割には誰も参加しねえ謎のスレだなw
23 :
名無しになりきれ:2010/01/22(金) 01:11:58 0
みんな
>>1待ちでしょ
ゲームマスターの
>>1が率先して進めてくれなきゃ参加しようがないし
つか1はどう進行させるつもりだったのか
リレー小説風につなぐつもりなのか雑談進行風なのか?
そこらへん決めてもらわないと1を無視して勝手に進行できないんだけど
>>19 消えるのは勝手だけど黙って消えろよ
開始しかけてるスレに水を差すな。嫌気さして他の参加者までいなくなったらどうする
>>24 もうスレ主がいないスレと同様の感覚で進めてよくね?
おまいら釣られすぎ
どうせ
>>19は最初から参加する気なんてなかったよw
内容の是非はどうあれ後足で砂かけて去るなんて荒らしまがい
スレ立った時すげー面白そうな予感したのに。頑張って進めてよ。
支援絵まで準備してたのに。
そもそも本気で参加希望の奴っているのか?
いるならここから参加表明してくれ
3人以上酉付きで参加表明あったら始めるから
4ですが参加したかったけど
やり方が全然わからないんで静観してましたすいません
初心者ダメですか
名前:伊集院小次郎
性別:男
年齢:20
身長/体重:174・60kg
容姿の特徴:斜めに尖がった髪型、緑色のジャケット
能力詳細(一人につき一つ。途中で進化などは有り):
「イマジン」
射程:近距離(10m程度)
身長120cm程度の人形のようなスタンド能力。
相手の記憶、人生経験を読み解く事が出来る。
人物概要:いい加減な性格の警察官。
上司にも逆らうなど無茶苦茶な部分が多い。
参加希望です。
名前ミスです。正しくは高寺幸之助です
とりあえずストーリーは二の次にして、
各キャラの導入だけかけば、後は掛け合いから話が進むんじゃないの
>>4 初心者でも駄目って事はないですよ。
誰だって最初は初心者ですしね。
取りあえずスレタイにあるTRPG方式のスレ自体ご存知でしょうか。
なな板には質雑方式とTRPG方式のスレがあります。
質雑方式はテーブルにみんなで座って質問をしたり質問に応えたり雑談したりする形式。
コテハンはキャラになりきって会話する感じです。
一方こちらのスレのようなTRPG方式はコテハンがキャラクターをそれぞれ持ち寄って物語を紡いでいく方式です。
それぞれのキャラの視点で物語を書いていく即興劇とか一種の群像劇といえます。
いうなればキャラクター分担型合作SS。
担当しているキャラクター、つまり4さんの場合は佐藤ひとみというキャラとなって舞台の街で活躍します。
ですが自分以外のキャラクターを勝手に動かす事は出来ません。
他の参加者との掛け合いで物語りは進行して行きます。
あまり書く難しく思えてきてしまうので、取りあえず習うより慣れろ!でいく事をお勧めします。
まず最初のレスは自己紹介に近いレスでいいと思いますよ。
どこかでイベントが起こったらそちらに合流すればいいのですし。
暇があれば
http://verger.sakura.ne.jp/ を見てみるといいかもしれません。
名前: 泥布 一(でいふ はじめ)
性別: 男
年齢: 38
身長/体重: 170・75
容姿の特徴: 固太り・頭頂禿・魚顔
能力詳細(一人につき一つ。途中で進化などは有り):
能力名:カフカ
装着型
スタンドを身に纏い一種の獣化をする
人物概要:
湿ったコートを羽織った謎の男。
折角面白そうなスレだし、取りあえず始めてみましょうよ。
N県北条町。
特に目立った産業もなく、海に面した物静かな中都市だが人には余り知られていない特徴があった。
一つは異能力者の出現率が高い事。
異能力とは人間の力を超えた超常の力。
ある筋ではスタンドといわれ、霊的エネルギーの具現である。
多くの場合それは等身大のヒトガタとなり、スタンド使いの資質によって特殊能力を持つ事がある。
人間の限界の為か、スタンドは一人一体が基本らしい。
異能力者同士は引かれあう様にその運命を交錯させていく。
もう一つは・・・十年周期で北条町の行方不明者数が多くなる、という事だった。
そして今年はその十年目に当たる年。
海岸を望む洋館。
打ち捨てられて久しい洋館は夕日に赤く染まっていた。
一般人には殆ど認識すらされない洋館だが、異能者は不思議と惹かれる、そんな洋館だった。
その中の一室では、夕日以上に赤く染まっていた。
部屋を覗いたものはわかりやすい構図が見て取れるだろう。
室内に立つ泥布の手から滴る血。
その足元に倒れている女からはジワジワと広がる血の領域。
そして直感的に二人ともが異能者である事を感じるだろう。
「くすふてぐん ふぐるいむぐな くする るいえ うがぎ ふてぐ! 」
泥布が突如として意味不明な言葉を紡ぎだす。
それは聞き苦しすぎる歌のように旋律を保ちながら。
言葉が終わると泥布の後ろに巨大な柱がぼんやりと顕れ輪郭を取り始めていた。
約2Mほどの柱には老若男女の意匠が凝らされている。
現出した柱を背に泥布は足元に倒れている女を片手で持ち上げる。
「・・・あ・・・たす・・・け・・・」
弱々しく声を上げるが、女に抵抗する力は最早残っていないようだ。
これから何が起きるのか。
そして柱の正体の一端について判るだろう。
柱に凝らされた意匠の老若男女は人間であること!
そして、今、正に女は柱の意匠の一部に・・・柱に埋め込まれようとしている事を!
おぞましい人柱の製作現場が廃洋館の一室で繰り広げられようとしているのだ!
閑静な住宅街の端っこにあるカフェ、ドルド・プラチナで
早朝にモーニングを頼みながらゆっくりと新聞を読む男。
その名は高寺幸之助。北条警察署の生活安全課巡査である。
今日も朝からパトロールと称してカフェに入り浸っている。
「幸之助ちゃん、行かなくていいのかい?そろそろ出勤時間だろ。」
店のマスター・松沢重雄(65歳)が幸之助に声をかける。
幸之助はコーヒーを飲んで目を細めるだけである。
シロップを3個も入れ、更にもう1個追加しようとした時―!
「高寺さん!こんなところで何やってんすか!」
同じ生活安全課の新人警官、小栗(18歳)が店に入り込んできた。
「僕は神聖なコーヒータイムを邪魔されるのが一番いやだと言っただろう?
君はそれを邪魔したな……」
鋭い眼つきで小栗を睨む。声を詰らせながらも小栗は1枚の書類を取り出した。
「また…行方不明事件っすよ。これで何件目だか…」
幸之助はそれを聞いても尚、シロップに手を伸ばす。
「前に聞いたことがある。10年周期でこの街の行方不明者が増えるってこと。
そして、原因も分からない。誘拐なのか、蒸発なのかさえ。
今だ、この街でその謎を解明出来ていない”奇妙”な事件だってね。
ゾクゾクするねぇ……謎ってやつはさ。」
小栗に顔をグイと近付けてモーニングの食べ残しであるパンの耳を差し出した。
「僕はパンの耳が嫌いだ。小栗君、食べるかい?」
>>34ありがとうございます。そのサイト読みながら勉強してやってみます
おかしなところがあったら教えてください
カフェの扉の鈴の音
扉が開き一人の女性が入ってきた。
白いスーツ風のワンピースに長い黒髪、一見清楚な風貌だが
異様に長い黒髪と切れ長のややつりあがった目がヒステリックな印象を受ける。
静かに微笑みマスターに声をかける。
「おはよう、マスター。いつもの。アップルソースのワッフルにダージリンください。」
「ひとみちゃん、今から出勤かい?図書館で働いてるんだっけ?」
「ええ、最近した移転した市立図書館で。通勤路が変わったから寄りにくくなっちゃったわ。」
女は奥のテーブルに座っている警察官に気づき軽く会釈をした。
マスターが警察官たちの雑談に乗っかり軽口を叩く。
「最近行方不明事件が多いらしいから、ひとみちゃんも気をつけなよ。
美人だしストーカーに狙われたりしてない?」
「いやだ、マスター変なこと言わないでよ。」
少しよそよそしい上品な声で答えた。
そのころカフェの端の席。
三人の話を聞きながら灰色のトレンチコートを着た短髪の男は
ゆっくりと紅茶を飲んでいた。
男の名前は大谷杉松(おおたに すぎまつ)
ぼろぼろの靴を履いてるため旅人だろう。
「奇妙な行方不明事件ねぇ…まぁ俺には関係無い話だな」
そうつぶやきながら、男は紅茶をもう一口飲んだ。
そのとき、彼は自分がその‘奇妙な行方不明事件’に巻き込まれるとは
心にも思ってなかったであろう…
【ドルド・プラチナでの一風景】
ドルド・プラチナでは時間がゆっくりと過ぎていくような錯覚に陥る。
これは快適で雰囲気のよい店作りに成功しているからだといえよう。
しかし時間は容赦なく過ぎ去っていく。
モーニングを食べ終えたサラリーマン風の男が奥の席からレジを通り、日常の時間へと戻っていった。
その何気ない一連の行動に誰が気付いただろうか。
高寺のテーブルに置かれた伝表の下にもう一枚紙が差し込まれた事に。
その紙には
『本日5時 海を臨む町外れの廃洋館』
たった一行。かなり乱れた文字で書かれていた。
この一行の為に高寺の口座から六桁の金額が動く事になる。
先ほど出て行ったサラリーマン風の男は高寺の使っている情報屋であり、何らかの異能力者なのだ。
その情報はほぼ確実で、10年周期の行方不明者発生増加について探らせていたのだった。
>>39 「おはよう、マスター。いつもの。アップルソースのワッフルにダージリンください。」
小栗が女に馴れて無さそうな赤ら顔で女性に会釈するのを一瞥すると
幸之助はパンの耳をコーヒーに浸した。
「どうした?君はいつもそうだが、女性には奥手なのかい?」
小栗は困惑した表情で幸之助を見つめる。
悟られないように、皿からパンの耳を手に取り無理やり口に詰め込んだ。
「な…わけないれしょ!(なわけないでしょ!)なにいってんれふか!」
小栗の姿に苦笑しつつ女性の姿に何か”違和感”を感じる。
言葉では言い表せない、何か不思議な感じってところだろうか。
「気のせいか?いや…」
>>40 後ろの席ではコートを着た男性が紅茶を飲んでいる。
香りからして高めのやつだろうか。
「紅茶か。アールグレイが好きだけど、彼はどうだろうな。」
>>41 「いつまでいるんですか?もう行かないと係長に怒られますよぉ!」
小栗にせかされ仕方なく腕時計を見る。
時計は丁度正午を超えていた。
「会計の時間か…楽しい瞬間ってのはあっという間に過ぎていくもんだ。
やれやれ……」
伝票を拾おうと手を伸ばす。
その瞬間、下に置かれた1枚の紙に気付く。
【ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ】
「本日、5時。海を望む…町外れの廃洋館?」
喫茶店のガラス窓から、去っていく男の背中を見つめ
幸之助は紙切れの真実に気付いた。
「小栗君、今日は少しばかり真面目に働く事になるかもね。」
「あら、こんな時間。そろそろ行かなくちゃ。マスターご馳走様。」
女は言うと会計を済ませ、警察官らに軽く微笑み会釈をして席を立った。
端の席のトレンチコートの男をちらりと一瞥し、一瞬目を合わせると店から出て行った。
店の扉の鈴が鳴り、女が店を出て行くのと同時に
女の顔付近からゴルフボールより一回り小さい球状のものが飛んでいった。
異能者であれば見れたかもしれないそれは死角になって誰の目にも触れなかった。
入れ替わりに入ってきたのはスカートの短い女子高生二人。
二人の噂話
「うちらのクラスにアヤカっていたじゃん?売りやってるってウワサあったじゃん?
あの子事件に巻き込まれたらしくて警察に連れてかれたらしいよ」
「えー何それ?援交バレてってこと?しらないんだけどそれ?」
「それがぁ〜わけわかんないんだけど
エンコー相手のリーマンがぁラブホでマブタと鼻を食いちぎられたらしくてぇ〜」
「はぁ?何それ?アヤカにってこと?」
「二人でクスリやっててそーなったんじゃって疑われて調べられたらしいんだけどー
クスリの反応出なかったから取り合えず帰してもらったらしくてぇ
これアヤカと仲いい子から聞いたんだけどアヤカそれ以来学校来てないじゃん?
精神的に不安定になって家から出れないんだって、その子アヤカの家行ってみたらしいんだけど
アヤカずっと『目が合った、目が合った』ってぶつぶつ言っててまともに話もできないんだって」
「絶対クスリだってーそれ」
紅茶を飲み終わり、会計をすませ、男は外へ出た。
外へ出てしばらく歩き、男は店の中で聞いた噂話が気になり始めた…
「目が合った? いったいなにとだ?」
男が歩いていたら目の前には廃洋館があった。
男はこの廃洋館のことは知らないし、
ここが学生達の間で有名な心霊スポットなことも知らない
‘偶然’か ‘必然’か 男はここにたどり着いてしまったのである。
そして男は無意識の間に窓から中を覗き込んでいた、
風化した柱の中に新しい柱が一本、
まるで中に何か入っているかのようないびつな形をしている…
そして男はその柱と目が合った
まるで助けを求めているかのような弱った目だった…
目だけではない、手も、足も、顔も見える
その中にまぶたと鼻の無い男もいた。
目が合った瞬間、男は必死に逃げた、
自分もこの柱の中に入るような、不思議な感覚に襲われたのだ
息が切れ、体力もつき、靴はさらにぼろぼろになった
そして、警察官らしい男に出会った。
必然なのか、偶然なのか、あるいは両方か。
呼び名は違えど異能力者同士は引かれ合う運命にある。
そしてこの廃洋館は異能者たちの運命が交錯する地点なのだ!
五時。舞台は
>>36へと至る!
夕日が差し込む廃洋館で異様な光景が繰り広げられていた。
血を流す女を持ち上げる泥布は大谷が窓から覗いた大谷の存在に気付いていない。
ここへと向かうほかの異能者たちに気付いてはいない。
だがわかっていた。
ここに異能者が来るであることを。
根拠も理屈もない、にも拘らず確信を越えまるで過去の出来事のように!
だが今は凄惨な室内で虫の息の女をおぞましき人柱に近づけていく。
判っているが知ってはいない。
この矛盾した思考の中廃洋館は異様な雰囲気を醸し出し始めていた。
>>43 去っていく女性を見つめながら高寺は思案する。
「あの感じ…そう、あの感じだ。間違いなく、そういった匂いがする…ブツブツ」
小栗が怪訝な顔で覗き込む。
「あの〜何言ってんすか?」
「別に…何でもないよ。それよりも小栗君、早く車を出してくれないか?」
高寺は会計を済ませると何事も無かったかのように歩き出した。
目指すは洋館。町外れにある奇妙な屋敷だ。
―数時間後。
小栗と高寺は洋館の付近まで来ていた。
心配そうな顔で拳銃のホルスターを握る小栗と、地図を眺めながら
口笛を吹く高寺。
2人の反応は対照的といっていい。
「やっぱ、応援呼びましょうよ…無理っす。こういうの、マジ無理っす」
「何言ってんだ?証拠も何もない屋敷に応援なんて呼べるわけないだろう。
これはあくまで、僕と君との【冒険】ってやつさ。」
>>44 すると目の前から1人の男が走ってくるのが見えた。
高寺はふぅ、と息を吸い込むと右腕を前に突き出した。
「イマジン…彼が何者か。調べてくれたまえ」
高寺の傍に、120cm程の少年のような姿をした”スタンド”が
出現する。
勿論、小栗には見えていない。
「え?あ、あの…何やってんすか?」
「いいから黙っててくれないか?僕は今、質問をしてるんだ。
彼にね。…さぁ、貴方が館の主人かな?それとも…」
イマジンが男の腕を触る。
高寺の意識下の男の記憶が伝達されていく。
柱に封じられた女、男。凄惨な記憶が鮮明に映る。
「これは…さっき貴方が体験した記憶だね。
何か知っている事が他にあるなら教えてくれないかな?」
―北条町立図書館
佐藤ひとみは首からスタッフカードをかけた女性と会話している。同僚だろう。
「ひとみ、この前の合コンのエリートサラリーマンとはどうなったの?
あの後何回か会ったんでしょ?」
「その話はよして」
「またダメになったの?あんた理想が高すぎるんじゃないの?」
「その話止めてって言ってるんだけど!」
きつい口調にただごとでない雰囲気を感じ取って同僚の女性は仕事に取り掛かるフリをした。
ひとみも資料を抱えて別室に移動した。
別室
佐藤ひとみの背後にはうつうつと燃える黒い炎のようなオーラが見える。
「あの変態ロリコン野郎…許せない…
一瞬でも運命を感じたこの私の気分をどうしてくれるっていうの?!
顔に食いつかれるくらいで済んだと思ったら大間違いよ
これからが本番、地獄を見せてやるっ
あいつのロリコンにふさわしい粗チ○引っこ抜いて犬に食わせて
二度と×××できないようにしてやるから…」
女は右目にかかった髪をかき上げると右目から触手が伸びそのまま眼球ごと飛び去っていった。
これが彼女の能力。
眼球を飛ばしターゲットを監視する。眼球を添付することでリアルタイムに映像を受信できる。
一度ターゲットに設定した者はGPSのようなもので居場所を探知できるらしい。
見えてきたのは夕日に染まった朽ち果てた洋館―
目の前にいる警察官らしき男、その男がカフェにいた時から異能者だとは思っていた。
その‘思っていた’は確信に変わった。目の前にはスタンドがいる…
大谷は一瞬構えたが、敵意の無いことに気づき ゆっくりと質問に答えた。
「廃洋館の中にある一本新しい柱…鉄製でも木製でもない…
中に何かを詰めたような柱…その柱と目が合った…」
気が動転していたのか、このような説明しか出来なかったが、
高寺は、そんな説明でも廃洋館の中の状況がただ事ではないことはわかっていた。
しばらくしてから大谷は空に浮いてる‘なにか’に気づく、
丸く、小さく、ぼんやりとだが、それがこの世のものでは無いのだけはわかった。
しかし今は空に浮いている‘物’よりも
廃洋館の中の‘物’しか考えられなかった。
参加します。
名前:四之宮良平(しのみやりょうへい)
性別:男
年齢:24
身長/体重:175・64
容姿の特徴:黒のロングを後ろで束ね上下黒のチャック式の服を着ている。
能力詳細:【ブラックベリー】
黒い蟻をモチーフにした人型スタンド。近距離パワー型。
モノに触れることでそれが持つ「力」を強制的に強化(向上・促進)する能力。
ただし自らの力を強化することはできない。
人物概要:北条町に住む学生。気分屋のため学校には行ったり行かなかったりで留年を繰り返している。
働く気もないため「多分、将来はニートだな」と思ってるダメ人間候補。
「許せない…許せない…
女子高生に赤ちゃん言葉を使う変態ロリコン野郎…
どうして日本の男ってこうロリコンばかりなのッ
ロリコンなんて頭の中も子供なら下も子供サイズのホ×××チ○○ッ
なめんじゃないわよ
あいつのポークビッツの根元のしなびたキ○○○磨り潰して
ロリコン因子の染み込んだDNAを根絶やししてやらなきゃ気が済まないわっ」
眼下に見覚えのある男達が見える。カフェにいた男たちだ。
トレンチコートの男と遠隔操作の眼を通して目が合った。
「見えるの?私の『フルムーン』が…」
警官の近くには子供のようなあるいは人形のような半透明の物体も見える。
「私と同じような能力を持っている奴が他にもいるっていうの?別にどうでもいいことだけど…」
本来の目的を思い出し「眼」に追尾させる。
「何?この汚い洋館…あいつ退院した後ビビって家に引き篭もってるかと思ってたのに
あのションベンタレ男…なんでこんな所に…」
「眼」を通して洋館の朽ちた窓を覗く。
夕日の赤に染まったそこには融解した人間達の塊をモチーフにした大きな柱があった。
N県にあるごくありふれた地方都市、北条町。
日が陰り始めたこの町の海岸沿いの道路を、
黒いチャック式の服を着、黒いロングの髪を潮風に靡かせた男が一人、歩いていた。
この男の名は四之宮良平。北条町に住む学生である。
今時によくあるいわゆる無気力な若者の一人だ。学校では既に留年も経験している。
しかし、この男が、普通の無気力人間とは少し違うということを知る者は、今はまだ誰もいない……。
――夕日が照らす海を眺めながら、良平は煙草に火を点けた。
「ふー……」
吐き出された煙が逆風の潮風に乗ってぶわっと良平の顔に吹き付ける。
良平は眉を顰めて顔の前で掌を左右に振った。
「ついてねぇな、ほんとによ……」
恨めしそうに呟く良平の脳裏には、昼間の出来事が蘇っていた。
思い返せばおよそ数時間前、良平は学校にも行かず町内の喫茶店にいた。
それがそもそもの間違いであった。存分に飲み食いし、さて帰ろうかとした時、良平はズボンに入っていた財布がないことに気がついた。家を出る時は確かにあったのにだ。
店内を探してみたが見つからず、結局、代金分は臨時アルバイトで返すはめとなり、
やっと帰れるという時になったら外は夕方になっていたのだ。
そのお蔭で一日のスケジュールが狂ってしまい(とはいってもどうせ重要事項などなかったが)
良平を大いに落胆させることとなった。
「大体、時給300円のアルバイトなんて聞いたことねぇよ……。
1200円分働くのに四時間とかアホか!
あ〜、なんかスカッとするようなことはねーのかな…………と」
ふと、良平の目が止まる。そこには夕日に照らされた古ぼけた洋館が佇んでいた。
普段なら気にも留めないはずが、何故かこの時ばかりは好奇心が刺激された。
良平の経験上、こういう感覚を感じた場所に行くと、大抵嫌なことがあるものなのだが……。
「所詮、誘惑に負けて禁断の果実を口にした種族の末裔ってか」
良平の脚は既に洋館へ向けて進んでいた。
この後、彼は予想だにしない光景を目にすることとなる……。
>>48 > 中に何かを詰めたような柱…その柱と目が合った…」
「…洋館、柱、そして目か。さて、閲覧を始めようか。」
―ケンサク、カイシ―
イマジンの体が本に変化し幸之助の手に収まる。
本を閲覧しながら大量の情報を得ていく。
この洋館の歴史、そして住人の情報。
高寺のスタンド、イマジンは人々が作り上げた記憶や体験、
歴史を閲覧する能力。
そして書き換える力を持っている。
「この洋館、随分と奇妙な歴史と体験をしているね。
どうやら……ビンゴってやつらしい。」
小栗と大谷に目配せをしながら洋館へ向い歩き出す。
「どうしたんだい?ここまで来て怖気づいたわけじゃないだろうね。
僕は興味があるんだよ。あの館の、主人にね。
考えただけでゾクゾクするよ・・・・・・フフフ。」
悪趣味な笑顔を浮かべ幸之助は洋館へ向う。
―数分後
3人は洋館の前に辿り着いた。
ここから何が起こるのだろう?
それはまだ、ワカラナイ。
53 :
荻原秋冬◇6J1m09mANS:2010/01/31(日) 22:48:24 O
海岸沿いの道路を、自転車で走っている男がいる。
男の名は荻原秋冬。
北条町を担当としている清掃局員だ。
今日の仕事は終わり、自宅に帰る途中なのだ。
「はあ〜、今日も疲れた」
自転車をこぎながら、荻原は今日の仕事を思い返した。
いつもと変わらぬ仕事だが、今年で50になる荻原にとっては重労働だ。
そう考えるとのどが渇く。
荻原は近くの自販機を見つけて自転車を止めた。
財布を開けると、1円と5円しかなかった。
仕方ないので、千円札を抜き取った。
その時だった!
突然突風が吹いたのだ。
千円札の隣にあった写真も同時に抜いてしまい。
写真だけが飛んでいってしまったのだ。
「ああ!ヤバい!」
荻原は自転車に乗って写真を追いかける。
写真には、荻原と妻と娘の三人が写った家族写真だった。
荻原にとっては今一番の宝物なのだ。
それは今から10年位前のことだった。
妻と娘が突然行方不明になったのだ。
親戚はもちろん、警察にも協力してもらった。
だが、手がかりは何一つなかった。
噂では、10周期でおこる謎の行方不明事件に巻き込まれたとか。
風にのった写真は、屋根の上に引っかかってやっと止まった。
そう、廃洋館の屋根の上に。
北条市、海岸を望む洋館。
戦後占領期にGHQ高官が住居として建築。
木造2階建ての大型の館。
家族4人で住んでいたが、ある朝、一家全員が死亡しているのが見つかる。
時期的にも立場的にもその不可解な死は問題視され、徹底的な調査が行われた。
しかし判った事は、【全員が衰弱死】だったという事のみ。
前日同僚と共にホームパーティーを行い、そこでは元気な姿を目撃されていたにも拘らず、だ。
外傷も薬物反応もなく、住居には侵入した跡も争った跡もない。
その後所有者は変るが、必ず【衰弱死】していた。
周期は10年に一度。
30年前に最後に所有者が衰弱死して以降買い手もつかなくなりまもなく解体される。
データ上はそうなっているが海を臨む洋館は確かにそこに存在していた。
フルムーンが朽ちた窓から覗き見た光景は血に染まる部屋、誘拐した人の塊りの柱。
その人の塊りの中に、ひとみの目的の男もいた。
そしてそれ以外にも、奇妙な感覚に襲われただろう。
まるで吸い込まれていくような抗い難い誘惑。
やがて柱は消え、変りにその影にいた泥布の後姿が顕になる。
泥布はフルムーンに気付く事無く部屋を出て行った。
大杉と高寺、小栗が正面入り口から。
四之宮が東の崩れた壁から。
そしてフルムーンがそのまま窓から。
館に入った瞬間全員が違和感を覚えただろう。
まるで深い水の中に入ったような抵抗感と、間近にある人の気配、視線。
そして何より!朽ちていた洋館は一瞬にしてその息を吹き返し、新築されたかのように姿を変えたのだから。
正面入り口から入った三人には更なる異変に見舞われる。
小栗が突然姿を消してしまったのだ。
それぞれ脱出を試みようとしても無駄だと判るだろう。
四之宮の入ってきた崩れた壁は真新しい壁となっており、窓やドアは押しても引いても動かない。
例え力いっぱい殴ってもびくともしないのだ。
フルムーンも不思議な感覚に襲われる。
スタンドを解除しようとしても出来ず、外に出ることが出来ないのだから。
>51
「・・・よくぞきた・・・はらからよ。いまだみたされぬ。ほっせられているのだ。」
広いリビングの四之宮の前に泥布が現われ言葉を発する。
だがその雰囲気、声色でわかるだろう。
友好的、ましてや挨拶などではないという事を。
その証拠に泥布は椅子やテーブルを蹴散らしながら一気に四之宮との間合いを詰め、拳を振り下ろす!
この音は高寺と大谷のいる正面玄関まで届くほどだった。
>53
荻原がお札を取る為に館に侵入、もしくは屋根に登ると、先人達と同じ現象に見舞われるだろう。
屋根に上ったのならば屋根が崩れ二階の子供部屋に落ちる事になる。
そして階下からは何かが暴れる物音が響いてくる事に気付くはずだ。
遠目からは古めかしいといった感じに見えた洋館も、近くで見れば廃屋同然の館であった。
館を見上げる良平は思わず体を震わせた。
だが、良平はその見た目に圧倒されたわけではない。
館そのものから、何か見た目以上に、異様な雰囲気が感じられたからだ。
「……来ちゃ行けねぇところに来ちまったのかな、こりゃ」
そう言いながらも、良平が踵を返すことはなく、それどころか更に館へと迫っていた。
それは、中を確認しておこう、という衝動に駆られたからとしか言いようがない。
そうして彼は、たまたま目に付いた窓から、こっそりと中を窺った。
瞬間――彼は思わず口から煙草を落とした。
中には奇妙な形をした柱が一つ――。
その柱の一面に、まるで生きているような、人間の顔、顔、顔――。
そしてその内の一つが、目をギョロリと向けかけた。
――まずい! そう直感した良平は、咄嗟に窓から目を離した。
「なんだ、なんだ今のは……」
異様な雰囲気、奇妙な柱、そして得体の知れぬ恐怖――。
もはやここには長居は無用と判断できるほどの材料が揃っていた。
ところが、どういうわけか体はこの場を離れようとしない。
それどころか、体は館へ侵入できるルートを、無意識の内に探し始めていた。
先程のように、そういった衝動に駆られたわけでは断じてない。
まるで何かに誘われているような……という表現が最も的確だろう。
ふと良平の目に、崩れた館の壁が飛び込んだ。
ぽっかりと大きな穴が空いており、調度侵入できそうである。
引き返せ! 頭の中で呪文のように唱えながらも、体は言うことを聞かない。
抗うすべもなく、良平はふらふらと穴を潜っていった。
館の中へと入った良平が真っ先に感じたのは、違和感であった。
明らかに誰も住んでいないような廃屋にも関わらず、そこら中から視線を感じるのだ。
良平が警戒しながら辺りを見回していると、再び違和感が彼の体を駆け巡った。
どういうわけか、どこにも入ってきた壁の穴が無いのだ。
確かめるように壁に触れてみるが、幻覚ではない。確かに穴があった場所が壁で塞がっている。
狐につままれたような顔をしながら、良平は自分の頬を抓った。勿論、痛い。
「夢……じゃねぇってことは……」
良平は頭の中で「まさか」の文字を浮かべた。
超常的ともいえる不可思議な現象を目の当たりにして、流石に悟ったのだ。
――“俺と同じ”特殊能力者の仕業か――と。
>>54 >「・・・よくぞきた・・・はらからよ。いまだみたされぬ。ほっせられているのだ。」
不意の声。良平は咄嗟に声の方向を見た。
そこには灰色のコートを着た中年が一人、不気味な眼差しをもって良平を見据えていた。
声色といい視線といい、明らかに良平に対して敵意を持っている。
「何だ、おま……」
とりあえず正体を訊ねようとした時、コート男の姿が揺らいだ。
同時に、周りにあった椅子やら机やらを蹴散らす音が鳴り、それらが空中に舞う。
良平はそれらに目をとられる間もなかった。気がつけば眼前に拳が迫っていたのだ。
指一本動かす間もなく、良平は衝撃で体を背後の壁に打ちつけた。
まともに顔面に拳を受けたのだ。しかも不意打ちである。ダメージは大きいだろう。
……ところが、不思議なことに良平の顔は少しも苦痛に歪んでいない。
それどころか顔面には殴られた形跡すらないではないか。
恐らく、拳を受けた瞬間、“見える人が見たら”、良平の顔の前には、彼のものとは違う別の二本の腕が見えたことだろう。
「……問答無用ってか」
突然の宣戦布告と人間離れした速攻を目の当たりにしても、良平は表情を崩すことがない。
それは、彼が普通の人間には決して無い特殊能力を持っているからである。
そう、今相対する男と同様の、絶対的切り札を――。
「どうやらアンタも似たような『力』があるらしい。なら、こっちも遠慮することはないか」
そう言う良平の横に、全身真っ黒の人間が――
いや、人間の形をしている“何か”が突如として出現した。
大きさはそう、調度良平と同じくらいで、頭の先には二本の触角のようなものが見える。
まるで何かの昆虫を擬人化したような、そんな感じだ。
「――『ブラックベリー』――。ここから出してもらうぜ!」
四之宮良平が『ブラックベリー』と呼ぶ、能力の無い人間には一切目にすることができない特殊生物――
これこそが、彼の切り札なのだ。
泥布と四之宮が出会う少し前…三人は洋館の前に辿り着いた。
大谷はとても奇妙な感覚になっていた、
正直帰りたい、怖くて中に入りたくない、しかし中に入りたい。
矛盾しているような奇妙な感覚であった。
そして高寺を先頭に洋館に入る、そして大谷は…いや三人とも同じ感覚になったであろう。
水の中にいるような息苦しさ、そばの二人とは違う視線、そして古い館が新築されたかのように姿を変える。
閉まるドアの音、大谷と高寺が開けようとするがびくともしない、そして二人は気づく。
小栗がいないのだ
足音も去る気配も無かった、まるで本当に小栗が消えたかのようだった。
さらに二人は別のことにも気づく、握っているドアノブが暖かいのだ。
ドアノブだけではなく、ドアも、壁も、窓も、洋館全体が暖かい…
エアコンやストーブの暖かさではない、人の温かさだ。
「いったい何がおきているんだ…なにが…なにがなんだ…」
身に起きている事が多すぎて混乱している大谷に追い討ちをかけるように大きな音がする。
その音が泥布と四之宮が戦った音と気づくのはもう少し先のことである。
>>55 入った瞬間、屋敷の姿が一変した。
朽ちた内装がまるで生物のように息を吹き返し、そして蘇ったのだ!!
【ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ】
「…なん、だと…っ!?」
近くにいたはずの小栗がいない事に気付いたのはその後だった。
近くにあったドアや窓を引っ張る。しかし、ビクともしない。
奇妙な状況に、高寺は顎に手をあて黙りこくってしまった。
「……ふむ。」
大谷「いったい何がおきているんだ…なにが…なにがなんだ…」
動揺する大谷の横で、高寺は思案する。
この様子。イマジンでの閲覧で得た情報。
繋ぎ合わせると1つの仮説が湧き上がる。
「まさかとは思うが……こんな能力は初体験だな。
イマジン!」
【ギャリィィィィン!!】
イマジンが高寺の隣に出現。
2人を守るように”紙”のシールドを発生させる。
そこにはこう書かれていた。
【この紙に触れたものは弾けて吹き飛ぶ】と。
同時に大きな物音が発生し思わずそちらへ振り向く。
「お客さんは1人ではないようだねぇ……」
佐藤ひとみはパソコンの前に座って仕事をするフリをしながら探知を続ける。
朽ちた洋館の窓から見えるのは夕日に染まった大きな柱。
まるでルネサンス期の地獄絵図のように人間の手足、顔や体が絡まり柱から飛び出している。
「こういう悪趣味なモノを飾りたがる人間の思考回路って全然分からないわ
綺麗でもなく可愛くもないものに何の価値があるっていうの?バカみたい…」
そんなことを呟きながら探知を続けるが奇妙なことに目的に男の信号はその柱周辺で留っている。
奇妙に思い『フルムーン』を通じて柱に視線を当てる。
柱に埋もれた顔の群れ――
その動かぬ顔の群れが一斉に視線を動かしこちらを見ている。
「ひっ――」
ひとみは思わず声を上げる。
フルムーンを通じて受信する動かぬ人々の視線……
その凝視の群れから視線を外すことができない。
魅入られたようにその視線に近づこうとガラスなど当の昔に無くなった窓から「眼」を侵入させる。
「何よこれ・・・」
視線を外せないはずだ。柱の人間たちはフルムーンの動きに合わせて視線を投げてくる。
「この柱・・・生きている・・・・・・!」
その柱に埋もれた人形の中に見覚えのある男が一人・・・鼻と瞼を喰いちぎられた男――
「なっ何よこれっー?!、まずいっまずいわっ本能的にマズイッッ」
見てはいけないものを見てしまった感覚に思わず『能力』を解除しようする。
―― 解 除 で き な い ――
気づくと館の様子もすっかり変わっている。
その悪趣味さだけはそのままながら朽ちた窓も壁も新築の屋敷さながらに変化していた。
逃げ道を探そうと部屋の中で視線を泳がせる。だが廃屋にあった壁の崩れも朽ちた窓も今は無い。
ふと視線を柱に戻す。柱の顔達は相変わらず視線を投げてくる。
が、柱は空間に溶けるように徐々に薄くなっていき、やがて視線と共に消えた。
柱の消えた後にはまるで柱の影に始めから存在していたかのように男が立っていた。
?げた頭にややねじれた肢体……
指先からは血のような赤黒い液体を滴らせている。
水分を含んだかのような重みのある長いコートを纏った異形の男の姿。
何かしら人を畏怖させ恐怖を感じさせる後姿に全身の血が冷めていくような感覚を覚えた。
ひとみは本能的にこの男を『位置捕捉』のターゲットに設定した。
位置が把握できれば遭遇を避けることもできる。もしもの時に反撃に出ることも……
男はフルムーンに気づくことなく去っていった。
ひとみは多少安堵したが、問題は能力を解除できないことである。
フルムーンには右目を添付させている。フルムーンには眼球の周りの皮膚や筋肉も含まれるため、発動時のひとみの右目付近はまるで眼球の無い人体模型のように剥き出しの状態だ。
能力を長時間解除しないとどうなるのかなど想像も付かなかったが、長い髪で隠すことができるとはいえこの顔のまま日々を過ごさなければならないことの方が、ひとみには耐え難かった。
「『回収』するしかない……」
ひとみは椅子から立ち上がった。
>57
20畳はあろうかというリビングの出入り口は二つ。
一つは泥布の背にあり、もう一つは左手奥。
先ほどなぎ倒した椅子やテーブルが散乱しておりあまり足場がよいとはいえない。
そして四之宮は窓を背にしている。
奇襲の一撃を防がれたのだが、泥布に動揺の色は窺えない。
というかその顔から表情を読み取る事はできないだろう。
元々魚顔だが、ここに着てそれはさらに人間場慣れをし、今や両生類のそれと同じ様相を呈してきているのだから。
四之宮がスタンドを現出させた事に驚きや同様はないが、警戒はしていた。
己の拳を防ぎきったのだ。
ならば近距離パワータイプ。
少々間合いを取りながら無表情の目でじっと四之宮とブラックベリーを睨みつける。
その間数秒。
変化は唐突に現われた。
泥布の咽喉が異常に膨れ上がっる!
「クケエエエエエエエエエエ!!」
奇怪な叫び声と共に吐き出されたのは大量の粘液!
それが放射状に弧を描き、四之宮中心に広い範囲に降り注ぐ!
被ればヌメリ、滑り、力が発揮できなくなるだろう。
>>62 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ──!
まるで地鳴りの音が聞こえてくるような、緊迫した睨み合いが始まってから数秒。
>「クケエエエエエエエエエエ!!」
男は人間ではない何かに顔を変貌させ、奇声と共に口から奇妙な液体を吐き出した。
涎か胃液か、それとも別の特殊な液体か……確かなことは、攻撃には違いないということ。
そして、それに触れるのは危険であるということだ。
しかし──良平の背には退路を断つ壁、液体は良平を逃すまいとあらゆる場所に降り注いでいる。
この位置とこのタイミングでは、良平自慢のブラックベリーをもってしても回避は不可能である。
「くっ!」
良平はなす術なく謎の液体を全身に浴びせられた。
ぬるりとした嫌な感触が肌に伝わる。
ただの粘液性の体液だろうが、だからといってこの不快感に平然としていられるわけではない。
「俺の一張羅を……この──」
と、怒りを露にして力強く床を踏みしめるが、瞬間、足の裏が滑る。
床一面に溜まった粘液が足を滑らせたのだ。これでは自由に身動きがとれない。
即座に良平は悟った。これこそが男の狙いだったのだと。
この男、先程のたった一瞬の攻防で、ブラックベリーの特性を正確に把握したのだ。
(こいつ、闘い慣れしている……!!)
先手、先手を取られ、あげく体の自由を奪われる始末。劣勢は否めない。
だが……だからといって早々に諦めるほど、良平は自分の命を軽く考えている男ではない。
「このヒトモドキが……調子に乗るんじゃねぇ!」
良平は服のポケットをまさぐり、煙草の着火用に使うライターを取り出し、火を点けた。
火は煙草に点火するには調度いいくらいに弱々しい。
変わったところは何も無い。ごくありふれた安物のオイルライターなのだから当然である。
しかし、良平がそのライターを、空中に高く放り投げた、その時だった。
ライターがとてつもない火炎を噴射したのだ。
それはまるで巨大な“火柱”──。
火柱は圧倒的な熱量をもって、リビングを埋め尽くす粘液を蹂躙し、蒸発させていく。
「ブラックベリー──ライターの『火力』を『強化』した──!」
ライターの発火能力を遥かに超えた通常では考えられない火力──
それを可能にしたのが、ブラックベリーが持つ『能力』、“モノの『力』を『強化』する力”であった。
良平は迷うことなく眼前の火の海へと飛び込んだ。
体が焼け焦げることはない。体に浴びせられた粘液が熱を中和してくれるからだ。
良平が火の膜を突き抜けた時、男は射程内に入っていた。
男との距離はおよそ2メートル。
「さっきのお礼だ──。ブラックベリーの拳を──喰らえ!」
ブラックベリーが勢い良く拳を繰り出す。
>63
「ぐげげげげげ・・・!」
四之宮に粘液を浴びせる事に成功した泥布は笑い声とも唸り声ともつかない声を上げ、ゆっくりと間合いを詰める。
最早ここに至っては戦いではない。
捕食者が如何に獲物をしとめるか、というだけの事なのだから。
その驕りが四之宮の反撃を許す事になる。
放り投げられるライターが突如として巨大な火柱となり、リビングに渦巻いていく。
突然の事に顔を覆い後ろに下がるが、予想外のことが起きる。
四之宮が炎の幕を突っ切ってきたのだ。
建物が炎で焼かれる事はないが、四之宮や泥布やその身にまとう衣服はそうではないのだから。
あまりに想定外な事に泥布は回避行動も取れずにまともにブラックベリーの拳を喰らう事になる。
まともに泥布を捕らえたその拳に、四之宮は不快な感触を覚えるだろう。
グニャリ・・・いや、ズルリ、といった擬音が似合う。
まともに殴っているにも拘らず、ヌメリにより力が分散されてしまったのを感触として知る。
それでも殴られた泥布は廊下まで吹き飛ぶ。
が、大したダメージは内容で、すぐに体勢を立て直した瞬間、不可解な動きをした。
突然玄関側に向かって飛んだのだ。
その訳は・・・
廊下から泥布を追尾し除いていたフルムーンの存在だった。
体制を立て直した瞬間、視界の端に入った眼球に驚き、反射的に飛び退いたのだ。
しかしその飛び退いた先には玄関から向かってきている高寺と大杉がいた。
本来ならば二人に激突し、くんずほぐれつな状態になる筈だったのだが、その前にシールドが張り巡らされていた。
【この紙に触れたものは弾けて吹き飛ぶ】
その効果が発動。
大きな激突音と共にはじけて吹き飛び、泥布は二階へと通ずる階段中央あたりまで飛ばされた。
リビングでの火柱。打撃。
そしてここに着ての吹き飛ばし。
泥布のまとう湿ったコートはボロボロになり煙を上げている。
そんなコートを剥ぎ取りながら立ち上がった泥布の身体は・・・
緑色の皮膚に、鱗。
腕や脚にはには鰭がつき、手足の指には水かきが。
全身は粘液に塗れ、これが先ほどブラックベリーの打撃力を分散した原因だった。
顔は両生類然とし、頭頂禿で背には甲羅を背負っている。
それは正に河童そのものだった。
これが泥布一のスタンドの完全装着の姿だった。
「ぐふふへへ。はらからよ、いまこそひとつに・・・!」
異形の姿をあらわにした泥布は不気味な声と共に狂気と殺意が膨らんでいく。
それはもは離れた場所にいても肌で感じられるレベルで!
ゆっくりと大きく手を振りかぶる。
そして・・・振り下ろされた腕は長く伸び、階段中央からでも悠々と高寺と大杉を襲う鞭と化した!
大谷は落ち着きを取り戻し、二人は小栗を探しつつ、洋館の中を探索する…
「クケエエエエエエエエエエ!!」
突然奇怪な叫び声が聞こえた。 二人は様子を見にリビングへと向かう!
リビングに入ると目の前の化け物のような男が飛んでくる!
そのとき高寺のイマジンが発生させた、紙のシールドの効果が発動した!
【この紙に触れたものは弾けて吹き飛ぶ】
化け物のような男は大きな激突音と共に二階へ続く階段中央へと吹き飛んでいった。
着ているボロボロのコートを剥ぎ取った男の姿は、
緑の皮膚に鱗、背中に甲羅、手足の指に水かき、全身に粘液…
まさしく、化け物そのものだった。
>「ぐふふへへ。はらからよ、いまこそひとつに・・・!」
泥布の狂気と殺気が伝わってくる!
そして、泥布はゆっくりと大きく手を振りかぶり、その手は長く伸び、鞭のように二人を襲う!
「頼むぞ! スマートガントレット!」
大谷が大声で叫ぶと彼の後ろに半透明の女性…もとい女性型の"スタンド"が出現する
女性の大きさは大谷より一回りほど小さく、腕が無い、しかし腕のかわりに二つのガントレットが彼女の周りを浮遊している。
彼女のガントレットが指を鳴らすと、二人の目の前に先程まであったシールドが再び出現する。
泥布の攻撃はそのシールドの効果を受け泥布の元へ吹き飛んでゆく。
これがスマートガントレットの能力[直前にやった事をもう一度やった事にすること]である、
しかし他人のやった事に発動させた場合、再度発動させるためには五分ほどの"休憩時間"が必要だ、
そしてもう一つ、彼女は戦闘用ではないため攻撃能力、防御能力共に低い、
高寺にはこの事は説明済みであった、
「高寺さんよぉ… あんたのスタンドがやった事、もう一度使わせてもらったぜ。
次の準備が出来るまで、援護しか出来ねぇが、たのむぜ…」
大谷はそう伝えて高寺の肩をポンッと叩いた。
68 :
荻原秋冬◇6J1m09mANS:2010/02/03(水) 16:01:15 0
屋根に引っかかった写真。
どう考えたって取れそうにない高さにある。
「ふぅ〜、屋根の一番上か。まあ大丈夫だろう」
荻原は2,3歩後ろに下がる。
「いけ、プラントアワー!」
荻原の前に出たものは、全身が緑色で、
両腕両足に植物のつるが絡みついた、人のようなものだ。
これが荻原のスタンド、プラントアワー。
プラントアワーが地面を殴ると、そこから植物のつるが伸びてきたのだ。
つるは屋根まで伸びて、写真を荻原のところへ落とした。
だが、再び突風が吹いて、今度は窓の中へ入ってしまった。
「あっ!ちくちょう、またかよ!」
荻原も近くの窓から入ろうとしたが。
「クケエエエエエエエエエエ!!」
窓から奇怪な叫び声が聞こえ、荻原は足を止めてしまった。
「な、なんだいったい」
荻原は窓からこっそり中の様子を伺った。
見ると、まるで化け物のようなやつが一人。
もう一人はチャック式の服を着た男が一人。
なにがおこっているかはわからない。
その時、荻原は見つけたのだ。
化け物の足元近くに、写真が落ちていることに。
しかし、次の瞬間。
巨大な火柱が渦巻いた。
荻原はあまりの事に、ただ唖然と見ているだけだった。
化け物はドアのほうへ吹っ飛びさらには、
ドアを開けた人物にまた吹っ飛ばされたみたいだ。
どうも二人組みたいだが。
「そうだ!写真・・・」
荻原は本来の目的を思い出した。
写真のあった場所にもう一度目を向けるが、すでに遅かった。
写真は黒焦げになり、ボロボロになっていた。
体をワナワナと震わせながら荻原は、思いっきり窓を開けた・・・
69 :
名無しになりきれ:2010/02/03(水) 20:18:28 0
館に向かうタクシーの中――探知を続ける佐藤ひとみ
「あいつはいいわ…あれはどんな酷い目に合ってもいいゲス野郎っ…
どんなことになろうと知ったこっちゃないわ…畜生ッ!なんで私がこんな目に合うのよッ
…とにかく『眼』は取り戻さなければ…
これからの運命の出会いのためにもこの私の美しさを損なうわけにはいかないわっ…」
「次の角左折でいいんですか?」
運転手が確認のためミラー越しに後部座席の女に尋ねる。
運転手は息を飲んだ。
ミラーの中の女の髪のかかる目のあたりから一瞬ミミズのような触手が何本も覗いているように見えたのだ。
がそれも一瞬でミラーを二度見した時には何事もない女の顔があった。
柱の男、泥布の追尾
>「・・・よくぞきた・・・はらからよ。いまだみたされぬ。ほっせられているのだ。」
柱の男は髪の長い黒い服の男と戦闘を始める。
炎の柱が立ちのぼり、泥布が廊下まで吹っ飛ばされた。
泥布が体制を立て直そうと身構えた刹那フルムーンに気づく。
遠隔操作の眼を通じて送られてきた泥布のアップ画像。
「間違いないわっ!こいつらモロにフルムーンが見えている!
同じ種類の能力を持っているっ…」
ひとみは反射的に映像を切りフルムーンを自動操縦に切り替えた。
機械のような、あるいは甲殻類の殻ような球形のケースのから半分覗いた眼球はケースの中に閉じられた。
変わりにケースの表面に付いたカメラのレンズのようなものが起動する。
ひとみには自動操縦時にダメージが軽減、または無効化されるのではないかという感覚があった。
彼女が男に制裁を加えたのは今回が初めてではない。
その時のある経験からその予測を立てていたのだ。
自動操縦時は録画モードになる為リアルタイム通信ができず動きも単純化されたものになる。
とっさに自動操縦に切り替えたもののそれが得策でないことはすぐに気づく。
「インビジブルに切り替えた方がいい…通信を切るのは危険すぎるわ…
数分映像が途絶えたとしてもフルムーンの居場所を知られるよりはいい…」
彼女が「インビジブル」と名付けたのは一種の光学迷彩の機能で眼球を包むケースの表面を
乱反射させることで透明化させる能力だ。
この能力で撹乱しフルムーンの居場所を悟らせず監視するつもりなのだ。
ただこの能力を使う時は「目を閉じる」必要があるため、通信も録画も不能になる。
そもそも能力の無い人間には見ることのできないフルムーンになぜこんな機能があるのか
本人にも良く分からなかったが
「なるほど・・・こんな時の為ね」
ひとみは妙に納得した。
廃洋館は図書館からそう遠くないところにあった。
フルムーンで探知していた最短コースを使ってかかった時間は20分弱。
ひとみがタクシーから降りると館の前には男が一人ひどく狼狽した様子で大声を上げながら立っていた。
「先輩っ…高寺さーんどこいっちゃったんすかー?!」
ひとみはそんな男に構うことなく館の周囲を歩き回る。
「フルムーンで感知できる館の間取りと館の外から予想できる間取りはほぼ同じ…
中はまるっきり異空間ってわけじゃなさそうね…
中だけ新築ってことは限定空間だけ時間を戻す能力?それとも…」
そんなことを考えながら館の周囲を観察するが、フルムーンが侵入した窓は
簡単に人が入れる高さではなかった。
彼女は男に近づいた。カフェにいた警官の片割れだ。
「あんたの相方、中にいるわね…?あいつらどっから入ったの?!」
小栗は狼狽して答える
「中っていうか急にいなくなっちゃいました…えっえっ?つーか中に入っても
俺だけいつの間にか外にいるんですよ…何なんですかこれ〜?」
半泣きで訴えかける小栗を放置して、ひとみは小栗の指差した正面入口に向かって歩き出した。
「何やってんですか?!危ないですって!中に入っちゃダメですっ 」
小栗は後ろからひとみの肩掴んだ。
その拍子にバランスを崩した彼女の髪が乱れ隠れていた右目の周辺が顕わになった。
「見たわねっっ」
顕わになった右目はぽっかり穴が空き眼窩周辺は皮膚がなく理科室の人体模型のように
筋組織が剥き出しになっている。
ひとみが叫ぶと同時に穴の空いた彼女の右目からは大量の触手が伸びてきた。
触手は小栗に向かってまっすぐ伸びるとありえない力で小栗を撥ね飛ばした。
「能力が解除できない以上中に入らなきゃ回収できないじゃない…別にどうってことないわ…
本体と一緒に無事に帰ってくれば済むことだもの…」
>>64 「……あれは。成る程ね……」
リビングへ向った2人を待ち受けていたのは奇怪な叫び声の主であった。
こちらへ吹き飛んでくるその異形を高寺は悲鳴1つ上げず見据える。
「残念だが、定員オーバーだ。吹き飛ばさせて貰おうか。」
【メシャン!!】
異形の怪物は紙のシールドの【書き換えられた能力】により
2階へと向う階段へと吹き飛ばされた。
そして化物の本性が現れる。人間ではないとしかいえない顔。
背中に在るのは不気味な甲羅。
高寺はその奇妙としかいえない姿に、恐怖を超えた【興味】を抱いた。
「自分の姿を変える能力とは……こいつは初めてだ。
最高だ、最高に面白いぞ!」
>>66 興奮する高寺を余所に、怪物の腕が鞭のようにしなり襲い掛かってきた。
「……ん?」
予想外の攻撃に顔をゆがめる高寺の隣で、大谷が叫んだ。
「スマートガントレット…あれが彼の力か。」
先ほど、彼の記憶を閲覧した時に在った能力の事だ。
目前に迫る鞭を、大谷が出現させたスタンドが再び吹き飛ばした。
>「高寺さんよぉ… あんたのスタンドがやった事、もう一度使わせてもらったぜ。
>次の準備が出来るまで、援護しか出来ねぇが、たのむぜ…」
大谷の言葉に、高寺はニヤっと笑い返す。
イマジンを出現させ、警棒を取り出した。
「あぁ、任せておきたまえ。僕はこういう自分が強いと思っている
奴の鼻っ面を叩くのが一番好きな事の1つなんだ。
イマジン!!”この警棒を切り裂く剣に変えろ”!!」
警棒がスタンドを切り裂ける剣へと代える。
再び襲ってくる腕を、剣道の構えで叩き伏せて行く。
「真面目に警察学校には通っておいて良かったよ…
訓練はしておくべきだな。」
見た目では変化は無いが、スタンド使いには黄金のオーラを
纏っている事が目視出来るだろう。
>>65 (乙です。イメージに近い感じでとても嬉しいです。ありがとうございます)
>63>68
激昂した荻原は思い切り窓を開けた瞬間、違和感を覚えるだろう。
それはこの館に入った異能者誰もが体感する感覚。
まるで深い水の中に入ったような抵抗感と、間近にある人の気配、視線。
そして何より!朽ちていた洋館は一瞬にしてその息を吹き返し、新築されたかのように姿を変えたのだから。
計らずも洋館の内に入ってしまったのだ!
一方四之宮にとっても荻原の出現は驚きだっただろう。
窓は【開いていない】のだ。
荻原は開いていない窓から突如として現われたのだから。
そう、この洋館は内部と外部は一方通行にしか繋がっていないのだ・・・!
>71
正面入り口に入った瞬間、荻原と同様の感覚に襲われるだろう。
それと同時に後ろからおってきていた小栗が消える。
ここは異能者以外立ち入れない館なのだから。
消えた小栗の代わりに目に入ったのは階段の上下で攻防を繰り広げる人外の姿だった。
>66>72
大谷のスマートガントレットの再現能力により弾き返された己の腕で打ち据えられた泥布。
ダメージは受けたものの倒れるというには程遠い。
その証拠に弾き返されたと同時に反対の腕を振るっていたのだから。
弾き返されようともそれが永続効果だとは思わなかったからだ。
事実スマートガントレットの再現能力は5分のインターバルが必要だったわけだが、敵は大谷だけではなかった。
鞭の如きしなやかで早い一撃をいつの間にか剣を持った高寺が叩き伏せたのだ。
腕の長さを戻し手元にのどったおのれの腕を確認する泥布。
細かい鱗と全身を覆う粘液が斬撃を防いだのだが、その痺れと痛みで最早使えそうもない。
しかし両生類のそれとなった泥布は表情に表す事は出来なかった。
「ぐぎゃぎゃぎゃ・・・い、ちどにこれほどえものがくる、とは・・・」
瞼のない瞳は階上から高寺と大谷、そして入り口から入ってきたひとみを捕らえ、感覚的にリビングの四之宮と荻原を感じ取っていた。
耳障りな声で何事か呟くと、今度は先ほどとは逆の行動にでた。
手足頭を縮めたのだ。
甲羅の中に完全収納すると、凄まじい勢いで回転し宙に浮く。
それは巨大な弾丸。
硬い甲羅に粘液。
回転運動によって増幅する80キロの質量。
それが宙を滑る様に凄まじい勢いで高寺と大谷に迫る。
もしも二人が避けたのならばそのまま厳寒入り口のひとみまで飛んでいくだろう。
【>65
飛び上がるほど嬉しいです!多謝!】
>>64>>74 拳が思った以上に速く避ける間もなかったのか、
それとも何か別の理由があったからなのか、それはわからない。
とにかく、男はブラックベリーの一撃を顔面に受け、廊下方面に吹き飛ばされていた。
しかし、良平は眉を顰めた。
『直撃させたにも関わらず、手応えがない』──という奇妙な感覚が残ったからだ。
良平は男から視線を外して殴った手を見る。
そこには、殴る前にはなかった、ヌメっとした粘液が付着していた。
どうやら先程吐き出されたあの粘液と同じものであるらしい……。
「野郎……全身も液体で……。ダメージを分散させやがったのか……」
舌打ちしながら再び目を男へと戻すが、既にその場所には男の姿はなかった。
どうやらリビングではない他の部屋へと移動したようだ。
逃すまいと良平も廊下へと出ようとする。
だが、良平は直ぐに足を止めて、振り返った。妙な気配を感じたからだ。
するとそこには、どうやって入ってきたのか、茶色いコートを着た中年男性の姿。
「──誰だ!? いや……その前にお前、どうやってここに入ってきた!」
リビングの壁を見渡しても、壁に穴は空いていない。窓も開いていない。
廊下に通じる出入り口を除けばこのリビングは密室である。
当の中年男も、わけがわからないといった様子で辺りを見回している。
良平はふとリビングに入った時のことを思い出した。
壁の穴から入ったはいいが、気がつけば壁の穴は綺麗に塞がっていたことを。
「そうか、アンタもこの館に誘い出されて、閉じ込められたってわけか……」
廊下の方で激しい物音がする。
叫び声であったり、何かが叩きつけたりする、尋常ではない音だ。
どうやら、他にも館に入ってきた人間が何人かいるらしい。
バケモノ
「とりあえず互いに自己紹介は後だ。まずはあの男を倒すことが先決だからな」
良平は彼にそう言うと廊下に向けて駆け出した。
廊下では、緑色のジャケットを羽織った青年と、灰色のトレンチコートを着た中年が、
全身緑色の皮膚と鱗に包まれた見たこともない“化物”と闘っていた。
だがその化物は新たな敵ではない。何故なら、全身から見覚えのある粘液を滴らせていたからだ。
「……本当の化物だったとはな……。あるいは、そういう能力なのか……?」
>>65 乙。感謝します。
ギイィィー――
佐藤ひとみは玄関の扉を開けた。
塗料が剥げ落ち金具の取れた扉は悲鳴のような音を立てる。
扉の中に入ったの瞬間、水に落ちたような不思議な感覚と圧迫感。
崩れかかった扉は息を吹き返したように真新しい扉になり入口を閉ざしている。
>>74 玄関に通じる廊下で戦闘を繰り広げる異形と二人の男。
扉を開けた途端、異形の男が変形した甲羅が回転しながら飛びかかってくる。
かねてから『眼』を通じて状況を把握していた彼女は怯むことなく叫んだ。
「フルムーン!」
機械のようなケースから覗く『眼』が空中に現れケースの裂け目から無数の触手が
伸びると彼女の腕に絡み付いた。
絡みついた触手は急速に短くなりその反動を利用して、ひとみは飛び上がった。
玄関は広く二階まで吹き抜けになっている。
空中に跳んだ彼女の姿が突然消えた。
インビジブル発動中に本体が触れると本体もどうやら透明化の影響を受けるらしい。
甲羅の怪物は目標を失う。
>>75 インビジブルの発動時間は長くて2、3分。
能力を解いた彼女は玄関から遠い廊下後方に現れリビングから出てきた二人の男に声をかけた。
「あんたたちもここに閉じ込められたクチね
あいつの能力は『身に纏う』能力。ずっと見ていたから解る
あのドロドロを纏ってダメージを分散させる。あいつとやり合うのは時間の無駄よ…
この館の怪異とは別の能力
ここから出られないのはあいつの能力じゃない
何か別の能力が働いているはずよ」
>>65カッコイイ!ありがとうございます
>>76 >「あんたたちもここに閉じ込められたクチね
>あいつの能力は『身に纏う』能力。ずっと見ていたから解る
>あのドロドロを纏ってダメージを分散させる。あいつとやり合うのは時間の無駄よ…
>この館の怪異とは別の能力
>ここから出られないのはあいつの能力じゃない
>何か別の能力が働いているはずよ」
突然の声。
すぐさま目を向けると、そこには今までいるはずのなかった女が一人、良平をジッと見据えていた。
敵ではない。台詞からも解るように、彼女も良平同様の立場にある能力者に違いない。
いや、彼女だけじゃない。化物と闘っている二人の男も、リビングに突然現れた男もそうなのだろう。
「つまり、能力者を閉じ込める能力者が、他にいるってことか……?」
そこで一つの疑問が湧く。
一体、何が目的でそんなことをするのか、ということだ。
私怨だろうか? いや、少なくとも良平には誰かから恨まれる覚えはない。
例え他の連中にそういった覚えがあったとしても、
そもそも彼らと面識がない良平が間接的に恨まれる道理もないはずだ。
では、そもそも敵に特定のターゲットがいないとしたらどうだろう?
つまり無差別。能力者を無差別に引き寄せ、館に閉じ込める……いや、殺すのが目的だとしたら。
「この町には、確か10年周期で行方不明者が増えるって話があったよな……?
偶然、か……? 前に行方不明者が多発したと言われる年から数えて、今年で10年目……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………。
学校の七不思議のような、誰が流したかもわからない、怪談めいた他愛のない噂話。
そう、彼も今まではそう思っていた。いや、今でもそれは変わらないかもしれない。
しかし、内心では、それを噂話で片付けていいものかどうか、確かに揺らいでいた。
「……いずれにしろ、問題はここからどうやって出るかだ。
能力者が他にいるとしても、そいつをどうやって探す? 仮に館の外にいるならお手上げだ。
それとも、ここから脱出できるルートでもあるのか? あるなら是非聞かせてもらいたいね」
良平は静かに訊ねた。
79 :
名無しになりきれ:2010/02/07(日) 15:55:29 0
>>79 これは良い支援!是非スタンドのえも見てみたいです
81 :
荻原秋冬◇6J1m09mANS:2010/02/07(日) 17:32:09 0
>>75 「――誰だ!?いや……その前にお前、どうやってここに入ってきた!」
黒焦げになった写真を取ろうとしたとき、チャック式の服を着た男が声をかけた。
「どうやってって、そこのま…ど…か…ら…」
振り返ると、いつの間にか窓は閉まっていた。
荻原が閉めたわけではないし、ほかの誰かが閉めたわけでもない。
写真ばかりに気をとられていたから気がつかなかったが。
外から見たときはボロボロのリビングだったのに。
入った瞬間新築のようにリビングが蘇ったのだ。
「そうか、アンタもこの館に誘い出されて、閉じ込められたってわけか……」
「えっ、いや私はしゃ…」
その時、突然廊下から激しい物音が聞こえた。
あの化け物が暴れているみたいだ。
「とりあえず互いに自己紹介は後だ。まずはあの男を倒すことが先決だからな」
そう言って彼は廊下のほうへ向かった。
荻原も追いかけようとしたが、その前に黒焦げになった写真を拾う。
まったく原形をとどめていない写真。
もはや流す涙もない。荻原にとってあまりにもショックが大きすぎるから。
とにかくここを出ようと窓に手をかけるが、まったく開かない。
「あれ、どうなってるんだ」
どうやっても窓は開かなかった。
するとさっきの彼の言葉を思い出す。
(閉じ込められたってわけか……)
いったいどういうことか、荻原は彼に話を聞くため廊下に出た。
>>76 廊下を出ると、さっきのチャック式の男と、髪の長い女性が一人。
その奥のほうには、男性が二人がさっきの化け物と戦っている。
「あんたたちもここに閉じ込められたクチね
あいつの能力は『身に纏う』能力。ずっと見ていたから解る
あのドロドロを纏ってダメージを分散させる。あいつとやりあうのは時間の無駄よ…
この館の怪異とは別の能力
ここから出られないのはあいつの能力じゃない
何か別の能力が働いているはずよ」
するとチャック式の男も、どうやってこの館から脱出すればいいか話してるが、
結局何にもわからないまま。
とにかく考えられるのは、この館を操っている張本人を見つけなければならない。
館の外にその男がいるなら、我々は袋のねずみ。
荻原は白髪交じりのスポーツ狩り頭を掻いた。
「あの化け物とっ捕まえたら何とかなるかな」
荻原はプラントアワーを出現させて廊下を殴る。
廊下から大量の植物のつるが現れた。
つるは静かに化け物の近くに忍び寄っていく。
一瞬の隙を突いて、つるは化け物に向かって勢いよく絡みついた。
突然のことで、化け物もとっさに動くことはできないみたいだ。
化け物の動きがさっきより遅くなっみたいだ。
>>79 これはとても良いですね。乙です。
>>77 迷彩を解きリビングから出てきた男二人に声をかける佐藤ひとみ
男達はぎょっとしたように後ろを振り返る。
髪の長い男が口を開いた。
>「つまり、能力者を閉じ込める能力者が、他にいるってことか……?」
彼女は表情を変えずに答える。
「『能力者を閉じ込める能力』…確かにその類の力が働いてるのは間違いないみたいね。
あのボンクラな方の警官が入れなかったのもここが同じ種類の能力者しか受け付けない
空間になってるからかもしれない…」
>「……いずれにしろ、問題はここからどうやって出るかだ。
> 能力者が他にいるとしても、そいつをどうやって探す? 仮に館の外にいるならお手上げだ。
>それとも、ここから脱出できるルートでもあるのか? あるなら是非聞かせてもらいたいね」
「脱出ルート?そんなものが解れば一人で出てるわよ。
外に働いていたのは『非能力者を排除する』力だけ。『封じ込める』力は中にある可能性が高い…
どっちにしてもここであの化け物とやり合ってもここから出る方法なんてわからない。
これだけ人数がいるんだもの、全員でガン首揃えて化け物と戦う必要なんてないわ。
警官の彼達がせっかく化け物を足止めしてくれてるんだもの。
この館にもう一人別の能力者がいるにしろ屋敷そのものに原因があるにしろ
それを突き止めなきゃここから出られないじゃない。
これからこの屋敷の部屋全部を調べるつもり…
私の能力は探知向き…戦闘向きじゃないわ。
いざって時のガードがいた方がいい。
あんた達二人、どっちでもいいわ…戦闘に自信のある方…付いてくる気ない?」
>>80 中年の男は話の途中で廊下を殴り植物のつるを発生させた。
河童の化け物に絡みつくツタ。
「フン、人の話を聞かない男ね。ちょうどいいわ。化け物も足止めされたことだし
じゃああんたでいいわ。付いてくる気ある?」
彼女の頭上には回収した”スタンド”
透明化を解いた眼球が現れた。
>>79めちゃめちゃカッコイイ!乙!
>79スタンドっぽいのいるじゃん
「こいつは本当に奇妙な奴だ。僕の自信って奴が少し揺らいだ気がするよ。」
館の中央に存在する怪物を観察しながら高寺幸之助は考えた。
この者は言葉尻からして、「普通」ではない。
いままで出会ったどんなスタンドよりも奇妙なのである。
「…おいおい、今度は何だい?…っと!!」
巨大な甲羅が回転しながら2人へ迫る。
何とかバックステップで避けるが、玄関へ向うその先には1人の女性がいた。
渋い顔を浮かべ、女へ向け呟く。
「マズいな……」
そう感じた瞬間、女の姿が消える。
飛び上がった瞬間、何かの物体が見えた。
間違いなく、それはスタンドであると高寺は直感した。
「自分を透明化するスタンドか……なるほど。
ドルド・プラチナで感じたあの奇妙な雰囲気は、間違いではなかったという事か。」
>この館の怪異とは別の能力
>ここから出られないのはあいつの能力じゃない
>何か別の能力が働いているはずよ」
女の言葉に耳を傾けつつ、高寺は怪物の様子を探る。
「あぁ、僕もそいつを考えていたところさ。
これはあくまで予想だが――この館そのものがスタンドである可能性もある。」
女と話していると、更に2人の男が高寺達の方角へ歩いてくる。
> それとも、ここから脱出できるルートでもあるのか? あるなら是非聞かせてもらいたいね」
「さぁね…僕もずっと考えているんだが、生憎答えは出てはいない。
君は彼女とこの屋敷の謎を解いてくれ…必ず何か手がかりがある筈だ。
解けない謎と、明けない夜は無い。これは高寺幸之助のもっとも
好きな言葉の1つだ・・・」
良平とひとみを見据えると再びイマジンと共に怪物へ向っていく。
「さぁ、僕が…いや、僕達が相手だ。君は確か言ったね…はらから――と。
同胞を指す言葉…こいつは何を意味するんだい?」
(
>>79いつもありがとうございます。楽しみにしてます)
>>82>>85 >「脱出ルート?そんなものが解れば一人で出てるわよ。
>どっちにしてもここであの化け物とやり合ってもここから出る方法なんてわからない。
>これからこの屋敷の部屋全部を調べるつもり…
>私の能力は探知向き…戦闘向きじゃないわ。
>あんた達二人、どっちでもいいわ…戦闘に自信のある方…付いてくる気ない?」
と女が答えたところで、あのリビングに現れた中年男が化物に攻撃を仕掛けた。
床に植物のツルが這い、瞬時に化物の体の自由を奪う。
彼の能力、それは恐らく植物を生み出し、操作するという能力なのだろう。
>「これはあくまで予想だが――この館そのものがスタンドである可能性もある。」
>「君は彼女とこの屋敷の謎を解いてくれ…必ず何か手がかりがある筈だ。」
と今度はジャケットを羽織ったあの青年が言う。
彼らの攻撃は化物に全く通用していないというわけではない。
油断のならない相手としても、確かにこれ以上、化物に対して人手は必要ないかもしれない。
>「付いてくる気ある?」
女は頭上に眼球の形をしたモノを出現させて、良平をチラリと見た。
いや、頭上のそれを、モノというのは正しくない。
青年の言葉を借りれば、それは眼球の“スタンド”というべきなのだろう。
「スタンド……スタンド……か。
……誰が考えたのか知らんが、随分とセンスを感じる呼び名だ……」
独り言のように呟きながら、良平は女に改めて目を向けた。
「俺に拒否する理由は無い。──ここは彼らに任せる」
その意思を伝えると同時に、良平は彼女と共に駆け出した。
傍らに、“スタンド”──ブラックベリーを引き連れて。
>>79 感謝。
参加させてください、お願いします
名前:スティーブ・モンズ
性別:男
年齢:12
身長/体重:159・49
容姿の特徴:金髪のショートボブ。切れ長の鋭いバイオレットの目
能力詳細:【ブラック・オア・ホワイト】
ダルメシアンをイメージした獣人型スタンド。近距離パワー型。
ブラックホールとホワイトホールを生み出すことができる。生み出す際には体力を激しく消耗する。
(ブラックホールの「吸い込む」力、ホワイトホールの「吐き出す」力は規模に依存する)
※ブラックホールとホワイトホールについてはSF設定なので実物とは大きく異なります。
人物概要:単独で日本へ旅行に来た少年。欧米出身。
基本フランクな性格だが割とドライなところもあり、マイペースで自分勝手。
チートすぎwwwいろんな意味で痛い
現住民は地味な能力が多いから
【本体】
名前:
性別:
年齢:
身長/体重:
容姿の特徴:
人物概要:
【スタンド】
名前:
タイプ/特徴:
能力詳細:
破壊力- スピード- 射程距離-
持続力- 精密動作性- 成長性-
A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安
A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下
こんな風にもう少し具体的な感じのテンプレに直せばいい。
そうすりゃバランスもとりやすいのでは。
能力というよりキャラが痛すぎるww
四部っぽさが売りだろうからあまり現実離れしたキャラだされても絡みづらいんじゃね
まぁ、あんま排他的になるのはどうかと。新規が来づらくなると困るしな。
>>87に関しては吸い込んだら即死亡するのか、それとも吸い込むだけで何ともないのか、
吸い込む数に制限があるのかとか、そこら辺をはっきりさせてからでも様子見かどうかを決めてもいいと思うが。
洋館への来訪者は5人。
高寺、大谷、四之宮、荻原、佐藤。
そのうちの荻原の能力で出現した植物に【待ち構えていたもの】泥布は絡め取られている。
閉じ込められた人数が多くなって余裕が出来たのか、侵入者たちは館の謎を解く方向へと向かっている。
なかなか冷静な判断といえよう。
しかしそれは館の事を知るものにとってはあまりにも滑稽すぎて・・・
「ゲッゲッゲッゲ・・・!」
泥布はがんじがらめにされながら耳障りな笑い声を上げた。
>「さぁ、僕が…いや、僕達が相手だ。君は確か言ったね…はらから――と。
>同胞を指す言葉…こいつは何を意味するんだい?」
「ある じはいまだま どろみにある
お れ をたお せばおまえた ちはぜつ ぼう とと もにその と いのこ
たえ をえ るだろ う 」
ゆっくりと、しかしはっきりと。
発音法にかなり難があり、癇に障る声で泥布は高寺の問に瞼のない瞳を細めながら応えた。
そして、館中に響き渡るような奇声を上げ、口を大きく開いた。
顔の半分以上が口となり、そこから見えるのは歯でも牙でもなかった。
それは正に針!
太い針が無数に並んだ異様な光景だった。
プラントアワーで作り出された蔦をまとめて引きちぎり、正面の高寺を丸呑みにするかの勢いで襲い掛かった!
【泥布一最後の攻撃。決定リールで倒しちゃってくださいな。】
(>79感謝!絵が描けるってうらやますぃ!)
(>87能力を見て掃除機、と思ったのは秘密だ!よろしくね)
(>89乙です。今度改訂版に使わせてもらいますね)
空気を読まずにオレも考えてみた
【本体】
名前:クリスチャン・ルブタン
性別:男
年齢:26
身長/体重: 187・90
容姿の特徴:いい男 焦げ茶色の髪のソフトモヒカン(それ以外の部分は丸刈り)、ボディビルダーのような体躯
あといつもタンクトップとジーパン
人物概要: GAYBER「PITCHBLACK」のマスター。
口数は多い方ではなくのんびりとした性格で義理人情を重んじる。
人柄のおかげか近所の住人からは慕われている。
【スタンド】
名前:ビッグ・バッド・ボー
タイプ/特徴: 自動操縦型/直径2メートルのガスでできた球体。子供のラクガキみたいな顔。
能力詳細:煙を媒介にして作り出されるスタンド。作り出すのには最低でも10分ぐらいはかかる。
スタンド内のガスは動けば動くほど減る。
ガスのため物理的な接触はできず、本体以外は視覚以外で知覚することができないものの、
1人以上のスタンド能力者に視認されてしまった場合は完全に停止してしまう。
破壊力-(貯蔵しているガスの量で決定)スピード-C 射程距離- (貯蔵しているry
持続力-(貯蔵しているry 精密動作性-C 成長性-B
こんなんでいいのかな?
(新規の方々よろしく。本編の続きは他の方のロール後に書きます。
とりあえず、テンプレを)
【本体】
名前:高寺幸之助
性別:男
年齢:24
身長/体重:174cm/60kg
容姿の特徴:斜めに尖がった髪型、緑色のジャケット、下は普通の警官の服
人物概要: いい加減な性格の警察官。
上司にも逆らうなど無茶苦茶な部分が多い。
コーヒーには砂糖を4つ入れるなど、自分だけの信条に拘ることを好んでいる。
【スタンド】
名前:イマジン
タイプ/特徴:人型、中距離〜近距離
能力詳細: 身長120cm程度の人形のようなスタンド能力。
帽子を被り、小さいながらトレンチコートを着ている。
相手の記憶、人生経験を読み解く事が出来る。
相手(物質、または生物)の性質や強度を【書き込む】ことで
変化させる。
しかし、「命を奪う」ことや「生き返らせる」など直接的なことは出来ない。
破壊力-C スピード-B 射程距離-C
持続力-B 精密動作性-A 成長性-A
【本体】
名前:四之宮良平(しのみやりょうへい)
性別:男
年齢:24
身長/体重:175/64
容姿の特徴:黒のロングを後ろで束ね、上下黒のチャック式の服を着ている。
人物概要:北条町に住む学生。気分屋のため学校には行ったり行かなかったりで留年を繰り返している。
働く気もないため「多分、将来はニートだな」と思ってるダメ人間候補ながら、
親しい知人からは「やるときゃやる男」と評されることが多い。
【スタンド】
名前:ブラックベリー
タイプ/特徴:近距離パワー型/黒い蟻をモチーフにした人型スタンド。頭部に触角がある。
能力詳細:モノに触れることでそれが持つ「力」を強制的に強化(向上・促進)する能力。
ただし自らの力を強化することはできない。
破壊力-A スピード-A 射程距離-E
持続力-B 精密動作性-D 成長性-C
>>新規の方
宜しくお願いします。
警棒を構えた警官姿の若い男がこちらに向かって叫んでいる。
>>85 「…ご立派ね…でも市民の安全を守るのが仕事だもの当然よね…
じゃあ遠慮なく行かせてもらうわ」
ひとみは作り笑いで答えると向きを変え黒い服の男に尋ねた。
>>86 「付いてくる気ある?」
遠隔操作の『眼』を使って目配せすると男は意外にも落ち着き払って答えた。
> 「俺に拒否する理由は無い。──ここは彼らに任せる」
「もの分かりがいいと話が楽だわ…とりあえず化け物の射程の外に出ましょう」
ひとみは男と一緒に駆け出した。
長い廊下を走り射程の外に出るとひとみは立ち止まった。
「闇雲に探し回ってもしょうがないわ。追尾する…」
ひとみが手のひらを下に向け横に滑らせるような仕草をするとそこにB4サイズほどの
透明なシートが現れた。実体ではない、スタンドのシートだ。
シートに衛星からの映像のような遠景が写ったかと思うと見る間に拡大し、
屋敷1Fの平面図が現れた。
「私の『フルムーン』は探知し、追尾する能力…
一度ターゲットを設定したら世界中どこにいても位置が特定できるわ。
今のターゲットはあの化け物だから…この赤い点…現在地は正面入り口から続くホールの階段よ。
もうすぐフルムーンが帰ってくる…それからこの屋敷にいる『能力者全員』を探知する…」
「ところで…私たちの能力…さっきの警官"スタンド"言ってたかしら
あんたの黒い"スタンド"…火柱を出していたわね、火の能力?」
ひとみはフルムーンを通じて覗き見た能力のことを尋ねた。
「それとちょっと確かめたいことがあるんだけど、あんたのスタンドで私のフルムーンを
思いっきりブン殴ってみてくれない?
あー何でとか理由はいいわ。私話の遅い男って嫌い…さっさとやってくれない?」
(テンプレ準備します。当方初心者、勉強中です新規の方よろしくおねがいします)
【本体】
名前:佐藤ひとみ
性別:女
年齢:25
身長/体重:164/48
容姿の特徴:貞子みたいな長い黒髪の鬼太郎ヘアー。スーツ風の白い膝丈ワンピースに黒のダウンジャケット
人物概要:図書館司書。ストーカー気質で思い込みが激しい
【スタンド】
名前:フルムーン
タイプ/特徴:遠距離 半自動操縦。髪に隠れてるほうの右目を飛ばして直盗撮
機械のようなケースに入った眼球
飛ばした目からはクリオネみたいに触手が伸びたり食いついたりする
・ターゲットに定めた相手の位置特定、追尾
・自動操縦時はダメージを受けないが録画モードになる(リアルタイム映像配信不能)GPS位置特定は可能
・自動操縦時はプログラムに従った簡単な動きしかできない
・潜伏(透明化)モード時は録画、通信不能。防御もできない。継続時間は2、3分
・透明化モード時本体が触れると本体も透明化の影響を受ける
能力詳細:
破壊力-D スピード-C 射程距離-A
持続力-A 精密動作性-B 成長性-D
98 :
荻原秋冬◇6J1m09mANS:2010/02/09(火) 13:11:52 0
【本体】
名前:荻原秋冬
性別:男
年齢:50
身長/体重:174/55
容姿の特徴:白髪交じりのスポーツ狩りヘアー、仕事のときは緑の作業服だが。
基本は赤のTシャツにジーパン、ポケットのたくさんついた茶色のコートを着てる。
人物概要:清掃局員。正義感が強いがちょっと小心者。見た目は細めだが、大喰らいな男。
妻と娘がいたのだが、行方不明で今は一人暮らし。
【スタンド】
名前:プラントアワー
タイプ/特徴:近距離〜中距離型/人型、全身緑色で両腕両足に植物のつるが巻きついている。
能力詳細:殴ったところから、さまざまな植物を生み出すことができる。
たとえ鉄の塊でも植物をはやすことはできるが、集中力しだいですぐに枯れてしまう。
さらに、ほかの植物を枯らしたり、元気にしたりすることもできる。
破壊力-B スピード-B 射程距離-C
持続力-C 精密動作性-A 成長性-D
(新規の方、よろしくお願いします。楽しくやっていきましょうね。)
【本体】
名前: 大谷 杉松
性別: 男
年齢: 34
身長/体重: 171/73
容姿の特徴: 灰色のトレンチコートを着ていて、短髪 ぼろぼろの靴を履いている
トレンチコートの下は白いワイシャツにボロボロの灰色ジーンズ。
人物概要:かなりの紅茶愛好家、いろいろなところに旅をしては紅茶を飲んでいる
旅人のためか、けっこう事件に巻き込まれることも多い。
【スタンド】
名前: スマートガントレット
タイプ/特徴: 人型 遠距離〜近距離 女性の体型 長い髪がはえてる
腕が無く腕の代わりのガントレットが浮遊している
意思を持っていて賢いが力は無いに等しい
能力詳細:直前にやった事をもう一度やった事にすること
他人のやった事に発動させた場合、再度発動させるためには五分ほどの"休憩時間"が必要
発動させる際スタンド本体に合図を出す必要がある
破壊力-E スピード-C 射程距離-A
持続力-A 精密動作性-A 成長性-B
(
>>65>>79 凄くうまいです! 大感謝ですよ!!)
(新規の方、よろしくお願いしますね!)
【本体】
名前:クリスチャン・ルブタン
性別:男
年齢:26
身長/体重: 187・93
容姿の特徴:いい男 焦げ茶色の髪のソフトモヒカン(それ以外の部分は丸刈り)、ボディビルダーのような体躯
あといつもタンクトップとジーパン
人物概要: GAYBER「PITCHBLACK」のマスター。
口数は多い方ではなくのんびりとした性格で義理人情を重んじる。
人柄のおかげか近所の住人からは慕われている。
【スタンド】
名前:ビッグ・バッド・ボー
タイプ/特徴: 自動操縦型/直径2メートルのガス状の球体。子供のラクガキみたいな顔。
能力詳細:煙を媒介にして作り出されるスタンド。作り出すのには最低でも10分は必要。
スタンドの内部に煙を溜めることで動力となり、能力を向上させる。内部の煙は動けば動くほど減る。
ガス状のため物理的な接触はできず、本体以外は視覚以外で知覚することができないものの、
1人以上のスタンド能力者に視認されてしまった場合は完全に停止してしまう。
破壊力-(貯蔵しているガスの量で決定)スピード-C 射程距離- (貯蔵しているry
持続力-(貯蔵しているry 精密動作性-C 成長性-B
(こんなオレでもいいのかい。うれしいよ。あんたらが男だったら一発ヤリたry)
>>96 化物の射程外(と思われる場所)まで離れた良平は、そこで一旦足を止めた。
>「闇雲に探し回ってもしょうがないわ。追尾する…」
隣で、女が小さなシートのような物体を出現させたからだ。
シートには何かの平面図が映し出され、その中の一点が赤く光っている。
改めて訊ねる必要もなく間違いなくスタンドだろう。
もっとも、今の良平には、それが何の役割を果たしているのかはまだ解っていない。
それを見透かしてか、女は怪訝な顔をする良平に説明を始める。
>「私の『フルムーン』は探知し、追尾する能力…
>一度ターゲットを設定したら世界中どこにいても位置が特定できるわ。
>今のターゲットはあの化け物だから…この赤い点…現在地は正面入り口から続くホールの階段よ。
>もうすぐフルムーンが帰ってくる…それからこの屋敷にいる『能力者全員』を探知する…」
彼女の言葉から察するに、平面図は恐らくこの館一階の図。
そして赤い点は、彼女が『フルムーン』と呼ぶ、追尾スタンドの現在地だろう。
能力者を探知するというのだから、フルムーンというスタンドには
自動的にスタンド能力を持つ人間を探す能力があるのかもしれない。
だとするなら、確かに何か起こらない限りは、不用意に動き回る必要はないのだ。
そうして、良平が化物を追尾しているフルムーンの帰還を黙って待っていると、ふと女が話かけてきた。
>「ところで…私たちの能力…さっきの警官"スタンド"言ってたかしら
>あんたの黒い"スタンド"…火柱を出していたわね、火の能力?」
「いや……」
良平は首を横に振って多くは語らない。
能力というのは、戦闘になれば嫌でも知られてしまうわけだから、秘密主義に固執しているわけではない。
ただ、現在協力関係にある彼女に対してではない、“館に対しての警戒心”が多くを語らせなかったのだ。
彼女は良平の言葉を聞くと何も訊き返すことは無く話題を切り替えた。
>「それとちょっと確かめたいことがあるんだけど、あんたのスタンドで私のフルムーンを
>思いっきりブン殴ってみてくれない?
>あー何でとか理由はいいわ。私話の遅い男って嫌い…さっさとやってくれない?」
帰還したフルムーンが良平の周りを飛来する。
今の内に力量を確かめておきたい、とでも思っているのだろうか。
パワータイプのスタンドを持つ良平にとっては、ある種の挑発にも受け取れる言葉である。
しかし、当の良平は至って冷静であった。
何故なら、彼女にしてみれば、良平は自分を護るいわば盾である。
それが自分より貧弱であったら話にならないのだから、力量を計ろうと思うのも当然だろう。
「あんたのスタンド……どこまでかは知らないが、随分と遠くまで飛ばすことができるようだな。
ただその分、パワーやスピードはなさそうだ。
俺のとはタイプが違う……その証拠に、“見えなかった”だろ?」
良平が彼女にゆっくりと目を向ける。
するとその瞬間、フルムーンが「バチィン!」と弾けた音を立てて、ふらついた。
スタンドというのは、スタンド自身がダメージを負えば、それが本体にフィードバックされる性質を持つ。
彼女も体のどこかで感じただろう。指で弾かれたような痛みを。
「今のは本気じゃない。
俺の『ブラックベリー』が本気で殴ったら、あんたにもう一人の能力者を探してもらえなくなるからな。
あ……能力者ってよりは、『スタンド使い』……とでも言った方がいいかな?
……ま、そんなことより、満足したならとっとと探してくれ。『スタンド使い』をな」
「…さてと二人も行ったことだし、あとはこの化け物を倒すだけだな」
高寺の前に出て泥布の攻撃にも動揺することなく冷静に"何か"を投げる。
冷静になれたのは、"勝てる自信"と"仲間を信頼"していたからであろう
泥布の足の鱗の間にナイフが刺さる、そして泥布の動きが鈍る。
「特製の痺れナイフだ、さぁ高寺さんやってくれよ」
大谷のスタンドは攻撃用ではないため自分で攻撃する必要がある。
そのための武器がトレンチコートの下には大量にあるのだ。
すいません、本編を読み直したらけっこう攻撃してたので能力値を変えないと
つじつまが合わないみたいです。若干テンプレ変更させてください。
あと1Fの間取りとか勝手に考えていいんでしょうか?
【本体】
名前:佐藤ひとみ
性別:女
年齢:25
身長/体重:164/48
容姿の特徴:貞子みたいな長い黒髪の鬼太郎ヘアー
スーツ風の白い膝丈ワンピースに黒のダウンジャケット
人物概要:図書館司書。ストーカー気質で思い込みが激しい
運命を感じた相手を監視して裏切り(思い込み)があれば報復を繰り返している
年収1200万以下の男には運命を感じない
【スタンド】
名前:フルムーン
タイプ/特徴:遠距離 半自動操縦。髪に隠れてるほうの右目を飛ばして直盗撮
機械のようなケースに入った眼球
飛ばした目からはクリオネみたいに触手が伸びたり食いついたりする
・ターゲットに定めた相手の位置特定、追尾
・自動操縦時はダメージを受けないが録画モードになる(リアルタイム映像配信不能)GPS位置特定は可能
・自動操縦時はプログラムに従った簡単な動きしかできない
・潜伏(透明化)モード時は録画、通信不能。防御もできない。継続時間は2、3分
・透明化時本体が触れると本体も透明化の影響を受ける
能力詳細:
破壊力-C スピード-C 射程距離-A
持続力-A 精密動作性-B 成長性-D
>>105 探索系のスタンドってJOJOで少ないから
こういうタイプ好きだわ
…本体は身近にこういう女がいるから好きになれそうにない
>104
OKです。
広い館という事なので2LDKとかにしないのであればw
あと、能力者全員探知はフルムーンが強化された状態なら地下室に反応が一つ出ます。
しかし反応がある地点にいっても空き部屋があるだけです。
泥布が倒されてから登場、という事でご理解頂けるとありがたいです。
>>92 怪物は、ゆっくりと高寺へ返答した。
『ある じはいまだま どろみにある
お れ をたお せばおまえた ちはぜつ ぼう とと もにその と いのこ
たえ をえ るだろ う』
(何…主?まどろみだと?)
思考を進める暇も無く、怪物は咆哮と共に巨大な口を開く。
針の山のような顔を引き上げ、凄まじい勢いで高寺へ向け迫る―!!
「……くっ!」
咄嗟に身を守ろうと退いたその前に、大谷が姿を現す。
>「…さてと二人も行ったことだし、あとはこの化け物を倒すだけだな」
冷静な判断で怪物の動きを封じたのを確認し、大谷の方を見つめ―
そして、イマジンを出現させる。
「あんたとはさっき会ったばかりだが…感謝している。
この街には、まだまだ僕の知らない良い奴らが要るって事を教えてくれたからね。」
イマジンが怪物の前へ出ると同時にナイフへ筆を取り出し【書き込む】―!!
「直接倒すと書き込めなくても、こういうことなら出来る。
イマジン、そのナイフの効果を”永遠”にまで引き上げろ!!」
ナイフの効果が怪物の動きを完全に封じ込め、高寺がその前に立つ。
「ソラァ……ソラソラソラソラソラソラァ!!」
黄金の精神を込めた警棒を振り回し、連続攻撃で叩き斬る!!
【怪物を警棒で攻撃】
>>102 >「今のは本気じゃない。
>俺の『ブラックベリー』が本気で殴ったら、あんたにもう一人の能力者を探してもらえなくなるからな。
良平のスタンド、ブラックベリーの攻撃を受けて空中のフルムーンは一瞬大きくふらついた。
手加減した攻撃とはいえ、それなりの衝撃。スタンドの性質からして本体は影響を受けて然るべきだが
ひとみは妙な笑いを浮かべて微動だにせず立っている。
「やっぱりね何も感じない…」
今空中を浮遊するフルムーンは眼球が無い。ケースの中に仕舞った状態だ。
かわりに小型カメラのレンズ状のものがこちらを伺っている。
「あんたが自分の能力を秘密にするのは構わない…秘密が武器になることもあるしね。
だけどこっちはそうはいかないのよ…あんたにフルムーンの能力を把握してもらわなきゃ
追跡もガードしてもらうこともできない。不公平だけど仕方ないわ…
でもお互い能力の話は必要最低限ってことね…」
ひとみは良平が自分にではないものに警戒心を抱いていることに多少気づいてか素っ気なく言い放った。
そして、良平のもう一つの質問―スタンドについての疑問―に答え始めた。
「確かにお互いタイプの違う能力のようね。
『見えない』ってことに期待しないで…あれはオマケみたいなものだから。
あんたのスタンドはパワーがあるけどせいぜい数メートルしか離れられないみたいね。
私の"スタンド"の移動距離は…少なくとも数十キロ…それ以上は試したことないわ…
フルムーンは距離に関係なく相手の居場所を特定できる。
一度ターゲットを設定すればフルムーンがどこにいてもこのシートだけで位置を特定できるわ。
能力者…いえ…"スタンド使い"をターゲットにした以上対象を広げることもできるはずよ…
対象はこの屋敷にいる"スタンド使い"全員にする………」
アバウトな探知の仕方だが館の中という限られた空間、それなりに効果はあるはずだ。
しばらく黙った後、ひとみは思い付いたように話を続けた。
「その前に…さっきフルムーンにあんたのいたリビングを周回して
3分後に戻ってくるプログラムを与えておいたわ。これがその録画映像よ」
ひとみは半透明のスタンドシートを良平の方に向けた。
そこには泥布と良平が最初に戦闘を繰り広げたリビングの映像が映し出されている。
「あんたあの部屋で派手に火柱を上げたわね…おかしいと思わない?
テーブルや椅子はぶっこわれてるのに壁やカーテンに焦げた跡すらない…
この館どうもおかしい…2Fに上り階段が無いのにどうも3Fが存在してるみたい…
しかもどうやっても3Fの間取りが特定できないのよ…地下にもなにかある…?」
>106(こんな女現実にいたらこわい)
>107(了解しました考えます)
110 :
荻原秋冬◇6J1m09mANS:2010/02/11(木) 12:46:04 0
>>92 荻原はうまくいったと思った。
プラントアワーで作られた蔓は、普通より強力に作ることができるのだ。
このまま時間を稼げば…
だが、なぜか化け物は笑い声を上げていた。
>「ある じはいまだま どろみにある
>お れ をたお せばおまえた ちはぜつ ぼう とと もにその と いのこ
>たえ をえ るだろ う」
不気味な声だ。
どう考えても化け物としか思えぬ不気味な声。
その時、化け物の口が大きく開らき、プラントアワーの作った蔓を引きちぎった。
化け物はそのまま正面の二人に飛びついた。
(まずい、このままじゃあの二人がやられる)
プラントアワーで助ける時間がない。
>>103 化け物があとすこしというところで、灰色のトレンチコートを着た男がナイフで化け物を刺した。
ナイフに仕掛けがあったのか、化け物の動きが鈍ったのだ。
>>108 緑色のジャケットを着た男が、ものすごい勢いで警棒で化け物を叩き斬っていた。
これなら勝てるか、荻原はそう思ったが。
化け物のガードは結構硬いみたいだ。
あの化け物がくたばるまで体力が持てばいいが。
荻原は歯を食いしばり精神を集中させて、プラントアワーをだして再び床を殴った。
今度は蔓ではなく、芽がでてきた。
蔓より遅く出てきてるのだが、どんどん大きく成長していく。
巨大な植物を生み出すこともできるが、その分荻原の精神力がかなり削られる。
当然育つスピードも普段よりかなり落ちる。
だが、火事場の馬鹿力というべきか。
植物の育つスピードが上がった。
完成された植物はとても巨大な食虫植物。
ディオネア ムスシプラ、ハエ取り草だ。
人一人分なら簡単に挟み込める大きさに育った。
時間がなかったために一つしかできなかったがこのさい仕方がない。
荻原は叫んだ。
「そこのお二人さん、もし出来たらその化け物を
この食虫植物に向かってふっ飛ばしてくれ!」
ハエ取り草が大きな口を開けながら、化け物のほうを向いた。
>>109 女は探知を始める前にと一方的に会話を進める。良平はその傍らで、ふと背後を振り返った。
館に入った時に感じたものと同様の、何者かの視線をさっきから感じているのだ。
しかし、後ろは通ってきた一本の廊下が広がるのみで、直ぐ近くに誰かが居る気配は無い。
得体の知れない館に入ったことで神経質になっているだけなのかもしれない。
だが、何故かそういう気がしない。そう直感させる程に背筋がザワついたのだ。
「…………」
>「その前に…さっきフルムーンにあんたのいたリビングを周回して
>3分後に戻ってくるプログラムを与えておいたわ。これがその録画映像よ」
彼女の声に、良平はハッと我に返った。
慌てて首を戻すと、その前には、最初に良平が化物と遭った
あのリビングを映したスタンドシートが差し出されていた。
何が言いたいのかと、いまいちピンとこない顔をする良平に、彼女は言葉を続ける。
>「あんたあの部屋で派手に火柱を上げたわね…おかしいと思わない?
>テーブルや椅子はぶっこわれてるのに壁やカーテンに焦げた跡すらない…
>この館どうもおかしい…2Fに上り階段が無いのにどうも3Fが存在してるみたい…
>しかもどうやっても3Fの間取りが特定できないのよ…地下にもなにかある…?」
良平は画面に目を凝らす。確かに、言われてみればどこにも焦げ跡がない。
あれだけの炎が噴き上がったにも関わらず、壁や天井、床さえも不自然なほど綺麗なのだ。
しかも、更に彼女は、スタンド能力でも特定不可能なフロアがあると言う。
(スタンド能力……にしても……それは館に能力がかけられているからというよりは……)
良平は先程のジャケットの警官が言っていたことを思い出した。
『これはあくまで予想だが――この館そのものがスタンドである可能性もある。』
(まさか……館自体がスタンド? 見られている感じがするのもそのせいか……?)
いずれにせよ、敵能力の詳細については、依然推測の域を出ないものである。
ただ、同時に複数のスタンド使いを閉じ込めることが出来るほどのパワーとなると、
この近くに本体が居る可能性は高いと言えるだろう。
強力なパワーを発揮するスタンドであるほど、そういった制限が付き物だからだ。
つまり、スタンド能力で特定できない謎のフロアに、本体が潜んでいてもおかしくはないのだ。
「全く、かくれんぼには付き合ってらんねーよ……」
と良平は頭をかいて、彼女を流し目で見据える。
そして、小さな間の後、ふぅーと息を吐いて言った。
「もう一度、館のスタンド使いを探知してみな。
少なくとも……さっきよりは見つけられる可能性があるはずだ」
良平が流し目をした瞬間、彼女は気がついただろうか?
そう、フルムーンの『探知能力』が『強化』されたことに──。
(途中参加の俺はどのタイミンで投稿すれば…観てるだけでも充分面白いから別にいいかw)
(ところで
>>1の方はどうしたんだろう?)
>103>108>110
高寺に飛び掛る泥布の動きが直前でガクンと鈍る。
投げつけられたナイフが足の甲を貫いたからだ。
それでも動きが止まらなかったのは床にナイフの刃は通らず縫い付ける事はできなかった。
狙いは完全ではなかったが、高寺の反撃の間を作るという役割には十分すぎた。
「ソラァ……ソラソラソラソラソラソラァ!!」
無数に浴びせかけられる黄金の精気を込めた警防がほぼ無防備な泥布の身体に打ち据えられていく。
これだけ打ち据えられれば無残な惨殺体になりそうなものだが、それをさせないのが粘液と細かい鱗だった。
決定的な斬撃となり得ない中、徐々に泥布の体勢が盛り返し、咽喉が膨れ上がる。
この至近距離から大量の粘液を浴びせかけようとしているのだ。
粘液を浴びれば警棒を振るうどころか立っていることも困難になるだろう。
その時立場は逆転し、高寺と大谷は一瞬で殺される、筈だった。
粘液を吐き出そうとした瞬間、無数の斬撃のうちの一つが泥布の頭に当たる!
ピシッ!!
それは斬ったというより、割ったという感触。
「ぐっがあああああああああ!!」
頭頂部に大きなヒビを入れれ、苦悶の声を上げ吹き飛んだ。
その先に待っていたのは……それはあまりに残酷な結末。
巨大なハエ取り草が大きな顎を開け待ち構えていた。
吹き飛んだ泥布が葉に触れた瞬間、杭のような棘を無数に持つ葉が閉じられた。
閉じられた葉の間から顔と右腕だけはみ出た泥布から大量の血が流れ出る。
いや、血だけではない。
身に纏っていた粘液も流れ出て、河童の顔が崩れてきているのだ。
「う・・・ははは・・・ありがとう・・・よ・・・これでようやく・・・死ねる・・・。
おれのかわり・・・を・・・」
血と共に末期の言葉を吐き出す泥布の顔が急速に老けていく。
30代後半だった顔は一気にやせ細り、80を越すような老人となりこときれた。
こうして泥布は死んだ……!
死んだのだ!!
しかし館に変化はない!
変化はないはずなのに!確実に変化が起きている!
それは本能!異能者としての感覚がそう告げている!
__ __ _ __
/::ヽ. 「::::l /} /:::/ /´::::/ /´::::> ,.-.、_ __,,..、
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V:::::l /::::}. l:::::!ヽ一' l/ /::::::< └-' 〈_:/ /::::://:::::::/,.ヘ. /:::::/
V:::レ::::::::r' .l:::::l /:::;へ::::\ /:::::< ー-'<:://::::::://:ヽ
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時同じくして二階に上がり探索をしていたメンバーにも同じ感覚に襲われていた。
>109>111
フルムーンが探知した異能者。
1階に赤い光が一つと黄色い光が三つ。
2階に黄色い光が二つ。
泥布とこの館に迷い込んだ5人。
それだけだった。
しかし四之宮の能力によって強化されたフルムーンの探知にさらにひとつ、地下室に光点を灯す。
直後、1階の赤い光点が消えた。
それは1階の3人が泥布を倒した事を意味していた。
__ __ _ __
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館に変化はない。
しかし巻き起こる違和感!
ここでフルムーンの探知に異常が起きる。
光点がさらに三つ増えたのだ。
それだけでは収まらない。
7!13!29!33!51!急速に増えていく光点!
もしこれが正しいのであれば二人の間にも異能者がいなくてはおかしい!
つまりは、館の見取り図を出していたシート全体が光点に覆われてしまったのだから!!
5人が全感覚でこの違和感と威圧感を感じている中、それは現われた!
「ふわぁああああああ!50年ぶりくらい?」
階段ホールの吹き抜けの何もない空中にその男は立っていた!
気だるそうな眼は半開きで、寝起きかのような様相で大あくび。
170センチほどと決して大きくはないが、筋骨隆々な肉体を誇示するかのような褌姿だった。
異常な姿ではあるがそれをツッコム事すら忘れるほどの威圧感を全身から漲らせている。
眼をこすりながら一堂を見回すと、ニヘラと笑みを浮かべる。
「ようこそ我が館【留流家】へ!
君たちは実に50年ぶりの入れ替わりというわけだ。」
両手を挙げ高々と宣言すると、館はまたも一変する。
絨毯も、壁紙も消えむき出しとなる【それ】!
おぞましくも眼を逸らさずに見るのであれば、埋め込まれた人間だった!
床も!壁も!天井も!柱も!
ひとみには判るだろう!
これは造詣などではなく、全て【生きている人間】!!しかも【異能者】なのだ……と!
泥布が柱に女を塗りこめていたのはこの館を作る一部でしかなかったのだ。
無数の異能者たちを塗り固め、この館は作られていた。
これこそが四之宮が感じていた視線の正体!
そして……これは偶然なのか必然なのか!
荻原の足元には………………抱き合い塗り込められた物言わぬ妻子の姿があった!
【本体】
名前: 泥布 一(ディープワン)
性別: 男
年齢: 38(実年齢88)
身長/体重: 170・75 (165・45)
容姿の特徴: 固太り・頭頂禿・魚顔
人物概要: 湿ったコートを羽織った謎の男。
その実、洋館に捕らわれ待ち構えるもの、になってしまった男。
50年前に洋館の待ち構えるものを倒し、代わりに待ち構えるものになってしまった。
【スタンド】
名前:カフカ
タイプ/特徴: 装着タイプ・粘液
能力詳細: 粘液状のスタンドで、本体の身体に纏わりついて河童体型となる。
破壊力-B スピード-B 射程距離-D
持続力-A 精密動作性-C 成長性-E
A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安
A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下
取りあえず話をはじめようという事で当て馬に出した泥布はこれで終了です。
新キャラのテンプレはまた次回。
>>112 お待たせしてすいませんです。
今回出した新キャラは顔見せ程度ですぐ区切りつきますので少々お待ちくださいな。
泥布との戦闘後のリビングを映すスタンドシート―
男はシートを覗き込むと何か思い当たるフシでもあるのか考え事を始めた。
ひとみは男が明らかに自分の話に集中していないことに焦れて男を無視して"スタンド能力者探知"を始めた。
リビングの映像が消え、1F平面図に切り替わる。
映し出されるマーカーは全部で5つ。
2つは廊下にいる良平とひとみ。残り3つはホール階段付近の泥布、高寺、大谷だろう。
スタンドシートがレイヤーを剥がすように分離し2F平面図が1Fの上に現れた。特に反応はない。
3Fと地下に空間があることはおぼろげに解るのだが間取りの特定が出来ない。
『フルムーン』は現実の空間は知覚できてもこの世のものでない空間
―異空間―とでもいえるものがあるとすれば、それは知覚はできない。
またはスタンド能力の知覚能力を遮断するような力が働いているとしたら…
>「もう一度、館のスタンド使いを探知してみな。
>少なくとも……さっきよりは見つけられる可能性があるはずだ」
いつの間にか良平がひとみの横に立ちスタンドシートを覗いて意味ありげな目つきで視線を送っている。
ひとみは背中を叩かれた様な軽い衝撃を感じ、一瞬スタンドの抜けた右目にカッと熱さが走った。
自動操縦を解いていたフルムーンの黒目部分が輝くように赤く光る。
「見えたわっ!
外部廊下から入れる教会の下に地下室がある…」
教会は洋館敷地内の別棟に建てられているが通路を通じて洋館から行き来ができる。
そしてこの教会はひとみが最初に覗き見た―柱の部屋―
1F平面図のスタンドシートの下に地下室のレイヤーが分離する。
「3Fの間取りは無理だわ…屋根裏にしては広い空間があるってことがわかるだけ」
そう話した直後、教会内部に微弱だがスタンド能力のマーカーが無数に現れ、すぐに消え
かわりに地下室にひときわ大きなマーカーが1点現れた。
「教会…行ってみる必要がありそうね…」
廊下を走りながらひとみは隣の男に話しかける。
「…さっきのあれ…あんたの能力ね…」
ひとみも今は良平の"館に対する警戒心"を理解してそこまでしか聞かない。
「どうせここから出るまでの付き合いとはいえ名前がわからないのも不便よね…私は佐藤ひとみ」
男が能力を見せたことで多少信用する気持ちが湧いたのかひとみは自ら名乗った。
廊下から教会へ向かう通路への扉を開けようとした瞬間
右手付近に浮遊していたスタンドシートからアラーム音が鳴った。
1Fホール階段付近の赤いマーカーが1つ砕けるように散りそして消滅する。
「やったわね、彼らあいつの息の根を止めたみたいね…」
ひとみが立ち止まり、言いかけたその時……
シートに浮かび上がる赤い点…赤い点の数々
見る間に増えていきシートを埋め尽くすその点にひとみは思わず声をあげた。
「何?なによっこれッ?!」
平面図は完全に赤で埋め尽くされた。こうなると探知は意味をなさない。
「ホールに行ったほうがいいわ…この異変、あいつが死んだせいよ…きっと…」
http://imepita.jp/20100212/095360 (館の平面図考えてみました。チラシ裏のらくがきですいません
実際の建築物としてはかなり無理があると思います。これ使えますか)
>>114>>116 >「見えたわっ!
>外部廊下から入れる教会の下に地下室がある…」
スタンドシートにこれまでなかった新たな光点が現れ、女が声をあげた。
光点が現れた場所は地下室。
ただ、厳密にはこの館の地下ではなく、館と隣接している教会の地下だという。
教会と聞いて良平は一つのことを思い出した。
それは、あの奇妙な柱があった部屋のことである。
今から思えば、覗き見たあの部屋の内装は、確かに教会のような感じであった。
「あそこか。できればあそこには近寄りたくなかったが…………行くしかねぇな」
周囲を警戒しながら教会へ向かう良平に、ふと女が話しかけてくる。
>「…さっきのあれ…あんたの能力ね…」
>「どうせここから出るまでの付き合いとはいえ名前がわからないのも不便よね…私は佐藤ひとみ」
「敵陣のど真ん中にいるってのに、あんたもおしゃべりだな。
……けど、名前がわからないってのも確かに不便だ。俺は四之宮良平。
互いにここを出るまでの短い間だけでも覚えておくことにしようか」
そうして、互いに軽い自己紹介を終えたところで、突然佐藤のスタンドシートが音を発した。
佐藤が立ち止まるのを見て、何か不都合でもあったのかと良平も立ち止まる。
しかし、何かあったのは、どうやら化物の方であったらしい。
>「やったわね、彼らあいつの息の根を止めたみたいね…」
佐藤の言葉と共に、スタンドシートから、赤い光点が砕けるようにして消滅したのだ。
その意味は彼女の言葉通りということになるのだろう。
「如何な化物でも、流石に三人を相手にするのは、ちと苦しかったようだな……」
と、良平は化物のいたホールに続く通路を何とはなしに振り返った……
その瞬間、彼は視界に広がった信じられない光景に、思わず顔を強張らせた。
ドドドドドドドドドドドド……!
「こ、これは……一体……!」
視界に広がったもの……それは、壁や床、天井一面に隙間なく埋め込まれた、無数の『人間』であった。
しかも、彼らはその眼球をギョロリと良平達に向けている。
彼らは今この時も良平達を認識しているのだ。つまり、『生きている』──!
隣ではシートを見る佐藤が悲鳴に近い驚きの声をあげている。
それも無理はない。シートにはこれまで館に居る人数分しか光点がなかったにも関わらず、
今はシート全体が光点で埋め尽くされるほどになっているのだから。
この時、良平は理解した。これまで感じていた視線は彼らのもの。
そして、無数の光点も彼らの反応なのだと。
「や……『館がスタンドだった』わけじゃなく、『館がスタンド使いの集合体だった』とは……!
しかし、何故こんなことに……?」
>「ホールに行ったほうがいいわ…この異変、あいつが死んだせいよ…きっと…」
思案する良平に、佐藤が冷静に言葉を投げかける。
良平は彼女と目を合わせると、小さく頷いて、ホールに踵を返した。
「とんでもねぇ館に来ちまったぜ……。財布を無くしたといい、今日は厄日だな」
119 :
名無しになりきれ:2010/02/14(日) 03:03:25 0
五人が解放された時、既に夜の帳は下りていた。
振り返ればそこはただの崖しかなく、悪夢のような洋館はその跡すらない。
ただそれが夢でなかった事は、それぞれの手の甲にうっすらと見える鱗が証明していた。
突如として現われた褌姿の男は九頭龍一と名乗った。
そこから始まる館の恐るべき力!
そして五人に課せられた残酷な運命!
九頭龍一のスタンドは【留流家】
館そのもの。
外部とは隔絶した異空間を作り出し、異能力者を呼び寄せる。
館で倒された者は殺される事はないが館の一部となり、九頭龍一の生命維持のための養分となる。
異能者を取り込む事により、留流家はより強大になっていく。
そうやって九頭龍一は100年以上生きてきたのだ。
九頭龍一自身には何の力もない。
留流家によって養分を吸収し、行き続けるだけなのだ、が……
館の一部にされた異能者能力を使うことが出来るのだ。
まるでタンスの扉を開け服を入れておくように!
キッチンでフライパンに火をかけるように!
館の一部になった人間は洗脳され、九頭龍一の部下となり身を挺して守るので洋館内では正に無敵なのだ。
また、留流家にはもう一つ、最悪なルールがあった。
館内で【待ち構える者】を倒したものは、新たなる【倒した者】になる!
その力が発動し、五人の手の甲には異能者だけが見える鱗が現われたのだ。
五人に与えられた選択肢は少ない。
待ち構える者となり館と共に生きる。
一ヶ月以内に3人の異能者を館に捧げ、館との繋がりを絶つ。
ゲームに勝ち残り、九頭龍一を倒す。
尚、北条市から、即ち留流家の効果範囲外へ逃亡した場合は手の甲の鱗が全身を侵食し、意思を乗っ取られて館の一部となる。
ゲームとは、狩る者と狩られる者。
留流家を開放し、戦闘タイプの異能者を北条市に放つ。
狩る者と戦い、あるいは回避し、北条市のどこかに眠る九頭龍一を倒せば自動的に留流家は消滅し解放される。
五人が倒した泥布は50年前、ゲームに破れ待ち構える者となった者の成れの果て、なのだ。
危険なゲームだが、九頭龍一を倒せる唯一にして最大のチャンスでもある。
「嘘偽りもなく事前に全て説明する事。それがルールなのだよ。
他人の運命を支配するにはこういう制約も必要のようなんだ。」
眠たそうな九頭龍一は投げかけられた疑問にそう応え姿を消したのだった。
今この時を以って、北条市は異能者たちの戦場と化す……!!
【そういった訳で、敵スタンド使い大募集!】
留流
↑これなんて読むの
5人は九頭からゲームのルールを聞く…
「まったく、面倒なことになったな… まぁやるしかない。」
「俺の名前は大谷杉松…杉松でいい」
そして大谷に疑問が浮かぶ。
「九頭、聞こえているか!? この町には俺達のほかにもスタンド使いがいる、そいつらはどうなるんだ!」
海を望む崖―
今宵は満月
時刻はとうに夜半を回り冴えた月が天頂から五人を照らす。
影さえはっきり現れる明るい月の下、五人は海に背を向け館のあった方向を向いて立っている。
「…無駄よ…大谷さん…
あいつはもうここにはいないわ…ここに出てる反応は私たちのだけ」
佐藤ひとみはシートを見つめながら大谷杉松に声をかける。
「この街に何人スタンド使いがいようとそんなことは関係ないわ、きっと…
私たちは選ばれたツイてない人間ってわけね…」
つい先刻館の中では
「嫌っ嫌っ嫌ッッッ!!!絶対嫌よッッ
館に来る人間を狩るなんて私の能力じゃ不向きッッ
こいつら四人のうちのどれかにすればいいでしょッ?私の知ったこっちゃないわよ!!」
…髪を振り乱しヒステリックに叫び散らした彼女であるがようやく冷静さを取り戻し覚悟を決めたようだ。
九頭龍一の提示した選択肢は三つ……
>待ち構える者となり館と共に生きる。
>一ヶ月以内に3人の異能者を館に捧げ、館との繋がりを絶つ。
>ゲームに勝ち残り、九頭龍一を倒す。
「で?どうする気…?
誰かが犠牲になって館に残るっていうのなら私は遠慮しないわよ。
誰だって自分が可愛いものね。館に閉じ込められてあの化け物みたいな末路をたどるのは真っ平よ。
残る人間がいないっていうのなら選択肢は残り二つ。
どっちの方がやれる可能性が高いかってことよね…」
「一ヶ月以内に三人のスタンド使いを見つけるっていうのはかなり難しいかもしれないわ。
私がここにきた原因の男…フルムーンが見えていたフシがあるから自分でも気づいていないけど
何らかの能力を持っていた可能性が高いわ。
この街にどれだけの"スタンド使い"がいるのかわからないけど能力を持ってるってことは異端…
簡単に能力を見せるとは思えないわ。自分で気づいていない可能性だってあるし…
三つ目の選択肢の『ゲーム』…これも難しいわ…
ただ…最終目的はあの変態褌男"九頭龍一"を倒すってことなんだから
あいつがどこにいるのか特定できれば可能性は無くはないわ。
九頭は館から離れられない…
あいつが差し向けてくる追っ手…そいつをフルムーンのターゲットに設定できれば
ターゲットを拡張して館の位置を特定することもできるかも知れないわ。
追っ手は"館の一部"なんだから同じ匂いが染み付いているはず…。
問題は…一人ではできないってこと。
私の能力は戦闘向きじゃないんだから…誰も協力しないっていうのなら私は二番目の選択肢を選ぶわよ。」
>119(ダサくないですカッコイイです。今回のもすごくいいです。ありがとうございます。)
125 :
荻原秋冬◇6Jm09mANS:2010/02/16(火) 15:34:13 0
波の音がよく聞こえる。
5人の異能者たちは館のあったほうへ目を向けていた。
その中で荻原だけは目に涙を浮かべていた。
九頭龍一が現れ、館が一変したときに荻原の見たものは、
10年前に行方不明になった妻子の姿があったのだから。
妻子の姿を見たとき、荻原に声が聞こえた。
たす…けて…お父さん…
間違いなく荻原の耳に聞こえた……自分の娘の声だ。
気がつけば館は消え、九頭龍一のルールを聞いていた。
待ち構えるものとなるか
異能者を捧げるか
あるいは、九頭龍一を倒すか
荻原はポケットにある黒焦げになってしまった写真を握り締めて、涙声で叫んだ。
「私の大切な妻と娘を取り戻すことができるなら
九頭龍一"を倒す!」
>>119 すごいカッコイイ!本当にありがとうございます。
あと贅沢かもしれませんが荻原の絵も描いていただけてもらえないでしょうか。
お願いします。
>【そういった訳で、敵スタンド使い大募集!】
こんなんどう?
【本体】
名前:ボブ・バンソン
性別:男
年齢:39
身長/体重:189・112
容姿の特徴:黒人、ベリーショート、革ジャン、ボディビルダー並の筋肉
人物概要:日本で活躍していた外国人プロレスラーだったが、諸事情で引退。
帰国する予定だったが…
冷静を装っているがかなりの豪傑。バイ。
【スタンド】
名前:ニュー・ディヴァイド
タイプ/特徴:装着型・クラゲと人を足したようなスーツ
能力詳細:本体ごと液状化させるスタンド。液体ならばあらゆるものと同化できる。
また本体と同じ質量までなら液体を操ることも可能。
破壊力-C スピード-B 射程距離- B
持続力-B 精密動作性-C成長性-E
ウホッいいキャラ
【本体】
名前: 九頭 竜一(仮名)
性別: 男
年齢: ?
身長/体重:188・90
容姿の特徴:筋骨隆々の20代中盤の褌男。
人物概要: 館の主。眠そう。
【スタンド】
名前:留流家
タイプ/特徴: 洋館
能力詳細: 特殊空間を内包する洋館を作り出す。
館の中には異能者しか入れない。
侵入は出来るが脱出は出来ない。
壁や柱は異能者が埋め込まれる事によって作られる。
主である九頭は埋め込まれた異能者の能力を使う事が出来る。
埋め込まれた異能者は死んではおらず時間が止まる。
館には常に待ち構えるものがおり、それを倒すとその人物が新たなる待ち構えるものになってしまう
破壊力-E スピード-E 射程距離-A
持続力-A 精密動作性-E 成長性-B
A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安
A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下
#######################################
一般スタンド使いは協力するもよし、3人の生贄にするために戦うもよし
館からの【狩るモノ】は今回の5人だろうが一般スタンド使いだろうが襲い掛かり館の一部にしようとします
ですので、【狩るモノ】役はとっても簡単
戦う理由が要らないのでスポットワンバトル気分で参加できるお手軽ポジションです
ぜひとも多数のご参加を〜。
出ないと話が成り立たないのでw
>ボブさん
いらっさい!よろしくお願いします!
>>123>>124 館の外は、既に夜となっていた。そんな暗闇の中を良平はただ立ち尽くす。
その目は館がある方向へと向けられているが、視線の先には何も無い。
館は、良平らがホールで『九頭龍一』という男と出会ってから直ぐ、忽然と消えてしまったのだ。
良平達に、過酷な運命だけを残して……。
遡ること十数分前……
良平はホールにて、『九頭龍一』と名乗る褌姿の奇妙な男に会い、そこで全てを理解した。
彼が館のスタンドを持つスタンド使いであるということ。
館にスタンド使いを取り込み、養分を吸うというその能力のこと。
館に埋め込まれた人々は彼の餌食となった犠牲者であるということ。
そして、自らに、過酷な運命が課せられてしまったのだということを……。
九頭龍一が館と共に姿を消す直前、彼はあるルールを明かした。
それはある三つの選択肢から一つを選び、それをそれぞれが遵守しなければならないというものだった。
その選択肢とは
@「待ち構える者となり館と共に生きる」
A「一ヶ月以内に三人の異能者を館に捧げ、館との繋がりを絶つ」
B「送り込まれた異能者との闘いに勝ち、九頭本体を叩く」
どれを選ぶべきなのか……多くが迷ったとしてもそれは不思議ではない。
しかし、良平は迷わなかった。ルールを聞いた直後から、心の中で決めていたのだ──。
良平が、かつて館があった場所を見据えるその周囲では、
佐藤ひとみ、大谷杉松と名乗った灰色コートの男、ジャケットの警官、植物を操る男と、
館に足を踏み入れた全員が揃っていた。
良平はまず全員を一瞥すると、煙草を吹かしながら静かに言った。
「俺はゲームに勝ち残る方を選択するぜ。
館と共に生きる方は論外だし、もう一つの三人の異能者を捧げるってやつも、
要は無関係な人間を犠牲にしろってことなら、心情的に選ぶことはできねぇしな……。
……あんたらはどうすんだ?
決まった奴もいるみたいだが、もし俺と同じ選択をしたなら……互いに協力しないか?
その方が生き残る確率も高いはずだし……ま、嫌ならいいが」
不意にビュゥと風が吹く。夜の冷たい風が肌に凍み、小さく体を震わせる。
「……どうするにせよ、早くこんな吹きっさらしの場所からは移動した方が良さそうだな」
>>119 人型なので、できればもう少し人間っぽくしていただけると嬉しさ倍増です。
気が向いたら書いてやって下さい。とにかく乙でした。
>>125あとで新キャラと一緒にうpするよ
>>129わかったやってみるがデザイン力無いからあまり期待しないでくれ
ところで四之宮良平って前髪あり、なし?
俺的にはなんでか「銀と金」の森田がイメージに浮かんだんだけどイメージ近いキャラいる?
131 :
名無しになりきれ:2010/02/18(木) 00:30:29 0
>>130 特にイメージしたキャラはいませんが・・・
前髪は二本だけ長いのを垂らしてるってイメージですね。
133 :
荻原秋冬◇6Jm09mANS:2010/02/18(木) 16:21:52 0
>>129 >「俺はゲームに勝ち残る方を選択するぜ。
>館と共に生きる方は論外だし、もう一つの三人の異能者を捧げるってやつも、
>要は無関係な人間を犠牲にしろってことなら、心情的に選ぶことはできねぇしな……。
>……あんたらはどうすんだ?
>決まった奴もいるみたいだが、もし俺と同じ選択をしたなら……互いに協力しないか?
>その方が生き残る確率も高いはずだし……ま、嫌ならいいが」
荻原は目に溜まった涙をぬぐいながらチャック式の服を着た男のほうを向いた。
「私も君の意見に賛成だ。
確かに一人より何人か協力したほうが効率もいい」
あの長い髪の女性も、一人じゃ九頭龍一を倒せないといっているからすぐに乗るだろう。
大谷と名乗った灰色のコートの男もやるみたいだが、
ジャケットを着た警官はまだどうするのかはわからない。
波の音が聞こえると同時に、冷たい風が吹いた。
身を切るような寒さに、誰もが体を小さく小刻みに震わせている。
>「……どうするにせよ、早くこんな吹きっさらしの場所からは移動したほうが良さそうだな」
「あっ、それなら私の家がここから近い。もう深夜だし、よかったらどうだ?」
荻原の家はこの海岸沿い近くの別荘地帯にある。
この場所からだったら、約10分程度で着く。
館があった場所に駐輪しておいた自転車のスタンドを上げて、荻原は皆を誘った。
すると荻原がアッ、と声を上げた。
「そういえばまだ名前を言ってなかったね。
聞きたくなければいいけど……私の名前は荻原秋冬だ」
>>131 すごい!イメージどうりだ。ありがとうございます!
ものすごい感謝。
なにここ
平たく言うとリレー小説
136 :
名無しになりきれ:2010/02/19(金) 02:14:54 O
あ
ぺたり、ぺたりと足音を立てながら九頭は館を歩いていた。
床を、壁を、天井を見回しながら……
「さて、何しろ50年ぶりのゲームだ。特にいきのいい者達だったな。」
ゲームに参加する事になった五人を思い浮かべながら呟く。
それだけではない。
異能者は他の異能者とひきつけあう。
九頭の留流家は特にその力が強く、北条市に異能者が集うのはそのためである。
異能者同士が戦いという激しい交わりを持った時、ひきつける力は更に強くなり、また新たなる異能者を呼び寄せる。
連鎖的に集まり異能者達は大きな渦となって留流家へと取り込まれ、九頭は更に強力な力を得るのだ。
「ん〜〜〜、まずは……お前と、お前。それにお前もだ。」
慎重に、しかして迷う事無く九頭は壁や床に埋め込まれた異能者たちを館から引き出していく。
誰もが犠牲者ではあるが、留流家の力により九頭の忠実な僕となっている。
「さて、我が血肉たちよ。新たなる同胞を迎えに行くのだ!」
高らかに宣言する九頭に引き出された異能者たちは恭しく頭を下げ散っていく。
留流家は異能者を飲み込み成長するスタンドである。
九頭や留流家自体には戦闘力はない。
それどころか、異能者を飲み込むことにより生命を維持している。
逆に言えば館を形作る異能者がいなくなれば生命を維持できないのだ。
強力な能力を持つ異能者ほど館や九頭に大きなエネルギーを供給する。
即ち……ゲームのために館の一部である異能者を放つという事は、そのまま九頭の命を削る事にも繋がるのだ。
強力な異能者や、数多くの異能者を差し向けすぎると自滅しかねない。
圧倒的な力を誇る九頭を倒す千載一遇のチャンスがこのゲームでもある。
ゲームによって強力な異能者を飲み込み生命を繋ぎ更に強さを増すか、命を削られトドメを受けるか。
九頭にとっても命がけの戦いなのだ。
それでもこの戦いは続く。
それが九頭の「生きる」という事なのだから!
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ゲームが始まった翌朝。
町は何も変わらない。
少なくとも一般人にとっては。
しかし確実に変わっている。
店にいきなり新しい店員がおり、その事を尋ねても以前からいたと当然のように答えが返ってきて、周囲もそういう認識である。
待ちに見知らぬ不審者が歩いていても周囲はそれを自然な事と認識し、誰も騒ぎ立てない。
些細な事だが、町は、いや、町の人間全体の認識が変わっていた。
気付かないのではない。
認識できない不自然さ。
それが留流家がゲームを開始するために発動した力なのだ!
【
>>122 亀レスすいません。留流家(るるいえ)と読みます
>>131 相変わらずクオリティー高い!そして仕事も早い!ありがとうございます!
といったわけで、街中で怪しい奴や、不自然に店員やってたりしても怪しまれないフィールド展開しました。
TRPGスレやってみたいけど大変そうなんて思っているあなた。
刺客異能者ならそういったものは不要で戦いだけでOKですよ!
ジャンジャン参加してくださいな。
理由付けとかあまり考えなくても戦っちゃえばいいのですから。物は試しにドウゾー。】
崖の上、月の光は身を切るような冷たい空気を冴え冴えと照らしている。
佐藤ひとみは月を見るのが好きだった。
形がいろいろ変わって全部の形がキャッチーで可愛いし特に満月はテンションが上がる。
しかし今夜はそれどころではない。
>>129>>133 四之宮良平と荻原と名乗った男は九頭の持ちかけた勝ち残りゲームを選択することに決めたようだ。
ひとみはシートから目を離すと口を開いた。
「…パワータイプの協力者が何人かいれば九頭のゲームに乗るのが一番可能性が高いかもしれないわね。
あんたたちが協力するって言うのなら、私もこのゲームに乗るわ。
四之宮君、荻原さん、取りあえず宜しくってとこね。私は佐藤ひとみ。」
ひとみは二人の方に向き直ってちらりと一瞥を投げた。
「…言っておくけど館で使った"スタンド能力者探知"はアテにしないで。
さっきやってみたけど街全体なんて広いフィールドから能力者を特定するのは無理。
反応がぼやけてマーカーが出ないわ。建物外部の空間で能力者を探知するのは半径100mが限界ってとこね。
でも九頭の追っ手をターゲットにできれば『留流家』の場所は特定できる可能性が高い…
あの館は言わば九頭と同じタイプのスタンドの塊だもの。かなり大きな反応が出るはずよ。
そのためには一度九頭の追っ手と戦う必要があるのが問題だけど…」
ひとみはダウンジャケットのポケットに手を突っ込んで寒さを堪えながら説明を繰り返した。
そして歩き始めた良平と荻原の後ろで出し抜けに言葉を付け加える。
「悪いんだけど私帰っていい?
仕事あるし明日合コンなのよ…それも医者相手の…
協力するにしろしないにしろずっと5人で固まってるわけにはいかないでしょ?
このゲーム何日かかるか解らないんだから。
フルムーンにはターゲットのデータを10件まで登録できるの。
取りあえずここいにる5人は記録したから誰かの居場所が知りたかったらすぐ特定できるわ。
携帯の番号教えとくから何かあったら電話して。」
それだけ言うと携帯を取り出して番号を教えるとタクシーを呼び始めた。
佐藤ひとみはタクシーにフルムーンで上空から見た道順を事細かに指示しながら歩いていく。
(現在の参加者で固まっているよりも一度バラけた方が他の方が参加しやすいかなと思って
こうしましたがよかったでしょうか?フルムーンの能力でいつでも合流は可能です。)
>131(乙です。ありがとうございます。ゲイバーのアニキかっこいい!)
聞けば、佐藤ひとみ、大谷杉松、、『荻原秋冬』と名乗った植物使いの男が
良平と同じくゲームを選択して、その内佐藤と萩原が協力にも前向きな姿勢を示していた。
『高寺幸之助』と言う警官は分からない。彼は態度を有耶無耶にしたまま、一人早々に姿を消していた。
別れ際、萩原に良平らは近くの別荘地帯にあるという彼の自宅へと招かれたが、
佐藤ひとみと良平は彼の申し出を丁重に断った。
彼女は仕事や合コンが明日に予定されているからという理由で、
良平は自宅の戸締りをしてこなかったというのがその理由だった。
「明日の朝にでも、そうだな……『ドルド・プラチナ』で一度落ち合うことにしようか。
時間は九時にしよう。彼女は無理みたいだが、まぁ連絡先は分かってるからな。
何か分かれば彼女にも電話するということで。
……あぁ、そうそう。俺は四之宮良平。覚えておいてくれ」
良平は萩原達にそう言い残し、自宅アパートのある市内住宅街に向かって去っていった。
──翌日。
良平は窓から差し込む朝日で目が覚めた。部屋の時計は八時を刺している。
普段は昼過ぎまで寝ている彼にとって、久々に健全な時刻での起床である。
いつもなら早起きしてしまったと、ここで二度寝するところだが、今日はそうもいかない。
「もう朝か……ったく……」
約束の時間を何でもう少し遅くしなかったのかと軽く後悔しながら、
良平はまだ睡眠を貪ろうとする衝動を何とか抑えて、軽く身支度を整える。
そんな時、玄関のチャイムが鳴った。
「はいはい、こんな朝早くにどちらさんですかァ?」
ぶつくさ言いながら玄関を開けると、そこには巨漢の四十代といったおばさんが立っていた。
途端に良平の顔が引きつる。
彼にとって最も顔を合わせたくない人物が、アパートの大家であるこのおばさんと言ってよかった。
良平の脳裏に滞納した今月分の家賃を催促される映像が浮かぶ。
良平は先手を打つようにあーだこーだと言い訳を口にし始めるが……
「これ、あんたのでしょ? すぐそこに落ちてたわよ」
と言って大家が差し出す右手には、なんと無くしたはずの財布が握られていた。
どうやら中に入っていた免許証で誰のものか分かったらしい。
本来なら喜ぶところなのだろうが、大家に拾われてしまったことで、悪い予感が良平を襲う。
そしてそれは的中した。
「結構お札が入ってたから今月の家賃分として2万円程抜いておいたわよ。
残りは今月中に払うように、いいわね!?」
大家は財布を渡すとギロリと凄んで去っていった。
開いて財布を確認すると、中は情け程度に残された800円の小銭があるのみだった。
玄関から台所に行き辺りを見渡す。そこにあるのはゴミを収めたゴミ袋だけで、食べ物は無い。
冷蔵庫の中も開けるが、中はバターや調味料があるだけだ。
「やれやれ……これじゃここでは生活できねぇな。
やっぱ誰かの家でしばらく厄介になるかしかねぇか……」
そう言う良平の頭にあの萩原の顔がパッと浮かぶ。
「……こんなことなら昨日から厄介になっとくんだったぜ」
良平は再び玄関に行き、履きならした革靴を足に滑り込ませて、部屋を出た。
そして、約束の時間には少し早いが『ドルド・プラチナ』に向かった。
140 :
名無しになりきれ:2010/02/21(日) 15:20:29 0
九頭龍一の館に閉じ込められた悪夢のような夜の翌日
佐藤ひとみは市立図書館のカウンターで"スタンド能力者探知"をしていた。
「あいつらがお人好しのボンクラで助かったわ。
5人で15人のスタンド使いを探すより1人で3人を見つけるほうが断然楽だもの…」
態度を不明確にしている者もいるが少なくとも2人は九頭を倒す"生き残りゲーム"を選んだ。
…九頭の提示したもう一つの条件は『1ヶ月以内に3人のスタンド使いを提供する』こと。
この件に関してはライバルが減ったということである。
街全体のスタンド能力者探知は不可能とはいえ地道に半径100mの探知を続けていれば
幸運が続けば1ヶ月に3人位の能力者は見つけられるかもしれない。
もちろん3人のスタンド使いが見つかるという保障は無い。そして見つけられても彼らを捕獲し
九頭に提供することの難しさを考えるとあくまでこれは―保険―
『九頭を倒すためのゲーム』に乗ることが本命ではあるが、保険は入っておくに越したことはない。
幸いひとみの職場は種々雑多な人々が訪れる図書館だ。
入れ替わり訪れる人々の中に能力者がいる可能性は無くはない。
そう考えてクモが網を張るように暇を見て能力者を探知しているのだがそう簡単に見つかるものではない。
「…すいません…すいません!」
出し抜けにカウンターにやってきた男性利用者に声をかけられて、ひとみは我に返った。
「申し訳ありません。考え事をしていたものですから…」
ひとみは軽く謝り男の持ってきた本を受け取った。
男の持ってきた本は『セメント樽の中の手紙』
男は手続きが終わっても去りがたい様子でカウンター付近をグズグズしている。
そして意を決したようにひとみに話しかけた。
「れ…恋愛小説お好きですか?」
ネルシャツにジーンズのさえない男の問いかけに、ひとみは思わず心のなかで毒づいた。
「はぁ?恋愛小説?あんなクソの役にも立たないもの読むなんて相当のヒマ人でしかもモテない奴。
恋愛は狩るつもりで思い込まなきゃ手に入らないわよバカじゃないの?」
ひとみは本音を押し殺して笑顔で答える。
「作品によっては好きなものもあります。恋愛小説の世界って女性の憧れですから…」
男はひとみの答えになぜか嬉しそうに照れながらカウンターから離れていった。
「あの男久しぶりに来たわね」
カウンターに利用者がいなくなった隙に同僚の女性が声をかけてきた。
「半年くらい前までよく来てたわよね。ひとみがカウンターにいるときしか来ないのよね彼。
あんたがカウンターに出るまでずっとあのへんで待ってたのよね〜」
同僚の女性はニヤニヤしながら話すが、ひとみにはその記憶が無い。
「はぁ?そうだったっけ…?」
いかにも金のなさそうな冴えない男…ひとみの好みとは正反対、鼻も引っ掛けない男の行動など
彼女の記憶からきれいサッパリ消去されていたようだ。
乱立保守
144 :
名無しになりきれ:2010/02/23(火) 10:45:56 O
age
緊急保守
すいません、導入に時間がかかるかもしれないので先に始めさせてもらっていいですか?
もし絡みづらかったら一人でもいけるネタなので放置していただいてもけっこうです。
せっかちですいません。
>>140すごいムードあっていいですね。
>>143-145保守ありがとうございます!荒らしすごかったですね。
トリップまちがえましたすいません。
【ん〜長らくお待たせしてしまってスイマセンデス。
これからどうしようかと迷っておりまして。
このまま私がまた新たに敵キャラやっても館での戦いの焼き直しになっちゃうなあとね。
いっそのことここからの戦い端折って館の最終決戦に入っちゃおうかなんてのも考えております。
ここから先の展開何か考えているようでしたら是非お願いします。】
どなたか来てくれるまでノトーリアス・B・I・Gタイプの本体死亡自動操縦型スタンドを相手に
進めようかと考えてたんですがどうでしょうか
是非よろしくお願いします!
勤務終了後、佐藤ひとみは職場近くのカフェで時間を潰していた。
『勝負合コンは30分遅れて顔を見せる』が佐藤ひとみの持論だった。
ガツガツしてない感を演出できるし遅れた方が却って印象に残りやすい。
これもひとみの持論であるがステイタスのある男は上品コンサバに弱い。
ローンで買ったオフ白のカシミヤのコートにシルク混の白シャツ、
ウエストの細さをアピールできるハイウエスト気味の上質ウールのタイトスカート
高すぎず低すぎない7センチヒールのパンプス…と
さり気無いが資金を惜しまぬ出で立ちで今日の勝負合コンに臨んでいる。
注文したエスプレッソを飲み終えると、ひとみは腕時計(カルティエ)にちらりと目を落とし立ち上がった。
まだ合コンに向かうつもりはない。メイク直しと服装の最終チェックのためだ。
ひとみはカフェから出ると近くのデパートに向かった。
メイクルームの鏡が大きくて使い勝手がいいからだ。
デパートに入ってすぐ、ひとみは入り口付近のイベントスペースの壁に設置された
複数の液晶スクリーンのうちの一つにふと目をとめた。
見覚えのある男が画面に映っている。
液晶スクリーンでは電車の人身事故のニュースが報じられていた。
スクリーンに映された男の写真の下に出た名前は「田所善和」
二十代半ばの髪を斜めに分け、メガネをかけた冴えない顔――
今朝図書館でカウンター越しに声をかけてきたあの男だ。
「へぇ〜人の運命ってわからないものね…今朝はあんなにピンピンしてたのに
この人『セメント樽の中の手紙』なんて借りていったけど、電車の事故じゃ
あれに出てくる工員みたいにぐっちゃぐちゃになっちゃったのかしらね。
お気の毒にね、ご愁傷様。」
とたいして気持ちを込めずに心の中でお悔やみを述べる。
>150(うまくやれるか分かりませんがやってみます)
ひとみがメイク直しの穴場として利用しているメイクルーム
元々利用者が少ないのだが平日の夕刻ということもあってメイクルームには誰もいない。
思う存分化粧直しと服装のチェックを終えると、ひとみは最後の仕上げとばかりに鏡を見つめた。
「取りあえずは完璧だわ…」
出来栄えに悦に入っている最中、携帯の着信音が鳴った。
見たことのない番号だ。
普段なら無視するところだが昨夜のことがある。何か緊急の要件で連絡でも…と考えて
ひとみは通話ボタンを押した。
「ハァ…ハァハァ…ハァ…ハァ…」
通話先からは泣いているような、あるいは笑っているような妙なリズムの息遣いが聞こえる。
「変態…死ね…!」
変態のイタ電かと思い通話を切ろうとしたその時
「ひとみさぁ〜ん…ひとみさぁ〜〜ん……」
土の下から聞こえるかのごとく低い呻くような声が聞こえる。
ひとみは思わずゾッとして通話を切ろうとするが……
何度ボタンを押しても通話が切れないのだ…
「ひとみさぁ〜〜ん…」
通話を切ろうとするその間も不気味な声は名前を呼び続ける。
「な…なによ〜これ?」
まるで怪談とも言える状況にひとみが思わず情けない声を出すと、それを待っていたかのように電話の声の調子が変わる。
「うふ…ふふふふ……うふふふふ…」
突然泣き笑いのような声を出す通話相手。
「佐藤…ひとみさん…ですよね…スタッフカードに名前書いてあった…
ずっとあなたを見てました……
僕…うれしいんです…ようやくあなたと一つになる方法がわかりました…
僕は一足先にぐちゃぐちゃになりましたから一緒に混ざり合ってしまいましょう…!
見ているだけはもう終わり…これで永遠に一つになれますね…うふふふふ………」
153 :
荻原秋冬◇6J1m09mANS:2010/02/25(木) 16:29:28 0
海岸沿い近くの別荘地帯を荻原は自転車で走っていた。
結局誰も荻原の誘いに乗らず、それぞれ家に帰っていったのだ。
自宅の前に到着すると、自転車をガレージに入れて家の中に入っていった。
リビングの明かりをつけて荻原はソファに体をあずけた。
「……夢じゃ……ないんだな……」
九頭龍一の留流家で、自分の妻と娘がつかまっていたことが信じられなかった。
どうしても助けたくて九頭龍一を倒すことを選んだのだが。
自分の手の甲に見える鱗を見た。
負けてしまえば館の一部となり、自分の一生は終わったに等しくなる。
せっかく覚悟を決めたのに……体が無性に寒くなる。
ふと、荻原はテーブルの上にある写真立てを見た。
そこには家族そろって旅行に行ったときの写真。
妻と娘が行方不明になる少し前の時に撮ったものだ。
荻原の頭の中からあの時の楽しい思い出を思い出した。
思い出に浸っているといつの間にか荻原の目に涙が流れていた。
自分が泣いているということに気がつくと、自分の頬を軽く叩いた。
「そうだ……俺しか助けることができないんだ。
俺がしっかりしてなくてどうするんだ!」
荻原はもう一度誓ったのだ。
九頭龍一を倒し、妻と娘を取り返してまたあの時の楽しい生活に戻るのだ。
そういえば四之宮と名乗った男が明日の9時に『ドルド・プラチナ』で待っていると。
荻原は自分の胸ポケットに入っているスケジュール帳を見た。
運良くも明日の仕事は休みだ。
明日『ドルド・プラチナ』に向かってみようと荻原は決めた。
>>126 プロレス好きなんでjojoの世界にプロレスラーいたらうれしいわ
バンソン現れてくんないかな??
スタンド使いのレスラーなんて考えただけでボッキッキ
某百貨店のメイクルーム
通話は切れない。
携帯の向こうからは相変わらず不気味な笑い声が聞こえている。
「僕ずっと見てました…今日のひとみさんとってもキレイだ…一度マスカラ塗るのに失敗して
落としてから塗り直したみたいですけど…
死に化粧としては申し分なくキレイですよ…うふふふふ……」
ひとみは謎の通話相手に向かってキレ気味に叫んだ。
「黙れ!変態ッ!!あんた誰なのっ?!名前くらい名乗ったらどうなの?!このド変態ッッ!!!」
間抜けな質問だ。この場合問題にすべきなのは、どこから見ていたのか
そしてなぜ通話が切れないのかだ。
「…ふふふふふ……嬉しいです…やっと僕に興味を持ってくれたんですね…
ふふふふ…僕の名前は『田所善和』…ずっとあなたを見てました………そして…今も
あなたの後ろにいます……」
ゴゴゴゴゴゴゴ―――
「………。」
佐藤ひとみは冷や汗をかきながらゆっくりと後ろを振り返った。
後ろには誰もいない。
ひとみは思わず安堵のため息をもらしたが、すぐにその感情は怒りに取って変わった。
「……このド変態ストーカー野郎ッッ!!どこまで人をコケにする気ッ?!
女をビビらせてあそこを膨らましてるド変態のくせにッッ」
ひとみは携帯電話に向かって怒鳴り散らしながら首を戻し鏡の方に向き直った。
携帯片手にさらに悪口雑言…怒りをぶちまけながらも、ふと鏡に目を向けると
自分の後ろに男が立っている――――
ハッとして振り返ると男はいない…だが鏡の中には確かに立っている。
(思ったんですけど漫画サロンのジョジョスレあたりで宣伝して参加者を募ってみるのはどうでしょうか
自分もそこらへんから流れて来たんですがやってみたら思ったより楽しかったので他の人にも知ってほしいというか
潜在的な需要はあると思うんですが
もし荒れたら困るからこういうのは止めたほうがいいですよね?よく事情知らないくせにすいません)
鏡の中の佐藤ひとみの後ろに立っている男…
ついさっき入り口付近の液晶画面で見た顔だ。
オシャレ系とは反対の意味で無造作な髪型、どこといって取り得の無い顔の痩せ型で貧相なメガネの男。
男は今朝見たネルシャツ姿のまま虚ろな無表情でひとみの後ろに棒立ちになっている。
本物の幽霊の表情とはかくやと言わんばかりの虚無的な表情で…
ひとみは罵詈雑言を吐いていた口を閉じる間も無いまま鏡の中の男に釘付けになった。
つい先ほど電車の事故で死亡が報じられていた男…振り返っても存在しない男が確かに鏡の中に居る。
無意識に携帯電話を持った手を下ろしながら半ば思考の止まった頭で考える。
「これはあれ?スピリチュアルとかオカルトの世界のあれ…?」
佐藤ひとみは「はぁ?スピリチュアル?何あの霊感商法?」この手の話は鼻で笑って馬鹿にしているタイプだが
目の前に現れられたら信じざるを得ない。
考えてみれば憑依霊というのはある意味幽霊のストーカーとも言えるのではないか。
…などと思考は巡らせていても体は動かしていない。鏡の中の自分と男を見つめ続けている。
すると鏡の中の男の背後にぼんやりと影のようなものが現れ、影は徐々に濃くなり人型になっていく。
やがて虚ろな表情の男より濃いほどにくっきりと現れた影。
確かに人間の形をしている。
はっきりと現れた影のような男は田所より大きく中腰の猫背でありながら田所の後ろから頭一つを覗かせている。
全身黒いタイツを纏い頭に黒のほっかむりをしたような異形の姿。
顔部分には手彫りの木の仮面のような色と形の単純な造りの顔が嵌っている。
その仮面は目と口を細く掘っただけ鼻は尖った三角形という原始的な面だ。
両目の下には縦に三つずつ丸い穴が開いていてそれが涙のようにも見える。
まさにプリミティブな『嘆きの仮面』………
体は前かがみの猫背でやけに手が長い。
その手には大きな肉切り包丁のようなナタが握られている……!
鏡の中の仮面の男はゆっくりとナタを振り上げると…
佐藤ひとみの首のあたりを狙って渾身の力を込めて振り下ろした!
(導入長くてすいません。できるだけ早く終わらせますので)
>>139>>153 ドルド・プラチナに到着した荻原を迎えたのは四之宮だけではなかった。
奥の席から立ち上がり微笑む女。
それは見間違えるはずもない、荻原の妻だった。
10年前、子供と共に消えたその時のままの姿で。
写真で見たその時のままの姿で。
昨日、留流家で床に埋め込まれていたその時のままの姿で。
「あなた……。」
か細く呟き荻原の胸に飛び込み、小さくすすり泣いた。
小さくふるえる肩の感触も、温もりも、匂いすらも。
10年ぶりだが間違えるはずもなく妻であった。
そして荻原の胸に顔をうずめながら事情を説明する。
10年前、留流家に捕らわれ子供ともどもその一部になってしまった事を。
運命の導きか、荻原はゲームに参加する事を知り、志願して出て来た事を。
「あなた、お願いします。留流家の一部になって。
そうしたら家族三人一緒になれるの。例えそれが館の一部としてでも……!」
紡ぎだされたのは驚くべき言葉だった。
助けて、ではなく、一緒に館の一部として生きよう、と。
「一人……そう、この人一人倒せば私たち家族は一緒に待ち構える者、としてくれるといったわ。
10年に一度、館に誘われてきた人を倒さなければいけないけど、それ以外は家族で暮らせるの。
もしあなたが断れば、あの子が殺されてしまう……!
だからお願い!この人を、倒して!」
妻の賭けだったのだ。
夫を説得し、一人倒す事が出来れば母子は床より出され、夫と共に待ち構える者となることが許される。
しかし説得に失敗すれば子供は殺される、と。
妻は哀願し、四之宮を倒すように指を突きつけた。
【本体】
名前: 鈴木章吾
性別: 男
年齢: 29
身長/体重:190・65
容姿の特徴: 痩身で手足が長く顔色が悪い
人物概要: 留流家に捕らわれていた異能者の一人
【スタンド】
名前:アイドルメーカー
タイプ/特徴: 人型・近距離
能力詳細: 心を読み取りその理想像の幻を見せることができる
心の理想や願望の投影なので多少不自然な点があっても本人は気づき難い
破壊力-C スピード-C 射程距離-D
持続力-B 精密動作性-A 成長性-E
(
>>156 やってみたら思ったより楽しかったので〜って言うのはなによりの喜びですねい。
愛好者が増えて嬉しいですよー。
メジャーなジャンルというよりごく一部のスラング的な遊びですので知名度は低く人の流入が少ないですからねい。
新しい窓が開くのなら大歓迎。
このままだと徐々に澱んで行ってしまうので、参加者を募るに賛成に一票ですが他の皆さんはいかがでしょうか?
ただ賛成ですが、漫画サロンなど他板の事を知らないので募集についてはあまり力になれないかもしれないです。)
【鏡の中の男の攻撃】―――
仮面男はひとみの首をめがけて手に持ったナタをフルスイング!!
ひとみは咄嗟にしゃがみ込んだ。
頭の上にスイングされたナタの風圧を感じる。切れた髪の毛が数本宙を舞った。
「ひぃぃ…〜」
実体のない男の突然の攻撃に腰を抜かしそうになる佐藤ひとみ。
気を取り直し鏡を見ると、ひとみの後ろに立っていた死相の田所は既におらず
黒タイツ仮面だけがヌメるように光るナタを手に立っている。
仮面は再度狙いを定めて、しゃがみ込んだひとみの頭を目掛けてナタを降り下ろした…!
しゃがんでしまった為素早く身動きが取れない。
ひとみは金切り声で叫んだ。
「フルムーンっ!!」
虚空にケースに入った『眼』が現れ彼女の右目は空になる。
眼の入っているケースから無数の触手が伸び、鏡に映った男が現実にいそうな所に
アタリをつけて巻き付いた。手応えがある…!
鏡の中を見ると仮面男は無数の触手に腕を絡め取られてナタを振り上げたまま手を止めている。
だがフルムーンは攻撃向けのスタンドではない。おそらくパワータイプのナタ男に完全に力負け…
このままでは触手を引き千切られナタを頭の上に降り下ろされるのは時間の問題…
既に無数の触手のうち2、3本は軋んだ音を立てて切れ始めている。
ひとみは冷や汗をかきながら男の力に対抗するが打開策は浮かばない。
男のパワーにより触手の半分が緩みもはや障害にはならない。
仮面男はさらにゆっくりナタを振り上げる。
ひとみはその様子を鏡を通じて見ていることしかできない。
「ひいえぇぇぇぇええ〜…」
思わず声を漏らし目を瞑りそうになったその時………
突然、男は煙のようにかき消えてしまった……。
今度こそ本当に腰を抜かし床に座り込む佐藤ひとみ。
(懐かし漫画板の四部スレかスタンド能力考えたスレあたりでこんな感じで募集しちゃっていいですか
もともと荒らす感じのスレでもないしスルーされるかもしれませんが)
宣伝です。四部の世界観を基にしたTRPGに参加しませんか?
TRPG方式はコテハンがキャラクターをそれぞれ持ち寄って物語を紡いでいく方式です。
それぞれのキャラの視点で物語を書いていく即興劇とか一種の群像劇といえます。
いうなればキャラクター分担型合作SS。
【TRPG】異能者達の奇妙な冒険【ジョジョ】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1263181246/ キャラクターのテンプレ
【本体】
名前:
性別:
年齢:
身長/体重:
容姿の特徴:
人物概要:
【スタンド】
名前:
タイプ/特徴:
能力詳細:
破壊力- スピード- 射程距離-
持続力- 精密動作性- 成長性-
A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安 A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下
参考サイト
http://verger.sakura.ne.jp/
今一人相撲してる相手(NPC?)のテンプレです
【本体】
名前:田所善和(たどころよしかず)【死亡】
性別: 男
年齢: 26
身長/体重:167/58
容姿の特徴: 万年ネルシャツにジーンズ。メガネ、オタク風の冴えない男。
人物概要: 文学オタク。佐藤ひとみに粘着質な想いを寄せていたが半年前、九頭龍一の館に取り込まれた。
死んでから発動するタイプのスタンド能力を持っていたらしい。
【スタンド】
名前:
タイプ/特徴:本体は死亡、コントロールを失っているため完全自動操縦。
能力詳細:佐藤ひとみの姿の映るものに現れナタで攻撃をしかけてくる。一回の攻撃時間は30秒。
映る物のあるところにしか現れず、鏡やガラスにしか映らないがスタンドには触れられる実体がある。
射程距離は憑り付いている佐藤ひとみの半径30m以内。
佐藤ひとみと同時に自分の姿を見た者がいればそちらを先に攻撃してくる。
その者が死亡するか佐藤ひとみ本体から30m以上離れれば佐藤ひとみの元に帰って来る。
破壊力-B スピード-B 射程距離-B
持続力-∞ 精密動作性-C 成長性-E
>>153 萩原が現れたのは、朝食を口にしていない良平が調度いい具合に腹を鳴らした時だった。
聞けば彼も朝食は摂っていないという。
それをいいことに良平は本題に入る前にと彼に朝食のパスタを二人前注文させた。
金の無い良平は代金は払えない。要はたかろうという気なのだ。
運ばれてきたパスタを口にしながら、それでも今後の対策についての話は進む。
その会話の中で、良平は彼が自分の妻子が10年前に館に取り込まれていることを知った。
彼の10年間の苦労を思うと、空腹さえも忘れてしまうようだ。
「……九頭を野放しにしておいたらあんたのような人間がこの先も増えるわけだ。
やっぱゲームに乗って正解だったな」
皿に残った最後の麺の一束を口に入れ、萩原を見る。
そこで、ふと萩原の様子がおかしいことに気が付く。
どこか目が虚ろで、良平ではない、別の誰かの話を聞いている感じがするのだ。
キョロキョロと辺りを見回しても他に会話をしている人間はいないし、
勿論彼に話しかけている人間もいない。
「おい、どうしたんだ? 何か気になることでもあるのか?」
良平は訊ねた。
【
>>161 仕事早!お疲れ様です。
こちらに今までのあらすじと現在の状況を追加するとより親切かもしれないという事で
####################################
スタンド使いが不思議と引き寄せられ10年周期で行方不明事件が多発する北条市。
偶然や必然という名の運命の意図に引き寄せられたスタンド使いたちは奇妙な洋館へと誘われる。
そこに待ち構えていた怪人を倒した瞬間、事態は一変した。
洋館はその本当の姿を現した。
10年周期で行方不明になっていたスタンド使いたちはみな洋館の壁や床、柱に生きながらにして塗りこまれその一部となっていたのだ。
スタンド使いを取り込み自らの洋館型スタンドの一部にしてしまう九頭龍一の仕業であった。
九頭龍一自身は戦闘力はないが、取り込んだスタンド使いの能力を全て自在に使えるので正に無敵。
しかしその場で戦おうとせずにゲームを持ちかける。
館に塗りこまれたスタンド使いを刺客として差し向け、破れれば館の一部になってしまう。
刺客の魔の手を掻い潜り、九頭龍一を倒せば解放される。
館に塗りこんだスタンド使いはエネルギーそのもの。
即ち刺客として放出すればするほど九頭龍一は弱体化するのだ。
戦闘フィールドは北条市全域。
刺客として放たれたスタンド使いはあらゆるスタンド使いを倒し、洋館の一部に、九頭龍一の養分にするため襲い掛かるのだ。←2/27現在
●現在【ゲーム】を強制されたスタンド使いと洋館からの刺客の戦いが始まっています。
●参加するに当たっては北条市に訪れた、もしくは北条市在住のスタンド使いか、洋館からの刺客をお勧めします。
●洋館からの刺客は特にお勧め。個人的事情や行動原理不要でスタンド使いに襲い掛かればOK。そして適度なところで撃退され退場できるとお手軽コースです。
●一般スタンド使いで参加の場合、襲い来る刺客スタンド使いを撃退しつつ物語の真相に迫る、もしくは刺客倒され館の一部となります。
質問なども気軽にしてください。
###################################
思いつくまま書きなぐってみたので、遂行や修正店などありましたらよろしくお願いします。
特にTRPスレにどっぷり嵌っていますのでね。
どうしても【ここの常識】や【暗黙の了解】が前提になってしまい、TRPスレ自体知らない第三者にとっては不親切なところがあるかもしれません。
そういった面も合わせて添削していただけるとありがたいです。】
留流家に閉じ込められた翌日
【午前中】ドルド・プラチナ 四之宮、荻原←鈴木章吾のアイドルメーカーから攻撃中
【夕刻】 某百貨店 佐藤←田所善和(死亡)のアンテロスから攻撃中
時間軸これでいいですか
>162すいません、スタンド名は「アンテロス」です
>164あまりマルチしてもウザがられるんでさくっと2スレくらい貼ってきました
九割方スルーされると思いますがまずは告知ということで
引き続き某百貨店のメイクルーム
床にへたり込みながらも佐藤ひとみは考える。
なぜ攻撃が止んだのかは解らない。解らないがフルムーンは確かにあの仮面の男の腕を掴んだ。
"スタンドはスタンドにしか触れられない"
昨日の複数のスタンド使いとの邂逅でも確かめられた真理――
ということは、あの仮面の男は死んだ田所善和の"スタンド"……?
今朝図書館で"スタンド能力者探知"をした時には確かにあの男に反応は無かった。
「死んでから発動するタイプのスタンド能力…?そんなものがあるっていうの…?!」
ひとみは自問自答する。
しかし真実がどうであるにしろ自分があの仮面の男の攻撃の対象になっていることは事実…。
昨晩の館での出来事がひとみの頭の中を過ぎった。
九頭龍一のゲーム……!
『狩る者と狩られる者』のゲーム…九頭の館に取り込まれた異能者を放ち
"待ち構える者の候補者"と闘わせるというあのゲーム…
今夜の合コンに浮かれてまさか自分の元に最初の刺客が現れるとは考えてもみなかったが
このタイミング…仮面の男が九頭の放った刺客である可能性は否定できない。
というかかなり高いはず…。
一旦攻撃は止んだとはいえ、いつまた再開するか解らない。
しかも鏡にしか映らない実体のないパワータイプのスタンド…自分の手には余る相手だ。
「で…電話…」
昨日連絡先を交換した能力を持つ協力者たちのうち今すぐ電話の繋がりそうな相手を考える。
――四之宮良平――どう見てもまともに働いていなさそうなあの男…
すぐにでも捉まるとしたら彼だろうと当たりをつけ、携帯を開いてリストから四之宮を選択する。
だが運悪く十数回コールするも繋がらない…
「何よッッ!?あの男!肝心な時に役に立たないんだからっ!どうせヒマなんだから電話くらい出ろっていうのよッッ」
ひとみは通話を切りしばし悪態の限りをついた。
次の通話相手を探そうと開いたままの携帯のディスプレイに目を落とす。
一定時間後に暗転する携帯のディスプレイは悪態をついている間に暗くなっていた。
黒い画面にはそれを見つめるひとみの顔が映っている。
……そして…画面の中のひとみの後ろには…
あの不気味な木の仮面が…片手にナタ、もう片方の手はナタを持つ手を補強にするように添えて立っている。
168 :
名無しになりきれ:2010/03/04(木) 01:53:22 0
かっけえな
ハア?あげて自己擁護ですか。
もしもし解除
もしもしでもいいのかな?
【本体】
名前:影貫 行方 (かげぬき ゆくえ)
性別:女
年齢:27
身長/体重:162/48
容姿の特徴:黒いローブを纏った女性。美人だが雰囲気が暗い
人物概要:屋敷に捕らわれていた女性。あるカルト教団の教祖
【スタンド】
名前:カンニバル・コープス
タイプ/特徴:物質同化型/遠隔操作型。見た目は黒い翼竜のような感じ。実体化している
能力詳細:本体が触れたカラスの死体と同化して発現するスタンド。このスタンドは死体を喰らうことで無限に成長する。その性質上、死体を喰らうタイムラグが生じるため隙が生まれる。死体を喰らうことで見た目も強大になっていく
破壊力-C〜A スピード-C〜A 射程距離-C
持続力-A 精密動作性-C 成長性-E
>167いつもありがとうございます!
>170はじめまして!どうぞよろしくお願いします
SSみたいになって申し訳ないですが少し進めさせてもらいます
携帯のディスプレイに映りこんだ仮面男は即座にナタを振り上げ襲い掛かってくる。
「ええっ?」
予想外の場所に現れた男に驚きの声をあげる佐藤ひとみ。
だが前の攻撃時よりは状況把握ができている。
ひとみはフルムーンを自動操縦に切り替え
男のいる辺りで"5秒ごとにナイフのように甲殻化した触手を振り回す"プログラムを与えた。
自動操縦時なら反撃されてもこちらにダメージは無い。
ナタ男の攻撃を避けながら鏡を見るとフルムーンの攻撃は仮面の男にヒット!
男の肩口から背中にかけてを切り裂いた。
決定打にはならないにしろこれで幾分時間が稼げるはず…
男はフルムーンの攻撃による衝撃で自らの攻撃の手は止めたものの
切り裂いた傷は黒い煙を立てて塞がってしまいダメージを受けた様子は無い。
「何なのよこれ…これじゃキリがないわ…」
ひとみはつぶやいたが、ともかくナタ男がフルムーンの攻撃に手を焼いているうちに
この場所から離れようと四つん這いになりながらも立ち上がった。
メイクルームから出るとひとみは走り出した。
ナタの男が自動操縦のフルムーンとの戦闘に時間を費やしている間は安全なはず…。
その間にあの男の射程の外に……
「射程…?」ひとみの頭にふいに疑問が浮かんだ。
スタンドの射程距離とは能力者とスタンドが離れ得る距離のこと…
何人かのスタンド使い達の証言でも解ることだがスタンドのタイプによって差がある。
そもそも本体あっての射程距離…本体が既に死んでいる場合の射程距離って……?
考えがまとまらないまま走り続けメイクルームに入る奥まった廊下を出て
最上階まで吹き抜けになっている大きなエスカレーターに乗ろうとさらに廊下の突き当たりを曲がる。
エスカレーターの左右の壁は大きなアクリルガラス。
エスカレーターに近づくとその透明な壁にひとみの姿が映る。
その背後にはまたあの原始的な仮面を付けたナタ男……。
ひとみは思わず声を上げる。
「何でなのよッ?こいつトイレでフルムーンとやり合ってたんじゃなのッ?!
何でここにいるのよッッ?!」
ひとみの叫び声に驚いた数人の客が、ひとみと彼女の見つめるガラスの壁の方に向かって振り返った。
今度はエスカレーターのアクリルガラスに現れた仮面の男
佐藤ひとみは自動操縦のフルムーンをトイレのメイクルームに置いてきてまさに絶体絶命――!
今すぐには防御もできない状況だ。
仮面男は例のごとくナタを振り上げる。
今のひとみには攻撃を避けるより他助かる道はない。
人間より遥かにスピードの勝る仮面男の攻撃をフルムーンが帰ってくるまで避け続けることができるのか…?
ひとみは軽くパニックを起こし、しばし呆然と立ち尽くす。
「うぎゃあぁぁあっっ」
ひとみの側にいた中年の男の頭から血が噴出する。
ひとみは無意識にカシミヤのコートに血が付くのを避けるために飛び退った。
中年の男が倒れこむと少し離れた位置で様子を伺いながら悲鳴を上げていた4、50代の女性が
首をぱっくり割られ悲鳴を上げた顔のまま後ろにひっくり返った。
「…私と一緒に映った人間を攻撃している…?それも私よりも先に…?!」
気の毒な犠牲者はいるが自分が攻撃の対象から外れている絶好の機会。
ひとみはこの場から離れるために脱兎のごとく駆け出した。
【本体】
名前:米 コウタ(よね こうた)
性別:男
年齢:22
身長/体重:179/53
容姿の特徴:白いTシャツにジーンズ。ブルーの帽子をかぶっている。
人物概要:通称「よね」。ごく普通の大学生だったが矢の力で発現。
【スタンド】
名前:サム・フォーティーワン(Sum41)
タイプ/特徴:標準型。シルクハットを被った少年の様なスタンド。
能力詳細:触れたものの「設定」を書き換えることができる。
例えば何か生き物に触れて「15年生きる」という設定を「1年生きる」に書き換えることができる。
この時生き物が1年以上生きてる場合、矛盾が発生しているのでその生き物は瞬時に絶命する。
ただし、ヒトなどの情報量が多い物の場合書き換えに時間がかかる。
破壊力-C スピード-B 射程距離-E
持続力-B 精密動作性-B 成長性-A
こんな感じだろうか。
テンプレと共に導入も書いてしまえ!
――N県北条町。
よねは町で唯一の大学に通っている。
よねは学業と共にある事件の真相を追っていた。
10年前の「大学講師失踪事件」である。
事件は大学の講師が突然失踪、その後行方不明となり未だに死体も見つかっていない事件である。
そしてその大学の講師はよねの実の父親、米 綾和であった。
「あれから10年か…」
ふとよねが思い出す。よねには今中学生の妹がいた。
もっとも血のつながりはなく、教会の修道女であるよねの母が身寄りのない妹を引き取ったのだ。
さらによねにはある能力があった。「スタンド」である。その存在を知ったのは2年前。
あるインド人と親しくなり、そのインド人もスタンド使いだったのである。
ある日、よねは大学である噂を聞いた。それは北条町で10年おきに失踪者が出ているというものだった。
もっともただの噂だと聞き流したのだが後になって調べてみると父親が失踪した10年前にも失踪者がいたのだ。
「これは…どういう事なんだ?」
よねは父親がまだ生きていると思っていた。確信的なものは何もない。ただそう思っているだけである。
「この"スタンド"…サム・フォーティーワンを使えば父親を見つけられる…」
何故いままで思いつかなかったのか。よねは自分を愚かに感じた。
足もとに落ちていた枝を拾う。
「Sum41ッ!これは父さんの居場所の方向に倒れる!」
枝は倒れた。その指す方向はあるいわくつきの洋館がある方向だった。
俺、やるよ!暇を見つけて少しずつ。こんなのやったことないけど
他の人の物語に導入すればいいのかな?
【本体】
名前:庵治 怜子(あじ れいこ)
性別:女
年齢:18
身長/体重:171p/51s
容姿の特徴:黒髪ロングで泣きぼくろがある。クールビューティーって感じ
人物概要:カリスマ性溢れる女子高生。スタンドは生まれつき
【スタンド】
名前:レッドローズ・スピードウェイ
タイプ/特徴:標準型。水玉模様が体中にある人型スタンド。
能力詳細:触れたものの摩擦係数を操作する
例えば本体の足の裏にかかる摩擦をゼロにして高速で移動したり敵の体と空気の間に生じる摩擦を最大にして動きづらくしたりできる
一度に摩擦を操れるのは3つまで
破壊力-B スピード-B 射程距離-E
持続力-B 精密動作性-B 成長性-A
//しかしこれまた入り方が難しいですね。
//ムリに入って人のスケジュールを邪魔したりしちゃあマズいですし。
よねは館の前で立ち止まった。
何か違う。まるで自分が吸い寄せられてるようだった。
「おかしい…何かマズい気がする…」
直感だった。だが、父親捜しを躊躇するほどに恐ろしい物を感じたのだ。
構わず進もうとも考えたが、やはりどうもおかしい。
「今日はやめておこうか。いや、しかし…」
やはり諦めることはできない。もしかすると父親を救えるのだ。
「…よし…やはりもう少し様子を見よう」
父親のためといってもやはりよねも自身の方が大切である。
自分から罠にかかるほど愚かでもない。そのまま帰路についた。
そこはうす暗い路地裏であった。家に帰るにはこの道が最も近道なのである。
「おーう…?学生サンかねえ…?」
見るともう70は超えているであろう老人が立っていた。
「こんなトコ…通っちゃ危ないって知ってるよねえ?」
その老人には有無をも言わせぬ威圧感があった。
「それに…みたところ、スタンド使いみたいだねえ…」
「!?…アンタは…アンタも同じ人間か…?」
瞬間。何が起きたかも理解できなかった。
風。風が吹いたと思った時、よねはすでに後ろに飛んでいた。
一応やってみる
「……暇ね」
とある一軒家の二階の窓から少女が空を仰いでいた。
彼女の名前は「庵治怜子」。成績優秀容姿端麗の完璧超人おまけにある「能力」を持っている。学園のアイドルといったところである。
ここはN県北条町。
何の取り柄もないこの町にはある噂がある。それは十年おきに失踪者が急増するというものだった。あくまでも噂なのだが…
「あの洋館にでも探検に行こうかしら。暇つぶしにはなるかも…」
この町にはあるいわくつきの洋館がある。失踪者の噂も絡みちょっとした観光名所になっている。
「失踪者の件も気になるし…いい機会だから行ってみようか。『レッドローズ・スピードウェイ』…!」
彼女の背後に人の姿をした「何か」――スタンドが現れる。すぐさま彼女は窓から家の壁を「歩いて」洋館へと向かっていた
洋館は今潜伏中で見えないんじゃ?
彼女のスタンド能力は摩擦係数を操ること。
足の裏に生じる摩擦を引き上げれば壁や天井も歩くことができる。普段は遊びにしか使っていない能力だが…
「おかしい。これはおかしい絶対に。常識的に考えて…」
洋館が無くなっている。前来た時にそびえていた不気味な洋館は跡形もなく消え去っていた。
何かあったのだろうか。暇つぶしの材料が無くなり、私はまたどうやって暇を潰すか考えていた
「せっかくここまで来たのに…。ここは一回家に帰って…!」
彼女の体を何かが掠めた。速すぎてよく見えなかったが、あれは多分「スタンド」…!
「やぁ…。君は【ゲーム】の参加者じゃないねェ…。ククッ、でも【ゲーム】の存在を今、話しちゃったから。しかたないからヤらないと、ネ?」
10mほど後ろに飄々とした男が立っていた。随分と奇抜な格好をしている。よく見ると日本人じゃあないな、イタリア人か?
「『レッドローズ・スピードウェイ』ッ!」
彼女の傍らにスタンドが現れる。それと同時に敵の「スタンド」らしき円盤も本体の下へ戻っていく。一瞬の静寂が辺りを支配する。
「まずは自己紹介…。俺の名前はジェーロ。これでも一応ギャングだぜェ?ククッ!お姉さんの名前は?」
「庵治怜子…。これでも一応女子高生よッ!」
自己紹介が済むやいなや、私はスタンド能力により摩擦ゼロにした足でジェーロとの間合いを一気に詰める!先手必勝よッ!
「あせりなさんな…『インエクセス』」
ジェーロの傍らに浮かんでいた円盤が不気味な音を立てて回りだす
どうやら『インエクセス』…。実体化しているようである。それならばこちらにとっては好都合だ…
「オラオラァッ!」
ジェーロ目掛けスタンドの拳を突き出す。それに合わせてインエクセスは本体を守るために拳を刃で弾き返す。火花が散り、凄まじい音が鳴り響いた。
ガギィ!!ガギィ!!
「フゥー…。嬢ちゃん、まだまだだねぇ。ティラミスより甘いよ、甘い甘いィ!!でよ、俺は今まで何にも殺してきたからよォ〜!分かるんだがなァ〜。お前スタンドで戦うの初めてだろォ〜〜?なぁ?」
「…!」
その通りである。私のスタンドは生まれつき発現していて、そのせいで周りからは奇異の目で見られていた。そんな私にはスタンドだけが信頼できる「相棒」であり「友達」なのだ。戦いに使うのは絶対に嫌だった。しかしこうなっては仕方ない。「覚悟」を決めるしかない…
(今戦っている相手の設定)
【本体】
名前:ジェーロ
性別:男
年齢:22
身長/体重:188/71
容姿の特徴:天パのイケメン。たれ目で飄々としている。奇抜な服装
人物概要:イタリアのとあるギャングの暗殺チームの一員。日本語ペラペラ。北条町には仕事で訪れていたが留流家に捕らわれ刺客となる
【スタンド】
名前:インエクセス
タイプ/特徴:遠隔操作型物質同化型。スクラップと同化して発現する。不気味な模様があしらわれた円盤でカッターのように刃が飛び出る
能力詳細:スタンドの刃で切り裂いた箇所に干渉できなくする
このスタンドで切り裂いた箇所はスタンド能力が使用できないどころか、触れることさえできなくなる
スタンドを破壊すれば干渉可能になる
スタンドに本体が乗って移動したりも可能
破壊力-C スピード-A 射程距離-C
持続力-A 精密動作性-C 成長性-C
【>影貫さん>よねさん>庵治さん
おおおおお!千客万来!ようこそいらっしゃいました!
万が一規制などありましたら
http://verger.sakura.ne.jp/ の掲示板に代理登校スレがあるのでご利用くださいな。
>影貫さん
導入部で何か希望ありましたら舞台を整えたりお手伝いしますので何なりと言ってくださいな。
特に敵役渇望中だったので敵役仲間は正直助かります。
>よねさん
慣れない内は入りが難しいと思われるでしょうが、そういう時は遠慮無用でズカズカ入っていってしまうのがコツです。
TRPの魅力は思い通りにならないこと。
SSのように話しの道筋を立てその通りに話を進めていく事はまず出来ません。
自分以外がそれぞれの思惑でキャラを動かし話が織り成していく。
当然お互いの思惑を踏み潰してしまう事も多いです。
しかしそれは予定を邪魔した、邪魔されたと考えるのではなく、自分では思いも寄らなかった展開にwktk!と捉える訳なのですよ。
思考的化学変化の波に乗るもよし、溺れるもよしデスヨー。
>庵治さん
ようこそTRPの世界へ!初体験楽しんでいってください。
とはいえ、このままではSSですので、少々強引にTRPの世界に引き釣り込んでしまいますですよ。
どうぞよろしくお願いします。
という事で、佐藤さんは時間軸が違い、四之宮さんと荻原さんは調整に時間がかかるので、こちらから動かしてみます。
四之宮さんと荻原さんは一旦仕切りなおしにしようかと。】
>153>163
「ひっひっひっひ!久しぶりのゲームだからな、ジワジワと苦しめて、げひひひ!」
下卑た笑い声で道路を行くのは鈴木章吾。
館に捕らわれていたスタンド使いであり、人の願望や理想を投影し幻を見せる力を持つ。
ドルド・プラチナで四之宮と荻原を同士討ちさせようとして失敗。
その能力は恐るべきものなのだが、正面きっての戦いとなれば全く話がならないため、逃げてきたのだ。
とはいえ、それを素直に認められるほど殊勝な人間ではない。
>182
歩いていると前に庵治の姿を確認。
その波動からスタンド使いとわかると、鈴木はにんまりと笑う。
ゲーム期間中全てのスタンド使いは獲物なのだ。
心の憶測にある願望を見せつけ陥れることで快感を得る鈴木はそっと後ろから近寄るが・・・・・・
「おおっと、もうお手つきかよ!」
小さく舌打ちしながらそっとその場を離れようと裏路地へ足を向けた。
同じや方に捕らわれていたスタンド使い同士、敵対する事もなければ早い者勝ちという決まりもない。
しかし鈴木の下卑た思考が協力という選択肢を抹消していたのだ。
しかも下手に戦いに加わって巻き添えにでもなればひとたまりもない。
彼らと鈴木の戦い方はそれほど違うのだから。
>179
そっと裏路地に身を潜めようとしたその刹那、災難はやってくる。
ジェーロと庵治を見ていたので全くのノーマーク!
裏路地からよねが吹き飛んでくるなどと考えもしなかった。
その結果、全くの無防備なところに体当たりを喰らい、よねと共に大通りへと転がり出ることになった。
ジェーロと庵治、よねとその下敷きになった鈴木。そして裏路地からゆっくりと出てくる老人。
五人のスタンド使いが大通りで鉢合わせになったのだった。
【>佐藤さん
おめでとうございます!
>167
いつもありがとうございます!
合コンバージョン仕様の言葉にキャラたちがテーブル囲んで自己紹介始めている絵だったらどうしようかと吹いてしまったのは秘密ですw】
//流れをどうもです。では進めます。
路地裏から吹き飛ばされたよね。そしてその下敷きになる一人のヒト。
「…Sum41!この人間は俺と反発しあうッ!」
ビシュゥッ!
まるで無理やり同じ極をくっつけた磁石を放したかのように反発しあい、吹き飛ぶよね。
よねは立ち上がりすぐに臨戦態勢に入った。
周りに人がいる。ただ、普通の人ではなかった。明らかにスタンド使い同士である。
知り合ったインド人から聞いた話だ。スタンド使いは引きあうそうだ。
「こりゃキグウじゃあ!だがまずはよね!おまえからよぉ」
肌が切れる程に鋭い突風がよねだけに吹いた。
「Sum41ッッ!この道路は俺を風から守るッ!」
ブワァゴゴゴッ!
アスファルトがよねを守るように持ち上がる。
だがわずかな隙間があった。そこを突風が、まるで濁流が細い水門に押し寄せる様に吹き付ける。
よねの左ほほに切り傷が出来る。
「ウーヒャヒャヒャ!最強じゃあ!この秋名 高次の能力は最強じゃあ!!ヒャヒャヒャ!」
アスファルトを盾にしているよねはもうこれまで、と諦めていた。
【本体】
名前:秋名 高次
性別:男
年齢:78
身長/体重:162/49
容姿の特徴:黄色いセーターを着た老人。ハゲている。
人物概要:20年前に屋敷に取り込まれた。その後刺客として復活。
【スタンド】
名前:イダテン
タイプ/特徴:無像型。20年前はまだヴィジョンがあったらしいが今は見えなくなっている。
能力詳細:自分の好きな方位、範囲へ強さを調節可能な風を吹かせることができる。
また上空から叩きつけたり上昇気流を作ったりと応用が利く。
破壊力-C スピード-A 射程距離-B
持続力-B 精密動作性-C 成長性-C
//とりあえずとっとと決めておきました。
>>184 いつもお世話になっております
初心者の方もいますし来れなくなった場合の対処法とか
千夜さんに書いてあった○日ルールとか細かいルールがわかると助かるかと思います
自分もまだよくわかってないことが多々ありますのでできたらお願いします
佐藤はもうしばらく一人でも大丈夫ですが実は田所の倒し方をまだ考えてないので
誰かに入ってきていただけると助かります
佐藤と一緒に鏡に映ると攻撃されます
佐藤は頭のおかしいムカつくスイーツなので助けたくならないと思いますが奇特な方よろしくお願いします
よねさん、庵治さん はじめまして。よろしくお願いします
(九頭さんサンクスです。続きいきます!)
庵治は静かに拳に力を込める…。目の前に佇む天パ野郎をぶっ飛ばさないと「先」へは進めない。彼女は「覚悟」を決めた…。
「ククッ、急に平気で人を殺せるカオになったなァ…。俺も本気でや…!何だッ!」
天パ野郎がセリフを言い終わる前に何かが吹っ飛んできた。慌てて振り返ると、そこには二人の男性が折り重なって倒れていた。
その内の一人がスタンドを発現させ何やら叫ぶ。と同時に二人は弾けるように吹き飛んだ。
「敵!…なのか?迂闊に近付くのはマズいか…。」
ここで彼女はミスをした。二人に気を取られジェーロのスタンドの動きにまったく気付いていなかったのだ。
「ククッ、面白くなってきたじゃねぇか…!このバトルに相応しい最高のフィールドを用意してやったぜェ!」
なんだ…?天パ野郎のスタンドが私達のいる大通りのコンクリートを削っていってる?何の意味が…
「ここで俺の『インエクセス』の能力を説明してやろう…。『インエクセス』で切り裂いた箇所に干渉出来なくする能力だ。試しに、さっき『インエクセス』が掠めたところ触ってみなァ」
…!触れない!触ろうとしても見えない何かに遮られる。ここで私は敵の思惑に気づく。
「気付いたなァやっと。既に『インエクセス』。外界とのパイプラインを干渉不可にした…。さながらここは陸の孤島ッ!誰も逃げることはできないッ!ヤるしかないんだよォォォォ!!」
ジェーロのスタンドが私に猛進するッ!ヤバい、やるしかないィィィィ!
「『レッドローズ・スピードウェイ』ッ!」
庵治はスタンドでそろを弾く。しかしただ弾いたのではない。スタンド能力で摩擦をゼロにしたッ!摩擦ゼロの影響をモロに受け操作が非常にしづらくなっているはずだ。
天パ野郎のスタンドはそのまま後方で戦闘を始めている二人の方…。よねの展開したアスファルトの表面を僅かに削っていった。
周囲に映り込むものの無い殺風景な階段の踊り場に辿り着くと、ひとみは足を止め状況を整理する。
ひとみと同時に映り込んだ人間を先に攻撃している様子…。
ひとみはエスカレーター前での状況を思い浮かべる。
確か自分と同時にガラスに映り込んだ人間は4人…。うち2人は死亡しているだろう。
残り2人の行く末が自分の安全にも関わってくるはず…。帰還中のフルムーンにその2人を探させる。
アクリルガラス壁のエスカレーター付近は血の海で大混乱。
生き残り2人のうちの1人と思われるサラリーマン風の男の死体がエスカレーターから少し離れた
紳士服売り場の鏡の前で血溜まりを作って倒れている。
…もう1人は…?あと1人は30代位の派手な女だったはず…。
フルムーンの中継経由でその女を探すが彼女は上手く逃げ果せたと見えてこのフロアにはいない。
別の階を探すとその女は泣き喚きながら正面入り口付近の警備の男に訴えかけているところだ。
彼女の周囲にはガラスの扉やテナントの鏡など映り込むものがたくさんあるのに攻撃を受けている様子は無い。
「どういうこと…?襲われた3人との違い……一定以上私から離れるともう襲われないってこと…?」
【某百貨店の非常階段】
仮面の男の能力を推理する佐藤ひとみ
帰還したフルムーンのメイクルームでの自動操縦中の映像をスタンドシートに映す。
奴の攻撃時間は鏡に映った後の30秒ほど…30秒経つと煙のように消える。
だが行く先々の鏡やガラスなど映る物に現れる。
奴にこちらのスタンド攻撃で衝撃は与えられてもダメージを与えることはできない。
ひとみと同時に映り込み仮面の男を見た人間は先に攻撃を受ける。
ひとみから一定以上離れると攻撃対象から外れる。
「こいつ私をビビらせて喜んでる…憑り付いている私はいつでも殺せるってことね…粘着質の悪趣味幽霊め…」
「でも…これは利用できるわ……」ひとみは考えを巡らせる。
もし屈強な…仮面の男の攻撃に対抗し長時間耐えうる人間に仮面の男を見せることができたら…
その人間と一定距離以上離れなければその間の自分の安全は確保できる。
スタンドである仮面の男と対峙できる人間はスタンド使いでなければ話にならない。
「電話…携帯……っ!」
昨日連絡先を交換したスタンド使い達…彼らのいずれかを攻撃の対象にさせれば……
彼らが生きている限り自分は助かる…!
…が携帯電話はメイクルームで仮面男に襲われた拍子に床に放り投げそのままになっている
「クソッ何てことなのっ?!フルムーンで回収しないと…ブッ壊れてなきゃいいんだけど…」
「Sum41!このアスファルトは俺と反発しあう!」
ビシュゥッ!
よねが吹っ飛ぶ。一回転して着地すると再び逃走を始めた。
「ヤツはマズい…一体どうすれば……そうだッ!」
よねはその倒し方を思いついた。最も、ミスすれば確実に殺られる危険な賭けであった。
よねは通りにあった空き家に入り込んだ。コンクリートで出来た今風の家だった。
「Sum41ッ!この家は全く光を通さないッ!」
家ほどの大きさになると設定を変えるまでに時間がかかる。
その間に準備を進めるよね。それから数分が経つ。
「これで…よし…か?」
よねは空き家のクローゼットに入った。もちろんそこは真っ暗である。
しばらく息を潜めるよね。すると、
「ここだなあ?ここは空き家のハズだが…部屋の中に入れば風など関係無いとでもぉ?!」
すると秋名の"イダテン"が部屋中に突風を吹かせる。
その瞬間だった。風が吹き抜けるとともにフッ…と明かりが消えた。
「な…なんじゃあ!?なにも見えんッッッ!」
よねは少し安堵した。
「爺さん、アンタの負けだよ…俺がこの家の家具をロウソクに変えて火をつけていただけだ」
よねがゆっくりと秋名の肩に手を置く。震えだす秋名。
「俺がどうしてこの暗闇の中で見えるかわかるか?俺は明かりを見ていたアンタとは違って、暗闇を見ていた」
そう、よねは自分の目を暗順応していたのだ。
その反面、秋名はロウソクの火を見ていた。
「た…助けてくれないか…?俺だってえ、こんなことしたかァなかったんだよッ!」
秋名が懇願する。さっきとは手のひらを返したような態度。
よねはフッと小さく笑った。
「だが断る」
秋名は断末魔の悲鳴を上げた。
「Sum41ッ!この男は塵になるッ!」
もはやよねには情の心は残っておらず、秋名にも抵抗の力は残っていなかった。
しばらくすると秋名の体が崩れ落ちた。
よねが空き家の窓を開けると塵となった秋名が吹き飛んで行った。
「塵となって余命を過ごすか…むしろそっちの方がラクかもしれないな」
193 :
庵治 ◆wchj9uAggM :2010/03/07(日) 23:30:23 O
「仕留め損なったかッ!」
ジェーロのスタンド『インエクセス』は先ほど現れた痩身の男――鈴木章吾――の右肩を掠めた後本体の下へ戻る
さっきまで交戦していた老人と青年はどこかへ移動したようだ
庵治はスタンドを発現させたまま道端の小石を拾い上げ
「喰らえッ!天パ野郎ッ!」
小石をスタンドで撃ち出す!摩擦をゼロにした小石は弾丸のようにジェーロへと襲い掛かった。天パ野郎はスタンドで弾きにくるだろう…
「こんなものが効くと思っているのかァーッ!!」
ジェーロは『インエクセス』で小石を弾き返「せない」
「グウェ!?弾けないィ!?何故、理解不能ッ!理解不能ッ!」
小石は刃に接触はしたものの、まるで氷のようにスタンドの表面を滑ってジェーロの肩へと命中したのだ。庵治の思惑にまんまと嵌ってしまったのだ
「…さっき、アンタのスタンドの表面にかかる摩擦をゼロにした…。小石の摩擦もゼロにしてあったんだ、弾けるハズがないッ!!」
フフッ、ギャングというものも案外間抜けだねぇ
庵治は心の中で呟いた
ジェーロは考える。
「(…ヤバくないか、この状況…。俺のスタンドはもう防御には使えない。一端スタンド解除してもう一度発現させるか…。あのクソアマとの距離は大体15m…。一気に間合いを詰められたら、時間足りなくないか…?)」
ジャリッ…
「(一端逃げるというのも手だが…。イタリア男児が女から逃げるというのも…。)」
「………………」
「(命あっての物種ともいうし…。なりふり構っていられないか…。)よしッ!おい、クソアマッ!今日のところは引いてや……アレ?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
「何戦闘中にボサッとしてんのよォーッ!!」
気付いた時にはもう遅い。ジェーロが物思いに更けているあいだに庵治はもう目の前に立っていたのだ。
「『レッドローズ・スピードウェイ』ッ!ウラウラウラウラウラァッ!」
激しいラッシュがジェーロに放たれるッ!ジェーロのがら空きの体にスタンドの拳がめり込「まない」
「何でッ!触れないッ!?…触れないのは、まさか!」
ジェーロの口元が緩む。よく見ると彼の上半身の服は破れ、露わになった体には大量の切り傷の跡が残されている
「ククッ忘れていた…すっかり忘れていたよ…。屋敷に取り込まれた時にやったんだった…。『スタンド』でッ!自分の体を切り刻みッ!『干渉不可』にしたんだァーッ!」
ジェーロのスタンドが高速で回転する。庵治は…地面にへたり込んでいる…。戦意がまったく感じられなくなった…
「切り刻んでやるッ!玉ねぎみてェーにッ!グッチャグチャにしてやるッ!」
『スタンド』の回転が最大になるッ!爆音が周囲に鳴り響くッ!
庵治はへたり込んだまま静かに呟いた…
「フフッ忘れていた…。忘れていたよ…」
「何だテメェ!俺の真似してんじゃねーぞ!…何を思い出したんだよォ!」
「アンタの『スタンド』が…実体化しているコトをだよ」
その瞬間、『インエクセス』が激しく燃え上がるッ!ジェーロは何が何だか分からないといったような顔をした後、雄叫びを上げて地面を転げ回った。
「アンタの『スタンド』に生じる空気との摩擦を最大にまで引き上げた…。地球に引っ張られた隕石が空気との摩擦で燃え尽きるように、アンタの『スタンド』も燃え尽きたのよ…」
彼女の言葉は、ジェーロには届かない…。死んではいないが、再起不能は間違いないだろう…
(すみません…sage忘れてました…)
(ヤッベええええ!やべえやべえやべえ!あいつらなんなんだよおおぉぉ!!)
脂汗を滝のように噴出しながら鈴木は二人を見ていた。
よねによって吹き飛ばされたとき、壁に打ち付けられてろくに動けない。
それに反して意識ははっきりしていたので、一部始終を見てしまったのだ。
ジェーロを再起不能にした庵治。
そして建物に入ったのは二人。しかし出てきたのはよね一人。
それがどういう事かくらいは鈴木でもわかる。
しかしそんな事よりも重要な事は、それぞれ相手を倒すほどの力を持つスタンド使いが二人も自分の目の前にいるという事だ。
スタンド使い同士は引き合い、感覚的にそれがわかる。
当然自分もスタンド使い、しかも敵の、だという事をあの二人は理解しているはずだ。
(くっそおお、俺はよおおお!待ち構えて相手の心の襞を撫で回す知的な戦闘スタイルなんだよお!
あのカス度も二人揃ってやられちまいやがって!
俺がこいつらとまともに殴りあえるわけねえじゃねえかああ!!)
ダラダラとたれ流れる汗と、ようやく動けるようになった鈴木のとった行動は・・・
「ま、まて!お前ら!ここで俺をぶちのめすのはよくないぞ!
だってよおお、お前ら何もわからず襲われたんだろ?俺は唯一残った情報源だ!
俺を再起不能にしたら何もわからないまま襲われ続けることになるっ!
でもここで俺のいう事を聞けばっ、ゲームクリアーの為のボスキャラに直通で会わせてやる!
俺みたいな小物を倒しても意味ねえんだよ!だからなっ!なっ!」
虚勢を張ったり哀願したりすかしたり。
忙しく態度を変えて何とか切り抜けようとする鈴木。
もし二人が口車に乗るのなら、鈴木は百貨店に連れて行くつもりである。
あそこはもうすぐ化け物クラスのスタンドが現われるはずなのだから!
【時間軸が微妙ですが、ここらで二人をご案内して合流させようかと。】
【
>>188 了解です。それでは僭越ながら。
改めまして、新規の皆さんようこそいらっしゃいました。
始めてTRPスレに参加する方もいらっしゃると思いますので、独断と偏見に基づいた説明をば少々。
TRPスレとは各自がキャラクターを持ち寄り担当し、一つの世界(スレ)の中で登場人物として物語を紡いでいく遊びです。
@AがBに攻撃
ABはAの攻撃をかわし、Aに攻撃
BAはBに攻撃を避けられ体勢を崩したところにBの攻撃が。避けられずに喰らってしまった。
というように、一つの戦闘シーンをそれぞれの参加者がそれぞれのキャラを担当し掛け合いで紡いでいきます。
多人数がいて成り立つ遊びなので、円滑に話を進める為にルールや共有認識というものがあります。
その中の一つが○日ルール。
現在では3日ルールが多いです。
上記の@をAが書いたあと、Bは3日以内にはAを投下しましょうというルールです。
そして3日過ぎてもAが投下されないのであればAはBのキャラを使用してAを書いてしまって言いというルールです。
相手があって始めて成り立つとはいえ、長い期間待っているとだんだんモチベーションも下がってきます。
スレ全体のテンポも悪くなりますのでね。
忙しくても3日に一度くらいは時間を作れるようにしましょう、という事で。
それからですね、FOという事場があります。
フェイドアウトと読みます。
私たちの接点はこの掲示板のみであり、コミニュケーションツールは文字だけ。
とてもか細い繋がりなのですね。
モニターの向こうで相手がどんな状態か、どう思っているかは知りようがありません。
途中で飽きてしまった、忙しくて継続不可能になった、不慮の事故で参加できなくなった。
何が起こるかわかりませんが、ただ【同僚が来なくなった】という結果だけが残ります。
そういったときの待ちぼうけをなくす為の3日ルールでもあります。
また、継続困難になったときは一言入れると残された同僚も安心できますです。
TRPスレはレスのキャッチボールを楽しむ遊びですのでね。
どんどん絡んでいきましょう。
同僚あってこそ成り立ちますので、この繋がりはか細くとも大切に強くしていきたいです。
取り合えずざっと書きましたが、わかりにくいところ不明なところなどありましたら遠慮無用で聞いてくださいな。】
//とりあえずそちらにお任せします。基本的に当分は流れに逆らうつもりはないので。
よねは軽く哀れんだ。だが、ここで彼の言うままにした方が案外近道かもしれなかった。
彼の態度から、彼は小物ということは間違いないらしい。
彼は事実、情報源としての利用価値もある。いざとなれば拷問でも出来る。
今の今まで襲われていたのは自分である。残念ながら父親の事を一旦諦めることにした。
まずは自分の命が優先だ。秋名によって傷つけられた頬を触れると、自分の置かれている状況がよくわかる。
「危害を加えない人には何もしないよ。
基本的に平和主義だからね。人を傷つけるのは好きじゃない」
よねはある種の人格者であった。
中学、高校、大学と経て常に周囲を欺いていた。そのおかげでどこに行っても良い位置にいることもできた。
しかしよねは何かを恐れたりしていたわけではなかった。
なにかあった時に矛先が自分に向かないため。もし向いた時でも利用して逃れるためだった。
そういう意味ではよねは生まれてから今まで恐怖し続けていたのかもしれない。
今回もそうである。目の前の男を欺き、あわよくばそれを利用するつもりでいる。
それがよねの生き方なのだ。
スタンド使いに仮面男を見せればその間自分は攻撃されない…時間が稼げる…!
メイクルームの床に放り投げてしまった携帯電話をフルムーンに取りに行かせる佐藤ひとみ。
「ああやばい…何てことなの…こんな時なのにトイレに行きたくなってきた……
でもトイレまでの道のりに映るものが無いなんてってことは絶対無いはず…!
ああもう…デパートって何でこんなに映るものだらけにできてるのよっ……!」
ひとみは階段に座り込んでブツブツ呟いた。
やがて携帯電話を回収してきたフルムーン。回収した携帯に故障がないかチェックする。
ひとみは黒いディスプレイに自分が映り込まないように注意深く斜めに傾けながら二つ折りの携帯を開いた。
液晶画面はクモの巣状にヒビ割れて電源を入れても反応しない…
「クソッ何てことなのッ!!床に落ちただけで壊れる携帯なんて軟弱すぎるッ!
生活防水だかなんだか知らないけど鉄板でも何でも使ってもう少し頑丈に作れっていうのよッッ!!」
ひとみは頼みの綱の携帯電話の故障に落胆したがやがてヤケクソ気味に思いついた。
フルムーンはかなり細かい動きのできるスタンド…しかも機械とは相性の良い能力…
フルムーンの触手を携帯の基盤に進入させるてみてはどうだろうかと…
どっちみちダメ元…微細に細かくした触手を携帯の割れ目から進入させるとフルムーンの虹彩が緑色に輝き
携帯の液晶画面に明かりが点る…!
「やったわ…!機械って取りあえず叩けば直るもんだけど何でもやってみるもんよね…!」
よく理屈は分からないがともかく通話には使えそうだ。
ひとみは連絡先のわかるスタンド使い達に次々と電話をかけてみることにした。
ついでにダメ元でデパート内のスタンド能力者探知を行う。
(電話に出れる方いたらよろしくおねがいします!)
>196(来て頂けると助かります。
田所のアンテロスは佐藤と同時に何かに映ると攻撃してきます。
ブラックサバスのような完全自動操縦のスタンドのため攻撃して足止めはできてもダメージを与えることができません。
ネタばらししておくとアンテロスは何かに映った自分を見た人間の目から次の映る物に移動します。
倒すことは無理でも封じ込めることはできそうなネタを思いつきました。
佐藤一人では無理なので時間稼ぎとかしてもらえれば助かります)
>197(了解しました。3日以上来れないときは一報入れます)
200 :
庵治:2010/03/09(火) 07:26:13 0
規制されました…。あと千夜万夜の代行スレに書き込めません…
リファラ情報が変です。ってなります…。もしあれなら自分はスルーしといてください
すみません…
202 :
庵治:2010/03/09(火) 13:36:48 0
(分かりました。続けてみます)
庵治は目の前で必死に説明する鈴木の言葉を聞きながら、思考を巡らせていた。
(【ゲーム】ねぇ…。さっきの天パ野郎もゲームがうんたら言ってたような…。コイツが敵なのはなんとなく分かる。でも…でもっ!、罠かも知れないけどっ!、私の好奇心がくすぐられるっ!)
元はといえば庵治は暇つぶしにここに来たのだ。彼女にとっても好都合な話だった。
いい暇つぶしになるかもしれない。退屈だった日常に舞い込んだ非日常に、庵治は内心心躍っていた
「私は一向に構わないわ。アンタが何か企んでるのは何となく分かるけど…。逆に好奇心ってやつがくすぐられるッ!」
余裕綽々といったような面持ちで庵治は言い放った。先ほど老人と戦っていた、もう一人の青年も一緒に来るようだ。
妙に落ち着いている彼に、庵治は心強さとほんの少しの好意を抱いていた
例の件以来、大谷は警戒を怠る事はなかった、
いつ敵のスタンド使いに襲われるかわからない、いつ襲われてもいいように、警戒をしていた
簡単に言えば怯えていたのである、
見知らぬ能力を持つ敵が襲い掛かってくるのである、普通なら死ぬ確立のほうが高いに決まっている。
「念には念を」旅人ならではの考えである。
「リリリリリ!! リリリリリ!!」
突然の着信音に驚くが携帯電話を手に取り、通話ボタンを押した。
相手は探知能力のスタンドを持つ佐藤ひとみだ…
「杉松だ、 いったいどうした?」
「―――わかった、そこで待ってろ …念のためにだ」
ひとみからもらった情報は「敵のスタンドに襲われている事」
「…行くぞ『賢い甲手(スマートガントレット)』アイツが死んだら俺達だって困るからな」
『フフフ ソウネ カノジョガイナクナッタラ テガカリヲサガスノモムズカシクナルモノネ ッフフフ』
スマートガントレットはそう言いながら大谷のそばを浮遊している…
そして二人はひとみが待っているデパートへ向かったのだ。
「!?」
携帯電話が鳴る。目の前に敵がいるのだ。出ようかどうか迷った挙句、出ることにした。
「ハイ、よねです。ハイ…ハイ…そうですか、ありがとうございます」
警察からだった。先日落したサイフが見つかったそうだ。
2週間以内に取りに来てほしいとのことだった。
「遺失届を出していて良かった。もっとも、カードやらなんやらは入れてないけど…」
目の前の男に聞こえるように言ったつもりだったが、彼には聞こえなかったらしい。
よねは携帯電話をカバンにしまった。
>>198>>202 二人を引き連れて歩く鈴木は神妙な面持ちをしていたが、その内心では小躍りしていた。
(おっほっほ!やっぱ俺って頭脳派だぜええ!
自分は危険な目に遭わずに華麗に敵をたおすっっ!!筋肉馬鹿どもには出来ねえ芸当だろおお!!)
絶体絶命の危機から二人を化け物の生贄に仕向ける事に成功したのだ。
笑いを噛み殺す為に神妙な面持ちになってしまっているのは言うまでもない。
スタンド使い同士は引き合う。
そして、館に取り込まれたスタンド使い同士はお互いある種のコミニケーションが取れ、位置くらいはわかるのだ。
鈴木個人の性格的に今までそういったものを拒絶していたが、今はフル活用させてもらうのだ。
やってきたのはデパート。
途中で鏡を買い、キョロキョロと辺りを見回しながら進んでいく。
「俺は特殊部隊にいた戦士なんだぞ?この手鏡で壁の向こうに怪しい奴がいないか確かめるんだ。」
もっともらしい事を言っているが、職務質問受けそうなレベルの挙動不審さでは説得力がない。
勿論特殊部隊など関係なく、佐藤に纏わりついているアンテロスに二人を襲わせるための小道具なのだ。
「ああ!いたああ!」
デパートの階段に響き渡る声とともに佐藤の前に現われたやたらひょろ長い男。
満面の笑みを浮かべ指差し、反対の手には手鏡を持っている。
鈴木の笑みは勝利の笑みだった。
これでまとめて敵を倒せる!早速鏡を・・・と目を向けた瞬間、勝利の笑みは凍りつく。
そこには【佐藤と自分の姿】が写っているではないか!
「うげええええ!やべええええ!!」
玉のような汗を噴出し鏡を投げ捨てた時には既に遅かった。
振り下ろされる鉈!
汗を押し流す鮮血!
「ぎゃあああああああ!!!」
肩を斬り付けられ鈴木は階段を転がり落ちていき一同からの視界から悲鳴と共に姿を消した。
そして手鏡は宙を舞い、階段に落ちて割れ、鏡面をあたりに撒き散らすのであった。
【さあ皆さん、強大な敵との戦いですよ!
デパートに集まったところで鈴木は一旦退場で。
佐藤さんはアンテロス分もあり大変かと思いますが楽しんでいただければ幸いです。
>庵治さん
残っていただき感謝です!
>>201さんの代理投稿もあれば千夜の予備掲示板もあります。
いろいろ手段はありますのでぜひとも楽しんで言って下さいな。
>>201さん、GJ!!】
一瞬。何が起きたのかは誰にも理解できなかった。
よねは"情報源が…等と悠長なことを考えているヒマはなかった。
スタンドだ。こんな事を出来るのはスタンドしかない。
だが、一体どこから攻撃してきたのだろうか。
一旦壁に隠れるよね。するとデパートのガラスが反射し、そこに一人の女性の姿が写った。
それを確認すると同時に鳴りだす携帯電話。
ズゴッッ!
突然の奇襲によねは困惑した。携帯電話を取り出す仕草がなければ気づくことなくやられていた。
よねはある程度、頭の切れる男である。この攻撃はあの女性が関わっているという事。
とりあえずその場から離れることにしたよね。近くにあった植木鉢に手を触れ、
「Sum41…この植木鉢は俺と反発しあうッ!…植木鉢!?」
混乱していたが故の痛恨のミス。
今まで反発を利用した離脱は反発する物が固定されていたからだ。
今回は植木鉢。反発しあうという事は、植木鉢も吹っ飛ぶ。それ故、よねの飛距離も必然的に短くなる。
ビシュッ!
床を滑るよね。依然、女性はガラスに反射したままである。
今から床の基本情報を変えるにしても時間が無い。
「詰みか…?」
そう思っていたが何も起こらない。一体何故?
よねは気付いた。さっきはあのガラスに女性と自分が反射して写っていた。
今回はあの女性だけだった。
「だが、ここはデパートだ。反射物は多い…注意するしかないッ!」
スタンド使いを呼び寄せるために電話する佐藤ひとみ。
大谷杉松と通話が繋がった。
…確か大谷のスタンドは女性型で能力も戦闘向きでは無かったはず…
代わりに本人の方が戦い慣れていそうな様子…そして用心深い。
仮面男の攻撃を避け続ける位のことは出来るだろう。ひとみはこれ幸いと呼び寄せにかかった。
「あ〜大谷さん?昨日はお疲れ様…ちょっと言いにくいんだけど…
…敵スタンドに襲われてるみたいなの…いや…たぶん大したこと無い奴なんだけど……
もし良かったら…手を貸してくれたら有難いんですけど…
場所は四越の2階の大きい鏡のあるオープンスペースあるでしょ?
あそこで待ってますから…来れたらでいいから宜しくお願いします」
佐藤ひとみは打算的な人間なので無償で自分に手を貸す人間がいるとは信じられない。
仮面男の能力を話してしまったら大谷がひとみと一緒に鏡に映ることを拒否するかもしれない。
そうなったら元も子もない。
多少騙すような結果になっても大谷を仮面男の標的にしなければ…。
大谷杉松に仮面男の攻撃を肩代わりさせる気満々で通話を切ったその時…
>「ああ!いたああ!」
背のひょろ高い顔色の悪い男が満面の笑みでこちらに近寄ってきた。
その後ろには青い帽子のジーンズを穿いた青年とこの辺りではレベルの高い高校の制服を着た女子高生
…黒くて長い髪が若干自分と被っている。一瞬そんなことを考えたが…
ひょろひょろの男の手にはキラリと光るものが…
「鏡?!」
最悪なことに鏡の角度が悪い。自分の姿が映り込んでしまった。
ひとみは身構えたが
>「うげええええ!やべええええ!!」
>「ぎゃあああああああ!!!」
肩から血を噴出しながら階段を転がり落ちていく男……ひとみは呆気にとられて視界から消えていく男を見つめた。
男が階段の最下段まだ落ちたと思われる時
カシャーーーン
何かの割れる音が響き渡りきらめく欠片が辺りに飛び散った。
「何てことしてくれたのよッッ!このバカ男っっ!!」
ひとみは思わず大声で叫んだ。
きらめきながら落ちていく鏡の欠片にひとみとジーンズの青年の姿が映り込んだ。
ジーンズの青年の体からシルクハットを被った少年のような像が分離し観葉植物の植木鉢に触れる。
すると青年と植木鉢はお互い反対方向に弾け飛んだ。
「あれは…スタンド?!彼も能力を持ってるの?!」
青年に気を取られたその時、床に落ちた鏡の欠片にひとみの姿が映り込んでしまった。
今度はひとみ一人の姿が…
「まずいッッまずいわッ『フルムーンッッ』」
佐藤ひとみはスタンドシートを出現させそれを反射率の高い鏡状にした。
何しろ相手は鏡のようなものにしか映らないのだ。手近に鏡がなければ位置を確認することすらできない。
鏡は攻撃のシグナルであると同時に攻撃を受けている時には身を守る為の必需品……
ひとみは鏡と化したスタンドシートで仮面男の動きを確認しながらフルムーンの触手に男の足首を掴ませた。
仮面男はナタを手にしたまま倒れこみそのままナタはエナメル質の素材を突き抜けコンクリートの床に突き刺さった。
男がナタを引き抜くのに手古摺っている間にタイムリミットの30秒……!!
男は黒い煙を上げて消えていった。
「ふぅ〜やれやれ…今回は助かったけど…とにかく大谷杉松…彼にこのスタンドを見せなければ…!」
スタンド使いと思われる青い帽子の青年はどこかに身を隠してしまったのか姿が見えない。
ひとみは大谷との待ち合わせ場所まで向かうつもりだ。
フルムーンの能力『インビジブル』で透明化すれば何かに姿は映ることはない。
ただ透明化できるのは長くて2、3分…
注意深く映る物のあるところで透明化し能力が切れる前に身を隠しながら進めば
待ち合わせ場所の2階オープンスペースまでたどり着けるはず。
そこで身を潜めて大谷が来たら透明化を解除…強引に二人の姿を鏡に映すつもりだ……!
攻撃の対象は大谷に移る!
(デパートに来てくれてありがとうございます
よねさん!一度佐藤と同時に鏡に映ってしまったのだから佐藤から30m以上離れていないと
ナタ男の攻撃を受けますよ!攻撃を受けるか距離をとって観察するかはお任せします)
(すいませんわかりにくい書き方だったと思います
佐藤から30m以内にいるときに何かに映るとナタ男の攻撃が始まります
映る物が無いところでは大丈夫です
佐藤から30m以上離れると鏡に映っても攻撃を受けなくなります)
待ち合わせ場所に到着した大谷、しかし佐藤の姿が見えない…
心配をしていると目の前にいたであろう佐藤が姿を現す。
「佐藤どうした? なんで透明に…」
『オオタニ、ミギヨ!』
スマートガントレットの言う通りに右に避ける、
その際、喋るスタンドを見たことない佐藤は驚いただろう。
回りを確認する…敵のスタンドの姿が見えないが…
大谷は鏡を見た、ナタを持ったスタンドがゆっくりと攻撃の用意をしている。
「本体のいないタイプか、こいつは厄介だな…」
鏡を見ながらナタ男の攻撃を避け続けているとナタ男が黒い煙を上げて消える。
そしてまた出現した、敵が死ぬか離れるまで攻撃をし続けるようだ
「さて、こっちも準備は出来た、二回戦目だ!」
戦いの最中にスマートガントレットは佐藤に問いかける。
『ワタシタチヲヨンダノハ タスケガホシカッタダケカシラ? ソレトモ ベツノリユウカシラネ…!』
どうやら佐藤の考えを把握していたらしく多少嫌味をこめた質問をし、大谷の手助けに向かう、
大谷はナタ男に精神力を込めたナイフを大量に投げる!
ナタ男にヒットするも30秒経過しナタ男が消え、刺さったナイフも床に落ちる…
ダメージも食らっているのかどうかわからない状況、
大谷も精神力を使い疲れてきている…
戦況は徐々にだが悪くなっていく…
大谷が叫ぶ
「佐藤! 情報だ、情報をよこせ! このままじゃ俺もお前も死ぬ!」
大谷との待ち合わせ場所の大きな鏡のある2Fオープンスペースまで辿り着くと
ひとみは写り込む物の無い死角に身を潜めスタンドシートで大谷杉松の動きを確認していた。
大谷が待ち合わせ場所付近に到達すると、ひとみはフルムーンの触手を腕に絡めスタンドと共に透明化した。
さすがにひとみも無関係の人間をこれ以上犠牲にするのは気が引ける。
エスカレーター付近の混乱のお陰でこの辺りに人気は少ない。
大谷が鏡に近づくと周囲に誰もいないタイミングでひとみは大谷の前に姿を表した。
鏡の中の大谷杉松と佐藤ひとみ。
その後ろには…例のナタを持った仮面の男……仮面男は大谷に襲いかかった。
>『オオタニ、ミギヨ!』
大谷の横に白銀の鎧のような金属質の輝く体を持つ長い髪の女性が現れ大谷に声をかけた。
「へえ〜驚いたわ。これあなたのスタンド?話のできるスタンドなんているのねぇ〜」
ひとみは仮面男の攻撃を回避し続ける大谷の側で悠長な驚きの声を出した。
何しろ大谷が攻撃を受けている間は自分の安全が保証されているのだ。
彼のスタンドは機械的な声ながら咎める様な口調でひとみに尋ねかけた。
>『ワタシタチヲヨンダノハ タスケガホシカッタダケカシラ? ソレトモ ベツノリユウカシラネ…!』
一方大谷はナイフを投げた後こちらに向かって叫んだ。
>「佐藤! 情報だ、情報をよこせ! このままじゃ俺もお前も死ぬ!」
二人の問いに同時に答える佐藤ひとみ。
「まさにそれよ!情報!!相手を倒すには相手の正確な情報が要るでしょう?
私の能力って情報収集向けよね?
その肝心の私が敵に襲われ続けてたらいつまで経っても情報の分析ができないじゃない?
そうでしょう?
私がそいつの弱点とか見つけるまで悪いけど時間を稼いで欲しいの。
あ、あなた私と一緒に鏡に写っちゃったから、ソイツあなたが死ぬまで攻撃を止めないわよ…
あなたが何かに写るとキッチリ30秒攻撃してくるから…!
攻撃をやり過ごしたら鏡の無いところに移動した方がいいわよ。何も写る物がなければ攻撃されないから。
何かに写っちゃったらその時点から30秒再攻撃されるから上手く逃げて。
ただしあんまり遠くに行かないでね!
…私トイレ行って来るから。さっきからもう限界だったの…来てくれて本当に助かったわ〜…
頼りにしてるわよ大谷さん!」
佐藤ひとみはいけしゃあしゃあと話し終わるとこのデパートで一番綺麗で広いトイレのある場所に向かった。
自分から一定以上の距離を取るとナタ男の攻撃を受けなくなるという情報を隠したまま…。
そのトイレの方向は偶然にも先ほどひとみと同時に鏡に写り込んでしまった、よねが身を隠している方向と一致している。
現在の標的の大谷がひとみから30m以上離れた場合、佐藤ひとみがよねの半径30m以内に入ると彼はナタ男の攻撃の標的になる。
//了解です。つまり離れていれば安全で、近づいても何かに写らなければいいんですね。
「なんなんだッ…この人らもスタンド使いかッ!」
全く状況の掴めぬよね。この様な場合、まずは情報の整理が先決である。
だが、今までケンカしたことも多くないよね。もちろん、生死を賭けた闘いなどの経験など乏しいのである。
それ故、よねは基本さえも忘れパニックに陥っていた。
「ま…まずはなんとかしなければッ!敵はどこだッ!」
肉弾戦は不得意なSum41を出しっぱなしにするよね。
頭はきれると言っても、いわゆるインテリなのである。知識こそ多いものの、経験は無いに等しい典型的な日本人であった。
どこからくるか、どうやって応戦するか、そんな事ばかりが頭の中に浮かんでくる。
しばらく考えていると、むこうから女性が向かってきた。
例の女性である。敵か?味方か?はたしてどうか、定かではないがさっきの声を聞く限りこの人が襲われているのだろうか。
大谷という男性の件もある。一度、姿を現してみようか。そう考えていたが良い案が浮かんだ。
よねは近くにあった旅行雑誌を手に取ると丸め、
「Sum41、この雑誌の筒状の空間の中は音波が増幅されるッ
聞こえるかッ!聞こえたなら返事をしてくれ!」
それは簡易メガホンとでもいうべきものだった。恐らくこのフロア全体に響き渡っているだろう。
よねはただひたすらにこのメガホン作戦が成功することを願った。
佐藤ひとみはトイレを済ませると鏡の前に立ち、攻撃を受けている間に乱れた長い髪を手櫛で整えた。
ついでにカシミヤのコートとシャツの襟を気に入った角度に立て直す。
佐藤ひとみは鏡を見るのが大好きだ。特に新しい服を着た自分の姿をしつこくチェックするのが大好き。
要するにナルシストなのだ。
「思う存分鏡が見られるって素晴らしいわぁ〜日常に埋もれた真実の発見よね。」
大谷が仮面男の標的になっている間だけは鏡を見ても攻撃を受けない。
ひとみは念入りに身支度を整えた。
そうは言ってもやはり大谷たちの戦況は気になる。
トイレから出るとひとみはフルムーンを大谷の所に向かわせシートで映像を確認した。
2度目の攻撃の後、上手く写る物を避けて移動しているようだ。
ひとみが安心して映像を切ると唐突にフロアに声が響き渡る。
>聞こえるかッ!聞こえたなら返事をしてくれ!」
「店内放送?…いや違うわ…直接頭に響くようなこの感じ…まさか何かの能力?!」
敵の攻撃にしては妙だ。声の調子からするとこちらと交信したがっている様子。
ひとみはスタンドシートを出現させこのデパート内のスタンド能力者探知をした。
あの鏡のあるオープンスペース付近のマーカーがおそらく大谷…
慎重に移動している大谷のマーカー付近に急に妙な色のマーカーが現れる…!
「これは…本体のいないスタンドの色なの…?!大谷さん…また何かに写ったわね…」
ひとみには確認の仕様が無いが、実は大谷は警戒しながら移動中にぶつかって来た男のメガネに写ってしまったのだ…!
大谷は再攻撃を受ける。
「うまく逃げてよ…大谷さん…!」
ひとみは真剣に他人の心配をするような出来た人間では無いがこの時ばかりは心の底から大谷の安全を祈った。
こちらはこちらでフロアに響く謎の声の正体を見極める仕事がある。
ナタ男は大谷に任せて、ひとみは続けてスタンド能力者探知をした。
するとこのフロアに自分を除いてあと2つ能力者の反応がある。
今ひとみのいる場所を見通せる長い通路から少し奥に入った位置で身を隠すようにしているマーカー…
ひとみはフルムーンを飛ばして上空から気付かれないようにその場所にいる人物を見た。
大学生と思われるブルーの帽子を被ったカジュアルな服装の青年…
階段で手鏡を手に襲いかかってきたマヌケな男と一緒にいた青年だ。
「あのアホな男と一緒にいたのに…彼は敵じゃないの?」
敵にしては様子がおかしい。
ひとみは彼と通信してみる気になった。
フルムーンを彼の前に出現させ、彼の前に触手に持たせたメモ紙を落とした。
メモ紙にはひとみの携帯番号が書かれている。
フルムーンはケースの中の瞳を動かし目配せするように彼に目を合わせると消えた。
(庵治さん、規制大変ですね
代理投稿無理そうですか?もし来れそうなら位置はぼかしていますのでどの場所に来てもらっても大丈夫です
よねさんと一緒にいてもいいし、好きなところに来てください)
「よかった。どうやら聞こえたようだった」
目の前に落ちたメモを拾いあげて中を見た。
電話番号だ。大谷という男性の物か、それとももう一人の女性のものか、それとも…
先ほどのコンタクトの取り方は非常に危険であった。それはよねも痛いほどよくわかっていた。
「とりあえずかけてみるかな…?」
カバンから携帯を取り出そうとするよね。
が、無い。消えてしまった、わけではない。
初めに攻撃を受けた時、おとしてしまったのだ。
転がってる植木鉢の近くにそれは落ちていた。
よねのスタンド、"Sum41"はある程度自由に動かせるといえども、その範囲は2m程である。
到底届きそうにない。かといって不用意に出るとやられる可能性もある。
そこで、よねは被っていた帽子を脱ぎ、
「Sum41、この帽子は破裂音を聞くとその方向に吹き飛ぶッ!」
そして帽子を携帯のある方向に投げる。そして手を叩く。
これを繰り返して携帯を取ろうというのだ。自分でも笑えてくる策だった。
数十回繰り返した頃、やっとよねの方向に1mほど動いた。
「まだ届かないか……」
あと4mほどである。理論上は今までの事を2回繰り返さねば"Sum41"では届かない。
こんなスレがあったなんて…とりあえず参加してみる。
TRPG初心者だし語彙がショボすぎるけど…頑張ってみます。
名前:徳井一樹
性別:男
年齢:20
身長/体重:174/83
容姿の特徴:黒いスーツに黄色のネクタイ、サングラスといういかにも怪しげな格好。
能力詳細:『セイヴ・フェリス』
人型でスーツを着ているように黒い。ゴーグルのような物を頭につけている。
破壊力−B スピード−B 射程距離−E(2m)
持続力−D 精密動作性−E 成長性−(完成)
・殴った物を『切開』することができる。
・切開した中にどんなものにでも人一人分程度の空間をつくれる。
・大きさが同じならば切開したもの同士を結合することもできる。
人物概要:日本人だが、イタリアのとあるギャングに所属している。
里帰りということで日本に帰ってきたが、パスポートをうっかり失くした為帰れなくなってしまった。
失くしたパスポートを探す為今日も徳井は町を徘徊する。
性格は意外に陽気。しかし戦闘時には『男の顔』になる。
>>217 統一新テンプレ
こっちのテンプレにしてもらえると嬉しい
【本体】
名前:
性別:
年齢:
身長/体重:
容姿の特徴:
人物概要:
【スタンド】
名前:
タイプ/特徴:
能力詳細:
破壊力- スピード- 射程距離-
持続力- 精密動作性- 成長性-
A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安
A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下
良かった。やっぱり洋楽のバンド名とかを使ってる人もいるんだ…
>>216 身を隠している青年の前にメモを落とすと
佐藤ひとみは少し離れた位置にフルムーンを待機させ青年の様子を窺った。
青年は少年のような姿のスタンドを出現させると帽子に何か書き込ませ、その後しきりに手を叩いている。
青年がスタンドに書き込ませた内容をズーム表示でチェックするひとみ。
彼は夢中になっているのかフルムーンには全く気付いていない。
「フーン…あれが彼のスタンド能力…彼のスタンドが書き込んだことが現実に起こるみたいね。」
「それにしても何してるの?あいつ…すごい間抜け…
間抜け男が連れてきただけのことはあるわね…
どっちにしろ敵じゃなさそうね…敵ならあんなに必死になってコンタクトを取る必要無いもの。」
青年の動きの意味を探ろうとフルムーンに周囲を俯瞰させる。
青年の帽子が動いていく方向の先には転がった植木鉢と携帯電話。
ひとみは彼の目的が携帯電話だと理解した。
ひとみはフルムーンを戻しインビジブルでスタンドと共に透明化し帽子を飛ばすことに
懸命になっている青年の前に不意に姿を現した。
青年の目には死角から急に現れたように見えただろう。
「あんたの探してるもの、これかしら?」
彼の目の前には今しがたフルムーンに取ってこさせた彼の携帯が触手に巻かれてぶら下がっている。
(現在は大谷さんがナタ男の標的のため今は佐藤の側にいても攻撃の対象にはなり
ません。ただし大谷さんが佐藤から30m以上離れてしまうと、よねさんが標的にな
ります)
>>217 (徳井さんはじめまして!自分も初参加ですが楽しく参加させてもらってます
一応九頭さんが作ってくださったストーリーの本筋はあるのですが四部っぽくいろんな場所で
小さな事件が起こるのも楽しいと思うので好きな行動を展開させていただいたらいいんじゃないかと思います
後でそれも含めて絡めていけばいいですし
取りあえず今はデパートに来ていただいたら問答無用で自動操縦のスタンド「仮面男」に狙われる
というイベントに巻き込まれます
自己紹介もかねて徳井さんなりの導入を書いていただけたらうれしいです)
>>218 グラッツェ!
見落としてましたごめんなさい。
【本体】
名前:徳井一樹
性別:男
年齢:20
身長/体重:174/83
容姿の特徴:黒いスーツに黄色のネクタイ、サングラスといういかにも怪しげな格好。
そのあやしげな格好故に何度か職質されたが、本人は懲りてない。
人物概要:日本人だが、イタリアのとあるギャングに所属している。
里帰りということで日本に帰ってきたが、パスポートをうっかり失くした為帰れなくなってしまった。
失くしたパスポートを探す為今日も徳井は町を徘徊する。
性格は意外に陽気。しかし戦闘時には『男の顔』になる。
【スタンド】
名前:『セイヴ・フェリス』
タイプ/特徴:近距離パワー型。
能力詳細:・殴った物を『切開』することができる。
・切開した中にどんなものにでも人一人分程度の空間をつくれる。
・大きさが同じならば切開したもの同士を結合することもできる。
破壊力-B スピード-B 射程距離-E(2m)
持続力-D 精密動作性-E 成長性-(完成)
A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安
A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下
>>219 一応本家をリスペクトってことでひっぱりだしてきました。
>>220 (佐藤さんはじめまして。説明丁寧にしてくださってありがとうございます!
とりあえず導入部分は明日か、明後日くらいに書こうと思ってます。遅くなりそーでごめんなさい。)
大谷はナタ男の攻撃を避け、写る物の無い安全な場所へ移動する…
そして佐藤に言われたことを整理して少しでも情報を集めようとする。
「何かに写れば30秒攻撃される…そして直接姿を見ることが出来ない…」
そして大谷には一つ気になることがあった、「あまり遠くに行かないでね」の発言である。
攻撃範囲が無限なら遠くへ行ったって大丈夫なはず…そして自分が攻撃されている際、佐藤は攻撃対象にならなかった、
そこで大谷は考えられる答えをだした。
「あのスタンドには佐藤を中心にした攻撃範囲があって、最初に佐藤と同じ物に写ったやつに攻撃をする…」
しかしその場合自分が離れてしまったら佐藤がやられてしまう、彼女がやられたら館を探すことは難しい…
いろいろ考えている大谷は男の客にぶつかってしまう、
「おっと、すまない…!?」
男のメガネにはうっすらとナタ男が見える…
そしていまにもナタを振り下ろそうとしているではないか!!
大谷は鏡のある所へ移動しようとする! しかしそこへ行く前にやられてしまうだろう!
「スマートガントレットォ!」
『パチィン!!』
スマートガントレットの指の音が響く! そして大谷は鏡のあるところへ移動していた。
大谷は『自分がもう一度だけ鏡の方向へ移動したことにした』 そのため鏡まで届いたのだ。
「さぁ、来い! 準備は出来た!」
そしてまた大谷はナタ男の攻撃を避け続けることになった…
懸命に携帯を手繰り寄せるよね。
すると急に、死角から何かが出てきた。
触手…だろうか。それらしきものには自分の携帯。
攻撃に見えたよねはとっさに地面に伏せ、床に手を付き、
「Sum41ッ!この床は俺とは反対方向に鋭く80°持ち上がる!」
まるで剣で切り上げたかのように、床が持ち上がり目の前の物体を裂く。
だが、"床"はスタンドではない。ダメージはないとよねも分っていた。
敵か味方か、見極める必要があったのだ。
敵ならば反撃してくるハズだ。味方ならば説明するか…若しくはそれ以外の何かだ。
「ナタの正体はこれか…?それとも大谷という男かッ?女性かッ?」
目の前のそれに尋ねるような独り言。意識していたわけではないが、とっさに出た言葉だ。
その隙に携帯電話を奪い取り、後ろへとロールした。間合いを空けたのだ。
「さあ…どう出るんだッッ!」
>>222 大谷にぶつかって来た男のメガネに現れたナタ男。早速ナタを振り上げて襲い掛かる。
>「スマートガントレットォ!」
『パチィン!!』
白銀の女性の浮いた甲手が指を鳴らすとスマートガントレットの『繰り返し能力』が発動。
大谷はひとみとの待ち合わせ場所の鏡の前まで瞬時に移動した。
一瞬獲物を見失うナタを持った男。
鏡の中に現れ煙のように消える掴みどころの無いスタンドであるが
攻撃中の相手を自動的に追尾する能力は持っていないようだ。
ナタ男はきょろきょろとあたりを見回すと大きな鏡の前にいる大谷を発見し
一度黒い煙になって消えると鏡の前の大谷の前に煙と共に現れた。
この間約10秒…残り20秒…!大谷は逃げ切れるか?!
>>223 佐藤ひとみは青年の斜め前の位置に立ちフルムーンに持たせた携帯電話を青年の前にぶら下げて見せた。
ひとみの位置が青年から死角だったのか、それとも完全にテンパッているのか青年はひとみの存在が目に入っていないようだ。
青年は床に手をつきスタンドに情報を書き込ませる。
>「Sum41ッ!この床は俺とは反対方向に鋭く80°持ち上がる!」
突然持ち上がりめくれる床。裂けた床の鋭い断面がフルムーンを直撃する。
フルムーンは自動操縦中の為ダメージは無いが、ひとみは斜めになった床に煽られて後ろに倒れ尻もちをついた。
衝撃でふらついたフルムーンは触手に持った携帯を落とす。青年は携帯を奪い取って飛び退るように移動した。
「何すんのよッ?!このクソガキッッ!!!
人がせっかく携帯を届けてやったっていうのに!!タマ縮ませてビビりまくってんじゃないわよ!
あんた九頭の追っ手じゃないんでしょ?出てきなさいよ!!
階段であんたを襲ったナタ男はあっちで別の男を追いかけてるわよ!
さっさと出てきなさいッ!!」
ひとみは尻もちをついた体勢のまま例のごとくヒステリー気味に怒鳴り散らした。
>>221(都合がいいときにどうぞ。導入楽しみにしています)
(コイツ…敵か……?)
よねは普段からある程度冷静な人としか話さないようにしてきた。
が、なりふり構っている場合ではない。"もしかしたら死ぬ"かもしれないのだ。
「敵じゃないみたいですね。失礼な事をした。許してもらえないか?」
こういう時は下手に出るのが最も良いのである。
それにここでこの女性や大谷という男性を敵に回すのはあきらかに愚行だ。
よねのスタンドは非常に不完全である。ある程度範囲は指定できるものの大きな物にスタンドの力を使うとタイムラグが生ずる。
また小さくても複雑なもの、例えば線を何万本も引いたアミダくじのような物も同様である。
簡単に言うと力不足なのだ。故にパワーのあるスタンドを利用しなければならない。
「Sum41…この床は元に戻るッ!」
鋭く尖っていた床が元通りになる。
さらに帽子に触れ、床と同様に"設定"をもとに戻そうとするよね。
(これは…利用価値があるか…?)
破裂音を聞くとその方向に吹っ飛ぶ帽子である。
全く使い道のない物だが何故かよねには必要に思えた。
目の前の女性は尻もちをついていた。
これも自分が招いた事である。自分に責任があるものは自分自身で解決するのが最も良いと心理学的にも証明されている。
女性に手をさしのべ、
「どうぞ、お立ちになってください」
>>221 //楽しみにしています。よければご一緒しましょう。
【
>>221 ようこそいらっさいませ!熱烈歓迎!
諸事情あって現在潜伏中の九頭です。
何か導入の希望などありましたらお手伝いしますので言ってやってくださいな。
よろしくお願いします。】
>>225 >「敵じゃないみたいですね。失礼な事をした。許してもらえないか?」
姿を現した青年をしげしげ眺めると、まだ世慣れしていないお坊ちゃんタイプの学生。
明らかに機嫌を取ろうとしている様なやたら下手に出るその態度にひとみは少々イラついたが
まだ怒りの程度は完全にキレるには程遠い。
佐藤ひとみは怒りの矛を収め立ち上がろうとした。
>「どうぞ、お立ちになってください」
手を差し伸べる青年。
ひとみは少し機嫌を直し青年に手を取られ立ち上った。
尻もちをついた時に半分脱げたパンプスを履きなおしながら青年に話しかける佐藤ひとみ。
「やたら慎重なのも結構だけど男はもう少し大胆じゃなきゃね…。
そんなことはどうでもいいけど、あんたもう完全に面倒に巻き込まれてるわよ。
全然状況が解ってないとこを見ると階段に来た男の仲間じゃないんでしょ?
ダマされて連れてこられたってとこかしら…?
あの階段の間抜け男…鏡を持ってきた…アンテロスの能力を知ってたわ・・・つまり九頭の追っ手ってこと。
あんたも九頭のゲームに巻き込まれたって訳ね。
生きてここから出たかったら私達に協力するしかないんじゃあない?」
ひとみは駆け引きの為に多少高圧的に青年に協力を迫った。
そして怪訝な顔をしている青年に向かって説明を付け加える。
「…アンテロス?ああ、あのナタを持ったスタンドの名前よ。私が今付けたのよ。
ギリシャ神話の叶わぬ恋の復讐をしてくれるタチの悪いヤクザみたいな神様の名前よ。
あいつにピッタリの名前だわ。」
ひとみは青年に昨日の九頭の館での出来事とアンテロスの能力について軽く説明した。
もちろんひとみにとって不利益になる情報は除いてである。
・九頭龍一のゲーム…留流家に捕らわれているスタンド使い達と戦い、負ければ留流家の番人にされ死ぬまで出られない。
(1カ月以内に3人のスタンド使いを生贄に捧げればゲームを降りられることは伏せている)
・留流家に組み込まれたスタンド使いと接触を持ってしまった、よねはおそらくゲームに巻き込まれてしまったであろう。
・アンテロスの能力…すなわち本体が死亡しているコントロールを失った自動操縦のスタンドであること。
・鏡など写る物に現れ、アンテロスの姿を見てしまうと30秒攻撃を受ける。攻撃中は鏡などを通じてしか姿を見ることができない。
・佐藤と一緒に何かに写りアンテロスを見てしまった者は攻撃の対象になる。物理的なダメージを与えられない。
・現在の攻撃対象は大谷杉松であること。
(佐藤から一定以上の距離を離れると攻撃の対象から外れることは伏せている)
「で…ナタ男…アンテロスを倒すこと、協力するの?しないの?
協力する気があるなら自己紹介くらいしたらどう?
あんたの能力は見ていたから大体解るけど自分の口から詳しく説明してもらえると助かるわ」
>227(鈴木章吾ってまだ生きてますよね?)
【流石に成長性(完成)は20の分際でおかしいような気がしたので
成長性−Cということで、よろしくお願いします。コロコロ変えてすみません。】
ここはとあるデパートの一角。そこには明らかに周囲とは違う青年がいた。
髪は無造作に寝癖がついたままの天然素材で黒いスーツに黄色のネクタイ、
極めつけにサングラスというメン・イン・ブラックにでも出てきそうな青年がヨロヨロと歩いているのだ。
「くっそォ〜〜〜〜俺のパスポートッ!何処にいきやがったんだ!エス・エイチ・アイ・ティ、つまりシィィィィット!」
しかも異常なテンションで。彼の名は『徳井一樹』。
日本人ではあるがイタリアに住んでおり、更には「ギャング」なのだ。
異常な風貌通り、彼の経歴も性格も異常なものである。そしてそのうっかりさも。
彼は里帰りで生まれ故郷であるここ『北条町』に帰ってきたのだが、
いざ帰ろうという日にパスポートをうっかりどこかに落としてしまったという事実に気がついたのだ。
そして現在に至り、こうやって足がくたびれるよーな毎日を送っている。
「ハァ…流石に疲れたぜ。ちょっと休憩しよう…どっこらしょっと。あ〜〜〜麦茶が飲みてぇな。」
適当に階段近くの隅っこに置いてあったベンチに座ると、彼はこのデパートの異変に気付く。
なんだかデパートが騒がしい。とってもッ!さっきからパスポートの事ばかり考えていたが、
人の多いデパートにしても騒がしすぎる。誰かがドタドタと走り回るような音もきこえてくる。
「あ〜あ…こんなに騒がしいんじゃあおちおち探し物もできねーや。走り回ってる奴に文句の一つでも言ってやるか」
そう呟くと疲れた足をずるずると引きずりながら徳井は音のした方向へ歩くことにした。
つまり、よねと佐藤のいる方向へと。
徳井はこの後、理解する。
『スタンド使い同士は惹かれあう』ことに……
>>226 【ありがとうございます!
とりあえず佐藤さんとよねさんに絡む形にさせて頂きました。】
>>227 【龍一さん、初めまして。よろしくお願いします!】
【
>>228 鈴木章吾は多分、斬り付けられ階段から転がり落ちてどこかで頭を打って気絶しているのではないでしょうか?
あれは敵キャラクターというよりストーリーの誘導用NPCに近い性質を持っておりますのでね。
必要に応じて便利に使っていただいてOKデスヨー。
念のため言っておきますが、生死を含め何か喋らせたい事があれば喋らせてしまってもいいです。
もし整合性があわなかったりしても、頭打って混乱していた!という強力兵器を持っておりますので遠慮なく使ってやってくださいな。】
(アンテロス…それがヤツの識別記号かねえ…)
よねは本来ならば冷静になれない人間とは話さない主義であったが、
この女性は違う。冷静ではないもののどこか知的であった。
故によねがこの女性に協力しない理由などない。
最も、この非常事態である。選り好み出来る状況ではないのだが。
「いいでしょう。協力してどちらかが被害を被ることもありますまい。
よね…でいいですよ。そう呼べば反応するはずです。そして…
…自分のスタンド、"Sum41"は自分かもしくはスタンドが触れている者の"設定"を書き換えることができる能力です。
口で言ってもよくわからないと思いますので…百聞は一見にしかず。古人の人を習いましょう」
そういってよねは壁に貼ってあった貼り紙を剥がすと、
「Sum41…この紙はとても脆くなるッ…」
そう言った後、よねはその紙を上下にふった。
すると塵――秋名と同じような――となって消えうせた。
「と、まあ能力のほんの一部ですがこんな感じです」
恐らく彼女も知りうる情報のすべてを公開したわけではないだろう。
こういう危機的状況下に置かれた時、他人を信用するのは最も危険な行為だ。
それ故、よねも自分の能力の片鱗だけを見せたのだ。
//「あ〜あ…こんなに騒がしいんじゃあおちおち探し物もできねーや。走り回ってる奴に文句の一つでも言ってやるか」
声が聞こえた。大谷という男性だろうか。いや、彼はナタ…アンテロスと戦っている最中だろう。
その九頭の刺客とやらか。それとも…
>>232 通路脇から出てきた青年と話をする佐藤ひとみ。
>いいでしょう。協力してどちらかが被害を被ることもありますまい。
よね…でいいですよ。そう呼べば反応するはずです。
ひとみは青年の独特の口調に少々面食らったが、目まぐるしく流行の変化するこの世の中。
最近の学生はこんな風な喋り方をする奴もいるのかと適当に納得した。
「『よね』君……設定を書き換える能力…便利な能力ね。
私は佐藤ひとみ。私の能力はこれよ。」
ひとみは彼の前にフルムーンを移動させて見せた。機械のようなケースに入った眼球、ケースの隙間から蠢く触手。
「これ私の右目よ…これを飛ばして遠くが見れる…まあその程度の能力よ。
射程距離は少なくとも数十キロ…それ以上は試したこと無いから解らないわ。
あとはちょっとした探知ができるくらい。つまり戦闘向きのスタンドじゃないわ。
戦力としてはあまり期待しないで。」
ひとみは一応正直に自らのスタンド能力をよねに説明した。
「ところであんたのスタンド『Sum41』…。
例えばそれで"設定を書き換え"て人やスタンドを殺すこともできるってこと?
それってどれくらい時間がかかるの?」
ひとみは好奇心からか矢継ぎ早によねのスタンド能力について質問した。
>>229 青年と話していると通路の向こう側から怪しげな風体の男が近づいてくる。
古風なデザインの黒いスーツにサングラス。
いかにも殺し屋かギャングとでもいうような風体だ。
しかも彼の目線はしっかりと、ひとみのフルムーンとよねのSum41を追っているではないか。
…彼はスタンド使い……?
まさか九頭の追っ手…新手のスタンド使い?!
ひとみは思わず身構えた。
ひとみは隣にいるよねに小声で呼びかける。
「よね君、注意して。あいつ私達のスタンドが見えてるわ…」
>よね君、注意して。あいつ私達のスタンドが見えてるわ…
「あッ!ちょっと待った!ストップ!スト〜〜〜〜ップッ!おいッストップって言ってンだろアホンダラッ!」
スタンドをつい目で追ってしまった徳井を前に、身構えるよねと佐藤に自分は敵ではないと知らせようとする。
しかしかなしいかな、徳井のふざけた口調では信じてもらえそうにない。
そろそろ真面目に言おうとシリアスキャラをチェンジする。
「いや、なんだかよくわかんねーが俺は敵じゃあねーよ……
ちょいとデパートが騒がしかったんで見に来ただけだ……信用してくれねーかな。
いや、スタンド使いであるのはその通りでございますなんだがね」
徳井が自分のスタンドの射程距離外からスタンドを出し、更に喋るのを続ける。
「見ての通り俺のスタンドは典型的な近距離パワー型だ。射程距離は2m。
今俺とあんたらの距離は目測でだいたい4mだから攻撃はできない。スタンドも見せたし信用してくれ、な!」
徳井は執拗なまでに『信用』という言葉に執着している。
信用はギャングの世界では命に関わると言ってもいい。
信用した仲間が裏切り者だったりするとお話にならないからだ。
だから徳井は誰も簡単には信用しないし、信用してもらう際にはどんな事も惜しまない。
「くそッ、頼むから信用してくれ…もう足がクタクタで立つのがしんどいんだ…」
ただし、この態度からそれを理解してもらうのは至難の技ではあるが…
なるほど。よねは自分が求めているタイプのスタンドではなかったが非常に有用である。
…やろうと思えばよねにも倒せるスタンドではあった。
佐藤自身も"戦闘向きではない"と自ら明かしたし、よねも彼女に戦闘をしてもらおうとは思わなかった。
そしてよねは佐藤の質問に答えた。
「もちろん、このスタンドで命をもてあそぶことはできますよ。
人の人体全体をいじるとなると1分ほどその人間に触れておかなければなりません。
もっとも、自分には人を殺すなんてそう簡単にはできませんがね」
当たり前である。ごく普通の学生がHBの鉛筆をへし折る事と同じように人を殺せるはずがない。
それゆえ、先の秋名も殺したのではなく、塵にしたのだ。苦しみで比べたならば後者の方が残酷だろうが…
すると佐藤が小声で呼びかけてきた。
/「よね君、注意して。あいつ私達のスタンドが見えてるわ…」
確かに声が近くなった。というよりもすぐそこに居る。
距離…4、5mといったところか。恐らく大谷という男性ではない…いや、大谷ではない。
するとその男も聞こえたのか、急に弁明を始めた。
(この男…敵ではないな。そんな感じがする。…しばらく佐藤の出方を見るか…)
男のスタンドこそよねが最も欲していたタイプであった。
近距離パワー型。力不足のよねと佐藤――大谷に関しては知らないが――には必要である。
後は佐藤の出方次第だ。
よねは佐藤に自分の考えを悟られぬようにした。
>>235 自分のスタンド能力をよねに話す佐藤ひとみ。
フルムーンの能力を聞くよねは何気ない顔をしているが一瞬ホッとしたような表情も見せた。
その表情の変化をひとみは見逃さなかった。
「こいつ今、私に関してはどうにでもなるって顔したわね…正直な奴…。」
ひとみは心の中で呟いた。
インテリぶって妙に落ち着いた態度の青年であるが
ある意味世間慣れして本性を隠し仮面生活をしている、ひとみからするとその態度はどこか未熟で子供っぽく見える。
続けてひとみの質問に対し自らのスタンド能力を答える、よね。
>「もちろん、このスタンドで命をもてあそぶことはできますよ。
>人の人体全体をいじるとなると1分ほどその人間に触れておかなければなりません。
> もっとも、自分には人を殺すなんてそう簡単にはできませんがね」
「なるほど1分はかかるわけね…。」
ひとみは何気に相槌を打つフリをしたが『1分』…その時間、実は貴重な情報である。
>>234 ひとみとよねに近づいてくる黒いスーツの男…。
フルムーンとSum41を目で追っている。
男の背後にはうっすらと人影のようなものが浮かんでいる。
…やはりスタンド使い…!
敵にしろ、ただの通りすがりのスタンド使いにしろ動きを止めた方が安全。
ひとみはフルムーンを透明化し男の背後に回りこませる。
男の後ろに姿を現したフルムーンは唐突に触手で男を羽交い絞めし、さらに男の首に大量の触手を巻きつけた。
「そこで止まりなさい!こんな小さなスタンドでもあんたの首をへし折るくらいのことはできるのよ。」
ひとみは凄みを効かせた低い声で言い放った。
>「あッ!ちょっと待った!ストップ!スト〜〜〜〜ップッ!おいッストップって言ってンだろアホンダラッ!」
>「いや、なんだかよくわかんねーが俺は敵じゃあねーよ……
>いや、スタンド使いであるのはその通りでございますなんだがね
ふざけた話し方の男だ。
男は続けて自分のスタンドを出現させ能力を明かした。
敵でも味方でも無い通りすがりのスタンド使いだとしても、自分の能力を何処の馬の骨とも解らないひとみ達に明かすのは迂闊だ。
男は信用がどうとかと話しているが、よねとひとみが信用できる人間かどうかはまだ解らないではないか。
男のあまりの軽さに呆れる佐藤ひとみ。
動きを止めた男を良く見ると、ヤクザかギャングのような古風な格好に似つかわしくない若い顔をしている。
明らかにひとみより年下だ。
ひとみは年下の男があまり好きではない。概ね生活力が劣るし付き合うのも面倒だからだ。
上手く煽てておけば勝手に動いてくれる、ある程度年の行った自信家の男の方が付き合いが楽だ。
だが幽霊のような掴みどころの無い自動操縦のスタンドに襲われて動きが取れない非常事態。
スタンド使いの味方は貴重だ。
ひとみは彼に協力させることにした。
だが真実を話して協力を頼んで「はい解りました」と答えるお人好しが何処にいるというのか。
彼の協力を確実なものにする為には彼をアンテロスとの戦いに巻き込まなければならない。
「わかったわ。あなたは敵じゃない…。
足がくたくたなんでしょ?とりあえずお茶でも飲みながら話しましょうか?」
ひとみはフルムーンの触手を解き、彼を解放すると現在大谷のいる場所から遠ざかるように歩き始めた。
警戒のためと偽りスタンドシートを見ながら歩く佐藤ひとみ。
大谷は再度アンテロスの攻撃を回避中のようだ。
歩きながら大谷のマーカーとアンテロスのマーカーをチェックする。
ある位置に来ると大谷の側にまとわり付いていたアンテロスのマーカーが突如点滅して消えた。
「来たッッ!ここよ!!」
ひとみはスーツの男の腕を取ると強引に側にあった店舗の鏡に写らせた。
鏡に写ったひとみとサングラスの男。さらに鏡の中にはナタを構えたアンテロス…!
「悪いわね!次のターゲットはあんたよ!そいつ鏡にしか写らないから気をつけて!
それ貸してあげるから30秒上手く乗り切ってね!!30秒経ったら何も写るものが無いところに移動して!」
ひとみはスタンドシートをレイヤーを剥がすように分離させるとシートを鏡と同じ反射率にして男の前に浮遊させた。
(大谷さんは一時的にアンテロスの攻撃対象から外れます。あくまで一時的ですが)
…ナタ男の攻撃を避け続けて何十分経っただろうか。
大谷はすでに疲れきっていた、いくら旅人の体力とはいえ攻撃を集中して避け続けるには限界があった。
鏡の無い場所で待機し疲れを取っている…今何かに写ったら攻撃を避けることは出来ないだろう、
「そろそろ、何かわかっても良い頃だろう…そうであってくれ…」
願望に近い推測を立て携帯電話を取り出し、その携帯電話を自分のスタンドに渡した。
「俺が画面に写ったら終わりだ…離れたところで佐藤に連絡を取ってくれ、」
『…ソノヒツヨウハナイワ イマ ヤツノケハイハカンジラレナイモノ …ホラネ』
スマートガントレットはそう言いながら大谷に携帯電話を渡す、
その携帯電話には自分の姿しか写ってない…
『ワタシダッテ"スタンド"ナノヨ サイショノコウゲキダッテ ワタシガイナケレバ イマゴロマッフタツジャナイ』
「…そうだな、毎度毎度あんたには感謝してもしきれねぇよ」
大谷は緊張の糸が切れ、バタンと無防備に地面に倒れこむが、その後携帯電話を手に取り、
本来の目的であった、佐藤へ現状の説明を聞く電話をかける。
自分にナタ男が来ないという事は、他の誰かが対象になっている可能性が高い。
「―――大谷だ、ナタ野郎がこっちに来なくなったぞ、そっちは大丈夫か?」
『イマゴロアナタヲマモッテクレル ナイトサマガ ガンバッテクレテルノデショウネ…!』
大谷は疲れきりかすれた声で。
スマートガントレットは皮肉混じりの一言を佐藤に向けて放った。
「イデデデデデ!!いきなり攻撃するなよ!ストップって言っただろーが!アホッ!」
一瞬触手を自分のスタンド能力で引きちぎってもよかったのだが、
それだとますます敵だと疑われかねないので出方を窺いながらおとなしくしていることにした。
>「わかったわ。あなたは敵じゃない…。
>足がくたくたなんでしょ?とりあえずお茶でも飲みながら話しましょうか?」
「ほっ、信用してもらえたかどーかはわからんが、とりあえず敵じゃねーってわかったようだな」
フルムーンの触手が解かれて、首をグリグリ回す徳井。
隣にいる帽子の青年も自分が敵ではないと理解してくれたようである。
まったくメンドーな事に巻き込まれたなあと言わんばかりの表情で溜息をつく。
すると佐藤が歩きながら何やらシートのようなものを見ている。
興味本位で横からサングラス越しに覗き見していると、突如点滅が消えた。
>「来たッッ!ここよ!!」
「来たって何がだよ!?」と言おうとしたのだが、言う暇もなくナタを構えたスタンド──
『アンテロス』が徳井の前に現れたのだ。
そして徳井はやっと状況を理解した。スタンド使いである彼らは他のスタンド使いに襲われており、
徳井はマヌケにもその面倒事に巻き込まれてしまったのだ。
>「悪いわね!次のターゲットはあんたよ!そいつ鏡にしか写らないから気をつけて!
>それ貸してあげるから30秒上手く乗り切ってね!!30秒経ったら何も写るものが無いところに移動して!」
「えぇ!?何だよいきなり!敵じゃあねーとは言ったが協力するとは一言も言ってねえ…ちょっ、待てよ!」
追いかけてしばいてやろうかと思ったが、
アンテロスが徳井の頭に向けてナタを振り回してきたのでそれどころではない。
「チクショウ!これじゃ貧乏クジじゃねーか!30秒だと!?フザッけんな!」
徳井は瞬時に背後にスタンドを出現させ、アンテロスのナタを拳ではじく。
全身スーツのように漆黒に覆われ、額には特徴的なゴーグルを着けた徳井の『セイヴ・フェリス』が。
「スピードとパワーは互角ってとこか!けどよォ〜〜〜…そんな悠長にナタ構えてていいのかよ。
俺のセイヴ・フェリスはもう既にテメーに対して攻撃を仕掛けてるんだぜ」
アンテロスの持っていたナタから突然ミシミシと軋むような音がした。
その音はだんだんと大きくなり、そして───
───バクンッ!!
ナタが突然へし折れるように曲がるが、首の皮一枚でナタは繋がっている。
へし折れた箇所はまるで切り裂かれたかのように綺麗な切り口で裂けていた。
「理解したか?ちゃんと見たか?状況把握してるか?これが俺の能力だ……マヌケ面ァ!」
これが『セイヴ・フェリス』───…殴ったものを問答無用で切開する能力である。
「30秒間上手く乗り切れってことは、あいつは一回30秒間しか攻撃できねーってことか…単純に。
今は…えーと6秒はたったな。残り24秒か。23、22…」
折れ曲がったナタを構え、アンテロスが再び徳井に攻撃を仕掛けはじめた。
(コイツ…アンテロスと渡り合える…)
よねの読み通りだった。これで戦える。
見たところナタはスタンドとも干渉するしそうでないものとも干渉するようだ。
つまり、よねもある程度は自衛する術を持っているという事。
「つまりッ…俺にも貴様は倒せるということッ!」
アンテロスが男へ攻撃する瞬間を狙った。
よねは常に持ち歩いているミネラルウォーターに指を浸し
「Sum41!この水は鉄と同化するッ!」
よねの考えはこうだ。
"ナタの刃の部分に水を同化させて切れにくくする"
そしてよねはアンテロスの方向にミネラルウォーターをまいた。
見事に水はナタと同化した。もっとも、目の前の男がナタを折り曲げてなかったら失敗に終わっていただろう。
「これでヤツは力で勝負するしかなくなるッ!」
つまり刃の鋭い部分が鋭くなくなってしまったが故にアンテロスのパワーは実質ナタの刃の分が減ってしまったのだ。
(今までのヤツのパワーはナタの刃の鋭さ+自身の振り下ろしによるエネルギー…
だがナタの刃の鋭さがなくなった今、ヤツは自身の力に依存するしかなくなったッ!)
一見ほとんど効果のないように思えるが、その効果は絶大である。
簡単に表すと真剣が木刀にかわったようなものなのだ。
これはよね達にとって大きなアドバンテージとなる…ハズである。
大谷が攻撃対象から外れた距離をスタンドシートで計測したところ『30m』。
つまり射程距離は佐藤ひとみを中心とした半径30m。
今アンテロスの攻撃に対抗しているサングラスの男から30m離れない限り、ひとみは安全ということになる。
正確に射程距離を把握できたことで奴を倒す為の対策に役立つかも知れない。
>>238 携帯の着信音が鳴る。
メイクルームの床に叩きつけたことで一度壊れた携帯だがフルムーンが基盤に進入したことで
上手く回路が繋がったのかヒビ割れてはいるが通話に差し支えは無いようだ。
逃げ回る黒いスーツの男を他所に通話を繋ぐひとみ。
通話の相手は大谷杉松だ。
>「―――大谷だ、ナタ野郎がこっちに来なくなったぞ、そっちは大丈夫か?」
>『イマゴロアナタヲマモッテクレル ナイトサマガ ガンバッテクレテルノデショウネ…!』
「ああ大谷さんお疲れ様…。すごい!あなたのスタンドって嫌味も言えるのね!
お陰様で私のナイトはあなたも含めて3人に増えたわ。
ついさっき新しいナイトになってくれた男がアンテロスから逃げ回ってくれてるわ。
もちろん彼もスタンド使い。
あ、あのナタのスタンドの名前『アンテロス』に決めたから。本体はもう死んじゃってるし私が付けるしか無いでしょう?
そろそろ潮時…アンテロスの本当の能力を話すわね。
アンテロスの本体は田所って男。2時間ほど前電車の事故で死んだわ。
おそらく田所の思念の様なものが幽霊みたいに私に憑りついているみたいなの。
つまり仮の本体は私。射程距離は私から30m。
私から30m以上離れると攻撃の対象から外れるわ。言っておくけど逃げようなんて思わないでね。
私があなた達の居場所を探知できることを忘れないで。
インビジブルを使えば移動はどうにかなるんだから
あなた達が逃げたら私はどんな手段を使ってもあなた達の30m以内に入るわよ。
九頭のゲームを差し引いても、鏡や写る物を直視できないなんてまともな生活できっこないわよね。
私とあなた達ナイト3人は運命共同体なの。あいつを倒さないと人生終わったも同然よ。」
通話の相手は大谷だがひとみは「あなた『達』」を強調して声に出した。
近くにいるよねにも聞こえるようにだ。逃げ回っている男には聞こえているかどうか。
>>239 サングラスの男と一緒に鏡に写る佐藤ひとみ。
ナタを振り上げて男に襲い掛かるアンテロス。
>「えぇ!?何だよいきなり!敵じゃあねーとは言ったが協力するとは一言も言ってねえ…ちょっ、待てよ!」
男はああだこうだと喚いているがひとみの思惑どおりスタンドを出現させアンテロスに対抗し始めた。
男のスタンドはパワータイプ、アンテロスに物理的な攻撃が通じないとはいえ、盾にするにはもってこいの人材だ。
彼のスタンドはアンテロスの攻撃を弾きながらナタに拳を当てる。
>───バクンッ!!
ナタはへし折れ、折れ曲がり刃の部分が折れた箇所から下にぶら下がった。
が…折れたナタは黒い煙を立ててすぐに再生していく。
アンテロスに物理攻撃が通用しない所以だ。
>今は…えーと6秒はたったな。残り24秒か。23、22…」
徳井に持たせたスタンドシートの右上にはタイムカウンターを付けている。残り約20秒。
>>240 黒い煙と共に再生してゆくナタ
>「Sum41!この水は鉄と同化するッ!」
その時、よねが再生しかかったナタにミネラルウォーターをかける。
ナタは再生し元の形状に戻ったが、よねの能力は物理攻撃ではない。
アンテロスの再生能力もよねの書き換えた情報には効果が無いようだ。
透明な水と半分同化し鋭さの無くなったナタは刃物としての機能を失い鈍器と化した。
「やるじゃない!…よね君…やはり彼の能力が鍵ね…。」
大谷との通話を続けるひとみ。
「大谷さん、聞こえてる?こっちのナイトの1人に便利な能力を持ってる奴がいるの。
1分間あいつを継続して出現させ続けて、尚且つ動きを封じることができれば…大谷さん、おそらくあなたの能力も…」
言いかけた時、突然天井からシャワーのように水が降ってきた。
「ひえっ何よこれ?!水…?スプリンクラー!!冗談じゃないわ。この上床に水溜りでも作られたら…最悪の状況ッ!!」
火災のベルも鳴っていないのに突然作動するスプリンクラー。
誰かが意図的に操作しているに違いないとスタンドシートで探知するひとみ。
「いた!警備詰め所の操作室にスタンド能力者がいる!きっとそいつの仕業よ。大谷さんそいつあなたに任せていい?!」
ひとみは一方的に通話を切るとよねと徳井に向かって叫んだ。
「あっちのフロアはまだ水が降ってない!走るわよ!!」
だが追い込まれるように走りこんだフロアは鏡やガラスだらけのファッションエリア。
(操作室にいる男は鈴木章吾です。九頭さん動かしてもらうこととかできますか?無理ならなんとかします)
>私とあなた達ナイト3人は運命共同体なの。あいつを倒さないと人生終わったも同然よ
「運命共同体?……なんて自己中な女なんだ……俺、あーいう奴とは仲間になれそうにねえ」
必死こいて逃げ回りながらもちゃっかり会話を聞いていた徳井。地獄耳とはこのことである。
ナタ男が今にも迫って来ているので、徳井はこの怒りをアンテロスにぶつけることにした。
>「Sum41!この水は鉄と同化するッ!」
女の隣にいた帽子の青年だろうか、アンテロスのナタに水が同化する。
面倒事に巻き込まれ、心の中で怒り全開だった徳井だが、帽子に青年の株だけは上がったようである。
「グッドッ!帽子のあんちゃん良いスタンド持ってるじゃん!」
ナタは再生してしまったが、ただの鈍器と化したナタ。これは大きなアドバンテージと言える。
それでもひたすら攻撃を続けるアンテロスを回避していると、徳井は急に立ち止まった。
「そうだ……そこがいいんだ……その位置が今…スゴクいいんじゃあないか…」
何やら小言でブツブツ呟やく徳井。ついに頭が狂ってしまったのか。
アンテロスの水と同化したナタが、徳井に迫る!
「お前、物凄く頭悪いな……何闘牛みてーに突っ込んできてるんだよ」
徳井がヒラリと身をかわすと、そこには商品を置いてある棚。逃げ回っている隙に切開しておいたのだ。
アンテロスが徳井の切開した棚の中の空間に突っ込む。
切開した空間の中にアンテロスが完全に入りきると何事もなかったかのように切開された場所が結合していく。
「残り15秒間ずっとその空間の中でナタ振り回してろマヌケ」
とりあえず奴の攻撃を防げたと安心し、フーーッと一息つく徳井。
ふと、自分の背後をふよふよと浮いているスタンドシートに目をやる。
どうやらタイムカウンターがついてあるらしい。残り12秒と表示されていた。
それよりも徳井はもっと重要なことに気付いてしまった。とてつもなく重要なことだ。
「チ…チクショー…なんてもんを置いていきやがったんだ…俺の顔が映るじゃあねーか…」
そう、佐藤が貸してくれたスタンドシートは鏡と同じ反射率になっていたのだ。
これでは30秒後も奴の攻撃を回避し続けなければいけない。
30秒たった後は鏡の映らないところにとっとと逃げ込むつもりだったのに、とんだ誤算である。
徳井の頭に突然水が降ってくる。スプリンクラーが何故か作動したのだ。
スーツ、びしょ濡れになるな…などと呑気に考えていると女が大声で叫んでいる。
>「あっちのフロアはまだ水が降ってない!走るわよ!!」
言われるがままに走るが、着いた先はガラスと鏡だらけのファッションエリア。
タイムカウンターに目をやると残り5秒を切っている。時間がない。
「セイヴ・フェリス!床を切開しろッ!」
セイヴ・フェリスが床を殴ると穴が開くように切開され、下の階が見える。
下の階に飛び降りようとする徳井は2人に対して叫ぶ。
「こんな鏡地獄にいたら命がいくつあっても足りねーぜ!さっさと下の階に逃げるぞ!」
【
>>126のものです。あつかましいですがデパートに登場させて頂きます。
場所は佐藤勢の反対側で遭遇はクライマックス辺りでしょうか…
それまでは待機ということで話に絡みませんがご了承ください】
「もー何なのよ!」
地下食品売り場、そこの更に地下の連絡通路で座っていた少女への応対はスプリンクラーの放水だった。
突然起こった猟奇殺人事件とスプリンクラーの誤作動(と思われている)にデパートは大混乱に陥った。
が、学校の帰り道、切れた香水を購入するため友人と一緒に来た彼女は
それを知る由もないし、知った後後悔した。残酷過ぎる死体を直に目撃した
友人が泡を吹かしながらどこかへ走り去ってしまったのだ。元々そういう類いに
耐性のない彼女を小馬鹿にしていた友人がまさか自分を置いて一目散に駆け抜けて行く
様は場違いな表現だが実に痛快だった。
「うー寒ぶっ、早く上の階に行こう…」グニュ
そのとき足に違和感を感じた。捨てられたガムだろうか?違う、それよりはもっと種類が違う、別の何かな気がした。
これ以上濡れたくなかったが、いくら歩いても違和感は拭えない。足元を良く目を凝らして観察してみた
「!!」┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
水溜りへの違和感、それは水中に漂う巨大な透明色の"生き物"!
彼女は今にも叫んで階段を駆け上がりたい気分だったがそれは叶わなかった。
突如水が吹き出して彼女の前に異形の怪物が姿を現した。
クラゲの体から人間の手足が伸びたようなグロテスクな外見。恐怖にひきつる彼女に怪物は有無を言わさず跳び掛った。
少女が最後に覚えていたのはネオンライトのような無数の目と、自分の股下と首に絡まった怪物の長い手。
抱え込まれながら考えていたことは、怪物が今自分に掛けている技は彼氏が大好きなプロレス選手のフィニッシュホールド。
確かな名前は…「ノーザンライト・ボム」
ディボディボボボボ…
(あなた達ねえ…勝手な人だ)
まるで叔母を見ているようだった。勝手に借金を抱えよねの両親に大きな迷惑をかけた女。
家族一丸となってなんとか何千万という借金を返したが、それが理由で家族は崩壊寸前であった。
そしてその叔母とはよねがこれまでの人生で殺した3人の中の1人だった。
突然、スプリンクラーが作動し、床に水たまりが出来ていく。
水面は反射する。よねはしばらくしてそれに気づいた。
(思い出にふけってる暇なんてない…か)
佐藤の呼びかけに呼応する様によねは床に手を付き最もよく使う"反発"で一気に距離を超えようと思った。
が、ない。床が無いのだ。恐らくは男のスタンド"セイヴ・フェリス"だろう。
物を切る能力だろうか。よねにも容易に推測できた。
「これは便利ッ!」
よねは下へと飛びおりると同時に手を叩いた。
それに反応し飛んでくる愛用の帽子。いつのまにか愛着をもつようになった帽子である。
よねは滞空中に帽子を被ると衝撃を吸収する様に下の階へ着地した。
>>243 黒スーツの男の能力により切開した空間に閉じ込められて動きを塞がれるアンテロス。
一息ついた男は鏡を見てハッとしたように声を上げる。
>「チ…チクショー…なんてもんを置いていきやがったんだ…俺の顔が映るじゃあねーか…」
ひとみは男に向かって情報を付け加えた。
「バカね。何のためにタイムカウンターが付いてると思ってんの?
それスタンドの鏡よ!30秒経ったら自動的に消えるようにセットしてあるわよ!」
アンテロスの攻撃を防ぐメドがついたというのに今度は天井から水が降ってくる。
水溜りなど作られたらアンテロスに無数の入り口を提供するようなもの。
水を避けてひとみ達が逃げ込んだエリアは鏡だらけ。
>「セイヴ・フェリス!床を切開しろッ!」
サングラスの男のスタンドが床を殴りつけると床に鋭い刃物で切り裂いたかのような裂け目があらわれた。
下の階に飛び降りる男。よねも後に続く。
ひとみも衝撃を和らげるために浮遊するフルムーンを腕に絡めて下の階に飛び降りた。
下の階は比較的鏡の少ない家具とファブリックのエリア。
だがガラスや鏡の組みこまれた家具も少なくはない。
ひとみはスタンドシートにこのエリアの3D画像を映し出す。
スタンドシートで前もって鏡や写る物をチェックしながら安全な経路で移動するためだ。
「壁に沿って突き当たりまで進んで右に曲がって!そこの壁の切れ目から階段に入れるから。
それとあんた、そのMIBみたいなふざけたグラサン外して。
それによね君が写ったら今度は彼が攻撃されることになるわ。」
ほとんどの客はエレベーターかエスカレーターを使うため階段を使う者は少ない。
そのため階段には余分な装飾がなく殺風景で写り込むものは何も無い。
ちなみにここの3階上の階段の踊り場が鈴木章吾が鏡を割って散らばらせた場所だ。
階段に入るとひとみはスーツの男に話しかける。
「私は佐藤ひとみ。あなた名前は?」
名前を聞くとひとみは男の目をまっすぐ見て話す。
「……別に許してもらうつもりは無いけど、一応謝っておくわ。あなたには悪かったと思ってる。
あなたは大谷さんやよね君とは違う。私が巻き込むまで九頭とは無関係だったんだから…。
この街にいれば遅かれ早かれ巻き込まれたかも知れないけど。
私にはあなたに説明する義務がある。
あんたは九頭の差し向けたスタンドであるアンテロスと接触を持ったことで、もう九頭のゲームに巻き込まれてるわ。
左手の甲を見て。その鱗みたいなもの、さしずめ九頭のスタンド『留流家』の呪いの印よ…。」
「よね君あんたにもあるでしょう?
あんた巻き込まれて迷惑って顔してるけど、あんたを巻き込んだのは私じゃない。
あんたは九頭の手下のスタンド使いにダマされてここに来た。私と一緒に鏡に写ったのだって私が意図的にやったことじゃない。
言わばあんたが巻き込まれたのは自己責任ってとこ。
あんたが私にいい感情を持ってないことは表情でわかるけど私達の腐れ縁は当分続くわよ。
九頭を殺すまでね。」
よねと徳井に『留流家(ルルイエ)』の呪いについて話すひとみ。
・九頭のゲームに勝つかゲームを降りるまでこの印は消えない。
・この印の付いたものが北条市を出ると自動的にリタイアと見なされ全身鱗に覆われ留流家に組み込まれてしまう。
・ゲームクリアの最終条件は九頭龍一を殺すこと。
「…これは伏せておこうかとも思ったんだけど面倒だから言うわ。
ゲームを降りる条件は『1ヶ月以内に九頭に3人のスタンド使いを生贄に差し出すこと』
この条件、あんた達に選択できるかしら…?私だって出来ればやりたくないんだから。
人をハメるって気持ちのいいものじゃないわ。その上その人間を死んだも同然の状態にするとしたら…。
これは良心の問題じゃない。負い目を持つと生きる上で余計なハンデを背負うことになる。
選択はあんた達に任せるわ。」
(アンテロスを倒す作戦は次回あたり用意する予定です)
(ボブさん始めまして!よろしくおねがいします。ノーザン!健介ですか)
>「バカね。何のためにタイムカウンターが付いてると思ってんの?
>それスタンドの鏡よ!30秒経ったら自動的に消えるようにセットしてあるわよ!」
「それならそうとさっさと言ってくれよ!ちょっと早とちりして格好悪いじゃねーか!」
顔を真っ赤にして文句を言う徳井。早とちりした徳井がどう見ても悪いのだが、性格が性格なのでどうしよーもない。
豪快に下の階に着地すると、当然だが足が痺れる。
やっぱ、皆みたいにスタンド使って衝撃和らげてればよかった……と後悔する徳井。マヌケである。
>「壁に沿って突き当たりまで進んで右に曲がって!そこの壁の切れ目から階段に入れるから。
>それとあんた、そのMIBみたいなふざけたグラサン外して。
>それによね君が写ったら今度は彼が攻撃されることになるわ。」
「俺、サングラスはなるべく外したくないんだよな…非常事態だし、しょうがねーんだけど……」
徳井は昔、あるスタンド使いのギャングと戦い目を負傷し、その傷が顔に残っている。
その傷は徳井曰く「物凄く気持ち悪い」らしいので、こうやってサングラスで目を隠している訳である。
渋々とサングラスを外し、胸のポケットにサングラスを丁寧にしまっておく。
ずっと付けていたせいか、愛着が湧いてしまったのもある。
>「私は佐藤ひとみ。あなた名前は?」
階段に入ろうとしたときにいきなり名前を聞かれたのでちょっと面食らった。
確かに今までは名前を聞く機会もなかったので、聞かれるのはあたりまえではあるが。
「俺?俺は徳井一樹。イタリアに住んでたんだけど、故郷の北条町に一時的に帰ってきたんだ」
自分がギャングであるということは隠しておく。わざわざ言う必要もない。
もし仮にそんな事を言ってしまったら「は?こいつ何言ってんの?馬鹿なの?死ぬの?」
と言わんばかりの表情で睨まれる事は確実。コーラを飲んだらゲップをするというくらい確実である。
まあこの服装から「こいつ、ギャングかマフィアみたいだな」と大概思われているのだが。
そんな下らない事をあれこれ考えていると面倒事に巻き込まれた張本人である女性がいきなり謝罪しだした。
佐藤の言う事をまとめるならば、こういうことだ。
『飛んで火にいるナントヤラ』
(…九頭龍一か…俺はずっと奴を追いかけてたんだ…こいつを探す為にイタリアから帰ってきたんだ…
俺が奴のゲームに参加しちまったなら、それはディ・モールトいい状況だぜ……奴を殺しやすくなるッ!)
徳井一樹の事情はこうだ。7歳の時、スタンド使いの両親を九頭龍一の留流家に取り込まれ、
両親のいなくった徳井を遠い親戚である、イタリアギャングのボスに引き取られ今の生活を送っている訳である。
故郷の北条町に帰ってきたのも、九龍を探し出すため。結局自力では探せずイタリアに帰ろうとしてたのだが
こうやって偶然か運命か自ら九頭龍一を殺すチャンスが生まれた訳である。仇を討つために。
「俺は、ずっと九頭龍一を探してたんだ…これは寧ろ、
神様からのチャンスと受け取るべきだ……選択は最初から決まってる…俺は九頭龍一を殺る。
親父とお袋をテメーのためだけに取り込んだ奴を俺は許せねえッ!
帽子のにいちゃん…えーと、よね君だっけ?にいちゃんはどうすんの?」
最早最初からいたんじゃあねーの?とでも言うような馴れ馴れしさでよねに話しかける徳井。
【ボブさん始めまして。青二才な自分ですが、絡んだときはよろしくお願いします!】
「まあ構いませんよ。確かに貴方には良い感情を抱いてはいませんが、
今は選べる状況じゃ無いでしょう」
佐藤を直視して言う。よねの悪い癖である。
自分の責任を追及されるとついついムッとなってしまう。
ル ー ル
そして九頭とやらのゲームの"遊び方"を佐藤に教えてもらったよね。
簡単なことだがやる勇気はない。自分の代わりに他の誰かを犠牲にするなんて愚の骨頂だ。
もっとも、その気になれば3人の生贄などすぐに用意できるのだが……
「やれやれ…くだらない遊びに巻き込まれたな…」
だがその遊びはよねの勘が正しければ、己の父親を救いだすことができるチャンスであった。
よねは初めから降りるつもりなどない。
もしも父親が九頭に取り込まれているならば、秋名の様に自分を殺すための刺客として送り込まれるだろう。
そして目の前の男――徳井というらしい――も同じような、それでいて自分以上の被害を受けている。
つまり協力出来る。同じ目的を持つのだ。反発する理由はない。
/帽子のにいちゃん…えーと、よね君だっけ?にいちゃんはどうすんの?」
「やります。あなたと同じように。九頭を殺ります」
//ボブさん…かっこいいッ!ビクンビクン
警備詰め室へ続く廊下には赤黒い筋が続いている。
扉は重々しく閉められたまま。
その前には屈強な男が棍棒を持って立っていた。
鈴木章吾のスタンド、アイドルメーカー!
カンテラの揺れる幻灯が対象の心の奥底の願望を曝け出し、幻として見せる。
今この警備員は幻を見ていた。
最愛の人が怯えて駆け込んできたのだ。
暴漢に追われている、と。
警備員は漲る気と共に立っている。
この部屋に侵入を試みようとするもの=暴漢を日頃鍛えた肉体で完膚なきまでに叩きのめす、と!!
「ちくしょーーー!フェアーじゃねえよなあ!ああ、フェアーじゃねえ!」
一方、部屋の中、操作室。
肩口から流れる血と脂汗でドロドロになった鈴木章吾がスイッチを片っ端から捻っていた。
知能派(自称)である自分が負傷したにも拘らず、敵は中々死なない!
これはありえないことなのだ!
自分が傷を負っている(自爆という事は脳内改竄されている)のに敵が死なないのはあってはならない事態!
しかしだからと言って自分が戦う事はできない。
そこで、ちょこまか逃げられないようにする為にスプリンクラーの操作を思いついたのだ。
警備員を幻で催眠状態にして己の兵とする。
そして警備室に立てこもり、安全な場所からアシストするのだ!
出血の為かなり朦朧となっているが、根拠がなく無駄に高いプライドが鈴木章吾の意識を保っていた。
佐藤に電話が繋がった。
>「―――つまり仮の本体は私。射程距離は私から30m。
私から30m以上離れると攻撃の対象から外れるわ。言っておくけど逃げようなんて思わないでね。
私があなた達の居場所を探知できることを忘れないで。
インビジブルを使えば移動はどうにかなるんだから
あなた達が逃げたら私はどんな手段を使ってもあなた達の30m以内に入るわよ。
九頭のゲームを差し引いても、鏡や写る物を直視できないなんてまともな生活できっこないわよね。
私とあなた達ナイト3人は運命共同体なの。あいつを倒さないと人生終わったも同然よ。」
佐藤からの脅迫込みの情報。
「ハハハ… たしかにそれは困るな、大丈夫だ、何とかしてみせる。」
大谷は笑いながらそう言った
佐藤の話はまだまだ続く。
>「大谷さん、聞こえてる?こっちのナイトの1人に便利な能力を持ってる奴がいるの。
1分間あいつを継続して出現させ続けて、尚且つ動きを封じることができれば…大谷さん、おそらくあなたの能力も…」
ジャァァァァ!!
突然スプリングラーが起動する、
佐藤が電話越しに叫んだ。
>「いた!警備詰め所の操作室にスタンド能力者がいる!きっとそいつの仕業よ。大谷さんそいつあなたに任せていい?!」
「わかった、それじゃぁな」
大谷は水を吸って重くなったコートを着たまま、警備詰め所へ走る。
警備詰め所へ到着した大谷、目の前には人間にしては大きめの警備員が立っていた。
「お仕事ご苦労さん…ちょっと通してくれないか?」
その言葉を聞くよりも速く、警備員は手に持つ警棒を振り下ろす。
攻撃を避けた大谷は右手で警備員の頭をつかみ、そこへ自分の頭をおもいっきりぶつけた!
ゴツゥン!
強烈な一撃、先ほど襲ってきた警備員は気絶している…きっと中の男にも今の状況はわかるだろう。
大谷は痛そうに頭をさすりながら言った。
「俺だって旅してんだ、こんな状況には慣れてるんだよ、 …鈍器じゃないだけありがたく思え、大馬鹿やろう」
そして大谷は警備詰め所のドアを乱暴に開け中に入る。
【挨拶が遅れました、ボブさんよろしくお願いしますねー】
九頭龍一のゲームの条件を2人に話す佐藤ひとみ。
>>249 徳井一樹と名乗ったスーツの男がサングラスを外すと目の側に傷がある。
やはり見た目通りカタギの男ではないらしい。聞けば九頭は両親の敵であるという。
>「俺は、ずっと九頭龍一を探してたんだ…これは寧ろ、
>神様からのチャンスと受け取るべきだ……選択は最初から決まってる…俺は九頭龍一を殺る。
>親父とお袋をテメーのためだけに取り込んだ奴を俺は許せねえッ!
「ふーん、九頭とは因縁浅からぬ間柄ってワケね…。じゃあ謝る必要もなかったわ。
むしろ貧乏クジを引いたのは私かもしれないわ。私は九頭とは何のかかわりも無いんだもの。」
普通なら両親を無くした境遇に同情するものだが、佐藤ひとみは他人の悲しみや苦労に共感する能力が今ひとつ欠けている。
その話を聞いてまず考えたことは、なぜ徳井が九頭の名前を知っているのかということ。
九頭は留流家の能力で100年以上生き続けている。とっくに戸籍など消滅しているはず。
今、九頭のことを知りうるのは九頭に接触を持った人間だけ。
徳井が九頭の名前と能力を知っているのは九頭と接触して生き残った人間を知っているからかも知れない。
だがいま処理するべきなのは目の前のアンテロス問題。この件については後でいい。
>>250 >「まあ構いませんよ。確かに貴方には良い感情を抱いてはいませんが、
>今は選べる状況じゃ無いでしょう」
ひとみのストレートな物言いにムッとしたように答えるよね。
「そりゃそうでしょうね。人付き合いを好みで選別出来りゃ苦労しないわよ。」
ひとみは答える。
「やはり子供っぽいところがある」と、ひとみは思う。
彼もゲームを降りることなく九頭を倒す方に乗ることを決めたようだ。
佐藤ひとみはよねをしげしげ眺める。
どうもよく分からない青年だ。
子供っぽいようで恐ろしく冷めたところがあり、表情は読みやすいのに底知れないものを感じる時がある。
こいつは意外と食えない奴かもしれない。
佐藤ひとみは続けて2人に向かって話を続ける。
「2人とも九頭を殺ることに決めたってわけね。
ただ今片付けるべきなのは、あのナタ野郎『アンテロス』。あいつを殺さなきゃ九頭までは絶対に辿り着けない。
私はかれこれ1時間以上あのアンテロスから逃げ回ってる。その間ずっとあいつを見てて気づいたことがあるの。
1つはあいつは同時に二箇所に現れたりは出来ないってこと。
必ず攻撃対象は1人。1人殺した後、射的距離内別のターゲットの所に現れる、これが1点。
もう1つは、あいつはどうやって移動してるのかってこと。
本体が死んでいるとはいえ、あいつは"スタンド"。
スタンドが幽霊みたいに勝手に現れて勝手に消えるなんて考えられない。
あいつにも移動経路ってものがあるはずよ。
徳井君、さっきあなたをハメた時に気づいたことなんだけど
アンテロスは必ずしも何かに写ったから現れる訳でもないみたいなのよ。
大谷さんがアンテロスの射程距離から外れたのはスタンドシートの計測によると私から30m離れた地点。
その地点とあんたと私が鏡に写った地点には数メートルの誤差がある。
都合よく鏡が無かったから一番近くの鏡を探したつもりだったんだけど…。
あとであの辺りを見直してみたらあそこの左側の店舗はガラス壁だったわ。
ガラスには確実に私とあんたが写ってたはず。
じゃあどうしてアンテロスに襲われなかったかってことよ。
…つまりアンテロスは写る物に目線を当てないと出現できないんじゃないかと思うの。
今までアンテロスに襲われた時も不意打ちってことは一度も無かった。
必ず私が写ったあいつに気づいた後に現れた。
この考えが正しいとするならば、あいつはあいつを見た人間の目線を通じて移動している可能性がある。
あいつにとって目線を通じて何かに写ることが攻撃のスイッチ。
仮の本体である私は別として、他の人間に関してはあいつを最後に見た人間の目線を通じて移動しているんじゃないかと思うのよ。
射程距離内のあいつを最後のに見た人間があいつのターゲットになる。
そのターゲットが死んだら最後から二番目にあいつを見た人間がターゲット。
…つまり何が言いたいかっていうと…
……あいつにあいつ自身を見せてやったらどうなると思う?」
>>251(ありがとうございます!さすがです)
>「やります。あなたと同じように。九頭を殺ります」
今まではなんだか頭の良さそうな優等生タイプという印象を受けていた徳井だったが、
冷徹な一言に印象はガラリと変わった。
あの表情は、ごく平凡な人生を送ってきた人間が決して出せるものではない。
例え何があったとしても自分の決めた道を突き進む。そんな『覚悟』の表情。
職業柄、徳井は悟る。このよねという青年も自分と似たものを背負っているのだろうと。
「どうやら、俺らは似たもの同士のようだな。性格の事じゃあねーぜ?目的とかが、な?
あ!気持ち悪いとかそんな訳ねーだろとか言うなよ!俺の繊細な心が傷付くからな!」
……このふざけた喋り方で全てを台無しにしているのはご愛嬌。
>「ふーん、九頭とは因縁浅からぬ間柄ってワケね…。じゃあ謝る必要もなかったわ。
>むしろ貧乏クジを引いたのは私かもしれないわ。私は九頭とは何のかかわりも無いんだもの。」
「確かにあんたは貧乏クジ引いたな……ま、奴自身は俺の事は知らんだろーけど。俺の片想いだからな。
俺が奴のゲームに参加した今なら別かもしれねーけど。ここで奴のゲームに参加できて本当によかった。
今奴の名前を知った事とか話してやりたいが、それはこれが終わってからおいおいとな?」
佐藤の考えを読んだように徳井は話したが、徳井にそういう気は全くなかった。あくまで偶然だ。
徳井は単純な男である。謀略を張り巡らしたり、相手の考えを読むのはあまり得意ではない。
>「2人とも九頭を殺ることに決めたってわけね。
>ただ今片付けるべきなのは、あのナタ野郎『アンテロス』。あいつを殺さなきゃ九頭までは絶対に辿り着けない。
>私はかれこれ1時間以上あのアンテロスから逃げ回ってる。その間ずっとあいつを見てて気づいたことがあるの。
佐藤が言うにはこういう事らしい。
・攻撃対象は一人で、一人を殺せば射程距離内にいる別ターゲットの所へ現れるということ。
・アンテロスは人間の目線を通じて移動するということ。
「つまり、奴は鏡のスタンドじゃなくて目線のスタンドって訳か!
生前はさぞかしストーカー気質で気持ち悪かっただろうな。攻撃方法がねちっこい訳だぜ」
徳井はいつもの軽口を叩いたつもりだったのだが佐藤の表情を見て、どうも図星だったようだ。
しかしこんな軽口を叩いている余裕はない、と自分を戒める。
>……あいつにあいつ自身を見せてやったらどうなると思う?
「奴は奴自身を攻撃する訳か…しかも、ヤローはすぐ再生するから永遠に自分を攻撃し続けるな。
…で、どうやってあいつにあいつ自身を見せるんだよ?それもちゃんと考えてるんだろ?司令塔!」
>>253 大谷がドアを乱暴に開け、最初に飛び込んできた光景は・・・
詰め所内に倒れ呻く警備員達。
入り口の警備員に殴られたのであろう、部屋中に血が飛び散っていた。
そして大谷のズボンを弱々しく掴む手。
肩から血を流し、土気色した顔の鈴木章吾だった。
「た、助けてくれ・・・犯人は・・・奥に・・・!」
絞り出すような声に示された先は操作室。
その中から大谷が思い描いた犯人像そのものが出て来た所だった。
力尽きたようにうつ伏せに倒れた鈴木章吾の顔はほくそ笑んでいた。
(けけけけ!あんな派手な音立てれば誰だってわかるっツーのボケがああ!
俺のアイドルメーカーは戦闘力はないが知能派の俺が使えば最強!!
せいぜい自分の想像した犯人と戦っていやがれっ!その隙に…!!)
倒れ付しながらそっと身体の下のナイフを握り締める。
スタンド能力は数あれど、最強というものはない!
その使いようによって強くも弱くもなるのだから!!
大谷が部屋に入った瞬間、アイドルメーカーの能力発動!
部屋の奥から大谷の心の奥底に描かれた犯人像が幻となって現われたのだ。
しかし幻と侮る事はできない。
焼け火鉢で火傷した赤ん坊は熱くない火鉢に触っても火傷するのだ。
それと同じように、強烈な暗示状態に陥れば、幻に殴られたと思い込めば身体にダメージは現われる!
幻は大谷が思うとおりに動き、思うようにダメージを与えるのだから!
だが勿論それで済ますつもりはない。
もし大谷があっという間に倒してしまうイメージを持っていたら、実際にそうなってしまう。
だから、戦っている最中、背を向けたら背後からナイフで突き刺すつもりなのだ!!
//
>>258さん、神です。名前がわかったからイメージどおりです。でも右手…
/「どうやら、俺らは似たもの同士のようだな。性格の事じゃあねーぜ?目的とかが、な?
そんな訳ねーだろと心の中で思いつつも、よねは適当に相槌をうった。
恐らく、彼も同じ穴の狢だろう。ただただよねの本性と似た匂いがする。
/「2人とも九頭を殺ることに決めたってわけね。
コクリと頷くよね。その眼は普段の眼ではなかった。何か、威圧的な眼であった。
/「つまり、奴は鏡のスタンドじゃなくて目線のスタンドって訳か!
「なるほど、目線…この時代です、視界には必ずといっていいほど反射物が映りますね」
そして佐藤がアイディアを述べる。それを聞いたよねは
「あいつにあいつ自身を…か…」
面白い。ただ純粋にそう思った。
客観的に見ればぶっ飛んだ意見だし、どうすればいいのかもわからない。
だが、面白いとだけ思った。こういう人間は嫌いではない。
/…で、どうやってあいつにあいつ自身を見せるんだよ?それもちゃんと考えてるんだろ?司令塔!」
そう言った徳井とほぼ同時に佐藤の方を見た。
果たしてこの女性の頭脳はどれほどのものか。見極める必要もあった。
>259右手?どっかかきまちがえてた?よねはメガネOK?
勘違いでした。申し訳ない。
よねはメガネはないのですが、コッチもありかなあと。
帽子は野球帽のつもりでした。
後は全部想像どおりです。
佐藤さんとかもう…
>>257 大谷が中に入る…中は壁に血が飛び散って酷いことになっていた。
床にはたくさんの警備員が倒れている、自分の足元にいた警備員のような男が弱弱しく話しかけてくる
>「た、助けてくれ・・・犯人は・・・奥に・・・!」
虫の息の男の話を信じて大谷は奥の操作室へ、移動する。
中には弱弱しい男が操作盤を操作していた。 顔は貧相でどう見たって体力のなさそうな男だ
その男が鈴木のスタンドが作った幻だとは大谷は気づかない…
「何コソコソやってんだよ… 覚悟は出来てるんだろうなぁ!」
大谷がコートの下からナイフを取り出す
前の弱弱しい男も洗脳した警備員を呼んだ、
大谷は相手のスタンド能力を「記憶を変える」能力だと、思っていたらしい。
「関係ない奴を巻き込むのは気がのらないが… やるしか無いな… 俺だって鬼じゃない、手加減はしといてやる。」
―――警備員と戦っている大谷、その後ろからナイフが投げられる!
大谷もスマートガントレットも前の敵に気がとられていた!
ガキィィン!!
ナイフが大谷の背中に当たると高い金属音がなった、ナイフで破けたコートの下には鉄板が仕込まれている!
音で大谷は後ろからのナイフの存在に気がつく。
「不意打ちったぁいい度胸じゃねぇか、 もしも用の鉄板が役に立つとはな…
覚悟はできてんだろうなぁ、ドグサレガァァァァァ!!」
『アラアラ オコラセチャッタノネ シーラナイット』
鈴木のあまりにも汚い方法に怒り狂う大谷、手に持つナイフをしまいコートの中から何かのパーツを取り出し、それを慣れた手つきで組み立てる。
出来たのは鉱業用の大きなハンマーだった。
周りにいた幻の警備員、幻の男の頭を出来たハンマーの柄の部分で殴った後、一目散に杉木へ向かう!
その様子を見たスマートガントレットはヤレヤレと首を振り、二人の様子を遠くから見ていた。
おいテメーらッ!この徳井が登場したんだッ!愛想よくしろよッ!
と冗談はさておき早漏な気もしたけどまとめwiki
http://www31.atwiki.jp/jojoif/ 突貫で編集したからボロが多いと思います。
それにまだ人物のところとかはハリボテ状態だし……
とにかく追加すれば良いものやこのド低脳がァーーーッという部分があれば言ってください。
>>258 あ…ありまのまま起こった事を話すぜ!
フンッ、この現代のスピードワゴンと言われた俺にはこの画像のレベルが匂いでわかるッ!
こいつァくせェーーーーッゲロ以下の臭いがプンプンするぜーーーッ!!
と言おうと思ったんだが次には
よォ〜〜しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし
光速で保存した。
と書き込んでいた。な…何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何を見たのかさっぱりわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
催眠術だとか自分のキャラが描かれてたんで失神寸前だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしい絵師の力の片鱗を味わったぜ…
アンテロスの特性について話す佐藤ひとみ。
>生前はさぞかしストーカー気質で気持ち悪かっただろうな。攻撃方法がねちっこい訳だぜ」
徳井の一言にひとみはギクリとした。
思っていることを言い当てるような発言といいやたらノリは軽いが妙に勘のいい男だ。
引き続き徳井の発言。
>「奴は奴自身を攻撃する訳か…しかも、ヤローはすぐ再生するから永遠に自分を攻撃し続けるな。
「残念ながら『永遠に』って訳にはいかないわね。あいつが30秒しか攻撃できないことを忘れてない?
自分自身への攻撃時だって30秒経てば姿が消えるはず。
ただその間だけは完全にあいつの動きを封じることができるわ。
あいつが自分を攻撃している30秒は鏡に写っても平気だし、あいつに襲い掛かられることもない。」
>…で、どうやってあいつにあいつ自身を見せるんだよ?それもちゃんと考えてるんだろ?司令塔!」
再び話に割り込んで茶々を入れてくる徳井。よねも同じ事を問うようにこちらに視線を向けている。
ひとみは答える。
「順に説明するから黙って聞きなさいよ。
アンテロスに鏡を見せて自分を攻撃させるには問題が2つある。
そもそもアンテロスが出現するのは誰かが攻撃対象になってる時。
その攻撃時間の30秒間に鏡を見せても自分自身をターゲットとは認識しないでしょうね。
それに関しては考えがある。
大谷さん…彼、大谷杉松の能力はやったことや起こった現象を『繰り返す』能力。
それも現象をそのまま繰り返すだけじゃなく、都合のいい部分だけを切り取って再生することが出来る。
つまり彼の繰り返す能力でアンテロスが『誰かと鏡に写った』という部分を切り取って
『出現した』という部分限定で再生したとしたら…?
その時のアンテロスは攻撃対象不在の状態で出現している。
そこを見計らって奴に鏡を見せてやれば自分自身をターゲットとして認識する可能性が高いわ。
もう1つの問題はこの作戦を実行するには大谷さんと合流しなきゃならないってこと。
こちらから向かうにしても鏡の無い所を探知して進むなんて手間がかかりすぎるし
大谷さんがこっちに来るとしても奴の射程距離、つまり私の30m以内に入ったら何かに写る度に攻撃されることになる。
じゃあどうやったら全員が安全に移動して合流できるか?
考えてみれば簡単なことだったわ。私が全員の射程距離から出ればいい。
別に問題ないわ。
アンテロスの出現には『本体の目線』が必要。スタンドの目線は攻撃のスイッチにならないわ。
私はフルムーンの見る映像をリアルタイムで脳内受信できるんだから本体は目を瞑ってても移動に何の問題もない。
要するに今から私があんた達から30m以上離れるから、あんた達、先に大谷さんと合流して
上手く周囲に何も写る物のない場所で待機してて。大谷さんは今警備詰所にいるはずだから。
私はあんた達の居場所が探知できる。あんた達が合流できたらそこに向かう。
残りはそこで話すわ。
じゃあ射程の外に出たら連絡するから、よね君、あんたの携帯番号教えて。」
(大谷さんと合流してください。よろしく)
>>258(ありがとうございます!新キャラのデザインもいいですね)
>>263(すごい。なんという仕事の速さ。乙です)
>262
>「関係ない奴を巻き込むのは気がのらないが… やるしか無いな… 俺だって鬼じゃない、手加減はしといてやる。」
虚空に向かって啖呵を切る大谷の背を鈴木は笑いを噛み殺しながら見ていた。
幻はその人物の願望や理想を反映させる為、対象人物しか見えない。
傍から見るその様は滑稽というしかないのだ。
アイドルメーカーの幻は完璧!
全く気付いていない背後からナイフを投げつけた!
ガキィィン!!
「・・・・はぁ???」
ナイフは狙いを違わず大谷の背に命中したにも拘らず、甲高い音と共に弾き返された。
破けたコートの下から覗く鉄板。
あまりの想定外な事に思わず間の抜けた声を上げてしまった。
>「不意打ちったぁいい度胸じゃねぇか、 もしも用の鉄板が役に立つとはな…
> 覚悟はできてんだろうなぁ、ドグサレガァァァァァ!!」
「ちょちょちょちょ・・・!一体どんなもしもの時を想定してんだこいつうううう!
しかも何でコートの中に糞デカいハンマーなんて持ってんだ??
お前はテロリストかああ!!??」
溢れ出る冷や汗と共に叫ぶが、のんびり驚いている暇はない。
ハンマーを振り回した後、鈴木の方へと向かっているのだから!
まともに戦闘などできないが、例え出来たとしても大谷の鬼の形相を見ればやる事は一択!
鈴木の逃走本能に火がつき、まるでスプリンターのように走り出す。
それを負う大谷の姿が詰所から出て行き、スマートガントレットの視界から外れた後・・・。
グシャという何か嫌な音が届いた。
「いや・・・ホントすんません。
僕も始めてのゲームでちょっとチョーシずいてたトコありまして。
ほんとに反省しています。」
通路では頭から血を流し、顔の形が随分と変わった鈴木が正座して大谷に謝っていた。
警備詰所バトル決着!
【>258いつも支援ありがとうございます!感謝!
>263おお!見やすく便利!ありがとうございます!】
>「残念ながら『永遠に』って訳にはいかないわね。あいつが30秒しか攻撃できないことを忘れてない?
>自分自身への攻撃時だって30秒経てば姿が消えるはず。
「あ〜〜〜…そういや、そーだったな。さっきから安全なもんで失念してたぜ」
この変にテキトーなところが徳井という奴で、その性格はスタンドの精密動作性の低さにも現れている。
当の本人は特にそしらぬ顔で頭をわしわしと掻き毟っているが。
>大谷さん…彼、大谷杉松の能力はやったことや起こった現象を『繰り返す』能力。
>それも現象をそのまま繰り返すだけじゃなく、都合のいい部分だけを切り取って再生することが出来る。
初耳の名前を聞いて誰かなと首を傾げる。恐らく彼らの仲間であることは確かだが。
要は顔も知らない大谷と言う男性がアンテロスを倒す為の鍵であるということらしい。
徳井にとってはそれだけわかれば十分だ。後は鏡に映らないように射程距離30mから出るだけなのだから。
そしてもしもの不確定要素の排除は自分とよねという事になるという事も一応頭に入れておく。
そんな事は十中八九ないだろうが。
>要するに今から私があんた達から30m以上離れるから、あんた達、先に大谷さんと合流して
>上手く周囲に何も写る物のない場所で待機してて。大谷さんは今警備詰所にいるはずだから。
>私はあんた達の居場所が探知できる。あんた達が合流できたらそこに向かう。
>残りはそこで話すわ。
よねが佐藤に携帯番号を教えている間、徳井は特にやることもないのでボーッとしていた。
自分が切開した天井の上の階にある階段上の通路の先が警備詰所だなあと角度・位置的に見えたので
スタンドの目で適当に確認していると、おかしな光景を見つけてしまった。
ボコボコに腫れた顔をして正座をする男性とハンマーを持ったコートの男。
恐らく片方は大谷という男性なんだろうな、と可笑しそうに見つめる。
「……なんだか凄い事になってるな。土下座してねーところが悔やまれるけど」
/
>>263 /それぞれが自分で書けばいい感じでしょうか?
携帯電話。それをカバンの中から取り出し、番号を確認する。
よねは自分の携帯電話の電話番号を覚えていない。あまり使わないのだ。
「○○○-×××…ですね」
そしてもう一度佐藤の言った事を整理する。
大谷という男性の能力を使ってアンテロスに自分自身を攻撃させる。
それ故、合流を急いでほしいという事だった。
「いいですね、それでいきましょう。
では、敵の可能性も考えてまずは自分が行きます。その後に徳井さんはついて来てください」
これも二つの狙いがあった。一つはただ純粋に徳井を守るため。
今現在、よねの知っている範囲ではアンテロスに太刀打ち出来るのは徳井しかいないからだ。
そしてもう一つは簡単な理由だ。
これも心理学的な物だが、人というのは複数の人間に会うとき、
最も先に会った方に親近感が湧く傾向にあるのだ。
これは人間関係の面で重要である。親近感が湧くという事はそれだけ信用されるという事である。
「それでは、射程外に出たらご連絡ください」
よねと徳井から距離を取るために移動する佐藤ひとみ
歩きながらひとみはちらりと大谷杉松のことを考えた。
普段は一応まともな社会生活を送っている佐藤ひとみ。
そういつもやっているわけではないが誰かをハメる状況になったら相手の退路を絶って
協力せざるを得ない状況に追い込むことを心がけている。
信頼やら友情といった不確定な根拠に乗った協力をアテにして土壇場でひっくり返されてはかなわない。
今回もその信条にのっとって行動したわけだが、普通その状況で協力を求められれば
断ることは不可能でも恨み言の一つくらいは言うのが当たり前。
さっきの大谷との通話、脅迫めいたひとみの協力依頼に大谷は笑って答えていた。
「あの人やっぱり変わってるわ。
自分のこと旅人とか言ってたけど、今時職業が旅人って?スナフキンや山頭火じゃあるまいし…。
よっぽどの自信家なのか…それとも人間失うものが無いと余裕ってものがでてくるのかしらね…?」
そんなことを考えながら歩きつづける。
距離を取ると言ってもこの建物から出るのは賢明ではない。
同じ建物内で30mというとかなりの距離があるように感じる。
ひとみはよね達がいる階段から一番距離のある反対側のフロアを目指して歩いた。
途中大きな黒人男性が目に入った。
「彼見たことある…あれは確か…全日の常連外人レスラーのえーっと名前は…?」
佐藤ひとみはプロレスが嫌いではない。むしろ好きな方。単純な実力勝負ではない多重構造が面白いと思っている。
もっと近くで見て名前を思い出したかったが、この非常事態…仕方なく断念して距離を取ることに専念する。
シートで計測した距離はもうすぐ、よね達から30m。
ひとみは射程の外に出る前にバックの中のスカーフで目隠しをした。
自分が攻撃されかねない射程外で何かの拍子に目を開けてしまったら大変だ。
射程外に出ると、ひとみはフルムーン経由の視線で携帯を操作すると、よねに合図を送った。
「よね君OKよ。合流して。」
(先に合流しててくださいよろしく)
(ボブさんちょっと登場させていましました。すいません)
大谷は自分がハンマーを持ってからの事はぼんやりとしか覚えてない…
どうやら大谷は怒り狂うとあまり理性を持たないようで暴漢などに襲われた際も自分の知らないうちに倒してることも多い、
自分の目の前には顔が変化している、鈴木と言った男が正座して反省していた。
それらの情報はすべてスマートガントレットに聞いた話しである。
鈴木は弱弱しい声で言った…これは流石に演技ではないだろう。
>「いや・・・ホントすんません。
僕も始めてのゲームでちょっとチョーシずいてたトコありまして。
ほんとに反省しています。」
「…策士ってのはな、最悪の状況を想定して策を練るんだ、
この鉄板は不意打ち、多人数戦での防御策。
鈴木 お前は自分の策を信じすぎた、敗因はそれだ
…お前だってこのゲームが終われば支配から逃れる、殺しはしない。」
鈴木に説教のようなことを言う大谷、
大谷の顔に先ほどの怖さは残っていなかった。
「おっと、言い忘れていた 次に俺や俺の仲間を不意打ちしてみろ。
そうしたらお前の顔は無くなるから…わかったな」
そう鈴木に言い放ち、無防備に後ろを向き佐藤へ電話をかける
「大谷だ、こっちは終わったぞ」
よねと徳井に移動のGOサインを出した佐藤ひとみ。
スタンドシートでよね達の現在地をチェックしながらひとみとの位置関係が30mを切らないように
こちらも少しずつ位置を変える。
携帯の着信。
ひとみは目隠しをしたまま通話ボタンを押す。
相手は大谷杉松だ。
>「大谷だ、こっちは終わったぞ」
「さすがね大谷さん。仕事が速い。やっぱり大人の男って頼りになるわ。
今からそっちにこっちで見繕ったナイトの2人が向かうから合流してもらっていい?
2人ともちょっと頼りないけどアンテロスを倒すのに必要な能力を持ってるわ。
えーっと1人は黒いスーツの見るからにカタギじゃない男ともう1人は青い帽子のちょっとガキっぽい奴。
私も後で合流するから写る物のない所にいてもらっていい?」
ひとみはシートでデパート内の間取りを見ながら場所を探す。
「意外と写るもののない開けた場所って無いのよね。デパートの中って。
ワンパターンだけど仕方ないわ。
そこから一番近い1階と2階の間にある階段の踊り場で待ってて。
3人揃ったのが確認できたら後で私も合流するわ。」
それだけ言うとひとみは通話を切った。
>「いいですね、それでいきましょう。
>では、敵の可能性も考えてまずは自分が行きます。その後に徳井さんはついて来てください」
>「よね君OKよ。合流して。」
呆然と立ち尽くす徳井に適当に声を掛けてさっさと歩くよね。
特に意義を唱えるような事を言われた訳でもないので素直によねの後ろについて行く。
大谷という男性は名前しか知らないが、堅物で俺みたいな奴が嫌いだったらめんどくせなあ…
と下らない想像をしていると警備詰所へと到着。
やはり先程見たとおり正座して謝る男とハンマーを持った明らかな危険人物が2人。
多分、謝っているのが敵だろうと判断し、危険人物な方に声を掛けることにする。
「えーーーっと……大谷さんだよな?聞いてると思うけど俺ら、佐藤と協力してるスタンド使いな。
俺の名前は徳井一樹。……敵だと勘違いしてハンマーで殴らないでくれよな。」
いつもの軽口で自己紹介を済ませると正座している哀れな男に目をやる。
顔面が随分と変形していて凄く痛々しくて流石に同情せざるを得ない。傷痕は恐らく一生ものだろう。
「こいつって九頭の仲間?……抵抗の意志はなさそうだが一応そこの柱に縛らせてもらうぜ」
柱の向こう側の景色が見えるくらい切開し、そこに正座をしている男の腕を通して切開した部分を結合する。
これでこの男は柱がへし折れでもしない限りここから動くことはできない。
大谷も佐藤との電話が終わったようだ。1階と2階の間にある階段の踊り場に行けばいいらしい。
なんだか頼りないというような事を言われた気がするが、多分気のせいだろう。
「さあ、2人ともとっとと合流しようぜ。ところで大谷さんさっきのハンマーって何処にしまってたんだ?もしかして四次元ポケットかい?」
相変わらずの軽口だが、人と会話しやすい性格ではある。……人によっては嫌われるが。
(
>>269 スレにいる皆で編集してくれるのが最高ですが、無理にする必要はありません。
お前如きに任せられんという方はガンガンやっちゃってください)
「四次元ポケット…ッ!それも…能力…!?」
そんなわけがない。だが一瞬信じてしまうほど大きなハンマーをもっていた。
とりあえず徳井と同じように自己紹介をするよね。
「はじめまして。同じく佐藤さんの言っていたよねです」
そして大谷が佐藤からの電話を受け、待ち合わせ場所を伝えた。
階段の踊り場。そこはよねの好きなゾーンである。
どのような階段の踊り場であれ、上と下に続く階段の中心にいることが、
よねにとっては世界遺産を見るよりも感動的で壮大であった。
特に好きな踊り場は隣町の体育館の踊り場。
程よく薄暗く、かつ長く続く階段がよねに大きな感動を与えた。
一見、ジメジメし不気味な場所であるが、裏を返せば幻想的であった。
それは自然の法則、何事も考えようであり全て紙一重である事をよねに教えた。
力や能力だって同じことだ。
「さて、では移動しましょうか」
そうしてよね達は踊り場へ移動を始めた。
そこで佐藤と落ち合う手筈である。
佐藤に電話がつながる。
>―――そこから一番近い1階と2階の間にある階段の踊り場で待ってて。
3人揃ったのが確認できたら後で私も合流するわ。」
電話の途中、二人組みの男がやってきた佐藤の言っていた男だろう。
まずはスーツを着たマフィアのような男が話す。
>「えーーーっと……大谷さんだよな?聞いてると思うけど俺ら、佐藤と協力してるスタンド使いな。
俺の名前は徳井一樹。……敵だと勘違いしてハンマーで殴らないでくれよな。」
「あぁ、そうだ、よろしく頼むぜ。…そんなことはしねぇよ、お前が敵だったら話は別だけどな。」
大谷の冗談にもならないような冗談、
続けて隣の帽子をかぶった学生のような男が話す。
>「はじめまして。同じく佐藤さんの言っていたよねです」
「よろしくな、…聞いてると思うが大谷だ。」
その間に徳井が鈴木のことを柱に貼り付けていた、
「三人揃った、今から待ち合わせ場所へ行く」
そう言って佐藤との電話を切った。
そのとき徳井が大谷に話しかける
>「さあ、2人ともとっとと合流しようぜ。ところで大谷さんさっきのハンマーって何処にしまってたんだ?もしかして四次元ポケットかい?」
「ははは…あったら便利だろうな、四次元ポケット これは組み立て式なのさ。」
軽く笑いながらハンマーを分解しコートの中にしまう。
>「さて、では移動しましょうか」
よね達が移動しようとした…
『チョットオオタニ ダレカワスレテナイ…? ワタシヨワタシ! ナカマニナッタイジョウ ショウカイシトクベキジャナイノ!』
後ろから怒りながら話しかけてくるスタンド、佐藤同様徳井もよねも驚くだろう。
「すまん、忘れてた こいつはスマートガントレット、俺のスタンドだ。」
『ッフフフ-♪ ヨロシクネ』
三人と一人のスタンドの自己紹介が終わったところで三人は待ち合わせ場所へ向かう…
佐藤ひとみはフルムーン経由の目線でシート上の目的地に三人が揃ったことを確認した。
ただしスタンド能力者の探知はしていない。
三人のデータはターゲットのメモリに登録している。
ターゲットが拡散するため集中力が必要なスタンド能力の探知をするまでもないと判断したからだ。
だがこれが後々の面倒事に繋がってくるとは。
ひとみは大谷たちに近づくと目隠しを外した。
アンテロスの現在のターゲットは徳井一樹。
徳井から30m以内にいれば何かに写っても攻撃されることはない。
1階と2階の中間の踊り場にはシートで確認した通り3人が揃っていた。
ひとみはよねと徳井の顔を見るなりこう言った。
「私が来るまでの間に大谷さんにおおよその説明は済んでるわよね?してなきゃバカだから。」
アンテロスを倒す作戦を3人に話す佐藤ひとみ。
「とりあえずメンツは揃ったし場所も確保できた。
後は目論み通り進めば案外アッサリ決着がつくかもしれないわ。
まずはよね君、あんたに聞いておくけどあんたの能力で『設定を書き換えて』
写るものを写らなくすることできるわよね…?
じゃあ逆も可能ね?写らないものを鏡に変化させることも…。
大谷さん聞いてるだろうけど、あなたのその口うるさいスタンド…スマートガントレットだっけ?
彼女に働いてもらわなきゃならないの。
つまり『アンテロスの出現』を再現してもらう。
繰り返すには直前にコピー元があった方がやり易いんじゃない?
徳井君、悪いけどあんたにコピー元やってもらうわ。あんたにもう一度鏡に写ってもらう。
で、さっきやったみたいにあんたの切開した部分に奴を放り込んでやって。
ただし切開部分はあらかじめ用意してもらうわ。
よね君、あんた切開された内部を一時的に鏡に変えることできるわよね?
切開内部といっても元は壁なんだから壁を鏡にするのと同じこと。
アンテロスの出現前に予めやっておくんだから別に時間制限はないわ。ゆっくりやってもらっていい。
あとはだいたい解るわよね?
アンテロスを切開部分に放り込めば中は鏡。そのまま閉じ込めて30秒タイムアップ。
切開内部で『アンテロスの出現』を繰り返してもらったら…
奴は中で勝手に自分を攻撃して身動き取れなくなる。そこで切開部分を開く。
あとはよね君あんたが仕上げるのよ。
あんた1分相手に触れられたら相手を消滅させられるって言ったわよね。
あんたの書き換えはアンテロスの再生能力に影響されない。
30秒ずつ…つまり2回に分けてやっても問題ないはず。
スマートガントレットにもう一回働いてもらわなきゃね。
後は解るわね?
あんた達、まだ他に聞いておきたいことある?」
>『チョットオオタニ ダレカワスレテナイ…? ワタシヨワタシ! ナカマニナッタイジョウ ショウカイシトクベキジャナイノ!』
喋るスタンド……徳井もこれには焦った。何せ自立意志をもったスタンドと出会うのはこれが初めてだ。
しかし話し相手がいるというのはなんだか楽しそうだ。
ただしスタンドは精神の具現化したヴィジョンだ。本質は自分と会話してるだけなのだろうが。
>「すまん、忘れてた こいつはスマートガントレット、俺のスタンドだ。」
>『ッフフフ-♪ ヨロシクネ』
「あ、ああ……よろしくね。……大谷さんいいスタンドだな。俺のスタンドなんて味気ないぜ…寂しい」
羨ましそうに言う徳井。自分もこういうスタンドが欲しかった……と言わんばかりの表情である。
寂しい夜もぺちゃくちゃ会話しながら熟睡出来そうだ。
よねが大谷のいない間のいきさつや佐藤の提案した作戦を大まかに説明する。
ちなみに徳井は説明がヘタクソなのでしてない。
話の半分が勢いだけで文章の組み立てが超ヘタクソである。中の人も同じ。
説明は頭の良いインテリのよねにほとんどまかせっきりである。
そしてそうこうする内に階段の踊り場に到着、佐藤は出会うなりこう言った。
>「私が来るまでの間に大谷さんにおおよその説明は済んでるわよね?してなきゃバカだから。」
「俺じゃなくてよね君がな。俺説明ヘタクソだから。
頭悪い奴と二人で説明するより頭良い奴が一人で説明する方が理解しやすいだろ?」
徳井の台詞に少し呆れた表情の佐藤。当然の反応である。
そんなマヌケな徳井は放っておいてアンテロスを倒す作戦について話す佐藤。
雑な理解をすればこういう事になる。
よねが切開内の空間を鏡に変えた後、徳井がアンテロスを閉じ込め30秒タイムアップ。
その後大谷が切開内でアンテロスの出現を再現し、よねがアンテロスの設定を書き換える。
もう一度出現を再現しよねのスタンドで書き換えてアンテロスを倒す。こういう事だ。
>あんた達、まだ他に聞いておきたいことある?
「俺は特にねーや。よね君、質問ねーならとっとと切開した中を鏡に変えてくれ……俺はもう切開してる。」
大谷の持たれていた壁の隣に切り裂かれたような跡。
手を突っ込めば徳井の生み出した空間が待っている。後は中身を鏡に変えるだけである。
/『チョットオオタニ ダレカワスレテナイ…? ワタシヨワタシ! ナカマニナッタイジョウ ショウカイシトクベキジャナイノ!』
喋るスタンド。インド人のスタンド使いが言っていた。
多くのスタンドの中で一部の物は自律しているものもある。
ただ、自分の眼でそれが見れるのには流石によねも喜びを感じた。
そうしてるうちに佐藤が作戦の説明を始めた。
そしてよねはその作戦に自分は必要不可欠であると思った。
とりあえずよねのすることは二つ。
反射の設定を書き換えることと、奴自身を完全に消滅させることだった。
「了解です。失敗は許されませんね…ただ、もう少し待ってください。少し考えなければ…」
よねのスタンド、Sum41の能力はよねの知能と相まって初めて力を発揮するものだった。
例えば、Sum41で人を殺す時もよねの中ではあらゆるプロセスを踏んでいる。
床の反発を利用した移動も同じこと。
口ではただ"反発している"と言ってるだけだが、内部の処理はとても複雑なのだ。
そして今回はさらに難しい。人を殺す手順はわかるが、今回はスタンドだ。
それも消滅させねばならない。さらにチャンスは原則1回のみ。
論理的かつ自然の環から外れないように完全に消滅させる必要があった。
それ故に時間が必要なのだ。消滅させる方法を考えるための。
「とりあえず、切開した部分の反射率は弄っておきます」
そう言うと、切開した内部はまるで鏡のように反射しだした。
後は消滅させる方法だけである…
「…わかりました。お待たせしました。始めましょう」
そうして徳井と目を合わせ小さくうなずいた。
>「…わかりました。お待たせしました。始めましょう」
「オッケーか?お膳立ては任せとけ。後は2人の大将に任せるからよ」
セイヴ・フェリスを出現させ、徳井は切開した部分を開く。
中身はよねが鏡と同じ反射率にしてくれているので自分の顔が鏡にうつる。
突然黒い煙が立ち上ったかと思うとどんどんとそれは形を成していき、ついにアンテロスが現れる。
アンテロスがナタを振ろうとしたその瞬間…
「遅せえッ!!」
セイヴ・フェリスの渾身の右ストレートがアンテロスの顔面に命中する。
最初からアンテロスが出現するとわかっているのだ。
パワーとスピードが互角だとしてもこちらの方が一瞬速い。
「邪魔なんだオメーはよ。邪魔なんだから嫌いなんだ……邪魔、邪魔。
俺は三下に構ってる暇はないんだ……とっとと消えうせろ、マヌケ面」
静かに呟く。それでも往生際が悪く抵抗しようとするアンテロス。
その姿を見て徳井とセイヴ・フェリスは構え───………
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!!」
セイヴ・フェリスの怒涛のラッシュ。体の至るところが切開されていくが、アンテロスはどんどん再生していく。
無論徳井もラッシュで倒せるなどとは思っていない。いままでの憂さ晴らしという意味もあるが。
「アリーヴェ・デルチ(さよならだ)!」
殴り飛ばされ、向かった先は予め徳井が切開しとおいた壁。
精密動作性が悪い徳井のスタンドだが、
これだけ壁の距離が近ければ流石に狙った方向へとブッ飛んで行く。
ゴミ収集車にブチこまれるが如く切開内の空間にアンテロスがブチこまれると、
切開された壁は糸が縫いついていくように結合されていき、何事もなかったかのように普通の壁となった。
「これで幾分かスッキリしたぜ……残り25秒だ。後は頼んだぜ、大将」
三人は佐藤の言っていた集合場所へ集まった、前から目隠しをした鈴木がやってくるのが見える。
そして作戦会議が始まる、よねからある程度聞いていたが佐藤は大谷に再度説明をした。
>大谷さん聞いてるだろうけど、あなたのその口うるさいスタンド…スマートガントレットだっけ?
彼女に働いてもらわなきゃならないの。
つまり『アンテロスの出現』を再現してもらう。
繰り返すには直前にコピー元があった方がやり易いんじゃない?
「たしかに直前にあったほうがいい、直前のやつを再現したほうが俺も疲れないしな」
スマートガントレットの能力は実は直前ではなくても使えるのだが、その場合体力を多く消費するはめになる。
そして自分に能力を使うのと他人に能力を使うのでは体力の消費量が大きく変わる、
そのため、他人に能力を使った際5分の休憩時間が必要なわけだ。
アンテロスを倒すための作戦が実行される。
最初に徳井が壁を切開する、鈴木を壁に固定した時使った能力である。
その後、よねが切開した所を鏡のようにさせる、能力の説明は佐藤の話を聞いていたのでわかる、
そして徳井が鏡のようになった切開部分にうつり、アンテロスが出現する。
>「遅せえッ!!」
徳井のスタンドの一撃がアンテロスにヒット! その後ラッシュを続ける、ダメージは無いので憂さ晴らしだろう、
>「アリーヴェ・デルチ(さよならだ)!」
アンテロスが切開しておいた壁の中に閉じ込められる、
>「これで幾分かスッキリしたぜ……残り25秒だ。後は頼んだぜ、大将」
「なかなかいい仕事だったぜ、お前もお前の相棒もな」
10…9…時間は過ぎていく、そしてアンテロスの出現時間が過ぎた。
「帰るにはまだ早いんだよ! スマートガントレット、もう一度だ!」
『パチィィィン!!』
スマートガントレットの指の鳴らす音が響く、そしてアンテロスが再度出現したことになった!
「いまだ、壁を開け!」
ひとみの作戦を聞くと徳井はさっさと壁を切開し、よねは何かを考え込んだ。
>「了解です。失敗は許されませんね…ただ、もう少し待ってください。少し考えなければ…」
考えをまとめるように虚空を見つめる、よね。
どうやらスタンドを使用するには予め論理の組み立てや思考の整理が必要らしい。
これはひとみにとってちょっとした驚きだった。
ひとみのスタンドには体の一部である右目が組み込まれている。
物を見るために視神経や眼力筋を意識して動かす必要が無いようにフルムーンは少々複雑な動作でもひとみのイメージ通り自由に動く。
「便利な能力だけど使うのはいろいろ大変なのね。」何となくそんなことを考える佐藤ひとみ。
>「…わかりました。お待たせしました。始めましょう」
>「オッケーか?お膳立ては任せとけ。後は2人の大将に任せるからよ」
ひとみがよねの能力に気を取られている隙に徳井は出し抜けにスタンドを出現させ
内部が鏡と化した切開した壁を覗き込んだ。
例のごとくアンテロス登場。
徳井のスタンド、セイヴ・フェリスはアンテロスを殴りつけた。
ひとみは慌ててスタンドシートを出現させる。
「ちょっと…唐突に始めないでくれる?
タイムは正確にカウントしなきゃ意味ないでしょう?!1秒の誤差が命取りになることだってあるのよ!」
アンテロス出現と同時にシートでタイムをカウントする佐藤ひとみ。
徳井がアンテロスを切開部分に放り込み入り口を縫合した時点で残り25秒。
ひとみは全員がタイムを確認できるように切開部分の近くの壁に分離したシートを貼りつけた。
アンテロスは切開内部でナタを振り回して暴れているようだが、元はコンクリートの壁。
ナタで削って壁を破壊して出て来れるほどの時間は無い。
アンテロスの残り出現時間を示すカウンターが0を指した。
「大谷さん!今よ!」
ひとみが言い終わらないうちに
> 『パチィィィン!!』
スマートガントレットが指を鳴らす。
スタンドシートのタイムは再度30秒からカウントを開始した。
>「いまだ、壁を開け!」
大谷の声。
セイヴ・フェリスが切開部分を開く。
切開部分は再びメスで切り裂いたような鋭い切り口を見せた。
切開部分の中には既に黒い煙と共にアンテロスが出現している。
しかし常ならば出現と共にナタを構えるアンテロスが今は棒立ちになっている。
アンテロスは切開部の中でひとみ達から斜めの位置に立っているのだが
その斜に構えたアンテロスの目線の先には黒い人影…アンテロス自身が写っている。
「ウォオオオオオオオオンンン」
アンテロスはくぐもったサイレンのような妙な叫び声を上げるとナタを頭の上に振り上げ…
そのまま自分自身の頭頂部に向かって振り下ろした!
「ウオオオォォォォン」
再度声を上げるアンテロス。
振り下ろしたナタは頭をカチ割り鼻の位置まで裂けた状態にして止まっている。
不気味な表情の木の仮面も縦に割れ、細く穴だけが開いた目から涙のように黒い煙が下に向かって流れた。
今までに無い大ダメージにしばし動きを止めるアンテロス。
割れた頭はナタを刺したまま黒い煙を立てて再生していく。
「よね君、今よ。あいつに触れて!
何秒か誤差はあるけどイザとなったら3回目の出現まで持ち込んでもいい。
あいつを消滅させて!
あいつの本体はもう死んでる。あいつは言わば怨霊みたいなもの!遠慮なく成仏させてやって!!
徳井君!アンテロスは今自分しか攻撃しないはずだけど、よね君に害が及ばないとも限らない!
いざとなったらあんたがガードして!」
(すいませんwikiの編集しようと思いましたがやり方がよく分からず断念。。。
人物のところはテンプレと同じのを貼っていいんでしょうか)
/「よね君、今よ。あいつに触れて!
この合図とともによねはアンテロスに触れる。
この時、よねの中ではある程度消滅させる方法は考えていたし、その準備もひそかにしていた。
「皆さんッ!こいつが消滅する前に離れておいてくださいッ!!
Sum41ッ!このスタンドは…陽電子の塊になるッ!!」
人を殺すには細胞の破壊、神経伝達の遮断などが必要だ。
だが、スタンドは人ではない。あくまでも物質扱いである。
物質を消滅させる方法は二つある。
一つは塵にもならない程の大きさに砕く。厳密には消滅ではないがそれとほぼ同じ効果が得られるのだ。
二つ目は別の物に変換するのだ。そして今回使おうとしているのは後者だ。
よねは"対消滅"を行おうとしている。
粒子とその反対のもの、つまり反粒子をぶつけてエネルギーに変換する。
それ故に離れておくように忠告したのだ。
そしてよねはカバンの中からゴミ袋いっぱいの旅行雑誌を取り出し、
「Sum41ッ!このゴミ袋と内容物は電子の塊になるッ!」
目測だがそれはおそらくアンテロスとほぼ同じかそれ以上の質量をもっている。
それをぶつければアンテロスとそれはエネルギーに変換される。
そしてアンテロスとゴミ袋がそれぞれの塊になった頃を見計らって、よねはゴミ袋を切開した内部に放り込んだ。
「徳井さんッ!閉じてくださいッ!」
それは莫大なエネルギーを発生させる。閉じても何の解決にもならないだろう。
だが、緩和することはできるだろうというよねの計算である。
>「皆さんッ!こいつが消滅する前に離れておいてくださいッ!!
Sum41ッ!このスタンドは…陽電子の塊になるッ!!」
物理や数学が苦手な佐藤ひとみには正確な意味は解らないが何やらとてつもなくヤバそうな雰囲気だけは感じ取った。
「陽電子って…?!それって何だかとてつもなくヤバイんじゃないの?
何か放射能だか放射線だかが出るんじゃないの?!
そんなの30秒だの1分だのって問題じゃないじゃない!早く逃げなきゃヤバイんじゃないの?!」
陽電子と電子の対消滅で発生するのは実際にはγ線なのだが佐藤ひとみにはその意味はよく解らない。
放射能と勘違いして完全に逃げ腰になるひとみ。
放射能なら今さら逃げても仕方ないのだが。
閉じた切開部分の中ではすでに対消滅が始まっている。
同じ質量の陽電子と電子が対消滅する時エネルギーと質量の関係式E=mc2から質量分に相当するエネルギーが光子となって放出される。
既に切開部分にはプラズマ光のような光が小さな稲妻のようにちらついている。
こうなると既にアンテロスの出現時間の計測は無意味である。
一度始まった対消滅は途中で止まることがないからだ。
どちらにしても陽電子の塊と化したアンテロスの質量は物性評価に利用する微量の陽電子とは比較にならない。
それ相当のエネルギーが放出されるとしたら出来るだけ距離をった方がいい。
「これって逃げたほうがいいわよね?逃げるわよ!!」
意味は解らなくともカンでヤバさだけは感じ取っている佐藤ひとみは既に階段の外に向かって走り出そうとしている。
(すいません。対消滅の本当の意味がよくわからないのでテキトーに書きました。
よねさん、どっか間違ってたら佐藤に説明してあげてください)
>ちょっと…唐突に始めないでくれる?
>タイムは正確にカウントしなきゃ意味ないでしょう?!1秒の誤差が命取りになることだってあるのよ!」
「遅せーよ!俺も悪かったけどもう遅せーよ!始まっちゃいましたよ司令塔!」
100%徳井が悪いのだが、それどころではないので、特にこれをきつく咎める者はいない。
つくづく協調性のない男である。
そうこう言っている内に大谷がスマートガントレットの能力を発動させる。
>「なかなかいい仕事だったぜ、お前もお前の相棒もな」
> 10…9…時間は過ぎていく、そしてアンテロスの出現時間が過ぎた。
>「帰るにはまだ早いんだよ! スマートガントレット、もう一度だ!」
『パチィィィン!!』
スマートガントレットの指の鳴らす音と共に
徳井はセイヴ・フェリスで壁の結合を解除し、再び切開状態へと戻していく。
通常ならば出現と同時にナタを構え攻撃してくるアンテロスだが、今は様子が違った。
くぐもったサイレン音のような叫び声と共に自分の頭頂部に向かってナタを振り下ろすアンテロス。
>徳井君!アンテロスは今自分しか攻撃しないはずだけど、よね君に害が及ばないとも限らない!
>いざとなったらあんたがガードして!
「わかった!任せとけ!」
よねの近くにセイヴ・フェリスを出現させ、待機する。
そして待機した瞬間よねはとんでもない事を言い放った。
>皆さんッ!こいつが消滅する前に離れておいてくださいッ!!
>Sum41ッ!このスタンドは…陽電子の塊になるッ!!
物凄く嫌な予感がする。徳井は頭が悪いが、とてつもなくヤバイという事だけは伝わる。
さっきから何かバチバチ光みたいなのが見えるし。どうみてもヤバそーな凄みがあるッ!
>徳井さんッ!閉じてくださいッ!
>これって逃げたほうがいいわよね?逃げるわよ!!
階段の外へ向かって走り出す佐藤。徳井に閉じる事を要求するよね。
徳井も出来ればさっさと逃げたかったが、よね一人だけを残すわけにもいかない。
「ええい!逃げるなら階段じゃ間に合わねーだろッ!セイヴ・フェリィィイイスッ!!」
セイヴ・フェリスが階段の外の床を切開し、少しでも遠くへ逃がせるようにしておく。
「大谷さん、あんたもそこから一応逃げておいてくれ!…何かこれは絶対にヤバい!とてつもなくヤバい!
……よね君、閉じるだけじゃ足りねえ!もっと念入りに『壁』を造ってエネルギーを閉じ込める!セイヴ・フェリスッ!」
セイヴ・フェリスが踊り場の壁、床、階段を目にもとまらぬスピードで殴りまくる。
アンテロスの時に見せたラッシュとは比べ物にならない。徳井も必死なのだ。
よねと徳井の周りのあるゆる部分が切開され、ぐにゃぐにゃの油粘土のようにセイヴ・フェリスはそれを引き寄せる。
切開された中にはもちろん空間を創っておく。切開しまくってお陰か、もはや踊り場は原型を留めてなかった。
「踊り場の至る所を切開して、アンテロスを閉じこめた壁を更に閉じ込める球形のドームを創ったッ!よね君、とっとと逃げるぞ!」
焼け石に水だが、壁だけでエネルギーを閉じ込めるよりはマシだという徳井の判断である。
そして徳井は階段の外に飛び出し切開した床に飛び込む。
降りた階の床をまた切開し、飛び込んだ先は地下食品売り場よりも更に地下の連絡通路。
こんな地下で無事でいれるかの保障はどこにもないが、とりあえずここでやり過ごす事にした。
佐藤達とはぐれ、床はスプリンクラーのせいかビショ濡れ。しかもどことなく薄暗い。最悪である。
【そろそろ本格的に登場させてもらいます】
どうやら連中はあの亡霊スタンドと決着をつけたようだ、轟音がこちらからも伝わってきた。
>降りた階の床をまた切開し、飛び込んだ先は地下食品売り場よりも更に地下の連絡通路。
>こんな地下で無事でいれるかの保障はどこにもないが、とりあえずここでやり過ごす事にした。
>佐藤達とはぐれ、床はスプリンクラーのせいかビショ濡れ。しかもどことなく薄暗い。最悪である。
一味の若造が眼下にいるが、どうしたものか。軽く思案して、決めた。
焦る事はない。俺の作戦は確実、全員まとめて始末することは叶わなかったが、それも順番に片付ければいい。
ディボボボボボボボボ…
徳井は頭上を通り過ぎる透明色の発光体とそれが散布した物体が既に自分の周囲を漂っていることに気付かなかった。
「冷戦時代、旧ソ連軍が開発したVXだ。気付いた頃にはもう遅い」
忠告は聞こえる筈もない。水 が し ゃ べ る わ け が な い 。
そして徳井の脇にある通風孔を何の労もなくすり抜けていった。
1階、入り口前は我先と店内に駆け込む野次馬と逃げ出してきた客でごった返しになっていた。
職員は鎮圧のため持ち場を外れていたため職員用通路をクラゲの怪物が徘徊していても騒ぎ立てられることはなかった。
「探すまでも…ないな」
佐藤たちがアンテロスと死闘を繰り広げていた最中、デパート中のトイレ、蛇口、給水所の位置を調べ上げ、
それと鈴木が無差別に作動させたスプリンクラーによってこの階はほとんど水浸しとアドバンテージもある。
もうチェックメイトに入ったと言っても過言ではない。
>意味は解らなくともカンでヤバさだけは感じ取っている佐藤ひとみは既に階段の外に向かって走り出そうとしている。
「まさか犬からしっぽを出すとは具合がいい…
このデパートに存在する液体は全て俺の歩く道…!逃がさんぞッ」
巨大な体躯がみるみる内に融けていきまたたくまに液化した。
そのまま近くにあった換気扇に潜り込むとフロア全体を高速で巡回し、それと同時に体内に溜めておいたVXを
まんべんなく空中に撒き散らす。
「ショッピングに来店したお客にはショッキングな知らせだが…この階に神経ガスを撒かせて貰ったぞ
聞こえまいが」
「おい、あっちで人が倒れたぞ!」
「こっちも友達が…ぐっへ!息が…呼吸が苦しいッ!」
「助けてください!息子が急に倒れて!」
「救急車!それと警察も!」
“水溜り”が足元を移動しているのに誰も違和感を感じなかった。錯乱状態に入った人間ほど視界が狭い。
現に上の階に逃げようとする人間がマネキンにぶつかったり、エレベーターへ割り込もうとしてゴミ箱に突っ込んでいる。
水溜りはそのまま繁華街を通り越し
人気のない路地裏まで来ると自身を包み込んでいたスタンド『ニュー・ディヴァイド』を解いた。
本体である彼の名はボブ・バンソン。元プロレスラー。九頭龍一が留流家に取り込めなかった最初で最後の男!
【
>>258いつもありがとうございます
>>263ディモールト乙】
>「皆さんッ!こいつが消滅する前に離れておいてくださいッ!!
Sum41ッ!このスタンドは…陽電子の塊になるッ!!」
Sum41ッ!このゴミ袋と内容物は電子の塊になるッ!」
よねがアンテロスの情報を書き換え、続けて大量のゴミの情報も書き換える。
これでアンテロスを倒せる…と思ったが!
>「陽電子って…?!それって何だかとてつもなくヤバイんじゃないの?
何か放射能だか放射線だかが出るんじゃないの?!
そんなの30秒だの1分だのって問題じゃないじゃない!早く逃げなきゃヤバイんじゃないの?!」
佐藤が叫ぶ、大谷は学が無いが目の前のアンテロスの反応を見ればなんとなく解る!
ヤバイ、これはヤバイと本能が告げてくる!!
>「ええい!逃げるなら階段じゃ間に合わねーだろッ!セイヴ・フェリィィイイスッ!!」
「大谷さん、あんたもそこから一応逃げておいてくれ!…何かこれは絶対にヤバい!とてつもなくヤバい!
……よね君、閉じるだけじゃ足りねえ!もっと念入りに『壁』を造ってエネルギーを閉じ込める!セイヴ・フェリスッ!」
徳井が周りを切開しまくる!
踊り場は見るからに酷いことになってる…しかし今はそんな事はどうでもいい!!
「ありがたい! アンタも早く逃げたほうが…」
言い終わるより早く切開して出来た穴に飛び込んだ大谷、しかしここで重大なミスをする。
動揺していたためか仲間とはぐれてしまった…辛い状況、早く集まらないと危険だ!
しかし、ここ地下食品エリア…いやな予感がする…
『キヲツケテ… イヤナヨカンガスルワ』
「あぁ… むしろ嫌な予感しかしねぇ、早く集まらないとな。」
大谷は携帯電話を取り出し電話をしようとした…そこでふと気づく、
床は鈴木の行動のせいで水浸しになっていたはず、乾くには早すぎる。
オカシイ何かがオカシイ、その事を伝えておこう…
「大谷だが…大丈夫か? それと何かオカシイぞ、水が無い 乾くには早すぎるだろう?」
よねが反発を利用し離脱したと同時に爆音とともに吹き飛ぶ柱。
ただ徳井が何層にも壁を作ってくれたためある程度エネルギーは抑えられた。
着地するハズのよね。が、出来ない。床には徳井が開けた穴があった。
「ッ!!まずッ…!」
突然で態勢を崩したよね。対ショック姿勢をとる事もなく下の階に着地した。
足が痺れるように痛い。
そのとき、よねは明かな違和感を感じた。上の階から落ちて水飛沫が飛ばないわけがない。
スプリンクラーで水浸しになったはずが水が無いのだ。
物理的に考えてこんな短時間で乾くはずがない。結露もしていない。
と、考えていると不意に誰かにぶつかった。
"何やってるんだ、早くアンタも逃げろ!!"
何事か、訪ねてみると毒ガステロか何かのようだ。
もっとも、ウワサである。真相は定かではない。
そしてよねはカバンを置き忘れてしまった事に今更気がついた。恐らく衝撃でやられているだろう。
携帯電話も何もかもオシャカである。中には数万円もした電子辞書も入っていた。
携帯電話が無いと連絡が取れない。つまり完璧に孤立してしまったのだ。
「どうしたものか…」
今誰かに襲われれば非常にマズい。
アンテロスは倒したものの、それ以外のスタンドが潜んでる可能性もあるのだ。
寧ろその可能性の方が高い。ゲームに参加している以上は……
切開部の中で対消滅を迎えようとするアンテロスは莫大なエネルギーの一部を放出しようとしている。
切開部分を積み重ね衝撃を緩和しようとする徳井を尻目に
ひとみは自分から近い位置にある上に向かう階段を上り2階のフロアに出て走り出した。
2階に出てミスに気付いた。逃げるならこの建物の外に出るのが得策。
上に逃げてしまうと外に出るのにそれだけロスが出る。建物中央部にあるエスカレーターに向かうひとみ。
エスカレーター付近に来ると階段から爆発事故のような凄まじい爆音が聞こえた。
思わず耳をふさぐ佐藤ひとみ。
徳井の切開した空間で衝撃が押さえられたお陰か建物が崩壊するようなエネルギーの放出は起こらなかったようだ。
ひとみは爆音を聞きながら一瞬アンテロスの…いや、田所のことを考えた。
佐藤ひとみはまともな恋愛をしたことがない。なぜなら自分にしか興味が無いから。
監視して報復するほどの情熱も嫉妬から生まれたものではなくただの思い込みからである。
死んでまで誰かに執着するほどの想いというものが、ひとみには解らない。
アンテロスは死んだ田所の残した想いという名の思念の塊なのか。
ひとみはその『想い』に名前を与え、そして消滅させた。
物質の消滅と思念の消滅は同義なのだろうか。消えた物質の中にあった想いは物質と共に消えるのか。
今のひとみはそれ以上を考えるつもりも無かった。
1人で上の階に逃げてしまったことで3人と離れ離れになってしまった佐藤ひとみ。
まあいいだろうアンテロスは消滅したし、ひとみの能力があれば合流は容易い。
そう考えてエスカレーターで1階に下りようとするがどうも1階の様子がおかしい。
大勢の人が倒れたり座り込んだり関係者が助けを求めたりしている。
テレビで『地下鉄サリン事件』の映像を見たことがあるが、まるであの映像の再現である。
ひとみはまさかとは思いつつも身の危険を感じスタンドシートを出現させ『毒物の探知』をしてみることにした。
シートにはデパートの1Fの間取り図。そこに検出された毒物は………
化学式「C11H26NO2PS」
O-エチル-S-(2-ジイソプロピルアミノエチル)メチルホスホノチオラート
通称「VXガス」
スタンドシート上のガスの位置は蛍光色の緑色で表され、濃度の差はあるが1階の中央部全体に広がっている。
ひとみにはVXガスがどれ程の危険物か正確な知識は無いが下の階の惨状を見れば想像はつく。
「まずいわっ!今1階に下りたら死にに行くようなもの…!
せっかくアンテロスが消えてくれたっていうのに何なのよこれ?!毒物テロに巻き込まれるなんて!!」
ひとみはまず上の階に逃げ脱出の経路を探そうとする。
その時携帯の着信。大谷からだ。
>「大谷だが…大丈夫か? それと何かオカシイぞ、水が無い 乾くには早すぎるだろう?」
ひとみはスタンドシートで大谷の居場所を確認しながら叫んだ。
「大谷さん!今地下にいるのね!!絶対に1階に行っちゃダメよ!!
徳井君とよね君の位置は…徳井君は地下より更に下!
よね君も地下1階ね…。
よね君には私が電話するから大谷さんは徳井君を探して!彼の現在地は地下2Fの連絡通路!
私、彼の番号聞いてないもの、絶対1階に出ちゃダメって伝えて!!
1階で毒物テロ!!毒物はVXガスよ!!!」
292 :
名無しになりきれ:2010/03/29(月) 02:47:41 0
見えるぞ・・・・女の子の服だけを溶かす毒ガスが・・・・
残念ながらここにはトウの立ちかけた基地外女しかいません
女の子募集
「さっきの爆音は…アンテロスが対消滅した音か?…なんとか、無事だったようだな」
佐藤やよね、大谷とはぐれてしまったのでとりあえず合流しようと動き出そうとする。
そこで徳井は異変に気付いた。
少し呼吸が苦しくなった気がする。鼻水も出てきた。
サングラスに映った自分の目を見ると、瞳孔が収縮している。
「この症状は……!?神経ガスか?」
それだけではない。徳井の足元にあった水がいつの間にかない。ないのだ。
現に徳井の靴は水で濡れている。
まだ憶測の域から出ないが、恐らくスタンド使いの攻撃。
何処かの狂信者が神経ガスを撒き散らすという考えよりもこっちの方がしっくりくる。
そしてスタンド使いは!つい先程までここにいたのだッ!
「恐らく水に関係する能力だな……早くよね君達と合流しねーと……」
よねの能力は「設定を書き換える」こと。設定を書き換えて神経ガスに侵された自分を治せる。
時間がない。かなり毒が回っているようだ。呼吸をするのが凄く苦しい。
その前に外しておいたサングラスをキチッと掛けておく。
「よね君は地下一階にいる筈だ……早く探さないと俺がヤバい」
徳井は自分で切開した天井から地下一階に戻り、よね達を探そうとする。
よねに見つかり易いようにスタンドで辺りの物をぶっ壊して、騒音を立てながら。
「……体の感覚が麻痺してきた。かなりの重症だよな…
確か神経ガスは長期渡るし、累積性もあるんだっけ。
死ななくても俺は一生この毒に人生狂わされる訳か…笑えねーぜ」
呼吸困難で薄れていく意識の中、それでもまだ徳井はよねを探そうとフラフラと歩く。
スタンドを使うのも限界。ついに、地面に倒れこんだ。
「(クソッ……もう限界か……こりゃ…マジで死…………)」
まだ、こんなところでやられる訳にはいかない。
九頭を殺すまでは。仇を討つまでは、終わらない。その執念だけが徳井の意識を奪わずにいた。
「(生きてたら絶対に言ってやる…!
ショッピングに来店したお客様には誠にショッキングなお知らせですが、
地下の連絡通路には神経ガスが撒かれてますってよォ〜〜〜ッ)」
(
>>292なんて…卑猥なド低俗ヤローなんだ…byポルポル)
よねは薬局に置いてあったマスクの設定を書き換え、簡易ガスマスクにしていた。
「とりあえず、誰かと合流せねば…」
佐藤と大谷は連絡が取り合えるとして、問題は徳井である。
彼は連絡する術がない。つまり、自分と同様に孤立してしまったのだ。
だが、不幸中の幸いか、近くには徳井が開けた穴があった。
さらに徳井が居場所を知らせるためにさほど遠くない距離で音を立てているのがわかった。
つまり、徳井はさっきまで地下2階に居て、今は地下1階にいる。
そして非常に危険な状態であると推測できた。
「彼を今死なせるのはマズい…」
恐らくこのガスは非常に危険な毒ガスだろう。用いられてるのは化学兵器級の毒ガス。
簡易ガスマスクをしている状態でも気分が少し悪い。
これをマスク無しで吸ったなら…その先は容易に推測できる。
もちろん、徳井にはガスマスクなどない。つまり、今助けなければ確実に死ぬ。
そして、よねは薬局にあった適当な錠剤とシャープペンシルを持っていった。
木の枝で父を探したように、シャープペンシルで徳井の居場所を探った。
大体の方向はこれでわかる。だが精密にはわからない。
(生きててくださいよ…徳井さんッ!)
徳井を探しつつ、薬局から盗んだ錠剤の設定を書き換える。
ただの風邪薬だったが体に抗毒ガス用の免疫を作りだす錠剤に書き換えた。
が、書き換えた瞬間に意識が飛びそうになった。
能力の使い過ぎである。神の如きこの力。それ相応のリスクは覚悟していた。
しかし、今ドッときた疲れに恐怖した。
(これでは毒ガスを吸ったのと同じだ…生命の危機ではないが…マズいッ!)
壁にもたれかかるように徳井の方に行くよね。
最悪、徳井の為に自分を捨てても良かったし、逆に徳井を見捨てても良い。
二人が再起不能になるのと、一人が再起不能になるのなら後者の方がいい。
義理や、人情など言ってる場合ではないのだ。あくまでそこは結果を重視する。
そしてよねは少しペースを早めた。
「生きているとは…な だが、相当つらそうだな」
「許さないッ!僕の佐藤さんをあんな目にッお前はここで僕が裁く!」
アンテロスは生きていた!だがそれがアンテロスと言うには語弊がありすぎる。
それはまさしく死後の田所善和の姿なのだから。
電車に轢かれたためかあちこち筋肉組織が露出し、骨が皮膚を突き破っている。
これだけ肉体を損傷してもなおバンソンと対峙しているのだ。
「…なぜ、お前が実体化したかオレなりに推理してみた
一つはそのスタンドの媒介がお前の死骸だと言うこと
二つ目はアンテロスとお前の精神体が強くリンクしていたこと
…そして三つ目はお前の怨念そのものがスタンドだからだということ
どうだ?」
「違う!僕はひとみさんを心から愛していた!だから体を…お互い砕き合った体で心も体もひとつになりたかったんだッ!」
「ふ、歪んだ体に歪んだ愛か…その“しつこさ”は好かれんぞ」
それこそがこのスタンドの本質だ。ギリシア神話の神アンテロスは相思の恋の象徴であり叶わぬ恋の復讐者でもある。
だが今回に至っては前者が当てはまらない。田所の恋愛感情は一方的で盲目。
相手の意志を尊重せず自分の意志を押し通す困った恋心だ。
「うるさい!お前は障壁!僕とひとみさんに対するコンクリートで出来た壁!打ち砕いてみせる!」
「何を言い出すかと思えば…いいだろう…小僧ッ! このオレ、嵐の猛獣『バイソン』が直々に沈める」
『アンテロス』!
『ニュー・ディヴァイド』!
バンソンの体を水がかぶるようにクラゲのようなスーツに覆われ始めた。
その間に田所は叫び上げながらナタを振りかざしながら迫ってくる。その顔にはひび割れたアンテロスの仮面が被られている。
心なしかそのひびは血涙を流しているかのようだった。
「うおおおおおおおお」
「トロい」ガシッ
「な!」
バンソンは目前に振りかざされていたナタをいともたやすく掴み、軽く柄をへし折った。
「俺の持てる全てでお前を叩き潰す!いくぞッ」
田所の腕を払いのけ、隙だらけの懐に猛タックルでリバースフルネルソンに入った!
「これがオレのバイソン・スープレックスだ!」
そのまま体を後方に反り返り急角度から叩きつける!とてつもない衝撃にアスファルトが打ち砕かれてしまった。
この技は
水牛の角に見立てて自身の腕を突き出して相手にタックル、そのまま逆羽交い絞めする。
そして相手を持ち上げながら後方に反り返り、最後は急角度から相手の後頭部を叩きつけるという
バンソンが編み出した変形ダブルアーム・スープレックス。その威力はバンソンの体重、技の精度も相まって計り知れない。
「…本来は相手を気絶させる技であって3割未満の威力しか出さん…久々にフルパワーだった…
…それにしても戦うことは中々いいものだ 闘争は俺の血肉を湧き立たせる」
「かはっ…ひと…み…さん」
アンテロス…田所の体が黒い煙を吹きながら徐々に消えかかっている。
「田所よ…お前は人を愛することにかけては人一倍強いッ
次に生まれてくるときは愛し方を学べ」
「ひ…と…みさ…」
シュー......
田所が転がっていた場所にはアンテロスの仮面だけが残されていた。
仮面のひびは消え、さみしそうな顔をしていた。
「さて能なしの軟弱者は消したが…このまま九頭に報告すべきか」
「おい向こうで毒ガスが出てんだってさ!」
「マジかよ、ちょっと行ってみようぜ」
「もう少し様子を窺うか」
【
>>292>>293むさい黒人のおっさんはいます】
ボブ・バンソンと亡霊田所との対峙など露知ぬ佐藤ひとみ。
バンソンが実体化した田所にどう話したのかは解らないが踊り場から手近にあった上り階段で
上の階に逃げたことが幸いし、実際はひとみ自身は大して酷い目に合ってはいない。
携帯でよねに連絡を取ろうとする佐藤ひとみ。
だが携帯電話を失ったよねには通じるはずもない。
ひとみはコールしながらもシートで探知を続ける。
よねの位置は地下1F、徳井の現在地も同じ地下1Fに来ている。
2人の位置は近づいている。
合流可能か?
そう思い何気に徳井のいた地下2Fの平面図をもう一度確認すると、
さっきは気付かなかったがうっすらと蛍光のもや、微量だが毒物反応がある。
VXガスの致死量は大気中濃度 0.1 mg・min/m3。微量とはいえ充分致死量に相当する噴霧量だ。
おまけに徳井を表すマーカーはちょうど一階に出た地点で動かなくなっている。
よねのマーカーの動きもおかしい。
「まずい…!今この2人を失うのはまずいわ…」
どういう巡り合わせか自分から巻き込まれに来た徳井のスタンドはパワータイプ。
これからのゲームに欠かせない戦力だ。おまけに九頭とは個人的な因縁があり裏切る可能性の極めて低い逸材。
よねはよねでとてつもなく汎用性の高い能力を持っている。
腹算用込みの直感で2人を助けることに決めた佐藤ひとみ。
ひとみは再度大谷に電話をかけた。
「大谷さん、あなたのところにスタンドのシートを送るわ。
シートにはあなたのいる階の見取り図とその階の毒物反応を示すグリーンの境界色が表示されている。
同じシートでよね君と徳井君の位置も確認できるはず。
地下1Fにも一部通風口からガスが入り込んでる所がある。上手く毒物反応を避けて2人の所に向かって!
合流出来たら反応のない安全な所に待機!1Fにはもう確実に安全な場所は無い。1Fに出ちゃダメよ!!」
ひとみは通話を切るとシートをネットに繋ぎVXガスの特性を調べた。
ちなみにフルムーンの探知はGPSの信号を受信して利用している。
その気になればそこらを漂っている微弱な無線LANをフルムーンに捕らえさせてネットに繋ぐことだって出来る。
VXガスの解毒剤は「PAM(プラリドキシムヨウ化メチル)」
化学的安定性が高くサリンのように短時間で分解されることがないため長期間残留する。
効果を消すには化学洗浄による中和が必要。
中和剤として使用可能なのは『NaOH』つまり『水酸化ナトリウム』
高濃度の溶解液を噴霧すればよい。
ひとみは近い位置にある水酸化ナトリウム水溶液を探知した。
水酸化ナトリウム水溶液は工業用中和剤として一般的に使用されている。
デパートの裏通りにある小さめの工場に反応がある。ひとみはフルムーンを工場に向かわせた。
フルムーンは硝子を突き破り、探知した水酸化ナトリウム水溶液のタンクを触手に巻き付けて浮遊した。
「お…重い…っ!」
フルムーンのパワーは一般人よりちょっと高い程度。タンクを抱えて飛ぶのは重労働である。
おまけにシートを分離させて大谷の所に送っている。
作業としては同時進行。
女の脳は男の脳よりマルチタスク向きだと言われるが、今敵に襲われでもしたらひとたまりもない。
フルムーンはよたよたと引き摺るようにタンクをぶら下げてデパートの正面入り口まで辿り着いた。
フルムーンはタンクを置くと触手を束ね出した。
一纏まりになった触手は一本の太い触手になり、その先がパカッと別れる。
そこには細かい歯と内部にもう1つ口を持つエイリアンの吻部のようなものが現れた。
フルムーンは触手の先の口をタンクに突っ込むと物凄い勢いで水酸化ナトリウム水溶液を吸い込む。
触手の中央部分が大きく膨れる。
フルムーンはそのままの状態で正面入り口からデパートの1階に浸入し天井近くまで舞い上がると
口から霧のように水酸化ナトリウム水溶液を吹き出した!
水溶液を噴霧しながらそのまま地下に向かうフルムーン。
(ボブさんカッコヨスギ!なんというオリジナルムーブ!!)
(マズい…吸いすぎたかッ!?)
肉体の疲労ゆえの抵抗力の低下。
体がガスを処理できなくなってきているのだ。
よねの能力でガスマスクと化したマスクも完璧ではない。
元はただのマスクだ。ある程度を遮断できるに過ぎない。
頭が痛い。体中が痙攣してきているのが自分でもわかった。
免疫を作るための錠剤も飲んだがそうすぐには効き目も表れない。
おそらく効き始めるころにはよねの意識などとっくに無いだろう。
「徳井さん…急がねばッ…」
よねはドラッグストアからありったけのゴミ袋と観葉植物を持ってきた。
「Sum41…この植物は何倍も効率よく光合成する…ッ!」
植物は主に葉緑体で光合成している。
つまりその葉緑体を何倍もの数にする事によって常に酸素を供給できるというわけだ。
それをゴミ袋の中に入れ、それを首からスッポリと被った。
「ゼー…ゼー……ッッ!」
疲労が限界に達していた。この状況下ではもう一回も能力を使えないだろう。
そして徳井探しを続けるよね。
その足取りは既に病人のように、酔ったようにフラフラだった。
>「大谷さん!今地下にいるのね!!絶対に1階に行っちゃダメよ!!
徳井君とよね君の位置は…徳井君は地下より更に下!
よね君も地下1階ね…。
よね君には私が電話するから大谷さんは徳井君を探して!彼の現在地は地下2Fの連絡通路!
私、彼の番号聞いてないもの、絶対1階に出ちゃダメって伝えて!!
1階で毒物テロ!!毒物はVXガスよ!!!」
「なん…だと!? わかった、すぐに探す!」
佐藤からの衝撃的な言葉、電話を切った大谷はダッシュで得意を探す、
幸い毒ガスの被害を受けては無かったが、毒ガスがこのデパートに充満してしまうのも時間の問題だろう…
その時! 一階からの爆音 おそらく徳井のだろうか…
「冗談じゃねぇ… もう誰一人失わないって決意したってのに… クッソがぁ!」
地下一階に向かう大谷、地下二階より毒ガスの濃度は濃くなる、
「リリリリ! リリリリ!」
佐藤から再度電話がかかる、
>「大谷さん、あなたのところにスタンドのシートを送るわ。
シートにはあなたのいる階の見取り図とその階の毒物反応を示すグリーンの境界色が表示されている。
同じシートでよね君と徳井君の位置も確認できるはず。
地下1Fにも一部通風口からガスが入り込んでる所がある。上手く毒物反応を避けて2人の所に向かって!
合流出来たら反応のない安全な所に待機!1Fにはもう確実に安全な場所は無い。1Fに出ちゃダメよ!!」
「ありがたい、感謝する!」
スタンドシートが届き、二人の場所を確認する、一人はフラフラと動きもう一つは動かない…
「スマートガントレット、お前は毒ガスの濃度の高い方向に救助へ行け!
見つけたらここの位置まで持ってこれるか!?」
『ワカッタワ チカラシゴトハトクイジャナインダケド…』
濡らしたハンカチで口をふさぎ、二人の救助へむかった!
>>299 パチパチパチパチ
佐藤の背後で拍手の音が鳴り響く。
広いデパートの中でたった一人の拍手というのは随分と心もとなく聞こえるものだが、逆にそれが酷く不気味に、そして不自然に聞こえる。
しかしそれ以上に振り返らずとも佐藤の肌が感じていた。
背後に 誰 が い る の か 。 を !
「いやーお見事お見事。」
寝起きの声の様に張りのない言葉をかけるのはこの騒動を元凶、九頭龍一。
しかしその姿を佐藤が見る事はできない。
金縛りにあったように指一本、瞬き一つ出来ないのだから。
周囲はいつの間にか留流家の不気味な人壁となっており、完全に取り込まれたことを顕している。
そう、佐藤が動けないのは九頭の、いや、留流家に取り込まれたスタンド使い達の能力の一つ。
ペタリ、ペタリと近づく気配と足音。
「ん〜〜、随分と健闘しているねえ。予想外だよ。
ああ、そのことについて怒りや恨みはないんだよ?僕はスタンド使い同士の闘いが大好きだからね。
それで今出て来た理由にも繋がるのだけどね。
ゲームはあくまでスタンド使い同士の闘いで決着をつけてもらいたいんだ。
だから今回の毒ガスは僕としても面白くないからね、助けてあげようと出てきたんだけど、自力で解決しちゃいそうだしさあ。
腰を上げた手前、何もせずに股引っ込むのも恥ずかしいから挨拶に来たのさ。」
既に九頭の気配と声は佐藤の耳に息がかかるほど近づいている。
それでも見ることも触ることも出来ず、正に命を握られたも同然だった。
しかし、唐突に気配は消え、あたりの景色は元のデパートに戻る。
「はっはっはっは。君たちの戦いには愉しませて貰っているよ!」
まるで白昼夢のような出来事だったが、最後に残された言葉は確かに耳に焼き付いていた。
>>297 >「もう少し様子を窺うか」
「にらみ合いの緊張感も悪くないだろうけど、派手な撃ち合いのほうが観客受けがいいんじゃないのか?プロレスラー!」
ズンとボブの肩にかかる体重と共にかけられる声。
気づいた時には周囲は留流家となっており、ボブは九頭に肩組みされていた。
視線を交差させにやりと笑う九頭。
「お前は色々特殊だから命令はしないが、観客を楽しませるように野次を飛ばしに来たのさ。」
その言葉と顔には屈託のない笑顔。
留流家の一部であり、九頭のエネルギー源でもある田所を消滅させたことなどまるで気にしていないのだ。
しかし【観客】という言葉から、全ての闘いは九頭の掌中にある事が推測できるだろう。
存分にやってくれ。
その言葉を残し、九頭と留流家は消え、風景は元に戻った。
【待つのも悪役の仕事のうち、とは言いますけどね。
ウズついちゃったのでピンポンダッシュのような顔出し失礼。
現在時刻は21時過ぎという事でよかったでしょうかね。】
>「にらみ合いの緊張感も悪くないだろうけど、派手な撃ち合いのほうが観客受けがいいんじゃないのか?プロレスラー!」
>ズンとボブの肩にかかる体重と共にかけられる声。
>気づいた時には周囲は留流家となっており、ボブは九頭に肩組みされていた。
>視線を交差させにやりと笑う九頭。
>「お前は色々特殊だから命令はしないが、観客を楽しませるように野次を飛ばしに来たのさ。」
>その言葉と顔には屈託のない笑顔。
「九頭か…すまんがお前のスペアを一つおしゃかにしてしまった
代わりと言ってはなんだが…」
ジャケットのポッケからCD型の円盤を取り出す。
「『ディスク』だ、受け取れ
全く“悪魔の手のひら”といいスタンドは底知れぬな」
>存分にやってくれ。
>その言葉を残し、九頭と留流家は消え、風景は元に戻った。
「わが愛する盟友のためにトップエンターテイナーが最高のショーをご覧に入れようではないか」
『ニュー・ディヴァイド』!
再びクラゲ人間の姿に変身する。目がステージに差し向けられるスポットライトのように周囲を照らし出した。
「…あのビル全てがオレのリング!肉と骨…この魂すらぶつかり合う熱いバトルを期待しているぞッ」
ルール無制限・超特大デスマッチのゴングは既に鳴らされていた
シートの毒物反応を確認しながら中和剤を散布するフルムーンを操作する佐藤ひとみ。
万が一毒物が迫って来たとき窓から逃げられるように3階の開閉可能な窓を開けて側に立っている。
時刻はそろそろ午後9時。窓から見える暗い夜空には都会のくすんだ星が浮かんでいる。
HaOH溶液は強アルカリ性を示しタンパク質を腐食する作用を持つ。
触手も中和剤を吸収し噴霧する内に腐食されていくがフルムーン側の触手は使い捨て可能なので問題ない。
使い物にならなくなったら切り落として再生させればいい。本体側の触手は視神経と繋がっているのでこうはいかないが。
一通り散布を終わり一息ついたところで突然後ろから手を叩く音が聞こえる。
>パチパチパチパチ
>「いやーお見事お見事。」
聞き覚えのある声に後ろを振り返ろうとするが体が動かない。それどころか瞬き一つできない。
気が付くと周りはあのミケランジェロの地獄絵図のような人の壁。
声の主、九頭は飄々とひとみ達の健闘を称え今回姿を現した目的を告げると現れた時同様忽然と消えた。
去り際の言葉はこれ。
>「はっはっはっは。君たちの戦いには愉しませて貰っているよ!」
「何が愉しませて貰ってるよ…!あんたが愉しかろうと楽しくなかろうとこっちには全然関係ないわよ!
このフンドシ姿の変態男ッ!!助けに来るならさっさと来ればいいじゃない!!
仕事が遅いのよ!ド変態ッッ!!」
ひとみは自由の利く体になるなり怒鳴ったが九頭の耳に届くことは無いだろう。
九頭の気配を感じていた右半身はまだ鳥肌が立ったままだ。
噴霧から10分ほど時間を置き、毒物反応が人体に影響の無いレベルに低下したのを確認して
1階を経由して3人のいる地下1Fに向かう佐藤ひとみ。
1階では大勢の人が泡を吹いて痙攣を起こしている。症状の軽い者の中には錯乱状態になり喚いている者もいる。
既に動かなくなっている人間も多数。
概ね他人に無関心のひとみが見ても決して気持ちのいい光景ではない。
ひとみは惨状をできるだけ見ないようにしながら停止したエスカレーターを使い地下に降りた。
3人の前に現れた佐藤ひとみの手にはPAM剤の使い捨て注射器と錠剤が握られている。
「これフルムーンに近くの総合病院から失敬してきてもらったんだけど
5時間以内に摂取しないと効果無いらしいわよ。
時間的には余裕よね。それとも必要なかったかしら?」
>302(21時くらいでいいと思います。悪役っていろいろ大変なんですね。敷居が高いなあ。いつもありがとうございます)
>287(しばらく勉強してからwiki編集します。ありがとうございました)
「あんたは…大谷…さん…か?すまねー…どうやら最初に…やられたのは…俺みてーだな…情けねーや…
……この騒動の原因のスタンド…使いの能力は…『水に関係している』……推測だが…水に変化するとかそういう…能力だ…」
泡を吹いている人間や錯乱状態の者もいる中で呼吸困難、全身痙攣という状態にも陥りながらも喋る徳井。
自分が死ぬという事も想定して最後の気力を振り絞り喋っている。
まさか佐藤がPAM剤を調達してくるとは思ってもいないのだから。
「よね君か?……そ…こ…にいるのは…?は…は…お互い…ざま…あない…ね」
スマートガントレットに救助され大谷に助けられていたよね。
気を失っているのか、意識を保っているのか今の徳井では判断出来ない。
すると背後に誰かが現たらしい。気配でなんとなく分かるが
もう顔を動かして見る力も残っていない徳井には、顔を確認するのは困難だった。
>「これフルムーンに近くの総合病院から失敬してきてもらったんだけど
>5時間以内に摂取しないと効果無いらしいわよ。
>時間的には余裕よね。それとも必要なかったかしら?」
「テメー…んな事言ってねーで……さっさとしろよ…俺は…もう重…症なん…だぜ…
寧ろここまで意識…を保っていら…れるのが奇跡も奇跡、超奇跡だ…ボケ…」
PAM剤を注射すると、徳井はさっきよりもはっきりとした口調で喋りだした。
「大谷さんにも…説明したけどよ…これは…『新手のスタンド使い』の仕業ってのは知ってるよな?…
多分、俺は一番最初に神経ガスを撒かれた…奴の能力はある程度…状況から把握できる。
結論から言う。…敵は『水』だ。あくまで推測の域から出ないが…水に関係してるのはまず間違いない。
…フルムーンで水の通り道を全て把握しておけ……」
しばらく徳井の沈黙。そしてこう言い放った。
「俺、一時間くらい寝るわ。……後は大谷さんと頑張ってくれ。PAM剤を摂取したとは言え、もう…流石に限界………」
そう吐き捨てると徳井は死んだように眠った。
再起可能ではあるが、この戦闘に参加出来るかは─────…不明である。
【再起『可』能ではありますが、ボブさんとの戦闘に参加出来るか
自分で動かしている内に困難な状況に陥ってしまったのでこういう事に。
絶対に戦闘に参加不可能と言う訳でもないので状況によっては動かせますが】
徳井が息も絶え絶えに決死の覚悟で情報を伝えようとしているのにひとみは自分の話がしたくて仕方ない。
えらい目にあった女はそのことを即、話したがる。女の性である。
徳井の話が終わるか終わらないかというタイミングで話し始める佐藤ひとみ。
「水に関係した能力?
確かに新手のスタンド使いの攻撃っていうのは間違いないみたいね。
私、この前15年前の事件の特番見たものだからてっきりテロかと思ったわ〜。
あの事件って最悪よねぇ!無茶苦茶よ!
今回も同じ様なことになっちゃったけど…。でもこれって私達のせいじゃ無いわよね?
それにしてもこの状況なら毒ガスの能力だと思い込む方が自然だと思うんだけど…
やっぱりあんたってカンがいいのね。」
呼吸困難の徳井が大谷に静脈注射を受けているのを横目に話を続けるひとみ。
「毒ガスは敵の直接の能力じゃないらしいわ。
というかこの毒ガス攻撃自体、九頭にとっては想定外だったみたい。
その新手のスタンド使いは今ごろ九頭に絞られてるかも知れないわね。…何で解るかって…?
さっき九頭が現れて言ってたもの。
『健闘してるね、愉しませてもらってるよ』だって。」
佐藤ひとみはスイーツ脳特有の思考回路でとりとめ無いお喋りと重要な情報を混ぜこぜにして話す。
徳井は既に聞いてないようだが、ひとみは話したいことを話したいだけ話す。
「よね君、大丈夫?あんた起きてるんでしょ?
あんたも無茶苦茶やるわねぇ!あの階段の壁、大穴開いてるわよ。
あんたって本当に慎重なんだか大胆なんだか分かんないわね!」
ひとみはシートで階段付近の現在の平面図を見ながらよねに話しかけた。
「ところでこの建物の中にその新手のスタンド使いとやらはもういないみたいよ。
このデパート内でのスタンド能力の反応は私達と警備室内にもう1つ。
あれは大谷さんが片付けてくれた奴でしょう?かろうじて生きてるみたいだけどソイツの扱いどうするの?
どっちにしても今日はもうお開きかもしれないわ。
九頭はもう毒ガスは使わせないつもりみたい。
あいつって三島由紀夫みたいなフンドシ姿でナルシストの変態丸出しだけど
妙にフェアなとこあるから毒ガスのダメージが残ってる私達には仕掛けてこない気がするわ。
まあ、あいつの気まぐれ次第だからただの勘だけど。
あーもう私重い物持ったからも〜クタクタ!合コンには行きそびれるし…。
コートも髪も濡れちゃったし今から着替えて髪の毛セットしてメイク直してたら絶対合コン終わるまでに間に合わない。
今日の合コン開業医とか一流医大卒とか上玉が来る予定って聞いてたのにもう最悪!!」
(鈴木章吾どうしましょうか?)
(この後どうしましょう?仕切りなおしますか?それとも戦闘続行しますか?
ボブさん戦闘に希望の舞台がありましたら誘導書きますので聞かせてください)
目が覚めると隣には徳井がいて、大谷がいて、佐藤がいた。
(死んでない…生きてる…?いや…)
朦朧とした意識の中でそんな自問自答を繰り返すよね。
意識が確立した時、よねはハッと飛び上がった。
「徳井さん!?まさかッ!」
眼をつぶっている。間に合わなかった。
というわけではないようだ。呼吸をしている。寝ているようだ。
「大谷さんが…?ありがとうございます。死ぬかと思いました」
よねはそれほど毒は吸っていなかった。
むしろ、さっきまでの苦しみは疲労から来る物だった。
よねは回復が異常に早い。故に、今までも睡眠時間1時間だとかが頻発していた。
今回もしばらく気を失っていたので疲労もだいぶ回復したらしい。
佐藤が注射器と錠剤を差し出してきた。
「自分は結構です。すでに同じ様な物を飲んでますから」
もう完全に意識は復活していた。多少の疲労は残るものの、戦える。
今回の件はスタンド使いの仕業。おそらく全員同じ考えだろう。
とりあえず、徳井の安否を確認できただけで充分だった。
スマートガントレットと集合した、大谷は徳井に肩を貸しながら立っている、
>「あんたは…大谷…さん…か?すまねー…どうやら最初に…やられたのは…俺みてーだな…情けねーや…
……この騒動の原因のスタンド…使いの能力は…『水に関係している』……推測だが…水に変化するとかそういう…能力だ…」
「気にすることは無い、それとあまり喋るな。」
ボロボロの徳井を横にして、どうするかを考える…ここに毒ガス用の薬なんて置いてるはずが無いし…
…遠くから足音が聞こえる、遠くに見えるのは佐藤の姿だ。
>「これフルムーンに近くの総合病院から失敬してきてもらったんだけど
5時間以内に摂取しないと効果無いらしいわよ。
時間的には余裕よね。それとも必要なかったかしら?」
「薬か! ありがたい、早速使わせてもらう!」
佐藤から薬を貰い、徳井に渡す。 効果が出てきたようで徳井は疲れからかぐっすりと寝てしまったようだ。
佐藤の話はまだまだ続く。
>「毒ガスは敵の直接の能力じゃないらしいわ。
というかこの毒ガス攻撃自体、九頭にとっては想定外だったみたい。
その新手のスタンド使いは今ごろ九頭に絞られてるかも知れないわね。…何で解るかって…?
さっき九頭が現れて言ってたもの。
『健闘してるね、愉しませてもらってるよ』だって。」
大谷は救助に行ってる途中に毒ガスの反応が無くなった事の確信を聞いたのだ、
そして佐藤の話にも終わりが見えてきたようだ、
>「ところでこの建物の中にその新手のスタンド使いとやらはもういないみたいよ。
このデパート内でのスタンド能力の反応は私達と警備室内にもう1つ。
あれは大谷さんが片付けてくれた奴でしょう?かろうじて生きてるみたいだけどソイツの扱いどうするの?
どっちにしても今日はもうお開きかもしれないわ。
九頭はもう毒ガスは使わせないつもりみたい。
あいつって三島由紀夫みたいなフンドシ姿でナルシストの変態丸出しだけど
妙にフェアなとこあるから毒ガスのダメージが残ってる私達には仕掛けてこない気がするわ。
まあ、あいつの気まぐれ次第だからただの勘だけど。」
「そうか…それと鈴木には釘を刺して置いたから開放しても大丈夫だと思うが…
まぁ 留流家の効果で餓死することも無いだろうし、放置しても良いだろう、
…まったく、アンテロスを倒すのに4人がかり…おまけに壊滅状態、先が心配だな
とにかくお疲れ様だな、俺は帰る、徳井は心配だが…とりあえず、椅子にでも横にさせておこう
また何かあったら呼んでくれ、…あぁー喉渇いた。」
『ッフフフ- ソレジャァネー』
こうして、最初の戦いは終わったのであった。
【wiki編集しようと思ったけれども…もうすこし素性を明らかにさせてから書こうと思ってます。】
>>307 >「自分は結構です。すでに同じ様な物を飲んでますから」
ひとみの差し出すPAMの注射器と錠剤を断る、よね。
「あっそ。あんたの能力があれば、死にさえしなきゃどんな毒ガスでも…その気になれば病気だって怖くないわよね。
それにしてもあんたが毒ガスにやられるなんて…不覚を取ったみたいね。どうしたの?」
大して答えを聞く気も無いが一応よねに尋ねるひとみ。
>>308 よねとの会話の後、鈴木の処遇を聞くと大谷はこう答えた。
>「そうか…それと鈴木には釘を刺して置いたから開放しても大丈夫だと思うが…
> まぁ 留流家の効果で餓死することも無いだろうし、放置しても良いだろう、
「案外残酷なこと言うのねぇ、あなたって。
でも見たとこ徳井君の能力で拘束されてるみたいだし、彼が起きるまでどうしようもないわよね。」
シートで拘束現場を確認しながらひとみも同意を示した。
そして、そのまま帰ろうとする大谷を呼び止める。
「あー待って大谷さん。これ一応渡しておくわ。」
錠剤を渡すひとみ。
「サリンの時も症状が軽いからって放っておいて後で後遺症が出たって人多いらしいから。
あの特番見てて本当に良かったわぁ〜。こんな所で役に立つなんてね。
それと、中和剤を撒いたから1階はもう大丈夫なはずだけど一部反応が残ってる所もあるから気をつけて。
まあよっぽど変なとこ歩かなければ大丈夫なはずだけど…。壁際とか角は避けて歩いて。
今日は来てくれてありがとう、助かったわ〜。
アンテロスの件であなたを騙したことはチャラにしとしてね。
ゲームはもう暫く続きそうだし確執は無しで仲良くやりましょうよ。」
しゃあしゃあと笑顔で仲直りを持ちかけるひとみ。
>『ッフフフ- ソレジャァネー』
スマートガントレットの挨拶と共に大谷は帰ってしまった。
「よね君、あんたもう大丈夫なんでしょ?
徳井君どうする?1Fに置いとく?もうすぐ警察とか医療関係者も来るだろうし。
私もドサクサに紛れて病院行っとこうかしら。
テロに巻き込まれたって事にしといたら余裕で有給取れるもの。
あーもう、こんなしんどいゲームに巻き込まれちゃって当分働く気なんて起きないわ。」
>「そうか…それと鈴木には釘を刺して置いたから開放しても大丈夫だと思うが…
まぁ 留流家の効果で餓死することも無いだろうし、放置しても良いだろう、
…まったく、アンテロスを倒すのに4人がかり…おまけに壊滅状態、先が心配だな
とにかくお疲れ様だな、俺は帰る、徳井は心配だが…とりあえず、椅子にでも横にさせておこう
また何かあったら呼んでくれ、…あぁー喉渇いた。」
>『ッフフフ- ソレジャァネー』
>こうして、最初の戦いは終わったのであった。
「大谷と言ったな 安心しろ、深追いはせん…帰ってしっかりと休息を取れ」
階段を登りかけた大谷の耳元にどこからともなく響いてくる男の声。姿は見えない…
バンソンは淡々と話す。
「ただ、お前の背後にはいつ、どこからでも俺がいると思え……それとデパート前に溜まっていた有象無象は黙らせておいた
ああいうギャラリーは見過ごせなくてな」
警察や救急車、はたまた自衛隊までのりこんで異様なムードに包まれるハズであったデパート前。
今は大勢が激痛により失神していた。
かなり強い力で殴られたり投げられたり締め上げられたのか体のいたるところに痛々しい痕がくっきりと見える。
「く…ク…ラゲのっ…“バケモノ”っ」
大谷は見えない敵に警戒するがやはりバンソンは捉えられない。大谷のコートに掛かった水と同化しているのだ。
「また会おう…その時こそ真剣勝負だ」
そのまま声はパタリと止んでしまった。
大谷は今の出来事を急いで佐藤に伝えようと階段を駆け下りたとき水溜りを踏んだ。
【そういえば最近四之宮さんとか高寺さんを見掛けない…俺が話をひっぱり過ぎたせいか…】
「ただ疲れただけです。すいません、迷惑をおかけして」
微妙な敬語で更に佐藤をイラつかせるよね。
とりあえず、今回は本当に疲れただけだ。
そしてよねは一旦、引き上げることにした。
「自分は一旦帰ります。また必要なら声をかけてください。
恐らく、自分で気づいて行くと思いますが。
…徳井さんは…どうしておきましょう。
なんなら外部から見つからないように周囲に同化するシートでもかぶせて
そこらへんの草むらにでも放置しておきましょうか?」
いわゆるステルス迷彩である。
透明に見えるようにするのだ。現在も実際に世界中で研究されている。
それをよねはやってしまおうというのだ。
よねだけでなく殆どの能力者はおしなべて働く必要などない。
その能力を駆使すれば様々な方法で生きることができるからだ。
「あ、そうだ。佐藤さん。コレを渡しておきます」
佐藤に方位磁石を渡すよね。
そしてよねの右手には磁石が握られている。
「特別な細工をしてある磁石です。その方位磁石はこの磁石にしか反応しませんし、
半径5kmくらいならこの磁石を経由して自分の居る方向がわかると思います」
携帯を失ったよねが応急処置として作った連絡手段である。
もっとも、すぐに携帯を買いに行くため、殆どムダなのだが。
「それではこれで。必ずまた会いましょう」
そうしてよねは回れ右をするとゆっくりと歩き始めた。
(皆さんアンテロス編お疲れ様でした。とても楽しんで読ませてもらいましたですよ。
鈴木についてはできればあのまま放置でお願いしたいです。
便利なキャラですのでね。
必要でしたら「柱に拘束?幻でも見たのかぁあい?」とか言いながら再登場するでしょう。
とりあえず今のところは「留流家の柱から出れたと思ったらデパートの柱かよおお!」と泣いているでしょう。
>佐藤さん
気付きもせずまたいでいったのが「敷居が高いなあ。」といっていた悪役の敷居デスヨw
キャラクター、悪役、進行役と当たり前のようにこなしていったその力に乾杯です。
それでは皆さん、新展開楽しみにしていますー。)
>>311 >「ただ疲れただけです。すいません、迷惑をおかけして」
ひとみのくだらないお喋りには一切付き合う気のなさそうな、よね。
馬鹿丁寧な敬語の応対にひとみは少しイラッと来たが、そもそもよねはひとみにいい感情を持っていないことを思い出した。
佐藤ひとみも自分の本性が他人に受け入れられないことは理解している。
そのため普段は本音を隠し適当に世間受けのいい振る舞いをしているのだが
スタンド使い同士などお互い異端で秘密を持つ身。本性を隠す必要も無いので遠慮は無用。ある意味楽だ。
>…徳井さんは…どうしておきましょう。
>なんなら外部から見つからないように周囲に同化するシートでもかぶせて
>そこらへんの草むらにでも放置しておきましょうか?」
「ちょっと…放置って?あんたも結構冷たいこと言うのねぇ。
いいわよ。私が一緒に病院行ってあげるから。
私一度救急車って乗ってみたかったのよねえ。救急車使うくらいの重症なら気兼ねなく有給取れるもの。」
仮病で1週間ほど有給を使う気満々の佐藤ひとみ。
ひとみが言い終わらないうちに、よねは磁石のようなものを差し出してきた。
よねの能力で半径5km以内のよねの方向が解るらしい。
「あんた私の能力を何だと思ってるの?あんたの位置なんてとっくにメモリに登録済み!
あんたが世界中の何処にいても地図付きで位置表示できるわよ。私をナメてんの?馬鹿なの?!死ぬの?!」
と言いかけて思い直した。
さっきフルムーンでNaOH溶液を運んだ時のこと。
フルムーンの操作と毒ガス探知、加え3人の位置探知を同時進行でこなすのはかなりの集中力が必要だった。
この磁石があればフルムーンを別の作業に向けてもよねの位置は探知できる。
よねはそれを見越して渡してきたのだろうが。
よねが帰ってしまった後、毒ガス反応の消えた1階で他の負傷者と共に救急車を待つ佐藤ひとみ。
「遅い…なんか救急車遅いんだけど…?これじゃ助かる人だって助からないじゃない。
これが先進国の医療体制って言えるの?」
救護だけでなく警察の到着も遅すぎる。1995年に前例のある事件と同じ様相の現場。
すぐに毒物処理班が来てもおかしくは無いはずなのに…。ひとみもさすがに状況を疑い始めた。
(wiki、完全にお亡くなりになった田所のところだけ更新してきました)
>310(え?まさか荻原さんですか?皆さん現実生活でいろいろあると思うので仕方ないですね。ヒマができたら戻ってきてほしいなあ)
>312(その「待つ」というのが苦手のせっかちなのでやはり九頭さんはすごいと思います)
> …徳井さんは…どうしておきましょう。
>なんなら外部から見つからないように周囲に同化するシートでもかぶせて
>そこらへんの草むらにでも放置しておきましょうか?
「結構!そんなメタルギアみてーな事はせんでいい!俺やったことねーけど」
寝ながら心の中で突っ込む徳井。
本来なら起きて言ってやりたいところだが体が悲鳴をあげている。
まだ気分も悪いので黙って寝ておく事にした。
しかしさっきからうめき声が僅かに聴こえるだけで救急車や警察の旦那が来る気配が一向にない。
>「遅い…なんか救急車遅いんだけど…?これじゃ助かる人だって助からないじゃない。
>これが先進国の医療体制って言えるの?」
「まったくだぜ!折角、人が安らかに寝ようとしてるのに救急車が来ねーっ!
めんどうくせえ時にだけ来るサツの旦那も来る気配ゼロかよ!
つーかよねの奴ゲームのやりすぎだろ!草むらに同化って、メタルギアか!俺やったことねーけど!」
現状に耐えかねて起き上がり喋りだす。
まだ頭がクラクラする。ちょっと意識が飛びかけてヤバい。
言いたい事をとりあえず全て吐き出した徳井。
「はあ…救急車待つより歩いて帰った方が早そうだな……
あ、ところで俺の携帯番号知らないだろ?また俺だけ連絡できないで死に掛けは勘弁だ、教えとくよ」
(
>>312まさに柱の男。鈴木に合掌。再登場した時に、
俺をハンマーで殴った大谷には神砂嵐!柱に拘束した徳井には憎き肉片!とかは勘弁。)
デパートからしばらく歩いたところ。
どこかで自分の噂をしてるのか急にくしゃみが出た。
それに触発されるようにあることに気づいた。
(おかしい…あれだけの騒ぎなのに救急車どころか警察車両の一つもすれ違ってない…)
明らかに異常な状態。
普通の客の中にも連絡できる人間はいるだろうし、そもそも佐藤も連絡したはずだ。
(戻ってみるか…いや、しかし…)
戻ったところで事態は変わらないし、そもそもまた巻き込まれるのはゴメンだ。
と、そこでまた一つの事に気付いた。
(佐藤さんの能力があればあの磁石いらなかったかもな…)
全くその通りだった。
そんな事を思いつつも再び足を動かし始めた。
/これからどうします?また基のを書いてくれれば合わせます。
>315(他の方のロールまちでーす。ボブさんに希望の舞台があればそれに合わせて誘導書かせてもらいます
日にちはアンテロスの翌日か数日後がいいですかねえ。よねさんも佐藤も携帯買いに行かないといけませんからねw)
↑すいません佐藤でした
>「大谷と言ったな 安心しろ、深追いはせん…帰ってしっかりと休息を取れ」
どこからとも無く聞こえる謎の声、九頭では無いようだが…
>「ただ、お前の背後にはいつ、どこからでも俺がいると思え……それとデパート前に溜まっていた有象無象は黙らせておいた
ああいうギャラリーは見過ごせなくてな」
「つまり…野次馬達に痛い目遭わせたって訳か… 気にいらねぇな」
冷静に話しているように見えるが、内心かなり警戒していた頭だけは不意打ち対策出来ないためである。
>「また会おう…その時こそ真剣勝負だ」
声が途切れた…この事を佐藤たちに伝えなくては!
伝えに行く際何か変な感触の物を踏んだ、確認してみたが水溜りのようだ。
徳井が言っていた能力者は水に関係している…何かあるだろう…
しかし、相手は次と言っていた、不意打ちは無いと見て大谷は走る!
佐藤のいる所に戻った大谷、よねはすでに帰ったのだろうか姿が見えない、
「…毒ガス犯人からの伝言だ、今頃来るはずのギャラリー、そいつが痛い目遭わせたらしい…
そして、『また会おう…その時こそ真剣勝負だ』だってよ。」
『トリアエズ キョウハダイジョウブミタイ ソトヘデマショウ… トクイサン タテルカシラ?』
有給休暇の理由作りのために救急車待ちの佐藤ひとみ。
独り言を呟いていると唐突に徳井の声。
>「まったくだぜ!折角、人が安らかに寝ようとしてるのに救急車が来ねーっ!
>めんどうくせえ時にだけ来るサツの旦那も来る気配ゼロかよ!
>つーかよねの奴ゲームのやりすぎだろ!草むらに同化って、メタルギアか!俺やったことねーけど!」
「メタルギア?何それゲーム?てゆうか案外元気そうじゃない。
歩いて?そんなのダメダメダメ!救急車で行かなきゃリアリティってものが無いでしょ?
あんたはイタリアだか何だかに住んでるから分からないだろうけど
日本の職場ってめったなことじゃ有給取れないのよ。
それにしても救急車遅い!
さっきwikipediaで調べたんだけどVXガスって中和しない限り残留するから二次被害が出やすいらしいの。
警察もそれを心配して突入に二の足を踏んでるのかしら。」
ひとみはディスプレイにヒビの入った携帯で徳井の番号登録を済ませるとフルムーンを飛ばして外の様子を見ることにした。
上空からデパート前の道路を俯瞰するフルムーン。
デパート前には警察や救急車、自衛隊などの緊急車両がずらりと揃っている。
やはり二次被害を恐れての様子見か…?
良く見ると車両の近くに救急隊員や警察官の制服を着た人間が苦悶の表情を浮かべて失神している。
近くに大谷がいる。大谷は突然振り返ると向きを変えデパートに向かって走ってくる。
その時大谷が踏んだ水溜りに蛍光色の小さな光の群れが見えた。
ネオンの反射か?とも思えたが、ひとみは小さな違和感を感じた。
やはり大谷はデパートに戻って来た。
>「…毒ガス犯人からの伝言だ、今頃来るはずのギャラリー、そいつが痛い目遭わせたらしい…
>そして、『また会おう…その時こそ真剣勝負だ』だってよ。」
「さっき見てきたわ。通りで救急車遅いと思った。
『また会おう』ってことは今日は無しってつもりかしら?九頭同様変なとこがフェアねえ。勝負事みたい。
前にも言ったけど建物外部での『スタンド能力者探知』は半径100mが限界。
そこにはもう私達以外のスタンド使いはいない。
当分の間私達すぐ集まれるように固まっておいたほうがいいかも知れないわね。
あー…こんな状況じゃしばらく救急車来そうに無いし今日は帰ろうかしら私…。」
320 :
佐藤:2010/04/03(土) 14:10:13 O
どうやら規制に引っ掛かりました
次の舞台どこがいいですかねー?廃病院とか廃校とかプールのある市民センターとか考えたんですけどどうでしょうか
適当に導入書いていいですか?
規制ご愁傷様です。
書いていいと思いますが…ボブさんにもよりますね。
322 :
佐藤:2010/04/03(土) 14:48:45 O
じゃあもうちょっとボブさん待ちで考えます
ボブさんが動きやすい方がいいですよね。せっかちですいません
wiki佐藤のとこ編集しました
323 :
佐藤:2010/04/05(月) 17:44:44 O
次の導入少し進めさせてもらいます
千夜さんのところに代理投稿依頼出してきました
不都合だったら佐藤一人の小ネタで終わらせることもできますので
雨が降ってきた。季節の変わり目のじっとりとした雨、冬の終わりを告げる静かな雨である。
ひとみは大きめのバッグから折り畳み傘を取り出した。
佐藤ひとみは街外れの高速道路建設予定地に立っていた。
立ち退きが終わり更地にされた部分の多い土地には背の低い冬の雑草がちらほら生えている。
傘を指しながらスタンドのシートを見つめる佐藤ひとみ。
「やっぱりね…あいつはもうここにはいない…」
フルムーンで何かを探知するには材料が必要だ。
無機物であればその物の正式名称や特徴などの詳細情報。生物の探知も同様である
どちらも探知の材料として一番確実なのはひとみが直接そのものに接触を持つこと。
『スタンド能力者探知 』のように特定のターゲットのいないあいまいな探知も
一度スタンド能力を持つ者を探知したデータから同じ特徴である"スタンド"に基づいて探知の範囲を広げている。
キーワードが解らない物は検索しようがないように材料の無いものは探知できない。
九頭龍一の屋敷『留流家』はある特定のスタンド能力者の集合体で出来ている。
スタンド能力者の塊である以上、能力者の括りで探知は可能なはずであるが
ターゲットの拡散してしまう『全能力者探知』は半径100m以内が限界。
姿を隠した『留流家』を探知するには心許ない。
ひとみ達は先日、留流家から放たれたスタンド使い達と接触を持った。
ひとみはそこで一度アンテロスや鈴木章吾を探知の対象にしている。
留流家から放たれたスタンド使いはそれぞれ独立した能力者であると同時に留流家の一部でもある。
つまり九頭の追っ手たちは個人である前に留流家の構成要素。
彼らを一度探知の材料にすれば、同じ特徴を持つ留流家の探知は個人をターゲットにするのと同様簡単なことである。
今や佐藤ひとみは潜伏した『留流家』の場所を特定できる。
だがゲームの協力者であるスタンド使い達にはまだ明かしていない。
九頭の館の場所を知りうるのは自分だけという事実は、ひとみにとって言わば切り札。
自分しかゲームクリアの舞台を知らない以上、協力者達にはひとみが敵に襲われた時に協力する義務が発生する。
ひとみは誰にも明かさず『留流家』の場所を探知してみた。
反応はあった。
今いるここ、道路建設予定地の更地の一つに留流家の反応があったのだ。
だが反応は安定せず探知から数時間後には消えてしまった。
以前九頭の屋敷で『スタンド能力者探知』をした時、最初に反応が出たのは自分達と『待ち構える者』だった泥布だけ。
留流家自体や九頭の反応は出なかった。
九頭らしき反応が出たのは、四之宮良平のスタンド『ブラックベリー』の能力で探知能力を強化した時。
そして泥布が死んで九頭が意図的に留流家の正体を明かした時。
おそらく九頭に…いや、留流家に捕らわれている能力者の中には、フルムーンの探知能力を妨害する力を持つ者がいる。
だが『強化』によって探知に反応が出た以上その力は完全なマスキングにはなり得ていない。
物理的に近くに行けば反応を確認できる可能性が高い。
だが先日確認したシート上の反応地点の直下に足を運んでも反応は消えたまま…。
ここにはもう九頭の屋敷は無いらしい。
ひとみはこの事を少しは予想していた。
潜伏した留流家は一定の場所にはない。九頭の意思で任意の場所に簡単に移動できる。
九頭は留流家と共にデパートにいたひとみの前に現れたのだから。
つまり九頭が館の位置を変えられる以上、館の場所を特定しても、中に入れるかどうかは九頭に決定権があるということになる。
それとも留流家の位置を固定する方法があるのか…。
少なくとも今、九頭は留流家に誰も接触させるつもりはないらしい。
/盛り上げるために自分も過去の話を消化。
よねは過去に3人だけ、自身の能力で殺したことがある。
そのうち二人は殺人鬼。ゴミのような人間である。
そしてもう一人は、自分の叔母。
果たして彼女を殺す必要があったのか自問自答を繰り返して、今も当時の事を夢に見る。
それは今夜にも当てはまる…
――自宅の一室
「母さん…何してるの…?」
子供部屋らしい。よねは幼き自分が認識できずにいた。
そして夢の中で"母さん"と呼ぶ人物の手にはままごと用の包丁。
"見ればわかるでしょ…?晩御飯を作ってるのよ…"
明らかにおもちゃの人参。だが、"母さん"には本物に見えるらしい。
よねはそんな"母さん"と呼ばれる人を哀れんだ。
一体どうしたのだろうか、何故こんな事をしてるのか。
答えは全て知ってるはずなのに思い出せない。
「母さん…それオモチャだよ…?」
いたいけな眼差しを向ける少年。それに呼応するようにキッと振り向く"母さん"。
"母さん"はフフと笑うと立ち上がり少年の方へ。急に自分が少年と認識するよね。
"うるさいわね!あんたなんか何もできないゴミクズの癖に!!"
手に持ったままごと用の包丁を突き刺すように少年―よね自身―に振りかざす。
痛みが鮮明に伝わる。その痛みとともによねは完全に自分がこの少年と認識する。
思い出してしまった。それは忌まわしき記憶の断片。痛みをこらえていると不意にその手が止まった。
"…ごめんね…ごめんね…コウタには何の罪もないのに…母さんもうダメみたい…"
まるでリバーシの様に一変する"母さん"。痛いほどに抱きしめてくる。
それは紛れもない自分の、米 コウタの母親であった。
幼き頃、少し美化されている記憶はここで途切れる。
そして、急に別の場面へ
タバコを吸う女がいる。それはまるで自分の飼い主の様にも見えたし、何の価値もない生ゴミにも見えた。
叔母である。父母ともに仕事に出ている時は代わりに"面倒"を見ていた。
もっとも、面倒を見るとは程遠い行為ではあったが。
(この女は…ということは今自分は中学生か…?)
夢の中でよね自身の思考が響く。まるでエコーの様に。自分の脳に。
「お願いします…もう止めてくださいッ!」
それは自身の心からの願い。つまり、家族を苦しめないでほしい、という叶わぬ願望であった。
女。この女は後の人生にも大きく関わるほどのトラウマをよねに残していく。
(どうして…どうしてこの時、やらなかったんだ…)
懺悔する。例え夢だとしてもそれは本当の後悔。
手を伸ばせばカッターがある。誰かの血がついてるカッターだ。
当時の自分も迷った。今の自身の人生を犠牲にすることでこの呪縛から解放されるなら。
だが、出来なかった。恐ろしかった。殺す行為がではない。そう考える自分である。
実際にこのあと、この生ゴミの借金は返すことになる。
そして大学へ通う事が出来るようになったよね。
そこで能力を手に入れた彼は生まれて初めて人を殺す。
それは秋名の様に塵にしたわけでもない。完全に苦しみを与えて殺したのだった。
そう考えていると周囲が現在の自分の部屋になっていることに気付いた。
眼が覚めた…悪夢であった。それからよねはシャワーを浴びて再び眠りについた。
この場所にはもう『留流家』は無い。最初から半ば予想していたこと。
佐藤ひとみは帰ることにした。
数日前のデパートでの出来事は猟奇殺人+爆破+毒ガステロとして処理されている。
静かな街に起こった正体のわからぬ大事件。街中は騒然としている。
ひとみも「あの日現場にいた」ということだけで同情され、あの後救急車こそ使わないものの
ちゃっかり病院に行きPTSDの診断を受けてきた。
この後ゲームに関する不測の事態が起きた場合、仕事をサボる理由ができたわけだ。
今日も病院通いを理由に午後から早退を取りこの場所にやって来た。
一応留流家の不在を確認するためだけに来た場所、もうこの場所に用は無い。
気晴らしに買い物にでも行こうと歩き出す佐藤ひとみ。
多少高い服を買ったって構わない。こんなしんどいゲームに巻き込まれているのだ。
先日苦境を乗り切った自分へのご褒美という奴だ。
雨が降りはじめて気温が下がってきた。ひとみは何気なくコートのポケットに手を突っ込んだ。
ポケットの中にあるものに気づいてそれを取り出す。
よねに貰った方位磁石だ。
半径5km以内のよねの位置を指し示すSum41の能力で設定を書き換えた磁石である。
本来ひとみの能力があれば必要ないものではあるが、念のため手元に持っていたのだ。
方位磁石の針は揺らめくことなく引っ張られるように北西を指している。
割りと近い位置にいるようだが今は特によねに用は無い。ひとみは磁石をポケットに仕舞い込んだ。
小雨は降り続いている。
そういえばデパートで毒ガス攻撃を仕掛けてきた追っ手は徳井の勘では水に関わる能力を持つという。
雨の日の野外は危険かもしれない。早々に引き上げた方が良さそうだ。
ひとみは念のため半径100m以内の『スタンド能力者探知』をしながら歩いた。
しばらく歩くと反応が出た。
シート上の探知領域厳戒…ここから100m付近に一瞬だけ反応が出たのだ。
よねではない。方位磁石の向きと方向が違う。
相手はひとみの現在地から100m外に出たのか…一瞬だけで今は反応が消えている…。
相手はひとみの存在に気付いているだろうか…?
このあたりは更地から離れてまだ取り壊し前の工場や住宅が散在し見通しは良くない。
何人ものスタンド使いと接触して解ったことだがスタンドの射程距離はタイプによって差がある。
100m以上の射程距離を持つタイプはめったにいない。
相手の射程が100mに満たなければ、100m先にいるひとみの存在に気付いない可能性が高い。
敵か、通りすがりのスタンド使いかは解らないがこのまま距離を取ってこの場から離れる方が得策だろう。
探知の範囲は100mだがフルムーンからの目線なら距離に上限はない。
ひとみは敵に気付かれる危険を避けるために反応の出た方向から離れるように移動しながら
上空の高い位置からフルムーンに周囲を俯瞰させた。
(誰が反応に出たかとは実はまだ考えてません。どなたか絡めそうだったら良かったら絡んで来てください。
無理そうならゆっくりボチボチ適当に進めますので…よろしくお願いします)
(よねさん!素晴らしいモノローグ!こういうの書いていただけると本当に助かります!)
329 :
シン:2010/04/07(水) 21:14:44 O
この空気…奴らだな
フルムーンを飛ばし上空からの目視によってスタンド使いの存在を確認する佐藤ひとみ。
先程一瞬能力者の反応の出た付近はまだ更地で見通しの良い所。だが奇妙なことに周囲に人ひとりいない。
何匹かのカラスと小雨によってできた浅い水溜まりが見えるだけ。
ひとみの見るシート上の半径100m以内の能力者の反応も出ていない。
さっき反応の出た能力者は一瞬のうちに目視出来ないところまで移動したのだろうか?
それともフルムーンのいる上空からは確認できないような姿だとでもいうのか?
ひとみは相手の正体を確認するべきか、それともこのままこの場所から離れるべきか少し迷った。
(九頭さん、九頭龍一に明かしても差し支えないような過去話(出身地とか職業とか)ありますか?)
(ボブさん、ロール投げても大丈夫ですか?今無理そうなら適当に何か小ネタ作ります)
他にも規制で難儀している方もいるかと思い勝手ながら避難所をお借りしました
私のくだらない雑談でネタバレになってはいけないので打ち合わせは↓でした方がいいかなと思ったので
【TRPG】異能者達の奇妙な冒険【ジョジョ】避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1270719695/
名前:生天目 有葵(なばためゆあ)
性別:女
年齢:17歳
身長/体重:157a42`
容姿の特徴:ショートカットでナチュラルヘアの栗毛。今はフリルが付いたホルターネックワンピースを着ています。
能力詳細:スタンド名『ステレオポニー』ステレオは立体感。ポニーは疾走感を意味します。すばしっこく人型で意思をもっている成長タイプです。
最大の特長は音速で動くことが出来るのですが、音速状態の時は音と同じ性質の動きしか出来なくなります。やまびこのように壁に跳ね返るだけとかです。
人物概要:性格は天然ボケですwww
シトシトと雨が降っている。今は使われていない古いビルの入口で雨宿りをしながら濡れた体に張り付いたワンピースを指で引っ張っている少女がいた。
生天目「やっぱこの格好じゃ寒かった。グチョ濡れだよ」
ステレオポニー『アンタはアホだ』
生天目「五月蝿いなあ!」
ステレオポニー『フン』
【佐藤さん。もしよかったら会話しませんか?取り留めもない会話です。俺は素人だから多分通り過がりな感じになると思いますが…】
せっかく避難所作ったんだから使ってやれよw
姿の見えぬスタンド能力者の正体を確かめるべきか迷う佐藤ひとみ。
反応の出た付近に近づいてもう一度反応が出るか確かめてみようかとも思ったが止めておくことにした。
藪をつついてなんとやら…になってもつまらない。
自分ひとりで敵に遭遇したらアンテロスの時の二の舞になりかねない。
そのまま人気の無い取り壊し前の建物のある細い路地を歩くひとみ。
念のため能力者探知中のシートを確認しながら歩き続ける。
するとまたさっきとは別の場所に反応が出た。
「またなの?この街スタンド使い多すぎ!」
ぼやきのような一言を呟きながらフルムーンを飛ばし反応地点を目視する。
反応地点では取り壊し前のビルの軒下に少女が立っている。
まだ寒いというのに春めいたワンピースを着たショートカットの少女が濡れたワンピースを引っ張りながら何か呟いている。
少女の横には半透明の子馬のようなビジョンが見える。
少女は子馬と会話をしているようだ。
まったく殺気を感じさせない暢気な会話の様子。どうやら敵ではなさそうだが…。
ひとみは彼女の前を通り過ぎて彼女の出方を見ることにした。
(生天目さん!始めまして!喜んで会話させていただきます
今は女子がトウの立った佐藤しかいなかったので女の子登場はスレにとっても良い刺激になりそうですw
自分も全くの初心者でここにくるまで長文レスを書いたことも無かったですがなんとかやらせてもらってます
生天目さんも気が向いたら不定期でもいいので参加してください)
よかったら↓の統一テンプレにプロフ記入おねがいします)
新手のスタンド使い用テンプレ。
【本体】
名前:
性別:
年齢:
身長/体重:
容姿の特徴:
人物概要:
【スタンド】
名前:
タイプ/特徴:
能力詳細:
破壊力- スピード- 射程距離-
持続力- 精密動作性- 成長性-
A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安
A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下
>333せっかく立てたのに今規制解除されたみたいっすうえっへぇwww
まーあればあったで何かの時に使えますし
>334
片目を髪で隠している女性が生天目 有葵(なばため ゆあ)の前を通り過ぎる。有葵は女性を目で追いながら、雨でずぶ濡れなことも忘れ、
なぜか異次元の世界に迷い込んでゆくような錯覚に陥っていたのだが寒さで我に帰ると女性を大声で呼び止めた。
生天目「あの…すみません!駅ってどっちですか?私、迷子なんです!」
赤の他人にすがるような感じで話しかけてしまった自分に有葵は自分で驚いた。今日は厄日だった。オシャレな格好をして知らない街に繰り出したまでは良かったのだが
声をかけてくる男は中身のないようなチャラチャラした男ばかりだったし雨にも降られ、おまけに迷子ときた。
生天目「あの…」
寒さで震えながら話しかける。下着まで雨で濡れている。体の奥で温まった雨水が足を伝って流れてゆく。悲しいことに今の有葵には道を尋ねるという行為以外に、人と会話する理由はなかった。
>335
(いろいろと不手際があるかも知れませんがよろしくお願いします)
【本体】
名前:生天目 有葵(なばためゆあ)
性別:女
年齢:17歳
身長/体重:157a42`
容姿の特徴:ショートカットでナチュラルヘアの栗毛。今はフリルが付いたホルターネックワンピースを着ています。
能力詳細:スタンド名『ステレオポニー』ステレオは立体感。ポニーは疾走感を意味します。すばしっこく意思をもっている成長タイプです。
最大の特長は音速で動くことが出来るのですが、音速状態の時は音と同じ性質の動きしか出来なくなります。やまびこのように壁に跳ね返るだけみたいな感じです。
人物概要:性格は天然ボケです。
【スタンド】
名前:ステレオポニー
タイプ/特徴:遠距離タイプ
能力詳細:「音」のような性質をもつ
破壊力-D スピード-B 射程距離-A
持続力-C 精密動作性-E 成長性-A
雨宿り中の少女の前を通り過ぎる佐藤ひとみ。
>「あの…すみません!駅ってどっちですか?私、迷子なんです!」
スタンド使いの少女が擦れ違い際に話し掛けてきた。
たいていの女は自分より年下の女が好きではない。
ひとみも例外ではないが少女は冷たい雨の中ずぶ濡れになっている。
雨は当分止みそうにない。このまま無視するのも気が引ける。
ひとみは少女を傘に入れてやることにした。
バッグの中のタオルを少女に渡しながら話しかける佐藤ひとみ。
ちなみに佐藤ひとみはいつも無駄に荷物が多い。
いつ運命的な出逢いがあってもいいように…という大人の女のたしなみのつもりなのだが
運命と言っても、ひとみの想定する条件以上の男に出合う程度のことである。
「駅とは全然方向が違うわよ、ここ。
駅を知らないんだからこの街の人じゃないんだろうけど、どういう迷子のなり方でこんな人気の無い所に来たんだか…?
いいわよ。駅の近くまで行くから入れてあげるわ。」
ひとみは少女と並んで歩きながらふいに話を切り出した。
「あなたの横にいるその口の悪そうな子、それスタンドでしょう?」
そう尋ねるひとみの頭の上には帰還した彼女の『眼』…フルムーンが浮かんでいる。
(すいません。ステレオポニーは人型でしたね。子馬のポニーちゃんが頭に浮かんで勘違いしてしまいました)
渡されたタオルからは上品な匂いがした。大人の女の香り。有葵は御礼を言い濡れた髪を拭き始める。雨の中、大人の女性と少女が相合い傘で歩いている。その光景は一見奇妙にも思えたが仲の良い姉妹にも見えた。
>「あなたの横にいるその口の悪そうな子、それスタンドでしょう?」
有葵はギョッとして大きな目をさらに見開いた。ひとみから出た以外な言葉と、ひとみのスタンド『フルムーンアイ』を見てしまったためだ。体が震え始める。寒さからではない。この人とはわかりあえるかもしれないと言う希望で胸が高鳴っていたのだ。
生天目「お姉さんもスタンド使いなの!?それって目なの?目のスタンド!?私、自分以外のスタンド使いに会ったの初めてだよ!ネットの噂とかではそんな能力を持ってる人達が他にもいるって知ってたんだけどね。私の名前は生天目 有葵!よろしくね!!」
ぴょんぴょん跳ねながら有葵は興奮している。
生天目「私のスタンドの能力、見せてあげる!ステレオポニー!!」
元気良くステレオポニーは跳び上がると近くのビルの壁を蹴りとばし、かなりのスピードで建物の間を反射しながら移動していく。さしずめ目に見える山彦のようだがなんとなくディズニーキャラのようにコミカルな動きでもある。しばらくして…。
生天目「……。あれ?スタンドが戻って来ない…どこかに引っ掛かっちゃってるのかな…?ま、いいか、勝手に戻って来ると思うし…」
スタンドのステレオポニーは迷子になってしまったようだ。
自らのスタンド『フルムーン』を少女に見せる佐藤ひとみ。
機械のようなケースに入った『眼』を見ると少女は弾んだ声をあげた。
>「お姉さんもスタンド使いなの!?それって目なの?目のスタンド!?私、自分以外のスタンド使いに会ったの初めてだよ!
少女はぴょんぴょん飛び跳ねている。
生天目有葵と名乗った少女の度を越した、はしゃぎ振りに少々呆れる佐藤ひとみ。
ひとみにも覚えのあることだが女子高生というものはカナリア程度の脳味噌しかない。
感情表現に芸が無いのも仕方のないことなのだろうが、それにしても屈託のなさすぎる喜び方である。
ひとみはこういうタイプの女が苦手だ。
ストレートな喜びの感情をそのまま言動に表すことの出来る女…他人に対し生来邪念を持つことの少ない人間。
こういうタイプは大して努力しなくても人に好かれる。ひとみとは正反対のタイプである。
有葵の喜び方に内心引きながらも質問に答えるひとみ。
「ふーんネットで噂になってるの…知らなかったわ。
私も数日前に知ったのよ、この能力に『スタンド』なんて名前があることも。
この眼は私の右目、名前は『フルムーン』…これを飛ばして遠くを見れる…その程度の能力よ。
さっきから見てたんだけど、あなたのスタンド…話が出来るのね。
私の知ってる人にもそういうタイプのスタンドを持ってる人がいるわ。
その人のスタンドも口うるさくて…生意気にも嫌味なんて言うのよ。話せるスタンドって口が悪いものなのかしら。」
少女のスタンドに話を向けると有葵はさらに嬉しそうに声を張り上げた。
>「私のスタンドの能力、見せてあげる!ステレオポニー!!」
ステレオポニーと呼ばれた小柄な人型のスタンドは眼にも留まらぬスピードで飛び回り
ビルや家屋の壁から壁を反射するように移動している。
まるで壁に投げつけたスーパーボールのようだ。
そのうち斜めになった壁に反射したステレオポニーはあらぬ方向に飛んで行き姿が見えなくなった。
>「……。あれ?スタンドが戻って来ない…どこかに引っ掛かっちゃってるのかな…?ま、いいか、勝手に戻って来ると思うし…」
いなくなったスタンドに対する少女の言葉…。
ひとみは呆れ気味に有葵に尋ねた。
「で、あなたのスタンド…その『ステレオポニー』の能力ってつまり何なのよ?」
(佐藤のスタンドの名前は『フルムーン』です。最初のテンプレでは違いますけど…
こっちのが語呂がいいのでフルムーンだけでおねがいします)
タオルで鼻と口を押さえて匂いを嗅いでいる有葵。有葵は他人の物であろうが自分の物であろうがモフモフしている物が好きなのだ。
生天目「フ・ル・ムーン?…あ!満月って意味ね?私、満月の夜って飛びたくなる!」
少女の話はいつも脱線する。友達からも裏では会話不能女と呼ばれているくらいだ。
生天目「あなたの満月の目って素敵…でもちょっと怖い…」
上目使いにひとみの顔を覗き込みながら言う。悪意も善意もない言葉。思いついた事をそのまま口に出す。まあ、これで悪意があったらたまったものではないのだが…。
>「で、あなたのスタンド…その『ステレオポニー』の能力ってつまり何なのよ?」
生天目「…えっと…なんだろ?本人に聞いてみたらわかるかな?いつも、はしゃいでるだけだし私のツッコミ役みたいなものかな?」
ステレオポニー「誰がツッコミ役だー!」
ずうん!本体にスタンドがすごいスピードで戻って来て入り込む。有葵は後ろによろけそうになるが、がに股で手を回しながらバランスをとりこらえた。
生天目「おかえり!」にっこり笑う有葵。
ステレオポニー「ただいま!」
有葵の肩から首だけ出しているステレオポニーは少し嬉しそうだ。
生天目「この綺麗なお姉さんがあなたの能力知りたいんだってさ」
よしよしとムツゴローさんみたいにステレオポニーをなでなでしながら有葵は聞いてみた。
ステレオポニー「……」
生天目「私も知りたいし」
ステレオポニー「…しゃあねーな。ぢゃあ、なんか欲しい物を叫びな」
生天目「お金!!」
食い気味に有葵は叫ぶとステレオポニーは跳びだして、すぐに戻って来た。
ステレオポニー「ほらよ」
チャリンチャリンと100円玉やら10円玉などの小銭をその小さい手から有葵の手の平に渡す。全部で230円あった。
生天目「……」
ステレオポニー「俺様の能力は有葵が叫んだものを持ってくる能力。つまりだな。山彦がヤッホーつったらヤッホーって帰ってくるみたいに実際にお金って叫んだらお金を持ってくるっつー能力なんだな!」
生天目「しょぼ…ただのパシリぢゃん。なんかと被ってる気もするし。てかどっからお金をくすねてきたのよ!」
ステレオポニー「人をドロボーみたいに言うな!自販機の下から落ちてる金を回収してきたんだあ!」
生天目「それって…ますますしょぼいよ…」
(『フルムーン』ですね。わかりました。間違いがあったらこれからも教えて下さいね。あと俺、携帯だから全体が見えないとゆうか文のあけかたとか難しい…ちゃんと出来ているんでしょうか…)
>「あなたの満月の目って素敵…でもちょっと怖い…」
下から覗くようにしてひとみの顔を見上げる少女。
佐藤ひとみは内心飛び上がるほど驚いて咄嗟にフルムーンを解除した。
フルムーン発動中の筋組織剥き出しの右目周辺は誰にも見られてはならない。
それにしても無遠慮な少女だ。だがきっとこの無邪気さは人に憎まれない。
なんだか少し理不尽だとひとみは思う。
ひとみの高校時代にもクラスにいた、いわゆる天然ボケという人種。
思ったことを素直に口にして行動にあらわすのに不思議と人に好かれる。おそらく悪意のなさが原因だろうが。
ひとみが思ったことをそのまま口に出せば確実に人を不愉快にさせる。
ひとみは基本ナルシストなので自分の性格が嫌いな訳ではないが
周囲の人間に本性を悟られないように態度を取り繕うことが面倒になることもある。
ひとみの頭に過った複雑な思いなどお構い無しで、戻ってきた『ステレオポニー』と漫才さながらのやり取りを始める有葵。
それにしても喋るスタンドという物はこんなにも騒がしいものなのだろうか。
大谷杉松のスマートガントレットも決して静かなスタンドではなかったが
有葵のスタンドは本体同様、相当陽気な性格らしい。
>「この綺麗なお姉さんがあなたの能力知りたいんだってさ」
>「私も知りたいし」
ステレオポニーに説明を促す生天目有葵。
「ちょっと…あなた今まで自分のスタンドの能力を考えたことなかったの?」
ひとみの突っ込みめいた発言を無視して話を進める有葵とステレオポニー。
ステレオポニーの能力は『有葵が叫んだものを持ってくる能力』らしい。
さながら実体化した手癖の悪い山彦のような能力だ。
ひとみのフルムーンでも探知したものを持ってくることは出来るが自律行動はできない。
自動操縦でプログラムを与えておくか、ひとみ自身の操作が必要である。
自律意思を持ったスタンドというのは能力以前に人以上の力を持つ忠実な子分を持つようなもの。なかなか便利かもしれない。
そこでふと、ひとみは重要なことを思い出して話題を変えた。
「あなた何処から来たか知らないんだけど、この街の人間じゃないんでしょ?だったら早く帰ったほうがいいわ。
長居するとつまらない面倒事に巻き込まれてこの街から出られずにお家に帰れないなんてことになるわよ。」
忠告めいたことを口にする佐藤ひとみ。
今はアンテロスの時の様に切羽詰った状況ではないし見るからにカタギでない徳井と違って有葵は普通の少女だ。
能力も戦闘向きとはいえない。
さすがにひとみも徳井を騙した時のように少女を巻き込む気にはならなかった。
(読みにくくないっすよ。すごくわかりやすくてきれいな文体だとおもいます)
北条市のどこででもあり、どこでもない場所。
九頭はまどろみの中、夢を見ていた。
数えるのを辞めてどれだけになるだろうか?
元の名前は既に覚えていない。
物心ついた頃は時代は激動の坩堝へと飲み込まれていっていた。
300年の太平の世は黒船の来航により破られ、国全体が大きく揺らいでいた。
日夜白刃が舞い、新たなる世を産む苦しみに時代の人々は駆け回る。
だが、千葉の片隅の漁師の子供には拘わりの無い事。
草に大河の流れの向きがわからないように、時代の流れを認識する事すらなかった。
20を越え、一人で漁に出かけるようになったある日、時化に襲われ船は難破。
もしかしたら本当はこの時に死んでいたのかもしれない。
5日後に海岸に打ち上げられ、九死に一生を得た男は超常たる能力を身につけていた。
この頃から九頭龍一と名乗るようになった。
世は明治と変わっており、世界は帝国主義全盛。
弱きは罪であり、文字通りの弱肉強食の時代が紀って落とされたのだ。
富国強兵を進めるも、既に最新鋭兵器に慣れた諸外国と対等に戦う為には時間も戦力もたらなさ過ぎた。
そこで一つの方向性として密かに研究が開発される。
文明開化によって闇へと葬られていった妖怪、神霊などの超常の力。
国はそれを欲したのだ。
そして己の力に天命を感じ、はたまた見えない巨大な力に押されるかのように九頭と国の利害は一致したのだ。
それ以降、九頭は帝国の闇を担う一角となった。
闇ではあるが、確かにそれは帝国を強く、豊にしていったのだ。
しかしそんな蜜月も時代とともに徐々に変化していく。
多くのものが九頭とともに歩み、あるいは敵対し、その全てが九頭より先に死んでいった。
不老不死のように見えるが、時の重みは肉体だけでなく精神にも圧し掛かるのだ。
闘い、孤独、狂気、吸収…
様々な出来事が、時代が、想いが、交錯していく・・・
これは九頭龍一のまどろみの中に流れるうたかたの夢…
しかし、北条市にいるスタンド使いのうち、運がよい、もしくは悪い者。
肉親などが取り込まれ留流家と縁のある者。
何らかの能力で接触を試みたものは、断片的にヴィジョンとして、白昼夢として夢を共有する事が出来たかもしれない。
だが能力を以って共有したものは注意をしなくてはならない。
ヴィジョンや白昼夢より明確に見えるが故に、その「夢」は人間が目の当たりにするには負担が大きすぎる狂気を孕んでいるのだから。
覗いているうちにいつしか戻れなくなる可能性もあるのだから。
>343
>「長居するとつまらない面倒事に巻き込まれてこの街から出られずにお家に帰れないなんてことになるわよ」
生天目「…面倒事…」
少女は珍しく口をつぐむ。静かな口調ではあったがただならぬ佐藤ひとみの雰囲気に気圧されてしまったからだ。
背筋がゾクリとした。突然、悪夢の中に閉じ込められてしまった気がした。そして有葵は直感的に理解した。この街は病んでいて病魔はこの瞬間もじわじわと進行中なのだと。
生天目「…あ!」
駅が見えた。悪夢から覚める出口。有葵は佐藤ひとみの身の回りで起こった出来事について聞いてみたかった。彼女の事をもっと知りたかった。
しかし話題に触れたとたんパンドラの箱を開けるが如くドス黒い運命の渦に巻き込まれてしまう。そんな気がしていた。
ステレオポニー「面倒な事ってなんだ?面白そうぢゃないか。聞かせてくれよ」
生天目「ちょっ…と!!聞いていいことと悪いことって、あ、あるじゃない!私、絶対ヤバイ話だと思うんだけどっ!!」
カタンカタン…カタンカタン…
電車の音が聞こえる。
>344
(はじめまして。お邪魔してまーす)
駅に向かって歩く生天目有葵と佐藤ひとみ。
電車が近づいてくる。
――――カンカンカンカンカン―――
遮断機の降りる音。
遮断機の点滅を見つめていると不意にひとみの頭に奇妙なヴィジョンが浮かんできた。
電車の通りすぎる轟音と共に浮かんだヴィジョン…。
海が見える。荒れ狂った嵐の海…。
逆巻く波は幻の中のひとみを呑み込む……。
次に現れたヴィジョンは館の中…長い髭を生やした古風な洋装の紳士と黒い軍服に日本刀を差した将校風の男……。
男たちは何かに付和雷同するような邪な笑みを浮かべている。
その後も繰り返し館に現れる人々…。
時代も服装もバラバラの男達…女の場合もある。
多くは腹に一物あるような笑いを浮かべ、あるいは憎しみの隠った目でこちらを見ている……。
……幻の最後に襲って来たのはヴィジョンではなく誰かの感情。
―――陶酔、傲慢、虚無、疲弊、孤独―――そして僅かな焦燥……。
そういった種類の違う感情のうねりが1つのモザイクの塊になってひとみの脳に流れ込んできたのである。
ひとみは一瞬自分自身と幻の人物との区別がつかなくなった。
ほんの一時だけだがその感情が自分の物の様に感じられたのである。
自分が自分で無くなりそうな感覚に襲われ思わず頭を押さえる佐藤ひとみ。
遮断機の音が止まるのと同時に幻は消え、風景は見慣れた駅の踏切に戻った。
…あの幻の中の館は確かに『留流家』だった。
幻を見せたのは九頭龍一なのか…?
意図的に見せたものなのだろうか?
それとも直前まで『留流家』を探知していた、ひとみとの間に何らかの感情的なリンクが発生したのか…。
「眠れる魔神の夢を一緒に見た人間は頭がおかしくなる……まるでどこかの神話だわ…馬鹿馬鹿しい。」
ひとみは吐き捨てるように呟いた。
>「面倒な事ってなんだ?面白そうぢゃないか。聞かせてくれよ」
>「ちょっ…と!!聞いていいことと悪いことって、あ、あるじゃない!
私、絶 対ヤバイ話だと思うんだけどっ!!」
緊張感のないステレオポニーの声に我に返る佐藤ひとみ。
生天目有葵は何かただならぬ気配を感じ取ったのか神妙な態度を見せている。
ひとみは有葵のことが少し気になった。
よねや徳井は留流家から放たれたスタンド使いと僅かに接触を持っただけで九頭の呪いを受けゲームから逃れられなくなった。
ひとみは少女の左手に目を落とした。
少女の手の甲には九頭の呪いの証たる鱗のような痣はまだ無い。
だがゲームの参加者である自分と接触したことで、この少女の運命も九頭の手の中に落ちて行きつつあるのかも知れない。
ひとみは有葵に携帯番号を書いた名刺を渡した。
「その子の言うように聞かない方が賢明よ…。
この街にはタチの悪い呪いをかけるスタンド使いがいて
そいつの呪いにかかると馬鹿馬鹿しい運動会に参加しなきゃならなくなるの。
呪いにかかる前にさっさとこの街から出た方がいいわ。
でももし少しでも妙なことを感じたら電話して。
あいつの呪いの感染力は半端なくて言ったらリング級だから…ひょっとしたらあなたも…。」
そこまで言って口を噤むひとみ。
単なる危惧で少女を不安にさせても仕方がない。
佐藤ひとみは真剣に他人の心配をできるような思考回路を持ちあわせていない。
ひとみの少女に対する感情は同じ運命に落ち込みつつある者への同情なのかもしれない。
>ひとみは有葵に携帯番号を書いた名刺を渡した。
「…ありがとうございました」
ペコリとお辞儀する。二人は駅の入口にいた。有葵は駅の屋根の下に、佐藤ひとみは雨の中、傘をさしたまま外に立っている。二人の間には見えない境界線があるようだった。
>「その子の言うように聞かない方が賢明よ…(中略)…ひょっとしたらあなたも…」
「うん。妙なことがあったら電話するね。人生って一寸先は闇だもんね」
安堵の表情を浮かべながら改札口を通る少女。もう一度さよならの挨拶をしようと思い振り返ったが佐藤ひとみの姿はなかった。
生天目「雨…いつ…やむのかな…」
電車の中、タオルで鼻と口を隠し再びタオルのモフモフ感を味わう有葵。
ステレオポニー「あ!タオルを返すの忘れてるぢゃないか!」
生天目「!!…い、いつか…またいつか返すってば…」
カタンカタン…カタンカタン…雨の中、街に電車の音がこだまする。
(佐藤さん。ありがとうございました。これからの展開もすごく楽しみにしています)
よねの趣味は散歩である。
日曜日の早朝から音楽を聴きながら1時間ほど歩く。
今日もそうしてひっそりとした道をゆっくりと歩いていた。
すると急に突風が吹いてきた。
「…?これは…」
段々つよくなっている。本当に段々。まるでゲームのレベルの様に。
よねは気付いた。前にも感じた風だ。
「Sum41!このアスファルトは自分を守る!!」
半球状に盛り上がるアスファルト。突風で削られていく。
そう、秋名高次。彼を感じる。
「…ヒャヒャヒャ…よくも…やってくれたのお!!」
あり得ない。塵になったハズだ。
だが秋名は現に目の前に存在する。声まで聞いた。
「こう出来るまで随分かかったんじゃあ…」
秋名は塵の体を自らのスタンド"イダテン"で維持しているのだ。
実際、よねは秋名を殺したわけではない。塵にしただけなのだ。
「まさか、こんなツケが回ってくるとは…まいったな…」
よねは懺悔した。あの時、慈悲の心など持たねば、こんな事にもならなかった。
最も悔しいのは、自分の好きな時間に割り込まれたという事。
「大丈夫じゃよお…まだ危害は加えん…アンタにも仲間がいるじゃろうて。
そいつらをまとめて始末すれば…あの方に助けてもらえる…ヒャヒャヒャ」
そう言うと、秋名は塵の様に消えた。
その日曜、佐藤ひとみは珍しく休日だった。
図書館の休館日は月曜日、週休二日といっても利用者の多い日曜に休日が取れるのは珍しい。
その珍しい日曜の休日を潰してひとみは海辺の崖を歩いていた。
そう、ここはひとみ達が初めに九頭龍一に接触を持った場所。海辺の別荘地帯である。
あの日、廃墟と化した留流家に引き寄せられたのがすべての始まりだった。
あの時廃洋館のあったこの場所は今空き地となっている。
いや、そもそも空き地だった場所にあの日、留流家が現れたというべきか。
ひとみはスタンドのシートを見つめる。
今はこの場所に留流家の反応はない。
廃墟に入り込んだあの日の探知では九頭や留流家のデータを持っていなかったため
何らかの能力でマスキングされてしまったが
明確な探知の材料を持つ今この近さまで来て反応がなければ「留流家はここに無い」とほぼ断言できる。
この場所に留流家が無いことは昨日道路建設予定地に行った時同様予想していた。
それでも敢えてこの場所に来たのには理由がある。
昨日、生天目有葵という少女を駅に送っていく途中に見た幻……。
あれはおそらく九頭の記憶とのリンク。
その幻の中に海辺の別荘地帯が現れたからである。
海辺の崖を望むこの別荘地は九頭が気まぐれに決めた場所ではなく九頭と何からの因果関係があるのではないか…
と、ひとみは考える。
ここは別荘地帯の一等地。海を望みロケーションも抜群なのに何年も空き地のままというのは不自然だ。
この場所と空き地の前身について調べてみる必要があるかもしれない。
いずれ調べてみようと心に決めて、佐藤ひとみは歩き始めた。
今日は昨日とは打って変って快晴。散歩にはもってこいの天気だ。
タクシーを使わずにしばらく歩くことにした佐藤ひとみ。
途中、誰かの別荘と思われる豪奢な建物の屋根に2羽のカラスを見かけた。
別にカラスは珍しくない。だが2羽のうち1羽は羽毛の大半が抜け落ち随分みすぼらしい姿をしている。
そのみすぼらしいカラスがもう1羽に襲い掛かっているのだ。
カラスも縄張り争いくらいするだろうが、せいぜい小競り合いの後追い払うのが関の山。
しかしスカスカの羽を持つみすぼらしいカラスはもう1羽のカラスの首に食いつき血を流している。
そして絶命し屋根に落ちたカラスの死骸をみすぼらしいカラスが貪り食べているのだ。
カラスは雑食だが共食いまでするものなのだろうか…?
「いやなものを見たわ…」
ひとみはグロすぎる光景をこれ以上見る気にはなれず、そのまま歩き出した。
一本道の向こう側に人影が見える。
米コウタがこちらに向かって歩いてくる。手ぶらで音楽を聴きながらただ散歩しているといった風情。
難しそうな顔で何か考え込みながら歩いている。
「よね君じゃない?何やってんの?あんたの家ここの近くなの?」
佐藤ひとみは社交辞令の挨拶程度に、よねに話かけた。
徳井一樹が4歳の頃、事件は起こった。
両親が行方不明となってしまったのだ。
二人とも真面目な会社員で、絵に描いた様な幸せな家庭だった。
徳井も、時々そのバカップルさに呆れる事はあったものの、幸せだと実感していた。
生まれついてのスタンド使いだった徳井一家が、そんな簡単に死ぬ訳がない──……
徳井自身スタンド使いだったし、二、三日で帰ってくると思っていた。
まだ帰ってこない。
まだ帰ってこない。まだ、まだ帰ってこない。まだまだまだまだまだまだまだまだまだ……
三ヶ月の月日が経っても帰って来る事はなかった。
当然だった。九頭龍一のゲームに敗れ、取り込まれてしまったのだから!
孤独と喪失感が徳井を包み込み、徳井はヤケッぱちの人生を歩むこととなった!
放火、強盗、障害……やってないのは殺人だけ。徳井は荒んだ孤独の青春を突き進むことになる。
────かのように思われた。
「お前が一樹か?俺はお前の親父の親父だ」
持ち前のスタンドと、ヤケッぱちの根性で少年院をシメていた徳井にある人物が現れる。
男の名前は徳井鉄平。──…イタリアギャングのボス。
自分のじいちゃん、鉄平の話によると徳井のひいじいさんがイタリア人のギャングだったらしく、
鉄平はそのギャングを引き継いだのだと言う。そんなフザけた話は聞いてもいないし知らない。
なにより自分をここまで放っておいて何がジジイだ。フザけんなと思った。
『俺はこいつをブン殴るな…』
12歳、年老いたジジイをボコるのも情けない話だったが、腹が立って我慢が出来なかった。
スタンド使いでもある自分が負けるはずもない。そう思って喧嘩を売った。
結果は惨敗。
「そんなシケた覚悟じゃあ例え『力』を持ってても勝てねーーよ」
そう言い放たれた言葉に、徳井は普段ならキレていただろう。
だが鉄平の覚悟と確かな『黄金の精神』を肌で感じた徳井はボロボロの体で土下座し、こう言った。
「俺を…ギャングに入れてくれ。父さんや母さんを殺した奴がいるはずだ。そいつらには、死をもって償わせてやりたい。」
徳井の荒んだ人生はここで大きな転機を迎えることになる。
これから徳井がギャングに入門し、九頭龍一発見への足がかりを掴むのはまた別の話。
「……なんだ…昔の夢か。夢オチなんて冴えねーの…いや、いつもかな……」
ホテルのベッドの上で目が覚める。
昔の夢──…穴があったら入りたいくらい恥ずかしい頃の夢。正直思い出したくもなかった。
いつものスーツ(同じ物を3着くらい持ってる)に着替えると、サングラスをかけてホテルを出る。
徳井の頭の中に何かが駆け巡った。
口では形容できない悪意と狂気に満ちた感情。そのとてつもない、
吐き気を催す悪に徳井はフラフラとよろめきながら近くにあったベンチに座り込む。
「なんだよコレ……出来の悪い白昼夢か?」
突然襲ったヴィジョンが頭の中から消え去るのを感じた。
それは数秒程度短いヴィジョンだったが、徳井には何日もの重みにさえ感じた。
「…さっきのはなんだったんだ?気持ちが悪ィーーぜ……SHIT!」
秋名の体を塵にしたのが間違っていたのか。
だが、自分は人殺しなどしたくはない。
そんな事を考えながらなるべく大通りに出ようと歩いた。
すると、突然佐藤と出会った。
/「よね君じゃない?何やってんの?あんたの家ここの近くなの?」
「ああ、散歩です。趣味なんです。家はもうちょっと遠いですよ」
よねにとって佐藤の印象は変わりつつある。
初めての印象はいわゆる"自尊心だけが高くて面倒なヤツ"だったが、
今となっては正反対のものに近づいている。
アンテロスの件にしろ、毒ガスの件にしろ、人は誰かに助けられたりすると、
意識してようがしてまいがその誰かを好意的に思う。
よねも例外ではなかった。
よねは迷った。ここで秋名の事を話すべきか。
勿論、話しても差し支えないのだが、後々に問題となる可能性もないわけではない。
が、結局話すことにした。
「実は、佐藤さんに話しておくべきことがあるんです」
そうして佐藤と出会うより前に戦った秋名の事、
奴の能力の事、そして今の奴の状態の事。
…そして、撃退方法が無いという事も…
(業務連絡です)
>>171の影貫さん、見ていらっしゃるでしょうか?
あまりにもカッコイイ能力だったので本編に登場させてしまいました。勝手なことで申し訳ありません。
NPCとしての扱いではなく佐藤目線でのカンニバル・コープスの目撃談という形で本体の影貫さんを動かすことはありませんので
ロール投げというかネタ振りの一環として受け取っていただければうれしいのですが。
よろしければ続けて動かしていただけたりするとメチャメチャ嬉しいです。
もし何かありましたら
>>330の避難所の方までよろしくお願いいたします。
ひとみと出会う前の秋名との遭遇談を話す、よね。
秋名は塵と化して尚その能力を維持し更に悪いことに体を無くし生前(?)より掴みどころがなくなっている。
スタンドと一体化した本体であるイダテンと秋名。
本体にダメージを与える方法がない以上、撃退方法は無いに等しい。
「それってデパートでアンテロスに襲われる前に九頭のスタンド使いに会ってたってこと?
じゃあ巻き込まれたのは全然私のせいじゃないじゃない?何よー!それ?人のせいみたいな顔しといて…」
重要事項とかけ離れたことで不平をもらす佐藤ひとみ。
性格の悪さを悟られないように取り繕っている日常では話したいことを話すこともできないが
スタンド使い同士なら別、お互い秘密を持って生活しているし別に嫌われて困ることもない。好き勝手に口を滑らせるひとみ。
ひとしきり不満を漏らした後でようやく本題に入る。
「厄介なことになったわね。塵相手じゃこっちの攻撃も効かないし…密度がある程度濃くなければ探知もできないわ。
その秋名だっけ?塵と言っても能力を使うときは塵を集めて実体化しなきゃならないわけでしょう?
どのくらいの濃度で探知できるかは解らないけど
奴だってあまり拡散してると塵を集めるのに時間がかかるだろうし密度を濃くしてから攻撃するまでのタイムラグがあるはずよ。
やってみなきゃ解らないけど攻撃前に探知は可能だと思うわ。
ところでよね君『悪魔くん』って読んだことある?」
また話を脱線させるひとみ。
「私、水木しげるって好きなのよねぇ〜。あの何が言いたいのか分からないモヤモヤしたストーリー展開っていうか…?
まーそんなことはいいんだけど確かあれに塵になった仙人をやっつけるシーンがあった気がするのよ。
どうやってたかしら?読んだの子供の時だからうろ覚えなのよねぇ〜。
あ、そういえば、よね君!昨日の午後だけど…変な夢っていうか…幻みたいなもの見なかった?
別に見てないんならいいんだけど?」
昨日、生天目有葵の取り留めない話し方に呆れていたひとみだが
好き勝手話す時の自身の無軌道な話しぶりも相当なものだ。
−今から30年前−
北条市に観光に来た少年が行方不明になると言う事件があった。
少年の名前は柚木美都留(ゆずきみつる)11歳。
当時から北条市では失踪事件が多発していたため事件は風化したまま現在にいたる。
−現在−北条市自然公園−
外周400メートルの湖の周りを遊歩道がぐるりと囲んでいる。平日であるために人は疎らだ。
湖の周りのベンチには仕事を失ったサラリーマンや老人が座っており、遊歩道には散歩する幼児と母親の姿もあった。
さまざまな人間がいたのだがその間には一定の距離がある。お互いに干渉し合わない程度の距離。言うならば距離の壁だ。
その中に一人の不気味な青年がいた。彼の日課は野鳥や野良猫、迷い込んだ犬などをボーガンで射殺すこと。
毎日ペンキの剥がれたベンチに座っては獲物が来るのを待っている。彼は心の病んでいる『ただの青年』であって異能者ではない。
彼は声を出さずに肩を震わしながら笑っていた。大きな獲物を見つけたからである。首に輪をつけた迷い犬だ。
「死ね!」
ひゅん!ボーガンから矢が勢い良く放たれる。青年は矢を放った瞬間に確実に仕留めたと確信した。
今までに何十匹も殺めてきたからである。しかし矢の軌道は大きく外れ遊歩道を歩いている少年に向かって飛んでゆく。
「やべえ!人を殺っちまう!!」
そう思った瞬間、少年の目の前で矢は吸い込まれるように消えてしまった。
「オズモール…ACT2」
少年の傍らには三つの頭を持った巨大な犬が身構えている。大きさは虎ほどもあった。
普通の人間には見ることも触る事も出来ない異形なるもの…。
30年前に運命の悪戯によって留流家に迷い込み九頭と接触した柚木美都留(ゆずきみつる)は今や狩るものと化していた。
スタンドも留流家の毒気を吸い込み禍々しく強化されている。年齢も柱で眠ったいた為に当時のままの11歳だった。
「おじさん。なにしてたの?」
矢を慌てて隠し青年は逃げ去ろうとしていた。
「待ってよ、おじさん。矢を返してあげるから…」
地獄の番犬ケルベロスの様に強化されているオズモールの三つの頭の内の左側、白い頭の口からさっき吸い込んだ矢が飛び出し青年の肩に突き刺さった。
「あはははははは!ごめんね。痛かった?これはボクのスタンド『オズモール』のチカラ。吸い込んだものを吐き出すチカラさ。
ちなみに右側の黒い頭は吸い込むチカラをもっているんだよ。ま、おじさんに言ってもわからないだろうけど…」
(357の続き)
肩を抑えながらヨタヨタと逃げる青年。
「ひいい…たすけ…て…」
呻き声を聞きながら少年は青白い顔に三日月のような笑みを浮かべた。
「ほら!もっと逃げなよ!おじさんのこと吸い込んじゃうよ!」
スタンド、オズモールは口を開けた。喉の奥は漆黒の闇だった。
まるで光さえも吸い込んでしまいそうな暗闇。
「うわああああ」
犬を殺そうとした青年は爪を地面に突き立て吸い込まれないように踏ん張っている。
「あれ?吸い込めないや…。やっぱ遠いと吸い込めないのかな?
ACT2になっているとはいえそこまで強化はされてはいないみたいだね。
まあボクのスタンドはもともと近距離パワー型だし…でも至近距離なら…」
ニコニコしながら距離を詰めるとオズモールは、ずるりと青年を飲み込んだ。
「ボクのスタンド『オズモール』に飲み込まれたものは闇の胃袋の中を永遠に落ちてゆく。
途中で餓死しても死体になって永遠に落ちてゆくんだ。
でも普通の人間なんか捕獲したってあの人は喜ばないから、おじさんは、ぺって吐き出してあげるね」
そう言うとオズボーンの口から青年が弾丸の様な勢いで吐き出され湖に大きな水柱をあげる。
「あははははははは!」
己の力に陶酔し少年は高笑いしていたが、あることに気がついた。
「…くんくん…匂う…スタンド使いのにおいだ…それもかなり近いね…」
少年は歪んだ笑みで公園をあとにした。
【本体】
名前: 柚木 美都留(ゆずき みつる)
性別: 男
年齢: 11歳
身長/体重: 148/39
容姿の特徴:艶やかな黒髪で色白の美少年。
人物概要:スタンド使い狩りをゲームとして楽しむ冷酷なハンター。無邪気で所々に幼児性を残す。スタンド名「オズモール」は昔飼っていた愛犬の名前。
【スタンド】
名前: オズモール
タイプ/特徴:3つの頭をもつ獣。近距離パワー型
能力詳細:吸い込む力と吐き出す力を持っている。吸い込まれた場合、本人が吐き出さない限り吸い込まれたものは永遠に闇の中を落ちていく。餓死して骨になっても落ちてゆく。(飲み込まれても即死するわけではない。噛み砕かれた場合は別)
破壊力-B スピード-B 射程距離- E
持続力-C 精密動作性-E 成長性-E
A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安
A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下
(ミツルはモンズ君登場を仮定して考えていた話を書き換えたので能力が似ています。同じタイプのスタンドってことってありですよね?)
/じゃあ巻き込まれたのは全然私のせいじゃないじゃない?何よー!それ?人のせいみたいな顔しといて…」
軽く愛想笑いをして流すよね。こういう事には慣れている。
というのも、今までの学校生活でだ。
繕い、偽り、騙って生きてきたからだ。
ささいな面倒事はついつい流してしまうクセがついてしまったのだ。
「そうです、奴は実体化するには自分の体…もとい自分の塵を必要とします。
さらにバラバラの塵のままだと弱い力しか使えないかと」
確かにそうだ。あの時、秋名はやろうと思えばよねを殺せた。
だが、"出来なかった"。塵であるが故に完全な力を出すことはできなかったのだ。
もっとも、塵なのだから打撃攻撃をはじめとする攻撃は全て無効なのだが…
/ところでよね君『悪魔くん』って読んだことある?」
「悪魔くんは読んだことありませんが、死神くんなら…」
『悪魔くん』を読まなかった事を後悔するよね。
それというのも、中学校の時にマンガブームがよねのクラスに起こった。
誰もがこぞってマイナーなマンガを持ちより、交換しては読みあっていた。
その時、『悪魔くん』を貸してくれるという少年がいた。
だが、水木しげるの絵…失礼だがよねはあまり好きではない。
そうして、その時は読まなかったのだが…
「まあ、それは置いといて…昨日の午後ですか?
昨日の午後は見てないですね。一昨日の晩におかしな夢なら見ましたが」
あの夢である。もう何度も見てるのだ。慣れていた。
"おかしい"というのも実はあの夢には絶対に、何度見ても登場しない人物がいる。父だ。
様々なシーン、アングルで同じ様な夢を見てきたがその姿は一度も目にしたことが無い。
あり得ないのだ。本来いるはずの場所に、父が居ない。
だから、おかしい夢である。小さい頃からその違和感には気づいていた。
「で、夢がどうしたんですか?佐藤さんは何か見たんですか?」
荻原は怖い夢を見た。
愛する妻の春夏と娘の美菜が、九頭龍一の「留流家」にとらわれてしまった瞬間の夢を…
二人が「たすけて!」と叫んでいるが、荻原はその場で足がすくんでしまった。
強い恐怖心で足がいうことをきかないのだ!
「は…は…春夏!美菜!」
もうほとんど二人は取り込まれてしまった。
たすけて…という声もまったくしない。
荻原はその場でひざをつきまるで子供のように大量の涙を流した。
その時、荻原の右手の鱗がいきなり全身に回り始めた。
「う、うああああああ!ど、どうして!」
止めようとしても止めることができない。
まるで両手両足を縛られたまま、海の底に沈められるような感覚だった。
「うわああああああああああああ!」
荻原は大声で叫びながら目を覚ました。
滝のような汗をかき、息遣いも荒くなっている
鈴木章吾のスタンドのせいで、すっかり精神が参ってしまったのだ。
徐々に回復はしているが、毎回寝るときにこんな夢ばかり見てしまっては、
もはや生きる気力をなくしてしまう。
「はぁはぁはぁ…また…あの夢か」
現実を確認するかのように荻原は壁にかかっているカレンダーを見る。
そして今日が日曜だったということを思い出した。
重い体を起こしてベッドから出てリビングで軽く朝食を取った。
昔は大喰らいだったのだが妻子がいなくなってから食欲がなくなってしまったのだ。
今の荻原はなにを食べても味がほとんどしないのだから。
朝食を食べ終えて荻原は着替えて外に出た。
家の中でジッとしていてもしかたがないからだ。
ドアを開けた瞬間…いつも以上に強い突風が吹いていた。
>>360 佐藤ひとみの的外れな抗議を半笑いで聞き流す、よね。
デパートにいた時の彼からは敵意に近い嫌われ方を感じていたが、徐々に態度を軟化させてきたようだ。
>「で、夢がどうしたんですか?佐藤さんは何か見たんですか?」
「夢…というか白昼夢みたいなものだけど…やっぱり、よね君も見たのね。
その夢であんた…あの館…『留流家』の中にいなかった?
あれはおそらく九頭の記憶じゃないかと思うの…。
私の視点は…多分…そう、あいつ自身、九頭だったわ。あんたはどう?
あの記憶は物好きなあいつ自身が"ゲームの味付け"のために意図的に見せたヒントかもしれないけど
そうじゃない場合の方がゾッとする。
何が原因かは解らないけど私達の頭と九頭の記憶が一瞬リンクしたことになるわ。
あいつは自分で『ゲームの無い時はほとんど眠ってる』って言ってた。
あいつの夢がダダ漏れになって不用意に頭の中に入って来るなんて気持ち悪すぎる!」
ひとみは九頭の感情が頭に入ってきた時の事を思い出して大袈裟な不快感を顕にした。
――――ボトリ―――
叫んだのと同時に目の前に黒い物体が落ちてきた。
ひとみは息を飲んでうしろに仰け反った。
天空からひとみの頭すれすれに落ちてきた黒い塊。
……カラスの死骸だ。
後ろを振り向くと更に何体かのカラスの死骸が点々と落ちている。
「何…これ…?ちょっと古いけどまさか鳥イ○フルエンザ?」
落ちてきた死骸に目を落とすと首が半分千切れ内臓も飛び出している。
傷は鋭い刃物というより切れ味の悪いノコギリで何度も斬りつけられたかようなズタズタの切り口を見せている。
ひとみ達の位置から少し離れた死骸の近くに大きなカラスが舞い降りた。
普通のカラスの2倍はあろうかという巨大なカラス…羽毛の抜け落ちた禿鷹のようなカラスだ。
つい先程ひとみが屋根の上で見たカラスに似ているが大きさが違う…屋根のカラスは普通のカラスと変わりなかった。
巨大なカラスはまさに禿鷹そのもののように死骸を啄ばみ始めた。
眼窩から目玉を長くほじり出しさも上手そうに食いつく巨大カラス。
―――巨大カラスはひとみ達の存在に気づくとその食料を放り出していきなり襲い掛かってきた!
臓物が本能で縮み上がるような叫び声をあげながら巨大ガラスが飛来する!
と同時に佐藤ひとみの携帯が鳴った。生天目有葵からである。
−−生天目邸の長い廊下を携帯片手に小走りしている有葵。
廊下の奥からは祖父、生天目鴎外がいかり肩で歩いてくる。
「あ、おじいちゃん!ん!ん!」
左手を突き出して祖父に何かをさいそくすると鴎外は札入れを取り出した。
「好きなだけ取れ!」
少女は札入れから福沢諭吉たちを無造作に抜き出すとジーンズのポケットにねじ込む。
「有葵。遊びもいいがほどほどにしておけ。とくに遠出には気をつけるように!」
ちょんと口をとんがらせて有葵は言った。
「も〜わかってるってば!おじいちゃんいちいち五月蝿い!」
携帯電話はなかなかつながらなかった。
「ヒトミン…何してんだろ?タオル返しに行きたいんだけど…」
有葵は佐藤ひとみに勝手にあだ名をつけていた。
一方、北条市。海辺の別荘地帯と自然公園の狭間付近。
街道の桜並木の下をひとりの少年が歩いていた。突風が妖しく桜の花びらを散らす。
まるで風は意志をもっているかのようだった。
「街全体がざわめいている…ボクの他にも単独で行動している狩人が複数いるみたいだね…」
少年は胸を高鳴らせながら歩を進める。少し遅い春の嵐が始まりそうな予感がしていた。
(桜並木の下を歩いている少年は秋名の存在を感じている柚木美都留です。
それに季節を勝手に春にしてしまいました。もしもみなさんの感覚と季節がづれていたら狂い咲きしてたってことに…。
…それも北条市らしいですよね)
「カラスかな…?しかもデカい」
そのカラスはカラスとも言えないカラスだった。
それはこちらを睨みつけるなり佐藤を襲いだす。
と、思いきや途端によねへと対象を変更した。
「Sum41!このアスファルトは自分を守る!」
グオッとアスファルトが持ち上がると、カラスはギリギリのところでターンした。
体の大きさに不似合いな機敏さがそのカラスにはあった。
このカラスは変異種か何かか、それとも別の何かか。
そんな疑問がよねの頭の中で渦巻いていた。
「佐藤さん!すいません、Sum41ではコイツに届きません!」
Sum41の射程はおおよそ2mほど。
距離と高さを考慮して、到底届くはずがない。
つまり、よね達がこのカラスを撃退するには、
近づいてきたところをうまく狙うか、佐藤に託すしかないのだ。
もっとも、どちらも直接戦闘には向いていない。
たとえカラス相手でも普通のカラスではないのだ。
倒せるかもわからないが、よねは敵の襲撃に備えて身構えた。
春の初めの午前中。別荘地帯の海岸の崖の上には寒さに強い野生の香草が密生し芳香を放っている。
その麗らかな風景に似つかわしくない状況が起こっている。
―――ギャアァァァァアア―――
首を絞められた赤ん坊のような鳴き声を上げて襲いかかってくる巨大なカラス。
まずはよねに襲いかかったが、よねの作ったアスファルトの壁に阻まれて果たせず、方向を変えるとそのまま高く飛び上がった。
今度は上空の高い位置からひとみを狙っている様子。
アスファルトの壁の後ろから、よねが声を上げる。
>「佐藤さん!すいません、Sum41ではコイツに届きません!」
「もうっ!自分だけ安全な所から何よッ!頼りないわね!!"フルムーン"!」
バッグの中で携帯電話が音を立てているが今はそれどころではない。
ひとみはフルムーンを発動させると触手を絡めて一本の鞭のような形状にした。
フルムーンの触手の固さは自在に変化させられる。
触れているのが解らないほど細かく柔らかいマイクロファイバー状から
反対に固くする場合は鋼鉄やダイヤモンドとまではいかないがピアノ線位の固さにすることができる。
フルムーンは空に舞い上がる。
フルムーンの目線を通じて間近に見るカラスは明らかにカラスの形状から逸脱している。
申し訳程度に羽毛の残った羽には蝙蝠のような皮膜があるし、普通のカラスに比べると首がやけに長い。
嘴は異様に大きく小型の肉食恐竜のように鋭く細かい歯がびっしり生えている。
フルムーンはピアノ線を纏め上げた固さの鞭状触手をしならせて化けガラスに向かって打ち付けた。
ドギャアァァァァアアアアアッ
声を上げる化けガラス。
したたか鞭打たれたその体は半分が千切れるように崩れ、上空からドロドロの血を滴らせながら落ちてくる。
体が半分に裂けたカラスはその形状にして尚も叫び声を上げながら飛び去って行った。
「よね君!今の見た?バイオの感染カラスみたいに超キモい!!
あれって何?突然変異?!それとも狂犬病みたいな病気?
私フルムーンを通じて触っちゃったわ…感染ったりしないわよね?!」
少し離れた今は使われていない別荘のバルコニーに黒いローブを着た人影…。
ひとみ達は知らない。カラスがこれ以上成長していたらとてもひとみの手には終えない代物になっていたことを…。
/あれって何?突然変異?!それとも狂犬病みたいな病気?
「わかりません…新手のUMAでしょうか…?
それとも放射能か何かで…」
あり得ない話ではない。
これまでの歴史上でもあのような奇形はいくらでも登場してきた。
古代に遡ると、三国志の劉備もそうだ。巨大な耳と膝まである手。恐らく奇形であろう。
少し前だと、ベトナム戦争。枯葉剤の影響で奇形が続出した。
現在に至っては、中国等でも魚や猫が何らかの理由で突然変異したりしている。
「とりあえず、対策を立てるべきですね。このままあのカラスを野放しにしていては、
我々だけでなく、一般市民までも襲いかねません」
とはいえ、よねには上手く撃破する方法が思い浮かばない。
何せ、空を飛んでいるのだ。しかも素早く、頭も切れる。
さらにゾンビである。肉体の半分を失っても生命活動を停止しない。
こうなると生き物であることさえも疑ってしまう。
「まあ、なんにせよ他の方々にも協力を仰ぐしかないでしょう。
佐藤さんのフルムーンでもあそこまでダメージを与えれたのです」
というよりも、よねには100%倒せない相手だ。
届かないし、早い。Sum41はそんな格闘戦には向いていない。
どちらかというと、ボクシングよりも将棋や囲碁派である。
盛り上がったアスファルトを元に戻す。
「さて、どうします?」
佐藤に尋ねるとその反応を待った。
「…はあ…」
美都留は歩き過ぎて疲れてしまったらしい。歩道の花壇のレンガに腰をおろしている。
何しろ30年ぶりに目覚めたのだから無理もない。
「…疲れた…もう帰ろう…」
そう言うと彼は秘密の方法で留流家に帰り、柱の中で眠りについた。いつになったら目覚めるのかは誰も知らない。
>「とりあえず、対策を立てるべきですね。このままあのカラスを野放しにしていては、
我々だけでなく、一般市民までも襲いかねません」
>「まあ、なんにせよ他の方々にも協力を仰ぐしかないでしょう。
佐藤さんのフルムーンでもあそこまでダメージを与えれたのです」
まともな意見を述べる、よね。
「冗談じゃないわ。一般市民の安全を守るなんてそんなもの私達の仕事じゃないでしょ?
あのカラス…触れた感じ普通の大きな鳥って感じだった。つまり実体があったわ。
スタンドだったらフルムーンのパワーであんなダメージ与えられないもの。
鳥インフルエンザだかバイオハザードだか知らないけど病気の鳥の捕獲なんて保健所か自衛隊の仕事よ。
私の知ったことじゃないわよ。
第一そんな余裕私達にある?」
あくまで自分の利益にならないことには一切力を注ぐ気のない佐藤ひとみ。
カラスの攻撃を受けていた最中に携帯電話が鳴っていたことを思い出しバッグの中から携帯を取り出した。
着信の主は『生天目有葵』。
「よね君、あんたに話があるの。
さっきの夢の話の続きもあるけど他にも話しておいた方がいいことがあるから。
ここ気持ち悪いから場所を変えましょう。
ここからそう遠くないところに遊歩道のある自然公園があるでしょう?
あんた先にそこに行っててくれる?湖の北側のベンチの辺りで待ってて。
私、電話しなきゃならない相手がいるから。」
佐藤ひとみは点々と散らばるカラスの死体から遠ざかるように歩きながら既に携帯の操作始めている。
370 :
荻原秋冬◇6J1m09mANS:2010/04/16(金) 06:28:35 0
「さて…とりあえずそのあたりでも散歩するかな…」
いやなことがあったらとにかく散歩をする。
それが荻原のストレス発散法である。
この別荘地帯はとても緑が多いから目にもいい。
「ほんとにいい天気だな。風が強いのちょっと気になるが」
そういって辺りを見回しながら歩いていると。
少し先のほうにどこか見覚えのある女性を見つけた。
「ん…あれ、あの人たしか佐藤さんだったな」
もう一人男性がいるみたいだが、荻原の位置からでは話し声を聞くことはできない。
「ふぅん……もしかして…ま、おじさんの出る幕じゃないか」
荻原は一人で顔をニヤッとさせながら別の道に行こうとした。
人の幸せを見るとは気分がいいものだなと、一人でいろいろ考えていると…
―――ギャアァァァァアア―――
ビクッ!と体を震わせて荻原は振り向いた。
見ると巨大なカラスとあの二人が戦っている。
大丈夫かなと思ったが、佐藤さんのスタンドがカラスを千切って倒したみたいだ。
「いやな予感がするな…」
二人の邪魔をしてはいけないと思ったが、なんだか状況が状況なだけにほっとけない感じがした。
「おーい、佐藤さーん!」
荻原は走りながら二人を呼び止めた。
北条市に向かってリムジンが走っていた。
後部座席には高級車には不釣合いな姿をした有葵が乗っている。
上はルーズタンクトップにロングジャケットを羽織り、下はジーンズにスニーカー。
今日はまるで少年のような姿だった。
携帯を見ながらカチャカチャと友達とメールのやり取りをしていると突然携帯が震える。
ひとみん…佐藤ひとみからだ。
「あ!もしもしひとみーん?元気ー?あのね〜先日貸していただいた
タオルをお返ししたいのですけどお会いできますか?」
と奇妙な日本語で聞いてくる。
=海岸の別荘地帯付近=
道路の端の小さい祠から不思議なことに柚木美都留が出てきた。
大勢いる九頭の配下の中には異空路を操る者もいるのかも知れない。
「ああ、よく寝た…」
柱でのお昼寝が終わったようだ。いや寝ると言うよりもエネルギーを補充してきたのかも知れない。
目をこすりながら道路まで出てくると、なんとそこには佐藤ひとみたちがいた。
「……」
柚木は匂いを嗅いでいた。もともと犬のスタンドを使う柚木はスタンド使いの匂いを嗅ぎ分けられるのだ。
「こんにちはー!」
子供らしく元気に挨拶をする柚木。
がるるるるる…。少年の背後から静かな獣の唸り声がする。柚木のスタンド、三つ首の獣オズモールが現れた。
九頭のヴィジョンを見てから後日。
徳井はまた公園に来ていた。ようするにやる事がないのだ。
最近、ここのハトポッポに餌を撒くのが日課となりつつある。
「いやー、日本のハトは人懐っこいなあ……って俺は老人かっ!」
一人突っ込み虚しく、徳井は位置のズレたグラサンを戻しながら再度ベンチに腰を掛けなおす。
もうなんかさみしい。人は一人では生きていけないということを実感。
「ロンリーマンだよロンリーマン。クビになった会社員かっつーのよ。
大不況の日本だけど、俺のフトコロは大不況じゃあねーんだよ。だから誰か話そうぜ…ハトでもいいから」
九頭の刺客も来る気配なし、正直ダレている。平和ボケもしている。
徳井はこの後思う。
『公園でダラダラしてねーで運動でもしてりゃあよかった』
と。
――自然公園にて
「可愛いなあ…」
犬の散歩をしてる老婆が近くを通る。
トコトコテクテクと歩く犬は心の底から微笑みを生みだしてくれる。
と、和んでいると、途端に肌寒くなってきた。
風が吹いてくる。
「Sum41!このアスファルトは自分を守る!!」
ズズッと持ち上がるアスファルト。
丁度、よねを包むと肌が切れそうなほどの突風が吹いてくる。
「ヒャヒャ…仲間を連れてきたようじゃなあ…」
竜巻のように風を吹かせながら塵で体を構成する秋名。
「秋名…!まだ懲りもせずに…」
アスファルトはガリガリと削られていく。
風だけでここまで力があるのだ。秋名のパワーは相当のものである。
すると、フッと風が止んだ。
「まだじゃあ…まだまだ追い詰めてやるぞお…ひゃひゃひゃ…」
と言って再び消えさった。アスファルトを元に戻すと、舌打ちした。
>>371 生天目有葵に通話が繋がる。相変わらず能天気な明るい声。
>「あ!もしもしひとみーん?元気ー?あのね〜先日貸していただいた
>タオルをお返ししたいのですけどお会いできますか?」
「何馬鹿なこと言ってるの?この街はヤバいってこの前言ったでしょ?
返すって言ったって私はこの街から出られないの!
あんた人の話聞いてないタイプね…?この街に来ちゃダメ!
あんたが自殺願望のある物好きな大馬鹿だって言うなら別に止めないけど面倒に巻き込まれても知らないわよ?!」
自分に妙なあだ名を付けられていることにも気付かずに怒鳴るように有葵を諭していると
一本道の向こう側から声をかけてくる男がいる。
>「おーい、佐藤さーん!」
見たことのあるスポーツ刈りのおじさん…九頭の館にいた男、荻原秋冬だ。
「いい?あんたがパワータイプのスタンドか超便利な能力を持ってるなら話は別だけど
こっちとしても来られても困るの…絶ッッ対に来ちゃ駄目よ!」
最後は半ば呆れ気味に締めの言葉を追加するとひとみは有葵との通話を切った。
>>370 荻原の呼びかけに対して返事をする佐藤ひとみ。
「荻原さん…だっけ?
前に電話した時に繋がらないからちょっと気になってたんだけど、お互い無事だったみたいね。
よね君、この人もゲームの参加者よ。」
荻原の左手の甲にある鱗状の痣を指差して、よねに目配せするひとみ。
周囲にカラスの死体の散らばる小道…。
立ち話には不向きなこの場所でお互いを襲ったスタンド使いについて情報交換する3人。
荻原は九頭の館に囚われの身となった家族のこと、そして鈴木章吾のスタンド能力について話してくれた。
「ふーん、あの鈴木って間抜け男、荻原さんを襲ってからよね君を連れて私のところに来た訳ね。
小回りの効くマメな奴ね〜。それだけが取り柄なのかも知れないけど。
荻原さん、あなたの身の上はお気の毒だけどごく最近似たような話を聞いたわ。
もう一人ゲームの参加者に同じような身の上の人がいる。彼にも紹介した方がいいわよね?
彼はそう…今近くの公園にいるみたいね。」
ひとみはシートを出現させ徳井の位置を探知する。
徳井はつい先程ひとみがよねとの待ち合わせ場所に指定した自然公園に来ているようだ。
「よね君、徳井君捕まえといて。位置は分かるけど動かれると面倒だから。」
よねはひとみと荻原を置いて自然公園に先回りした。
ひとみ達のいる小道の程近くにまばらな桜並木と小さな祠がある。
見通しの良い一本道だというのに突然現れたかのように祠の前にいる少年。
肌の白いきれいな少年だ。
>「こんにちはー!」
こちらに近づきながら笑顔で挨拶する少年の後ろには熊ほどの大きさの黒い影…。
唸り声を上げているそれは徐々に禍々しい姿を顕しつつある。
佐藤ひとみはシートを見ながら眉間に皺を寄せて荻原に呼びかけた。
シートは徳井の位置補足から能力者探知に切り替えている。
「荻原さん…あなたのスタンド、パワータイプだったわね。
あなたにも見えてるだろうけどその子スタンド使いよ…。彼の後ろの犬が私達に食いつきたがってるみたいね。
その子のスタンドは…近距離パワー型!近づき過ぎないように気をつけて!
射程はどうもハッキリしない部分があるけど…およそ2〜3m!
私はもう少し距離を取るわ。
あーもう!なんだってよね君を先に行かせちゃったんだろう…?
頭数は多い方がいい…あと2人程連れてくるから、荻原さん何とか時間を稼いでくれる?」
数日前まで自分の他に能力を持つ者がいることすら知らなかった佐藤ひとみはスタンド操作の経験が少ない。
だがここ連日の敵スタンド使いとの遭遇で自らのスタンド能力を把握しつつある。
慣れによる上達がパワーアップにも負けない武器になる場合もある。
今まではただ能力者の発見だけに使っていた"スタンド能力者探知"であるが
マーカーの種類でおおよその射程距離の判別ができることに気付いたのだ。
佐藤ひとみはヒール高めのパンプスを穿いているとは思えないスピードで少年の逆方向…
徳井とよねのいる自然公園に向かって走り出した。
>374
「…ぉ…ぁ…」
答える暇もなくひとみに携帯電話をきられてしまった有葵。
「…あの街がヤバイってことは、この間行ったときに確かに実感したんだよね…」
九頭の白昼夢をはっきりと受容する知の器を有葵は持っていなかったのだが
意識の奥深くでは巨大なシャドウをしっかりと認識していた。
例えたら広い海を小さいボートでのん気に漂っているときに
海底から島よりも大きな魚が浮かびあがってくるような恐怖感。
その魚影を見ただけで有葵の心は恐怖心で支配されてしまったわけなのだが
今は違う。今の彼女は好奇心が勝っていた。巨大な影の正体を知ってみたかった。
影の正体を知るにはひとみと再び接触するのが手っ取り早い。有葵はそう思った。
なぜなら彼女は影の渦の中心に限りなく近いところにいるからだ。
「進まなきゃ…ぜったい後悔する!急いで守堂!!」
「かしこまりました。お嬢様」
専属運転手の守堂がリムジンのアクセルをめいっぱい踏む。
佐藤ひとみたちと合流することができるのかはわからなかったが目に見えない力が動き始めていた。
>375
>あと2人程連れてくるから、荻原さん何とか時間を稼いでくれる?」
「ふーん。あと二人いるんだ。でも一人ずつ殺していったら何人いたって同じだよね?
ここにいるおじさんを殺した後に逃げていった女の人を殺して、
その後に女の人が向かっている先にいる残りの二人を殺す…簡単なゲームです」
白い顔。柚木の顔からは何かのスイッチが入ったかのように感情が消えている。
「ぢゃあ。一面のボスはおじさんだね。
でも、おじさんって強いのかなあ?とてもそんな風には見えないんだけど…」
グワンッ!!
突如オズモールの鋭い牙が荻原の首を狙って襲いかかる!
三つある中の真ん中の頭。特殊能力を使わないスタンダードな攻撃だ。
しかし殺傷能力は三つ首のなかで一番高い。
>「荻原さん…だっけ?
>前に電話した時に繋がらないからちょっと気になってたんだけど、お互い無事だったみたいね。
>よね君、この人もゲームの参加者よ。」
佐藤さんの隣にいた男性『よね』というらしい。
荻原も軽く挨拶をした。
そして三人で立ちションをした。
あまり話したくはなかったが、自分の家族のこと、おもらししたこと。
話せば話すほど胸の中に錘を入れられたみたいに気が重くなる。
>「ふーん、あの鈴木って間抜け男、荻原さんを襲ってからよね君を連れて私のところに来た訳ね。
>小回りの効くマメな奴ね〜。それだけが取り柄なのかも知れないけど。
>荻原さん、あなたの身の上はお気の毒だけどごく最近似たような話を聞いたわ。
>もう一人ゲームの参加者に同じような身の上の人がいる。彼にも紹介した方がいいわよね?
>彼はそう…今近くの公園にいるみたいね。」
「私以外にも…同じような境遇の人はいるのか……」
これ以上自分のような被害者は出てほしくない。
いちはやく九頭龍一を見つけなければ…
そう思っているといつのまにかよね君がいなくなっていた。
そういえばさっき近くの公園に仲間がいるから、よね君に呼びに行かせたんだっけ。
>「こんにちはー!」
振り返ると幼い少年がこちらに笑顔で向かってきた。
少年の後ろには巨大で頭が三つある犬…
荻原は目をまんまるくさせた。
>私はもう少し距離を取るわ。
>あーもう!なんだってよね君を先に行かせちゃったんだろう…?
>頭数は多い方がいい…あと2人程連れてくるから、荻原さん何とか時間を稼いでくれる?
「え!ちょ、ちょっとまって!時間稼ぐって…」
そう言ったがすでに佐藤さんは公園の方面まで走っていってしまった。
>「ぢゃあ。一面のボスはおじさんだね。
でも、おじさんって強いのかなあ?とてもそんな風には見えないんだけど…」
するといきなり少年の後ろにいた巨大な犬が荻原に襲い掛かった。
荻原はプラントアワーを出現させて地面を殴りつけた。
そこから蔓が急激に伸びて、あっという間に巨大な犬を絡めてしまった。
「よし!もう一丁!」
もう一度プラントアワーが地面を殴り再び蔓を出現させた。
蔓は少年に向かって絡めて動けなくしようとしている。
「これが私の能力だ。君はまだ子供だからあまり傷つけたくないんだ。
すこしおとなしくしてくれよ。」
#
>>377は荒らしによる代行のためスルー、正しくは以下を参照。
# 【参考URL】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1265360933/294 >>374 >「荻原さん…だっけ?
>前に電話した時に繋がらないからちょっと気になってたんだけど、お互い無事だったみたいね。
>よね君、この人もゲームの参加者よ。」
佐藤さんの隣にいた男性『よね』というらしい。
荻原も軽く挨拶をした。
そして三人で情報交換をした。
あまり話したくはなかったが、自分の家族のこと、鈴木章吾のスタンド能力のこと。
話せば話すほど胸の中に錘を入れられたみたいに気が重くなる。
>「ふーん、あの鈴木って間抜け男、荻原さんを襲ってからよね君を連れて私のところに来た訳ね。
>小回りの効くマメな奴ね〜。それだけが取り柄なのかも知れないけど。
>荻原さん、あなたの身の上はお気の毒だけどごく最近似たような話を聞いたわ。
>もう一人ゲームの参加者に同じような身の上の人がいる。彼にも紹介した方がいいわよね?
>彼はそう…今近くの公園にいるみたいね。」
「私以外にも…同じような境遇の人はいるのか……」
これ以上自分のような被害者は出てほしくない。
いちはやく九頭龍一を見つけなければ…
そう思っているといつのまにかよね君がいなくなっていた。
そういえばさっき近くの公園に仲間がいるから、よね君に呼びに行かせたんだっけ。
>「こんにちはー!」
振り返ると幼い少年がこちらに笑顔で向かってきた。
少年の後ろには巨大で頭が三つある犬…
荻原は目をまんまるくさせた。
>私はもう少し距離を取るわ。
>あーもう!なんだってよね君を先に行かせちゃったんだろう…?
>頭数は多い方がいい…あと2人程連れてくるから、荻原さん何とか時間を稼いでくれる?
「え!ちょ、ちょっとまって!時間稼ぐって…」
そう言ったがすでに佐藤さんは公園の方面まで走っていってしまった。
>「ぢゃあ。一面のボスはおじさんだね。
でも、おじさんって強いのかなあ?とてもそんな風には見えないんだけど…」
するといきなり少年の後ろにいた巨大な犬が荻原に襲い掛かった。
荻原はプラントアワーを出現させて地面を殴りつけた。
そこから蔓が急激に伸びて、あっという間に巨大な犬を絡めてしまった。
「よし!もう一丁!」
もう一度プラントアワーが地面を殴り再び蔓を出現させた。
蔓は少年に向かって絡めて動けなくしようとしている。
「これが私の能力だ。君はまだ子供だからあまり傷つけたくないんだ。
すこしおとなしくしてくれよ。」
佐藤ひとみは荻原に少年スタンド使いを押し付けて公園に向かって走る。
激しい動きには向かない白いタイトスカートが走っている内に捲れ上がってくるがこの際仕方がない。
裾を直しながら走り公園に到着すると、よねと徳井の2人は指定したベンチの前に揃っていた。
「徳井君、公園なんかに来てヒマそうね…良かったわね仕事ができたわよ!
"新手のスタンド使い"の登場よ。
よね君、悪いけど今来た道を戻ってもらうわ。場所はさっきカラスに襲われた所と同じ。
敵スタンド使いは子供だけど近距離パワータイプでスタンドの見た目からすると中々手強そうな気がするわ。
能力は今のところ不明だけど射程距離はおよそ2〜3m。
今荻原さんが時間を稼いでくれてるからさっさと行って援護してきて。」
歩き出そうとする2人の後ろでひとみは動こうとしない。
「悪いけど私は一緒には行かないわ。私のスタンドの武器は"距離が取れること"だもの。
しばらくここから様子を伺わせてもらうわ。
アンテロスの時みたいに離れて見ている方が何か解るかもしれないから。」
半分言い訳の戦闘不参加宣言。
だがひとみのスタンドはパワータイプのスタンドに対抗する術を実質持たない。
こうするのも自衛の手段として仕方のない部分もある、と本人は思っている。
2人が行ってしまった後フルムーンを飛ばし現場を目視する佐藤ひとみ。
荻原のスタンド『プラントアワー』の能力で少年は蔦に腕を絡め取られて拘束されている。
「荻原さん、意外とやるじゃない。
…それにしても直前によね君が出会ったという風のスタンド使い、それに化物カラス…タイミングが良すぎるわ。
何か気になる…集められるだけ戦力を集めた方がいいかもしれないわ…。」
ひとみは連絡先の分かるスタンド使いに片っ端から電話してみることにした。
(電話に出れる方いたら参加よろしくおねがいします!)
「げひゃひゃひゃひゃ」
下品な笑い声とともに一陣の風が吹く
風はオズモールを絡めとっていた蔓を切り刻んだ!
秋名が柚木を助けに現れた
>378
>蔓は少年に向かって絡めて動けなくしようとしている。
>「これが私の能力だ。君はまだ子供だからあまり傷つけたくないんだ。
すこしおとなしくしてくれよ。」
「くうぅっ!!」
みるみる蔓に絡まれてゆく柚木とオズモール。オズモールは巨体を激しく揺さぶったり、
その場で跳躍を試みるなどのさまざまな脱出方法を行ってみたが
体と密着した弾力性のある蔓はそれを許さなかった。
そしてついに蔓はオズモールの強靭な顎をも塞いでしまう。
「むぐぐ…」
柚木少年も蔓に完全に包み込まれてしまい直立したまま身動きがとれないでいると
>「げひゃひゃひゃひゃ」
下品な笑い声とともに一陣の風が吹く
風はオズモールを絡めとっていた蔓を切り刻んだ!
秋名が柚木を助けに現れた
切り刻まれた蔓が空中を舞い散る中、空を引き裂き、自由になったオズモールの右手が荻原の胸座に直撃する。
荻原は数十メートル向こうの別荘の二階の窓にまで飛ばされ破壊音とともに窓ごと屋敷内に放り込まれてゆく。
「きゃああああ」
別荘からは驚いた女の悲鳴が聞こえる。中には人がいたようだ。
はらはらと柚木に絡んでいた蔓が枯れ落ちてゆく。
「…蔓が枯れてる…枯れてゆくのはかなしいねー…」
にやりと笑うと空中に目をむけ風に話しかける。
「たすけてくれてありがとうございます。あなたも狩るものなんですね。
ボクに協力していただけませんか?敵は全部で4人いるみたいですから…」
プラントアワーのスタンドパワーに内心脅威を感じた柚木は秋名を利用しようと考えていた。
てくてくと別荘にむかい歩いてゆくとノックしてドアを開ける。
「あ…ぁ…」
玄関先では女が腰を抜かしていた。
「あの〜すみません。ここにおじさんが飛んできませんでしたか?」
柚木はボールみたいに荻原のことを聞いた。
「ぢゃ、おじゃましますね」
まごまごしている女を尻目に他人の家の中にズカズカと入り込んだ柚木は
何故かいちもくさんに冷蔵庫にむかうと中から牛乳を取り出しごくごくと飲み始める。
「おいしい…」
牛乳を片手に一階を歩き回る柚木。
「ここかな?」
テーブルの上にあがるとオズモールのスタンド能力、吸い込む力を発動させる。
この階のすぐ上の二階では荻原がソファーに埋もれていた。どうやらソファーがクッションになって軽傷だったらしい。
錯覚か部屋の床が沈み始める。
超強力な掃除機でビニールを吸い込む様に床が波打ちながらばたばたと消えてゆく。
ソファーの上の荻原は泥舟に乗った狸のようにオズモールの腹の中に沈もうとしていた。
>徳井君、公園なんかに来てヒマそうね…良かったわね仕事ができたわよ!
>"新手のスタンド使い"の登場よ。
>よね君、悪いけど今来た道を戻ってもらうわ。場所はさっきカラスに襲われた所と同じ。
>敵スタンド使いは子供だけど近距離パワータイプでスタンドの見た目からすると中々手強そうな気がするわ。
>能力は今のところ不明だけど射程距離はおよそ2〜3m。
>今荻原さんが時間を稼いでくれてるからさっさと行って援護してきて。
よねと適当にベンチに座っていると佐藤がこっちに走ってきた。
二人の話をあわせるとようするに新手のスタンド使いらしい。
「誰が暇人だ!俺が何しようと勝手だろ!…え?新手のスタンド使い?
俺は便利なつかいっぱしりじゃねーぞ!…ま、お呼びがかかったんじゃあしょうがねーな」
ハトにやっていたパンクズを近くのハトに全てばら撒くと徳井は歩き出す。
佐藤が歩いてこないので後ろを振り向くと、佐藤が戦闘を不参加すると宣言した。
「……あ、そう。じゃあまた何かわかったら教えてくれよな」
敵は近距離パワー型というし、パワーのない佐藤は逆に足手まといだと思って勝手に納得する徳井。
萩原と袖木の戦闘している場所へ急行すると、その場には二人ともいなかった。
「……誰もいねーぞ。移動しながら戦ってんのか?」
周囲を見渡すと、近くの別荘の窓が割れている。
恐らくどちらかがあそこに吹っ飛ばされたのだろう。
更に地面には枯れてしおしおになった蔦が。
「えーと…萩原さんって人の能力は植物を生み出すことだよな?さっきは確実にここに居たよな。
で、向こうの別荘の二階の窓が割れているところから察するに……」
一呼吸間を置き、徳井はよねに言い放つ。一呼吸間を置いた意味は特にない。
「あそこの別荘だな」
徳井は別荘へ向かって走り出す。
玄関先には女性が腰を抜かしている。
「これ、カンペキビンゴだよな?さっさと行こうぜ。萩原さんって人がピンチかもしれねーしよ」
#
>>380は誰だろう。自分も同じような事を考えてましたが…
#でも秋名は「げひゃひゃ」なんてあからさま下品な笑い方しませんよ。あくまで「ひゃ」のみです。
/「これ、カンペキビンゴだよな?さっさと行こうぜ。萩原さんって人がピンチかもしれねーしよ」
「了解です。油断は禁物ですね」
徳井の後を追うように走るよね。こういうときは、あくまでも自分の安全が優先だ。
屋敷…ほど大きくはないが"別荘"と呼ばれる建築物の前に立つ。
玄関先で倒れている女性を、徳井が抱擁する。
「徳井さん、行きま…」
"別荘"の入口のドアノブに手をかけようとすると、凄まじい突風が吹いてきた。
あまりにも突然だったので防御できない。少し頬が切れたようだ。
「ひゃひゃ…やーっと捕まえれたわい。ここでまとめて始末するんじゃあ!」
塵の体を持った秋名がよねのすぐ側に居る。
塵で体を構成するといえども塵である。人の気配などはしない。
よねはドアにぴったりと体を密着させると、
「Sum41!!このドアは自分と反発しあう!」
ビシュッとよねと"別荘"のドアがそれぞれ逆方向に吹っ飛ぶ。
「徳井さん!中へ行ってください!ここは自分だけで大丈夫です!」
こういうときは、あくまでも自分の安全が優先である…ハズであった。
だが、確実に着実によねは変わってきている。
それは様々なスタンド使いと触れ合ったから、というのも一つの理由かもしれない。
しかし、それとは違う、もっと別の何かがよねには感じ取れた。
徳井が"別荘"の中に入るのを確認する。
すると、
「あくまで味方を生贄にするんじゃなぁ…残念じゃが中にはもっと恐ろしいのが控えておるぞォ…」
よねはキッと秋名を睨み、対処法を考えた。
(相手は塵…物理的な攻撃は一切不可。さらに体がとても小さく分割されているので奴自体を書き換えることもできない…)
皆無。秋名は今のよねには倒せない。墓穴を掘ったのだ。
「Sum41!このアスファルトは自分を守る!!」
グオッと持ち上がると同時に突風が吹いてくる。
アスファルトが削れていくのがわかる。
ヒトデなどの類は貝を捕まえて、貝殻にゆっくりと時間をかけて穴を開けて消化し、捕食するらしい。
まさにその貝の気分はこんなものなのだろう。
成す術もなく、ただただ捕食されるのをじっと待つ。
よねはアスファルトの盾の中で秋名の倒し方を考えていた。
所変わってカフェ、ドルド・プラチナ
ゆっくりと紅茶を飲みながら、町行く人をのんびり眺める…大谷にとって幸せな時であった。
「リリリリ! リリリリ!」
携帯電話が鳴る、佐藤からである。
用は言わなくともわかる、新手のスタンドだろう。
―――言われたとおりに、公園へ向かう…そこで見たのは窓の割れた別荘と半円状のアスファルトの塊であった、
こんなことが出来るのはよねか他のスタンド使いだろう、
…なんか塵のようなものから声が聞こえるが、 まさかあれが敵なのか!?
「よね、よねなのか!? それと…今の状況はなんなんだ…」
>>382 大谷との通話後。よね達が荻原の飛び込んだ家に到着する少し前。
>「ここかな?」
牛乳片手にリビングに立つ少年…光景としてはごく普通のものだが決定的な違和感が二つ。
ゾッとするような笑みを浮かべる少年の表情と傍らにいる犬。その姿は三つ首の地獄の猛犬ケルベロスそのものだ。
猛犬は少年の合図と共に口を開け物凄い勢いで天井を吸い込み始めた。
まずは照明が吸い込まれ天井自体が軋み始める。
猛犬の口を中心に撓む天井板は波打つようにしわくちゃになると怪物の口に吸い込まれていく。
板素材を粗方吸い取られ梁が剥き出しなった天井。次は二階の床が波打ち始めた。
二階の床が抜ければそこにいる荻原も落下とともに無限の赤いクレバスと化した猛犬の口中に吸い込まれることになる。
顔をほころばせる柚木美都留の首に突然何かしなやかなものが巻き付いた。
ケースに入った眼の隙間から伸びる長いミミズのような触手…
フルムーンの無数の触手が少年の首に蛸の吸盤のようにぴったりと絡みつき締め上げる…!
公園でスタンドによる目視と探知を続けていた佐藤ひとみはフルムーンを少年の死角に忍ばせていたのだ。
フルムーンが攻撃向きのスタンドではないとはいえ年端もいかぬ少年の首を折るくらいは容易い。
首を絞められ窒息しかけた少年のスタンドは吸い込みを止め、徐々にその姿も薄くなりつつある。
ひとみはスタンドを使って人を傷つけたことはあっても殺したことはない。
単に殺すほどの憎しみには至らなかった…というのが理由ではあるが、人の生き死にが自らの手にかかる局面を体験したことがない。
このまま行くと殺すことになるか…?
ひとみの頭に一瞬だけ迷いが生じたその刹那、一陣の風がフルムーンの前を通り抜けた。
刃物のような鋭い風は少年の後から締め上げる触手をザックリ断ち切るとそのまま開いていた窓から吹き抜けていった。
「斬られた…?!」
窒息しかかった少年が咽返っているうちにフルムーンは別の窓を割りそのまま家の外へと飛び出して行く。
公園でフルムーンを遠隔操作しながら留流家のスタンド使いと荻原達の位置チェックするを佐藤ひとみ。
塵が吹き寄せられるように集まりマーカーの点と化した能力者の反応を確認していた。
今は再び塵となり反応の消えた能力者…おそらく、よねの言っていた風のスタンド使い『秋名高次』であろう。
「あの子供…ガキのくせに何て凶悪な能力なの・・・!?
面倒なことになったわね。追っ手同士合流したみたいね。」
敵を仕留めることはできなかったが時間が稼げたか。よね達が家の前に到着したようだ。
#一応、秋名は勝手に動かしてもらって構いません。
/「よね、よねなのか!? それと…今の状況はなんなんだ…」
「大谷さん!?気を付けてください!風を操るスタンド使いです!」
しまった。佐藤にしか秋名の事を話していなかった。
これから話しているヒマなどない。じっくり、確実にアスファルトは削られている。
よねは薄くなったアスファルトに手を触れて、
「Sum41!このアスファルトは自分と反発しあう!」
ビシュッとよねが後ろに吹っ飛ぶとともにアスファルトが崩れ落ちる。
丁度、大谷のすぐそばに転がるよね。この強風の中では着地などもできない。
一回転して衝撃を吸収した後、その反動で立ち上がった。
「塵です。ヤツは塵で出来ています。
中にはもっと強大なのが居るそうですが、大谷さんはどちらに行きます」
よね自身、ここで戦ってもらった方が楽である。
しかし、元はよねが蒔いた種である。もちろん、刈り取るのは自分だ。
再びアスファルトの盾を形成すると、そこで思考を再開した。
なんとか動きを止めることに成功した。
前回の泥布一のときに比べれば、相手はまだ子供だ。
だが…荻原のそういう油断した気持ちが命取りだったのかもしれない。
突然強い突風が吹いた。
それもただの突風ではない、プラントアワーが作り出した蔓を切り刻んでしまった。
「ばかな!プラントアワーの蔓が!」
その時、絡まっていた巨大な犬が自由になり荻原に向かって攻撃をした。
「ぐはっ!」
あまりにも強いパワーで荻原の体は吹っ飛び、
数メートル先の別荘の二階の窓に直撃した。
運よくも着地した場所はソファの上だった。
そのため怪我も軽傷ですんだ。
「はぁはぁはぁ…な…なんて……こった……」
あの突風さえこなければ…と荻原は考えたが。
「そ…そういえばよね君がいってたっけ…風を操るスタンド使いがいるって…」
すると突然地面がゆがみ始めた。
最初は目の錯覚かと思ったがどうやら違うらしい。
床が吸い込まれているんだ!
「ま、まずい!」
助けを呼ぶ暇がない。
とにかくいったんここから脱出しなければならない。
荻原はプラントアワーの腕だけを出現させて窓のほうを向いた。
プラントアワーの腕に絡み付いている蔓を、窓の外に向けて思いっきり伸ばしたのだ。
蔓は近くの電信柱に絡みついた。
「よ〜し、これならいける!」
すると、荻原の体が床に吸い込まれる前にプラントアワーの蔓が電信柱まで引っ張っていったのだ。
「けほっ!けほっ!はあーッ」
柚木は咽返っていた。鼻と口から粘液が混じった牛乳が垂れている。誰かに首を絞められたのだ。
「どうやら伏兵がいたみたいだね。それにしてもやたら巻きつかれる日だよ。
なんだかおちょくられている気もするし…けほっ」
ブーンブーン。強風で電線が揺れている。
ふと外に目をやると半円状のアスファルトの塊からよねがビシュっと飛び出す姿が見えた。
それに続いて荻原が電信柱に向かって脱出する姿も…。
「…むむ!…ひとり…ふたり…さんにん…」
指で数える柚木。後から合流して来た大谷杉松も確認している。佐藤ひとみと合わせればちょうど四人。
『…あと2人程連れてくるから、荻原さん何とか時間を稼いでくれる?』
佐藤ひとみの言葉を思い出す。
「そろっちゃったんだ…。4対2じゃ分が悪いなあ」
どうしようかと思案していると廊下に人の気配がする。徳井一樹だ。
「あ、おじゃましてまーす」
奥の部屋から出てきた別荘の住人だと思った柚木は元気に挨拶をした。
引き続きスタンドシートを使って追っ手スタンド使いと徳井らの位置を確認する佐藤ひとみ。
よねは玄関付近で風のスタンド使いと攻防中、大谷はよねの近くにいる。
荻原はスタンド能力の蔦を使って家の中から脱出したようだ。
徳井は家の中に入り位置的に少年の方に近づいていく。
今情報を伝えるべきは徳井。そう判断し徳井の携帯に電話するひとみ。
「徳井君、敵の能力は『吸い込む力』!犬の姿をしたスタンドよ!
不用意に近づかれると呑み込まれるわよ!!
子供だからって油断しないで!
ざっと見たところ犬のスタンドの周囲2〜3mくらいの物は吸い込めるみたい。
とにかく距離を取って!!」
徳井のスタンドでは距離を取りながら攻撃はできない。
ひとみは何の解決にもならない忠告だけを伝えると一方的に通話を切った。
続けてよねの近くに能力者探知中の分離したスタンドシートを送ることにした。
おそらくよねならば見ただけで何を表すか分かるはず。
秋名は風を起こすために自らの体を構成する塵を集める必要がある。塵の密度と起こせる風力は比例関係にある。
攻撃に使える程度の風を起こすにはシートに反応の出る濃度の塵が必要らしい。
攻撃の10〜30秒ほど前にシートに反応が出る。
事前に攻撃の予測ができれば、よねにとっては多少のアドバンテージとなるだろう。
立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花と言う諺があるように。
花も恥らうと言う慣用句があるように。
うら若く清き女性とは、花やそれを欺くものとして喩えられる。
『私立皇華(おうか)学園』とは、そのような女性の育成を理念として、北条市に建てられた私立の女子高だ。
容姿による審査などは当然ある筈もないのだが、素養のある、或いは求める者は姿形にもそれが表れるのか。
通う生徒達は揃いも揃って美少女ばかりなのだと、市の枠組みすら超えて噂になる程だった。
「……先ほどのカラス、随分とおかしな様相でしたが……あれは一体何だったのかしら」
憂いの表情を浮かべて首を傾げる彼女、吉野きらら(よしのきらら)もまた、その噂を織り成す一人である。
自然公園へと続く道の半ばで立ち止まり、彼女は今困り果てていた。
人形のような瞳を憂鬱の色で潤ませ、僅かに尖らせた桜色の唇に指を添え、彼女は呟く。
「素敵な桜並木が見られると言う事でしたが……今日は早く帰った方が良いかもしれませんね」
桜の花は、散る時にはあっと言う間に散ってしまう物だ。
この市北条市の桜とあればそれは尚更、見時であるのは、ほんの一時だろう。
明日まで桜の木が、その素敵な衣装を脱がずにいてくれる事を願いつつ、きららはスカートの裾を翻し岐路に着く。
「……やっほーい、お嬢ちゃん。君、持ってるでしょ?」
――筈だった。
振り返り一歩目を踏み出そうとした直後に、目の前にいた男に声を掛けられなければ。
「持っているって……一体何をですか? お金の方なら私、幾分も持っていませんよ?」
再び小首を傾げて、きららは答えた。
けれども男は喉を鳴らしてくつくつと笑う。
ますますおかしそうに、きららは表情に疑問の色を宿して顔の傾きを大きくした。
「違うよ違う。持っているって言うのはさぁ、そんなはした物じゃないんだ。あ、でも貞操は持っていて欲しいかなぁ? 個人的にだけど」
唇を弓なりに歪め歯を見せて笑いながら、男は上体を傾けていく。
横倒しになった視界で、男は観察するような視線できららを下から覗き込む。
いよいよ困り果てた様子で、眉尻を下げて彼女は口を開いた。
「あの……もうよろしいですか? 私から貴方に差し上げられるものは、何も無いと思いますので……」
「いやいやいやぁ、なぁに言ってるのさぁ。ちゃぁんとあるよ、一つ。僕が欲しくて、君が渡せるモノがさぁ」
きららの言葉を聞き入れる事なく、男は大仰な仕草で滑らかな舌を働かせる。
首を振り、上体を起こして腕を左右に広げて。
そしてついに、これ以上の問答は無駄でしかないのかと、きららの意識が諦観に辿り着こうとした時だった。
「分かんないかなぁ? 君の命だよぉ。ちょっとベタな台詞だけどさぁ」
――男の背後から、鈍く煌く大鎌が彼女へと迫った。
「えっ……!?」
突然の事にきららは息を呑み、しかし大鎌の閃きがそれ以上の働きを示す事はない。
彼女の傍らに現れた人影が、肉薄する刃を掌で受け止めていたからだ。
全身を濃淡の違いこそあれど桜色で統一され、額や間接、
体の随所に色取り取りの花を飾るその影は、きららを護るように彼女と男の間に割って入る。
「……貴方も持っているんですか? この、不思議な力を……」
桜色の影に護られながらも、彼女は警戒を解かず、寧ろ一層に強めて問い掛けた。
「んー? まぁ聞いてばっかでも悪いし答えてあげるよ。って言っても、
持ってるとしか言いようが無いんだけどねぇ? ところでさ〜あ……?」
男もまた浮かべる笑みを、表情から滲み出る喜色や邪気を殊更に濃くして、言葉を紡ぐ。
「僕の『リサイズサイズ』にさぁ、いつまでも触れてて良いのかなぁ?」
横溢する邪悪に当てられて、殆ど反射的にきららは影の手を引かせた。
直後、彼女の右掌から鮮血がぽたりと滴り落ちる。
影の方も同じく、鎌に触れていた箇所に切傷を負っていた。
「いいねぇ、今の反応。ヤバいって感じが駄々漏れですっごい良かったよぉ?
あ、そうそう。今ので分かったと思うけど、そのスタンド……って言うんだけどさ。
君のピンクい子と君の身体は同調してるから、気を付けてねぇ?」
言い終えてから、男は「つまり」と言葉を繋ぎ一言付け加える。
「その子が真っ二つにされちゃったら、君も同時に真っ二つって事さぁ」
これ以上の愉悦は無いと言わんばかりに笑い続ける男に、きららは身震いを禁じ得なかった。
衝動的に、彼女は男の脇をすり抜けて駆け出す。
本来ならば反対方向へ逃げるのが道理だろうが、
寮へ、自分の領域へ逃げたいと言う本能が彼女を突き動かした。
「いいねぇいいねぇ、ゲームの始まりだよぉ。そそっちゃうなぁ、もう」
だが男は敢えて、きららを看過した。
言葉通り、彼にとってこれは正しく『ゲーム』なのだ。
狩りと言い換えてもいい、逃げ惑う獲物を仕留めると言う。
お誂え向きに、彼女はそれ程逃げ足は速くなく、かつ逃走経路には血痕まで垂れている。
「あぁ、それともう一つ。僕の名前は長谷川和仁(はせがわ かずひと)って言うんだ。短い間だけどよろしくねぇ」
悠々と自己紹介を終えると、きららを追うべく長谷川は軽やかに地を蹴った。
――吉野きららは息を切らして、時折足を縺れさせながらの逃走をしていた。
元々の運動神経は人並みの彼女だが、如何せん膝を完全に覆い隠す長さのスカートが邪魔である。
ならば上げるか裂くかをしてしまえば良いようなものだが、そこはお嬢様学校に通う彼女だ。
そもそも制服を弄るなどの発想が無いのだった。
ともあれ。逃げる最中、彼女は己の身に訪れた不幸に嘆いていた。
何故自分がこんな目に遭うのかと。
中学の頃に家庭科の調理実習の際、不注意で指を切ってしまった時でさえ、こんなにも手は痛まなかった。
思わず涙が零れてしまう程の未体験の痛みに、彼女はとことん悲嘆する。
だが――吉野きららには、二つの哲学があった。
彼女の傍に立つ影、『スタンド』も、元を辿ればそこに帰来する。
そして彼女の意識がその哲学に触れた時、嘆きは急速に変化を始めた。
長谷川に対しての敵意や、彼と相対する決意に。
そうなってからの、彼女の思考回転は速かった。
どうしての単語ばかりが循環する泥沼の円環から即座に抜け出し、長谷川と戦う為に必要な情報の算出に走る。
ひとまず見極めるべきは、彼のスタンド――『リサイズサイズ』の能力だ。
目下最大の疑問は、『何故最初の一撃を彼女のスタンドは止められたのか』である。
咄嗟に手を離したにも関わらず、彼女とスタンドは手傷を負った。
そんな規格外の切れ味を持っている筈の鎌を、何故初めは止める事が出来たのか。
間もない内に一つの仮定を得たきららはその実証を行うべく、路地の奥にある袋小路の広場へと逃げ込んだ。
辺りには多種多様なゴミが転がっている。
「んー? 何だか早く終わっちゃったねぇ、追いかけっこ。
これはぶっ殺しタイムに時間掛けるしかなくなっちゃったよぉ?」
程なくして長谷川が『リサイズサイズ』を伴って、きららに追い付いた。
つまらなさそうな表情から一転にやける彼に、彼女は無言のまま、手に持った空き缶を投擲する。
「何これ?」
『リサイズサイズ』の鎌が緩やかに振るわれた。
空き缶は流曲線の断面を晒して、切り裂かれる。
場にそぐわない軽快な落下音が二つ響いた。
「こんなの、何の意味も無いよぉ? ちゃんとスタンドで戦わなくっちゃ」
長谷川は呆れた調子で告げて、しかしきららは依然無言で空き缶を放る。
微かに苛立った素振りを見せ、長谷川は『リサイズサイズ』を操った。
先程と全く変わらず空き缶は断ち切られ、だが今度はもう一つ。
間髪入れずに彼女はスタンドによって小石を素早く投げ付ける。
小石は斬れず、ただ鎌にぶつかり地に落ちた。
「……おやぁ? もしかして君、『リサイズサイズ』の能力、もう見抜いちゃったとか?」
きららは答えない。
尋ねる長谷川の顔面に張り付いていた笑いの色は、僅かに薄れていた。
無論、彼女は既に『リサイズサイズ』の能力を予想し、そして今の出来事で確信している。
彼の能力は『彼の選択したものに対して鎌の切断能力を上昇させる』事だ。
切断能力と言えば分かり難いが、ようは『切り易くする』能力である。
だが果たして『力不足』か『節約志向』なのか『そう言う制約』なのか。
ともかく『一度に切り易く出来る物の数には限りがある』ようだ。
恐らくは後者二つの内どれか、或いは両方だろう。
生身の人間や服を斬るつもりだったから、初めの鎌はスタンドで防げたのだ。
尤も遊ぶつもりも過分にあったのだろうが。
「まぁいいや。その気になれば、スタンドごと君を真っ二つにだって出来るんだから」
何気無さそうに放たれたこの台詞によって、彼女は二つの理由が『両方』だと悟る。
しかし彼女の疑問に終わりは無く、寧ろ芋蔓式に新たな疑問が生じてくる。
次なる謎は彼の能力の詳細が『百の切れ味があり、それを段々と分散させていく』のか。
それとも『百の切れ味を力の入れ具合によって、その対象を増やしていける』のか。
「咲かせて……! 『メメント・モリ』ッ!」
きららがスタンドの名を呼び、『メメント・モリ』と呼ばれたそれは両手を頭上へ高く掲げる。
途端に、スタンドの手首に『花』が咲く。
白く緩やかな曲線の花弁に淡い緑の葉を下に持つ、薄い円盤の形状をした『花』が。
一瞬、長谷川の表情が曇った。
けれどそれは危機感による変化ではなく、どちらかと言えば拍子抜けの態度に近かった。
「……君のスタンド、もしかして花を咲かせるだけの能力なのかい? 何だそりゃ。
その手の花にしても、それはまさか盾のつもりだってぇのかい?
……言っとくけどねぇ。その盾を挟んでも、君のスタンドと本体に服、下着を加えても六つ。
僕が両断するのは容易過ぎる数なんだよぉ?」
この反応から彼女は先の予想が後者、『百の切れ味の、対象を増やしていく』タイプだと踏んだ。
「……分かりました。それでは、そろそろ戦わせて頂きますね。でもその前に、一つ」
長谷川の胸中に、訝しみの煙が立ち込める。
「……『雄弁は銀、沈黙は金』ですよ。随分色々と喋って頂きました」
だがきららの一言によって、小火程度だった彼の感情の燻りは、忽ち怒りの業火へと変貌を果たした。
「……ッ! 笑わせるねぇ!? だったら僕も返してあげるよぉ! 『口は災いの元』だってねぇ!」
叫ぶや否や、長谷川はきらら目掛け疾駆する。
彼のスタンド『リサイズサイズ』はパワーこそ無いが、鎌の破壊力は異常の域にある。
故に射程は本体から、どれだけ頑張ろうと三メートルが限界だった。
「散らして! 『メメント・モリ』ッ!」
彼の走る様からその事を瞬時に悟り、きららは新たな命をスタンドに下す。
戦闘にスタンドを用いる事は初体験である彼女は多少の緊張を帯びていたが、『メメント・モリ』は問題なく動いた。
両腕を左右に広げ前方に振り、両手首に盾として生やされた花を放つ。
花は宙空で散り、花びらの一枚一枚を刃として長谷川へ迫った。
「甘いんだよぉ! こんなモンさぁ!」
長谷川の咆哮が大気を震わせる。
同時に『リサイズサイズ』は鎌を大上段へと構えた。
そして振り下ろしざま、白銀の閃光がきららの視界を縦横無尽に走った。
「見えたかなぁ!? 僕の『リサイズサイズ』は非力だけどさぁ! 非力だからこそこぉんな事も出来るんだよぉ!?」
寸断されて舞い散る花びらの幕を突き抜けながら、長谷川は吠える。
とうとうきららとの距離は五メートルほど、あと一呼吸の内に刃の圏内とまで迫った。
彼女が取れる行動はあと精々一つが限界だ。
「『メメント・モリ』ッ! 貴女に花束をッ!」
彼女はそれを、迎撃手段の確立に用いた。
相手が必殺の一撃を有している以上、迎え撃ち渡り合う手段を得る事はそのまま身を守る事に繋がる。
正しく『攻撃は最大の防御』だ。
『メメント・モリ』による花束は彩り鮮やかで、一つとして同じ花はない。
故に『リサイズサイズ』の切断もその全てに対応する事は出来なかった。
激音が響き、その音に身を竦めながらもきららは安堵の息を吐く。
「なぁにを安心しちゃってるのかなぁ? 君のスタンドはさぁ、僕に言わせればスットロいんだよぉ!」
彼女の様子がつくづく気に食わなかったのか。
『リサイズサイズ』の剣筋は一層加速した。
花束を織り成す花を一本ずつ、恐ろしい速度と正確さで断ち切っていく。
「ほらほらぁ! これでおしまいさぁ!」
随分と細った花束を一息に切り捨て、丸腰となった『メメント・モリ』に長谷川が肉薄した。
必殺の大鎌は、しかし彼女の手首に狙いを定め振り下ろされる。
すぐには殺さないと言わんばかりの余裕を孕んだ一閃は――しかし見当違いの虚空を裂いた。
見てみれば『リサイズサイズ』が持つ鎌の柄の半ば程から、花が生えて柄をねじ曲げている。
「……なるほどぉ、こぉんな事も出来るんだねぇ。……でもさぁ、これって『墓穴を掘った』んだって、分かるかなぁ?」
使い物にならなくなった柄を自ら折り、『リサイズサイズ』は鎌を短く構える。
そうして、目の前で軽く振り回した。
『リサイズサイズ』の肘から先が、きららの視界から消える。
柄が短くなった事で最早、鎌は『メメント・モリ』が対処出来る速度を遥かに超えてしまった。
「……えぇ、他にはこんな事も出来るんですよ」
だがきららは今度は臆した様子もなく、『メメント・モリ』の右手を長谷川へ翳す。
はたと、彼の右手の甲に小さな蕾が兆して、徐々に膨らみ始めた。
「……ふぅん。確かにこれ、咲かれちゃったらヤバそうだねぇ。咲かれちゃったら、だけどさぁ?」
言いながら、荒い動作で長谷川は花を左手で引き剥がす。
「こんなの、簡単に剥がせちゃうじゃぁん? で、これで『隠しダネ』はもう終りかい?」
手持ち無沙汰な風に、彼は『リサイズサイズ』に鎌を軽く振り回させながる。
余りにも冷静でいるきららに内心で腹を立てているのだ。
どうにかして畏怖させてやりたいと、半分無意識からの行動だった。
「『隠しダネ』ですか……。言い得て妙ですね。実は私の『メメント・モリ』、花を咲かせる速度は調節可能なんですよ。
すぐに咲かせる事も、種や蕾の状態を遅々として続けさせる事も出来るんです」
それでも彼女の態度は変わらない。突然自分の能力を、滔々と語り始める。
「それでですね……。貴方さっきまで、凄く怒ってましたよね? 衣服とか、激しく擦れてましたよね?
例えば……些細な体の違和感に気が付けないくらいには」
ぞわり、と長谷川は息を呑んで全身を身震いさせた。
すぐさま、まるで弩に弾かれたように衣服の袖を捲る。
布地の下の地肌には、数え切れない種や蕾が埋まっていた。
「……試してみますか?」
何を、とは言わない。
暫し静寂が広場を支配する。
「……切り裂けぇッ! 『リサイズサイズ』ゥゥウウウウウッ!」
冥府から轟く古龍の大咆哮めいた裂帛の気合と共に、長谷川は斬撃を繰り出す。
きららとの距離は完全に『リサイズサイズ』の射程内、ならば自分の方が早いに決まっている。
彼の導いた結論は、挑む事だった。
「咲き誇れッ! 『メメント・モリ』ッ!!」
同時に、きららもお嬢様らしからぬ大音声で叫ぶ。
長谷川の全身に埋め込まれた種や蕾が、一斉に成長を始めた。
「遅いッ! 僕の勝ちだァああああああああああああああああああああああッ!」
違和感に心臓の鼓動を加速させながらも、しかし長谷川は勝利を確信する。
花が完全に開くよりも先に、『リサイズサイズ』の鎌はきららを捉えると。
だが全幅の頼りを乗せた鎌の軌道が突如として、歪む。
手首が、腕が、肘が、肩が、胴が、膝が、脚が、それぞれに兆す花々によって、捻れているのだ。
「うぉおおおおおおおおおおおおッ!? 当たれぇえええええええええええええッ!」
最早自分の制御下から逸脱した鎌の軌跡に、それでも長谷川は哮る。
しかし『リサイズサイズ』はきららの髪を一束、宙に散らすだけで終わった。
「あ……がぁ……クソッタレがぁ……!」
「……幾つか、お尋ねしますね。貴方は何故、私を襲ってきたんですか?」
字面通りの『植物人間』になりかけている長谷川を俯瞰し、きららは尋ねる。
「お……教えるよ! だから助けておくれよぉ! これは『ゲーム』なんだ! 僕だって被害者なんだよぉ!」
呆れ返る程の情けない台詞を前置きとして、彼は『ゲーム』の説明を始めた。
この市を訪れた時点で逃げられない事。
逃れる術は九頭を仕留めるか、生贄を三人捧げるかしか無い事。
後者には一ヶ月の期限があるようだったが、館に直接接触した訳ではないきららには『いつから一ヶ月なのか』がいまいち分からない。
その為ひとまずは度外視する事としたようだ。
「な、なぁもう良いだろぉ? 僕だって不本意ながらの事だったんだ。見逃しておくれよぉ」
ヘタレ全開の口調で、長谷川は懇願する。
無論、嫌々ながらの行為であった筈がない。
「……それでは、最後にもう一つ。貴方は今、幸せですか?」
「……は?」
突然発せられた、陳腐な宗教の勧誘めいた問い掛けに、長谷川はぽかんと口を開く。
「あ、いや……幸せだよぉ。何と言うか今、肩の荷が下りたと言うか……凄い清々しい気分なんだ」
だがすぐに、彼は心にもない答えを紡ぐ。
恐らくはこれで助かるのだ、と。
「そうですか。……では、私はこれで失礼しますね。さよならです」
答えを聞いて微笑むと、きららは長谷川に背を向けて歩き出した。
一瞬ぎょっとした長谷川だが次の瞬間、自分の体が徐々に正常へと戻り始めている事に気が付いた。
やがて体が完全に元に戻ると、彼は秘かに『リサイズサイズ』を発現する。
当然、きららを背後から撫で斬りにしてやる為にだ。
降参し改心したと見せかけての不意打ち。この上なく原始的で、しかし確かな効果がある戦略だ。
「……もしも貴方が、本当に幸せなら」
不意に、きららが立ち止まり諳んじた。
目論見が看破されたのかと一瞬長谷川は焦るが、彼女が振り向いたりスタンドを出す気配はない。
安心の溜息を零しながら、彼は笑いで声が震えるのを堪えて、求められてもいない答えを返す。
「あぁ、本当に幸せだよぉ? だってさぁ……」
悪鬼の如く歯を剥いて笑い、長谷川は『リサイズサイズ』の鎌を振り上げさせた。
そのまま数歩、きららに歩み寄る。
何がどうあっても、回避の叶わぬ距離にまで。
「甘ちゃんの君をこうしてブッ殺せるんだからねぇええええええええええええええッ!」
鎌が振り下ろされた。
きららは振り向かない。
否、振り向く事すら出来ないだろうと、長谷川は悪意の笑顔を増長させる。
そして彼女はただ一言、呟いた。
「……貴方も、もうおしまいです」
刹那、稲妻をも凌ぐ斬撃の閃きが、霧散した。
鎌の刃先から順に、花びらとなって。
「あ……!?」
それ以上の言葉を、長谷川は紡ぐ事が出来なかった。
彼が最後に見た光景は、己の腕が止める間もなく花弁となり散っていく様だっただろう。
――吉野きららには、二つの哲学があった。。
彼女のスタンド『メメント・モリ』も、元を辿ればそこに帰来する。
それは『人よりも幸せでありたい』と言う事。
そして『幸せの中にいる時こそ、人には最大の不幸が訪れる』と言う事だ。
故に『メメント・モリ』が咲かせる花を、きららは『幸せの花』と呼ぶ。
『幸せ』の感情を得た時、『メメント・モリ』の花は満開に咲き誇るのだ。
この『幸せの花』で、彼女はこれまでに何人も、人を殺してきた。
「……そう言えばその『ゲーム』には、もう参加者が何人かいるんでしたっけ。……さてさて、どうしましょうか」
小さく呟いて、彼女は今度こそ岐路に就いた。
異能の芳気を香らせる花びらが、風に吹かれて何処かへと飛び去った。
Cogito ergo sum
Memento Mori
【本体】
名前: 吉野きらら
性別: 女
年齢: 16
身長/体重: 160/45
容姿の特徴: 可憐なお嬢様
人物概要:今年『私立皇華(おうか)学園』に入学した女子高生
お嬢様なので本体の戦闘能力は皆無
ただし能力による殺人は何度か経験あり
8歳の頃に『人より幸福でありたい』『幸せの中にいる時こそ最大の不幸が訪れる』と言う彼女の願望からスタンドが発現した
とは言え初めは朧気なものだったが、中学一年の頃に先輩を殺す際に能力が完全に働いた
【スタンド】
名前: メメント・モリ
タイプ/特徴:人型、中距離、全身ピンク色。部位によって濃度は異なる。関節や額など、随所に花が生えている
百合の花を模したトランペットスカート(っぽいもの)を履いている
能力詳細: 『幸せの花』
どんな場所にでも多様な花を咲かせる能力。ただしある程度知覚出来る事が条件。服の内側くらいなら可能。分厚い壁の向こうや、見えない背中は不可
武器や盾にもなっているように、花は必ずしも通常の花に則する事はない
花が咲く過程は、種や蕾→徐々に開花→花、の順序
人体に生やす場合、距離や数にもよるが人間本体の速さでも十分払い除けられる
ただし花は『幸福』の感情によって急成長する。最上級の『幸福』を感じていた場合、払い除ける隙はない
破壊力-C(花が咲く際に物を曲げたり突き破る力はA)スピード-B(花を咲かせるスピードは距離によって異なる。近距離ならA、それ以上はC-程度)射程距離-C
持続力-B 精密動作性-C(花の造形に限りA) 成長性- B
A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安
A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下
【長々とごめんなさいです。よろしくお願いします】
398 :
佐藤:2010/04/20(火) 02:12:42 0
強風の別荘地帯を走るリムジン。専属運転手、守堂は驚愕する。
「お、お嬢様ぁ!ひ…人が飛んでいますぞぉ!」
「はぁ!?バカなこと言わないでよっ!いくら風が強いからって…へわっ!!」
遠くに窓から脱出する荻野の姿が見える。
「なにあれ!?なんかすごいんだけど!くるまを止めて守堂!」
高速で走っていたリムジンだが有葵をいたわるように滑らかに止まる。
慌てて携帯を取り出し目の前の現状を伝えるために佐藤ひとみと電話をつなげる有葵。
無論、佐藤ひとみに現状を伝える意味などまったくないのだが。
「ちょっと、ひとみん!来て!すごいことになってるんだからっ!」
生天目たちとスタンド使いたちの距離は約30メートル。
目にうつる光景に只ならぬ異様さを感じている守堂は
いつでもリムジンを反転させ逃走する準備が整っている。
「もしもーし!聞こえてるの?今、別荘がいっぱいあるとこにいるんだけど
いっぱい人がいてなんかしてるのよっ!私の予想だとこの人たちみーんなスタンド使いよ!
ねえっ!今どこにいるの!?ひとみん!」
まるで街中で芸能人に出会った喜びを友人に伝えるのりの有葵。ここが戦場だとも知らずに…。
>「塵です。ヤツは塵で出来ています。
中にはもっと強大なのが居るそうですが、大谷さんはどちらに行きます」
「…まずはこいつからだ、お前一人で何とかなる相手なら話は別だけどな
さっさとやっつけて中に行こうじゃないか みんなが心配だ。」
アスファルトの盾の後ろで話、やる事は決まった そんな時地図のようなシートが届いたのだ。
二人はデパートの件から佐藤のスタンドシートだとわかった、
>「ひゃひゃひゃ…二人で何をコソコソ…なにをしたってお前らはここでやられるのじゃぁ!!」
秋名はまるで勝ちを確信したかのように風でアスファルトの壁を削る準備をしている…
作戦を考える時間はあまり無いだろう、
>「徳井さん!中へ行ってください!ここは自分だけで大丈夫です!」
「わかってる!よね君の能力なら大概の敵には負けねーだろうしな…!心配はしねーよ!」
別荘へ走り、二階への階段を上がり袖木と荻原ののいる部屋に部屋に入ろうとすると、
携帯の着信音が鳴る。もっともマナーモードにしていたので音は聞こえない。
佐藤からのようだ。
>「徳井君、敵の能力は『吸い込む力』!犬の姿をしたスタンドよ!
>不用意に近づかれると呑み込まれるわよ!!
>子供だからって油断しないで!
>ざっと見たところ犬のスタンドの周囲2〜3mくらいの物は吸い込めるみたい。
>とにかく距離を取って!!
「そうか……それならこっちも迂闊に近づく気はねーよ…ってもう電話切れてるじゃねーか」
この位置なら廊下から少年の背中が見える。
犬のような姿のスタンド……
普通の犬との最大の違いは三つの首があることか。
徳井がどうやって敵に攻撃を仕掛けようか、
(自分では)バレないように背後でひっそりと考えていると袖木が背後にいる自分に喋りかけてくる。
>「あ、おじゃましてまーす」
バレた!と早とちりして身構える素振りを見せたが徳井はすぐにその考えを改める。
どうやらこの家の人間だと思ったらしい。殺意と敵意が感じられない。
「(これは…千載一遇のチャンスって奴か?隙だらけだぜ……!)」
バカの脳みそを張り巡らし、やっと攻撃の術を固めた。この間訳0.5秒。
徳井は何の迷いもなく廊下の柱をセイヴ・フェリスでへし折り、袖木にブン投げたッ!
「最近のガキにしてはいい挨拶だ!だけどな、土足厳禁っておとうちゃんから習わなかったか!?
後、人の家の冷蔵庫を漁るな!」
廊下の柱をブン投げた後、徳井はすかさず天井を切開してその中に潜り込む。
そのまま切開を連続で行い海を潜るようにして天井の中を突き進んでいく。
ボブ・バンソンが液化してどんなところでも通れるのに対し、徳井はどんなところにでも道をつくれるのだ。
ただし息が続かないという点においてニュー・ディヴァイドに劣るが。
天井の中を移動し続けていては息が続かないため、一旦二階の天井から一度顔を出す。
「(柱をブン投げての奇襲…少なくとも俺が何処にいっちまったのか、わからなくなっただろ?
俺のカンがてめーはものすンげーヤベェーッって叫んでる…ここで…『再起不能』になってもらうぜッ!)」
ゴソゴソと体中から移動中に別荘中からくすねておいた、ナイフや包丁を取り出す。
そしてセイヴ・フェリスのありったけのパワーとスピードで一斉に袖木めがけて投擲。
セイヴ・フェリスの精密動作性は劣悪なため、当たってもせいぜい1、2本。
しかし敵の『吸い込む』能力を使わせない遠距離攻撃としては十分である。
徳井はナイフと包丁を投げたのを見届けると再び天井を切開し、再び天井の中へ潜り込んだ。
「ふい〜…なんとか家から脱出したが、これからどうするべきか」
電信柱にぶら下がりながら荻原は考えた。
あの子供の能力はとてつもなく危険な能力なのだから、うかつに近づくことはできない。
「…となると奇襲作戦が一番いいな」
さっきの家を見てみるとどうやら裏口があるみたいだ。
そこからこっそり狙って見ようと考えた。
荻原は電信柱からゆっくりと降りて裏口に向かった。
あまり人の家でこそこそするのは気が引けるが
今は緊急事態だと荻原は自分の胸に言い聞かせた。
裏口の扉を少しだけ開けて中を確認する。
どうやら台所みたいだ。
その右側のほうがリビングみたいだ。
さっきの少年ともう一人誰かいるみたいでどうやら戦っているみたいだ。
「あの男…さっき佐藤さんが言っていた人か…それより何かないかなあ」
何か使えるものはないか調べてみると、荻原の目の前にビールの缶が落ちていた。
中身は空っぽみたいだ。
「……これを使ってみるか。あまり期待はできないがないよりましだ」
ビールの缶を取って庭の土を缶の中に少しだけ入れる。
そしてプラントアワーが缶の中の土に触れる。
これで荻原のトラップ作りが終わった。
あとはこれを使う機会さえ来れば…
突如叩きつけるような突風が満開の桜の枝を揺らす。
ザンッ と音を立てて薄桃色の花弁が乱舞する。
花びらは並木から離れた位置に立つ佐藤ひとみにも降りかかる。ひとみは花びらの舞う空を仰いだ。
今のは秋名の起こした風ではない。あるいは秋名の風による気圧の変化に自然が誘発された風か。
スタンドシートで能力者探知を続けていたひとみは、この公園にあと2つ能力者の存在を確認していた。
だがその2つの反応は追いつ追われつするように縺れ合って遠ざかり探知領域から出ていった。
そのうち1つは留流家と同じ色のマーカー…確実に追っ手である。
2つの反応を上空から追尾してみようか…とも考えたがフルムーンを自身から離すと自衛の手段すら無くなる。
正体の解らぬスタンド使いとのニアミス。
ひとみは一人でここに残ったことを後悔し始めていた。
九頭が本腰を入れて複数のスタンド使いを放っているとすれば自分だけ襲われない筈がない。
むしろレーダーを最初に叩くのは充分あり得る戦略だ。
身を守るためにフルムーンを手元に置いていてはこれ以上戦闘に手を貸すことは出来ない。
指しあたってすることの無いひとみは少年の事を調べていた。
シートをネットに繋ぎ地方新聞のデータベースにアクセスする。
少年は九頭の留流家から放たれた『狩る者』。
以前館に取り込まれた能力者の成れの果てだ。
あの少年が館に取り込まれた時期は10年周期で頻発する行方不明事件と重なる可能性が高い。
10年単位で電子化された地方新聞の記事からそれらしいデータを探そうと試みる。
ネットに繋いだスタンドのシートとスタンドの眼による検索、処理はかなり高速である。
程無く30年前の記事に該当するものを発見した。
地方新聞に載せられた行方不明の少年の情報提供を求める記事。
写真の少年は間違いなくさっきひとみが首を絞めた少年…。
新聞に記された名前は『柚木美都留』。
写真の少年は無表情ながらまだあどけない顔をしている。少年の横には優しい目をした大型犬が寄り添っている。
ひとみは何とも言えない嫌ーな気持ちになった。
もとは同じ九頭に運命を狂わされた被害者同士。
それが今や狩るものと抗う者としてお互いの命をかけて対峙していることの皮肉。
自分の身を危険に晒して少年を救いたいなどとは露ほども思わないひとみだがとにかく嫌な気分になったことだけは事実だ。
アンテロスはエネルギーとなってこの世から消滅する形で倒されたが少年は死ぬ時どんな姿と化すのだろう。
珍しく感傷的なひとみの気分をぶち壊すように鳴り始めた携帯の着信音。
相手は『生天目有葵』だ。
携帯の向こうからはさらに場違いな浮かれ声。
>「もしもーし!聞こえてるの?今、別荘がいっぱいあるとこにいるんだけど
>いっぱい人がいてなんかしてるのよっ!私の予想だとこの人たちみーんなスタンド使いよ!
>ねえっ!今どこにいるの!?ひとみん!」
「別荘?別荘ってまさか海岸沿いの?!馬鹿ッ!あんたなんてところに来てるのよ!!」
急いでシートで有葵の位置を確認すると荻原達のいる別荘のほど近くに有葵のマーカーがある。
有葵が戦闘現場をうろついてこちらの得になることは何もない。
ひとみは有葵が危険に巻き込まれても助ける気などないが現場にいるお人好しの男達の足を引っ張る可能性すらある。
ひとみは彼女を自分のいる公園に呼び寄せることにした。
「あんた今歩き?あんたがいる道の一番近い信号を左に曲がって。
まっすぐ歩けば公園の遊歩道に入れるわ。私はその公園にいる。事情を説明してあげるからこっちに来て!」
もし自分が敵に襲われた時の攻撃の分散対象ぐらいにはなってくれるかもしれない。少なくとも現場で足を引っ張られるよりはマシだ。
「……戦いで大事な事は、待つ事だ」
戦場と化した公園から少し離れた位置に潜み、『蝉』は呟いた。
――無論『蝉』と言っても、彼の本名ではない。
ただ彼は自分を『蝉』としか名乗らず、また狩る者の中に彼の本名を知る者はいない。
その為結果として、自他を問わず彼の呼称は『蝉』となっていた。
ふと、彼は10年前の夏の事を思い出していた。
地区予選の決勝最終回、相手チームのエースとの最後の勝負。
大歓声と仲間達の哀願が篭った視線が五体に降り注ぐ中、彼は十二本ものカットを行った。
そして一三球目、ついに相手が放ったど真ん中の失投を、彼は見事に捉えたのだ。
真夏の太陽に吸い込まれるような白球の軌跡を手繰っていた彼は、しかしふと我に返る。
必死で駆け下がるセンターのグラブがあの打球に届かなかったように。
彼の思い出もまた、今となっては己の手を絶妙にすり抜けた過去でしかないのだ。
「……そうとも。俺は『蝉』、『狩る者』の一人で……それ以外の誰でもないんだ」
諦念を孕んだ独白を伴って、『蝉』の隣に淡緑の影が現れる。
彼のスタンド、『グラスホッパー』だ。
日曜朝のヒーロー番組で見られるような姿形をした『グラスホッパー』は、だが不意にその輪郭を崩す。
人型だった体型は、もぞもぞと蠢く小さな個体の集まりに。
草色を貴重とした体色は、くすんだ黒に。
『蝉』は二人の『参加者』を視界に捉え、狙いを定めている。
一人は電信柱へと逃れ安堵に身を包まれ、更に次への一手を仕込む事に集中している萩原だ。
そしてもう一人は何やら新聞や電話に気を取られ、戦闘の真っ最中にありながら致命的な隙を見せる佐藤ひとみ。
「勝負所だ……。喰らい散らせ! 『グラスホッパー』ッ!」
無数の群体となった『グラスホッパー』は二手に別れ、それぞれ隙を見せる萩原と佐藤に迫る。
直線的な攻撃だが、意識が他事に逸れた彼らに果たして避ける事が出来るだろうか。
【本体】
名前: 自称『蝉』:本名、岩内 響(いわうち ひびき)
性別: 男
年齢: 18
身長/体重:179/76
容姿の特徴: スポーツ刈りの元高校球児。でも何か暗い。流石にユニフォーム姿ではない、パワ○ロじゃああるまいし。暗い色で統一
人物概要: 小学生の頃から野球をしてきたが、まるで芽が出ず
しかし高校最後の夏、地方予選で彼はピッチャーを務め、そして投打に渡る活躍で甲子園への切符を得る
その時に鬱屈し募らせてきた劣等感の昇華に伴ってスタンドを発現した
だが甲子園へ出場する前に、彼は留流家に取り込まれる事になる
10年前の地方予選を見てた人間なら見覚えがあるかもしれない。その後もそれなりにニュースになったし
他にも、親族や当時のチームメンバーも今でも彼の捜索を続けていたり
【スタンド】
名前: グラスホッパー
タイプ/特徴: 近距離人型/遠距離群体型
能力詳細: 人型の状態と、分裂して群体型の状態を使い分ける事が出来る。
人型時は仮面○イダーの親戚っぽい。分裂するとそれぞれの個体が黒く染まる
群体時は精密動作性にすこぶる欠ける
殴る蹴る噛むの他には、よちより歩くか四つん這いで飛び跳ねるくらいしか出来ない
100円玉を運ぶのも難航するだろう
ただし飛び掛かり攻撃は、並み以上のパワーを以ってしても迎撃は困難。基本直線的な動きしか出来ないが
上述の通り群体時の方が高火力。人型の時は能力の無い、そこそこ力と速さがあって、まあまあ正確な器用貧乏パワー型程度でしかないから
破壊力-B(分裂時-A) スピード-B(群体時-A) 射程距離-E(群体時B)
持続力-B 精密動作性-B(分裂時E) 成長性- D
A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安
A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下