【ラヴ】ラブファンタジーTRPG【愛】

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1名無しになりきれ
「愛すること」をテーマにした
ファンタジーTRPGを…!
2名無しになりきれ:2009/11/10(火) 19:54:14 0
テンプレ

名前:
性別:
年齢:
身長:
体重:
スリーサイズ:
容姿の特徴:

性格:
趣味:
特技:
装備頭:
装備上半身:
装備下半身:
装備足:
好きな異性のタイプ:
異性の遍歴:
好きなもの:
愛し方:
将来の目標:

細かい設定:
3名無しになりきれ:2009/11/10(火) 19:57:36 0
進め方

・sage進行
・名無しは非推奨
・キャラはトリップ必須
・ファンタジー世界だが多少のご都合設定はあり
・バトルより恋愛重視
・戦いはそっちのけで愛し合うぐらいの勢いがほしい
・荒らし・煽りはスルー
・多少ムラムラするのは大いに結構だが、ピンク向きの表現は飛ばすor避ける
4名無しになりきれ:2009/11/10(火) 20:18:50 O
装備下半身はゴムしか思いつきませんでした
5名無しになりきれ:2009/11/10(火) 21:10:33 0
ホモ学園TRPGですね
分かりかねます><
6名無しになりきれ:2009/11/11(水) 12:46:53 O
まずは女性キャラが一人来ないと話しにならんね
7ラブ ◆cyD5HckWnQ :2009/11/12(木) 12:35:54 O
ここどこだろ…
漫画の世界に似てるけど…
これがタルトの言ってたパラレルワールドって奴かなぁ?


名前: 桃園 ラブ
性別: 女
年齢: 14
身長: 150代?
体重: 秘密
スリーサイズ: 秘密
容姿の特徴: ツインテールに制服

性格: 底抜けに明るい。口癖は「幸せゲットだよ!」
趣味: 遊ぶコト
特技: 子育て全般
装備頭: ヘアゴム
装備上半身: ブレザー
装備下半身: スカート
装備足: 指定靴下
好きな異性のタイプ: まだわからない
異性の遍歴: ???
好きなもの: カオルちゃんの作るドーナツ
愛し方: お互い幸せになれればいいね
将来の目標: まだわからない

細かい設定: 普通の公立中学校に通う女の子、
しかしその正体はプリキュアレジェンド・伝説の戦士プリキュアの一人、キュアピーチなのである。
8名無しになりきれ:2009/11/12(木) 22:09:00 O
そっちのラブかよ!

まあ雄野郎が来ればできなくもないが…
9名無しになりきれ:2009/11/12(木) 22:44:30 0
gati
10ピーサード:2009/11/12(木) 22:47:58 0
歌舞伎マンではない
11名無しになりきれ:2009/11/13(金) 20:13:18 O
愛し合うことって
気持ち良いことだと思わない?
12名無しになりきれ:2009/11/14(土) 10:18:48 0
舞台は近未来日本、某県に存在する巨大学園都市『千夜万夜』。
4桁にのぼると言われる数多の部活動・クラブの中でも、特に異彩を放つクラブがあった。
その名も恋愛倶楽部。
一般生徒が有料登録すると、運営部が条件に見合った似合いの相手を斡旋したり、
片思いの成就に向けての相談や裏工作、成就後も恋人の浮気調査や裏工作、イベントや裏工作、裏工作、
その他様々な方法や裏工作で思春期の恋愛ライフを応援するクラブである。
人気は非常に高く、登録数を部員と考えれば学園最大規模を誇っていた。
しかし反面、影では様々な黒い噂が付き纏っている。
果たして主人公達は、運営部の黒い罠に嵌まらず、無事に楽しい恋愛青春ライフを送ることができるのだろうか?


名前: 山田中山 天(やまたなかやま たかし)
性別: 男
年齢: 大学部3年
身長: 173
体重: 60
スリーサイズ:
容姿の特徴:笑顔の絶えないイケメン
超能力: 『色読み』(他人の感情が色で視える)
性格: 表向きはとても優しい
趣味: クラブ運営
特技: クラブ運営
好きな異性のタイプ: 気が向けばどんな人でも
異性の遍歴: 数・内容ともにかなりドロドロしていそう
好きなもの: クラブ運営
愛し方:その時の気分
将来の目標: 不明(多くの生徒にとって不利益になるらしい?)
細かい設定: 恋愛倶楽部運営部部長。一見良い人だが裏表があるらしい。


(超能力=生徒が持っていたりいなかったりする、不思議な事のできる能力)
13名無しになりきれ:2009/11/14(土) 16:09:40 O
ほら来たぞラブちゃん

雄野郎が…
14名無しになりきれ:2009/11/14(土) 19:25:27 O
名前: 右神 藍(みぎがみ あい)
性別: 女
年齢: 高等部1年
身長: 161
体重: 51
スリーサイズ:77 55 78
容姿の特徴:目を完全に隠す大きめの暗視ゴーグルを常に装着している。
     お約束通り、ゴーグルの下の素顔は美少女。
超能力: 『魅了(チャーム)』(自身の瞳を見た相手を一定時間虜にする)
性格: ダウナー
趣味: ネトゲ
特技: ピアノ、合気道
好きな異性のタイプ: 本質が優しい人間
異性の遍歴: 異性との接触は、三日に一回同じクラスの男子に連絡事項を話せば多い方。
好きなもの: 黒猫
愛し方: 自分が死ぬまで愛し抜く。ヤンデレ的な意味ではない。
将来の目標: ネオニート
細かい設定: 恋愛倶楽部末端会員。実は、学費の割引を対価に教師陣に雇われ、
倶楽部の内容を探っているスパイでもある。

こうかな
15GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/15(日) 10:27:00 0
>>14
超OKです。
ちなみに会員とは一般生徒としてか、運営部としてかどちらと判断してよいかな?
16右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/15(日) 11:36:42 O
そうですね……どちらでも構わないなら、運営の下っぱでお願いします。
17 ◆D4v7sdR.7w :2009/11/15(日) 16:47:54 O
名前: 西野 明星(にしの あけぼし)
性別: 男
年齢: 中等部3年
身長: 165
体重: 55
スリーサイズ: ?
容姿の特徴: 糸目、坊主頭
超能力: 不明(ないのか、もしくは本人が気付いていないのか)
性格: うしろむき
趣味: 野球観戦
特技: 野球
好きな異性のタイプ: 優しくしてくれる人
異性の遍歴: 初恋継続中
好きなもの: 野球観戦
愛し方: 一途
将来の目標: 特になし
細かい設定: 数年越しの片思い中。なんとか成就させたくて恋愛倶楽部に登録したばかり。
片思いの相手は秘密。
18海斗 ◆VYim6jM4h6 :2009/11/15(日) 21:09:19 O
名前:上杉 海斗(うえすぎ かいと)
性別:男
年齢:高等部2年
身長:180
体重:68kg
スリーサイズ:ガリマッチョ
容姿の特徴:茶髪、長身、引き締まった体
超能力:?(まだ開花していない)
性格:飄々、軽い
趣味:昼寝
特技:ボクシング
好きな異性のタイプ:気の強い女
異性の遍歴:過去3人の女性と付き合っている
好きなもの:酒、女
愛し方:意外と一途
将来の目標:特に無し
細かい設定:ボクシング部に所属すると同時に、恋愛倶楽部に登録している。
その体格を教師に見込まれボクシング部に嫌々入るが、見事に才能が開花。
「努力なんて才能が無い奴がする事だ」と人前では言うが、陰では並々ならぬ努力をしている。
才能と努力が相まって2年にして国体チャンピオンに輝く。
普段はふざけた言動が目立つが、恋愛には意外と真面目で一途だったりする。



こんな感じで大丈夫でしょうか?
19GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/15(日) 23:05:28 0
――3時間前。


「よく来てくれたね、右神さん」
恋愛倶楽部運営室で、部長・山田中山がにこやかに右神を迎えた。

「運営部の仕事には慣れてきたかな?今日は君に大事な仕事を頼みたくてね」
山田中山が右神に紙の束を渡す。
その一番上の用紙には、『会員番号4556 中等部3年西野 明星』と記してあった。
「会員番号が新しいだろう?最近入会した子でね」
二枚目の紙には、プロフィールと略歴、現在の悩みの内容が載っている。
「現在片思い中という事で、話を聞いてアドバイスをしてきてあげてほしい。3枚目以降の紙を見たまえ」
そこには恋愛倶楽部の公式サイトの有料サービスの内容や、広報紙『无花果』の購読の勧め、
二人で行けるイベントチケットのカタログなど、様々な有料のサービスの内容が載っていた。

「多少の料金はかかるが、こちらでやってあげられるサービスの事が書いてある。
アドバイスの一環として、さりげなく一通り勧めてくれたまえ。
おっと、悪徳商法のように思わないでおくれよ。本当はお金など取りたくないんだが、
倶楽部運営のためにはやはり資金は必要なんだ。しかしかなり安価だろう?
それに本当に自信のあるサービスだから、君も自信を持って勧めてくれていい。
利用者からの反応も非常に良好だからね。
今回は、できればこの水族館のペアチケットを売ってあげてくれたまえ。君の判断で多少は値下げしてもいい」

山田中山が、右神の肩にぽんと手を置く。
「君には期待しているよ。親身になって良い相談相手になってあげてくれたまえ。
親切丁寧が我が倶楽部のモットーだからね。時間と場所はここに書いてある。宜しく頼むよ。それと…」
山田中山は右神の耳元に口を寄せ、低い声で呟いた。


「できれば君自身に惚れさせろ」


報告を楽しみにしているよ、と言い残し、山田中山は部屋を立ち去っていった。
そして3時間経ち、現在。
場所は約束の場所、カフェテラス『ダクファン』。
20GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/15(日) 23:28:27 0
>>18

勝浦まさみ。
高等部1年女子。
性格、男勝り。顔は十人並みだがバストはD。
ウブ。

「よ、よし。今日こそあのメールを送るぞ…!」

最近恋愛倶楽部に登録し、条件にあったスポーツマンの男を探してもらったところ、
上杉海斗をメル友からどうかと紹介された。
以後毎日メールを送っているのだが、勝浦のそれはなかなか尋常な量ではなかった。

「大丈夫、大丈夫だ。落ち着け心配するな私…」

おはようからお休みまで何でもかんでも、一日40通以上は送り付けてくる。
異性との距離の取り方を知らず、初めてのメル友に舞い上がっているのだ。

「『今部活中ですか?良かったら部室に覗きに行ってもいいですか』…と。よし、いけ、送信!」
まだ実際に会った事はなく、これが初めての誘いとなる。
勝浦まさみ、男友達ゼロ、恋愛経験ゼロの初の小さな大勝負だった。
21GM:注意書き ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/15(日) 23:36:55 0
【基本的に、場所が違えば時間軸も異なります。
 わかりやすく言うと、ひとつの場面で会話してる間に、
 別の場面で「そして一週間後」とか普通に時間軸が動いたりします。
 ただ、場所を移動する時に別の場所の人と遭遇する事もあります。
 その時の時間軸のズレは基本的に気にしないで下さい。

 あと、基本はプレイヤー同士が絡む方向に話を動かします。
 手の空いた人には、GMのモブキャラや運営部の胡散臭い人が絡んでいったりイベントを起こしたりします。

 スレの基本目的は良い相手を見つけて恋愛することと、運営部部長の山田中山をやっつけること。
 それ以外にやりたい事はご自由にどんどんやってってください。】
22名無しになりきれ:2009/11/15(日) 23:49:48 0
ちゅるやさんでも参加していいどすか?
23名無しになりきれ:2009/11/16(月) 00:00:43 0
名前:二次 元(にのつぎ ひだね)
性別: 男
年齢: 高等部2年
身長: 170
体重: 55
スリーサイズ:中肉中背
容姿の特徴:幸薄そうなビミョメン(イケメンなのかフツメンなのか微妙、の意)。前髪がやたら長い
超能力: 『共有(ウィニー)』(他者の五感情報を垣間見ることが出来る)
性格: 積極的に現実から眼を背けてるタイプのオタク
趣味: サブカルチャー
特技: どんな人間にも話しを合わせられる(情報を『共有』しているから)
好きな異性のタイプ: 二次元
異性の遍歴: クリアしたギャルゲ・エロゲは軽く三桁
好きなもの: 二次元
愛し方: クリック、クリック、クリック
将来の目標: 二次元キャラとゴールイン
細かい設定: 典型的なオタク。
         『二次元の女の子との恋愛を成就させて下さいよホラホラww』的なノリで登録した。
         恋愛倶楽部の力を信用しきっていないので、冷やかし目的。
24GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/16(月) 00:01:46 0
>>22
版権でも何でもOKですよ。
ただ世界観に合わせてさえもらえれば。
一応、人間以外の生き物はなしで。
25名無しになりきれ:2009/11/16(月) 00:06:13 0
>>24
横レスだがちゅるやさんは人間でFA?
26西野 明星 ◆D4v7sdR.7w :2009/11/16(月) 05:40:57 O
もう何年になるだろうか。あれはまだ小等部の頃だった。
夕焼けに照らされ、朱く染まったあの物憂げな横顔と。
視線に気づいてこちらを向いて、戸惑い気に浮かべた笑顔と。

――一瞬で、心が奪われた。

一目惚れ、なんて一言で済ませてしまうのは簡単だが。
とにもかくにも、気持ちはそのままに、ここまで育ってきてしまった。
調べる勇気もないまま…時折顔を見るだけで、幸せだったのだが。
欲望と願望は、それ以上を求めた。

片思い中だ、協力してほしい、とは伝えてあるが…やはり程度はあるもので。
まさか、その相手が名前も年も分からない、会話もしたことのない人だとは思ってもいないだろう。
わかることと言えば、せいぜい同じくこの学園都市にいる、ということだけだ。
そもそもが、相手がこちらのことを知っているかどうかさえ定かではない。
(どう言ったもんかな…)

予定時刻より20分前。明星の体に染み付いた体育会系の精神は約束よりも早く来るのが当然で。
喫茶店にいるだなんて野球部の、特に高等部の先輩に知られたら何を言われるか…なんて思いながら。
背筋を伸ばして、出された水にも手を付けず。
さてまずは、どうやって説明しようか。
そんなことばかり、考えている。
27海斗 ◆VYim6jM4h6 :2009/11/16(月) 08:27:24 O
>>20「おいおいおい…今日で何通目のメールだ?」
部活前に携帯をいじる海斗。
その顔はどこかうんざりしている様子だ。
それもその筈、朝から晩まで逐一メールが送られて来ているのだ。
これでは一種の迷惑メールと思われても仕方がない。
「『今から丁度部活始めるところ。是非見に来て(はぁと』よし、これで良いか。
 …悪い娘ではないんだけどなぁ…。」

「よ〜し、次はスパーだ。」
ボクシング部の部室で顧問らしき人物がスパーリングの準備を始める。
「上杉、斎藤、リング上がれ。」
「はい。」
「へぇ〜い。」
顧問に言われて2人の選手がリングに上がる。
海斗の相手は3年生。
しかも海斗より階級は1つ上だ。
「スパーリング1回目、ボックス。」
開始を告げるゴングが叩かれた。
3年生はゴングと同時にワンツーを放つが海斗はヒラリとサイドにかわす。
しつこく連打を放つ斎藤、だがパンチは空を切るばかりで1発も海斗に命中しない。
海斗は1発も打たず、かわすのみで1ラウンドが終了した。
「スパーリング2回目、ボックス。」
またもや開始と同時にワンツーを打ってくる。
海斗はそれをスウェーでかわすと、右アッパー→左フックのカウンターで相手を沈めてしまった。
続行不可能だと判断し、スパーリングは終了した。
「どうも、初めましてー。君がまさみちゃんだよね?」
スパーが終了すると、海斗はすぐにまさみの元に駆け付けた。
「俺が上杉海斗。見ててくれた、今のスパー?なかなか綺麗にカウンター決まったでしょ?」
28右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/16(月) 14:08:10 0
>>19
右神藍はビンボーである。
どの位赤貧かと言えば、自分が通う学園で学費を割り引いて貰う為に、
教師陣から、怪しげなスパイじみた仕事を引き受ける程度に貧乏である。

右神藍は少女である。
どの位少女であるかと言えば、高等部の1年生であり、
学園が指定している制服をスカート丈の加工をすることもなく、
『おしゃれ?なにそれカロリーの足しになる?』といった感じで着こなし、
何故かやたらとごつい暗視ゴーグルを常時装備している程度に少女である。

そんな極々平凡な少女である右神藍は本日、彼女がスパイ的な目的で所属している
「恋愛倶楽部」の運営室に呼び出されていた。

運営室。恋愛倶楽部に教師の根回しで入り込んだ藍ではあるが、
実はこの部屋にはあまり慣れ親しんでいない。
運営に入り込んだとは言え、所詮は新入り。今まで藍に任された仕事といったら、
毒にも薬にもならないような雑務ばかりであり、この部屋を使う事が自体があまり無かったからだ。
しかし今現在、そんな状況の分岐点であるとでも言う様に、藍の目の前には一人の男が立っていた。

「よく来てくれたね、右神さん」

山田中山 天。恋愛倶楽部部長であるその男は、いつも通りテンション値がマイナスな様子で
運営室に入った藍を、そのイケメンスマイルでにこやかに迎えた。

(……? どうして、部長が? 今まで、あまり接触して来なかったのに。
 あ……もし、スパイがばれたとかなら、少し困る。学費的な意味で……はぁ)

突然の部長の登場。それに少し驚いた藍だったが、そもそも感情の起伏が常に下方向へと
向かっている感じの少女なので、すぐに落ち着いてやる気なさげに、
何事も無いかのように答える事に成功した。

「……呼ばれたから、面倒臭いけど来ました。
 それで……私に何の様ですか? 出来れば面倒臭い事は嫌なんですが……」
29右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/16(月) 14:09:42 0
・・・
その後語られた山田中山の話を概略すると、どうやら
『本格的な恋愛倶楽部の会員としての仕事をやって貰う』という事になるらしい。
複数の書類や資料を渡され、それに目を通しながら、藍は思う。

(面倒臭い……私はこの仕事、やる気なんか無いのに……。
 部活の情報さえ提出すれば学費は減るから、誰の恋愛がどうなるとかは、
 正直どうでも良かったりする訳で……はぁ)

それでも、仕事をしっかりこなさないとスパイ的な活動を打ち切られる
かもしれないので、藍は一応、山田中山の話を耳に入れていた。

「君には期待しているよ。親身になって良い相談相手になってあげてくれたまえ。
親切丁寧が我が倶楽部のモットーだからね。時間と場所はここに書いてある。宜しく頼むよ。それと…」

そして、その話の終わり――――

「できれば君自信に惚れさせろ」
(――――!?)

耳元で囁かれた山田中山の声に、ゾッとした。。
その声色が、普段の善人じみた笑みからは想像も出来ないようなもの
だったのも理由の一つだが、理由はもう一つあった。
それは『自分が秘密にしている“とある能力”が知られているのではないか?』という疑念。
表情にこそ出なかったが、内心では彼女にしては珍しく動揺し、
山田中山が退室するまで、藍は固まってしまった。

「……知られてる筈は無いけど、気をつけよう」

何故、教師が自分にこの倶楽部を偵察させているのか。その理由の一端を感じた藍は、
呟きながら、とにかく依頼者のいるというカフェテラスに向かう事にした。
30右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/16(月) 14:10:57 0
>>26
(ふぅ……今日も美味しい水道水だった。欲をいえば、カロリーが欲しい)

3時間後、軽めの食事を取った後に藍はカフェテラスを訪れていた。
待ち合わせの時間から10分程遅れていたが、訪れたそのカフェテラスで、
藍が暗視ゴーグルごしに周辺を見渡すと、人ごみの中にいる依頼人を直ぐに発見できた。
糸目にボウズ頭というどう見ても野球部なその容姿は、暗視ゴーグル越しに世界を
眺めているが故に、人の判別が少々苦手な愛でも直ぐに見つけられた。

(名前は、確か野球部の西野明星……はぁ。やっぱり、面倒臭い……)

有明は背筋をピンと伸ばし、かなり緊張している様だったが、そんな明星に特に
気を使う事も無く、藍はその奇妙なゴーグル姿で人ごみをモーゼの十戒の様に割りながら進み、
明星が着いている席の真向かいに淡々と着席すると、いきなり説明を始めた。

「……私は、恋愛倶楽部の右神。高等部の一年。
 今日は、依頼人の西野明星の片思い成就の依頼を受けに来た。
 貴方が本人なら、まずはこのチケットを3……4000円で買うといい。話はそれから始めて」

……この少女、おおよそ人と話しに来たとは思えない態度である。
というか、押し売りな上にボっている。水族館のチケットの値段を1000円程ボっている。
その差額を懐に収めて食費に回すつもりなのだろうかこの少女は。
確かに値段を安くしてもいいと山田中山は言っていたが、流石の彼も高くするのは
予想外だっただろう。

とにかく、ここに依頼人と運営のファーストコンタクトが行われた。
31GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/17(火) 00:57:18 0
>>18
「さて、どうしたものかな」
山田中山は珍しく頭を捻っていた。
「二次元キャラとの恋愛か…本気でも冷やかしでも対応に困るね」
捨て置いても構わないが、この手の相談に恋愛倶楽部が何も手を打てませんでしたというのは
それはそれで山田中山のプライドに障る。
それに、この手の客を解決させれば、クラブは恋愛に関して魔術のような万能性を帯びることとなるのだ。
「まあ、とはいえ、解決方法は何も二次元の娘を画面から引き摺り出すだけではないね」

その時、運営室の扉がガラリと開いた。
「おお、いいタイミングで来たね」
入ってきた女子を、山田中山が笑顔で出迎えた。
「早速だが君に仕事だ。この資料の二次君という会員が二次元の女子と恋愛したくて困ってるんだ。
 親身に相談するフリをして色香を振りまいて君に惚れさせろ」

『三次元に恋をさせることで、二次元女子からの興味を殺す』――これが山田中山の導き出した解決方法である。

「君ならできるよな?これまで数多の男を手玉に取り貢がせて来た、『思わせ振りの女王様』なら―」
山田中山の言葉に、女子は不敵な笑みで応えるのだった。


その日の午後に、二次のPCにメールが届く。
それは恋愛倶楽部の山田中山から、相談員を派遣するので翌日の午後3時に
カフェテラス『ダクファン』に来て欲しい旨を伝えるものだった。
32GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/17(火) 00:59:51 0
>>25
FAで。というか前言を撤回しますが人外もアリにします。
ただ人間の能力を、手持ちの超能力以外では大きくは超えないで下さいということで。
>>27
ピロリロリ~ン♪
『今から丁度部活始めるところ。是非見に来て(はぁと』
「ッしゃあ!」
往来のど真ん中で突然ガッツポーズをする勝浦まさみに、道行く人々が一斉に振り返った。

部室に到着。
少し迷ったが、中には入らず窓から覗くことにした。
>「上杉、斎藤、リング上がれ。」
顧問が呼びかけ、二人の男子がリングに上がる。
(あ、あの人が上杉君かぁ…)
写メでしか見たことのなかった、会ったこともない仲良しの男の子が目の前にいる。
まさみは何となく恥ずかしいようなくすぐったいような、変な気分になった。

スパーの相手は上杉より大柄な男だった。
第一ラウンド。
相手がひたすら攻撃をし、上杉はひたすらそれをかわしている。
(あ、危ない!相手強いなぁ、大丈夫かな)
触れさせもしないのはかなりの高等技術なのだが、素人のまさみには攻められているようにしか見えない。
基本的に男勝りな性格だが、上杉が絡むとすっかり普通の女の子になってしまうまさみは、
ハラハラして第一ラウンドを見守っていた。

しかし第二ラウンド、電光石火のカウンターが一瞬でスパー相手の意識を刈り取った。
呆気に取られるまさみの元に、上杉が近寄ってきた。
>「どうも、初めましてー。君がまさみちゃんだよね?」
>「俺が上杉海斗。見ててくれた、今のスパー?なかなか綺麗にカウンター決まったでしょ?」
「ひゃ、ひゃい!」
緊張と興奮に、思わず噛んでしまう。
「は、はじめまして!す、す凄かったです!最初負けてたけど私の念が通じて良かったでした!」
意味の分からない事を口走るまさみだった。

そのポケットでは、恋愛倶楽部の相談員に言い包められて購入した、とあるチケットが握りしめられている。
それはペアのディナークルーズのチケット。一枚53,000円。
まさみは恋愛倶楽部の闇に片足を突っ込みつつあるのだった――。
34海斗 ◆VYim6jM4h6 :2009/11/17(火) 07:50:31 O
>>33>「は、はじめまして!す、す凄かったです!最初負けてたけど私の念が通じて良かったでした!」
まさみは緊張しているのか、若干意味不明な事を口走っていた。
「あ、あはは…最初から最後まで負けてたつもりは無かったんだけど…。
 でも応援しててくれたんだね、ありがと。」
海斗は笑顔でまさみにお礼を言う。
「今着替えて来るからちょっと待ってて。」
そう言い残すとロッカールームに入り、即座に学ランに着替える。
「お待たせ、折角だしどっか適当にブラつかない?」
35西野 明星 ◆D4v7sdR.7w :2009/11/17(火) 10:46:28 O
>>30
やや俯き加減で、いろいろと考えていたところだったので。
予定時刻を過ぎていたことも。
誰かが来たことも、全く気付かずに。
いきなり話を切り出されて、ちょっと驚いた。
さらに目の前にいた人物がお前はこれから戦争にでも行くのかよとツッコミたくなるような風貌だったことにもっと驚いた。

で。
「は、はいっ!」
とりあえず金を払った。

ここで。4000円というのは中等部の少年には些か高額な金額である。
裕福な家庭だとは言えない明星もまた例に漏れることはなく、2ヶ月分の小遣いにあたる。
それでも、迷うことなく支払うのは…明星の気持ちは、それほどまでに強いということなのだろう。
マジックテープの財布を開き、そこに居たのは英世が3人。小銭を足して、何とか足りた。
店員の視線に負けず何も注文しなくて本当によかったと思う。

そもそもが恋愛倶楽部に登録する時点で明星は貯めてきたお金を切り崩してまで安くはない登録料を払っているというのに、
さらに相談をするのにいきなりまず金を払えというのがおかしいというのは気づくべきだし、
見てわかるとおりそれは水族館のチケットで、だいたい普通の水族館は二枚一組で2〜3000円が相場だし、
2枚4000円とか一体そこはどんな高級水族館なんだよと思ってしまうような値段であることにもやはり不信感は持つべきである。

とはいえ生来が真面目な明星にとってはまさか騙されているだなんて夢にも思わないし、
ましてや明星は恋愛倶楽部を利用するのは初めてだ。こういうものなんだな、と一度納得してしまえばもう疑問は湧いてくることはない。
つまりわかりやすい話をすると、絶好のカモである。
(また、お金おろしてこないといけないな…)
小等部の頃から小遣いやお年玉を少しずつ少しずつ貯めてきた明星の貯金が未曽有の危機に直面している。

「それで、っすね…」
いざ相談を始めようとする明星。その表情は真剣そのものだ。
「あ、まず改めて。中等部3年、西野明星と言います。この度はわざわざご足労あざーっす。
 んでもって、えと…。」
また言い澱む明星。そういうのが数回続いた後、意を決したように、少し大きな声で。
「先輩!…っすよね?せ、先輩!あ、あの、こんな人、知らないっすか?えっと…――」
ぺらぺらと語り始める明星。その内容は名も知らぬ想い人の身体的特徴。
数えるほどしか逢ったことはない、ましてや遠くから眺める程度であるにも関わらず詳しく描写出来るのは、
それだけその女性が明星の脳裏に、網膜に、心に。貼り付いて、焼き付いて――焦げ付いているということなのだろう。

まぁ、一種のストーカーに見えなくもないが。
36名無しになりきれ:2009/11/17(火) 19:19:46 O
過去スレからの参加はおk?
それとも、似てるけど違う人っつことにするべき
37右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/17(火) 23:39:25 0
「先輩!…っすよね?せ、先輩!あ、あの、こんな人、知らないっすか?えっと…――」

(知ってる様な、知らない様な……やっぱり、写真とかが無いと解らない。
 ……まあ、それでも話の概略は解った。やっぱり、面倒臭そう)

依頼人の明星は、藍に軽く自己紹介した後、今回の依頼内容について詳しく語りだした。
うすっぺらい紙切れに書かれた概略とは異なり、明星のその言葉には、
ずっと片思いしてきた先輩への恋慕の情が、強く込められていた。
それは、今回の依頼に関してあまりやる気の無かった藍の心に届く程、強く。
だから、明星の気持ちを黙って聞いていた藍は、彼の気持ちをしっかりと聞き取った上で、
思った事を偽り無く素直に答える事にした。

「……つまり、ストーカーの相談と。……中々困る」

――――その結果がこのザマだよ!
よくよく考えてみれば、感情の矢印が常に下方向に向いている人間に熱い思いをぶつけても、
それがネガティブな方向に取られる事は自明の理な訳で。
しかも、藍自身が恋愛に関してポジティブな感情が無いので、尚の事そうなるのであった。

「……話を整理すると、貴方は4000円で妄想し続けた見ず知らずの先輩の気持ちを買いたい」

そして、先の言葉に対する明星の反応を聞き流し、次に藍の口から流れ出た言葉は
あまりにも他人を思いやる気が無く、辛辣なものだった。
それは、誰かに恋をしている普通の人からしてみれば、腹立たしいであろうし、
或いは心を傷つける言葉だ。明星がどう反応するかは解らないが、
藍は(先程の明星からぼった1000円で)注文した2つのケーキを、
やや頬を緩めつつ、もぐもぐと食べながら特に考える事無く更に言葉を続ける。

「……正直、貴方の依頼は気持ち悪いし、面倒臭いから協力したくない」

「けど、それが私の仕事。受けたからには相談には乗る」

そしてその流れの中で、いきなり、興味なさ気に決定的な台詞を吐いた。

「その先輩がどこにいるか、私は多分知らない。
 ……けど、知る方法なら知ってるかもしれない。どうしたい?」

名前も詳細も解らない先輩の居場所を知る方法があるかもしれない。そう宣言したのだ。
38金原鉄馬 ◆mcDt2hqAwk :2009/11/18(水) 02:30:01 0
名前:金原鉄馬
出典:空哀(過去スレ)
性別:男
年齢:17
身長:175cm
体重:61kg
スリーサイズ:中肉中背
容姿の特徴:白いYシャツにネクタイ、学生ズボン、黒縁メガネ、前の学校のブレザー
髪の毛の色、長さ:黒、ウルフカット
超能力:過剰力学
性格:冷静、思慮深い けして大人しい訳ではなく興味の湧いたものに対しては積極的
趣味:もの思い、サバゲ
特技:状況判断
好きな異性のタイプ:もの静かな子
異性の遍歴:女友達は居たが、付き合った経験は無し
好きなもの:エビチリ、平穏な生活
愛し方:普段と同じように接するが、少々積極的になる
将来の目標:平穏な生活、日常
細かい設定:
親の仕事の都合で千夜万夜に転向してきた男
普段は物静かなほうであるが、他の学生と同じようにふざけたりもする。
何よりも平穏を愛し、それを乱す事柄を嫌う。
能力は、自分で加えた力を自在にコントロールすることが出来るが、以下の事は出来ない
・生物に対しての発動(無生物にのみ発動できる。爪、髪等は体から放せば発動できる)
・既に加わっている力は操作できない
・自分の体から離れた時点でコントロールできなくなる(操作した力は残る)

よろしければ参加してもいいですか?
39西野 明星 ◆D4v7sdR.7w :2009/11/18(水) 07:49:15 O
>>37
『一種の』って言ったのに!『一種の』って言ったのに!

と地の文で抗議しても詮無きことであり、実際にそう言われてもそれはそれで仕方ないことなのだろう。
右神と名乗ったこの女性の口から放たれる辛辣な言葉に明星はぐうの音も出ない。
確かに自分でもよくないことは分かっている。今まで想い続けたことはまだいい。
少し過剰気味な気はするが、それなら『秘めた想い』だけで済む。おそらく。
しかしその想いを成就するために、明星は動き出してしまった。暴走とも思えるような形で。
ましてや…自分から何もアクションを起こすことはなく、他者の協力を仰ぐ。
恋愛倶楽部に片思いの相談をする大多数は面識ぐらいはあるだろう。出逢い、語り、好きになって。その上を求めている。
そこには多かれ少なかれ当人たちの努力は必ずしも存在する。――では、明星はどうだ?
かなり刺々しい言葉ではあるが、間違ってはいないのだ。気持ちを、金で買おうとしている。

――あぁ。
(この世に神様がいるとしたら、俺には微笑まないよな)
何もかもを言い訳にして、逃げ道を探して。
努力なき者に、未来はない。
分かっては、いるけれど。

とまぁ物凄く意気消沈してホセメンドーサと闘った後のどこぞのボクサーのように燃え尽きてしまった明星。
その耳に入ってきた右神の言葉は、凹んでいる明星をまたこちらの世界に戻すのには十分だった。
つーか金払ってんだから相談に乗ってもらえるのはわかるだろうに、
明星はボロクソに言われているうちにてっきり『アキラメロ』とでも言われるのかと思っていたらしい。

さて、明星は黙り込む。だからって別に喋り続けていたわけじゃないがそれは置いておいて。
どうやって知るのかは考えない。恋愛倶楽部の規模は認知しているし、なんとかするんだろう、としか思わない。
しかしだ。どこに居るかなど知ってどうするのか、会いに行くとでも言うのか、
今まで声をかけられなかった明星だ、今更声をかける勇気などあるはずのものか、
そもそも見覚えのない後輩に突然声をかけられたとしてその印象はマイナスにしかならないのではないだろうか、etc、etc。
明星がこれまで培って育んできたマイナス思考がこれでもかと言うほど浮かんでくる。

だが――。
「は、はい!知りたいっす…です!知る方法、教えてください!」
深く考慮するほど、明星は大人ではない。
その気持ちに――素直になっているだけだ。
後悔だけは、しないように。
40二次元 ◆kKd5XVSGYw :2009/11/18(水) 22:50:10 0
>>31

相談員を派遣するので翌日の午後3時にカフェテラス『ダクファン』に来て欲しい。

愛用しているラップトップ型PCのディスプレイの中で、メーリングソフトの愛らしいポストキャラクターが運んできた
メールには、そう書いてあった。差出人は、恋愛倶楽部運営――山田中山 天。

「ほほう、まさかマジ受け取りされるとは!」

ドゥフフ、と『キモオタ笑い』で語尾を締めくくり、二次元(にじ はじめ)はPCを閉じる。
面を上げると、彼の所属するPC研究部の面々が同様のキモオタ笑いで二次を注視していた。

「二次殿、二次殿。恋愛倶楽部などと如何わしい団体に、如何様なご依頼を?」
「もしや貴殿、我々との血より濃い『童貞の誓い』の禁忌を犯すおつもりではありますまい」

口早に問いかける同僚達の表情に、言葉ほどの険はない。
それは二次 元という人間がこのコミュニティにおいてどういった位置づけを得ているかを如実に表していた。

すなわち、利にも理にも適わない、突拍子もないパフォーマンス性。生まれながらのエンターテイナー。
あらゆることに挑戦状を叩きつける、有り体な呼称を用いるならば、愛すべき馬鹿。

「実は拙者、恋愛倶楽部に二次元美少女とのとりもちを依頼し申した」

二次がそう告げると、オーディエンスからおお、と嬌声が挙がる。

「なんと!」
「素晴らしい!」
「勇者で御座る。勇者がここにおり申した!」

冷やかし目的である。おちょくりたかったと言い換えてもいい。
ただそれだけのために決して安くはない登録料を投げ打ったのだから、彼の馬鹿さ加減も知れるというもの。

「部活動は芝居をする所に御座らぬ。恋愛倶楽部などという奇怪にして怪奇の輩、そしてその化けの皮。拙者が剥がし仕る」

同僚達の声援を受け、今一匹の虎(とらのあな的な意味で)が、学園都市へと解き放たれた。


カフェテラス『ダクファン』。
学園の中でも有数の人気と規模を誇る学生達の憩いの場である。
特筆すべきは従業員の質と錬度の高さ。初等部から人外まで、あらゆるニーズに対応した女性従業員は老若男子から熱狂的な支持をうける。

「グッドラコーヒーにガチムチサンド。それからジューシーソテーをお願い申す」

ドゥフフ。
中等部と思しき女子従業員は注文を書きとめペコリと頭を下げると、そのたおやかなポニーテールを揺らしながら
厨房へと駆けていく。二次は三次元の女に興味こそないが、幼女及び少女に対する造詣はなかなかに深い。

繁忙時とあって店内は混み合っていたが、待ち合わせに指定された席の付近だけは不思議と人の影がない。
これも恋愛倶楽部の力なのだろうか。二次はテーブルの上にPCを展開し、暇を潰すためネットに繋ぎ始めた。


【テンプレ投下時にコテを付け忘れ、申し訳ないでした。よろしくお願いします】
41阿部定和 ◆R6bM.BHzTk :2009/11/18(水) 23:09:34 0
名前: 阿部定和
性別: 男
年齢: 17
身長: 180cm
体重: 80kg
容姿の特徴:タンクトップ、青いジーンズ

性格:冷静沈着
趣味:ウエイトトレーニング
特技:プッシュアップ
好きな異性のタイプ:特になし
異性の遍歴:特になし
好きなもの:肉
将来の目標:公務員

細かい設定:常に「掘る」「舐める」などという言葉に敏感な青年。
誰かに掘られるのではないか?と常に危惧している。
>>34
「い、行きます!行きましょう!」
着替えた海斗と共に、まさみは歩き始める。

学園都市は広大で、商業施設も豊富である。
ボーリングやゲームセンターやカラオケ、テーマパークや水族館、デパートまで完備し、
遊ぶ場所には全く困らない。

「せっかくだし…どこかで遊んで行きます?」
おずおずと上目遣いで尋ねるまさみ。
「先輩がいつも行ってるようなところに行ってみたいな、なーんて…」



【上杉さんにアンケートですが、GMからの振りはぐいぐい引っ張っていくのと、
 そちらのクリエイティブに委ねていくのとどちらがお好みでしょう?】
43GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/18(水) 23:13:59 0
トリ間違えた。お気になさらず…

>>36>>38
こちらとしては越境は全く問題ないです。むしろ歓迎。
ただ、越境元のスレに迷惑がかかるかどうかはこちらでは責任を負いかねるので、
そのへんは自己責任ということで頼みます。
44GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/18(水) 23:22:51 0
>>38
あと書き忘れたけども、キャラの恋愛倶楽部への参加動機とかも教えてもらっていいでしょうか?
こちらからのアプローチに影響してくるので…。

>>41
一応ガチでやる気かどうか確認させてください。
ホモキャラは茨の道だけどガチでやってくれるならかなり面白いです。
ガチならキャラの恋愛倶楽部への参加動機とかもお願いします。
45阿部定和 ◆R6bM.BHzTk :2009/11/18(水) 23:26:10 0
>>41
ガチです。ふざけてではないです。
動機は女の子と付き合いというごく普通の目的です。
46GM(くるり→二次) ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/18(水) 23:46:49 0
>>40
「ごめ〜ん、お待たせ〜☆」
『ダクファン』の昼下がりに、思わず全員が振り向くような見事なアニメ声が響き渡った。

駆けてきたのは運営部部長山田中山が懐刀の一人、愛ヶ浜紅瑠璃(あいがはまくるり・偽名)。
通称『思わせ振りの女王様』。
数多くの相談相手を、相談内容に関わらず自分に惚れさせ、貢がせてきた稀代の悪女である。

相手に合わせて見た目からキャラまで自在に変化する彼女は、
本日はツインテールに真っ赤なリボン、メイド服というあまりにあんまりな格好をしていた。
しかし容姿が良いため、そのあんまりな格好も不思議とハマっている。

しかし、
(ククク、どーせオタクなんざ殆ど童貞だ、適当にコビ売っときゃチョロいだろ)
腹の中はそんな感じで真っ黒だった。

「今日はぁ、二次さんのご相談で恋愛倶楽部から派遣されてきましたぁ。くるりって言います、よろしくね☆」
わざわざ椅子を二次の隣に移動させ、そこに腰を下ろす。
そしてわざとらしく感嘆の声を上げた。
「わあ、パソコンやってるんですね。知的で格好いいです〜☆私にも見せてください☆」
体を二次にすり寄せるようにして画面を覗き込むくるり。
甘い香りが二次の鼻をくすぐる。
(ケケケ、たまんねぇだろ?裏で高値でオロしたフェロモン入りの香水の香りは?)
47金原鉄馬 ◆mcDt2hqAwk :2009/11/18(水) 23:53:19 O
>>44
【騙されて入ったってことでいいですか?】
48GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/18(水) 23:53:27 0
>>45
了解です、どうぞよろしく。
どんどんギャグに走ってもらってもオールOKですので。
ちょっと今日は活動限界なので明日導入レス書きます。
待たずに先に入っててもらったり、他の場面に絡んでってもらっても良いですよ。


運営側にも誰か入らないかな…
49GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/18(水) 23:54:12 0
>>47
もちろんOKです。あとは>>48と同文で。
50海斗 ◆VYim6jM4h6 :2009/11/19(木) 00:12:57 O
>>42>「せっかくだし…どこかで遊んで行きます?」
この学園都市は広大だ。
はっきり言って遊ぶ場所には困らない。
しかし海斗はあまりゲームセンターやカラオケ、ボーリングといった娯楽施設をほとんど利用した事が無い。
というのも、部活を終え家に戻るとすぐに自主トレを始める為、遊ぶ時間がほとんど無かったのだ。
>「先輩がいつも行ってるようなところに行ってみたいな、なーんて…」
この発言に海斗は少々困ったような笑顔を浮かべる。
「俺がいつも行ってるところかぁ〜…。分かった、今日はまさみちゃんに付き合ってもらおう。」
そう言うとまさみの手を握り、足早に歩き始める。
「さ、ついたよ。」
海斗が連れて来た場所、それは―――デパートだった。
「ははは〜…。ビックリした?俺一人暮らしだからさ…買い物は欠かせないんだ。
 減量の時とかよくここでフルーツをまとめ買いしたりしてね。」
デパートの入口で買い物カゴを両手に持つと満面の笑みをまさみに見せる。
「初デートがこんな所で悪いけど、今日はとことん付き合ってもらうよっ!」
レッツゴー、という掛け声と共に店内を駆けるのであった。

「あ〜楽しかった。やっぱり一人で買い物するより誰かと買い物した方が楽しいね。」
海斗は大きな買い物袋を両手に満足げな笑顔を浮かべている。
「あ、ごめんねまさみちゃん…。なんか俺ばっか楽しんじゃって…。俺はまだ時間大丈夫だけど…どっか行きたい所ある?」


【グイグイ引っ張っていただいた方が助かりますです、はい。】
51阿部定和 ◆R6bM.BHzTk :2009/11/19(木) 00:27:06 0
僕の名前は阿部定和。普通の高校生だ。
あぁ、彼女が欲しい。
しかし、僕の周りにいるのはいつも男だけだ。
男、男、男。汗と肉がほとばしる、そこは素晴らしい…


何を言っているんだ、僕は。
そんなことはない。僕はそういう趣味はないんだ。
そう言い聞かせ、今日も僕は宮沢りえのグラビアで抜いてきた。
52二次元 ◆kKd5XVSGYw :2009/11/19(木) 01:29:59 0
>>40
でキャラの名前を間違えました。

×二次 元(にじ はじめ)
○二次 元(にのつぎ ひだね)

失礼致しました
53右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/19(木) 02:15:59 0
「は、はい!知りたいっす…です!知る方法、教えてください!」

返事を返す少年の声は、少なくない怯えの色を含みながら、
しかしそれでもはっきりと藍の耳に届いた。

(……。 悩む様だったら放置できたのに……はぁ。面倒臭い)
藍はそんな明星の返答に、暗視ゴーグルに隠れた表情にすら出さず、内心だけでぼやいた。

もしも、ここで明星が「もう少し時間をくれ」とか「気持ちの整理を」等と
前向きに見せかけてその実後ろ向きな回答をしていたのなら、藍は
『……解った。それじゃあまた後日、恋愛倶楽部に連絡でもするといい。
 私以外の人が対応するから……多分』
とでも言って早々とこの場を去っていた事だろう。
他人と関わる事に殆ど興味が無く、必要に迫られて仕事をしているだけの藍だ。
自身の性格と同じ方向性の、しかも逃げの言葉を捉えれば、
これ幸いとこの依頼を投げ出していただろう。

しかし明星は、青臭くも真っ直ぐに答えを返した。
右神藍と言う少女は、基本的に他人の事は興味が無いからどうでもいいし、
面倒臭いから、他人の人間関係に関わるなんてしたくないというスタンスの人間だ。
それでも、正面から本気でぶつかってきた言葉すら届かない程に冷徹な人間ではない。
藍本人は気が付いていないが、明星の言葉は、ほんの少しだけ藍に明星を見直させたのである。

……いやまあ、見直したといっても
「ストーカー」→「依頼人」という極めて微々たる変化に過ぎないのだが。

「……まず初めに言っておくと、この方法は物凄く面倒臭い。私なら、やりたくないレベル」

そして、藍は淡々と語りだす。彼女が考えた、先輩の居場所を知る方法を。
54右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/19(木) 02:21:19 0
「前提として、貴方の話にあるその先輩のデータで判明してるのは、外見とその目撃地域だけ。
 普通に考えれば、そんなので見つけるのは無理。……だけど、今回貴方は一つだけ見つけられる
 可能性を持っていた。あなたは、その先輩の『外見をはっきりと覚えている』」

「……それはつまり、顔さえ見ればその先輩を判別出来るという事。
 それなら、学生の顔を一人ずつ見ていけばいいだけの話」

そこで藍は出された水を飲んで一息置いた後、何やら近くの席で聞こえた
アニメ声に反応する様子も無く、気だるげに続ける。

「もちろん、普通に街中を歩いていても見つけるのは無理。だから、ここで二つのツールを使う」

「一つ目は、恋愛倶楽部の登録者のデータ。個人情報を見るのは不可能だけど、
 顔写真くらいなら、私が許可を取れば見られると思う。学園内最大の登録者数を誇る
 部活のデータなら、その先輩が見つかる可能性は低くない。探して歩くよりも効率もいい」

「そしてもう一つは…………説明が面倒臭いから、これは一つ目が失敗したら言う。
 とにかく、まずは『恋愛倶楽部のデータベースにある顔写真を見続けて探す』事。
 ……けど、これをやるなら覚悟するべき。本当に面倒臭いと思うから」

そこで、藍は適当に遊ばせていた暗視ゴーグルに隠されている視線を、明星に向けた。

「……膨大な量の人の顔写真を延々と見続ける。記憶にあるその先輩のイメージを損なわないまま。
 しかも、その膨大の中に探している先輩はいない可能性もある。……それを知った上で
 まだ探したいって言うなら、これから私は恋愛倶楽部に許可を取りに行く。
 本当にそんな面倒な事を、やる?」

方法は提示した。お前はどうするのか。
とでも問う様に。いや、藍にそういう意図は全く無いのだが。
55西野 明星 ◆D4v7sdR.7w :2009/11/19(木) 13:34:34 O
>>53-54
「…やり、ます」
即答だった。

寸分の躊躇もない。微塵の逡巡もない。秋毫の狐疑もない。
そこにあるのは確固たる意思と意志だけ。
注意されているように非常に骨が折れることは確かだろう、登録者数が膨大な数にのぼることは明星だって知っている。
でもそれが何だって言うのか。明星の気持ちはブレることはない。
その方法を呈示されたのなら、それを全力で行うだけだ。
すべては、少しでも、近づきたくて。

「でも、これで見つかったら…それはそれで、結構きついっすよねぇ」
運営側でない限り、恋愛倶楽部に登録する人間の目的は限られている。
似合いの相手の斡旋か、明星のように片思いの成就、もしくは恋人と円滑に付き合っていくためのサポート…など。
最後のは言わずもがなであるし、片思いの相談であってもその時点で芽は厳しいと言わざるを得ない。
たとえ特定の相手がいない場合であっても…既に相手が恋愛倶楽部の方から斡旋されている可能性は高い。
何にせよ、名前が見つかった時点で明星の想いが届かない確率は格段に上がる。

ただ、それでも。
「――それぐらいで諦められるような小さな気持ちなら、最初っから相談なんかしてないっすけどね」
そう言って、明星は頬を掻きながら小さく笑った。
でも実際彼氏がいるとかだったら諦めた方がいいよね。

「改めて、宜しくお願いします。えと、とりあえず恋愛倶楽部の部室の方に向かえばいいんすかね?」
PCでのデータベースなのか登録者が載った膨大なファイル的なものなのかは明星には検討は付いていないが、
ともかく気が逸る明星は席を立つ。それと思ったら今すぐに。今すぐに、実行したい。

「それで、えっと――ととと」
相談に乗ってもらった訳だし、会計は自分が出しましょう――と言おうとして口を噤む。
そういえば今、財布の中はすっからかんだった。
56二次元 ◆kKd5XVSGYw :2009/11/19(木) 20:05:48 0
>>46

「ごめ〜ん、お待たせ〜☆」

声が響いた。脳に響く声だった。
思わず振り向くと、そこには異装を纏った少女が二次の座るテーブル目がけて駆けて来る光景。
一歩踏み出すごとにたおやかなツインテールが揺れ、エプロンのフリルがなびき、頭頂部のリボンが流れる。

愛ヶ浜紅瑠璃と名乗ったその女はあろうことかメイド服のコスプレで参上した。それが、恐ろしいまでに似合っている。
もともと目を引く容姿なのだろうが、ただでさえ人を選ぶメイドコスを完璧に着こなし、その上でキャラテイストのアレンジまで行っている。
常人ではこうはいかない。コスチュームを持て余すか、絶望的なまでに似合わないか、そのどちらであるはずだ。

「今日はぁ、二次さんのご相談で恋愛倶楽部から派遣されてきましたぁ。くるりって言います、よろしくね☆」

アニメ声で名乗りながら二次の隣に腰掛ける彼女からは、鼻腔をくすぐるフレグランスの香りがした。
通常ならば違和感の塊であるはずの香水が、しかし彼女自身の異質を相殺してうまくカバーする働きを見せている。
何から何までプロのそれだ。自らの武器を効果的に生かし、あらゆる要素を魅力に変える魔性の技巧。

「わあ、パソコンやってるんですね。知的で格好いいです〜☆私にも見せてください☆」

身体を押し付けるようにしてPCの画面を覗き込んできた。ふっくらとした丸みが二次の腕に擦り付けられる。
視覚、聴覚、嗅覚の三つに加え、触覚までも篭絡された。全方位から一気に畳み掛けられていく。

そして。

美少女に擦り寄られるという、ある種極楽の極致にあって、二次の精神に芽生えたのは多幸でも恋慕でもなく――
怒りだった。

(二次元に対する冒涜で候――!!)

ツインテールも、メイド服も、真っ赤なリボンも、全てが彼女を引き立てる脇役でしかない。
彼女の魅力値を引き伸ばすために、記号としてわかり易いコスプレを用いているに過ぎない。
主役は彼女なのだ。敬意が足りない。二次元への敬意が足りない。圧倒的に敬意が足りないッ!!

高台で見下ろすだけの暗君には、二次元への敬意なき者には、どうあっても二次元は越えられない。

画面の中の美少女達は、いつだって全力なのだから。

(それが貴殿らの答えか、恋愛倶楽部――ッ!)

二次元美少女との恋愛成就という依頼に対して、恋愛倶楽部がぶつけてきたのは二次元の格好をした美少女。
ただの美少女だ。所詮は肉の塊に過ぎぬ、本質的には三次元と微塵の差なき駄立体。
おそらくこれは、二次という男に対する刺客なのだろう――幻想を打ち砕き、三次元の女性へ眼を向けさせるための。

「……くるり女史、早速本題に入り申そう。某が求めるは二次元美少女との恋愛成就――カフェテラスは芝居をするところに御座らん」

体重を乗せていた愛ヶ浜を押しのけるようにして距離を空け、壁をつくるようにしてPCを据える。
見据える眼には真剣の光。ぞわり、と周囲の空気が鳴動するようにして震えた。

(この女は刺客。それも錬度の高さからして相応に高い階級の持ち主……"飼い主"に喰らい付くには誂え向きの踏み台で候)

会話によって彼女自体を篭絡すれば、より高みの位置へ喰らいつけるはずである。
そのためのノウハウはあるし、奥の手の『能力』もある。相手にとって不足はないが、それは向こうにも言えることだった。
グッドラコーヒーのカップを傾け、カフェイン多量の液体を喉に流し込んでから、二次は二の句を告いだ。

「始めましょうぞ――某らの"恋愛相談"を……!!」

戦闘開始である。
「よし、送信っと」
運営部下っ端、小石野石男は、部長山田中山に言われたメールを会員達に送信している最中だった。

「よしよし、送り漏らしはないよな。
 金原鉄馬会員に『あなたが潜在的に求めている相手を呼び出しました!』メールは送ったし。
 日時は○月×日、15:00、カフェテラス『ダクファン』のAE席、うん、間違いない。
 よし、我ながら完璧な仕事だな」
自らの仕事を自賛する小石野。
しかし、彼は気付いていなかった。

もう一通の同じ内容の『あなたが潜在的に求めている相手を呼び出しました!』メールを、
相性診断が金原会員とぴったりだった女の子に送るはずが、
間違えて男である阿部定和会員に送ってしまっていたという事に…。

そして日時は○月×日、15:00を迎える。
58右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/19(木) 23:10:07 0
>>56
「そう。それなら……行くよ」
藍の二度目の問いに明星は、一片の、一部の迷いすら無く即答した。
それは、決意の証明。
その答えを聞き届けた藍は、今度は問い直す様な無粋な真似はしなかった。
答えの決まった問いを問い直すのは面倒臭い、とでも言う様に。

そして藍は、残りのケーキを全てもぐもぐと平らげると準備を開始する。
明星の僅かな憂い――――もし、恋愛倶楽部に焦がれた先輩が登録していた場合、
悲恋になる確率が高まってしまう。といったそれに、答えるような事はしない。
激励や、共感は、思いやる心から生まれるものだ。
藍はあくまで、必要に迫られて仕方なくこの仕事をしているのであり、
そして、決して他人に優しくなど無い。故に、藍にはそんな心は発生しない。
それに

「――それぐらいで諦められるような小さな気持ちなら、最初っから相談なんかしてないっすけどね」
先のやりとりで、この明星という少年が踏鞴を踏む様な事は無いのだろうと、
何となく予想していたから、というのもあった。

そんなこんなで、来た時と同じように、珍妙な暗視ゴーグル姿による
似非モーセによって人込みを割りながら、会計にさしかかり――――
「……ちっ」
……この少女、明星が会計出来る金が無いと知って、普通に舌打ちしやがりました。
そもそも、目の前の野球部の少年の金が無いのは、自分が1000円程ぼったからだという事を
考えないのだろうか。
(……1000円を持ち帰れたら、夕食でおかずが食べられる思ってたのに……はぁ)
あ、考えてやがった。むしろ忘れてるより尚性質が悪いですよこの子。
そうして、(明星からぼった)1000円札を取り出し無言で会計を終えた後、
藍は明星にこの後の予定を話し始めた。

「データベースは……確か、倶楽部の運営室にPCデータとして保存されてた……筈。
 だから、今から運営室に閲覧許可を貰いに行く。面倒臭いけど、着いてくるといい」
特に問題がなければ、藍はこのまま恋愛倶楽部の運営室に向かい、
そのドアを開け、データベース使用の交渉に入るだろう。問題が無ければ、であるが。
59金原鉄馬 ◆mcDt2hqAwk :2009/11/20(金) 01:30:47 O
どうやら、この学校では1人一つ以上の部活に所属しなければならない校則があるらしく、転校して一週間たった今、どこに入部するか決めるなくてはならないらしい

部費が安く、尚且つ大会やらコンクールやらそういった面倒事が無く、そして、幽霊部員でも構わない部活

僕が求めたのは、3つの条件を満たしている部活だ。

だが、そんな部活ある訳ない
>「どの部活に入るか決まった?」
クラスの委員長っぽい女子が訪ねてきた。
名前はまだしっかり覚えていない為ぱっと思いつかないが、丁度いいので理想にあう部活を知っているかと聞いた

>「それならいいのがあるよ。
 相談倶楽部って言ってただ会って話するだけの部活だけどどう?
ただ空いている時間暇な部員と話すだけだからプライベートとかに影響無いし
 部費もダントツで安いし…(ボソ)まぁ違う所で出費があるけど(ボソ)
 どうかな?」
「……そこでいいかな」
変な部活に入るよりマシかなと思った僕は入部届に『相談倶楽部』と書き、鞄にしまおうとした瞬間

>「代わりに出してきてあげるね」
僕の入部届けを彼女が取り上げ
>「そうそう…たまに運営からメールが来るからその指示にはちゃんと従ってね」
そう言い残し、彼女は風のように去っていった。

その時、彼女の手の内にある入部届けには『恋愛倶楽部』と記入されていたことを彼は知らない
60金原鉄馬 ◆mcDt2hqAwk :2009/11/20(金) 01:55:30 O
という訳で入部早々、その運営からのメールが来た。
少々文章が違和感を感じたが、まぁ指示は指示だ従うことにしよう。
行って適当に愚痴や世間話するだけだ。
なんの問題も無いし、この程度でちょっとした平穏が得られるなら寧ろ感謝したいぐらいだ。

「だが…ここは少し五月蠅いな」
指示されたカフェテラスにて本を読みながら相手を待っているのだが、やけに後ろの客が騒がしい
いや、騒がしいのは女1人だけか
こういうのは余り好きじゃないな
コーヒーを飲むときは、誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃ駄目だ
独りで静かに豊かで…
と訳の分からないことを考えているとどうやら今回の話相手が来たらしい。
重い話ならば本を読みながらじゃ失礼だろうと思い、僕は本をしまい、今回の話相手に軽く頭を下げ挨拶した
61西野 明星 ◆D4v7sdR.7w :2009/11/20(金) 06:08:16 O
>>58
学園都市内で歩を進めている、1人と1人。2人、というには多少距離が離れている。
それも明星は野球部であるから。野球部というものはとても上下関係に厳しい。
先輩とすれ違う度に「おはざまーっす!」と挨拶しつつ頭を深々と下げなければいけないからであり。
野球部在籍者のうち大学部、高等部全員となるとかなりの数にのぼり、それは頻繁に行われる。
何も気にせずに普通に進んでいっている右神とはすぐに間が空いてしまう。
結果、距離が離れ、明星が小走りで追いつき、また離れ、また追いつき…を繰り返している。
…後はまぁ、明星が無意識にあの憧れの君を探しているのも、歩みに差が出る原因のひとつと言えるだろう。

しかし、離れてしまってもあの姿…というか、あのゴーグルは目立つ。すぐに追いつけるのはそのためだ。
明星はもう気にしていないが、おそらくはクラスメイトとかに変な目で見られてるんだろうなー、と思う。
最初見た時はそりゃギョッとしたし、はっきり言って本当にこの人に相談していいのか不安でもあった。
しかし実際にはしっかり話を聞いてくれたし、その上で明星に一つの道筋を示してくれた。
たとえそれが恋愛倶楽部としての仕事だからであっても、事実は揺るぎない。
今更、何を疑うものか。

…とは言うものの実際ちょっと疑ってるところもある。それはさっきのカフェでのことだ。
会計の時に、出した千円札。それはまさしく、最初に明星がふんだくられたチケット代から出ていた。
え?おかしくね?普通そういう売上というか収入はちゃんとしとくべきなんじゃないの?
何?経費?経費なの?この人明らかに自分が食べたいから食べてるようにしか見えなかったけど?
そもそもさっき舌打ちしたよね?払わせる気満々だったよね?やっぱり自腹なんじゃないの?あれ?あれぇえ?
そんな感じで、ほんのり、疑心も芽生えている。
『自分は騙されてるんじゃないのか』的な。

さて。恋愛倶楽部の運営部に近づくにつれ、文化部系の部室であるし、野球部の人とすれ違う機会も減る。
あまり離れることもなくなり、等間隔を保ちながら、これといった会話もなく、ついていく。
…やっぱり、疑問に思うことはある。気にはしないが、気にかかる。
こういうのには突っ込みを入れないのが大人のマナーとも言えるが、その辺り明星は空気が読めない。
「あ、あのっ」
歩は止めさせずに、声をかけて。意識をこちらに向けさせて。

目の付近を指さしながら、訊ねる。
「ずっと聞きたかったんすけど、どうしてそんなん付けてるんすか?」
とうとう言っちゃった!
62GM(まさみ→海斗) ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/20(金) 23:53:57 0
>>50
手を握られ、まさみの顔が一瞬で真っ赤になった。
(ど、どうしよう…手汗かいてないかな)
手を引かれ歩いている間、ドギマギしながらついそんな事ばかり気にしてしまうまさみだった。

そして到着した場所はデパートだった。
一人暮らしの買い出しによく利用しているらしい。
(一人暮らしなんだ、しっかりしてるんだなぁ)
と思いながらも、緊張して気の利いた台詞の返せないまさみ。

しかしデパートを歩くうちに、緊張も少しずつ解れてきた。
「あ、あれ美味しいんですよ〜」
「本屋も寄っていいですか?」
「あの服かわいい!」
「上杉サンに似合いそうですよ、あの帽子」
「おお、すげー!…ごほんごほん、すごいわ!ほほほ…」
徐々に素も出始めているようだ。

買い物も終わり。
デパートを出て、両手に買い物袋の海斗。まさみも小さな袋をひとつ提げている。
>「あ、ごめんねまさみちゃん…。なんか俺ばっか楽しんじゃって…。俺はまだ時間大丈夫だけど…どっか行きたい所ある?」
海斗に言われ、まさみは時計を見てハッとした。
「あ!実はちょっと付き合ってもらいたい場所があるんですケド」

荷物を一旦ロッカーに預け、身軽になってから出発。
小走りに近い速さで、学園都市の外れに向けて進む。
「上杉さんに見せたいものがあるんです!急がないと時間が…」

途中からもう普通に走り、辿り着いたその場所は、学園都市を一望できる丘だった。
「わぁ…」
上から見渡すと、都市が如何に景観を意識して作られたかが分かる。
道路から建築まで、直線と曲線をふんだんに使われた、機能性を一切度外視したような形式美。
しかし、それでいて実際に住んでいると機能的極まりないから恐れ入る。
視界のあちこちで蟻のような人々が歩き、ふざけあい、くつろぎ、
まるでそれが箱庭の中のような、現実世界でないような不思議な錯覚を覚える。

そして、その全てを沈み行く夕陽が包み込むように照らしていた。
建物の影と赤光の織り成す、あまりに鮮やかな色彩。
それは、5分でもズレていたら間違いなく見られなかったであろう絶妙のバランスだった。

「あ、えっと…」
思わず魅入っていたまさみは、ふと我に返った。
「ここ、疲れた時はたまに来る、お気に入りの場所なんです。綺麗でしょ?」
そう言いつつも、本当はただ恋愛倶楽部のゴールド会員誌に書いてあった場所で、
実際に来たのは始めてなのだった。
63右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/21(土) 02:35:41 0
>>61
運営室に向かうまでに、これといったイベントは発生し無かった。
明星は時々すれ違う、知り合いと思われる藍は知らない人々に挨拶していたようだが、
それは藍にはあまり関係無く、また友人のいない藍に話しかける人間などいる訳も無いので、
藍の主観からしてみれば、文字通りただ歩いて来ただけと言えるだろう。
(……そういえば、運営室で閲覧許可を取った後、私はどうしよう)
故に、藍は歩きながらそんな至って常識的かつ普通な事を考えていたのだが
……まるで、常識的な時間というものは希少品なのだとでもいう様に
運営室の直ぐ近くに来た時にそのイベントは発生した。

「あ、あのっ」
「ずっと聞きたかったんすけど、どうしてそんなん付けてるんすか?」

聞こえて来たのは背後。声の主は、西野明星という少年。
問うた内容は、右神藍が装着している暗視ゴーグルの理由について。
右神藍は、その質問の内容を認識した瞬間、一瞬身体を強張らせ

「…………趣味だから」

そう、今までのダウナーな口調とは違う、色の無い……いや、色を消した声で短く返事をしてから、
再び歩き出した。まるで、何事も無かったかの様に。明星の方を振り向く事無く。
無色のそこに存在していたのは、間違いなく強烈な拒絶の意思だった。

……明星の質問は、初対面の人間としてみれば当然の疑問だし、
聞いた理由は単純な興味からだったのだろう。
実際、学園内で暗視ゴーグル装着という姿の人間がいたら、その姿をとる理由に
興味を抱かない人間は、極めて少数派だと思われる。
かつて、藍と友人になろうと声をかけた奇特な少数の学生達も、全く同じ質問を口にしていた。
『どうしてそんな格好をしているのか』と。
だが、藍がそれにまともに答える事は無く、それらの人々が藍の友人に成り果てた事も無かった。
彼らは最後まで気付かなかったのだ。
自分がした質問は、ある一点を致命的なまでに勘違いをしていたという事に。

勿論、この件に関しては、今までの彼らにも、明星にも一切の非は無い。
理解されようとしない人間を理解できないのは、至極当然の事だからだ。
だから、藍は何も言わずそのまま歩き続ける――――
このままいけば、二人はもうじき恋愛倶楽部運営室に到着し、
藍は許可を取るべくそのドアをノックするだろう。
64西野 明星 ◆D4v7sdR.7w :2009/11/21(土) 15:52:55 O
>>63
空気が凍った。

「――っ」
思わず言葉を失う。

一応部活動では後輩として、人の感情の機微には敏感でいようと努めてはいるが…、
おそらくはどんなに鈍感な人物でも、この状況に置かれれば何かには気づくはずだ。
何気なく答えたような言葉の中に、その語り口と雰囲気には異なものがあった。
そこにあったのは、明確なrejection.

――地雷踏んだ。

今、ものすごい勢いでキョドってる明星がそこには居る。
(ど、どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど)
どうしよう。これは非常にまずい。
怒ってる。いや怒ってるとは限らないが、少なくとも不快に思っていることは確かだろう。
それこそ、修復が不可能なまでに。

データベースから顔写真を照会したとして、もし見つからなかったのなら先ほど言ってくれなかった
『もう一つの方法』を教えてもらわなければいけないし、
そうでなくともストーカー紛いであることをそんな何人にも相談したくはない。
結論として明星はほぼこの人に担当してもらうつもりだった以上、歪みがあるままではうまくはいかない。
それに――まだ出会ったばかりとはいえ明星はこの先輩には感謝しているし、
少なくとも、こんな状況のままでいいと思いたくはない。

とりあえず明星は何故この質問が悪かったのかを考えてみる。
とりあえず考え直してみたが表面的には何も悪いところはない。と思う。ふつーに聞いただけだ。
ということは、それについてはタブー、最初から触れてはならなかったというわけで。
そうなると、本人は付けたくて付けているわけではないってことなのだろう、と明星は考える。
つまりは――付けざるを得ない理由があったとしたら?
(目の病気、とか、かな)
まぁ少なくとも、本当に趣味というわけではないだろう。
判断材料が少なすぎる以上そこには推論しか生まれないが、明星はそう結論づけた。

つまりは明星がそれに対して質問をしたこと自体が間違っていたわけで。
対応策があるわけでもなければ、謝って済む問題でもないのだろう。
それでも――受けた恩はあるのだ。
それが仕事であろうと、そこには対価が発生していようともだ。
この恋がうまくいこうといくまいと、恩には報いが必要だ。

何も考えつかぬうちにもう運営室は目と鼻の先である。
このまま気まずい空気のままで終わってしまうのはいやだ。
でも、浮かばないものは浮かばない。

色々考えたのは何だったのか、結局は言葉面だけを受け取って絞り出す。
「そ、そっすかー。うん、確かにかっこいいっすもんね、何つーかその、こう、フォ、フォルムとか?…ははは、は…」
空気が読めないとしか言いようのないその発言では、そこには温度差しか生まれない。
当然それに気づかない明星でもないから、声のトーンはかなりの勢いでディミヌエンド。
挙句、居たたまれなくなって、吐いた言葉は。
「…ごめんなさい」
ダメだこいつ。
65海斗 ◆VYim6jM4h6 :2009/11/21(土) 17:41:12 O
>>62>「あ!実はちょっと付き合ってもらいたい場所があるんですケド」
荷物をロッカーに預け、急ぎ足で学園都市の外れへと向かう。
>「上杉さんに見せたいものがあるんです!急がないと時間が…」
「オッケー、走ろう!」
急いで走る二人、たどり着いた場所は学園を一望出来る丘。
「……すっげー。なんつーか……スゲーとしか言い様が無い…。」
丘から見える光景はまさに絶景。
その美しさを表現する言葉が、海斗には見付からなかった。
>「あ、えっと…」
>「ここ、疲れた時はたまに来る、お気に入りの場所なんです。綺麗でしょ?」
絶景に魅入っていた海斗にまさみが問い掛ける。
「…良い場所だね…。」
海斗は丘から学園都市を見下ろしたまま話し出した。
「……俺の親父さ、結構有名な会社の社長なんだ。いわゆるお偉いさん。
 俺がガキの頃から仕事で忙しくて、ロクに遊んでもらった事も無い。
 毎日勉強しろ勉強しろ言われて、俺はそんな両親に反発しまくった。
 この学園に入った時にボクシング部に誘われて、最初は嫌々入ったんだ。
 でも、ボクシングで成績残せば両親見返してやれんじゃないかって思って、死ぬ気で練習した。
 そして俺は国体でチャンピオンになった。日本で1番になったんだ。」
海斗はそこまで言うと、自虐的な笑みを浮かべる。
「……両親は俺を見直すどころか鼻で笑いやがったよ。殴り合いなんかで1番になってどうする?だって。言ってくれるよなぁ…人の気も知らないで…。」
海斗は目にうっすらと涙を浮かべていた。
それを誤魔化すように無理やり笑顔を作ってまさみに見せる。
「ごめん、何で俺いきなりこんな話したんだろ…。せっかく綺麗な景色なのにね。
 どうするまさみちゃん、時間も時間だし、どっかで夕飯でも食ってく?」
66GM(くるり→二次) ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/22(日) 02:53:47 0
>>56
接触香水攻撃に出たくるりだが、すぐに二次に引き離されてしまった。
(なに?)
一瞬戸惑うくるり。
完全に舐めてかかっていたオタク相手に、必勝の攻撃が通用しなかった。
それどころか、そのある種男らしい毅然とした態度に、
ほんの僅かな、聴力検査くらいの音量だが、くるりの胸の奥が鳴ってしまった。
キュンと。

(…ク、ククククク。中々面白いじゃねえか)
思わぬ反撃に、くるりの中の狼が牙を向く。
(恋愛倶楽部四天王であるこのアタシに『胸キュン返し』を仕掛けてくるたァな。
 侮っていた事は素直に認めよう。大したラブ戦闘力だ。
 いいだろう、ここからはちっとだけ本気を出してやろうじゃねえか)
意地でもこの男を篭絡する。
くるりの決意は固まった。

>「始めましょうぞ――某らの"恋愛相談"を……!!」
「ええ、始めましょう☆」
オタクとメイドがパソコンを挟んで向かい合う異様なテーブルを、
さらに異様な熱っぽい黒い闘気が包み込むのだった…!!

「あ、ウェイトレスさん、コクハティー一つ☆」
メイドがウェイトレスに注文するというおかしなイベントを発生させた後、
くるりは何枚かの資料を取り出し、テーブルに並べた。
「ええっとですねぇ〜…☆」
そのうちの一枚を取り、また椅子ごと二次に近付く。
しかし、今度はくっつく程ではない。くっつくと距離を離されてしまうからだ。

相手が精神的に距離を離したくなるパーソナルサークルを見切り、
そのギリギリのラインまで近付くラブ奥義のひとつ、『阿修羅恋空』!

そして資料を指差しながら説明する。
「くるり、ばかだから二次元の世界に行く方法とか、二次元の女の子を連れてくる方法とか、実は分かんないんですぅ…☆
 でも、それを果たせそうなモノの存在はいくつか知ってます☆
 たとえば見てください、ここ。学園が一望できる『小柳の丘』ってゆうんですケド」
67GM(くるり→二次) ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/22(日) 02:57:41 0
この資料の文字が、よく見ないと読みにくくよく見れば普通に読みやすい、絶妙な小ささ。
さらに写真は学園を見晴らす丘から撮られた非常に美しい一枚であり、
普段の学び舎やこのカフェテラスも見える。
どちらも思わず覗きこみたくなる代物だ。

話術と資料で、パーソナルサークル外から、
相手の方から無意識に距離を縮めさせてしまうラブ奥義。『無手・百鬼襲恋』!
『阿修羅恋空』からのコンボで、数多の男のパーソナルサークルを侵してきた、
くるりの常套技である。

「ここには龍の化身が眠っているって噂です☆ここで愛を誓い合ったカップルは、
 龍の魔力でどんなカップルでも必ず結ばれるって言われています☆
 これが本当によく効くって話で、動物との恋愛を果たした人もいるらしいんですよ☆
 ひょっとしたら二次元との恋愛でも叶えてくれるかもしれません☆
 あとはですねぇ…」
他にも、一ヶ月通えば魔力でどんな願いでも叶えてくれる『イチ・ロー地蔵』や、
異界への入り口があると言われる『テイルの滝』など、全部で十三もの資料を示した。

「どうです?一個一個は胡散臭いケド、全部試せばひとつくらい解決のヒントに繋がるかもしれませんよ☆
 もちろんくるりもご一緒いたします☆
 あと……、この学園に魔法使いがいるの、知ってます?」
くるりの表情が少し真剣味を帯びる。
今までのキャラ作りの仮面の上に、わずかに素が差したような。
「比喩とか超能力じゃなく、リアル魔法使い。迂闊に近付くと消されるって噂ですけど…
 その人なら、ひょっとしたら、何か重大なヒントをくれるかもしれません」
68GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/22(日) 03:02:33 0
金原さんは明日一日待って相手が来なかったらフォローします。

あとレスは一場面ずつ順番に書いているので、
待たせてしまう場合もあるかもしれませんがごめんなさい…
69名無しになりきれ:2009/11/22(日) 03:24:36 0
コクハティーww小柳の丘www糞ワロタww
やべえ同期の中では一番笑えるスレかもしれんww
70名無しになりきれ:2009/11/22(日) 13:09:33 O
パロディを全面に出してくるのは面白いな
71名無しになりきれ:2009/11/22(日) 18:58:09 0
オタがシグルイ絵で再生されて仕方がない
72GM(まさみ→海斗) ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/23(月) 01:13:24 0
>>65
「上杉サン」
まさみは海斗の手を取った。自らの両手でその手を包み込んだ。
「…大きな手です。分厚くて、強くて、一生懸命鍛えた手」
愛しそうに撫で、そしてまさみは海斗の目を見詰める。
「私が認めます。ご両親の分まで。私がこの手を、ボクシングを頑張ってる上杉サンを認めます。
じゃあ、全然足りないかもしれないけど。でも、認めます。…あれ、私、なんで泣いてるんだろ」
ごしごしと目を拭い、まさみは笑顔を見せる。
「…ご飯、食べて行きましょっか」
上杉サンの家で、と言いかけてやめた。
何となく、今すぐに結論を出すのは勿体無い気がしたのだ。
しばらくはこのままで、ゆっくり時間を掛けて―――
「――え!?」
その瞬間、まさみは絶句した。

丘の下から、ぬるりと這いずるように何かが上まで上がってきたのだ。

5メートルはあるであろう、太くて長い蛇のような体。
青い体には硬そうな鱗がびっしりと生えており、顔付きは鰐に似ている。
側頭部には鹿の様な二本の角。首周りには豊かな鬣が生えている。
学園都市広しとはいえ、こんな生き物は見た事がない!!

「ギャガアアアアアアア!!」
怪物はこちらを見据え、甲高い声で吼えた。明らかに友好的ではない。
「ひ、ひぃ!な、何こいつ!?」
まさみは思わず海斗の腕に縋る。

怪物はこちらの逃げ道を塞ぐような形で構えており、逃げるにしても一工夫が必要そうだ。
よく見ると弱っているようにも見え、戦えなくもないかもしれない。
だが、果たして本当にこちらに害を為す存在なのか?警戒を解けば穏便にコトが済むかもしれない。

何にしろ、選択を誤れば。
鍛え抜いた海斗はともかく、まさみは無事では済まない―――!!
73右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/23(月) 01:26:01 0
>>64
「……いい。そもそも、貴方に謝られる理由が無い」

――――だから、詮索しないで欲しい

いたたまれない様子の明星が出した謝罪の言葉に対する藍の返事は、
どうしようもないまでに厚い壁を感じさせるものであり、至ってそっけないものだった。
しかし、その言葉の響きこそ冷たげなものの、雰囲気は先程までの……つまり、いつも通りの
ダウナーな調子に戻っている事から、既に、先程明星個人に対して放った拒絶の意思表示は
内在していない事が判る。

……実は、今の出来事は、明星が思っている程に
彼と右神藍という少女の心の間に溝を作った訳では無かったのだ。

何故なら、元々が、どうしようもないまでに接触すらしていないのだから。

要するに藍は、自分の触れられたくない部分にうっかり
近づきかけてしまった明星に、本能的に警鐘を鳴らしただけだったのである。
それが、先の色を消した反応。その警鐘に気付いて以降近づこうとしなければ、特に問題にしない。
だから、ずっと他人のままの立ち位置でいろ。
それは、右神藍が他人に求めている関係の全てでもあった。

ああ、なんと自分勝手で嫌な少女だろう。

そして、そんな藍の態度に対する明星の反応を遮る様に、
二人はとうとう恋愛倶楽部運営室に到着し――――藍の手で、その扉は開かれた。

「……ようこそ。恋愛倶楽部運営室へ。面倒臭いけど、ここが貴方の勝負の場になる」

そう言うと藍は、面倒ごとをさっさとすまそうとでも言う様に、明星をその場に
置いたまま、担当者に登録者の顔のデータを閲覧する許可を取りに歩きだした。
74GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/23(月) 01:29:40 0
選択肢登場です。
逃げるか、戦うか、懐柔するか。
3択のうち1つは、選んでしまうとまさみルートが即バッドエンドになります。

ヒントは、「3択のうちのどれか1つがハズレである」という事実。
つまり……?
75二次元 ◆kKd5XVSGYw :2009/11/23(月) 03:11:52 0
「ええっとですねぇ〜…☆」

愛ヶ浜が恋愛倶楽部謹製と思しき資料を開きながら、しかし絶妙な距離感で述懐する。
二次はジューシーソテーを何故か銃剣の形をしたナイフで切り分け口に運びながら、それを覗き込む。

「くるり、ばかだから二次元の世界に行く方法とか、二次元の女の子を連れてくる方法とか、実は分かんないんですぅ…☆
 でも、それを果たせそうなモノの存在はいくつか知ってます☆たとえば見てください、ここ。学園が一望できる『小柳の丘』ってゆうんですケド」

指差された箇所を見る為に気付けば必要以上に愛ヶ浜へと近づいていることに気付く。
吐息が聞こえるほどに。脳髄を叩くフレグランスの香りがいっそう強くなり、妙な酩酊感とともに漏れた思考は感嘆だった。

(これは――!なるほど、既に篭絡は開始されていると申すか。迂闊で御座った……!!)

誘い込まれたのだ。己の心理領域から外へ。そこはもう彼女のテリトリー。愛ヶ浜紅瑠璃の制空権。
げに恐ろしきは手練手管。相対者の無意識を不可視の手で支配し、確実に自分へと傾ける技巧。
二次元以外にときめかないと認識していた心臓が、どくりと大きく拍動した。

(認識を改め申そう――愛ヶ浜、紅瑠璃……我が全童貞力を以ってお相手仕る――!)

「ここには龍の化身が眠っているって噂です☆ここで愛を誓い合ったカップルは、
 龍の魔力でどんなカップルでも必ず結ばれるって言われています☆これが本当によく効くって話で、動物との恋愛を果たした人もいるらしいんですよ☆
 ひょっとしたら二次元との恋愛でも叶えてくれるかもしれません☆あとはですねぇ…」

「動物との恋愛……獣姦に御座るか。確かにそれは難易度的にも二次元と優劣なし。期待でき申すな」

他にも全てで13ある名所・珍所を紹介され、その全てを記憶していく。
こんな格好で登場したわりに、恋愛相談自体は真摯にのってくれるようだ。

ますます目的が見えなくなる。

「どうです?一個一個は胡散臭いケド、全部試せばひとつくらい解決のヒントに繋がるかもしれませんよ☆
 もちろんくるりもご一緒いたします☆あと……、この学園に魔法使いがいるの、知ってます?」

「ほほう、魔法使いと申されたか」

先程までの春風駘蕩とした態度に若干の異変。形の良い目鼻に差した陰りは、垣間見えた愛ヶ浜の本質なのかもしれなかった。

「比喩とか超能力じゃなく、リアル魔法使い。迂闊に近付くと消されるって噂ですけど…
  その人なら、ひょっとしたら、何か重大なヒントをくれるかもしれません」

超能力を有する二次にとって、超常異能の類はさしたる驚きに対象ではない。
しかし、それにしても魔法使いとは些か荒唐無稽に過ぎる。30歳まで童貞を守りきるとクラスチェンジできるというアレだろうか?

何れにせよせっかく進展への足がかりがあるのだ。試してみない選択肢などありはしない。

「それではくるり女史、まずはその『小柳の丘』とやらへ参りましょうぞ」

ガチムチサンドをテイクアウト処理してもらい、二次はテーブルから起立した。
ラップトップ型のPCを畳み、リュックサックの中に丁寧にしまう。

無論奢るつもりなどないので、伝票は自分のものだけをとる。
そうしてもう片方の手を、愛ヶ浜へと差しのべた。
76海斗 ◆VYim6jM4h6 :2009/11/23(月) 18:47:41 O
>>72>>74まさみは海斗の手を両手で優しく包み込む。
>「…大きな手です。分厚くて、強くて、一生懸命鍛えた手」
>「私が認めます。ご両親の分まで。私がこの手を、ボクシングを頑張ってる上杉サンを認めます。
じゃあ、全然足りないかもしれないけど。でも、認めます。…あれ、私、なんで泣いてるんだろ」
「まさみちゃん…」
まさみの目には涙が浮かんでいた。
だがすぐに目を拭うと笑顔を見せる。
>「…ご飯、食べて行きましょっか」
「うん……それじゃあ俺…」
>「――え!?」
自分の家に呼ぼうとした瞬間、まさみが絶句した。
その声に驚き、まさみと同じ方向を見るとそこには―――
>「ギャガアアアアアアア!!」
明らかに普通の動物ではない…言うなれば合成獣の類いの生き物が丘の下から這いずりながら上がってきた。
>「ひ、ひぃ!な、何こいつ!?」
まさみは海斗の腕に縋る。
その怪物は逃げ道を塞ぐように構えている為、容易には逃げられそうにない。
あの声を聞く限り、友好的とも考えられない。
かと言って、あの怪物と闘って勝てるのか…?
若干弱っているように見えなくもないが、それでも十分強そうに見える。
「……コイツはどうにも…参ったねぇ。まさか人間以外を相手にする事になるとは…」
どうやら海斗は闘う事を選んだらしい。
「まさみちゃん、俺が奴に攻撃を仕掛けると同時に全力で逃げて。大丈夫、俺は日本一のボクサーだ。
 そう簡単に殺られやしない。
それに、まさみちゃんが逃げたら俺もすぐに逃げるからさ。」
この状況でもなお、海斗はまさみに笑顔を見せた。
「さて、準備は良い?」
海斗はゆっくりと怪物に近付いて行く。
(―――今だっ!!)
間合いに入った瞬間、海斗は怪物の顔を思い切り蹴り上げる。「走れっ!まさみちゃん!!」
海斗は叫ぶと同時に蹴り上がった怪物の顎に、渾身の右アッパーを浴びせた。
二つの攻撃は綺麗に決まったが、果たして怪物にダメージはあるのだろうか?
77西野 明星 ◆D4v7sdR.7w :2009/11/23(月) 20:28:24 O
>>73

端的に言うと、手持ち無沙汰というか。
何もすることがないらしい。

とにもかくにもさきほど慌てふためいていたことは杞憂だったらしい、と明星は安心していた。
てっきりそれ以降無視されるものだと思っていたが、まだ最初に喫茶店で喋った時のような距離感が残っていたのだから。
要は普通に話しかけることができるぐらいの関係が保てていればそれで十分。
それ未満となると困るが、それ以上を求めるつもりもこれっぽっちもない。
所詮は、期間限定の間柄だ。

ということで現在。特に滞りなく運営室にたどり着き、招かれるがままに中に入り、そこで明星の行動は終わった。
そもそもがそれほど気の強くない明星である。指示がない限り動き回ったりなどするはずもない。
結果右神が許可をとりにいっている間、明星はただ出入口の脇で待っていることしか出来ないのだから。
そして、冒頭へ繋がる。

『あの』恋愛倶楽部の運営室だ。実際明星だって興味は尽きないし、最初は物珍しそうに見回したりした。
しかしやはり大事な機密があったりする可能性を考えると、そんなことは出来ないとすぐとりやめる。
明星はクライアントだ。やはりこちらが下に出ておくべきだし、分もわきまえておくべきだ。
結局出来るだけ周りは見ないようにと下を向いている。
そしてやっぱりちょっと緊張する。忙しなく出入りする運営部の人間が『何こいつ』みたいな視線を投げかける。
肩身が狭い。

とりあえず素数を数えてみる。なんかどっかのマンガに素数を数えると気持ちが落ち着くって書いてあったから。
出来るだけ、小さな声で。
「1,2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31…」
1は素数じゃないんだけどな。
78阿部定和 ◆R6bM.BHzTk :2009/11/23(月) 22:46:07 0
最近、食堂で俺の隣に妙に男子生徒が座っている。
気のせいか、と思ったがお昼時になるといつもそうだ。
しかも上半身タンクトップの男子が俺の隣に、


「まずい  掘られる」


俺は危機を感じ恋愛倶楽部の門を叩いた。
このままでは俺の初体験は掘られまくられる地獄となる。
速めに初体験を済ませたいのだ、俺は。

79GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/23(月) 23:15:32 0
>>78
>>57>>59>>60をご参照のほどを。



なお、水曜まで書き込み頻度がちょい落ちます。
申し訳ないんですがご了承をば…
80阿部定和 ◆R6bM.BHzTk :2009/11/23(月) 23:32:27 0
それから会員になって数週間。何も起こらなかった。
何故だ。僕は自分の一物を見つめ、何だか虚しい気持ちになった。
そんな時、携帯の着信がなる。
「メールだ。1週間ぶりだな。前は妹からのメールだった。」

久々のメールを開き一文。
『あなたが潜在的に求めている相手を呼び出しました!』

「これは 、 来たな 」

俺は小刻みに腰を振りながら前傾姿勢のままカフェへと進みだした。
どんな可愛い子だろう。俺はワクワクしながらカフェにやって来た。
しかし、近くにいたのは男・男・男。
「まずい、このままでは俺は・・・」
絶望にも近い感情を抱きながら俺は席に座った。
81右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/24(火) 23:07:05 O
【資料の閲覧許可みたいに、恋愛倶楽部に関わる行動はGMに許可を貰った方がいいですよね……?】
82GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/25(水) 00:13:06 0
いえ、自由にやってもらってOKですよ。
問題がありそうな部分に触れたらこっちで後から調整するので。


あとやっぱり書けるのは明日以降になりそうです、申し訳ない…
83右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/25(水) 21:20:55 0
>>77
閲覧許可の申請は、藍が驚く程手早く済んだ。
それは、普段させられていた雑務の手続きから考えると驚く程に早く、
(……それはやっぱり、あの部長が直々に出した命令だから)
故に、藍がそう予測を立てる事は必然だった。
この小さな事実は、山田中山という男が恋愛倶楽部という一個の組織において、
相当な権限を、たった一人で掌握しているということを示しているのだろう。
その事実に対し、藍は
(……はぁ。つまり、本当はこれだけ早く仕事が出来るのに、
 私は今まで面倒臭い手続きを取らされてた……不愉快。実に)
割とダメ人間的な理由で少し憤った。


見慣れてはいるのだが、それでもその容姿を理由から藍を
チラチラと見ざるを得ない他の運営部の人間を気に留める事無く、
藍は待たせていた明星の位置に戻った。
すると、明星は出入り口の脇で立ったまま、何やら数字を呟いていた。
本人は気付いていないのかもしれないが、一人で数字を呟いてる姿は割と怪しい。

「……流石にそれは引く」
なので、藍はとりあえず思った事を口にしてみる。
どうやら、この娘に思いやりとかいう思考は今のところ存在しないらしい。
あと、怪しいレベルでいったら藍のほうが2ランク程上なのだが……そういう都合の悪そうな事も
考えないらしい。
ともかく、一拍置いてから明星を、彼の立っていた場所から少し奥にある
少し立派な椅子とテーブルの所まで誘導し、自身も、机を挟んで明星の真向かいの
椅子に腰掛けると、藍は受理された申請の結果を話し出した。

「……閲覧許可は取れたから、早速PCを使って見るといい。
 面倒臭いけど、原則運営委員が見てない所での閲覧は禁止らしいから、
 始めるなら早くした方がいい。私は、長々と待たない。面倒臭いから」

藍は簡単にそう言った後、テーブルの下の収納部からノートPCを一つ取り出し、明星に渡す。
そしてそのままテーブルにに備え付けてあったお茶請けの和菓子をまぐまぐと食べ始めた。
恐らくは、ある程度の時刻になるまでは藍は明星を待ってくれるだろう。

何日かかるかは解らない。数分で見つかるかもしれないし、
時間をかけて全ての資料を見ても結局見つからないかもしれない。
だが、ともかく明星の先輩探しへのお膳立てはした。ここから先は明星の気合しだいである。

>>82 了解です。あ。あと、私は介入とか全然気にしないので、
 もしGMが右神藍にやりたい事が出来たら、どんどん介入して
 やってくださって構いません。レス多くて大変そうですが、頑張ってくださいね】
84GM(くるり→二次) ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/26(木) 01:12:33 0
>>75
(ケケケケケ!喰い付きやがったな)
くるりは内心で奇声を上げて笑った。
13ヶ所の恋愛まじない名所巡り。全部完遂しようと思えば1日2日では終わらない。
1ヶ月通い詰めて初めて願いが叶うと云われるイチ・ロー地蔵を始め、
時間の掛かるイベントが複数あるからだ。
まともにやれば最速でも軽く2ヶ月は掛かるだろう。

確約された2ヶ月間のデート。
108のラブ奥義を持つくるりにとって、男一人を篭絡するには十分過ぎる時間だった。

>「それではくるり女史、まずはその『小柳の丘』とやらへ参りましょうぞ」
「ええ、お供いたしますわ、ご主人様☆」
勝った――!
余裕と共に差し出された手に触れたとき。

トキュン

(ば、馬鹿な)
くるりは驚愕した。百戦錬磨の自分が、ただ手を繋いだ程度でときめいてしまうなど。
(最初のあの胸キュン(>>66)が、予想以上に効いていたというのか――ッ!?)
完全に油断していた。どうやら、一筋縄ではいかない戦いになりそうだ。


しかし本当に一筋縄ではいかない事態はこれから発生することとなるのだった。



小柳の丘。
丘に現れた怪物を、少し遠くからくるりは呆然と見詰めていた。
「ば、馬鹿な」
先ほど心の中で思った台詞を、くるりは思わず口に出して呟いてしまう。

「小柳の丘の神龍、マジで実体化しやがったよ、山田中山。
 だが、これは――こんなのは、ただの化け物じゃねえか。
 山田中山、てめえの言ってた話とだいぶ食い違ってねえか……?」

しかし、呆然としている暇もなかった。神龍は突然こちらに向かってきたのだ。
くるりはすかさず二次の後ろに隠れる。
「こ、こっち来たぞ!なんとかしろよテメェ!
 何ともできねえならせめて餌になってアタシが逃げる時間を稼げ!喰われろ」
予想だにしない危機的状況に、もう完全に素になっていた。
85GM(まさみ→海斗) ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/26(木) 01:15:52 0
>>76
現れた怪物相手に、戦う事を選択した海斗。
まさみに逃げるように告げ、怪物にじりじりと近付いていく。
間合いに入った途端、繰り出される蹴り、そしてアッパーカット。
>「走れっ!まさみちゃん!!」
「は、はい!」
海斗の掛け声とともに、まさみは走り出す。

「ギャグゥ!」
攻撃を仕掛けられた怪物は、少し吹き飛んでダウンした。
が、すぐにシュルシュルと起き上がり、体勢を立て直す。
手応えが、見た目の大きさよりは遥かに軽い。それでも重いは重いが、精々重量級の選手程度。
動きの速さも対応できないレベルではない。
弱っている以前に、イメージほど強くないようだ。
もちろん、それはボクシング国体チャンピオンの海斗のレベルで初めて下せる評価だが。

重ね重ね言うが、国体チャンピオンレベルで初めて「見た目よりは弱い」などと言える。
「でやああああっ!」
間違っても、喧嘩っ早いだけの女子高生が素手で立ち向かえるシロモノではない。
走り出し逃げるはずだったまさみが、そのまま怪物に飛びつくようなタックルを仕掛けたのだ。
予期せぬ不意打ちに、そのまま組み伏せられる怪物。
「今です、上杉サン!今のうちに逃……きゃあ!」
だが、やはり力の差がありすぎる。
化け物はあっさりとまさみを振りほどき、尾で弾き飛ばした。
そして、まさみはその勢いで。
地面を離れ、丘の上から眼下の街並みへと――――!
「きゃああああああああっ!」

化け物はというと、そのまま海斗の前から回れ右をして退散しようとしている。
一応、追い払う事には成功したようだ。
86GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/26(木) 01:35:52 0
>>83
了解です、そろそろそちらにもテコ入れするかも。


なお、微妙にミステリーやバトルが入っていますが、
それらは話の背景やスパイスであり、本質はあくまでラブコメないし純愛物です。
こちらからは話を節操なくブンブン振り回しますが、そこをブレさせるつもりはありません。
87二次元 ◆kKd5XVSGYw :2009/11/28(土) 00:11:23 0
「こ、これは……!」

魔法使い云々で半信半疑になっていた自分を恥じねばならない。
そこにいたのは、魔法使いより荒唐無稽で、魔法使いより凶暴異形の生物だった。

「小柳の丘の神龍、マジで実体化しやがったよ、山田中山。だが、これは――こんなのは、ただの化け物じゃねえか。
 山田中山、てめえの言ってた話とだいぶ食い違ってねえか……?」

不意に聴こえた低い声は、愛ヶ浜のものだった。彼女もこの事態は想定外だったらしく、メッキが完全に剥がれている。
先客と思しきアベックの男に殴られたのが効いたのか、化物はこちらへと向かってくる。愛ヶ浜がますます必死になる。

「こ、こっち来たぞ!なんとかしろよテメェ!
 何ともできねえならせめて餌になってアタシが逃げる時間を稼げ!喰われろ!」

「っふ、やっと"中身"が見え申したなくるり殿。その鬱陶しい外面を取り払ったのは大いに結構」

二次はというと、悠長に構えていた。化物のほうを見てすらいない。

「三次元の女人を護る道理などあり申さぬ。だが――"人"を助けるのに理由は要りますまい」

リュックサックに突き刺さっていた円筒状の物体に手をかける。学園都市製エロゲ『ヘビィファンタジー』、
その予約特典のポスターだった。丸めたまま押し込まれた紙片は密度、強度共に手頃な鈍器である。

勿論これによる殴打が異形相手に通用するとは思っていない。だが、アベック(男)のパンチが効いたのも事実。
ならば弱点を効果的に攻めたならば見えるのは勝機!

「学園はバトルをする所に御座らぬ――失せよ魔性の怪異竜!!」

ポスターの筒口を口元に添える。そのまま大きく息を吸い込むと、アニソンカラオケで鍛えた肺活量を以ってポスターの中へ吹き込んだ。
圧縮された暴風吐息は筒状のポスターの中である結果を生む。すなわち空気圧による内容物の射出。

吹き矢である。

ポスター吹き矢に装填されていたのは金属製のボールペン。それなりの重量をもつそれは、先端の鋭さも相まって甚大な威力を秘める。
ベニヤ板を貫通する即席の矢は、狙いあやまたず化物の右目へと飛来する!
88海斗 ◆VYim6jM4h6 :2009/11/28(土) 08:42:18 O
>>85>「ギャグゥ!」
海斗の攻撃を受けた怪物は少し吹き飛んでダウンするが、すぐに起き上がる。
(見た目より軽いな…。しかしすぐに起き上がるとは…人間なら暫く入院するレベルのダメージなんだけど。)
海斗は確信した、これならいける、と。
攻撃を素直に受けたところを見ると、反応速度がさほど良いわけでもない。
体重差も予想していたより無かった。
(ここは一気に纏めに…)
>「でやああああっ!」
一気に纏めにかかろうとしていた海斗に、予想だにしない事態が…。
まさみが怪物に飛び付くようにタックルを仕掛けたのだ。
>「今です、上杉サン!今のうちに逃……きゃあ!」
>「きゃああああああああっ!」
「まさみちゃん!!?」
怪物はまさみを尾であっさりと弾き飛ばす。
まさみはそのままの勢いで丘の上から落ちてしまった。
海斗は急いでまさみの安否を確認するため丘の上から見下ろそうとするが…恐くて見下ろす事が出来なかった。
「…俺の……俺のせいだ…。」
俯きながら呟く海斗の頬には涙が。
怪物の様子を確認しようと振り返れば、回れ右して退散しようとしているところだった。
>>84>>87怪物が向かう先には2人の男女の姿があった。
「……。」
海斗は俯きながらゆっくりと男女と怪物の方へ歩き出した。
89西野 明星 ◆D4v7sdR.7w :2009/11/28(土) 12:00:58 O
>>83
食い入るようにPCの画面を見つめる明星がそこには居る。
画面にあるのはデータ化された膨大な恋愛倶楽部構成員の資料。
プロテクトがかかっているのだろう、最低限の情報しか載っていない。分かるのは名前と、所属と、顔写真。
しかし名前も所属も今の明星には必要ない。自分の脳にあるかの人物の情報は、その姿しかないのだから。

家庭環境からか、この時代にあってもPCに免疫があまりない明星は、
借り受けたPCを起動するのに手間取り、また資料を見るのに少し時間がかかったりしたが、
これといって手を借りることなく、先ほどから資料を見る瞳をそらすことはない。
単純な作業。数は膨大。さらにはそこに探している人物がいるとは限らない。気が遠くなりそうだが。
明星は、毎日毎日あの野球部の苦しい練習に耐えているのだ。まだ体も出来ていないのに、高等部の練習にまで参加している。
それに比べれば、これぐらいの苦労。苦労のうちに入らない。

最初は多少手間取っていたが、一度慣れてしまえば1人あたり1秒だ。
脳内にあるイメージと目の前の顔写真と重ね合わせ、合否を判定するのにかかる時間は。
目の前の資料は顔写真、正面の首から上だけだ。たったそれだけでも、判断材料はいくらでも存在する。
あの髪、あの輪郭、あの顔、あの額、あの蟀谷、あの眉、あの瞼、あの睫、あの瞳、
あの目尻、あの鼻、あの頬、あの唇、あの耳、あの顎、あの首、あの人を形作るもの。
――全てが、鮮明に思い出せるから。
地の文で言ってしまうのも気が引けるが、これは非常にキモい。

ともかく明星は本当にちゃんと見ているのか訝しんでしまいそうなほどの猛スピード。
待たせている、というのが本人に少し重荷になっているらしい。あまり迷惑はかけられない。
しかし急ぎすぎて見逃してしまったりしたら本末転倒だ。真剣に画面を見つめるのは怠らない。

これも違う、これも違う、これも違う。
焦りが、少しずつ大きくなってくる。
果たして、想い人は見つかるのだろうか――。

※DIVERGENCE・秒数check※
Even→見つかる
Odd→見つからない
90西野 明星 ◆D4v7sdR.7w :2009/11/28(土) 12:02:30 O
「あったぁーーー!」
素っ頓狂な声が響く。その室内で違う作業をしていた運営の面々も、何事かと明星を注目する。
しかしそんなことは明星は一切関係がない。明星の頭の中には喜びがグルグル回っている。
PCとにらめっこを始めて小一時間。予想より早く、探し人は見つかった。
「いた、いたいたいたいたいたこの人です!この人っすよ、この人!」
とりあえず右神にも見せておく。もしかしたら知り合いなのかもしれないし。
名前と所属をメモする。これで、いつでも会いに行けるようにはなった。

一呼吸。

「…でも、これからどうすればいいんすかねぇ」
ここでは省略するが、さっきから妙なテンションが続いていた。仕方ないといえば仕方ないが。
そのテンションが落ち着いたところで、明星は口を開く。

はっきり言って、見つかったからといって何がどうなる訳でもない。未だスタートラインにすら立っていない。
会いに行ける。会いに行けるが、会いに行ったからどうなるというのだ。それ以上は、何もない。
だから、判断を仰ぐ。
こっちは金を払って依頼しているのだ、最後まで面倒みてもらおう。
まさか『相手は見つけた、はい終わり』なんて、シケた真似はしないだろう?
名前:マイコン
性別:男
年齢:18歳
身長:175
体重:55
容姿の特徴:色黒、天然パーマ、赤いジャケット

性格:陽気
趣味:編み物、愛犬オスカルの世話
特技:ダンス
装備頭:天然パーマ
装備上半身:赤いジャケット
装備下半身:赤いパンツ
装備足:安物のスニーカー
好きな異性のタイプ:きつめの女の子(性格が)

(宜しくお願いします)
92GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/11/29(日) 00:13:30 0
>>91
ごめんなさい、そのままでは参加許可は出せません。
スレを一読して、必要と思われるようにテンプレを改修してください。
是非改修ポイントを見付けて再チャレンジしてくださいね。


>海斗さん
ちなみにバッドエンドは回避してます。
ここからが本当のスタート。


次の本レスで、ストーリーの根っこの部分を大体明かします。
ちょっと最近体調を崩し気味で、今日中には書けないかもです…。
93名無しになりきれ:2009/11/29(日) 00:14:38 0
>>92
お疲れさん。ゆっくり頑張ってくれ
94海斗 ◆VYim6jM4h6 :2009/11/29(日) 21:52:18 O
>>92
【良かったー。正直BADエンドかと思ってましたw
 無理をなさらず自分のペースで書いて下さい。】
95右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/11/30(月) 00:04:11 0
>>90
あまりのする事の無さに、藍がもはや寝始めていたその時

「あったぁーーー!」
「!!?」

突如として、そんな声が運営室の室内に響いた。
その声にビクリと反応し起き上がった藍が、反射的に口元を袖で拭いつつ、
きょろきょろと周囲を見渡すと、そこには喜色満面で、その想い人の姿を見せる
明星の姿があった。

「いた、いたいたいたいたいたこの人です!この人っすよ、この人!」

言われて藍が暗視ゴーグルごしに覗き込んだ画面に映っていたのは一人の少女。
(確かに、美人……けど、どこかで見た気がする)
そして、その顔を藍はどこかで見た事がある気がするのだが……
人の容姿に対する記憶力が弱い藍にはどうしても思い出せなかった。

「……おめでとう。早く見つかって私も嬉しい。主に勤労時間的な意味で」
なので、とりあえずは思考を放棄し、そう言っておく事にした。

それから僅かに時間が経過し、明星のテンションがやや落ち着いた頃、
明星は藍に尋ねて来た。
「…でも、これからどうすればいいんすかねぇ」
よく考えてみれば、この状況は未だスタートラインに立ったに過ぎないのだ。
普通は、相手が特定されているという事など前提条件に過ぎない。
その上で、情報や場所を武器に依頼者の恋愛を成就させてこその恋愛倶楽部。

なので藍という少女も、面倒臭いと思いながらも仕事は丁寧に遂行する。
このアドバイスは、明星の恋愛が成立するか否かの、運営委員としての
力量を問われる最初の一歩なのだ!!

「それじゃあ……告白すればいい」

それは実に素晴らしいアドバイスで……って、あれ?

「その場所の近くまで付き添って、私は見てる。
 早速、告白しに行くべき」

真顔で言い切る藍
……思えば、他人との接触を好まない上に、そもそも恋愛感情を
理解出来ていない藍に、恋愛の緊張感とか恐れとか甘酸っぱさとか、
そういった物を鑑みた上手いアドバイスなど出来る筈も無かった。
96GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/12/01(火) 23:36:49 0
「はあああ!?」
くるりのぽかんと開いた口から、驚嘆の音が漏れる。
二次は丸めたポスターを口に当て、何をするかと思えば弾丸の如き勢いでペンを吹き出したのだ。
「ギャアアアア!」
ペンは猛烈な勢いで怪物の右目に突き刺さった。
のたうち回る怪物を見て、くるりはハッと我に返る。
「グロオタ!アレを殺せ!逃がすんじゃねえ!」
くるりが二次に怒鳴るのと、怪物が淡い光に包まれるのはほとんど同時だった。
怪物はそのまま光の中にかき消えていく。
そして、完全にその姿を無くすと、光も消えた。
「逃げられたか!図ゥ体の割に逃げんなは早ええな糞がッ!」
くるりが舌打ちし、一瞬の静寂が流れる。
そしてようやく、くるりは素に戻っていた自分に気付いた。
「あ……えーと」
くるりは二次に振り返り、自分のほっぺに指をあてて可愛らしく笑んだ。
「あはっ☆ご主人様強いんですね、カッコ良かったです〜☆助けていただいてありがとうございました☆」
もはや胡散臭いだけである。

そこに海斗がとぼとぼと歩いてくる。
くるりは少し着衣を整え、咳払いをして彼を迎えた。
「高等部二年の…上杉海斗君ですね?私は大学部一年、愛ヶ浜くるりと言います。
 勝浦まさみちゃんから、よく貴方のお話は聞いていました」
私はあの子の担当でしたからね、とくるりは言う。
「先ほど彼女が崖から落ちたのは見ました。龍にやられたようですね。
 貴方にはご愁傷様でした…としか掛ける言葉がありません。
 何せ、今後貴方は彼女からメールを受ける事も、彼女の声を聞く事も、彼女と手を取り合って歩くことも、
 彼女の唇に触れる事も、彼女の存在を感じる事も、一切なくなってしまうのですから――」
くるりは一拍溜めて、次の言葉を言った。

「――しばらくの間は」

くるりは踵を返し、すたすたと歩き出した。
「上杉君。まさみちゃんは姿を消しただけで、まだ生きています。ですが、助け出すには貴方の力が必要です。
 こうなってしまった以上は説明しなければなりませんが、詳しくは明日お話します。
 明日の放課後、ファミリーレストラン『ダクヒナ』まで来てください。
 ご主人様ももちろん来てくださいね☆」

一人帰途につくくるり。その最中、何故無関係の二次にまで翌日来るように言ったのか、
自分でも分からないまま、ずっと考えていたのだった…。
97GM ◆A4jsQTgi.Q :2009/12/01(火) 23:40:14 0
遅くなってごめんなさい。
中々書く時間がないため話を翌日に持ち越しました。
小柳組は一旦インターバルを挟んで、積もる話は放課後ということで。
98二次元 ◆kKd5XVSGYw :2009/12/01(火) 23:54:49 0
把握申し上げる
99海斗 ◆VYim6jM4h6 :2009/12/02(水) 18:34:53 O
>>96>「高等部二年の…上杉海斗君ですね?私は大学部一年、愛ヶ浜くるりと言います。
いつもなら真っ先に興味を示す女好きの海斗だが…彼女が誰であろうがどうでも良かった。
自分のせいでまなみが…それだけで頭の中が一杯だった。
二人の事を無視して通り過ぎようかと思ったその時、くるりの口から予想外の言葉が発せられる。
>勝浦まさみちゃんから、よく貴方のお話は聞いていました」>私はあの子の担当でしたからね、とくるりは言う。
「担…当…?……なるほど…倶楽部の人間か…。」
海斗は俯いたままボソッと呟く。
>「先ほど彼女が崖から落ちたのは見ました。龍にやられたようですね。
 貴方にはご愁傷様でした…としか掛ける言葉がありません。「やめろ…」

>何せ、今後貴方は彼女からメールを受ける事も、彼女の声を聞く事も、彼女と手を取り合って歩くことも、
 彼女の唇に触れる事も、彼女の存在を感じる事も、一切なくなってしまうのですから――」「やめろって言ってんだろ!!アンタ達には他人事かもしんねぇけどなぁ、俺はっ―――」
>「――しばらくの間は」
ここでまた予想外の言葉が…。
だが、この予想外の言葉は海斗に希望を与える。
「えっ…しばらくって…まさかっ!?」
この疑問を口にした時には既に海斗の目に光が戻っていた。
>「上杉君。まさみちゃんは姿を消しただけで、まだ生きています。ですが、助け出すには貴方の力が必要です。
 こうなってしまった以上は説明しなければなりませんが、詳しくは明日お話します。
 明日の放課後、ファミリーレストラン『ダクヒナ』まで来てください。
 ご主人様ももちろん来てくださいね☆」
「生…きてる…?まさみちゃんが…本当だな?もし俺の力で助け出せるってんなら何でもするよ、俺!
 そんじゃ、明日の放課後なっ!」
海斗は二人に別れを告げた。
100海斗 ◆VYim6jM4h6 :2009/12/02(水) 18:36:20 O
次の日の放課後、ファミリーレストラン『ダクヒナ』の入口には両手にバンテージを巻いた海斗の姿が。
ボクシング部に入って初めて部活を休んだ。
授業が終わると同時にバンテージを猛スピードで巻き、全力ダッシュで『ダクヒナ』まで来たのだ。
「何だか…妙に緊張するな…。試合でもこんな緊張しないってのに…。」
海斗は少し躊躇いつつ、店の中に入って行った。
101名無しになりきれ:2009/12/02(水) 19:14:34 O
くるりタソ大学生だったのかよww
102二次元 ◆kKd5XVSGYw :2009/12/03(木) 23:24:53 0
「ギャアアアア!」
「はあああ!?」

狙いあやまたずボールペンが化物の右目に命中し、名伏しがたき色をしたよくわからない固体液体を噴出させながらのたうちまわる。
二次は冷静に筆箱から更なるボールペンを取り出し次弾を装填する。苦痛の怨嗟の声が足元からじわりと上るがスルー。あくまでスルー。

「グロオタ!アレを殺せ!逃がすんじゃねえ!」
「把握した」

愛ヶ浜の要請に応えつつ二次はペンを装填したポスターを振りかぶる。姿勢は鉈を担ぐように。PC研究部の必勝形である。
このまま太鼓の達人で鍛え上げた膂力でもって振り下ろせば遠心力によってカタパルトの如くボールペンが発射されるだろう。
吹き矢よりも疾く、吹き矢よりも重い、必殺の一撃。

果たしてそれが化物に突き刺さる寸前、淡い光に包まれた化物が消え去った。跡形もなく、消滅した。
息絶えたのではない。遁走したのだ。喪失した空間の真空を埋めるように風が吹き、戻ってきたのは静寂。

「逃げられたか!図ゥ体の割に逃げんなは早ええな糞がッ!……あ……えーと」

素を出していたことに気付いた愛ヶ浜がバツの悪そうな顔で首を背け、一瞬置いて振り返った。
見事な能面スマイルだった。

「あはっ☆ご主人様強いんですね、カッコ良かったです〜☆助けていただいてありがとうございました☆」
「……左様に御座るか。それはまこと重畳」

最早言葉も出ない。
そんな二人の会話の外から、先ほどまで化物に襲われていたアベックの男がことらへ歩いてきた。
女がいないのは、おそらく襲撃によって眼下の崖下へ落とされたからだろう。
幽鬼のような男の表情が、そんな憶測を確信に変えるが如く如実に物語っていた。

「高等部二年の…上杉海斗君ですね?私は大学部一年、愛ヶ浜くるりと言います。
 勝浦まさみちゃんから、よく貴方のお話は聞いていました」

「年上……だと……!?」

おっと、あまりの驚きに素が出てしまった。キャッキャウフフな衣装に身を包んだ愛ヶ浜の外見年齢はどう見積もっても十台中盤。
二次と同級かその下程度だと認識していたが、げに恐ろしきはやはり化粧ということか――まさに化けの粧である。

「上杉君。まさみちゃんは姿を消しただけで、まだ生きています。ですが、助け出すには貴方の力が必要です。
 こうなってしまった以上は説明しなければなりませんが、詳しくは明日お話します。
 明日の放課後、ファミリーレストラン『ダクヒナ』まで来てください。ご主人様ももちろん来てくださいね☆」

上杉というらしき男へ何事か告げると、恐ろしくチャーミングなウインク一つ残して愛ヶ浜は去っていく。
呼ばれた意味は分からないが、とにかく明日の『ダクヒナ』が、全てを纏めるターニングポイントとなるのだろう。
この荒唐無稽な現実と、折り合いをつける為の。


ファミレス『ダクヒナ』は『ダクファン』の姉妹店である。
最大の特徴は、なんと言ってもリアルタイム店内BBS。料理の注文から店員への要望、果ては取るに足らない雑談まで、
店内のあらゆる人間へ行き渡る掲示板式のチャットデバイスが据えつけられている。
もちろんBBSを介さぬリアル会話も可能で、意志伝達の殆どが掲示板によって行われるこの場所ではむしろ死角だった。

「つまり、内緒話には最適というわけに御座るな」

放課後、二次は言われた通りに『ダクヒナ』店内を訪れていた。見渡せば昨日の男――上杉は既に着席している。
拳にバンテージを巻いているのを見るに、戦闘態勢は完了しているようだ。

「ヴァフティア定食にデザートはルミアプリンを。ドゥフフ」
上杉の対面に腰掛け、ラップトップPCを展開し、相席の者へ試しに話しかけてみることにした。

「上杉氏――と申されたか。昨夕のあの化物、心当たりはあり申されるかな?」
103西野 明星 ◆D4v7sdR.7w :2009/12/04(金) 02:34:42 O
「そっすね。じゃ、行きましょっか」

          えっ?

まるで何の疑問も抱いていないかのように、ふつーにPCを返し、ふつーに運営室を出る明星。
付き添ってくれるらしい右神を後ろに。運営室に向かう時と逆に、今度は明星が先導する形となる。
会話もなく何もトラブルもなく、その人が居るであろう高等部の校舎に足を踏み入れようとした時だ。

「って、」
明星は右手を手刀の形にすると、まずは体の左側に動かす。
次は右に平行移動させ、腰のひねりを加えて振り向きながら右斜め後ろを歩く右神に手の甲を向ける。
「ちょっとぉーっ!?」
やや遅すぎるノリツッコミが炸裂した。

「何何何何何言ってんの?一足飛びどころか飛びすぎというか何これトランポリン?スカイダイビング?紐なしバンジー?
 まぁ普通にシミュレートしましょう。全然知らない人に『好きです!付き合ってください!』さぁどうする?
 するの?告白受けるの?NONONONO絶対ないっしょ!ただの気持ち悪い人だよ!そりゃ僕は気持ち悪いけど!
 まぁそれはひとまず置いといてね!僕この先輩と面識ないの!言ったよね僕!言ったっけ?えっと、言ってなくても感づくよね!
 だから違和感なくお近づきになる方法とかお話出来る機会を作って貰おうとかそういう目的で入会してるの僕!
 それが何なの?この人調べただけかいっ!なら金が必要な恋愛倶楽部なんかじゃなく探偵部にでも頼むわぁ!
 僕が!僕がわざわざ金払ってこの倶楽部に入会してんのは恋愛へと至るプロセスへのお助けが欲しいからだから!
あとはうまく言った場合でも失敗した場合でもアフターケア!そういうのだよ!そういうの求めてるの!
 『相手見つかったね、じゃあコクればいいじゃん』そんなの僕の親戚の女の子(7歳)でも言えるわああああああああああああ!!!!」
無駄にわめきちらす明星。相当ショックだったのだろうか、キャラが変わっている。

息を整える。この女性は冗談で言っているわけではない。それがわかるからこそ、明星もパニクったのだ。
冷静に、告白するのが最善手だと思っているらしい。当然、明星はそんな風には思えないから。
「人選…人選間違えてるよ…」
頭を抱えつつその場にしゃがみ込む。

暫しの間が空いて。
立ち上がり、ため息混じりに、口を開く。
「…とりあえず、今日はありがとうございました。相手がどんな人か知れただけでも重畳っす。
 これから先はどうなるかはわからないっすが、また、後日…」
かなりとぼとぼとした足取りでその場から離れていく明星。
そういえば名前しか聞いていなかったが…まぁこの人は有名だろうし会おうと思えばすぐに会えるだろう。
今日はもう疲れたので、さっさと帰りたいと思った。
104右神 藍 ◆RqjEsQCgDM :2009/12/05(土) 23:01:29 0
>>103
「…とりあえず、今日はありがとうございました。相手がどんな人か知れただけでも重畳っす。
 これから先はどうなるかはわからないっすが、また、後日…」

明星は、一般人として当然なパニクりを見せた後にそう言うと、
その場を去っていった。そして、それを見送る立場となった藍はといえば……
「…………」
固まっていた。どうも、さっきの怒涛の台詞に飲まれたらしい。
マイペースな割に、突然のイベントに弱いとは、とんだダメ人間である。
それでも、暫く固まっている内に自分の発言がどうも恋愛倶楽部の委員として
失格なものだった事には気付いたらしく、硬直が解けて直ぐ、
歩き去る明星の背に向かいなんとか声を出そうと試みたのだが、

「あ……また、後日。その……協力、するから。頑張るといい」
悲しいかな、コミュニケーション力の無い人間の典型である藍には、
これくらいの返事しか浮かば無かったらしい。

それから暫くその場に立ち尽くした後藍は、
「…………帰ろう」
そう言って、先の「憧れの先輩」のデータを印刷し鞄に詰め込むと、
ため息をつき、明星とは逆方向の帰路を歩き出した。
105海斗 ◆VYim6jM4h6 :2009/12/08(火) 18:28:32 O
店員に案内され、海斗はテーブルに着く。
「ホットコーヒー1つ。ブラックで。」
運ばれてきたコーヒーを啜りながら、くるりを待つ。
>「ヴァフティア定食にデザートはルミアプリンを。ドゥフフ」
しかし、海斗の前に現れたのはくるりではなく二次だった。
「あ…昨晩はどうも…。」
>「上杉氏――と申されたか。昨夕のあの化物、心当たりはあり申されるかな?」
二次の質問に、海斗の顔が一瞬曇る。
それもその筈、今の海斗にとって昨日の化物は憎むべき相手でしかないのだから。
「…いや、まったく知らないね。
 むしろこっちが聞きたいくらいさ。」
上杉はコーヒーを口に運びながら答える。
「ところで、アンタは何で昨日あの場所に?」
106二次元 ◆kKd5XVSGYw :2009/12/09(水) 02:16:45 0
店内は静謐ではない。リアルタイムチャットシステムにより音声以外の意志伝達手段が確保された
『ダクヒナ』のホールにおいては静寂などなんの意味も為さず、常時キータイプ音や厨房からの喧騒が響く。
それが極めて良い塩梅に、付近の声だけが届きそれ以外を遮蔽するという内緒話に最適な環境を作り上げる。

「…いや、まったく知らないね。むしろこっちが聞きたいくらいさ」

上杉は若干の陰りを顔に見せながら応えた。それはきっと、彼にとっての地雷だったのだろう。
そのはずだ、あんなところでロマンティックにランデブーする男女などその関係に幾許の余地もない。
恋愛関係か、それに順ずるところの交際だったに違いないのだ。

「ところで、アンタは何で昨日あの場所に?」

あちらからの質問に、二次はふむ、と一息つく。あの場所に男女で訪れる理由など彼にとっては用意に予想できるはずだが。
あるいは、このどん詰まりの状況に僅かながらでも打破への綻びを見つけたいのかもしれない。
それがどんなに薄弱な隘路であったとしても。

「そういえば名を名乗っており申さなんだ。失礼、某は二次と申す者。この度は『恋愛倶楽部』の特派員と共に
 某が恋愛悲願の成就を目的とした名所行脚を執り行っており申した。この学園には多数に願掛けの逸話が溢れているが故」

運ばれてきたヴァフティアセット、その四方に分断されたプレートランチを順繰りに口へと運びながら、二次は述懐する。

「あの場所、『小柳の丘』には竜が住まい、訪れた者の願望を成就してくれるというのが逸話に御座って」

竜、という単語に上杉が身を固くするのが分かる。竜。異形の竜。異能の竜。現実味のまるでない、怪異。
彼にとっては、恋人の仇となり得る存在。拳に巻いたバンテージは、明確な戦闘意志の表れなのだろう。

「ときに上杉氏、おそらく貴殿も昨日の邂逅でくるり女史から何も聞かされておりますまい。彼女が来る前に一つ、
 某の話――立てた仮説を聞いていただきたい。あの竜について。抗うための知識武装として」

返事も聞かず、二次はリュックサックの中から筆箱を取りだし、更にボールペンを抜き取ってテーブルへと転がす。
銀色に鈍く輝く金属製のボールペンは、昨夕の戦闘で彼が吹き矢の矢として使用したのを回収したものだ。

「これを見ていただきたい。昨夕、回収したそのままの状態に御座る。あの化物が消えてすぐに地面から発見したもの
 に御座るが、どうにも不審な点が一つ。――あれだけ盛大に傷を創ったにも関わらず、このペンには血糊の一つもついて御座らぬ」

言われてみれば奇妙な話だった。矢は狙いあやまたず竜の右目に命中し、そこには深い創傷と共に大量の血液と体液が飛び散っていた。
にもかかわらず、突き刺さったペンがあまりに綺麗すぎる。血どころか、濡れてすらいない。それが導き出す結論は――

「あの竜は現実のものではないのではあり申さぬか。すなわち、人の世の理――物理法則に依って存在していない。
 これが貴殿の事情とどう繋がるかという話に御座るが、もしかすると、貴殿の恋人女史が姿を消したのも物理に依らぬかも知れぬということ」

それはつまり、女が転落死していないかもしれないという道理。
物理に依らず、なにか超常的な存在によってその姿を一時的に隠されているだけなのかもしれないという可能性。
確証はないが、愛ヶ浜のあの口振り――『姿を消しただけで、まだ生きています』。すべてはあの女が知っているのだろう。

言いたいことを話し終えた二次は、そのまま口を噤み、またヴァフティア定食に舌鼓を打ち始めた。
いずれ愛ヶ浜がやってくる。その時が、本当の戦闘開始である。
107名無しになりきれ:2009/12/11(金) 00:21:52 0
GM生きてる?
108名無しになりきれ:2009/12/11(金) 17:12:17 0
うほ
109名無しになりきれ:2009/12/18(金) 12:06:38 O
いい女
110名無しになりきれ:2009/12/21(月) 22:16:09 0
やらないか
111名無しになりきれ:2010/01/11(月) 11:38:35 0
あっー
112名無しになりきれ:2010/02/02(火) 23:52:30 0
TRPGうざすぎ
113名無しになりきれ:2010/02/04(木) 10:23:20 0
書き込んだら落ちないんだから止めろ
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114名無しになりきれ
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