キャラになりきって台詞を書き、其々個人で一つのストーリーを綴っていく、シナリオ形式のスレッドや。
1・キャラとしてはゲーム、漫画等の版権キャラ、若しくは他のスレッドのキャラ、オリジナル何でもアリと、
別にジャンルを問わへん。但しモデルとなる人物がいる場合、必ずそのモデルとなっている人物を公表して
ほしい。頼むで。
2・情景や行動を描写する補足の文は( )《丸括弧》をつけて、また心の中で思っている事等に
ついては<>《棘括弧》で表記してや。
3・この物語はTRPG方式やけれども、主に「故郷は遠きにありて思ふもの」という内容に沿って進行させる
物語やからね。多少の喧嘩のシーン等はええけど、血腥い戦闘シーンはほんまに御勘弁やで。
4・まあ多少、リアリティーを出す為、実際の地名等を公表するかも知れんけど、皆は其々オリジナルに富んだ
設定等を繰り出しても構わへんから、出たアイディアは水道水の様にどんどん出してや。
ギャグ!? そんなもん大歓迎や!!!!! ドンドン笑いも出してくんろ!!!!!
5・あと此処のスレッドは「来る者を拒まず、去る者を追わず」や!!!!! 自分にとって「何か嫌やな〜」と
思ったらフェード・アウトしても構へんし、逆に「やっぱ戻りたいわ!!」と思ったらいつ戻って来ても構へん!!!!!
6・因みにタイトルの由来はメンバーの故郷である福岡・博多を想った内容の歌詞であるグループバンド
「チューリップ」の曲名から取ったものであり、別に深い意味はあらへん。気にせんとシナリオを綴って
くれたらそれで結構や!!!
7・恐らくこれを見たモンは「何、糞みたいなもん立てとんねん!!!」「アホか!!!」「チラシの裏にでも
書いとれ!!!」と思うやろうけれども、俺としては後悔はしてへんからな。皆がしみじみ思える「物語」として
成り立つ様、頑張るから応援の程、宜しゅう頼むで!!!!!
後、これがテンプレートや。参加する時は、此処にプロフィールを記載してから参加してな。
〔名前〕
〔年齢〕
〔出身地〕
〔身長〕
〔体重〕
〔性別〕
〔職業〕
〔容貌〕
〔好きな物〕
〔嫌いな物〕
〔趣味〕
〔特技〕
〔出典・モデル〕
〔一言〕
まあこんなものや。もしまだ何か付加したい事があったら、遠慮無く付け加えてもええで。
ほな、始めようか?
『間も無く、桜井、桜井です!! JR線へはお乗換えです。お忘れ物の無い様、御注意下さい。』
(車内アナウンスがそう告げると、急行・宇治山田行きはゆっくりとホームに滑り込んで停まり、プシューッと
空気が抜ける様な音を立ててドアを開けた。
学校よりも遅く、会社が夏休みを迎えたその初日、俺は朝9時の羽田空港発、伊丹空港行きの飛行機に乗り、そこから
近鉄上本町駅行きの空港バスに乗り換え、そして前述の近鉄大阪線、11時15分発の宇治山田行き急行に乗って、
漸く俺の故郷である奈良県桜井市に辿り着いた訳である。
大きなボストンバッグを右手に持ち、電車から降り、ホームの階段を降りて駅の北口の改札口を抜けると、俺は南口の方へ
と出るべく、隣接するJR桜井駅を見下ろせる跨線橋を渡り、左右にある階段の内、左側の階段を下りたのであった。)
此処も随分と変わったな、ホンマ……。
(故郷を離れて18年。東京の大学へと進学し、かつそのまま東京の大手出版社の企業に就職して、半ば故郷を忘れかけて
いた俺は、少なからず近代的な都会の姿へと変貌を遂げた、桜井のバスターミナルをしみじみと眺め、そう呟いたのである。
特に桜井駅としては、嘗て南口の駅舎は木造の平屋造りの様なものであったのが、大きく、ややグレーがかった、コンクリート
構造の近代的な駅舎へと大きく変貌を遂げていたのである。
携帯を取り出し、実家へと電話する俺。『プルルルル……』と3、4度ぐらいパルス音が聞こえたが、次の瞬間、ガチャリと
音がして……、)
『はい、宇崎です。』
(と女性の声が俺の耳に入って来たのである。母だ。)
ああ、もしもし? オカンか? 今、桜井駅に着いたとこや。ああ、大丈夫やで。それでやけどな、実は少し寄りたい
とこがあって、悪いけどバスに乗らんと、そのまま歩いて向かうわ。
何、昼御飯!? ええって、ええって。そんなん外で済ますって。用意せんでも大丈夫やで。じゃあな。
(と俺は早々と告げると、ピッと受信を遮断して携帯をポケットに仕舞い、近鉄桜井駅の高架ホームに隠れ、少しだけ
頭を覗かせている三輪山に向かって歩き出した。)
〔名前〕宇崎 光洋(うざき みつひろ)
〔年齢〕37歳
〔出身地〕奈良県桜井市
〔身長〕192cm
〔体重〕83kg
〔性別〕男性
〔職業〕大手出版社の営業部係長
〔容貌〕長身。やや面長で、髪をオールバックにしているが、数本だけ前に出している。
細長い眼鏡を着用。
〔好きな物〕食べ物なら鶏の空揚げ。人物なら俳優の上地雄輔、及び女優の福田沙紀。理由は
上地は「アホ」を売りにして一生懸命頑張っているからや。福田の場合は……、何かガッシリ
していてええからや。
〔嫌いな物〕食べ物なら胡瓜。理由は青臭いから。子供の頃からコイツばかりは「天敵」以外、
何ものでもない!!
〔趣味〕音楽鑑賞(特に村下孝蔵やチューリップ、中島みゆきの曲を聴く)、
読書(主に赤川次郎。たまに他も読む)、散歩、スクワット
〔特技〕関節を40箇所以上鳴らせる事。
〔出典・モデル〕「まぶらほ」の浮氣光洋や。
〔一言〕こんな俺やけど、末永く、宜しく頼むで!!!
(俺は三輪山が見える、その東の方向へと歩き出そうとした。だが……。)
<……少し、遠すぎるな。>
(と考え直し、再びバスターミナルの方へと踵を返し、バスの時刻表を見る事にした。)
ええと、与喜浦行きのバスは、と……。12時7分か。
(携帯電話に記されている時刻を見て)11時58分、か。中途半端に余裕があるな。何処かに
店はあらへんかな……?
(俺はキョロキョロと辺りを見回した。すると左手の奥の駅前東通りに、いかにも懐かしい感じの
『マルツベーカリー』というパン屋《※この店は実際にあり、『中の人』も立ち寄った事があります》を
発見。その店で「パピロ」という、練乳に似た味のクリームパンを初め、カレーパン、竹輪のフライを
挟んだ、いかにもコロッケパンの様な調理パンや、名古屋の名物の筈なのに、何故か売られていた
『餡サンド』、そして飲み物のコーヒーを購入して、バスの中で食べる事にしたのである。
正午を少し過ぎた頃、上が白、下が緑の2色で彩られ、車体の真ん中に金色の、疾走する鹿の
エンブレムが貼り付けられた、桜井市が運営するコミュニティバス与喜浦行きがバスターミナルから
出て来て乗り場の方に停車して、『プシューッ』と空気が抜けた音を立てて搭乗口のドアを開いたので
ある。と同時に、其処で待っていた何人かの年配者の男性や老婆、買い物帰りであろう、子供連れの
女性がぞろぞろと乗り出した。
俺も乗車券を取り、乗り込むと、右手の窓際の席に座り、早速購入したパンを一つ取り出し、齧る。
それと同時に、『高校時代』の事を想い巡らせたのであった。)
皆、どうしとるやろうな……。
(宇崎に向かって)ちょっとそこの人、すいません。
このバスはあの世行きですかな?
>>6 ブ―――ッ!!!!! (初老の男性の、思わぬ質問にパンを吹いてしまう)
ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ!!!!! ちょっ、ちょっと!!!!! 何を言いますんや!!!!!
これは与喜浦行きのバスでっせ!!!!! あの世まで行く訳が無いですわ、全く!!!!!
《気合を入れ直す為、少しトリップを変えたで。》
(定刻になったのだろう、プシューッ、とドアが閉まり、バスがターミナルをぐるりと回り、出発する。
沢山の雲が空に浮かんだ真っ青な空に、太陽がその合間を縫って照りつけ、アスファルトを光らせて
いる窓の景色を、パンを片手で持ちつつ眺めながら、ぼそりと……、)
流石に18年も帰ってなかったら、町が変わらない訳が無い、か。
9 :
名無しになりきれ:2009/09/09(水) 08:34:11 0
暗殺者
「パシュン!
パシュン!(サイレンサ付きの銃で宇崎を射殺する)」
明ける空
as time goes by...
あっ、そうや。(何かに気付いたか、屈んでボストンバッグの中を探る)昨日から病み上がりやからな。
ちゃんと薬飲まんと。
>>9 《パシッ、パシッ!! ←背中に何か当たっている音》
ん? 何や?
(振り向くと、床には緑色のBB弾が転がり、2つ後ろの座席には子供がおもちゃのピストルを
持っていた。)
『コラ!! あかんでしょ、てんご《=河内弁で悪戯、悪ふざけの事》しちゃあ!!!
すいません、この子漫画の見すぎで、つい人に向かって撃ってしまうんです……。』
『あんしゃつしゃだぞー!!』
ああ、さよですか。(子供に向かってニッコリと笑いながら)あかんで、人に向けてそんなことしちゃあ。
分かった!?
(と諭す。)
12 :
最後部座席に座っている老婆:2009/09/09(水) 23:20:14 0
元気があってええのう〜。
羨ましい限りやで。
ちと自分勝手で突然やが、此処で追加、変更ルールや。
8・自分にとって「このストーリー路線等はちょっとな……。」と思ったらキャンセルしても構へんぞ。
此方としてもその者の意を汲んで、何とか辻褄合わせるからな。
9・血腥い戦闘シーンは勘弁と言ったけど、ある程度は西村京太郎や赤川次郎、森村誠一、和久
峻三の小説の様に、サスペンス風に陰謀が渦巻いたストーリーは構へん。まあ、出来る事なら
極力血は見たくないねんけど、な……。
まあ、こんなもんかな? 何かまだ足りん事があったら、言うてや。
(・・・あんさつしゃ、なのかー)
やり取りを横目で見ながら俺は妄想を膨らませる
(内心では確かに命中した2発の銃弾が効かないという事実に激しく動揺しながら、
努めて無邪気な子供を装う暗殺者、そしてその母親役の相棒。
防弾?いや、超人的な肉体で、いやいや、銃がいつの間にか摺り返られていたとか・・・)
外を流れる景色を見ながら、自称売れない小説家の、売り出されもしない小説のネタを
いつもの癖でノートに書き留めていた。
(で、これって面白いの?)
俺の中の俺がいつものように囁く
(さぁ?面白くないんじゃない?)
俺は答える。
にしてもでっかいオッサンだ、暗殺者に狙われる人間かはともかく
ごく普通の一般人ではない、という線は、案外当たっているかもしれない
例えば?
スポーツ選手?格闘家?軍人?
うん、軍人・・・、フランス外人傭兵部隊の脱走兵で
帰るつもりも無かったはずなのに何故か実家に足が向いて
血に飢えた自分との葛藤で苦しんでいる
・・・いやそのネタは既にあるな
俺はオッサンをチラ見しながらその出自を色々想像していた。
うん?
>>15 (俺は窓の縁に頬杖を付きながら、向かいの席に座り、何やらメモを取っている、眼鏡をかけ、
やせ気味の体格である、いかにも文学肌の男をちらりと見た。)
……勉強熱心な奴もおるもんやな。結構なこっちゃ。
(再び俺は窓際の方へと目を向けた。バスは大体3、40km位の速度と、ややゆっくりながら
鬱蒼と茂る竹藪を背に立つ、外山《とび》のバス停にとまり、数人の乗客を中へと向かえる。
どうやら中には若い男女のカップルがいる様で、これから何処かへ遊びに行く様子だ。
それから再びゆっくりと国道165号線《通称・初瀬街道》を走り始め、近鉄大阪線の高架下を
ギリギリで潜る。)
本当は此処に戻って来たくはなかったんやけどな……。
(と呟く俺。18年前、高校卒業と同時に、丸で『逃げるか』の様にフッと故郷を離れ、俺は上京した。
いや、正確には故郷から『逃げて』上京したのである。
あの忌々しい、忘れようにも、忘れられぬ『過去』を振り払う為に―――――。
だが、何故今になって此処に戻ってきたのか!? それは『己自身に決着をつけたいから』かも
知れないが、それだけだと己の『気の弱さ』に従い、戻らなかった筈である。だが、己自身に
『リミット』が迫るとなるとそれは別だ。
そう、俺は『人生の清算』をすべく、この故郷・桜井に戻ってきた訳である。)
17 :
公園の男:2009/09/12(土) 21:19:47 0
オレは公園のベンチに座っている。
目の前の砂場では数人のガキどもが遊んでいた。
なにやらダイアだー!と大騒ぎしていて、うるさい。
どうせ手にしているのは、ガラスかプラスチックだろう。
オレは「それはただのガラスだ。何の価値もない。」とガキどもに吐き捨て、ベンチを立つ。
停留所にバスが止まったのが見えた。
不意にこの街にいるのは、もうたくさんだと思い立ちオレはバスに乗った。
大柄な男とすれ違う。
どこかで見た覚えもあったが、気のせいだろう。
バスは発進し、オレはあての知れない旅に出た。
もう桜井に戻ることはあるまい…。
(バスは慈恩寺のバス停、及び小さな慈恩寺の交差点を通り過ぎる。すると其処から、まだ建設中であろう、
三輪山の麓を沿って伸びる高架橋が姿を現し、数十mに渡って国道165号線の2車線を分断していたので
ある。
その正体は、『中和幹線《大阪府柏原市田辺から奈良県桜井市脇本に通ずる、全長22kmもの
地域高規格道路》』というバイパスの一部分であり、将来全線開通すると、この道路は高速道路
並みの扱いとなり、西名阪自動車道、及び京奈和自動車道と共に奈良の交通アクセスの発展に
貢献するものであるが、俺としては変わりゆく故郷に少々憂いを感じたのであった。)
『ここが開通すれば、一気に短時間で大阪へと抜ける事が出来るらしいで。』
『へぇ〜。益々便利になるやん。』
(と、外山のバス停で乗車した、若い男女のカップルが楽しげにそう話していた。まるで『結ばれたら
此処を出て大阪で暮らそう』と言わんばかりに、である。
バスは続いて、脇本のバス停、及びその交差点を過ぎる。本来ならば此処で降りて、近鉄大阪線と
初瀬川を跨ぐ大きな橋を渡り、山間部に位置する、朝倉台の住宅地の中にある実家に帰るの筈なのだが、
俺は終点の与喜浦までこのバスに乗る心算である。何故なら、其処には我が母校である桜井東高校が
あり、お世話になった人達に一言挨拶がしたかったからである。)
>>17 (バスは朝倉小学校で停まり、一人の男が乗り込んで来た。俺はその男に対して、チラッと一瞥を投げた。
だが、次の瞬間!!!)
……、ん!? ア、アイツは……。
(次の瞬間、俺は何やら電流が走る予感を感じ取ったのである!! 少し流離った感じではあるのだが、
その風貌は、確実に、何処かで見た事があるものであったからだ。それも、俺が最も色んな意味で
思い出深いとする『高校時代』に、である。
バスが動き出してから暫くの間、俺は声をかけるべきかどうか迷ったが、黒崎のバス停を過ぎたと同時に、
俺は……、)
……よし!!!
(と意を決して、尋ねる事にしたのである。)
<何、どうって事は無い。もし他人の空似なら、『すいません、間違えました』と一声かけて謝れば
それでええんや。>
(俺はそう思い、ゆさゆさと揺れるバスの車内の中を、ゆっくりとした足取りでその男が座る席に歩み寄る。
そして……、)
……突然ながらちょっとすいません。私、宇崎というモンですが、何処かでお会いしませんでしたか?
「い、いや知らない…アンタなんか知らない。何かの勘違いだろう。」
オレは顔を顰めて窓の外に顔を向ける。
なるべく桜井の人間には関わりたくないのだ。
大柄な男は軽く首をひねると、最後部座席に向かった。
まあ、他の席では窮屈なのかもしれないが。
ポン…。
バスが揺れた拍子に俺の内ポケットからハンカチが落ちた。
白地に赤の斑点。
オレは慌ててハンカチを拾って胸に仕舞い直すと、周囲を窺ってしまう。
眼鏡を掛けたガキがこっちの方を見ていたが、すぐに首を外に向ける。
オレはなぜか無性に息苦しくなってきた。
バスを代えよう……次の停留所でオレはバスを降りた。
20 :
名無しになりきれ:2009/09/14(月) 11:04:02 0
おぉ…
糞で沿う・・・
ぶりぶりぶり・
〔名前〕平城山 聖(ならやま せんと)
〔年齢〕27歳
〔出身地〕奈良県奈良市
〔身長〕186cm
〔体重〕104kg
〔性別〕男性
〔職業〕ヤクザの下っ端
〔容貌〕スキンヘッドのチンピラ。ガチムチである。
〔好きな物〕基本何でもいけるで。女もいれ食いや。
〔嫌いな物〕奈良漬がダメやな。臭いからな。アレは奈良を舐めとるわ。
〔趣味〕ケンカ、ナンパ
〔特技〕「大仏拳」という拳法を使う
〔出典・モデル〕せんとくん
〔一言〕まぁ・・・よろしく頼むわ。
その男・・・平城山聖は桜井駅から乗り込んだ。
聖はいわゆるヤクザであった。
とはいえ、仕事がないので事務所のある大阪から、
今日は故郷のある奈良へとやってきた訳である。
彼は中卒である。理由は小さい頃からのイジメだ。
何故か・・・その秘密は彼の読めない名前にあった。
「聖」と書いて「せんと」と読む・・・いわゆるDQNネームというやつだ。
純朴な聖であったが、やがていじめでストレスをこじらせ、頭髪が禿げてしまった。
そのトラウマから高校には行かず、やがて両親にも暴力を振るうようになり、
家を出て好き勝手やってきたという訳だ。
かつての彼女には「笑うと可愛い」と言われたことがあったが、
今の彼にはもはやその影もなく、ただひたすら人相は悪かった。
彼はエリートが大嫌いである。今バスの中で三席前にいる男がまさに
そのような雰囲気を出していた。
(あの野郎のツラ、上から目線臭くて気にくわんわ)
桜井は田舎、というイメージがあったため、男が降りて一人になったところを
狙うつもりである。幸いにも、バスはどんどん先に向かっていく。
はっきり言って、聖はケンカには自信があった。
相手はかなりの長身だが、鳴らしてきた自分が負ける訳がない。そういう確信があった。
右手奥にはニュータウンが過ぎたのが見え、いよいよ山奥に入ろうかというところ。
長身の男の座席の後ろで、聖の眼光は次第にギラギラと凄みを増していった。
停留所でバスが止まる。
この息苦しさは、もう我慢が出来ない。
オレは転がるようにバスを降りると停留所のベンチに座って、荒く息を突く。
「はぁはぁ…はぁ…はぁ……はぁ………ふぅ…。」
息苦しさはすぐに治まったところを見ると過呼吸という奴ではなさそうだ。
バスは煙を上げて去る。
次の停留所まで歩くのもあまり気が進まない。
このまま座って次のバスが来るのを待とう…。
オレに知り合いなど居ない……部屋の物が見つかるまでには時間があるはずだ。
それまでに桜井を離れていればいい…。
>>19 ……さよですか。これは失礼しました。
(俺はそう言うと、これ以上、彼に追及する事を止め、自分の席に戻ろうと踵を返す。この狭いバスの
車内で、つまらぬいざこざを起こしたくないからだ。
とその時、バスは路面の凹凸が著しい部分に踏み込んだのであろう、『ガクン!!!』と大きく揺れた。
俺はバランスを崩しかけ、視線を地面に向ける。)
おっととと……。うん?
(だがその瞬間、俺が尋ねた男が落としたのであろう、白いハンカチが地面に落ちていたのである。それも
純白のものではなく、所々不規則に紅い斑点が付いたハンカチだ。
それを見た瞬間、俺はその紅い斑点が何であるかが分かった。明らかに『血』である。)
<……この男、病気を患っているのか? それとも、何処か怪我をしているのか?>
(俺の頭の中には、様々な憶測が飛び交った。何せ、俺自身も、今もっている鞄の中には、風邪等に
効く、極有り触れた薬だけではなく、もう一つ、『特殊な薬』も携帯していたからである。それだけに、
俺としてはやや気が気ではなかったのである。
男はそのハンカチをすぐさま拾い上げると、すかさずシャツの胸ポケットに仕舞う。その何でもない行動の
一部始終を、俺は何気無しに見たのであった。
……そしてその男の表情は、俺の気のせいであろうか、どこか苦しそうな感じであった。)
<大丈夫なのか……?>
(俺はその男を気にしながらも、再び自分の座席に座った。)
>>20 『あらあら。アッくん、出たの?』
(一人の若い母親と思しき女性が、抱いている赤ン坊にそう声をかける。恐らく子供が粗相したのであろう。)
<一々そんな事、声に出さんでもええやろ。子供が可哀想やで。>
(俺はそう思い、少し顔を顰めながら、窓に映る、山間の景色を眺めた。その山間の真ん中辺りには、
一定の距離で架線柱が立つ、近鉄大阪線の路線が通っており、其処を伊勢志摩ライナーが流星の如き
速さで、俺達の乗るバスを追い抜き、伊勢へと直走っていたのである。
次いで俺は、反対側の山間をも目をやった。其処には、嘗て多くの段々畑がその山の辺りを占めて
いたのである。俺の祖父も、その一部分を領有していて、俺が子供の頃は、学校が休みの日となると
その畑の辺りまで祖父が運転する、白い軽トラックの積荷の部分に父親と乗って向かい、土を耕したり、
作物を収穫したりと、畑の野良作業をよく手伝っていたのだが……、その畑も今は殆ど消え失せ、
其処には木々が多く生い茂り、自然の姿へと戻りつつあった。それを目の当たりにした俺は、改めて
変わりゆく故郷に憂いを感じたのであった。
故に畑は『死んだ』ものの、度々来る便りによると、祖父は幸い物覚えが良く、健在である。最も、歳が
歳だけに、足腰の衰えが著しく、バギーカー無しでは歩けないらしいのだが。)
<もう、何処にうちの畑があったんか、分からんようになってしもうたな。
うちに帰ったら、次いで黒崎のじいちゃんの家にも寄るか。物覚えが良いとしても、18年もあそこに
寄らんかったからな。流石に俺の事を覚えとるかどうか分からん気がするが……。>
>>21-22 (しみじみと色んな事を思い巡らしながら、窓の景色を眺める俺。だが後ろから、何やら視線を
感じ始めたのであった。
何気無しに後ろを振り返る俺。すると、俺の席から3席後ろにいる、ダークな色のシャツとスーツを
着た、スキンヘッドの厳つい男が俺に向かって睨み付けているようであった。その容貌、まるで
元プロレスラーのストロング金剛(これは俳優、タレント業に転進してからの芸名。現役時代は
『ストロング小林』《本名:小林省三》のリングネームで活躍した)に似ていたのである。
もし普通の者ならば、大抵はその男の睨み据えた姿を一目見た瞬間、即座に肝を冷やしていたかも
知れない。だが俺の場合は、その男を……、)
<何や、アイツ? トイレの我慢でもしとるのか?>
(としか見ず、再び顔を前に振り返らせる。だが、心の中では……、)
<アイツ、ひょっとして俺を狙っとるんやなかろうな?>
(と思い巡らせていたのである。確かに見た感じ、あの男はその筋の者であり、喧嘩慣れはしているだろう。
だが俺としても中学時代は柔道部に所属、高校時代はサッカー部に所属していた人間であり、更には
よく他校との喧嘩に明け暮れ、中学、高校を通じて、よく教師達にマークされていたものであった。
それ故か、40近くなった今でも、喧嘩となると血が騒ぐ性分なのである。)
<上等や……。もし突っかかる様なら、返り討ちにしたる!!!>
(俺はそう思い、右手の指をポキッ、ポキッと鳴らす。)
>>23 (バスは出雲、桜井東中学校、初瀬観光センターを過ぎ……、)
アナウンス『次は、長谷寺参道口です。初瀬門前町、長谷寺、近鉄長谷寺駅へ御越しの方は、次で
御降り下さい。』
(と、女性の声でアナウンスが告げる。するとその瞬間、『チーン!!』という、降車ボタンを押した音が
車内に鳴り響き、『次、停まります。危険ですから、走行中は席を替わらないで下さい。』と再び
アナウンスが流れたのである。
数分後、バスは長谷寺参道口のバス停にとまり、車体前部の出口専用のドアを開けた。数人の乗客が
ぞろぞろと並び、降りる支度を始めた。
とその時、一人の男が転がり込む様にその列に割って入り、慌てて料金を支払うと、すぐさまバスから
出て行ってしまったのだ。そう、俺が尋ねたあの男が、である。
その様相は、まるで何かに追われているかの様な感じにしか見えず、益々俺としてはあの男の事を
捨て置く訳には行かなかったのである。)
<……よし、こないなったらアイツについてみるか。終点までもうすぐやし、な。>
(そう思うと、俺も鞄を持って立ち上がり、料金200円を運賃箱に入れると、男を追う様にしてバスから
降りた。幸い、男は停留所のベンチに座り、別のバスが来るのを待っている様であったが、実はこの
路線のバスは全て、次の与喜浦まで行かないという事を知らない模様である。
なので俺は……、)
……度々すいません。このバス路線やけど、全て次の与喜浦までしか行かんのですよ。なので遠くへ
行くんでしたら、〔右手人さし指を、住宅地が多く点在する高台に向かって指し〕あの急な坂と階段が
連続の高台にある長谷寺駅に行くか、与喜浦から先、国道沿いに1時間半ぐらい歩くと榛原駅が
あるんですけど、どうします?
(と、些か御節介な感じであるものの、そう教えたのである。無論、この男の素性なぞ知らずに、だ。)
前の座席の男がこちらを振り返った。
聖と目が合う。いかにもメガネの優男といった感じの中年である。
その冷ややかな視線が軽蔑と取った聖はいよいよ不快感を露にし、
首を傾けて眼光に凄みを利かせた。
しかし。
ポキッ、ポキッ
「あ?!」
何事もなかったかのごとく前に視線を戻し、手の関節を鳴らし始めた。
まるで6月の蛙のごとき軽快な音は、この男が自分に恐れを持っていないばかりか、
少しばかりの余裕すら感じられた。
チーン…
降車意思の音が鳴り、殆どの乗客が降車準備を始めた。
どうやら大きい集落に出たらしい。
観光地だろうか?温泉旅館なども見える。しかし、聖にとっては
そのようなものはどうでもよかった。
あの男から「集金」をしなくてはならない。
大きなバス停に慌てて降りる男に続くようにして、長身の男が続いた。
聖も二百円を運賃箱に入れようと慌てて席を立つ。
バチーン!
「いてっ!何やこれは!」
どうやらドアが閉まったらしく、頭をぶつけて転んでしまったようだ。
「す、すんません!」
慌ててドアを開ける運転手を尻目に、聖はドアをこじ開ける勢いで外に出た。
「長谷寺参道口」のバス停の周辺は予想以上に人が多かった。
行動に出るには少々手間がかかりそうである。
それにしても山間部特有のむせ返るような暑さ、嫌になるような蝉の声に
聖は順調に不快指数を増やしていった。
にも関わらず、長身の男は先に出た男に馴れ馴れしくもバスの説明を垂れている。
(こいつ、バスオタクかいな…)
立ち話をする二人を見て見ぬ振りをしながら、聖はバス停のベンチに腰を下ろした。
一休みをする振りをして、長身の男の後を付ける寸法である。
田舎のバス停に重苦しい格好の大の男三人が集結している様は、
傍から見れば何と滑稽な様であろうか…
あんな奇妙なものに付きまとわれる生活は、もう我慢がならない。
非日常はゲームや漫画だけで十分だ。
アレには止めを刺した…血も出た…いや、あれは本当に血だったのか…?
血を拭ったハンカチを無意識にポケットに入れていたのは失敗だったが、まあいい…もう動くはずは無い。
アレは縛ったうえに冷凍庫に厳重に封印している…ここまで追ってくることも無いだろう。
首を上げると目の前にバスで話しかけてきた男がいた。
駅がどうとか言っている。ここのバスでは桜井を出られないのか。
不意に何か見えざる力によって桜井から出る事を阻まれている気になる。
「ど、どうも…。」
オレは男の目を見れず、やや俯き加減に応えた。
「長谷寺駅に…行こうかと。」
国道沿いに1時間半ぐらい歩くと聞いて反射的に他の道を行く気と答えてしまう。
実際は何も考えていなかったのだが。
だが、何故かこの選択も正しいと思えない。
カフカの小説のようにどうあがいても桜井から出られないのではないか、という強迫観念が襲う。
「そんなはずは無い…。」
ぽそりと呟き、オレは席を立とうとする。
一瞬立ちくらみにふら付く、膝を抑えたまま数秒そのままの姿勢で目眩を鎮める。
気を取り直すとオレは高台に向かって歩き始めた。
>>28 男:「長谷寺駅に…行こうかと。」
そうですか。じゃあ気ィ付けて下さいよ。あそこまではホンマに、非常に急な坂と石段が続きますからな。
下手すると怪我しまっせ。
(念入りにそう告げると、俺は榛原……、いや〔※〕宇陀市側へと延びる国道に振り向き、母校がある
与喜浦の方へと歩く素振りを見せる。無論、これはフェイントであり、本当はその男の後を付いて行こうと
思っていたからである。
……するとそのバス停のベンチに、あのスキンヘッドの男《
>>27》がどっかと座り込んでいた。
その様子からして、益々俺の事をマークしているかの様であり、怪しい雰囲気が醸し出されていた。)
<コイツ……、矢張り俺の事を狙っとるな。>
(苦々しくそう思う俺。そう思うものの、向こうはまだ手を出す気配なぞ、これっぽっちも無い模様だ。)
<……まあ、仕掛けてきたらその時はその時や。此処は様子を見るに越した事は無いやろ。>
(と思った俺は、何気無い素振りをして、チラッと長谷寺駅に向かおうとする男を見る。するとその男は
立ち上がろうとした瞬間、ややふら付き、両手で膝を抑えて蹲っていたのである。数秒後、ふら付きが
治まったのか、再び国道を渡って長谷寺駅の方面に向かおうとする男。
この調子では遠からず駅に辿り着くまで怪我をするのは目に見えている。そう思った俺は、男を
尾行する事を止め……、)
大丈夫ですかいな? 顔色、良くないですよ? 何やったら一緒に駅まで行きましょか!?
ほら、遠慮せんと、私の肩に掴まって!!!!
(と、前述の喧嘩っ早さとは裏腹に、生来の『困っている人を見かけたら助けてやりたい』性格を
前面に出し、俺は男の肩に手をかけ、男と一緒に駅まで付き添ってやる事を決めたのであった。)
〔※2006年1月1日に宇陀郡榛原町は宇陀郡大宇陀町、同郡菟田野町、同郡室生村と合併した為、
消滅。宇陀市榛原区となった。因みに旧・榛原町役場が現在の宇陀市役所となっている。〕
長身の男「大丈夫ですかいな? 顔色、良くないですよ? 何やったら一緒に駅まで行きましょか!?
ほら、遠慮せんと、私の肩に掴まって!!!! 」
どうもこの男、根っからの優男らしい。
しかもどうやら二人で近鉄の駅に向かっているらしい。
(近鉄やったらさっきの桜井から乗ってればええのに・・・アホかいな)
聖は男たちの意味不明な行動に頭から二本の角が生えそうになるぐらいの
苛立ちを覚えた。
聖が望むのとは裏腹に、二人はどんどん人気のある方向に向かっていく。
しばらくして、瓦葺の駅舎が見えてきた。
<長谷寺駅>――同じ奈良県なのに聞いたこともない。
恐らく急行すら停まらない小駅だろう。
ついに痺れを切らした聖は、前を歩く2人に声をかけた。
「やあ〜、どうもお二人さん。そういえばバスから一緒やね〜。
これから駅でもいかれるんですか?」
声はその風体に似合わない爽やか系であったが、表情は決して朗らかなものでは
なかった。そういえばしばらく笑ったことがない。
オレンジ色の列車が通過していくのが見えた。
オレは朦朧としたまま長身の男と共に長谷寺駅の駅舎に辿り着く。
背後から声が掛かる…ガラの悪そうな坊主がいた。
その時、ふっ…と瞬間的に異世界に迷い込んだように人気が絶える。
突然キャハハハという笑い声。
「あ、あれがここまで…馬鹿な…閉じ込めたはずだ…ああ!」
淡い緑の光が散る。緑の光を発するのは飛びまわる小さな人。
妖精としか形容しようがない姿。
数は2…3…4………10以上!馬鹿な!増えている!
彼ら、もしくは彼女らは手に手に針のようなものを持っている。
オレたちは…無数の妖精に取り囲まれた。
緑の光を散らしながら妖精が乱舞する!
針のようなもので突かれるたびに奇妙な脱力感が襲う。
オレは左手で目を守りながら、右手で羽織っていた黒のジャケットを掴んでやたら目ったら振り回す。
その間約三十秒。
しかし、永遠に思えるほど長い。
と、駅にオレンジ色の列車が到着する。駅のホームに下車する乗客。
乗客がホームに降り立つと同時に妖精たちは一匹残らず空気に溶けるように消え去った。
まるで結界が破られたとでもいうかのように。
「はぁ…はぁ…オレに…ぜぇ…はぁ…復讐に来たのか…。」
オレは肩で息を突く。
オレは今、電車の中にいる。
そう…桜井から出るつもりだ。
二人の男は無言だった。
あまりの驚きに声も出なかったか、あるいはアレが見えたのはオレだけだったのか。
そうだとしたら、いきなりジャケットを振り回し始めたオレに唖然としただろう。
「すまない、迷惑をかけたようだな。」
言い放ち、改札を通過。
「そうだな、―――に向かうというのも良いだろう。
アレが追って来れないところを探すしかない…。」
オレはひとりごちて、開いたドアから電車に飛び乗った。
(俺は男の肩を支えながら、幾つもの石段を含めた、急な坂を登る。この辺りは昔と変わらず、長谷寺に
訪れる人々や住民にまるで試練を与えるかの様に、険しい坂道のままだった。)
<クソッ、ホンマ此処はきっつい道やで!! もう少し、どないかならんかったのか!!?>
(俺は心の中でそう愚痴を零しながら、男の肩を持ちながら炎天下の太陽が照りつける下、汗を
滝の様に流しながらその坂道を歩いた。そして途中、ふと俺は何気無しに後ろをちらと振り向く。
すると、あのスキンヘッドの男が一定の距離を置いて、俺達の後をついて来ていたのである。)
<何や!! ついて来とんのか!!! 全くもう、しつこい奴っちゃのう!!!>
(そう思うと俺は再び前に振り向き、『チッ!!』と舌打ちをしながら再び長谷寺駅の方へと歩を進めた。)
10分位経ったであろうか、やっとの事で素朴な感じの瓦葺きの屋根が特徴である、近鉄長谷寺駅に
辿り着いた。この駅は普段なら、各駅停車は勿論の事、河内国分から榛原、或いは名張まで各駅に
停まる準急しか停車しない、何の変哲も無い駅なのだが、長谷寺で行われる、春の牡丹祭りや秋の
紅葉の時期になると急行も停まるという、行楽の為の駅へと変貌を遂げるのである。)
はあ、はあ、はあ……。あ〜、やっと付いたか。ほれ、着きましたで。
(と、俺は肩で息をしながら男にそう声をかけた。と、その時……。)
>>30 平城山:『やあ〜、どうもお二人さん。そういえばバスから一緒やね〜。
これから駅でもいかれるんですか?』
(と、あのスキンヘッドの男が、爽やかな笑顔で俺達に声をかけてきたのである。それに応じてスキン
ヘッドの男の顔を見る俺。その瞬間、笑顔であるものの、目だけが笑っていない事を察知し、内心……、)
<ありゃ作り笑いやな。全く、わざとらしく声をかけて来よって……、魂胆が見え見えやで!!!>
(と、吐き捨てるかの様に思ったのである。だが俺もスキンヘッドの男同様に平静を装い、笑顔で……、)
ああ、今日は。そういやそうですな。いや、ちょっとね、この人がどうも何処かへ行きたがっている
みたいなので、ちょっと此処まで案内をしていたんですわ。
(と、返答したのであった。だが此方としても内心は笑ってはおらず、睨み据えた感じなのである。
すると其処へ丁度……、)
(↓)
〔ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、
ガタン、ガタンッ!!!!!!〕
(と、鮮やかなオレンジ色の特急列車が、伊勢の方を目指して、猛スピードで長谷寺駅を通過して
行ったのである。まるで二人の対峙という雰囲気を醸し出すかの様に―――――。
俺はすぐさま駅まで案内した男に振り向き……、)
>>31-33 じゃあ、私はこれにて失礼しますよ。道中、気を付けて。
(と声をかけたのである。だが男はそれに対して全く返事を返さなかった。いや、それどころか寧ろ、
明らかに様子がおかしかった。表情がまるで、心の底から怖いものを見たかの様な感じで、両手を
震わせ、口を開けていたのである。)
……? どうしましたか? もしもし、もしもし!?
(俺はやや大声で男に声をかけた。だが男はそれでも応じない。そして、俺が肩を叩いて気付いて
貰おうとしたと近付いた、その時!!!!!!)
〔バサッ、バサッ、バサッ!!!!!!〕
(いきなり、何を思ったのか、身に纏っていた黒のジャケットをブンブンと振り回し、のた打ち回るかの様に
暴れ始めたのである。その光景を見て、驚く俺。それはまるで、虫か何かを追い払うかの様な感じで
あったのだが……、俺の見る限りでは、それらしきものは何も無かったのである。それでも尚、何かを
振り払うかの様に、左手で顔を覆い、ジャケットを振り回し続ける男。
余りにも突然な行動だった為、呆気に取られる俺とスキンヘッドの男。と其処へ、紅白カラーの、上本町行き
準急がキキーッ、と軽く軋んだブレーキ音を鳴らして停まり、乗客を降ろし始めたのである。それと同時に、
男の行動も止まり、男は肩で息をつかせていたのであった。そして一言、ポツリと……、)
男:『はぁ…はぁ…オレに…ぜぇ…はぁ…復讐に来たのか…。』
(と呟いたのである。俺としては何が何やらさっぱり分からず、ただただ呆然とするばかりで……、)
<な、何や、コイツは!? 何がしたいんや!!?>
(としか思えなかったのである。暫くすると男は落ち着いたのか、背筋を伸ばして立ち上がると、何事も
無かったかの様に改札口の方へと歩き出し、俺に一言……、)
(↓)
男:『すまない、迷惑をかけたようだな。』
(と言葉を送り、駅へと消えて行ったのである。それでも尚、呆然とする俺。
とその時、一陣の風が吹き、落ちていた青い桜の葉が、俺の顔に当たったのである。
それにより、漸くハッと我に返る俺。)
……おっと、こうしてはおれん!!! 早よ高校に行かんと!!!!!
(と独り言を呟くと、いつの間にか地面に置いていたボストンバッグを手に取ろうと屈んだ。だがその
視線には、紅い斑点の付いた白いハンカチが落ちていたのである。そう、先ほど男がシャツの胸ポケットに
仕舞い込んだ、あのハンカチだ。さっき一人で暴れていた拍子に、不意に落としたのであろう。
俺はそれを拾い上げ、男に渡そうと思ったのだが、男を乗せた列車は既に発車したらしく、姿を消して
いたのである。仕方なく、俺はそのハンカチをポケットに仕舞い込んで踵を返し、スキンヘッドの男に
軽く会釈をすると、急いで長谷寺駅の入り口の石段を慌てて駆け下りたのであった。
しかしその間にも、先ほどのあの男の事が未だに頭の片隅にへばり付いていた。)
<しかしあの男……、矢張り『高校』の時に見た事があったのかも知れん。せやけど、それは何処で
やったかな?>
(と、急いで石段や坂道を下って目的地を目指しつつ、自問自答を繰り返す俺。自分で言うのも何だが、
それはまるで、忘れていた答えを探し求めるかの様な姿であったのである。)
何やら狂った男がジャケットを振り回すなり何なりして、列車に飛ぶようにして
乗って行ってしまった。
後には聖と長身の男が取り残された。
「……おっと、こうしてはおれん!!! 早よ高校に行かんと!!!!! 」
男の独り言だ。
よく見ると、列車に乗った男が落としたと思われる、ハンカチが落ちていた。
聖がそれを拾おうとすると、いち早く長身の男が拾い上げ、ポケットにしまいこんだ。
「・・・」
舌打ちをしようとして、あわてて考え込む動作に戻る聖。
(まてよ、これをネタに脅すことはできんやろか・・・?)
階段を駆け下りる男。そのしばらく後ろを、聖はつけて行った。
男は深く考え事をしているらしく、こちらに気付く振りすら見せない。
(さっき言っとった、高校の方やろか)
再び道は人気のない方向に向かった。セミの声がつんざくように響く。
聖はその音に紛れ込むように、男との距離をつめていった。
そして人気がないことを確認すると、一気に駆け、男の前方に回りこむ。
聖は体格こそレスラーのようであったが、足は意外にも速かった。
具体的にいうと、100m走を12秒台ぐらいである。
「おう、兄さん、どこ行くんや。さっきのハンカチはどこやったん?」
表情に凄みをきかせながら、聖が迫った。
(長く、急な石段や坂を下りると、住宅地の間から車道が見えた。国道165号線だ。漸く、俺は長谷寺参道口の
バス停まで辿り着いたのである。
だが時刻表を見ると、到着時間が何れも短くて半時間か1時間、或いはそれ以上の間隔で空いて
いたのである。あと1区間だけにその時間を費やしてまでバスを待つというのは愚の骨頂と言う
ものだ。なので当然、俺は……、)
<しゃあない、歩いて高校まで行くか。与喜浦のバス停のすぐ近くやし、な。>
(と即座にあと1km足らずの距離を歩く事にしたのである。だが太陽が容赦無く照りつける、盆地特有の
暑気は、予想以上に俺の体力を奪い、汗も再び、滝の様に噴き出させ、かつ距離をより長く感じさせたので
ある。そしてそれに輪をかけるかの様に、耳を劈くほど大きな蝉の鳴き声の大合唱が、余計に暑さを
増させるかの様な感覚に陥らせていたのである。)
<クソッ、暑いな!!! もう少し涼しくならんのか!?>
(と、愚痴を零しながら、車道の端を歩く俺。不快指数は徐々に高まらせる一方であった。だがその反面、
俺は高校時代の、ある思い出を廻らせていた。
あれは高校3年の夏休み、友人達と一緒に奈良の奥地である、天川村へキャンプに行った事である。
その頃の俺は、仲間達とまるで子供の様に楽しく無邪気に遊び、全く周りの事など気にしていなかった
のである。それが為に、ある一人の女性と行動を共にした時、その女性を『死』に……、とまでは辛うじて
ならなかったものの、フォローして言えば『眠れる森の美女』の様な状態、ストレートに言えば『植物』状態に
追いやってしまったのだ。俺は病院にて、その女性の両親に泣きながら何度も、何度も叩頭して謝った。
無論、そんな事をしても女性の両親は、烈火の如き怒りで、許してはくれなかった。
そして結局、俺は許して貰えぬまま、この故郷を一度も帰る事無く、去ったのである。故に18年経った
今でも、未だにその『悲劇』のみがまるで十字架の如く、俺の背中に圧し掛かったままだ。)
あの時、俺がちゃんとついてやれば、ああいった事にはならなかったのに……。
(ボストンバッグを右手に持ち歩きながら、不意にポツリとそう呟く俺。だが反面、俺は今、その女性に
償うべき時が来たと思っていたのである。何故か? 前述の通り、俺にはもう『時間』が、あまり無いからだ。
それだけに、未練を残したまま『この世』を去るのは忍びない。)
<……許して貰えなくたって良い。最後にもう一度だけその女性、そしてその両親に会い、その時の事に
ついて、改めて詫びよう。
あの過ちにピリオドを打つには、己の命を犠牲《?》にするしかないのやから、な。>
(↓)
(と、俺は弱気になりつつあった心に喝を入れ、そう思った。
だがその時、ふと後ろから人の気配を感じたのである。それも普通の気配ではなく、何やら殺気じみたものだ。
俺はそれが何かを確かめるべく、後ろを……、振り向かなかった。
と言うのも、『それ』自らが、俺の前に回り込んで現れたからである。そう、あのスキンヘッドの男だ。先程の
作り笑いとは別に、今度は睨みの形相に変わり、威圧を与えながら……、)
>>37 平城山:『おう、兄さん、どこ行くんや。さっきのハンカチはどこやったん?』
(と、俺がさっき長谷寺駅で拾った、あのハンカチの事について尋ねてきたのである。まあ俺としては
何故あのハンカチを拾ったのかというと、別に何も訳は無く、単に『何かある』という直感によって拾った
だけなのだ。故に、そのハンカチを交番に『すいません、落とし物です』と言って届けたり、このスキン
ヘッドの男に無条件で渡しても、此方としては何ら影響は無いのである。
だがそれは『平静を保っている自分自身』の事であって、猛暑によって不快に苛まれている俺としては、
その人を舐めた、ドスの聞いた尋ね方は、余計にイラッと来させた。故に俺も、さっきの作り笑いとは
打って変わり、ボストンバッグを放り出すと、その白いハンカチを取り出し、眼光をギラリと鋭くして
睨み返し……、)
何や、さっきの坊主かい!!! このハンカチが必要なんか!? それやったら、何でコレが必要なのか、
訳を言え、訳を!!! そうでなかったら絶対に渡さんぞ!!!!!
(と理由を迫る。当然、そこを追求した所で、奴が『ハイ、言います』とは絶対に言わない事を踏まえて
いるのだが。)
「何や、さっきの坊主かい!!! このハンカチが必要なんか!? それやったら、何でコレが必要なのか、
訳を言え、訳を!!! そうでなかったら絶対に渡さんぞ!!!!! 」
急に態度を豹変させた男に、聖は驚いた。
とはいえ、凄みを利かせ目を見開いたままなのでそれほど感情は読み取られて
いないはずだ。
(・・・こいつ、なかなか場慣れしとるな)
「おう、それや。それさっきのオッサンのやろ?
落し物は本人か警察に届けんとあかんよなあ・・・?あ?
お前、それパクろう思うたんちゃうか?」
拳を前に構え、規則正しく体を左右に揺らす。
一応、「喧嘩カラテ」というのを習っていた時期があった。その真似事である。
「シュッシュッ!シュッシュッ!」
聖が前に素早くパンチを繰り出すような動作を取ると、風を切るような音が鳴った。
否・・・聖が自分でパンチのタイミングに合わせ、口で音を立てているのだ。
「シュッシュッ、やるんかいな?オッサン」
聖がいよいよ前に出た。
平城山:「おう、それや。それさっきのオッサンのやろ?
落し物は本人か警察に届けんとあかんよなあ・・・?あ?
お前、それパクろう思うたんちゃうか?」
(そう言うと、スキンヘッドの男は身を構え、身体を左右に揺らし、ファイティングポーズを取る。
どうやら空手の使い手のようだ。と同時に、『シュッ、シュッ』と口で音を立て、パンチを繰り出す。)
平城山:「シュッシュッ、やるんかいな?オッサン」
(挑発的な言葉を投げかけるスキンヘッドの男。俺は臆する事無く、眼鏡を外してポケットに仕舞うと、
ノーガードでズカズカと早足でそのスキンヘッドの男に迫る。
とその途端、スキンヘッドの男は俺の顔面に左拳をやや小さく軌道を描きながら、ややフックがかった、
鋭い右ストレートを見舞った。)
《ドガッ!!!!!》
グッ!!!!!
(男の左ストレートは、モロに俺の顔面に入り、俺は少し呻き声を上げ、身を屈めた。だがその瞬時に、
俺は自分の右腕を、スキンヘッドの男の左腕をガシッと掴むと、彼の後手に回って左腕を捻り、次に
彼の右脇に左腕を通し、その自分の左腕と右腕を彼の首の後ろの辺りに組ませ、スタンディングでの
フルネルソン・ホールドを展開、前に思いっきり押し込んでお辞儀をしているかのような状態にさせ、
彼の首に負担をかける。
小さい頃、よくテレビでプロレスやボクシングを見て育ち、それらブラウン管に出てきた技を、柔道や
喧嘩に応用した事がある。それが今、再びこうして繰り出す事になろうとは、思ってもいなかったとしか
言い様が無い。
このフルネルソン・ホールドを必死に外そうとスキンヘッドの男はもがく。明らかに体重差があり、
やや振り回される格好となるが、俺としても腕っ節には自信があり、外そうとはせず、更に両腕に
力を入れて締め上げ、圧力をかける。)
おう、どうや!!! プロレス技の味は!!? おんどりゃ、長谷寺駅で偶然合った素振りを見せとった
そうやが、オドレが俺を桜井駅の辺りから付け回しとったのを、俺は知ってたんやぞ!!!!! 一体、
何が目的で俺を付けまわしていたんや!? 言え!!!!!
(と、フルネルソンを仕掛けながら、俺はスキンヘッドの男に自白を求めた。)
《ドガッ!!!!!》
「グッ!!!!! 」
聖のパンチは男の顔面にクリーンヒットしたが、全く怯まず、
逆に聖の腕をつかんで羽交い絞めにし、締め上げた。
「グお・・・」
思わぬ男の反撃、場慣れ具合に聖は怯んだ。
「おう、どうや!!! プロレス技の味は!!? おんどりゃ、長谷寺駅で偶然合った素振りを見せとった
そうやが、オドレが俺を桜井駅の辺りから付け回しとったのを、俺は知ってたんやぞ!!!!! 一体、
何が目的で俺を付けまわしていたんや!? 言え!!!!! 」
「くそうっ!」
このままではやばい、明らかに形勢不利だ!と悟った聖は、隙を見て
勢い良く真後ろの男の顎に頭突きを食らわすと、緩んだ隙に一気に
抜け出し、男が格闘に夢中になって地面においていたボストンバッグを
つかむと、カール・ルイスのごときランニングフォームで山の方向に勢い良く駆け出した。
>>42 平城山:「くそうっ!」
《グワンッ!!!!!》
ぐあっ!!!!!!
(フルネルソンを喰らっていたスキンヘッドの男は、一瞬の隙を突いて俺の顎に頭突きを食らわせた。
それにより、俺は怯み、フルネルソンを解いてしまう。
するとスキンヘッドの男は、俺の持っていたボストンバッグを掴み、勢い良く榛原方面に向かって
国道を走り抜けようとする。)
あっ!!!?? この野郎!!!!!!! 待たんかいっ!!!!!!
(そう一声をかけると、俺も負けじとダッシュを繰り出し、スキンヘッドの男を追いかける。が、スキンヘッドの
男はガッシリとした身体の割りに足が速く、中々追い付かない。とは言え、俺としても嘗ては高校時代、
サッカー部に所属して、フィールドを幾度と無く駆けずり回っていた経験がある事、その上、この国道沿いは
部員達とよく駆け上がったり、駆け下ったりしたランニングコースの為、俺は足にも自信があった。
2kmぐらい走ったであろうか、スキンヘッドの男のペースが鈍くなり始めた。この緩い登坂が続く国道
165号線である。短距離型に相当する身体つきの彼にはこれは酷以外、何ものでもない。俺はその、
彼がスタミナ切れしているのを認めるや否や、一気にダッシュを仕掛けて射程距離を捉えると、彼の
シャツの襟首を掴み、一気に引き倒す。)
《ズッダ―――――――――――ン!!!!!!!》
(大きな音を立てて、引っ繰り返るスキンヘッドの男。そして俺は、素早く取っ組み合うと、彼からボストン
バッグを何とか奪い返す事に成功する。しかし、炎天下の中での追走である。それによってスタミナを激しく
消耗した俺はバッグを両手に抱えると、そのまま歩道の柵に凭れ掛かってへたり込んだ。)
ゼェ、ゼェ、ゼェ……。おんどれ、いきなり何するんじゃ!!! 無意味に俺に絡んだり、俺のバッグを
引っ手繰ったり……。やってる事よう分からんぞ!!!!!
それに……、何で、この、ハンカチが必要なんや、それも言わんかい!!!!! おんどれ、あの男と
何か因縁があるんか!!?
(息を切らしながら尚もスキンヘッドの男に、先程俺が拾ったハンカチを何故必要としているのか、訳を
尋ねたのであった。)
〔名前〕平井信浩
〔年齢〕37歳
〔出身地〕奈良県宇陀郡榛原町(現在の奈良県宇陀市榛原区)
〔身長〕205cm
〔体重〕127kg
〔性別〕男性
〔職業〕実家である「平井酒造」の手伝いをしている。
〔容貌〕髪の毛をやや逆立てた、オールバックの様な髪型。及び細目で、眉毛を剃っている。筋肉質の体格。
〔好きな物〕野菜(特に葱。ベーコンで巻いて焼いたやつや、すき焼きや鍋の中に入っているのが最もうまい。)
〔嫌いな物〕優柔不断、竈馬(=便所コオロギ)、ゴキブリ
〔趣味〕愛車であり、配達用のバギーバイク(ホンダATV)に乗って散歩する事、ボーリング
〔特技〕片手でリンゴを握り潰す事と、ラグビー仕込みのタックル。
〔出典・モデル〕「犬夜叉」に出てくる七人隊の一人である睡骨(但し、悪い方)。
〔一言〕あまり登場する機会がないと思うが、宜しく頼むで。
(忘れていたが、名前の読みは『ひらい のぶひろ』だからな。)
(「ドルルルルルル……」、と重厚な排気音を立てながら愛車のホンダATVは、俺と、後部に
ロープを括りつけているビールケース2つを乗せながら、山が臨める車道を走らせていた。バギー
バイクである為、スクーターとほぼ同じのスピードしか出さない為、次々と後続の車やトラックが
ホンダATVを追い抜いて行く。但し幅はスクーターより倍はあるので、その追い抜く様としては、
何だか窮屈そうに見受けられた。
俺としても普通の軽トラックに乗って配達に出たいとは思うのだが、何しろ自他共に認める程、
この大柄な体格だ。この身体で乗れる車というのはごく限られるのは明らかである。なので俺は
快適に乗れるものとして、このホンダATVを購入し、かれこれ11年ぐらい乗り回していると
いう訳である。
まあ前に言った通り、スピードはそれ程出ないにしても、風を切って走る点ではかなり爽快で
ある事、そして頑丈である為、俺としては非常に気に入っている。それだけに、コイツに長い間
乗っているのだろう、と俺は思う。)
そろそろコイツも車検の時期やな…。
(意味無く俺はそう呟きながら、吉隠という地区にさしかかった。暫く走っていると、歩道に
何やら男が二人、座っていたのである。「何やってんのやろ・・・?」と思いながら、その
二人の前を通過するバギーバイク。だがそのうちの一人である、やや細面の男を一瞬見た時、
俺は「あっ!!!」と驚き、二人がいる地点から100m離れた辺りでバギーバイクを路肩に
停車させ、キーを外すとその2人の所に走り寄ったのである。
そして漸く二人のいる所に着くと、俺は被っていた銀色のヘルメットを外し、何の躊躇いも
無くその細面の男の肩をポンと叩き、こう言った。)
ちょいとごめんやで。…アンタ、ひょっとして宇崎か?
>>45 (ポンと肩を叩かれ、後ろを振り向く。目の前には、見るからに元プロレスラーの坂口征二よりも大きそうな
男が立っていたが、眼鏡をかけていなかった為、ぼんやりとしか見えず誰だか分からない。
胸ポケットから眼鏡を取り出してかける俺。其処には眉無しの厳つく、ごつい男の顔が映ったのである。
だがそれを見た瞬間、俺も小さく『アッ』と声を上げ、立ち上がってやや詰め寄る。)
おい……、もしかしてお前、平井か!?
久しぶりだな、おい!!!!! 元気だったか!!!??
(突然俺を襲って来た男と揉めている最中であるにも拘らず、俺は再び、高校時代の旧友である平井に
会えた事に喜びを隠せず感嘆の声を上げ、強引ながら平井と握手した。)
(こりゃ・・・獲ったで!)
そう確信した聖は、一気にペースを上げた。
しかし・・
男のペースは落ちるというよりも、むしろ徐々に調子を上げている!
(なんやあいつ・・・陸上選手でもやっとったんかいな・・・!)
後ろからスパートがかかるのが聖にも分かった。一瞬、びくりとする。
《ズッダ―――――――――――ン!!!!!!!》
後ろから圧し掛かられ、再び格闘戦に入る。
「くっそ・・・はなれんかい!」
必死の抵抗も、男の全力についに聖はバッグを手放した。
「ゼェ、ゼェ、ゼェ……。おんどれ、いきなり何するんじゃ!!! 無意味に俺に絡んだり、俺のバッグを
引っ手繰ったり……。やってる事よう分からんぞ!!!!!
それに……、何で、この、ハンカチが必要なんや、それも言わんかい!!!!! おんどれ、あの男と
何か因縁があるんか!!? 」
道端に倒れるように寄りかかり、ゼエゼエ息を切らしてバッグを抱きかかえる男は、
相当に参っているように見えた。
しかし、それは聖も同じである。
「ハァ、ハァ・・・あんなカスはどうでもええねん・・・ただ・・・
ただアレや・・・あんさんの態度が気に食わんかったんや・・・
なんか俺と違うて、余裕があるよう見えてな・・・」
同じような格好で答えた。
バイクの音が近づいてきた。
それに乗っていたのは聖よりもさらに大柄な男であった。
「ちょいとごめんやで。…アンタ、ひょっとして宇崎か?」
(宇崎ってのは・・・この男の名前やろか)
まさか自分にそんな声をかけてくれるような知り合いがいる筈がない。
「おい……、もしかしてお前、平井か!?
久しぶりだな、おい!!!!! 元気だったか!!!??」
隣の男・・・宇崎が急に元気になった。
「俺はなんなんや・・・?」
聖は逃げる気力を急激に落とし、そのまま呆然としてセミの声を聞きながら
空を眺めていた。
>>47 平城山:「ハァ、ハァ・・・あんなカスはどうでもええねん・・・ただ・・・
ただアレや・・・あんさんの態度が気に食わんかったんや・・・
なんか俺と違うて、余裕があるよう見えてな・・・」
アホか……!!! 俺かて、偉そうに気取っている奴とか因縁を付ける奴が嫌いなんじゃ。
それをオドレが俺に仕向けとったから、それなりの対応をしただけや。
それに、俺は、オドレが思うほど、そんな偉そうな人間やない。このガラの悪い桜井の山ン中で、
中学や高校では、嫌というほど喧嘩に明け暮れて、先公から厳しく目ぇ付けられとったからな。
(俺は引き続き息を切らしながら、スキンヘッドの男にそう答えた。
『余裕がある』。スキンヘッドの男には俺がそう見えるのであろうが、俺としてはもうその『余裕』と
いうものは無いのである。
自分の人生に幕が完全に下りるまで、あとどれ位あるのか。それまでに自分の罪を出来る限り
償いたい。只そればかりである。)
>46
やっぱりおまはんやったんか!!!!! えらい事見かけなかったけど、元気そうで良かったわ!!!!!
……おいおい、ちと強引やぞ!!!
(喜びを隠し切れず、多少無理矢理ながら握手してきた宇崎に対し、俺は少し戸惑ったものの、俺としても
ここ10年以上も会えなかった、かつての親友にこうして会えたのは本当に嬉しかったのである。)
暫く顔を見んかったからな。おまはん、少し老けたな。まあ、これは俺としてもいえる事やけどな、
ガッハハハハ!!!!!
……ところであの坊主頭の男は誰なんや? おまはんの知り合いか?
(と、俺は宇崎の後ろで歩道用の柵に凭れ掛かっている、坊主頭の男に指差して、宇崎に尋ねた。)
>>51 平井:「……ところであの坊主頭の男は誰なんや? おまはんの知り合いか?」
ああ、コイツか? いや……、単に俺を桜井駅から付け回しとっただけや。何でも、俺が偉そうに
見えるのが気に食わんから、ブッ飛ばそうと思うとったそうで、何や、初瀬の門前町の入り口から
少し過ぎた辺りで奴にいちゃもんを付けられたんや。
ちと顔面を殴られたが、仕返しで羽交い絞めしたら、何を思ったか、俺のボストンバッグを奪いよってな、
それで追いかけて、ついさっき此処で捕まえた訳や。全く、無茶苦茶な事しよるで。
(と、俺はボヤキながら平井に事の経緯を説明すると、鞄の中身は無事なのか、ボストンバッグの
チャックを開け、中身を確かめる。まあ、入っている物と言えば衣類や赤川次郎、五木寛之の小説と
いった愛読書、革の財布ぐらいの物で、別に壊れものが入っている訳ではない。
……と、探っている内に、パサッと乾いた音を立て、何かが鞄の中から出たのである。目をやると、
それは小さな、正方形の白い封筒の様なものだった。強いて言えば、医者から手渡された薬袋だ。
その袋から、カプセルの錠剤の束が顔を出していた。)
……あ。
(俺はそれを認めると、素早くその薬袋を拾い、何事も無かったかの様に、ボストンバッグの中へと
仕舞い込んだ。
だが俺はこの時、気付いていなかったのである。平井とスキンヘッドの男に、そのカプセルの錠剤の裏に
書かれている、『TC443』という文字をハッキリと見られていた事に……。)
(宇崎の話を聞いて)
なんじゃい、そうやったんか。そら災難やったのう。大切なモン、取られてへんやろうな?
(腕を組み、坊主頭の男に目をやって睨みながら)
おい、ワレ。喧嘩売るんやったら、もう少し相手を見てから売るんやったな。コイツのう、高校時代は
結構ワルでな、一人で絡んで来た8人の他校生をぶちのめした事があるんやぞ。そのお陰で、暫くの間、
先生からエライ目ぇ付けられた事があったからな。のう、宇崎?
(一通り話すと、俺はしゃがんでバッグの中身を確かめている宇崎の方に振り向いた。すると、その
バッグの傍に薬袋であろう、白い封筒の様な紙袋が落ちていて、そこからカプセル型の薬らしき束が
裏向いて覗かせていたのである。
宇崎はその薬が落ちているのに気付くと、「あっ」と一声上げて、素早く拾ってボストンバッグの中に
仕舞った。その様子は、微かながら慌てていた様な感じに見えた。俺は彼の、その不審な行動に疑問を
感じたものの、平静を装って空を見上げると、)
…しかしあっついのう、ホンマ!!! ところであんさん、これからどうするんや? 俺はちょっとまだ
配達の途中やからもう行くけど、もし学校とか立ち寄るんやったら送るで。何せ、配達ルートがその学校の
近くやよってな。ええか?
(と、改めて宇崎に話しかけた。俺としては彼とは親友ゆえ、そうして貰うとありがたく思ったからである。
だが俺の中では、彼のあの行動の他に未だ疑問を抱いているのとは別にもう一つ、あの時、薬袋から
飛び出ていた錠剤の束の裏に、「TC443」というロゴが入っていたのを見てしまったのが気掛かりと
なっていたのである。何故なら俺は、過去にそのロゴの入った薬を、どこかで見た事があるからだ。)
<「TC443」…、どこかで聞いた事がある様な名前やな。風邪薬や頭痛薬でそんなもの無いし…。何やったかな?
…まあ、帰ったら調べてみるか。>
オラァ!!!!!! もっとボールに喰らいつけぇ!!!!!!!! 死んでも喰らいつくんじゃあ!!!!!!
(蝉の大合唱がけたたましく響く炎天下のグラウンドの下、互いにサッカーボールを蹴り合い、奪い合う部員達に
向かい、俺は檄を飛ばす。)
島本ぉ!!!!! そんなドリブルじゃあ、コンマ1秒でボールを盗られるで!!!!! もっと身体を張って
ボールを守らんかい!!!!!!
部員「ハイッ!!!!!」
(と、部員の一人が俺の呼びかけに対して返事した。夏休みも中盤に差し掛かろうとしている今日、桜井東高校
サッカー部は部員達をそれぞれ紅白チームに分け、前半後半15分ずつの練習試合を行っていたのである。目指すは、
国立競技場での試合!! …まあ、こんな山の中の学舎がそんな大舞台で闘う可能性というのはかなり低いかも知れない。
とはいえ、その山の中の学び舎だからこそ、忍耐力やスタミナを培う事が出来、昨年の県大会では19年ぶりとなる、
県内ベスト8に名を連ねる事が出来たのである。それだけに、俺は「これは、もしかしたら…。」と思い、今、こうして
熱が入り、檄や唾を飛ばしまくってまで部員達に気合を入れさせ、来る9月の予選大会に向けての練習に取り組んで
いるのである。
試合が終わり、用具等の片付けが済んだ後、俺は校舎の正面入口の近くに置かれている、やや錆付いた緑色の朝礼台に
部員達を全員呼び寄せ、ミーティングを始めた。)
ええか!!!!! もう言うてる間に、あと1ヶ月ぐらいまで予選大会は迫って来とるんや!!!!! まあ1ヶ月前と
比べたら攻守共にレベルアップはしとるのは認める。せやけどまだ随所でパスやシュートの判断ミスやガードの甘さ、
ディフェンスでの怯みが未だに目立っとる!!! そんなんじゃあ、相手にすんなりと隙を与えて、負けてまうかも
知れんねんぞ!!!!! 分かってるか!? これはサッカーのみならずやが、あらゆる「戦い」というのは常に
「食うか、食われるか」やからな。やられるにしても弱気にならず、隙を作らず、常に強気を引き出して、玉砕するんや、
ええか!!!??
…そして目指すは予選を突破して全国大会に進み、行く行くは国立(競技場)で盛大にフィールドを駆け回って
もらう事や!!!!! まあこれは、お前達に対して申し訳無いんやが、可能性としては難しいのかも知れん。
もしかしたら夢で終わってしまうかも知れん!!! せやけど俺は決して諦めへんからな!!!!! お前達を
その国立に行ける様に、これからも ―――― といっても俺もあと2年で定年なのだが ―――― 徹底的に
鍛え上げ、可能性を広げてやるからな!!!!! ええな!!!!!
部員達「ハイッ!!!!!!」
よし、じゃあ今日はこれにて解散や!!!!! 皆、御苦労やったな!!!!! お疲れさん!!!!!
(ミーティングが終わると、部員達はそれぞれ、水呑場で顔を洗いに行ったり、着替る為に校舎の中へと消える。
俺は一人、グラウンドの向こうに見える山間の景色を眺めながら、首に巻いていた水色のタオルで、汗がとめどなく
流れる顔を拭った。)
あれから19年か、月日が経つっちゅうのはほんまに早いもんやな。
(ふと不意にポツリと、俺はそう呟いた。19年前、初めて桜井東高校が県大会でベスト8に入った時、俺は
その立役者となった、一人の男を思い浮かべた。そいつは素行こそ悪かったものの、練習は人の2倍、3倍は
取り組み、常にチームを引っ張っていた、頼り甲斐のある男だったのだ。
だが3年生の夏休みに起こった、「ある事件」を切っ掛けにそいつは勢いを失い、チームは緒戦こそ何とか勝利した
ものの、次の2回戦で敗退。そしてそのまま男は卒業と同時に、桜井を去ったのである。)
アイツ、今頃どうしとるんやろうか? まさか、死んどるっちゅう事はないやろうな?
(再びポツリと物騒な事を俺は呟くと、何気無しに籠の中に積まれているサッカーボールのうちの一つを手に取り、
リフティングを始めた。)
〔名前〕金沢 隆一郎(かなざわ りゅういちろう)
〔年齢〕65歳
〔出身地〕大阪府富田林市
〔身長〕191p
〔体重〕77kg
〔性別〕男性
〔性格〕普段は気前が良く冷静だが、サッカーになると度を越してヒートアップする事がある。
また、やや頑固な所もあり。
〔職業〕県立桜井東高校の教師(教科担当は世界史)、及びサッカー部監督
〔容貌〕刈り上げた、白髪混じりのグレーの短髪に、面長の輪郭でやや頬骨が張っている。
長身痩躯の体型。
〔好きな物〕ジャガイモの煮っ転がしと、鯖の味噌煮、自分について来てくれる人間
〔嫌いな物〕根っから不真面目な奴、西瓜(理由は食べる時に種を取るのが面倒である事と、
子供の頃、西瓜を種ごと食べると盲腸炎になるという話を聞いたのがトラウマとなっているから)
〔趣味〕音楽鑑賞(特にクラシック。中でもスメタナの「わが祖国」やベートーベンの「月光」が
お気に入り)、サッカー(今でも暇があれば友人や部員達と一緒にやっている)、
〔特技〕長時間のリフティングが出来ること
〔出典・モデル〕初代の「ふたりはプリキュア」に出てくる、「ジュナ」という敵キャラ。
名前の由来はジュナが人間に化けている時の名である「角澤竜一郎」から因んでいる。
〔一言〕まあ、なんぼ出番があるかは分からんが、宜しく頼むで!!!
〔備考〕当時3年生だった宇崎光洋のクラスの担任を勤めていた事がある。教師の中で、最も宇崎の事を
マークしていた反面、影ながら真面目である事を見抜き、一目をも置いていた。
>>52 平井:「…しかしあっついのう、ホンマ!!! ところであんさん、これからどうするんや? 俺はちょっとまだ
配達の途中やからもう行くけど、もし学校とか立ち寄るんやったら送るで。何せ、配達ルートがその学校の
近くやよってな。ええか?」
何っ、ほんまか、それは!!? じゃあ、済まんけどちと頼むで!!!!!
実はな、これから学校に立ち寄って、金沢先生に挨拶しようと思うとったとこやねんよ!!!
あの先生には、随分とお世話になったから、一言ぐらい声かけとかんと悪いからな。
56 :
名無しになりきれ:2009/10/21(水) 21:17:32 0
宣伝兼ねてのage
「…しかしあっついのう、ホンマ!!! ところであんさん、これからどうするんや? 俺はちょっとまだ
配達の途中やからもう行くけど、もし学校とか立ち寄るんやったら送るで。何せ、配達ルートがその学校の
近くやよってな。ええか?」
どうやらこいつらは世間話に夢中になっているらしい。
聖はすでに体力も回復し、再び走れる状態になっていた。
(チャンスや・・!)
一目散に駆け出す。何も取らずに勢いよく山を駆け下り、そのまま
左に曲がると、猛スピードで峠を越えた。
「ハァ、ハァ・・・これで奴らも追っては来れんやろ」
辛うじて榛原駅で快速急行に乗った聖は、鶴橋駅で乗り換えて新今宮で降り、
自分のドヤのあるあいりん地区を目指した。
そして聖は、二度と奈良の土を踏むことはなかった。
聖・FO
>>55 そうか、じゃあ乗ってくとええで。まあ、少々遠くに停めているから少し歩いていかんとあかんけどな。
あそこに停めてるんや、一緒に行こう。
(と、俺は遠方を指差しながらそう言うと、宇崎と一緒にバギーバイクを止めてある所まで歩きだした。
ふと後ろを振り向くと、あの坊主頭の男はいつの間にかいなくなっていた。恐らく、何処かへと走り去ったので
あろう。俺は気にする事無く、燦々と照り付ける太陽の下を歩きながら、宇崎に尋ねた。)
せやけどおまはん、何度も言うけどほんま久しぶりやな。一度ぐらい、奈良に帰って来たか? 俺、金沢先生とは
しょっちゅう会うけど、先生、日頃から「光洋はとても単なる一人の生徒とは思えんくらい、大事な生徒やった。」とか
言うてな、今でもおまはんの事を心配しているんやで。俺も先生に感化されて、ちとおまはんの事を心配したもんやで、
ほんまに。
でもこうしておまはんが無事、ここに帰ってきてくれてのう、ホッとしたわ。先生も喜ぶやろうな。
…ところでやがおまはん、今は何をしてるんや? まあ、俺の方はこうして、実家の酒屋の手伝いをしてるん
やが、それ以前は大学を出たらすぐに大阪の工業用部品を取り扱う会社に入社して働いていたんや。やけど、
25歳の時、親父が脳梗塞で倒れてな、何とか一命はとり止めたものの、後遺症で右足に麻痺が残ってもうて…、
配達が出来ん様になったんやわ。それを聞いた俺は正直このまま会社で働くか、実家を継ぐか、エライ悩んだけど、
最終的に「実家を潰す訳にはいかん!!」と思い、会社を辞めて、酒屋の跡を継ぐ事にしたっちゅうこっちゃ。
まあ最も、結婚せずにそのまま俺の人生を終わらせるようなら、それこそうちの酒屋も自動的に畳んでしまう事に
なるから、一応御見合い等をして捜してるんやけれども、これが中々上手くいかんもんでな…。参ってるんやで。
おまはん、誰かええ娘知ってるか? もし知ってるようなら、ちょっと教えてや。
>>59-@
そうか。よっしゃ、じゃあ行こか!!!
>>57 (そう言うと俺は、平井について行く事にした。後ろを振り向くと、あのスキンヘッドの男は忽然と姿を
消していたのである。)
<全く、何やったんや、あれは? 変な奴やったな……。>
(俺はそう思いながら、ボストンバッグを手に取り、歩き出す。と、平井が俺の方に振り向き、
話しかけてきたのである。)
>>59-A
平井:「せやけどおまはん、何度も言うけどほんま久しぶりやな。一度ぐらい、奈良に帰って来たか? 俺、金沢先生とは
しょっちゅう会うけど、先生、日頃から「光洋はとても単なる一人の生徒とは思えんくらい、大事な生徒やった。」とか
言うてな、今でもおまはんの事を心配しているんやで。俺も先生に感化されて、ちとおまはんの事を心配したもんやで、
ほんまに。
でもこうしておまはんが無事、ここに帰ってきてくれてのう、ホッとしたわ。先生も喜ぶやろうな。」
そうか。いや、ここを出てな、今日まで18年間、一度も帰って来んかったけど、ちょっと思い出した事があって、
ここに戻って来たんや。心配かけて済まんかったな。
金沢先生、そんな事言うてっはったんか。こら益々学校に赴かなあかんな。
平井:「…ところでやがおまはん、今は何をしてるんや? まあ、俺の方はこうして、実家の酒屋の手伝いをしてるん
やが、それ以前は大学を出たらすぐに大阪の工業用部品を取り扱う会社に入社して働いていたんや。やけど、
25歳の時、親父が脳梗塞で倒れてな、何とか一命はとり止めたものの、後遺症で右足に麻痺が残ってもうて…、
配達が出来ん様になったんやわ。それを聞いた俺は正直このまま会社で働くか、実家を継ぐか、エライ悩んだけど、
最終的に『実家を潰す訳にはいかん!!』と思い、会社を辞めて、酒屋の跡を継ぐ事にしたっちゅうこっちゃ。
まあ最も、結婚せずにそのまま俺の人生を終わらせるようなら、それこそうちの酒屋も自動的に畳んでしまう事に
なるから、一応御見合い等をして捜してるんやけれども、これが中々上手くいかんもんでな…。参ってるんやで。
おまはん、誰かええ娘知ってるか? もし知ってるようなら、ちょっと教えてや。」
ん? 俺か? 俺は今は、東京の方で「富士川書房」とかいう出版社の営業部で係長として働いとるんや。特に
若者向けの、何や、ファンタジー系の小説や雑誌を取り扱ってる方のやけど、な。中でも「古代神聖チャロッゼン
帝国の憂鬱」とか言う、訳の分からんシリーズのモンが変に売れとるから、多忙を極めてるんやわ。
まあ俺としては、あの小説はその多忙という理由以外にも、ストーリーがあんま気に食わんから好きやないねん
けど、な。
何やて? そら大変やったな!!! それでお前ンとこのオヤジさん、今どないしてるんや? 俺としても
お前の家に遊びに言った時、えらい世話になったからな、めっちゃ気掛かりやで。
……それで会社を辞めて、実家を手伝うてるのか。お前さん、親孝行やな。俺やったらそのまま会社に
勤めているかも知れんで、ほんまに……。
ワハハハ!!!!! 生憎、俺も独身でな。俺としても自分にとって生涯のパートナーは誰が良いのか
捜しとるとこなんや。せやからちょっと教えるどころやないんやわ。済まんな!!!
(と、俺は車の往来が激しい国道の路肩を歩きながら、冗談を交えながら楽しそうに平井に一言一言を返す。
太陽は、相も変わらずギラギラと照りつけ、蝉達は未だにけたたましく啼いていたのであった。)
〔名前〕脇本 正治(わきもと まさはる)
〔年齢〕40歳
〔出身地〕三重県名張市
〔身長〕247.5cm
〔体重〕237.7kg
〔性別〕男性。こんな女性がいたら困るだろうが!!
〔性格〕体格に似合わず慎ましく、明朗快活かつ穏やかな性格。但し一度怒ると只管暴走して
中々止まらなくなる。
〔職業〕広域指定暴力団「清嵐会」(本部は大阪府大阪市天王寺区)組長。但し本人としては
非暴力主義を通し、部下達にもそれを心掛けさせている。
〔容貌〕短髪の角刈りに鷲鼻を持ち、頬骨が張っている、縦にやや楕円型と長方形型の間の輪郭。
強いていえばゴリラの様にごつい。体格も太めで、筋肉質。
〔好きな物〕基本的に何でもいけるが、中でも鮭のはらすを焼いたものや、茗荷を薬味にした
冷奴が大好物。
〔嫌いな物〕根っから暗い性格の人間。身体からカビや茸が生えそうな感じになりそうだから。
〔趣味〕木刀のコレクション、読書(特に池波正太郎の小説を愛読している)
〔特技〕剣道(7段の腕前を持つ)。あと巨体に似合わず、バック転や前方宙返り等、アクロバットな
アクションも出来る。
〔出典・モデル〕さいとう・たかを原作の漫画「無用ノ介」に出てくる「瀬降小弥太」という悪役が
モデル(但し、「ふぶきが無用ノ介の肩で舞う」という項のみでの登場)。時代劇ドラマ番組として
テレビ放映された時(日本テレビ、1969年3月1日〜9月20日)は、俳優・戸上城太郎がこの
人物を演じていた。
〔備考〕平城山聖の上司。根っからの陽気な性格だが、巨人症による巨体故、就職先が見つからず
困った事があるという経験があったため、身体に対してのコンプレックスを持っている。
ある日、仕事が見つからず、大阪・鶴橋のとある酒場で自棄酒を呷っていた所、たまたま入店した
先代の「清嵐会」組長から体格の大きさを見込まれてスカウトされたのを切っ掛けに組に入り、以後、
トントン拍子に出世して、今に至っている。
〔一言〕法外なスケールの者やけど、宜しゅう頼んます。せやけど今見る限り、まだまだ出番は無さそうやな……?
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
でかすぎるわwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
〔名前〕仁藤 克茂(にとう かつしげ)
〔渾名〕2屯(ツートン)ガレント
〔年齢〕33歳
〔出身地〕北海道恵庭市
〔身長〕217cm
〔体重〕218kg
〔性別〕男
〔性格〕普段は大人しくて涙脆く温厚だが、事が起これば決まって考えるよりまず行動に出るという、
完全な直情径行型の人間。
〔職業〕広域指定暴力団「清嵐会」若頭。かつてはヘビー級のプロボクサーで、「北海の羆」として
名を馳せたが、悉く相手を病院送りにした為、対戦相手がおらず、強制的に引退となった。
〔容貌〕スキンヘッド、分厚いたらこ唇のごつい顔に、極めて毛深い、頑強な肉体の持ち主。
尚、交通事故で左目を失明した為、眼帯を装着している。
〔好きな物〕何でもOK。特に酒類(特にビール、ワイン)には目が無い。食べ物なら「エスカロップ
(一つの皿に盛り付けたバター、あるいはケチャップで炒めたライスの上にドミグラスソースをかけた
トンカツを載せ、傍にサラダを添えている、北海道根室市の名物地方料理)」だな。お袋が根室出身だった
から、よくしてくれたもんだよ。
〔嫌いな物〕無し。
〔趣味〕映画鑑賞(特に『私の頭の中の消しゴム』や『グリーンマイル』等、ごつい顔に似合わず、
泣いて感動するものがお気に入り。)
〔特技〕コインを指でへし曲げたり、ビールジョッキやワインボトルを片手で圧し潰す事。あと
ボクシングのフットワークも未だに生きている。
〔出典・モデル〕2屯ガレント(梶原一騎原作の漫画「カラテ地獄変牙」に出てくる人物。このURLで、
女性に鞭を打っている人物が2屯ガレント)
http://mkimg.surpara.com/mk/item/10/59464_10881_book_1.jpg 〔備考〕プロボクサーを引退した後、大阪で職探しをしていたものの、なかなか見つからず路頭に迷う
日々を繰り返していた。そんなある日、JR久宝寺駅で「清嵐会」組長の脇本正治と出会い、スカウト
される。当初こそは命懸けで断りを入れたが、脇本から自身の体験談を聞いたのを切っ掛けに、組に入る
事を決意、今は脇本に忠誠を誓う若頭として、部下を束ねる立場にいる。
〔一言〕何か戦闘シーンは無えようだが、まあ宜しく頼むぜ!!! グフフフフ!!!!!
>>61 【18年間も帰って来ていなかった事、及び恩師に会いに行く事を聞いて】
何やて!!? そら、ほんまかいな!!? ……まあ、それはあの「事件」が絡んでいるからかも知れんやろうが、
一度ぐらいはここに帰ってきているもんやと、てっきり思うたで。
ああ、寄ったってくれ。先生、心待ちにしとるから。
【東京で出版社に勤めている事を聞いて】
「富士川書房」か。名前は何か聞いた事があるな。特にアニメや少年誌等に力を入れているような感じのとこやろ?
へ〜、そうなんか。そら繁盛している証拠やないか。まあ俺としては読むもんというのは専ら司馬遼太郎や
池波正太郎ぐらいやから、あんま関係というのはあらへんけど、な。ガハハハハ!!!!!
【自分の父親について】
…まあ今もリハビリを続けててのう、何とか少しぐらいは右足を動かせる様になったけど、まだ店に出て働くと
まではいかんのや。それでも一生懸命、4代続けて開いている酒屋やさかい、毎日電卓を打ったり、パチ、パチと
算盤を弾いたりして、帳簿は欠かさず付けとるんよ。(空を少し見上げながら)ほんま、あの親父の姿を見ると、
執念っちゅうのかな? それを感じて、俺も「酒屋の息子として疎かにはでけへんな」と思ってまう訳よ。
【宇崎も独身で紹介どころではない事を聞いて】
おっ、あんさんもか!!! まあお互い、良いパートナーが見つかるまで頑張ろうやないか!!!
…あっ、あれや!!! もうかれこれ10年か11年ぐらい乗ってて、傷等があちこち出来とるけど、まだまだ
現役やからな。
ちょっと待っとってくれよ。このビールケースを一つ、前の方に置いて乗れるようにしとくからな。
(と言うと、俺は頑丈にロープで括りつけていた、2段積みのビールケースの内の一つを担ぎ上げ、後部と共に
荷台が設置されているバギーバイク(
>>60)の車体前面に移すと、ズボンのポケットからもう1本の長尺のロープを
取り出し、手際良く括り付けて固定する。それから俺はヘルメットを被ってバギーバイクに乗り込み、エンジンを
かける。)
《ドルルルルルルルル……!!!!!》
(愛車・ホンダATVは威勢良く、重厚なエンジン音を響かせた。それはまるで衰えを感じさせず、『自分はまだまだ
現役だ!!』と主張しているかの様に、である。)
よっしゃ!!! じゃあ、俺の後ろに乗ってくれ!!! もし窮屈に感じたら、このビールケースのとこに腰掛けても
構へんで!!!!! まあ多少危ないうえ、曲乗りみたいに見られてしまうかも知れんけど、な。
(と、宇崎にバイクに乗るよう勧め、彼にバギーバイクの座席の中に保管していた、スペアの銀のヘルメットを手渡す。)
>>62、
>>64 よう来てくれた!!!!! こちらこそほんまに宜しくな!!!!!
せやけどでか過ぎるで!!!!! 特に脇本っちゅう奴、その体格は
ギネスブックに載っても可笑しくあらへんぞ!!!!!
>>63 その叫びたくなる気持ち、よう分かるで。俺もビックリしたわ。
66 :
名無しになりきれ:2009/10/29(木) 19:18:51 O
保守
>>65 平井:「…まあ今もリハビリを続けててのう、何とか少しぐらいは右足を動かせる様になったけど、まだ店に出て
働くとまではいかんのや。それでも一生懸命、4代続けて開いている酒屋やさかい、毎日電卓を打ったり、
パチ、パチと算盤を弾いたりして、帳簿は欠かさず付けとるんよ。(空を少し見上げながら)ほんま、あの親父の
姿を見ると、執念っちゅうのかな? それを感じて、俺も『酒屋の息子として疎かにはでけへんな』と思ってまう
訳よ。」
……そうか。平井のオヤジさん、ほんま逞しいな。お前ももし結婚して子供が出来たら、子供にそういうとこ
見せたらなあかんで。父親としての威厳を、のう。
(と、平井の話を聞いた俺はボソリとそう返した。そしてその反面、俺は……、)
<アイツ《平井》ならやれる。だが俺にはそれは不可能、夢で終わる。>
(と、心の中でそう思ったのであった。)
平井:「…あっ、あれや!!! もうかれこれ10年か11年ぐらい乗ってて、傷等があちこち出来とるけど、
まだまだ現役やからな。
ちょっと待っとってくれよ。このビールケースを一つ、前の方に置いて乗れるようにしとくからな。」
(平井はそう言うと、大型で赤い4輪駆動のバイクの後部に、2段に積んだビールケースのうちの1ケースを
前に移し、細長いロープで素早く、しっかりと固定する。その手際の良さ、すっかり『酒屋の息子』として
板に付いている様だ。
それから彼は、座席の収納ボックスからスペアの銀のヘルメットを俺に手渡すと、座席に座り、エンジンを
かけた。『ドルルルルルルルル……!!!!!』と元気いっぱいにバイクはエンジンを噴かす。)
平井:「よっしゃ!!! じゃあ、俺の後ろに乗ってくれ!!! もし窮屈に感じたら、このビールケースの
とこに腰掛けても構へんで!!!!! まあ多少危ないうえ、曲乗りみたいに見られてしまうかも
知れんけど、な。」
(と、平井は俺にバイクに乗るように勧めた。だが、二輪の大型バイクならいざ知らず、身長が2mオーバーの
平井の大きな尻は座席スペースを全て占拠しており、明らかに座席での二人乗りは不可能だったのである。)
<後ろに乗れ……って、明らかに乗れるスペース無いやんけ!!!!! こりゃあ、ビールケースの上に
座らんとあかんみたいやな。>
あ、ああ……。それやったらビールケースの上に座るで。
(そう言うと俺はボストンバッグからジャケットを取り出し、それをビールケースの上にかけた。そのまま乗ると、
ビールケースの枠やビール瓶が、尻に食い込んで痛いからである。まあそれでも、あまり効果は無いと思うの
だが。
そしてそこから俺は平井の左肩とビールケースに手を、後部の荷台に足を掛け、乗る事が出来たのだが……。
視界は広々と見えるものの、真下がバイクの座高と、自身の背の高さが相俟って、予想以上に高く見えた
のである。俺は思わず怯み、平井の両肩にしがみ付いた。)
お、おい!!! 安全運転で頼むで!!!! あんまりスピードは出さんといてや!!!!!
(情けないかな、大の男である俺は、ビビリ全開で平井にそう頼んだのである。)
>>66 ありがとさん!!! これからも頑張るで!!!
>>62、
>>64 こちらこそ宜しゅうな!!!
やけどホンマにでかいな、御両者!!!!!
>>63 ああ、ホンマやで!!! ここを「ガリバー旅行記」にする気か!!? と思ったわ!!!
>>67 >お、おい!!! 安全運転で頼むで!!!! あんまりスピードは出さんといてや!!!!!
ガハハハハ、大丈夫や!!! そんなにスピードは出さんよってに、心配しなさんな。
ホレ、出発進行!!!!!
(と、まるで子供の様に怖がって、俺の両肩に強くしがみ付いている宇崎を宥めると、俺は右ウインカーを点け、
右ハンドルのアクセルを開き、発進させた。すると、「ドルルルルル…」と、愛車のホンダATVは重厚な排気音の
唸りを上げ、走り出す。時速こそは大体40km程度であるが、自動車とは違い、風を切って走るという感覚が
ある為、それ以上の体感速度を得る事が出来るのである。)
ヒュー、どうや!? 風を感じながら走る。これがバイクの醍醐味や!! 結構爽快やろ!?
(と、俺は巧みにアクセルとブレーキを操ってバギーバイクを走らせながら、後ろの宇崎に尋ねる。まあ、
本人は走る前からビビッていたうえ、ビールケースの上に座って尻を痛めているだろうから、それどころでは
無い、と思うのだが。
数分後、歩道側に立っている、桜井駅南口方面の与喜浦のバス停が見え、そのすぐ傍に、Uターンせねば通れない、
下り坂の細路地を発見、そこを慎重にハンドルを操って降りて小道を走って行くと、遠方に初瀬川が見え、更にその
向こうには山の斜面を削り取り、段々畑に囲まれながら建っている、淡い緑色を基調とした校舎や体育館、グラウンドが
姿を現していた。そう、これが俺や宇崎がかつて通っていた県立桜井東高校である。
俺は高校に通じる、初瀬川に架かった小さな橋の前で宇崎を降ろした。小さいとはいえ、普通車が一台、辛うじて通る事が
可能な橋なのだが。)
じゃあ、俺はちょっとこの近くにある、2軒の家に出前を届けに行って来るわ。それで今日の仕事は一旦終いや。
そんでもっておまはん、その後、朝倉台の家に帰るやろ? もしそうやったら引き続き、俺が送ったるからな。出前が
終わったらまたここに戻って来るから、ちょっと待っててや。逆に、俺が先にここに来て、おまはんがまだやったら
俺が校舎の前で待っとくから。ええな?
じゃあ、ちょっと行って来るで!!!
(と、俺は半ば一方的に宇崎に事を伝えると、再びバギーバイクを顧客の家に向けて走らせた。)
71 :
名無しになりきれ:2009/11/04(水) 23:48:55 O
保守!
保守じゃねえよ
どう考えても終わりだろ
確か桜井の山奥は、昔っから部落の差別問題があるとばあちゃんから聞いたことがある。
>>69 平井:「ガハハハハ、大丈夫や!!! そんなにスピードは出さんよってに、心配しなさんな。
ホレ、出発進行!!!!!」
《ドルルルルルル……!!!!!》
うわっ、ちょっ!!!!! もう少しゆっくり進めてくれ!!!!! いてっ、いでででっ!!!!!
ビールケースの枠が尻に喰い込んどる!!!!!
(唸りをあげ、バイクが発進するや否や、俺はビビッて大騒ぎする。加えて走行中の振動により、尻が
ビールケースの枠やビール瓶に喰い込んでいる為、結構痛く、余りジャケットの効果は無かった。)
平井:「ヒュー、どうや!? 風を感じながら走る。これがバイクの醍醐味や!! 結構爽快やろ!?」
<何処がじゃ!!!!! 俺としちゃあこんなんジェットコースター以上に怖いわい!!!!!>
(……と、口では言えなかったものの、俺は心底そう思ったのであった。まあそれでも、横の風景を
見渡すと、見慣れた風景がまるで違うものに見えて新鮮にも思えたのだが。
暫く走ると与喜浦のバス停が見え、その傍らに位置する、小さい坂道にバイクが進入。更にその小道を
低速で進むと、前方に草木が生い茂った河原を横切って流れる初瀬川が、そしてもう前方には、山を
削り取って造った、広々としたグラウンドに体育館、そして淡緑色の校舎が、周りの段々畑や棚田に
囲まれながらそこに建っていたのだ。これが俺の言っていた、良くも悪くも様々な思い出が詰まった
学舎、桜井東高校なのである。)
<懐かしいな……。校舎の色以外、あんま変わっとらんやないか。>
(平井はバイクをその桜井東高校に通じる一本橋の袂に停車させ、俺を降ろすと……、)
平井:「じゃあ、俺はちょっとこの近くにある、2軒の家に出前を届けに行って来るわ。それで今日の仕事は一旦終いや。
そんでもっておまはん、その後、朝倉台の家に帰るやろ? もしそうやったら引き続き、俺が送ったるからな。出前が
終わったらまたここに戻って来るから、ちょっと待っててや。逆に、俺が先にここに来て、おまはんがまだやったら
俺が校舎の前で待っとくから。ええな?
じゃあ、ちょっと行って来るで!!!」
え? あっ、おい!!! ちょっと!!!!!
(と、半ば一方的に俺に事を伝え、そのまま再びバギーバイクを走らせ、去って行った。)
(↓)
<……行ってしまいよったか。アイツも昔っから、性急な所はあんまり変わってないみたいやな。>
(少し呆れた表情ではあるが、左手を腰に当て、口角を上げて微かに笑みを浮かべる俺。正直、平井には
申し訳無いがこれ以上尻を痛めてまで、再びあのバイクに乗るのは御免であり、時間がかかってでも良いから
バスに乗って実家に帰ろうと思っていた。いや、その前に黒崎のじいちゃんの家に寄ってからであるのだが。
だが彼としては、俺がこの故郷に帰ってきたのがかなり嬉しかったが故に、そういった『好意』を自ら買って
出てくれたのであろう。あの『事件』以来、俺は同級生の大半からかなり冷たい視線を向けられ、遠回しに
『もう此処にはお前の居場所なんかないんや!!』という暗示を、圧力をかけられてきた。只その反面、平井を
筆頭に、その『事件』を『不慮の事故』として見做し、俺を庇ってくれた者も何人かいてくれたのもまた事実では
あるが、多勢に無勢。抗し切れず、精神的に追い込まれた俺は『高校を卒業したら、もう一生この桜井には帰って
来ない様にしよう』と思い、その通り卒業と同時に東京に『逃げ』、今に到るという訳である。
そして18年ぶりに『覚悟』を決めて故郷に戻ってきた今、平井が18年前と変わらず、こうして温かく迎えて
くれたというのは、ほんの僅かながらではあるが、救われた気持ちになった。それだけにあの尻が痛い、彼の
バイクに乗る事に対してハッキリと断らなかったのである。
……兎に角俺は最近塗装されたであろう、鮮やかな水色の橋桁が映える一本橋を渡る。途中、橋から見下ろすと、
夏草の茂みに沿って緩やかに流れる初瀬川から、川魚達が元気良く泳いでいたのである。それは俺からしてみれば、
魚達は恰も無邪気に戯れている様に見えた。)
<……こいつらには何の悩みも無いから、ほんま羨ましいで。>
(そう思い、俺は初瀬川を後にする。数分後、漸く学校に辿り着いた俺は、左右見渡して少々様子を窺う素振りで
校門に入った。18年経ったとはいえ、苦手な先生や同級生とは出会わないだろうか、と少し下らない心配が芽生えた
からなのだが、夏休みの為その様な事にはならず、ホッと俺は胸を撫で下ろした。しかしその直後、そこから左手奥に
あるグラウンドの方面から、微かにではあるがどこか懐かしい、『テン、テン、テン、テン』と乾いた音が聞こえて
きたのである。)
この音は……、サッカーボールを蹴っている音やな。
……もしかすると!!!
(ある予感をした俺は、右手に持っていたボストンバッグを放り投げ、急いでその『音』が鳴っているグラウンドの
方へと小走りで急ぐ。するとグラウンドには、やや痩せていて俺とほぼ同じぐらいの背丈、白髪混じりの短髪、
白いランニングシャツに水色のジャージを穿いた初老の男が一人、ポツンといて、サッカーボールでリフティングを
していたのである。その姿を見た瞬間、俺は一気に高校時代の懐かしさが込み上げてきた感じに囚われ……、)
金沢先生――――――――――――――――――――――――――――――っ!!!!!!!
(と、両手でメガホンを作り、そう叫んだのである。)
「金沢先生――――――――――――――――――――――――――――――っ!!!!!!!」
(背後から大きな声で呼ばれた俺は、サッカーボールをポーンと蹴り上げて両手でキャッチ、リフティングを止めて
その声の方へと振り向いた。するとそこには細長い眼鏡をかけた、髪型がオールバックの長身の男が立っていたので
ある。長い隔たりがあり、やや老けたものの、面影が非常に残っているその姿を見た瞬間、俺は懐かしさと嬉しさに
包まれた。)
おおっ、光洋!!!!! 久しぶりやな!!!!!! 元気にしてたんか!!?
(俺が最も要注意人物としてマークしていた反面、実は真面目である事を見抜き、どの生徒よりも影で見守っていた
宇崎光洋がここに戻っていたのである。俺は光洋の元に走り寄ると、彼の左肩をポンと叩いた。)
お前、大学の進学で上京して以来、全くといって良い程、音沙汰が梨の礫だったが、どうしてたんや?
……まあ、ここで話するのは暑くて敵わんからな、ちと職員室に行こうか。
(と、俺はカッと照り付ける太陽の方を見上げながらそう言うと、手に持っているサッカーボールを一先ず籠の中へと
仕舞い、光洋を校舎の中へと案内する。)
77 :
名無しになりきれ:2009/11/08(日) 01:47:06 O
何だかこの主人公は死ぬような気がする
>>70 こりゃ、悪い方の睡骨やな。まあ平井もあんな顔しとるようやけど、アイツの方はそれでいて優しいからな。
まあ画像送ってくれておおきにやで。
>>71 こらどうも。これからも頑張るさかい、応援宜しゅうな。
>>72 じゃがましいわ!!! まだ始まったばかりやがな。簡単に「終わり」とか言うな、アホウ!!
>>73 そうやな……、俺も小・中・高通じて道徳で聞いたり学んだりしたからな。確かにあそこは意識というのはかなりあったそうや。
まあこれ以上口にすると滅相も無い事まで言うてまう恐れがあるさかい、深くは説明出来んけど、な。
さて、ちと脱線してもうたようやな。ほな続き、行くで!!!
>>76 金沢先生:「おおっ、光洋!!!!! 久しぶりやな!!!!!! 元気にしてたんか!!?」
ええ、まあ……。ちと懐かしゅうてここに立ち寄ったんですわ。先生、少し白髪が目立ってきとるようですけど、
先生も18年前と比べて殆ど御変わりが無い様で、俺としても嬉しく思いますわ。
(と、俺は頭を掻いて少し照れ笑いを浮かべ、金沢先生の顔を見ながらそう口にした。確かにあの頃と比べるとやや
白髪は目立ち、『老いた』という感じは滲み出ているものの、少し小さいながら、眩しく輝く瞳やエネルギッシュな所は、
まさに俺が学生時代から知っている金沢先生そのものであった。)
金沢先生:「お前、大学の進学で上京して以来、全くといって良い程、音沙汰が梨の礫だったが、どうしてたんや?
……まあ、ここで話するのは暑くて敵わんからな、ちと職員室に行こうか。」
まあ少し、色々な事がありましてね。それが為に少し便りを出すのが出来なかったんですわ。
ええ、宜しいでっせ。実は俺も今し方、少し激しい「運動」をしてきた所ですからな。その方が有難いですわ。
(と、俺は金沢先生に賛同し、一緒に職員室に向かうべく、校舎の方へと移動する。中に入ると俺は、入り口に
用意されている、来客者用の下駄箱からスリッパを取り出して履き替えた。校舎の中は当時と殆ど変わり無く、
広々とした玄関口には整然とスチール製の生徒用下駄箱が幾多も並び、床には履き替え場所として敷かれている
桐の簀の子が砂埃をやや被りながらも、これまたズラリと列を成していたのである。それにより、校舎の中の
空気はやや湿った感じで埃っぽく、それでいて懐かしい匂いを漂わせていた。まさにその匂いを嗅いだ瞬間、俺は
完全に『ここに戻って来たんだ』という実感に囚われ、同時に学生時代の、様々な思い出が去来したのである。
無論、あの夏休みの『事件』も含めて……。)
先生。ここ、当時とあまり変わりがありませんね。何だかちと、「ただいま」と言いたくなりましたで。
(と、俺は笑みを浮かべつつ、やや冗談じみた事を金沢先生に投げかけた。)
>>78 「先生。ここ、当時とあまり変わりがありませんね。何だかちと、「ただいま」と言いたくなりましたで。」
(と、少し照れた様な笑みを浮かべながら、光洋はそう言った。
まあ俺としてもこの学校に赴任してから30年以上いる為、この学校は自分の『居場所』であり、自分の
『もう一つの住処』であり、そして自分の『人生の全て』と言うべき場所であり、この学校の事を愛して
いるのである。ただ…、居続けているが故に、光洋の様に『ただいま』と言いたくなるほどの思いは
しないのだが、俺は光洋のその台詞を聞いた瞬間、彼もまた、この学校の事を根っから好きだったと
いう事実を感じ取ったのである。)
そうか!!! それはお前がこの学校の事が好きやったっちゅう証拠やで!! まあ俺としては
ここにかれこれ30年以上おるもんやから、そういう気持ちにはならへんねんけど、な。ハハハハハ!!!!!
(と俺は愉快に笑いながら光洋に言葉を返すと、職員室に案内すべく、彼と一緒にロビーに差し掛かった。
そこには美術の授業で生徒が作り上げた、石灰岩の胸像やコンクールで入選した、美術部の部員が描いた
絵画がズラリと並んで置かれ、またスポーツで優勝等を果たして贈られたトロフィー等が大きなウィンドウ
ケースの中に飾られて保管されていたのである。
俺はそのウィンドウケースの所で立ち止まると、『1991年度 中和地区優勝』という文字が書かれた帯が
括られている一つのトロフィーを指差し、光洋に見せた。)
光洋、覚えてるか? この時、お前が捨て身で繰り出したシュートが無ければ得られなかったトロフィーや。
あの時俺は非常に嬉くてな、「こりゃ全国大会も夢やない!!!」と思ったんやで、ホンマ。
まあ結果は県大会ベスト8で止まったもんの、ここのサッカー部のレベルが上がったっちゅう証拠をお前が
教えてくれたからな。本当、感謝してるで。
(と、彼に一頻りそう言うと、再び歩を進め、一階の北側廊下にある職員室の方へと到着する。)
『コン、コン(扉をノックする)』 失礼します。(光洋に向かって手で招きながら)さあ、中に入って。
(職員室の中は夏休みという事もあり、一応冷房は利かせてはいるものの、教職員は一人もおらず、
それぞれの机には様々な専門分野の書物や教科書、ファイル、ノートパソコンや筆立て等がそれぞれ
やや乱雑に、または整然と置かれたりしていた。そのうちの一角である俺の机の方に辿り着くと、俺は
隣の教職員の椅子を引っ張り出し…、)
まあ、そこに座って。コーヒー、飲むか? 最近な、コーヒーに煩いマニアックな先生が赴任して来てな、
一応ここにコーヒーメーカーとコーヒーミルを置いてるんや。まあ、俺としちゃあ専らインスタントの方が
手っ取り早くてええんやけど、な。
(と言うと俺はコーヒーメーカーの給水タンクの方に水を2人分ほどの量を入れ、手際良くキリマンジャロの
豆を電動式のコーヒーミルに2人分ほどの量を入れてセットをし、スイッチを入れる。)
〔ギュィィィィン、ガガガガガガガガッ!!!!!!〕
(電動式のコーヒーミルはけたたましい音を立てながらコーヒー豆を削る。授業の合間の休みや
昼休みだと話し声や生徒の歩く音や走る音で半分掻き消される為、この音はさして気にはならないの
だが、夏休みで閑散としている今、豆を削る音は格段と大きく聞こえたのであった。
豆を挽き終えると、粉と化したコーヒー豆をフィルター《漉し紙》に入れ、それをコーヒーメーカーに
セットしてスイッチを入れた。この分だとおよそ5〜6分ぐらいで出来上がるであろう。それまで俺は
自分の机の席にどっかと座り、待つ事にしたのである。)
まあ数分ぐらいしたらコーヒーが出来上がるからな。それまで待っとってな。ところで光洋。
お前、今も東京に住んでるのか? どや、都会の暮らしっちゅうのは?
>>79 金沢先生:「そうか!!! それはお前がこの学校の事が好きやったっちゅう証拠やで!! まあ俺としては
ここにかれこれ30年以上おるもんやから、そういう気持ちにはならへんねんけど、な。ハハハハハ!!!!!」
(と、愉快に笑いながら金沢先生はそう言ってくれたのである。そうか、俺はあんな「事件」が起こったものの、
どこかでこの学校の事を好きだったのだな……。そう思うと、益々懐かしさが込み上げ、何かが熱く感じた
のであった。
先生と共に、美術の作品や各クラブで獲得したトロフィー等が展示されているロビーの辺りに差し掛かると、
金沢先生はトロフィーや優勝盾等が収められているウィンドウケースの内、俺が高校2年の時に地区大会で
優勝を果たした時のトロフィーを指差して……、)
金沢先生:「光洋、覚えてるか? この時、お前が捨て身で繰り出したシュートが無ければ得られなかった
トロフィーや。あの時俺は非常に嬉くてな、『こりゃ全国大会も夢やない!!!』と思ったんやで、ホンマ。
まあ結果は県大会ベスト8で止まったもんの、ここのサッカー部のレベルが上がったっちゅう証拠をお前が
教えてくれたからな。本当、感謝してるで。」
(と、俺が学生時代の頃に言った台詞と同様に、改めて感謝の言葉を述べたのである。まあ、無理も
ないか……。実はこの学校のサッカー部と言うのは、創設されて大体半世紀ぐらい経つものの、優勝等の
経験というのは唯一、この地区大会の時だからなあ……。)
ハハハ、先生。まだサッカー部の顧問を勤めているのでしたら、定年を迎えるまでにもう一つ、サッカー部の
トロフィーを増やしてくんさいよ。そうせんと辞めるに辞められませんからな。頼んまっせ!!
(と俺も半ば皮肉混じりに先生に励ましの言葉を送る。恐らく先生の勤務期間というのはあと数年位で
あろうが、俺としてはそのエネルギッシュな感じからすると、金沢先生は80を超えても教職を勤めて
いそうな気がしたのである。
おっと、話がやや逸れてしまったようだ。俺と先生は漸く北側廊下にある1階の職員室に辿り着き、
中に入ると広々とした空間に机がズラリと設置され、ファイルや書物、ファイル、パソコン等がそれぞれ
キチンと整頓されて置かれているものもあれば、乱雑かつ無造作に置かれているものもあった。
俺としては学生時代、この職員室の思い出と言えば、よく他校との喧嘩等が発覚して金沢先生から
呼び出され、烈火、いや活火山の如き怒りの説教を何度も喰らった事ぐらいである為、あまり良い
思い出とは言えないものの、矢張り懐かしさというのは隠せなかったのである。
金沢先生は隣の職員の椅子を出して俺の席を拵えると……、)
(↓)
金沢先生:「まあ、そこに座って。コーヒー、飲むか? 最近な、コーヒーに煩いマニアックな先生が
赴任して来てな、一応ここにコーヒーメーカーとコーヒーミルを置いてるんや。まあ、俺としちゃあ専ら
インスタントの方が手っ取り早くてええんやけど、な。」
なるほど、さよですか。いや、悪いですね。ほんなら折角ですので、先生の淹れてくれるコーヒーを
御馳走になります。
(と言うと、俺はその用意してくれた椅子に座る事にしたのである。金沢先生は慣れた手つきでコーヒー
メーカーの水を入れたり、コーヒー豆の分量をキッチリと量ってから豆を電動式のコーヒーミルに仕込み、
スイッチを入れた。すると電動のコーヒーミルは、『ギュィィィィン、ガガガガガガガガッ!!!!!!』と、
まことけたたましい音を立てながら豆を挽いてゆく。その音の大きさはまるで俺が学生時代、耳がタコに
なるくらい嫌というほど聞いた、金沢先生の怒鳴り声と匹敵するものであった。特に……、)
18年前の金沢先生:『こンの、ボケがぁぁぁ!!!!!!!!! お前はどれだけこの学校に迷惑を
かければ気が済むんじゃあ!!!!!!!! 分かっとんのか、ええ!!!!!????』
(という、机を思いっきり左手で『バン、バン!!!!』と大きな音を立てて叩くというアクションをセットに
した、お決まりの台詞がこのコーヒーミルの音を聞いているうちに俺の脳裡を過ぎったのである。
豆を挽き終えると今度は粉末となった豆をフィルターに入れ、それをコーヒーメーカーにセットした先生。
後はコーヒーが出来上がるのを待つだけであり、自分の席にドカッと座ると……、)
金沢先生:「まあ数分ぐらいしたらコーヒーが出来上がるからな。それまで待っとってな。ところで光洋。
お前、今も東京に住んでるのか? どや、都会の暮らしっちゅうのは?」
(と、先生は笑顔で俺に話しかけてきたのである。その表情には、好奇心丸出しである事が窺えた。)
ええ、そうですな。杉並区のマンションに住んでましてな、生活の方はと言うと……、まあ良くも悪くも
無く、ボチボチですわ。因みに、千代田区にある「富士川書房」の営業部に勤めてましてな、一応係長と
して部下をまとめてますねんよ。
(と、俺も今の現状を軽く先生に返したのであった。先生の後ろではコーヒーメーカーがコポコポと音を
立てながらコーヒーをサーバーに注ぎつつ、芳しい香りを広め始めた。)
82 :
名無しになりきれ:2009/11/14(土) 19:19:17 0
村下孝蔵が好きなキャラがいると聞いて
「少女」
(1)
白い壁を染めて 草笛が響く丘
菜の花と そして夕月
切れた鼻緒 帰り道の少女が一人
灯りが 恋しくて震えてた
かすりの着物 おさげ髪には
飾りなどありません
服を着せ替えても 人形は
言葉など知りません
振り向いて 僕を見つけ
嬉しそうに 微笑んだ
名も知らぬ あどけない少女よ
(2)
青い蛍 今も甘い水を探して
見つけられず 迷い込んだ
セロハン越し のぞいて見ていた大きな空に
まだ星は 輝いていますか
遠くへ飛ばそうと 紙風船
叩いたら割れました
大人になっても 夕立ちに
ふられてばかりいます
あはれ 恋も知らないで
まつ毛濡らした 少女は
悲しき夕焼けの まぼろしか
ふり向いて 右手を振り
嬉しそうに 微笑んだ
いつか見た 僕だけの少女よ
(おさげ髪には 紙風船…)
http://www.youtube.com/watch?v=K7ATnyQneXY
(初めまして!! 今日はプロフィールだけ載せておくけど、近々参加させてもらうで!!)
〔名前〕戸波 教次郎(となみ きょうじろう)
〔年齢〕37歳
〔出身地〕奈良県宇陀郡室生村(現在の奈良県宇陀市室生区)
〔身長〕197cm
〔体重〕92kg
〔性別〕男性
〔性格〕冷静沈着で穏やか。だが13歳の時に最愛の母親を亡くしている為、母親の話となると
感極まって涙脆くなる事が多い。
〔職業〕県立桜井東高校の教師(3年3組の担任。担当教科は現代国語)を、クラブではラグビー部の
監督を勤めている。
〔容貌〕色白の長身で、優男という感じの容貌だが筋肉質の身体つきをしている。髪はやや紫がかった黒色で、
ナチュラルウルフ型(?)。
〔好きな物〕刺身(特に鮪の赤身)、酒類(特に赤ワイン)
〔嫌いな物〕蛇(小さい頃、遠足でマムシに咬まれて命の危機に晒された為)
〔趣味〕音楽鑑賞(大の井上陽水ファンで、時々『青空、ひとりきり』を口ずさんでいる事がある)、読書
(特に五木寛之や吉川英治の小説を愛読している)、園芸(主にガーベラを育てている)
〔特技〕かなりの酒豪で、一度大阪に遊びに行った時、とあるバーでウオッカのボトルを7本空けた事がある。
〔出典・モデル〕アニメにもなった、征海未亜の漫画「東京ミュウミュウ」に登場する「パイ」というエイリアン。
尚、公式プロフィールの内、日本では身長が「180cm」となっているのに対して、アメリカでは身長が
「197cm」と発表されている。
〔備考〕宇崎光洋、平井信浩とは高校時代からの親友。宇崎の責任とされているキャンプ地での「事故」に
ついては平井と共に「不慮の事故」として宇崎を庇護していた。
大学院を卒業、高校の教員免許をも取得して他県の学校を2校赴任した後、10年前に県立桜井東高校に
赴任し、現在に至る。金沢隆一郎先生とは学生時代、俺、宇崎、平井の担任というだけあって、兄弟の
様にかなり仲が良い。
〔一言〕一体、どんな話になるかは分からんけど、宜しゅうな!!
楽しい事なら 何でもやりたい〜♪
笑える場所なら 何処へでも行く〜♪
(と、俺はやや機嫌良く、お気に入りの歌の一つである、井上陽水の『青空、ひとりきり』を
口ずさみつつ、ブルーのボディが輝くカローラ・ランクスのハンドルを小刻みに操りながら
小道を渡る。まあ歌の内容としてはマイナスイメージ寄りのものであるのだが。
夏休みが丁度半分を差し掛かったその日、ラグビー部の練習は休みであるものの、授業に
使うノートを持って帰るのを忘れた事に気付き、そのノートを取りに行くべく、こうして県立
桜井東高校に向かっている訳なのである。)
悲しい人とは 会いたくもない〜♪
涙の言葉で 濡れたくはない〜♪
青空〜、あの日の〜、青空〜、ひとりきり〜♪
(で、何故そんなに機嫌よく歌を口ずさんでいるのか、と? それは単に、今日は沢山の、
綿菓子の様な雲が青空をゆっくりと流れ、その合間から太陽がカッと力強く照らしていると
いう、自分好みの『空』を見る事が出来たからだ。それ以外に理由は無い。
恐らく今の事を聞いた者のうち、ほぼ全員は俺の事を『コイツ、頭がおかしいのでは?』と
思われるであろうが、まあ簡単に言えば遠足の当日に天気が晴れた事に喜んでいる子供と
一緒だと考えていただければそれで良いと思う。『空』というのは天候によって人を愉快な
気持ちにさせたり、逆にどんよりとした気持ちにさせるという能力を持っているからな、実に
不思議なものだよ、本当。
おっと、自己紹介が遅れたようだな。俺の名は戸波教次郎。奈良の山の中に建つ学び舎・県立
桜井東高校で現代国語を担当し、ラグビー部では顧問をも務めている、一介の教師である。
プロフィールでも記載している通り《?》、その桜井東高校は俺の『母校』であり、前の学校で
転任先がそこである事を聞いた瞬間、俺は相当の歓喜と驚愕に見舞われたもんだ。何せ、
学生時代にお世話になった先生や旧友に再会出来る可能性があったからな。余りにも嬉しくて、
何日か眠れない事があったよ。
それで10年ぶりに教師として俺は我が母校に帰ってきた訳だが……、まあ何だ? 俺が学生
だった頃と比べると随分と学校は『丸く』なった様で、学力や精神的にレベルアップしたという
感じだったよ。まあ俺としてはその方がやり易くて有難かったのだが、ね。
何、俺が学生時代の頃の桜井東高校はどんなものだったか、と? まあそうだな、一言で
いえば……、
『 修 羅 場 』
これに尽きるな。何せ俺が学生だったあの学校は、何かと問題を起こす生徒が多く、そいつ等と
教師達が全面衝突を起こすのはザラで、教室や廊下はまるで内戦や紛争が起こったかのようにガラスの
破片や机に椅子、ズタズタに破れた教科書やノート、制服が散乱、果ては派手な乱闘の末に、血まで
飛び散っていたもんだ。
その中でも特に俺の友人である宇崎光洋という男の暴れっぷりというのが凄い。ただ彼は自分から喧嘩や
暴動を吹っかける事は決してしない。しないのだが、彼は他の生徒の喧嘩等を止めに入ったり仲介する時、
よくその役目を買って出ていたのだが、荒くれ者が多かったこの頃、大抵のケースは中々鎮まらなくてね……。
そんな時に限って彼はヒートアップしてしまい、暴動の主要人物を殴り飛ばしたりしてノックアウトするわ、
果ては暴走して周りの者まで巻き添えにして負傷させるわで、いつの間にか彼自身が暴動の中心となってしまい、
それが為に全教師から常に目を付けられてしまっていた、という訳だ。
俺としては友人ゆえ、彼の制止に入った事はよくあったが、見境無く思いっきりどつかれたり壁や机、椅子に
ぶつけられたりして額を切ったり顔面に痣を作った事もあったね。まあ、その後は決まって、彼から謝罪が
あったから別に良いけど。
まあこうして今、彼の事を悪く書いてしまっているけど、宇崎は根は真面目で優しく、正義感の強い男だからな。
俺や平井を初めとした何人かの同級生や、当時の担任だった金沢先生はそこの所を認めている為、憎むに憎めない
どころか、一目をも置いていたもんだ。
おっと、どうやら話が長くなってしまったようだな。という訳で今はここまでとさせて貰おう。また機会が
あれば色々と話をするつもりなので、それまで待っていただければ光栄だ。
小道を通り切り、桜井東高校の校門に進入してすぐ傍の駐車場にてカローラ・ランクスを停めると、俺は
車から降り、職員室に向かうべく校内に入る。夏休みの為、中は閑散としており、人が一人も見当たらない
模様。)
早よ取りに行って、早よ帰るか。
(と呟き、ロビーに差し掛かる俺。だがその時!!)
……うおおっ!!?
(突然、俺は何の前触れも無く驚いてしまう。と言うのも、トロフィー等が飾られているウィンドウケースの金属の
枠に、褐色の身体をしたヤモリが気配を消して張り付いていたのを目の当たりにしたのである。)
……あ〜、びっくりした!! 脅かすなや、全く!!!
(と、俺はヤモリにそう言うと、ロビーを後にする。
暫く歩き、職員室に着くと俺は扉をノックしようとした。すると職員室の中から、何やら楽しげな談笑の声が聞こえて
きたのである。声からして、どうやら男性同士の様だ。)
<……ん? まだ誰かおるんか?>
(そう思いながら俺は改めてコン、コンとノックして、職員室へ入った。)
失礼します。あっ、金沢先生、いらっしゃったんですか。お疲れ様です。
……? あっ!!! お、お前は……!!!
(職員室の中で、グラウンド側に位置する金沢先生の席の辺りで、金沢先生と『男』が
座って話していたのである。両者共に俺の気配に気付き、振り向いたのだが、俺は
その『男』の顔を見た時、衝撃が走ったのであった。)
ワハハハ、「みっちゃん」やないか!!!! 久しぶりやな〜!!!!!
(ビックリして思わず声を上げて笑いながら、俺は『男』の名前をそう呼んだのである。
長身で面長、眼鏡をかけて知的なイメージを醸し出し、それでいて学校一の問題児で
あった男――――― 宇崎光洋が久方ぶりにこの学校に戻って来ていたのである。
因みに『みっちゃん』とは、俺が彼に付けた渾名だ。まあ、ありきたりではあるが。)
みっちゃん!!! 俺が誰だか分かるか!? 教次郎だよ、戸波教次郎!!!
ホレ、学生の頃、いつもお前が喧嘩で暴動を起こした時、必死になってよく止めに
入っていた……、分かるか!?
(と、俺は宇崎に自分の事を思い出して貰うべく、過去の話を持ち出しながら
自己紹介をする。
何せ、20年近くも会っていなかったからな、友人といえども、忘れているやも知れん……。)
87 :
名無しになりきれ:2009/11/18(水) 00:37:30 0
知名度上げ
「ええ、そうですな。杉並区のマンションに住んでましてな、生活の方はと言うと……、まあ良くも悪くも
無く、ボチボチですわ。因みに、千代田区にある『富士川書房』の営業部に勤めてましてな、一応係長と
して部下をまとめてますねんよ。」
何やて、「富士川書房」!? 「富士川書房」というと、あの漫画を始めとして、アニメ関連雑誌やファンタジー
小説を取り上げている大手の出版社やないか!! そこで営業部の係長か。偉い立派になったもんやな。
ああ、ちょっと待ってくれ。確かここに、その出版社が発行した小説があったはずやで。
(と言うと俺は、机の2番目の引き出しから、『古代神聖チャロッゼン帝国の憂鬱』とタイトルが打たれた、
一冊の小説を出したのである。)
ちょっと前に、授業中、隠れて読んでいた生徒から取り上げたもんでな、試しに俺も読んでみたんやが……、
これが結構面白うてのう、その生徒からちと『借りてる』状態なんや。特にこの亡国の王女である主人公
(=エメラルン)の心が、初めは凍てついていたのやけれども、仲間達と冒険する事によって、如何に
変わっていくのかが見もので、ホンマ楽しみにしてるんや。
(と、俺は愉快そうにその小説の良さを宇崎に説明したのであった。と、そうこうしている内にコーヒーが出来
上がった模様。俺は席を立つと職員室の奥に仕舞っている、食器棚から俺の愛用マグカップと、客人用の
マグカップを取り出した。)
光洋、お前ミルクや砂糖は入れるんか? もし入れるんやったら、持って来るけど、どうや?
(とその時、ピカッ!! と頭の中で何かが閃く)……おっ、一つギャグが思いついたぞ。
「エメラルン、入れるん?」 なんちゃってな、ワッハハハハハ!!!!!!
(と、何処かの語調や韻を踏んだラップのギャグが持ち前の『お笑いコンビの片割れ』の真似をしながら、
俺は盆に2人分の淹れたてのコーヒーとコーヒーフレッシュ、シュガースティックを載せて自分の机の方へと
持って戻ったのである。
と、そこへ……、)
【続くで!!】
>>86 「失礼します。あっ、金沢先生、いらっしゃったんですか。お疲れ様です。」
おう、教次郎やないか!!!!! 今日はラグビーの練習は休みと聞いているけど、どしたんや?
(柔和な面持ちをした、長身の優男とも言うべき男が職員室へと入って来たのである。
彼の名は戸波教次郎。かつて18年前、俺が受け持っていた3年1組の生徒であり、かつこの宇崎光洋とは
同じクラスの同級生にあたり、現在では俺と同じくこの学校の教師を勤めている男なのである。
この戸波という男は、宇崎とは大の親友同士であり、よく宇崎が喧嘩で暴走した時、戸波は自分の身の
安全を厭わず身体を張ってよく宇崎の暴走を止めていたのを俺はよく覚えており、彼を宇崎の御守り、
またはブレーキ役として認めていたものであった。まあそれにより、顔面や身体によく怪我を負って
いたものだから、彼の事を不憫にも思えたのだが……。
おっと、閑話休題。その戸波が宇崎の顔を見た時、彼は驚愕の表情をしたかと思うと、いきなり笑い出し……、)
「ワハハハ、『みっちゃん』やないか!!!! 久しぶりやな〜!!!!!
みっちゃん!!! 俺が誰だか分かるか!? 教次郎だよ、戸波教次郎!!!
ホレ、学生の頃、いつもお前が喧嘩で暴動を起こした時、必死になってよく止めに
入っていた……、分かるか!?」
(と、宇崎を学生時代の渾名で呼び、宇崎が覚えているかどうか自己紹介を始めた。
俺としても久方ぶりに、こうしてかつての親友同士がこの学校で出会えた事に喜び、
戸波の『援護射撃』をする事に決めたのである。)
おい、光洋。(戸波を指差して)コイツがよくお前や平井達と組んでいた教次郎やで!!
覚えてるか!? コイツ、今じゃあ俺と同じくこの学校の教師を勤めて頑張っとるんよ!!
俺としても「コイツ、ホンマに立派になったな〜!!」と思うたで!!!
>>82 おっ、ありがとうな!!! ホンマこれ、大好きな曲やねんよ!!!!!
他にも「夢の跡」「かざぐるま」「ソネット」「夢のつづき」「フリーキック」「ゆうこ」「春雨」「踊り子」
「松山行フェリー」「離愁」「同窓会」「ロマンスカー」に「陽だまり」……、そして「初恋」。
そのどれもが名曲やで!!!!
>>87 ワハハハハ、ホンマに此処は他と比べたら、圧倒的に知られとらんからな!!!!!
最早皆の眼中には入ってないで!!!!!
まあ俺としちゃあ叩かれんだけましやと思っているし、その方がやり易いよって、
別に構へんねんけど、な!!!!!
せやけど途中で投げ出すような事はせず最後まで頑張るさかい、
(極めて少数かも知れんが)応援頼むで!!!!!
ほんなら続き、行こか!!!!!
(↓)
>>88 金沢先生:「何やて、『富士川書房』!? 『富士川書房』というと、あの漫画を始めとして、アニメ関連雑誌や
ファンタジー小説を取り上げている大手の出版社やないか!! そこで営業部の係長か。偉い立派になった
もんやな。
ああ、ちょっと待ってくれ。確かここに、その出版社が発行した小説があったはずやで。」
(そう言うと先生は、自分の机の引き出しから可憐な赤毛の少女・エメラルンを中心に、仲間達と戦闘を繰り広げ、
そのバックに陰謀が渦巻いた、不敵な笑みを見せる巨悪の妖魔・アリスティスラが表紙として描かれた、『古代
神聖チャロッゼン帝国の憂鬱』の小説を一冊取り出した。
それを見た俺は、表情こそ清ましていたものの、心の中ではやや嫌悪感を感じたのであった。)
金沢先生:「ちょっと前に、授業中、隠れて読んでいた生徒から取り上げたもんでな、試しに俺も読んで
みたんやが……、これが結構面白うてのう、その生徒からちと『借りてる』状態なんや。特にこの亡国の
王女である主人公(=エメラルン)の心が、初めは凍てついていたのやけれども、仲間達と冒険する事に
よって、如何に変わっていくのかが見もので、ホンマ楽しみにしてるんや。」
(と、嬉々としてそう語る金沢先生。一方、俺としては……、)
<これの何処が面白いんや!?>
(としか思わなかったのである。だがこうも楽しげに語る先生の前で批判するというのは当然の事ながら
出来ないものであり、仕方無しに俺は……、)
ははあ、そうですか。そらありがとうございます。まあ此方としても喜んでいただけて十分ですわ。
(↓)
(と言葉を返し、それ以上は語らなかったのである。そうしているうちに先生の後ろのコーヒーメーカーは
コーヒーを淹れ終わった模様で、先生は後ろを向いて席を立つと、職員室の奥に仕舞っている、食器棚から
マグカップを2つ取り出した。)
金沢先生:「光洋、お前ミルクや砂糖は入れるんか? もし入れるんやったら、持って来るけど、どうや?」
あ、ああ、はい。じゃあ、すいませんがお願いします。最近、少し疲れ気味なもので、甘いものが欲しいん
ですわ。
(と、俺はやや遠慮がちにそう答えた。と突然、先生が……、)
金沢先生:「……おっ、一つギャグが思いついたぞ。 『エメラルン、入れるん?』 なんちゃってな、
ワッハハハハハ!!!!!!」
は、はあ……。ハハハハハ。
(お笑いコンビ『ジョイマン』のボケ担当である高木晋哉の様に、韻を踏んだギャグを披露したのであった。
それを聞いた俺は不意を喰らったようにキョトンとし、それから愛想笑いを漏らしたのであった。
それから、先生が持って来てくれたコーヒーに俺は砂糖を入れてかき混ぜ、「いただきます」と告げてから
一口飲む。キリマンジャロ特有の甘い香りと酸味が、口の中で一杯に広がっていくのを感じ、俺は安堵感に
囚われた。)
いや〜、美味しいですな、このコーヒー!!! 久しぶりっちゅうか何ちゅうか、こんなに旨いコーヒーは
ありませんで!!!!!
(と、業とらしいくらいにコーヒーをべた褒めする俺。と、そこへ『コン、コン』と扉をノックする音が聞こえ……、)
(↓)
>>86 ???:「失礼します。あっ、金沢先生、いらっしゃったんですか。お疲れ様です。」
(と、若々しい男の声がしたのである。その声に反応して、振り向く俺。そこには、色白でソフトな容貌をした、
俺ぐらいの身長を持つ青年が立っていて、俺と鉢合わせになる。するとその青年は、俺の顔を見るなり、
驚き……、)
???:「ワハハハ、『みっちゃん』やないか!!!! 久しぶりやな〜!!!!!
みっちゃん!!! 俺が誰だか分かるか!? 教次郎だよ、戸波教次郎!!!
ホレ、学生の頃、いつもお前が喧嘩で暴動を起こした時、必死になってよく止めに
入っていた……、分かるか!?」
(と、笑いながらその青年は、俺を学生時代の時の渾名で呼び、自己紹介を始めたのである。
しかし、俺としては18年前の事ゆえ、中々思い出せず、少し考える事にしたのである。)
<……戸波? はて、どこかで聞いたような名前だな……。トナミ、となみ、戸波……。
……!!!!!!>
(と考えているうちに、ふと、ある光景が俺の頭の中で、学生時代、喧嘩で暴れる俺を、必死にしがみ付いて
止めようとしている男が写し出されたのである。そう、その男こそが、戸波教次郎だったのである。
その18年という長い時を経て、俺は戸波と再びこの職員室で出会ったのである。)
(↓)
ええ――――――っ!!!?? おいおい、お前、ホンマにあの「きょーやん」なのか!!!??
ひっさしぶりやな〜!!!!!
(と、俺も戸波に負けじと驚き、戸波を学生時代の渾名で呼び、慌てて詰め寄ると、彼に両手で
握手をしたのである。と、そこに、金沢先生が……、)
金沢先生:「おい、光洋。(戸波を指差して)コイツがよくお前や平井達と組んでいた教次郎やで!!
覚えてるか!? コイツ、今じゃあ俺と同じくこの学校の教師を勤めて頑張っとるんよ!!
俺としても『コイツ、ホンマに立派になったな〜!!』と思うたで!!!」
(と、戸波がこの学校の教師を努めている事を教えてくれたのである。こうなると俺の喜び混じりの
驚きはアップだ!!)
ええっ、ホンマか!!? 偉い立派になったもんやな〜!!!!! お前、生徒に手を上げたりは
してへんやろうな? まあ俺みたいな生徒がいたら、そらど突くのはしゃあないけど、出来るだけ
優しゅう接するんやぞ!!!!! 先生と生徒の関係っちゅうのはな、心と心が通ってこそ、成り
立つもんやからな、ええな!!?
(と、彼に『余計なお世話じゃ!!!』と言われても仕方が無いアドバイスを述べる。まあ、俺としては
『親心(?)』としてアドバイスを送ったのだが。
こうして暫くの後、俺と先生、戸波は楽しく談笑を繰り広げていた。それはまるで、時の流れを忘れるのは
おろか、18年前の事がまるで昨日の様に思えるくらい、本当に楽しいものであった。
だが、時計が午後3時に差し掛かろうとした時、俺はこれまで笑顔だった表情から一転、やや影を落とした
様な真剣な表情に切り替え、思い切って……、)
……ところで先生。俺が高校3年の最後の夏休みの時、友達と一緒に天川村にキャンプで遊びに行った
のを覚えていますか?
(と、18年前の話を切り出したのである。そう、そのキャンプで起こった、一人の女性を巡る『事件』に
ついて、だ。)
コクハが参加の準備を
しているようです…
コクハが参加の準備を
しているようです
comeing soon----
「無人島に流れ着いたと思ったら仲間がいた。そしてその仲間とこれから大きな国を作っていく......そんな心境です。」
(1986年6月12日に大阪城ホールにて行われたIWGPリーグ戦にて、自身の厳しいキック攻撃をまともに受け
止め、大流血になりながらも激しい攻防戦を繰り広げ、名勝負を展開してくれた藤波辰爾に対して送った、
前田日明の賛辞。
それまでは新日本のプロレスラーは誰一人として前田、いや前田を含めた第1次UWF勢のレスリングに
付き合ってくれなかったという。)
果たして宇崎は、この藤波の様な立場になれるのか、否か?
kokhが動くのか?マジなのか?
〔名前〕中谷 陽子(なかたに はるこ)
〔年齢〕37歳
〔出身地〕奈良県桜井市慈恩寺天王町
〔身長〕177cm
〔体重〕41kg
〔性別〕女性
〔性格〕根は心優しく、勝ち気で男勝り、そして努力家。
〔職業〕現在、自宅にて療養中。
〔容貌〕女性としては長身で、腰の辺りまで垂らす長いダークグレーの髪を、それぞれ白いヘアバンドで
二手に分けて括っている。丸顔で、くりっとした大きな眼が特徴。学生時代の「事件」で長い間寝たきりの
状態が続いていた為、今は痩せこけているが、学生時代はふっくらとしていた。
〔好きな物〕お母さんが作ってくれるカレーライスやほうれん草の卵とじ
〔嫌いな物〕ゲジゲジ(子供の頃、昼寝の最中に天井から顔面に落ちてきた事があり、それ以来トラウマと
なっている。)
〔趣味〕編み物(特にマフラー、セーター、鍋掴み、コースターが得意)
〔特技〕かつては小学校、中学、高校通じて陸上部に所属していた為、50mを6秒台前半で走る事や、
前方宙返りなど体操種目の競技が出来たが、車椅子生活の今では……、何だろう?
〔出典・モデル〕メイ・ウォン(「カレイドスター」参照。)
〔備考〕元桜井東高校の生徒で、宇崎光洋とは幼馴染であり、家族ぐるみでの付き合いが多く、戸波教次郎同様に
暴走する宇崎の制止に入ったり、また宇崎(のみならず、他の人達もだけど)が困った時は親身になって相談に
乗る等、「お姉さん」の様な存在でクラスから非常に人気があった。
だが高校最後の夏休みの時、宇崎、戸波を含めたメンバーで遊びに行った、天川村のキャンプ場で起こった、
ある「事件」により、脳に深刻なダメージを受ける程の頭部に傷を負い、「植物状態」となったどころか、
この事により、宇崎とは絶縁状態となる。
ただ本人としては宇崎の事を全く「恨んではいない」らしい。
それから13年後、奇跡的に意識が回復したものの、寝たきりによる筋肉の衰えの為に車椅子生活を余儀無くされ、
また「事件」の後遺症としてその「事件」についての記憶が完全に飛んだり、失語症(『話を聞く』、『話を理解する』、
『文章を読む』、『字を書く』事は出来るが、『声に出して話せない』というタイプ)が生じた為、紙やノートに字を
書いて伝える「筆談」、または他人の手に指で字を書く等をして、他人との会話やコミュニケーションをとっている。
尚、意識回復した当初は自分自身、及び自身の周りで環境が変わった事によるショックで一時期塞ぎ込んで
しまったものの、次第に慣れてゆき、持ち前の負けん気で療養に励み、社会復帰を目指している。
〔一言〕(画用紙にサインペンで文字を書く)
「不束者ですが、宜しくお願いします。慣れないものですので、出番が来ましたら
教えて下さい。お願いします。」
今「世界ふしぎ発見」で、卑弥呼の話をしてるけど、頻繁に邪馬台国の所在地は、奈良の桜井では
ないかと言っているぞ。それも、箸墓古墳という所は実は卑弥呼の墓である説が浮上して・・・。
宇崎はどう思う?
>>93 (やはり久しぶりな為か、少し思慮に耽る宇崎。と、暫く思い出したのか、ハッとした表情を見せ…、)
>「ええ――――――っ!!!?? おいおい、お前、ホンマにあの『きょーやん』なのか!!!??
ひっさしぶりやな〜!!!!!」
(と驚きの表情で俺を渾名で呼ぶと、ギュッと握手を交わした宇崎。俺としても漸く思い出してくれたのは
嬉しいが、些かオーバーだと感じた。)
やっと思い出してくれたんか、良かった!!
……おいおい、ちと痛いで。もうちょっと優しく握手が出来んのか?
>「おい、光洋。(戸波を指差して)コイツがよくお前や平井達と組んでいた教次郎やで!!
覚えてるか!? コイツ、今じゃあ俺と同じくこの学校の教師を勤めて頑張っとるんよ!!
俺としても『コイツ、ホンマに立派になったな〜!!』と思うたで!!!」
(と、傍で見ていた金沢先生は更に今の俺の事を宇崎に教える。すると宇崎はまたしても…、)
>「ええっ、ホンマか!!? 偉い立派になったもんやな〜!!!!! お前、生徒に手を上げたりは
してへんやろうな? まあ俺みたいな生徒がいたら、そらど突くのはしゃあないけど、出来るだけ
優しゅう接するんやぞ!!!!! 先生と生徒の関係っちゅうのはな、心と心が通ってこそ、成り
立つもんやからな、ええな!!?」
おい!!! 俺を何だと思っとるんや!? 俺は人に、分からん事ややったらあかん事があったら、口で
言い聞かすタイプや、そんな暴力的な事はせえへんぞ!!!
……まあ、それでも駄目なら少々小突くけど、な。
(と、顔を右手人差し指でポリポリ掻きつつ、半ば照れながら反論する俺。ちょっと目を逸らすと、コーヒー
メーカーのサーバーに少しコーヒーが残っているのに気付き……、)
ありゃ、先生。コーヒー淹れはったんですか? ちと意地汚のうてすいませんが、喉が渇いていたもんで、
私にも一杯くれませんかな?
(と一言断りを入れると、食器棚から自分のマグカップを取り出してコーヒーを注ぎ、グイッと飲む。が、
少量とはいえ、コーヒーの熱はまだ残っていた模様。俺は喉を少し火傷して、『ゴホッ、ゴホッ!!!』と
思いっ切り噎せてしまう。それを見て、大笑いする金沢先生と宇崎。)
わ…、笑わんといて下さいよ!!!!! こんな少しやと、冷めてるもんやと思いますがな!!!!!
(……それから後、暫く3人で楽しく色々と談笑を交した。宇崎が出版社の営業部係長を勤めている事、俺が
ラグビー部の監督として選手と一緒に練習をし、共に苦労を分かち合っている事、サッカー部が、宇崎が
2年生のストライカーを務めていた頃以来、つまり19年振りに県大会ベスト8に入った事……。色々な
話題が花を咲かせ、ちょっとした『同窓会』という雰囲気を作り上げていたのである。
しかし時計の針が午後3時に差し掛かろうとした時、宇崎が突然、笑顔から真剣な表情に変えると……、)
>「……ところで先生。俺が高校3年の最後の夏休みの時、友達と一緒に天川村にキャンプで遊びに行った
のを覚えていますか?」
(と、切り出したのである。俺としてもそれを聞いた瞬間、『あっ…』と少し声を漏らし、驚く。あのキャンプ地で
起こった『事件』を話す気なのである。
何せ、あの時のキャンプは俺も参加しており、忘れようにも、忘れられまい。彼同様、俺としてもあれは
『黒い思い出』なのだからな。)
……みっちゃん、何も聞かされてないんか?
(と、俺は少し神妙な顔つきで宇崎に尋ねた。)
【すんまへん、ちと訂正ですわ。】
(と、俺は少し神妙な顔つきで宇崎に尋ねた。) ×
(と、俺は少し影を差した様な顔つきで宇崎に尋ねた。) ○
>>99 よう来たね、いらっしゃい!!
まあ俺もここに来てまだ間も無いからな、御互い、頑張ろう!!
>>95-98 動く、動かんもそれは人の自由やからな。
まあ、ええんとちゃいますか?
(宇崎)「ええっ、ホンマか!!? 偉い立派になったもんやな〜!!!!! お前、生徒に手を上げたりは
してへんやろうな? まあ俺みたいな生徒がいたら、そらど突くのはしゃあないけど、出来るだけ
優しゅう接するんやぞ!!!!! 先生と生徒の関係っちゅうのはな、心と心が通ってこそ、成り
立つもんやからな、ええな!!?」
(戸波)「おい!!! 俺を何だと思っとるんや!? 俺は人に、分からん事ややったらあかん事があったら、口で
言い聞かすタイプや、そんな暴力的な事はせえへんぞ!!!
……まあ、それでも駄目なら少々小突くけど、な。」
ワハハハ、大丈夫や!!! 光洋、コイツはなホンマにそんな暴力的な事は絶対にせえへんし、生徒から
信頼を得るほど頑張っとるで!!!!! ひょっとしたら俺よりも教師としての素質があるかも知れんわ!!!!!
(と笑いながら俺は戸波のフォローをする。二人の会話を聞いていると、歳は食ってもこの二人、中身は
学生時代そのものなのだな、としみじみ思ったものであった。
と、戸波が後ろのコーヒーメーカーに少量のコーヒーが残っている事に気付き……、)
(戸波)「ありゃ、先生。コーヒー淹れはったんですか? ちと意地汚のうてすいませんが、喉が渇いていたもんで、
私にも一杯くれませんかな?」
(と断りを入れる。)
うん? ああ、ええよ。只、もしかするとまだ熱いかも知れんからな、気ぃ付けろよ。
(と俺は注意を促すが、戸波は自分のマグカップを取り出してコーヒーを注ぐと、あろう事かグイッと
飲んでしまう。それにより、喉を火傷してしまい、思いっきり噎せる。)
ダハハハハ、ホレ言わんこっちゃない!!!!! お前、少量だからって甘く見くびっちゃあ、豪い目に
遭うぞ!!!!!
(戸波)「わ…、笑わんといて下さいよ!!!!! こんな少しやと、冷めてるもんやと思いますがな!!!!!」
まあ、そうカッカするな。今度から気を付けぇよ。ホンマ。
(と、俺は赤面する戸波を宥めすかす。それからの間、俺と戸波、宇崎の3人は昔話や今、何をしているか等、
様々な話をして談笑を展開する。何だろうか、まるで一気に18年前に遡ったような感覚に囚われ、俺は時を
忘れていた。
だが、午後3時になろうとした頃、突然宇崎は笑顔から一転、真剣な表情に変えると……、)
(宇崎)「……ところで先生。俺が高校3年の最後の夏休みの時、友達と一緒に天川村にキャンプで遊びに
行ったのを覚えていますか?」
何っ……?
(と、話を切り出したのである。俺は一瞬面食らうと、戸波の方に顔を向ける。戸波の方もやはり少々驚きの
表情を見せていた。無理もない、あの時のキャンプは宇崎の他に、この戸波も参加していたのだからな。)
(戸波)「……みっちゃん、何も聞かされてないんか?」
(と、影を差した表情でそう尋ねる戸波。俺は手で彼を遮り……、)
教次郎、ちと待ってくれ。それは俺から言う。
……ああ、覚えてるで。確かお前に教次郎、中谷、中馬、相坂、鶴屋、若松、槇田、古賀、園川、諏方、栗本……。
このメンバーで天川村に行ったんだっけな?
>>95‐96
ホンマか!? せやけど向こうの方見てきたけど、何か本人は未だにダークファンタジーの方に残留したいような事を
仄めかしとるやないか。返事もまだ来とらんし。
まあ、俺としちゃあ別にどっちでもええんやけど、な。
>>97 へ〜、そんな話があったんか。格好ええやないか、藤波!!!
もし彼女が来たら俺も、その藤波の様になってみたいもんやな!!!
>>98 返事の方はまだ梨の礫やからな、真相の程は分からへん。
まあ戸波同様、俺も動くも動かんも、それは向こう次第やと思っているから、
大して気に留めとらんで。
>>100 何、ホンマかいな!!? 箸墓古墳が卑弥呼の陵墓かも知れんやて!? 俺はあの古墳は、日本史の
授業等で倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと=第7代天皇・孝元天皇の皇女)と
聞いてたんやが、違うんか?
……そういや『BLACK CAT』や『To LOVEる -とらぶる-』の作者である矢吹健太朗は確か10年ぐらい前、
『邪馬台幻想記(やまとげんそうき)』っちゅう漫画を高校時代に「週間少年ジャンプ」に連載させた事が
あったな。
確かに「邪馬台」と書いて「やまと」とも読めん事は無いからな、真相が奈良が邪馬台国だったとしても
可笑しくはないと思うで。
せやけど更にその桜井が邪馬台国の舞台ではないか、っちゅうのは「びっくり、クリクリ、栗饅頭」やな、
ホンマ!!!
面白い事実を教えてくれておおきにやで!!!!!
さて、と。とことん脱線した所で、続きの方、行こか!!!!!
金沢先生:「……ああ、覚えてるで。確かお前に教次郎、中谷、中馬、相坂、鶴屋、若松、槇田、古賀、園川、諏方、栗本……。
このメンバーで天川村に行ったんだっけな?」
よう覚えてはりましたな。そうです、そのメンバーで行ったキャンプですわ。花火に川遊び、バーベキューに俺や
きょーやん(戸波)でやった即席の漫才……。何もかもが懐かしくて良い思い出でしたな。
ただ、3日目にやった、「森の探検」を除いてですが―――――。
(そう言うと俺は、すっかり冷めた、マグカップのコーヒーをクイッと一口飲み、職員室の天井を見上げ、ふうっ、と
溜息をついた。)
……あの時、メンバーで男女がキッチリと6人ずつに分かれていたさかい、其々ペアを組み、別々に行動して、虫や
木の実等を採ったり、草木の観察をする等、自然の面白さを体験しよう、と確か園川の奴が企画したんですわ。
それで皆、「そうしよう」と満場一致で決め、即席で作った籤引きの結果、俺と「はるちゃん」がペアになったんですよ。
(そこまで話すと、俺は再びコーヒーを飲む。因みに『はるちゃん』とは、俺とは幼稚園の頃からの幼馴染である
中谷陽子の愛称であり、彼女とはよく口喧嘩をしたり、また俺が暴れた時は戸波同様に制止に入ったり、また俺が
困っている時はちゃんと相談に乗ったりと、まさに兄妹《?》の様な関係だったのである。)
……それでいざ行動開始になると、俺は生来の珍しいもの見たさに駆られて虫を採りながら、彼女を置いてけ堀にして
先にドンドンと森の奥深くを進んだのですよ、脇目も何も振らずに。
……で、それから1時間ぐらい経った時、漸く俺は彼女がいない事に気付き、彼女の名前を叫びながら捜したのですが、
何処にもいない。次第に不安になり、最悪の事を想定しながらも俺は捜しに捜して、大体高さが5、6mぐらいの、河原が
一望できる崖の方に辿り着き、何気無しに真下を見ると……。
(職員室の中は冷房が利いているのにも拘らず、膝の上に乗せている俺の両手は小刻みに震え、額からは一筋の汗が
流れていた。俺はそれに気付くと、右手でさっと汗を拭う。胸も、気付かない内に高鳴っていた。)
……頭に血を流して仰向けに倒れているはるちゃんを見つけたんです。
あ、一つ忘れとったわ。
>>中谷さん
うちの物語へようこそ!!!!!
御互いええ話が作れる様、頑張っていこう!!!!! 宜しゅうな!!!!
それとあと、ちゃんと出番はあるさかい、それまではゆっくりと
待っててや!!!!!
更に間違うた。
>>104の倭迹迹日百襲姫命の父親やが、正しくは
×孝元天皇
○孝霊天皇
やったわ。まあ、どうでもええんやけど、な。
(更にどうでもええ事に、間違えた『孝元天皇』という人物は『孝霊天皇』の息子であり、
『古事記』や『日本書紀』によると第8代目の天皇で、倭迹迹日百襲姫命や吉備津彦命
《=きびつひこのみこと。日本の昔話に出て来る『桃太郎』のモデルとなった人物》とは
異母兄妹に当たる。)
はい、どうもおおきに。ありがとうございました〜。
(と、顧客に別れの挨拶を告げると、俺はバギーバイクを桜井東高校に向けて走らせる。)
<結構、長い事話してもうて、エライ時間喰ったわ。アイツ、待っとるかな……?>
(そう呟きながら、俺は右手に嵌めている腕時計を見る。時刻は午後2時35分。
それから数分後、バイクは高校に通じる橋の袂に到着する。しかし、まだ宇崎の姿は
見えなかった。どうやらまだ学校内にいるらしい。)
<久しぶりやから長話でもしてるのかいな?>
(そう思うと俺はバイクのエンジンを再び吹かせ、橋を渡って校門の前まで進ませ、そこで待つ事を
決めたのであった。
遠方の山々から、未だに蝉の大合唱は続いていた―――――。)
>>105 (黙って宇崎の話を聞いていた俺。『事件』が起こったキャンプの話を始めた時、まだ宇崎は
リラックスしている状態であったものの、次第に話が『事件』に差しかかろうとすると、彼の
顔から汗が流れ、両手の震えが微妙に来し、苦しげになっているのが目に見えた。それはまるで、
刑の執行を怯えながら待つ、死刑囚の様であった。
俺は辛そうに話をする宇崎を見兼ねて……、)
……分かった、もう良い。そんなに苦しいのやったら、別に無理して話さんでもええからな。
(これ以上話させると、冗談抜きでコイツは危ない。俺はそう思い、彼を制したのである。それから
俺は宇崎の替わりに、その時の事を一つ一つ思い出しながら語り始めた。)
で、確か中谷はその5、6メートル位の高さの崖から転落。その際に頭部を河原の石に強打した
模様だ、と俺は第1発見者の諏方から聞いたからな。まあ最も、その諏方はそういった所を目の
当たりにしていなかったさかい、真相の程はどうだか分からんのやが……。
……それからお前は幼馴染である中谷とペアを組んでいたにも拘らず、虫捕りに夢中になって彼女を
放ったらかしにし、あの様な事故を招いてしまった、っちゅう事で、お前はクラスの大半の者から
顰蹙を買い、その責任を問われたり、また「人殺し」等、罪人呼ばわりにされた。そうやったな?
(俺は一頻りそう言うと、コーヒーを一口飲み、再び話を続けた。)
……まあ、俺としても正直な所、ああいった危険な場所での行動っちゅうのは御互いに危険を予測した
うえで絶対に付き添うべきであって、離れてはいかんと思っている。それは山のみならず、海であれ、
異国であれ、近所であれ、や。
せやけど、だ。俺としてはまあ、しょっちゅうお前の事を特別に見ていたのは仕方が無いとして、俺に
とっては生徒は「我が子」の様なもんであり、「我が弟」の様なもんやからな。その上、卒業間近で
あるだけに、クラスの和が乱れるのを其の儘にはしとうなかったから、俺はそれを「不慮の事故」とみなし、
お前を庇ったんや。それに、お前が中谷の事を恨んで手をかけたっちゅう事実も無いのに、「人殺し」
呼ばわりされるっちゅうのは、もんの凄く感じ悪いし、な。
あの時はお前をそう呼んだ奴を、片っ端から職員室に強制連行して、思いっきり油を絞ったもんやで、
ホンマに。「二度とそんな事を口にするんやないぞ、分かったのう!!!???」とな。
(そう言うと俺は机の引き出しから白いマイルドセブンの箱と喫茶店で貰ったマッチ箱を取り出し、
タバコを一本銜えるとマッチをシュッと擦って火を点け、吹かし始めた。煙は、ゆっくりと帯を成して
天井へと昇って行く。)
済まんな、これでも昔よりかはタバコの本数を減らしてるんやけど、やっぱりどうしても吸いたい
時っちゅうのはあるもんでな。今でもこうして周りの目を盗んだり、一人になった時を見計らって
吸ってるんやわ、ハハハハ!!!!!
(と冗談を言い、笑う俺。だが間もなく真顔に戻すと……、)
それでな、光洋。その中谷の事やが……。彼女、今から5年位前に意識を取り戻したそうや。
110 :
名無しになりきれ:2009/11/27(金) 04:02:08 0
一応、ageて保守
ちょっと文章が拙いけど、まあ頑張って
112 :
名無しになりきれ:2009/11/29(日) 09:14:51 O
あ
雑談所で、宇崎の事をバカにしている携帯がいるぞ
>>110 こら、どうも。まあ、俺としてもしっくりいかん事があるさかい、拙いのは否めんけど、これからも
頑張るからな!!!!!
>>111 何、アイワナビー? 何やそれ?
訳の分からん外来語を持ち込むんやったら、何か一つ評価や批評、酷評でも
ええから寄越せ!!!!!
>>112 何や、言いたい事があったらハッキリと言わんかい!!!!
「あ」だけじゃ、分からへんぞ!!!
>>113 おう、さよか!!! だったら好きなだけ言わして、言わして、言わしたれ!!!!!
そうやって向こうがスッキリするんやったらなぁ、俺はそいつの受け身にでもなったる
わい!!!!!
よっしゃあ!!!!! じゃあ久しぶりに一発、行こか!!!!!!
>>109 金沢先生:「で、確か中谷はその5、6メートル位の高さの崖から転落。その際に頭部を河原の石に
強打した模様だ、と俺は第1発見者の諏方から聞いたからな。まあ最も、その諏方はそういった所を
目の当たりにしていなかったさかい、真相の程はどうだか分からんのやが……。
……それからお前は幼馴染である中谷とペアを組んでいたにも拘らず、虫捕りに夢中になって彼女を
放ったらかしにし、あの様な事故を招いてしまった、っちゅう事で、お前はクラスの大半の者から
顰蹙を買い、その責任を問われたり、また『人殺し』等、罪人呼ばわりにされた。そうやったな?
……まあ、俺としても正直な所、ああいった危険な場所での行動っちゅうのは御互いに危険を予測した
うえで絶対に付き添うべきであって、離れてはいかんと思っている。それは山のみならず、海であれ、
異国であれ、近所であれ、や。
せやけど、だ。俺としてはまあ、しょっちゅうお前の事を特別に見ていたのは仕方が無いとして、俺に
とっては生徒は『我が子』の様なもんであり、『我が弟』の様なもんやからな。その上、卒業間近で
あるだけに、クラスの和が乱れるのを其の儘にはしとうなかったから、俺はそれを『不慮の事故』とみなし、
お前を庇ったんや。それに、お前が中谷の事を恨んで手をかけたっちゅう事実も無いのに、『人殺し』
呼ばわりされるっちゅうのは、もんの凄く感じ悪いし、な。
あの時はお前をそう呼んだ奴を、片っ端から職員室に強制連行して、思いっきり油を絞ったもんやで、
ホンマに。『二度とそんな事を口にするんやないぞ、分かったのう!!!???』とな。」
(一通り話すと先生は、机の中から煙草とマッチを取り出し、一服をし始めた。俺は終始項垂れたまま
先生の話を聞くと、ある光景を思い出した。
血塗れになっている中谷を抱きかかえ……、)
(↓)
そこに颯爽とせんとくんが…!
18年前の宇崎光洋:『はるちゃん、はるちゃん!!!!!! 起きてくれよ、はるちゃ―――――――ん!!!!!!』
(泣き出しそうな顔で必死になりながら中谷の名を叫んで呼んでいる、自分自身だ。
何故あの時、自分自身の楽しみを優先にして、守るべき大切な人を放っておいてしまったのか。
若気の至りからか? 彼女がいつも身近に居ると思っているから、気にも留めなかったのか?
今にして思うと不思議で仕方が無かった。
繰り返し言う様だが、これにより俺はクラスからの信頼を失墜させると同時に、周りから冷ややかに見られる様になり、
2年ぐらい前に放映された深夜ドラマの『ライフ』のいじめっ子だった安西愛海《=福田沙紀》の様に、教科書や鞄、
机に傷を付けられ、また『宇崎は殺人者』と大きく黒板に書かれたりと、陰険な仕打ちを受けて来たのである。まあ
その実行犯は恐らく、俺からど突かれたり怪我を負わされた、生徒であろうとは思うのだが……。俺としては絶望的に
帳消しが出来ない落ち度がある分、その仕打ちに対しては何も手を打ちはしなかったのである。
これが天から自分自身に科せられた、『懲罰』だと思うが為に、だ―――――。
とは言えいつまでも苛められっぱなしの儘という訳ではなく、今俺の目の前にいる戸波や園川、栗本、古賀、相坂と
いったキャンプのメンバーや、キャンプに居合わせていなかった金沢先生を始めとする平井、奈良、梅谷、山崎等と
いったメンバーが庇ってくれた事もあり、少なからず俺の心には希望の光が差し込むと同時に、いつも『済まん、こんな
俺の為に……』と心の中で只管謝り続けていたものである。
だが、この2つの派閥《?》は、俺の持ち物等に悪戯をした、俺を悪党呼ばわりする者を、俺を庇う者が虱潰しに探し出し、
最悪の場合、大乱闘に発展する事がざらにあり、それも卒業間近まで続いていたのであった。
それから18年、俺はにげる様に桜井から離れて、二度と故郷の土を踏まぬ覚悟で東京で新たな生活を始め、他の者達も
散り散りバラバラに、其々の人生をスタートさせたのである。
只、中谷陽子という、一人の女性を残して―――――。)
(↓)
<ホンマ、あの時は最後の最後まで先生を始めとして、クラス全員に迷惑をかけてしもうた。18年経った今、その事件に
ついて幾分かは風化していると思うが、俺を嫌っていたモンは今ここでバッタリ逢うても、嫌な顔をするやろうな……。>
(と、半ば自虐じみた事を思いながら、俺は未だに額から出る汗を拭った。)
それで先生、今中谷さんはどうなさって―――――。
(と俺が金沢先生に、中谷陽子の事を聞き出そうとした矢先、すかさず真顔に戻った金沢先生が先に口が開いた。
それは俺にとって、天地が引っ繰り返る様な、衝撃の事実だった。)
金沢先生:『それでな、光洋。その中谷の事やが……。彼女、今から5年位前に意識を取り戻したそうや。』
えっ……?
(俺はそう呟く様に、感嘆詞を漏らす。人間、本当に衝撃的な事を知らされたりぶつけられた場合は、
『ええ―――――っ!!!!??』とか『何ですって!!!??』と大きく悲鳴や声を上げて
吃驚するのではなく、『夢か!?』、『嘘だろ!?』と疑いから入るものだから……。
それで、その事実を聞かされた瞬間、俺はどうしたか、と? そりゃあ非常に嬉しく思うし、最大限の喜びを
上げたく思う。だがその眠っていた13年間、彼女にはあらゆる『魔の手』が忍び寄っていた事もまた、忘れては
ならない。若年性痴呆や記憶障害、身体的、あるいは精神的な衰えにショック……、最悪の場合は半身不随や全身
不随といった、様々な後遺症が彼女を蝕んでいる確率がほぼ100%だからな。手放しに喜ぶなんざ、とんでも
ない事だ!!!
だが俺の心の中では、未だそういった不安が支配してはいるものの、徐々に彼女に『会いたい!!』、『話したい!!』、
『抱き締めたい!!』、そして『あの日の過ちを、土下座してでも謝りたい!!!』という気持ちが膨らんでいったので
ある。
驚愕の事実を聞いて10秒ぐらい絶句した俺は、漸く我に返ると恐る恐る……、)
それでしたら先生……。今、彼女は何処に住み、何をなさっているのでしょうか……?
(と蚊の羽音とも言うべき小声で切り出したのであった。無論、彼女の居場所が分かったり、実際彼女に会ったとしても、
彼女の両親が再び憤慨しかねないのは覚悟の上なのだが。)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
>>117 現れりゃあええのう!!! まあ向こうは正式にFOしたさかい、夢物語やろうけど……。
間違うた、アンカーミスや!!!! 自分自身に返してどないすんねん、ホンマ!!!!
>>117やなくて
>>116やったわ!!!
>>118 (宇崎)「それでしたら先生……。今、彼女は何処に住み、何をなさっているのでしょうか……?」
(と宇崎は、キチンと耳に届いているかどうか分からない位、小さな声で俺に尋ねた。それに対し俺は、
タバコの灰をアルミ製の花柄模様が入った灰皿にトン、トンと落としてから……。)
ああ……。彼女は今も慈恩寺の実家におってな、週4〜5日近くの病院で歩行等のリハビリに励んでいる
そうや。まあ今でも車椅子での生活であるもんの、ある程度歩ける様になったとか、字が書ける様になったとか
聞いてるのやが……、肝心のあの日の「事件」については……ショックっちゅうのかな? 完全に記憶に無い
らしゅうて、その上、脳のダメージで言葉を話す事が出来ず、自分の意思を筆談 ――――― ほれ、画用紙や
ノートに自分の思いや意見を書いて、他人に伝える方法や ――――― で相手に伝える事をしているそうなんや。
目覚めた初めのうちは矢張り周りや自分自身のギャップに相当のショックを受けて、一時鬱状態になったん
やけどな、俺や相坂、折笠、園川、天沢、若松といった当時の3年1組のメンバーで励ましに行ったらあの娘、
持ち前の明るい性格を取り戻してな、次第に「社会に羽ばたける様に頑張りたい」と言うとったんやわ。
(そう言うと俺はタバコをフーッと吹かし、ギュッと灰皿に押し付けた。)
それでやが、お前。「それ」を尋ねたという事は……、もしかして中谷さんに会いに行こうと思っているんや
なかろうな?
(俺は彼の顔を窺いながら、十中八九当たっているのかも知れない事を尋ねた。)
〔名前〕宇崎 清治(うざき せいじ)
〔年齢〕95歳(大正2年10月9日生まれ)
〔出身地〕奈良県橿原市膳夫町
〔身長〕198.7cm
〔体重〕97.3kg
〔性別〕男性
〔性格〕野球選手時代、『仏の清治』という異名をとったほど、穏やかで優しい。
〔職業〕今は悠々自適の生活(嘗てはプロ野球選手として活躍し、引退後は大阪で建設会社にて勤務)
〔容貌〕白髪の頭髪をオールバックに整え、容貌はやや頬が弛んでいる、好々爺然の風貌。が、日頃の
運動や野良作業等をしている為、結構身体は引き締まっている。
〔好きな物〕里芋の煮っ転がし、焼き魚(特に鯵や鯖)
〔嫌いな物〕無し
〔趣味〕麻雀(偶に近所の人と一緒に興じている)、特打ち(今でも自分専用のバットを引っ提げては
バッティングセンターで100球位打ち込んでいる)、家庭菜園(葱や小松菜を育てている)、散歩
(足腰を鍛える為。但し万が一の事を鑑みて、杖を常備している)
〔特技〕球速が140kmぐらいのボールを打つ事。
〔出典・モデル〕元プロ野球選手で、昭和30年代前半に黄金時代を迎え、「野武士集団」という異名で
他球団から恐れられていた西鉄ライオンズ(=現・埼玉西武ライオンズ)の「不動の5番打者」として
活躍した故・関口清治氏がモデル。
〔備考〕宇崎光洋の祖父。光洋が子供の頃は彼が遅く生まれたうえに唯一の孫であった為、非常に可愛がっており、
光洋にとっても祖父を一番の良き「理解者」として尊敬をしていたらしく、ぐれていた時でさえも困った事があれば
すぐに祖父を良く頼っていた。
高校最後の夏休みの『事件』が切っ掛けで光洋が東京へ去った時はかなり寂しそうにしており、光洋から便り等が
来た時は、決まって息子の治憲以上に大喜びしている。
〔一言〕宜しく頼んまっせ!!!
〔名前〕宇崎 治憲(うざき はるのり)
〔年齢〕68歳(昭和16年5月7日生まれ)
〔出身地〕奈良県桜井市黒崎
〔身長〕193cm
〔体重〕88kg
〔性別〕男性
〔性格〕律儀で努力家、質実剛健かつ清廉潔白。が、反面激情型の上、たまに融通が利かず、
抜けている所もあり。また、意外にも「親馬鹿」な面もある。
〔職業〕弁護士。桜井市御幸田町にあるビルの一室に事務所を構えている。
〔容貌〕前髪をやや切り揃えた、いわゆる「お河童頭」の様な髪型で色は黒い。精悍な顔つきで、常に
黒縁で大き目の、ウェリントン(逆台形)型の眼鏡をかけている。身体は筋肉質で引き締まっている。
〔好きな物〕里芋、あるいは油揚げをメインに使った料理。
〔嫌いな物〕曲がった事。食べ物だと無し。
〔趣味〕料理(家庭的なものなら何でもOK。たまに凝ったものも作れる)、写真撮影(風景や家族の写真を
よく撮る)
〔特技〕少林寺拳法(5段=大拳士。高校時代、全国大会・個人の部で優勝した経験がある)、柔道(2段取得)
〔出典・モデル〕小林尽原作の漫画「スクールランブル」の登場人物の一人である花井春樹。プロフィールの内、
生年月日や性格、趣味等、彼に沿ったものが幾つかある。
〔備考〕宇崎光洋の父。性格の欄で記述した通り、基本的には厳格な性格そのものなのだが、なかなか子宝に
恵まれず悩んでいた時期があった為、光洋が生まれた時は飛び上がるほど非常に大喜びしたという。
只、学内のみならず、他校生との喧嘩が日常茶飯事となるくらい荒んでいた中学、高校時代の光洋の事に関しては
まさに「悩みの種」であり、暫くの間、御互いが全く口を聞かなかった時期があるほどまで確執が生じた事も
あった。だが、それでも常に光洋が不良から足を洗い、立ち直る事を信じていた。
その上、高校最後の夏休みに出かけたキャンプで起こった、幼馴染の女性を植物状態の重体に陥らせるという
「不慮の事故」を切っ掛けに、高校卒業と同時に桜井を去った光洋の事をいつも非常に心配しており、それだけに、
息子が送ってくれる手紙や年賀状が来ると、決まって読むうちに涙を流している。
〔一言〕頑張りますのでこれから宜しく頼んます!!!
〔名前〕中谷 淳輔 (なかたに じゅんすけ)
〔年齢〕68歳(昭和16年6月3日生まれ)
〔出身地〕奈良県五條市(但し、生まれは秋田県横手市。2歳の時に五條市に移住した)
〔身長〕218.7cm
〔体重〕120.5kg
〔性別〕男性
〔性格〕やや厳格だが基本的には慎ましく、温厚。そして家族思い。
〔職業〕大手の履物専門店の営業部部長を勤めている。
〔容貌〕オールバックにした髪型に、馬面で鷲鼻、アントニオ猪木並みの長い顎を持った、
いかつい容貌。顔にやや皺が目立つ。身体つきは長身で、若い頃からバレーボール等で
鍛えている為、筋肉質でやや引き締まっている。尚、腕が普通の人と比べてやや長い。
〔好きな物〕素麺、葱鮪鍋(子供の頃の御馳走がそれだったから)
〔嫌いな物〕納豆(調理したものであれば食べる事は食べるが、納豆そのものだと
糸を切るのが面倒だから)
〔趣味〕ジョギング(1日5kmぐらい、時々ルートを変えながら走る)、将棋
〔特技〕バレーボール(長身を生かしたアタッカーとして活躍し、高校、大学、社会人時代通じて、
全国大会に計7度出場したほどの実力を持つ。今でも暇があれば社会人のクラブに時々顔を出しては
一緒にプレーする事もある。)
〔出典・モデル〕「三国志大戦」に出て来る、袁紹軍の武将である淳于瓊。
http://card-trading.jp/sangokushi2/images_sangokushi2/CK2-en010.jpg 〔備考〕中谷陽子の父。一人娘である陽子に対して、子供の頃からかなり可愛く思っている。陽子の
幼馴染である宇崎光洋に対しては夏休みの「事件」が起こるまでは何かと仲が良い所を認めていたのだが、
「事件」以降は陽子が入院している病院で、その「責任者」である光洋が見舞いに来る度、烈火の如き
怒りで彼の事を罵倒して追い返す等、一転して光洋の事を恨みを持つ様になる。
それから18年経った今、眠りから目覚めた陽子の回復を喜び、幾分か光洋に対しての憎しみは和らいで
きたものの、未だ彼の事を許す所までには到っていない。
〔一言〕途中からやけど、宜しく頼むで!!!!! ビシバシいかせてもらうからな!!!!!
〔名前〕宇崎 綾子(うざき あやこ)/旧姓・城之内(じょうのうち)
〔年齢〕92歳(大正6年2月15日生まれ)
〔出身地〕神奈川県久良岐(くらき)郡屏風浦(びょうぶがうら)村(現・神奈川県横浜市磯子区)
〔身長〕189.2cm(若い頃は193cm位あったらしい)
〔体重〕74.6kg
〔性別〕女性
〔性格〕冷静かつ慎重で、何事にも動じない性格だが、反面温情に溢れている。
〔職業〕専業主婦(結婚前は東京の和菓子専門店『猫家(ねこや)』に勤務していた)
〔容貌〕見た目は60代ぐらいで、やや鋭い目つきをした容貌。茶色がかった白髪を短めにカットしている。
因みに若い頃は宝塚歌劇団の男役の様に端正整った顔つきとスタイルで、男女から人気が高かった。
〔好きな物〕うどん、みかん、淡雪羹、カステラ
〔嫌いな物〕特にこれといって無し
〔趣味〕和菓子作り(高等女学校時代、家庭科の実習が切っ掛けで傾倒し始め、色々なものを作れる様になった。
特に羊羹等、生菓子の類は得意)
〔特技〕昔だとバレーボールの選手として鳴らしていたけど、今となっては物覚えが良い事が特技……かな?
〔出典・モデル〕「ANGELIC LAYER(アニメ版では『機動天使エンジェリックレイヤー』というタイトル)」に
登場する城之内最がモデル。旧姓、誕生日は彼女から引用。
〔備考〕宇崎光洋の祖母。夫の宇崎清治同様、性格がきつそうな見た目とは裏腹に、たった一人の孫息子である
光洋の事を子供の頃から可愛がっており、光洋が遊びに来た時は決まって手作りの和菓子を御馳走していたという。
夏休みの「事件」を切っ掛けに、東京に去って帰って来ない光洋を内心では日々、心配している。
〔一言〕とことん頑張るからね!!
金沢先生:「ああ……。彼女は今も慈恩寺の実家におってな、週4〜5日近くの病院で歩行等のリハビリに励んでいる
そうや。まあ今でも車椅子での生活であるもんの、ある程度歩ける様になったとか、字が書ける様になったとか
聞いてるのやが……、肝心のあの日の『事件』については……ショックっちゅうのかな? 完全に記憶に無い
らしゅうて、その上、脳のダメージで言葉を話す事が出来ず、自分の意思を『筆談』 ――――― ほれ、画用紙や
ノートに自分の思いや意見を書いて、他人に伝える方法や ――――― で相手に伝える事をしているそうなんや。
目覚めた初めのうちは矢張り周りや自分自身のギャップに相当のショックを受けて、一時鬱状態になったん
やけどな、俺や相坂、折笠、園川、天沢、若松といった当時の3年1組のメンバーで励ましに行ったらあの娘、
持ち前の明るい性格を取り戻してな、次第に『社会に羽ばたける様に頑張りたい』と言うとったんやわ。」
(と、先生は平静を保たせながらそこまで言うと煙草を2、3度吹かし、灰皿にギュッと押し付けて火を揉み消した。
「事件」についての記憶が無く、その上、言葉が話せなくて筆談でコミュニケーションをとっている―――――。
俺はある程度覚悟して彼女の状況を聞き、上辺では動揺は隠していたものの、心の中では矢張り少なからず彼女に
後遺症が残っていたのに対してショックを感じ、改めて『あの時、俺がしっかりしていれば……。』と後悔に
苛まれる事となった。
だが、その本人はというと、目覚めた時こそショックで鬱の状態に陥ったものの、先生や折笠、若松といった親友等、
周りのバックアップによって見事に立ち直り、今も実家にて、社会復帰に向けてリハビリを続けているのである。
その事実を知った俺の心は、後悔に苛まれつつ、先生や彼女と親しい元クラスメートに申し訳無く思う反面、益々
彼女に会わねば気が済まない、という思いを、恰も膨らんでゆく風船の様に募らせたのである。)
金沢先生:「それでやが、お前。『それ』を尋ねたという事は……、もしかして中谷さんに会いに行こうと
思っているんやなかろうな?」
(と、先生は俺の顔を窺いつつ、そう尋ねた。口振りからして、次に来る言葉は「やめておいた方が良いと思うぞ。」と
言わんばかりに、だ。
俺は少し深呼吸を、そして咳払いをして落ち着かせると……、)
ええ、元よりその心算ですよ。そらあ、このまま彼女に会わずして生活を送る事は出来るでしょうし、彼女としても
その事件を知らないまま過ごした方が彼女自身の為でもあるでしょう。
せやけど、俺としてはそんな大きなしこりを残したまま一生を送るのは絶対に嫌ですし、中谷さんとしても「事件」の
記憶が無いが為に、「何故、自分はこない(こんな事)になってしまったのか?」という疑問に苦しまれている、若しくは
苦しまれていた可能性がありますからね。そう考えると尚更彼女の事をそのままにする事は出来ず、改めて彼女に謝って、
全てを打ち明けて潔白にしてあげたいと思うのですわ。まあ、これは完全に俺の独り善がりの考えであり、彼女としても
俺を許してくれないと思いますが、ね……。
(俺は先生にそう打ち明けると、冷めたコーヒーを一気に飲み干し、それまで俺と先生の話を黙って聞いていた戸波に
目を向けると……、)
きょーやん、済まんな。折角こうして久しぶりに会えたっちゅうのに、こんな辛気臭い場にしてもうて……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
>>121-124 よう来てくれたな、こちらこそ宜しく!!!!!
何や、家族が増えてメッチャ嬉しいわ!!!!!
>>125 >「きょーやん、済まんな。折角こうして久しぶりに会えたっちゅうのに、こんな辛気臭い場にしてもうて……。」
(と、これまで宇崎と金沢先生の話のやり取りを聞いていた俺に、宇崎は何の前触れも無く振って来たのである。
それを聞いた俺はハッとして、少し戸惑ったものの……、)
え? ああ、いや。俺は別に何も気にしてへんで。久しぶりの再会やっちゅうのに、そんな辛気臭いも何もあるかいな。
…ところでみっちゃん、さっき「彼女としても俺を許してくれないと思う」と言うたな? それは間違いやで。
実は相坂と天沢から聞いた話やけどな、はるちゃん(中谷陽子)、しょっちゅう金沢先生や天沢や相坂、園川等に
「みっちゃんは?みっちゃんは来うへんの?」って尋ねとったそうでな……。何や、相坂が「宇崎君に会いたいの?」と
尋ねた所、相坂の手に「うん、会いたい」と指で書いたんやて。
様子からして、全然と言っても良いほど、お前の事を恨んでいる素振りも何も無かったそうや。
(金沢先生の方に顔を向けて)そうですよね、先生。
>>125 (宇崎)「ええ、元よりその心算ですよ。そらあ、このまま彼女に会わずして生活を送る事は出来るでしょうし、彼女と
してもその事件を知らないまま過ごした方が彼女自身の為でもあるでしょう。
せやけど、俺としてはそんな大きなしこりを残したまま一生を送るのは絶対に嫌ですし、中谷さんとしても『事件』の
記憶が無いが為に、『何故、自分はこない(こんな事)になってしまったのか?』という疑問に苦しまれている、若しくは
苦しまれていた可能性がありますからね。そう考えると尚更彼女の事をそのままにする事は出来ず、改めて彼女に謝って、
全てを打ち明けて潔白にしてあげたいと思うのですわ。まあ、これは完全に俺の独り善がりの考えであり、彼女としても
俺を許してくれないと思いますが、ね……。」
さよ、か。やっぱりな。短気の癇癪持ちで、すぐカッとなっては周りまで巻き添えを食らわせるものの、その後は皆に
キチンと非礼を詫びなければ気が済まない。お前、歳は食うたけど、ホンマ、中身は学生時代の頃と殆ど変わりが無いな。
ああ、これは「悪い意味」や無くて、「良い意味」でやからな。勘違いせんといてや。
(と、俺は少しニヤリと笑みを浮かべながら宇崎にそう言った。
短気でしょっちゅう周りをトラブルに巻き込むが、その後自分が犯した非礼は必ず心から詫びる。そういった所があるが
為に、周りとしても大抵の者はこの宇崎光洋という男の事を憎むに憎めなかった筈なのだが、それでも陰では彼の事を
心底憎んでいる連中も少なからずいたのというのもまた事実であり、特にあの『事件』の第一発見者である諏方は日頃から
宇崎の事をかなり恨んでいた模様で、それを好機と思ったのか、彼は一気にその恨みを剥き出しにして宇崎の事をクラス中に
『殺人者』扱いとして喧伝したのである。
まあ俺としてもこの件は宇崎に少なからず非はあったという事を認めてはいたものの、その喧伝を含め、黒板や宇崎の机、
椅子に大きく書いた『殺人者め、来るな!!!!』とか『いつまで生きとるんじゃ、人でなしめ!!!!!』、『死にさらせ、
ゴミ野郎!!!!!』といった落書きに、宇崎の教科書や鞄に傷を付けるという、諏方或いはその一味と思しき連中がやったの
かも知れない、明らかに度が過ぎた悪質な悪戯に宇崎が日々苛まれた辺り、『事件』の非を認めるより遥かに宇崎を哀れに思えて
仕方が無く、時には『もし、第一発見者が諏方やなくて、教次郎や古賀、栗本、園川といった友人やったらこんな事にはならな
かったのでは……?』とさえ思ったものである。まあ、それでも恐らくはそれにつけ込んで宇崎に対しての嫌がらせが生じる
可能性というのは無きにしも非ずなのだが……。)
>>126 (戸波)「実は相坂と天沢から聞いた話やけどな、はるちゃん(中谷陽子)、しょっちゅう金沢先生や天沢や相坂、園川等に
『みっちゃんは?みっちゃんは来うへんの?』って尋ねとったそうでな……。何や、相坂が『宇崎君に会いたいの?』と
尋ねた所、相坂の手に『うん、会いたい』と指で書いたんやて。
様子からして、全然と言っても良いほど、お前の事を恨んでいる素振りも何も無かったそうや。
《金沢先生の方に顔を向けて》そうですよね、先生。」
うん? ああ、そうや、そうやったな。
光洋、教次郎の言う通り中谷はな、お前の事を一つも恨んではおらんし、寧ろお前に会いたがってるんや。
それと、実はお前の言った通り、中谷が「自分は何でこうなったのか」という事を俺や教次郎、相坂達に
執拗なくらいに尋ねてきてな……。まあ本来なら大きなショックを受ける可能性があるさかい、キャンプ場での
「事件」の事について言わず、最初はのらりくらりと別の話をする等、かわしていたんやが……。余りにも尋ねて
くるさかい、苦渋の決断の末、仕方なく俺が一通り教えたんや。無論、その後お前がクラスで憎悪の対象となって
しまった事も含めて、や。
そしたら中谷がかなり興奮してもうて、スケッチブックに「何でみっちゃんの所為にするんや!? 勝手に怪我をして
こないになったのは私やのに、そんなんあんまりや!!!!!」と殴り書きで俺らに伝えると、ワンワン泣き出して
もうてな……。正直俺等としてもそんな彼女の姿を見ると胸が痛む様な思いがして、「光洋、頼むから早よ桜井に帰って
来てくれ」と心から願ったもんやったで、ホンマに。
せやからこうしてお前が今日、此処に戻って来てくれたのは本当に嬉しかったし、俺等としても彼女を完全に立ち
直らせるのは光洋!!! (『バン!!!!!』と机を思いっ切り叩くと、宇崎を指差して)お前しかおらんと
確信したんや!!!!!
まあ、クラスで彼女を守れなかったとして、憎悪の槍玉に挙げられた男が、彼女を立ち直らせるキーパーソンと
なったのは何とも皮肉なもんやけど、な……。
(そこまで言うと俺は再びマイルド7の箱から煙草を1本取り出して銜え、マッチで火を点ける。やや熱を帯びて
話した為、少し息遣いが荒くなっている事に気付いた。
一息吸って、フーッと煙を吐くと俺は……、)
せやから光洋、お前が本当に中谷の所に謝りに行くのなら俺としては大いに賛成や。やけど、見舞いに行ったお前を
滅茶苦茶に罵って追い返した中谷の親父さんの事を覚えてるか? あの、どえらい厳つい顔した親父さんや。2年前、
その親父さんに中谷が光洋に会いたがっている事を伝えた所、何か考えたかの様に、少し苦い表情で「あんな奴、
来ていらん!!」と言うとったんや。どういう事か分かるな? つまり、中谷の親父さんはお前の事に対して、
18年前と比べるとやや表情を軟化させていたんやけれども、未だにお前の事をどうも許していないみたいやからな。
親父さんだけは気ぃつけた方がええで。
(と、宇崎に忠告じみた事を伝えた。)
〔名前〕松崎 淳一郎(まつざき じゅんいちろう)
〔年齢〕37歳
〔出身地〕奈良県桜井市忍坂(おさか)
〔渾名〕淳ちゃん、ターミネーター(前者は子供の頃から、後者は高校時代からの渾名)
〔身長〕227.8cm
〔体重〕157.6kg
〔性別〕男性
〔性格〕慎重かつ冷静で、物事に動じない。だがその反面「御人好し」で、付き合いや頼み事等があると中々
断りきれず、ついつい引き受けてしまう事がある。
〔職業〕東京都渋谷区にある医療器具専門の販売会社に勤務(但しそれ以前は社会人野球で豪腕の投手として
活躍し、プロ野球チームからのスカウトが多々あったものの、左膝の靭帯の断裂によりプロ入りを断念した)
〔容貌〕かなりの長身で、かつ筋力トレーニングを日々3時間以上取り組んでいる為、「筋肉の鎧」というべき
ガッシリとした体躯をしている。顔つきは黒髪のソフトモヒカンで面長。ただ、生まれつき眼の障害(太陽や
グラウンドまたは体育館の照明等、かなり光度が高い光をまともに裸眼で見ると、失明してしまう恐れがあると
いう症状)を患っている為、常に愛用の細長いサングラスをかけている。
〔好きな物〕すき焼き、甘い物(特に『みむろもなか』が大好物で、2箱空にする事がある)
〔嫌いな物〕酒(相当の下戸で、ビール一杯を呷るだけで茹で蛸の状態になる)
〔趣味〕クロスワードパズル、ゲームのテトリス(ボケ防止の為にやっているとの事)、音楽を聴く事(特に
安全地帯の大ファンで、シングルやアルバムのCDを、合わせて150枚ぐらい持っている)
〔特技〕ベンチプレスで130kgものバーベルを持ち上げる事が出来る。
〔出典・モデル〕戸愚呂弟(御存知、「幽☆遊☆白書」の登場人物)
〔備考〕元桜井東高校の生徒で、野球部のキャプテン兼エースを務めていた。眼にハンデがあるものの、持ち前の
何事にも動じない度胸の良さと150km以上もの剛速球、そして強烈なバッティングで他のチームを恐れさせたが、
度々自軍の貧打に泣かされていた為、在学中は甲子園出場は叶わず、最高は3年生の夏に県大会予選でベスト4に
入った事であった。後に近畿学院大学(名前のモデルは近畿大学から)に進学し、そこでもエースとして活躍。関西大学
リーグで2度、全日本大学野球選手権大会でも2度優勝に貢献して、「関西に松崎という化け物がいる」、「大学球界の
ターミネーター」としてその名を全国に広めさせたものの、本人は到って「チームの為に頑張っただけ。チーム全体の
団結力や実力があったからこそ、俺も一人の選手として大いに自分自身の役割を担い、その『優勝』というもんを
手にする事が出来たんや。だから俺の事をそんな大々的に言ったり、異名を付けんでもええよ」と言って済ませていた。
大学卒業後は上京して、今も務めている医療器具専門の販売会社に入社。そこの野球部でチーム全体の強化に取り組み、
都市対抗野球大会の出場を目指していたものの、中々チーム力の向上が見られず、悪戦苦闘の日々を送っていた。そして
入部して6年目を迎えたある日、練習試合中にピッチャーの頭上を越えるかも知れないライナーをジャンピングキャッチを
決め、着地した拍子に左足のスパイクがピッチャーマウンドの窪みにはまってしまい、転倒。その際、着地の衝撃が左膝に来し、
更にはその着地のバランスを崩して左膝を捻ってしまったが為に左膝の前十字靭帯を断裂してしまう。病院の診断の結果、
医師から「例え治ったとしても左膝が自身の巨体による負担に耐え切れず、断裂が再発する恐れがある」とし、「野球を
続けるのは極めて難しい」と告げられた為、「野球を辞める」という、最も耐え難い苦渋の決断を自ら下す事となった。
只それでも諦めがつかず、今でも再び野球が出来る事を望み、休憩中には腕立て伏せやスクワットをしたり、勤務終了後は
決まって近くのトレーニングジムに通い、筋力トレーニングに励んで体力強化に取り組んでいる。
尚、宇崎光洋とは高校時代の同級生であるうえ、現在の住所が彼からかなり近くの所に位置する為、たまに会っては色々と
話をしたり飯を食いに行ったりする等をして、非常に仲が良い。
〔一言〕賑やかにするから、宜しく頼むで!!! せやけどこの状況を見る限り、出番はまだまだだねぇ。
〔名前〕中谷 有紀子(なかたに ゆきこ)/旧名・丸山 有紀子(まるやま ゆきこ)
〔年齢〕65歳(昭和19年4月7日生まれ)
〔出身地〕大阪府大阪市住吉区
〔身長〕183.6cm
〔体重〕63.8kg
〔性別〕女性
〔性格〕お嬢様育ちゆえか浮世離れしていて、おっとり系。それでいて、真面目で温厚篤実。
但し一度怒ると……。
〔職業〕専業主婦(それ以前は実家が携わっている、ファッションアクセサリー等を取り扱って
いる会社の専務を務めていた。)
〔容貌〕(頭髪)黒く、腰まで届くくらいに長い後ろ髪を二手に分け(時として白のヘアバンドで
一括りにしている場合もある)、前髪は眉の辺りで真っ直ぐに切り揃え、真ん中に分けている。
(顔立ち)父方の祖母がギリシャ人である為、瞳の色が濃いエメラルドグリーンで大きく、やや
目尻と頬にしわがあるものの、40代半ばの様な風貌で丸顔。若い頃は絶世(?)の美女として
男性から非常に人気が高かった。
(スタイル)日頃からよく動く事を心掛けている為、長身で均整が取れている。
〔好きな物〕魚を使った料理(特に刺身や焼き魚といった和食が好み)
〔嫌いな物〕虫(特に家の中にいる害虫《ゴキブリ、便所コオロギ、ゲジゲジ等》の場合、
見ただけでも発狂するくらいに嫌っている)
〔趣味〕テニス(実力的にはハイレベルで、高校時代に全国大会に出場した経験が3度あり、
今でも体力作りの一環として続けている)、料理
〔特技〕趣味同様、テニス。あと腕力に自信があり、逆立ちしたまま2、30m歩く事が出来る。
〔出典・モデル〕エリザベータ(アニメ『ふしぎ星の☆ふたご姫 Gyu!』の登場人物。尚、
旧姓の『丸山』は、その時エリザベータのCVを担当していた声優・丸山優子から因んでいる。)
〔備考〕中谷陽子の母。実家は貿易を主体とした、世界に股をかける大財閥・丸山グループで、その
令嬢だったが、25歳の時、周りの反対を押し切り、大学時代からかなり仲が良かった中谷淳輔と
「駆け落ち」して結婚、その3年後に陽子を産む。尚、それまでは実家とは縁が切れた状態だったが、
陽子の誕生が切っ掛けで実家との縁は回復し、生活も安定していた為、今では結婚を認められている。
陽子の事を「親馬鹿」と言っても過言ではないくらい、子供の頃から可愛がっており、また幼馴染の
宇崎光洋との仲も認め、「もしかすると彼が陽子の、将来のパートナーになるのでは?」と思って
いたのだが、高校3年生の最後の夏に起こった「事件」により、一転してその責任者である宇崎の事を
憎しみの対象として見る事になるばかりか、最愛の一人娘の変わり果てた姿にショックを受けて躁鬱病に
罹り、数ヶ月入院する羽目となったが、夫の支えにより病を克服し、そしていつか娘が目が覚める事を
信じ、以来、付きっきりで陽子の看病に当たっていた。それだけに、5年前に陽子の意識が回復した時は、
所構わず大声を上げて嬉し泣きをし、病院内の患者や看護師、医師を驚かせたという。
現在でも陽子のリハビリに付き合っており、また、陽子の見舞いに訪れる当時の同級生や、当時、宇崎や
陽子等の担任教師だった金沢隆一郎の説明により、夫・淳輔同様に宇崎に対しての憎しみは薄れている
ものの、未だ完全には許してはいない。
〔一言〕皆さん、不束者ですが、宜しく御願い致します。
〔名前〕宇崎 嘉恵(うざき よしえ)/旧姓・上野(うえの)
〔年齢〕66歳(昭和17年10月8日生まれ)
〔出身地〕三重県名張市
〔身長〕184.8cm
〔体重〕66.7kg
〔性別〕女性
〔性格〕若い頃は江戸っ子の様に気っ風が良く、曲がった事が大嫌いで喜怒哀楽をハッキリと出す、
明朗快活な性格で姐御肌だったが、今では多少落ち着いた、穏やかな性格になった。
〔職業〕専業主婦(結婚前は三重銀行名張桔梗ヶ丘支店で働いていた。)
〔容貌〕瞳が大きく丸顔で、空色の髪の毛をポニーテールにしている。身体つきはトレーニングを積んでいる為
中肉で、女性としてはかなりの長身。還暦をとうに過ぎている為、皺は隠し様もない(それでも一応、周りからは
4、50代に見られているのだが)が、若い頃はスタイル抜群の美女として、多くの男性からプロポーズを受けた
事があった。
〔好きな物〕ジャガイモの煮っ転がし、玄米茶、性格に裏表が無くリーダーシップが取れる人間。
〔嫌いな物〕人の陰口を叩く人間、蜥蜴(見た目でもうダメ)。
〔趣味〕バレーボール(学生時代はアタッカーとして活躍し、今でもママさんバレーのチームに加わっては
プレーしている。)
〔特技〕身体が、立位体前屈をすると両手が床にピッタリつくほど柔軟である事。
〔出典・モデル〕「幽☆遊☆白書」のぼたん。
〔備考〕宇崎光洋の母。スポーツが大の得意で、高校時代はバレーボール部でアタッカーとして活躍し、
全国大会に出場した事があった。夫・治憲とは、彼が名張で先輩弁護士の助手を勤めていた時に知り合い、
2年ぐらいの交際を経て結婚、治憲が独立して桜井で弁護士事務所を開設した時期とほぼ同じくして、
光洋を産んだ。
かなりぐれていた学生時代の光洋と夫・治憲に、会話が一つも無いほどの確執が生じていた時、少しでも
和らげようと日々関係の修復に奔走した時期があり、結果的には光洋が高校3年生の半ばに、少しながら
御互いに会話をするほどまで家族関係の修復に成功した。
キャンプ地での「事件」を機に家を出て一度も帰って来ない光洋を、かなり心配する治憲のフォローに務める
ものの、陰では自身も相当息子の事を心配している。
〔一言〕光洋、早よ帰って来てや!!!
132 :
名無しになりきれ:2009/12/30(水) 02:29:14 0
〔名前〕槇原 禎雄(まきはら さだお)
〔年齢〕35歳
〔渾名〕ウシ、マッキー、第二の岡山(3つ目は高校時代、バスケットボールの全国大会での活躍を認められて名付けられた
もの。因みに『岡山』とは、嘗て日本を代表するバスケットボール選手として活躍した岡山恭崇氏の事で、社会人チーム・
住友金属工業で日本リーグのリバウンド王、新人王を獲得し、NBAのゴールデンステート・ウォリアーズから日本人初の
ドラフト指名《結果的には当時、NBAに所属する選手はバスケットボール男子日本代表に所属出来ないというルールが
あった為に入団は断念している》を受けた事がある。因みに岡山氏の身長は、歴代日本人選手の中でも最長の230cmで、
巨人症が原因となっている。)
〔出身地〕滋賀県草津市
〔身長〕221.3cm
〔体重〕140.5kg
〔性別〕男性
〔性格〕渾名の一つである「ウシ」の通り、のんびりとしていて、温厚。滅多に怒る事は無い。
〔職業〕関東一帯にチェーン店を持つイタリア料理専門のレストラン「BUONO(ボーノ)」の南阿佐ヶ谷店店長を
勤めている。
〔容貌〕顔つきは細目で、やや厚い唇と長い顎を持ち、面長。黒髪の短髪をややぼさつかせ、何を考えているのか
分からない、ぼんやりとした表情が特徴。体格はずば抜けて長身で、首が普通の人と比べるとやや長く、肩幅が広い。
〔好きな物〕何でも好きだが、中でもフィレステーキが一番の好物。
〔嫌いな物〕全く無し。
〔趣味〕ドライブ、食べ歩き(休日となると決まって遠出をして、グルメ雑誌等に掲載されている店の料理を食べに行く。)
〔特技〕バスケットボール(高校、大学時代は長身のポイントゲッターとして活躍していた。)
〔出典・モデル〕「幽☆遊☆白書」に出て来る、「美食家(グルメ)」(他人を丸ごと飲み込んで他人の能力を、自分の
ものにするという能力)の能力者である巻原定男。名前の読みはそのままに、漢字のみをほぼ全て変えている。
〔備考〕県立草津高校、法政大学ではバスケットボールの選手として鳴らし、全国大会に出場を果たし、前述の通り
安定したシュートが売りのポイントゲッターとして活躍する。だが大学4年生の時、両膝に違和感を覚え、「これだと
プロに入っても遅かれ早かれ、怪我に悩まされる日々を送るかも知れない」と予感して実業団のチームに入る事を断念し、
大学卒業後はそのまま今のチェーン店のイタリアンレストランに就職。真面目に色々と仕事をこなす社員として本社から
認められ、7年前に店長に昇格。生来の温厚な性格と、趣味の食べ歩きからくる味の追求を徹底し、「料理やデザートを
一品追加で頼むと2割減額」といった、客に認めて貰える様なシステムを確立させて一定の成果を挙げる等、店長としての
手腕を日々揮っている。
〔一言〕プロフィールからして出番はかなり少ないかも知れないけど……、宜しく頼みます。
非常に遅れたけど、皆さん!!!!!
新年、明けましておめでと三角デルタ!!!!! 今年も宜しゅう頼んまっせ!!!!!
まあ、ここを見てる連中は殆ど皆無に等しいけど、な。
>>129-131、
>>133 よう来てくれたな、此方こそよろしゅうな!!!!!
御互い、頑張ろうな!!!!!
>>132 関口さんか。俺としては関口さんは近鉄のコーチとして、当時の監督やった西本(幸雄)さんの
参謀役になったり、西本さんの後釜として近鉄の監督を務めとったイメージが強いねんけど、な。
日本シリーズ初の4ホーマーやて!!? そら、凄いな〜!!!!! それやったらMVPは
確実に獲れとったんやなかろうか!!?
あと平和台球場の話も見たけど、関口さん、結構人の良さそうな顔をしとったな!!!!!
それだけに2年ぐらい前に亡くなられたのはホンマ、悔やまれるで!!!!!
貴重な映像を送ってくれてありがとうな!!!!!
よっしゃ、ほんなら大分ストーリーが遅れたけど、ボチボチ、いこか!!!!!
>>126 戸波:「え? ああ、いや。俺は別に何も気にしてへんで。久しぶりの再会やっちゅうのに、そんな辛気臭いも
何もあるかいな。
…ところでみっちゃん、さっき「彼女としても俺を許してくれないと思う」と言うたな? それは間違いやで。
実は相坂と天沢から聞いた話やけどな、はるちゃん(中谷陽子)、しょっちゅう金沢先生や天沢や相坂、園川等に
『みっちゃんは?みっちゃんは来うへんの?』って尋ねとったそうでな……。何や、相坂が『宇崎君に会いたいの?』と
尋ねた所、相坂の手に『うん、会いたい』と指で書いたんやて。
様子からして、全然と言っても良いほど、お前の事を恨んでいる素振りも何も無かったそうや。
(金沢先生の方に顔を向けて)そうですよね、先生。」
何やて、ホンマかいな……!!?
(俺は戸波から、中谷が俺を恨んでいないどころか、却って俺に会いたがっているのを聞き、複雑な心境と
なった。彼女に恨み辛みを込めて罵られる事を覚悟していただけに、その事実は余りにも意外だったからである。
更に先生も戸波に続いて口を開き……、)
金沢先生:「光洋、教次郎の言う通り中谷はな、お前の事を一つも恨んではおらんし、寧ろお前に会い
たがってるんや。それと、実はお前の言った通り、中谷が「自分は何でこうなったのか」という事を俺や
教次郎、相坂達に執拗なくらいに尋ねてきてな……。まあ本来なら大きなショックを受ける可能性が
あるさかい、キャンプ場での「事件」の事について言わず、最初はのらりくらりと別の話をする等、かわして
いたんやが……。余りにも尋ねてくるさかい、苦渋の決断の末、仕方なく俺が一通り教えたんや。無論、
その後お前がクラスで憎悪の対象となってしまった事も含めて、や。
そしたら中谷がかなり興奮してもうて、スケッチブックに「何でみっちゃんの所為にするんや!? 勝手に
怪我をしてこないになったのは私やのに、そんなんあんまりや!!!!!」と殴り書きで俺らに伝えると、
ワンワン泣き出してもうてな……。正直俺等としてもそんな彼女の姿を見ると胸が痛む様な思いがして、
「光洋、頼むから早よ桜井に帰って来てくれ」と心から願ったもんやったで、ホンマに。
せやからこうしてお前が今日、此処に戻って来てくれたのは本当に嬉しかったし、俺等としても彼女を
完全に立ち直らせるのは光洋!!! (『バン!!!!!』と机を思いっ切り叩くと、宇崎を指差して)
お前しかおらんと確信したんや!!!!!」
(と、熱を帯びた状態で俺にそう語る《終盤は『語る』というよりかは、『捲し立てた』と言っても
過言ではないのだが……》と、落ち着きを取り戻そうと思ったのか、煙草をもう一本銜え、火を点けて
吹かした。
俺は、先生が思いっきり机を叩いた時、思わず身体を『ビクッ!!!』とさせてしまう。これが
学生時代の俺ならそれで動じる事はまずなかったのだが、久しぶりにそのアクションを見ると、
歳だけに結構堪えるものである。まあ、今回の場合は、怒ってやったものではないのだが……。
おっと、話が逸れてしまった。戻さねば。
はるちゃん《中谷》が、その事件の全貌を聞いた瞬間、自分の所為なのに何故、と言い、俺の事を庇い、
泣き崩れた―――――。 俺は先生からその事実を聞くと、胸が締めつけられる様に痛んだ。と同時に、
あの時、紛れも無く彼女をあんな目に遭わせたのは俺なのに、その俺の所為にはせず、自らを責めたと
いうのは全くの予想外だったからだ。)
(↓)
<はるちゃん、俺の所為やのに、自分を責めるとは……。こりゃあ、どうしても行かんとあかんな。>
(心の中で申し訳無さをいっぱいにしてそう呟く俺。そして先生は再び煙草の煙を吐くと……、)
金沢先生:「せやから光洋、お前が本当に中谷の所に謝りに行くのなら俺としては大いに賛成や。
やけど、見舞いに行ったお前を滅茶苦茶に罵って追い返した中谷の親父さんの事を覚えてるか? あの、
どえらい厳つい顔した親父さんや。2年前、その親父さんに中谷が光洋に会いたがっている事を伝えた所、
何か考えたかの様に、少し苦い表情で『あんな奴、来ていらん!!』と言うとったんや。どういう事か
分かるな? つまり、中谷の親父さんはお前の事に対して、18年前と比べるとやや表情を軟化させて
いたんやけれども、未だにお前の事をどうも許していないみたいやからな。親父さんだけは気ぃつけた
方がええで。」
(……と忠告とも取れる、中谷の父親の事についてを俺に話したのである。中谷陽子の父・中谷淳輔は
《本人に対して大変失礼だが》かなり身体が大きく、とても人間とは思えない、凄まじい位に厳つい顔を
していたものの、性格は顔とは裏腹に温厚で優しく、保育所にいた頃の俺をとても可愛がってくれた
《とは言え、保育所にいた頃の俺は彼の顔を見る度に、泣き喚いて遊戯室の部屋の隅やグラウンドに逃げ
回っていた為、俺としては大変失礼な事をしたと思っているのだが……》うえに、俺がぐれていた中学・
高校時代でさえも俺と陽子の仲をも認めてくれた、『良き理解者』だった人物だ。
だがあの『事件』以来、彼はそれまでとは一転に、『事件』の責任者である俺が陽子の見舞いに来ると、
その厳つい表情を更に憤怒をこめて厳つくさせ、有らん限りの怒声で俺を罵倒して追い返す位に俺の事を
憎む様になり、宇崎家との繋がりも一切、シャットダウンさせたのである。
それもその筈。中谷の親父さんにとって陽子は唯一の娘であるだけではなく、彼は若い頃大学時代からの
恋人であった、世界を股にかけるほどの大企業グループである『丸山グループ』の令嬢と『駆け落ち結婚』を
して、その親戚一同から『殺意』とも取れるくらいに敵視され、圧力をかけられて大変な苦労に晒されていた
事があったのである。そんな最中に陽子が誕生。それにより、丸山家から正式に結婚を認めて貰えた《まあ
それでも、何らかの経緯や困難はあったと思うが》為、陽子はまさに『救世主』とも言える位の存在《?》
だったからである。
それだけに、中谷の親父さんの、俺に対しての憎しみというのは半端なものではなく、俺としても彼の
気持ちを十二分に汲み、一切の抵抗をせず彼が放つ憎しみの『矢』を受け続けたものであった。
―――それから18年。中谷の親父さんは未だに俺を憎んでいるものの、その憎しみは若干和らいでは
いると先生から聞き、俺は幾分かホッとしたものの、その反面……、)
<俺の顔を見たら、また悪魔も逃げ出したくなるほどの、怒り顔になるんやろうな……。>
(と、不安を感じずにはいられなかった。が、『自分の時間』が残り少ない俺としては、そんな不安は
実に下らないものであった。)
ホンマですか!? 矢張り中谷さんのお父さんは、俺の事をまだ憎んでいるのですね……。せやけど、
今の俺としては中谷さんのお父さんが俺の事を憎んでいようが何であろうが、彼女に会いに行かねば
ならんのですわ。何故なら、俺にはもう『時間』が……、あ、いや。何でもありません。
(危うく自分の『秘密』をばらす所であった……。俺は急いで否定すると、壁にかかっている時計を
チラリと見て……、)
あっ、もう3時半回ったんか。では、先生。申し訳御座いませんが、もうそろそろお暇致しますわ。もう
一つ、寄らねばいかん所があるうえに、ある人を待たせているかも知れませんからな。
コーヒー、御馳走様でした。美味しかったですわ。
(と、まるで逃げるかの様に席を立つと、先生や戸波に一礼をし、職員室の扉に向かって歩き始めた。)
>>136 (宇崎)「ホンマですか!? 矢張り中谷さんのお父さんは、俺の事をまだ憎んでいるのですね……。
せやけど、今の俺としては中谷さんのお父さんが俺の事を憎んでいようが何であろうが、彼女に
会いに行かねばならんのですわ。何故なら、俺にはもう『時間』が……、あ、いや。何でもありません。
《壁にかかっている時計をチラリと見て》あっ、もう3時半回ったんか。では、先生。申し訳
御座いませんが、もうそろそろお暇致しますわ。もう一つ、寄らねばいかん所があるうえに、
ある人を待たせているかも知れませんからな。
コーヒー、御馳走様でした。美味しかったですわ。」
え? あっ、ちょっと待ってくれ!!! それやったら校門の前まで見送りたいからな、一緒に行くわ。
教次郎、お前もついて来い!!!!! 旧友を見送るで!!!!!
(急いで席を立ち、職員室の扉の方へと歩く宇崎に俺は『待った』をかけ、煙草を灰皿に
押し潰すと戸波と共に、彼を見送るべく一緒に職員室を出て校門の方まで歩いた。
時刻は午後3時半を回り、外はまだ明るいものの、廊下はすっかり陰の暗さが増すと共に、
リノリウムの床が遠方から微かに当たる日光を反射させてその暗さと静寂を強調し、まるで
テレビのサスペンスみたいな感じを醸し出していた。)
いや〜、もうすっかり日が傾いとるわ。すっかり長話になってもうたな。まあこれも、光洋の顔を
久しぶりに見れて、嬉しかったからかも知れんな、ワハハハハ!!!!!
光洋、今日はホンマにありがとうな!!!!! 何時でもええから、また暇が出来たらここに
遊びに来てくれ。待ってるで!!!!!
(薄暗い廊下を歩きながら、笑顔でそう宇崎に話しかける俺。しかし心の中では、俺はある一つの
疑問を抱いていた。あの時、宇崎が言った
「俺にはもう『時間』が……」
という言葉である。まあ、普通に考えれば彼女の所に会いに行き、改めて謝ったりするというのは
別に『時間』が決められている訳では無いので、何時に行っても大丈夫なのだが、宇崎のその
言葉を聞いた瞬間、俺は何か、良からぬ事を微かに受け取った感じに囚われた。
宇崎の言う『時間』、その『時間』と言うのは一体何なのか? 傍から見れば歯牙にもかけないその
言葉を、俺は笑顔の裏で真剣に考えていたのである。)
『俺にはもう「時間」が……、一体、どういうこっちゃ? アイツに、どういう時間があるというんや?』
>>108 (歩きながら右手の親指と人差し指を顎に当て、自問自答する俺。と、中央の玄関口に到着し、
何気無しに校門の方に目を遣ると、そこには毛をやや逆立ててセットし、黄緑色の生地に緑色の
チェック模様が入った、襟付き半袖のカジュアルシャツに、コバルトブルーのジーンズという
出で立ちの、眉無しのごつい顔をした非常に大柄な男が、大型のバギーバイクに跨りながら
両手で頬杖をついていたのである。その様子からして、どうやら人を待っている模様。
だが俺としては、当然の如くその男の顔に見覚えがある為、右手をサッと挙げながら、笑顔で
親しげに大きく声をかけ、近寄った。)
おう、信浩やないか!!! 今日はどしたんや!? ひょっとしてお前が宇崎を待っとったんか!!?
(そう、彼の名は平井信浩。嘗てはこの宇崎と戸波とはこの学校の同じクラスメートであると同時に
無二の親友だった男であり、あの『事件』以降、戸波達と共に宇崎の事を積極的に庇い続けて
きたのである。
卒業後の彼の経緯は……、まあこれは平井自身が詳細に述べている《
>>59》ので此方としては
省略させて貰うとするが、彼の実家である酒屋の顧客が、この学校の近くの住宅地に結構
存在しており、度々彼はそのエリアの配達がてらにこの学校に立ち寄っては、俺や戸波を
始めとした、何人かの恩師と親しげに談笑をしに来る事があるのだ。それ故、今では彼とは
嘗ての『教師と生徒』という関係では無く、寧ろ『顔馴染み』かつ『友人同士』という関係に近い
ものとなっていたのである。)
もう、配達は終わったんか? それやったら今から光洋の奴、帰るそうやからな。勝手な
お願いで申し訳ないんやが……、光洋を送ってくれへんやろか? まあ俺が車で送ると
いう手段もあるんやが、生憎俺はまだやらにゃあかん事があってな……。
どうやろか?
(と、俺は頭をポリポリと掻きながら低姿勢で平井にそう頼んだ。まあ尤も、戸波の車で送ると
いう手もあるが、戸波としても現時点で何かやり残した事が無きにしも非ずであり、また平井の
様子からして、結構長く宇崎の事を待っていた可能性もあるが為に、敢えて宇崎の護送役を
平井に頼んだ訳である。)
>>137 >「教次郎、お前もついて来い!!!!! 旧友を見送るで!!!!!」
へ? あっ!!! 分かりました!!! 分かりましたけど、ちょっとお待ちを!!!
(俺は『旧友を見送る』べく、金沢先生と一緒に出る事に賛成するが、元々此処に来た理由というのは旧友と話を
する事ではなく、単に忘れ物である授業で使うノートを取りに来た事だった為、俺は急いで自分の机の方へ向かうと、
教科書や資料等を挟んでいる、青いアクリルの仕切りで作った簡易のブックスタンドから一冊の水色のノートを取り
出して手にすると、宇崎と金沢先生の後を追うべく、冷房が効いた職員室から、未だに外からの熱気が十分に
残っている廊下に出た。
外はまだ明るいものの、廊下はほとんど壁という壁に光を遮断されているので薄暗さが増し、恰も夕暮れ時が
近付いている事を報せている様だった。が、金沢先生は久しぶりに宇崎に会えた事を心から嬉しかったのか、
非常に上機嫌で呵々と笑いながら宇崎に礼を述べながら話しかけていた。)
<先生、ほんまに嬉しそうやな。俺が初めて教師として此処に来た時よりも笑顔やで。ちょっとみっちゃんには
嫉妬してしてしまうかも知れん……。>
(俺にとって金沢先生は、今まで出会った教師の中で、最も親しみが持てた教師であっただけに、事実、
そう思ってしまった。とは言え、俺は妻子がいる身であり、読者にはそんな変な『趣味』は持ち合わせて
いない事を知らせておくとする。
そうこうしている内に中央の玄関口の所まで来ると、金沢先生は視線の向こうに位置する校門前で誰かを見かけた様で、
右手を振りながら……、)
>「おう、信浩やないか!!! 今日はどしたんや!? ひょっとしてお前が宇崎を待っとったんか!!?」
(と声をかけたのである。)
えっ、ほんまかいな!?
(金沢先生の声に釣られ、俺も急いで靴を履き替えて校門前の方に出てみると、そこには大型のバギーバイクに跨った、
一人の大柄な男――――― 平井信浩がいたのである。)
あっ、ほんまや!!! おい、ノブ!!!!! お前も来たんか!!?
(と、平井を学生時代からの渾名で呼ぶ俺。彼は宇崎同様に学生時代からの親友であり、今でも彼とは、偶にこの学校などで
色々と話をしたり、飲みに行ったりするほど親交がある。
その平井が金沢先生の言う通り、校門前で宇崎の事を待っていたのかどうかは分からないが、根っからの暑がりである
彼の顔からは、かなりの汗が流れ、かつ滴り落ちていたのである。)
なあ、ノブ。お前ひょっとして大分、待ったんと違うか? えらい汗が出とるぞ。
(やや日が傾いているとはいえ今は8月の半ばで、まだ外の気温は30℃近くある筈。それだけに俺は彼の事を少々気の毒に思った。)
>「もう、配達は終わったんか? それやったら今から光洋の奴、帰るそうやからな。勝手な
お願いで申し訳ないんやが……、光洋を送ってくれへんやろか? まあ俺が車で送ると
いう手段もあるんやが、生憎俺はまだやらにゃあかん事があってな……。
どうやろか?」
(と、俺と同様に平井の事を気の毒に思ったのか、低い姿勢で平井に宇崎の送り役を託ける金沢先生。
俺としては単に忘れ物を取りに学校に来ただけで、今から帰る序でに宇崎を実家まで送って行っても良いのだが……。
もしも本当に平井が長い間、暑い所で宇崎の事を待っていたとなると、彼の努力と言うのか何と言うのか、待っていたのを
無駄にしてしまう事になる為、率先して『俺が宇崎を送るで!!』と言い出しにくかったのである。
まあ、これは傍から見れば非常に馬鹿馬鹿しい事であるのかも知れないのだが……。)
あ、訂正。
下から2行目の『俺が宇崎を送るで!!』という所、正しくは『俺がみっちゃんを送るで!!』やったわ。
ま〜、どうでもええんやけどな。
〔名前〕若松 智里(わかまつ ちさと)
〔年齢〕37歳
〔既婚歴〕未だに独身
〔出身地〕岩手県紫波郡紫波町(小学校卒業と同時に奈良県桜井市に移住)
〔身長〕175.5cm
〔体重〕55.2kg
〔性別〕女性よ。
〔性格〕ややきつ目で、言いたい事はズバズバ口に出す、竹を割った様な性格。その反面義理堅く、
困った人がいると放っては置けず、共に解決するべく、手助けをする一面もある。
〔職業〕女優(20代前半の頃、一時期『Hermione』という名義でアイドル歌手としても活躍した)。特に
サスペンスドラマで活動している。
〔容貌〕落ち着いた濃紫色のストレートへアーに、くりっとした大きな瞳が特徴の、端正整った容貌。
〔好きな物〕野菜全般、洋菓子(特に千疋屋の『イチジクロールケーキ』がお気に入り)
〔嫌いな物〕豚肉(親戚が養豚場を営んでおり、食肉として出荷される豚を非常に可哀想に思っているうえ、
本人はペットとしてミニブタを飼っている。それだけに『豚肉を食べなくても長生きは出来る!!!』と
断言している)
〔趣味〕裁縫(特に動物の縫いぐるみが得意。最近では『戦場のヴァルキュリア』に出て来る『ハンス』という
羽根の生えた豚を完成させた)、音楽鑑賞(CHAGE & ASKAのファン)
〔特技〕一応、ぶら下がり懸垂が今でも10回以上出来る。
〔出典・モデル〕若松円(『満月(フルムーン)をさがして』(原作・種村有菜)に出て来る、主人公
『フルムーン』こと神山満月の最大のライバルであるアイドル歌手)
〔備考〕元・奈良県立桜井東高校3年1組の生徒。中谷陽子とは中学校入学以来からの付き合いであり、
性格がかなり似通っている為か、何かと競い合ったりして互いにライバル視している反面、中学に入学して、
慣れない遠方の地で戸惑っていた時、最初に話しかけてきてくれた相手がその中谷であり、しかも気軽に
コミュニケーションを接してくれたお陰で気が楽になり、早く馴染めたという話があるほど、無二の親友
でもある。
それだけにキャンプ地での「事件」の責任はその中谷と組んだ宇崎にあると思いこみ、当初はかなり宇崎の事を
恨んでいたのだが、周りから酷い仕打ちを受けても何一つ抗いもしない彼を見る度、徐々に恨みが消えてゆく
代わりに、彼を不憫に思い始めたという。今は宇崎同様、上京して女優として活動しているものの、宇崎とは
一度も会っていない。
〔一言〕よろしく頼むわね!!!
(数分後、俺を乗せたバイクが校門前に到着するとエンジンを止め、ヘルメットを外す。一旦、彼と別れて
彼是1時間位は経過している筈。校内に入って久しぶりの再会を割り込む訳にもいかない上、もうすぐ
出て来るだろう。俺はそう思い、蝉の鳴き声だけが反響し、ひっそりとしたこの校門の前で待つ事に
したのである。
……しかし、20分、30分経過しても宇崎は中々出て来ず、只俺の顔からは只管に汗が噴き出るばかり。
辛抱強く待っていたものの、俺は手で汗を拭うと痺れを切らして……、)
しゃあないな、校内に入るか!!
(と呟くと、右手でジーンズの腰辺りをパン、と叩いた。だがその瞬間、俺は妙な違和感に囚われる事となる。)
……ん? あれ!? 携帯が無い!!! あちゃ〜、しもうた!!! どこかで忘れたみたいや!!!!!
(一人で驚き、少しパニックに陥る俺。いつもズボンの右ポケットにしまっている筈の携帯電話が無かったので
ある。宇崎と出会った時には携帯をポケットに仕舞っていたので、恐らくは先程回っていた、2軒の新規の顧客の
家に置き忘れた可能性が高い。だが此処からその2軒の家は結構距離があり、1軒は近鉄長谷寺駅寄りの坂の
上に家があり、もう1軒は初瀬の門前町の辺りに位置するのである。
……そうなるとその2軒を回る所要時間と言うのは大体30分ぐらいか。ともすれば今度は逆に俺が宇崎を待たせる
事になる可能性があるのだが、悩んでいる暇はなく……、)
ええい、全く!!!!! 行くしかないのう!!!!! この、バカタレが!!!!!
(と自分自身に対して吐き捨てるかの様に呟き、俺は再び銀のヘルメットを被り、バイクのエンジンをかけると、
急いで2軒の家を目指した。)
――――― 30分後 ―――――
(初瀬の門前町の辺りにある顧客の家の玄関口にて携帯電話を見つけ、ジーンズの右ポケットに仕舞うと、
俺は再び桜井東高校の校門前に引き返した。時刻は午後3時半。流石にこの時間だと宇崎は待っている
だろうと思っていたのだが……、俺の予想に反して、宇崎はまだ校門前に現れていなかったのである。)
おいおい、どれだけ長話をしているんだ……!?
(ガクッと頭を垂らし、半ば呆れ気味に俺はそう呟く。が、その時、中央の玄関口から何やら人の話し声が
聞こえて来た。俺はバイクに跨ったまま、身体を乗り出してその玄関口を除きこむと、そこには3人の人の
姿が見える。一人はやや痩せた体型の長身の初老の男、もう一人は3人のうち、最も背が高く、ガッシリした
体型の男、そしてもう一人は髪型をオールバックにして眼鏡をかけた長身の男、つまり宇崎の様である。)
お〜い、宇崎……。
>>138 (俺は手を上げて宇崎を呼ぼうとするが、先に初老の男が俺を目敏く見つけると、「おう、信浩やないか!!!
今日はどしたんや!? ひょっとしてお前が宇崎を待っとったんか!!?」と、親しみがこもった声で俺の名を
呼び、近付いて来たのである。彼こそは高校時代、俺や宇崎が非常にお世話になった金沢先生だ。
金沢先生とは偶に、俺がこの付近で配達がてらに立ち寄っては色々と話をしている為、今でも関係は深い。)
あっ、先生!!! もう終わりましたんか!? いや、そうなんですわ。久しぶりに何や、あそこの吉隠辺りで
彼と会いましてな。この学校に寄ると言うんで、俺がここに送ったんですわ。ハハハハ!!!
(と、笑いながら俺はそう言う。それから程無くして今度は色白で、3人の内、最も長身の男が「おい、ノブ!!!!!
お前も来たんか!!?」と声を上げながら、校門の所へ出て来た。
戸波教次郎だ。彼もまた、宇崎同様に学生時代は俺の親友で、よく学校帰りの時、彼と共に寄り道をして
遊んだものだった。その戸波が俺の所に近寄ると、「なあ、ノブ。お前ひょっとして大分、待ったんと違うか?
えらい汗が出とるぞ。」とやや心配気味な感じで俺に尋ねたのだった。)
おっ、誰かと思えば戸波か。ああ、まあ2時半頃にここに着いて、20分ぐらい待っとったんやが、自分の
携帯電話を客の家に忘れてもうてな……。つい今し方取りに行ってここに戻ってきたから、そんなに待って
へんで。
汗? んなもんこの季節になったら普段からこれ位かいとるからな、そないに気にする事あらへんわ、
ガハハハハ!!!!!
(俺は我ながら豪快に笑い、右手で額の汗を払う。と、そこへ先生が何やら後ろめたそうな感じで、
「もう、配達は終わったんか? それやったら今から光洋の奴、帰るそうやからな。勝手な
お願いで申し訳ないんやが……、光洋を送ってくれへんやろか? まあ俺が車で送ると
いう手段もあるんやが、生憎俺はまだやらにゃあかん事があってな……。
どうやろか?」
と、俺に宇崎の送りを頼んだのであった。それを聞いた俺は笑いながら……、)
ハハハハ、先生。俺は初めからその心算で此処に来たんですからな。言われのうてもコイツを家まで
送りまっせ!!!
宇崎、もう後ろのビールケースは配達で無くなったからな、大分楽になるぞ。乗れ。
(と言い、宇崎に後部の荷台の所に座る様、指示した。)
長文乙
短くまとめろ
ガチムチの巨漢たちが 関西弁で語り合う物語
146 :
名無しになりきれ:2010/02/17(水) 21:19:39 0
保守age
もうこの際だから、ガチムチ集団が巨根揺らしながら戦うお色気TRPGにしねえ?
148 :
名無しになりきれ: