とある洋館で

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1少年 ◆b03AMogq06
「ここは…」
――どこなのだろう?

洋風…の、室内だ。あまり広くないこの部屋の、ベッドに僕は寝かされていた。
全てに、見覚えはない。今僕が着ているパジャマらしきものすら、だ。
見回してみる。ベッドと、窓と、扉しかない。殺風景過ぎるにも程がある部屋だ。

何故こんなところにいるのか思いだそうとした瞬間、僕の脳裏に戦慄が走った。
そうか、全てに見覚えがない理由がわかった。
思い出せないのだ。
自分のことも。
何もかも。
すべて。すべてを。
ただ僕がわかるのは、僕がここにいるという『事実』だけ。

しばし呆けてしまった。
全て忘れてしまったことを悲しいと思いたくても、何を忘れたかすらわからない。
ただ、思考だけはできる。頭が回る。体も動く。足も手も、顔も腰も肘も膝も違和は感じない。
こうしてはいられない、僕はベッドから這い上がり、なぜか用意されていたスリッパに足を通す。
ひとつ考えられることは、ここにいたって何も始まらないってことだ。

この部屋と外界を結ぶ隙間は2つ。窓と、扉。
窓は曇りガラスのように外の様子が見えないようになっているし、そもそも開きそうにない。
僕は、目の前の扉から出てみることにした。

ガチャリ、キィ。
鍵はかかっていないようだ。ゆっくりと、扉が開く…。
2ゾンビ:2009/09/07(月) 11:50:20 O
あ゙〜
3フダつきのワル:2009/09/07(月) 12:09:48 O
パン買ってこいって
4不思議な少女:2009/09/07(月) 12:11:44 0
くすくす…またひとり迷い人が…。
5少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/07(月) 12:14:23 O
>>2
「!!!?」

僕は慌てて扉を閉めた。そして深呼吸。ゆっくり開けたお陰で、どうやら気づかれてはいないようだ。
それにしても、少し驚きが大きすぎる。あれは――あれは、何だ?
人間の姿を象ってはいるものの、しかし決して…少なくとも、『生きた』人間ではない。
漂っていた腐臭。崩れかけた眼窩から垂れ下がる眼球。その口から漏れるは、言葉ならぬる声。
そう、あれは、言うなれば、よく映画やゲームで見る、ありふれた、ステレオタイプの。
「…ゾンビ?」
自分で言って、僕は自分で身震いした。

しかしここでガタガタガタガタ震えているだけでは何にもならないことは分かっている。
しかしこの体の震えは止まりそうもない。どうやら僕は、臆病者のようだな。
もう一度、深呼吸をする。はっきり言って体の震えはもう止まりそうにない。ならば受け止めてしまおう。

さて。僕はじっくり考える。あのゾンビをどうにかしなければこの部屋から出られやしない。
幸いにしてこの部屋の前にはゾンビは一体しかいないようだ。
ここで僕は、ひとつの『仮説』を立てる。
…口に出して、はっきり言おう。
「腐りかけた人間に、健康的な人間が、勝てるはずがないじゃないか」
それは、自分への自己暗示も兼ねている。自分に言い聞かせるんだ。じゃないと、気が狂ってしまいそうで。
この『仮説』が間違っていたら、僕は死んでしまうのかもしれないが。
喪ってしまうのが惜しいと思えないほど、僕は、僕を、知らない。

僕は再び扉を開き、廊下へと飛び出した。
狙うのは、ゾンビの、頭。たとえ腐っていようともだ、その中枢は脳にあるはず。
精一杯、思いっきり、パンチを食らわす。怯んだところを利用して転ばせる。
後は全体重をこいつの頭にかけるだけ。
踏む。
踏む。
ジャンプして、踏みつける!
腐っている頭は、いとも簡単に、へしゃげた。

「なぁんだ…簡単じゃないか」
言葉は、上擦っているけれど。大丈夫だ。さっきも言ったろう?腐った人間は、健康的な人間には勝てないさ。
問題点といえば体にゾンビの腐臭がこびりついてることかな。
あぁ、今僕は無性にお風呂に入りたいよ。

僕は廊下を進んでいく…。
出来るだけ、足音は立てないように。
6名無しになりきれ:2009/09/07(月) 12:18:05 O
なるほど、新しいスタイルだ
対話するのではなく、自処理か
千まで行けよ
7セルフ:2009/09/07(月) 12:19:15 O
わたしこそ しんのゆうしゃだ!
8名無しになりきれ:2009/09/07(月) 12:24:48 O
少年にこんにゃくを投げてみる
9少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/07(月) 12:34:10 O
>>3
やっと人の姿を見つけることが出来たのは、きっと行幸だと思う。いや、思ってた。
しかし彼の発言を聞いて、否が応でも自分の耳を疑ってしまう。
「パ、パン?」
どうやら聞き間違いではないらしい。彼は僕にパンを買ってこいと言った。
どこをどうやって買ってこいと言うんだ、その口は。

その姿を見ると、どうやら彼は、いわゆる『不良』っぽい格好をしていた。
そしてその顔には、生気がない。目の焦点が合っていない。
そこで僕は気付いてしまった。気付いてしまったんだ。
彼が何でこんな、訳の分からない要望をしたのか。
――彼の精神は、壊れてしまっている。

きっと彼も僕と同じように突然ここに連れてこられてしまったのだろう。
突然の環境の変化、それは多大なるストレス。
僕は過去を覚えていなかったからそれほど影響はなかったけれど。
彼の脳はそれを受け入れなかった。
やがて、心が壊れた。
そして彼は、ここをいつもの場所だと思っている。信じている。
いつも、仲間とたむろしていた場所。学校かな?
僕の姿を、パシリにしていた人と重ね合わせ――。

だけど、僕には何も手助けすることはできない。
僕だって、手一杯なんだよ。
僕は、ヒーローじゃないから。
誰も、助けられないから。
返事で、応える。
「わかったよ、買ってくるから、待ってて」

こんなの…気休めにすら、ならないとは思うけどさ。
それでも、この彼の、心の平穏に繋がるなら、それでいい。それでいいんだ。
…やめてくれ。
これ以上、見捨てる僕に罪悪感を感じさせないでくれ。

きっとこのまま、彼はのたれ死んでしまうのかもしれないな。
僕が買ってくると告げたパンを、律儀に待ちながら。
「遅いな」なんて、小言を言いながら。

僕は、廊下を進んでいく…。
10名無しになりきれ:2009/09/07(月) 12:46:59 O
遥堪(ようかん)駅の洋館にある羊羮
11少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/07(月) 12:57:07 O
>>4
突然の笑い声が後ろから聞こえて、僕は慌てて後ろを振り返る。
僕はわりと周りを警戒しながら進んでいたはずだ。誰も、後ろにはいないはず。
なのに。僕が振り返ったそこには。
少し離れて、少女が、ひとり。

少女といっても僕自身が何歳なのかもわからないんだけどね。
鏡も見ていないし。手や肌の感じでなんとなく自分が若いんだろうなと感じているだけで。
それはともかく。この少女が喋ったこと。それは何も手がかりにもならないことだけど。
それでも、この子はさっきの彼のような壊れた人物じゃない。
僕の直感が、告げている。
――この子は、何か知っている!
「ち、ちょっと、君!」
僕は少女の元へ、駆け出した。

しかし少女との距離は縮まらない。その子は逃げている。笑いながら。
さながら、鬼ごっこを楽しんでいるかのように。
やがて三叉路の突き当たりに差し掛かり、少女は左に曲がった。
僕も当然、やや遅れて曲がる。
そこには。
「…いない」
角を曲がった先には、誰もいなかったのだ。
そこには、空間がずっと続いている。
蝋燭の明かりが、点々と、続いている。

僕はひとつ溜め息をつくと、再び歩き出した。
一体、ここはどこなのか。
僕は、どうなってしまうのか。
…そして、今の少女は一体何なのか。
謎だらけで解決の糸口も見つからない。
そんな今の環境に、軽く恐怖を覚えながら。
今頃だけれどね。
12少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/07(月) 13:26:10 O
>>6
歩いていると、メモみたいなものを拾った。
何とはなしに、口に出して読んでみる。
「じ煎番三かじ煎番二んぶたてくなゃじかんなルイタスいし新
 どけう思はといたけ続とこい長けだる来出
 とかうよめ辞てけつチオに当適らたき飽」
なんだこりゃ。
役には立ちそうにないし、捨ててしまうことにした。

>>7
こうやってあてもなく進んでいるわけだけれど。
やっぱり、探検、になるのかな。
昔のゲームで、城を探検するゲームがあったことを思い出す。
自分自身のことを何にも覚えてないのにゲームのことを覚えているっていうのもおかしな話だけど。
確かすぐ理不尽に死んじゃうゲームなんだよね。

少し、ぞくりとする。
僕だって、理不尽に殺されてもおかしくないんだ。
あのゾンビを見てしまってから。もうここには日常はないことを知った。
非日常が、起こりうるんだ。

でも、首を振る。
恐れていちゃ、何も動けないから。
あのゲームの主人公だって、死と隣り合わせだったけど、
リスクを乗り越え、ゲームクリアー、となったんだ。
幸い、僕が死んで悲しんでしまう人のことを僕は知らないから。
死んでしまうことに残る悔いは、数多の人よりかは少ないんだろう。
そう、思う。

僕は、廊下を歩いていく…。
13少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/07(月) 13:42:33 O
>>8
「うわっ!」
何かが飛んできたのが分かった。僕は反射的にそれをキャッチしてしまう。
妙にぬるぬるする触感。弾力もある。この重さこの色この形。
「…こんにゃく?」
こんにゃくが、なぜか、飛んできた。

ちょっと理解が出来ない。不自然すぎてフリーズしてしまった。
当然こんにゃくが飛んできた場所には誰もいない、仕掛けもない。
まるで突然自然発生したかのようだ、このこんにゃく。

すぐ捨ててしまおうかと思ったが、思い直す。
――実はこれ、重要な食料になるんじゃないか?
こんな場所だ、食料の獲得など限られているだろう。
むしろ食料を得ることが出来るのかさえも定かではない。
捨ててしまうぐらいなら、食べてしまえばいいじゃないか。
こんにゃくそのままなので保存ができそうにないのが辛いところだけれど。
仕方ない、食べられる時に食べとくのが一番だよな、なんて思いながら。
僕はこんにゃくにかじりついた。

僕は今、こんにゃくをかじりながら進んでいる。
そんな僕は滑稽に見えることだろうけれど。
仕方ないだろう?生きるためなんだから。
とはいえやっぱりこんにゃくは生で食うもんじゃないな。一応食べられるけどさ。
味噌ぐらい欲しかったなぁ、なんて思いながら、結局完食してしまった。

もしかしたらこんな風に僕が考えることを見越した罠である可能性もあったけれど、
とりあえず食べちゃった以上毒ではなかったようだ。
待てよ、遅効性の毒だったら…いや、もう考えるのはやめにしよう。
全てにおいて最悪の事態を考えちゃっていたら、どこへも進めやしないんだ。

>>10
「羊羹も、食べたいなぁ…」
ここが洋館だからって訳じゃないんだぞ、決して。

ずっと廊下を歩き続けているが、全く変化がない。
『行き止まり』がないのだ、どこまで行っても。
僕は現状を打破するために、意を決して扉を開いてみることにした…。
14不思議な少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/07(月) 15:02:28 0
くすくす…困っているみたいね。
【少女の容姿】真っ白な髪に、ふりふりな漆黒の服を着た10才ぐらいの少女
だが少女から放たれるオーラは子供じゃないように思わせる。
少女は服よりも濃い黒色の瞳を少年に向けた。
本当に困ってるときだけ来てあげましょうか?くすくす…。
15100体のゾンビ達:2009/09/07(月) 18:28:51 O
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
あ゙〜
16名無しになりきれ:2009/09/07(月) 18:34:00 O
カラスの大群が襲ってくる
17名無しになりきれ:2009/09/07(月) 18:36:21 O
つ【血痕の付いたペンダント】
18タイラント:2009/09/07(月) 18:38:04 O

19名無しになりきれ:2009/09/07(月) 18:39:53 O
黒いドレスの女
20不思議な少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/07(月) 19:10:23 0
…今がそのときみたいね。
…でも面白そうだから見てましょう。くすくす…。
21名無しになりきれ:2009/09/07(月) 19:12:00 0
四方八方からこんにゃくの嵐(味噌やからしつき)
22名無しになりきれ:2009/09/07(月) 19:24:29 O
天井からタバスコやカラシが落ちてくる
23名無しになりきれ:2009/09/08(火) 12:05:30 0
少年\(^0^)/
24少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/08(火) 16:27:39 O
レスは明日
25名無しになりきれ:2009/09/08(火) 16:38:32 O
つ【バナナの皮】
26不思議な少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/08(火) 20:45:53 0
…さぁ。どうするのかしらね…。くすくす…。
そういえばあの子が見当たらないわ…。まったく。どこで遊んでるのかしら。
27名無しになりきれ:2009/09/09(水) 00:47:22 O
つ【カピカピのエロ本】
28名無しになりきれ:2009/09/09(水) 09:27:49 O
にゃ〜
29名無しになりきれ:2009/09/09(水) 09:49:21 O
つ【金日成バッジ】
30キングカズ:2009/09/09(水) 14:03:08 0
キングカズです。
ザビビからきました。
今日は暴力デーといって殴り合いをしています。
今日はここにいさせてください。

レベル120
exp 26,1716,1316
単位 1,4719
4*10^10

ええ、電波クリニックにいけばわかります。
31ピコデビモン:2009/09/09(水) 14:04:25 0
レベルがあがりました。
32少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/09(水) 14:27:21 O
>>14
ドアノブに手をかけた僕の耳に入ってきたのは、聞き覚えのある笑い声。
考えるより先に反射が振り向いた僕の目に入ってきたのは、見覚えのある姿。
それはそうだ、さっき見たばかりなんだから。
あの少女が、そこにいた。
さっきと同じ、笑顔を湛えて。

僕は苦笑を浮かべる。
はっきり言って、
「最初っから本当に困ってんだよね」
その言葉に偽りはなく。
現状の打開策を求めている――と言えば聞こえがいいが、
実際は自分が誰かもわからぬまま、得体の知れぬ非日常の狭間を漂っているだけ。
だけれど。

「助けは、いらないさ」
少なくとも、今はまだ。
前も言ったろう?僕はまだ動けるんだ。
打開策を考える頭がある。
武器を持てる腕がある。
全力で走れる脚がある。
瞳も、鼻も、耳も、すべてが満足だ。
まだ何だってできるんだから、
まずはやれることをやってからだろう?

それともうひとつ、助けを用いない理由は。
…こいつは、――楽しんでいる。
分かるもんだ、こういうのは。
僕が羽虫のように足掻いているのを、見て楽しんでいるのだ。
僕を助けようだなんていうのも、所詮は物見の道楽だろう。
あぁ――虫酸が走るね。

こいつが何かを知っているとしてもだ、さっきみたいに問いかけたいと思う気持ちすら湧いてこない。
半ば侮蔑に近いような視線を送った後、僕はドアノブを回した。
扉が開く――そこには。
33少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/09(水) 14:48:24 O
>>15
僕は思わず扉を閉めた。
さっきと同じ行動だけれど、心臓の動悸や体の震えはさっきよりもだ。

開いた部屋は、わりと大部屋だった。
室内に何があったかとかは、あまり覚えていない。
何よりも印象に残った、無数の人型。
一目では数え切れないほどの、人あらぬ人が。
ひしめき合っていたのだから。

「――」
まずは深呼吸だ。落ち着け。体は震えててもいい、ただ頭は冷静になれ。
考えろ。考えるんだ。
武器も何も持っていない僕ができることなんて。
この無い知恵を振り絞ることぐらいしかないさ。

腐りかけの人間が健康的な人間に勝てるはずがない…みたいなことはさっき言ったが。
少し、限度がある。
ミツバチの大群がオオスズメバチを屠ったという話があるように、
圧倒的な数の差は、そのものの個の優位など、簡単に逆転してしまう。

つまり、僕が出した結論は一つだ。
「この部屋は諦めよう」
再び廊下を歩きだそうとした、僕の耳に聞こえてきたのは。
羽音と、鳴き声。

>>16
「な、何だよ、アレは…」
廊下の向こうが黒く染まっている。
その漆黒は、確かにこちらに近づいてきている。
その全体像が、少しずつ見えてくる。
その黒は、個体の集合体だった。
何百?何千?何万?生憎僕に数えるスキルはないんだけれど。
それは、カラスの集団だった。
それが、向かって来ているのだ。
他でもない、僕に向かって。

これも一羽からせいぜい数羽なら素手でも対抗しただろう。
だがさっきも言ったように、圧倒的な数には、勝てない。
圧倒的な数ごと叩き潰す、圧倒的な力が必要なんだ。
当然ながら、僕にはないさ。

カラスとは、かなり知恵の回る生き物だ。
少しでも相手にしようものなら、全体が敵になる。
当然、やり過ごすことも出来そうにはない。

「さぁ…どうする?」
こんなこと、言いたくはないが、こう言わざるを得ないだろう。
――詰んだ、と。
迫ってきているカラスの大群、逃げることなど出来やしない。
扉をあけてもゾンビの大群、対することなど出来やしない。
助けてもらうつもりなどなかったのに、助けてもらわなくちゃならないのだろうか。
所詮僕はただの人間、やれることには限度がある。

「…だけど」
考えろ。
考えろ。
考えろ。
この場を切り抜ける、方法をだ――。
34少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/09(水) 15:10:58 O
>>17
迫ってくるカラスの大群を睨みつけながら、
僕はパジャマのズボンのポケットに手を入れていた。
全く今まで気が付いていなかったが、何か重みを感じた。
取り出してみる。
血の付いたペンダントが、そこにはあった。

「…これは?」
なんて悠長に考えてる暇はないんだ。
僕には今、命の危険に晒されているんだから。
もう一度ポケットに戻し、迫る大群を見据える。

――そのペンダントを見たとき、何か思い出しそうになったような、
そんな感覚だけ残して――

>>18
それにしても、ここは洋館だ。
おそらく主人がいるのだろう。
そしてそれは即ち、僕をここに連れてきた人物である可能性は高い。
合わなければ。
突き止めなければ。
すべてを、知らなければ。
だがこんな洋館の持ち主なぐらいだ、きっと相当な人物だろう。
――暴君、という言葉が似合いそうな。

それでこんなピンチなのに何で暴君の話なんかしてるかと言うと、
タイラント――Tyrantを和訳すると暴君という意味になるというだけで、
つまり某ゾンビゲームはやったことないので用語出されてもちんぷんかんぷんだってことを知ってほしかっただけだ。
他意は、ない。
35少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/09(水) 15:12:09 O
>>19
もう時間はない。
しかし何も浮かばない。
死なばもろとも、と特攻でもしてやろうかと考えてしまった僕を制するように、目の前に人が現れた。
見覚えのない黒いドレスの女性が、僕に背を向けて立っていた。

次の瞬間、世界が止まった。

音も何もない。カラス達も空中で静止し、ピクリとも動かない。
同じく、僕の体も動かない。動くのは僕の頭と、やや揺らめいている目の前の女性。
何が起きたのかわからないが、誰がしたのかは検討がつく。
(…時間を、くれたのか…?)
僕が心中でそう問うとその女性はこっちを向いて…微笑んだ。

その笑顔を見て、ちょっとドキリとしてしまったことは秘密にしておこう。
いかんいかんいかん、一目惚れなど信じない。
いやそれ以上に恋愛なんて精神病の一種だって誰かが言ってたぞ。
僕がそんなこと考えている間に、その女性は煙のように消えてしまった。

まだ、時は止まっている。考える時間は残されている。
だがそのリミットが近づいていることも本能的に理解している。
だから脳を回転させるんだ。
考えろ。
考えろ。
考えろ。
迫ってくるのはカラスの集団。
背後にある扉から繋がるのはゾンビの集団がいる部屋。
――道は、1つしかない。
一回こっきりの、大チャンスだ。
失敗すれば、死ぬだろう。
賭ける。
すべてを。

やがて、時が動き出す――。
36少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/09(水) 15:31:53 O
>>20
ふと気づくとあの少女はまだ傍らにいた。
僕の危険を見て、楽しそうにしている。
完全に、観客だな。

――どうせ、最初から助ける気なんかないんだろう?
僕が阿鼻叫喚をあげつつ顔を絶望一色に変え、
体を血の朱に染めて事切れる瞬間が見たいだけなんだろう?
これぐらいのピンチ、自分の力ひとつで切り抜けてみせる。
だから、そうやって見物しているがいいさ。

カラスの集団はもう目と鼻の先だ。
いざ僕に襲いかかろうとしたその瞬間!
僕は背後の扉を開き、中の部屋に飛び込んだ!

中は、無数のゾンビがひしめき合っている。
扉は開きっぱなしだ、カラスの軍団は僕を追いかけ一斉に部屋に入ってくる。
後は――わかるな?

ゾンビは所詮脳みそが腐ったような奴らだ、本能だけで動いてる。
襲いかかってくる奴らがいるのに、わざわざ補食活動をするはずもなし。
カラスは所詮鳥だ、僕に襲いかかってきたのだって補食本能を満たすため。
他にも獲物があるなら、当然分散する。腐肉も食べるしね、カラスは。
その場は、ゾンビの集団VSカラスの大群、という訳の分からない一大スペクタクルが展開されていた。

僕は扉の陰に隠れ、ダンゴムシのように体を丸くし、完全な防御体勢をとる。
カラスの一部が啄んだりしてきて痛かったりもしたが、僕は生きてる人間だ。
腐肉であるゾンビの方が食しやすいことはわかるのだろう。
それにカラスは仲間意識が高く、ゾンビと戦っている仲間に助太刀に向かう。
やがて、僕を襲うカラスはいなくなった。
周りを少しだけ確認すると、急いで廊下に出て、扉を閉める。
入れなかったカラスが僕に襲いかかってきたりしたが、
たかが数羽だ。人間様の敵じゃない。

閉めた扉の中には、未だゾンビとカラスの戦いが繰り広げられていることだろう。
僕にはもう、関係のないことだが。
「思ったより、呆気なかったね」
僕が死ななくてガッカリしているであろうあの少女に声をかけると、
僕は再び廊下を歩き出した。
37名無しになりきれ:2009/09/09(水) 15:39:45 0
    \           ヽ         |         /             /
     \          ヽ         |           /           /
      \       ヽ           |        /        /
       混 沌 と し た ス レ に 鋼 の 救 世 主 が ! !
          \      ヽ               /      /
‐、、            \                         /          _,,−''
  `−、、          ┌─────────┐            _,,−''
      `−、、       |                |         _,,−''
         `       |                    |
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 ゙、   `ー--<´   /      ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄       ゙、  >−一'′   ,'
  y'         `ヽ/     /  | |        | | ヽ      ヽ '´         イ
38少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/09(水) 15:46:47 O
>>21
うわ、と声をあげる暇さえなかった。
また、こんにゃくだ。
こんにゃくが、今度は複数。それこそ無数に。
四方八方からだ、こんにゃくが。もう一度言うぞ、こんにゃくが。
当然避けきれるはずもない。僕の体は瞬く間にこんにゃくでまみれる。
…こんにゃくまみれなんて言葉、おそらくもう二度と使うことはないんじゃないだろうか。

とりあえず体に引っ付いたのは払い落とした。
さすがに床に落ちたこんにゃくを拾ってまで食べる気にはなれないので、
今回の非常食は右手の二個、左手の一個のこんにゃくだ。
とりあえず歩きながらかじりついてみたが…味がついていた。
これは、からし味噌だ。
…僕の心が、読めるのか?

しかし何故、こんにゃくなのか。
さらにはからし味噌つきだ。いや嬉しいけどさ、これではまるで――
「…そうか」
理解した。
この洋館の主は、僕で遊んでいるんだ。
精神は、あの少女と似たようなものなんだろう。
僕がいろんなピンチや理不尽な状況に遭うことをどこかから見て、楽しんでる。
それで、死んだらまた違う人を連れてくる。
そういうことなんだろう。
そんなのに選ばれてしまった、自分の悲運を嘆く。
もう、どうしようもないけどさ。

だから。

>>22
だから。
僕が今タバスコ+カラシまみれになっているのもそういうことなのだろう。
僕のこんな格好を見て、笑っているんだろうな。

それにしても迂闊だった。反応すら出来ず、まともに被ってしまったよ。
目に入らなかったのが不幸中の幸いだが…体がヒリヒリする。
お風呂、入りたい。
ちょっとイライラしながら、僕は手に持っていたこんにゃくにかじりついた。

「辛っ!」
そうだ、こんにゃくにもかかってたんだ。
タバスコとカラシ。
39少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/09(水) 15:48:08 O
>>23
続きは明日\(^0^)/
40名無しになりきれ:2009/09/09(水) 18:19:33 O
つ【ジャックナイフ】
41名無しになりきれ:2009/09/09(水) 18:41:27 0
つ【金属釘バット】
42名無しになりきれ:2009/09/09(水) 18:44:04 O
つ【赤い液体で満ちた猫足バスタブ】
43不思議な少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/09(水) 19:06:45 0
はぁ。ひどいいわれようね。
まぁ、あんなでかただったしね。
もとから困っているなんてわかってるわよ。でも私は…手助けできないから…。
だから今ちょっとだけ、いい事を教えてあげる。私は本当に困ってるときにしか出てこないわ。
でも、私と似た子が此処のどこかにいる。その子があなたを導いてくれるかもしれないわよ。
探しなさい。生きたかったらね…くすくす…。
44謎の少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/09(水) 19:12:14 0
【どこかの部屋】
また新しい迷い人がきたんだ〜。この人は私を見つけられるかなぁ。
ね!ラトゥール!!
『にゃあ〜』
45少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/10(木) 11:27:08 O
>>25
たぶん、僕は少し焦っていたんだろうな。
どこまで行っても、先は見えないし。
いつまで経っても、光は射さない。
はっきり言って気が狂いそうだよ。今の現状にさ。
だから当然、注意力も散漫になるわけで。
下を見ないで、歩いていたり。

そもそもが、バナナの皮で滑るなんてのがそもそも固定観念の塊なんだ。
実際にバナナの皮で滑った人を見たことあるか?少なくとも僕はないな。
せいぜいとあるレースゲームだろう。あれはアイテムだったっけか。
そりゃバナナの皮にはかなり植物油が含まれているからさ、
潤滑効果による摩擦係数の低下により滑りやすくなる、ってのはわからなくもないけど。
でも所詮バナナの皮だ。ちゃんと歩いていさえすれば、
まず踏まないし、踏んだって滑ったりはしないもんなんだ。
うん。

「…ちくしょー!」
大きく尻餅をついてしまった僕は、
悔恨の言葉を吐き捨てるとともに床に落ちていたバナナの皮を思いっきり蹴りつけてやった。
そのまま見えなくなるバナナの皮。
これぐらいじゃ、怒りは収まらない。

どうせこれも罠の一種なんだろう?
見てたんだろう?
僕が思いっ切り転んだところをさ。
罠じゃなかったとしたら、僕はこのバナナを食った奴に言いたいな。
「ゴミはちゃんと捨てろよ!」

>>26
…笑ってる。
あぁそうさ僕はバナナの皮でころびましたいたいなーあははーさあぞんぶんに笑うがいいさ。
これ以上、みじめになんかなりようがないから。

この少女は何かを探してる風にも見えたが、特に気にしないことにした。
46名無しになりきれ:2009/09/10(木) 12:09:53 O
少年は何歳くらいなの?
47少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/10(木) 12:18:49 O
>>27
――ゴクリ。
唾を飲み込んでしまって――。

歩いていた僕。
その進行線上に、異物を発見した。
近づくにつれ、その姿が分かってくる
四角い、薄い、本のようだ。
色が付いている。写真集か何かか?
表紙が見えた。…こ、これは。

ひとつ言っておきたい。
僕だって、健康的な一般男子なんだ。
ストイックな性格というわけでもないんだから。
そういうことに、興味持つのは仕方ないだろう。
下腹部の方に熱が溜まっていくのも、仕方のないことだろう?

色々頭で言い訳を繰り返しながら、少しずつ着実にその本の元に向かう。
高まる心臓の鼓動とともに、僕はそれを拾い上げた。
テンションMAXのまま、開こうとして――「違和感」。

何だ、これは。
カピカピ、している?

理由はひとつしか思いつかない。
なるほど、使用済か。さすがに、それはちょっと…。
僕はその場に本を戻し、とぼとぼとした足取りで先へ進むのだった。
48少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/10(木) 12:20:09 O
>>28
何度も言うが、僕には記憶がない。
なんか非常に都合のいい記憶のなくし方してるよななんて思うけど、それはそれとして。
だから、思いもしなかったんだ。

猫の鳴き声がした。
僕はそれに喜んで、声のした方に向かう。
だって猫はかわいいじゃないか。それ以上の理由はない。
なんだかんだかなりストレスの溜まる状態だし、
少しは癒してもらおう、なんて思ったんだ。

間もなく猫を見つけた。予想通り、かわいい猫だった。
かわいい猫だった、けど…。
「あれ?」
脚が、動かない。
汗が、止まらない。
動悸が、大きくなってくる。
口の中が、乾く。
まるで、『何か恐ろしいモノを見た』かのように。
僕の体は、固まってしまったのだ。

脳はかわいい猫だと思っている。
今すぐ近寄って、撫でてやりたい。
なのに体はそれを拒否し、後ろに下がることを命令している。
そんな2つがせめぎ合い――そしてそんなこと露も知らぬこの猫は。
僕に、すり寄ってきた。その瞬間。
「う、うわああああああ!」
情けない叫び声をあげ、その場に崩れ落ちる僕の体。
全身に、鳥肌がびっしりと。

僕は理解した。
この僕はどうやら、猫がとても苦手なようだ。
…ちょっと気づくのが遅かったかなー、とは思うけどね。
後の、祭りだ。

僕が動けないのをいいことに、猫は僕に体を押し付けまくっている。
これ、マーキングって言うんだっけ?
は、早くどっか行ってくれないものかなぁ。
体がどんどん言うことを聞かなくなってくる。
目尻には涙も貯まってきた。動けない。誰か、誰か!
「たす…けて…」
蚊の泣くような、弱々しい声だ。
49少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/10(木) 12:29:33 O
>>29
なんとか猫から逃げ出し、一息付いたところで。
拾ったバッジは、ニュースなどで見たことがある気がする。
なんだっけ、たしかどこかの国の前独裁者の記念バッジなんだよね?
たしかあの国は拉致とかなんとか聞いた話があるけど…

ふと、僕は一つの考えも思い浮かぶ。
――僕は拉致され、かの国に連れてこられたんじゃないか?

…なーんて思ったりもしたが。
このバッジを見つけただけでこの場所がその国だ、ってのはちょっと行き過ぎだろう。
そもそも、ここ日本語普通に通じてるし。
結局なんでこんなところにこんなバッジがあったのかはよくわからないが、
とりあえず持っていると呪われそうな気がしたので
僕はそのバッジを投げ捨てることにした。

結構いい感じの風切り音を響かせて、
バッジは見えなくなった。

>>30-31
「あぁ、そうですか」
何かよくわかんないことやっていたけど、気にしないことにした。
50少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/10(木) 13:12:25 O
>>40-41
――生命の危険が、二連続で襲ってくるなんて。

こんにゃくやらタバスコやらバナナの皮やら、僕は少し油断していたのかもしれない。
もう一度しっかり覚えておくべきだ。
この洋館の主は、僕の命なんてどうでもいいってこと。

まずは、ナイフ。
どこからか飛んできた折り畳み式の大型ナイフが、僕の頬を掠めて壁に突き立った。
背筋に寒気を感じる。
あと数センチ、横にずれていたら…僕の顔はスッパリだ。
一生消えない傷――というか、普通に死んでしまっていただろうな。
治療用具なんか、何にもないんだから。

しかしナイフが飛んできたおかげで、警戒心が高まったからだろうか。
次の釘バットをよけられたのは。ケガの功名?
結果としては、降りおろされてきた釘バットをすんでのことでよけられた、というだけ。
これも、反応が数秒遅れていたら僕の頭蓋はへしゃげていたことだろうね。
予想通り、降りおろした人物など、どこにも見当たらない。
そこにあるのは、釘バットだけ。
まるで、自然発生したかのようにだ。

結果として、僕が受けたケガは微細たるもので。
副産物的に、僕の近くにユーティリティツールとして非常に有効なナイフと。
複数相手の肉弾戦に使えそうな、釘バットが。
誰の支配も受けず、佇んでいる。

当然、利用しない手はないのだが。
これでは、まるで――
「これを使って戦え、なんて言ってるようなもんじゃないか」
一体、目的は何なんだ――?
とりあえずナイフは折り畳んだ状態で腰に差し、釘バットを右手に携えながら、僕は歩を進める
かなりの武装になった。
あとは――僕の体力次第か。
腕の筋肉の付き具合などを見てみても――それほど体力に秀でているようには見えないんだよなぁ、僕。

ともかく、予想外ながら武装が整った。
せっかくなので、近くの扉を開けてみることにした。
またゾンビの大群の部屋だったら、やっぱり逃げよう。
51少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/10(木) 13:21:21 O
>>42
「ふんふん、ふふ〜ん♪」


入った部屋は、普通の客間だった。少し拍子抜けした。
特に罠もなさそうだし、害となるものもない。
寛いでも、いいぐらいじゃないか?これ。
ちょっと進んでみると、部屋の奥。そこにはバスルームがあった。

ためしに蛇口をまわしてみる。
お湯、出る。
…ほら、僕は風呂に入りたいって言ってただろう?
――今しか、ないんじゃないか?
客間のクローゼットを開き、替えの服を探して。

ということで今僕は入浴タイムだ。
男の風呂シーンなどサービスにも何にもならないので早めに切り上げるとしよう。
なぜか入浴剤まで付いてたぞ。ローズマリーの湯、とかで。
今、このバスタブは赤い液体で満たされている。ちょっと入浴剤入れすぎたかな。

「はー、さっぱりした」
心身リフレッシュ。
僕は再び探索を始めるため、その客間から出ることにした。

廊下を歩く。
武器があるだけで、こんなに安心感が増すだなんて。
52少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/10(木) 13:33:34 O
>>43-44
幾度目かの邂逅。あの少女とだ。

…ちょっと言い過ぎたかな、とも思う。
僕は最初から『こいつは敵だ』って色眼鏡で見ちゃっていたけれど。
結局、見た目を信用するなら――この子はまだ年端もいかぬ少女なのだ。
僕が、信じてあげないでどうする。

『手助けできない』という言葉に少しのひっかかりを感じつつも、
僕は少女の話を聞く。アドバイス的なことをしてくれるんだ、それは僕を思ってのことだろう。
ならばこちらも真摯な態度で聞くべきだ。感謝の気持ちを、忘れないように。
そして、
「覚えておくよ、ありがとう」
これも、正直な気持ちだ。
だけどやっぱり、その笑い声がムカつく。
いやほんと、個人的な感情だってわかってるんだけどね。
「探せたるなら、探すよ。――生きたいとは、思うからさ」
そんなに死を恐れてるわけでも、なかったりするけどね。
体はともかく、脳は特に。

それにしても。
「似た子がどこかに、ね…。どこにいるんだか」
あてもないまま、僕は廊下を歩いている。
しかし、何だかいやな予感がするのは気のせいか?
なんだか、猫に会ってしまいそうな、そんな気が…。
さっきのことを思い出し、体に鳥肌が浮かぶ。
53少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/10(木) 13:38:16 O
>>46
それにしても、僕は何者なんだろうか。未だによくわからない。
年齢などもわからないし。鏡などがあれば、まだだいたいは把握できるのかもしれないけど…。
あいにく鏡も見れていないから、僕は僕がどんな顔をしているのかさえ知らないんだ。
ただ、体の感じから、若いんだろうな、ってことだけはわかるんだけど。

「…」
さっきの血の付いたペンダントをもう一度取り出してみる。
これを見ていると、何か思い出しそうな気がするんだ。
気がするだけで、ただの思い違いかもしれないけど…。
きっと、僕の大事な何かだったんじゃないだろうか。そう思っておくことにする。
その方が――ロマンだろう?

とりあえず、『僕が何者なのかを知る』ことも。
この洋館を探索する目的に、付け加えておこうかな。
54名無しになりきれ:2009/09/10(木) 14:17:18 O
お疲れ

つ【饅頭】
つ【旦】
55名無しになりきれ:2009/09/10(木) 14:46:17 O
つ【鏡張りの部屋】
これで君の全身を見ることができるよ
56名無しになりきれ:2009/09/10(木) 17:50:59 O
焼きたてのパン、暖かなスープ、肉汁溢れるチキンが何故か廊下の真ん中に置かれている。
横には拙い筆跡で、

つ【eat me】
57名無しになりきれ:2009/09/10(木) 18:50:36 O
壁に血文字で

『KILL YOU』
58名無しになりきれ:2009/09/10(木) 19:35:52 0
つ【どこかにつながっている無線機】
59名無しになりきれ:2009/09/11(金) 00:02:37 O
素敵なカメラワーク
60名無しになりきれ:2009/09/11(金) 00:43:39 O
豹柄の服を着たおばちゃん
61名無しになりきれ:2009/09/11(金) 08:23:29 O
タイツを被った男が奇声をあげながら迫ってきた
62仔犬:2009/09/11(金) 10:46:42 O
(∪・ω・)クゥーン
63少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/11(金) 15:06:17 O
所用によりレスは週明けに

あまりにも多くなると泣く
64名無しになりきれ:2009/09/12(土) 19:29:31 O
15パズル
65名無しになりきれ:2009/09/13(日) 16:47:41 O
優しくほほえむ絵画
66名無し・・・・?:2009/09/13(日) 19:13:14 0
遠いような近いような鈴の音
67名無しになりきれ:2009/09/14(月) 12:16:35 O
木々のざわめき
68名無しになりきれ:2009/09/14(月) 18:47:19 O
もうこない悪寒
69名無しになりきれ:2009/09/14(月) 19:10:39 O
何処からか聞こえてくる物悲しいメロディ。
音源へ近付くとそこには、

つ【独りでに鳴るピアノ】
70名無しになりきれ:2009/09/15(火) 23:15:42 O
長くは続かないと思ってたよw
アーメンw
71少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/16(水) 13:07:47 O
明日まで待ってね
ちょっといろいろ立て込んでるから
72名無しになりきれ:2009/09/16(水) 15:19:59 O
庭に咲いている名の知れない白い花。
良く見ると規則的に生えている。
遠くから見下ろす様に見てみると、

つ【オカエリナサイ】

白い花で出来た文字が風にさわさわ揺れていた。
73少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/18(金) 12:30:23 O
>>54
僕は今、わりと手当たり次第に扉を開けている。
どうやら武装というのはかなり僕の心に余裕を持たせてくれているようだ。
手ぶらの時より…何て言うのかな、かなり自分への安心感がある。
何か危険なものがあっても大丈夫なんじゃないかな、って気がしてくるんだ。
――そんなわけないってこと、わかってるんだけどね。

そんな感じで僕は釘バットを携えながら扉を開けたりして進んでいるわけだけど。
どうも、戦果…って言っていいのかはわからないけど、イマイチだ。
何もないことの方が多いんだよね、やっぱり。
それでも扉を開けてしまうのは――僕はちょっと気になっているんだろう。
どこかにいる――か。

さて、扉を開けて幾度目か。
そこも、普通の部屋だった。
ただ、他の部屋とは違った。
その部屋の中にあったのは――。

( ´・ω・) <お茶おいし。
( つ旦O
と_)_)

( ´゚Д゚) <!
( つ旦O
と_)_)

――これは危険だ。
お茶と饅頭。
まるで煎れたてかのように湯気の立ったお茶と。それによく合いそうな饅頭。
気がつけば僕は、まったりしていた。
危険すぎる。
こんなにゆったりと時間が流れる空間は。
ほんと、いろんな意味で。

僕はすぐさまこの部屋から離れることにした。
…でももったいないから、一応饅頭とお茶は完食しておくことにする。

( ´・◎・)
( ゙ノヾ
と_)_)

あ、これも一応ちゃんと言っておかないとな。
「ごちそうさま」
でした。
74少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/18(金) 12:52:32 O
>>55
次の部屋に入った時は、一瞬、怯んだ。
「ここは――」
非常に、悪趣味な、
鏡張りの、部屋だった。

目がくらむ。
遊園地にあるようなミラーハウスを彷彿とさせる。
前を見ても。
右を見ても。
左を見ても。
鏡・鏡・鏡・鏡・鏡…。
どこにでも行けそうで行けない。
向こうに繋がっているようでも、そこには鏡の壁があるだけ。
延々と続く、合わせ鏡の向こう側。

とりあえず手探りで進んでみる。
少しでも気を抜くとすぐさま鏡に頭突きしてしまい、うまく進めない。
釘バットで鏡を割りまくりながら進んでみるのも手かと思うけれど、破片が危ない気がすりからやめとこう。
それに――なんだろうな。
楽しんでしまっている、僕がいるんだ。

鏡越しに面と向かう人間は、紛れもない僕だ。
右手を上げれば左手を上げて、
右足を振れば左足が動く。
それは僕ではないけれど、僕でしかない。

素足に履いているのはスリッパだ。全力で走るのには向いてない。
趣味の悪い、クリーム色に緑の水玉模様なパジャマの上下。
仕方がないだろ、これしかなかったんだ。
目覚めた時に着ていたパジャマも、確かこんなような柄だった気がする。
携えているのはおどろおどろしい釘バット。どう見ても不良少年だな。
腰あたりの膨らみは、ズボンのポケットに入れてあるナイフだ。
顔は…うん、どう見ても普通の男だね。黒い髪の毛黒い瞳。アジア人…特に日本人にしか見えないな、僕には。
身長も高くないし、顔も幼いし…中学生ぐらいにしか見えないけれど、このあたりは人によるしね。

ともかく、幸か不幸か僕は僕の人となりを知ることができた。少なくとも、外見は。
わりと普通でちょっと残念な気持ちもある。じゃあ普通じゃないってどんな風なんだよって話にもなるけどさ。
外見が年相応とするなら――思ったより若いな、っていうのが正直な感想なんだけれど。
…それにしても、全く感動がないんだよね、僕。
やっと、自分の姿を見ることが出来たって言うのに。
僕が、自分の過去を忘れているからかな?
これが僕だっていう実感がない。

目の前の「僕」が。
――誰か別の、他人にしか、見えないんだ。
悲しいことにね。
75少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/18(金) 13:19:53 O
>>56
結局さっきの鏡張りの部屋には、奥まで行っても何もなかった。
ちょっとイラついたりもしたけれど、僕の姿を見ることが出来たし。
プラスマイナスで、差し引きゼロとしよう。
そう納得して、僕は部屋を出た。
相も変わらず、廊下は続いている。
永遠に続いていそうなぐらい遠く、遠く、遠くまで――。

廊下を歩いていると、影が見えた。
僕は少し警戒し、釘バットを構え。
やや腰を落とし、ゆっくりと進む。
やがて見えてきたのは、テーブル。
警戒心を揺らがせつつ、覗き込む。
そこにあったのは。

そんでもって、僕は今わりと悩んでいる。
確かに、空腹じゃないと言えば嘘になる。
こんにゃくを食べてから、もう時間は立っているし。
饅頭なんてたった1つだ。腹の足しにもなりゃしない。
ましてやこんな状況、食べれるときに食べておくべき、とは思うさ。
でも。
「怪しすぎるだろう…」
僕は頭を抱えた。
もう、何度目だ?
やっぱり、楽しんでるんだろうな。
僕がこうやって、悩み抜いていること。

食うべきか、食わざるべきか。
悩める僕の前で、目の前の食材達は自己主張を惜しまない。
パンの匂いが鼻孔を擽る。
スープの香りが脳髄を刺激する。
チキンの肉汁で唾液が分泌される。
僕はもう、限界だ。
そもそもさっきだってお茶と饅頭食べたけどさ、
何も起こらなかったじゃないか。
色々考えてる方が馬鹿らしい。
ここで死んだなら、それは僕がここまでだったってことだし。
たぶん、悔いはない。
横にあった意味深なメモに僕は一抹の不安を覚えながら、
僕は食欲に身を委ねることにした。

「もぐもぐ…」
美味いぞ、これ。
行儀なんか考えていられないさ、誰が見てるわけでもないんだ。
とりあえず、さっさと食って、さっさと腹の減りを満たすだけ。
瞬く間に平らげてしまった僕。
しばらく、食べ物はいらないな。
「ごちそうさま」
誰に言ってる訳でもないけれど。

それにしても、チキンの肉が歯に挟まってなんだか嫌な気分だ。
76少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/18(金) 13:41:00 O
>>57
何気なく見上げた廊下の壁。
赤い液体が流れ落ちていたんだ。
そのまま視線を上に。
言葉を失った。

戦慄。
この館の主は、躁鬱の気でもあるのだろうか?
まるで僕で遊ぶようなことをしたり。
こんな――僕を恐怖に陥れるような状況を作り出したり、と。
背筋が凍る。
僕は、今まで以上に警戒しなくてはいけない。
あちらから、予告があったのだ。

――僕を殺すと。

>>58
少し暗い気分で廊下を歩いていた僕の目の前に、何かが落ちていた。
警戒はしていたけれど、わりと無意識に、拾い上げる。
古びた、無線機だった。

期待してた訳じゃない。ただ、なんとなしに。
僕は、スイッチを入れた。
聞こえるのは、ノイズ。
その中に。
かすかに。
声が――
『――誰か、そこにいるのか?』
心臓が破裂するかと思った。
どこかに、繋がっている。
「は、はい!聞こえています!」
だから僕は、大きな声で、返事をした。

『――そうか…君もこの洋館に迷い込んでしまったんだろう?』
「は、はい、そうです!何か知ってるんですか?」
『――いや私も分からないんだが…私以外の誰かに拾われるようにと、無線機の片方を置いておいたんだ』
「このように、連絡がとれるように?」
『――そうさ。今、君が居るのはどこだい?』
情報交換をしようと、自分の場所を告げようとした矢先。
『――ん?う、うわあああああああ!』
突然の、耳をつんざくような叫び声。

「ど、どうしたんですか?」
『――あいつだ、あいつが』
「あいつ?あいつって?」
『――た、助けてくれ!死にたくない!』
「な、何があったんですか!?落ち着いて下さい!」
『――食われ――』
「もしもし!?もしもし!?」
『――ブツッ――』

もう無線機は、どこにも繋がらない。
ここにあるのは、ただの鉄クズだ。
77少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/18(金) 13:44:51 O
>>59-60
「あら〜!お兄ちゃんかっこええな〜!」
これ、僕の声じゃない。
振り向いたその場所には、おばちゃんが居た。
豹柄の服を来て。
ビデオカメラを、その手に携えて。

素敵なカメラワークで僕の全身を撮影した後、
満足げな表情でおばちゃんは去っていった。

「…何だったんだろ」
たぶん、誰も答えてはくれないだろうね。
78少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/18(金) 13:46:02 O
続きは明日\(^0^)/
79名無しになりきれ:2009/09/18(金) 23:34:50 O
ザリガニの罠だ!挟んでくるぞ!
80不思議な少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/19(土) 09:05:25 0
……やっぱりハズレ…この迷い人も違った。
あとは…この人だけか…。
81謎の少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/19(土) 09:12:23 0
こら!ラトゥール!!人を襲っちゃだめっていったでしょう!?
しばらくは別の形になってなさい!!
ラトゥール『グルルルルゥ』
…まだかな…もう一回鳴らそう。
―リン―リン。
これで場所をわかってくれるといいなー。
82名無しになりきれ:2009/09/20(日) 22:56:30 O
つ【金貨】
83名無しになりきれ:2009/09/20(日) 22:57:24 O
襲い掛かる狂犬
84少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/21(月) 12:57:51 O
>>61
――ああ、そうだな。きっと、そうかも。
僕、結構、精神ヤバいのかもしれない。
冷静になれてるだけだと思ってたんだけどさ。
生憎、どうなのか自分で推し量ることは出来ないんだけれど。

僕は今まで通り、廊下を歩いていたんだ。
聞こえてきたのは奇声。キェー?キョー?そんな感じの。
振り向いた僕の視界に入ってきたのは…こちらに迫ってくる1人の人物。
まるでどこぞのコントのように頭にタイツを被ってさ。
何なんだ、なんて突っ込みが頭に浮かぶより先に――、
僕は、何の躊躇いもなく、そいつのタイツに覆われた頭蓋に釘バットをフルスイングで叩きつけていた。
肉が潰れて、骨の砕ける、いい音がした。
しばらく、耳から離れそうにない。

この一発だけなら、まだ不可抗力だったかもしれない。突然だったし。
混乱して思わず、というのはあるかもしれない。
ただ、僕は、
ああ、僕は。
この男が、完全に動かなくなるまで。
釘バットを、振りおろし続けたんだ。
頭が真っ白になっていて。何も、考えることなく。
我に返ったのは、いつだったっけか?

『本当に、襲ってきていたのか?』
『ただ、こちらに近づいてきただけだろう?武器もなく』
『――助けを求めていた、としたら?』
疑問は出るけれど。
それを解き明かす正答を導き出すことは出来そうにない。
ここにあるこれはただの、肉塊。
僕が、殺したんだ。

「しょうが…ない、じゃ、ない、か…」
落ち込んでるな、僕。
そのぐらいの良識は失ってないみたいだから…
ヤバいって言ってもまだ許容範囲内なのかな?僕の精神。
比較対象とかないから、どうにもならないけど。
85少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/21(月) 13:51:37 O
>>64
さっきから僕がやってるのは、有名な15パズル。
「サム・ロイドの14-15パズル」と言われるものだ。
15パズルは知っているだろう?
あれの、14と15を入れ替えたものを元に戻す、っていうやつさ。
サム・ロイドが1000ドルの懸賞金を出して有名になったよね。

もちろん僕は答えを知っている。
これは、不可能だ。
知っているけれど、僕は絶え間なく手を動かし続けている。

――心を、落ち着かせるためにさ。
僕は人を殺したんだし。
忘れ去ることなど出来やしないし。
開き直ることさえも。
だから。
――背負う。
背負っていく、覚悟はあるんだ。

それにしても、これ拾ったやつなんだけど、なんでわざわざサム・ロイドのをチョイスしたんだろうね。
ちゃんと完成する15パズルでいいじゃん、とか思っちゃうんだけど。
ゴールがないから、時間潰しにはちょうどいいのかもしれないけどさ。

>>65
15パズルにも飽きてきた頃合い。
何気なく見上げた廊下の壁に。
掲げられた一枚の絵画。
僕は、足を止め。
その絵画に、見惚れる。

描かれていたのは、優しくほほえむ女性の肖像。
僕は――僕は、この女性を知っている。
この女性がいなければ、僕は死んでしまっていただろうから。
忘れるはずもないさ、あんな綺麗な女の人。
あの、まるで時を止めるかのような不思議な力を持つ女性。
あの黒いドレスの女性の笑顔が――描かれていたんだ、これに。

絵画とはいえその笑顔を見て、僕は自分の動悸が高まるのを抑えられない。
ああ、これが――
一目惚れ、ってものなのかな、やっぱり。
さっきは、認めちゃいなかったけどさ。
「もう一度、会えたらいいのにな」
会えたら会えたで『さらにもう一回』とか願っちゃうんだろうけれど。
僕は、そっと瞳を閉じる。
あの女性の姿を、脳裏に浮かび上がらせて。

>>66
やがて訪れる静寂の中。
「――?」
鈴の音がどこからか聞こえてきて。
僕は。
仄かに聞こえたその音へ。
そちらの方へ向かってみる。
行くあてなんかどこにもないから。

鬼さんこちら、鈴鳴る方へ――。
86少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/21(月) 14:19:56 O
>>67-68
少し、風が吹いた。
肌寒さとともに、言い知れぬ悪寒が僕を襲う。
突然、忘れていた風景が脳裏を駆け巡った。
耐えられなくなり、思わず蹲う。
これが、世に言う――フラッシュバック。

森の中。
僕は1人。
木々のざわめき。
僕は1人。
どこまで歩いても。
僕は1人。
陽が沈んだ。
僕は1人。
その場に倒れる。
僕は1人。
倒れた僕に近づく人影。
僕の他に、1人――

「う、うわあああああああああ!」

落ち着け。
大丈夫だ。ここは森の中じゃない。
木々のざわめきも聞こえやしない。
落ち着いてきた。体の震えも、収まってきた。
うん、平気。こういうのは、心の持ちようが大事なんだ。
僕がしっかり、気持ちを持っていられれば。
もうこないのさ、この悪寒は。

>>69-70
ひとりでに鳴っているのかと思ったら――違っていた。
透けている。消えかけてる。小さな女の子が。
部屋に入ってきた僕さえ気にすることなく。
ピアノを、弾いていたんだ。
とても――哀しげに。

これは――伴奏だ。
しかも、聞いたことがある曲の。
それにしても、なぜこの女の子はこんな寂しそうにピアノを弾いているんだ?

「Oh, when the saints go marching in♪」
何気なく、僕は口ずさんでしまっていた。
悲しいテンポで弾いてたから気づきにくかったけど…これ、『聖者の行進』だ。
女の子は、ちょっと驚いたような表情を浮かべた後。
すごい嬉しそうな顔になって。明るいテンポになって。
伴奏を、続ける。
僕も、それに、歌を乗せる。

「Lord, how I want to be in that number…♪」
一節、歌い切る前に。
その女の子は、消えてしまった。伴奏も、止まった。
とびきりの笑顔を、僕に残して。

「長くは続かないと、思ってたけどね」
本当に、端から見ても分かるほど、消えかかっていたんだ。
ただ、誰かの伴奏を…誰かに歌って欲しかったんだろう。
僕でよかったのかな、なんて思ったりもするけれど。
「――アーメン」
…僕らしくもないな。
87少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/21(月) 14:30:59 O
>>72
僕が最初に居た部屋の窓はくもりガラス。
外は見えなかった。
この部屋の窓は、普通の透明なガラスだ。
外が、見える。

見えているのは庭。ここは、3階か4階か…上階だということは把握した。
庭には白い花が、咲いている。
たぶん、下で見ていたら、『変に咲いてるな』としか思わなかっただろう。
ただ見下ろしているから、その全体図が理解できる。
メッセージが、読める。
「誰が帰ってきたって、言うんだ?」

それにしても、このタイミングだ。
ちょうどこの部屋から見るといいアングルになるように、花文字は形成されている。
偶然?いや。
これじゃ、まるで。
――僕に向けられたメッセージなのか?
僕は、一体何者なんだ?

…。
こんな風に。
考えても。
何も、見つからないんだ。
88少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/21(月) 14:35:12 O
>>79
天井からザリガニが大量に落ちてきた。
『何だそれ』って言われても、実際そうなんだから仕方ない。
この館の主がどうしたいのか全くわからないけれど。
はっきり言って、罠にすらならないだろう。

妙に挟もうとしてくるアグレッシブなザリガニだったが、
僕は適当にあしらってさっさと先に進んだ。
ザリガニって食用になるらしいけど。
加熱しないと、だめだし。
89少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/21(月) 14:47:56 O
>>62>>82-83
金貨を拾った。
なんの金貨なのかはわからない。
はっきり言って、こんなところで金貨なんか役には立たないんだ。
嬉しくもなんともないよ。
何に使えるかといえば――
「こうやって!投擲武器にするぐらいだろ!」

さっきから子犬がついてきていたのは知っていた。
別に犬はそんなに好きじゃないから無視していたけれど。
突然、襲いかかってくるとはな。さすがにびっくりしたよ。

金貨が額に直撃し、すこし怯んでいる。いい気味だ。
そしてそんな隙を狙わないわけがない。
――釘バット、一閃――。

「畜生が人間様に逆らおうとかさ…」
口ではこんなこと言っているけど。
心は、結構キテる。
すり減ってるな、僕の精神。
いくら襲われたからって…子犬だぞ。
そんな子犬に、何の躊躇いもなく。
一撃を叩き込めてしまう。
自分が、たまらなく嫌なんだ。

>>80-81
「これは!」
さっき、鈴の音を頼りに僕は進んでいたことを覚えているだろうか?
結局聞こえなくなってしまったから、僕はまた気にしなくなったのだが。
――また、鳴り始めた。
それも――すぐ近くで!

探すように歩いていればすぐに見つかった。
鈴の音は、この部屋から聞こえている。
今までならすぐ開けていたが…
何か、僕の第六感が告げているんだ。
この部屋は、他の部屋とは違うと。

だけど。
恐れていては何も進まない。
僕は意を決して。
鈴の音の鳴る部屋の。
扉を、開けた――。

To Be Continued?
90謎の少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/21(月) 15:19:22 0
…?
あっ…!やっときてくれた!

【少女の容姿】真っ白な髪に、ふりふりな漆黒の服を着た10才ぐらいの少女
不思議な少女よりは目つきが優しい
少年を見ると、その容姿に合った無邪気な笑顔をみせ、少年に抱きつく。

えへへ〜!待ってたんだよ!ずっと待ってたんだよ!!
91名無しになりきれ:2009/09/21(月) 18:09:09 O
疑心暗鬼
92名無しになりきれ:2009/09/21(月) 18:11:09 O
100円ライター
93名無しになりきれ:2009/09/21(月) 19:22:30 0
悟史君!私も待ってたんだよ!!
最後に言葉を交わしたときからずっと…!!
あ、いえ。いいたくなっただけなんで気にしないでください。
94名無しになりきれ:2009/09/21(月) 19:57:22 O
古ぼけた日記帳。
しかし、中はまっさらの白紙。
黒いリボンが栞変わりに挟まれているページに目を止めると、

【かすれて正確に読み取れないメッセージ】
95名無しになりきれ:2009/09/21(月) 20:45:06 0
古ぼけた写真。
よくみると自分とあの少女が写っている。
少女の隣に、もう一人。少女に似た子がいる。
そして自分の後ろに背の高い、男性のような人物が写っている。
顔の部分が破りとられている。
96名無しになりきれ:2009/09/23(水) 00:00:14 O
熊のぬいぐるみ
97少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/25(金) 13:24:33 O
9月中はちょっといろいろ厳しいね
とりあえず明日まで待って

数日空けるのが習慣になるのは嫌なので
これからはもう少し尽力する
98名無しになりきれ:2009/09/25(金) 22:03:38 O

人間と見まがわんばかりの精巧なビスクドール。
青い無機質な瞳がじっとこちらを見ている。
よく眺めると、

つ【サファイアで出来た瞳】
99名無しになりきれ:2009/09/27(日) 05:34:42 O
まあ自分のペースでやればいいんじゃね

つ【クロネコ】
100白い鎧:2009/09/27(日) 11:20:15 0
……………別に動いたりはしない。
101少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/27(日) 11:57:58 O
>>90
開いた扉の先には…もう幾度目になるだろうか、あの少女が――
と、思ったのだが。なんだろう、多少雰囲気が違う気がする。
それに、あの少女はかなりクールっぽいところがあったし――

「…◎○◆□▲☆&#!?」
…まぁ、こんな風に抱きついてきたりはしないんじゃないかな、って思うよ。

あれだよね、僕は見た目通りの年齢だとすれば14、5歳なわけだ。
一番純情な時だと思うよ?うん。思春期ってやつだ。
ましてやさっきそっち系の本を拾おうとして諦めたりもしたしさ、何て言うか…
その、あれだ、あんまりこんな風に言いたくないけどさ、えっと…むらむら?
んでもってこの子結構…ていうかかなり可愛い訳じゃないか。そんな子に抱きつかれてさ。
えっと、何?僕はどうすればいいの?
…僕がもうちょっと自制の効かない人間だったとしたら襲ってるかもなぁ、なんて思いもするけれど。

「…えっと」
出来るだけ平静を装いつつ僕はこの少女を引きはがす。
もう一度顔をまじまじと見てみる。
うん、似てるけどやっぱり違うな。さっきの少女とは違う、別の子だ。
そして僕は、あの少女の言葉を思い出していた。
――導いてくれる?この子が、それなのか?
特に探している訳でもなかったけど…出逢ったことは、揺るぎない事実だ。
あの少女の言葉を信じるなら…この女の子の導きが、必要なのかもしれない。

――だけれど。

「うーんとね、君に似てる子にさ、君が僕を導いてくれるって聞いたんだけど」
僕は口を開く。
「僕を見て『待ってた』ってのも、そのつもりだったのかもしれないけど」
身振り手振りを交えながら。
「あいにく、誰かに導いてもらわなけりゃどうしようもないってほど、現状に悲観してないんだ」
自分の素直な気持ちを。
「八方塞がりになってるなら別だけどさ、まだ僕には出来ることがいくらでもあるわけだし」
今の考えを、自分自身で纏めることも兼ねて。
「足掻いて足掻いて足掻いて、それでもどうしようもなくなった時、でいいと思うんだ、誰かの力を借りるのは」
…とはいえ一度、黒いドレスの女性の力を借りたことは内緒だ。
「だから…待っててくれたみたいだけど、ごめんね。もう一人のあの子にも、よろしく言っておいて」

果たして僕のこの言葉に対してどう思うんだろう。
落胆かな。
無謀なる者に対する嘲笑かな。
僕だって、そりゃ導いてもらった方がいいとは思っているさ。
根拠はないけど、この少女達が『普通』じゃないことは、なんとなくわかる。
従えば事態は好転するんじゃないか、とも思うよ。
だけど…さっき少女に告げた僕の考えとは別に。
心の根底で。
僕は今、誰も信じられないんだ。

ちょっと僕は疑心暗鬼(>>91)になりかけてるのかもしれない。
この場所で出会う全てが。
僕を罠にかけようとしてるようにすら思えてしまうんだ。
考えすぎなのはわかってるんだけれど。
記憶のすべてをなくしてしまっているからか?
ここに来て何度も、生命の危機にさらされているからか?
ちょっとわからないけれど。

他人を信じない癖に、ある意味では危険を省みない行動を起こしている僕。
自分でも分かっているさ、矛盾していること。
102少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/27(日) 12:30:01 O
>>99
「じゃ、僕は行くから」
そう言ってドアノブに手をかけようとした、僕の足元に蠢く黒いもの。
宅急便のマークでもお馴染み、不吉の象徴とも言われる――黒い猫。
この少女が飼ってるんだろうな。そういえば、嫌な予感はしてたんだよ。猫に会ってしまうんじゃないかって。
どうして猫が苦手なのかわからないのが悔しいな。見た目は、かわいいと思うんだけど。
なぜか見てしまうだけで、手足が震え、体の自由が利かなくなってしまうんだよね。
僕は腰を抜かし、その場に崩れ落ちた。

「えっと…」
僕は首だけで振り向き、さっきの少女に声をかける。
「ちょ、ちょっと休憩だけでもさせてもらっていいかな」
普通に立てるようになるまで。
…情けないな、ほんとに。

それに、なんだろう。
この猫からは、他のとは違う、『異質』を感じさせる。
――ああ、そうか。
この黒猫の口の中から漂う、人の血の臭いか――。
気のせいとしてしまうには、いささか臭いが、強すぎた。
何を食べたのか知らないけれど。
思い出してしまうのは、正体不明の『あいつ』に食われた、無線機の向こうのあの人だ。

――まさか。
あまりにも突拍子のない発想だってことはわかってるし。
それについて聞いたりはしないけれど。
少しだけ、この少女に――『畏れ』にも似た感情を覚えて。
僕は思わず、釘バットを強く握り締めた。

――腰は、抜けたままなんだけどね。

>>92
腰が抜けていまだ座り込んだままの僕の目は、床に落ちている物品を捉える。
それは、どこにでも売っていそうな、至極ありふれた100円ライターだった。
こういうのって、原価は10円にも満たなかったりするんだよね。
拾い上げて、軽く火を付けてみる。ごく普通のやすりライター。火花が上がり、赤い熱が舞う。

火の確保って、わりと重要だと思うんだけど、どうだろう。
これがあれば――と思うのと同時に、
僕は…少女に気づかれないようにひっそりと、そのライターをポケットにしまってしまった。

素直に『このライターちょうだい』とでも頼めばよかったのに、僕は何をしているんだ。
本当に無意識に、欲しいと思った瞬間僕はポケットに突っ込んでいた。
床に無造作に置いてあったことからもわかるように、
いくらこの少女が100円ライターを必要としていないであろうとはいえ――僕は何をした?
これは立派な、盗みじゃないか。

僕は何も言い出せず。
ただ腰の震えが解け、立ち上がれるのを待つだけだ。
――ああ、早くこの黒猫どっか行かないかなぁ。
103少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/27(日) 13:14:38 O
やがて。
足の自由が利くようになった僕は、少女に別れを告げて部屋を出ると。
すぐ隣の部屋に飛び込んだ。
――居たたまれなくなったわけじゃ、ないけれど。

>>94
隣の部屋には、何もなかったけれど。
机の上に、一冊の本があった。
日記、だろうか?かなり古びているけれど。
中には何も書かれていなかった。
ちょっともったいないな、なんて思いながら――開いたページ。

『○月○日
    実験        。
      が失
       処刑      ?
    復讐
完成      今 亡き愛す 一人息子 為
            集大成     』

「…」
ところどころかすれていて。
正確に、どころか、全然読み取れやしなかったけれど。
僕は何も言わないで。
その日記を持ち上げた。
――スルリと。
中から、一枚の紙が――床に落ちていった。
104少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/27(日) 13:16:13 O
>>95
落ちてきた紙は、写真だった。
相当古いもの。何年も…いや、十何年経っていてもおかしくない劣化具合だ。
そこに写っていた人々を見て。
「!」
僕は、言葉を失う。

そこに写っていたのは、僕だった。
その隣に、あの少女達も居た。
僕は記憶を失ってしまっているから、わからなかったけれど。
あの少女達と僕は、どうやら見知った仲のようだ。
だって――こんなにも仲睦まじく、写真内に収まっているのだから。

しかし、あの少女達は僕と顔見知りだったというような素振りを見せては居なかった気がする。
――彼女らも、記憶を失っていたのか?
それは、わからないけれど。

もう一人、大人の男性のような人が僕の後ろに立っているようだけれど。
顔の部分が破れていて、それを確認することは出来そうになかった。

そしてもう一つ、驚いたことがある。
僕と少女達が写っていたこと、以上に。
写っている少女達と、僕。
少女達は10歳ぐらい、僕は中学生ぐらいに見える。
今と変わらない。
昨日撮ったものだとしても、全く違和感はないだろう。

――写 真 は か な り 古 い も の な の に だ !

裏には。ただ一言。
『息子たちと』
そう、書かれていた。

日記の、あのかすれかすれのページ。
あの中の一文、おそらくあれは『今は亡き愛する一人息子の為に』と書いてあったのだろう。
日記を書いたのは、おそらくこの顔が破られた男性だ。
その息子とは、この少年。
僕と同じ、顔――。

頭の中で導き出してしまった結論に、僕は思わず固まってしまう。
もしかして。
いやまさか。
でも。
そうとしか、考えられないんだ。
「――僕は、もう、死んでるのか――?」

――答えは出てこない。
少しだけ開いていた窓から風が入り込み…
僕の前髪を、かき上げた。
105少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/27(日) 15:22:19 O
>>96
あまりのことに、茫然自失していたけれど。
僕は徐に動き出し、廊下に出る。さっきの写真だけ、持って。
…今もまだ、茫然自失しているのには変わりはないけどね。

とぼとぼ、って擬音が似合うような足取りで、僕は廊下を歩く。
ちょっと、受け入れられないんだ。
理解できないから、何も考えられない。
何も考えられないから――ただ歩くだけ。
考えられないと言うよりは、考えたくないんだろうな、僕は。
さっき出した結論は、到底受け入れられるようなものではなかったから。

熊のぬいぐるみが廊下の真ん中に置かれていた。
これは、ぬいぐるみだ。
本物じゃない、仮初めの物体。
思わず僕自身をダブらせてしまう。
僕も、本物じゃないのかもしれないから。
だけど。

ぬいぐるみには一瞥だけくれて、僕はその横を通り過ぎる。
もう、考えない。
この物言わぬぬいぐるみとは、僕は違う。
僕には、ちゃんとした自我がある。意識がある。
もしかしたら、僕は死んじゃってるのかもしれないけれど。
ここにいる『僕』は、生きてるんだ。
それで、いいじゃないか。
――他に、何を望む?

思考停止、なのかもしれないけれど。
そうでもしないと。
僕は、僕を、保てないから。

>>98
次に入った部屋では、誰か居るのかとドキリとした。
こっちをじっと見つめる、視線があったから。

さっきのぬいぐるみと同じく、物言わぬ人形。
陶器で出来た…ビスクドールって言うんだっけ?確か。
かなりよくできてる…と思う。人形の知識とかないからよくわからないけれど。
まるで、本物と見紛うほどに。

何とはなしに抱き上げてみる。
当然人形だから、何も言ってきたりはしないし。
こちらとしても、何も感じたりとか――思い出したりするようなことはない。

こちらをじっと見つめる瞳も、何も言わない。
青い――この瞳は、宝石か?いやに輝いているけれど。
でもやっぱり、何も言ってきやしない。
悩める僕に、何か助言をくれたりはしないさ。
ここにあるのはただの人形だから。
人形なんだから。

結局この部屋にはこの人形しかなかった。
軽く部屋を見回している僕を、ずっとこの人形は見つめ続けた。
人形を持ち歩くような趣味はないから、僕は人形をこの部屋に置いたまま、僕は廊下に出る。
なんだか、妙に気になってはいたけどさ。

だから。
僕がこの部屋を出た後に、この人形が動き出しただなんて。
僕は、知る由もなかったんだ。
106少年 ◆b03AMogq06 :2009/09/27(日) 15:32:16 O
>>100
廊下に、白い鎧が飾ってあった。
フルアーマー、って言うんだよね?上から下まで、完全に覆う。
見るからに、硬そうで。強そうだ。鑑賞用なのだろうから、綺麗だし。
この洋館の景観に、見事にマッチしているなぁ、と感心してしまう。

チープなRPGとかだと、『鎧を手に入れた!』とかって。
ここで装備して、守備力が上がったりするんだろうけどね。
はっきり言ってこんなごつい鎧なんか着たら動きにくくて仕方がないよ。
そもそもぼくの筋肉量じゃ動きにくいどころか動けないかもね。
僕の身長にも合っていないしさ。ぶかぶかだよ。
こんな鎧なんて着込んでどこの戦争に行くんだよ、って感じだしね。

それに…結構このパジャマ、気に入ってきたんだよ。
水玉模様、やっぱり結構ダサいけどさ。
ずっと着てるとね。愛着が、湧いてくるもんさ。
思ったより、動きやすいしね。

鎧には手も触れず、僕は通り過ぎる。
動き出したりなどしない。
鎧は鎧のまま。
ここに鎮座し続けるのだろうね。
何かの目的があるのかどうか、なんて。
僕にはわからないけどさ。
107これまでのあらすじ ◆b03AMogq06 :2009/09/27(日) 15:53:10 O
100レス突破記念、これまでのあらすじ!

記憶を失っている『僕』=『少年 ◆b03AMogq06』は、得体の知れない洋館で目を覚ました。
そこはゾンビが居たり、カラスが襲ってきたり、こんにゃくが飛んできたり、バナナの皮が落ちていたりする、
危険で不可思議なミステリアスワールドだったのである!

少年は手に入れた釘バットなどで次々と障害を乗り越え、
不思議な少女や謎の少女、黒いドレスの女性など鍵を握っていそうな人物と出会いながら、
この謎を解くために、この洋館から脱出するために、ただあてもなく歩き回ってゆく。

やがて少しずつ明かされてゆく衝撃的な真実――『少年はもう死んでいるはず』?
そんな流れ全然考えてなかったよ!どうすんだよ!

この洋館は何なのか?少女達の目的は?少年は一体何者なのか?
そして――この物語の結末は!?

すべては、名無し及び少女のネタ振りと、
少年のその場のノリと辻褄合わせにかかっている!!
108不思議な少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/27(日) 16:30:07 0
あの人…手を借りなかったのね…。
いいの?久しぶりに会えたのに…。
109謎の少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/27(日) 16:36:46 0
うん。あの人がそうしたいのなら私はなにもしない。
でも…、まだ治ってなかったんだね。猫嫌い。
ラトゥール!しばらくは…、ね?
ラトゥール『ニャ〜』
(ラトゥールと呼ばれる黒猫は白い鳥になって少女たちの周りを飛び回る。)
110不思議な少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/27(日) 16:40:06 0
…あの人が壊れてしまわないように、たまには声をかけてあげなくちゃね。
……さぁ。あの人はどうするのかしら。
まだ…思い出せないのかしら…。
111謎の少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/09/27(日) 16:41:20 0
大丈夫。きっと、思い出してくれるよ。
きっと……。
112白騎士 ◆yBk6OFTDcVjZ :2009/09/27(日) 18:13:00 0
『―――すまないな、少年。ここで黙って通過させるほど、
私はお約束というものを理解していないつもりはないんだ。
寧ろ、この状況下で何事も無く動きださない方が、不自然だと思わないか』

『君にとっては面倒なことだろうに、私は動き出してしまったし、君に話しかけてしまった――
そして何よりも、「在るはずの無いもの」がここにある。私は君に、興味が湧いてしまったんだよ…』
113名無しになりきれ:2009/09/28(月) 00:02:27 O

足元をちょこまか走る鼠。
良く見ると、鼠の首にはまるで首輪のように何か光る物がとりつけられている。

つ【鼠サイズの小さな鍵】
114名無しになりきれ:2009/09/28(月) 13:48:44 O
つ【鳩時計】
115名無しになりきれ:2009/09/29(火) 02:59:04 O
ゴキブリの大群
116名無しになりきれ:2009/09/29(火) 09:34:10 O
カレーライス 激辛
117名無しになりきれ:2009/09/29(火) 16:55:48 0
一冊のノート。
中を見ると、女の子が書いたような日記だった。
ところどころ読み取れない部分がある。
【内容】
×月○日
きょ は     おにいちゃんとピ    ック。
もちろ    と     もいっしょ。
こん いはとく つにおとうさまも  っしょ。
サンドイッチを   とふたりでつくっ の
お父様と      おにいちゃん、よろこんでくれた。
でも、おさとうとおしおをまちがえてデザート しっ  。
そこから先は読めない。
だが、ノートの最後のページに、
『思い出せ。』
と、男性が書いたような字で書かれていた。
118名無しになりきれ:2009/10/01(木) 00:19:41 O
つ【*15と書かれたメモ】
119名無しになりきれ:2009/10/02(金) 14:54:29 O
つ【DVD】
120少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/02(金) 21:33:12 O
明日ねー
121名無しになりきれ:2009/10/03(土) 07:12:25 O

安全そうな部屋。
シンプルな作りの室内には、暖かそうなブランケットとふかふかのベッド、そして目覚まし時計がおかれている。

つ【お日様の匂いがする寝台】
122少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/04(日) 14:28:39 O
>>108-111
「それにしても」
思わず口に出してしまうと、そこには僕しかいないから声だけが響いて。
なんだか、気恥ずかしい気分になるのはなぜだろう。
それはともかく、それにしても。
――あの少女達は、一体?
そんな疑問が、ふつふつと。

あの写真を見ると、まるで家族写真のように見えて。
単純に考えれば、血縁関係…例うなら妹なのかも、とさえ思えなくもない。
とはいえ、僕は黒髪。あの少女達は白い髪。
おそらく僕は日本人だし、家族で髪の色が違うのってどうなんだろう?という考えもあるし。
それに――何だろう、あの少女達は、そういうのじゃないんじゃないかな、って気はする。
これは僕の直感でしかないけれど、もしかしたら僕の失った記憶の断片がそう思わせているのかもしれない。
――あの少女達は、僕の妹、とかじゃなく。
もっと別の――

僕は首を振る。
これも僕のただの気分でしかないわけだ。
やっぱり写真を見る限りじゃ家族写真にしか思えないと言っても過言ではないし。
もし妹だったりしたら尚更僕への反応は変だったけど――まぁこれはあの少女達も記憶を失ってる可能性もあるしね。
面と向かって『君達は僕の何なんだ?』なんて言えないよ、バカみたいじゃないか。

僕は考えるのをやめた。
たぶん、考えに考えたって、1人じゃ、思い出すまで、何も解りやしないから。

気配を感じて、
振り向く。
123少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/04(日) 14:57:11 O
>>112
「?」
僕はこの白い鎧の横を確かに通り過ぎたはずだ。
その後、僕は考えながら廊下を歩いていた。
そんなに長くはないけれど、考えを纏めるには事足りる時間であって。
とっくに、白い鎧は見えなくなっていてもおかしくない。廊下の先の、闇の向こうに。
――ならばなぜ、さっきの白い鎧が、ここにあるのだろう?
僕の頭が色んな仮説を唱え、その中から納得のいく答えを選抜する前に、鎧が語りだした。
それだけで。
残念ながら、誠に遺憾ながら、納得がいってしまうんだ。

もう、今更驚きもしない。
…いや、驚きはしたけど…でも、それまでだ。
この洋館に放り出されてからもうしばらく立ったから。
信じられないようなことも、何度か起きているから。
何があっても、わりと受け入れられてるな、って気はしてる。
感覚、マヒしてるな…僕。

さて。
黙って通過させろよだとかなんだよお約束ってお前はなんなんだよとか不自然じゃないよ物凄く自然だよとか
ツッコミたいのは山々だけれど、それは呑み込むとして。
ともかく、この鎧は僕に興味をもったらしいけれど。
「えっと、残念だけど僕の方は全く興味をもてないから」
動く鎧に喜んだりするのなんか小学生までだろう。
僕はもう、また厄介ごとか…ぐらいにしか思えないんだよね。
「話しかけられたことなんかリセットして、さっさと先に、行かせてもらいたいんだけど」
ふと今気づいたんだけど。僕、少し怒ってるね。
――あぁ、そっか。
『在るはずの無いもの』ってフレーズに、僕はイラッと来たんだろうな。
そのことは、考えないようにしてるってのにさ。

「だから――」
僕は釘バットを構えて、見据える。
「僕の足止めをすると言うのなら。それなりの覚悟をもって、処置させてもらう」
もちろんはったりだ。
そもそもこんな鉄の塊に釘バットなんか効果あるわけないだなんて猿でもわかるよ。
でも、向こうは身構えるだろう?来たりうる一撃に対して。
だったら僕はその隙に――
「じゃ」
逃ぐるに、しかず。

――結構長い間、走っただろうか。
やっぱりスリッパは走りにくいよなぁとは思うけれど、裸足にはなりたくないから。
だけどスリッパでもさすがに鎧よりは早いよ。あの図体で素早く動けるはずなんかないんだから。
だから僕は逃げた。
「…ふぅ」
ちょっと、息切れちゃったけれども。
もしかしたらあの鎧は僕のことを知っていたのかもしれない。
聞こうに聞けばそう捉えられなくもない語り口だったけれど。
それ以上に、僕は逃げることを選んだ。
――考えないことを、選んだ。

自分のことが――知りたいのか、知りたくないのか。
自分のことなのに、解らなくなってきたよ。
124少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/04(日) 15:24:03 O
>>113
探索の再開。
毎度のように、目に付いた部屋に入る。
そこには、何もなかったけれど。
とりあえず僕は、鍵を手に入れた。

さっき全力で走ったのもあるし、少し休もうと僕は腰を下ろした。
落ち着こうとしたのに、
落ち着けなかった。
「…」
僕ってちょっと短気なところもあるのかもしれない、と思えてきた。
これが僕の生来の性質なのか、はたまたこの非日常的日常に僕の精神が変質しているのかは推し量れないけれど。
とにかく、僕はイラついていた。
足元をちょろちょろ動き回る物体に。
たぶん、鼠だろうな。僕は直感でそう思っていた。

無視すればよかったのかもしれない。
実際、無視するつもりだったのだけど。
さっきのイラつきもまだ残っていて。それを解消したいという気持ちもあったのかもしれない。
僕は立ち上がり。
釘バットを振り上げて。
鼠に向かって、勢いよく――振りおろした。
けど、当たらなかった。

僕のイラつきは最高潮に達する。
恥も外聞も捨て、ひたすらに釘バットを叩きつけ続けた。
振り上げ、振り下ろす、当たらない。
振り上げ、振り下ろす、当たらない。
振り上げ、振り下ろす、当たらない。
「ぎゃぎゃぎゃぎゃ〜!!」
奇声。
…ヤバいな。僕。
いろんな意味で。

どれだけの時間、そうしただろうか。
いつの間にやら釘バットも投げ捨て、徒手空拳で鼠に向かっていたようだ。
しかも気づけば、僕は鼠を捕まえていた。
――人間の底力ってすごい!
感嘆せざるを得ない。

後に残ったのは脱力感。
僕はいったい何をしていたんだろう。
沸点まで熱された後だけに、妙に冷静になれているようだ。
これ、僕のキャラじゃないだろう。落ち着け。
ため息を一つついて、鼠を逃がそうとしたところ。
「…あれ?」
この鼠、首輪をしていたのだ。
それに付随して、鍵が1つ。
僕は特に何も考えず、その鍵を取り外し、ポケットに入れた。
何かの役に立つかも――なんて、思ってることは否めない。
たとえ何にもならなくても、それはそれで仕方のないことだろう。

僕は鼠を解放し、扉を開けて部屋を出る。
まだ、先は見えない。
125少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/04(日) 15:25:35 O
>>114
ポッポ、ポッポ、ポッポ。
その音に、そりゃ多少はびっくりしたけれど。

廊下に、時計が1つ鎮座していた。
それは僕が横を通るちょうどその時に長針が12を差し、
すると中から鳩のからくりとともに鳩の鳴き声が響いた。

時間は、8時を指していた。
なんとなくだから確証はないんだけど…目覚めたのは朝だろうから、おそらくは夜の8時だと思う。
時間がわからないんだよね、この洋館の中は。窓ガラスは滅多に見ないから、外の風景がわからない。

…時間が分かったって、何にもなりゃしないんだけどね。
結局僕は何もすることもなく。
鳩時計の横を通り過ぎた。
126少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/04(日) 15:26:25 O
続きは明日以降
127名無しになりきれ:2009/10/04(日) 15:56:44 0
もっと書いてほしかった。
128名無しになりきれ:2009/10/05(月) 00:36:37 O
少し音の外れたオルゴールの音色。
音を辿ると女性の寝室らしき部屋にたどり着く。
オルゴール箱には褐色化した古い血痕と、質素な白銀の指輪が一つ。
そして、オルゴールは事切れたかのように音色を止めた。

つ【壊れたオルゴール】
129名無しになりきれ:2009/10/05(月) 10:25:59 O
ティッシュ
130名無しになりきれ:2009/10/05(月) 10:27:15 O
オカンとの思い出
131名無しになりきれ:2009/10/07(水) 00:38:42 O
つ【セーラー服】
132名無しになりきれ:2009/10/09(金) 07:15:52 O
フランス人形
133少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/11(日) 01:23:30 O
>>115
扉を開けて、言葉を失う。
もう何度、繰り返したんだろう。
別に喋ってた訳でもないのに言葉を失うってのも語弊がありそうだけどね。

見渡す限り蠢く、黒、黒、黒。
だいたいの日本人なら嫌がるよね――アレは。
これは刷り込みってのもあると思うんだ、数ある虫の中でもアレだけが異様に敬遠されるのもさ。
有害であることは違いないし、見つけたら即刻排除するべきだと思うけれど。
限度ってものが、あるんだ。

一体何のために、とかはよくわからないけれど。
その部屋にはまるで日本中から集められてきたんじゃないかと思ってしまうほどの、アレが。
縦横無尽に、所狭しと、駆け回っていたんだ。
僕だって、――それなりには対応能力はあるつもりだけど――やっぱり、驚くさ。
もしこの部屋に何か重要な手がかりがあったのだとしても。
中に入って探す勇気は、今の僕にはないな、そう思うよ。

扉を開けた僕に気づいたアレ達は、波が引くように扉の――僕の元から逃げる。
本能なんだろうけど、いいさ。襲いかかられたりしたらよっぽどもたない。
ゆっくり、扉を閉めて。歩きだそうとするけれど。
足を止めて、考える。

僕自身は、もうこんな部屋に金輪際近付きたくないと思ってはいるけれど。
こんな訳の分からない構造の洋館だ。
また――この場所に戻ってきてしまったりするんじゃないか?
また、この扉を開けてしまったとしたら――

だから――だから。
僕はナイフで扉に傷をつけておく。
扱いに慣れてはいないから、歪な文字にはなるけれど。
扉に大きく、「G」と一字。
これでもう、この部屋に入ることはないだろう。
…たぶんね。

一呼吸、置いて、歩き出す。
あの光景は――しばらく忘れることは出来そうにないや。
134少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/11(日) 03:59:26 O
>>116
ほのかに漂うスパイスの香りが、鼻腔をくすぐる。
これは…間違いなく、カレーの匂いだ。

食事をしたのは、あの廊下にあったチキンとパンとスープの時か。
あれ以降、ありついていないわけで…有り体に言えば、お腹が減ってる。
食欲に逆らえるはずもなく、僕はふらりふらりと匂いの流れる元へ向かい、
一寸の躊躇もなく、扉を開いた。

「おっ」
と、思わず声が出てしまうこと。
やはりそこにはあった、机の上にカレーライスが。スプーンを添えて。
この洋館内でこんにゃくやら食べた経験から、おそらく毒は入っていないだろう。
そう思うし、何より、お腹がすいているんだ。食べない理由はないだろう?
僕は椅子に座り、かき込むようにカレーを食べ始めた。
そしてすぐ後、僕はのたうち回ることになる。

僕は気づくべきだったんだ、カレーライスに必要な「あるもの」がそこにないこと。
――福神漬?そんなもんじゃないさ。

思わずせき込んでしまった僕。警戒心が足りなかったとでも言えばいいのだろうか。
過ぎてしまったことはどうしようもない。ただ、今僕は自分の選択に後悔するだけ。
そのカレーは…非常に、異常なほどに、僕の予想を越えて…
――辛かったんだ。

「み、水…」
そして僕は気づいた。あるはずべきだったものがないその驚愕と失望。
水が、ない。
こんなに辛いのに、水がない。打ち消すことができないんだ。
まるで口の中が燃えているようだ。喉の奥まで電撃が走っている。
さらに厄介なことに、味を感じない僕の胃はさらなる挑戦を求めてくる。もっと栄養分をよこせと。
このまま辛さと戦い、空腹を満たすか。
辛さから逃げ、空腹とともに進むか。
二つの道があって…僕は、逃げることを選んだ。

ちゃぶ台がえしのようにカレーをひっくり返すと、僕は部屋から出た。
水が、飲みたい。
水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水
水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水が…
135少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/11(日) 06:01:29 O
>>117
水を探して右往左往する僕はかなりギラついた目つきをしていたことだろう。
しかし水は見つからなくて。そんなことしている間に口の中の熱も大分おさまって来た気がする。
それに…水なんか探してる場合じゃなくなっちゃったんだ。
――本を、見つけてしまったから。

そこにあったのは日記だった。
日記を見つけることが多い気がするな、僕は。
まるで、見つけて欲しいように。
僕がこの部屋に来なかったらどうするのか?なんて疑問が出ちゃうほどに。
おそらくは、僕に関連するものが。
僕の行く先に、置いてあるのさ。
本当に、奇妙なことに。

所々かすれているのは、これが古いものだからだろう。
さっきの日記、みたいにね。
僕は何気なくペラペラとめくっていく。
書いてあるのはなんのこともない、よくある少女の日記で。
今回はこれは僕には関係のない日記だな、と思っていたことだろう。

ピクニックに行くことだって、いくらでもあるだろう。
他に何の要素もないのに、これが僕のことだなんて、思ったりはしないさ。
ただ、何だろうか。
妙な気分が、するんだ。読む前から、内容を知っているような。
もっと言うなら、異常に塩辛いロールケーキのこととか。
書いていないことなのに、僕は知っているんだ。
何故か?そんなの、理由は、ひとつしかないじゃないか。

たぶん、この「おにいちゃん」は、僕なんだろうな。
…たぶん、なんかじゃなくさ。間違いなくそうなんだろう。
すると、じゃこれを書いたのは誰なんだ、って話になるわけで。
予想するのは簡単だけれど。
推理するには材料が足りない。
判断するには無理がある。
僕には妹がいるのかなぁ、さっきもちょっと考えはしたけれど。
でも、おにいちゃんと呼んでるだけで兄妹、って言い切れるわけでもないだろう。

ただ僕は、最後のページに目を向ける。
「思い出せって言われて思い出せるもんなら、とっくに思い出してるさ」
ノートを閉じる。
最後の一言だけ違う書体だったけれど…つまり、その人がここに置いたのだろうな。
僕の過去を知る人が。
僕に過去を知らせる為に。
何のためなのかは、わからないけどさ。

未だに思い出す糸口すら出てこない。
この日記の内容だって、さっきまでは思い出せなかったことだ。
読んでいるうちに……忘れていたことを忘れてしまったように、脳の引き出しが開いていた。
普通の記憶喪失ではないな、これは。今更だけど、そう思うよ。

――気がつけば、水を求めていたことなど、すっかり忘れてしまっていた。
136少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/11(日) 06:25:31 O
>>118
メモを見つけたけれど。
はっきり言って、意味がわからなかったし。
これをどうすればいいのかもわからない。

何かのパスワード?暗証番号?
答えなど、出るはずもなく。
とりあえず、ポケットに入れるだけして。
僕は、先を急いだ。

>>119
DVDなど、尚更だ。
ご丁寧にしっかりとケースに入ってはいたけれど。
ケースにも、DVD表面にも何も書かれてはいない。
再生する機具など、どこにもない。

何かの手がかりになるかもしれない、と。
再生機器を見つけたときのためにポケットに入れ…ようとしたけれど。
かさばる。
そう思った僕は、元あった場所にDVDを戻し。
その場を後にする。

>>121
確かに、そろそろ眠くなってきたなとは思っていたけれど。
こんなに都合よく『寝てくれ』という状態にされても、それはそれで面食らう。

とはいえ、眠ってしまいたいのは確かだ。
明日もどうせ歩き回らなくてはならないのだろうし、
床で雑魚寝してしまうよりはしっかりベッドで寝た方がいいだろう。
――ちょっと、お腹がすいているのが正直なところだけど。
でも、全然食べない人より全然寝ない人の方が早く死ぬ、って聞いたこともあるし。

時計は、午前0時を差していた。もうそんな時間だったんだね。
寝るのには、丁度いい時間だろう。
目覚ましを午前7時にセットすると、僕は布団に潜り込む。
起きたら元の生活だったならいいな、なんて考えながら。
元の生活がどんなのだったかなんて、全く覚えいやしないのに。
僕は――眠りに落ちる。

まるで、悪夢のような一日だったのに。
夢も見ないで、深い眠りに。

【一日目・終】
137少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/11(日) 07:00:49 O
>>128
目覚ましの音より少し先に。
外から聞こえるメロディに、目が覚める。

少しずつ脳が覚醒してきた。
僕はベッドから這い出て、伸びをする。
未だに聞こえる、メロディ。

僕は眠らせてもらった部屋を後にすると、メロディの聞こえる場所へ向かう。
近づくにつれ、少しずつ、音が大きくなってくる。
これは、オルゴールかな?ちょっと、音が外れている気もするけれど。
聞こえてくる扉を開けると、予想通りと言うべきか、オルゴール箱がそこにあった。
その箱の中には――。

指輪を手にとって、しげしげと見つめてみる。
昨日出会った、あの黒いドレスの女性。その人が書かれた、肖像画を思い出す。
優しくほほえむその人の左手の薬指には――指輪がなかったか?
ここにあるものと、同じものが。

あいにく昨日のことだし、記憶も朧気でしかないけれど。
一度そうだと思ってしまったら、もうそうだとしか思えなかった。
もしや取りにくるかも、と指輪を丁寧に箱の中に戻す。
――気がつけば、オルゴールは止まっていた。

オルゴール箱の蓋を閉めながら、僕はそれについた血痕に目をやる。
血と指輪、か。
血の付いたアクセサリーなら、僕もひとつ、持っていたな。
なぜかポケットの中に入っていた、そして何かを思い出しかけた、あの血の付いたペンダントが――。

>>129
部屋を後にすると、僕はさっきの寝室に戻る。
その部屋なあったティッシュで、歯を磨くことにした。

歯磨きとかないし、これは仕方ないことだと思ってくれないか。
ティッシュでごしごしと歯垢を落とす。いやはや、ここにティッシュがあることは行幸だった。

釘バットを持った。ナイフは腰に。ペンダント、ライター、訳の分からないメモ。
みんな持ってる、忘れ物はないさ。
よし、じゃあ行こうか。
2日目、今日も頑張ろう。
『死んだらそれまでだったってこと』
この言葉を胸に、いつだって危険を省みないように。
138少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/11(日) 07:10:52 O
>>130
それにしてもだ。
僕の父と思われる人は、いた。日記があったし、写真もあった。
じゃあ、母はどうしているのだろうか?

やっぱり、僕には母親いなかったんじゃないかな、というのが僕の個人的な考えだ。
あの写真にも写っていないのはちょっと変だし。
早くに逝去しちゃったのか、離婚しちゃったのかとかは…わからないけどね。
思い出せないから、思い出もない。
感慨もなにも、出てきたりはしないんだ。

>>131
「…」
確かに、ずっとパジャマだったけど。
僕は、男だ。
いくらなんでも、セーラー服を着たりはしないよ。

確かにセーラー服は水兵用の服だから。
男が着てもおかしくなかったのかもしれないけど、それは過去の話だろう?
今の日本、セーラー服なんか着るのは女子学生が大半なわけであって。
それ以外が着る場合それは得てして趣味の領域の範疇だろう。
そんな趣味を持っていないから、僕は着ないよ。

もっと言うなら、僕はこのパジャマを気に入っている訳で。
そりゃ水玉模様がダサいなぁとは思いはするけれど。
動きやすいし、着替えようとかは思わないよ。

そもそも何なんだよこの部屋は。
クローゼットが並んでいるなぁと思ったら。
どこを開けても、セーラー、セーラー、セーラー服!
趣味の部屋としか思えない。僕はなんでこんな部屋の扉を開いてしまったんだ。

僕は憮然と、その部屋を後にする。
一回だけ、振り向いたけれど。
139少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/11(日) 07:18:08 O
>>132
「何でここに、これがあるんだろう?」
口をついて出るのは疑問の声。
扉を開いて、部屋の中にあったのは人形。
フランス人形、ビスクドール。
さっき、僕が見つけた人形と、同じ姿、同じ形。
宝石と思しき瞳も、変わらずに僕を見つめている。

とはいえ、それほど悩むこともなく。
・誰かがここに持ってきた
・同じ人形が2つあるだけ
この2つのどちらかだろう、と僕は考えた。
実際は、僕の予想を越えていたわけだけれど。
こんな洋館なんだから、そういう可能性も有り得ることも十分予想できたはずなんだけどね、僕。

ともかく。
やはりこの部屋にはこの人形以外何もなく。
少しだけ人形に薄気味悪さを感じながら。
僕は部屋を出る。

そして、やはり。
僕がこの部屋を出た後に、この人形が動き出したこと。
この時点の僕には、知りようがないさ。
140白騎士 ◆yBk6OFTDcVjZ :2009/10/11(日) 10:43:54 0
『……行ってしまった…少々、冗談が過ぎた。かな………
最初から用件を言えば良かった……いや、いきなりそれも少し変だろうか…

しかし…形はどうあれ、また彼に会うことが出来た……今度こそ訊こう…

彼の、あの真っ直ぐな目をした少年の、名前を………
そして、私の力で及ぶのならば、彼を導く…「在るべき形」へと……
……少年…君はここに居てはいけない………

………時も惜しいか……』(どこかへと歩き出す)
141不思議な少女 ◆IXuYNUm2N3Df :2009/10/11(日) 14:10:38 0
>>135
そう…。
あの子の日記を呼んだの…。
くすくす…。
すべては流れ行くままに…。

終わりまで…
あと少し…それともまだまだ…?
物語はまだまだ続く…。
がんばってね。
…お兄ちゃん…(ボソ
142名無しになりきれ:2009/10/11(日) 14:42:43 O

厨房とおぼしき場所。
水道も電気冷蔵庫もガスレンジも機能しており、調理器具は手入れされていて、いたって清潔だが、人の気配は感じられない。
俎板の上では、さばかれる直前で放置されている鶏が一匹、包丁で縫い付けられ、力無く鳴いていた。

つ【人気の無い厨房】
143名無しになりきれ:2009/10/14(水) 01:47:23 O
パイプイス
144名無しになりきれ:2009/10/14(水) 08:23:20 O
いきなり百足の群れ
145名無しになりきれ:2009/10/20(火) 01:38:46 O
このスレなんか終わったっぽいな
146名無しになりきれ:2009/10/21(水) 09:03:21 O
ぬるぽ
147少年 ◆b03AMogq06 :2009/10/21(水) 13:22:37 O
まだだ、まだ終わらんよ
148名無しになりきれ

廊下の突き当たり。
床には鍵の掛った鉄格子がはまっており、鉄格子の先には地下への階段がある様子。
地下の暗がりに目を凝らすと、影絵狐のポーズをした白い手がおいでおいでをする様に揺らめいている。
そして、
つ【地下から響く女性の笑い声】