一緒に冒険しよう!ライトファンタジーTRPGスレ4
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293 :バラグ ◆o/oHY4BMj6 :2009/08/31(月) 18:09:18 0
(前略)
飛行艇に入ると通信器具が光っているのが見えた。
恐らく誰かからか通信が入っているのだろう、
通信機のボタンを押して通信回線を開いた。
するとモニターにでかく黒い魔導師が映った。
「なんのようだ?」
そう聞くが通信状況が悪いのかそれとも言葉を選んでいるのか
数十秒間が開いてから黒い魔導師は口を開いた。
「依頼がある。ガイヤ星教団が最近手に入れた“血の魔石”を奪取してほしい。
血の魔石は、昔から血生臭い儀式や戦争に関わってきた危険な魔石だ。
人間の牛耳る宗教団体が持つような物ではない。
何かが起きる前に奪ってきてくれ。
私の為ではなく…正義のために。」
294 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2009/08/31(月) 22:33:20 0
――第9章開始――
>293
成り行きで一緒に飛空艇に乗ったエメロちゃんと話していた。
「でさ、天空都市に行ったわけ!」
「私が気を失っている間にそのような事が……」
「そこにあったのは世界を滅ぼすスイッチ!」
「なんと……! 早急に報告しなければ!」
通信が入ったらしく、バラグさんから呼ばれる。
「ちょっと待っててね」
戻ってきて、純粋な親切を装ってエメロちゃんに言う。
「ついでだから教団まで送って行ってあげるよ。
何なら今回のことを代わりに報告しようか?」
「しかし……」
「いいのいいの! だってここで降ろしたらまた道に迷っちゃうでしょ」
本当の目的を伏せているのは気が引けるが、信仰深い彼女のこと。
本当の事を言ったら暴れ始めて阿鼻叫喚の事態になりかねない。
「メルちゃーん、出しちゃってー!」
「それではガイア星教団に向かって発進!」
エメロちゃんに選択の間を与えず、飛空艇は一路ガイア星教団に向かって飛び始めた。
「かたじけない。お言葉に甘えさせていただきます」
>292
エメロちゃんがタケル君の腕に回復魔法をかけながら言う。
「タケル……といいましたか。私ではこの程度が限界です。
せめてものお礼に教団に着いたら回復術に長けた者に完治してもらえるように手配しましょう」
295 :ソル ◆sBYghzSQ5o :2009/09/02(水) 17:50:46 0
天空都市・・・オレの想像していたものとは、違ったみたいだ。
すべての人間の命と引き換えに、魔は滅びる。
・・・テイルはそれを否定したけど、それでよかったのかな・・・?
もう、何が正しいかもよくわからない。
だんだんとすごい方向に向かっていっているオレ達。
これからどうなるんだろうか。
「やっぱり仲間・・・ここにもいなかったな」
「まぁ、気にしてねぇよ」
次の目的は、血の魔石とやらを奪還せよとのこと。
もはや、最初の目的から離れてないかな・・・。
「っというか!せっかく都市に来たのになんもお土産貰ってこなかったし!
今回何のために行ったんだよ!もう・・・!」
自分も人のことは言えないか。
この飛空挺に乗り始めてから、かなりの日がたってる。
学校を抜け出して、戻ってきて、大会があって。
それがもうかなり昔の事に思えてきた。
でも、これだけ旅を続けているのに見つからないものもあって・・・。
「どこにいるのかな・・・ぃちゃん。」
先祖なので知らない人も同然だが、同族を見つけたことによって、思い出してしまった。
小さいころの事なので忘れかけているけど、オレには兄がいた。
気がつけば、家から居なくなっていて・・・今回、天使に会えると聞いて、
少し期待してしまった。もう一度、会いたい・・・
>「それではガイア星教団に向かって発進!」
とりあえず、今はガイア星教団のことに集中しよう。
「はっしーん!」
いつもどおり、元気に笑ってみた。
297 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2009/09/04(金) 00:25:52 0
>「っというか!せっかく都市に来たのになんもお土産貰ってこなかったし!
今回何のために行ったんだよ!もう・・・!」
「お土産ならもらったじゃーん」
赤と白の半球にボタンがくっついた物体のことである。
お土産と言えば……もちろん教団に持って行くお土産の青葉の楓は準備万端です。
貢物とか賄賂とか言ってはいけない。
行き先は王都ファティマ。エメロちゃんが所属するアルトリウス派の支教団がある地だ。
298 :バラグ ◆o/oHY4BMj6 :2009/09/04(金) 23:38:35 0
移動する事数日。
エメロの所属するアルトリウス派の支教団があり血の魔石という物騒な物が隠されている所
王都ファティマが見えてきた。
ある程度王都に近づくと通信が入った。相手は王都防衛の魔導師からだ。
何しに来たのかと質問されたのでガイヤ星教団の者に頼まれて
その人を此処に送りに来たと言い、証拠としてエメロを通信機の前に連れてきた。
エメロは、教団員の証拠である紋章を提示し魔導師はそれを確認して入国の許可を貰った。
飛行艇を指定された所に止めて船を降りた。
その後教団の場所をエメロに案内してもらった。
299 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2009/09/05(土) 00:12:36 0
――王都ファティマ
道中で井戸端会議のおばちゃんの会話が耳に入る。
「物騒な世の中になったもんだねえ」
「うちの街にあるのもアルトリウス派だろ? 恐ろしや恐ろしや」
「神官さん、あんたんとこは大丈夫なんかねえ」
いきなり通りすがりのこっちに振ってきた。エメロちゃんが応じる。
「私ですか? 何の事でしょう?」
「知らんのかい!? 新聞よまにゃあいけんよ」
おばちゃんはどこからともなく新聞を取り出した。そして社会面の緊急特集を示す。
なんとここ最近各地でアルトリウス派の教会が襲撃されているそうだ。
「事件の特徴がほぼ同じ事から同一犯
あるいは同一の集団に属するものの仕業と思われる……って、考えるまでもないよなあ」
「考えるまでもなく闇の軍勢の仕業ですね。罪なき人々になんたる狼藉!」
と、エメロちゃん。
世界各地で同時多発的に犯行が出来るほど巨大な悪の組織なんて一つしか考えられない。
「となると……この街の支部もいつ狙われるか分かりません。急ぎましょう!」
エメロちゃんに促され支部に急ぐ。
一方、メルディはファティマ市街にてスカウトに勤しんでいた。
「もう、保守しないとすぐ落ちちゃうんだから。
あ、頑張って世界を守らなきゃって意味だよ!」
「道行くそこのキミ。一緒に冒険しよう!
はい、応募用紙に記入してここ↓に持って来てね〜」
ttp://www1.atchs.jp/lightfantasy/ 名前:
職業:
種族:
性別:
年齢:
身長/体重:
容姿特徴:
性格特徴:
技能/魔法:
装備:
所持品:
キャラ解説:
エメロによって教団を案内される一行。さすがに一国の王都に居を構えるだけはある。
王宮に告ぐ大きさと広さを誇るその敷地内は、わずかにピリピリとした空気が漂っている。
案内の神官「ようこそお越しくださいました。現在我がファティマ支部神官長殿は中央練兵場にて指導しておられます。」
との一言でその神官と共に案内されたのは、敷地中央に存在する広場だ。
そこには、圧巻の光景。薄着をまとった者達が一斉に整列し、眼前に向けて正拳を放っている。
憤っ!破っ!憤っ!破っ!
???「・・・・・・やめい!!」
そう大声を発したのは、紫の高価そうな神官服に身を包んだ浅黒い肌の巨漢だ。
???「・・・・・・そのような腑抜けた有様では神の敵を打ち倒す事などできぬと思え!
私のたm・・・ごほん、女神の輝ける光の世界の為に鍛えあげるのだ!貫手1000本!始めぃ!!」
案内の神官がささ・・・と近づいて何事か耳打ちすると、その巨漢の神官はこちらにゆっくりとやってきた。
かけられたべっこうの眼鏡が目を隠し、口元にはどこか信用ならぬ笑みが浮かんでいる。
マティアス「おやおやおや・・・これは勇者の方々。此度は我が同胞エメルディアの命をお救い頂きまことに、感謝に堪えませぬ。
申し送れましたな。私はマティアス。このファティマ神殿の神官長をしております。
食事は僧職故に粗末ではありますが、もしよろしければ泊まる場所などこちらで手配しますのでお使いください。エメルディアよ、お主もご苦労。
部屋に戻りゆっくりと休むがよい。」
エメロ「はっ。では、皆様方。私はここで失礼致します。」
エメロが去ったのを見計らい、マティアスは言葉を続ける。
マティアス「少々、不届きものが神殿で出ておりましてな。その為にピリピリとした空気が漂っておりますが
神の威光の前に暴かれぬ悪事はなし、いずれ賊も捕らえられるでしょうからごゆっくり逗留をお楽しみくだされ。」
7 :
アース:2009/09/07(月) 23:32:31 0
「勇者ご一行様精一杯がんばります。」と言って急に割って入ってきた
8 :
アース:2009/09/08(火) 06:23:34 0
なにとぞお仲間に入れてくれないでしょうか。
>7-8
いきなり見知らぬ少年が割って入ってきた。
>「勇者ご一行様精一杯がんばります。」
「わわ、何で分かるの!?」
今は勇者募集中の看板は持ってないけど一目見て分かる勇者オーラを出してるのか?
と、勇者募集中の看板を持ったメルちゃんが後から来る。
「仲間になりたいんだって! そこでスカウトしてたら立候補してくれたんだ。
今回の依頼の概要は説明済みだから。じゃあね〜」
メルちゃんは記入済みの応募用紙をこっちに渡して去って行った。
>「なにとぞお仲間に入れてくれないでしょうか」
応募用紙と少年を見比べる。
名前: アース
職業: 魔法使い
種族: 人間
性別: 男
年齢: 15
身長/体重:140/普通
容姿特徴: オレンジの髪 青い瞳
性格特徴: 明るい。勇者に憧れを抱いている。
技能/魔法:水属性と回復得意で無をちょっとできる
装備: 魔法を詰められる銃(攻撃力弱)
所持品: 親の形見のナイフ
キャラ解説:普段明るいがたまに大人びた事を言ったりする
“勇者に憧れを抱いている”……問答無用で合格!
誰でも問答無用で仲間にするだろというツッコミは禁止。
「よろしく、アース君!」
アース が 仲間 に くわわった!
>6
そんなこんなで教団に到着。
間違えて道場に来たのかと思うほどの武闘派集団がずらりと並んでいる。
>「・・・・・・そのような腑抜けた有様では神の敵を打ち倒す事などできぬと思え!
私のたm・・・ごほん、女神の輝ける光の世界の為に鍛えあげるのだ!貫手1000本!始めぃ!!」
いきなり自らの欲望に正直すぎなおっさんが登場。
でも泊めてくれるということで作戦第一段階成功。
あとは皆が寝静まった頃にこっそり奪取すれば……。
>「少々、不届きものが神殿で出ておりましてな。その為にピリピリとした空気が漂っておりますが
神の威光の前に暴かれぬ悪事はなし、いずれ賊も捕らえられるでしょうからごゆっくり逗留をお楽しみくだされ。」
「不届きものか……」
世のため人のためとはいえ勝手に魔石を持って行くせめてもの代金として捕まえてみるのもいいかもしれない。
10 :
アース:2009/09/09(水) 18:39:02 0
「長旅でお疲れでしょう」と全員にミラクルライトをかけた。だが息切れしている。「これを使うには、けっこう疲れるんですけどまだ大丈夫です」と言っている。
11 :
アース:2009/09/09(水) 18:52:18 0
「長旅でお疲れでしょう」と全員にミラクルライトをかけた。だが息切れしている。「これを使うには、けっこう疲れるんですけどまだ大丈夫です」と言っている。
>9
去っていくマティアスを見送りながら、案内してきた神官がテイルにひっそりと耳打ちした。
「実は・・・数日前に我が神殿からある宝石が盗まれるという事件がありまして・・・
以来捜索を続けたりもしているのですが、一向に見つかってはいないのです。」
故に、この街は今少し空気が張り詰めているのです。と続けた。
表沙汰にはしていないが、噂は住民間で広まっているようだ。
>>10-11 「まあまあ、そう慌てるな」
大真面目なアースに、一人の男が笑いながら声をかけてきた。
アースより頭ひとつは背が高く、体格もそれなりに頑丈そうだが表情は優しい。
「親切はありがたいけど、魔力はあんまり無駄遣いしない方がいいぞ。
特に俺たち人間は、そこの妖精(と、応募用紙を持ったテイルを目で示した)や、
あの(と、メルディの去って行った方を目で示した)エルフみたいに
簡単に魔力を貯められないからね。
あ、俺はレオ。NPCなんだけど、こんな風に名無しにまで使われる苦労人。
特技は料理だけど新米冒険者の教育も得意だ。よろしくな、アース君!」
直りが思った以上に遅かったのでエメロ殿に
腕に回復魔法を掛けて貰った。
>「タケル……といいましたか。私ではこの程度が限界です。
せめてものお礼に教団に着いたら回復術に長けた者に完治してもらえるように手配しましょう」
とんでもない、と断ろうと思ったがせっかくの好意を無為にするのは気が引けたため、素直に了承する。
だが、腕は若干痛むが動かせるようになった。それだけでも結果としては十分だった。
なんだかんだで教団にたどり着く。
日剣にある大規模宗派曼荼羅教の寺院内の敷地同じようにとてつもなく大きいように見えた。
ピリピリとした空気が寺院とは違っていたが。
どこからか拳が空を切る音が聞こえてくる。気になって振り向くと。
その気迫に驚いたものの、これ以上のシゴキ(折檻に近い)を和尚から受けていたため
思わず、
「まだ甘いでござるよ…絶壁から十回以上叩き落とされるとかより甘いでござるよ」
その頃の記憶が懐かしくもありトラウマでもあった。
巨漢の神官がやってくるそれなりに偉いようだが、気配で分かった。
只者ではない、と。
どうやら泊めてくれるらしい。ピリピリしている理由はわからないが、
何かが起きたのは確かなようだ。
>>10 「ありがとうでござる」
お礼を言い、頭を撫でる。
「でも無理はしないで欲しいでござる
それで体を壊しては元も子もないでござるよ」
テイル殿が持っている応募用紙を見て名前を覚える。
「アース殿というのか、よろしく頼むでござるよ。
あいたた!」
負傷してる片腕の方を差し出そうとして痛みが走る。
15 :
アース:2009/09/10(木) 06:38:28 0
>13「分かりました。少し控えますが回復して欲しかったら言ってくださいね」 >14「無理しないでください。よろしくお願いします」
>11
>「これを使うには、けっこう疲れるんですけどまだ大丈夫です」
「すごいじゃん。結構上級魔法だよ、それ!」
>14
>「まだ甘いでござるよ…絶壁から十回以上叩き落とされるとかより甘いでござるよ」
「タケル君よ、一体どんな修行をしてたんだ……」
>12
>「実は・・・数日前に我が神殿からある宝石が盗まれるという事件がありまして・・・
以来捜索を続けたりもしているのですが、一向に見つかってはいないのです。」
「なんだって!? それは困る! ……いえいえ、困った事が起こってるんですね。
丁度ここに来たのも何かの縁、捜索に協力しましょう!」
予想外だったのか、神官は少しうろたえながら答える。
「いえ、しかし……そのようなわけには。大事な旅の最中なのでしょう?」
「いいんです。人助けが勇者の仕事ですから!」
無敵の勇者スマイルの下で組み上げた計画はこうだ!
堂々と捜査に協力→真っ先に宝石を手に入れる→そのまま蒸発→事件は迷宮入り→ウマー
もし仕上げに宝石を売り飛ばしたら完全に小悪党です本当にありがとうございました。
でもそこを突っ込んではいけない。最終的にはこれが世のため人のためなのだ。
「みんな、宝石が誰かに盗まれちゃったんだって。頑張って取り返そう!」
と、いうわけで神官長室に凸撃した。
「勇者の方々、立ち入ったお話とは何かな?」
「大切な宝石が盗まれてしまったと聞きました。
偶然立ち寄っただけとはいえ見過ごすわけにはいきません。
是非取り返すお手伝いをさせて頂けないでしょうか?」
神官長は暫し思案する様子を見せる。
“丁度いい、利用させてもらおう”と“部外者に拘わらせて万が一の事があったら……の間で揺れていると見た。
そこに追いうちをかける。
「つまらないものですが旅のお土産です。神官長様にお渡しするために供出させました」
魔風の森銘菓“楓まんじゅう”を机の上に積み上げる。お菓子マニアにはたまらない逸品。
「……お言葉に甘えて協力してもらうとしよう」
楓まんじゅうの効果かは分からないが、申し出を承諾する神官長。
そして盗品の説明をはじめる。
「盗まれたのは血の……ゴホン、とても巨大な聖なるブラッドダイヤだ。
宝物庫に厳重に保管していたのに何者かに盗まれてしまった。
街の出入り口の検問に厳戒体制をひかせているが犯人はまだ見つかっていない。
まだこの都内にいるはずだ」
「なるほど……お任せください、必ずや取り返して見せます!」
幸い血の魔石はまだ王都内にあるらしい。具体的な計画はこうだ!
犯人とっ捕まえる→見逃してあげるから宝石渡してね→ウマー
どうやって犯人まで行きつくかって?
もちろん例によってメンバー総出で街に繰り出して情報収集です。
勝手にマスターシーン;彼らが到着する少し前のこと
見習いとして教団に潜り込んだ少年は、ある夜そっと部屋を抜け出し
何度もの判定をギリギリのダイス目でくぐり抜け、ついに目的の場所に立つ。
やがてカチリと最後の何かが外れ、少年はその先にある物に手を伸ばした。
「何をしている」
暗闇に、静かに低く響く声。僧服の大きな人影が、何かを抱えた少年の退路を断つ。
「それを、どうする」
少年はほんの少しためらい、叩き付けるように答える。
「……が急にいなくなった……を石に封じられたって……
持って……に行けば……るって……だから……」
「そうか、お前が……の……か……」
人影はふっ、と息を吐き、少年を正面から見据えて問う。
「だが、それを持ち出せば大変な事になる。覚悟はあるのだな?」
「もちろんだ!」
少年の必死な声にかぶせるように、低い詠唱、そして少年の身体に走る魔力の紋様。
「!!!」
「行きなさい」
その声に弾かれたように少年は飛び出し姿を消した。
外に出ると見覚えのある人が歩いていた。
戦士もょもと、魔法戦士トンヌラ、魔法使いサマンサの自称勇者三人組である。
「やあ、久しぶり!」
久々に登場出来たせいかどことなく嬉しそうだ。
「言っとくけど登場してない間もサボってるわけじゃないからな!
この前の依頼ですごいお礼もらっちゃったんだぜ! トンヌラ、見せてやれよ」
トンヌラ君は大きな赤い宝石を取り出し……大きな赤い宝石?
「はいっ、血の魔石って言うんだって! どうしたの?」
宝石をまじまじと見る。……どう見てもガラスで作ったショボい偽物です。
言うべきか言わざるべきか迷っている時だった。トンヌラ君にいきなり誰かが襲いかかってきた!
「よこせ……」
「うわーだめだー!」
トンヌラ君は断末魔の悲鳴をあげながら、ショボい偽物を大事そうに抱えたまま自走式棺桶に収まった。
「てめえ、よくもトンヌラを!」
臨戦体制に入る二人を制して前に出る。
「ここは任せて、早くトンヌラ君を教会に連れてってあげて!」
「……分かった。トンヌラの仇は任せたぞ!」
二人は棺桶を引いて去って行った。
「かゆ…うま…」
どこまでもアンデッドな台詞を呟きながら迫ってくる襲撃者に対峙する。
もょもと君には悪いけど仇討ちをするわけにはいかない。
「みんな、この人はまだ完全にアンデッドになってない!
気絶させてから回復魔法かければ助かるかも!」
半アンデッドはマッスルダンスを踊った! 味方全員にダメージ!
留守番組は、今回少し気が早かった。
メルディ「戦闘が終わったらいよいよシティアドベンチャーだよ!」
レオ「それは・・・いろんな意味で動けなくなってしまう危険と隣り合わせの冒険」
メルディ「なので、リプレイとかにありがちなパターンにしてみます」
レオ「な、なんだってーーー」
メルディ「
・単純化のため1日を朝昼夜3つのコマに分けて扱うね
・コマ毎に、PCが探索する場所を1つ決めよう(人数分ければ複数箇所探索できるよ)
・時期と場所とPCに応じて適当にイベントが起きるよ
・PCの居ない所でもそれなりに事態が進行するよ
・一段落したら次のコマに移って繰り返しだ!
・尚、解決せず時間切れの場合強制エンドあり!!
以上!」
レオ「もちろん、いつものように全て言ったもん勝ちなんだけど」
留守番組は、なんと道端のオープンカフェでお茶していた。
「その変な踊りにはだ?hぃでのダンスで対抗だあっ」
エスプレッソを片手に無責任な声をかけるメルディ。
「みんな、怪我しないようにがんばれ!」
メルディに無理矢理カフェオレを持たされたレオは、心配そうに様子を見ている。
「・・・そういや源氏物語なコーヒー&メカ狂ちゃんは元気かなあ」
ついでに、カップに映る雲を眺めて怪しく呟くメルディであった。
通行人は悲鳴を上げながら逃げていく……と思いきや。
あまり危険ではないと判断したのと怖いもの見たさとで輪を描くように見物する街の人。
>21-22
非常事態にも拘わらずオープンカフェは普通に営業していた。
というかあの二人がいる。
「朝昼夜で1日に3か所探索するようにがんばるぞー!」
【シティアドベンチャーの心得を習得した!】
>20
何を思ったか半アンデッドが変なダンスを踊りはじめた。
「……ぐはっ!」
なんとなくダメージを受けたような気がした。
「【芸術的なストーンサーヴァント】! あいつを拘束して!」
額にだう゛ぃでと書いた無駄に芸術的な動く石像
通称だう゛ぃで1号~3号を踊る半アンデッドに突撃させる……はずだった。
しかし だう゛ぃで達は つられて踊り始めた!!
見物人A「だっせー!」
見物人B「てかあれってヒゲダンスじゃね?」
狙いは外れたものの見物人には大ウケのようだ。
「1号~3号、そのまま踊っといて。【バインディング】!」
石像達に指示を変更し、街路樹を操って踊る半アンデッドを拘束する。
「今だ!!」
【峰打ち、タライ落とし魔法、等等で気絶させよう!】
レオ「新米冒険者君、今なら相手は押さえられてるから、
反撃の心配なく手加減攻撃できるチャンスだぞ、念のため」
メルディ「神殿が騒ぎに気付いたら、即、土に還す筈だよ。
見物の皆さん含めたみんなも、助けたいなら手加減攻撃を急いだ方がいいねっ」
レオ「ちょ…他人事杉…」
アースは「アクアプリズン」を唱えた。
半アンデットは、水に閉じこめられた。
続いて「エネルギーボルト(未熟だったので威力半減)」を放った瞬間さっきのミラクルライトもありその場に倒れてしまった。
>25
エネルギーボルトを受け、半アンデッドはいい感じに気絶した。
回復魔法をかける。
「【ヒーリング】」
ウボァとか言って崩れ去られたらとうしようかと緊張の一瞬。
幸いそうはならず、徐々に生気が戻ってきた。
「アースくん、ありがとー。……あれ?」
MP切れで気絶ですね、分かります。
「一体何の騒ぎかね?」
騒ぎを聞きつけた神殿の人が出てきた。
「いえ、道で倒れてる人がいたので……決してアンデッドとか出てませんよ、ハハハ」
「そうか」
半アンデッド化した人が出てくるなんて血の魔石に関係がありそうだ。
意識が戻ったら何か情報が聞きだせるかもしれない。
アース君と元半アンデッドを神殿の一室に運び込む。
それにしてもこの元半アンデッド、金目の物が好きそうな成金っぽい格好をしている。
――その少し後、神殿の一室にて
アース君はすぐに目を覚まし、一緒に成金っぽい元半アンデッドが起きるのを待つ。
「うーん……私は一体何を……」
成金っぽい人が目を覚ました。
「大丈夫。きっと気を失って悪い夢を見ていただけです。
ちょっとお話いいですか?」
【成金っぽい人から血の魔石に関する情報を聞き出せ!】
1・素敵な服ですね。もしかして宝石好きだったりします?
2・気絶する前に何があったんですか?
3・赤い宝石持ってる人を目撃しませんでしたか?
4・その他
27 :
アース ◆tTXEpFaQTE :2009/09/23(水) 22:46:36 0
アースは気絶する前に何があったんですかと聞いてみた
治療を受ける前に駆り出されたため、腕が若干痛むが気になるほどではない。
テイル殿一緒に探していたものの、途中ではぐれてしまったようだ。
行った道に戻ったが、なぜかグルグルに戻ってきていた。
「あれ…?おかしいでござるな?」
完全に道に迷ってしまったようだ。
仕方なく近くに布を纏った浮浪者らしき人に道を聞く。
「あのーすまんでござるがどうやったら寺院に戻れるでござるか?」
「う、あ、何でも・・・何ともない・・・す」
声をかけられた浮浪者は、慌てたようにそんな事をぼそぼそ言いながら
被っている布をかき合わせた――まるで肌を隠すように。
>「あのーすまんでござるがどうやったら寺院に戻れるでござるか?」
「・・・じいん?」
頭から布を被ったまま、やや聞き取りにくい声で浮浪者が言う。
「・・・あんたぁ異国の人かね、あの神殿の客かい、わしらには関わらんで下さいよ
ああ神殿なら、ここいらの小路はちょっとややこしいが、とにかく東に辿って
街路樹のある大通りに出たら南でさ(聞き取りにくいので要約しました)」
もし武が注意深く観察していれば、
浮浪者の坐る地面に変色した肉片とも皮膚ともつかぬ何かがばらばら落ちている事や、
ぼそぼそ喋る口の中の歯が異様に長い事、身体が熱そうな事、など、
要はかゆうま進行中っぽい事に気付くかもしれない。
>>29 >「う、あ、何でも・・・何ともない・・・す」
場所を聞いたのに何をしているかなんて事は聞いていない。
この言葉に不審な感じがした。
退魔僧は妖魔を狩るものだ。もちろん人などに化ける妖魔の対象としておりその訓練も受けている。
余程巧妙じゃなければボロが出るのはちょっとした行動や言葉である。
これを見抜くものが一人前の退魔僧である。
ただ退魔僧の殉教率(死亡率)が多いのは圧倒的に不意打ち騙まし討ちを行う擬態・成り代わり系妖魔であり
これを早く見抜き、対応するのかが自身の生存を決める鍵となる。
>「・・・あんたぁ異国の人かね、あの神殿の客かい、わしらには関わらんで下さいよ
ああ神殿なら、ここいらの小路はちょっとややこしいが、とにかく東に辿って
街路樹のある大通りに出たら南でさ(聞き取りにくいので要約しました)」
「いんすまうす?すまんがもう一度言って欲しいでござる」
わざともう一度聞いてみた。先ほどチラリと見えた長い歯
そして先ほど片付けていた変色した肉片、これらの可能性を含め
彼を妖魔ではないかと睨んでいた。
31 :
名無しになりきれ:2009/09/25(金) 22:08:07 0
浮浪者は明らかにおびえている。
「し、神殿なら、もっと東に行って、大通りを南で・・・う、あ・・・かゆ・・・」
そんな事をぼそぼそと繰り返す声がふと途切れ、浮浪者は布の下で体をかきむしる。
するとばらばらとこぼれ地面に散らばる何か。
「違う、死霊憑きじゃない、犬に噛まれたのが治らないだけだ(要約)」
浮浪者は必死で訴える。
「お願いだ、神殿には知らせないで、実験は嫌だ(要約)」
ぎゃー上げちゃった・・・すみません・・・
>>31 >「し、神殿なら、もっと東に行って、大通りを南で・・・う、あ・・・かゆ・・・」
怯えながらももう一度教えてくれたが途中で途切れる。そしてなにやら痒そうに体を掻き毟る。
そして地面に転がるなにか…それは人肉のように見えた。
これは尋常じゃないことを再認識する。
そしてそれを見られたことに対して慌てて弁明してくる。
>「違う、死霊憑きじゃない、犬に噛まれたのが治らないだけだ(要約)」
>「お願いだ、神殿には知らせないで、実験は嫌だ(要約)」
「落ち着くでござるよ…とりあえず死霊憑きと実験の話は後で聞かせてもらうでござるよ」
とりあえず数珠を取り出し、浮浪者に向け法術をかける
「六根清浄!!」
光が浮浪者を包む。普通の異常状態(訳のわからん病気含め)なら直るが任意だが妖魔=魔物には何の変化も無い。
それからしばらく様子を見る。
>27
成金っぽい人はしばらく混乱していたがやがて落ち着きを取り戻し話し始めた。
「宝石の仕入れに行ってて帰りが遅くなって……夜でした。
確か……赤い宝石を持った人が神殿から出てくるのを見たんですよ。
そしたらどうしてか無性に欲しくなってしまったんです。
それで追いかけて……後は分かりません。気づいたらここにいました」
「……そうですか。ありがとうございます」
「ちなみに私宝石屋をやってるんです。
宝石マニアなら一度は見てみたい石といえば……ブループラネットって知ってます?
あれは欲しいですねえ。話によると生命力を発散するらしいですよ。
でもいくらなんでも深海まで取りに行けないじゃないですか。
あーあ、欲しいなあ〜」
相当な宝石マニアらしく、いつの間にやら宝石トークが始まった。
「逆にこれだけは欲しく無い宝石といったら伝説に出てくる血の魔石ですね。
人がアンデッド化するらしいですよ? おお恐ろしや。
といっても実際にはそんなものありませんよね、ハハハ」
「は……ははは」
……笑えねーー!!
ヤバイ、ヤバイよ。マジヤバイ。血の魔石ヤバイ!
早くなんとかしないと街中アンデッドだらけになりかねない!
「みんな、今の聞いた? ……ん?」
最初に神殿を出る時まで一緒だったタケル君が見当たらない事に今更ながら気づく。
優秀な退魔士だからまず大丈夫とは思うけど一人にして万が一のことがあったら大変だ。
「とりあえずタケル君を探しに行こう!」
薄暗い地下室―――石造りの床や壁を、ランタンが照らしていた。
そこには大きな本棚、四角いテーブル、その上に散乱する怪しげな器具の数々。
いかにもな『秘密アジト』だ。そうとも、ここは吸血鬼アイリス=アルカンシエルのアジト!
そこには主たるアイリスと、青白い肌の男女が数名ほど居た。
彼等はアイリスによって眷属とされた哀れな犠牲者、レッサーバンパイアだ。
「KUAA!小賢しい光の眷属がッ!
貴様のふざけた光の血を、わたしのアンデッドのエキスと循環交換してやるぞッ!
喜べッ!貴様はたった今から闇の眷属となるのだッ!WRYYYY!」
アイリスは雄叫びをあげ、ダミー人形に襲いかかっている。
彼女の鋭い爪がダミー人形の喉元に食い込み、そのまま等身大人形の全身を高く持ち上げた。
眷属たちは、皆一様に、無表情にその光景を眺めている。
「……こんな感じでいい?」
アイリスは手下のレッサーバンパイアの一人の方を振り向き、目をキラキラと輝かせながら、先ほどの演技の感想を求めた。
尋ねられた奴は何も答えず、生暖かい微笑みを浮かべた。
彼女は何をやっているのか?それは話すと少々長くなる。
そもそも、アイリス=アルカンシエルなる人物は、生前は単なる引っ込み思案な少女で、バンパイアとなってからもその性質を引き摺っている。
だから、死霊皇帝の軍に自分の力を売り込もうと思い立っても、なかなかその一歩が踏み出せないでいるのだ。
また、長らく地下に引き篭もっていた彼女は、死霊皇帝軍がどういった軍団なのかについても、伝聞でしか知らない。
伝え聞くところによれば、死霊皇帝軍とは、光の眷属を蹂躙する恐るべき死神の軍団だという!
そうした先入観から、死霊皇帝軍でやっていくためにはコワモテでなければならないと、アイリスは本気で考えている。
そして彼女は今、死霊皇帝軍の一員として相応しいコワモテになろうと頑張っているというわけだ。
「フフフ……完璧だわ!これで、いつ人事部の人と会っても大丈夫ね!あとは履歴書を書くだけ……」
アイリスはダミー人形を床に捨て、満足したような表情で机へと向かおうとした。
そこに!アジトに一人のレッサーバンパイアが入ってきて、アイリスに耳打ちをした。
「“血の魔石”ですって!?」
彼女が唐突に叫ぶと、レッサーバンパイア達の間でもどよめきが走った。
その物品については、彼女もその眷属もよく知るところだ。何より有名である。
特に、年月を生きてきたアイリスは“歴史”そのものだ。争いをもたらす魔性の宝石のことを知らないはずはない。
アンデッドを生み出す力を持つというその石は、アイリスのような魔物にとっては大きなパワーとなるだろう。
「こうしてはいられないわ!」
アイリスは机の上に置いてあった、瑠璃の杯を手に取った。
この杯は『闇の聖杯』といって、これも不浄なパワーを蓄えた宝である。
「皆、まずは血の魔石に関する情報を集めてくるのよ!今回はわたし自ら動く!」
「おお!アイリス様が100年ぶりに外出されるぞ!」
「アイリス様を見送るのだ!」
「ほーたーるのーひーかーりーまーどーのーゆーきー」
半分以上はアジトに残って留守番を命じられており、それらは主を見送った。
イーとかなんとか言いながら、レッサーバンパイアどもの何人かは散っていった。
アイリスもまた、自らアジトを出て、件の魔石を手中に収めんと行動を開始した。
燦燦と照りつける太陽の下、アイリスは自分の明るい未来を夢見て旅立ってゆくのであった。
遅ればせながら初めまして。今後共に宜しくお願いします。
名前:アイリス=アルカンシエル
職業:魔術師
種族:バンパイア
性別:女性
年齢:何百年もの時を生きている。享年16歳で、それ以降は歳をとっていない。
身長/体重:158p/47s
容姿特徴:外見年齢は十代半ばほどの少女。真面目そうな印象を与える黒髪のみつあみ眼鏡。青白い肌と真っ赤な瞳。
性格特徴:すごく慎重なうっかりさん。基本的には冷静だが、何かの拍子にテンションがおかしくなることも。
技能/魔法:暗黒魔法、古代語魔法、精神力奪取、生命力再生、凝視(恐怖による麻痺)
装備:魔法の短剣、対魔法クローク、魔法学校の制服
所持品:
闇の聖杯(不浄なパワーを増強する宝具)
変な装置(うずまき模様を相手の目の前で回す装置。催眠術用)
振り子(催眠術用)
キャラ解説:
魔物によって殺された魔法学校の女生徒が、どういった経緯を経たのかバンパイアとして蘇ったもの。
殺されたのは何百年も前で、バンパイアとして蘇ってから長い年月が経っており、開き直って魔術の知識と魔力を蓄え続けてきた。
既に日光なんかは克服しており(再生能力は封じられるけどね)、割とヤバい魔物になりつつある。
ただ、バンパイアとして蘇ったことに気付かずに学校に顔を出したところ、即座に正体がバレて追い出されたことがあった。
今でも間の抜けたところがあり、基本的には狡猾で慎重なのだが、よく変な失敗や甚だしい勘違いをする。
もう何百年も生きてきているのに、何故か死霊皇帝軍からのお誘いが来たことが一度もない。
日光でダメージを受けないことを除けば、能力なんかは概ね旧ソードワールド基準。
>>33 >「六根清浄!!」
「う、わあああっ」
光に包まれた浮浪者はパニック状態だったが、しばらくして、
身体の不快感、熱や気が狂いそうなかゆみから解放された事に気づく。
そして、布の下で、肉を失った肢体に皮膚が再生しかかっているのを確かめると
武の足下にひれ伏した。
「ああ・・・ありがとうございます!私をお救い下さった!メシヤ様が現れた!」
多少の勘違いと純粋な崇拝の心で、武の問いには何でも答えるのだった。
・死霊憑きとは人がアンデッドに接触して起きる病気の俗称で
症状は身体が徐々にアンデッド化していくと言われている
・死霊憑きは原則として神殿に強制収容隔離される
(自分の知る限り、帰ってきた者はいない)
・神殿に寄進をする金持ちはアンデッドが出た時は優先的に守って貰える
(実際しばしばアンデッドが出る。ここは大都市で人が多いから、らしい)
・神殿が収容した死霊憑きを治療と称して人体実験に使っている、とか
神殿に収容されると病気で死ぬよりひどい目に遭う、とかの噂が絶えない
>>36 現在のところ、レッサーバンパイアが集めた情報を総合すると
・王族のとある家系が厳重に守り祀っていた血の魔石が、おそらく後ろ暗い取引の結果、
1ヶ月ほど前に極秘のうちに王都ファティマの神官団の手に渡ったらしい
・約1週間前から、神官団の警戒レベルが異常に上がった
・ファティマでのアンデッドの出現数やアンデッド感染者数は、ここ数日増加傾向かも
となる。
>>38 >「う、わあああっ」
「安心召されよ別に害がある物ではない」
そう言いながら浮浪者の様子を見る。
先ほどの状態とは打って変わり、元の色白い普通の人に戻っていた。
妖魔ではなく普通の人であったことがその姿でわかる。
>「ああ・・・ありがとうございます!私をお救い下さった!メシヤ様が現れた!」
なにやら手を合わせて拝んできたが、妙に恥ずかしさを感じたため、しゃがみこみ
「やめて欲しいでござる、拙者は当然の事をしたまでだからやめて欲しいでござるよ」
そういってやめさせる。
「なんていうことだ……クッ」
片腕を強く握り閉める痛みすら忘れていた。
怒りがそれを上回っていた。
「弱者を救い、求道する者が金銭で生命を差別しあまつさえ外道な行為を行うとは言語道断!」
闘志に火がつき、宣言する。
「あの教団は必ず叩き潰す!」
浮浪者に礼を言い、テイル達を探しにいく。
この真実を伝えるために――――
その頃。
少年はファティマの市壁近くを人目を避けながら歩き回っていた。
すぐにでも向かいたい、向かわなければならない場所がある。
しかし、街の外へ続く道では神官戦士が厳しい検問を行っているし、
道以外からの出入りを見張るため市壁に沿って巡回する神官戦士までいる。
(近づいてはならぬ・・・逃げてもならぬ・・・自然に去れ・・・)
危険があれば胸元の石が教えてくれる。が、街から出る方法はまだ見つからない。
もう何日経ったんだろう、と少年は考えるが
記憶が時々途切れているかのように、うまく思い出せない。
早く届けなきゃ・・・そして、返して貰うんだ・・・
焦りが増す。
メルディ「因みに、シティーアドベンチャー時間はまもなく夜コマだよ!」
レオ「ちょw何故ここで宣言ww」
>>39 「……」
早速手下のレッサーバンパイアが何匹かが、ボロボロになってアイリスの元に帰ってきて報告した。
何でボロボロなのか?誰とも戦っていないはずなのに?
>>36 >燦燦と照りつける太陽の下、アイリスは自分の明るい未来を夢見て旅立ってゆくのであった。
そう、燦々と照りつける太陽の下、レッサーバンパイアは生命力と精神力をモリモリ減らして帰ってきたのであった。
普通のレッサーバンパイアは日光が苦手で、3分も太陽の下に居たら死滅するのだが、なんとか情報を集めてきたようだ。
「……えっと、その、ごめんなさい」
アイリスは部下に平謝りをして、特別ボーナスということで輸血パックを部下に振舞った。
アイリスは太陽が平気でも、その部下は別に平気ではない。
とりあえず、部下にはアジトに帰って休んでもらった。
部下を味とまで送っていった後、思索を開始した。
(なるほど、1ヶ月前に神官団の手に渡って、1週間前から警戒が厳重になって……
そしてファティマでのアンデッドの出現数、及びアンデッド感染者数は増加の一途を辿っていると!
一致している!アンデッドの増加と、神殿の不審な動きがリンクしているッ!!!
これは陰謀だわ!)
アイリスは無闇にレッサーバンパイアを増やすことをしない。
何故なら、レッサーバンパイアの軍団を維持するのはタダではないのだ。
だからアンデッドの増殖に心当たりなんか無い。
自分の胸に手を当てて、よく考えてみた。うん、自分はやってないぞ。
アイリスはそう確認し、神官団の陰謀を確信した。
>>41 カラスが鳴いている。空はオレンジ色に染まり、外で遊んでいる子供も家路についている。確実に夜は近付いていた。
子供が駆けずり回っている。
「……?」
アイリスの肌が身震いした。近い!自分の求める闇の秘宝が!
だが、すぐには手を出したりはしない。アイリスはドジだが、自分のそうした欠点は十二分に理解している。故に慎重なのだ。
見れば、近くには神殿の回し者が数多く居る。負けるとは微塵も思っていないが、万が一ということもある。
ここは一つ、神殿の勢力をじわじわと削ぐ方針で進めることにした。まずは夜を待とう。
>>40 さてさて、浮浪者どもの吹き溜まりとしては月並みな路地裏の日陰で涼み、そのまま静かに夜を待とうとフラフラと歩いていると、突然の怒号が響き渡った。
「あの教団は必ず叩き潰す!」
聞いちゃった。とても物騒な話だ。
しかし、アイリスにとってファティマの神官団は敵だ。
別にリプレイルージュでトランさんの死因になった輩が神官長をやっているからではない。
あの神殿は(名目上は)光の神を祀っているのに対し、、自分は闇の神の寵児とも言うべきバンパイアだ。仲良くなんかできないのである。
かく言うアイリスも、催眠術を用いて人間の協力者を作り、神殿の中に密偵を送り込むなどの努力をしている。
でも、こういうことは公言しない方が良いと思うのだ。
(……ふぁいとっ!)
とりあえず、彼のことは遠くから応援することにした。
【昼コマ】
タケル君を探しに行こう。
通信機が人数分あればこんな事にならないんだけどあれはその辺にごろごろ転がってるほど安くない。
「探しに行くついでに私の店に寄って行きませんか?
各種パワーストーン揃ってますよ。助けてくれたお礼に何か差し上げたいと思います」
宝石屋の店主がお礼がしたいと言う。
すぐ近くらしいので宝石屋に行ってみることにした。
各種パワーストーン揃ってるの言葉にたがわず、初級魔法を込めたコモンルーンがずらりと並んでいる。
「ライトにダークネスにウィンドボイス……これだ!」
ウィンドボイスとは風を媒介に会話が出来る魔法の事。
みんなで持っていれば同じ街の中ぐらいなら連絡がとれる。
「人数分サービスしましょう」
「ありがとうございます!」
【ウィンドボイスのコモンルーンを手に入れた!】
>40
もうすぐ夜になる頃、タケル君と合流した。
「いい物貰ったよ〜。近距離専用通信機みたいなもの」
ウィンドボイスのコモンルーンを一つ渡す。
「……ん? 何かあったの?」
タケル君によるとかくかくしかじか(>38の情報)らしい!
メルディ「ふうん、じゃあ調査する場所の候補は常識的には
・神殿宝物庫
・神殿幹部のいるところ
・神殿下っ端のいるところ
・ファティマ金持ち街
・ファティマ庶民街
・ファティマ貧民街
・ファティマ市壁沿い
って感じだねっ」
レオ「・・・それのどこが常識なのかはおいといて、
もちろんそれ以外でも、気になる所を調べればいいんだぞ」
メルディ「掲示板だと全員で相談ってほぼ無理だから、そこは臨機応変で!」
レオ「・・・俺達、こんなにメタなキャラだったっけ?」
「夜来た!これで勝つる!」
アイリスははしゃいでいた。まあ、夜はバンパイアの天下だからしょうがない。
「皆、夜が来たよ!わたし達の天下だ!」
どこからともなくアイリスの手下のレッサーバンパイアや、その他のアンデッドが姿を現した。
街灯の光が当たらぬ影に、奴等は蠢いている。
アイリスが目配せをすると、そのアンデッドどもは各地に散らばっていった。
彼等のうちの一部は、アイリスによって古代語の呪文を教え込まれており、アンデッドの兵士を創造できる。
そうでなくても、手下のレッサーバンパイア達がその気になれば、鼠算であっという間に仲間を増やすことが可能だ。
間も無くファティマは地獄と化す!多分。
とりあえず、富裕層の居住区まで行ってみた。
神殿に寄進をする金持ちはアンデッドが出たときに優先的に守ってもらえるとのことだが、なるほど神殿の神官戦士が巡回している。
アイリスは目を閉じ、周囲の呼吸音だとか光属性の魔力だとかを感知すべく神経を尖らせた。
「……あまり頑張らなくても余裕ね」
神官戦士の質、数、神殿の規模、そして自分自身の実力と配下の軍団の規模を統合して考え、アイリスはそう結論を出した。
さて、まずアイリスはまだ明かりの点いている家を探し出し、その周辺に居る神官戦士の数を確認した。
アイリスは催眠術を用いて、人間の協力者を得ている。それも富裕層を狙っている。
ある一定時刻まで明かりが点いている家がそれだ。彼等は明かりを合図としている。
主にアイリスが創造したアンデッドの軍団を隠蔽するために、それを可能とする人間の有力者を選んで洗脳しているのだ。
また、神殿の追求が及ばないよう、彼等には過分に寄進をさせている。
いわゆる賄賂という奴だが、どうやらファティマの神殿には、それが本当に通用するらしい。
寄進をする金持ちを優先的に護衛すると聞き、もしやと思っていたら、ビンゴだったというわけだ。
何はともあれ、アイリスは催眠術で洗脳した物持ちを通じて、神殿を潰すのに必要な情報を集めることにした。
「わたしです。夜分遅くに失礼します」
アイリスは呼び鈴を鳴らした。館の主は、彼女をすんなりと招き入れた。
「おお・・・聞きしに勝る若々しさ美しさ・・・そして100年ぶりのお出ましを
私の代でお迎えできるとは、なんと言う幸運・・・」
館の主はなんだか感激している。
「ついにその時が来た・・・いえ、もうとっくに始まっているのでごさいますね。
いや表向きは神官団によって情報統制されていますが、
もう既に相当数の手駒を増やされたご様子、裏では噂になっておりますよ」
「それにしても、流石は数百年来の計画、実に鮮やかな手際、感服です。
ここ2,3日は市街警備の神官団も裏をかかれるばかりでひそかに慌てふためいておりますよ。
ええ、犬を使うなど、私にはまるで想像もつきませんでした・・・」
ややご機嫌取りに必死な感じはあるが、初めて生バンパイアを前にした人間としては普通だろう。
そして、ご機嫌取りではあっても、嘘デタラメを言っているつもりはなさそうだ。
目的物を手に入れたらさっさと蒸発する予定だったけど、もし噂が本当なら放っておくわけにはいかない。
タケル君も煮えたぎるばかりの闘志を燃やしている。
「よーし! まずは決定的な証拠を掴まなきゃ!
血の魔石を手に入れてつきつけよう!」
【夜コマ】
>46
神殿とつながっている金持ちが住んでそうな所に行ってみる。
>「わたしです。夜分遅くに失礼します」
見た事がある服の少女がとある家に入っていく。魔法学校の制服だ。
なんで魔法学校の生徒がこんな所に? と思い第六感を研ぎ澄ます。
尋常ではないものを感じ、みんなにめくばせする。
「あの子もしかして……アンデッドかも」
そうだとしたらここまで闇の気配を隠せるのは相当高位のアンデッドだ。
間違っても夜に手を出してはいけない。
>47
窓からそーっと中の様子をうかがう。
館の主、なにやら興奮しているようで大立ち回り。ついでに少し声が大きかった。
館の主の話からするとやはりあの少女が事件の黒幕らしい。いきなりビンゴ。
今が夜なのがつくづく悔やまれる。
「今戦うのは危険だ。
あいつが帰ったら館の主をボコる……じゃなくて叩き直して色々教えてもらおう」
あの様子から推測して館の主はおそらく洗脳もしくは籠絡されたただの人間。
運が悪くても下位アンデッド程度だから大丈夫だろう。
>47
目の前で渦巻き模様を回してかけたような催眠術なのに、お世辞まで言う機能が付いている。
アイリスは自分の手腕に惚れ惚れした。足下を掬われるフラグのような気がしてならない。
>もう既に相当数の手駒を増やされたご様子、裏では噂になっておりますよ」
「……やばっ、手下を増やしすぎちゃったかしら?」
>「それにしても、流石は数百年来の計画、実に鮮やかな手際、感服です。
数百年来の計画って何だっけ。
アイリスは本気でそう考えたが、だいたい記憶を遡るために5秒ほど使い、やっと思い出した。
「神殿が要らないことをしてくれたお陰で、計画の成就はちょっと遅れそうだけどね。
……こ、これくらいは計算のうちよ?」
アイリスの不思議な陰謀は、恐らく本人にしか理解できない。
それはあまりに長大な計画ゆえ、よく彼女自身が前半部分の重要なところを忘れたりするので、なかなか進まない。
とはいえ、物持ちの人が計画の内容を概ね思い出させてしまったので、計画は唐突に動き出すぞ!
>48
「……」
アイリスの耳が震えた。
そして、彼女が指をパチンと鳴らすと、物持ちの男は糸が切れたように地面に倒れ伏した。
「貴様!見ているなッ!」
突然、アイリスがテイルの方を向いた!どうやら、声を聞いちゃったらしい。
「貴方たちがわたしの話を一部始終聞いていたように、わたしもあんた達の話は聞かせてもらったわ。
どうやら、貴方達は甚だしい勘違いをしているようね。
わたしは神殿にスパイは送り込んでいるけど、神殿の後ろ盾になった事なんて一度も無いよ。
むしろ、わたしにとって、あんな神殿なんて邪魔でしかないし、現に潰すために頑張っているところ。
……昔話をしましょう。ついでにわたしの話も」
アイリスは椅子に腰掛け、昔語りを始めた。
「大昔、この街の中心から強い闇の力が噴出して、大変なことになったのね。
多発するアンデッド、疫病、内紛、飢饉、その他諸々の災厄のために、民も大地も枯れ果てていたのよ。
そこに一人の魔法使いが現われて、闇の力に対抗する方法を授けたわけ」
「魔法使いは5つの祠を、それぞれ決められた場所に建てるよう言ったの。
5つの祠を結ぶことで、巨大な魔除けのペンタグラムが形成されるようにしたってわけね。
人々は残された力を振り絞り、魔法使いの言うとおりに祠を建てると、魔法使いの言ったとおり、魔除けの力で街は浄化された。
とまあ、こうして闇の力は封じられ、王都ファティマは末永く栄えることになりました、めでたしめでたし……」
そこまで話すと、アイリスは突然、自慢げに胸を張った。
「……で、祠を建ててペンタグラムを組むように言った魔法使いが、このわたし、アイリス=アルカンシエルというわけ。
今はこのとおりだから、あまり街の中心に近付こうとは思わないけどね。あれの力は、作ったわたしが最もよく知っているし」
アイリスがパワーを解放すると、ぼんやりとアンデッドのオーラが出ているのが見える。
「本当だったら、血の魔石の力だって、この魔除けのペンタグラムである程度は抑えられたはずなのよ。
でもね。
神殿の連中が欲の為に祠を壊しちゃったから、わたしの施したペンタグラムは崩れて、魔除けの力は失われてしまったの。
まあそのお陰で、わたしがこうして大手を振るって地上に出てくることができるんだけどね。
でも、もしかしたら、神殿は最初からペンタグラムの力を疎ましく思っていたのかも。
血の魔石の力を利用するには、祠を壊すか、ペンタグラムの外側に魔石を持っていくしかないものね。
だからほら、貴方達の当面の敵は神殿じゃないかな?
神殿が裏取引で血の魔石を手に入れる直前に、祠は壊されたみたいだし」
以上は虚実入り乱れた、口から出任せである。どの発言が嘘かを知る手段は無い。
ただし、祠が実在したことと、それらの祠を結んでできるペンタグラムに魔除けの力があることと、神殿が各地の祠を壊しちゃったことは本当だ。
離れてアイリスを見守っていた古参のレッサーバンパイア達は、少し心配していた。
天然アイリスの出任せに、ではない。そっちなら百年単位で慣れっこだ。
「犬なんて知ってるか?(ヒソヒソ)」
「見た事も聞いた事もないね(ヒソヒソ)」
「手駒増やしたか?(ヒソヒソ)」
「今日なんて情報収集しかしてないぜ(ヒソヒソ)」
>49
どうやら神殿とは別のもっと壮大な計画を企てているようだ!
黒幕とはちょっと違う気がしてきた。
>50
>「貴様!見ているなッ!」
「あばばばば!! 通りすがりの者です!」
大変だ、襲われる! アンデッドのエキスを循環交換される――!
しかも純粋な光の眷属に限ってひとたび闇の眷属に転生してしまうと
ノリノリで死霊皇帝軍の手下として世界征服始めると相場がきまっている。
あれ……襲ってこない?
むしろ神殿の陰謀を潰すために頑張ってるんなら敵ではないのか。ただし潰し方によるけど。
>51
思った通り何百年も生きているようだ。
(厳密にはアンデッドに生きているというのはおかしいが)
しかも闇を封じるために尽力したという。もし本当ならめっちゃええ人やん!
そして神殿めっちゃだめじゃん!
「良かった〜。じゃあアイリスさんは例のお化けの王様の軍団じゃないんですね!
あそこは労働条件激悪だからもし誘いに来てもくれぐれもやめた方がいいですよ。
こきつかわれて役に立たなくなったらすぐ捨てられるし。
お人よしのいじられキャラのくせにあそこに入って散々苦労してる人を知ってますから」
まさか死霊皇帝軍に入りそうな雰囲気ではないけど一応言っておいた。
入られたら強敵が増えて困る。
>53
「な、なんてこと……死霊皇帝軍にそんな実態が……」
アイリスは頭を抱え、わなわなと震えた。
そして、テイルから知られざる死霊皇帝軍の一面を伝え聞くと、アイリスは超高速で思考を張り巡らせた。
以前アイリスが見た求人広告では「アットホームな会社です!」「成長できる職場です!」「こんな職場見たことない!」と書いてあった。
彼女はそれらを鵜呑みにしているが、現実ではこれら3つのワードは危険信号であることは明白だ。
しかし、そう言う相手は光の眷属で、死霊皇帝軍と戦っているという連中だと知っている。
相手の立場でものを考えてみれば、敵なんて増えないに越したことはない、そう考えるのが自然だ。
そうした思惑からなる流言かも知れないと疑っている。アイリスは相手を完全に信用した訳ではなかった。
「でも、わたしバンパイアだし、他の就職口なんて……
とりあえず、神殿を叩きのめしてから考えよう、そうしよう。
そうと決まれば善は急げね!」
いつの間にかアイリスが、神殿を叩きのめす計画の主導を握ろうとしている。闇の眷属で、ボスキャラ候補のくせに。
実のところ、アイリスの計画が実現した場合、神殿が“血の魔石”を使うよりもずっと酷いことになるだろう。
彼女の計画はそれほど邪悪で大規模だが、そんなことは億尾にも出さない。
そしてアイリスにとって、今の神殿は良いスケープ・ゴートでしかない。
丁度、神殿が悪い事を企んでいることが光の勇者達に割れているのは、運が良かったとさえ言える。
今のまま行けば、体よく神殿に罪を押し付け、計画実現のための時間稼ぎにすることができるからだ。
>>44 テイル達を発見するとすぐに合流する。
>「いい物貰ったよ〜。近距離専用通信機みたいなもの」
なにやら連絡できる便利な式神みたいな物をもらった。
そして聞いた話を全て話す。
>>45 「拙者としては一番ありそうな宝物庫を調べてみたいでござる」
>54
壮大な計画とか色々怪しいものの、とりあえずアイリスさんは就職口に困っているらしい。
それなら一石二鳥の方法があるじゃないか!
「あの〜もしかして就職口探してたり?
もし勤務内容が人助けの旅でよければいつでも歓迎しますからね。
アンデッドがいた事もあるし性格が怖く無ければ魔族だっていけるよ!
豪華飛空艇の旅。ついでに観光もできる。冷暖房完備。専属料理人付き!
という訳で……色々とありがとう!」
それだけ言うと、仲間になりたそうな視線を察知する背中の感度を最大にしつつタケル君の方に行く。
高位アンデッドともなればいろいろとその業界のしがらみ(?)みたいなものもあるかもしれないので強引には誘えない。
>55
>「拙者としては一番ありそうな宝物庫を調べてみたいでござる」
「明日の朝行ってみよう」
こうして2日目1コマ目の調査個所が決定した。
その頃。
アンデッド増加中の噂が飛び交う市街は、夜コマともなれば戸締まりも厳重に寝静まっている
・・・が、中には外に居ざるを得ない人もいる。
貧民街の一角で、暗がりから跳躍した影が、物陰で身を寄せ合い休んでいた数人に襲いかかった。
わずかな星明かりの下、犬のような姿の大きな黒い影が倒れた人にのしかかり
ライトファンタジーでない光景を展開している。
あちこち剥がれたようなボロボロな毛並みの犬の胸元では何かが星明かりを赤く反射している
・・・が、それを見る事が出来る人間はもういなかった。
犬はやがて、やっぱりライトファンタジーでない光景を残して再び闇の中へ駆け去った。
メルディ「さて、そろそろ朝だよっ」
レオ「切り替え速っ」
翌朝。神官達が忙しそうに神殿内を行き来し、あるいは
何人かで駆け出して行くのを横目に、一行は宝物庫にやって来た。
防犯設備ばっちりながらも決して殺風景ではない建物を観察していると
「旅の方ですね?我らの宝物庫、なかなかよく出来ていると思いませんか?」
いつのまにか一人の神官が側に来ていた。
位が高そうな身なりだが、やや頼りなげな細身と穏やかな表情のせいか威圧感は全くない。
「ところが・・・先日、非常な魔力を持つ宝石が盗まれてしまいました」
一行と話すうち、神官は単なる世間話といった風情でそんな事を言いだした。
本来よそ者である一行を警戒している様子もなく、聞いた事には答えが返って来る。
その宝石は見る者を魅了し、活力を吸い上げ身体を生きながらの屍と化す。
逆に、死霊の類にとっては宝石は活力を与える泉となる、という。
ある家系が郊外の社で伝統の方法で祀ってきたその魔石を、
より適切に合理的に管理するためしばらく前に神殿に移したのだそうだ。
♪ちゃーらーらーらーらっらっらー♪
【2日目1コマ目】
>58
という訳で宝物庫にやってきた。
「うわあ、豪華だね!」
少しだけ踏み込んでみようとした所。
「アッ――!」
床が抜けてストーンと落ちた。
>「旅の方ですね?我らの宝物庫、なかなかよく出来ていると思いませんか?」
「ええ、それはもう」
>「ところが・・・先日、非常な魔力を持つ宝石が盗まれてしまいました」
「どんな宝石なのか教えてくれたりします?」
宝石屋の店主が言ってた噂通りだった。
アンデッドに活力を与えるというので一瞬アイリスさんの顔が思い浮かんだが
あの様子だとまだ入手してないはずだと思いなおす。
思う事あって名探偵左京さんのものまねで攻めてみる。
「それにしてもこの宝物庫から盗んだ人は超人か大盗賊ですねー。
そうでなかったら……神殿内に密通者がいてわざとセキュリティをゆるくして盗ませた
……という事にはなりませんか? 亀谷くん」
ちなみに亀谷くんというのは左京さんの相棒の名前で深い意味はない。
「そ、そんな縁起でもないことを言わないでくださいよ」
神官が一瞬うろたえた感じがしたのは気のせいだろうか。
>52
(犬って何だっけ……)
アイリスは身に覚えが全く無かった。
まだ子供の頃、捨てられた真っ黒な子犬を見つけ、飼いたいと飼いたいと駄々をこねて、どう見てもヘルハウンドだから捨ててらっしゃいと言われたのを思い出した。
>56
「いやー、アンデッドを仲間にしたいなら、バンパイアじゃなくて、もっと責任持って飼える奴の方が良いよ。
ほら、わたし達バンパイアは、他人の血を吸わないと生きていけないし。
そんなのを勇者パーティに入れとくのはやめといた方が良いんじゃないかなー?」
仲間へのお誘いは丁重に断っておいた。
>57
テイルたちと一旦別れた後、アイリスは再び夜の町を散策した。
よく発達した聴覚が、路地裏で起こった事件を知覚した。
「……夜は闇の眷属の時間。
光の眷属は月の下で眠りにつき、闇の眷属は太陽から隠れて生きる。
それで平和に暮らせる筈なのに」
アイリスは、どこか遠い目をして一人ごちた。
>>58 >「旅の方ですね?我らの宝物庫、なかなかよく出来ていると思いませんか?」
「拙者としてはよくこれだけ民から絞り上げたなと感心してるでござるよ」
もちろん100%悪い方だが
>「ところが・・・先日、非常な魔力を持つ宝石が盗まれてしまいました」
おかしい。これだけ警備はしっかりしているのに盗まれているのは余程ずさんな管理体制か
あるいは教団内部の人間が宝石に魅入られてそれを持ち出した……というのが考えられた。
恐らく絶対認めないだろうが。
>>59 >「そ、そんな縁起でもないことを言わないでくださいよ」
神官は半分涙目でテイルに訴えた。
「わ、私は・・・神に誓って正当紅茶派です!
どっかの神父みたいに砂糖13杯も入れたりしないし、缶コーヒーなど好みません」
>>61 >「拙者としてはよくこれだけ民から絞り上げたなと感心してるでござるよ」
「それには同意です。でも、街にアンデッドが出て、神殿がそれを速やかに掃討すると
民は喜んで神殿の働きに感謝を捧げてくれますよ・・・特に賞与支給日直後などはね」
「少し話が逸れました。盗難の件ですね・・・」
気付けば、忙しく行き来していた筈の神殿の人間が、人払いされたかのように消えている。
「石を持ち去ったのは、一人の少年です。
彼は、巫女を取り戻すという固い決意を持ってここにやって来ました」
巫女というのは魔石を守る家系の一人で、神殿に乞われて石と共に移って来たが
「失われてしまいました。神殿が、巫女の力をアイテム化しようとしたのだそうです。
アイテムならば人と違って神官団の者が自在に扱えますからね。
最近各地で連続している正体不明の襲撃は脅威ですし対策は急がれますが
・・・にしても、むごい上に無茶をする」
神官の表情が曇る。立場上言ってはならない事の筈だが、
一行の反応に神殿への不信を感じ取った故に語っているのかもしれない。
「少年は、巫女の家に仕える家系の者だったようです。
数日なら彼の身体を石から守り、むしろ石が彼に力を貸し与えるように術を施した、
とはいえ、郊外の社に戻れなければ、逆に石が彼を支配するようになるでしょう」
>62
>「わ、私は・・・神に誓って正当紅茶派です!
どっかの神父みたいに砂糖13杯も入れたりしないし、缶コーヒーなど好みません」
関係ないけどコーヒー狂の知り合いを思い出した。
>63
いつの間にか周囲から人がいなくなっている。
神官がなんらかの魔法を使ったのだろうか。
>「石を持ち去ったのは、一人の少年です。
彼は、巫女を取り戻すという固い決意を持ってここにやって来ました」
「犯人目撃したの!? 巫女って……?」
(中略)
ここまで情報が揃ったら神官長に直訴してもいい気がするが
最後の一言で、そうしている場合ではなくなることになる。
>「少年は、巫女の家に仕える家系の者だったようです。
数日なら彼の身体を石から守り、むしろ石が彼に力を貸し与えるように術を施した、
とはいえ、郊外の社に戻れなければ、逆に石が彼を支配するようになるでしょう」
「神官長が検問で厳戒態勢張ってるって言ってた!
盗まれてからもう何日かたってるよね!? もう時間が無い……!」
一刻も早く少年を探し出してどうにかしなければ!
「市壁沿いを探してみよう!」
>>60 アイリスの聴覚が捉えたのは、
犬とはいえ、子供の頃の記憶にあるヘルハウンドとはいささか異なる気配。
そして、遠い目で物思いにふけるアイリスには
曖昧ながら街の数ヶ所で同時多発的にかゆうま拡大進行中の気配も感じられた。
当然、アイリスや眷属の仕事とは違う何かだ。
因みに、朝からカフェでだらだらしていた留守番組には
街の人の噂話が時折聞こえていた。
「俺の親戚の知り合いの近所の家の人が神殿に連れてかれたらしいんだ。例の病だろうって」
「昨夜もまた貧民街で何人かやられたらしいよ・・・
しかも、現場の惨状に比べて残ってた死体が明らかに足りないとか」
「ここ何日か人が出てこない家が近所にあるって顔見知りのおばちゃんから聞いちゃったのよー」
「日雇いの仕事に来る奴が減ってるって知り合いの知り合いの派遣業者が言ってたってさ」
「これまではアンデッドが出ても2日もすれば神殿から掃討完了宣言出てたのにね」
「出るのもせいぜい年2回だったし」
「死霊憑きも浮浪者の間ぐらいにしか広がらなかったのに」
「やあねえ」「ネー」
メルディ「ちょっと気が早いけど、テイル達が市壁に移動するなら昼コマになるよ!」
レオ「流石にまだ神官と話したい人や不思議な陰謀を進めたい人もいるんじゃないか?」
>>62 >「それには同意です。でも、街にアンデッドが出て、神殿がそれを速やかに掃討すると
民は喜んで神殿の働きに感謝を捧げてくれますよ・・・特に賞与支給日直後などはね」
本当に彼らに心底呆れたしまった。本当にこんな教団はつぶれた方がいいのかもしれない。
>>63 なんだかんだで話はそれてしまっていたが元に戻る。
しかし、シーンと静まり返ってるなと思っているとガランとしていた。
あんなにも人が居たというのに…とは思ったものの気にしないこととする。
>「石を持ち去ったのは、一人の少年です。
彼は、巫女を取り戻すという固い決意を持ってここにやって来ました」
「失われてしまいました。神殿が、巫女の力をアイテム化しようとしたのだそうです。
アイテムならば人と違って神官団の者が自在に扱えますからね。
最近各地で連続している正体不明の襲撃は脅威ですし対策は急がれますが
・・・にしても、むごい上に無茶をする」
「少年は、巫女の家に仕える家系の者だったようです。
数日なら彼の身体を石から守り、むしろ石が彼に力を貸し与えるように術を施した、
とはいえ、郊外の社に戻れなければ、逆に石が彼を支配するようになるでしょう」
「ふむ……その少年にはよほどその巫女とやらが大切だったのでござろうな」
もし自分もそのような立場なら同じ事をやっていたかもしれないと思った。
それにしてもその巫女の力をアイテム化しようなどとは……もしかしたらそうしたら
死ぬ可能性も捨てきれない。
いくら緊急事態とはいえそのようなことが絶対に許されることではない。
「その少年を今すぐ探せねばならんでござるよ!」
テイル殿が言っていた市壁沿いに急いで向かう。
話し合いで解決するならそれでよし、絶対に不幸な結末など許してはならないのだ
>65>66
アイリスにとっては王都ファティマは自分の縄張りであり、昔から影で支配してきたと自負している。
何処の誰とも知れない輩が、勝手にアンデッドを増やしているという事実を、彼女は気にかけているのだ。
テイル達に話した祠にしても、アイリスが遠大な計画の為に街の住民に建てさせたものだ。
当然、神殿の台頭にも、祠が壊されたことに関しても、アイリスは怒り心頭だ。
しかしながら最高に冷静な彼女は、少なくとも、激情に駆られて短絡な行動に出たりはしない。
「しかし、アレをわたしの眷属に任せておくには不安ね」
レッサーバンパイアは、通常の武器が効かず、アイリスのような上位の奴ほどではないにせよ、恐怖で硬直させる視線を持っている。
しかし、それだけだ。ある程度の訓練を積んだ戦士が銀の武器や魔法の武器を持てば、難なく掃討できる。
今、町に潜んでいる“獣”は、「ある程度訓練を積んだ戦士」などというレベルではないだろう。
アイリスは自らの手で、その獣を捕らえることにした。
>>64,67
勇者一行の様子を見ると、神官は
「ああ、つまらない話でお時間を取らせてしまいましたね。ご容赦下さい。
・・・では、私はこれで失礼します」
穏やかに一礼して去っていった。
(これでいい・・・あの石を只しまい込むなんて、死霊に与えるより馬鹿げている・・・
人間性の真実、欲と策謀の渦の中に置いてこそ、あの石は最も美しく輝くのだから・・・
人間・・・愚かで、そして眩しい生き物・・・)
神官が胸の内でそんなことを呟いたなどと、一行は知る由もない。]
>>68 颯爽と出かけようとするアイリスに、眷属達が集めた追加情報を持ってくる。
「その犬って奴は、夜しか現れないらしいです。日中は被害目撃情報ともゼロ」
「前は襲われて逃げ延びた人もいたそうですが最近はどうやら全滅だとか」
「但し、喰われなかった死体はしばらく後で立ち上がり歩き出すとか」
「増えてるアンデッドは全てかゆうま・・・いわゆるゾンビ系ですね」
「犬からではなく、人ゾンビから人への“死霊憑き”伝播も相当増えてると見てよいかと」
「「「「「ご武運をー」」」」」
日光を必死で避けながら眷属達はアイリスを見送った。
>67
>「その少年を今すぐ探せねばならんでござるよ!」
「うん、急ごう!」
>69
>「ああ、つまらない話でお時間を取らせてしまいましたね。ご容赦下さい。
・・・では、私はこれで失礼します」
「いえ、ありがとうございます!」
ああいう人畜無害穏そうなのに限って黒幕だったりするんだよなー。そんなまさか!
>66
移動途中に留守番組から情報を聞く。
「噂話を総合すると……誰かが市民を襲ってその死体がかゆうま化してるってこと!?
それが血の魔石の力だとしたら……」
盗んだ少年がすでに石に支配されてるなんていう最悪の事態が思い浮かぶ。
「神殿は最初からこうなるのを狙って……!?
いや、だとしたら神官長が魔石の奪還を依頼するのはおかしい。(こっちからの押し掛けとはいえ)
……そうか! 神殿にも色んな派閥があってこっそり隠し持って利用する派と
街に解き放ってバイオハザード起こしたい派が!?」
昼。
勇者一行が急いで向かった市壁は・・・大都市を囲むだけあって、長かった。
3回判定ダイスを振って1回おばちゃんの世間話に巻き込まれる位歩くと、
一行の行く手に市内を通過して流れている川が現れた。
市壁はアーチを作って川を越えて延びていて、向こう岸の少し先には市外への門と
検問中の神官戦士や列を作る人々が見える。
川を渡ろうと、市壁から少し離れた橋にやってくると、橋の上では一人の少年が水面を見ていた。
といっても、別に怪しそうに見えるところはない。
強いて言えば、遊ぶでも働くでもどこに行くでもなくただ橋の上にいるのに
全く怪しさを感じさせないところがちょっと不自然、だろうか。
と、少年が突然急ぎ足で橋を渡り、近くの路地に入って見えなくなった。
そのすぐ後に巡回の神官戦士2人組がやってきて橋を通り過ぎていく。
神官戦士の姿が見えなくなった頃、少年は1本先の路地から現れて、
今度は川べりから水面を眺め始めた。
・・・要するに、人目を引かないぎりぎりの速度で神官戦士から隠れたようだ。
>72
「今、御一人?」
アイリスは少年に偶々興味を持ったらしい。
彼女は川べりに降り立って、少年の横に座った。
「お互い大変よね、職も無ければ遊ぶだけの余裕も無い。
せめて心の余裕さえあればと思うけど、周りがそうはさせない」
どうやら少年を乞食の類と勘違いしているようだった。
いや、敢えてそのふりをしているのかもしれない。
「お姉さんの言う事、あんまり深く考えちゃ駄目よ」
そう言いつつも、アイリスは少年をじっと見つめた。
>71
「ちょっと聞いてよ旅の人。
親戚の友達の隣の家の人が言ってたらしいんだけど
夜に路地裏からすごい悲鳴が聞こえて必死で逃げたんだって〜!」
「情報元遠いですよ奥さん!」
という感じで世間話に巻き込まれつつ市壁の近くへ。
「うわ、検問気合入ってる。こりゃあちょっとやそっとじゃ出れないね〜」
橋の上で佇んでいる少年がいる。橋の上……?
「早まるなー、少年!」
>72
少年はどこかに行ってしまった。後から神官戦士がやってくる。
「神官戦士避けてるってことは……当たりの可能性が高い!」
>73
直後、1本先の路地に少年を発見。なぜかアイリスさんとセットで。
今出て行ったらややこしい話になるかもしれない。
1.すぐ出て行く
2.ちょっと様子を見る
さあどうする!?
「・・・お姉さん?」
外見は同い年くらいのアイリスがいきなり横に座って“お姉さん”宣言したので
少年はちょっと驚いたようにアイリスの顔を見て、
それから急に何かに気付いたように目をそらした。
「お姉さん、この街の人?・・・じゃないですよね。一人ですか?ですよね・・・」
川を見ながら落ち着かなそうに質問して自分で答えて自分で落胆している。
「・・・・・・」
少年は何か言いかけ・・・結局、飲み込んだようだった。
>>71-72 市壁に着くと、その少年を必死で探す。
おばさんの世間話に巻き込まれつつも、検問がアレだけ大規模な物ならそう簡単には抜けないだろうと思っていたが
その途中で橋で水面を見ている少年を発見する。
「例の少年は年で言えばこれくらいでござろうなぁ……」
だが、どこか不自然な感じがする。しばらく様子を見ることとする。
そしてしばらくすると神官戦士が来ると少年は大急ぎで橋を渡る。それを見逃さない
「むっ……あの少年を追うでござるよ」
少年の後を気配を殺して追い始める。
>>73 追い続けていると、1本先を抜けた路地裏で少年を発見する。
そしてその近くには女子が一人居た。
「仲間でござるか……?それとも違うのでござるか?…」
出るタイミングを見計らい、様子を再びみる。
そのまま沈黙を続ける気まずさに耐えられなくなったのか、
アイリスの視線に含まれた催眠がある程度は効いたのか、
少年はぎこちなく口を開く。
「街から出たい・・・でも・・・」
「検問・・・きっと捕まる・・・」
「逃げて来たんです・・・えと、その・・・奉公先から・・・」
「か・・・家族が・・・悪い病気で・・・早く・・・会いた・・・」
言いながら、川を見つめる少年は涙目になっていた。
陽はゆっくりと傾き、川面に映る空はほんの少しずつ暗くなりかけている。
少年はそれから更にしばらく涙を浮かべて川を見つめていたが、
遂に決心したのかアイリスに言う。
「あの・・・僕を、荷物かなにかに隠して、街から出してくれませんか?」
しかし、
「そ、そんなの無理ですよね・・・すみません、忘れて下さい。
ほんと、何でもないです。ごめんなさい。忘れて下さいお願いします・・・」
すぐさま慌てて取り消し、
「ほんとすみませんでした・・・それじゃ」
アイリスから離れてどこかへ歩いて行こうとしている。
因みに、しばらく少年の側にいたアイリスには、
少年からわずかな魔力が漏れ出ているのが感じられる。
しかしそれが何か(血の魔石かどうか)まではわからない。
レオ「オーシアが石の護送要員を派遣してくれることになったらしいな・・・
石奪取そのものは“黒い魔導師”ロランド・ランズの依頼だが、
まあノダメ校長の事だから、裏では通じてるんだろう・・・」
メルディ「じゃあ、ますます石奪取しなきゃだね!みんながんばってるかな?むむ???」
レオ「・・・ウインドボイスは盗聴器ではありません!」
メルディ「いや、盗聴器です(きっぱり)」
>78
「そうね……」
アイリスは何かを考えたようだった。
空を見上げれば、満月が爛々と輝いている。
「ここで会ったのも何かの縁ってことで、逃げられるよう尽力しても良いよ。
それができるだけのコネはあるし」
日が暮れる時間になると、アイリスの手下は行動を開始する。
彼らは生前の技術も保有しているので、いわゆる「裏社会の運び屋」の仕事を任せられる者も居る。
いつの間にか、リヤカーを引っ張っている行商人が居る。青っ白い肌の。
乗れ、という合図を出している。
「ただし、これからこの町で酷いことが起きるから、何があっても絶対に戻ってきては駄目よ。
でないと、巻き込まれて不幸な目にあうよ」
>78
アイリスさんから離れてどこかに行こうとする少年。
ここで見失ったら元も子もない。少年の前にずざーっと現れて行く手を遮る。
「ちょっと待った――!」
慎重に、単刀直入とも単なる親切とも取れる曖昧な言葉で聞き出そうとする。
「追われてるんだね……。
こっそり外に出す事ならできる。でも逃がしても根本的な解決にはならないんじゃないかな。
こうなった経緯を正直に話してくれれば力になれるかもしれない」
「…………」
少年は沈黙してしまった。やっぱりそう簡単にはいかない。
「そんなに警戒しないで。怪しい者じゃないから。悩みがあったら言ってごらん」
これじゃあどう見ても怪しい人である。
>80
場の流れでアイリスさんも一緒になり、少年の人生相談会(?)をしている間に夜になった。
しばらく側にいると、僅かながら魔力を感じる。
強硬手段で血の魔石らしきものを奪取してから話を聞くことも考えないでもなかったが
アイリスさんが石を欲しがりだしたらややこしい。
アイリスさんの手下っぽいリヤカーを引っ張った人が来た。
どうやら逃がす流れ。少年が外に出たら街の外で捕まえよう。
>「ただし、これからこの町で酷いことが起きるから、何があっても絶対に戻ってきては駄目よ。
でないと、巻き込まれて不幸な目にあうよ」
「そんな物騒な……」
問いただそうとした時だった。少年の様子がおかしい事に気づく。
「う……」
「どうしたの? ……何!?」
歩み寄るも、すさまじい闇の魔力の爆発に思わず飛び退く。
「グルルルル……」
人のものではない低いうなり声。
そこにいたのは少年ではなく、犬のような姿をした魔獣。
その胸元には、血のように紅い宝石が爛爛と輝いていた……!
数日前に遡る。
私、エディット・ミストールことエドは数名の腕の立つ同僚と共に校長室に呼び出されました。
「とある筋から血の魔石というマジックアイテムの奪取と護送の依頼を受けたわ」
ノダメ校長の口から告げられたそのアイテムは大変危険な代物であるらしく、周囲の生気吸い取って生物を緩やかにアンデットにしてしまうらしいです。
私達がなぜその様な依頼を受けたのか、依頼主はどのような人物なのか、悪用される危険はないのかと矢継ぎ早に質問していくと、
校長は今は光とも闇とも取れぬ立場にいるらしい先代勇者の一人からの依頼であると告げました。
悪用される危険性も考えられるがその人が二柱神の共倒れを狙う以上、目的の半分は同じであるので今は味方に引き入れて、
先に死霊皇帝を倒すためにも太いパイプラインを作っておきたいらしいのです。
なるほど!納得いきました。
校長が見た目以上にやり手というのは本当らしいですね。当面は呉越同舟という事で最大の障害を排除するために利用するみたいです。
任務の重要性を理解した同僚達が出世欲を丸出しで、俺が俺がどうぞどうぞなんて横で言っていますが今回ばかりは他の人に任せられません。
度重なる失態もソロソロ汚名返上をしなければいけせんし、私の能力が適任ですね!
「あの校長、私にやらせて欲しいんですが。
私なら少し生命力を抜かれるくらいどうってこと無いですし、霧なって侵入したり見つかっても煙を巻くこともできますよ」
校長が少し考える素振りしてから私を適任者として採用してくれました。
部屋を退出する同僚達の今回は失敗するなよという皮肉を聞き流し、詳しい説明を受けた私は王都ファティマへ訪れている。
「先ずは宿を取りますかぁ。久しぶりにシャワーでも浴びて旅の疲れを取りたいですねぇ」
関所を越えた所にある橋の上から川を眺めながら軽く一杯。あうーおいしいです。
やはり酒は度数の高い蒸留酒に限りますねぇ。喉が焼けるようです。
幸せに一息を吐いたところで、ふと橋の上を見るとベンチにはつなぎを着込んだ若い男が座っていた。
ウホッ!良い男。やらないか?
違う違う!酔いが回るには早すぎますよ私!
瞼をこすって目線を戻すと橋の上に黒い服を着込んだ死人のようなオーラを出してる少女が少年を魅了しているのが見えました。
「マズイなあ・・・」
そう呟くと私は取りあえず酒に栓をしていつでも動ける態勢になった。
犬のような魔獣の姿は
>>57より更にボロボロ度合いが進んでいた。
被毛はほとんど抜け落ち、肢体の所々がかゆうま化している。
そして、光る石は・・・紐も鎖も金具も何もなく、ただ石だけで、
まるで魔獣の身体自体が台座であるかのように胸元に埋まっていた。
魔獣はじきに、生き物と生命力を喰らおうと襲いかかってくるだろう
(・・・アンデッドはスルーされるかもしれないw)
>81
闇の魔力の爆発と、獣の胸元に光る紅い宝石を見るや、アイリスは薄く笑みを浮かべた。
「やっぱり、魔石はそこにあったのね」
それを確認すると、アイリスは持っている何かを天に掲げた。
持っているアイテムは強力なペンライトのような形状の物体で、かなり遠くまで届く光と音を発した。仲間への合図に他ならない。
そして、恐怖による麻痺をもたらす赤い瞳でもって、テイル達を睨みつけた。
「テイル。聞いていたならわかるわよね。これから、酷いことが起きるよ。
死ぬより酷い目に遭いたくなければ、今すぐこの町から去りなさい。
……今まで失敗続きだったけれど、今回は失敗しないから。それじゃあ」
>83
アイリスはそれだけ言うと、身を翻し、“獣”の懐へと飛び込んだ。
彼女が何か古代語の呪文を唱えると、その“獣”の姿が一瞬にして消失した。
《テレポート》だ。距離を詰めたのは、手の届く距離のものでなければ対象にできないためだ。
彼女は自分の知っている場所に飛ばした。そして、彼女はこの町の全てを知っている。
「テイル、大事な事だからもう一度言うよ。すぐにこの町から離れないと、単に死ぬより酷いことになるからね」
そう言って、彼女自身も後を追うように《テレポート》の呪文で姿を消した。
アイリスがテレポートでやってきたそこは、大理石の床や壁がある、小奇麗で大きな建物だった。
神官達の姿や壮麗な祭壇から察するに、なんとファティマの中央神殿だった。
おびただしい数の神官戦士がアイリスと獣を囲むが、アイリスはそれらを一瞥するや、彼等は尽く無力になった。
どうやら、ファティマの神殿にはアイリスの視線の魔力に抵抗できる人材が存在しなかったらしい。
それもそのはず、旧ソードワールド基準で考えるなら、普通の司祭や神官戦士が3〜5レベルである。
そして、バンパイアの凝視を期待値で抵抗するためには7レベル程度必要だ。
7レベルというと、戦士であれば実力で地位を得た騎士団長、神官なら大神殿の高位司祭クラスだと思えば良い。
そんな奴等だらけの神殿なんて、チート野郎ばかりで構成された某島でもない限りはありえない。
故にバンパイア一匹に無力化されたところで、何ら不思議ではないのだ。
何人か抵抗に成功しても良さそうなものだがは、偶々ダイス目が良くなかった連中ばかりだったのだろう。
「あんた達には感謝してるよ」
「わたしは100年間くらい前に、うっかり魔除けの方のペンタグラムを組んでしまって、そのためにわたしは地上に出てくることができなかった。
だけど、あんた達が邪な心を起こして、祠を破壊するから出てくることができた」
魔除けのペンタグラムなんか組んじゃったのは、やっぱりドジのせいだった。
本当は違う魔法陣を組みたかったのだろう。
「だから、あんた達はもう用済み。
これ以上食い扶持を増やすわけにもいかないから、第二の人生とも縁が無かったってことで、まあ諦めて頂戴」
アイリスは懐に隠してあった短刀を抜き放った。
バンパイアが人の生血を吸って活力にしていることは周知の事実だが、今回のアイリスの行動は単なる吸血行為ではない。
今、彼女が精を出しているのは、闇の神への生贄を捧げる事で様々な恩恵を受ける、暗黒魔法の儀式だ。
恐怖のあまり麻痺して棒立ちになった神官達は、全員抵抗できないので生贄にされた。
これにより、アイリスは更なる力を獲得してゆくのだ。単に血を吸って活力を得るだけがバンパイアの領分ではない。
最後の1人、悪人面の神官長を絶命させたところで、アイリスは再び思索を始めた。
テイル達はきっと町から逃げることなく、中央の神殿にテレポートをしたことをすぐにつきとめ、ここにやってくるだろうと考えている。
こうして生贄を捧げるのに結構な時間を要したはずなので、来るなら時間の問題でしかあるまい。
“獣”は何処へ行ったのか?
盗聴中メルディ「犬に変身・・・十二国でもクリスタニアでも適当にイメージしといてね」
レオ「ウインドボイスでは姿はわかりません!つか古っ!」
盗聴中メルディ「尚、もう管理しなくていいかもしれないけど一応夜コマ突入済みね」
飲んだばかりで少し勿体無い気もしましたが、アルコールを霧にして体外へ出すと視界が鮮明になりました。
>>81 先ほどは気付きませんでしたが、資料にあった勇者御一行のテイルさんらしき人物も一緒にいるようです。
少年をスケープゴートをする為に話し合ってるようですが、テイルさんにもこの町を離れるように促してるみたいです。
なにやら近いうちに一悶着ある模様です。コレは聞き逃してはいけませんね。
>>83 詳しい内容を聞き取るために少し近づいたその時です!
少年の体を闇の魔力の爆発ともいえる奔流が包み込み、犬のような魔獣に変貌してしまったのではないですか!
(あの赤い輝きはもしかして例の魔石!!!神殿内で保管されていたのではなかったのですが!?)
そう胸の内で吐き捨てると私はそれに向かって走り出しました。
>>84 距離は約50。龍人の私なら3秒と掛からず辿り着けるでしょう。ですが少女も反応しているようですし、距離も少女の方が近いです。
私は少女の身のこなしから格闘技は素人だと判断しましたが、アンデットのセーブの外れた筋力は警戒すべきです。
直接魔獣に向かって少女と組み合うよりも安全に魔石を得るため、少々汚い気もしますが後背から不意を撃つ事にしました。
「龍王空隙穿・・・・・・!!!」
周囲への被害を極力抑えるために選択したこの技は指先に集中させたを勁を放ち、急所を穿つ龍王拳闘術の最大の秘奥義です。
・・・・・・秘奥義でしたが、あっさり空を切って手すりを打ち抜いただけに終わりました。
少女の動きを読んで予測射撃を行ったつもりでありましたが、なにやら少女が呟くと魔獣と少女が忽然とその姿を掻き消したのです。
「・・・・・・!!!まさか跳躍なんて超高等呪文を使うなんて!
ただのヴァンパイアと踏んでいましたが最悪ですね、不死者の王に近いレベルですか」
逃がした魚は大きいですが、私にその行方を知るすべはありません。ならば足を使って地道に探すまでです。
その場に居たテイルさんにオーシアの職員証を提示して身分を明かし協力を仰ぐと、テイルさんは早速仲間と連絡を取り始めました。
「テイルさん。今、私達のやるべき事は3つです」
・得た情報の共有
・組織的なヴァンパイアの探索
・ヴァンパイア打倒の為に(使い物になるレベルの者達の)戦力の集中
「ほぉ〜大したもんだ」
思索するアイリスの背後から声が聞こえる。
振り向けば、その声の主の姿が視野に入るだろう。
黒いフードを被り、両手両足は鎖で繋がれ更に重りまでついている
何も知らない者が見ても罪人だとわかるだろう。
教団のことを知っているならば、フードの色から死刑囚であることがわかるはずだ。
「うら若き乙女が大の男共をここまでやっちまうなんてな
…ま、そんなこたぁどうでもいいんだ
あんたがいきなり来てくれたお陰で労をせずに逃げられたんでな
ちょっとした礼がいいたかっただけだ
…ったんだが、その様子だとアンタ結構ヤバいことしてそうだな
いやいや、勘違いするなよ
アンタとやろうってんじゃないんだ
アンタが何かやるまで、何もしないって言いたいだけなんだよ
それまで、私は適当な場所で見物させてもらうからさ」
>>78 少年はなにやら言いかけるが女子から離れる。
大急ぎで追いかけ、少年の先回りを考えるが、テイル殿が先に話しかけてしまった。
怪しげな目で見られていたがそれは当たり前だろうと思いつつ、自分の名前を名乗りフォローする。
「拙者の名前は乱堂 武、旅の僧をしている者でござるそして彼がテイル殿だ。
お主、困っている事がなら力を貸そうどうかな?」
返事を待つ
>83-84
犬はかゆうま化が著しく進み、その上なぜか魔石はめり込んでいるような状態になっていた。
これはもぎ取るのに骨が折れそうだ。
と思っている間に消えてしまった。
>「テイル、大事な事だからもう一度言うよ。すぐにこの町から離れないと、単に死ぬより酷いことになるからね」
「ちょっと待ってよ〜!」
アイリスさんも消え、ついでに何者かによって手すりが打ち抜かれる。
>87
>「・・・・・・!!!まさか跳躍なんて超高等呪文を使うなんて!
ただのヴァンパイアと踏んでいましたが最悪ですね、不死者の王に近いレベルですか」
「最悪ですねえ、何やかんや言いながらも街の人と仲良くやってるご近所系ヴァンパイアと踏んでいましたが……誰!?」
なんでいきなり龍人がこんなところに!? と思ったらオーシア魔法学校の職員のようだ。
腕輪状のウィンドボイスのコモンルーンでメルちゃんと通信する。
「あー、あー、マイクテストマイクテスト。魔石の護送要員と合流しました!
しかし血の魔石をあと一歩のところで取り逃がしました!」
『全部聞いてたから分かってる。うん、エドちゃんね、学校から派遣されたんだ。
それより大変な事になったね。今回は僕達も出ようか!?』
心配そうだけど僕達も出ようかの部分がどことなく嬉しそうなのは気のせいだろうか。
>「テイルさん。今、私達のやるべき事は3つです」
>得た情報の共有 かくかくしかじか
・街の人情報(>38 >66)(多分大体本当)
・アイリスさん情報(>51)(どこまでが真実かは不明)
・不思議な神官情報 (>58)(どこまでが真実かは不明)
>ヴァンパイア打倒の為に(使い物になるレベルの者達の)戦力の集中
といってもボク達以外に誰かいるっけ。もょもとトンヌラサマンサ……うーん、微妙だけど却下。
いや、一人戦力になりそうな知り合いがいた!
通信でメルちゃんに告げる。
「もしエメロちゃん見つけたら捕まえといて!」
そう、彼女は普通に超人バトルに参加する実力の持ち主なのに、なぜか神殿では平扱い。
>組織的なヴァンパイアの探索
見ればさっきのアイリスさんの手下がいそいそとどこかへ行こうとしている。
「後を付ければ何かつかめるかもしれない……!」
>>89 少年は、少しおびえた様子でテイルや武にも
>>77 のような事をぽつりぽつりと言ったが
武があれこれ問いかけてもそれ以上の答えはなかった。
やがて陽が落ち夜が訪れた時、少年の姿は胸元に石を嵌め込んだ犬のような魔獣に変わり、
理性をなくして武達に襲いかかってくるかに見えた・・・が、
更に割り込んだアイリスによってどこかに「飛ばされ」姿を消してしまった。
少なくともこの辺りに魔獣の気配はしない。
>>85 中央神殿の高い天井の入り組んだ梁や石組みの陰に、
いつのまにか細身の神官がそっと身を潜めていた。
(おやおや、これはベアトリーチェが寄越したお客様ではありませんねえ・・・)
儀式を続けるアイリスは、穏やかに見守るその神官には気付かない。
そしてアイリスが儀式を終えた時、神官もまた中央神殿から姿を消していた。
休息を与えられ自室に戻ったエメロは、翌日の夜になってもまだ眠り続けていた。
前章で天空都市のガーディアンに斬られた物理的な損傷は治癒していても、
道中ギャグ軍団によって与えられた心のダメージは想像以上に深かったのかもしれない。
そこへ、市街を走り抜け、どこで知ったのか神殿の塀を乗り越えて
最短距離で宿坊のエメロの部屋に直行したメルディが
降って湧いた悪夢のように滑り込む。
「エメロちゃーん!ゾンビ犬とバンパイアが逃げたの。探すから街案内して!」
あと5分・・・も、布団をかぶって見なかった事にしようにも、
メルディが既に布団の中に居る以上無意味なのを覚醒と同時に悟り、
エメロはメルディを布団に置き去りにして寝台から飛び降り即座に武装を開始する。
「エメロちゃん宿坊にいたよー。確保確保。どこで落ち合うー?」
「・・・・・・。
手遅れかもしれませんがまずは中央神殿へ。
あそこに夥しい血と同僚の無念の気配が・・・」
がしょん、と大剣を手にしたエメロが布団の中で腕輪通信中のメルディに沈痛に告げた。
>87
アイリスは回想した。
自分に向けて強力な大技を放った、あの人物のことを。
あの技を直に喰らえば、結構な痛手になるだろう。
>88
「邪魔しないでよ。これは大事なことなんだから。
失敗しても次があるって言っても、ねえ?何度も大規模な陰謀に着手するのはアレですし」
生贄を捧げ終わったアイリスは、以前よりも更に強い闇のオーラを身に纏っている。
暴君へとなりつつある貫禄は、まあ基本はドジっ娘のアイリスだし、そんなの身についているわけがない。
「城壁から南へ行ったところに高台があるから、見物するならそこでやってね。
もうすぐ、この王都ファティマは地図から消えて、新たな名前が書き込まれる事になるわけだし。
……別に、巻き込まれたいならそれでも良いけど」
>92
「そこっ!」
何者かの気配を察知したアイリスは、数本のクナイを投げつけた。
でも>92のシーンで謎の神官が消えてから3分以上経った後に投げたので、本当に察知していたかどうかは不明である。
カカカッとクナイが壁に刺さる。まるで見当違いの方向だった。
「どうやら、わたし以外にも何か企んでいる奴が居るようね。
『奴は六武神の中でも一番の小物、人間ごときに負けるとは死霊皇帝軍の面汚しよ!』みたいな流れで六武神の誰かが欠員になって、
その補充で六武神に繰上げになったダークホース的な、わたし以上に恐るべき何かが!」
すべてアイリスの妄想である。
100年以上引き篭もっていたアイリスは、死霊皇帝軍のことをまるで知らないのだ。
>>89>>90 テイルさんがコモンルーンを使って連絡を取ってくれたお陰で、情報の整理と戦力の集中が速やかに行えました。
近くで成り行きを見守っていた武さんと合流し、とりあえずは例の少女の眷属と思われるアンデットについて行くことに。
「二人とも静かに。何か話しているようですね・・・・。」
ここは物陰に身を隠して眷属(仮)の会話を聞き取るとしましょう。
「oi
みす
お前この後は俺たちどうすりゃ良いんだサル?」
「あの石や獣を探せとしか聞いてないふぇすわ?お?」
「見つけとも持って帰って来いとすら言われてにいんだが残念なことにねぇ」
・・・・・・高い知性を持つはずの不死者王にしては随分と段取りが悪いですねぇ。会話の仕方もなんか頭悪いです。
「とりあえずアイリス様に聞きに行くか」
「アイリス様と聞いて儀式をする事を思い出した俺に隙はなかった 」
「手伝いに行くべきそうするべき」
謙虚な眷属(決定)達はそういうと神殿もっとも警備の薄いところへと回り込み、壁をよじ登り始めた。
このまま追いかけてもいいですが、戦力的には仲間を待った方がいいですね。
「他の皆様もいらっしゃるのですか?
・・・ならば、正門へおいで下さい。私がご案内します」
エメロはメルディにそう告げると正門に向かって歩き出した。
メルディ「・・・みんな神殿正門に集合だよー。尚バナナはおやつに入りません!」
>92
「やっぱりこの辺りにはいないみたいだねー」
>93
>「エメロちゃん宿坊にいたよー。確保確保。どこで落ち合うー?」
確保早ッ!
暇そうにお茶ばかりしているように見せかけて裏で情報収集していたのだろうか。
留守番組、なかなかに侮れない。
>95
悲しきかな、レッサーヴァンパイア達は知能があまり高くはなかった。
もちろんそっちの方が都合がいいんだけどなんともいえない悲哀がただよう。
ついていくと、謙虚な眷属(決定)達はもそもそと神殿へ入っていく。
「中で只ならぬ事が起こってるな……」
>96
「正門に集合だって〜」
正門前では、メルちゃんがニンニククロスソードで素振りをやっていた。
ニンニククロスソードとは文字通りニンニクと十字架が貼りついた剣。
以前のカルト騒動(第7章)の時にイロモノ集団から失敬した物と思われる。
そして横で頭を抱えているエメロちゃんを尻目に力説し始める。
「だって相手はヴァンパイアでしょ? ぴったりじゃん」
「いや、それはそうなんだけど……」
確かにぴったりなんだけどギャグアイテムだから無理っぽい気がする。
オニオン「すみません、>97の最初のレスアンカーは>91です」
>>91 >>95 少年の家族に会いたいという思いは痛いほど分かった。
しかし、それ以上の事は話してくれなかった。
しばらくすると異変が起き、少年は犬のような化物に変わってしまい
こっちに襲い掛かってきたが、途中で消えてしまう。
「な、なにが起こったでござるか?」
事態が把握できない時にエドという青年と合流する。
そして少年を消し去った女子の下僕をエド殿と共に追う。
>「oi
みす
お前この後は俺たちどうすりゃ良いんだサル?」
「あの石や獣を探せとしか聞いてないふぇすわ?お?」
「見つけとも持って帰って来いとすら言われてにいんだが残念なことにねぇ」
・・・・・・高い知性を持つはずの不死者王にしては随分と段取りが悪いですねぇ。会話の仕方もなんか頭悪いです。
「とりあえずアイリス様に聞きに行くか」
「アイリス様と聞いて儀式をする事を思い出した俺に隙はなかった 」
「手伝いに行くべきそうするべき」
確かに今の戦力では心元ないが、今潰せるだけ潰しておこう。
「エド殿、お主は他の皆を待っていて欲しいでござる。拙者は先にいくでござる!」
そう言い残して眷族達を追う。
>95>97
アイリスは基本的に用心深い人物ではある。
「万能なるマナよ、万物を透かして見える瞳を我に与えよ!」
アイリスは何か古代語の呪文を唱えた。どう考えても《シースルー》だ。
あらゆる障害物を透視し、半径30メートル以内の空間を完全に把握することができる。
呪文の効果を拡大すれば、もっと広範囲を視認できる。
どれほど呪文の効果を拡大したかはさておき、彼女は侵入者の存在を確認した。
「……やっぱり来たわね。でも、邪魔される訳にはいかないの」
アイリスは、自分が使える魔法のうち、壁越しにかけられる魔法について思案した。
すぐに答えは出た。
アイリスは懐から大きな水晶球を取り出して、古代語の呪文を唱えた。
「万物の根源たるマナよ、稲妻の綱となりて彼の者を束縛せよ!」
天に掲げた水晶球は、アイリスが呪文を唱え終えると同時に砕け散った。これは魔晶石だ。
アイリスが唱えた呪文は《ライトニング・バインド》だった。
電撃の網で敵を拘束する呪文で、動きを封じると同時に雷のダメージを与え続ける、超凶悪な攻撃魔法だ。
およそ3分くらいの間は動きを封じるが、オーガーくらい屈強な身体の持ち主でも、だいたい1分以内に黒い炭になるくらいの威力がある。
アイリスが今やっているこれは、某リプレイのGMがPCにやられて、ボスを瞬殺されて涙目になったコンボだ。
アイリスは《シースルー》の恩恵で侵入者を発見するや、手当たり次第に《ライトニング・バインド》をかけている。
もしかしたら
>>92で逃げた人も犠牲になっているかもしれないが、まあなんとかなるさ。
一応、自分の部下のレッサーバンパイアの顔は覚えているので、流石に彼らにはかけない。
「我が部下よ、とりあえずこの神殿で何か目ぼしいものがあったら、私の元に持ってきなさい!
あと、生きてる奴が居たら連れてくること!」
侵入者を処理する傍ら、アイリスは声を張り上げて命令した。
この神殿には、血の魔石以外にも重要なマジックアイテムを隠されているに違いないと踏んでいるのだ。
部下のレッサーバンパイアはガサ入れを始めた。
>>99 武さんが先行して眷属達を潰すと申し出て、仲間が全て到着する前に飛び込んでいってしまいました。
まあ僧侶といえば対アンデットの専門職なので、直接不死者の王とやり合わなければ問題ないとは思いますが・・・。
>>93>>100 二分と経たないうちにエメロさんという方と合流して神殿に侵入しようとした矢先、稲妻が落ちるような轟音と武さんと思われる叫び声が上がりました。
「・・・・・・!!!武さんの安全の確保が先ですね!」
そう確認し合い、叫び声がした場所へ向かおうと走り出そうとした私達を阻むものがいました。
先ほどとは別の眷属たちのようです。数は5人と私達より多いですが、龍人や神官のいるこのPTの敵ではありません。
「おいここから先に進みたければ俺達を倒していくんだな」
「光を眷属に闇系を怒りをパワーを力が加わって高確率で最強に見えそうになる俺達が倒せるかな」
「あなた達とは遊んでる暇はありません・・・・・・龍王崩山拳!!!」
空隙穿(くうげきせん)が勁を槍の様に発して急所を打ち抜く技の奥義であるのに対し、
崩山拳(ほうさんけん)は練り上げた勁を正拳突きや掌底、横蹴りや前蹴り等を使って直接に叩きつける龍王流第一にして力の奥義です。
「ちょww一撃で二人死ぬなんてsYレにならんでしょコレはw」
「ダメージで二人持って行くなんてきてたないな圧倒的に龍人汚い」
「何もできないふぇ灰になる俺達。さすが謙虚な眷属は格が違った」
十分な踏み込みの上で放った崩山拳は攻撃を加えた相手をバラバラにしながら吹き飛ばし、その体の一部が頭に直撃した者をも灰にした。
後、三人・・・・・・!!!
>99
「分かった。危なそうだったら無理しないで!」
タケル君は退魔僧だし大丈夫大丈夫……
>100-101
いきなり轟音と叫び声が聞こえる。
「大丈夫じゃね――!!」
急いで向かうが、レッサーヴァンパイアが5匹現れた!
>「あなた達とは遊んでる暇はありません・・・・・・龍王崩山拳!!!」
「エドちゃんやるぅ!」
仲間がやられて怒りだす3匹のレッサーヴァンパイア達。
「おのれ、同士の仇〜」
「ここで会ったが百年目、うらみはらさで置物か」
「かくごー」
残念、レッサーヴァンパイア達のターンは口上で終わってしまった!
よってボクのターン!
「【ストーンブラスト】!!」
後ろでメルちゃんがメタな解説を加える。
「説明しよう! これは妖精が得意とする自然操作系の魔法の一つ。
ものすごい速度で地面の石を巻き上げる事によって相手にダメージを与えるよ!
ちなみに妖精の魔法にはアイリスさんの使う古代語魔法なるものと同じ名前の魔法が時々出てくるけど
本質的に同じかどうかとか深く考えてはいけないよ!」
解説が終わった頃にはレッサー達はボロ雑巾のようになって崩れ去った。
ウィンドボイス通信でタケル君に呼び掛ける。
「タケル君、無事!?」
【場所・時間軸未定】
なぜか服の所々が焦げ、見た感じボロボロになっている例の黒幕っぽい紅茶神官。
そんな事を気にしていないかのようにいつもと変わらぬ穏やかな笑みを浮かべる。
「予定とは違う客人でしたがむしろ好都合だったかもしれません。
あの者の計画が完遂せんとする時、あなたの真の力が解放される……!」
彼の視線の先には、結界の中に拘束された“巫女”がいた。
「喜びなさい、あなたは世界のための尊い犠牲となるのです」
「お?」
マジックアイテムを発見してアイリスの元に持ち帰ろうとした手下が
「うわーだめだー」
崩れ去った。
「神殿所有のマジックアイテムなんて対アンデッド兵器に決まってんだろjk」
生前シーフ技能を持っていたレッサーバンパイアが数人、物々しい防備で宝物庫に向かう。
ダンジョンシナリオ1話分くらいある宝物庫攻略は成功するのだろうか。
「生きてる奴居ましたー」
別のレッサーバンパイアが台車をがらがら押してやってくる。
台車の上には大きな肉厚のガラス瓶。瓶の中にはかゆうま化した人体の一部。
アンデッドにとっての“生きてる”とは、日本人にとっての否定疑問文に答える
Yes/Noのように難しい概念なのかもしれない。
「ぴっちぴっち、ちゃっぷちゃっぷ、らん、らん、らん♪」
ゴム合羽にゴム長靴、ゴム手袋に、地上に長く尾を引く銅線付きの傘。
大剣を構え飛び出そうとするエメロを背で制しながら、メルディは歌っていた。
飛んできた電網はNPC特権と傘で受けて水の精霊に作らせた足下のぬかるみにアースし、
開け放たれた中央神殿の入り口の後方、何とか中を覗き見られる程度に離れた位置に立つ。
「くっ・・・何という・・・」
予想はしていたものの、実際に中の光景を見て言葉を失うエメロ。
犠牲者を悼む祈りの言葉を絞り出すように唱え終えると、
「かくなる上は中央神殿を浄化の炎で包み失われた魂とともにガイアに捧げるのみ!」
掲げた大剣に魔法の聖なる光を灯し、とてつもなく物騒な事を叫ぶとエメロは駆け出した。
・・・中央神殿の入り口とは、まるで反対の方へ。
「わーっ、早まっちゃダメー!ちゃんとPCの行動を待って!」
よくわからない事を叫びながら見送ったメルディは、思い出したように呟いた。
「そういえば、犬いないね?」
>99
武が見た光景は……電撃の網で縛られただう゛ぃでこと芸術的なストーンサーヴァントだった!
普段はしばらくたったら効果が切れるのだが
>23で作ったのがどういう訳か野良サーヴァントと化して徘徊していたようである。
野良サーヴァントは1分とたたないうちに黒焦げになって崩れ去った。
そこにメルディを先頭とする御一行が追い付いてくる。
>104
部下の素晴らしい功績に、アイリスは頭を抱えた。
「……やっぱゴブリンシャーマンといい勝負するような奴等に任せるんじゃなかったわ。
まったく、本当に『知能:人間なみ』なのかしら」
ソードワールド2.0のレッサーバンパイアだったら、文句無しに知能も高くて強いのだが、残念ながらアイリスは旧版仕様のバンパイアだ。
当然、その手下のレッサーバンパイアもまた、旧ソードワールド仕様である。
旧版のレッサーバンパイアは普通のゴブリンと1レベルくらいしか違わないので、確かにアイリスの言うとおり、ゴブリンシャーマンといい勝負というわけだ。
「……とりあえず見張りをして、変なのを見つけたら麻痺させて連れて来なさい」
10秒ほど悩んだ末、もうレッサーバンパイアどもは捨て駒にすることにした。
親元のバンパイアには劣るものの、一応は恐怖の視線やら精神力奪取やらは持っているので、テイル達にとって危険が無い訳ではない。
何かの間違いで麻痺の凝視が効いてしまうかも知れない。多分そんなことないけど。
アイリスは部下を見送った後、足元に散乱している死体を見遣った。
「もしかして、こいつらの方が優秀だったりとかしないわよね……」
試しに《クリエイト・ブアウ・ゾンビ》の呪文を、足元に散乱している死体にかけてみた。
魔法は使えず、知能も精密性も敏捷性も劣化するが、一応は生前の肉体技能(ファイターとか)を保持しているのが、この呪文で作られる「ブアウ・ゾンビ」である。
凄腕の戦士をブアウ・ゾンビにすると、強くて忠実で維持コストも要らない手下ができるので、レッサーバンパイアなんかよりずっと優秀だったりする。
ここの神官戦士のブアウ・ゾンビは、どれくらい働いてくれるだろう。
>犬の行方
一応、アイリス本人は神殿の屋上にでも立たせておいたつもりだが、その後どうなったかは知らない。
別に犬の動きは制限してはいないので、勝手に何処かへ行ったのかも知れないし、もしかすると>103辺りに出てきた不審人物に拉致されてしまったのかも知れない。
hosyu
眷属達を追いかけると突如、目の前に石の巨人が現れる。
「ごぅれむでござるか?しかしなぜに…」
と思った矢先、こっちに向かって電撃の網がこっちに向かってくるではないか
しかも結界も間に合わない速さで。
「しまった!今からでは霊符も間に合うまい…うぉぉぉぉぉ!」
間に合わないと思い、覚悟を決めるが痛みは感じなかった。
良く見ると先ほどのゴーレムが縛られているではないか。
そしてすぐに消し炭に帰っていくゴーレムを見る。
「危なかったでござる、もし位置が違っていれば拙者もああなっていたでござるか…」
そんな恐ろしい事を考えている内に背後から声がする。
後ろを振り向き、確認する。
>109
「良かった! だう゛ぃでに感謝だね。危ないからこっちに来て!」
>105
電気処理係のメルちゃんの周囲に寄り集まって進む。
「さすがオーシア魔法学校の裏幹部!ボク達に出来ない事を平然とやってのける!
そこに痺れるあこがれる!」
「いや、この場合痺れないためにやってんだろ」
と、レオ君。
>107
中央神殿の中にはそれはそれは凄惨な光景が広がっていた!
>「かくなる上は中央神殿を浄化の炎で包み失われた魂とともにガイアに捧げるのみ!」
「待って! 危ないよ!」
が、直後、エメロちゃんは立ちすくんだ。
「神官長……」
そこには例の悪人面の神官長、いや、神官長だったものがいた。
「気をつけて……ブアウゾンビだ!」
エメロちゃんは警告の声が聞こえていないかのように神官長ゾンビに詰め寄る。
「神官長、あなた程の方がなぜ……
誰よりもガイアへの信仰が深かったあなたが悪しき闇の術にかかるはずはありません!
どうか正気を取り戻してくださいッ!」
「HAHAHAHAHA!! かけがえのないガイアなど知るか!
どうせ人間死んだらお終いだ! 現世が全て! 現世利益最高!!」
本音全開モードの神官長ゾンビが放った正拳突きにエメロちゃんが吹っ飛ばされた!
「エメロちゃん、こいつはもうヴァンパイアの手下だ!」
エメロちゃんを庇うように、神官長ゾンビに対峙する。
「残念、そこはシジクレイです」
突然現れた長身の神官が呟くと、宿坊にガサ入れに向かったレッサーの動きが止まった。
「こちらは神官見習い…あるいは、寄進の代わりに身柄を頂いた、子供達の部屋があるだけです。
あなたのご主人が求めている物は、もっと近くにありますよ」
「知能:人間並み」に相応しく戻って行くレッサーを確認すると神官も姿を消した。
(忙しくなってきましたね…)
テイル殿達と合流し、中央神殿に向かう。
そこには目を覆いたくなるほど死体が転がっていた中で、
不自然な動きをする者たちが複数居るように見えた。
「おそらくはぞんびとやらに変えられたのだろうな……」
死してなお利用される死者達に手を合わせて祈る。
そしてその中にはあの神官長がいた。そしてその神官長の元に詰め寄るエメロ殿。
だが次の言葉を放ち、エメロ殿を殴り飛ばす。
>「HAHAHAHAHA!! かけがえのないガイアなど知るか!
どうせ人間死んだらお終いだ! 現世が全て! 現世利益最高!!」
この男のこの言動に、怒りが爆発する。
「信頼していた者を裏切り魔に落ちた者よ
異国の僧とはいえ貴様には同じ僧として引導を渡せねばならぬ
邪悪に身を落とし穢れたお主を今ここで成敗してくれる!」
跳躍し、錫杖を振り下ろす。
>>107>>110>>113 テイルら3人は神殿の内部に侵入して神官長だった者と戦闘を開始したらしい。
実に好都合。
注意が此方に向いてないのならば石だけ掠め取っておさらばする事も出来る。
この場であの不死者の王を倒すのは私の仕事に含まれていないので、高み見物でも構わないのだ。
私は先ほどから件の犬の気配を感じていた神殿の屋根へと視線を向けた。
どうやら闇の眷属の潜入員も一緒らしい。大方、魔石の奪取と不死者の王の監視が目的なのだろう。
光の眷属への潜入員ともなると幹部に最も近い奴らだ。それなりの腕の持ち主でもある。
巧妙に気を隠しているつもりのようだが私から見ればまだ甘い。
空気の張り詰め方が生気を感じさせない死者のそれとは全く違う。
久しぶりに感じた“それなり”の強者だ。呼吸を整えると、体を徐々に成人女性へと戻していく。
「実に1000年振りの大仕事だ。
後々支障が出ないようにこの体の準備運動でもさせてもらうとするか。
いくら脆く弱くともあのレベルならサンドバックくらいにはなるだろう・・・・・・」
腕を組んで屋根を見上げたままの状態で、微動だにせず地面に気を放つ。
瞬間、地面に小さいクレーターが出来たと思うとエドは神殿の屋根の上にふわりと着地した。
対面には、ボロボロになって骨や内臓が露出した例の犬。
そして手が汚れるのを厭わずそれを愛でる長身の神官が。此方の視線に気付くと軽く会釈をして挨拶をしてきたが、
「これはこれは。六武神のお一人であらせられる白霧のエでぇええ!!!?」
そいつが言い切る前に拳を頬に叩き込んでやった。
全くの予想外だったのか神官は吹っ飛び、受身を取れず屋根の上で悶絶した。
その間に犬の頭をトマトみたいに吹っ飛ばすと、アポートのカード共に魔石を空に放り投げる。
「い、一体何故?なぜぇです!?」
状況の読めない神官は恐慌状態に陥ったのか、その身を小刻みに震わせる。
そいつの態度に私の闘志は萎えていったが、それとは別に嗜虐心を煽っていった。
「なあに軽い運動さ。それと今日限りで六武神は廃業だ。
大きな仕事が入ったのでな。それで一仕事する前に準備運動をしようと思った訳だ。
お前さんの上司達をぶっ殺す時になって、満足に体が動かなかったら困るだろう?」
ズンッ!龍王雷震脚で爪先を踏み潰して頬でも削いでやろうとした時、神官はあまりの恐怖と痛みで気絶した。
「フンッ!詰まらん奴だ」
興味の失せた雑魚の命などどうでもいい。主任務である魔石の奪取は終わった。
魔石の運用はロランズ達に任して、私はこの騒ぎに乗じて顔を出すお偉いさん達を監視するとしよう。
それと不死者達の最後を見届けてやらねばなるまい。
再び体を縮めるとロランズに用意してもらった魔石モドキを手にして神殿の中に入っていった。
さも方向音痴であるかのように装って。
「皆さんどこですか〜?」
「ったく酷い目にあった」
巻き添えを喰らいかけた黒ローブの人物は身の危険を感じ、予定を変更して脱走を再会していた。
本来ならば、あの吸血鬼と真っ正面から向き合いたいのだが、あの様子から察するにおそらく増援が来たのだろう。
仮に教団関係者ならば、状況から見てあの吸血鬼とグルだと勘違いするだろう
このまま、雪だるま式に罪を重ねるつもりはない
「だが、まぁここまでの不祥事だ。少なからずガイア信仰は減るだろうよ
わざわざ捕まっていたかいがあったよ」
じゃらじゃらと鎖を引きずりながら、扉を開けようとした瞬間
>>114 「うおぁ!!!」
突然飛び出して来た子供らしい何かを蹴り飛ばしてしまった。
「お…悪い悪い!!!怪我なかったか
そんなつもりはなかったんだ
後で飴ちゃん買ってやるからな。だから期限直してくれよ」
慌てた様子で轢いた子供を起き上がらせようとした瞬間
黒ローブの手が止まった
かすかに香る血の匂いが彼女の本能を刺激したのだ
「…何人殺してきた」
>114
「う……うーん」
エドが去ってからどれぐらい時間がたっただろうか。
意識を取り戻して、もそもそ起き上がる紅茶神官。確かに紅茶神官なのだがどこか違う。
雰囲気が若いというかいつもの達観した威厳が全くない。
穏やかな笑みは微塵もなく、まるでただの人間のように怒りを顕わにする。
「あ ん の クソババア! コケにしやがって……僕だってもう六武神なんだ!」
近くに少年が倒れているのに気付き、血相を変えて駆け寄ってゆさぶる。
「なんてことだ……ッ! しっかりしろ!」
返事は無い。それもそのはず。
ジャンル上の都合、もとい大宇宙の法則のおかげで頭が無いなんてスプラッタな状態ではないものの
犬の時に頭を吹き飛ばされた分のダメージがそのまま反映されているのだ。
「そんな……あんまりだ。
見た瞬間に分かった。君はあまりに愚かで一途で……僕にそっくりな魂の形をしていた……。
やっと……やっと、永遠を共に生きる仲間を見つけたと思ったのにッ!」
今の彼は触れれば壊れてしまいそうな青年。細身の体と相まっていっそう頼りなく見える。
「ごめん、僕が間違ってた。せめて最後に大切な人に会わせてあげよう」
紅茶神官は少年を抱き上げてテレポートを発動した。
―――――――――――――
どこかで全てを観察する者達がいた。
片や白を基調としたゴーレム。死霊皇帝軍六武神の一人、満を持してこの度初登場、光鉄のグラム。
もう片方はナイトメアの暗黒神官。知る人ぞ知る死霊皇帝軍独立工作班インペトゥス・グラディウス、略してインペたん。
何事も起こらなければ教団を襲撃する予定だったが、他の襲撃者が現れたためグラムに止められて様子を見ていたのだ。
「あのお方の言う通りだったな。ミストール……やはり裏切ったか」
と、ゴーレムらしく重々しい口調のグラム。
「へぇ〜、あいつも元六武神だったのか。
それより善“偽”のメサイアだっけ。なんだありゃ? 二重人格か?」
インペトゥスがからかうような口調で返す。
「うむ、善“義”のメサイアだな。とんだ役立たずだ。
六武神の選定基準は一体どうなってるのだか。上層部の考えていることはよく分からん。
この調子だと我々も出ることになりそうだ。準備しておくように」
「りょ〜うかい」
>113
>「信頼していた者を裏切り魔に落ちた者よ
異国の僧とはいえ貴様には同じ僧として引導を渡せねばならぬ
邪悪に身を落とし穢れたお主を今ここで成敗してくれる!」
タケルくんの攻撃は神官長ゾンビを直撃した!
「なんのこれしき!」
いや、見た感じ滅茶苦茶効いてます。
が、色々部位が崩れそうになりつつなおハイテンションで迫ってくる!
「HAHAHAHAHA!! 食らえ、爆裂拳!!」
ああ、何たるゾンビクオリティ。こうなったら一気に火葬しましょう!
「みんな下がってー!【ファイアボール】!」
火炎球を打ちこみ、神官長ゾンビは紅蓮の炎に包まれる。
「やったか!?」
だがしかし。炎の中から全身火だるま状態で出てくる神官長ゾンビ。
「侵入者をぶっ殺して手柄をあげて主からがっぽり報酬をもらうのだー!」
それにしてもこの神官長ゾンビ、ノリノリである!
「いやああああああ! はっきり言って怖いんですけど!」
「かくなるうえは……ニンニククロスソードアターック!」
メルちゃんがニンニククロスソードを適当に構えて突進してくる!
が、押しのけられてこけた!
「きゃん!」
押しのけた者は……悲壮な決意を固めたエメロちゃんだった。
光属性付与の魔法を掛けた大剣を掲げる。
「神官長、すぐ楽になりますから。私がこの手でガイアの御許へ帰して差し上げます!
たあああああああッ!!」
――――気合一閃!!
聖なる斬撃を受け、神官長は崩れ落ちるように倒れた。
「やったね! ……あ」
「マティアス神官長、しっかりしてください!」
神官長の亡き骸に駆け寄るエメロちゃんを見てしまったと思う。
「エメロちゃん……」
話しかけても無駄だと言いかけた時だった。
エメロちゃんの想いが通じたのだろうか、神官長が話し始めた。
「エメロか……どうしてこんな事になってしまったのだろうな……」
「神官長、喋らないでください!」
泣きながら懇願するエメロちゃん、だが彼女は神官戦士、助からない事は分かっているはずだ。
「よく聞け。奴が来てからだ、ファティマ教団がおかしくなりはじめたのは……
言葉巧みにそそのかし気付いた時には欲に染まっていた……
全ては私の心の弱さゆえ……だが一つだけ言えるのは今この世界には何か大きな陰謀が働いている……
それもおそらく一つではない……」
「奴とは誰ですか!? 大きな陰謀とは!?」
エメロちゃんが問いかける声も、神官長にはもはや聞こえていないのだろう。
「エメロ、お前は狭苦しい教団に収まっているような器ではない。
そこにいる者達と共に行け! そして真実を掴むのだ!
ガイアに選ばれし光の勇者達よ……エメロをよろしく……ぐふっ」
エメロちゃんに最後の任務を言い残し、今度こそ事切れる神官長。
「……神官長――――!!」
エメロちゃんの叫びが響き渡った。
>>117>>116 どうやら3人は知人らしきゾンビと一戦交えていたようで、私には気がついてはいなかったらしい。
後から来た事を取り繕う必要がなくてちょうど良い。
まあ背後から感じるポンコツの視線が気になるが、魔石を奪取した以上、私の任務は陽動攪乱。
ここであのゴーレムをスクラップに変えるのは得策ではない。
せいぜい私に目を向けるが良い。その間に他の面子が暗躍する事だろう。
それに貴様を鉄屑に変えるのは私ではなく、ロランズの領分だからな。
>>115 3人へ駆け寄ろうとした時、不意に横から飛び出してきた鬼女にぶつかりそうになり、体を捻って飛びのいた。
少々反応が良すぎたせいか、私の動きに唖然とする3人。
しまった、と思ったのもつかの間。背後から刺す様な視線が。
あのポンコツの物ではない、先ほどの鬼女鋭い殺気だ。
>「…何人殺してきた」
勘付かれたか。この鬼という一族は酒と血生臭い事が堪らなく好きらしく、こういう事には鼻が利くらしい。
まああった時点で私の運がなかったような物だろう。
下手に言い訳して3人に勘ぐられても不味いので、もっともらしい事を言って取りあえず構える。
「仕事の障害は取り除くように指示を受けています。あなたも邪魔をするならばその一人になりますよ?」
相手はすっかりその気らしく、話を理解した上で仕掛けてきた。
この手合いは実力で捻じ伏せるしかないか。あまりあの3人の前で力は見せたくないんだがな。
―――――しかしなんという眼だ。
まるで喉元に刃を当てられているかのような緊張が体に走る。
攻撃は受けるより、避けた方が無難か・・・。
まあ一撃で即死しない限り、『無かった事にする』がな。
>>111-112 そして冷静になってみれば、自分にはまだ《シースルー》の効果が残っているじゃないか。
何か無いだろうかと探してみた。
>>114 とりあえず、何か企んでたっぽい神官がフルボッコにされているのを確認した。
相手が気絶していたら、精神点奪取をしかけてもレッサーバンパイアになるだけで旨味が無いので、とりあえず放置することにした。
しかし、その後のエドの行動を見ると、アイリスの元々青白い顔がちょっと青ざめた。
「あっ」
そう、彼女はうっかり赤い石を確保するのを忘れていたのだ。
別に無くてもなんとかなるが、あるとアイリスの行っている儀式は完璧なものになるはずだったのだ。
そして、発達した聴覚が、彼らの会話を漏らさず聞き取った。
その上でのアイリスの発言はこうだった。
「……ひょっとして、わたしでも六武神になれちゃったりするのかしら。
もしなったら、アルカンシェルだけに虹のアイリスとか名乗っったったりして」
アイリスは勝手に舞い上がっている。
部下のレッサーバンパイア達は、皆一様に「寝言は寝て言え」と思った。
レッサーバンパイアにとって、アイリスはドジでカリスマ皆無のポンコツ吸血鬼である。
彼女を知る一部の死霊皇帝軍の構成員も、彼女を単なる間抜けなバンパイアだと思っている。
両者に共通することは、ドジを踏まないアイリスがどれだけ危険かを知らない点に他ならない。
まあ、どんなになってもドジを踏むのがアイリスなのだが。
>>116 何やら、とても偉そうな人たちが来ている。
アイリスも気配で察知した。彼らこそ、死霊皇帝軍最強の精鋭・六武神!
テイルは悪く言ったが、アイリスにとって、(今のところは)六武神は憧れの勇者達である。
彼らの前で良いところを見せれば、ひょっとすると死霊皇帝軍から特別オファーが届くかも知れない。
もう無職のバンパイアだなんて言わせない!
アイリスはそういう三下根性丸出しの考えでもって奮起し、自分の計画を実行することにした。
>>115>>118>>117 アイリスは、この神殿にテレポートする直前にこちらを攻撃してきた人物が、どうやら“こっち側”の人っぽいことを確認している。
そういえば六武神を名乗っていたが、その肩書きには“元”がついていたような気もする。
何はともあれ、さっきの恐い龍人は、誰かと戦闘状態になったらしい。
《シースルー》が使えるレベルのソーサラーの前に、プライバシーなんてものは無いのだ。
また、神官長ゾンビも、上手いこと足止めの任務を果たしている。
もっとも、アイリスの計画は、自分に敵対し得る主要な戦力を、この神殿に引き寄せることが目的なのだ。
戦闘が長引くだけで良い。
「よしよし、上手いこと気を引いてくれてるわね。今のうちに……」
《クリエイト・イメージ》の古代語魔法の呪文を唱えた。
この呪文の効果により、中央神殿の上空数十メートルに、花火のような合図が放たれた。
ファティマ各地に散らばっているアイリスの部下は、合図を受けると瞬時に行動を開始した。
彼女の部下が、町を囲む南端の城壁の上に立ち、アイリスが作った魔法の道具を用いて、強烈な光線を放った。
それを別の人物が魔法の鏡で跳ね返し、また別の人物が跳ね返し、最後には元の光を放った地点へと光が放たれる。
そうして、ペンタグラムが形成された。しかし、そのペンタグラムは北を上とするならば、上下逆である。
逆ペンタグラムは魔除けとは真逆の、悪魔や地獄の象徴としての意味合いを持つ。
都市一つまるごと使った、大規模な逆ペンタグラムの魔法陣を形成することで、多大な地獄のパワーをファティマに流入させることが、アイリスの狙いだ。
アイリスの目論見どおり、王都ファティマ全土の地面から、地獄のパワーが流れ出した。
大地がひび割れを起こし、その裂け目からは真っ赤な煙状の、地獄の瘴気が噴出している。
地獄の瘴気は生者にとって有害で、下手をすれば吸っただけで即死する危険性がある。
生身の人間(ナイトメア含む)には到底、耐えられるものではない。
アイリスの言った「酷いこと」は、これだった。
また、王都ファティマの中央に神殿が建っているのも、アイリスの計略によるものだ。
神殿を魔法陣の中心に配置することで、地獄から引き寄せた力を一点に集め易くすることが狙いである。
そう、アイリスは、ファティマ全土から溢れ出る地獄の力を自らの手中に収めて、新たな存在に進化しようと目論んでいるのだ。
更に言えば、バンパイアの親玉である自分が中央神殿で騒ぎを起こせば、そこに戦力を集中せざるをえない。
中央神殿から城壁までは距離が離れているので、城壁付近で作業をする部下が逆ペンタグラムを描くのを邪魔される危険性も激減する。
……本来なら、これは百年前に実現していた計画だが、そのときは地図上の上下、南北をうっかり間違えてしまった。
結果、魔除けのペンタグラムが形成されてしまい、アイリスとその眷属は地上から駆逐され、だいたい100年くらい地下での暮らしを余儀なくされた。
光と地獄の瘴気が王都を裂いて走る。
それが神殿の傍らを通過する度に、巫女を封じている結界が揺れる。
4回、5回…結界の中で、倒れ伏し動かない巫女の姿が揺らぎ、人の輪郭に、白い炎のような毛並みを持つ犬の姿が二重写しになる。
>117
こっちがどう声をかけていいか迷っている間に、エメロちゃんはすっくと立ち上がった。
「悲しんでいる場合ではありませんね。急ぎましょう、皆さん!」
「……うん!」
>118
「エドちゃーん、行くよ! その人誰?」
>121
「のわ!? なんだこりゃ!?」
地震、いや地割れだ。辺りに闇の瘴気が充満して集まってくる。
「アイリスさんが言ってた……大昔に街の中心から闇の力が噴出したって!」
あの話は全ては信用できないものの、現に噴出している。
つまりここはそういう土地なのだろう。
「きっと集めて何かするつもりだ! 止めないと!」
>122
少年を抱えたメサイアが巫女の前に立つ。巫女は相変わらず結界の中で倒れている。
単なる結界ではなく、アイテム化の術式を組み込んだ結界だ。
倒れた巫女の髪からのぞく白い毛並みの耳は、彼女がヴァーナ(獣人)のアウリル(狼族)であることを示している。
メサイアはアイリスの儀式が始まったのを感じて呟いた。
「いよいよか」
そして物言わぬ少年に語りかける。
「本来ここは闇の瘴気が絶えず噴出し、人が住めるような場所ではなかった。
ある時、聖なる力を持つ白き狼が光の力をもって闇を封じ、この国を建国した。
彼女はその力を受け継ぐ者だ。
見ててごらん。きっと巫女はこの世の何よりも美しい宝石になるだろう」
結界が揺れる事十数回だろうか、巫女から眩い光が放たれ、そして……結界が砕け散った。
「ば……かな……結界の術式は完璧だったはずだ!」
メサイアは目の前の光景を見て唖然とした。
そこにいたのは、神々しい白い狼。結界は巫女をアイテム化すること無く破壊されたのだ。
白い狼は、床に横たえられた少年に歩み寄る。少年を悲しそうな眼でみつめる狼。
無駄だと分かっていてもやらずにはおれない、そんな顔で。
少年を、力強い、それでいて夜明けの空のような柔らかな光が包み込んでいく。
メサイアはそれを見て何かを理解した。
「そうか……光の力に対する術式を組んでも何の意味もなかった。
本当は光の眷属じゃなかったんだ! 何で今までこんな事に気づかなかったんだろう」
光で闇を封じる事はできない、逆もまた然り。
力で押し切ることはできても、飽くまでも同じ量が対消滅するだけなのだ。
メサイアは自嘲気味に笑いながら狼に残酷な一言を告げる。
「無駄だよ」
しかしすぐに続けて。
「君だけではね。約束してくれ。今から僕がやる事は忘れてくれるって」
そして少年に歩み寄る。
「……の名において奇蹟を解き放つ! 【リザレクション】!」
メサイアが少年に使ったそれは、闇の眷属には決して使えないはずの生命の高位魔法だった。
程なくして少年が飛び起き、白い狼を穴が開くほど見つめる。
「君、なのか?」
白い狼は頷き、少年に自分に乗るように促した。
「仕事だ?血の匂いがプンプンする拳の奴がいう台詞じゃねぇな」
身構えるエドに対し、黒ローブの人物はそう告げた後、テイルの方へ視界を向けた。
>「あれは…連続襲撃犯!?何故生きている」
ローブを見た瞬間、エメロが叫ぶ
その時だった。
建物が大きく揺れ始める。
「うぉっと!こりゃ色んな意味でヤバくなって来たな
さっさとずらかった方が身のためだな」
そう言って身を翻しその場から立ち去ろうとする黒ローブ
>「待ちなさい!」
「待たないね!!傲慢なあんたらの言うことに誰が耳をかすかよ
これは報いだ!精々足掻けばいいさ」
そう言い残し、黒ローブは飛び出していった。
少年は、突然気付いて胸に手をやった。
何かをつかみ出されたような傷跡が残っている。
「・・・ない」
傍らに立つ白い狼はそれを見ると、ぱた、と尾を一度だけ振った。
そして耳を立てじっと宙を仰ぎ、それからまた少年を振り返る。
「石はとても遠いどこかへ行ってしまった・・・
この瘴気は地底深くから汲み上げられたもの・・・」
白い狼から流れ込む思念が少年の口で言葉となって呟かれる。
「わかった!その井戸を断つんだね!」
それは少年自身の言葉だった。
「まずいぞ! このまま引きさがるしかないか!?」
集まってきた闇の瘴気にレオ君がうろたえる。
「任せなさ〜い! 空気清浄いくよー、ホーリーミスト!」
メルちゃんが水の精霊魔法で浄化の霧を発生させる。
「みんな、僕の半径5メートル以内から出ないでね!」
>125
追おうとするエメロちゃんを制する。
「半径5メートル以内から出ちゃダメ――!
今はアイリスさんを何とかする方が先だ!
それに本当に連続襲撃犯なの? 闇の気配がしなかったよ。
それに闇の眷属やアンデッドならあんなに慌てて逃げる必要はないはず」
となると連続襲撃犯は死霊皇帝軍ではないのだろうか、と思っていると。
「感じなかっただけでしょう、なぜなら犯人はナイトメア。
ナイトメアなんてそう多くはないですから間違いありません」
高位魔族には時々誤魔化されるけど、ナイトメアなら尚更見落とすはずはない。
「えー!? 今の人は違うよ! ナイトメアってすごく不思議な感じがするもん!
それにもっと華奢で美形で凶暴さの裏に悲哀を秘めててツンデレな所も……」
「意味が分かりません! というか個人をピンポイントで説明してるだけでしょう! 行きますよ!」
意味が分からないと言いつつもしっかり神殿の奥に向かうエメロちゃん。よしよし。
「エドちゃんもこっちに来て。何だったんだろうね、さっきの人」
「こうしてゾンビやレッサー達をちぎっては投げたりしつつ……」
とメルちゃん。
「親玉の元へたどり着いた!」
とボク。
「えらく省略したな、おい!」
とレオ君。
「ああ、神官長、この人達のノリについていける自信が早速ありません!」
とエメロちゃん。
芸術的なストーンサーヴァント1号〜3号でアイリスさんを包囲し
メルちゃんがどこからともなく取り出した拡声器で説得を試みる。
「そこのヴァンパイア、危ない事はやめなさい! 貴様は完全に包囲されているー!」
―――――――――――
『ニケ、わたくしの背に乗るのです』
「え……うん。あなたは一体……」
白い狼の背に乗り、メサイアをまじまじと見つめて呟く少年。
「早くそこから消えてくれ、僕の気が変わらないうちに」
メサイアは狼と少年をテレポートさせた。
白い狼と少年が出た場所は地上だった。辺りは阿鼻叫喚の事態となっている。
白い狼は弾かれたように駆けだした。
「アテナ……どこに行くの!?」
『城壁に行って逆ペンタグラムを破壊します!』
「本当にアテナなの? その姿は一体……? 口調もいつもと違うんだけど」
『話は後です!』
突然、空気が澱み始めた事に気づく。
「なんでござるか?急に空気が澱み…うっ…」
空気の澱みが完全に闇の瘴気だと把握すると急に血が騒ぎ始める。
「な、なんでござるか?この熱くなる感じは……」
テイル殿が闇の瘴気を浄化するもそれは治まる気配がない。
襲い来る敵を叩き潰して黒幕の下に来るがこの時点で完全に覚醒しつつあった。
誰かが黒幕に呼びかけているが、そんな事は知ったことか。
不動明王剣に炎が灯り初めると警告する。
「そこのデカイ人形を退かせろ!じゃねぇと吹っ飛ばすぞ!」
そして構え、相手の出方を見る。
>>125>>123 >「仕事だ?血の匂いがプンプンする拳の奴がいう台詞じゃねぇな」
相手の攻撃が厄介な物と感じ取った私は鬼女を正面に構えて距離をとる。
>「エドちゃーん、行くよ! その人誰?」
テイルが話しかけてくるが向き直ってる余裕は全くない。
「知りませんよそんなのっ!いきなり跳ね飛ばされたんですぅ!」
適当に返答すると同時に、鬼女はエメロと言葉を交わして飛び出していった。
台詞の内容からすると自らが何の眷属であるかを知っていそうではある。
だがあの得体の知れない力は危険だ。
この私にとって危険と呼べる物はそうはない。
それを本能的に悟らせるあの異分子は取り除いておくべきか?
まあ判断はロランズに任せよう。
まずはあのアイリスとかいう娘だ。
>>122>>123 この感じは瘴気か!?
ミストドラゴンであるエドはガスの類に人一番敏感であった。
瘴気は闇の眷属以外を蝕む毒ガスのような物で、多量に吸い込むと死んでしまう。
生き残っても不治の病に掛かったように一生苦しんだり、体組織が暴走して怪物のように変質してしまったりする厄介な代物だ。
テイルがアイリスから聞いた話は本当の事だったらしい。
>>124 瞬間、巨大な魔力の放出を二度ほど感じた。
それぞれ闇と光の魔法によるものだ。
魔力の放出点は動いていない。
おそらく同じ術者、それも我ら第三の眷属による行使だろう。
衝撃や気質の変化を感じなかった以上、危険な魔法の類ではないな。
この場は見逃すとしよう。
瘴気をどうにかするのが先決だ。
>>127 >「任せなさ〜い! 空気清浄いくよー、ホーリーミスト!」
>メルちゃんが水の精霊魔法で浄化の霧を発生させる。
>「みんな、僕の半径5メートル以内から出ないでね!」
相手は不死者の王だ。このまま向かって倒すのにはかなり時間が掛かってしまうだろう。
「一応、私は自分の体に取りいれた物を気体にして体外に放出できますので魔方陣を崩しに行きたいんですが。
高度な術式ほど微細なミスが致命的になりますし、城壁まで行って魔方陣の一角を欠いたほうが早いかなと。
このまま直行しても直ぐに倒せる保障はどこにもありませんし」
何、魔法の品を基点にしているとしてもそれを壊す必要は微塵もない。
それを定位置から僅かにでも外せばいい。
そうすれば魔力の光で魔方陣を描けなくなるだろう。
アイリスは何かを待っているようだった。
そして、待っている何かが現れた。
アイリスは部下に何かを作らせていたらしく、その品物を受け取ると。
それは石で作られた仮面のようで、額に当たる部分には小さな穴が開いている。
この仮面が魔法の品で、額の穴は“血の魔石”を入れるためのものだとわかる。
「上出来じゃない!あんたにはボーナスあげる!」
彼女は子供みたいに喜び、はしゃいでいる。
どうやらこの仮面は、パワーを一点に集める為の、魔法の道具のようだ。
「……まあ、無くてもなんとかなるよね、たぶん」
この仮面の額の穴に“血の魔石”を埋め込んで儀式を行えば、効率良く地獄のパワーを収集できたが、無いものは仕方が無い。
とりあえず、儀式を続けることにした。
>>127>>128 そこに、テイル達が現れ、ストーン・サーバントと人員でもってアイリスを包囲した。
「この町は地獄になるって言ったのに、よく来たものね。苦しくない?」
早速、バンパイア特有の恐怖の凝視でもって出迎えた。
精神を持たないストーン・サーバント以外は、強い心でもって臨み、この魔力に抵抗する必要がある。
抵抗できたかどうかはともかく、とりあえず前口上を言う時間を稼ぐ。
前口上が言えないと、アイリスはとてもしょんぼりするだろう。
ちなみに、視線の魔力に抵抗できなかったら、アイリスの姿が見えている限りは恐怖で動けなくなるため、その場で戦線離脱が確定する。
「この仮面を使えば、地獄のパワーを一点に集中して、わたしのものにできるのよ。
“血の魔石”があれば、より完全になるんだけど、まあ無いものはしょうがないよね。
でも……」
そして、アイリスは交渉を持ちかけた。
「テイル。この仮面と“血の魔石”を使えば、この土地の地獄の瘴気をすぐに、そして完全に吸い尽くすことができる。
そうすれば、この土地の闇の力は完全に失われて、ファティマに長い平和をもたらすことができるよ。
パワーだけ吸いう上げたら、この町からは大人しく立ち退くことも約束しましょう。
だけど、困ったことに、もう“石”がこの場には無いのよねぇ。
そこで――」
>>129 「フフフ、そうはさせない」
アイリスはエドを見やると、不敵に、そして邪悪に微笑んだ。
「汝、己の欲するところを為すがよい!そこの名も知らぬ人!」
《イービル・インパルス》、暗黒魔法だ。それも、特定の神しか与えない奇跡である。さっきやっていた生贄の儀式もそうだが。
さて、《イービル・インパルス》は、対象の悪意を増幅させ、衝動的に邪悪な行為に走らせる暗黒魔法である。
この魔法の抵抗に失敗すれば、エドは本性を表し、衝動のまま行動するだろう。
効果は3分間だが、それだけ衝動のままに動けば、おそらくエドからテイルたちの信用を引き剥がすことができると踏んでいる。
何故そんなことをしたかといえば、答えは簡単。
《シースルー》の恩恵で、エドが魔石を奪ったところを目撃しているからだ。
もう誰かに魔石を渡してしまったことも知っているが、アイリスのことだから、まあ腹いせというやつだろう。
「テイル、わたしは《シースルー》で、その人が悪さをしているのを見たのよ。
可哀相な少年を叩きのめして、魔石を奪ったところを。
そして、“血の魔石”は、その人が誰かに渡したところも。
そいつを吊るし上げて石の在処を吐かせるのは、あんた達の方でやった方が良いでしょうよ」
>>130 テイル達から離れる返事を貰う前にアイリスの前に到着してしまった。
アイリスは恐怖の凝視による戦線離脱を企んでいる様だが、私に精神へ作用する魔法の類は通用しないと思っていたほうが良いだろう。
不死者の王になりかけのレベル15未満と、最低レベルが16である真の古代龍には魔法の成功率に大きな開きがある。
幾らこの身がレベル5の竜牙兵であろうとも、本体の意思で動いている以上は精神に作用する魔法は本体の抵抗値で判定される。
まあそもそも竜牙兵は意思の存在しない命令だけを遂行する人形のような物なので、私が動かしてなくても精神的な影響は無効なのだが。
>「汝、己の欲するところを為すがよい!そこの名も知らぬ人!」
ディスペル・オーダーやコマンド・ゴーレムでも使えば私の手から簡単に剥がせるのだが、それをしないと見ると私の正体を正確に見破れていないようだ。
苦もなく抵抗した私(の竜牙兵)に対して術が失敗した腹いせなのかどうかは知らないが、シースルーで見たと思われる教会の屋根での一件をテイルたちにばらした。
何、知られたところでどうという事はない。
知られたままでいる事はないのだから。
「ミッシング・ヒストリーッ!!!歴史は失われる!!!」
瞬間、今この場で話された事実は掻き消えた。
アイリスは何が起こったのか判らず視線を泳がしている。
テイルたちはストーン・サーバント達を盾に身を隠してアイリスに接近する。
まだ何が起こったか気がついていない様だ。
「良いか、私の話を良く聞いておけ。
どうせ忘れ去ってしまうのだからな。
私は第三の神ソフィアの最初の眷属であり、ソフィアの力を最も強く受け継いでいる三顕王の一人だ。
拳王であるこの私の能力が拳法であるのはいうに及ばず、『物事の境界を無くしあやふやにする事』だ」
この場にいる全ての者が驚きの表情で私を見る。
話は聞こえているが理解できていないといった様子で。
「たった今っ!時間の前後をあやふやにしっ!この小娘の見聞きした事をわが霧で覆い隠したのだっ!
この娘はっ!何も見ていないっ!そして『お前達は何も聞いていない!!!』」
そして今話した事も綺麗さっぱり隠し通し、何事もなく戦闘を再開する。
「恐怖の視線なんて詰まらない手を使ってないでもっと派手にやり合いましょう。
私達には時間が無いんです」
>>131 いろいろやられたが、アイリスは全く動じていないッ!
前にも書いたが、アイリスはドジであっても、常に最高に落ち着いているのだ。
だから、何が起こったかわからずに目を泳がせていることなどないし、うろたえたりしないのだ。
「わたしは今、そこに居る名も知らぬ人の能力をほんのちょっぴりだが体験した。
い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたけど……
あ…ありのまま 今 起こった事を話すよ!
『証言を突きつけて告発したと思ったら、わたしが何も目撃しなかったことにされた』
な…何を言ってるのかわからねーと思うが、わたしも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
境界を操る程度の能力だとか歴史を操る程度の能力だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてないわ!
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったよ…」
訂正。アイリスは全然落ち着いてはいないようであった。彼女は典型的なパニック状態に陥っている。
あと、それは吸血鬼に恐ろしい目にあわされた人間の台詞であって、吸血鬼の台詞ではない。
実は、案外冷静に状況もエドの能力も分析しているうえに、エドの狙いどおりに記憶を消せてもいないような気もするが、この原因は後述する。
「きえーっ!其処をどけっ、木っ端ども!わたしはバンパイアの……どうせ無職よ!」
アイリスは訳の分からないことをわめき散らしながら、まるでターン・アンデッド表でピンゾロを振ったかのようにバーサークした。
パニック状態になった勢いでバンパイアの王を名乗ろうと思ったが、アイリスは謙虚かつ小心者で、自分の置かれている状況をよく理解しているので、特に見栄は張らなかった。
彼女は攻撃呪文を唱えることさえせず、半狂乱でその辺に居たストーン・サーバントに殴りかかった。
アイリスのスーパーパワフルなパンチを食らったストーン・サーバントは、窓ガラスを突き破り、地平線の向こうまで飛んでいってしまった。
通常、バンパイアの格闘攻撃の威力は案外高くなく、一撃では普通のゴブリンすら死なないくらいだ。
間違っても、こんな漫画みたいな威力は無いのだが、この破壊力の原因も後述する。
ストーン・サーバントが地平線の彼方まで吹っ飛ばされて戦線離脱した後、アイリスは呼吸していないアンデッドのくせに、深呼吸をして心を落ち着けた。
「落ち着いてアイリス、こういうときは素数を数えるのよ……」
深呼吸と、素数を数えた甲斐があってか、すぐに最高に落ち着いているアイリスが帰ってきた。
――――以下本文
>129
>「一応、私は自分の体に取りいれた物を気体にして体外に放出できますので魔方陣を崩しに行きたいんですが。
高度な術式ほど微細なミスが致命的になりますし、城壁まで行って魔方陣の一角を欠いたほうが早いかなと。
このまま直行しても直ぐに倒せる保障はどこにもありませんし」
「じゃあお願いできる!? 気をつけて!」
だがしかし。
「ごめん、もう着いちゃった」
>127でレオ君が「えらく省略した」と言ったが実は案外近くて大して省略してなかったのである。
>128
>「そこのデカイ人形を退かせろ!じゃねぇと吹っ飛ばすぞ!」
「またキャラ変わってません!?」
出ましたタケル君の裏人格。
>130
アイリスさんは恐怖の視線でもってこちらを威圧、平たく言うとガン付けながら前口上を言い始めた!
「エメロちゃんレオ君、目を見ないで!」
なるほど、美しくも恐ろしい魔性の瞳だ。
でもそもそも魔法生物に近い妖精が恐怖で動けなくなる事なんてあるはずが……。
あるはずが……。あれ? 動けない?
>131
意識に霧がかかったような不思議な感覚に襲われる。
―――――――――――――――
私達はソフィアを失ってしまった。
神を亡くしても眷属達は力強く生きて行く事でしょう
でもソフィアの娘にして代理人たる私達は消え去るしかない……。
貴方達にお願いがあります。
どうか我が眷属達が間違った方向に進まないように見守ってください。
無限の可能性は狂気へ至る衝動。自由な心は破滅と隣合わせ。多様性は混沌の裏返し。
くれぐれも闇とは結びつかないように気をつけて……。
そうなったら我が眷属は世界を終焉へ導いてしまうでしょう。
――――――――――――――――
いけない、こんな時に白昼夢を見ていたようだ。といっても一瞬の事だったのだろう。
なぜか唐突に思い浮かんで頭から離れない一つの言葉を呟く。
「ソフィア……」
自分で言っといて何の事だか分からない。
>「恐怖の視線なんて詰まらない手を使ってないでもっと派手にやり合いましょう。
私達には時間が無いんです」
「そうそう、それ以上人間を超えるんじゃない! 者ども、かかれ――!!」
普通に考えて無理だけど、思わずドン引きしてくれるんじゃないかという期待を込めてダメ元。
取り囲む時に配置しただう゛ぃで1号〜3号がアイリスさんに飛びかかる!
>>131続き
「ふう……お生憎様、あんた達と違って、私には時間がたっぷりあるの。
じっくりゆっくり、百年単位で進めれば良いのよ。
それに、計略なんてものは、最初からいくつも用意しておくものだし、あんた達だけで、その全てを叩き潰すことなんてできはしない。
……『時間が無い』なんて言うのは、結局、余裕が無い人の言うことよね」
何事もなかったかのように冷静さを取り戻したアイリスは、とても挑発的だ。
まるで、エドの『歴史を隠す』という魔法能力に対し、6ゾロで精神力抵抗に成功したかのようだ。
実際は上のとおり、見事にパニクっているが、お願いだからさっきのは見なかったことにしてほしいと、アイリスは本気で思っており、部下のレッサー・バンパイアに目配せしている。
部下のレッサー・バンパイアたちは、アイリスの慌てっぷりを見てニヤニヤしていた。
アイリス自身の認識があんまり変わっていないので、相変わらずエドにピンポイントで敵意を向けている。
しかし、しつこく言うが、アイリスは最高に落ち着いているのだ。
もう無理だと思うが、テイル達はあくまで懐柔しようと目論んでいる。
>>132 「仕方無いわね……あんた達は、もっと長生きしてもらいたかったけど、身にかかる火の粉は払わないとね!」
残っていたストーン・サーバントを、アイリスは迎え撃った。
アイリスは暗黒魔法の詠唱をした。とうとう、アイリスが本格的に牙を剥く!
「闇の神よ、我に敵を討つ力を与え給え!」
おもむろに唱えた《フォース・イクスプロージョン》で、周囲を吹き飛ばした。
これは単純明快な魔法で、術者を中心に爆発を起こし、周囲の敵を衝撃波で攻撃する魔法だ。
ただでさえ威力の高い攻撃魔法なのに、アイリスのアホみたいに強い魔力が上乗せされている。
部下のレッサー・バンパイア達は、巻き込まれたらミンチより酷いことになるので、目配せをしていた時点で逃げている。
また、ストーン・サーバントや竜牙兵の耐久力なんて、たかが知れているので、運良く抵抗に成功したところで、とても耐えられる威力ではない。
哀れストーン・サーバントは全て粉微塵に粉砕され、エドの身代わりの竜牙兵もまた、同じ道を辿った。
巻き込まれたテイル達も、ノーダメージというわけにはいかないだろう。
床を覆いつくしていた死体も跡形もなく消し飛ばし、大理石の床には大きな焦げ跡だけが残っている。
アイリスは、破壊できたのがエドの身代わりの竜牙兵だと知り、とてもがっかりした。
ところで、偽物とはいえ、アイリスの前に“姿”を見せてしまったのは、戦術的に痛恨のミスである。後で思い知ることになるだろう。
「言い忘れてたけど、わたしの精神力は53万です」
流石に精神力53万点は無いし、さっきの振る舞いを見るに、むしろ筋力が53万点あると言った方が、ぐっと説得力があっただろう。
もっとも、今まで精神力奪取の能力で補給を行うことなく、強力な呪文をホイホイ撃っても全然平気な様子なので、常識外れの精神力を持っているのは間違いない。
そのタネは、先ほどまで聖堂の床を満たしていた屍山血河を見れば明白だ。
暗黒魔法の《イモレイト》――生贄を捧げる儀式を行うことで、闇の神の恩恵を授かる魔法だ。
具体的には、1人の生贄で50万枚の金貨、または任意の能力値が1点上昇する。
先ほど(
>>85)生贄の儀式を行っていたのは、この《イモレイト》で、より強いパワー得るためだ。
そうでなくても、長い年月を生きているアイリスは、登場する前にも、幾度となく《イモレイト》の儀式を行い、自身の力を強化している。
先ほどのスーパーパワフルなパンチも、不自然に高いMPも、《フォース・イクスプロージョン》のアホみたいな威力も、これで説明がつく。
また、高い精神力を持つということは、魔法に対する抵抗力が強いということでもある。
あまりに魔法抵抗力が強いために、中途半端に歴史を隠しても、完全に認識を改変する事ができないのだろう。そういうことにしておこう。
「冷静に考えてみれば……」
一通り周囲の敵を吹っ飛ばした後、反撃が来るまでの間、アイリスは落ち着いて、そして高速で思考を張り巡らせ、自分の知識を頼った。
そういえば、アイリスには今すぐ“血の魔石”を手に入れる手段があった。
それは部下のレッサー・バンパイアも全員知っていたが、いつ気付くかと思ってニヤニヤしていたのである。
「えーっと……名も知らぬ人、とりあえずあんたの負けよ!」
びしっと指差し、そう宣言した。そこに立っている者が居るかどうかはともかくとして。
ところで、アイリスは死霊皇帝軍について知っている事が少ないとはいえ、曲がりなりにもセージ技能を高レベルで持っているのだから、
勇名轟く六武神の1人だった白霧のエド(
>>114参照)を、本で読んだ知識としてくらいなら、知っていても良い筈なのだが、生憎、知識判定でピンゾロを振って自動失敗しており、ド忘れしている。
だからエドの方から名乗らないと、いつまで経っても名も知らぬ人呼ばわりされてしまうだろう。
竜牙兵はとりあえず粉砕してしまっているので、すぐには返事が返ってこない。
やはり、アイリスはどこか間抜けなのだ。
だが、アイリスは今、かつてないほど猛烈に性質の悪いことを考えている。
部下が仕上げた仮面を被り、その口元に浮かべた笑みが隠される。
彼女は、静かに呪文を唱え始めた――
「竜牙兵が壊されてしまったようだな」
んなもん言われなくても判るわい。
水晶玉を覗きこんでるロランドに悪態を吐く。
牙が材料であるだけに元々耐久度には問題があった。
攻撃力だけ見ればエルダードラゴンクラスなのだが、自身のパワーにも耐えられず打撃を行う度に砕けていくのであった。
おそらくは普通の打撃で十数発が限度だろう。
ちなみに特殊能力も魔法も牙に含まれた魔力分しか使えない。
「てゆーかさっきからゴリゴリうるせーんだけどよぉ」
剣王が横から割って入ってきたが知ったことではない。
ここは私の部屋だ。
コタツで何をしようと私の勝手。
黙って部屋に入り、人の蜜柑を食ってる奴に言われる筋合いはない。
古代語魔法の使い手ではない私の竜牙兵の作り方は少し変わっていて、その触媒の牙を砕いていたところなのだ。
「『分祀:龍神の分御霊』っと」
自分の体と触媒から霧のようなものが湧き出て人の形を取る。
新たな竜牙兵の誕生だ。
余談だが分祀とは1柱の神を2柱にする儀式の事である。
二つに割ると力が落ちるものと思われがちだがそうではなく、全く同じ力を持った別人格の存在を作り出す秘術なのだ。
・・・・・・触媒が即席なので結果的に性能は落ちるが。
まあそのお陰で私に従順なのでよしとする。
同じだけ力量があったら、不満不平で煩いからな。
「ロランド、コイツをさっきの場所に転送してよ」
「ん。
ディメンジョン・ゲート」
ポーン。
そんな効果音と共に竜牙兵は再び送り込まれたのだった。
幸いな事に対応が早かったために、骨粉が舞った状態で視界が悪く席を外れた事を誤魔化すまでもないようだ。
「ん?
あれは石仮面!!!」
確かあいつは一回魔石を手にしたんだっけな。
取り寄せの呪文を使われると不味いな。
〜竜宮城のエドの部屋〜
水晶玉を覗き込む3人。
「ふぉいロふぁンド。
このままだと持ってふぁれるぞ」
汚いから口に物を入れたまま喋るな剣王。
「所有権を主張しておけば良い。
あの魔法で取り寄せられるのは自分の物とはっきりした物だけだからな」
ロランドに能力の使用を促す。
「境界を明白にする能力。
所有権をはっきりさせる。
『『血の魔石は私の物だ』』
うむ、コレで問題あるまい」
ロランドが自身の能力を発動した瞬間、それは前触れもなく現れた。
突如、背後から巨大な腕がロランドを掴み壁に叩きつける。
それだけでは足りぬと言わんばかりに、壁にめり込んだロランドを滅多打ちにする
「魔石の呪いかッ!!」
ロランドの予見通り、それは血の魔石の呪いが具現化したものである
所有者が誰かあやふやだった為、所有者をアンデット化する程度で済んでいたのが
所有者をはっきりさせてしまった為、魔石本来の呪いである「所有者を惨死させる呪い」が発動してしまったのだ。
加え、これまでこの魔石が殺してきた所有者の魂や、邪念までも取り込み、ロランドの力ではどうすることも出来ない物になってしまっている
「えぇい…こうなったら『血の魔石は誰の物ではない』」
能力を発動させ、所有権をリセットした瞬間
呪いの巨腕は消えた。
>>137 「万能なるマナよ、我に千里を見渡す眼(まなこ)と、万里に届く長き手を与え、彼のものを我が手に握らせ給え!」
“血の魔石”を、今すぐ手に入れる方法――それは、古代語魔法の《リマンド》だ。
そもそも、アイリスは“血の魔石”を持った人物を別の場所にテレポートさせただけであり、魔石の所有者になったことなど、実は一度も無い。
このため、ロランドの言及している呪文と思しき《アポート》では、魔石をお取り寄せすることができない。
そこで活躍する《リマンド》の呪文だが、これは完全版ルールブックには載っておらず、ロードス島ワールドガイドで紹介されている。
その呪文は、自分の所有物をお取り寄せする《アポート》に似たような効果がある。
ただし、《リマンド》は「対象を個人的によく知っていれば」「それが何処にあろうと」「術者の手元まで瞬間移動させることができる」という、何かの冗談みたいな魔法だ。
故に、所有権を主張しようが、届かざる異世界に封印しようが、手元まで召喚できてしまう。魔石は物体なので抵抗もしない。
《リマンド》は、現在では失われた魔法だが、魔法のレベルとしては《ライトニング・バインド》と同じである。
そも長い年月の殆どを魔法の研鑽に使っていたアイリスならば、ソーサラー技能が最高レベルになっていても、こうした遺失魔法の呪文を知っていても、全く不思議ではない。
アイリスは獣に変化した少年を見た時点で“血の魔石”を見たことがあるし、知識としてもよく知っているので、《リマンド》の使用条件も満たしている。
彼女の意識は“血の魔石”に集中しており、魔石の偽物の存在も知らないし見たこともないので、偽物が引き寄せられることもなく、「すりかえておいたのさ!」も、その他細かい理屈も通用しない。
まあ、《リマンド》を使えるくせに、最初から使わなかったことが、アイリスの「抜けている」ところなのだが。
>>138 さて、この呪文が上手くいけば、アイリスは“血の魔石”を手に入れて大喜びである。
が、そうは問屋が卸さなかった。この時点では、アイリスは自分が直後に大きなミスをすることに気付いていない。
かくして、“血の魔石”と共に、怪我を負った、賢くて偉そうな人が引き寄せられた。
「……誰?」
アイリスは、疑問系の言葉を発した。何故、手元に知らない人が引き寄せられるの?
あとどうして、またセージチェックに失敗するのか?相手は二つ名持ちの有名人のはずなのに?
そう、アイリスは知らないが、一緒に召喚されたのはロランドだ。
ロランドは“血の魔石”を持っている。
《リマンド》は、人物に対しても効果があり、異界へと姿を消した人物を帰還させた実績がある。
そのとき、魔法の目標となった人物が「もうキミを離すもんか」とばかりに抱きついていた人まで、一緒に引き寄せられた事例もある。
この呪文は目標数を拡大することはできないので、この事例では、二人の絆が奇跡を起こしたのだろう。
これと同様というわけではないが、ロランドは血の魔石を所有し、その呪いに縛られているために、一緒に引き寄せられてしまったと考えられる。
「魔石との絆」と言うべきか。切ろうとしても、なかなか切れないのが絆である。縁も同様に。
が、アイリスの目的は“血の魔石”だけであり、持っている人物=ロランドには用が無い。
しかも、アイリスにとっては知らない人だ。故に……
メ几
木又してでもうばいとる
「全能なるマナよ……おろろんちょちょぱーっ」
長くて凝った呪文を唱えるのが面倒になったわけではない。
とりあえず、アイリスにとっては“血の魔石”の所有者の方は要らないので、《ディスインテグレート》を用いて、魔石を持った人物=ロランドの殺害を謀った。
手で触れられる距離にある1平方メートルまでの大きさの物体、および個人を完全消滅させるこの魔法は、驚くべきことに遺失魔法ではない。
魔法の抵抗に成功すれば完全に無効化できるが、“血の魔石”が持つ、所有者を惨死させる呪いは、すぐに所有権を放棄したとはいえ、確実に所有者を蝕んでいた。
アイリスの魔力は確かに強大だが、それがエドと同格の力を持つものと思しきロランドに通じるレベルかと言われれば、いくらなんでも厳しいだろう。
効かないだけなら良いが、下手をすれば《マジック・リフレクション》で跳ね返され、逆にこちらが消滅させられていたかもしれなかった。
そう、普通なら。アイリスの魔法なんて、通じるはずはなかったのに。
「な なにをする きさまー!」
しかし、魔石の呪いは強烈で、残酷であり、ロランドに思わぬ災厄、それも致命的な不幸をもたらしてしまった。
具体的には、ロランドは《ディスインテグレート》の抵抗判定でピンゾロを振ってしまった。
いわゆる自動失敗、そして呪文が呪文なのでファンブル(致命的失敗)である。魔石の祟りじゃ。
こうして魔石の所有者であるロランドは、この世から完全消滅してしまった。
こうなってしまった以上、残念ながら《リザレクション》でも生き返らない。完全なキャラロストである。
「……あっ」
そして、ロランドを消滅させてから気付いた。
後には何も残っていない。目的の品物、すなわち“血の魔石”さえも。
《ディスインテグレート》の犠牲者であるロランドが持っていたのだから、持っていた魔石も、一緒に消滅してしまうのは自明の理である。
かくして、邪な欲望を引き寄せ、全ての者に遍く災厄をもたらす、呪わしき“血の魔石”は、この世から失われ、その邪悪な魔力が平和を脅かすことも無くなったのだった。
魔石の封印を護る宿命を負った巫女の一族も、悲しき宿命から解放されて、めでたしめでたし(?)である。
アイリスの手によって。ロランドという尊い犠牲のもとに。
……おや?神官を大量虐殺していることはさておき、結果的にアイリスが良いことをしているじゃないか。立派な悪役なのに。
しばしの間、アイリスの目が点になった。そして数秒後、わなわなと震え、先ほど以上に激しくうろたえ始めた。
百年単位で積み上げてきた計画と野望が、またしても自分のドジによって潰えてしまった。ロランドという尊い犠牲が出たが。
「どどどどどどーしよう!血の魔石消しちゃったよ!GMさんどうしよう!」
しかも、重要人物であるロランドまで一緒に消してしまったが、アイリスはロランドのことを知らないので、そっちは気にしなかった。
>>136 「無敵の“歴史を変える程度の能力”で、なんとかしてくださいよォ―――ッ!」
エドの竜牙兵は現れるなり、いきなりアイリスに睨みつけられ、胸倉を掴みあげられ、脅迫された。
竜牙兵の姿はエドと同じ姿で、アイリスには《センス・マジック》でそれを判別する余裕も無い。
そのくせ、彼女はエドが歴史を改変しても、バカ高い魔法抵抗力のせいで、改変される前の歴史を認識してしまっているので、まあしょうがない。
何はともあれ、アイリスは、またしても錯乱状態に陥っている。
いくら錯乱しているとはいえ、敵に自分の尻拭いなんか頼んでどーする。誰もが呆れざるを得ないくらいのヒドさであった。
この戦いの様子をどこかで見ているであろう六武神も、さぞ呆れていることだろうし、まさかこうなるなんて思っていなかっただろう。
柱の影から見守っていた、アイリスに絶対服従のはずのレッサーバンパイアですらも呆れているが、ふと考えて、まあアイリス様だしこうなるよねと、口を揃えて言った。
そう、彼らにとっては、アイリスがこの程度の失敗をすることなど「いつものこと」である。
そういえば、百年くらい前に、間違って魔除けのペンタグラムを組んで地上を歩けなくなったときも、アイリスは部下のレッサーバンパイアに平謝りしていたことがあった。
「フ……」
ひとしきりわめき散らした後、アイリスは正気に立ち返った。
ちなみに竜牙兵だが、散々揺さぶられたり、八つ当たりでスーパーパワフルな往復ビンタをされたりしたので、作った甲斐無く、また壊れてしまった。
アイリスは不敵に笑っている。絶望のあまり、乾いた笑みを浮かべているともいう。
「テイル、決着をつける前に一つ言っておくわ。
あんたたちは、わたしが“血の魔石”が無ければ儀式ができないと思っているようだけど、別になくてもできる」
>>130でのアイリスの発言だが、文面どおりなら「魔石は“できれば”欲しい」程度のニュアンスである。
そう、石が無くても石仮面さえあれば、時間はかかるが、地獄のパワーを集めること自体はできる。大事なことなので2回言いました。
とはいえ、本当は欲しかったので、強がりである。
「そして神官長は実は良い人だったらしいので(
>>117)、《リザレクション》で復活させておいた」
こればかりは、聞いていた誰もがツッコミたくなったのではないだろうか。嘘を吐け、と。
そう、あれは《リザレクション》じゃねえ、《クリエイト・ブアウ・ゾンビ》であると。
そもそも
>>124で、アイリスのような闇の眷属には《リザレクション》は使えないと明言されたばかりである。
こいつは冗談にしてもブラック過ぎるので、多分、乱堂やエメロ辺りの怒りを煽るだけのような気もする。
「あとは私を倒すだけね、フッフッフ……」
ヤケになっている。
地獄の逆ペンタグラムはまだ組まれているので、本当にそうだった。
このまま行くと、アイリスを倒して事後処理をするだけである。
>131
>「たった今っ!時間の前後をあやふやにしっ!この小娘の見聞きした事をわが霧で覆い隠したのだっ!
どこかに潜んでいるインペトゥスの手甲に刻まれた紋様が、チリチリと燐光を放っている。
(共鳴してやがる・・・時間を弄られたか・・・やはり黒い魔導師と同系統の・・・?)
手甲から上ってくるエネルギーの奔流を上腕の力でねじ伏せながら
インペトゥスはその後の成り行きを見守っていた。が――
>140
>メ几
>木又してでもうばいとる
「あーあー。どいつもこいつも甘い甘い甘い」
アイリスの詠唱開始を察知したインペトゥスの手甲の紋様が、一瞬輝いた。
――――――――――――――――
>「な なにをする きさまー!」
「久しぶりだな」
ディスインテグレート発動で消滅中のロランド・ランズの横に現れるインペトゥス。
「白も黒も問わない中立なんて言っておきながら、実は本気で双方を敵としていたとはな。
・・・の割に、その“黒い魔導師”様がなんてザマだ」
ロランド・ランズが作った装備の、擬似的に自分以外を時間停止状態にする能力で割り込んだのだ。
「が、個人的には、あんたの魔導メカニックの腕は惜しい。考えてやってもいいが・・・どうする?」
「・・・そうか」
インペトゥスは姿を消した。
――――――――――――――――
逆ペンタグラムを破壊するべく急ぐアテナとニケ。
彼らの周囲を、淡い虹色のヴェールが包み込んでいる。
「これは?」
『魔石を制御するのと同じ。でもずっと強くなってる……。
闇の瘴気も防げるぐらい』
巫女アテナの受け継ぐ力、《イージス》。
光や闇の無慈悲な攻撃性を遮断する無敵の盾。
この力の一端をもって、魔石の呪いを抑えていたのだ。
彼らの前に行く手を遮る者が現れた。駆ける白き狼の前に現れた者もまた、白だった。
死霊皇帝軍六武神、光鉄のグラムだ!
「一刻を争うんだ、そこをのけ!」
ニケがすごむが、背後にもう一人現れる。
「のけと言われてのくぐらいなら最初から出てこないぜ?」
と、魔導バイクにまたがってライダー風なインペトゥス。
「キミは見た感じ人間だし……キミはどう見ても光属性だろ! なんでだよ!」
ニケが戸惑いながら言う。
無論前半はインペトゥスに向かって、後半はグラムに向かってである。
「ごちゃごちゃうるせえな! せっかくあっちでヴァンパイアを超えるぞー!
なんて面白そうな事をやってるんだからポシャったら面白くないだろ!」
「お前そんなキャラだったっけ。まあいいや」
グラムは愉快犯的発言でニケの疑問を一蹴し、インペトゥスはまあいいやで納得してしまった。
戦闘開始は免れなさそうだ!
もしかしたら>125で逃走した神威も巻き込まれたり巻き込まれなかったりするかもしれない!
>134
「ぐぎゃああああああ!?」
フォースイクスプロージョンに吹っ飛ばされる一同。
「しまった……ここは服破れハプニングをするシーンだったか……!」
「しなくていいし……! ンなハプニングで誰が得するんだ……!」
しばらくしてメルディとレオがよろよろと起き上がる。
見た感じボロボロになっているがボケとツッコミをするHPだけは残っているらしい。
「皆さん、無事ですか……!?」
続いてやはりボロボロになっているエメロが起き上がる。
「エドさんは無傷、タケルさんも無事そうですね。テイルさん、大丈夫ですか?」
倒れているテイルに駆け寄った瞬間、彼女は絶叫した。
「いやあああああっ!? テイルさん! なんか消えかけてますよ!?」
軽いために半径5メートルの外に吹っ飛ばされ運悪く闇の瘴気にあたってしまったのである!
心なしか薄くなってる気がするテイルを慌てて抱き上げる。
「ああ……しっかりしてください!」
139-140
一方レオとメルディは依頼人と依頼対象が同時に消え去るという事態に暫し呆然とし……
「「うぼあああああああああ!?」」
思わず断末魔の叫びをあげるのであった。
もちろん途中でポーズが入ってインペトゥスが来た事など知る由もない。
>134
「ぐぎゃああああああ!?」
フォースイクスプロージョンに吹っ飛ばされる一同。
「しまった……ここは服破れハプニングをするシーンだったか……!」
「しなくていいし……! ンなハプニングで誰が得するんだ……!」
しばらくしてメルディとレオがよろよろと起き上がる。
見た感じボロボロになっているがボケとツッコミをするHPだけは残っているらしい。
「皆さん、無事ですか……!?」
続いてやはりボロボロになっているエメロが起き上がる。
「エドさんは無傷、タケルさんも無事そうですね。テイルさん、大丈夫ですか?」
倒れているテイルに駆け寄った瞬間、彼女は絶叫した。
「いやあああああっ!? テイルさん! なんか消えかけてますよ!?」
軽いために半径5メートルの外に吹っ飛ばされ運悪く闇の瘴気にあたってしまったのである!
心なしか薄くなってる気がするテイルを慌てて抱き上げる。
「ああ……しっかりしてください!」
139-140
一方レオとメルディは依頼人と依頼対象が同時に消え去るという事態に暫し呆然とし……
「「うぼあああああああああ!?」」
思わず断末魔の叫びをあげるのであった。
もちろん途中でポーズが入ってインペトゥスが来た事など知る由もない。
>141
「「うぼああああああああああ!?」」
エドが壊れたのを見てまた二人の断末魔の叫びが響く。
もちろんそれが実は竜牙兵だという事を知る由は無い。
>141
「「うぼああああああああああ!?」」
エドが壊れたのを見てまた二人の断末魔の叫びが響く。
もちろんそれが実は竜牙兵だという事を知る由は無い。
そんな喧騒がすごく遠くで起きてるみたいに聞こえる。
>「そして神官長は実は良い人だったらしいので、《リザレクション》で復活させておいた」
「生き返らせてくれたのですか!? いつの間に!?」
エメロちゃんは真面目で冗談が通じないのである。
素直に信じて顔を輝かせるエメロちゃんを見て、悲しい気持ちになる。
でもアイリスさんに対する憎しみは湧いてこない。
この街から逃げた方がいいと言ってくれたのは、本心だったのではないだろうか。
「ボクには……あなたが本当に悪い人には思えない。
あなたの目的は……アンデッドの理想郷を作ることなんじゃない?
この街をアンデッドの都にして王として君臨する……そうだよね?」
アンデッドとは光の下に生まれながら、闇の勢力の手駒に引きずりこまれた者達。
そんな哀しい存在が生まれなければらないのは光と闇の抗争が故。
どうして争わなければならないのだろう。こんな世界に誰がした?
「バカだなあ、こんな事を考えてるから暗黒魔法の抵抗に失敗したんだ……」
――貴 女 に 本 当 に 世 界 は 救 え ま す か ?
――アナタは、光の眷属。ガイアの娘でありながらガイアと対立する眷属である魔族まで連れている。
誰も彼も救おうと救う対象に加えるのなら、最終的に誰を倒し誰を救うのかも定まらなくなる。
自分はどうやって、誰を救うために世界を救うのか。考えてみることです。
天空都市で模造天使に言われた言葉を思い出す。
ボクには刃向かう者全てをなぎたおしてでも意思を貫く強さなんて無い。
闇に情を移す出来損ないの妖精。ボクには世界は救えない……。
148 :
代理人:2009/11/12(木) 23:38:42 0
すみません。なんかぐちゃぐちゃになってしまいました。
>144と>146は無視して下さい。
>145が正しい投稿です。
>>139-141 >「な なにをする きさまー!」
「貴様なんぞにいいいーーーってとこかあ」
「ロランドめ、死におったか。
しかし、我らが計画は既に実行に移されている」
何の問題もないはずだ。
もとよりあの男の希は自身の消滅。
途中で離脱するのは予測済みである。
そして律儀なあの男は死ぬ方法を得るため、我々の掻き集めた呪われたアイテム等の研究を進めたばかりではなく、
その研究の機会を与えた我らにそれを利用したサラ金の返済プラン・・・・・・じゃなかったニ柱排除計画を練り上げていたのであった。
「剣王。
代理プランにあるように血の魔石に替え、予備として用意しておいたブループラネットを使用する事とする」
我らが血の魔石を入手するために赴いたのは理由があった。
我らカタチのある生命体が欲しいのだ。
生命力を生むだけならブループラネットの方が高性能であるし、入手も(血の魔石に比べれば複数存在する分)容易ではある。
しかしエネルギーだけでは意味がない。
それで生きていく生物がいなければダメなのだ。
その点、血の魔石は命を取り込む性質があって、それを放出させる事によって取り込んだ生物を再構成することができるのであった。
我らはいずれ天に上る。
空に浮かべる新たな星のために生命を産み落とす必要がある。
先行者である天使達は星を生む事自体には成功したが、生命を生み落とす事はできなかった。
緑のない星は殺風景な岩の固まりそのものであり、普通の生命が住んでいける場所ではなかったのだ。
結果として先の計画で移住できたのは高い科学技術を持つ彼ら天使と一部の者たちであり、天から地上を焼き払い浄化する計画は大幅に遅れたのだった。
「承知。第二段階に移行するのだな?世界樹の伐採は任された」
「うむ。遠慮なくやれ。
あれは元々ソフィアが天地開闢の折に植えた物。
地の穢れ天に還し、地を焼く有害な光と相殺させる循環システム。
生まれたばかりの不安定な星には必要不可欠だからな。」
ちなみにガイアと死霊皇帝も開闢の折に作り出したものがある。
そう例の2種の魔石だ。
地上の生物に力を与えるために作り出されたブループラネット。
そしてその力が暴走しないように生み出された血の魔石。
だがそれはあくまで表向きの理由だ。
開闢の折にソフィアの補助役として産み落とされた最初の眷属である私は知っている。
ブループラネットはガイアが自身の領分を無限に広げるために生み出した物であり、
血の魔石はその力を我が物とするために死霊皇帝が作り出したものなのだ―――――――――――――――― 。
>「無敵の“歴史を変える程度の能力”で、なんとかしてくださいよォ―――ッ!」
「小娘・・・私はもう諦めたぜ・・・
もうさっきの出来事をなかったことにするのは不可能らしい・・・」
ざんねん!わたしのぼうけんはここでおわってしまった!
たかが数レスもしないうちに体にヒビが入ってしまったらしい、酷い話だ。
「悲しいけどコレ戦闘なのよね・・・
テイルさんしっかり面倒見てよ!!!」
みょんみょんみょん。
エド(もどき)はバラバラになった!!!
「確か…南だったな」
屋根の上を走りながら、黒ローブは先ほどのアイリスの言葉を思い出していた。
とはいえ、その後色々有りすぎた為、細かいことはすっかり忘れていたが、南に行けば安全であることだけは分かっていたし、南側の方が若干ではあるが被害が少ないのが目に見えている
だが、眼下にいる人々はパニックに陥っている最中でそこまで気が回らないだろう
そこで黒ローブはある行動を取ることにした
立ち止まり、徐に深く息を吸い込んだと思うと
「 生 き 残 り た き ゃ 南 に 逃 げ ろ !! 」
叫んだ。
人並み外れた肺活量とそれ以上に外れている筋力をフルに使い叫んだ。
それだけだったが、それなりに効果はあったみたいだ。
それを確認した黒ローブはまた何食わぬ顔でまた走りはじめた。
と逃げている最中、黒ローブはまた足を止めた
視線の先には、白いゴーレムと魔導バイクにまたがったローブの男に挟まれた白い狗と正念の姿であった。
「おい…大の男二人で何やってんだよ
よくもまぁこんな状況で弱い者イジメたぁ………ッ!」
ヅカヅカと文句を言いながら割り込んでいった瞬間、グラムの豪腕が黒ローブを炸裂した
かに見えた。
「あんまり好きじゃねぇんだよなぁ…弱い者イジメ…見るのもされるのも
一番嫌なのは自分でやることだがな」
顔面を捉えるはずの拳は鎖により自由を奪われた両腕によって受け止められていたのだ!
>>147 「確かに。アンデッドの理想郷……出来たら素晴らしいわね。
普通の闇の眷属だったら、そのために死霊皇帝に身を捧げるのは当然のこと」
これでリッチか何かであれば、そうともアンデッドの理想郷を作るためだと即答しただろう。
しかし、彼女はバンパイアだ。バンパイアの性質を、今一度思い出さねばならない。
奴等は他のアンデッドとは、決定的に違う点がある。
アイリスはほんの一瞬だけ、悲しそうな目をした。
「だけど、わたしはバンパイアだから、そんな単純にはいかないの。
単なるアンデッドと違って、わたしたちバンパイアは、生き血を吸わなければ生きていけない。
周りに、正の生命を持ったものが居なければ生きていけない。
そう、バンパイアは闇の眷属で、太陽の光を受けることもできないのに、その存在は輝かしい生命の光に依存している。
この矛盾を解決しないと、わたしみたいなバンパイアでは、アンデッドの理想郷を作ることはできないわ。
だから、確かにアンデッドのユートピアは魅力的だけど、それはちょっとおあずけね」
アイリスがいつになくシリアスだ!
これでもセージ(学者、賢者の意)でもあるアイリスは、吸血鬼になった後も、長い年月をかけて吸血鬼の持つ性質について調べていた。
そして矛盾を発見した。光に依存する闇の眷属。それは、光を最も嫌うとされるバンパイアだけだ。
多くのアンデッドは、負の生命力によってのみその存在を保証され、そのまま永遠を生きる。
非物質的な存在であるデーモンも、確かに人間を喰らうことはあるが、これはあくまで「嗜み」であり、本来なら生命維持に食事を必要とはしていない。
だが、バンパイアだけは、正の生命力を直に吸い取って活力とする必要がある。
「ここで気付いたの。このままでは、わたしは“白”にも“黒”にもなりきれないって。
光も闇も超える存在になって、吸血鬼とプラスの生命力の繋がりを断ち切り、矛盾を甲斐性しないとね……
そのために、この石仮面で地獄のパワーを集めて、別の属性の力に転化するのよ」
アイリスは仮面を手に取った。別に被らなくても、新たな力がアイリスに流れ込んでいるのが見て取れる。
彼女は何になる心算なのか?
アイリスは溜息をついた。彼女は呼吸を必要とする生き物ではないのに。
「……あんたの悩む姿は、まるで自分を見ているようだわ、テイル。
今だから言えるけど、そんなあんただから、わたしの計画に巻き込まれて死んで欲しくはなかったのよ。
変なことで悩むところは、わたしそっくりみたいだし」
アイリスは手を挙げ、テイルを指差した。
闇の神と交信するための魔法言語、暗黒語の呪文詠唱が始まった。そして言葉を切った。
「これが最後の警告よ!この件から手を引きなさい!」
今度は警告とともに、光の勇者たちに向けて、暗黒魔法の《クエスト》まで使ってきた。
使命達成の命令を強制的に護らせる魔法、それが《クエスト》だ。神聖魔法でも同様の魔法が存在する。
この呪文にかかったが最後、「この件から手を引け」という命令に反する行為をすれば、全身に耐え難い激痛が走り、それが数分も続けば確実に発狂する。
強く意思を持てば、この魔法に抵抗できないことはない。
だが、光の勇者達の心に少しでも迷いがあれば、この呪文に飲み込まれるだろう。
>152
「光も闇も超える存在……別の属性に転化する……だって?」
その言葉を最後に、意識が遠のいていく。
気付けば、辺り一面真っ白な世界にいた。
ああ、死んだんだな。もっとみんなと冒険したかった。
女神様はきっと、こんなに早く帰ってきたのかと呆れるに違いない。
案の定、目の前に、優美にして冷厳な美しさをたたえた女性が現れた。
全てを包み込む優しさの裏に、支配する者の残酷さを併せ持つ星の女神。
たおやかな声でボクを出迎える。
「我が末娘よ、随分早い帰還ですね」
「……。ごめんなさい、お母さん」
思わず俯く。女神様は責めたりしないなんてことは分かっている、それでも……。
「謝ってすむと思っとんのかボケ! 断 じ て 許 さ ん!!」
「はい!?」
優しい言葉をかけてもらえるのかなーと思ってた矢先にあまりにもイメージ崩壊な反応。
驚きのあまり顔をあげると、そこにいたのは震えている儚げな少女だった。
すがるようにこっちを見つめている。
「助けて……」
「お母さんなの……?」
小さく頷き、今度は叫ぶように懇願する少女。
「お願い助けて……!
ずっと昔……私“達”がソフィアを失ってしまったあの時から終焉は始まっていた。
何とか今まで保ってきたけどもう無理よ……! 境界を失った世界は均衡を保てない……」
「どうしてそれは失われたの?」
「それはね……」
少女は、さっきとは打って変わって悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「今はまだ言えない、でもあなたは最初からずっとその力の欠片を持ってる」
少女が両手を前に掲げると、虹色の輝きが集まっていく。
プリズムのような宝珠になったそれをボクに手渡す。
「お姉ちゃんから貰ったよね、だからまだ頑張れるはず」
受け取った瞬間、真っ白な世界に色彩が戻ってくる。
――忘れないで、あなた達が虹色の翼を持つ意味……!
>「これが最後の警告よ!この件から手を引きなさい!」
「……。なんてことだ! 仕方がない……帰るか!」
クエストの抵抗に失敗したのか分からないが、メルディは帰る気満々である。
「クエストだけにクエスト失敗ってやつか!?」
そう言うレオもなんとなく帰ろうとしている雰囲気である。
「誰が上手い事言えと!」
エメロはテイルに回復魔法をかけながら往復ビンタをくらわせていた。
見事な飴と鞭である。
「テイルさん、しっかり! ほら、変なロッド持って!」
変なニコちゃんマークのロッドを手渡そうとした時、ニコちゃんマーク部分にひびが入る。
「……え?」
そして砕け散った。その下から現れたのは虹色に輝く宝石。
テイルがロッドの柄を力強く取った瞬間、その姿が変化していく。
「ええ――ッ!?」
エメロは驚きの声をあげた。それもそのはず。
すらりと伸びた手足、いつものあどけなさが影を潜めた凛とした顔立ち。
絢爛なる翼の輝き。際どい服装ながらその際どさを感じさせない清廉な雰囲気……ッ!
少年か少女か、はたまた青年か娘か。
人間を呼び表すための呼称はどれも当てはまるようでどれも当てはまらないけど
兎にも角にももうガキとか幼女とか言わせない清楚にして妖艶な姿になっていたのだ!
「おおっと、大宇宙の法則でいうところのマゾシステムが発動しました!
大ダメージを受けるとよく分からん超パワーに目覚めて強くなるという法則です!」
メルちゃんの解説を丁重に訂正する。
「そんなに難しい法則は働いてない、この“デュープリズム”が闇の瘴気を浄化してくれた」
手に持った壮麗なる杖を示して見せる。
杖の先で輝いているのは、光の下で様々な色に輝く生命の象徴。
遥か古の世より妖精族に伝わる、輪廻の大樹の雫の結晶。
確かに族長からもらっていた。ずっと最初から持っていたんだ。
これが、ソフィアなるものの力の一端……?
「じゃあそれは……《エレメントセプター》!
代々の勇者の導き手が死霊皇帝封印に使ってきたという
輪廻の大樹の枝を柄に、デュープリズムをあしらった伝説の聖杖!」
「なんだってー!? 変なロッドは単なるギャグアイテムじゃなかったのか……!」
「重要アイテムをギャグアイテムに見せかけて渡すとはロリババア半端ない!」
二人で大盛り上がりのメル&レオは放っといて、アイリスさんに向かって杖を掲げる。
デュープリズムに虹色の光が収束していく!
「それ、魔法学校の制服だよね。
魔法学校に行った時にね……あなたと同じぐらいの女の子が一緒に戦ってくれた。
冗談みたいに巨大な子猫の餌代を稼ぐのに一生懸命だった。
ぱっと見地味だけど鮮やかな輝きを秘めてた。あなたもそんな人のような気がするな。
あなたを矛盾から解き放つのはきっと闇の力じゃないよ!
キミが本来持ってた輝き……受け取れええええええ!! 【プリズミックレイ】!!」
杖を振りおろし、収束した輝きを渾身の力で打ちこむ。
それは、闇に捕らわれたアンデッドを闇の楔より解き放つ生命の躍動!
「皆さん、落ち着いて! こっちです!」
避難誘導にいそしむ黒いゴーレムと天使の翼の少年。
言うまでも無く、今回はスタメンを外されていたバラグとソル。
なぜ外されていたかと言うとソルが風邪ひいて寝込んでバラグが付き添っていたとかそんな感じで多分大した理由ではない。
ソルが呆れたように言う。
「もう、こんな時に喧嘩してる奴らがいる! しかたないなあ」
が、いち早く真実に気付いたバラグが忠告する。
「よく見ろ、白いゴーレム……俺の対と……」
「もう一人はインペトゥス!」
>151
「お前、強いんだな! オラ、ワクワクしてきたぜ!」
と、剛腕を受け止められたグラム。
ゴーレムなので表情はないが、どことなく嬉々としているようだ!
「助けてくれてありがとう。でも僕は弱く無いよ!」
ニケは神威にそう声をかけると両手を軽く振った。
その瞬間、右手に炎の魔力剣、左手に氷の魔力剣が現れる!
絶妙のタイミングでアテナが跳躍し、ニケが鎖を断ち切らんと魔力剣を一閃する。
だがしかし、鎖は切れずに後ろに跳ね返された。
「悪いなあ、簡単には切れないんだよ!」
インペトゥスは犬コンビが着地する前に拘束するべくもう一方の鎖を伸ばす!
が、その時!
「【トゥインクルスター】!」
「!?」
炸裂する星型の魔力を受けて体勢を崩すインペトゥス。
そこには駆けつけてきたソルと、バラグがいた。
「またお前か!」
「それはこっちのセリフだ……今日は妖精と一緒じゃないんだな」
ソルとインペトゥスがそんなやり取りを交わす間に、バラグがアテナとニケに逃げるように促す。
「お前達、早く行け!」
「ええー? あなたまで戦力外扱いする!?」
背中の上で不満を漏らすニケをよそに、アテナは周囲に思念を送りながら迷わず駆けだした。
『ありがとうございます。わたくし達はこの瘴気の発生を絶ちにいきます!』
「言っとくけど僕は弱く無いんだからね〜〜!」
一人と一匹の姿はすぐに見えなくなった。
「おい、追わなくていいのかよ。別にオレはいいけど」
と、インペトゥスが言うが、グラムには聞こえていないようだ。
「最っ高に面白くなりそうだな! どっからでもかかってこいやあああああ!!」
それにしてもこのグラム、ノリノリである。
もしかしたらもう犬コンビの事は忘れてるんじゃないだろうか。
アテナさんとニケはわりとすんなり逃げてくれた。
……うん、自分も頑張らなきゃ。
「さて、面白くなってきたね……こっちもそろそろ行動開始するよ」
そういって天使の姿に変わる。
「久しぶりだから…加減とか出来ないからな!」
>>155 アイリスは眩い光に眼を閉じ、顔を覆った。
「……」
アイリスの青白い肌に血色が戻っている。
アンデッドを元の種族に戻す奇跡。それは確かに、アイリスにももたらされた。
だが、よく目を凝らしてみれば、アイリスの放つオーラは未だに、アンデッドのオーラを出している。
心臓は確かに動いているようだが……
どうやら、アイリスはバンパイアになっている間に「何か」をしたらしい。
命を取り戻してもなお身に纏う闇のオーラが、アイリスが完全に光の眷属の敵対者であることを物語っていた。
「これが答えよ、テイル。わたしは後ろを振り返らないの。
それに、わたしだけ助かっても意味は無いでしょ?
わたしは、自分の手で眷属にした人達の面倒も見ないといけないから。
まあ人間に戻ったところで、食べ物が人間の血から動物の肉になるだけだし、根本的な解決にはならないのよね。
もしかしたら、吸血鬼っていうのは人間と同じ、白にも黒にもなりきれない灰色の存在なのかも」
考え方がかなり吸血鬼ナイズされていることも伺える。
そもそも、彼女が吸血鬼であるとかいう以前に、目的を諦めるつもりは無いようだ。
だが、テイルの光により、アイリスの闇の衣は剥がされたのは間違いない。
今は生身の身体であるから、バンパイアの恐ろしい再生能力も、精神力奪取の能力も持たない。毒や病気にも冒される。
それでも、彼女の魔力が衰える気配は無い。
バンパイアになることで得た力と、《イモレイト》で得た力は別だ。
「1時間あれば、わたしの考えは全て上手く行く……だけど、そうはさせてくれないのでしょうね。
だからテイル、今からあんたを最大の奥義で倒す!
これはわたしの“人間としての”意思だよ!
防いでごらん……できるものなら!」
古代語の呪文詠唱だ。
皆まで言わずともわかる、《メテオ・ストライク》だ!
こんなに近くに居る相手にこの魔法を撃ったら、自分も巻き込まれて死ぬことは明白だが、アイリスはそれすらも計算済みと言わんばかりだ。
微かに赤みが差してきた頬。命持つ者の瞳の輝き。しかし、しかしだ。
アイリスさんは生命を取り戻してもなおアンデッドのオーラを出している。
「そんな、こんな事って……」
考えられる事は、光の下に戻る事が無いように自ら細工を施していたのだろう。
彼女はヴァンパイアでいた時間が長過ぎた。心までも闇の眷属になっていたんだ。
さらに、大宇宙より隕石を呼び寄せるメテオストライクの詠唱を始めた。
「バカ……! やめろ! そんな事をしたら自分も巻き込まれる!」
攻撃魔法というよりも、大規模破壊魔法。巻き込まれるというより自分に撃ったも同然である。
自分を中心にファイアボールを撃つ捨て身のギャグはよく噂に聞くが
それをメテオストライクでやる人がどこにいるだろうか。
さすがのメル&レオもこれには右往左往するばかり。
「どどどどどどーしよ!」
「大規模なくせに詠唱したターンに即発動する魔法だ! 逃げても間に合わない!」
そんな時、場をさらに混乱させる人物が現れた。
「ここは私に任せて逃げろ!」
悪人っぽさがすっかり抜けて真人間オーラ全開の神官長だ!
ちなみに、レオ君が言った通り逃げても間に合わず
任せて逃げたところでどうにもならず犠牲者が一人増えるだけである。
「神官長……何で!?」
「アイリスさんが生き返らせてくれたって言ったじゃないですか」
エメロちゃんが当然のように答える。
「おおっと、これは冗談で言った事が本当になってしまうという大宇宙の法則です!」
「いや、ある程度目立った人や
俺達が名前を知る程度に関わった人はなぜか死なないという大宇宙の法則だろ!」
「それもある! となると当然アイリスさんにも大宇宙の法則は働くはずです!」
一見漫才しているだけに見えるメル&レオだが、何が言いたいのか分かった。
要するに二人はアイリスさんを死なせるなと言いたいのだ!
今の彼女は莫大な魔力と精神力を持っているとはいえ体自体は生身の人間
メテオストライクに巻き込まれれば死んでしまうだろう。
ボク達の迷走を余所にアイリスさんの呪文の詠唱は完成してしまった。
「タケル君、四神守護結界だッ!!」
それだけ叫ぶと、アイリスさんに襲いかかる……じゃなくて覆いかぶさる!
「ボクは捨て身のギャグは嫌いだああああああ!!」
すでに瘴気は不動明王覚醒状態の武には自らの力を反発させて高めるカンフル剤になりつつあった。
>「タケル君、四神守護結界だッ!!」
「けっ、言われるまでもねぇぜ!」
テイルの指示に従い、九字に切り始める。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・列・在・前!四神守護結界!」
完全に印を切り終わると光が発生すると同時に帝都を守る強固な結界が辺りを包み始める。
>>159 「なッ!何をするだァーッ!」
組みつかれて《メテオ・ストライク》を邪魔されたアイリスは憤慨した。
とはいえ、呪文の詠唱はちゃんと成功しているし、隕石はファティマの中央神殿に今にも迫っている。
実はルールブックを読み返してみたところ、《メテオ・ストライク》は、空の見える場所でないと使えないと書いてあった。
細かいルールミスをされると泣くので、とりあえずこのまま進めることにした。
なお、アイリスが全身から放っている黄色いアンデッドっぽいオーラは、禁呪中の禁呪《ビカム・ノーライフキング》によるものである。
この呪文を使うと、生身の身体でアンデッドのオーラを身に纏うようになり、この状態で死ぬと「生命無きものの王」と呼ばれる、バンパイアの上位種に当る怪物になる。
失敗していたら肉体も魂も完全に破滅するが、大丈夫、達成値はちゃんと足りているし、ピンゾロを振ったりとかもしていない。
そもそもアイリスの場合、自身の膨大な魔力に加え、何日にも渡る儀式や、闇の神に縁のある物品を用意するなどして万全を期しているため、成功しない筈が無い。
だから、自分を中心に《メテオ・ストライク》なんて無茶をしても、平気どころか一石二鳥なのだ。
もちろん、アイリスがファティマの地獄パワーを完全に吸収した場合、「生命無きものの王」以上にヤバいものに転生することは言うまでも無い。
「アイリスが求めているのは地獄のパワーである」というところが、最大の注意点である。
だが、どちらにしたところで無限の寿命を得られるため、思索をする時間を得られる。
「新しい力が湧いてくる良い感触だわ!
テイル、地獄のパワーでわたしが何をするのか、大人しく見ていなさい!」
こうしてアイリスを相手取って戦っている間も、彼女は手に例の石仮面を持っており、地獄のパワーを吸収している。
>>160 結界がアイリスの《メテオ・ストライク》を食い止めている。
しかし、結界が音を立ててひび割れてゆく。このままだと押し切られそうだ。
>160-161
>「なッ!何をするだァーッ!」
「早まらずに新たな一歩を踏み出そう! 生きてればそのうちいい事が……」
説得タイムが始まろうとした時、神官長が今思い出したとでもいうように解説を始めた。
「違う、自爆しようとしているのではない!
おそらくその者が使っておるのは禁呪中の禁呪《ビカム・ノーライフキング》だ!
この状態で死ぬと「生命無きものの王」と呼ばれる、バンパイアの上位種に当る怪物になるそうだ!」
つまり隕石が落ちて死んだら晴れて進化出来て相手の思う壺。
かといってとどめを刺そうか葛藤する必要もない。
デュープリズムの力を持ってしても払えない禁呪相手に自らとどめを刺した所で進化するのは同じである。
「まずい、結界が持たないぞ!!」
結界がひび割れて行く音を聞いてレオ君が叫ぶ。
最大奥義メテオストライクは四神守護結界を持ってしても防ぎきれないようだ。
以上の事を総合して取るべき行動はただ一つ!
「36計逃げるにしかず!!」
結界が壊れる前に脱出し、奇しくもアイリスさんの言った通り彼女のやる事を大人しく見届けるしかない!
「アイリスさん……今回は負けました!
みんな行くよ! あれ? エドちゃんどこー!?」
走りながらメルちゃんがあっけらかんと答える。
「エドちゃんバラバラになったけどよく見ると人形みたいだった!」
こうして、神殿から一目散に脱出して全速力で走っているさなか、背後で轟音。
結界が壊れ降り注ぐ隕石が神殿を破壊するところだった! まさに間一髪!
アテナとニケは逆ペンタグラムの一角がある場所にたどり着いた。
アテナが跳躍し、そこからニケが二段ジャンプの要領で、魔法の道具を持っているアイリスの手下に蹴りを入れた!
「な、なにをするきさまー!」
手下は誰も来ないのでいささか油断していたのである。
ニケに手下ごと飛び蹴りを入れられて、大きな鏡が台座から転がり落ちた。
その鏡に、空中で素早く身体をひねったニケが魔力と体重と落下速度を乗せた剣を叩き込み四散させる。
五芒星の辺が一つ消え、それまで頂点だったその場所には一本の光の筋が貫通していた。
アテナは蹴られ倒れた手下には見向きもせず、
光の筋の来ている方へと向き直るとニケを乗せて再び走り出す。
空中に伸びる光の筋に呼応して地獄の瘴気が吹き出すその真上をアテナが駆けると、
黒く淀んだ地に一瞬青草が茂り花が咲き、瘴気の道を塞いで枯れる。
その先に待つのは、五芒星の次なる頂点。
広大な王都を斜めに駆け抜け、頂点を一つ一つ潰しながら
最初の頂点「井戸」に辿り着き破壊するべく、彼らは駆ける。
氏名:銀河鉄道電車男曹長@∃∀∞【*Д*】+∇+。
今回の用件:特殊部隊入隊参戦許可証を一刻も早く発行を絶対完全肝心特別に必ず適う約束で頼みます。
兵科:軍属・文官。
階級:曹長。
配置先・セグメント:司令部・管理。
基礎能力値数:全ステータス超究極∞以上を遥かに越えている&無敵&不死身&最強最高最大最良。
基本習得技:【亜空間超空間転送技術瞬間移動驚愕衝撃圧縮凝縮異次元無反動霊界回帰時空砲】移動性の宇宙空間破壊規模のデリート【削除】あぼーん属性のダメージを与える。
装着特技欄:【スペシャルデラックスアルティメットアンリミテッドインフィニティーエンドレスエイトエターナルフォースブリザードバーストモード】効果は相手は時間を遡って完全消滅する。
特別得意技:【ウルトラスーパーハイパーグランドフィナーレファイナルラストクライマックスエンドオブザワールドオーバードライブプラズマレーザービームビックバンかめはめ波】敵キャラクターをロスト【復活不可能】にする。
強化装備品:オーラエネルギーライフル&オーラエネルギーブラスターキャノン&オーラエネルギーオールディメンションシールドバリアー&オーラエネルギーフォースフィールドパーフェクトエクストリームタクティクスアーマー。
全部紹介特殊能力:気功砲&ギャディック砲&波動砲&波動弾&波動カートリッジ弾&全部1〜108式波動球&ホーミングロックオンカウンターオーラショット&テレポート&トランスポーテーション&ワープ航法&テンションアップ。
>157
>「久しぶりだから…加減とか出来ないからな!」
「それは好都合、この戦闘狂の相手を頼むぜ!」
インペトゥスはそう言って白いゴーレムを示す。
「うおおおおおおおお!!
スペシャルデラックスアルティメットアンリミテッドインフィニティーエンドレス
エイトエターナルフォースブリザードバーストモード発動!」
グラムが微妙に強そうなオーラを纏った……気がした!
ソルは思わず攻撃するのを忘れてぽつりと言った。
「えーと、アホ?」
「知能回路が残念と言ってやれ」
と、バラグ。
頭脳派のバラグと対照的なのでそのような仕様になっているのか
急いで作ったためにそうなってしまったのかは謎である。
「来ないならこっちから行くぞ!
ウルトラスーパーハイパーグランドフィナーレファイナルラストクライマックス
エンドオブザワールドオーバードライブプラズマレーザービームビックバンかめはめ波!!」
謎のビームを放ってきた! ドン引きしながら左右に避ける二人。
「ダメだ、こいつ……!」
「……。ある意味勝てる気がしない……」
さてさてエドから世界樹の核となるデュープリズムの探索を命じられたのですが、生来の鳥頭で王都の位置を度忘れしてガイアを10周半もしてしまいました。
なんでも僅かだが王都からデュープリズムの魔力を感じたという報告をエドから受けたので、直行したつもりでしたがかなりのタイムロスでしたね。
「・・・・・・うよよよよ。なんか10分程ガイアをグルグル回っていた間に随分地形が変わっていますねえ」
つまり私、剣王こと八咫妖烏は1分でガイアを一周できるのだっ!!!
いやそんな事はどうでもいいです。
誰もそんな事は聞いてないですしね。
先ずは竜宮城でのーみそコネコネ・・・じゃなかったホーリーソイルをコネコネしてブループラネットで新たな命を吹き込んでいるエドに現状報告をしなければいけませんねぇ。
手に持った最新科学技術の結晶であるポラロイドカメラで変わり果てた辺りの様子を収める。
因みに、先ほど逝ったロランドの最後の作品です。
・・・・・・予備か製作図ちゃんと残ってるよね?
ぶっ壊れたとかフィルムが無くなった洒落にならねーです!
シャッターを切るたびにスルリとフィルムをカメラから引き抜くと同時に空へ放り投げる。
5枚ほど取り終えるとカメラを手から離し、ハラハラと舞う写真に向けて黒羽扇を振るう。
ビュウッ!!!
一陣の風が空に開いた穴へと吹き込む。
『境界を作り出す能力』で写真を竜宮城に送り込んだのです。
それは私の持つ、この世界が幾つもの界と折り重なっている事を証明する能力です。
世界を切り裂いて異界への穴を開けることにより界の重積を示したり、この世界の一部を切り出して一瞬で結界を作り上げる事ができるのです。
因みに界あけた穴をふさぐ能力は私にありません。
また界に開いた穴はその界の均衡を保つため、異界の干渉を避けるために勝手に塞がるのです。
1000年前に天使達が遥か上空の世界を知り、そこで生きるための叡智の結晶を作り上げたのは私の能力あっての事。
天使達の絶対天上天下地中浄化ニ柱滅殺惑星再生キャノン(仮称)に巻き込まれないためにも、私達は神々から解脱した、またはしつつある者を宇宙に上げなければなりません。
主に私の能力で。
疲れるんですよねーコレ。
何しろ界って一番大きな力の単位じゃないですか。
そんなもんと張り合って潰されかかるような真似なんて何回もやってられないですようぅ。
「うよっと」
写真も送り終わったので廃墟となった神殿へと降りてみる事にしますか。
上空から見た被害状況から見るにメテオストライクを使ったと考えてまず間違いないでしょう。
「・・・・・・!!!」
瓦礫を崩す音がする。
ここは烏に化けてやり過ごしましょう。
自分の体を無数の烏に変えて辺りの死体・・・というか肉片っぽいものを漁らせる。
しばらくすると神殿の入り口だった場所から3人の男女が這い出てきました。
僧侶の二人は見覚えがありますが、妖精の女は先ほど覗いた水晶玉に移っていない人物ですねぇ。
これは要チェックです・・・・・・ぅうよよよよよよ!!!?
その妖精の女が持っている杖に目が行った。
「あれは間違いなくデュープリズム。
今の手傷を負った状態なら奪うのは容易いですけども、ここでやり合ったら死ぬ気で抵抗されて本当に死ぬ。かな?」
能力で腕を切り落として持ち去っても良いですが、それこそ出血多量で死ぬでしょうね。
死霊皇帝への戦力になるのならここで殺すのはあまり美味しくありませんねぇ。
まあ、あいつ等の位置が把握できるならいつでも奪えますからここは見逃すべきですかね。
あれはブループラネットや血の魔石と違って軍事転用はできませんし。
さてと。
自称勇者御一行も消えた事ですし、ロランドの息の根を止めた馬鹿に落とし前をつけて貰いに行きましょう♪
愛刀の子烏丸で神殿の地下へ切り裂いて移動する。
埃だらけの崩れかかった部屋の中央でソイツは下半身を潰されていました。
殺してくれだの楽にしてくれだの言っているがそんな事はしてやる義理は全くないですね。
やりたいのなら自分でやれば良いです。
まあそれも今できなくなるんですが。
スパンッ!!!
刀を振るう空間など無い狭い場所だが能力で器用に両手首を落としてあげました。
これで古代語魔法や対象に手を向けて放つ暗黒魔法は使えません。
「これであなたは死ねなくなりましたねえ。
殺して欲しいですかぁ?死にたいですかぁ?
吸血鬼なんだから舌かんだくらいで死ねませんよ?」
テイル達が撤退して、アイリスだけが残された。
神殿は、隕石が衝突するまでの僅かな間であったが、静寂に包まれていた。
「静かだわ。まるで、わたしがバンパイアに生まれ変わった直後みたい」
アイリスは最高に落ち着いていた。遠い過去のことを思い出して感傷に浸るくらいには。
既に地獄のペンタグラムは崩され、彼女の計画は今まさに潰えようとしていた。
それなのに、彼女は冷静である。まるで、こうなることがわかっていたかのようだった。
ちなみに、レッサーバンパイアはわかっていた。アイリスはドジで詰めが甘いから、今回も失敗するだろうと。
アイリスはバンパイアでなくなっても、自分には無限の時間があると思っている。
事実、彼女は今から上位のノーライフキングになり、再び永劫の命を獲得することが約束されている。
だが、ノーライフキングでいる時間は少ないだろう。
アイリスが再起し、この石の仮面の力を使って別の存在に生まれ変わるのには、定命の人間達の基準で言っても、大した時間はかからない。
少なくとも、彼女はそう思っている。そう、石仮面さえあれば……
神殿が音を立てて崩れ始めた。
「あっ」
押し寄せてきた瓦礫と隕石が自らの命を断つ瞬間、アイリスは自分の「ちょっとしたミス」に気付いた。
考えてみれば、まったく簡単なことである。
ノーライフキングになった後でも、新たな存在になるための“儀式”はできる。
ノーライフキングに転生する場合、アイリスは別の場所で復活を遂げ、生前に身につけていたものは死んだ場所に放置される。
これ自体には何の問題も無い。後で石仮面を回収すれば良いだけのことだ。
問題は、自分で命を断つ手段として《メテオ・ストライク》を採用したことだ。
《メテオ・ストライク》の隕石は、神殿を破壊するに足る威力がある。
仮に仮面が無事であったとしても、神殿の方がアイリスよりも先に発見して、その場で処分すると思うが。
どちらにせよ、結果としてはあまり変わらない。
再び石仮面を作るには、長い年月が必要になる。別の計画を立てなければならない。長い戦いは始まったばかりなのだ。
「……テイル。あんた達との決着は、暫くつきそうにないわね!」
こうして、アイリスは他人の伏線を破壊するだけでは飽き足らず、自分で張った伏線まで粉微塵に粉砕した。
あれふど壮麗だった神殿は、瓦礫の山と化した。
瓦礫を掘り起こしたところで、ここに残っているアイリスの痕跡は、粉々に砕けた石の仮面と、アイリスが身に着けていた衣服や髪留めくらいだ。
>>169 とりあえず、剣王の犠牲になったのは、アイリスそっくりのレッサーバンパイアであるということにしておいた。
アイリスがちゃんとファティマの地下にあるアジトで復活するかどうかなんて、そもそも未確定事項なのだからしょうがない。
基本的には用心深い彼女のことだから、ファティマの地下とは別に、魔法で隠蔽されたアジトを持っていないわけがないのだ。
当然、それが重要なアジトであれば、探知魔法の対策はしっかりしているし、警備をレッサーバンパイアだけに任せるようなこともしない。
また、アイリスは自分にそっくりの女性が居れば、迷わずレッサーバンパイアにして、手間をかけて古代語魔法を教え込み、優秀な影武者に仕立て上げるだろう。
自分にそっくりでなくとも、《ディスガイズ》や《シェイプ・チェンジ》を使わせるなど、影武者を用意する方法はいくらでもある。
本物のアイリスが何処に居るかを知る者は、今のところ、彼女が復活するアジトで待機している者しか居ない。
そして、そのアジトは剣王の襲撃を受けたこの場所ではない。
アイリスの気持ちになって考えてみれば、簡単にわかることだ。
そう、彼女にとっては、光の神の神殿の地下に復活するメリットなんて無いし、彼女自身が神殿を嫌っているのだから、そんな場所で復活したりはしない。
どこか別のところで復活したに決まっている。
というわけで、アイリスそっくりのレッサーバンパイアを苛めている剣王を見て、周りの他のレッサーバンパイアがドン引きしていた。
「なんてやつだ!」
「こいつ……ライトファンタジーじゃねえ!」
しかしながら、アイリスが神殿でやったことも十分にライトファンタジーじゃないので、こいつらに言われる筋合いはあるまい。
ともあれ、周囲のレッサーバンパイア達は、剣王のあまりにサディスティックでライトファンタジーらしからぬ振る舞いに恐れをなし、蜘蛛の子を散らすように逃げた。
このアジトには、特に目を惹くようなマジックアイテムの類は見当たらない。
レッサーバンパイア達が撤収すると、剣王の周りは静かになり、後には謎だけが残った。
アイリスは何処へ行ったのか?
それは、しばらく解けることのない謎だろう。具体的には、第10章が始まるまでは。
第10章が始まる前にアイリスの居場所を突き止めた場合、その人は酷いことになるだろう。
>170-171
木端微塵になった神殿のほうをまじまじと観察する。
ゴゴゴゴゴ……という効果音を鳴り響かせながらでかいのが出てくるに違いない!
だがしかし。
「……。何もでてこないね」
そこで神官長が衝撃の事実を告げた。
「うむ。ここで復活するわけではないからな」
「な、なんだってー!?」
と、大袈裟に驚きながらどさくさに紛れて神官長をエメロちゃんから少し離れた場所に連行する。
「誰が生き返らせてくれたの? アイリスさんじゃないよね?」
「それが……信じられないだろうが天使……だった気がする」
神官長の倒れていた辺りに白い何かが落ちていた。純白の天使の羽根。
「見間違えじゃないよ、これ……」
ソル君は来てないはずだ。じゃあ誰が!?
「名前は聞いた?」
「クリス・スターライト……それだけ言って姿を消した」
――――――――――――――――――――――
その頃どこかでメサイアが紅茶を飲みながら一人事をいっていたとか。
「やれやれ、今日は二回も光の力を使ってしまいましたね。
そこまでさせたからには今度こそ全うに生きてくださいよ。
私は人間の心を信じたいのだから……」
さて、多少微妙な空気ながらもインペトゥス・グラムVS神威・ソル・バラグの戦いは続いていたが
闇の瘴気は薄らぎ始め、神殿に隕石が落ちる音が響いてきた。
引き際の達人であるインペトゥスが撤退を促す。
「終わったらしいな……もうじき住人も帰ってくるだろ。
今回はここまでだ、帰るぞ」
が、もちろんグラムは聞く耳を持たない。
「こいつらと決着つけるまでは帰らないぜ!」
インペトゥスは問答無用で鎖を伸ばしてグラムをぐるぐる巻きにした。
「今日は顔見せ程度にしろって言われただろ。帰るっていったら帰るぞ!」
魔導バイクから魔導銃を取り出しながら神威に向かって言う。
「いい事教えてやろう、神殿襲撃してたのはオレだよ……あばよ!」
引き金を引くと、辺りは煙幕に包まれた。
数秒後に煙幕が晴れた頃には、案の定インペトゥスはグラムの巨体もろとも消えていたのである。
「手品かよ……!」
「あれが光鉄のグラムか……。テイル達が心配だ、行くぞ」
五芒星を逆に辿るアテナとニケが何度目かに神殿の側を駆け抜けようとした時、
そこにあったのは神殿ではなくガレキの山だった。
「うわ何っ!まさか、揃って降格決定チームに負けた
ナビスコカップ決勝進出チームのサポーターが暴徒化した!?」
(そこまで酷くないです・・・普通に何者かが隕石を召喚したのでしょう。
それに、瘴気から神殿へのパワーの流れもなくなっています)
「それってぼくたちが瘴気の出口を閉じつつあるからじゃないの?」
(残念ながら違うようですね。ほら、あそこに
3本目の足でサッカーボールつかんでるのが似合いそうなカラスがいる・・・)
「え?日本代表のエンブレムなんてわかんないよっ!?
それにあそこにいるのは女の子じゃないか・・・黒い翼ついてるけど」
(先を急ぎましょう・・・あのカラスに関わってる暇はありません)
零崎一賊に遭ったように哀れなアイリスの身代わりは
既に彼らに気付いてもらえる状態ではなかったようだ。
>174
地獄の瘴気は薄らいできたもののまだ止まっていない。
「神官長さん、これどうやったら止まるの?」
「逆ペンタグラムか……それなら……」
そこに白い狼とそれに乗った少年が通りかかる。
「あ―――! ここで会ったが百年目! 心配したよ!」
彼らの前にずざーっとスライディングする。
「そう言われてみれば……こんな変な人に会ったような会ってないような気がする……」
『その杖をよく見てください。
一族の言い伝えに語られる世界樹の雫ではないですか……!?』
白い狼から思念が伝わってきた。
『不躾を承知でお願いがあります。瘴気を止めるのを手伝ってください!』
上空には光の筋が2本か通っている。すでに3本辺を消された後の元逆ペンタグラムだ。
白い狼はそのうちの一本を示す。
『あの光の筋を辿って行ってください。その先に最初の頂点……瘴気が湧き出る“井戸”があります。
もう一つの頂点を絶ってから私達も行きます!』
「分かった!」
逆ペンタグラムの最初の頂点にたどり着く。
レッサーヴァンパイア達が円陣を組んで警備する中に一際大きい装置があった。
装置のすぐ近くに大量の瘴気が噴出している地点がある。
「瘴気汲み上げ装置……? あれを破壊すればいいのか」
レッサー達は何やらざわついていた。
「うは、瘴気の道が消えてるぞー。テラヤバス」
「あいりす様に叱られる!」
「てかまた計画失敗じゃね?」
後ろから、白い狼と少年が瘴気の道を塞ぎながら駆けてきた。
『全ての辺が消滅しました。あなたはそれで瘴気の穴を塞いでください。
私達は装置を破壊します!』
レッサー達の中に果敢に突っ込んでいく白い狼。
「うは、誰か来た」
「だ、だれだ貴様―!」
慌てながらも襲いかかるレッサー達に魔力剣二刀流で応戦する少年。
こうしてあっさりと円陣が崩れたところに乱入し、エレメントセプターを振りかざす。
「うわ、また誰か来た!」
「あの杖何かヤバげじゃね!?」
レッサー達がビビってる間に瘴気の噴出口を封印する!
「【プリズムシール】!」
瘴気の噴出が止まる。
それとほぼ同時、少年の魔力剣が装置を粉砕するのが見えた。
見る見るうちに、街を覆っていた闇の瘴気が晴れていく。
「ああ、なんてこったー!」
レッサー達の慌てぶりハンパない。
「キミ達の主人との決着はお預けだよ、じゃあね」
そう言って、颯爽と背を向ける。
が、目線がいきなり低くなっている。いつもの3、5等身に戻っていた。
「あ、縮んだ。ああ、やっぱりどこかで会ったよね!」
『丁度いいですね、私の背中に乗ってください』
「丁度いいってなんだ!」
こうして、今回の騒動はとりあえず一件落着となったのである。
少しばかり話が遡る
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
さて、バラグとソルに乱入され、見せ場を失った黒ローブは…
「んぎぎぎぎぎ」
グラムの(略)波を真っ正面から受けとめていた
だが、(略)波の威力は凄まじくこのままでは、塵一つ残らず消し飛んで仕舞うだろう。
「クソッ…あんまこういうイカサマは使いたくねぇんだがな」
そう言った瞬間、黒ローブの両目が虹色に輝きだす
「…こんなに殺し易いのは滅多に無いな」
と訳の分からない独り言を呟いた瞬間
(略)波は真っ二つに割れ、霞のように消え去った。
>「やっぱすげぇなその目!
アイツが欲しくなるのも納得だぞ」
黒ローブが何をやったか理解しているグラムは尚一層喜びの意を表す。
さて、(略)波を受けきった黒ローブはと言うと
いや、もう黒ローブではない
何故ならば、先ほどまで姿を隠していたローブと自由を奪っていた手枷、足枷は吹き飛び、彼女本来の姿がそこにあった。
炎を彷彿させる紅蓮の長髪、美しさと強さを両立させた肉体、そして、額から生える雄々しき一本角
そこにいたのは正に
「…ナイトメア?」
「あ゛!?」
「ひぃ!ごめんなさい」
睨まれたソルはバラグの背後に隠れた。
「…鬼か…だが、すでに滅んだと聞いたが」
「そうだ!デカいの…鬼はこの恐山神威1人残してみな滅んぢまったさ…いや、滅ぼされたって言うべきか…人間にな
んな昔話はどうだっていい。まずはそこの白いのテメーだ
さっきから好きにやってくれたな
わぁなさ何かしたんずな?あ゛(私はあなたに何かしたか?おい)」
「?」
「わはなさ何もしてねぇべや(私はあなたに何もしてないのに)
おめ、なんなんずよ(あんた何考えてんだ)
わさ…喧嘩うっちゃあんずな(私に喧嘩売ってんのか)」
訳の分からない事を話す神威に理解出来ていないグラム
ちょっとしたカオスである
「どうやら、北国出身らしいな」
「分かんの!」
「んだが、そんなにわの本気見てぇんだば、見せてやるね」
「軽度の訛りだったから何とか把握できたが、どうやら…あの鬼相当頭に来てるな」
バラグの解説を余所に、神威は印を結びながら、呼吸を整える
「あれは鬼戦術式呼吸法と言ってな
普段、無益な戦いを好まない鬼が闘う時に行う動作の1つだ
前に歌で魔法を操る種族が居ただろ?鬼は呼吸と印で魔法を操ることが出来る種族でな
まぁ魔法と言っても肉体強化と自身に対する属性付与のみだが…」
バラグが解説している間に、神威の戦闘準備は着々と進むが…まだ係りそうなので引き続き解説をお願いします
「凄いのは、複数の強化と付与を難なくこなしてしまうことだ
例えば、あの髪がフワフワ浮いているのは風ではなく、恐らく自身にかかる重力を操作している
のに、加え体からは雷を発生させている
恐らくこれは、属性付与だな
恐らくこれに加え、肉体強化も行っている筈だ」
バラグの解説通り、神威は重力操作、雷の属性付与、肉体強化を同時に行っている真っ最中である
「こりゃあ面白くなってきた」
「早くこい、オラ全力のオメーと戦いてぇぞ」
お前ら、お約束なんて守ってんじゃねぇよ
「しかし、鬼戦術には致命的な弱点があってな
長時間の戦いには向かないということだ。
魔力の消耗が激しすぎてな。
あの女…1分いやそれ以下で決着をつける気か」
そう言った瞬間、印を結び終わった神威が動いた。
と周りが認識した瞬間、グラムはいつの間にか接近した神威によって殴り飛ばされていた。
「!?」
何が起きているか理解出来ないグラム、理解し驚きを隠せないバラグ
あの解説をお願いしたいのですが
「超加速…なるほど、重力操作により体の動きを早くし、体に雷の属性にすることにより、感覚を鋭敏かさせ、その感覚に追いつき、超加速に耐える為の肉体強化
…只の人間がやれば、火達磨になるかバラバラになっててもおかしくはないな」
解説している間に、神威は抵抗出来ないグラムに対し、神速の拳を次々と叩きこむが、当のグラム
「うおっ!なんだこうぼぁ」
未知の攻撃を楽しんでいた。
そして、時間は進む
>>173 結局、倒しきれずに神威は何も出来ぬまま
インペティウスを何も言わずに睨みつけていた。
「(真実は必ずお前を裁く)」
煙幕が漂う中、そう呟いた瞬間、神威はその場に倒れた。
「ちょっと待って!あの人も連れてこう」
「無理をし過ぎたな。」
「違うよ…無理をしたからとかそんなんじゃない
こんな傷つけるぐらいのダメージだってくらってないし」
「この跡…拷問か」
「…息が弱くなってる…急いで皆と合流しないと」
「おい、俺達は今更校舎裏なんて行かなくていいんだよな?」
王都からは既に遠く離れたどこかで、鎖で巻かれたままのグラムを蹴飛ばすインペトゥス。
「*☆▲□!?!」
グラムが変な音を立てる。
「・・・馬鹿が・・・鬼の雷で電装をヤったか・・・仕方ない、目的地変更!」
魔導バイクがうなりを上げて方向を変えた。
向かう先は・・・絶海都市オーストラフ。
白い狼の背に乗ってみんなのところまで帰ると、ソル君とバラグさんも来るところだった。
「さっきグラムとインペトゥスに会った」
と、知らない誰かを抱いたバラグさん。
それを見てエメロちゃんと神官長が反応に困っているようだ。
「神殿襲撃犯ですよね」
「多分そうだと思うが……」
ソル君が二人に告げる。
「違うはずだよ。神殿襲撃してたのはインペトゥスだったんだ!」
「な、なんだってー!? 黒蜜黄粉のくせに!」
エメロちゃんと神官長は大焦りしはじめた。
「まずいですよ! 完全に冤罪じゃないですか! どうしましょう!? 神官長!」
「うむ。と、とりあえず治療を……!」
メルちゃんがバラバラになったエドちゃんの破片を眺めながら首をかしげている。
「竜牙兵だよなあ……なんで……?」
そして思い出したように爆弾発言をする。
「あ、ちなみにキミが意識不明の間に血の魔石消滅したから。
ロランドも一緒に消えちゃった」
「はい!?」
一方、白い狼はいきなり白い犬耳の巫女の姿になった。
「ヤバイ、被害パネエっす!」
「パネエ……?」
あまりにも狼の時とかけ離れた口調だが、少年は何食わぬ顔で返す。
「でも被害は最小限に抑えられたよね、きっと」
気を取り直して巫女に告げる。
「血の魔石消滅したんだって。もう封じなくていいんだよ」
「そうっすか! それは良かった!」
「・・・と皆は思ってるっすが実はあっ!」
鬼を治療する神官長に皆の注意が集中している隙に、
巫女は犬耳をぱたぱたさせて少年を離れた所に引きずって行った。
「さっき瘴気の上を走ったっすよね?!するとっ!!」
びしっ、と己の胸を指差して高らかに宣言する巫女。
「何とアテクシの体内で瘴気が結晶化すうわなにやm・・・」
はっとした少年が飛びかかるように巫女の口をふさぐ、というより引きずり倒した。
「きゃんっ、ライトファンタジーなのに昼間っからナニをっ☆」
「・・・今は夜明け前!って問題じゃなくてっ!
自分から大声で “ニア ころしてでも(ry” を招く発言してどうするっ!」
「・・・はっ!アテクシとした事が!久々の自慢のチャンスに我を忘れたっす!」
ぐったりと坐り込む少年の横に「おすわり」のポーズで並んで巫女は言う。
「ま、基本はそういう仕組みっすが・・・ただ、あの魔石並のサイズと力は
この国サイズの瘴気の沼地を丸ごと浄化してようやくできるレベルだから安心するっす。
今のアテクシをかっ捌いても粟粒程の石があるかどうか。ふははははっ」
「・・・いろんな意味で皆に聞かれてなくてよかった・・・」
>182
「今背景でコントしてなかった?」
「気のせいっすよー、こうしちゃおれない、戦後処理だ!」
神殿の瓦礫から魔晶石をかき集め、宿屋兼酒場に乗り込んで占拠、もとい間借りし
“臨時診療所”と書いた看板を立て、偶然通りかかったもょもと&トンヌラ&サマンサに広報を頼んだ。
すると当然、闇の瘴気にあたった人やかゆうま化しかけた人がわらわら来たので
ボクとアテナちゃんはサイン会のごとく片っ端から浄化魔法をかけていった。
普通の怪我人はエメロちゃんのほうへ回す。
ニケ君や神官長から聞いた情報を総合すると、今回の事件の仕掛け人は光鉄のグラムと紅茶神官らしかった。
グラムが人間に化けて、ニケ君が血の魔石を持ちだすようにそそのかし
あらかじめ神殿に入り込んでいた敵の回し者の紅茶神官がニケ君を逃がしたってことらしい。
そこに予期せぬアイリスさんが乱入して大騒動になったというわけである。
そしてエドちゃんの正体については謎のままである。
数日経った頃、誰も来なくなったのでアテナちゃんが“臨時診療所”と書かれた看板を撤去する。
「お疲れ様っすー!」
そして唐突に聞いてきた。
「創世の伝説って知ってる?」
「原初の光と闇の戦いのこと? もちろん知ってるよ」
「それ、どっちかというと終焉の始まり。アテクシ達には他の伝説が伝わってるんだ」
ニケ君が口を挟む。
「いきなり何言ってるの!?
単なる御伽話でしょ。世の中に光と闇以外があるわけないじゃん」
「確かにそれが世間の一般常識。しかーしっ!
アテクシ達は実は光の眷属ではないっ! 今回マゾシステムにより超パワーに覚醒して分かったっす!」
「な、なんだってー!?」
ニケ君が半信半疑みたいな顔をしながら彼らの一族に伝わる伝説を話し始めた。
「遥か古……光と闇と境界が世界を創造した。永遠とも思える平和な時が流れた。
しかしある時境界は姿を消し、光と闇は永久に相容れる事無き運命を背負った
そして世界は終わりなき抗争の場となった」
「何それ、泥沼じゃ〜ん!」
今度はアテナちゃんが答える。
「でもでもっ! この話には続きがあるっす!
境界の神はいなくなる時に言ったらしいっす。“我は必ずや再誕する”って」
「境界の神……再誕……」
普段なら取るに足りないお伽噺だと思っただろう。
でも今のボクには、たとえどんなに不確かであろうとも希望の星に思えた。
「その神の名前は?」
「黄昏の龍神ソフィア……変幻なる色彩をもつ万物の境界を司る龍!
なんか意識不明の時にちらっと見えたような気がするっすー! 多分気のせいだけど」
「ソフィア……だって!?」
その名は確かにどこかで聞いた。
ボクの顔色が変わったのをみて、今まで冗談だと思っていたニケ君も真面目な顔になる。
「どうしたの? まさか本当なの!?」
「分からない……でも本当のほうに賭けてみたい!
その神を再誕させれば光と闇は仲直りできるってことでしょ!?」
自分でも信じられない事を言ってしまった。
「そんな無茶な!!」
「えへへ、冗談……」
ニケ君が当然の反応を返すのに乗じて撤回しようと思った……が。
「おおっ、いいっすねー、それで行ってみましょう!」
アテナちゃんが乗ってきてしまった!
「え、いや、その……」
冗談だったと言う間もなく、アテナちゃんがどこからともなく紙の束を持ってきてぽすっと渡してくる。
「ソフィアに関係してると言われてる名所案内っす!」
信憑性のない情報リストを手に入れた!
もう後には引けないのでそれを握りしめながら宣言するわけである。
「これにて打倒死霊皇帝編完! ソフィア探索編の始まりだッ!」
ああ、明日はどっちだ!?
>「これにて打倒死霊皇帝編完! ソフィア探索編の始まりだッ!」
「・・・・・・」
テイルの宣言に、しかしアテナからの返事はなかった。
代わりに、ぱさ、と軽い音がしてアテナの身体が地面に崩れ落ちる。
「わわっ!ど、どうしたの!」
ニケが叫ぶとアテナの犬耳がちょっと伏せられて、妙にか細い声があがった。
「は、腹へったっす・・・」
「・・・よし!じゃあ今から炊き出しするからな。
手始めに特製カレー100人分。里芋たっぷりの豚汁も付けるぞ」
微妙な沈黙を破ったのはやたらと嬉しそうなレオだった。
瞬く間に野外調理セットが展開され、光の速度で調理が進められていく。
しばらくすると、通行人をも引き寄せる、素敵に美味しそうな香りが漂い始めた。
そして・・・
「・・・ああ、生き返るっす・・・」
アテナは涙を浮かべて皿にかじりついていた。
「暖かい美味しい食事・・・もーアテクシ一生ついていきます、ご主人様っ」
「ちょ、巫女の役目はどうすんのさっ」
「へへん、アテクシもう“ご主人様”って言っちゃったっす!誓いの儀式ばっちり完了っす!
・・・それに、よく考えたら、もう血の魔石が無いから巫女もいらないっす!」
「で、でも・・・地下の瘴気はまだ残ってるんでしょ?もしまた何かあったら・・・」
「そん時は目覚めたアテクシの超感覚で察知して駆けつけるっす」
「・・・わかった。じゃあ一緒に行こう。それが僕の役目だから」
いきなりご主人様認定されたレオは、しかし違う心配をしていた。
「NPC増えたなあ。SS体質の人には好都合かもしれないけど
新規さんにとってはキャラ把握が大変だ・・・」
「んー、確かに、人が来ない時でもそれなりにシナリオを進められるけど、
やり過ぎるとPCの出番を奪い吟遊と罵られる諸刃の剣だよね」
ちょっと考えるメルディ。
「そうだ、飛空艇の中にNPC入れ替え用の酒場作ればいいんじゃない?」
「そうか!」
全然解決になってないのに、謎な納得の仕方をしてしまったレオだった。
「結局はまたあっという間に終わったでござるよ…」
不完全燃焼で若干凹み気味であったがすぐに元気を取り戻す
「次からは満足のいけるような活動ができるようにがんばるでござるよ!」
そしてもっと強くなるために、鍛錬を始める
まず最初は瞑想に入り、それから3時間は誰の声にも反応しなかった。
>>185 >「そうだ、飛空艇の中にNPC入れ替え用の酒場作ればいいんじゃない?」
「飛空挺?今飛空挺と言いましたか?飛空挺を持ってるんですか?」
メルディとレオの会話に、右手にカレー皿を持ち左手に豚汁入りの器を持った女性が割り込んできました。
武器である斬馬刀は重いので今まで座っていた場所に置きっぱなしですが、
彼女こそ光の勇者様御一行新メンバー候補補佐心得見習い、フラポリーその人なのです。
なぜ候補以下略かというと、人数制限のため仲間入りを断られる可能性があるからであり、
こんな所にまで就職難の波が押し寄せるとは不況恐るべし。といった所でしょうか。
それはさておき、フラポリーは言いました。
「飛空挺があればどこでも好きな所で美味しい物が食べ放題なのです。
日剣に行って寿司すき焼き天ぷらを食べるもよし。
静謐の氷原に行ってかき氷食べ放題もよし。
世界一周食べ歩きの旅が出来るなんて理想の光の勇者御一行なのです・・・!
そしてこの見事にスパイスをブレンドしたカレー!
平凡な材料を使いながらも素材の味を完璧に引き出した豚汁!
これだけ見事な料理人が専属でついているならパーフェクトです!
決めました!私も御一行に加えてください!
こう見えても勇者様のお役に立ちますから!
嫌と言ってもついて行きますから!
ええとまずは・・・売り込みの自己紹介自己紹介・・・」
フラポリーは手元のメモ用紙をペラペラとめくります。
「名前はフライ・・・じゃなかった、フラポリー!です!
16歳で職業は無職!この先何にでもなれる無限の可能性を秘めた職業ですよ!
魔法は使えませんが自分や他の人の潜在能力を限界まで引き出せます!
ただし味見したことのない種族の人は無理です!
種族リストを見るに人間以外は無理そうですよ!
それからそれから・・・そうそう!実は私、人間の体を借りてますが宇宙生物だそうです!
ガイアには名前も顔も知らない敵を探してやってきました!
でも多分出会えばわかります!よろしくお願いします!」
言わなくてもいいことまで自己紹介したフラポリーは、
お返しに光の勇者様御一行の自己紹介をしてもらいました。
スムーズに話を進めるためにはなくてはならない儀式ですね。
「ふむふむなるほど。かくかくしかじかでソフィアなる神を探したいわけですか。
それならこの本を見て次の探索地を考えましょう!ドン!」
フラポリーは擬音付きで本を開きました。
“ライトファンタジー完全攻略本 〜大丈夫?PLの人の攻略本だよ?〜”と書かれた本です。
題名は読めますが、中身は名状しがたい文字で書かれています・・・が、
フラポリーは読むことができるようです。
「この本によると、日剣か静謐の氷原にある古いソフィア神殿で、
ソフィアの情報が得られるようですよ!
なんとびっくり!両方とも美味しいもの食べ放題の場所です!」
フラポリーは驚いたように言いました。
どうみても自分の行きたい所を選んで言っています、本当にありがとうございました。
「ただし日剣には やまたのおろち という怪物が出るそうです。
静謐の氷原では雪だるま警報が発令中だそうです。
で、どっちに食べに行きますか?」
フラポリーは食べ残したカレーと豚汁を幸せそうに防水袋に入れながら言いました。
量より回数重視で食べるので、保存食にして後で食べるつもりのようです。
>185-186
突如として始まる炊き出し。これでは餌付効果によりさらにNPCが増えかねない。
>「んー、確かに、人が来ない時でもそれなりにシナリオを進められるけど、
やり過ぎるとPCの出番を奪い吟遊と罵られる諸刃の剣だよね」
>「結局はまたあっという間に終わったでござるよ…」
「うわー! マジすんません!
じゃあ連れて行くNPCは2名程度までということで……」
まだメタな話題に慣れていないエメロちゃんが首をかしげるばかりである。
「何の話をしているのか分かりません!」
>187
>「飛空挺?今飛空挺と言いましたか?飛空挺を持ってるんですか?」
なんと! 加入希望者が現れた!
彼女はボク達の一行の特典をバッチリ押さえているようである。
最近少し有名になってきたのでもしかしたら就職情報誌とかにも載っているのかもしれない。
ちなみに増えすぎが懸念されているのはNPCについてであって、PCに人数制限は一切ない。
「ふむふむ、宇宙生物、名前も顔も知らない敵を探してやってきた……と。
見つかるかは分からないけどよろしくね!
ボクはテイル、この物語の語り手さ!」
こういう時の台詞は初期は“一緒に冒険しよう”だったが、こっちでいく事にした。
理由はなんとなくかっこいいからで深い意味はない。
語り手とは主人公や増してやGMとは違って特に意味のあるものではないのである。
>「この本によると、日剣か静謐の氷原にある古いソフィア神殿で、
ソフィアの情報が得られるようですよ!
なんとびっくり!両方とも美味しいもの食べ放題の場所です!」
「マジで!?」
思わず身を乗り出す。
アイリスさんに、“人間の戻ったところで食べ物が人間の血から動物の肉になるだけだし”
と言われた直後の様な気がするけど気にしない。
妖精は幸せな精神構造をしているのだ。
>「ただし日剣には やまたのおろち という怪物が出るそうです。
静謐の氷原では雪だるま警報が発令中だそうです。
で、どっちに食べに行きますか?」
「迷うなあ、とりあえず秘空艇に乗ってから考えよう!」
この人はきっとすごい人だ!
だって異世界の言葉で書かれた預言の書とカレーと豚汁を入れれる防水袋を持っているのだから。
瞑想モードに入ってしまったタケル君を押しながら、飛空艇へ向かう。
遥か古……光と闇と境界が世界を創造した。
永遠とも思える平和な時が流れた。
しかしある時、境界は姿を消し、光と闇は永久に相容れぬ運命を背負った。
終わり無き戦いの中で、彼らは境界の再誕を希うか――
――――― これよりソフィア探索編開始!
光と生命を司る星の女神ガイア。
その名を冠した美しき世界の平和を脅かすのは、闇の邪神、死霊皇帝タルタロス。
それは1000年に1度復活し、その度にガイアに導かれた光の勇者によって封印されてきた。
この度の物語も、そんな数え切れない繰り返しの中の一つ……になるはずだった。
だが、いつもと違う事が一つだけあった。
少しずつ、だが確実に、光でも闇でも無い物の存在に気づく者が現れ始めていた。
数々の思惑が交錯する中、次第に明らかになっていく真実。
創世の時、光と闇は、敵対してはいなかった。
そして彼らの間には、暁と黄昏、万物の境界を司る第三の神がいた――。
遥か昔に姿を消したとされる第三の神、黄昏の龍神ソフィアを巡る冒険が始まる!
ジャンル: 君と一緒に冒険するTRPG!
コンセプト: 全年齢対象の明るく健全な冒険活劇……のはず!
エロネタ、極度のグロテスク描写や残虐描写、並びにあまりに救いのない鬱展開は自重。
それ以外なら何やってもよし!
期間(目安): 1章あたり1〜2ヶ月の短編を無期限長期連作(延長あり)
長期連作前提なので打ち切りの危機にある連載マンガのような駆け足展開はしないこと。
舞台: よくあるRPG風ファンタジーをベースにしつつ何でもアリの異世界
GM:(なし) NPCは誰が操作してもOK。
決定リール・後手キャンセル:(あり)
○日ルール:(なし) レス順もなし。
版権・越境:(あり) 異世界出身のキャラもあり。
名無し参加:(あり) むしろ参加しる。
敵役参加:(あり)というか勢力固定はしていません。
避難所の有無:(あり)専用掲示板
http://www1.atchs.jp/lightfantasy/を使用。
詳しくはこちら!
まとめウィキ「ぼうけんのしょ〜Light Fantasy@ウィキ」
http://www36.atwiki.jp/lightfantasy/pages/1.html
それでは章移行のどさくさに紛れて各勢力の紹介を兼ねて動向を見ておこう。
――妖精の森にて
レジナは世界樹の下にある泉を覗いていた。その水面は世界中のどこであれ映し出す。
レジナとは先代勇者にして妖精の女王、テイルを打倒死霊皇帝の旅に送り出した張本人である。
それも、死霊皇帝は忌むべき絶対悪、決して容赦をしてはならないと言い聞かせて、だ。
そんな彼女が、自ら送り出した使者が本来の目的からそれつつあるというのに怒っていなかった。
それどころかニヤついている。
「レベルもいい感じに目標到達値に達しておる……!
それで良い……それで良いぞ!!」
彼女にとっても予期せぬ超展開なのか、それとも全てが計画通りなのか。
――オーシア魔法学校にて
オーシア魔法学校とは御一行の金づる兼情報屋、もとい後援組織である。
「ぴぎゃああああ!? 打倒死霊皇帝をやめるー!?」
メルディから連絡を受けた校長ノダメは、通信機を耳に当てながら奇声を発していた。
『やっぱダメ? 学校クビになったりする?』
「……。いいですよ、その路線でやるならとことんやりなさい!」
『さすが校長、話が分かる!』
「だって考えてみると将来新・光の勇者の伝説を出版する時に
前の光の勇者の伝説と全く同じ筋だと二番煎じで売れませんし」
校長は相変わらず、何も考えていないのか深い事を考えているのか謎である。
――死霊皇帝城にて
死霊皇帝城、それはご一行の当初からの敵、死霊皇帝軍の本拠地である。
下っ端たちが噂していた。
「光の勇者達がソフィアとかいうのを探しにいくらしいぞー」
「何その新展開。てか本当にそんなのいるのかよ」
「でも本当に再誕したら劣悪な労働条件でこき使われることもなくなるな」
「でもそれって失業じゃね?」
下っ端たちは早々と失業の心配をしていた。
――竜宮城にて
竜宮城とは、光も闇も真っ向から敵に回した境界の眷属達の、過激な第三勢力のアジト!
タイやヒラメかは分からないが、やっぱりここでも下っ端たちが噂していた。
「噂によると自称光の勇者達がソフィア探索に乗り出すらしいよ」
「マジで? それって下手すりゃ俺達と被らない?」
「その点は大丈夫だろ。
なんてったってオレ達はまず二柱を撲滅して話はそれからの過激派だからな。
あっちはソフィア復活させて仲直りさせるのが目的のハト派だから」
下っ端たちはいらん心配をしていた。
――ガイアの衛星ルナにて
ルナとは、天使たちが住まう人工星。
この天使という種族、過激すぎて他の光の眷属と対立し、ガイアを追放されたか出て行った過去を持つ。
現在最も有力な第四勢力候補でもある。
玉座に腰掛けた族長の元に手下の天使が報告に現れる。
「ルナ様……光の勇者達がソフィア神殿に向かうようです」
星の名と同じルナと呼ばれたのは、一切の不純物のない冷たい氷のような美しさをたたえた女性。
背には3対6枚の翼。熾天使、神に最も近い最高位の天使だ。
「無駄な努力をご苦労な事だ。
たとえ万が一妖精どもと闇と境界の奴らが束になろうとも最後に勝つのは私……
腐りきった世界を綺麗サッパリスッキリ浄化して
真の光の神となり一点の穢れもない光り輝く世界を作り上げるのだ!」
「新世界の神になるー、ですね! ステキです!」
この人達はこんな感じで大口を叩きつつ出番が来るまで文字通り高みの見物をしているのだ。
そんなこんなで記念すべき二桁突入。第10章のはじまりはじまり〜!
今回のアイリスの野望は、ガイアの何処かにあるアイリスのアジトから物語を始めよう。
アイリスのようなバンパイアや「生命なきものの王」のような吸血鬼は、「邪な土」と呼ばれる、闇の神のパワーが宿った土と深い繋がりがある。
ファティマのアジトには、この「邪な土」があり、神殿の人たちか、アジトを襲撃した人もとい烏辺りが処分し、ファティマには爪痕が残りつつも平和が戻ったというわけだ。
だが!アイリスは死滅してはいなかった!
この、世界の何処かにあるアジトの物置の中には棺桶があり、その中には「土」が敷き詰められている。
用心深いバンパイアは、この土をいくつもの場所に分けて保管するため、撃退する事はできても、完全に滅ぼすとなると困難なのだ。
アイリスがこのアジトに戻ってくるのは、およそ300年ぶりのことだ。
そう、アイリスの最初にして最大のアジトだ。
「アイリス様、どうなさったのですか」
「寸でのところで邪魔が入ったのよ」
以上、最も信頼している部下の1人である人物との、300年ぶりの再会の際の会話である。
300年以上も忠誠を誓い続ける彼も彼だが、契約に縛られ、食事を必要としないデーモンの類なら、むしろ自然とも言える。
そう、この部下はケプクーヌ(※個体名ではなく種族名)といって、黒山羊の頭を持つデーモンだ。
強靭な肉体を持つが、魔法能力はもっと高く、古代語魔法と暗黒魔法を高レベルで操ることができ、《シェイプ・チェンジ》で影武者を務めることもできる。
彼らの性格は総じて慎重で、滅多に表に出てくるタイプでもないので、陰謀を動かすのに向いている。キャンペーンシナリオのラスボス向けの優等生だ。
「とりあえず、服を着てください」
>>170でも述べたとおり、アイリスが一度死亡した現場には、彼女が身に着けていた衣服や髪留めが残されていた。
そして、死んだ後に靄になって「土」のあるアジトに戻ってくる。その際、普通は身に着けていたものはその場に残してきてしまう。
アイリスの蒼白の顔が真っ赤になった。
「ところでアイリス様、雰囲気変わりましたね」
「眼鏡を外してみつあみを解くと、別人みたいってよく言われるのよ。あと、まだ着替えてるからこっちみんな」
「……」
アイリスが着替えながら、かなりピントの合ってない返事を返した。
そんなトンチキな会話をしていると、突然、呼び鈴が鳴った。
「あ、はーい。ケプクーヌA、今着替え中だから客間に通しておいて。お茶をお出しするのも忘れずにね」
「了解しました。ヤな予感しかしないんですけどね。このタイミングだと敵ですよきっと」
ケプクーヌAは、とりあえず、呼び鈴を鳴らした人を中にお招きした。
「アイリス様、光鉄のグラムなる人?が来てますけど」
「ててて丁重にお迎えしなさい。緑茶ってまだあった?」
「緑茶ですね。ちょっと戸棚を探してきましょう」
光鉄のグラムが通されたのは、畳敷きの小ぢんまりした部屋だ。
そこにグラムとアイリスが、卓袱台を挟んで向かい合って座っている。
片や光鉄の異名を持つ六武神、片や生命なきものの王と、どちらも闇の勢力でも特に危険な奴等だ。
また、部屋の隅には巨体のデーモン・ケプクーヌが正座して、二人の危険人物を見守っている。
アイリス以外は人間場馴れした巨体なので、とても窮屈そうに見える。
アイリスは突然のことで錯乱しており、茶なんて飲まないであろうゴーレム相手にお茶をお出ししていた。
目の前に置かれた緑茶を前に、グラムが困っている。
「な、何も無いところですけど」
アイリスは錯乱しており、笑えない冗談を言った。
何も無いところに、ノーライフキングやグレーターデーモンみたいな奴が居るわけが無い。
何はともあれ、話は進んだ。まさかの採用の話らしい。
グラムは、他の六武神(静謐のベアトリーチェ辺り?)から渡された、アイリスに関する資料を読んでいる。
「ほう、輝かしい(笑)経歴だな。実力も申し分ない」
もちろん皮肉だ。輝かしいの後には(笑)が付いている。
困ったことに、資料には彼女の物騒なスペックについても細かに記載されており、まともに戦って始末するのも難しいときている。
そんな危険な奴を身内に置いておきたくはないだろうが、上層部ではこいつを雇う事を決定してしまったらしい。
「お前ほどの人材が、今まで死霊皇帝軍に籍を置いていなかったのが不思議なくらいだ(棒読み)。
是非とも、我々の下で働いて欲しい。武勲を立てれば六武神の椅子に座ることも夢ではないぞ(棒読み)」
アイリスは、なんと六武神から直々にヘッドハンティングを受けた。
彼女のような闇の眷属にしてみれば、この大抜擢は大変名誉あることだろう。
もちろん実際には、このままアイリスを泳がせておくのは危険過ぎるので、これ以上馬鹿なことをしないように、首輪を付けておきたいというだけのことだ。
しかも、この策ですら有効とは限らない。アイリスのことだから、味方を巻き込んで自爆する可能性が大いにあるからだ。
「六武神候補ですって!わたしが?
わたしをそれほどまでに高く評価してくださるとは感激です、喜んで入隊させてくださいっ!」
当然ながら、「死霊皇帝軍の一員になれる」というだけで頭の中が幸せになっているアイリスは、そんな思惑には気付いていない。
もちろん、ケプクーヌにとっては他人事なので、冷静に分析し、裏に気付いている。でも教える義務は無いので教えなかった。
「ところでアイリスよ、日剣という国は知っているか」
グラムは早速、今章におけるアイリスの仕事についての説明を始めた。
「知っておりますとも!この畳の床と卓袱台と緑茶は、わたしが日剣から取り寄せたものですから。
して、その日剣に何があるのですか?」
「うむ、境界の神の神殿があって、何かの陰謀を進めているという話もある。
先日の魔石の争奪戦にも、小賢しい境界の連中が関与していた形跡があるからな。
連中が光の勇者と手を組んでもらっても困るからな。
また、日剣に現れるという怪物やまたのおろちは竜の一種ゆえ、先日の境界の奴等と何かつながりがあるかも知れん。
お前には、まずそこに行ってもらいたい。初任務というわけだ」
アイリスは、日剣という国とやまたのおろちの名を聞くや、瞬時に良からぬことを考え始めた。
それが死霊皇帝軍のためのものか、アイリス自身のためのものなのか、はたまた全く別の目的があるのかは不明だ。
「それはそれは。是非やらせてくださいっ」
そんなグラムとアイリスのやりとりを見ていたケプクーヌは、早速日剣での戦いの準備を始めた。
グラムは手際の良さに感心していた(もちろんケプクーヌの、である)。
さて、グラムを外まで送ったアイリスとケプクーヌは、準備をしながら、今回の陰謀について話し合った。
「二つ返事で引き受けてしまって大丈夫ですか、アイリス様」
「私にいい考えがある」
アイリスは自分の計画を語った。
「流石はアイリス様、完璧(笑)な計画でございますね」
「そうでしょうそうでしょう、もっと褒めなさい」
グラムがこの場に居たら、さっさとこいつらをクビにしたい気分になったかもしれない。
もしかすると、そうした方がお互いに幸せになれたかもしれないが。
「さて、忘れ物はありませんかアイリス様。水と非常食と冒険者セットはお持ちですか」
種族丸ごと慎重な性格で知られるケプクーヌは、修学旅行前日のお母さんみたいに、口を酸っぱくして忘れ物はないかと言っている。
「大丈夫大丈夫。お土産も買ってくるから、のんびり待ってて頂戴」
対するアイリスも、すっかり旅行気分である。
余所行きということで、みつあみを解いて眼鏡を外しており、まるで別人かと思うほど華やかな印象を受ける。
テイル達が見ても、アイリスだと気付かないかも知れない。
「アイリス様、やっぱり忘れ物がございますよ(笑)」
ケプクーヌは、化粧台に無造作に置かれていた、青い光を放つ不思議な宝石を戴いた首飾りをアイリスに手渡した。
「……こんなペンダント、ウチにあったっけ?まあいいや、此処にあるってことはわたしのモノよね」
早速アイリスはペンダントを身につけた。
ダンジョンで見つけたアイテムを不用意に身につけたりしたら、呪われることもあるので、良い子はもっと注意しよう。
とはいえ、ここは彼女の自宅なのだが、どうやらこのペンダントが、彼女に何かしらの変化をもたらしたらしい。
見たところ、そのペンダントはブループラネットのようにも見えたが、アンデッドがそんな正の生命力を放つアイテムを身に付けたら、ダメージを受けてしまうだろう。
これは一体何なのか!?
「……突然ボーッとしてどうしたのですか、アイリス様。ボケが極まったのですか?」
「いえ、何でもないわ。それじゃあ、行ってくる。それじゃあケプクーヌA、留守番は任せるわ」
アイリスが出陣した!日剣はどうなってしまうのか!
海底の竜宮城・会議室
円卓に付く実力者達の脇で厳しい視線を向けられる少女が一人。
先日レッサーヴァンパイアを切り刻むのに夢中になって任務が頭から抜け落ちていた妖烏だ。
エド達にこってりと絞られてすっかり萎れている。
「お前は幾つになっても一つの事に気を取られると直ぐ他の事を忘れるんだな。
まじめに仕事をする気があるのか?
別にお前が仕事の合間に何しようが構わんが目的を忘れるな。
今回の一件もそう。
雑魚を切り刻んだ事はどうでも良いが、それを見て退散する奴らを追う事など造作もないことだったはずだろう。」
「まったっくもって面目ございませーーーーん!!!」
妖烏の地面に幾度となく擦り付けた額には血が滲んでいる。
もう二時間も石畳の上に正座しているのである。
「いいか妖烏。
ここにいる大半の者から見たら、お前は年齢的にも実力的にも目上の者だ。
もう少し手本となる振る舞いをしろ。
それで許してやる」
「はい。
肝に銘じます。」
妖烏の泣き顔を堪能したドS達はデュープリズムの所在が判明し奪取が容易とされる為、次の作戦段階への移行を決定した。
その次なる作戦とはズバリ、宇宙での住まう場所となる星を浮かべる事にある。
といっても天体サイズのものを浮かべるのは種族の限界を超えた天狗や仙人達、神々に近いドラゴン達にすら不可能である。
そこでソフィアの眷属達は島国である日剣を天に浮かべる方法をはるか昔に思いついたのである。
もともと日剣はソフィアの眷属の分布が多く、作戦の根回しは完璧であった。
「おそらく膨大な魔力を察知して多くの敵勢力が妨害しに来るであろう。
お前達はそれぞれの持ち場で時を待て。
一月後の新月の夜に決行だ。
以上で解散する」
エドがそう言い切り、その場を後にすると全ての者がそれに従い、部屋に闇と静寂が訪れた。
瞑想から目覚めると、自分の部屋に居たことに気づく。
だが瞑想から醒めた理由は別の理由があった。
「お腹が空いたでござるよ……」
胃袋が空腹を叫んでいた。
「食堂に行くでござるか…」
自分の部屋から出る。
とその前に甲板に出て深呼吸をするために出ていた。
「すぅ〜はぁ〜やっぱり空気がおいしいでござるよ」
伸びをして食堂に向かおうとするが
肩に雀が止まる。
「うん?雀でござるか…よしよし拙者とご飯を食べるでござるか?」
チュンチュンと雀が囀ると一瞬で文が書かれた紙に変わる。
「なんと!?式神でござったか」
式神――それは法術とはまた別の体系を持つ東洋の術を操る陰陽師と呼ばれる者たちが
使役する使い魔みたいなものだった。
「どうやら拙者宛のようだな…」
文に目を通してみるとそれは驚愕する事が書かれていた。
『八俣大蛇ガ再び出現セシモノナリ、第六天魔王ノ復活ヲ示唆スル可能性アリ
至急帰還セヨ』
そこには帝の印とそして、帝都直属の退魔僧弁慶闘真の血印が示されていた。
「ま、まさかまたあの戦いが起こるのか…人妖大戦の二の舞が…」
腕が興奮のあまりに震える。
人妖大戦、それは日剣史上全土に最悪の被害を被り妖怪と人間が手を取り合った戦争であった。
第六天魔王なる謎の強大な力を持つ悪魔が突如襲来、日剣を掌握しこの世界に牙を向くために
妖怪、人間問わず眷属と共に猛威を振るい、日剣を僅か三日で半分を制圧される。
この危機に対して人、妖問わず共同戦線を取ることとなる。
そしてこの時に活躍した人物が一休争馬、弁慶闘真(とうじん)、天から降りてきた不動明王である。
最終的には多大な犠牲を伴いながらも倒すことに成功する。
八俣大蛇は第六天魔王の眷属の一柱である。倒された直後はどこかに消えたとされていた。
再び出現すると言う事は……
「奴が復活すると言うのか……うっ…」
血が騒ぎ始める、宿敵の復活ということが不動明王の力が活性化しつつあった。
「皆に知らせなければ……」
この事を知らせるべく、まずはテイルを探すこととなる。
さて、>191-193でグラムがいつの間にか復活を遂げて
知能回路も少しばかり改良されている訳だが、その経緯を少し時間を遡って見ておこう。
>180
故障したグラムを連れて絶海都市オーストラフに来たインペトゥス。
黒い魔導師の家に入っていく。
「家に義体をいくつか用意してあるから適当に良さそうなのに封じてくれって話だが……」
インペトゥスはそれらを目の前にして途方に暮れた。
雪だるまの人形みたいなもの……は人形なだけまだいい。
サークレット、帽子、挙句の果てにはカエルの絵のついたTシャツ。
「黒い魔導師……少々あなどっていたかもしれない」
どれに封じていいか分からず困っているインペトゥスの前に
ぽーん、という間の抜けた効果音と共に、3対6枚の翼を持つ女性が現れた。
この事を天使が舞い降りたとも言う。
「何だ!?」
「ロランドの身柄を渡してください。美しく再生させましょう」
突然の事に唖然とするインペトゥスに、天使は物腰柔らかでいて有無を言わさぬ口調で告げた。
「どこの誰とも知らん天使に渡せるかよ」
「あなたがロランドの身柄を入れている防水袋だと迷ってる間に消滅してしまいますよ。
ジップロック程の保存性があれば別ですが」
ジップロックが何かは分からないものの、インペトゥスは焦った。
このままグラムが直らなかったら色んな意味で困るからである。
そして、訳が分からないまま怪しげな天使に防水袋を渡してしまった。
あれよあれよという間に、天使は魔法と超科学の融合技術による肉体再生を始めた。
「まず人間の組成に近い液体を用意します」
培養槽に白く濁った半透明の液体がなみなみと注がれる。
「そこに黒い魔導師の素を入れます」
液体の中に、粉状になった消滅しかけの黒い魔導師を入れる。
「良くかき混ぜます」
よくかき混ぜる。
「数時間待ったら完成です。出来たら呼ぶのでそれまで決してのぞいてはいけません」
ロランドは夢を見ていた。
それは、ずっと思い出さないようにしてきた死霊皇帝封印の時の記憶。
「いやじゃ……! 妾にはできぬ!」
泣き叫ぶ妖精のレジナ。竜騎士ノウェが力強く言い聞かせる。
「何を言っているの? 私達は光の世を守るために一緒に戦ってきたんじゃない!
命をささげる覚悟はとうにできている……! レジナ、やって!!」
死霊皇帝を封印するための妖精の究極魔法。
それは、心強き人間……この時は知る由も無かったが境界の眷属を生け贄にして発動する。
「ロラン……私がいなくなってもしっかりね。
大丈夫、あなたは誰よりも光に愛されているのだから」
ノウェは少年魔導師ロランドに優しく微笑む。
そして……レジナは意を決して詠唱を始める。
「フェアリー=レジナの名において……」
「うわああああああああああああああああ!!」
絶叫しながら目を覚ます黒い魔導師。
いや、黒い魔導師ではなく……黒髪黒目の美少年。
約1000年前に死霊皇帝と戦った時そのままの天才少年魔導師、通称ロランだった。
そんな彼を抱きしめる者がいた。6枚の翼で包み込みながら。
「え?」
「辛かったね……」
昔聞いた事があるような優しい声。
「ソルテ……さん?」
「ソルテと少し似てるかもしれないけど私はルナ。あなた、まだ復讐を続けるの?」
「当然だ。本当はずっと光の世を守っていくつもりだったのに!
ノウェが命を捧げて守り抜いたガイアは私達を裏切った!
死霊皇帝もガイアも絶対に許すものか……!」
ルナは頷きながら言葉を返す。
「それでガイアに裏切られて絶望の淵にいる時にソフィアのお告げを聞いたのね」
「そうだ。そしてソフィアの眷属としての力を授かり……復讐を誓った!」
ルナは、飽くまでも素朴な疑問を装って揺さぶりをかけはじめた。
「でも変だと思わない?
もう少しだけ早くソフィアがあなたに力を与えてれば違う結末を迎えられたかもしれない。
まるで謀ったようなタイミングじゃない」
「ど、どういうことだ!?」
あからさまにうろたえているロランドに、ルナは間髪いれずに追い打ちをかける。
彼女が一瞬だけ悪魔のような笑みを浮かべたのに気付く者はいない。
「あなたは誰よりも光を愛していた……
だからこそ光に裏切られた時に誰よりも失望したの」
「それがどうした……何が言いたい!?」
思わせぶりに間をおいて、満を持してとどめの一言。
「あなたが信じていた理想の光の世界が作れるとしたら……どうする?」
元の黒い魔導師ならこの程度の揺さぶりに耳を貸すことすらなかっただろう。
もしかしたら姿だけではなく心までも1000年前の状態になってしまったのかもしれない。
もちろんそれだけではなく、
ルナが、ロランドのかつての仲間であるソルテに似た風貌をしていること
復活直後の刷り込み現象
ロランドの年上のお姉さま好きといった諸要因を利用した周到な作戦なのだ。
―――――――――――――――――――――
インペトゥスは、出てきた美少年を見て思わず叫んだ。
「なーんてこったあー!?」
「それでは私はこれで」
天使は、来た時と同じポーンという音を立ててそそくさと帰って行った。
その後、美少年ロランドは何事もなかったかのようにグラムの修理を始めたのである。
PC・NPC込みで4人ほどメンバーが増えた御一行。
参入早々冷蔵庫を物色したり、昼間から枕投げを始めたりとなんともフリーダムである。
メルディ「長年の修学旅行の引率で鍛えた枕投げ力を見よ!」
ニケ「言っとくけど僕は弱くないよ!」
レオ「せめて夜になってからやれ! それとそこ! 冷蔵庫開けっ放し!」
アテナ「ちょっと開けてただけじゃないっすかー!」
エメロ「ああ……MPが削れていく……」
ボクは枕投げをしながらふと気付いたわけである。
「日剣と静謐の氷原どっちにいこう」
アテナちゃんからもらった信憑性のない情報リストにも両方載っているのだ。
>196
そこに血相を変えたタケル君が来る。
「日剣ってタケル君の故郷だっけ。どうしたの?」
かくかくしかじか
「な、なんだってー!?」
ヤマタノオロチがいるのはフラボリーちゃんの預言の書である“攻略本”も言っていることだったが
それが出現した事は第六天魔王とかいうなんか強そうなのが復活する予兆かもしれないらしい。
自動操縦の行き先を即日剣にセットする。
「フラボリーちゃん、攻略本には何か書いてある?」
>199
「やまたのおろち・・・この本には頭が8本ある怪物と書いてあります。
つまり食べられる量も8倍ですね! これは期待できそうですよ!
え?攻略本ですか?これから調べてみます!」
武の言葉で食べ物妄想を膨らませていたフラポリーは、テイルに言われて攻略本を開きます。
「この本によると、まずはお江戸に行ってくださいと書かれています。
お江戸(オエド)は日剣の首都で、
日剣を支配する将軍(ショーグン)が住む町だそうです。
名物は火事と喧嘩です。どっちも美味しければいいのですが。
・・・一言で言うならお江戸に行けばやまたのおろちが食べ放題ですよ!
飛空挺の進路をお江戸に設定してレッツゴーオエドです!」
お江戸の町に到着すると町は大騒ぎでした。
人妖大戦の再来とあっては仕方がありませんね。
中には寝間着に枕を持って逃げ出す慌て者までいるようですよ。
「攻略本には徳川(トクガワ)将軍に会ってくださいと書いてますね。
徳川将軍を探しましょう。
徳川将軍!徳川将軍はいますかー!?」
フラポリーは避難民の群に向かって呼びかました。
おもしろいからもう少し様子を見ていましょうか。
「…きなさい、起きなさい神威」
昏睡状態の神威の枕元で、仮面をつけた何者かが話しかける。
枕元といっても比喩表現な訳で、実際には誰もいないのだが
「黄泉の門が悪しき者の手によって、開かれようとしています。
私の力では、もうどうすることも出来ません。
アマノムラクモの力があれば黄泉の門を封じることが出来るはずです。」
「ンニャ…しゃねぇなぁんもぅ…」
「あと、ついでに第6天魔王も倒して来て下さい」
「…ついでってレベルじゃねぇぞ!イザナミ!
ありゃ?どこだここ」
「まっ枕が………枕が串刺しになってりゅ」
神威が寝ていた場所はテイル達が枕投げをしているその真っ只中だったのだ。
困惑する神威にMPを散々削られヘトヘトなエメロが事情説明と教会を代表しての謝罪をする。
「まさか…一週間も寝ていたなんてな…あっ飯食って」
「寝ながら食べてましたけど」
「それは置いといて、たった一言の謝罪じゃ済まされないと思うんだがな
教団が行ってきた罪を全て公表しろ。免罪符の発売から異教徒弾圧まで全てだ。
そこまでやって貰わないと気が済まない以上だ」
「・・・わかりました」
すっ、と神威の前に坐るエメロ。
「しかしご存知のように神殿組織は壊滅。
免罪符発売は親戚筋ではありますがガイア教団とは別のデメテル教団、
異教徒弾圧は我らがアルトリウス派ではなくイーターン派によるもので、
彼らの主張によれば我々も弾圧される側、公表しようにもデータがありません。
気が済まないとおっしゃるなら代わって私を
煮るなり焼くなり柊に刺して門にかけるなりなさって下さい」
・・・相当MPが枯渇しているようだ。
>「徳川将軍!徳川将軍はいますかー!?」
「ねえちゃん、この非常時にまたのんきな事言ってくれるじゃねーのよ。
おし、ちょっくら案内してやろうか?」
客観的に言えばチンピラ風の若者が案内した先は
「ほれ、徳川将軍ならこン中に何体か祀られてるぜ」
“上野東照宮”と書かれた札の立つ立派な門の前だった。
ここは東洋の神秘の国・日剣の中枢を司る都、お江戸。
その町並みを見ていた、飛空挺のクルーのうちの一人が呟いた。
「これは ひどい」
なるほど彼の言うとおり、酷い有様だ。
人妖大戦の再来がもたらした破壊は、お江戸の情緒ある町並みに、後々まで残る爪痕を残していた。
しかし妙だ。遥か昔の日剣の将軍である足利尊氏が、何故、お江戸の町の上空を飛んでいるのだ?
浪人が何故、あちこちで放浪しているのだ?
どうしてこうなった?その原因は数日前に遡る。
ほんの数日前までは、日剣は平和そのものであった。
だが!
「わたしは歴史さえもしもべにできるッ!」
アイリスが墓を掘り起こして、どこかの吸血鬼と同じようなことをしている。
しかしながら、某シナリオ集のテストプレイの際には、敵のノーライフキングが本当に「お前はこの私にとってのモンキーなんだよぉ!」とか言っていたらしいので、特に問題は無い。
「さあ蘇るのだ、足利尊氏よ!」
ソードワールドのルール上の処理では《リザレクション》ということになるのだろうが、
>>124で闇の眷属には使えないと明言されたばかりなので、多分別の魔法だろう。
その証拠に、蘇った足利尊氏は、おぞましい闇の秘術によって蘇った事を示す、悪のオーラを身に纏っている。
かくしてアイリスの恐るべき魔力により、足利尊氏は生前の肉体を取り戻したが、その高潔なサムライソウルは邪悪パワーで闇に染められたのだ!
「……やけに簡単に復活したわね。冥府の門でも開きかけているのかしら?」
足利尊氏は、すでにその死から長い年月が経っているので、《リザレクション》でも蘇生は困難だ。
こうして昔の人物が蘇ったということは、なるほど何者かの手によて黄泉の門が開きかけているのかも知れない。
だが、それはアイリスにとって都合が良いことなのだ。
「まあいいや、足利尊氏よ!お前にはこの村正の刀をあげよう。
わたしに逆らう光の勇者、そして小賢しい眷属の者ども――
その村正の刀で、こやつらの首を即刻さし出せい!」
いつの間にか、アイリスが時代劇の悪役っぽい口調になっている。
こうして足利尊氏は魔人として蘇り、アイリスに敵対する者を滅ぼさんと、恐るべき魔剣・村正を振るうのだ!
その足利尊氏が、今、町の上空を飛んでいる!
首都江戸にたどり着くがその様子はいままで見たことが無いような騒ぎようであった。
「すごい慌てようでござる…当然でござるかあのような戦いが再び起こるのかもしれないのだから」
フラボリーが避難民に徳川将軍の事で呼びかけていた。
誰も反応しないかとおもいきや少し柄の悪い若者が上野東照宮まで案内をしてくれた。
「ありがとうでござる」
若者に礼を言いかけたその時、背後から突然ジャーマンスープレックスをかけられる
「ぐへぇ!」
気絶しそうに一瞬なると、聞き覚えのある声が聞こえる。
「これぐらい察知せんか、生き残れんぞ武」
「お前の不意打ちを捌ける奴が何人いると思っているんだ立てるか?」
懐かしいその声に痛みさえ超え、起き上がる
そしてそこにはボロボロの僧服を着た鋭い眼光の坊主と立派な袈裟を着て薙刀を持った高僧がいた。
「一休和尚、弁慶師匠お久しぶりです!」
思わず感動のあまりうれし涙が出てしまう。
この二人が人妖大戦における伝説の僧通称、体術の一休、法力の弁慶コンビである。
「そう!我こそは・・・!我が名は足利`アレクサンダー´尊氏なり!!」
信憑性の無い日剣観光ガイドで予習をする。
「ヤマタノオロチはアマノムラクモノツルギっていう剣を持っているそうだよ」
ワイバーンの姿をした白龍がこっちを見ている。
彼女は霜壁といって、夫である銀嶺が殺されて人間を恨んでいたという過去を持ち
元インペたんの相棒だったけど色々あってここにいるのだ。
「霜壁ちゃん、何? ……そういえば!」
ぼうけんのしょ第6章を開く。
【銀嶺】(ぎんれい)
約500年以上前にあったとされる英雄譚に登場する龍。
とある勇者が広大な遺跡に挑み、その最奥に君臨する巨大な白い龍を倒す。
その龍の首から生える剣を持って、勇者は闇を払った・・・という物語になっている。
その妻を名乗る霜壁曰く、ヒトは銀嶺と、己との間の子も殺したと述べている
「似てる……それに霜壁ちゃんの尻尾からも草刈り鎌が出てきたよね」
龍から武器が出てくるのは全国共通なのだろうか。
>201-202
「わ―――――! ストーップ!
もうガイア星教団は迷走してるっていうか
組織が大きすぎてどうにも手がつけられないというか
この前超過激派やら意味不明のイロモノ集団も出てきたし……」
「あのギャグ集団は勝手に名乗ってただけです!」
>204
「あ! あんな所に飛んでる人がいるー!」
「ホントだー!」
>200 >203
>「ほれ、徳川将軍ならこン中に何体か祀られてるぜ」
「祀られてるっていうことは生きてないのでは……」
>205
なんとタケル君の師匠が現れた!
「フェアリー=テイルと申します。タケル君にはいつもお世話になっています。
よければ徳川将軍に会わせていただけませんか?」
タケル君の師匠は偉い人っぽいのでとりあえず聞いてみた。
>>203>>207 チンピラ風の若者はなかなか良い人のようですが問題があります。
>「ほれ、徳川将軍ならこン中に何体か祀られてるぜ」
そこ攻略本に書いておいた場所じゃありませんから。
>「祀られてるっていうことは生きてないのでは……」
「それは良いことを聞きました。
生きていないならこの食べ物は美味しくいただきます!」
罰当たりなフラポリーは徳川将軍へのお供え物を食べ始めました。
止めない限り食べ続けた上に残りは保存袋で持ち帰ろうとします。
>>205 >「一休和尚、弁慶師匠お久しぶりです!」
「誰ですこの2人は?」
食べるのに夢中だったフラポリーは、ようやく一休と弁慶に気づきました。
>「フェアリー=テイルと申します。タケル君にはいつもお世話になっています。
>よければ徳川将軍に会わせていただけませんか?」
「だから誰ですこの2人は?」
フラポリーは武の話を聞いていませんでした。
「あの2人は人妖大戦における伝説の僧、体術の一休、法力の弁慶の化け物コンビじゃ。」
そこに親切な武者姿の亡霊が現れて、武の師匠の事を教えてくれます。
「これはご丁寧に。それであなたは誰ですか。」
フラポリーの質問に答えて武者の亡霊は言いました。
「そうです。私が初代徳川将軍です。」
初代徳川将軍と名乗る亡霊はかくかくしかじかと事情説明を始めます。
今の将軍は子孫だがバカ殿でこの危機を乗り越えられないこと。
将軍より帝に会い、協力して やまたのおろち を退治して欲しいこと。などなどです。
ちなみに帝(みかど)とは侍を束ねている将軍と同じほど偉い人だそうです。
2人も支配者がいて指揮系統が混乱しないのはさすが神秘の国日剣です。
・・・しかし帝に会いに行くとなると攻略本の内容が・・・
>>204>>206 >「そう!我こそは・・・!我が名は足利`アレクサンダー´尊氏なり!!」
鳥だ!飛行機だ!いや足利尊氏だ!
空を飛ぶ魔人は正々堂々名乗りを上げました。
アレクサンダーなどと言い出したのは、死後の世界で別の人の魂と融合したからでしょうね。
魔法くらい使ってきそうです。
「あれは将軍職開祖足利尊氏様!ははーっ!」
初代徳川将軍の亡霊は大物の出現を土下座で迎えました。
侍社会の上下関係の厳しさは死後も有効なようです。
「あれはサムライソウルを邪悪パワーに改造された動く死体ですね。
手にした刀は魔剣・村正です。当たると死ぬ。」
フラポリーは攻略本でモンスターデータを調べます。
「あのフライングマンの洗脳を解くか倒すかしないと帝には会えないそうです。
ではお先に攻撃しますですよ!」
フラポリーは攻略本の訂正箇所には気づかないで足利尊氏を攻撃します。
つけもの石を拾って斬馬刀で全力で打ち、足利尊氏にぶつけたのです。
>>207-208 嬉し涙を流す馬鹿弟子に微笑みかける
「簡単に涙を見せる物ではないぞ、まったく成長したかと思えば…」
「いいじゃねぇか、まぁしばらく見ないうちにでかくなったなまぁ積もる話もある
後でお前の育ての親にも帰ってきたことを伝えて置けよ」
そこにはいつもの厳しくも暖かい師匠二人がそこにいた。
「うん?そちらの方はどなたかな?」
一休和尚が尋ねるとテイルが挨拶をする
>「フェアリー=テイルと申します。タケル君にはいつもお世話になっています。
よければ徳川将軍に会わせていただけませんか?」
すると弁慶師匠が逆に聞いてくる。
「どっちの将軍かな?現在の将軍はここではなく江戸城にいるぞ初代様ならそこにおるぞ」
そう言って指し示す方向にはなんと武者姿の亡霊がいた。
>「そうです。私が初代徳川将軍です。」
「お久しぶりです初代様、お変わりなくなによりです」
なつかしい、まるで自分のおじいさんのように接する。
初代徳川将軍は死後もこの江戸を守っており、江戸の町の皆にはおじいちゃんとして慕われている。
初代様に現在の状況を聞き、帝に協力を頼み八俣大蛇を退治することになった。
しかしこれだけは戦力は足りず、妖怪達の力も借りねば到底対抗できる物ではない。
なにせあの第六天魔王の眷属である、そんなに簡単に倒せるわけではない。
「帝さまに協力を得られたら次は父様母様に頼んで大将に協力してもらうしかないな」
弁慶師匠はにっこりと笑うがやはり鬼が笑っているようにしか見えない。
「そうしたほうがいいな武。帝がいる京都までわしが案内してやろう」
「一大事じゃからな、寺の子供達には悪いが付いていくぞ」
この二人がついてくるなら道中安心…どころか相手を心配するようになるだろう
「おぅ、ねえちゃん、満足してくれたかい?
知り合ったついでと言っちゃなんだが、実は俺ゃこういうものを商っててね。
ここで会ったのも何かの縁だ、ちょいと1つ2つ、いや10でも20でも買ってやっちゃあくれないか」
チンピラはフラボリーの前で持っていた風呂敷包みを広げます。
中には、どこか安っぽくしかし江戸風情が全く無い訳ではない装身具等の小物が入っています。
「・・・おい!」
食べ物にしか注意を向けないフラボリーに腹を立ててチンピラが凄んできました。
「この罰当たりが!ンなもン喰ってねえでとっととコレ買いやがれ。ぁあ?」
提示されたのは、土産物としてはまあまあのお値段。
実際には適正価格のおよそ5倍といったところですが
旅行者にはわからないかもしれません。
しかし、日本人としては残念ながら、空を飛ぶ足利尊氏は、元ネタ同様に村正が強いだけなので、漬物石をぶつけたら普通に撃墜できてしまった。
万が一、足利尊氏に接近戦を挑まれていたら、いろいろと酷いことになっていただろう。大量の自走式棺桶が必要になったかも知れない。
ただ、この高さ(どの高さ?100メートルくらい?)から墜落して生きていれば、ショックで正気を取り戻し、何か重要な情報とかをくれるかもしれない。
漬物石をぶつけられて撃墜された足利尊氏を見やりつつ、アイリスは日剣の歴史書を開いていた。
「足利尊氏……わたしがまだ人間だった頃の日剣の将軍様ね。武勇よりは政略に長けた人物のようだけど」
アイリスの暗黒魔法は、神の力を借りて奇跡を起こすものであり、原理的には神聖魔法と同じだ。
しかしながら、何百年も昔に死亡した人物を蘇生するのは困難なわけで、成功したら、それこそ奇跡なのだ。
「冥界の門は確かに開きかけているようね。
今流行の八岐大蛇も第六天魔王も、随分昔に対峙されたみたいだし、彼らが復活しているとかいうのにも、何か関係があるのかも。
いや、ひょっとすると……“黄泉”って……」
アイリスの思索タイムだ。第9章でも、思索に費やす時間は多かった。
だが、今回はすぐに行動に移すことになりそうだ。
「黄泉の門……何処に出現したのか……そして第六天魔王と八岐大蛇の復活……もしかして!
こうしてはいられないわ、すぐに現場に向かわないと!しゅわっち!」
アイリスは何かを思いついたようだった。
黄泉の門が開きかけているその異変!きっと復活の第六天魔王がその鍵を握っている!
今度はアイリスが空を飛んだ!吸血鬼固有の飛行能力だ!
>208-209
「亡霊ナチュラルに出過ぎだろ!」
タケル君が驚いていないところを見ると、初代将軍はこれが普通らしい。
もう深い事は考えない事にしよう。
>「あのフライングマンの洗脳を解くか倒すかしないと帝には会えないそうです。
ではお先に攻撃しますですよ!」
漬物石の直撃を受け墜落し始める足利尊氏。
このまま地面に落ちたら死ぬけど遠すぎてレビテーションは届かない。
そこで落下地点に上昇気流を起こすことにした。
「【エアーカレント】」
>210
この非常事態に押し売りを始める輩。なんてやつだ。
>211
足利尊氏は一度上昇気流の上に落ちてトランポリンの要領で跳ね飛ばされ
ジャストで押し売りの風呂敷の上に墜落した。
押し売りの売り物は壊滅的な被害をこうむった!
もちろんわざとではなく不慮の事故である。
>「あのフライングマンの洗脳を解くか倒すかしないと帝には会えないそうです。
ではお先に攻撃しますですよ!」
「待て、あれは…足利尊氏将軍様ではないか?」
異常すぎるくらいにいい視力で確認した一休師匠さすが、まだまだ現役であった。
「いや、動く死体であって足利尊氏様ではない…しかし無念であろう死体となっても利用されるとは」
悲しそうな顔で呟く弁慶師匠。
「武よ、私達は足利将軍を成仏させる準備はよいか!?」
もちろん即答で、
「もちろんでござるよ、死者を冒涜する行為許すわけにはいかないでござる」
うむ、といった感じで弁慶師匠と一休和尚はうなずく
「ではついて来いよ武!」
「了解です、師匠!」
弁慶師匠が凄まじい速さで霊符を投げると合わせる様にこちらも投げる。
「師弟の技を見せてくれるわ!」
>>210 「なるほどなるほどこれを買えと。」
フラポリーはチンピラの持ち出した商品を物色します。
食べたらお金を払うことは理解しているので簡単に納得しています。
「これはなかなか良いしなものですね。
このキラキラ光ってるのを20個ほどいただきましょう。」
つまみ上げたのは「ぎやまんの鈴」です。
分かりやすく言うとガラスの鈴ですね。
フラポリーは光り物がお気に入りのようです。
努力とか根性とか将軍とかソフィアとか書かれたガラスの鈴を持ち、
品物の相場が分からない旅行者フラポリーが支払いをしようとしたその時!
>>212 降ってきた足利尊氏のサムライパワーで悪徳土産物売りの商品が粉砕されました。
フラポリーのお目当てだった安物ガラス製品も例外ではありません。
助かったのは「ソフィア神宮お守り」がついた鈴一つだけです。
「・・・キラキラ綺麗・・・」
フラポリーは砕けたガラスの破片を見てうっとりしています。
見るもの全てが新鮮なんですね。
そろそろ物が見れるのに馴れても良いような気がしますが。
>>213 「いい刀だな。 ちょっとかりるぞ。」
フラポリーは武と師匠コンビがが足利将軍を成仏させているときに、
足利将軍が持っていた魔剣・村正を取り上げます。
「試し斬りー」
当たると死ぬかもしれない魔剣ですから、当たらないよう気をつけないといけません。
ましてフラポリーみたいに抜き身で振り回すなど言語道断です。
>>211 「また怪しい飛行物体です! 今度は何ですか!?」
空飛ぶアイリスを超感覚で察知したフラポリーは、
攻略本のモンスターデータを調べ始めました。
まだ戦うにも顔見せにも早そうだから載せていません。
それに視力は人並みなフラポリーには、アイリスの細かい部分が見えません。
載せていてもアイリスだと気づくのは不可能です。
「攻略本に乗っていないから隠しボスかもしれません! 撃墜あるのみです!」
おや?フラポリーが殺る気満々で魔剣・村正を構えました。
「飛んでけーーー!!」
火事場の馬鹿力で投げられた魔剣は狙い違わずアイリスの所に飛んでいきます。
ノーライフキングに即死効果など意味がな・・・しかし、
首飾りの魔力で負の生命力から正の生命力に変えていたりしたら大変です。
当たっても大丈夫でしょうか?
>>210 「ときにこのお守りに書いてある「ソフィア神宮」とは何でしょうか?
まだあるなら場所はわかります?
珍しくフラポリーがチンピラ行商人に目的地の場所を聞き始めました。
攻略本を見た時に10章の目的も見直したのでしょうね。
>212
売り物を破壊されたチンピラは降ってきた足利尊氏と
次いで集まってきた武と化け物コンビに怯えながらも
「こ、こらぁ!品物をこんなにしやがって!謝罪と賠償を要求汁!!」
と叫んでいます。
>214
>「試し斬りー」
その剣の軌跡には、運悪くチンピラの身体がありました。
「ぐふっ」
チンピラが一瞬にして倒れます。
魔剣とライトファンタジーの合わせ技で、服が破れたり周囲を汚したりすることはありません。
「へっ・・・これで世界の終わりを見なくて済むなら安いもんよ」
チンピラはなんだか納得しています。
>「ときにこのお守りに書いてある「ソフィア神宮」とは何でしょうか?
>まだあるなら場所はわかります?
「ああ・・・そいつに気が付くとは、ねえちゃん、なかなかのもンだ・・・」
瀕死のチンピラが切れ切れに説明を始めました。
瀕死調のセリフは読みにくいのでまとめると
・伴天連よりももっと昔に遠く希臘から伝わったという超マイナー神を祀る宮
・表立って有名なのは愛知藩と高知藩の神宮
・実は裏神宮が千葉藩、栃木藩、山口藩に存在する
・各神宮は1つずつ秘宝を持っていると言われている
・秘宝をコンプリートすると何かが起こるという言い伝えがある
・因みにお守りにはヤクルトのホームゲームで選手のプレイが少しだけ賢くなる効果がある
「・・・と・・・いう訳だ・・・藩名が都道府県ベースなのは気にするな・・・いいな?」
チンピラは事切れました。
>>214-215 >「こ、こらぁ!品物をこんなにしやがって!謝罪と賠償を要求汁!!」
すると一休和尚が激怒する。
「馬鹿者が避難勧告で出ておろうが!はよう逃げい!」
確かに避難勧告が出ているのに商売してるとはどうかと…と思っていたその時、
>「試し斬りー」
と危険にも我々にその刃を向けてきたフラポリーだったが
>「ぐふっ」
先ほどのチンピラの青年が切られてしまう
「大丈夫でござるか!?しっかりするでござる!」
弁慶師匠が近寄り、治療しようとする
>「へっ・・・これで世界の終わりを見なくて済むなら安いもんよ」
この一言に、一休師匠は誰にも気づかれずにフラポリーの背後にいた。
「貴様、刃物の向け方を知らんのか!この馬鹿者が!」
軽やかなかつ誰も止められない速さでフラポリーの腕に絡みつきミッション系の関節技を掛けている
しかも本気で折る気である。これは不味いぞ。
「どういう教育をしているんだ貴様の親は!?命をなんだと思っておる反省小屋行きじゃ!」
改めて身震いした、反省小屋だと!?あの某異能生命体並みの生命力でもないと生き残れないあの場所か?
行った事は一度だけあるが、あれは小屋などというレベルではない自分自身は良く知っている運と生命力があったことに深く感謝していた。
即刻止めねば
「師匠、それはマズイでござるよ!あの場所ははダメでござる!」
必死で説得しているが話は通じていない非常にマズイ状況だった。
>213
「足利尊氏さん、お時間は取らせないのでちょっとお話を……」
>「師弟の技を見せてくれるわ!」
師弟の技が炸裂する! 足利尊氏は「ウボァ」といって倒れた。
「あ」
>214
>「また怪しい飛行物体です! 今度は何ですか!?」
「んー、美少女……?」
>216
>「どういう教育をしているんだ貴様の親は!?命をなんだと思っておる反省小屋行きじゃ!」
>「師匠、それはマズイでござるよ!あの場所ははダメでござる!」
タケル君の様子から推測すると、反省小屋とはVIPルームの類のようだ。
VIPルームとは、オーシア魔法学校のどこかに存在するという
どんな悪人でも1週間も入っていれば 愛と勇気と正義の使者となって出てくるという恐怖の部屋の事。
……これは本当にまずいぞ! と思ったその時。
「もう十分反省したであろう。その辺りにしといてやろうぞ」
倒れた足利尊氏からほんわほんわと何か出てきて足利尊氏の形になった。
平たく言うと亡霊です。
亡霊でありながら、全身からサムライソウルの高潔なオーラが溢れ出ている。
「そなたらのお陰で邪悪パワーから脱する事が出来た。感謝するぞ。
あの者に闇の秘術をかけられたのだ!」
足利尊氏の亡霊は、フライング美少女をびしっと指さした!
>>214 村正の凶刃がアイリスに迫る!
「甘いっ、真剣白羽取り!」
アイリスが拍手を打ち、村正が彼女の頭に突き刺さった。
すぐに刺さった刀を抜いて、捨てようと思ったが、元々自分の持ち物なので荷物袋にしまった。
「おのれ、誰だかわからない人。パワーアップしたわたしに、これほどまでの深手を負わせるとは……」
運良く即死効果は発動しなかったが、結構手痛いダメージだろう。とても痛そうだ。
とはいえ、吸血鬼系モンスター故に再生能力は凄まじく、1分もすればその傷は完全に治っていたのだが。
>>217 アイリスだ!とは言ったものの、まるで別人だ。
みつあみを解いて髪を下ろし、眼鏡を外すと、まるで別人のような印象を受ける。よくある話で、お約束だ。
内股でスカートを抑えながら飛んでいる、どこかへっぽこな動作は、紛れも無い彼女なのだが……
「あれはテイル!こんなところにまで、光の勇者達が来てるなんて……けど、相手にしてる暇は無いわ!」
そんなに戦いを避けたいのなら《テレポート》でも使えばいいのに、あえて使わないあたり、空気呼んでわざとやっているんじゃないかと疑いたくなるくらいだ。
アイリスはそのまま飛んで逃げたので、見失わなければ追跡が可能なように見える。
>>215 魔剣で切られたチンピラ男はソフィア神探索の重要情報を教えてくれました。
「これは重要情報の予感がします! ポチッと。」
忘れないうちにフラポリーは攻略本のメモボタンを押しました。
これで聞いた重要情報がいつでもどこでも思い出せます。
ゆとり仕様のありがたい攻略本ですね。
>>216 >「貴様、刃物の向け方を知らんのか!この馬鹿者が!」
「痛いです痛気持ちいいです! この角度で力を込めれば骨が破壊されますです!
ヘーオプ! ヘーオプ!!」
フラポリーは怪力ですが一休師匠の関節技がきれいに入っています。
このままだと腕を折られた上に反省小屋行きは確実です。
>「師匠、それはマズイでござるよ!あの場所ははダメでござる!」
武の反応から反省小屋は深遠の類のようです。
深遠とはどんな人間でもしばらくのぞき込んでいれば怪物になれる、
人生を投げ出したい人に大人気のスポットの事です。
フラポリーにはぴったりの場所ですね。
>>217 >「もう十分反省したであろう。その辺りにしといてやろうぞ」
残念なことに足利尊氏の亡霊が一休を止めました。
「ありがとうです足利尊氏将軍! これはとても助かりましたですよ!」
おそらく反省していないと思われる上に言葉使いが変です。
>「そなたらのお陰で邪悪パワーから脱する事が出来た。感謝するぞ。
>あの者に闇の秘術をかけられたのだ!」
指さす先ではイメチェンアイリスがまだ飛んでいます。
あちらはこちらに気づいたようですが、こちらはあちらに気づけるでしょうか?
>>218 「おかしいですねー。 剣は命中したと思ったのですが血の匂いがしません。」
フラポリーは目を閉じて耳をすませ、鼻で匂いを嗅ぎます。
フラポリーの元の種族は目が見えない代わりに他の感覚が優れていました。
その能力を応用して聴覚と嗅覚を限界まで研ぎ澄ませているのです。
「テイルが光の勇者が相手にしている暇はない、と言っているようですがお知り合いですか?
」
フラポリーはアイリスの名前も声も知りませんでした。
顔も姿も知りませんが視覚は強化できないので関係ないですね。
「飛んで逃げていきますけど追いかけますか?
飛空挺で追いかけますか? 走って追いかけますか?」
>218-219
>「おかしいですねー。 剣は命中したと思ったのですが血の匂いがしません。」
「剣が落ちてこないよ。回収されたんじゃない!?」
>「テイルが光の勇者が相手にしている暇はない、と言っているようですがお知り合いですか?」
見ればフライング美少女はそこはかとなくドジッ娘な雰囲気を醸し出している。
「……。知り合い……かもしれない」
>「飛んで逃げていきますけど追いかけますか?
飛空挺で追いかけますか? 走って追いかけますか?」
「あのまま遠くまで飛んでいきそうな気がするよ。走ったらきっと疲れるね」
腕輪ウィンドボイスで留守番組に連絡を入れて飛空艇を召喚する。
「飛行美少女を確認! 至急ボク達を回収後追跡せよ!」
程なくして飛空艇が現れて低空飛行で通り抜けざまに回収される。
どうしてこんなに早く召喚されたかというと
日剣は山ばかりで国土が狭いので着陸せずに滞空していたのだ。
>>220 「日剣は狭いと攻略本には書いてましたがそうでもないですね〜」
空飛ぶ謎の美少女を追う船の中、フラポリーは早速保存食を食べています。
「フジは〜日剣〜一の〜山〜」
お腹が一杯になったので鼻歌まで歌ってご機嫌です。
もちろん残した食べ物は保存袋に入れて無駄にしないのです。
エコのように見えて自分のことしか考えていないエゴなだけです。
「お腹が一杯になった所であの美少女がどんな人か教えて(流れ重視のため以下省略)」
かくかくしかじか。
フラポリーは アイリスの 情報を 手に入れた!
「見た目がかなり違いますから人違いかもしれませんねー。
アイリスは隕石で潰されて死んだのかもしれませんですし」
フラポリーはアイリスがノーライフキングになった事など想像も出来ませんでした。
魔法も最近知ったばかりだから仕方ないですね。
「良い事を思いつきました・・・飛空挺の速度上昇お願いしまーす!」
フラポリーの願いで飛空挺は速度を上げます。
空飛ぶアイリスに並んで併走するくらいの速さですね。
>>218 「どーもどーもはじめましてー。
最近光の勇者御一行に参加したフラポリーです。
こんごとも よろしく。」
なんとフラポリーは窓を開け、アイリスにあいさつして名刺を渡しました。
名刺とは自分のテンプレが書かれた紙切れの事で、
初対面の相手に渡すと交渉がスムーズに進む魔法の道具です。
ちなみにテンプレにあるようにフラポリーの一族は意味不明な精神構造をしています。
フラポリーはまともな方ですが、それでも恐怖で体が動かなくなったりする事はありません。
人間の体を借りていても同じ事です。
「あなたもしかしてテイルのお知り合いのアイリスですか?
違うなら一緒に光の勇者はじめてみませんか?
五食昼寝付きのとても楽な職業ですよー。」
いきなり勧誘を始めましたが、そんなにのんきなのはフラポリーだけです。
しかも初対面で呼び捨てです。
「それとさっき投げた魔剣・村正を返してください。
あれは父の形見で高かったんですよ。」
それは嘘です。
>>221 「あ、はじめまして、これはどうもどうも。
この度、死霊皇帝軍に入社いたしました新入社員のアイリスです。宜しくお願いします」
名刺を渡されると、アイリスは反射的にぺこりとお辞儀をした。そして自分の名刺を普通に渡してきた。
やっぱりアイリス本人だった。いつの間にか死霊皇帝軍に就職しているようだった。
不思議なことに、アイリスは仮にも「生命なきものの王」なのだから、それなりのポストに就いていても良いものだが、
彼女の名刺には、肩書きの所に所属部署しか書いていない(※要するに平社員)。
ただ、アイリスの場合は、頑張り具合×プロジェクトの人員=味方への損害という図式が成立する。
このため、彼女にたくさんの部下を率いるような地位を与えないこと自体は、何ら間違っていないのである。
村正を寄越せと言われ、アイリスは激しく拒否した。
「いけません、村正を渡すなんて!
そもそも、これはわたしが何百年も前に大金を出して買ったものです。でたらめを言うと八つ裂きにするよ!」
嘘はまるで通じそうになかった。
実際に
>>193で重要アジトが畳敷きの狭苦しい部屋であったと描写されることからもわかるとおり、
アイリスは昔から日剣かぶれで、和風な物品を好んで収集している。
それも、300年以上昔から現在に至るまで、彼女の趣味は長続きしているのだ。
徳川家が政権を獲得する前に村正を入手していたところで、何の不思議も無い。
「それに、この刀は徳川家を祟る業物、今回のわたしの悪役としてのアイデンティティの一つなのです!
あと、これはご禁制の品ですから、持ってたら捕まります。やめときなさい」
ご禁制の品ならしょうがない。これは諦めた方が良さそうだ。
こいつを受け取った瞬間に将軍様を敵に回すことになり、あまり好ましい事態にはなり得ないわけだ。
>>220 「そんなことより、見なさい!あと船を停めて!」
何事も無かったかのように飛空艇に乗り込んでいたアイリスは、ある地点まで進むと、舵取りの人を制止した。
地上では、すごい奴が暴れている。八本の頭と八本の尻尾を持つ大蛇、八岐大蛇だ。
「大昔に戦いに敗れて滅びたはずの怪物が、あんな感じで闊歩しているのよ!
これは、冥界と現世の垣根が消滅しようとしているために起こる現象よ。
そうでなければ、あんなのが復活したりはしないもの。
要するに、もうすぐこの日剣はタルタロスに飲まれて地獄と化すのよ!」
だが、アイリスは八岐大蛇を見るや、あんまり考えもせずに口を開いた。
「けど、あれ置いといても邪魔よね。さっさと始末しましょう」
アイリスはこういったところでは冷酷だ。
どうやら、アイリスにとって八岐大蛇は味方でも何でもないらしい。
それも道理で、彼女は八岐大蛇を竜の一族だと思っており、つまり小賢しい境界の眷属だと考えているのだ。
「とりあえず、あれを倒す為に一時休戦といきましょう。
わたしはあれを一撃で仕留めるために、地面に《エネルギー・ボルト》で焼きを入れて巨大な魔法陣を描くから、それまで適当に牽制して頂戴!」
なんだか指揮まで執り始めた。
「ええい、貴様には命の重さをその身体で教えてくれるわ!」
なんか嫌な音が聞こえかけたその時、
>「もう十分反省したであろう。その辺りにしといてやろうぞ」
だがこの言葉に一休和尚の怒りに火を付けた
「いくら将軍様だろうが仏だろうが、人一人の命が失われているのだ!それを教えねばならない!」
一休和尚は誰だろうが絶対に信念は曲げない、そういう人だった。
しかし、弁慶師匠も一緒になってやめさせる
「今はそういう事態ではない、後で反省小屋に叩き込めばいいだろう」
うむぅと唸り声を上げ、関節技を解くのだった。
しかし、
「弁慶師匠、それはフォローになっていないでござるよ」
足利将軍を蘇生し、その魂を悪用した少女を追いかけていたその時に
急に血が騒ぎ始める。
「また…この感じか…」
時が経つにつれて不動明王の力の活性化がますます活発になっていた。
それがなにを意味をするのか?それは分かっていた。
そしてそれを見た途端、急激に力が全身に駆け巡る。
>「とりあえず、あれを倒す為に一時休戦といきましょう。
わたしはあれを一撃で仕留めるために、地面に《エネルギー・ボルト》で焼きを入れて巨大な魔法陣を描くから、それまで適当に牽制して頂戴!」
いつの間に乗り込んでいたのかそんな事は知ったことではない。
「コラ武、お前一人……」
弁慶、一休の声なども届かず一目散に飛び降りて八俣大蛇の元に飛び込む
「うぉぉぉぉぉぉ!雷帝の裁き!」
ヴァジュラを振りかざし、天から雷帝の神雷が八俣大蛇に直撃する。
某所―――
それは眠っていた暗い暗い底が知れない暗闇から
そして、永遠に起こされる事はない存在だと思われていた。
蘇れば最後それはこの世に災厄しかもたらさない
それは決して存在してならない者―――
世界が望まなかった者――
イレギュラーかつ全てを消去する者――
それには様々な呼ばれ方があった。そのような名前などは意味はない。
だが会えて言おうその名は―――
「はぁ…はぁ……」
一人の青年がいつもの悪夢から目覚める。
その青年の名前は織田信長――かつては天下布武を謳った武将の子孫であり
その名前を受け継いだ者である。
「またこの悪夢か……」
病弱で本能寺で療養している彼は悪夢に悩まされていた繰り返し見せられるその得体の知れない者の悪夢に。
「籠りきりが良くないのだな…たまには外に出るか…」
突然大雨が降り始める。
「あんなに晴れていたのに……」
急に悪夢の光景がフラッシュバックし、頭に声が響き始める。
「ぐっ……がはっ!」
床にうずくまり上を見上げたその時、
天から降った雷が本能寺を直撃、その直撃を諸に信長は食らい爆発した。
爆発により本能寺が炎上する。
炎上する本能寺で一人起き上がる者が居た。
そしてその者は全身に漆黒の鎧を身に纏い、その瞳にはこの世の邪悪が詰まった暗い色をしていた。
その手には禍々しいオーラを放った刀を持ち、笑っていた楽しげに歪んだ笑顔。
「ハッハッハッ!私は復活した我の名は第六天魔王信長!この世に殺戮と破壊をもたらす者なり!」
炎の中で病弱だった青年は死んだ。代わりに蘇ってはならない存在が再び降臨してしまった瞬間だった。
「「「「「「「「ギゴガゴーゴーッ!」」」」」」」」
突然天からの雷を浴びて不満顔の八つの頭が、飛び込んできた武を取り囲む。
見ればそれぞれ器用にも蛇頭にハチマキをしていて
「天上天下唯我独尊」だの「東夷西戎南蛮北狄」だの
「厭離穢土欣求浄土」だの「天下布武楽市楽座」だの
「国家安康君臣豊楽」だの「仁義礼智忠信孝悌」だの
「二二三六〇六七九」だの「水金地火木土天海」だの書かれている。
頭はそれぞれ適度に武と距離を取り、牽制や攻撃を繰り出す。
更にそれぞれの尾が防御や移動のために動き、
結果的にアイリスが描いていく魔法陣はあちこち壊されていく。
>221-222
アイリスさんはいつの間にか死霊皇帝軍に入っていたらしかった。
「死霊皇帝軍って名刺あったのか!」
当然光の勇者とは商売敵でいつも名刺交換をする前に戦闘になってしまうので見る機会がなかったのだろう。
>「要するに、もうすぐこの日剣はタルタロスに飲まれて地獄と化すのよ!」
「なんだって!?」
メルちゃんが冒険の書をめくりながら言った。
「タルタロスって死霊皇帝の名前だね。要するに死霊皇帝復活しちゃうって事じゃない!?」
それを聞いてレオ君がうろたえる。
「まずいぞ!
きっと最近の流れでラスボスの座を降ろされるのが確実になって焦ってるんだ……!」
>「けど、あれ置いといても邪魔よね。さっさと始末しましょう」
「あれ、倒していいの?」
第六天魔王の眷属でありながらアイリスさんにとっても味方ではないらしい。
ということは第六天魔王は死霊皇帝の友達みたいなのではないんだろうか。
>223-224
>「うぉぉぉぉぉぉ!雷帝の裁き!」
天から凄魔じい雷が落ち、電撃が八岐大蛇の巨体を走り抜ける。
難しい漢字が書かれた8つの頭が反撃を開始する。
「食らえ! ファイア……」
ボクも攻撃魔法の砲撃に入ろうとする、が思わぬ制止が入った。
「どうかお待ちください!」
ドレスを着た銀髪の女性が前に進み出てきた。
「霜壁……ちゃん!?」
女性は八岐大蛇に語りかけ始める。
「我が子よ……私の声が聞こえますか!?
あなたは第六天魔王の眷属などではない! この霜壁の子。龍に連なる者です!」
八岐大蛇の頭の一つがこっちを向けられた。
一瞬だけ迷うような瞳をした、のは気のせいだったのだろうか。
巨大な口が開け放たれ、全てを押し流さんとする激流のブレスが襲いかかる!
「危ない!【エアリアルウォール】!」
風の魔法障壁を展開してブレスを防ぎながら、言い聞かせる。
「霜壁ちゃん……もうあいつは君の子どもじゃない! 第六天魔王の手先なんだ!」
500年以上昔に父親である龍ともども“勇者”に殺されたという霜壁ちゃんの子。
生まれ出ずることすら許されなかった無垢なる魂は、いともたやすく第六天魔王の手に落ちたのだ。
霜壁ちゃんは、意外なほど冷静だった。最初からこうなるのは分かっていたのだろうか。
「やはり無駄なのですね……。
一つだけ我がままを聞いてくださるなら、私の尾から出てきたあの鎌を使ってください」
そこに草刈り鎌を持ったアテナちゃんが狙ったようなタイミングで来る。
「これのことっすか?」
秘空艇の倉庫に入れてあるのを引っ張り出して遊んでいたらしい。
霜壁ちゃんが受け取って魔力を込めると、草刈り鎌は壮麗な大鎌へと姿を変えていく。
「今思えば、あの時私たちが勇者と戦わねばならなくなったのは裏で闇の勢力が糸を引いていたのだと思います。
我々は闇払いの武器を生みだすことが出来る一族。それ故潰しておく必要があったのでしょう。
さあ、これをお受け取りください。氷の魔力持つ鎌“フロストハルパー”の完成体です!」
「いや、それはちょっと無理……」
身長に不釣り合いな大鎌を渡されてよろけるが、それも一瞬。
体を不思議な感覚が走る。アイリスさんと戦った時と同じ感覚だ。
自分の体を見下ろすと、中性的な長身痩躯。少し横を向くといつもより豪華な翼。
大鎌を持っても釣り合う姿と、その重量に耐えうる魔力。
まだ制御できない変身能力を発動させたのは、鎌に託された想いだろうか。
「分かった!」
甲板から飛び降り、八岐大蛇に接近する。
首の一つめがけて大鎌を振るうと、氷粒の魔力波が放たれる!
>>222-226 > そもそも、これはわたしが何百年も前に大金を出して買ったものです。でたらめを言うと八つ裂きにするよ!」
「なるほどなるほどよくわかりました。
実はこの魔剣は私たちを襲った人物が持っていたんですが、
そうでしたかあなたの持ち物でしたか。」
ギラリとフラポリーの目が光りました。
フラポリーは足利将軍とアイリスの繋がりを特定したと思ったようです。
飛行船に乗り込んできたアイリスを美味しそうに見つめています。
この場合美味しそうというのは食事的な意味ですね。
このままだと初の「人間に襲われる生命なきものの王」が誕生しそうです。
幸い八岐大蛇の登場でそんな空気は流されてしまいましたが。
「日剣がタルタルソースに飲まれる?」
タルタロスです。
>「タルタロスって死霊皇帝の名前だね。要するに死霊皇帝復活しちゃうって事じゃない!?」
>きっと最近の流れでラスボスの座を降ろされるのが確実になって焦ってるんだ……!」
「それにしてはアイリスがあの蛇を倒すつもりなのが不思議です。
別件でタルタルソースを美味しくいただいている人がいるんでしょうね。」
だからタルタロスですってば。
>それまで適当に牽制して頂戴!」
牽制と聞いてフラポリーは手にした斬馬刀を見ました。
それから飛び降りて獅子奮迅の活躍をする武を見ました。
あのサイズの敵が相手だと斬馬刀も爪楊枝の刀みたいですね。
今は空も飛べないフラポリーには牽制は自殺行為です。
「こんな時にはモンスターデータを調べるのです。」
フラポリーは攻略本を調べます。
途中で霜壁のお尻を触って尻尾がないか確認、無いので落胆など寄り道もしましたが、
ついにフラポリーは、八岐大蛇がお酒に弱いという弱点を調べ出しました。
「もったいないですが仕方ありません。
お酒の樽を降ろして注意を引きつけましょう。」
早速名酒【大蛇スキー】や【族殺し】の樽が飛行船から降ろされます。
すると八岐大蛇の首の幾つかが、すぐに樽に首を突っ込んで飲み始めました。
戦闘中なのにお行儀が悪いですね。
良い子のみんなはこんな大人になってはいけませんよ。
「地面に焼き付けてる図形がかなり崩されていますよ。
それから倒すのは良いですが食べられる所は残してください。
残っていなかったら代わりにアイリスを食べます。」
悪い子のフラポリーはお酒を飲みながらアイリスを きょーはくしました。
よいこの みんなは まねしないで くださいね。
「むむ!どこか
>>223で邪悪パワーが復活した気配が!
これはストーリーの分岐点フラグの予感がします!」
フラポリーは信長の復活を感知した!
>>225 「フフフ……」
アイリスは何を企んでいるのか!
果たして、死霊皇帝は本当に復活してしまうのか!
ちゃんと第六天魔王の伏線は回収されるのか!
>>227 会って間も無いうえに、敵とはいえ手を組もうと譲歩までしている相手を脅迫するという、正義の味方らしからぬ真似をする輩を相手に、アイリスは考えた。
もちろん脅迫に屈することはないし、それどころか、利用するだけ利用してポイする気は満々だ。
仲間割れさせて始末させようとか、そういったことも考えているかも知れない。
「ええ、もちろんですとも。ちゃんと食べるところくらいは残しておきますわ」
アイリスが、ものすごくわざとらしい答えを返した。何か企んでいるのがあからさま過ぎて、何も言えまい。
そして、アイリスが何を企んでいるのか!それは攻略本には書いていない。
アイリスの企みを攻略本で調べようとも、攻略本に頼るなという叱責が出てくるだけなのも明白である。
そして!
(冷静になってみれば、陣を書くのは動かなくなってからでもいいよね)
そこでアイリスは、別の魔法で攻撃をすることにした。
《ファイアボール》だ。半径3メートルほどの範囲を巻き込む爆発を起こし、炎と衝撃でダメージを与える魔法である。
八岐大蛇は水の属性を持つ竜であるため、これはきわめて効果的だが、トドメを刺すまでには至らない。
そこに、《ファイアボール》の影響で飛び散った火の粉がフラポリーの攻略本に引火し、攻略本は燃え尽きて消滅してしまった。
「攻略本に頼ってばかりだと、駄目なマニュアル人間になるぞ」という、神の意思に相違なかった。
トドメはテイルに譲ったといったところか。が、アイリスは何か企んでいる。
また、大蛇はアイリスにも反撃をしてくるだろうが、アイリスの空中機動力のせいで近接攻撃は届かない。
ブレスもあるが、アイリスの魔法抵抗力は異常なくらい高く、こうした魔法的な攻撃手段の効きはすこぶる悪い。
氷結の魔力に、首が一本凍りついた。が、すぐに溶かして拘束を振り切ってしまう。
甲板のメルちゃんが拡声器で解説を加える。
「そいつは荒れ狂う激流の化身、凍りつかせる事は不可能に近い!」
「ならっ!」
自由落下し、直接斬りかかる。
相手の巨体から考えて、蚊に刺されたようなものかもしれないけど
何か思い出してくれるかもしれないという期待を込めて。
「分かる!? キミのお母さんの刃だ……!」
――許すまじき光の勇者!
怨念とともに放たれるブレスを間一髪で避ける。
――忌まわしき女神の娘!
呪詛が込められた尻尾のなぎ払いがすぐ横をかすめる。
そして3撃目の巨大な首による押し潰し攻撃が迫る!
「うわああああああああッ! やっぱダメだあああ!?」
>227
「ん?」
首は別の方向に向かった。酒樽だ! 他にも首のいくつかが酒樽につっこまれていた。
つっこまれてない首が語りかけてきたような気がした。
―― 助けて……! もう傷つけるのは嫌だ……。酒癖の悪い奴らが大人しいうちに早く!
>228
幸いファイアボールによってかなり弱っている。
そして熱した後に一気に冷やすと絶大な威力を発揮するような気がする!
【私の魔力を受け取ってください】
甲板にいる霜壁ちゃんの思念が伝わってきた。
無言で頷き、掲げた大鎌に霜壁ちゃんの魔力が集まってくる。そして、限界まで魔力が集まった。
【今です!】
鎌を振り下ろし、力を解き放つ! それは全ての物を打ち砕く氷の大魔法。その名は……
「【エターナル フォース ブリザード】!!」
「【究 極 必 滅 氷 結】!!」
氷雪が渦を巻き、氷雪の嵐を巻き起こす!
それが次第に晴れゆく中で姿を現したのは、美しさすらたたえた八頭八尾の氷の彫像。
すぐにある一箇所から入った亀裂が全体に駆け抜け、バラバラに砕け散った。
氷片が陽光を反射し、宝石を散らしたように舞う。
でも本当にこれでよかったのかな。輝きながら舞い散る氷片を見つめる。
「あれ?」
何かが浮かんでいるのを見つけてキャッチする。“オロチくん角煮”と書かれた缶詰……?
「そういう事か!」
きっと誰かに食べてもらうことが、第六天魔王の呪縛から脱し輪廻の輪へ返るための儀式なのだ。
この中で一番美味しく頂いてくれる人は誰か!?
「フラボリーちゃん、今すぐ食べるんだ!」
缶詰をフラボリーちゃんにパスした。
ヴァジュラに霊力を込め、刃を発生させる。
襲い掛かる八俣大蛇の攻撃担当の首がいくつか攻撃をしてくるも
ブレイクダンスのような動きで避け、隙を見せたら踊るような動きで斬る。
「わしも援護するぞ武!」
霊符を投げようとする弁慶師匠の前に、
>「どうかお待ちください!」
綺麗な女性に止められる
どうやら八俣大蛇の母親を名乗り、八俣大蛇に説得しているが
効く訳もなく攻撃を平然としてくる。
「残念だが、奴はお主の言葉に効く耳を持たぬ…」
一休師匠がそう説くがどうやら予想していたらしく、
テイルに氷の魔力を持つ大鎌を持たせていた。
そしてテイルは突撃するも相手は荒れ狂う激流の化身、無謀に等しかったが
吸血鬼の娘が放った炎の球の一撃とそして…
「我が拳を受けてみろ!旋風炎羽拳!!」
気を溜めていた一休師匠が炎と風の属性の気を練り合わせた拳を八俣大蛇に放つ。
大地を削るその一撃は八俣大蛇に直撃する。
それで弱り始めていた所に、
>「【エターナル フォース ブリザード】!!」
「【究 極 必 滅 氷 結】!!」
吹雪の嵐が起きると、あっというまに八俣大蛇は氷の彫像になっていた。
武は凍る直前に離脱していたため、難を逃れていた。
江戸城
「八俣大蛇が落ちたか……ふふコイツはおもしろくなってきたな」
かつて現在の将軍だった者の頭蓋骨を杯に、酒を飲んでいた。
そして今や華やかな江戸城の中は見る者が錯乱するほどの狂気の坩堝と化していた。
そこには殺戮のために撒き散らされた血と尊厳など無視された無残な死体しか残っていなかった。
「それにしても歯ごたえがなかったな…昔は強かったのだがな〜」
戯れに近くあった死体を蹴り飛ばす。
「平和になったらこの体たらくか……まぁその分この国を手に入れやすくなったわけだが」
さぁて、と邪悪なオーラを放つ刀を支えに立ち上がる。
「俺の眷属は八俣大蛇一体だけじゃない…他の奴等も復活させてくるか」
刀を引き抜き、ゆっくりとしながらも周囲を威圧する歩みで何処かへと歩み去るのであった。
「全くよぉ〜後先考えずにあんな大技使いやがって
コイツまで粉々になっちまってたらどうするつもりだったんだ」
いつの間にかテイルの背後にいた神威が話しかける。
その右手には、少し変わったデザインの大剣が握られている
驚くテイルに対し、神威は上機嫌に話す。
冤罪の処分に対し、納得のいかなかった神威はエメロに飲み比べの勝負を持ちかけた
自分が負ければ無かったことに、自分が勝ったら、証拠やら何やらを徹底的に調べ上げ、内部告発してもらう条件でだ。
そして、勝負の最中、自分が飲む筈の酒が次々と外に放り出されるのを見て、酒樽に掴まっていたら、驚き
目の前には、八岐大蛇が…そんでもって後方からは氷雪嵐が近づいているもんだからびっくり
直ぐに印を組んで、超スピードで天叢剣を回収した。
「…って訳だ。教団の不正を暴く千載一遇の好機はなくなっちまったが…厄介なおつかいはこなせたから、まぁ良しとするか」
と剣を担いだ瞬間、剣が震え、叫びを上げる。
「許さん!この恨みけして許さんぞ!愚かな勇者ども」
どうやら八岐大蛇の怨念が天叢剣に宿ってしまっていたらしい
しかし、持っている神威はなんともないのかただ剣をまじまじと見ているだけであった
「…あんたが『勇者』って名乗る奴らにどんな恨みがあるかどうか知らんが、あんたのやり方は間違っているのは確かだ
あんたの気持ちも分からなくはない。私ら鬼とナイトメアとの区別がつかない『勇者』が里の人間をそそのかしたせいで皆殺しにされたんだからな
だが、復讐は復讐を生むだけだ。終わりなどないのさ」
「その怒りはどうする。泣き寝入りでもしろというのか」
「いや…やるべきことは復讐じゃない。悲劇を繰り返さない為に何か出来るはずだ
私はそれを選んだ。しかし、あんたは復讐に走った。
…憎しみを忘れ、永遠の安らぎにつけ大蛇」
神威の瞳が虹色に輝きだす
「直死の魔眼」その目を持つ者は森羅万象を殺すことが出来ると伝承されている恐るべき魔眼
今、神威の両目にあるそれがその魔眼なのである
何かをなぞるように天叢剣を指で撫でた瞬間、剣から出ていたおぞましい怨念は立ち消え、清らかな霊力が溢れ出る
「よし…と、さて飲み直すとするかな」
>>228 >「ええ、もちろんですとも。ちゃんと食べるところくらいは残しておきますわ」
「ならばよしです。」
アイリスにポイされたら襲って食べるつもりのフラポリーは満足したようです。
ライトファンタジーで人間を食べるのは問題がありますが、
生命なきものの王なら食べても許されると思っているのでしょう。
お腹を壊すだけだと思いますから自己責任でお願いしたいものです。
満足したフラポリーは、なんとなくアイリスの企みを攻略本で調べてみました。
攻略本に頼るな。と書いてありました。
さらに火の粉が飛んできて攻略本は燃えてしまい、メモ機能だけが残りました。
「使えない攻略本です。」
フラポリーは攻略本の燃えかすをポイと口に放り込みます。
「全体的にパサパサしている上に紙質が悪いので0点です。
この攻略本を作ったのは誰だ!」
それ食べ物じゃありませんから。
>>229 武の雷が怖いので援護に行かなかったフラポリーですが、
戦闘が終わったのを確認してから命綱をつけてロープで下に降りました。
>「フラボリーちゃん、今すぐ食べるんだ!」
「これは・・・“オロチくん角煮”?!」
食べろと言われなくても食べるつもりのフラポリーですから、缶切りも持っています。
開け口があっても缶詰めは缶切りで開けるのが通なのです。
「まったりとしていてそれでいて後口はさっぱりとした味わいです!
さらにこの煮込みに入っている味付けがより一層肉の味を際だたせている・・・
この味は・・・コケモモでもない木苺でもない・・・桑の実だ!」
いかがわしい解説を付けながらフラポリーはオロチくん角煮を完食しました。
取り出した採点ボードの得点は百点。満点です。
これで霜壁さんの子供も輪廻の輪に戻れると良いですね。
>>230-231 >「よし…と、さて飲み直すとするかな」
「オロチくん出汁入り大蛇殺しがありますからこれを飲みましょう!
捨てるのはエコじゃないです。もったいないのです!」
神威の前にフラポリーが持ってきたのは大蛇の飲みかけの酒でした。
ですがのんびり酒を飲んでる時間はないでしょう。
馬に乗った武士が1人近づいてきますからね。
「弁慶様!一休様!ご無事ですか?!」
武士は弁慶一休両人を見つけると馬を下りて土下座します。
日剣では、武士は目上の人に土下座するのが習慣のようですね。
悪い事をして謝るときは焼けた鉄板の上で土下座する人もいるらしいですよ。
それはともかく、かくかくしかじかと武士はオロチ退治の出来事を説明されました。
「武様がこのように強いお味方を連れて帰ってこられているとは!
帝もさぞお喜びになる事でしょう!
帝は御自ら八岐大蛇を倒して都を救った者に礼を述べたいと仰られ、
皆さんをお待ちしておられます!
どうぞこのまま京の都に入り、帝にお会いになってください!」
「はい」か「いいえ」で答えてくださいね。
>231
>「全くよぉ〜後先考えずにあんな大技使いやがって
コイツまで粉々になっちまってたらどうするつもりだったんだ」
「天叢剣!?」
>「許さん!この恨みけして許さんぞ!愚かな勇者ども」
「まずい……逃げて!」
が、神威さんは落ち着きはらって剣に語りかける。
そして発動させたものは、鬼の一族が持つ超常の力……直視の魔眼だった。
おそらく人間達が鬼を恐れ誤解を生んだ所以。
超常の力を持つ種族は数あれど、鬼の魔眼はあまりにも直接的に死と結びついているから。
でも神威さんはその力を怨念を絶ち切るために使って見せた。
剣から水のせせらぎのような霊力が溢れだす。
「綺麗……」
>232
一方、ボードに100点が付けられる。
その時、銀色の光に包まれた少年が現れた。
【この時をずっと待ってた……】
霜壁ちゃんが駆け寄って抱きしめる。
「ああ……【麗水】……!」
【母さんに一つだけお願い。もう前を向いて生きて!】
抱き合ったまま少年は白銀の粒となって消え、一陣のそよ風が吹き抜けた。
【皆さん、どうか……第六天魔王の野望を打ち砕いてください!】
荒らし尽くされていた一帯に風が渡り、新しい緑が芽吹く。
霜壁ちゃんが白い光に包まれ姿を変える。
普通に擬人化を解除する……と思いきや、美しい白銀の龍になっていた。
尻尾も再生している。
「そっか、本来の姿に戻ったんだね!」
八岐大蛇編一件落着である。タイミングを読んだかのように馬に乗った人が来た。
>「弁慶様!一休様!ご無事ですか?!」
>「どうぞこのまま京の都に入り、帝にお会いになってください!」
「フラボリーちゃん、さっきストーリー分岐の邪悪パワーを感知してなかった?
どこに行けばいいのか攻略本で見てくれる?」
だがしかし。
「なんだってー!? 攻略本は燃えたから食った!?」
と、いうことは邪悪パワーに関する手掛かりは何もない。
それなら誘いに乗っておいた方が色々とフラグが立つ可能性が高いだろう。
→はい ピッ
いいえ
「それはそれは身に余る光栄です。是非とも参ります」
>「全くよぉ〜後先考えずにあんな大技使いやがって
コイツまで粉々になっちまってたらどうするつもりだったんだ」
「あの角は…鬼の一族…」
直接は会ったことはないが、聞いた事があった。
誤解で滅ぼされてしまった悲劇の一族。
「あれは…天叢剣ではないか?」
弁慶師匠が彼女の手に持っている大剣に見覚えがあるようだった。
「彼女は選ばれたようだな…」
何に選ばれたのかは分からなかったが一休和尚がそう言ってお経を上げる。
「俺もあの哀れな龍の子にしてやれることはこれくらいしかないが」
一休和尚と同じくお経を上げる。
その光景を見て、自分も同じ気持ちになる。
「拙者も一緒にあげさせてもらうでござるよ」
せめて幸せな来世を心から願いながらお経を読み上げた。
八俣大蛇が完全に上に上がっていった頃に一人の武士が近づいてくる
>「弁慶様!一休様!ご無事ですか?!」
「無事じゃそれよりも土下座はやめい。男が土下座するときは大切な物を守るときにだけにしておけい」
一休和尚は土下座をやめるようにそう説く。
「ああ、俺も一休も武も無事だぜ」
とりあえず、現在に至るまで説明をに武士に説明する。
>「武様がこのように強いお味方を連れて帰ってこられているとは!
帝もさぞお喜びになる事でしょう!
帝は御自ら八岐大蛇を倒して都を救った者に礼を述べたいと仰られ、
皆さんをお待ちしておられます!
どうぞこのまま京の都に入り、帝にお会いになってください!」
「当然、行くに決まっているだろう」
一休和尚は躊躇いなく返事をする。
「ああ俺も行くぜ、武お前はどうする?」
そう聞かれて、正直を言えば妖怪達の御大将に顔を出す予定だったが
帝がわざわざ礼を述べるというのを無碍にすることはできない。
「拙者も行くでござるよ」
そう答え、終わり次第すぐに大将の元に駆けつけるつもりであった。
「……」
なんだか話が綺麗にまとまりかけているため、アイリスはまごまごしている。
本当は、さっきの陣は、八岐大蛇を生贄に捧げることで、自分の計画を実行し、自分だけ美味しい目を見ようと思っていたのである。
それでファティマでの失敗はチャラになり、アイリスはより強大な存在になっていただろう。
が、そんな雰囲気じゃないように見えたのでやめた。
「……わたしの計画をまたしても邪魔したわね!覚えていろ光の勇者!
本当ならここであんた達と決着をつけたいところだけど、なんかそんな雰囲気じゃないから退却するわ!
命拾いしたわね!」
アイリスは《テレポート》で逃げた。
とはいえ、それで良かったのかも知れない。
誰もそう思っていないだろうが、本来なら、アイリスは非常に危険なモンスターである。
ソードワールド世界でのモンスターレベル15といえば、エルダー・ドラゴンと同じ、大陸規模の危機だとされている。
そんなのが会いに行っても、トラブルにしかならない。
それに、横には厄介な退魔師が何人も居る。
アイリスにしてみれば負ける気はしないが、余計な戦いは極力避けるのが彼女の性格なのだ。
別に、一般人に被害が出るから嫌だ、とか思っていたりはしないぞ。
テレポートで日剣の何処かにワープしたアイリスは、通信用のマジックアイテムを取り出した。
「とりあえず、上司(六武神のうちのどれかだと思う)に指示を伺いましょう。
第六天魔王について、詳しく知ってると良いけど……」
ひとまず自分の野望のことは忘れて、死霊皇帝軍の上司の指示を仰ぐことにした。
またしてもセージチェックに失敗して、第六天魔王についてよく知らなかったりするのか?
「もしもし、わたしです。今年入社したアイリスです
第六天魔王っていうのが、日剣を滅ぼそうとしてるらしいのですが、彼はわれわれ死霊皇帝軍の味方なので?
そうでないなら始末しますけど」
ド直球の質問である。
ここで連絡を受けた上司が誰で、どういった指示を出すのか?
それが今後の第六天魔王の運命を大きく左右することになる!かも知れない。
>>235 >「……わたしの計画をまたしても邪魔したわね!覚えていろ光の勇者!
「計画をまたしても邪魔とは何のことです?」
テレポートで逃げるアイリスを見ながらフラポリーは考えました。
考えてるうちに持ったままだった“大蛇くん角煮”の空き缶に気づきました。
「角煮ではなく丸焼きにして食べるつもりでしたか。
しかし角煮が美味しかったのでお断りします。
次に会ったときも料理法は角煮に決定です。」
フラポリーはドラゴンに戻った霜壁を見ながら言いました。
親子だから角煮にしたら美味しいだろうと考えているのでしょう。
なんだかアイリスよりフラポリーの方が悪役みたいですね。
>>233-234 >「なんだってー!? 攻略本は燃えたから食った!?」
「はい。きれいさっぱり食べてしまいました。
役立たずは役立たずなりに最後はお腹の足しになったので本望でしょう」
こんなフラポリーが帝の使者など気にするはずがありませんね。
>「それはそれは身に余る光栄です。是非とも参ります」
>「拙者も行くでござるよ」
「そんな事よりおうどん食べたい。
・・・ついて行けばうどんも出ますよね。」
出ると良いですね。
そんなわけで迎えに来た武士の後をついて行けば、はるばる来たぜ京の町。
道沿いには大蛇退治の英雄を一目見ようと大勢の人が押し掛けています。
「一休様ばんざーい!」
「弁慶様ばんざーい!」
「武様ばんざーい!」
「光の勇者様ばんざーい!」
家財も命も助けられたのだから人々の喜びも大きいようですね。
それでもフラポリーはとても不満顔です。
「餅投げがあると聞いて楽しみにしてたのに食べ物が投げられないです。
せめて塩ぐらいなげやがれです。」
塩を投げられるのは二度と来て欲しくない人だけです。
さらに進んで立派な建物に入って奥に行くと、
大きな部屋の中に大きな階段があってその上に椅子が置いてありました。
偉い人が下々の者を見下ろせるような造りになっているんですね。
椅子には10代半ばほどの少女が座っていますが、この少女が日剣の帝です。
「此花(コノハナ)陛下の御前である。御無礼の無いように。」
帝の隣に立つ偉そうな男が偉そうに言いました。
言われて階段の手前に控えていた人たちは頭を下げて敬意を示しましたが、
敬意なんか示したことがないフラポリーはそんな事気にしません。
それを見て怒ったような顔をする人もいましたが、此花陛下は怒りませんでした。
異文化に理解があるとは若いのに偉いですね。
「遠路はるばるこの地においでになりました光の勇者様御一行を歓迎します。
また一休、弁慶両人や武殿と共にこの地を脅かす魔を払って下さったこと、
苦しむ民を救って下さった事に深く感謝します。」
帝がそこまで言った所で外で騒ぎが起きました。
続いてとても急いだ様子で鎧武者が駆け込んできます。
鎧に付いた血や体から流れる血に緊迫感が良く出ています。
「申し上げます!お江戸の城に突然の敵襲のため、将軍様討ち死に!
敵は第六天魔王信長と名乗っており、城を守る侍にも大きな被害が出ております!
至急援軍を!」
早馬を飛ばして来た伝令の言葉に部屋の中は大騒ぎになりました。
もちろん馬は普通の馬ではないですから江戸城襲撃からあまり時間は過ぎていませんよ。
「そんな事よりおうどん食べたい。」
緊迫感零のフラポリーもおうどんを食べられるといいですね。
>235
通信機の向こうからは凍りつくような女の声。
連絡を受けたのはベアトリーチェだったようだ。
「ああ、我々の味方だ。放っておいてくれていい」
だがそこに別の女の声が割り込んでくる。
「ちょっとお、ベアトリーチェちゃん!第六天魔ちゃんは敵だしぃ!
騙されちゃダメ! 死霊皇帝様を出し抜こうとしてる裏切り者よぉ!」
どうやら通信機を取り上げたようだ。
「今の戯言は気にするな。光や境界の者共をまとめて駆逐してくれるのだぞ。常識的に考えて……」
ベアトリーチェが通信機を取り返したようだ。
「常識的に考えて敵よん!」
再びリムが奪った。
「返せ! いい加減気付いたらどうだ。
マヌケな死霊皇帝に任せておいたら我々はいつまでたっても負け犬のままだぞ」
「嫌よぉ! このリムが仕えるのに値する存在は死霊皇帝様ただ一人なのぉ!」
ゴオッ ドカン! プツンッ ツーツー……
通信機の奪い合いの果てに乱闘になったらしく通話が切れてしまった。
>235
「またね!」
アイリスさんは何か計画していたらしかった。
もしかしたら八岐大蛇を一瞬で粉々にした事が計画を阻止したのかもしれない。
エターナルフォースブリザードぱねえ。
>234 >236
>「申し上げます!お江戸の城に突然の敵襲のため、将軍様討ち死に!
敵は第六天魔王信長と名乗っており、城を守る侍にも大きな被害が出ております!
至急援軍を!」
「うぇええええええ!? もう復活したの!?」
コノハナ陛下が神妙な面持ちで指示をだす。
「矢部彦磨呂、琴姫、陰陽師巫女を取りまとめ至急出陣を!」
すると、神妙不可侵にして胡散臭い男とその相方っぽい巫女が現れた。
「勇者様方、背景で全力で踊りますので共に頑張りましょう!」
「う……うん!」
なぜにバックダンス!? とは聞いてはいけない気がした。
江戸への道中。
>「そんな事よりおうどん食べたい。」
「はい、どうぞ。腹が減っては戦ができぬといいますからな」
ヒコマロさんは陰陽術(?)でおうどんを出した。
「第六天魔王って何なんですか?」
コトヒメさんが答える。
「元は世界の機構の一角を担っていた存在だと言われています。
生命体の数を減らして調整する役割だったのですが、先の人妖大戦の頃から暴走し始めたのだと思われます」
>>237 「……六武神を3人くらい減らして、四天王にした方が良いかもしれないです」
通信が切れた後、アイリスは例によって問題発言をした。
六武神を3人減らしたら3人になってしまうが、自分が入れば4人になって四天王というわけである。
アイリスは変なところで真面目なため、上司のこと以上に、死霊皇帝軍全体のことを考えていても不思議ではない。
この問題発言は、それゆえのものなのだ。
まあ、実際には、単に自分のお勤め先が潰れてもらっては困るというだけのことに過ぎないのだが。
「とりあえず、あのお二方の言ってることを統合して考えましょう」
・第六天魔王は、光と境界の眷属をいっぱい殺す
・第六天魔王は、死霊皇帝を出し抜こうとしている
「うー、この二つが両方とも事実だったとしても、全然矛盾しないわね。
困ったわ。どっちの顔も立てないと、いざというときのわたしの立場が危ういじゃない。
でも、わたしの計画には邪魔よね。ご飯が居なくなるわけだし」
こう言うと意外かもしれないが、アイリスは意味の無い大量殺戮は大嫌いである。
生存のためか、新たな力を得る以外の目的で殺戮を行うことはない。
そういう意味では、アイリスにとって、第六天魔王は唾棄すべき存在である。
「現状は……この“石”の導くがままに行動しましょう。
第六天魔王は……わたしの計画の邪魔になったら、始末すれば良いよね」
アイリスは、ブループラネット似の謎の宝石のペンダントを見遣った。
それは青と赤の光を交互に放っている。
「あっ」
>>238 「これは良い物をいただきました。あなた良い人です。」
フラポリーはうどんを食べながら言いました。
>生命体の数を減らして調整する役割だったのですが、先の人妖大戦の頃から暴走し始めたのだと思われます」
「お腹が空いたのが原因ですね。
でも第六天魔王も考えが浅いです。
カッとなって食べ尽くすと、その生き物は二度と味わえなくなって後で後悔するのです。
そこの所を忘れてもらっては困ります。」
フラポリーはうどんを食べながら言いました。
まずはなんでも自分基準で考えるのをやめるといいと思います。
〈江戸城〉
場所は変わってこちら江戸城本丸です。
家康の亡霊も信長が怖いのか出てきません。
一般ピープルの避難も済んでいるので障害もなく本丸に到着しましたが、
そこは絵にも描けない恐ろしさの大量殺人現場でした。
念のためモザイクはかけておきましたが子供は見ない方が良いですね。
「手遅れに見えますが「犯人は現場に戻る」というのです。
犯人の遺留品が無いか調べてみましょう。
・・・チャチャチャチャーーン!〈髑髏の杯〉ゲットです!」
フラポリーは効果音を鳴らしながらモザイクだらけの物を天に掲げました。
重要物でしょうかね?
「うどんは都からセトの海を渡った先、サヌキ島の名産なのですが・・・
やはり魔が暴れていて生産がおぼつかないと聞きます・・・」
菊姫が説明するが、フラポリーの耳には入っていないようだ。
「・・・あ、コトヒメさんですね。
おうどんがあまりに美味しそうで間違えてしまいました。
ごめんなさい」
そう言って、黒子の格好をした子ギツネが
マイクとさっきの台詞を書いた紙を握って慌てて逃げていきました。
相手が相手なので、怒りを買ったら一瞬で退治されてしまうため必死のようです。
>>239 >>「あっ」
明滅する赤と青の光が、目の前いっぱいに広がっていた。
適当に歩いていたアイリスはいつのまにか大きな樅の樹の並ぶ通りに来ていたのだ。
ペンダントの光に呼応するように、樅の樹にも小さな赤と青の光がいくつも灯り瞬いている。
よく見ると枝には小さな人形やリボンや靴下や星形の飾りなども付けられている。
「日剣はね、どこのどんな神でも受け入れるんだよ」
10代半ばほどの少女が唐突に無邪気にかつにこやかに声をかけてきた。
「他の神とそれに連なるものを滅ぼそうとしない限りにおいて、だけどね」
知っている者には少女はコノハナ陛下そっくりに見えただろう。
「受け入れ続けて今や800万飛んで47神」
ちょっぴり自慢げにそう言うと、少女は道行く人の流れの中に姿を消した。
京の町までやってくると大勢の人達に囲まれ、歓声があちこちから聞こえる。
その歓声が聞こえなくなる頃には帝の住む宮廷に辿り着く。
案内人によって帝のいる前まで案内され、一休・弁慶両名は即座に頭を下げる。
頭を下げようとすると突然話しかけられる。
「お前、武じゃねぇか!元気してたか?」
振り向くとそこには片目が傷で塞がった白い猫又が居た。
「八裂の兼続じゃねぇか!なつかしなぁ」
幼少の頃よく遊んだ親友同士懐かしむように互いに肩を組んで独特な踊りを踊る。
これは僕達は友達ダンスである。
「コラ武、帝の前だぞ!」
一休師匠にたしなめられると、急いで礼をすると帝がクスクスと笑う。
>「遠路はるばるこの地においでになりました光の勇者様御一行を歓迎します。
また一休、弁慶両人や武殿と共にこの地を脅かす魔を払って下さったこと、
苦しむ民を救って下さった事に深く感謝します。」
「帝直々にお言葉がもらえるとは…ありがたき幸せ」
「同じく、誠に光栄であります」
一休・弁慶はかしこまって礼を述べるが、
突然血まみれの武士が大急ぎで入ってくる。
>「申し上げます!お江戸の城に突然の敵襲のため、将軍様討ち死に!
敵は第六天魔王信長と名乗っており、城を守る侍にも大きな被害が出ております!
至急援軍を!」
だが以外に人外コンビは意外にも驚かず、やはり…という顔を両人していた。
「こりゃヤベェぞ武!大変な事になったぜ!」
パニックを軽く起こしていたが、なだめるとすぐに収まった。
帝は矢部彦磨呂、琴姫、陰陽師巫女を応援に付けてくれるすぐに江戸城に向かう。
「彦麿呂殿、琴姫殿この度も世話になるのでよろしく頼むでござる」
江戸城に辿り着くが、その光景は到底口では表現できぬほどの有様であった。
「……ッ!」
悲しみより怒りの感情が溢れんばかりに渦巻きそして
血が沸騰するように騒ぐ。もう限界と言わんばかりに
暴発しそうになりながらも必死にそれを抑える。
「奴も情け容赦ないが…ここまでやってのけるとはな」
弁慶師匠はこの惨状を沈痛な面持ちで見つめていた。
「死者を此処まで冒涜するとは…絶対にゆるせん!!」
一休和尚からは怒りの気が尋常じゃない量が放出されていた。
江戸城、大広間。
多少なりとも魔や霊に関わる力のある者には、
全300畳とも言われる広さを埋め尽くすかのような死体達から
ゆらゆらと立ち上る何かが見えるだろう。
(うわーだめだー)
(無念・・・)
(まーこれが実力だよね)
(まこと面目ない・・・)
(労災適用されるかなあ・・・)
テンションも様々に、昇って行くもの、縛られたかのように留まっているもの、
そして恨みの念なのか黒く染まり次々に同じ方向に漂い出て行くものもある。
「魔王が眷属を増やそうとして呼んでいるのかもしれません。追ってみますか?」
コトヒメが黒い何かの行く先を示して問う。
>240
江戸はすでに放送禁止の状態になっており、第六天魔王はもうどこかに行った後だった。
「遅かったか……」
>「手遅れに見えますが「犯人は現場に戻る」というのです。
犯人の遺留品が無いか調べてみましょう。
・・・チャチャチャチャーーン!〈髑髏の杯〉ゲットです!」
「ンなもん手に入れてどうすんの!」
が、掲げたモザイクだらけの物体からはらりと紙切れが落ちた。
それには龍麗な筆文字でこう書いてあった。
【私を止めたくばヨモツヒラサカに来い! by第六天魔王】
「どう見ても罠だな。だが罠でも何でも行くしかないだろう!」
と、弁慶さん。
「だがしかし第六天魔王は致命的なミスを犯した。
ヨモツヒラサカと言われてもがどこにあるのか分からない!」
「……はっ! 誰か知ってるか?」
ヒコマロさんとコトヒメさんがそろって首を横に振る。
>241-242
「サヌキ島でも魔が……。黄泉の門が開きかけてる影響かな」
>425
>「魔王が眷属を増やそうとして呼んでいるのかもしれません。追ってみますか?」
「追ってみよう! きっと黄泉の門に向かってるんだ!」
>>243 「あの惚れ惚れするほど素敵なダークオーラは崇徳院、またの名を讃岐院!
そんな馬鹿な、最近流行の擬人化とか擬女化とか、そんなのだとでもいうの!?」
アイリスは、ドラゴンのブレスもかくやと言わんばかりの勢いの、凄まじい妄言を吐き出した。
なまじ日剣に関する知識が豊富であるが故に、少々ばかり信憑性や説得力があるのが困りものだ。
崇徳院つまり祟徳天皇は、それはそれは大昔、平安後期に実在した天皇だ。
政争に敗れて讃岐へと流されたが、その怨霊が黄金の翼を持つ鳶、つまり大天狗と化したいう伝説を持つ。
その祟りは日本中を震撼させ、全国の邪悪な天狗や他の怨霊と共に、天下を乱すための会議をしていたとさえ言われるほどだ。
都の大火事、飢饉、平家の増長、木曾義仲が田舎者なこと……とにかく悪い出来事は全て彼のたたりによるものとされた時期があった。
れっきとした実在人物なのに、今では金毛白面九尾の狐、酒呑童子と並ぶ「日本三大悪妖怪」に名を連ねているという、エキセントリックな御方である。
ここライトファンタジーの世界・ガイアでは、どうだか知らない。そもそも祟徳院が居るのかもわからない。
なお、当然ながら、史実の崇徳天皇は男性です。
となると、いつものようにモンスター知識判定でピンゾロを振っているといったところだろう。
しかしながら
>>243では「コノハナ陛下そっくりの少女」と描写されている。
血の繋がりがあるとすれば、似ていても不思議ではない。
またライトファンタジーの世界は史実ではないので、祟徳天皇が少女だったとしても不思議ではないのだ。
となると、慎重に事を運ぶ必要がある。
と言うのも、祟徳天皇の祟りはリアルに影響を及ぼしかねないので、その点では第六天魔王や死霊皇帝よりも遥かに危険なのだ。
アイリスは雑踏に消えた少女の背に向かって、二拝二拍手一拝し、逃げるようにその場を立ち去った。
>>246 >「追ってみよう! きっと黄泉の門に向かってるんだ!」
「そうはさせぬぅん!!」
物陰から声がするとテイルの目の前に小さな十字架が突き刺さりました。
投げたのは、隠れていた河童のような頭をした老人です。
「命が惜しければ余計な事は考えるでない。
さもなくばそこに転がっている者共と同じ運命をたどることになるぞ。」
老人は腕に自信があるのか光の勇者様ご一行を怖れる様子はありません。
「誰ですかお前は!」
「信長様に使える宣教師。サンフランシスコ・ザビエル!」
フラポリーの問いに答えたザビエルは両手に手裏剣のように十字架を持ちました。
「お前たちがソフィア神の手がかりを探しに日剣に来た事は知っておる。
じゃがまだまだ甘いのう。
ソフィア神の秘宝は我らがすでに集めており、後はサヌキ島の秘宝を残すのみ!
うどんも秘宝も信長様が独り占めじゃあ!」
「なんですとーッ!?」
ベラベラ秘密を漏らすザビエルに怒るフラポリー。
もちろん怒っている理由は秘宝ではなく、うどん独り占めです。
「ヨモツヒラサカよりソフィア神の秘宝が心配ですよ!
すぐサヌキ島に向かいましょう!
ヨモツヒラサカよりうどんが心配ですから!」
後半で本音を出しながらフラポリーはテイルに詰め寄りました。
はてさて、ソフィア神の秘宝と第六天魔王のどちらを優先したものでしょうか?
>248
「そなたが仕えた信長はもうおらぬぞ。第六天魔王に乗っ取られてしまったのだ」
「そんなことは知っておる!」
彦麻呂さんが衝撃の事実を告げるも、ザビエルはあっさり一蹴した。
そこでザビエルをびしっと指さして名推理を披露する
「あー、第六天魔王の手先でしょ!
この日が来るのを分かってて陰謀を繰り広げてたんだね!
というか主君を寄り代に第六天魔王を降臨させた張本人じゃない!?」
ザビエルは口の前に指一本立ててお茶目に答えた。
「それは秘密です」
場に何とも言えない空気が流れる。
「うるへーカッパハゲ! この場で秘宝奪い取ってやるわあ!」
戦闘シーンに突入しようとするが、相手は怪しい呪文を唱えて逃走の準備をしはじめた。
専門用語で言うと画面が戦闘シーンに切り替わらない!
「今は戦うべき時ではないということじゃ。さらば!」
ザビエルは霞のように姿を消した。
>「ヨモツヒラサカよりソフィア神の秘宝が心配ですよ!
すぐサヌキ島に向かいましょう!
ヨモツヒラサカよりうどんが心配ですから!」
「カッパハゲが全ての秘宝をコンプリートしようものなら間違いなく恐ろしい事が起こる……!」
第六天魔王のメッセージだって関係ない場所にミスリードする作戦という可能性もある。
むしろ相手は、殺害現場で待っているようなお約束に則った悪役ではなく
さっさとどこかに逃走する現実的な悪役なのだからそう考える方が自然だ!
「目的地をサヌキ島にセット!」
「ラジャ!」
秘空艇は一路サヌキ島へ向かう!
???
「お前等、もう十分睡眠取ったろ起きろ」
その一言でドス黒い魂たちが扇動されるように信長の前に集まり始める。
そしてそれが幾つかの人型になって集まる。
異常な角が生えた大男に、全身包帯の爬虫類の目を持つ者、そして死してなお高潔な雰囲気を持つ武人が現れる。
弓を持った顔色が悪い老人、血の十字架を逆様にした青年、そして異常な怨念を放つ禍々しい雷神、妖しい魅力を放つ美女
など数え切れないほどそこに存在していた。
「勝家、大蛇丸、サル、丹羽、天草、道真、ガラシャそして…」
手に持っていた扇を閉じて立ち上がる。
「闇四聖獣達よ良く蘇った、褒めて遣わす!」
少し歩いて止まると、彼らの目の前で手をかざす。
「俺達第六天魔王軍団はこの世を滅ぼす!何も存在しないまっさらな土地にな!」
目が血走り誰もが凍りつく笑みに唇を歪める。
「死霊皇帝だか光の神だかしらねぇがそんな物は知るか野朗やガキは殺して女は犯して蹂躙の限りを尽くして破壊しろ!」
目が完璧に狂気に染まっており、覗き込んだものはその狂気に当てられそうなほどである。
「殺戮の限りを尽くせ!それが俺からの絶対命令だ!」
魔剣を地面に付き立て、声高に宣言する。
「俺達は無の軍勢と名を変える!目的成就を願い祝砲!!」
暗黒魔銃を天に掲げ引き金を引き、黒い閃光が天を駆け抜ける。
「無の軍勢よ…突き進めこの世を無に帰するために!!」
この号令と共に、無の軍勢は早々と行動を開始する―――
この世を地獄に変えるために
「来たよ」
アイリスは、首飾りに取り付けられた宝石に語りかけた。
この“意思”、否、“石”に導かれて、アイリスはそこへやってきたのだ。
その場所とは、サヌキにある金刀比羅宮!祟徳院が祀られている神社!
大物主の神と、先ほど話題に出した崇徳院が祀られている。
「でも、此処に何があるのかしら?」
とりあえずお賽銭を入れ、鈴を鳴らし、祝詞を唱え、二拝二拍一拝をした。
こうした別の神を敬う行為は、ダークプリースト技能のレベルが下がりかねない行為だ。
しかし、実のところ、アイリスに力を与える暗黒神は、闇の神々にしては非常に寛容である。
「どうか素敵なものが見つかりますように……あっ」
さっき別れた崇徳院らしき少女が現れた。ものすごい魔王っぽいオーラを放っている。
アイリスは平伏した。
とりあえず、アイリスはお酒を奉納して、多少なりとも印象を良くしつつ、話を伺うことにした。
「帝に御縁のある貴方なら、三種の神器について、何か知ってるかと思って」
「皇室の宝だった八咫鏡は、わたしが馬鹿をそそのかして起こした先の大戦で、ダンノウラの海の底だよ。
天叢雲剣は、貴方達の光の勇者の手に。
だけど、八尺瓊勾玉だけは、あの魔王の手に渡っちゃったね」
崇徳院はそのように話した。
「えっと、とりあえず、わたしは光の勇者ではありませんけども」
「貴方は確かに死霊皇帝軍の一員だけど、実質、光の勇者でしょ」
「むう、その言い方は引っかかりますね」
そうなのだ。彼女の発言は実に的を射ている。
『無能な味方こそ最大の敵』という理論を採用した場合、アイリスは最強の光の勇者ということになるのだ。
「あと、祟り神仲間の道真が、自分の肖像画が五円札の絵に採用して貰えるって条件で釣られて、第六天魔王の側についてしまって……」
「それって、過酷な労働環境に耐えかねて転職したのでは?ほら、あの方って、年中忙しいですし」
「ともかく、日剣の子供たちの学力が低下しているのは、ゆとり教育のせいだけじゃなくて、あいつが仕事をしてないせいでもあるの。
できたら捕まえて、元の職場に押し込めといて」
「あれ?平将門公は?この流れだと第六天魔王の手下になってそうですけど」
「あいつは居ないよ。いろんな所から出演のオファーが来て、忙しいって」
そういうことになった。
「とりあえず、これをあげる」
崇徳院らしき少女は、大量の巻物を取り出した。
「何ですか、これ」
「五部大乗経の写経。わたしが死者の供養のために書いて帝に送った、ありがたいお経だよ。
並みの怨霊だったら、それで供養できるでしょうよ」
五部大乗経は、実に由緒正しく拡張高い、ありがたいお経である。
誰が使うべきアイテムかは言うまでも無い。
アンデッドであるアイリスにとっては、全然嬉しくもなんともない品だった。
「あああの、送ったけど突っ返されたのでブチ切れて、
自分の血で『この五つのお経を魔道に転じ、魔王になってやるぞ』って書いた、怨念篭った曰くつきの品ですね」
「うるさい、祟るぞ。私の怨念がちょっと抜けてないけど、お経はお経だよ」
第六天魔王配下の怨霊どもに対する強力な武器になり得る五部大乗経を、図らずも手に入れてしまった。
アイリスは、しばらく金刀比羅宮に留まり、何か呪文を唱え始めた。
目的は、ダンノウラに沈んだ八咫鏡!
もちろん、それはアイリスの持ち物ではないので、《アポート》の呪文は使えない。
よく知らない品であるため、赤の魔石をロランドごと取り寄せた《リマンド》も、今回は使えない。
だが、海の底に沈んだ八咫鏡を、アイリスは誰よりも早く、そして確実に、取り寄せることができるのだ。
それは暗黒語、つまり闇の神々と更新するための言語を用いた呪文だった。
崇徳院は、アイリスが行おうとしていることを、無表情のまま見守っていた。
急がなければ、ソフィアの秘宝はアイリスの手に渡ってしまうぞ!
>「魔王が眷属を増やそうとして呼んでいるのかもしれません。追ってみますか?」
「これは行くべきだろうなどう思う一休よ」
と弁慶師匠の問いに対して一休和尚は意外に冷静に
「ああ、わしもどう意見じゃ」
だが、その時
>「そうはさせぬぅん!!」
>「命が惜しければ余計な事は考えるでない。
さもなくばそこに転がっている者共と同じ運命をたどることになるぞ。」
「おもしろい事を言うとは思わんか武よ…」
先ほど収まっていた気が暴発するように発生させる。
よほど腹が立っているのだろう、こんな和尚は見たことがない。
>「誰ですかお前は!」
「信長様に使える宣教師。サンフランシスコ・ザビエル!」
>「お前たちがソフィア神の手がかりを探しに日剣に来た事は知っておる。
じゃがまだまだ甘いのう。
ソフィア神の秘宝は我らがすでに集めており、後はサヌキ島の秘宝を残すのみ!
うどんも秘宝も信長様が独り占めじゃあ!」
「貴様ー!そこに直れ!」
拳を振り上げようとしたとき、
>「今は戦うべき時ではないということじゃ。さらば!」
と逃げられてしまう。
「逃げおったか…」
弁慶師匠が小癪なという表情で呟く
>「ヨモツヒラサカよりソフィア神の秘宝が心配ですよ!
すぐサヌキ島に向かいましょう!
ヨモツヒラサカよりうどんが心配ですから!」
>「目的地をサヌキ島にセット!」
「ラジャ!」
飛行艇はサヌキ島へ向かうこととなるのだが、ここで悩むことになった。
もしサヌキ島に全戦力が集結してる場合いくらお二人が付いてたとしても到底このメンバーでは対処仕切れない場合がある。
それも単身で江戸城を制圧したと思われるあの第六天魔王であるが付いているならなおさら必要だった。
そのため、妖怪達に連絡を取っておくべきか否か?
「うーん…どうしようでござるか…ここで別れて連絡しに行くべきか…」
もちろんいない可能性もあるので頼む必要もないかもしれない
珍しく迷っているのでした。
>>249-253 >「うーん…どうしようでござるか…ここで別れて連絡しに行くべきか…」
「どうかしましたか?・・・なんと!
妖怪に助太刀を頼みに行こうかと悩んでいたのですか!
それではおうどんを食べながら考えましょう。」
かくかくしかじかと武から事情を聞いたフラポリーは、サヌキうどんを取り出して言いました。
>暗黒魔銃を天に掲げ引き金を引き、黒い閃光が天を駆け抜ける。
「今どこかで大きな音がしませんでしたか?」
サヌキうどんを食べていたフラポリーが、超聴覚で暗黒魔銃の銃声を聞きわけて言いました。
右見て左見てまた右見て、ついでに上下も見ますが、そんな所に音の原因はありません。
「お腹が鳴る音でしたかそうですか。」
納得したフラポリーはまたうどんをすすり始めました。
「そんなはずがなかろう。」
いつの間にか机の上の調味料置き場に陣取っていた立派な兜を被った生首が言いました。
生首のこめかみには矢が一本突き刺さったままです。
怖いですね。
「変わった七味入れですね。」
しかしフラポリーの精神は常人とは格が違います。
兜ごと持ち上げた生首を丼鉢の上で左右に振りました。
「我こそはお江戸の守護神平将門である。
無礼であろうそこのもの。」
うどんの上で逆さまに振られながら、将門は冷静に自己紹介しました。
「ある方からの緊急出演要請を受けてこの空飛ぶ船に急を告げに参った。
すでに第六天魔王は己の眷属を蘇生し、「無の軍団」として行動を始めておる。
祟り神仲間の道真も、五円札の肖像画絵に採用して貰えるとの条件に釣られ、第六天魔王に荷担。
敵は侮れぬ戦力となっておるゆえに心してかかられよ。」
「それはどうもご丁寧に。」
フラポリーは机の上に戻した将門の首にお礼を言いました。
悪いと思っていないので七味入れと間違えた事は謝っていませんけどね。
将門が話せば分かる人で良かったです。
「悪霊退散・・・しかし怨霊物の怪であっても江戸の守護神であるから・・・ぬぅ。」
彦麿呂は悪霊退散すべきか迷っていますが相手は祟り神です。
触らぬ神に祟り無しですよ。
「我は他の場所にも出演せねばならぬゆえ今はこれ以上の助けは出来ぬ。
いずれまた会おう。皆の者さらばじゃ!」
そう言った将門の生首は遠くの空に飛んでいきました。
「ふむふむなるほどなるほど。
こうなると妖怪に援軍を頼みに行くのも良い考えですね。
獲物が多い時は仲間も多い方が狩りは楽なのです。
ところであれはなんですか?」
フラポリーは離れた場所で光が天に昇っているのを見つけました。
飛行船で近づいてみると海の中に渦潮が出来ていて光はその中心から出ています。
アイリスに持って行かれようとしている八咫鏡が光っているのです。
もちろんフラポリーにそんな事わかりませんけどね。
>254
忙しい中来てくれた平将門さんを見送る。
「矢が刺さったままで痛そう……」
>「ふむふむなるほどなるほど。
こうなると妖怪に援軍を頼みに行くのも良い考えですね。
獲物が多い時は仲間も多い方が狩りは楽なのです。
ところであれはなんですか?」
海の中で何か光っていた。
「なんだろうね、取りに行ってみようか!」
「そのような暇はないぞ。一刻も早く第六天魔王に抗する戦力を集めなければ!」
彦麻呂さんが日剣地図を広げながら言った。
「サヌキの金刀比羅宮に寄って妖怪の援軍を頼んだ後、高知藩の神宮に向かおうではないか。
あそこは崇徳院殿を祀る神社故にあの方と交信できるようになっておる。
今いる場所はセトナイ海であるから妖怪の主将に直接会いに行くよりも断然早かろう」
「そうと決まれば急ぎましょう!」
彦麻呂さんと琴姫さんが立ちあがって横に並ぶ。
「うむ。坊主1号から3号、所定の位置にスタンバイ!」
彦麻呂さんがそう声をかけると、見るからに坊主っぽい坊主が3人出てきて二人の後ろに並ぶ。
5人が謎の踊りをし始めると飛空艇は急加速して、あっという間に金刀比羅宮に着いた。
暗黒魔法の呪文を唱え終わったアイリスは、以下のようなことを言い放った。
「水に関する奇跡なら、わたしのところの神様の右に出る者は居ない!」
アイリスはそう豪語する。それには訳がある!
崇徳院は、そんなアイリスの様子を、養豚場の豚でも見るかのように冷たい目で見つめていた。
>>254 光の中に一瞬、うっすらとではあるが、巨人のようなものが見えた。
巨人が消えたかと思うと、八咫鏡がものすごい速さで金刀比羅宮の方へと飛んでいった。
あれこそまさしく、アイリスに暗黒魔法を授けている暗黒神なのだ。
>>255 八咫鏡は、真っ直ぐアイリスの方に向かって飛んでいた。凄まじいスピードだった。
アイリスは真剣白羽取りの要領で両手でキャッチしようとしたところ、頭に当たって額にめり込み、拍手を打った。
すぐさまそれを手に取って、吸血鬼特有の再生能力で治癒している。
やってきたテイルたちは、その光景を目撃した。崇徳院が笑いを堪えている。
「来ると思っていたわ。この八咫鏡が目的なのでしょう?」
今更かっこよくキメようとしても無駄だ。
しかし、先ほどの八岐大蛇のときには描写し忘れたが、今のアイリスは光と闇が両方備わって最強に見える。
以前とは違う新(ネオ)アイリスだ!
いやまあ、10章開始時点で妙なアイテムを手に入れた時点からそうなのだが。
吸血鬼のくせに光のオーラを放っているのは、胸元の奇妙な宝石が原因だろう。
さて、状況を説明しよう。
ここ金刀比羅宮には、新(ネオ)アイリスと、彼女が暗黒魔法《サモン・インプ》で即席で呼び出した荷物持ちのインプが1人、そして崇徳院が居る。
八咫鏡はアイリスが自ら持っており、インプは五部大乗経を持たされている。
彼等は、どうやら光の勇者達の出方を伺っているようだ。
>「どうかしましたか?・・・なんと!
妖怪に助太刀を頼みに行こうかと悩んでいたのですか!
それではおうどんを食べながら考えましょう。」
「今どこかで大きな音がしませんでしたか?」
「お腹が鳴る音でしたかそうですか。」
>「そんなはずがなかろう。」
「ある方からの緊急出演要請を受けてこの空飛ぶ船に急を告げに参った。
すでに第六天魔王は己の眷属を蘇生し、「無の軍団」として行動を始めておる。
祟り神仲間の道真も、五円札の肖像画絵に採用して貰えるとの条件に釣られ、第六天魔王に荷担。
敵は侮れぬ戦力となっておるゆえに心してかかられよ。」
うどんを食べながら話を聞いてくれるフラポリーの前に
なんと平将門公が現れ、とても危険な状態だと言う事を知らせに来てくれた。
中の人も武も将門公は尊敬しているお方なので手を合わせてお祈りをしながら感謝をすると
どこかへと消えてしまう。
>「ふむふむなるほどなるほど。
こうなると妖怪に援軍を頼みに行くのも良い考えですね。
獲物が多い時は仲間も多い方が狩りは楽なのです。
ところであれはなんですか?」
その言葉に促され、振り向くと海の中で中で光っていた。
「あれは何でござろうか…」
弁慶師匠はなにか思い当たるように、
「まさかな…あそこら辺は八咫鏡が失われた場所なのだが…」
>「なんだろうね、取りに行ってみようか!」
「そのような暇はないぞ。一刻も早く第六天魔王に抗する戦力を集めなければ!」
彦麻呂氏は地図を広げる。
>「サヌキの金刀比羅宮に寄って妖怪の援軍を頼んだ後、高知藩の神宮に向かおうではないか。
あそこは崇徳院殿を祀る神社故にあの方と交信できるようになっておる。
今いる場所はセトナイ海であるから妖怪の主将に直接会いに行くよりも断然早かろう」
確かに手っ取り早く御大将と交渉ができるため、この案に乗るのが得策である。
>「そうと決まれば急ぎましょう!」
>「うむ。坊主1号から3号、所定の位置にスタンバイ!」
そうこう言っている内にあっという間に金刀比羅宮に着いた。
急いで金刀比羅宮に入るといつぞやの吸血鬼がいるではないか。
>「来ると思っていたわ。この八咫鏡が目的なのでしょう?」
「それはまさか!?八咫鏡ではないか!」
「なぜそこの女子が持っている!」
弁慶・一休ご両人は驚いているが、武にとってはそれは二の次に過ぎない。
まずはそこに居る崇徳院に用があるのだ、人と妖の未来を決めるいや
全ての生きとし生ける者の営みが脅かされている重要な事態が
「お久しぶりです御大将人と妖の架け橋、武でございます」
すると少し暖かな笑みを浮かべて、まるで孫のように接してくる。
「まだその名を口にしているのか、よく恥ずかしくないね」
自分に取って恥などは一切感じておらず、むしろ誇りすら持っている。
「御大将、今この世界に重大な危機が迫っておりますどうかお力をお貸し願いできないでしょうか?」
すると飛行艇からどこからともなく兼続がひょっこりと現れる。
「俺からもお願いします、ガキの頃からの親友の願いを聞いてもらえないでしょうか!?」
ここから先は崇徳院の反応を待つばかりであった
>256 >258
海から飛び出したすごそうなアイテムがアイリスさんの額にめりこむのを目撃した!
そして神社に来てしまったので、何かと勘違いしたらしいメルちゃんがしゃしゃり出てきた
「あけましておめでとうございます!
輝く新春を迎え、TRPGスレ特にライトファンタジースレの益々のご発展と皆様のご健康をお祈り申し上げます。
本年も昨年同様に格別の」
言い終わらないうちにレオ君がつかまえて引っ張っていく。
「すみません、気にしないでください!」
気を取り直してシーン再開。
>「来ると思っていたわ。この八咫鏡が目的なのでしょう?」
アイリスさんは光と闇が両方備わった謎の並々ならぬオーラを出しながら問いかける。
思わずその通り!みたいな感じのリアクションをしそうになったがタケル君の師匠二人は正直だった。
>「それはまさか!?八咫鏡ではないか!」
>「なぜそこの女子が持っている!」
「いやはや、お二人の言う通り実は偶然なのです」
タケル君は真っ先に崇徳院に援軍を頼みに行った。
そして彦麻呂さんは別の物に興味を示したようだ。
「おお、五部大乗経の写経ではないか……!」
インプが持っている大量の巻物のことらしい。
「そなたが持っていても使えぬだろう。
こちらには有効活用できる要員がおるゆえ渡してはくれぬか?」
>>258 「たしかに私は天下を乱すのが目的だけども、あいつら乱す天下を無くそうとしてるものねぇ。
力を貸すこと自体は、別にいいけど……」
崇徳院は協力を渋っていた。
そこにアイリスが、ヒソヒソと耳打ちをした。
「ここはあーして、タイミングを見計らってチョメチョメしては如何でしょう」
「それもそうね」
アイリスの謎の提案に対して、崇徳院は同意する素振りを見せていた。
「よしわかった、日剣中の天狗を動かしてみようじゃない」
きな臭い談合の形跡が見られるが、一応は協力体制を築くことにしたようだ。
>>259 「この五部大乗経を?」
さて困った。アイリスはアンデッドで、五部大乗経はアンデッドが基本的に苦手とするお経が書いてあるアイテムだ。
用心深いアイリスでなくとも、敵の手に自分の弱点となるものを渡したくないと考えるのは、ごく自然である。
「寄越すモノがあるでしょう?これ渡すのはリスク大きいもん。それと交換ってことで」
どの口が言っているのかは不明であるが、どうやら何らかの、彼女にとって魅力的な代価を支払わなければ、絶対に渡す気は無いらしい。
アイリスは何か欲しそうな目でこちらを見ている。
何かあげますか?
はい
いいえ
>>256 水中に巨人が見えますが、水中で巨人で暗黒神となると誰でしょう?
消えてしまいましたから正体は明かされる時までのお楽しみですね。
巨人が消えたので、フラポリーの興味も飛んでいった光り物に移りました。
光を放っていた未確認飛行物体はなんなのか、知りたくなったようです。
幸い光は偶然にも飛行船の行く先を飛んでいきます。
陰陽師と坊主の謎のコラボレーションにより速度が上がった飛行船は、
一路UFOの向かう先である金刀比羅宮に向かうのでした。
>>258-259 >「あけましておめでとうございます!
「あけおめ ことよろ。」
フラポリーもお江戸で教わった日剣伝統の挨拶を返します。
はい、今年もよろしくお願いします。
>「来ると思っていたわ。この八咫鏡が目的なのでしょう?」
「いいえ、サヌキうどんです。」
花より団子を地で行くフラポリーですが、周りはそんな事は許してくれません。
>「それはまさか!?八咫鏡ではないか!」
>「なぜそこの女子が持っている!」
一休と弁慶が鏡を見て驚いたので、フラポリーもなんとなく鏡が欲しくなってきました。
他人が欲しがる物って自分も欲しくなってきますよね?
ですが、フラポリーから見ればアイリスは光の勇者の一員です。
9章での悪逆非道の数々は知らないので無理もありません。
そして仲間から持ち物を奪うのはルールで禁じられています。
どうやらフラポリーは鏡をあきらめたようです。
>>260 >「寄越すモノがあるでしょう?これ渡すのはリスク大きいもん。それと交換ってことで」
アイリスは何か欲しそうな目でこちらを見ている。
何かあげますか?
ニアはい
いいえ
「わかりました。とても貴重な物なので渡したくはないのですが・・・」
フラポリーはそう言ってうどんを一玉取り出します。
「これは名料理人【ロクサブロー・ミチバ】の作った幻のサヌキうどん。
他は飛行船で全部食べてしまったので世界に一つしか残っていない至高の一品です。
後の楽しみにと大事にとっておいたのですが、こうなってはやむを得ません!
特別に五部大乗経と交換してあげましょう!」
念のため言っておきますが、フラポリーにアイリスを騙すつもりは欠片もありません。
フラポリーにとって今一番大事な物は正真正銘このうどんなのです。
【某日・某時刻・江戸城大広間】
こちらはすでに死体を片づけた後の大広間です。
逃げたはずのザビエルが戻ってきています。
ザビエルの前には、黒マントと仮面を付けた謎の存在が立っています。
「我らの目的、奴らに知られてはいまいな?」
「光の勇者たちはわしが残した文を見てヨモツヒラサカに向かい、
今頃は第六天魔王率いる無の軍勢と戦っておるはずですじゃ。
土着の祟り神どもも動いておるようじゃが、我らの策に気づいたとは思えませぬ。
全てはデウス様の思惑通りでございますじゃ。」
ザビエルはそう言って頭を下げたので、カッパハゲがよく見えました。
デウスと呼ばれた黒マントは思い通りの報告に頷きます。
「はるか昔この地に潜り込んで以来、我らはずっとこの時を待ってきた。
あのお方の命令はなんとしても成功させねばならん。」
デウスは言いながら長槍を持ち出して構えました。
「曲者ッ!」
気合いと共に長槍が突き出されて天井に穴を開けます。
残念ながらハズレです。
「にゃーん。」
「なぁんだ。ぬこか。」
天井裏から聞こえてきた声にデウスは安心して槍を戻しました。
「ともかく。贄は集めたがまだ気は熟しておらぬ。
今しばらく光の勇者たちの注意を逸らせて時を稼ぎ続けよ。」
300畳の大広間を貸し切り状態にしたデウスとザビエルの密談は、
その後もしばらく続いたのでした。
>260-261
幸か不幸か、アイリスさんの謎の口添えによって妖怪の協力を取り付けることに成功した!
フラポリーちゃんがうどんを差しだすが、交渉決裂するのは火を見るより明らかである。
アイリスさんはうどんを食べない。
そして今は一刻も早くソフィアの秘宝を入手して第六天魔王とカッパハゲの野望を阻止しなければならないのである。
レアアイテムを奪い合っている場合ではない。
「んじゃ、そろそろ行こうか」
アイリスさんとはまたすぐに会うような気がするので今は持ってもらっといてもいいだろう。
なぜなら第六天魔王は彼女にとってもどっちかというと敵みたいだからだ。
高知藩ソフィア神宮前。
鳥居の前には、男が6人待ち構えていた。
白い狩衣を着た涼しげで妖しげな奴と濃色の狩衣を着た体育会系男、
というどことなく似た雰囲気の組み合わせが3組である。
体育会系の一人が言う。
「俺は夢枕ヒロマサ。その(と、優雅に杯を含んでいる白狩衣の一人を示した)夢枕セイメイの相方だ。
特徴は、二人とも淡々とオーソドックスでギャグに走らない事」
別の一人が言う。
「俺は岡野ヒロマサ。あの(と怪しい道具を操る白狩衣の一人を示した)岡野セイメイだ。
特徴は、セイメイが全ジャンルの魔術に通じたチート性能で、俺が落とされ役でギャグありな事」
更に一人が言う。
「俺は岩崎ヒロマサ。この(とキツネ色の長髪をなびかせた白狩衣の一人を引っ張った)岩崎セイメイの無二の親友。
特徴は、何といっても二人共若い事。因みにセイメイは密教系の術も使えるし、物理戦闘力ならこの中では俺が一番だなっ」
この人達を納得させないと神宮には入れて貰えないようだ。
「と言っても、この前のようなシティアドベンチャーではないからシナリオフラグは仕込んでないぞ。
まあ、こいつのネタ振りは所詮一本道だから仕込んであったとしても展開は変わらないが」
岡野セイメイが少しだけ手を止めるとそう言った。
とりあえずいつぞやの吸血鬼のおかげで御大将からの協力が得られた。
あとは一刻も早く秘宝を集めねばならなかった。
>「んじゃ、そろそろ行こうか」
飛行艇で高知藩ソフィア神宮へと向かう。
神宮前には男達が6人もいた。
>「俺は夢枕ヒロマサ。その(と、優雅に杯を含んでいる白狩衣の一人を示した)夢枕セイメイの相方だ。
特徴は、二人とも淡々とオーソドックスでギャグに走らない事」
>「俺は岡野ヒロマサ。あの(と怪しい道具を操る白狩衣の一人を示した)岡野セイメイだ。
特徴は、セイメイが全ジャンルの魔術に通じたチート性能で、俺が落とされ役でギャグありな事」
>「俺は岩崎ヒロマサ。この(とキツネ色の長髪をなびかせた白狩衣の一人を引っ張った)岩崎セイメイの無二の親友。
特徴は、何といっても二人共若い事。因みにセイメイは密教系の術も使えるし、物理戦闘力ならこの中では俺が一番だなっ」
とりあえずこの男達を倒さないと前に進めないようだ。
弁慶師匠と一休師匠が前に出る。
「ここはわし達老骨が出張るとするか、弁慶準備は出来たか?」
軽く準備運動をする一休和尚となにやらガサゴソして取り出す弁慶師匠。
「そうだな、少し本気を出すかも知れんがな…人程度には全力は出さんよ」
なにやら余裕の表情の弁慶師匠であった。
「さぁて…面倒なのは先に潰しておくか…」
目が一瞬本気になると一瞬で岡野セイメイの背後に現れ、首を掴み尋常じゃない握力で握る。
その光景に弁慶は惚けたように言い忘れていたと言う。
「俺はともかく一休は少し加減しているとはいえ(肉体が残る程度)、全力で相手を叩き潰すからな
悪い悪い、言い忘れておったわ」
一休和尚は結構本気らしく手を緩める事はなくむしろ強くなっている。
だが一応言っておこう、まだこれは序の口に過ぎない。
まだ半分の実力も出していないのだから。
???
第六天魔王は珍しく寝ていました。
目をパッチリと開けて気配に気づく。
「大蛇丸か、出て来い」
その言葉に一瞬で姿を表す全身は包帯なのだが目は爬虫類のような目をした者だった。
性別もどんな容姿をしているのかも分からないその特異な格好から一目両全だった。
「…申し上げます、ザビエルの事ですが…」
見てきたことを全て報告する大蛇丸。
「まぁ分かっていたことだがな…ザビエルの馬鹿が何者かと結託していることには」
そうと分かっていながら泳がせていた信長も余程の切れ者だったようだ。
「で、どのようにしましょうか奴の処断を……」
間を置かずに宣言する。
「使えるのなら襤褸切れになるまで利用しろ
使えないと判断したらすぐに処刑しろ」
その言葉に頭を下げて瞬く間に大蛇丸は消える。
「道満、復活しろお前の出番だ」
黒い魂が第六天魔王の前に出現すると人型になり、髪と服が荒れていたり破れていたりするが
眼光が鋭い男がいた。
「芦屋道満よ、ザビエルの次にお前を使役する良いな?」
道満は恭しく頭を垂れる。
「ははっ、この芦屋道満第六天魔王様に忠義を尽くす所存」
笑みを浮かべながら、第六天魔王は満足気に
「忠義なんぞいらん、欲しいのは血と死肉の雨だ忠義はサルだけで十分だ」
その直後、高笑いが響き渡る何処までも何処までも広がるように。
>>261 「お馬鹿!吸血鬼がうどんなんて食べるわけないでしょ!」
思わず拳骨でもって過激なツッコミを入れた。
すると、フラポリーの精神点がごっそり持っていかれた。
危うく役立たずのレッサーバンパイアを作ってしまうところだったが、幸いにして、そうはならなかった。
そして、彼女はフラポリーに対して軽蔑の眼差しを向けた。
アンデッドは通常の意味での食事を必要としないという、きわめて基本的なことを忘れていたためだ。
>>263 草薙の剣をよこせと視線で訴えかけていたが、華麗にスルーされ、交渉は見事失敗に終わった。
だが!アイリスは諦めてはいなかった!
今すぐには行動を起こさないだろうが、後で何かすることは間違いなかった。
>>264 ここは高知藩ソフィア神宮前。あっと言う間に着いた。
その鳥居の前には、男が6人待ち構えていた。
「こいつは強敵ね!」
そこへやってきた彼女は彼らを見やり、すかさず戦力を分析した。
アイリスは伊達に長生きはしていないので、相手の強さを瞬時に見抜くだけの洞察力がある――そうでなければ長生きはできないからだ。
しかしながら、どう進めようが一本道なら、問答の意味もないし、生かしても殺しても後の展開には影響しないのだろう。
彼ら自身がそのようにメタな発言をしているため、アイリスはそれに習って行動を決定した。
彼らは真っ先に戦いを挑んだ弁慶達と乱闘になったが、アイリスもこの6人は倒すつもりでいた。
が、加勢したアイリスが手加減を忘れたので、6人とも精神力を吸い尽くされ、殺害された。
そのため、レッサーバンパイア予備軍になった6人分の死体が転がっている。
「ふう、激しい戦いだったわ……さ、邪魔な奴は居なくなったし行きましょう」
アイリスはさっさと奥へ進もうとしている。
>265
「なっ・・・!」
一休が岡野セイメイを締め上げるのを見て、岩崎ヒロマサ
(本名は違うが便宜上ヒロマサで妥協してやる;本人談)が血相を変えて太刀の柄に手をかけた。
「待て」
その岩崎ヒロマサを、岩崎セイメイが手で制する。
「・・・これはこれは、お若いことで」
首を握り潰され体を不自然にぶら下げられた岡野セイメイは、
しかし平然と一休に語りかけた。
「我等の出迎えはお気に召しませんでしたか・・・同じ半史実キャラなのに」
>267
直後、今度はアイリスが問答無用で襲いかかり、男達は倒された。
しかし、アイリスが奥に向かい、倒れた男達がアイリスの視界から外れた瞬間、
男達の死体はかき消え、代わりに紙の人形が6つ、ひらひらと地に落ちた。
少し離れた木立の陰で
「ああああ・・・俺は本当に死んだかと思ったぞセイメイよ・・・」と岡野ヒロマサ。
「いい加減慣れたらどうだ」と岡野セイメイ。
「いきなり敵認定即攻撃かよ。乱暴な奴らだなあ」と岩崎ヒロマサ。
「・・・エキストラに無駄口きかれるのが嫌いなんだろう」と岩崎セイメイ。
そして夢枕組は、
「飲もう」
「飲もう」
そういうことになった。
>>267 「ぎゃっふん!?」
過激なツッコミを受けてフラポリーは倒れました。
さらに軽蔑の眼差しを受けてフラポリーの機嫌も悪化します。
この場合丁寧にお断りするのが最善だったのですが、
そうしなかったのでフラポリーのアイリスへの反応が敵対的になりました。
ちなみにフラポリーの精神構造は、テンプレにあるとおり異質なものです。
見た目に騙されて精神点を奪取しようとするなら、
精神点が増えない上に大失敗が出るまで発狂の抵抗ロールを振らされるでしょう。
>>263-267 場所は変わってソフィア神宮前です。
そこには三組六人の神妙不可侵にて胡散臭い男たちが待ちかまえてました。
坊主ダンサーズと踊っていた彦麿呂と雰囲気が似ています。
ここで謎解き問答でも行われるのかと思っていましたがなんと。
男たちは一休弁慶アイリスチームに軽く捻られてしまったではありませんか。
「殺してでも奪い取れですねわかります。」
しかしこのままだとアイリスに秘宝を持って行かれそうです。
それでは困るフラポリーは考えました。
>>268-269 フラポリーはアイリスが奥に行ったのを確認して、6人の男たちが移動した木立の陰に向かいます。
「これで光の勇者様御一行の力がよくわかったと思うのです。
私たちは世界平和のためにソフィアの秘宝を守りに来たのだからおとなしく渡すのですよ。」
酒に釣られて夢枕組に近寄ったフラポリーはそう言いました。
死霊皇帝軍と大差ない行動は光の勇者として問題がありそうですが、
一休、弁慶両人は日剣の有名人だから大丈夫でしょう。
「そして大事な事をお知らせします。
今神殿の奥に入っていったのは極悪非道の吸血鬼で、ソフィアの秘宝を悪用する大悪魔なのです。
しかも私をムシケラを見るような目で見やがったのです。
あの女に秘宝を渡すのだけは絶対に許せません。
そこで聞きたいのですが、秘宝への抜け道があって先回りとかはできないのですか?
別にあなたたちが今秘宝を持っててすぐ渡してくれるとかでもいいのです。」
私怨丸出しでフラポリーはエキストラ組に迫ります。
執念深い種族出身だから怖いですね。
>>270 精神力奪取は魂への直接攻撃の亜種みたいなもんだったような気がしたが、ソースがどこだか忘れたうえ、処理を巻き戻すわけにはいかない。
>>270の本文にあるように、きっちり狂気の影響を受け、アイリスから冷静な判断力が一時的に失われた。
そして、狂気に任せて6人の陰陽師を叩きのめした。
「はっ、わたしは今まで何を!?」
さて、正気に戻ったアイリスだったが、耳ざとくその後の会話を聞いていた。
アイリスはフラポリーを単なる馬鹿だと思っていたが、考えを改めざるを得なかった。
と言うのも、私怨から来る誹謗中傷で矛先をこちらに向ける考えが明白であるとはいえ、彼女の発言は完全に的を射ている。
彼女が極悪非道の吸血鬼であることは疑いようがないし、ソフィアの秘宝を悪用して邪悪な願望を成就させようと目論んでいるのも間違ってはいない。
「むむむ」
つまり、アイリスに反論の余地が無く、言い逃れはできない。
そしてアイリスもまた執念深く、コケにされると根に持つタイプである。彼女は復讐を誓った。
こうして双方の関係が非常にドロドロし始めた。
会って間も無くパーティ内不和を起こすとは流石である。どちらがとは言わないが。
アイリスは開き直り、厄介なことにならないうちに光の勇者達を始末しようと身構えつつ、先へ進んだ。
>>269 どうして紙切れの身代わりから精神力を奪取できたのかはさておき、フラポリーが陰陽師を見つけて話しかけたことにより、アイリスは陰陽師の生存を確認してしまった。
それは彼らにとっても、今後登場することになるであろう別の陰陽師にとっても大きな不幸である。
と言うのも、同じような回避手段を立て続けに何度も使うと、アイリスがここぞとばかりに芸の無い奴だと嘲笑うであろうことは明白だ。
まあそういった冗談は置いといて、戦術的観点から見て、「生命なきものの王」を相手に手の内を見せることは危険極まりない。
彼女は陰陽師に対する警戒心を強めてしまった。
さて、ずんずん進むと、神殿の最奥にはミステリアスな輝きを放つ秘宝が安置されていた。
「これがソフィアの秘宝……ッ!」
>>251で、三種の神器のそれぞれの所在を明記してしまった。
そのため、この秘宝はどうも三種の神器ではないようだ。
これは一体何なのか!?
>「我等の出迎えはお気に召しませんでしたか・・・同じ半史実キャラなのに」
「なにぃ!?聞こえんなぁ〜!」
一休和尚の顔が某世紀末の顔に変わったのは恐らく気のせいだと思う。
「俺達の前に立ち塞がるのなら末路は死か半殺しだもっとも時間が惜しいときは死だが」
恐ろしい事をさらりと言ってのける弁慶師匠であったが、まぁこうやって生き残ってきたのも事実だろう。
アイリスの精神攻撃によって倒れて紙切れになる6人。
「まぁこんなことだろうとは思っておったわ」
一休和尚はつまらなそうに紙を握り潰すと黒い炎が発生し、灰になる。
見切っていたからアイリスに対してなにも言わなかったのですが、
生身の人間だったらサイヤ人もびっくりな超本気モード通称
天地砕きと呼ばれる全力全開モードに入っていただろうと思われる。
言うのはまだ面白くないのでそれについてはまだ言及はしないが。
今言えるのならば…見たときがその敵対者は死であることは言うまでもない。
>270
「光の勇者様御一行、とは聞き慣れぬ名だが」と夢枕ヒロマサ。
フラポリーの答えを待つまでもなく、捉えどころのあるようなないような問答を省略して
「アヤカシのようなものだよ」と夢枕セイメイ。
神妙不可侵にて胡散臭い故にフラポリーの機嫌などお構いなしだ。
「抜け道は、あると思えばある、ないと思えばない」
「それはどういうことなのだセイメイよ、俺にはわからぬぞ」口を挟む夢枕ヒロマサ。
「抜け道もまた呪(しゅ)なのだよヒロマサ」
「また呪か」
「呪だ」
>271
神宮の奥に安置されていた秘宝の姿を、アイリスは捉える事ができなかった。
それはこれまでに見知った物体の何れにも似ていないように思えたが、
アイリスが強いて何かに似ていると思えばその形に近付いたように見え、
しかし別の物かと思い直せばまたその形に変わっていくようにも見える。
見つめているうちに、アイリスは秘宝から問われているような気がしてきた。
・・・おまえは何。わたしは何。おまえとわたしは何を為す。
>264-265 >267
「ちょっと君達! 一応光の勇者には世間体というものが……」
5章あたりを知ってる人からはお前が言うなというツッコミが入りそうだが
あの時はいかにして世間体を保ったまま敵軍を陥れるか知恵を絞ったり
校長が正義側としての体面を保つためにインペたん(死霊皇帝軍)を逃がしたりしたものである。
大衆の支持率が下がると援助を受けにくくなったりして冒険に様々な悪影響を及ぼすのだ。
アイリスさんは死霊皇帝軍だが一緒に行動していたら傍から見たら仲間に見えるのでやはり慎んでもらわなければならない。
「うわなにするやめアッ――!」
止める間もなく6人の神妙不可侵にして胡散臭い男達はあっという間に瞬刹され、思わず奇声を発する。
>269
と思ったら紙だった。心から胸をなでおろす。
「ふぅ、良かった良かった」
>270
フラポリーちゃんが言ってることは真実だが、さっきまでのアイリスさんに対する態度とえらく違う。
私怨とは恐ろしいものだ。
>273
>「アヤカシのようなものだよ」
本物の光の勇者は代々妖精が導き手をすることになっている。
妖精の妖は妖怪の妖と同じなのだ。
よく分からないことを言っているようでいて意外と当たっていた。
>「抜け道は、あると思えばある、ないと思えばない」
「あると思えばあるんだね! ええい、一か八かだ! 【トンネル】!」
地面に向かって穴掘りの魔法を使い、緩やかな傾斜の穴を掘る。
穴の先までいってもう一度斜め上に向かってこの魔法を使った後に床をぶち破れば神殿の一番奥辺りに出るはずだ。
なぜ一番奥かというと秘宝は一番奥に隠してあるだろうという憶測によるもので、違ったらその時はその時である。
>270-272
メルディは謎の電波、専門用語でいうと地の文を受信してツッコミを入れていた。
>生身の人間だったらサイヤ人もびっくりな超本気モード通称
>天地砕きと呼ばれる全力全開モードに入っていただろうと思われる。
「いやいやいや、普通逆でしょ! 人間だったら手加減するでしょ!」
エメロは、経歴からいって愛想をつかしかねない神威をなだめていた。
「あの! ちょっと勢い余っただけで基本的にはいい人達なんですよ!」
レオは自説を展開していた。
「う〜ん。普段からこんなもんといえばそんな気もするけど……
微妙に人間模様もサスペンス調になってきたし……。
まさか第六天魔王が人心荒廃させてるのか!?」
―――――――――――――――――――――――
【???】
芦屋道満「手始めに人心荒廃させる術を広域にかけました。
民衆の間ではレアグッズの取り合いや魔導動画箱のチャンネル争いが絶えない事でしょう」
第六天魔王「ふざけるな! ……と言いたいところだが……なかなかいいぞ。
恐怖や憎しみは我が軍の最高の糧となる……。
見ておれアマテラス! 私を裏切ったこと、泣いて後悔するがよい!」
>>274 問いかける秘宝に、アイリスは受け答えた。
「わたしはアイリス・アルカンシエル。その名前は虹を意味し(ry」
今はそんなことはどうでもよかった。第六天魔王を始末するのが先である。
「あなたは――ガイアの力を持つブループラネットが青色で、タルタロスの力を持つ血の魔石が赤色……
ってことは紫の石ね!」
安直だった。
しかしながら、アイリスの深層意識には、自分で言ったものとはまったく別の、奇妙なイメージが浮かんでいた。
まだフラポリーから吸い上げた邪悪な精神エネルギーの影響が抜けきっていなかったのだろう。
現れたのは、すらりと長く伸びた女性的な美脚を持つ、上半身はマッチョままのトロールだった。
それは色っぽい化粧をしており、股間を天狗の面で隠していて、乳首を星型の絆創膏で覆い隠している。
「よくもこんな姿にしてくれたな」
「ごめんなさい」
アイリスは平謝りして、念じると、今度はちゃんと普通の紫の石にした。
だが、このソフィアの秘宝の性質は非常に不安定だ。何か変なことを考えたら、それになってしまうようである。
ちゅんちゅん。
小鳥の鳴き声が聞こえてくる。
目を開けると、まず、緑が目に入った。
葉っぱの隙間からは日の光が漏れ、きらきらとはっぱが輝いてる。
あの時、私は死んだ。
アーカードの手によって確かに死んだ。
私がいる世界では死者はみな平等に閻魔のもとへ送られる。
だから、私もそうなるかと思っていたら、違っていた。
木の葉を振り払い、あたりを見回した。
ちっちちっちとリスたちが枝の上で警戒音を鳴らしている。
木の幹には虫たちが集まり、樹液を吸っている。
魔法の森かと思ったが、そことは明らかに空気が違った。
森中を覆っている瘴気はなく、魔法キノコの類もはえてない。
だとすると、ここはどこだ?
頭に浮かんだ疑問の答えを求め、私は森の中を歩き出した。
数時間後、森の開けたところに出た私は鳥居を目にした。
鳥居の周りには黒焦げになった紙がバラかれ、そこから少し離れ場所で人間が四人腰を抜かしていた。
なりを見ると、この神社の人間らしい。
「道案内を頼む。ここについて教えてくれ」
餅は餅屋ということで今いる場所について根掘り葉掘り聞くことにした。
「・・・娘、か?随分変わったナリだが」と岩崎ヒロマサ。
「異国・・・いや、異世界出身者だな」と岡野セイメイ。
「因みに、どうやら“妖”だ」と岩崎セイメイ。
「な、なんだって(ry」と岡野ヒロマサ。
そんなこんなで掘られた根と葉を並べると
・今いる場所は高知藩にあるソフィア神宮入口
・高知藩はサヌキ島の藩の一つ
・サヌキ島は日剣の島の一つ
・日剣はライトファンタジー世界の国の一つ
・ライトファンタジー世界の解説に最適な人材は、
ついさっきそこのトンネルの中に入っていった
という事のようだ。
>「抜け道は、あると思えばある、ないと思えばない」
>「それはどういうことなのだセイメイよ、俺にはわからぬぞ」
「それはどういうことですかセイメイよ、私にもわかりません。」
フラポリーは夢枕ヒロマサの真似をして言いました。
抜け道もまた呪(しゅ)と言われてましたがフラポリーにはわかりません。
わからないので夢枕ヒロマサの真似をして言いました。
「呪ですか。」
>「あると思えばあるんだね! ええい、一か八かだ! 【トンネル】!」
「これが呪の抜け道ですか! 地下にあるとはすばらしいです!」
テイルの魔法にフラポリーは大喜びして一番乗りでトンネルに入っていきました。
「昔地下に閉じこめられてから真っ暗な場所は得意です!
私が前を歩くからにはどんな迷路も迷いませんから!」
迷路ではなくてトンネルだから一本道ですけどね。
>「よくもこんな姿にしてくれたな」
>「ごめんなさい」
トンネルを抜けるとそこは雪国ではなくて、トロールが紫の石に戻ったところでした。
トンネルズにトロールズがいるのは普通ですからフラポリーは紫の石に目を向けています。
「ソフィアの秘宝はその石っころですか!
アイリスより先に私がいただくのです!」
しかしフラポリーが近づくと、紫の石はまたフラポリーの思念の影響で形を変えました。
それは高さと横幅が3メートルほどの円錐型で体は虹色の鱗に覆われた生き物です。
円錐体の頂上からは4本の触手が生え、触手の先には目や花のようなものがついています。
やはりアイリスを狂わせた邪悪な精神エネルギーの源は格が違った。
「クプププ!?まだ生き残っていたんですね!
食べ尽くして絶滅したと思っていたのにまた会えるなんて!」
フラポリーは喜んで珍妙奇っ怪にして胡散臭い生き物に抱きつきました。
しかし聞いたことのない名前ですがクプププとはどんな生物ですか。
「これは昔私たちが食べていた植物なんです。
甘くてクリーミーな味が人気の、私たちにとって特別な存在なんですよ。
ちなみにみんな呼び方が違ったので正しい名前は知らないです。
ではまず一口。……随分堅くなりましたね。」
電波を受信して謎の生物の解説をしてからガブリとかじりつくフラポリーですが、
ざんねん。人間の歯では鱗に歯が立ちませんでした。
しかし命の危険を感じたのでしょう。
クプププは円錐型の底部分をナメクジのように動かして逃げ始めました。
くっついているフラポリーを引き離さなければソフィアの秘宝は元に戻りません。
PS:秘宝からはわずかに力が漏れ出しています。
どこかで誰かが秘宝の力を使って何かをしているようです。
>277 >280
>「昔地下に閉じこめられてから真っ暗な場所は得意です!
私が前を歩くからにはどんな迷路も迷いませんから!」
「地下から一人だけがんばって出てきたんだ……!」
床板をぶち抜くまでもなく不思議な力によって出口が開いた。
抜け道はあると思ったからあったのだ。
一瞬変な物が見えた気がするが多分気のせいだろう。
ソフィアの秘宝らしきものはどこをどう見てもまともな紫の石である。
>「クプププ!?まだ生き残っていたんですね!
食べ尽くして絶滅したと思っていたのにまた会えるなんて!」
さっきとは別の変な物が出現した。気のせいじゃなかったみたいだ。
クプププは生存本能をフルに発揮して
意外と速いスピードで、さっき出てきた抜け穴に逃げ込んだ!
クプププからは謎の魔力が漏れ出しているようだ。
「フラポリーちゃん、離れてー!」
フラポリーちゃんがくっついたままのクプププ、もといソフィアの秘宝を追いかける。
>「あると思えばあるんだね! ええい、一か八かだ! 【トンネル】!」
「こんな簡単に抜け道が現れるなんて…」
とりあえず秘宝を手に入れるために中に入ることとする。
ある程度進むとトロールが紫の石になる所を目撃する。
>「ソフィアの秘宝はその石っころですか!
アイリスより先に私がいただくのです!」
「こら、待たれよ!」
「なにがあるかわからんぞ」
お二人の警告を無視して向かうフラポリーだったが
さっきとは別の触手を持った化け物がいた。
>「クプププ!?まだ生き残っていたんですね!
食べ尽くして絶滅したと思っていたのにまた会えるなんて!」
。「これは昔私たちが食べていた植物なんです。
甘くてクリーミーな味が人気の、私たちにとって特別な存在なんですよ。
ちなみにみんな呼び方が違ったので正しい名前は知らないです。
ではまず一口。……随分堅くなりましたね。」
「これが食い物とは信じられんな…」
「いやもう食べているぞ」
その行動に命の危険を察知したのか急いで逃げ始める。
「離れるでござるよフラポリー殿!」
そのまま向かう触手の化け物を追いかける。
(久しぶりに目覚めてみれば、わたしに働きかける者達の何と見当違いな事か・・・
わたしはソフィアの秘宝。
わたしの力はそれがソフィアの意思に近い程、強く、遠く働く・・・
この者共のような望みなど全く・・・)
秘宝は逃げながらそんな事を思っていましたが、
もちろんクプクプ、いやクプププ姿からは読み取れる筈もありません。
>>280 何度も何度も最高のタイミングで邪魔をするフラポリー。
別段光の勇者達の役に立った場面が一度も無く、今回に至っては邪魔ばかりしている。
しかも、あいつは出所が知れない怪しい奴だ。何の為に居るのかも全然わからない。
ひょっとしてフラポリーは、見えざる別の勢力が送り込んだ密偵なのでは無いか?
そのうち光の勇者達を裏切る気なのではないか?
疑り深いアイリスはそう邪推した。
それが確信に変わった場合、アイリスは容赦無く、そして速やかにフラポリーを葬り去ることだろう。
少なくとも、アイリスたちのような闇の勢力に類する存在ではないのだから、いつまでも野放しにしておく理由は無い。
「テイル、そのアイテムは所有者の思ったものの形をとるわ!
あと、使えるなら《センス・イービル》も使って!」
実のところ、アイリスが《センス・イービル》に反応するとは限らない。
彼女はしばしば、悪人になりきれないことがあるため、反応しないことがあるのだ。
「万能なるマナよ、雷の網でもって彼の者を束縛せよ!」
とりあえず《ライトニング・バインド》でフラポリーを拘束することにした。
>>281-282 >「地下から一人だけがんばって出てきたんだ……!」
「一族全員で脱出したのですが、他の仲間はクプププを食べ尽くして満足してしまったのです。
しかし私はPLの人と名乗る人に教えてもらって気づきました。
私達一族を地下に閉じこめたのはクプププではなく、クプププを操っていた者たちだと!
そんなわけで真犯人を捜し出して復讐するために私はこの星に来たのです。」
テイルの褒め言葉にそう返事したフラポリーですがそれは過去の話。
今のフラポリーはクプププにしがみついたままトンネルを進む真っ最中です。
>「フラポリーちゃん、離れてー!」
>「離れるでござるよフラポリー殿!」
「嫌です絶対離れません!」
食欲が大事なフラポリーは離れませんでした。
無理やり引き離すしかないでしょうがそうすると恨まれます。
困ったものです。
テイルの持つエレメントセプターにはめ込まれたデュープリズムから、
>>283が聞こえてきます。
共鳴しているのでしょうが、不思議な現象です。
>>284 >「万能なるマナよ、雷の網でもって彼の者を束縛せよ!」
「シビレデ!?」
トンネルを抜けたところで雷の網に捕らわれてフラポリーはクプププから離れました。
フラポリーが唯一恐れる雷属性の効果は絶大です。
フラポリーの意識の影響を抜けたので、ソフィアの秘宝は無事に元の紫の石に戻りました。
ただ逃げていた勢いはそのままなので、秘宝はころころとルーミアの所に転がっていきます。
「シビビビ・・・」
フラポリーはトンネルの出口で倒れています。
ライトニングバインドは3分ほど続いたはずなので、しばらくは痺れたままです。
うかつに近づくと雷ダメージの巻き添えになるので助けない方がいいかもしれません。
ちなみにフラポリーにセンスイービルを使った場合、
人喰いライオンに向けて使ったのと同じ結果がでるでしょう。
もしかしたら強すぎる復讐心が悪と判断されるかもしれませんね。
>>279 >「・・・娘、か?随分変わったナリだが」と岩崎ヒロマサ。
>「異国・・・いや、異世界出身者だな」と岡野セイメイ。
>「因みに、どうやら“妖”だ」と岩崎セイメイ。
>「な、なんだって(ry」と岡野ヒロマサ。
どうも、同じような人間がこの世界にはごまんといるらしい。
そう結論付けたルーミアはトンネルの中へと入っていった。
>>285 トンネルを出たところで何かが足にあたった。
その大きさは握りこぶしぐらいあり、透き通った紫色をしている。
どうやら宝石というものらしい。
お金にがめつい某巫女だったら、速攻で売り飛ばすだろう。
などとどうでもいいことを考えていると、少女が手足をけいれんさせているのが目に入った。
「おい、しっかりしろ」
少女の意識はすでにない。
どうやら気絶しているようなので、軽く肩を揺さぶることにした。
>284
>「テイル、そのアイテムは所有者の思ったものの形をとるわ!
あと、使えるなら《センス・イービル》も使って!」
「汝は邪悪なりのやつ!?」
あれは正統派神官のエメロちゃんの管轄です、残念。
それにただ食べ物に飛びついてるようにしか見えない。
>「万能なるマナよ、雷の網でもって彼の者を束縛せよ!」
「そこはルーンロープでよくない!?」
でもフラポリーちゃんだから大丈夫だろう。
>285
>「シビビビ・・・」
「痺れてる! えーと、ディスペルマジックでいいのかな!?
パーフェクトキャンセレーションじゃないとダメ!?」
こういう場合の対処法が分からずまごまごする。
>283
「ちょ! 秘宝が呆れてる! ん? ……そうか!」
わざわざ悩まなくても便利なものをもってるじゃないか。
>286
秘宝が転がった先には少女がいた。幸いまた秘宝が変な物に変化することはなかった。
>「おい、しっかりしろ」
「待って、触ったら危ない!」
ただの人間だったら二次被害が発生するところだが、触っても全く平気なようだった。
この少女、人間ではなく妖怪の類なのかもしれない。
フラポリーちゃんには適当にエレメントセプターを向けて「電撃解除!」と言ったら解除された。
思い起こせばデュープリズムは直接攻撃にはあまり向いていない反面、防御・封印・魔力打ち消しなどにおいては最強だったのだ。
「秘宝はソフィアの意思に近い者が持てばいいのか。アテナちゃんに持ってもらおう!」
そして秘宝を拾おうとして思いとどまる。
秘宝が語り手妖精の十八番ネタのマッチョ軍団の姿になりかけている。
ここで漢祭りが始まっては非常に困る。
そこで秘宝には触らず、ウィンドボイス通信で秘空艇からアテナちゃんを召喚することにした。
「もしもし、すぐ来てー!」
アテナちゃんが来るまでの間に、謎の少女と世間話でもしておく。
「第六天魔王が暴れまくってハンパないからソフィアの秘宝取りに来たんだけど秘宝が逃げちゃって。
ここに来てるって事はキミも秘宝探しに来たの?
もしかして素徳院さんから派遣された助っ人かな? あ、でも天狗を動かすって言ってたから違うか」
>>286 倒れているフラポリーに駆け寄ったルーミアを、アイリスが制した。
「下手に近寄っちゃ駄目!
そいつはある生き物を絶滅させた、凶悪で凶暴な生き物よ!
地面に耳を当てて、呼吸と心臓の鼓動が止まってるのを確認してからでないと危険よ!」
アイリスがとても酷いことを言った。
でも、フラポリーが嘘を言っていなければ、アイリスの発言には何らの嘘も含まれていない。
フラポリーの種族が、クプププなる生き物を絶滅にまで追い込んでいることは、彼女自身の口から発せられた情報である。
>>287 テイルが疑問を発する前に、アイリスの《ライトニング・バインド》が完成していた。
「ごめん、間違えた」
もちろんわざとだ。最初からどさくさに紛れてフラポリーを殺す気である。
当たり前のことだが、この電撃の網による拘束が3分も続けば、誰だって確実に死ぬ。
『生命なきものの王』の魔力なんて、そんなもんである。命は儚い。
「落ち着いて。非解除じゃないから《ディスペル・マジック》でも大丈夫よ」
彼女はそう言うが、実に的を射ている。非解除の魔法ではないのだから。
逆に言えば、たとえ《パーフェクト・キャンセレーション》であっても、アイリスよりも更に強力な魔力を行使しなければならないことには変わりない。
「……」
だが、デュープリズムにはアイリスの《ライトニング・バインド》を打ち消せるだけの魔力があった。
フラポリーを始末し損ね、光の勇者の脅威を再確認したアイリスは、チッと舌打ちした。
(次に魔法を使うときは《デス・クラウド》にしよう、そうしよう)
まだ光の勇者たちの抹殺を諦めていないようだった。
誰もが忘れているかもしれないが、アイリスは実質光の勇者だとか言われていても、本来は闇の眷属である。
この場面では《センス・イービル》に反応しそうなアイリスではあったが、まあ非情になりきれないとは言っても、所詮は策謀大好きな吸血鬼だからしょうがない。
>「万能なるマナよ、雷の網でもって彼の者を束縛せよ!」
それでも食い付くフラポリーに雷の網で強制的に離れさせる。
食い意地を張って離す気がなかったので効果があったとはいえ少々やり過ぎな気がしなくもない。
>「シビビビ・・・」
痺れて動けないようなので、霊符を張る。
「しばらくすれば札が雷気を吸って動けるでござるよ」
一応手当てすると、移動する秘宝を急いで追いかける
そして追いついてみると秘宝が転がっておりその近くには馴染み深い気配がしていた。
>「おい、しっかりしろ」
「お主見たことがないが、もしかして妖怪でござるか?」
武が少女に聞いている間に師匠、和尚ご両人はアイリスを見ていた。
どうやらなにやらいろいろと感づいているようだ
このままでは師匠達の特殊能力でMUGANのような格闘ゲームモードに強制的に持ち込まれる可能性が
あった。
「ここで潰してしまうか?」
「まだだ、もう少し様子を見ようではないか」
まだまだ落ち着いてる様子、さて怒ゲージが溜まるのはいつになるのか?
乞うご期待!
290 :
名無しになりきれ:2010/01/23(土) 08:13:23 0
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
>>286 >「おい、しっかりしろ」
「・・・」
へんじがない きぜつしているようだ
>>287 >「電撃解除!」
「・・・はッ!ここは誰私はどこ!?」
やはりエレメントセプターは格が違いました。
アイリスの魔法は破れ、武の霊符で痺れも取れ、フラポリーは完全復活したのです。
>>288-289 「おお あなた ひどいひと わたしのからだを ぶんかいする つもりですか!」
フラポリーはアイリスに怒りましたが、ショックのためか言葉使いが変です。
しかもテイルの後ろに隠れようとしながら言っているのでまるで迫力がありません。
アイリスが使う雷魔法を大変恐れているのです。
「テイルや武には感謝します!
このご恩はしばらく忘れません!」
恩は忘れても怨は忘れないフラポリー。
これでアイリスへの怨念はさらに深まった事でしょう。
>>290 >ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
アテナさんが秘宝を持つと秘宝は強い輝きを放ち、地震のように地面が揺れました。
境界を司るソフィア神の力が引き出されたのでしょう。
地震が収まると地面にはふたつめのトンネルが出来ていました。
トンネルの中には看板が何個か置かれています。
【この先ヨモツヒラサカ→黄泉の門】
【この道を通るもの一切の希望を捨てよ】
【セーブしますか? はい いいえ】
【時代考証に口出し無用 PLの人】
>291
アテナちゃんは大はしゃぎである。
「すごいっすー、ソフィアの秘宝! そういや名前無いんすかねえ。
龍神の秘宝だから……ドラゴンボールでいいっすか!?」
(安易すぎるがまあいいでしょう……もう変なイロモノの姿になるのは散々です)
秘宝が答えると、不安定だった秘宝の形が、丸い宝石で固定された。
「どういうこと?」
背景に夢枕コンビが出てきて勝手に解説を始めた。
「呪だな」
「何がだ?」
「ものの根本的な在りようを縛るのは名だ。
たとえ偽りの名だとしても、呼ばれて答えればそこに呪がかかる」
呪は魔法と同じような意味で
秘宝がドラゴンボールと呼ばれて答えたので固定されたらしい。
ドラゴンボール(仮称)をよく見ると、中に“土”の文字が見える。
道理でトンネルができたわけだ。
「秘宝は五つ……ならば木火土金水の土だろうか?」
「そうかもしれませんね」
と、彦磨呂さんと琴姫さん。
>【この先ヨモツヒラサカ→黄泉の門】
「黄泉の門っすか!? 行ってみたいっすー!」
「じゃあ僕も行くよ!」
アテナちゃんがこのまま同行する気配を察知し、ニケ君も駆け付けた。
>【セーブしますか? はい いいえ】
とりあえずはいに○をつけておく。
>「第六天魔王が暴れまくってハンパないからソフィアの秘宝取りに来たんだけど秘宝が逃げちゃって。
>ここに来てるって事はキミも秘宝探しに来たの?
>もしかして素徳院さんから派遣された助っ人かな? あ、でも天狗を動かすって言ってたから違うか」
「違う。目が覚めたら、ここにいた」
正確にはここの近くだが、まあ、数百メートル離れたところで大差はないだろう。
「ところで、その六天魔王というのはだれのことだ?」
>「下手に近寄っちゃ駄目!
> そいつはある生き物を絶滅させた、凶悪で凶暴な生き物よ!
> 地面に耳を当てて、呼吸と心臓の鼓動が止まってるのを確認してからでないと危険よ!」
「そーなのか」
まあ、仮にその通りだとしても、問題はない。
光や退魔系の使い手でない限り、私の体には傷一つつけることすらかなわないのだから。
>「お主見たことがないが、もしかして妖怪でござるか?」
「その通りだ」
もっとも、あるお方によって吸血鬼されたので、妖怪というのはかなり語弊があるのだが
まあ、その認識でも、まちがってはおるまい。
>293
目が覚めたらここにいたらしい。
その上、現在日剣は第六天魔王の恐怖におののいているというのに第六天魔王を知らない。
また異世界から来たパターンと見た。
異世界といっても今回は地球とやらではなく、妖怪がいる系統の異世界だ。
「第六天魔王っていうのは現在この国を恐怖に陥れている殺戮者。
前にも出てきた事があって一回倒されたらしいんだけどまた出てきたらしい。
この国は日剣という国で、日剣があるこの世界はガイアと言います」
「元の世界に戻る方法は分からないけど
行くところが無いならとりあえずうちの飛空艇の乗組員になれば雨風しのげるよ。
もしかしたらそのうち異世界に行く方法が分かるかもしれないしね」
そして、黄泉の門行きのトンネルを指さす。
「今黄泉の門行きの道が出来たから第六天魔王成敗に行くところだよ!」
>【この道を通るもの一切の希望を捨てよ】
「レアアイテム用意して待っていやがって下さいっすワードナ!」とアテナ。
「ゲームが違います」とニケ。
「たまにはダンテの事も思い出してやれよ?」と遠くから岡野セイメイ。
>「秘宝は五つ……ならば木火土金水の土だろうか?」
「おいおい、ソフィアなら火地風水の四元素説だろう?」と遠くから岡野セイメイ。
「・・・日剣の包容力とアレンジ力は半端ねーっす!
四元素がいつの間にか五行になってても別にいいっす!」とアテナ。
「いいのかよっ!」とニケ。
一足先にトンネル内に踏み出したアテナの姿がその場で白い狼に変わった。
持っていたドラゴンボールは、狼の首に結んであるかのように勝手に浮いている。
アテナは足下の感触を確かめるように
>【時代考証に口出し無用 PLの人】
の看板にジャンプ頭突きを繰り返しながら一行を待っている。
>「・・・はッ!ここは誰私はどこ!?」
とりあえずフラポリーは復活できたようだ。
>「すごいっすー、ソフィアの秘宝! そういや名前無いんすかねえ。
龍神の秘宝だから……ドラゴンボールでいいっすか!?」
そんな安直な物で良いのだろうか…と思ったが、それっぽいからなんともいえない。
>「秘宝は五つ……ならば木火土金水の土だろうか?」
>「そうかもしれませんね」
「後四つでござるか…見つける時間はあるのでござろうか?」
時間があれば全て見つけられるだろうが…そんな悠長な事を言っていられる状況ではなさそうだ
>「その通りだ」
「やはりか…お主は東洋の妖怪ではないな特徴がない…この世界の者でもないようだが
種類として分けるなら西洋の者だな?」
妖怪である事を認めたが、知り尽くしている東洋の妖怪にはない特徴が見当たらないので
西洋辺りだと検討をつける。そんな事はどうでも良い。
「とりあえず今は緊急事態なのだ、我々に力を貸してもらえないだろうか?」
>【この道を通るもの一切の希望を捨てよ】
「ふん…希望とは己が切り開き見つけるものよ…」
「なくても俺達が紡ぎ作れば良い話だ」
>【この先ヨモツヒラサカ→黄泉の門】
「そろそろじれったいのぉ行くか?」
「それも良いかも知れんな」
> 【時代考証に口出し無用 PLの人】
「むしろそれ以前の問題だと思うがな」
「それは禁句という物だ」
>>291 アイリスは迷った。彼女は明日への希望だけを胸に生きている。
急に一切の希望を捨てろなんて言われても、実行できない。
長く行き過ぎて情熱を失いがちな吸血鬼としては、かなり珍しい性質だと言える。
それゆえに、アイリスは多分に人間臭さが残っているのだ。
そして、まじまじとその一文を眺めたあと、今度は視線を下へとずらした。
「人生にセーブポイントは無い、だから人は後悔し、反省するのよ」
セーブポイントを見て、アイリスはしみじみと言った。
取り返しのつかないことばかりして、「過去が変えられない」ことを痛いほど知っているアイリスにとっては、
過去をやり直すことの象徴とも言えるセーブポイントの存在は、たとえジョークでも許されないのだ。
内心では複雑な気持ちなのかもしれない。
「危険だわ!これは忍者の罠よ!
偽のセーブポイントで注意をひきつけて、油断したところを襲いかかる気なんだわ!
忍者が潜んでいるかも、さすが忍者きたない、みんな気をつけて……あれ?」
しかし、そうしたアイリスの思想とは別で、どうやらアイリスは本当にそういう手口で騙され、お金を巻き上げられたことがあるらしい。
そして、彼女を騙したのが忍者であることが察せられる。
とはいえ、ここは日剣なる和風ファンタジーの世界だ。
山田風太郎な忍者が現れても、何ら不思議ではないのである。
「もしそこのお兄さんお嬢さん方、道を開けてはくれまいか?」
ヨモツヒラサカの入り口にいる勇者様一行に老人が話しかけました。
老人は忍者のような服装で、背中には「風々院風々風々居士」と書かれた旗を背負っています。
「この先には決してあんたらのような若者は行っちゃいけないよ。
この先は黄泉の国。
わしら年寄りから順番に入っていく場所じゃからなぁ・・・」
どうやら老人はこれから死出の旅路に出発するようです。
老人が坂を降りていってからフラポリーは言いました。
「第六天魔王はこの先で宴会を開いているに違いありません。
さっきの人は自分の食べる分が減るのが嫌だからくるなと言ったに決まっています。
早く追いかけて食べ物をいただきましょう!」
忠告を無視したフラポリーはヨモツヒラサカを降り始めました。
手にした斬馬刀に当たって「時代考証に口出し無用」の看板が壊れます。
他人の好意を無視すると月の出ていない晩が怖いですよ。
坂を降りる途中、降りる人ばかりではなく下から上ってくる人たちともすれ違います。
「ちょっとちょっとあんた。うっかり者だねえ。
死んだら下に降りるんですよ上がっちゃ駄目だよ。」
「へっへっへ。あっしも一回下に降りたんですがね。
どうも黄泉の門てえ所が開いたみたいで、また戻ってもいいそうなんですよ。
残してきたせがれが寂しがっちゃいないかと心配でねえ。
ちょいと戻って見てきてやろうかと思いまして。」
「おやそうかい。じゃああたしも戻って、残してきたタマちゃんに餌を多めに置いてこようかねえ。」
なんて会話が聞こえてきました。
そんな死人たちの様子を少し離れた所で見ているカッパハゲがいます。
「そうだどんどん黄泉返れ。
おまえ達が地上に戻れば戻るだけデウス様の計画も成功に近づくのだ・・・」
そうです。江戸城で別れたサンフランシスコ・ザビエルです。
ザビエルは自分に酔っているのか、近づく勇者一行に気がつきません。
もちろん勇者一行にはアイリスも含まれています。
不意討ちするなら絶好のチャンスです。
タマ「あれ、ばあちゃん。何で戻ってきた?」
老婆「おやタマちゃん、口がきけるようになったのかい」
タマ「違うよ、ばあちゃんが死んだ人だから意思疎通が出来るんだ」
老婆「そういう仕組みなのかい?おもしろいもんだねえ・・・」
タマ「・・・・・・」
老婆「なに、ちょっと急だったけど、あたしはお迎えには納得してるさ。
でも、戻っていいって言われたら、ちょっと来たくなってねえ。
日持ちのするカリカリフードの大袋を棚から下ろしたら、
もう一遍ちゃあんと逝くから、心配しなさんな。ほれ、よいしょっと」
タマ「・・・ばあちゃんだけじゃない。沢山戻ってきてる気配がする」
老婆「そうかい。そういえば戻ってくる時、何人もがすごい形相で
あたしを追い越していったよ・・・大怪我した人が多かったねえ」
タマ「ばあちゃん、気をつけて逝けよ」
老婆「タマちゃんもフード一度に食べ過ぎないようにね」
>298
坂を下りる途中、上ってくる者達とすれ違う。
その中にはいかにもアンデッドモンスターになって暴れそうなすごい形相の人達もいる。
>「そうだどんどん黄泉返れ。
おまえ達が地上に戻れば戻るだけデウス様の計画も成功に近づくのだ・・・」
カッパハゲは、自分に酔いすぎて声がでかかったので、都合のいいことに丸聞こえだった。
「デウス……? 聞いた事のない名前だ。
あいつ第六天魔王の手下じゃなかったのか!?」
「逆かもしれぬな。第六天魔王がデウスとやらの手中なのやも」
と、彦磨呂さん。
「直接聞いてみよう。【ホールド】!」
普段なら軽く抵抗されたかもしれないが、不意打ちなのでカッパハゲは抵抗できない!
「な、なにをする――ッ!」
せりあがってきた地面に拘束されたカッパハゲに、名推理を披露する。
「お前達一味が黄泉の門を開け第六天魔王を復活させた……! そうだな!?」
(ごめんなさい。一部の肩のレスを無視してしまいました)
>>289 >「お主見たことがないが、もしかして妖怪でござるか?」
「その通り。妖怪だ」
>「ここで潰してしまうか?」
>「まだだ、もう少し様子を見ようではないか」
降りかかる火の粉は払わねばならない。
いつでも、とびかかれるように体制をとり、様子を見ていたが、別の人間が制した。
どうやら、戦う必要はないらしい。
要注意人物リストの中に加え、戦闘態勢を解除した。
>>292 >【この先ヨモツヒラサカ→黄泉の門】
>【この道を通るもの一切の希望を捨てよ】
>【セーブしますか? はい いいえ】
>【時代考証に口出し無用 PLの人】
地面にトンネルができ、かのような文字が刻まれた看板が現れた。
怪しい。
罠のにおいこそしないものの、罠か何かが仕掛けられているのは可能性は高い。
ルーミアはその看板をスルーし、トンネルの中へと入っていった。
>>294 >「第六天魔王っていうのは現在この国を恐怖に陥れている殺戮者。
>前にも出てきた事があって一回倒されたらしいんだけどまた出てきたらしい。
>この国は日剣という国で、日剣があるこの世界はガイアと言います」
どうやら、六天魔王はこの世界の人から見ると相当の悪人らしい。
だが、人々を恐怖に陥れることは妖怪の本分だ。
ルーミアからしてみると、悪ではない。
>「元の世界に戻る方法は分からないけど
>行くところが無いならとりあえずうちの飛空艇の乗組員になれば雨風しのげるよ。
>もしかしたらそのうち異世界に行く方法が分かるかもしれないしね」
この仲間に加わるべきか、考えていると、実に魅力的な提案がなされた。
いくら妖怪とはいえ、雨風はきつい。
二つ返事で首を縦に振り、ついていくことに決めた。
>>296 >「やはりか…お主は東洋の妖怪ではないな特徴がない…この世界の者でもないようだが
種類として分けるなら西洋の者だな?」
>妖怪である事を認めたが、知り尽くしている東洋の妖怪にはない特徴が見当たらないので
>西洋辺りだと検討をつける。そんな事はどうでも良い。
「ああ、その通りだ」
正確に言うと違うが、とらえ方次第では間違っていないので、YESということにしておくことにした。
>「とりあえず今は緊急事態なのだ、我々に力を貸してもらえないだろうか?」
先ほどの知った事実と緊急事態という言葉を合わせて考えると、六天魔王というのはかなり危険な存在らしい。
どのくらいの強さはあってみないことにはわからないが、きっと、その六天魔王というのは強いらしい。
おまけに個々の世界では悪人とされている。
殺戮を行うには都合のいい存在だ。
心の中でほそく笑みながら、首を縦に振り、力を貸すことに決めた。
>>298 黄泉の門をくぐると、死人たちとすれ違った。
どうやら、ここの死神も相当の怠け者らしい。
六十年ごとに起こる異変の時は幽霊であふれかえるだろうなとくだらないことを考えていると、
かっぱはげがいた。
>「そうだどんどん黄泉返れ。
>おまえ達が地上に戻れば戻るだけデウス様の計画も成功に近づくのだ・・・」
こいつが首謀者のようだ。
だが、ルーミアにしてみると、表の世界が幽霊であふれかえること自体は脅威ではない。
特に殺す必要もなさそうなので、ほかの者たちの様子を見ることに決めた。
>「ああ、その通りだ」
と言う事は自分の知らぬ種類の妖怪に類する事という。
まだ正体が完全に分かっていないうちは用心はしておこうと思う。
協力を求めると一応は戦ってくれるらしい。
「ではよろしくでござるよ、拙者は乱堂武でござるよよろしくでござる」
彼女に握手を求め、笑う。
そんな彼女を加え、入り口までたどり着く。
坂を下りると様々な本来死んでいる人たちが上に上がって行くのを見る。
その人達を見守っている者の中に大きな白いふさふさした毛を白い犬がいた。
人妖大戦の英雄の一人でもあり、命を散らせてでもこの日剣を守った
犬神の八房殿がこちらに向かってくる。
「久しぶりだな武、元気していたか?」
随分前に聞けなくなった声だと思い、涙が出てしまう。
「大きくなったな…あんなちっこい子供がまた会えて嬉しいぞ」
溢れ出る涙がやはり止まらない、自分にとっては本当の孫みたいに思ってくれる祖父みたいな存在であったから。
「また会えて…嬉しいでござるよ…」
困った顔をしながら、やさしい声で
「泣くな、お前は男の子だろ?」
前足でゆっくりと昔のように頭を撫でる。
>「そうだどんどん黄泉返れ。
おまえ達が地上に戻れば戻るだけデウス様の計画も成功に近づくのだ・・・」
>「直接聞いてみよう。【ホールド】!」
彦麻呂がこちら側に引き寄せ、尋問する。
>「お前達一味が黄泉の門を開け第六天魔王を復活させた……! そうだな!?」
「た、確かにそうだが我らが何もしなくても蘇った!我々はそれを速めたに過ぎん」
この言葉に、一休、弁慶両人が近づく。
「まぁそうじゃろうな、奴を倒したときから凶星(第六天魔王が司る星)
が落ちなかったと言う事はいずれは蘇る事は予想済みだな」
弁慶師匠は普段から職業柄星を眺めているのである程度予想していたらしい。
「それは弁慶から聞いていたからなワシ等もまだまだ死ぬ訳にはいかないな」
好戦的な笑みを浮かべ、良い暇つぶしだと言いたげに笑っていた。
>>300-302 >「それは弁慶から聞いていたからなワシ等もまだまだ死ぬ訳にはいかないな」
「誤解が解けた所でわしを解放してくれんか?」
ザビエルは八房殿を見ながら武に言います。
「わしは人々の為を思って黄泉の門を開いたのじゃ。
お主があの者に再会できたのもわしのおかげじゃぞ。」
「お主等はあれじゃ、光の勇者じゃろう?
こんなに良いことをした年寄りを虐めて楽しいか?」
ザビエルの前に鏡が現れて
>>299の光景が浮かび上がります。
感動の再会シーンですがフラポリーには効果がありませんでした。
「こんな不味そうな邪魔者は速く倒して宴会場に行きましょう!」
まだ第六天魔王が宴会をしていると思っているフラポリーは、
斬馬刀を振り回して素振りを始めます。
このままだとザビエルに首チョンパアタックで攻撃するでしょう。
困ったものです。
>301
「協力してくれるの!? ありがとう!」
>302
親近感を感じたのか、アテナちゃんと白い犬がそれとなく見つめ合う。
「え、何? 地域違うけどもしかして遠い親戚とか!?」
『ええ、そうかもしれません』「そうかもしれないな」
>303
>「お主等はあれじゃ、光の勇者じゃろう?
こんなに良いことをした年寄りを虐めて楽しいか?」
感動の再会シーンをみせられて思わず拘束を緩める。
「えーと、その……」
>「こんな不味そうな邪魔者は速く倒して宴会場に行きましょう!」
ひゅんっ!
次の瞬間、カッパハゲの首のあたりを鋭い太刀筋が横切った。首チョンパアタックが放たれたのだ!
「フラポリーちゃ――ん!」
が、フラポリーちゃんはまだ斬馬刀を回している最中である。
「全く、いきなり切りかかるとは危ないではないか」
カッパハゲが何食わぬ顔で上体を起こすと、まだ頭が繋がっていた。
そう、首チョンパされたと見せかけて驚異的な上体そらしで避けていたのだ!
専門用語でいう所のマトリックス避けだ!
そしてカッパハゲの視線の先には、刀を持った黒い翼の少女がいた。
「うよよ。今のを避けるとは少しはやりますねー。
黄泉の門それすなわち界に開いた巨大な穴。せっかく閉じてある蓋を開けてはいけませんよー。
今世界の均衡を崩してもらっては困りますからねえ……私達に穴を塞ぐ力はないんです」
謎めいた言葉を紡ぐ彼女は、見たところ烏出身の天狗と思われる。
「崇徳院さんの助っ人だね!?」
「まあそう言って差し支えないでしょう。
まずはこのふざけた髪型のカッパハゲを始末しましょう、と言いたい所ですがその暇はないようです」
と、烏天狗は下り方面に視線を向ける。
「てめえら! さっきから五月蠅いぞ!」
禍々しい悪のオーラを放つ人物が現れた。
「これはこれは信長様!」
「しらじらしい奴め、お前が怪しげな者と組んでおることなど最初から分かっておるわ!」
カッパハゲが土下座で平伏するも、あっさり一蹴された。
「もしかして第六天魔王!?」
「そうだ。延々と道中で小物同士騒いでおるのでわざわざ出向いてやったぞ。感謝するがいい!」
よく見ると、第六天魔王の後ろにはおどろおどろしい眷属達の大群が控えている。
「う、まずい!」
「その点は大丈夫でっす。よっと」
烏天狗が黒い羽根の扇を一閃すると、こちらにも妖怪の一団が現れた!
「雑魚が何匹おろうが同じ事……。眷属ども、面倒だからカッパハゲ含め全員皆殺しだ!」
第六天魔王の掛け声を皮切りに、乱戦が始まった!
>>299>>303 心温まる光景ではあったが、アイリスは迷いを断ち切った。
「一度死んだものは、そんな簡単に生き返ってはならないのよ。
失ったら返ってこないからこそ、命は尊いの」
アイリスが言っても説得力は無い。
そんでもって、次は「良いことをした年寄りを苛めて楽しいか」という問いについて考えた。
「うん」
即答した。まあ邪悪な吸血鬼だし、しょうがない。
それに、この河童禿は善意でそんなことをしているわけがないので、魂をすり減らす拷問にだってかけてやっても良いと思っている。
だが、もっと冷静になって、河童禿の爺を拷問にかけても絵にならないということで、別の手段で聞き出すことにした。
>>304 そこに、なんだか2ヶ月ぶりに見たような気がする懐かしいキャラクターが現れた。
もちろん、ゲーム内時間は2ヶ月も経っていないから気のせいなのだが。
「あんたは、ファティマにあるわたしの秘密アジトを壊滅させた天狗!だっけ?」
彼女はどうも記憶に自信が無い様子だった。
その現場に立ち会っておらず、知っていたとしても報告でしか知らないはずなので、記憶が曖昧でも仕方が無い。
「後できっちり落とし前はつけさせていただくとして、今は目の前の、能力値の通りの働きをしないクズを叩き潰すことに専念しましょう」
妖怪軍団と、第六天魔王が率いる怨霊軍団との乱戦が始まった。
さあ、戦いだ!
「闇の神よ、その力によりて我が敵を打ち砕かん……あっ」
アイリスがおもむろに唱えたのは《フォース・イクスプロージョン》!
唱えてから、自分のうっかりに気付いた。
この攻撃魔法は、自分の周囲にいるもののを全て魔法の衝撃波で吹き飛ばすもので、敵味方は関係なく巻き込むものだ。
アイリスのドジによって、光の勇者達も、妖怪軍団も、第六天魔王率いる怨霊軍団も、等しく手痛い打撃を被ることになった。
結果として、木っ端どもは言うに及ばず、その場に居合わせたNPCがほぼ全員死亡した。
死屍累々。悲しいけど現実である。
この程度の幻術にかけるためだけに、アイリスのバカ高い魔法抵抗力を破るための努力をする阿呆は存在しないからだ。
また、実は身代わりでしたというネタは何度も使われており、そんな使い古された手を複線も無しにするわけがない。
「弁慶!一休!その他ー!誰に殺されたー!!」
アイリスである。
「おのれ第六天魔王!待っててください!必ず敵は取ってあげます……!」
《リザレクション》をかける気はさらさら無いらしい。
アイリスのコントによって敵も味方もほとんどのNPCが死亡したが、宿敵たる第六天魔王だけは無傷で、不敵に笑っている。
強力な《フォース・イクスプロージョン》にも、まるでびくともしていない。
第六天魔王は口を開いた。
「フフフ、貴様のことは知っているぞアイリス!
貴様は味方についた勢力に必ず壊滅的な打撃を与える!
だから我ら以外のどれかの勢力と行動を共にするよう、敢えて泳がせておいてやったのだ!」
「な、なんだってー!」
あまりにも悪逆非道(?)なる第六天魔王の策略に、アイリスは憤慨し、彼を睨みつけた。
「なんという知略!そしてわたしの《フォース・イクスプロージョン》にも動じないパワー!
このアイリス感服致しました!
貴方こそわたくしめが仕えるに相応しい主君!」
そして次の瞬間、アイリスはいきなり光の勇者を裏切った。
まあ根は小心者だから、こうも圧倒的な力の差(実際にそこまであるかどうかはともかく)を見せられたら、寝返ったところで無理も無いかも知れない。
が、「味方についた勢力に必ず壊滅的な打撃を与える」という性質が、ここでも発揮された。
「ささ信長様、このアイリスめにご命令をば。どうなさいました信長様」
「……」
アイリスが一瞬睨みつけたあの辺りから、それきり第六天魔王が微動だにしなくなっていた。
敢えて動かないというわけでも、蛇に睨まれた蛙のように固まっている。
それもそのはず、第六天魔王は先ほどのアイリスの視線の魔力にかかって麻痺してしまい、瞬き一つできなくなってしまっているのだ。
麻痺の魔力は精神に作用する性質のものであるため、考えるだけで使えるような能力すら封じられる。
こうなっては、第六天魔王はあらゆる自発的な行動ができない。台詞も喋れない。
アイリスが第六天魔王の視界から居なくなれば、この魔力はただちに失われる。
だが、第六天魔王を守るようにして光の勇者に立ちはだかっているため、なかなか視界から居なくなってくれない。
「……」
アイリスはチラチラと第六天魔王の顔を伺い、指示を待っている。いくら待ったって返事はない。
当然ながら、アイリスの魔力にかかったフリをしているという演技ではない。そんなことをする意味は無いからだ。
また、この魔王がニセモノだなどという伏線は何処にも無いので、そういったこともない。
もちろん、第六天魔王が麻痺していることにアイリスが気付けば、ただちに手の平を返し、可哀相な魔王を葬り去るだろう。
そして、二度と復活できないように細工をすることは間違いない。
「どうなさったのですか?御体の調子が優れないのですか?」
ちなみにアイリスは全然気づいていないので、普通に第六天魔王の指示を待っている。
【トリップを忘れてしまったので変えます】
>>302-304 フラポリーの刀が空を切り、首を切断しようとした。
だが、例のカッパハゲはブリッジの要領でそれをさけ、再び起き上った。
見た目は宣教師だが、それなりの戦闘能力はあるようだ。
(なめてかかると痛い目に合いそうだな…)
いつでも切りかかれるように準備していた爪をしまい、どう攻めようか考えていると、声がした。
>「うよよ。今のを避けるとは少しはやりますねー。
>黄泉の門それすなわち界に開いた巨大な穴。せっかく閉じてある蓋を開けてはいけませんよー。
>今世界の均衡を崩してもらっては困りますからねえ……私達に穴を塞ぐ力はないんです」
黒の翼に、黒のおかっぱ頭。
元いた世界に住んでいる天狗たちとどこか似ている。
とある城の地下室で殺した天狗のようにバカにするのだろうかと考えていると、六天魔王という名前らしき人間が現れ、戦いが始まった。
>「闇の神よ、その力によりて我が敵を打ち砕かん……あっ」
少女を中心に爆炎が周囲を覆い尽くした。
目を開けてみると、六天魔王の眷属、味方であるはずの妖怪問わず、血を流し倒れている。
皆一様に息はなく、ピクリとも動こうとしなかった。
味方ごと巻き添えにする奴がいるか!
そう一喝しようと思ったが、その中でも六天魔王は傷一つ負っていなかった。
メカニズムはよくわからないが、某吸血鬼みたいにものすごい耐久力と再生力を持っているらしい。
>「なんという知略!そしてわたしの《フォース・イクスプロージョン》にも動じないパワー!
> このアイリス感服致しました!
> 貴方こそわたくしめが仕えるに相応しい主君!」
それを知ってか知らず、少女は六天魔王に鞍替えした。
この少女は力の強いものになびく傾向があるようだ。
「原初より存在している闇よ。かの者の周囲を覆い隠せ!」
>「ささ信長様、このアイリスめにご命令をば。どうなさいました信長様」
六天魔王は動こうとしない。
何やら様子がおかしいのが気にかかるが、今はこいつを始末するのが先だ。
呪文を唱え、アイリスの周囲を光も通さない暗闇で覆った。
【効果:暗闇を発生させ、一定範囲内にいる者に恐怖感を与える。この闇は光を吸い取る性質があるので、光系統の呪文で払うことはできない(ディスペルなどの呪文を使えば消すことができます)】
>>307 アイリスは暗闇に包まれた。
「きゃーっ、シェイドはやめてー!」
そうなのだ。
精神力を使い果たした吸血鬼は、二度と蘇ることは無い。
つまり、精神力に直接ダメージを与える《シェイド》のような魔法こそ、吸血鬼の最大の弱点である。
更に恐怖を与える魔力が付与されており、アイリスの精神はそれに屈し、恐怖のあまり錯乱した。
「前が見えない!魔王様、何処にいらっしゃるのですか!」
そもそも吸血鬼は夜に活動する怪物だから、暗視能力くらい持ってても良いものなのだが、彼女は暗くて前が見えないと言い張っている。
魔法による闇はドワーフの暗視能力も遮るので、そうした理由で見えないのかも知れない。
何はともあれ、錯乱したアイリスは、とりあえず走っているようだった。
ものすごい速さで、周囲の闇ごと第六天魔王の方へと移動していった。
アイリスは暗闇に包まれて見えなくなった(当然、第六天魔王が暗視持ちだったら動けないままだ)が、彼女の周囲の闇が第六天魔王も包んだ。
ようやく動けるようになったとしても、避けられなかったようである。
「何かぶつかった!敵に違いない!」
「ぬわーーっ!!」
何かを殴打する音と、第六天魔王の断末魔が聞こえてきた。
断末魔の後も、何かを殴打する鈍い音はずっと鳴り響き続けていたが、それ以外は悲鳴一つ聞こえなくなっていた。
殴打の威力は
>>132であるうえ、基本値が15もある精神力奪取能力のせいで、十発も殴られたら確実にレッサーバンパイア予備軍と化す。
マウントポジションで殴り続けたのだろうが、犠牲者の生命力が完全に失われたのを確認すると、アイリスは立ち上がったようだった。
「そうだ、こういうときは《ディスペル・マジック》で闇を祓うのよ、落ち着くのよアイリス!
……万物の根源たるマナよ、発言せし力とともに、あるべき本来の姿に戻れ!」
散々やらかした後になって、やっと《ディスペル・マジック》で魔法の闇を払った。
「ひどい!誰がこんなことを!」
案の定、第六天魔王の無残な死体が転がっていた。
当然ながら、先程も述べたとおり、こいつが影武者であるとか、
芦屋道満等の陰陽師が作った身代わりの式神であるとか、そんな伏線は無かった気がするので、本人の死体である。
アイリスの精神力奪取のせいで、魂にも深手を負っているため、もはや蘇生や復活も絶望的ときている。
「まだ死体が暖かい……犯人はまだ遠くへは行っていない!この中に居るに違いないわ!」
アイリスは推理ショーを始めるつもりだ。
>>302 (うっかり忘れてました)
ぼろをまとった僧服の男と握手をした。
>>303 (まだ展開が思いつかないので、後程レスします)
>>304 >「フラポリーちゃ――ん!」
「手応え無し!峰打ちです!」
意気揚々と答えるフラポリーですが峰打ちにも手応えはあります。
単に空振りしただけです。
「私の首チョンパアタックを見切るとはなかなかの使い手。
上体を反らせるだけで全ての攻撃を無効化とはやりますね」
マトリックス避けを自慢するカッパハゲに負け惜しみを言っているフラポリー。
次は縦に切り裂こうと斬馬刀を振り上げますが、
敵の大ボス登場でそれどころではなくなりました。
第六天魔王信長様の登場です。
「こんな不味そうな邪魔者は速く倒して宴会場に行きましょう!」
フラポリーは宴会の事は忘れませんでしたが、信長の事はすっかり忘れていました。
>>305>>306 >「闇の神よ、その力によりて我が敵を打ち砕かん……あっ」
いよいよ戦闘開始となって勇者側にカラス天狗率いる妖怪軍団。
第六天魔王側に眷属の軍団が応援に入ります。
しかし、そんな伏線はアイリスが全部吹き飛ばしたのでした。
死者は山のごとく累々と積み上がり。
流れる血はさながら河川のごとく床を覆い。
これぞ正しき地獄絵図・・・なのですが、戦果は今一つのようです。
「わしのマトリックス避けに避けられぬ攻撃などないわ。」
こちらではカッパハゲが仰け反った体制から体をおこします。
「崇徳院様。あんな裏切り者は見捨てた方がいいんじゃないですか?」
「少しつきあい方を考えた方が良さそうね。」
あちらではカラス天狗と崇徳院が離れた場所に避難しています。
「やはりお館様の言われたとおりだな。
あの味方殺しの娘に警戒していて正解だった。」
そちらにも信長の重鎮たる眷属たちが避難しています。
なにも知らない木っ端NPCたちは木っ端微塵になりましたが、
重要NPCはすでにアイリスの恐ろしさを知っていました。
信長が知っているほど有名なのだから無理もありません。
知らなかった間抜けにも一応助かった者がいました。
その1人はフラポリーです。
本来なら木っ端微塵になる所でしたがまだ死なれては困ります。
死ぬにしてももう少し働いてからでないと登場した意味がありませんからね。
ここは【壁まで吹き飛ばされて目を回した】になるよう支援しておきましょう。
>>307>>308 >「原初より存在している闇よ。かの者の周囲を覆い隠せ!」
ルーミアの闇に包まれてアイリスは錯乱しました。
信長にマウントポジションを取って何度も殴打しています。
フラポリーがいれば暗闇のなにが怖いんですかと笑ったでしょう。
しかしフラポリーはまだ目を回しています。
>「ひどい!誰がこんなことを!」
「アイリスに決まっています!」
フラポリーがいれば・・・もう目を覚ましたようですね。
事情は知らなくても私怨だけでアイリスを犯人と決めつけていますよ。
まあ今回の一件でさらにアイリスへの恨みを強めていますから、
これは仕方のないことです。
>「まだ死体が暖かい……犯人はまだ遠くへは行っていない!この中に居るに違いないわ!」
「本当だ!まだ死体が暖かいぞ!」
「きれいな顔だろ・・・死んでるんだぜ・・そいつ」
「殺人鬼と一緒になんていられるか!俺は部屋に戻るぞ!」
「これは自殺なんかじゃない・・・自殺を装った殺人なんだ!」
アイリスの言葉に生き残ったNPCたちが騒ぎ始めました。
「犯人はアイリスに決まっています!」
フラポリーは同じ言葉を繰り返しています。
事実ですが証拠も根拠もありません。
「端から順番にアリバイを調べましょう。
事件があった時、あなたはどこで何をしていましたか?」
「信長様が殺された時自分は死んでいたので犯行は不可能であります!」
フラポリーの質問に、アイリスに殺されたはずの死体がそう答えます。
黄泉の門が開いているので死んだ者が生き帰り始めているのです。
「事件があった時、あなたはどこで何をしていましたか?」
フラポリーが探偵気取りでその場にいる全員に同じ質問をしている時。
別の場所では睨み合いが始まっていました。
「成り上がりの下っ端カラスごときが・・・
デウス様の邪魔をするなら例えお主でも容赦はせんぞ・・・」
「うよよー?やはりカッパハゲ語は何を言っているのかわかりませんねえ。
全身バラバラに切り刻まれて塩漬けにされたいんですか?」
どうやらカッパハゲとソードマスターは知り合いのようです。
カッパハゲの耳から金属の棒が一本地面に転がり落ちました。
それがネジである事を知っている人はいるでしょうか?
もちろんフラポリーは知りません。
落雷と共に子孫の体に宿った信長の生死も、フラポリーは知りません。
推理や喧嘩に忙しい集団からやや離れて、
ドラゴンボールの力で守られて無事だったアテナが“伏せ”の体勢で事態を見つめていた。
(ああ・・・第六天魔王までいつの間にかボロ雑巾に・・・)
(何と素晴らしい大惨事召喚能力・・・)
(ところで、あなた以外の秘宝は彼が持っていたのでは?)
(少なくとも彼は所持していませんね・・・)
(では誰が・・・どこに・・・何かわかりませんか?)
(・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
おそらく、あちらの「カッパハゲ」が・・・
しかし詳細は分かりません)
(そうですか・・・)
>305
「のわ―――――!!」
とっさにエレメントセプターをかざす。
デュープリズムの魔法防御結界が発動するが、それでも相殺しきれずに吹き飛ばされる。
>306-308
体勢を立て直す間に、あっという間にアイリスさんが第六天魔王を倒した。
ただしその犠牲があまりにも大きすぎた。
強そうな人は避難に成功しているが、どういうわけか弁慶さんと一休さんが倒れている。
「弁慶さ―ん、一休さ―ん、しっかりして――!」
>311
アイリスさんが断固とした口調で犯行を否認したため、犯人探しの謎解きが始まってしまった。
こうなると、不思議とさっき見た現行犯は気のせいだった気がしてくるものである。
が、すぐに謎解きをしている場合ではなくなった。
>「信長様が殺された時自分は死んでいたので犯行は不可能であります!」
「自分も同じであります!」
「自分もです!」
自らのアリバイを語る死体が続出し始めた。
正確には生き返ってるんじゃなくてアンデッドのような気がするが最大の問題はそこではない。
「これはまずい……!」
そして、嫌な予感は的中した。
「誰が犯人かなど気にすることはない。お前達は皆すぐに我が元に来るのだ……」
男性のものか女性のものかも分からない、不思議な声が響く。
向こうから夜の闇より暗い影が迫ってくる。タルタロスが侵食してきているのだ!
「そなたがアイリスか。噂にたがわぬ実力だ。
裏切り者を消去してくれて感謝するぞ。お陰でようやく復活する事ができる」
闇の中から若い女性の姿が浮かびあがる。どこかで見たことがある。
そうだ、ロランドと一緒に写真に写っていた……
「竜騎士ノウェ!?」
「ああ。今は、前回私を封印する際に生贄となった娘の体を借りている。
我が名はタルタロス……死霊皇帝と呼ばれし者だ。光の勇者よ、ソフィアを復活させてはならない」
「そんなこと言って世界征服しようったってそうはいかないぞ!」
ロッドを構え、臨戦態勢に入る。
「待て、まずは話を聞いてくれ。もうずっと昔の事だ……」
死霊皇帝は、光と闇の戦いの始まりの話を語り始めた。
「最初、この世界はガイアと呼ばれていなかった。
我が姉アマテラスが統べる光の世界、高天原。ソフィアが治める地上、葦原の中つ国。
そして私が支配する闇の世界……黄泉の国。
光の眷属達と闇の眷族達は互いに交わる事無くそれぞれの世界で生きる存在だった。
そして境界の眷属達は地上で生き、死後は我が袂に来て魂の傷を癒し
穢れを浄化された後に姉上の住まう高天原へ旅立つ。
そして再び命を与えられ地上に送りだされるのだ。
全てがうまくいっていた。恐るべき龍王ソフィアが本性を現すまでは……。
あやつはあろうことか全ての世界を我が物にせんと企み、私達を滅ぼそうとした。
私達姉弟は必死に抵抗し、倒すことに成功した。だがおそらく滅ぼす事はできなかった」
そこで烏天狗が死霊皇帝の話を遮り、激昂した口調で反論する。
「何を言うのですか……!?
ソフィア様はどーしょーもない貴様ら姉弟の仲を取り持っていたというのに……
貴様らの際限のない私欲のために滅ぼされたのですよ!
その上濡れ衣まで着せるとはシャレになりません!
でも大口が叩けるのも今のうちだけ……。間もなくソフィア様は復活します。
復活すればあとは貴様らをぶち殺すだけです! 争いの元たる光と闇は消え我らの時代が始まるでしょう……!」
どうやらこの烏天狗はソフィアの眷属、それも相当な過激派らしい。
死霊皇帝は動じることなく続けた。
「そうだな。ソフィアは必ず復活する……奴が消滅するときに残した呪詛の声。負け惜しみではあるまい。
だがお前達は大きな思い違いをしている。境界は光と闇の間にこそ存在できるのだ。
光も闇も無い世界など自ら破滅へ突き進むのみ……!」
このままだと水掛け論になりそうなので、話を元に引き戻す。
「ソフィアとあなたが仲が悪いのは確かだとしてどうしてガイアとあなたは争ってるの?」
「ソフィアを倒した後、それまでソフィアが治めていた地上を姉上が占拠してしまったのだ。
この頃から姉上と地上世界はガイアと呼ばれるようになった。
光の眷属は地上に住まうようになり、また地上に住むほとんどの種族が光の眷属に取り込まれていった。
だが、光の神である姉上が地上を治めては、境界の眷族の中には姉上に恨みを持つ者が続出する。
それではソフィアが復活すれば必ず負ける。
再びソフィアに勝つためには地上は私が支配しなければいけないのだ」
「どっちが支配しても一緒じゃない?」
「光の下だから余計なことを考えるのだ。闇の中では何も見えはしまい。
私が地上をおさめれば人々は何の不満も疑問ももたない。
何の争いも起こらずに団結してソフィアに立ち向かうことができるだろう。
もう争うのはやめにしよう。共に共通の敵たるソフィアを倒そうではないか!」
共通の敵ソフィアに立ち向かうために地上世界を明け渡せというまさかの提案をしてきた。
確かに筋は通っている。
でもガイア様は多分、ソフィアを復活させろと言いたかったんだと思う。
世界を維持するためののっぴきならない理由で死霊皇帝と戦っていると言っているようにも思えた。
あの烏天狗も嘘を言っているようには見えない。
きっと三つとも本当で三つとも嘘。その全てを突き抜けた所に真実があるような気がする。
それに、闇の眷属と仲直りしても人間や境界の眷属を敵に回したら今までと何にも変わらない!
「……嫌だと言ったら?」
「貴様らに選択権などないッ!!」
死体の山が一斉に起き上がり、わらわらと襲い掛かってくる!
しかも弁慶さんアンデッドと一休さんアンデッドが襲いかかってきた!
「嫌あああああああああ!!」
「安心せい、幸い洗脳はされておらん! まずはここから逃げるぞ!」
さすがに実力者だけあって、アンデッドにはなっているものの死霊皇帝に操られてはいなかった!
デュープリズムの力があれば後でアンデッド状態から元に戻すことは可能だ!
が、死霊皇帝は勝ち誇ったような口調で宣言する。
「無駄なあがきはよせ……間もなく日剣は闇に包まれるのだ!!」
その言葉通り、漆黒の闇がすごい速度で迫ってくる。
「ヤバイヤバイヤバイ!! 誰か止めて止めて止めて!!」
錯乱しつつも必死に考える。今の状況で闇の侵食を止めるために頼れそうな要素はこれだ!
・三種の神器 ・ソフィアの秘宝 ・烏天狗の謎のチート能力 ・デュープリズム
2、3個組み合わせたら意外とどうにかなるんじゃないか!?
>「誤解が解けた所でわしを解放してくれんか?」
>「わしは人々の為を思って黄泉の門を開いたのじゃ。
お主があの者に再会できたのもわしのおかげじゃぞ。」
「確かにな…だがな本来それはあってはいけないことなのだ
死した者は決して生者とは交わる事は決して出来ぬ
それが横行すれば混乱と乱れが生じるだから許されないだ」
八房殿はそう言って死者が蘇る事を否定する。
>「闇の神よ、その力によりて我が敵を打ち砕かん……あっ」
「結界が間に合わな―――」
四神守護結界は間に合わず吹き飛ばされ、そこで意識を失うがそれがスイッチになったようだった。
第六天魔王の出現により極限までその力が高まり、この攻撃で失われた意識が融合する
そしてそれは再び目覚める不動明王として
一方弁慶師匠はむっくりと起き上がると自分の周りに金色のオーラが湧き上がっていた。
「…神仙形態になっていなければ危なかったな寝ている振りはやめろよ一休」
一休の気が一種のオーラアーマーに鎧となっていたのか肉体と精神を守り、一休は起き上がる。
「ふー…危なかったのぉさてと…これは礼をせねばならないな」
「そのようだな…では本気を出させて…もらうか久々に!!」
二人の気は限界を知らずどんどん高まっていく、それと同時に竜巻が起こる。
「「ウォォォォォォォォォォォ!」」
竜巻が二人を包み、二人の叫び声が途絶えるとそこには二十歳ぐらいの青年がいた。
一人は野生的感じで粗暴な感じがするが北斗の拳のラオウに似ており
と陽気ながらも燃え盛る闘争心を隠そうともしない薙刀を持った穏やかな美形青年がいた。
「この姿になるのは久しぶりだなぁ」
「ああ…じゃあ100倍返しで行くか」
人外レベルの精神力を闘気に変えて精神や肉体を自動で守る強固なオーラアーマーを自動発動させ
大地が存在する限り途切れない気の取り込む、想式呼吸によりエネルギー切れはない
格闘ゲームに例えるならばハイパーアーマーが常時発動し、ゲージが無くならない為必殺技に制限がない
とんでもモードに入った一休和尚、そして
東洋の術でも高位の術者でもある滅多になれない不死を体現した者達―――仙人
その中でも更に上の存在がいたそれを神仙と呼ぶ。
神仙は通常の仙人とは違い、もっとも神に近づいた存在である。
仙術と呼ばれる奇跡に近い事をやってのける術を知っており、
かつ独特な気を持っており、仮にその精を吸い込んだ者は例外なく中毒に陥り
同じ仙人、神仙でなければ精神が耐えられない上死ぬ最悪の場合肉体が弾け飛ぶ。
その形態になってしまった弁慶師匠……これが人妖大戦を終結させ、恐らくはこの日剣以外でも震撼するであろう
天地砕きと呼ばれる本気の形態であった。
>>311 フラポリーが言わずとも、もはや推理の必要も無いくらい、真相は明白だ。
アイリスは物的証拠とアリバイに加え、犯行動機までパーフェクトに兼ね備えてしまっている。
あとは探偵役の人が「犯人はアイリス、貴女です」と言うだけの段階に来ている。
「何を根拠にそんな。だいたい、魔王様はわたしの《フォース・イクスプロージョン》が全く効かなかったのよ?
そんな人を、わたしごときが殺せるわけがないわ。
それに、凶器は素手だったのでしょう?
斬馬刀を軽々と振り回すほどの怪力がある貴女のほうが怪しいじゃない」
返り血で真っ赤っかになっているアイリスは、この期に及んでいけしゃあしゃあと反論した。
本当は、巻き込まれた者たちにダメージロールを各自振らせたところ、単に魔王だけノーダメージだっただけだが。
そしてアリバイを聞かれたとき、アイリスは正直に答えた。
「アリバイ?あのときわたしは、そこの妖怪に《ダークネス》っぽい魔法をかけられたわ。
暗視持ちのはずのわたしでも見通せない、すごい魔法の闇だったものだから、ちょっと気が動転して。
混乱のあまり、暗闇の中を走り回ってたら何かにぶつかって、多分フラポリーだと思ったから、
とりあえず息の根が止まるまで殴っ……あ」
これ以上無いほど不利な証言であるどころか、自分がやりましたとダイレクトに言い放った。
この発言により、それまでフラポリーに尋問を受けていた者たちの視線が集まったことは言うまでもない。
ほら見ろ言わんこっちゃない、と言わんばかりの視線が注がれる。
そして、アイリスの視線が第六天魔王の死骸に向けられた。
「これで全ては終わったのね……」
第六天魔王は逝った――
一時は主君と認めた相手ゆえ、アイリスの胸には友を失ったが如き万感の想いが去来する。
>>313 全てが終わったかと思いきや、当然ながら、そうは問屋が卸さなかった。
アイリスの暴走で第10章終了などという、コントみたいな話があろうはずがない。
なんと、開いた黄泉の門を通じて、死霊皇帝が自ら現れた。
「死霊皇帝タルタロスが降臨なされたわ!しかも褒められた!」
今度はアイリスが死霊皇帝の側についた。また、彼女は褒められて喜んでいる。
こればっかりは裏切りと呼ぶのは不適切だ。本来の主人は、紛れも無い死霊皇帝なのだから。
そして、死霊皇帝が日剣、いやガイアの世界全体を闇に包まんとし、侵攻を開始した。
「お待ちになって!」
何を思ったのか、アイリスは死霊皇帝の前に立ちはだかった。
アイリスは以前、光と闇の在り方について悩むテイルの姿を見て、死んで欲しくないと言っていた。
恐らくは本心だったのだろう。そのせいかも知れない。このような「ありえない」行動に出たのは。
死霊皇帝はふとアイリスの方を見遣ると、ひととき歩みを止めた。
「やはりアイリス、貴様はそれを持っていたか」
死霊皇帝の視線が、アイリスのペンダントへと向けられた。
何とも言い難い表情である。何を考えているのだろう。
「貴様は知らんだろうが、吸血鬼となる前の貴様とて、純粋な人間ではない。
貴様の身体には、光の眷属からこちら側についた裏切者、ティターンの血が流れているのだ。
そしてその石は貴様の祖先、ティターンのオケアノスの力の欠片――シャードだ」
「むう、まさかとは思っていたが、ティターンとは!」
「知っているのか火雷天神!」
第六天魔王の勢力につくのに飽きた学問の神様、火雷天神こと菅原道真公が、その優れた知識を披露してくれた。
「ティターンとはガイアの子供、つまり光の眷属として生まれながら、闇へと堕ちたと伝えられる、古代の巨人族だ。
厳密には光の種族に分類されるが、一般的には闇のモンスターということになっている。
光の勢力から来た裏切者という立場故に、たとえどれほどの実力があっても、死霊皇帝軍の重要な地位には就けないという。
そして当然ながら、光の勢力にとっては裏切者なので、多くの光の種族からは闇の魔物として忌み嫌われ、恐れられている。
だが何より、光と闇の境界を土足で跨いだということで、境界の眷属から目の敵にされることだけは避けられない」
もっとも、道真公は人物神ゆえ、披露したのはガイアで伝わっている知識である。
実際には、よくわかっていない部分も多い。
真実は、ガイアや死霊皇帝のような、ティターンに立ち会ったことがある者だけが知っていることだろう。
だが、アイリスが10章で行ったことを振り返ってみよう。
彼女は最初は闇の勢力で、そこから光の勇者パーティに加わり、そして闇の第六天魔王に寝返り、今は死霊皇帝の下にいる。
そう、10章に入ってからのアイリスの行動は、まさに今日に伝えられるティターンの裏切りに酷似しているのである。
この事実が明らかになることにより、アイリスが今まで闇の勢力で職にありつけなかった理由もはっきりした。
単純にドジで味方に被害ばかり出すというだけではなく、微妙な扱いをせざるをえない一族の出身だからだ。
「あとシャードについては、アルシャード系列で最も安いアルシャードガイアのルールブックを買って参照して欲しい」
また道真公は、アルシャードガイアの宣伝を行うことで、説明を省いた。
ちなみに、アイリス自身はソードワールドのルールブックを基準に(眩暈がするほどやりたい放題に)作られている。
「うよよよ、なんて奴でしょう!
光と闇の境界を跨ぐだけじゃ飽き足らず、ルールブックの境界まで跨ぐなんて!
境界の眷属として、これほど許せん奴はいません!」
案の定、憎きティターンの子孫かつロランドの仇ということで、妖烏からはものすごい敵意を向けられている。
彼女は激情にかられ、今にも襲いかからんとしている。
「なるほど、わたしの祖父オケアノスは、そんなにどえらい奴だったのですね。
たまたま有名なティターンと同じ名前なのだと思ってました」
アイリスは死霊皇帝の指摘と、道真公の解説により、どうやらいろいろと納得したようだった。
「アイリスよ、それを手に何をする気だ?
光を裏切ったが故に光に受け入れられず、光の下に生まれたが故に闇にも馴染めず、
まして境界の勢力とは決して相容れぬティターンの力を、何に使う?
よもや、我に牙を向けるというのではあるまいな!」
アイリスは胸元のペンダントを見遣り、しばし目を閉じ瞑想を始めた。
石の意思、オケアノスらティターンの意向を汲み取ろうと頑張っているのだ。
そして、死霊皇帝に正面から向き合い、答えを出した。
「この石はわたしに語りかけました。
いずれ訪れる大いなる災厄に、光と闇を束ねて立ち向かうべしと。
わたしには、それが龍神ソフィアではないような気がしてならないのです」
「さしあたっては、即ち、光と闇の融合、そして調和から始めましょう。
光と闇の力を同時に秘める、この石のように!
その結果、光と闇を分かつ境界が失われるかも知れませんが、
それはあっちに任せておけば、多分事態を良い方向に動かしてくれるでしょう。希望的観測ですが」
アイリスはオケアノスのシャードを掲げ、大見得を切った。
そして、何かを期待するような視線をテイル達に向けた。
さあ、死霊皇帝はどう出るだろうか!
>>308 >「そうだ、こういうときは《ディスペル・マジック》で闇を祓うのよ、落ち着くのよアイリス!
> ……万物の根源たるマナよ、発言せし力とともに、あるべき本来の姿に戻れ!」
「闇を解けるのか…」
ちっと見えないところでルーミアは舌打ちをした。
まさか、普通の人間に闇を振り払われるとは思ってもみなかったからだ。
>「ひどい!誰がこんなことを!」
犯人はだれかルーミアは知っている。
だが、あえてルーミアは何も言わず、事の成り行きを見守ることにした。
>「信長様が殺された時自分は死んでいたので犯行は不可能であります!」
>「自分も同じであります!」
>「自分もです!」
さすがにこれはルーミアが元いた世界でも起こりえないことだ。
>「誰が犯人かなど気にすることはない。お前達は皆すぐに我が元に来るのだ……」
目を丸くし、あからさまに驚いていると闇から人間の女が現れた。
すぐさまティルはロットを構え、臨戦態勢をとった。
どうやら、こいつは敵らしい。
しかも、こいつからはただならぬ気配を感じる。
封印を解かないと殺しきれないかもしれない。
そう考えつつ臨戦態勢をとっていると、その女は突然話し始めた。
が、すぐに鳥天狗が割って入った。
タルタロスのいうことが正しいのか、それともあの鳥天狗が言うことが正しいのか。
よくわからない。
でも、どことなく、ダルタロスの言っていることがおかしいことだけはわかった。
闇が強すぎると、光に依存する人や動物などは生きていけない。
逆に、光が強すぎても、闇なしでは生きていけない妖怪が存在できないからだ。
>「貴様らに選択権などないッ!!」
「少々お前はでしゃばりすぎだ。おとなしくしてろ」
ルーミアは宵闇妖怪だ。
でも、闇の濃度を調整すれば、光を生み出すこともできる。
「月符 ムーンライトレイ Lunatic!」
宣言と同時に二本のレーザーがアンデットたちを薙ぎ払い、タルタロスのところで一本の線になろうとし始めていた。
さらにそれに加えて、無数の光の弾幕がアンデットたちに向かって降り注ぎだした。
タルタロスはともかく、これで生き残っているアンデットはいないはずだ。
観戦中アテナ(フィールドが混雑してきましたね・・・)
観戦中ドラゴンボール(ちょっとNPCの状況確認してみますか・・・)
第六天魔王信長:撲殺体(魂も消滅したと推定)
信長の主要眷属:待機中
ザビエル(カッパバゲ):烏天狗(ソードマスター・八咫妖烏)と交戦、ネジ1本脱落
烏天狗(ソードマスター・八咫妖烏):ザビエルと交戦→死霊皇帝と口喧嘩→アイリスに攻撃予定
崇徳院:観戦中
弁慶&一休:無敵モード発動、アイリスに攻撃予定
死霊皇帝タルタロス@ノウェの体:演説→闇の浸食発動(アイリスとルーミアが妨害中)
火雷天神菅原道真:解説中
その他名無し雑魚全て:複数回に渡る一掃攻撃を受け行動不能
観戦中ドラゴンボール(こんなところではないかと・・・)
観戦中アテナ(アイリス大人気ですね・・・)
アテナ(・・・ところで
>>314の期待に応える方法はないのですか?)
ドラゴンボール(それには・・・)
そして、ドラゴンボールの独白解説タイムが始まった。
−−まず、ソフィアという希臘の名の神宮が何故遠く離れたこの日剣にあるか、から話さねばなりません。
タルタロスも言ったように、かつて世界は光と闇と、境界たる地の3つに分かれていました。
元々相反する性質である光と闇の間に立って均衡を保つ事、それが境界の性質であり役目でした。
しかし、光と闇の力を均衡に保てば、両者の争いは却って長く深くなり、
やがて境界は、覇を競う両者の決着を妨げる敵とみなされ、
双方からの攻撃を同時に受け、地から去らざるを得ませんでした。
安定を願った故に、真っ先に滅ぼされる・・・
世界が、光と境界と闇、一直線に並んだ3つに分かれているが故の悲劇です。
相反する両者の間に立ってその均衡を保つ、その構図自体に問題があったのです。
ならば、どう在れば世界は安定するか。
光と闇のような、或いは火と水、地と風のような二極ではなく、
二極に境界を挟んだ一直線でもなく。
境界の智慧が出した答えは、互いが互いを喰い育む「円環型」でした。
例えて言うなら、ぐーちょきぱー。ポケモンで言うなら草炎水。
世界同士がそのような関係になる性質ならば、
仲介者が無くとも自ずから安定します。
しかし現実に在る世界は、光と闇と、滅びかけた境界。これでは円環が作れません。
つまり、世界の安定のためには、世界を全く新しく作り替える必要があるのです。
・・・でも、具体的には何に?
ここ日剣には、世界の要素を木火土金水の五行で捉える思想が存在します。
ぐーちょきぱーより複雑ですが、互いが互いを喰い育む関係に違いありません。
また、名でそのもののありようを縛る、呪という技術もあります。
そこで、今在る全ての世界の構造を壊し、
呪によって五行を核とした安定な世界に再配置するための研究が続けられています。
因みに、セトの海にある島のいくつかは、以前、
新たな世界の実験模型として空に浮かべられていたものなのですよ。
アテナ(・・・つまり、世界を再構築する力は未だ無いってことですね?
そして単独で
>>314の期待に応える力も・・・)
ドラゴンボール(まあ、そうなります)
>315
「うあ、生き返った!? しかも若返ってる!」
本当に死んだふりをしていたのかマゾシステムを発動したのかは知らないが
弁慶さんと一休さんがハイパーモードになって復活した。
死霊皇帝すらもオーラだけで軽く倒せそうな勢いだ!
>316
なんと、アイリスさんが地上への侵攻をやめるよう進言してくれた。
「そうか、時が満ちたのかもしれないな……」
死霊皇帝も満更でもない様子だ。
第六天魔王を倒す武勲を立てただけのことはあって、アイリスさんの進言は絶大な威力を発揮した!
あるいは弁慶&一休のオーラにひるんだのもあるかもしれない。
>317
久々に琴姫さんが解説を入れる。
「強大なる力を持つ者、すなわち神は消滅する時に力の破片を残すとされていますが本当だったのですね」
「と、いうことは……」
第六天魔王の周囲を現場検証すると、それっぽい石が転がっていた。
「第六天魔王のシャードだ!」
なんといってもあの第六天魔王の力の破片なので取り扱い注意かもしれない。
>318
アイリスさんから期待するような視線を向けられる。
期待されても困るのである。
>319
>「月符 ムーンライトレイ Lunatic!」
その時、ルーミアさんが魔法でアンデッド一世掃射をはじめた。
そして特大の光線が死霊皇帝を撃ち抜かんとする。
が、死霊皇帝の前にはアイリスさんがいた!
アイリスさんに当たった……ように見せかけてなぜか跳ね返ってこっちにジャストヒットした!
「あべしっ!」
光線の直撃を受けたテイルは奇妙な悲鳴をあげてぱったり倒れた。
この謎の現象はアイリスが持っていた八咫鏡に光線が跳ね返ったために起こった物である。
そして八咫鏡は地球日本の神話では天照大神が引きこもった際に外に出させるために使用されている。
すぐにテイルを並々ならぬオーラが包み、起き上がったかと思うと思わせぶりな位置に浮き上がった。
どさくさに紛れて7等身バージョンになっているのみならず、ド厚かましい事に神々しい後光まで指している。
明らかに本人ではない。テイルの姿をした何者かは荘厳な声で宣言した。
「光の勇者達よ、よくぞここまでたどり着きました」
そう、星の女神ガイア、またの名をアマテラスが降臨したのだ!
テイルの体を借りたガイアと、ノウェをの体を借りたタルタロスは、どちらからともなく歩み寄る。
「久しいですね、スサノオ……。悠久の時を超えて私たちが向かい合っている。
それが何を意味するのか分かっていますね?」
「ああ、この時が来るのをずっと恐れていた。そしてずっと待っていた。
もう後戻りはできないが姉上こそいいのか?」
片や何代にもわたり生け贄を捧げての究極魔法を行使してきた勇者の導き手。
片や死霊皇帝封印の生け贄となった娘。
捧げられた者と捧げるはずだった者が向かい合う光景は、幾度となく繰り返してきた筋書き通りの悲劇の終わりを意味していた。
「母に会いたいと泣いていたお前が……立派な闇の王になりましたね」
ガイアはさりげなく死霊皇帝の黒歴史を披露し、再び一同に語りかける。
「本来ならソフィアが滅びた時にこの世界は終わりを迎えているはずでした。
その時に私はガイアという新たな名を授かり、崩れゆく世界を辛うじて繋ぎとめた。
タルタロスと争っていた……争わねばならなかったのは境界無き世の均衡を保つため。
しかし今この時、我らは契りを結びます。
時が満ちた今ならソフィアの力の一端が暫し世界の境界を繋ぎとめてくれるでしょう。
されど長くは持ちません。
この選択が未来を切り開くか、破滅を早めるだけに終わるかはあなたたちにかかっています」
ガイアとタルタロスが互いの手の平を合わせると、光と闇の奔流が巻き起こる。
一同は薄れゆく意識の中で、姉弟神の声を聞いたことだろう。
―― これからが本当の戦いです。さあお行きなさい、我が子らよ!
―― 歯車は回り始めた……。頼んだぞ、お前達!
気がついた時、一同は神宮前に倒れているのであった。
黄泉の門行きのトンネルは何事も無かったかのように無くなっている。
しかしその場所に、一振りの剣が突き刺さっていた。
Typhonと刻まれている。それは光と闇の、契りの証。
>>315 >>316 突然、ものすごい突風が吹きぬけた。
同時にアイリスが目の前に立ちふさがり、タルタロスに向かって何かを言ってる。
あくまで目的はタルタロスなのだが、アイリスは裏切り者だ。
死のうが生きようがどうだってかまわない。
>「あべしっ!」
だが、そのレーザーははね返され、妖精の体を見事に貫いてしまった。
スペルカード自体は決闘用の道具なので、当たっただけでは死ぬことはまずない。
とはいえ、相手が妖精なら話は別だ。
当たればほぼ確実にしに、存在そのものが一瞬にして消えてしまう。
レーザーが妖精を貫く様子をぼんやりと眺めていると、
次の瞬間には七頭身になった妖精が立っていた。
もはや、起き上がってしまった以上、すべきことは一つだ。
だが、様子がおかしい。
妖精が白い光を身にまとい、浮き上がっている。
どうやら、元いた世界で昼に相当するアマテラスが操っているらしい。
>テイルの体を借りたガイアと、ノウェをの体を借りたタルタロスは、どちらからともなく歩み寄る。
理解できない。
タルタロスはアマテラス(=ガイア)のことを嫌い、滅ぼそうとしていたはずだ。
>「本来ならソフィアが滅びた時にこの世界は終わりを迎えているはずでした。
>その時に私はガイアという新たな名を授かり、崩れゆく世界を辛うじて繋ぎとめた。
>タルタロスと争っていた……争わねばならなかったのは境界無き世の均衡を保つため。
>しかし今この時、我らは契りを結びます。
>時が満ちた今ならソフィアの力の一端が暫し世界の境界を繋ぎとめてくれるでしょう。
>されど長くは持ちません。
>この選択が未来を切り開くか、破滅を早めるだけに終わるかはあなたたちにかかっています」
頭の中で疑問が渦巻いていたが、このことでようやく一つのせんになった。
光と闇の神の関係は人間と妖怪にそっくりだ。
妖怪と人間の関係に似ているなあ。
と思っていたら、突然意識を失ってしまった。
そして、気づいた時には元いた場所に倒れていたのだった。
(日本語がおかしい部分がありました)
×
光と闇の神の関係は人間と妖怪にそっくりだ。
妖怪と人間の関係に似ているなあ。
と思っていたら、突然意識を失ってしまった。
○
光と闇の神は敵対関係にあったのではなく、単なる遊びとして争っていたのだ。
幻想郷における妖怪と人間の関係に似ている。
妖精を殺しかけてしまったことを棚に上げ、そんなことを考えていると、急に意識を失ってしまった。
>>313>>316 > 斬馬刀を軽々と振り回すほどの怪力がある貴女のほうが怪しいじゃない」
「嘘だッ!」
アイリスの反論を聞いたフラポリーはいきなり決めつけました。
> とりあえず息の根が止まるまで殴っ……あ」
「嘘だッ !」
>「これで全ては終わったのね……」
「嘘だッ !」
フラポリーはアイリスの言葉も聞かずに「嘘だッ !」と言い続けます。
最初と最後の「嘘だッ !」が正解です。
続々と死人が黄泉がえるのに合わせて死霊皇帝が登場しましたから。
思ったより早い登場は、別人の体を借りてのものです。
>「竜騎士ノウェ!?」
「竜騎士の上?」
もちろんフラポリーは全く知らない人です。
「タルタルソース?」
タルタロスですよ。
>>322 タルタロスの主張、アイリスの出生の秘密。
どちらも興味深いものでしたがフラポリーには理解できないようです。
物事を深く考えない種族はこれだから困ります。
>「第六天魔王のシャードだ!」
「お持ち帰りです!」
それでも話だけは聞いていたのでしょう。
テイルの見つけたシャードに飛びつくと、保存袋にしまい込みます。
後で食べるつもりのようです。
>>323 「たわばッ!」
鏡に反射された光の余波でフラポリーも倒れました。
・・・鏡に込められた力がフラポリーの精神に変な干渉をしたようですね。
固定した精神は離れていないようですから、しばらくそっとしておきましょう。
意識があっても、ガイアとタルタロスの融合に興味は持たないでしょうから。
それよりも今は、話が動きそうな江戸城をのぞいてみましょうか。
江戸城本丸でデウスはサヌキの方角を見ながら静かに座っています。
「我らを利するだけとも知らずに光と闇の融合とは愚かな事を。
互いに長年に渡り積み上げた恨みも憎しみも、簡単には消えはしまい。
狂い始めた歯車を直すために、光と闇には消えてもらうしかないのだ。」
デウスの見る前で江戸の町を囲むように光が走り、魔法陣が完成します。
「ガイアとタルタロスの登場で力は満ちた。
予定より早い決行だが何の問題もない。
日剣は天に上がり、再び世界を始める場所となる」
江戸の町が地震のように揺れ始めました。
揺れは広がり、やがて日剣全体が揺れ動くでしょう。
江戸の町を覆う魔法陣は江戸を守るものではなく、
日剣を天に浮かべるためのものなのですから。
それではもう一度、視点をサヌキ島に戻しましょうか。
>しかしその場所に、一振りの剣が突き刺さっていた。
「うよよよ!・・・これは抜けませんね。」
残された剣に一番乗りしたのは妖烏でした。
剣を抜こうとしますが剣は根が生えたようにびくともしません。
「仕方がありませんね、こんなものは壊しちゃいましょう。
カッパハゲ!今が命の捨て時ですよ!」
「応!デウス様にいただいた命、今こそお返しする時じゃ!」
妖烏が刀を振るとザビエルの首が落ちました。
残虐シーン・・・ではありません。
切られたザビエルの体は機械でできた、一種のゴーレムだったのです。
「対象者の生命停止を確認しました。
ネメシスシステムを作動します。
爆発まで後180、179、178・・・」
抑揚のない声でザビエルはカウントダウンを始めます。
爆発の威力は妖烏たちが剣を破壊できると考える程度のものでしょう。
爆発を止めるか剣を持って逃げるかしたい所ですが、妖烏が邪魔をします。
「私は爆発の一秒前に逃げても爆発の範囲から逃げられますからね。
別にこのままタイムアップでもいいんですよ?
・・・そうだ一つ良いことを教えてあげましょう。
私の名は妖烏。エド、ロランドと共にソフィア神に使える3顕王の1人です。
この日剣に、江戸という町があるのは知ってますよね?
江戸はエドです。わかりますか?
つまりこの地は、昔からソフィア神の眷属が支配する地なのですよ!」
呪の伏線回収を終わらせた妖烏は満足げに続けます。
「どうせこのガイアは天使に浄化されちゃうのですから、宇宙で1から世界をやり直します。
今はカッパハゲの上司が江戸を中心にして日剣を宇宙に上げてる最中です。
日剣はこの世界の始まりの地にして、次の世界の始まる場所になるんですよ。
あなたたちもソフィア神に仕えて一緒に星の世界に行ってみませんか?
光も闇もない平和な世界が待ってますよー?」
妖烏が長々と話をしているのは意味があります。
爆発までの時間稼ぎをしているのです。
ちなみにフラポリーはまだ倒れたままです。
「……ハッ!?ここは誰、わたしは何処?」
アイリスは気が付いたら、神宮の外に倒れていた。
見れば、さっき《フォース・イクスプロージョン》で薙ぎ払ったのを根に持って、
無敵モードに突入してでこちらを狙っていた二人も倒れている。
そのような訳であるから、アイリスは先ほどの報復を受ける前に、そそくさと逃げる算段をした。
そこに!
「これは凄そうなアイテムだわ!」
光と闇の神の力が合わさって最強に見えるマジカルソードが突き刺さっているのを発見した。
アイリスは右を向き、左を向き、誰も見ていないのを確認してから、剣に手を伸ばそうとした。
しかし、妖烏が邪魔をしてきた。何か不穏当なことを言っている。
そう、彼女は光の勢力と闇の勢力を両方とも破滅させようと目論む、急進的な過激派だ。
アイリスは「神様二柱分の剣が、神の眷属が作った爆弾くらいで壊れるのかなぁ」と思った。
また、彼女は祖父のオケアノスから「過激派のアジトはすぐにお巡りさんに通報しなさい」と教わっているので、
とりあえず妖烏を捕まえてお巡りさんに突き出し、金一封をもらう算段をした。
日剣は奴等の息がかかっているので、こいつを突き出しても無駄かも知れないが、アイリスは特に気にしなかった。
「苦しみの雲よ、魂をひととき奪う力となりて、彼の者を覆い尽くせ!」
アイリスは演説中に割り込んで《スタン・クラウド》を放った。
妖烏はその素早さを生かして霧から逃げられたはずなのに、案の定、小さく呻いて倒れて気絶した。
この手の毒ガス系の魔法は、毒や病気への耐性があるアイリスや、機械のザビエルには効かないのだが、
生身の生物である妖烏には、とことん有害なのである。
そういえば、ロランドのときも《ディスインテグレート》で、このようなことがあった。
境界を土足で踏み越えたティターンの血をひく彼女は、境界の眷属にとっては致命的に相性が悪い敵なのかも知れない。
なお、《スタン・クラウド》の効果は1時間。つまり妖烏は、1時間は気絶したままということになる。
この呪文で気を失った場合、揺さぶろうが蹴飛ばそうが殺そうが起きない。
《デス・クラウド》や《ディスインテグレート》じゃなかっただけ良いのだろうが、1時間も寝てたら致命的である。
そこに、アイリスのシャードが明確な声でもって、彼女に指示を出した。
『FINISH HER!!』
アイリスはその助言に従い、妖烏に究極神拳をぶちかました。
「……これでよし!」
アイリスは、妖烏とザビエル爆弾を一緒に纏め、行く前に持ってきた冒険者セットの中にある紐でぐるぐる巻きに縛った。
このまま行けば、まあ爆発に巻き込まれて妖烏は死ぬ。助かる手段は無い。
ガイアとタルタロスの融合体を破壊する目的で作った爆弾なのだから、
仮に剣を破壊できずとも、妖烏が粉微塵になる程度の威力は無いはずがない。
残念ながら、境界の神と和解する上では、こんな頭の悪い急進派の存在は邪魔でしかないので、助ける意味は何処にも無い。
だが!そのとき!事態は思わぬ方向へと動き出した!
倒れ伏しているフラポリーの保存袋から、嫌な色の光が漏れ出している。
「大変!フラポリーが持ってる第六天魔王のシャードと、ザビエル爆弾が共鳴している!」
第六天魔王のシャード!
それは、全ての破滅を望む大魔王の力を受け継いだ欠片である。
魔王の怨念とシャードの力がザビエル爆弾に干渉したことにより、事態は更に悪化した!
「ザビエル爆弾のエネルギーと第六天魔王のシャードの力が連鎖反応を起こし始めた!
このままでは、きっと爆発で日剣が吹き飛んでしまうわ!」
第六天魔王のシャードは、データ的には《ヘル(ダメージ増加)》×2と、《ネルガル(範囲拡大)》辺りでも詰まっていたのだろう。
これらを全て同時に解き放てば、爆弾の威力が更に増強されると共に、爆発の範囲が日剣全体になる。
ライトファンタジーRPGの世界に居るかどうかはともかくとして、ヘルもネルガルも冥界の神様っぽい神格である。
第六天魔王のシャードの加護としてはぴったりだ。全然問題ない。
なお悪いことに、シャードには全てを破滅させんとする第六天魔王の意思が未だ残っており、
その意思を押さえ込んで力を制御することができそうな者、
つまり第六天魔王のシャードの所有者であるフラポリーは、現在、絶賛気絶中である。
となれば、第六天魔王の意思が主導を握ってシャードの加護を使い、ザビエル爆弾の威力を日剣中に拡大することは明白だ。
「フラポリーッ!起きろーッ!そのシャードを使って、あんたが日剣を救うのよ!
駄目、もう間に合わない!アッー!」
アイリスはまた錯乱し、フラポリーの耳元で騒いでいる。たいへん五月蝿い。
>>327で180からカウントダウンが始まったので、日剣滅亡まで、多く見積もってもあと2分しかない!
ガイアと死霊皇帝が話す声が遠くで聞こえるような気がする。
夢のまた夢だと思っていたガイアと死霊皇帝の和解は、実際に起こってしまえば拍子抜けするほど自然に行われた。
ガイアの魂を分け与えられた妖精にとっては、長年傷つけあってきた積年の恨みも意味をなさない。
たった今、魂の呪縛は解かれたのだ。
「そうだったんだね……。死霊皇帝、あなたは自然に反する物なんかじゃなかった!」
いわば、ずっと守ろうとしてきたガイアの理を形作る同じカードの裏側だった。
光があれば影がある。死があるから生がある。こんな簡単な事がやっと分かった。
ガイアの理に反するものの象徴であったアンデッドは
本来黄泉の国にいるはずの死者がうっかり地上に出てきているだけだったのだ!
毎回滅ぼさずに封印してきた理由も分かった。
栄えるも滅びるもセットの運命共同体だったのだから当たり前だ。
手をつないだ少女と少年の姿が見える。ガイアと死霊皇帝だ。
そして仮面を付けた女性が二人の後ろに立ち、二人の肩に手を置いている。
これが神威さんが言っていたイザナミっていう女神様か。
神と言ってもそれほど大袈裟なものでもないらしいけど。
「はじめまして、イザナミさん。当代勇者の導き手のテイルです。
第六天魔王は倒しましたが黄泉の門は閉じられなかったようです」
イザナミさんは穏やかな声で言った。
「良いのです、こうなる事はなんとなく分かっていました。
我が子ら、アマテラスとスサノオをよろしくお願いします」
「はい! ……え? 我が子!?」
イザナミさんが爆弾発言を放ったような気がして聞き返す。
「はい。と言っても義理の子になりますが」
「えええええええ!? 超重要ポジションじゃん!」
イザナミさんはこれだけでは飽き足らず、さらに爆弾発言を放った。
「あと真ん中の子が、有名な姉と弟にはさまれて影が薄いからって
いらないことを企てているのでそっちもよろしくお願いします」
「真ん中の子!? 三姉弟なの!?」
「では頑張ってください」
>327
イザナミさんに爆弾発言を投げられっぱなしのまま、目を覚めさせられてしまった。
が、それどころではない。烏天狗が本当の爆弾を起動してしまった。
「貴様の汚い手でその剣が抜けるわけがないだろう!
天使に浄化されるだって!? だからやり直せばいいだって!? ふざけるな!」
天使は確かに潔癖症だけどそこまでやるか?
もしやイザナミさんが言ってた影か薄い真ん中の子のいらない企てってこれのことか!?
それにしてもあまりに分かりやすい悪役全開な言い分である。
近頃ぽっかり空いていた分かりやすい悪役ポジションに見事すっぽり収まった。
久々に、星の守護者としての残酷な顔を向ける。
「残念だけどお断りだ……!
光への畏敬も暗闇への恐怖も忘れた世界が長く持つと本気で思ってるのか!?」
幸いさっきの名残で7等身のままなのでそれなりに迫力はある。
ロッドを突きつけ、“闇属性”の魔法の詠唱を始める。
そう、今まで妖精は唯一闇属性だけは使えなかったが、ガイアと死霊皇帝の和解により使えるようになったのだ。
>238
>「苦しみの雲よ、魂をひととき奪う力となりて、彼の者を覆い尽くせ!」
「あ」
もったいぶって新習得技を披露しようとしている時、アイリスさんがあっさりエドを倒した。
ちなみに妖精は生物か微妙なところなので割と平気だった。
そしてカッパハゲとエドはぐるぐる巻きにされ、あとは爆発するばかり。めでたしめでたし。
>329
だがしかし! 事態は突如として日剣滅亡の危機に発展した。
あの剣を抜く一番の適任はアイリスさんだと思われるが例によって錯乱している。
あとは普通に考えると光の眷属か闇の眷属だろう。となるとボクしかいない!
「光と闇より生まれし荒ぶる自然の化身よ、我に力を貸せ!」
テュポーンと刻まれた剣を引き抜くと、驚くほど軽く抜けた。
やはりガイアと死霊皇帝の意思に反する者には抜けないようになっていたのだ!
抜く時の簡単さに反して、その制御は容易なものではなかった。
なにしろ手に取っただけで暴風が巻き起こり、雷鳴が鳴り響く。
「くっ……! 吹き飛べええええええええ!!」
やっとの思いでカッパ巻きに向かって上段から振りおろす。
するともはや風とは言えないほどの突風が放たれ、カッパ巻きが空の彼方へ飛んでいく!
といっても第六天魔王の意思が主導を握ったままでは少少上空に飛んだところで被害は変わらないかもしれない。
間に合うか!?
目を覚ますと、ザビエルの首から上がなくなり、妖烏が巻き付いていることに気付いた。
爆発のカウントダウンを示す声がザビエルの胴体から聞こえてくる。
ルーミア一人なら、放置しておいても何ら問題は問題はないが、ほかのやつらは確実に死ぬだろう。
おまけにフラポリーの持っているシャードが共鳴し、威力が大幅に増してしまった。
このままだと死人が出るだけではすまず、世界が吹き飛んでしまうのは確実だ。
世界が吹き飛べば、ルーミアが元いた幻想郷に被害が及ぶ。
幻想郷とこの世界は結界により隔たれているが、世界を吹き飛ばすほどの威力を持った爆弾だ。
幻想郷に影響がでないわけない。
>「くっ……! 吹き飛べええええええええ!!」
妖精が剣をふるったことにより、妖烏とカッパハゲがロープによりくくりつけられた物体が天に舞い上がった。
だが、これはルーミアから見て、いい手とは思えなかった。
世界規模で影響を及ぼす物体を数百メートル打ち上げたところで結果に大差はない。
別の空間に飛ばさない限り、皆等しく滅びの運命を享受するだけだ。
しかし、その隙間妖怪の気配はどこにもない。
そうなると、この状況でとりうる手は一つしかない。
ルーミアは地面をとんとけり、そのまままっすぐ上昇した。
簀巻きになっているカッパハゲと妖烏が見える。
妖烏は目をつむったまま気絶し、いたるところにあざができていた。
ここで普通の情ある人間なら助けるだろうが、ルーミアに慈悲の心はない。
そのまま、例の物体に抱き着き、転移魔法でどこかへと飛んで行ってしまった。
カッパハゲがカウントを初めて2分後。
星々がきらめく暗黒空間の中で爆発が起き、とある惑星の衛星かが姿を消してしまった。
ごめんなさい。
後で見直したら、とんでもない勘違いをしていることに気づきました。
一部分を訂正します。
とある惑星の衛星->大小さまざまある小惑星のうち、比較的小さなもの
残りの部分はルーミアの勘違いということにでもしておいてください。
いつの間にか背景にメルディ&レオが出てきていた。
メルディは地の文を受信して訂正表を出しながら言った。
つ【>331 20行目・22行目 ×エド ○妖烏】
メルディ「カッパ巻きになったのは妖烏だよ!
それにしてもエドちゃんの正体は過激派のスパイだったのか!」
レオ「なんてこった!」
空の彼方で何かが砕け散った後も、江戸の揺れは広がるばかり。
サヌキの地でも、感覚の鋭い者には小さな地響きが感じられるようになっていた。
(・・・まだ何か、忘れてい・・・っ!!!)
アテナの胸元で、ドラゴンボールが不規則に明滅していた。
(我が分身・・・秘宝の、おそらく1つか2つの形が失われました
・・・カッパハゲが所持していたもの・・・でしょう・・・)
(どこかに連れ去られたカッパハゲも失われた?)
(おそ・・・らく・・・は・・・)
(・・・そ、そう、ですか・・・っ・・・)
ドラゴンボールの力が次第に乱れ、
保持するアテナに不規則な苦痛の波となって襲いかかる。
(動いている・・・何か・・・違う力・・・が・・・ああっ)
サヌキの地面も今やはっきりと振動を始めていた。
「再び起きてみれば第六天の野朗は倒されてるわ、俺の出番はないわ
最悪の目覚めだなぁオイ」
瞳は赤く、髪の毛は燃え盛る憤怒の炎と同化するほど赤く揺らめいていた。
そしてその憤怒を現すように不動明王剣は炎と共に煌き、まるで手足のように
軽々しく扱い、一通りの動作をすると肩に立てかける。
「馴染む馴染むぞぉー!なんて馬鹿な真似をしている余裕は…ないな
あの野朗はまたいつか蘇る、その時に決着をつければいいさ
それよりも…」
神仏と同化したおかげで、心眼は宇宙の真理すらも見透かすほど強化された真・心眼が
この地の異変を察知する。
「だが、祭りはまだ残っていたようだな…」
「そのようだな」
「まったく飽きないよな、どいつもこいつもよ」
天地砕き形態の一休、弁慶両人はいつの間にかそばに来ていた。
「復活したようだな、明王様よ」
軽い口調で、あいもかわらず恐れないで話しかける一休。
「やはり…確信は持てなかったがあの剣を扱えていたからもしかしてとは思っていたが
復活おめでとうございます、そしてお久しぶりです明王殿」
心の底から礼を述べる弁慶。
「オメーらも元気そうでなにより…いや殺しても死なないよな
だってもう人間なんてレベルじゃねぇからな」
あははと三人は懐かしそうにそして楽しそうに笑う。
そんな彼等の常人では視認できない距離から数えきれないほどの妖気が発生していた。
その光景はまさに百鬼夜行―――その言い方が相応しいほどの妖怪の軍勢が迫ってきていた。
「あいつらも着たか…これで役者がそ――ヤベェ!」
その中の一段に暴走族風の滑降した女妖怪の集団が居た。
そしてその中には彼の苦手とする人物が居たのであった。
337 :
名無しになりきれ:2010/02/11(木) 13:58:05 O
モンスターが現れたかも知れない!
>>329 「なんですか!またアイリスがなにかやらかしたですか!」
アイリスに起こされて飛び起きるフラポリー。
すぐには事情が掴めない気もしますが、今回はあっさり事情を把握します。
シャードの持ち主の特殊効果か野生の勘かの、どちらかが原因でしょう。
「美味しい物も食べていないのに滅びるとか何考えてるんですか!
早くサヌキ島の名産品を私に食べさせるです!」
持ち主の意向を受けて、保存袋から嫌な光の代わりに白い光が漏れ出します。
>>332での爆発の後、空から白い何かが落ちてきました。
サヌキ島名産サヌキうどんです。
「これはサヌキうどんじゃないですか!
こんな物が降ってくるなんてここは良い島ですね!」
器用に落ちてくるうどんを口でキャッチするフラポリー。
それだけではなく、保存袋を開いてお持ち帰りすり気も満々です。
>>335 「これは地震ですね。収まるまで机の下に隠れていた方が良いのです。」
地下生活が長いフラポリーは地震対策もバッチリです。
でも今回のは地震じゃないですよ。
>>336 「誰ですかお知り合いですか。」
迫る妖怪軍団を知っているらしい武に尋ねるフラポリー。
しかし知り合いに会うにしては武のは様子がおかしい事にも気付きます。
これは……
「
>>337モンスターが現れたかもしれない!」
フラポリーは攻略本の知識を披露します。
確かに「苦手な知り合い」も「モンスター」も会いたくないのは同じですけどね。
実は本物のモンスターもサヌキ島に近づいていていました。
空から銀色のタコ型ゴーレムが落ちてきます。
これは、ザビエルに続いてデウスが送り込んできた刺客です。
「てい。」
フラポリーは斬馬刀で切りかかりますが、堅いボディに傷一つ付けられませんでした。
タコ型ゴーレムは火を吐きながらぐるぐる回り始め、周囲はたちまち火の海です。
さてさて、勇者一行は揺れが収まる代わりに奇妙な浮遊感を感じるでしょう。
いよいよ日剣が宇宙に向かって浮き始めたのです。
妖烏が日剣の周りに境界を作っていたので、海や島ごと持ち上がっています。
このまま宇宙旅行すべきでしょうか?
飛行船で脱出すべきでしょうか?
いやあ、わくわくしてきましたね。
(ううっ・・・はあっ・・・はあっ・・・あああっ・・・)
日剣浮上のエネルギーの影響を受けたソフィアの秘宝
−−本来5つある筈が、内のいくつかが失われた状態であるためか、
力が不安定に吹き出している−−を胸元に抱え込むようにして、
アテナは喘いでいる・・・が、犬形態なので別にサービスシーンではない。
日剣は浮上を始め、海上の境界は演出で垂直の滝となっている。
百鬼夜行は近付いている。
蛸ゴーレムは火を吹き回っている。
引き抜かれた剣もまだ暴れている。
おまけにうどんまで降っている。
アテナは決意の表情で胸元のドラゴンボールをくわえ、
きゅっと目を瞑ると、それを呑み下し、倒れた。
アテナの体が不規則に明滅を始める。
そして、いつのまにかニケも倒れたアテナに寄り添っている。
(
この状態で私たちが力を合わせれば、
ドラゴンボールのエネルギーを制御しつつ解放できる・・・
小規模な奇跡(?)を1つ起こすことが出来ます。
例えば
・浮上しつつある日剣からサヌキ島だけ切り離し地上に戻す
・PC達を黒幕の居場所(何故か江戸城だと分かります)に送り届ける
・暴れている剣を所持者に絶対服従させる
・蛸ゴーレムに大ダメージを与える
のような・・・
因みに、力を解放すると、ドラゴンボールも私もニケもまとめて
見た目何の変哲も力も無い1つの石となります。
長い年月の間には再び宇宙の気を集め力を得る事もあるでしょうし、
ライトファンタジー時空のキャラロスト回避効果が発動して
PC達と話だけはできる状態でいられるかもしれませんが・・・
尚、一定時間PCからリクエストが無かった場合、
ドラゴンボールは8つに分かれて生み出され、
世界に散ってやがて犬士に転生します・・・
行方はわからなくなりますが、小分けにされる分
個々の玉が受ける力は今よりずっと少なくなり、安全性が増す方向です・・・
)
アテナともニケともドラゴンボールとも判別のつけようがない、
半ば一体となった意思が伝わってくる。
>>331 『全てはこのテュポーン誕生のため。だが、これは始まりに過ぎぬ。
テュポーンは必ずや終わりをもたらすであろう。
それを、境界は自身の滅亡、あるいは全ての破滅と解釈したのだろう。
だが我は信じている。
テュポーンは悪しき輪廻を断ち切り、古き世界を終わらせるものであると』
アイリスは、シャードの声を聞き、その啓示を受けていた。
「これがテュポーンの力……終わらせる力……」
だが、そのテュポーンは暴走を始めている。
このままでは、境界の眷属が懸念したとおりの、全てを巻き込む破滅をもたらすかも知れない。
>>332>>333 「無茶しやがって……」
身体を張って剣を危機から救ってくれたルーミアに、アイリスは思わず敬礼したのであった。
そしてGMから指摘があった。
『君のクラスは確か、ブラックマジシャン/ダンピール/レジェンドだったね。
《オーディン(加護打消し)》で《ネルガル》を打ち消すなり、
爆発を《エーギル(判定自動失敗)》で妨害できただろう?』
「あっ」
「ルーミア、良い奴だった……のかー?」
勝手に死んと思っていることが見え見えな台詞である。
実のところ、アイリスはほぼ全くと言って良いほど、ルーミアと会話をしていない。
そのため、彼女の人柄を十分に図ることはできていない。故に疑問形だ。
また、今にも爆発しそうな物体を抱えてテレポートしたということは、アイリスは実際に死体を確認していない。
>>336 「あっちの妖怪どもはあの人達に任せて……」
彼らが「ヤベェ!」とか言って苦手そうにしているのに、薄情な奴だ。
が、散々パワーアップして無敵モードに突入していたので、仮に妖怪どもが敵対的でも、あっちでなんとかしてくれるだろう。
>>337>>338 「デビルフィーッシュ!?」
欧米人は蛸が大嫌いだ。
まあそれはともかく、斬馬刀で傷一つ負わせられないような金属の身体を持つメカである。
機械は《デス・クラウド》で手っ取り早く仕留めることはできず、大きさ的に《ディスインテグレート》も聞かない。
となると有効なのは攻撃魔法は《メテオ・ストライク》辺りだろう。
もちろん、これで蛸を攻撃すれば、最前線で戦っているフラポリーが巻き込まれて大変なことになるが。
ここは、相手はゴーレムと同様の機械なので、近付いて《ディスペル・オーダー》で命令を解除するといった対処がベストである。
そこから更に《コマンド・ゴーレム》をかけてやれば、あわよくば蛸を奪ってこちらの戦力にできる。
だが、今のアイリスにはそれができなかった。
>>335 そう、その辺で繰り広げられる戦いの傍ら、犬が苦しんでいたのである。
「大丈夫、しっかりして!どうしたの!」
大変だ!このままだとアイリスが、
「ソフィアの干渉で苦しんでるのね!じゃあソフィアの眷属じゃなくすれば……」
とか言って、アテナに精神力奪取付き往復ビンタをお見舞いし、ただちにレッサーバンパイアへと変えてしまうかも知れない。
ティターンの末裔であるアイリスは、境界の眷属にとっては致命的に相性が悪いので、
たとえアイリスが図らずとも、アテナを破滅に追いやる可能性は十二分にあり得る。
幸い、まだアテナが苦しんでいる原因には気付いていない。
そのため、必死に《キュアー・ウーンズ》や《リフレッシュ》をかけている。
>340
>「これがテュポーンの力……終わらせる力……」
「知らんがな。せっかく便利アイテム手に入れたと思ってたのにいいいい!
もういいから! 何これ!」
テュポーンが鎮まってくれない!
このままではガイア中の家屋が全壊する記録的被害を出してしまうぞ!
>332
「ちょ、おま!」
ルーミアさんが突如カッパ巻きに抱きついて転移魔法を使った。
彼女は日剣を救うために来た使者だったのだろうか。
でもなんとなく死んではいない気がする。空を仰ぎながら無事を祈った。
>335
デュープリズムからドラゴンボールの思念が伝わってくる。
しまった。さっさとカッパハゲの持ち物を根こそぎ奪取しておくべきだった。
でも本当に消えたのか?
本当に消滅したとしたらあの過激派自身が困る訳でそんなヘマをするだろうか。
それに、ルーミアさんと同じく、なんとなく妖烏も死んだとは思えなかった。
「妖烏……勝負はしばらくお預けだ」
>336
「何あれ。敵!?」
確かにヤバそうではあるけど敵が来た時のヤバイとは何か違う気がする。
>338
「うどん召喚してる場合かッ!」
そんな中、地面が浮上を始め、タコ型ゴーレムが暴れはじめる。
「これはヤバイ!」
「そこでこれ! 普段は園芸に大活躍の草刈り鎌。火事の時に使うと防火帯ができます!」
メルちゃんが草刈り鎌をフロストハルパー形態にして、草を刈り始める。
「嫌ああああ! 間に合わないんですけどっ!」
霜壁ちゃんが叫ぶ。
『天叢雲剣も同じ効果があるはずです! 誰かお願いします!』
フラポリーちゃんの飽くなき物欲(食欲?)にシャードが反応したのか、保存袋から出た光が地面の一点を示す。
その場所には、変わった形の宝珠が落ちていた。
「八尺瓊勾玉!? てい!!」
天叢雲剣は剣。八咫鏡は魔法をはね返せる鏡。
だとするとこれはブーメラン的飛び道具だと思ったのでタコ型ゴーレムに投げつけた!
>339 >341
「アテナちゃん……」
アイリスさんが回復魔法をかけているが、アテナちゃんの決意は固いようだ。
今かけているのこそ回復魔法のようだが、いつ逆の方向の魔法に切り替えるか分かった物ではない。
アテナちゃんの決意を無駄にはできない。
タコ型ゴーレムは自力でなんとかできない事はないだろう。日剣は浮上してもとりあえず生活できそうだ。
最もヤバイのはこの暴風剣だ。今はまだ制御できないし、力を振るうべき時ではない。
「キミ達の決意無駄にはしない。この力が必要になる時が来るまで……封印の鞘になって!
ほんの少しの間だから。時が来たら必ず元に戻してあげるから……!」
絶対服従させるなんてことも出来るかもしれないけど、力として解放したら二度と元に戻れない気がした。
だから形のある鞘になる事を頼んだのだ。
ルーミアが元いた場所に現れました。
ルーミアは妖怪と吸血鬼が合わさったような存在なので、弱点を突かれたり、人々から忘れ去られたりしない限り、死ぬようなことはまずありません。
「これで終わりかと思ったが、まだ続きがあったのか」
戻ってみると、あたりは火の海とかしてました。
フラポリーが手に持っている刀で切りつけていますが、まるで効果がありません。
しかも、そのうえ、敵とも味方とも付かない無数の妖怪が周りに集まっています。
「まさか、あれも敵なのか?」
敵意があるのかないのかははっきりしません。
とりあえず、あれは放置して、ゴーレムを攻撃することにしました。
「原初より存在せし闇を、無数の槍となり、かの者を貫け!」
ゴーレムを取り囲むように多数の槍が何もないところから現れました。
すぐさまその槍たちはゴーレムを貫こうとしますが、ゴーレムの体は非常に頑丈なので、はね返されてしまいました。
それとタイミングを同じくして、勾玉のようなものが当たりましたが、それもはね返されてしまいました。
「物理攻撃はダメか…」
精神攻撃なら効くだろうと思い、アイリスに対して使ったのと同じものをゴーレムの周囲に展開しました。
「あれ?」
でも、それはすぐにかき消され、ゴーレムの周りを闇が取り囲むことはありませんでした。
>「誰ですかお知り合いですか。」
「知り合いもなにも…武の奥―――」
その女妖怪の集団が先陣を切って近づいてくるとあっという間に
武の周りを囲むと何人かが立ち止まる。
「玉露の姐さん、発見しましたぜ」
赤毛の単眼の女妖怪がそう呼びかけると一番最後に走っていた金髪の美しい狐の耳を生やした
美人がやってくる。
「ご苦労、お久しぶりです…会いたかったです武殿〜!!」
最初はなんやら冷たい雰囲気だったが、
いきなり飛びつき、武はうろたえていたというよりガタガタ震えていた。
「お、おひさしぶりですギョクロサン」
顔が真っ青になりながら連絡を入れなかった理由を必死で言い訳を考えている武。
その後遅れてやってきたのがその軍団の長、ぬらりひょんであった。
「遅れて済まんな、崇徳院様の増援も含めて日剣の妖怪全てが今ここに全て馳せ参じたぞ」
一休は少し呆れ気味だが笑いながら
「遅せぇよ、まぁ許してやる本当の祭りには間に合ったんだからな」
弁慶はにこやかな顔且つ嬉しそうに
「よく来られました副大将、だが細かい挨拶などはしておられない
早速行きますよ、上級竜神様、我に力を貸してくれたまえ破ッ!」
投げた五枚の霊符が五芒星を描き、そこから赤、青、白、黒、黄の竜神が出現する。
そして龍達が蛸のゴーレムに攻撃を仕掛け始める。
「そうだな、俺も負けられんな<点穴眼>!」
一休和尚の目には今蛸のゴーレムに沢山の点が見えている。その中から破壊できる点を探し当てる。
点穴―――それは神すらも例外はなく、動く者全てが持つ秘穴である。
当然突かれた場所に寄っては骨折が直ったり瀕死から全快したり
不死の者でも内臓、心臓が破裂しても再生しない上に傷を付け殺す事もできる。
一休は瞬時にそれを見分け、知る特殊な目を持っている。
「むっ…そこか!!」
蛸のゴーレムに勢いよく飛び掛り、まずは脚の1本を破壊する点穴を突く。
「すまんでござるが、話は後でゆっくりするでござるよガルダよ!」
即座にガルダを召還し、すぐに乗り込みゴーレムの元に向かう。
「武殿……」
寂しそうな顔を一瞬するが、すぐに冷静な顔に戻る。
「お前達!今から私は旦那の援護に向かう!付いて来たい奴等は付いてきな」
先に、武の後を追う玉露の後に全員がその後を追いかけて行った。
「我等も負けておられんぞ!!さぁいくぞぉー!」
ぬらりひょん率いる妖怪大軍団も総攻撃を始めた。
>343-344
残念、ゴーレムに精神攻撃は効かないぞ!
堅い装甲によって物理攻撃も無効だ! さあどうする!? と思いきや。
勾玉は跳ね返されたものの、よく見るとタコゴーレムに異変が現れていた。
内部の機構を破壊されたようで、漏電している。物理攻撃無効解除だ!
そこに師匠コンビが攻撃を仕掛け、タケルが追撃に向かう。さあとどめだ!
>341-342
>《キュアー・ウーンズ》
横倒しになったアテナの四肢が、ぴくりと動く。
>《リフレッシュ》
全身を薄く光らせながら、アテナが目を開く。
>「時が来るまで……封印の鞘になって!」
(・・・封印の蛸?)
(タコ違う、サヤ!)
(・・・あなたが学力低下してどうします)
ニケに抱きかかえられるように支えられ、アテナがゆっくりと身を起こした。
暴風と電光を吐き出す剣を見据え、低く構える。
一瞬の後、白い犬とも紫の龍とも見える光の軌跡が剣に向かって飛び、
その刀身に蛇のように巻き付いた。
しばらくして光と暴風と電光が共に収まった時、テイルの握る剣は、
黒漆を紫の鱗と白い毛皮で飾った見事な鞘に納められていた。
>>339 「天からうどんが降ってくる奇跡はどうですか!?」
フラポリーは早速奇跡のリクエストをします。
でもその奇跡は現在進行中ですから、別の奇跡を考えましょうね。
最初はお約束の「奇跡を起こす回数を増やせ」当たりがお薦めです。
>>340-342 >『天叢雲剣も同じ効果があるはずです! 誰かお願いします!』
「良い剣だなちょっと借りるぞ」
神威から問答無用で天叢雲剣を借りたフラポリーは、剣をどんどん振り回します。
「えいやさあ!おいやさあ!」
草木はずんずんなぎ倒されて、メルさんが刈った後と合わせると見事な防火帯の完成です。
「さすが天叢雲剣は制御できないような剣とは格が違った!
来た!防火帯来た!これで勝つる!」
そんな言葉どこで覚えてきたんですか・・・
>>343-345 ルーミアの魔法の闇に包まれたタコゴーレムから、悲鳴のようなものが聞こえました。
純粋なゴーレムなら、精神に作用する魔法が通じないはずですけどねえ?
>「むっ…そこか!!」
ルーミアの魔法も投げた勾玉も龍の攻撃も跳ね返した装甲が、一休の突きで砕けます。
さらに勾玉の力で全身が漏電する中、ゴーレムの頭の部分が開きました。
頭からは丸い玉のような物が飛び出し、また悲鳴のような声を出しながら空に消えていきます。
残された胴体は、急に無茶苦茶に腕を振り回しながら武に突進します。
もう火は噴いていませんが、堅い装甲に当たると、かなり痛いかもしれません。
>>346 「やっと剣が大人しくなりましたね!
ではどちらが広く防火帯を作れるか勝負です!」
変な所に対抗心を燃やすフラポリーですが、今はそれどころではありません。
理由は江戸城の様子を見れば明らかになります。
>江戸城
「お値段以上との触れ込みだが、値段分の働きしかしていない。」
宇宙の果てに消えていった丸い玉を見ながらデウスは言います。
「しかし千両でこれだけの高度が買えたなら十分。【起動せよ】」
【起動せよ】
遠く離れた蝦夷、琉球で、さらに山上で海中で、同じ声が聞こえます。
「あれはなんですか?」
視点をもう一度サヌキ島に移しましょう。
フラポリーが指さす東の空から半透明の壁が出てきて、日剣を囲むように覆い始めました。
あれは宇宙の危険から日剣を守る防護壁の一種です。
害どころか益しかありませんが、完成すると飛行船で日剣を出るのは不可能になります。
>>346 「鞘……なるほど、剣は力の象徴で、鞘はそれを制御するものを表すわけね」
エクスカリバーの鞘と同様の理論である。
>>342 「そうだ、三種の神器!」
そういえば、八咫鏡は彼女が持ったままの筈だ。
そして、魔法を跳ね返す力があるという説明があったが、
「でも、精神の無い奴に魔法は使えないじゃないの。
そろそろ炎も品切れみたいだし」
アイリスは八咫鏡を持ったまましょんぼりしている。
ゴーレム、特に精神を持たないものは魔法を使ってこない。
炎は天叢雲剣の力で防がれているので、これ以上の新機能が無い限り、鏡だけ無用の長物と化してしまった。
果たして八咫鏡の設定は回収されるのだろうか?
>>343 「精神の無い相手に精神攻撃は効かないのよ!」
アイリスはそう警告した。
が、微かに悲鳴のようなものが聞こえた。何らかの効果を発揮したらしい。
>>347 突如飛び去る謎の物体。
古代後魔法と暗黒魔法のレパートリーのおかげで万能なアイリスでも、これには対処が難しかった。
知らない場所には《テレポート》はできず、飛んでいったのはよく知らない物体なので《リマンド》も使えず、
当然ながら自分の所有物ではないので《アポート》でも取り寄せられない。
空を飛んで追いかけようにも、吸血鬼の飛行能力はそれほど速度は出ず、《フライト》でも速度が足りない。
「見て!何かが飛んでいったわ!きっと何かの伏線に違いない!」
アイリスは、とうとうメタメタな発言を自重しなくなった。
「でも今は、とりあえずデビルフィッシュ・ゴーレムの始末を!
――天空に輝ける星々の子よ、我が召喚に応じて疾く来たれ!
皆、《メテオ・ストライク》を使ったから退避して!
「ほわああああああああああ!!」
「大変、誰か逃げ遅れたわ!」
9章ラストと同じく、また《メテオ・ストライク》をぶちかました。
だいたい10メートルくらいの大きさの隕石が降り注ぎ、タコゴーレムに直撃、大爆発を起こした!
果たして!タコゴーレムの運命は!
あと、近くにいたNPCのうちの誰かが逃げ遅れたらしい。その人の安否はどうなったのだろう。
>346
「ありがとう……アテナちゃん、ニケ君」
デュープリズムから思念が伝わってくる。
〈これは遥か古より続く悪しき因果を断ち切る剣。その時まで任せてください〉
「大丈夫、きっとそこまで待たなくていい……」
テュポーンを制御できるようになるまでにはそれ程長い時間はかからないだろう。
おそらく他の秘宝が全て集まった時か、はたまた境界を司るソフィア復活の時か。
>347
ブーメラン的に戻ってきた勾玉をキャッチする。
「戻ってきたという事は使い方は間違ってなかったらしい」
と、一人で納得しておいた。もしかしたら対機械特攻武器なのかもしれない。
それにしても飛んで行った物体は何だろう。
>348
>「でも、精神の無い奴に魔法は使えないじゃないの。 そろそろ炎も品切れみたいだし」
「テイルの一人称語りは信用ならないぞ! 鏡だし魔法非魔法拘わらず光系の攻撃をはね返すのかも」
メルちゃんがアイリスさんに入れ知恵をはじめた。
「そこ! ナチュラルに地の文受信すんな!」
が、タコゴーレムが光線を打ってくるのを待つ暇もなかった。
>「皆、《メテオ・ストライク》を使ったから退避して!」
>「ほわああああああああああ!!」
「みんな早く秘空艇に乗ってー!」
「緊急発進〜〜!」
阿鼻叫喚。
>「大変、誰か逃げ遅れたわ!」
「それは大変だ! いない人は手を挙げて!」
自分で言っておいて何かがおかしいような気がする。
>>344 (つついただけで破壊された。フランドール・スカーレットと似たような能力者の持ち主か?)
フランドールスカーレットはありとあらゆる物体が持つ点を見抜き、破壊する能力を持ってる。
ルーミアがこの能力によって破壊されないのであれば、一休が持つ能力はなんら脅威ではない。
だが、運の悪いことにルーミアであっても、それから逃れることはできない。
(今のうちに始末しておくか)
フランドールの能力は点を見抜けなければ、発動することはかなわない。
おそらく一休の能力もおそらく、それと同じだと推測される。
暗闇で覆い、眼球を抉り出してしまえば、発動すらできまい。
だが、今は味方だ。
今の自分の立ち位置であれば、何ら脅威ではない。
(それになにより、あれを始末するのが先だ)
ゴーレムの頭が二つに割れ、丸い何かが飛び出てきた。
その速度は空を飛ぶよりも早く、普通に飛んだだけでは追いつけそうにない。
だが、その軌道は非常に単調そのものだ。
「さあ、主の居場所をはけ」
転移魔法で先回りし、まっすぐ飛んでくる球体を思いっきり握りしめた。
球はフルフルと左右に震え、返答を拒絶している。
「吐かぬなら死ぬことになるぞ」
球体にひびが入った。
ルーミアは人間よりも力が強い。
ひびを入れることなど、鼻息をふくぐらい簡単だ。
―ぬ、主は江戸城にいます。
球に表情筋の類はないが、おそらく安どの表情を浮かべているはずだ。
「返答感謝する」
だが、ルーミアはどちらかというと悪の立場にいる妖怪だ。
何もせず、解放するという言葉はルーミアの辞書にはない。
そのまま、謎の球体と一緒に飛空艇へと乗り込み、謎の球体を拉致監禁してしまうのであった。
「あらら…捨て身の攻撃か大きな賭けに出たもんだが…片腹痛いな」
髪が燃え上がり、不動明王剣を構えると尋常じゃないほど憤怒の炎が燃え盛る。
「ガルダ!アレやるぞ!!」
そして同調するように大きな声で劈く
【お前の復活記念の最初というわけか…いいだろう!】
ガルダの全身を金色の炎が覆い隠し、まるで火の鳥のような姿になりゴーレムに向かう
「【真不動明王炎舞一閃!】」
その一撃が切り裂くと同時に、その熱量によって胴体が一瞬で溶解、昇華される。
「ちっ、頭を逃したか…」
追撃しようとすると天空から隕石の雨が降ってくる。
「明王!急げ!」
「早く乗ってください明王殿!」
いつの間にか飛行艇に乗っていた一休・弁慶ペア。
「…しょうがねぇ一旦下がるか」
ガルダを使って上手く避けながら飛行艇に着地する。
>350
「ルーミアさんがまたいない!」
逃げ遅れたのはNPCじゃなくてPCだったようだ!
と思ったら謎の球体を持って戻ってきた。
テュポーンの鞘にエレメントセプターを向けて聞いてみる。
「あの球体はあなたの仲間ですか?」
〈……。そのような気がしますが何か雰囲気が違うような気もします〉
よく分からないようだ。
謎の球体の主人は江戸城にいるらしい。
「じゃあ江戸城にいってみる?」
レオ君が外の半透明の壁の方を指さしながら言う。
「でもあの壁が完成したら出られなくなるかもしれないぞ」
さあどうする!?
その横でメルちゃんが一人で何か言っていた。
「こうして光の勇者御一行は、当初の敵勢力の頂点、死霊皇帝との和解を果たした。
駄菓子菓子。
境界の神ソフィアの過激派が新たな敵として台頭し、様々な勢力が入り乱れる!
第11章開始!」
>>348 >皆、《メテオ・ストライク》を使ったから退避して!
「《メテオ・ストライク》?」
魔法音痴のフラポリーですが空を見れば魔法の効果がわかります。
隕石落としですからね。
《メテオ・ストライク》→隕石をぶつける→相手は死ぬ。
>「ほわああああああああああ!!」
>「大変、誰か逃げ遅れたわ!」
「もう手遅れですあきらめましょう!」
フラポリーは薄情にもさっと飛行艇に逃げ込んでいました。
>>349 >「それは大変だ! いない人は手を挙げて!」
「先生!武たちと黒い人がいません!」
いない人を列挙するフラポリー。
しかし
>>351で武さんたちが戻ったので後はルーミアさんだけです。
>>350 >>352 >「ルーミアさんがまたいない!」
「黒い人の名前はルーミアですか。」
フラポリーはテイルに言われてルーミアの名前を覚えます。
自己紹介されていないので名前も目的も知らなかったのです。
聞いていても興味は示さなかったでしょうけどね。
>「でもあの壁が完成したら出られなくなるかもしれないぞ」
「固そうな壁ですね。」
フラポリーは窓から斬馬刀を伸ばして壁を叩きます。
カンカンと澄んだ音が聞こえてきました。
壁の外の景色は真っ赤だったのですが、すぐに暗い世界に満天の星空に変わります。
実は防護壁は完成していて日剣は宇宙に到着したのです。
ちなみにガイアはまだ下方向にあるので目視はできません。
「近くに大きな星がありますね。
食べ物もありそうです。」
フラポリーは衛星ルナを見ています。
江戸城には興味がないようです。
>>351 戦いは終わった……
>>349 とりあえず戦いが終わったので、アイリスも何食わぬ顔で飛空艇に乗り込んだ。
「ルーミア?ルーミア!あと名前思い出せないあいつ!そういえばあの子たちが居ないわ!」
>>350>>353 結局、主だったメンバーは全員帰ってきた。
「あっ、戻ってきた。って事は……
さっきのけたたましい悲鳴は、一体誰のだったのかしら?」
結局、NPCと書いたものの、NPCの犠牲者は出ていないようだった。
誰が犠牲となったのだろうか?答えはCMの後、ライトファンタジー第11章で!
「テイル」
アイリスは、テイルの持つテュポーンを見遣った。
「それはあんたが使った方が良いわ」
>>331でもあるように、テュポーンはガイアとタルタロスの意思に反する者には使えない。
アイリスには、今のガイアとタルタロスからは認められない可能性が高い。
「もし、あんたが境界とも和解をしようと思っているのなら、悪いけど、わたしとはここでお別れ。
わたしの存在は、境界との和平交渉を行うにあたっては、ものすごく邪魔だと思うし」
そう、アイリス自身がテイル達と敵対する理由も無い。
かといって、境界の勢力とも和解を成立させようと思うと、
ティターンの血をひくアイリスの存在は、非常に都合が悪いのである。
「テイル、その剣に刻まれた紋様を見て」
俗に言う陰陽マーク、つまり太極図だ。陰と陽、つまり光と闇の均衡を表している印である。
「そう、よく見て。黒と白の間に線が引かれていない。境界があるようで、実は無いのよ。
だから、その剣の力はとても不安定なの。均衡が崩れた瞬間に陰陽の形が崩れて、暴走するわ。
それの力の均衡を保って完全にしたいのなら、その剣は境界を取り込む必要があるはず」
アイリスは適当なことを言っているが、どれも的を射ている気がする。
何より、テュポーンの力が不安定であることや、
元々は境界の神が光と闇の均衡を司っていたこともあるので、説得力はそれなりにある。
「わたしは、ほとぼりが冷めるまで行方を晦ますことにするわ。敵が多いし。
それじゃあ、また会う日まで……」
アイリスは《テレポート》で、自分のアジトへと引き上げた。
アイリスは何かを落としていった。
簡素な瑠璃の杯は、闇の聖杯と呼ばれている秘宝だ。
回収し損ねた伏線かと思いきや、
「不浄な力を増幅する秘宝である」という設定以外、実は何も考えていなかった品である。
メテオストライクが落ちた場所にいたのはイザナミだった
神威から天叢剣を受け取り、剣の力を使い結界を張り直そうとした時に直撃したのだ
直撃だとしてま、彼女は原初の神だ。
その程度ならば夕立に降られたのと同じぐらいだが、彼女の仮面にはヒビが入っていた
「…………ッ」
良識はある神だ。
暴れることは無いだろうが、誰かにとんでもないことを起こしうる可能性があるかも知れない
>353
>「固そうな壁ですね。」
レオ「って……もう出られないんじゃね!?」
>「近くに大きな星がありますね。 食べ物もありそうです。」
「でもこの壁相当堅そうだよ。どうしよう」
>351
「もしかしてタケル君はずっと裏人格のままなのかな?」
メルディ「なんかすごい人の生まれ変わりだったみたいだよ」
>354
>「テイル」
>「それはあんたが使った方が良いわ」
「そうかな」
章が変わったので今は3,5等身に戻って引きずっている状態である。
>「もし、あんたが境界とも和解をしようと思っているのなら、悪いけど、わたしとはここでお別れ。
わたしの存在は、境界との和平交渉を行うにあたっては、ものすごく邪魔だと思うし」
「そうなの!?」
ほっとしたような残念なような複雑な気持ちである。
>「それの力の均衡を保って完全にしたいのなら、その剣は境界を取り込む必要があるはず」
「分かった、やってみるよ!」
妖精はガイアの眷属の筆頭でありながら、翼の色は白ではなく、境界の眷属のイメージカラーである虹色。
ここに何か和平への糸口が隠されているではないだろうか。
>「わたしは、ほとぼりが冷めるまで行方を晦ますことにするわ。敵が多いし。
それじゃあ、また会う日まで……」
「そうだね、じゃあソフィアと和平した後に……!」
アイリスさんがテレポートで消えてから呟く。
「彼女は一体……」
彼女は確かに多数の被害者を出した。
が、そこはあえて取っ払って歴史的重要事項のみを列挙してみると
血の魔石を消去し、第六天魔王を討伐し、さらには光と闇の融和の決め手を作った。
後世の教科書に“多くの犠牲を出しながらも平和の礎を築いた英雄”とか書かれかねないぞ!
「あ、忘れ物……」
アイリスさんは簡素な瑠璃の杯を落としていった。今更どうしょうもないので貰っておく。
使い方はよく分からないがパーティーに闇の眷属やアンデッドが加入した時に役に立つかもしれない。
霜壁ちゃんがフラポリーちゃんが持っている剣を見て何かに気付いたようだ。
『それは麗水が作った剣ではありません。いつの間に入れ替わったのでしょう』
「でもどう見てもそっくりだし防火地帯もできてたよ!?」
神威さんによると、今回手に入れた天叢雲剣はイザナミさんに渡して
その時に先代の天叢雲剣を代わりに受け取っていたそうだ。
タイミングはおそらく、各人の意識があやふやになっていたガイアと死霊皇帝の契りの時だろう。
つまりフラポリーちゃんが持っているのは先代の方だった事になる。
「天叢雲剣って霜壁ちゃんの子どもが作ったのが最初じゃなかったの?」
「三種の神器はどれも創世の頃からあると言われていますからね。
そして天叢雲剣は数千年に一回新生し、新しい方に力が移ると言われています」
と、琴姫さんが解説してくれた。
「なるほど、先代の方にも便利機能は残ってるから普通に使えたのか!」
と、謎が解けたところでこれからどうするかが問題である。
「コノハナ陛下のところに行って相談してみようか」
江戸に行くにしても道中である。
それに江戸城の黒幕がボク達を待つ気がないなら急いだ所で間に合わないだろうし
何らかの理由で会いたいのだとしたら行くまで根気強く待っててくれるだろう。
不動明王と魂は同化したが、武自身の記憶が消えるわけではない
むしろ人格が不自然のない形で融合・共有され、武でもあり不動明王でもあるのが
今の状態であった。
そのお陰か、憤怒の炎を自由自在に操ることができ霊力や身体能力が
通常時でも上昇していた。
外見的にも、髪が一部赤に染まり片目も赤く煌めいていた。
「完全に覚醒した…お前には過酷な運命が待っているだろう
だが、決して屈するな…屈すればそれは守るべきものが、愛するべきものが
全て無くなる。お前が諦めぬ限り俺は力をお前に貸そう」
不動明王が最初に自分の中でに放った言葉であったため、この言葉の意味を
考えていた。
「過酷な運命か……おもしろいでござるきっと乗り越えてみせるでござるよ」
呟きながら外の光景を見ていた。
>「コノハナ陛下のところに行って相談してみようか」
「報告も兼ねてそれもいいかもしれないな」
「…そうかもしれないな弁慶」
元の姿に戻っていた一休・弁慶はそれに賛成する。
もっとも一休和尚はこの事になにか虫の知らせ的な物を感じていたが
>>352 >「でもあの壁が完成したら出られなくなるかもしれないぞ」
「安心しろ。いざとなったら、転移魔法で飛ばせばいい」
壁の種類はわからないが、光系統の魔法で編まれているいう感じはなかった。
ルーミアの使う転移魔法は闇の力でトンネルを作るタイプなので、
光系統の魔法で作られた壁を通り抜けることは基本的にはできないのだ。
(ルーミアの場合、闇中でもかなり高位に属するほうなので、強引に潜り抜けようと思えば、抜けられますが、力をそれなりに消耗してしまいます)
>>354 >「わたしは、ほとぼりが冷めるまで行方を晦ますことにするわ。敵が多いし。
それじゃあ、また会う日まで……」
今のところは敵対するつもりはないようだ。
>>365 ティルの手にある瑠璃色の杯を見た。
それは暗闇がかった青色をしており、装飾らしい装飾は一切ない。
闇の力を増幅する作用があるならほしいところだが、
特に効果がわからないので、
とりあえずティルの手にあるままにしておいた。
到着後、しばらく時間が経ったが、いつまでたっても黒幕は襲ってこない。
あまりに暇なので、江戸城に向かって巨大な暗黒球を発射することにした。
>「コノハナ陛下のところに行って相談してみようか」
「そのコノハナ陛下というのは誰なのだ?」
江戸城ははるか遠くにある。
到達するのはかなり時間がかかると思われるので、到着するの待つ間、耳慣れない人物の素性について聞くことにした。
>>354 >「わたしは、ほとぼりが冷めるまで行方を晦ますことにするわ。敵が多いし。
「その方が良いのです。敵が多いし。」
フラポリーはうんうん頷きます。
かなり薄くなってはいますが、まだ怨が残ってるんでしょうね。
>>356 >「あ、忘れ物……」
「これは大変です!」
フラポリーは闇の聖杯に第六天魔王のシャードを乗せます。
不浄な力が強化されて黒い煙状の魔力が漂い始めました。
「【だーくぱわー】は妖精が持つと、光と闇が備わって最強に見える!」
フラポリーはそう言って聖杯をテイルに委ねます。
さっき協力体制を組んだから心配は無いでしょうけどね。
光と闇が混ざれば何色が出来るのか楽しみです。
>>357 『それは麗水が作った剣ではありません。いつの間に入れ替わったのでしょう』
「それではこの剣は私が美味しくいただきます。」
フラポリーは草薙の剣(旧)を装備した!
フラポリーの攻撃の威力がアップし攻撃の範囲がダウン!
>「コノハナ陛下のところに行って相談してみようか」
>「そのコノハナ陛下というのは誰なのだ?」
「大きな椅子に座った美味しそうな女の子です。」
フラポリーは見た目の感想を言いました。
【京都】
コノハナ陛下のいる京都の町は平穏でした。
町の民に危険はないとの陛下の発表の賜物です。
しかし皇居の方は平穏ではありませんでした。
「武様ーッ!弁慶様一休様ッ!
それからついでに光の勇者御一行の皆様!
大変でございます!
コノハナ陛下がひび割れた仮面の女に連れ去られてしまいました!」
ひび割れた仮面の女は
>>355の人ですね。
「さらに江戸城から書簡が届いております!これを!」
重臣たちが差し出す手紙にはこう書いてあります。
【我はガイアに変わりこの地を守護するものとなった神、デウスなり。
天皇コノハナに内々に通達すべき旨ある故、至急江戸城に登城せよ】
「コノハナは美味しそうだったので人食い仮面の女に食べられたのです。」
フラポリーの感想を聞いて重臣たちはさらに慌てます。
「いかが致しましょう武様ーッ!弁慶様一休様ッ!
それからついでに光の勇者御一行の皆様ーッ!」
大きな大人たちが取り乱しているのは、ちょっと見苦しいものです。
>358
>「過酷な運命か……おもしろいでござるきっと乗り越えてみせるでござるよ」
「完全覚醒してもござる口調健在かー。良かったー」
タケル君がござるじゃなくなったらなんとなくつまらないからである。
>359
道中でルーミアさんが江戸城の方向に向かって暗黒球を飛ばした。
「この距離で当たったらすごいぞ!」
ルーミアさんはかなり高位の闇魔法の使い手のようだ。
この世界にあてはめるなら闇の眷属になるだろうが、妖怪だから境界の眷属のような気もしなくもない。
>「そのコノハナ陛下というのは誰なのだ?」
「日剣の王様みたいな人だよ」
>360
「【だーくぱわー】は妖精が持つと、光と闇が備わって最強に見える!」
「そう言われてみればそんな気が……!」
持っていると闇魔法が強化されるかもしれない!
【京都】
>【我はガイアに変わりこの地を守護するものとなった神、デウスなり。
天皇コノハナに内々に通達すべき旨ある故、至急江戸城に登城せよ】
「なんたる由々しき事態……! 天皇家は光の女神アマテラスの末裔なのだ!」
と、血相を変えた彦磨呂さん。
「デウスはガイアの座を乗っ取ろうとしてる奴……ってことは……」
きっと酷い事をされるに違いない!
「でもなんで連れ去るのにわざわざ手紙を出したんだろう」
「手紙を出したものの待ちきれなくなったから部下にさらわせたんじゃない!?」
「いや、誰かが陛下をデウスからかくまうために連れ去ったという可能性も……」
様々な憶測が乱れ飛ぶ。
ほっしゅ
緊急保守
レオ「なんかすごく揺れたけど、みんな無事かー?」
メルディ「宇宙を飛行中の日剣の上空の飛空艇ですが何か」
舞台はうって変わって、ガイアとは別の世界・ラクシア。ソードワールド2.0でお馴染みの世界である。
今、人族の英雄が立ち向かっているのは、生まれながらの悪の帝王とされる魔物・ドレイクだ。
その悪の帝王だが、やはり悪が栄えた例は無く、とうとう追い詰められ、崖を背に戦っている。
だが、そのドレイクに対峙した英雄達も、死屍累々とまではいかないものの、もはや戦う力も残されていないほど消耗している。
ある者は膝をつき、ある者は気絶して横たわっていた。
そんな中、一人の戦士だけが武器を構え、果敢にドレイクに立ち向かっていた。
ドレイクは切り札である竜変身の能力を解禁しており、戦いはいよいよクライマックスだ!
「くたばれ、このクズ野郎め!俺様のウォーハンマーの餌食にしてやるぜ!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
戦士が放った決死の一撃により、竜へと変身したドレイクの巨体が崖から転げ落ち、奈落の闇へと吸い込まれていった。
「やったやった!もう最高だもんね!」
「あの野郎、崖から無様に落ちていきやがったぜ!ざまあみろ!」
「今頃は地面に叩きつけられて、潰れたトマトになっているだろうよ!」
「今度こそヤツもおしまいですね!これでわたしたちも枕を高くして寝られるんだわ!」
人族の英雄達の活躍により、悪しき蛮族の野望は打ち砕かれたのだ。
英雄達は、大事を成し遂げた喜びを堪えきれずにいた。
果たして!崖下へと転落していったドレイクの運命は!
そして舞台は数十年前のガイアへと移る。
崖下には空間の歪みが生じており、ガイアへと通じる異次元ゲートが開いていたのだ。
「この俺としたことが、人族ごときに遅れをとるとは……」
このドレイクは、ただちに回復魔法を用いて傷を癒すと、人間形態に戻って、周囲を見渡した。
そこは辺り一面が荒野で、上を見上げれば満天の星空が広がっている。
「しかし、ここは何処なのだ?どうやらラクシアではないようだが」
かつて、彼は王者として振舞っていたが、敗北によって地位も部下も失い、プライドも粉砕された。
今、未知の大地に一人立ち尽くしている彼は、一匹の魔物に過ぎないのである。
自分が今立っている場所が、生まれ育ったラクシアの大地でないことは、
ラクシアではついぞ見たことのない怪物が近くに居ることで判断できた。
その怪物とは、伝説上の生物である麒麟に似た黒い馬である。
麒麟のような怪物は、異世界からの侵入者であるドレイクを睨みつけた。
「コオオオ……この黒竜丸を前に、物怖じせずに相対するとは、どうやら肝は据わっているようだな」
黒竜丸は死を司る流星の化身で、世界を破滅させようと目論む邪悪な魔物である。
黒竜丸について詳しく知りたい人は、スクウェア・エニックスから発売されているドラゴンクエストIXをプレイするのだ。
「だが!その恐れを知らぬ傲慢さが気に入らん!
地上の支配者気取りの人間どものことを思い出す!実に不愉快だ!」
黒竜丸は怒りに任せ、地獄の雷を呼び寄せ、ドレイクを滅ぼさんとした。だが!
「黒竜丸か……良い名前だ。だが、お前にはもったいない!」
「ぬわーーっっ!!」
ドレイクは不敵な笑みを浮かべ、神速の剣さばきで、逆に黒竜丸を切り伏せた。
「そうとも、黒竜の化身たるこの俺にこそ相応しい名だ。
今より俺は、黒竜丸と名乗るぞ!」
黒竜丸の骸を踏みつけ、自らが黒竜丸であると宣言した。
こうして、ガイアの平和を脅かす悪の魔人・黒竜丸が誕生したのである。
そうした出来事があったのが数十年前のことだ。
黒竜丸の生い立ちなどは、本編とはあまり関係ないので、読み飛ばしてもまったく問題は無い。
今度は現在のガイア、和風ワールド日剣へと舞台を移そう。
仮面の女性・イザナミに手を引かれているコノハナ陛下。
だが!その背中にファスナーがあり、そこから出てきたのは黒竜丸だ!
「貴方は黒竜丸!どうやって化けていたのですか!
明らかに無理があるでしょう、大きさ的に」
面食らったのも無理はない!
「知らないのか?日剣のニンジャ・マスターは、神の目をも欺くことができる」
黒竜丸は自信に満ち溢れた調子で、そう豪語した。
そして、イザナミをも欺くことに成功した以上、それは紛れも無い事実なのである。
「デウスからコノハナを守ろうとしたのだろうが、そうはいかん。
今頃は、別働隊がデウスのもとにコノハナを送り届けているぞ」
あのドレイクが黒竜丸を名乗るようになってから数十年、時間は彼に進化をもたらした。
彼は修行によって新たなパワー、すなわち日剣の忍術の奥義を体得したのである。
忍術とは密偵と暗殺者の技術であり、その極意は敵を欺くことだ。
その中でも、変装は黒竜丸が最も得意とする技術である。
怒りと焦りを露にしたイザナミは、恐ろしい魔力の奔流で黒竜丸を攻撃した。
だが、忍者の軽業とドレイクの飛行能力とを組み合わせた、異常な体術によって回避された。
「おっと、神と直接戦うのは、忍者の仕事ではない。此処は退かせてもらう」
そして、流星のように素早く飛び去ったのである。向かう先は江戸城だ。
「おのれ黒竜丸!」
「うッ!」
大騒ぎの勇者ご一行側の出来事です。
騒ぎの中で餅を食べていたフラポリーが急に倒れました。
もちろん餅を喉に詰まらせたのではありません。
「よいしょ・・・あれあれ。体が思ったように動きませんね。」
フラポリーは倒れたままで餅を食べづけています。
別に痛みも無いのですが体が動かないようです。
「おい誰か超医者連れてこい」
「治療室に運ぶぞな!担架持って来いな!」
日剣では毎年餅を食べた人に死者が出るので処理も迅速です。
たちまちフラポリーは担架で運び出されてしまいました。
「なんやえらいことになっとりますなあ。」
フラポリーが運び出されるとすぐ、頭にターバンを巻いた男が勇者一行に話しかけてきます。
「わいはイース・アクバルちゅう商人ですわ。
燃える水売らせてもらって、日剣でもぎょうさんもうけさせてもらっとります。
あんさんらも何ぞ必要なもんあったら、わいに言うとくんなはれ。
よろしゅう頼んまっさ。」
男はいろいろな地方の方言が混ざった言葉を話しました。
訳すと「僕は金の亡者の商人イースだよよろしく」と言ったのです。
「実はわい、予知夢が見れましてな。
今回の騒ぎもそれで前から知っていたんですわ。
どえらい揺れがあって日剣が浮きましたやろ?
あれ、実は江戸城にいるデウスの仕業ですねん。
神隠しに会った天皇さんの居場所はわかりまへんけど、江戸城行けばなんぞわかるかもしれまへんで。
そこでどうでっしゃろ。わいを江戸城への道案内に雇ってもらえまへんやろか。
魔法も使えるから旅の邪魔にはなりまへんで!
お代は安く勉強させてもらいますさかいに!」