「お見事です…カフェ殿なら必ずや敵の攻撃を防ぐと信じておりました…。
事前に防御陣の構築を知らせないのも実は計画のうちです。
前もって攻撃を知っていては、あの死髪の目の発射速度に反応すらできません。
何かを考えてしまっては、どうしても脳のインパルスが筋肉に到達するまでに一瞬の遅れがあるでのです。
ですが死と隣り合わせの危機が、先程の神がかった反応速度での緊急回避を成し遂げさせた…。
要するに…全ては私の綿密な計画の通りだったのです。」
と、したり顔でカフェの瞳をじっと見つめながら嘘だかホントだか分からない解説を始める。
どうでも良い事だが、人は嘘をつく時には饒舌になるという。
「それにしても怪異の原因は元宰相の所持していたノートでしたか。
いえ…それが本当かどうかを検証するためにも試しに何か書き込んでみましょう。」
李珠は書き込んだ事が現実に起きるノートなのかと期待しつつ、筆ペンを走らせる。
ノートに『平成の世に戦国の乱世を再び』と書き込もうとするものの、
『ERROR:アクセス規制中です!!』と言う文字が浮かび上がってインクを弾き、何も書き込めない。
「…書けませんね。とりあえず書き込めるようになるまで待つしかありませんか…。
これは危険な力を秘めているようなので私が管理しておきましょう。」
何食わぬ顔でそのままノートを懐に仕舞い込む。
ちなみに霊的な物品の収集は、悪用を防ぐためにそれなりの資格が必要だ。
そして誰からも突っ込まれなかったが、李珠は普通にGS免許は取得していない。
「では、後は国家機関に任せて私たちは戻って戦勝の祝杯を上げましょう…。
秋葉原に新しく開店した冥土喫茶とやらに宴席を設けておきました。」