ロネの封印を解く野心を欲深いマンティコア僧どもに焚き付けたのは、臣めに御座います。
小魚が網の目を擦り抜ける様に、雑魚の妖魔が幾許か封印から漏れようとも、ロネの封印は、大魚たる太古の邪神を決して逃しませぬ。
ヴェンツェルの術はそれほどのもの。
封印の最奥の霊閂は外れませぬ。
この一連の怪異はロネの封印を解く為になど始めからしておりませぬ。
全ては皇祖ヤコブ陛下の為に!ヤコブ様を皇帝位に就かせんが為に!私めが謀った計に御座いまする。
ガラハド!貴様如きが陛下の聖剣を手にして赦されると思うか!不遜な愚物め!
その瑠璃色の三日月剣を陛下にお返しせよ!
くぉうっ・う・き・ぴぇすてぃーるる!
(白面の男は左手をガラハドに向けた。見えない空気の砲弾が飛び、ガラハドを吹き飛ばした。
喰魂のサーベルは宙を飛び、白面の男の元へ。
白面の男はサーベルを掴むと刀身を持ち、刃を自分の胸にあて柄をヤコブに差し向けた。)
マンティコア僧団を騙し利用する為に、私めは真実を明かしませなんだ。
猿どもは壊滅し、誰憚る要もありませぬ。
陛下。
私めは大メトイ帝国第五代皇帝ノビュータ・セワシブ陛下の臣、真の名をドゥーラ・エイモンと申しまする。
ノビュータ帝はヤコブ様の玄孫(孫の孫)。
臣めは、皇祖ヤコブ陛下を御護りせよ、とノビュータ・セワシブ帝より勅命を受け、未来より来たメトイ魔道臣に御座いまする。