(竜子は周囲に呼びかけたが、返事はなかった。
彼女は袋から手帳を取り出し、そこに浮かび上がった人名を読み上げようとした。
しかし、雑多なスライム兵とかゴブリン兵の名前が増えているだけだった。
猫目の男の名はもちろんのこと、難民の名さえ、一人として追加されてはいなかった。
つまり、先の魔王ビームでは、誰も死んでいないということだった。)
……ちっ。
ちょっと力を得たからといって増長している猫目の人をおしおきするついでに、
皆が仕事や学業で忙しい5月の真っ只中にディ○ニーランドで遊んでいるような奴等をイレースしそこねたようです。
まあ、彼らを裁くのは別の機会にしましょう。
(最高に冷静な竜子は、本当は難民たちを地獄に突き落とすことが目的だったことなど、億尾にも出さない。)
猫さん、聞いてください。わたしは今、とても不機嫌なのです。
(竜子はたまたま生き残った、その辺に居た猫を抱きあげて、一方的に話しかけた。)
これも主が与えたもうた試練なのか、最近は本当にロクな事がありません。
可愛がってた手下の『白の悪魔』に造反されるし、下手っぴな悪魔召喚で間違って呼び出されてしまうし……
おっと、いけません、わたしは常に冷静な心を保ち、職務に忠実でなければならないのでした。
(辺りを見渡すと、遠くに城が見えた(>604)。
竜子は良い獲物を見つけたとばかりに、城を指さして、魔王ビームを撃った。
すると、また大爆発して、キノコ雲が出た。
開いている手帳には、ものすごい勢いで名前が刻まれてゆく。多くの命が失われたようである。)
あれはソドムとゴモラを焼き尽くした神の火です。
毎日のように男の人同士で抱き合ってアッー!とか言ってばかりしていると、あんな風に天の裁きが下るのです。
猫さん、あなたは正しき心を持つ、良い猫さんのままでいてください。
(竜子は、トナカイの引くソリに乗って、ロネ山中の方へと去っていった。)