1 :
空手道場主 ◆rh2c4g265A :
-昔々、あるところに武術の盛んな島国が存在してました。
その国は各々の流派の武術家達に守られ、と〜っても平和だったそうです。
しかし。
繁栄の裏側にある争いは生き物のサガなのか…人間はどうしようもなく愚かでした。
”どの武術が最強か”などとどうでもいい事をのたまい、道場間で道場の潰しあいが始まりました。
そして。
長きに渡った道場間戦争の末、今や国に残る武術は12の流派のみ。
他国からの侵略があるかも知れないというのに、道場主達は悠長に鍛錬と道場経営と道場破りに
心血を注ぐばかり。戦う力を持つ者達に国を守ろうという姿勢が全く見られず、弱者たる国の民は
ただ恐怖に怯えながら今日の平穏と明日の安寧を祈る事しか出来ませんでした。
思い切って誰かがこの国の全ての道場を統一してくれれば良いのだが。-
銃器はないの?
3 :
名無しになりきれ:2009/04/19(日) 21:47:22 O
男は股間に強力な銃器をもっている
わしの名は龍(タツ)!この名門空手道場・龍冥館の二十二代目道場主である。
こう見えてもわしは若いころは熊殺しのタっちゃんなどと呼ばれたものよ!わっはっは!
…なぬ?今か?全盛期を過ぎた今、瓦を4、5枚割るのが精一杯でのう。
熊とタイマンなんぞしようものなら負けるに決まっておる!
だが心配はないぞ。我が道場で修業すれば、己の身を守る事くらいはできるようになる。
>>2 ないっ!!
いや、飛び道具を使う流派が一つあったのう…そう、手裏剣!
手裏剣道場・隠(なばり)の道場主、疾風(ハヤテ)の奴が唯一飛び道具使いの武術家として
知られておるわ。大体銃器なんぞは軍隊かなんかの戦闘を仕事にしている連中とは違うんだから、
武術家が使うわけなかろうが!バカモン!
>>3 ほう…そんな武術もあるのか?
少なくともこの国にそのような武術が伝わっているという話を聞いた事すらないがのう。
奥が深いものだ…。
5 :
名無しになりきれ:2009/04/19(日) 22:03:32 O
美少女空手家はマダですか?
道場主・龍「我が息子よ!そろそろお前がこの道場の道場主となり、この国の救国の志士となってはくれまいか」
虎示「そんな面倒ことしたくないよ。親父が勝手にやりゃいいだろ。俺はこの通り、ゲームに忙しいんだから
とっとと道場にでも行ってろよ」
俺の名は虎示。名門だか何だか知らないが、ずいぶん古くからあるらしいこのオンボロ空手道場の一人息子だ。
つっても実は俺、養子なんだよな(親父が結婚できなかったせいだろ、どうせ)。
んな感じで道場の一人息子ときたら、まぁさせられる事は一つな訳だ。「道場を継げ」…と。
そう…俺は跡取りとして幼い頃、龍という空手家に引き取られ、今日まで最強の空手使いとして
育てられてきた。おかげで俺は、殺人機械(キリングマシーン)の名を欲しいままにする程の強さを得た。
が、俺は道場なんて継ぎたくない。そもそも武術なんか好きでもない、ただ強いられてきたから
仕方なくやってきただけなんだ。何がよくて殴るわ蹴るわをしなきゃいけない?
俺は…毎日ゲームをして生きていたい。そうすれば、争いごとなんかに関わらずに平和に生きていけるし
何より楽しい。でも、親父は俺にどうしても道場を継いでほしいらしい。
最近頻繁に「道場主になれ」と部屋に言いに来るようになったおかげで、ゲームもゆっくりやっていられない。
龍「ようし、ならばこうしよう。とりあえずこの道場主登録用紙に名前を書いて、名義上の道場主になれ!」
だから冗談じゃねえっつーの!
虎示「あーもーうっせえなあ。道場主になったら、なんか知らないけどこの国救わなきゃいけないんだろ。
そんなの面倒くさくてやってられないよ」
龍「なんか知らないけど〜ではないっ!虎示よ…お前はこの国の現状を見ておるか?平和を守る為に
生まれた武術を偉大な先達から継承してきた筈の道場主達は、今や富や名声を得る為だけに
他の道場を潰そうと泥沼の戦いをするだけの武術家崩れの衆と成り果てた!
このままでは、愚かな闘いの末に国も数々の素晴らしき武術も全て滅び去ってしまうだろう…」
虎示「…ええと、今度の日曜に水族館に行かないか、っと…」
龍「コラーッッ!!こんな大事な話をしておるのに、何をお前は悠長にときメモなんかやっている場合では
なかろうがーっ!!!」
虎示「(なんでときメモを知ってんだよ…)ああほんとうるさいなちくしょーが。そんなさあ、潰し合って
滅ぶ程度の武術と国なら滅びた方がいいんじゃないのかぁ?」
龍「ばかものーっ!!お前がそれでよくても、良しとしない人間は他におるわ!!例えばわしがそうだ」
虎示「はいはい、100年以上の歴史があるウチの道場を潰したくないってんでしょ?そんなんいつも…」
龍「無論、それもある。だがな、わしは何よりもお前に最強になれる可能性があると思っているからだ」
虎示「いつも言うよな、俺に才能があるだの筋がいいだのってさ。誉めておだててもらったってこっちゃ嬉しくないのに」
龍「虎示、お前はこの熊殺しと呼ばれたわしをその若さで超えてしまっただけではない。
お前が神から授かった武術の才は、まさに天賦の才!恐らく、龍冥館の空手の極意を習得するだけに
留まるものではないだろう。お前ならば他の流派の武術すらをも習得できるに違いない!」
虎示「…はあ?何だよそれ、つまり俺に道場潰しの才能があるって言いたいの?」
龍「うむ!!いや正確にはな、ありとあらゆる全ての武術を…」
虎示「はあ…なんかもう疲れた。俺ちょっと出かけてくるわ」
龍「ん!修行か!気をつけてな!町の外には武術家崩れがおるからな、そいつらを手慣らしがてらに
退治した後道場で修行に望むが良かろう」
虎示「違うっつーの」
道場から一歩外へ出ると、町が広がっている。この国では原則として町は武術道場を中心に
成り立っており、道場が町で一番偉い。つまり、道場の人間は普通の町の人達よりも位が上って事になるんだ。
だがその分道場の人間には、道場と町を預かり守る義務がある。
面倒な話だよな。確かに今はどこにでも武術家がうろうろしていて、そこらで闘いが繰り広げられている
ような物騒な時代だ。けど、町の人間は勝手に自分達で身を守ればいいだろうが。武器を持つなりして。
どうしてわざわざ道場が町全体を守らなくちゃいけないんだよ。
町娘A「ねえ、知ってる?東の荒野で暴れている流れ者の集団がフー・マンチューの味方についたんだって」
町娘B「無所属の武術家は嫌だね、そうやって強い方には平伏しちゃって。…ああ、流れ者だから武術家じゃないか」
珍しく、町の外に人がいた。この時代は物騒なせいか町中で人の姿を見かける機会などほとんどないに等しい。
おかげで、もう20歳になるのに町の人の顔を全然知らないんだよな。
まぁ俺が道場に引きこもってゲームと空手しかやってこなかったってのもあるけど。
町娘A「あ、こんにちは」
虎示「こんにちは」
町娘B「あのさ、君ひょっとしてよその町の人?見かけない顔だよね」
虎示「(そりゃこっちの台詞だよ)れっきとしたこの町の人間だよ。あんまり外に出ないだけ」
町娘A「ですよねー。普通は外に出ず、お買い物もお家のパソコンから注文が当たり前の世の中ですから」
町娘B「「だけど、いずれ町の人が大手を振って外を歩ける平和な日がまた来るよ」
虎示「?何でそう思うんだい?」
町娘B「龍冥館道場主の龍様がいつも言ってるんだ。『わしの息子が道場を継ぎ、この国の道場を統一する時は
必ず来る!!』…ってね」
虎示「(あのバカ親父…!)は、はあ…そうなんだ。いつか来るといいね。じゃ」
町娘A「ところで龍様の跡取りで龍冥館の次期道場主の息子さん、見た事ある?」
町娘B「いや…。全く違う場所か時間に修行しているのか、道場で一度も会ってないんだ」
町娘A「町の皆が噂してるわよ、龍様に実は息子さんなんかいない、とか。私のおばあちゃんに言わせれば
龍冥館はすっかり衰えちゃったらしいし。あの道場、門下生は少ない上に女子供年寄りだけだものねえ。
町を守ってくれる筈の道場があんなんじゃ、ここもいつか他の道場の手に落ちてしまうかも…」
町娘B「情けない事言うなよ。あの龍様がああまで自分の子に期待しているんだから。
龍様の跡を継いだ次の道場主が、かつての龍冥館にしてくれるさ」
ネットでの情報によれば西の町にだけ最新の恋愛アドベンチャーゲームの限定BOXが今日入荷されるらしい。
俺はそれを手に入れるべく、わざわざ町を出て西の町のゲームショップへ徒歩で向かっていた。
いくらゲーム+フィギュアと書き下ろしイラストのテレカの為とは言え、よその町に行くのは可能な限り
やめておいた方がいいという事は俺も知っていた。何故なら…
流れ者・農民「おう兄ちゃん、有り金全部置いてきな。オウ早くしろよ」
こんな風に通行人から金品の略奪を狙う流れ者が街道に出没するからだ。こいつらは町にまで入り込んでは
こないが、人気のない場所に潜伏している。おかげでか弱い平凡な町の住民は全く外に出られない。
虎示「ふざけんな。お前なんかに渡すくらいだったらパチンコにつぎ込んでやるぜ」
流れ者・農民「ほお…久しぶりに威勢がいい奴が出てきたもんだ。聞いて驚くがよい!
我が流派は”裏少林寺”!」
いかにも農民崩れという格好の男は何やら大きな声を張り上げ、身構えた。
こいつは間違いなく敵。倒すべき敵だ。そう思った俺は…
流れ者・農民「少林寺の使い手・翔竜とは一味も二味も違う少林寺の技の冴えを見せて」
とりあえず相手の顔面めがけて飛び込み、そのまま前蹴りをくれてやった。
流れ者・農民「やるから覚悟し…ってあれ?なんでおれ倒れて…??」
虎示「おい、コラ。まだやるのか?」
流れ者・農民「そ…そんな!?おれが、このおれが何も出来ないままやられたのか!?
嘘だ、これは夢だ!現にアゴがメチャクチャ痛いが、こんなものはただの思い過ごしでおれは…」
虎示「そこで寝てろバァカ。お前ごときザコは大人しく畑でも耕してればいいんだよ」
流れ者・農民「あ…あうあう…」
俺がとっとと立ち去ろうと、踵を返した時。流れ者が俺を呼び止めた。
流れ者・農民「ど、どうかお情けを…金で許していただけるなら、もう…」
そう言って、俺に金を手渡すとそそくさと去っていった。手のひらを見ると決して多くはないが確かに金がある。
金を取られるところを逆に金を奪うような形になってしまった感がある…。
でもまぁ、いいか。この金で飯でも食おう。
改めて考えると、それだけの金額をたったの飛び蹴り一発でもらえたのだからあまりにもおいしすぎる。
…うーん、町の外で流れ者をいじめ…いやさ退治するのはとってもよい事なんじゃあないか!?
俺はこの時、不埒な理由だが初めて俺自身が身に付けた空手を使ってみたいと少しだけ思った。
道場破りの物語はまだ続くぜ。
アレ?何で俺の名前空手道場主になってるわけ?
だから俺は道場主なんかにゃならねーって!
>>5 知るかそんなの。
道場っつーとさ、むさっ苦しくて強面の男達が汗水流しながら稽古に励む姿を想像しちまうよな。
そんな汗臭そうなのよりはやっぱり可愛い女の子がいた方がいいに決まってるよ!
萌えっ娘クラスにまで行かなくていいけど、清涼剤感覚で女の子がいてくれりゃあ空気も違うしさ。
汗をこう、ふわっと宙に舞わせながら一生懸命正拳突きとかしてると…癒されるね。うんうん。
うちの道場に女の子がいたら少しは道場主になってもいいかなぁ、はっは。
続きだぜ!
「ひい…ひいい〜っ」
「あう…あう…」
「てめえら…弱い奴は大人しくしてろ!」
西の町にたどり着くまでの道のりで、流れ者と五度は遭遇した。弱いから別になんて事はないが
一人会ってから八、九歩程度歩みを進めただけで次の奴が出てきたような気がする…。
こりゃあ、この国の治安もかなり本気で荒れてるみたいだ。親父から話に聞いていたとは言え、久しぶりに
町の外に出たらこんなありさまになってるとはなあ…。世も末ってやつかね。
何はともあれ、目的地である西の町に到着すればもう安心だ。俺はさっそくゲーム屋を探そうと
町中へと足を踏み入れた…その時だった。
「おい」
「ん?何だぁ」
目の前に、そして道のど真ん中に、白い拳法着を身にまとった男が腕組みをして堂々と突っ立っている。
「ちょっとどいてくれねーかな、そこ」
「ここは翔竜の領地だ!!」
「はあ、そうですか。わかったから通りますよ…っと」
しょうがないので男の横を通り抜けようとするが、男は道を遮るようにやはり俺の前に立ちはだかった。
「ここは翔竜の領地だ!!」
「別にもう一回聞いてねーし…あんた何?通行の邪魔する気か」
「我が師は仰った。お前のようなよそ者は通すなと!ここを通りたければ私を倒してからにしろぉっ!!!」
「いや、あのさ…よそ者なのはそうなんだけど、俺ただゲーム買いに来ただけなんだぜ。何も悪いことしに
来たんじゃないんだからさ」
「問答無用!!ハチャーッ!」
拳法着男が寄声をあげ、本人的に気合っぽいものを放ちつつ拳をこちらへ向ける。
どう見ても闘る気だ。…なんで?こいつはどうやら翔竜とかいう奴の道場の人間のようだが、町を歩こうとする
よそ者は片っ端から攻撃していいとかはた迷惑な命令でも仰せつかってんだろうか。
町と道場を守るために殺気立っているにしても…これはおかしいんじゃないの?
「ハイッ!ハイッ!」
…とか考えている間に、拳法着男がゆったりと間合いを詰めてきて、真っ直ぐ拳を突き出してきた。
この突きに速さもなければ、届かない間合いで振っただけの単なる空振り。言っておくが俺は一歩も動いていない。
拳法着男は何故か当たらない突きを繰り出した。…もしかして寸止めのつもりか?
バカな野郎だ。
とりあえず俺は隙だらけになった顔面に飛び蹴りを二連続でくれてやると、目の前にいる敵だった男は
ただの道端で寝ている男と化した。
「くっ…悔しい…お師匠様…ガクッ」
何をしたかったのか俺にもわからないが、こいつは力の限り精一杯闘ったつもりらしい。言いたい事はあるものの
今は大人しく寝かせておいてやろうと思う。
「ったくよー。ここの町の道場主は人間不信にでもなってんのか?よそ者ってだけで通さないなんてありえね…」
邪魔者をぶっ倒し、ゲーム屋探しをしようと町中を歩いてみると…ついさっき倒したはずの拳法着の男がこちらへ
ずかずかと歩いてきた。アレ…?
「ここは翔竜の領地だ!!」
「…………」
なんだこりゃ。
「我が師は仰った。お前のようなよそ者は通すなと!ここを通りたければ私を倒してからにしろぉっ!!!」
うん、なんて迷惑極まりない事だろう。西の町の道場主は弟子を町中に置いてよそ者をとにかく通すなとゆー
命令をこいつら下っ端に出したに違いない。要するにそれは、安全と思った町中にまで敵がいるのを意味する。
何故(限定版の)ゲームが目当てで来ただけなのに、こんな目にあわなくちゃいけないんだよちくしょーめ!
俺以外のよその人が来たって同じように超困るじゃねーかよ。
神経質で攻撃的なアホ道場主が町を治めているせいでこれか!ふざけやがって…。
俺はこみ上げるやるせない怒りを目の前の相手に思いっきりぶつける。つもりだったが、飛び蹴り二発で拳法着男は
あっさりひれ伏した。
「くっ…悔しい…お師匠様…」
「うるせーばか!!」
二人目の拳法着男を倒した俺はゲーム屋を探した。こんなクソみたいな町に長居してられるか。
さっさとゲーム買って帰ろう…という俺の思惑とは裏腹に拳法着男と出くわし、同じ事をほざいては
襲いかかってきた。弱いし面倒だしで本当にこいつらとはやってられなかった。この道場の下っ端どもは
流れ者と違って金を手渡して退散しないのだ。せめて金出せばまだ闘る気になるんだけどな。
やっとの思いで見つけた念願のゲーム屋でも、俺を待っていたのはあんまりな仕打ちだった。
「あんたよそ者じゃな。これが欲しかったら金4500じゃぞ」
「はあ!?オイオイちょっと待ってくれよ…これの原価は金2250だぜ!?何で倍額になってるわけ!?」
「…ふん。よそ者に売ってやるだけありがたいと思え」
「ああ!?てめえ…それが客に言う言葉か!?」
クソな道場主がいる町は店までもがクソなんて恐れ入ったよ…こんちくしょーめ!!
ああもう、役場に怒鳴り込んでやりてーよ。
「…あ、よそ者ってだけでひでえ扱いをする町だから役場の人間もどうせむかつく連中ばっかりか。だよな…」
限定版は惜しいが、諦めて通常版を買うしかない。俺は、苦い思い出だけをくれた西の町から
去っていった。二度と来ないぞこんな町には…。
「今戻ったぞ。お前達、すぐにでも訓練を始めるから準備しろ!」
「はい。ただ、今日の訓練に全員は揃いませんが」
「…何があった?」
「実はお師匠様が戻られる前に他流派の者がこの町に乗り込んできて、手合わせをした弟子数人が
負傷しました」
「僕が留守であると知って乗り込んできたのか…いや、逆か。道場へは来ていないのだな?」
「目的は別にあったのか、道場にまで姿を見せていません」
「では、どこの流派の者が来たのだ?」
「弟子達によれば、恐らく空手かと…」
「空手…!龍め、他の町に干渉してこないと思っていたがな。どういった思惑があるのかは分からないが
最強武術・少林寺に挑戦するというのならば…この翔竜、受けて立つぞ!」
道場破りの物語はまだ続くぜ。
ん?
パンスト破りのスレか!いいスレじゃねぇか!
続きだぜ!
帰り道で何度かまた流れ者と遭遇し、その都度叩きのめしてやったりしながら俺は我が町へと戻ってきた。
西の町へ行って帰ってくるまでにどっと疲れた気がする。そもそも、収穫と言えば流れ者に手渡された
小遣い程度の金と疲労感と『西の町はよそ者に対してめちゃくちゃ冷たい』とゆー情報だけってのがなあ…
目的の物を手に入れる事ができずに帰ってくるなんて、まるで考えてなかった。悲しいぜ。
「ま、せっかく収入があったんだし飯屋にでも行くか」
俺は気を取り直して、道端の飯屋へと立ち寄った。
「はいよ焼き鯖定食お待ち」
「へえ、初めて見るメニューだけどなかなかおいしそうだな」
「こんなご時世だから大したもの出せないけど、ゆっくり食べてってくんな。せめて開店している日くらいは
しっかり店をやっとかなきゃって思うからねえ」
出された定食をのんびりと口に運びながら俺は考える。言われてみれば町中の店はほとんど閉じていた。
基本的にどの町でも営業中なのは武器屋、病院を兼ねた薬屋。店のおばちゃん曰くここも現在となっては週に
2、3日開店しているに過ぎず、客が一人も来ない日が普通になりつつあるらしい。こうも景気の悪い世の中なんじゃ
無理もない。この町とて滅多に道場破りが現れないだけで、町民が日々安心して暮らしているわけでは
ないのだ…と親父が言っていた。
「あーあ、己を武術家と自負している武術家はこんな時に一体何をやってるんだろうなぁ」
何の気なしに呟いたところで、飯を食べるよりも考え事に熱中して箸が止まっていたのに気がついた。
「いけね。飯が冷めちまう」
つーか、俺がなんだかんだと考えてもしょうがないじゃないか。単純に勢力拡大と強さの誇示が
したいが為の道場破りを狙っているような武術家どもに関わるなんて、そんな面倒そうな話はゴメンだ。
もしウチの道場に他の道場の奴が来て、道場を乗っ取られたとしても…生きていけなくなったりする
わけじゃないんだろうし。
「ところであんた、知ってるかい?今、龍冥館によその町の武術家が道場破りをしに押しかけてきている
みたいなのよ」
おばちゃんの何気ない一言に、箸は再び止まる。
「…なんだって?」
「あんたが店に来る少し前ほどだったかねえ。ウチの娘が龍冥館の弟子なんだけど、道場破りが来たって
言って慌てて道場に行っちゃったんだよ」
気が付くと俺は、飯屋を飛び出していた。
「あっ!ちょいと、あんた!20分以内に戻ってこなかったら食い逃げ認定するよ!!
…でもあたしも、ほんのちょっと見物してきたい気がするわねえ」
「どうしたのですか?僕の弟子を僅か数秒で倒したというのは何かの冗談だったとでも言うのですか?」
「くっ…違う…。それはわしがやったのではない…」
「ふん…噂に名高い熊殺しも衰えたものですね。期待外れにも程がありますよ」
「お前、お師匠様を愚弄するのか!?許さなッ―――」
「だめよ師範代!あなたでも相手が悪すぎるわ!」
道場の中心で一人の男が突っ立っている。その傍らには、倒れている親父の姿があった。
「親父ーッ!!」
そう叫ぶと、親父がこちらに顔を向けた。額の辺りから流血している。恐らく、これ以外にもケガを負っている。
そして親父をそんな目に遭わせただろう男がゆっくりと振り返った。男は坊主頭だが精悍な顔つきをしており、
眼を見れば少し前に相手をしていた道場の弟子やら流れ者なんかと違い、”かなりの使い手”であるのがわかった。
龍の刺繍が刻み込まれた純白の拳法着を纏ったこいつは間違いない…道場主だ!どこかの。
「虎示!」
「親父、これは一体…」
「このばかものーっ!!」
いきなり言葉を遮られ、怒鳴られた。…うーん、親父はまぁ元気そうだ。
「お前がよその道場にケンカを売ったせいで、仇討ちに来られてしまったではないかーっ!!わしももう
歳なんだから無茶をさせるでないわ、このドラ息子が!」
「お…おい、ちょっと待てよ。よその道場にケンカを売ったって何がよ?俺はんなもん」
「今日未明、僕の道場”天昇烈水”の弟子達が突如町に現れた空手使いに倒されたのだ」
今度は拳法着のどっかの道場主、もとい道場破りが俺の言葉を遮った。
…いや、それより。こいつ何て言った?弟子が、突如町に現れた空手使いに倒された?
―――アレ?
「えっ…じゃあ何か、よそ者が町に入ってきたら邪魔するように言った道場主はお前か!?」
俺が道場破りのハゲ頭を思いっきり指差して言うと、訝しげな表情でこちらを睨みつけた。ほんの僅かな間
救いようのない沈黙が道場内に漂った後、道場破りが静かに且つ気取った口調で言った。
「弟子を倒したというふざけた空手使いは貴様だったか。なるほど、見るからに短絡的な男だ」
「何ィ!?ふざけてるのはてめーの方だろ!領地内によそ者がいるってだけで通行の邪魔させやがって!」
ひそひそ…
「ラミカ、あの人って」
「ええ、今日町中で会った人ね。まさか龍様の息子だったなんて思わなかったわ…」
「彼が…次期道場主…」
「改めてみるとそこそこいい男じゃない?なーんか素行不良息子っぽいけど」
道場破りの物語はまだ続くぜ。
あのハゲ野郎め…許さねーぞ!(主に邪魔をしてくれた事に対して)
>>18 パンスト破りってなんだよ、意味わからねーぞ。…意味わからんのはこのスレ自体がそうか。
「必殺道場破り」というタイトルのレトロゲームが元ネタとか一言も言ってないし、小説仕立てで進めてるしな。
つーかな…
ここいいスレって程かぁ?でも、いいスレと言ってくれたのは素直にうれしいぜ。
毎日話を書くのはできないけどよ、よかったらこれからも読みに来てくれ。
24 :
大戦鬼:2009/04/27(月) 07:50:07 0
鬼丸流葬兵術!
「超低空大腿骨折りドロップキック!!」
鬼丸流葬兵術!
「ハレンチ固め恥骨折り!!」
続きだぜ!
龍冥館の道場内は、緊迫した雰囲気に包まれている。周りのただ成り行きを見守っている門下生達の視線が
道場の中心に立つ俺と、真正面の武術家に一斉に注がれていた。そして俺達は、互いに相手を睨みつけている。
…そう言えばこいつの名前、なんだっけ?あと流派もなんなんだ?
「空手使いの男よ、覚悟しろ。弟子達が倒され、我が領地を踏み躙った貴様を仏もこの翔竜も許しはせん!
ちょうど良い機会だ…貴様を倒し、この道場は僕がもらい受け」
なるほど、こいつが翔竜か。俺は、こいつのせいで、こいつのせいで―――
「俺だって許さねーぞッ!!」
「ぬ…!?」
「最初にケンカを売ってきたのはてめぇらなんだぜ…!こうなった以上最後まで徹底的に買ってやる!!
来やがれハゲ野郎!!」
言い放った俺は翔竜に拳を向け、身構える。初めてだった。俺が親父以外の相手にこうしてまともに構えをとったのは。
翔竜もまた、戦闘態勢に移行した。同時に俺達の周囲の空気も一変する。
「…ゆくぞ!ハッ!」
掛け声と同時に翔竜が鋭く踏み込んでくる。疾い!間合いを詰めた勢いをそのまま突きに乗せて
真っ直ぐ打ち込んできた。俺はすかさず右腕だけで防御した。
「ちっ!(しかし、反応できない速さじゃない!)」
翔竜が右足を俺の左腿めがけて振りぬこうとしているのが見えた。俺は構わず跳躍し、奴の上半身を狙って
飛び蹴りを放つ。両者の蹴りはほぼ同時に命中し、互いに間合いが離れる。
「やってくれるな…!」
そこへ間髪入れずに飛び込んで蹴る。今度は顔面にクリーンヒットし、翔竜だけがよろめいた。
「(さらにもう一撃いけるか!?)」
さらに追い打ちをかけようと思ったが、飛び蹴り後の着地の隙を狙った翔竜の掌打が俺の胸部にめり込む。
衝撃に耐えながら二歩ほど後退する。退がったのを見て、翔竜は素早く踏み込む。
「くらえ!翔破穿打!!」
「このバカヤロウが!」
上半身を捻り、円運動から生じた力をそのまま拳に乗せて翔竜が必殺の威力を持つであろう突きを打つ。
が、その拳は俺を狙った打点に向けて放たれる前に潰された。俺のカウンターの飛び蹴りが、翔竜の頭部に
またしてもクリーンヒットしていたからだ!さすがにこの一撃は効いたようで、翔竜は片膝をついた。
「く、なんという男だ…少林寺の速さについてくるとは…」
「残念だったな。俺の空手は親父と違って一撃にこだわってる訳じゃないんだよ」
傍らで弟子の一人に体を支えてもらいながら闘いを無言のまま見ていた親父の方を見て、俺は言った。
「虎示…お前またわしの教えをそっちのけにして自己流で技を編み出しておったな」
「別にそっちのけにしたんじゃないさ。ちょっと変えただけだぜ?」
翔竜の方に向き直った時には、すでに立ち上がっていた。こちらは当然次で決めてやる…と、身構えるのだが
相手は何故か棒立ち。ただ立っているだけの翔竜からは闘いを続けるという意志が見て取れない。
まさか降参するってか?
「ふん。思ったよりもやるようだな。決着の時はまた後としておこう」
「なに?そりゃどういう了見だ!」
「今日は我が少林寺に楯突いた愚かな弱小道場に僕の力を見せるだけのつもりで来た。つまり、今のは
私闘であって互いの名誉をかけた闘いではない。これがどういう意味か、わかるな?」
「わからんよそんなの」
じゃなきゃ負け惜しみだろ。と、心の中でツッコミを入れている隙に親父が口を出してきた。
「道場破りをしに来たのではなかった、そういう事だな」
「無論!そして、貴様ら空手使いとは”天昇烈水”と”龍冥館”、双方の道場の看板を懸けた闘いで
雌雄を決しよう!!」
「やはり、そう来るか…!」
いや、ちょっと待てお前ら。何がやはりそう来るか、なんだ!?
そんな事を言った親父の顔は何故だか嬉しいように見えた。俺の気のせいか?
「空手使いの小僧!貴様との再戦を己が道場にて待つ!だが、僕とて暇な身ではないのでね…
何時でも道場にいるとも限らない。まあ、明日決着をつけに来る勇気があると期待して待っていても
一向に構わないがな」
「んだとォ!?てめぇ偉そうに何様だ!?」
「虎示!!」
呼ばれて反射的に見たその時の親父の顔は、いつになく真剣なものだった。
「どうやら、お前はもう道場破りとなって闘わなければならぬ定めに飲み込まれたようだ」
「…………」
真剣な面持ちもほんのつかの間、もう一度親父の顔を見るとやはり何かこう…喜びに満ちていた。
道場破りの物語はまだ続くぜ。
あーあ、とうとう挑戦状まで叩きつけられちまったよ。
俺は挑戦権なんか獲得したかったんじゃないのに…
>>24-25 なんだてめーらぁ!?どこの道場のもんだ、くそったれが!
こっちゃむやみやたらに闘いたいわけじゃないんだからケンカ売ってくるんじゃねえっつーの!
ちなみに一つ教えてやるよ…俺達武術家は防御も一流でな。
どんなに強力な一撃でもたかだか一発じゃ致命傷は負わないんだ。まあそれなりの体力は削られるけどな。
なにここw
31 :
名無しになりきれ:2009/05/11(月) 11:19:38 O
美少女格闘家マダ?
32 :
名無しになりきれ:2009/05/16(土) 10:18:22 O
キャオラッ
作者多忙の為休載中だとよ…すまん。
えらく待たせちまったな、悪ぃ。続きだぜ!
かくして少林寺拳法師範・翔竜による龍冥館の道場破り(というか仇討ちが目的だったようだが)は
危機に駆けつけた俺の活躍により、失敗に終わった…のだが、別にこれで少林寺一派とウチの道場の
闘いは終わっていなかった。むしろ、本格的に双方の看板と威信をかけた試合を行わなくてはならなく
なったという。状況が悪化してるじゃねーかっ!!
「ふむ…丁度良く我が道場に名を連ねし空手家が一堂に会しているのだし、良い機会だな。
皆、わしの言葉に耳を傾けい」
親父がそう言うと、道場の門下生達は親父の目の前で規則正しく一列に並び、姿勢を整え正座した。
俺は親父の横に突っ立ったままだが。目の前に顔を並べている門下生達をここで改めて見てみると
ウチの道場にはまともな空手家と見て取れる奴が一人もいなかった。弟子の中に男の姿は見えない…
女と子供が合わせて7人いるだけだ。何だこりゃ?この面々じゃ空手教えている道場に見えないぞ。
あれ?よく見ると、今日町中で会った二人の町娘がいるじゃないか。門下生だったのかよ。
「皆に紹介しよう、胴着を着ていないがこの男がわしの息子にして正真正銘の空手家、虎示だ」
「あ〜…初めまして」
「そして、今からこの道場主となるのも…この虎示」
「そういうワケで、まあヨロシク―――………ああ!?」
親父はいきなり皆の前でとんでもない事を言ってのけた。俺が今日から龍冥館の道場主だぁ!?
『熊殺しの龍はもう引退する』と宣言してるようなもんじゃないか!!いや、そうなのか。
で、俺に後を全て任せると!?なんつータイミングで言いやがるんだこのクソ親父は!
「ばっ、バカヤロウ!俺が道場を継ぐなんて承服してな…」
「それは真実(まこと)ですか、先生ッ!」
弟子の一人が猛烈に立ち上がって言った。
「紛れもない真実だ。お前達も確かに見届けただろう…わしは、虎示を空手道場龍冥館二十三代目道場主に
任命した。以後、全門下生は虎示の指示に従うのだぞ」
「「「先生〜っ!!!」」」
親父との別れを惜しむ弟子達が親父の周りに殺到した。もはや俺を除いた龍冥館一同の盛り上がりは
ピークに達し、学園ドラマのワンシーンの如きやり取りが目の前で行われているおかげで完全に俺の意見など
通りそうにない。そもそもここで道場主に断固としてならない!と徹底的に抗議して、結果意見が通ったとしても
俺は期待を裏切ったダメ息子として町中に知れ渡ってしまうだろう。親父の野郎、謀りやがったな…。
「しょうがない…面倒くさそうだが、いっちょ俺がやるしかないか」
そう呟いて、俺は道場の外を眺めた。山向こうの空から、仄かに薄暗くなり始めていた。
夕飯の時間、いつも通りちゃぶ台を男二人で囲んでの食事で当然楽しくもなんともない食卓の筈なのだが、
やはり親父は嬉しそうだった。気づいていないのか嫌いな塩辛をひょいひょいと口に運んでいる。
「ん?どうした。お前の時代が来たのだぞ!もっと嬉しそうにしても良かろう!!」
「お前の時代って親父なぁ…断りにくい雰囲気にして勝手かつ強引に俺を道場主に仕立てたんだろーーーが!!」
「いやいや、そう言うな。折角皆が揃っていたのだ、ちょうど良い機会だったではないか。遅かれ早かれ
わしはお前を含めた才気あふれる若者達に道場を託すつもりでもあったしのう」
「ケッ、よく言うよ。親父はまだまだ現役じゃねーか」
何気なく言った俺の言葉に、会話が途切れた。…というより、親父が黙った。どうかしたのかと思い、
親父の方を見るとさっきまで箸を動かしまくっていた右手が止まり、肘には左手が添えられていた。
「親父…?」
「わしもまだこの体が思い通りに動いてくれるならば、お前達にもっと我が身を以って指導してやりたい。
しかしな…よる年波にはいかに熊殺しの龍とて抗えぬものだのう。わしにはもはや、龍冥館空手の全ての技を
使いこなすだけの力が残されておらん」
親父は左手でギュッと握り拳を作った。よく見るとその手には無数の傷と…皺が刻まれていた。
「完全な技を放てないのだ。お陰で、翔竜のような若造に遅れを取る始末。こんな老いぼれが道場主を
いつまでも続けていたとしても、果たして道場をこれまでと同じように常に守り続けていけようか?
…虎示よ。お前に授けた空手で、守るべきものを見出すがよい」
「な、何だよ守るべきものって…」
「昼間、翔竜と闘った時の気持ちを思い出せば少しは分かろう」
翔竜のドアホと闘った時…?とりあえず、俺は思い出してみた。あの時、俺が思っていた事…それは…
ああそうだった、あいつのせいでお目当てのゲームソフトが買えなかったんだっけ。
で、そんな目に遭ったのもあいつが町を…。そうだ、町だ。外敵の侵入を防ぐ為とは言え、よそ者を力ずくで
追い出そうとするあの姿勢は許せない。鎖国状態の町なんかあっちゃいけないだろ。
「確かに、少しは分かったよ。親父」
「ほう?お前にしてはやけに素直ではないか」
「親父に任せてたって道場にどんどんカビが生えてって、老朽化してくもんなぁ。俺が道場主になった
からには龍冥館を古くさい道場にはさせないぜ」
「なに〜〜っ!?虎示貴様、道場主になった途端におごり昂りおって!わしはお前をそんな風に
育てた覚えはないぞ!!」
「ハハハッ。俺の好きにはやるけど悪いようにはしないから安心しろよ」
やはりしんみりした食卓でうまい飯は食べられない。いつも通りの親父が目の前にいなきゃ落ち着かないぜ。
道場破りの物語はまだ続くぜ。
>>30 なりきりの名を借りただけの、小説スレってとこだな。
まあ見ての通りのスレ主の書き込みが全体の8割を占める、風変わりなスレだよ。
素人感丸出しの勢い重視っぺえ文章にしているのは読みやすさを考えてなんだけどよ、どうだ?
意見を聞かせてくれると参考にもなるし、ありがたいぜ。
>>31 ん?美少女?
あ〜、そうだな…うちの道場に女の子はいたけど、美少女ってほどなのかねえ。
とりあえずウチの道場にはDVDとかテレビで見るような、激カワグラビアアイドル的なのは
いなかったぞ。格闘やってる女だぜ!漫画かアニメじゃないんだしそうそういないだろ普通はよ。
…あくまで普通はな。
>>32 おっ!よく分からないがいい掛け声だなそれ!
ウチの道場にも取り入れてみっか!