ここは、ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズに由来するWTRPG(ウェブトークロール・プレイングゲーム)スレです。
自ら考案したキャラ・機体を操って、他のプレイヤーと交流しながら物語を構築していきましょう!
【基本ルール】
・なりきり、オリキャラ何でもOK!でも出来ればオリキャラで
・キャラ、機体はオリジナルか『OG』シリーズに登場するものが基本!
・興味があるなら即・参戦表明! ストーリーの流れは少しは把握するとやりやすいかも!
【プレイ解説】
今回のシリーズはTRP方式を採用し
リアルタイムチャット方式に比べ幾分参加はし易くなりました!!
主な決まり事は
3日ルール
決定リール
後手キャンセル
………くらいかな?あとは要相談!
【注意点】
原則的に何をするのも自由! とはいえ最低限守らなければならないルールもあります。
・参加者はトリップを付ける事
トリップとは本人識別のための暗号みたいなもの。名前の後ろに「#」と「好きな言葉」を入れればOK!
例)寺田貴信#バンプレ と入力して書き込むと→ 寺田貴信 ◆k4EQQeqlHQ といった感じに 。
・『最強厨』はお断り
『最強厨』というのは、周囲と比べて明らかに強すぎるキャラ・機体を使おうとするプレイヤーのこと。
周りをよく見て、ちゃんとパワーバランスを考えて設定を作ること!
・空気を読んで行動しよう
複数のプレイヤーが参加している以上、自分勝手な行動は控えなければいけません。
行き過ぎた決定リール、後手キャンセルはみんなから嫌われちゃうぞ?
【参戦表明の仕方】
まずスレッドに「参戦したい」という旨を書き込み、このスレにキャラと機体のデータを投下します。
わからないことがあれば気軽に質問しましょう。
<キャラ作成用テンプレ>
名前:
性別:
年齢:
身長:
体重:
3サイズ:
性格:
【精神コマンド】
※6つ
【特殊技能】
※強力すぎるものを複数持つのはやめましょう
【プロフィール】
<機体作成用テンプレ>
名前:
サイズ:
HP:
EN:
運動:
装甲:
移動:
移動タイプ:
地形適応:
【特殊能力】
※強力すぎるものを複数持つのはやめましょう
【武装】
※名前からどんな武装かがわかりにくい場合は、()で簡単な説明を
【機体解説】
【ストーリー&敵解説】
南極にごく小さな隕石が落下した。地球連邦はその時起こった事をこう発表した。
落ちた場所こそ珍しかったが、拳大の隕石の落下は特に珍しくもなかったので連邦は特別隕石の調査を行わなかった。しかし後から見ればそれが仇となったのだろう。隕石落下のニュースが人の頭から忘れ去られようとしていた頃、隕石はその正体を現した。
実際に落下したのは隕石よりもはるかにタチの悪い物で、異星人の隕石に偽装された小型発信機だった。と今はされている。
事実、隕石の落下から二ヶ月後から異星人が地球に侵攻してきてはいるのだ。
連邦がてんやわんやしている間に異星人は南極を中心に陣取り、アフリカ南部、南米、オーストラリアを圧倒的な技術力を用いてあっという間に陥落させた
隕石落下から半年。人類は異星人と中央アフリカ、カリブ海、東南アジアを中心に
散逸したロボット技術をかき集め一進一退の戦況を打開しようと試みていた…………
異星人
P・P(P・Pとは、Person who Progresses、進歩する人の意)
銀河系外の惑星に本拠地を持つ異文明
戦いが常であり、数多くの戦いに身を染めている間に戦闘に伴う文明の進歩に至上の価値をおいた
自星系内の多種の高度知能生物を滅ぼし、数多の文明を吸収し、それによって生じた環境破壊とも戦い勝利したため自種間内で戦っていたが
独力での進歩に限界が見えたため、更なる進歩を求め外宇宙に無数の小型発信機をばら撒き、地球を発見、襲来してきた
種としての進歩に至上としており、進歩にもっとも有効な他文化との交流と戦争を組み合わせて己が進歩の糧としている
しかし決して蛮族と言うわけではなく、未発達の文明には技術を伝道し、争うという概念の無い種とは交易によって文化を吸収したりもしている
「勝つ」事よりも「戦争を継続させ技術、能力を向上させること」を望み、敵が強ければ強いほど、高度な文明を誇るほどに、喜んで向かっていく
その性質のために多くの星と交戦状態にあるが、それぞれ侵略中の惑星に合わせた兵器を生産しているため、所持している兵器の種類は大変豊富であり、当然地球の環境に合わせて兵器も生産していくだろう
そして、必要があれば他星用の物から地球人には想像もつかないような兵器を取り寄せてくるだろう
【ここまでのダイジェスト】
PPオーストラリア方面司令官が偵察部隊を狩る謎の機体に激昂し
自ら新装備の機体を率いて東南アジアへ出撃、謎の機体を撃破しようと画策
現在1vs1で交戦中
同時刻、オーストラリアに唯一の残された人間の勢力圏である北西部に
新型ロボットの気配を察知したPPは圧倒的な火力を持った機体を投入
街を破壊して新型を燻しだす事に成功。現在新型と対峙している
ここのキチガイいっぱいのスレ行けば?
初めまして。このスレに参加したくてやって参りました。
<キャラ作成用テンプレ>
名前:ティアリス・ライアード
性別:女
年齢:16
身長:154cm
体重:48kg
3サイズ:75,60.78
性格:普通
【精神コマンド】
偵察 集中 ひらめき 突撃 信頼 必中
【特殊技能】
底力 ガンファイト 集中力 カウンター
【プロフィール】
連邦軍ヨーロッパ支部少尉、ラウフェン・ボーゲルのテストパイロット。
子供のように明るい性格で、どんな人にも笑顔を振り撒く。
元は戦闘機のパイロットだったが、技術力の高さからテストパイロットに推薦された。
隕石落下の日、彼の兄は行方を晦ましていて、ティアリスは兄を探すため世界中の支部を飛び回っている。
<機体作成用テンプレ>
名前:ラウフェン・ボーゲル
サイズ:M
HP:6400
EN:240
運動:120
装甲:1000
移動:7
移動タイプ:空/陸
地形適応:陸/B空/S海/-宇/A
【特殊能力】
Eフィールド、EN回復(小)
【武装】
60mmレーザー(機体の先端の双眸)
背部ツインレールキャノン(機体の背部)
アームビームサーベル(両腕に収納されたビームサーベル)
ハイゾルランチャーMk.V(腕のフィンガーランチャー)
ウイングカッター(翼にビームの刃を展開し、突撃)
GRシステム
【機体解説】
ヨーロッパ支部が独自に開発した鳥のようなデザインの白い戦闘機。
GRシステムと呼ばれる未知の技術が取り込まれており単独でENを補充し、超長距離航行が可能となっている
側部の翼の下と後部に「腕」と「足」が取り付けられていてトリッキーな動きが出来る。
実弾兵器を搭載しておらず、バリアには刃が立たない。
合体機構があるようだが……?
機体のコンセプトがヒラオさんに似てる気がします……
不満があったら変更します。
>>6 アナタに熱血か直撃があればバリア相手にもごり押しできてグー。
また、機体のフル改造ボーナスは運動性うp推奨?
てか連邦ばっかで死ぬるぞ、PPの人がw
>>6 はいはい、よくぞいらっしゃった。歓迎いたしまする
しかしどうするかね………?
もう一人ってのは自分のキャパシティ的には少し厳しくてねぇ
適当に乱入するならこっちもテキトーに相手してあげられるかも
オススメはユキくんのほうかな
スレは前から覗いてたのですが参加するのは始めてですが
宜しくお願いします
名前:ゲール・フュンフ
性別:男
年齢:44
身長:175
体重:64kg
性格:普通
【精神コマンド】
集中 ひらめき 必中 信頼 期待 偵察
【特殊技能】
指揮官 援護攻撃
【プロフィール】
PPの将官で階級は中将
長年、本星での総司令部勤務や友好関係にある他文明への連絡武官を歴任してきたが
高位ポストを巡る総司令部での派閥争いに破れ
辺境惑星である地球へ援軍の輸送指揮官兼現地司令官の相談役として派遣された
【機体】
名前:クロツィエルサイズ:L
HP:25000
EN:200
運動:70
装甲:2200
移動:5
移動タイプ:陸
地形適応:陸S 空D 海- 宇B
【特殊能力】
EN回復(小)
【武装】
主砲
機関砲
ミサイル
バルカン
【機体解説】
PPと友好関係にある他文明より輸入した蜘蛛型戦闘兵器
高い火力と重装甲により理論上は圧倒的な力で敵拠点を制圧できるほどの高い性能を誇る
しかし開発した他文明もこれを輸入したPPも実戦に投入した事は無いため実力は未知数
前スレ999、名前間違えてましたが俺です
>>6 はじめまして、よろしくお願いします
俺は全然気にならないので、そのままで結構ですよ
>>10 あ、よろしくお願いします
巨大で装甲の厚い敵って言うのは、大好きです
頑張ってください
前スレ
>>999 (そうきたか!!)
と思った時には後の祭り。まんまとしてやられた事になる
真っ正面からの雷光が機体を包み込んでくる
一瞬の空白の後
ライガーシュミットの一瞬の間に黒ずんでしまった盾を挟んで
敵とヘルミフィアは密着している
『通信システムは一時使用できません』
という音声ガイドを聴いて彼女は愉快を過ぎて哀れになった
必死になってタイミングをはかったのに奪えたのは通信機能のみ
そもそも、クリーンヒットしても戦闘不能までもっていけたか怪しいものだ
空には雷など茶飯事。空で戦う場所を選べない空戦機体に、備えがない訳がないのだから
ここで撃墜するのは簡単だが、そうする気はどうにも起きない
「なかなかのものだな。今回は華を持たせてやることにしよう」
通信システムがイカレた今では、それを伝える術はないのは残念だが
ボロボロのシールドで敵機を弾き飛ばして、離脱を開始する
(追ってくるなら撃墜しなくちゃいけない。付いてくるなよ)
そう祈りながら
こんばんは
>>6>>10 お二人とも初めまして
参加ありがとうごさいます。
>>過去スレからの続き
突如相手は距離を離す
プロトフィストは腕を掴んだままだ
「うおぁ!!」
腕を振り回され宙に浮く。叩き付けられる寸前で機体を持ち直し、再びにらみ合いが始まる
すると相手から通信が入る
「へん!戦車隊なんてトロくさいのを待ってられるかっての。
時間稼ぎなんて柄じゃねぇし、遅くなれば遅くなるほど街への被害が広がる、だから」
プロトフィストのマニュピレータでビシッと相手を指差し。
「お前は俺一人でも倒すと決めたんだよ。」
再びビームソードを二本構える
「でも、救えなかった。街の人を一人見殺しにしちまった。」
バルカンを周囲に撒きつつ接近
「お前以上に俺は俺が許せない!」
左右から敵機を挟み込むように斬る
>>13 >「へん!戦車隊なんてトロくさいのを待ってられるかっての
時間稼ぎなんて柄じゃねぇし、遅くなれば遅くなるほど街への被害が広がる、だから」
……………コイツはユキが何故戦車のことを知っているとか、そのあたりは気にならないのだろうか?
>「お前は俺一人でも倒すと決めたんだよ。」
と機体で指差してくるあたり、なかなかの熱血漢のようだ
そして両の手にソードを展開して一気に迫ってくる
この際オマケの弾は無視するにしても、さすがにそう何度も鍔競り合いにはつき合えない
(残りHP97%)
胸部の拡散ビームを発射、続けざまに肩部ビームキャノンを撃つ
相手の間合いをとらせるな。とにかく中遠距離から手数で押す
「友軍を悪く言うのはよくないぜ?」
初めての実戦。のはずなのだが、ユキにはどうしても調整の延長に思えてならない
予期せぬ感情の爆発はあったが、今の彼は平常に近い
その表れがこの言葉。根は優しいのだ
>>12 ……糞っ!!
やっちまったよ、上手くいく事ばかり考えていた
地球の戦闘機ならまだしも…連中は宇宙人だ
終った、この距離じゃ相打ちしかねぇ
この機体に脱出装置なんかねぇ
試作機としての役目を終えているこの機体は、俺と言う厄介者を死地に飛ばし空飛び敵を狩る棺桶でしか無いのだ
既に覚悟はできている
コックピットは撃てなくていい、せめて、墜落させれば…
そう思い、ナックルランチャー発射の態勢をとろうとする俺の機体から敵機は離れ、撤退していく
…なるほど……………仕切りなおし、ってわけか
武士道だ騎士道だがある奴じゃねえか…いいだろう、俺も野蛮人じゃねぇ、今までお堅い戦法ばっかとっていた奴が真っ向勝負しようってんだ、のってやる
そしてか…………
………糞ったれ、そういう事かよ
自機の状況を示すモニターを見て、俺は敵が今更真っ向勝負に切り替えた理由を悟る
俺の機は既に何発も喰らった敵の熱線でボロボロになり、とても奴と真っ向勝負で勝てるような状態では無かったのだ
なるほどな…相打ちで何か喰らうのが嫌で、正々堂々真っ向からぶっ壊してやると…
…甘く見られたもんだなおい、もうこうなったらこっちも…
……どういう事だ?敵はそのまま帰っていく…
…何故だ?
中の俺が死んだとでも思っているのか?
…駄目だ、去っていく理由が全くわからん
一体なんで…ここで俺がまだ何か隠し玉を持ってると思っているのか?
…そうか
敵の…勘違いってわけか
…この機体が変な機体だったから、って分けか
基地へと帰還し、闘空機から降りた俺は、無言でまっすぐ便所に入ると、泣いた
声を出し、頭を抱え、悔しさに泣いた
負けたのだ
作戦に失敗したとか、敵を取り逃がしたとかではない
負けたのだ
そう、俺は、負けて、闘空機に乗っていたから運よく助かったのだ
そうだ…負けたんだ………負けたんだ…糞!!
実際はヒラオが思っているよりも、更に彼にとって屈辱的な理由で彼は助かったのだが
それは彼が知る由も無い、あの時、もしヘルミフィアの機体の通信機が生きていたら
彼はあの場で、確実にヘルミフィアを追撃し、戦死していただろう
この幸運が、ヒラオを、そして、闘空機を救ったのだ
今回のヒラオ駆る闘空機の敵飛行型との戦闘データは、後の人類側の空戦型開発に、大きな影響を及ぼしていく
人類側にPPに対して十二分に対抗できる戦闘ロボットが登場する日は、最早そう、遠くは無いだろう
どうも、参加してみたくなったので参加してみました。
純粋な特機がないので特機にしてみた……バケモノスペックすぎますかね?
ちなみに所属は連合(民間協力者的な感じ)
名前: カズキ・キノミヤ
性別: 男
年齢: 14
身長: 165
体重: 46(軽い
3サイズ: 男なのに聞く必要はない
性格: 弱気。気力が110を超えると超強気
【精神コマンド】
必中 不屈 闘志 狙撃 熱血 勇気
【特殊技能】
底力 インファイト 斬り払い イグニッション・ソウル(気力120で発動 性格が超強気に 以後気力の増加により攻撃力と命中率、クリティカル率が増加) ???
【プロフィール】
キノミヤ家の長男。民間人で日本からオーストラリアへ引っ越してきた。ちなみに理由不明。なぜか家族達に半年前(隕石が落ちるよりも前)引っ越せと言われて引っ越してきた。
敵に襲われた時に会ったことも無い少女と共に『セイガー』に乗り込む事に。
普段はかなり臆病で暗いところも駄目。背も小さく体重も軽い。女装すれば女性としか見られない。などと男として終わっている。
体力も低く、自分一人なのに物音が聞こえれば思わず飛び上がる、さらにロボットを見れば腰を抜かす……のだが。
セイガーに乗り込むと性格が豹変。頼れる青年へと早変わりする。髪型もネクラのような髪型から一転して逆立って紅くなっている。
なお裁縫が得意で彼の部屋にはぬいぐるみがたくさんある。勇者ロボ系やらガンダムのぬいぐるみある為。フィクシィンのロボは大好きの様子。
二人乗りなのでもう一人……視点はカズキ固定でリラはNPC扱い……ツッコミ役として使ってくれても構いません。
名前:リラ・ファウス・キノミヤ
性別:女
年齢:15
身長:154
体重:45
3サイズ:ツルペタ・ズンドウ・ウスイ
性格:普通
【精神コマンド】
狙撃 集中 根性 直感 突撃 愛
【特殊技能】
ヒットアンドアウェイ 撃ち落とし 援護攻撃 援護防御 ???
【プロフィール】
キノミヤ家の一人のようだがカズキはあったことも無い少女。
性格はキツイの一言で機体に乗っている時のカズキ以外の人間を全く信頼していない。というか無関心の一言である。援護などもカズキの一言があってはじめて動く。
人間的感情が欠落しているとも思える。天才的な狙撃能力でカズキのサポートをしている。
改行がいっぱいだそうなのでロボ次にて
続きー。
ちなみにお約束ながら勇者で言うガイガーとかカイザーとかガイン的なものです。
<機体作成用テンプレ>
名前: セイガー
サイズ: M
HP: 3700
EN: 100
運動:100
装甲: 1200
移動: 5
移動タイプ:陸
地形適応: 陸A・空A・海B・宇A
【特殊能力】
【武装】
ソウルブレード(両肘から剣が射出され一つになり大剣となる)(射程1)
ソウルガン(ソウル・ブレードが変形して銃となった姿。リラが巧みに使う)(射程1〜4・弾数20)
(技)
ソウル・ザン(ソウルブレードの出力を限界まで高めたセイガーの最強技。バリア貫通)(射程1・EN消費50・必要気力110)
【機体解説】
カズキのピンチの際にリラが乗って来た謎の特機。
とは言ってもその形状は漫画のような特機ではなくむしろリアル系統の形状。特に顔を覆い隠すバイザーなどもあり特機とは言い難い
まず地球では見たことも無い技術が使われており製造目的も不明。ただリラの話を鵜呑みするならば『世界を守る為に存在する剣』である。
なお、解析しようにも複雑すぎるブラックボックスのせいで簡単な整備位しかできない。
カズキの成長に応じリミッターが解放されるようでこの状態は初期段階の初期段階の様子。
合体機構もあるようでリラが言うには『合体すれば文字通りスーパーロボになれる』とのこと。
>>16-17 カズキに男性声優は使えないなwww
カズキの声は田中理恵でおk?
>>7 弱点と言った弱点が無かったからですね……わざと付けなかったんです
確かにフル改造ボーナスは運動性アップが良いでしょうね。
>>9 よろしくお願いします。
ではアンディさんの方に行かせてもらいます。
>>10 お願いします。お互い頑張りましょう!
なかなか硬い機体ですね……
>>11 よろしくお願いします。
そう言って下さるとこちらとしても嬉しい限りです。
>>16-17 よろしくお願いします。特機ですかー
……合体しteeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeー!
本文は夜にでも出せればいいなーと考えておりまする
>>16 14歳なら、その身は低い方でもないんじゃないか?
>>18 CVですか……でも口調がモロ男になるしな。誰がいいんだろ。
(前)「どうして僕が……」
(後)「一気に倒す! 遅れるな!!」
>>19 よろしくお願いしますねー。特機ですよー
合体症候群ですね、わかります。
ちなみにセイガーの合体ユニットはスパロボでいう第十話位に登場させようかなと思っています。
>>20 低いほうじゃないですかね。でも体重は14の女性平均と思われます。
当初は女性予定でしたけど自分男なので女性の気持ちが分からないと判断し断念しましたよ……。
「オーライ、オーライ」
あれから無事に帰還できたヘルミフィアはオーストラリア本部、シドニー郊外の基地にいた
「ひゃあ、所々装甲が焦げてら」
そんなメカニックの声も聞こえてくる
それでもいつも通り、淡々と自室へ戻ろうとする彼女へ司令部の者が声をかける
「准将」
「なんだ?」
「そろそろライガーでは限界がきているのでは?」
その男をヘルメットでスコーンと殴る。無礼なヤツめ
多種多様な戦闘ロボや兵器をもつ彼女達にとって、ライガーシュミットは所詮下の上程度の機体でしかないが
それでも過敏ではない操縦性、高い整備性に相当な丈夫さ。名機には違いはないのだ
ヘルミフィアはそれに構わず男に司令部へ伝言をさせる
「すぐに軍議を開く」
「……何故です?」
「命令に口をはさむな」
素っ気なくそう言って、男を睨みつける
「失礼しました!!」
敬礼して走り去っていく男を鼻で笑って自室へ今度こそ戻る
オーストラリア方面司令部ブリーフィングルーム
「今後の我々の展開方針を話す」
軍服をしゃっきり着込んだヘルミフィアは、ハキハキと話し始める
「東南アジアを一気に制圧し、そこから二手に別れインド方面からユーラシア…………
今回はチベット辺りまでをぼちぼち制圧する本隊
東南アジアから北上して日本に拠点を確保する別働隊」
「司令官閣下」
幕僚の一人から手が挙がる
「なんだ?」
「何故日本に?」
「以前カツキ特佐から日本は技術が進んでいると聴いたからな」
「進歩の糧にでしょうか?」
「そうだ」
別の幕僚からも質問が飛ぶ
「どちらに拠点を?」
「日本は狭い。新たに造るより今ある土地を奪う方が合理的だ
沖縄とかいう離れ小島には大規模な連邦空軍の基地があるらしい。そこを奪う」これで終わりと立ち上がり、ついでに一言
「明日よりライガーシュミットの全武装の使用を解禁する」
それを捨て台詞に髪を払いながら颯爽と去っていく
が、すぐにそそくさとバツが悪そうに戻ってきて
「なぁ、ユキは何処だ?」
微妙な間。幕僚には発汗する者もいる
そんな中一人の勇者が重い口を開く
「特佐なら出撃しましたよ」
「…………なに?」
彼女の顔が一瞬で引きつった
幕僚たちは一瞬で凍りついた
トリップかぁ……昔試してみてできなかったから
それ以来ずっと挑戦してないなぁ…
私――ティアリス・ライアードはオーストラリアでPPと交戦中の機体の援護に向かうため
スクランブル・ハッチ――搭乗機で待機中だった。
敵機は大型らしく、ロールアウト仕立ての新型機では苦戦必死……だそうだ。
「こちらラウフェン、発進準備よし、いつでも行けます!」
「中央塔確認。モードUで発進、どうぞ!」
「了解!ラウフェン・ボーゲル、出撃します!」
特設のレールカタパルトから射出された瞬間、側面の主翼を開き、モードUと呼ばれている高速飛行形態に切り替える。
この機体はGRシステムの出力を変えることでいくつかのタイプに変える事が出来るらしい。
この「モードU」ならばここからオーストラリアまでなら10分程度で辿り着くだろう――
―――――
「煙が見えてきた……ここから通常飛行のモードTへ移行……っと」
町は既に瓦礫の山となっていた。所々から煙が出ていて逃げ遅れた人も僅かにいる。
その町の中央で対峙してる二つの機影。
両方とも初めて見る機体だがPPは大型機を使用しているとの情報だったので
恐らく重装甲の大型機が敵機、レギュラーサイズの近接型……のような機体が噂の新型機だろう。
新型は両の手にビームソードを展開して真正面から突貫していく。
「あのサイズに近接型は分が悪すぎるでしょ……ふっふ〜ん、ここからティア様の大活躍タイム入っちゃうかもよ〜?」
実際に両機のサイズ差は二倍以上はあるだろう。そして大型機は恐らく中〜遠距離の砲撃型。
それを知っていて突撃していくのは素人か特攻狂か、熟練のインファイターくらいだろう。
やはり敵機はビームの一斉射により近づけようとしない。
あの新型機にこちらの意思を伝えなければ……アレが連邦製なら繋がるはず
「え〜と、繋がってるかな?そこの新型機!君がアレを引き付けてる間に私が隙を作るから!
そしたら一気に懐に潜り込んでカウンターパンチを食らわせちゃいなさい!以上、交信終わり!」
一方的に通信を切る。相手にこちらの意思が伝わったかは分からないが……
ここはあの機体のパイロットを信じていこう。
「……ブーストライズ!ウイングカッター展開……切り裂けぇ!」
ウイングカッターは主翼にビームの刃を纏い敵を切り裂くビームサーベルのようなものだ。
新型に気を取られているうちに頭上まで飛び上がり、真下に急降下。ターゲットは左腕。
私が隙を作っているうちにあの機体が懐まで潜り込めれば……絶対にあの機体は打ち倒せる。
結局夜には出せませんでした……すいません
申し訳ありませんが腕と足は隠れていて見えてない、ということにしてください。
>>23 勇気を出して踏み出しましょう
あと、合体機構をどうするか迷ってまする。
と言うのはスーパー系かリアル系にするかと言う事でして……
>皆さんへ
……さすがにセイガー乱入はまずいですかね、今。
となると今回はカズキを初見させて次にセイガー登場のほうがいいですかね?
>>25 リアルでもスーパーでもいいですよー。
スーパーだったらセイガーの合体後と合体技とか面白そうですし。
まぁ、リアルでも多分できないことはないですけどね。
>>24 レーダーに反応。それが結構速い
認識からして友軍ではなさそうだ
となれば敵。けれど目の前の敵と友軍関係にあるかは判らない
破棄された連邦基地から戦闘機なり何なりを奪って無法を働く者もいると聞いている
(いや、ならこちらへ向かってはこないか)
ならば敵の友軍ということになる
「卑怯じゃないか、空からの友軍なんて」
ビーム乱射中にも敵にむかってそんな軽口を飛ばす
しかしそれだけではなくサテライト、ミサイルキャリーも起動。目立たない反撃準備をする
(はやっ!!)
空の敵機は加速。こちらへズズズッと迫ってくる
ここで機体の戦闘力を落とすようなダメージは貰いたくない。もっと戦いたい
(左側。なんでも良いから盾に!)
とっさの命令にミサイルキャリーの一基が応えて敵機へ向かっていく
端から見たらヘンテコな箱に過ぎないが
ミサイルが塊で入った箱だ。避けなきゃ致命傷。避けたらその場で爆破して
相手にダメージを与える
撃墜されても爆炎がブラインドにはなってくれるだろう
本来は中身のミサイルを撃ちだして本体は再利用できるのだが
ユキは、実戦だからと割り切って本体ごとぶつけにいく
砲撃は続けながらも、もしものため一応回避はするが避けきれないかも知れない
(初陣で1対1+羽虫かよ)
口が自然に歪んでいく。楽しそうに、嬉しそうに
(オレってツイてるな。良い経験ができる)
>>26 まぁ、タイミング的には厳しいですな
しかし顔出しだけはしないとマズイから………
今ユキのトコに出ればユキは確実に逃げますな
それを逆手にとって二人のピンチに登場というのもあるにはありますが
そこは三人で要御相談
>中将殿
という訳で、中将殿にも顔見せをお願いしたい次第であります
例えば
私は報告が疎かなオーストラリア方面司令官に映像を送った
『以下ビデオの内容』
みたいな感じでも構いません
下手にエラい人だと、迂闊に動かせないんですよねw
そのために私は比較的自由なユキを作った訳ですが
>>カズキさん
ユキさんが逃げたあと、勘違いして我々に襲い掛かってくるとか……
リアル系だとハイぺリオンorGNアームズのように。スーパー系だとGコンパチ風ですねー
それかラウフェンをパーツにコアマシンに合体……という考えです。
まだ特機が少ないんですよねぇ……とりあえずスーパー系で考えていきます。
しかし合体攻撃の事を忘れていたwww
あと二つ気になる事が。
この世界の一般量産機ってなんなんでしょう。ゲシュペンスト?
そこらへんを今後使っていきたいんで……
もう一つ、各機体のサイズをはっきりした方がよいのでは?サイズS・M・Lのみでは分かりづらいかと
自分の案だとSサイズは15mまで。Mサイズは35mまで。Lサイズは100mまで。それ以上がLLとか……
ちなみにラウフェンは28mくらいで。どうでしょう?
>>ティアリスさん
勘違いというよりは「敵部隊B」と判断してそう。
結局のところユキさんもティアリスさんたちも『町を壊してやつら』と一区切りできますから。
その場合ある程度闘って「悪人ではない」と判断したら剣をしまう。とかそんな感じで。
合体攻撃……お互いの設定が明らかになったら考えますかね。
量産機は……あるんですかね……?
プロトフィストがSタイプのゲシュペンストぽいですし(セイガーはもろゲシュSタイプですけど)
あるにしてもゲシュペンストよりもさらにランクダウンしていそうです。
サイズは……
セイガーは16Mですね。合体後は40m位予定。
>>28 了解です
地球 オーストラリア方面軍司令官宛に本星の総司令部より直々に一通の映像が届いた
オーストラリア方面軍の定期報告さえ滞る怠慢に業を煮やした本星の総司令部は
派閥争いに敗れたゲール・フュンフ中将を適任とし
オーストラリア方面軍付の監察官兼司令官の相談役として派遣する事を決定した
「本日付けを持ちオーストラリア方面軍司令部付監察官兼方面軍司令官相談役に就任したゲール・フュンフ中将です」
画面の向こうの男は一点をじっと見つめながら静かに敬礼し言葉を続けた
「御存知の通り総司令部は貴官の怠慢にあまり良い印象をお持ちではありません
その怠慢の改善と部隊の運用状況をつぶさに本星に報告するため私が派遣されたのはお分かりですね?」
少し間を置くと一呼吸の後 言葉を発した
「到着予定は追って別紙にて報告します
ではお会いできるのを楽しみにしています」
言い終えた後 敬礼をし終えると映像はそこで途絶えた
その後総司令部宛にフュンフより一通の書類が送られてきた
「本日中に到着予定」と
>>31 ユキ出撃の委細を聞き、ヘルミフィアはゆっくりと優しく語りかける
「そうかそうか、お前らには厄介者の地球人なんてどうでもいいもんなぁ?」
いっそイヤミなまでに優しく優しく問い詰める
「閣下、きょ、曲解なさりすぎであります」
勇敢にも抗議した幕僚をじっとりと睨みつけ、どう折檻してやろうかと
じっくり思っているところに内線で連絡が入る
『准将閣下へご報告っ!』
「なんだ?」
トゲトゲしさを隠しもせずに邪険に返す
『シュンフ中将が此方へ顧問官として赴任なさると
本国から正式に通達がありました』
「顧問?何故だ?」
『はっ!申し上げづらいのですが、本国への戦況報告が疎かであったかと………』
「え、あれは南極の本部が纏めてやるんじゃないのか?」
キョトンとなってそういい返す。その仕草は見た目ととてもマッチしている
『南極の本部にもろくにデータを送ってないのです………』
「そうだったか。まぁ、せっかくデスクワークの専門家が来てくれるんだ
この機会を逃す手はないな
お前たち、決済が必要な書類は全て中将殿の机にぶち込んどけ」
ヘルミフィアは軍学校下士官課程の卒業者で、本来は上級士官にはなれない
だが、そのスバ抜けた戦績で上級士官昇進試験の受験資格が与えられた才人なのである
が、その出自のせいで部下には文官系の者がいない
簡単な報告書は書けても正式なものの提出は難しいのだ
そこにきて今回の文官系の将官の登場。将官ともなれば有能な副官の一人や二人も居るはず
それを利用しない手はない。そういう事だ
「私はオペレーションルームでユキとコンタクトをとる
中将殿とはお前らが遊んでやれ。以上解散」
やはり第8部には勝てんか
2台の大型輸送機が大気圏を突破し オーストラリアの大地へと機体を降ろしていった
『…怠慢を注意していた司令部がまさか怠慢を犯していたはな…
先方には良い迷惑だろう…そう思わんか?』
艦橋の大きな窓からオーストラリアの地表を眺めながらフュンフは苦笑しつつ副官に同意を求めた
その怠慢というのは十数日前にオーストラリア方面軍司令官宛に送られねばならぬ映像が
送信されたのが実は今日であったと言う事
またフュンフ自身もその事実を知ったのがオーストラリア方面軍に到着予定を知らせる文書を送った後であった
『とは言え地球という星はあまり重要ではないようだな
私が飛ばされるぐらいだ…
まあ報告も満足にできない部隊なら合点がいかないわけじゃないが…』
半ば自嘲気味に呟くと軽く溜め息をついた
予備役に編入される事を思えばいくら僻地とは言えまだマシとも言える
だが長年の軍隊生活で報告も満足にできぬ部隊など聞いた事も無かったし
ましてや自分が配属されるなどフュンフは夢にも思わなかった
輸送機から副官と数名の兵士を伴い
地球の大地へと初めて足を下ろした
「出迎えがありませんね」
『少し早過ぎたからな…もう少し待つとしよう』
>>34 「なんで俺なのだ?」
不慮の事故で腰を痛めた、東南アジア方面攻略部隊長オルグミング中佐は
車イスに乗せられ、急遽やって来た本国のお偉いさんの出迎えに駆り出されていた
後ろから車イスを押す兵士は苦笑する
「仕方ないですよ。今一番暇なのは幕僚は中佐でありますから
それに、激戦地でもない星にいらっしゃる将官に我らの准将が挨拶とはもったいない」
「この怪我さえなければ貧乏くじを引かずに済んだのにな」
この程度の傷ならPPの技術をもってすればすぐにでも治るというのに
今日に限って機材のメンテナンスで使用できず
中佐は痛み止めを取り合えず飲んでこの場に臨んでいる
「ツイてないな………」
中佐はぶつくさ言って眩しそうに輸送艦を見つめる
(しかし、二隻も?本国の将官というのは解らんな)
まさかウチの准将閣下に見栄を張りたいのだろうか?と下世話に推理する
暫くして輸送艦から降りてきた複数の人間にオルグミング中佐は話しかける
「このような見苦しい姿でのお迎えをご容赦頂きたい
自分はオルグミング中佐であります」
そう言って敬礼
「長旅でお疲れでございましょう。まずはお部屋へどうぞ」
そういって下っ端を呼んで案内をするように指示
「では、自分はこれで。まだ仕事がありますので」
仕事とは?准将の指示通りに中将や取り巻きの机に報告書類を積むことだ
すみません、投下が遅れてしまって
明日の夜には投下できると思いますので少し待ってもらえませんか?
>>36 いいですよー。
ところで、カズキはどうします?
ロボ乱入いいでしょうか?
駄目ならダメと言ってください、そのように話を変えるだけですから。
上の#を忘れたミスです……困惑させて申し訳ない。
俺は今、闘空機の開発者であり、『大闘神計画』の立案者である人物に呼ばれ、ミーティングルームへと向かっている
『大闘神計画』っつーのは、平たく言えば人型兵器開発計画で、俺の乗ってる闘空機はその実戦参加第一号なのだそーだ
猿真似で人型作るんじゃ無くって、奇怪なもんばっか作ってるらしいが、詳しい事は俺は知らん
で、今回俺が呼ばれた理由ってのは…
深呼吸一つ、覚悟を決め…ミーティングルームのドアをノックし、名乗ってから、開く
結構広いミーティングルーム、その並べられたソファーに一人腰掛、でかいテーブルにノートPCを置いて、集中して何やらパチャパチャ打ち込んでる女が、俺を呼んだ奴
『大闘神計画』の発案者、チヒロ・トキワだ
曹長の俺より年下のクセをしやがっていられるのに、技術大佐様でいらっしゃられる
「あー、その辺突っ立ってて、少ししたら残り来るから」
技術大佐様はこちらをお振り返りもなさらずに、おほざきなさった
言われた通り、直立不動で技術大佐様の斜め後ろに立つ自分
「そこにいられると気が散るから離れて」
…射殺してよろしーでしょーか大佐様
あームカつく、腹立つ、会う度にコレからよぉ…
仕方ねぇので離れて、部屋の隅に立つ俺に満足したのか、トキワは無言でPCを打ちだした
……ん?
闘空機で敵の飛行型にボロ負けした事にぶち切れて俺を呼んだんじゃねぇのか?
っつーかさっき残りって…?
他に誰か来るってのか?誰が?俺の上司か?
わけがわからないまま待っていると、やがて
「オウドウ曹長、入ります」
っと扉を開けて、体躯の良い見るからに肉体派の男が入ってきた
…何だこいつ?
陸軍の奴に見えるが…
男も俺と同じようにトキワにその辺に突っ立ってろといわれ、元気に返事をして、俺の隣に立つ
一瞬目が合う俺と男、オウドウ、奴の顔も何か事態が把握できて無いって感じだ
「ハシバ軍曹…入ります」
また少しして、中肉中背で、何だかじめじめした妖怪みたいな男が入ってきた
おいおい…何だ?
こんな奴呼ぶ意味があるのか?ってか俺との関連性は何なんだ?
そんな俺の疑問をよそに、ハシバ軍曹は俺の向かい側の隅に行く
…何だか自縛霊みてぇだな…
などと考えている間に、再びノックの音が響く
「ミカミ曹長、入ります」
はきはきとした声と共に、今度は女が入ってきた
年齢相応の顔と体系のトキワと違って、中々にセクシーだが、目つきがキツイ女…一発でわかる、こいつは人を見下すタイプだ
「…ん、これで全員だね」
女がミーティングルームに入ってくると、トキワはそう言ってPCからこちらの方向へ向き直った
「あんた達にこれから小隊を組んでもらいます、以上」
……は?
「解散」
…え?それだけ?え?ってか小隊?
唐突で突然の言葉に固まる俺をよそに、オウドウとハシバは既に部屋を出ようとしている
おい!お前等なんで今のでわかるんだ?
わからない俺がおかしいのか?
「よろしいでしょうか、技術大佐殿。詳細をお聞きしたいのですが」
慌てる俺をよそに、ミカミがトキワに対して尋ねた
おう、いいぞネーちゃん
「あー…、あんた達の機体が大闘神計画のプロトタイプってのは知ってるわよね?」
ミカミの質問に、PCに向き直りかけてたトキワは、どこかめんどくさげな感じで応答する
「はい」「はい!」「…はい」
ミカミと、一応話しは聞くつもりがあるのか、オウドウとハシバが返答した
……こいつ等も俺と同じ……なるほど、中々の腕前の連中ってわけか
俺もそれに続いて返答すると、トキワは再びPCに向き直る
「それのデータをより効率よく取るために、技術試験小隊って事であんた達一まとめにする事になったんだわ、追って正式な通知が来ると思うから、配置とか詳しくはそこで聞きなさい」
それだけ言うと、トキワは黙り、PCに集中しだす
めちゃくちゃな説明に満足したのか…いやしてないがこれ以上この女に何言っても無駄だと判断したのだろう
他の3人はミーティングルームから退出し、俺もソレに続く
奴がああいう奴だってのを把握してるんだな、こいつ等も
アレがチヒロ・トキワ
何もかもがめちゃくちゃでてきとー、それなのに何故か上層部を自在に操れ、重宝されている技術者である
俺の乗る闘空機のデータ収集だとか言って定期的にこっちに来て、その度にわざわざ呼び出してズバッと嫌みだけを言っていく怪人だ
初対面は闘空機が配備された時
「あんたアレ乗りなさい」呼んでそれだけ言ってどっか行ったアイツの事は、今でも記憶に残っている
今回も嫌みだと思ってたが……あ!そーだ小隊!?
そうだ、そうだ、あんまりにもあいつがあっさり言ってくから、内容の重大さを忘れていた
何なんだ?小隊組めって…
あぁ…あの疫病神め、もうわけわかんねぇ
懲罰小隊って奴か?これは
あの飛行型に負けたからか?
突然唐突の爆弾発言に完全に混乱した俺の元に、技術試験小隊への正式な編入命令書とまともな説明が届くのは、そのすぐ後だった
「そちらの進行はどうですか?ヤン中将殿」
先ほどのミーティングルーム
既にキーボードを打つのをとめたトキワのPCに、一人の中国人将校が映し出されている
「大闘神計画」の責任者、ヤン・カイルン中将だ
『順調だ。ただ、今回の闘空機のように、敵機に実験機が遅れを取りつづければわからなくなる』
「その件に関しては心配いりません、件の戦闘データに関しても、一部書き換え、両者甚大なダメージを負った事に…」
『その書き換えが暴かれつつある、と言っているのだよ』
「失言でした」
『未だに人型兵器の有用性を理解できていない馬鹿者は大勢いる。埋めた墓穴の掘り返しぐらい、やられる物だと思いたまえ』
「はい」
『で、例の技術小隊についてだが、下手に通常兵器と混ぜて馬鹿者に付け入る隙を与えないために、独立させたわけだが、馬鹿者に通常兵器との力の差を理解させるだけの活躍は期待できそうか?』
「断言できます、次の戦いで、必ず」
『ほう…、ではそれにふさわしい戦い…通常兵器と人型の力の差が十分表現される舞台が用意されると?』
「はい」
『…直ちに手配しよう、どこだ』
「沖縄です」
長くなって大変申し訳ございません
>>29ティアリスさん
人型兵器で正式な量産に至っている機体はまだ無いと思います(先行量産されているかもですが)
オウドウとかの設定は自分しばらくアクセス規制喰らってたので、旧避難所に置いてありますが
こっちに持ってきた方がよろしいでしょうか?
突然ですがwiki立ててみましたー……
http://www28.atwiki.jp/suparobooriginal テンプレにもかなり手を加えました
すいませんが容姿と武装欄の記入お願いします……
自分じゃ出来ないと言う方がいましたらキャラクターの一番下のコメントに書いてください
その他の意見・要望は特設ページで。
>>ヒラオさん
オウドウの設定は上記の意見・要望欄にでも貼っておいて下さい
正式な量産機はまだですか……
各支部が独自に開発ということになってるんでしょうかね?
最後に。誰かこちらのNPCと戦えると言う方いませんでしょうか?
>>43-44 あぁ、どうもお疲れさん助かります
やはりこの季節みんな忙しいのだろうね
焦らずマッタリといきましょう
書けないのなら出来るだけ連絡もいれましょう
誰も怒らないんだから
ちょっと周りがゴタゴタしてて書き込めなかったです…
明日には書き込めそうですが…
取り急ぎ報告まで
>>43 ヘルミフィアさんの沖縄攻略待ちなのですが
今手が空いてますので相手できそうですが、俺(大闘神計画独立技術試験小隊)でよろしければ
いや、今動くと
ユキに構ってくれてる人たちとの
時間軸がおかしくなっちゃうから遠慮してたんだけど………
カズキを登場させようにも不用意に動けない現状……
さすがに戦場の中逃げる勇気があるわけない詩ですしカズキは
>>48 あ、はい、OKです
通常兵器を蹂躙する描写があれば最高です
>>49 いえ、別にヘルミフィアさんが動くのが遅いから俺も動けない、と言っているのではなく
本来なら俺は何もせず待ってなきゃいけないんだろうけれど、とりあえず手が空いているので…という感じの意味です
ところでアンディさんは3日間ルールに引っかかるのでとりあえず何らかの処置をして話しを進めるべきなのでは…
>>50 アンディさん達が戦ってる場所にいるんだけれども、カズキに何かしろの行動をとる勇気が無い設定なので、描く事ができない、と言う意味でしょうか?
なら、家に閉じこもるカズキに気づいた連邦軍の兵士かレスキュー隊員が退避を呼びかけ、それに続いて逃げる、とか
閉じこもったカズキの描写をする、というのはどうでしょうか?
せっかく避難所たてたんだからそっちでやってくれよ
>>27 回避運動をしない……流石にあの大きさじゃ鈍足ね……スピードならこちらに分がある!
だが、その鈍足から何かが射出された。大きな物体―――箱のようだけど……
だが妙だ。鉄の箱程度ならそのまま切り裂くが……これは―――
「熱源反応……?もしかしてミサイルコンテナァ!?」
瞬間、機体の向きを逸らし、直撃だけは貰わないようにする。完全回避は不可能だから……Eフィールドを展開
当たらなければ万々歳だけど……戦いはそう上手く行くわけない。機体上部で大きな爆発音がした。
背中のレールキャノンは完全に大破してしまっただろう。もう使い物にならないわね……(HP20%減)
「だけど左の装甲だけでも……!貰っていく!」
ウイングカッターは肩のアーマーの端を掠り切り落とす。
その後急ターン、間合いを取る為再び上空へ飛び上がる。
こちらの新型も攻撃を止め、相手から間合いを取っている。
弾幕張られたら迂闊に近づけないか……
「近づいても何が飛んでくるか分からない……離れても相手の弾幕……あれを起動する?いや、あんなの使ったら……」
いや、使えるかもしれない。出力を20%上昇。この出力からラウフェン・ボーゲルは
緑色の光を纏いながら飛ぶ。決して事故ではないが、相手にはそう見える時があるかもしれない
再び相手の頭上に飛び上がり、全開で突撃
ロングレンジでの砲撃……隠していた腕―――ハイゾルランチャーを起動する
「ハイゾルランチャー……シュート!」
右五本、左五本、合計十本の緑光の帯があの鈍足に向かって放たれる。
そしてすぐに相手の背後に回り、レーザーをばら撒きながらアームビームサーベルを展開。
結局最後は、相手に突撃。だがさっきの二割増しの加速。逃がしはしない。
「これで……沈めぇぇ!」
ディグ・クラッシャーの調子は良好……ちゃんといつも通り動いている。
今、俺がいるのはアフリカの砂漠地帯。南部を制圧したP・Pが北部の支部を狙おうと日々刺客を向けてくるのだ
相手はいつも通り三機、こちらに向かわせてくる。今回は……飛行型のようだ。三機全てが低空を滑空してくる
遂に敵がこちらの射程内に入ってきた。俺は携行してきた130mmキャノンの照準を先頭の機体に定める。
「ここは戦場……家族と仲間を奪った所……死ぬ覚悟は出来てんだろうなぁ……侵略者ぁ!」
発射。二発の砲弾は頭部と機体のど真ん中に直撃し、制御を失った機体はフラフラと落ちていき、轟音を立てて爆発した。
敵の撃墜を確認後、キャノンをその場に置き次の機体を落としにかかる。狙いは気を取られて停止した左の方―――!
相手は急いで回避運動を取る。だがこの機体は脚部に内蔵されているホバークラフトによって、飛んでいる機体でも追いつける!
「別に鬼ごっこをする気はねぇ……素直に捕まれば一撃で済むんだ!」
一気に相手に向かって跳躍し、地面に叩き落とす。
そして相手の頭を左手で抑えながら、右手を大きく振り上げて装備されている篭手を変形させる。
それはドリル状の突起物に変形して獣の咆哮の如く唸りながら回転を始める。
「残念だがここでお終いだ。テメーらが悪いンだぜ……クラッシャァー……ドリルゥゥゥ!」
ドリルは相手のコックピット辺りを抉り、貫通する。これで残り一機となった。
だがその一機が地上に降り―――携えていた日本刀状のブレードを抜き、こちらに刃を向けた。
よく見ると他の機体とは微妙に頭部の形状が違う。それに固有の装備……あれが隊長機か!
こんな時に通信だ。知らない周波数……まさか……な。
「……えるか…聞えるか地球の猛者よ。我が名はヒュージ・リマ。貴公の話は有名でな、我が軍の中では熱砂の死神と称えられている。
そこで我は貴公に決闘を申し込む。先に得物を破壊するか、命を奪った者が勝者としよう」
武士道精神ってやつか何かは知らんが潔い奴ということだけは分かる。
それにコイツ……かなりの熟練者だ。
「……面白え……!いいぜ、その話乗ったぁ!俺の名はライオネル。ライオネル・マクダレフだ。さぁ、始めようぜ!」
「よかろうライオネル・マクダレフ!いざ……参る!」
ヒュージの機体は刀を前に突き出しながら突撃してくる。
こちらも右手のドリルを前に突き出し、迎撃の姿勢を取る。
当然真っ向から向かえばお互い、馬鹿正直に正面から衝突する。突き出された刀と回転するドリルは打ち合った。
鋼と鋼の激突。それは激しい火花を散らし合いながら相手の得物を破壊せんと突き進む。
一度、互いを引き離しすぐさま相手は上から斬りかかってくる。それを下からドリルで対応する。
「我が一刀を受けよ、ライオネル・マクダレフ!」
「食らって……たまるかぁぁぁぁぁ!」
激しい打ち合いの中、ヒュージの刀に亀裂が走り、遂に砕け散った。
「ぬぅ……我が超合金ブレードを破壊するとは……想像以上の強さだ。ライオネル・マクダレフ。
今回は我の負け……だが、次は貴様に打ち勝ってみせよう」
奴は破壊された得物をその場に捨て、去っていった。
砂漠の風だけが虚しく唸る……
やがて、右手のドリルにもひび割れ、そして砕け散り、拳が露になった。
「お前は負けてねえよ……引き分けだ……」
>>54 敵機は目論見通りにミサイルキャリーを爆発、それなりのダメージを与えることは出来たようだ
けれど、ユキもノーダメージとはいかない
それ自体は軽微なものであったが、左肩部にダメージ
だが、それがいい。戦いというのはそういうものなのだ
と、ヘルミフィアが言っていた
にしてもただの飛行機というわけでは無さそうだ。何があっても驚かない様にしよう
とユキは操縦桿をギュッと握り直す
その時、敵機が不気味に光を放つ。オーガニック的な何か?
それとも、ヤツの体をみんなに貸しているか?
次にはパカッと腕が出てきて、ビームを浴びせかけてくる
………可変機だったのか。アニメやゲームでよく見る代物だ
だから…………この次はどうしようか?
右にショートダッシュをして、まず左側をかわす
次に拡散ビームを前面に展開して、相手のを相殺する
最後にビームシールドをコクピットの前に展開してガード完了
しはしたけれど、ユキは見事に後ろを取られた。一つの事に集中しすぎたのだろう
背後からの敵は対応に困る。クイックターンをきめていたら時間的に間に合わないが
かと言って敵は思考時間はくれはしない
(だったら)
スロットルを絞って、おいかけっこの様に敵から逃げる
その際にサテライトを二基捨てたみたいに放出しておく
おいかけっこに相手が食いついたら
早い段階でサテライトでバーニアを撃ち抜き撃墜してやるわけだ
サテライトを攻撃されても、その隙に相手の方に向くことも出来る
相手が速いからと言って自らのペースを狂わせる事はない
ユキは結果をはやるそう自分を説き伏せる
鹿児島、某所、地球連邦軍第15演習場
鹿児島の連邦軍陸上部隊は、この日、敵性異星人の…表向きには奇襲対策となっている、沖縄侵略と、鹿児島への上陸作戦
それに伴う大型機動兵器との市街戦を想定した、大規模な演習を行っていた
この演習はすなわち、迫り来る異星人の兵器に対し、水際での殲滅が不可能であると述べているのに等しい
現在の地球連邦軍の地上の主戦力、X7式戦車も、90式戦車改も、主砲である電磁誘導弾は敵機の装甲の前に弾かれ
また、敵の熱線兵器は、これらの車両の装甲を一撃で容易に誘拐させる威力を持つ事を筆頭に
敵兵器の圧倒的機動力、そして地形を気にせず走破し、障害物等を大いに利用できる人型特有の適応性など
圧倒的に、いや、まるで勝負にならない程に差が開いた両軍の戦力差を前に、連邦軍極東守備隊に残された手段は、沖縄で足止めし、鹿児島、四国、を要塞化
徹底的に篭城戦を行い、敵を浪費させつつ、中、露からの援軍を待つという、消極的なものしかなかった
しかもそれで防げるのは、せいぜい上陸してくる制圧部隊だけで、航空兵器にしても、連邦軍極東守備隊は、数以外の全ての面で、地上以上に圧倒的に劣っており
制空権は間違い無く奪われ、連日日本のあらゆる場所に爆弾の雨が降り注ぐ事は想像に難しくない
いや、敵に大型空中輸送機があれば……
絶望的な状況の、死を待つだけのこの国が、恐怖を紛らわせるように行っているのがこの演習である
とーとつな部隊結成、とーとつな転属、そして送りつけられたのは鹿児島県
そんな鹿児島の空軍基地滑走路、闘空機の中で、俺は出撃の時を待っている
何でも、この実験小隊をPPの人型兵器と見立て、「火消し」役の部隊と俺たちを戦わせるんだそうだ
「火消し」っつーのは…あー…戦争を火災に見立てて、まともに戦え無くなった所を発火点とした時に、そこに駆けつけて敵を蹴散らし…
……よーするに、普通の部隊で持ちきれなくなった所に急行し、敵にダメージを与えて普通の部隊に持ち直す時間を与える部隊って事…か?
だぁ上手く説明できねぇ
とにかく、強くていい装備をバンバンつけてる部隊だ
で、その「火消し」により実戦的な訓練の相手として選ばれたのが、敵と同じ人型兵器を所有する、俺達だったというわけさ
こっちとしちゃ、普通の連中じゃあっけない所の騒ぎじゃないから、ありがたいんだが…
『訓練を開始する、闘空機、飛行を開始しろ』
っと、始まったか
「了解」
俺は通信機から聞こえた、まだ顔も見て無ぇ小隊長殿の言葉に従い、機体を上昇させ始める
小隊長殿が赴任した、と聞いたのは、鹿児島に渡る輸送船の中で、顔合せもしないまま鹿児島に着き、ここに来てから訓練の事を言い渡され、今に至っているのだが…
……ほんっとにどーなってんだろーな、この部隊は
まぁそんな事はどーでもいい、一定高度まで上昇させた後、俺は火消し部隊が待つ平原めざし、機体を発進させた
この先で俺は空爆機と言う設定の俺の機の侵入を阻止しようとする火消しの航空隊と戦い、突破して平原に到着後、模擬弾頭をばら撒く事になっている
ちなみにその平原では、一足先にあの何かでかい男と不気味な奴、女の三人が火消しの地上隊と戦っている事になっているはずだが、別にんな事はどうでもいい
制空権さえとれれば、たとえ連中が全滅していても、何ら問題はな
『爆撃中止、闘空機、滑走路へ戻れ』
…何だ?
開始5分で事故か?
『敵戦車隊は壊滅した、戦闘は終了、爆撃は不要になった』
…………はっ
はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは
やってくれんじゃねぇかあいつ等
え?何、5分?開始5分?
そう来なくっちゃ、ねぇ、やっぱ俺と組むからにゃあ…さぁ
「了解ぃ」
多少テンションのあがった声でそういうと、俺は機体を元来た方へと向けた
>>55 こちらの攻撃に当たるまい、と敵の機体は正面に向かって逃げ出した。
その時、何かを二基落としたようだが、気にする事はない。レーダーを撹乱する目的のデコイの一種だろう
「更に加速……!二割増しぃ!」
もう一度、更に出力を上昇し、相手に追い付く。
纏っている緑光はフィールドを形成し、強固なバリアとなる。
だがそんなバリアにも欠点がある。背後からの攻撃には対処出来ないと言う事だ。
今、攻撃されたら撃墜までとは行かないが、攻撃を中断せねばならない。だが敵は一機しかいない。
そう、一機しかいないはずだった。
「小さい反応が二つ……?まさか、さっきのやつ……デコイじゃなかったの!?」
二つの反応はこちらの後ろを付いていくように飛んでいる。あんな兵器見た事もない。
止むを得ず攻撃を中断、急上昇し、昇ってくる物体二基をウイングカッターで真っ二つにする。
相手はこちらを向いており、攻撃の構えへと移っている。
背後からは分からなかったがどうやらビームシールドも展開しているようだ。
これでは手出しが出来ない。一体どうすれば……
「ちっ、なかなかやるじゃないの……鉄壁の防御で弾幕を張っていこうってやつね……」
とりあえず、空中に飛び、距離を取る。
相手は発射体勢を取っており、いつ砲撃の嵐が来るか分からない。
GRシステムの出力を抑えて、相手の出方を待つ。
相手の砲撃の瞬間にハイゾルランチャーを撃って、突っ込もう。
大分、危険だが……あまりコイツを野放しにしておくわけにもいかない。
>>57-58 塩気の混じった風が吹き付ける海に面した平原。
日差しも強く、絶好の散歩日よりだが……ここは連邦軍の管理下にある演習場。
そこでは鉄の騎兵達が互いに対立していた。片方は戦車のみで編成された中規模な部隊。
全てがX7式と呼ばれている連邦軍が誇る陸の主力兵器である。
それに対する部隊は戦車とは違う、三機の機動兵器。それぞれ、獣の如き四つの脚で大地を駆ける異様な人
姿形はまるで神話のケンタウロスと呼ばれる魔獣のようである。
他にも歩兵の姿をそっくり模した鉄の巨人。肩から突出した爪が特徴な重装甲の悪魔のような機体。
これらは全て、同じ連邦軍所属の機体である。来たる異邦人との戦いに備えてここで合同演習をしているのだ。
やがて戦車隊の一機から空に向かって光の弾頭――戦いの開始を告げる閃光弾が放たれた。
戦車部隊は装備された機銃や主砲を乱射しながら、三機へと突撃していく。
だが三機の機動力には敵わず、三方向に散った三機の連携により、成す術もなく、次々と撃破されていった。
戦車の残骸の前に立つ三機の機体。この三機は全て大闘神計画という連邦軍の一大プロジェクトの過程で造り出された試作機だ
三機とも特殊な局地戦が目的だが全てが一度も相手の猛攻を受ける事もなく一撃で敵を粉砕していった。
これが次世代の人型兵器と古典的な戦車の圧倒的な差である。
その圧倒的な強さを誇る三機の前に、別の「人」が空から舞い降りた。
漆黒の色に身を包み、二対の翼で風を切る。その堕天使のような風貌の機体の紅いバイザー――眼が紅く光る
「大闘神計画……一機足りない。警戒だけしておかないと」
漆黒の機体、シュヴェールトの搭乗者――セリシア・ラディウスは小さく呟いたが通信は切っており外には当然聞えない
その機体は突然、飛び上がり、周囲一体が見えるまでの高さまで上昇する。そして、獣の咆哮のような唸り声を上げた。
真下の地面までもを響かせるような重く低い、叫び声。それは一定範囲の通信機器や誘導兵器を妨害するジャマーの役割をしている。
直後、右肩の二つの装甲が分離し、一つの投刃になり、シュヴェールトの手によって投げ出される。
轟、と風を切り裂きながらそれは的確に三機の所に飛んでいく。
「闘いの神を名乗るあなた達は彼らと――いいえ、アレと闘える剣となり得るの……?」
予定に無い突然の敵機の襲撃に、ヒラオを除く3人の試作実験小隊隊員のとった行動は様々だった
闘獣機パイロット、マトル・オウドウは飛んでくる敵の攻撃の前に立ち塞がって手にした槍でソレを迎撃し
闘人機パイロット、コウイチ・ハシバは機体を旋回させて逃げ出し
闘海機パイロット、カオル・ミカミは現状の確認を行おうと、基地への通信を開始した
「何だぁ?予定外の攻撃に対する訓練かぁ?」
槍の一突きで飛んできた刃を切り払ったマトルが、敵機の方へ盾を構えながら嬉しげに言った
先ほどの模擬戦で、格闘戦が戦車搭乗者の安全のために使用を禁止されていたために、囮の役割をさせられていた事が大変不満だった彼は
相手が禁止手であるはずの格闘戦を行ってきた事で、自分も格闘戦を行ってよい事の喜びで一杯で
敵の正体だとか、目的だとかは地平線の彼方へと吹き飛んでいるようだ
新しい命令も無いため、この馬鹿者は嬉々として単身戦いを挑もうとしている
一方、闘人機はゆっくり後ずさりをしていたが、刃が発射された瞬間に近くの窪地に身をかがめ、刃をやり過ごした
刃がさったのを確認すると、敵が再度攻撃を開始する前に、闘人機は敵に背を向け、猛然と土ぼこりを上げて退却を開始する
その間、この機が残った僚機や友軍戦車に対し、何らかのコンタクトを取ろうとした様子は、一切無い
尻尾を撒いて、風のように、闘人機はその場から逃げていく
それら二機と、敵の様子を、刃で右手を破壊された闘海機(残りHP85%)の中で油断無く見つめながら、カオル・ミカミは何度も基地との連絡を試みていた
しかし、基地からの応答は敵機のジャマーにより無く、また他の試作実験機並びに戦車隊とも連絡が取れない事から、これが訓練で無い事をミカミは察すると
彼女はすぐさま敵機をロックオンし、ランダムに平地を移動しつつ、ミサイルを発射した
弾頭は全て訓練用の模擬弾だったが、彼女の狙いは、別に敵機殲滅ではない
ミサイルを連射しつつ、カオルは拡声器のスイッチを入れ、『大破している設定のX7戦車隊』に向かって叫んだ
「友軍戦車小隊、カワサキ中尉、私は独立試験小隊ミカミ曹長です、想定外の事態により、あなたの指揮下に入ります、指示を!」
ミカミの言葉に、戦車隊の指揮車も拡声器を入れ、応じてくる
「こちら戦車小隊カワサキ、感謝する、貴隊には実弾は装備されているか?」
「いえ」
「よし、敵を錯乱させつつ、各機ばらばらに撤退する、優先順位は、試作実験小隊、我が隊の順だ、全機実弾の使用を私の独断で許可する、これは訓練ではない」
戦車隊長とミカミの会話を聞いていたのか、他のX7も一斉に復活すると、ばらばらに散会して戦闘エリアから脱出を開始しつつ、シュヴェールト目掛け実弾による砲撃を開始した
ミカミの闘海機は闘人機を追わず、別の方向へと退避し始める
別に闘人機を軽蔑し、そちらにいかないわけではない、的を散らばらせ、生存率を増やす事が目的だ
他の戦車隊もそれは心得ているようで、全ての車両がばらばらに別方向へと逃げながら、砲撃を行っている
着陸して早々、整備班から降りるなといわれ、俺の機体に次々実弾が装填されていく
…あー、何かでたなこれは
『闘空機、ケンジョウジ曹長、そちらは聞こえるか?』
俺の予想が当たっていたことを告げる隊長の声に応えると、隊長は現状の報告を行ってくる
『正体不明の人型兵器が演習場に出現したとの未確認情報が入ってきた、現在演習場との交信は一切不能、また、レーダーも機能していない、現在連邦軍の偵察機が2機、そちらへ向かった、これに続き、直ちに現地へ急行せよ。偵察機との合流地点は…』
…ほぉー
面白くなってきたじゃねぇか
俺は機体を再度起動させ、上昇を開始する
正体不明の人型兵器ってこたぁ…新型か
面白ぇ…めっちゃ面白ぇ
いいねぇいいねぇいいいいじゃねぇかああああ
>>60 投刃は敵を破壊する事こそ出来なかったが一機――闘海機と呼ばれている機体の右腕を切り裂いて戻ってきた。
だがセリシアにとってこの戦闘は"敵"を殲滅する為の闘いではない。これはあくまで調査が目的の闘い。
無論、彼女以外からの視点では実践と何ら変わりないのだが。
投刃は切り払われた後、再び分離してシュヴェールトの肩に再接続される。
と、ほぼ同時に一機から無数のミサイルが飛んで来る。ジャマーの効果があるので、当たる事はないだろう。
ミサイルは予想通り、散り散りになって落下する。その時拡声器により増幅された女の声が辺りに響く。
>「友軍戦車小隊、カワサキ中尉、私は独立試験小隊ミカミ曹長です、想定外の事態により、あなたの指揮下に入ります、指示を!」
>「こちら戦車小隊カワサキ、感謝する、貴隊には実弾は装備されているか?」
>「いえ」
>「よし、敵を錯乱させつつ、各機ばらばらに撤退する、優先順位は、試作実験小隊、我が隊の順だ、全機実弾の使用を私の独断で許可する、これは訓練ではない」
気が付くとまとまっていた戦車部隊が無数に散らばってこちらに砲撃を仕掛けてくる。
それに便乗して撤退する三機の機体。新型の試作機だ、抵抗せず、機体の安全を優先的に守ろうとしているのだろう。
特にあの人型は何をする事もなくひたすらこの場から逃げる事だけを考えている。
別に戦略的撤退は悪い事ではない、だがセリシアは怒っていた。敵に立ち向かう事もせず背を向けた事に。
シュヴェールトの第二指から真紅のエネルギー刃が伸びる。その後、その場から跳躍して、正面を走っている戦車――カワサキ機の前に立ちはばかる。
そして伸びたエネルギー刃で、上部の砲身のみを切り裂く。相手に抵抗する隙を与えない、疾風の如き早業である。
敵の抵抗力を奪っては、再び跳び、また砲身を切り裂いていく。僅かな時間で全ての戦車の攻撃力が失われた。
その一方で、あの人型は一番先を歩いていた。シュヴェールトは刃を戻して、相手に向かって飛ぶ。
そして一気に相手の後頭部を押さえつけて地面に叩きつけた。両手も押さえ込んでいるので相手は抵抗が出来ない。
二機は直接通信が出来る距離まで近づいている。そしてセリシアは回線を開き搭乗者に話し掛ける。
「なんで逃げるの……そんなに臆病じゃ彼らとは闘えないよ?闘いたくない戦士は死んじゃえばいいのに……」
シュヴェールトの頭を押さえている力が徐々に強くなっていく。圧迫されている機体の頭部からは悲鳴のような金属音が響く。
そして押さえている手を離してエネルギー刃を伸ばし……頭を貫いた。
その時セリシアは見た。遥か遠く――連邦軍の基地の方向から飛んで来る一機の機体を。
三日ルール
決定ルール
後手キャンセル
それぞれどんなものなんですか?
三日ルール
三日たっても相手に進展がなければ続きを書ける
決定リール
相手の行動を自分の行動中に決められる
例、私の攻撃で敵機は墜落した
後手キャンセル
決定リールをキャンセルする
例、墜落した………かに見えたが実は平気だった
壊滅する戦車隊
X7戦車は乗員は車両部分に一名のみ乗車し、砲塔を破壊された際に死者は出ていない事を補足しておく
「退避!全力で退避しろ!」
車両を破壊されたカワサキ中尉の叫びが戦場に響き、脱出した戦車兵達が散り散りに走る
なりふり構わず橋って逃げる戦車兵達
「……よし」
それらの姿を頭部を破壊された闘人機(残HP15%)のコックピットのサブカメラで見ていたハシバが、小声で呟いた
彼の視線は逃げる戦車兵ではなく、破壊された戦車の砲塔にある
>「なんで逃げるの……そんなに臆病じゃ彼らとは闘えないよ?闘いたくない戦士は死んじゃえばいいのに……」
そんなハシバに対し、敵機から幼い少女の声が聞こえてきたが、ハシバは何も応えず
その表情もまた、微塵も崩れることは無かった
「お”んまぇのあいっつぇ”はくぉのぉ俺じゃぁあああアアアアアアアアアアアアアア」
っと、突如、雄たけびと共に、対空装備も無い癖に真っ向勝負を挑もうとしていた愚か者の声が戦場にとどろき、シュヴェールト目掛け闘獣機が高速で突っ込んできた
「くぅらぇいぃ!!」
その声と共に放たれたれようとした槍と闘獣機は突如視界から消え、視界の斜め上から強力な脚部による飛び蹴りがシュヴェールトに炸裂する
「誤算だったな!この星にはオウドウマトル様がいる!!恐れおののいて宇宙に帰って母星で俺の伝説を孫とかに語れぇえ!!」
恐らく自分でも言っていて意味がわかってないのだろうが、とにかく気合の篭った雄たけびと共に距離をとり、隙の無い構えを取る闘獣機
一方闘海機は闘人機のようにやられまいと油断無くシュヴェールトに対して構えながら、じりじりと後退を行っている
参加させて頂きたく、馳せ参じました
名前:P−H001 M.E.S.I.S [メシス]
性別:女性
年齢:17歳
身長:172cm
体重:49kg
3サイズ:このデータは私のデータバンク内に存在しません(自信がないわけでは…!
性格:普通
【精神コマンド】
集中 直感 加速 鉄壁 気合 愛
【特殊技能】
ガンファイト 援護防御 支援攻撃 ???
【プロフィール】
軍の上層部のほんの僅かな者しかその存在を知らない少数精鋭の機密部隊、
「漆黒の牙」に配属された女性型アンドロイド。隊内で誰もが彼女に対して
普通の人間と接するのと同じように接していた為、感情豊かで明るい性格。
ロボットだから何でもできるというわけではなく、成長型AIなので時折ドジッコになる。
現在料理に夢中。
名前:コウ・ヤジマ
性別:男性
年齢:23歳
身長:182cm
体重:62kg
3サイズ:諸君、男の3サイズを聞いて萌えることができるか…?否、断じて否!
性格:強気
【精神コマンド】
閃き 必中 迅速 不屈 気迫 魂
【特殊技能】
指揮官 インファイト 切り払い 天才
【プロフィール】
「漆黒の牙」の隊長。今回はメシスの付き添いということで同行している。
その実力はかなりのもので、体一つで戦車や戦闘機を破壊することが可能。
よくタルタロスのコクピット(厳密には装甲の隙間)で昼寝しており、変形に巻き込まれ
いつも涙目になっているらしい。ヘッドギア(?)を常に装着しており、表情は読み取れない
萌えとは何かを追求しており、アニメなどの知識も豊富。メインパイロットにはなれないので
ただの精神コマンド要員である。
どうでもいいことですが、コウの欄に追加。
コードネームは「レイヴン」だが他人の目の前以外では隊員たちは本名で呼び合うため
ほぼ無意味。
名前:タルタロス
サイズ:L
HP:22000
EN:280
運動:100(人型形態では80)
装甲:2000
移動:6(人型では5)
移動タイプ:空
地形適応:陸B 空A 海C(人型ではD) 宇A
【特殊能力】
HP回復(小) EN回復(小) 変形
【武装】
ミサイルランチャー
ホーミングレーザー
P・スマッシュカノン(肩部に装着されている装置からスペシウム光線的な縦長のビーム発射)
ケルベロス(斬撃) (ガンレオンのジャレンチみたいな形の、射撃と接近戦両方こなせる武器)
ケルベロス(射撃)
ドラグーンビット(左右の肩に二機ずつ搭載された龍の顔のようなビットを射出)
スペクトラルインフェルノ(死人の魂を呼び起こして隊列を組ませ、突撃し相手を機体ごと死界に叩き落す)
【機体解説】
厳密には機体ではなく、別次元から呼び出される生命体。これでもまだ子供
軍内での名称はフンボルト。(戦艦に変形するとペンギンのような形になるため)しかしペンギンまでいうと激しく怒る
普段は巨大な戦艦だが、変形し、頭部のない人型になる。そこに追加パーツを装備したメシスが頭部に変形、
合体し、完成する。子供なので力の使い方がわからず、時々暴走してしまう
基本データはサルファのズフィルードを参考にしましたが強すぎますかね?
意見が欲しいのですが…
>>66 PPサイドでしょうかね?明らかにオーバーテクノロジー……
それと避難所立てたんでそちらに移ってもらえないでしょうか?
>>58 サテライトは敵機を撃墜。とまではいかなかったがユキが体勢を立て直すには
充分な時間くらいは作ってくれた
(どう来る?)
ここから先が経験の浅い彼には判らない
突っ込んでくる、ジワジワ詰めてくる、逃げる
大穴だと仲間を呼ぶ
何でも有り得る。それは裏を返せば、何が有るか判らない恐怖でもあるのだ
若者らしく、元気よく突っ込むのも手段としてあるにはあるが
切り替えが甘いと手痛いカウンターを貰う可能性も高い
(………仕方ないか)
ユキはよくよく考えた後、まずは回収信号を出し
残った4基のサテライトと、同じく4基のミサイルキャリーを放出
一斉に敵機を襲わせる
それだけではない肩のビーム砲と胸部の拡散ビームも撃ちまくりながら
かつ、有線クローでも攻撃を加える
正直、ユキ自身への負担はバカにならない程に重いが
原因はよく解らない。相手がかなり速いからか、不気味に発光するか。定かではないが
何となく、ここいらでケリをつけておかないとジワジワとでもやられてしまう気がしてならない
だから次はない、次を作らせない。そのためにも全力を尽くす
今までの操作とは違って今回は脳波制御をフルに使った斉射をやろうというのだ
そしてこれは諸刃の剣。この攻撃が終わった後にまで
彼が意識を保てるかどうか判らない
(まぁ、なるようになるさ)
>>69 轟音が響く。
一人の少年はその響く部屋の中ベットで隠れ震えていた。
「……まだ、終わらないのかなぁ……」
外を見る気にもなれない。
偶然見たときは漫画でよく出てくる浮遊兵器みたいなのが戦闘機に襲い掛かっていたのは見えたわけだが……。
その後起きた爆発が怖くて少年は見ようともしなかった。
「早く終わってよぉ……ボク怖いよ……どうしてボクだけ」
少年はただの少年だった、戦いを知らぬ。
それが半年前あらわれた隕石のせいで……理不尽だ。と少年は嘆くしかなかった……
そして今の少年の嘆きはいつ終わるのかわからない戦いに対して向けられていた。
……その後救出されるまで少年はベットから一度も出ることは……なかった。
ヒュ―ジとの戦いを終え、連邦軍アフリカ支部基地に帰還すると彼らは俺をヒーローのように迎え入れた。
出迎えてくれた人々の中には老若男女様々な人がいる。彼らは全員、南の方から逃げてきた難民達だ。
全員が家族を奪われたり、離れ離れになっている。未だに逃げ送れた者達はあの侵略者―――P・Pに捕虜として扱われている。
無論、俺の家族や仲間も奴らの管理下に置かれている。ここの人たちをそんな目には合わせたくない。そして、捕らわれた人々を絶対に救ってみる……!
―――――
「おーおー……なんで俺のお手製ドリルがこんなにぶっ壊れてやがんだ!あぁ!?」
「うるせぇ!あっちの刀だかなんだかと叩きあったらこうなっちまったんだよ!」
格納庫に入り、一休みしようと降りた俺の所にやってきたのは整備班長のローガン・シャッフだ。
咥え煙草にボサボサの金髪からいかにもくたびれたおっさんという感じを醸し出している。
自分の機体―――ディグ・クラッシャーに何かある度に俺に突っかかってくる。ちなみに前回は速射砲の不発を俺のせいにしやがった
「てめぇ……責任は……って、待て。刀ぁ?まさか剣に負けたのか?俺のドリルがかぁ?」
「あぁ、そうだよ。何か文句あんのか?」
「……いや、あの侵略者に俺のドリルが劣ってると言う事が認めらんねぇ……!整備班集合ぉ!大仕事になるぞ!」
所々で戦車やら、戦闘機やらを弄っていた整備班の者が一斉に集まってくる。
ここからは彼らの仕事だ。後は彼らに任せるとしよう。そして俺は……
「ライオネル・マクダレフ軍曹、入室します」
「うむ、先の戦いはご苦労であった。君の功労を評して戦時下特殊法により二階級の特進で准尉とする」
「は、ありがとうございます!」
彼はこの基地の司令官、ルバート・ラグナー少将。
古典的な軍人だが温厚な人で部下や民間人からは慕われている。俺を引き抜いてきたのもこの人だ。
「よろしい。その調子でこれからも我々の為に……と、言いたいのだが、上層部から君の転属命令が決まった」
「は……?なんと?」
「うむ、三日後、君は極東、キュウシュウへ飛んでもらう。そちらの司令官には既にその旨は伝えてある」
「そんな……!自分は!南部の人々を解放する為に今まで戦ってきたのです!それを途中で投げ出してまで……」
「……君は民間兵でもゲリラでもない、既に軍という一組織の兵士なのだ!こちらとしても真に遺憾だが……すまない」
「……クッ、退室します……ッ!」
「若いな……私も後、十年若ければ前線に出ているのに……な」
そして、特に何も起こらないまま三日が過ぎて行った。俺の中ではしばらく不満が溜まっていたがそれも仕方がない事だと受け止めた。
俺の乗る輸送機にディグ・クラッシャーが格納されている。右腕のドリルは外されていて、代わりにやたらとデカイ腕が付いている
更にディグ・クラッシャーの隣に置いてあるのは……巨大なハンマー?
疑問に思っている俺のところにローガンがやって来た。
「おー?あれは何だって顔してんじゃねーか。あれはな対岩盤破砕大槌連結式回転衝角装備型つってな。本来は岩砕き用のハンマーなんだが
ディグ・クラッシャーのドリルをバラしてあれに取り付けたんだ。二形態に変形が可能で通常のハンマーモード、衝角を展開したクラッシャーモード
の二形態だ。ケツには特別製のロケットブースターが増設して、噴射の勢いで破壊力を何倍にも増す。まぁ右腕のドリルは無くなっちまったが」
「つまりドリル付きのハンマーか。こいつはありがてえ。」
「ったく……突貫工事で三日寝てないんだ……もうぶっ壊されるなよなぁ……」
「あぁ!どんな奴でもこいつでぶっ壊してみせるぜ!そして、いつかここに戻って南部の奴らを解放してみせる…!」
どっ、と周囲から歓声が湧き起こる。正直、少し泣きそうだが……男が簡単に泣いちゃいけねぇ。
俺は輸送機に乗り込み、故郷を離れて、異郷の地へと向かった……
広い、緑薫る大地…爽やかな風が一厘吹き抜けてゆく。まるでどこまでも続いているかのように景色は広がっている
しかし晴天の青空の今日、その景色は少し変わっていた…
「それ」はゆっくり前進していた。草原に落ちた、百メートルはあるだろうという巨大な「影」……
雲?否、今現在この青空に雲などなく、飛行機などでもない。陽光を遮る物など何一つ存在しないのだ。
どこからか、声が聞こえてくる…
「隊長、隊長?……通信機は切らないでと言ったのに…また何処かで寝てますね?」
若い、女性の声。誰かを探しているようだ
「もう、仕方がありません…タルタロス!隊長の居場所はわかりますか?」
「オォォォォ……!」
低く、大地を揺るがす唸り声。木々にとまっていた鳥達が騒ぎながら、一斉に飛び去って行く
「ガコン…」と、何かが外れた音がする。その音と共に、「影」に変化が生じる
「影」の側面からもう一本、腕の形をした影が現れ、曲がる。すると―
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?メシス、キサマァ!!」
「隊長…そんな所に…」
男の声。なにやら先ほどの腕のようなものに挟まれたらしい。
「はぁっはぁっ…!アバラが…肋骨が…!」
「隊長、そんなことよりステルスシールドがもう持ちません。あと数分で消滅します」
女性の声が淡々と告げる。その言葉を証明するように、空中―「影」の真上にその正体が現れようとしている。
漆黒のボディ、所々に光る金色、四対の龍頭……何より冗談のような巨躯
「…そうか、まぁもともと急ごしらえで取り付けたものだ。今までよく持ったほうだ」
はっはっはと男は笑う。内心では自分の身よりシールドの心配をされたという傷がかなり効いているが。
「メシス、今回の任務内容を復唱せよ」
「は…地球側の戦力の偵察、脅威となりえる場合は即座に破壊すべし、です」
「うむ、では…『漆黒の牙』としての任務内容を復唱せよ」
「は…地球側の戦力への支援、及び、可能な限りの情報、技術提供です」
「よろしい」
……この二人は何を考えているというのだろう。自分達の交わした言葉の意味を解っているのだろうか
「さて、久しぶりの我が故郷の星だが、敵だと認識されている以上、慎重に動かなくてはな…」
「あの、隊長…」
「ステルスシールドが消えた今、まずコイツには隠れてもらわねばな。見た目が明らかに悪役だ」
「隊長!それなんですが実は…」
女性が声を荒げ、やっと男は話し掛けられていることに気付いた。
しかも女性が何か浮かない顔をしているのにも気付いてしまった…
「…どうした?」
「ぜ、前方を御覧くださ〜い…なんちゃって…」
言われるがまま前方に目をやると、何ということか。こんなタイミングで
「……レーダーは何をしていたドジッコさん…?」
前方に見えるのは形状からして輸送機、しかも明らかにこちらを視認できる距離であった…
>>65 戦車兵は隊長らしき人物――カワサキの指示により、戦場からの離脱を開始した。
これでいい。戦車隊がいれば厄介だし、それに無駄な殺しもしたくはない。セリシアは心の中で安堵する。
馬乗りになっている機体から離れ、体勢を整えようとした瞬間
>「お”んまぇのあいっつぇ”はくぉのぉ俺じゃぁあああアアアアアアアアアアアアアア」
頭の悪そうな男の声が戦場に響いた。正面からは得物の槍を構えた四足の機体がこちらを目掛けて突貫してくる
>「くぅらぇいぃ!!」
槍を構え、こちらに突き刺そうとした瞬間――その機体は視界から消え、直後、頭部に飛び蹴りが炸裂する。
その勢いで、シュヴェールトは吹き飛び後ろに倒れる。
>「誤算だったな!この星にはオウドウマトル様がいる!!恐れおののいて宇宙に帰って母星で俺の伝説を孫とかに語れぇえ!!」
「……意味分かんない」
シュヴェールトは飛び上がり、二つの投刃を手に持って、相手の頭上から斬りかかる。
瞬間、敵機の足元に着地し、機体の前足に脚払いをかける。
やられた事をそのまま返したのだ。
その後シュヴェールトは数歩下がり、投刃をしまい、手を降ろす。
直後、ガチャンという、何かが外れた音と共に、背部の二対の翼のうち、一対が宙を舞う。
そして、二枚の翼から"柄"が伸びて接続され、シュヴェールトの手に収まる。
そして、再び四足の機体に向かって走り出す。既に彼女の狙いは一機に定まっていた。
平原より少し離れた小高い丘から、その光景を見ている者がいた。
その者も人ではなく、人の姿を模した巨人であった。だが、頭部の目、鼻、口はまるで人そのものである。
やがて巨人は、彼らに手を出す事もなく去っていった……
>>69 敵は自律兵器を八基展開、後、肩・胸部のビームと腕部のクローをこちらに向けて射出した。
「……来た!」
予定通り、ハイゾルランチャーを相手のビームと出来るだけ相殺させるように拡散させる。
そして、相手との距離を開くように離れて、GRシステムを起動する。
「出力40%……60%……80%!!行けぇ!」
先ほどとは比べ物にならないほどの光り輝く緑光がラウフェン・ボーゲルを包む。
出力80%が現在のこの機体の最高出力。加速速度も比べ物にならないほどだ。
こちらが敵の機体に近づいたその時、頭の中に何かの映像が過ぎった。
「何かに乗ってる……男の子?」
ほんの一瞬だった。一体なんだったんだろうか……?
敵のビームの弾幕は、未だ健在だがEフィールドにより大抵のものは無効化される。
当たったとしてもここに来て少しの傷なんて気にはならない。
腕部のクローもこちらの速度には付いてこれないだろう。
ミサイルが数弾当たったが、まだ飛べる。この体当たり……ただではすませない!
>>74 「ぬおっとぉお!」
足払いを喰らい、体勢が崩れかけるが、すばやく槍を地面に突き刺して体を支え、持ちこたえる
その間にもオウドウは敵の追撃に備え盾を構えていたが、敵からの追撃は無かった
直後、ガチャンという、何かが外れた音と共に、敵の手に剣の様なものが握られる
その後、こちらに向かって突っ込んでくる敵機
「飛ばねぇたぁ…舐められたな」
オウドウはそう言うと、盾を前に突き出し、槍をいつでも放てるように構えつつ、自らも突進する
勝算は十二分にあった
まず敵機が突っ込んでくる自機に対し熱線兵器やミサイルを撃ってきても、眼前の盾で弾き、隙だらけになる敵の胴体を攻撃できる
腕の巨大な剣にしても、リーチは見たところ同じ、それなら「振る」と「突く」の動作の速さの差で、こちらに利がある
避けられたとしても、相手のあの大きな剣なら、避けた次の動作で振った時には、闘獣機はその足の速さを生かして間合いの外に逃げているだろう
言動に愚かさが見える脳みそ筋肉かと思いきや、こと戦闘にかけて、オウドウは計算高かった
でなければ、戦車で敵の戦闘ロボットを撃破する事等、適わないのだろう
闘人機がX7の残骸から回収した実弾を込めた機関砲を、闘獣機の背後から構え、現れるべき敵に向ける
ハシバは我が身かわいさだけで逃げたわけでは無い
実弾が装填されていない武器しか持っていない上、ろくな格闘戦用プログラムの無い闘人機ではあの高性能な敵機に勝てぬとすばやく判断し、いち早く武装を取りに向かったのであり
故に彼は戦車が破壊された際すばやく銃弾の補給先を切り替え、オウドウがセリシアと戦っている間に弾薬の換装を行ったのだ
「……殺す」
自機を無残な姿にした敵機に対し、コックピットの中で呪いの言葉をぼそりと呟いたハシバは、敵がオウドウの攻撃をかわし、反撃せんとできる隙がくるのを、じっと無言で待つ
闘海機の姿は、いつの間にか戦場から消えていた
今更ながら参加希望です。
設定をちょっと考えてみたんですが、立ち位置が特殊なんで皆さんと相談してみたいので宜しくお願いします
>>77 上でも書いてますが新規さんは避難所に書き込んでください
何度も言いたくないんで以降の新規参加者さんは一度、このスレを読んでください……
>>75 必殺の斉射。なのに相手はちっとも堪えてない
繋ぎ止めるのがやっとな意識でもはっきりと解る
(ヤバい)
クローは間に合いそうにない。ミサイルキャリー、ビームサテライトもだ
絶体絶命のこの状況で、さしものユキもさすがに
失神したら気が楽かな………
そんなネガティブな気持ちになってしまう
(死にたくない………かな)
敵機が迫る中、モヤのかかる意識の中でもユキはやんわりと笑う
自分はそんな事も判らないのか。と
『こちらキャリーリーダー。回収に来た』
そんな感傷に浸る間もなくそんな通信が入る
その通信の直後に敵機が突っ込むよりも早く、追加ブースター仕様のライガー三機が
エスペラティオを掠め取ってあっと言う間に飛び去っていく
「早いな」
『近くで待機していたからな』
「あぁ、そう」
『准将から通信だ』
「あぁ、回してくれ」
クラクラとしてきた意識でボンヤリとそう呟く
『ユキ?
どうだった、初陣は?』
「うん………やっぱ殺し合いってのは怖いかな」
『そう――』
「ゴメン。疲れたから寝る」
流石に意識を保つのが辛くなったユキはヘルミフィアの言葉を遮って
意識を落とす
今日はイマイチだった。次は頑張っていっぱいげきついしよう…………
80 :
名無しになりきれ:2009/04/16(木) 11:26:54 O
>>73 青い空、白い雲。そして真下の広大な海。
今俺を乗せた輸送機は日本――キュウシュウへ向かってインド洋を北上している。
ここを通りこせば日本はもうすぐだ。そこには宇宙人と戦う俺の仲間がいる……絶対に負けねえ!
前方にチラチラと島が見えてきた。インド洋を越え、ここはインドネシアだろう。
それは大小様々な島があるのだが、一つだけ不自然な島がある。
それは影にでも覆われたかのように、暗い島だ。
不思議には思うが、世界には色々な島があるんだな、と感心して眠りに入ろうとしたその時
「なんだ……?う、うわ!おい、見てみろ!大きい……」
機長が声を荒げて叫ぶ。すかさず、コックピットに向かって、正面を見据える。
――それは巨大な要塞というべきだろう。全体を覆う漆黒には所々に金の装飾が目立ち、何より八つの竜の首が目立つ
「なんだよ……あれ……あんな奴まで出てくるのか……ハハ」
絶望という単語が頭を駆け巡る。それ程にあの戦艦は巨大だ。
だが、ここで挫けていたら……家族や仲間を救う事は出来ない!
「機長!全速力でここから離脱しろ!進路を内陸に向けるんだ!あと、全連邦基地に向かって救難信号を送れ!
俺はディグ・クラッシャーで待機している!」
「おうよ、任せとけ!俺もこんなとこでくたばりたくはねえからなぁ!」
俺は格納庫に向かい、ディグ・クラッシャーに乗り込む。
もしもあの戦艦から攻撃が仕掛けられた場合、少しでも俺が食い止める。
コイツの破壊力なら相手の足止め程度は出来るだろう。
>>79 敵機との接触の瞬間、どこからか三機の機体が現れ、目の前の機体を掴んであっという間に飛び去ってしまった。
標的を失ったラウフェンは空を切り、再び空へと舞い上がった……
「――なんて奴……後、少しだったの……に……」
搭乗者――ティアリスは意識を失い、乗り手のいなくなったラウフェンは、上昇を止め、地上へと落下していく。
――だが突然、擦り切れた布を纏った巨人が現れ、それを空中で受け止めた。
その機体は、二つの脚で地上に降り、抱えている機体に語りかけるように話し出す。
「ここまで、よく頑張ったな……ティアリス」
そしてその機体は、ラウフェンを抱えたまま、海底へと沈んでいった……
――――
「……は!ここは……?」
見慣れた空間。辺り一面白く塗装されていて清潔な雰囲気を出してるこの場所は……
そう。ヨーロッパ支部の医務室だった。
「あれ……?私はオーストラリアで戦っていたはずじゃ――ツッ!」
「どこかで肩を強く打ちつけたみたいね。もう少し寝ていなさい。
あの後オーストラリア支部の人たちが傷ついたラウフェンとあなたを回収して
私達がここまで連れてきたのよ。まったく……いきなり80%は負荷がかかるって言ったじゃないの……」
起きた私に話し掛けたのは救護班長兼整備班長のライナさんだ。
白衣の似合う女性で、何より優しい。私の相談にもよく乗ってもらってる
「はい、すいません……あの時はああするしか……」
「まったく……仕方がないわね。ほら、いつまでも落ち込んでるなんてあなたらしくないわよ?」
「そ、そうですよね。アハハハ!」
その後、ライナさんからこれまでの話を聞いた。
私は一日中眠っていたらしく、ラウフェンも異動に間に合うように急ピッチで修理が行われてるらしい。
ん……?異動?
「ライナさん!異動ってどういうことですか!?私がですか!?」
「あら、そうよ。何でも、戦力は集中させるべきっていう、上層部の決断らしいわ。
他の支部からも来るそうよ。確か……アフリカだったかしら?」
「うーん……そうですか。どんな人がいるのかなぁ……あっ、ここの人たちと離れるのも悲しいですよ?」
「ふふ。そうね。でも私も行くのよ?ラウフェンの修理は他の人達には出来ないしね」
「本当ですか!?よかったぁ……一人はちょっと心細かったから……」
「それは勿論私もよ。あなたが居て良かったわ。じゃあ、早く疲れを取って、行きましょうね」
そして私は再び眠りについた。
眠る間際、扉の向こうに金色の髪の女の子がいたような……
>>76 二機は互いに、正面の敵を殺すような勢いで突進していく。
相手は盾を構えている。おそらく、盾に攻撃を受け止められて槍で一突きだろう。
そう直感したセリシアはある考えを思いついた。
二機は相手の得物の射程内に入り、シュヴェールトは双刃剣を構え、
敵機はこちらを串刺しにせんとばかりの勢いでこちらの胸部を狙ってくる。
シュヴェールトはその瞬間、飛んだ。そして得物の槍を蹴り、その勢いで再度跳躍、敵の盾を頭上から両断する。
セリシアはまだ人としては幼いが、戦場では熟年のベテランにも引けを取らない。それほどまでに戦場慣れしているのだ。
槍を弾かれた機体――マトル機は既に体勢を立て直していた。
一瞬だが背後にあの首を吹き飛ばした機体が亡者の如くこちらに銃を構えているのが見えた。
いつ換装したのか、それともただの威嚇なのかは分からないが警戒だけはしておこうと、セリシアは背後の機体も警戒し
再び斬りかかろうとする――が、ここで彼女に通信が入った。
「セリシア、帰還するぞ。彼女が帰ってきた。すぐに合流しろ」
「……ッ!判りました、すぐに行くから待ってて、お兄様!」
シュヴェールトは攻撃を止め、双刃剣を翼に戻し、飛び立とうとする
その時彼女は連邦の回線で通信を開き――
「さようなら、みなさん……一人だけ会えなかったのは残念だけど、また近いうちに会いましょう」
と、意図も分からない言葉を言い残し、セリシアの乗るシュヴェールトは戦地から飛び去った
>>81 漆黒の巨大戦艦の上…そこで二人の人影が口論している。
人影の一つは見た目はごく普通の、17歳ほどの少女だが、
背中に尋常ではない大きさの装備をつけている。女性型アンドロイド、メシスである。
「全ての責任が私にあるわけではありません!手伝わずに寝ていた隊長にも十分非があると言えます!」
もう一方、鋭利な形状のヘッドギアで顔を隠した男、コウが反論する。
「俺はレーダーなんぞ持っていない。あ、いや持ってるけど索敵範囲は100m以内だからやっぱり仕方ない」
100mというと二人の乗るタルタロスしか検出できない。在って無いが如しである。
「グルルル…!」
タルタロスは不満気に唸る。それもそのはず、自分は輸送機の接近にとうの昔に気付いて警告を出していたというのに、
コウは爆睡、メシスはコウに対しての愚痴を延々と自分に言い聞かせてくる。こちらの報告を聞く気が全くなかった。
面倒臭いので途中で警告も止めてしまった。
「大体、お前は常に……!!」
メシスへの叱咤の途中でコウが急に黙りこみ、先ほどの輸送機の方を見つめ始める。
「……?」
いつもの様に、アホ毛を?まれるというわけのわからない説教法が来ると予期し、
必死にアホ毛を守っていたメシスだが、コウが急に手を止め、呆気にとられているので、手の届かない範囲まで離れ、自分もそちらを見る。
反転し、どうやらこの空域から離脱しようとしている輸送機のハッチが開いている。何か来るのだろうか?
どうせならそのまま帰ってくれればいいのに…いや、増援を呼ばれるかもしれない。やっぱり困る
そんな事を考えていると、一機の機体がハッチから覗き見える。
「は、ハンマーだと…!?」
「あれは…岩盤破砕機ですか?あのような大振りな装備では、モーションにも隙ができてしまいますよ」
冷静に眼前の機体について語るメシスだが、コウは違う。何か変に興奮している
「ハンマー…!カッコイイ…!よすぎる…!!いいなぁ、欲しいなぁ…!」
気持ち悪い。二十三にもなって何をしているのだろう…何でも「ドリルとハンマーは漢の浪漫」だそうな。メシスには良く解らない世界だ。女性型だし。
「……と、もっと観察したいが、このままあの輸送機に逃げられては困る。まず事情を知ってもらわねば……メシス」
「了解です。ドラグーンビット、ロックオフ!」
その言葉を言い終える前に、大小四つの龍頭の眼に紅い光が灯り、ゆらりと宙へ舞う。
「目標はあの輸送機です。いいですか?危害を加えてはいけません。キャプチャービームで鹵獲して、連れて来てください」
龍頭達は頷くように上下し、警戒されないよう、ゆっくり、しかし、逃げられないくらいのスピードで輸送機へと向かう。
「全砲門を閉じろ。接近するぞ。メシス、笑顔を大切にな」
「隊長こそ、こんな時くらい、ヘッドギアとってくださいね」
ドラグーンビット四機が輸送機と平行に飛び、キャプチャービームを展開した――
「・・・もうすぐです。楽しみです」
赤い髪、赤い瞳を持つ女は顔にうっすら笑顔を浮かべる
今、彼女は機動兵器のコクピットの中に座っている。白を基調にした機体は中の彼女と妙なコントラストを演出していた
彼女は眼前の空間に浮かんでいるモニターをじっと見つめていた。そこには真っ黒な、闇と形容すべき物しか映っていなかった。
するとすぐにモニターからアラーム音が鳴り、彼女はモニターを綺麗な白い指で優しく触れる
機体は白い光に包まれ、青い空間に掃き出される
否、そこは青い空間ではなく青い空とそれと同じくらい青い海が広がっていた
「とても・・・綺麗です。これは楽しみが増えました」
彼女はその圧倒的な自然に感動したあと自由落下を始める機体を変形させた。
その姿は先刻までの純白の機体とは真逆の漆黒の機体だった。
さらに悪魔の羽を彷彿とさせるようなフレキシブルバインダーを展開させ自由落下を止める。
「ん・・・あれはなんです?」
レーダーに巨大な影が映り彼女の肉眼にも巨大な戦艦のような物が見えた
「おもしろそうです。」
機体を戦艦に向かわせるとその姿は異形であった。その周りには輸送機と思しき機影もあり彼女は少し困惑した
「さて、どういった状況でしょうか困ったです」
この二機が敵対しているかもわからない状況で彼女は一つの選択をした
「そこの二機、あなたたちは敵対していますか?」
そうストレートに質問してみたのだ
敵機の曲芸のような全く規格外の動きに、しかしオウドウは驚くよりも先にそれに応じるべく体勢を整える
闘獣機の性能が敵と同程度などとオウドウは全く思っていない
故に、敵機がどんな奇抜な動きを見せたとしても、オウドウの中ではそれは想定内の事だった
「やってくれんじゃねぇか…そぉおおおでなくっちゃなぁ…」
頬を伝う汗を舌で舐めとり、突撃槍を構えなおした時…
敵機は突如機体を飛び上がらせ、退避を始めた
しかし、それでも闘獣機は構えをとかない
「ようやっと本気出したか…よぉし上等だ…」
呟くようにそう言って、オウドウは機体を敵機に向けたまま、ランダムに走行を開始する
その後ろで、闘人機がすばやく掘られていた戦車壕に駆け込み、四つんばいになって射撃姿勢をとった
去っていく敵機と対になっている位置のそこならば、空からの熱線攻撃にもある程度防御力はあるだろう
…セリシアは通信は、彼女自身が行ったジャミングにより、彼等には届いていなかった
「何て…化け物だ!」
戦車壕の中に数名の部下と身を隠しながら、事の成り行きを見つめていたカワサキが、悔しげに吐き捨てる
っと、丁度その瞬間、戦車壕を爆音を轟かせながら巨大な影が通過した
「!」
驚き、空を見上げたカワサキ達の視線の先を、闘空機がシュヴェールトを追跡して飛んでいく
何か来たな、っと思ってたら、やーーっぱ来てやがったなインベーダー
眼下では数十両の戦車が無残な姿になり、同じ隊の連中の機体もすばらしい姿になっている
どうやら丁度逃げる所にでくわしたらしく、敵機は今まさに飛び立ち、加速する所だった
完全な人型の癖に、この機体並みの加速性能を持ってるらしく、普通に飛んでた俺の機は、ぐんぐん離されていく
「アイバードリーダー、後のこたぁ頼むわ、おらぁ奴を追う」
偵察機の小隊長にそういうと、俺は抗議の声を無視して、敵機に負けじと加速した
前出てきた羽根付きかと思ったら、どうやら完全な新型らしい
こいつを落せりゃ前のボロ負けはイーブンだ。パイロット違う?関係ないね
心の中でほくマイルールを呟いた俺は、すばやく敵機をロックオンしにかかる
>>84-85 俺がディグ・クラッシャーのコックピットに乗り込むと、既に輸送機のハッチは開いていた。
いつでもすぐ出せるように、ってか。あの機長、知り合ったばかりだが中々良い奴だ。ニホンに着いたら一杯交わしてえな。
突如出現した巨大な戦艦――アンノウンの上にレーダーが熱源と、生命反応を感知した。
コイツのレーダーは通常の機体より優れてるそうだ。鉱山の仕事では人身事故が多いから、というあいつの念押しの為だ。
少しだけ、ハッチから様子を見てみると、変な男女が口論していた。
男?の方は顔をヘッドギアらしき物で覆っており顔が見えない。もう一人、女は何か、異常にデカイ何かを背負ってやがる。
何らかのパーツのようだが……あれを背負ってるだけ常人ではないという事が分かる。
「……!ヤバイ!今すぐ輸送機から降りろ、ライオネル!敵に囲まれた!」
輸送機を覆い囲むように四機の"龍"と呼ばれる化け物を模した何かが浮遊している。
その龍の眼は鈍く、紅く不気味に輝いている。その眼から、細いビームが輸送機に照射される。
俺は反射的にディグ・クラッシャーを動かし、ハンマーを担いで飛び降りる。
「いや機長、お前を見捨てる事なんてしねえ!待ってろよ!」
対岩盤破砕大槌連結式回転衝角装備型――ドリル・ハンマーのブースターを点火し、それに飛び乗る。
やや不安定だが、ちゃんと飛んでいる。土壇場で考えた事だが、これにより一時的にだが……!
一番近くにいた、龍の頭に接近し――その頭、砕いてやるよ。
敵機の頭上から、頭部を粉砕する。見事に龍の頭部は砕けて、制御を失った体は海上へと落下していく。
「ふ……名付けてライオネル・インパクト!……っと、危ねえ、俺も落ちるところだったぜ」
再びハンマーに飛び乗り、空中へと上昇する。だが突然、頭上の空が白く光り……何かが落ちてきた!
ディグ・クラッシャーはそれに踏みつけられ、海に叩き落される。
だがそんな事はなかったかのように、女の声が辺り一帯に響いた。
>「そこの二機、あなたたちは敵対していますか?」
俺は何とか海上まで上り、質問に答える。
俺が居た地点にはまた所属不明の機体が出現していた
「バカヤロウ!危ねえだろうが!ちょっとは下を向いて歩け、いや飛べ!
第一、まずはてめえが答えるのが礼儀だろが!所属と名前を言え!」
>>86-87 セリシアは"彼"との合流地点に向かって真っ直ぐ飛びつづける。
地上ではマトル機がこちらを追いかけて疾走しているが、到底こちらには追い付けない
だが問題は背後の機体だ。いつからか、先ほどはいなかった、戦闘機のような機体が、シュヴェールトの
後ろに張り付きながらこちらを追いかけて飛行している。
その風貌からセリシアは"彼女"の機体かと見間違えたが、すぐにあれは大闘神計画の欠けていた一機だと判断した
こちらには、飛行中に放てる武器など搭載していない。だが、ジャマーは既に効果が切れており
相手からすれば、こちらは無防備の状態ということになる。
その時、"彼"から通信が入る。
「飛び続けろセリシア、こちらからスナイプで援護する!」
「判りました。ありがとう、お兄様!」
通信が途切れた直後、シュヴェールトの横を数発の弾丸が横切る。
全てが、背後の機体の飛行能力を奪う為に翼へと吸い込まれるように飛んでいく。
当然こちらからは"彼"の姿を認知する事は出来ない。
完全にアウトレンジからの超長距離射撃である。
>>88 「グォォォォ…!」
巨大なペンギ…もとい、タルタロスが怒りとも悲しみともつかない、低い雄叫びを上げる。
目の前で自分の体の一部が、叩き潰され海の藻屑と消えたからには、まぁ至極当然の反応であろう。
「あぁー!!ドラグーンビットが…今の小型の奴でしたよね…?酷い…」
メシスがうなだれて落ち込んでいる。部分的損傷ならまだしも、破壊されてしまったとなると、また生えてくるのに五日はかかる。
因みに大型は二〜三週間の再生期間が必要である。大型じゃなくて良かった。
「あの機体…なかなかの破壊力を有しているではないか…メシス、大型のビットは戻せ。小型一体だけで何とか足止めするのだ」
コウが言うと、メシスが細々とした声でタルタロスに命じる。二機の大型の龍頭が反転、こちらに戻ってきて自らの在るべき場所を見つけると、静かに連結した。
「さて、こちらの事をいよいよ本格的に敵と思い始めたようだな……ビットはまずかったかなぁ……ん?」
ハンマーに乗っていたはずの先程の御仁が落下している。気付くとレーダーに何か反応が在る。虚空を振り仰ぐ。そこには…
>>「そこの二機、あなたたちは敵対していますか?」
白が眩しい、美しい機体…さっきまでハンマーのロボットがいた所に、代わりだと言わんばかりに白いアンノウンが表れている。しかもいきなり何てストレートな質問だ…
「……メシス、お前に積まれているレーダーは最新の物だと、開発局の皆様が胸を張って自慢しに来たのを、俺は今でも覚えているんだが…?」
頭を抱え、やれやれだとコウは軽く嫌味を言う。メシス自体のレーダーはもちろんのこと、彼女が装備しているタルタロスのヘッドパーツの中にもレーダーパーツはある。
あって当然だ。頭部を担うのだから。しかし、メシスはどうやら、現在索敵を行っていない。というか、まだ泣いている。
「うぅ……あれはポチですぅ…絶対そうだ…一番私に懐いてくれていたのにぃ…うぅ、ポチィ…」
ポチ?このアンドロイド、武装に愛称をつけていたのか!?なんて寂しい奴だ!しかし、悲しみが一変、今度は何だか目が燃え始めてた。
「ポチの意志は、ポチUが継いでくれる…そうです、泣かないで私!」
ファイトだ私!と自らを鼓舞し、自力で立ち直った。ポチUて…
メシスは、すっくと立ち上がると、喉に手を当て、「あ〜、あ〜」と発生練習のようなことを始める。
発声を繰り返すごとに声のボリュームが大きくなる。一発でできないのがこの機能の難である。メシスはこれが大嫌いで、死にたいくらいに恥ずかしい。
かなりの大声になったところで、先程現れた白いアンノウンに向き直る。
「私はメシスといいます。始めまして。…あれ、ハローですか?ニイハオですか?」
こちらもいきなり変なこと言う。
「えー、とりあえず私は名乗りました。ので、自動的に、あなたにも名乗って頂きます。そもそもまず自分が名乗るものなんですがねー?」
そういえば、海に落下した御仁も何事か叫んでいる。どうやらこちらと同じようなことを言っているようだ。さて、今度はアンノウンの出方を見てみましょうか…
そんな事を考えつつ、メシスは声の大きさを元に戻した―――
>>88>>90 相対している二人から同時に同じような質問を受ける
「これは失礼しましたです。私の名前はテクノ・クリムゾンです。
テクノでもクリムゾンでもどちらでも好きな方でお呼びくださいです。
所属は連合軍第三兵器開発局特殊兵器開発課所属、型式番号TS-05です。テクノシリーズの5号機です」
妙に長い所属を真剣な声色で語りきると最後にこう付け加えた
「グーテンタークでも、ボンジュールでもよかったです。」
そしてゆっくりと腰に掛けてあるライフルを両手に一つずつ持ち二機に語りかける
「どうします?このまま戦いを続けますか?相手になるですよ?」
ユキとの通信を終わらせたヘルミフィアは
整備班長へ伝令を走らせる
曰わく「ライガーカスタムの使用も許可する」
さらに技術班の者も呼び出す
「なぜカツキ特佐にああまでダメージがあるのだ?」
技術者は顔面を引きつらせながらも、予め用意した答えを述べる
「あれは調整用の機体でして、まだまだ実戦用ではないのです」
ヘルミフィアは素っ気なく「そうか」と言って少し黙って考える
ユキはまだ若い。逸ってエスペラティオで出撃してしまったのだろう
それは解る。問題なのは―――
「どれくらいだ?」
「何がでありますか」
「エスペラティオが完成するまで。だ」
少し要領の悪い科学者にイライラを隠すことなく訊き返す
「いっ、一週間あれば確実に」
「そうか」
ヘルミフィアは、オーストラリア基地全体に放送を流す
『諸君。ライガーカスタムの整備が終わるであろう一週間後に
大規模行進作戦を実行する。以上!!』
飛行型のライガーにライガー強化モデルのカスタム
ユキは一般人として先に沖縄に行かせて、内側から引っ掻き回させよう
ユーラシアはオマケ。本命は沖縄、ひいては日本から技術を引き出すことだ
「あの、准将殿」
考えがまとまった横から別の士官が声をかけてくる
「ん?」
「お耳に入れたいことが」
「さっさと言え」
随分婉曲に言いやがるその士官に、やや切れ気味にそう返す
「あっ、その…………
どうも地球外の技術の機体が複数確認されています」
「はぁ、そうか」
こんな星に手を貸そうなどと殊勝なヤツがよくもまぁ、いるものだ
「我々は宇宙の嫌われ者なのかねぇ?」
おどけながらオペレーションルームのみんなに訊き、みんなは苦笑で返す
(しかし、そうなると本国から最新鋭機を
取り寄せないとマズいか?)
正直、こんな星に過剰な戦力は集めたくはないのだが
他星の者もいるとなるとそうも言えそうにない
>>89 ロックオンしようにも、中々に動きが早い敵機に、多少てこずる俺
なぁに追いつけねぇ動きでもねぇ
よぉっし…さぁーあくぅーらい…
!!
突如、はるか彼方から砲弾が飛来し、機体の片翼をぶち抜いた
衝撃で一瞬バランスが取れなくなって失速し、地面目掛けて急降下しかかる機体を何とか制御し、再び高度をとろうとするが、既に敵機は追いつけないほど彼方へと飛んでゆく
これ以上追うのは危険だな…
…いや、無理に追ってあの撃ってきた砲台も叩ければ……
『ケンジョウジ曹長、聞こえるか?直ちに撤退しろ』
野心に燃え、諦めずに追撃しようとした俺を、小隊長殿の声が制止しなする
内心で舌打ちした俺だったが、我が儘はいえない
「…了解」
吐き捨てるように言うと、俺は追撃を諦めて帰還を開始する
あんなのが乱入してくるよーじゃ、この国も末だねぇ…うん
>>91 「連合軍…?地球側の勢力ですか…」
メシスは困ってしまう。これで目撃者二人めか……極秘任務としてはほぼ失敗だ。
ん?待てよ、技術提供とかに来たんだから、別に見られてもいいのか?いやいやまずい。それはダメだ。
当初の予定では。ステルスシールドで覆ったタルタロスを何処かに隠してから、隊長と二人でファーストコンタクトを行うつもりだった。
隊長が地球人なので、それである程度の警戒を解いてもらい、事情を説明。信用されなくても技術提供などはしたいところ。
というのが、我等「漆黒の牙」としての任務。そして、まだ顔も見たことがない、「漆黒の牙」を立ち上げた人物の願い…
その人は戦いばかりの日々に嫌気がさした。だから、自分と同じ、星と星が争わない、平和を願う者達を極秘に集めた部隊を作った。
どこの生まれか等は気にしない。ただ平和を勝ち取るために集められた、様々な種族が入り混じった優しき闇の番人達。それが……
「我々『漆黒の牙』…あの方のために、この任務、失敗で終えるわけにはいかん…」
メシスの思考を読んだかのように、コウが呟く。
「ですが隊長…このままではまずいです。この反応をもし、私達以外の部隊が察知してしまったら…」
「タルタロスの存在は、上のごく一部の者しか知らない……お前の考える事態になれば、まず説明を求められるだろうな」
それはまずい。今回は表面上、地球の戦力の偵察、あるいは破壊というのが任務ということで通している。
それがこんなところで地球人と馴れ合おうとしていたなどと知れたら、自分達だけでなく、残してきた「漆黒の牙」のメンバーも危ない。
「……背に腹は変えられんか……おいこら、そこのアンノウン!!」
コウがヘッドギアに内蔵されたマイクで叫ぶ。あれ…いつの間にか黒く、悪魔っぽくなってる…
「あれ!?何だいつの間にそんなカッコよくなった!?まぁいい。我々に敵対の意志は無い!そちらが仕掛けてこないなら、ここを通して欲しいんだが!?」
今度は、海に落下して今現在機体の体勢を立て直している男にも語りかける。
付け加えて、最後にメシスがかなり無茶なことを叫んだ。
「あと、我々のことは、見なかったことにしてくれるとヒジョーに助かります!」
………いや、無理……。
>>92 思案に暮れるヘルミフィアの元に、オペレーションルームの扉を開け、真っ黒い肌にスキンヘッド、頭を縦に割るような深い傷をもった大男が入ってきた
ヘルミフィアの部下で、師団、大隊に属さず、独立した一個中隊、ライガーシュミット9機の指揮を任されている、ボルザックと呼ばれる士官だ
のしのしと熊の様にヘルミフィアに近づいていく大男のボルザックに対し、しかしオペレーションルームの兵達は、別段ヘルミフィア程怖がった様子は無い
やがてヘルミフィアの前に立ったボルザックは、軍人の手本のような敬礼を取ると、早口に言った
「先ほどの司令ですが、その間のゲリラによる攻撃による被害を未然に防ぐべく、主力艦隊の出撃後に北西部への攻撃を我々ボルザック独立中隊にご命じいただきたい」
野蛮な外見に反し、丁寧な口調で大男ボルザックがヘルミフィアに対して言う
他の士官のように妙に腰の引けた態度をとらず、かといってヘルミフィアに対して無礼なわけでも、敵意が篭っているわけでもない
むしろ尊敬や、英断を下した上官に対する敬意の念すらボルザックは漂わせている
蟻食い勇者ボルザック
勇敢で優しく、雄雄しい同属への態度と、虫を殺すように表情一つ変えずに民間人を殺す異種族への態度からその二つ名で呼ばれる人物で
この提案にしても、味方への被害を未然に防ぎたいという思いと、北西部にまだ残っている目障りな輩を殺しまくってやりたいという二つの相反する想いが込められている
96 :
名無しになりきれ:2009/04/18(土) 18:42:36 0
読みづらい…
>>90-91,
>>94 >「これは失礼しましたです。私の名前はテクノ・クリムゾンです。
テクノでもクリムゾンでもどちらでも好きな方でお呼びくださいです。
所属は連合軍第三兵器開発局特殊兵器開発課所属、型式番号TS-05です。テクノシリーズの5号機です」
俺の質問にアンノウンのパイロットは答えた。馬鹿でかい戦艦の馬鹿二人も同じような質問をしたようだ。
だが、彼女の質問には不可解な点が多すぎる。
連合軍という組織や団体は聞いた事がない。連邦のデータバンクに照合してみたがそれらしき情報は全く出なかった。
そしてもう一つ、あんな機体を造る技術は今の地球には存在しない。人型が自身の力で空を飛んでいるだと?
これだけで、奴は宇宙人だという事が分かる。だが、その機体はゆっくりと装備されていた銃を構え……
>「どうします?このまま戦いを続けますか?相手になるですよ?」
どうやら、あちらの奴らとも仲間ではないようだ。
宇宙人の組織も一枚岩ではないということだな……
そして、俺より先に二人組が質問に答えた。
>「あれ!?何だいつの間にそんなカッコよくなった!?まぁいい。我々に敵対の意志は無い!そちらが仕掛けてこないなら、ここを通して欲しいんだが!?」
>「あと、我々のことは、見なかったことにしてくれるとヒジョーに助かります!」
「敵対の意思はない……だと?輸送機に攻撃を仕掛けてよくそんな事が言えるな!あァ?
宇宙人ってのは自分勝手な奴らばっかりだな……次会ったら、ぶっ潰す」
俺は再び空中に上昇し、奴らの目線と同じ位置まで飛んで叫んだ。
その後、輸送機の機長に撤退指示を出し、再びニホンへと向かう。
激しい怒りが俺の中で渦巻いていた。
>>97 「……怒ってましたね」
「……怒ってたな」
遠ざかって行く輸送機を見つめながら、二人は呆然と立ち尽くしていた。
やっぱり説明無しにキャプチャービームはまずかったですねぇ…しかもドラグーンビットを使ったのが尚更失点だ。
ていうか、眼から光線でたら普通は攻撃に見えますもんね…迂闊でした…
「…ファーストコンタクト失敗、と…」
コウが、何か資料のような物に書き込んでいる。というか…
「馬鹿…とか言われた気がするんですが…」
「言われたなぁ…お前に言ったんじゃないか?」
「何ですと…!?」
「ふ……しかし、宇宙人、か。複雑な気分だな…同じ星の者に、異端と蔑まれるのは…」
「隊長……」
ヘッドギアで隠れていても、今のコウがどんな表情をしているのか、雰囲気でわかる。
しかし、コウは弱音を吐く事無く顔を上げた。
「さて……予備のステルスシールドを起動させろ。一先ずこの場から離れるぞ」
「あのアンノウンはどうするんです?」
未だに自分達より少し高い位置にいるアンノウンを指差す。
「仕掛けてこないのなら捨て置け。取りあえず目的通り日本に向かう。前進を開始しろ」
「は!」
「グォオオオオオオオオオオッ!!」
タルタロスが吼えると同時に少しづつ、その巨躯が姿を消していく。
「ま…何も無しというのもアレか…取りあえず、敬礼!」
「は!」
シールドに覆われる寸前、アンノウンに向けて二人は敬礼した。さっきの御仁には勘違いされてしまったが、
このアンノウンには、せめて自分達が害あるだけの存在ではないということを伝えておきたかった。
タルタロスは完全に消え、海にその巨大な影を落として、また移動を開始した。
目指すは日本。ここから、「漆黒の牙」が本格的に反旗を翻す―――
>>94>>97-98 >「あれ!?何だいつの間にそんなカッコよくなった!?まぁいい。我々に敵対の意志は無い!そちらが仕掛けてこないなら、ここを通して欲しいんだが!?」
敵対の意思はないと言われテクノの顔には落胆の色が浮かんでいた
「残念です。地球の方と一度お手合わせ願いたいと思っていたのですが・・・
お急ぎのようでしてたらどうぞお通りください。」
心の底から残念といった様子で両手に構えていたいた銃を再び腰に戻した
そして道を開けるように機体を動かしどうぞといったジェスチャーをする
「またお会いしましょうです」
二人の敬礼にしっかりとした綺麗な敬礼で返す
「さてこれからどうしましょうか?」
輸送機とそれに搭載されていた人型ロボットの方に向き直すとその姿はそこにはなくどこかに向かおうとしていた
今、周りには誰もおらず完全に置いてけぼりの形になってしまった
「ま、まってくださいです!!」
既に姿が見えなくなった巨大戦艦はあきらめて輸送機を追いかけることにした
――日本近海、上空、PM6:38――
地平線の彼方が、堕ちる太陽を飲み込もうとしている時……日本近海空域にて、大量の「光」が生まれていた…
「隊長、今ここどのあたりですかー!?」
「さぁな…さっぱりわからん。」
「わからんて…自分の故郷でしょうが!てゆうか手伝ってー!!」
どこからか聞こえる声、男と女…
今現在この空域では戦闘が行われている。一方はP.P側の小隊。日本に向かっていたようなので、日本攻略部隊か何かだろうか。
そしてもう一方は……不明だ…P.Pの小隊が、移動している最中に奇襲されたというのが事の発端だが、相手の姿が見えない。
「隊長、ステルスシールド、消滅します!」
「構わん。日は堕ちた……我々の時間の訪れだ……」
さっきから通信からずっとこの二人の声が聞こえてくる……ステルスシールド…なるほど、通りで姿が見えないはずだ。
それが消えると言っているのだから、これでやっと自分達を弄っていた卑怯者の姿が見れる――!
P.Pの兵士達は怒りに任せて意気込んでいたが、待てども待てどもその相手の姿が無い……
「騙されたか…!?」
隊長らしき人物が、集めた小隊に、もう一度散開を命じようとした刹那…
「ぐあぁ!?」
兵士の悲鳴――振り返ると、三機ほどいなくなっている。
「グォォォオオオ……!」
「何だ!?何――うわぁ!?」
「さっきからここにいたのに、騙すなんて人聞きの悪い……」
日が堕ちて、辺りは夕闇に包まれていたが、その闇よりも暗い、どんな光も吸い込まれるような漆黒の塊が、真後ろにいた。
気付いたときにはもう遅い。圧倒的な弾幕が小隊を飲み込む。次々と蜂の巣にされていくP.Pの機体……その中から一機だけ、隊長機が何とか逃れでてくる。
「はぁ、はぁ!全滅…全滅だと…!?そんな…とにかく、本部に連絡を…!」
「それは困るな……メシス、P・スマッシュカノン、発射準備!」
「了解!P・スマッシュカノンの『P』はペネトレイトの『P』!」
「う、うおおおおおおおお!!?」
少し曇り気味な春の夜空に、二本の光の剣が現れ、闇を切り裂いていく。隊長機の姿は――無い。
「共に戦場を駆けていた時は心強く感じたが、こんなものなのか……呆気ないな…」
「隊長、第二陣、来ます」
「フン……行くぞメシス。これが終わらなくては、俺は何時までたっても実家に帰れん」
「承知しています。なるべく尽力しますよ」
「フッ……」
月の夜、黒き裏切りの牙は、日本を彷徨う…………
>>95 指揮官としてのヘルミフィアにとっては頼もしくも頭痛のタネである蟻食い
ボルザックがやって来ていきなりこう言った
>「先ほどの司令ですが、その間のゲリラによる攻撃による被害を未然に防ぐべく、主力艦隊の出撃後に北西部への攻撃を我々ボルザック独立中隊にご命じいただきたい」
蟻食いのこの申し出は少しばかり彼女を悩ませる
と言うのも、彼が如何なる人物かを判っているからである
「全滅だけはさせるなよ」
釘を刺さなければきっと、人間を皆ぶち殺してしまうであろう
その激しい気質を知ればこその一言なのだ
一般的な指揮官なら、クドクドと彼女たちの元来の目的について語りたいトコロだが
彼女はそんな事は別にしたくはないし、部下だってきっと解っているハズなのだから
「あと、気をつけろ。地球外の機体も紛れているようだからな
ライガーでは歯がたたんヤツもいるだろう。その時は潔く退けよ」
そう、今真に恐ろしいのは未確認の地球外戦闘機。ライガーとは性能差があり過ぎる機体が怖いのだ
もっとも、アメリカやアフリカ方面は中の上程の機体を揃えてはいるようだが
「では任せたぞ、ボルザック中尉!!」
景気付けにそう怒鳴ってボルザックを退出させる
(コチラもせめて本部基地には新型を入れるべきか)
>>101 >「全滅だけはさせるなよ」
ヘルミフィアの一言に、ボルザックは自らの欲望にしっかりと釘を刺す
彼女は、自分を信頼してくれていると察したボルザックは
今一度ヘルミフィアに対する評価を上げると共に、自身の頭の中に浮かんでいた「ついうっかり」人類を滅ぼす計画を消滅させる
1部下として、自分はこの信頼に応える義務があると、真面目なこの男は感じていた
>「あと、気をつけろ。地球外の機体も紛れているようだからな
>ライガーでは歯がたたんヤツもいるだろう。その時は潔く退けよ」
続いて出た上司のかわいらしい言葉に、ボルザックの頬がほんのわずかだけ緩む
この自分よりずっと偉く、華奢な少女が、使い捨ての駒であり、体格が大きく頑丈な自分を心配してくれているのだ
棘のある言葉と態度に隠れている彼女の少女らしさを感じたボルザックは、無言でこくりと頷くと、心の中で、何としてもライガーの巧みなフォーメーションでこの少女を悩ます輩を取り払い、彼女に安息を与えてやろうと誓う
例え1対1では性能差が圧倒的だとしても、自分達ボルザック隊の連携をもってすれば、どんなコスト度外視の少数精鋭にも手痛い打撃を与える自信があった
自分達が地球人や他星人を上回っているのは、決して化学技術だけではない、そう、ボルザックは信じている
>「では任せたぞ、ボルザック中尉!!」
「粉骨砕身の覚悟で、任務にあたらせていただきます!」
大勢の隊長クラスに絶大な支持を誇る名指揮官の声に励まされたボルザックは、今まで上司に持ち、敬礼してきた幾多の名指揮官や勇者達に送ったのと同じ最敬礼を送り、部屋を出た後、まっすぐに格納庫へと向かい、整備班長を捕まえると、こう、一言だけ言った
「俺の機体の自爆装置の火薬量を倍に増やしておいてくれ。蛆虫の星に蝿の怪物が入り込んだらしいからな」
>>93 "彼"からの支援射撃が背後の機体に命中し、体勢を立て直した後、退却を始めた。
その後小高い山の森の中で"彼"と合流した。
「大丈夫だったか?無事でよかった。さぁ、あまり時間はない。アレを使うぞ」
彼は擦り切れた布に身を包み頭部はフードで隠れているがその口からは流暢な言葉、右手には狙撃銃。
布の間からは紅き体が露わになっていた。まるで人のような風貌だが、人ではあらぬ者――
彼はシュヴェールトと同等の身長を持った鉄の巨人だった。
「はい、任せてくださいお兄様!……念動集中……」
―――――
数分後、彼らは海に面した基地の近くに聳える岸壁の上に立っていた。
彼がその場で脚を一踏みすると、岸が二つに割れ、無機質な大穴が現れる。
シュヴェールトでさえ余裕を持って入れるほどの大穴だ。
彼は脚を踏み出し中に入ろうとする、が降りる直前立ち止まり、セリシアに顔を向けて話し掛ける。
「すまないがセリシア、六日後に再び日本に向かってくれ。
一般人に紛れて街に潜伏していてほしいんだ.。そして、いざとなったら剣を持て」
彼からの頼みを聞き、セリシアは驚き、すぐに彼に質問を返した。
「え?……では、お兄様はどうされるんですか?」
「……私は、単独でオーストラリアに向かう。特殊な機体同士の戦闘があったのでな。
そのデータ収集と……彼らの基地の調査の為だ」
セリシアは戸惑ったがすぐに落ち着いて、言葉を返した。
「……判りました。お兄様も気をつけて――」
そこで会話が途切れ、彼らは大穴の中に入っていった――
>>99 ディグ・クラッシャーを輸送機に戻し、そのまま日本へと向かう。
だが俺は機体から降りずにコックピットで待機していた。
「おい、ライオネル……後ろについてる機体……放置していていいのか?」
「あぁいいんだ。奴が何もしてこなければそれでよし、仕掛けてきたら叩き潰すだけの話だ……!」
「確かにさっきの話は俺もムカついたが、なぁ……」
機長は困ったように俺に言葉を投げかける。多分考えている事は俺と同じだ。
――後ろの奴に敵対の意思はないだろう。
だが、素性が不明な奴を迂闊に引き入れる訳にもいかないのだ。
「……まぁいい。ここはもう日本の領海だ。あれはあっちの判断に任せればいい。
俺たちはただ上に従うだけの"一組織の兵士"なんだからな――」
「ふん……そりゃあそうだな。ハッハッハ!おっと、あれはまさか……ライオネル、島だ!遂にニホンが見えたぞ!」
すぐに見てみたいというガキ臭い衝動に駆られたが、輸送機の後ろに位置する格納庫からは見えない。
それにここからも降りられないのだ。奴がいつ行動を起こすか分からないからな。
輸送機は背後の機体を無視して夜の海を飛び続ける――
>>104 輸送機の後ろを付かず離れず一定の距離を保ちながら付いていく
「相手をしてくれないので退屈です」
先ほどからくっついているが輸送機からは何の連絡もないどうやら敵とは見なされていないが
相手にもされていないようだった
モニターに映る輸送機眺めながら時が過ぎるのを待つしかなかった
「は〜退屈です。でも、どこに向かうかは楽しみです」
向かう先がどんなところかいろいろと想像を膨らませながら輸送機の後ろをただ付いていくのみだった
「隊長!あの機体速いです!弾幕もミサイルも追いつきません!」
「……三分の一、手伝ってやる…タルタロス、高度速度共にそのままだ…よいしょと…」
あれから第二陣を撃破した後、すぐ第三陣が現れた。周囲に反応が無いので、これで最後でしょう。
隊長が上部のハッチを開け、上半身を乗り出す。
今私達がいる場所はタルタロスの装甲の中でも、そこそこ広めのスペース、変形の際にも影響が少ない場所…胸部のあたりだ。
ここには二基の座席と、若干の生活空間がある。普段私達はここで過ごしていくわけですが、嫁入り前だっていうのに男性と生活なんて…私お嫁に行けなあ痛!?
「座席かと思って踏んでしまった。後悔はしていない」
そんな悠長なことを言いながら、隊長が敵機に狙いを定め、右手首から特殊な強化ワイヤーを発射する。ワイヤーの先端には、液体金属の刃が付いている。
見事にワイヤーは敵に命中。即座に液体金属が形を変え、敵機の内部にまるで根を張るように、大量の針が食い込んでいく。
「でぃぃぃぃぃやッ!!」
ぶぅん、と隊長が腕の力だけで機体一つを振り回す。いつ見ても本当に信じられない腕力だ…アンドロイドの自分でも出来るか解らない。
ワイヤーは外れ、敵機はそのまま海面に叩きつけられる。
「後は任せたぞ、やれやれ…腕が疲れる…」
「了解、ミサイルランチャー、シュート!」
大量のミサイルの雨が敵機に降り注ぎ、巨大な水柱が上がる。増援は無い…この機体で最後だ。
「フム……日本への被害を避けようと、移動しながら戦っていたが…ここはどこだ?まだ日本ではあるようだが…」
「もう、私地球の世界地図はインストールしましたけど、日本地図は無いんですよ……大雑把な位置は、こんなカンジです」
世界地図の日本を拡大し、割り出した位置データをコウのヘッドギアに送る。しかし無駄に便利なヘッドギアだなぁ…
「……ほう、随分離れてしまったな…ここは沖縄周辺だ」
「……えーと、ハイサイ沖縄めんそーれ?」
てきとーなことを言ってみた………
>>104 『こちら地球連邦軍極東方面軍第3空軍基地、接近中の輸送機L−221、後ろに追従している国籍不明機は何だ?確認が取れるまで、国土上空への侵入は許可できない、侵入した場合即座に撃墜する』
輸送機に対し、九州の連邦空軍基地から通信が入ってきた
大幅に確認が遅れたのは、ついさっきまで同じく正体不明のセリシアへの対応で混乱していたためであり
その事があったため、通信機の向こうは未だに慌しかった
>>105 セリシアの出現で混乱していた連邦基地だったが、ようやく接近するテクノシリーズの存在に気づき
数十機、RF-1戦闘機がスクランブルし、対空迎撃ミサイルが攻撃準備を整える
緊張した雰囲気の中、正体不明機に対し、通信回線が開かれた
『こちらは地球連邦軍、極東方面空軍だ、領空侵犯中の国籍不明機に注ぐ、直ちに所属、目的を述べよ、しからずんば撃墜する。繰り返す、所属、目的を述べよ』
>>107 相も変わらず輸送機の後ろをくっついて退屈な時間を過ごしていたテクノだったが
その時間もついに終わりを迎えようとしていた
今まで海しか映っていなかったモニターについに島が見えたのである
「やった!あれが目的地ですか!?綺麗なところですね。楽しみです」
喜んでいたのもつかの間、楽しい気分に水を差されることになった
>『こちらは地球連邦軍、極東方面空軍だ、領空侵犯中の国籍不明機に注ぐ、直ちに所属、目的を述べよ、しからずんば撃墜する。繰り返す、所属、目的を述べよ』
この規則に従ったとしか思えない通信はどうやらこの星の正規軍のようだった。周りには戦闘機が周りを飛んでいた
楽しい時間を邪魔されて少々不機嫌なまま通信に答える
「所属は連合軍第三兵器開発局特殊兵器開発課です。目的は・・・観光です」
最後に一呼吸なにか考えたあとに付け加えた言葉は通信士を混乱させるには十分だった
そんな兵士の事情などつゆ知らずテクノはさらに言葉を繋げた
「それと基地指令か総司令みたいな人・・・とにかく一番偉い人をお願いします」
そして・・・いろいろあって
『どうぞ、基地に着陸してください。我々はあなたを歓迎します」
立派なヒゲを蓄え胸には勲章をこれでもかと付けた偉そうな人自らがテクノを出迎えることになった
>>108 波が静かによせてくる音と、引いていく音……
ただそれだけしか聞こえてこない夜の海岸で、二人の男女が月映る水面に釣り糸を垂らしていた。
ここは沖縄本島から少し離れた無人島…人はいない様だった。
「隊長、釣れましたよ。ビビッドカラーな謎魚が」
「カサゴじゃなかろうな…毒は?」
「カサゴではないです。毒も検出できません。えーと…ハナグロチョウチョウウオという魚ですね」
「ん」
短く頷くと、隊長は自分の隣に置いてあったバケツをズイとこちらに押し出してきた。
バケツには「食用」と書いてある。中には既に何匹か魚が泳いでいるが、実際に魚屋で見かけそうな魚は二、三匹で、
あとは全て水族館か、ペットショップなどで見られるような色鮮やかな熱帯魚と思しき魚ばかり。どうも食べる気にはなれない…
そう思いながらも、今また釣り上げた綺麗な縞模様の魚をバケツに入れる。この子達とは数分後にお別れすることになるのかぁ…ごめんね。
因みに、隊長の横にはもう一つバケツが置いてある。食べられない魚は逃がせば良いので、バケツは二つも要らない。ではあれは何のためのバケツなのか?
そのバケツはこちらと同じく「食用」と書かれているが、その上から張り紙がなされており、「ペット用」と書いてある。バケツの中では、一匹のハコフグがプカプカと泳いでいる。
これは数分前に隊長が釣り上げたのだが、隊長は何を思ったか、手に取りしばらくハコフグを見つめ、このバケツを作成して優しくハコフグを泳がせた。
元気に泳ぐハコフグを、隊長は釣りを続けながら嬉しそうに眺めていた。
そんな隊長の様子があまりにも愛らしいので思わず抱き締めたくなったが、かろうじて理性が勝った。
もう一度釣り糸を垂らし、少し前に発生した問題を隊長に問う。
「隊長。沖縄にある基地の通信を傍受したのですが……」
「解っている。あれだろう?」
隊長はヘッドギアのこめかみの辺りをコリコリといじっている。望遠機能か。
「この前の素敵ハンマーの御仁と……デタラメ女か。沖縄が目的地だったか…何故一緒にいる…?」
「さぁ?実は仲間だったんじゃないですか?」
考えるのが面倒なので、テキトーなことを言っておいた。
「うん…?これはこれは、指令殿が自ら出張って来ているじゃないか?あの女が目当てか…何者だ…?」
「いいなぁ、堂々と入れて…私達じゃ警戒されるから、おちおち買い物にも行けません…」
「我慢しろ。暫くしたら、俺が食料調達してくる。それまでは自給自足だな…」
「はいはい……あ、また釣れた」
可哀想な犠牲者が、また一匹、バケツの中に放り込まれた………
>>107-108 日本領海と、外海の境。ここで俺たちは日本の極東基地からの指示を待っていた。
当然の事だが、友軍であってもその国を守る連邦軍の許可がなければ着陸はおろか、入国さえ出来ないのだ。
やがて、機長の通信を通して日本からの返答が帰ってきた。その答えは至極当然のものだった。
>『こちら地球連邦軍極東方面軍第3空軍基地、接近中の輸送機L−221、後ろに追従している国籍不明機は何だ?
確認が取れるまで、国土上空への侵入は許可できない、侵入した場合即座に撃墜する』
つまり、さっきから俺たちに着いてきている奴が邪魔で入国できないのだ。
日本側からは数機の機影――連邦の主力戦闘機、RF-1がこちらに向かっている。
「おいおい、奴さん戦闘機まで出撃させやがったぜ……どうするよ?」
「狙いは後ろの奴だろうな……おい、あの機体の通信を傍受出来ないか?」
「ちょっと待ってろ……よし、繋ぐぞ」
そう離れた距離ではないので、奴の通信は綺麗に聞き取る事が出来た。
奴からの回答はふざけたものだった。
>「所属は連合軍第三兵器開発局特殊兵器開発課です。目的は・・・観光です」
極東基地の通信士はかなり戸惑ったようだ。それは当たり前だ。
この緊迫の戦時下の中、日本に観光に来る者等いるはずがない。
ましてや、そんな答えが返ってくるとは思わなかっただろう。
アンノウンはその隙に付け入り、更に言葉を繋げた。
>「それと基地指令か総司令みたいな人・・・とにかく一番偉い人をお願いします」
ここで、会話が途切れる。あちらは相当、慌てているだろう。
俺たちはお互い、口を開く事もなく、ただ回答を待ちつづけた。
しばらくすると、先の通信士とは違う鈍く低い男の声が聞こえた。
>『どうぞ、基地に着陸してください。我々はあなたを歓迎します」
「こちら地球連邦軍アフリカ支部所属ライオネル・マクダレフ准尉だ!
そちらのアンノウンへの対応には納得がいかない!詳細の説明を要求する!」
敵対している宇宙人かもしれない奴をなぜ基地内に招きいれた?
本当にここは連邦軍の基地なのか?あれはなんだ?地球製の機体なのか?
外の世界は何もかもが――狂ってやがる
>>110 >「こちら地球連邦軍アフリカ支部所属ライオネル・マクダレフ准尉だ!
>そちらのアンノウンへの対応には納得がいかない!詳細の説明を要求する!」
激昂するライオネルの声に、しかしそれに応えたのは、将校の物ではなく、通信士のたった一言だった
『本件は機密事項であり、本件に関する一切の情報公開はできません』
機械的な言葉のあと、通信士は一方的に通信を切ってしまう
≪命令無視の上に逃げる敵への備えができていない挙句機体を破損させるとは何事だ≫
以上が俺が今出てきた部屋の中でトキワに言われた嫌味を要約したものである
長かった、ひたすらに長かった
どうにも今回の試験は奴さんにとっては大変重要なものだったらしく、俺達が機体をそれぞれぶっ壊して、なおかつ奴にまるでダメージを与えられなかったのが、かなりきているらしい
そういうわけで、何かあの陰湿な奴はまだ部屋の中でたっぷりと何か言われている
しっかし弾が無いし武器も無い状況でよくやったとは思うんだけどなぁ…
ま世の中結果が全てなわけで
などと思いながら歩いていると、あのでかい奴、オウドウだったかが滑走路をじーーーっと中学の修学旅行で覗きに全神経を集中させていた奴のよーに見つめている
何してんだこいつと思って滑走路を見ると、馬鹿でかい輸送機が今まさに滑走路に降り立つ所だった
輸送機なんか見て楽しいのかこいつは?
まぁいいやと思って通り過ぎようとする俺に、オウドウが振り返ってきた
「何だつれねぇなぁ、あの女といい、ハシバといい、この隊には仲間と親睦を深めとこーと言う奴はいないのかよ」
何だこいつは…
妙にウザイ
「人と話す気分じゃねぇ」
そう言って今度こそ立ち去ろうとする俺の肩を、オウドウが掴んできた
…マジでなんだ?ホモか?
「どーせ暇だろ?あの輸送機の中身を見にいかねーか?」
「一人で行け」
脊髄反射でそう応えた俺に、しかしオウドウは怯まない
「よっし、それじゃ行くとしようか」
そう言って、俺の方にゾルマニュウム合金で出来てんじゃねえかと言うような筋肉をちらつかせてくるオウドウ
何でそこまで俺を連れて行きたがるのかがわからん
マジでホモなのか?こいつは
「いやちょっと待て、何で俺が…」
「んなのはノリだ、俺の前を通ったお前が悪い、行くぞ!」
いや、待て、何だノリって、おい!
俺が何か言うより早く奴は俺を引っつかむと、輸送機へと純粋な子供のよーな顔で走り出した
餓鬼だ、こいつはホモなんじゃねぇ、頭の中がガキ大将なんだ!
…なんかガキ大将がひとりいて女が一人で男が二人、んで男の内一人がガキ大将にくっついてるって話が昔あったよな?
確かそいつは金もちのボンボンで…
ってんなこたぁいいんだ
もうこうなったらついていくしかねぇわな、下手に逆らうと何かうるさそうだし
しゃあねぇ、あんまし興味はねぇが…と、俺はやむ終えずガキ大将に伴って、輸送機へと向かう
何やってんだろ、俺
113 :
名無しになりきれ:2009/04/25(土) 09:20:41 0
読みにくいよ
>>111-112 >『本件は機密事項であり、本件に関する一切の情報公開はできません』
司令部からの回答は秘密だという事だ。その後、通信士は一方的に交信を終えてしまった。
俺は、ただ画面を殴りつける事しか出来なかった。
「クソがぁぁぁ!」
「落ち着けライオネル!少し、外の空気を浴びてきたらどうだ?」
「……ああ、そうだな。このままじゃ俺自身どうかしちまいそうだ。」
「ディグ・クラッシャーはあっちの格納庫に置いてくれ。数日で俺も帰らなきゃならんからな」
「了解した。今夜は一杯飲み明かそうや」
機長から、小さな笑い声が聞こえ、通信が切れた。
直後、ハッチが開かれ、ディグ・クラッシャーを外に出す。
引きずっているハンマーは「ドリルモード」のままになっている。
本来はドリルは四分割され、ブースターも収納されているのだ。
変形テストはこちらでしておけという事だったが……その必要はもうないだろう
輸送機から出てまず見えたのは足下にいた二人の男。
一人はチンピラのような男。もう一人は筋骨隆々のガッシリとした男。
ここのパイロットだろうか。俺はディグ・クラッシャーの右腕を上げ簡単な挨拶をした。
―――――
ディグ・クラッシャーを格納庫に置き、簡単な整備方法を整備班に教えた後、再び彼らの下に向かう。
整備班のやつらは中々ノリがよく、気の良いやつばかりだった。下士官は良い奴らばかりだが……
彼らはまだ輸送機の後ろに立っており、何か喋っていたようだ……が、そこに俺が入り込む。
「よう!俺はライオネル・マクダレフって言うんだ。今日からよろしく頼むぜ。お二人さん」
自慢の真っ白い歯を輝かせながら、右手を差し出す。
仲良くなる第一歩はまず笑顔から、ってな。
>>114 「人型兵器……俺達の奴だけじゃなかったんだな」
こっちに向かって片手を上げて見せた人型を眺めながら、俺はぼーっとそんな事を呟いた
オウドウと入っていった格納庫の中
そこで俺達が見たのは、どこか重機思わせる人型兵器だった
今まで大闘神計画と関係無い人型兵器は見た事が無かった俺だったが
別に敵が人型を使っているんだからコッチも使うだろうし、他にあっても不思議ではないので、特に何か感慨が沸く事はなかった
「……すげぇ!」
ぼそりと聞こえた呟きに横を見ると、オウドウが目を輝かせてあの機体を見つめていた
俺的には脚が四本あるこいつの機体の方が見た目的に凄いんだが
こいつの感覚ではあの何か頑丈だけが取り得ですな機体の方がいいのだろう
「見たか見たか見たか?アレ!素晴らしいな!ドリル!重装甲!ブースターもついてた!アレこそロマンって奴だぜ!あぁ!乗りてぇ!っつーかアレで戦いてぇ!そう思うよな?な?」
オウドウは機体が格納庫の奥に消えるまでじーーーっと食い入るように見つめた後、俺の方に勢いよく振り返り、機関砲のように早口でそう言ってきた
単純だ…、恐ろしく単純な奴だ
アレに乗る?俺は絶対ごめんだな
格好はいいが、ドリルなんかついてる以上、アレは間違いなく白兵戦用の兵器だ
って事は、ビームバシバシ撃ってくる異星人相手に武器の間合いまで突っ込んでいかなきゃならねぇ
どんなに装甲が分厚かろーと蜂の巣にされるっつーの
「んー、かもな…」
まぁ、こいつにんな事言ったら何かあの機体のよさを延々語られそうだし
よく考えてみれば同じ白兵戦仕様の…死亡カウントダウン組のこいつにんな話しするのは流石に残酷だと思ったので、適当に生返事を返しておいた
「だよなぁ…やっぱり…男ってなぁそういうもんなんだ。うん!」
俺の返答に満足したのか、一人でなんか納得しているオウドウ
OK、俺もう帰っていいな?
>「よう!俺はライオネル・マクダレフって言うんだ。今日からよろしく頼むぜ。お二人さん」
帰る旨をオウドウに話そうとした矢先、輝く白い歯を見せながら笑う外人が出現し、俺たちに向かって挨拶してきた
て…敵増援だ!間違いない、こいつはオウドウタイプの人間だ!
このまま行くと何か暑苦しい会話が勃発して巻き込まれていく可能性がある
これ以上付き合わされてなるものか!
奴の階級は…よし、俺達より高い
「はい、自分は技術試験小隊所属の、ヒラオ・ケンジョウジ曹長であります、准尉殿」
何か言おうとするオウドウをさえぎり、俺はすばやく敬礼し、機械的に言葉を発した
はっはっは、どうだ、オウドウ、これで貴様も生真面目な対応をせざるえ…
「マトル・オウドウです!准尉殿!あの何か素晴らしい人型兵器は俺の嫁!是非乗せていただきとうございます!」
れ…連邦軍のマトル・オウドウは化け物か…
奴は片手で敬礼し、片手でひしとライオネル氏の腕を取り、輝く瞳を氏に向けながらそう言った
恥だ…こいつは日本の恥だ…ってか日本語喋れ…
アイドルの握手会ではしゃぐファンのようなオウドウの横で、俺はただ、引きつった笑みを浮かべるしかなかった
>>115 >「はい、自分は技術試験小隊所属の、ヒラオ・ケンジョウジ曹長であります、准尉殿」
>「マトル・オウドウです!准尉殿!あの何か素晴らしい人型兵器は俺の嫁!是非乗せていただきとうございます!」
二人ともこちらの挨拶に対して丁寧に言葉を返してくれた。しかもディグ・クラッシャーはどこに行っても
人気らしく、体格の良い男――マトルには大好評のようだ。
「二人ともよろしくな。あー……スマンがディグ・クラッシャーには乗せてやれん。中々癖のある機体でな、
特別な鍛錬が必要なんだ。だが、ドリルの熱さが分かる男に悪い奴はいねえ、その話は考えておこう。
あと、階級が上だからって敬語を使うのはよしてくれ。もっとフレンドリーにいこうな。」
中々礼儀の正しい奴らだ。マトルは説明してくれなかったがおそらく同じ小隊員だろう。
その時、輸送機から少し離れたところに着陸していたアンノウンが格納庫に移動させられようとしている。
その近くには見たこともないパイロットスーツを着た女が居る。アイツがパイロットだろうか。
この先、俺はアイツと共闘しなければならないのか。そんな事こちらから願い下げだ。
ヒラオとマトルも不思議そうにあの機体を見ている。
「……アイツは、俺たちの前に突然現れたんだ。何やら自分の事を連合軍だの何だのと
訳分からない言葉ばかり並べてやがった。それを入国させるとは、ここのリーダーは間違ってやがる
っと、気分を悪くしちまったな。さて、ディグ・クラッシャーの整備にでもいくかな」
俺はもう一度だけあの機体を見て、格納庫に向かった……
>>116 >「二人ともよろしくな。あー……スマンがディグ・クラッシャーには乗せてやれん。中々癖のある機体でな、
>特別な鍛錬が必要なんだ。だが、ドリルの熱さが分かる男に悪い奴はいねえ、その話は考えておこう。
>あと、階級が上だからって敬語を使うのはよしてくれ。もっとフレンドリーにいこうな。」
まぁ…士官以下の同年代の階級なんぞこの状況下じゃあって無きが如し何だが…
だからって真面目すぎる対応は冷たく感じられたか?
気分悪くなられてたらやだな、やっぱそれなりに
糞、人付き合いってのは苦手だ。所構わず喧嘩してた関東基地にいた頃が懐かしい
俺の横ではその俺に苦手な事を強いた原因がしょぼくれている
常識で考えればわかる事だから冗談だと思ってたが…
っと、マクダレフ氏の視線が別の方向に向けられ、その視線を追うと、そこには輸送機と一緒に降りてきた新型機があった
今までの連邦の兵器と比べると明らかに未来的なそれからは、同じく未来的なデザインのパイロットスーツを着た女性が降りてくる
……マクダレフ氏の恋人か?
いや、違うな、マクダレフ氏の視線には敵意篭ってるし、何より合わない
何だ、何かこう、人を見下すタイプの女に見えるな
ああいうとのは会話したくない
>「……アイツは、俺たちの前に突然現れたんだ。何やら自分の事を連合軍だの何だのと
>訳分からない言葉ばかり並べてやがった。それを入国させるとは、ここのリーダーは間違ってやがる
>っと、気分を悪くしちまったな。さて、ディグ・クラッシャーの整備にでもいくかな」
女の正体について考えていた俺に、マクダレフ氏は簡単に説明してくれると、格納庫へと去って行った
親切な人だな、怒らせるとやばそうだが
まぁ、明日から沖縄に向かう俺達はもう会う事も無いだろう
まぁ、それはそれとして、ここのリーダーは間違ってるってのには大いに同意だ
俺がリーダーなら、トキワの様な奴には絶対に兵器開発計画なんか任せない
全くもって世も末だ
なお、オウドウが思案に深ける俺を残し、自分が俺を連れてきたくせにさっさと一人で帰っていた事を付け加えておく
…野郎覚えてろ
九州、鹿児島での一応の練成訓練を終えた大闘神計画独立技術試験小隊は
翌日、大型輸送船「つなみ」にて、マツナミ大佐率いる一個大隊と共に、一路、沖縄へと出発した
「つなみ」は翌々日、沖縄に入港後、部隊を下船させた後、港に控えていた数千の避難民を乗せ、本土へと帰港する
沖縄に送られた部隊には、一部を除いて本土へと帰港できる物はいない
沖縄に展開する1個師団と、応援として送られた2個大隊、最早彼等の多くは二度と本土の土を踏む事は無いだろう
「いつ、どこで見ても壮観なものだな」
オペレーションルームの一際高い位置にある椅子にチョコンと座っているヘルミフィアは
大型モニターに映された艦隊を見て、笑いながらそう皆を鼓舞してみせる
中型輸送艦デアミレスが10隻。うち9隻をユーラシアに向かわせて
残りの一隻で沖縄を奇襲する。……………予定だったのであるが
先に送り込んだユキや諜報部隊から嫌な情報が手に入っている
曰わく「市民が島を避難している」
曰わく『本土から大量の増援が送られてきた』
今はケロッとしているヘルミフィアも内心は意外にも動揺している
なにせコチラの行動を寸分違わず読み切りやがったのだから
加えて、どう考えても今の地球では製造不可能な機体の存在も
彼女にとっては嫌な要素である
(まぁ、いい。沖縄に固執して兵力を減らすより台湾や韓国で手打ちにする
くらいの気持ちで構わないさ)
自ら出撃する分にはともかく、指揮する立場において彼女の信条は戦闘は効率優先
量でも質でもコチラに圧倒的なアドバンテージはあるが、だからといって非効率的な真似は出来ないという訳だ
そして負けるなどという無様な姿は曝せない
「全隊、発進準備完了しました!!」
オペレーターが彼女にそう怒鳴ってきた。声色を鑑みるに
どうにも緊張しているらしい
「よし、全隊出撃!!」
今、ここに。何度目かのPPによる大規模侵攻作戦が開始された
「……夢のような光景だな」
「そうですね…でも夢じゃないので、ちゃんと現実に対処してくださいねオラァ」
「あいだだだだだだこらこらこらこら。お前の握力で抓るんじゃないだだだだだだ」
普通の人間が目の前の光景を見たら、その場から直ぐにでも逃げ出したくなることだろう。
何たって宇宙人のUFO――まぁ、円盤ではないが、宇宙人が乗っているので間違いではない。それが攻めて来たとあっては、
SF映画よろしく悲鳴の一つでも上げて、逃げ惑うのが一般人の極めてノーマルな恐怖表現だが、この二人は今、別の恐怖にかられている…
「……あの型…デアミレスですか?いくらなんでも、今の沖縄に集った戦力相手に、一隻では手こずると思いますがねぇ…手を読み違えたんでしょうか」
「…そんなことより問題はあの中に、我々のことを知っている者がいるかもしれないということだ…見つかれば厄介なことこの上ない…」
そう言って隊長は黙り込んでしまう。さっき抓った腕のところを痛そうに擦りながら。あれ…血が滲んでる……
「では逃げましょう。幸いステルスシールドは軽い修理と補給でまだ動きますよ」
「……そうだな…ではタルタロスをここに呼べ」
「は?いやいや、ここに呼んだら見つかりますよ?ちゃんと場所は考えて…」
「違う、逃げはしない――戦うぞ」
急に隊長の声音が変わる。いつものすちゃらかな調子のやる気の無い声ではなく、鋭く、畏怖するような…そんな声。これは、コウの本気である。
「先程まではあくまで隠密行動を心掛けようと思っていたが、よくよく考えれば今更逃げ隠れしたところで殆ど意味が無い……それに…」
――メシスは思わず二、三歩退いてしまった。まるで、全方位を隙間無く武器で囲まれたような…恐怖。
「知る者がいたのなら……消せば良い……」
呼べ、タルタロスを……その言葉にメシスは抗う気も削がれ、タルタロスを呼び寄せる。それを後目に、コウは何やら数字を呟いている。
それは暗号…漆黒の牙内でのみ使われる、秘密の周波数であり、数千通り存在する。
しばらくの沈黙の後、聞くのはかなり久々となる少し懐かしい声が、コウのヘッドギアに届く。
『はーいはいはい。こちら漆黒の牙ぁ…て、このコード…?…隊長!?うそ!』
「……対応がなってないぞ。副隊長殿…それではやはり、漆黒の牙はまだ預けてやれんな」
『だって…隊は全員家族だもん……あの対応でもいいんだもん……てか何の用なのよ?私の声が聞きたくなっちゃったの?』
「マリナ…調子に乗るな。そんなことではない……『準備』は、できているか?」
唐突な通信、唐突な質問――準備――
『は…はぁ?一応もう終わってるけど…何よ。決行はまだまだ先、でしょ?』
「残念。今だ。今直ぐにこちらに来い。説明は後でする…直ちに漆黒の牙全員に通達しろ。それと…バスクードはいるか?」
『ここにいるぞ隊長殿』
通信の向こうからまた別の声が聞こえる。凛とした、気高い女性の声――彼女ノ声が。
「バスクード。お前は単体でここへ来れるな?奴には空間転移能力があったはずだ」
コウの無茶な注文に、一呼吸置いた後、とても嬉しそうな…救われたかのような声で返答がくる
『もちろんだ。お前に救われたこの命、お前と共に在らずしてどう在れというのか――!今直ぐに、お前のもとへ行くよ!』
『あ、ちょ!勝手に通信切らないで――!』
プツンと音がして、もう何も聞こえてこない。急いて切ってしまったようだ。
それを確認して、コウは顔を上げる。
「さて、行くぞメシスよ……この海には随分世話になった。せめてものお返しに、この美しさ…守り通してやろうじゃないか」
「承知しました。サザナミヤッコさん、ミナミクロダイさん、その他諸々お魚さん!美味しかったですよー!!」
ついに、漆黒の獣は裏切りの牙を突き立てる――
「オーストラリアより敵艦隊出港!数10!」
地球連邦軍極東方面軍沖縄基地危機管理センターに響き渡った長距離レーダーのオペレーターの報告に
ここ数日の間常に厳戒態勢を敷いていた沖縄基地が一斉に行動を開始した
まず太平洋上に待機していた数隻の巡視艇によって確認が行われ
間違いなく敵の進行である事が確認されたために全軍に緊急報告が行われる
戦車隊はすばやく海岸に敷かれた戦車壕陣地に飛び込み
工兵隊はその戦車を守る対ビーム兵器用の耐熱板を前面に配置された塹壕陣地と、トーチカ陣地の最終補強にかかり
その戦車陣地の後ろに配置された砲兵陣地も長距離リニア砲の最終点検を開始し
航空隊はスクランブルの準備を整え
パトリオットミサイルとホーク、対弾道ミサイルレーザー砲の稼動チェックが行われ
RPG、対戦車ミサイルを装備した対空歩兵と呼ばれる歩兵隊が市中や森林に散らばり
日本政府、並びに中、韓、露等のアジア各所の連邦政府に緊急通達が行われ
東京の危機管理センターに総理大臣を一とした官僚が集結し…
最初の報告から、わずか数十分たらずで、沖縄は完全に戦闘態勢を整えた
海岸や海辺には耐熱板で遠くからは岸に黒い壁がいくつも立っているように見える戦車壕が沖縄を守る黒い壁がごとく展開され
その戦車壕の後ろには長射程の最新鋭レールガンで武装した砲兵隊が配備され
更にその後ろの市内にも戦車隊の他に、小回りの効く対空歩兵と、各所からかき集めた市街戦に適した兵器、人型兵器が配備されている
他にも巧妙に隠蔽された対空ミサイル車両や迫撃砲も山中には配置され、市民の避難も完璧ではないが、被害を最小限に抑えられるよう手はずは整っているはずだ
また、航空隊も単独で敵と戦う事はせず、最低でもレールガンの射程の中に入った敵としか、交戦してはならない決まりになっていて、これは対空攻撃の加護を存分に受けるためである
沖縄がこれだけの…勝てないまでも、あっけなくやられなレベルの防衛線を築いたのは、別に奇襲を見破ったからではない
オーストラリアをはじめ、南半球でボロ負けした人類がPPに対し過剰に警戒心を抱くのは至極当然の事であり
更に日本にとって沖縄は前途で述べた通り九州、引いては本土を守る最後の防衛線
送れる戦力は全て送り、PPに対抗しうる兵器が開発されるまで本土を守らせる必要があるからだ
こうして、惨劇の幕が開いていく
沖縄基地、ミーティングルーム
滑走路に面し、すぐに機体に乗り込みにいける位置にあるこの部屋の中には、あの女を除いた俺達技術小隊と、数名の小隊長クラス、そして中隊長と、ライオネル氏の姿がある
どうも俺等の所属する中隊は師団、大隊に所属していない、海外からの助っ人だけで構成された独立混成中隊のようで、部屋の中にいるのは俺達を除いて全員外人だ
「よし、全員集まったな、俺がお前達の上官となるボブ少佐だ。早速だが今回の作戦におけるお前達の行動を指示する。まずアーノルド小隊…」
ここからしばらく助っ人外人達への指示が行われるが、関係ないので省く
「…よし、次に、ジャック小隊、お前等はこのエリアの市街地に配備だ、お前等の隊には人型兵器がいる、このエリアなら高層建造物も多い、力を存分に発揮できるはずだ」
「了解」
ライオネル氏は対空歩兵連中と組むのか…、高層建造物の多い那覇市内に配備、か
ちなみに対空歩兵が対戦車装備なのに対空っつーのは、何か過去の作戦でヘリを迎撃するのを専門にしていたのの名残らしい
……どーでもいいな、34へぇ
「…で、独立技術試験小隊諸君だが……」
全ての隊に命令を述べ終えた助っ人中隊の隊長が、渋い顔で俺達の方へ視線を向けてきた
あぁー…兵科がバラバラすぎてどう命令すりゃいいかわからないっつー顔だな、ありゃ
まぁ、潜水艦と戦闘機と騎兵と歩兵を同じ隊にしても同じ場所じゃ戦えねぇんだ、指示する側が困るなぁ当たり前だな
「あぁ、我々は独自に行動します。中隊長殿はもう結構ですので」
っと、こっちに来て初めて顔を合わせた俺達の小隊の隊長が、一歩前に進み出ると、何か顔に笑みを浮かばせながら中隊長に言った
うわぁ…、俺がこういう顔されたら即座に粛清を喰らわすな…
「ん…わかった、よし、他の隊は速やかに今言った配置につけ!」
しかし中隊長は微妙な表情で適当にお茶を濁しただけで、すぐさま俺達の隊など無かったように次の行動へと動いていった
…これは…中隊長の心が広いっつーわけじゃねーのは俺にもわかる
まぁ俺ならどっち道奴は殴ってたが…
「では、今回の作戦を伝達する」
中隊長等が去った後に、俺達だけになったミーティングルームで、小隊長が俺達を中央の地図に集めて、そう言った
この小隊長とはこっちに来てから初めて顔を合わせたが、この顔はとらえどころが無いとしかいいようが無い
特徴らしい特徴の無い体系と顔で、正直説明するのが難しい
名前は…何ッつたか?み…本田?だっけ?
「まず、オウドウ曹長、ハシバ軍曹」
「は」
「はいぃ!!」
っと、今はんなこたぁ、どうでもいいか
「二人はBエリア第一防衛線の後ろにて待機、上空より降下し、砲兵や戦車の背後を取ろうとする輩を駆れ。防衛線の崩壊が確実になった場合は、撤退する部隊を支援、その後第2防衛線へ後退、同じようにやれ」
「「了解」」
…防衛線が崩壊する事は間違いねぇんだ
過酷っちゃぁ過酷な任務だな
まどーでもいいが
「次、ミカミ曹長、ケンジョウジ曹長」
「はい」
さて、俺だ
「はい」
「ミカミ曹長はエリアE海中にて、ケンジョウジ曹長はこの場にて、それぞれ待機だ」
…へぇ、待機
こら、大活躍の前触れって奴だな
いいじゃない、そぉお来なくっちゃ
「後に両名には、敵艦への攻撃任務へついてもらう」
ほら来た、来た来た来た〜
「詳しい命令は状況の変化に伴い追って行う。以上解散」
小隊長の号令で、俺達はそれぞれの持ち場へと散っていく
敵艦撃沈…こら今までの敗北全部チャラになんな
へへ…そうだよ、やっぱ真のエースにはこん位の任務がないとなぁ
突き抜けるような青空、透き通るエメラルドグリーンの海、テクノの紅い髪がアンバランスながらもある種の美しさを演出していた
「気持ちがいいです。ビバ沖縄!」
彼女は美しい沖縄の海を満喫していた。いつもなら観光客などで賑わうビーチには彼女の他、人っ子一人いないのである
それもそのはず今沖縄には観光客がおらず、住人もほとんどが避難している状況だからだ
もうすぐPPの攻勢が始まり沖縄全土が戦場となってしまうのであるから今頃楽しそうに海で遊んでいるのは彼女だけだろう
そう、テクノは知らなかった
すでにPPの部隊が沖縄に向かっていることを・・・そして、連邦軍のレーダーがそれを察知したことを
彼女が星の砂を集めているとビーチの外が慌ただしくなり次々と黒い壁のようなものが立ち、兵士が走り回り、戦車が塹壕の中にに待機し始めた。
「敵が攻めてきたのですね」
彼女は嬉しそうな笑顔を見せる
すぐに自らのレーダーを起動させる、確かに大型輸送機が接近していた
やっと彼女に与えられた任務を開始することができるだろう
観光だけが彼女の目的ではない
「ホワイト来て下さい」
彼女の呼びかけに応えテクノ・ホワイトが格納庫から地を駆け彼女の下に現れた。
「ホワイト!私達の始めての戦いです頑張っていきましょう」
ジャンプし胸のコクピットにゆっくりと腰を下ろす。彼女の弟であるテクノシリーズの6号機が武装を全て開放し戦闘体勢をとり砂浜に仁王立ちで構える
「私達の力を試すいい機会です
いい結果を出します!」
彼女はこの戦いが自分のこれからに大きな影響を与えるとは思ってもいなかった・・・
>>121-122 あれからの数日は短かった。
苦難を共にした輸送機と機長はアフリカへと帰還し、俺は海を渡って日本の果て、オキナワへと向かった。
この前の二人――大闘神独立技術試験小隊の奴らも乗り込んでいて、他にも同船していた奴らは戦慣れしてるような奴ばかりだった。
PPの侵攻をオキナワで防ぐ為に、かなりの大戦力が集結しているようだ。
そして今、俺は地球連邦軍極東方面軍沖縄基地危機管理センターからナハの市街地へと向かっている。
ジャック隊長率いる歩兵部隊の隊員として編成されたからだ。だが歩兵ではなくパイロットとしてだが。
何十人もの隊員は全員が黒塗りの装甲車に乗り込んでいるが、俺は愛機――ディグ・クラッシャーに乗っている
本当は最前線に出たいと志願したが、残念ながらこの機体には飛行機能が付いてない。
前回の――海上での荒業も必ず成功するとは限らない、仕方がない事だ
―――――
「各員、配置につけ!」
市街地の中央でジャック隊長の声が響き、隊の歩兵は迅速な行動で指示された位置につき、作戦の開始を待つ。
俺はある程度開けた広場で留まり、背負ってきた携帯武器庫から、130mm榴弾砲を取り出し、構える。
ありったけの弾を積んできたので弾切れの心配はないだろう。それにこの中には大量の銃火器を詰め込んできてある。
海岸から市街地までの防衛網はかなり厚いのでここまで来る者は少ないと予想するが、それでも手は抜けない。
ここはオキナワの中心部。背後には連邦基地がある。一機でも侵入されたら、あっという間にオキナワはPPに制圧されてしまう。
故に手は抜けない。アフリカの二の舞にはさせたくないのだ。
「ここの包囲網は突破させねえぞ……絶対にだ!」
俺たちは日本の命運を背負う、という緊張感に包まれながら会戦の合図を待った……
敵が攻めてきた。と街が混乱に包まれた中でユキは独りほくそ笑む
さぁ、始まった。いかに頑強に準備していようとも
PPたちの進軍をおいそれとは止められはしまい
『こちらキャリーチーム。ルナティックスノー、ランデブーポイントへ向かえ』
作戦開始前から予め貰っておいた通信機からそんな入電が入る。ルナティックスノーとはユキのコードだ
『スノー、理解』
そう言って街の少し外れへ走る。そこにエスペラティオを落とし
戦力をそちらへ向かわせた隙をついて、基地を一気に占領してしまおう
それが今回の作戦である
基地さえ陥落させてしまえばコチラの勝ちなのだ
「スノー、ポイント到着」
『了解。これよりエスペラティオを投下する』
『肝っ玉潰したぜ、カツキィ?何せ敵陣を突っ切ってきたんだからな』
キャリーチームのノリのいくらか軽い隊員がそう言って、プツンと回線を切る
恐らく自分達の技術と度胸をアピールしたのだろう
透明迷彩を被り、何とか無事に落下してきたエスペラティオに乗り込んで
「ユキ・カツキ。作戦を開始する!!」
透明迷彩を外して敵に存在をアピールする
同時刻、オーストラリア本部
「沖縄、予想以上に敵の反応が早いようです」
「だろうな」
ヘルミフィアはオペレーターからの報告をダルそうに受け流す
予想以上?いや、予想通りだよ。だから彼女は大規模な部隊を動かしたくはなかった
小回りの効く少数で質をもって制圧したかったのだが……
「しかしこのままでは全滅も有り得ます」
…………それは困る。ならば―――
「旧型輸送艦にありったけのクラスター詰めて、敵に撃墜して貰おうか
ドックの整理にもなるし、それがいい」
そう言ってヘルミフィアは技術班に急ぎ爆弾の設置を命令した
『こちらオウドウ、スタンバイ完了、120mm機関砲の調子も上々だ』
『ハシバ、スタンバイよろし』
『ミカミ、輸送車両より降車、ポイントEへ向け、移動中』
滑走路に待機した闘空機の中、隊内無線に耳を向けていた俺の元に、オウドウ等の報告が聞こえてきた
オウドウは今回空の敵に対応できる様、ハシバの闘人機と同じ機関砲を片手に、もう片手に盾を装備している
奴さん無粋だとか阿呆な事をほざいていたが…、自殺志願としか思えん
そんな事を考えつつ、俺は滑走路へと視線を向けた
少し離れたところで、かなりの数のRF−1やその他の航空機が編隊を組んだ状態で並んで配置されており
その全てがVTOL機能を備えているため、一々滑走路を使用せず、そのまま上昇し、一気に戦場へ迎える様になっている
が、俺同様、今の所、やる事なし、か…
基地内に鳴り響く緊急警報
迎撃用のロケットランチャージープや機関砲を搭載した自走砲が基地の一方へ走っていって、防衛線を展開し、数機の戦闘ヘリがスクランブル発進していく
更に割りと近くからRPGの発射音が立て続けに響き渡り、機銃の発射音も発生する
…何か、来たな、こりゃ
潜伏してた輩でもいたか?
それとも地底を潜行できる奴でもいるのか?
この距離だと、ちっとやべぇかも知れねぇな…まともな戦力は防衛線に出してるから、最終防衛ラインである第3防衛線あたりから戦車を引っ張ってきてはたして再展開が間に合うか…
…それならいっそ
『ケンジョウジ曹長、敵の奇襲だ、直ちにスクランブルせよ』
そうだよなぁ、そうした方が早い
そして、俺なら確実にそいつらを叩ける
地上からの援護もある、鴨だ鴨
…まさか今回は前みたいなとんでもねぇ援護はねぇだろうな…
大陸間弾道ビームかなんかか?アレは
発射位置の特定はできなかったらしいが…
まぁ、いい、来たら来ただ
覚悟を決めると、俺は機体を浮上させ、出現した敵機殲滅のため、低空飛行で現場へと向かった
「……タルタロス、来ます…!」
メシスが呟くと、その言葉を証明するように、綺麗な青色をしていた海面が徐々に黒く染まり、周囲におぞましい唸り声が響く。
『グォオォオオオォォォォ……』
直後に漆黒の要塞島が海面に浮上する。否、その正体は、全長数百メートルはあろうかという巨大な戦艦…
これもまた否。幻獣、タルタロスである。神話に描かれる奈落の神の名を冠した謎の生命体は、コウをコクピットに吸い込み、メシスを背に乗せ飛び立った。
「メシス、合体を許可する。最初から潰しにかかるぞ」
「了解!―――Transformation―――!」
『ガァァァァアアアアァァアアァァ!!!』
直後、メシスとタルタロスが形を変え始める。
タルタロスの方は兎も角、メシスの変形は子供が見たら泣くどころか、五年かけても記憶から消えないトラウマになってしまいそうだ。だって腕が脚がうわぁ。
コウがいつ見ても慣れないなぁと思っていると、早くもタルタロスは合体の準備を整えている。
上体がスライドして起き上がり、肩が胴体に接続され、腕もそれに続く。脚が開き、収納されていた足首から下が伸び出てくる。
頭の無い人型となったところでメシスも変形を終える。しかし、メシスは頭部に変形した割りには隙間も多いし、色もタルタロスと全然合わない。すると…
『グゥゥゥゥ…!』
待っていましたと言わんばかりに、タルタロスの首から頭を求めるように大量の触手が溢れ、頭部に変形したメシスに絡みつく。触手て…これ合体か?融合…下手すりゃ取り込まれている。
絡みついた触手は目立っていた隙間を埋め、なんと色まで塗り替えていく。自らと同じ漆黒と、金色に…
『…コネクト完了!隊長、指示お願いします!行きますよー!!』
巨大な…闇……戦艦の状態でも巨大だったが、それが人型となり、立ち上がると、尚巨大である。顔は取り込まれる前の無機質な感じとは打って変わって、
曲線が増え、どこか生物的である。深い緑色の眼が、ぎらりと睨むように光る。
『ウィング展開!バイパス開放!』
タルタロスは呼びかけに応えるように、背の黒き翼を広げる――翼が纏う羽は、まるで色の無い…透明なオーロラの様な怪しくも美しい羽だった…
周囲から、驚きと恐怖の声が聞こえてくる。沖縄を守る兵士達がざわめき、うろたえている。当然か――
『こちら特殊諜報部隊隊長レイヴン…いや、コウ・ヤジマ。調べてくれれば解るが、日本人だ。そちらに加勢させていただきたい』
面倒なのか、多少投げやりである。
『繰り返す。こちらに敵対の意志はない。そちらに加勢させてもらいたい。信用できないなら、せめてこちらに攻撃は加えないで欲しい。以上だ』
適当に通信を切ると、タルタロスは沖縄を守るように背を向け、敵の来る方向に向き直り、身構え、威嚇ついでに吼えた。
『ガァァアアアアァァァア!!!!』
「この牙で食らい付く。覚悟はできたか、メシス」
『了解。ついこの間までお世話になっておいてなんですが、食い千切ります』
う〜ん、もっとおしとやかな奴だと思っていたんだが…コウは深く嘆息した…
>>126 敵の大部隊こそ来ないが、歩兵部隊は混乱していた。
何でも、連邦軍の包囲網を突っ切って敵の飛行量産機がこの近くまでやってきたそうだ。
その直後、この街の郊外に敵の巨大機動兵器が出現したとか何とか。
そろそろ俺の出番か?と、思っていると隊長から通信が入った。
「アルファ・ワンよりアルファ・レオ―へ!直ちに出現した敵機動兵器の迎撃に当たれ!
基地内に敵を絶対に入れてはならん!なんとしてでも死守せよ!」
「アルファ・レオ―了解!これより迎撃に向かう!」
アルファ・ワンは隊長のコードネーム、アルファ・レオ―は俺のコードネーム。俺の立場は特殊なので
番号は与えられず、俺の名前を捩ったコードネームを与えられたのだ、結構気に入ってる。
構えていたキャノンを放棄して、代わりにコンテナから80mm速射砲を取り出し、ハンマーを肩に担いで、基地方向へと引き返す。
敵はどんな攻撃を仕掛けてくるか分からんが、この人型削岩機は標的が大きければ大きいほど有利になる。
「さて……久々の白兵戦だぜ!どんな奴でもかかってこいやぁ!」
―――――
既に基地周辺では戦車や武装ヘリなどの機動兵器が敵機に攻撃していた。
ディグ・クラッシャーの二倍ほどの巨体だ。こんなやつまでいるのか……
機動兵器の激しい攻撃は敵機の直前で何か障壁のようなものに遮られて届いていない。
ひたすら猛進する敵機、バリアでも付いてるのか?俺は通常回線を開き、各機に呼びかける。
「どけどけぇ!コイツは俺がやる、各機援護を頼む!」
「「りょ、了解!」」
少し驚いていたようだがすぐに敵機の正面に展開されていた戦車が横に動き、道を開く。
そこにビルの角から俺――ディグ・クラッシャーが勢いよく飛び出し、相手にハンマーを構えて、大音量で敵に威嚇する。
「あーあー、ゴホン、こんなことしやがって……覚悟は出来てるんだろうなあぁぁぁぁ!」
携帯していた速射砲を腰に取り付けハンマーを通常モードのまま両手に持ち、敵機目掛けて突貫する。
なかなか危険な方法だが不意打ちは好まないのが俺の流儀。
「このハンマーは痛えぞ!食らいやがれぇぇ!」
>>129 適当に暴れ回っていたら、蟻よろしくゾロゾロと戦車やら歩兵やらが
集まって来やがる
今の彼の仕事は、とにかく敵をおびき寄せる事
そうだとしたらまだまだ足りない
と考えていたら、物陰からヒドくゲテモノじみた機体が飛び出してきた
ハンマーなんて………
ギャグかコントみたいにさえ思えて笑えてくる
「このハンマーは痛えぞ!食らいやがれぇぇ!」
の一言と共に飛んでくるハンマーを、エスペラティオの両の手でガッチリと掴む
技術レベルの差はそのまま武器の差。ひいては機体の差だ
「さすが良い機体だ。ハンマー受け止めても
何ともないぜ!!」
と半笑いで通信を流しながら、ハンマーを建築物目掛けて投げ捨てる
間髪入れずに
「それくらいじゃ止められないぜ?」
と吐き捨て、所構わず拡散ビームを撃ちまくる
ヘタに敵機を撃破して、後退でもされたら面倒なことになる
生かさず殺さず。引き出せるだけ引き出して
集まったらサテライトの斉射で潰す
経験が浅いだけに単純な作戦しか知り得ないのだ
>>128 突如、海中から現れた人型兵器に対し、防衛線を構築していた連邦軍兵士達の取った行動は…
>『こちら特殊諜報部隊隊長レイヴン…いや、コウ・ヤジマ。調べてくれれば解るが、日本人だ。そちらに加勢させていただきたい』
戦車壕の中のある兵士がぼそりと呟いた
「漫画じゃあるまいし」
>『繰り返す。こちらに敵対の意志はない。そちらに加勢させてもらいたい。信用できないなら、せめてこちらに攻撃は加えないで欲しい。以上だ』
指揮車両の中の中隊長は、そこにきて、はっと我に返った
そうだ、何をうろたえているんだ私は
今私にはすべき事がある
本当に味方なら事前に何も言ってこないはずはない
敵はこちらに猿芝居が通じていると思っている!
チャンスだ!
頭の中を駆け巡るあらゆる情報を一気に固め、中隊長は無線機へ叫んだ!
「撃てぇえええええええええええええええ!」
森と言う森、塹壕と言う塹壕、から一斉に砲の発射音が鳴り響き、無数の砲弾がタルタロス目掛け発射される
激しい攻撃が続く現地へと到着した俺が見たのは、拡散ビーム砲を連射する馬鹿でかい敵ロボットの姿だった
奴等、こんなデカ物をテレポートさせる力があるのか?
まぁ、大部隊送り込んでこないとこ見るとそこまでの技術力は無いんだろうが
あったらわざわざ輸送船何ぞつくらんだろーし
っと、ビームが飛んできた
いかんな俺は、どうしても考えが横道にそれちまう
さて今回の獲物だが、どうやらバリアーがあるらしく、発射された無数の攻撃はそれに弾かれて効果らしいものは無い
駆けつけたのかライオネル氏もいたが…まぁ砲撃が効かん相手に人型でもどうしょも無いんだろう、特に目立った行動は見れない
敵のビームは当然ながらバリアに関係ない…
あー、わかっちゃったよ、弱点
俺はビーム砲が放たれている部分目掛け、電撃砲を発射した
多少狙いがそれていても、何関係ない、問題なく拡散した稲妻が命中するだろう
雷の熱であの砲はお陀仏になる、はずだ
テクノがコクピットに座り臨戦態勢をとってから少し時間が経ったが辺りはまだ静かだった
しかし、空気は張りつめ兵士の緊張がテクノにも感じられるほどの
「兵士の皆さん緊張してるようですね。どうにかして緊張をほぐしたいです」
彼女がそんなことを考えているとホワイトの光学センサーが敵を捉えた
「敵がきました!皆さん頑張りましょうです!」
彼女は兵士達を鼓舞したつもりだったが兵士達の緊張はピークに達した
その時少し離れた砂浜で砲撃が始まった
加勢に行きたかったがホワイトが敵をロックオンし光学センサーには無数の敵機を捕捉しディスプレイを覆い尽くさんばかりの敵を映し出していた
「ごめんなさい・・・です」
彼女は謝りながら引き金を引く、もちろん敵に対してではなく少し離れた砂浜で戦っている兵士達に対してである
その兵士達が戦っているのが彼女も知る二人組であるとは気付かなかった
敵機をアウトレンジから次々と攻撃していくPPの機体は素早く攻撃はなかなか当たらなかったが
彼女はただの小娘ではない最新式の戦闘兵器である。すぐに敵を補足し攻撃を当て始める
後ろの兵士から歓声が上がる。さらに背中のランドセルからプロトンミサイルを発射しさらに撃墜していく
>>131 狙うは敵艦!さっさと潰して帰ってもらおう!
沖縄を固める兵士達にテキトーな通信を入れ、一方的に切り、意気揚々と敵陣突入を成そうとした闇の巨人に…
ズドン
『あ痛』
ズドンズドン
『痛い痛い』
ドドドドドドドドドドド!!
『きゃぁぁぁーー!?』
弾、弾、弾!!見渡す限りの視界を覆う弾の嵐!戦場に身を置いて長いコウでさえ驚くほど、
プライドを砂糖と適量の醤油と味醂少々で味付けされてからネットリ舐められた軍人さん達からの怒涛の超弾幕プレゼントである。
「何だ?誤射か?はっはっは、仕方の無い奴らだ」
『敵意剥き出しで注がれた弾幕を誤射とは言いませんよダーリン?』
「目の前の現実を逃避したくなったんだよハニー」
こいつ隊長だけどホントに殴っていいよねとか、どさくさでダーリンって呼んじゃった。キャッ!とか至極どうでもいい思考を廻らせていると、急にセンサーが悲鳴をあげる。別に装甲が危ないとか、そういうものではなく
もっと別の異変をキャッチしたらしい。因みにタルタロスに加えられた装備と装甲は、対艦戦を目的としたそれであり、さっきから降り注いでくる戦車やら何やらの弾ではタルタロスを殺すことは出来ない。
『隊長!重力震反応です!これは……!』
「お、来たか」
――突如として、タルタロスの目の前の空間がねじれる。そして、次の瞬間――!
『覇!!!』
ねじれた空間を、砕き、撒き散らし、“それ”は現れた。
タルタロスに負けずとも劣らない巨体、黒い身体。赤く光り、血走る眼。広げた巨大な翼は蝙蝠のようで、赤い大きな眼の様な模様が光っている。
胴は細く、脚はさらに剣の如く細い。どこまでが脚で、どこに足首があるのか解らない。というか、どうやって立っているのかさえ謎である。
『悪魔』と呼ぶに相応しいそれは、悪魔らしからぬ背筋を伸ばした凛とした姿勢で、タルタロスに接近してくる。そして――
『レイヴン、無事か!?私が来たからには、お前を必ずや守りぬいて――きゃあぁぁぁぁ!!?』
弾幕に、飲み込まれた。
「攻め倦ねてますね、准将閣下」
「たかだか板ごときに攻撃を阻まれるとはな」
常時変化する戦況を映しているモニターを見ながら
副司令官の男がヘルミフィアにぼそりと耳打ちをし
対する彼女は腕組みして舌打ちをする
「沖縄に熱源を確認!!
…………相当デカいです!!」
「衛星と現地のデータを映せ」
いきなりの出来事に焦って裏返った声を聞き
ヘルミフィアはオペレーターを笑いながら、狼狽えるなと宥める
画面に映し出されたそれぞれの機体を見て対策を考える
…………が、それにしたってデカい
ユキのエスペラティオなんて眼じゃないくらいデカいのが三機
あと二つくらい部隊を回せば渡り合えなくもないだろうが……………
「デカいのは無視しろ。敵ではなく障害物として扱え
なに、海岸線に山が出てきただけさ」
らしくない軽口でなんとか間を持たせようと
動揺させるまいと頑張ってはみる
『准将、旧式艦に爆弾を詰め終わりました!!』
と、割り込みで技術班から通信が入る
「よし、沖縄の海岸線を吹き飛ばしてやれ」
そう言って黙考する
(さぁて、どうしようか
数の暴力で押し切るか。それとも本国の艦隊に大気圏外から艦砲射撃でもかますか?)
「…………念のために私の艦隊に連絡を入れろ
地球の衛星軌道上に待機していろ。とな」
いざとなれば浜辺はそれで吹き飛ばす
若干反則の感は拭いきれないが………
>>130,
>>132 相手の頭上目掛けて振り下ろしたハンマーは敵機の巨大な腕に簡単に捕まれてしまった。
>「さすが良い機体だ。ハンマー受け止めても
何ともないぜ!!」
と、奴は手に持ったハンマーをその場で放り捨てた。
舐めやがって……乗ってるのはガキか?
俺は攻撃の手を休めまいと、腰に取り付けた速射砲を抜こうとしたが……
>「それくらいじゃ止められないぜ?」
敵のパイロットの声と、同時に敵機の砲身から大量のビームがばら撒かれた。
咄嗟に手を正面で重ねて頭部とコックピットに当たらないようにする。
ディグ・クラッシャーはその分厚い装甲が特徴だ。だが……もう持たない……!
その時、機体のレーダーが遠くからこちらに接近する味方を確認した。
直後、ビームが放たれている砲身に雷撃が直撃する。どうやら飛行してくる機体――ケンジョウジか!
敵の弾幕が止まり、一瞬だけよろめく。その隙を俺は逃さない。
「ハッ!敵の得物を投げ捨てたのが仇になったなぁ!」
速射砲をばら撒き、ディグ・クラッシャーの最高速度でハンマーを回収し、敵の背後に素早く回りこむ。
そして、手早くハンマーのモードを切り替える、すると前面のドリル、背面のブースターが展開され、攻撃的なフォルムに変化する。
次に、ケンジョウジに通信を開き――
「ケンジョウジ、援護感謝する。一気に仕掛ける!」
脚部のホバーとブースターの速度でハンマーは一気に相手の懐目掛けて回転しながら加速する!
戦闘が開始していくらかの時間が経過しているが激戦はなおも続いている
「落としても落としてもキリがないです!」
ホワイトの胸部装甲を開き、足を開き反動で吹き飛ばないように地面に固定する
胸の前にエネルギーが収束していき、それが臨界に達した時
「エネルギー充填150%!漆黒の闇に裂かれて消えなさい!テラグラビティスマッシャァァァァァァ!」
芝居がかった台詞と共に超重力の奔流が多くの敵を飲み込み圧壊させていく
周りの敵機はほとんどが消滅しその砂浜に再び静寂が訪れた
しかし、再び巻き起こる歓声でその静寂もすぐにかき消された
「ふう・・・頑張りすぎてすこしオーバーヒートを起こしてしまいました…
これではしばらくの間はテラグラティスマッシャーは使えませんね。150%はやりすぎました」
テクノは敵の攻勢が止まったことに安堵にすこし気を緩めた。その時、彼女はあることを考えてしまった
(どうして私は彼らを守ってるんでしょうか……そんな義理もないのに……
始めはたまたまそこに居合わせていた兵士達がどうなろうと興味はなかった彼女だったが
ほんの少しの間しか戦っていないにも関わらず共に戦ったというだけで彼らとなんとも言えない繋がりを感じてしまったいたのだ
テクノは自分よりも遥かに脆い者達が喜ぶ姿を見て顔に微笑みが浮かんでいた
しかし、新たな輸送艦の接近でそれもすぐに消えてしまう
『吹き狂え!荒破ッ!!』
ワープアウトしてきた瞬間に弾幕に飲み込まれるという驚異の不幸ぶりを見せつけ、
圧倒的な量の弾丸のなか、しばらくあたふたと身悶えしていた悪魔だが、急にその巨大な羽を広げたかと思うと、
その場で大きく一回転。すると、さっきからほぼ無風状態だった戦場に、爆発的な突風が吹き荒び、弾丸の雨を全てなぎ払ってみせた。
『ぜーはー…!』とかなり疲れたようで肩で息をしてぐったりしている悪魔。だがすぐに息を整えて、飛ぶでもなく瞬間移動でもなく、ヅカヅカと空中を歩いて近づいてくる。
いつもはコウに絶対服従な彼女だが、さすがに少し怒ったらしい。
『レイヴン!どういうことだこれは!?我々が合流する時は、和平が成立してからだと、そう言ったじゃないか!?』
珍しくコウ相手にプリプリ怒った彼女は、これではまだ納まらんとばかりに自らの駆る悪魔の体から降りてきた。……もとい生えてきた。
風になびく美しい黒髪。そして、機体とほぼ同じ見た目の、黒く、刺々しい鎧を纏っている。
ぼんやりと、吸い込まれそうな黒い瞳は今は怒りに燃えている。
漆黒の牙内での戦闘能力1、2位を争う漆黒の闘拳士、レイカである。
乗り込むときは溶けるように吸い込まれ、降りるときは巻き戻しのようにどこからともなく生えてくる。この悪魔のコクピットはどうなってるんだろう?
「レイヴン、私は説明を求める…戦況と状況、両方だ」
「状況は、ほら見ての通り。敵だと認識されている」
「必死に呼びかけるなりの努力は!?」
「さっきからしてるんだがなぁ…」
コウはもう一度通信を開く。
「お〜い。そんな無駄弾撃ったってどうにもならんぞ〜。ちゃんと撃つべき敵を撃ちなさい!!」
と言うと、『わかったぜ!』と言わんばかりに弾幕が激しくなる。
「だめだあいつら。聞く気がない」
「言い方を選べ!……えぇい、私が前線へ出張るから、レイヴンとメシスはここで彼等の説得&援護射撃だ!役割分担だ!」
「マジで?じゃ頼むわ。よ〜し、頑張って説得するぞぅ」
「真面目にやるんだぞ!?怒らせるなよ!?」
それだけ言い残し、レイカとコキュートスは全速力で戦場の中心へ向かう。
後に残されたのはダメ隊長とタルタロス=メシスだけである。
『……どうします隊長』
「…なんかもうめんどくさいから、弾切れでも待とうかなと」
『…それはまた、レイカさんが怒りそうな選択肢ですね』
「それでもいい…盛大に撃ち尽くしたら、彼らも少しは落ち着くだろう」
これといった指示も無く、タルタロスはただ空中に留まっていた。
浴びせられる砲撃は無視。爆ぜる戦火をただ眺めて、突然空を切り裂いた、黒い重力砲らしき一撃に眼を丸くしたりして、何故だか懐かしい匂いを感じたりして、
ただただ暇で――
『グゥゥゥゥ………』
>>130 歓声が上がる
メシスの一挙に、一動に、沖縄の前線の兵士達が、声を上げて歓喜する
凄い!強い!格好いい!頑張れ!
兵士達は嬉しかった、今まで全く歯が立たなかった侵略者を、今、自分達の”仲間”らしき物が、蹂躙しているのだ
苦戦、死戦、絶望、それを覚悟させられていた彼等だっただけに、眼前に現れた救世主の存在は、ただただ眩しい限りだった
しかし
助けられればられる程、謎の仲間が活躍すればする程
彼等の心の中には、何か言いようの無いもやもやが浮かんでいた
謎の仲間が戦う!戦う!戦って、一際強力な光線を放った時
敵の巨大な輸送船が、水平線のかなたから姿を現した
圧倒的な力を持っているとはいえ、仲間とて何の苦労も無く戦っているわけではない様だ
あの敵は手ごわそうだ
仲間も苦しむかもしれない
助けよう!
そうだ、助けられてばかりではいけない!
状況を見守っていた防衛隊長は、無線機を取り出すと、事前に告知されていた「連合軍機」へと通信をつないだ
「前方で交戦中の友軍連合機へ、そこでは支援砲撃できない。繰り返す、そこでは支援できない」
その後彼は、自分でも何故そんな事を言ったのかわからない事を、無意識の内に口に出していた
力強く、感情を篭めて、ただ一言
「信じてくれ」
と
>>131 「糞ぅ、化け物め!」
中隊長は先ほどから散々撃ち込まれている砲撃にまるでビクともしない怪物に、1割の恐怖と9割の苛立ちをあらわにして、ドンっと指揮車の壁を叩くと、おもむろに通信機を手に取り、憎い敵機目掛けて叫んだ
「おんどれたいがいにせぇよ!えぇ?さっきからぐだぐだぐだぐだと!」
「ちょっ、中隊長!やめてください!敵の挑発に乗らないで」
突然の中隊長の行動に、慌てた同車内のオペレーターが止めにかかるが、それを中隊長はそれを振り払い、なおも叫び続ける
「日本人だぁ?あぁ?だぁーーったら住所言え住所!通ってた中学はどこだ!担任の先公の名前は!いくつだ!貴様!えぇ?そういう常識外れにも程がある事やって恥ずかしくないのか貴様!」
「落ち着いてください中隊長!」
オペレーターは最早頭の中が真っ白になって叫んだ
もう終わりだ、この中隊長あんまり敵が強いし状況がわけわからないんで狂ってしまった
えぇい何でこうなるんだ?
そうだ、アレだ!あんなわけのわからないのが現れたからこうなったんだ!
それに気がついた時、思わずオペレーターも通信機を手にしていた
「本部!重砲爆撃の許可を!精神攻撃を行う凶悪な敵が現れました!」
半狂乱のオペレーターの声に、沖縄側の狼狽が通信機越しにも伝わってくる
『な!?何を言ってるんだ、貴様!それは中隊長の許可をとっているのか?』
「中隊長はもう指揮とれるような状況じゃないんです!」
半泣きのオペレーターの声に反応し、中隊長は何かめちゃくちゃな事を叫ぶと、通信機を奪い取り、周波数を変え、大声で怒鳴った
「全砲撃小隊!対艦ミサイルならびに対艦重砲を使用しろ!攻撃目標はアレだ!アレ!」
通信機の向こうは最初狼狽していたようだが、やがて中隊長の言葉に強引に丸め込まれたようで、最後の方にはヤケクソの了解の言葉が聞こえてきた
やがて、森林地帯でPPの上陸艇を迎え撃つために隠蔽されていた護衛艦も一撃で沈める中型ミサイル群と、陣地の最後方に待機していた大型タンカーもたやすく貫通する対艦重電磁砲が、メシス目掛け轟音響かせ連射されはじめた
地鳴りを響かせながら、9機のライガーシュミットがオーストラリアの荒野を土煙を上げて前進していく
全機の塗装は黒で統一され、外装も通常装備の機と同じ機体と判別するのが困難な程も変更されていて、その姿はまるで、荒野を駆ける、死神の列のようであった
オーストラリア北部
オーストラリアで人類に残された雄一の拠点には今、最早ろくな戦力が残っていなかった
格納庫を探しても、飛行場を見渡しても、PPの機動兵器に戦いを挑めるようなものは、何も無い
だから張子の虎以下の彼等はただ、指を咥えて傍観するしかなかった
程近い町で行われている、PPによる大量虐殺を
悲鳴が響き渡り、爆音と銃声がそれをかき消し、黒煙が空を覆いつくす
逃げる子供も、大人も、老人も、女も、男も、犬も、猫も、鳥も空から降り注ぐベアリング弾に貫かれ、火炎放射に焼かれていく
ライガーシュミット虐殺仕様に乗り込んだボルザックはそれらの光景に、狂気的な笑みを浮かべながら、更に両手から対人爆雷を放ち、逃げる人々の上空から降り注がせていった
「ザマねぇなぁ」
肉塊となった人々を口部についた火炎放射器で焼き払い、新たな獲物を探しながら、嬉しげに呟くボルザック
そう、楽しかった
自分達よりも下等で、脆弱で、愚かで、気持ちの悪い連中をなぶり、殺し、焼くのは、彼にとって最大限に楽しかった
何故なら彼は、自分達の種以外の種がこの世界にいる、それが彼にはどうにも耐えられない事であるからだ
理由など無い
ある日突然、ただただ他星人が憎たらしく、嫌いになったのだ
「そぉら逃げろ逃げろぉ!ハッハッハーーーーー」
逃げ惑う人々を火炎放射機で追いたてながら歩いていたボルザックは、ふと、足元の家の中にまだ生命反応が残っている事に気がついた
(ははぁ…逃げ遅れた奴がいるな)
熱源の大きさから獣の類で無い事を確認し、不気味な笑みを浮かべると、ボルザックはその家の前で停止すると、機体の指を窓から中へと侵入させ、熱源の隠れているベッドへと伸ばしていく
(なぶり殺しにしてやろう)
隠れているものの両手足をバラバラにする妄想に取り付かれた、彼の口に、笑みが浮かぶ
さて、まずは足首をちぎってやろう、ライガーシュミットの力なら造作も無い事だ
それから地面に落して、髪の毛に火をつけてやるんだ
>>132 >>136 上から…………
コイツの拡散ビームか!
久々に判りやすい、強い意志の伴った攻撃
これくらいに強いと一々集中しなくとも自然に頭に情報が入ってくる
エラい人が言ってた出来損ない飛行機って、こいつのことなのかな
なら、雷撃だろうか
と、思い至ると同時にさっと両の腕のビームシールドで砲を庇う
これなら当たってもどうってことはない
う……しろ、は、んまー
「ハッ!敵の得物を投げ捨てたのが仇になったなぁ!」
いつの間にやら後ろに回り込んだ敵さんが後ろからハンマーをぶん投げてくる
「そういうアンタは近付きすぎだ」
あらかじめ判っていれば対処に困ることなどない
エスペラティオの運動性をもってかわすだけだ
この機体は巨大だが、決して遅くはない
ライガーにだってついて行ける程度の速さ、レスポンスの良さは持っているのだ
じゃあ、そろそろ敵の人型を一つ退場させて士気を落としてやるとするか
上の機体をビームサテライト三基で牽制しつつ
地上の敵には返す刀にレーザーを展開した有線クローで襲いかかる
>>139 >>日本人だぁ?あぁ?だぁーーったら住所言え住所!通ってた中学はどこだ!担任の先公の名前は!いくつだ!貴様!えぇ?
「え?何、それ言えばいいの?なんだ早くそれを言ってくれなくては困るぞ」
やたらと偉そうにコウは語る。それもそのはず、彼はとある理由でPPにつく前は日本軍に所属しており、当時の階級は少佐である。
故に、データベースを調べれば簡単に証明くらいはできるのである。まぁ、多分死亡扱いになっているだろうが…
「住所はな、東京都千代田区…あ、地元は仙台なんだがな。中学は○○中学校。先生は中村先生といってな?ご老体だったが、皆から人気があってなぁ…因みに俺の歳は23だ…ん?」
昔語りに夢中になっていたコウは反応が遅れた。先程、響き渡る轟音の中に、他の弾幕とは違う発射音が聞こえた。聞き覚えがある。あれは―――
「避けろメシスッ!!」
『え――――』
迸る閃光。光弾、中型ミサイル、それらが一斉にタルタロスに突き刺さり、炸裂する。先程までとは格が違う。
頭部であるメシスを何とか護り抜いたタルタロスだったが、左肩、腹部、左脚の装甲が持って行かれた。すぐさま自己修復を行うが…
ズドォン!!
『あぁ!?』
『ゴガッ!?』
「フフフ……」
こうも何発も撃ち込まれては、再生が間に合わない。傷つき、血を流したタルタロスは、憤怒の紫電を身に纏いはじめ、さらに黒き獄炎が周囲に異様な熱を放つ。
『ゴァァアアアァ、ガガァァァァァアアアアァァァァアァアァ!!!!!』
『待って!?ダメですタルタロス!彼らを食べないで!!』
『グゥゥゥゥゥゥウウウ…!!』
メシスの声に少しだけ冷静さを取り戻したか、タルタロスは自らの頭に変している主を振り仰ぐ。
『落ち着いて…そう、良い子です……聞いてくださいタルタロス。彼等が怯え、怒り、こちらに攻撃してくるのには理由があるのです』
そう聞かされ、タルタロスは先程までの怒りをすっかり忘れて、キョトンとしてメシスの話を聞くのに集中する。あの弱き者達は、我々に敵意を向けているわけではないのか?
『あの人達はね……』
彼女は、地球側の勢力を圧倒的戦闘力で蹂躙しているPPの機体群を指差し、怪しく、妖艶に、誘うように微笑する。
『あれが恐いから、私達のことも恐いのよ?』
メシスの言葉を聞き終えたその瞬間、タルタロスは忘れかけた怒りの矛先を別の者達に向ける。ついこの間までは、共に戦場を駆けた仲間。だが、彼はメシスの言葉を信じ込み、怒りを爆発させた。
――おのれ、弱き者達を怯えさせ、虐げ、奪い壊す、かつての友でも許しておけぬ――!
完璧に怒りを方向転換したことを確認し、メシスは笑う。
『焼き尽くしなさい。タルタロス……あなたの力で、彼等を護ってあげて…?』
『ヴォォォォォオオオオオオォォォォォォォオオオオ!!!!』
その一言でタルタロスの怒りは頂点に達する。オーロラの翼が輝きを増し、周囲に赤いエネルギーが集まっていく。
身の丈ほどもある巨大な武器、『ケルベロス』の下部からトリガーらしきものが現れ、タルタロスは構える。上部二刃、下部に大きな一刃。三枚の刃の中央に、どす黒い焔が収束されていく。
コウが、何か歌っていた。
「FIRE――振り解くに、躊躇うことなく……」
メシスはこの歌が好きではない…聞き取れないのである。FIREの後、何と言っているか、どうしても解らない。ノイズが奔る。コウは振り返り、未だこちらに集中砲火を続ける隊を眺めた。
「FIRE――遮るものは、何もない……」
そして前方を見る。
「漆黒のケルベロスよ、焼き尽くせ――我が道を阻む全て、咬み裂け、心の…ままに…」
死霊達の負の情念を集め、禍々しい黒の焔がケルベロスの発射口で渦巻いている。そして…
『ホーミングレーザー、ケルベロス、撃てェェェェェェェ!!!』
『オォォォォォオオオオォオォォン!!!!』
瞬間、周囲に漂っていたエネルギーから、赤い剣が放たれ無限に枝分かれし、連邦の機体を避け、PPのみを確実に串刺しにしていく。
同時に発射したケルベロスも、死霊の怨念とその出力で敵を飲み込んでいく。
あっという間に周辺を囲んでいたPPをなぎ払い、タルタロスは敵機の残骸のなかで、勝利の雄叫びを上げる。
『ゴアアアアアアアアァァァァァアアアァァァァァァァァアアアアァァアッッッ!!!!!!!』
>>140 隠れていた。
彼は怖くて怖くて目の前の現実を見ないようにした。
ついさっき隣の家のおばさんが吹き飛んだ、彼に優しくしてくれた数少ない彼が信頼するものがあっさりと吹き飛んで死んだ。
最後におばさんは隠れてといった、だから彼は隠れている。戦いが終わることを祈って……
でもそれは叶わなかった。
一機のロボットが彼の家の前に立ち止まるとロボットの指が彼が隠れているベットから彼を引きずりだしたのだ。
怖い、怖い、怖い。
そう思うしかなかった、そして。
……自分に力があれば皆を守れてコイツ等を『殺せるのに』……そう願うしかなかった。
ロボットの顔の目の前まで引きずり出される、体中に痛みを感じ自分がバラバラになるのを悟る。
それでも彼は今までの彼らしからぬ純粋な怒りを感じていた。
……その時、ちぎれると思っていた体は謎の浮遊感を感じた。
瞑っていた目を開くと空を飛んでいる、だがすぐに何かにぶつかった。
上を見上げると……先ほどのロボットとは違いまるで自分が大好きなロボットであるガンダムのようなロボットがそこにいた。
横を見ると先ほどのロボットは近くのビルに打つかっているところを見るとこのロボットが助けてくれたと彼は把握する。
「……あ」
『……やっと会えたわ、長い年月がかかった。貴方が敵に対して純粋すぎる怒りを覚えてくれるまでずっと待っていた……
乗って、愚かにも貴方に……聖なる牙の担い手に刃向かった下賤な雑魚を一緒に消しましょう』
機体からの声、なぜか安心をおぼえカズキは夢遊病のように中に入っていく。
そしてコクピットの席に手慣れた手つきで座りスティックを力強く握りしめる
「いくぞ、リラ」
黒く鮮やかな髪は一瞬で紅蓮に燃える髪となりその眼は先ほどの怯えた目とは裏腹に全てを射抜く光が輝いていた。
「はい! マイ・マスター・カズキ!!」
一方、蹴飛ばされたボルザックの無事を確認したボルザックの部下は切れていた。
いきなりライガーですら反応できない飛び蹴りを叩きこんできて挨拶もないのだ、
何とも身勝手な理由で彼はライガーを操り飛び蹴りしてきたロボット……セイガーへ刃を向けるっ!
「…遅い」
しかし、その一撃はセイガーの常識を疑うような反応速度であっさりと受け止められ逆に肘に付けられているブレードで彼のライガーは両断された。
生死は……確かめるまでもない、コクピットがある部分を両断されているのだ、誰がどう見ても死んでいる。
『っくそ! 何なんだコイツ、いきなり現れやがって!!』
その光景を見ていたほかのライガーが銃を撃ち続ける。
だがソレ等はセイガーに掠りもせずに見当違いの方向へと当たっていくだけでしかない。
「……遅い」
『ば、馬鹿なはや』
一機に一瞬で距離を詰めたセイガーは両肘のブレードを切り離し二対の剣として振るい……
ライガーを十の字に切り裂いた。
『ひ、ヒィィィィィッ!!』
その光景を目のあたりにした一機が恐怖に怯え飛び立つ。
だがセイガーはそれすらも逃がさずにブレードの柄を折りさながら銃のように持ち直した。
そして……一筋の閃光がセイガーに背を向けていたライガーを貫いた。
「……弱いな、随分隊の質が悪い連中のようだ」
「そうですね、所詮カズキとセイガーの的でしかない。ということです」
爆発で散ったライガーを背に向けながらカズキは……セイガーははっきりとそう宣言するのであった。
必殺の一撃を放ち、ホワイトは反動で動けないでいると遥か水平線の彼方に敵の輸送機が姿を現した
彼女は今の自分の状況を冷静に分析し一つの答を出した
「これは良くない事態です」
今、自分は戦闘を行うことが出来ない
後数秒で動けるようになり、ある程度の武装も使えるようにはなるのだが全力で戦うにはまだ数分を要するのである。
先ほどと同じ規模の敵機があの輸送機に満載されていたら・・・
彼女は自分やホワイトがまだテストが不十分な試作機であることを少しだけ恨んだ
『前方で戦闘中の味方連合軍機へ、そこにいては支援攻撃できない。繰り返す、支援できない』
彼女は始め彼が何を言っているのかわからなかった
今までただ守られていただけの彼らが彼女に対して下がれと言ってきたのある
彼女はどうすべきか悩んだ。無視して戦うべきか、それとも彼らね提案に乗って引いて体勢を立て直すべきか
だが彼女は通信を送ってきた彼・・・防衛隊長の一言、そうたった一言で決断をくだした
『信じてくれ』
力強く簡潔に彼は言い放った
彼女は嬉しかった守っているだけだった彼らが頼もしい戦友になったことが・・・
「お言葉に甘えさしていただきます。皆さんに武運があらんことを」
彼女は砂浜の奥の森林に身を隠したと同時に味方の砲撃が始まる
砂浜の戦いは激しさを増し終末が近付きつつあった
>>141 沖縄、那覇市郊外。深緑の小高い丘に彼女――セリシアは居た。
肌の露出が少ない純白のワンピースに身を包み、自慢の長いブロンドの髪は風で靡いている。
その背後には彼女とは真逆の印象を与える黒き巨人。主の指示を待っているかのように片膝を付き俯いている。
やがてセリシアが意を決したかのように深く息を吸い、吐く。そして澄んだ声で名前を呼んだ。
――行こう、シュヴェールト――
黒き巨人は主の命に従い動き出す、まるで自分の意思があるかのように。
真下で佇む幼き少女の体躯の何倍もある手を差し出し、彼女を己の体内へと導く。
そして、巨人は立ち上がり、天高く咆哮した。島全土まで聞こえる悪魔のような咆哮だ。
声が響き渡る中、シュヴェールトはその場から跳躍し眼下の街へと降り立った。
一方、彼女から少し離れたところでは、二機の機体が一機の機体と対峙していた。
たった一機の相手に彼ら――連邦軍は苦戦を強いられていた、無邪気ゆえに恐ろしい相手に。
地上では得物を失ったディグ・クラッシャーへ敵機から射出された、光を纏った長爪が迫っていた。
空中にいる闘空機は援護しようにも三基の移動砲台に翻弄されて動けない。
「クソッ!ここまでなのか……っ!うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
長爪から伸びた光の刃が胸部を貫こうとする瞬間、突然横から現れたシュヴェールトがディグ・クラッシャーを蹴り飛ばし、
同時に、指から伸びる光のサーベルでソレを防いだ。
「横から出て来やがって……なんだテメェ!」
「…………」
鍔迫り合いの末、爪を弾き、互いに体勢を立て直す。
ライオネルの憤怒の声が辺りに響くが、セリシアはそれに答えず、ただ正面の敵を見据えている。
セリシアは操縦桿を握りながら、目を閉じ頭の中で思念を集中させる。目の前にいる――相手に話し掛けるイメージを。
――あなた、念動力を使うの?どうしてそんな物に乗っているの?家族は?――
>>142 前線兵士等の顔が、恐怖に強張る
(何だ?アレは…)
前方で雄たけびを上げるソレに、誰もが目を奪われ、固まる、いや、凍りつく
ソレが自分達ではどうしようもない物である事が、兵士達にはしっかりと理解できた
いや、理解せずにはいられなかった
必死に続いていた砲撃が、止む
最早そんな物は無意味だと、誰もが悟っていた
中隊長もまた、他の兵達と同じく、前線で行われた所業に凍り付いていた
最早中隊長に物事を考えるような力は無く
頭の中が真っ白になった彼は、そのままどさりと倒れ付す
我に返ったオペレーターが駆け寄り介抱する中で、ふと、一人のオペレーターがある事に気づき、恐る恐る通信機を取った
「○○中学…た…たいく教師の名前は……」
突飛なその男の行動に慌てて同僚が咎め、彼は手から通信機を取り落とすが、何とかもう一度拾うと、再び通信機に向かって言う
「23って事は俺とおない歳だ、俺はその中学のOBだ、……中村は隣のクラスの教師だったから覚えてる」
その男の言葉に、他の面々は再び固まった
そのまま、指揮車内に沈黙がおとづれる
>>144 「全車!砲戦用意!」
「重電磁砲発射用意!」
「攻撃準備全てよろし!」
「撃てぇええええええええええええええええええええええ」
こちらへと下がってくるテクノの背後、迫り来るPPの機動部隊目掛け、沖縄からすさまじい砲撃の雨が降り注いでいく
だが、当たらない
ライガーシュミットはたくみに戦車の攻撃をかわし、また、命中した所で苦も無く前進を続けてくる
更にライガーもまた、ライフルによって反撃を開始した
熱線の命中により陣地に次々砂埃が起こり、地面が爆発で抉り取られ、耐熱板が崩れ、次々戦車が犠牲になっていく
陣地に近づくほど多くなる火線にライガー側も被害が増していくが、どちらかと言うと人類側の方が被害が大きく
やがて砲撃網を突破した一機のライガーが陣地の後方に降り立ち、後ろから戦車隊へ攻撃を開始した
数両の戦車が犠牲になった所でRPGの一斉射撃が起こりそのライガーは撃墜されたが、更に数機のライガーが今度は降り立ってきて、対空歩兵隊へ機銃掃射を放ってくる
対空歩兵を蹴散らし、陣地攻撃をライガー隊が移ろうとした時、120mm弾の雨が不意をついてライガー隊に降り注ぎ、彼等を吹き飛ばした
近くの建造物に身を隠していた、闘獣機である
「ぞろぞろと…」
悪態をついて、空中から降りようとするライガー目掛けライフルを連射するオウドウ
陣地を突破する敵は次第に数を増し、別所から時折放たれるハシバと思われる攻撃とあわせても、対処が間に合わなくなってきた
舌打ちし、更に後方目掛け飛んでいこうとするライガーを掃射していた所で、今度はミサイルとレーザーの雨がそのライガーを撃墜、破壊する
そしてRF1の編隊が姿を現し、戦車隊に加勢した
待機していた航空隊へ出撃命令がようやく下ったのである
RF1の登場で拮抗まで戦線を持ち直した人類側だったが、輸送船への攻撃までは手が回らない
巨大な輸送船は次第に海岸へと近づいていく
突如現れた敵機に動揺したボルザック隊だったが、すぐに混乱から立ち直ると、次の行動へと移る
すばやく生き残った4機がバーニアを利かせてセイガーを取り囲むように陣形を取ると、その周囲とセイガー目掛け一斉に火炎放射を行った
すばやく動き回る敵機に対し、熱線は有効打ではない
ならば、広範囲に広がる火炎で包み込み、装甲を焼けずとも中のパイロットを蒸し焼きにしようという作戦である
「ちっ」
俺は思わず声を上げ、熱線の雨を急反転で回避した
避ける寸前、敵機に突っ込んでいくライオネル氏が見えた
やっぱしたった一匹で乗り込んでくるだけあって、とんでもねぇ火力をもってやがる
下から放たれる光線は俺に近づく事を許さず、俺は仕方なく敵機から離れた
さてどう戦うか…
ミサイルじゃあのバリアは破れねぇ、電撃砲は装甲を突破できない
アレは論外
なら奇策を講じるしかないが…
と
回避行動を追え、しっかりと下を見た俺の目の前に突如あの鹿児島で遭遇した機体が現れた
アレは…横にライオネル氏の機体が倒れてる所を見ると、ライオネル氏はアレにやられ、選手交代とばかりにアレが今度は敵と戦っているらしい
……つまり、俺は漁夫の利を狙える位置にいるという事だな
俺は高度を上げると、2機をいつでも攻撃できる位置からしばらく観察する事にした
「爆弾輸送機、目的地目前!!」
「周辺の隊に一時戦線を下げるように伝達。そうしたら――」
ヘルミフィアは一瞬だけ黙り込む。どうすべきかと考えているのではない
海岸線の機体は何者かと気になっているのだ
彼女達を快く思わない種族というのは多い。その内のどれかが彼女達の邪魔をする
というのも頻繁とはいかなくともまま有る話だ
「シールドを張って低空飛行。敵が密集した所で着陸しながらシールドを解除しろ」
そうしたらどうなるか?もちろんバーン!!
自分たちの攻撃が引き金になって、敵は沈黙するだろう
「報告します!!ボルザック隊二機ロスト!!」
横から突然の報告に、澄ました彼女の整った眉がピクンと動く
なに?ボルザック隊はそこそこの猛者揃いだったハズだ………
それがロスト?
「ボルザック中尉に詳細報告のための帰還命令を出せ」
詳細報告とは建前で、プライドの高いボルザックが
もし逃げたい時のための言い訳を用意してやったという形になる
ほんの少しは報告して欲しい気持ちも有ったりする
あれから数日。ラウフェン・ボーゲルの修復作業は本当に大忙しの作業だったらしく
夜中でも無数の足音や機械の駆動音が聞こえていた。
私もその間にしっかりと休みを取って、今は快調。
後で聞いた話だけど異動先は日本らしい。ライナさんにも言われたけど、理由は戦力を集中させるとか何とか。
しかも今、日本の沖縄では大規模な戦闘が行われているらしく、すぐにでも向かってほしいそうだ。
「やっぱりこの服、嫌だなあ……別に軍服で乗ったっていいじゃん」
私はパイロットスーツに着替え、手荷物を持ってスクランブルハッチへと向かっている。
ちなみにデザインはラウフェン・ボーゲルのような真っ白い色に、手足にかけて緑色の長いラインが入ってるという物。
ヘルメットも流線的なもので好きなんだけど……この服、本当はあまり着たくない。
最年少と言う事でこの基地では子ども扱いされているのに、スーツが体形にきっちりとフィットしているので
これを着ているときにはもっと馬鹿にされる。あぁ……ライナさんみたいなモデル体形になりたい……
ハッチに着くと、私と同じようなパイロットスーツに身を包んだライナさんが待っていた。なんか負けた気分。
ライナさんの傍らには手荷物のバッグ、背後にはラウフェン・ボーゲルが待機しているけど……所々細部が違う。
「遅かったわね。さ、急ぎましょ」
「えと、ラウフェンの形変わってませんか?腕とか足とか大きくなってるし……あ!頭から角が生えてる〜!」
「開発中だったパーツを取り込んでみたの。エネルギーの伝達回路とかね。角はカッコいいでしょ?」
前回の戦いで無茶をして、各部がほとんど使い物にならなくなったので改修をしたそうだ。角は本当に飾りらしい。
基本的な部分は変わってないけど、腕や足が以前に比べて、かなり大型化している。まるでスーパーロボットの腕みたい……
背中のレールガンは全く新しい物になっていて、四門。今まで装備していた物を二つ重ねたような形だ。
「まったく……これのせいで健全な男達は連日徹夜よ……全部貴女の為なんだから、帰ったらお礼をしてあげなさい」
「うん、そうですね……みんな、ありがとう!」
「ふふ、まだ速いわよ」
こうして、私とライナさんを乗せたラウフェン・ボーゲルは朝の光の祝福を受けてヨーロッパの地を離れた。
目指すのは日本・沖縄。まだ見た事もない新しい仲間達の下へ……
>>146 >「○○中学…た…たいく教師の名前は……」
「うん…?鬼塚という、その名の通りマラソン中歩いているのを見つけると二周追加するような鬼畜だったが?」
>「23って事は俺とおない歳だ、俺はその中学のOBだ、……中村は隣のクラスの教師だったから覚えてる」
「おぉ、そうなのか!嬉しいなぁ、これが終わったら是非に君と語らいたい!隣のクラス、ということは一組か?三組か?」
刺す様に鋭い殺気を纏っていたコウがころっとその雰囲気を一変。ただかつての学友との再会を喜んでいる様子。メシスは少し呆れつつ、二人の会話に割ってはいる。
『は〜い失礼。越権行為?なにそれ?どうも連邦の皆さん、始めまして。私メシスと申します。』
なるべく優しく柔らかく、笑顔で!
『えと、先程あなた方の弾幕を浴びた際にですね?誠に勝手ながら、そちらの配置をざっと見させて頂きまして、迎撃の上で見逃せない穴を見つけたんですよ』
穴…どうやら一見完璧に見える陣だが、どこかに手薄な所か何かあるらしい。
『というわけで、ポチ、タロウ!』
まるで犬のような名前に反応し、飛び出してきたのは、小型のドラグーンビット二機である。ぼう、と光る紅い眼光を揺らしつつ、
二機は恐らくそこがメシスの指摘する穴なのであろう場所まで辿り着くと、空中でゆらりと停止する。
『その子達が援護します。言うことはだいたい聞いてくれますけど、次から次へと指示出しすぎるとヘソ曲げちゃうので注意してくださいね♪』
兵士達が恐る恐る近づくと、ドラグーンビットはその場でくるりと回ったり、ペコリと頭を下げたりと、自分達なりの挨拶をする。
『これで良し!後方の憂いは無くなりました!………ところで』
メシスはさっきからずっと気になっていた質問をする。
『中学校時代の隊長って、どんなカンジでしたか?』
一方その頃……
「…………」
漆黒の拳闘士こと、レイカは敵…ライガーシュミットに囲まれていた。
「見たことのない型だな……新型か?動きも随分良くなった」
素早く、統率のとれた動きで自分を取り囲むライガーシュミットを見て、レイカは構える。レイカが構えれば、コキュートスも構える。
『れ、レイカ・イマオカ!これは重大な反逆行為だぞ!?何故そちら側にいる!?』
「フン、さてな?そもそも私は漆黒の牙の者であって、お前達のお仲間になった覚えはないんだ」
片足を上げ、カンフーアクションみたいなポーズをする。正直隙だらけの様に見えるが、ライガーシュミットのパイロット達はそんな物観たことないのでかなり警戒している。
というか、レイカは漆黒の牙の一員になってから、誰彼構わず訓練と称してボコボコにしていたので、彼女を知る者は皆まず身構えてしまうのである。
が、このままでは始まらないと焦ったのか、一機が急に飛び出してくる。
『う、うおおおお!あの時の怨みー!!』
「いつ?」
凄まじい勢いで接近し、強力な蹴りを叩き込む。コキュートスの脚がライガーシュミットを貫通している。
「蹴りとは、極限まで極めれば巨岩さえけり貫くのだ!」
『お前の機体の脚が細いだけだろぉぉぉ!!』
ほぼ全機が発砲してくる。
コキュートスは片手だけで逆立ちし、そのままの状態でそこら辺をピョンピョン飛び跳ねる。
『おのれー!!?』
「ハハハ!こっちだこっちだ!」
怒り狂う敵パイロット達の神経を逆撫でしまくりながら、レイカは時々煉獄鎖で脚払いしたりして、痛手を負わせていく。
楽しむ彼女の脳内に、ふと、彼だか彼女だか解らない声が響く。
(レイカ、レイカ……あれはどうする?)
コキュートス自身の声である。レイカは尋ねる。
「あれとは……?」
(あれだよ……あの輸送機だ)
「何、後ででもいいだろう?」
何も解っていないレイカに、コキュートスは答える。
(良いのか…?あれは爆ぜるよ……?内部に大量の爆薬が…捨て駒かな)
「な…!?それを早く言え!…ええい、ここからでは、間に合わんか…!?」
多分追いつけないんじゃないか?とのコキュートスの意見は無視。悪魔は全速力で飛び上がった……
>>145 地上の機体をオレは仕留めた。………ハズだった
まさかここで邪魔が入るなんて
ユキは自分の掌から勝利が零れ落ちていくのがなんとなく解った
そこまで集中してはいなかったにせよ、闖入者が来る事が判らなかったというのは
少なくとも自分の素質に少しは覚えのある彼には驚きなのだ
闖入者はサイズこそエスペラティオの半分程度だが、威圧感は
ハンマーやヘンテコ戦闘機は比にもならないほどだ
>――あなた、念動力を使うの?どうしてそんな物に乗っているの?家族は?――
!!
確かに、あからさまに、嫌味な程にはっきりと感じた思念。今までの感じるモノとは違う
これは確実に送られてきた思念だ
こいつもかよ
ユキは心中で悪態をついた。いや、正確には動揺を隠しているに過ぎない
地球で戦うのならいずれは。くらいには思ってはいたが、まさかこのタイミングで?
自分と同じ思念が空間や生物に作用する人間、念動力能力者
ユキは迷わずスピーカーの回線を開いて相手をおちょくりにかかる
そうでもしないと不安が先行してやらかしそうな気がする
「口を使って喋れないのか、アンタは?」
軽い喋りの裏で彼は素早く考える
施設で喧嘩もしたことのあるユキには多少の経験があるのだが
念動力能力者同士の戦いは先読みの連続。言うならば持久戦だ
根負けしたら負け、疲れで鈍れば負け
喧嘩は負けたらボコボコだが、今回負けたら死ぬ
「オレはオレの意志で戦ってるし
家族なんていないさ!!」
(……ヤバい。基地周りを手薄にする前にやられちゃうかもしれないな)
>>147 灼熱の炎がセイガーを包む。
それはコクピットに座っていた二人にも当然襲いかかり機内温度は見るみると上がっていくのだが……
「……」
「マスター・カズキ。機内温度は現在40度……そろそろ抜け出さないと我々が……」
だがこれ程の炎でもセイガーのコクピットは砂漠よりも低い程度でしかない、とは言えど何れはそれすらも越えて最悪しぬことになるわけだが。
カズキは目を閉じていただけだ、リラの呟きでやっと反応してスティックを握る。
「さすがだな、弱者をいたぶるだけのことはある」
呆れた笑みを上げる。
そして握っていたソウル・ガンを変形、分離。
二つの剣にして……。
「だが……炎如きで牙を止めれると思うなっ!!」
二つの刃を投げた。
それに気づいた囲んでいた四機は放射を中断、距離を取る。
一方投げられた刃はまた元の持ち主であるセイガーの手元に戻り再び一つの大剣となっていた。
「……なるほどな」
どうやら唯の雑魚ではない。そう判断したカズキは棒立ちから構える形に変える。
まるで騎士が構えるように剣を構えた。
「リラ、通信を広域モードにしろ。奴らにプライドがあれば……一騎打ちで終わらせたいところだ」
「了解、通信パターンをダウンからワイドへ変更」
ポンポンっとリラが慣れた手つきでキーボードを押すと彼女が見ている画面に『通信ワイドON』と表示される。
通信が起動したことを確認したカズキは息を少し吸い……。
「聞こえるかっ! 貴様等のリーダーと一騎打ちを申し込む!! だが俺との戦いが怖いならそれもまたよし……貴様ら全員をこの地に沈めるだけだっ!!」
グルンっと大剣を地面に突き刺しセイガー、カズキはそう叫んだ。
>>149 >「全車!砲戦用意!」
「重電磁砲発射用意!」
「攻撃準備全てよろし!」
「撃てぇええええええええええええええええええええええ」
テクノが撤退し始めると同時に始まった砲撃は激烈でさすがのPPにも被害が見受けられた。だが
それを大きく上回る被害が連邦軍にはでているのである。おそらく連邦軍とPPの兵には練度の差はなかった
戦術としてもただの力押しのPPと比べものにならなかった
だが…なぜこれほどの差が出るのか
「装備の差ですか…」
そんな中テクノはまだ全開の状態ではないが肩にある大砲、フォトンキャノンで応戦するがまさに焼け石に水といった状況だった
彼女は歯がゆかった、フルパワーに回復するまであと3分、冷却に有する時間は5分まだ二分しか経っていないのである
「まだ2分…いままでこれほど長く2分を感じたことはないです」
口から出た愚痴とは裏腹に口元は笑みが浮かんでいた
彼女は自分がどういう存在であるか再認識してしまった
「まったくいやになってしまうです…」
彼女は自分の本能というべきもに少々の嫌悪感を覚えたが周りで戦う兵のことを考えると自己嫌悪に陥っている場合ではなかった
今の自分に精一杯のことをするただそれだけだった
そして時はきた……
「システムオールグリーン!行けます!」
長かった…たった3分でホワイトもいくらか傷を受けていた
そして今までの鬱憤を晴らすかのようにテラグラビティスマッシャーの発射体勢をとる
「次は80%ですが当たれば死ぬことに代わりはないです」
目の前に輸送機が着陸する。テクノは絶好の好機と捉えトリガーに指をかける
「闇の力に震えなさい!跪きなさい!懺悔しなさい!テラグラビティスマッシャァァァァァァ!」
再び放たれる超重力の奔流が輸送機を飲み込む
怒りと憎しみに燃えながら、カズキのライガーを睨みつけ、立ち上がるボルザック機
こいつをバラバラにし、コックピットからパイロットを引き釣り出して拷問した挙句殺してくれねば…
っと残虐な考えを浮かばせながら、ゲインライフルを構えた時、彼の機の通信機から、あろう事か撤退命令が下された
確かに、規定外の出来事が起こり、本来ならば一度引いて体制を立て直すべきだろう
しかし
>「聞こえるかっ! 貴様等のリーダーと一騎打ちを申し込む!! だが俺との戦いが怖いならそれもまたよし……貴様ら全員をこの地に沈めるだけだっ!!」
「馬鹿をぶっ殺してからでも引くのは遅くあるまい…」
言って、ボルザックは取り囲む4機に射撃指示を下し、少し離れた位置に居る2機に爆雷による支援を指示する
無論、一騎打ちなどする気はさらさらない
セイガー目掛けビームの群れが襲い掛かる
「急げコキュートス!疾・風・神・雷!!」
(無茶を言わないでよ…私の中にいるんだから、レイカも解るだろう?これ以上は無理だよ…)
沖縄の青く輝く海上を、その色に不釣合いな黒い悪魔がもの凄い勢いで切り裂き、飛んでいく。目標は…
「ぐ!?輸送艦が着陸をっ!?」
(仕方ないね。せめて空間転移で周囲の連邦軍を…)
避難させよう。とコキュートスが提案しようとしたその瞬間……恐らく先程見かけたものと同じ、重力砲と見られる黒き剣が空を裂き、
輸送艦を貫き、飲み込んでいく。アホみたいな威力だ…!思わず呆けてしまうレイカ。そして思い出す…確か自分達は今、かなりの速度で飛んでいるのではなかったか。目の前に小島が迫る。
「んな……!?ちょ、ちょっと待て!!」
願い空しく…車は急には止まれないのだから、当然悪魔だって急には止まれないのである。見事に頭から小島に突っ込んでしまうコキュートス。頭部のブレード、裂月が島の地形を抉る。
この程度では痛くも何とも無いのか、コキュートスがのんびりぼやく。
(いやはや、凄かったね?私は吃驚だよ?あれは私でも喰らって無事でいる自信はないなぁ…)
「ふ、ふふ…まったく、連邦にも少しは度胸のある奴がいたんだな。フフフ……あー首痛!!」
黒き悪魔は羽を閉じ、力が抜けたようにがっくりと膝をついた。
一方その頃のタルタロス
「ライフル、ダブルファイアー!ミサイルランチャー、デッドエンドシュート!!」
『あ!?聞こえねーです!ってか自分のとタルタロスの武器は別々に言ってくださいよゴッチャになるんですよ!』
「黙れ!そして撃て!!」
コウは右手にゲインライフル(小型)。左手にプラズマレールガンを装備し、自ら砲台となって戦っている。危ないんで戻ってください。
何だかメシスも段々テンションがおかしくなり始めている。
『がんばれがんばれタルタロス!連邦の人達の盾となれー!!』
『ガァアアアァア!!』
海岸線は今、とてもカオスである……
>>150 ヨーロッパの基地から飛び立って早や数時間。
私とライナさんを乗せたラウフェン・ボーゲルはアジア方面を縦断して、現在日本、領海上を飛んでいた。
現在、このラウフェン・ボーゲルは二人で操縦している。私が現状どおり主な操作。
ライナさんは、火薬管制や出力の調整などの補助操作を行なってくれている。
「そろそろね、レーダーにもいくつか反応が出てきてるわ」
「本当ですかっ!?急ぎますよー!しっかり座っててください!」
ここで、更に速度を上昇し、急いで沖縄へと向かう
「今、あっちの人達とコンタクトが取れたわ。ティアリス、私達は海岸沿いに飛んで、海岸線の部隊の援護をするわよ」
「は、はい!」
――――――――――………
海岸沿いの戦いは激しいものらしく、敵軍友軍問わず、無数の残骸が散らばっていた。
敵機は既存機の改良型らしく、連邦軍の陸戦部隊はかなり苦戦しているようだ。
それでも連邦軍も負けておらず、数機の人型機を筆頭に地上から厚い弾幕を張っている。
「行きます、ライナさん!私達も援護しますよ!」
「ちょっと待って、マズイわね……今降りようとしている輸送機、ホラ、飛んでるじゃない」
ライナさんが座席から手を伸ばして、私の右側を指す。そこには海上から現れて、今敵軍のど真ん中、砂浜に着陸しようとする輸送機がいた。
「明らかに怪しいですよね……あれがどうかしたんですか?」
「えっと、大量の爆薬を満載しているみたい」
「爆薬?って、えぇぇっ!」
急いでラウフェンを左に向けて、爆心地となり得る輸送機から離れる。
その瞬間、激しい轟音を鳴らして黒い砲撃が輸送機を包み込んだ。
>>152 セリシアは敵のパイロットに思念のメッセージを送った。
内心、話し掛けた相手が本当に念動力者なのか不安なセリシアであったが……
>「口を使って喋れないのか、アンタは?」
スピーカーを通して、少年の声がセリシアに話し掛けてきた。
どうやら彼女の"声"は敵のパイロットに届いたようだ。
彼女は少しだけ微笑み、彼の言葉を待つ。
>「オレはオレの意志で戦ってるし 家族なんていないさ!!」
セリシアの問い掛けた質問に彼は答える。
家族なんていない、と。
答えを聞いた彼女は深く、深呼吸に似たため息をつく。
そして、念ではなく直接自分の口から――
「いないなら作ればいいのに、楽しいよ?私だって一人だったけど
お兄様やお母様がいる。だから、一人じゃ辛いから……」
セリシアは何かを言おうとしたが躊躇い、言うのを止める。
だが、彼女は再び目を閉じ、思念を集中させた。
――じゃあ……自分の意思で戦ってるって言ったけど、どうして戦うの?
地球の人なのに宇宙人と一緒に戦ってまでの理由があるの?私に教えてくれない?――
>>154 復活したテクノの活躍と
輸送船を沈めた重力砲の一撃に、陣地から一斉に歓声が沸きあがる
だがまだ敵の主力が尽きたわけではない
地平線の彼方に居るだろう敵の本戦力はどうやら未だに戦力を吐き出し続けている敵の大ボスとも言うべき輸送船が存在するはずである
それを殲滅すべく、彼女は単身、海中を進んでいた
「こちらミカミ、現在敵主力との接触を防ぐため太平洋側より迂回し、敵大型輸送艇へと進行中、接敵予想時刻…」
敵輸送船を奇襲すべく別所に待機させられていた、独立技術試験小隊の闘海機、ミカミ曹長である
彼女はケンジョウジがユキと交戦を開始し、奇襲に参加できない事を知らされ、単身、半ば特攻とも言える単独での奇襲作戦を敢行しているのだ
敵主力に勘付かれないよう、太平洋側へと大きく迂回して、闘海機は敵艦の背後へと向かっていく
>>156 「何だー!?何か落ってきたぞ!何だぁ!?ぇ?」
前方上方目掛け銃撃を行っていたオウドウが落下してきたコキュートスに対して反応し、叫ぶ
が、特にそっちに構う余裕も無く、意識を再び空中へと戻す
四本足のせいで小回りが利かず、常に動き回って集中力を削っている彼に代わり、藪の中から大型のグレネード弾がコキュートス目掛け発射され、同時に闘人機が姿を現し、超合金短刀を手にコキュートスへ立ち向かっていく
激戦の最中
「ヤジマ…確か女子のパンツを盗んでそれ履いて登校した日が身体検査だった奴と、バイクに轢かれて翌日元気に登校した奴と二人いたが…」
メシスの素朴な質問に律儀に過去の事を必死に思い出しているオペレーターのいる指揮車の下に、航空隊からの通信が入ってきた
『こちら第22航空隊、結局あのデカ物は敵か、否か、はっきりしてくれ。やりにくくてしょうがない!』
焦ったような苛立った様なパイロットの声に、オペレーターは何か応えようとするが、すぐ自分にそんな権限が無い事を思い出し、中隊長を振り返ると
どうやら通信が来る前から意識が回復していたらしく、頭をぶんぶんと振っている所で
何事かぶつぶつと呟きながら通信機を受け取ると、憎しみと苛立ちを含んだ声で、こう、言った
「…少なくとも害は無い……無視してくれ」
『了解』
そう言って通信を切ったパイロットをよそに、中隊長はまだ未知の存在の事を心の中では認めていないらしく、まだぶつぶつと何事か文句を述べている
はいそこ、ツンデレとか言わない
>>158 「いないなら作ればいいのに、楽しいよ?私だって一人だったけど
お兄様やお母様がいる。だから、一人じゃ辛いから……」
………チクショー、なんだってこんなにオレに食いついてくるんだよ?
オマケに思念付きだ
――じゃあ……自分の意思で戦ってるって言ったけど、どうして戦うの?
地球の人なのに宇宙人と一緒に戦ってまでの理由があるの?私に教えてくれない?――
「なんでそんなに知りたがる?
そんな熱烈なファン持った憶えはないんだけどな」
軽い口調で喋りながら砲撃してきた戦車をサテライトで潰す
まぁ、少しは念動力能力者っぽい事をしとこうか。まぁ、とどのつまりが念話だけど
――強いて言うなら嫌がらせかな
オレを苦しめてきた大人たちへの、ささやかな嫌がらせだよ――
送ってからユキは似つかわしくない寂しく笑いを浮かべる
なんだってこんな奴と喋ってんだオレはよ
――もういいかな?オレまだお仕事が残ってるんだ
だからさ、行かなきゃ――
正直、こいつとは戦いたくない。ならこいつを敵として見なさなければいい
敵を作るのは自分だ
行動なり言動なりで相手が自分にとっての敵だと
相手に自覚させてしまったら、相手は敵になってしまう
とエラい人が言ってたな
さぁて、予定変更。基地にプレッシャーかけても味方が
突破して来やしないなら、オレが直に行くしかないだろ!!
ユキは一気にバーニアを全開にして基地へと駆ける
「カツキ特佐より入電!
これより単騎で基地に向かう。だそうです」
「ダミー輸送艦、不発!!」
ヘルミフィアは愁眉をひそめ、口をムの字にしてしまう
可愛らしい顔に不似合いなそれは、彼女がいかに真面目にやっているかの証明だ
「本国の艦隊はどうなっている」
「はっ!!旗艦は時間がかかりますが所望の衛星兵器ならすぐに用意出来る。とのことです」
「准将閣下!!」
現場が戦場なら司令室もまた戦場。ヘルミフィアは現場に行けばそれなりに
戦場を支配出来る猛者なのでフラストレーションは人一倍溜まってしまう
「どうした?」
殴り飛ばしたくなる衝動を抑えて静かに訊き返す
「海岸線の不明機体の内、二機は我々の軍の所属となっています」
「裏切りか?」
「ハッキリとは言えませんが………」
「通信を開け。裏切り者へな」
ヘルミフィアはもうキレる寸前まで到達している
ここでキレたら士気に影響が出ると思えばこそ、耐えているが
本来の彼女なら一人二人血ダルマにしているハズなのである
その証拠に若干声が震えている
「繋がりました」
小声でオペレーターがヘッドセットを渡してくる
「私はPPオーストラリア方面司令のヘルミフィア准将である
貴様らの名と所属と階級、目的を述べろ
それ以上の攻撃及び沈黙は反逆と見なし拘束。抵抗するならば殺害する」
一応規則に則って通達するが、どうせ素直には捕まりはしないだろう
ただ取り敢えず、淡々と説得は試みる
「今なら、まだ私も弁護できる
宗旨替えしたとしても味方を手にかけるのは忍びないのだよ」
と言いながら紙に何か書いて近くの部下に渡す
曰わく『至急沖縄に主力一個大隊の増援を送れ』
もう加減してやらん。と、ユキを援護しなくては
という二つの気持ちの結果である
>>159 いきなり自分目掛けて飛んできたグレネードに、レイカは体を動かすのが若干遅れたが、コキュートスが自ら動いた。
腕の手首近くと肘から、節の一つ一つが刃で構成された触手が正体不明の粘液にまみれて伸び出てくる。
二本の触手はまるで別の生き物のように素早くうねり、グレネードを切り落とす。何発か逃したが、それらは拳で打ち払った。
「今のは…地球側のものだな…?」
(あぁ、お出ましのようだね…)
突如、姿を現した闘人機が刃を手に迫ってくる。コキュートスは素早く反応し、後頭部から伸びる超振動刃「裂月」と膝から生えるブレードで応戦する。
「短刀か…!速い……ち、まず落ち着いて話を聞いてもらわねばならんな……舞空剣…破!」
レイカは腰に下げられている双剣を手にする。“舞空剣”……字にして読めば一見優雅だが、その実は優雅さなど欠片もない。
柄と柄は鎖で繋がっており、双剣ながら刀身が長い。歪み、まるで獣の牙のようなものが所々生えており、何よりその刃は紅を塗りたくったように、
狂ったほどに紅い。この双剣には、かつて切り裂いた者達の怨み辛み、そしてその大量の血が滲み込んでいるのだとコキュートスは言う。
(レイカ…)
「わかっている。争うためにこの剣を手に取ったわけではない…」
コキュートスは剣を構えた手をダランと垂らし、舞空剣を地面に刺し捨てる。
「聞こえるか、連邦の強者よ…私はレイカ・イマオカ……私の敵は、貴公ではない」
一方激戦タルタロス
『パン…ツ?』
圧倒的だったタルタロスの攻撃がピタリと止まる。急に命令が途切れてしまい、タルタロスは戸惑う。
「おいおい…誤解が生まれるからはっきりしないことは迂闊に口にするなよ君ぃ…ん?どうしたメシス。戦闘はまだ続いているぞ」
見ると、メシスはいつの間にか変形して人型に戻っている。ただし色がタルタロスカラーのままで、緑がかっていた蒼い髪は完璧に青くなり、
瞳は真紅に染まっている。そしてその目には絶望と怒りと、涙が…
「どうしたのだ?何故俺を睨む?何故…ゲインライフルを俺に向ける…!」
「信じてたのに…!」
ズギュウン!!
「うお!?何だ!?反逆か!離反か!!思わぬ伏兵がこんなに近くに!?」
「うるさいです!隊長の変態!えっち!変態!!乙女の敵ー!!」
ズギュンズギュンとゲインライフル(メシス専用フルチューン改)を乱射するメシス。一番被害を被っているのはコウではなくタルタロス。
「く、待てメシス!俺はパンツを盗んだヤジマではなく、バイクに撥ねられたが翌日アニメ録画の為だけに返ってきたヤジマだ!」
紙一重でメシスの高性能なロックオンをかいくぐるコウ。
「そしてお前は!一番大切な事を忘れている!!」
「一番…大切…?」
「そう!それは………!」
「俺 は 二 次 元 に し か 興 味 が 無 い と い う こ と ! ! 」
止んでいたタルタロスの攻撃が、再び大爆発した。
>>161 コウはメシスに真面目な声で待てをかけ、急に飛び込んできた通信に集中する。メシスも、そして離れた小島にいるレイカも。
「おや、これだけいれば誰かしら顔見知りがいるかも知れんと思ったが、よもやヘルミフィア嬢とは。フフフ…元気か?」
相手がどうだか知らないが、コウは会議の場などで時折ヘルミフィアを見かけており、何度か話したこともあるし、気に喰わんと張り倒されたこともある。
コウは随分余裕にしているが、相手はかなり殺気立っている。拘束、抵抗すれば殺害。だがそれでもコウは慌てないし、むしろ笑っている。
「何をそんなに恐い顔をしているのだ…せっかくそんなに美しく可愛らしい顔をしているのだ、もっと笑うといい。笑顔は健康にもいい」
機嫌の悪い妹を諭す兄のような優しい口調で語りかけるコウ。そして裏切った相手が「漆黒の牙」の連中、しかもコウだと知ったヘルミフィアはコウが苦手なのかさらに怒る。
「フフフ…どうした?また高い高いしてほしいのか?仕方の無い奴だ」
『私も希望する!』
『ええ!?じゃあ私も!』
「フフフ…黙ってなさいお前等…まぁ、答えは言うまでもないな?PPオーストラリア方面司令ヘルミフィア准将…」
コウは揺ぎ無く、はっきりとした信念の言葉を、かつての戦友に伝える。
「我々『漆黒の牙』は、あの方の意志に応えPPと決別する。この事実に一点の曇りも誤りも無い」
通信の向こうで、相手は黙り込む。
「真の平和をもたらすために、例え偽善と言われようと、欺瞞であると罵られようと、我々は戦う。そして――」
コウはヘッドギアの中で怪しい微笑を浮かべ、ヘルミフィアに負けないぐらいの殺気を放つ。
「真の平和への道を模索する友になってくれるのなら嬉しいが、邪魔をするのなら闇に染まった黒き牙が、その喉笛食いちぎる……!」
殺気を放ったのはほんの一瞬。コウはまたいつものヘラヘラした調子に戻る。
「ま、司令の立場に疲れたらいつでも来ることだ。お前ほどの人物なら大歓迎だ。喜んで迎えよう…ではな」
「フフフ…勢いで色々言ったが、正直キレたあいつは相手にしたくないなぁ…」
>>155 無数のビームの軍団ともいえるべき量が此方へと襲いかかる。
だが……カズキとしてはこの程度で倒そうと思われていたとは心外でしかなかった。
「リラ」
「了解、敵砲撃着弾地点予測……完了。送ります」
モニターに複数の点が現れる、それを見てカズキはただ苦笑した。
「バラバラだな」
着弾地点がバラバラでしかない、避けることも可能だが……。
ココは相手の余興に乗ってやるのが礼儀だな。
そう判断したカズキはやや黒い笑みを浮かべる。
「マスター・カズキ。また悪党的な顔です」
リラの呟きをカズキは無視しソウル・ブレードを収納。
襲いかかる爆撃に呑まれる。
それと同時に近くのビルを砕きソレ等がレーザーで砕け散るのを見ながらセイガーは天高く飛ぶ。
「あれほどの熱量だ。余程の高性能センサーでもつけていなければ一瞬にしろ照準が勝手に外れてくれる」
ある程度飛んだところで静止、落ちながらソウル・ブレードを再び展開し、ガンモードに変える。
「そして……教えておこう。貴様等如き汚れた牙で聖なる牙に挑むなど不可能だと!」
「ターゲットロック・オールインサイト。シュート」
次の瞬間空から四つの閃光が降り注ぎ先ほどまでセイガーを囲んでいた四機は頭から下までを貫かれて爆散した。
燃え上がる炎の中セイガーは地面を砕きながら再び降り立つ。
その姿は先ほどと同じ白い姿のはずが炎のせいで紅い修羅をボルザック隊の二人は連想してしまった。
「さて……次はどんな貴様で言う策略、俺で言う小細工を仕掛けてくる?」
そう言うと再びセイガーは剣を地面に突き刺しボルザック達の出方を待ち始めた。
「マスター……」
それを見て呆れるリラだったが
「最悪自爆してくるだろうからな。不用意な突撃は危険だ」
というカズキが挑発する理由を知って尚更感動するのであった。
爆炎に包まれる輸送機を見て今までで一番大きな歓声が上がる
しかし、これからが真の修羅場の始まりだった
さっきの輸送機を遥かに超える大きさの輸送機が姿を現したのだった
そこから吐き出される無数の機体が空を覆い尽くす
「なんて数です・・・」
テクノは考えたこのままでは確実に戦線は崩壊し味方は壊滅するだろう
どうすればいいか、どうすれば勝てるかを必死になって考えたがたいした案は浮かばない
せめてもと思い、基地に通信をいれた
「敵の増援多数、このままでは戦線を突破されます。部隊を市街地ないし基地周辺まで後退させ、戦線の立て直しを進言しますです」
彼女の進言は当初の目的の海岸線での敵撃退を諦め戦線を後退、縮小させより密度の高い戦線を構築しさらに障害物の多い市街地にまで
後退するか、基地の周囲に部隊を展開する籠城戦を提案しものである
しかし、それには撤退する時間を稼がなくてはならない。テクノもそれを十分わかっている、だから最後にこう付け加えた
「時間は私が稼ぐです。周囲の味方はすぐに撤退してくださいです、後は私にまかせてください」
砂浜で戦っているすべての味方に対して通信を送る。もちろんラウフェン・ボーゲルやタルタロスも例外ではなかった
>>165 火薬を満載している輸送機は黒い砲撃に包まれて爆炎に包まれた。
その爆発はとても火薬を積んでいたとは思えないほど小さな爆発だった。
「あれ……」
「確かにレーダーは確認したわ。……どうやら不発だったようね」
「よかった……もう、死ぬかとお」
「いいえ、あれを見て……もしかしたら本当に死んでしまうのかもしれないわね」
ライナさんに指差され、見た方向には、さっき爆発した輸送機を遥かに上回る大きさの輸送機。
しかも中からは火薬ではなく、大量の機動兵器が次々と射出された。
「あんな数の戦力を温存していたとはね……どうするの?ラウフェンのメインパイロットさんは」
「当・然、戦いますっ!まだここに来て何もしてないし、それに、あの中を駆け抜けてみたい……!」
とは言え、この数をこの連邦軍の戦力で戦うのは辛いと思う。
そう思ったとき、どこからか通信が入った。
>「時間は私が稼ぐです。周囲の味方はすぐに撤退してくださいです、後は私にまかせてください」
「えーと……白い機体のパイロットさんですか?ラウフェン・ボーゲルのパイロット、ティアリス・ライアードです。
えっと、私は断りますっ、そもそもあなたとは味方同士になったつもりはないので言う事を聞く必要もありません!
私達はこのまま敵軍の進行を出来るだけ食い止めるように戦いつづけますっ!以上、通信終わり!」
私は白い機体の搭乗者に通信を入れ一方的に話をして切った。
「すごい一方的な会話ね……まぁ、貴女らしいと言えばそうでしょうけど」
「えへヘ……ちょっとだけ緊張したんですよー。では、ライナさん、このままラウフェンで突貫します。よろしいですね?」
「勿論。そういうことも覚悟して来たんですからね。さ、私達のラウフェンの力を見せ付けてやりましょう!」
緑光を纏った白き翼は敵陣を駆け抜けていく……
>>160 >「なんでそんなに知りたがる? そんな熱烈なファン持った憶えはないんだけどな」
だって、それは……
セリシアが話そうとしたその時、敵機の無線兵器から放たれた光の槍が一機の戦車を貫いた。
近くで響いた爆音でセリシアは我に帰る。
>――強いて言うなら嫌がらせかなオレを苦しめてきた大人たちへの、ささやかな嫌がらせだよ――
嫌な過去を思い出したかのように彼は告げた。実際、彼にとっては辛い過去だったのだろう
>――もういいかな?オレまだお仕事が残ってるんだ。だからさ、行かなきゃ――
そう言って、彼は話を終える。
直後、正面の敵はシュヴェールトの真横を通って、基地へと向かいだす。
セリシアはコックピットから一人寂しく呟いた
「やっぱり……戦うしかないんだね……」
シュヴェールトはその場から後ろに向かって高く跳躍し、猛進する敵機の前に立ちはばかる。
そして、背部のメガクラッシュブレードを右手に持ち、刃先を敵機の方へと向ける。
次にセリシアは再び思念を集中させ、彼に話し掛ける。
――出来ればあなたとは戦いたくないけど……ここで引き下がったら多くの人が傷ついてしまう。
軍でもそうでなくても関係ない、同じ地球の人々を守る為に。それなのに地球人のあなたが
敵として戦ってるなんて悲しいよ……――
シュヴェールトは両手にメガクラッシュブレードを持ち、体を深く落とし、構えた。
セリシアは海岸線から無数の人の意思を感じ取った。それは数え切れないくらい膨大な数の……
――時間もあまり残されてないよ……さ、始めようか――
>>162 >「聞こえるか、連邦の強者よ…私はレイカ・イマオカ……私の敵は、貴公ではない」
「了解、申し訳ない」
そう言って一歩下がると、機体の頭部をコクンと一度だけ頷かせ、その場から後退するハシバ
あっさりと、ハシバはレイカを信じたのだ
いや、レイカを信じたというよりは、眼前に攻撃してきている敵がいるのに、自分の武器を捨てられる程の余裕を持つレイカに、恐れをなして逃げたといった方が適切だろう
レイカの元を離れたハシバは、一目散に防衛線の中に再び駆け込むと置いて置いたライフルを拾いなおし、すぐに事前に配置されていた予備の弾倉に換装すると、再び来襲する機体への銃撃を再開する
タルタロスの攻撃が止んだ事に、連邦陣地の面々が驚愕し、あの指揮車内オペレーターが凍りつく
自分は一体何を言ってしまったんだろうとがたがた震える彼の耳に、コウの叫び声が聞こえてきた
>「俺 は 二 次 元 に し か 興 味 が 無 い と い う こ と ! ! 」
先ほどとは別の意味で固まる指揮車内
「今の…全軍に流れてたりせんよな?」
余りの言葉に体がフリーズしたまま何とかそれだけ言った中隊長に、オペレーターの一人が、恐る恐る首を振る
「こ…広域通信波ですので、恐らく、全軍に…」
中隊長の視界が再びブラックアウトしかけたのを、慌てて他のオペレーターが押さえて彼の体を支えた
そんな彼らに追い討ちをかけるかの如く、地平線の彼方から更に大部隊が現れ
同時に通信機から女性の声で足止めを行う旨が伝えられ、ほどなくして司令本部からも後退が指示される
反論する理由はどこにもないと判断した中隊長は、自分の指揮下の部隊に後退を指示した
海岸線に展開した戦車隊が陣地を放棄し、後退していく
あっという間に今度は4機、とち狂った事を述べながら撃破して見せたカズキに、ボルザックの顔に憤怒が浮かぶ
「お…んのれぇええええええええ」
怒りに燃えるボルザックは最早指揮を執る事も忘れ、ゲインライフルを撃ちまくりながら突撃を図ろうとするが、それを後ろから部下のライガーが止める
「離せ!野郎八つ裂きにして」
『中尉!力任せで勝てる相手ではありません!一度引き、体勢を整えるべきです!』
「ここで奴をのさばらせれば、糞共は俺達を舐めてくる!奴だけは何としてもここで潰さねばならんのだ!」
そう叫び、部下の機を突き飛ばしたボルザックはライフルを連射しつつ突撃を強行した
「…やむおうえんか、エンデルド曹長」
『こちらエンデルド』
「俺は中尉殿に続く、貴様は戻れ、報告を行う者は必要だ!」
突き飛ばされた部下は機体を立て直すと、待機していた最後の一機に通信を送ると自らも突撃を開始する
『…了解』
ボルザックらの決意を感じ取ったエンデルドは機体を反転させ、撤退を開始した
>>165 オーストラリアからの敵の増援は司令部でもキャッチされており、テクノの進言も受け、後退は正式な命令として全部隊に打電された
前線の戦車隊は海岸線の陣地を放棄し、後方に敷かれている第2防衛線へ後退していく
更に市街地に展開していた最終防衛線の部隊も第2防衛線へと前進、第2防衛線を最終防衛線へと変更した
これは、市街地の戦闘が戦車には不利で、しかも人型兵器には有利であるために、それならば少しでも戦いやすい第2防衛線に戦力を集結させ決着をつけようという物であり
これによって防衛線と基地の間に部隊の存在しない空白はできるものの、最早敵にその空白に導入できる戦力は無い、と、上層部は判断していた
>>165 『やや?また通信が……今度はどなた?』
今切ったばかりの通信をもう一度開く。そこから聞こえる声にメシスは聞き覚えがあった。すぐさま音声照合を開始する。
『……んー?これは…あー!いつかのハチャメチャ子さんですね!』
お前が言うか。――メシスは再びタルタロスの頭部に変形合体し、辺りを見回してすぐにテクノを発見する。
そして闇の巨神は手をブンブン振り「ここだよ!」とアピール。……いや、そんなことせんでも十分目立つから…
「ハチャメチャ子ってどんな奴だよと思ったら…いつぞやのカッコイイ機体のお嬢か。おーい久しぶりー。元気だったかー?夜の九時には歯磨いて寝てるかー」
コウも記憶にあったようで、軽く呼びかける。すると、何やら作戦を提案しているらしい。…………何?後退?
後退ということは戦線が保てないということか。まぁそれは仕方が無い。自分達の登場で随分指揮を乱れさせてしまったし…
>「時間は私が稼ぐです。周囲の味方はすぐに撤退してくださいです、後は私にまかせてください」
ふんふん、なるほど…
「だが」
『断わーる!!』
元気良く、テクノからの申し出を全力の拒否権を持ってして断わる。遅れて通信を繋げたレイカが『そんな!?』とか言っている。あなたに言ったわけではありませんよ。
『フフフ…私にも、カッコつけさせてくださいよ…!』
ぐっ、と親指を立てるメシス。どうやらコウの毒に侵されている模様。すると、知らない声がこれまたテクノの提案を断わった。
>「えーと……白い機体のパイロットさんですか?ラウフェン・ボーゲルのパイロット、ティアリス・ライアードです。
えっと、私は断りますっ、そもそもあなたとは味方同士になったつもりはないので言う事を聞く必要もありません!
私達はこのまま敵軍の進行を出来るだけ食い止めるように戦いつづけますっ!以上、通信終わり!」
「おー、これまた元気なお嬢だな。連邦は女性の割合が高いんだな……いやぁ、善きかな善きかな」
まぁ漆黒の牙は八割女性で構成されているがな。とかコウがぬかしているが、ここでレイカがやっと喋る。
『レイヴン。どうするんだ?指示を』
「よし、お前は連邦さん達の後退を援護しろ。ドラグーンビットが近くにいるはずだ」
『承知』
>>168 「聞こえていたな?強者達よ…。後退の命が下った。そして私に与えられし命はその護衛…」
虚空を振り仰いでいたコキュートスが、銃撃を続けている闘人機達に向き直る。
「命受けしからにはそれを全力で成す……必ずやお前達を護る剣となって見せよう。それとも……」
間をおいて、少し意地悪に微笑する。
「共に行くか?」
悪魔は、邪悪で巨大な“眼”の光る翼を開き、地面に刺さったままの双剣……舞空剣を抜き拾う。
(騒いでいるね……黒く渦巻く死霊達が…)
「そうだな…霊感なんぞ信じてもいないが、何か湿った気が…唸っているのは肌で感じるさ。吐き気がするくらいな」
(いいね、楽しいよ。今日は私も、少しはしゃぎたい気分だ…)
「応とも相棒。だが、はしゃぎすぎるなよ?」
悪魔は羽を広げ、両腕からは刃の触手、煉獄鎖を放ち、手には舞空剣を構え、片足を上げたポーズをとる。
「さぁ……おいで…」
レイカは嬉しそうに、冷たい笑みを浮かべる………。
>「えっと、私は断りますっ、そもそもあなたとは味方同士になったつもりはないので言う事を聞く必要もありません!
私達はこのまま敵軍の進行を出来るだけ食い止めるように戦いつづけますっ!以上、通信終わり!」
「少なくとも敵対してないです。あなたも死にたくなければ変なちょっかいはかけてこないでくださいね」
ティアリスの答えにちょっとむっとしたテクノは意地悪な返答を送る
「それと後味が悪いですから死なないでください。」
これが彼女なりの思いやりかもしれない
一方、漆黒の牙からの通信は
>「だが」
『断わーる!!』
『フフフ…私にも、カッコつけさせてくださいよ…!』
「フフッ……ご協力感謝しますです。お互い死なないように頑張りましょう。命をかけるほど彼らに義理はないです」
この二人の協力は素直に心強かった。自分と同じようにこの星以外の住人、それだけしかわからないが敵でないことだけはわかる
「何はともあれ3機だけでは心許ないです。1機増やしましょうか」
彼女はそう言うとコクピットハッチを開きその体を沖縄の青空にさらした
「ホワイト、一人で大丈夫ですよね。私は戦闘形態になります……あんまり好きじゃないのですが、まあ、あの姿よりはましですけどね」
ブツブツと独り言を呟きながら空高く飛翔する。ホワイトは自動操縦に切り替わり敵機に対して砲撃を開始する
「正義に愛を、悪には裁きを、私に仇なす者達に絶望を!一機当千!紅天使!テクノ・クリムゾン!臆せぬならばかかってこい!!」
テクノの背後で真っ赤な爆発が起こる。彼女はフリフリの衣装に身を包み、往年のヒーローが被るようなヘルメットを装着、背中からはビーム状の翼が生えている
全体的に赤を基調にしたド派手な衣装に身を包み、決めポーズを決める
「恥ずかしい……」
今の彼女の顔は衣装に負けず劣らず真っ赤である。
この戦闘形態になるためには先ほどの前口上を合い言葉として変身できるのである
「この姿を見て生き残った敵はいないです。逃げるなら今のうちですよ」
彼女の翼から羽が舞い宙に浮く数枚、数十、数百と数が増えていく
「紅の翼に包まれなさい、天国に連れて行きましょう!フェザーガンブレイズ!」
無数の羽が空を翔け敵機を貫いていく
>>169 一機を除き残った機体はセイガーへとその牙をむける。
カズキとしては一機程度ならば許容範囲と考えているらしく逃げた一機は特に見向きもしなかった。
「それにしても隊長が自らアンノウンと同じ扱いの俺に突撃するとは……随分と自分に自信があるようだな」
迫りくるライフルを最低限の回避だけで避けながらカズキはさらにボルザックを挑発する。
だがその挑発されたボルザックよりも先に飛びかかるライガーがいた。
『落ちろぉぉぉっ!』
相手の死ぬ思いでの突撃。
彼は理解していた自分は死ぬと、だが自分の代わりに中尉が生きていればそれでいい。
そう決意しゼロ距離でライフルを撃とうとライガーの右腕を動かそうとして……自分のライガーの右腕が宙を舞っていることに気づいた。
なぜっ……と驚愕したところで彼は気づいた。
目の前の白い人型兵器が何かを投げた動作をしていることに。
『っく……こんなところで…』
全てを言いきる前に彼は二つに裂かれ空へ散った。
炎の中からライガーの残骸をまき散らしながらセイガーのソウル・ブレードは主であるセイガーの元の戻る。
「この程度か。だから言っただろ? 貴様と俺が一騎打ちをしたほうが被害は少ないとな……」
「マスター・カズキ。『ユリカゴ』が海中で待機しています。それに複数の機動兵器反応も……この数ではセイガーのエネルギーが持ちません」
そうか……と考えたカズキは迫りくるボルザックのライガーの攻撃をソウル・ブレードで弾き距離を取る。
「このまま逃げればいいが……不可能だろうな」
そう呟きカズキはソウル・ガンをボルザックのライガーへ撃つ。
この状況を打開できる方法を少し考えながら……
>>171 >>172 下された撤退命令に対し、殿を訴えでたメシスらに対し、各指揮官は言葉少な礼を言うと、すぐに後退していく
既に撤退は指示した
アニメの軍隊の様に、指揮官が最後まで残って戦う必要は無い
そんな事をして指揮官がやられれば、中隊そのものが機能しなくなってしまうからだ
所詮、統率の取れていない軍隊など、集団対集団の戦いにおいて、鴨でしかない
格好云々言っている場合ではなく、指揮車は早々に後方へと下がっていった
レイカに「来るか?」と誘われた各精鋭達の対応も、似たような物で
ある者は律儀に通信を返して断り、またある者は撤退に必死で応えている余裕さえも無く
最終的に命令に従わずに残る者など、ただの一人も出ず
それは闘人機や、意外な事に闘獣機にもいえる事だった
「わりぃな…生憎とまだくたばるわけにゃいかねぇんだ」
数発のビームをかわし、前方のライガーを銃撃で沈黙させた後の少しの間に、オウドウは一気に言った
彼は自分の実力を過信したり、感情に任せて行動したりはしない
自分の腕と、闘獣機の性能を考えれば、彼等の真似が如何に自殺行為か容易に判断できる
律儀に返答したオウドウに比べ、ハシバの方はレイカの言葉をまるっきり無視し、堅実な後退を続けていく
まるで、「お前達と俺は住む世界が違う」とでも言う様に…
>>173 またも部下が両断された事により…ついにボルザックの中で最後の糸がぷっつりと切れた
「殺す!絶対に殺す!殺した後に死骸をバラバラにし、ミンチにし、骨を砕き、焼いてくれる!」
>「この程度か。だから言っただろ? 貴様と俺が一騎打ちをしたほうが被害は少ないとな……」
カズキの余裕たっぷりの言葉に更に激しい怒りと殺意が彼の中で燃え上がり、それが本来なら不可能な程の動きをライガーに可能にさせた
セイガーの攻撃を紙一重でかわし、すさまじいブーストでボルザックのライガーがセイガーに体当たりを食らわせ
顔面と肩を掴んで町から少し離れた山肌までとび、そこにセイガーごと突っ込んだ
「死ね!死ね死ね死ね下等民族死ね!お前等はどう足掻いても劣等種何だ!俺達の糧になれ!死ね!正義なんてねぇ死ね!」
叫びながら何度もセイガーの顔面を山肌に叩きつけ、抵抗しようとするセイガーをリミッターを外して出した規格外のパワーで動きを封じる
既にボルザック機内には警告灯がつき、アラートが鳴って、機器がこのままでは機が爆発する事を電子音声で警告していたが
それらを無視し、ボルザック機は今度は至近距離からセイガーに火炎放射を浴びせてきた
当然ボルザック機にも炎の影響が出るが、中のボルザックは意に返さない
「死ね…死ね…死ねぇええええええええええええええええええええええええええええええええ」
やがてボルザック機のあちこちで爆破が起こり、拘束が緩んだ事で何とかセイガーが脱出した瞬間
ボルザック機は大爆発を起こした
>>172 『うあー。かぁいいー。真っ赤なフリフリ、見つけやすい、狙いやすい…』
「………レッドが…女性…?」
「戦隊のリーダーで定番のレッドが…女性…?…何だそれは!萌えるぞ!」
なに言ってんだコイツ。とりあえず無視しとこう。
『しかし、テクノさんが変身ヒーローであったことを含めてもこの戦力差……』
「覚悟を決める必要がある…か」
『なーんの覚悟よ』
突如、どこからか声が響いたかと思うと、目の前の空間が歪む。激しく歪む、捻じれる。
レイカとコキュートスの登場の時よりもずっと巨大な重力震反応を、メシスのレーダーが捕らえていた。
それを見たメシスは嬉しくなって、わざわざコウに確認をとる。
『た、隊長……この反応は…!』
「そろそろかと思ってはいた…良いタイミングだな、マリナ」
コウがそう言うと、重力震反応の中央から巨大な刃が現れ、捻じれた空間を引き裂いてゆく。
が、途中で止まる。
『あれ?何よ、こんなところで止まったらカッコ悪いじゃないの!もっとこうバーンと派手に突き破って出てこうと思ったのに!』
『おい落ち着けよマリナ…騒いだら余計カッコ悪いじゃねぇかよ。あたしもう嫌なんだけど…揺れで酔った…』
『…………』
なんだか騒々しい。どうやらワープアウトできなくて出れないようだ。暫くの間、何かの発射音が聞こえたり、
嘔吐してるような雑音が聞こえた気がしたり、口論が聞こえたりしたが、やがて結論がでたようで……
『あーもう面倒臭い!突馬隊隊長ジンキ!…さん…いえ、隊長…艦長代理として命令…いやお願いします!どうにかしてください!』
『………秩序…新たなる…』
傍から聞いていると無茶な注文してきた奴を無視してワケの解らん現実逃避を始めただけにしか聞こえない会話だったが、どうやら無茶ではなかったらしい。
重力震反応がさらに強まったかと思うと、空間の歪みの中からさらに二本の刃が現れ、グイグイと周辺の空間を切り裂いていく。
『アインス……!』
二本の刃の内、片方が強く空間を打ちつけ、周辺に罅が入り始める。
『ツヴァイ…!ドライ…!』
すかさず罅割れた空間にもう一方が差し込まれ、メキメキと穴を広げていく。そして――
『ブースト全開!突き破れぇー!!』
穴を突き破り、何故か煙に包まれて現れたのは、タルタロスよりギリギリ二回りほど大きな戦艦であった。
最早定番となった黒色で、タルタロスと同じように所々に金色の装飾が施されている。
そして艦首には、異様に巨大な三枚のブレードが付いている。
『コウ!私二度と艦長なんてやらないからね!あー疲れたなもう!』
「マリナ、報告を忘れているぞ」
嫌味なことを言われ尚一層不機嫌になるマリナと呼ばれた女性だったが、
やれやれと首を振って仕方なく報告をする。
『漆黒の牙旗艦、「牙影」只今参上ぉ…隊員は全員無事です…』
「ご苦労!では今暫く艦長代理をよろしく!」
『艦首超大型粒子伝動式対艦衝刃準備!!あの馬鹿に突っ込んでやるぅ!!』
「おお、よく噛まずに言えたなそれ。俺でさえ面倒だから、『艦首ブレード』で済ましてるのに」
『………静寂…でなければ…』
『離してくださいジンキ隊長ー!!』
ドタンバタンと聞こえてくる通信が鬱陶しいので、コウは適当に短く伝える。
「援護射撃よろしく」
『ふざけるなー!?』
プツン、と本当にその一言だけで通信を切る。メシスが『私もお喋りしたいですー』とか、
レイカが『私の枕を持ってきたか聞いてくれ、あれがないと眠れない』とか言っているが、
全て後にしなさい。
とりあえずいきなりの出来事にポカーンとしているテクノに伝える。
「質はともあれ……えー……いい艦だろう?」
参加表明します
希望参加勢力はPPです
キャラとメカの設定を投下します
待て!避難所を向かうんだ!
>>163 >「真の平和への道を模索する友になってくれるのなら嬉しいが、邪魔をするのなら闇に染まった黒き牙が、その喉笛食いちぎる……!」
「判ってないな、ボウヤ?人を萎縮させるのは殺気じゃあ、ない」
クスクスと穏やかに笑いながら裏切り者へアドバイスをくれてやる
ヘルミフィアがキレるのは、イライラもあるが半ばパフォーマンス的な意味も含まれている
そうでなければ、ただキレやすいだけのエースならば、人の上には立てないのだ
「お前。いや、お前たちはまだ青いな
まぁ、いい。殺されたければいつでも南半球に来るがいいさ」
これには色々な意味が含まれていそうだ
「准将閣下、報告が届きました」
「では失礼」
放たれた殺気をものともせずに悠然と微笑みながら通信を切った
しかし今、彼女は本気でキレている
自ら出向いて、虐殺ショーを楽しませてやろうかと考えるほどだ
「ところで准将閣下、本国から取り寄せた兵器とは一体何なのです?」
焦点を合わさずモニター側を見つめるヘルミフィアはつまらなさそうに答える
「なぁに、ただ衛星軌道上から超高出力レーザーを浴びせるオモチャさ」
もっとも、そのオモチャにはシールド、完全ステルスに迎撃システムまで備えた戦略兵器なのであるが
「閣下!敵の前線が徐々に基地に向かって下がっています」
「そうか。ならいいタイミングだ。我々自慢のオモチャを見ていただこうじゃないか!?照準を市街地と海岸線の中間に設定しろ」
「了解!」
「設定が終わったら」
そこでフワッと笑う
見る者に得体の知れない感情を抱かせる、おおよそ外見に似合わぬ深い笑いを浮かべ
「吹き飛ばせ」
と冷酷に言い放った
>>175 ……自滅した。
それを確認したカズキはボルザックに対しての興味を失ったかのようにセイガーを立ち上がらせる。
「リラ、ユリカゴは?」
「タイミングはあと10秒……9、8、7、6、5……」
空が見えなくなった。
其処にあるのは白い方舟。今はセイガーを休めるためだけに存在している戦艦。
通称ユリカゴ。
セイガーは飛び上がりユリカゴの艦橋近くへその体を置く。
「……またな我が町。俺がいればここはまた戦争になる。
ならば……俺は旅に出る。俺が誰か……それを知るためにもな」
ユリカゴがゆっくりとその体を動かす中、カズキはただ燃え上がっていた街を見続ける。
「さて、リラ。今から俺たちは放浪の旅人だ。どこか適当に飛び回ってくれ」
カズキの声とともにユリカゴは飛び上がりその場から姿を消した。
後に残るのは戦いの惨状のみ。
>>167 >――時間もあまり残されてないよ……さ、始めようか――
「いや、そうでもないさ。装備や規模、消耗率がマチマチな部隊がキレイに足並み揃えて
素早い移動なんざ出来ないだろうからさ」
軽く笑いながら、頭の中では猛烈な速さでシュミレートしている
ミサイル、肩部キャノン、クロー。全てシュミレーションして展開を読んでいく
が、千日一手のもどかしさがユキを苛むのだ
軽率に動いたら負け。それだけが頭を支配している
「なぁ、アンタもオレと変わらないんじゃないか?
その機体、どう見たって地球の技術レベルじゃ作れない
オレばっか喋るのはアンフェアだ」
本部から信号が入る『今から指定するエリアには入るな』だそうだ。幸いユキは入っていない
けど、何のことなのやら?
ユキはチラッとそれを見ながら話を進める
「アンタの経緯も話してくれよ」
そしてお馴染みの軽口
「何ならオレ達のトコに来ないか?
醜い大人のために力を使うなんて才能の浪費だよ」
なんか尽くスルーされてるんですけど…
何か不味いことでもやらかしてしまったんでしょうか?
それが分からない馬鹿だから相手にされないんだよ
KYなボウヤは半年ROMって出直してきな
連邦軍の部隊は既に後方へと撤退した。残ったのは私たちとよく分からない二体の機体。
そんな物はもう気にせず、ただ立ちはばかる敵機を撃墜していた。そんな中、ライナさんが話し掛けてくる。
「ティアリス、敵機を鹵獲してくれないかしら?色々と参考になるかもしれないからね」
「OK、私に任せてください!」
機体を更に加速させ、孤立していた敵の一機に向かって突撃する。
そして、右手を横に出し、拳を固めた。
二機が擦れ違う瞬間、ラウフェン・ボーゲルの右腕が敵の量産機のコックピットを粉砕する。
すぐに、制御を失った機体は空中で停止し、海上へと落ちていく。それを巨大な右手で掴み、回収する。
「よくやったわね。じゃあ、後の機体も……えぇ?」
「えっと、あの機体のパイロットですよね……」
私たちと戦ってる、二機のうち人型の方のコックピットが開いている。そこには女の人と思われる人の姿。
突然コックピットから身を乗り出したパイロットに私たちは目を疑う。
頭には女の人の頭部を覆うほどのヘルメット、背中からは大きな紅い翼。
彼女がその翼を羽ばたかせると、彼女の周りには無数の羽が散らばった。その羽は羽ばたく度に数を増やし、
全てが彼女の正面に存在する敵の大群目掛けて飛んでいく。その大群の中で私達は飛んでいる。
「うわっ!ちょ、これ危ないですって!うわぁ!」
「まったく……翼生えた人が敵の大群と互角って、胡散臭い話だわ……信じられない、いやあんなのいるわけないわ……」
「ライナさん!一人で何喋ってるんですか?」
そんな物に見とれているのも束の間。レーダーが不思議な反応を捕らえた。ここら一帯の空間が歪んでいるというのだ。
その歪みの原因の中心には……巨大な刃が、何も無い空間から生えていた。
「今度は何あれ……本当にここ地球ですか?」
「本当に信じられない事ばかりだわ……残念ながらここは地球なのよ……」
やがて、歪みの中心から更に二本の刃が現れ、周辺に皹が入り始める。
そしてついに……その巨体は姿を現した。
海上で立っている巨大な黒を大きく上回る巨体。それは機体というよりは戦艦と言った方が近いかもしれない。
「デッカ……かなり大きいですよアレ」
「あらあら、大きいわね……もう何でも来なさいよ……」
「ラ、ライナさん…… ッ!ラウフェンじゃ、あの衝撃には耐えられない!全速力でここから離れます!」
「どうしたのティアリス!?何で……いいえ、あなたに任せるわ」
自分でもよく分からないが、ここにいると、余波に巻き込まれてしまう危険性がある、と言う事だけだ。
本当に何の余波なのかも分からないけど、危険だと私の頭が知らせる。
他の仲間にも連絡を取ろうと思ったけど、真っ黒い巨大な塊は連絡手段をしらないし、もう一人の方はパイロットがいないので、話すことが出来ない。
私たちは、沖縄から離れるように距離を取った。
『あれ…?隊長。先程の白銀の人が敵機鹵獲を試みてますよ』
「あんな面倒なことをせずとも、これが終わったら幾らでも情報提供するというのに…ご苦労なことだな。あのアステリオンは…」
は?アステリオン…?それがあの機体の名称か?…いや、違う。コウがたった今付けた、勝手な渾名である。
アステリオン――その様な機体はPPにも、地球にも、それどころかこの世界に存在しない。そう、『この世界』には……
『って、あら?今度は離れていきますよ?もの凄い勢いで…』
「速い……これは本当にこの世界のアステリオンになりかねんな……で、彼女が逃げ出した理由は、と…」
コウはヘッドギアのこめかみ辺りを押さえ、上空を振り仰ぐ。暫くそうして空を見上げた後、大きく溜息をついた。
「……とんでもない物を持って来たな…まぁいい。限界まで粘って、その後で退けばいいか。連邦の奴らも、レイカとマリナに任せれば…」
『隊長?』
「気にするな。そら、動け動け」
『はぁ……』
釈然としないまま、とりあえず言われた通り戦闘に集中する。
タルタロスは身の丈ほどの巨大な武装『ケルベロス』のブレードで、狂ったように敵機を潰していく。斬れていない。
途中で『あとで白銀の人にあげよう』などと余計な気をまわし、敵機を何機か左手に握っている。
ほぼスクラップになっているが……
『オオオオォォォオオォォオォオ!!!』
タルタロスは、終わらぬ争いに向かって、ただ咆哮した……
「邪眼の光…!」
黒き悪魔、コキュートスはその眼から赤い光線を放ち、横に大きく薙ぎ払う。
悪しき光は一気に三機ほどの敵機を撃ち抜き、爆散させる。
(レイカ…そればかり使わないでくれよ…何だか頭がボーっとしてきた……)
「む、すまん。使いやすいものだから、つい…そういえば確かに熱っぽくなってきたな…」
彼女とコキュートスは一心同体であり、彼女が動けばコキュートスも動く。自分の体のように動かせるのはとても便利だが、
同時に感覚も共有しており、コキュートスの受けたダメージなども、痛みとなって搭乗者のレイカに伝わる。
「数が減った気がしない……面倒だな…」
(まぁ、ここら一帯にいた連邦は粗方退いたようだし、そろそろ私達も移動してもいいんじゃないか?)
「そうだな…よし」
悪魔は邪眼の光を二、三放ったあと、フラフラと飛び立ち、その場を後にした。
「副隊長、如何されますか?」
「……撃っときなさい。ホントにアバウトなんだから、あのバカ…」
漆黒の戦艦、「牙影」のブリッジで漆黒の牙副隊長、マリナは嘆息していた。
「おう、マリナ。とりあえず見覚えある奴ら全員撃ち落しゃいいんだよな?」
「そーよ…間違って連邦の兵器落とすんじゃないわよ…」
「そんなヘマしねーよ。あたしを誰だと思ってやがる」
「……接近戦のエキスパートが集まった小隊『突馬隊』において何故かやたらと射撃が巧いチハル・キセ」
「……あーそーかい」
会話はそれだけ。牙影は全砲門を開き、言われたとおりにタルタロス達の援護射撃を開始した。
マリナは何だか面倒になってきて、艦首のブレード使って戦場駆け巡ったら気持ちいいし、てっとり早いかなぁとか考えたが、
残っていた最後の理性が、なんとかその暴挙を抑制した…
テクノ必殺の攻撃が敵機に炸裂、多くの敵を撃墜したがそれでも敵の数は以前多く減ったのか減ってないのかわからなかった
「数の暴力は嫌いです……あれ?」
彼女の目に映ったのは白い機体が敵機を鹵獲する姿だった
「敵を捕まえるんですか、それぐらいしないとPPには勝てませんか」
彼女らの行動に目を向けたときにこれをチャンスと言わんばかりに集中攻撃をかける
「いい攻めですが、もうすぐお客さんがやってくるようですよ。反応が彼らに似てるようですが仲間でしょうか?」
敵の攻撃がテクノを避けるように反れる
「さて、そろそろ時間のようです」
彼女のが言い終わるやいなや空間が歪みだし禍々しい戦艦が姿をみせた
援軍であろう彼らに期待をよせる、しかし、テクノは大切なことを忘れていた彼らがコウとメシスの仲間であることを
>『漆黒の牙旗艦、「牙影」只今参上ぉ…隊員は全員無事です…』
「ご苦労!では今暫く艦長代理をよろしく!」
『艦首超大型粒子伝動式対艦衝刃準備!!あの馬鹿に突っ込んでやるぅ!!』
「おお、よく噛まずに言えたなそれ。俺でさえ面倒だから、『艦首ブレード』で済ましてるのに」
『………静寂…でなければ…』
『離してくださいジンキ隊長ー!!』
「さ、騒がしい人たちです」
彼女が面食らっているとコウから通信が届く
>「質はともあれ……えー……いい艦だろう?」
「ええ、まあ、とっても」
彼女は苦笑しながらも敵の攻撃を反らし、羽を飛ばし続けた
そうこうしていればここから連邦軍の撤退が終わっていた
「そろそろ潮時みたいですね。では皆さんさようならです」
彼女は敵の大群に人差し指を向ける、その指にエネルギーが溜まっていく
「天上の紅炎よ、地の底の業火よ、我の招きに応え私に仇なす者を焼き払え!!プロミネンスレーザー!」
テクノの指先から凄まじいエネルギーが放たれ敵を飲み込んでいき消滅させていく
エネルギーが止まったとき彼女はもとの姿に戻っていた
「この技を使うと元に戻れるから楽です」
テクノはホワイトのコクピットに戻るとブラックに変形させて戦場を後にした
「ええっと漆黒の牙の皆さんお先に失礼します。連邦軍の皆さんは既に撤退が完了しているようなので」
>>181 「いや、そうでもないさ。装備や規模、消耗率がマチマチな部隊がキレイに足並み揃えて
素早い移動なんざ出来ないだろうからさ」
「なぁ、アンタもオレと変わらないんじゃないか?
その機体、どう見たって地球の技術レベルじゃ作れない
オレばっか喋るのはアンフェアだ」
「アンタの経緯も話してくれよ」
「何ならオレ達のトコに来ないか?
醜い大人のために力を使うなんて才能の浪費だよ」
セリシアは彼が次々と並べる言葉を静かに聞いていた。
自分の過去を話せと言われた時、彼女は一瞬だけ困惑したような顔をしたが、すぐに元の冷静な表情に戻り
彼に対し言葉を返した。
「私はあなた達に家族を奪われた孤児の一人。お兄様が助けにこなければ死んでいた可哀想な子。
そしてこの機体は剣……真の勇気を手にした物にしか振るう事が出来ない剣。
今はまだ何も知らなくていいの。いずれその時が来るまで……」
「あなたこそ、私たちの所に来ない?お兄様もお母様も優しくしてくれる。
誰もがみんな醜い大人だとは思っちゃ駄目……」
セリシアが言葉を紡ごうとした時、シュヴェールトに極秘回線で通信が入った。
「撤退よ。もうすぐこの近くで何かが起こるわ。そこの敵機は連邦の残存兵力がなんとかしてくれるから」
「まだ、私は彼を……」
「彼らと戦いつづければまたそこのパイロットとも戦うことがいくらでもある、だから今は諦めなさい」
「……分かりました」
セリシアは通信を切り、再び念話で彼に話し掛ける
――ここで終わり……もう少しお話ししたかったけど、またいつか会いましょう――
シュヴェールトは膝を曲げ、その場から高く跳躍し、沖縄の戦線から離脱した……
それと入れ替わるように、ハンマーを携えたディグ・クラッシャーが横から現れ、PPの敵機目掛けて突っ込む。
「俺は、俺は……こんな所でくたばるわけにはいかねえんだよぉぉ!」
目の前で跳躍し、ハンマーと機体のバーニアを限界まで上げ、機体が壊れかねんばかりの勢いで得物を振り下ろした。
今までの攻撃を大きく上回る程の威力、それにはライオネルの強い意志が込められているように見えた。
>>187 突っ込んでいくディグクラッシャーの姿に、今までずっと2機の戦いを傍観していたヒラオはにやりと笑う
チャンスが来た
ライオネル氏に敵が攻撃を集中した所を俺が背後から奇襲をかければ、確実に奴を殲滅できる
わけのわからないアンノウンは消え、最早不確定要素はどこにも無い
あと一撃で、全てを決める自信がある
ヒラオはいつでもカズキへと突進できる様に構えると、ライオネルへと攻撃が集中するのを待つ
彼に、ライオネルを救おうなどと言う考えは、微塵も無い
あるのはただ、自らの手柄への欲求だけである
ライオネル氏、無駄死にじゃ無い
あんた勇敢だったぜ
そして、いざライオネルへと火線が集中せんとした時
「すぉくぉまでだ!!エイリアン!!」
叫び声と共に200mmライフル砲弾がユキを襲い、更に、森林の中より一名のヴァカ者が姿を現す
「鹿児島の時のお返しを喰らわしてやろうと思って戻ってきてみりゃ逃げた後だったが、だがこのマトル・オウドウ!」
などと叫びつつも、ユキの行動から目を離さなかったのだろう
ユキの放った熱線をすばやく回避し、盾と槍を構える闘獣機
「目の前の敵を逃したり、仲間見殺しにすっほど、人間腐ってたりしねぇぞ……星へ帰って俺の伝説を歴史の教科書に写真つきで残せぇえええええええええええ!」
雄たけびと共に、馬鹿もまた突っ込んでいく
上空のヒラオは舌打ちを一つすると、改めて攻撃の機会をうかがい始める
「……ターゲットロックオンしました」
大型輸送船の真後ろ
ひそかに海中を進んでいた闘海機は、遂に敵艦を捉え、ミサイルの発射体勢についていた
輸送船はまだこちらに気づいていない
まさか敵に水陸両用の人型兵器がいるなど、予想もしていなかったのだろう、海中への注意がおろそかになっていたようだ
今ミサイルを発射すれば、撃沈とまでは行かずとも、敵に大きな打撃を与える事ができるはずである
が
それは同時に、闘海機が敵機に捉えられる事も意味していた
沖縄基地作戦室
技術試験小隊隊長と、トキワが通信機越しに対面している
ミカミからの攻撃準備完了の知らせを受け、急遽、回線が開かれたのだ
「闘海機が敵艦を攻撃範囲に捉えました、ただし、闘空機ならびに支援機はありません。攻撃を許可したいのですが、よろしいですね?」
本来なら、空中で闘海機をサポートする機があり、闘海機は安全に撤退できるはずだったのだが
敵の予想以上の攻撃でそれが不可能となり、現在に至っている
『変なのが出てきたせいで…何の活躍もしてないからねぇ、試作機達』
小隊長の言葉にトキワは考える姿勢をとるが
そこから人一人の命を危険にさらそうとしている者の重みは感じられない
『ま、一機位失ってもいーわ、バックアップあるし。それよか活躍を優先します』
やがて下されたあっけらかんとした決断に、小隊長は了解と応じると、ミカミへと命令を出す
「攻撃開始」
すなわち、その場で敵と相打ちになれ
通信機の向こうのやりとりを知ってかしらずか、無表情で命令を聞いたミカミは、静にそれに応える
「了解」
その声色に、恐れや、悲しみは感じられ無い
次の瞬間、彼女は躊躇わず攻撃を実行した
無論、彼女は攻撃すれば自分に逃げ場は無い事を知っている
増援として送られた大型輸送船の真後ろから、数十発のミサイルが突如海中から発射され、輸送船の船尾に命中していく
突然の奇襲に敵が戸惑っている間に、更にミサイルは連射され、艦の船尾と艦底の装甲を完全に破壊した
重力バランサーを失った輸送船は煙を上げながら海面へと降下していき、水しぶきを上げて海に着水する
それと同時に護衛のライガーシュミット隊が海中にいた闘海機を発見し、ミサイル攻撃を開始した
闘海機は回避行動を取るものの、攻撃をかわしきれず、数発のミサイルを受けて動きが止まり
更に行われた攻撃を受け、真っ二つに機体が裂けた後、両方とも、海底へと沈んでいった
>「ええっと漆黒の牙の皆さんお先に失礼します。連邦軍の皆さんは既に撤退が完了しているようなので」
『はぁ〜い、テクノさんもお気をつけて〜〜!』
漆黒の巨神は、去り行く戦友の背中をブンブンと巨大な手を振る可愛らしい仕草で見届けた。
その姿を見た敵機が軽く怯んだのはまた別のお話……
激しく揺れる広大な装甲版の上、バランスを全く崩さないコウが嘆息する。
「メシス、それくらいにしておけ。我々も後退を開始する。ただし、少しゆっくりとな…」
『了解!』
空中でずっと仁王立ちしていたタルタロスは、ケルベロスを射撃形態に切り替えると、エネルギーのチャージを開始する。
周辺から集まり始めた謎の黒いエネルギーからは、何か唸り声のようなものが聞こえ、ケルベロスに吸い込まれていく。
『ケルベロススタンバイ、ファイヤー!!』
メシスの叫びと共に、禍々しい光がケルベロスから放たれ、敵機の群れを一瞬で消し去る。
その間、コウは頭のなかで超スピードでのシュミレーションを行う。ありとあらゆる場合を想定し、どんな些細な情報も欠かさずに。
「………やはり、ある程度の犠牲はでる、か……この結果に、さらにパーツを付け加えるとしよう」
そう呟くと、すぐさま後方で援護射撃に精を出している牙影と、連邦の後退を援護しているレイカに通信をいれる。
『あぁん?何よ、これ以上私に負荷かけたらぶっ飛ばすわよ』
『何かあったのか、レイヴン』
第一声が現在牙影で指揮をとっているマリナ、続いてレイカである。
「喜べマリナ、レイカ。お前達に楽な仕事を与えよう。今現在お前達の周辺にいる連邦軍に片っ端から避難を呼びかけろ」
『何でよ?』
「いやぁ、少しばかり色々あってだな……ちょっとしたレーザーが衛星軌道上からここを狙ってるのさ」
『成る程、一大事だな。解った。』
簡単に了解し、レイカは通信を切る。彼女はコウにほぼ心酔しており、彼の言うことはどんなことでも疑うことなく受け入れ、
愚直なまでに従う。それだけ昔の彼女の心は砕けていた。何かに縋り付かなくてはならないほどに。
だからといって、コウは彼女を良いように使ったりはしない。あくまで対等の立場で、家族のように接している。もっとも、レイカはそれが不服のようだが――
『だが断る』
轟音を響かせ、漆黒に金色をあしらった巨大な闇、
援護射撃を止めた牙影が、爆発的なスピードで接近してくる。
『あんたはいっつも言葉が足りないのよ!色々って何よ!たまには細部に至るまできっちり説明しなさい!!アンタのキモイゲームとか漫画とか全部燃えるゴミの日に出すわよ!!』
「いやぁあああ!!止めてぇぇぇ!!せめて分別してぇぇ!!……ん?萌えるゴミの日?」
『ハイ捨てたー』
「いやぁぁぁぁぁあぁぁあああ!!」
「おい、そこの装甲車」
「な、何だ!今全力で後退の最中なんだが!」
コウからの命令を受けたレイカは、とりあえず手近を走っていた装甲車をとっ捕まえて迷惑をかけているところだった。
「急いでいるならできる限りで構わん。仲間に避難を呼びかけろ」
「はぁ!?だから今退いて……!」
「後退ではない、避難しろ。今現在敵のレーザー砲が衛星軌道上からここに向けられているらしい」
普通はそんなことを言われて信じるような者などいるまいが、この兵士は後退に必死で気が乱れている。
しかも、海岸線に残っていた機体が全て退いたことで、彼の中の嫌な感覚がぐっと動く。
「そんな……まさか…」
「信じられなくても良い。お前だけでも逃げろ…その中で余裕を見つけたならば、出来るだけ多くの者に伝えろ……!」
そう言い終えると、レイカは装甲車を地面に戻し、飛び去った。
静寂に包まれた装甲車の車内で、しばらく惚けていた兵士だったが直ぐに我に返り、通信機をとった。
「本部!!!」
「准将閣下、準備整いました!!」
「撃て」
かつての味方が寝返り、此方は多数の機体を消耗した
最早手加減なんか出来ない、してやらない
超高出力の極太ビームが撤退中の連邦軍に直撃する
範囲など有って無いようなものだ。なにせコレは連射できる
「准将閣下、ボルザック隊壊滅の報が入りました………」
「そうか」
ヘルミフィアは何でもない事のように、それをサラリと流した
ボルザックは確かに腕利きであったが、いかんせん心が未熟すぎた。あれは成るべくして成った末路だ
そして、彼女は仲間の死を悼むには軍人として永くありすぎた
常人と違い、どこか精神がすり減りすぎている
「第二波、那覇基地に照準を合わせておけ。消耗率が三割超えたらそれでケリをつけるぞ」
地球人よ、謀らずとも我々を怒らせてしまったな
その不運を嘆け
>>187-188 >「あなたこそ、私たちの所に来ない?お兄様もお母様も優しくしてくれる。
誰もがみんな醜い大人だとは思っちゃ駄目……」
去り行く機体に向かって念を飛ばす。届くかどうかは解らないけど
――考えておくよ――
そうして次には強烈な意識。一瞬後に傍観していた機体の突進
突然だが、解っている攻撃を避けることなんか造作ない。上からもか
脇からも?
本当に人気者なんだな。と彼は笑う
>「目の前の敵を逃したり、仲間見殺しにすっほど、人間腐ってたりしねぇぞ……星へ帰って俺の伝説を歴史の教科書に写真つきで残せぇえええええええええええ!」
「いや、オレ日本の出身だし」
居心地悪そうにボソリと呟いたら、ふとあるビジョンが見えた
空からの攻撃で地上の二機が巻き込まれて、致命傷を負う
なるほど。上にいるのは自滅するタイプのハイエナか
なら、上手く立ち回って、自滅させてやるかな
二機の攻撃をスルスルとかわしたところで、強烈な光が空から降ってきたのが見えた
「早く撤退して体勢を立て直してくださいです!」
そう呼びかけながらテクノ自身もゆっくりと撤退していく
「ふう、どうやら大丈夫そうですね」
追撃してくるPPから味方を守りながらの撤退は本来は疲労を感じないテクノにも
体に違和感を覚えてしまうほどつらいものになった
「皆さん、もう少しです。頑張りましょう」
テクノがそう呼びかけると兵士から返事は返ってくるがまばらでなにより覇気がなかった
士気の低下が目に見えてわかる。兵士の疲労もピークに達し元気な顔をしている者は一人としていなかった
あまりに必死に撤退したので気付かなかったが敵の追撃が止まっていた
「敵も体勢を立て直そうとしているのでしょうか?」
彼女の脳裏にそのような考えが浮かぶ、しかし、その考えは甘い、あまりにも甘かった
「上空に高エネルギー反応!!みなさん逃げてくだ……さ……い」
彼女の言葉が終わらないうちに彼女の目の前の味方が消滅した。上空からのビーム攻撃で景色ごと跡形もなく消し飛んでいた
「そ……ん……な……」
彼女が必死で守ってきた者が一瞬で消えたしまったのだった
私は直感のままに沖縄から離れた。
距離は既に本島全土を一望できるところまで来ていた。
「ねぇ、ティアリス。一体どこまで行くのかしら?」
「……そうですね、この辺りまで来ればもう大丈夫でしょう」
私は反射的に言葉を並べた。
恐かった、頭の中でイメージされる光景が。
それは、全てを焼き尽くす破滅の光。
「大丈夫って一体何が……――ッ!」
ライナさんが話し終える前に強烈な光が辺りを包んだ、その直後に巨大な爆音。
旋回し、沖縄のほうを見ると、本島の中央部に巨大なクレーターが出来ていた。
あそこには撤退中だった連邦軍が……
「撤退中だった連邦軍部隊の反応がほぼ全滅……そんな……」
信じたくはなかったが、ライナさんの一言が全てを告げた。
「うそ……うわあぁぁぁぁあああ!」
その時、私の意識は途絶えた。
――――
「ティアリスが気を失った……ラウフェン・ボーゲル、自動航行モードに移行。目的地は連邦軍基地」
「いいえ、今基地は危ないですよ……彼らが戦っているわ」
「あら、そうだったの。ありがとうね、じゃあどうしようかしら?」
「近くの無人島まで案内します、そこに身を隠したらどう?」
「じゃあそうするわ。案内お願いするわ」
ラウフェン・ボーゲルは進路を変え、無人島が連なっている地域へと飛んでいく。
隣にはいつの間にかもう一機の機体が飛んでいた。
背中に巨大な四枚の翼を携えた黒き機体が……
沖縄危機管理センター
照射された光によって、地球連邦軍守備隊、その過半数が蒸発する
この事実に、危機管理センター、すなわち連邦軍司令部は大混乱に陥った
何しろ、報告を行う指揮車両が全滅したのだ
何故、全滅したのか、どの程度の犠牲が出たのか、敵はどの位の規模がまだ残っているのか
盲目と化した司令部は生き残った一部の航空隊や戦車隊にもまともな指示を下せず
残った連邦軍の部隊も、ろくな抵抗もできぬまま次々に壊滅していった
慌しく通路を行きかう職員達の音を扉の向こうに、あの助っ人外人部隊が使っていた作戦室の机の上で、大闘神小隊隊長が、再び通信機に向かっている
しかし、画面に映る相手は、トキワではなく、大闘神計画の責任者、ヤン中将だ
「予定通り、戦線は壊滅しました、これより各隊員に撤退命令を下し、本土へ引き上げます」
『うむ、撤退を許可しよう。大型特殊潜航艇がそこから一番近い軍港に待機しているはずだ、では』
それだけ言って、ヤンは通信機を切り、残された小隊長は、立ち上がり、通信機器をセットすると、各隊員へ撤退を呼びかけはじめた
「こちら小隊司令部、技術試験小隊各機へ、現在行っている戦闘を破棄、速やかに指定された撤退ポイントへ移動せよ、繰り返す、撤退だ」
突然、すさまじい閃光が空から降り注ぎ
何が起こったかわからずに流石の俺も呆然としていると、程なくして、あの小隊長から撤退を指示する命令が下された
どうも…今の光は敵の衛星兵器か何かだったらしい
連中は何でもありだな…
…さて
オウドウもライオネル氏も奴さんと実力差がありすぎて隙なんか作れねぇってのは見ててよくわかった
撤退命令も下されたし、迂闊に手ぇ出して奴に自滅させられたりするよか、ここらで手を引くとしよう
……やれやれ…こんな事なら、最初から一人で戦っとくんだったよ
明らかに自信過剰な事を考えながら、ヒラオは機体を翻すと、指定されたポイントへと機を加速させていく
さらにオウドウもまた「改造人間か!!しぃよっくぅうぁああああああくぅああああああああああああああああ」
などとほざきながらしばらくユキと戦っていたが、間合いが出き、少し落ち着いたところで撤退命令に気づくと、機を翻し、一目散に指定されたポイントへと機体を疾走させた
「………やれやれ、か。やはり俺の見積りは、いつもどこか甘い…」
コウはタルタロスから降りて、漆黒の牙旗艦、「牙影」へと乗り移っていた。
ヘッドギアの淵を気だるそうに指でなぞり、深く嘆息する。見つめる光景は、地面に巨大な口を開けたクレーター…
『私の力が……至らなかったばかりに…』
完璧に脱力してしまった弱々しい声でメシスが呟き、嘆く……その声は、本当に今にも消えそうで――
メシスほどではないが、やはり少しショックを受けたようなレイカが、それでもメシスを励まそうとさっきから頑張っている。
『力が至らなかったのは、私も同じだ……お前はよく戦った。きっと彼等の助けにもなれたろう。だから、顔を上げろ…』
全くだ。とだけ声を掛け、コウはすぐに黙り込む。珍しく、少し焦っていた。何せ今目の前の連邦軍を消し去った光は、単発式ではないからだ。すぐにでもここを離れなくては…
意識の底まで沈みそうなくらい思考を巡らせていた彼の背を、誰かが鋭利な物で突付いた。
「………痛いぞマリナ。ディルバガンでド突くな」
「いつまでも考え込んでんじゃないわよ。さっさと次の指示出しなさいな……このままだと、私達も星の光に貫かれて焼かれるわよ」
そうだ。彼女の言うとおり、早急にこの場から逃げ去らねばならない。凶星が瞬く前に――
だが、コウの出した指示は「今直ぐ撤退」という内容ではなかった。
「良いか、これより漆黒の牙はこの沖縄から離脱する。だが、すべきことを成してからだ」
成すべきこと……それは………
「生き残った連邦兵の救出だ。皆、今から探せるだけそこら中を探し回り、連邦兵を残らず救出してこい!以上!」
『了解、参る!』
いつものように命令に忠実なレイカは、あっという間にコキュートスと共に黒き翼で駆けて行った。
牙影も移動を開始し、連邦兵達の捜索を開始する。残ったのは、メシスと、闇の番人タルタロスだけ……
『………私達も行こう、タルタロス…』
『………………』
いつもはメシスの命令にはきちんと従う彼が、どうしてか彼女の声を無視してその場から動こうとしない。
『タルタロス―――うっ!?』
もう一度呼びかけようとしたメシスの体内を、何かに貫かれたような衝撃が走る。
何が起こったのか、メシスはわからない。ただ、センサーでも、メインカメラでも捕らえられない何かが、彼女の中に入ってくる。
『あ、あああぁあぁ……!?』
彼女は思わずタルタロスとの合体を解除し、少女の姿にもどる。だが先程の感覚は、今もまだ彼女の中でのたうち回っている。
メシスは悶え、倒れ伏し、センサーからマイクまで、全身の全ての感覚をシャットダウンした。だが、声が聞こえた。
マイク、人でいう耳で聞くような空気の振動ではない。頭のなかに、プログラムに直接書き込まれているように、鮮明な、そして、恐ろしい――
(あぁあああぁああぁあ!!熱い、熱いいぃいぃ!!)
(ぎゃあああぁあぁぁあぁぁぁあ!!)
(嫌だ、嫌だァァあぁあぁぁあぁあああぁああ!!!)
「あ……あぁ………!」
流れ込んでくるのは、死者の悲鳴。命在った者達の、最後の言葉。無念と、痛みと、悲しみと……無限の“負”が…
「やめて……やめてタルタロス…!」
『オォォォオオオォォ………!』
大出力のレーザーで穿たれたクレーターから、大量の黒い霧のようなものが現れ、タルタロスに引き寄せられては、吸い込まれていく。
散らばる“負”の感情を、死者の魂を、タルタロスはその身にただ集める。
戦場に死に逝った者達の無念、魂、その、在るべき場所は―――
衛星兵器が沖縄に向けてレーザーを照射した頃PP宇宙艦隊はちょっとした混乱をしていた
それは本星からの使者が到着したからだった。
「急デスマナイ」
鋭い眼に裂けた口にギザギザの歯が生えた緑の亜人は彼なりの笑顔で挨拶をした。
初めて見るものはたじろぐだろうし彼等と言う種族を理解しているものは普通の笑顔に見えるだろう
彼等と握手はできない、それは手に握手には不向きな爪が生えているため余り握るのはよろしくないのと
握力に差があるためヘタしたら怪我をしかねないからである。それ故笑顔に力を入れる。
「本星ヨリ派遣サレタ、ヴォラヌス・サルバドリ,デアル
本星カラノ要請ニ従イ、ギギ、ギ、貴官等ヲ、ググギグゥ」
口の構造が人間とは違うため余り言葉が上手く喋れない様である
本来は鼻で会話するため言葉を口で発すると言うことはしないが、コミニケーションを取れなければ
軍では特にやっていけないため彼等は口で言葉を喋れるように勉強している。
だが大事な事を伝えるためには正確な情報伝達が必要である。なので翻訳機が活躍する。
「この惑星に来たのは本国から 監査要請があったの為 来た だが 特に気にする必要は無い
定時の報告 抜かりない こちらから本国に 新型の機体 要請あったの為 この惑星の現状を見て
本国は判断する との事 私はそれを伝えるだけ しばらくは世話になる。」
彼の言葉の通り彼の持ってきた本国からの通知はこの星の戦況レベルを判断し新型を送るかどうかを
検討している趣旨が書いてあった、そしてヴォラヌスは戦場に出て敵の兵器を判断する役目の為地球にやってきた
報告書どおりなら地球のレベルは低く戦車や航空機、機動兵器はまだ然程現れていないことになっている
そのことに予算を握る上層部が新型導入に待ったの声が入ったらしい。
「私ドゴイケバイイ?」
「私は何処の戦場に 赴けばよろしい?」
ヴォラヌスら本星からの使者を送り届けた艦の艦長もまた、無言で付き添った
彼らを出迎えたPP宇宙艦隊の旗艦に並んで停泊しているのがそれである
独特な流線型のフォルムと白銀に輝く美しい船体は、他のどの艦にも見られない
この艦の主、プロスタスの完全な専用艦として造られた代物だからだ
艦長らとの会話を続けるヴォラヌスを尻目に、レーザー衛星を見つめて呟いた
「青く美しい自然の星を裂く閃光…、無粋な煌きよ…
未開惑星の原住民如きにあんなモノまで持ち出すとはな」
ボロ布をマントのように羽織り、特徴的な意匠の頭部だけが見えている
彼はロボットだが、自分の意思と単独行動を許された特務遊撃要員の地位を持つ
今回、ヴォラヌスら使節団を現地へ送り届け、その任務を支援する立場にある
地球を一目見たいと思っていたプロスタスは、喜んでそれを引き受けたのだ
彼は、自然の溢れる地球を話を聞いた時から愛している
ギョ
下らん。モニターを見ているヘルミフィアはそう吐き捨てた
直々の部下ではないとはいえ、ヘルミフィア麾下の部隊
練度でたかだか地球人に遅れをとり
結果衛星兵器まで使わざるを得なかったのが許せないし、やりきれない
「もういい。引き揚げだ。全部隊に帰還命令を出せ
内勤の者は今回の敵機について情報をまとめろ!!」
そう怒鳴って指令室を離れてしまう
彼女は軽くキレてしまっている。ここの文化レベルにあるまじき敵、友軍の離反
近く本国に、彼女が直々に鍛え上げた部隊の召集と本格的な支援の要請をしなくてはならい
そう思うとムカムカして顔をしかめる
こういう時はユキにでも稽古をつけてやって、憂さ晴らししないとな………
『ムーンスノー、本部より帰還命令が出た。至急そちらへキャリーチームを向かわせる』
「スノー了解」
このタイミングで帰還?敵基地陥落寸前なのに?
まぁいいや。ユキはそう割り切ることにする
これ以上戦車や歩兵をいたぶったって仕方がない
素早くやって来たキャリーチームに担がれて、見るも無残になった戦場を後にする
「今回どれくらいやられたんだ?」
『輸送船15隻中6隻全壊、一隻中破。ライガーの損害は計りきれねーな』
「随分やられたな」
『しゃーねーよ。まさか、マトモに戦える機体が相手だとは想定してなかったからな』
「オレも含めて向こうの人型には有効打なしか。情けねぇ」
『いや、一匹馬鹿な奴が突っ込んできたのを、海に沈めたらしいぜ』
「ふーん」
そうこう言いつつ、本艦隊に近付いていくとユキ突然キャリーリーダーに通信を入れる
「降ろしてくれ」
『どうした?』
「海から人がいる感じがしてる。多分やられた奴だよ」
『まさかサルベージするつもりか?』
「ああ」
『止めておけ。エスペラティオだとそこまでの圧には耐えられないだろう』
「じゃあ―――」
『自分が行きますよ、リーダー』
『うむ。任せたぞ』
そのやりとりの後に、エスペラティオの右後ろのライガーが海に突っ込んでいく
『リーダー、敵機の残骸のサルベージ完了。中の奴はどうか解んねぇな』
『ご苦労』
「偉いひと、喜ぶかな?」
『准将閣下か?さあな』
ユキのボソリとした一言に、キャリーチームの一人はそう答える
今回の戦果。潜水艦型の敵機
ショッボイなぁ。怒られるかなぁとユキは苦笑した
203 :
名無しになりきれ:2009/06/13(土) 11:51:12 O
呆然と前を見つめているテクノの耳に撤退を告げる通信が飛び込んできた
「・・・撤退します」
後ろを振り返る
彼女の前には先のレーザー攻撃から逃れた味方が少数だが残っていた
しかし、彼らは皆、恐怖に支配された表情をしており、おうおうにして生者の気を放ってはいなかった
「撤退しましょうです」
兵士達からの返事はない、テクノの声は届いてるが誰も返事をしようとはしなかった
生き残っても無駄だ。これ以上戦っても無駄だ
多少の差異はあるが兵士の心はこの考えで埋め尽くされていた
「死にたいのですか?今、ここで死んだら私みたいな小娘の後ろでびくびく震えてた臆病者です!」
あまりの兵士達の姿にテクノの怒号が飛ぶ
「お前みたいな化け物になにがわかる」
「戦ったところで上からのあれで焼かれるだけだ」
兵士達があの攻撃から始めてテクノの呼びかけに応えた。それはとてもネガティブなものでありテクノには少しつらいものでもある
「確かに私はあなた達とは違います。しかしです。あなた達の中でも彼らと対等に戦っていた人達もいました!この戦いを経験したあなたたちなら彼らのように戦えるはずです!希望捨てちゃだめです!」
テクノの悲痛な叫びがこだまする
その顔は今でも泣き出しそうで彼女なりに兵士達を心配しているの感じられる
「こんな小娘にここまで言われてなにもしなかったらただの屑だな」
「違いない、それに美少女の頼みごとだ聞いてあげるしかないな」
「ああ、宇宙人に舐められっぱなしもしゃくだしな」
兵士達の声に生気が戻った。そして口々からPPへの恨み言、戦いへの決意の言葉が聞こえてきた。
「それじゃあ皆さん撤退しましょう!」
テクノは満面の笑みを浮かべ指定されたポイントに向かった
ぎゃーIDがばれちゃったんでこれにします
「飛んで火にいる夏の虫……フフフ……ようこそ連邦の諸君」
指定された脱出ポイントにて疲労した連邦兵を出迎えたのは、黒き箱舟……
漆黒の牙旗艦、「牙影」であった。この艦、ある者には棺桶に見えたという…
巨大で雄雄しき三本の刃を艦首に持つ異形の艦の脇には、これまた巨大な漆黒の巨神と、禍々しい姿の悪魔が控えている。
この光景、ある者には地獄からの迎えに見えたという…
漆黒の箱舟の甲板に、幾つかの人影があった。その内の二つが声をあげる。
「どうも、この艦の艦長です」
「艦長代理でぇす……」
とりあえず「あ、ああ」とか「おお…」とか唸ってみる兵達だが、正直ワケが分からない。指定されたポイントはここで違いないはずだが…
何人かがメモやらマップやらを取り出して、自分達はどこで何を間違ってこんなフラグを立てたのかと検討し始めたが、やはり間違いはない。
「大丈夫だぞ諸君。諸君らを救済する救いの箱舟、牙影が在る場所はここでいい!」
ばっ!と演技じみた動きで両手を広げたコウを、マリナが背後から思い切り蹴飛ばす。
「さっさとさぁ…作業にさぁ…入ろうよぉ、マイダーリィン……!」
「解った解った…解ったから、腰はやめてくれ」
グリングリンと腰を踏みつけられてもがくコウだが、そのままの体勢で兵達を一瞥し、
「何をしているんだ諸君。早く乗りたまえ」
「……は?」
その場にいた連邦兵達が、一同に間抜けな声をあげる。それはそうだ。乗れ?この得体の知れない艦に?冗談じゃない。
そりゃあ、こちら側には無害だとか言われたが、完璧な味方という保障はどこにもなく、そもそもこの緊迫感のない連中を見ていると調子が狂う。
「お、おいおい!迎えは?来るんだろ?お前達みたいなのじゃなくて、ちゃんとした、正式な……!」
『来ないですよ』
牙影の横に控えていた巨神、タルタロスに合体しているメシスが応える。
『ある一部の人達にはちゃんと脱出手段が用意されていたようですけど……それきりですね。少なくとも、これ以上は誰も来ませんよ?』
「嘘だろう!?だいたい、なんでお前さんがこっちの事情知ってるんだよ!?」
『通信傍受しました!!』
えっへんと胸を張るタルタロスを後目に、叫んだ連邦兵は、嘘だと呟きながら膝から崩れ落ちてしまった。他の者も似たような感じである。
絶望に染まる兵達に、ニヤニヤしたような声でコウが語りかける。
「そらどうする?このままここで果て、沖縄の大地の糧となるか、無事帰るか……牙影にはまだ、若干のスペースがございます」
かなりイラつく態度だったが、兵達には最早怒る余力もなく……観念したのか覚悟を決めたのか、一人が牙影に向かって歩いてくる。
「よ…よろしくお願いします!」
それを皮切りに、一人、また一人と牙影に乗り込んでくる。
「もうどうにでもなれってんだ!人体改造でも何でも来い!!」
「女の子多いなぁ…それに可愛い…ここで死ぬなら、悔いは無いかもな……!」
あっという間に全員が乗り込み、牙影はゆっくりと地上から離れる。
「調子良い連中ねぇ……私達の地球はこの人達が護ってるわけ?…鬱ね…」
「そう言うなマリナ。正直なのは良いことだ」
コキュートスの着艦を確認し、戦艦の状態に戻ったタルタロスを下部にドッキングさせた牙影は、ゆるゆると沖縄の地を後にした……
俺とオウドウの二人は無事敵機を振り切り、俺達の指定された脱出ポイントに到着
しばらくしてやってきたハシバと共に、機体が4機、ギリギリ入る位の特殊潜航艇に機体ごと乗り込んだ
ライオネル氏は途中で別れる予定だったのだが、急遽、一機分余分が出来たと言う理由から同席する事になり
その他数十名、運よく近くにいた傷病兵を収容した後、潜航艇は沖縄港を出発した
まぁ…色々あったようだが、俺には特に関係無い
今回俺、またなーんもしてないもの…
沖縄基地危機管理センター作戦司令室
ほとんどの者が退避し、がらんとした広い室内に、若干名のオペレーターと、司令本部長代理が各々の席に座り、沈黙している
沖縄陥落が確実となった際に司令部の中で有志を募り
残った兵や民間人への指示と、基地の維持のために最低限残されたメンバー達である
流石に自分から残っただけに、彼等の顔には前線の兵ほど恐怖の色は無く
むしろ一周して開き直り、自分のやるべき事をやろうと言う強い意志すら感じられた
「駄目です、ハトバ師団の第二、第三大隊は完全に沈黙しました」
「第一大隊指揮車に繋がりましたが、まともに行動可能な中隊は残されていないそうです」
「増援で来た大隊の方も第三中隊を除き全て沈黙しています、その第三中隊も…」
「沖縄本島上空に味方並びに敵航空兵器は大気圏外を除き存在しません、全機、本土へと撤収完了した模様です」
PPが撤退した事で、何とか情報網を取り戻し、各部隊の生き残った指揮系統と連絡を取り合っていたオペレーター達が、本部長代理に各々の結果を伝えてくる
そのどれもほぼ同じ内容、「沖縄本島に最早戦闘可能な部隊無し」だ
オペレーターの指示を聞き終えた本部長はそれに頷くと、新たな指示を下す
「…各部隊へ連絡、近隣住民並びに傷病兵をできるだけ多く回収し、基地施設へ集結せよ、と」
それは部隊を再編し、戦い続けるための指示ではない
それならば「戦闘可能な物は各々山岳部を一としたあらゆる場所にひそみ、諦めず抵抗を続けろ」と言う
この指示は生きのこった兵及び民間人が物資の不足から暴徒と化さない様十分な補給を与えて管理するための指示である
そして…恐らく来るだろう敵の再来の際、一人でも多くの命を無残に散らさず、守るための処置でもあった
すなわち、全面降伏を滞りなく行うための、である
沖縄第一防衛線、跡
無数の焼死体が倒れた砂浜を、生存者を探してアサルトライフルを持った兵士が3人、探索している
彼等自身もまた体のあちこちに血のにじんだ包帯を巻き、痛々しい有様であったが、彼等のいる部隊では、それが最もマシな状態だった
「生存者!生存者がいたぞ!」
別れて探索を行っていた3人の内の一人の言葉に、残った二人もその場へ駆けつけ、彼が見つけた「生存者」を見て、わずかに驚愕する
「…PPか?」「女?」
パイロットスーツを見慣れていない者と、彼女が女性で、しかも中々のプロポーションを持っていた事に驚いた者とで声がばらけたが
すぐに片方はちらっと見たパイロットを思い出し、もう片方はそれど頃じゃないとすぐさま心肺の状態などを確かめ、応急処置を取っていく
この彼女と言うのが、ライガーシュミットに海中から闘海機を引き釣り出される際、決死の覚悟で脱出した(コックピットの位置が丁度死角になっていたため運よく見つからずに済んだ)
技術試験小隊隊員…だったミカミ曹長である事は、賢明な読者の皆様は、既にご理解いただけている事だろう
兵士等の懸命な救命処置で甦った彼女がこれからどうなったのか、それはまた別の機会にするとして…
ひとまず、沖縄でのPPと人類との戦いは終わりを迎えた
この戦いで事実上沖縄は壊滅し、いよいよ本土へとPPの魔手は伸びていく事になる
しかし、極東の連邦軍にそれを迎え撃つ力は、未だ…無い
>>208 巨大な光の柱が落ちた後、PPの機体は沖縄を離れて撤退していく。
散り散りになった連邦軍は各々で撤退し誰が何処に行ったのかも把握できない状態だった。
だが、ラウフェン・ボーゲルで名も無い無人島に身を潜めていたライナには全て分かっていた。
彼女ら――ライナとセリシアはラウフェン・ボーゲルのパイロット――ティアリスの判断で、
光の柱が落ちる直前に戦場を離脱していた。
「連邦もPP軍もみんな撤退しちゃったか……さて、そろそろ私達も動かなきゃいけないわね」
「でも私は連邦の正規軍じゃないし、どっちみちみんな撤退しちゃったけど?」
「まぁ、こういう事も想定してたわ。これが終わったら中国辺りでネストと合流する予定なんだけど……
仕方が無かったのよ。まさか誰にも見つからずにおいていかれちゃうとは思わなかったわ……」
ライナは呆れたように溜め息を吐きながらラウフェン・ボーゲルに直結したキーボードを叩いている。
いち早く戦場から離れたのは良いものの、敵味方両軍のどちらにも気付かれず、
突然のシステムの不備でここから動けないでいたのだ。
数分後、ライナが作業を終えたのか、大きく伸びをした。
「さて、と。じゃじゃ馬システムの調子も戻ったし、行きますか。
日本の機体をもっと見たかったけど、仕方が無いわよねぇ……」
ライナは機体の自動航行機能を起動させる、メインパイロットのティアリスは未だに眠っており、起きる様子は無い。
ラウフェン・ボーゲルはその場で上昇し、シュヴェールトと共に飛び去っていった……
アホのようにライガーを消費した沖縄戦から数週間後
本国から在庫処分的に送られてきたライガーのチェックに追われる技術班の元に
オーストラリア本部司令であるヘルミフィアはいた
「ユキが拾った機体の解析は終わったか?」
「はっ!しかし、アレはマシンというより小型の潜水艇ですね」
技術班の解析担当者がディスプレイに出した図を見て彼女もポツリと呟く
「戦闘力もコストパフォーマンスも悪い。オマケに目新しい物などない…………か?」
「はい。それにどんなムチャをしたのか、コクピットまで浸水していて
器機系は全てショートしていますし……」
バツの悪そうな科学者の言葉を、ヘルミフィアはごく面白くなさそうにせせら笑う
「ふん。このレベルの器機ならばこちらから願い下げだ」
「それと閣下………」
「どうした?」
「前回の戦闘で相当数のライガーが捕獲されています
敵側の戦闘力向上も時間の問題かと………」
そんなことか。彼女はまたしても肝の小さい科学者を笑う
「レプリカが何機いようと問題などないさ
いや、いっそライガーなど友好の証にくれてやっても構わない
忘れたのか?ライガーは所詮、型遅れだ」
そう、にべもなく言い捨てて部屋を去る
前に。部屋を出る直前に
「いかに機体が出来ようとも、パイロットの育成、整備環境の充実、運用ノウハウの構築
これらのない機体はいかに凄くとも、鉄くずだ」
中国、領海。
白と黒、ラウフェン・ボーゲルとシュヴェールトはネストと呼ばれる物との合流地点を目指していた。
日本を出て早や数時間。PPも体勢を立て直しているのか、彼らの部隊に出会うこともなく無事に飛んでいた。
「そろそろかしら……確かここら辺だったと思うけど……」
「間違いなくここじゃ……あの光は何?」
「うん?信号弾のようね。もしかしてあれは……」
前方には海中から打ち上げられたであろう煙の尾を引いた三発の緑光。
この意味をライナは知っていた。ティアリス達ヨーロッパ支部が使う「待機」の合図だ。
ライナは自動航行を中止し、その場で浮遊している。セリシアも意味を汲み取ったのかその場で止まった。
「……ネストが来るわ」
ライナが言うとほぼ同時に、信号弾が発された辺りが急に盛り上がり、黒い影と共に巨大な戦艦が浮上した。
巨大な鳥のように流暢なデザインで背部には巨大な箱のような物を背負っている。
ふと、ライナの下に通信が入る。低音だがどこか若々しい男の声だ。
「ラーデン・ネスト、参上いたしました。ライナ"中将"」
「えぇ、ありがとう。じゃあ二機と――この御土産を収納させてもらえるかしら?それと、ティアリスが倒れちゃったから医療班もお願い」
「了解しました。鹵獲機もそのままお願いします。では暫しお待ちを――ハッチ開けぇ!医療班もドッグで待機してくれ!」
男が言ったとおり、しばらく待つとラーデン・ネストと呼ばれる戦艦の、鳥の頭部に位置する艦橋の側面から二門のカタパルトが伸びてくる。
ラウフェンとシュヴェールトはそれぞれ左右のカタパルトから中へと入っていく……
一時間後。場所は変わりここはラーデン・ネストの艦橋。
この艦橋は二段の構造となっており上段の中央には青い軍服を着こなした若い男が座っている。
その両横に位置した階段を下りていける下の段には数十人の搭乗員がいる。
上段の入り口の自動扉が開く。男はそれに気付き立ち上がって、入って来る人を出迎えた。
「お待たせ、リバル副長。ここまでの道のりご苦労様」
「いえ、自分は副長としての役目をこなしただけですよ。ライナ中将、いや艦長」
入ってきたのはあのライナだった。
ラウフェン・ボーゲルに乗っていたときのパイロットスーツとは打って変わり
リバルの物に似た軍服を纏っており、どこか気品を感じる。
皆に艦長と呼ばれたライナはリバルが座っていた椅子に座り、今日何度目かの溜め息をつく。
「沖縄は落とされたわ……敵軍の衛星軌道からの援護砲撃によってね。
連邦軍の部隊の大半は全滅……生き残った者もなぜか揃いも揃って行方を晦ましたわ。
セリシアの念でも分からないって言うし……これも動かさなきゃいけなくなったし……大変な一日よ。まったく」
「それは……ご苦労様です。もう少し自室で休んでいては?大変なのはこれからですから」
「そうね……書類も溜まってそうだし……でも休めないのよこれが、私達はこれから日本に向かうわ。
北海道のカイルン中将直属の部隊と合流するの。消耗したあっちの部隊の補給と……是非鹵獲した機体を見て欲しいもの
それに私はあっちの試作機ってのを見たいし、いきなり来たって彼らも喜んで受け入れてくれるでしょう」
ライナはその場で立ち上がり、艦内放送を付け、艦橋全体に響き渡るような声で呼びかけた。
「進路変更!目的地は日本、北海道よ!
なお、これ以降のラーデン・ネストの行動は艦長の独断で行動するものとする!
私への異論は認めません!」
ふう、と一息つきライナは再び椅子に腰を下ろした。
隣では、リバルが固まった表情でライナを見ている。
「艦長……そんな事言って本部にはなんというのですか!?」
「普通に報告するだけよ。こうした方が動きやすいじゃない?それに、セリシアやヴァリアントの事もそろそろ危ないし……」
「う……確かに彼女の存在が外部にバレると厄介ですが……」
「細かい事は気にしない気にしない。さて、リバル君の言ったとおり大変なのはこれからね……」
不敵な笑みを作りながらライナは肘に手を当てて深く座りなおす。
ネストは海上から浮き上がり、その翼を日本へと向け、飛び立った……
北海道
地球連邦軍第4機動兵器研究開発所
はたから見れば空軍の基地にしか見えないほど、滑走路が目立つこの研究施設こそが
最先端の人型兵器の研究施設であり、日本とロシアの共同研究施設でもある、大闘神計画の本拠地である
が、それほどの生産工場や、大型格納庫は上空から見た限りでは見受けられない
それらの本拠地は全て地下に建造されており
地上の滑走路や管制塔は、地下の巨大なラボを隠すためのカモフラージュに過ぎない
故に、滑走路上に存在している連邦軍機はどれもこれも旧式の輸送機や戦闘機のみであり
滑走路もコンクリート一枚めくれば、特殊合金で構築された、地下を守るための装甲と言う、本来の姿を現すのだ
その秘密研究所の地下深く
20m級で、五十体近い数の多種多様な姿をした建造中の人型兵器達が格納された巨大なハンガーの中央で
「所長」のネームプレートをつけたトキワが一所懸命にパソコンに向かい、無言でキーボードを操作している
彼女のパソコンは無数のコードに繋がれ、それら全ては更に下の階にある巨大なメインコンピューターに接続されており
現在彼女はそのコンピューターがはじき出した実戦投入した試作機達の戦闘データを解析する作業に没頭していた
既にその作業は足や指の金属疲労度に始まり、コックピットの椅子の沈み具合や、足や車輪についた砂や泥の種類にさえ至っている
彼女の中で徹底的に解析されたそれらの情報は、確実に次に建造される試作機に生かされ、確実に、より強力な機体を生み出すための糧となるだろう
そんな彼女のパソコンの画面右上に、メールの受信を示すマークが表示され
また上からの催促なので、メモリの容量を節約するためすばやく目を通して捨てようと思っていた彼女は
そこに書いてあった事柄に、目を輝かせて感動した
「おっんねェさまさっいこおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
思わず椅子から飛び上がって喜ぶ彼女に周囲の整備員がまた始まったとため息なり呆れの視線なりを送るが
彼女はそれらを全く気にせずしばらくやったやったと飛び回っていたが
やがて「おっといけない」などと言って
「通常通り、目立つ船舶は海軍の基地に置いた後、トレーラーで例の物を輸送してください。ps例の奴を見たい、触りたいバラしたい」
と要約するとこんな感じになる文章を作成した後、それをライナへと返信するのだった
沖縄近海
激戦の傷跡残る沖縄本土から、少し離れた海域…その深度5000あたりに、深海の闇に負けぬほどの黒色の塊が沈んでいた
本隊を裏切り、反旗を翻した存在極秘の機密特殊部隊、「漆黒の牙」が誇る旗艦、『牙影』である
所々に金の装飾が施されているが、今は深海の闇と、積もるマリンスノーで埋もれ隠れている
艦底には主戦力である大型生体戦闘兵器、タルタロスがドッキングしているが、今はただ黙しているのみで大人しい
牙影 艦内通路
深海の静寂とは打って変わって、艦内はかなり慌しい
さっきから忙しそうに艦内を走り回っているのは、漆黒の牙整備班と技術班の面々である
タルタロスとコキュートスには自己修復能力があるが、タルタロスは受けた損傷が大きく、現在潜水艇三機による装甲の修理などが行われている
そして何より優先すべきは、この艦、牙影自体の調整、修理である
コウが地球へ発つ直前に、「いつでも出せるようにしておけ」と言ったので、確かに発進できるようにはしておいたのだが
その出発があまりに早く、急だったため、最終調整が不完全のままだったのだ
それ故に、現在内から外から、全力での作業が進められている
牙影 ブリッジ
数名のオペレーターを残し、ドアの向こうから響いてくる整備員達の声の中
艦長席に深く腰掛け、脚を適当に投げ出して、完璧に脱力している男が一人……彼こそこの漆黒の牙を纏める隊長、コウ・ヤジマである
だが、今の彼からは威厳も何も感じられない
「……さて……これから如何行動したものか……」
椅子でクルクル回転し、流れていく景色を眺めつつ、これより先の行動を慎重に採り選ぶ。その時だった――
「班長!班長ォー!?おい、そっちに班長行かなかったか!?」
「整備班の方にもいないのか!?こっちもだ!どこに行ったんです班長ォー!」
整備員達が慌てている。どうやら班長がどこかへ行ってしまったようだ。コウは仕方なく立ち上がると、混乱を治めるべくドアへと向かうが……何だろう、ドアの向こうから殺気を感じる…
勇気を持ってコントロールパネルを操作し、ドアを開ける。そこに待っていた光景は……
顔面に迫る刃であった。
「待てぇい!」
バシっと、顔目掛けて飛んできた刃を白刃取りする。どうやら力加減などは無かったようだ
刃を受け止めたまま、コウは相手を確認してみる。そこに立っていたのは、寝起きみたいな目でこちらを凄まじく睨む、一人の女性であった
「こぉんの……アホが!!」
女性の真っ直ぐな蹴りをモロに喰らい、コウはその場から5cmほど後方に退く
「げふ……やって…くれたな……博士」
フン、と鼻をならし、自分の隊の隊長を見下しているこの女性は、ユウナ・キサラギ。技術班と整備班の両方を、一人でを束ねる班長である
日本人だが、見た目だけではそう判断できない
グレーの短髪で、左のもみあげだけ長く、三つ編みにしている。三本のスコープの飛び出た眼帯をしており、瞳は紫
白衣の下には黒い着物を着ている。いつも妙に胸の辺りがはだけているので、初見の人は目のやり場に困るものだ
外見は二十歳ほどに見えるが、噂ではもっと若いらしい……
妙に機械っぽいキセルから、怪しい色の煙を吹かしつつ、手にした刃拳(ジャマダハル)をコウに向けてくる
「まったく、派手にやりやがって……その上タダ働きさせようたぁ、良い度胸だ!!」
今度は妙な液体の詰まった注射器を投げつけてくる。何故彼女は戦闘員ではないのだろう
この状態の彼女は大変に危険である。すぐさま物陰に隠れるコウ。ついさっきまで座っていた椅子は、謎の注射器が刺さり、溶解している
「あー、あー!!直せよ!それ直せよお前!」
「やかましい!!」
暫く戦闘を行い、ブリッジが一時浸水しかけたが、キサラギ班長が落ち着いたことにより、事無き終えた
彼女は未だにイライラしているが、コウは未だにビクビクしている
だが、このままでは話が進まないと覚悟を決めたコウが、何とか話掛ける
「で……作業の進み具合などは、如何か?」
素早くギラリとコウを睨みつけるキサラギ班長。ひぃっと引っ込むコウ隊長
だが、それで気が済んだようで、火の消えたキセルにもう一度火を付け、不味そうに煙を吐く
「けっ、舐めてるのか?もう終わるよ」
どっこいしょと腰を下ろして、自分が破壊した艦長席の修復を始める
どうでもいいが、そんな風にしゃがまれると、着物の隙間から見えそうで困るのだが…
「んで…次はどこ行くんだい?あんま牙影に無茶させんじゃないよ」
むぅ、と唸って腕を組むコウ。だがすぐに答える
「随分後回しにしてしまったが…今度こそ日本に行こうと考えている」
「あっそ」とだけ言って彼女は立ち上がり、手にしていたドライバーを放り投げてブリッジから出て行く
扉が閉まる瞬間、思い出したようにこちらを振り返り、ポツリと呟いた
「“アレ”を縛っておくのは、そろそろ限界だよ……?」
キサラギが言い終わるのと同時に扉は閉まり、物陰から避難していたオペレーター達が顔を出している
「もう限界か……了解した…」
コウは独り言で了承し、また艦長席に腰を下ろした
それから暫くして、牙影は動き出した。日本へ向けて―――
あれから数日、テクノはとある研究所で検査を受けていた
彼女は先日の戦いで激しく消耗しその体に多くの不具合が生じていたのが理由だった
幾多の機器に囲まれ、体中からケーブルが伸びている姿はとても痛々しかった
その横では研究者達が世話しなく動いている
「まさかクリムゾンがここまで消耗することがあるとは信じられん」
「まったくだ。我らの芸術品が傷だらけではないか!」
機器を操作しらながら話ている老人二人、ジェームズとチャールズはテクノシリーズの生みの親であり計画の最高責任者でもある
「しかし、真に厄介なのは奴らよ。この宇宙にはあれほどの奴らがおったとはな」
「我らが最高傑作でも雑魚散らしのみか・・・現地の軍の映像ではエース級の機体も確認された。」
「クリムゾンでも勝てたかどうかわからんな」
「ならば勝てるようにせねばならんな」
「ブラックをパワーアップじゃな」
「しかし、時間がたらんな・・・向こうでやれば解決か」
「それと人員がたらんが、それはあちら側から連れてきた奴らを使うか」
実はテクノは撤退ポイントに兵士を届け、帰ろうとしたところ200人ばかりが一緒に連れていってくれと頼まれ彼女の母星に連れ帰ったのだった
「奴らの中にはパイロットセンスのあるのも何人かおったの、例のテクノ・グレイに乗せればよいな」
「あとは輸送機でも借りればよいな」
「馬鹿もん!輸送機などとけち臭いことは言わんでよいわ!戦艦じゃ戦艦でゆくぞ!」
老人達は口々に勝手に話を進め部屋から出ていった
―――――日本領海、北海道近辺
数時間後。ラーデン・ネストは中国から飛び立ち、現在北海道の海を飛んでいた。
時刻は日付の変わり目に近付きつつあり、オペレーターの何人かも欠伸をしたり、腕を伸ばしたりと眠そうにしていた。
艦橋の中央には、気だるそうに、腕に頭を乗せているライナ、その横ではリバルが後ろで手を組んで立っていた。
「まもなく予定の海軍基地ですが、どうしますか艦長?」
「通過して構わないわ。このままトキワちゃんの所に着いたら、近くの海岸にでも停泊させて早朝にそこから運べばいいわ
それと、クルーには上陸許可をお願い。折角の観光地なのに船の中で待ち惚けというのも辛い話でしょう?」
「了解しました。その……私も地上に降りてよろしいので?」
「あなたはこれからたくさん仕事があるから……降りれそうにないわね」
「はぁ……そうですか……では、今晩は海岸に停泊すると言う事であちらにお伝えします。
それと、シュヴェールトはどうするおつもりで?」
リバルの質問に、ライナは黙り込み、椅子の側面に取り付けられていたドリンクを一口飲み、
彼の方を向き、口を開いた。
「……やっぱりセリシアの事はまだ明かせないわ。連邦軍があんな状況でさらに混乱を招きたくないもの。
彼女も早朝にシュヴェールトで出しちゃって、観光していてもらうわ。もし敵軍が出てきたらすぐに出て来れるようにね」
「了解しました。その旨も伝えておきます」
そう言い、リバルは後ろのドアから退室する。
ライナはため息を吐き、虚空に向かって呟いた。
「トップに立つのも大変だわ……あなたは楽でいいわね、ファルク」
―――――早朝、北海道、海岸
早朝、海岸に停泊したラーデン・ネストから数台のトレーラー、そしてシュヴェールトが出撃する。
隠密行動に優れたシュヴェールトは自機をレーダーからロストさせるステルスシールドを起動し、北海道の山奥に消えていった。
トレーラーに積まれている物は、大量の補給物資、そして撃墜されたままの状態の鹵獲機である。
ライナ率いる西ヨーロッパ支部は北海道の研究施設へと向かった……
地球連邦軍第4機動兵器研究開発所
「きった来た来た来た来たキタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア、んもぉ即効で来てくれる何てぇ、おんねぇ様さいこおおおおおおおおおおおおおおおお」
心底幸せ、と言った感じで、エレベーターに乗って地上に降りてくるトレーラーをトキワが見つめている
その目は光輝き、口からはよだれまでたれている有様だ
と
「あ、そーだそだそだ」
更に何かに気づいたトキワが、エレベーターで降下し終えたライガーのトレーラー群を一台一台調べ
がっかりと肩を落してしまう
「ラウフェンもシュベールトもなーい…」
などと言って、しばらくブルーになっていたトキワだったが
「所長、解析の準備できました」
と言う所員の声を聞いた途端
「ヤッホー、やったるわぁ、OK、はじめちゃってぇ!今夜からしばらくは貫徹よぉー」
などと大復活を遂げてしまった
そこに、ケンジョウジやオウドウらに…いや、人間に対しててきとーでやる気無く対応していた女性の面影は無く
子供のようにはしゃぐ、無邪気でどこか捻じ曲がった姿だけがあるのだった
一方
「等研究所副所長の…ナガモリです。この度は本日は遠路はるばる…」
応接施設にて、トキワから「ライナ中将に挨拶しといてー、あたし、一刻も早くライガー見たいからー」と研究以外の所を押し付けられた副所長のナガモリと言う頭の禿げた丸顔の男が
ライナに対し、挨拶や今回の御礼等の応対を行っていた
おいしい所は自分がとり、面倒で興味の無い所には興味を示さない所か他人に丸投げる
トキワが研究者としての腕は抜群だが、人間としては大いに問題のある人物である事は、誰の目にも、明らかだろう
―――――北海道、連邦軍研究所施設応接室
ライナとリバルは、トレーラー部隊と別れ、西ヨーロッパ支部の代表として研究所の副所長からのおもてなしを受けていた。
所長は自ら格納庫に降りて、機体を見ていると副所長は言う。
リバルは真面目に話を聞いていたが彼は、隣のライナの態度を見て少々焦っていた。
偉そうに後ろに背中を預け、腕を組み、足を組み、そしてとても不機嫌そうだった。
リバルはこの空気に耐え切れず、断りを入れて小さくライナに囁いた。
「あの……中将、どうしたのですか……?」
彼の言葉を聞き、ハッ、と何かを決意したようにライナが立ち上がり、そしてリバルに伝えた。
「私はトキワちゃんの所に行くわ。これでもメカニックの端くれ、異星の技術なんてそう滅多にお目に掛かれるものではないわ!
と言う事で失礼します。ナガモリ副所長。御用があるようでしたらこちらのリバルになんなりと申し付けてください。では」
と、言い残しライナは風のように走り去っていった。
リバルとナガモリはその場に残され、ただ唖然としていた。
「お互い、大変な上司をお持ちなようで辛いですね……」
「えぇ……ホントですよ……アハハ」
しばらく二人の乾いた笑い声が部屋中に響いていたとか。
―――――研究所、地下格納庫
ライナは途中で現われた研究員の一人に連れられ、トキワの居る地下格納庫に来た。
庫内には鹵獲した機体一機のみで、他の機体は一切見られない。
ライナは辺りを見回しながら作業で夢中のトキワに近付き話し掛けた。
「相変わらずのはしゃぎっぷりね、久しぶり、トキワちゃん。
最後に会ったのはいつだったかしら……?まぁ、どうでもいいわね。ところであなた達のプロジェクトの機体はどこかしら?
相当手が込んでいたからね、一度この目で見てみたかったんだけど……」
誰かどのキャラにどんな声優あてればいいか書きこんで
何も無い海上を、3隻の巨大な船舶が進行している
いずれも海上を進むのではなく、飛行し、海面より上を飛んでおり
それら全てが地球の技術で作られたものでない事を示している
直列に並んで進んでいる艦隊、その一番前を進む艦の、さして広くない艦長室で
サングラスをした白髪の男が、無数の不気味な生物達に囲まれて、机の上でPCの画面を見つめている
「なるほどな…こりゃ俺にお呼びがかかるわけだ」
そう呟いた男の見つめる画面には、たった一機で無数のライガーを全滅させるテクノブラックの姿が映し出されていた
「これだけでも厳しいってのに」
言って、男は画面を新たな物に切り替える
続いて映し出されたのは、タルタロス
「こんなんや」
画面が切り替えられ、セイガーが画面に現れた
「こんなのまで出られた日にゃ、そりゃたまったもんじゃねぇだろうな」
そう言って、椅子にもたれかかった男の胸に
男の横にいた、六本足で、目が昆虫に似たの虎の様な生き物が、慰める様に頬すりする
「んー」
そんな虎の様な生き物の頭を、嬉しげに優しく男が撫でると、周囲の動物達も同じように
あるものは男の足に触手や体を巻きつけ、ある者は男の頭に乗っかり、またある者は男の着る軍服のポケットに入り込んで、次々と男に甘えだした
「おー、おいおい、お前等あいも変わらずやたら甘えん坊だなおい」
それに対し、男の方も満足げにそれぞれ動物達にかまいだした、その時
「そろそろ艦がヘルミフィア氏の管轄内に入るわよ、艦長」
ただ一匹、PCの横に鎮座し、じっとしていた白いトカゲの様な生き物が、美しい女性の声で男に告げ
それを聞いた男は、おっともうそんな時間かと、多少なごり惜しげに動物達を自分の体から離し、ドアへと向かった
その後ろに、当然の様に六本足の虎が続き、更に男の肩にも一羽、鳥の様な生き物が着陸する
他の動物達も一部、男についていこうとしたが、あの白いトカゲがすばやくそれらの進路に割って入ると、残念そうに大人しく身を引いた
「それじゃ、行ってくるよ」
「お気をつけて、ミスターガルザパール」
白いトカゲを筆頭とした動物達の奇声に見送られ、「PP側の火消し」である男、ガルザパールは、艦長室を後にする
艦橋に入ってきたガルザパールに対し、乗組員等が敬礼し、ガルザパールはそれに応じると、艦長席に進みながら、無言で手を前に出した
乗組員の一人がそれに応じ、すばやくその手に外部通信用のマイクを手渡し、他の乗組員が通信回線を開く
ここまで、彼等の間に会話は一切無い
やがて回線がつながり、ガルザパールは無線の向こうに対して話しだす
その調子は、しかし動物達に対して行っていたのと、大差無い
「こちら要請を受け、南極より応援に参上した、ガルザパール隊だ。中途、本星から派遣されてきた別働隊と合流、そちらに向かっている
そっちとは別に話をつけるとして。とりあえずさっさと我が艦の入港許可を出していただきたし、オーバー」
「」
>>219 「あ、久しぶりです、お…ライナ中将」
ライナに気づいたトキワが、彼女の方を向き、軽く一礼する
一応最低限の礼儀位は持ち歩いていたようだ
「大闘神シリーズの視察…ですかぁ?うーん…」
ライナの言葉に、トキワは多少考える姿勢をとる
ここでライナに大闘神の試作機各機を見せると言う事は
技術者としての競争相手に自分達の情報を見せてしまう事になるのだ
地球が危機に瀕している現状でそんな事を言っている場合ではないのだが
トキワ自身はそんな地球の危機などに興味など無いので、理解など無い
自分の満足いくメカさえ作れれば、それでいいのだ
「んー…でもま、ライガー貰っちゃったわけだしねぇ」
しかし、トキワの思考はだんだんと見せる方向へと傾きだしていく
ライナに競争する気が無いのはライガーを提供してくれた所からわかる
だから向こうが情報提供しているのに、こちらがしないのはフェアではない
何より情報を知れた所で、自分が完成させた物以上の物が、作られるはずが無いと、トキワには絶対の自信がある
やがて結論が出たトキワは
「んあ、いーですわよ、モリナガ君、案内したげて」
そう言って下にいたモリナガという助手に、ライナの案内を任せ、自身は再び、作業に戻るのだった
テクノが現在いる場所は宇宙に広大な版図を誇る連合と呼称される組織の首都惑星に存在する
軌道ステーション、そこに係留されている戦艦、連合軍高速戦艦に乗っていた
他にはジェームズ、チャールズ両博士の姿もありクルーはテクノに付いて来た兵士たちで固められていた
「しかし、残念じゃ……今回は送り届けるしか許可がでんとはな」
ジェームズは至極残念そうな顔でうなだれていた
「ブルーが苦戦しているのでは仕方あるまい、それにグリーンも暇ではないからな」
チャールズは腕を組み遠く宇宙の彼方を見つめながらいつものように威厳たっぷりに言葉を発する
しかし、どこか寂しそうだった
「兄ちゃんも姉ちゃんも大変なんですね……久しぶりに会いたかったです
それにおじいちゃん達も送ってくれるだけなん寂しいです」
テクノは泣きそうな顔で椅子の上で体育座りしていた
「な〜にすぐに迎えにいくっすよ、そんな顔は似合わないですよ、」
操舵席座る若く元気な男リョウがテクノを励ます
「さて、そろそろ出航じゃ、すぐにワープに入る。」
「微速前進、各員ワープに備えろ」
戦艦ケーベレマーレが軌道ステーションを出航した。すぐに船体は青い光に包まれ空間を跳躍した
地球、日本近海
「ほう……ここが地球か、なかなか良いところじゃな」
ジェームズは物珍しそうに辺りを見回す
「ジェームズ、そのくらいにしておけ、興味がわきすぎると居着きたくなってしまうぞ」
チャールズは静かにジェームズの肩を叩いた
「そうじゃな、テクノ元気でな、今回強化はできんかったが強化パーツは必ず送り届けるからな、楽しみにしておれ」
出撃していくテクノを名残惜しそうに見つめながら手を振る
「武運を祈る」
「お嬢、元気で頑張ってくださいね」
チャールズは短く言葉を贈り、リョウはエールを送る
「みんな、いってくるです。お土産は期待しないでくださいね」
テクノは手を振りながら着水し機体を海に潜航させとすぐになにか巨大なものにぶつかった
それは日本に向かっていたタルタロスだった
プロスタスの艦がオーストラリア付近に着いた頃
与えられた部屋でヴォラヌスは提出用のデータの整理をしていた
話を聞くとこの星のレベルの再訂をする必要がある、そして
少ない情報から地球には自分たちを除いた複数の勢力が存在しているとのこと
本星のデーラによるとこの星のレベルは低く設定されており
ヴォラヌス自身もこの星はさぞ原始的な星なのだろうと思っていたようだが
実際眼で見てそこまで劣った文明ではないと思えてきた
野球ボールのような端末にデータを投影させ今後の予定を確認
本星から送られてくるメールに目を通すと、この星の価値を出せと言う内容のものがあった
「資源惑星としての価値は並といったところ、今後我々の為になるかどうかは未知数」
そのような主をメール返信した
もう直ぐ入港だろう
見知らぬ地に足を踏み入れるのは心踊る
これから先どのような出来事が自分を楽しませてくれるのか
そう思い端末を切った
日本近海
沖縄を出発して十数時間、漆黒の箱舟「牙影」は、未だ日本に辿り着いていなかった
というのも、コウ曰く「急ぎの用ではない」とのことなので、それならば牙影やタルタロスの状態を万全にしておきたい、という
キサラギ班長からの提案で、少し進んでは止まり、また進んでは止まり…を繰り返しているためである
だが、そのおかげで牙影も調子を取り戻し、タルタロスも傷が癒えたようで、今は眠りについている
牙影 ブリッジ
今現在のところ、このブリッジには数名のオペレーターの他に、突馬隊副隊長チハルと暇なメシス、それとコウしかいない
それ以外の者は各々自由時間を過ごしている。通常時の牙影は、基本こんなもんである
オペレーター達は持ち場を離れ、一つの席に集まって談笑などしている
一方、チハルはというと、ボーイッシュな外見と男勝りな性格に反して、意外にもファッション誌などを読んでいる。そういえば彼女の私服姿はカワイイものであった
それらの様子を眺めつつ、コウはメシスとのオセロに興じている。因みに現在押されぎみである
「たーいちょ♪悩んでますね♪」
「ぬ……ぐ……」
次の一手で角を取ってやろうと、思案を巡らせていたその時、一人のオペレーターが、レーダーの反応に気付いて声を上げた
「隊長!本艦に急速接近する機影を確認、数は一!このままでは衝突します!」
「落ち着け…あと今度からはちゃんとレーダーに注意しておけよ……粒子フィールド展開、対ショック!」
次の瞬間、艦に衝撃が―――来ない?
『オォオォォォォオオオオォ……!』
ブリッジに居合わせた者達の目に飛び込んできた光景は、知り合いがタルタロスに握り潰されそうになっている、というものであった
「あれ、ハチャメチャ子さんじゃないですか?」とメシス
「識別信号確認……ふむ、ハチャメチャ子だ」とコウ
「ハチャメチャ子て…誰?」とチハル
状況は最悪。寝起きのタルタロスは機嫌が大変に悪く、戦艦形態であったが腕だけを飛び出させ、テクノをわし掴みにしている
テクノを知らないチハルは、取り敢えず目の前のパネルを操作し、牙影の全砲門をテクノに向ける
因みにチハルは接近戦のエキスパートが集う、突馬隊の副隊長ながら、射撃の腕前が飛び抜けて凄まじく、この距離では外す訳が無い
メシスがわたわた慌てながら、アレは味方だ知り合いだとチハルに説明しているのを後目に、
コウは通信を開く。タルタロスが直に触れているので、直接通信が可能だ
「………何をしに来た……白黒嬢…」
「調査隊からの報告はどうだ オルトナー君?」
本星より派遣されている上級監察官ユーグ・ブロンベルクは茶を口にしながら『調査の結果』を部下に尋ねた
「収穫は無かったと先ほど報告がありました」
結果を尋ねられた部下 オルトナーは調子を変える事なく淡々と答える
「まあ 仕方あるまい…時間はたっぷりとある」
ブロンベルクは結果を見越していたかのように呟くと
早々に話題を赴任先であるオーストラリア方面軍の事に変えた
「中々…面白い部隊のようだな…」
カップをテーブルに置くとオルトナーより手渡された資料に目を通しながら感想を発していく
資料に記載されたデータからブロンベルクは方面軍に不利な部分を探し出し
言及できるよう準備をしておくのだ
これは監察官としての仕事であると同時にもう1つの目的遂行のために必要な事であった
手に持っていた資料をテーブルに戻してから
しばらくするともうじきオーストラリアに到着するという艦内放送が部屋に流れた
さっきの放送から流れたオーストラリアという単語からある事を思い出したブロンベルクはまたオルトナーへ質問をした
「オルトナー君、確か司令官は若い女性だったな?」
「はい、そう記憶しております」
何かを含んだ笑みを浮かべ問い掛けたブロンベルクとは対照的にまたオルトナーは機械的に返答した
>>225 テクノが海底から日本に向かおうと考え機体を海深く潜航させるとコクピットに強い衝撃が走る
「キャァァァァァァ!な、、なんです!」
レーダーには何も映っていないことを確認する
するとメインモニター映像が突如現れた巨大な壁のようなものでいっぱいになった
「い、いったいどうなってるんです!!」
テクノは混乱の頂点に達する、レバーを乱暴に動かしと機体が溺れてパニックに陥った子供のように手足をばたつかせた
メキメキと何かが軋むようないやな音がコクピットに響く、機体が何かに潰されそうになっている
「まだ全然安全深度ですよ!ま、まさか敵!!!」
テクノはさらにパニックになりガチャガチャとさっきに増して乱暴にレバーを動かす
しかし、機体は動かない、動こうとしているがピクリとも動かせない
「助けてぇぇぇ!おじいちゃん!兄ちゃん!姉ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」
気が狂ったようにレバーを操作する。顔は涙でぐちゃぐちゃになっている、目に見えぬ恐怖がテクノを支配する
>>「………何をしに来た……白黒嬢…」
コウから通信が入る、テクノは声にならない悲鳴を上げるがモニターに映るコウを確認すると掌で涙を拭い、大きく深呼吸し
気分を落ち着かせる、目は真っ赤で顔中に涙の後があるが何事もなかったようにコホンと咳をすると通信に応えた
「コウさん、お久しぶりです。何しに来たと仰られても、交差点でたまたますれ違ったような偶然ですよ。特に用はありませんです……」
そこでテクノは言葉をいったん止め、少し考えるような間を置いたあと再び続けた
「いえ、用はなかったんですが、そういえばたった今できましたよ。私は今とても怖い目に遭いました……とっても怖い目です。
そう誰が悪い訳でもない事故でですが……」
テクノは時折、変な間を置きながらさらに続ける
「悪い人がいない……じゃあ、私の怒りは、悲しみは誰に向ければいいんです?ねえ、コウさん」
テクノは笑顔でコウに語りかける、目は笑ってはいない、そして、コウの答えを待たずに続ける
「コウさんってその船で一番偉いんですよね?じゃあ、申し訳ないんですが責任とってくださいね、詳しくは中でお話しさせてください、だからハッチを開けてください」
ニコッと目が笑っていない笑顔を残してテクノは一方的に通信を切った
>>221 >>224 >>226 「まったく、本国の連中ときたら言葉の扱いさえ不自由するようになったか」
身なりをそれなりに調えたヘルミフィアは、そう吐き捨てて会議室へ向かう
本国からの増援が、南極経由でオーストラリアに接近した時点で
彼女はそれらをすんなりと受け入れたのだが、助っ人のメンツを見て愕然とし、後に沸々と怒りが込み上げてきた
私は確か、色物でなく精鋭を頼んだつもりなのだが………
といった具合である
本国から召集された戦力を、オーストラリア本部第一会議室に取り敢えず通し
飲み物などで軽くもてなしてからヘルミフィア本人が姿を現す
「やぁ、諸君。遠路はるばるご苦労様なことだ」
四人ぽっちのだだっ広い部屋にその声が響く
「君らも知っての通り、我が軍から裏切り者が出、他の星系の機体も確認されている
本来ならば私の部隊が独力で対処せねばならないのだろうが
如何せん今の私の部隊は、装備が貧弱で練度も高くはない
練度や装備というのは、昨日の今日でどうにかなるものではないのはよく判るだろう?」
ここでタメを作り、それぞれの顔を見回す
動物愛護者、トカゲ人間、小物臭い男。コレを色物と言わず何を言おうか?
「敵に対して決定打を欠く現状では牽制以上の事は出来ない
そこで、戦闘要因の君らにはその決定打になって貰いたい
飽くまでこの任務にさえ忠実であれば、演習等の雑事は免除しよう。
何か質問はあるか?無いならコレでお開きだ。次回の召集まで好きにするがいい」
「貴殿がヘルミフィア殿か」
三人に遅れて、マントに身を包んだ長身の男、もといロボットが会議室に現れた
護衛のスタイラスも続こうとするが、部屋の入り口に下がらせた
プロスタスの任務は、ヴォラヌスをここに送り届けた時点で終わっているはずであった
しかし、その目的は地球を一目見極めようというものであった
センサーバイザーに黄緑色の眼光が灯り、ヘルミフィアを見てそう言った
「我はプロスタス、カークラク卿のご意向に従って動く者である
我の任はヴォラヌス殿を送り届けた時点で終わっている
が、同胞の苦境、見過ごすことはできぬ
我も戦列に加えてはもらえないだろうか?」
そう言って、ヘルミフィアに華やかなデザインの書類を提出した
それは、「プロスタスを汝の指揮下に加えよ」というシンプルなヘルミフィアへの命令書であった
命令の発令元は、参謀本部からであった
つまり、ヘルミフィアがプロスタスの戦列参加を拒否することはできないのである
>>227 「………は?」
「なるほどハチャメチャ子」
第一声の間抜け声がコウ、その次が何かに深く納得を示したチハルである
コウの深層心理で、そのまま握り潰してくれ。頼むから。という声が響いたような、響かなかったような
しかし、何やら泣かせてしまったようだし、自分にも罪悪感というものがある。いや、別に罪を犯したわけではないのだが
……ん?背後に気配が……
「何女の子泣かせてんのよアンタは」
背後に立っていたのは漆黒の牙副隊長、マリナであった。その服装は軍服ではなくスポーツウェア
髪まで濡れているということは、なるほど。鍛錬は欠かしていないようだ
「ふ〜、良いお湯だったわ」
風呂だった。危うく褒めるところだった。だが、さてどうしたものか
沖縄でのテクノの戦闘を見ていたが、機体無しでも彼女単体で阿呆みたいに強い。そんな輩を迂闊に艦内に招いては……
黙り込んで考えているコウを見て、首を傾げたマリナが然も当然かのようにぽつりと言った
「ウチにもアレくらいの戦闘力あるのなんているじゃないの。てか、もう行かせたんだけど」
「えぇ〜〜〜……そういう判断はまず俺を通そうよ〜マリナさぁん」
牙影 第三ハッチ
着艦したテクノの目の前に、漆黒の牙が誇る四人の強者が立ち並んでいた
一人はメシス。そしてその横に立っているのは、赤い装甲服に黒い特殊金属繊維の布を腰に纏って、
鬼と髑髏を合わせたかのような、不気味な仮面をつけた大男、突馬隊の隊長を務めるジンキである
三人目は、肩の装甲に二本、腰に二本、計四本の刀を携えて着物のようなバリアジャケットを装着している女性
戦闘指導官、オウカ・シチジョウ。最後に、明らかに目立っているロボット。4mはあろうかという身体で
脚は逆関節式。背部ウィングは有機的で、尻尾まで生えている。翠に輝く装甲板で包まれたその姿は、どこかドラゴンを思わせる
彼は第二小隊隊長、ツヴァイヘンダー。元は人間である
「ごめんなさいね〜、副隊長が警戒して行けって言うもんですから〜」
笑顔で近づくメシスだが、背中からは二本のバズーカ、腰からミサイルランチャー、脚部からはガトリングガンが飛び出しており
頭部のダレイズ・ホーンは『叩き斬ってやんよ!』とばかりに発光しており、既に右手のゲインライフルと
左手に握った巨大なグランプラズマカッターをテクノに向けている
「ブリッジはこちらですよ。ささ、私達に付いて来てくださーい!」
メシスは笑顔で歩き始める。他の三人は…………笑ってない
>>228 「不愉快極まりますな」
ヘルミフィアの話を聞き終えるとブロンベルクは開口一番こう言い放った
「申し遅れました 私はユーグ・ブロンベルク 本星より派遣された上級監察官です
それでは私から准将にお尋ねしましょう
私がこのオーストラリアに来た理由はお分かりですかな?」
ブロンベルクは自己紹介した後、嫌みたらしく質問を投げかけたが
返答を待つ事無く言葉を続けた
「…本部は准将、つまりあなたの戦力運営に疑問を持っているのです
いかにイレギュラーな事態が発生したとは言え
私の予測では十分に現状の戦力で対応できたと考えますが?
それに方面軍からの報告を拝見しますと戦力の疲弊が甚だしい…
この点でも貴女の指揮官として能力に疑問符を付けざるを得ませんな…」
一旦、言葉を終えるとまるで小馬鹿にするかのような視線でヘルミフィアを一瞥し、また話を続ける
「今後私は上級監察官として逐一この部隊の動きを本部に報告させていただきます
その為 何かと准将のお側に控えさせてもらう機会が多くなりますが…
どうぞ御理解とご了承を…
長くなって申し訳無い 私から以上です」
>>228 >>231 出された飲み物には手を付けずヘルミフィアの話を聞く
現状の戦況が如何せん理解ができなかったが話を聞き理解をする
自分は監査のつもりできたが、戦闘要員として参加できると言うのはヴォラヌスには
心躍る出来事だった。
しかし、監査官である以上言うべきことは言わなくてはならない
ヴォラヌスが口を開こうとした時ブロンベルク上級監察官が言いたいことを言ってくれた
だが、少し棘のある言い方である、また態度が悪い、ブロンベルグの言う事は正しい
正しいが挑戦的な態度をとるのは望ましくない
ブロンベルクは上級監察官であり立場上はヴォラヌスより上である、しかしヴォラヌスとは所属が違う
ヴォラヌスは一度退役しており予備退役中に国防総省の監査官になりこの星に来ている
ヘルミフィアにしてみれば2人はただの監査官でしかないが、ブロンベルクは軍に籍を置いた軍人であり
ヴォラヌスは本星の役人、監査に関する権限はあるが、軍人としての権限は無いに等しい
これから軍で世話になる身としてはあまり印象が悪い状態では自身の仕事に支障が出かなねない
ここでヴォラヌスが口を挟む
「ブロンベルク殿 仰ることは分かりますが 私がこの星に着た理由 それは戦力運営の判断ではなく
この星の 戦力レベルの判断 彼女自身の監査は 対象ではない。」
ヘルミフィアに顔を向ける
「もっとも 君からの要請は 理解している
戦力強化 検討するために ここ来ている どちらにせよ 必要なのだろ? 補強が?
時間をかけずに監査をするならば 私を戦線に投入して欲しい 私が 直接 判断しよう 」
>>230 第三ハッチに着艦させ機体から降りるとなにやら唯事ではない雰囲気の四人組がテクノを出迎えた
テクノは特に反応することもなく四人組のもとに向かう
「お出迎えありがとうございます。なかなか個性的な方々がいらいしゃいますね」
その表情を最早見ることはできない、なぜなら彼女の顔は戦闘形態時の姿になっておりヘルメットをかぶりフリフリの衣装に
着替えていた
「さ、コウさんの元に案内してくださいです。私はコウさんに用があるのですから」
彼女は中々に怒っているのがわかる、彼女の体から紅炎がメラメラと吹き上がっているから
メシスの後を付いていく彼女の顔もやはり笑ってはいなかった
そして、ブリッジへの扉が開かれた
「これが、現在新たに製作中の、大闘神計画の試作5番機、真空機(しんくうき)です」
トキワから案内役を任されたモリナガが、先ほどのハンガーとは別のハンガーで、後ろに立つライナに対して言った
彼等の前には無数のコードと、簡易足場に取り囲まれた、まだ骨組み段階で全容さへわからない巨人が横たわっている
「これが発展型の中で建造が一番進んでる機体です」
そう言って、モリナガはライナに真空機についてのデータブックを渡し、自身も同じデータブックを出すと
付箋紙がされたページを開いて、ライナにそれを見せながら、説明を始めた
「真空機は空中戦を想定した闘空機の発展機でして、闘空機よりも自在で無理の無い空中戦を可能にしています
闘空機は沖縄戦以前から活躍していたので、この機体は沖縄戦以前から建造が進んでいたので既に基礎部分は出来ていたのですが
ここに来て闘空機よりはるかに自在に空中戦を行っていた敵の人型兵器が手に入った事により、また0からスタートって事になるかも知れません
ほんとに、異星人のロボットにゃかないませんからね…」
と、何かに気づいたのか、モリナガがはっとして手を横に振った
「あ、別に、無駄な仕事しちまったなぁ、とか、そんなこたぁ思ってませんよ。えぇ」
誰もんな事は無論聞いていない
ヘルミフィアの話が終わり、ヴォラヌスやプロスタス等がヘルミフィアに対して各々何事か述べている時
ガルザパールは一人、ヘルミフィアの話が終わった瞬間から軽く飲み物なんぞを飲みながらその場で書類を製作を始めていた
「えーっと…あー…いーわっくしーよーうーの…らーいーがーあーしーゆー…」
周囲の状況をまるで気にせず一人黙々と書類書きを続けていくガルザパール
しかも、書いている文面を小声で読みながら
「こーれーを…せーんーめーつするたーめに…てー…」
と、突如、ガルザパールはペンを止め、何事か目を瞑って考え始めた
そのまましばらくじーっと何か考えていたガルザパールだったが
やがてブロンベルクの後ろにオルトナーが立っているのに気づくと、すっと席を立ち
「すんませんちょっちいいですかい?」
などと言いながら彼に近づき
「てっこうりゅうだんって、どう言う字ーでしたっけ?ど忘れしちまって…ここに書いてくれやせんかね?」
と言って書いていた書類とペンを差し出した
声優うんぬんについて言ってる奴へ
自分の頭の中だけでやってくれ
テクノの前後左右を、四人でガッチリと固めて歩く。正直、この四人に囲まれるというのはライオンの檻に放り込まれたような状況であり、
その中心で普通にしているテクノは、度胸があるのか、危機管理能力がどうにかなっているのか……
すれ違う隊員達は「何故あの四人が…!?」、「戦闘準備か!?」などとざわめいている。
程なくして、一同はブリッジに到着。メシスがパネルを操作して扉を開けると、そこにはモニターと睨めっこをしているコウがいた。
「…識別コード『ASH KNIGHT』……」
モニターに映っているのは、先程着艦させたテクノの機体。映像を送ってきているのはコキュートスである。
暫く映像を眺めていたようだが、モニターを消してこちらに向き直った。
「そしてお前だヒーローレッド。取り敢えず、用件を聞こうか…」
コウが何か合図をすると、メシスを残して他の三人はブリッジから出て行く。
因みにマリナとチハルも残っており、マリナはスクール水着の様な装甲付き戦闘服を纏い、
手には彼女専用の武装である槍斧型破砕砲「ディルバガン」が握られている。
チハルの装甲服は白が眩しく、胸元には力強く「破」と書かれたアーマーが付いている。
その左腕には、盾から巨大な爪が伸び出た形の特殊近接戦闘兵器、「アルタイテン」が装着されていて、明らかに重そうだが、チハルは簡単に腕を振り回す。
メシスはさっきからずっとニコニコしているが、何処からか身の丈以上のガトリングガンを二つも取り出し、ドラムマガジンに接続していた。
それらの光景を厭きれたように見ていたコウだが、立ち上がると、穏やかな声でテクノに話し掛ける。
「あー…茶でもどうだ?紅茶もコーヒーも…緑茶もあるが。いや先程はウチのタルタロスが迷惑を掛けたようで…」
低姿勢である。
「まぁ、とにかく……話は茶でも飲みながらということで…」
>>234 ライナはモリナガの説明を夢中で聞き入っている。
現在の傑作機を更に発展させた新型、トキワの才能はすごいものだ、とライナは感心していた。
「……すごいわ、この機体!心から感動したわ!」
と、手に持った書類を放り投げ、モリナガの手を固く握る。
彼女の目は爛々と輝いていた。
「単独で飛行できる人型を計画していたなんて……この計画に私達、西ヨーロッパのメカニックも協力したい!
勿論、邪な事なんて考えていないわ!必要であれば我々のデータの一部も開示しましょう!」
「は、はぁ……」
飛行できる人型。これは連邦軍のメカニックの目標であり憧れであった。
当然同じメカニックとしてライナもその目標には加担したいと思っている。
だが、既にその目標を達成できているライナの事情を知る者がここで見ていればさぞ皮肉に聞こえていた事だろう。
「……トキワちゃんに直接交渉を仕掛けるのが先決か……
そうと決まれば、街に出ている男共を呼び出す必要があるわね……」
ライナは既にモリナガのことを気にせず、一人でぶつぶつと独り言を呟いている。
彼女の脳内では既にトキワの了承前提で、先のことを考えていた。
「さぁ!地球人の力で異星人の機体を超越するような機体を造りましょう!」
>>229 >>231-232 何が気に入らないのか、ヘルミフィアはピクリとも顔つきを変えはしない
どうも話を聞く限り、トカゲと小物が監察官であったらしい
小物はともかく、トカゲはコミュニケーションに困りそうなのによく監察官などに任命したものだ
>「もっとも 君からの要請は 理解している
(中略)
時間をかけずに監査をするならば 私を戦線に投入して欲しい 私が 直接 判断しよう 」
「翻訳機の特性なら仕方ないが、私は末席とはいえ将官なのだがな」
そう不満げにトカゲことヴォラヌスに切り出し、小物ことブロンベルクにチクリと反撃する
「私の手腕が不満ならば本国の軍総会でそう言えばいいじゃないか
あまりに口が過ぎると、私の管轄内では命の保証はしかねるぞ」
そこまで言って、入口に突っ立っているロボットに
頬杖をつき、流し目をくれてやりながら答えてやる
「そうか。それは助かる」
もうウンザリと言わんばかりにため息をつき、ヘルミフィアは席を離れる
「もういいだろう?この場はこれで解散だ」
>>239 ジャッカル「貴様、その目気に入らん!
マスター・プロスタスを機械と侮るか!?」
「やめよ」
ヘルミフィアがプロスタスを見る態度が気に入らなかったらしい
入り口前に待機していた護衛スタイラスの一体が、ビームブレイドを抜いて入ってきた
しかし、プロスタスそれを前に出て制止し、武器を仕舞わせた
「失礼した
彼らは我が本国より稼働検証を任されている最新鋭のスタイラスロイドだ
型番はNST-04、正式名称をネオスタイラスという
最高の人工知能を搭載し、並列化せずとも優れた判断能力で安定した行動を実現
更に、オプションの組み換えで様々な状況に対応できる柔軟性をも兼ね備えている
これが実用化すれば、現行のシリーズなど全て無意味な存在となるだろう
紹介が遅れてしまい、申し訳なかった
詳しいデータなどを知りたい者は、後で我が艦に来てくれればいい」
そう言うと、二体の護衛スタイラスを並べさせて会議の場の者に紹介した
しかし、長い話はこれで終わりではなかった
プロスタスは困ったことに、おしゃべりが好きな性格なのである
「もっとも、我の護衛をさせているこの二体はその中でも更に別格な存在だ
人工知能を熟成させることを目的とした実験機体として運用されている
現在順調に進んでいて、このジャッカルなどは感情まで持つに至った」
ジャッカル「………」
ジャッカルと呼ばれた赤いカラーリングのスタイラスは、無言で棒立ちしていた
ただただ、ヘルミフィアの方をじっと見ている
「ヘルミフィア殿、この者の非礼についてはお許し願いたい
フフ、何せ発展途上の子供のようなものでしてな」
去っていくヘルミフィアを見て、そのように言った
ブリッジに入ると、まず目に入ったのはモニターに映るブラックの姿とかわいらしい少女達が不釣り合いの巨大な斧や爪を持ち、奇妙な装甲服を着込んだ姿だった
(無駄なことを、そこまで身構える必要ないのに・・・です)
彼女はいま戦闘形態に移行している、もし今の彼女に勝てる人間がいるとしたらそれはもう化け物であり人間ではない
彼女の余裕はそこからきているのだ
さらに少女達と事を構えつもりはなかった
だから、彼女はまず、警戒心をなくして貰うことにした
「こんにちは、私の名前はテクノ・クリムゾンです。なんどか戦場で顔を合わせているのですが、一応、はじめましてですね」
スカートの端少し持ち上げ、丁寧に挨拶をする
戦闘形態なのはただの威嚇、そう考えていた
だから、怒りを隠そうと演技を見せるが彼女の全身から噴き出る紅炎は止まることはなかった
挨拶を済ませるとちょうどコウが振り返りテクノに飲み物を勧めてきた
「では、お言葉に甘えさせていだだきますです
アイスミルクティーをいだだけますか?
ミルクと砂糖たっぷりいれたです」
彼女はそう注文をつけると手近な椅子に腰掛けた
「それではわたしのお話ですが、二つありますです」
指でVサインを作り、足組み替えた
「一つは私を仲間に入れていただきたい
今回の出会いは偶然ですが私はよい機会と考えています。
先ほどは取り乱して、少々無作法なところお見せしてしまい、快く思っていらっしゃらないと思いますが、どうかよろしくお願いします」
彼女は頭を下げお願いした
「もう一つはコウさんを一発殴らさせていただきませんか、そうしないと、この怒りが治まりそうにないので
大丈夫ですよ、この細腕を見て下さいです
コウさんにとってはなんともないですよ」
とびっきりの笑顔とプレッシャーをコウに向けた
「お、今の笑顔に萌えを見た。同行を許可する」
「……は!?」
「あ゙ぁ!?」
「今日も隊長は変わりなくオカシイですねぇ〜。でもそこが大好きです」
威圧よりも萌えが優先されたようで、コウはとても満足そうに頷いている。
メシスはもう何か大切なものを捨て去ったようで、ただニコニコとした笑みを絶やさない。
「だがしかし、もう一つの方は生憎と呑んではやれんな………俺に何かあった場合……」
コウは、そっとブリッジの外を指差す。
そこには、テクノに負けないほどの、むしろそれ以上の殺気と覇気を放ったレイカが、コキュートスでこちらを睨みつけていた。
煉獄鎖を不気味にくねらせ、恐ろしいまでに静かな殺気を放つレイカは、瞬き一つせずにテクノだけを見据えている。
『ゴァアアアアァァァァアアアァァァアアアアアァァアァ!!!』
突然ビリビリと響く、牙影が崩壊しそうなほどの振動が奔る。それを聞いていたメシスはクスクスと笑って言う。
「うふふ…タルタロスがね……『ここからでも汝を喰える』…って言ってます…」
その言葉を証明するかのように、床から大量の触手が現れてブリッジを埋め尽くす。SF映画のエイリアンみたいだ。
メシスは歩き出し、途中で「あ、はいどうぞミルクティー」とテクノにミルクティーを渡してからブリッジから出て行った。
恐らくタルタロスの怒りを静めに行ったのだろう。
「…まぁ、仲間にしてくださいと頼むというのに、その相手を殴らせて下さいというのは罷り通らんわけだ」
「人にものを頼む態度じゃないのよ、アンタは。もちっと考えなさいな」
「だがドサクサに紛れて一発入れるのはアリだぜ」
「何……!チハル、もしや今までの『手が滑った』とやらは全て…!」
テクノを無視して口論が始まりそうになったが、コウがはっと我に返り、振り向いた。
「我々の現在の目的地は日本だ。到着には暫しかかる。その間は牙影の見学でもしていてくれ……俺の目を見て話せチハルゥゥ!!」
それだけ言い終えると、結局口論が始まってしまった。
タルタロスが暴れるのを止めたところで、再び牙影は微速前進を開始した―――
太平洋を飛行する戦艦、ユリカゴ。
そのブリッジとも言える部分では一人の少年、カズキがリラと呼ばれる少女に連れてこられていた。
「そ、それって何かの冗談……だよね?」
「……カズキ、貴方は聖なる牙の乗り手としてこの時代を戦い抜く運命にあるんです」
顔を思わず引きつかせるカズキ、だがどうしようもない事はわかっていた。
もうオーストリアには戻れない、そもそもあんな戦いがあったのに戻る気なんてわくわけがなかった。
「……それで、僕はどうすればいいの?」
「……まずはカズキの服等などを調達するべき」
リラは感情がない声で答えるとモニターに地図を表示する。
其処にはいくつかの点灯する部分があり、ひときわ大きく輝いているのは自分たちがいる場所だとわかった。
「どこにいく?」
「……日本、そこはまだ安全って母さんたちに聞いたから」
少し疲れた顔でカズキがそう答えるとリラはそうと答えてユリカゴを動かす。
それを少し現実味がなさそうにカズキは見るだけだった。
「ねぇ、もし戦いぬいたら僕はどうなるの?」
幾つも聞きたい事はあったがそれだけは聞いておきたかったカズキはそう尋ねると。
「……それは貴方が決める事」
少し考えるかのように黙った後にリラはそれだけ答えて来た。
「…帰りたいよ」
「今は、ここが貴方の帰る場所……それは変えれない」
ただ項垂れるカズキ、リラはさほど興味なさそうに彼の要望を断るだけだった。
「……どうして、普段が貴方なの…」
ただ、一つの不満を口にしたのはカズキは聞こえていた。
だが、それに対して何かを言えるほどの気力は今の彼にはわく事もなかった。
……これが彼等の旅の始まり、その幾先には……何があるか分かる者はいない。
ユリカゴは進む、少年の迷いを乗せて。
>>242 >「お、今の笑顔に萌えを見た。同行を許可する」
テクノは正直、驚いた
まさかこんなにも簡単に同行を許可されるとは思っていなかった
「ありがとうございます」
テクノは立ち上がりお礼を述べた
>「だがしかし、もう一つの方は生憎と呑んではやれんな………俺に何かあった場合……」
コウが指差した方をみる、憎悪とか殺気とかそういった感情を凝縮したような機体がテクノを睨みつけていた
「キャァ!」
テクノが可愛い悲鳴を上げる。その拍子で戦闘形態が解除された
後ずさりするテクノ、先ほど感じた恐怖とは異質、短い彼女の人生ではもちろん初めての恐怖だった
『ゴァアアアアァァァァアアアァァァアアアアアァァアァ!!!』
タルタロスの咆哮が耳つんざく、周囲は異形の触手で埋め尽くされていた
「ヒイィ!」
テクノは今度は短い悲鳴を上げ
>「うふふ…タルタロスがね……『ここからでも汝を喰える』…って言ってます…」
「ジョ、冗談じゃないです!私なんて食べてもおいしくないです!」
強がった口調だが言葉はなんとも気弱なものだった
狼狽えるテクノにメシスが近づいて来た
>「あ、はいどうぞミルクティー」
差し出されたミルクティーを一口飲む
「甘くて美味しい〜」
思考を停止させミルクティーを味わうテクノ
>「…まぁ、仲間にしてくださいと頼むというのに、その相手を殴らせて下さいというのは罷り通らんわけだ」
「人にものを頼む態度じゃないのよ、アンタは。もちっと考えなさいな」
「だがドサクサに紛れて一発入れるのはアリだぜ」
「何……!チハル、もしや今までの『手が滑った』とやらは全て…!」
思考停止しているテクノを他所にコウ達は口論を始めた
その声が頭に入る
(そういえばコウさんを殴るっていってたっけ……もうどうでもいいです
元々冗談みたいなものだし)
>「我々の現在の目的地は日本だ。到着には暫しかかる。その間は牙影の見学でもしていてくれ……俺の目を見て話せチハルゥゥ!!」
そんなことを考えているとコウが提案してきたので再び口論をはじめたのでテクノはだまってブリッジを後にした
245 :
あむろ:2009/07/04(土) 18:34:12 O
おまんちん
>>235 >「すんません(略)てっこうりゅうだんって…」
ガルザパールから差し出されたペンと書類を軽く一礼し
無言で受け取ると癖が無い完璧とも言える文字で『鉄鋼榴弾』と書き記しガルザパールに手渡した
「これでよろしいでしょうか 文字に間違いは無いと思われます」
感情を感じさせない声でそう言い終えるとまた微動だにせず正面を向き始めた。
>>232 >>239 >「ブロンベルク殿…」
ヴォラヌスの言葉は確かに正論であった だが正論を付かれたというのは的確な反論を封じられた事を意味していた
「こっ…これは失敬 ヴォラヌス観察官
しかし近年の翻訳機は素晴らしいですなぁ…
異人種間で皮肉を仰れる程発達しておられるのですから…」
平静を装ってはいたものの言葉の端々に乱れが出てしまったのは誰の目にも明らかだったであろう
一方、下手な皮肉しか言えなかったブロンベルクは
ただ心の中でヴォラヌスをトカゲや蛮族と罵る他なかった
>「私の手腕が…」
「無論貴方の評価報告並びに運営実績は一言一句漏らさず本国に報告させて頂く!!!
それと私の身辺警護にはせいぜい気を配る事ですな
もし私の身に何かあれば事故であれ疑いがかかるのは准将!貴方です!
せいぜい私を謀殺しようなど考えない事ですな!!!
上級監察官たるこの私にはあらゆる権限の行使が認められているんだ!」
ヴォラヌスの一件の鬱憤を晴らすかの如く
いきなり立ち上がるとヘルミフィアの方を指を指し血走った目で睨みつけながら彼女と自分の地位との違いを力説した
「私はもう退席させて頂きます!
いくぞオルトナー君!!!!」
目の前にあった飲み物を飲み干し、器を割れない程度にテーブルに叩きつけると
ヘルミフィアが解散と号令する前に足を強く踏み鳴らしながら部屋を後にした
「徹甲榴弾」のような希ガス
そもそもそんなカテゴリーの弾は無い
徹甲弾は貫通させる物
榴弾は爆発させる物
貫通させた先で爆発させるのはバンカーバスターくらいだけど
あれは弾薬ではない
もとから用途が対極にある
>>246 「はいさ、ありがとうございます」
親切に応えてくれたオルトナーにペコリとお辞儀し、ガルザパールは席に戻る
「えーと…どこまで書いたんだっけェ?
ぁ、ここだここだ、攻撃目標α、「タルタロス」の殲滅を容易にするために
その強固な装甲を破壊し、なおかつ、その細胞組織を再生を不可能にできる
破鉄鋼(はてっこう)社製の榴弾、通称、破鉄鋼榴弾(はてっこうりゅうだん)、アサルトライガー用を我が隊用に200発、陳情します…うん、書けてる」
文章に誤りが無いのを確認し、満足そうに頷くと、ガルパザールは周囲の険悪な雰囲気をまるで気にせず、再び黙々と続きを書いていく
破鉄鋼榴弾、それは上記の通り、破鉄鋼社が開発した、ナノマシンによって自然治癒する能力がある兵器の、その再生能力を破壊するための兵器で
発射された榴弾は爆発と共に装甲に浸透し、ナノマシンを殺していく特殊な薬剤を散布し
装甲内部や機械系等などに存在する敵のナノマシンを死滅させ、敵の再生能力を削ぐ、凶悪な兵器である
が…
この兵器は近年日進月歩の勢いで新型ナノマシンが登場しているPPの世界では既に旧式であり
現在のPPのナノマシン搭載機が使用している新型のナノマシンには効果は無く
まして特殊部隊などという大層な名前のついた漆黒の牙の、その大将の乗るタルタロスに効きようなど、あるわけが無い
では何故、ガルザパールはそんな兵器をわざわざ取り寄せるのか…?
「えーっと……あ、すんませーん」
間延びした声と共に、ジャッカルと共に立つプロスタスの護衛に、ガルザパールが声をかけた
「かんいけんきゅうしせつって字を……あはは…」
「……さっすがだわぁ…」
ライガーシュミット解体作業を行っていたトキワは、開かれた内部を見て
その内部構造に流石に歓心の声を上げていた
「こんっだけ高性能で細かいの、地球で生産設備整えるのはめっちゃ骨折れるわ…
世界最高とか言ってた三石とか山崎の人型重機何てこれをアサルトライフルとしたら火縄銃ね
大体戦車とか戦闘機とかと基本構造全然違う上に技術水準がこっちのオーダーメイド並み
挙句せっかくできたとしても使いこなせるパイロットが育つ頃にはこの国は焼け野原…」
機体をみるために乗っていたリフトを降ろしつつ、独り言を呟きながら、トキワはデスクへと向かっていく
「となるとやっぱり…」
そう言って、トキワが近くにいた研究助手にライナを呼ぶよう伝えようとした時
丁度、エレベーターからトキワが姿を現していた
「お姉さま「トキワちゃん、話しが…」」
同時に相手に近づき、声がハモった二人は、すぐさまお互いの意図を理解すると
トキワはハンガーの墨の作業員休憩用のソファーと机へと、ライナを誘った
252 :
名無しになりきれ:2009/07/07(火) 12:23:58 O
テクノはふらふらと格納庫に向かって歩いていた
「怖かったです・・・・・・タルタロスさんは怖すぎるです」
膝がわらっている
涙目になっている顔をハンカチで拭いながらもまだビクビクしていた
「ホワイト、ブラック〜」
自分に近い存在に助けを求めるために格納庫の扉を開いた
開くと超絶なプレッシャーが彼女を貫いた
すみません
またやってしまいました
座標不明の海域があった
そこには、海に浮かぶライガーシュミットの残骸と月夜に照らされる機影
機体の肩には、バイザーマスクを被った女が座っていた
「こんな偵察部隊如き、いくら撃破しても同じね
そろそろ大物を叩き潰さなきゃ」
女の声は若かったが、腰まで伸びた長髪は老婆のように真っ白であった
機体に語りかけるように喋り出した
「ねえクリス、PPの連中に復讐してやらなきゃね!
徹・底・的に!」
最後の一言に強烈なアクセントを付け加え、天を仰ぎながら叫ぶ
その一声には、PPに対する強烈な憎悪の念が感じられた
彼女は復讐者「リヴェンジーヌ」
この地球の誰よりもPPという存在を憎む者である
「カツキ特佐、エスペラティオはもうダメだな」
「やっぱりか」
技術者の言葉をユキは何となく覚悟はしていた
沖縄戦の翌日から、実機を使ったヘルミフィアの強烈なシゴキを受け
七日目には機体を見事に半壊させられてしまい、今に至っている
「コクピット周りはズタズタだし、フレームも大きく歪んでいる
それでなくとも武装テスト用試作機をメンテも入れずに使い倒したら、そりゃ壊れる
しばらくは新型のデータを入れたシュミレーターであそんでいろ
どちらにしても准将閣下はお前を載せ替えるつもりだったようだしな」
「解ったよ」
そう言ってユキはドックをフラリと出て行き、食堂へ向かう
(…………)
どうにも基地内の、特に前線組の様子がおかしい。消耗しているの一言では説明できないおかしさだ
沈んでいる。とでも形容すべきその様子はPP達も生物であることの現れだろう
「よう、ゴールデンルーキー」
「何だよ、その渾名?」
誰かは判らないが、気さくに話しかけてきた兵士に、ユキも軽い調子で返す
「准将のシゴキに一週間も耐えた猛者は今までいねーからな
だから期待の新人。ゴールデンルーキーって訳だ」
「そうかよ」
「ところでルーキー、面白い話をしてやろう。今な、前線の偵察部隊が結構落ちてるんだ」
「どうして?」
「んなもん知るかよ。けどな、その部隊の奴らは幽霊だって言ってる」
「で?」
何が言いたいんだ?と言外に言ったユキにその兵士はお茶目に笑って見せた
「落ちたのは確実なんだが、場所がよく判らないんだよ
そんな怪しげな幽霊退治ってのは
我らが大将に見込まれたゴールデンルーキーに箔をつけると思わないか?」
「そんなの知るかよ。それに第一、俺は今機体をやっちまってる」
「じゃあ、新型があがったらロールアウトは幽霊退治な!」
と言ってその兵士は走り去ってしまう
「オイ、こら」
ユキはリアクションに困り、暫くその場で固まっていた
牙影 格納庫【壱】
現在、ここ格納庫では、持ち込まれたテクノの機体に何かしらの危険がないか、検査が行われていた。
しかし、これといったトラップのような物も無く、検査は当の昔に終了している。
後は……ある人物の独壇場だ。
「…ふぅん…私らと似通った造りの箇所もあるけども……」
(大丈夫かい?そんなに深く潜ってしまって……もう少し上げようか?)
技術班と整備班の双方を束ねる天才、キサラギである。今回助手を務めているのはコキュートス。
キサラギは上半身をブラックの装甲の隙間に潜り込ませ、自分達に在るもの無いもの関係なしに、機体構造の記録をとっている。
彼女は自分の見たものしか信用しないので、データを見ただけでは満足せず、自らチェックをしたがったようだ。
コキュートスは、そんな彼女が何かの拍子に装甲等に挟まれたりしないよう、指示が出たらブラックを人形のようにカクカク動かすのが仕事。
「よし、ちょいと右腕の方を動かしてくれるか?」
(こうかな?)
「おーおー、OKストップ。………あぁ〜ん…なるほど…こいつは今までにない発想だわ…」
テクノが進入してきたことなど、気付いてないし気に掛けてもいない。彼女は今最高に幸せなひとときを満喫している故に。
だが、気付いている者もいる。テクノが開いた扉のすぐ横に、先程まではそこに何も感じなかったのに、急に強烈な存在感が沸き出始めた。
存在感というよりは威圧、威嚇、むしろ殺気に近いものが放たれていた。
そこにいたのは、壁に背を任せて、いかにも不機嫌そうに腕を組んでいる、レイカであった。
「……どうした…逃げ帰る気にでもなったか?」
正体不明の黒いオーラを漂わせ、一歩一歩が地響きのような歩みでテクノに近づくレイカ。明らかにおかしい。
鋭い眼差しに正気の光はなく、ただぼんやりとテクノの顔が映るのみ。そのままズイッと顔を近づける。近い。鼻が触れ合いそうだ。
「レイヴンが……お前の同行を許可したというのなら、私は何も言わん……だが…」
レイカが言葉を止めた瞬間、あれほど殺意を放っていた眼つきが、まるで嘘のように優しく、そして強い意志を込めたものに変わった。
「私の大切なあの人に………コウに何かあったら、私は“あなた”を許さない…絶対に……!」
それは彼女が、一瞬だけごく普通の少女に戻った瞬間。刹那の時……
コキュートスは、とても満足そうに、小さく笑った。
>>251 ライナはトキワと向かいあうように座っている。彼女の態度はどこかソワソワして落ち着きがない。
そして遂に彼女は行動に移した。出されたコーヒーを一気に飲み干し、机をバンッ、と叩いて立ち上がった。
「……フフ、私が察するにあなたと私は考えている事が同じと読んだ!
モリナガ氏から話は聞いたわ。是非! 私たちを大闘神計画に参加させてくれないかしら?」
ライナはハンガーに響くような声で喋った。
驚いたトキワにライナは追い打ちをかけていく。
「勿論、あなたたちの期待には応える成果を出す事を誓いましょう、ラーデン・ネストも今こちらに向かって飛んでるわ。
私たちが誇るあの艦には一流の設備と優秀な技術者が乗っている。
必要とあらばラウフェン・ボーゲルのデータの一部開示も考えるわ。ホントに一部だけだけどね。」
ライナはソファに座り込む。
そして右手の人差し指と中指を立てて、更に言葉を続けた。
「そう……二ヶ月よ。二ヶ月で完成させましょう。私たちのスタッフとあなた達を総動員すれば
不可能ではないわ。それに敵もそう待ってはくれないものね。
それと、一つだけこちらの話についても考えてほしいんだけど。
率直に言うと――大闘神計画の機体とパイロットをこちらの戦力として運用したい――」
扉が開き、格納庫に一歩踏み入れると強烈なプレッシャーがテクノを包み込んだ
テクノを恐る恐るプレッシャーが放たれる方に顔を向けた
>「……どうした…逃げ帰る気にでもなったか?」
正体不明の黒いオーラを漂わせ、一歩一歩が地響きのような歩みでテクノに近づくレイカ。明らかにおかしい。
レイカと目が合う、彼女からは辛辣ら言葉が飛んで来た
「逃げようなんて…」
テクノはどこか弱気だった
先ほどの体験がまだ尾を引いている
レイカがどんどん近づいていく、テクノ目の前に立ち、ズイッと顔を近づけ鼻先がぶつかりそうな距離だった
思わず一歩引くテクノ、レイカの眼光が突き刺さる、反射的に目を逸らしてしまった
「レイヴンが……お前の同行を許可したというのなら、私は何も言わん……だが…」
レイカが言葉を止める、テクノは緊張し唾を飲み込むんだが意を決してレイカをの目のを見つめ直した
一瞬テクノは目を疑った
彼女が見たのは恋する乙女の純粋だが力強い瞳だった……そこには殺気も威圧感もなくただの優しさだけがあった
それはテクノが生まれからこれほど純粋なものを見たことはなかった
「私の大切なあの人に………コウに何かあったら、私は“あなた”を許さない…絶対に……!」
彼女の気持ちが言葉になってテクノの作られた心に確かに響いた
「美しいです……」
まず率直な気持ちが口からこぼれた
レイカの気持ちは彼女の心を明るく照らし、爽やかな風が体中を駆け巡るように感じられた
「申し訳ありませんでした。私の言葉があなたに届くかはわかりませんが、もう二度とあなたを悲しませたりいたしません。」
テクノは深く頭を下げ謝罪した
>>257 「……」
しばらくライナの雰囲気に圧倒されていたトキワだったが
やがて立ち上がると、ライナの手をとって、満面の笑みで言った
「も全部オールオッケーです!」
「いやいやいやいや…ちょ、待ってくださいよ」
余りのトキワの即答に、横で聞いていたモリナガが思わず口を挟んでしまう
無粋ねあんたという感じでトキワガモリナガを睨んできたためモリナガは怯むが
しかし一常識人としてここはこの二人の暴走を阻止せねばという使命感からか思っていた事を精一杯の勇気でぶつけてみる
「大闘神計画は国家レベルのプロジェクトですよ、所長一人の独断で、EUとの共同研究にする何て…」
「政府主機関が人型兵器をこの国で独占したがると思う?「あの」総理大臣の内閣ならそんな事は無いでしょうね
ヤン中将も文句無いと思うし…」
と、何事か思ったのかトキワの言葉が止まり、視線がモリナガからライナに移った
「お姉さまもそっちほーめんいいの?あの辺のもん、いちおーお国のもんなんだし」
「…あ………い、いや…!その、なんだ!わかったなら良いんだ…!」
テクノの言葉を受け、自分が勢いに任せて何を口走ったのか、ようやく理解したレイカは、
顔を真っ赤にして足早に格納庫から出て行った。去り際に自分の頭を殴打しつつ何事かブツブツと呟いていたが、
気が付くと、闇が退くかのごとくレイカの姿も消えていた。
それに合わせたかのようなタイミングで、ホクホク顔のキサラギが細い腰で無駄なモンローウォークをしつつ、
同じく出口へと向かって行った。出て行く寸前で、急にテクノの方の向き直ったかと思うと、
「や、勝手ながら、ちょちょいとてめぇさんの機体を視させてもらったよ。まぁ特に危ねぇモンも積んでないようだし、
機体の警戒解くようにウチのバカンチョーに伝えといてやるよ………それに…ふふふ…色々と学ばせてもらったし、ね…」
怪しく笑う彼女が手にしている大量の紙には、複雑な図形や言葉が書き込まれているが、文字どうしが重なり合って真っ黒にしか見えない。
全ての紙が同じように真っ黒である。恐らく、メシスでも解析不能だろう。だがキサラギ本人は読めるらしく、満足そうに黒紙を眺めている。
「あ、警戒解くっつっても、あいつは元から此処にいるから、どかせないよ?」
そういって指差したのは、天井が低くて仕方なく体育座りをしているコキュートスであった。
(やぁ、お構いなく。別に何もしないから、気にしないで)
中性的な声でのんびりと返事をするコキュートス。座っても頭部のブレードが邪魔なのか、少し首を傾げているが、全然かわいくない。
結局座るのもやめて、寝転んでしまった。大仏よりも大きいし、何より恐い。
此処は漆黒の牙旗艦、牙影……自由奔放がウリである。
もうさ
パッパッと進められないならやめたら?
楽しいか?他がなにもできないし
何してるかも分からないしもう見てる側もつまんないだろ
とにかくお前は避難所に行け
一週間に一回か二回くらいしかカキコできない参加者も居る
待てないならおまえが見なけりゃいい
てst
ああよかった書き込めたw
規制が頻繁に起きたりするので更新はのんびり目が嬉しい
>>250 リカオン「………」
「待て」
しかし、ガルザパールに呼び止められたリオカンは答えることなく立ち去ろうとした
プロスタスが呼び止める
「ガルザパール殿の質問に答えるのだ」
リカオン「『かんいけんきゅうしせつ』とは『簡易研究施設』と変換します」
背を向けたまま、『簡易研究施設』という字をインフォメーションボードに投影する
ジャッカルとは対照的に青のカラーリングだが、それ以外は全く一緒である
「失礼した
この者はまだ、赤ん坊も同然の状態
我以外の者とまともな会話は出来ぬのだ
それでは我々も自室へ戻らせていただく」
そう言うと、ジャッカルとリオカンを引き連れて会場を後にした
>>266 「あ、どーも、ありがとーございました
いえいえ、ご親切、痛み入りますです」
さらさらと簡易研究施設という字を写し、二人と、ついでにジャッカルにも頭をぺこぺこと下げてガルザパールは礼を言うと
「では、自分もこれにて、失礼致します」
と言って、ヴォラヌスにも頭を下げ、会議室を後にする
会議室を後にしたガルザパールは、事務室へ行って作成した書類を南極の物資集積所へ郵送した後
トラモドキらと合流し、そのままヘルミフィアの元へと向かった
上官の部屋に生物兵器と一緒に入る程常識の無い男ではないガルザパールは、通行人の邪魔にならない位置に彼等を待機させ、ドアをノックする
「対策班のガルザパールです、突然で申し訳無いんですが、出撃許可の申請をいただきに参りました」
↑訂正します
×出撃許可の申請
○出撃許可
>>267 「うーん………」
ヘルミフィアは自室で頭を軽く悩まさせていた。ユキのために取り寄せる機体を選びきれないからだ
武装は最低限で基礎性能が高い機体なのか、脳波コントロールなどをふんだんに使った機体にするのか
何より、どちらにしろヘルミフィアの要望するスペックを出し切るには
かなりガチガチのチューンをしなくてはならない。と本国のメカニックに言われてしまった事がネックになっている
ユキにそこまでの機体が操れるのか…………?いや、脳波コントロールならいっそ過敏くらいの方がいいのでは…………
>「対策班のガルザパールです、突然で申し訳無いんですが、出撃許可をいただきに参りました」
考え込んでいた中で不意に聞こえた声に、彼女はふと我に帰る
「ああ、許可する。行くがいい」
短くそう言い、出撃を促す。そして気配が遠ざかったと判断すると司令部へ通信を入れた
「ガルサパールを衛星で追い、その画像を私の部屋のモニターに寄越せ」
さぁ、お手並み拝見しようじゃないか
>>243 『前方を進行中の不審船に注ぐ、こちらは極東連邦海軍だ、直ちに停船せよ、しからずんば発砲する、繰り返す、直ちに停船せよ!』
ユリカゴの通信機から、連邦海軍士官と思われる男の声が響きわたる
日本に向かったユリカゴを待っていたのは、地球連邦海軍が敷いた、海上防衛線を守る護衛艦隊だった
数は護衛艦4隻と、海保と思われる巡視船12隻
オーストラリアでのセイガーの活躍など知る由も無い彼等にとって、敵の線領域から出てきた不審船など敵にしか見えないのだろう
海軍士官の声は敵意と殺意にあふれており、これ以上ユリカゴが無言で前進しようものなら、自衛権を行使してくるのは明白だ
格納庫へついたガルザパールは整備主任に予備の高機動型ライガーをスタンバイさせると、整備士達が見守る中で部下のトリモドキ、ヴェルを自身の前に立たせ、不気味な笑みを浮かべながら、言った
「さぁ出番だ、怪鳥ウェルよ、漆黒の牙の連中を片っ端からズタズタにしてやれ!」
「クヶーーーー!!」
怪鳥が不気味に叫び、格納庫に緊張が走って……
何事も起こらない
ややあって、「じゃ、行くわ」と何事も無かったようにガルザパールは動物達と
漫画汗流して奇行に混乱する整備士等を残して、単機で出撃していった
高速発進したガルザパール機は途中連邦空軍の迎撃に遭遇する事も無く沖縄へと到着し
おもむろに海中に突入すると、しばらく海中で何事かしていた後、何か塊の様な物を採取し、再び海上に姿を現し、そのままオーストラリアへと戻ってきた
無論、漆黒の牙とも、メシスとも、セイガーとも謎の機体とも、一回も戦っちゃいない
そりゃそうである、元々戦うつもりで出撃したわけでは無く、今手にしている塊を回収するための出撃だったのだから
では、この塊は何か?
賢明な読者の皆様はもう勘付いている事だろう
そう、重電磁砲の命中で吹き飛ばされた
タルタロスの肉片、その一部である
ガルザパールがオーストラリア基地に戻る途中、「亡霊海域」と呼ばれるエリアに差し掛かる
ここは、PPの偵察隊が幾度なく正体不明の敵機の攻撃を受け、壊滅したエリアである
その正体不明の敵は、PP内で「亡霊」という名で一部で恐れられていた
海域に入ってしばらく経った後、突如海中から一機の機体が飛び出して立ちはだかってきた
ガルザパールの機体より一回りほど小さいが、放たれる威圧感が強烈と言える
「フフフ…
そんなに急いでどこに行くのかしら?
PPさん…」
機体の肩に乗ったバイザーマスクの女が語り掛けてきた
白髪の長髪を風になびかせながら、口だけを不敵に微笑ませている
「私に出会っちゃうなんて運の悪い人…
PPの人たちは全部殺してあげるわ
ねえクリス…、ねえみんな…」
肩からせり出したクリスタルに日の光が反射した刹那であった
瞬時にライガーの左横方向に回り込み、クリスタル・ブラスターガンを取り向ける
そして、胴体部分を狙って血の色のようなビームを撃ち放った
>>272 >「フフフ…
>そんなに急いでどこに行くのかしら?
>PPさん…」
海中から突如出現したアンノウンに、さしものガルザパールも目を見開いて驚愕し
すぐさまだらけた脳内を戦闘モードへと切り替えた
五感全てを開いて目掛けて研ぎ澄まし、脳内で素早く現在の状況と、与えられて来る情報、そしてコレまでの経験や知識を素早く混合させ、次の行動を構築していく
(敵は外部コントロールタイプ、海中戦闘能力有、ただし海中、地上への命中精度は低下の可能性アリ、ソースは奴は海中から俺に仕掛けてこなかった
ただしこちらを恐怖させるために出てきただけの可能性を考慮すると、海中への逃亡はこちらの行動には制限がかかる事が分かりきってるから、今の所無し)
ここまで、リヴァンジーヌの最初の台詞から、次の台詞までの間に脳内で構築する
ガルザパールの目的は、悪魔でもタルタロスの破片の回収だ
何の特別な装備も無く、また備えも無い状態で、目の前に現れたからといって闇雲に正体不明の敵機に挑む程、ガルザパールは無謀な男では当然ない
仮にフル装備でも、「戦え」と言う命令無しでは、正体不明の敵とは、相手が明らかに格下に見えたとしてもやらないだろう
事前に調べられるだけの情報を収集し、備えられる事にできるだけ完全に備え、有利な条件下で、戦う
保守的すぎると一部で叩かれる戦い方ではあり
おかげで出世コースからは外されていまだに大尉どまりであるが
これまでガルザパールはこの手でいくつ物敵の奇襲や不足の援軍、伏兵などを無力化し
何体もの「悪魔」だの「怪物」だのを倒してきた
そして今回もまた、何の事前準備も事前情報も無しに、この眼前の敵とやりあう気は無い
故に、ここは
>「私に出会っちゃうなんて運の悪い人…
>PPの人たちは全部殺してあげるわ
>ねえクリス…、ねえみんな…」
眼前からリヴァンジーヌ機が消え去った瞬間、ガルザパールは機体をフルスロットルで急上昇しつつ前進させた
すぐに今までガルザパール機のいた場所を、不気味な熱線が通過していく
「特殊任務中ライガーよりオーストラリア作戦司令部、緊急事態発生、現在エリアXXXで正体不明機の攻撃を受けている、救援と指示求む、繰り返す正体不明機の攻撃を受けている、救援と指示求む、オーバー」
戦闘機が如く高速で飛行しながらオーストラリアへと緊急通信を早口で行うと、ガルザパールは更に機体を加速させる
それはまさに、脱兎の如くの逃亡だった
>>273 「逃げ足の速いこと…
今までの連中に比べていい判断力見せるじゃない
でもね…」
背中の二対の翼のようなフライトユニットの色が血のような赤へと変わっていく
そして、凄まじい念動力エネルギーの噴射と共に猛スピードで追撃を開始した
その速度はガルザパールの高機動型ライガーのそれを遥かに上回るものだった
かなり距離を放していたが、直ぐに詰めて追い縋ってくる
「今日はあなたたちPPへの正式な宣戦布告も兼ねてるの
今は殺さないであげるから本部へ帰って伝えてちょうだい
…リヴェンジーヌは必ず、PPを一人残らず殲滅するとね」
機体をガルザパール機の至近まで接近させ、そのまま語り掛けてきた
先ほどの狂気を含んだ明るい声とは対照的に、憎悪を含んだ冷たい声に変わっていた
「さようなら」
再び不敵な笑みを浮かべると、そのまま距離を離して空の彼方へ飛び去って行った
>>273 『准将閣下』
「なんだ」
未だに悩んでいるヘルミフィアを襲った突然の通信に、半ばキレ気味に彼女は返す
『先刻出撃した友軍機から援護要請です』
「そんなもんにいちいち私の許可を求めるな、アホが」
『いえ、それが………要請はあるのですが敵機が見あたらないのです』
「貴様の見間違いではないのか?」
『いえ、複数のオペレーターが確認しました』
ヘルミフィアは眉をしかめ小さく舌打ち、嘆息の後に友軍に通信を入れる
『こちら司令部。貴君の言うような敵機はこちらからは確認できない。繰り返す、敵機は確認できない
機体に不調があるならば至急帰還されたし。オーバー』
まさか本国からの増援をその日に失う訳にはいかない。真偽はともかく、本国司令部に悪い心証を与えすぎると
さすがの叩き上げエース、ヘルミフィアも降格か左遷を免れないだろう。
もっとも、前線を離れて地球に居ること自体が既に左遷であるような気もするのだが
>「や、勝手ながら、ちょちょいとてめぇさんの機体を視させてもらったよ。まぁ特に危ねぇモンも積んでないようだし、
機体の警戒解くようにウチのバカンチョーに伝えといてやるよ………それに…ふふふ…色々と学ばせてもらったし、ね…」
顔を真っ赤にして出て行ったレイカを見送っていると背後からキサラギが話しかけて来た
「ありがとうございます、私の機体が参考になったのなら私も嬉しいです。
この艦に乗せていただくせめてものお礼ということで」
ニコニコとキサラギとの会話を続けると彼女が手に持っている黒い紙が目に入った
凄まじい情報が書かれていたことはわかるがあまりにも情報が多すぎて彼女にも何が何やらわからなかった
>「あ、警戒解くっつっても、あいつは元から此処にいるから、どかせないよ?」
テクノは横にいるコキュートスを見上げる
>(やぁ、お構いなく。別に何もしないから、気にしないで)
彼?彼女?が話しかけて来た
見た目とは裏腹に可愛い声だった、テクノにそれが何か妙におかしく声に出して笑ってしまった
「では、私はずっと機体の中にいるのでなにかあったら声をかけてくださいね
テクノはそういうとコクピットに戻っていった
>>274 急接近してきた敵機に対して、ガルザパールは機体の速度を落としつつ、いつでも回避行動を取れるよう構えを取る
ガルザパールの腕なら速度が早い状態でも相手の攻撃をかわす事はできるが
やはり低速の方が機体に無理もかからないし、回避もたやすくなる
また、長期戦になればなるほど援軍が到着するこちらの方が有利なので、オーストラリアまでわざわざ戻る必要も無い
だが、無論単機でそこまで多数の機体と戦えるようならば、敵はとっくにオーストラリアへ直接攻撃をかけてきているだろう
「今日はあなたたちPPへの正式な宣戦布告も兼ねてるの 〜 さようなら」
ガルザパールの予想通り、リヴェンジーヌ機は深追いせずに退却していった
しかしガルザパールは軽く安殿ため息をつくと、機体の速度は上げず、そのままの速度でオーストラリアへと向かう
>>275 『こちら司令部。貴君の言うような敵機はこちらからは確認で〜オーバー』
ややあってようやっと司令部から先ほどの返答が届いてきた
しかしリヴェンジーヌとの戦いがあっという間だったため別に特別返答が遅かったわけではない
「了解…、直ちに帰還する、通信以上」
この場でヘルミフィアといた、いないの議論をするつもりの無いガルザパールは素直に帰還命令に従い、機体を帰路につけた
オーストラリアに戻ってきたガルザパールは、とりあえずタルタロス細胞を格納庫の邪魔にならない場所に放置し
出迎えた整備士等に細胞について説明して迂闊にいじらないようにと言う事と、機のメインカメラの映像記憶をチェックするよう指示を出した後
動物達が待機している所へ素早く向かい、軽いスキンシップをとった後
「自分は上官へ報告に向かうので、冷凍保存設備をいつでも出せるように艦の連中に言ってきてくれ」と命令した
動物達はその指示に従い、風のように格納庫を飛び出していき、ガルザパールもまた整備士から映像記憶の入ったディスクを受け取ると、ヘルミフィアに報告すべく、格納庫を後にする
>>270 >『前方を進行中の不審船に注ぐ、こちらは極東連邦海軍だ、直ちに停船せよ、しからずんば発砲する、繰り返す、直ちに停船せよ!』
目の前には恐らく日本海上を守る艦隊。
どう見ても此方が侵略する方に見えてしまうのだろう、なにせ飛んでいる船なのだ。
「ま、待って! 僕たちは怪しい者じゃ……。ただ日本で日用品とかを買いたいだけなんです!」
慌てて弁解しようとするカズキだったらそれを制しリラが通信を取る。
「通じる可能性は低いですけど……そちらが攻撃をしないなら私たちはニホン本土を攻撃しません。
そして私たちがいる時にニホン本土を襲ってきた敵は私たちが追い払います。
空を飛ぶ船……あなた達からすれば敵と同等の科学力の味方は心強いのでは?」
挑発する態度。だがそれは裏を返せば『自分たちはあの敵に勝てる術がある』と言っているようなものだ。
「……だ、大丈夫かなぁ」
「……マスターの方なら私以上の啖呵を切るのに……臆病者」
ズシャっと容赦がないリラの一言がカズキに突き刺さるのであった。
>「通じる可能性は低いですけど……そちらが攻撃をしないなら私たちはニホン本土を攻撃しません。
『え!?』
リラの送った通信に、少しの間通信機の向こうがどよめいた
どうやら幼い女の子の声が返ってくるなど、想像していなかったらしい
『あー…なんでもいいから、とにかく艦を停めて、中を検え…見せなさい、』
ややあって、劇的に声のトーンが優しくなった士官の声が無線の向こうから聞こえて来た
同時に、巡視船が数隻、ユリカゴへと接近していく
そして巡視船とユリカゴの距離が、最初の半分までに縮まった、その時だった
突如海中から巨大な尻尾の様な物が現れたかと思うと、巡視船に物凄い勢いでぶつかり、巡視船を横倒しにしてしまう
更に驚く間もなく尾は素早く海中に戻ってしまう
『何だ………攻撃準備を……ガガ……』
突然の事に混乱したのか
ユリカゴの無線から聞こえていた士官の声が慌しい喧騒と共に一方的に切られ、4隻の護衛艦は尾の出現した海域目掛け速射砲を撃ち始めた
激しい砲撃に水柱が次々と立つが、手ごたえらしい物は無い
そして再び海中から突然尾が生え、再び一隻、巡視船を沈没させてしまう
と
『何グズグズしてんだい!さっさと逃げな!ここはあたしが食い止めたげっから!』
おもむろにユリカゴの正面に、海中から全身メタリックブルーで、帆船の先端に掘られている女神像の様な上半身に、大蛇の様な下半身を持つ機体が現れ
ユリカゴを艦隊から守るように正面にバリアを展開した
どうやらPPの機体らしいが、ユリカゴを味方と勘違いし、救出に現れた様である
相手はユリカゴに背を向け、艦隊に気を向けているため、隙だらけだ
「○○○、何やってる!
早く逃げるんだ!」
「いやよ!
ねえクリス、一緒に逃げましょう!」
燃え盛る都市、二人の男女が激しく言い合う姿が映っていた
人々の死体があちこちに転がり、PPのライガーシュミットが我が物顔に闊歩する
女は瓦礫の下敷きになった人を救出しようとする男の腕を引っ張っていた
それを振り払い、剣幕を以て女に逃げるように指示する
「その人たちを助けるなんて無理よ!
私たちだけでも…」
「冗談じゃない!
レスキュー隊員の誇りが許さない!
それよりも、君だけでも早く逃げるんだ!
後で…避難ポイントで会おう…愛してる…頼む…」
泣き縋る女の額にキスをすると、そのまま女の長髪を掻き撫でる
無言で頷くと、その場を涙ながらに後にする女
この後、二人は避難ポイントで再開を果たすが、それは「生きて」ではなかった
「………」
「いやあぁぁっいやあぁぁっ!
クリスーッ!」
死体袋に包まれた状態で、礫死体となって発見された男
瓦礫に押し潰され、二目と見られない姿になってしまったのだ
警備員に止められ、女はその場で狂ったように泣き叫び続けた
「………」
女は孤独を味わった
彼女が見知った者、彼女を見知る者は全てPPによる戦災で死んだからだ
全てを失った女は狂気に駆られ、各地を放浪した
その間に鮮やかな金髪だった女の髪から色が失せ、老婆の如き白髪と化す
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「………
また、あの夢…」
ここは某海域の奥深く、クリスタリオのコクピット内に姿を見せるリヴェンジーヌ
バイザーマスクの隙間から、血の涙が筋を立てて流れていた
この夢を見ると、彼女はいつも血の涙を流してしまう
凄まじい絶望と悲しみ、憎悪が入り混じった感情に支配されるからだ
「………」
マスクを外して、血の涙を赤く染まったハンカチで拭き取る
そして、再びマスクを被り直す
「ふふふ、全て終わらせるわ
いつか必ず、この手で…」
狂気のこもった高い声で拳を握り、高く天に掲げる
それと同時に、クリスタリオの背後でそれよりも遥かに巨大な影が躍動した
クリスタリオに似たシルエットを持つ、遥かに巨大な何かが…
>279
>『何グズグズしてんだい!さっさと逃げな!ここはあたしが食い止めたげっから!』
突然の攻撃に艦隊が総崩れする。
その中ユリカゴはただ炎の海となる海の上空で静止していた。
「……っ!」
「随分馬鹿が敵にもいるようですね。どうしますか? ここは逃げるのがセオリーですが……」
続きを言う前にカズキはドッグへと駆け出した。
リラはやや考え……ユリカゴを自動稼働状態に設定し彼を追いかけた。
ユリカゴのドックが開く。
其処から純白の白い機体が飛び立ち巡視船の一隻へ降り立った。
「……待ってくださいそこの人魚のようなロボットのパイロットさん!」
次に白い機体……セイガーは武器を巡視船に置き両手を広げた。
戦う意思はない、そう見せつけるように。
「僕たちは地球人です……分け合ってユリカゴという異文明の技術を持っているだけで……
お願いです!! ここは引いてください! 僕たちを助けようとしてくれたことには感謝をします……
でもそれは勘違いで……」
「要約すればそちらの勘違いだから話がややこしくなる前にこの場は引いてください。と言う事です」
そういいまるで神に祈るように目の前の人魚のような機体に話しかけるセイガー。
はたして……それは意味をなすだろうか?
>>282 セイガーの言葉を受けたエルマッル機は、すぐに波飛沫をたてて海中へと消えた
護衛艦隊の砲撃がその場に集中するが、やはり手ごたえは無い
『…………次は…撃ちなさい』
ややあって、セイガーの通信機に、申し訳無げなあのパイロットの声が聞こえてきた
どうやら彼女もまた、恥を知っている人種のようである
それから少しして、海中からエルマッル機の気配は完全に消滅した
『………正体不明機パイロットに告ぐ!直ちに機体から投降しなさい!』
入れ替わりに、今度は連邦海軍士官の厳しい声が無線から聞こえ
体制を整えた艦隊がセイガーの乗る巡視艇を包囲しはじめた
巡視艇の乗組員も数名、ロケットランチャーを携え、船外に出てセイガーに砲塔を向ける
はじめまして
参加希望なのですが、設定等こちらに投下しても大丈夫でしょうか?
避難所もwikiも見れなくなっているので…
せっかく参加希望の人も来てるし保守
最近全然動きがないので点呼と今後どうするかを書き込んで欲しいです
今まで使用していた掲示板も使用できないですし、問題は山積みです
生きてます
ガルザパールの次の行動を書こう書こうと思ってはいるのですが、どうにも筆が進まず…
>>283 >『…………次は…撃ちなさい』
その声と共に人魚のようなロボットは海へと戻った。
その中カズキはただ何も言えずに眺めるだけだったが……。
次の瞬間、セイガーが攻撃を探知したと反応する。
>『………正体不明機パイロットに告ぐ!直ちに機体から投降しなさい!』
攻撃をしようとする兵士たち。
カズキはただその状況に困惑していた。どうして狙われるのかは分かるがセイガーを渡すわけにもいかないのだ。
「……貴方がたの攻撃ではセイガーはダメージを受けません。逆に貴方達が倒れるかと……船一隻いくらしますか?」
「リ、リラ! そんな相手を挑発させる言い方なんてっ!」
リラは一度カズキを見るがすぐに目をモニターへと戻す。
「どうしますか? 我々は此方からは攻撃をしません。日本にほんの少し滞在するだけです。
更に敵の攻撃があればそちらの指示があれば動いてもいいです。これほどの好条件を捨てて戦いますか?」
何時もどおりの声でリラは周りを見る。
兵士たちは……ただ上の指示を待ちロケットランチャーを構えていた。
おまえらつくづく他力本願な日和見主義者どもだな
やる気があるとは思えない
こんにちは
改めまして参加を希望したいのですが、設定投下はこちらで大丈夫でしょうか?
もう一つすみませんが、今勢力毎に人がどのくらいいるのかちょっと分からないのでどなたか教えていただけないでしょうか?
生きとりますよ。
>>290 あれ?wiki見れますよ?
>「どうしますか? 我々は此方からは攻撃をしません。日本にほんの少し滞在するだけです。
>更に敵の攻撃があればそちらの指示があれば動いてもいいです。これほどの好条件を捨てて戦いますか?」
『バカヤロウ!子供が軽々しく、戦う何て言うもんじゃない!ゲームじゃ無いんだぞ!』
リラの言葉に、無線機の向こう側から、連邦軍士官の怒声が返ってきた
その語調はリラ達への憎しみよりも、どちらかと言うと必死にリラ達を思いとどまらせようと言う気遣いが感じられる
通信機の向こうの士官はどうやらかなりヒートアップしてたらしい
やがて、少しの間部下らしい男達の声が聞こえた後、どうにか元の冷静な調子に戻り、改めて呼びかけてくる
『この国には、この国の法律がある。正体のわからない強力な力を持つ者を、協力しますと言われただけで、はいそうですかと入れる訳にはいか無い
確かに、君達の力は強力だ。だが、君達は我々に何ら自分達の安全性も、正体も、証明する事をせず、ただ口約束だけでこの国の協力をあおごうとしている
それは間違っている。それは、大勢の人間が守っている決まり事や、道徳に反する行為だ
だから、我々は、君達の正体や、安全性が確認できたと判断するまで、絶対に君達を本土へ向かわせる事はできない』
彼方から数機のRF−1と、対潜攻撃機「ソウルファイア」が飛んできて、上空で旋回を始めた
護衛艦やその他の巡視船のの主砲や機銃もセイガーへと向けられ、包囲網を形成していく
『……君達だけで、PPと戦うつもりなのかい?』
>>291 あ、本当ですね
失礼しました
以前アクセスしたとき、たまたま重くて見れなかったみたいです
>>293 ありがとうございます
PP側で参加したいと思います
設定で問題あれば指摘お願いします
名前:アルファルド
性別: 男
年齢: 外見年齢18歳前後
身長: 174cm
体重: 67kg
容姿: 若干紫がかった黒目、黒髪。
性格: 超強気
精神コマンド:直感 てかげん 迅速 気迫 魂 覚醒
特殊技能:天才 援護攻撃
【プロフィール】
PP本星からの補充兵で、階級は少尉。
見た目は地球人と大差ないが、地球人を遥かに上回る身体能力を持つ
他星の人々に興味を持っていて、地球人も例外ではない
敬語が苦手
名前:ライガーシュミットカスタム(アルファルド機)
サイズ:M
HP:5000
EN:200
運動:170
装甲:1600
移動:6
移動タイプ:陸/空
地形適応:陸/S空/A海/B宇/S
特殊能力:ビームシールド ジャマー
【機体解説】
紫色に塗装されたライガーシュミットカスタム。
性能、武装に変化は無し。
生存報告
>>294 よくいらっしゃった。見れば解るけどここは相当なスローペースですから
脱落し易いけど、頑張ってね
>>292 >『バカヤロウ!子供が軽々しく、戦う何て言うもんじゃない!ゲームじゃ無いんだぞ!』
「ゲームではない。そんな事は了承しています……が、貴方がたはそうでも貴方がたの上層部としてはセイガーそしてユリカゴに興味があるだけでは?」
冷徹に答えリラは連邦軍士官がいる船を見る。
>『……君達だけで、PPと戦うつもりなのかい?』
「……では聞きますが。貴方達と手を組めば勝てる道ができるとでも?」
はぁ、と溜息を吐き……リラは周りでロケットランチャーを構えている人たちを見る。
「無理ですね。私としては貴方がたと戦うのはごめんです。……どうしますか? カズキ」
「えっ!? ……そうだな、セイガーとユリカゴに触れないって言う約束をして僕たちだけ日本に行く……とか」
話を振られたカズキは慌てながらも自分が思ったことを口に出す。
ソレを聞いたリラはしばらく考え……
「……ソレも一理ありますね。ここで事を起こすよりかは……。聞こえてましたか? そう言うわけで私たちだけでそちらに向かいます」
と、納得をした。
「ですが……解析などをしようとユリカゴやセイガーに触れれば自動防衛で手当たり次第に攻撃するので注意を」
実質『触れるな』と答えた。
>>295 どうぞよろしくお願いします
今、PP側の皆さんはオーストラリア基地で固まってるようなので
ちょっと強引ですけど合流が遅れたという理由で参加しても良いでしょうか?
>>297 >「……では聞きますが。貴方達と手を組めば勝てる道ができるとでも?」
『あ…いや、だからそういう事じゃなく…あ〜〜〜〜』
無線の向こうで、喉に司令官が歯がゆそうな声を出した
恐らく、この司令官はセイガー登場からこっち、混乱していて、自分でも何を言っているのかわけがわからず、とりあえず頭に浮かんだ事を言っていたのだろう
>「……ソレも一理ありますね。ここで事を起こすよりかは……。聞こえてましたか? そう言うわけで私たちだけでそちらに向かいます」
『あ…待て…勝手に…いや……とりあえず機体から降りるべきか、直ちに機体から降りなさい』
とりあえず何にしてもまず機体から子供を降ろすのを優先すべきと考えたのか、そう通信機から聞こえた後
ロケットランチャーを構えた兵等が武器を下ろし、数歩後ずさった
>>298 いいんじゃないでしょうか?少しでも動きがあった方がみなさん動きやすいのではないでしょうか
「はぁ…」
合流に遅れた。
辺境の星への派遣にやる気が失せはしたけれども、遅れるつもりはなかった。
今からここの司令官様に挨拶に行かなきゃならないかと思うとげんなりする。
それでも仕方が無いから足を進めてしばらく、今度は自分がどこにいるのか分からなくなった。
誰かに道を聞こうと思ったら、上手い具合に周りに誰もいない。
溜息が出る。
『とりあえず誰か探そう』
そう思って基地内を適当に歩くことにした。
>>255 しばらく歩くと、通路で誰かボケーっと突っ立っている。
(…何してるんだ、アイツ)
まぁでも、ちょうどいいか、と突っ立ったままの少年に声をかけた。
「そこの…突っ立てる君。
ここの司令官様に会いたいんだけど、どこに行けばいいか知らない?」
通りすがりですが念のため保守しに来ました
もいっちょ
305 :
耐爬:2009/09/12(土) 03:39:54 0
吹き飛ばすただそれだけのことだ。
風のランスター最大の攻撃を受けるがいい。
デェッド!ロン!フゥゥゥーーーン!!
ダイターンファーーーーン!!
僕を甘く見るなよ。
307 :
北条真吾:2009/09/12(土) 10:38:07 O
ゴーフラッシャー
トライダーーーーバーーーーーードアターーーーーーーーック!