【兵員】第二次銀河大戦【募集】

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99ヴァイス中佐 ◆uruQDYRw3o
>>95-97
艦隊戦というものは、指揮官の性格や選択によって様々な局面を見せる。
配置上の関係から部隊の責任度合いというものも変わってくることもあり、結果的に遊兵が出現してしまうことも珍しくない。
その意味では、鶴翼の包囲陣において責任の軽い部隊など一つもなかった。

中央の部隊は敵の突進を受け止めねばならず、左右両翼は敵より素早い行動によって蓋を閉めねばならない。
仮に敵を完全に包囲下においたとしても、艦隊を一個の円として運用する以上その線は細くならざるを得ず、
ほんの僅かの緩みを見せたが最後、蟻があけた小さな穴から堤が決壊してしまうように、敵の突破を許してしまう羽目になる。

故に包囲殲滅線は困難を極めるのだ。それは時と場所を違えても決して変わらない。
古来に伝わる英雄によって確立された戦術が、銀河暦を迎えた今でも士官学校の教本に残っている所以である。

それを避けるべく銀河の端で一個大隊の指揮を取る男が、低くうめいた。

「…これは」

数で勝る相手の包囲陣形に対して時間を稼ぐ為に、突破してこれをかき乱す。
巡洋艦巡洋艦ブラオ・メーアのメインブリッジにいたヴァイスは、そう判断して突撃命令を出したのだが、
モニターに表示される敵艦隊の動きを見つめるうち、指揮官としてその脳裏に違和感と疑念が生じさせていたのだ。

「…敵左翼が若干ブレてますな」

副官を務めるこの男もまた、敵の動きに訝しげに見ている。
こちらを包囲せんと動き出した敵左翼の中に、僅かながら後退しているものを見つけたのだ。

(間違いない!)

命令を出した直後に彼が抱いた懸念、それは敵が移動包囲戦をしかけてくる可能性だった。
片方の突貫にあわせて引く、数に驕らず有機的かつ柔軟な戦法を選択している。
指揮官はアレフティナであるというヴァイスの推察は確信へと変わった。